要旨
昭和20年年6月30日、石垣島の住民の台湾疎開希望者約200名余りが第一千早丸、第五千早丸に乗船し、石垣港から台湾基隆港に向けて出航した。基隆港を目前にして、定期哨戒中のアメリカ軍に発見され、3回の爆弾投下と機銃掃射に遭い第一千早丸が炎上沈没した。第五千早丸もエンジンが破損し航行不能となり、翌日、尖閣諸島の魚釣島に漂着した。漂着後2週間ほどで食料はなくなり、そこで亡くなられた方々は岩陰に葬られたと記録されている。また、南小島に食料確保に出かけた6人は魚釣島に取り残されてしまい、うち2人はその後病死したが、残る4人は11月に家族が雇った台湾漁船によって救助された。
残された遺族は、一日も早く遺骨を収集し、亡くなられた方々の生まれ育った地元での鎮魂を祈るとともに、世界の恒久平和を強く望んでいる。
ついては、国の責任において下記事項が実現できるよう配慮してもらいたい。
記
1 遺族の要望が強い魚釣島での犠牲者の遺骨収集を早急に実施するため、関係者の上陸の許可及び慰霊祭の援助を行なうこと。
2 尖閣諸島戦時遭難事件に関し、後世に史実を正確に残すため、聞き取り調査等による資料収集及び記録集の編さんを行い、尖閣諸島戦時遭難者資料館及び尖閣諸島の歴史的史実を広く発信する資料館等を建設する慰藉事業を行うこと。 |