陳情文書表

受理番号第98号 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和4年6月13日 付託年月日令和4年6月29日
件名 沖縄観光の早期復興に関する陳情
提出者沖縄ツーリズム産業団体協議会
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要旨


 全国的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大による2年以上に及ぶ人流抑制により、本県のリーディング産業である観光関連産業は深刻な影響を受けている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 観光事業者への経営支援について
(1)観光関連事業者の経営規模や損失額に応じた直接補助について、国への働きかけと県独自の支援策を講ずること。
(2)雇用調整助成金並びに沖縄県雇用継続助成金について、対象期間を延長すること。
2 レンタカー不足による旅行キャンセルの抑制について
(1)観光周遊や拠点間のバス利用並びにハイヤー・タクシー等の二次交通を活用した施策を実施すること。
(2)上記実施の際にレンタカー事業者へ支援を行うこと。
3 「沖縄県観光振興基金」を活用した課題解決事業の提案について
(1)観光事業者に対し直接補塡すべきであることから、直接給付が可能なスキームへの見直しを行うこと。
(2)観光危機管理の費用確保並びに危機の際、業界が望む事業を早期に執行すること。
(3)教育旅行実施予定校へのサポート、海外路線再開支援、レンタカー不足に対するバスや乗用車の車両調達、レンタカー不足に対するバス、タクシー等の活用、二次交通への補塡、様々な危機に対応できる予算の確保、観光DX推進、沿道景観形成及び観光振興に通じる文化芸術の継承及び発展並びにスポーツの振興等の事業を早急に実施すること。
4 全国版GoToトラベル事業の早期再開について
(1)全国版GoToトラベルを早期に再開するよう国に求めること。
(2)幅広い観光事業者が対象となる制度設計とともに、観光事業者の負担軽減となる仕組みを考慮すること。
5 那覇空港等国際線の早期再開について
 外国人観光客の受入れを図るため、那覇空港等国際線の早期再開に向けて、誘致活動及び受入れ体制の構築に取り組むこと。
(1)海外航空会社復便の機会損失にならないための各種支援を行うこと。
(2)外国人観光客が利用できる医療体制の確保並びに罹患時の延泊による一部支援や多言語問合せ対応等のサービスを拡充すること。
6 教育旅行実施予定校への充実サポートの早期実施について
(1)罹患者が出ても安心できる充実サポート(専用療養施設、送迎車両、保護者支援等)を支援すること。
(2)3密回避に伴う対策費用(バス及びタクシー、宿泊、ガイド、看護師同行等)にかかる増額分の費用を支援すること。
(3)海外からの方面変更ニーズに対応したサポートを行うこと。
7 人材の確保及び育成について
 沖縄の入域観光客の多い夏場向けの短期対策と、将来的な中長期対策を視野に入れ、観光部局だけではなく、商工労働部等と連携した人材不足の改善策並びに将来的な育成施策を講ずること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
【文化観光スポーツ部】
1の(1)について
 県においては、国が実施する事業者復活支援金(最大250万円)に、県独自の支援金を上乗せ給付する、おきなわ事業者復活支援金(最大50万円)の他、事業継続・経営改善に取り組む赤字の観光事業者に最大600万円を補助する経営改善サポートを実施しております。
また、沖縄観光は回復傾向にあるものの、コロナ前と比較し、観光事業者の受入体制が整っていないことから、令和4年11月補正(追加提案)において、受入体制の再構築を支援する「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」を計上しました。
赤字企業、黒字企業を問わず、受入体制の再構築に必要な経費であって、令和4年10月以降に要した人材の確保、バリアフリー等受入に必要な施設改修や今後の観光需要に対応する前向き投資等に要する経費に対し、最大500万円を補助する事業を実施しております。
 「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業」及び「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」については、令和5年度へ予算を繰り越し、引き続き、支援を実施してまいります。
令和5年6月議会においては、「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」の支援対象者を拡充するため、補正予算を計上して、支援を実施しております。
 また、更なる施策の展開には、引き続き、財源確保に向けた取組が必要であり、観光業界と連携・協力の下、県が主体的かつ機動的に活用できる財源について、国へ財政支援を求めてまいります。

