要旨
新型コロナウイルス感染症対応の経験から明らかになったことは、感染症病床や集中治療室の大幅な不足、公立・公的病院の重要性、医師・看護師・介護職員の人員や保健所の不足などである。これらの問題の背景には、90年代後半から続いてきた社会保障費の抑制や公衆衛生施策の縮減がある。この20年の間に、SARS、新型インフルエンザ、MERS等、新たなウイルスとの闘いは短い間隔で求められ、今後も新たなウイルスへの対応が必要になることは明らかである。今回の教訓を経て、国民の命と健康、暮らしを守り、経済活動への影響を最小限にするため、医療・介護・福祉、公衆衛生施策の拡充は喫緊の課題である。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 今後も発生が予想される新たな感染症の拡大等の事態に対応できるよう、医療、介護、福祉に十分な財源確保を行うこと。
2 公立・公的病院の統合再編や地域医療構想を見直し、地域の声を踏まえた医療体制の充実を図ること。
3 医師・看護師・医療技術職・介護職等を大幅に増員すること。
4 保健所の増設・保健師等の増員など公衆衛生行政の拡充を図ること。また、ウイルス研究、検査・検疫体制などを強化・拡充すること。
5 社会保障に関する国民の負担軽減を図ること。 |