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公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する特別委員会記録
 
平成27年 第 2定例会

2
 



開会の日時

年月日平成27年6月26日 曜日
開会午前 10 時 8
閉会午後 5 時 8

場所


第7委員会室


議題


1 参考人からの意見聴取について(公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)
2 審査日程等の変更について(追加議題)
3 議員提出議案第1号 公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物 の侵入防止に関する条例


出席委員

委 員 長  仲宗根   悟 君
副委員長  奥 平 一 夫 君
委  員  島 袋   大 君
委  員  中 川 京 貴 君
委  員  座喜味 一 幸 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  新 垣 哲 司 君
委  員  照 屋 大 河 君
委  員  新 里 米 吉 君
委  員  山 内 末 子 さん
委  員  玉 城 義 和 君
委  員  吉 田 勝 廣 君
委  員  前 島 明 男 君
委  員  西 銘 純 恵 さん
委  員  嘉 陽 宗 儀 君
委  員  當 間 盛 夫 君
委  員  大 城 一 馬 君
委  員  比 嘉 瑞 己 君
委  員  新 垣 安 弘 君

委員外議員  仲 村 未 央 さん
       新 垣 清 涼 君
       渡 久 地 修 君
       比 嘉 京 子 さん


欠席委員

なし


説明のため出席した者の職・氏名

(参考人)
 国立大学法人琉球大学農学部教授  辻   瑞 樹 君



○仲宗根悟委員長 ただいまから、公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する特別委員会を開会いたします。
 議員提出議案第1号に係る参考人からの意見聴取を議題といたします。
 議員提出議案第1号につきましては、6月16日の本委員会において、参考人を招致することが決定され、その選定及び質疑の時間等については委員長及び与野党代表者に一任されておりました。
 協議の結果、国立大学法人琉球大学農学部教授辻瑞樹氏を参考人として選定することで意見の一致を見ております。
 同氏を参考人としてよいかどうか、休憩中に御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人の選定について協議した結果、意見の一致を見た。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 国立大学法人琉球大学農学部教授辻瑞樹氏を参考人とすることにつきましては、休憩中に協議したとおり取り計らうことに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 次に、参考人に対する質疑の時間等について、委員長及び与野党代表者としては、参考人の答弁を含めず各委員3分を超えない範囲とし、会派内の出席委員間で相互に譲渡できるものとすることで意見の一致を見ております。
 参考人に対する質疑の時間等について、休憩中に御協議をお願いします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、質疑の時間等について協議した結果、意見の一致を見た。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。
 参考人に対する質疑の時間等につきましては、休憩中に協議したとおり、参考人の答弁を含めず各委員3分を超えない範囲とし、会派内の出席委員間で相互に譲渡できるものとすることに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

   (休憩中に、辻瑞樹参考人着席)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 本日の参考人として、国立大学法人琉球大学農学部教授辻瑞樹氏に出席をお願いしております。辻瑞樹参考人、本日は御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 この際、本日の委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
 まず、参考人から御意見をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
 参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、議題の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
 なお、委員から質疑しているときは着席のままで結構ですが、答弁の際は起立して発言を願います。
 また、本日は委員会が参考人の意見を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
 なお、参考人から、意見陳述に当たり、プロジェクターを使用したいとの申し出がありますので、許可することといたします。
 それでは、辻瑞樹参考人から、公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例について簡潔に御意見をお願いいたします。

○辻瑞樹参考人 参考人である琉球大学農学部の辻でございます。きょうは、お呼びいただきありがとうございました。率直に申しまして、多少なりとも外来種問題の専門家として、今回の公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例案を高く評価しております。その背景となります外来種問題に関して、きょうはこの短い時間で手短に説明差し上げようと思います。
 外来生物の侵入問題がどういう点で問題とされるのかというのは、大きく2つの点がありまして、それは生物多様性、そして生態系の機能という2つに対して大きな脅威になっているからだと言われています。この2つは、世間一般的には混同されますが、専門的に言うと同じではありません。
 まず、生物多様性というのはどういうものかといいますと、それぞれの地域で独自に進化してきたさまざまな生物がおりまして、それは遺伝的にも種の面あるいは生態系における機能の面でもさまざまです。こういう地域独自の生物の存続に対して脅威だと。もう一つは、生態系機能ということで、例えば、水だとか空気だとかそういうものが我々生物がちゃんと生きていくための形で提供されているということです。これも生物が大きくかかわっているのです。
 実際、外来種が入ってどういうことが起きるか。主に生物多様性に関する大きな問題となった世界的な事例を1つ示しますと、生き物が好きな議員でしたらディスカバリーチャンネルなどで見られたかもしれませんが、インド洋にあるオーストラリア領のクリスマス島というところは、陸ガニが非常にたくさんいてそれが観光資源になっています。それが、アシナガキアリというアリが突然、外から入ってきてカニを食べたことにより、カニがいなくなるだけではなく、森の風景も変わってしまった。左上の写真がカニがいるときの風景ですが、カニが落ち葉や実を食べるので全くそういうものが生えていません。ところが、カニがいなくなってから1年半後にはこのように下草がたくさん生えてきていろいろ変わってしまった。
 同じく、島で起こったもう一つ有名な例が、グアム島です。もともとグアム島にはヘビはいませんでした。そこに、恐らく米軍関係の物資から入ったと思われるブラウンツリースネークというヘビが入り、5地点で調べているけれども、もともとどこにでも10種いた在来の鳥が矢印のところでヘビが確認されると、その後、急に絶滅していなくなると。その中には、ヤンバルクイナに似たグアムクイナというのが含まれていて、現在グアム島ではグアムクイナは絶滅しており、動物園で保護していたものはほかの島に放してふやそうという試みもされています。
 さて、ここでなぜ最近、生物多様性、生物多様性と言うようになったかという背景ですが、これはよくよく考えると、その場所の人だけではなく、人類全体の財産なのだという考え方です。人類が利用している資源―それは食べ物に限らず、多くの資源というのは生物由来です。生物とは、その生物が繁殖している限り再生利用ですので、今後、我々が生きていく上でこの生物資源が占める割合はどんどん増加していくだろうと考えられます。中でも、その地域にしかいないさまざまな生物―まだ知らないものがいるかもしれません。とにかくただの生き物です。野生生物とは全てが未使用の遺伝的資源だと考えるべきで、これらは人類が未来永劫に存続するため、あるいは将来においてその地域が経済的に発展するために有用であり、短期的な利害を安易に優先させることで滅ぼしてはならないという考え方が世界中で広まりつつあります。この生物多様性イコール財産なのだという考え、・・・(録音機器のふぐあいにより約1分間聴取不能)・・・はどうなのかということで、第1条を切り抜いて持ってきますと、「特定外来生物による生態系、人の生命、身体、農林水産業への被害を防止し、生物多様性の確保、人の生命、身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて国民の生活安定向上に資する」ための法律であるということです。生物多様性というのが財産であるということですが、振り返って、沖縄というのはどういうところかと申しますと、日本の中でも特異的に生物多様性が高い。それは、世界的にも生物多様性が高いと言われています。これは最近の研究で示された例ですけれども、いろいろな生物で、沖縄も含めた東南アジアが生物多様性のホットスポットになっていると。赤色や黄色で書いたところが一番多様性が高いのですが、サンゴ礁もイシサンゴもそうですし、マングローブもそうです。ある種の熱帯魚の仲間、ウミヘビの仲間というのは、みんなこのあたりに種がたくさんいる。中心があるわけです。しかし、御承知のように、この生物多様性と人間の共存というのは非常に難しい面があります。というのは、写真にもあるように、サンゴ礁の白化だとか赤土あるいはイリオモテヤマネコが車にひかれているという劣化が進んでいると。そういう中で、沖縄は県民の共通財産であるような生物多様性は積極的に守るべきであろうと出てきた本条例―公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例を、私はその取り組みの一つとして高く評価をしたいと考えております。これは、ほかにも沖縄県が進めている取り組み―生物多様性おきなわ戦略などとともにこれは評価されるべきだと考えています。
 さて、ここで専門家として1つつけ加えたいことがございます。この条例の親規定であるところの特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律―外来生物法に関することです。外来生物法もまだできてから十年余りの法律で、さまざまな限界があると当初から施行になった後でも指摘されております。この法律の精神では書かれているけれども、現行の法律では規制し切れない問題がさまざまある。それを幾つか申し上げたいと思います。
 まず外来生物法の大きな問題とは、どこかで外来種というのを切らなければならない。例えば、日本で生産している作物のほとんどが外国由来なのです。どこかで切らなければならないというところで、法律で線引きをするのです。明治以前に入ってきたものは、日本の土着のものと同じように考えようとか、さまざまなルールがつくられたわけですけれども、それでも国内を移動することによって起こる国内外来種問題に対してはこの法律では対処できないのです。
 ここに書いた写真はただくっつけただけではなく、実際に外来種問題が起こっているのです。沖縄と同じぐらい変わった自然を持っている、本州、四国や九州に比べると変わった成り立ちを持っている、北海道とその他の問題で、カブトムシは北海道にはいなかったけれども、ペットで飼われているものが逃げて、今や北海道全土にいます。森の生態系がある意味で変わってしまったのです。もう一つは、キタキツネです。これは、日本にもホンドギツネがいますけれども、キタキツネというのはエキノコックスという疫病を持っており、それが本州に広がってどうなるかという問題が指摘されています。
 そこで私が申し上げたいのは、沖縄は沖縄県以外の日本本土と地史や自然環境の面で大きく異なり、これらの地域間の野生生物の移動というのは、国間の移動に匹敵する影響を持ち得るものが潜在的にあるということです。
 次に、今回の条例に関係することですけれども、県外の土壌にはそのような大量の国内外来種が潜んでいる可能性があるということです。例えば、国外から土壌を持ってくることに関しては、植物防疫法で厳しく制限されます。外国からものを持ってくるときに土がついていたりすると、一定の検疫を受けないと持ってこれないです。それは土壌の中にいろいろなものが入っている可能性があるからです。それを考えると、本土と沖縄間の土壌移動というのも本来は同じような注意が必要だと専門家からは考えられるのです。
 例えば、土にまじってどういうものが移動するかというと、この植物に関しては沖縄で影響は気候的に余りないと思いますが、例えばの例です。イタドリという植物は、内地では普通種でただの普通の植物ですけれども、これがヨーロッパに入りました。最初は園芸目的で入ったのですけれども、根が少しでも残っているとそこから体を再生するというクローン繁殖をするということで、今やヨーロッパ中に広まって大変厄介な外来生物になっています。また、イタドリはそういうことはありませんけれども、多くの植物は休眠種子という形で種が土の中で何年も生きるということで、土を持ってくると何年かしてからその厄介な植物が生えてくるということがあり得るのです。これは植物ですけれども、土の中にはこれだけではなく菌やダニといった目に見えないものがたくさん入っていると。
 外来生物法の問題の2番目は、ブラックリスト方式であることです。ブラックリスト方式とはどういうものかと言いますと、植物防疫法のホワイトリスト方式と外来生物法のブラックリスト方式というのは、考え方が大きく違うということです。国立研究開発法人国立環境研究所の方がつくったブラックリスト方式のやり方ですけれども、基本的に規制されているもの以外は入れても自由です。ただ、特定外来種だけはいけませんという網のかけ方をするのがブラックリスト方式です。外来生物法はこの方式です。ところが、外来生物法よりももっと歴史が古く、農業や産業に直接関係があるということでつくられた植物防疫法はもっと厳しくホワイトリスト方式です。それは、原則植物を攻撃するような生き物は持ってきてはいけない。しかし必要であるとかあるいは作物に影響は与えないからといったいろいろな理由で特別の許可がおりたものだけは輸入していい、というやり方の違いがあります。実は環境省は外来生物法をつくるときにホワイトリスト方式でやりたかったのです。しかしそれはさまざまな問題があって、ブラックリスト方式になったのです。例えば、オーストラリアやニュージーランドといった外国で、非常に外来種問題で悩んできた国はホワイトリスト方式でやっている国もあります。
 ここで、ブラックリスト方式の問題を改めて整理しますと、こういう問題があります。例えば、まだ日本に入ったことがない、あるいは誰も―どこの世界でも入ったことがない未侵入の種が危ないかどうか判定をする場合には、まず国外で外来種として入ってきて、そこで被害があったかどうかを参考にします。
 それと、もう一つは近い種で同じような被害が外来種になって出ていないかを参考に、専門家が高度な判断をするわけですが、しかし生き物は千差万別です。近いからといって同じとは限りません。そして、外国で被害がなかったからといって、日本で被害がないとは限りません。これは正直、専門家の目でも、入れてみないことには本当に害があるかどうかわかりません。それで、環境省は最初に、生物多様性の保全という観点からは、ホワイトリスト方式が望ましいのではないかと考えていたわけです。残念ながら、今ではブラックリスト方式です。
 時間が来ますので、簡単にまとめたいと思います。
 外来生物法の現行の運用慣例にただ従うだけではなく、外来生物法第1条の「生物の多様性を確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民の生活向上に資する」という法の精神にのっとった県独自の取り組みというのができれば、それは望ましいことではないかと申し上げたいと思います。
 これが、きょうの参考人の意見の要約でございます。以上です。

○仲宗根悟委員長 辻参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 また、本日は、先ほど決定したとおり、質疑時間は、参考人の答弁を含めず各委員3分を超えない範囲でお願いします。ただし、会派内の出席委員で質疑時間を相互に譲渡できるものとしております。
 なお、質疑終了の5分前、1分前及び質疑終了時にそれぞれ、電子音により報知いたします。
 参考人もお忙しい中、御出席をいただいていることから、委員の皆様の御協力をお願いいたします。
 質疑時間の譲渡がありましたことを報告いたします。中川京貴委員から質疑時間の2分を、新垣哲司委員から質疑時間の全てを照屋守之委員に譲渡したいとの申し出がありましたので御報告いたします。
 次に、中川京貴委員から質疑時間の1分を、島袋大委員から質疑時間の全てを座喜味一幸委員に譲渡したいとの申し出がありましたので御報告いたします。
 次に、嘉陽宗儀委員から質疑時間の全てを西銘純恵委員に譲渡したいとの申し出がありましたので御報告いたします。
 なお、質疑の持ち時間を譲渡した委員は、譲渡を受けた委員の質疑中は在席する必要がありますので御承知おきをお願いいたします。
 それでは質疑を行います。
 休憩いたします。

   (休憩中に、前島明男委員から、質疑時間の全てを吉田勝廣委員に譲渡したいとの申し出があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 前島明男委員から質疑時間の全てを吉田勝廣委員に譲渡したいとの申し出がありましたので御報告いたします。
 それでは、質疑を行います。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 まず、先ほどありましたように外来生物法にも限界があるという御指摘ですが、その法律はそうかもしれません。今、日本にある法律全てにおいて、私は限界があるのではないかと思っています。その法の定めに異常事態がどんどん起こっていきます。ですから、この法律の限界を超えるというのは日本にある法律の全てに当てはまるのではないかと思っておりまして、これを克服するためには、やはりどんどん先生のような専門家の方々が国に働きかけ、あるいは国外に働きかけ、あるいは私どももそうですけれども、働きかけて今の外来生物法にさらに追加をしていく、ということをこれからも積極的にやる必要があるだろうと思っています。しかしながら、今はこの外来生物法にのっとった形で対応していくということですから、先ほど県独自の取り組みを期待するということですけれども、私どもの条例も法治国家の中でやはり外来生物法を基本に考えざるを得ないのかなと。ここは先ほど御指摘の矛盾点はありますが、現行の法整備の中ではやはりそういうことになるのかなという思いがします。この点についてはいかがですか。

○辻瑞樹参考人 法治国家ですので、まさにそれは委員のおっしゃるとおりだと思います。しかし、法の精神にのっとって、その遵法の範囲内でも十分注意できることがあるのではないかという指摘でした。特定外来種のリストを沖縄県だけが変えてしまうというような大きな変更、上位規定に反するようなことはできないと思いますが、さまざまな配慮というのはできると思います。日本本土と沖縄とは自然・地史の面で違うということに十分配慮しないと県民の財産も守れない場合があるというのが専門家としての指摘でございます。

○照屋守之委員 今、沖縄県にはどのような外来生物が生息していますか。

○辻瑞樹参考人 沖縄県は外来生物の天国で、まず沖縄に入ってくるというのがパターンなのです。私は全部の種をカウントしていませんし、多分、それは困難だと思います。私が専門のアリだけで、沖縄で恐らく20種以上が外来アリです。琉球列島全体では100種なのですが、そのうち20種ぐらいは外国から入ってきたのではないかというぐらいの比率、頻度で外来生物は広がっているというのが、沖縄あるいは日本の現状だということを申し上げたいと思います。

○照屋守之委員 この外来生物の防除の現状はどうなっていますか。

○辻瑞樹参考人 まず、外来生物にも農林水産業―産業に直接害を与えるようなものは、通常、農林水産省あるいは農家による害虫防除という形で行われています。そうではなく、一般の自然環境に対する脅威と言われている種に関しては、自治体あるいは環境省が防除をしています。有名なところで言いますと、アルゼンチンアリというのが、広島や神戸に入って在来のアリを滅ぼしてしまうということで問題になっているのですが、それは環境省が防除事業―徹底的なベイト剤というものを使った駆除というので一部成功しています。これ以外にもさまざまな防除事業というのは農林水産省、環境省によってやられております。

○照屋守之委員 本条例との関係ですけれども、沖縄県ではこれまでかなり多くの埋立事業が行われてきました。この埋立事業あるいは埋立地の外来生物の調査というのは、御自身でも自治体でもいいですが、行ったことがありますか。結果も踏まえてお願いします。

○辻瑞樹参考人 私は環境影響評価委員を沖縄県でやっておりまして、埋立地あるいは公共事業があった場所の調査に同行することは頻繁にあります。そこでいつも問題になるのが外来種です。どこでも人が手を加えた環境というのは外来種が入りやすくて、相当に外来種がばっこしていることが普通です。

○照屋守之委員 より具体的に、どういう埋立地でこういうものがあるということは資料としてあるわけですね。

○辻瑞樹参考人 環境アセスメントが行われたところでは、全てそういう生物のリストというものはリストアップされていますので、それはあります。環境アセスメントが行われた事業に関しては、全てそういうものがあると考えてください。

○照屋守之委員 我々は今、特定した埋立事業に関して条例による規制の網をかけようとしています。そうしますと、今、御指摘のように、いろいろな埋立事業の中でそういうものがあれば、全ての埋立事業を対象にしたほうがいいと思いますが、いかがですか。

○辻瑞樹参考人 私は委員の意見に同意します。

○照屋守之委員 今、御指摘のようなことがあって、我々は全ての埋立事業に対応するということで、さらに、県外からの土砂ということを想定しておりますけれども、先ほど御指摘のように沖縄県は外来種の天国で、外来アリも既にそこに生息をしているという実態があると。八重山、宮古―沖縄県は特に離島県ですから、これは県外の土砂というより県内の土砂もしっかりチェックをする。そういうことで拡散を防ぐ。移動虫に対してはそういう危険性がありますよね。先ほどの先生の御指摘からすると、そこは当然、県外ではなく県内のものも対象にすべきではないかと思いましたが、いかがですか。

○辻瑞樹参考人 大変思慮深い御意見だと思います。県内で一部の地域にしか広がっていない種が、未分布の地域に持っていかれると問題が起こるということがありますので、そういう配慮が必要ではないかと思います。ただ、どちらにもいて、県外で既に広がっているというものに関しては、それはそれで慎重にやらなければいけません。どこにでもいる外来生物というのを規制し出すと、これはまた問題があります。といいますのは、産業そのものにダメージを与えるのです。私は外来生物法のとき、最初に特定外来種というものの指定で環境省に意見を申し上げたことがありました。先ほどの写真にもありました、カニを滅ぼしたアシナガキアリなどは日本にいるのです。沖縄県のほとんどどこにでもいるのです。例えばこれを特定外来種に指定して、事業者が土砂を動かし、その中にアリがいることがわかっていたとすると、法人は法に触れ、1億円の罰金が最大というと産業が成り立たないですので、そういう面で非常に慎重にならないといけないところもあると思います。しかし、ある生物をいないところに持っていくということは極力、県内であっても、慎重にやるべきであって、やるべきではないと思います。おっしゃるとおりだと思います。

○照屋守之委員 先ほど外来生物の法律との関係も御意見を述べていただきましたが、この条例をつくるに当たって、やはり何と言っても外来生物の法律との関係、条例をつくる側は当然のごとく、どういう今の法律があって、我々のつくろうとする条例との関係を検討しないといけないと思っておりますけれども、その点についてはいかがですか。

○辻瑞樹参考人 全く同意見でございます。

○照屋守之委員 さらに、この条例案は、先ほど沖縄県環境影響評価審査会の委員もなさって沖縄県の環境をよく御存じだということですけれども、これは非常に大きな影響を与えますので、我々は外来種の素人ですから、沖縄県環境審議会や環境の専門家、外来生物の専門家、あるいはその法律の専門家、利害関係者、それぞれの具体的な意見を個別でしっかり聞く場というのが必要不可欠だと思っていますが、専門家の御意見はいかがですか。

