予算特別委員会



本日の委員会に付した事件
 1 甲第1号議案 平成16年度沖縄県一般会計予算


○安里進委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 甲第1号議案平成16年度沖縄県一般会計予算を議題といたします。
 本日の説明員として、教育長の出席を求めております。
 教育長から教育委員会関係予算の概要説明を求めます。
 山内彰教育長。
○山内彰教育長 教育委員会所管の平成16年度一般会計予算の概要について、御説明を申し上げます。お手元に平成16年度当初予算説明資料の抜粋をお配りしてございますので、この抜粋の方をごらんいただけたらありがたいと思います。
 これは県全体のものから教育委員会所管に係る分を抜粋してございますので、これを用いて御説明をしたいと思っております。
 なお、説明資料中、各予算額の上に記入してあります括弧書きがございます。これが教育委員会所管分でございます。それと照らし合わせてごらんいただけたらと思います。
 それでは、1ページをお開きください。
 平成16年度一般会計歳入予算の款別対前年度比較でございます。
 歳入合計6013億5000万円のうち、教育委員会所管分は460億346万9000円で、前年度に比べますと127億9640万8000円、率にして21.8%の減となっております。
 それでは、歳入予算の主な内容について御説明をいたします。
 2ページをお開きください。
 (款)使用料及び手数料176億5267万1000円のうち、教育委員会所管に係る分は53億4338万7000円であります。
 使用料の内訳でございますが、(目)教育使用料56億2834万8000円のうち、教育委員会所管に係る分は51億9546万2000円であり、全日制高等学校等の授業料、博物館使用料、奥武山総合運動場使用料、青少年教育施設使用料が主なものでございます。前年度と比較しますと、1億3629万2000円の減となっておりますが、これは生徒数の減に伴う高等学校授業料の減によるものであります。
 (目)教育手数料2億4304万7000円のうち、教育委員会所管に係る分は1億3974万1000円となっており、高等学校の証明手数料、入学考査料、入学料であります。
 (目)証紙収入24億9043万2000円のうち、教育委員会所管に係る分は818万4000円となっており、教育職員免許状の授与等に係る証紙収入であります。
 (款)国庫支出金1827億9921万9000円のうち、教育委員会所管に係る分は373億2810万7000円で、前年度と比較しますと40億4124万3000円の減となっております。
 国庫支出金の内訳について御説明いたします。
 (目)教育費国庫負担金332億8503万8000円は、教育委員会所管に係る分であり、義務教育給与費、養護学校給与費、盲ろう学校給与費が主なものであります。前年度と比較しますと38億5666万5000円の減となっておりますが、これは義務教育給与費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金において、給料等の対象経費が減少したほか、三位一体改革による国庫負担金の一般財源化に向けた措置等による減が主な要因であります。
 (目)教育費国庫補助金38億4488万7000円は、教育委員会所管に係る分でありまして、県立学校施設整備に係る学校建設費、産業教育施設整備費、文化財保護費等が主なものとなっております。前年度と比較しますと7658万4000円の減となっております。
 3ページをお開きください。
 (目)教育費委託金1億9818万2000円は、教育委員会の所管に係るものであり、文化財発掘調査費、教育調査研究費が主なものであります。前年度と比較しますと1億799万4000円の減となっておりますが、これは那覇防衛施設局から委託を受けて実施しているキャンプ瑞慶覧内発掘調査業務の大半が終了したことによるものであります。
 次に、財産収入について御説明いたします。
 (款)財産収入37億7514万1000円のうち、教育委員会所管に係る分は1億116万円であります。
 財産収入の内訳でございますが、(目)財産貸付収入12億3117万円のうち、教育委員会所管に係る分は3340万9000円で、教職員住宅の入居料であります。
 (目)物品売払収入6082万5000円のうち、教育委員会所管に係る分は58万6000円であり、県立学校の不用品及び家畜の売払代であります。
 (目)生産物売払収入4億2487万2000円のうち、教育委員会所管に係る分は6716万5000円であり、農林高等学校や水産高等学校における農場・漁業実習による生産物の売払収入であります。
 次に、諸収入について説明をいたします。
 (款)諸収入246億2252万2000円のうち、教育委員会所管に係る分は3億9381万5000円であります。
 諸収入の内訳でございますが、(項)貸付金元利収入154億7040万5000円のうち、教育委員会所管に係る分は1億9555万8000円であり、財団法人沖縄県学校給食会及び財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団に対する貸付金の償還金であります。
 貸付金元利収入を昨年度と比較しますと、23億6613万6000円の減となっておりますが、これは博物館新館・美術館建設用地に係る土地開発公社に対する貸付金償還金について用地購入が完了したことにより皆減となったことによるものです。
 4ページをお開きください。
 (目)雑入37億6442万8000円のうち、教育委員会所管に係る分は1億9825万6000円でありますが、これは防音事業関連維持費助成金が主なものとなっております。
 次に、県債について御説明いたします。
 (款)県債604億7100万円のうち、教育委員会所管に係る分は教育債及び災害債合計で28億3700万円であり、県立学校の施設整備事業、文化施設整備事業及び県立学校施設災害復旧事業に係るものであります。前年度に比べると62億4700万円の減となっておりますが、これは博物館新館・美術館建設事業に係る用地取得が完了したことによる減であります。
 以上が教育委員会所管に係る一般会計歳入予算の概要であります。
 続きまして、一般会計歳出予算の概要について御説明いたします。
 5ページをお開きください。
 平成16年度一般会計歳出予算款別対前年度比較をごらんください。
 教育委員会所管の一般会計歳出予算額は、(款)教育費、(款)災害復旧費及び(款)公債費合計で1523億5万1000円で、これは一般会計歳出予算額の25.3%を占めております。また、前年度と比較しますと168億5823万9000円、10.0%の減となっております。
 それでは、歳出予算額の主な内容について目ごとに御説明をいたします。
 7ページをお開きください。
 (項)教育総務費については、(目)教育委員会費1673万1000円は、沖縄県教育委員会の運営に要する経費であります。
 (目)事務局費41億9929万4000円は、事務局職員の給与費、教育庁運営費等であります。前年度と比較しますと6427万1000円の減となっておりますが、これは給与改定による事務局職員の給与費の減等によるものであります。
 (目)教職員人事費4億360万円は、教職員の人事管理及び福利厚生に要する経費等であります。前年度と比較しますと2278万4000円の減となっておりますが、これは沖縄保養所梯梧荘の施設増築資金の償還の終了による公有財産購入費の減によるものであります。
 8ページをお開きください。
 (目)教育指導費11億5793万3000円は、学校教育の充実、教員研修、児童・生徒の健全育成に要する経費であります。前年度と比較しますと2916万6000円の減となっておりますが、これは高卒者就職支援システム活用事業での通信機器の整備終了及び旅費条例の改正による旅費の減等によるものであります。
 (目)教育センター費4億5249万円は、教員研修及び調査研究を行う沖縄県総合教育センターの運営に要する経費であります。前年度と比較すると1億5031万円の増となっておりますが、これは産業技術教育センター整備事業での備品購入費等の増によるものであります。
 (目)教育振興費3億9019万5000円は、人材育成、幼稚園教育、僻地教育の振興に要する経費であります。前年度と比較しますと2672万円の増となっておりますが、これは日本育英会の解散に伴い、高校生の奨学金貸与事業を県が引き継いで実施する高等学校育英奨学事業の増等によるものであります。
 次に、(項)小学校費、(目)教職員費482億269万7000円は、公立小学校教職員の給与費及び旅費であります。前年度と比較しますと12億712万5000円の減となっておりますが、これは給与改定による職員給与費の減及び旅費条例の改正による旅費の減によるものであります。
 次に、(項)中学校費、(目)教職員費308億3925万7000円は、公立中学校教職員の給与費及び旅費であります。前年度と比較しますと19億1967万6000円の減となっておりますが、これも小学校費と同様に給与改定及び旅費条例の改正によるものであります。
 次に(項)高等学校費、(目)高等学校総務費412億6374万2000円は、県立高等学校教職員の給与費及び旅費、高等学校施設の財産管理に要する経費であります。前年度と比較すると14億8179万1000円の減となっておりますが、これは給与改定及び旅費条例の改正等によるものであります。
 9ページをお開きください。
 (目)全日制高等学校管理費26億6205万9000円は、県立高等学校の全日制課程の管理運営及び農場実習に要する経費であります。前年度と比較すると3951万5000円の減となっております。これは生徒数の減により同管理費に充てられる高等学校授業料の減額に伴い、需用費及び備品購入費を節減したこと等によるものであります。
 (目)定時制高等学校管理費8138万7000円は、定時制課程の管理運営に要する経費であります。
 (目)教育振興費11億3204万1000円は、産業教育に関する設備や教育用コンピューター等の整備に要する経費であります。前年度と比較すると1億2438万5000円の減となっておりますが、これは沖縄水産高等学校全面改築事業の終了による産業教育施設整備事業費の減等によるものです。
 (目)学校建設費50億625万2000円は、県立高等学校施設の整備に要する経費であります。前年度と比較すると12億3154万7000円の増となっておりますが、これは老朽校舎等の改築事業等の増によるものであります。
 (目)通信教育費2204万7000円は、泊高等学校の通信制課程の管理運営に要する経費であります。
 (目)実習船運営費1億6332万9000円は、水産高等学校実習船の管理運営に要する経費であります。前年度と比較すると1458万9000円の減となっておりますが、これは修繕料等の減によるものであります。
 次に(項)特殊学校費、(目)盲ろう学校費14億252万2000円は、盲ろう学校教職員の給与費及び旅費、学校の管理運営及び施設整備に要する経費であります。前年度と比較しますと4億8600万1000円の減となっておりますが、これは給与改定による給与費の減及び沖縄ろう学校の校舎増築に係る施設整備費の減等によるものであります。
 (目)養護学校費114億2384万2000円は、養護学校教職員の給与費及び旅費、学校の管理運営及び施設整備に要する経費であります。前年度と比較すると19億1445万5000円の減となっておりますが、これは給与改定による職員給与費の減、旅費条例の改正による旅費の減及び名護養護学校全面改築事業の終了による施設整備費の減等によるものであります。
 次に、10ページをお開きください。
 (項)社会教育費、(目)社会教育総務費1億1346万5000円は、生涯学習の推進、社会教育指導者の養成及び各種研修事業の開催等に要する経費であります。前年度と比較すると1億7859万円の減となっておりますが、これは第15回全国生涯学習フェスティバル開催事業の終了による減及び国の補助事業廃止に係る生涯学習振興事業費(補助事業)の減等によるものであります。
 (目)視聴覚教育費149万4000円は、視聴覚教育の振興に要する経費であります。
 (目)文化財保護費15億1952万5000円は、文化財の保護、沖縄関係史料編集及び文化施設の建設に要する経費であります。前年度と比較すると107億6109万8000円の減となっておりますが、これは博物館新館・美術館の用地取得終了等によるものであります。
 (目)図書館費1億7290万2000円は、県立図書館の管理運営に要する経費であります。前年度と比較しますと3496万5000円の減となっておりますが、これは図書館情報提供システム開発事業の減及び緊急地域雇用創出特別事業である貴重資料整理活用事業の終了による減等によるものであります。
 (目)博物館費8945万8000円は、県立博物館の管理運営に要する経費であります。前年度と比較すると460万9000円の増となっておりますが、これは資料収集事業費等の増によるものであります。
 (目)青少年教育施設費1億2587万2000円は、県内6カ所に設置している青年の家・少年自然の家の管理運営に要する経費であります。前年度と比較すると440万8000円の増となっておりますが、これは施設の備品購入費等の増によるものであります。
 11ページをお開きください。
 次に、(項)保健体育費、(目)保健体育総務費3億3747万9000円は、県立学校の生徒及び教職員の定期健康診断の実施等を含む学校保健指導や学校体育及び学校給食の指導等に要する経費であります。前年度と比較すると2億131万4000円の減となっておりますが、これは県立学校の給食調理場及び学校食堂の改築に係る給食施設整備事業の減等によるものであります。
 (目)体育振興費3億1612万1000円は、社会体育・スポーツの振興に要する経費であります。前年度と比較して3933万3000円の減となっておりますが、これは沖縄空手道古武道世界大会の開催に要する経費の減等によるものであります。
 (目)体育施設費4億5300万7000円は、社会体育施設の整備及び管理運営に要する経費であります。前年度と比較すると6573万2000円の減となっておりますが、これは奥武山運動公園庭球場の整備終了による施設の整備に要する経費の減によるものであります。
 以上が(款)教育費の概要であります。
 次に、(款)災害復旧費について御説明いたします。
 12ページをお開きください。
 (項)教育施設災害復旧費6637万4000円は、学校施設等の災害復旧に対処するための経費であります。前年度と比較すると3000万円の増となっておりますが、これは近年の災害復旧に要した経費の実績を踏まえて増するものであります。
 次に、(款)公債費について御説明いたします。
 (項)公債費2億8493万6000円は、国の平成13年度第2次補正予算の際に、国庫支出金にかわり国のNTT債の売却収入を原資とした無利子貸し付けを受けて、県立学校建設に係る経費に活用しましたが、その償還に伴うものであります。なお、償還金については、国から補助金が交付されることになっており、県の財政負担を伴うものではありません。
 以上が教育委員会所管の平成16年度一般会計歳入歳出予算の概要であります。
 次に、債務負担行為について御説明いたします。
 13ページをお開きください。
 平成16年度一般会計債務負担行為でございます。
 (事項)学校建設費17億6219万6000円は、2カ年をかけて実施する南風原高等学校、中部工業高等学校及び石川高等学校の校舎新増改築事業及び騒音対策事業に要する経費について設定するものであります。
 (事項)教育用設備整備費5億990万4000円は、県立学校の教育用コンピューターの整備に要する経費について設定するものであります。
(事項)博物館新館・美術館建設事業費127億233万4000円は、博物館新館・美術館建設事業に要する経費について設定するものであります。
 次に、地方債について御説明いたします。
 14ページをお開きください。
 平成16年度一般会計地方債でございます。
 教育委員会所管に係る分は、高等学校施設整備事業、文化施設整備事業、特殊学校施設整備事業、災害復旧事業であります。
 以上で教育委員会所管の平成16年度一般会計予算の概要説明を終わります。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○安里進委員長 以上で教育長の説明は終わりました。
 これより質疑を行いますが、質疑及び答弁に当たっては、その都度、委員長の許可を得てから、自席で起立の上、重複することがないよう簡潔に発言するよう御協力をお願いいたします。また、質疑の持ち時間を譲渡した委員は、譲渡を受けた委員の質疑中は在席する必要がありますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、これより直ちに質疑を行います。
 安慶田光男委員。
○安慶田光男委員 教育問題はいずれにしても重要な問題であるだけに、私も質疑をさせていただきたいと思っております。
 小・中・高校における校内暴力、いじめ、不登校、教師によるセクシュアルハラスメント、暴力などに対する実態はどうなっているのか、まず1点お答えいただきたいと思います。
○山内彰教育長 いじめ、不登校等の状況でございますけれども、平成7年度当時の444件をピークに現在では年々減少傾向にあります。昨年度は217件、半分に減ってはおりますけれども、依然として多いわけです。不登校については平成14年度は1696件で、前年度に比べ200人の減少となっておりますが、その実数は依然として多く、いじめと同様に本県の教育の最重要課題の1つかと思っております。
○安慶田光男委員 今、最重要課題だと言われましたので、これは後ほど問題にするとしまして、次に、非常におもしろいマスコミ報道がありましたので、二、三聞きたいと思っております。
 万引きに対する中・高校生の認識調査をしたところ、犯罪の意識がないという結果が2割を超えているそうであります。万引きが発覚しても、学校や親、警察に連絡すべきではない、連絡すれば将来に傷がつく、そして万引きした物品を返せば何も問題はないのではないかという生徒の意識になっているという調査がありましたので、教育長、所感で結構でございますから、ひとつどういうふうにこの実態を見ているのか、本県でもそういう調査をされたのか、されないのか、もしわかればで結構でございますからどうぞよろしくお願いします。これは所感だけで結構です。
○山内彰教育長 調査データは今持っていませんけれども、確かに万引きについてかなり多うございます。報告は受けておりますので、その報告データは持っております。
 所感でございますけれども、やはり1つには規範意識の問題かと思います。我々も反省しておりますけれども、規範意識の確立をさらに充実させる必要があるだろうと。
 あと1つは加害者意識という点での教育指導というのは全く弱かったものですから、今警察と連携して、いわゆる犯罪でありますから、そのようなたぐいは犯罪になるんだ、犯罪者になった場合の意識というものは学校教育において非常に弱かった面がありますので、この面の教育指導。
 もう1つはやっぱりモラルではないか、これは生活の中から生まれてくる生活の中でのモラル。各学校だけの話ではなくて、お互いの生活習慣の中から出てくるモラルの欠如という3つの大きなことが要因ではないかなと考えております。
○安慶田光男委員 これも後ほど教育基本法の改正の問題と関連させてやりたいと思います。
 次に、他都道府県において学校給食のメニューから鳥インフルエンザのせいで鳥肉や卵が激減したという報道がけさありました。それでは本県はどうなっているのかという単純な疑問が出たものですから、もしわかりましたら御答弁願います。もしわかりませんでしたら、私、これは事前に通告していませんでしたので、後ほど資料をいただきたいと思いますので、まず教育長の答弁だけお願いします。
○山内彰教育長 正確なデータは持っていませんが、報告によりますと、鳥肉にしても、卵にしても、きちんと調理をして、ボイルしているものに関しては支障ないということで、今、学校給食においても活用しているとの報告を受けております。
○安慶田光男委員 いずれにしましてもこの問題は重要なことだけに、私も事前に通告していませんでしたので、これ以上は申し上げませんが、後ほど資料を提供いただきたいと思います。
 次に、3月13日の琉球新報の記事によると、本島北部の小学校で下痢や発熱で2年生16人が欠席した。そして同様な症状が介護施設にもあった。それで、県の薬務衛生課が食中毒の発生の疑いがあると発表しています。その点について教育長は知っているのかどうか、もし知っているとしたらどういう対処をされたのか、またその後どういう事実になったのか、大変重要なことですから、少し経過をお知らせ願いたいと思います。
○山内彰教育長 このことについては、事後の報告をもらいました。それと薬務衛生課の指導で、これは食中毒の疑いがあるということで調査をされたようですけれども、父母の皆さんが学校給食にプラスアルファしてサラダを出してあげた、そのサラダの中身が要因ではなかったかと分析していると。一番最初に発作を起こしたのが担任だったようで、2年生の1クラスだけにその症状が出たということで分析調査した。しかし、3日たって子供たちも元気であるということでしたので、あとは給食指導あるいは学校におけるお母さんたちの援助指導を十分やるようにという指示をした経緯がございます。
○安慶田光男委員 そうすると、これは学校給食そのものの問題ではなくて、PTAによる、あるいはお母さん方によるサラダが問題だったと解釈、理解してよろしいですか。
○山内彰教育長 いわゆる学校給食をともにした者はそれにかかっていない。しかし、そのサラダを食べた子供と教員だけがかかったということで、今のところそうではなかろうかという分析でございます。
○安慶田光男委員 わかりました。
 それでは、先ほどの小・中学校における暴力の問題と不登校、さらに先ほど言いました万引きの問題等々を含めまして、私は今、学校教育現場における教師の立場というものが生徒指導に対して非常に自信を喪失しているのではないか。これはなぜかといいますと、教育基本法で言う個人の尊厳ということになりまして、体罰はいけない、先生がしつけのつもりで少しでも体罰をしても、PTAが騒いだり、マスコミが騒いだり、世間が騒ぐものですから。いずれにしても、いじめがあっても先生は決して生徒を殴らない、生徒をしかるだけで何もしないということで、私たちの中学校でも、先生は何もできないんだという風潮になっていると私は感じるんですが、教育長、どう思われますか。
○山内彰教育長 確かに生徒指導上の問題においては、特に中学校においては多感期の子供たちでありますので、教師と子供との関係でそういうことも生じると思います。しかし、全体としては、教師に対するものというのは、やはり信頼関係ではないかと思っているわけです。教師が自信を持ってやっているかどうか、それは人間関係の問題ではないかと思っているわけですけれども、傾向としてそういうことが以前よりも出てきていることはしかりでございまして、あとは教師と子供との人間関係の問題かな、構築されていくのかなと分析しております。
○安慶田光男委員 次に、私は、今申し上げましたように学校現場における指導方法のあり方なんですが、個人の尊厳、つまり生徒自身の人格を尊重する余りに、権利の主張は教えるが、義務も伴うという教え方をしているかどうかというところにいささか疑問を感ずるんですが、教育長の見解はどうですか。
○山内彰教育長 権利と義務の関係は表裏一体であるととらえております。やはり権利の主張だけが先行せずに、義務の履行が権利を保障するのだということの指導はとても大事だと考えております。
