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昭和51年(1976年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
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議 事 の 概 要
昭和51年3月5日(金曜日)
午前10時2分開議
日程第1 代表質問
1 大田 昌知君(自民党)
2 盛島 明秀君(自民党)
3 大城 真順君(自民党)
4 小渡 三郎君(自民党)
午後5時13分散会
○議長(知花英夫君) ただいまから、本日の会議を開きます。
日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
3月1日、企画総務委員長から、2月28日の委員会において委員長に吉田光正君を互選したとの報告がありました。
この際、念のため申し上げます。
本日から5日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑については、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(知花英夫君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
大田昌知君。
〔大田昌知君登壇〕
○大田昌知君 本員は、昭和51年第1回定例議会開会に当たり、自由民主党沖縄県支部連合会所属議員団を代表して、新年度の県政運営の知事の所見と基本方針について質問を行い、新時代に処する県政の正常で実効ある運営を促進いたしたいと存じます。
まず、昭和51年度は、わが国はもちろん沖縄にとっても新時代に飛躍する土台をつくり上げる節目の年であります。特に知事、県議会議員の任期満了に伴って新体制を生み出す重要な選挙の年であります。今議会は、その年次のスタートに当たり、新しい県政運営の方向を定める重要な定例会でありますがゆえに、まず県政4年間の実績を分析検討し、その功罪を明確にして正しく補正すべきところは率直に修正し、新年度の政策運営をより有効適切に推進できる体制をつくっていくことが最も重要な問題であります。
したがって、何よりも先に知事は過去4年の県政の歩みをどう受けとめているか、その御所見を承り、第2に現下の緊急課題であるいわゆる復帰記念事業として、しかも沖縄の振興開発の起爆剤たらしめる目的で開催された国際海洋博覧会の残した諸問題の処理と不況対策について御所見をお尋ねし、第3に新時代に向かって推進すべき振興開発の具体的方策についてお伺いいたし、さらにこれらの諸事項を正しく効果的に運営するためにぜひ体制づくりをしなければならない執行体制についてその問題点を指摘しつつ、知事の基本的考え方をお伺いいたしたいと存じます。
まず第1点について、知事はまさしく昭和47年御就任に当たって、新生沖縄県建設のスタートに当たり選挙において県民に約束した7つの綱領と10大政策を実行していくと、たけだけしくも県民に約束されました。任期があと3月に迫った今日、今定例会においてこれまでの行政実績を虚心に振り返り、謙虚にその功罪、是非を浮き彫りにし、県民への公約と照らし合わせてあと残る期間でどのように始末をつけるかを県民と議会に明らかにし、その責任を明確にするのが知事のとるべき道だと考えるのでありますが、昭和51年度の県政運営方針の説明に当たっては、単に、「地方自治の確立と平和で明るい豊かな県づくりを目標に県政を進めて可能な限り、未来を展望しながら県民の要求する諸施策を進めてきたつもり」と、おざなりに述べて、公約がどのように果たされたかについては何ら具体的説明がなされていない。県政の最高責任者として選出されたのでありますから、県民に公約した責めは責任者らしくこの際明確にすべきではないでしょうか。いまさら基地があるからなどと、また自衛隊がおるからなどと沖縄の特殊事情に事寄せてみずからの責任を糊塗しようとする無責任な態度は許されません。
知事は、このような特殊事情に立脚して基地の整理、縮小、撤去、自衛隊反対を訴え、また県民福祉増進のため各面の格差を是正し、社会的公正を実現するために沖縄の特別措置、振興開発計画を国、県で策定し、それを推進してきたのではありませんか。いまは、その公約した行政実績がどうなっているかという問題であります。
知事は、4年間の革新県政運営に当たっては、東京、大阪、京都を初め革新自治体との連帯を強化して県の主体性を確立して平和と真の自治、民主主義を打ち立てるため統一と団結をもって県民とともに闘う。また県民の、真に豊かな生活と沖縄の将来の発展を期してあらゆる苦難を克服して全県民の先頭に立って闘うなど国を相手取り、また国民を相手取って闘うとの公約をしていらっしゃるので、その決意をもって当たってこられたものと思うのです。一体、その成果はどうなっているか。
まず、目指すところの自主財、県政は公約どおり確立されたのであるか。
第2に、平和で豊かな沖縄県は建設されたでしょうか。
第3に、本土との格差はどう是正されましたか。そして復帰、戦後処理は解決されたのでありますか。そして、公約して達成されなかった部門に対する責任はどうなさるおつもりか、知事の具体的な御所見を承りたいと思います。
知事が任期を終えるに当たっては、少なくともみずからの行政失態によってまいた種は、みずからの責任でもって刈り取り、県民福祉を阻害しないようにすべきであると思います。
まず、優柔不断で指導性に欠けた行政執行態度によって県民同士が相せめぐ悲惨な社会情勢を醸し出したCTS設置問題の処理については、一体どうなさるおつもりですか。
第2に、汚職や黒い霧がふんぷんとし、県民のひんしゅくを買っている革新県政の本質を暴露した公社行政の失態はどう申し開きをなさるおつもりか、その責任はどうおとりになるつもりか。
さらに、政府や県民から強く指摘されています県行財政の建て直しはどうなさるおつもりであるか、率直な知事の御所見を承りたいと思います。
知事の政治理念として持ち続けている安保体制反対、自衛隊反対ということはすでに空洞化されているとは思いませんか。無防備中立論は、独立国であるわが国の国民の間では、すでに過去の夢物語と化しております。またいずれの政党も、共産党を初め自衛力の必要性を認めています。知事は、常に厳しく現状を認識しとおっしゃっておられるが、知事の考え方がすでに空洞化しており、それが沖縄の新時代建設の上で大きな障害となっていることに知事は気がつかれないのでございましょうか。
次に、海洋博の跡処理と不況対策についてお伺いいたします。
知事は、植樹祭、若夏国体、海洋博は県民各位の絶大なる御協力によって所期の目的を達成し、多大な成果をおさめることができたと申されていますが、実際所期の目的を達成したでありましょうか。
3大事業は、いずれも復帰記念として国民の総意によって催されるべきであるのに、国民の象徴であられる天皇の御参加を拒み、あまつさえ基本的人権を冒涜するような行為が派生するなど、国民的行事の精神を損ねた大会が果たして成功であったと言えるでしょうか。形式だけにこだわり、魂の入らない実に県民にとってはうつろなものでしかなかったという感を持つものは、あながち本員のみではないと思います。沖縄の将来に暗い影を投げた責任は果たしてだれにあるとお考えでしょうか、知事の所見を承ります。
教職員を初め県労協の諸君は、果たして協力いたしたでございましょうか。この際明確にし、後世の裁きを受けるべきではないでしょうか。
海洋博開催によって、確かに3000億円に上る巨額を投じてなされた公共工事は、沖縄振興開発の柱となるべき社会資本の整備には大きく貢献いたしたことは事実であり、社会、経済一般への波及率も大きかったことも認めるものでありますが、しかしながら逆に政府や県の計画の策定、指導力の欠如によって派生したデメリットは、いま沖縄の経済、社会を極度の不安に陥れ、関係業者を破綻の寸前に追い込んでいる実態を知事はどう受けとめて、どう対策を講じようとしていらっしゃるか、御所見を承りたい。
いま緊急の措置をとらねばならないのは、このような経済の破綻を食いとめ、将来の振興開発の線に乗せる具体策であると思います。
知事は、海洋博は県民の協力によって所期の目的を達成したと自己満足の体でありますが、協力した県民のこうむった損失、苦しみは一体どうしてくださるつもりでございましょうか。
一将功なりて万骨枯るとは、軍国主義社会当時のことわざでありますけれども、いまの知事の態度はまさしく形の変わった軍国主義的独裁の態度と言わざるを得ないと思います。一体、失業、倒産の続出しているこの不況をどう切り抜けるおつもりでありますか。
海洋博の開催に協力した企業、経済団体の対策はどのようにお考えでございましょうか。どう対策をおとりになるか、具体的にお伺いいたしたい。
先日、沖縄観光産業の振興措置を訴える大会が催され、大会決議をもって知事にも訴えがあったと思います。その内容は、知事もよく御存じだと思います。知事は、この関連企業団体の訴えをどのように措置されるお考えであるか、お伺いいたします。
次に、不況対策は経済の停滞している中では、まず有効需要を醸成することが先決であると思います。公共事業を盛んにし、浮揚対策を講ずることも緊急対策として大きな効能を持つものでありますが、内在する需要を県民に均てんして対応させることもこの際考慮すべき重要な問題であると考えます。
さきに協議体までつくって対応することになりました県産品優先愛用の運動は着実に行われ、そして実施されておるか、その成果をお伺いしたい。さらに公共事業の発注及び物資の調達に当たって、県内企業を優先することにいたしたのでありますけれども、その結果はどうなっておりますか。
さらに、県内にある自衛隊を初め、国家機関の需要を県内で調達させることも当然考慮すべきであると思いますが、その面に対して知事はどのような措置をとっておられるか、お伺いいたします。
県内の雇用状況はますます悪化し、失業者は3万人近く、失業率は7%を上回る。このままでいきますならば、沖縄の失業の状況は、51年はますます悪化すると沖縄地域科学研究所も発表しております。しかも失業者の内容を見ると、20歳から30歳までの青年が63.6%も占めており、まことにゆゆしいことと思うのであります。しかも、今期県内の大学卒業者が、短大を含め2518人と推定されます。これらの就職見込みもまだ立たない状態であります。一体知事は、焦眉の急であるこの失業問題をどう対処しようとなさるのか、所見をお伺いいたします。
次に、振興開発についてでございますが、知事は、豊かな沖縄建設のため沖縄振興開発計画を主軸として県政を推進してきたと、こう述べておられます。しかし現下の産業構造は、アンバランスとなっているとお認めになっておられるのであります。しからば、そのバランスのとれた産業構造は、一体どのような形にすべきであるか。またそれに対する構想、対策はどのようにお考えになっておられるか、お伺いいたします。
振興開発の目的は、あくまでも沖縄の立地条件を生かした産業の開発を行い、県民がひとしく健康で福祉に満ちた豊かな生活のできる地域社会をつくり上げることにあると思います。そのためには、県民がひとしく就労の場を持ち、生活が保障される体制が第一の要件でなくてはならないと思います。その見地に立って産業の組み立てをしなければならないと思いますが、今後の基本的考え方を知事にお伺いいたしたいと思います。
また、イデオロギー、エゴが先行して企業を敵視する風潮が強くなり、産業の沖縄進出を阻んだのは事実であります。それが多くの失業者を出した遠因にもなっていることについて、知事は反省すべきではないかと思います。
このような一部の県民感情を払拭し、労使協調体制をつくらない限り、知事の主張している雇用及び投資の波及効果の大きい優良企業の誘致は、単なるかけ声で終わるのは必然であります。知事の見解を承りたい。
第1次産業の定着は、まず耕地の確保であると思います。年々耕地がつぶされていく中で抜本的第1次産業の振興は、夢物語となってしまうのではありませんか。沖縄の第1次産業の振興は、離島、農漁村の振興を図り、農漁村経済の安定と食糧需給体制の確立を確保することにあります。その立場から国も抜本的な対策を講ずるため、51年度は国庫からの対策を強化していますが、これに対応しまして県は自主的な第1次産業振興の方策を堅持すべきだと思いますが、その対策についてお伺いしたい。
解放軍用地の農耕地利用は、一体どのように計画してどのように利用なさっているか。
国及び県は、景気浮揚対策と住宅対策を兼ねて相当額の予算措置をしているのでありますが、この住宅用地をいかなる方法で造成するか、耕地の確保とどう関連づけていくか御所見を承ると同時に土地の埋め立て造成についてはどのようにお考えか、御所見を承りたい。
さらに、砂糖、パインは基幹産業としてその振興に力を入れてきたのでありますが、毎年売り上げ価格の取り決めには難渋しておる状態であります。基幹産業として位置づけるには、その安定性を確保しなければなりません。その対策について知事の御見解を承りたい。
現に問題になっている原料砂糖の再販問題は、生産農家にも大きな不安を与えているが、どうこれに対処されるおつもりか。また含蜜糖対策も恒久的な措置を講ずる必要があると思うが、それに対する措置はどのようにお考えか。