○辻瑞樹参考人 沖縄県環境審議会というのがあるのですが、それに似たような、あるいは機能を持つ外来種問題の審議会なり何なりというのは、特に沖縄県では自然環境を考えると必要ではないかと私は思います。

○照屋守之委員 沖縄県環境審議会というよりは外来種の専門委員会ということですけれども、私が先生に御意見をお伺いしたいのは、先ほどもありましたように外来生物法にも限界があるという御指摘ですから、こういう県の独自の条例をつくろうとすると現行の憲法や法律なりという観点からしっかり対応するという意味で、そういう専門家の意見、あるいはさらに別の大枠の環境専門家の意見、法律の専門家、あるいは先ほど先生からもありましたように利害関係者も必要だと思います。ですから、そういう意見をしっかりと聞く場を持つということがやはり必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○辻瑞樹参考人 おっしゃるとおりだと思います。現行の外来生物法でも、特定外来種を指定するときには利害関係者の意見というのは必ず聞くことになっています。それはパブリックオピニオンなり何なりという形で聞くことになっているのですが、県もそういう何らかの方法で各方面の意見を吸い上げるということは絶対必要だと思います。

○照屋守之委員 御指摘のとおりだと思います。私ども県議会の特別委員会で、まだそういうことをやっていないのです。一切やっておらず、この委員会審査だけでこの条例に対応しようということですから、今、先生の御指摘も伺いながら参考にしていきたいと思っております。ちなみに沖縄県県土保全条例、あるいは環境保全等の関係条例というのは関係機関や団体の意見を聞く、あるいは学識経験者などそういう検討委員会を持つ、あるいは県民の意見を求めるという手続のもとにやってきていますので、参考になります。ありがとうございました。
 最後に、こういう条例もそうですが、先ほど先生の御指摘がありましたように、本来は人間が生きていくために必要不可欠で、そういう自然を壊して今の形になるわけですが、埋立事業もしない、何もしないという形でやったほうが生物や自然環境を保全していく面では非常にいいわけです。人間の都合で自然を壊して、今のそういう仕組みができているわけですよね。ですから、そういう我々人間が生きていく上での営みと、こういう自然を壊していくということに縛りをかけようとするという大きな矛盾がありますけれども、その点についてはいかがですか。

○辻瑞樹参考人 環境問題というのはさまざまな利害対立が起こるのは当然でありまして、御承知のとおりだと思います。ただ、これは生きていくためということの定義といいますか、自然環境や自然、生物多様性は財産なのだというのは、今、我々が食べて豊かになるためではなく、将来の我々の子孫たち、沖縄県民がそれを用いてよりよい生活、豊かになるということに対する未来への投資、あるいはそういうものだという考えなのです。その辺が非常に難しいところですが、ですから現在の当事者同士の利害だけではなく、我々の将来の人たちとの利害対立ということも考えて議論しなければいけない、非常に難しい問題だと私は環境問題を考えております。

○仲宗根悟委員長 座喜味一幸委員。

○座喜味一幸委員 質疑が重複する部分があるかと思いますが、ひとつ御勘弁いただきたいと思います。私は、百姓をしていた時期がありますが、新しい果樹等の品種を合理的に、速やかに入れたい。片や外来動植物等の規制は大変厳しいものがある。そういう中で、環境問題というものは、大変難しい部分があるのかなといつも考えております。沖縄では離島を含めていろいろな外来生物がいます。外来生物等において、特に離島と沖縄本島で留意すべき事項はどういうものがあるか教えてください。

○辻瑞樹参考人 一般に、外来生物の影響というものは、島の環境のほうが大きいと言われています。島でも、小さくて他と地続きになったことがないという離れ島が非常に大きい。それは、もともとそこに在来の生物がいなかった。在来生物が新しいものが入ってくることの抵抗になるということが言われています。バイオティックレジスタンス―何もいないところには生き物は入りやすい。一般に島の環境、離島は同じ外来種が入ってきてもその影響が大きい。沖縄よりももっとひどいことになっているところは、小笠原諸島です。沖縄は大陸と地続きになっていて、昔大陸にいた生き物というものは、もともとたくさんいるわけですが、小笠原諸島は火山島ですのでいません。それで全て入ると。例えば沖縄から入っていったイジュ、アコウなども野生化して大変なことになっているわけです。それと同じようなことが、沖縄と離島の間にあります。例えば、外来アリの調査をしていますが、一般に沖縄本島よりも、久米島や石垣島のほうが外来生物、外来アリ、外来植物はより一層蔓延しています。大きな島より小さな島のほうが十分注意しないと潜在的な影響が大きい。現実的にもそうだと考えます。

○座喜味一幸委員 離島にいまして、その辺を非常に気にするのですが、例えばアフリカシロナヨトウという虫が一斉に多良間島で2週間で牧草を食い尽くす事例がありました。一体、それはどの由来なのだと。我々、離島というのは、割とそういう危険性があるかなと思いますが、今後は沖縄県は物流基地になります。貨物ハブで、海も空も国際物流特区になりますが、そういう外国との物流が拡大していく。日本国内での園芸作物や苗、本土から入る園芸用の有機土壌などが入りますが、そういう意味においてトータルとして問題点の整理をしておかないといけないのではないかと思っていますが、その辺はいかがでしょうか。

○辻瑞樹参考人 全くおっしゃるとおりです。私の意見としては、土は検疫をせずに沖縄と本土間、場合によっては沖縄県内の離島と本島の間でも移動するべきではないと考えております。しかし、法律上そういった規制というものは現行では厳しいものはできません。それをどうしていくのかというのは、これからの問題だと思います。沖縄が国際的な物流のハブになるというところは産業上非常に望ましいことだと思いますが、同時に外来生物が入っていくすきがふえるわけです。それは非常に注意すべきだと思います。特に石垣島の空港とか港湾で、台湾で今猛威を振るっているヒアリが入らないようにと私は10年くらい前から注意を申し上げているのですが、幸いまだ入っていません。あれは農業だけではなくて、人の体にも直接害を与える。刺されてショック死する方もいますので、相当注意しなければいけない。検疫に関しては、これまで以上に人と予算を割いて十分注意すべきではないかと思います。

○座喜味一幸委員 同感であります。先生は環境の専門として、環境影響評価委員もされているとわかったのですが、沖縄県においてあまたの外来種、生態系を乱すような生物等々の問題から、人体を含めた農作物へある意味でいろいろな被害等々を及ぼす外来種等を絞り込んで特定していく。こういうリストアップやモニタリングが大変重要だと思っておりますが、いかがでしょうか。

○辻瑞樹参考人 沖縄にとって、潜在的に、あるいは事実、脅威になるのではないかという外来種のリストの特定は非常に重要だと思います。専門家の間で、例えば私だとアリや植物などは研究上はリストとして既にできているはずなのです。それを行政上、集約して見える形にするというのは意義があるかと思いますので、私も必要ではないかと同意いたします。

○座喜味一幸委員 沖縄県の環境への取り組みも結構されていると思っていまして、生物多様性おきなわ戦略等々あります。条例がある中で、今回は特に外来生物法に基づく条例をつくるわけですが、これはトータルとしての外来生物に対する認識―外来生物法でも国のやるべき仕事、地方自治体のすべきこと、事業者等がやるべきこと、国民等のやるべきことと行動計画が明確になっております。そういう意味では、国土交通省、農林水産省、環境省との連携の中で進んでおりますので、我が沖縄県の中でも、もう少し行政の中で横の連携をとりながら、トータルとしての計画の中で特定してすべき案件を整理していく必要があるのではないかという思いがありますが、いかがでしょうか。

○辻瑞樹参考人 同意見でござます。

○座喜味一幸委員 今回の条例が埋立用材の土砂を中心にしておりますが、この条例の目的として、あるべき課題にどう対処するかという大きな問題点があって、それを解決するのに条例としてどうあるべきかということが基本的なあり方ではないかと思うのです。今回の埋立用材に限定した点、今まで先生もおっしゃったようにトータルの中で、なぜ埋立用材なのか、そこにどういう問題があるのか少しよくわかりませんので、科学的な立場から御意見をいただきたい。

○辻瑞樹参考人 なぜ埋立用材なのかというのは、こういう条例が沖縄県でつくられるということで私が呼ばれてきているので、それに関しては背景は私の存じるところではございません。しかし、一般的な問題として、土壌というものは一番外来生物が侵入しやすい。特に見ることができないような小さなものが入ってくるので非常に警戒すべき対象であると。埋め立てというものはそれを大量に持ってくると。植木鉢一つ持ってくるというスケールではなく、大量に持ってくるというところです。より外来種侵入のリスクが大きいと考えられますので、まずこれを規制していこうというのは、そういう背景があったのではないかと私自身は想像します。そういうことで、条例案に対しては、評価すると申し上げていますが、もっとさまざまな外来種が入って来そうな経路についても、できるものは管理していくのが望ましい姿であることは言うまでもないと思います。

○座喜味一幸委員 特に環境基本法に基づいて審議会等、いろいろされていると思いますが、本来、この環境問題についてはいろいろな利害関係等がある。外来生物は持ち込まない、捨てない、広げないということがありまして、基本的にはその辺のネットワークづくりが大変重要だと思っていまして、この中では沖縄県として特に何をすべきか、今回、何を焦点に取り組みをすべきか教えてください。

○辻瑞樹参考人 何を一番優先にするのか、難しい問題です。土壌を優先にするということは、非常に賢い選択だと思います。あと港湾での未確認生物のチェックは水際作戦として非常に重要である。それ以外の経路で入ってくる生物に関しては、どれを優先すべきかというのは、私にはアイデアは今のところございません。さまざまな情報を収集して話し合うべきことだと考えます。

○座喜味一幸委員 被害を及ぼす生物の侵入があったとします。それに対しては、これまで国を初め、県、市町村等が連携しながら防除等の取り組みをしております。そういう意味では、土砂搬入等における外来生物の主たるもの等において、その防除対策等も含めて対処しなくてはならないと思うのですが、防除等の技術に関して、今後、沖縄県はどのようにしていけばいいと思いますか。

○辻瑞樹参考人 それはとても思慮深い意見だと思います。沖縄だけで特に大きな被害をもたらすという害虫、あるいは沖縄で最初に被害を与えて、それが日本本土に広がっていくという例はたくさんあると思います。沖縄は侵入の最前線ということで、日本全体に広がることを食いとめる研究技術を集約するということは非常に重要だと思います。例えば、沖縄ではかつてウリミバエというのがはやりまして、それに対する不妊虫放飼で世界的な成功をおさめて、世界からその技術を習いに来ているという状況ですよね。あれは農業害虫でしたが、あれをもう少し広く外来種問題という形で、その防除技術を研究集積する場所に沖縄がなるというのは、沖縄県民だけではなく、日本、世界のためになる一つのアイデアだと思います。

○座喜味一幸委員 私も農業をしていて、土壌の件で確かに大変重要だと思いますが、植物防疫法では、基本的には砂、石等々については明確に定義がありますから、検査等は極めて簡便に、目視程度で済まされています。ただ土壌等の付着等については、全部洗い流して持ち込みを廃棄するというようなこととありますが、結局土砂の搬入において、国の所管する機関との連携、基準づくり、その辺の条件整備をしないと効果が出ないのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

○辻瑞樹参考人 そのとおりだと思います。現行の外来生物法でも十分にそれに対処するようなルールづくりはできると思います。現に土砂の中に特定外来種が入っていたら、それを動かすことは違法です。県内に限らず、県外でも規制できることはあると思いますので、それは各省庁、関係者の間でルールづくりはできますし、必要ではないかと思います。

○仲宗根悟委員長 照屋大河委員。

○照屋大河委員 先ほど、生物多様性が財産だという考えは、国際的に認知されつつあると、その上で沖縄は生物多様性のホットスポットだということで先生がおっしゃっておられました。沖縄に生まれて、育って、何となく沖縄の環境の大切さを感じるのですが、改めて専門家の視点で沖縄の生物多様性の豊かさといいますか、そのあたりについて伺いたいと思います。

○辻瑞樹参考人 沖縄の生物は本当に豊かです。私は名古屋の出身ですが、なぜ沖縄で研究しているのかといいますと、沖縄の生物が豊かだからです。昆虫、害虫だけではなくいろいろいます。そして、それを研究すればするほど、沖縄の生物の豊かさ、深さというものがわかります。これが研究者、特に自然を知っている者だけがひしひしと感じるようなものでしたが、だんだん生物多様性というものが財産であるということが世界的に認識されるようになりまして、それが将来我々が生きていく上で、豊かになる上での財産なのだという考え方は非常に思慮深い考え方だと思います。それは、恐らく外来生物法の中にもその精神は盛り込まれております。というのは、外来生物法は罰則がすごく高いです。例えば、法人が特定外来種の扱いに対して違反をしますと、最高1億円。私は法律の専門家ではありません。生物の専門家なのですが、なぜそんなに罰則が高いのかといいますと、これは国民の財産権を侵害する可能性があるものだと。財産権というものは、法律のヒエラルキーの中でかなり上のほうらしく、そういうことで外来生物法がつくられた時点で、さまざまなその土地にいる生き物というものは財産なのだという認識は、既に我々の国の法体系の中でも認識されているものだと考えます。知っていればわかる価値ではなく、知らないけれども、それ自体が将来非常に、何に役に立つのかがわからない大きな価値であるということだと思います。

○照屋大河委員 先ほどのお話の中で、今、先生がおっしゃった豊かな生物多様性の環境が壊される弱さといいますか、何か外来種が入ってきた場合、被害が拡大した場合に、環境が壊されていくスピードといいますか、それにあってはクリスマス島やグアム島のお話、小笠原諸島のお話もありました。そういう意味では、沖縄は豊かさはありますが、壊されていく弱さもあると先ほどのお話で感じました。その点についてはいかがでしょうか。

○辻瑞樹参考人 おっしゃるとおりです。島の環境は、非常に独自の生物がいておもしろいと。沖縄は豊かであります。しかし、同時に脆弱だということは、生物学者の多くに認識されていることであります。専門的に言いますと、なぜこれほど脆弱なのかということに関しては、非常に難しい、まだまだ研究していかなければわからないことが多いのですが、島の環境は脆弱だということは確立した事実です。外来種が入ると大きな被害を及ぼすことが多いということです。

○照屋大河委員 その環境を壊す確率が高いというお話の中で、資料の9ページですが、ブラックリスト方式の問題点の中で、「被害が出るか出ないかは実際に入れてみなければわからないことが普通。なぜならば、生物は進化するので」と。例えば、先ほどの話ではクリスマス島にいるアリはこちらでは被害を出さないというお話もありましたが、害虫といいますか、そういうものが沖縄でどう変化していくのかがわからないという意味なのでしょうか。この辺をもう一度説明いただきたいです。

○辻瑞樹参考人 とても専門家がするような質疑で非常に感激しましたが、両方あります。たとえ今、被害がないことがわかっているような生き物でも、野生化することがわかっていれば、それがその環境に適応して変わってしまうということはあります。逆もあります。入って最初は非常に被害を及ぼしたのですが、自然にだんだん被害がなくなると。これもやはり環境の中でさまざまなことが変わったと。それは、一つその生物が遺伝的に進化したということもありますし、それを取り囲む生物がそれに負けないように進化してきたと。自然に生き物というものは、変わり得るわけです。ですから、そういう面でなるべく被害がなさそうだからといってむやみに入れるということは、非常に問題であると。少なくとも、野生化する可能性があるものは入れるべきではないということが、恐らく多くの保全にかかわる生物学者の共通意見だと思います。

○照屋大河委員 先ほどの質疑の中で、防除の技術を高めていくことは重要だということをおっしゃいましたが、今のお話を聞いて、外来種対策については、侵入防止措置が最優先すべき効果的な措置であるという見解がありますが、これについてはいかがですか。

○辻瑞樹参考人 そのとおりです。外来種問題の基本はまず入れないこと。2番目に、入ったときにどうするか。これは世界的に確立されている考えだと思います。

○照屋大河委員 この条例案はごらんになりましたか。

○辻瑞樹参考人 拝見しました。大変すばらしいと思います。

○照屋大河委員 先ほど、外来生物法ですか、親規定や上位法という話もありましたが、先生が評価していただいた条例案については、上位法である外来生物法の精神を著しく損なうものと先生はお考えでしょうか。それとも、要求に沿って、法律にのっとって十分に条例として認められる条例案だとお考えでしょうか。

○辻瑞樹参考人 先ほど申し上げましたように、この条例は親規定の外来生物法の精神にのっとってつくられたものだと考えております。土壌を移動することに関する規制は外来生物法ではないのですが、この条例案を見ますと土壌に特定外来種、危険を及ぼす可能性がある外来種が入っているときに何らかの対処をする、規制をするということですので何ら親規定に対して反するようなことは書かれていないと拝見しました。

○仲宗根悟委員長 新里米吉委員。

○新里米吉委員 先ほど先生も説明されていましたクリスマス島の観光資源ににもなっているアカガニに、外来種アリが攻撃・捕食をして激減しているというのを私もテレビで見ました。びっくりしました。まさに、外来生物がそこの地域の観光資源にも脅威を与えていると感じましたけれども、先生の御感想をお聞きしたいと思います。

○辻瑞樹参考人 クリスマス島のカニがアリに捕食された例というのは、まさに観光資源に大きなダメージを与えたという外来種問題の典型的な例です。これ以外に大きく報道はされていないけれども、さまざまな外来種問題というのは世界中の、特に熱帯・亜熱帯地域での島嶼ではよく起こっていると私は聞いております。

○新里米吉委員 一部には、今回の条例が経済発展の阻害要因になりはしないかという話もありますけれども、決してそうではないと考えますが、いかがでしょうか。

○辻瑞樹参考人 私はそうはならないと思います。これは、運用の仕方次第です。私は保全生物学あるいは生態学者で、外来種は入れるべきではないと考えるのが主張ですけれども、例えば、親規定の外来生物法の特定外来種を指定するときに、先ほどのアシナガキアリと、もう一つツヤオオズアリというのが沖縄に普通にいるのです。それを特定外来種に指定しようとする環境省の動きがあったときに、沖縄の産業を考えて私は意見を述べてきました。それで、現在アシナガキアリとツヤオオズアリは指定されていません。外国ですごく大きな被害を与えているから日本ですぐに被害を与えるとは限らないです。ツヤオオズアリもアシナガキアリももう沖縄県全体にほとんど定着しておりまして、恐らく一番危険なステージは過ぎて環境に溶け込んでいる可能性がある。そこで新たに指定しても、多分混乱するだけであろうという意見でした。明らかに危ないやつはだめですけれども、たとえこういうルールをつくっても、専門家の意見を聞くなりして、運用次第で産業の振興と矛盾しない形での運用は可能だと考えます。

○新里米吉委員 アルゼンチンアリが非常に注目されてきていますが、原産地では大害虫になっていないけれども、このアルゼンチンアリが外来生物としてほかの地域に行くと、いろいろな被害を起こしているということが言われています。そのことについての説明をお願いしたいことと、日本にアルゼンチンアリの天敵はいるのかいないのかも含めてお願いします。

○辻瑞樹参考人 なぜ外来種が侵入先でもといた場所よりも大きく数をふやすのかという問題に関しては、まさに私の専門で、専門であるからこそ簡単な意見というのが言えないところなのです。一般に、外来種となっていて、入ったところで非常に数をふやして被害をふやすのは、もともといたところでは数が少なくて絶滅危惧種になっているものさえいます。なぜそうなるのかという意見で一番一般的に学者に受け入れられている考えは、もといたところではさまざまな天敵に取り囲まれていて数がふやせないけれども、入ったところでは天敵がいないということによって数をふやしてしまうということが一つ大きな要因だと考えられます。
 それと、委員がおっしゃったアルゼンチンアリには天敵がいないのかということですけれども、実はアルゼンチンアリに関しては南米でもアルゼンチンアリだけを特異的に攻撃する天敵が余りわかっていないのです。恐らくいると思いますけれども、まだそれほど研究されていなくて、ヒアリの場合は相当研究されています。そういう理由で、恐らくアルゼンチンアリだけを特異的に攻撃するような天敵は日本でもいないと思います。ただ、クモとかさまざまな、アルゼンチンアリ以外のものを捕食するものにアルゼンチンアリはもちろん捕食されます。さまざまな在来の捕食者といった天敵が頑張ってくれればアルゼンチンアリの数も減らすことができますけれども、なかなかそうはなっていないというのが現状なのではないでしょうか。

○新里米吉委員 今、アルゼンチンアリは、日本のどの地域に侵入してふえつつあるのか伺いたいです。

○辻瑞樹参考人 最初に見つかったのは、広島県廿日市市で見つかりました。侵入はかなり前でだんだんそれが広がっていった。それで国内の移動あるいは外国からまた独立に入ってきたというところで、港湾地域で相当見つかっています。まずは、神戸、横浜、そこから派生して名古屋だとか東京とかいろいろなところでローカルに大発生しています。今、環境省がシラミ潰しに防除事業をしているのですが、埋立地での防除が成功したところもありますけれども、一番大きな広島の集団はかなり広く定着しているので、まだまだ苦労が予想される。ただ、環境省は頑張って成功しています。局地的には完全にいなくなった場所もありますので、まだまだやり方次第でアルゼンチンアリの蔓延は食いとめられるのではないかと私は考えています。

