予算特別委員会



出席委員
委 員 長 奥 平 一 夫君  
  副委員長 新 垣 清 涼君  
  委   員 島 袋   大君  中 川 京 貴君
       桑 江 朝千夫君  座喜味 一 幸君
       仲 田 弘 毅君  浦 崎 唯 昭君
       仲 村 未 央さん 仲宗根  悟君
       当 銘 勝 雄君  前 田 政 明君
       玉 城 ノブ子さん 當 山 眞 市君
       金 城  勉君  上 里 直 司君
       山 内 末 子さん 比 嘉 京 子さん
       當 間 盛 夫君
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説明のため出席した者の職、氏名
 知 事  仲井眞 弘 多君
 文化環境部長  知 念 建 次君
 農林水産部長 護得久 友 子さん
 土木建築部長  漢 那 政 弘君
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本日の委員会に付した事件
 1 甲第1号議案 平成21年度沖縄県一般会計予算
 2 甲第20号議案 平成21年度沖縄県中城湾港(泡瀬地区)臨海部土地造成事業特別会計予算
 3 甲第21号議案 平成21年度沖縄県病院事業会計予算
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○奥平一夫委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 甲第1号議案、甲第20号議案及び甲第21号議案の3件を一括して議題といたします。
 本日の説明員として、知事及び土木建築部長の出席を求めております。
 これより総括質疑を行います。
 なお、総括質疑につきましては、去る3月13日金曜日の予算特別委員会において全会一致で決定したとおり、1、質疑者、質疑事項及び質疑の順番は、別紙知事等出席要求事項のとおりとする、2、上里直司委員の土木建築部長に対する質疑は1項目につき1回とする、3、各委員の知事に対する質疑は各項目の順番どおりとし、質疑時間は1項目につき答弁を含めないで10分とする、4、重複する質疑を避けることになっておりますので、さよう御了承をお願いいたします。
 質疑、答弁の順番といたしましては、まず初めに上里委員の土木建築部長に対する質疑と答弁を行い、その後、上里委員の知事に対する質疑と答弁を行い、以後、各項目の順番ごとに各委員の知事に対する質疑と答弁ということで行ってまいります。
 それでは、まず初めに旧財団法人郵便貯金住宅等事業協会問題について、上里直司委員から土木建築部長への質疑を行います。
 上里直司委員。
○上里直司委員 まず、3月12日に行いました、私の質疑に対して保留していた部分について、土木建築部長に対して質疑を行います。この質疑を行う際に、各委員の皆さんには御協力と御理解をいただいて、各項目について1回ということで質疑をさせていただきます。
 1番目の旧財団法人郵便貯金住宅等事業協会問題について、質疑事項は清算人としての県職員派遣の状況についてでございます。
 まず、私が3月12日に質疑をした際の趣旨としては、県の職員がなぜ清算人になっていないのかということでございました。そのときに住宅課長から、旧郵便貯金住宅等事業協会から求めがなかったという答弁でございました。しかしながら、平成17年2月28日に開かれた第76回評議員会で、解散時の理事全員の清算人の就任について承諾を求めるとあるので、旧郵便貯金住宅等事業協会からその求めがあったのではないかとただしました。その答弁に答えられなかったため、そのときの質疑ができませんでした。翌日、土木建築部長から、専務理事として派遣していた職員が、派遣期間が終わってしまったと。その解散日の31日にはその専務理事がその協会にはいなかったから、だから解散時に理事ではなかった。したがって、そこでは清算人にならなかったとの答弁がありました。そもそもの質疑は、なぜ清算人に県の職員がなっていないのかということについての質疑でありましたので、この質疑に限って答弁をしていただきたいと思います。
 そこでお伺いをいたします。
 県は、当該団体の解散日の前日である平成17年3月30日に、県から派遣された専務理事が職を解かれたと解釈しております。その立場に立った意味でも質疑をいたしますけれども、まずこの職を解かれたという事実を2つの点で確認した上で、見解をお伺いいたします。1点目、この専務理事をやめる際に同団体の評議員会に諮られたのか。2点目に、この同団体寄附行為第16条4項には、理事に異動があったときは2週間以内に登記し、登記簿の謄本を添え、遅滞なくその旨を沖縄県知事に届け出なければならないとあるが、その手続は済んだのか。そうした意味において、県は派遣をしていた職員が定年を迎えたならば、そのかわりを務める職員を派遣する必要があったのではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。なぜかわりを務める職員を派遣しなかったか、そのことについてお答えをいただけますでしょうか。
 2点目、県は、派遣期間を終えたので同時に役員としての任務を解かれたものと解釈をしております。本委員は、派遣された職員は県の派遣期間を終えてもこの団体の専務理事として就任していたものとしてとらえて質疑をさせていただきます。そこで、この根拠となる事実確認のため、2点の事実を確認した上で御答弁をいただきたいと思っております。1点目、3月30日に辞任した専務理事の後任者をこの団体は30日ないし31日に評議員会で後継者を決定していたのかどうか、そのことについて事実を確認した上で答弁していただきたい。2点目、この団体の寄附行為第18条3項には、役員は辞任または任期満了後においても後任者が決定する、就任するまでは、その職務を行わなければならないという条文があります。そうした条文を踏まえてこの団体の3月31日時点の専務理事はだれになるのかということを、事実を確認した上で、私は、この背景から派遣期間が終了していたとしても後任者がいなかったため県は解散時に理事を派遣していたと解釈すべきでないかということの御見解をお伺いいたします。
○漢那政弘土木建築部長 1点目のなぜ清算人として県職員の派遣をしなかったかという御質疑でございます。お答えをします。
 旧財団法人郵便貯金住宅等事業協会への県職員の派遣は、同協会による要請を受け、派遣を行ってきたところであります。解散時に同協会から清算人としての県職員の派遣要請はございませんでした。したがって、県は職員の派遣を行っておりません。これが1点でございます。
 もう一点は、平成17年3月31日でございますが、評議員会で専務を決定したのかという御質疑でございますが、あいにく資料がなくて、評議員会を開催したかどうか、私どもとしては把握をしておりません。
 それから、もう一点の3月31日の専務理事はだれかという質疑でございますが、県から派遣された職員に関する協定が平成15年4月1日に締結をされております。その派遣期間は平成15年4月1日から平成17年3月30日までと記されております。したがいまして、当該職員は平成17年3月30日に派遣期間を終了し、翌31日に県を定年退職しているわけでございます。したがいまして、3月31日の専務理事でございますけれども、後任者については評議員会で諮られたとかあるいは選任をしていない状況でございます。したがって、31日で旧財団法人郵便貯金住宅等事業協会の解散となっていることから、選任をしておりません。
○奥平一夫委員長 次に、沖縄県公共事業評価監視委員会の審議基準問題についての質疑を行います。
 上里直司委員。
○上里直司委員 それでは、2番目の沖縄県公共事業評価監視委員会の審査基準について、審議内容の決定方法についてお尋ねをいたします。
 3月12日の土木建築部に関する予算の質疑に際して、この沖縄県公共事業再評価実施要綱第2に掲げられている再評価を実施する事業の部分について質疑を保留させていただきました。その保留した部分は、再評価の条件として第4項に掲げられている自然災害の発生、社会経済情勢の変化、技術革新等による再評価の実施の必要が生じた場合において、再評価の実施の必要が生じているかどうかの判断は土木建築部長及び農林水産部長が行うものとすると書いてありました。そこで、私が質疑をしましたのは、この要綱に基づいて外部から要請を受けたときにどういう形で土木建築部長はその要請に基づいて判断をし、その委員会にかけるのかということについての質疑でありました。したがって、そのことについての答弁をお願いいたします。そして、これまでこの前条第4項、今申し上げた第4項の規定で再評価を実施したことがあるかどうかお答えください。
 もう一つ、中城湾港の埋立事業についてのスケジュールは、平成22年度に実施をする予定だったということを平成21年度に前倒しして実施をするという答弁をいただきました。私は、この第4項の規定で再評価を実施する場合、再評価の実施時期というのがいつになるのか、この泡瀬地区の県事業の評価についてもう一度お答えをいただき、この第4項の規定で評価をする場合には、やっぱり県の事業を実施する土木建築部長が必要だと認めている以上は、進するのではなくて、一たん工事は中断をして評価すべきだと考えておりますけれども、見解をお伺いいたします。
○漢那政弘土木建築部長 沖縄県公共事業評価監視委員会の御質疑の中で、第三者、外部の要求に応じて公共事業評価監視委員会を介する規定はありませんと答えておりますが、あればどうするのかということでございますが、あれば当然土木建築部長として判断をして、知事が諮問をするということになろうと思います。
 それから、これまであったかどうかということでございますが、これまでそういう外部からの要求に応じて実施したことはございません。
 それから、中城湾港泡瀬地区の県事業でございます。港湾環境整備事業という事業を実施しているわけでございますが、再評価するには調査、それから資料作成が必要でございますので、平成21年度に入りましてその調査、資料作成をしまして、平成21年度中、もちろん後半になると思いますが、平成21年度中には沖縄県公共事業評価監視委員会にかけたいと思っております。
 最後の、その間、工事の中断をしたらどうかというお話ですが、これまで沖縄県公共事業評価監視委員会にかけまして、事業中のもので工事を中断したという事例がございません。したがって、私どもはしっかりと計画どおり、それから国、沖縄市とも連携をとりながら、しっかり工事に取り組んでいきたいと思っておりますので、現在、中断の意思はございません。
○奥平一夫委員長 次に、旧軍飛行場用地問題について、上里直司委員から知事への質疑を行います。
 なお、これより以降の各質疑は知事に対する質疑であり、質疑時間は1項目につき答弁を含めないで10分となっております。また、質疑に当たっては、重複することがないように簡潔にお願いをいたします。
 上里直司委員。
○上里直司委員 私は、旧軍飛行場用地問題について知事に質疑をさせていただきます。
 知事、平成21年度から予算がついていますけれども、残り3カ年間しかないというような差し迫った時期になぜこれほどまでにもこの事業がおくれたのか、なぜこの問題が、平成14年に沖縄振興計画に載っかりながら、ここまで問題解決の糸口が見えなくなったのかということについて、知事の見解をお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 平成14年に沖縄振興計画ができて、その中に書かれて以来、何もやってこなかったわけではありませんで、これはプロジェクト班を置き、当然これは市町村、そして地主会と相談をしながら、いろんな御意見がございましたから、ようやく平成21年度予算で要求できるところまで整ったと考えております。
○上里直司委員 先日の質疑において、知事公室長がここまでおくれたのは窓口を設けなかった国の責任なんだという答弁をされておりました。私もそうだと思っています。知事は、この問題がここまでおくれたのは、やっぱり国の責任だととらえていらっしゃるんでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の上里委員のおっしゃったとおりとはちょっと思えない部分がありますが、いずれにしても国会で与野党の議員の方々のいろんな質疑を通じて、これは政府のほうでもしっかり取り組まなければというような意識が出てきたのではないかと推測をするわけですが、確かにこの件については役所としての窓口が、例えば何省であるとはっきり定めにくい分野であることは確かで、平成19年度ぐらいから一応内閣府のほうで受け持ちましょうというような機運が出てきて窓口が決まり始めた、こう理解いたしております。
○上里直司委員 私の見解ではなくて、知事公室長が私の質疑に対して国の責任だということを言っていたものですから質疑をしたんです。
 そこでお伺いいたしますけれども、私もなかなか理解できないのは、これは沖縄振興計画に載った事業ですよね。沖縄振興計画に載った事業が国の窓口が内閣府以外、要するに沖縄振興計画の窓口以外になるケースというのはあるのでしょうか。そこのことをお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 今、委員の御質疑の点ですが、沖縄振興計画にはいろんなことがたくさん書かれていますよね。ですから、これがすべて、例えば内閣府で一部の予算については一括計上という形をとりますが、この中に載っているものは、例えば厚生労働省などはたくさんの間口が広くて、あの中に入っていないものも無論、省によってはたくさんありますからね。ですから、今の御質疑に対しては、それはいろいろあるだろうと答弁させていただきます。
○上里直司委員 それでは戦後補償というのは、これまでの戦後補償の解決に向けて、その解決の手法、経過を見ていますと、非常に政府とやりとりを交わして、政府を説得し、また、政府から引き出すという努力をされているんです。という点からすると、やっぱり戦後補償の事案というのは非常に県民の思いに立ったものであり、しかし、そうでありながら国はなかなかそれを認めないという性質のものなんです。
 そこでお尋ねいたしますけれども、沖縄特別振興対策調整費という、今回その枠からこの事業を計上されておりますね。沖縄特別振興対策調整費の性格からすると、経済とか生活に関するさまざまな事案に対して県が要求している事項について、その枠から使うという性質のものであります。知事は、この沖縄特別振興対策調整費を使って旧軍飛行場用地問題の解決に当たるという、この予算の性質からすると、これが本当に戦後補償になじむのか、そのことについて知事の見解をお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 沖縄特別振興対策調整費が今の旧軍飛行場用地問題の予算としてなじむかどうかという御質疑だと思うんですが、沖縄特別振興対策調整費そのものというのは、沖縄振興とか地域振興に役に立つものであれば、かなり弾力的に使えるような中身だと思っております。したがいまして、今度まとめて2件、平成21年度に要求している中身は、文字どおりこの地域の振興のためのものですから、これを、沖縄特別振興対策調整費の予算を使うということには何ら差し支えないと思いますが。
○上里直司委員 非常に残念な答弁だったように感じています。実は与党の議員からも、沖縄特別振興対策調整費になじまないんじゃないかという質疑が今回あったんですよ。そういうことからすれば、やはり別枠で考えなければいけないんじゃないかという提起もあったんです。といいますのも、今回は4億5000万円でしょうか、その予算が計上されていますけれども、次年度、次々年度に計上されるものが幾らになるか、まだわからないんです。幾らになるかわからない。しかし、地主の皆さん方の思いも酌まなければならない。そうなると、沖縄特別振興対策調整費というのは限られた枠ですので、やっぱり当然その枠に合ったような形で事業を進めなければならないというふうな方向に流れていくわけなんです。それが問題なんだということなんです。ですから、弾力的に運用できるというのは、国が言う言葉だったらわかりますよ。戦後補償の難しさ、解決の難しさ、また規模の広がり、大きさとかを考えると、この沖縄特別振興対策調整費でおさまりがつかないケースがやっぱり想定されると思うんです。
 そこで聞きたいんですけれども、地主の皆さん方が求めている事業を解決するには、やっぱりこの50億円という沖縄特別振興対策調整費の枠だけではなくてもう一度、この沖縄特別振興対策調整費ではなくて、その外にある特別枠というのでしょうか、言葉はわかりませんけれども、そうした枠を使ってこの事業の推進をしていきたいというお考えはありませんでしょうか。それを国に求める考えというのはないんでしょうか。
