請願文書表


受理番号第1号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和6年2月2日 付託年月日令和6年2月14日
件名 沖縄畜産業の経営体質強化支援に関する請願
提出者沖縄県農業協同組合中央会
***************
紹介議員大城 憲幸、次呂久 成崇、中川 京貴
要旨

 食料や生産資材など物価の高止まりが続く中、本県の畜産に係る生産現場はかつてないほど厳しい経営状況となっており、生産基盤安定まで時間を要している。特に、配合飼料価格の異常な高騰は畜産農家の経営を圧迫し、やむなく廃業せざるを得ないこととなり、結果として飼養頭数の減少に歯止めがかからず、生産基盤の崩壊が危惧される深刻な事態となっている。また、燃料・電気などを含めたコストの上昇は、県民の食生活と地域経済を支える極めて公益性の高い重要な役割を担っている県内食肉加工施設の経営にも深刻な影響をもたらしている。
 これまで国や県などにより飼料高騰対策などの緊急措置が講じられているが、島嶼県である本県の地理的不利性などにより配合飼料価格の県外との格差がさらに拡大しており、本県畜産業の窮状の打開には至っていない。
 ついては、畜産経営が持続可能となるよう経営体質強化を実現するため、下記事項につき配慮してもらいたい。
                  

1 飼料価格高騰対策による経営体質強化について
  国の配合飼料価格安定制度や県の飼料価格差補助緊急対策事業による支援が行われているが、輸送コストの負担が大きく全国との流通価格に差が生じている。経営改善支援の効果が発揮されるにはまだ期間を要し、農家経営安定化への見通しがいまだに立てられないため、県の配合飼料価格差補助緊急対策事業による支援をさらに継続し、万全な予算確保と支援策を図ること。
2 養豚振興対策による経営体質強化について
 (1)生産性の向上による農家経営の体質強化に向け、高能力種豚の導入を推進する県の養豚生産性向上対策事業を継続し、生産資材高騰による資金不足から新規導入を行うことができない畜産農家への種豚貸付けや肉豚及び種豚生産用精液などに対する対象要件の拡充並びに高能力種豚の受入れに
必要な飼養環境整備等に係る経費に対する支援策を講じること。
 (2)農場経営の体質強化と安定化に向け、飼養管理向上技術、経営診断や経営改善指導、事故率軽減など生産率向上を図るために必要な指導獣医師や畜産技術者の派遣・指導経費に対する支援を図ること。
3 養鶏振興対策による経営体質強化について
 (1)県内養鶏農家全体の経営の安定化、GPセンター処理や廃鶏処理などの経費削減に伴う手数料の低減及び鶏卵取引価格の安定化を実現するための供給卵の平準化を促進するため、ひな・種卵の導入、出荷計画調整などの飼養管理ローテーションの変更に協力する農場への経営管理計画の見直し、
経営分析及び協力により生じる取引価格などの経営損失負担に対する支援を図ること。
 (2)県内養鶏場全体の経営体質強化に関する鶏卵生産の効率化・拡充施策実
   現に向けた共同育雛支援施設の計画策定に係る経費及び計画策定後における施設整備に対する支援策を講じること。
4 食肉加工施設への緊急経営支援について
 (1)県内の畜産農家の経営状況は深刻化しており、食肉加工施設などの屠畜料の引上げはさらなる負担増につながる懸念がある。維持するために必要となる牛、豚及びヤギの屠畜に係るコストと現在の屠畜料との差額分の畜産農家に係る経費負担の支援を図ること。
 (2)食肉加工施設などの運営に不可欠な屠畜技術者は高齢化や離職が進んでおり人材不足が深刻化しているため、雇用確保、育成研修、専門家による現地技術指導に必要な経費及び人材確保のために共同で連携し活動する組織の立ち上げに必要な経費の支援を図ること。