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識名トンネル工事契約問題調査特別委員会記録
 
平成24年 第 5定例会

5
 



開会の日時

年月日平成24年10月11日 曜日
開会午後 1 時 23
閉会午後 8 時 42

場所


第4委員会室


議題


1 識名トンネル工事契約問題について


出席委員

委 員 長  奥 平 一 夫 君
副委員長  前 田 政 明 君
委  員  具志堅   透 君
委  員  座喜味 一 幸 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  仲 村 未 央 さん
委  員  新 里 米 吉 君
委  員  新 垣 清 涼 君
委  員  嘉 陽 宗 儀 君
委  員  吉 田 勝 廣 君
委  員  金 城   勉 君
委  員  當 間 盛 夫 君
委  員  大 城 一 馬 君


欠席委員

      桑 江 朝千夫 君


説明のため出席した者の職・氏名

参考人
 大成建設株式会社九州支店
  土木部長(当時)       西 田 義 則 君
   監理技術者(当時)     津 中 重 彦 君
 株式会社仲本工業
  代表取締役社長        仲 本   豊 君
   主任技術者(当時)     比 嘉 克 哉 君
 株式会社内間土建
  代表取締役社長        内 間   司 君
   主任技術者(当時)     我 謝   努 君
補助者
 大成建設株式会社
  本社土木本部土木技術部  
   トンネル技術室参与     領 家 邦 泰 君
  本社管理本部法務部法務室長  南 波 裕 樹 君
   九州支店管理部総務室課長  古 賀 成 明 君
 株式会社仲本工業
   総務経理部長        佐々木   伸 君
 株式会社内間土建
   常務取締役         嶺 山   務 君
   営業部長          比知屋 義 人 君



○奥平一夫委員長 ただいまから、識名トンネル工事契約問題調査特別委員会を開会いたします。
 識名トンネル工事契約問題についてを議題といたします。
 ただいまの議題につきましては、8月28日の本委員会において、大成建設株式会社九州支店等関係業者の職員を参考人として招致することが決定しております。
 本日の参考人として、平成18年度から平成20年度当時、大成建設株式会社九州支店の土木部長であった西田義則氏、識名トンネル工事における同社の監理技術者であった津中重彦氏、株式会社仲本工業代表取締役社長の仲本豊氏、識名トンネル工事における同社の主任技術者であった比嘉克哉氏、株式会社内間土建代表取締役社長の内間司氏、識名トンネル工事における主任技術者であった我謝努氏に出席をお願いしております。
休憩いたします。

  (休憩中に参考人が着席し、その後補助者の出席について協議し、意見の一致を見た。)

○奥平一夫委員長 再開いたします。
お諮りいたします。
参考人から申し出のあった補助者の出席につきましては、休憩中に協議したとおり取り計らうことに御異議ありませんか。

  (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○奥平一夫委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

  (休憩中に補助者着席)

○奥平一夫委員長 再開いたします。
 参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 この際、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人等に対し質疑を行うことにしております。
 参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、議題の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 また、本日は委員会が参考人等の説明を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
なお、参考人から本委員会の録音について申し入れがありましたので、許可することといたします。
 それでは、西田義則参考人、仲本豊参考人、内間司参考人の順に、識名トンネル工事契約問題について、簡潔に御説明をお願いいたします。
 西田義則参考人。

○西田義則参考人 大成建設株式会社の西田義則でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、識名トンネルの施工当時、大成建設株式会社九州支店の土木部長を務めておりました。また、本日同席しております津中は、大成・仲本・内間特定建設工事共同企業体―これからは大成JVと呼びますが、その作業所長を務めておりました。各委員からの御質疑にお答えする前に、私より識名トンネルの施工にかかわりました建設会社を代表いたしまして、経緯を若干御説明させていただきたいと思います。
 まず、大成JVが識名トンネル工事を落札した際の入札価格や落札の経緯について、御説明申し上げます。
 識名トンネル工事に関し、沖縄県が実施した一般競争入札では、入札条件を示す公告において、工事方法として、後に説明申し上げます中央導坑方式が指定されておりました。大成JVは、沖縄県が指定した中央導坑方式によるトンネル工事の実績があり、工事の品質を保ちながら工事費を大幅に抑えた施工計画を立てるノウハウを有しておりましたので、税抜きで22億2000万円という価格で入札することができました。
 このノウハウとは、例えば、中央導坑を両坑口から掘削することで工期を短縮し、人件費等を削減すること、重機や作業員を合理的に配置することなどでした。
 この入札価格が、沖縄県内部であらかじめ積算された工事費用に比べ低価格であったことから、県による低入札価格調査が実施されました。しかしながら、低入札価格調査において、大成JVの入札価格を前提としても施工や可能性や品質について問題はないとの調査結果をいただき、大成JVが識名トンネル工事を落札することになりました。
 この点、入札に参加した他のJVの入札金額を申し上げますと、飛島建設JVの入札金額は22億9000万円、鹿島建設JVは25億3000万円であったことから、大成JVの入札金額が突出して低額ではなかったことを御理解いただけると思います。
 これまでの質疑などを踏まえますと、追加工事の請負代金に落札率が掛けられなかったことについて、各委員から御質疑いただくのではないかと推察しております。そこでまず、工法変更の経緯と落札率についての大成JVの考え方を御説明します。
 識名トンネル工事では、工事着手後、沖縄県より一般競争入札時の公告内容とは全く異なる、無導坑方式によるトンネル掘削という想定外の工法変更の御指示があったこと、また、一般競争入札の資料に記載のなかった送水管の存在が判明したことなどから追加工事を行う必要が発生しました。
 入札時には、沖縄県が工法の変更を指示することや送水管対策工事などの追加工事が必要になることは想定されておらず、とりわけトンネル掘削工事に着手する前の段階での工法変更は、大成JVにとって想定外のことでした。
 工事着手後の経緯について、詳しく御説明申し上げます。
 請負契約を締結してから数週間後の平成19年1月11日、発注者である沖縄県から工法変更を検討するために、トンネル工事を一時中止するとの通知がなされました。
 入札時には、トンネル掘削工法の変更があることは想定されておらず、沖縄県からの工事一時中止の通知は想定外のことでございましたが、請負契約上、発注者である沖縄県は、請負業者である大成JVに対し工事の一時中止を指示することや、工事内容の変更を一方的に指示する権限がございますので、大成JVとしては、沖縄県の御指示に従って工事を一時中止し、新たな工法による工事再開の御指示を待つことになりました。
 工法変更は、沖縄県が任命された有識者で構成される識名トンネル(仮称)施工技術検討委員会―施工技術検討委員会にて検討され、大成JVもオブザーバーとして同検討委員会の会議に出席しておりましたが、工法変更についての決定に当たり、大成JVはその意思決定に関与する権限を有しておりませんでした。
 同検討委員会の討議後、沖縄県より一般競争入札時に指定されていたトンネル工事の工法を、中央導坑方式から無導坑方式に変更するとの御指示がございました。
 無導坑方式は、当時導入されつつあった最新のトンネル掘削技術で、同検討委員会は、無導坑方式によるトンネル工事のほうが中央導坑方式に比べてメリットがあるものと判断して、工法変更を指示したのだと推察いたします。
 ここで、中央導坑方式と無導坑方式の違いについて、以下に簡単に御説明いたします。
 なお、お配りしたA3の図面をごらんいただきながら、御説明をさせていただきたいと思います。
 この左側の図―これが中央導坑方式でございますが、この中央導坑方式は地山の補強のために、第1段階として補強基盤のかなめとなる中央導坑、真ん中の小さなトンネルがございますが、これを先に完成させ、補強の基盤を先に固めます。その後、中央導坑で荷重を受けながら、大きな断面口のトンネルを掘削してまいります。この中央導坑は小さなトンネルですので、荷重も小さいことから、これを両側から一気に完了させることができます。そして、一旦導坑ができれば、中央導坑で荷重を受けることができるため、大きなトンネルをスムーズに掘削できるというのが大成JVの計画でした。
 次に、右側の無導坑方式でございますが、最初から地山の補強と並行して、大きなトンネルを掘削してまいります。しかし、最初から大きなトンネルを掘っていくと、地山への影響が大きいため、掘り進める都度、掘る部分を固めて補強しなければなりません。そうしますと、その補強の手間や段取りが中央導坑とは全く異なりますし、工事のスピードも異なります。特に識名トンネルのような地質では、できる限り早く補強してトンネルの形に仕上げる必要があり、そのために掘削に時間がかかることが予想されました。
 このように、無導坑方式は中央導坑方式とは大きく異なる工法ですし、したがいまして、大成JVが入札時に想定していた中央導坑方式を前提とした、工程を短縮し、工事費を抑制するノウハウを使用することができなくなりました。
 このノウハウとは、例えば、繰り返しになりますが、中央導坑を両坑口から掘削することで工期を短縮し、人件費等を削減すること、重機や作業員を合理的に配置することなど、工事の品質を保ちながら工事費を大幅に抑えるといったものです。
 このため、大成JVとしては、工事の一時中止の指示の時点から、当初契約額では無導坑方式でのトンネル工事を施工できないと御説明しておりました。 各委員に御理解いただきたいのは、沖縄県が識名トンネル工事の工事方法を中央導坑方式から無導坑方式に変更したことにより、大成JVの入札価格の前提となっていました、それまでの実績に基づく工夫やノウハウを使用することができなくなり、入札価格を低く抑えることができた前提が崩れてしまったという点でございます。
 こうした状況は、工法変更の決定前に沖縄県の御担当者様にもお伝えしましたが、県はトンネルエ事の工法変更を決定され、大成JVに対し、無導坑方式によるトンネル工事再開の指示が通知されました。
 なお、工法変更に伴う追加工事の請負代金に関する協議が調わないうちに、大成JVが沖縄県の指示に従って工事を再開したのは、請負代金に関する協議が調う前であっても、発注者から工事再開の御指示があった場合、請負業者は、これに従わなければ契約違反を問われるからです。
 したがいまして、大成JVは、請負契約の違反にならないよう御指示に従い、工事を再開した上で、並行して沖縄県との間で追加工事の請負代金に関する協議を申し入れざるを得ませんでした。
 実際に、大成JVは、請負代金の増額が見込まれることを明確に示すため、「中央導坑方式と無導坑方式の工法及び工事費の比較」と題する書面を提出し、大成JVとしては、無導坑方式で施工した場合には工事費が約5億円増加することが見込まれるとお伝えし、協議をお願いしております。
 また、識名トンネル工事では、工法変更に加えて工事着手後に、識名トンネル工事の施工箇所を送水管が通っていることが判明しました。そのため、沈下対策を実施する必要性が生じました。
 送水管の影響範囲で、地山の沈下対策を実施しないままトンネルを掘削した場合、送水管が沈下し、沖縄県民の上水道利用等に支障が生じるおそれがあったため、沖縄県と対策の必要性や内容について検討し、県から対策を行うよう御指示がございました。そこで、トンネル掘削により送水管に影響が生じないよう沈下対策の工事を実施することになりました。
 次に、追加工事の請負代金に落札率が掛からなかったことについて、大成JVとしての認識を申し上げます。
 まず、そもそも落札率は、一般競争入札を実施する前に沖縄県内部で積算された工事費用と、一般競争入札後の落札価格との対比により計算されるものです。
 公共工事において、発注者である行政が請負業者に対し、追加工事の請負代金の提案を検討する上で、行政内部で積算された追加工事費に落札率を掛けた金額を基準にするという実務がございます。
 しかし、落札率を掛けることによって算出される金額は、あくまで行政からの追加工事の請負代金の提案の指標となるにすぎません。法律や条例でも、追加工事の請負代金は、行政内部で積算された追加工事費に落札率を掛けた金額とする旨を定めるものはございません。
 実際、沖縄県と大成JVとの間の契約書においても、追加工事の請負代金が、県内部で積算された追加工事費に落札率を掛けた金額とする旨の規定はなく、沖縄県と大成JVとの間の請負契約書第24条には、請負代金の変更について沖縄県と大成JVが協議して定めるものと規定されております。
 この点、識名トンネル工事では、入札時に全く予想されなかった工法変更の御指示があり、また、送水管の判明による予定外の対策工事などが必要となりましたことから、大成JVは、沖縄県との請負契約に定められている手続に従い、追加工事に関する請負代金の価格協議を行うようお願いしてまいりました。
 ところが、協議の中で、沖縄県より県内部で積算された追加工事費に落札率を掛けた金額で、追加工事に関する請負代金を決めることを提案されました。
 しかし、識名トンネル工事では、工事着手後に中央導坑方式から無導坑方式ヘトンネル工事の工法が根本的に変更されたことにより、入札価格の前提が崩れておりました。したがいまして、一般競争入札を実施する前に発注者である沖縄県が中央導坑方式でのトンネル工事として積算した工事費用と、中央導坑方式を前提とする落札価格との対比により計算される落札率を掛けて、無導坑方式によるトンネル工事等を行うことで発生した追加工事分の請負代金を決めることが妥当であると考えられる場面では到底ございませんでした。
 沖縄県から落札率を掛けた上で御提案された追加工事分の請負代金は、大成JVから見れば、沖縄県側の都合により大成JVに対して大幅な赤字を強いるもので、大成JVが沖縄県から御提案いただいた金額をそのまま承諾することは到底困難でございました。
 そこで、大成JVは、工法変更による工期延長などの影響や追加工事の内容を御説明した上で、沖縄県と落札率を掛けない請負代金の増額について協議しました。
 請負契約上は、協議が調わない場合、あっせん、調停や仲裁の手段が定められております。沖縄県との協議が進まなかったため、大成JV内部ではそのような法的手段の利用も検討しておりましたところ、大成JVが平成20年11月6日付で県に提出いたしました追加工事や費用の根拠資料をようやく精査いただくことができ、入札時に全く想定外であった工法変更や追加工事による費用が発生していることを御説明した結果、沖縄県から、大成JVが御提案した請負代金よりも3億円余り低い、追加費用を総額で10億円認めるとの御提案がありました。
 私どもとしてはかなり厳しい金額ではございましたが、このとき沖縄県より御提案いただいた金額での請負代金に合意することに決めた次第でございます。
 このような経過を経て、沖縄県と大成JVとの間での協議が成立したのであり、請負契約に反するものではなく、また不正があったとの認識はございません。大成JVが入札した価格は、中央導坑方式の工法によるトンネル工事を前提に、大成JVの実績に基づくノウハウを使えば、この価格でトンネル工事をお引き受けできると判断したものです。
 しかしながら、発注者である沖縄県側の御指示で、工事施工方法が中央導坑方式から無導坑方式へと全く異なるものになってしまった以上、価格の設定は振り出しに戻ることになりました。
 その後、沖縄県とも幾度にもわたる協議を経た結果、両者が譲歩の上で追加工事分の請負代金を合意するに至ったもので、識名トンネル工事により大成JVが不正な利益を沖縄県から得た事実はないという点を、各委員にはぜひ御理解いただきたいと切に思っております。
 以上が、大成JVの基本的な認識でございます。
 従前、沖縄県議会土木環境委員会に参考人として出席するようお話をいただいておりましたが、正確な情報を提供させていただくためにも、まずは書面にて御質問にお答えすることが適切ではないかと考え、参考人としての出席を控えさせていただいておりました。
 本日は私と津中にて各委員からの御質疑に対し、誠実に対応をさせていただく所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○奥平一夫委員長 西田参考人ありがとうございました。
 次に、仲本豊参考人、お願いいたします。

○仲本豊参考人 ただいま御紹介にあずかりました株式会社仲本工業の仲本でございます。私のほうから構成員である仲本工業といたしまして、建設JVの役割分担及び工事契約の手続などについて、わかる範囲で御説明させていただきたいと思います。
 最初に、当社がJV構成員となっている工事におきまして、このように県政を揺るがす事態となっていることは、地元に本社を置き、沖縄県御当局、県議会議員を初め、県民の皆様に大変お世話になっている企業の代表者といたしまして、大変残念でありますし、また遺憾であります。
 私のほうから、先ほど申し上げたように役割分担、工事契約の手続などについて御説明させていただきます。
 まず、建設JVの役割分担についてでございます。
 建設JVの出資比率は、大成建設株式会社56%、株式会社仲本工業24%、株式会社内間土建20%であります。
 地元の構成員である弊社は、建設JVへ平成19年5月から平成21年3月まで主任技術者―こちらにおります比嘉克哉を主任技術者として1名、平成19年7月から平成21年6月まで技術員1名、合わせて2名の職員を派遣しました。
 弊社が派遣した職員の担当職務といたしましては、現場作業における写真管理、品質管理などであります。
 本トンネル工事の全般的な管理運営及び技術的な事項、それから沖縄県との協議並びに契約手続などにつきましては、大成建設株式会社及び同社から派遣された監理技術者などが主体的に行いました。
 このため、平成19年2月の掘削方法が中央導坑方式から無導坑方式に大幅に変更された工法変更に係る沖縄県との協議の際には、弊社は技術者を派遣しておらず、私もかかわりを持っておりません。
 また、沖縄県との変更協議が難航しているとの報告を大成建設から受け、構成員の代表者である私も建設JVの一員として、沖縄県南部土木事務所にお願い、要請に何度か伺いました。
 次に沖縄県との協議の経緯についてでございます。
 工事開始直後から、当初の掘削方法が中央導坑方式から無導坑方式に大幅に変更され、工事費が増額したことや、夜間工事の中止や沈下対策工事など追加費用が必要になったものの、工事代金の変更協議が難航している状況につきましては、大成建設から報告を受けておりました。
 しかしながら、本トンネル工事の全般的な管理運営及び技術的な事項、沖縄県との協議並びに契約手続などにつきましては、建設JVの代表である大成建設及び同社から派遣された監理技術者などが主体的に行いましたので、詳細な協議の経緯については、私は存じ上げません。
 また、第三者委員会の報告書に記載されていますように、建設JVとして、沖縄県に対しまして通常の協議を行うとともに、沖縄県建設工事紛争審査会―紛争審査会への調停を視野に入れて、正式な協議の要請を何度も実施しました。具体的には工事着手して直後の平成19年8月7日、平成20年9月12日、平成20年11月6日でございます。
 建設JVと県との協議が調わない状況の中で、工法変更や追加工事等で増加する費用について協議を続け、合意が得られた段階で契約変更の手続をとるとした沖縄県からの指示書により、建設JVは工事を続行させられました。本トンネルは平成20年10月31日に貫通し、私も貫通式に参加いたしました。
 平成20年12月に正式な協議がようやく実施され、沖縄県と建設JVとの間で、未施工分工事も含めまして約10億円の増額で合意するとともに、沖縄県から今後の契約予定を提示されました。
 しかしながら、平成21年2月の会計検査院の指摘により、沖縄県が平成21年度に随意契約するとしていた未施工分工事の部分につきましては一般競争入札となり、結果的に私どもの建設JVは受注できませんでした。
 なお、平成21年6月から9月までの5件の契約につきましては、既に施工などが完了していた部分のうち、こうした経緯から沖縄県が履行できなかったものについて、精算されたものと理解してます。
 最後に、工事契約の手続についてでございます。
 契約手続につきましては、発注者である沖縄県を全面的に信頼しております。 一般的に請負者は、契約書及び契約手続については発注者である沖縄県の指示に従って行っており、実際に実施した工事であれば、金額をチェックする程度であります。
 今回の工事の場合は、弊社は地元の構成員の一員にすぎず、当該工事の契約手続は建設JVの代表者である大成建設の指示に従い、行っております。
 このため、その当時も特段、何の疑問もなく、沖縄県及び大成建設の指示に従い契約手続を進めたのであり、当該工事契約自体が法律違反、不適正な契約、虚偽契約であるとの認識、意識は全くございませんでした。
 以上でございます。

