要旨
珊瑚舎スコーレ東表中学校(以下「同校」という。)は、学齢期を過ぎた義務教育未修了者及び学び直しの希望者を対象にしたいわゆる夜間中学校であり、令和3年から校舎移転に伴い、陳情者所有の校舎を使いNPO法人が運営している。さらに活動を充実させるため学校法人の運営に切り替えようと、令和4年3月31日付で設置認可申請書を提出したが、同年9月30日付で、中学校設置基準(以下「基準」という。)第8条を満たさず妥当であるとは認められないとの回答が県知事名であった。
基準第8条では、ただし書きで「地域の実態その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合」に校舎及び運動場の面積等について例外規定を設けている。文科省の担当部局に「特別の事情」がある場合の具体的事例を尋ねたところ、校地面積が狭く校舎を基準どおり建てられない場合等が考えられるが、その判断はあくまで都道府県が行うとの回答であった。また、同条は、学齢期の子供たちが8時間以上を校内で過ごすことを前提にした規定であるが、夜間中学校の入学者はほとんど成人の就労者または高齢者である。珊瑚舎スコーレ夜間中学校の入学者の平均年齢は70歳前後であり、昼間は学齢期の生徒たち、夜間は学齢期を過ぎた生徒たちが学んでいる。生徒の活動時間、活動動線及び活動量は昼夜で全く違い、同条を設置認可の判断根拠とするならば、義務教育未修了者等の学習権保障の観点から、同条の例外規定と種々の法令等を生かした形で判断しなくてはならない。
さらに、申請書記載の校舎及び施設等は、陳情者が運営する高等専修学校珊瑚舎スコーレ高等部として設置認可を受けており、学校としての機能を備えた建築物・施設等である。昼間の校舎視察を除き、県担当部局による実態調査もなく、法律の文言どおりの枠に収まらないものを不適当と判断する姿勢は、行政としてできることをしようとする姿勢が感じられない。
同校の開設が認可される前提で那覇市をはじめ県内各自治体に市町村教室の設置呼びかけを準備しており、行政、各自治体との協働なくして陳情者が目指す「義務教育未修了者ゼロの沖縄県」は実現しない。同校開設を不可とした知事の姿勢を質すための活発な議論を与野党の枠を超え行ってもらいたい。
ついては、基準第8条ただし書きの例外規定や関係諸法令等を十分に検討、判断するため、同校設置認可申請の再審査を求める決議を可決するよう配慮してもらいたい。 |