要旨
「母子保健」と「こども福祉政策」の間でこぼれてしまう母子に差し伸べる温かい手が必要である。困窮世帯では、十分なベビーミルクが買えず薄めて飲ませたり、アレルギー用ミルクが買えずに通常のミルクを飲ませ続ける以外の選択肢がなく内臓を傷めてしまい、救急搬送されるという看過できない状況も見られる。乳幼児の命と健康を守るため、公的支援と民間の資源との連携構築と強化が必要である。
特定妊婦は児童福祉法第6条の3第5項に基づき、周産期から乳幼児期の食と安全の確保等が図られているが、現在、法的に指定されていない産後の母子についても、特定妊産婦として寄り添い型の支援体制を官民共に構築、強化することを望む。また、ミルクの購入が困難な困窮世帯へのミルクとオムツ等の支援について、現在の包括支援体制において対応できるようにしてほしい。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 特定妊婦を特定妊産婦として登録し、新生児用おむつ、出産準備用品、産後に母乳が出ないときの支援を行うなど産前・産後の継続した支援を実施すること。
2 新生児訪問の際に、公的ベビーミルク支援の相談ができることを伝えるとともに、助産師または保健師への継続相談につなげること。
3 新生児訪問事業・子育て支援事業・赤ちゃん委員などが訪問する際に、ミルクとおむつを届けられるようにすること。
4 土日祝祭日など行政支援機関の対応が困難な場合にベビーミルクの自宅への配達や薬局での取り置きを行い、ミルクが必要なときに受け取ることができる仕組みを民間と共同で構築すること。
5 行政の訪問が困難な世帯へ支援できるよう、民間と情報を共有する仕組みを構築すること。
6 困窮世帯の自立を促すため、専門機関へのサポートへつなげる仕組みを構築すること。
7 乳幼児の健康状態や医療的ニーズに合わせた支援を行うこと。
8 ベビー服やベビー用品等を調達できるようにすること。 |