○安慶田光男委員 次に、平等主義についてでございますが、平等主義というと一見言葉は聞きやすくて、すばらしい言葉に思われますが、では、平等というのはどういう意味で平等主義をとられるのか。私は思うのですが、例えば結果において平等というのは、この競争社会においてはあり得ないと思うんですね。機会において平等というのは必要かもしれませんが、結果において平等ということはあり得ない。ですから、同じ教育を受ける、同じ現場で教育、指導をしても、できる子とできない子、理解のできる子とできない子、あるいは学力がつく子とつかない子というのが出てきてしかるべきではないか、それが教育基本法で言うまさに個人の個性豊かなものをつくっていくのではないかと考えるんですか、教育長、どうですか。
○山内彰教育長 平等の定義は難しいことだと思いますけれども、言葉の意味は偏りや差別がなく、皆等しいことであり、そのさまを言うかと思います。 ただ、教育における平等の考え方はすべてのものに同量で、同じように、そして共通の教育を保障すべきだという原点がまずあろうかと思います。その後で、だからといって教育での平等主義は全く同様に画一的にすることではないのではないか。やはり個に応じて、個々に分けて提供してもまた違いが生じるのも、それはそれなりの共通の教育をなしていくことが近年の教育でうたわれている平等主義の1つだと考えております。したがって、結果の平等という表現でしたけれども、私どもは結果をもって個々に適した教育を保障できたかという発想ではないかと思っております。結果を見て、その子供たち一人一人に適用できるような教育がなされたかというものが平等の教育における一歩深めたものではないかととらえております。
○安慶田光男委員 教育長、今の結果をもって平等とみなすという場合に、ちょっと理解に苦しむんですが、もう少しかみ砕いて御説明いただければありがたいと思います。
○山内彰教育長 結果をもってではなく、結果をもって個々に適した教育を保障してあげると。ですから、やはり違いがありますので、違いは違いとして認め、その個に応じてよさを伸ばし、与えてあげる。我々の差別論から教育基本法にうたわれていますけれども、いわゆる教育の機会均等は与えて、その中で個に応じてやっていった結果として個に応じた教育の保障ができたかということが教育の平等主義だととらえております。
○安慶田光男委員 もう1つ、教育は国家百年の大計をなすと言われるほど国家の存亡にとって重大な役割を果たしていると私は考えて、教育は普遍的な部分を有しながらも、ある面では時代の背景を考慮してそれに対応できるものでなくてはならないと考えるんですが、教育長の考えはどうですか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおりだと思いますけれども、教育は不易と流行の部分があるかと思います。不易というのはやはり普遍的なものでありまして、教育においては教育論としてやはりその人をどのように変えていくか、未来において価値あるものに変えていくことについては不易な部分だと思います。
 また、流行の部分もありまして、流行といいますと、その時代に応じた教育の対応という方法論に違いが生じてくると考えております。
○安慶田光男委員 それでは、先ほど質疑しました万引きの問題もモラルの問題だと言われておられました。それから、学校内における暴力の問題、セクシュアルハラスメントの問題、あるいはいじめの問題、不登校の問題も最重要な課題だと言われました。いずれにしましても、さっき教育長は、教育というものは時代の背景を見て、必要に応じたその場その場の価値観に応じたものでなければならないというものを実践していくには、今の教育基本法は昭和22年に制定されて以来56年、実に2分の1世紀以上過ぎておりますので、そろそろ教育の根幹をなす教育基本法を見直す時期に来ているのではないかというのが云々されておりますが、これは正直言って国民の多様化する価値に対応できるかどうかという意味からしても、またはそういう問題が云々されておりますが、教育長の教育基本法改正に当たっての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○山内彰教育長 委員のおっしゃるとおり教育基本法は昭和22年に制定されたもので、私はすべての教育法令の根本法であると認識しております。
 ただ、戦後同法のもとで、教育の機会均等とか、あるいは量的拡大とか、教育水準の向上が図られてきました。それをもって我が国の経済社会等の発展に大きく寄与してきたのではないかと思っております。教育基本法の改正についてはおっしゃるとおり各方面から多様な意見を集約するなど幅広い論議が不可欠ではないかなと思っております。教育長としては、そういう意味では今後とも国民的な論議の推移を注意深く見守ることが大事かなととらえているところでございます。
 なお、これについては、やはり立法的な視点が重要でございまして、政策的な立法ということになろうかと思いますので、なおさら教育長としてのポストとしてはその論議を十分注意深く見守る必要があるかと思っております。
○安慶田光男委員 教育長としての態度が出ていないということで、注意深く論議を見守るといっても、何か他人事のような言われ方はしていただきたくないなと思うんですが、ここに1つ事例がありまして、学校教育法の中でまず第16条をとってみますと、第16条で要するに「子女を使用する者は、その使用によって、子女が義務教育を受けることを妨げてはならない。」と。これは現代社会に当てはめるとまさに差別にもつながるんですね。なぜ女子だけそういうふうに定めなければならないのか。今どき女子に義務教育をさせないと言う人はいないわけですよ。そういう意味からしても私は、これに答えるという意味ではなくて、こういう例1つをとっても教育基本法の改正が云々される時期ではないかと思うんですが、教育長はまだいろいろな論議を見定めていきたいとおっしゃっているのですが、教育長、今は地方の時代、地方分権の時代と言われているのですよ。そして、沖縄県は特に人材育成を県の大きなスローガンとしているだけに人材育成というのは教育に重要な役割があると見ているのです。そういう沖縄県の教育行政の最高を担う教育長であれば、教育委員会を開いて、やはり沖縄県としてはこうあるべきだという意見を携えてもおかしくない時期に来ているのではないか。ただそのまま他力本願的にあちらこちらの学者や国や機関、あるいは政党の論議を見守るだけでなくて、やはりみずからが地方分権の担い手として、そういう意味では私は今後教育委員会もそういう態度でなくて、非常に重要なものであるだけに真剣に論議を重ねていっていただきたい。今回は要望だけにとどめておきたいと思います。
 さて次に、問題を変えます。次はゆとり教育の問題でございますが、ゆとり教育が云々されてからもう2年、3年になりますが、その中で沖縄県は学力水準で全国のどのレベルにあるのかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○山内彰教育長 一概に学力を比較するということは難しい面がございます。しかしながら、例えば大学入試センター試験が平成2年度に実施されまして、そのセンター試験をもとに大手予備校のベネッセの資料で比較することはできます。センター試験実施年度から平成9年度までの5教科の総合について本県を比較いたしますと、平成9年度までは最下位でございました。平成10年度に初めて39位になり、それ以降、総合及び各教科において上昇傾向を示しております。本年度のセンター試験においては総合で33位に躍進しておりまして、教科によっては、国語Ⅰ、物理A、化学A、生物A、地学Aにおいて全国のトップという成績を上げております。
 このことは本人はもちろん、家庭、学校、地域の努力のおかげだったのではないかととらえているわけです。1つの例で示したわけですけれども、御理解ください。
○安慶田光男委員 先ほど教育長のお話にもありましたように、平成9年度までは最下位だったと。やっと沖縄県の学力は向上しつつあるというさなかに、文部科学省はゆとり教育を2カ年で修正しなければならないと。なぜかというと、学力低下があるということで、今文部科学省がそれぞれの県あるいは市町村の教育委員会、教育長に通知を出している段階だそうです。沖縄県の生徒の学力については、やっと今全国レベルにいこうかとしているさなかにあって、なぜあえてゆとり教育の一環として2学期制の導入が叫ばれなければならないのか、私は少し疑問に思うんです。
 では、この2学期制の導入というのはどういうことかといいますと、ゆとりある教育として2学期制を導入していこうという新聞報道を見たときに、果たして沖縄県が学力的にそういう段階にあるのかと。しかも、文部科学省ですらこのゆとり教育には問題がある、週休2日制になって非常に学力低下につながっていると言って修正をしようとしているさなかに、さらに2学期制にしてやっていかなければならないというところに私は正直疑問を感じるものですから。
 そこで、質疑しますけれども、現在の3学期制と2学期制を導入したときの授業日数というのは変わるのですか、変わらないのですか。
○山内彰教育長 ゆとり教育と2学期制については省略するといたしまして、実質2学期制を実施した学校では、時間的な数にして20時間ほど2学期制の方が確保できているという実態がございます。
○安慶田光男委員 20時間確保できる実態というものは、要するに学校行事が少ないからという理由かもしれませんけれども、新聞報道で見ると、私も調べたんですけれども、学校の授業というものは卒業式と入学式が減るだけで、3学期制でもやろうと思ったらできないことはないという形なんです。そうすると、これは2学期制を導入するための一つのデモンストレーションではないかと私は感じるのですよ。では、どうして2学期制を導入したら学力低下につながるという評価があるんですか。そういう見方があるんですか。教育長はそれをどう思うんですか。
○山内彰教育長 きちんとした分析データではないですけれども、その実績から言われていることは、結局2学期制はスパンを長くしてやっていこうということです。そうしますと、その分だけ子供たちにとっては試験の問題とかの長さが出てくるとかいうことで言われてはいますけれども、具体としては本県で見られる状況としてはかえってこの方がいいのではないかということもまた言われておりますので、一概にそういうことは言えないのではないかと考えております。
○安慶田光男委員 私は2学期制は時期尚早ではないかという意見を持つものですから、皆様方が学力低下につながらないというデータを示さない限り、新聞報道によるとやっぱり「ある」と書いてあるんですね。新聞では、東風平中学校とか那覇市、八重山商工高校、特に北部地区の6高校が一斉に2学期制を導入すると書いているのです。そこは離島や僻地ですよ。そういうところに限って導入していくというのは、私は少しおかしいという嫌いもあります。それが絶対にというデータも、もちろん新聞で報道されているように学習意欲や学力の低下につながる可能性があるという指摘があります。指摘があるということは、それなりに詰め込みだとか、あるいは学習内容が多過ぎてわからないから学習意欲がなくなるというものが指摘されていますので、教育長、それがないというデータが出せますか。
○山内彰教育長 私どもも、屋良小学校、嘉手納小学校、東風平中学校、嘉手納中学校、越来中学校等々のデータを持っておりますけれども、それによりますとかえってケアがとりやすいとか、あるいはきめ細かな学習指導ができるとか、そういう数値的なものもございますし、もう1つは先ほどから言いました本県の学力向上対策を立てて、それがしっかりとなされた学校においては十分生かされていくという報告書を受けているものですから。ただ、今のところ絶対的な比較、対照はできませんけれども、そういうよさを持っているということは言えるのではないか。
○安慶田光男委員 教育長、最初の答弁と少し矛盾してきますから。なぜかというと、全国的レベルでは学力水準はわからない、はかれない、一概に言えないと言っているわけですから。では、何をもって学力水準が落ちたか落ちなかったかという論議になるわけです。だから、そういう意味からすると、北部地区の6高等学校や、八重山商工高校にどういう学力向上の施策を、ほかの高校とは違った指導をしたのかというのを具体的にお示しできますか。
○山内彰教育長 1つには基礎、基本の学力向上対策の実施とが徹底されているかどうかということときめ細かな指導体制が図られているか。先ほど学校行事等で時間数の確保が徹底してなされているかどうかとか、そういう1人1人に確かな学力を身につけさせるというのは本県はもう17年目になるわけです。そういう実績を踏まえての話でございまして、その結果が高等学校においても影響していったのではないか。ですから、確かに3学期制と2学期制についてはいろいろありますけれども、2学期制を導入している学校については、十分そのケアが図られて、やっていけるという報告を受けているところなんです。
○安慶田光男委員 2学期制導入、3学期制にする、現状を維持するというのは学校長に任されている、学校に任されている判断なんですか。
○山内彰教育長 はい。
○安慶田光男委員 そうすると、もしそうであるとするならば、皆様方教育委員会としては、今、教育長がおっしゃっているように実施している学校はそれなりに学力低下につながらない。つながるという指摘があるだけに私は懸念しているわけですよ。やはりつながらないというちゃんとした資料を今後取りそろえておいていただきたい。そして、もしそれが学力向上につながると言うならば、教育長は、教育委員会はほかの学校にも推進させるべきではないですかというまた新たな疑問も出てくるわけですよ。いずれにしましても初めての試みで、やはり議論を交わそうかと思いますので、今後僕は非常に大きな問題になると思っているんです。なぜなら本当に学力向上につながるのであればいいのだが、それが単なる休みが多くなって楽になるとか、あるいは生徒がゆとりがあるとか、そういうようなもので学力にますます差がついていくと沖縄県が目指す人材育成というのは僕はできないのではないかと思うだけに、この2学期制度の問題を今後も問題にしていきたいなと考えております。
○安里進委員長 安次富修委員。
○安次富修委員 先日の土日も各中学校の卒業式が行われまして、大変感動的でありましたけれども、別れや新たな旅立ちがあるわけです。これは通告はしておりませんが、教育長として卒業に際しまして子供たちに何かはなむけの言葉をプレゼントするとしたらどういうことをおっしゃいますか。
○山内彰教育長 やはり「未来に生きよ」と中学生には言いたいですし、「青春とは未来での生き方である」という言葉を私は常日ごろ語っておるところです。それから、小学生には、私も校長の経験がございますけれども、「10年後の君に会いたい」ということを詩にして贈ったことがございます。ちょうどことし10年目ですけれども、彼らと会う約束をしています。大学生になっておりますし、卒業した子もいますから、やっぱり「10年後の君に会いたい」というのと「未来に生きろ」というのを中学生と小学生に贈りたいと思います。
○安次富修委員 さすが山内教育長でございます。
 次に、渇水対策連絡協議会も開かれている中で各学校への節水への呼びかけは具体的にどういうことを行っているのか、聞かせてください。
○山内彰教育長 県の渇水対策本部会議が開かれまして、県教育委員会も参加しております。したがって、その重点項目である3つの点を徹底していこうということで通知もしました。1つはバルブを閉めて水量を調節しよう。2つ目が節水こまや節水型の泡沫器を取りつけようではないか。3つ目がトイレに流水用具を設置して複数回流すことを抑制するようにしようではないかとか。そういうことを学校に通知すると同時に、学校では現在トイレへのペットボトルの挿入やトイレ及び散水への雨水や地下水の使用など主体的な取り組みをしていただきたいという意味合いの通知を出して協力をお願いしているところであります。
○安次富修委員 より厳しい状況であることには変わりはないということですので、子供たちも悪気があってのことではないのですけれども、水道栓の閉め忘れとか、そこら辺は小まめに校庭を回って点検するようにぜひ再度の呼びかけをお願いしたいと思っております。
 続きまして、宜野湾市の英語教育特別区域についてお聞きいたします。
 まず、県教育庁としてその内容をどう把握しているか、説明をしていただきたいと思いますし、各教育委員会、中頭教育事務所、島尻教育事務所とありますけれども、特に宜野湾市は中頭教育事務所管轄でありますから、その職員定数と英語教育特別区域との関係についても説明を願いたいと思います。
○山内彰教育長 正直言いますと、特別区域構想というのは市町村が単独に行っているものでございまして、内閣府を通すものですから、教育委員会は通っていません。ですから、正直言いまして、宜野湾市の教育特別区域について私も知らないうちになされたと。終わって後から私は知らないよというような話も出まして、後で報告を受けているわけですから、実際というものについては掌握しておりません。ただ、担当課では英語教育特別区域についての報告を受けているようです。したがいまして、職員定数等々についても文部科学省の管轄の中で特配をするとか加配をするというものについては今のところ考えておりません。あくまでも市町村の単独でやっていくというスタンスでございます。
○安次富修委員 ということは、宜野湾市は英語教育特別区域ですから、とっくに知っているのかと思ったら全然知らないということですので、ぜひ情報として、これをしっかり把握していただきたいと思っております。
 そうしますと、例えば今の宜野湾市の小学校への教員配置、中学校への教員配置とかあります。中頭教育事務所管轄全体の教員定数配分の中でこれには差し支えない、影響しないということで認識していいわけですか。
○山内彰教育長 宜野湾市から人事配置上、人事異動において特別な配慮をお願いしたいという要請はございましたので、これについては英語教育特別区域がスムーズに行われるようにやっていきたいと考えているわけです。報告は受けておりますので、担当課長としては内容等についても掌握している。したがって、日本人英語教師の採用を宜野湾市の財源でやるということのようでございますので、それでは教職員定数との関係は直接はありませんけれども、人事配置として私たちは英語ができる校長の配置とか、小学校における英語の免許を持った教師の配置とか、そういう面で支援体制を図っていきたいと考えております。
○安次富修委員 今言った支援体制を整えていきたいということは、その事業は直接宜野湾市の事業ですけれども、日本人英語教師を採用するということになっているわけですが、その財政措置というものは一体どうなるんですか。宜野湾市の単独事業として、これは県は関係ないということになるのかどうなのか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおりでございまして、宜野湾市の財源でやっていくという形になると思います。ただ、1つだけ、私どももそれで応援をするということで英語の先生を1人加配をしていく方向性をとろうと考えているわけです。
○安次富修委員 ここに資料がありますけれども、小学校1年、2年、3年という形で、音楽、図工、体育及び総合学習の時間を削減する。そして英語の時間に充てるということで、音楽においてはマイナス8時間、図画・工作もマイナス8時間、体育もマイナス7時間となっておりますが、基本的な人格形成という点において、音楽とか体育は徳育、知育と言われておりますけれども、ほかの科目の時間を削減することに対して少し気になる部分があるわけですが、そこら辺は教育長としてどういう見解をお持ちですか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり私どもも非常に気になることでございます。ただ、宜野湾市の導入は国語、社会、算数、理科、生活科等の指導時数はこれまでと変わらないように組んでいきたい、残りの教科から時間数を割いていきたいという構想を持っておられるようです。そういう面については今より人生格形成とかそういう面でも非常に課題性もあろうかと思います。ただ、その辺をカバーして英語による音楽の授業数とか、歌をやるとか、そういうことを補てんできる教育課程を組みたいということでございますので、それについては宜野湾市に任す以外にないだろう。実は今本県が全体的にそういう構想を入れきれないのは教育課程との課題性があるものですから、小学校に英語というのは研究開発ということで那覇市を指定をして、研究開発校の成果をもって導入していきたいということもそういう面との絡みがございます。
○安次富修委員 初めての試みですので、ぜひ県教育庁としても関心を持って、そのメリット、デメリット等々をしっかり把握してもらいたい。せっかく英語教育特別区域をやるのでしたら、最終的にはしっかりとした人格形成にありますので、そういう点で総合的な人格形成において支障のない英語教育特別区域というものの実現のためにぜひ関心を持っていただきたいと思っております。
 続きまして、私立星槎国際高校の設置についてですけれども、北海道にあります私立星槎国際高校は不登校の子供たちを支援していくということで実績等も大変高いわけですけれども、県教育委員会としてはこの星槎国際高校の設置について、正式に北海道の教育委員会に対してどのような答申をなされたのかについてお聞かせください。
○山内彰教育長 学校サイドから、あるいは北海道教育委員会から正式な文書等はございませんので、答申もやっておりません。ただ、当該高校については、中途退学、不登校等、あるいは学習障害を有する生徒を対象とした全国初の広域通信制の高等学校であると認識しております。また、本県で3校目になるかなと理解しております。スタンスとしては、本県がやっている生徒のやる気支援活動や高等学校就学支援センターの設置ですね、子供の居場所づくり等とも共通するものがあるかなと理解して、ともにやっていける場づくりができたかなと理解しております。
 私の情報不足でありまして、総務私学課を通して本県に貴職の意見ということであったようでございます。これについては、県教育委員会としましては学習障害のある生徒の進路選択に当たり選択肢がふえることで学習機会の拡大が図られ、本人及び保護者のニーズにこたえられるものであると考えておりますということを意見書で答えております。
○安次富修委員 やはり不登校については、またボランティアや、そういうもので子供たちを救おうという団体もまだまだありまして、そういう点からすると少しでもそういう機会が広がるといいますか、救済が広がることは大変いいことだと思っておりますので、公立、私立の別なく、やはり不登校に対する対策というものをしっかりととっていただきたいなと思っております。
 次に、先ほども安慶田光男委員からありましたけれども、特に親の子供への虐待については、各学校において長期欠席をしているのが単なる病気欠席ではなくて、ひょっとしたら監禁されている、ひょっとしたら軟禁されて部屋に閉じ込められていると。本当は救いを求めたい、悲鳴を上げたいという子が万が一、もしかしているのではないかという場合、一連の事件の中で学校側がもう少し子供のシグナルを酌み取っていればこんなことにはならなかったのではないかというような反省もいろいろマスコミ等を通じて出てきているわけですけれども、その点についての実態の把握といいますか、皆さんの取り組みを聞かせていただければと思うんですが。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり学校の責任というのは児童虐待防止法にもうたわれています。したがって、早期発見、早期報告というのがございますので、平成11年度、平成12年度、平成13年度、学校としてもその辺に力を入れているところでございます。特に職員会議、校内研修、文書資料を配布してこの辺の取り組みを強化、力を入れているところです。それまでは、正直言いまして児童虐待については非常に疎いところがございましたので、この辺に力を入れてやったおかげで、公立小・中学校は425校において職員体制ができて、虐待の早期発見と早期報告ができますという答えがあります。