○奥平一夫委員長 ありがとうございました。
 続きまして、内間司参考人、お願いいたします。

○内間司参考人 株式会社内間土建の内間でございます。
 識名トンネル工事におきまして、うちの会社の私の立場からお話できることをお話しさせていただきたいと思います。
 識名トンネル工事の入札では、発注方法に県内業者が参加できる方法を採用していただき、まことにありがとうございました。私ども内間土建では、特殊なトンネル工事の施工実績を習得する機会を得まして、沖縄県土木建築部を初め、関係機関には心から感謝をしております。
 今回、私どもが構成員として共同企業体に加わった経緯ですが、通常このような大型工事の入札では、施工体制の決定権は代表者にあり、この場合も代表者である大成建設より、私どもに構成員として企業体参加の申し入れがあり、快諾いたしました。
 応札金額の決定も他のJVへの金額の漏えいも懸念されるため、応札金額は代表者との信頼関係で全てお任せするケースがほとんどであります。識名トンネル工事においても全権委任し、お任せしました。
 落札の第一報では、50%を切る金額に驚きもありましたが、他JVの金額や施工方法を説明いただき、心配も解消されたことを覚えております。
 施工中の経緯でございますが、工事の施工は技術的な要因が多くを占めるため、変更などの協議は全て代表者の大成建設にお任せする状況でした。
 しかし、当初の工事中止の状況や変更工事などの報告はありました。必要に応じ、その都度、受注のお礼や変更後のあいさつに伺ったことはありました。
 最後に、識名トンネル工事を納めるまでの経緯は、多くの変更を含め複雑であったことは否めません。しかし、特に今回の特殊性を集約するなら、入札後のヒアリングで金額根拠を調査し、落札者を決定した後に、再び行った工法の変更指示にあったと感じております。
 我々JV内では、工事中止における諸経費の増加や準備工の大幅な変更など、目に見えない経費と言いあらわせない不安に駆られました。
 しかし、終わってみれば、発注者からはトンネル本体工では91点を超える高い評価をいただき、成果が認められたと認識しています。
 以上が、私ども株式会社内間土建としての工事の認識でございます。

○奥平一夫委員長 ありがとうございました。
 参考人からの説明は終わりました。
 それでは、これより参考人等に対する質疑を行います。
 なお、質疑、答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 質疑はありませんか。
 新里米吉委員。

○新里米吉委員 文書による説明で、私が疑問に思っていたことと、それから、先日県に質疑したことと皆さんの回答の食い違いなども明らかになってきていますが、改めて質疑させてください。
 最初に、この契約がされたときに、当時の沖縄県議会土木委員会は驚きの声があったのです。先ほどのお話にありましたように、かなりの会社がJVを組んで、国際競争入札ということで参加し、50%以下にずらっと並んだ―47%台から49%台まで、みんなひしめき合って並んでいた。そのときに表での話、水面下で―終わってからの当時の部長たちとの話の中で、47%台で落札して本当にこれは成り立つのか、本土の大手は赤字覚悟で入札に参加しているのではないかという話が出ました。私もそう言いました。これは水面下の話でしたので、会議の休憩中の話でしたが、これは全部赤字でしょうと。当時の部長を初め、県の皆さんは言っていました。なぜそのようなことをするのだと言ったら、実績づくりでしょうと。大きな事業をやる実績づくりのためではないのかという話でしたが、先ほどの皆さんの説明だと、当初の予定どおりの工法であれば、そのノウハウも持っているし、約23億円の契約で採算がとれる。やっていけると考えていたけれども、契約どおりの中央導坑方式が変えられて、むしろ採算がとれない状況になったというように受け取ったわけですが、そこをもう一度説明してください。

○西田義則参考人 冒頭に申し上げましたことの一部繰り返しになりますが、私どもは中央導坑方式というものは、実績を数例持っております。それで得たノウハウがございまして、それに基づいて積算をし、工夫を入れ、それでできる工事額を積み上げて、入札をさせていただきました。決して委員がおっしゃいました赤字覚悟でということはございません。あくまでもできるお金で、私どもの工事実績をもとに、積算を積み上げた形でできるもので入札したという経緯はございます。

○新里米吉委員 県にも先日、基本的な質疑をしました。そのことを確認しながら皆さんにも質疑していきたいと思いますが、私ども土木建築業について全くの素人からしても―土木工事以外のことでは我々もかかわってきているわけですが、契約が済んでから基本的な工法変更をするということは、常識的にはあり得ない話だと思っているわけです。そのことを県にもただしました。そうしたら、のらりくらりと別の答弁をしていましたので、はっきり答えなさいと。それが一般的にあるのかと言ったら、おっしゃるとおりですと県の部長が答えました。本来このような―軽微な変更ならわかるけれども、方法の基本をひっくり返すような変更を契約して後にやるのか。契約どおりやるのが常識ではないのかということが、大きな疑問としてずっと持ち続けているわけです。そうしたら、本来はそのようなことはないと県も認めざるを得なかった。
 ところで、契約をした後に工法が根本的に変えられるということが―皆さんはかなりこれまで工事をしていると思うのですが、大成建設として、これまでそのような変更をさせられたことがほかにあったかどうかお聞きします。

○西田義則参考人 私の経験上、こういった根本的なところが、しかも契約後数週間で工法の基本が変わるということは、非常にまれだと思っております。ただ、土木の場合、御承知のとおり土の中とかいろいろなものの―例えば今回の場合の水道管等が出てくる可能性はあり、こういったものの変更あるいは追加工事はありますが、今おっしゃいました根本の工法―私どもが前提にしている工法そのものが完全に変わってしまうということは、非常にまれだと私は思っております。

○新里米吉委員 これだけ大きな根本的な工法の変更というのは、例えば安全面で問題が起きそうだとか、よほどのことがない限りそのようなことをしないのだろうと思うのですが、今回はそのような指摘はしていないのですよね。安全面で問題だから変更だとは県は言っていないのです。県が言っているのは、工期、工費で中央導坑方式より無導坑方式のほうが有利だということを言っているわけです。そのほかにも振動が少ないとか、周辺の環境に与える影響などを言っているわけです。とりわけこの間、それをもう一度県に質疑したときにも、担当課長は工期、工費の面で無導坑方式のほうが有利だと言っていますが、それについて皆さんはどう思いますか。

○西田義則参考人 今、無導坑方式と中央導坑方式の比較―冒頭に申し上げましたとおり、沖縄県の積算内容を私どもが知る由もございませんが、私どもが今述べましたとおり、私どもが契約した金額では無導坑方式に変えると明らかに工費が上がる、工期が延びるということは申し上げましたし、私ども施工業者としてはそう思っております。

○新里米吉委員 大成建設としては、工費、工期の面でも皆さんのノウハウからして中央導坑方式でやってほしいと。むしろ無導坑方式に変更されたら困るということを、県から皆さんに協議の話が出たときにはっきり答えたわけですね。

○西田義則参考人 先ほど申し上げましたように、私どもの前提としていました入札金額に基づくノウハウが、まるきり根本から変わる工法でございましたので、当初の請負契約金額では到底できないということをお伝えし、協議をしているということは事実でございます。

○新里米吉委員 工法変更は、はっきり言えば県がその方向で話を進めようと思って、施工技術検討委員会に提案して、同検討委員会がそういうことで提言をし、県が皆さんと協議をすると。時系列的にはそのような流れになっていると思います。それは県の資料や、先日の仲村委員からの突っ込んだ質疑に対してもそれを認める答弁をしております。どちらかというと、施工技術検討委員会でそれが出たというよりも、県がその方向で積極的に施工技術検討委員会に話をしていたことが明らかになってきていますが、そのときに私がこのようなことを言っているのです。企業側から工法変更をしてほしいということではなくて、むしろ沖縄県のほうが企業に持ちかけたのではないのかという話をしました。そうしたら、非常に回答が苦し紛れで、あくまでも強引に承認させたということではなくて、協議の上で了解したということで御理解いただきたいと。それから、企業の側から変更することに抵抗はなかったわけですねと私は聞いたら、その件につきましては、当時どうであったかということは聞いておりませんと。当時の人はいないと課長はそう言ったのですが、その後、部長は、最終的には企業の代表者がきちんと印鑑を押して、協議成立ということですので、いろいろな経過があったにしても、相手側も応じたということですと言うものですから、私のほうから、企業側からはそれに対する疑問や抵抗はなかったということですね、と私は聞いているのですよと言ったら、部長は、その当時、特に反対はなかったと聞いておりますと。工法変更に企業側が抵抗したり反対したり、何かあったのではないのかと。突然、決まったものを変更されるのですから、根本的な工法変更で素直に応じるのかな、おかしいなと私も疑問を持っているものですから、何の抵抗も反対もなかったのかと聞いたら、特に反対はなかったと。このようなものが県の答弁なのです。これはきちんと前回の委員会の反訳を読んでいますので。ですから、これからいくと、皆さんは特に反対しなかったということになっているのです。しかし、先ほどの説明からすると、そうでもない。現在の部長も、当時土木建築部にいた方ではありませんから曖昧なのでしょうけれども―当時の人たちが出てこないといけないのでしょうけれども。そういう意味では、随分食い違いがあるなと思っていますが、県の部長が先日答えた、特に反対はなかったということに対する皆さんの感じ方を説明してください。

○西田義則参考人 施工技術検討委員会の中で、私どもはオブザーバーとして参加しておりました。その中では決定権はございません。ただ、施工技術検討委員会で技術上できる工法だということであれば、私どもは契約上、工法を変更して、これをやれという発注者の―契約上そのようなことになっておりますので、それをやらざるを得ないということは事実でございます。ただし、そのときに申し上げたのは、現在の中央導坑方式で積算した、私どもが入札させていただいた金額ではできませんということを、県の担当者の方にはっきり伝えております。

○新里米吉委員 県の担当者というのは、名前は言いにくくても、どのような職の人なのか―例えば南部土木事務所の方なのか、県の土木建築部の方なのか。それは皆さん記憶しておりませんか。誰にそのことを伝えたのか。

○津中重彦参考人 今の御質疑につきまして、私、現場の者としましては、やはり南部土木事務所の担当者―主任含めて技術者がおられますので、その方に伝えております。

○新里米吉委員 現実には、皆さんのノウハウと合わせて、ほかにも工法変更をすることによって、契約をして仕事を始めた途端、すぐに工事中断ですよね。そして設計変更と。これは平成18年12月に契約をして、平成19年1月11日から8月1日までの7カ月近く中止ですね。その後また、平成20年1月18日に工法変更による設計変更と。この変更によってたびたび、しかも1月11日から8月1日までの7カ月近くも中止させられるということになると、これだけでも企業にとっては大変な―工期もおくれるし、工費もかさんでくるのが一般的だと思うのです。こんなに時間をかけて、そのまま進めればよかったのにわざわざ変更して、こんなにおくらせてやるほどの意味があったのかと。むしろそれによってかさむ工費や工期の面は一体どうなるのだと。工費や工期の面で有利だと言いながら、実態はそのためにむしろおくらされたり、余計な工費がかさんだりしていないのかという疑問もあるのですが、そこは実態としてどうだったのですか。

○西田義則参考人 契約直後数週間で工法を変更するということで、一時中止命令をいただき、数カ月かかって再開ということで、私ども大成JVとしては、今おっしゃったとおり、それに伴う費用は発生しており、大変困ったということは事実でございます。私どもはやはり、それを費用として請求せざるを得ないということだったと思っております。

○新里米吉委員 先ほど、契約上県から指示されたら、その指示に従わざるを得ないという話もありましたが、別にこのようなこともありますよね。土木設計業務等委託契約書。この資料は23-C-40からになっていますが、その23-C-47の設計図書等の変更、第19条にはこのようなものがあるのです。甲―県は、前条第4項の規定によるほか、必要があると認めるときは、設計図書または業務に関する指示の変更内容を乙―皆さんに通知して、設計図書等を変更することができる。この場合において、甲は、必要があると認められるときは、履行期間もしくは業務委託料を変更し、または乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならないというものもあるのですが、それは両者の間で問題になりませんでしたか。

○西田義則参考人 まず、土木設計業務等委託契約書の第19条でございますが、私どもは工事の契約書でございますので、これではないということです。
 ただし、今おっしゃいました第19条の内容を確認しましたところ、一緒でございまして、乙に発生した費用は請求できると、同じようなことが書いてありまして、私どももそれに従って協議をさせていただいた事実はございます。

○新里米吉委員 直接工事をする皆さんも設計と同じように、このような問題が起きたときはそのような協議をしていくと。損害を及ぼすときは、必要な費用を負担しなければならないということに従って協議をした事実があるということがわかりました。県の側は、そのような問題点は当然、十分認識していたと。工法変更によるいろいろな問題が生じてきたということは知っていたというように受け取れると思います。
 それで、先ほどからの話で、受注側のJVにとっては工法変更でかなりの損失があったということになりますが、その話も県とはやったのですか。

○西田義則参考人 今の御質疑は、これに伴う費用を協議したかという御質疑かと思いますが、協議をした事実がございます。

○新里米吉委員 結局、先ほどからの話を総括していきますと、大成JV側にとっては、契約変更をせずに当初の契約で結んだ中央導坑方式でやるべきであったし、また、やってほしかったという考えであると理解してよろしいですね。

○西田義則参考人 その形で私どもは入札しておりまして、最初の中央導坑方式で施工する準備を進めていたことは事実でございます。

○新里米吉委員 県がかなり強引に中央導坑方式を無導坑方式に変えていることが、いろいろな資料を見てもわかるわけですが、その場合に、中央導坑方式のよいところはほとんど言わなくて、無導坑方式がよいのだと。工期も工賃も安全面も、騒音や振動などの周辺環境への影響も含めて、無導坑方式が有利だからこれに変えるのだと。ただ、当初は沈下対策面で無導坑方式がまだ十分確立できなかったので、沖縄県内でも豊見城トンネル工事でそれをやったから、これに切りかえるのだという姿勢なのです。中央導坑方式はこんなに悪い方式なのかと。では、なぜこんなに悪い方式を最初に取り入れたのだと聞いたら、そのころは、沈下対策では中央導坑方式がよいと言われていたことをやっと認めたわけです。そこら辺で皆さんは、長い間中央導坑方式で工事をしてきたというノウハウがありますが、沈下対策についても、県のいろいろな資料あるいは有識者たちの意見もばらばらで、県の資料も、資料の使い方によって中央導坑方式がよかったり、無導坑方式がよかったりと―識者からも、積算の仕方で違うのでは困るという指摘がこの文章に出てきたりするのです。どのような数字の入れ方をするのか、私たちには専門的なことはわからないですが、少なくとも沈下対策―特に今回の工事の場合は、最終的に沈下対策が問題になって追加工事が出ているのですから、当初から沈下対策は安全面も含めて、工事をしていく上で非常に重要な要素だったと思っているし、県にもそう言いました。沈下対策ということでいきますと、皆さんは中央導坑方式と無導坑方式でどちらがよりよいと思っていますか。

○西田義則参考人 今の御質疑は、中央導坑方式と無導坑方式で沈下に与える影響は変わるのかという御質疑かと思いますが、やはり地質によって変わりますので一般論はないと思います。今回の識名トンネルではどうだったかというと、これは大変申しわけございませんが、私どもは技術的に経験等をそう持っておりませんので、お答えできかねます。

○新里米吉委員 そのような専門的な問題に、企業としてどうこう言いにくいと。ただ、大成JVとしてはこれまでの経験、ノウハウ等から中央導坑方式のほうが工事としては―請け負う場合も、提案されてそれでやるということで進めたわけですから、それでやりたかったと理解していいわけですね。
 途中、追加工事でもめますね。今回の県との関係は、最終的にはそこに来るわけですが、皆さんから聞いてある程度わかってはいるのですが、協議がなかなか調わなかったと。大きな理由は何でしたか。追加工事で、金額面で調わなかったわけでしょう。

○西田義則参考人 費用面で協議が進まなかった主な原因は何かという御質疑かと思うのですが、先ほど来申し上げています、発注者側は発注者側の落札率―積算されて、落札率を掛ける指標をもとに協議をされます。私どもは実際にかかる、必要なお金で協議を申し上げます。その差が大きかったために時間を要したのだろうと考えております。

○新里米吉委員 そのときに、県議会でもこの間問題になってきたのが、紛争審査会での調整です。調停していくのが本来の筋だが、県としては工事を早く進めたい。安全面でも、工期を早く進めるためにも工事を進めていったと。そのような紛争審査会に持っていくと時間がかかるということだったのですが、皆さんは、紛争審査会で最終的な調整をしてもらってよいと考えていたということですか。先ほどの皆さんの説明文ではそのように受け取れるのですが。

○西田義則参考人 協議が調わない場合は、契約にのっとり、いわゆる紛争のあっせん、調停、仲裁等の検討をしておりました。

○新里米吉委員 そうすると、話が早くつけば短いわけですが、長くなる可能性も含めて工事の一時中断ということも考えられますが、その場合に、安全面で大きな問題が生じるということはありましたか。

○西田義則参考人 協議の時間をとるために工事を中断するのは、安全上好ましくないのではないかという御質疑ですが、私どもはやはり技術者として、中断するという影響は大きいと思います。また、私どもは契約上中断する権利がございませんので、施工、安全に業務をしながら、協議を並行して進めざるを得なかったということが事実です。

○新里米吉委員 施工を進めながらやるということが―施工しながら、その間実際には工事をしていて、契約は結ばれていないと。今回の大きな問題は、工事が完了してから契約を結んで、それから始まったかのようにやって、虚偽契約で会計検査院から摘発されたわけですよね。そこが発端であるわけです。そこが非常に大きな問題で、なかなか金額で折り合いがつかなかったと。紛争審査会に本来持っていくべきだが、なかなか難しかったと。工事はしておいてという話になっているのですが、協議が成立しないままに工事を続けて、合意が得られた段階で、実際には工期が終わってからでもやむを得ないということで、改めて契約するという方法はどちらから提案したのですか。皆さんが提案されたのですか。事実上言われている虚偽契約は県が提案したのか、皆さんが提案したのか。

○西田義則参考人 協議が調わないまま工事を進めていこうという提案を、私ども大成JV側からしたという事実はございません。また、私どもは協議の申し出をして―協議をしていただくのは発注者側の権利でございますので、私どもは申し出をするしかなかったということで御理解いただきたいと思います。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 金城勉委員。

○金城勉委員 本日は大変ありがとうございます。
 関連しますので、引き続き質疑をさせていただきます。
 新里委員が幾つか質疑されましたが、私がひっかかっているのは、まず最初に工法変更というものです。今のやりとりを聞いていても、県が意図する安くなる、工期短縮ができる、安全面で有利であるとか、そういったもろもろの今までの説明がどうも違う。皆さんもそういうことをきちんと伝えたということでありますが、なおかつ県は強引に工法変更して、施工させたという説明でした。県が皆さんの説明をもある意味、無視するような形で強引に工法変更をした狙いは、どのように受けとめておりますか。