○仲井眞弘多知事 確かにおっしゃるように多々ますます弁ずというわけではありませんが、この枠のあるもの外に財源を求めて何かをやっていくというのは、現実性において可能であれば、これはやっぱり見通しの問題ですから、無論そういうある仕組み外で予算を要求するというのはあり得るとは、否定しませんけれども、しかし、現実に国のスタンスは最高裁での判決の結果を踏まえていまして、所有権は国にありと認められたという点がやっぱり大きな壁といいますか、制約になっていて、補償の感覚というのはないんですよね。ですから、むしろ、しかしながら、当時の戦中戦後にかけての県民の強い思い、背景はいろんなことがあったに違いないということをそんたくすれば、何らかのことは地域振興というような名目とか何かで対応できればやってあげたいという気持ちで沖縄振興計画に載っている、ないしは今度載せたと理解しております。
 ですから、地主の皆さん、地主会から出てくるものが金額において無限なというか、幾らでもいいんだということにはなかなかならないと思うんです。ですから、これは現実的な国とのやりとりの中でどれぐらいのサイズでどういうものか、しかも戦後63年たってのまとめ方というのはおのずと現実的な限界があると思うんです。そういうことで、沖縄特別振興対策調整費の中でのまとめやむなしと考えております。
○上里直司委員 知事、私はもう少し違う角度からお伺いいたしますが、知事は、知事に就任して以降で結構ですが、この事業の解決を求めるという要望は私も先日質疑をした後に要望書という中で拝見させていただきました。要望はされています。それは沖縄特別振興対策調整費ではなくて特別枠という形で、今、既存の枠ではないような形で解決をしてくださいというような要望をこれまでされたんでしょうか。
○仲井眞弘多知事 いろんな予算、それから沖縄の課題については無論沖縄振興委員会の委員の先生方、そして大臣にはいろんな課題、そして予算要求時期になれば予算要求に係ることは当然のこととして要求し、お願いをすべきはしております。そして、この件についても、これは私のみならず前の知事のころからずうっと要求、お願いをしてきている案件であります。また、県内では、御承知のとおり、旧軍飛行場用地問題県・市町村連絡調整会議というのを置いて、現実に地主会と市町村とのいろんな意見の交換、調整をやってまいった中での、我々が持っているニュアンスというのは、自由自在な予算要求のできるテーマとは言いがたい、やっぱりある種の壁と限界があるものだと僕は理解いたしております。したがって、特別枠ないしは、ある枠以外の別のことで要求できるかどうかというのは、おのずと限界があるものだと考えているテーマでもございます。
○上里直司委員 知事、私が聞いているのは、仲井眞知事が就任してから、私が先ほど申し上げたとおり、この特別枠または既存の枠ではない形でお願いをしたことがあるかどうか、その1点なんですよ。
○仲井眞弘多知事 別枠であるとか沖縄特別振興対策調整費はいいとか悪いとか、そういう要求はしておりません。
○上里直司委員 もう一点、やっぱり戦後補償の観点からは、沖縄振興計画に載っている事業はこの事業と不発弾の処理の問題ですよね。不発弾の処理に関しては、先日痛ましい事件が起こって、知事はこの問題に特化して政府に交渉をまず要請されていらっしゃいます。角度を変えて申し上げますけれども、特別枠とか沖縄特別振興対策調整費とか、別で、この問題に限って、政府や、または国会議員や衆議院・参議院の沖縄及び北方問題に関する特別委員の野党の皆さん、与党の皆さんを含めて、そういう解決を目指してほしいという要請や説明をされたことがあるでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の旧軍飛行場用地問題の件ですよね。これは特段にはやっておりません。
○上里直司委員 先ほど、多分実務者同士というか、職員の皆さんとのやりとりの中で限界だとか、いろんな交渉があった。それを御説明いただいたかと思うんですね。今お話を聞きますと、知事は特別枠というものに限ってでも訴えたことがない。要望したことがない。さらに、この問題に限って与野党の、衆議院・参議院の沖縄及び北方問題に関する特別委員や関係する政党の代表者や、そういうところに要請もされたことがないということを考えると、そのことに限って1点に絞って政府に対してちゃんと沖縄県民の要求にこたえてほしいというような要求をすべきではないでしょうか。今後、そのことをするおつもりはありますでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の上里委員の質疑の答弁になると思うんですが、前から申し上げていますように、この旧軍飛行場用地の問題につきましても、沖縄及び北方対策担当大臣であるとか、そしていろんな沖縄及び北方問題に関する特別委員会の委員の方々にはきちんとこれは対応してもらいたいというような要請はしているんです。ですから、これはしているとしかお答えしようがないと思うんですが。
 沖縄振興特別措置法が3年強残っている間に、かなりこの問題の解決に取り組みたいと思っておりますから、無論、毎年この旧軍飛行場用地問題については地主会、旧軍飛行場用地問題県・市町村連絡調整会議でまとめて我々と相談する段階になって、予算要求をする段階の前後から、一つ一つ国と連絡をとり、要請してまいります。
○上里直司委員 それは要請するということで理解していいんでしょうか。
○仲井眞弘多知事 予算の要求、説明の要求は無論毎年やりますよ。この件についても、まだまだあと幾つも地主会が残っておりますから。
 今の御質疑に対して、旧軍飛行場関係だけを特に要請するかという御質疑に対しては、無論必要があればやりますよ。ただし、今まで申し上げてきましたように、沖縄特別振興対策調整費を使ってああいう姿で我々も2件、既に来年度要求しています。ですから、大体ああいう線に沿って我々はこれからもやっていきたいと考えております。
○上里直司委員 この質疑はまた當間委員から多分ありますので、それに任せていきたいと思っています。
 それで、なぜこの7年間にわたって解決に至らなかったのか、糸口が見えなかったのかということをもうちょっとさかのぼって質疑をいたしますが、今回の不発弾処理に関しては、国から、これも沖縄特別振興対策調整費、私は不満はありますが、沖縄県不発弾等対策安全基金をつくっているんですね。沖縄県不発弾等対策安全基金を設置して、そこから県が主体的にというか、県が実施をする事業に対してこの基金を運用していくというか、処分をしていくという流れだと思います。そこで、この事業にやっぱり不自然さが残るなと思うのは、地主会の皆さん方がいて、さまざまな要望を受けて、どの事業に最初に優先的に取りかかるのかとか、どの規模が必要なのかということについて県が全くと言っていいほど判断をする材料がないし、判断する仕組みがつくれていないんじゃないかなと思うんです。そこで、この事業をやっぱり県が主体的に取り組むということを考えると、不発弾処理と同じように基金を設置して、そこに受け皿として入れて、そこから事業を実施していくということができないのだろうか、または、これまで調整してこなかったのかどうか、私はやるべきだと思っているんですが、見解をお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 確かに不発弾処理のような形で基金を積んでいってやれるということも1つの考えだとは思います。しかしながら、この今の沖縄特別振興対策調整費でもって一応平成21年度原案はもう政府で決まっておりますから、そういう形でもう進行し始めておりますし、それから、いろんな地主会が今、1つだけがまだ具体的な内容と事業がきちっと出てきていなくて、あと残りは大体そういう方向でもっていいということに近い状況になっておりますので、御提案の件も1つの考えだとは思いますが、基金を積まなくてもそういう今のような形で前へ進めることができると考えております。
○上里直司委員 やっぱり県が主体的に判断をし、地主会の皆さん方、関係市町村との話し合いというのがある程度調整をしなければならない事業なんです。そういう意味では、国から言われて、国から事業をお願いして、これが採択されなければ地主会の案も市町村の案もつぶれてしまう、ついえてしまう、そういう可能性だってあるわけなんです。そういう意味では、やっぱり県が基金を設置するなどして、この事業をきちっと県の責任でもってやるんだというような姿勢をぜひ見せていただきたいと思います。
 あと1点だけ質疑をさせていただきます。基金の話もさせていただきましたが、今御提示のあった、ある地主会の皆さん方から、これは那覇市の大嶺自治会の皆さん、旧軍那覇飛行場の問題です。これまで、私は一般質問でも質問をさせていただきました。那覇市は余りにも事業が大きいからということで、那覇市の事業としては採択していないんです。私は、それは那覇市の事情があるでしょう、でも、どういう案にするかというのは、一たん県も地主会の皆さんに考えてくださいと言った手前、やっぱり県が責任を持って、那覇市がだめだから、那覇市から上がってくるのではなくて、県がその事業実施者として事業を進めるべき立場をとれないかといったら、それはできないと言ったんですよ。そうなんですか。もう一度知事の見解をお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 今の御質疑の2番目のほうの基金絡みで那覇市大嶺自治会のお話をされておられました。確かに旧軍飛行場用地問題県・市町村連絡調整会議は、やっぱりこういうものをやるときにだれが事業の主体をやるかというのはなかなか重要で、地元のことも内容もよく知っている自治体、市町村がきちっとこれを受けてやれるというのが、やっぱりベースだと思います。ですから、これが今、委員おっしゃったのは余りに大きなプロジェクトで、那覇市そのものが受け取れないというようなのに近い状態のものは県がやるべきじゃないかと。これはなかなか県が直接、市町村を飛び越えてやるというのも、やっぱり飛躍し過ぎの感じはします。ですから、これは地主会がある市町村とよく連絡をとって、そこが消化できるといいますか、扱える状態にするほうが現実的な進め方になると考えております。
○奥平一夫委員長 次に、旧軍飛行場用地問題について當間盛夫委員から質疑を行います。
 當間盛夫委員。
○當間盛夫委員 知事、よろしくお願いします。この旧軍飛行場用地問題、平成14年に沖縄振興計画ということで、地主の皆さん方が47市町村、各市町村を回って、本当に各市町村が決議案を出して、沖縄振興計画に載ってきた。これは今、与党のほうからもいろいろとあるんですけれども、これは与野党関係なく進んできた事業なんです。ところが、今やっぱり問題になっているのは、沖縄振興計画に載りながら6年間全く進まなかった。これは県も自分たちの責任がありますということを認めてもいます。そして、その予算の出どころがやっぱり戦後処理だという中で、沖縄特別振興対策調整費という限られた50億円の予算の中から出てくるという2つの問題があるわけです。
 その沖縄特別振興対策調整費の中から出てきた。そして、先ほど言いました6年間を無駄にして、残された3年間でその旧軍飛行場用地問題を解決するんだというような県の方針が、これは全く県益だとか県民全体での考え方ではなくて、地主にどうあるか、地主だけの問題にしているのが最大の問題になってきているんじゃないかなとも私は思いますので、まず初めに、知事、平成14年7月にこの沖縄振興計画ということで旧軍飛行場用地問題が策定されております。あくまでも戦後処理問題の1つとしての認識のもとにこれは明記されていると思いますが、その解決を求めてきたということになっています。
 知事は、この旧軍飛行場用地問題、戦後処理の1つであるという認識をお持ちなのか、まずお伺いさせてください。
○仲井眞弘多知事 戦後処理の1つであると考えております。
○當間盛夫委員 せんだっての知事公室長の答弁の中でも、今度、糸満市での不発弾の問題がありました。その不発弾と旧軍飛行場用地の課題ということであるんですけれども、不発弾に関しては知事は、いろんな形で行って、明確に国に表明している。しかし、先ほどの上里委員への答弁を聞くと、このことに関して要請をしていないんだとか、特別枠云々という形のものを全く要請していないというようなお話がありました。しかし、この旧軍飛行場用地問題は、間違いなく最大の要因は第2次世界大戦にあるわけですよね。それは明白なはずです。当時の状況からしても、旧軍、地主に一方的に協力する以外は選択の余地はなかったということが妥当だと思うんです。これは知事も認識をされていると思います。旧軍飛行場用地問題を、旧地主のみの問題と据えるというような行政の立場も私は問題だとも思っていますけれども、本来県民が所有すべきこの広大な土地が戦争という国策によって政府の財産にされた。そして、沖縄県、県民にとって大きな損失であるということは間違いないんですが、知事は、そのことを県民の財産だと、沖縄県の財産だと思って、この旧軍飛行場用地問題をどう認識されておりますでしょうか。
○仲井眞弘多知事 當間委員の御質疑の前提に、知事はこの件を要請していないということがわかったと。要請はしているけれども特別に取り出してやったこともありますから、そう決めつけるのはいかがかと思いますが、その後段のほうの御質疑の中で、県民の財産、もともとそれは県民の、接収される前は、これはちょっとレトリック上の表現としては、財産であることは確かなんですが、ただし、はっきりしているのは最高裁で所有権が国だということが認められたという、この大きな現実というか事実を抜きにしてはやっぱり語れないと思うんです。そこのところが見解の違いではないかと思います。
○當間盛夫委員 国が最高裁でそういう判断をしたから知事がそのことで終わってしまうということは、以前、仲井眞知事が那覇商工会議所の会頭だったときに、弱腰みたいな形で、政府と事を構えることはいかがなことかというようなことを知事はそのときに言われているんです。知事は、じゃ、そういうことであれば、国がもうそのことで、最高裁で判断が決まったから、国に従うべきだ、国と事を構えることは事業自体が前に進まないから、そのことでいいんだという知事の御判断なんですか。
○仲井眞弘多知事 国と事を構えることはいかがなものかというのは、ある案件について、ある人の態度、物腰、行動について私は申し上げた自分の所感でありまして、委員のおっしゃる何事についても国と事を構えるべきでないなどということは、私は言ったことはありません。
 さらにまた、今の旧軍飛行場用地問題に絡む最高裁の判決、これは、しかし、明らかにこの土地は国の所有権が認められたというものについて、行政実務上の対応はやっぱり限界があるということです。
○當間盛夫委員 限界があるということであれば、皆さん6年間もおくらす必要もなかったはずなんですよ。皆さん、窓口がなかったということでよく言われます。先ほども上里委員が、窓口は沖縄振興計画に載ったときから内閣府なわけなんです。その内閣府の窓口が云々ということでおくらせていること自体が問題でもあり、窓口の設置をおくらせたのは、補償でも慰籍事業でもないという政府のかたくなな態度が私は非難されるべきだと思うんですけれども、知事、その点はどうお考えですか。
○仲井眞弘多知事 この件は、非難するとか非難しないというようなことの内容のものではないと思うんです。これは現実にこういう国の財産というか、土地の所有権にかかわる側面があって、常識的には当時の大蔵省といいますか、今の財務省の感じもしますし、そして、戦後処理という点では、我々が考えたら、やっぱり内閣府が窓口に向いているだろうと思います。これはやっぱり政府機関の仕事をやる上での仕切りのところですから、今、委員のおっしゃることがそのままとはちょっと、わかりましたとはちょっと言いにくい部分がありますが。
○當間盛夫委員 その部分は知事公室長もないと言っていました。
 知事、沖縄県は第2次世界大戦で地上戦がいろんな形でありました。これまで戦後処理問題として数多くの、学童疎開の部分だったり、マラリアの補償であったりとか、これはほとんど政治決着されているんですね。法規的にないわけですから。政治的判断で全部これは決着してきている問題なんですよ。それからすると、今回の問題も、やっぱり知事は行政の最高責任者として政治決着をもっと求めていくべきだったと思うんです。国が事務方の中で沖縄特別振興対策調整費でしかできないから、あと3年、4年しか残っていないからそれで終わろうということではなくて、やっぱり知事が政治決着の中で、これは別枠でしっかりと持ってくれと。その判断を、要請をもっと私はすべきだったと思うんですけれども、その政治判断、政治解決を目指すということで、知事はどのような形をされてきたんでしょうか。
○仲井眞弘多知事 政治決着を図るべきではなかったか。確かに戦後処理の問題はそういう性格を強く持っているのは私もよくわかります。ですから、これは一種の、今度は沖縄振興計画に載ってはいますけれども、なかなかこれが現実に予算の形、事業の形をとれそうでとれなかったという点も現実にあって、何も御指摘のような、我々がサボってきたというように思っておりません。ですが、これも与野党の、特に国会での議論を踏まえて、ようやく今度はああいう沖縄振興計画に書いてあっても、前へ政府が踏み出したと私のほうでは理解しておりますから、これは一種の政治決着の1つだとも理解いたしております。