 平成15年度は児童相談所への通告をした学校が43件ございました。同所への情報の提供をした学校が51件ございました。教育委員会が関係機関と相談をして連携を図っているというのもあって子供の対応をしたというのが46件ございまして、学校としてはそういう面での根が深まり、そして指導体制ができ上がってきつつあるのではないかなと考えております。
○安次富修委員 一番大事なのは親がその子供に愛情を持って接する、愛情を持って育てることは当然のことでございまして、当然のことが当然のことでなく、そういう事件が起こっていると。では、だれがそれをカバーするのかということになりますと、やはり先生方が最も身近に接しているわけですから、各担任とか学校の責任ある立場の先生方が早目にそのシグナルを読み取って、二度と沖縄県ではこういうことが起こらない、また起こしてはいけないということで先生方と地域と、そして親が、父兄が一緒になって取り組むべきことだろうと思っておりますので、ぜひそういう点を御配慮いただきたい。目に見えないものですから、なかなか対策もとりにくいかもしれませんけれども、常に網を張っていくというか、ネットワークを常に構築しておけば、必ず子供たちは何かあった場合には助けを求めて、救いを求めて先生方を信じて頼りにしてくるだろうと思っておりますので、そこら辺はまた力強く推進していただきますよう要望いたしまして終わりたいと思います。
○安里進委員長 平良長政委員。
○平良長政委員 私は少人数学級の件と義務教育費の国庫負担金問題の2点について質疑したいと思います。
 まず、少人数学級の件からいきます。
 落ちこぼれとか不登校、いじめとかといろいろ出ているわけですが、実は私の学生時代にはそういう経験はないのですが、数年前にある有名な方から三味線を習おうということで、10名ぐらいでスタートして、こちらの高嶺善伸さんは最高賞までいったトップで、自分と比較して同じ議員としてどうかなと卑下したりもしているんですが、1週間に1回でしたけれども、初日に行って、2回目、3回目と仕事を終わって行ったら、もう4回目にいくとかなり進んでいて、僕はもうそこの方へ三味線を預けっ放しで練習もしないで行ったものですから、ほかの人はもう上手になって、1人だけ取り残されて行ったら、工工四の本を読んでいたら、いや、私の手を見なさいとかって怒られたりしていくと、何かもうみじめになって、その日は用事もないのに先生にもう1つ会議がありますからと言って途中で抜け出して、そういう不登校の気持ちがわかって、いじめはなかったんですけれども、もう1回行ったけれども、結局落ちこぼれて退学というみじめな感じがしたんです。
 そこで学んだのは10人ぐらいだったんですが、例えばもし1対1だったらそんなことはなかっただろうなと思ったり、こうして少人数学級というのか、行き届いた生徒たちの能力や学力がどの辺まで来ているということをきちんと把握して、個別の対応ができる教育だったら私も今ごろ、高嶺善伸並みにはいかなくても少し三味線も弾けるようになったのかなと思っているところですが、国の学級編制の弾力化の方針というのか、本来だったら国がきちんと方針を示すべきだと思います。うちの党は20人以下学級にせよと言って今度の衆院選を戦ったわけですが、とりあえずは30人以下学級でもきちんとして、教員も配置をして、予算もつけてというのが正しいんでしょうが、今の国の弾力化の方針からまず説明していただきたいと思います。
○山内彰教育長 私も三味線教室の落ちこぼれでございまして、同感でございます。習い事が苦手な方でございます。30人以下の学級、やはり設定できればそれにこしたことはないと思います。本県では一言で言うと財源の問題がございまして、厳しい状況があろうかと思います。
 もう1つは、教育指導方法論の多様化というもののいき方もあったようでございまして、私は平成9年、平成10年、平成11年に各国の学級編制と日本の学級編制のあり方というものを比較した文部省財務課の担当課長補佐の話を直接聞いたことがございます。そうしますと、やっぱりそれぞれ一遍にこうするよりは、指導方法ということを変えていった方が両面からとりあえずいいのではないだろうかということで、国は方針を固めたようでございます。それで第7次定数改善計画というものをやって、その指導方法でカバーしていこう、そして漸次やっていくというスタンスが大きな流れとして背景にあると聞いております。法的には例の平成13年度に公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正しまして、40人を標準とするという学級編制基準を都道府県が特に必要と認めた場合はよろしいですよという形での弾力的運用が可能になったと。したがって、それもそういう背景があってのことだと思います。
 ただ、その後は、平成16年度からは教職員定数を都道府県の判断で少人数学級編制導入のために活用することも可能ですよと。当時平成11年ですから、5カ年かかって、ここに来てどうぞお任せしますという形になった経緯がございます。
○平良長政委員 これは国の基準を弾力的に運用してふやした場合は国からは1円も来ないんですか、幾らかは国からの予算の措置があるんでしょうか。
○山内彰教育長 全くございません。学級編制そのものに関しては公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の定数とプラス今の指導方法の改善の定数だけでありまして、あとは県単独負担ということになります。
○平良長政委員 県負担でやる場合は財源的に大変厳しい状況はよくわかるわけですが、現年度といいますか、平成15年度の県の配置基準と弾力化を行った学校の状況を示してほしいと思います。
○山内彰教育長 県単そのものの定数としては今の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律と別個の形で、県単定数としては平成14年度には6人でございましたけれども、平成15年度で12人、次年度はそれを19人に増加していきたいと考えております。
○平良長政委員 今の6人から19人というのは教員の増の分の話ですか、1学級をどういうときに弾力運用するというのもあるのではないですか、どういう状況の学校に配置するのですか。
○山内彰教育長 とりあえず少人数編成としては小学校1年生を基本にしてスタートした次第です。しかも、かつ3学級以上で40人ぎりぎりの36人以上の生徒数がいるところにおいては見直しをしてあげようということで、今の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律や指導方法も一緒にして、さらに県単独ももらいましてやってきた経緯がございます。
○平良長政委員 これからの計画というんですか、国の方向がどうなるかわかりませんが、今、小学校1年で36人以上、学年3学級以上という配置基準があるようですが、今後それを例えば2年生にやるとか、もっとふやすとか、その計画はございますか。
○山内彰教育長 ことしは小学校1年生だけでございました。しかも、トータルにしますと27学校にやりましたけれども、次年度は小学校、今の条件を満たしている対象学級については全部入れて、さらに2年生まで拡大していこうかと考えております。平成18年度以降についてはまた国の定数等の絡みで1年1年が単位でございますので、そうとらえております。
○平良長政委員 厳しい県の財政状況ですが、頑張って、ぜひ少人数学級がもっともっと拡大できるようにお願いしたいと思います。
 あと義務教育費の国庫負担金の見直しの問題ですが、これまでの予算委員会の中で明らかになったわけですが、県は今年度の予算で昨年の当初予算と比べて国からの国庫補助金、地方交付税削減とかを含めて243億円減という厳しいような状況で、地方の市町村は180億円という数字も出ているわけですが、先ほど予算の中でも説明は受けておりますが、いわゆる三位一体改革の中で義務教育費の国庫負担金の見直しも出ているわけです。その数字と、あと県はそれに対してどう対応しようとしているか、お伺いしたいと思います。
○山内彰教育長 三位一体の改革による影響でございますけれども、平成16年度の義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金のうち退職手当及び児童手当に係る額が一般財源化されております。約22億8200万円と試算しております。それにかわるものとしては税源移譲特例交付金(仮称)が措置されることとなっております。同改革に伴う見直しについてはその検討実施期間が平成18年度末までとなっておりますので、公務員制度改革などの達成度との関連もあって、そこまでの具体的な影響というのは現在把握できませんけれども、とりあえず平成16年度については約22億8200万円と試算しております。
○平良長政委員 22億円余りの金が削減されると、この対応というんですか、どこでどう切り詰めていかれるのでしょうか。
○山内彰教育長 その対応でございますけれども、一般財源化により税源移譲特例交付金が交付されておりますので、その辺をもって対応していきたいなと考えております。
○安里進委員長 高嶺善伸委員。
○高嶺善伸委員 まず、進路指導と職業教育についてお聞きしたいと思います。
 日本銀行の去年の調査で、本県の若年労働者の雇用問題についてこのような指摘が行われております。まず県内7大学の学生の意識調査によると、将来希望する職種は60%が公務員もしくは教員ということで県内の大学生の公務員志向がいかに高いかというような統計を発表しております。逆に新規学卒者の就職率は全国平均が75.2%であるのに比べて本県は48.1%、大学を卒業しても仕事につけない人が多いというようなデータが示されております。片や有効求人倍率を見ると、一般的には0.3倍台ですけれども、専門的な技術者あるいは技術的職業の有効求人倍率は本県においてでも0.88倍ということで、大学を卒業する若者たちが希望する職種と社会が求めている求人との間にかなりの乖離があって、沖縄の若年労働者の問題、失業問題をどう解決するかというのが雇用対策としては大きな課題になっております。これは商工労働部の雇用対策だけでは解決できないだろうと。これは若者たちが中学、高校という教育課程の中でどのような生き方、社会観を持つのか、どういう職業観を持つのか、そのためにはどういう進路指導をすればいいのかということにつながっていくのではないかなという気がいたします。
 そこで、お聞きしますが、まず県内の大学の進学状況及び卒業状況なんですが、時々大学の合格者の発表を見ると県内の合格者よりも県外の合格者が多いのかなという気すらいたします。本土では新規学卒者の就職率が75%台、沖縄県は40%台。しかし、学力的にということなのか、地域志向があるのかわからないのですけれども、本土から沖縄に進学した数、沖縄への進学者の合格者がふえてくる、沖縄の教育を受けて沖縄の文化に触れると沖縄で仕事がしたくなると。そうしたら希望する職種の公務員採用試験も、あるいはまた教員採用試験もどこの出身者の合格率が高くなるのかなということも総合的に懸念されるわけでありますので、一連の県教育行政としての現状把握をお聞きしたいと思います。
 まず県内大学及び県外大学―これは短大、専門学校も含めて結構ですけれども―の進学の状況。そこを卒業したときの就職状況についてどのようになっているだろうか、あるいはまた県内大学における県内出身者及び県外出身者の推移がどういう状況になっているか、先にお聞かせください。
○山内彰教育長 恐れ入ります。卒業生の進路状況というのはつかんでおりますけれども、就職の県内、県外がどうなのかということについては、例えば大学の進学状況でございますと、国公立に本県は県内が71.4%、県外が28.6%でございます。私立が県内54.9%と県外45.1%という数値がございます。就職にしては県内に70.4%、県外が29.6%という状況があります。逆に向こうから入ってきたものについての数値は教育庁としてはつかんでおりません。
 なお、琉球大学等についての合格者の県内出身者、県外出身者の推移については把握しております。
○高嶺善伸委員 子供たちが卒業したときの仕事、生き方を想定して触れ合っていかないと、やはり大学に行かせたからこれで学校教育の役割は終わりだというような状態では、ことし1月時点での大学卒業者の就職内定率は33%になります。7割近くの卒業生、卒業見込みの方々が仕事がない。したがって、今キャリアセンターにどうすればいいかということで、その職業指導を受けるために右往左往する。これではせっかく中学校、高校とみんなで頑張って学校教育をしてきて、いざ、大学の期間を経て社会に入るための子供への指導というあり方をもう少し見直していかないと沖縄の雇用問題というのは進まないのではないかという気がするのですよ。
 そのようなことを念頭に置いて私は聞いたわけですが、今後ぜひとも大学を卒業する、あるいは専門学校を卒業する子供たちの就職状況、ミスマッチ状況も念頭に置いた職業教育進路指導をしてもらいたいと思うのですよ。だから、1つは今後実態把握をしてもらいたいということは要望しておいて、現在取り組んでおられる職業教育や進路指導についての基本的な考え方をお聞かせください。
○山内彰教育長 弁解になりますけれども、大学卒業あるいはその後については所管部局がございますので、そこの方に任せて連携をとっていきたい。
 ただ、学校にいるときの子供たちの職業教育や進路指導、小・中学校・高校も含めてでございますけれども、これについてはやはり力を入れていく必要があると思っています。特に雇用のミスマッチというものを先ほどおっしゃっておりましたけれども、おおむね4つぐらいあると分析しているんです。
 1つは、やはり県内志向が高くて都市に過度に集中する地域ミスマッチというのが生じていると分析しています。
 2つ目は、先ほどおっしゃっていましたけれども、技術力のある人材が不足する技術的ミスマッチ。
 3つ目は、委員御指摘のように公務員志向や特定の職種に希望が集中する職種と求職のミスマッチ。
 あと1つは、入ってやめた子供たちが多過ぎるというのがありまして、賃金や勤労体系の不満を持つ条件的ミスマッチというのが考えられると思っております。
 私はことしから特に、そういう意味で価値観の形成、そして選択能力の育成、自己ガイダンス機能というものを教育方針の1つに入れまして、力を入れていこうと。小学校から親の生き方を見て学ぶシャドー体験学習というものを取り入れて、親と一緒に1日社会をともにする、職場をともにする。中学校においては実際に職場を体験する職場体験学習、仕事とは何ぞやということを5日ないし1週間、直接そこに行くと。高校においてはインターンシップ制を立て就業体験の学習ということで、職業教育の充実に努めると同時に進学指導、進学教育、進学についての進路指導というものに力を入れていこうとやっているところであります。
○高嶺善伸委員 それでは、昨年2月に出た日本銀行那覇支店の進路指導、職業指導のあり方についての提言を見ると、全く教育現場の考えとは別です。若年労働者の失業率を低下させるためには、まずできるだけ県外への就職指導を強化すべきだ。それから、親元を求めてUターンしてくる労働力供給要員を抑制することを客観的な統計分析の中から提言しているわけなんですよ。だから、表面的な雇用対策でなくて、やっぱり生き方、沖縄らしい教育、沖縄らしい家族のあり方、地域のあり方という観点から、今教育長が話をなさった教育の充実を経て子供たちが自信を持って、誇りを持って進学し、仕事についていけるように雇用面を想定した指導をお願いしておきたいと思います。
 次に、県立高等学校編成整備計画について平成14年度から平成23年度の10年間を想定して既に策定されたわけでありますが、今回の整備計画の目的及び特徴について端的にお聞かせください。
○山内彰教育長 県立高等学校編成整備計画は、平成14年度に策定いたしました。その目的は、1つには国際化、情報化社会に対応できる人づくりということで言えるかと思います。
 2つ目は、ベンチャー精神、起業家意識の高揚を図り、新企業や新事業の創出を図る。
 3つ目は、情報通信産業を担う人づくりということが言える。以上のようなコンセプトを明確にして進めていこうと。そのことが21世紀を担う国際性、創造性に富む多様な人材の育成につながるのではないだろうかということでの視点でございます。
○高嶺善伸委員 先ほどの職業観であるとか進路指導とも関連して、私が今回非常に注目しているのは、そういう社会に必要な人材をどう高等教育の中で担うかということで、新しい試みが幾つか散見されます。
 そこで、たくさんありますので、私の地元八重山は離島であります。それで僻地、離島の高等教育の需要については別の配慮が必要とも述べられているんですが、これから10年間にわたる八重山関係の高等学校での県立高等学校再編整備計画をどのように考えておられるのか、御説明をお願いしたいと思います。
○山内彰教育長 一言で言いますと、いわゆる新しいタイプの学校をつくろうということが視点でございます。したがいまして、八重山地区においては現在ある八重山商工高等学校の編成整備を計画に入れております。同校では工業系と商業系の情報に関する科目の融合を図りたい。それをもってITを活用した遠隔教育のモデル校にしていけたらと。さらにITを活用し、外国、とりわけ東南アジア等でございますけれども、そことの交流教育を進めるという情報教育の中心校としての位置づけを考えております。
 また、地域から要請の強い八重山地区の観光産業の人材育成についても商業科の中に観光コースの設置を予定し、それにこたえるようにしていけたらということでの計画を立てております。
○高嶺善伸委員 これを見ていますと、私は大変すばらしい計画だと思います。現在でも八重山の商業高校は先生方も学生たちも大変一生懸命頑張っておりまして、各種の専門技術、資格等を取得させるために頑張っているのですよ。特に沖縄本島と違ってほかの専門学校や研修機関がない、職業訓練校もない、そういう意味では勢い八重山商工高等学校に対する期待が大きい。平成16年には沖縄本島と石垣間に光ファイバーが敷設されますので、平成17年からは高速大容量の情報通信能力ができるわけです。そういう意味では、今ITを活用した遠隔教育のモデル校とし、場合によっては外国との交流を推進するという意味では、e-Japan戦略を先取りした日本のIT政策を離島の学校で試みようということは大変私は注目されるのではないかと思います。したがって、従来の商業科、機械科の拡充はもちろんのことですが、IT関係。そして、今の八重山のハローワークでも、実は有効求人倍率は沖縄本島の2倍、0.7倍から0.8倍あるんです。その求人の内容はほとんどが観光関連産業、情報関連産業に対する求人なんです。
 ところが、これに対してなかなか求職者がいない。したがって、就職率がわずか10%台。そういう意味では人材育成機関が不足だなということで、もし八重山商工高等学校のそういう取り組みが実現すると大きな効果が期待されるなと思っております。
 そこで、10年間の実施期間の中で八重山商工高等学校は具体的にいつごろから手がけて、いつの入学生からそのような対応ができるのか、お聞かせください。
○仲宗根用英教育次長 八重山商工高等高校の編成整備計画につきましては、今お話がありましたとおり情報教育の中心校となってもらいたいということからのIT活用、そしてまたテレビ会議等を使ってのモデル校としての情報中心の学校をつくりたいということでありますが、八重山商工高等学校に対する地域のニーズもまた大変大きいものがございまして、観光につきましてとりあえず商業科の系列の中に観光コースというものを置くことにしますけれども、将来はその地域の状況等を勘案して学科まで持っていける方向で今検討していきたいと考えておるところでございます。
○高嶺善伸委員 いつからですか。
○仲宗根用英教育次長 今のところ平成17年度から情報系列を専門とする学校にしていきたいと考えております。
○高嶺善伸委員 よろしくお願いします。
 それと定時制関係ですが、専門高校の8併設が4校に再編されるということなんですけれども、八重山商工高等学校に併設されている定時制はどういう取り扱いになるんですか。
○仲宗根用英教育次長 定時制につきましても、今の単位制を中心とした学校をより充実した方向でITとの関連もできるだけ取り入れられる部分がありましたら、そういった施設等も活用して図っていきたいと考えております。
○高嶺善伸委員 わかりました。
 次に、45分の休憩時間の確保についてお聞きしたいと思います。ことしの1月30日に県教育庁に対し教職員、父母の署名として5385名の45分途中休憩時間の見直しを求める要請書が出ていると思いますが、それについての県教育庁の対応をお聞かせください。
○安里進委員長 担当課に対して小・中学校の教職員の方からございました。それを受けております。ただ、県教育委員会としてはいろいろと校長会あるいは学校設置者であります市町村教育長会、市町村の教育委員会等にも意見を賜りました。ほとんどの学校においてはほぼ定着している、あとは運用においてでいいのではないかという意見もございましたので、そういうことを基本的なスタンスとしてやっていけたらと考えているわけです。
○高嶺善伸委員 私たちも現場の教師の皆さんなどのアンケート調査などをつぶさに見てみると、定着しているとはいえども、やっぱり小学校の教職員の83%、中学校で68%が十分に休憩時間がとれていないということで、ゆとりのない勤務時間を過ごしているという感触を受けているのですよ。これまでも教育長の議会答弁もございましたので、その労働基準法遵守の名目あるいはその目的を余りにも全面的に打ち出したために給食後に必ず45分とりなさいというような県教育委員会からの通知がむしろ市町村教育委員会及び学校長の裁量に大きな負担になっているのではないかと。そういう意味では、小学校の教職員ほど休憩時間がとれないというのが教職員の勤務の実態、子供たちに対する役割や責任というものから現状は厳しいだろうという感じがしているわけです。
 そこでまず、教育長も学校の裁量である程度の確保がなされているという答弁をこれまでも議会でやってきているのですが、市町村教育委員会としては1988年に出された教育委員会通知を一たん撤回して、その法律に基づく休憩時間を確保するが、その時間帯についてはおのおのの学校や教育委員会の実情に合わせて弾力的に対応させていただけないかという要望が強いように私は受けているのですよ。法律の趣旨が生かされるのであれば、各学校の現場に合わせた休憩時間帯の確保で構わないのではないかという気がします。1988年の通知が出るまでの1987年までの45分の休憩はほとんどが児童・生徒の下校後に確保されていて、その通知が出た後は給食後に設定されたということで、これから弾力的な運用という意味で教育委員会の答弁が全然変わってきていないので、一たん1988年の通知についての撤回を前提にした教育委員会との連携をお願いできないかなと思っておりますが、その辺についての見解をお聞かせください。
○山内彰教育長 昭和63年通知では3つのスタンスが押さえられているわけです。
 1つは、先ほどおっしゃったように、やはり関係法令の趣旨に合致しないといかぬということでのスタンスであります。
 2つ目は、教職員の勤務形態と構成の問題でございます。ある意味では教職員の勤務というものの特殊性もあると思います。普通我々でしたら昼食時間が休憩時間になりますけれども、教員は給食時間を子供とともにするから休憩時間を後にとなっております。しかし、中には中学校なんかは必ずしも生徒と一緒でない職員もいるわけです。ですから、勤務形態においてはバリエーションがとれるということになります。そうしますと、原則にのっとって法的な措置をしていく。
