昭和47年(1972年) 第 4回 沖縄県議会(臨時会)
第 1号 7月15日
第 1号  7月15日
 

議 事 の 概 要
昭和47年7月15日(土曜日)
午前10時5分開議
日程第1 会議録署名議員の指名
日程第2 B52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書(議員提出議案第1号)(知花英夫君外11名提出)
日程第3 治安対策に関する意見書(議員提出議案第2号)(大田昌知君外11名提出)
日程第4 会期の決定
午後1時29分散会

○議長(平良幸市君) これより昭和47年第4回沖縄県議会(臨時会)を開会いたします。
○議長(平良幸市君) 諸般の報告は、お手元に配付してあります文書によって御了承願います。
 なお、本日、知花英夫君外11名からお手元に配付してあります議員提出議案第1号B52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書、また、大田昌知君外11名から議員提出議案第2号治安対策に関する意見書の提出がそれぞれありました。
○議長(平良幸市君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1 会議録署名議員の指名を行ないます。
 今会期の会議録署名は、沖縄県議会会議規則第114条の規定により、議長において2番翁長助裕君、6番瑞慶覧長方君の両君を指名いたします。
○議長(平良幸市君) 日程第2 B52戦略爆撃機の再飛来防止に関する意見書を議題といたします。
 提出者から提案理由の説明を求めます。
 知花英夫君。
   〔知花英夫君登壇〕
○知花英夫君 ただいま議題となりました議員提出議案第1号B52戦略爆撃機の再飛来防止に関する意見書について提出者を代表いたしまして本員から提案の趣旨について説明いたします。御承知のように、旧琉球政府立法院におきましても、B52戦略爆撃機の沖縄基地からの出撃取りやめと同機の即時撤去について再三にわたって決議を行なってまいりました。すなわち、1965年7月30日戦争行為の即時取り止めに関する要請決議、1968年2月10日B52爆撃機基地化に反対し同機の即時撤収と一切の戦争行為の即時取止めを要求する決議、さらに、1968年12月23日B52戦略爆撃機の墜落事件に対する抗議と同機の即時撤去を要求する決議を行ない、沖縄県民の生命と財産を守り、その安寧をはかるため、B52戦略爆撃機の飛来に抗議し、同機の即時撤去を要求するとともに、沖縄の出撃基地に反対し、沖縄を戦争に巻き込む一切の戦争行為を即時取りやめるようアメリカ合衆国大統領をはじめ、同国関係者に対し強く要請し、政府並びに国会に対しても強力な対米折衝を行なって、その実現を期するよう強く要請してまいりました。アメリカ合衆国は、このような沖縄県民の熾烈な要求や、全国民の圧倒的世論に屈して1970年9月、ついにB52戦略爆撃機を沖縄から撤去いたしました。B52戦略爆撃機による直接戦争への恐怖と墜落や爆発事故の不安におののいていた県民は、同機の撤去に安堵し、再び同機が沖縄基地に飛来することはないものと信じていたわけでございます。
 ところが、県民の意に反し、昨年5月3機飛来したのをはじめといたしまして、復帰後におきましても、去る5月の20日に3機、ついで7月の8日には29機が嘉手納飛行場に突如大挙飛来し、県民に強い衝撃を与えたのであります。
 特に、同機が離着陸の際に3回もの失敗があったことは、1968年11月同機が出撃のために離陸した直後、米軍爆弾倉庫地帯近くに墜落し、同機のかかえていた爆弾とともに大爆発を起こし、嘉手納村民と付近県民を恐怖のどん底におとしいれ、屋良小学校をはじめ、付近の民家などに多大の損害を与えた事件、さらに1968年12月、嘉手納飛行場内において発生した事故を想起させ、嘉手納村民をはじめ、全県民に再び深刻な恐怖と不安を与えたのでございます。
 なお、今回の7月8日の大挙飛来にあたりましても、着陸、離陸においてやがて大事件を起こすような事故が発生いたしていることも報道で御承知のとおりでございます。
 このようにB52戦略爆撃機が台風避難を理由にして、たびたび飛来することは県民に一そうの疑惑と不安を招くことになりますので、沖縄県議会は県民を代表して強くアメリカ合衆国に抗議するとともに、今後いかなる理由があるにせよ、B52戦略爆撃機が再び沖縄に飛来することがないように政府が強力な対米折衝を行なって万全の措置を講じていただくように要請する必要があるとして本案を提出した次第であります。
 以上、提案の理由の説明を終わりたいと思います。

 案文を朗読をいたします。
   〔B52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書朗読〕
 なお、この件につきましては、議会代表を政府に派遣いたしまして、関係要路に要請する必要があると存じますので、議長においてしかるべき措置をとっていただきたいと思うのでございます。
 慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いを申し上げまして趣旨の説明を終わります。
○議長(平良幸市君) 質疑に入ります。
 質疑ありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
 おはかりいたします。
 ただいま議題となっておりますB52戦略爆撃機の再飛来防止に関する意見書については、沖縄県議会会議規則第37条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって、日程第2 B52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書については、委員会の付託を省略することに決しました。
 これより採決を行ないます。
 おはかりいたします。
 日程第2 B52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書を原案のとおり決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって本件は原案のとおり決しました。
○議長(平良幸市君) ただいま可決されましたB52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書の提案理由説明の際、提出者から同意見の趣旨を関係行政庁に要請するため、要請団を派遣してもらいたいとの要請がありました。
 よっておはかりいたします。
 B52戦略爆撃機の再飛来阻止に関する意見書の趣旨を関係行政庁に要請するため、7月16日から7月20日まで、5日間、議員5名を東京都に派遣することとし、その人選は議長に一任することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決しました。
○議長(平良幸市君) さらにおはかりいたします。嘉手納村議会副議長与那覇孫太郎から、B52戦略爆撃機の飛来阻止に関する陳情書の提出がありました。
 本陳情書は、日程第2で可決された意見書と関連しますので、急施事件として本臨時会に付議したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
 よって、本陳情書は、本臨時会に付議することに決しました。
○議長(平良幸市君) おはかりいたします。B52戦略爆撃機の飛来阻止に関する陳情を日程に追加することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
 よって、52戦略爆撃機の飛来阻止に関する陳情を日程に追加いたします。
 おはかりいたします。
 本陳情書については、沖縄県議会会議規則第87条第2項の規定により、委員会の付託を省略し、直ちに議題といたしたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって、52戦略爆撃機の飛来阻止に関する陳情を議題といたします。
 なお、本陳情書は、お手元に配付してあります陳情文書表により御了承願います。
○議長(平良幸市君) これより本陳情の採決を行ないます。
 おはかりいたします。
 B52戦略爆撃機の飛来阻止に関する陳情を採択することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって本陳情は採択されました。
○議長(平良幸市君) 日程第3 治安対策に関する意見書を議題といたします。
 提出者から提案理由の説明を求めます。
大田昌知君。
   〔大田昌知君登壇〕
○大田昌知君 ただいま議題となりました議員提出議案第2号治安対策に関する意見書につきまして、提案者の議員各位を代表してその提案理由を御説明申し上げます。
 沖縄の祖国復帰を契機といたしまして、新しい豊かな住みよい地方自治の本旨にのっとった清新な沖縄の地域社会を建設するということは県民の唯一の念願であり、また緊急の課題であるということは申し上げるまでもありません。
 しかるに、沖縄の犯罪多発の現今の社会傾向は県民のこのような念願とはうらはらに、大きな社会不安をかもし、沖縄の新しい県づくりに大きなブレーキとなり、ガンとなっている。この事実にかんがみまして、社会秩序を確立し、社会の正常化を期するということがまた県民の唯一の世論となっておることも申し上げるまでもない現状でございます。
 しかしながら、ことしになってから17件の殺人事件が発生し、特に4月、5月、7月と連続的に発生いたしました少女誘拐殺害事件は、県民に、より大きな不安と動揺を与えております。
 このように凶悪事件が続発し、しかもいまだに犯人が検挙されていない事件があるということは、今後の沖縄の社会発展を著しく阻害し、内外に与える影響もきわめて深刻なものがあると言わざるを得ません。