また、パインの濃縮ジュース工場設置は画期的なものと評価するといたしましても、その運営母体と生産とのつながりが合理的になされなければ混乱を招くおそれもあると思います。一体、それに対する具体的な対策、そして離島はどのように取り扱うか。パッカーの統合は年来の懸案であるが、それに対する対策を承りたい。
知事は、工業――いわゆる第2次産業の振興の一環として、雇用及び投資の波及効果の大きい優良企業の誘致が必要だとお考えのようだが、当初予定した臨海工業の立地、内陸型産業の誘致については、どのような成果を上げておられるか。造船所、CTS、松下電器、臨海工業地帯、それにフリーゾーンの設定はどのようになっているのか。
次に、県行財政についてお伺いいたします。
まず指摘しなければならないのは、県の執行体制についてであります。
自治省の発表によれば、地方財政硬直化の最大の要因になっている地方公務員の給与が、50年4月1日現在で国家公務員の平均給与より10.8%も上回っており、沖縄は他の26県よりも高く、類似県よりもさらに上回っております。しかも49年度は2.1%高であったのが、50年度は10.5%高となっています。
また、定員の面でも類似県16県と比較すれば、人口1000人当たり約3人から5人も多いことが指摘されております。その反面、48年度、49年度の予算の執行でもわかりますように、多大の事業の繰り越しを行っております。さらに今年度の公共事業関係の12月末の執行率を見ますと、県全体の執行率が73.3%、本土各府県が平均81.6%で、沖縄が約10%もおくれておる。また、直轄事業と補助事業に大きな開きがある。直轄事業は82.6%であるのに対し、補助事業はわずか69.8%であります。
この分だと、52年度の予算獲得にも大きな影響があるということは、自治省が指摘しておる問題であります。このことは、とりもなおさず県の執行体制がそれだけ低いということにほかならないのであります。
復帰後すでに4年になる今日、このような格差のあるのは問題であり、掘り下げて検討し体質の改善を図るべきでありますが、知事は執行体制の合理化、刷新には何ら触れていない。知事はどうなさるおつもりであるのか、所見を承りたい。
さらに51年度の予算編成の内容は、自主財源がわずか15.8%で、歳入のほとんどが国の支出と県債に負ういわゆる一割自治というそのものであります。
反面、歳出の面では、人件費が歳出総額の48.6%で、額にして763億で、これを賄う財源は県税はおろか地方交付税を全額投入しても追いつかないのであります。したがって事業の執行は、国庫支出金と借金である地方債で賄っている状態で、財政面から見た沖縄県の実態は幾ら自主県政と言ってみたって、それは夢物語であると言わざるを得ないのであります。
そのような事情でありながら、不用額というのはまた類似県の数倍も多いまことに遺憾な問題だと思うのであります。一体知事は、自主財源を確保する、強化すると言っておられるが、どのような措置を考えておられるか。
さらに、内部体制の合理化の必要性を改めてここで認識する必要があると思いますが、知事の御見解を承りたい。
知事は、県債を前年度の2倍に上る95億円余も計上しております。県の起債額の合計は385億円余、旧琉球政府からの引き継ぎ分を加えると、まさに472億円余であります。県税のざっと4年分に当たるのであります。
これも1つには、屋良知事の行政運営の失態の所産であると言わざるを得ません。知事は、このような借財について県民にどう申し開きをするおつもりでありますか、所見を承りたい。
沖縄が、真に地方自治体として発展するには、国民的連帯性をますます強化し、国、県、市町村が一体的に調和のある振興開発計画を進めるべきであると考えます。ひとりよがりのイデオロギーにとらわれた県政の運営によっては、これが望むべくもないことをここで指摘いたしまして一応質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めに、県政4年の歩みということにつきましていろいろ御質問がございましたけれども、それに対してお答えしたいと思います。
御承知のとおり、御指摘にもありましたのでありますが、その行政姿勢というのは、4年間7つの綱領と10の基本政策を基礎に県政に当たってまいりました。
以下、その概要について感じますことを申し上げたいと思いますけれども、ここに綱領があり、それからそれに沿うて10の政策が上げられておりますが、その政策の第1は、政治の中央集権化に反対して県民の福祉を優先する地方自治を築くということが言われておりますけれども、これは、私は常に念頭に置いてこれに当たってきたつもりであります。したがいまして、中央からの直接支配とかあるいは介入とか干渉されるということもなく、自主主体的に県政は進めてきたつもりであります。
だけれども、やはり制度的にあるいは法律の上に国の体制に繰り込まれてこっちばかりでどうにもならぬ面もあるわけでありますけれども、その範囲内においてあとう限り自主的な面を生かして、これに当たっていくというような考えで終始してきたつもりであります。しかしながら決してこれは十分とは言えないとは思いますけれども、そういう気持ちでやってきたつもりであります。
第2に、憲法を守り、一切の戦争政策に反対して反戦平和の県政を確立するということがうたわれておったわけでありますが、復帰の年昭和47年度においてはB52の早期撤去及び再飛来の阻止ということがありましたけれども、それを初めとしましてたとえば毒ガス、催涙ガスの撤去、軍用地及び軍用施設の解放などにつきましても、常に国に要請しそして平和を祈願した復帰記念植樹祭というようなものも実現したわけであります。
また、昭和48年度においては、県道104号線の封鎖による米軍の実射訓練に対し、これは中止を申し入れると。これは、県民各位も強く立ち上がったわけであります。あるいは那覇空港における米軍P3対潜哨戒機並びに自衛隊の移転についても、これは国に強く要請いたしておる次第でございます。
この問題は、事基地に関する限りでありまして、私どもが正直なところその努力をいかにいたしましても、ときによってはむなしい感じをたびたびやったことがあるわけでありますが、それにもかかわらずこれは基本的なことでありますので、県民の意思を体してこれには常にそういう姿勢で当たってきた、そして今日に及んでいるということが言えると思うのであります。
それから第3は、基地経済から脱却し公害のない平和経済の開発を進めるということが言われておりますが、これを念頭に置いて県としても復帰と同時に沖縄の振興開発計画を策定するとともに、投資的経費を主体に昭和47年度から昭和49年度までに約1000億円を投入してきたわけであります。その結果、県内の総生産に占める軍関係の受け取り高は、復帰前昭和46年度は19.7%から昭和49年度現在では9.5%と大幅に減っております。だんだんだんだん、軍に依存する分が減ってきているというようなことであります。しかしながら基地がある限りにおきましては、これからわれわれは完全に独立することはできないと、経済的にですね。
次に第4の政策としては、教育、文化、芸術、スポーツの民主的発展を図ることが挙げられておりますが、その具体的内容といたしましては、校舎等学校基本施設が相当整備されました。たとえば、復帰するまで一番おくれておったものに体育館施設なんかの特別施設があったわけでありますけれども、これなんかは非常に目覚ましい建設が行われていると思っております。
なお奨学基金の充実強化とか、あるいは育英会の大阪寮の新築、あるいは博物館の増築、首里城歓会門、久慶門の復旧、あるいは少年自然の家の建設、あるいは県芸術祭の開催、あるいは風疹児学級の設置、そして若夏国体の開催と関連施設の整備等、これは数え上げればたくさんあります――多岐にわたりますが、これらはすべて県民の要請にこたえるべく県政を運営してきたところであります。
その結果、3カ年でたとえば高校進学率も71.1%から74.2%になり、ことに51年度になりますというと80%も超すということになるわけでございます。さらに大学進学率も26.5%から27.1%になっております。
第5の政策は、社会保障制度を充実させ、県民の暮らしと健康を守ることでありますけれども、施策の主なるものといたしましては、老人ホームを建設して老人対策の強化とか、あるいは母子休養ホーム及び沖縄保育園の建設等児童措置対策の充実、あるいは心身障害者扶養共済制度の新設並びに低所得世帯更生資金貸付事業を拡充するとともに、医療面においては、看護婦確保対策、救急医療施設の整備、僻地保健福祉会館の建設あるいは僻地巡回診療、こういうふうなことも拡充強化して私は進歩はあったと見ております。
第6の政策は、本土との格差を是正して復帰処理を完全に行わしめることとありますが、これはこの格差がなくならない限り沖縄の戦後の措置は終わらないと、こういうふうにも考えられるわけでありまして、この絡差を計画的に縮小するために沖縄振興開発計画は策定されたのであります。これに基づきまして施策を進めるとともに、あるいは基本的な問題として土地利用の計画、あるいは離島振興計画、あるいは観光開発基本計画等の策定も推進せられてまいったわけであります。
この結果、たとえば類似県との格差を県民所得1人当たりで見た場合、復帰前には大体26.2%も開いておったが、昭和48年度では11.8%にだんだん縮小せられていると、これも効果があらわれていると、こう思います。
一方、復帰処理の一環として沖縄返還協定の放棄請求権の補償や、あるいは未買収道路用地、旧つぶれ地補償、あるいは地籍不明の特殊地域に関する地籍の調査、あるいは沖縄戦被災者に対する補償、あるいは疎開船対馬丸遭難死没者の準軍属処遇の問題については国に対し措置を要請するなど、こういうことをいたしておりますが、国の制度や財政面での制約等により、これは必ずしもまだ十分解決せられるに至っておりません。
第7番目の政策といたしましては、労働者の生活と権利を守ることが挙げられます。
過去4年の間にはいろいろなできごとがありましたが、復帰と同時に派生したのが通貨切りかえに伴う差損補償の問題、そして旧沖縄県吏員の恩給組合の組合員に対する補償措置等がありましたが、これも国への強力な要請によりまして解決を見たのであります。
一方、基地の整理縮小に伴う駐留軍離職者対策につきましては、再就職助成金や広域職業紹介並びに自営業希望者に対する利子補給措置を講ずるとともに、職業訓練の強化等を推進してまいった次第であります。また、海洋博関連の公共事業の完了に伴い、失業者の増加対策につきまレては広域職業紹介等万全を期しているところでありますけれども、非常に困難な戦後処理の一つでありまして、基地関連に次ぐ重要な問題でありまして、まだ完全に解決されていないのは残念でございます。
第8の政策は、中小零細企業を守りその振興を図ることでありますが、本県の企業は大半が中小零細企業であることにかんがみまして、制度面では復帰特別措置により保護されておりますが、27年間の空白を埋めるにはまだその水準に達していないために制度の延長措置を要請しているところであります。
このような状況から、早急に本土の水準に移行させるために施設近代化資金による低利融資措置や信用保証協会の増強措置、中央会、商工会、商工会議所の経営指導員設置による強化、並びに県産品の宣伝と海外市場の開拓、さらに伝統工芸振興計画、それから重点業種の近代化基本計画、あるいは流通センター設置基本計画等の策定及び工業団地造成事業を推進してきたようなわけでございます。
第9の政策は、農漁民の生活を豊かにするため農林水産業の振興を図ることであります。
主要な施策としましては、農業基盤の整備を初めサトウキビ、パインアップルの振興対策事業の強化、あるいは家畜改良導入事業、あるいは灌漑排水施設の整備、開拓事業の拡充、林道整備、そして漁港の建設改良事業等も継続的に推進し、県予算投入額も370億円余となっております。その結果、農林漁業者所得は、昭和47年度の42万4630円から昭和49年度では81万そこそこになっております。
第10の政策というので物価の安定が挙げられているわけでありますが、県といたしましては消費生活モニターの設置や生活協同組合の育成、南西航空運賃改定の抑制措置の要請等、県として可能な施策を推進してきたところでありますが、通貨交換による物価の繰り上げや石油危機に伴う物価高騰、そして海洋博関連公共事業の特需等が復帰後3カ年の間に惹起したため、県内の消費者物価指数は123.4から184.8に上昇しております。しかしこのような上昇は、全国的な現象であり国の施策に負うところが多いため、今後国の経済政策に対する都道府県自治体の強力な発言と連携が望ましいところでございます。
この統一綱領、それから10の施策について、これは意を尽くし得ませんけれども――長くなりますので、10の政策につきましては以上のような見解を持っておるわけでありますので、お答えしておきたいと、こう思います。