○西田義則参考人 工法変更を発注者側のほうから強く要請された、それに従った。それはなぜかという御質疑ですが、私どももその意図ははっきり言ってわかりません。変更されたことは少しわからない。強いて言うならば、施工技術検討委員会で審査をされて、それを県が判断されて、私どもに工法変更の指示をされたという流れが事実だと思います。

○金城勉委員 この工法について話が出てきたのは、契約してわずか数週間後の1月ですよね。その後、いろいろと施工技術検討委員会がなされて、着工されるまでの間、半年前後もかかって。その間、当然皆さんとの協議もいろいろなされているわけですよね。そういう中で、やはり中央導坑方式と無導坑方式とのメリット、デメリットについてのいろいろな意見交換もなされていて、そして、その経費についても逆に高くなる、工期も長くなる、あるいは資材等の問題も出てくると。そういうことも説明したことがありながら、なぜ強引にそのようになったのかということが非常に大きな疑問点です。疑問は疑問としてしようがないのですが、工事を進めていくプロセスの中で中央導坑方式から無導坑方式に変わって、皆さんとしては当然のようにいろいろな予期せぬことが出てきて、追加も出てきて、そのときにやはりこれだけのものがかかりますと、金額もかさみますというようなことを県に申し入れて、協議に応じてほしいということもあったというような今の説明でした。我々素人から考えて、やはり追加が出てくるということであれば、具体的に契約金額でおさまらなかった。その金額が確定しないことには、やはり赤字を押しつけられるかもしれない。そういう心配がある中で、工事を進めなさいと指示されたと言いますが、そこで疑問なのが、やはり協議を調えて、そして追加金額、追加項目、追加工事の内容等についてもきちんとその都度固めて、きちんとした再契約なり、追加工事の契約なりというものをやりながら進めていくことが手順ではないかと思います。そういうことがなされないままに、工事は進められていくと。これは一方的に県からそういった指示があったから、そうせざるを得なかったのか。その辺のところをお伺いします。

○西田義則参考人 いわゆる変更があれば、その金額が確定してから進めるべきではないかという今の御質疑でしたが、今回のような大きな変更はまれですが、土木工事一般では、いわゆる工事をとめてということは通常は行っておらず、指示書をいただきながら、お金は協議するという条件のもとに工事を進めるのが通常です。それは、先ほどお話がありましたように、工事をとめると安全上あるいは待機費用ともども発生するということがあって、指示書に従って、指示書をいただいて協議を並行しながら、工事をするのが通常のやり方です。

○金城勉委員 我々が考えている以上に、受注者側は非常に弱い立場にあるのですね。結局、発注者側の指示があればそれを拒否できない。金額も心配しながら、果たしてこちらの請求どおり払ってくれるのかどうか、あるいは再契約ができるのかもわからないままに工事も進めなくてはいけないという状況ですね。時系列からすると、本契約にプラスして、どこからどこまでが追加工事なのか、どの部分が追加工事なのかというものも、特定する方法もはっきりしないままに工事はどんどん進めなさいということで進めてきて、結局は県のほうから後で虚偽契約と言われている沈下対策工事も、あるいはインバート工や覆工工事も、全部終えてから契約をしようとなっているわけです。皆さんはそういった、県からこのように契約しましょうと提示されたものについて、後々問題になるであろうと、あるいは指摘されるかもしれないという懸念はなかったですか。

○西田義則参考人 今の御質疑は、協議が長引いて、工事の最後に契約をすることが、今問題になっている、いわゆる虚偽契約と言われるところの原因ではないかという御質疑だと思います。先ほど来御説明しましたように、協議を申し出て、長い時間をかけて協議をさせていただいた中で、13億円の申し入れをして、10億円で決定したと。私どもの考えとしては、その10億円の一部を、いわゆる精算契約的にされたという理解をしております。このような実態のある工事でありますから、決して虚偽契約に、こういった大きな問題になるとは到底想定もしておりませんでした。

○金城勉委員 こうして振り返ってみますと、皆さんが指示をされて、工事をして、どこからどこまでは追加工事であるという特定もお互いに確認しないままに工事が進められてきたと。その辺のところに非常に大きな要因があるのではないかと私は思います。やはり本工事がどの部分、追加工事がどの部分、だからこれは改めて契約―金額を確定し、契約をしなくてはいけない。いつからいつまでと。こういうことが明確に確認できておれば、これは補助金の仕組み上、いつ契約を結び、いつ申請しなければという具体的な手順、手続にのっとった形の仕事の流れが当然あるべきはずのものが、そういうものは無視されるような形で、とにかく急げと工事だけは進められてきたと。この辺の工事のあり方のずさんさといいますか、非常に強烈に感じます。そういったことがあって、いよいよ金額の査定になったときに、結局、平成20年12月に一旦工事はとめなさいとなるわけです。その中で、できた分については金額を確定させましょう、できなかった部分については別途契約をしましょうというような流れになるように見えますが、この辺の時点での皆さんと県との協議のやりとりについて、認識を聞かせてください。

○西田義則参考人 御質疑の平成20年12月に工事を中止して、その後に契約に至ったのではないかということですが、平成20年12月に当初請負金額に達したということで、発注者の県のほうから工事を一旦中止しなさいと。そして、協議をしますということでございましたので、それに従って追加工事金額の協議を開始したという事実です。

○金城勉委員 当初、皆さん方が13億円余りの数字を出して、それが10億円になって、さらにこの平成20年12月になった時点で工事が中断されて、金額の協議の結果、5億円弱の数字になるわけですよね。その辺のやりとりの経緯。もう一つは、工事を中断して、それまでも数字を精算して、契約金額の数字に確定したというように見ています。残りの工事については、皆さんとはもういいよ、という形で南海JVに発注する形になるのか。この辺のところの説明をお願いします。

○西田義則参考人 平成20年11月6日に工事打ち合わせ簿におきまして、追加費用請求項目の金額についてということで、13億円余りの協議申し出をいたしております。協議の結果、平成20年12月11日に工事打ち合わせ簿で、私どもが要望しました13億円強に対して、約10億円の御回答をいただいております。あわせて、今後の契約予定ということで、今御質疑がありました4億何がしの既に終わった工事と、その先の未施工部分のやはり4億円強の予定表、契約予定をいただいております。ところがこの後、未施工の4億円強の契約は一般競争入札になったと。これが経緯です。

○金城勉委員 未施工部分の5億円弱が一般競争入札に付せられたことについて、説明はどのように聞いていますか。

○西田義則参考人 未施工部分の契約をどのように指示されたかという経緯ですが、今、資料を見ましたところ、平成21年3月13日に県から未施工部分を一般競争入札にするという通知を受理しております。これが経緯です。

○金城勉委員 私が聞きたいことは、なぜそういうトンネル工事という一連の工事の中で、なぜそこで切られて、工事を中断して、未施工部分については別途一般競争入札にしたのかという背景が知りたいのですが、皆さんには説明はないのですか。

○西田義則参考人 補足説明させていただきます。今、資料があります平成21年3月13日、平成21年度識名トンネル新設工事の発注方法についてという文面を県のほうからいただいております。これを読み上げさせていただきます。
  識名トンネルの残工事については、平成20年11月から12月にかけて、当時施工中の識名トンネル新設工事の請負者である貴企業体と県との協議では、随意契約を行う前提で協議が調った経緯がありますが、下記の理由により一般競争入札としたいので、御理解願います。
  記、理由、平成21年2月に行われた会計検査院の実地検査において、識名トンネル坑口付近ののり面保護工事(真地久茂地線街路改良工事)H20-1工区について、県が行った貴企業体との随意契約に関し、予定価格の算定に当たっては、全工事の請負比率47.2%を乗じるなどして算定する必要があるとの講評がなされました。
  県としては、会計検査院の考え方が必ずしも正しいと認識しているわけではありませんが、会計検査院がこの種の問題について、全国的な調査を進めている状況を勘案した場合、随意契約での対応は得策ではないと判断しております。
  よって、新年度工事の発注に当たっては、請負比率を乗じた積算による随意契約よりも、通常積算による一般競争入札のほうが品質確保の観点からも妥当であると考えています。

○金城勉委員 最後に、第三者検討委員会でも提示されていますが、大成JVの皆さんに対して工事金の一部返還の話し合いもされていますが、そのことについての皆さんの認識をお聞かせください。

○西田義則参考人 工事金額の返還という御質疑ですが、冒頭に述べましたとおり、私どもは指示に従って忠実に、確実に施工したいわゆる工事費の精算をしていただいたと思っております。実態のある工事ですので、決して架空の工事ではありませんので、返還ということは考えておりません。ぜひ、御理解をいただきたいと思います。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 仲村未央委員。

○仲村未央委員 きょうの委員会において、初めて請負者側の見解が聞かれると私は考えております。というのは、この問題が発覚して―会計検査院から指摘をされて後、県のほうでは第三者委員会という問題解明の委員会が設置され、開かれているのです。その中において、経過はこうであったというような検証がされているのですが、それを読んでも、当事者の一方である請負者側の直接的な意見を聞かれた形跡が見えない。それはどうだったのですか。実際には第三者委員会からJVへの意見照会なり、そういった意見伺いがあったのか。事実確認についてあったのか。あったとすれば、どういったことを聞かれたのか。なかったとすれば、どうしてなかったのか。そこら辺の説明があったのかお尋ねいたします。

○西田義則参考人 第三者委員会から事情聴取等があったのかという御質疑でございますが、これは私どもは受けておりません。また、なぜ受けなかったのかということも、私どもはわかっておりません。

○仲村未央委員 そうであれば、やはり第三者委員会の報告を通じて語られる経緯の一つ一つも本当にそうだったのかということも含めて、我々は検証の必要があると判断いたしまして、きょうはおいでいただいたので、質疑がたくさんありますが、事実の確認ですので、ぜひとも御協力いただきたいと思います。
 まず、今回の契約に当たって、非常に低入札であるということが特徴です。そのために、低入札に関する調査が契約に当たって行われました。調査の中で、県が皆さんの受注額に対して、本当にこれで履行が可能なのかということを聞かれたと思います。そのときに大成建設が県に提出した資料―この価格で入札した理由という文書が、我々のもとにも出されております。資料番号で言うと24-4となっているのですが、その中で、大成建設の見解としてこういうことが出てきます。今後、特に都市部における道路整備事業において、当該工事と同タイプの山岳工法によるトンネル工事は増加するものと考え、実績をつくるべく、相当の決意を持って入札したと。ここで言われる相当の決意とは、どういった意味なのか。つまり、我々が表現を見るに当たって、相当の決意というのは相当の負担を覚悟で、それでも実績をつくるべく―ある程度負担を想定されるけれども、頑張りますというように読めるわけですが、ここで皆さんが示した相当な決意とは、どういう意味でしょうか。

○西田義則参考人 今、御質疑がございました低入札調査の資料を確認しました。ここに書いておりますように、私どもはこういったトンネルの実績を持っていると。その中で、その施工実績に基づいてサイクルタイムを算出して、作業員を合理的に配置、これに基づいた積算の内訳書を出しています。これが私どもの、ここに書いていますように、相当の決意を持ってというところに当たると思っております。

○仲村未央委員 つまり、相当の決意―先ほどJV構成員の方からもありましたように、これだけの低入札には非常に驚いたと。当事者の皆さんも驚くぐらいですから、あえて実績をつくるためには赤字覚悟でもしようがないというような意味かと思うのですが、そういうことではなかったのですか。

○西田義則参考人 今の資料にもございますように、私どもの実績に基づいた積算内訳書を相当つけておりますが、この中で、いわゆるできるお金、積もり上がったお金の結果としてそれを入札しておりますので、赤字を覚悟してという事実はございません。

○仲村未央委員 それでは、まず工法の変更に係る部分について、特に疑問が多いですので、ぜひそこをお尋ねします。県によると、その当時は無導坑方式に移行していく過渡期に当たって、まだ非常に実績が浅いではあるが、先進導坑方式よりも非常にすぐれたという考え方が広がりつつあったかのような認識を持っているようです。大成建設のほうでは、先進導坑方式は古いだとか、問題がある工法だというように当時は思っていらっしゃいましたか。

○西田義則参考人 冒頭申し上げましたように、施工実績を持っている工法でございますので、これが古いとか、工法的に問題があるという認識は全くございませんでした。

○仲村未央委員 県から工法変更の可能性を聞いたのはいつでしたか。それは誰からお聞きになって、誰に伝えられましたか。

○津中重彦参考人 私が現場の責任者でしたので、まず、私が工法変更の話をお伺いしたのは、先ほど冒頭にありました契約後、たしか3週間後に沖縄県のほうから呼ばれまして、先ほどの1月10日に工法変更の検討をしていると。そのときに初めて知りました。その後、施工技術検討委員会―発注者のもとで検討委員会が発足されて、我々はオブザーバーで出席はしておりましたが、その検討を継続的にされておりましたので、その時点で把握しております。

○仲村未央委員 恐れ入りますが、業務日誌がお手元にあれば、1月10日、県のどなたが大成建設のどなたにお伝えしたかというところまで、すぐにわかればお答えいただきたいのですが。あわせて、その工法変更の可能性ありというのは口頭で伝えられたのか、文書で示されたのか。その方法についてもあわせてお答えいただけますか。

○津中重彦参考人 まず、御質疑の1つ目ですが、私は口頭で言われております。ただ、私のほうは自分で議事録をつくっておりましたので残っておりますが、南部土木事務所からは新城技術総括、新城主幹、玉城主任技師、堀内現場技術員の4名の方が集まりまして、言われたのは新城技術総括だと記憶しております。口頭で、無導坑方式を検討する予定であることを言われております。ただ、私のほうからは、冒頭にもありましたが、現在の請負金額22億2000万円では、無導坑方式になった場合にはできない、難しいということを答えております。

○仲村未央委員 ということは、その新城技術統括から伝えられたときに、皆さんは、これは我々の受注した額では到底請け負えないというような判断をその場で即答できるぐらい、つまり、その工法の変更は大きな増額をもたらすものだというように判断できたということですか。

○津中重彦参考人 これはやはり、私もトンネル技術者としまして感覚と言っては何ですが、内容が確かにわからない部分、これから設計図書等々の検討の段階ですのでわかりませんが、まず、我々が冒頭で申し上げました中央導坑方式では、両坑口を掘って、こういうノウハウを使ってやるという前提でやっておりました。ところが、無導坑方式、大きな断面をいきなり掘っていかないといけないとなりますと、やはり慎重に掘らないといけないと。それとまたトンネルが2本ありますので、やはり山に対しては相当影響を与えると―やはり直感ですが、それがありましたので、工期も工程も中央導坑方式で想定していた期間よりは多分延びるであろうという、直感ですが思いましたので、そのときに申し上げております。

○仲村未央委員 その場でおっしゃったということが、非常におかしいというか、つまり、これまで県が説明してきたこととはかなりの状況の違いがあるわけです。今、津中参考人のお答えのとおりというように理解して進みますと、県が第三者委員会に経過の資料を提出しております。この中において、このようなことが出てきます。工事費が安価になり、無導坑方式が有利な場合は、無導坑方式を採用すると事前に確認していたと。事前の確認があったということなのです。この事実はいかがですか。その工事費が安価になり、無導坑方式のほうが有利な場合、これについては無導坑方式を採用しようということを事前に確認されましたか。

○西田義則参考人 第三者委員会資料の5-30の一番下の丸でございますが、御質疑を確認させていただきますと、請負者とは、工事費が安価になり無導坑方式が有利な場合は、無導坑方式を採用することを事前に確認したかという御質疑でございますが、きょう初めて見まして、今確認をしたところ、こういった事実はございません。確認されたという事実はございません。

○仲村未央委員 大変驚いております。そういう事前の確認がなかったとすれば、これまで我々が知り得た経過の前提がまた一つ変わってしまうという状況になります。
 その後、大成建設からの御説明にあった施工技術検討委員会というものが、工法の変更に大きく関与してまいります。この施工技術検討委員会は、先ほどお示しいただいた皆様の御説明には、県が任命された有識者で構成される云々となっていますが、これは県の任命ではないのです。これは、一般社団法人日本建設機械施工協会―旧社団法人日本建設機械化協会というところに県が委託をし、そこで設置された施工技術検討委員会でありますが、その事実は御存じでしたか。

○西田義則参考人 今の施工技術検討委員会のメンバーを社団法人日本建設機械化協会がお決めになられたということは、きょう初めてお聞きしました。

○仲村未央委員 皆さんは、その機械化協会ではなくて、県が委員会の専門委員を任命したと理解していたわけですか。

○西田義則参考人 県のほうで委員の方を選任されたと考えておりました。

○仲村未央委員 なぜ、県が主体的に専門委員を任命していると理解したのですか。

○西田義則参考人 設計変更を指示されるのは県でございますので、県がその工法を検討するためにおつくりになられた委員会という認識であったものですから、私どもはそのように認識していた次第でございます。

○仲村未央委員 ここにおいて、発注者の県の側からもこの施工技術検討委員会の中に入って、正規のメンバーでその検討をしています。ところが、請負者である皆さんはオブザーバーということで位置づけがあったようですが、実際に皆様は、施工技術検討委員会にオブザーバーとして出席されましたか。

○津中重彦参考人 私は現場の所長でしたので、その施工技術検討委員会にはオブザーバーとして出席しておりました。

○仲村未央委員 それは毎回出席したのですか。そのときに、オブザーバーとして意見を述べるということが常時続いていたのでしょうか。それとも、特定できますか。第何回と第何回だけ呼ばれたとか、そのときは呼ばれなかったとか。

○津中重彦参考人 今、資料を確認しましたら、私はオブザーバーとして全て参加しております。

○仲村未央委員 そうですか。まず、この平成18年度の第1回の施工技術検討委員会の場所において、工法の変更が決定されます。第1回目です。そのときにも、津中参考人はオブザーバーとして参加されましたか。

○津中重彦参考人 今、資料を見ますと、平成19年2月8日の施工技術検討委員会では、先ほどオブザーバーと言っておりましたが、参加していたという認識です。

○仲村未央委員 この2月8日に、第1回の施工技術検討委員会の中においてすぐに決定されるのが、まさに無導坑方式への工法の変更なのです。それは、津中参考人が同席される中で、その議論が繰り広げられたということでしょうか。そして、オブザーバーとはいえ、そのときに発言を求められたり、御意見はいかがですかと聞かれたことはありましたか。

○津中重彦参考人 改めて平成19年2月8日の施工技術検討委員会には参加していたという立場でございまして、その議事録の中に、次回からは、施工業者に民間協力会社として議論に参加してもらいたいと考えているので、了承していただきたいという文面がありまして、意見を言う立場ではありませんでした。

○仲村未央委員 そうすると、その場にはいらっしゃったけれども意見を言える立場ではなかった。そして、先ほど申し上げましたが、2月8日の第1回の会議の最後には無導坑方式に決定される。その会議がまさに2月8日なのです。そのときに、その会議を見て、参加されて、意見を言えないという立場も含めてどのように感じられたのか。そして、その決定を受けて、大成建設に持ち帰って、これは大変なことになったというようなことで、その後議論があったのですか。