○當間盛夫委員 沖縄振興計画、いろんな各議員の皆さん、与野党でつけられたということも十分これは理解しております。しかし、旧軍飛行場用地問題は沖縄県だけの問題ではなくて、全国にあったわけです。ところが、ほかのところは緊急開拓事業実施ということで払い下げされたりとか、戻されたりという形があるわけです。しかし、現実には、今我々が議論している皆さんの地主会の分で、不平等にそのことが残っているという案件もあるということからすると、先ほど沖縄振興計画に載ったから政治的な部分で一生懸命頑張っているということをおっしゃっているんですけれども、じゃ、行政として真っ先に責任を果たすべき立場にある政府が十分に責任を果たしたということを知事は認識されておりますか。政治的判断ではなくて、政府は十分に責任を果たしているというお考えはあるんですか。
○仲井眞弘多知事 委員のおっしゃる十分にということは、何とお答えしていいか、答えが難しい部分があるわけですが、政府は政府なりにやっぱり、行政実務上も沖縄振興計画に載せ、これは何らかの形で前へ進めなければというお気持ちはあっただろうとそんたくするわけです。
 あとは、先ほども申し上げた、県選出の与野党の議員の方々がやっぱり国会でいろんな議論を展開していただいたおかげで、それですらようやく前へ動き出したというのが実感です。ですから、何といいますか、この件につきましては相応の、相当の動きになって現実化していると考えております。
○當間盛夫委員 じゃ、沖縄特別振興対策調整費でとることを、私は冒頭に、50億円の枠しかない中で残された、3年ではあるんですけれども、予算的にはもうあと2年ですよ、それからすると、やっぱり基金的なものを今だからこそそういうような大枠のとらえ方をして、団体方式を求めている方、そして個人補償を求めている方が納得できるようなボリュームをつけるほうが、残り2年しかないわけですから、そのことをぜひ一生懸命頑張ってもらいたいなというところもあります。
 そして、今回沖縄特別振興対策調整費を充当するということで沖縄県が受け入れることは、その問題が戦後処理ではないという政府の見解を是認することにつながるんじゃないかなと私は思うんですよね。知事は、政府と同じ見解をこのことで処理しようと考えているのか。私は、とることで、先ほど言いましたように、政府の見解と同じになってしまうということがあるわけですので、そのことは明確にお答え願えませんか。
○仲井眞弘多知事 冒頭申し上げましたように、この案件は戦後処理のものだと思います。ですが、戦後処理であっても、あってもといいますか、別に沖縄特別振興対策調整費を使ってはいけないというものでもないと思うんです。それと、あとは、地主会が9つありまして、2つは予算要求を今させていただいております。またいろんな考えがなかなか違うとか、個人補償をまだ主張されているところとかが残っておりますから、あと残り2年ないしは3年しか、事業の中身もまだいろんな違いがあることを考えますと、まさに當間委員おっしゃっているように、別枠で大きな予算がとれればそれはそれにこしたことはないというのは、私もそう思います。ですが、現実にあと3年で沖縄振興計画に載せた経緯を考えていきますと、これを何とか事業化し、地域振興のために使える状態にする一番の確実な方法というのは今の沖縄特別振興対策調整費を使ってやる方法だと思うんです。ですから、これはこれできちっと要求すべきは要求しておきたいと考えますし、何とか、今違う考えを持っておられる地主会があっても、我々のほうも理解を求めて、この沖縄振興計画の中できちっと処理できないかと考えているところです。
○當間盛夫委員 知事、ですから、今9つの地主会があるとおっしゃいました。平成23年度という決められた期限があるわけですよね。それからすると、やはり今の沖縄特別振興対策調整費を求めていくと救われない地主会があるということは、ぜひそれは認識してもらいたいと思うんです。ですから、今度、平成21年度の予算は今回上げられているもので、もう決められております。平成22年度、平成23年度でしかないわけですよね。それからすると、どうしても、私は沖縄特別振興対策調整費を使うなというわけではないわけです。あと2年しかないわけですから、それはやっぱりこれから別枠をもって要求してこないと、この9つの地主会なんて救われないということを言っているわけです。その点をどうお考えなのでしょうか。
○仲井眞弘多知事 おっしゃるように、確かにあと3年ちょっとですから、実質2年かなということを考えますと、委員御心配いただいているように、漏れる、間に合わない地主会はどうするんだ、そうすると、今の沖縄特別振興対策調整費以外の別の枠とかいろんなことも考えるべきではないかという御趣旨のお考えではないかと思います。確かにこのまま足し算引き算していきますと間に合わないところはどうするんだという話になって、しかし、3年先の話をちょっと、どうするこうするとは申し上げられないんですが、何とか全部をちゃんと採択できるように、実務的には旧軍飛行場用地問題県・市町村連絡調整協議会などを通じ、地主会ともいろんな話を継続しておりますから、何とか間に合わせたいと今のところは考えているところです。
○當間盛夫委員 だから、知事は今度の沖縄特別振興対策調整費のものをとってくると、間に合わない地主が出てくるわけですよ。これは現実なんですよね。平成23年度の予算をとるためには、知事、今年度、ことし、平成21年度の12月までには皆さん出してこないといけないという現実がもう待ち構えているわけです。悠長なこと、平成23年度までに事業を出しなさいということではないわけですよね。今年度出さないと間に合わないというのが現実ですよね。それはどう認識されていますか。
○仲井眞弘多知事 當間委員の今の点は、確かに、ことしが平成21年度になりますから、平成22年度要求というのはことしの夏、概算要求をしますよね。平成23年度要求は、事務手続上は来年の夏に概算要求の締め切り、こういうことに相なりますから、ぎりぎり平成23年度、何も年内でなければいけないということはないと思います。しかしながら、国、それから実務上でいろんな調整をしますから、可能な限り年内ぐらいでまとめるようにということで今、作業は進めているところは事実です。ですから、それでも何とか頑張っていただいて、今3月ですから、12月まで大分時間がありますから、何とかまとまらないかということで今取り組んでいるところです。
○當間盛夫委員 副知事に要請しに行ったときに、もう限界だと。事務方の限界だということで、地主さんは言ったんですけれども、逆に副知事が怒り出して、違うんだと。あなたたちが責任をとりますか、當間議員が責任をとりますかというような話をするわけです。知事も今度の旧軍飛行場用地問題というのは限界だというお考えですか。
○仲井眞弘多知事 今、その限界かという御質疑にも、なかなかこれは答弁しにくい部分がないわけじゃありませんが、今つくってきた枠組み、市町村との旧軍飛行場用地問題県・市町村連絡調整会議ということを通じて長いこといろんな、地主会との皆さんともよく、市町村の首長、何とか皆さんの意見を取り入れ、そしてまとめて国の予算をつけようということでみんな長年やってきております。そういう形で、しかも今度は沖縄特別振興対策調整費ということで、初めて具体的な地域振興で、団体方式でいこう、こういう方針も決めてやってきた枠組みで何とか完結できないかというのが正直な話です。ですが、これがあらゆる限界かと言われますと、どうお答えしていいかわからないですが、我々がつくった今の枠組みが現実的な課題解決の枠組みだと思っております。
○當間盛夫委員 この問題は地主、所有者の皆さんだけの問題ではなくて、やっぱりこれは県の問題なんですよね。沖縄県の財産の問題になるわけですよ。そのことはこの旧軍飛行場用地問題でコミュニティーセンター、そのことでよしとしているから、その枠内ではめようということ自体も問題なんです。知事、これは沖縄県の財産が国策としてとられたという認識をしっかりとやっぱり知事が持たないと、このことは解決には決して及ばないと私は思っておりますので、知事、やっぱり別枠で、あと2年しかないから別枠でしっかり持つんだと、全身全霊でこのことを国に求めていくか、最後に御答弁をお願いします。
○仲井眞弘多知事 當間委員の御質疑にそうだと申し上げたい気持ちはやまやまですが、ただし、これは現実にやっぱり制約というものが、特に今の国家財政もこういう多端な折、さらにまた、最高裁判決は所有権が国だとなってしまったあのあたりからは、かなりの現実の限界があるのも確かなんです。それを踏まえて、確かに県の財産論というのは、おっしゃるような面を私は認めますよ。しかしながら、今の制約、今の最高裁の判例もある。あれは国のものだということになってしまった中での旧軍飛行場用地問題の処理の仕方、課題解決の方法というのは、おのずとやっぱり限界があると思うんです。ですから、そこで悩みながら我々も仕事をしているところですので、悩みながら、なお仕事を完結したいと答弁させてください。
○奥平一夫委員長 次に、病院事業問題についての質疑を行います。
 まず初めに、前田政明委員から質疑を行います。
 前田政明委員。
○前田政明委員 知事、代表質問、一般質問、予算特別委員会を通じて病院問題は県民運動になっております。それで、私の質疑の趣旨は、一緒になって県立病院を守りたいということでありますから、この点は知事と気持ちは一つになれるんじゃないかなと思います。それで、知事が病院事業局の現場の訴えにこたえて85億円繰り入れをするという決意に至った思いをまずお聞きしたいと思います。
○仲井眞弘多知事 今の御質疑ですが、県立病院を守っていただきたいと思うんですが、基本的には、今まで県立病院が担ってきた立派な公的医療をしっかりと守って、継続していこうというのが趣旨です。そして、この85億円につきましては、やっぱりいろんな経常赤字がずうっと続いている。そして、資金繰りに大変困っているというようなことをあと3年ぐらいできちっと処理しないと、県立病院というより、県立病院がやってきた公的医療を継続するのが難しい事態が予想されるということで、これまでの課題を3年間かけてまず解決に取り組んでいこうという決意のあらわれです。
○前田政明委員 この知事の決断は、現場を激励していると思います。
 私もこれまで病院の赤字の原因は何なのかということを聞いてきました。これは1つは、いろいろありますけれども、病院経営で1病床当たりの繰り入れが経営上医業外収益の基本になります。そういう面では全国平均よりも大幅に引き下がっている。全国平均と比べると、以前の私の質疑もありましたけれども、大体40億円から50億円が出せたら赤字にはならなかったということを考えております。ただ、その中で、私は今の時点で、これまでのいきさつについてはそう考えておりますけれども、今、知事が言われたように、本当に大事な県立病院の財産を守ると。
 知事、私は特にこの勉強をさせていただいて思ったのは、県立中部病院の位置づけです。やはりいろんな先生方からお聞きしますと、島根県も、私どもは社民・護憲ネットの方々と一緒に視察をしました。そうしたら、公立病院の全国自治体協議会の役員をされている先生で、沖縄にも来られましたけれども、本当に心配だと。沖縄は医療メッカだと。あの県立中部病院を中心とするハワイ方式の臨床の本当にすばらしい中身は失ってはいけないと。だから、ここが崩れると沖縄の県立病院のあり方は崩れるんじゃないか、医師の派遣が離島にできなくなるんじゃないか、それどころか、本土にお医者さんが還流して沖縄から魅力がなくなる、それが一番心配なんだと言っておりました。
 改めてそういう面で、知事も現場を視察していると思いますけれども、沖縄が医療メッカだと言われる、研修医をどんどん養成しているという面では県の負担もかなりありますよね。だから、ここの県立中部病院などを含めた、特に県立中部病院の高度な医療体系、それから研修医の養成はやはり守っていくことが大変重要だと思いますけれども、知事、その辺はどんなお考えでしょうか。
○仲井眞弘多知事 前田委員と同じですよ。守っていくべきだと思っています。
○前田政明委員 沖縄の離島医療をやる場合、私は予算特別委員会で福祉保健部長に聞いたんですけれども、独立行政法人化して離島に医師の配置は大丈夫かと。福祉保健部長は大丈夫ですと言いましたけれども、私は現場の先生方に質疑をしました。そうしたら、やはり一番は年間、多いときで約1500日ぐらい医師を延べで派遣している県立中部病院の院長は、独立行政法人になると経営者として責任を持たなければいけない。そうなると、これはとてもじゃないけれども、ほかに医師を送ることはできません、経営者として責任が果たせなくなりますということを言っておりました。そういう面で、そこのところの問題に、これはちょっと順序が早くなったかもしれませんが、そういう現場の声がありまして、そういう面では私、知事が本会議で、嫌がるものを無理やり行くわけじゃないと。だから、地方公営企業法全部適用でちゃんとできるなら現場の総力を生かして、それで頑張ってほしいと言われていたことは、私は医師の確保や現場の医師のモチベーションといいますか、そういうのも大事じゃないかなと。
 もう一つは、後で議論をするとしても、独立行政法人化ありきとなると、私はお医者さんが来なくなるんじゃないかなと。現場でも、私も還暦を過ぎまして定年退職もことしですけれども、私もいろんな、そういう年代の学生のときからつき合ってきた人たちに聞くと、自分たちの団塊の世代までは頑張れるよ、何とかするよ、しかし、後はわからないよと。
 こういう面で、医者というのは本当にやる気があって、みんなから評価されて、頑張るという思いが評価されたら医者は頑張るけれども、医者は行くところがいっぱいあるんだと言っておりました。そういう面で、私は知事が無理やり嫌がるものを行くつもりはないというメッセージは大変重要だと思いますけれども、この辺はどうでしょうか。
○仲井眞弘多知事 嫌がるものを無理やりという表現を使ったかもしれませんが、基本的には一番初めの御質疑に答弁しましたように、これまで立派な成果を上げてきた評価の高い公的医療をどうやって守っていくか、これに尽きると思います。そして、私も専門家ではありませんけれども、県立中部病院、それから6つの県立病院がネットワークで沖縄県の公的医療をしっかりやってこられたというのも理解できます。ですから、そういう中でまた県立中部病院は県立中部病院でちゃんとした役目と機能をしっかりと果たされてきたと考えます。そして、離島への医者の派遣というようなことも聞いております。
 ですから、今の6つの県立病院が相互に連携をよくしながら、この公的医療をどうやって私たちは継続し、守っていくか、場合によったら強化していくかということが目的でありまして、そのためには予算、人事、組織、あらゆる面で我々は総点検をし、チェックをし、継続できるようにしていかないと、今の御時世で公的医療なるがゆえに幾らでもお金が出せるという時代はなかなか難しくなってきて、余り経営のことは言いたくはないんですが、それでもしっかりした公的医療を守るために、今ならまだいろんな知恵も案も方法も手も打てる。ですから、まだ3年はしっかり今の地方公営企業法全部適用の形でやって、そして、向こうで働いている人々の医療環境、サービスをやる人々の環境も改善して、やっていく必要があると思うんです。
 ですから、一つ一つ取り出して、これをどうすれば、どうなるというよりも、全体として仕組みのありようも含めて、悔いのないように今度はしっかり検討すべきだ。そういう中で独立行政法人化というのも当然頭に入れて、これは初めからネグったらだめだと思うんです。むしろそれを真ん中に据えて、でも公的医療がしっかりやっていけるような形というのをやるべきだと考えているところです。
○前田政明委員 政府の公立病院改革ガイドラインは3年間で黒字化できなければ独立行政法人化というシナリオがやられています。そういう方向に行かない流れの中で地方公営企業法全部適用をどう守るかというのが今の課題になります。
 それで、実は知事、御承知のように、看護師がやめていく、医者もやめようとしている、こういう状況が起こっているんです。そういう面で、沖縄県の大手の病院は看護体制が大体7対1看護体制になっている。ところが、今、県立病院は10対1看護体制でも欠員がある。今、県立中部病院は6名足りないということで52床の1病棟を閉鎖している。そして、3億円余りの収入減になっているというのがこの予算特別委員会での私の質疑に対する答弁なんです。
 そういう面では、じゃ、10対1看護体制もなぜできないかというと、非常に過重で、これはうるま市で県立中部病院を激励する1200名の集まりがありました。入院患者の方が言っておりました。隣の方がナースコールを押すんだけれども来ない。だから私が見ていた。だけれども、そのときに本当に思うのは、いい医療をしてくれるんだけれども看護師さんをふやしてくれたら本当に安心して、もっと医療が受けられるのになという現場の声がありました。大変私、そうだなと思いました。