それから安保問題、自衛隊問題についての御指摘がありましたですけれども、このことはたびたび申し上げておりますとおり、沖縄の基地がここに現存しておるということに賛成の人は私はほとんどいないと思っております。基地あるがゆえに、もろもろのいろいろの問題が起こって、われわれが苦しんできていることもお互い同じように感じていることでありまして、ところが常識的に言いましても安保体制というようなものは、われわれが反対しておりますところの沖縄の基地を絶対に必要として扇のかなめとするというようなことになりますというと、われわれが安保にこれはそれでよろしゅうございますというようなことは私は言えるものじゃないと、こういうように考えておりまして、やはり安保に対することについてはその反対の姿勢というのは変わりはありませんし、自衛隊についてもやはり基地の強化につながるということでありますれば、これについても同じでございます。
次には、海洋博は成功であったかどうかということでありますけれども、非常に大きなプロジェクトでありまして、これは県民の多数の誘致要望、世論を背景として誘致したことでありますので、私は絶えずこういう県民の世論によって誘致した以上は、これは最初から最後までつまずかしちゃいけない、成功せしめなきゃいけない。それが今日の沖縄のため、将来の沖縄のためにも私はそれがいいと思ってそれは主張しておりまして、これをこの前も申し上げましたとおり、とにかく準備万端整えまして開催され、そして無事に運営せられまして、その中にもいろいろの心配事も動揺したこともあるにはありましたけれども、結局は無事に私は成功裏に終わったと、こういうふうに考えております。
なお、デメリット対策について、これは私も率直に言ってこれは指摘せられているような問題がいろいろありますけれども、しかし大勢としては成功であったと。
そこで、そのデメリット対策につきましては、金融面からあるいは行政指導の面からわれわれがやれるだけのことは今後もやっていきまして、このデメリット対策を解決していってメリットを十分活用することによって、将来の沖縄の立て面しのために今後の跡地利用等も含めて大きく寄与貢献していくというふうにしたいものであると、こう思っております。
それから、県産品の愛用の効果ということでありましたが、これはやはり第1次産業、第2次産業ともに生産産業というようなものは自給自足体制を確立するということは基本目標であるはずでありますからして、そのためにもこの県産品の愛用というようなものは非常に大事に考えなければならないと。
しかし、県産品の愛用というものは、ただ単に経済的、物的な側面だけでとらえたんじゃ成功しない。やはりこれにプラスアルファ、一つの精神面、みんなが沖縄の産業を共同の責任で守っていくんだと、そのためには県産品をわれわれは愛用して、そして自給自足体制を確立して金がほかに流れていかないようにしようといったような気持ちがないというと成功しませんので、それもあわせて県民に訴えてやりますが、そしてこれはその効果もあらわれつつあると、このように考えております。
なお、失業問題でありますが、これは、これからもたびたび御質問が出るだろうと思うわけでございますけれども、失業問題につきましてはいつもの議会でこれは質問があり、またお答えもしておるわけでありますけれども、要はこれを抜本的に一挙に解決することはできないということであります。そして私どもとしては、失業対策として準備せられておるところのありとあらゆる機関、施設というようなものをフルに活用することによってその効果を発揮せしめていくと同時に、沖縄に対する1人でもいい2人でもいいその職場を開拓していく、そのためには沖縄の中小企業の健全化を図って健全な職場にしなければならない。こういうことに資金面等について力を尽くしていかねばならぬと、こういうふうに思いますし、これは古い考えであっても新しい考えであってもじみちに堅実にこれは一歩一歩進んでいく以外には、私は特効薬的な解決の方法はないと、こう思います。
なお、この広域職場の開拓というようなこともいつも言われておりまして、しかしなかなかこれは希望者が少なくてこの方面は効果を上げることはできないわけでありますけれども、その他あるいは自営業を促進するとか、あるいは工業立地を促進するというようなこともやっていかにゃならないというふうに考えて、職場の開拓は――内外です――今後残された非常に大きい課題、これは10年の歩みという中におきましても、この問題はだんだん悪化はしておってもよくはなっていない、そういうようなことを認めながらです、今後みんなの協力によって解決していかねばならぬと、こういうふうに考えております。
次は、振興開発の推進についてでありますが、復帰後の県内経済の動きを方向づけるものとして経済、社会等各分野における本土との格差是正、あるいは自立的発展を可能とする基礎条件の整備等を目的として振興開発計画は、御承知のようにスタートしたわけであります。振興開発の推進については、予算の進捗で見る場合と振興計画のフレームで評価する方法が考えられます。
ここにおいては人口について見ますというと、人口は予定よりも上回って進んでおります。人口は大幅に増加しておりますが、しかし産業別に見ますというと第2次産業が立ちおくれている、第3次産業が計画を上回っておるというような事態が実際起こっております。
これは基地経済から脱却するということは、沖縄の産業形態が依存的な第3次産業に偏り過ぎているから、第1次、第2次の生産産業というものの比重を多くいたしまして、比率を多くしてバランスをとっていかにゃならぬわけでありますけれども、それは目的は達成されてはおらない、第2次産業は思うようにいっていない、第3次産業がやはり肥大しておるということであります。現在、第1次産業がその生産の構成比から言いましても5%、第2次産業が20%、第3次産業が七十四、五%と、こうなっております。
それから、労働力人口も就業者については計画より、これも残念なことでありますけれども下回っておりますが、これは労働力率が低くなってまいっているためでありましょう。
産業別就業者は傾向といたしましては、第1次産業は減少しておる。製造業の方は横ばい、建設業と第3次産業は増加という傾向を示し、特に第3次産業の構成は全国一の高さであります。
国民所得は、47年、48年とも名目で40%前後の急成長を示し、また49年度も24.2%と比較的高い成長を示したことから、1人当たりの名目国民所得は国民所得の72.4%に達しております。これは復帰前は50%台であったと。それから復帰して47年、48年は60%台になったと。そして49年になりますというと、70%台に上がって進歩が見られるわけでございます。
そのほか、社会資本の整備につきましても、いろいろの関連行事等からいたしまして港湾にしましても、飛行場にしましても、道路にしましても、これは積極的に推進されたと思っております。
なお、生活環境施設の整備についてでありますが、住宅についてはこれまで全国平均を上回る住宅難率を示しておりましたが、復帰後世帯数の増加を上回る建設戸数を見て量的にはかなり改善されておりますけれども、しかしながら1世帯当たりの室数とか畳数、床面積というようなものはやはり劣っている、これは今後力を入れていかなければならない。
公園の1人当たりの面積は、なお多くはなっておりますけれども、全国平均の3分の1程度にしかなっておらないのであります。
このほか、社会福祉や医療機関の充実には努力が払われておりますが、全国に比してこれも格差があると。教育施設につきましても、積極的に整備が図られておりますが――飛躍的な向上を見ましたが――全国水準にはまだ及ばないということを率直に私は申し上げなければなりません。
以上、振興開発の推進について簡単に概略を述べましたが、今後は振興開発計画の実績を把握に基づきまして基盤整備を引き続き行いまして、新しい内外情勢に対応した持続的な発展を図り、雇用の安定と県民福祉の充実に努力を傾注する所存でございます。
振興開発計画でいろいろの御質問をされたものに大体これが触れたと思いますが、これでお答えしておきたいと、こう思っております。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 補足いたします。
自主財源の強化策についてでございます。
財政硬直化問題に関する県の財政危機打開策といたしましては、現在の地方財政危機が全国的なものでありますので、根本的に解決していかねばならない幾多の問題を抱えております。そこで各自治体との連携のもとに、まず国に対してその打開を図っていきたいというふうに考えております。
まず第1番目には、地方交付税の税率の引き上げでございます。
それぞれの地域における財政需要の実態に適合した財源の確保と、社会経済情勢に機動的かつ弾力的に対応できる財政運営を保障するために必要な額を確保しなければならないと考えております。
次に、地方税の充実強化を図らなければならないわけでございますが、これには法人事業税における外形標準課税の導入及び法人税割りの引き上げ等財源充実策として去る50年11月の九州地方知事会議において採択して、国の関係機関に要請しているところであります。
それから、日銀の国庫納付金の積み上げ等に伴う地方税収入の減収補てん等、これも全国知事会から大蔵、自治両省と日銀に対し、国の責任において法人事業税等地方税及び地方交付税の減収補てん措置をするように要請してきているわけでございます。それから法律を改正して国庫納付金相当額を、法人関係税の課税対象とするようにしてもらいたいということも要請しております。
さらに、米軍人、軍属等に係る自動車税率の引き上げについても、これも渉外関係主要都道府県知事会議において採択し、所要の措置方について国に対して要請いたしているわけでございます。
その他、超過課税問題につきましても、引き続き慎重に検討を続けていきたいというふうに考えております。
それから使用料、手数料の改善も図る必要があると思います。
それから地方債の充実強化についても、これも生活環境施設整備等、各種社会資本整備の計画的実施を阻害することのないようにこれも増額を図るとともに、充当率の引き上げ、適債事業の拡大、貸付条件等の改善を図るようにしてきているわけでございます。
それから地方の超過負担解消についても、これも単価差、対象差、数量差等を実態に即するように積極的な改善措置を講ずるように国に対しても働きかけているところでございます。
次に、地方公営企業の経営健全化、これについても企業債資金の一層の拡大、貸付条件等総合的経営健全化策を講ずるように働きかけているわけでございます。
それから国庫負担金、国庫補助金の改善合理化、これについても実勢に即応した補助単価、補助基準に改善するように今後とも引き続き国に折衝を行うことにしております。一方、県内部においては、自主財源の充実確保を図るために、県税においては課税客体の適正な把握に努めるとともに、その収納の確保を図り、超過税等の措置についても実情を調査検討の上、所要の措置を行うようにいたしたいというふうに考えております。それから使用料、手数料についても、その料率、額等について、受益者負担及び公平なる負担の面から引き続き検討していきたいというふうに考えております。
その他、財産収入等についても、より適正妥当な運用によって歳入の確保を図るように努めることにいたしております。経費支出に当たっては、引き続き行財政の効率的な運用を図ることによって経費の節減を行いたいというふうに考えております。
以上が、自主財源強化策でございます。
次に、負債についてかなり高くなっていると、この借財についての所見でございますが、御承知のように長い不況が続きましてそのために特に県税においては、法人関係の県民税と事業税等が落ち込んできております。その法人税等の落ち込み、県税の落ち込み等によって地方交付税の税源も落ち込んでまいりますので、国としてもどうしても景気浮揚を図るために国債を発行しなければならないというようなことで、地方債についても景気浮揚を図るためにどうしても地方債の増額をしなければならない実情に至ったわけでございます。
もちろん、負債は少なければ少ないほどいいわけでございますが、現在の財政需要の旺盛な中においては、それから景気回復しなければならない、景気を浮揚させなければならないというそういう実情の中では、この地方債を、起債を多くふやさなければならないということで、わが県は95億8500万円を計上いたしているわけでございます。
このうちには、26億5000万円が財源対策債として含まれております。これは、国の政策上一般財源的な性格を持たすという約束がございますので、この分は純起債というふうに見られないわけでございます。いろいろと他県との比較もございましたが、いまのところ負債は他県に比べて低い方です。
私どもは、今後も適債事業に基づいてそれから事業を拡大していくために必要に応じて起債をしなければならないと思いますが、負債の額ができるだけ多くならないように努めていきたいというふうには考えております。
いずれにしても、長い不況を打開するために国策として、あるいは経済政策上、財政政策上国の政策に基づいてきたその不況の中で、われわれとしても何とかそこを切り抜いていかなければならないということで起債額の増を図ってきているわけでございます。
以上でございます。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 失礼いたしました。先ほど、CTSの問題についての御質問がございまして、それから公社行政、ちょっと落としておりましたので追加いたしておきます。
