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平成11年(1999年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 10月 1日
知事(稲嶺惠一)
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伊波洋一議員の御質問にお答えいたします。
沖縄戦の実相について、沖縄戦ではなぜ10万人もの非戦闘員である県民が殺されていったのか、次の沖縄戦ではなぜ多くの県民が米軍によってガマの中で焼殺されたり、毒ガスで殺されたり、爆弾を投げ込まれて殺されたのでしょうか、次の沖縄戦では多くの子供たちが死にました、毒ガスや爆弾、銃弾だけでなく、病気や栄養失調で死んでいった子供も多く、肉親が手にかけ死んでいった子供たちもいます、何名の子供が沖縄戦で亡くなりましたか、そしてこのような多くの子供まで巻き込んだことについて見解を聞きたいという、以上3点を一括してお答えしたいと思います。
沖縄戦戦没者の中に占める一般県民(非戦闘員)は推計で9万4000人と言われています。多くの一般県民が犠牲となった原因は、沖縄戦が一般住民を巻き込んだ地上戦であったことにあると認識しています。沖縄戦の中で老若男女の別なく多くの人たちが犠牲となったこともよく承知しており、平和への願いと人権の尊厳を肌身で感じております。
次に、沖縄戦の実相についての御質問の中で、沖縄戦では日本軍は沖縄県民の家畜の戸籍までつくって軍用食料を確保し、ひめゆり学徒隊など軍隊のための病院や医療体制を整えていましたが、戦場で県民は住むところも、けがしても治療することもなく戦場をさまよいましたと、入っていたガマからも多くが日本軍に追い出されました、沖縄での戦時体制は県民の玉砕を前提にした戦争でした、なぜこのような戦争が沖縄で行われたと考えますか、知事の見解を求めますということと、このような沖縄戦で日本軍は沖縄県民を守ったと言えるでしょうか、むしろ日本軍は沖縄県民を守らなかったというのが沖縄戦の実相ではないでしょうかと、知事の見解を求めるという点について一括してお答えします。
沖縄戦においては各市町村を中心に活発な証言記録の活動が行われております。それらの証言記録によれば、戦場となった県内の各地域で起こった悲惨な出来事が記録されており、沖縄戦の実相について知ることができます。戦争の要因や分析については多くの研究・論考がなされており、さらにその成果の深まりが期待されているところであります。
次に、平和祈念資料館の問題で、知事の調査報告について新聞社の社説で、展示内容見直しは県三役の関与があり、監修委員会に諮られることなく県独自で進められたことが事実であると批判している、この報道は事実か、知事を含む県三役は展示見直しにどのように関与したのかというのと、展示見直し作業は三役に対する新資料館の概要説明後に始まり、担当副知事と文化国際局の間で数回にわたり調整が続けられてきている、現在のすべての混乱の発端は知事の指示にあるのではないか、知事の見解を求めるという2点を一括してお答えします。
展示内容については、県と展示業者の間で検討を積み重ね、その結果を展示案として監修委員会にお諮りします。このような作業を繰り返しながら展示内容を決めていくことになります。県としては検討結果を尊重してまいります。
次に、今後の平和祈念資料館の開館までの現監修委員会の任期の継続と監修責任と権限の付与について県知事の見解を聞きたいという点でございます。
現在の監修委員の任期は、ことしの11月9日までとなっておりますが、任期内に監修が完了しない場合には開館までは引き続き現体制で監修に務めていただきたいと考えております。県としては、監修委員会の検討結果を尊重してまいりたいと考えております。
次に、平和祈念資料館及び八重山平和祈念館問題について、政策参与の調査結果に対して関係者から多くの反発が沸き起こっている、知事はこのような怒りと失望の声にどのように対処し真相究明していくつもりかということと、政策参与は監修委員会を批判している、今回の報告で監修委員への陳謝や県の瑕疵を撤回するのかということ、報告書の全面公表と調査対象、見え消し資料を含めて関係資料の全面公開を求める、知事の見解を伺いたい、この3つの点についてお答えいたします。
政策参与の調査は、八重山平和祈念館の展示及び平和祈念資料館についての事実関係を整理し県民の前に明らかにすることにあります。
調査の結果、報道されている批判や懸念は必ずしも事実を反映したものではないこと、そしてこれらの批判や懸念を払拭するためには広く情報の公開が不可欠であると報告されています。
真相を究明していくことについては、報告で指摘しているように平和祈念資料館や八重山平和祈念館に係る情報を公開することで県民の御理解が得られるものと思います。
八重山平和祈念館に関する事実関係が明らかになったので、今後は御遺族を初め地域の皆様の意向が反映されるよう協議の場を設けるなど適切に対応していきたいと考えております。
冒頭の沖縄戦の実相について、知事は2月の定例会の私の質問に答え、「戦争の悲劇を二度と繰り返さないため新しい平和祈念資料館では沖縄戦の実相を展示し、その教訓を次の世代に継承するとともに、平和を求めるメッセージを沖縄から世界に発信していきたい」と考えておりますと答弁しましたが、現在でも同様の見解ですか、それとも4月を前後に考えを変えてしまわれましたかという御質問でございます。
私の考えは、2月定例会で答弁したとおりであり現在でも変わっておりません。
その次の質問でございまして、沖縄戦では沖縄県史第9巻、第10巻の「沖縄戦記録1、2」に証言されているように、非戦闘員の県民がガマなどを転々として戦場を3カ月もさまよい、日本軍は動けない病人を薬殺し、県民に集団自殺を強要し、沖縄県民をスパイ視して処刑するなど他の戦争に見られないようなことがありました、これらのことは沖縄戦の実相の核心であると知事は考えますか、見解を求めますということです。
すべての戦争は、人間のとうとい生命を奪うということにおいて人間性に反する行為であり許されるものではありません。
平和祈念資料館の基本理念は、沖縄戦の実相を正しく伝え、広く世界に平和を発信することにあり、現在、そのための展示作業を行っているところであります。
沖縄戦の実相はさまざまな形で指摘されており、質問の中で取り上げられている事柄もその中の一つだと考えております。
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