 知事、今そういう面では、島根県も埼玉県も行ってきましたけれども、やはり定数条例の見直しなんです。ちゃんとした定数条例を見直して、枠をつけて、正職員でないと、なかなか今の状況の中では看護師が採用できない。嘱託とか臨時的任用では難しいという状況になっているんです。そういう面で、この前の、島根県立中央病院の中川正久病院事業管理者、私どもは彼に聞きましたけれども、やはり今、そういう面でこの7対1看護体制をやることが現場を活性化してやる気を与える。特に救急医療を含めて高度医療をやっている県立中部病院において、こういう貴重な力が、看護師がいないことによって52床も閉鎖されている。こういう状況を解決するために知事、やはりこの定数見直しということについて、85億円投ずる、そして病院事業局の計画も現場も支持している、それで頑張ろうとしている、しかし、人が来ない。その原因が、この7対1看護体制というところの定数枠の見直しに大きくかかわっているんじゃないかなと。
 そこで、埼玉県やその他を回りましたら、やはり知事の英断と。知事が、わかったということで、県民の医療を守るためにはわかったという、ここの決断が物事を解決しているんですけれども、そういう面で、85億円投じて、沖縄県の全国にすぐれたこれを守ろうという場合、知事、もう一度踏み込んでそこでそれをやることによって、私は確実に今期待する方向に行くんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の7対1看護体制の件など、いろんな改良、改善の余地はあちこちに実はあるのだろうと思います。ですから、これは病院事業局長も福祉保健部長も答弁したかと思いますが、ただ、きちっとこれは研究チームをつくって詰めていきたい。今、委員御提案の7対1看護体制の条例そのものは議会であれされることですが、いずれにしましても、幾つか改良改善をしっかりやっていく必要がある部分があります。ですから、これは病院事業局でもきちっと研究チームをつくって、やるという話はしたと思います。ぜひそういうきちっとした詰めの中で今の御提案も検討してまいりたいと考えております。
○前田政明委員 そこをもう一歩踏み込んでほしいんですけれども、実は、この7対1看護体制にする場合、県立中部病院と県立南部医療センター・こども医療センターは、県立中部病院の場合は2741万3790円の黒字、県立南部医療センター・こども医療センターは5084万円の黒字、それぞれ県立中部病院で78名、県立南部医療センター・こども医療センターで50名ふやせばいろいろやっても採算上黒字になる。だから、全部やるんじゃなくて、今本当に県立病院を支えている肝心なところ、そこに手を打つことによって、ああ、未来があるな、ちゃんと高度医療もできるし、沖縄県のすぐれた今の臨床研修を含めて頑張ることができるとモチベーションも高まっていくと思うんです。だから、そういう面では、財政的にも黒字なんです。だけれども、これを早目にやらないと、人が来ない。そうすると、結局診療科目もどんどん減っていって、今の民間の病院が7対1看護体制でやっている中では本当に県立病院そのものの、知事が考えている公的な役目を果たしているそのものが崩れるんじゃないかと心配しておりますけれども、どうでしょうか。もう一度踏み込めませんか。
○仲井眞弘多知事 繰り返しになりますけれども、今の7対1看護体制をほっておくとなかなか看護師も集めにくい。そして、悪循環の方向へ行きかねないというのは我々も問題意識としては無論持っております。ですが、ここはかなりテクニカルな専門的な詰めがやっぱり要るそうです。ですから、ここはちゃんと研究チームを置きますので、このチームの結果をぜひ待っていただきたい。今御提案、御指摘のような要素を含め、幾つもあるのだそうで、これはやっぱり総合的に見ないと県立病院の公的医療を未来永劫ずうっと支えていくという仕組みをしっかり今の段階でつくる必要があると私は思っているところです。
○前田政明委員 私どもは定数増については総務省の自治財政局地域企業経営企画室の理事官に問い合わせをしていただきました。そうしたら、公営企業なのでそれは規制をしていない、人的な投資も必要だし、そういう面ではそれはそれなりのメリットを生かす必要があるのでこれは定数管理していないということでしたので、そこも踏まえて、ぜひ知事は前向きに頑張っていただきたいということで述べておきます。もし今のことについて。
○仲井眞弘多知事 前田委員がよく研究されておるのはつくづくわかっておりますが、くどいようですが、今の病院事業局にきちんと詰める研究チームを4月1日からスタートさせます。ちょっとこの成果をぜひ待っていただきたいと思います。
○前田政明委員 はい。頑張ってください。
○奥平一夫委員長 以上で前田政明委員の質疑を終わります。
 次に、比嘉京子委員の質疑を行います。
 比嘉京子委員。
○比嘉京子委員 では、同じ県立病院の問題につきまして、知事、よろしくお願いいたします。
 さて、今のお話の継続でございますけれども、まず、知事、今回の84億3300万円の繰り入れにつきましては、これまでにない繰入額ということで大変高く評価をいたしたいと思っております。また、私は今回の沖縄県医療審議会県立病院のあり方検討部会で読ませていただきますと、過去の赤字の検証、先ほど検証が必要だ、チェックが必要だとおっしゃっておられましたが、それは手つかずでこの赤字の経営状態をどうするんだという話にほとんど終始しておられる。そのことがありますので、確認事項として、ぜひ赤字問題を少し触れさせていただきたいと思います。
 今回の繰り入れについては高く評価をいたしております。今繰り入れたこの額が全体的に見たらどうかといいますと、全国平均が今の沖縄県の病床にしますと1床当たり70万円ぐらい不足なんです。本当に全国平均並みに-平均ですよ-高いところはもっと高いですから、全国平均額を入れるとすると、平均とすると沖縄県の2354床につきましては104億7000万円相当になります。去年が71億円でした。その前の年はもっと低かったです。これまでの繰り入れが余りにも全国平均よりも低かった。そのためにこの10年間かけても、ざっと繰り入れだけを見ましても100億円の赤字は当たり前に出たわけなんです。それが第1点。
 もう一つは、共済追加費、いわゆる退職をした人たちの追加費をこの10年間を見ますと106億8000万円、それから離島において、県立宮古・八重山病院の増嵩費を6年分見ますと25億円余り。こういうことを考えますと、これは医療現場の収益の問題以前のところで赤字が出ているということの御確認をいただけるでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の比嘉委員の御質疑で、つまり十分な繰入額ではなかったのではないかという御趣旨かと理解いたしておりますが、これはまたいろんな切り口があるようでして、沖縄県の財政規模をよく踏まえてどうかというと、むしろかなり上のほうに、実はいい繰入額をしているというような見方があるとかあるようでして、委員のおっしゃる考え方も否定は無論いたしませんが、やっぱり必要な額、所用の額はきちっと手当て、措置をしてきたとは考えております。
 そして、やっぱり、それでいながら何回も建て直し計画といいますか、やってきた理由はいろいろあるようでして、ここは今度またしっかりと洗い出して対応していきたいと考えております。ですから、今の御質疑に直接お答えするとすると、そういう面も否定はしませんが、県としてのやるべきことはしっかりやってきたつもりでおります。
○比嘉京子委員 では、次の議題にまいりますが、まず知事、沖縄県医療審議会県立病院のあり方検討部会というのを去年立ち上げられて半年ぐらい議論をしていただきましたが、この県立病院のあり方検討部会に知事としてはどういうことを議論してほしい、検討してほしいという思いで投げられたのでしょうか。
○仲井眞弘多知事 沖縄県医療審議会県立病院のあり方検討部会につきましての置かれた意味について、恐縮ですがこれを読ませていただきますが、「地方独立行政法人への移行は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応し得る運営体制を構築するため、人事、定数、予算など業務運営に関連する制度の改革が必要であるなどの認識から、総合的な組織改革の一環として提案をされたものであります。基本構想案は、公的医療の維持に必要とされる県の適切な財政負担を前提として、病院事業に対し今後とも急性期医療機関として県民に貢献できる運営体制の構築を提言しているものであります。」と。
 これは委員への答弁が逆になっておりますが、後半のほうが委員への答弁になろうかと思います。急性期医療体制をしっかりと構築して、未来永劫公的医療をしっかりやれるようにどうしたらいいかというのをいろいろ御提言、研究、検討していただく部会だと考えております。
○比嘉京子委員 ありがとうございます。
 この沖縄県医療審議会県立病院のあり方検討部会の目的というところを今いただいたんですけれども、先ほどから前田委員も確認されているように、いかに公的医療を守るかというところで、その前段で、やっぱりいかに沖縄県の県立病院の医療体制がよかったか、また、それをどう充実させて維持していくかということの前置きがありながら、中身は、言ってみれば財政赤字、債権問題、総務省のガイドラインの何やらあり方なのかしらと思うような内容の議論になっているわけなんです。
 それでいて、結論がもっと三段跳びをしていまして、それで独立行政法人化の方向のほうが十分にそれを達成できるのではないかというような方法論のところで帰結しているわけなんです。そのことについて、今、近隣から多くの不安が上がっています。特に宮古・八重山地域を初め、早速に知事のほうに要請もあったと思いますけれども、そこで、やっぱり私は県民がなぜなのかと、ここの中間部分が抜けているので、ぜひ、これこれこれは県民医療として担保しますよという強いメッセージと知事の意思表明が今求められているのではないか。ですから、この場でそれをしていただければと思います。
○仲井眞弘多知事 私どもは仕事の上では、今の沖縄県医療審議会県立病院のあり方検討部会で答申をまだいただいておりません。それをいただいて、それを踏まえて県立病院のあり方についての基本的な方向をきちっと出そうと思っています。無論それは我々がお願いした以上、その答申を最大限私は尊重しようと思っております。ただし、何のためにやっているかという原点は、まさに公的医療をしっかり守っていこう、特に離島の医療であるとか急性期、県立病院が今までいろいろやってきて県民から高く評価されているこの医療をしっかり守っていこう。しかし、このままではやっぱりこの6病院の経常赤字が続いている。資金繰りにも困っている。このままいったら逆に破綻しかねないから、この3年しっかりと改良改善をやっていかないと公的医療が守れなくなるおそれがあるということからすべてはスタートしているわけです。
 それを守ろうということですから、ぜひ県民の皆様も間違えていただきたくないのは、離島も含めて今までどおり、ないしは内容を逆に必要になる時代に合わせて立派にして、継続していこうというのが趣旨でして、無論方法として、特に組織運営の問題としてはこれまで何度も実は、地方公営企業法の一部適用、全部適用とかいろんなことで計画をつくったんですが、なかなか実際は赤字体質というか、収支差というのが埋め切れない。そして、なかなか運営が難しくなるという現実を踏まえると、今度の地方独立行政法人化というのは、むしろ否定するのではなくて、一つの立派な組織のありようとして、それを踏まえて今の公的医療をどう継続していくかを議論すべきだと考えているところです。
○比嘉京子委員 公的医療を現状より落とさない、そのためにどうやっていくかということは、一番は人なんですよね、お互いに今まで共通理解の上で。どうやって看護師を集めるか、どうやって医師を集めるかという問題が第一のキーワードになるわけなんです。そこは多分に知事と私どもは一緒になれるのではないかなと思いますが、いかがですか。
○仲井眞弘多知事 医療ですから、医者とか看護師、医療関係者の皆さんの人が第一です。おっしゃるとおりです。
○比嘉京子委員 知事、この予算特別委員会で明らかになった1つに、今回の県立病院、6病院の医療関係者が315人退職なさるそうです。定年退職は中でも9名なんですね。そのことについてですけれども、今集まっている人材をキープできない現状があるということは、紛れもない事実なんです。これで補正を5億円組んでいるわけなんです。そのことを考えますと、今一番心配されているのが、果たして沖縄県の、独立行政法人化の話が出ただけでも医師が集まるだろうかと私は危惧をしているわけなんです。将来的に独立行政法人化になるかもしれないという病院に人が集まるだろうかという心配さえているということなんです。
 そういうことを考えますと、やっぱり軽々しく独立行政法人化の話に持っていってはいけない。今のある医療さえも守れなくなる。そのことを私はもっと重視して吟味をいただいた発言であってほしいと思うわけなんです。そのことから言いますと、やっぱり宮古・八重山地域は早速勤務外の手当がカットされて、医師たちがボイコットをしています。そして、宮古・八重山地域は5割以上の方々が琉球大学医学部附属病院から派遣されています。琉球大学医学部附属病院もこれ以上待遇が悪くなれば考えなければならないとさえ言っているわけなんです。
 そういうふうに、今、医師の人材が流出のスパイラルに入ると手がつけられない。これはもう全国どこででも起こっているわけなんです。このことを踏まえて、これにストップをかける。このためには、何としても皆さんの医療に対する考え方を思い、これをぜひここではっきりとやっていかなければいけないと思うんですけれども、皆さん、知事がこれに対して歯どめになるようなお考えがあれば伺いたいと思います。
○仲井眞弘多知事 委員のお話で8割まで目的も含めて、私は同じ考えなんですが、途中から少し違ってくるなというのが、独立行政法人化イコール、ワルとか悪という、そうすると人が何か流出してしまうという方向へ、委員のおっしゃっているあれが流れている感じがあるんですが、これは一つの組織の形で、しかもこれは那覇市だとかいろんなところで、別にちゃんと使われている組織運営の一つの形なんですよね。ですから、私たちはこれは悪で、ノーで、県立病院の今の地方公営企業法全部適用のままが二重丸だと、こういう二論をかけて、これにマル、これにバツというようなことをやらないで、地方公営企業法全部適用は今、地方公営企業法全部適用のまま、あと3年はどうしてもこれが必要です。それで、その間、改良改善をしっかりやっていく。そして、次はどういう形、これは独立行政法人化も含めてですよ、これを初めからノーと言ったのでは、やっぱりかなり限定された範囲で我々は公的医療をどうやっていくかという話になりますから、これはむしろちゃんと受け入れて、ちゃんと研究をして、むしろ必要ならこういう方向へだあっと行くべきだと私は考えているところです。ですから、人が自動的にいなくなる、独立行政法人という言葉を聞いた瞬間人がいなくなるというのは、これはどうですかね。私はむしろ集まってくる可能性すらあると考えておりますが、これはしかし、答申をいただいてからきちっと方針を決めたいと思います。
○比嘉京子委員 この間の予算特別委員会で各県立病院長がいらしておりましたので、独立行政法人化になったときに医師の確保は担保できるのかという質疑をしました。そうすると、福祉保健部長はできますときっぱりと断言されました。県立中部病院の院長は保証できませんと。県立宮古病院・八重山病院に我々は、自分の病院の経営を守るために派遣できなくなる可能性がありますというお答えがあったんですけれども、では、今、どうも大きな見解の違いがあるようですから、ここで議論できませんが、現場の意向を重視していく、このことをスタンスとしてしっかり知事が持っていただければ、私は公的病院は守られていくと思いますけれども、知事としてまず現場の主張、意見を優先すると御答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○仲井眞弘多知事 委員おっしゃるように、私も可能な限り現場といいますか、その前線へ行ってお話を伺う、様子を聞く、勉強するという姿勢は、この県立病院のみならずいろんな面で私は持とうと努力いたしております。ただ、何といいますか、医者が医療に専念していただくのは第一です。あわせて、経営といいますか、公的医療を含めて、組織運営も含めてやっぱり考えざるを得ない事態になりつつあるというのも、これは事実ですから、いろんな御意見が僕は今あろうかと思いますが、ただ、頭から独立行政法人ノーという議論だけは、論理が飛躍し過ぎていると思いますね。
○比嘉京子委員 那覇市立病院とは次元が違いますし、それから独立行政法人化の問題ではもうきょうは議論しませんけれども、やはり公立の病院にいらっしゃる先生方はいい医療をしたい一心なんです。お金のことをカウントしたくないんです。そういうことを考えますと自治体の職員の医師というのは、やっぱり地方公務員法第30条によって適用されているところによりどころを持っておられるわけなんです。そこが独立行政法人化と大きく違うということをぜひ御認識いただきたいと思います。
