陳情文書表

受理番号第102号 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和5年6月20日 付託年月日令和5年6月28日
件名 特定妊産婦指定の促進とベビーミルク支援に関する陳情
提出者一般社団法人 共育ステーションつむぎ
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要旨


 「母子保健」と「こども福祉政策」の間でこぼれてしまう母子に差し伸べる温かい手が必要である。困窮世帯では、十分なベビーミルクが買えず薄めて飲ませたり、アレルギー用ミルクが買えずに通常のミルクを飲ませ続ける以外の選択肢がなく内臓を傷めてしまい、救急搬送されるという看過できない状況も見られる。乳幼児の命と健康を守るため、公的支援と民間の資源との連携構築と強化が必要である。
 特定妊婦は児童福祉法第6条の3第5項に基づき、周産期から乳幼児期の食と安全の確保等が図られているが、現在、法的に指定されていない産後の母子についても、特定妊産婦として寄り添い型の支援体制を官民共に構築、強化することを望む。また、ミルクの購入が困難な困窮世帯へのミルクとオムツ等の支援について、現在の包括支援体制において対応できるようにしてほしい。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 特定妊婦を特定妊産婦として登録し、新生児用おむつ、出産準備用品、産後に母乳が出ないときの支援を行うなど産前・産後の継続した支援を実施すること。
2 新生児訪問の際に、公的ベビーミルク支援の相談ができることを伝えるとともに、助産師または保健師への継続相談につなげること。
3 新生児訪問事業・子育て支援事業・赤ちゃん委員などが訪問する際に、ミルクとおむつを届けられるようにすること。
4 土日祝祭日など行政支援機関の対応が困難な場合にベビーミルクの自宅への配達や薬局での取り置きを行い、ミルクが必要なときに受け取ることができる仕組みを民間と共同で構築すること。
5 行政の訪問が困難な世帯へ支援できるよう、民間と情報を共有する仕組みを構築すること。
6 困窮世帯の自立を促すため、専門機関へのサポートへつなげる仕組みを構築すること。
7 乳幼児の健康状態や医療的ニーズに合わせた支援を行うこと。
8 ベビー服やベビー用品等を調達できるようにすること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
(子ども生活福祉部)
1、3~6、8について
 児童福祉法第6条の3第5項において、特定妊婦は「出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」とされておりますが、産後、引き続き支援を要する場合は、その子を要保護児童対策地域協議会で登録し、関係機関で世帯の情報を共有のうえ、必要な支援に繋いでいるところです。
 また、県内の全市町村で実施している乳児家庭全戸訪問事業においては、母子保健推進員等が生後4ヶ月までの乳児のいる全ての家庭を訪問し、子育ての不安や悩みを聞き、子育て支援に関する情報提供等を行っています。その際、支援が必要な家庭に対しては、個々の家庭の抱える諸問題の解決、軽減を図る養育訪問支援事業等の支援へ繋いでいるところです。
 加えて、「沖縄子どもの未来県民会議」においては、「こども未来応援助成事業」として、民間団体等が実施する子どもの貧困解消に向けた取り組みに対し、上限200万円の助成を行っております。
 これらの事業について情報共有を図りながら、市町村や関係機関などと連携し、支援が必要な人が必要な支援につながるよう取り組んでまいります。

(保健医療部)
1について
 現在、市町村は母子健康包括支援センターを設置し、妊娠期から相談がしやすい体制の整備に努め、新生児訪問指導や産前・産後サポート事業等を活用し、授乳に関する相談を含めた支援を行っているところです。
 県としましては、母子健康包括支援センターの設置や機能充実のための支援に引き続き取組んでまいります。

2について
 新生児訪問指導は、母子保健法に定められた事業で、市町村において実施しております。主に、新生児の発育、栄養、生活環境、疾病予防など育児上重要な事項の指導を目的に、生後28日以内に保健師や助産師が訪問する事業となっております。
 県としましては、訪問時に、継続した相談支援ができることや、必要な方へベビーミルク支援についての情報提供を行うよう市町村へ周知を図ってまいります。

7について
 現在、市町村では、新生児訪問指導等の母子保健サービスで乳幼児の健康状態について把握し、必要に応じ医療機関への受診勧奨を行っているところです。医療費の支払いや乳幼児の状態に合わせたミルクの購入が困難である等の生活困窮を把握した場合には、医療費公費負担制度の情報提供や福祉担当部署への支援依頼を行っているところです。
 県としましては、乳幼児の健康状態の相談窓口としての母子健康包括支援センターの設置や機能充実のための支援に引き続き取組んでまいります。