 3つ目は、子供との関係性でございます。児童・生徒にゆとりを与えるためには子供たちがそこにセッティングした方が放課後よりも子供たちにもいいということも言われました。実際にそういう意見もございまして、もろもろを調査した上で通知はなされていると。したがいまして、一言で打ち出したときは、後半に持ってきたときはその3つに課題性があった。まず法にのっとっていなかった、2つ目は教職員の勤務形態というものの特性を生かしていなかった、3つ目はやはり子供たち、児童・生徒と教職員のかかわり。子供にとってはゆとりの時間も生まれるわけですから、そういう学校の勤務形態というものがあってもいいのではないかということで、そうしますと、県教育委員会としてはそういうことを踏まえて勤務時間の割り振りを十分考えてほしい。一言で言いますと、原則を尊重し、現実的に考えるということで、原則といいますと法的位置づけ、教育の効果性、教育活動の基本をきちんと押さえて、そして割り振りを現実的に考えていくというスタンスを県が曲げるということは厳しい条件と考えているわけです。
○高嶺善伸委員 これはずっと各議員が取り上げて平行線をたどってきておりますが、主役はやっぱり子供たち。教育の環境を整備するために、守るために、ぜひ市町村教育委員会及び各学校との連携及び教職員の皆さんの意向も十分把握して、それに十分対応できるようにお願いして、これはこれくらいで終わっておきます。
 次に、文化財保護法と天然記念物ジュゴンの保護についてお聞きします。
 御承知のように那覇防衛施設局から知事に公共用財産使用協議書が出ておりまして、教育委員会の回答がまだだということをお聞きしております。それは、文化庁にその影響についての文書照会をしていると聞いているんですが、せんだっても大浦湾にジュゴンが悠々と日差しを浴びて泳いでいる写真が出ておりまして、県の文化環境部もそうですが、土木建築部もジュゴンは夜の浅瀬にえさを食べに来ると。だから、昼、工事をしてもそんなに影響はないのだという趣旨の把握をしているのですよ。したがって、環境アセスメントの対象ではないということからスタートしているんですが、これは県が出した本なのですけれども、こう書いてあるんですよ。人の影響の少ない静かな海域では昼間でも浅瀬に来て普通にえさを食べると述べておりながら、振動音とか船のスクリュー音には非常にストレスを受けてしまうということで、人間の行為がジュゴンの生態系を脅かす要因になっていることを指摘しているわけですよ。私はジュゴンの立場に一番立てるのは、やっぱり文化庁であり教育委員会だと思っているのですね。文化環境部はもう環境アセスメントの対象でないと言っているんだから、教育委員会としては、いや、そうではないと。ジュゴンが生息する条件を守るためには、ストレスを与える要因はできるだけ排除しなくてはならないと言わなくてはいけない立場になるのではないかと思っているのです。
 この前の新聞を見てみますと、今、辺野古海域の問題で訴訟を起こしている方々のコメントは、沖縄海域は一番ジュゴンの生息個数が多く発見されている良好な海。この辺野古海域は世界遺産、自然遺産として登録をされるべきで、基地をつくる場所ではないと言っているんですね。ラムズフェルド国防長官が昨年来られたときも、この海域を見てため息をついたと。これは将来、環境行政、文化財行政が世界からやり玉に上げられることもあり得ると非常に注目されているんですよ。そういうことで、県教育庁からの答申といいますか、意見は非常に重視されているのではないかなと思っているんですが、現在の状況についてお聞かせください。
○山内彰教育長 委員が示されておりますように、今担当から借りたんですけれども、ジュゴンの話。いわゆるジュゴンを保護していくというのは県の文化環境部の所管でございまして、ジュゴンの立場からというのは、私ども県教育委員会は文化財保護法という形からのジュゴンという説明はできるのですけれども、かなり厳しいところがあります。御承知のとおりジュゴンについては国の指定天然記念物であります。文化財保護法で捕獲等の現状変更とか、あるいは保存に影響を及ぼす行為は制限していますよという意味での教育普及はできるわけですけれども、直接ジュゴンの保護という形では厳しいのもあるわけです。したがいまして、これまでたくさんの出版物を我々も出してきました。それはジュゴンの国指定天然記念物としての周知活動でございます。さらにジュゴンの漂着や混獲。すなわち定置網などにひっかかった場合、そういうことは速やかに連絡をして関係機関と連携して状況の把握をとって適切に対応していくという形でありますので、今回それについて文化財保護法との関連でどうかという問い合わせがありまして、それを文化庁に進達した次第であります。国の天然記念物としてのジュゴンの教育普及という面で努めていけたらと考えております。
○高嶺善伸委員 文化庁が所管している文化財保護法の趣旨が書いてあるんですね。ジュゴンは国の天然記念物に指定されており、その保存に影響を及ぼす行為は禁止されていますとなっていますので、法律の趣旨を十分考えて県教育委員会の見解については慎重を期してもらいたいと要望しておきます。
 県立高校の敷地問題等は質疑予定にしておりましたけれども、時間がございませんので、後で事務的にやりたいと思います。
 最後に、前年度に対して171億円も減額されている教育庁予算。大変懸念しておりますが、私の出身地八重山圏域関係ではどんな予算措置事業がなされているのかをお聞かせください。
○山内彰教育長 八重山圏域の教育庁関係の平成16年度事業については、ハード事業面を紹介させていただきたいと思います。1つには八重山商工高等学校の視聴覚教室等の増改築事業が2億4500万円計上してあります。さらに、産業教育のための実験実習に必要な装置の整備事業が2800万円計上してあります。3点目が八重山高等学校の水泳プールの改築事業が9400万円で、総額にして3億6700万円等が予算措置をしてございます。
 なお、ソフト面においてはトータルでやっておりますので、その辺については御理解をいただきたいと思っております。
○高嶺善伸委員 離島にはいろいろな課題があって、教育も一緒でありますが、新年度はぜひまた県教育の問題もさることながら、離島の隅々まで教育の光が届くように御配慮をお願いして質疑を終わります。
○安里進委員長 休憩いたします。
   午後0時2分休憩
   午後1時20分再開
○安里進委員長 再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行います。
 友寄信助委員。
○友寄信助委員 それでは、教育長にお尋ねをいたします。
 午前中に我が会派の高嶺委員から高校生の新規学卒者の就職状況等について質疑があったわけですが、私もこれに関連してまずお聞きしたいと思っております。
 今日の社会経済状況から、やはり新規学卒者の就職が非常に厳しい状況に置かれているわけですが、せっかく学校を卒業して学校での知識、技能を修めて、いざ、社会に出て就業しようという場合になかなか厳しいということで、新規学卒者の就業を決定されたものとまだ決まっていない部分がありますよね。その状況についてまずお聞かせ願いたいと思います。
○与儀真幸県立学校教育課長 平成16年3月の県立高等学校の卒業者の就職状況なんですが、卒業予定者が1万6497名ございまして、就職希望者が3602名おりまして、その割合は21.8%でございます。そのうち2523名、いわゆる70%が県内志向でございます。そのような状況になっておりまして、現在県内内定率は1038名で41.1%の決定率になってございます。
 なお、県外の決定率は65.7%になってございます。
○友寄信助委員 今示されたように県内で1038名、41.1%、県外が65.7%という非常に厳しい状況にある。先ほど就職する場合のいろいろな仕事のミスマッチ等があると言われているんですが、その理由としていろいろ言われております。県内志向、地域でのミスマッチとか、技術、技能の人材不足、公務員志向とか、こういういろいろ幾つかの理由を挙げていたわけなんですが、そういうことで、やっぱり学校教育の中で、教育を受けながら社会に出た場合の就職にどう結びつけていくという課題が今学校に問われているのではないか。というのは、最近のフリーターの問題を考えてみると、国としてもやっぱりそういう今の社会の状況を踏まえて在学中に企業に赴き、長期間就業するというデュアルシステムというものを新年度から日本の高等学校教育の中で取り入れていこうということが打ち出されております。これはどちらかというとドイツでとられた手法を参考にして取り入れていこうということで知識教育と職業訓練を並行してやっていくと。そして若者の目的意識を刺激して、よく言われているフリーター、若者の失業者の増加を防止していこう。それはどうしても今日の学歴社会という中で軽視されがちな技能、技術が社会の中で評価されて生かされていく、そういうものに結びつけていこうではないかということで、既に新年度から東京都あたりではそれを導入していくということが言われているわけなのです。こういう制度を取り入れていこうと。
 そういうことで、県教育庁としてもこういう制度の導入に当たってこれからどのような取り組み、またこういう制度についてどう受けとめて、これをどうこれから活用していこうというお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○山内彰教育長 今御提言ありましたデュアルシステムですけれども、文部科学省と関係省庁が連携して研究開発ということで進めている事業でございます。関係省庁といいますと、経済産業省、厚生労働省、内閣府とが一緒になって今委員がおっしゃっていたような目的で若者の意識、雇用形態を確立しようということでやっているところですけれども、とりあえず専門高校等と産業企業とのパートナーシップを確立しようというねらいのようです。例としては週に3日は学校で学び、週2日間は実際に企業で実技を磨くなどのシステムをやってみたらどうかということでの試行でございます。学校と企業とのコーディネートを行う機関として受け入れ先企業に対する生徒の教育訓練とか、費用とか、実施校の教育課程の研究費等がかなり多くかかっているようでございます。そういう課題も多いというのと、企業側にとってはかなり負担が大であるということも言われておりまして、必ずしもスムーズにいっているような状況にはないという報告を聞いております。これはあくまでも研究開発事業としての国の方策でありまして、本県においては、現在高等学校においては61校のうち42校において高校生チャレンジウイーク事業というものを実施いたしまして、直接就業体験等をするインターンシップ等を本県の産業界と一緒になって実施しております。このスタイルを一昨年から中学校にもおろしまして、中学生では就業体験、職場体験。そしてさらに、これは小学生にもいいのではないかということで、小学校5年生から6年生にシャドー学習というものを入れまして、このシステムを開発して今取り組んでいるところでありますが、当分の間、この形で職業教育あるいは自己ガイダンス機能を養う一環にしておいて、将来開発が定着したときにまた検討していけたらと考えているところです。
○友寄信助委員 それは、やっぱり受け入れ企業ですね。東京都とか都市地域におけるそういう受け入れ企業ですね。かなり技術、技能を要する企業があるところと、沖縄県と本土では需要が違うと思うんです。しかし、中小企業が多い中でこれから沖縄県は沖縄県なりにいろいろな開発研究、技術が求められていると思うので、そういうところに興味というものを在学中に学ばせていって、実際それが卒業後に就職に結びついていくということで成果が上がっていけば非常にいいことではないかと思うし、問題は受け入れ側の理解と協力もないといけないと思う。しかし、反面受け入れ側にとっても、よく言われる職業のミスマッチということで、なかなか求めている技術に合わないということもあるので、そういう面からも有効な力を発揮することができるのではないかなと思っております。ぜひその辺についてもこれから取り組みを行ってほしいと思います。
 次ですが、先ほどうちの平良委員から三位一体による教育予算への影響についていろいろ問題点が指摘されているわけですが、今度三位一体の改革が実施されることによって教育分野にいろいろな影響が出ていると思うので、その分野に与える特徴は何なのか、まずお示し願いたいと思うんですが。
○山内彰教育長 三位一体の改革を受けての平成16年度の教育委員会所管予算の特徴でよろしゅうございますでしょうか。最も大きなものは義務教育費国庫負担金など4つの国庫補助負担金において一般財源化か、あるいは廃止の措置がとられたことであります。平成16年度教育委員会所管の歳入予算に、トータルにして約23億6300万円の影響があるものと試算しております。これは歳入においてでございます。こういうことが大きな特徴として言えると思っております。
○友寄信助委員 非常に大きな影響が出ているわけです。それと、義務教育費国庫負担金についても一般財源化するのだということで、いわゆる特例交付金で見てもらうのだと言うのですが、これは今年限りなのか、これからも続くということになるのか。
○山内彰教育長 一般財源化して特例交付金として継続されていくということでございます。
○友寄信助委員 次に、いわゆる保育所と幼稚園の一体化ですね。それに伴う施設、総合施設をこれからつくるということが言われているわけですね。それで、保育所と幼稚園の機能を一体化した新型総合施設を2006年度に創設するということで打ち出されているわけですが、モデルとして全国に50カ所、2005年度に設置したいという方針が打ち出されているわけなんですが、これについて県としてはどのような対応をこれからしようとしているのか、県としても、やっぱりモデル事業として受け入れ体制に取り組んでおられるのかどうか。
○山内彰教育長 結論から申しますと、まだ教育委員会サイドにはこの受け入れ体制については全くございません。そもそも所管が厚生労働省の所管で、国として事業化を起こしていきたいというモデル案でございまして、まだ教育委員会段階には話はございません。
○友寄信助委員 確かにこれから働く女性にとってみて非常に不都合な点が今まであるわけですよね。保育所、幼稚園ということで、保育所の場合は就学前で1日8時間ということなんですが、幼稚園になると3歳児から就学前。しかし、1日4時間という規制があるので、子供を預けた後、どうするのかということでこういう方法が取り入れられてきたのではないかと思うのですが、やはり今後そういう保育所と幼稚園、新たな組織の3つが併存する形でこれから運営されていくのではないかと思うのですが、むしろそれがこれから今の社会で働く者にとっては非常にいい方向に来ているのではないかと思うのですけれども、そのあたりをどう受けとめておられますか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり教育、福祉の両分野から3種の施設ができていくと。教育委員会所管でいきますと幼稚園でございまして、幼稚園の機能というのは学校教育法でうたわれている教育という形で「幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長する」という表現がございます。保育所は児童福祉法の規定でございまして、したがいまして、保育に欠ける親の立場から子供をどうするかという形で、今回は親の立場からの共稼ぎ、共働き等々からの視点でございまして、ドッキングさせたような形をあと1つつくったらどうかということでございますけれども、これは子供や親の立場からのニーズであり、その推移を見る以外ないだろうと考えております。
 ただ、教育機関としては課題性もある。教育課題としては幼児教育という面からしたら、1つには教育と福祉の混入になってはいかぬなという、目的機能が全く違いますので、そういう面での親の認識というものを1つ気にしているし、2つ目はそのものが産業的になっても困るなという形で、これはあくまでも学校教育あるいは幼児教育という形からですけれども、3つ目は子供の教育という保障の面から一緒になって同じような視点でとられたら困るなということで、やはりこれはしっかりと見守る必要があるなと考えております。
○友寄信助委員 最後に、先ほども構造特別区域との関係で教育関係の特別区域問題が出されておりましたが、最近の動きとしては特に経済財政諮問委員会とか内閣の特別区域推進室が教育の分野でも株式会社やNPOによる制度導入ということで積極的に動いているみたいなんですね。しかし、幾ら競争社会、効率を求める社会にあっても、教育という分野に株式会社を導入するということは本当にどうなのかな、それはやっぱり今の段階では抑制すべきではないかと私は思うのです。しかし、それがもう現実になって動いてきているわけですね。そういうことで、NPOについて導入しようと。NPOの場合は営利目的ではないですから、まずこれから導入しようではないかというような動きも見られるわけなんですが、特にこれは市町村にも関係するので、その導入する場合の権限を県から市町村に移してはどうか、移そうではないかというような動きなどが出てきて、これからは現実の方向に動いていくのではないかなと思ったりするのですが、こういう動きについて県としてはどう受けとめて、どう対応しようとしているのか、お聞きしたいと思います。
○山内彰教育長 やはり構造改革はあくまでも教育においては特別区域においての特別なニーズがある場合という形の条件がつくかなと考えているわけです。普通のスタイルでいきますと、やっぱり教育の公共性、継続性、安定性というものはしかと確保されていないといけないと思います。したがって、市町村においても、やはりまさに特別なニーズとして株式会社運営の学校というものが必要なのかどうかというのは十分に検討し、やっていく必要があるだろうし、県教育委員会としてもそこは設置者あるいは任命権者としてはそういった面をしっかり踏まえてやっていく必要があるのかなと。これは教育長1人の感覚でございますけれども、とりあえず設置されるのは現在大学の方でございますので、そういった面で小・中学校あるいは高等学校においてはこのようなことが言えるのかなと思っております。
○安里進委員長 平敷昌一委員。
○平敷昌一委員 まず最初は、改築をしなければならない危険教室、校舎は県立から公立を含めまして沖縄県内で何平米残っているか。
○山内彰教育長 昭和52年以前に建築されたものを我々は校舎等が老朽化していると思われる建物という呼び方をしていますけれども、平成15年5月1日現在で市町村立学校で約33万8000平米、県立学校で約7万9000平米、合計にしますと41万7000平米、保有率にして14.1%残っております。
○平敷昌一委員 それで41万7000平米全体の改築計画みたいなものは持っていますか。
○山内彰教育長 一応年次的なプロジェクトを作成して、単年度でございますけれども、各市町村と連携して進めているところです。県の重点施策等に位置づけて関係市町村と連携して取り組んでいるわけですけれども、あと3年をスパンにしてめどづけをしております。
 ただ、市町村においては財政事情等から実効性のある改善計画が策定されていない嫌いがありまして、年次的な老朽校舎の解消が厳しい状況もございます。
○平敷昌一委員 3年で41万7000平米全部改築できるようになっているんですか。
○平安名栄喜施設課長 平成23年度の沖縄振興計画をめどに今その解消に取り組んでおります。
○平敷昌一委員 それが計画どおりいけばいいと思いますけれども、高率補助ですよね。沖縄振興特別措置法計画という法律がありますね。法律は10年の時限立法ですよね。それまでに改築が終わっていないと全国が2分の1国庫補助となると、とてもではないけれども、これは解消できないと思うのですよ。だから、もう少し市町村を督励して、その期限内に改築できるようにやっていただかないと大変だなということです。頑張ってくださいね。
 次に、余裕教室は県立から公立まで含めてどれぐらいありますか、掌握していますか。
○山内彰教育長 余裕教室の状況は、平成15年4月1日現在で小学校で25校に78教室、中学校においては6校で25教室が余裕教室となっております。これはいろいろな理由でたまたま学級が配置されていないということで、使用目的はそれぞれに使用されているという報告を受けております。
○平敷昌一委員 文部科学省は従前から目的外使用を進めていますよね。通知も出ていると思いますが、どの程度目的外使用を利活用されているか、その実態も説明してください。
○山内彰教育長 数値的には、先ほど言いましたようにこれの活用についてはそれぞれ違いがあって、習熟度別学習とか、特別教室とか、あるいは授業の準備教室とか、PTAの会議用のコミュニティールーム等々で活用されているという報告は受けていますけれども、実数としてのパーセンテージは出してございませんのでお答えできませんけれども、お許しください。
○平敷昌一委員 私がそれをお尋ねしているのは、実は放課後児童健全育成事業というのがありますね。児童クラブ、学童クラブというのですか、これが今県内に143クラブあって、そこを利用している子供たちは6260名、すごいのですよ。これはもちろん国、県、市町村の補助金で運営していますけれども、運営費の中身というのは指導員の人件費、手当、児童クラブの借り上げです。こういうことみたいですね。アパートを借り上げて児童クラブを開設しているとか、あるいは父兄の皆さんが金を出し合ってプレハブをつくってやっているとかというような実態なのですよ。ですから、児童クラブを開設すると指導員の人件費はもちろん出ますね。それに家賃があるんです。大変運営に四苦八苦しているみたいで、そうであれば空き教室。学校施設というのは国民の税金でつくったわけですから、空き教室を放置しておく手はないだろうと思うのですね。子供たちの健全育成のために、そういう児童クラブとか市町村が設置する児童館に転用できるのではないかな、もっと有効に利活用できるのではないかな。そうすると、児童クラブの管理運営ももっと楽になるし、せっかく国民の税金でつくった施設が有効に生きるわけですから、これをサテライト型という福祉施設に目的外利用させなさいという文部科学省と厚生労働省連名でたしか通知が来ていますね。
 さて、教育委員会はその通知を受けて何をやっていますか。余裕教室を利活用するために通達が来ました、大いに目的外利用させなさいと国は言っているわけですよ、沖縄県の教育委員会はそれを受けてどういうことをやっていますか。
○平安名栄喜施設課長 域内の各市町村の方にまず通知文書を出しまして、その他、教育長研修会、それから事務担当者の研修会等がございますので、その中でその趣旨に沿った有効活用を図るようにということで、それの促進をしております。
○平敷昌一委員 国から通知が出たから、その文書のコピーを配るだけではどうしようもないと思うのですよ。これは出どころはどこかというと文部科学省ですから、やはり皆さんが音頭をとって、本当に余裕教室が放課後の児童クラブなんかに利活用できるようにしなさいというように働きかけをしなければいけないと思いますよ。これは教育委員会だけじゃなくして、福祉保健部も一緒になって、余裕教室の利用促進のプロジェクトとか、協議会とかを設置すれば、もっと市町村に浸透していくんじゃないかなと思いますけれども、どう考えますか。
○山内彰教育長 有効活用については、市町村とも連携してやっていく必要があると思っております。
 なお、このことについては市町村の各学校長会でも話を聞いたんですけれども、それぞれの学校自身のプロジェクトの見直しということがまず基本にあるだろうということも言われたものですから、まず学校のプロジェクトと、それから県行政としての連携、こういうのも大事かなと思っております。
○平敷昌一委員 実は、現場の校長先生が嫌がるそうです。この間、放課後児童クラブの皆さんの話を聞きましたら、市町村の福祉担当部門も一緒になって、随分学校に働きかけたそうですよ。学校にも何回も通ったそうですけれども、校長先生は、管理上の問題があるということで渋っておられるのだそうです。この学童クラブの実態からして、これだけ、県も2億5000万円ぐらい予算措置をしているのですよ。せっかく教室があいているのに民間のアパートを借りなければならないということからすると、このあたりはもっと福祉部門と皆さんが一緒になって、本当に余裕教室を使わせるんだ、青少年の健全育成のために使っていただくんだという姿勢がないと進まないと思います。