 さて、看護師の集め方ですが、ほかの成功例といいますか、今、看護師の集め方としてはいろんな工夫が必要だと思います。やっぱり正職員でないと来ません。だから、やっぱり定数というところをどうしても手をつけなければ、幾ら地方公営企業法全部適用の権限、人、物、金を与えても、人事権がどうしても動かせない。そこにもう限界というものが今来ているわけなんです。検討している余地があるのかどうかさえも私は疑問に思うわけなんです。そういうことを考えますと、看護師だけは入試を早めるとか、教養試験をカットするとか、いろんな方法があるかと思いますので、ぜひ現場がどうやったらいい医療ができるのかということを中心に、知事が後押しをしていっていただきたい。そういうことに関しましてぜひ御意見をお願いしたいと思います。
○仲井眞弘多知事 今おっしゃる点は全くそのとおりだと思います。現場がいい医療をやれるような、どうしたらいい医療をやれるかというのを第一に置いて物事は考えていきたいと考えています。
○比嘉京子委員 やっぱりなぜ独立行政法人化するのか、反対するのかわからないと、副知事も要請に当たっておっしゃっていますけれども、そこのところをもう少し我々は勉強を一緒にやっていかなければいけないということで、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○奥平一夫委員長 休憩いたします。
   午後0時6分休憩
   午後1時22分再開
○奥平一夫委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、病院問題の質疑として仲村未央委員の質疑を行います。
 仲村未央委員。
○仲村未央委員 それでは、午前の前田委員、比嘉委員に引き続いて病院事業に関する知事の見解をお尋ねしたいと思います。
 今回の予算特別委員会の中で各県立病院の院長全員にこちらにお越しいただきました。そして、おのおのから率直な現場の声、現状認識について御意見を伺いました。そこで明らかになったのは、現場の先生方のおっしゃる意見と当局の意見が余りにも乖離がある。この開きがどこから生じているのかということについて私はお尋ねをいたしました。
 その1つが、独立行政法人化による影響、これが医師の確保にどのような影響をもたらすのかということについてお尋ねをしました。先ほどもありましたけれども、独立行政法人化になって医師の確保はできますかという問いに対して、福祉保健部長はできると迷わず明言をされました。これに対して、6病院の院長だれひとりとして、できるということをおっしゃらなかった。むしろ、独立行政法人化になることによる心配、今以上に特に宮古・八重山地域においては医師の確保が非常に厳しくなるのではないかといった率直な声、そして、主に派遣を担う県立中部病院長においてもやはり経営的な要素が非常に大きくなってくるにつけて、やりたいけれどもできないといったことに立ち至るのではないかという心配の声を聞かせていただきました。
 その違いを先ほど知事にも、やはり同じようにありましたが、知事も独立行政法人化によって、できないというよりはむしろ集まるということもあるんじゃないかというようなことをおっしゃいました。これについて、なぜそう思われるのか。つまり、我々が現場の意見を聞くと、だれひとりとしてそれをおっしゃらないのに、なぜ知事や福祉保健部長はこのことができるとお思いになるのか、その根拠についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
○仲井眞弘多知事 今の仲村委員の御質疑ですが、今までの県立病院がやってきた公的医療であるとか、幾つか公的医療の中で、離島関係であるとか、いろんなそういう仕事というのは当然公的医療そのものですから、しっかりこれはむしろ拡充をし、継続していくというスタンスをきちっとまず持っての話ですから、そういう中で、今の地方公営企業法の全部適用ということ以外の組織の姿、その運営は絶対だめでこれより悪くなると考えるというところから、僕らは今の、悪くなるということはとてもあり得ないと思うわけです。今までやってきたものがやっていけるように改良改善を加えて、次の姿形、地方独立行政法人法という中に書いたあのイメージです。しかも、現実に既にいろんな地域でやられているわけです。我々がそういうものもちゃんと検討して、それがよければそれがきちっとやっていこうということですから、医者、特に院長先生たちが今と違う姿形になると不安だという、この不安は無論理解できますけれども、しかし、このままでは公的医療を継続するのが難しい可能性すらある中では、新しい改良改善、組織、その運営、姿形も含めてちゃんと研究して、必要ならそこへ移っていこうというのは当然だと思うんです。何でそこに疑問があるかがちょっと、むしろ我々にはわかりかねるんですが。
○仲村未央委員 いや、私は今独立行政法人化が絶対だめですかというふうな質疑ではないんです。つまり、今、現場の先生方がその現場にいらっしゃって、全体の動向も見ながら独立行政法人化になることによる心配、懸念をどの先生方もやはり語るということは、私はそれなりに、現場の先生方が感じていることは非常に重みがあると思うんです。けれども、余りにも即答に、これはできるんだとか、むしろ集まるんだとかというこの言い方の根拠には、もっと自信に満ちた何かがあるのだろうと思ったからお聞きをしています。もう一度お尋ねをいたします。
○仲井眞弘多知事 それは、仲村委員、なぜなら我々が目指すのは公的医療拡充、むしろ継続できるようにしていこう、これは恐らくCSに近い、お客様というと変ですけれども、治療を受ける病院に来る人たちへの満足とあわせて、医者も含めて働いている人の環境をよくしようと、この2つが当然入っている話ですから、それを目指そうというときに、今の地方公営企業法全部適用から新しい組織なり組織運営の方向に移ることについては、新しいがゆえにある種の不安を持つことは別に否定はできないと思うんですが、そういう方向へ移ることは現実の例としても幾らでもありますし、これはよく整理整頓して、またこれから我々もその現場というか、病院へ出かけていって、何度でもお話をしたい、こう考えておるんです。
○仲村未央委員 ということは、そうあってほしいうという、それは知事の期待であり、希望的な観測であって、独立行政法人化になったら必ず医師が集まるんじゃないかとか、絶対できるんだという根拠があってのことではないということで理解してよろしいでしょうか。
○仲井眞弘多知事 それはそういう受け取り方をされるのは御自由ですけれども、しかし、そういう目的に向かって我々は行こうということであって、今、そもそも離島については医者もなかなかやりくりが大変だというのも現実ですよ。ですが、今このまま、より明らかによくする方向をねらって我々はやるんですから、全く宇宙開発でやっているわけじゃありませんで、現実の世界を見ながらベターな方向へしっかり行こうということですから、仲村委員がおっしゃる単なる希望的観測というわけにはそれはいかないですよ。そして、現実に沖縄県医療審議会で今審議している方々も、素人の集まりでも何でもないわけです。本当に医療をずうっと沖縄県でやってこられた、その専門家の人たちの意見を頭からノーと言うことがおかしいと思いませんか。
○仲村未央委員 いや、私は一言も頭からノーとも言っていません。それで、余りにも現場の皆さんがおっしゃることと当局が今おっしゃることが違うのですから、なぜそれはそうなんですかということを聞いたまでです。それで、私にはいまだに今の答弁では何ら明快な根拠は見えなかったわけなんですけれども。
 そこで、今、沖縄県医療審議会の先生方が議論をされている。私は、その中にやはり今の現場の方々の意見が反映されるシステムではなかったということがそもそものボタンのかけ違いがあるのではないかと考えています。というのは、沖縄県医療審議会という枠組みは、現場の職員を入れることが初めからできない。だからこそ、こんなにも現場の意見と今当局が思っている意見の差が出るのではないかと思うんです。そこら辺についてはいかがでしょうか。
○仲井眞弘多知事 確かに今おっしゃったように、病院の院長初め現場といいますか、病院そのもので従事している人々が独立行政法人という内容についての説明がまだまだ不十分だったということはあり得るかもしれません。ですから、これはこれでさらに時間をかけて丁寧に我々は意思の疎通を図りたいと考えております。
 さらに、今、委員のおっしゃったそもそもその沖縄県医療審議会の中に県立病院の院長なり皆さんが入っていないじゃないかと。これは入れないことにもなっているようですし、そもそもまないたのコイといいますか、この部分が委員としては入るほうがやっぱりおかしいと思いますよ。ですから、ヒアリングはちゃんとして、意見は沖縄県医療審議会で聞いているわけですから、その沖縄県医療審議会できちんと今の県立病院のよしあしをチェックし、議論していただくという形のものだと思っておりますが。
○仲村未央委員 まないたの上のコイといっても、本当にそこで現場を見ている方々の声なくして、一番欠けてはいけない方々の声をなくして、今一定の結論が独立行政法人化ということで示されていこうとしている。これに現場が納得していれば、それもありかもしれませんが、非常にまだまだ懸念がある。それで、その中身についてもお尋ねしたいんですが、それは予算特別委員会のときにもお尋ねをいたしましたが、独立行政法人化の結論に持っていく今の委員会の流れの議論の中で、知事、できないということがあるから独立行政法人化なんだといった議論の展開になっているんです。
 できないことが何かというと、ここで挙げられているのは定数条例であり、そして、人事採用の問題、そして予算の管理の仕方、これがいずれもやはり地方公営企業法全部適用の形式では無理なんだ、だから独立行政法人化がいいんだというような、あたかも自然に流れるような文章にはなっているんですが、実際に今回の予算特別委員会でも、これがことごとく地方公営企業法全部適用でできないことはないということが一つ一つ解明をされました。そして、それをもう既に地方公営企業法全部適用という形式でやっている、実践をしている、そういった事例も全国にはある。そうであるならば、こうだからこうだという、これができないから独立行政法人化だ、地方公営企業法全部適用ではこれができないから独立行政法人化だという、この流れ自体の議論の仕方が非常に不可解であるし、それこそ論理の飛躍があるのでないか、現状の認識と解決の仕方が余りにも飛躍しているのではないか、こういった指摘が委員から相次いだわけです。その点についてはいかがお考えでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の仲村委員の御意見は、確かにそういう部分というのはあるとは思います。定数条例であれ、これは議会でお変えになると言えばそれは絶対できないわけでもありませんし、予算というのはどんな組織でもやる話ですし、採用人事もですよ。ただ、今まで何回か、これは地方公営企業法の一部適用とかいろんな形が少しずつ違っていたにしても、この公的医療は今のこの一、二年から二、三年でしっかりと立て直しをしないと、やっぱり破綻しかねないという危機感は大抵の方は持っておられると思うんです。そういう中で、今の地方公営企業法全部適用のままでないといけないというのはかなり固定した議論で、やっぱり独立行政法人化という形も現実に那覇市でもやっていますし、あり得る姿でもあるんです。
 ですから、それはきちっと受けて、何もこの二段跳び、三段跳びでぼおんと独立行政法人化というのは出てきているんじゃなくて、地方独立行政法人法という法律があるし、あっちのほうも地方公営企業法というのがあって、それはそれなりの姿形で目標なり展開の仕方が少しずつ違うけれども、あり得る形ですから、何もぽおんと飛んだ姿というよりは、これはこれでちゃんと使える可能性が非常に強いから、やっぱり目標として持って、この方向も研究しようじゃないかというのは当然出てくる議論だとも思います。ただ、おっしゃったように、この理由でもってこうだからというのは必ずしも当たらないかもしれません。
○仲村未央委員 そうだと思います。地方公営企業法全部適用でこれができないから独立行政法人化なんだということは極端だと私は思っています。知事が、地方公営企業法全部適用じゃなければいけないんだと我々が言っているように聞こえるのは、私たちからすると逆に、独立行政法人化じゃないといけないんだというようなありきな議論をされているような印象をやっぱり逆に受けるんです。だから、今の現状の問題が何を求めているのかというと、一番大きいのは定数の問題であろうと。これは各県立病院長たちにも経営の部分と定数との兼ね合いを具体的にお尋ねしました。そうすると、やはりどなたもこの定数というのが今本当に必要だ、改正をして正規の職員で人を入れることが経営にとっては非常に大事なんだと、ここを強くどなたも強調されていた。これは非常に印象的です。
 そこで、今、私たちが考えるのはやはり独立行政法人化ありきとか地方公営企業法全部適用じゃないとだめなんだという議論ではなくて、まずできるこの定数ということを先に改正していく、広げていく、ここが第一歩じゃないかと。それが事業採算ベースに乗せていく中で一番必要な手段のまず1つであると私は思いますが、知事、いかがでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の定数の話は、確かに定数も7対1看護体制であるとかいろんな形で課題として、ないしは課題を解決する手段として、そこにメスを入れるないしは変えていくというのはあり得るとは思います。ただ、先ほどの比嘉委員にも申し上げましたように、病院事業局のほうでこの4月から研究チームを置きますので、この定数のところも、確かにプラスもあるんですが、これは給与水準であるとかいろんなところとやっぱり兼ね合いがあって、すべてがプラスに働くかどうかはちょっと深く研究してみないとわからない部分があるらしいんです。ですから、ここは少し研究させてください。7対1看護体制で働いてくれて経営的にもプラスになる要素と、また、給与水準とか何かによってそうでない場合もあり得るらしくて、こういうことも含めて専門的な詰めが必要なところは、ぜひこれは詰めさせていただきたい。そして、そういう研究チームをスタートさせることにしていますので、ぜひその結果をお待ちいただきたいと思うんですが。
○仲村未央委員 ぜひ速やかな研究、そして結論をお願いしたいと思いますが、知事、ひとつお尋ねしたいのは、今、沖縄県医療審議会県立病院のあり方検討部会の答申が今月に出されるという方向をお聞きしました。そして、予算特別委員会で知事はそれを受けて結論をいつ出すんですかと、運営形態も含めて、その答申に対してどういった結論をお持ちなのかというのをいつ表明されますかと聞きましたところ、この3月中に出されると。これはそのとおりですか。
○仲井眞弘多知事 この年度内に答申をいただけることになっています。申し上げましたように、私は、沖縄県医療審議会をスタートするに当たって、やっぱり答申尊重という基本だけは変えないつもりでおります。ですから、それをいただいて、なるほどということであれば年度内に方針を-基本方向ですよ-やっぱり決めることになろうかと思います。
○仲村未央委員 なるほどということには、私はならないんじゃないかと思います。というのは、先ほど来の議論を通じてやはり言えるのは、現場との、病院長たちとの、ほかの職員も含めての、余りの当局との認識の差がある。そして、じゃ、それがうまくいくんだという根拠を明快にお示しができない。しかも、地方公営企業法全部適用ではだめで独立行政法人化でないとできないということが何ひとつない今の中では、私は、知事がこれを受けてなるほどそうだと思って、今の再建計画の推移も見ずに、この3月に結論を出すなどというのは、今の流れからいくとあり得ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○仲井眞弘多知事 それは御意見としてはそういう御意見はあろうかと思うんですが、ただ、これから3年間かけて今の地方公営企業法全部適用の姿形で徹底した改良改善はやりましょう、さらに独立行政法人化に移行するにしても3年ぐらいは準備も要る。たまたまこのあたりが一致していますから、目標はやっぱり持ちながら、どこまで今の地方公営企業法全部適用で、3カ年ありますから、改良改善ができるかを見てみる必要はありますが、何のためにやるかというと、ある程度目標がないとなかなか物事はそこへ進めにくいという要素があるので、3年経過後、こういう方向を目指すという目標を持って改良改善に取り組んだほうが効果がきちっと出ると私は考えております。
○仲村未央委員 独立行政法人化の方向性を出して、その間だけ地方公営企業法全部適用をするということですか。
○仲井眞弘多知事 独立行政法人化を実際に実現するには、やっぱり3年ぐらいの準備期間がないとできないんだそうです。ですから、その間は今の地方公営企業法全部適用の形でそのまま推移していますから、その間、先ほど比嘉委員もおっしゃったと思いますが、85億円ずつでもちゃんと入れていって、運転資金であるとか経常赤字を解消しながら、きちっとしたシンプルでいい形の経営の中身にもしていくべきだし、それが必要だということなんです。