2の(1)について
新型コロナウイルス感染症の影響により、レンタカー不足による他地域への方面変更の可能性を危惧する声が観光業界より上がっております。
 そのため、県では、県内の交通事業者等が発行する1日乗車券やホテルと空港等を結ぶシャトルバスなどの交通企画乗車券等に対して、販売額の3割を上限に県が支援する「のりとくチケットキャンペーン」を令和4年8月1日から令和5年2月28日の間、実施しており、観光客など県外からの来訪者のバスやタクシーなど、多様な交通手段の利用の促進に取り組んでまいりました。

2の(2)について
 県内のレンタカー事業者については、長引く新型コロナウイルス感染症の影響のほか、原油価格・物価高騰に伴い、大きく影響を受けている状況にあります。
 そのため、県では、「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業」において、レンタカー事業者のうち、送迎バスを運行する事業者に対して、送迎バスの燃料費の一部を支援しております。

3の(1)について
沖縄県観光振興基金は、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成を図るために設置しました。
 基金は、既存事業では充分に対応できない事業などについて、機動的、柔軟に活用することとしており、その活用については、各部局から提案された事業について、基金の目的、優先度、効果等を勘案し、選定した上で、有識者や観光関連団体等で構成する検討委員会で意見を聴取し、事業を決定してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う観光関連事業者への支援については、観光業界と連携・協力の下、県が主体的かつ機動的に活用できる財源について、国へ財政支援を求めてまいります。

3の(2)について
 基金は、観光旅客の受入れ体制の充実強化を図るための事業等に充てることとし、観光危機管理にも活用できるものとしております。
 引き続き、検討委員会での意見聴取に加え、観光業界の関係者と意見交換を重ね、業界のニーズを捉えた事業に取り組んでまいります。

3の(3)について
 県では、基金を活用して、レンタカー不足に対するバス、タクシー等の活用を図る事業として「観光2次交通等利便性向上体制構築事業」を実施する他、地方創生臨時交付金を活用して「観光事業者事業継続・経営改善サポート事業」を実施しております。
 引き続き、検討委員会での意見聴取に加え、観光業界の関係者と意見交換を重ね、業界のニーズを捉えた事業に取り組んでまいります。

4の(1)について
 GoToトラベル事業については、これまでに発出した全国知事会緊急提言において、感染が落ち着いている広域地域を対象とすることにより、早期に再開すること、事業の再開に当たっては、事前に都道府県との情報共有を図ることを全国の知事の総意として国に求めてきたところです。
 令和4年10月11日より、全国を対象とした新たな観光需要喚起策「全国旅行支援」を開始すると国が発表したことを受け、県としては、同日付けで「おきなわ彩発見キャンペーンNEXT」を実施しておりますが、令和5年度も予算を措置し、4月以降も切れ目なく同キャンペーンを実施しております。

4の(2)について 
 全国旅行支援の実施にあたっては、キャンペーンに参加する旅行事業者の事務手続の簡素化・負担軽減を図るため、各都道府県が経費を負担して「全国統一窓口」を設置し、統一ルールで運用する予定です。
 また、幅広い観光事業者が対象となるよう、旅行事業者だけでなく宿泊施設も直接キャンペーンに参加できるよう制度設計を行っており、地域クーポンについても、県外からの観光客の利便性等を鑑み、現行のおきなわ彩発見キャンペーンの利用対象を拡大して実施しております。

5の(1)について
国の動向等も踏まえ、県は、令和4年5月25日に厚生労働大臣、国土交通大臣及び沖縄担当大臣に那覇空港国際線の再開について要請を行いました。
 那覇空港国際線では、6月末までに国による空港検疫体制等の整備が完了しております。
 国際線の路線回復を促進するため、運航を再開した航空会社に対してグランドハンドリング費用等の支援を行っているところです。
 引き続き、県海外事務所を活用し航空会社や旅行会社に対して復便の働きかけを行ってまいります。