○津中重彦参考人 今の、平成19年2月8日の施工技術検討委員会での私の気持ちですね。やはりこの工法変更について、確かに議論されていたことは記憶していますので、その当時どうだったかと言いましても……。やはり、あくまでも県からの指示待ちですので、そういう気持ちはあったのだと思います。

○仲村未央委員 先ほど1月10日に、工法変更の可能性ありやというように県から告げられた。口頭で告げられて、津中参考人は驚かれたと。それは驚かれたというか、むしろその無導坑方式では皆さんが考えているような進め方ができない。それは非常に請け負えないというような認識をすぐさま持たれたという御答弁が先ほどありましたよね。そうであれば、第1回にオブザーバーではないけれども同席されて、まさにたった1回の検討で、幾らその専門家といえど―この議事録を見ていますと、この専門家の皆さんの発言からは、識名トンネルの現場をまだ1回しか見ていないと。そういった状況の中で、たった1回の、数時間の会議で工法を変更することが確認された。決定されたという状況において、非常に大成建設、JV全体にとって深刻な影響をもたらすかもしれないという事態が起きたはずなのです。そのことを御記憶にないのか。
 もう一度、その場にいらっしゃって、そして、その後の対応というのは、大成建設の中でも現場レベルの話ではないというように判断されなかったのか。そこら辺はもう一度、確認のためにお尋ねします。

○津中重彦参考人 先ほどの御質疑につきまして、やはり1月10日の時点で、先ほど説明しましたように口頭で言われまして、私のほうも自分で議事録もつくっておりましたので、それから考えますと、会社にも報告していると思いましたし、やはり驚いたことはあったと思います。

○仲村未央委員 この議事録ですが、平成19年度の第1回目が同じ平成19年の5月25日に開かれます。ここもぜひ確認いただきたいのですが、この平成19年度の第1回目とされる平成19年5月25日の議事録によりますと、委員の中から、2時間程度議論をしただけで決定したと。つまり、これは私が申し上げた2月8日のことを指しているのです。2時間程度議論しただけで決定というのは余りにも無責任な感じがするので、決定という言葉を提言にかえてほしいというような意見が委員から出されます。先ほど、大成建設からも毎度参加されていたと、オブザーバーとして出席されていたということですので、その場所でそういったやりとりを聞いていて、どのように受けとめていたのか。資料の14-C-3です。

○津中重彦参考人 今、議事録を見ましたが、記憶にございませんでした。

○仲村未央委員 非常に大事なところなので、ぜひ後でもよろしいです。つまり、なぜ私たちが御答弁を聞いて驚いているのかというと、第1回目の議事録には、次回からオブザーバーとして呼ぼうかどうかということも議論されているのです。ですので、この議事録を素直に読めば、第1回目には皆さんはいらっしゃらないというように読めるのです。そして、工法の変更について応じるというような状況があれば、次回からその企業―受注者を呼ぼうかというような流れの議論になっているものですから、その場所に本当にいらっしゃったのか。そして、津中参考人がおっしゃる、答弁の根拠になっている記録には、そのオブザーバーとして毎回出席をされたと、その2月8日にもいらっしゃったと。そこは確認をお願いします。資料の14-A-6です。

○津中重彦参考人 第1回の施工技術検討委員会に私が出席していたかどうかという御質疑につきまして、私のほうの資料によりますと、座席表がありまして、私の名前も書いてありますので、出席、参加といいますか、しているようになっております。

○仲村未央委員 この工法の変更とは、軽微な変更なのでしょうか。それとも、重要な変更なのでしょうか。

○西田義則参考人 今の工法変更の御質疑でございますが、これは私が冒頭申し上げましたように、私どもが入札したもととなる根本の工法の変更でございますので、非常に重要な工法変更だと考えております。

○仲村未央委員 それで、この施工技術検討委員会においては、安価で有利というように判断がなされていくわけです。概算工費や概算工期においても無導坑方式のほうが有利であると。そして、もう何回目という特定はできませんが、その中においても、請負者の意見を十分に聞かなければならないという発言も出てきます。そういう意味では、これだけの重大な変更において、本当にこれが安価で有利だというような比較、こういったものが県から示されましたか。

○西田義則参考人 今、確認いたしましたら、平成19年2月8日の施工技術検討委員会資料で比較表がございまして、中央導坑方式めがねトンネルが左側に書いてありまして、右側に無導坑方式超近接トンネルとありまして、これを品質、工期、工費、安全性、環境負荷、総合評価ということで丸と三角で示してありまして、無導坑方式のほうが全て丸、総合で丸ということで、品質、工期、工費、安全性、環境負荷の面で中央導坑方式より有利であるということが、委員会の資料としてあったことを確認いたしました。

○仲村未央委員 そうであれば、その時点で皆さんは出席もされていたということですね。発言はなかったけれども、位置づけはなかったけれども、その場にいた。そして、比較表もその当時に出されていたと。これを見て、どのようにそれを受けとめたのか。そして、どう判断されたのか。そのことにどのように対応されたのですか。

○西田義則参考人 この資料があったことを認識していて、どういう検討をしたかという御質疑かと思いますが、私どもは出席させていただいておりましたが、その工法を決定する、または発言する立場にござませんので、これは県からの指示を待つという方策というのでしょうか、そういうことしかできる権限がございませんので、私どもの積算の根拠の根幹となる工法変更で大変だとは認識しておりますが、それを発言する機会を得ていないという事実を今、確認したということです。

○仲村未央委員 その他の工事中止に伴う待機費用とか、その期間これによって発生するであろう増額が見込まれる。そういった要素については施工技術検討委員会の中で、皆さんが出席される中で議論になっていましたか。工費の安さ、有利さというのももちろんそうですが、直接の工事費の工法変更に伴う待機費用や、その中止期間の工期の問題。こういった部分について、その施工技術検討委員会では議論があったのか。そして、一番肝心な請負者の意見というのを聞かれたのか。そのとき、どういう発言をされたのか。

○西田義則参考人 今、確認しましたところ、施工技術検討委員会では発言する立場にございませんし、お答えした記憶もございません。そして今、資料を調べますと、平成19年8月7日に工法変更を受けて、この変更指示書に対する協議をお願いしたと。こういったことが経緯でございます。

○仲村未央委員 そうすると、一連の過程を整理すると、皆さんはオブザーバーとはいえ、その施工技術検討委員会において工法の変更がなされる、その議論の過程は見ているわけです。そして、その中においてオブザーバーとしての意見を一切言わずに、初めて増額のことに絡んで協議の申し入れをして、初めてその主張をしたのは平成19年8月7日ということですか。

○西田義則参考人 今、資料を調べましたが、やはり繰り返しになりますが、施工技術検討委員会では、私どもはオブザーバーという立場で発言できる立場にございませんでした。そして、6月に変更指示書をいただいて―日付は4月となっておりましたが、これを受けて、今申し上げました8月7日に、工法を比較した比較表で協議をお願いをしているというのが経緯の事実でございます。

○仲村未央委員 そうすると、7月の工事が再開されていく中においては、まだ皆様は特段主張されていない。つまり増額で、非常に重大な工法の変更であったといった認識も示されないまま工事は再開され、そして、その指示を受けて始まった後に、初めて8月7日にその主張を展開されるといった理解でよろしいですか。

○西田義則参考人 今の御質疑のとおりの趣旨でございますが、もう一つつけ加えるとすれば、変更があるかもしれない1月10日の時点で、隣におります津中のほうから、工事費はこれではできないだろうということを申し上げたことをつけ加えさせていただきます。

○仲村未央委員 1月10日の段階で可能性が示されたときに、お尋ねをしたそれだけのリアクションというか、感想を持たれたのであれば、なぜ、こんなに長い期間そのことを主張しなかったのかというのが単純に疑問なのです。そのオブザーバーといえども、それは施工技術検討委員会という枠を超えて、発注者と受注者の関係において、なぜそれを申し出る機会がなかったのでしょうか。なぜおっしゃらなかったのか。

○西田義則参考人 今、確認しましたところ、6月に指示をいただいて、8月1日に工事再開、そして先ほど申しました8月7日―いわゆる1週間後に工事変更指示書に対する協議のお願いをしております。経緯的には、これが最善だったのではないかと思っております。

○仲村未央委員 平成19年8月7日に増額の要求が出されました。このとき、皆様から出されたのは5.9億円の増額です。この理由は何ですか。5.9億円増額を求めた理由です。

○西田義則参考人 今の御質疑は、平成19年8月に約6億円の工事変更の内訳を提出しているのはなぜかという御質疑かと思います。これは資料を確認しておりますが、私どもが約23億円の当初入札した根拠は、実績のある中央導坑方式をもとに、私どもは工事が可能である金額を積算して御提出したと。それに対して、無導坑方式に変わったということで、この工法変更に伴う変更の金額を私どもの積算で御提示したという経緯でございます。

○仲村未央委員 今の答えですと、まさに中央導坑方式から無導坑方式に変わったことによる増額と。この5.9億円は、中央導坑方式から無導坑方式に変わったことでふえた分だと理解してよろしいでしょうか。

○西田義則参考人 そのとおりでございます。

○仲村未央委員 県は、中央導坑方式から無導坑方式に変わったことで、工事費としては4400万円安くなったと認識しておりますが、それは皆さんがおっしゃる5.9億円と対比する数字として捉えてよろしいでしょうか。一方では安くなった、一方では5.9億円上がったと。

○西田義則参考人 8月にお出ししました、中央導坑方式から無導坑方式へ工法変更になったために約5億円増額になりましたという、これは私どもの、いわゆるノウハウのある中央導坑方式で積算したものに対して、無導坑方式に変わったときに幾らでできるかという私どもの積算でございます。そして、今おっしゃいました発注者側の金額というのは、私どもが積算しておりませんので、どういうことかは、私どもでは少し御説明できないのが事実でございます。

○仲村未央委員 ぜひお願いがあるのですが、今、私がその質疑をしているのは5-83、皆様が8月7日にJVとして南部土木事務所に提出された、まさにこの5.9億円の増額分の協議のお願いの資料です。この中に添付書類として、中央導坑方式と無導坑方式の工法及び工事費の比較という書類がついていたはずです。これについてはこちらで持ち合わせがありませんので、ぜひ提供いただければと思いますので、後ほど御検討お願いできますでしょうか。

○西田義則参考人 この資料を検討してお答えするようにします。ただいま資料を確認しましたので、添付資料を後ほど御提出させていただきます。

○仲村未央委員 この8月7日の、皆様が協議の申し入れをした根拠の契約約款の第24条。この請負代金額の変更方法、これにのっとって協議のお願いをされています。第24条にはこのように書かれています。変更については、甲乙協議をして決めると。ただし、協議開始から14日以内に協議が調わない場合には、甲が定め、乙に通知するということがあります。その際に、協議開始の日がなかなか定まらなかったというのが、経過の中ではっきりとしております。ただ、この第24条は、第2項でこのようなことをあわせてうたっているのです。前項の協議開始の日については、甲が乙の意見を聞いて定め、乙に通知するものとする。ただし、請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、乙は協議開始の日を定め、甲に通知することができると。つまり、変更事由は発生しているにもかかわらず、県がなかなか協議開始の日を言わない場合には、乙のほうから協議開始の日を定め、甲に通知することができるというのが第24条第2項なのです。皆さんはこの第24条第2項を適用させて、協議開始の日を定めて通知をするということはなされましたでしょうか。その検討はなされましたでしょうか。

○西田義則参考人 今の第24条に関する御質疑でございますが、平成19年8月7日付、資料番号で言うと5-83。先ほどまさに御質疑いただいた件ですが、ここに書いていますように、工法変更指示書に対する協議のお願いということで、私どもは第24条に従って協議のお願いをしたと。そして、県の指示を待ったというのが経緯の事実でございます。

○仲村未央委員 ですので、第24条は、もちろん甲乙協議をして決めると。そして、甲のほうからその協議開始の日を定めて、14日以内に対応できないとき、おさまらないときには、次の段階に進みなさいというのがあるのです。つまり、そんなに長引かせないということで、恐らく14日以内というのがあるのでしょう。確かに本来は甲がやるべきものだけれども、甲の腰が重いときには、乙がその日を定めなさいと。それを甲に通知しなさいとなるものですから、この適用は考えられなかったのか。非常に深刻な事態に立ち入ったわけです。もう工法の変更がなされ、5.9億円も増額要求を皆さんが出されている事態においては、まさにこの第24条を適用して、そういった協議を速やかに開始させるということは、乙である大成JVからもできたと見えるわけです。その検討はなされましたか。

○西田義則参考人 第24条を確認いたしました。請負代金額の変更方法等で今おっしゃったのは、第24条の請負代金額の変更については、甲乙協議して定める。ただし、協議開始の日から14日以内に協議が調わない場合には、甲が定め乙に通知すると。第2項でございますが、前項の協議開始の日については、甲が乙の意見を聞いて定め、乙に通知するものとする。ただし、請負代金額の変更事由が生じた日から7日以内に協議開始の日を通知しない場合には、乙は協議開始の日を定め、甲に通知することができるという部分だと思います。私どもの解釈は、先ほどのお話に戻りますが、5-83の工法変更指示書に対する協議のお願い。これがまさに8月7日という日付を書いて、協議をお願いしているので、これが私どもの協議のお願いという日付を特定したものと考えております。

○仲村未央委員 いずれにしても、この第24条第2項に沿った乙からの働きかけは、この時点では判断されていない、検討されていないと理解します。
 それで、この後の1月18日には変更契約、これは同額変更で同意をしていくわけです。その時点でこの5.9億円というものは、その同額変更において何らかの数量の減等々において吸収された、つまり解決されたと認識して、この同額変更に応じたのですか。

○西田義則参考人 平成20年にトンネル本体工事の工法変更に伴い、数量の増減があったことによる工事設計変更協議書により同額変更の手続を行った件の確認かと思います。大成JVとしては、この同額変更に応じることで、落札率が適用されることを認めることにもつながりかねないということで、契約をちゅうちょした事実がございます。ただし、年度末の工事代金の支払いを受ける必要性に迫られていたことからも、落札率の適応については引き続き協議をお願いする内容の協議書を提出した上で、同額変更に応じたもので、大幅な工法変更が行われた後の工事内容に落札率を掛けることを了承したものではないという認識でございます。

○仲村未央委員 それは5-89、平成20年1月30日に大成JVから出された文書にそのような認識が示されています。そこで皆さんが言う同額変更については、設計変更について―①については了承するが、その増額変更②と③については、落札率を適用されるおそれがあると皆さんが解釈されているのです。ここには落札率のことは書いてありませんが、県とのやりとりの中で、どうして皆さんは増額変更②と③は落札率を適用されると読んだのですか。

○西田義則参考人 5-89の設計変更契約に関する協議のお願いの、①工法変更等による設計変更について、②設計変更による数量減の取り扱いについて、③工法変更等による設計変更予定額について、の3種類の協議書を受領したという協議書を確認しました。この一番最後のところ、平成20年1月18日の工事打ち合わせ簿に、工法変更等による設計変更予定額についての中に金額が示してありまして、当初請負金の23億3100万円が最終変更予定額24億8700万円と。その差が増額1億5600万円と書いてありまして、この金額は到底、落札率が掛かった数値であろうということが予想されましたので、そういった協議書によるお願いをした経緯がございます。

○仲村未央委員 行政側が官積算をするという前提の中では、増額変更の場合には、必ず最初の落札率を適用するということは常識だと、そのときは思っていらっしゃいましたか。

○西田義則参考人 冒頭にもお話をいたしましたが、私どもの施工の実態のお金―いわゆる入札したお金。これは中央導坑方式によるお金と、県であらかじめ積算された金額との比といいましょうか、これが落札率ということで、これを掛けて、増額に関してそれを根拠に協議されるという事実は知っておりますが、私どもにとっては、まさに実態のある工事をその金額でできるかどうかを協議の土台としておりますので、そこに落札率云々ということは、私どもの考えにはございません。

○仲村未央委員 つまり、当初の請負率が、通常の工事であれば増額変更の際に適用されることは知っていたけれども、識名トンネルにおいて、今回のような設計の変更が行われたという重大な変更があったために、これは通常の増額変更で行われるような請負率を掛けることは適当ではないと判断されたということですか。それとも、毎回大成建設では、識名トンネルのような事態にかかわらず、増額変更というのは必ず最初の落札率が適用されるべきものではないということを思っていたのか。どちらですか。

○西田義則参考人 大変恐縮ですが、これは繰り返しになりますが、落札率というもの自体、県側が指標としてお使いになることですので、私どもはあくまでも根幹となる工法が変わったことに関しての協議―これは実態に伴った必要なお金を協議の土台にするということでございますので、これとのギャップを埋めるごとく協議を進めていくということが実態でございます。

○仲村未央委員 識名トンネル工事契約問題調査特別委員会においても、沖縄総合事務局も参考人として来ていただきました。そのときに、請負率に対する認識について御答弁いただきました。その内容が、設計変更による変更契約に請負率を掛けることは、行政側だけではなくて、請負側、業者側、全国みんな知っていることだから、それを改めて協定に盛り込まずとも合意前提であるというのが沖縄総合事務局の認識です。それから、沖縄県議会の去る本会議での代表質問への答弁ですが、この中においても、土木建築部制定の土木工事標準積算基準書及び一般財団法人建設物価調査会発行の土木工事積算基準マニュアルにおいて、変更契約の際は請負比率を乗ずることとされており、県及び建設業者の認識は共通のものであったと考えておりますと。これはもちろん、識名トンネルに絡んでお尋ねした県の公式の答弁です。つまり国の側、県の側に、今申し上げたような認識が前提にあるわけです。ですので、先ほど私が聞いたのは、皆さんは増額変更においては当然に、恐らくは請負率を掛けられるだろうと思ったのではないですか。思っていたからこそ1月30日の時点では、それはのめないよという認識に立ったのであって、そのような前提はもちろんあったけれども、今回はこれはのめないよと判断された。それはなぜですかということです。それは識名トンネルだったからなのか。今回のように想定されなかった、皆さんにとっては想定外の大きな工法変更があったために、通常の請負率をのむことができないと反発されたのか。それとも、これに限らず、今言うような沖縄総合事務局や県の認識が間違っているという視点に立っておっしゃっているのか。そこを聞きたいのです。

○西田義則参考人 繰り返しになって大変恐縮ですが、落札率を掛けるという考え方、これは発注者側の考え方でございまして、私どもはあくまでも実態のある、要するに、工事にかかる費用を協議するのが契約上のルールでございまして、落札率云々ではなくて、私どもの協議の土台は実際にかかるお金です。発注者側は、落札率を基準にされることがあっても、私どもは積算のベースが違うといいますか、私どもは実際にやるお金をベースにお話をしていますし、発注者側は官側の積算をベースに、落札率を掛けたものを指標に協議されると。このような認識のずれはあると思います。あくまでも契約条項上、協議で決まるという認識でございます。