○仲村未央委員 やはりそれは余りにも現場の声を無視した、そして宮古・八重山地域を含め、地域の不安を無視した進め方にほかならないと思います。やはり一つ一つできることを、先ほど定数の問題など一致したところもありました。そして、独立行政法人化ありきでなくてももちろんそれはどのような運営形態でもとれる道というのが今まさに現場に必要なことであって、ぜひその部分の議論が先にあって、その上で2年後、3年後、その動向が出てきたときに結論があるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の仲村委員のお考えのやり方というのは、無論私は否定しません。ただし、現場の県立病院長初めいろんな人とのコミュニケーションはきちっとこれからも何度でもやるつもりです。確かにおっしゃったように、今あるかもしれません。そして、離島の石垣地域でしたか、この間お見えになっておられましたけれども、独立行政法人ノーという議論を始めるのもまたおかしいんです。ですから、いずれにしても、離島医療は公的医療の中核みたいなものですから、これはどうしても要るんです。救急医療もです。そういうものをやるための議論でありますから、ひとつそういう中で独立行政法人だけを否定するというのもやっぱり明らかにおかしいんです。ですから、これは幸いというか、3年ぐらいの期間が必要ですから、今の地方公営企業法全部適用のままどこまで改良改善、末永くやれる方向に本当に持っていけるか、これは徹底してやる必要がありますから、ちょうどこの重なっている二、三年が重要な時期だと思います。無論コミュニケーションで理解と協力というのは、我々、これから6つの県立病院の院長初め皆さんと徹底してやるつもりです。
○奥平一夫委員長 次に、県営林道開設問題について、仲宗根悟委員から質疑を行います。
 仲宗根悟委員。
○仲宗根悟委員 それでは、県営林道開設問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 その前に、まず知事のほうに、知事も先週現場を視察されております。そのことには高く評価を申し上げたいと思いますが、せっかく視察に行かれて、伊江1号支線、中には入らなかったというようなことの報道がなされておりまして、また、既存林道の問題で伊江原林道も見てこられなかったというようなことの報道がされておりました。非常に残念だなという思いがいたします。この伊江原林道は、最新の林道では、工事中の赤土流出、そして工事中たびたびのり面の崩落を起こして災害復旧工事で多額の税金が投じられた、その路線でもあります。ぜひここは見ていただきたかったなというような思いがいたします。
 私自身、林業振興、林業そのものには何の否定もいたしませんし、林業従事者の生活も奪おうとは思ってもおりません。しかしながら、現在まで進められてきたこの林道の工事が与えた自然への仕打ち、非常に身勝手だと思わざるを得ないんです。そこで、工事で出た残土が沢筋のほうへ処理をされている。切り出された土どめ用の木が崩落をして赤土流出防止の役目を全く果たしていない状況の箇所も見えるんです。そして、切り出された木が利用されずに放置をされている箇所もあるんです。このようなことが行われているのが今の実態だと私は言えると思うんです。
 それで、本県の林道計画、地図に当てはめますと、このヤンバルに林道がまるでハチの巣のように張りめぐらされているというのが見てとれます。全国的に、平均値と比べて、もちろん県全体では全国4.3%、県全体では3.8%、沖縄本島北部地域に関しては5.2%だと。国頭村に至っては9.6%もあるということで、全国平均よりもはるかに超えているんだというようなことなんですよ。現在ある林道で十分足りるのではないでしょうかというような議論もございます。私たちもそう思っています。今の林業の皆さんの年間収入も120万円程度であるというようなことがこの間の予算特別委員会でも明らかにされました。そこで、この林業従事者の自然環境を守りながら、そして、新しい雇用のあり方、仕事づくりを考えるべきだと今思っています。それからしますと、やはり亜熱帯の沖縄県にふさわしい林業がどうあるべきなのか。そして、本県の目指す環境共生型社会の形成、実現につなげるということを今後考えるべきだという思いで、次の質疑をしたいと思います。
 まず、林道についてでありますけれども、今申し上げましたように、ヤンバルの林道は全国平均よりも上回っているんだということに対しては、いかが認識をされていますか。そして、多い、もう要らないんじゃないのということに対しては、知事はどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○仲井眞弘多知事 今の全国平均より林道のウエートが高いんじゃないかという面は、沖縄県全体で見ると高くはないそうですが、ヤンバルではおっしゃるように高いということのようです。そして、もう要らないのではないかという点では、これはやっぱり国頭村長、大宜味村長、東村長、そして国頭村森林組合も行ってまいりましたが、現実にそこで仕事をしている人々がちゃんと仕事をやっていける、そして造林もする、伐採もする、そしてまた造林もするというようなことは、委員もおっしゃったように、産業としてはどうしても必要だと思うんです。ですから、そういう中で最少必要な形で林道というのはやっぱりどうしても必要だと思います。ですから、最近は環境にはかなりよく注意を払いながらやれるようになってきておりますから、ぜひ今度の林道については御支援をいただきたいと考えているところです。
○仲宗根悟委員 その工事そのものについて、冒頭にもお話を申し上げましたけれども、今回の予算特別委員会でも同じ質疑をいたしましたけれども、当局は最大限自然環境には配慮をしてきたと。そして、これからもしていくんだというようなことの答弁をいただきましたけれども、実際に私も見てきました。そして写真も撮ってきたんですが、切り出された残土が山のように積み上げられて、沢に残土処理として置かれているんです。一部では、全部とは言いませんが、崩落してもまたむき出しの状態で沢にどんどん流されていくというものが実態としてあるんです。そして、今度また土どめ用に使った、切り出された材木でやったところが、やはり雨や台風でしょうか、崩落をして、こちらも沢がつぶされているというような状況なんです。切り出された木も使用もしないで放置されて、こういった状況も見られるというようなことです。これが自然環境に十分配慮をした結果かというようなことなんですよね。
 そして、命をはぐくむ沢の消滅そのものというのは川の消滅を意味すると思うんです。川の消滅そのものはやはり海を殺してしまうんだ、死に導いてしまうんだというのが、源流の沢をつぶすことによって海をつぶす。海でも生活をしている、営みをしている方々だっていらっしゃるわけですから、この辺は十分、私たちが訴えたいのは、やはり自然を守るべきだということです。そのことについてはいかがでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今の仲宗根委員の自然を守るというのは、沖縄県じゅうそういう要素が非常に強いし、ヤンバルも非常に強いので、委員おっしゃるとおりだと素直に思います。今、写真でお示しになったところにつきましては、その後、おととし、平成19年3月には保全対策をきちっととったと事務方から報告を受けております。
   (「1週前だもの。うそだ。」「1週間前に我々は行っている。」「平成19年と1週間前では全然違う。」と叫ぶ者あり。その他発言する者多数。)
 ちょっと言わせてください。そのタイミングはもう一回確認させてください。そういうことで-1週間前ですか。ヤンバルの人々が、基本的には環境保全については我々が申し上げる以上に大変実は心を配っておられる方々ばかりで、長年やってこられた方々ばかりです。そして、昨今の環境保全についての重要性はヤンバルの人々もよく知っておられて、いろんな保全措置をしっかりと今やとっておられると私は考えております。ただ、今のその写真が去年、おととしのものじゃないんですか。ひとつ、そこはもし間違っていれば訂正しますので、もう一度教えてください。
○護得久友子農林水産部長 ただいま写真がございましたのは、いわゆる既設の林道の横のほうに、沢部に現在も残土が処理されているところがございます。
○奥平一夫委員長 休憩いたします。 ○奥平一夫委員長 再開いたします。
 護得久友子農林水産部長。
○護得久友子農林水産部長 現在、この写真の崩落現場につきまして、私たちも直接確認しておりませんので、現場を確認してまた御報告申し上げたいと思います。
○仲宗根悟委員 それでは、質疑を続けますが、今度は林業についてです。
 今回予定している伊江1号支線、そして伊江原支線なんですが、私も現場を見ましたけれども、伐開工事というのでしょうか、そのものは既設の今通っている道路から十分可能に、できるんじゃないのかな、あえてそこに支線をこしらえて伐開をやる意味もあるのかなと思っているんですが、既設道路を使用してできないかというようなことについてはどうですか。
○護得久友子農林水産部長 既設の道路はございますが、やはり今回予定の地区につきましては延長して道路をつくらなければ伐採ができないという状況でございますので、そういう計画になっております。
○仲宗根悟委員 知事も現場をごらんになられたというものですから、既設道路から十分できないのかなという質疑をさせていただいたわけなんです。今度は皆伐方式についてなんですが、地元の村長も皆伐方式に関してはやはり反省すべきところもあるというような発言をしているんです。その方法については、やはり知事もごらんになられたと思いますが、畝からこう来られて、沢を伝って、また畝に行くというようなことで、同じ質疑もしたんですが、やはり環境に配慮するという点では沢を残すとか、ある一定間隔をとったりというようなことができないかなと。それで十分とは言えませんが、環境に配慮できるような工法がないかなというようなことも提言させていただきましたが、面積を縮小してでも従来どおりのやり方をとっていくんだというような御答弁だったものですから、その点について知事はどういうお考えをお持ちなのかお聞きしたいんですが。
○仲井眞弘多知事 今の点については少し専門的な部分の理解が必要だと思うんですが、私にはちょっと十分なそれは持っておりませんが、ただ、同じような質問を私も当日、国頭村長とも質問というか、意見交換をした中で、少し改善の余地はあるだろうということは国頭村長も言っておられた。やり方はまだまだ研究をしてみたいというようなお話がありました。そういう点では委員のおっしゃるとおりだと思います。
○仲宗根悟委員 今度は林業従事者の雇用のあり方、それから産業のあり方についてまたお聞きをしたいと思います。今、道をつくる補助金が出る、木を切り倒し造林して補助金が出る、そして、植えた木の下刈り、除間伐等をやるにもまた補助金が出るといった、すべて補助金頼みで行われているということです。それで、本当の意味での産業振興だと言えないんじゃないのかなと。補助金に見合うだけの振興になっているのかというようなことなんですが、木を切り倒さなくても自然を残しながら、新たな雇用のあり方や、いろんな仕事づくりということを提案し、それから検討が必要だと思うんですが、そのことについて知事はどういう御見解なのかお聞きかせください。
○仲井眞弘多知事 今、委員の御質疑は、よく知っておられて御質疑されていると思いますが、木を切り倒さないで林業をやるというわけにはなかなかいかないようでして、造林もし、植林もし、そして山はちゃんと生き続けるということでして、そういうものと関連して、特に木の場合は木工から始まって、木くず、それからいろんなキノコの栽培も含めて、無論合板を含む板から、いろんな使い道が何種類もありますから、木そのものを活用するというのはどうしても要ると思うんです。ですから、私も専門家ではありませんが、切らないで木を使う方法はあるかというと、なかなかこれはないと思います。ですから、ここはやっぱり環境によく配慮しながら、造林をし、植林をし、そして山を生かし続けるということが重要であって、木に関係する産業が現実にヤンバルにありますから、それは我々は環境によく注意しながら、この産業そのものはきちっと継続し、安定的に拡大していくように支援すべきだと考えておりますけれども。
○仲宗根悟委員 知事、林業につぎ込まれる国庫補助金、林野庁が組み立てして、天然自然に、おっしゃったよう伐採ですね、それから樹種の転換ですとか拡大造林、それに補助金がどんどん出ていることは、そのとおりですよね。それで、これに対して環境省そのものは自然再生事業、各メニューや予算も用意しているんです。そこら辺にシフトするべきじゃないかと言っているんです。ですから、林業従業者そのものが今後もこのヤンバルのすばらしい自然、この地球上で沖縄県にしかない、亜熱帯にしかない、私たちの共有の財産なんです。環境省も世界遺産への登録の前提となって国立公園化に、誇れるように指定していくことを打ち出しているわけなんです。九州森林管理局の沖縄本島北部国有林の取り扱いに関する検討委員会も、この地域の自然は国宝の価値があるんだと。そして、代がえできる環境が極めて脆弱で、特別な地域と結論づけているんです。ですから、森林生態系保護地域と、指定の取り組みもまた進めているんですが、自然とのかかわり、それこそ自然と共生の営みを続ける新しい仕事づくり、雇用の場づくりということをやはり転換、シフトすべきだと思いますが、知事、どうぞ最後の英断をお願いいたします。
○仲井眞弘多知事 先ほどから申し上げているとおりで、今、委員のおっしゃったように、今の植林とか山の木というものはそのまま置いておいて、あとは環境関係でビジネスとしてちゃんと食べていける分ができれば、それが理想だと私も思いますよ。ですから、御提案のような解決の方法があるとすれば、ぜひ委員からも御提案いただければ我々も研究してみたいと思いますが、木そのものがやっぱり資材、資源でもあり、そして山そのものは、釈迦に説法で恐縮ですが、木を伐採したり植えたりしていくのが生きている山そのものでもあるようですから、ぜひここの兼ね合いが大事だと思うので、今おっしゃったような環境評価型だけでビジネスとして、今、向こうに生きている人々が暮らしていけるのであればそれはそれでいいと思うんですが、そういう解決の答えが出るかどうか。よく御存じだと思いますが、ぜひそういうことの手段としてでも林道は大切ですので、ぜひ御支援を賜りたいと思います。
○奥平一夫委員長 次に、中城湾港泡瀬地区埋立事業問題についての質疑を行います。
 まず初めに、玉城ノブ子委員から質疑を行います。
 玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 中城湾港泡瀬地区埋立事業問題について質疑を行います。
 昨年の11月に埋立事業に経済的合理性がないとの判決がございました。そして、この予算特別委員会の質疑の中で、そういう判決がおりたにもかかわらずなぜ埋立工事を強行するのですかと、経済的合理性があると判断したのであれば、その根拠を示してほしいということで質疑をいたしました。ところが、県は、第Ⅰ区域については沖縄市が見直し作業を進めている、より経済的合理性を高めるために行われるとの認識を示しているわけです。
 しかし、判決で明確に述べているのは、第Ⅱ区域については現時点においてその経済的合理性を認めることはできない、第Ⅰ区域についても現時点においては経済的合理性を欠くものと解するのが相当であると述べているわけです。これはどういうことかと申しますと、第Ⅰ区域も第Ⅱ区域も現時点では経済的合理性はない、今後公金を一切支出するなというのが判決の趣旨であるわけです。それからいたしますと、経済的合理性があるとする根拠はどこにもないということであるわけです。皆さんが根拠としてきたものは全く崩れていると言わざるを得ません。県民の税金を使ってこれ以上の埋立事業を推進すべきではないと考えますが、知事はどう認識されますでしょうか。
○仲井眞弘多知事 玉城ノブ子委員の今の御質疑ですが、私はある意味で、あの地域に第Ⅰ区域といいますか、あれだけの埋立事業はやっぱり沖縄本島中部地域の経済的な発展のスプリングボードといいますか、発射台になるとかねて私は思っておりまして、さらに800メートルにわたる前のほうの東側の砂浜にしても、沖縄を代表する実は立派な地域になる可能性を十分秘めて、もう完成間近まで来ていますから、一気呵成にこれは完成させて、中部発展の原動力にすべきだと私は考えているところです。
○玉城ノブ子委員 今私が知事に聞いたのは、この判決に対する認識を聞いているんですけれども、第Ⅰ区域についても第Ⅱ区域についてもこれは経済的合理性がないということで規定されているわけです。ところが、県の執行部は、今度沖縄市が見直しをするから、その見直しをしたときに経済的合理性が高まってくるということを言っているわけですよね。ところが、まだその見直しはもちろんやっていないわけですよ。判決で、現に経済的合理性はないですよと、これは公金を支出すべきではないということを言っているわけです。ところが、皆さん方はもうずっと埋立事業は推進しているわけですよ。この根拠になる計画そのものがもう崩れて、今ないわけです。その根拠のない中で、皆さん方は公金を使って埋立事業をそれでも推進している。それはちょっとおかしいんじゃないですか。県民に対してこれは説明責任を皆さん果たしていませんよと。この事業は本当に経済的合理性があって、今、知事がおっしゃっておられるようにこれは沖縄県の将来にとっても非常にいい事業になるというふうなことを、何をもって私たちは検証するわけですか。その根拠そのものが今ないじゃないですか。その認識を問うているんです。
