陳情文書表

受理番号第156号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和5年11月13日 付託年月日令和5年11月28日
件名 企業局水道料金改定に関する陳情
提出者浦添市長
松本 哲治
要旨


 令和5年9月28日開催の沖縄県企業局受水事業体説明会において、企業局水道料金(以下「受水費」という。)の改定が提示され、その後、受水事業体の要望を加味した変更内容も示された。県企業局の財政事情、昨今の動力費上昇等の説明もあり、県企業局の安定運営のため受水費値上げは一定程度の理解ができる。
 しかし、第2回目の説明会において提示された、令和6年10月に約2割、令和8年4月に約1割値上げする受水費改定案については、受水事業体、ひいては水道使用者である住民、事業者などへ与える影響は非常に大きい。
 初めに、受水事業者は県企業局のように単一料金ではないため、受水費の値上げ決定後に、口径別や用途別、従量制に関するシミュレーション等を行い、受水自治体によっては基本料金に含まれる基本水量の見直し等、料金体系を抜本的に改定する必要も出てくるほか、説明会やパブリックコメント等も必要となる。また、令和6年10月を改定のリミットにする要因は県企業局の内部留保資金が枯渇するためとのことだが、受水事業体によっては、改定が間に合わず受水事業体が内部留保資金を持ち出し受水費として支払うこととなり、到底容認できるものではない。本来、受水費の値上げ分は、エンドユーザーである住民・事業者に各受水事業体の必要費用と合わせて支払っていただくべきであり、エンドユーザーが受水費変更による影響を鑑みる期間をしっかりと確保するべきである。
 次に、第1回の経営評価委員会において委員から指摘されているように、本来であれば内部留保の減少についてもっと早い段階で把握していたはずであり、コロナ禍前に値上げを実施できていれば、今回の大幅な値上げにつながらなかったと思慮される。近年の物価高騰に疲弊している住民・企業体への影響は最小限とするべきで、内部留保減少に伴う資産維持費分(21億円/年)は当面の間、地方公営企業法に基づく出資、長期貸付金等の制度を用いて一般会計等、県内部において調整するべきものと考える。また、起債は世代間負担の調整機能としての意義を有していることから、広域化に伴う費用(5.9億円/年)は起債を用いて対応するべきである。今回の値上げに関しては、動力費上昇分(16.8億円/年)のみに絞り、その後に関しても4年ごとの改定とするべきである。
 さらに、今回の改定案の説明会は第1回目が9月28日、第2回目が11月7日の2回のみで、収支計画等の内容検討ができる資料については第2回目の当日に配付された状況となっており、内容に関する討論をほとんど行うことができなかった。これでは受水事業体は住民・事業者へ受水費の値上げについて説明をすることができず、説明不足との指摘を受ける原因となる。受水事業体が理解できる状況をつくることが重要であり、今後の説明の時期や頻度、値上げ額や時期等の公表に関して在り方の再考をしてもらいたい。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 料金改定の実施時期を令和7年4月以降へ見直すこと。
2 起債の活用及び値上げ幅の圧縮に努めること。
3 受水事業体への説明の在り方について再考すること。