陳情文書表

受理番号第161号の2 付託委員会文教厚生委員会
受理年月日令和5年11月17日 付託年月日令和5年11月28日
件名 宮古島市で急増する発達障害児の増加原因究明及び対策に関する陳情
提出者宮古島地下水研究会
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要旨


 昨年、宮古島地下水研究会の調査で、宮古島市の広範囲に及ぶ地下水及び水道水からネオニコチノイド系及びフェニルピラゾール系農薬など、複数の農薬成分が検出され、宮古島市の調査でも同様の結果が確認された。私たちが袖山浄水系及び加治道浄水系の水道水の年間モニタリング調査を行ったところ、ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジン(ダントツ)やジノテフラン(スタークル)が毎月検出されている。クルマエビが全滅した高野の養殖場の底砂や湧水からも複数のネオニコチノイド系農薬成分が検出されている。これらの化学農薬による地下水・水道水の複合汚染は確実であり、浸透性農薬成分の地下浸透が原因であることは明らかである。フェニルピラゾール系のフィプロニル(プリンスペイト)は、国や県が強力に推進した「さとうきび増産プロジェクト」の株出し普及のため、宮古島市に毎年最大200トンが供給されてきた。この10年、有機リン系農薬に代わり急速に供給が増加しているクロチアニジンは、県内供給量の29%に相当する年間15トンが供給されている。たとえ県の指導する単位面積当たりの使用量が適切であっても、4つの地下ダム止水壁に遮断され、自然の水循環による浄化機能が低下している宮古島市の自然環境特性から、地下水への農薬成分の浸透及び蓄積は避けられない状況である。
 私たちが一般市民10名の尿の農薬濃度調査を行ったところ、9名にネオニコチノイド系農薬を含む複数の農薬成分が検出された。ネオニコチノイド系農薬は、人の胎盤や脳血管関門を容易に通過し、感受性の高い胎児初期に暴露すると、発達障害や生殖障害を来す可能性が懸念されている。宮古島市における令和3年度の特別支援学級の児童生徒数は、10年前に比べ34人から433人と11.2倍に急増しており、平成30年から令和4年までの発達障害児童生徒数の増加率は、従来に比べ3倍と、明らかに高くなっている。毎日飲む水道水からの慢性的体内暴露は明らかであり、ネオニコチノイド系農薬により、発達障害児童生徒が急増している可能性が高い。現在のペースで発達障害児童生徒数が増加すると、令和12年には615人と推定される。早急に対策を取らないと手遅れになる。
 この化学農薬による地下水・水道水複合汚染の大きな原因は、国や県の農業施策にあり、宮古島の環境特異性を考慮せず、水溶性で浸透性、残留性の大きい農薬を対象害虫への感受性、耐性の十分な情報を与えないまま、毎年画一的に供給していることによるものである。このまま放置していると、複合汚染はますます悪化する可能性が高まる。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 ネオニコチノイド系農薬と発達障害児の増加との因果関係究明のため、バイオモニタリングを含む大規模コーホート疫学調査(宮古島スタディー)を実施すること。
2 農薬成分低減化のため、袖山及び加治道浄水場に高機能活性炭浄水処理設備等高度浄水処理施設を早急に整備すること。