 そして、現在、沖縄県は児童館の設置数が物すごく少ないんですよ。もちろん設置主体は市町村ですが、現在56館あります。県の計画では、あと2カ年で80館つくりますという計画はあるのですよ。とてもじゃないがつくれない。そうであれば、学校施設に余裕があればそれを使って、中学校区単位に1つの児童館というのが理想的だそうですが、あと2カ年で80館なんて、とてもじゃないができない。そうであれば、放課後ですから、学校の施設をそういう面でも利用させるのだという教育委員会の積極的な姿勢があれば、それが進むと思いますので、これもやる気があるかどうか、まずお聞きします。
○山内彰教育長 委員おっしゃるとおり、一面的では困るところがありまして、やはり学校長の御意見は御意見として、学校の余裕教室の有効活用は、やっぱり学校サイドから、まず一元的にその有効活用を果たしていきたい。とりわけ今、総合的学習とか、あるいはTT学習とかは、教室があって初めて生まれてくるというのがかなりあるという御意見もございまして、これが第1番目であります。2番目は管理上の、学校責任は学校長が大きく持っているものですから、そこにおいて侵入者の問題とかもろもろであって、学校管理上の話。それから、設置者である教育委員会のスタンスは一体どうなっているかというような感じで、なかなかこの辺はコンセンサスがとりにくい現況でありますので、今後、大きな課題であるということで受けとめさせていただいて、いきなりでは困りますけれども、推進を前向きに検討していきたいと思います。
○平敷昌一委員 役人の検討というのはくせ者で、前向きなのか、後ろ向きに検討するのか、検討という言葉は実にくせ者だなと思っていますけれども。
 さて、また問題を変えますけれども、次も検討されたら困るなと思っていますけれども、学校施設整備指針というのがありますね。学校施設を整備する場合の国が示した指針というのがありますね。これの問題ですけれども、この指針の基本的な目的をまず説明してください。どういう認識を持っておられるか。
○山内彰教育長 済みません、お許しください。学校施設整備指針そのものを持っていませんから明確な答弁はできませんけれども、学習活動や生徒等の安全、教育等々において、十分なる対応ができるような条件設定をさせるための方針かと理解しております。
○平敷昌一委員 私も前に見たことがありまして、学校施設は児童・生徒の学習の場ですよと。そして生活の場である、これが基本ですよね。そうすると、この2つの基本的な立場からして、まず安全性を確保する、もう1つは、快適性を確保する、こういうことで学校の施設は整備しなさいよというのが、申し上げた学校施設整備指針だと思います。施設課長、間違いないですよね。
 ここで私がお尋ねしようとしているのは、私は小学校とか中学校に、よく孫たちを送り迎えするんですけれども、子供たちはもちろん歩いて登校し、校門、施設内に入っていきます。そうすると、教職員の車がぼんぼん入っていくのですよ。
 さて、そこで、私は四、五年前にもこの問題を1度質疑したんですけれども、学校の施設内に職員の駐車場があります。職員のための駐車場というのは学校施設整備指針に合致しているんですか、反しているんですか、どういう認識を持っているか、お聞かせください。
○山内彰教育長 小学校、中学校、高等学校の施設整備指針に駐車場の条件等についてはうたわれておりますけれども、これを設置しなければならない、その是非についてはうたわれていないととらえております。
○平敷昌一委員 申し上げたように、この学校施設整備指針というのは、学習の場としての空間ですよ、そして児童・生徒の生活の場としての空間ですよと。ですから、教職員の駐車場の場というのはこの指針にはないと私は思います。
 さて、四、五年前に、那覇市の教育委員会に校庭の駐車場を撤去しようという動きがありました。若干トラブルがあったと思います。県庁だって職員のための駐車場というのはないですよ。市町村役場においても、職員のための駐車場というのはないんです。これは市民のための駐車場ですから、役場職員はそこに駐車するなと。石川市役所がそういう方針ですね。そこで、学校だけ、職員のために相当のスペースが―本来、子供たちの空間であるべき、教育の場であるべき、生活の場であるべきものが教職員の駐車場として占用されてしまっている。これはあっていいものか、あるいは改善すべきものなのか、皆さんはどういう認識でこの問題に対処しようとしているか、何かありますか、答えてください。難しいですか。
○山内彰教育長 難しいですね。正直言いまして、ほとんどの小・中学校においては厳しいところもありますし、それぞれ条件が違うと思います。私が歩んできた学校においても、駐車場のある学校と全くない学校がございまして、学校によって任されているような状況ではなかろうか。また、私どももそれに対して、あえてこうしろということは今まで指示したことはないんですけれども、那覇市の場合は何年前かにこのことが取り上げられて、職員の駐車場確保の問題とか、あるいは通勤との絡みということにおいては、設置者でなされているものと理解しております。
○平敷昌一委員 公立、市町村立の場合は、たしか設置者は市町村ですからそれでいいでしょうが、県立学校の場合はどうしますか。
○山内彰教育長 県立の学校においても、教育庁サイドとしては、このことについては学校施設整備指針でも駐車場の云々はされておりますので、それ以上のことは見込んでおりません。あとは、校舎棟建築に伴って駐車場を設置する場合は、生徒の安全に考慮するよう指導していくというような立場での指導、助言しかやっておりません。
○平敷昌一委員 学校施設整備指針に駐車場も入っていると。これは公用車の駐車場だと思います。職員の駐車場とあれば、これは整備指針では出てこないと思うんですよ。これは、職員の福利厚生施設という形であれば、また別の問題として、それはあり得るでしょうね。しかし、福利厚生施設として、県庁ももちろん市町村だって、職員のための福利厚生施設としての駐車場というのは、実態として設置していないと思いますよ。そこで、その場逃れじゃなくして、今後どうしたいと考えていますか、検討する用意がありますか。
○山内彰教育長 御提言を受けておきます。
○平敷昌一委員 私は、御提言を受けておきますだけでは本当は物足りないです。学校施設整備指針があって、それに基づいて国が、例えば80%補助するとか、県民の税金を投入します。これはあくまでも子供たちのための学習の場、生活の場としてのこういう整備をしますよ、こういう面積は補助対象として認めますよと言っているわけだから、そこをもう1度やっぱり基本に立ち返って、職員の駐車場をどうするのか。大変危険なんです。小学校では、狭い校門から子供たちは歩いていくんです。職員は車でぽんぽん入っていくんですよ。この実態を見て、これは事故があるとえらいことになるなと思うのですよ。もちろん安全対策もさることながら、校内に職員の駐車場を確保するのが当然だという考えをされていいのかなと、私自身、大変疑問に思っていますので、それはぜひ、どうあるべきか、皆さん大いに議論をして、考え方を示してもらった方がいいと思っています。これも検討するでは、どういう検討をするのかよくわからぬけれども、いずれにしても、課題として認識を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○山内彰教育長 課題として認識をしておきたいと思います。ただ、反論のような形になりますけれども、教職員の立場、あるいは学校によっては学校長、あるいは救急体制、訪問指導等においての必要性、部活動等々において学校の駐車場が、安全性の確保に留意して、あるいは生活の場、学習機能を充実させるための学校駐車場というものもひょっとしたらあるのかなとか、もろもろ考えられるものがあるのではないかと思っています。また、現にそういうのが必要でないという那覇市の小学校も見たんです。そこは3台だけ車をとめて、残りの職員はそれぞれトータルで1000円ずつ出して、学校の駐車場を使っている職員も1000円を出して、共済の形で駐車場をとっているという学校もありますし、ヤンバルの学校、あるいは浦添市のある学校においては非常に交通不便であって、職員は車で通校しないと、ここの学校の人事配置上も厳しいという学校当局の御意見もあります。もろもろ考え、今の1つの整備方針と、それから安全性の空間等々を含めて考えさせていただけたらと思います。
○平敷昌一委員 中学校、高等学校というのは、みんな公用車を持っています。だから、公用車の駐車場がないといけないですよ。それは当然あってしかるべき。職員の駐車場そのもののために相当なスペースを使うのはどうかという疑問がありますから、今の問題を提起いたしました。
 次に、今沖縄県は新沖縄県行政システム改革大綱というのを、行政改革に向けて一生懸命取り組んでおります。その新沖縄県行政システム改革大綱の理念、ねらいというのは、こういうことが書いてあります。県民の視点に立って行政を実施していくということが1つの大きな柱。もう1つは、できるだけ民間委託のさらなる推進と新沖縄県行政システム改革大綱で言っています。民間委託、民間にできることは民間にやっていただこうという、さらなる推進を図りますよということです。
 そこで、例えば県立の福祉施設というのはたくさんあります。老人福祉施設から、児童福祉施設から、障害者福祉施設等々含めて、これはほとんど民間に委託をされております。教育機関、特に青少年教育施設、青年の家や少年自然の家が全県に6カ所ありますよね。ほかの県に比べて数が多いですよね。ほかは青少年教育施設というのを大体3カ所ぐらいしか持っていない。そして、今度の予算を見ましても、青少年教育施設の管理費として1億2500万円が予算計上されております。さて、そこで、県立福祉施設が、首里厚生園だけを除いてほかはほとんど民間に委託しておりますが、県のこの青少年教育施設を民間に委託する考えはありませんか。
○山内彰教育長 現在のところ、青年の家、少年自然の家の民間委託業務については検討しておりません。
○平敷昌一委員 これから検討する予定はありませんか。おわかりのとおり、ほかの県はみんなやっていますよ。
○山内彰教育長 今後については、県全体の情勢の推移というものを見ながら検討する必要があるかと考えております。
○平敷昌一委員 私の提案ですけれども、この施設は6カ所あって、1施設に職員が6名ずつ入っています。6施設ありますから、36人の職員が配置されている。これを施設管理、運用を含めて民間に委託したら、定数だって相当余裕が出てくるし、ほかに転用できると思います。だから、1億2500万円がほとんど毎年ついていますけれども、これを例えば、ほかの県がやっていることを例にとりますと、社団法人沖縄県青少年育成県民会議というのがありますね。ここらあたりにそういう施設を委託することについて、検討の余地がありますか。
○山内彰教育長 先ほども答弁しましたように、やっぱり県全体の情勢の推移を見ながら考えていきたいと思っております。御提言の意もよく承知しているつもりでございますので、この辺については検討させてください。
○平敷昌一委員 先ほどの余裕教室の問題もそうですし、この青少年教育施設の委託もそうですが、福祉部門と大変関係があるのですよ。だから、この委託の問題、それから余裕教室の利活用の問題を含めて、皆さんと福祉保健部と一緒になって、そういう勉強会をぜひ開いていただきたいと思います。常設の機関でなくてもいいですよ。集まってきて、プロジェクトチームみたいなやつでもいいし、これをぜひやってほしいということを提案して、終わります。
○安里進委員長 宮里政秋委員。
○宮里政秋委員 三位一体改革による地方交付税の削減で、全国の都道府県や市町村で極めて厳しい予算編成を強いられています。特に、削減の対象に義務教育費国庫負担金が挙げられています。義務的事業の徹底効率化を図るという理由が述べられていますが、御承知のように、那覇市では老朽化した危険校舎の改築が見送られました。三位一体改革による義務教育費国庫負担金の削減は県教育委員会の予算にどう影響しているのか、義務的事業や補助金の削減等について明らかにしていただきたいと思います。
○山内彰教育長 三位一体の改革による平成16年度の教育委員会所管予算の国庫支出金への影響額は、おおよそ23億6300万円と試算しております。内訳としては、1つには義務教育費国庫負担金、公立養護学校教育費国庫負担金のうちの退職手当及び児童手当分でございます。2つ目は地域・家庭教育力活性化推進費補助金というのがございますけれども、これについては1100万円の廃止があります。それから、教員研修事業費等補助金でございます。
○宮里政秋委員 義務教育費はどうしても必要だという点で、今いろいろ挙げられましたが、その三位一体改革で、従来どうしてもやらなければならなかった事業がどのぐらい削られたか。そういう事業名まで明らかにできませんか。
○山内彰教育長 先ほどちょっとだけ紹介しましたけれども、基本的には一般財源化でもって対応していかなければ困るだろうということでの措置をしているところですけれども、直接的には地域・家庭教育力活性化推進費補助金というのがございまして、それを1100万円、そのまま廃止となっております。
○宮里政秋委員 後で資料でいいのですが、三位一体改革で、従来、県教育委員会としてやってきた事業があって、その事業は国庫負担だったのに、これが削られたために廃止になった事業、あるいは、どうしても廃止はできずに、一般財源で補ってでも引き続き事業化した問題、通告はしておりませんが、おわかりですか。
○山内彰教育長 補助金の廃止による予算額の減少については、本県の課題に即したように、効率的、効果的な事務事業を行うことができるように一応対応いたしております。
○宮里政秋委員 それから、少人数学級。午前中に平良長政委員からありましたが、県教育委員会は学級編制の標準40人を維持しつつ、教職員定数改善計画を、国語、算数、英語等の基本教科において、20人程度の少人数学級を平成13年度から―これは私の理解ですよ―年次計画で拡充実施する、こういう方針を打ち出したと思うのですが、その実施計画、多数人数学級を解消するための小学校1年生に限って、特に必要があると認める場合に柔軟に対応するというような決定をしていますが、具体的に、その実施状況、教育効果、今後の実施計画を御説明いただけますか。
○山内彰教育長 少人数の授業の実施については、お話がありましたように、平成13年度から実施している国の第7次教職員定数改善計画等において指導方法工夫改善定数を活用して、平成15年度までに、小学校で160校中261人、中学校で88校中164人を配置しております。平成16年度以降についても拡充していきたいと考えております。
○宮里政秋委員 教育長、今の小学校160校、中学校88校で教員の増加はございますか。
○山内彰教育長 先ほど話しました160校というのは、そこに261人、中学校で88校164人ですから、トータルにして425人の教員の増ということになるわけでございます。
○宮里政秋委員 今後、この小学校1年生を、次は2年生、3年生、4年生、5年生、6年生と、義務教育全部にわたってそういう計画がありますか。
山内彰教育長 ことしは1年生で、3学級以上、36人以上の学校を対象に、すべてはできませんでしたけれども、次年度においてはそれをすべてやり、そして、年次進行で、そのまま2年生についても実施していく予定を立てております。
○宮里政秋委員 今、小学校160校、中学校88校と。少人数学級を今実現して、県の持ち出しは総額幾らですか、おわかりですか。
○山内彰教育長 恐れ入ります。これは数値で出せる話じゃないものですから、定数上の話でございます。
○宮里政秋委員 午前中もちょっと出ましたが、御承知のように法律は40人学級で、いわゆる文部科学省は財政的な裏づけがないのです。これは御承知のように、全国的に30人学級を実現せよと。ヨーロッパでは、とっくの昔から20人学級をやっているわけですから。こういう全国的な運動が功を奏して、30人学級でも、特に都道府県でやりたいのならば、どうぞやってください、しかし、定数は40人ですよ、費用は出しませんよ、これが今の文部科学省の方針なんです。いわゆる全国的な運動で、最初は40人学級以下の編制をどこにも認めなかったのですから。文部省はだめだったのです。この運動が功を奏して、現在、標準定数は40人なのに、30人にしても20人にしてもいいよ、必要と認めたら、それぞれ都道府県委員会で独自に判断して、どうぞ実施してくださいというふうに変わりました。国はお金は出さないのです。本当にまずいですよ。だから今、全国的に法改正、いわゆる定数を30人にしようという運動が大きく全国から出ています。これは各都道府県全部そうです。そこで、沖縄県で20人学級を実現しているところがありますが、教育長は御存じですか。
○山内彰教育長 実質20人編制がされているということでございますか。
○宮里政秋委員 そうです。おわかりにならない。教育長、実は基地内の米人学校が20人学級なんです。これは私が那覇市の教育行政にいたときに、今から十数年前ですが、那覇市内の小学校、中学校、それからうちの指導主事が全員集まって、バス4台にわたって嘉手納基地に見に行きました。そこはすばらしいのですよ。全部20人学級。これは我々の国民の税金でやられているんです。
 そこで、30人学級を法制上要求していく運動は大きいんです。教育長も先頭になって、自主的に編制するだけじゃなくて、法的にも学級編制を30人にするという運動を、県からも声を上げてほしい。教育長の決意はいかがですか。
○山内彰教育長 これは一概に比較対照できるものではないと考えています。私もアメリカの学校のシステム、それからイギリスのシステムも直接調査したことがございますけれども、教員の雇用条件がまず違っている。契約制をとっているとか、あるいは、向こうもそうでしたけれども、20人以上は教員が認めない。そのかわり、契約上1年とか、2年とか、そういういろいろな条件が違うというものも認識したわけです。ですが、単純に定数だけの話じゃないなということは、向こうの教育委員会との話、教員との話もやって思ったわけです。
 国のスタンスとしては、学級そのものの指導方法工夫・改善という二本立てでいこうという姿勢であるわけですから、どうしても国の定数というものを踏まえて運営をしていくということは、教育庁としてはそういうスタンスを貫く以外ないだろうなと考えているところです。また、本県の財政事情等も考えた場合、十分その辺も踏まえてやっていく必要があろうかと考えております。
○宮里政秋委員 今、私、昼休み時間だということで、1時間以内で行けるだろうと思ったら、なかなかそうはいきませんで、ちょっと遅刻しましたが、城東小学校へ行きました。大嶺順子校長とお会いして、学校現場を見せてもらいました。ひどいですよ。天井が腐食しておっこちるものですから全部ふさいでいますが、中をあけて見せてもらいましたら、全部露出しているんです。子供の教育で安全性が最も大事。これは那覇市教育委員会の管轄ですが、市町村教育委員会の自主的な活動の範疇ですよ。しかし、子供たちの教育環境の危険な状態をそのまま放置するわけにはいかぬと私は思います。
 そこで、教育長、あなたの方で市町村教育委員会を適切に指導して、予算を一日も早くつくって、改築に踏み切るべきだと私は思います。何も市町村教育委員会の教育に介入するものではない。指導という立場からやってほしい、これが1つ。もう1つは、このような危険老朽化している小・中学校の実態把握をしておれば、その数を教えていただけますか。
○山内彰教育長 老朽化している学校については、私どもも市町村首長会でも昨年2回、実施してきたところであります。教育委員会だけじゃなくて、やっぱり市町村の首長に直接お願いして、私どもとしては、国の一括計上で予算を獲得してございますので、ぜひということで推進を図っているところです。
 なお、老朽化していると思われる建物は、平成15年5月1日で、小学校で約23万1000平米、率にして18.0%、中学校で約10万7000平米、率にして9.7%、県立高等学校で約7万5000平米、率にして9.7%、特殊教育小学校が約4000平米、率にして8.9%となっています。合計しますと約41万7000平米、14.1%が残っておりますので、これを計画・年次的に推進していきたいと思っております。
○宮里政秋委員 今、危険校舎、いわゆる校舎が危険で、ここでは安心して子供たちに授業を受けさせられないという実態なのです。これは本県にとって、教育の問題では最大の課題。緊急に改築を求めていかなくちゃいけない。これは教育委員会も含めて、我々議会もそういう市町村の実態に適切な対応をする必要があると思います。
○安里進委員長 外間久子委員。
○外間久子委員 教育庁の新規事業の部門で、ちょっと教えていただきたいと思います。
 103番の生徒のやる気支援事業というものに2622万円含まれているのですが、この事業というのは、具体的にはどんな事業なのでしょうか。
○山内彰教育長 新規事業である生徒のやる気支援事業は、不登校や休学中の生徒への対応策として始まるものでございます。本県において、遊び、非行傾向の不登校や休学中の生徒の課題が、地域における人間関係の希薄化による人間関係性の喪失とか、地域の大人に対する信頼感の喪失等によるものであると分析しております。したがって、生徒に、社会に見守られ、はぐくまれているということを認識させて、やる気を高めていくことが肝要であろうと思いまして、中学校及び高等学校に、生徒のやる気を起こさせるための大人のコーディネーターを配置して、その生徒の趣味や特技を生かした体験活動等を企画して、あるいは実施して、大人と子供の心のつながりを深めて、生徒一人一人に有能感を与えることができないものだろうかということで計上したものでございます。
○外間久子委員 この事業というのは、全国でも実施されているのですか、そして、どれぐらいの県でどれぐらい成功例があるか、教えてください。
○山内彰教育長 他都道府県について実施しているかどうかについては掌握した形ではなくて、本県独自の事業形態としてスタートさせるものであります。なお、子供の居場所づくりの一環として位置づけております。子供の居場所づくりというのは国全体の生涯学習体験の中での一環として打ち出されているわけですけれども、生徒のやる気支援事業というのは本県独自のネーミングでありまして、本県で単独に実施していこうというものでございます。
○外間久子委員 確かに地域の中でということは大切だと思うのですけれども、それは社会教育の中でも、地域の中でもいろいろやられる。ところが、まずやるべきことは、やはり教育現場の中で、教師たちがもっとゆとりを持って子供たちとかかわる。まず子供たちに一番かかわれる対象というのは、現場の教師だと思うのですよ。そこを地域の中のボランティアでやるということで、実際、現実的な問題として、そういう形の成功が出てくるのかなと私はある面で危惧している。むしろ、学校現場の方で教師自身にゆとりを与えるような形での、やる気を起こさせる事業をやった方がいいのではないかと思うのですけれども、そういうお考えはないんですか。
○山内彰教育長 委員おっしゃるとおり、結果的には教師にゆとりを与える、私はそうとらえているわけです。実はこの事業を考えたのはことし初めからで、数値を見た場合に、社会における居場所が余りにもない。子供たちへのかかわりが弱い。教師は学校でやって、さらに家庭訪問までして、社会において、子供たちにそこまでかかわらないといけない。学校の壁を超えて、限界を超えているのではないかと思ったものですから、やはりコーディネートして、子供と教師とをつなぐ立場の人というのが必要だということで、事業を起こしているわけでございます。
○外間久子委員 コーディネートする人たちはどういう人たちを対象にしていらっしゃるのですか。