CTSの問題につきましては、これにつきましては、その安全性についての消防法の改正が行われていると。それにつきまして、施設の設備基準というようなものが改善せられております。
この設備基準が改正せられておる運営基準は示されておりますけれども、従来これの出ておりますところのこの設置申請基準では、これは水島事故にかんがみましてわれわれはこれを認めるわけにはいかないのであります。しかし、まだそれにかわるべき何も出ておりませんので、いまの段階においてこれをどうするということは言えないと、こう思います。時をかさなければいかぬと、こういうふうに考えております。
それから、公社行政につきましては、この前土地開発公社を中心とする不祥の問題などが起こりましたために、この前の議会において私はここで取り上げて申しわけないとおわびもしておいたわけでございますけれども、この問題につきましては、業務が適正に運営されていくように指導要領を厳重に作成いたしましていま指導中でございます。
そして、この前御迷惑をかけているところの不祥の事件を起こしたこと、これにつきまして責任者については、これを処置する等のことは行われておりまして、今後再び公社問題につきましては御指摘されましたようなこともあるわけでありまして、このような不祥なことが起こらないように十分注意していかなければならないというようなことを言い聞かし、私自身もこれを強く反省しておるところでございます。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 先ほどの御質問の中で、第1次産業振興についての補足説明を申し上げます。
御指摘いただきましたように、第1次産業の振興策につきましてはもろもろあるわけでございますけれども、特に沖縄の場合は農産物の価格対策と流通対策が立ちおくれているのではないかと思うわけでございます。粗生産額で見ると、畜産が40%、サトウキビが30%、野菜が20%、あとパインがつなぐわけでございますけれども、こういうような粗生産額の構成から見ますと、特に畜産の価格対策が重要であるというように考えておりまして、そういう意味で畜産公社を発足させることにしたわけでございます。その中で、畜産物の総合的な対策を立てていきたいと、こう考えております。
なお、サトウキビにつきましては、糖安法によって分蜜糖が保護されておりますけれども、中でも含蜜糖は主として離島振興につながるということでこの将来のいわゆる特別措置が当分の間補助でもって措置されるわけでありますが、打ち切られるというような状態のことも考えられるわけであります。しかしながらこれについては、農水委員会で政府当局の回答が出ておりますが、その中に沖縄の離島対策の見地を含めて総合的に勘案をするというような文言が見えております。そういう意味で今後も含蜜については、離島振興対策を含めて総合的な見地から検討される、あるいは配慮されると、こういうふうに考えております。
なお、産業振興の中でも特にサトウキビは、いま申し上げましたような価格対策がとられるわけでありますが、耕地のつぶれということがございます。これについては、50年の8月現在までに約1120ヘクタールの転用がなされております。農業公社が買い戻した、いわゆる企業によって買われた耕地を買い戻した額は約400ヘクタールでございます。
なお、新規開発あるいは造成をされた面積もあるわけでございますけれども、ただいま数字を持ち合わしておりませんので、いずれ資料でお届けをしたいと、こう考えております。
そういうことで、今後われわれがいわゆる耕地のつぶれで、前の議会でも申し上げましたように遊休化したのが約1万ヘクタールに上るであろうということを申し上げましたけれども、こういったのを含めて開発する必要があると、こう考えております。
51年度予算にも新しい事業として肉用牛の振興対策がその中に入っておりますが、51年度は主として宮古地域になりますが、こういうような畜産面での開発も考えていきたいと、こう思うわけでございます。
なお、砂糖の再販価格の対策でございますけれども、これも主として政府の対策になっておりまして、農林省が指導いたしておりますのは5円引きでございますけれども、商社はあくまでも25円ないし20円引きというような考え方で進んでおりまして現在それはまとまっておりません。したがって50―51年期の砂糖の取引は、現在仮仕切りでもって取引をされております。なお今後とも、県も中に入って強力にこの指導価格については要請をしていきたいと、こう考えております。
なお、パインのジュース工場の運営に対する具体的な計画ということでございますけれども、現在われわれとしてはあくまでもパインあるいはその他の農産加工物については原料を農家がつくりますから、農家の組合等が運営をするのが基本的に正しいとこう見ておりますので、パインジュース工場については、経済連を中心にして主として北部地域にこれを存立させていきたいと。
問題は、つくられた製品がスムーズに売れるかということでございます。御承知のように現在パインジュースは、特定の企業にしか政府は輸入を許可しておりません。したがって沖縄でジュース――いわゆる濃縮ジュースがつくられるということであれば、そのネットワークに乗せていわゆる商社のネットワークに乗せて、これを販売をするということが好ましいことでございます。現在県としては、直接この流通についてはタッチをいたしておりませんけれども、農林省の御指導を得て具体的にこれを進めていくつもりでございます。
なお、離島パインの工場対策でございますが、大田議員のいわゆる久米島等についての御質問かと思います。
申し上げましたように、基本的には加工場は農家が運営をするということが好ましい、いわゆる農協等の団体が運営をするのが好ましいと思っております。現在久米島の方もそういった要望が非公式に出ておりますけれども、具体的にはこれは進んでおりません。しかし基本的には、申し上げましたような考え方でございます。
以上です。
○議長(知花英夫君) 大田昌知君。
〔大田昌知君登壇〕
○大田昌知君 本員の質問に対して、知事の一応の答弁を受けたわけでございますが、知事の答弁はまことに誠意を欠いたものと指摘したいのであります。通り一遍の答弁で事済まそうという態度は、知事としてとるべきことではないと、ここで強く指摘いたしたいと思います。
第1の質問に対して知事の御答弁は、自主主体性のある県政を確立しと、これについても、中央集権化に反対する立場で努力してきたと、こういうことをおっしゃっておりますが、中央集権化に反対するというような立場で、どうして自主主体性の県政が確立できますか。
先ほど指摘しましたように、3割自治はおろか、1.5、いわゆる1割自治と指摘される沖縄の財政事情である。そういう立場で国を相手取り、それから国の権力を排除するというような考え方では県の真の発展、計画は進められない。こういうことを、知事はおわかりでないんですか。まだそういうことを唱えておるから、そういう政治姿勢こそいま沖縄の発展を阻害している大きな要因となっていると指摘せにゃなりません。
それから憲法を守ってきたということをおっしゃっておりますが、しかしいままでのこの県政の流れ、沖縄の社会情勢を振り返ってみた場合に、果たしてそれが行われておるのかどうか。
3大事業である植樹祭、また国体、さらに海洋博、こういう行事を国民的立場で実施するに当たっても、天皇の尊厳を阻害するようなことが行われた。天皇の地位は、憲法に明確に規定されています。日本の国の象徴であり、日本国民全体の象徴であると。それは、すべて国民の総意に基づいて位置づけられているということを明確にされているわけです。これが憲法の劈頭に掲げられているのは、知事もよくおわかりだと思うんです。
また、自衛隊員の人権の無視、居住権を拒否するような――憲法で保障されている人権、修学の権利、学問の権利、集会に参与する権利、すべてこれが冒涜されておる、疎外されておる。そして知事は、これに対して適切な措置をとっていない。あくまでも知事の直接の問題に触れないのもあると思いますけれども、しかし知事としてはあくまでも県民の全体の代表として、最高行政責任者としての責任があるはずであります。
それから、これまでのいろいろな社会情勢、いわゆる現在の社会情勢はまことに暗たんたる様相を呈しておるということも知事はよくおわかりでしょう。
青少年犯罪の状況を見ましても、全国に比較して沖縄は非常にその率も高い。さらに凶悪犯罪の実態におきましても、全国の人口1万人に対して0.8、沖縄は2.8と数倍に及んでおるわけです。
また、経済の状況から見ましても、先ほど知事は、振興開発計画の効果があらわれて全国平均の72%に上がったと、このように言っておりますけれども、いまなお全国の46番目ですよ。国民全体のレベルは上がってきた、それに応じて県民の所得も上がるのは当然であります。しかし、全国の平均並みに引き上げるという一つの目標を掲げて知事は、県政を運営してきたはずであります。それが達成されていない。
さらに、教育も充実してきたと、このようにおっしゃっておりますけれども、国費学生の点数を見ました場合に、46年、49.3、49年、40.1と。さらに進学の状況を見ますと、49年の国費が130名、50年が110名、51年が90名と、こういうふうに制度の問題もあるでしょうけれども、学力の低下を示しておる。
いろいろな施設の問題をこれまで取り上げてきましたが、国として施設の充実という点には相当経費をかけてこれまでやってきたのは知事が説明されたとおりであります。こういうような社会情勢、果たしてその要因はどこにあるかということを知事はここで謙虚に反省する必要があるんじゃないですか。
まず、知事そのものが法を無視するような行政運営、社会秩序を無視するような県政の運営をなさるから、これが波及効果いわゆる社会秩序を無視し、また法秩序を無視するこの風潮が蔓延してきておるということは前にも指摘したことであります。
そういうことを、知事は任期を満了するに当たって、まず謙虚に自分の行政の歩みを反省して、そして将来こうあるべきだということを勇気を持ってここで表明すべきが当然じゃないかと、このように思って私はあえて知事の明確な答弁を求めたのであります。さらにその件についての御見解をお願いします。
次に、振興計画の推進、さらに現在の不況対策についての緊急問題として提起いたしました。
協議体をつくって県産運動を始めた、確かに始めてはおると思います。その実績を把握したこともあるのかどうか。また質問をいたしましたが、公共事業の発注、またその物資の調達について県は積極的にこれを推進しているのかどうか、これも質問いたしたんです。お答えがありません。
それからさらに沖縄の経済、社会にあるすべての有効需要を県民の生活の増進、経済の発展のためにこれは活用すべきであると。そのために自衛隊を含めた国の機関の需要もあわせて県内で調達する手段を、この際知事が先頭に立って講ずる必要がある。単なるイデオロギーをむき出しにした姿勢では、この不況は乗り越えることはできないと思うんです。先ほど失業対策はお手上げだと、みずからその舞台を暴露しておるわけであります。
いま、自衛隊の立場を申し上げましたが、知事は自衛隊の問題については触れたがらない。実際にそれが県民の福祉、また経済にいろいろな効果を及ぼしておるという事実も無視しようとしておる。離島の医療対策として自衛隊がどのように活動しているか知事はおわかりでしょう。また自衛隊が、いかに県民経済の中に溶け込んでそしてその県民経済の支えとなろうとしているか、このこともおわかりだと思うんです。
いま経済界、それから一般から指摘されているのは、防衛施設庁の予算が相当額に上っておる。米軍基地内の工事も多額に上る工事が行われておる。自衛隊の宿舎もやむを得ずして隊内に求めている。こういったものも、民間に需要を波及させるべきでないか。物資サービスも県内からこれを調達すべきじゃないか、このようなことが指摘されておるわけであります。
50年度の基地内工事は、約150億。知事の姿勢が、自衛隊反対というような立場をとっておるがために、この工事の8割はほとんど本土の業者が行っておるわけです。自衛隊の民間宿舎についても、いま民間に1550人、また隊舎に511人、さらに営内にそれ以上の要員がおるわけであります。
こういった需要を、なぜ民間に波及させるような、そしてこの不況の対策としても、また経済の落ち込みに対する対策といたしましても、また海洋博後の企業の支えといたしましても当然考えてしかるべきであるが、こういうことは一向に進めようとしていない。改めて知事の見解を承りたいと思います。
それから、さらに観光関連企業の訴えについて、その内容はよくおわかりだと思います。この人たちは、東京まで出けかて県知事にかわって政府に訴えてきております。その前に知事にもあいさつされたと思います。しかしながらこの問題は、すべて国家的な立場で解決されるべき問題であります。
知事が先頭に立って海洋博の成功を支えてきた、運営を支えてきたこれらの業者の健全な運営を推進するために政府にその対策を求めるべきではありませんか。国家行事として行われた海洋搏、その後遺症は当然国家が持ってしかるべきです。知事は、それに対してどのような御見解を持っておられますか。
それから、先ほど土地造成の問題で申し上げましたけれども、いま日本の食糧対策を政府は真剣に考えております。沖縄においても、食糧対策を含めた一つの耕地の保全ということを真剣に考えなければならないと思います。
