陳情文書表

受理番号第57号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和3年3月9日 付託年月日令和3年3月17日
件名 辺野古の埋立てに南部の土砂を使用しないことを求める陳情
提出者島ぐるみ八重瀬の会
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要旨


 辺野古の埋立てに糸満・八重瀬地区から大量の土砂を調達する計画が明らかになり、3150万立方メートル(設計変更後の埋立てに使う岩ズリ総量の2倍近く)以上の土砂調達が可能と記されている。
 糸満・八重瀬地区は沖縄戦の最後の戦場であり、戦争犠牲者の遺骨収集はいまだ終わっていない。戦没者の血が染み込み、遺骨が混入した土砂を辺野古の海に投入してはならない。また、膨大な土砂の採掘による自然破壊等に加え、辺野古への土砂搬出は港までは一般道路の使用が想定されていることから、大型ダンプの往来による生活環境の破壊等も憂慮される。隆起サンゴ礁の島である沖縄にとって、石灰岩は沖縄の歴史や文化に密着してきた平和資源であり、軍事利用されるべきではない。
 ところが南部地区では稼働中の採石業者に加えて、新たな採石業者が開発・伐採を始めるなど、辺野古埋立てに向けて石灰岩の採掘の動きを強めている。南部の採石現場では、至るところ緑地が削られむき出しになった石灰岩の層が地中深く掘られており、大きな穴が陥没状態のまま放置されている現場がある。特に、大里砕石東風平鉱山や第2丸真コーラル鉱山は危険な状態である。
 南部地域は、沖縄戦で10万人を超える人々の命が奪われた戦跡であるからこそ、糸満・八重瀬地域は沖縄戦跡国定公園になったのであり、隆起サンゴ礁の石灰岩地形の全体を大きな墓域・聖域とみなして、戦跡公園として保全しなければならない。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 糸満・八重瀬の南部地区から大量の土砂を採掘し辺野古の埋立てに使うという土砂採取計画はあまりにも無謀で危険であることから、沖縄防衛局の南部からの土砂採取計画に反対すること。
2 自然公園法上、戦跡公園であっても普通地域であれば同法に基づき業者が届け出ることにより石灰岩の採掘が認められる。このような現行制度は不合理であることから、特別地域、普通地域の区別なく沖縄戦跡国定公園内の土砂採掘を禁止する条例を制定すること。
3 熊野鉱山の業者は、遺骨がある可能性のある表土を保管しておき、表土の下の石灰岩を採掘した後で埋め戻しに使うので、遺骨を含んだ土砂を埋立てに使うというのは誤解だと述べているが、採掘後に建築残土などで埋め戻し、外観だけを整えたとしても、その景観は実体のない偽物である。県及び県議会は、熊野鉱山における石灰岩採掘に反対すること。
4 長らく休業していた八重瀬鉱山は昨年から再稼働しているが、隣接地に八重瀬公園があり、小・中・高生の遊びの場、市民の憩いの場として安全上大変憂慮される。また、その一帯が公園として整備された八重瀬岳は古来聖地とされ、沖縄戦の戦跡でもあり、石灰岩採掘で破壊されてはならないことから、八重瀬鉱山の点検と実地調査を行うこと。