○山内彰教育長 基本的には地域の人でございまして、それから中学校においては、中学校の退職教員とか、学校と連携をとり、教師と連携をとれる人たち、あるいは教育活動に関心を示し、そのような支援体制をとってきている人たちを考えております。
○外間久子委員 地域でということで抽象的でして、地域の中でどういう人たちですか。民生・児童委員を対象にしているのか、新たにそういうものをつくっていくのか、その辺はどうなのですか。
○山内彰教育長 その辺については学校長と市町村教育委員会等に任せてやっていきたいと思っていますけれども、基本的には地域で少年活動の面倒を見ているとか、必ずしも民生委員という形ではなくて、その部分はまたその部分としておいて、新たに設置していこうという考えです。
○外間久子委員 これから問題がそんなにうまく成功するときは、私は地域の中では期待していません。むしろ、学校でゆとりを持たせるような教育をさせることが大切だと思います。
 2つ目の問題ですが、育英事業の問題で、新しく沖縄県国際交流・人材育成財団というのができたということですが、日本育英会がなくなって、これにかわるものなのか、この組織というのは今まであった組織なのか、どういう対象の子供たちが奨学資金を受けられるのか、教えてください。
○与儀真幸県立学校教育課長 本県の高校生の奨学事業は、これまで日本育英会の沖縄県支部と沖縄県国際交流・人材育成財団等で所管しておりました。今度、特殊法人の合理化といいますか、再編整備が行われておりまして、日本育英会は解散をしまして、沖縄県支部がことしの3月31日付でなくなります。なくなることによって、今まで高校生に奨学資金を貸与していた事業は沖縄県が担当する。大学の部分については新しい特殊法人が担当するというような分担が行われまして、県内では沖縄県国際交流・人材育成財団が高校生の事業を引き継いでいくというようなことになる予定でございます。
○外間久子委員 国際交流というのは何ですか、国際交流というのがよくわからない。
○与儀真幸県立学校教育課長 県の外郭団体といいますか、国際交流財団と県の人材育成財団が再編統合してできた組織でございます。
○外間久子委員 わかりました。
 3つ目に、特別支援教育コーディネーターの養成事業ということで、障害児の児童・生徒の支援体制を校内に設置するということですが、その事業の内容を教えてください。
○山内彰教育長 特別支援教育は、特殊教育を受けている児童・生徒に加えて、公立小・中学校の通常学級に在籍している障害のある児童・生徒、例えばLDとかADHD、そういう子供たちに、適切な教育を通して特別に支援を行う必要があるということになったものですから、それを踏まえて、本事業では、校内における特別支援教育体制整備を図るために、この特別支援教育コーディネーターを位置づけたものです。そのための特別支援教育コーディネーター養成研修というのも実施しまして、いわゆるコーディネーターをサポートする特別支援教育巡回教育相談員も派遣する、そういう2つの事業をひっくるめて、特別支援教育コーディネーター養成事業と呼ばせていただいております。
○外間久子委員 この新しい事業というのは、そういう対象の親御さんたちには、もう説明は終わっているのですか。
○山内彰教育長 はい。これは平成16年度からスタートするものでございまして、これからまた推進を図っていきたいと考えているものです。
○外間久子委員 そうしますと、今まであった養護学校、盲聾学校という学校はなくなっていくわけですか。
○山内彰教育長 先ほども申しましたように、特殊教育の児童が対象ではなくて、それに加えて、現在普通学級にいる子供たちの中で特別に支援を必要としている子供たちがいるのではないかといったのが、実はLD……。
○外間久子委員 LDというのは私はわかりますけれども、皆はわからない。新しい横文字が入ってきちゃう。
○山内彰教育長 学習機能障害をしている子供、これは特殊学級ではなくて普通学級にいるものですから、そういう子たちの教育をどうするかということで、特別支援と。その子供たちのためには適切な指導をする必要があるだろう、このような形ということで、指導方法とか指導内容等々についてたけた教師を配置する必要があるということで、この教師を特別支援コーディネーターとして各学校に置こうということでございます。
○外間久子委員 そうしますと、今まで普通の学校にあった学級というものが、学級そのものがもうなくなっていくわけですか、普通学校に特殊教室がありますよね、この学級そのものがなくなっていくわけですか。
○山内彰教育長 また特殊学級とも全然違うものであります。この子供たちというのは特殊学級該当ではないんです。普通学級扱いなのですけれども、やはり何らかの学習に障害を来している。知的障害とか身体障害ではない。
○外間久子委員 いやいや、だから、普通の学校にある特殊学級というものはなくなっていくのですかということです。
○山内彰教育長 特殊学級はそのまま存続します。ですから、あくまでも加えてです。プラスになっていくということでございます。
○外間久子委員 では、今、神原小学校にある特殊学級というのはそのまま存続させて、そこに、新たにまた障害の子供たちが入ってくるということなのですか。そこの特殊学級は、今いる子供たちでそのまま運営されていくわけですか。
○山内彰教育長 今のままで、そのままで考えられてください。ところが、その中には今まで入らなかった部分が1つあるのです。これはLDという子たちが普通学級にいたんですけれども、その子たちに特別に支援をする必要があるのですけれども、その子たちの支援をどうしますかというときに、やはりこういうことをコーディネートしてあげる必要がありますよということで、そこの中にいる教師の中に1人、特別支援コーディネーターというものを位置づけて、そのための研修事業をやろうということでございます。
○外間久子委員 そのコーディネーターを配置するのは、これから養成するのですか。例えば、今ある盲学校とか養護学校の方から、そういう人たちを中心として養成していかれるのか、その辺はどうなるのでしょうか。
○山内彰教育長 現在いる職員の中で位置づけるとか、あるいは特殊学校で専門的にやっている先生を講師としてお呼びして研修をして、そして養成をしていくとか、そういうような形です。特別に配置をしていく話ではないです。
○外間久子委員 特別には配置しなくて、そこにいる人たちで研修を重ねてやると。それで、すべての学校にある新しく入ってくる障害児の子供たちのコーディネートをするというのは、この人が中核になっていろいろやるわけですよね。そうなると、このコーディネーターになる人は、どこかの学校の職員がコーディネートする位置に来るとなると、そこでは、やはり全体のネットワークを広げる任務も持ちながら、そこの学校の校務も遂行していくという形になるのですか。ネットを広げるコーディネーターを置くわけでしょう。
○山内彰教育長 そこの中に先生方が、職員でありましたり、位置づけをして、その先生を特別支援コーディネーターにさせて、一緒に研修体制をしていって、長期的なスパンでこれから―実質的に配置するのは平成19年度でございますけれども、それまでに養成していこうという事業でございます。
○外間久子委員 じゃ、ここにいる校務は兼務するわけですか。
○山内彰教育長 そういうことです。
○外間久子委員 校務を兼務して、全体のネットワークを広げる任務につくということですか。要するに、各学級のいろんな調整役をするでしょう。医療の部門、福祉部門とかいろいろ、そんな部分になるのか。イメージがわかないものですから、教えていただきたい。コーディネーターというのがどういう役割で、1つの学校にいて、その全体の各学級にいる部分というものをやるのか。
○山内彰教育長 ですから、各学校の校務分掌の中の位置づけでございます。
○外間久子委員 ということになると、やはり二重の任務を持たなくてはならないということになりますが、このコーディネーターを抱えている学校にとっては大変過重負担になってくるし、コーディネーターを受ける人も、全市的な部分の中核に座らなくてはならなくなってくると大変苦労の面が出てくると思うんですが、その辺は大丈夫なのですか。要するに、研修も受けなきゃならない、それなりの力のある人じゃないと、やはり私は難しいと思うのですよ。そういう点では、どんな研修なのかなということでも、ちょっとわからない面があるので。
○山内彰教育長 そのための養成事業の予算の計上でございまして、そういう人たちをそういうことができるように養成していこうというための事業なんです。ですから、例えば特別盲聾養護学校は16校ありますけれども、合計48名のコーディネーター、すぐできる方々がおられますので、そういう人たちを位置づけて、それを市町村の小・中学校にも行ってもらって、研修をして。そこにおいてもそれなりの教諭を養成していく、こういう事業です。
○外間久子委員 今までいる学校から派遣するとなると、やはり職員はコーディネートの仕事が中心になってきて、現在いる職場の仕事というのができなくなるのではないかなと思うのですけれども、そういうことはないのですか。
○山内彰教育長 その辺については、校務に支障のない範囲内で今後検討していくことではないかと思っています。
○外間久子委員 わかりました。
 あと1つ、休学者に対する就学意識の高揚を促すための高等学校生徒就学支援センターの設置。この事業の内容はどんなものでしょうか。
○山内彰教育長 先ほども御紹介しましたけれども、本県の県立高等学校における中途退学、休学、不登校は高校教育の非常に大きな課題であると理解しているわけです。そのような生徒たちに、再度、自分の生き方やあり方を考える時間や機会を設定して、面談や家庭訪問等を定期的に行って、カウンセリングや進路相談等々をして、生徒たちにもう1度、学校や進路などを見詰め直してみませんかということで、支援させる教師を1校に置いて、それでネットワークを張っていこうかなという、生徒の就学を支援するセンターとして、泊高等学校に位置づけをしようということでございます。
○外間久子委員 今、泊高等学校に位置づけというのは、この事業はもう既にスタートしていらっしゃるんですか。新規事業で泊高等学校にということですが……。
○仲宗根用英教育次長 今、3名の職員を配置して、その準備に取りかかっているところでございます。
○外間久子委員 泊高等学校でスタートして職員が3名ということですが、そこには生徒も既に送られているんですか。職員だけが今いる状態なのですか。
○仲宗根用英教育次長 今、職員だけが配置されていて、この職員は、次年度に向けての生徒たちの受け入れの準備中でございます。
○外間久子委員 休学者に対して、例えば那覇高等学校で休学している子供、そこをカウンセラーの皆さんが、あなたはここでは大変だからといったら語弊がありますが、大変だから、どこかの学校に行った方がいいよという形の支援をして、泊高等学校で受け入れて、今度は、その泊高等学校でどこかの学校に配置するという形になるのですか。
○仲宗根用英教育次長 これまでは、各学校でやむなく退学していった者がおりましたけれども、今後は、この退学しようとしている子供たち、または休学している子供たち、やむなく退学したいけれどもという、せっぱ詰まった状況の子供を対象に、いま1度進路を考えてみたらどうか、あなたの本当のいろいろな今後の進路について、もう1度お話を聞いてみましょうと。これまでならば退学していった生徒が、それをいま1度引き受けて、この生徒の今後の進路について、カウンセリングなど、じっくりと相談をしながらやっていこうというシステムの事業でございます。
○外間久子委員 ならば、必ずしも泊高等学校へこういう学校をつくらなくて、今いるところの学校で、生徒指導の先生、カウンセラーの先生が人間関係ができているので、新しい泊高等学校まで行って、その人をどこに割り振りするという支援をやる必要はないのではないでしょうか。
○山内彰教育長 今、泊高等学校に新しくということなんですが、たまたま高等学校生徒就学支援センターとしての機能、場をそこで―人的ネットワークができる方法を主として、全県に高等学校は散らばっていますから各学校でやりますけれども、それでも掌握できない子供たちが余りにも多過ぎる。そういうことを束ねるような方法を主として、今、泊高等学校が一番便利だろうということで、泊高等学校に高等学校生徒就学支援センターを設けて、もちろん学校でも機能しますけれども、これだけでは弱いものですから、集中的にシステムを確立しようという意味での泊高等学校でございます。
○外間久子委員 要するに、高等学校生徒就学支援センターが泊高等学校に位置づけられて、そこに専門の先生がいるのだけれども、実質的には子供が泊高等学校の高等学校生徒就学支援センターに行って、そこでカウンセリングを受けて、自分の進路を考える。そして、僕は水産高等学校に行きたい、いや、豊見城南高等学校に行きたいということであれば、やはり今まで退学して、休学して、不登校を起こした子供たちが自分の進路で、相手校の行く学校というのが、それなりにまた受け入れてくれますか。その辺の関係、うまくいくのかなというのが大変危惧されるんです。
○仲宗根用英教育次長 今懸念されることにつきましては、県立学校の校長先生方に、こういう生徒を受け入れてほしいと希望してきたときには、体験入学等もしてもらって、その学校でじっくりとこの生徒の状況を見計らいながら、受け入れるかどうかということを学校でもって審議をして、受け入れるというようなことになるかと思います。
○外間久子委員 私は教育委員会の皆さん方のやり方というのは、余りに焦り過ぎている部分があって、私も非行の問題を扱った経験があるのですが、大変困難であるけれども、やはりいるところで頑張らせていくという、そういう姿勢がないことには、子供の更生というのはやはり難しいと思うのですよ。私はむしろ今の話を聞いていて、子供をたらい回しにしていくような状況ではないかなと。進路という格好いい言葉で、進路を決定させると言うけれども、実質的には子供のたらい回しをしていくような、こういう状況に陥るのではないかということが気になっているのですが、教育委員会はこういう心配は全然お持ちじゃないんですか。
○山内彰教育長 現況が余りにも課題性が大きいから、生まれてきているものだと思うんです。これは一応3年ぐらいをスパンにして考えていこうと。現況において、今、もちろん私どもは指導支援カルテなるものをつくって、一人一人にきめ細かな対応をしていきます。それでも、なお学校に出てこない子供たちもいる。これをどうしているかといいますと、今は非常に厳しい。この子たちに手を差し伸べるだけの余裕が学校においてはない。それをフォローしていこうということであって、各単独の学校をないがしろにするという意味ではないわけです。それにさらに各学校のネットワークを深めて、全県的な体制で子供たち一人一人をフォローしていこうというのであって、何も進路変更だけの話をしているわけではなく、子供たちが学校に出られない状況というものに対してコーディネートしてあげよう、支援してあげようということでございます。
○外間久子委員 私はむしろ、今いる学校できちっとフォローしてあげる、支援してあげるという体制。忙しいという状況はあるけれども、そこをもっと教育現場の中でゆとりを持たせて、そういうかかわり方のできるような学校をつくることがやはり必要であって、今の学校が大変だからということで、こういう新しい事業で、こんな形で子供たちを回していくやり方というのは、私はやはり問題があるのではないかと思っています。一応この新しい事業は様子を見ていきたいと思っています。
 あと、45分の休憩時間問題ですけれども、私は教育長の議会答弁、うちの新垣米子議員が質疑をしているものを見ていて、休憩時間についての教育長の認識というのは、やはり45分はとっているという認識に立っているわけですよね。その中で、教育長の答弁も、例えば、教職員が休憩時間を思い思いに活用し、職員同士の交流や児童・生徒との触れ合い等、有効に活用した場合には、生徒指導の対応に当たっておりますと認識していますと。子供との触れ合いということ自体が、むしろ教育の一環であり、指導の一環にかかわっているのに、ここを教育長は、そこが休憩だというふうな認識というのはおかしいのではないですか。2回にわたってこんな答弁をやっていらっしゃるのですね。子供との触れ合いが休憩だという答弁をやっていらっしゃる。
○山内彰教育長 休憩の認識というか、理解のあり方だと思うんです。休憩時間を設定したら、休憩をどのように過ごすかというのは教師個々によって違いがあるということで、子供たちと触れ合って、しっかりとそれを休憩時間ととらえている教師も、データを見ましたらたくさんいまして、そういう意味での使い方であって、悪い言い方をすれば、学校から離れてこうこうしておきながら、休憩時間じゃないというとらえ方はどうかと思っています。だが、子供にとっては非常に触れ合いの場になっている。また、その中間にあるから、教師にとっては次への休養にもなる。休養に働いているんだから休憩でいいのではないかという教師の理解も十分ありましたので、そういうことをああいう表現で紹介したわけです。
○外間久子委員 やはり私は、子供と触れ合っている、子供とかかわっているというのは、教育の一環の流れだと思うのですよ。それはその先生が触れ合っているから、第三者から見て、それは要するに休憩の一環として子供と遊んでいるなという見方もあるかもしれないけれども、実際にそうせざるを得なくて子供との触れ合いを持っているという状況もあると思うのですよ。その認識の問題で、一つ、やはり現場と教育長の認識が大いにずれているような感じがするんです。
 それで、那覇市教育委員会がアンケートをとっていらして、やはりその那覇市教育委員会のアンケートを見ると、60%の皆さん方が休憩時間をとられていない、こういうアンケートが出ているわけです。だから、今、教育長は休憩をとっているんだ、子供と触れ合うのも休憩の1つだと受けとめるのであれば、そこは認識のずれがありますので、那覇市教育委員会がとったような形で、県の教育委員会も、やはり全教師に対するこの45分の休憩でどういう実態なのかということを調査する、アンケートをとって調査する、そういうお考えはありませんか。
○山内彰教育長 時間の割り振りでございますので、学校管理運営において、学校長を中心にして、設置管理者の市町村がやっていくものだと思うのです。那覇市教育委員会がこのようにとったわけですが、教職員だけに聞いた話でございまして、県としては、やはり先ほども言いましたように3つのスタンスがありますので、法令に従ったものということで、法令違反を県がやっているというのだったら別ですけれども、それにのっとってやっている。そして、子供たちを見ましたら、子供たちもそれぞれである。帰るのが早い方がいい、遅い方がいい、それぞれ意見もありました。市町村教育委員会としては、ほぼ定着していますので、そこに任せてくださいということでございましたので、そうですかということの理解をして、私どものこれが―あえて職員団体からの御意見も聞きましたけれども、それは向こうの労働条件の問題との話があるわけです。しかし、これそのものに子供が出てこないというのが寂しい話だったのですけれども、教員にとっては、そういうことは休憩時間として触れ合いを持っているということもありましたので、必ずしもそれが休憩がとれていないということにはなっていないのではないかと思っているわけです。私も学校長を経験しましたけれども、その時間に校長が休憩時間がとれていないという意識があったかというと、そういうことはなかったものですから、そういうふうに答えているわけです。
○外間久子委員 それでは、この45分の休憩の時間の中で、子供たちが起こしているいろんな事故があると思うのですね。ことしの2月には、那覇市のある中学校で性的な行為が出てきているし、やはりこの45分の休憩時間の中でいろんな暴力があるし、いじめがあるし、喫煙があるし、いろんな問題が出ている。45分で大丈夫ですというのであれば、その実態の数字を出してくださいませんか。
○山内彰教育長 平成14年度に発生した学校事故の時間帯というのは、中学校では部活動中が最も多い時間であります。その他は教科学習中などの事故であります。3番目に45分の休憩時間に起きているという数値があります。当然、時間があれば子供たちの事故というのも起きるでしょうし、事故を起こさないような方法をとるというのが学校運営上大事ではないかととらえているわけです。
 那覇市の先ほどのことでございますけれども、その件については、私は今回の事件については心が痛んで残念でありますけれども、事件、事故の報告を見てみますと、やはり特殊学級との交流のあり方とか、あるいは男女交際のあり方とか、あるいは性教育の問題、心の教育の指導とか、そういうものが背景には大きいという報告を受けたわけです。必ずしも制度的な時間の問題ではない。その時間になったから事が起こったと直結させるというのは厳しいのではないかと考えております。
○外間久子委員 だから、そういうことであれば、いろいろな行き違いもあるし、認識のずれもありますので、やはり45分の時間帯を、全県の教師がどういう過ごし方をしているのか、そのときにどういう問題があるのか、私は現場の教師の意見を聞くということはやはり大切だと思うのですよ。いろいろ法的云々を言う前に、現場の認識の問題として、とるということは私は必要だと思うのですけれども、改めてそれをやる意思はありませんか。
○山内彰教育長 この1年間、先ほども申しましたように、市町村教育委員会、学校長等々から意見を聴取してまいりました。したがって、今私どもがやっているのは、先ほど言いましたけれども、原則を尊重する必要がある、それは法的位置づけであるし、教育の効果性であるし、教育活動の基本であると思っております。そして、原則を尊重し、現実的に考える。現実的に考えるというのは、割り振りの変更については学校長裁量でなされているわけですから、あえてそれをもとに戻すような形というのは、教育庁としては望ましい形ではないのではないかなと考えております。
○外間久子委員 市町村の教育長から報告が来たという話ですけれども、教育長からの報告を聞くのではなくて、全教師にアンケートを出して、それを県の教育庁がまとめてみるというお考えはないですか。改めて聞きますが、ワンクッション置いて報告を受けるのではなく、直接報告を求めるという考えはないのですか。
○山内彰教育長 やはりこの制度そのものは、全教職員にアンケートをとるのには余り適していないのではないかと考えております。
○外間久子委員 しかし、この45分の中でいろんな事件や事故が起きている。こういう実態をつかんでいるのであれば、この時間帯がどういう状態なのかというのは、現場の声を聞くこと。こんなことをやらないから、新規事業も、正直なところむだな予算だと私は思っている。こんなことをやって。もっと教育現場でゆとりを持たせば、こういう事業をやらなくていいわけですよ。これがないから、今、皆さん方、格好をつけて新規事業を起こしているけれども、これこそ私はむだな税金の使い方だと思っているのです。
 それで、最後ですけれども、皆さん方の中で、使用料の問題で高校の生徒の授業料収入が減になったということなのですが、高校の授業料も値上げされたのだけれども、これは何で減になっているんでしょうか。
○山内彰教育長 平成16年度における款の使用料及び手数料が前年度に比べて0.9%の減となっておりますが、このうち教育委員会所管分は平成16年度当初予算説明資料の抜粋に記載してございますけれども、2.6%の減となっております。その主なものは、目の教育使用料、全日制の高等学校授業料が1億2471万3000円で、これは、前年度に比べて1100人余の生徒数の減が見込まれることから生じたものでございます。
○外間久子委員 高校の授業料も値上げしているんだし、やはり生徒数が減っているということだけではなくて、今のような中途退学ということを出していることが大きな原因じゃないですか。