○仲井眞弘多知事 経済的合理性がないのではないか、ないという判決が不服だから、我々は控訴をしているわけでして、それは土木建築部長のほうからも何度も答弁したとは思うんですが、平成12年のときの計画というものは、それはそれなりに経済的合理性を持っていて、それは合理性を欠くという判決にはなっていないと思うんです。それをさらに時代に適応、即応し、そして価値を高めるものにしていくということで、沖縄市は今、見直し作業をやっていると理解いたしております。ですから、判決の中身に不服といいますか、賛成できないから我々は今控訴をしているつもりです。
○玉城ノブ子委員 しかし、平成12年に皆さんがつくったこの計画は、そのときには経済的合理性がないとは言えないとこの判決に書かれておりますけれども、しかし、その後、皆さん方はその計画の検証をほとんどしてきていないわけですよね。それで平成16年の包括外部監査でこの計画は見通しが甘い、見直しを検討すべきだという厳しい指摘を受けているわけです。ところが、その指摘を受けてもなお皆さん方はその後、その埋立事業の検証もしないし、確認作業もしていないわけです。そのまま皆さんは埋立事業を進めてきているわけです。その結果、今度の判決でこの事業については経済的合理性がないという判決になったわけです。これはもう明確じゃないですか。だから、そういう意味ではこの計画を進めていく根拠は全くないということが今の状況ではないですか。ですから、皆さんがこれは経済的合理性がある、経済的合理性を高めることができるというのであれば、その根拠を示していただきたい。その根拠を示すことができなければ、やっぱり埋立事業はストップすべきですよ。
○仲井眞弘多知事 泡瀬地区埋立事業は地元からの強い要請に基づき実施いたしており、沖縄市長も市の経済活性化へつなげるため、現在工事を進めている第Ⅰ区域について推進を表明いたしております。また、沖縄市議会でも圧倒的多数で事業の早期完成を求めております。県としましては、地元の要請にこたえるためにも土地利用計画見直し後、早期に土地利用が図られるよう国や市と連携を図りながら事業を推進していきたいと考えております。
 いずれにしましても、今、この前段階で、委員おっしゃったように、確かに検証、それから確認というのも今の沖縄市による見直しの中に入っていると理解をいたしておりますし、我々としては今の判決そのものに不服といいますか、理解できないということで控訴いたしているわけでございます。
○玉城ノブ子委員 この泡瀬埋立事業には、今回の予算の質疑の中でも489億円という莫大な税金がつぎ込まれようとしているわけなんです。そして直近の埋立事業に県は39億円をつぎ込もうとしているわけですよね。そういう意味では、県民の税金が、この埋立事業に莫大なお金が今使われようとしている。ところが、今度のこの埋立事業そのものには経済的合理性がないということでの判決も出ているわけですよ。県民からすれば、そういう埋立事業を推進する根拠がないにもかかわらず、この埋立事業がどんどん進められていく。これに対して、これはおかしいんじゃないですかという声がやっぱり上がっているわけですよ。知事は、県民のそういう声をしっかりと聞いていくという姿勢はあるのでしょうか。
○仲井眞弘多知事 私も選挙に当選したということは県民から負託を受けて仕事をしているわけでして、県民多数の声を聞きながら仕事をしているつもりです。そして、今の埋立事業というのがここまで来て、かなりいい形になってきていると思いますし、第Ⅰ区域について干潟に影響というのは、計算上は2%ぐらいしかありませんで、98%残ることになった工夫はいっぱいしているわけですよね。ですから、逆にここまで来ている事業は早目に完成させるべきだと私は思っております。それで、先ほど申し上げた、沖縄市議会の圧倒的多数の議員の、まだしっかりこれは早期に完成させたいと言っておられるし、沖縄市長もそう言っていますから、まず地元の意見がそういうことでありますから、当然これは進めるべきだと私は思っております。
○玉城ノブ子委員 皆さん方が各地、各部のほうで県民に対してアンケート調査をやっているんです。このアンケート調査の結果が今出ているんですけれども、このアンケート調査に対して県民の皆さんはどう答えているかというと、要するにこういう公共事業については、環境保全に対する考え方ということで県民の意見を聞いているんですけれども、経済的な振興も大切ですけれども環境保全を優先して推進していくべきだと64%の皆さんが答えているんです。環境保全をもっと大事にするような事業を推進してほしいというのが多くの県民の願いであり、要求であるということなんです。これについてはどう考えますか。
○仲井眞弘多知事 一般的な考え方としては、非常にわかりやすくてそのとおりだという面が強いと思いますよ。ただし、今の沖縄市の泡瀬地区埋立事業については、委員もごらんになったと思うんです。あの干潟は第Ⅰ区域についてはほとんど影響を受けていませんからね。そして、そういうことで進んでいる。あれは沖縄本島中部地域の物すごい財産になると私は考えているところです。環境と非常にうまく共生しているものだと理解しております。
○玉城ノブ子委員 今度の予算特別委員会でみんなの共通の認識になったのが、沖縄県の自然は世界に誇るすばらしい価値あるものであるということなんです。泡瀬干潟は貴重種の動植物がたくさん残されている地域です。そして、沖縄最大の渡り鳥の中継地であり、休息地であり、越冬地になっているところです。最近も新種のツバサゴカイというのが発見されて新聞にも大きく報道されております。オーストラリアのシギ・チドリ研究グループの副議長のフィル・ストローさんが、泡瀬干潟を視察して、干潟を壊し、小さな面積を残して保全するのは全く意味がない、生息地域が小さくなれば水鳥の個体値が減少して、現状のままの自然環境があってこそ全体の生態系が守られるということを強調しているわけです。
 そして、世界の湿地保全に取り組む国際機関のラムサール条約事務局が中城湾港泡瀬地区埋立事業について、工事計画が完全に実施されてしまうと干潟とその周辺生態系にとって深刻な悪影響が生じます、それを回避することは困難になってきますということを厳しく指摘しているわけなんですよ。これについては、私は本当にこの泡瀬干潟、沖縄県の宝であるこの豊かな自然を後世に引き継いでいくのが県知事の果たすべき役割だと思うんですけれども、知事はそう認識なされないんですか。
○仲井眞弘多知事 今、玉城委員のおっしゃったとおりに近い認識をしております。それで、あの工事そのものは、そこをかなりきちっと踏まえていると私は理解をいたしております。小さい干潟を残し、全部が影響、ダメージを受けるというような、どなたかの引用を今されております。そういう表現って、間違っていますよね。ですから、これは正確じゃないと思うんです、例えばですが。ですから、これはもっと正確にどれぐらい干潟が残り、どういう状況に今あるかというのはもう少しきちっと我々も広報が必要だとは思いますが、非常に一面的、しかも、何といいますか、正確でない情報が満ちあふれているような感じも受けております。
○玉城ノブ子委員 知事のそういう認識には本当に、ああ、これではもう知事の―県民は本当にがっかりしますよ、そういうふうなことをおっしゃられると。皆さん方が文化環境部でこういう冊子を出しているんですよ。文化環境部のこの冊子、本当にすごい、すばらしいことが書いてあるんですよね。「琉球諸島のサンゴ礁は世界でも高緯度の地域に位置して、約380種類のサンゴが見られます。そして、サンゴ礁は海の森に例えられ、そこをすみかとする海の生き物にとって命の揺りかごです。海岸までの浅い海はイノーといい、魚介類などの食糧、建材料などの供給源として昔から人々の生活に欠かせないものです。サンゴ礁は台風などの大波から陸地を守る天然の防波堤、ダイビングなどのレジャーの場、自然の仕組みを学ぶ場として限りない恩恵を私たちに与えています。先人たちは自然を敬い、恐れることとともに、必要なものを必要な分だけ調達することで長きにわたってその豊かな恵を受けてきました。自然を守ることで私たちの暮らしが守られる。現代に生きる私たちは、この知恵を受け継ぎ、そして次の世代へと引き継いでいかなければならない。」と。こういうことを訴えているわけですよ。これは自然を守ることが私たちの暮らしを守ることなんだということを言っているわけですよね。これについてどう認識されますか。これは県の文化環境部の出したパンフレットですよ。
○仲井眞弘多知事 まさにそのとおりだと思いますから、そういう方向で我々は工事、そして社会基盤整備、産業基盤整備をまさにそういう考え方を踏まえて丁寧にやっているつもりでございます。
○奥平一夫委員長 前田政明委員。
○前田政明委員 中城湾港泡瀬地区埋立事業問題について質疑します。
 私は、知事の判決に対する考え方となっておりますが、知事はこの泡瀬地区埋立事業の判決は国際的にも大変注目されているんです。諫早湾の排水門を僕も見てきましたけれども、死の海から開放するための長い戦いの中で判決が一定下された。不十分だけれども。しかし、この泡瀬地区埋立事業の問題も、バブルの時代に公共工事を発注して、その当時であれば、いろいろあるけれども、判決でも不十分だと言っているんですよ。違法性がない、違法性という断定はできないけれどもということで。そういう流れの中で、このバブル時代に決めた環境破壊のそういう事業計画がそのままでいい、これはおかしいじゃないかという全国の公共工事の見直し、そして税金の使い方、それから新たな環境保全の問題についても、そういう面では極めて注目される判決なんですよ。これは国際自然保護連合を含めて国際的に注目されています。この中で日本政府が、この沖縄総合事務局が工事を強行していることは、これはもう蛮行ですよ、私の言葉で言わせれば。生き埋めにする。このサンゴの状況が示されているにもかかわらず、そして環境アセスメントが不十分で、その後、この運動関係者の皆さんの努力で貴重な固有種、ここしかいない、こういうのが発見されている。そして、先ほど玉城ノブ子委員が言いましたけれども、琉球列島自然遺産登録。本当にこれはかけがえのない私たちの沖縄という亜熱帯性の、地球的な規模で、同じ緯度で言えばほとんど砂漠だと聞きます。その中で本当に大事な自然ですよね。そういう面では、そういうことを踏まえて、知事、この裁判が与えている国際的な、全国的な影響についてどのように自覚されておりますか。
○仲井眞弘多知事 今の前田委員のお話の中で、沖縄県が自然環境という面で大変に貴重な地域であるということは、私どもは重々認識をいたしております。そして、そういう中で生活基盤、社会基盤を我々は苦労しながら長年建設もし、やってきた、この兼ね合いの仕事というのは絶えずつきまとうわけでして、今おっしゃった泡瀬地区についてもそういう議論が長年行われてきた例だと考えております。
○前田政明委員 知事、判決に不服だということですから、勝利の確信というのはあるんですよね。だからやるんですよね。そういう面では、皆さん当然事務方を含めて、もう堂々と、いつでもどこでもこの不当な判決だということは立証できるつもりで頑張っているんですよね。答えてください。
○仲井眞弘多知事 それは当然だと思います。
○前田政明委員 控訴審の理由を提出するのは50日なんですよ。ところが、今なお出ていないんですよ。裁判所は、出せるかと。4月22日までに出しなさいと言っているんですよ。それで、事務方は沖縄市のほうが控訴理由の提出延期願を出しているので、県もそれに伴って提出がおくれているといいますけれども、知事、あなたの強い、この裁判に対して不服だということだったら、これはどうして今控訴-沖縄市とは関係ないですよね。沖縄県としてなぜ控訴したかという文書がなぜ今出ていないんですか。
○仲井眞弘多知事 沖縄市とよく調整をしながらやるという内容のものですから、沖縄市のほうで少し時間がかかるということで延びているようですから、やっぱりそれを待って、やるということですよ。
○前田政明委員 知事、合理的理由がないと裁判は言っていますよね。これは知事としてはどう理解しているんですか。いわゆる、今度は経済的合理的理由と、そこですけれども、知事としては-私としたら、ああ、理由がないんだなと。もう100日たっても出せない。そういう状況のもとでは、知事が言っている認識と全然違うんですよ。これは高等裁判所ですから、もう事実関係を認定して、早目に決着がつくんですよ。ところがそうでないというのはどうしてですか。
○仲井眞弘多知事 少し、私の頭の回転が悪くてよく理解できないところがあるんですが、沖縄市との調整が必要な案件ですから、沖縄市が、今、代理人がかわったということでまたいろんな勉強をされているようで、それを待っている状態で、裁判所もオーケーだと言っている中身ですから、そういうものなんですけどね。
 ちょっとかたい御返答になるんですが、昨年11月の判決につきましては、きちっと受けとめておりますが、しかしながら、判決においては平成12年の埋立免許時点の土地利用計画が経済的合理性を欠くとまでは言っていないということであります。現在、沖縄市において進められております土地利用計画見直し作業は、平成12年の計画を検証いたしますとともに、社会経済情勢の変化に対応し、より経済的合理性を高めるために行われているものと認識をいたしております。
○前田政明委員 では、私もかたい質疑をしますけれども、これは判決です。「現時点における経済的合理性の有無」と。現時点です。「沖縄市が行う本件海浜開発事業について 被告市長による平成19年12月の本件方針表明は、第Ⅰ区域については、工事の進状況からみて推進せざるを得ないが、土地利用計画は見直しが必要である。第Ⅱ区域は、第Ⅰ区域へのアクセス等の点についての検討は必要であるものの、計画自体の見直し(すなわち、計画の撤回)が必要であるとするものであると解されるところ、本件埋立事業等のうち、第Ⅰ区域に係る事業について、被告市長あるいは沖縄市としてどのような見直しを行い、第Ⅰ区域に係る本件埋立計画地において、どのような土地利用を行うか、また、その新たな土地利用計画に係る経済的合理性等についてどのように検証したのか等、何ら明らかにされておらず、本件方針表明は、具体的な土地利用計画が何ら定まらず、したがって、当然のことながら、その経済的合理性についても何ら明らかでないまま、第Ⅰ区域における埋立工事が相当程度進んでいるという事業の進状況を追認する形で、第Ⅰ区域に係る事業を推進しようとするものというほかない。また、本件方針表明は、第Ⅱ区域については、基本的に見直す(計画を撤回する)というものであり、現時点において、第Ⅱ区域に係る事業について、その経済的合理性を認めることはできない。以上のような本件方針表明の内容や、本件方針表明において推進が表明された第1区についても、具体的な土地利用計画は何ら明らかでないことに加え、平成12年時点における本件埋立事業等の計画自体、経済的合理性を欠くものとまではいえないものの」、次なんですよ。「その実現の見込み等について、疑問点も種々存することをもあわせ勘案すると」、不十分だと。それも含めて勘案すると「現時点においては、沖縄市が行う本件海浜開発事業について、経済的合理性を欠くものと解するのが相当である」ということで判決が出ているんですよ。
 だから、そういう面では、12年前の事業計画というのは、白紙撤回でないというのが判決の趣旨じゃないですか。
○仲井眞弘多知事 その12年のときの判決の骨子の中で言っているものは、欠くものではないと言っているわけですよね。合理性を欠くというものではないと言っているわけで、沖縄市が見直しをしているのは、そういう欠くものではないのをベースに検証し、時代に対応できるようにやり、なお経済的合理性の価値を高めるためにやっていると我々は考えているわけですよ。
○前田政明委員 こういう日本語の読み方はだめなんですよ。だから、欠くものとまではいえないものの、その実現の見込み等について、疑問点も種々存することをも併せ勘案するということで、違法とは言えないけれども不十分だと。これも含めて、みんなひっくるめて結論を出せばこういうことなんだということなんですよ。だから、これは本当に、私どもから、僕からすると、とんでもないゆがめ方だと。
 それで、じゃ、沖縄市は、県も含めて、経済的、合理的理由がないといけないと。これは高等裁判所ですよね、知事。高等裁判所は、地方裁判所で判決して、事実認定を含めて、速やかにどんどん進むんですよ。そのときに、じゃ、沖縄市はどうしているか。沖縄市の計画はいつまでできますか。合い議して相談しているなら、大体めどはわかりますか。
○漢那政弘土木建築部長 現在、沖縄市で作業をされています土地利用計画の見直し、100人ワークショップ等々、作業を進めておりまして、沖縄市のほうでは平成21年度中に土地利用計画を策定すると聞いております。