○仲村未央委員 今のお話ですと、沖縄総合事務局や県が示した、当然これは請負者側も含めた共通の認識であるという前提は、大成建設にはないということで理解してよろしいですね。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、私どもは今述べましたように、あくまでも実態のお金で協議させていただくということが、基本のスタンスだと認識しております。

○仲村未央委員 平成20年12月11日。5-113、5-114に示された一覧表に発注者側、請負者側、それぞれの追加費用の請求の積算が示されて、突然合意に至るという展開に入るところです。ここで大成JVは、最終的には13億7166万9000円を県に提示しましたが、この額はそのときに実際かかっていた、施工済みの額だったのでしょうか。

○西田義則参考人 5-114にありますように、今後の約9億9000万円の、まだ未施工の部分も含まれております。

○仲村未央委員 施工分が幾らで、未施工分が幾らということはわかりますか。5-99に、そのもととなる皆さんからの追加費用の請求項目と金額が出ているのです。それを見ても、追加費用ということで一覧になっていますが、これは未施工分も入った追加費用ですか。

○西田義則参考人 未施工分も入っています。

○仲村未央委員 それについて、そのうちの幾らぐらいが施工済み額だということはわかりませんか。

○西田義則参考人 わかりません。

○仲村未央委員 ぜひそれは知りたいです。それはまた後で資料等があれば、ぜひ御協力いただきたいと思います。
 それから、この13億円余りの取り扱いをめぐって、5-104、11月14日に南部土木事務所がこのように言っています。協議の結果、現契約金額を上回った場合、別件随意契約を考えているとの考えを示したと。これまで増額変更―変更協議に応じましょうという県の姿勢が、ここで初めて、別件随意契約というように方針が変わります。初めて別件随意契約という言葉が出てくるのが、11月14日なのです。これは、本体工事の延長線上にある増額変更ではなくて、別件の工事として随意契約しますという意思が県から示される初めての文書です。増額変更を主張してきた県が別件随意契約に変えていく理由を、皆さんはどのようにお聞きになったのか。どのように理解されたのかお尋ねいたします。

○津中重彦参考人 今の御質疑の5-104につきましては、この文書のとおりと理解しています。1のほうに書いてありますが、安全を確保して一旦終了したいという段階で現場を終了させて、その時点で改めて検査し直されて、それについて増減が発生するかと思います。それは書面のとおりと解釈していました。

○仲村未央委員 そこを聞いているのではなくて、別件随意契約という方針が示されたのはこのときが初めてなのです。つまり、県はこれまで、もちろん沈下対策工事も、この後に続いていくいろいろな処理の問題も、本来であれば本体工事に伴って発生した工事であるから、本体工事の変更契約としてやりたかったと。増額変更として手続をとりたかった。けれども、先ほどの請負率の問題で皆さんと衝突した、協議がなかなか進まなかったというのがこの間ですね。そして、この別件随意契約になると何が起こるのかというと、請負率を掛けないことが技術的に可能になるというように読めるわけです。増額変更であれば、先ほどの国、県の見解もまさにそうで、当初の請負率を当然に掛けるのが常識だと思っているわけです。けれども、これが増額変更の枠を外れて、別件随意契約という処理をすれば、請負率を掛けなくて済むぞというような判断に踏み込んで、11月14日の文書で初めて別件随意契約という言葉が出てくるのです。これは契約上の大きな変更なのです。それを大成建設はどのように受けとめましたか。

○西田義則参考人 お手元の資料の5-108をごらんいただきたいと思います。私どももこれに対する質問をしておりまして、その回答を平成20年11月21日に南部土木事務所からいただいております。この1の2)の③、残工事の契約について、当事務所としては随意契約を予定しているが、随意契約理由が了承されるか不明のため、現時点では確約はできないと書いてありまして、これをそのまま回答だということで、私どもは理解いたしました。

○仲村未央委員 発注者側の、確約はできないという認識はお持ちだったでしょう。なぜならば、別件随意契約にするにはそれなりの理由が必要なのです。本体工事の変更契約で当然、増額変更でなされるべき一体不可分の工事を別件に仕立てていくということが、まさに虚偽契約になっているわけですから、これは非常に大きな県の方針転換、踏み込んだところなのです。だから確約はできないと、この時点ではそう思っていたのでしょう。つまり、本体工事と一体不可分に実施すべきものだとこの工事が判断されれば、これは別件の随意契約にはなり得ないのです。インバート工でも、あるいは沈下対策工でも。ところが、ここで超えた分については、別件随意契約にしましょうということが県から示されたわけですから、別件随意契約になるとどうなるかというと、請負率の適用から外れることができるわけです。県の理屈としては。県の取り扱いの文書については、そのようなサインだと―皆さんに対する協議の方向として、請負率を掛けないで進展させようという県の意思表示は読み取れなかったのですか。

○西田義則参考人 繰り返して申しわけございませんが、私どもは落札率云々という意識では見ておりませんので、そういった解釈はその時点ではなかったと思います。

○仲村未央委員 それでは進みますが、今まさにお示しいただいた5-108の南部土木事務所発の文書で、ここにはこのような表現も出てくるのです。請負額を超えて工事を行う場合、県議会の承認が必要ですと。ただし、承認を得ていないため、既に請負額の数量が完成しているのであれば、一旦契約を完了させる必要がありますというようなことも出てくる。そして、議会の承認を要しない範囲、ここで早急に随意契約をしたいと。一つには、請負額を超えた場合、県議会の承認が予算上どうしても必要なのです。ところが、施工済みで契約額を上回る分があれば、大成JVとの協議が調ったら、議会の承認を要しない範囲で早急に随意契約をしたいという県の認識が出てくるわけです。これについて、どのように感じていましたか。

○西田義則参考人 平成20年11月21日の文書で、議会の承認が必要になるということですが、私どもはあくまでも発注者側である県との契約手続でございますので、県の指示に従っていかざるを得ないということですので、そういった問題が発生するということは、想像できなかったと思っております。

○仲村未央委員 ではその後、この協議をどう進めていこうかというところで、大成JVから、専門家による中立的な、双方の意見を聞く機関を立ち上げましょうという提言をされますね。そこは、何に基づく第三者機関―つまり、約款上の根拠規定があるのか。探しても第三者機関という手続はわかりません。そのような手続にのっとろうと考えられた背景をお尋ねします。

○西田義則参考人 今の御質疑ですが、平成20年7月29日に設計変更についてお願いした際に、南部土木事務所の赤嶺所長から、現状では請負者の要望を受け入れるのはなかなか難しい面があるので、請負者側にも顧問弁護士等がいて、そういう人たちに相談をすれば、何かよい考えがあるのではないかという御提案をいただいております。あくまでも第24条の協議の1つの提案として、そういった協議のやり方があるのではないかということで、協議を申し出たと考えております。

○仲村未央委員 第24条は先ほど議論したところなので、そこにはそういった手続は出てきません。もう一度聞きますが、県からの提案でしたか。それとも、大成JVからの提案ですか。

○西田義則参考人 第24条の確認をもう一度させていただきますと、請負代金額の変更について、甲乙協議して定める、ただし云々と。ここの文章ですが、先ほど申し上げました、7月29日の赤嶺所長からの顧問弁護士等に相談してはということを受けまして、平成20年9月12日、私どもから沖縄県土木建築部長に宛てた協議開始のお願いの中で、協議の方法として弁護士ではなくて、契約の専門家を立てて協議してはどうかということを文書でお願いしました。
 今後の工事推進のためには、契約条件変更に伴い発生した問題に関する協議を行う必要があり、ここに改めて、本書面をもって協議開催の申し入れをお願いする次第でございますと。なお、協議に関しましては、公正と透明性といった観点から考え、中立な立場の専門家からも意見をいただくことが必要ではないかと考えております。以上、御検討のほど、よろしくお願いしますという、こういった文書を出しております。

○仲村未央委員 大成JVからの提案に従って、県は第三者機関という中立的な専門家の意見を聞く機関の設置について起案をし、専門家各1名をそれぞれから推薦する。そして、双方からもう一人推薦して、3名の委員で構成する第三者機関を立ち上げるという起案を行っています。その後、12月3日になって、委員の委嘱依頼を、当時の社団法人日本建設機械化協会施工技術総合研究所の亀岡美友さん、専門家に委員の委嘱もされています。大成JVからは、専門家の推薦をされましたか。

○西田義則参考人 私どもは書面では出していませんが、高知工科大学の草柳先生を、と話した記憶があります。

○仲村未央委員 大成JVからも委員の委嘱依頼をしているところであったと。結果的に、この委員会は開かれませんでした。それはなぜですか。

○西田義則参考人 こういった検討をしていた中で、協議が合意に至ったということで、そこに至らなかったと考えております。

○仲村未央委員 そうなると、県が委員の委嘱を行ったのが12月3日ですから、12月11日という非常に短い間で合意に至ると。委員の委嘱から1週間で急転直下、皆さんは合意に至るという段階を迎えるわけです。それが12月11日、その日付でよろしいですか。県との間で、結局は第三者機関の審議には諮らずに、急転直下、1週間ぐらいのスピードで内諾した。

○西田義則参考人 お手元の5-112、平成20年12月11日、ここで合意したということです。11月末から、あるいは12月の初めから短期間で合意したのではないかという御質疑かと思いますが、今までの経緯を御説明したとおり、協議は相当前から協議の申し出もしておりますので、短期間で決まったわけでないと理解しております。

○仲村未央委員 今、お示しくださった5-112に書いてある別紙1、別紙2が、まさに合意の内容です。別紙1、別紙2について、12月11日に内諾されたということですね。

○西田義則参考人 5-112の右下のほうに現場代理人、監理技術者の3名の判こがあります。この判こを押したことで、この協議は内諾したといいますか、実際の契約は締結まで待たないといけませんが、そういった解釈をしております。

○仲村未央委員 そうなりますと、この工事費の内訳において、特に別紙2については、まず平成20年度の随意契約の中に出てくる、あるいは平成21年度の随意契約の中に出てくる主な工事内容というのは、覆工コンクリートとインバートコンクリートというように記載されています。しかし、実際に別件随意契約が行われたのは、送水管沈下対策工事です。そういう意味では、覆工コンクリート、インバートコンクリートの実績の額ということではなくて、上の13億円の合意した額を、適当に議会の承認を得ない範囲で並べた数字に、この名目は後で送水管沈下対策工事に変わるわけですが、特に何でもよかったということでしたか。それとも、本当に覆工コンクリートとインバートコンクリートの工事内容が、4億8000万円という数字になりましたか。

○西田義則参考人 5-113を確認いたしました。私どもはあくまでも13億円を要求しておりまして、約10億円余りで発注者側である県の回答をいただいて、内諾したということが事実です。この合意に従い、県のほうから発注手続があり、これからその契約をしていくという認識でして、工事項目としてどうかということではなくて、総額10億円をこれからどういった形で、どの項目で契約するかということを、発注者側の御指示に従ったという考えです。

○仲村未央委員 結局は、10億3900万円をこのように3分割されてますが、名目は特にかかわりなく、とにかく額がそのようになって、工事の内容がどのような別件随意契約の名目になるかということまで確認されたものではないというように受け取りました。一連のたくさんの資料が、随意契約にまつわる資料として出てきます。そこで結局は、ここに書いてある覆工コンクリートやインバートコンクリートではなくて、1月20日に交わされた、まさに第一虚偽契約と指摘される契約書にかかわる全ての文書は、結果としていわゆる虚偽の文書というようになります。例えば、本工事の図面とか仕様書とか、現場とか、それから特定建設工事共同企業体協定書もまさにそうなるはずです。そのときに、履行保証については、東京海上日動火災保険株式会社の履行保証が添付されるわけですが、こういった実態のない虚偽の契約に係る履行保証も、保険会社まで巻き込んで作成されたということになります。そして、1月21日の着手届。これももちろん、そのときには工事は実際にされていませんから、こういった一連のかかわる文書は、全て虚偽の書類であるというように認識せざるを得ないわけですが、それでよろしいですよね。

○西田義則参考人 今、虚偽契約という言葉をいただきましたが、私どもは実態のある、実際にやった工事です。工事自体が虚偽ということではなくて、あくまでも私どもは10億円という契約の中で、実際にした工事の契約ということを認識しております。虚偽契約という認識は全くございませんでした。実際、施工したものに対する契約だったと考えております。

○仲村未央委員 私は、形式の書類の話をお尋ねしました。実際の工期ではない期間に、しかも別件で随意契約をしていくための書類は、本当に工事が行われたときに作成されたものではない、そのためにつくられたものではないわけです。実際の送水管沈下対策工事は、平成21年1月21日から行われたものではないですよね。けれども、着手届は平成21年1月21日―後に資料がつくられたと。一切合財の後につくられた資料そのものは、全て虚偽の契約書のための一連の文書であるというように、形式をお尋ねしています。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、私どもは、実際にやった工事の結果の契約だと認識しておりまして、県の契約に関しては、県のほうからの指示に従ったということが事実でございます。決して虚偽契約だとは、到底考えておりません。

○仲村未央委員 先ほど指摘した随意契約に至っていく最初の名目は、まさに皆さんが内諾したときの名目は、覆工コンクリートとインバートコンクリート工事で4億8000万円となっています。しかし、後にそれは、名目だけが送水管沈下対策工事に変わっていて、その送水管沈下対策工事の積み上げの額ではないということも、この経過から明らかです。そういう意味では、積み上げの数字でもない、実際の工事が行われた期間のための契約ではないわけですよね。

○西田義則参考人 私どもは、送水管沈下対策工事は実際に施工した工事でして、私どもが積み上げた金額で合意したと思っております。

○仲村未央委員 では、5-114に出てくる覆工コンクリート、インバートコンクリート工事の額と送水管沈下対策工事が、たまたま偶然に全く一緒の額だったということですか。積み上げてあるということは。

○西田義則参考人 5-114の今後の契約予定の話で、随意契約、平成20年度4億8400万円の内訳に関しては、私どもには示されておりません。これは私どもから内容を申し上げることはできません。わかりません。

○仲村未央委員 一連の契約の実際の工期ではない部分の書類で、正直に言ってショックなのは、履行保証等々、その契約期間に行われない工事のものまでさらに裾野を広げて、よくこういった書類が作成されたなということを思わざるを得なかったので、そういったお尋ねをしました。

○西田義則参考人 大変恐縮ですが、私どもは実際にやった工事の、いわゆる精算契約をしたと思っております。決して実態のない工事だという認識はございませんので、きちんと施工したものに対して精算していただいたという認識です。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 吉田勝廣委員。

○吉田勝廣委員 いわゆる工事は、実際の中核工事が終わったのが平成20年12月に終わっていると。先ほど平成21年1月21日から着手したと。2カ月で工事が終わっているわけです。この5億円余りの工事を。先ほど西田参考人は、県の指示でこういう文書を作成したと。この文書はたくさんあるわけですよね。たくさんの人たちが判こを押して、絡んでいるわけですよね。そうしますと、その文書で、結局は会計検査院がこれを見て、これはやはりにせものであると指摘しているわけです。虚偽のものであると。それに対して、大成JVは形式的にこの文書をつくったと。実際に工事はやっていると。しかし、こういった文書をつくらざるを得なかった背景はありますか。普通であれば工事の着手は前からやっているのに、最終段階になって、工事が終わってから工事着手して、さまざまな保証金を含めて―すごいですよ、この資料は。県もまた押すわけです。金も出すわけです。そういった過程でそれをつくらざるを得なかった背景とか、なぜこういったことをしなくてはいけなかったのか。やはり責任者ですから、良心などありますよね。なぜですか。

○西田義則参考人 まず、今御質疑にお答えしている中で、繰り返しになって大変恐縮ですが、私どもは県の指示に従って実態のある工事を契約したと思っていまして、これに違法性があるという認識は本当に思ってもいなかったということが事実です。

○吉田勝廣委員 何回も聞いて申しわけありませんが、大成建設は大企業だし、これまで何回もさまざまな工事にかかわってきたと思います。そうしますと、工事が終わってから工事着手すると、県の指示であっても。もちろん工事をやっているわけですから。そういった例はほかにもありますか。

○西田義則参考人 土木工事では特殊性ということがありまして、指示書で施工して、ある時期で協議が調って契約を結ぶという、いわゆる精算契約が存在すると思っております。

○吉田勝廣委員 精算契約ということですが、私は素人ですから、この問題は県にも沖縄総合事務局にも聞きました。これにかかわった人が多いので、判こを押したり、両方が了解するわけですから。そうしますと、会計検査院がこの件について違法性があると。だから返還命令を出しているわけです。今まで、そういった工事が終わってから契約するという例があるとするならば、仮に会計検査院がこれを見ると、これは指摘せざるを得ないのではありませんか。いかがでしょうか。

○西田義則参考人 会計検査を受けることは、私どもは経験がございませんので、そういった指摘があったかどうかは、私どもが確認するところではございません。

○吉田勝廣委員 そうではなくて、先ほど工事が終わってから事後契約という話をされたものですから、事後契約は、実際に工事が始まって、終わった後で契約するわけです。終わった後に契約するということは、現在の契約のやり方ですね。これは結局、平成20年12月に終わっているのに、平成21年1月21日から着工しますと。5億円の工事が2カ月で終わりましたと。これは素人が見ても、5億円の工事が2カ月で終わるということは、なかなか理解できない部分があります。ですから、理解できない部分があるから少し調べてみるということになって、調べてみたら、実際は工事が終わってから契約しているのではないかと。さまざまな人々がかかわっていて、ここに判こを押したり、金の出し方もそういった契約に基づいて出すわけですから。そうしますと、会計検査院は、今回の場合は虚偽契約だから補助金の返還、あるいはいろいろなペナルティーを下しています。そうしますと、大成建設は大きな会社ですので、これまでいろいろな事業も工事もやってきた点からすると、そういった事後契約が会計検査院にひっかかるか否かは別として、今回は会計検査院から指摘を受けたわけです。大成建設がこれまでもそういったことがあったとするならば、やはり会計検査院に指摘されたら、これは虚偽の契約になるのでしょうねということを私は話しました。それについて、どう思いますか。

○西田義則参考人 繰り返して大変申しわけありませんが、私どもは会計検査を受けた経験もございませんし、その指摘を受けたことがございませんので、どういった感想かと聞かれましても、感想を申し上げる段階ではないと思います。

○吉田勝廣委員 今回、こういった指摘を受けました。これまではなかったかもしれませんが、今回は受けたと。今回受けたことについては、どういった感じですか。工期を終えてから事後契約をしたと。これまでやってきたとおっしゃったものですから、今回初めて会計検査院から指摘を受けたので、この件についてはどういった感じですか。

○西田義則参考人 大変恐縮ですが、繰り返しになりますが、私どもはいわゆる発注者側である県の指示に従って、本当にやった工事の契約をしたという認識しかございませんので、こういった大きな問題になるとは想像もしておりませんでした。それが事実でございます。