いま、わが国の輸入する食糧、これの実態は御承知でしょう。その輸入する食糧を国内でつくるとなれば、いまの耕地の倍以上の耕地を必要としておるわけです。したがって国としても耕地の培養、そして保全を真剣に考えておるわけです。
面積の狭い沖縄においては、耕地の保全ということは第1次産業の振興の最も大きなもとになるわけであります。土地の造成というのは、住宅の整備と相まって当然考えてこなくちゃならないわけですが、環境保全に余りにも気を配る余り、土地の造成、この対策がなされていないといううらみがありはしませんか。それについてのお答えを、さらにいただきたいと思います。
それから、公社の運営についてであります。
知事は、去る議会においても質問にお答えいたしましたが、いかにも公社の処置は終わったがごとくお考えのようでございます。
いま、議会でも100条調査によって問題が指摘されつつある。本当に革新県政の姿が、このようなものかということで県民のひんしゅくを買っているのもこれは事実であります。ここで知事は謙虚にこの問題を反省して、やはりこれに対する対策はもっと綿密にやるべきです。
監査委員の監査もできるようになっておる。いままで聞いたところやっていないと。なぜ監査委員に予算の運営、事務の運営を通した予算の運営を監査させませんか。そしてまた、それに対する抜本的対策も講ずる必要がある。管理体制がなっておらないからこういう問題が出る。
知事が、すべての公社の理事長を兼ねておる。1時間もそこへ出席したこともない。副理事長もそうである。すべてが専務理事に任せっきりと。代決と専決の規定はありますけれども、すべての代決が専決そのものとして行われているところに問題があると、私は思います。そういうところをもっと積極的に分析してその対策をとらない限り、こういう汚点はぬぐうことができないと、こう思います。もっとそれに対する具体的な御解明をお願いいたします。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 島内産品需要あるいは自給自足体制というものに関連いたしまして、公共事業の発注あるいは国の機関の需要というものと自衛隊の問題といろいろ御提言があったわけでありますけれども、こういうことが大きな経済の支えになるんじゃないかということでありましたけれども、これは御提言として承っておきまして、いろいろの情勢を判断しながら慎重にこの問題は検討してまいりたいと、こういうふうに思います。
それから、公社行政につきましては、先ほど申し上げましたように今度起こった不祥事件というようなものはこれはまことに申しわけなかったこととしてこの前の議会でも釈明しておいたわけでありますが、その後皆さんからも調査検討されておるわけでございますが、そういったような結果も十分肝に銘じまして、管理体制を強化してこれが沖縄県政に十分貢献し得るようにその要綱をいま作成しまして行政指導いたしまして、二度とあのような事態を起こさないような責任を持ってその体制をつくってまいりたいとこう思いますので、御了解いただきたいと、こう思います。
それから、土地の造成問題につきましては、土地利用計画もいまいろいろ立てております。あるいは軍用地の転用計画も立てております。それから返ってくる土地の跡利用計画も立てております。そしてそういうようなことと、すべてのわれわれの産業、経済、まだ社会的な活動、発展の基盤というのは土地でございますからして、特に狭い沖縄におきましてはこういう土地の造成ということに対しては御提言のとおり離島を含めて非常に大事にしまして、今後ポスト海洋博の大きな施策の大事なきめ細かな事項としてこの問題には取っ組んでいくようにいたします。
次には、海洋博後の不況対策としての旅館、ホテル等に対する大会を持って後の御質問であったと思っておりますけれども、また御所見であったと思いますけれども、これについてちょっと申し上げます。
海洋博を契機にいたしまして急増したホテル、旅館、民宿などの業界におきまして、海洋博後の観光客が御承知のように急激な減少をしたと。そして非常に経営不振に直面しておることはまことに憂慮すべき現状でありまして、県といたしましてもこれまでも総合事務局及び金融機関とも協議しながら金融面からの窮状打開策を講じてきたところであります。
県内の宿泊施設の軒数は、昭和47年――海洋博前とその後とでは、たとえばその前は軒数にしても284軒しかなかったんですが、海洋博が開催されるまでには774軒になっております。約2.7倍にふえている。
それから収容人員もその前には1万3000人ぐらいであったのが、海洋博の準備が整ったころには4万4000人となっておりまして、3.4倍にふくれ上がっておるわけであります。
ここで、参考までに年間の観光入域者数を報告されているところによりますというと、宿泊施設の収容力が1日当たり4万人ぐらいに落ちついたと――いまは4万人以上ですけれども――落ちついたとしても、観光客の平均滞在日数を4泊5日とした場合、100万人の観光客が入ったとしても、やはり稼働率27%になる由であります。したがいまして県としては、今年次の観光入域者目標をどうしても100万人以上135万人ぐらいには引き上げねばならないと。少なくともそうするというと稼働率が38%から40%になるということでありまして、したがって今後タイミングから言いましても、観光客の誘致というのは大事な施策になると、こういうふうに考えております。
そして、あらゆる手を打ち、組織、機構をそれに対応してつくりまして、沖縄全体で関係業者も県も一体となり、なおそればかりじゃなくして本土各地にも宣伝啓蒙することによって、本格的、積極的にこの観光客の誘致には努めまして、この旅館業者の方々の不安をなくするようにおこたえしたいと、このように考えております。
なお、おそらくこういう観光客がだんだんだんだんこうして着実にふえて定着していくのには、私はすぐには解決つかないと思います。少なくとも三、四年ぐらいかかるだろうと、こう思います。それまでの対応する策は、先ほど金融対策等を講ずることによりまして、この方々にお力添えをし、お励ましをしておきまして、やはり持ちこたえていくようにしたいと、こういうふうに考えております。
○議長(知花英夫君) 大田昌知君。
○大田昌知君 先ほど、知事は失業対策はお手上げだと言っておられるが、しかしいま焦眉の急であるこの失業対策、不況対策は、知事は本当に積極的にこれに対処する姿勢を持たないと県民はどういたしますか。単にイデオロギーだけを前向きにするような姿勢では、県民は救われませんよ。(「答弁をよく聞きなさいよ答弁を」、「同じような答弁だよ」と呼ぶ者あり)
そうですよ。お手上げということを言っておられる。果たしてお手上げであるのか。いま申し上げた要するに自衛隊の営内居住を民間に投入させる、これもいまの宿泊施設の応急対策として当然考えてもいいのではありませんか。いまから検討しますでは、これはもう間に合わない。
いまの失業対策について、もう一遍知事のはっきりした姿勢、やはりその働く場をつくるということがまず恒久的な対策として考えるべきでしょう。それを具体的に説明してください。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) お手上げで、そのままほうり出しておくということじゃないんです。お手上げとは言っておりません。
○大田昌知君 お手上げと言うたじゃないか。
○知事(屋良朝苗君) いやいや、非常にこれはすぐ解決するという特効薬というのはないと、こう言ったわけであります。
ないけれども、じみちにこれは堅実にやはり県内市場あるいは広域市場、これを開拓していくとか、あるいは基本的にはやはり工業あたりも堅実にこれを誘致を進めて基盤をつくって、それに対応していかにゃならぬと。そして現在ある各機関というようなものをフルに活用して役立たせていく、あるいは自営業その他いろいろ申し上げたのでありまして、お手上げでそのままほうっておくという意味ではありませんので、そういう御理解をしておられるのでありますならば、ひとつ御訂正を願いたいと思います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
午前11時46分休憩
午後1時2分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
午前に引き続き代表質問を行います。
盛島明秀君。
〔盛島明秀君登壇〕
○盛島明秀君 本員は、自民党県連の所属議員の代表の1人として質問をいたします。
先ほど、大田議員から総合的な行政の追及がございました。私は、これについてはるる述べませんが、しかし総括的に一言で言えることは、革新県政は余りに偏向行政であったということ。つまり県民代表である知事は、厳正公平にしてそして脱イデオロギー的厳正中立な政治をやらなくちゃならないにもかかわらず、革新県政はいたずらに政府の重要政策に反対をして反安保、反自衛隊を唱えておる。これが革新県政にすべてのギャップ、革新県政の限界を示しております。
その証拠は、昨年あるいは一昨年にかけて軍離職者の自衛隊に対する就職を屋良知事はお願いをいたしました。あるいはパインで県民が大変困っておる。そのパインの消化について防衛施設庁あるいは自衛隊にもお願いをいたしました。ところが、そのころから革新グループがこれに反対をいたしました。屋良さんはびっくりして手を引っ込めた。あるいは沖縄の経済発展のために何とかして公害のない、あるいは公害の防止できる大きな企業を誘致したいということで、7年前にアルミ企業を誘致しようとしたが、これも革新グループの反対に遭って、屋良さんが優柔不断でぐずぐずしている間にとうとうアルミ5社はこれを引き揚げてしまった。
これが一つの例となり、原因となりましていまでは何ら企業誘致たるべき大きなものは全然誘致されておりません。しかるがゆえに、このような悪政が積もり積もってこのように経済パニック寸前と言われる惨たんたる経済状態に落ち込んでおります。
私は、この経済の危機感を訴える。県民は一体どうしたらいいか大変困っているにもかかわらず、いま知事の説明を聞きますと、これに対する危機感が全くあふれていない。二、三年前と全く同じような提案理由の説明であります。
私は、このようにして革新県政はもう限界にきておる。執行率も少しずつ上がってきたんだけれども、やはり他県と比べてまだ相当な差がある。かてて加えて昨年からことしにかけてのあの公社職員の汚職、一体革新県政とは何ぞや、スローガンの真っ先に掲げたあの看板であるクリーン政治はまさに崩壊しておる。このような状態の中で、大田議員がマクロ的に非常にノーブルな御質問をなさったが、私は各論でややミクロ的に質問をいたします。
海洋博については、屋良知事は確かに成功だとおっしゃった。詳しく申せば、公共投資が2600億円、民間が800億円、全体で3400億円も投資されて道路、港湾、あらゆる基本施設ができた。しかも観光客に至っては49年の下半期、50年の下半期を比較対象いたしましても約3倍、したがって県民所得はこれによって8%プラスするであろうと言われておる。
また、155万人の観光客が来て確かに沖縄を紹介する絶好のチャンスであったと。がしかし海洋博が始まって直後、あるいは期間中、各地域におけるアンバランス、あるいは大中小零細企業におけるところのアンバランス、大変困惑した状況が提示された。われわれ自由民主党県連は、このような海洋博期間を過ぎて、一体直後どうなっているのかということについて中小企業中央会、工連、あるいは建設協会、経済連、あるいは経営協、金融協会など数カ所をわれわれは徹底的に調査をいたしました。
その結果、わかったことは、まず地場産業の実態についてであります。あるいは鉄筋製造業、アスファルト、木材、圧縮ガス、あるいは縫製業、あるいはユニフォームを主体とする企業、印刷業、清涼飲料、みそ、しょうゆなどあらゆる企業が海洋博直後30%から50%の操業率が低下しております。
ことにホテル、旅館関係は全くひどい状況であります。その稼働率たるや那覇市において10%、中部、宮古において5%、八重山がややよくて50%、北部に至ってはこれはゼロの稼働率であります。そして大体ホテル、旅館の採算ラインは65%と言われておるが、人件費が30%であります。これは人件費さえも払えない状況であります。
しかも、現在のベッドは4万4000ベッドと言われておる。これを十分に稼働するについても1万ベッドぐらいしか稼働率はない。まあ稼働率60%と見ても、4万ベッドは多過ぎる。せいぜい2万ベッドが現在の情勢である。半分以上は遊休施設であります。したがって観光客は100万、150万、200万ぐらいにならなければ4万ベッドの稼働はできません。そういった関係から、あと10年間現在のベッドは遊んでおる状況であります。
また、海運関係に至りましても170億の投資をいたしましたが、最盛期の海洋博の中でもわずか26%の稼働率しかない。現在に至っては、10%内外の悲惨なる状況であります。
そこで、先ほど大田議員からありましたように企業の倒産はもう全くひどい状況であり、失業状況も惨たんたるものであります。
そこで、それでは一体マクロ的に考えて沖縄の景気はどうなるのかということを専門家の話を聞きましたら、本土においてはまあ大体予算が成立して、あるいは景気浮揚策がだんだん効をなしまして8月か9月ごろに上向きになるだろうと。しかし沖縄は、半年以上おくれるのでことしいっぱいむずかしいという状況でありました。