○山内彰教育長 今の1100名の中には、減耗率というふうに言っておりますけれども、そういったところも全部勘案しての数でございます。
○外間久子委員 やはり私は、高校授業料の問題というのは減免率枠の8%をうんと使わすという形、新学期を迎えますので、これはやはり徹底して現場の方には指導を入れていただきたい。限度の8%を使うという、それはお約束できますか。今回も使っていませんよね。
○山内彰教育長 今の減免率の8%は、学校にその範囲内でどうぞということで推進をしているわけですから、そういう形で進めていきたいと思っております。
○外間久子委員 沖縄水産高等学校が新校舎をつくったのですが、ちょっと水たまりが出てきているということで、親たちからの連絡があるものですから、ひとつこれは現場を調査していただいて、工事をやった人たちに補修をさせていただきたいということをお願いします。
○安里進委員長 喜納昌春委員。
○喜納昌春委員 それでは、所感を述べながら三、四点ほど質疑いたします。
 今回、平成16年度から、小泉内閣の三位一体改革を受けての予算ということで非常に厳しい予算編成になっていることに関しまして、先ほどの教育長の答弁でも、義務教育費国庫負担金を含めて23億6300万円の減があったということなのですが、私は改革については、国民全体、ある意味では人間の心のありようを含めて、反対する人はほぼいないものだから今度の緊縮財政の根源になっていますけれども、ただ、教育までも、大学の民営化を含めてそうですが、押しなべて全部改革の対象だということについては、この国がいかに戦後民主主義の中で混迷をきわめているか、私は懸念しています。国家百年の大計だから、100年後の人間をどうつくるかという意味の予算ですよ。それすらも、なたを振るうというわけですから、私はこの日本という国は、戦後60年近くなって混迷をきわめていると見ています。
 そういう中ですが、時期的には、これまで国庫削減については、いつでも警鐘を鳴らされていますよ。だから、与野党関係なしに、義務教育費の国庫負担金については、全会一致で切るなという格好での決議を毎年していますよ。ところが、今回はこれを出す余地すらない。もう切られますよと。この状態を見たら、国家予算で切られないのは宮内庁ぐらいではないですか。天皇の財産も幾らかわからぬというけれども、宮内庁以外は全部切っていく。教育が百年の大計云々というのは哲学ですよ。ただ、日本はそういう意味では、今、教育の問題を含めて、人間の心のありようを含めて、だから教育改革という話もあるけれども、それもいかがなものかと私は見ている。まさに哲学がない。
 そういう意味での予算なものだから、非常に苦労はわかりますけれども、いずれにしても、学校現場の乱れ方を含めて、警察官もああいう格好ですから。国会議員はもっと乱れているわけだからね。我々県議会というのは地方自治ですから、そういう意味では、魂を込めて原点に戻らないといけないのかなという思いがしています。国会議員ほど乱れていない、そういう自負心がありますよ。そういう意味で、そういうことを踏まえながら、現実的な皆さん方の施策について問うていきます。
 最初に、本県の不登校児童・生徒の状況についてです。本県の不登校の実態について、小学校、中学校、高等学校の実態はどうなっていますか、教えてください。
○山内彰教育長 平成14年度のデータでございますけれども、不登校児童・生徒数は、小学校が337人、中学校は1359人、高等学校は長期欠席者と呼んでおりますけれども、1202人、合計しますと2898人になります。
○喜納昌春委員 これは教育長、この二、三年の傾向としては多くなっているの。
○山内彰教育長 不登校児童生徒数の最近二、三年の傾向としては、平成10年度以降、1500人以上という高い数値を示しておりますが、平成11年度の2216人をピークにして、平成14年度は1696人まで減少を続けております。しかし、その実数の多さから、本県の重要課題であると考えております。
○喜納昌春委員 これは教育長、不登校の原因は多々あると思うのだが、大枠に言ってどんなことが原因なんでしょうか。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり、さまざまな要因があります。個々に違いがあります。ただ、まとめてみますと、傾向として、小学校では、心理的、情緒的などの要因が最も多いですね。中学校及び高等学校では、やはり遊び、非行などの社会的要因、背景などによるものの割合が高くなっております。
○喜納昌春委員 小学校、中学校―中学校、高等学校はある意味では同傾向かもしらぬが、そういう意味で、子供たちに対する指導のありようも極めて微妙なあれがあると思うんですが、これまでの努力についてはどうなっていますか。
○山内彰教育長 その対応策としては、御承知のようなスクールカウンセラーや巡回教育相談員による相談活動をやってまいりました。それから、関係機関と連携した不登校対策も実施してきております。今年度は6月から、提言しました北谷町の問題もありましたので、生徒一人一人のきめ細かな指導と支援を図りたいということで、学校で指導支援カルテを作成して、今実施しておりますけれども、この具体策から連携を図るということで、その充実機能が少しずつよくなりつつあります。
○喜納昌春委員 学校はある意味では、生徒の不登校の実態把握ということで、対象者ですから極めて関心事だと思うのですが、とりわけその子供たちをはぐくんでいる家庭環境の実態ですよ。これもある意味では多様性があると思うのですが、これについてはどう把握されて、とりわけ、その対象の父母とか親権者との話し合い、この辺はどうされていますか。
○山内彰教育長 一番厳しい状況でございます家庭環境の実態把握、あるいは保護者との話し合い等については、もちろん学校の職員はそのとおり配置もしておりますけれども、そのほか、スクールカウンセラーも巡回教育相談員も、あるいはうちの生涯学習振興課では家庭教育支援会議というものも立ち上げて、どういう支援ができるのかをそういう会議で話し合いをしたりしておりますけれども、この辺の充実強化はさらに必要ではないかと考えているところです。
○喜納昌春委員 最初の質疑で、不登校者が2800名を超していたのかな。この不登校者の子供たちの、いろいろなカウンセリングを受けながら学校に復帰する実績はどうなっていますか。
○山内彰教育長 平成14年度の不登校児童・生徒、小中学生で1696人いますけれども、特に巡回教育相談員との話し合い等もろもろ含めて、そのうちの591人、パーセンテージにして34.9%が登校できるようになりました。また、登校には至らなかったのですけれども、好ましい変化が見られるようになったという児童が310人、率にして18.3%という数値を持っております。
○喜納昌春委員 関連しながら随時進めますけれども、今回、新年度で2096万8000円の予算がついています。今出ましたけれども、巡回教育相談員の配置事業について聞いていきます。この事業は何人の相談員がいて、どのように配置されて実施されていますか。
○山内彰教育長 平成15年度は18人おりましたけれども、次年度は4人ふやして22人となっております。相談員を6教育事務所に配置して、管内地区で相談活動を展開してもらおうということでございます。このよさは、直接家庭を訪問して、児童・生徒や保護者等と連携が図れるというよさを持っております。次年度はそういうことで予算計上しております。
○喜納昌春委員 教育長、22名になるのは今からかもしらぬからいいですが、現在18名いらっしゃるという、この相談員の男女の構成はどうなっていますか。
○山内彰教育長 担当課長の話だと、18名のうちの7名が女子のようでございます。
○喜納昌春委員 わかりました。
 この事業で、平成15年度が18名いらっしゃるということで、相談を受けた児童・生徒の状況と相談内容の実態を教えてください。
○山内彰教育長 平成14年度は、相談延べ回数を聞いてみましたら、3598回、相談員1人当たりで約200回もの相談を行っております。最も多い相談内容は不登校そのもの、どうして自分が不登校になったのかということで、全体の54%だそうです。続きまして、家庭や家族の問題について相談を受けたというのが13%、さらに友人関係が9%でございます。そのような順になっております。
○喜納昌春委員 すごい実態ですね。不登校の相談が54%もあるということで、不登校ではあっても登校したいという子供の気持ちですから、相談員の役割はますます大きくなっていくのかなと思うんですが、どんな方々が相談員になっているんですか。
○山内彰教育長 職種ということで言いますけれども、ほとんどが退職教員等が当たっております。
○喜納昌春委員 わかりました。
 新年度は予算が大幅に伸びたということについては、やっぱり増員ですか。新年度の予算が約2倍になっているということで、事業の中身もまた少し充実していくんですか。この内容については増員だけですか。
○山内彰教育長 予算もふやしてございます。1388万7000円から2074万5000円と伸びておりますが、これは基本的には増員の分でありまして、それに伴って、相談対象者や相談回数等をふやして、さらに、今求められているきめ細かな相談活動というものを展開していけたらと考えております。
○喜納昌春委員 先ほど外間久子委員からもあったんですが、新規事業の生徒のやる気支援事業に関してです。
 今回、2622万円の予算がついていますけれども、事業の内容がいいものだから、ただこういった生徒だけでいいのかなということを感じたものだから。いわゆる不登校生徒に地域行事やボランティアなどへの積極的な参画をコーディネートするとあるんですが、これは何も不登校の生徒だけではなくて、地域への関心を持つとかというのは、全体的な課題なのかなと私は思っているのですよ。そういうこともあるものだから、この件については重複しないようにやりますけれども、相談員、コーディネーターの配置とありますけれども、何名の予定ですか。
○山内彰教育長 これは嘱託員として任命していこうかなと思っておりますけれども、中学校と高等学校で予定しているわけでして、中学校には、不登校の生徒の多い教育事務所に2人、その他の教育事務所には1人ということで、計9人でございます。それから、高等学校では12人を配置しております。ですから、合計しますと21人を予定しております。
 なお、各市町村にもこの事業に理解、協力依頼をしておりまして、ボランティア活動等による人員の増員に努めていきたいと考えております。
○喜納昌春委員 これは教育長、さっきの巡回教育相談員の18名から22名の増があったのですが、この皆さんとの役割分担はどうなりますか。
○山内彰教育長 先ほどの巡回教育相談員はどちらかというとメンタルな部分での不登校の子供たちでございまして、ここの場合は遊び非行型、いわゆる居場所がないというような形での積極的なかかわり。ですから、委員がおっしゃっていたように、必ずしもそれだけの話じゃなくて、もっと前向きな、地域とのかかわりをコーディネートしながら、やる気にさせていこうというような発想でございます。内容的な違いがございます。
○喜納昌春委員 質疑をする前に、地域との関係も市町村との連携もあったので、とりわけ体験授業とか、地域ボランティアとかがあるので、これは自治体だけじゃなくて、企業との関係も出てくるのでしょうか。
○山内彰教育長 大いに出てまいります。やはり地域での居場所づくりの1つでございますので、この子供が、必ずしも学校ではなくて、この企業に行ってやりたいというのであれば、そこの企業を紹介し、先ほども説明がありましたけれども、その芽出しの部分になろうかと思います。現に、嘉手納町では役場で子供たちを引き受けて、仕事をさせながら、そして徐々に学校への登校を促していく。いわゆる社会の大きな力をおかりしたいということでございます。
○喜納昌春委員 しっかり我々も見守っていきたいと思います。頑張ってください。
 最後になりますけれども、今度、文化財保護費は87.6%ということで大幅に減になっているんです。用地購入で事業が済んだからということなんですが、いわゆる博物館新館、美術館の件。そのことについてですが、とりわけ重点事業の中でも、知事が表明をされている中での博物館新館、美術館の建設推進の状況についてはどうなっていますか、新年度はどうなりますか。
○松田俊世文化施設建設室長 博物館新館と美術館の建設事業につきましては、平成15年度は実施設計を行いました。それと用地の購入をしております。建築工事につきましては、平成16年度から平成18年度まで実施をすることになっております。それから、展示工事につきましては、同じく平成16年度から平成19年度にかけて実施し、平成19年度の秋ごろオープンという予定になっております。
○喜納昌春委員 それに関連して、今度、5112万3000円の予算がついている美術品収集等推進事業について、なかなか聞く機会がありませんので、この際、聞いておきたいと思います。新館、ある意味では美術館の建設前ですから県民の期待も大きいだけに、聞きます。美術品の収集はどのように行ってきたのですか。
○松田俊世文化施設建設室長 美術品の収集につきましては、美術品等取得基金を設置いたしまして収集活動を行っているところでございます。平成14年度末現在で336点の収集となっております。
○喜納昌春委員 収集する場合、どうしようという方針なりを決める委員会あたりはあるのですか、それとも教育庁内でですか。
○松田俊世文化施設建設室長 これにつきましては、専門家で構成をしております委員会がございまして、基本計画に基づいた収集をしているところでございます。
○喜納昌春委員 予算の関係もあると思うのだが、大体平均でいいですから、購入費はどのぐらいで、年間何点ぐらい購入しているのかな。
○松田俊世文化施設建設室長 平成16年度の美術品収集等推進事業は、約3000万円の美術品購入費、基金からの買い戻しを計上してございます。
○喜納昌春委員 何点かは聞かないでおきましょう。1点でも3000万円の場合もあるし、3億円の場合もあるわけだから。それで、美術品の収集が今日まで336点あったのですが、作品の作家でいいですから、県内出身なのか、県外なのかはわかりますか。
○松田俊世文化施設建設室長 336点の内訳は、沖縄及び沖縄ゆかりの作家の作品が313点、それから、沖縄を取り巻くアジア諸国の現代美術が23点となってございます。
○喜納昌春委員 アジア云々も23点ということでありますが、外国人が23点ということでいいんですか。
○松田俊世文化施設建設室長 アジアの作家が23点ということでございます。
○喜納昌春委員 私もこの前ベトナムに行ったときに10点ほど買いましたので、安いやつですが、10点ぐらいは私も個人蔵なのでしょうか。
 美術品で今まで購入したもので、最高でどのぐらいのものがありますか。参考までに教えていただけませんか。財産だから言えるでしょう。価値が上がっているかもしらぬし。質疑しますよと投げてあるわけだから、答えられなければ答えないでもいいです。
○松田俊世文化施設建設室長 一番高いのは約350万円程度でございます。
○喜納昌春委員 350万円ね、わかりました。作品は336点あるんですが、この中には寄贈作品も何点かあって、何人の作家からいただいたのかわかりますか、ちゃんと把握されていますか。
○松田俊世文化施設建設室長 取得した美術品の中で、寄贈が227点となってございます。
○喜納昌春委員 227点が寄贈ですか、すごいですね。
 収集された美術品の保管の仕方は極めてスペースが要るので、どうなさっていますか。
○松田俊世文化施設建設室長 現在、収集しました美術品につきましては、専門業者の倉庫を借りまして、そこで管理をしております。それから、公文書館の収蔵庫も一部利用させていただいております。
○喜納昌春委員 ちゃんとふさわしいところで管理されているようです。寝かしておくのも問題で、貸し出しをする実績はこれまでもあったのですか。これからは、美術館ができれば、いろんな美術館同士で貸し借りがあると思うのですが、今までの実績はあるのですか。寝かしておくだけでは能がないので。あるかないか、大枠でいいですよ。
○松田俊世文化施設建設室長 余り貸し出しの例はございませんけれども、収蔵しています岡本太郎の作品をほかの展示会に貸し出したことはございます。
○喜納昌春委員 岡本太郎さんのだったら、億はするかもしれませんね。
 いわゆる美術品の収集の場合は、有名作家から今からの方もいるものだから、とりわけ美術品収集の場合には、県内を含めて、国内を含めてそうですが、今からの作家を育てるというのも1つのねらいです。大切だと思うのです。そういう意味で、収集の場合、そういった視点もしっかり踏まえながら、新しい美術家を育成していくということも視野に入れながら、しっかり充実させていただきたいと思っています。
 美術館をつくる場合、今まで専門家からいろいろありましたよね。いろんな注文等はちゃんと聞かれていますか。大体運営で苦労するものだから。最後ですが、この辺はどうなっていますか。
○松田俊世文化施設建設室長 基本計画をつくる段階で学識経験者等の先生方に集まっていただいて、その構想を練ってきたところでございますけれども、せんだっては、また美術関係の団体の方からいろいろ御意見も伺っておりますので、意見交換をしながら進めていきたいと考えております。
○喜納昌春委員 期待していますので、頑張ってください。
○安里進委員長 20分間休憩いたします。
   午後3時26分休憩
   午後3時48分再開
○安里進委員長 再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 当山全弘委員。
○当山全弘委員 教育長にお伺いいたします。
 今度の教育予算は25.7%ということで、総予算の4分の1を教育委員会の方で持っているということに関して、これは子供たちの教育を初めとする社会体育の問題とか、いろいろな問題に使われるということで、大変貴重な予算だと考えておりますけれども、三位一体の改革の影響で、率にして10.2%の減ということは大変大きな影響があろうかと私は思うんです。これはさておいて、子供たちにとにかくしわ寄せがないように、職員の方々を網羅して、教育環境の整備を初めとするいろいろなことに対して、要するに一段の努力をお願いしたいということで、まず所見を述べて、質疑に入りたいと思います。
 児童福祉法でいうところの学童保育についての問題が、今大変問題になりましたけれども、私は教育委員会が携わる預かり保育の現状について、県の対応を求めたいと思っております。これにつきましては沖縄県の場合、他都道府県と異なり、学童保育に幼稚園児が在籍をしているという本土との違いがあるわけです。そして、補助金の問題がカットされようとしているやさきにおいて、先ほどの予算議会においては、存続を希望したいという福祉保健部長の答弁がありましたので、その背景として、今度は学校、幼稚園のところで預かり保育があろうかと思うのですけれども、まず、この現状について説明を求めます。
○山内彰教育長 委員のお話にあります預かり保育でありますけれども、実は本県は、御承知のように公立幼稚園というのが他都道府県より圧倒的に多くて、小学校、即幼稚園ということで、学校システムが他都道府県と違っております。したがいまして、県内の公立幼稚園における預かり保育の数も多うございまして、52市町村の中で21市町村、40.4%、数にしますと61園、25.1%で実際実施されております。昨年度に比べますと22園の増となっておりますけれども、さらに、平成16年度は新たに6市町村が実施する予定になっています。このことについては、私どもは平成11年度からずっと推進をしてきておる関係上、市町村とも連携して、これからもやっていきたいということであります。
○当山全弘委員 この40.4%、61園の預かり保育で、子供たちは何名入っているわけですか。
○山内彰教育長 預かり保育を利用している幼児数でございますけれども、週5日以上、完全にやっているところでは962名という数字があります。
○当山全弘委員 この数字は父兄のニーズに対して絶対的に不足だと思うのですが、その対応についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○山内彰教育長 私たちの推進としては、市町村に呼びかけて、公立幼稚園を開放して推進体制を図っているところなのですけれども、あと、市町村においては職員体制等々の問題もありまして、その辺で決して十分とは言えないと思っております。
○当山全弘委員 学校での預かり保育の現状を聞きますけれども、6時までのところと6時30分のところがあるのですよね。ですから、これは教育庁の市町村に対する指導いかんによると私は思うのですけれども、この現状についてどうなっているか。預かり保育の場合、午前中は正規の幼稚園の先生方が担当していく。午後については、幼稚園の先生方は引きまして、ほとんど臨時で対応しているわけですよね。その現状と対応について、聞かせていただきたいと思います。
○山内彰教育長 やはり時間帯からしますと、3時以前とか4時から5時、5時から6時、圧倒的なのが6時から7時という数値がございますけれども、預かり保育については、市町村での実情、規模等によって違いがあるし、また、それに応じたものが図られるように努めているものと理解しております。 県は沖縄県幼児教育振興プログラムというものを策定いたしまして、幼稚園における子育て支援の1つとして、預かり保育を促進してきているところであります。
 職員体制としては、本務で対応しているところが3市町村ございます。あと、臨時職員で10市町村、臨時職員と本務、両方兼ねているところが6市町村、あとは嘱託での対応というような、それぞれ違いがございます。
○当山全弘委員 預かり保育の場合、フルタイムで親たちは働くわけですよ。そして、親たちのニーズに合わせて公立幼稚園の方でも対応していただきたいと思うのです。問題は、教育委員会の指導、助言が市町村に与える影響というのは大きいと思うのです。この預かり保育の拡大とともに、フルタイムで働く親たちの希望をかなえるためにも、預かり保育の拡大についてはもっともっと必要だと私は考えるのですよ。そして、教育庁の市町村教育委員会に対する指導が大きな役目を果たすと思いますので、このことについて教育長の決意をお伺いして、この質疑に対しては終わります。
○山内彰教育長 この件につきましては先ほども申し上げましたように、県で研究、推進、開発ということで、最初が読谷村でありますけれども、読谷村からスタートしまして、各市町村持ち回りで推進してきたところでありますし、また、今年度も「幼稚園における預かり保育の充実について」という通知文も出して、幼稚園は開放します、したがって、市町村もぜひお願いしますということでの推進を図っているところですから、今後とも促進していきたいと思っております。
○当山全弘委員 次に、国立劇場おきなわについてお伺いをいたします。
 1月18日に開館しましたけれども、その活用状況については、まだ3カ月しかたっておりませんけれども、どのようになっておりますか。
○山内彰教育長 観客動員数でいきますと、平成16年1月23日から3月21日までの間ですけれども、8週にわたり8テーマで開場記念公演を開催いたしました。開場記念公演第5週、16公演までのチケットの販売実績を聞いてみますと、3月1日現在で販売計画数が8485席を計画しておりましたが、実際に販売されたのが9141名、108%で、招待者も含めた総入場者数は1万人を超えている。第6週以降の10公演も8割程度もう既に売れるなど、好調な販売状況にあると聞いております。
○当山全弘委員 これはやっぱり、108%という入場者を見ておりますので、この国立劇場おきなわが地域に与える影響というのは大きいかと思うのですけれども、問題は、ここに対する出演者の後継者育成と、子供たちへの伝統芸能に親しむ教科づくりが私は必要ではないかと思うのですが、組踊となりますと、大人でさえ、見ても大変難しいわけです。プログラムの次は何ですよということで解説の紙がおりてきて、そこを見るうちにまた演劇が通ってしまっているというのは、とても見づらいと思うのです。特に、子供たちに対しては、文語体とか口語体があるように、口語体みたいなものでもできればいいと思うのですけれども、こんなことはできませんでしょうか。
