陳情文書表

受理番号第162号 付託委員会総務企画委員会
受理年月日令和4年11月22日 付託年月日令和4年11月30日
件名 珊瑚舎スコーレ東表中学校設置計画に係る県知事の回答に関する陳情
提出者学校法人 雙星舎
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要旨


 珊瑚舎スコーレ東表中学校(以下「同校」という。)は、学齢期を過ぎた義務教育未修了者及び学び直しの希望者を対象にしたいわゆる夜間中学校であり、令和3年から校舎移転に伴い、陳情者所有の校舎を使いNPO法人が運営している。さらに活動を充実させるため学校法人の運営に切り替えようと、令和4年3月31日付で設置認可申請書を提出したが、同年9月30日付で、中学校設置基準(以下「基準」という。)第8条を満たさず妥当であるとは認められないとの回答が県知事名であった。
 基準第8条では、ただし書きで「地域の実態その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合」に校舎及び運動場の面積等について例外規定を設けている。文科省の担当部局に「特別の事情」がある場合の具体的事例を尋ねたところ、校地面積が狭く校舎を基準どおり建てられない場合等が考えられるが、その判断はあくまで都道府県が行うとの回答であった。また、同条は、学齢期の子供たちが8時間以上を校内で過ごすことを前提にした規定であるが、夜間中学校の入学者はほとんど成人の就労者または高齢者である。珊瑚舎スコーレ夜間中学校の入学者の平均年齢は70歳前後であり、昼間は学齢期の生徒たち、夜間は学齢期を過ぎた生徒たちが学んでいる。生徒の活動時間、活動動線及び活動量は昼夜で全く違い、同条を設置認可の判断根拠とするならば、義務教育未修了者等の学習権保障の観点から、同条の例外規定と種々の法令等を生かした形で判断しなくてはならない。
 さらに、申請書記載の校舎及び施設等は、陳情者が運営する高等専修学校珊瑚舎スコーレ高等部として設置認可を受けており、学校としての機能を備えた建築物・施設等である。昼間の校舎視察を除き、県担当部局による実態調査もなく、法律の文言どおりの枠に収まらないものを不適当と判断する姿勢は、行政としてできることをしようとする姿勢が感じられない。
 同校の開設が認可される前提で那覇市をはじめ県内各自治体に市町村教室の設置呼びかけを準備しており、行政、各自治体との協働なくして陳情者が目指す「義務教育未修了者ゼロの沖縄県」は実現しない。同校開設を不可とした知事の姿勢を質すための活発な議論を与野党の枠を超え行ってもらいたい。
 ついては、基準第8条ただし書きの例外規定や関係諸法令等を十分に検討、判断するため、同校設置認可申請の再審査を求める決議を可決するよう配慮してもらいたい。

採択された請願・陳情の処理経過及び結果について(報告)

報告を求めた者知事
報告内容

(処理経過及び結果)
学校教育法第3条において、学校を設置しようとする者は、文部科学大臣の定める設置基準に従い、設置しなければならないとされております。
 中学校設置基準に関しては、「小学校設置基準及び中学校設置基準の制定等について(平成14年3月29日付け13文科初第1157号)」において留意事項が示されており、第8条については、「立地条件及び周囲の環境によりこれらが困難であるなどやむを得ない特別の事情がある場合、別表に定める校舎又は運動場の面積を下回ることができる」とされています。
 この留意事項の「やむを得ない特別の事情」については、都市部において物理的に学校用地が確保できない場合など立地条件及び周囲の環境に関する特別な事情という趣旨とされているため、未就学者等が全国と比べ多い状況や規模の小さい夜間中学校の認可申請であるといった事情については、「やむを得ない特別な事情」が直接的には適用されないこととなります。
 このような中学校設置基準及び文部科学省通知の取扱いに鑑み、令和4年12月26日に知事が文部科学大臣あて要請を行ったところ、「教育上支障がない」ことが認められるのであれば、設置基準の柔軟な運用も可能である旨の助言がありました。
 その後、学校法人から令和5年3月31日に令和6年度開設を目指す学校設置計画書の提出があり、同法人と申請書内容について意見交換を行ってきました。
 また、令和5年7月12日に、同法人の学校施設について、私立学校審議会委員による視察を実施しました。
 令和5年9月15日に令和5年度第1回私立学校審議会が開催され、同法人の計画申請内容については、概ね了承が得られましたが、委員からは、夜間中学の運営状況などについて、十分確認したいとの意見が出されております。
 11月16日に同法人に必要な助言を行い、11月27日に同法人から認可申請書の提出がなされております。
 今後は、認可申請書の内容を確認のうえ、引き続き、必要な情報提供や助言を行ってまいりたいと考えております。