要旨
沖縄県の観光産業は、昭和47年度の56万人から令和元年(暦年)の入域観光客数は1016万3900人と推移し、県内への経済波及効果も1兆1700億円の産業へと成長した。今後もおおむね順調に推移する計画であったが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大のため、沖縄県から離発着する国際線の飛行機は全て運航停止、国内も減便され、ホテルの予約数も2月以降急激にキャンセルが相次ぎ、稼働率も60%から70%減と過去に類を見ない長期的な影響を受ける状況が続いている。
地元資本の中小零細企業ではこの状況があと数週間続けば従業員の雇用確保が難しくなる。また、先の見えない現状ではたとえ経営支援の特別融資があるにしても返済の希望が持てず資金調達がちゅうちょされ、客室稼働を上げるための大手資本の低価格販売競争により、ますます体力を奪われる状況となっている。
また、他地域からの誘客が望めない中、県民による施設の利用促進や地元の食材利用促進などの会合・イベントを積極的に開催し、希望の持てる環境づくりを沖縄観光経済への支援とともにぜひ行っていただきたい。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 宿泊業界は他産業と違い、終息宣言がなされたとしても半年遅れて景気浮揚となる業種であり、広大な土地と大きな施設を所有していることから固定資産税は多大な負担となっている。そのため、最低でも1年間の減免措置や事業所税等の納付期間の延長及び一定期間の減免措置を行うこと。
2 経営支援策について
(1)雇用調整助成金において、中小企業では3分の2は国の助成金で賄えるが、3分の1は各社負担であり、売上げが激減している中、3分の1ですら払えない企業のため、助成金を5分の4に引き上げるよう国に対して働きかけるか、その3分の1相当額を県予算で上乗せ助成すること。
(2)衛生環境激変特別貸付やセーフティーネット保証をはじめとする支援策が打ち出され既にその借入れを申請し始める施設も出ているが、要件対象外の施設などへの対策増強などさらなる支援を行うこと。
(3)県下の各金融機関に対しても、積極的な緊急運転資金融資の実施要請、既存債務について鎮静化まで一定期間の返済猶予(当該期間の無利息化等を含む)及びリスケジュールの指示を行うこと。
(4)保証協会の保証料無料化及び地元金融機関へのさらなる返済条件の緩和や融資拡大を行うこと。
(5)政府系金融機関からの別枠貸付(無利子・無担保)の返済条件の緩和、融資手続の速やかな対応及び必要書類の簡素化、政府系・民間系を問わず、金融機関における返済猶予及び金利の減免等、柔軟な対応を行うこと(1年程度)。
(6)迅速に手続を完了できるよう申請書類及び必要添付書類の簡素化もしくは申請業務の代理申請の窓口を設置すること。
(7)3月及び4月の売上げが激減し、5月以降の予約も今までのように入らない中、当面の資金繰りが心配となることから、前年比20%以上、売上げが減少した事業所に対し、消費税の納付期間を延長すること。
(8)社会保険料の企業負担分について、20%以上売上げが減少した事業所は6か月間減免、40%以上売上げが減少した事業所は1年間減免すること。
(9)NHK放送受信料や音楽著作権使用料などは施設に対しての課金となることから、稼働率が激減する中、従来の課金100%で一括払いの状況では困難な状況が考えられる。租税や公共料金等について、一部免除、減免または納付期限の延長等の緊急処置を行うこと。
(10)2020年度10月に改定を予定している最低賃金については、経済状態がこのまま回復しないことを想定すると経営を圧迫するおそれがあるため、据置きとすること。
3 安全・安心の確保について
(1)新型コロナウイルス感染者が発生した場合、風評被害による経営への打撃は避けられないが、ガイドラインに沿った迅速な対応により現状を維持することは可能である。そこで、各タイミングにおいて感染者の発生に係る経緯を確認することで感染の拡散を防止し、それ以降の受入体制に迅速な対応ができるようガイドライン作成に関する予算措置と情報発信の支援を行うこと。
(2)拡散防止のための衛生管理には、体温計(非接触型が望ましい)・マスク・消毒用アルコールの確保が必須となる。現状では海外との物流が困難なため、十分な数の確保が難しい状況であるものの、物流が正常化されたときに上記物資の確保と配布を行うこと。 |