 さらに、昨年の少年犯罪統計によりますと、少年犯罪の全国平均が29.6%であるのに対しまして、本県は41.6%の高率を示しております。また九州各県と比較いたしましても、本県の少年犯罪は高率を占めているのが実情であります。特に、恐喝と窃盗の少年事件の比率は恐喝がその犯罪総数の74.1%、窃盗が62.5%で、恐喝、窃盗の大部分は少年事件であります。
 このような少年犯罪の実情に対し、強力な諸政策を講じ、沖縄の次代をになうべき青少年の非行化を防止することは、本県にとって最も緊急を要する問題と言わざるを得ないのであります。真に明るく、平和な沖縄を建設するためにも学校教育、社会教育を含めた行政全般が青少年の健全育成を最重点施策として取り上げ、青少年非行化を誘発している要因を探求し、県民が一丸となってこの問題に対処しなければならないと考えるのであります。
 よって、県当局及び公安委員会におきましては、少女誘拐殺害事件の犯人を早急に検挙して、県民の不安を解消し、凶悪犯罪の防止策を樹立すべく努力を払うべきであると言わねばなりません。
 さらに、法秩序の維持回復と人命尊重の精神を高揚せしめるとともに、島ぐるみ運動を展開し、適切かつ強力な青少年非行化防止のための諸施策を講ずるよう、本意見書を提案する次第であります。
 議員各位におかれましてはよろしく御賛同を賜りますよう、お願い申し上げまして提案理由の説明を終わります。
 次に、意見書を朗読いたします。
   〔治安対策に関する意見書朗読〕
○議長(平良幸市君) 提案理由の説明を終わりましたので、質疑に入ります。
 質疑ありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
 おはかりいたします。
 ただいま議題となっております治安対策に関する意見書については、沖縄県議会会議規則第37条第2項の規定によって、委員会の付託を省略いたしたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって、日程第3治安対策に関する意見書については、委員会の付託を省略することに決しました。
 これより採決を行ないます。
 日程第3治安対策に関する意見書を原案のとおり、決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、原案のとおり決しました。
 暫時休憩いたします。
   午前 10時29分休憩
   午後 1時25分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 報告いたします。
 関係常任委員長からそれぞれの所管事務について、会議規則第80条及び第82条の規定により、お手元に配付してあります一覧表のとおり閉会中継続調査をいたしたい旨の申し出がありました。
 よっておはかりいたします。
 閉会中における常任委員会の所管事務調査の付託の件を議事日程に追加し、直ちに議題といたしたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって、閉会中における常任委員会の所管事務調査の付託の件を議題といたします。
○議長(平良幸市君) おはかりいたします。
 本件については、関係常任委員長の申し出のとおり、それぞれ閉会中の継続調査に付したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君)御異議なしと認めます。よって、関係常任委員長の申し出のとおり、閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
○議長(平良幸市君) 日程第4 会期の決定を議題といたします。
 おはかりいたします。
 今期臨時会の会期は7月15日の1日といたしたいと思います。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。よって、会期は7月15日の1日と決定いたしました。
○議長(平良幸市君) 本日の会議を閉ずる前に今会期における議会活動状況の概略を申し上げます。
 今臨時会は、去る7月11日の各派交渉において、B52戦略爆撃機の再飛来阻止及び最近各地に続発している凶悪犯罪による社会不安に対処するため、臨時会の招集を請求するとの合意に基づき、大田昌知君外11名の請求により招集された議会でありました。
 今臨時会の付議事件は、B52爆撃機の飛来阻止に関する意見書及び治安問題に関する意見書で、両意見書は、本日それぞれ議員提出議案として提出され、可決されました。
 また、付議事件に関連する陳情1件が急施事件として受理され、採択されました。
 また、同意見書の趣旨を関係行政庁に要請するため、議員5名からなる要請団を東京に派遣することも決定されました。
 なお、経済労働委員会と文教厚生委員会にそれぞれ所管事務の調査が閉会中継続調査として付されております。
 以上が今臨時会における議会活動の概略でございます。
 これにて昭和47年第4回沖縄県議会(臨時会)を閉ずることにいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後1時29分散会

 
19720401000010