○新里米吉委員 こういった外来生物が県外から沖縄に持ち込まれるという状況になったとき、今回の条例の土砂や岩ズリといった埋立用材が沖縄に入ってくるというときに、十分にチェックが可能ですか。

○辻瑞樹参考人 特定外来種に絞ればチェックは可能だと思います。というのは、特定外来種はチェック可能ではない種類は、特定外来種になっていないのです。そういう前提で法律がつくられていますので、土砂の中にアルゼンチンアリが入っているかいないかは、現地調査でアルゼンチンアリがすんでいるところから持ってきた土砂かということでチェックは可能ですし、他の外来植物が土壌に入っていないかどうかは目視でチェック可能です。

○新里米吉委員 アルゼンチンアリを絶滅させた地域と、かなり広範囲になってこれからどうなるかわからない地域があるかと思いますけれども、そういったところから入ってくる前に、そこの地域で絶滅させることは可能なのですか。例えば、今、問題になっている広島や山口あたりで絶滅可能なのかどうか。

○辻瑞樹参考人 神戸市のポートアイランドや横浜のみなとみらい地区にも入っているのですけれども、あの程度の比較的狭い地域で広がっているアルゼンチンアリに関しては、いなくなったところは完全にその防除に成功しています。ただ、広島県や山口県といった広く広がったところに関しては、まだ完全な防除に成功していないというのが現状だと思います。害虫は何でもそうですけれども、広がっているところは防除は難しいです。

○仲宗根悟委員長 山内末子委員。

○山内末子委員 先ほど先生は、本県は生物多様性の宝庫だということをおっしゃっていましたが、本県の生物多様性の特徴について基本的なことをお願いいたします。

○辻瑞樹参考人 まず、陸と海でそれぞれ似た面と違っている面がありますが、先ほどデータで示した論文で、浅海域でのサンゴ礁の生物の多様性の世界的なホットスポットだということは知られていることです。私が専門にしております陸上の生物も、実は非常に特殊で多様な生物がたくさんいます。というのは、そこにいる固有生物は、他の大陸や島から隔離されてからの時間が長ければ長いほど、そして隔離された面積が広ければ広いほど特殊な生物というのは進化します。実は、中琉球というのは、DNAのデータから計算されているのですが、今まで生物地理学的な研究で200万年ぐらい他のどの地域とも交流がなかったと言われ、それによってここの島にしかいない固有の生物はたくさんおります。ヤンバルテナガコガネやヤンバルクイナが代表的な例ですが、あのように天然記念物として注目されていない固有の生き物も沖縄にはたくさん生息しております。そういう面で非常に沖縄は陸でも海でも生物多様性が高い、日本の有数の場所です。面積にしますと、日本の国土の少ししかないところですが、生物多様性の大半をここが占めると。数字は調べないと言えませんが、そういうことが生物学者の一般的認識です。

○山内末子委員 世界的にも今、生物多様性をしっかりと守っていこうという動きがあったり、そういう法律をつくったり、いろいろやっていると思います。それでもやはり、自然体系が壊れてきている現状の中、生物多様性の宝庫の沖縄にいろいろな法律を課していったり、それからいろいろな条例をつくっていったりして、そのように守る作業をしていかなければ、沖縄の生物多様性、そして自然体系は守れないという理解をしているのですが、その件について先生のお考えをお聞かせください。

○辻瑞樹参考人 残念ながら私も同意見です。生物多様性が重要だと、それが財産なのだということは何となくわかりますが、さまざまな利害対立、産業を優先させる、さまざまなことでどちらもそちらのほうが優先されてしまいます。どういう考え方にすればいいのかと言いますと、未来に対する投資であると。生物は、一番収益源になりそうなものは観光と遺伝子資源、創薬などですが、熱帯雨林があるような東南アジアなどの諸外国に行きますと、もっと沖縄で見られているような構造がはっきり見えます。向こうは遺伝子資源であると。完全に標本は出さずに囲い込む。ですが、それと同時に熱帯雨林を切ってしまって、アブラヤシを植えるということを同時に進めて、矛盾することをしているわけです。沖縄が文化的にも豊かであると自負するのであれば、今、食っていくかということよりも、我々の未来の子孫がよりよく生きていけるような投資という形で、自然の遺産であります生物多様性を保護していこうというコンセンサスが、県民の中に今以上に形づくられても、私はいいのではないかと希望的に思っております。

○山内末子委員 そういう意味では、先ほどもありましたが法律でも外来生物の侵入から守るのにまだ足りないと。ですから、もっともっと地域性を持った条例などの制定が必要だと。我々はそういう意味でこの条例を制定していこうと思っておりますが、この条例がツールとなり得るような条例になっているのか。先ほど先生も条例を読んでいるとおっしゃっていましたし、評価もしていると言っておりましたが、評価をしている一番のポイントをもう少し具体的にお聞かせ願いますか。

○辻瑞樹参考人 私は法律の専門家ではありませんが、この条例案を見て、先ほども申し上げましたように、非常に新しいところというのは、大量の土壌の搬入に関して規制をかけているというところです。それはそこに特定外来種が入っていないかということに注目して、場合によっては知事がとめることができるということは非常に強い措置で、沖縄の独特の自然環境を考え、そして沖縄は公共事業で埋め立ても非常に多いので、これは一つ、全国に先駆けた生物多様性を保全していくための大きな新しい措置ではないかと思います。もちろん、トータルにどう生物多様性を保全していくかということに関しては、まだやるべきことはたくさんあると思いますが、その一歩としては非常に大きな一歩だと考えております。

○山内末子委員 条例が制定されれば、やはりそれを執行していく県の責務は大変大きくなると思いますが、その点に関して一体どういう方向性を持った形で県が対応していったほうがいいのか、先生の助言がいただければと思います。

○辻瑞樹参考人 環境アセスメントをしたかということをまず書類で判断します。その後に、専門家が土壌の搬入元の環境を見るということまでできるとなっていますが、これは非常に大きいです。恐らく、何らかの環境影響評価審査会、外部団体、あるいは県のどこかの部署にそういうものをつくって、土砂のもととなる場所の環境を見る、現場で観察するということは、恐らく一番有効で大きな方法だと思います。非常にこれは手間がかかりますが、こういうことは条例に沿ってやるべきではないかと考えます。

○仲宗根悟委員長 玉城義和委員。

○玉城義和委員 直接関係はないのですけれども、いい機会ですから生物学者としての哲学を少しお聞きしたいのですが、要するに生きとし生けるものはみんな生きているわけで、生物も植物もそうですが、例えばウリミバエを根絶していくとなるとその種は絶滅していくわけですよね。そういう意味では生物や植物には根絶をしてもいいものがあるということが前提で成り立っているのでしょうか。

○辻瑞樹参考人 思慮深い御意見だと思います。生物学者の多くは、たとえ害虫であれ何であれ、生物の種を絶滅させるべきではないと考えている人のほうが多いと思います。ウリミバエあるいはアルゼンチンアリの根絶を目指しているのは、それはもともと日本にいなかったからです。外国の自然分布域というところでは自然にそれらは暮らしている場所があるわけです。それが外国からやってきた。人が運んだり、あるいは何らかの大きな気候変動で飛んできて、それが害を日本にもたらしている。そういう場合には、もともといなかったのですから、それがいない状態に戻してやろうというので、種としての絶滅ではありません。沖縄の集団、日本の集団を根絶させると、これまでやられている事業というのは全てそうです。

○玉城義和委員 よくわかりました。ありがとうございます。
 それでは、もう少し説明をお願いしたいのですが、3ページです。「地域にしかいない有象無象の野生生物たちは全て未利用の遺伝子的資源と考えるべきである」、世代が存続するためにも「将来において地域が経済的に発展する」という項目をもう少し詳しく説明していただきたいと思います。特に地域の経済に発展するために有用であるというあたりをお願いします。

○辻瑞樹参考人 これもなかなか思慮深い御意見だと思います。熱帯地域の諸外国、ブラジル、マレーシア、インドネシア、みんなどうしているかと言いますと、先ほど申しましたように国内の生物の標本は一切出さない。それは特別に提携を結んだもの以外は研究させないというのはどういうことかと言いますと、それは野生生物を特に遺伝子資源として研究することによって、大きな将来的な利益が得られるというようなことが見込まれているからです。絶滅してしまっては、将来、それが使える可能性というのはなくなるわけです。これは物すごく難しいのですが、そんなに生かしておいて本当に役に立つのかというと私もそれはわかりません。しかし、いなくてはその可能性は永久に塞がれてしまうという点が1点です。2点目に、実際にこれは研究すれば研究するだけそういう成果というのは出てきます。非常に日本はABS(遺伝資源の利用から生じた利益の公正で衡平な配分)問題というのがこれから外国、特に発展途上国から遺伝子資源を持ち出して研究をして創薬をしよう、あるいは勧業に役に立てようというときには、そのとってきたもとの場所の国にも利益を還元しなくてはいけないというような―専ら日本は先進国で、薬をつくる側であるというような考え方なのですが、これは間違いだと思います。実は、特に沖縄県は東南アジアの熱帯雨林に匹敵するような生物多様性を持っています。ここで、たとえ外国の生き物というのが全く研究できなくなっても、ここの生き物を保全してここの生き物を研究することによって、遺伝子資源の開発の無限の可能性は私はあると思います。これは非常に攻めの姿勢です。というのは、実はこのABS問題に関しては、私は日本の国というのが国家的な配慮が不足していると考えています。ですから、沖縄はむしろ攻めの姿勢でこういうものを守ることによってもっと世界のためになる、沖縄県民を豊かにする、日本を豊かにしようという観点があってもいいのではないかと思います。それが本当に役に立つかわからないのですが、それは現実に研究すればするだけそれに比例した形で成果というのが上がっているというのも事実なのです。

○玉城義和委員 次に、外来生物法の問題点が幾つか挙げられました。それによって国内の外来種を防ぐことができないということでありまして、ホワイトリスト方式等々との関連がありました。条例との関係も少しありますので、見解を伺いたいわけですが、この文章によると、「沖縄は日本本土と地史や自然環境の面で大きく異なり、これら地域間の野生生物の移動は国間のそれに匹敵する影響を持ち得る」ということです。そういう観点に立てば、この我々が出した条例をごらんになったということですから、こういう観点をこの条例に反映させるために、特に特記すべき事項、今の外来生物法の欠点を防ぐ特段の必要があると思われるような条項、こういう条項を入れるべきではないか、あるいはこういう配慮をすべきではないかというのが、特にありましたら御教授いただきたいと思います。

○辻瑞樹参考人 法律に沿った形ではかなり難しいものがあるのではないかと思います。しかし、特定外来種に載っていないリストの外来種がそこにいる場合、その外来種がまだ沖縄には入っていないという場合には何らかの意見が言えるのではないかと思います。ブラックリスト方式ですので、特定外来種あるいは未判定外来種というのしか規制はかけられないのです。特に未判定外来種というのが、内地から持ってくる土壌にいるという場合には専門家の意見を聞いて、例えば、南方起源の種だから沖縄のほうではもっと広がりやすいだろうというような意見を添えて対策をお願いするということは可能ではないかと思います。

○仲宗根悟委員長 奥平一夫委員。

○奥平一夫委員 環境問題を詳しく質疑する時間を得られて大変うれしく思いますし、辻先生の専門的なお話には非常に感激して興味を持って聞いておりました。沖縄県も生物多様性おきなわ戦略を平成25年度に策定しまして、その戦略に基づいてさまざまな環境保全をして、生物を守っていこうということがあります。先生のレジュメの3ページにもありますように、非常に感動しました。「将来において地域が経済的に発展するためにも有用であり、短期的な利害を安易に優先させることで失ってはならない」という文言は非常に大事だと思っております。今、この社会は同じことに対しても相互に対立し合うということがずっと続いておりまして、例えば経済活動と環境保全が、今、注目されている。今回、我々も気持ちを動かして何とかしなければならないということで、この条例制定に向けて議論をしてきたところでございまして、そういうさまざまな対立の中で、先生がこの中でおっしゃっている「短期的な利害を安易に優先させることで失ってはならない」という文言について、もう少しかみ砕いて御説明をいただけないでしょうか。

○辻瑞樹参考人 具体的な例を申し上げると一番いいのですけれども、特にこれをというのをすぐに思いつくことはできませんが、生物多様性や保全の考え方をしている生物学者と経済学者あるいはエコノミストとの一つの大きな違いというのは、エコノミストの方は短期的なことを非常に重要視します。それはそれで正しいのですけれども、実は生態学というのは生物も含めた大きな経済学であります。どれぐらい生物が安定的に生きていけるかという。そういう面では短期的な個体数の変動と長期的な存続というのは、しばしばトレードオフに―ふえすぎると後で生き残れないというのが議論されているのです。それで、生物学者、保全を研究している者は、長期的に考えてよりよくなるようにということを我々は主張します。でも、短期的な場合が非常に重要だというのもある局面では事実ですので、それはいろいろな意見をぶつからせながら、よりよい判断をしていくべきだと思います。何が何でも生物多様性、長期的な、というようなことで意見を通すことは恐らくできないと思います。すごく経済が悪くなったり、あるいは大きな災害が起こったときに、そこの生物多様性をまず優先しろということには恐らくならないと思うのです。でもその中で、長期的に考えたら、この部分は残しておくべきではないかという意見はさまざま出てくると思います。具体的な例で言うと、東日本大震災で東北地方で大きな堤防をつくって備えようということがありますけれども、それは生物多様性ではなく生態系の機能を損なうので、行く行くは経済的にも余りよくはないのではないかという意見も出ているのです。例を言うとそういうことです。

○奥平一夫委員 生物多様性おきなわ戦略の中でも、森、川、農地、町、干潟、海を保全しましょうということになっていますけれども、実際には沖縄が復帰してから干潟を埋め立てた面積はほぼ那覇市の面積に等しいと言われています。現在でも那覇空港滑走路増設事業であったり、あるいは中城湾港泡瀬地区埋立事業であったり、今、問題になっている大浦湾の埋め立てに対する保全というものが非常に重要になってくると思いますけれども、きょうは個人的な意見をお聞きしたいところですが、時間もありませんので、最後に沖縄において先生が考えられる生物多様性を減少させる脅威というものを減少させることについて少しお話をお聞かせください。

○辻瑞樹参考人 保全生物学の教科書で生物多様性を損なう原因、種を絶滅させる原因は大きく3つ。1番目は環境破壊です。すみ場所をなくしてしまう。埋め立ててサンゴをなくしてしまうことはその典型だと思いますけれども、それが1番目です。2番目は、とり過ぎ、利用し過ぎです。3番目が外来種による侵略、外来種が取ってかわってしまうことが言われています。それのどれが重要かというのは学者によって意見が違いますが、言われているのは、1番目と2番目の環境破壊、生息地の改変と利用のし過ぎというのは、絶滅する前にやめれば復活するのです。でも、外来種というのは一旦入るとふえますから、どんどん広がっていく可能性があるというところで厄介だと言われています。沖縄に関しては何が大きいか。恐らく、まだ外来種よりも生息地の破壊がこれまでの影響は大きかったのではないか。それは生物の分類群によって違いますが、一番ダメージを受けたのは、恐らく浅海域―浅い海にすむ生物だと思います。

○仲宗根悟委員長 吉田勝廣委員。

○吉田勝廣委員 環境省は外来生物被害予防3原則を提唱していると。これは入れない、捨てない、広げないということですが、入れないという部分が今度の条例の中で書かれていますが、どうお考えでしょうか。

○辻瑞樹参考人 外来種の蔓延対策の基本は、入れないというのが一番重要です。少なくとも入っていないものに関しては入れるなというところで全く正しく、大量な土砂は潜在的に外来種が入り込む余地を与えますので、それを厳しく管理していこうというのは正しい選択だと思います。入った後どうするのかというのは、この条例ではカバーしていないところで、県独自にこれから考えていかなければいけない面も多いかと思います。

○吉田勝廣委員 外来生物法が2005年にできて、生物多様性基本法が議員立法で2008年にできました。この13条に基づいてできたのが今の条例ですが、生物多様性基本法は議員立法ですから、政府はこういう法律はつくりたかったのかどうなのか。議員立法というのは、議員が率先して法律をつくるわけですから、この辺についてはどうお考えでしょうか。

○辻瑞樹参考人 省庁によっても違うと思いますが、恐らくその後の生物多様性条約第10回締約国会議―COP10の議長国になると日本は手を挙げていたわけですので、政府全体が反対していたということではないと思います。政府もサポートしている面が強かったと私は考えております。

○吉田勝廣委員 生物多様性基本法第13条に基づいて、平成25年に生物多様性に対する沖縄戦略ができたわけです。先生はこれを高く評価していると言いますが、どういうところを高く評価されているのでしょうか。

○辻瑞樹参考人 生物多様性おきなわ戦略に対して評価をしているのは、沖縄の生物多様性が財産であるという面が、そういう哲学が反映されているからだと私は思います。

○吉田勝廣委員 今の条例が制定されて、今後の展開の仕方、植物なり生物なりの多様性を生かしていくためには、さまざまな条例も制定される必要があるのだろうなと感じております。そういう意味で、これからの沖縄県がこの戦略に基づいて、どういう形で新たな条例を制定していくのか。この辺についてどうお考えでしょうか。

○辻瑞樹参考人 さまざまな措置が必要だと思いますが、特に防除や侵入、生物多様性の研究に対する基礎投資が非常に重要だと私は考えます。自然に対する保全措置というものは、文化財基本法など文化系の遺産に対する保護措置に準じたようなものになりがちです。あれは非常に困る場合がありまして、実は天然記念物に指定されると、教育委員会などを通じた非常に長い手続を踏まないと研究そのものができなくて、すぐに対処ができないと。ある研究材料が絶滅の危惧に瀕して何かしないといけないというときに、ある措置をするためには、相当その前に許可をいろいろとることになるわけです。生物に関しては文化系の文化財とは違うような緊急措置も含めて特別に考えなければいけないところは多いと思います。一般論としては、さまざまな取り組みは県独自に必要だという意見には全く同感でございます。

○吉田勝廣委員 約2100万立方メートルの土壌を埋め立てに使うという話です。大浦湾を埋め立てるためには必要だと。環境アセスメントで、業者が違えば環境アセスメントが違う。例えば、本当は環境アセスメントでやるべきところを3つの業者が入って分散すると環境アセスメントは必要ないとか。こういった環境アセスメントがなぜできないのかに関してどうお考えでしょうか。

○辻瑞樹参考人 環境アセスメントをしないという事由に関しては、私はフォローしていませんが、環境アセスメントというものは、すべき範囲、事業の規模によって、ここは環境アセスメントをする事業、そうでない事業だと分かれているのです。恐らくそれは規模が小さくなっているのではないかと思います。例えば、工事を3回に分けて、第1期の工事はこれだけだからというのはよくあるのです。常識的には全体で見るべきなのですが、法律的には第1期の工事、第2期の工事それぞれで分けてやるので、そういうこともあるのではと思います。私はこの件に関しては詳しくはわかりませんが、その規模が環境影響評価法の基準を満たしていなければやらなくてもいいというのは、法律でそうなっているかと思います。

○吉田勝廣委員 今の外来生物法はブラックリスト方式で、やはりホワイトリスト方式にやったほうがよかったのではないかという御意見だったのですが、私もそう思いますが、なぜそうならなかったのですか。

○辻瑞樹参考人 それは、利害対立です。例えば、産業としてはマイナーな産業ですが、全体の売り上げとしてはかなり大きい。カブトムシ、クワガタムシというのは日本で何百万匹と大量に輸入されていますが、それが産業になっているのです。それをホワイトリスト方式でやられると、新しい商品価値の高いものを持ってくるときに一々許可をというので、そういう業界が成り立たなくなる。クワガタムシも外れたのですが、規制すると野に放つ人がふえるだろうと。生物というのは、さまざまな産業で利用しているところがありまして、それをより効率的に防除、あるいは規制をかけていこうとすると現状の日本ではブラックリスト方式にしかならざるを得なかったと、私は環境省に近い専門家の方からは聞いております。

○吉田勝廣委員 沖縄の特徴として、土壌関係からしますと米軍基地です。米軍の船、飛行機、車両、人間も世界で展開しているわけです。付着する土壌、こういうさまざまな生物などが紛れ込んでいると思うのです。今の日米地位協定上はノータッチと。この辺について、環境の専門家である先生がどういう形で何とかできないのか。ある意味では、たくさん外来種が入っているわけですよね。その辺はどうお考えでしょうか。

○辻瑞樹参考人 まさにそれは大変難しい問題で、米軍基地に持ち込まれるものに関しては、我々の国内の法律では対処し切れないと。もちろん環境省も外務省も働きかけてお願いはしていると思うのですが、それはあくまでもお願いです。現実に、米軍基地由来ではないかと想像される害虫なり生き物もこれまでいたわけです。これは基地が存在している地域固有の非常に難しい問題だと思います。恐らく、アメリカ合衆国側にも協力していただかないと本質的には解決できないと考えております。

