平成12年(2000年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 7月 4日
警察本部長(西村泰彦)
 

 飲酒運転取り締まりに用いる検知管の数値を変造した疑いで警察官が逮捕された事件に関しまして、事件の経過についての御質問にお答え申し上げます。
 本件は、県警本部自動車警ら隊の警察官ら3名が本年3月27日沖縄警察署中央交番において、さきに検挙した酒気帯び運転の証拠である飲酒検知管について口臭予防スプレーを使用してそのアルコールの程度の数値を上げ、もって他人の刑事事件に関する証拠を変造したものであります。
 県警本部では、本年4月10日に本件を認知した後、直ちに関係者を取り調べるなどの捜査を行って事実関係を確認し、4月20日当該警察官3名を懲戒免職処分とし同日逮捕したものであります。3名は5月11日に起訴され、6月22日に開かれた公判において1名に懲役10月、2名に懲役8月が求刑されております。
 また、県警本部では本件に関し、本件変造の現場に居合わせた警察官を減給、沖縄警察署長、沖縄警察署地域課長、県警本部地域課長及び自動車警ら隊長を本部長訓戒とするなど関係者の処分を行っております。
 本件は、県民の警察に対する信頼を裏切るものであり、県民の皆様に対しまして改めておわび申し上げます。
 次に、どうしてこんな事件が起きたと考えているかとの御質問にお答えいたします。
 今回の事件は、当該警察官において警察官として必要な職務倫理が欠如していたこと及び証拠品の取り扱いについての教養が不十分であったことがその原因であったと考えております。
 次に、神奈川県警等の事案後、警察庁からいかなる指導があって、沖縄県警としてはいかなる努力と対応をしてきたのかとの御質問にお答えいたします。
 神奈川県警等の不祥事案の後、警察庁からは幹部による平素からの的確な業務管理、職員個々に対する高い倫理観を備えさせる職務倫理教養の徹底、国民からの要望に対する真摯な対応等について指導を受けております。
 県警本部としてはこれらの指導を受け、不祥事案防止に関する通達を数次にわたり発出するとともに、署長会議等において不祥事案防止について指示を行ってきたところであります。
 また、これらの指示が徹底されているかどうかを検証するため数回にわたり県下警察署に対して随時監察を実施してきたところであります。
 このような取り組みにもかかわらず本件事件が発生したことはまことに残念であり、県警本部では5月9日に開催した署長会議において不祥事案の再発防止について改めて指示を行ったところであります。
 次に、本件事件の背景に取り締まりの成果を上げるためのノルマの問題があったのではないか、それに対する見解はどうか、さらに県民の不信と疑惑に対して今後どう対応していくかとの御質問にお答え申し上げます。
 本件事件の背景に厳しいノルマがあったのではないかとの御指摘についてでございますが、交通違反取り締まりに関して警察署ごとに一定の取り締まりの管理目標を設定していることは事実であります。しかしながら、本件発覚後の調査の結果、個々の警察官にいわゆるノルマを課していたという事実は確認できませんでした。
 次に、今後の対応についてでありますが、飲酒検知の手続及び証拠品の取り扱いについて教養を徹底するとともに、幹部による業務管理が的確に行われるよう各警察署を指導していくことにしております。
 また、飲酒検知の手続に関しまして、検知後の検知管を違反者の面前において飲酒検知管収納袋に収納し封をした上で押印をするなど変造の防止のための改善を行い、既に6月1日から実施しております。
 県警といたしましては、県民の信頼回復に向けて私を初め職員一人一人が襟を正し、県民のための警察活動を推進するという原点に立ち返り、県民から負託された仕事に前向きに取り組み着実に成果を上げることにより県民の信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。
 次に、今回の不祥事に対し県公安委員会はいかなる議論をし対応してきたのかとの御質問にお答え申し上げます。
 今回の不祥事案につきまして県公安委員会へ報告いたしましたところ、委員の方々から本件事案は県民の警察に対する信頼を裏切る重大な行為であり厳しく対応すべきだとの御指摘があり、さらに今後の不祥事案再発防止の観点から警察職員一人一人に対する職務倫理教養の徹底、各級幹部のきめ細かい業務管理の徹底、監察の強化など県民の信頼回復に向けて職員一丸となって全力を尽くすようにとの指導をいただいたところであります。
 県警といたしましては、その公安委員会の指導内容を先ほど申し上げました5月初めの署長会議等において全署長に指示するとともに、再発防止のための各種施策を鋭意推進しているところであります。
 次に、公安委員会・警察が情報公開条例の実施機関に加わるべきではないかとの御質問にお答え申し上げます。
 警察行政の円滑な運営のためには県民の理解と協力が不可欠であり、より開かれた警察行政の推進が重要であります。したがいまして県警察が情報公開条例の実施機関に加わることについて前向きに検討を進めたいと考えております。
 しかしながら、警察は犯罪の予防、捜査に関する情報や個人のプライバシーに関する情報など秘密の保持が強く求められる情報を多数保有し、さらに警察業務は全国的に斉一性を求められるという特殊性があります。
 したがいまして、県公安委員会・警察が情報公開条例の実施機関に加えられる場合には県民の安全と安心の確保に支障が生じない制度であることが必要でありますので、今後さまざまな条件整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

 
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