陳情文書表

受理番号第88号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和5年6月6日 付託年月日令和5年6月13日
件名 石垣リゾート&コミュニティ計画に係る知事許可事項に関する陳情
提出者我がーやいまの自然環境を考える会
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要旨


 石垣島で進められている大規模ゴルフリゾートを建設する石垣リゾート&コミュニティ計画(以下「本件計画」という。)は、その建設予定地として、ラムサール条約湿地である名蔵アンパル及び名蔵湾の集水域が対象となっている。これらの地域には国の特別天然記念物カンムリワシの営巣地が含まれるなど、計画どおりに工事が進めば貴重な動植物の生息環境が著しく損なわれると危惧される。本件計画は、昆明・モントリオール生物多様性枠組として国際目標とされ、日本の国家戦略とされたネイチャーポジティブに逆行するものである。
 事業者である株式会社ユニマットプレシャス(以下「事業者」という。)は、これらの貴重な自然環境への影響に関する予測・調査と環境保全策に関して、沖縄県条例に基づく環境影響評価手続において知事に必要な対応を求められた事項についてすら、いまだ実施していない。
 現在、知事の許可事項である農地法に基づく農地転用及び都市計画法に基づく開発許可の申請を進め、現在県の各所管課で審査が行われているが、環境影響評価手続で指摘され未対応となっている項目は、これらの関連法令・基準等においても同様に、事業者に対し実施が求められている。県は、各法令に基づく審査においては、次の事項について実施されていることをあらかじめ確認する必要がある。 
 ① 事業者による建設予定地全域と周辺地域におけるカンムリワシの生息状況
  及び年間を通じた繁殖を含むライフサイクルに係るカンムリワシの生態並び
  に利用エリアに関する科学的調査の実施
 ② カンムリワシの生息環境を保全するための対策とその公表
 ③ ①及び②を実施・監修する専門家、地元住民、沖縄県、石垣市、環境省等
  の関連省庁、事業者等による協議体設置及び対策並びに影響を継続的に検討・
  実施・モニタリングできる体制の構築
 ④ 事業計画に基づく地下水くみ上げによる周辺水系及び名蔵アンパル汽水域
  の水質・水位等への影響について、科学的根拠に基づく調査と予測の実施
 ⑤ ④の調査結果及びその影響を軽減する具体的な対策の公表
 ⑥ 地下水くみ上げによる影響が看過できず、十分な軽減策が困難な場合は、
  事業者及び石垣市は地下水へ依存しない給水計画へ変更すること
 ⑦ 事業計画に基づくネオニコチノイド系殺虫剤を含む農薬使用による名蔵ア
  ンパル・名蔵湾及び周辺地域にそれぞれ生息する生物相への影響について、
  科学的根拠に基づく調査と予測の実施
 ⑧ ⑦の調査結果及びその影響を軽減する具体的な対策を公表するとともに、
  十分な軽減策が困難な場合は無農薬による事業計画を検討し、その結果を市
  民へ公表すること
 ⑨ 工事中止を含む工事計画や事業計画を変更するための農薬や赤土流出によ
  る汚染の具体的基準を作成し、市民に公表すること
 ⑩ 本件計画に関して地域未来投資促進法に基づき事業者が作成した地域経済
  牽引事業計画が基本計画に適合していること、特に基本計画に定められた環
  境保全措置が実施されていること
 ⑪ 本件計画に関して地域未来投資促進法に基づき事業者が作成した地域経済
  牽引事業計画が土地利用調整計画に適合していること、特に市民の森及び石
  垣市有地を含む建設予定地全体を事業者が利用できる見込みであること
 ⑫ 本件計画の経済効果について、専門家の意見を踏まえて再検証し、各法令
  に基づく許認可審査を行うこと
 ⑬ 本件計画に関する地域経済牽引事業計画に記載された経済効果に関する数
  値を市民に対し早急に開示すること
 ついては、県は本件計画に対して、一貫性ある立場と方針に基づき、適切に対処するよう下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 本件計画に関する事業者による農地法に基づく農地転用申請について、厳正かつ慎重な審査を行い、事業者及び石垣市が上記①から⑬までの各事項を実施したことが確認できない限り、許可しないこと。