○吉田勝廣委員 生物多様性の方向としては、私たちもそう思っています。ですが、やはり土壌関係です。戦争や米軍基地の歴史を見ていますと軍事車両や兵隊、あるいは船がたくさん入ってきているわけです。そこに付着しているさまざまな生物が、どういう形で駆除され、どういう形で現在に来ているのかということは、先生は研究されたことがありますか。研究されているのなら、説明をお願いしたいと思います。

○辻瑞樹参考人 私自身は物流でどういうものが付着しているのかということは直接研究したことはございません。しかし、同業者にはそういう研究をされている方がいます。外国から入ってくる有名なものは、船のバラスト液ですが、あれで世界中に―例えば日本からワカメが広がって、世界中で問題が起こっているのですが、あれもバラスト液が原因で日本にいろいろな貝が入ってきたりしています。バラスト液がなぜ最近問題になってきたのかというのは、昔、環境ホルモン問題があって、塗装の原料のすずなどを変えたのです。あれをやめたら、バラスト液の中の生物がたくさん生き残ってしまったという難しい問題。よかれとしたことが、外来生物を蔓延させてしまったというようなことが、専門家の間で議論されていることです。本当に物流によってどういう生物が移動しているのかというのは、今まさに生物学の先端研究の世界でもいろいろな方が研究しています。アメリカ合衆国でそういう研究がよくやられています。アメリカ合衆国というのは、物を入れるのも自由ですが、その結果いろいろな生物が入ってきてしまって大変なことになっていると。そのあたりは、アメリカ合衆国でどうなっているのかというのは、我々はいい面でも悪い面でも参考になります。

○吉田勝廣委員 提案している条例に罰則規定がないという話をよく聞くのですが、条例に罰則規定を盛り込むこと、あるいは罰則規定がないからさまざまなことができるとか、いわゆるよく言う言葉で言うと抑止力というのか、こういうことを言う人もいたので、ぜひここは罰則規定を設けるか、設けざるべきかということを先生にお聞きしたい。外来生物法や生物多様性基本法の中でもさまざまなことが言われているので、その辺は先生どうお感じですか。

○辻瑞樹参考人 条例ではなく、外来生物法にのっとっても罰則は適用できると思います。それは、土砂を搬入した業者が外来種がいることがわかっていながら搬入したという場合には、一番悪質な場合ですが、法人の違法な行為ですから、それに関しては強いペナルティーが科せられると思います。これで罰則規定ができなくても、上位の法律をうまく運用することによって、罰則はある程度はできるのではないかと。知らなかったと言われると罰を与えることはできないと思いますが。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、参考人質疑を1人2時間以内とした申し合わせについて協議し、参考人の意見を考慮した上で、時間を延長して参考人質疑を行うこととなった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 沖縄本島の5分の1を米軍基地にとられてきました。それで肥沃な土地が基地にとられて、沖縄は埋め立てを大変やってきたということで、外来種も多いということになったのですが、今回の公有水面埋立事業は前代未聞の県外から土砂を大量に搬入してくる事業になっています。1700万立方メートル、10トントラック280万台分なのです。外来種の侵入の危険が迫っているということで、条例制定について、沖縄県とすれば遅きに失したのでないか。今回、この条例を議員提案で制定をするということで出したのですが、これに対する御意見を伺います。

○辻瑞樹参考人 沖縄県議会の非常に思慮深い判断に敬服いたします。私は全面的に賛成です。

○西銘純恵委員 生物多様性についてもいろいろ聞いているのですが、生物多様性おきなわ戦略で、生物の多様性について県は生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性の3種類を述べているのですが、これについて先生の御意見を伺いたいと思います。

○辻瑞樹参考人 これは沖縄の生物多様性戦略ということだけではなく、世界的に認識されている生物多様性の3要素でございます。生物多様性というのは、まず大きなところから言うと、それぞれの場所でそれぞれの固有の生態系があり、これは尊重すべきである。そして、そのそれぞれの生態系の中でそれぞれ違う種、いろいろな種がいることは尊重すべきである。そして、種の中にもいろいろな遺伝子を持ついろいろな個体がいて、どれも貴重である。それは、我々自身にとって財産であるという考え方、これは沖縄に限らず世界的に認知されている考えをそのまま施行しているものだと思います。

○西銘純恵委員 アルゼンチンアリについてお尋ねします。今回の大量の土砂の搬入元が門司と瀬戸内のほうから搬入するのに、環境省自然環境局の特定外来生物の一覧によれば、アルゼンチンアリがこの2地点に生息しているということなのです。アルゼンチンアリというのはどのようなものですか。生態について伺います。そして、沖縄に侵入したらどのような被害が起きるのか、想定できるものをお尋ねしたいと思います。

○辻瑞樹参考人 アルゼンチンアリは特定外来種で、国際自然保護連合が指定する世界的な最悪の外来種100種の中に入っているアリです。日本では中国地方、瀬戸内海地方で最初に発見されまして、それがかなり広がっています。具体的にどういうことをするかと言うと、とにかくその場所にいるアリがほとんどいなくなってしまいます。特に農業被害というのはそれほど大きくないのですが、家屋に侵入して非常に不快であるという状況です。とにかく、冬でもたくさん行列をつくって家に入ってきます。沖縄も十分生息できる環境ですので、入れば特に埋立地みたいなところでは非常に蔓延するということがわかっていて、例えばそれがヤンバルなどという生物多様性の非常に重要な場所に侵入すると、それがふえてアリだけではなくほかの生き物にも影響を与えるということはないとは言えません。

○西銘純恵委員 家屋の被害、家畜や人間に対する被害、そしてこれがほかの種を根絶していくということをおっしゃったのですが、私たちには想像できない部分があるものですから、もう少し被害についてお尋ねします。

○辻瑞樹参考人 まず、人に対する被害というのはいわゆる不快害虫の例です。特にそれが病原菌を運ぶとか、それによってかまれて病気になるということはアルゼンチンアリではほとんどありません。よく調べると何かばい菌を持っていたということもありますが、それが原因で病気が広がっているという証拠はないです。ただ、広島あたりのアルゼンチンアリが蔓延したところに行きますと、冬でも大量に行列をつくって台所に上がってくる、御飯などを置いておくとアルゼンチンアリが大変たかって非常にいやであると。生物に与える影響は、ほかの在来のアリに与える影響が非常に大きいです。入って蔓延すると三、四年ぐらいで一部のアリを除いて、ほとんどの在来の日本のアリが駆逐されてしまいます。地中性で非常に小さなアリやサクラアリなどというものを除いては、いなくなると言われています。

○西銘純恵委員 アルゼンチンアリの防除に関する件で、環境省が何度か告示を出しているということですが、アルゼンチンアリだからそういう告示をされているということなのか、内容についても説明いただけたらお願いします。

○辻瑞樹参考人 恐らく、それは今、被害が出ているからだと思います。非常に日本の国内で急に広がりつつあるということです。これは農業害虫ではないですから、環境省のほうでこれは在来の生物多様性に与える影響が強いということで、環境省が率先してその啓蒙普及に努めているということです。この広がる原因は、人が原因なのです。アルゼンチンアリはアメリカ合衆国などでも研究されていますが、恐らく物流に沿って、例えばアルゼンチンアリがいるところにコンテナを置いておくとアリが簡単に巣ごと引っ越しをします。それがそのまま持って行かれるとそこでふえます。引っ越し引っ越しをしながらじわじわ広がっていきます。ですから、離れたところに突然あらわれてそこからじわじわ広がっていくという形で、恐らく港など物流の中心になるような埋立地であるとか物が集積されるところを中心に本州では広がっています。

○西銘純恵委員 アルゼンチンアリが門司、瀬戸内にいるということで、そこの土砂が大量に入ってくるということなのですが、ほかにも土砂採取予定地に定着している特定外来生物で、無脊柱動物のセアカゴケグモやクロゴケグモ、ナルトサワギク、アレチウリなど、7カ所の地域のほとんどに生息しているというようなことがあるのですが、その辺についてもお尋ねします。

○辻瑞樹参考人 私もその資料を直接各自治体、あるいは環境省が調べたリストで確認しました。広がっているようです。ただ、それは県あるいは地域単位での分布ですから、これは正直に申し上げて、土砂が持ち込まれるところにいるかどうかというところに関しては、その業者にどこからとってくるのかというのを聞いてこないことにはわかりません。例えば、アルゼンチンアリが山口県にいるというのは、山口県のどこかにいるということであって、山口県全体にいるわけではありません。そういう部分で、運用上そういうものが入ってこないようにしようというのは、やはり専門家で、その種がわかる人がいて、そこの土壌を持ち込むもとになるところにその生き物が実際にいるかどうかということを確認するのが重要で、あと本当にその業者がそこだけで土壌をとって入れてくれるという、この2つが成り立てば対処というのはできるかと思います。ですから、この条例案にある現地調査を行うというのは非常に重要だと思います。

○西銘純恵委員 最後にお尋ねします。生物多様性が豊かなこの沖縄に大量の土砂が入る中で、特定外来種の侵入を阻止していくという条例を制定するということになっているのですが、世界自然遺産登録の観点でこの条例の関連をお尋ねしたいと思います。

○辻瑞樹参考人 大変すばらしい質疑だと思います。世界自然遺産登録をするときの判断基準は、自然を守るルール、法的なそういう手続がとられているかどうかということなのです。これは、そこにいなかった生物が広がらないようなルールをつくって、そういう取り組みをしていることを示すことになりますので、世界自然遺産登録に向けて非常にプラスに判断される材料になると私は考えます。

○仲宗根悟委員長 當間盛夫委員。

○當間盛夫委員 きょうはどうもありがとうございました。今度の条例をお読みなったということであります。外来生物法の趣旨を踏まえるということであるのですが、この法律の中に公有水面埋め立てに関する云々という部分で、何か条文がありますか。土壌云々の話が先ほどありましたけれども、この法律の中にもそういった規定があるのでしょうか。

○辻瑞樹参考人 私は法律の専門家ではありませんし、外来生物法は読んだことはありますけれども全部覚えているわけではありませんが、私の記憶ではその埋め立てに関することで派生するようなものはなかった記憶があります。調べてみなければわかりませんけれども、主に、意図的に生き物を移動する―特に国外から持ってくるときの規制が主な法律のターゲットでしたので、恐らく親規定には埋め立てで云々というのは、私の記憶ではなかった気がします。

○當間盛夫委員 条例を見ながらお話をさせていただいていますけれども、それを踏まえてやろうとしている中での今度の条例なのです。また、先生は外来生物法には限界があるということでした。今度の条例は国内の土壌であるわけですから、それからすると特定外来生物となると、先ほどのアルゼンチンアリというのは国外からこういう形で来ているというのがあるのでしょうけれど、本来、国内にいる部分のものもある程度踏まえながらやらないと、この土壌の部分はどうなのかと思います。例えば、今、北海道で外来種対策基本方針というものがあるのです。制定をして、特定外来生物とは違う形で、指定外来種という形で国内からのものであってもそういったことができるのだという条例をつくってきたわけです。先ほど、この条例をつくるのは大変意義があるということであったのですが、その中で県がつくっているのが生物多様性おきなわ戦略で、我々も十分に認めているということで率先してやっていかなければならないのですけれども、実は県の外来種対策というのは、マングース対策でしかないのです。それも見ながら何か御意見はありますでしょうか。

○辻瑞樹参考人 マングース対策は一生懸命やられていますし、県はマングース対策以外にもいろいろやられていると思いますけれども、大きく報道されていたり、注目されているのはマングース対策であることには間違いないと思います。私もはっとした指摘でして、現に北海道では条例で国内外来種に関して何らかの規制をやっていると。沖縄県はそれに見習うべきであろうということはまさにそのとおりです。場合によっては、北海道よりも沖縄、九州というのは生物多様性の違いが大きいのです。そういう面で北海道でできたことは、沖縄でもっと沖縄に合った規制をいろいろつくるべきだというのは、まさにそのとおりだと考えます。

○當間盛夫委員 私は今回の条例に対しては批判的でも何でもなくて、遅きに失しているところもあるのかと思いますが、現実は県を見ても外来種対策というのはマングース対策でしかないというところもあります。先生がおっしゃるような生物多様性からすると、もっとサンゴ礁に関するあり方を沖縄県がもっと率先してやっていく必要もあるのだろうなということからすると、いろいろと条例がある中でも、私は沖縄県の外来種対策基本法というのを県が率先してつくっていくことが大事かと思っております。もし御意見がありましたら。

○辻瑞樹参考人 まさにそのとおりだと思います。私も先ほど申し上げたように、これは一歩であると。より包括的なルールづくりを沖縄は急ぐべきではないかと私は委員の御意見に同意します。

○仲宗根悟委員長 大城一馬委員。

○大城一馬委員 今回、この条例を提案する中で、先ほどから話がありますけれども、私どもはアルゼンチンアリの脅威、被害が大変なものだということをつくづく感じています。これは環境省自然環境局が出したアルゼンチンアリ防除の手引ですけれども、いろいろ載っております。その中で、先ほど先生が紹介しましたように広島県や山口県の地域において、この家屋侵入を防ぐための薬剤費が、一夏一軒につき2万円程度の経済負担が生じているという事例も国は出しているのです。ですから、このアルゼンチンアリの被害というのはあらゆる方面に―単なる農作物やほかの在来生物とは超えて、こういう人的にも経済的にも負担や被害が生じているという国が出している報告でございます。それについてはどういう考えですか。

○辻瑞樹参考人 アルゼンチンアリの被害というのは、農薬をたくさん使うようになった間接的な弊害というのが私は大きいと思います。実は、アルゼンチンアリは不快害虫で、気にしなければそんなに害はないのですが、しかし非常に不快だということで個々の家庭がたくさんの薬剤を使います。農薬にも使われないようなフィプロニルなど非常に残留性の高い薬剤を使っているのです。それをたくさん使うことによって、逆に地域の自然というものが破壊される。また、アルゼンチンアリの被害で直接わかっているのは、ほかの日本のアリがいなくなるということだと言いましたが、実はアリというのはいろいろな生物と共生していまして、このアリがいないと植物の種ができないとか種を運んでくれないなどというような共生関係というものをさまざまな生き物と結んでいますので、日本のアリがいなくなってしまうと間接的にさまざまな生き物が絶滅したり、あるいは数を減らしたりということが当然考えられるわけです。ですから、非常によく見ないとわからない効果です。あるいは、直接、人に甚大な害という効果はないのですが、アルゼンチンアリがふえることによってさまざまな環境問題というのは起こると思います。農薬、薬剤の多用というのは非常にゆゆしき問題です。

○大城一馬委員 もう一つ、農業害虫の被害の報告もありますが、やはり北米あたりではサトウキビにも影響しているということで、やはりサトウキビというのは沖縄県の基幹農業作物ですから守らなくてはなりません。このサトウキビに非常に影響しているということがあるのです。ですから、こういった危険な外来種は、ぜひ侵入を防ぐということをこの条例で可能な限りやっていかなくてはならないと思っております。

○仲宗根悟委員長 比嘉瑞己委員。

○比嘉瑞己委員 きょうの質疑の中で、本条例が土砂をとりあえず入れ込まないというところに着目した点が有効であるということ。また、土砂に着目したところが有効であるとお聞きしました。先ほどもお話があったのですが、アルゼンチンアリが注目されています。それ以外にも、植物で種などが入ってきて危険だというリストもあるとお話がありましたが、例えばアルゼンチンアリ以外の、植物が万が一沖縄に入ってきた場合、どういった影響が懸念されるのか、事例を御存じでしたら教えてください。

○辻瑞樹参考人 特定外来種のリストに入っていて、山口県、瀬戸内地方に広がっているアレチウリですとかいろいろありました。あれは人が改変した場所で急速に広がって、先ほど日本からヨーロッパに侵入したイタドリがありました。大体、特定外来種に指定されている生き物というものが、もとの動植物がいなかったような、埋立地のようなところに入ると一気に広がり、土地を独占してしまいます。それがだんだんと埋立地以外のところへ広がって、さまざまな外来の植物を圧迫して数を減らしたり、絶滅に追いやるということもありますので注意しないといけません。私の個人的な意見ですが、多くの外来種は競争力が強いと言っていますが、必ずしもそうではなく、人が人為的に改変して、もともといた生物がいなくなったところではとても蔓延する、パワーを発揮するというものが多いのです。どういうところが最たるものかというと埋立地なのです。多少蔓延力のない外来種でもそこでは一気にふえて、そこが中継基地になって県内のいろいろなところに広がっていくということは十分に考えられ、実際にアルゼンチンアリが日本国内に広がっているのもそうです。アルゼンチンアリに限らず、特に特定外来種に指定されているような生物というものは、埋立地での蔓延を注意しないといけないと私は考えております。

○比嘉瑞己委員 生物多様性を守っていくことが、未来への投資であるとの考え方が大変勉強になりました。今回の条例が、包括的な沖縄の規制の第一歩になると私たちも願うところですが、環境問題について日本よりも国際社会はかなり意識は高いとお聞きしますが、こうした、防止するための国際社会の現状などを教えてください。

○辻瑞樹参考人 非常に意識が高いのは、オーストラリア、ニュージーランドは意識が高いです。西洋はアメリカ合衆国を除き一般に意識は高いです。アメリカ合衆国は研究は進んでいますが、比較的自由な国ですから、貿易や物流は自由にやるということが基本ですので、外来種侵入のリスクも当然背負って立つという考え方の国であります。逆にイギリス連邦系でも、オーストラリアやニュージーランドというのは、他の大陸とは違う自然を持っていまして、ありとあらゆる生物が外来種になって過去に定着しているのです。びっくりしますけれども、オーストラリアに行くとラクダが野生化しているのです。何でも野生化して害をもたらす。ニュージーランドの場合には、外来種による被害がGDPのかなり大きい部分を占めていると。実際に大きな被害があった国では、なるべくホワイトリスト方式、一切入れないという形で進んでいます。日本は中間ぐらい。オーストラリアやニュージーランドほどは意識は高くないけれども、だんだん生物多様性の保全の重要性にも気がついてきて、外来種問題にも遅まきながらも頑張って取り組んでいる国の一つだと思います。これから法律も含めて対策は進んでいくと思いますので、沖縄もそれに歩調を合わせる、あるいはそれを一歩進めるような形で外来種問題、自然保護を進めていくことが非常に沖縄県民のためになることだと思います。観光だけではなく―観光ももちろん生物多様性がないことにはだめですが、それだけではなくて、実利的な遺伝子資源というところで、沖縄の自然は人類のためになるところがまだまだ秘められていると私は考えております。

○比嘉瑞己委員 最後の質疑ですが、日本がやっと外来生物法を制定していると。ただこの法にも限界点もまだまだあるという御指摘もありました。こうした中で、今回条例も出されたわけでして、先生は環境省ともいろいろ関係も深いようですが、外来生物法が地方自治体にどういったことを求めているのか、この条例が法の精神にのっとっているという評価をいただきましたが、法が求めている地方自治体への役割、あるいは学者のみなさんから見た地方自治体の果たすべき役割などがあれば教えてください。

○辻瑞樹参考人 それは外来生物法に明記されています。地方自治体は特定外来生物の侵入防止、蔓延防止に協力すべきであると記載されておりますので、条例案はそのような精神にのっとったものであると私は考えます。

○仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、参考人に対する質疑を終結いたします。
 この際、参考人に対し、委員会を代表して一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり御出席いただき心から感謝いたします。ありがとうございました。
 休憩いたします。どうぞ御退席ください。

   (休憩中に、辻瑞樹参考人退室)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 次に、審査日程等の変更についてを議題に追加することについては、休憩中に御協議をお願いいたします。
 意見の一致を見たときは、本件を議題に追加し、諮ることといたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、議題の追加について協議した結果、追加することで意見の一致を見た。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 審査日程等の変更については、休憩中に御協議いたしましたとおり、議題に追加し、直ちに審査を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 審査日程等の変更についてを議題といたします。
 6月16日に決定した審査日程では、執行部に対する質疑は行わず、7月7日に議案提出者に対し質疑を行うこととしておりますが、委員長及び与野党代表者による協議の結果、日程を変更し、この後、議案提出者に対し質疑を行い、7月7日に執行部に対して質疑を行うことで意見の一致を見ております。
 審査日程の変更について、休憩中に御協議をお願いいたします。
 休憩いたします。

   (休憩中に、審査日程の変更を協議した結果、委員長及び与野党代表者による協議結果のとおり変更することで意見の一致を見た。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 日程の変更については、休憩中に御協議いたしましたとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 ただいま、執行部への質疑を行うことが決定されたことから、6月16日に決定した「公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する特別委員会における質疑の要領等」に「質疑に当たっての留意事項」を追加することについて、休憩中に事務局より説明させます。
 休憩いたします。

   (休憩中に、事務局から質疑に当たっての留意事項について説明があり、協議した結果、追加することで意見の一致を見た。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 お諮りいたします。本特別委員会における質疑の要領等に「3 質疑に当たっての留意事項」を追加することにつきましては、休憩中に協議したとおり取り計らうことに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 休憩いたします。