○吉田勝廣委員 それでは、視点を変えます。
 例えば、市町村が政府から補助金を交付されるためには、こういった手続が必要です。着手して、幾らかかりましたということで政府が出すわけです。そういった形で交付してもらうわけです。そのためには―今、皆さんは事後契約ですが、着手行為からさまざまな保険から掛けて、一つの仕様書、手続のための書類をつくって、これを申請するわけです。その申請をする中で、極端に言うと、大成JVがにせの公文書をつくったことになるわけですよね。終わった後のことだから。それは知らなかったという良心は別です。結局はにせをつくった。虚偽の文書をつくって、これは、沖縄県も含めて関係者に文書を提出して、補助金がおりてきたと。会計検査院は、そういうやり方はよくないということで、補助金を返還しなさいということになっています。この会計検査院の指摘はきついです。そういったことについて、西田参考人はどのように考えて、こういったことがあったから、これからどうなのかということを聞いています。実際に皆さんの文書が国へ提出されて、これが補助金としてあらわれているわけです。

○西田義則参考人 今、確認しましたところ、まず補助金という話がありましたが、県が補助金申請を行うことを私どもは知り得ないことが事実で、知る立場にないことをお知らせしたいと思います。いわゆる今回の補助金申請に係ることが起きるとは、全く予想もしていないという事実もあります。また、繰り返しになりますが、発注者側の県の指示に従って契約を交わしたわけですが、契約書には日付、工期がなかったと確認しております。

○吉田勝廣委員 要するに、工期は簡単に書けるわけだから、この工期の文書を見ても、書きかえている……。そういうことでしたら、非常に残念だと思います。県が文書だとか、県の指示に基づいてやったということが、今後どういった形で問題視されるかなと思っております。

○西田義則参考人 先ほど、吉田委員から御質疑のあった契約書の日付の件について、少し補足させてください。
 契約書の日付が記入されていなかったことについては、私どもで記入したのではございません。県側で記入されたと。そして、その後の手続は、県の指示に従って書類をつくっていたという経緯が真実でございます。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 大城一馬委員。

○大城一馬委員 まず最初に、この事案が発覚してから、やがて1年になろうかとしております。その間、私ども県議会は本会議での代表質問、一般質問、そして常任委員会、そしてまた予算特別委員会等々で審査を行ってきました。その間に、元土木建築部長、そして元南部土木事務所長を参考人招致で招聘して、あらゆる角度から土木環境委員会で質疑させてもらいました。残念ながら、大成建設が、私ども県議会の土木環境委員会の出席要請に対しまして、出席拒否という結果になっておりますけれども、その出席を拒否した背景をどのように認識されていますか。

○西田義則参考人 これは冒頭でお話をさせていただきましたが、従前、沖縄県議会土木環境委員会から、参考人として出席するようお話をいただいております。しかしながら、時間もたっておりましたので、正確な情報を提供させていただきたいと。そのため、まずは書面にて御質問にお答えすることが適切だという判断をしておりまして、参考人としての出席を控えさせていただいた次第でございます。

○大城一馬委員 そういう流れで、識名トンネル工事契約問題調査特別委員会が設置されて、そして現在、警察も捜査に入って、さらに住民監査請求がなされるという形で、極めてこの問題が社会問題化しております。そういうことで、先ほどから参考人の皆さん方に質疑がなされておりますので、重複しないよう1点だけ質疑をさせてもらいます。
 まず、先ほどからのやりとりの中で、今回のこの契約の虚偽については全く認識していないというような答弁がございました。再度確認します。そのとおりですか。

○西田義則参考人 はい、そのとおりでございます。

○大城一馬委員 そこで、この件で第三者委員会が設置されております。その中で、第三者委員会は、県が主導したとはいえ、大成JVも虚偽の契約であることを認識しながら、契約書の作成にかかわっていたものである上、公共工事にかかわる者としては、虚偽の契約書や完了届によって、県が公金を支出できないことは当然理解していたものと考えるという報告がなされておりますけれども、その件につきまして、どういうお考えですか。

○西田義則参考人 これも繰り返しで大変恐縮ですが、私どもは、県との合意のもとに、その指示に従って精算契約をしたということでございます。これが虚偽に当たるとかについては、いわゆる実態のある工事をしたと思っておりまして、県の指示に従ってその精算をさせていただいたということが事実でございます。

○大城一馬委員 要するに、第三者委員会の報告については間違っているとの認識で理解してよろしいですか。否定しているという認識でよろしいですか。

○西田義則参考人 第三者委員会の中で、大成JVも虚偽の契約であることを認識しながら、契約書の作成にかかわっていたものとございますが、これは事実ではございません。先ほど来、御説明を再三申し上げているとおりでございます。

○大城一馬委員 この第三者委員会もこういう指摘をしている。そして、平成24年2月15日の土木環境委員会の中で―参考人招致ではないのですが、私の質疑に対して、県の道路街路課長の答弁があるのです。その課長の答弁で、大成JVも虚偽の契約であることを認識しながら、契約書の作成にかかわっていたものである以上云々ということです。全く県の課長も、大成JVもかかわっていたという断定をして、答弁がなされているのです。今後、どういう展開になるのかわかりませんけれども、参考人招致で終わるのか、あるいはまた証人尋問も想定されるのか。これからの協議によりますけれども、こういうところはしっかり認識しながらの今の御答弁ですか。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、県の指示に従った実態のある契約をしておりますので、これが違法なことであるという認識は本当にございませんでした。ここは御理解いただきたいと思います。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 座喜味一幸委員。

○座喜味一幸委員 質疑に入る前に少し確認をさせてください。
 まず1点は、公共事業等を受注される―要するに、官発注工事の場合において、公共工事標準積算基準というものが国土交通省から全国的に示されておりまして、その積算基準の中で、この請負のあり方、要するに、当初の契約比率が変更にかかっていく等の事例が示されております。標準積算基準に関しましては、単価に直接かかる部分とその仕組みだとか、ルールに関する部分は公表して、全国の建設業協会支部とかで販売されていると理解しておりますが、普通、官発注工事を受注する建設業界は、当然のように一般競争入札に参加する。そういう公共事業に参加する業者は、これを熟知しているというように理解しているのですが、これまでの内容だと、少しわかっていないような答弁があったのですが、その標準積算基準に対する理解を説明してください。

○西田義則参考人 繰り返しでございますが、今おっしゃったのは積算基準マニュアル、これは承知しております。ただし、先ほど来申し上げておりますように、それは発注者側の基準となるものでございまして、まさにそのマニュアルに書いてございますが、ただし書きがございます。ただし、設計変更代金の決定は、当該工事の当初の入札のための予定価格積算と異なり、あくまで発注者と受注者の協議により定めるのが原則であると。こういうことも記述しておりますので、ここはぜひとも御理解いただきたいと思います。

○座喜味一幸委員 いずれにしても、ほとんどの企業は低価格で入札、受注したときのリスクはわかっていて、ましてや天下の大成建設でございますから、こういう事実は把握されているというように私は思っているのですが、今の答弁はそのとおり受けとめて、次に進ませてもらいます。
 もう一点、この年度ごとの出来高払い、本工事における3年国債工事ですが、国の交付金絡みで現場の検査は入られたのか。その際に、JVはどの程度の検査を受けられるのか教えてください。

○津中重彦参考人 現場の者としましてお答えしますと、国の交付金の検査というものは受けておりません。県の竣工検査なり、いろいろ検査を受けておりますが、今の答えのとおりです。

○座喜味一幸委員 次に進ませてもらいますが、契約して間もなく工事休止で7カ月ぐらい入ったと。ましてやこの重要な変更、そして金目を伴う大きな変更があったわけですが、最終的になかなか折り合いがつかずに、JVからも早く協議に応じてくれという文書等も出されているのですが、第三者を中に入れた変更調整に関する審査会というものを設置されておりますよね。

○西田義則参考人 提案をいたしました。実際は行われておりません。

○座喜味一幸委員 この委員会は、実際どの程度で、どのような内容が議論されたか教えていただけますか。

○西田義則参考人 今の私どもの御提案としては、契約の専門家を第三者に立ててやりたいというような御提案はしましたが、実際には開催に至っておりません。

○座喜味一幸委員 当時の日本建設機械化協会、あるいはJVの推薦する者、あるいは県の推薦する者を入れて調停しようとした審査会は、一度も開かれなかったという理解でよいですか。

○西田義則参考人 そのとおりでございます。

○座喜味一幸委員 結局、大分もめにもめて、いろいろな妥協案を見出そうということでやった結果として、私の理解は、真地久茂地線識名トンネル(仮称)工事設計変更協議審査会要領までつくって、機械化協会の方も委員にお願いして、それなりに調停を進めようとしたけれども、結局、この審査会は開かれなかったと。この審査会が開かれる間もなくして問題が解決したというのは、どういうことがあったのでしょう。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、専門家の第三者を入れた審査会は一度も実施されておりません。これが事実でございます。そして、その審査会を開かない中で、協議した上で合意したという経緯が事実でございます。

○座喜味一幸委員 非常にもめた議論だったけれども、第三者を入れてこの審査会の中で調停が図られたかと思ったのですが、そういうこともなく、一応妥協案ができたということですが、この沈下に対する案件、これは当初の13億円が、県が10億円認めたので納得しましたということになっているのですが、その認めた10億円の中に、沈下対策工事に係る案件はどのように取り扱われましたか。要するに、13億円の中にはその工期の延期等々の分が、人件費の解雇だとか損料分だけが計上されていて、この13億円の中には本工事分が入っていないですよね。どうですか。

○西田義則参考人 今の沈下対策工事でございますが、私どもが要求した13億円のものには含まれております。

○座喜味一幸委員 先ほどから請負比率の話は全く知らなかったということですが、第三者的に見ると、13億円が10億円になったということは、ある意味では皆さん方は、直接にかかった工事費を出したということですよね。本来査定されるのであれば、この13億円の47%ですから、相当10億円を割った額になると思っているのですが、その辺に関しては全くどうでしょう。協議の中で議論にはならなかったのでしょうか。

○西田義則参考人 まず、私どもの要求した13億円ですが、実際は防空ごう等の対策というものが入っておりませんので、これが後ほど3億円、合計16億円になるのですが、それが10億円で合意したということでございますが、私どもは、実際のいわゆる必要なお金のお話をしておりますので、これに落札率というのは適応されるものではないというように考えております。

○座喜味一幸委員 少し腑に落ちない部分もありますが、もう少しだけ確認させてもらいたいのは、この工法変更の指示がなされました。それから再開に向けての指示までに、このような重要な変更、金目に伴う大規模な重要変更案件について、工法の指示に対して設計図書、図面、あるいはそれに付随する指示簿、場合によっては工程まで含めて、この官側の変更の設計図書は示されるべきだったと私は思っているのですが、具体的な県からの指示はどのようになされましたか。

○津中重彦参考人 まず、工法変更につきましては、指示書をいただいたのが6月4日ですが―日付は違いますが、そのときに設計図書はできておりませんでした。正式な最終版といいますか、図面等は。実際、現場は8月1日から再開ということになりましたが、やはり工事を進める上で、必要なところの設計図書、図面に基づいてやっていってくださいという書面が残っていないのですが、現実はそうでした。記憶ですが、最終的に設計図書として図面等をいただいたのは、平成19年10月ごろだったかと思っております。状況としては、そういうことだと記憶しております。

○座喜味一幸委員 この辺が非常に曖昧で、場合によっては発注者側と受注者のなれ合いということを指摘せざるを得ないのかなと思うのですが、こういう断面も架設も大幅に変わっていることに関して、これは根本的に構造、架設、それから工期も含めて、この変更では工期の変更はされておりませんよね。ということは、工法の変更も含めて新たな条件に関する指示、もし指示がなければ、施工責任者として、図面設計として工期に関する明確な確認事項がなければ、設計の変更という項目に立ち入れないと思うのです。その辺が受注者も問題があったと、官側にも明らかに問題があったと思っていまして、このなれ合いは一体何なのだという思いがしております。実際に、この現場が図面をもとに施工された日というのは、具体的にいつですか。最終の変更図面がJVに届けられた日はいつですか。

○西田義則参考人 これも先ほど来出てきました資料のうち、8月7日付で工法変更の比較を出しておりまして、決して発注者側とのなれ合いではなくて、明確に比較をお示ししたという認識をしております。先ほどの設計図書を正確にいただいたのはということは、津中の記憶でしかありませんが、10月ごろとしか記憶がございません。

○座喜味一幸委員 変更額を出して、工法を変更して、比較資料を出されるのもいいのだけれども、基本的に図面等々の数量を明確に押さえながら比較されるべきものだと思うのですが、金目を早く出したけれども、図面等が最終出てきたのは2カ月後ぐらいだというような話になりますよね。そういうことがあっていいのかと思っているのですが、どうですか。

○西田義則参考人 今、御指摘のあったとおり、本来であれば、明確化されてスタートするべきところですが、指示をいただいた場合は、それに従って工事を進めざるを得ないといったことになろうかと思います。

○座喜味一幸委員 いずれにしても、何か大きな変更があった割には、金目を含めて最終的な工法等の結論がはっきりとしない間に、どんどんと工事が進んでいたというようなことがあって、現実的にトータルとしての工期内で―3年国債工事ですから、最終的な変更の中で、契約額の中でおさめればよいという慣例等は現場では実態としてあると思うのですが、当初はあり得ない、金目に伴う工法の変更が起きて、それから実際の変更指示を受けているわけですが、その辺の発注者側に対する意見というか、けじめというのがほとんど通ってなかったということになるのか。その辺の問題は、JVから見てどこにあると思いますか。

○西田義則参考人 これも繰り返しになりますが、8月7日の比較表で協議をお願いしたい等々、文書による協議の申し出をしましたが、発注者側の指示に従って工事を進めるということも契約上の義務でございますので、並行して行ったという事実でございます。

○座喜味一幸委員 最後に沈下対策工事、これは緊急を要した現場対応の工事であったと思うのですが、本来、本体工事の中で一体的にやられるべきだという、不可分の工事だという理解をしているのですが、受注者、JVはどのような理解をされておりましたか。

○西田義則参考人 冒頭に私から御説明させていただきましたように、当初の入札公告資料には水道管の明示がないと。施工の途中で発見されたということでございますので、これに対する対策を指示に従って行っていたという事実でございます。

○座喜味一幸委員 その都度、しっかりと発注者側と受注者がもう少し丁寧に、問題を先送りせずしっかりと対応しておけば、こんな大きな問題にならなかったのかという思いを持って非常に残念ですが、これで終わります。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 嘉陽宗儀委員。

○嘉陽宗儀委員 中央導坑方式を積算するときに、沈下対策、これは当然設計図面上、現場を見たら入っていなければならないものだったと思います。ところが、県から出された設計図面には、それがなかったのですよね。

○西田義則参考人 冒頭に申し上げましたとおり、私どもはそれを知り得ませんでした。

○嘉陽宗儀委員 皆さんは請け負った工事については、現場、環境調査含めて、設計図面どおり工事ができるかどうかの現況調査はしましたか。

○西田義則参考人 私どもは、入札公告の資料に従ってやらざるを得なくて、その水道管があるという事実を認識することは、その時点では資料もございませんのでわかりませんでした。

○嘉陽宗儀委員 一般的に言えば、あのような特殊な大型工事であれば、現況調査をきちんとやって、どういった土質かなどいろいろと調査した上で施工に入らないと、つまずきが出てくると思います。これもやっていないことが問題の発端になっていると思います。座喜味委員からもありましたように、無導坑方式に変更する場合に、あのようなトンネルという技術的にも難しい工事をする場合には、当然、正確な設計図面とそれに基づく施工図面がないと、工事は普通できませんよね。どうでしょうか。

○津中重彦参考人 やはり、図面等がないと現場としては進められません。先ほど申し上げましたように、工法変更の指示が出まして、本来はそのときにきちんとした設計図書ができ上がっていればよかったのですが、必要な設計図面といいますか、その都度、発注者の沖縄県からいただいて施工しておりました。

○嘉陽宗儀委員 設計図書だけではなくて、具体的に工事を施工する場合には、綿密な施工図面が必要ですよね。それがなくて工事をやったのですか。

○津中重彦参考人 先ほど申し上げましたように、発注者から必要な図面をいただいて施工しておりました。図面なしではやっていません。

○嘉陽宗儀委員 普通は設計図書をきちんとやって、設計図書に基づいて、どういった技術があって、どういった施工をするかということは一対ですよね、設計図書と施工図面は。皆さんは、施工図面もなくて、わからずに施工したということになっているので不思議に思います。どうでしょうか。図面は後から来たのですよね。

○津中重彦参考人 工法変更の指示が出まして、正式といいますか、まとまって図面をいただいたのは、先ほど10月ごろかなと申し上げましたが、8月1日に工事再開ということで、掘削するトンネルを掘る上で必要な図面は、その都度発注者の沖縄県からいただいておりました。それに基づいて施工しておりました。

○嘉陽宗儀委員 先ほどなれ合いという話がありましたが、そういったことがあってはだめだろうと思います。無導坑方式に変更するときに、当然、普通は設計図面に基づいて、工事の積算価格を出さないといけないですよね。皆さんは、中央導坑方式に基づいて積算しただけであって、新しい工法について積算しましたか。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、8月7日付の中央導坑方式、無導坑方式の比較という書類の中で、私どもの金の内訳を出して、協議をお願いしています。

○嘉陽宗儀委員 積算というのは、具体的には材料代もあるし、人件費もあるし、扱う機械など非常に高度なものがありますよね。全部積算の根拠は違うはずです。それを議員がわからないだろうと思ってかどうかはわかりませんが、乱暴な説明のやり方はよくないと思います。少なくともこういったものをやる場合には、綿密なことをやらないとこういうことになります。積算価格が出てきて、最終的には13億円の話が出てきます。これは、当初の県の見積もり額は44億9000万円ですよね。それを皆さんは最低入札で22億円云々になっています。ところで、当時の稲嶺惠一前県知事が低入札基準価格というものを設定しておりますが、知っていますか。最低これだけはないと、工事の内容が保証できませんという低入札基準価格が提示されています。

○西田義則参考人 いただいた公告資料等には、その数値が示されておりません。ただ、結果として低入札調査を受けた。そして落札者になったという事実はあります。

○嘉陽宗儀委員 皆さんの落札額と今回の追加工事額を入れると、大体稲嶺惠一前県知事が示した金額に相応していますよね。これだけはないとだめだと。22億円と追加工事分の13億円を足したら、大体35億円になります。少なくとも知事サイドは、これだけしないと品質も保証されませんという明示。結果的にはそのようになっています。皆さん方は22億円でやって、それぞれの入札額を見ると35億円、35億円、31億円、33億円と30億円以上が続いて、あるところは42億円で入札しています。低い価格は何カ所かありますけれども、これはやはり明らかに県の公共工事の入札をする場合に、大体の積算価格があるわけだし、それを度外視してやらない限り、こういった低入札にはならないと思います。本当に皆さん方は22億円で十分にやり切れると、最初の入札段階でそのように思いましたか。

○西田義則参考人 冒頭の繰り返しになりますが、私どもは中央導坑方式というトンネルの実績を持っていまして、これに基づいてトンネルを完成させるためのノウハウで、工夫を入れながら積算をしました。税抜きで22億2000万円。他社の情報で数社ありますが、近い金額としては飛島JVの22億9000万円、あるいは鹿島JVの25億3000万円ですので、私どもだけが、22億円だけが突出していたということにはならないと思います。

