要旨
宮古島では、2010年から国を挙げて無償で行われた子宮頸がんワクチン(MSD社のガーダシル、ダグラソ・スミスクライン社のサーバリックス)接種により、接種後に発症した全身痛、けいれん発作、筋力低下及び記憶障害などの高次脳機能障害等、複合的な副反応被害に苦しんでいる子供がいる。
また、よかれと受けさせたワクチン接種の副反応被害に、親は深く傷つき、強い自責の念に駆られている。
被害者の声から国は各都道府県に協力医療機関を設置したが、原因究明はなされず、治療法も確立されていない。
親は、HPVワクチン副反応の治療・研究を熱心に行っている他府県の病院を訪ね続けているが、長期にわたる療養生活は経済的にも精神的にも大きな負担となっている。
さらに、被害者等の状況が改善されない中、今年5月20日付で、厚生労働省の薬事食品衛生審議会医薬品第二部会において、MSD社の新たな9価HPVワクチン「シルガード9」が承認されたとの報道があった。
私たちは、この決定にとても驚き、強い憤りと危機感を感じている。
「シルガード9」は、ガーダシルと同じ基本的成分と設計であり、日本に先立って本剤を承認している国では、既に深刻な副反応に苦しむ被害者が多数生まれていると報道されている。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 地元で安心して望む治療が受けられる環境整備について
専門的に治療・研究している他府県の病院と連携して、現在、主治医が有効と認める治療が県内医療機関で受けられるシステムを構築すること。
HPVワクチン副反応を専門的に治療・研究している医師を積極的に招聘し研修を行い、新たな医療情報を共有できる体制を構築すること。
2 公的保険の適応について
HPVワクチン副反応の疑われる症状に対して行う「吸着療法、ステロイドパルス療法等」一定程度の有効性が認められる治療について、自費ではなく公的保険適用で行えるよう国へ働きかけること。
3 「シルガード9」の積極的な勧奨を行わないことについて
「シルガード9」について海外の副反応症例等も参考に県独自で安全性について十分な調査を行うとともに、サーバリックスやガーダシル同様に積極的な勧奨を行わないよう慎重に対応すること。 |