   午後0時37分 休憩
   午後2時7分 再開

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 次に、議員提出議案第1号についてを議題といたします。
 ただいまの議案の審査に当たり、提出者を代表して、仲村未央議員、新垣清涼議員、渡久地修議員及び比嘉京子議員を沖縄県議会会議規則第75条の規定に基づき、委員外議員として出席を求めております。
 議員提出議案第1号公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例について審査を行います。
 休憩いたします。

   (休憩中に、委員長から、6月16日の本会議において提案理由の説明は終了しているため、説明を省略し、直ちに質疑に入ることについて説明があり、協議した結果、省略することとなった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 提案理由の説明を省略することについては、休憩中に御協議いたしましたとおり決することに御異議ありませんか。

   (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定されました。
 次に、質疑時間の譲渡がありましたことを報告いたします。
 島袋大委員から質疑時間の全てを、中川京貴委員から質疑時間の5分を照屋守之委員に譲渡したいとの申し出がありましたので御報告をいたします。
 なお、質疑の持ち時間を譲渡した委員は、譲渡を受けた委員の質疑中は在席する必要がありますので御承知おきをお願いいたします。
 これより、議員提出議案第1号に対する質疑を行います。
 なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
 照屋大河委員。

○照屋大河委員 沖縄の豊かな自然環境は県民共通の財産であるということを念頭に一緒になってこの条例案を検討してきたわけですけれども、午前中の国立大学法人琉球大学―琉大の辻瑞樹先生の質疑の中で、この県民共通の財産はむしろ積極的に守っていくべきではないかということで先生から発言がありました。そういう意味で、先生はこの条例案について高く評価し、環境を守っていく第一歩であるという評価もいただきました。それぞれの委員も共通の財産を守っていく認識であると私は思いますが、一方で、その条例の制定に当たって手法にもいろいろな意見があって、この条例案について他県同様に行政で条例をつくっていくべきではないかという意見があるのです。ただ、私たちは議会議員として、豊かな財産を守っていくためには議会の権能を発揮して、みずから自然を守っていくという県民要求に応えていくべきで、条例案を提出すべきだと考えますが、先ほど申し上げました行政が策定していくべきという意見に対して、提出者代表者の皆さんの提出者全体の意見を訴えていただきたいと思います。

○仲村未央議員 今回、あえて議員提案をすることに至っているわけですが、このことに関しては、提案の仕方はもちろん2つあると思っています。議会基本条例第16条に政策立案・政策提言等というのがありまして、「議会は、議員提案による条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、積極的に政策立案及び知事等に対する政策提言を行うものとする」とあります。この趣旨にのっとるものであり、また、まさに政策提言を通じて、今回生物多様性の確保に対して、このことが契機になって、県行政を挙げて総合的な対策への底上げになっていくものではないかと期待をして提案に至ったところです。

○照屋大河委員 今回この特別委員会が設置された点についても、議員提案であるということをもって、広く県民にこの問題が大きく提起されていくと思います。きょうからいよいよスタートしますし、ぜひ議論を通して、この沖縄の豊かな自然環境の重要さ、議員提出議案であるということの重要性をぜひ代表者の皆さんで訴えていただきたいと思います。

○仲宗根悟委員長 吉田勝廣委員。

○吉田勝廣委員 条文の説明をお願いしたいと思います。第4条第6項の埋立用材の搬入の届け出について、このときに防除の実施の有無とか防除策について行った検討内容とか書かれていますね。この内容について、事実確認は県がやるのか誰がやるのか、説明をしていただきたいと思います。

○仲村未央議員 第4条そのものの届け出自体は、埋立事業者が届け出る内容になっています。各号に規定する内容を事業者に届けていただくことになりますので、基本的には事業者が搬入に当たって、どのような防除対策をとったのか、とる必要があればとったのか、あるいはとる必要がなかったならばその内容はいかようであったかということを届け出ていただくことになります。

○吉田勝廣委員 私が聞いているのはそうではなくて、防除の必要性があったときには、しっかり防除したのかどうかの確認は誰がするのか、県がやるのか聞いているのです。

○仲村未央議員 第4条で届け出をしていただくのは事業者になりますが、それを受けて、当局におかれてその確認をすると。書類の形式的な審査、文献に基づく出された資料の調査等々を踏まえて、基本的には県が審査をしていくことになりますが、必要とあらば第8条に規定する立入調査等を行うことも含めて、県当局、そして県当局をして依頼された専門的な知見を有する者等にも実際にはかかわっていただくということになります。

○吉田勝廣委員 この場合、条例案第8条に基づいて立入調査をした結果、県がやはりいろいろな形で問題があるというときには、差しとめや搬入を改めなさいというところまで県の権限が及ぶのかどうかをお聞きしたいです。

○仲村未央議員 第9条において「防除の実施又は搬入等の中止の勧告」を規定しております。立入調査の結果、まさに埋立用材に特定外来生物が付着・混入している場合の知事の措置としては、防除を促す措置あるいは搬入の中止に至る勧告も含めて知事ができると規定しております。

○吉田勝廣委員 このような第6項の規定などは、他都道府県や外国の事例はありますか。事例があれば説明してください。

○仲村未央議員 今回のように、埋立用材の土砂に係る外来生物の侵入防止に関する条例自体が全国で初めての例になっているので、そこはそういう趣旨では初めてのことになるかと思います。

○吉田勝廣委員 第4条第9項に「当該埋立用材を県内に搬入した後に特定外来生物が付着又は混入していることが明らかになったときの防除策の概要」と書かれていますけれども、例えば先ほど第9条で中止を勧告することもできる、第8条で立入調査もできると、そこでは工事は完全にストップしますよね。今度は費用の問題ですよね。これまで工事がおくれた原因―それから防除の対策費は、もちろん発注者が持つと私は予測しているけれども、これは当然発注者が持つと理解していいですか。

○仲村未央議員 事業者においても外来生物を持ち込まない、生態系や環境に影響を与える土砂は入れないということを前提に、この事業が承認を受けている経緯があるので、もしそのような現に外来生物が入っていることがわかった時点で、これは条例のみならず、外来生物法そのものでこれを動かすことができないという事態に実際はなります。それに加えて、この調査によってわかった時点で、やはり知事が搬入中止の勧告をするという経過をたどっていきますけれども、実際には事業者において防除の責務を帯びているということでありますので、当然にこれは発注者と受注者の間で解決されるべきことになると思っております。

○吉田勝廣委員 この場合、普通、力関係では事業者が発注するわけですから強いですよね。これが少し曖昧なのではないかと。発注者と受注者の関係からいうと発注者が力が強いので、そのときにもしこういうことが起きた場合、この条項に抵触する場合は、これは受注者が持ちなさいと言われて判こを押した場合は、これは当然受注者が持たなければならない。こういう曖昧なものは好ましくないのではないか。当然、これは事業者が責任を持ってやるべきではないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

○仲村未央議員 埋立申請の計画の中でも発注のあり方については、これから決めますと。どこから土砂を持ち込むかはまだ確定しておりません。決めた時点で、発注仕様書において云々というくだりがよく出てきてはいたのですが、その発注のあり方については、事業者のほうで責任を負う性質のことだと思いますので、この条例においては、あくまで事業者に対する責務なり勧告なりを行っていくということであります。

○吉田勝廣委員 もう一つは、先ほど琉大の先生が、外来生物法では意図的に外来生物を持ってきた場合には1億円とか何かのペナルティーがありますと。ところが、この条例には罰則規定がないので、これが条例として制定されたときにどのようになるのか。そういうことで、先生に説明を求めたら、上位法の外来生物法の中で罰することができるという話をしたけれども、罰則規定を条文化しなかったのは何か意味がありましたか。

○仲村未央議員 先ほど午前中の先生の見解にもありましたように、もちろんわかっていてそれを移動させたりしたことについては、直接本法が及ぶのでこれは対象になり得るというのが一つ大前提にあります。それから、私たちは今回、罰則ということではなく、公表ということで最終的には社会的にしっかりと責務を果たしていただくということの趣旨を期待して、正当な理由なくその措置や知事の勧告等に応じない場合は、公表をするということが実質的にはここでいう罰則に類するものと規定を置いております。そういうことでありますので罰則という意味に該当するのは、公表というところでつながっていると考えております。

○吉田勝廣委員 仮に、工事とかやる場合に、事業者は意図的にはやらないけれども、受注者側が意図的にやった場合というのも1つあります。2つ目は、先ほど私が言ったように、発注する側は力が強い、受注者は力が弱いという力関係において、仮にこの受注者側がいろいろな課題を引き受けた場合、受注者側は大変だと思うのです。基本的には、常に受注者がそのペナルティーを加えられるわけです。この辺がもし間違っていたら、また後で訂正してください。発注者側は、あくまでもいわゆる県の条例に従ってやりなさいよとか、外来生物法に従って施工しなさいと、当然言いますよね。しかし、受注者側が意図的でも、意図的でなくてもやった場合、受注者側が責任を持って対処しなければならないので罰金刑などを食らう。要するに、工事が長くなればなるほど費用はかさむわけですから、この辺をどうするのかという懸念があって、今、質疑をしているのです。

○仲村未央議員 今の事業者というのは、第2条の定義の中で、事業者は公有水面埋立事業を実施する者ということになりますので、今、委員御指摘の発注者側に対する条例ということに―定義の中で、対象としている事業者というのはまさに発注者の側がここで具体的な対応を求められるということになります。

○仲宗根悟委員長 西銘純恵委員。

○西銘純恵委員 午前中に琉大の辻瑞樹先生を参考人に呼びました。そこでいろいろ意見をいただきましたが、条例案については、専門家として高く評価しているとおっしゃいました。議員提案をしたことについては、思慮深い判断に全面的に賛成しますと答えました。あと、沖縄の世界自然遺産登録に向けてこの条例案はどうなのかと聞いたら、生物多様性を守るルールがとられているかどうかという点で、条例を制定することはプラスになると答えました。ですから、私たちの条例案の提案についてこのように評価されているのですが、最初に感想を伺います。

○比嘉京子議員 午前中の専門家の御意見で、冒頭で高く評価をいただいたことにうれしく思うと同時に心強く思った次第です。

○西銘純恵委員 外来生物の侵入を防ぐことが特に沖縄においてなぜ重要かと、生物多様性の重要さを話されました。こう言っていたのですが、人類が利用している資源の多くは生物由来、再生可能ゆえ、今後その割合、例えば薬品、バイオ燃料、新規作物は増加していくであろう。とりわけその地域にしかいない有象無象の野生生物たちは、全てが未利用の遺伝的資源と考えるべきである。これらは人類が末永く存続するためにも、将来において地域が経済的に発展するためにも有用であり、短期的な利害を安易に優先させることで失ってはならないと強調されました。そして、この沖縄には外来生物がたくさん既に入り込んでいて、沖縄は外来生物の天国だというところまで厳しく指摘をされました。今回、条例案を出したのは、沖縄が戦後70年間、沖縄本島の5分の1を米軍基地にとられて、そして土地の活用で、全国的にも大きな埋立事業をずっと行ってきた。肥沃な土地を米軍にとられて、そして埋立面積が大きいと。今回、本当に公有水面の埋め立てをするというときに、この1700万立方メートル、10トントラック280万台分の土砂を県外から運び入れるということが、外来種をどれだけ持ち込むのか。もう目の前に危険が迫っています。これまでも外来種がたくさん入っていて、沖縄でたくさんの被害を受けて経済的な損失も受けてきたというところで、今回、目の前にこのようなものが具体的に出されてきて、議員としても手をこまねいて何もしないでいるかということだと思うのです。ですから、この今回の条例を制定することが外来種の侵入を防いでいくとても大事な第一歩になると考えますが、これに対する答弁をお願いします。

○仲村未央議員 今の委員の御指摘は、そのとおりだと思います。一番最大の防除といわれる「入れない」ということに関して、今回の外来生物侵入のリスクと捉えたときに、過去にない規模の大量の埋立土砂―通常の埋立土砂というのは、なるべく近傍の土砂を使うというのが通常のやり方でありまして、このように全事業の8割にも当たる土砂を県外から持ち込むということ自体が初めてであるという事業が目の前にある。もう一つの今、申請がある那覇空港滑走路増設事業においても、その石材をめぐって県外から入れたいという現にあるその危機に対して、いかなる対応をするかというときに手をこまいてはいられないという意味で、まずその侵入を防止するという視点に立った侵入のリスクを捉えたという点で非常に特徴があり、今回の議員提案のまさに大きな意義になっていると思っています。

○仲宗根悟委員長 當間盛夫委員。

○當間盛夫委員 議員提案の政策条例で、これまで私がわかる範囲では、しまくとぅばの日に関する条例や沖縄県飲酒運転根絶条例などをやってきました。それでは、ある程度参考人招致やいろいろなことをやってきたと思います。皆さんは提出する側ですから、いろいろ勉強会もされてはいると思いますが、条例をつくりますというときに、関係団体を含めてどういう意見聴取をしてきたのですか。

○渡久地修議員 この問題ですが、例えば、前知事が平成25年12月27日に辺野古沖公有水面埋立申請の承認を出したときも、外来生物の侵入防止に万全を期すようにということをやっております。そして、そのことに関しては環境アセスメントでも何度もやりとりをしておりますし、埋め立てを進めていく上で何度も何度もやりとりをして外来生物は入れませんということで、事業者側と県はやりとりをしております。ですから、入れないということは大前提になっていると。そして、きょう午前中の参考人質疑も傍聴させていただきましたが、その入れないということに関しては、与野党かかわらずみんな共通の認識だと思って心強い思いをしました。そういう意味では、これまでの埋立申請や沖縄防衛局、沖縄総合事務局と県とのやりとりの中でこれは大前提で、私たちは今回このような条例提案に至ったということで御理解いただきたいと思います。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、當間委員から本条例案に係る利害関係者からの意見聴取の実施について答弁するよう指摘があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 仲村未央議員。

○仲村未央議員 先ほど渡久地議員から説明がありましたのは、今、条例の対象としている者が、現に公有水面埋立事業を行っている2者ということになりますので、その経過の関係でこれは当然に前提があるということが、先ほど議員が申し上げた説明の趣旨でありました。利害関係者は今般、今、埋立事業を行っているという意味では2者になるということです。先ほど渡久地議員が申し上げた、沖縄防衛局と沖縄総合事務局の2者が事業者として今回の条例の利害関係者になります。

○當間盛夫委員 冒頭に申し上げたのですが、議員提案をするときに、これまでのことを踏まえますと基本的に全会一致でやってきています。小委員会を開いて勉強会を進め、やはり、議員提案ですからみんながそのことを理解して進めていくということが議会において必要かと思っている立場です。
 午前中に、生物多様性は与野党関係なく大事なものであって、サンゴ礁をどうするのか、赤土をどうするのかと。県が進めているのは陸上のものからしますとマングースのことになると思いますし、特定外来種のアルゼンチンアリが侵入するということになりますと、これは大変だという認識は持ちます。しかし、そのことを一緒にやっていなかった者からしますと、もっといろいろな議論を含めて、そのことがまだ足りないわけです。皆さんには公有水面埋立事業のことがあるのでしょうが、もっと一緒に勉強会などいろいろなことも含めながらもっと議論をして、沖縄の生物多様性がどうあるべきかということを議会が出すことが大事だと思います。その中で、今回、公有水面埋立事業に限定してやってきているということからしますと、いかがなものかというところもあります。
 皆さんが今おっしゃるように、事業者は沖縄防衛局と沖縄総合事務局とありますが、公有水面埋立事業を実施する者となった場合には、県がやることもありますよね。県が実施する者となった場合は、県は事業者にもなるのですか。

○仲村未央議員 先ほど2者と申し上げたのは、現に公有水面埋立事業を行っている者がたまたま2者ということで、将来においては、公有水面埋立事業を行う者が事業者として該当します。

○當間盛夫委員 県がやったときには誰がこれをやるのですか。県が事業者ですよね。そして届け出はどうなるのですか。それがわかりません。皆さんが条例をつくったときに、届け出は知事が事業者ですが、そのときの届け出は自分に出すのですか。

○仲村未央議員 公有水面埋立法も事業者としての県という法人の主体と、承認権者あるいは許認可権者、免許権者としての県知事としての性質が同じ人物であるということで、許可と承認、そして申請という立場になることもあるので、やはりこれは条例の対象者が事業者ということはあり得ると思います。

○當間盛夫委員 皆さんも、今回の目的の部分では特定外来生物に限定していますよね。それからしますと、先ほど吉田委員からありましたように、もしそのことがあれば罰則的なものは上位法でということになってくるのですよね。今、那覇空港の並行滑走路と、そして今の辺野古沖の埋立事業。この2つを想定して、この条例を出されているという認識でよろしいですか。

○仲村未央議員 想定といいますか、この事業の、条例の対象は、公有水面埋立事業を行う者、そしてその際に県外から埋立用材を搬入する者と規定をしております。

○當間盛夫委員 これは、私の解釈からしますと、現に進んでいる2つはそういう対象になっているということでいいですね。例えば、那覇空港の並行滑走路分の約2割は県外から入れたいと。そして、那覇空港滑走路増設事業環境監視委員会―環境監視委員会はそれを了解しました。知事はまだどのように回答したのかが見えてこないのですが。そういう部分でのものをやりたいとなったときに、その環境監視委員会とこの条例は、どのような形になってくるのですか。

○仲村未央議員 今、那覇空港を事例に質疑をいただいております。今まさに承認の変更申請がなされて、結論が出ていない中で、仮定ではありますが、環境監視委員会はあくまで事業者側の環境監視委員会ということの役割、そして我々は条例として、県として、この生物多様性をいかに確保していくかという意味での取り扱い、その政策上必要ということで整理をしますので、環境監視委員会とこの条例は双方それぞれが役割を持って機能を発揮していくということになるかと思います。

○當間盛夫委員 例えば、事業者は今は県と国ですが、それを受けた資材を出す側が洗浄してやりなさいという形になってくる。例えば、100で出されていた資材関係が、洗浄もろもろを対処するために100で出せるものが200になったということになりますと、これは間違いなく埋め立てをする部分の資材が高騰しますね。午前中にあったのですが、経済とそれをどう両立していくかといろいろ問題がありますが、この高騰した分はどうなるのですか。

○仲村未央議員 例えば、今、那覇空港の変更申請を例に挙げますと、変更申請の中にはこのように事業者側が想定をしております。「県外からの調達による環境への影響は、事業実施区域及びその周辺の生態系に影響を及ぼす恐れのある動植物種の混入が想定される。石材の採取における環境保全措置は採取業者に委ねることとするが、石材を洗浄して投入することから環境への影響は極めて小さいと考えられる」と。このように事業者のリスクの想定、そしてその対応ということで変更申請の中にはこのような記述が出ております。こういったことを含めて、事業者は当然に生態系に影響を与えないような石材の搬入ということに留意するという意思を持っておりますので、これは事業者において、事業費の中に当然に含ませて、その事業への対応をしていると認識をしております。

○當間盛夫委員 今、言われた分は、現にそのことをやりますと言って沖縄総合事務局はやっているわけです。なおかつ、皆さんは公有水面の資材に関する外来生物の侵入防止条例をあえてつくってやると。現にもうやっているのです。それをあえて条例でつくるという意味合いを教えていただけますか。

○仲村未央議員 例えば、今、言ったような、石材は洗浄して投入することから環境への影響は極めて小さいと考えられるということは、事業者の見解の中に入っております。石材が実際にはどの場所から調達され、その場所にはどういう生態系があって、沖縄に入ってくる可能性のある特定外来生物がいるのかいないのか、そういうところからどのように持ってきたのか、持ってくる過程はどうだったのかということの中身を条例の第4条で県に届けていただくことになりますが、それを踏まえて知事がそれを審査し、そしてそれが言うような環境への影響が極めて小さいかどうかということを判断すると。そのことが非常に重要な手続になってくるということで、この条例の意義として規定しております。

○當間盛夫委員 最後になりますが、沖縄県としても生物多様性おきなわ戦略をつくっているわけですので、我々はもう少しそれを充実させる必要があると思います。その中でも外来生物ということでマングース対策しかやっていないということからしますと、やはり午前中に辻教授からもありましたように、沖縄のサンゴをどうするのかとかいろいろな生態系の問題があるわけです。これだけ多様性のある沖縄ですので、沖縄県の行政にそれをどう反映させるのかと。これは一歩だと辻先生も言っておりましたので、そのこともよしとしながら、ぜひ、沖縄の大事な経済もとめてはいけないという思いもあります。今もう那覇空港並行滑走路も進んできておりますので、この条例ができると工事もとまってしまうのではないかと土木建築業界、経済界の皆さんはいろいろな形で心配しているところもあるわけです。そういうことがこの条例においてあるのかないのかということも含めて、沖縄県の那覇空港や港湾事業など、これからもまだまだ埋め立ても並行しながら沖縄の経済という形もありますので、それにどう影響していきますか。

○仲村未央議員 条例が経済にマイナスの影響を与えるのではないかということを心配されているということですが、この条例は先ほど委員の御指摘のように本来事業者がとるべき措置をどのようにとったのかということを届け出ていただいて、これを確認します。そして、本当に侵入の危険性、可能性が現に確認されるということは、もはやこれが確認できるということをもって、ここが非常に沖縄の将来にとって大事なことですので、この届け出自体が経済を停滞させるとか、やっている措置を届けることが事業をすごく妨げるということにはならないと思っております。
 そして、いずれの事業者においても、外来種防除の意思はこの間も明確に、環境アセスメントにおいても、埋立申請計画の中にも含ませておりますので、これを現にやっていただく中で、県としても沖縄の生物多様性をしっかりと確保していく姿勢を示し、それを確認していくということになろうかと思います。