○前田政明委員 これは土木建築部の予算特別委員会でも言いましたけれども、うちの国会議員が超党派で東門市長に、ごり押しはしないよねと尋ねて、いや、ちゃんと市民の声を聞きますということで、今やっとワークショップですか、100人ワークショップで市民の声を聞いているんです。これは半年ぐらいでできるものじゃないんですよ。それを間に合わないからといって、市民には押しつけませんということまで言っているわけです。だから、50日で出せるものを、100日ですよ。普通だったら半年ぐらいで高等裁判所の判決が出てもおかしくないんですよ。そういう面で、本当に道理がない。そういう面では皆さん、知事、負けたらどうしますか。今、支出をしていますね。工事を強行しておりますね。これは地方裁判所の判決が確定したら、知事はどういう立場に置かれますか。
○仲井眞弘多知事 文字どおり、仮定の議論にはお答えできません。そして、先ほどから申し上げているとおりの方向で控訴をし、我々は向こうの泡瀬の埋立事業が中部地域の産業振興、生活基盤の向上に大変に効果を持つと考えて、やっているところでございます。
○前田政明委員 一切の公金の支出を禁止する。すなわち不法行為ですよ。判決が確定すると、損害賠償の対象ですよ。そのときに、知事が払いますか。これは想定問題といいますけれども、これは裁判の流れとしての問題ですから、覚悟が要りますでしょう。これは判決が確定したら、今強行しているのは不法行為ですよ。損害賠償の対象となりますよ。それを知事が払いますか。
○仲井眞弘多知事 仮定の御質疑には答えません。答えられません。
○前田政明委員 林道の問題もしかりですけれども、知事はステレスが大好き、自衛隊大好き、カジノ大好き、そして環境破壊、本当に何とも思わない。そして、肝心の貴重種があってオーストラリアの大臣からも、渡り鳥の拠点として残してほしいと。ここにラムサール条約登録湿地を増やす議員の会というのがあるんです。泡瀬干潟はラムサール条約に匹敵する、そういう貴重なところとしてほとんど認識されていますけれども、これについて知事はどう思いますか。
○知念建次文化環境部長 ラムサール条約についてお答えいたします。
 干潟とラムサール条約に登録する条件として3つございます。1つは、国際的な基準に合致する重要な湿地であるということ、2つ目は、例えば自然公園法、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律などにより将来にわたって自然環境の保全が図られるということ、3つ目は、地元の自治体や住民の登録への賛意が得られるということになってございます。泡瀬干潟につきましては、現在、冬鳥のムナグロの数が国際基準を何とか上回っていますが、そのほかの条件についてはまだ満たしていない条件でございます。状況としまして、国は今後ともモニタリングを続け、地元の意向を十分注視しながら、将来的に登録地としての可能性を検討するという段階でございます。
○前田政明委員 世界自然遺産登録は、私は本当に沖縄の未来を切り開くものだと思いますけれども、知事、これは真剣に考えているんでしょう。沖縄の琉球列島の存在価値からすると、知事も琉球列島自然遺産登録がやられたほうがいいというふうなお考えですよね。
○仲井眞弘多知事 琉球列島全体が世界自然遺産登録できるかどうかはテクニカルな部分が残っていると思いますが、我々が沖縄の島々、地域で持つ貴重な自然環境上の価値というのは世界自然遺産に登録されるべきものだと思っております。
○前田政明委員 前も読んだんですけれども、さっき玉城ノブ子委員が読んだのと違うんですけれども、これは県が出しているんですけれども、最後に読んで終わります。
 琉球列島と同じ緯度に位置する世界の亜熱帯の国々は、中緯度乾燥帯となっているため雨が少ない地域となっていますが-これはほとんど砂漠。琉球諸島の島々はほぼ1年じゅう雨に恵まれています。琉球諸島の森林は湿帯云々を含めて、知事、世界的にも貴重なところなんですよ。だけど、知事がやろうとしているのは名護市辺野古の基地をつくり、沖縄市泡瀬の破壊、もう東村高江を含めて、言っていることとやっていることが違うので残念でなりません。早く知事を変えたいと思っております。終わります。
○奥平一夫委員長 休憩いたします。
   午後2時59分休憩
   午後3時8分再開
○奥平一夫委員長 再開いたします。
 山内末子委員。
○山内末子委員 最後になりました。残り物に福があるという言葉がありますので、きょう、私の最後の質疑ですので、きっと知事からいい答弁が引き出せるかなということをお願い申し上げまして、質疑に入りたいと思います。
 まず最初に、この問題につきましては、今、県内外、世界各地からも本当に注目されている事業だということで、さきに、公共事業をチェックする会、国会議員がつくっております。超党派の皆さんが泡瀬の問題を視察もしながら、この問題につきましては沖縄市の計画見直しが出るまでは凍結すべきじゃないかというようなことで県のほうにも申し入れがあったかと思います。その件につきまして副知事のほうが応対をいたしましたが、その件につきましてどういう御見解を持っていらっしゃるのか、まずそのことからお願いいたします。
○仲井眞弘多知事 山内委員の今の御質疑の点は、たしか安里副知事が受けたと思うんですが、そのときに我々のほうで申し上げた点は、今の中城湾港泡瀬地区の埋め立てが早期実現をするようにということと、東埠頭がきちっと使えるように、そして企業誘致その他がきちっと展開していけるようにということでお願いをしたと聞いております。
○山内末子委員 安里副知事はそう答えておりますけれども、知事としては今、国会議員の皆さんがそういうことで知事に直接にお会いしたときにどういう答えを持っていますでしょうか。
○仲井眞弘多知事 安里副知事と基本的には同じです。特に今、中止、中断というわけにはいかないということがあると私は考えておりますし、ぜひともこの案件は早く完成をさせて、そしてうるま市、関連している基盤整備、そして企業誘致、経済振興、雇用の拡大ということへもっともっとつなげていければと考えております。
○山内末子委員 この問題につきまして、知事は先ほどからの答弁の中でもありますように、沖縄本島東海岸活性化の必要性、沖縄本島中部地域の活性化の必要性ということをよくおっしゃっております。今の答弁にもありました。FTZの問題、そことの関連との中で、本当に今のこのFTZの関連と東部開発の問題と、このしゅんせつがなければFTZももう破綻に近い。今のこの問題が解決にならなければFTZの問題はどうなるんでしょうか。そことの整合性についてお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 今の委員の御質疑の中での特別自由貿易地域がどんどん拡大する方向で持っていくために、我々も今努力をしているところであります。そういう中で東埠頭が供用開始されるということは非常に大きな意味があると考えております。国際航路も定期航路も開設しやすくなると思います。いろんな意味で特別自貿地域の価値、使い勝手、展開の光がはっきりとまた見えてくると考えております。
○山内末子委員 方向性をちょっと変えますけれども、先ほど来、経済的合理性につきましては沖縄市の問題だということがありました。その中で、裁判の後に知事は東門市長と実際に会談したことがございますか。
○仲井眞弘多知事 ありません。
○山内末子委員 この問題は、沖縄市だけの問題でもありません。そして、県だけの問題でもありません。市と県と国との連合した問題であるだけに、裁判の結果が出た時点で実はあちらからは沖縄市に聞けばいいんじゃないか、県で聞くことではないんじゃないかと、いろんな問題をいろんな議員がおっしゃいます。しかしながら、総合的に考えなければならないと思います。裁判の基準が経済的合理性がないといった時点で、私は、知事は、政治的スタンスをもって東門市長としっかりとこの点について、まずは協議をする、このことが一番スタートではなかったのかなと考えておりますが、その件について、する必要性がなかったのでしょうか、どうでしょうか。
○仲井眞弘多知事 今御指摘を受けて、あったほうがよかったかなという気もしますが、ただ、実務的には無論沖縄市長さんの御意向を受けた沖縄市の方々、そして我がほうの土木建築部長、副知事も含めて、泡瀬地域の事業についての展開はよく意見交換をしている状況にございます。
○山内末子委員 これまでの沖縄振興開発の体制の中でとりわけ合理的な事業について、計画的な立案が県独自でできない仕組みになっているんですよね。そういった観点からしますと、高額補助ですとか初期経費が安価ですとかそういうものに本当にすぐに取っつきやすい事業を、効果ですとか妥当性の認識とか、そういうことを、県も市もいろんな意味で妥当性が低い、認識が甘かったと、この裁判で行政に対して、もうそういう時代ではないですよということでの判断だったと思うんですよ。司法判断がそういうことでやったと思います。本来でしたら、司法は本当はしっかりと行政がやってもらいたかった、しかし、今の行政がそういう認識が甘いということで経済的合理性がないという判断になったんだと私は認識をしておりますが、知事の認識についてお聞かせください。
○仲井眞弘多知事 今、山内委員が言われたように、例えば補助率が高いからとか、制度上のメリットがよりあるからということだけで事業をやるというわけにいかないというのは、まさにおっしゃるとおりで、我々は文字どおりいろんなプロジェクトそのものというのは、ちゃんと目的が利にかない、そしてその時々の県市町村にとってまた必要なことを我々は一緒になってやっていくべきものであると考えております。ですから、今度の司法判断といいますか、この判決を読んでみても、やっぱり僕らとしては納得しがたいということで控訴に踏み切ったということでございます。
○山内末子委員 納得しがたいというところなんですけれども、私たちから考えますと、司法からストップがかけられている、そこの本質的な部分をやはり行政はしっかりと対峙しなければならない、その対峙をしていないというところが今問題だと思います。実際に、司法のほうからこういう形で公共事業について支出をしっかりとしなさいという判断が出たわけですよ。それに対して県がなぜ控訴をしたかという、その根拠も説明責任としてなされていない。県民はそれをしっかりと理解できないような、説明責任がなされていないというところに問題が出ている。その説明責任についてもう一度、さっきからありますけれども、まだまだ私たちが理解のできない説明になっております。もう一度お願いいたします。
○仲井眞弘多知事 申し上げますが、沖縄市が現に見直し作業を進めている時点で具体的な土地利用計画の見直しが定まっていないことをもって、経済的合理性を欠くとは言えないということですから、このため、むしろ判決を不服として平成20年12月2日に控訴したところでございます。
○山内末子委員 根拠のない説明で、本当に議論が平行線になりますけれども、それでは、先ほどありました、ただいま控訴しております、その中で、敗訴になった場合に知事は、仮定のことには答えられないとおっしゃっておりますが、現実に判決が来ます。そういった場合に、知事といたしましてはこの判決が下った場合に計画性を持って対峙をしなければならないかと思います。それは、損害賠償については知事としてその損害賠償を払うのか。それとも行政のトップとして、沖縄県の知事として、もし敗訴になった場合の、その支出はどこから来るのか。これは計画性を持っていなければならないと思います。仮定ではなくて、やっぱりこれは現実に来るんですよ。そういう問題についてしっかりと対峙をしていただきたいんですけれども、もう一度お願いいたします。
○仲井眞弘多知事 委員のおっしゃる対峙という意味が、私にはちょっと正確にはわかりにくいところがあるんですが、いずれにしましても、今敗訴した場合とか、裁判を今やっている最中に何々の場合、かにかにの場合とおっしゃられても、答えようがないと僕は思うんですよ。ですから、やはりこれは、これまでやってきた仕事をなるべく早く、ぜひ完成をして、沖縄本島中部地域における経済的基盤の拡大、雇用の確保にぜひとも委員のお力をむしろかしていただきたいということでございます。
○山内末子委員 それでは、いろんな流れの中で、先ほどもありました中城湾、再評価のスケジュールについてです。再評価が平成21年度中に出てきますけれども、その中で答申が平成21年度になされてくると思います。そのことについて、なされたことの尊重について、知事はどうお考えでしょうか。
○漢那政弘土木建築部長 沖縄県公共事業評価監視委員会の件だと思いますが、中城湾港泡瀬地区の港湾環境整備事業、県事業でございますが、平成22年度において事業採択を10年経過することから、平成22年度に再評価の対象事業となります。同事業の再評価につきましては、事業をめぐる社会経済情勢の変化等を考慮して、平成21年度中に実施したいと考えております。
 当該事業の継続につきましては、沖縄県公共事業評価監視委員会の答申を踏まえ、総合的に判断していきたいと考えております。
○仲井眞弘多知事 今の答申は基本的には尊重いたしますが、それを踏まえて総合的に判断したい、こういうことでございます。
○山内末子委員 この沖縄県公共事業評価監視委員会の実施要綱なんですけれども、第4項の規定で再評価を実施する場合においては、その事業を担当する部長が判断することになっておりますけれども、こういう大事な事業ですから、これは要綱を変えてでも、私は部長ではなくて知事がその判断を、やるかどうかについても判断を知事のほうでやったほうがいいかと思いますけれども、その要綱を変えてでもというところで、知事の御意見をお願いいたします。
○仲井眞弘多知事 委員のおっしゃったように、要綱を変えたらどうかということですが、変えなくても私のほうで、先ほど申し上げましたように、答申は尊重しつつも、しかし、総合的に判断するという中で、私のほうで指示をしたり、総合的な判断をすることが可能だと考えます。
○山内末子委員 そういう知事の判断、英断というのはとても大事なところだと思っております。そういう意味で、ぜひ今回のこの事業につきましては、先ほども言いました、本当に全世界じゅうからも注目されているところなんですよ。だからこそ、中断をして、本当に慎重にしてほしいというのが皆さんの願いなんです。
 先ほど知事は、環境問題についても一面的なところからでは判断ができないということがありました。正確でない情報というような言葉もありました。いろんな情報があるんです。いろんな情報があるからこそ、しっかり立ちどまって、しっかり精査をする必要性、それがあるからこそ、そういうことをやってこそ、初めてこの事業について本当に合理的に進められるものかどうかというものを行政は判断していかなければならないんじゃないか。そういうような考え方を皆さんが持っているわけなんですよね。
 今回、この議会の中で-司法は知事にもそれから沖縄市長にもストップをかけたんです。私たち議会が皆さんをしっかり監視しないといけないということで、今これだけ大きくこういう質疑をしておりますので、そういう意味でぜひ知事の判断というものを仰ぎたいところでございますが、今、全国的にも本当に大きな公共工事の中止があります。大戸川ダム建設反対、これは滋賀県で、4県がしっかりとまとまって、これまでの長い長い事業の中でそういう判断が下っているんです。それからまた、長崎県でもこれまでの長い長い歴史の中で公共工事がストップしていく。そういう流れについて、今、こういった2つの事例がありますけれども、知事はどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お願いいたします。
○仲井眞弘多知事 今の滋賀県、長崎県の例について、それぞれの地域、それぞれの県でいろんな歴史と内容を踏まえたものであると思いますし、それはそれでその地域の人々の判断によるものと思います。
○山内末子委員 それぞれの地域でそれぞれの判断があるかとも思いますが、時代はどんどん流れていっております。公共工事のあり方についてもいろんな意味で、今、立ちどまってやっていく時代になっているんですよ。知事はカジノの問題とかでも、本当に法的な問題とは全然関係ないところでもやっていくというような、そういう総合的な考え方が、系統的に行政が運営されていないような状況が今、沖縄県で生まれているんです。そういう意味で、ぜひ、私は知事にはこの問題についてはもっと真摯に考えていただきたいなと思っております。特にこの問題については、推進派、それから反対派、推進派の皆さんからすれば今の経済状況が大変厳しい中で、目の前の事業について本当にこれは、私もその気持ちもわかります。しかしながら、大きな将来的な考え方を持っていくと、この私たちの自然、私たちの資源を奪ってまで、今の目の前の事業をしっかりと進めるのか。それが今、私たち、沖縄県、沖縄県議会、そして行政に本当に今求められているところですので、そういう意味で皆さんと一緒に、知事の大きな判断と、それから今後の英知を結集した行政の進め方をぜひお願いいたしまして、終わります。
○奥平一夫委員長 山内末子委員の質疑を終わります。
 以上で知事に対する総括質疑を終結いたします。
 知事を初め説明員の皆さん、大変御苦労さまでございました。どうぞ御退席ください。
 休憩いたします。
   (休憩中に、執行部退席)
○奥平一夫委員長 再開いたします。
 次回は、3月23日 月曜日 午前10時から委員会を開きます。
 本日の委員会はこれをもって散会いたします。
   午後3時35分散会