このような非常に苦しい状況にある。県民はまさに塗炭の苦しみにあるにもかかわらず、県の姿勢というものが積極性に欠け危機感にあふれていない。そういう中で一応質問をいたします。
まず、県産品の優先使用でございますが、隣の鹿児島県では県産品の優先使用は全く徹底しております。いわゆる県や県議会の主催する宴会には必ずしょうちゅう、あるいは地場の酒は出ております。まあ、沖縄でも去年あたりから県産品の優先使用に対する県民会議ができまして、県民運動も盛んになっておりますが、しかし県自体が実際に積極的にやる気持ちがあるかどうか疑問である。
それは一昨年から去年にかけまして屋良知事が各部に県産品を優先使用するように指令は出してありますが、しかしこれが実際に行われているかどうか。たとえば、土木部の仕様書にこう書いてある。県営住宅に用いるアルミサッシは、KJタイプのサッシまたは同等のものと書いてある。で、KJサッシとは何か、KJタイプとは何か。これは日本住宅協会の承認工場、要するに本土でしかつくれないタイプなんですよ。これのタイプでなければ使えないということを土木部に書いてある。こういうふうに、県の姿勢は積極性を欠いておるんだが、これについて知事はどう考えるか。
それから金融対策につきましても、いまホテル、旅館あるいは中小企業、製造業、あるいは小売り店が大変困っておる。しかも海洋博が済んでからお客さんも半分ないし3分の1に減った、これでは営業できないんだと。いままで借りているお金を何とかして延長してもらいたい。あるいは現在やってきたこのホテル、旅館をもうやっていけないから何とかして身売りする場合でも、これは県や国や身売りしないと。そのための転廃業資金が欲しい。またあるいは各市町村がめんどうを見てくれと。要するに公共建物として利用できる分については、できるだけその面について考えてもらいたいという声もある。あるいはいま現在民間で借りておるお金がある。これを長期低利資金に肩がわりしてほしいと。
そのようなもろもろの金融の訴えがあるが、この間銀行で調べてみたらケース・バイ・ケースでやっておるとおっしゃっているんだけれども、一体ケース・バイ・ケースでやってそれが実際にどうなっておるのか、その辺について県としては行政指導をし、実態調査をして具体的にやっておるのかどうか、それが2番目であります。
3番目は、海洋博会場外にいろいろな売店ができた、ところが期間中、期間後、もう大変なことになっておる。期間中で起きたところの損害も大変だと。その他零細企業、いわゆる県内における零細企業も大変困っておる。信用保証協会のいわゆる保証が必要だということで行ってみた。ところが、これもなかなか思うように保証してくれない。
一体、信用保証協会の状態はどうかと言えば、現在の信用保証協会の基本財産は5億9000万である。そしてその保証限度は、209億円と言われておる。じゃ、これは一体どうなのかということで鹿児島、大分を調べてみたら、宮崎あたりでも8億から9億ある、基本財産が。そして保証できる範囲というものが、300億から500億、まさに2倍ないし2.5倍の保証の力を持っておる。こういうふうな脆弱な信用保証協会の力ではやっぱり零細企業は救えないということであるが、この辺についてどう考えているのか。
伝統工芸に至っては、昨年のいろんな織物関係、漆器関係、陶器関係が26億円と言われている。ところがお隣の奄美大島、沖縄の6分の1しかない奄美大島で322億という、いわゆる大島つむぎの生産ができておる。
このように隣の県では、すでに伝統工芸のすばらしい発展を見ておるんだが、沖縄としてはもっと抜本的にこれをどうするという対策はないものかどうか。
それから観光産業の振興につきましては、これはもうホテル、旅館業者が口酸っぱく言っておる。一体、韓国やハワイや台湾やフィリピンなどの外国、いわゆる競争相手の外国旅行について割引制がある。飛行機賃が安い。これを何とかして安くする方法はないかということであります。
ところが、このように重要な観光産業、中小企業の対策あるいは伝統工芸の対策をやるべき商工費が、何と去年が29億であるがことしは19億、30%も商工費が減っておる。これは、まさに時代に逆行するものではないのかどうか。
それから最後に、観光という言葉がある。観光とは何ぞや。1つは知らすこと、その次は見ること、その次はもう一度来たいなあという気持ちを起こすことなんだよな。ところがこの観光について県は、本当にそのような観光の目的を達したかどうか。知らすことについては、きょうちょっと知事のこの提案理由の説明を見たら、観光のところには宣伝をすることについて何も書いてないんだよ。私どもは、観光のあらゆる施設をつくりますと書いてある。施設をつくったって、沖縄県にはこういうすばらしいものがあるよという宣伝をしなければだめなんですよ。
あの徳島県、われわれの学生時代はあの徳島の阿波踊りがございました。あの阿波踊りがですね、いますばらしい観光価値を持っているでしょう。これは何か、これは宣伝なんですよ、知らすこと。これには全然知らすことは書いてない。だから県の役人というものは、本当に観光というものを知らないんですよ。この辺についてはどう考えるか。
それから一番大事なことはもう一つお伺いするが、じゃ海洋博期間中も零細なホテル、あるいは旅館、あるいは会場外の売店も大変困った。あるいは中部地区においても、北部地区においても困った企業がたくさんあった。海洋博が済んだらもう大変なんですよね。だから海洋博期間中に、あるいは海洋博の前にホテルや企業をつくろうとしておる前に、屋良知事は本当に、県は、あなた方はこれはもうこれ以上つくったらいけませんよということを行政指導すべきであったんだが、これをコントロールするように、チェックするように行政指導したのかどうか。それとも逆に、いや海洋博はおめでたい、おめでたい、お祭りだ、お祭りだ、じゃんじゃんつくりなさいと言って奨励したのかどうか、これが一番大事なんですよ。あなた方が何にも行政指導していない。黙っているということは、じゃんじゃんやりなさいということと思われても仕方がないんだよ。こういうことで一体どういうふうな行政指導をしてきたのかどうか、この辺をお伺いいたします。
それから農業について。
農業問題は、生産基盤の整備、土地改良をしたり、畑地灌漑をしたり、あるいは農道をつくったり、これが重点であります。しかし地力がだんだんだんだん衰えてくるから有機肥料もやりましょう、あるいは労力費が高いからこれは省力化しましょう、そういった問題もある。
現在、先島地区ではやっぱり土地改良、畑地灌漑を重く見まして地価ダムをつくろうじゃないかと、あるいは淡水化計画をしようじゃないかと、あるいは宮良川の土地改良をしようじゃないかということで、膨大な計画がいま政府の手によってテスト工事され、あるいは調査されております。
こういった問題は、きょうすぐ解決する問題じゃありません。おそらく二、三年後に調査をして設計ができて、これができて始まっていよいよこれが畑灌の事業ができるということになれば、あと5年か10年かかるんだよ。それは待っておれない。一生懸命やるんだが、その間どうするかということ。
いま問題になっておるのは、粗糖の価格は18万1300円なんだよな。これが粗糖から精製糖に持っていく、精製糖の方が自分らには加工費がない、いまもう非常にストックがあって経済情勢が厳しいから2万5000円再販価格をとろうと言っているんですよ。18万1300円から2万5000円というのは、14%も引かれてしまったら1万6100のキビ代が払えるかどうか大変だと。沖縄全体で40億と言われておる40億、このお金がね。大変なことなんです。
これについては、企業だけじゃなくしてやっぱり中央会、経済連も一生懸命になって、この問題の解決に当たっているんだが、焦眉の急の問題として一体どうなっているのかどうか。
それから昨年の4月に農林省は農政審議会を開いて将来のいわゆる自給体制を決めた。現在の甘味資源の体制は20%であるんだけれども、あと10年後には28%にしようとしておる。
このようないわゆる政府の政策と相まって、去年の1万5000円のキビ代、それから以後徐々にではあるんだがUターン現象が出てきております。しかしこのUターン現象たるや、これは全く不安定なものでございまして、いつまた都会が、あるいは町が景気がよくなればそこにまた逆にバックするかもしれない。
そこで、やっぱり一番大事なことは、昨年の経験から推していろんな農産物の政策があるんだけれども、やはり農産物の価格をどうするかと、価格政策がいわゆる生産費あるいは所得補償をするような価格補償政策が一番大事である。
この価格政策について、一体県は、ことしの9月行われるであろう砂糖の価格折衝についてはどのような認識を持って、どのような確信を持ってなされるのであるかお伺いいたします。
それからいまサトウキビが生産されつつある。昨年の115万トンについてことしは130何万トン、約12%の増だと言われておるが、ブリックスは相変わらず去年からことしにかけて低い、歩どまりも悪い、これはなぜだろうか。この原因がまだ追求されておりません。気象の変化か、あるいは地力の変化か、あるいは品種がもうすでに20年近くなっているから品種が退化したのかどうか、この辺の原因をつかまえないと、あなた方が180万トン、200万トン増産しようとしてもブリックスが18度じゃこれは大変なことなんですよ。この辺について、じゃその原因はどこにあるかということの原因をしっかりつかんで、そしてこれを将来の対策に備えなくちゃならないが、その辺はどうなっておるか。
あるいは病害虫対策についても、最近先島ではリュウキュウアオドウガネムシ――オキナワアオドウガネムシとも言うんですが、これが現在収穫されつつあるサトウキビの根を去年から食い荒らして相当な被害を与えておる。これはちょうどウジ虫みたいなもので、これが幼虫であります。これが相当被害を与えておるが、ことしの6月から7月にかけてこれが成虫となってコガネムシになる。このコガネムシになった場合に、あっちこっちに産卵をする。いま二、三百町歩の被害であるかもしれないが、これが10倍、20倍、30倍になると宮古全体がこのアオドウガネムシに食われることになるんだが、そしてこれにはいわゆる微毒性のものしかない。このいわゆる効果の薄い薬剤散布だけじゃだめだと、誘ガ灯によるこのコガネムシの殺虫以外にはないんだということであるが、この辺はどうか。
それから漁業問題につきまして一番大きい問題は、これは講和前、講和発効時から復帰までの米軍使用のための立人禁止及び操業制限などによる損害損失補償であります。これは琉球政府のころからいまを去る20年ぐらい前から、この問題は訴え続けられておりました。
ところが、アメリカに訴えてみてもらちが明かない。で、これが権利が譲渡されましていま政府がこの責任を持っておるが、政府にもいろいろ訴えてきた、県にも訴えてきたんだけれども、これがどうにもならない実情にあります。
幸いに政府の方は、何とかして調査費だけは組んであげようということでありますが、これの金額たるや496億と言われておる。各地区の漁業組合は、ほとんど全部入っております。しかも被害を受けた人数にして600名。
この損害損失補償について、県は一体どういうふうにやってきたのか。話に聞けば、やっぱりこれはいわゆる組合の連合会、漁連が一生懸命になってこの20年間やってきたために、やっと調査費を組む段階にまで来ているんだが、県はその辺についてどのような努力をしてきたかどうか。
それからもう一つは、沿岸の漁場の整備事業がある。沿岸漁場整備開発法というのが49年にできておる。
これは、いわゆる領海が12カイリ、経済水域が200カイリというものがことしから来年にかけて国際会議で決まるであろうと。そうすると1000万トンのいわゆる漁獲量がおそらく半減するであろうと、大変なことだということで、まず沿岸の漁場の整備からやらなくちゃならないということであるんだが、この沿岸漁場の整備開発事業について県はどのような計画を持って進んでおるのかどうか、本当に計画があるのかどうか、この辺をお伺いいたします。
これは二、三年前の新聞にもございましたが、いわゆるラバウルとかキャビアン、ソロモンその他に42隻の南方出漁がある。去年は、約20億のいわゆる外貨を獲得した。一昨年は、30億以上の外貨を獲得した。これは大変重要な産業であります。
ところが、これの問題点は、燃料が何と生産費の60%近くかかるということなんです。燃料対策についてはどうするか。あるいは昨年みたいに漁場が狭くなったり、あるいはえさ場が制限されてどうにもならない。去年の10月は、10隻ぐらい帰ってきましたよ。
だからこのようなものについて、将来起こった場合どうするのか、去年はどうしたのかどうか。また最近は、向こうにもやっぱりナショナルパワーが起こりましていろんな手数料、いろんな物資をいわゆる本土の、日本の漁船に売りつけようとしておる。
このナショナルパワーの対策はどうするかという問題であるんだが、一番重点的なものは燃料対策、これについてどう考えておるかお伺いいたします。
医療の問題につきましては、いろいろ医者が足りない、看護婦が足りない、施設も本土の50%であると。この根本的解決はなかなかむずかしいんでありますが、まず救急医療について。
