要旨
交通事故等による全身への外傷等を起因とした脳脊髄液漏出症(減少症)に苦しむ患者の状況が、全国から数多く報告されてきた。平成18年に関連8学会が参加した厚生労働省研究班による病態の解明が進んだ結果、平成28年より硬膜外自家血注入療法が保険適用となり、それまで高額な自費診療での治療を必要としていた本疾患の患者は、保険診療により治療を受けることができるようになった。
その後、一般社団法人日本脳脊髄液漏出症学会を中心に本疾患の研究が進み、脳脊髄液の漏出部位は一か所とは限らず頚胸椎部でも頻繁に起こることが報告された。硬膜外自家血注入治療を頸胸椎部へ安全に確実に行うためには、エックス線透視下で漏出部位を確認しながら行う必要があるが、現状の診療上の評価では要件になっていない。また本疾患の患者の中には保険適用の要件にある「起立性頭痛を有する患者に係る者」に合わない方もいるため、混乱が生じている。
ついては、下記事項につき国に対し意見書を提出するよう配慮してもらいたい。 記
1 硬膜外自家血注入療法の診療報酬において、エックス線透視を要件として、漏出部位を確認しながら治療を行えるよう、適切な評価に改定すること。
2 本疾患の症状において、約10%は起立性頭痛を認めないと公的な研究でも報告があるため、算定の要件の注釈として「本疾患では起立性頭痛を認めない場合がある」と加えること。 |