○嘉陽宗儀委員 トンネル工事は高度な技術を要するし、いろいろな機器もあります。施工技術について、特許はありますか。

○西田義則参考人 結論から申し上げますと、特許はなかったと思っています。特許があれば、公告内容に記載されていたと思いますので、特許はなかったと思います。

○嘉陽宗儀委員 そうすると、ノウハウをよく心得ているというのは、特許とか何とかということではないのですね。

○西田義則参考人 冒頭に申し上げましたように、中央導坑方式の実績、やったことがあるというノウハウに基づいて入札しました。

○嘉陽宗儀委員 皆さん方は、中央導坑方式について実績がかなりあると。今回新しくやった無導坑方式については、どのくらいの実績を持っていますか。

○西田義則参考人 無導坑方式に関して、私どもは実績を持っていません。

○嘉陽宗儀委員 そうすると、実績がないのに、設計図面もない、どういった工法でどれだけ経費がかかるかよくわからないが、とにかく県がやりなさいと言うからやったということで理解してもよいですか。

○西田義則参考人 私どもは、無導坑方式について経験はございませんが、図面に基づいて、私どもの技術者を集めて、こうやればできるということに基づいて積算しました。そして、8月7日に比較書を出しました。

○嘉陽宗儀委員 聞いていますと、かなり乱暴といいますか、むちゃなといいますか。この工事について経験もない。しかも、きちんとした正規の設計図面も施工図面もないけれども、とにかく県が提示される額でどんどん工事を進めていったと。しかも工期も大分おくれたと。相当な政治的圧力が裏であったのではないですか。常識では考えられない。

○西田義則参考人 まず、県のほうから御指示いただいた図面は存在したということが1つ。また、2つ目の政治的圧力があったのではないかということですが、これはございませんでした。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 當間盛夫委員。

○當間盛夫委員 引き続き、工法についてですが、先ほど無導坑方式では実績がなかったという話でした。皆さんはきょうの委員会で、想定外の工法変更と言われていますので、工法が変更された中で、例えば契約のやり直しをしようというようなことは、何も協議もなかったのですか。皆さんは実績はないわけですよね。23億円という低落札の中で、皆さんのノウハウを駆使して、中央導坑方式でしっかりとやろうとしていたわけですから、その前提が崩れるわけです、皆さんがやろうとしたことは。崩れる中で、どういった協議になったのかはわかりませんが、皆さんはそのまま同額で契約すると。そのまましているわけです。県の言い分も、皆さんが協議する中で了解してもらったという形です。先ほどの契約のやり直しは考えませんでしたか。

○西田義則参考人 契約書の第19条に従ったのですが、この内容を少し確認させていただきますと、設計図書の変更という項がございます。甲が必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を乙に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、甲は、必要があると認められるときは、工期もしくは請負代金額を変更し、または乙に損害を及ぼしたときは必要な経費を負担しなければならない。この第19条に従って、県からの指示に従ったということが事実です。

○當間盛夫委員 皆さんは想定外だったわけですよね。実績もない工事を示されたわけですよ。示された中で、皆さんはこの分での想定しかしていないわけだから、金額も変わるということもあり得るわけですよね。結局は、平成18年12月22日にその旨の契約をして、工事に入ってくると。翌年1月11日に工事の一時ストップをかけられるわけです。その間のものがある中で、いろいろと提示されて、協議されてくるはずでしょうから、その中で皆さんは、これでは我々は合いませんということを言ったわけですよね。本来、合わないということであれば、契約金額の変更という形も考えられたのではないですか。

○西田義則参考人 今の契約金額の変更ですが、まずは中央導坑方式から無導坑方式に大きく根本の工法が変わったということで、まず工事の一時中止をいただいた1月10日に、津中のほうから当初の契約ではできないということを申し上げました。さらには、8月1日に工事再開指示を受けた後の8月7日、中央導坑方式から無導坑方式に変えるために工事費の増額が必要だと、これについて協議してくださいということを文書でお願いしたという経緯です。

○當間盛夫委員 無導坑方式にするメリットは、工期が短縮できる、工事費が安くなりますということで、施工技術検討委員会の冒頭から無導坑方式にすることを決めてやるわけです。工期は短縮できたのですか。普通に中央導坑方式でやっていればという部分と無導坑方式に変えた中で、工期はどうなりましたか。

○西田義則参考人 結果として、無導坑方式に変更したことによる工期の短縮はなかったということが事実だと思います。

○當間盛夫委員 単純に考えてもそうですよね。1月に工事をとめられて、皆さんが工事をするのは8月から。その間のものがとまっているわけですから、我々が単純に考えても、工期にメリットはなかった。工事費はどうでしょうか。安価な工事費。考えようによっては、工事費が圧縮できるというのはおかしいですが、そうなると皆さんが受けた部分で余裕ができるという考え方も出てくるでしょうし、契約は23億円でやっているわけですから、圧縮する分で皆さんに余力ができるのかなという部分もあります。でも、皆さんも全くがらっと変えたという形になるわけですから、工事費は安くなってないですよね。皆さんは13億円の請求をしたわけだから。県は4000万円安くなったというわけですが、その辺の認識はどうでしょうか。

○西田義則参考人 先ほど来の繰り返しになりますが、発注者の県の安くなるというお考えは、私どもは内訳等を理解しておりません。ただ、私どもが8月7日に工法の比較をして、増額が必要だということに対する協議をお願いしたいという文書を出していますので、安くなったという認識はありません。

○當間盛夫委員 これまで、工法の変更からいろいろな追加工事の分、増額の分だとか、この工事にはたくさんの難題があります。その中で、協議は南部土木事務所だけ―現場サイドだけで協議しましたか。そういったもろもろの協議は。

○西田義則参考人 うちの現場のほうでも協議させていただきましたが、私ども、私も含めて幹部による協議も並行して、合計10数回協議させていただいた事実はございます。

○當間盛夫委員 この相手先は南部土木事務所だけですか、県の本庁サイドは誰もいなかったのですか。協議の相手先は、ほとんどが南部土木事務所の方だけですか。

○西田義則参考人 協議は主に南部土木事務所ですが、本庁のほうにも協議のお願いをした経緯はございます。

○當間盛夫委員 県のほうも、しっかりとそのことは認識していたということでよいわけですね。内間参考人にも、仲本参考人にもお伺いしたいのですが、先ほど虚偽契約の話が出て、認識はなかったということです。この契約の部分に日付がなかったということはどういうことですか。例えば、県から示した部分での追加工事の分で、平成21年1月20日に交わした契約が1つ、4億9000万円のものがあります。あと随意契約で5件の契約があります。この分は全部、契約の日付がなかったのですか。工期がなかったのですか。

○西田義則参考人 送水管沈下対策工事の契約は、契約書に工期、日付が空白だったという事実があります。それ以降の工事の契約でございますが、これは日付はありまして、これは終わった工事の精算契約ということで結ばせていただきました。

○當間盛夫委員 皆さんも大手―これまで公共工事を全くやっていないという会社ではないはずでしょうから、公共工事もされていて、後契約という認識はどのように持っていますか。

○西田義則参考人 県の指示書に従って工事を進めて、終わった後に精算契約をするということは通常行っております。それは事実でございます。

○當間盛夫委員 沖縄総合事務局は、結果的に終わっている工事の後、契約していることが虚偽であると指摘されているわけですので、その辺の認識です。皆さんはそのことをわかっていたのですか。工事は終わるわけですよね。契約自体をやる分での認識はどうでしたか。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、送水管沈下対策工事には日付、工期がございませんので、認識しておりません。

○當間盛夫委員 県の道路街路課長は、皆さんも虚偽契約だという認識を持っていたと言うわけです。皆さんに請求する分に関しても、結局はその認識を持っていたのだから、そういった部分での負担、業者負担はあるだろうということを言う弁護士もいる、まだはっきりしていないと。とにかく県は、皆さんは認識していたと断定しています。その分からすると、西田参考人、仲本参考人、内間参考人のお三方は、虚偽契約だという認識は持っていましたか。

○西田義則参考人 先ほど来申し上げていますように、虚偽契約という認識をしておりません。

○仲本豊参考人 私も、一般的な話で申し上げますと、発注者である沖縄県、国でもそうですが、我々は性善説といいますか、そちらが不適正なことをするという想定すらできないので、その指示に従って契約などをやっているのが実態です。実際に契約書の書類も、いただいた指示があるような形で押印をして、向こうにお返しすると。日付については、通常は発注者のほうで、例えば決裁の日付の都合であるとか、その都度そういった形で適切に判断されてやっているという理解がありますので、我々としては、契約書について金額以外は余り、今までもチェックという意識が全くございませんで、あくまでも発注者側を全面的に信頼しておりますので、そういった虚偽であるとか、不適正などは認識しておりませんでした。

○内間司参考人 私どもも、今の仲本参考人と同じ考えです。通常、工事の中では補助率が幾らということも知り得ませんし、後から追加分の請求をしていることも知り得ません。契約の中では、県とJVのやりとりの中でどういった書類が必要ということで、出された書類に対して、金額を支払うのでこういった書類が必要になりますということで対応します。それ以上のことは、信頼関係の中で行っております。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 新垣清涼委員。

○新垣清涼委員 確認ですけれども、工事の開始日は平成19年8月1日とおっしゃっていますが、資料の工事工程表の中では、平成19年7月2日に東行き線掘削開始になっていますし、図面の中でも、東行き線が平成19年7月2日になっているのですが、平成19年8月1日で間違いないのでしょうか。

○西田義則参考人 5-76の、平成19年7月2日の東行き線掘削開始でございますが、私どもの資料では、正式に南部土木事務所から工事の再開についての通知を平成19年8月1日でいただいておりまして、この認識をしております。

○新垣清涼委員 土木建築部から出された識名トンネル問題説明資料を持っていらっしゃいますか。

○西田義則参考人 今、その資料を見させていただきました。初めて見る資料でして、私どもは再開の正式文書で開始したと思っております。

○新垣清涼委員 この表にも、1月11日に工事の一部一時中止があって、8月1日に工事の一部一時中止の再開が示されています。ですから、その意味で8月1日かと理解しているのですが、上の表には7月2日に開始と書かれているし、また、工程表の中にも東行き線の掘削開始と書いてあるものですから、どういう工事が始まったのかという疑問があるのと、皆さんは1月10日に工法変更を伝えられて、津中参考人はびっくりされたと。とてもではないけれども、その金額ではできないという返事をされたとおっしゃっていますが、先ほどのやりとりの中で、無導坑方式の実績はないとおっしゃっていますね。けれども、無導坑方式はこの金額ではできないとすぐに反応されていますけれども、それは単なる勘なのですか。

○津中重彦参考人 1月10日時点に沖縄県から呼び出しをいただきまして、工法変更を検討するということで、先ほど申し上げましたように、中央導坑方式でやる方法としては、いろいろとノウハウを工夫してやっているという頭もありました。それについて、無導坑方式となるとどうなるのかということは、一トンネル技術者として、一つ一つ大きな断面を掘っていくとなると、早く施工できないなと。大きな断面を―皆さんが通られているトンネルをいきなり掘れということになるのです。そうしますと、スピードは早くできない。一つ一つ確実にやっていかないと、山の荷重を受けますので、慎重にじっくりいかないとできないと私は思ったものですから、22億2000万円ではできないという直感といいますか、感覚といいますか、そう思いました。

○新垣清涼委員 先ほど、現場を調査されているのではないかという質疑に対して、図面だけで積算しているという答弁がありました。皆さんが先ほど読み上げた説明資料の2ページに、特に識名トンネルのような地質ではという表現があるのですが、その中では中央導坑方式のほうがいいとこの文面からは捉えられるわけですが、地質調査はされたのですか。

○津中重彦参考人 地質調査等につきましては、入札公告等もありますが、まず発注者が調査されて、それに基づいて入札公告の内訳等が明示されますので、我々としては、それに基づいて積算する形になります。

○新垣清涼委員 そうしますと、途中で送水管があることがわかりますね。そして、沈下対策工事が追加で出ているのですが、中央導坑方式でやった場合には、沈下対策はなくて工事はできたとお考えですか。

○津中重彦参考人 中央導坑方式、無導坑方式、技術的にはどちらでも差はないのです。中央導坑方式にするにしても、そのような送水管がありますと、補強の仕方が変わるということです。そこの違いがありまして、どちらがよいという話はありません。ですから、中央導坑方式でやったとしましても、やはり今の送水管等がありましたら、それなりの対策をします。ただ、無導坑方式であれば、その対策方法が変わると私は考えております。

○新垣清涼委員 確認ですが、図面がなくて、8月7日に5.9億円の工事費を積算して、県にお願いしていますよね。この根拠はどこから出ていますか。

○津中重彦参考人 正式には後になりますが、図面はその都度、施工に必要なものが出ておりまして、トンネルの場合は、掘るときの設計パターン図というものがありまして、それが提示されますと―実は3枚なのです、極端に言えば。それができれば積算はできますので、想定でしかないのですが、その時点では図面が与えられていたと思います。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 前田政明委員。

○前田政明委員 今回の場合に非常に不思議なのは、識名トンネルの工事で、中央導坑方式で日本工営株式会社―日本工営などが平成5年ぐらいからコンサルタントで委託をして、ずっと来ているわけです。そして最終段階でも、日本工営も含めて無導坑方式の図面も出していると思うのですけれども、突然、旧日本建設機械化協会というのが出てきて、そして県が工法を変えるのを―本当はみずからやっていると思うのですけれども、それを施工技術検討委員会という格好にして、根本から変えるということをやっているのですが、その中で、先ほど嘉陽委員の質疑の中で、無導坑方式の実績はないというのがありました。そういう面では、この経過から来て、本来そういうことだったら、大成JVとしてはこれは引き受けられないと。実績もないし、難しいトンネル工事をやる場合、辞退するということが一つの選択肢としてあってもよかったのではないかと思うのですけれども、そこはどうですか。

○西田義則参考人 確かに実績はございませんが、大成JVとしてできないのかと言われれば、これは技術的に検討して、できるというお答えでございます。ただ、先ほどから申し上げますように、私どもから工事を辞退するという、これは契約上、私どもにはそれを申し出る権利がございませんので、それはできませんでした。

○前田政明委員 実は、機械化協会が工法変更に至る委託を受ける中で、これは随意契約なのです。なぜ随意契約なのかと聞いたら、特命だと。すなわち、豊見城トンネルを初め実績がある。そういう面で、そこにいろいろな技術指導や相談をしていると。だから随意契約でやると。しかし、日本工営も最終段階でちゃんと無導坑方式の断面図を出しているではないかと。ある意味では、天下の日本工営のそういう成果品も出ている中で、あえて機械化協会を選ぶのはなぜかと聞いたら、いや、そういう山の上に家があり、識名トンネルとよく似ている状況からすると、その経験のある機械化協会を選択することは特命なのだということで、それで随意契約という、非常に特殊なやり方でやったのです。皆さんの先ほどの実績がないということと考えると非常に対照的で、同じ工事で一体どうなっているのだと私は率直に思って、今お聞きしているのですけれども、どうですか。

○西田義則参考人 今の設計に関する経緯を承知しておりませんでした。その事実を今、初めて聞きました。

○前田政明委員 コンサルタントは後日、本委員会に呼ぶとして、県は、施工技術検討委員会の中で出ているこの表、平成17年3月、日本工営株式会社の図面では、こういう山の地盤沈下に最も効果的なのが中央導坑方式だと。そのかわり1割ほど高くなるということで、地山の安定性を確保しつつやるには、最も中央導坑方式が適していると。無導坑方式の場合は、地盤沈下その他の満足ができないと。しかし、今度は先ほど皆さんが外されたものとしては、14―A―61にあるように全く評価が別になって、結局、中央導坑方式のめがねトンネルが三角で、無導坑方式が全てよいとして丸になっています。そういう経過からして、県は安くなるということで考えていて、工期も早くなるという流れの中では、最初から県の認識と皆さんの認識とは全く相反していますよね。県は今でも安くなると言っています。工期も短くなると。皆さんは、5億9000万円高くなると最初から言っていると。そういう流れの中で、先ほどのいろいろな経過からすると、施工技術検討委員会もオブザーバー参加だったということからして、結局は県は安くなる、しかし、皆さんは高くなるという場合に話し合いがつかないわけです。話し合いがつかなければ、これは工事着工できませんよね。皆さんとしては、契約があるから云々だけれどもと全く想定外のことになって、そして県と全く話が合わないと。そういう状況でもう一回聞きますけれども、そういう時点で、どのように対応していくべきだということを皆さんは協議したのですか。

○西田義則参考人 これも冒頭に申し上げましたとおり、私どもには、いわゆる発注者である県からの指示に従って施工する義務といいますか、契約上存在しますので、それに従って施工をせざるを得なかった。ただし、それにかかわる価格の協議はしていただきたいということを文書で再三お願いして、最終的に―大分時間はかかりましたけれども、合意に至ったということが事実だと思っております。

○前田政明委員 県から無導坑方式の図面をもらったのはいつでしたか。

○津中重彦参考人 私の記憶でしかありませんが、先ほど申し上げましたように、平成19年10月ごろだったかと。記憶で申しわけございませんが、そうだったかと思います。

○前田政明委員 この工法変更の指示は、県から大成JVへ幾つかありますけれども、平成19年4月2日という形です。変更図面というのですか、これは日本工営のものでしたか、それとも機械化協会のものでしたか。どこでしたか。

○津中重彦参考人 設計図書につきましては、最終的にいただいたのは平成19年10月ごろだったかと記憶しておりますが、施工に際してはその都度―やはり開始の指示が出ましたので、その都度、図面をくださいということでお願いしながら、口頭でしたが、それに基づいて施工していました。その図面につきまして、日本工営かどうかということについては、県からいただいたという記憶でして、どちらというのは記憶にございません。

○前田政明委員 その図面は、できましたら後で提供してもらえますか。

○津中重彦参考人 その図面につきましては、発注者の県に請求していただければ、提出されるかと思います。

○前田政明委員 戻りますけれども、1月11日、工事の一部中止が出ます。これは、いわゆる全面的な中止ではなくて、なぜ一部中止と皆さんは対応したのですか。

○津中重彦参考人 私は現場にいましたので、今の記憶で言いますと、口頭だったのですが、トンネルを掘るためにはその準備が必要でしたので、掘るための設備、例えば、通常ある生コン会社のああいう建物をつくったり、あと仮建物、休憩所だとか、そういう外回りの準備工はやりなさいという言葉が、一時中止ということになったと記憶しております。

○前田政明委員 これは本来、話がついていない中で、全面中止というのが普通ではないかと思います。それで結局、平成19年7月2日、真地側より掘削が始まります。平成19年7月20日、同じように東ですか、始まります。皆さんは、その平成19年7月時点で5億9000万円を要求していますけれども、これはまだ、ここでは皆さんの要求に対して、県はそれを認めますとか、皆さんは、仕事をすればお金がもらえるという状況になっていたのですか。

○西田義則参考人 先ほど来申し上げてますように、5.9億円の協議をしていただきたいという文書で要求して、それに対するお答えはなかったと思っております。

○前田政明委員 だから、工法は変えられる。5億9000万円は皆さんなりに請求する。しかし、それがどうかわからないというときに、仕事をしてお金がもらえるかどうかというのは大事なところですが、皆さんはその時点で、仕事は断らないで続けるという判断をやっているわけですね。