いま2次の急患のベッドが那覇、中部、赤十字で行われておる。ところが、このベッドが不足のために民間で診療所、病院で救急患者を受けてそして2次ベッドに移そうとするんだが、あいにく2次ベッドが不足をする。そうするとその診療所は、自分の病院には入院施設がない、ほかの病院を夜、夜中あちこち探して大変困っておる状況があるというんです。これは月に那覇だけでも二、三例あるということである。全琉については相当な数であると思うんだが、これはどうするか。
結局、それでは医者をふやし、ベッドをふやせばいいということであるが、医者をふやしてもそれに付き添う看護婦が少ない。やっぱり看護婦対策をどうするかということが、今後の問題点であります。
それから僻地離島の方でも現在無医地区がたくさんある。この無医地区の対策について、どう考えておるのかどうか。あるいは現在診療しているところなんだけれども、3月いっぱいに医者がやめてしまう。さあ、これから医者をどうするかといっててんやわんやしておる。
この医者の対策について、特に僻地診療の医者の対策についてどう考えているかお伺いいたします。
その他行政のあり方でございますが、いま知事の提案理由の中に離島振興ということが書いてある。離島振興は大変重要なことでありますので、これは一生懸命やりますと書いてあるんだが、そのうらはらなことが現在行われようとしておる。
いま、沖縄本島から宮古、あるいは沖縄本島から石垣の方にタンカー船によって石油が運ばれておる。白質油と黒質油――白と黒がある。白とは、ガソリンとかディーゼルとか軽油とか揮発油である。黒とは、重油のA、B、Cである。
これは石油調整税なるものを復帰直後つくった。さて軽油と揮発油から、500円ないし300円取ってその税を集めて、これでもってその運賃の補助に充てて、先島住民のために石油のプール制をしいたんだよ。ところが去年の10月、タンカー船が仕方なく経費がかかる、人件費がかかる、仕方がないということで運賃を上げたんだよ。
その上げた分に対して、補助を全然くれてないんだよ。過去何十年の琉球政府時代、いわゆる琉石が管理して統制しておる間は、ずっとプール制が10年間行われてきた。復帰後もそれを引いてやってきた。
ことしに限って、お金がないということで1500万円の補助をばさっと切ったんだよ。そのためにどういう結果が起きていますか。1キロリットルについて700円ないし800円のいわゆる石油価格が上がるといって、いま宮古、八重山は大騒ぎしているんだよ。
離島振興とは何ぞや。この石油価格調整税によって運搬賃を100%補助して、そして沖縄本島と離島との格差をなくしていこうと、これが石油プール制であるのに、これがまさにうらはらな状態でそのしわ寄せを先島住民に転稼させようとしておる。石油プール制を崩壊させようとしておる。離島振興とはうらはらであるんだが、この辺についてどう考えるか、お伺いいたします。
これはまた県有地の問題でありますが、これは企画総務委員会でも指摘されました。昭和48年の5月に、たとえば45円であった県有地の地料が、48年の4月に45円であったものが5月に100%、49年の7月にまた50%上がった。去年の7月に87%上がった。
そうしたら、最初45円であったものが、去年の7月は252円になっているんだよ。45円のものが、252円に上がったんだよ。
今度はまたどうなっているかというと、ことしの4月、2.3倍上げようとするんだよ。252円が582円になる。
48年の4月に45円であったものが、ことしの4月では582円。たった3カ年の間に、13倍になろうとしているんだよ。
これは何か。おそらく県は、あっちこっちのものを、いわゆる私有地に比べて安いからやろうとしたかもしれない。あるいは相続税課税標準額の基準の50%あるいは80%にしようとした。ところが、一般の住民――土地を借りている人々は、何を課税標準額の80%、50%かわからないんだよ。
あなた方の土地は、いわゆる基準額の50%にしますよ。4月1日からは、80%にしますという文書を出してあるんだよ。ところがそれを受け取った住民は、何のことか意昧がわからない。一体自分の宅地は、いま坪100円だけれども、それが幾らに上がるかなと計算できないんだよ。
そうしているうちに、県が来てお前はこうしなくちゃいかぬよと、一人一人呼んで判を押させたんだよ。後で計算してみたら、先ほど申し上げたように13倍も3カ年の間に上がっている。大変なことですよ。
国有地や那覇の市有地は、まだ現在の3分の1なんだよ、県有地のね。もし仮に、ことしの4月13倍に上がったとすれば、私有地よりも高いと言われているんだよ、これは。
このようにいわゆる地方自治法にうたわれたところのいわゆる県の事務は、地方住民の福祉のためにならなくちゃならない。逆に住民のコンセンサスも得ないで、強制的に圧力的に契約をさせてそれを実行しようとしておる、この県の態度はけしからぬということでいまこの反対運動が起こっているが、この辺についてどう考えるかお伺いいたします。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 二、三私からお答えいたしましてあとは関係部長に答えさせたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
県産品の優先使用ということは先ほどもありましたけれども、それを積極的に県はやっているかということでありましたけれども、これは積極的にやっております。なお力強く、これを推し進めていくつもりでございます。
次には、土木部の規格問題につきましては、これは土木部に答えさせたいと思っております。
それからホテルの資金融資措置につきまして具体的にやっているかということでございましたけれども、この方面につきましては大体準備を整えてやっているつもりだと思いますけれども、関係部長に答えさせます。
なお、次に中小企業の信用保証協会の準備があるかということでありましたが、これは準備はされているとこういうふうに考えておりますが、なお補説させます。
それからこの伝統工芸品に大島の例をとって力の入れ方が足りないというお話でありましたけれども、これは御承知のように皆さんの御協力を得て条例をつくったりして、そしてわれわれといたしましては、非常に大事にしてこれを推進していくという施策を打っているつもりでございます。
それから観光につきましては、先ほども申し上げましたように、非常にタイミングとしてポスト海洋博の大事な施策としてこれを取り上げていかねばならない。しかし取り上げていくためには、もちろん宣伝、啓蒙、皆に知ってもらわなければ来ないわけですから、だから観光客を誘致するという表現の中にはそういう宣伝、啓蒙はあわせて皆含まれていると、私は考えております。
なお、海洋博前にホテルをつくったと、建設したと。そのときには、いろいろ関係部局――海洋博協会並びに協力局その他からやはりこれこれしかじかの人を、これだけの人を収容するためにはというようなことがありまして、これはできるだけ間に合わせてつくらねばならぬというような事態があったわけでございます。だけれども、この行政指導はやったというふうに考えておりますが、この面につきまして具体的に労働商工部に答えさせます。
それから砂糖問題、それから生産費価格補償方式の問題、それから病害虫、漁業問題、燃油問題、これは農林水産部に答えてもらいます。
それから救急医療対策、それから看護婦、医者の対策、これは環境保健部に答えさせます。
それから離島振興のこの石油対策、これは企画調整部になろうと思いますが、それぞれにお答えさせますので、よろしくお願いいたレます。
それから県有地の値上げ問題につきましても、やはり総務部に答えさせます。
○盛島明秀君 議長、休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
午後1時40分休憩
午後1時42分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 先ほど、初めに県産品の問題あるいはホテルの資金融資の問題、あるいは中小企業、信用保証協会等々に金融の準備があるかということであります。それから伝統工芸品等につきまして、県としてはおっしゃるように一生懸命にやっているということを申し上げたつもり。またホテルの行政指導もこれはやっているけれども、なお補説させると、こういうことを申し上げたわけであります。
なお、砂糖問題その他この価格問題、国の自給度が少なくとも二十七、八%ないし30%に持っていくと。こうなれば、結局生産は奄美大島、沖縄の蔗糖、これを生産を増大せしめなければいかないことが大事な要素になるので、そういう意味において生産を増大せしむるためには、沖縄農民の生産意欲を起こさなきゃいかない。そのためには価格の問題である。そのためには生産費、所得補償方式といったようなことは、これは御承知のようにずっとやっているのでありまして、引き続き今後も充実強化してこの運動は展開していくということはそのとおりでございます。
それに関連しまして価格問題、具体的な問題は農林水産部長に補説させると申し上げたわけであります。
それからこの漁業問題につきましても、非常に問題が具体的になっておりましたので、第1次産業としての水産業は非常に有望な産業であるし、われわれとしてもあらゆる努力を傾注してこれの振興開発を図っていかにゃならないというようなことであります。
おっしゃるように、灯油燃油問題というようなものは非常に大事なことであるし、その関係の補助というようなもの、あるいはまた離島振興開発ですね、これはうそも偽りもなくしてやはり沖縄の離島対策というのは、私たちはずっと念頭に置いて非常に大事にしなければならぬと考えてきたつもりであります。
したがって、今日までも価格問題についても、同じように売れるように、買えるようになるようなことは十分手を尽くしてきたつもりでありますが、この問題につきましても、なお具体的な諸問題につきましては、企画調整部の方に答えさせるということと農林水産部に答えさせるということを申し上げたわけでありますが、じゃポスト海洋博対策とこの離島振興上の問題の石油製品の価格の問題についてちょっとお答えしておきますと、復帰対策要綱第3次分に基づきまして、特別措置として沖縄県石油価格調整税条例を制定し、離島の石油製品価格調整事業を実施し本島並み価格維持に努力しております。
しかし、御承知のとおりこの制度は、昭和52年3月までの時限法でありますので、この制度がなくなりますというとそれ以後本島並み価格維持は困難になるものと、こういうふうに考えているわけであります。
なお、この問題につきましては、企画調整部長に補説させたいと、こう思います。
それから救急医療対策というのも、もちろん看護婦対策、それから医者の対策等それぞれわれわれは全力を挙げてこれの確保には努力していくつもりであります。
予算、施策にもそれは講じられていると思うわけでありますけれども、具体的なことを環境保健部長に補説させたいと、こう思います。
そういう意味で、先ほどはああいうふうにこれをお許しを受けて指示したいと思っていたわけでございます。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 離島振興と石油製品の価格維持問題につきまして基本的な考え方、先ほど知事から御説明がありましたけれども、盛島議員の御指摘の問題について具体的にお答えしたいと思います。
先ほどの説明にもありましたように、沖縄県の石油調整価格は、同価格調整条例によりまして石油製品輸送等補助金交付要綱に基づいて実施しております。
ただ問題は、同条例による歳入でもってその価格維持をすべきですけれども、現実としてはこの価格調整税のみでは十分対応できなくて、県の一般財源からの持ち出しが相当大きく、その不足分をカバーしているのが現状であります。
補償対象でありますけれども、運送経費のうち海上運賃、荷役料、倉出し入れ料等でありますが、これらの料金をチェックすることは制度的に困難であります――後ほど説明しますけれども。したがいまして海上運送業者等につきましては、この補助金は、補助金ではなく当然のサービス料金という認識があります。したがって、その海上運送業者にとりましては、100%補てんすべきだという考え方が先に立ちまして運用面でいろいろむずかしい面があるわけであります。
御指摘の現在宮古島、石垣島の石油に対しましては、琉球石油株式会社に輸送費補助ということで行っておりますが、50年の10月まではずっと要請どおりやってきたところであります。ところが50年の10月に再びタンカー運賃の大幅な値上げがあったとして、具体的には宮古島石油57%、黒油1%、石垣島石油24%、黒油5%と大幅な運送契約の値上げを結びまして、その上がった分を全額補助せよという形で来ております。
県といたしましては、従来できるだけ一般財源との考慮もありましたけれども、離島振興という重点施策からほとんど補てんしてきたわけでございますけれども、県が補助しています業者は、全部で23業者あります。
で、これをこの23の業者と航路別に見ますと、その引き上げ回数――これは復帰の時点の47年から51年まででございますが、津堅島ほか3航路は1回も値上げしておりません。伊平屋島ほか16航路、これは1回で引き上げ率132%でございます。南、北大東航路、これは3回引き上げておりますが、239%でございます。
