陳情文書表

受理番号第174号の2 付託委員会経済労働委員会
受理年月日令和3年8月27日 付託年月日令和3年9月10日
件名 令和3年度美ぎ島美しゃ(宮古・八重山)圏域の振興発展に関する陳情
提出者美ぎ島美しゃ市町村会
会長 石垣市長 中山 義隆
要旨


 このたび、美ぎ島美しゃ市町村会は、宮古・八重山圏域における喫緊の課題や財政的に解決が困難な課題等を次のとおり取りまとめた。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 空港における水際対策について、本土からの航空機への搭乗前にPCR検査を実施し、離島への渡航に際して陰性証明を行う等の仕組みを国において制度化するなど、水際対策のより一層の強化について、国に対し働きかけること。
2 黒糖製造事業者の経営安定及びサトウキビ生産者の所得確保を図るため、基金や生産者及び事業者向け交付金、保管調整用黒糖の買上げ等支援制度の創設が必要である。今後とも、離島の経済を支えるサトウキビを安心して生産できるよう「沖縄産含蜜糖生産振興制度」を新たな沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に創設するよう取り組むこと。
3 石垣市においては有害鳥獣による農作物の被害を防止するために、有害駆除実施者に有害鳥獣の駆除を依頼しているが、猟銃の研修場所がないために安全面の確保や資質向上の課題があり、新規で有害駆除の資格を取得する際には県内施設がなく費用負担が大きいため、狩猟者研修センター等を建設すること。
4 農林水産物流通条件不利性解消事業について、令和4年度以降も本事業を継続するとともに、宮古島市から沖縄本島間の輸送も対象区間とすること及び枝豆等、今後の生産増加が期待できる農林水産物を新たな対象品目に追加することなど、制度要件を拡充すること。
5 農林水産省農村振興局所管の海岸保全区域である宮古島市前浜海岸について、近年、台風等の影響からか砂の移動が激しく海岸が侵食されている。海岸管理者である県において、前浜海岸侵食に関する原因究明の調査を行うとともに、調査結果に基づく対策を実施すること。
6 与那国町の久部良漁港を利用する観光を目的とする船舶等の係留施設については、本町には同港のほかに祖納港があるが、港内の静穏度が安定しておらず、観光を目的としたダイビング船や遊漁船、遊覧船等も久部良漁港を利用している。観光を目的とした船舶の専用バースがないことから、干満時の乗下船における利用客の安全性が確保できていない状況にあるため、早急に改善を図ること。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

1 沖縄県は島嶼県であるため、空港等における水際対策の徹底が重要であると考えております。
 特に出発地での事前の検査について、全国知事会を通して旅行前PCR等検査の徹底・強化など、旅行前に陽性者を発見できる体制の構築を国に求めるとともに、国内空港での検査体制の整備等、戦略的なPCR等検査体制の構築を直接政府に要望するなど働きかけてきました。
 国において令和3年7月20日から9月30日の夏季期間中に羽田空港等と沖縄県内の空港を結ぶ便の搭乗者のうち、希望者に無料でPCR等検査を実施する搭乗前モニタリング検査が実施されました。
 県では、本取組の10月以降の継続や検査体制の拡充とともに、出発地における事前検査の実行性を高めるため、航空便の搭乗等に際して、PCR等検査の陰性判定あるいはワクチン接種完了の確認を必要とする制度の創設等を国に対し要請しました。
 沖縄県の要請を受け、搭乗前モニタリング検査については、沖縄路線のみを対象として延長されましたが、令和3年10月31日で終了となりました。
 県では、制度化等について、国に対しその実現を求めるとともに、搭乗前モニタリング検査と同等以上の検査体制を整備するよう要請を行ってまいりましたところ、オミクロン株による感染の急拡大を受け、令和4年1月20日から2月28日までの間、羽田、成田、中部、伊丹、関西、福岡空港と沖縄県内の那覇、宮古、下地島、新石垣空港を結ぶ便の搭乗者のうち希望者に対し、国が搭乗前無料検査を実施しました。
 県では、春休みシーズンを迎え本土との人の往来が活発になることが見込まれたことから、同検査の3月以降の継続を2月に国へ要請したところ、検査期間が3月31日まで延長されました。
 また、4月以降の同検査の継続を国に要請したところ、飲食、イベント、旅行・帰省等の活動に際して、全国の自治体等で受検できるPCR等の無料検査が令和4年8月31日まで延長され、同日で終了となりました。
 県では、全国知事会を通して、旅行やイベントに参加する他の都道府県在住者を無料検査の対象となるよう国に求めたところ、年末年始の感染拡大を防止する観点から、令和4年12月24日から令和5年1月12日の間、飲食、イベント、旅行・帰省等の活動に際して、全国の自治体等で受検できるPCR等の無料検査を実施しました。
 県としましては、国際線の本格的な再開に併せて関係機関や関係部局等との連携を強化するとともに、外国人観光客へ観光情報等を案内する多言語コンタクトセンターや医療に関する通訳を行う医療通訳サポートセンターの活用等により、外国人観光客の受入体制の充実を図ってまいります。
2 含蜜糖の生産地域は小規模離島であり、さとうきび以外の農作物の代替性に乏しいことに加え、気象災害等による原料の豊凶変動、それに伴う含蜜糖製造量の増減幅が大きく、市場への安定供給が難しいため、生産者や製糖事業者の経営が不安定な状況となっております。
 このため、県としましては、引き続き、一括交付金を活用した「含蜜糖振興対策事業費」により、含蜜糖地域の製糖事業者の経営安定及びさとうきび生産者の所得確保に向け取り組んでまいります。
3 県では、農作物等へ被害を及ぼす鳥獣を捕獲するため、その担い手である狩猟者の技能向上は重要であると認識しております。
 なお、国の鳥獣被害防止対策交付金において「捕獲技術高度化施設」の整備は可能でありますが、専ら鳥獣の捕獲に従事する者が使用すること等、事業実施における採択要件があります。
 また、運営主体、費用対効果、環境への影響等の課題も多いことから、今後は石垣市や関係団体等との意見交換を行ってまいります。
4 令和4年度からの農林水産物条件不利性解消事業では、現行事業の発展的な承継を図りつつ、持続可能な県外出荷等の物流ネットワークの構築に取り組んでまいります。
 対象品目については、これまでの戦略品目から、サトウキビ・米を除く県産農林水産物に拡大し、更なる販路拡大に向けた支援を行ってまいります。
 また、北部・離島地域振興対策として、市町村が選定する県産農林水産物及び一次加工品に対する離島から本島及び県外への出荷コストの負担軽減について、市町村への補助事業を実施してまいります。
5 宮古島市前浜海岸は、農林水産省農村振興局所管の海岸として、平成10年9月1日に海岸保全区
域に指定しております。
 前浜海岸の砂浜侵食については、台風等の影響を受けているものと認識しており、原因究明に向けて侵食状況等を確認するための調査を行っているところであります。
 県としましては、前浜海岸の侵食対策に向けて、国、宮古島市等と連携して検討を進めてまいります。
6 久部良漁港は与那国島唯一の漁港となっており、現在、老朽化した施設の改良や漁船の安全係留のための浮桟橋、防風柵の整備を行っております。
 一方、漁港内での観光を目的とした船舶の係留施設整備については、農山漁村の活性化を図るための事業等を活用し、実施可能と考えております。
 本事業を活用する場合、地域住民の合意形成を基礎とした活性化計画の策定が必要となることから、事業推進に向け、与那国町と十分な調整を行っていきたいと考えております。