○山内彰教育長 確かに、組踊も含めて沖縄伝統芸能の理解を深めるためには、どうしても字幕が必要だということで、字幕活用を始めたわけです。これは、県外公演においてそのままでは通用しなかったという経緯もございまして、字幕を活用させていただきましたが、現在活用している字幕についてはまだ試行の状態でございまして、今後はその内容、表現等について、子供たちでも十分に理解できるよう、やはり工夫、検討していく必要があるというのは私も見て実感しておりますので、今後の検討課題にさせてください。
○当山全弘委員 この問題につきましては、ぜひ創意工夫をしていただいて、すばらしい伝統芸能の場所にしていただきたいと思います。
 次は、喜納委員からもあったのですけれども、美術品の収集については、問題は価格鑑定が必要だと思うのですよね。これにつきましては、どのような方法で鑑定をしていらっしゃるか、その1点だけをお聞かせください。
○山内彰教育長 美術品に関しては鑑定という形ではなくて、収集委員会を設立いたしまして、7名の収集委員―専門家でございますけれども、そこの中において評価をしていただいて計画をしていく、そういうやり方で、収集をさせていただいております。
○当山全弘委員 評価であっても、それはやっぱり資格とか、そういうのが何かあるわけでしょう。検討委員会があって、そこでいろいろ資格があっての評価だと思うのですけれども。
○山内彰教育長 やはりその道に精通した人たちという形で通しております。博物館の収蔵とまた違っておりまして、博物館の場合は学芸員とか、そういう鑑定士等々にも依頼しておりますが、美術の場合はその道の専門家という形で収集をさせていただいております。
○当山全弘委員 平成16年度の国民体育大会九州ブロックの開催に向けての進捗状況をお伺いいたします。
○金城幸信保健体育課長 九州ブロック大会の開催の進捗状況ですけれども、現在のところ、平成16年度に2人を追加して、3名を事務局に置いて、県内及び県外でしか開催できない種目について今準備を進めているところであります。
○当山全弘委員 設備については、進捗状況はどうですか。
○金城幸信保健体育課長 設備については、現在ある施設等を利用して、開催していく予定であります。
○当山全弘委員 最後になりましたけれども、奥武山陸上競技場のスタンド解体撤去作業は体育施設整備事業費ということで継続事業になっておりますけれども、この状況については前年度を含めて、今どれぐらいの進捗状況であって、あと何年ぐらいかかるのですか。
○山内彰教育長 奥武山陸上競技場については、現在老朽化が著しいわけです。コンクリートの剥離が生じておりまして、大変危険な状況にあります。そのことから、平成16年度に計上しているのは、同施設を一時的に閉鎖してスタンド部分を解体撤去して、その後、同競技場周辺にさく等を施すとともに、備品などを納める倉庫、事務所を設置して、再供用していこうかなと。そして記録して、運営していく予定での予算計上でございます。
○当山全弘委員 改装に向けての解体作業だと思うのですけれども、これが閉鎖されますと、全県的な陸上競技大会とか、いろいろなことに差し支えがございませんか。臨時的対応はどの場所でやるのですか。
○山内彰教育長 当分の間、スタンドだけを撤去しまして、グラウンドそのものは生かしていくという形でございます。
○当山全弘委員 そうなりますと、教育長、陸上競技大会とかイベントというのは、やっぱり観客がいて盛り上がるわけですよね。スタンドは使えないで中だけ使うとなると、これは大変矛盾した運動場の使用方法になると思うのですが、この辺はどうですか。
○山内彰教育長 リスクを負っているものですから、背に腹はかえられません。現にせんだって、事故も生じましたので。たまたまこれは大きな事故には至らなかったのですけれども。したがって、スタンド部分は撤去して、バックスタンドがございますから、向こうをイベント風な形でやっていくような方向性をとろうかなと思っております。なお、県の陸上競技場は中頭の方もあわせてございますので、両方を考慮して、支障のないように考えていきたいと思っております。
○安里進委員長 糸洲朝則委員。
○糸洲朝則委員 まず、奨学金制度の拡充について伺います。
 教育というのは非常に大事で、中でも国民等しく教育を受ける権利がございまして、したがいまして、私どもはこの奨学金制度、いわゆる希望する方には、十分、全部に対応できるというのが理想的な制度だろうということで、年々この拡充に向けては取り組んでまいりました。おかげさまで、新年度、2004年度の国レベルの推移を見ておりますと、96万5000人が想定されておりまして、その中でも有利子が52万7000人。1998年の50万1000人に比べると倍、100万人に迫ろうとしている。これは大変いいことで、予算が厳しい中でも、やはり教育の方にはきちっと手当てをしていくということで、評価をいたしております。そこで、まず伺いますが、県におきましての貸与人員の推移、この育英資金の総体と有利子の部分について、まず御説明をお願いします。
○仲宗根用英教育次長 本県の奨学金貸与事業は、財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団と日本育英会奨学金制度が両方で行っております。財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団では、財団が主体となって行っているものとして、平成13年度には158人、平成14年度には227人、平成15年度には267人と、年々増加傾向にあります。日本育英会奨学金制度につきましては、平成15年度、新規として、無利子、有利子を含め2400人の大学生が貸与を受けております。そのうちで、有利子については800人となっております。
○糸洲朝則委員 それで、まず希望者全員に行き渡っていると認識していいのか、あるいは、まだまだ拡充する必要があるとお思いか、どちらですか。
○仲宗根用英教育次長 現在のところ、希望すればかなえられるという状況下にございます。
○糸洲朝則委員 次に、海外留学生を対象とした制度、これも国の政策を見ておりますと、今年度は貸与人員を1000人でスタートするといったのが出ておりますが、この海外留学生を対象とした奨学金制度について、県の状況について御説明をお願いします。
○仲宗根用英教育次長 確かに、今年度から海外留学生を対象としたものが新しく創設されることになっております。全国で1000人規模ということでございまして、本県では現在のところ3名の希望者が出ております。
○糸洲朝則委員 今のは新制度で3名ということですよね。それはわかりました。
 もう1つは、これまで小渕基金とか、いろんなのがあったりして、県独自の海外留学制度等もありますよね、その既存の制度についても御説明をお願いします。
○仲宗根用英教育次長 県のものですか、国ですか。
○糸洲朝則委員 県のことです。
○仲宗根用英教育次長 国際交流・人材育成財団におきまして、平成15年度におきましては、海外留学生222名となっております。
○糸洲朝則委員 ちょっと前後しますけれども、先ほど、新しい制度での1000人規模の中で、県内で3名というような御説明でございました。これはよく見てみますと選択制になっておりまして、5万円、8万円、10万円、13万円という枠があるようですが、この3名の皆さん方はどの枠を希望されるのかというのが1点。もう1つは、この制度をもっと活用していくために県もアピールしていくということが望まれると思いますが、そこら辺へのアピールと、要するに、皆さん方が選択するのは10万円なのか、13万円なのか、あるいは8万円なのか、こういったものについての希望等についても御説明をお願いします。
○仲宗根用英教育次長 現在のところ希望者が3名出ておりますけれども、月々幾ら借り入れるかということにつきましては、まだ掌握しておりません。
 それから、今回のこの事業につきましての応募なのですけれども、期間がわずかしかなくて、その応募状況が非常に厳しい状況にございまして、今後は、そういったところは早目早目の広報活動などを通して呼びかけたいと思っております。
○糸洲朝則委員 それと関連しまして、皆さんの今年度の事業、沖縄県高校生米国派遣事業を見ておりますと、米国に1年間派遣云々と書いてありますが、これについての事業内容について御説明をお願いいたします。
○仲宗根用英教育次長 高校生米国派遣事業につきましては、平成10年度からスタートしておりまして、平成15年度で6年間継続しております。期間は1年間で、高校2、3年生を対象としております。これまでの派遣人員ですが、227名となっております。
○糸洲朝則委員 227名も派遣をされているわけですから、まず、これが継続的に事業としてなされるというのが1つは大変重要なことであると同時に、せっかく留学して、帰ってからのフォロー、あるいは追跡調査、そういったもの等はありますか。
○仲宗根用英教育次長 平成16年3月現在におきまして、卒業生158名に追跡調査をしましたところ、英語・国際関連学科等へ進学している者が69名、それからその他の学科の49名、英語関係の就職者3名、その他就職している者が5名、進学準備中の者が32名となっております。
○糸洲朝則委員 かなり立派な実績を上げておられるようで、どんどん続けていただきたいと思います。
 次に、スクールカウンセラー制度についてはこれまで多くの委員が質疑をしておりますが、私はここで、配置校も人材もかなり拡充されますので、具体的に、現在何校なんですが新年度は何校になりますよとか、人員とか、そういったもの等がありましたら教えていただきたいと思います。
○山内彰教育長 先ほど話しましたように、平成14年度65校、平成15年度72校でしたけれども、平成16年度はこれを高等学校にも広げまして、92校に広げていきたいと思っております。
○糸洲朝則委員 これについては、ほかの委員の質疑で、かなり踏み込んだ質疑、答弁がありましたので、この程度にしておきます。
 もう1つは、ちょっと順序を入れかえまして、実は今ここに、「県立武道館使用で綱引き」という記事が沖縄タイムス、琉球新報に出ました。このことについて、やはり選挙をやるというのは、県民、国民の大きな権利の施行でございますから、もっと柔軟に対応すべきではないかという視点から私はこの質疑をするわけですが、何でこのような記事が出る前に、皆さん方の教育委員会と選挙管理委員会との間で話がまとまらないのですか、説明してください。
○山内彰教育長 おっしゃるとおり、意思疎通に欠けていたかなと思っておりますけれども、実はこれについては、御承知のとおり、県立武道館は本県で唯一の総合的な武道センターであるということで、その機能を最大限活用すべく、武道大会とかスポーツ大会等を優先的に設置する目的ですので、そう利用しているわけです。
 今回、那覇市選挙管理委員会が選挙開票業務に使用を希望している日と、全国規模のスポーツ大会が2つ入っているわけです。バレーボール大会の全国大会、九州規模の武道大会と。したがって、それが重なってしまったものですから、それで事務調整がきかなかったというのが1点でございまして、さらに、本来の目的、機能でありますスポーツ大会等を優先せざるを得ない事情というのが事務局にございまして、そういうのが実はバックにございます。
 したがって、今回の対応でございますが、新聞ではかたくなに教育庁が渋っている感じでしたけれども、そうではなくて、調整がうまくいかなかったということで、片方は場をより優位の場にということでございました。スポーツ大会はそれができないわけですので、そこは開始前、協議、会議でやられていたということの経緯がございました。今後については、これからまた話し合っていきたいと思っております。
○糸洲朝則委員 要するに、重なったからスポーツイベントを優先するということのようですね。それであれば理解もできます。ただ、やはり公共施設ですから、かたくなにスポーツイベントだけにというわけにもいかないと思います。現にここでは決起大会とか、そういったもの等も我々も見ておりますし、また、県民葬もやりました。そういう目的外使用云々ではなくて、やはり柔軟性を持った対応をしていただかないと、変にこういうふうに、何で県民の財産をというふうになるのではなかろうかなと思いました。それで、今聞いたら、そのようにスポーツイベントとの重なりでということになっているようでございますが、どうか選挙管理委員会とも十分納得のいく話し合いができますように要望して、あとの質疑は取り下げまして、終わります。
○安里進委員長 髙良政彦委員。
○髙良政彦委員 それでは、私の方から、文化芸術と学校教育の関係について質疑をしたいと思います。
 長い歴史を有し、世界に誇る日本文化、それから琉球文化。しかし、その文化芸術に対する政府の支援は、欧米諸国に比べて決して十分とは言えなかったということが言えると思います。その理由の1つは、我が国に文化芸術を振興する法律がなかった。基本法というのがなかった。私ども公明党は、21世紀の我が国のあるべき姿は、文化芸術立国、文化芸術で国際平和、そのベースにしていこうという一つの考えがあるわけでありますけれども、2001年2月には公明党独自の案をつくって、自民党、公明党が中心になって、同年11月には国会で文化芸術振興基本法というものが成立をしております。このように文化芸術の基本法が成立し、法的な根拠ができたことによって、いわゆる予算面でも、画期的なそういういわゆる文化庁の予算が、この緊縮財政の中で随分増額されております。
 この文化芸術振興基本法の第1章ですけれども、御紹介申し上げますと、「この法律は、文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることにかんがみ、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動を行う者の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。」という理念、目的が文化芸術振興基本法第1章に決められております。
 そこで、それに裏打ちされるように、予算が画期的にふえました。例えば具体的に申し上げますと、オペラとかバレエ、演劇など、こういうものが2001年度は49億3000万円だったものが、2004年度の予算では98億7000万円、実に2.3倍ふえております。それから、新進気鋭の芸術家の養成のための海外留学支援、国内研修、これが2001年度は13億5000万円だったものが、2004年度は26億6000万円に増額されております。また、魅力ある日本映画とか映像の創造、これは予算が全くなかったのですけれども、2004年度、初めて25億円ついております。それから、伝統文化、子ども教室、子供さんの教育、そういうものに対する文化芸術の伝統といいますか文化芸術体験活動等、これが2001年度は14億9000万円だったものが、2004年度は51億7000万円、実に3.5倍ふえております。総額予算では、1998年度、1999年度、2000年度は大体800億円台だったものが、この文化芸術振興基本法ができて、2003年度はついに1003億円、そして2004年度が1016億円というぐあいに増額をされております。
 その中には4つの柱がありますけれども、第1番目は、芸術にかかわる人たちの社会的地位。文化芸術は昔から、芸術家イコール貧乏人というのが美徳のように言われたけれども、これからはそうあってはいけない。まず、文化芸術を担う人々は、本来その国や社会の発展に寄与する大切な宝であり、社会的財産です。ユネスコは1980年、芸術家の社会貢献を認めるべきだとして、社会保障や労働条件、課税の改善が必要との勧告を出しております。世界一の文化芸術大国と言われるフランスでは、既に芸術家地位法というものが制定され、芸術家を支援する仕組みが充実しております。公明党は、我が国でも文化芸術を担う人々を、法的に国や社会の財産として位置づけ、社会保障や権利の保護を制度化する基本法に続いて、今度はフランスの芸術家地位法に匹敵するような、芸術家の社会的地位向上法―これは仮称ですけれども、これの原案に取りかかっております。芸術家の社会的地位ですね。
 2番目の骨子になっているのは、文化芸術家の活躍する舞台。我が国でも、町づくりとか教育、歴史記録、地域広報などの公的事業に芸術家、文化人などを積極的に雇用する必要があると考えます。そのために、公務員採用や事業委託などの制度が今後強力に推進されます。アーティストバンクの設置だとか、あと、若手の芸術家や文化団体、そういう母体や拠点を提供する。若者のパフォーマンスの広場とか、その中でまた指摘されるのは、空き教室だとか廃校を利用して、練習の場、イベントの発表の場にしていこうと。これが今後強力に予算化されて、推進をされてまいります。
 あと、伝統文化、大衆芸能、子供たちに日本の伝統的な文化の教育的な価値に注目をして、学校での、例えばお花やお茶の師匠さんが来て、その礼儀作法だとか、華道の精神だとか、空手の精神だとか、柔道の心とかが伝承できるような、そういうものが今後強化されます。
 あとは、税制とか、そういう優遇措置がありますけれども、こういうような状況が今進行中でありますけれども、そこで、質疑いたします。ライフスタイルの変化によって、今申し上げました、日本舞踊とか、琉球舞踊とか、茶道、華道、そのような伝統文化、あるいは囲碁とか将棋などの生活文化、さらに柔道、空手、剣道、なぎなたなどの武道文化、こういうものの精神的な教育的価値、これに子供たちが接する機会というのが、一般論として、どうもだんだん減少してきているのではないか。そこで、我が県ではこういうような接点というのは、どういうぐあいに今持たれているのか、ひとつ御答弁をお願いします。
○山内彰教育長 今、文化芸術振興基本法が創設されて、文化の大切さが強調されましたけれども、学校教育においてもしかりでございまして、まず1つには、本物に学ぶというスタンスがございます。2つ目には文化力ということで、文化庁長官もこの表現をしておりますけれども、学校教育においても文化力というものを生かそうということでございまして、私ども教育委員会もそれを積極的に取り入れるという姿勢を教育施策の中に位置づけております。
 具体的には、各地域において我が国の伝統的な文化を体験、習得させるということで、先ほど御紹介ありました伝統文化子供教室事業を展開しております。内容としては、おおむね半年から1年程度の期間、茶道や華道、日本舞踊、伝統音楽、郷土芸能というものを直接学校に取り入れて、教育課程の中で位置づけて実践して、ここにその一覧表がありますけれども、かなりの数が学校で取れ入れられておりますし、今後、その辺に力を入れていく必要があるだろうと考えております。
○髙良政彦委員 そういう指導者が学校に来る場合、具体的にどういう形で―例えば授業みたいな形でやるのですか、それとも実演して見せるのですか、何か実際に体験をさせるのでしょうか、この辺をもう少し詳しく。
○山内彰教育長 それぞれ違いがありますけれども、例えば佐敷中学校では、声楽家の花城リツコさんが学校派遣で、声楽を直接指導しながら講演をするとか、あるいは那覇市は、スペシャリストに学ぶということで授業の中に位置づけて、年間幾らということで、特別に講師としてやっている。学校茶道の場合は、ずっとボランティアの形でクラブ活動として位置づけている。その辺については各学校に任せているわけでございます。コーディネートは県を通してやっているということです。
○髙良政彦委員 例えば、先ほど平敷委員からも指摘がありました。いわゆる学校空き教室の社会への開放の話がありましたけれども、やっぱり文化芸術の方向でも、廃校だとか空き教室、廃校でも全部が適しているとは言えませんけれども、そういうものに手を加えて、地域のそういう発表の場とか、あるいは練習の場だとか、そういうものの方向へ持っていこうと。また、空き教室を積極的に社会に開放して、文化芸術の1つの訓練、あるいは発表の場として位置づけようというのが、文化庁で今後強力に進められていきます。
 学校は、生徒たちがいろんなものを学習する場だと思います。また、子供たちの人間修養の場、やがて社会に出て、有益、有為な人材になるための人間形成の場だとも思います。人間形成の場だとすれば、学校は決して社会と隔離されたものではない。であるならば、早いうちから一流の文化芸術の人たちと接する場というのを積極的に数多く持っていくということが、情操教育にも、また、本来持っている人間の優しさといいますか、思いやりといいますか、人情の機微といいますか、そういうものを涵養するのは、やっぱり文化芸術、一流のものに接する機会を多く持つということが大事ではないかなと思うのです。もっと積極的に、そういう師匠さんといいますか、指導者を学校に入れていくというお考えはどうですか、今後さらに強調すべきだと思いますけれども。
○山内彰教育長 文化推進において進めているところでありますので、これからかなりふえていくだろうと思っております。例えば県立高等学校においては、特色ある授業ということで学校の設定科目に入れまして、南風原高等学校なんかは郷土文化コースというものもつくっておりますし、あるいは美里高等学校、真和志高等学校においても三味線や琉舞を直接授業として位置づけておりますので、これからさらに深まっていくし、我々もまた推進していきたいと考えております。
○髙良政彦委員 空き教室の利用の1つとして、今私は提言したわけですけれども、例えば茶道にしても、華道にしても、教室そのものに来たら適切ではないと思います。やっぱり空き教室で何か器具やセットをしないといけないので、そういうことで空き教室じゃないといけないのではないか。積極的にそういう活用の仕方。こういう形で社会、特に文化芸術関係に活用していくという考え方、方針として今後持っていくべきではないかと思いますけれども、御所見を伺います。
○山内彰教育長 先ほどの余裕教室の絡みで、学校長さんとしては、どちらかというとこちらの方向というのを多く取り入れようと。そうしますと、先ほどの学童クラブの話とぶつかり合うというのは、そういうたぐいでございまして、余裕教室をできるだけ文化活動等に多く使いたいというのは学校側の大きな意見でございますので、我々もそれを進めていきたい。また、新築、改築については、実際に炉をつくって、日本間を設け、茶道ができるような条件設定もしております。
○髙良政彦委員 最後に、まちづくりとか教育、歴史記録、あるいは地域広報等の公的事業に芸術家、文化人などを積極的に雇用する方向に今後行きますが、学校現場において、いわゆる任期つき公務員とか、そういうような雇用がされているという実例は、今、我が県ではありますか。もしあるとすれば、文化芸術関係の方々がそういう部署で、自分の能力を発揮しているというのか、貢献しているというのか、どういう分野の文化芸術関係の方がいらっしゃるのか説明していただけますか。
○山内彰教育長 学校では、高等学校の例でいきますと、音楽、美術、書道等においてすぐれた技能を持つ方で、別に教員免許ではなくて、そういう方々を特別非常勤講師という形で採用しております。音楽で言えば野村流の師範、あるいは琉舞教師の免許を持っている、県内在住のクラシックの関係音楽家とか、先ほど出ました美術においては県内の在住画家とかのたぐいを、郷土関係だけでも34名採用しております。特別非常勤制度というものを設けてやっているところでございます。
○安里進委員長 以上で教育長に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、ご苦労さまでした。
 次回は3月22日 月曜日 午前10時から委員会を開き、各議案の採決を行います。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。   
    午後4時37分散会