○當間盛夫委員 この委員会でやれる時間があるのかということを別にしても、やはり我々からこのような形で条例を出すからには、説明責任という部分で大事なところがありますので、しっかりとそういう利害関係者の皆さんにもそのことはやられていただきたいということを言って終わりたいと思います。

○仲宗根悟委員長 比嘉瑞己委員。

○比嘉瑞己委員 公有水面埋立事業による埋立用材を対象にした条例となっていますが、午前中の参考人聴取の中でも、先生は、外来生物法は確かにあるのだけれども限界もまたあるということでした。そういった意味で、本条例が現に沖縄の中で目前と迫っている事象に対して対応する立法事実があると私は思っております。
 確認をしたいのですが、上位法である外来生物法と本条例との関係性について伺いたいと思います。言いかえれば、地方自治体の役割を今後どのように求めているのか、そこら辺を教えてください。

○仲村未央議員 先ほど當間委員からも指摘があったように、県の外来種対策はマングース防除ばかりになっているのではないかというふうに見えると。予算上も、外来種対策の予算というのも、ほとんどマングース対策にしか見えてこないことも実際のところだと思います。外来生物法で規定される外来種の対策は、実際には防除、つまり定着をしてしまった状態に対してどう対策をするかということを具体的に規定していて、それに対しては何々をしてはならないという原則の禁止―意図的な持ち込みに対する禁止と意図的に持ち込む前であったら許可を受けなさいと、許可をもらってそれを放つとか養うということは一部認められますということで、そこには非常に機能します。法に従うと、防除対策というのは、現に蔓延してしまっているものの対策にならざるを得ないということが実際にはあるのです。
 ところが、先生が午前中にもおっしゃったように、外来生物法の目的自体は、「生物の多様性の確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的とする」ということを読めば、これは単なる意図的な導入や蔓延してしまったことに対する対策だけでは本来足りなくて、まず入れない、広げないというところに、実際をどう持っていくかということが出てきます。これが実際に課題となっているのが、非意図的な混入や付着による導入ということへの対策が生じてくる。その場合に、地域の実情に応じた地方自治体の取り組みというものをもって、それを総動員して、全体を底上げしていくことが法が求めていることですし、今回、我々が侵入のリスクをしっかりと優先順位を持って捉えて、条例に転化をしていくということが、一つの形になろうかと思っております。

○仲宗根悟委員長 新垣哲司委員。

○新垣哲司委員 まず、参考人の辻先生には、与野党を問わずに立派な勉強会ができたと非常に感謝しております。
 それから、この議員提案の案件ですが、これは辺野古沖の埋立事業を一刻もおくらせて、普天間飛行場を固定化するような条例で、矛盾点が多い条例です。これから、その矛盾点を追及していきたいと思っております。
 まず、外来生物法を受けて、自然環境を破壊するならば、なぜ県は今まで条例をつくらなかったのか。県と相談したのか、それとも皆さんが先走ったのか、この辺の問題を率直にお答えください。

○渡久地修議員 午前中の参考人の意見は、私も新垣委員と同様にいい勉強になりました。この条例は、普天間基地の辺野古移設をおくらせるといったことが目的ではありません。どうやって特定外来生物が沖縄に侵入するのを防ぐかが主眼になっております。
 県と相談したかどうかということですけれども、こういう状況のもとで、しっかりと今、議論する必要があるということで、午前中皆さんが議論したような総合的な対策にもつながるものとして、今回の条例提案が一歩になればいいと思っております。

○新垣哲司委員 時間も限られていますが、これから順次質疑していきます。
 では、この条例の制定について、もっと県民の多くの意見を聞いてやりたいということも含めて、そう考えているのですか。

○渡久地修議員 今回の条例は、表題にあるように公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例です。けさもあったように、外来生物の侵入ルートは多方面からあると思います。そのいろいろなルートの議論というのは、これからどんどんみんなで議論を深めていかなければならないと思います。そして、それをやっていくためには県民一人一人、経済界も含めて、いろいろなコンセンサスを得ながら、一歩一歩きちんとやっていく必要があると思います。今回はそういう総合的に一気に全てやろうということではなく、10トントラック280万台分も含めて、今、大量に投入されるものに対して入っていないかをきちんとチェックするような条例をつくろうということに限定していますので、これは一つの取っかかりになろうかと思います。

○新垣哲司委員 埋め立ては復帰前もあるのですが、復帰後はどこの市町村ですか。それから、面積はどのぐらいなのか教えてください。

○渡久地修議員 復帰後、沖縄県が沖縄で埋め立てした面積はかなり広い面積だと思います。今、にわかに数字が幾らかと問われれば、即答できる数字はありませんけれども、全国的にも埋立比率は高い県になっていると思います。

○新垣哲司委員 あの当時には岩礁破砕やサンゴの破壊というのはどうだったのか、その辺についてはどのように考えておられますか。

○渡久地修議員 当時の岩礁破砕がどうだったかということは、私は専門家でもありませんので、そこでお答えすることはできませんけれども、ただ、今回のように県外から大量の土砂を、これだけ短期間に一気に持ってくるというのは初めてではないかと思います。

○新垣哲司委員 私たちから見れば、辺野古の埋め立てをストップして工事をおくらせようとしているとしか考えられないのです。本来であれば、埋め立てのこともある程度は答弁できるぐらいにしなければいけません。ですから、なぜ専門である県はやらなかったかということについても明快な答弁が聞けていないのです。

○渡久地修議員 県外からの土砂をこれだけ大量に短期間に持ち込むというのは初めてだと思います。これまでの県内での埋め立てで、県外から大量に持ってきてやったことはないと思います。ですから、今回、それが今、私たちが非常に懸念していることです。

○新垣哲司委員 これも、後でまた質疑します。
 次に、県の環境基本条例第12条では、環境の保全及び創造に関する施策に、県民等の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるものとすると規定もされているのですが、その件について述べてください。

○渡久地修議員 今の質疑は、県民の意見をどう反映させるかということなのですけれども、繰り返しになりますが、埋立承認書でも仲井眞知事は沖縄防衛局に対して留意事項で外来生物の侵入防止対策をきちんとやりなさいということと、那覇空港滑走路増設事業でも環境省は遺伝的に攪乱するおそれがあるというような意見も述べていたりして、それから、先ほども述べましたけれども環境アセスメントの申請書のやりとりでも何度もこれをやっているのです。ですから、この外来種対策、環境保全対策というのは、県民ひとしく、そして事業を行う事業者側もこれはやらないといけないという大きな合意のもとに、既にもう合意ができているものと判断しております。

○新垣哲司委員 皆さんはこれを出す以上、ある程度県民に意見聴取しないといけませんが、これをやっていないのです。では今回、この条例はいつパブリックコメントをしたのですか。

○仲村未央議員 パブリックコメントは行っておりません。

○新垣哲司委員 なぜ、このような大きな事業で、パブリックコメントをしないのですか。

○渡久地修議員 繰り返すようですが、外来種対策は沖縄県や事業者、そして県民も議会もこれは当然やるべきものだという、既に合意ができているものという判断に私たちは立っています。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

(休憩中に、新垣哲司委員から、県民は合意しているのかという確認があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 比嘉京子議員。

○比嘉京子議員 今の質疑についてですが、これまで県議会が出してきた条例というのは県民が対象となる条例でしたので、パブリックコメントの期間を設けて多くの意見を取り入れてきました。今回、私たち県議会が出している条例は、利害関係者というのが限られているわけなのです。利害関係者というのが限られていて、第2条に定義としてある事業者―事業者というのは公有水面埋め立てを申請している者ですから、県民がひとしくこの我々が今出している条例に対して利害を持っているということではないのです。それと同時に、利害関係者というのは、今言う公有水面埋立法に基づいた事業者になるわけなのです。そういうことの上にあるので、これまでの沖縄県飲酒運転根絶条例やしまくとぅばの日に関する条例というのは県民がひとしく関係をしてくる条例であっただろうと思うのです。その違いがあるということを御理解いただければと思います。

○新垣哲司委員 今の答弁によると、県民の意見は聞かなかったということでよろしいですか。

○仲村未央議員 聞かなかったというよりは、この第1条の目的にまさにのっとって、外来生物法の趣旨自体は、当然に県民・国民に広く理解を得ている中であるというのがまず大前提です。そして、事業者においてもこの外来種の侵入防止についてはみずからリスクも認識し、その防除策をとるという主体的な意識も持っている、その使命も帯びているという前提があるということであって、県民一人一人にそれを聞いたかということについては聞いていませんが、それが前提とする状況、その必要性というものについては、法の趣旨もその事業者においても、それは十分に理解をされた中で今回の提案に至っているということで、先ほど来、各議員が答弁をしているところです。

○新垣哲司委員 この条例は極めて異例で、残念でなりません。そうとしか聞こえません。
 次に、電話で聞き取りをしたのですが、提案者なのかどうかはっきりしませんが、県民の意思は聞かないが、奄美大島まで行ってこの土砂条例について共同でやろうと呼びかけたことがあるようですね。その意味を説明してください。奄美大島まで行って、土はとらせないでおこうというような大会まで呼びかけてやったと聞かされているのですが、どのような土砂をとらせない運動なのか。名前はいいとして、6名ほどと聞いています。

○仲村未央議員 おっしゃっている奄美大島で辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会があったことはもちろん存じております。ところが、この呼びかけ人は我々や沖縄県側ではありませんので、特にこのことと今おっしゃるように条例がこれによって提案された云々ということとは関係ありません。

○新垣哲司委員 そのときに、奄美大島からは土も石も、それから砂利も運ばないようにしようという言葉は全然出なかったのですか。身内でも出なかったのですか。

○仲村未央議員 条例と直接関係したかということでは先ほど言ったように関係ありませんが、ただ一方で、その土砂の搬出元として予定をされている各地域において、この大量の土砂搬出に伴って、その地域の環境破壊が起きる可能性があるということに非常に大きな警戒、危機感が上がっているということは事実です。そして、各7カ所―あくまで予定地ですが、既に一部においては、その土砂の採取業者のもとでいろいろな環境破壊が起きている現場もあるということで、それに対する大きな抗議というのが上がっているということは事実であります。しかし、先ほど申したとおり、それとこの条例の実際のことは特に関係ありません。

○新垣哲司委員 このようにこの条例と関連するような話ではないのですが、いずれにしても工事をストップさせよう、おくらせようという感じにしか第三者から見た場合には受けとめられないのです。今後はこの条例について、やはり提案する以上は慎重にやっていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、奄美大島はもともとは琉球であるようです。ですから、琉球とは非常に昔から生物は似たような感じで、アリも全然いないようなのです。ですから、あのような大会で、なぜアルゼンチンアリなどの話が出るのかという声も聞いたものですから、私は今このように質疑しているところでございます。
 今後も、奄美というところは経済的にも発展をしなければならないという地域で特定外来種もいないということですので、そうであれば真剣に沖縄の経済、奄美大島の経済、鹿児島の経済を考えた場合には、必要ではないかと思っていますが、どうですか。

○仲村未央議員 奄美は、言ってみれば琉球列島に近いからいいのではないかというような意味の指摘かと聞いておりましたが、まさに奄美諸島においても、アマミノクロウサギに象徴されるような奄美固有の自然というものを持っています。これも、非常にその生物多様性が高く評価されていて、奄美の自然と琉球の自然を合わせて、今、世界自然遺産登録の取り組みもなされようとしています。それが、それぞれに固有に維持され、確保されることが非常に大事だということは環境省も強く認識をしているところです。その取り組みがある中でありますし、近ければ問題がないのかどうかも含めて、今言うような土砂の搬入に当たっての審査や届け出というのが非常に意味を持ってくると思いますので、どちらの生物多様性の確保においても、この条例は非常にいい形で、その生物多様性の確保に機能してくると思っております。

○新垣哲司委員 今、那覇空港滑走路増設事業の問題で、県外産の石を早急に運ばなければ空港建設がおくれると。予定の工期が7年から5年ぐらいになったのですが、これにも間に合わないということが言われているのです。その面も含めて、やはりこの条例というのは大事なことであるのですが、このいわゆるアルゼンチンアリなどの特定外来種がいないところは運ばせるような気持ちでやらないと、何でも規制した場合には、沖縄の工事の問題あるいは経済にも大きく変化が出てくると思っておりますが、どうですか。

○仲村未央議員 今、予定をされているような地域においても特定外来生物はおりますし、それが侵入することによってどのように生態系に影響を与えるかどうかということはまだ確認されておりません。なぜならば、この土砂の調達先を決める中身が、環境アセスメントの段階でも埋立申請計画の段階でも明確にされておりませんので、今おっしゃるようなことで、いないからという断定は今どこでもなされていないと思っています。それから、那覇空港については、今、承認の取り扱いについてまだ結論が出ておりませんので、こちらのほうでこれ以上どうということではございません。

○新垣哲司委員 今日まで、県内から持ち込まれた土砂あるいは石材が那覇空港などいろいろな公共工事にも多く使われているのですが、今後はこの条例が通った場合、県経済に及ぼす影響があるのかどうか。

○仲村未央議員 この条例をつくったことによる経済に及ぼす影響というのは、特段にはないと考えております。

○新垣哲司委員 では、今回、県外の埋立土砂に限定をしたのはなぜか。また、埋め立て以外の土砂や砕石について、特定外来種の規制は、きょうの勉強会も含めてどう考えていますか。

○渡久地修議員 今回のこの条例は県外からの土砂の持ち込みが対象で、一般的な県内の土は対象になっておりません。そして、委員からあったようにこれから外来生物のほかのものをどうするかというのは、ぜひ今回の条例提案をきっかけにして、大いに議論を深めていただいて、一つ一つきちんと外来生物の対策をとっていくということを、これからお互いに議論してつくっていくということも必要ではないかと思います。

○新垣哲司委員 環境アセスメントの技術指針なのですが、生態系への影響の配慮はどのようにうたわれていますか。ある程度、特定外来種侵入の生態系に関する影響評価の考慮についても担保されているのかどうか、その辺の考え方を教えていただきたいと思います。

○渡久地修議員 辺野古や那覇空港の工事などは環境アセスメントをずっとやっています。そして、埋立申請書でもきちんとした外来生物の侵入対策をやりなさいということもありますし、法律でもきちんとそのことがやられていますが、けさもあったように今の制度ではきちんととめることがなかなか担保されていないということがあるので、それをどうするのかというのが現時点での、特に沖縄での課題になっていますので、私たちはこれを担保するためにも一つ一つ事業者がとろうとしている防除対策など、きちんとした届け出を県にも出してくださいということでやろうとしているわけです。

○新垣哲司委員 午前中の辻先生の環境問題についての議論を聞いて、これについては非常に安心しました。今のところ広島県や山口県に一部あるようですが、駆除の方法もあると。また、一番大事なことは人体への影響―死亡などということは出ないとはっきり言っています。ただ、もっと繁殖した場合には、固有の外来種がいなくなるのが特定外来種であるアルゼンチンアリのことだということを聞いて、埋め立てにおいても大きな心配はないときょうの先生の意見を聞いて、ある意味で私は個人的には安心をしております。
 次に、埋立地によく藻場というのがありますよね。これはどういう藻草なのですか。

○渡久地修議員 藻場というのは、私の理解では、海の中に生えているいろいろな種類の海草が生えている場所が藻場だと思います。

○新垣哲司委員 古代沖縄にあるような海の生物ということでしょうか。

○渡久地修議員 古来から沖縄にあったかどうかというところまでは私は専門的な知識を持っていないのですが、ただこの前聞いた話によりますと大浦湾周辺は非常に豊かな藻場で、そこは魚の産卵場所でもあり、沖縄の水産資源としても非常に重要で貴重な場所だと。この藻場によって魚が産卵して、魚がどんどん大きくなっていくという点では非常に貴重な場所だというのはお聞きしました。

○新垣哲司委員 ということは、この貴重な海草といっても過言ではないということですね。これはジュゴンが非常に好きですよね。ジュゴンはどういうような生物ですか。

○仲村未央議員 もちろん専門家ではないので、ただその生態系全体がまだ把握できないほど、それほど繊細で、その生育環境、生息環境もまだよくわかっていないというところはあります。基本的には、哺乳類で天然記念物であり、沖縄が北限らしいというような情報は共通のところだと思います。

○仲宗根悟委員長 中川京貴委員。

○中川京貴委員 琉大の辻先生の見識、大変勉強になりました。やはり我々自民党が提案したとおり、条例案を土木環境委員会で委員会審査するよりも特別委員会を設置したほうがよかったと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。

○仲村未央議員 特別委員会の設置については、しかるべき決定があったと思います。私たちからどちらがよかったかということについては、参考人との関係では、参考人は土木環境委員会でももちろん活用できる制度ですので、質問の意図からすると、これをもって特別委員会が特段よかったというつながりはよく理解できませんでした。

○中川京貴委員 これまで県は国の法律にのっとって、県の条例にのっとって、いろいろな事業がなされたと思います。これだけでは沖縄の環境は守れないということでの今度の議員提案なのかお聞かせ願いたいと思います。

○仲村未央議員 まさにそのとおりで、国内の非意図的な導入、特に移動にかかわる導入については、既にある外来生物法もそこで十分に力を発揮するというところには至っていないと指摘の中にも出ております。そういう意味では、今回の条例を制定する意義というのは、大いにあると考えております。

○中川京貴委員 先ほど新垣哲司委員からも指摘がありましたが、この条例制定に当たって、利害関係者が2者しかいないという説明がありましたが、果たしてそうでしょうか。現在そうかもしれません。今後の事業に対しては2者とは限らないと思うのですが、いかがでしょうか。

○仲村未央議員 今後の事業で、公有水面埋立事業をなす者というのは、当然事業者に入ってくると思っております。

○中川京貴委員 そういった点に関して、利害関係者を含めて、パブリックコメントを求めないで進めてきたということは、いかがなものかと思いますがどうでしょうか。

○仲村未央議員 先ほどの繰り返しの答弁になりますが、パブリックコメントをやってよかったのではないかということを何も否定するということではありません。先ほど来申し上げるように、のっとった法の趣旨あるいは外来生物を侵入させないことによる生物多様性の確保という意味でいえば、非常に合意が得られているという前提があると理解をします。この県議会の場も、提案によって、このような議論が行われることを通じて、また広く県民に周知をしていく、議論を活性化させるという機能もありますので、それはおっしゃる指摘もわかりますが、必ずしもそれをやらなかったことというだけで捉えてはいないということです。

○中川京貴委員 先ほどから質疑が出ておりましたとおり、仲井眞県政のころは法律、条例にのっとって、環境部に対して外来生物が来ないように、守るようにとの指摘があったはずですが、この条例ができることによって、これを守ることができるのかということです。

○仲村未央議員 事業者や県も条例の趣旨を十分に生かすことによって実効性が高まるという意味では、侵入のリスクを減らすということに直結しますので非常に有益に機能してくると考えております。

○中川京貴委員 先ほど渡久地委員の答弁の中で、これまでに想像を絶するような大量な土砂が搬入されるという説明がありましたが、環境を守る意味では大量であれ少量であれ、外来生物の侵入は防止できないと思うのですがいかがでしょうか。

○渡久地修議員 リスクをどう軽減するかは大きな問題だと思います。午前中の話の中でも、植木鉢一個とこれだけ大量に短期間に入るのは全然リスクが違うということをおっしゃっていました。まさにそのとおりだと思います。今回は、トラック280万台分です。そういう意味ではリスクは植木鉢一つとは全然違うと思います。

○中川京貴委員 辻先生もおっしゃっておりました。植木鉢一個でも大量であっても実際に入ってくれば、繁殖するという説明を受けましたけれども、いかがでしょうか。

○渡久地修議員 入ってくるルートはいろいろあると思います。しかし、入ってきて繁殖するのは、例えば、一匹から大量に繁殖する場合もありますし、そういう意味では、中川委員のおっしゃるリスクはあります。しかし、リスクの大きさとしては桁違いではないかと私は思います。

○中川京貴委員 これまで県土保全条例や環境保全関係などはどういう手続で制定されたか。例えば、ここにもありますけれども、いろいろな県の条例が制定されてきておりますが、その手続について説明を求めます。

○仲村未央議員 執行部からの提案で、上程されて、議会に審議に付されて、可決をして制定だと思います。

○中川京貴委員 ただいまの答弁のとおりですが、県がそういった提案をするに当たっては、関係機関・団体、業界、県民等の意見聴取、学識経験者、あるいはパブリックコメントをしながら慎重に条例制定をしてきております。先ほどから指摘がありましたとおり、皆さんがパブリックコメントをしないで条例をつくって、これから起きる公共工事、いろいろな事業に支障を来さないかということが一番の不安であるのです。

