平成12年(2000年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月26日
警察本部長(西村泰彦)
 

 サミットについての御質問のうち、警備に当たっての苦労話、よき思い出などという御質問にお答え申し上げます。
 九州・沖縄サミット開催に伴う警備に際しましては、皆様方を初め多くの県民各層の格別の御理解、御協力と御支援によりまして無事に警備を完遂することができ、心から厚く感謝申し上げます。
 今回のサミットにつきましては、我が国初の地方分離開催で、警察にとりましても前例のない初めての経験であったことに加え、極左暴力集団による反サミット闘争を初め国際テロリスト、右翼等によるテロ行為も懸念されるなど極めて厳しい情勢の中での警備でありました。
 特に極左暴力集団は、7月3日深夜、米軍横田基地に対してロケット弾によるゲリラ攻撃を敢行し、その犯行声明の中で、本戦闘は沖縄サミット爆砕の革命的第一弾である、万国津梁館を真紅の炎で爆砕するなど本県におけるゲリラ攻撃を強く示唆しておりました。
 そこで県警といたしましては、再度万国津梁館、首脳宿泊ホテルあるいは警護路線の沿道等の検索、点検を継続して行いましたが、一体彼らはどこで、どのような形で攻撃を仕掛けてくるのかを考え続けた最も緊張した日々でありました。
 県警におきましては、こうした厳しい情勢下でサミットに向けて各国首脳の身辺の安全確保、サミット公式行事及び関連行事の平穏、円滑な進行並びに県民生活の安全と平穏の確保を基本方針に、全国警察から派遣された職員と本県警察職員を合わせて2万2000人の職員が、サミット警備の成功は21世紀の沖縄の発展に向けて大きなステップになるという県民の期待と願いにこたえるべく各種警察活動を推進してまいったところであります。
 猛暑の中での警戒は、沖縄の暑さになれない警察官には本当に大変な苦労でありました。
 ホテルの警戒を命令され、ホテル内で冷房がきいてラッキーだと思ったのもつかの間、非常階段での警戒を命ぜられ、非常階段がいかに暑いところかというのを身をもって体験した。一晩徹夜で警戒した後、宿舎でシャツを絞ると汗が滴り落ちるんですとの報告を聞いたこともありました。
 また夜間、部瀬名周辺で巡視中に暗やみの中から、異常ありませんと声をかけられ、東北地方の部隊員でありましたが、色白の顔が真っ黒に日焼けして、またあんな真っ暗やみの中でハブの脅威あるいはヤブカの猛威にさらされながら黙々と警戒を続ける警察官の姿に本当に頭の下がる思いがいたしました。
 こうした沖縄サミットの成功に向け真摯に努力する警察官に対しまして、県内各地におきまして沖縄サミット地域安全県民協力会、各地区の地域安全協力会を初めとする多くの県民の方々から数多くの激励が寄せられ、警戒員は厳しい勤務の中でのこれら心温まる激励、沖縄の皆様のチムグクルに大変感激し警備に集中でき、全員無事に帰任することができたとの報告も受けております。
 例えば警戒に当たっている警察官へ近所のおばあさんがスイカを一切れ持ってきていただいたものに始まりまして、汗まみれになり、あるいはどしゃ降りの雨の中で警戒している警察官に、あんた、ずぶぬれになってかわいそうね、家でふろに入っていかないかと声をかけていただいたなど本当に心温まるエピソードがたくさんございまして、私も胸が熱くなることがしばしばでありました。
 7月23日午後7時33分、最後の首脳カナダのクレティエン首相搭乗機が那覇空港を離陸したときの感激は今も忘れられません。総合警備本部内に拍手が沸き起こり、お互いに握手をし合う職員の目には涙がたまっておりました。1年3カ月間に及ぶ苦労が報われた、警備を完遂することができた喜びが職員皆の顔に満ちあふれておりました。
 また先日、北谷町長が来訪され、北谷町における子供たちとブレア首相の交流状況のビデオをいただきました。そのビデオを拝見し、子供たちが生き生きとブレア首相と交流する姿を拝見して本当に胸が熱くなりました。
 ここに改めて沖縄サミット警備に御支援、御協力いただいた県民の皆様に心からお礼を申し上げますとともに、県警といたしましては県民の皆様から寄せられた多くの御支援、激励に対しまして今後とも全職員が一丸となって治安維持に邁進することによって県民の皆様の負託にこたえてまいりたいと思いますので、皆様方の御支援を切にお願い申し上げます。
 次に、自動二輪車の交通事故対策についてお答え申し上げます。
 本年の県内における交通死亡事故は、9月25日現在57件発生し58人が亡くなっており、前年比プラス10人と大変厳しい情勢であります。そのうち、二輪車関連の死亡事故は18件で19人が死亡しており、昨年同期と比較しますと7人、58.3%もの増加であります。
 二輪車関連の交通死亡事故の特徴を見ますと、16歳から24歳のいわゆる若年者の事故が13件、これは全体の72.2%であります。夜間の事故が12件、週末の事故が8件、速度超過などいわゆる交通三悪による事故が12件であります。
 これらの事故の特徴を踏まえまして県警といたしましては、事故多発路線、特に北部におけるツーリング中の事故が多発傾向にあることから、白バイを集中的に北部に投入しているほか、中南部における暴走族取り締まりを強化するとともに、「ウイークエンドナイト作戦」と銘打って週末の夜間における指導取り締まり、若年者、特に高校生を中心に二輪車の実技指導、各高校における交通安全教育等を強化しているところであります。
 また、6月から8月までの3カ月間を沖縄県二輪車普及協会と連携して二輪車無事故・無違反コンクールを実施して交通安全意識の高揚を図ったところであります。
 今後とも、関係機関と連携して交通事故実態に応じて真に効果の上がる諸対策を推進し、交通死亡事故の抑止に努めていきたいと考えております。
 最後に、道路標識の管理責任についての御質問にお答え申し上げます。
 道路標識は、道路法による道路管理者が設置する案内標識、警戒標識等と公安委員会が設置する規制標識等に分かれておりまして、それぞれ設置者において維持管理しているところでございます。
 御質問の公安委員会が設置する規制標識等につきましては、各警察署交通課または警察本部交通規制課が窓口になり、道路管理者が設置する標識につきましては国、県及び市町村がそれぞれ管理しております。
 これら道路標識にかかる各種相談につきましては、警察の窓口に寄せられた相談につきましては迅速に対処することとしておりまして、かつ道路管理者の設置する標識につきましては当該道路管理者へ通報しているところであります。
 なお、県警ではホームページで「標識BOX」を開設して標識に関する県民の御意見を広くいただいているところでありまして、今後とも県民の皆様の御要望を踏まえ的確に対応してまいりたいと考えております。
 以上です。

 
20000302040070