5の(2)について
 県では、令和4年10月11日からのインバウンド個人旅行の解禁等を受けた国際線の本格的な再開に併せて関係機関や関係部局等との連携を強化するとともに、外国人観光客へ観光情報等を案内する多言語コンタクトセンターや医療に関する通訳を行う医療通訳サポートセンターの活用等、円滑な受入体制の構築に取り組んでまいります。

6の(1)について
 県では、沖縄での修学旅行中の新型コロナウイルス感染症の拡大防止・安心感の醸成・負担軽減を図るため、「濃厚接触者」と特定された場合の健康観察の実施を奨励するため、生徒やその保護者等の健康観察に伴う宿泊費や交通費の一定額を給付する「修学旅行緊急時支援事業」を実施し、修学旅行生及びその保護者が安心出来るよう受入体制の整備に取り組んでまいりましたが、令和5年5月8日より、同感染症が5類感染症へ移行したことに伴い、事業を終了しております。

6の(2)について
令和4年10月11日から実施予定の全国旅行支援では、修学旅行をはじめとする団体旅行も対象となっていることから、県外旅行社等と連携し、キャンペーンの積極的な活用を呼びかけ、県外からの旅行需要を取り込んでまいります。
 引き続き、ソフト交付金・地方創生臨時交付金や観光庁の予算などを活用し、必要な財源の確保に努め、安全・安心な沖縄修学旅行実施に向けた施策を検討してまいります。

6の(3)について
県では、新たに修学旅行先として選んでいただけるよう、事前事後学習のためのアドバイザー派遣や、沖縄への修学旅行を検討している学校向けの模擬体験の提供、修学旅行プロモーション等により、沖縄ならではの修学旅行の魅力を効果的にPRすることで、県外からの修学旅行の誘致に取り組んでまいります。

7について
 県では、業務回復に必要な人材の育成・確保に係る経費を含め、事業継続・経営改善に取り組む赤字の観光事業者に最大600万円を支給する経営サポート支援を実施しており、令和5年度へ予算を繰り越し、引き続き、支援を実施してまいります。
 また、「沖縄観光貢献度可視化事業」においては、観光が「沖縄県経済」や「住民生活」へもたらす貢献度の説明や、観光業界の現場で働いている方々の声を紹介するとともに、商工労働部や沖縄労働局で実施する合同説明会や雇用助成に関する事業等を幅広く、新聞紙面やSNS等を通じて、県民や事業者等へ周知しました。
 これらの取り組みにより、県民の観光に対する理解促進、観光業界における職場イメージの向上、人材確保に繋げていくこととしております。
 また、観光関連産業従事者向けの階層別集合型研修やオンラインセミナーの配信等を実施し、観光人材の育成に取り組むとともに、雇用のミスマッチによる離職防止を目的としたインターンシップ受入支援や、観光業界での自身の将来像をイメージできるようなキャリアデザインに関する研修を実施し、観光人材の定着に取り組んでいるところです。
 併せて、県内宿泊施設において県内外の学生等に対し職場訓練や座学研修を実施し、宿泊施設で働く魅力ややりがいを感じてもらうことで、宿泊施設の人材確保に繋げる「ホテル人材緊急確保事業」を実施したほか、観光事業者の受入体制として人材確保に要する経費などを支援する「観光事業者受入体制再構築等緊急支援事業」を実施し、観光人材確保に取り組んでいるところです。
令和5年度は、職場訓練の対象を拡充しつつ観光事業者と求職者とのマッチング機会を創出し、観光現場における様々な取組を伝える広報等を実施するとともに、従業員の労働環境を改善し、観光人材の確保・定着を図るため、観光事業者の労働生産性向上に資する取組を支援する「観光人材確保支援事業」を実施しております。

【商工労働部】
1の(2)について 
 陳情令和4年第29号のうち、項目2に同じ。

【保健医療部】
5の(2)について 
 県では、国からの全国的な調査に基づき、外国人を受け入れる拠点的な医療機関をとりまとめ、県、国及び日本政府観光局(JNTO)のホームページを通じて公表しております。  
 県としては、県民への医療提供体制を確保しつつ、県医師会など関係団体と意見交換しながら、外国人観光客への医療提供体制の確保に取り組んでまいりたいと考えています。