○仲村未央議員 パブリックコメントについて、行政手続法は国に対しては明確に実施を規定しておりますので、これは国が法律をなすときには義務になります。ところが、県、地方自治体においては義務ということにはなっておりませんので、運用の中でやることが望ましいということで、県は規定を定めてそれはそれで対応してしていると理解をしております。今回の議員提案に当たって、そういった形式的なものが整っていないということに対して、法的には厳格な義務はないのですが、パブリックコメントをしてよかったのではないのかということについては、何も否定する立場ではありません。先ほどから言うように、この条例が持つ趣旨等々については、事業者も含め、十分に共通認識がある中で提案に至っているということを踏まえれば、私たちの提案は、この機会をいただいているということではよかったのではないかと考えております。

○中川京貴委員 今の答弁では、事業者が国や沖縄総合事務局などいろいろありますが、実際に事業が発注されれば、工事をするのはこの事業者ではなく、業者なのです。業者が工事をします。そのときに、この業者が、これまで県の工事はもちろん、国の工事も不落不調の要因で工事が完了していないこともあるのです。現在でもそうなのです。特に離島においては、埋立事業ではなくてもコストやリスクが伴う。そういった意味では、県が一般競争入札をやっても受けない。指名競争入札にしても、辞退する。そういう状況で、今、事業者が国だからなどといっても、その工事を受けるのは業者なのです。その業者の意見を聞きましたかということです。

○渡久地修議員 繰り返しの答弁になるかもしれませんが、埋め立てをする事業者がきちんと対策をとります、事業者にさせますということは言っているのです。やった中身、またはこれからやろうとしているものを、県にきちんと届けてくださいというそれだけのことなのです。県はそれが本当にやられているのかどうかをチェックしますということです。中川委員もそうだと思いますけれども、例えば、特定外来種がいるものを持ち込んでいいという立場ではないと思います。それは法律的には全くできないのです。きちんと対策をやっていますということを届けてくださいという条例なのです。

○中川京貴委員 那覇空港滑走路増設事業は、皆さん御承知のとおり5年10カ月でやろうと。東京オリンピックに間に合わせようと。あの滑走路ができることによって、1000万観光立県ができる。多くの県民の望みであり、特に那覇市の要望等もありました。しかしながら、この条例ができることによって、おくれが―支障を来すのではないのかという不安があるのです。おっしゃるとおり、利害関係者は2者かもしれませんが、今後は多くなる可能性もあります。今後の公共工事に不利益を与えるおそれがないのかということを聞いているのです。

○仲村未央議員 公共工事に不利益をもたらすことはないと断言をしたいと思います。公共工事をする者は、その公共工事に当たっては、最も高い使命を帯びている事業者であるということが前提だと思います。これはどの事業者においても。今回、公有水面埋立事業をなす沖縄防衛局、あるいは総合事務局という2者は、まさに政府機関の一員として、特定外来生物の防除に対して、高い見識を持ち、その使命も持っています。むしろそれを指導する立場にあると思います。そういう意味で、繰り返し事業者は外来種が混入しないことをどう確認するかで、発注仕様書に規定すると。それによって発注をしていくということを何度もその事業計画の中で示しており、それが生態系に影響を与える土砂ではないことを確認しますということを約束して、さらに留意事項で留意をさせてあえて承認に至る。外来種と明記をされて、特定をされて、留意を求められた事項なのです。ですので、これを負う責務というのは、他の事業者よりも言ってみれば高いと我々は認識をしますので、そういった事業者が、ましてやこれをやることによって、公共事業に不利益をもたらすなどという認識を持っているとは到底思えませんので、この条例は外来生物の侵入を防止することによる沖縄の環境をどう守っていくかということに資するということについて、非常にはっきりとした内容を規定していると思います。

○中川京貴委員 今の答弁は、しっかりと会議録に載りますので。月曜日から一般質問等が始まります。その中で、国、県関係の公共工事の執行率が出てまいります。間違いなく、現在においても執行されておりません。不落不調が出ております。この条例ができることによって、これまで以上に影響が出るのではないかという心配があります。もう一つ、辻先生から午前中説明がありました中で、条例ができても、公共性の高い事業については運用で可能であるという答弁を聞きましたが、それは理解していますか。

○仲村未央議員 環境省の見解として、公共事業であれば、運用によって特定外来生物の侵入防止をある程度緩やかにできるのかということについて、直接、事務局に頼んで確認をさせておりますが、公共事業だからといって、外来生物法が適用されないということではありません。外来生物法は、きちんと特定外来生物の侵入による影響をしっかりと防いでいくということを目的としておりますので、これが公共事業だからといって区別することはないそうです。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。
   
   (休憩中に、中川委員から、辻瑞樹参考人の発言の有無について答弁漏れであるとの指摘がされたが、会議録がないため提出者から答弁できないとの説明があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 座喜味一幸委員。

○座喜味一幸委員 今回の環境の外来生物侵入防止の条例について、総じては国もそうですし、我々地方自治体もやらなければならないという総論に関しては、何ら異存はありません。先ほどからこの条例を聞いていると、大量の土砂の搬入を伴う辺野古と那覇空港第2滑走路に現状適用するという答弁だけれども、今後、これからの県事業を含めた事業に対しての、この条例の取り扱いはどのようになるのかというはっきりした定義から下さい。

○仲村未央議員 公有水面埋立事業を行う者であって、県外から土砂等を搬入するということであれば、当然、条例の対象になります。

○座喜味一幸委員 先ほどから、外からの大量の土砂の搬入を伴う初めてのことだと言うけれども、かつて沖縄県の中には、外国産のダム用材から建築用材、何千万立米の材料が入っています。そして、国内からも入っています。何ら今、辺野古や那覇空港第2滑走路で始まった問題ではない。そういう意味では、前提が間違っていると私は思っていますけれどもどうですか。

○仲村未央議員 県にも確認をしておりますが、公有水面埋立事業で県外からこのように土砂を持ち込む事業はなかったと確認しております。

○座喜味一幸委員 環境関連の法律は後追いで来ておりますので、歴史的に見ると相当な経緯があります。環境が大事にされているということでこういう状況になっております。
 これまで結構な用材が入ったというデータはあるのです。今後もこの問題が大きくなって、この条例が本当に生きていくかという部分で少し質疑させていただきます。まず、環境基本条例の中で、各部局、専門技術者を含めた環境審議会の意見、それからパブリックコメントをしっかりしていく―もちろん国は法律をつくる側ですから明確にありますが、先ほどの答弁だと必ずしも必要のないような答弁がありましたけれども、この専門家の意見を聞かないと地域の利害関係者の意見の調整がされない。この条例ではいけません。答弁をお願いします。

○渡久地修議員 この条例がいけませんということですけれども、これも先ほど答弁したことにつけ加えさせていただきますが、今、公有水面埋め立てをやろうとしている沖縄総合事務局、沖縄防衛局は、きちんと外来種対策をやりますと何度も言っております。そして、知事の承認の留意事項にも書かれているのです。ただし、それがどのようにやるのか、どこから土を持ってくるのか、まだわかっていないところがあります。ですから、それをきちんと届けてくださいということを定めようということなのです。そうすると、事業者側も県もお互いの共通認識になって、対策がしっかりととれるのではないですかという点では、皆一致すると思います。

○座喜味一幸委員 もっともらしく聞こえますけれども、大規模のものは環境アセスメント法にのっとりなさいと言うけれども、では、小規模のものは環境破壊をしていないかというと、必ず附帯事項として、環境事項も全部調査結果というのが漏れなく―たまたまそれが県の審議会にかかるかどうかという問題であって、したがって、きょうの朝に参考人もおっしゃったように、外来生物が入りやすい状況にある沖縄で、今、なぜ土砂なのか。今、国と県が取り扱っている外来生物に対する対処というのは、マングースですよね。今後、物流基地として多くの品物が入って、多くの外来生物が入ってくる。それをなぜこの埋立土砂に限定するのか、それに類するハブ貨物等から運ばれる貨物等はどうするのか。そういう意味での、参考人も同意見でしたけれども、トータルとしての条例にすべきだと私は思っております。これを埋立土砂だけにするというのは余りにももったいない。それはトータルとして、連携して、各部局でやるべきだと思っているのです。そういう意味ではどう思っていますか。

○仲村未央議員 包括的な対策が必要だということは、私も委員と同じ意見です。これは非常に重要な課題であるし、ただ、今、おっしゃるような人の移動に伴ってでも付着しかねないという意味では、捉える範囲が余りにも大き過ぎて、私たちが、今回、議員条例として提案をするまでは、やはり捉えるのは課題が非常に大きいと思います。その意味では、執行部が、まさに私たちが条例を提案するに当たってのこの議論を一つの契機として、総合的な対策の必要性を先日の本会議でも答弁をしておりましたので、それは非常に期待をしながら、総合対策を待ちたいと思っております。

○座喜味一幸委員 きょうの朝もありましたが、埋立地あたりでの環境審議会にかかった中で、外来生物が結構入っていると。これまで県内の材料を入れても外来生物の混入付着はあったという勉強をさせていただきました。そうすると、県内における物の移動に対しても定義をしなければならないし、もちろん、国外、県外を考えていますよね。それと外国から運ばれる材料についても、何も土砂だけではなくして、建築土木資材を含めた資材に関して広げないといけないと思いますけれども、これはどうしますか。

○仲村未央議員 国外の物は、基本的には外来生物法、あるいはいろいろな防疫に係るそういった法で、海外と国内は一旦の検疫や検査を経てきます。あるいは許可制度があるということになります。それで、今、問題になっているのは、先ほどまさに辻先生の発言にもあったように、沖縄県で県をまたぐ移動ということは、もはやそれは外国間に匹敵するほどの生態系、あるいは地史といった部分での環境の違いを帯びている。沖縄の生物の固有種、いろいろな生物相に、県をまたぐことは、海外にも匹敵するような違いがあるということもおっしゃっておりました。そういう意味では、今回の一度に大量に入ってくる、短期間に入ってくるということの侵入リスクは非常に大きいと思っておりますので、そのことに対応する今回の条例であると思っております。

○座喜味一幸委員 私は、今回の条例は、なかんずく辺野古の問題が見え隠れしているなということで、政治的に偏狭になってしまったと思っています。
 そもそも、今回の条例の提案がオール議会ではなく与党の皆さんでやられたこと、なぜこういう大事な問題を全議員一致でやれなかったかという県民からの厳しい批判を受けざるを得ない。もう一点は、我々議会はほかの、各部局のトータルとしての条例の連携をはっきり言ってとれないと私は思っております。そういう条例そのものが我々、一部の議員提案で、本当に横の連携がとれて、法律の整合性がとれるのか、大変残念に思っております。そういう意味では、この条例そのものは多分、今後いろいろな問題が出てくると思っております。
 少し細かいところに入りますけれども、土地の立ち入りに関して、他都道府県まで立ち入りをする条例になっておりますけれども、私は県の条例で本当に他都道府県まで入れるのか、甚だ疑問です。外来生物法ではできますよね。どういう条例で他道府県の土地の立ち入りができるのか教えてください。

○仲村未央議員 沖縄県の条例ですので、条例の影響が及ぶ範囲というのはもちろん沖縄県内です。では、この条例で他都道府県に行くことができるのかということですが、あくまでこの第8条で規定する立入調査等は事業者の協力を得て行われるということが前提になります。

○座喜味一幸委員 もう少し突っ込みますけれども、例えば、事業者が材料の承認をやります。外来生物は入っておりませんということで報告書がありました。これを県はどういう基準で、どういう調査要領で、どういう項目を審査しチェックするのか。先ほど出た共通仕様書に出てくる関係法令、関係条例の中に明確な基準と調査項目基準というものが示されなければ、施工ができない。沖縄防衛局が共通仕様書にこの条例を入れようとしたときに、90日という数字が出ていますけれども、この基準に合ったような調査ができるのかというと私は甚だ疑問であると思いますが、その基本的な考え方を教えてください。

○仲村未央議員 私たちがこの条例で期待する調査の内容ですけれども、基本的に事業者が提出した資料をもとに既存の文献、関係団体、地元自治体や環境省といったところへの聞き取り、それから専門家からの意見聴取、その上で必要とあれば立入調査等を行いながら、適切な措置と言えるかどうかを判断していくというのが、実際、期待をするところです。

○座喜味一幸委員 私は、この問題を、今、軽く流しましたけれども、事業主が誠意を持って、ちゃんとした、項目に関して調査をしてきたとしても、ではトータルとして何万立米のうちの何本の調査なのか。本当にきめ細やかな見識、知見が必要だと思っていまして、立入検査者というのはどういう人で、その人に対する基準や情報を整理するのは誰が責任を持つのか、その辺はどう説明しますか。

○仲村未央議員 もちろん、その審査自体は、県当局をして基本的には行いますけれども、その職員のみでの対応が難しいときは、もちろん先ほど言った専門家の意見あるいは専門家を有する民間の機関を頼りにすることも想定しております。

○座喜味一幸委員 そもそも、これは90日以内でもう時間がないのです。そういう外来生物の付着確認等々と、今、現にリストがあるのであれば、明確に防除の方法も示せるはず。しかし、今から調査して挙げてきました、もう少し調査をしてください、この項目はどうですか、というように次から次と要求がされたときには対応できませんよね。そのような問題があって、事業者が届け出を出して、ああでもないこうでもないといって時間が延びていく。その間に発注者や事業を受けた人の、この条例の手続に伴うおくれは相当な損失があると思います。外来生物法の場合は、立ち入るときの伐採等については国の補償、原因者が外来生物を広げたときは何億円という罰金を取るなどの明確な部分がある。我々の今の条例の中に、総論はいいけれども、各論としての仕事の進め方に対する審査の仕様がない。これをいいと認めたら、今の事業は全部停滞すると思っておりまして、体制、手続、基準、審査の合否のあり方まで示してください。

○仲村未央議員 基本的に今回はそれでも足りないのではないかと先ほどから先生からも指摘がありますけれども、外来生物法にのっとるということを前提にしながら、特定外来生物113種に関しては、官報の告示で基本的には防除方法が全て定まっておりますので、一義的にはそれにのっとるということが必要最低限のことになろうかと思います。その上で、この間事業者が表明してきた土砂に関する外来種の侵入のリスクをどう取り除いていくのか、という事業者みずからが、今、提出しようとするものを受けて、いろいろな文献的なもの、公示された官報といったことをもとにしながら、先ほどの審査がなされると理解しております。

○座喜味一幸委員 防除方法は国が定めていると言いますが、防除方法を確立した件数はわずかなのです。ほとんどがまだ防除方法が確立されていません。そういう中で、県がいつまでに何を、どういう手続で―この届け出から90日以内の作業の手続を明確にしないと、条例を公布したときに共通仕様書に書けない、土木の発注仕様書に書けない。出てきたとしても、基準が明確ではないときに、業者は仕事が進められない。その補償の問題というのは大変なものが出てきます。ぜひともしっかりとした条例にしていく必要があると思います。

○仲村未央議員 事業者側が生態系に対する影響を及ぼさない措置を講ずる旨を発注仕様書に規定するということが、事業計画の中に含まれていますので、当然に事業者はそのような中身をどのような措置を講じたのかということを、発注仕様書に規定して、発注をするという前提になっていますので、それは事業者で対応されると思っております。

○仲宗根悟委員長 照屋守之委員。

○照屋守之委員 まず初めに、吉田委員から指摘のあった罰則について、提出者が本法が及ぶという説明をしていましたが、外来生物の条例の罰則について具体的に説明をお願いします。

○仲村未央議員 我々の罰則に類するものは公表の規定がありますが、本法の罰則は第32条で、「次の各号のいずれかに該当するものは3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、またこれを併科する」ということで規定がなされております。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、照屋守之委員から、外来生物法における条例案に該当する罰則は第何条か確認があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 仲村未央委員。

○仲村未央議員 先ほど先生が、もし意図的な持ち込み、意図的な混入を行ったり、移動させたりすれば、罰則はそもそも本法が捉えますとありましたので、そういう言い方をされたと思います。私たちの条例で、条例の第何条に違反したら、本法の第何条による罰則に処すみたいな取り扱いではないということです。あくまで私たちの条例は、そのような罰則を規定するというよりは、類するものとしての公表の規定によって、もしそのような知事の措置に正当な理由なく従わない、応じない等々のことがあれば、最終的には公表に至ることもありますということでございます。

○照屋守之委員 この法律と条例との関係ですが、先ほどからのやりとりを聞いていますと、この法律が足りない部分を条例で補って、補い合ってそのような外来生物に関するものをやるということですが、法律と条例というのはお互いに足りない部分を補う合うという位置づけだと受けとめたのですが、そういう形でいいのですか。

○仲村未央議員 趣旨にのっとって、その趣旨の補完をしたり、底上げをしたりするような目的で、今回の条例は想定をされておりますが、この条例に限っては、外来生物法の趣旨にのっとる形で、特段、非意図的な混入ということに注目をして条例化をしております。

○照屋守之委員 補完関係という説明もありましたが、法律と条例の関係は、そのような憲法の位置づけなのですか。説明してもらえますか。

○仲村未央議員 条例は法律の範囲内において制定をすることができるということで、その制定の可否が判断されるということが一般論としてあると思います。一つには、国の法令が全く規制していない場合、これも条例による規制が可能であると。それから、今回のように、法令による規制がある場合であって、条例の目的が法令とは別のものであるとき、条例によって法令の施行が妨げられないときとか、あるいは法令による規制がある場合であって、条例の目的と法令と同じものであるときであっても、法令が全国一律、同一の内容を規制するということに対して、地方自治体が地方の実情に合わせて別段の規制を施す、こういうことを容認するということも含めて、条例の規制が可能と判断をしております。

○照屋守之委員 憲法と法律、条例の関係ですが、今、御指摘のように憲法第94条において、法律の範囲内で条例を制定できると。これは同じ認識です。地方自治法の第14条では、地方自治体は「法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し条例を制定することができる」という―この条例の基本的な根拠は、憲法と地方自治法だと認識しております。そして、ここは、その条例の範囲と限界を定めたという認識をしております。これはいかがですか。無制限にはできないですよねと。法律の範囲内でやるのですが、これは条例であってもある程度決まり事、限界があるのではないですか。

○仲村未央議員 おっしゃるとおりだと思います。

○照屋守之委員 したがって、普通地方公共団体は、法令の規定に反する条例を制定することは許されないのではないですか。今のように、憲法は「法律の範囲内で」という定めがあって、地方自治法も定めがあって、それは無制限ではありませんと。法律の範囲内という限界がありますということですので、どういうような条例をつくってもいいということにはならないと思います。この認識は一緒ですか。

○仲村未央議員 法律の範囲内において制定することができると理解しております。

○照屋守之委員 公有水面埋立法、環境影響評価法、埋立事業はこれに基づいて仕事が進められております。これは、昭和48年にできてずっと改正をされてきて、今は環境影響評価法がつくられて環境影響評価というものがあります。そういうところも含めて、埋立事業はこの公有水面埋立法に基づいてやっています。先ほど提出者からありましたように、それに関する法律がなければ、新たな条例をつくる分には構いませんが、この分の法律で、今、動いているものについて、ここで条例をかけて、これを規制することができるのですかという話です。今の条例は憲法上のそれを超えている行為です。ですから、ここをはっきりしてもらえませんか。

○仲村未央議員 公有水面埋立法の何かを超えるとか、あるいは外来生物法の何かを超えるということにはなっていないと理解しております。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、照屋守之委員から本条例案は憲法第94条に違反するのではないかとの確認があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 仲村未央議員。

○仲村未央議員 今回の提案の条例が、公有水面埋立法に何らかの規制をかけるとは考えておりません。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、照屋守之委員から既にある法律に基づいて進んでいる埋立事業に条例で規制をかけるのは、憲法上許されないのではないかとの確認があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 新垣清涼議員。

○新垣清涼議員 本条例案は、公有水面埋立法による埋立用材を規制するものではありません。あくまでも埋立用材に添った特定外来生物の侵入を防ぐための条例です。ですから、埋立用材を入れないという話ではなくて、県外から持ってきたときに、特定外来生物の侵入をとめましょうという趣旨なのです。そして、沖縄の生物多様性を守ろうということが趣旨であって、一々この石はだめです、この土はだめですという話ではありません。

○照屋守之委員 これは決まり事です。環境影響評価法という法律のもとにもそういう決まりがあるのです。それは対応しますよという形で事業者は言うわけです。そこの中でこれはやるのです。別途に条例をつくって、そこで縛りをかけるということは…(「縛りかけるのではない」と呼ぶ者あり)規制をかけるという話でしょう。ですから、これはおかしいという話です。これをはっきりさせてください。この法の定めによってつくっていくので、個人的にどうのこうのという話ではないです。先ほど言いましたように、法律が規制をしていないものについて規制する場合は、特に問題なく条例をつくることができます。ところが、一旦、法律ができて規制されているのです。公有水面埋立法も環境影響評価法もいろいろな項目が。こういうものがある場合には、法律執行の妨げになるために、法律以上の厳格な規制というのは憲法違反になるという認識なのです。しっかりと客観的に確認してください。憲法に違反するのではないかということです。具体的に説明してください。