○西田義則参考人 おっしゃるとおりでございます。

○前田政明委員 8月1日の工事一部中止の再開の流れの中で、工法変更の4月2日の指示とどういう違いがあったのですか。この4カ月間の間に、違いがあったのかなかったのか。

○西田義則参考人 まず、工事再開といいましょうか、工法変更の指示でございますが、4月になっておりますが、実際いただいたのは6月でございまして、1月から6月まではいわゆる発注者側の指示待ちの状態でございます。それが事実でございます。

○前田政明委員 その4月2日の指示と8月1日の再開に向けての指示については、具体的な指示内容とかは全くの口頭ですか。それとも、4月2日と8月1日の2種類の指示文書というのですか、そういうものがあるのですか。

○西田義則参考人 4月2日、8月1日、これは工事の打ち合わせ簿で指示をされています。

○前田政明委員 ここに、虚偽契約文書と見られるものがあるのですけれども、保険の契約書を東京海上日動火災保険株式会社とやっていて、工期が平成21年1月21日から3月25日までということで保険を掛けています。これは私文書偽造ではないですか。犯罪ではないですか。B1―59です。

○西田義則参考人 これは、先ほど来御説明しておりますが、白紙、空欄であった工期のところに県が記入されて、私どもに御指示をいただいたと。それに基づいて、東京海上のものを契約したということが事実です。

○前田政明委員 だから、これは保険を掛けたのですか。

○西田義則参考人 掛けております。

○前田政明委員 保険を掛けて、この工期で実際に仕事はやったのですか。

○西田義則参考人 今の御指示をいただいた契約書に従って、県と契約はいたしましたが、実際の工事はここでは行っておりません。

○前田政明委員 これは、皆さんのところの常務役員支店長の富永敏男氏を含めてつくられている。これを普通何と言うのでしょうか。こういう文書は、皆さんのところでは虚偽ではない、社の了解のもとで出された正しい文書となるのか、どうなりますか。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、私どもは県の契約書に従って、現状この工期で契約しておりまして、虚偽といったことではございません。

○前田政明委員 先ほど、工事はやられていないという答弁がありました。これを世間では虚偽と言うのです。大成建設ではどうかはわりません。私は私文書偽造だと思うのです。これは保険会社も呼ばなければなりません。東京海上日動火災保険株式会社を呼んで、我々は参考人でやらないといけません。こういう架空の契約がやられているとなると、保険会社の社会的使命はどうなりますか。どのように思いますか。

○西田義則参考人 これも先ほど来お話をしていますように、県の契約書に従って実際に契約しております。また、これは実際に施工した沈下対策工事の精算契約でございますので、私どもは虚偽の工事だとは認識しておりません。以上でございます。

○前田政明委員 いずれにしても、この一連の契約書というのは、皆さんが判こを押さないと成り立たない。皆さんから判こを借りて、県が判こを押したのですか。任せておけと、白紙のまま判こを貸してと。県の誰かが判こを押したのですか。

○西田義則参考人 繰り返しになりますが、県からいただいた契約書に従って今の保険をしたという事実と、日付が空白だったということでございますが、これは県の土木企画課建設業指導契約班がお出しになられている文書ですが、請負者の記名、押印のみをお願いします。その他は土木企画課が記入しますと。請負者は記入しないでくださいということがございまして、確かに契約書に判こを押すのは私どもでございますが、記名、押印したものを御提出して、日付を記入されたものは、私どもも指示されてそれに従ってという流れでございます。

○前田政明委員 皆さんは、発注者から言われたらこういうことは平気で、大成建設として当たり前だと。要するに、自分たちは受注者で弱い立場なので、そう言われるとはい、わかりましたということで、これまでも何度もやってきたということですか。常習化していたわけですね。

○西田義則参考人 県から御指示をいただいた以上、私どもの選択肢はこれしかございません。この指示に従って契約を進めざるを得なかったのは事実でございます。

○前田政明委員 私は、今のは証人尋問をしないといけないなという感想を持っています。
 あと、着手届ですが、これはB1―76ですけれども、これも今言ったような形で、ちゃんとタイプで打たれているのですけれども、これはどうですか。

○津中重彦参考人 着手届につきましても、これは契約後の書類になりますが、先ほど来の空欄の文書に対して、書面として着手届を出しなさいと。事務的な手続だと思います。そこで初めて県のこういう工期でつくりなさいという指示を受けまして、確かにそこには疑問も持ちませんでした。技術云々はありませんでした。これに基づきまして、作成してくれと発注者側から言われましたので、それに基づいて作成しております。

○前田政明委員 これも工事をやられましたか。

○津中重彦参考人 実態のある工事でしたので。

○前田政明委員 着手届の1月21日から3月25日までの期間に工事をしましたか。

○津中重彦参考人 先ほどの着手届を含めて工程表等々につきましては、契約後に出してくださいということでしたが、日付がこの期間でしたので、本当によろしいのですかということで、その当時、玉城主任技師に確認しております。そして、それでいいから早く進めてくれということを言われまして、偽造という認識もありません。実態がありましたので。そういうことで、発注者側の県から作成してくれと言われましたので、こういう書類をつくっております。

○前田政明委員 このB1―77、現場代理人の通知で、津中参考人の名前も経歴書もついています。島田氏も含めて経歴書も全部ついている。会社の判こも押されている。やはりこれは普通ではない。普通ではないなという認識はなかったのですか。

○津中重彦参考人 先ほど来申し上げておりますが、そういう認識ではございません。

○前田政明委員 非常に不思議な話で、それはそれでよいのですけれども、後でまた事実関係を。
 振り返りますと、結局は先ほどの出発点が全て。工法の変更、設計コンサルタントの随意契約では特命と言いながら、無導坑方式については実績のない大成建設が引き受けざるを得なかったということから来て、全てでこぼこで、そういう流れの中で虚偽契約となって、結局、会計検査院から指摘されて、5億8000万円を返せと。これはそう思う、思わないは別にしても、皆さんのこの文書がいわゆる公文書偽造、そしてその行使に当たるのです。そういう面で今、国が告発して、警察も動いているわけです。そして、皆さんの事務所関係も家宅捜索が入ったのでしょう。いろいろと制約はあると思うのですけれども、いずれにせよ、私は、これは結果的に工法変更に伴うさまざまな流れの中で、後始末の処理がされたなと。ただ、工法変更をやるというのは普通考えられない。そういう面でお聞きしたいのですけれども、皆さんの社長と知事だとか、副知事だとか、部長が沖縄でお会いをして、親しく話をするということなどがありましたか。

○西田義則参考人 私どもの社長と知事が会ったという事実はございません。社内でも調べましたが、そういった事実はございません。

○前田政明委員 大成建設の社長と知事三役が会って、お話はしたことはない。一切ないということでよいですか。

○西田義則参考人 この識名トンネルに関する件ではございません。

○前田政明委員 入札代理人の渡辺健二さん。この方はどういう役職ですか。

○西田義則参考人 沖縄県にございます営業所の副所長をしていた者でございます。

○前田政明委員 支店長や会社の役員が来られたときには、対応されると理解してよいですね。

○西田義則参考人 対応していたこともあったかと思います。

○前田政明委員 識名トンネルの受注契約のかかわりで、九州支店長を初め、何度ぐらい来県して、県やその他関係者とお話になったのでしょうか。

○西田義則参考人 まず、社長が会ったという事実はございません。今、知る限りでは、平成19年6月26日に土木部長、9月12日に副支店長、11月6日に副支店長、12月17日に副支店長とJV構成会社の代表者、平成20年1月16日に土木部長、1月21日支店長、6月27日にJV構成会社代表者、7月2日に支店長、7月29日に副支店長、8月25日に土木部長、9月12日に土木部長及びJV構成会社代表者、10月3日に土木部長とJV構成会社代表者。主に南部土木事務所長にお会いしております。

○前田政明委員 社長は、知事にはお会いしていないのですね。

○西田義則参考人 この識名トンネルに関しては、会ったという事実は確認しておりません。

○前田政明委員 識名トンネル以外ではどうですか。識名トンネルで話をしたかどうかはわからないですよね。

○西田義則参考人 それは私はわかりません。

○前田政明委員 先ほどの追加工事の、皆さんの受取分の10億3900万円のうち、皆さんが随意契約でやるはずだった平成21年度の覆工コンクリートとインバートコンクリート。これはほかのところが、南海JVが落札しました。そのときの皆さんの取り分は取れなくなったのでしょう。だから10億3900万円のうち、この部分は皆さんのところには入らなかった、それとも、回り回って入ったとかですか。

○西田義則参考人 私どもも一般競争入札に参加しましたが、私どもは受注しておりませんので、南海JVが施工されております。

○前田政明委員 皆さんは、どうしてそれで納得したのですか。これだけ頑張ってきて、どうしてそこで。

○西田義則参考人 一般競争入札で私どもは落札できなかったという事実でございますので、残念であったことは事実です。

○前田政明委員 その分は、何らかの補塡とかそういうものはなかったのですか。

○西田義則参考人 そういった補塡等は当然ございませんでした。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 今回の工事の件ですが、これは結果的に、全面的に県の責任だろうと思っているのです。業者の方々の話を聞いてみても、当初の工法変更は認めざるを得ない、それも同額変更になる、沈下対策工事はやった、後で契約はした。そういうことを含めて、県の指示に従うということですよね。私は、大成建設は相当な企業規模だと見ていますから、そのようなところがトップになるということであれば、冒頭から裁判でも起こして、徹底的に闘うのかなと。恐らく皆さん方は納得しないで、協議を重ねたけれども、結果的に県の指示に従うわけですよね。請負業者というものは、発注者に対してはそのようなことになるのかなという思いがあって、受注する側は、発注者の意向に大きく影響されるのですか。仕事をしていく上で。

○西田義則参考人 契約でも書いていますが、いわゆる信義則―信頼をもって指示されたものを履行するという義務がございますので、今おっしゃったとおりかと思います。

○照屋守之委員 仲本工業も、内間土建も、そのような感じですか。受注する側は発注者の意向をある程度のんでいくということが、請け負う側の立場ですか。

○仲本豊参考人 正直、契約書上、法律上は対等関係にあるということが基本だと思うのですが、実際上の話を申しますと、どうしても発注者のほうが上に立つということが長年の経験の中でございます。ただ、私たちがひっくり返ってもできないということであれば、それはそれとして、私たちの事情を申し上げて、できるだけ協議をさせていただくということでして、今回のような形で、請負率の問題を抜きにしても、もともとの積算の価格が、官積算と民間の積算とで大きな違いがあるという場合も多々ございまして、その場合も、我々としては実際の積算の中身を懇切丁寧に御説明して、できるだけ私どもとして採算が悪化しないような形で協議させていただきますが、今まで紛争審査会のようなところまでかけるような事例というのはございません。

○内間司参考人 私どもも、工事においては発注者の指示に従うということを基本にしていまして、契約約款の中で、よほどのことがないとそのようなお話もしていませんし、ほかで聞いたこともございませんので、通常は考えたことがないということが実情でございます。

○照屋守之委員 ちなみに、大成建設は完工高とか企業規模は、どのぐらいの規模ですか。職員数とか。

○西田義則参考人 記憶ですが、1兆3000億円ぐらいかと思います。社員は約8000人でございます。

○照屋守之委員 私は、今回の件は全面的に県の責任で、結果として今、責任が問われていますが、先ほどのいろいろな現場とかの話を聞いてみても、例えば工事をとめて、皆さん方は協議をお願いして、県はなかなか協議に応じない。ところが、指示書が出て工事は進めていく。それをとめて協議するとか、あるいは紛争審査会とかに委ねた場合にどうなるかということを聞いたら、トラブルが発生する等もあって、それは現場として非常に厳しいと。ですから、我々が机上で、理屈で判断できるような代物ではないだろうなと思っているのです。ですから、我々の立場ではなくて、現場サイドでどのようなことが起こっていたのかなと考えていくと、皆さん方も仕事をしていくのに困っていただろうし、恐らく県の職員も往生していたと思うのです。本来は、沈下対策工事も追加で発注して、何とか金額的に折り合いをつければすんなり行くということですが、いかんせん落札率は47%ですから、やはり大成JVとしては、とてもではないけれどもこれではできませんという言い分もわかります。では、どのような形でやっていこうかと考えあぐねたあげく、最終的にあのような新規という形で、工事が終わったものを後で契約していく。それを皆さん方は精算契約という―これは沖縄総合事務局も、協議が調った後に、工事をしながら後で契約することはあり得ると認めていますから、その延長線上だろうと県も思っているのです。実は、沖縄総合事務局の検査官が完了検査をやっているのですね。そのときに、彼らもそのようなトンネル専門工事の検査をやっているので、しっかりチェックをしていないので、この前確認して、明確な答えはなかったのですが、恐らく沖縄総合事務局も、このやり方そのもの自体が補助事業として適正だったのだろうということを私は思っているのです。だから、あの指摘はしないと。そのようなことも含めて、今、問題になっている偽装契約そのもの自体が、県の担当職員も沖縄県全体も、工事を先にやって後で契約するという一連の流れが、補助事業として認められるという認識を持っていたと思うのです。だから、このような結果になってしまっているのです。受注した業者は、この流れについてどのように捉えていますか。

○西田義則参考人 今、お話しいただきましたように、実際にやった工事の精算契約だという認識をしておりました。また、補助事業だったかどうかということは、先ほど来申し上げていますが、私どもはそこは知り得ないといいますか、そのような事業だということをわかっておりませんでした。

○照屋守之委員 我々現場がわからない人間は、工事もやっていないのに後で契約してけしからんとか平気で言うけれども、いろいろな土木業者に聞いてみても、そのようなことは結構あるようですね。仕事をしていて、予期せぬことが起こって、変更しなければならない。ただ、工事はとめられないということで、仕事はして契約は後にするということは、土木の業界では異常ではなくて、むしろ困難な現場になればなるほど常識だというようなことがありますよね。ですから、契約を変更していく。追加工事ということもさることながら、今回のような新規ということでも、形からするとやはり補助事業の一連の流れだろうと思うのが自然ではないかと思うのです。ですから、県の職員はトンネルという大規模の工事を、なるべく自分たちのお金を出すのではなくて、補助事業としてやっていきたいということが本音として、彼らのプライドとして持っているのだろうし、それができるような形で一生懸命にやって、結果としてこのような形で、こんな法律違反はないよということで、わびをして、5億8000万円も返して、土木建築部長も処分するという事態になりました。これは、県が全面的に責任を負うことになっているのですが、先ほどからいろいろ最初の工法の変更とか、追加の金額とか、あるいは先ほどの保険会社云々も含めて、県からこのようにやって、どちらかというと発注者の思うがままに業者はやっていますよね。我々からすると、こんな身勝手なことあるかと客観的に聞いても思うのだけれども、そのように進めてきた県の職員とか県当局に対して、皆さん方は恨みつらみとか、そのような思いはあるのですか。私だったら非常にそういうのは強いと思いますけれども、皆さん方はいかがですか。

○西田義則参考人 県の職員に対して恨みつらみがあるかという御質疑ですが、それは毛頭ございません。

○照屋守之委員 県の人たちがあのようにやって、結果的に皆さん方はこのような形で呼び出されて、追い詰められているのですよ。それでもそういうものは持っていないのですか。
 これは精算契約という捉え方ですよね。業界業者としてそのような認識でよいということはわかるのですが、皆さん方が、例えば1億円の工事をやったのに、2億円をもらったというのであれば、これは話になりませんよね。自分たちで、例えば10億円なりの工事をやって、その代金の10億円を取るということは、皆さん方は当たり前だと思っているのですよね。この後の契約云々で、精算契約をしないとお金が入らないわけですよね。ですから、皆さん方はお金をもらうためだったら、そのような契約が後になろうが、精算契約ということですから、企業とすればごく当たり前のことではないかと私は逆に思うのです。自分たちがやったものは、堂々と代金としてくださいと言うことは当然ではないですか。その観点は強くないですか。仕事はやりました、県にいろいろ協議をしているのだけれども、なかなか進まない。このような形でやればお金がもらえますということになれば、当然―ではどうぞ、わかりました、やりますからと言って、代金を頂戴するのが皆さん方の立場でしょう。いかがですか。

○西田義則参考人 今おっしゃるとおりで、指示に従って工事を進めた、実態のある工事の精算契約ということで、指示に従って契約していくということは事実であり、そのとおりだと思います。

○照屋守之委員 私は、これは絶対、業者には請求するなと県の職員にも言っているわけです。余分な仕事をして、余分なお金が皆さん方に行ったのであれば問題です。きちんと当たり前のことをやって、追加も含めてこの分に納めた工事については、補助事業であれ県単独費であれ、我々県は皆さん方に支払う義務がありますよね。ですから、それを自分たちの責任でそのような失態を演じておいて、いろいろつつかれるからといって、皆さん方にもお金を返しなさいと言うことは私はできないと思うのです。また、それをやってはいけないと思っています。我々も県議会としてチェック機能がありますから、やはりきちんと仕事をして―私は、毎日識名トンネルを通っています。いろいろ大変だったはずだけれども、本当に快適になって、我々県民のためにも貢献しているという思いがあるものですから、県の職員が法的なもの、慣習的なもので迷惑をかけて、大変なことだなという思いはあるけれども、業者に対して、きちんといい仕事をしている分については、金額の回収請求はできないなという思いは非常に強くありますが、いかがですか。

○西田義則参考人 今のお言葉に感謝申し上げます。トンネルを完成させて、利便性が改善されたという工事を誠実にやらせていただいたということを示唆していただき、非常にうれしく思います。ありがとうございます。

○照屋守之委員 とにかく、この問題は全て県の責任で完結させるべきだと思っています。
 仲本工業に聞きたいのですが、先ほどトンネルの貫通式に出席されたと言っていましたね。それは皆さん方の業者だけで、そのようなイベントをするのですか。

○仲本豊参考人 津中参考人が答えるべきかもしれませんが、県も南部土木事務所長を初め、一緒に汗をかいた、かかわった方々ほとんど全て、それから業者も、きょう参加させていただいているメンバー以外にも本社にいる方々とか、現場の方々とかかなり大がかりに、現場に携わった方で貫通式という形で開かれております。

○照屋守之委員 県の職員とか、沖縄総合事務局の職員とか、県知事とか、そのような方々も呼んでやったのですか。

○仲本豊参考人 南部土木事務所の所長や職員を中心にされておりました。

○奥平一夫委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○奥平一夫委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、参考人等に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人及び補助者各位に対し、委員会を代表して一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中、御出席いただき心から感謝いたします。
 西田参考人、仲本参考人、内間参考人、津中参考人、比嘉参考人、我謝参考人並びに補助者の皆様、ありがとうございました。
 休憩いたします。どうぞ御退席ください。

   (休憩中に、参考人等退室)

○奥平一夫委員長 再開いたします。
 次に、次回以降の委員会の審査日程等について、休憩中に御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、審査日程等について協議した結果、別紙審査日程等の案のとおり行うことで意見の一致を見た)

○奥平一夫委員長 再開いたします。
今後の日程等については、休憩中に御協議いたしましたとおり決することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

 (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○奥平一夫委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次回は、11月12日 月曜日 午前10時から委員会を開きます。
 委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。



沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

 委 員 長  奥 平 一 夫