陳情文書表

受理番号第87号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和3年4月22日 付託年月日令和3年6月15日
件名 ごみ処理の広域化(一般廃棄物の最終処分場の整備)に対する県の不適正な答弁の適正化を求める陳情
提出者******
要旨


 廃棄物処理法の上位法である循環型社会形成推進基本法に基づき、国は循環型社会形成推進基本計画(以下「循環基本計画」という。)を定めており、第4次の循環基本計画において、一般廃棄物の最終処分場は「平成29年度における残余年数(20年分)を維持する」ことを目標としている。また、廃棄物処理法に基づき環境大臣が定める廃棄物処理施設整備計画においても、一般廃棄物の最終処分場は、循環基本計画と同じ目標を掲げている。さらに、廃棄物処理法に基づき環境大臣が定める基本方針において、市町村は「地域ごとに必要となる最終処分場を今後とも継続的に確保するよう整備する必要がある」とされている。
 一方、廃棄物処理法上、県は国の基本方針に即して廃棄物処理計画を定めることとなっており、これを受け、沖縄県は第四期廃棄物処理計画において、一般廃棄物の最終処分場について「今後も計画的に整備を進めていく必要がある」としている。また、県の第四期廃棄物処理計画において、県は全市町村に同計画に即してごみ処理計画の策定を求めているが、中城村及び北中城村の2村だけが県の考え方に反して、最終処分場の整備を行わずに民間委託処分を継続するというごみ処理計画を策定している。
 なお、廃棄物処理法第5条の4の規定により、国は廃棄物処理施設整備計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講じなければならないとされており、同法第5条の6の規定により国及び県は、廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている。
 このような状況であるにもかかわらず、県は、県議会(土木環境委員会)で、「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」という趣旨の答弁を行っている。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 廃棄物処理法上、国、県及び市町村に一般廃棄物の最終処分場を整備する責務はないが、県議会(土木環境委員会)における県の答弁は、一般廃棄物の最終処分場の整備に対する国や県の施策に反する答弁であり、訂正すること。
2 県が土木環境委員会における県の答弁を訂正しない場合は、県が令和2年度まで、全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」という県の重要な考え方を周知していなかった理由を明確にすること。
3 県が土木環境委員会における県の答弁を訂正しない場合は、県の第五期廃棄物処理計画において「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」という県の重要な考え方を明記して全市町村に対して周知すること。
4 県が全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」ことを周知しない場合は、県が特定の市町村に特段の配慮をして不適正な技術的援助を与えていたことになるので、土木環境委員会における県の答弁を訂正すること。
5 県が全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」ことを周知した場合は、市町村による一般廃棄物の最終処分場の整備に反対する住民が激増し、市町村のごみ処理事業に重大な影響を与えるおそれがあるので、県の責任において実効性のある適正な措置を講ずること。
6 県が全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」ことを周知した場合は、既に最終処分場を整備している市町村において、必ずしも最終処分場の延命化や新設に係る施策を講ずる必要もなくなるので、周知前に県の責任において実効性のある適正な措置を講ずること。
7 県が全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」ことを周知した場合は、南部広域行政組合における最終処分場の整備に係る輪番制度が崩壊するおそれがあるので、周知前に県の責任において実効性のある適正な措置を講ずること。
8 県が全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」ことを周知した場合は、平成時代から最終処分場の整備及び民間委託処分を回避するために最終処分ゼロを継続している浦添市も、中城村及び北中城村と同様に最終処分場を整備せずに民間委託処分を継続することができることになるので、周知前に県の責任において実効性のある適正な措置を講ずること。
9 県が全市町村に対して「市町村は必ずしも最終処分場の整備を行う必要はない」ことを周知した場合は、市町村は海岸漂着物や災害廃棄物の最終処分場を整備する必要もないことになるので、周知前に、県は沖縄県海岸漂着物対策地域計画及び沖縄県災害廃棄物処理計画の内容を抜本的に見直すこと。
10 法制度上、国は、市町村に対して一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策を無視して財政的援助を与えることはできないので、県が全市町村に対して市町村は必ずしも最終処分場を整備する必要はないことを周知する場合は、そのことも併せて周知すること。
11 法制度上、国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備しているにもかかわらず一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策に反してごみ処理事業を行っていた市町村に対して、国は新たに財政的援助を与えることはできないので、県が全市町村に対して市町村は必ずしも最終処分場を整備する必要はないことを周知する場合は、そのことも併せて周知すること。
12 会計検査院の求めにより、環境省は都道府県を通じて、焼却炉に併設されている溶融炉(市町村が国の財政的援助を受けて平成9年度から平成16年度までの間に整備している溶融炉)を整備後1年以上にわたって休止している市町村に対して最終処分場を整備することを要件に溶融炉の廃止を求めている(令和3年3月3日付環循適発第2103032号)。したがって、県が全市町村に対して市町村は必ずしも最終処分場を整備する必要はないことを周知する場合は、環境省に対して、市町村が1年以上にわたって休止している溶融炉を廃止する場合に最終処分場の整備を要件から除外するよう求め、同省が県の求めに応じて要件から除外していることを確認した上で周知すること。
13 県内市町村が国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備している場合であっても、県の技術的援助によって中城村や北中城村と同様に一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策に反してごみ処理事業を行うことができる場合は、浦添市を含む他の市町村に対して誤解を与えるおそれがあるので、県の責任において法令に基づく根拠を明確にすること。
14 県民から見た場合、国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備したときから国の施策に即してごみ処理事業を行ってきた浦添市エリアと、国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備したときから国の施策に反してごみ処理事業を行ってきた中城村・北中城村エリアに対して、県が公正な事務処理を行っていると判断している場合は、県が明らかに中城村・北中城村エリアに特段の配慮をして不公正な事務処理を行っていることになる。したがって、土木環境委員会において答弁を行う県職員は、中城村・北中城村エリアにおける過去及び現在のごみ処理事業に対する適正な評価を行い、誰から見ても公正な答弁を行うこと。
15 県議会(本会議及び常任委員会)における県の答弁の具体的な内容は、議会閉会後も議会の公式ウェブサイトにおいて、録画(音声入り)や会議録(答弁者名入り)という形で一般に公開されている。したがって、土木環境委員会において答弁を行う県職員は、陳情者を含む県民全体の奉仕者として事前に陳情内容及び県の事務処理の内容を精査した上で、いかなる場合であっても法令の定め及び県の施策に従い、誠実に答弁すること。
16 国や市町村の職員の考え方にかかわらず、県職員が法令の定め及び県の施策(廃棄物処理計画、海岸漂着物対策地域計画及び災害廃棄物処理計画を含む。)に従い職務を遂行していない場合は、知事の補助機関である県職員が地方公務員法第32条の規定に違反して職務を遂行していることになり、場合によっては訴訟に発展するおそれがある。したがって、県は、県職員がそのような不適正な事務処理を行っていることが判明した場合、知事の責任において当該職員による職務遂行を停止し、不適正な事務処理の適正化を図るとともに必要な再発防止策を講ずること。