○新垣清涼議員 公有水面埋立法で許可を得たものを否定するような条例にはなっていません。この条例はあくまでも特定外来生物の侵入を防ぐためのものです。

○照屋守之委員 防除の関係です。条例では、防除は事業者の責任負担となっていますけれども、外来生物法ではどうなっていますか。

○仲村未央議員 外来生物法の防除に関しては、第11条に規定しております。この規定を読み上げますと、「特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、又は生じるおそれがある場合において、当該被害の発生を防止するため必要があるときは、主務大臣及び国の関係行政機関の長は、この章の規定により、防除を行うものとする」と基本的には定められております。

○照屋守之委員 条例のもとになる法律では、国がこれをやります、条例は事業者がやります。どういうことですか。

○仲村未央議員 それぞれの事業者が、事業の中の一環としてなされる対策としての位置づけですので、今言うような地域に蔓延しているということではなく、今回は埋立用材に付着・混入して持ち込まれるものをどう防ぐかについて、あらかじめ計画をされた防除策を事業者が行うという範疇の話であります。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、照屋守之委員から、法律では国が行い、条例では事業者が行うのかとの確認があり、委員長から答弁はされているとの説明があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 照屋守之委員。

○照屋守之委員 法律では、外来生物の防除については国と関係機関の長が行うものとするとあります。そして、法律と条例は連携しております。法律では国がやるのに、なぜ条例では事業者がやるのですか。こんなアンバランスな決まり事はないです。おかしくないですか。

○仲村未央議員 先ほどマングースの例が出ましたように、それは、既に定着をしている特定外来生物あるいはその他防除が必要な侵略的な、地域の環境に影響を与えるということに対する責任は、国が基本的に防除策をとるということはあります。ところが、今回言われていることは、防除前の侵入防止においては、事業計画の中で当然にそれを侵入させてはいけないという前提の事業でありますので、それは事業の一環として対策がとられ、費用は事業者が負担するということであります。

○照屋守之委員 知事は、特定外来生物が付着または混入しているおそれがある埋立用材があると認めるときは、搬入の前後にかかわらず立ち入りをさせ、最少量に限りという項目があって、事業者に対して防除の実施などを勧告することができるという、これは条例そのままです。そして、法律は、被害のおそれがある場合について、必要なときは国や関係行政機関が防除を行うものとすると。法律は取り締まることが目的ではありませんが、この条例は、法律に違反をして取り締まるような雰囲気ですよね。全く同じではないですか。意図的にやっているわけではありません。事前にではなく、このようなことが起こったらという話ですよね。

○仲村未央議員 意図的にそれを拡散させて、放出したりするということは、事業者はもちろん想定されませんよね。今回の場合は、あくまで事業に伴って非意図的に侵入をするということはやってはいけないということを基本的にこの条例は言っているわけです。国の行動計画の中にも、事業者の求められる役割というのが明確に規定をされておりまして、事業者はそのさまざまな活動を通じて、外来種問題を発生、悪化させないように努めるとともに、事業地における外来種対策の推進など、生物多様性の保全に一定の役割を担っていると。そして、事業活動において外来種被害予防三原則であります、入れない、捨てない、広げないを遵守することが重要ですと。当然にこれにのっとって行われる事業活動が前提ですので、先ほど来言うようなことはしっかりと発注仕様書の中で規定をされるという前提で事業は成り立っておりますので、当然に事業費はそのことを含めて組まれていると考えております。

○照屋守之委員 全く違います。このことを先ほど申し上げましたように、憲法第94条の規定は、法律の域を超えてはならないのです。この条例は、超えています。法律で国がやるということを決めているのに対して、条例では事業者がやると。このときに、防除について、国はやはりこのような問題が起こると、関係都道府県に意見を聞いて、防除の対象となる特定外来生物の種類、行う区域及び期間や防除内容などを公表するようになっております。これは関係都道府県の意見を聞いたということになっております。
 そうしますと、同じ外来生物の法律と条例ですので、このような問題があれば、この問題についてはきちんと公表してということも条例でしっかりうたわないとおかしいと思います。なぜ、法律ではこのように定められているのに、条例では入れないのかが非常に不思議です。これはどういうことですか。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。

   (休憩中に、提出者から質疑の趣旨確認があり、照屋守之委員から外来生物法第11条第2項と同様の規定が条例案に規定されていない理由について確認があった。)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 仲村未央議員。

○仲村未央議員 防除の対象にする種類を特定しなさいということは、沖縄でいうマングースのように、防除をすべき対象のものがあれば、それは特定をして防除しなさいということの指定です。私たちの条例は、特定外来生物を対象としておりますので、基本的には113種の特定外来生物がこの条例が対象とする種ということで理解をいただきたいと思います。

○照屋守之委員 理解できませんが、これは問題点として残しておきましょう。
 立入調査ですが、どういう根拠、どういう権限でやりますか。

○仲村未央議員 立入調査の権限は、私たちが提出をしている条例第8条に基づく権限ということで規定をしていきたいと提案しております。

○照屋守之委員 この内容だけでは、立入調査は実際できないと思います。権限もないので。皆さん方のところは外来生物が混入していますよね、調べさせてくださいと言って行くのですか。相手は風評被害もあるので、本気で言っているのですかという話になりませんか。ですから、それはできないのではないですか。権限はどういう形でやりますかという話です。

○仲村未央議員 条例第8条に基づく権限とこの条例上は規定されますが、今おっしゃるように実際に調査に立ち入るとなる場合には、基本的に事業者の協力を得て、立ち入るということに運用上はなりますので、協力が得られないときには、今おっしゃるような事態も考えられると思います。

○照屋守之委員 ですから、これは条例です。こんないい加減なことはできません。相手の協力を得るということはお互いの話です。この条例が決まれば、条例ではそのようになっていて、被害があるので調べさせてくださいということはできませんよ。できないのにそれをやるという決まりをつくる。協力を得られればできますが、得られなければできない。強制的に入る法的な根拠もない、権限もないということでしたら、調査をしますが、できませんと言って、1年も2年も10年もかかりますよ。その間、工事はとまるのですよね。こういうことは明確に明記してください。

○仲村未央議員 もちろん究極的に言えば、今言うような事業者側の協力が得られなければできないけれども、今、指摘する権限は第8条に基づく立入調査であり、その必要を認めるときというのは、もちろんその根拠があるときです。それは知事が第7条の措置によって、外来生物が付着・混入しているというおそれがあると判断したときですので、やみくもに立入調査等に入るということではなくて、しっかりと必要に応じて、その必要があれば入る。そして当然に事業者が外来生物の侵入防止に対して、しっかりと認識を持っているという前提での届け出ですので、それは協力をいただきたいということで入っていくということになります。

○照屋守之委員 我々人間はいいことであれば協力しますが、おたくはそのような不都合があります、病気が蔓延していますと他都道府県に行って立入調査をやろうとするわけですよね。では、何の権限があって来たのですかと。協力ができればいいですが、法律という決まり事は、お互いが話し合ってこういうことですのではっきりできますよということにならないと。ですから、これができなければどうなるのですか。こういうことは条例として明確にしてください。

○仲村未央議員 今、非常に事業者が非協力だという前提でおっしゃっているのですが、そこは今までの事業者の態度、事業者が示してきた認識や、対策の必要性ということを表明してきた事業者ですので、非協力的だという理解を私たちは前提としては余り持ってはおりませんが、ただ究極的に、今言うような権限となりますと、まさに、今、提案の条例の第8条が立ち入り権限の規定です。その権限に基づいて立入調査等を行うと、その旨の必要性をもちろん明らかにした上で、そしてそれを正当な理由なく拒むということは基本的には余り強い想定はしておりませんが、いずれにしてもそれは協力があってなされるということは届け出制の大前提になると思っております。

○照屋守之委員 この条例は非常に不備です。いろいろな人がおりますので、誰が聞いてもしっかりこのようなもとでという形でやっていかないと、これがなければ―正当な理由がなく応じないときというのは、どういう意味ですか。こういうことを入れて、自分たちの都合で相手のところに行こうとするのに、相手の都合も顧みずに立入調査をやって、それを正当な理由なく応じないときは何をするのですか。勧告ですか。決まり事は冷たいですよ。シビアにきっちりやらないと。

○比嘉京子議員 かなり前提がずれているという感がいたしますので、これまでの環境アセスメントの評価書における質疑のやりとりで、最終的に事業者がどのような意向を示したかというところを読み上げたいと思います。
 「現地調査は、埋立承認後、適正な契約手続を経て、土砂の調達場所を確定し、その後、文献調査及び専門家からの助言を得ることにより適切に実施する。供給業者等との契約手続に当たっては、外来種混入等の対策として生態系に対する影響を及ぼさない措置を講ずる旨を発注仕様書に規定するとともに、土砂の調達場所を確定するときには外来種が混入しないことを確認するとともに、当該土砂の搬入に当たっても定期的にチェックを入れる」と。これが事業者の我々に対する回答です。これを前提に、この条例があるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

○照屋守之委員 外でどのようなやりとりがあったかどうかはわかりません。我々はそれはわかりません。今言った人はそれでいいかもしれませんが、決まり事ですので、人と人がやって、事業者はそうですが、その下請の砂を搬入する人たちが、我々のところは入っていないのになぜわざわざやるのですかと言われたときに…(「個人的な感情の話ではない」と呼ぶ者あり)個人的な感情ではないです。きちんと条例で決めてくださいという話です。
 立入調査をやろうとするときには、意見を述べる機会を与えなければならないということが、法律で決まっています。ですから、なぜそのようなことをやらないのかという話なのです。意見を述べる機会を与えなければならないのです。条例で決めれば、こういうことですので何とかなりませんかというやりとりができるわけですよね。そのことがすっぽりと抜けているのです。ですから、そこはある程度知事の権限で強制的にやって、押していこうというものなのかということがあって、これは条例としては少しおかしいと思うのですが、いかがですか。

○仲村未央議員 今、他の条例等々でもこのような行政指導の際にどのような措置をとるかということに対して、幾つかの県条例の比較もしましたが、今言うような範疇の届け出制における行政指導においては、ここで第8条に規定することは、特段その法律の趣旨やおっしゃるような目的に対して、無理がある規定ではないということを私たちは思って第8条を規定しております。

○照屋守之委員 非常に無理があります。明確にしないといけません。人のところに立ち入る行為で、財産などを侵害するということも含めてのことですから、この条例は今のままではだめです。
 国は特定外来生物被害防止取締官という専門がいて、そういうことを行います。身分を示す証明書というのは、この条例ではどういう人を指すのですか。

○仲村未央議員 県の職員であること、それが知事の命を受けた、そのための必要があるということを明記した証明書と考えております。

○照屋守之委員 提出者の皆さん、真面目にやりましょう。外来生物に関することについて、立入調査をしに行く人たちですよ。ただ県の身分といって、少しは外来生物に関する人やいろいろ有する者の中からとか、そういう言い方をしたらいいのに、ただ知事が認める者ということは少しおかしくないですか。やはり、外来生物の立入調査ですよ。では、何もわからない人間が職員だから行きますと言って、立ち入りができますか。ある程度、何か必要でしょう。思いませんか。

○仲村未央議員 知事の命を受けるということは、今おっしゃるようなかかわる職員であるということが当然であります。

○照屋守之委員 しっかり専門の対応をやらないといけないと思います。ここについても不透明です。
 附則が3つありますが、説明してもらえませんか。

○仲村未央議員 先ほどの立入調査の件で少し申し添えたいと思いますが、知事の命を受ける者というのは職員もありますが、先ほど立入調査にどのような者が行くのかという質疑に対してお答えしたとおり、それを頼む民間のしかるべき機関等々もそのような命を受けるという形の範疇に入るということを補足いたします。
 附則第1は、この条例は平成27年11月1日から施行すると。ただし、附則第3の規定は、公布の日から施行すると。これはもちろん本条例の施行日について規定をしております。この施行日が11月1日である理由ですが、この条例の施行、周知のため、それから届け出のための準備期間を考慮して、公布の日より90日以上を超える直近の月の初日ということで、11月1日としております。
 附則第2ですが、これは第4条の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に埋立用材を県内に搬入する場合について適用する。これは、搬入の届け出というのは、もちろん11月1日以降の搬入が適用の日となります。施行日以前に搬入した場合は条例の対象にはならないために、届け出等は適用されません。それが基本的な趣旨になります。
 附則第3は、施行日から平成28年1月30日までの間に、公有水面埋立事業において、その採取場所が県外の地域である埋立用材を県内に搬入しようとする事業者に対する第4条の規定の適用については、同条中「当該埋立用材を県内に搬入する予定日の90日前までに」とあるのは、「平成27年11月1日までに」と読みかえるということの規定です。これは、どういうことかと言いますと、施行日から1月30日までの間に搬入がある場合を規定しております。第4条に規定する届け出については、搬入予定日の90日前に届けることと基本的にはなっておりますが、1月30日までの間は90日前に届けることは施行日前に出しなさいということになってしまいますので、遅くとも施行日であります11月1日までにということで、11月1日には遅くとも届けてくださいということを規定しております。

○照屋守之委員 90日の根拠をもう少しわかりやすく、完璧に説明してもらえませんか。90日が理解できません。

○仲村未央議員 90日前に届けさせることについての理由になりますが、届け出をもって、その間行われる審査、先ほど来繰り返しておりますが、文献や現地調査あるいは関係機関への聞き取りや専門家への意見聴取を想定した場合、これまでの他の調査の実績等々から勘案しても90日を要するということが我々の判断です。通常の県の書類審査は大体45日ぐらいが一定の目安になりますので、それを踏まえて文献調査、現地確認、専門家への意見聴取等々を行うことを想定した場合、少なくとも90日は必要であるということから90日前の届け出ということを規定しております。

○照屋守之委員 やはりどう考えても、憲法第94条と条例の制定についてこだわっておりまして、今の条例の中身もそうですが、法律では国が防除をする、ここは事業者にさせるとかということも含めて、法律を超えていると思っています。法律の範囲内というのが憲法第94条の規定ですので、そこにある程度合わせればいいのですが、超えている部分が結構ありまして、立入調査についても非常に不明確で、結局、これは県知事の都合で調査ができなかったりなどがありますと、これがどんどん広がっていくと。国はそのようないろいろなことに起こる補償もやります。法律を見てみますと、立入調査に関して伐採をしたりなどといったことに対しても補償します。ですから、法律との関係も含めて、この条例は完全になっていないと、もっと少し手直しをしながらやっていかないと憲法違反の部分があるという感じがします。
 今ですが、辺野古の埋立事業と那覇空港の第2滑走路、この条例はその2つに絞り込んだ条例制定みたいな感じになっていて、附則の90日の部分を見ていても、まさにそれがある特定の事業に対してかかっていると、客観的に見ますとそう見えます。埋立事業を全部対象にやるということであれば、わからないでもないですが、全体の埋め立ての特定するそこの部分だけ、そして沖縄には外来生物がたくさんいて、先ほどの辻参考人の話では埋立地に外来生物がたくさんいるという現状もありながら、ある特定の埋立事業だけに特化した条例をつくるということは―法律や条例をつくることもそうですが、ある特定の問題事項という政治的な観点があってはいけないと思います。ですから、全般にやっていくと。それは、国民及び県民に公平公正な規範を定めるということが立法の原点ですが、そういう観点からも非常におかしいと思いますが、提出者は何とも思わないのですか。

○仲村未央議員 条例は、公有水面埋立事業そのものは全て対象にしております。ただ、その中において、特定外来生物の侵入のリスクが高いと思われる県外からの土砂搬入を行う事業となりますと、現に行われておりますのが先ほど来繰り返している2者ということになりますが、埋立事業として全ての埋立事業を行う事業者が、基本的にはこの条例が捉える対象となります。それで、今、私たちが侵入のリスクが非常に高いと思うところは、先ほど来説明しておりますように、大量の土砂搬入に伴う侵入のリスクを最優先の課題として捉えたということで、この条例が機能するであろうということでの提案でありますので、この点について、法の補完、底上げという意味で自治体が進むということでは、将来的に、必ずや全体的な対策の第一歩になるということで、この条例を提案しております。

○照屋守之委員 こういう条例ができて、外からの土砂の搬入の規制があって、それを立入調査しないといけないということになってきますと、事業者としてもなかなか時間的なもの、経費的なものも含めて考えたときに、こうなったら沖縄県内の埋立用材で賄ってしまおうと。あるいは、今、フィリピンなどの国外から生コンの用材で砂が入ってきていますね。中国からも大きい石が入ってきています。これも外来生物の法律のもとにどんどん入ってきます。そうしますと、事業者はこういう形で、どこにいるのかわからないということがあるときに、外国からどんどんチェックをすれば、今のこういう仕組みよりかは簡単ですので取り入れてやるとか、あるいは県内の山を一つ、二つ買い取ってやるとかということが起こる可能性が想定されます。ですから、これは自然破壊を掘り起こす条例になる可能性があるという危惧があって、やはり県外だけではなくて、県内の宮古、石垣、本島を含めての埋立用材―県外といいますと離島ですので、海を隔てて九州ということですが、沖縄本島からすれば宮古、八重山も全く同じ条件です。そして、外来生物がたくさんおります。先ほど先生は沖縄は外来生物の宝庫と言っていました。外来生物がたくさんいる中で我々は生きています。もう一つは、埋立事業です。たくさん外来生物がいる県内の土砂を多く使って、埋立事業が行われてきた経緯もあります。そうしますと、あそこから外来生物がここへ移動してきて、ここに生息をするという移動ではないですか。ですから、県内もあわせてやっていかないと、環境破壊も含めてとんでもないことになります。そういことも想定して条例をつくっていかないと、県内はどうでもいいということにはならないと思いますが、どう思いますか。

○仲村未央議員 まさに、今おっしゃるような沖縄は島ごとにそれぞれの固有性があるということについては、環境省も那覇空港の埋立用材のアセスメントに当たって助言をしております。この中で「島嶼部の生物については、同種であっても島ごとに遺伝子レベルに違いがある可能性があり、島外からの生物の移入は遺伝子レベルの生物多様性に攪乱を生じさせる虞がある」と。ですので、「埋立用材の選定に当たっては生物多様性の保全に十分配慮すること」というのが那覇空港事業に行われた環境省の大臣の助言です。これまでの埋立事業は、比較的埋立地に近いところの土砂を用いる―これはコストの面も大きかったと思いますが、実際にはしゅんせつ土砂であったり、その地域に近いところを用いてきたというのがこれまでです。今回、想定されるような全体の事業に占める8割もの莫大な土砂を県外から持ってくるという、県をまたぐというような事例が目の前で起きるときの侵入のリスクというものは相当に大きくなると捉えましたので、また我々だけが捉えたのではなく、事業者みずからがそれは外来生物が入ってくる侵入の可能性があるということを、自分たちの事業計画の中でも表明をしております。そういう意味では、事業者みずからがそのリスクを抱えている以上、この事態に手をこまねいているよりは、まず第一歩として、今行われる一時大量の土砂搬入に伴う侵入のリスクを少なくとも軽減させるための条例は、非常に必要ではないかと考えております。

○照屋守之委員 必要ですが、県外からの土砂ではだめですよという話です。我々は、県内の埋立事業に関しても、そこに外来生物が生息しているとしっかり確認したではないですか。ということは、県内にもたくさんいるという話です。離島県ですよね。そういうことも含めて、最初でそういうことをきっちり入れないと、それをわかりながら我々は放置するわけですよね。これは非常におかしいと問題提起しておきます。
 やはり、こういうことも含めて、本来は全議員がかかわりながら与野党も含めてやるべきでした。これは一部の人たちだけでこういうことをやっていきますと、こういうことになるわけです。審査期間も短い。先ほど言いましたが、憲法の第94条の部分からきっちりおろしてこないと、非常にややこしい条例になると思いがしております。
 最高裁判例でこういうことがありました。工作物の請求事件ですが、最高裁の決定です。憲法第94条に地方自治体が条例を定めるということがありますよね。そして、地方自治法第14条第1項でも、「法令に違反にしない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる」と定め、これは条例制定の根拠であるとともに、その範囲と限界を定めたものである。したがって、普通地方公共団体は法令の明文の規定に反する条例の制定をすることは許されない。そのような法令は憲法違反だということです。我々議会がやって、これを執行部が対応するわけです。我々は条例をつくったら向こうに丸投げして、彼らも憲法に照らしてどうかということをやるということですが、最初からそういう疑いがあるという条例はつくらずに、ある程度この条文もまだまだおかしい部分がありますので、しっかりそういうことをやって、もう少し継続してやるべきだということを申し上げて終わります。

○仲村未央議員 憲法第94条の規定に抵触するということはないと我々は考えておりますし、地方自治体が担う役割、まさに環境省が示す行動計画にのっとった条例の制定と考えております。

○仲宗根悟委員長 ほかに質疑はありませんか。

   (「質疑なし」と呼ぶ者あり)

○仲宗根悟委員長 質疑なしと認めます。
 以上で、議員提出議案第1号に対する質疑を終結いたします。

○仲宗根悟委員長 休憩いたします。
 説明者の皆さん、どうぞ御退席ください。

   (休憩中に、説明者退室)

○仲宗根悟委員長 再開いたします。
 次回は、7月7日 火曜日 常任委員会終了後、委員会を開きます。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

委 員 長  仲宗根   悟