要旨
水道広域化事業については、長年水に苦しんできた離島の我々も大変感謝しているが、浄水場の建設場所の問題は住民にとって切実である。
現予定地の阿真キャンプ場は、「世界が恋する海」とうたわれる豊かなサンゴ礁とウミガメに会える阿真ビーチに隣接し、国内外から観光客がやってくる座間味村の最重要観光地である。周辺には児童生徒交流センターや海洋体験施設など誰でも利用できる観光施設があるが、浄水場は「衛生面において保安管理が必要であり一般開放できない」施設であり、誰もが自由に出入りできる阿真キャンプ場内に建つのは不適切であり、観光にとってマイナスである。また、浄水場を守るため、今後、防護施設や関連施設が建つ心配もあり、乱開発も危惧されている。村民のほとんどが観光業に携わっていて、観光客を魅了する自然豊かなこの一帯は、村民の生活の糧でもあり島の宝である。村民の暮らしと未来を守るためにも、この場所での建設は見直してほしい。
さらに、現予定地は「想定津波の最大浸水深が5メートル以上10メートル未満」という甚大な被害が想定されている区域に位置しており、国の指針としても、浄水場を建設する際は「原則として想定津波浸水地域外の高所を選定する」とされている。村民が安心して暮らしていくためにも、また、安全な観光地として発展していくためにも、津波被害のおそれがない高台に浄水場建設予定地を変更してもらいたい。なお、場所の見直しを求める島民の署名も過半数を超えている。
これまで企業局が選定してきた候補地を改めて見直すと、津波被害が想定されない候補地が幾つもあることが分かったため、それらの見直しも含めて、建設地は高台で検討してもらいたいとの陳情を提出したところ、土木環境委員会での審議を経て、高台の「高月山既存浄水場周辺」「阿真チジ」「旧ごみ捨て場」の3候補地について再調査された。住民としては、ぜひともその高台で建設地を選定していただきたく、事業が速やかに進むよう、努力を惜しまず、協力していく所存である。
同じ国立公園である隣の渡嘉敷島をはじめほとんどの周辺離島においては、津波被害を受けない高台に浄水場がつくられていることから、座間味島も他の島と同じように、安全な場所に建設していただきたい。
ついては、企業局と村民が互いに歩み寄り、未来に誇れるすばらしい浄水場が建設されるよう、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 国内外の観光客に人気の高いウミガメと会えるビーチに隣接する自然豊かな阿真キャンプ場に浄水場を建設することは不適切であるため、再考すること。
2 離島住民の生活と観光地の安全を守るため、水道施設は、津波等の災害を受けない場所に建設すること。 |