これらの航路は、定期航路運賃等で総合事務局へ届け出て、指導とか助言とか運賃の届け出制があって、一定のチェックがなされます。
ところが、いま問題となっております琉球石油関係は、宮古島航路タンカー、これは4回、224%値上げしております。それから石垣島航路、これも琉球石油関係のタンカーで、4回から5回値上げして268%でございます。それから久米島航路でございますが、これも琉石関係のタンカーで、3回ないし4回上げまして実に444%の値上げで、このタンカーにつきましては、制度上荷主とタンカーとが自由契約したものがすなわち運賃ということになりまして、その分をすべて石油価格調整税によって補助しようということに来ているわけでございますけれども、私どもとしては、今回50年10月1日に出されましたことにつきましては、これ以上の値上げにつきましては問題だということで前に査定したとおり、その補助を決定したわけでございます。
したがいまして、そういうことをしたからすぐ宮古、石垣、久米島の運賃が値上げするというふうなことは考えておりません。これはまた企業内の努力によってできると考えております。
以上です。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) お答えいたします。
県産品の使用の問題と、それから公営住宅に記載されておりますところの仕様書の取り上げでございますが、これは県産品の公共工事に対しての使用ということにつきましては、先ほど知事からの御説明どおりでございます。
ただし、いまこの公営住宅の確かに仕様書の中に、いま御指摘のようにKJ製品というようなことは記載されております。このKJ製品という意味は、これは国の建設省あたりでも指導いたし、各都道府県でもこれは採用している一つの制度でございますが、毎年大量に使用するこういう公共的な住宅、公団とかその他ございますが、そういうような住宅についての大量化、それから大量に対応して当然何かこう非常に均一的な製品の規格をつくる、それから低廉な形で大量の生産に応ずると、こういうようなことから始められた一つの制度でございますが、各都道府県でもほとんど使用されている一つの制度でございます。
本県の場合は、確かにアルミサッシの生産業者というのはたくさんございます。しかしKJ製品をつくっている業者というのは、沖縄はおりません。
そういうことでございますので、公営住宅の方で確かにこの品質の確保ということと規格を決めて低廉な住宅をつくって安い住宅を提供するという趣旨からは、いまのKJ製品の仕様書をつくっているところでございますが、先ほども申し上げましたように沖縄でこのKJ製品はつくっておりません。
しかし仕様書には一応入れてございますが、その仕様書に入れているのはその意味を踏まえてでございまして、そしてそれと同等以上の規格製品をつくっていただけば、沖縄の製品もどんどん使わしていきますし、また現にそういうような趣旨で指導し使っているところでございます。仕様書の中では、そういう趣旨で入れてございますが、現実的には同等以上の製品もどんどんつくっていただいて、そして現実的には現在使っておりますので、また将来もこのような形で業者ともタイアップして住宅の生産のこういう分には、いまの県産品を特に優先させて使わしていただきたいと思います。
以上でございます。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) ホテルあるいは信用保証協会の件などについてお答えいたしたいと思います。
まず、ホテル関係あるいは旅館関係の金融対策につきましては、これまでも県といたしましては中小企業連鎖倒産救済特別保証制度といったような保証制度を設けまして、去る9月にそれを発足させましてそれによる対処策を講じてきております。また、現在持っておりますところの経営安定資金などの活用もできるというふうなことになっておりますし、さらに今後小規模事業対策特別資金などを新設いたしまして、県単の融資といったような立場から対処していきたいと、こう考えております。
さらに、これまで出されておりますところの資金の繰り延べの問題などにつきましては、貸付金の返還、返済金の条件の変更だとか、あるいは運転資金の貸与だとか、さらには個人金融の肩がわり融資だとか、あるいは転廃業指導とその融資などについてはケース・バイ・ケースで対処するんだといったようなことで国の方も発表しておりますし、現実にそのような対処策がなされているというふうに聞いております。
その実績につきましては、私どもとしてまだ十分把握しておりませんけれども、業者がきちっとした立場でそれを持っていって金融機関と相談すれば、いま言ったような対処策がすでになされているわけですし、またそれによって対処されている例もあるというふうに聞いております。
これらの対策につきましては、私どもといたしましては観光連盟とも十分連携を持って対処しておりますし、今後連盟を通しまして行政指導なども強化していきたいというふうに考えております。
さらに、今後国と協力いたしまして、ホテル全体についての実態調査を現在実施中でございます。その結果によって、さらに具体的な対策を講じていくといったような立場を堅持していきたいと考えております。
ホテル建設段階におきますところのホテル建設を抑制するための行政的な指導については、私どもとしては積極的には行ってきておりません。
それから2番目の信用保証協会の保証関係についてでございますが、これにつきましては基金の造成による保証枠の拡大などについて、あるいは保証料の引き下げ、これらについて県としては復帰後格段の努力をいたしてまいってきております。
ちなみに申し上げますと、基本財産について48年の3月末現在が、1億3202万程度の基本財産でございました。それが49年には約1億8000万というふうになっております。それから50年の3月――去年の3月末には3億9800万程度の基本財産になっておりますが、今期の51年3月末現在では7億6000万といったような数字に基本財産として増加してきております。
そういたしますと、7億6000万でございますので、35倍の定款倍率がございますので、250億ないし260億程度の保証枠といったようなことになるわけでございますし、そういった点から復帰後そういった保証協会の充実強化については、県としても、特段の努力をしてきているというふうに言えるかと思います。
さらに、保証料の引き下げについても、1.5%から現在1.3%まで引き下げしておりますし、次年度についても0.1程度の引き下げをするといったようなことで現在努力を重ねております。そしてこの保証制度を活用いたしまして、いまさき申し上げました倒産防止のための特別保証制度なども設けて中小企業対策として対処してきておりますし、それらの点については、さらに次年度においてもそういった倒産防止のための特別保証といったような制度を継続していきながら、沖縄の中小企業に対する信用保証協会の役割りをさらに重大なものにしていきたいと、このように考えております。
それから伝統工芸の振興につきましては、これまでも地域センターの設置だとか、あるいは織り子などの後継者の養成の問題、あるいは沖縄の伝統工芸振興展の開催など、さらには融資に対する利子補給の制度など、さらには原材料確保対策といったような立場から産地に対する補助の問題など、こういったのを施策として推し進めてきておりますし、それによる効果も大きいのがあるのではなかろうかと考えております。
さらに、こういった面を今後とも強化していくといったような立場で、振興開発計画を早急に策定し、それにのっとったところの諸施策を充実させていきたいと、こう考えております。
それから観光の宣伝面についてでございますが、私ども県といたしましては観光の宣伝面につきましては、県が主体となってこれまで十分努力してきたというふうに考えております。
まず、観光宣伝につきましては、パンフレットとかあるいはリーフレットの作成などを多量にいたしておりますし、さらには物産観光展におきますところの観光の宣伝、さらにはキャラバン隊の派遣による全国各地における宣伝、さらには映画の作製による宣伝、さらには昨年度でございますが、東京、大阪、それから福岡におきまして観光案内所を設置してそこで予約など、あるいは情報の提供などを行うといったような措置、これなどをとりまして観光の振興といったようなことを特に宣伝面を強化してやってきております。
今後の対策といたしましては、現在観光基本計画を策定中でございますが、これを本年度いっぱいに、すでに小委員会の結論は出てきておりますので、あと観光審議会の全体会議に近々のうちにかけましてその答申を得て、それに基づく施設あるいは宣伝面などの充実強化を図っていくといったような立場で対処していきたいと、こう考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 知事がお答えをいたしました農林水産業関係の一部を補足説明を申し上げます。
今期砂糖の再販価格はどうなっているかという御質問でございました。
これは、さきの大田議員の御質問にもお答えをいたしましたとおり、御指摘のような形で確かにメーカーとしてはパーキロ25円引き、したがってトンに直せば2万5000円の引き値でもって取引をするというような通告があり、農林省としてはキロ当たり5円引き、トン5000円の値引きで指導をいたしております。
しかしながら依然としてメーカーは、これを25円引きを譲っておりません。したがって現在は、仮仕切りでもって取引がなされております。農林省としても3ないし4月ごろにおいて、操業の終了次第この取引問題については、両方の調整に入るというようなことでわれわれは聞いております。
県としても、これはサトウキビの価格に影響することでありますので、強力に農林省の指導価格については、十分メーカーの指導をやってもらうように強力に折衝をいたしております。
サトウキビの価格折衝につきましては、あくまでも生産費、所得補償方式を来年も堅持していきたいと、こういうふうに考えます。
なお、今期のブリックス低下の原因でございますけれども、これについては去年よりは若干ブリックスも歩どまりも向上をいたしております。しかしながら総体的には、ブリックスも歩どまりも予定よりは上がっておりません。したがってこれは基本的な問題から、徹底的に原因を究明をしてかかる必要があると、こう思っております。
なお、中でも御指摘をいただきましたような品種のNCO310の問題でございますけれども、今度から国としてもこういった品種の改良については指定試験に組み入れまして、いわゆる国が責任をもって品種改良を行うというような形に51年度から予算化されます。したがって現在種子島で行われておりますところの品種改良と、さらに沖縄県の農業試験場で行われます品種改良が相まって今後の品種選抜にかかると、こういうふうになるわけでございます。
そういうことで今後とも品種の改良、選抜については十分な力を入れていきたいと、こう思っております。なおその具体的な原因については、現在調査中でございます。
それから宮古に発生をいたしましたリュウキュウアオドウガネムシの防除対策、これは御指適のとおりいまのところそのままの生態では農薬の効果が非常に薄いというようなことが確認をされておりますけれども、更新時期においてはやはり農薬の効果があらわれますので、更新時期におけるところの防除対策も徹底をしていきたいと思います。
なお、しかし恒久対策としては、現在天敵が宮古地域において発見されておりますが、この効果は十分把握はされておりませんが、でき得る限り南方諸国からの天敵の導入等も考えていく必要があろうかとこういうふうに思いますので、今後諸外国からの天敵導入について検討いたしたいと思います。
それから漁業補償につきましては、おとといもこの件で私開発庁の方で話をいたしましたけれども、現在要求をしております金額については、当初の要求額よりも若干減額はされておりますけれども、返還協定の放棄請求権の中に含まれておって請求されている分、ただし漁業補償については農林水産部内で取り上げておりますところの、あるいはまた業者自体が沖縄県漁業損害補償獲得協議会を結成をいたしましてその中で確認をされている金額について、われわれはこれを別個の形でいわゆる放棄請求権から別個の形でもこれをバックアップしていくということでございます。
先ほど、開発庁とも相談をいたしました結果、それで結構であるというような非公式な了解を得ておりますので、その金額については別個の形で今後進めていきたいと、こう思っております。
沿岸漁業整備計画でございますが、これも49年の5月に国において沿岸漁場整備開発法が制定をされました。したがって県としては、49年の10月に沿岸漁場整備開発構想を国に提出をいたしております。50年の8月に、全国的に若干の修正作業が行われました。51年から昭和57年度までの計画として、総額で34億の事業計画を出しております。51年の予算では、9150万円の一部の予算がついております。
それから燃料対策につきましては、これも御指摘をいただきましたように、確かに漁業者としては、非常に燃料の値上がりが操業に関係をするわけでございます。
この経過については、御説明を申し上げることもないと思いますけれども、昭和49年の6月には緊急融資でございましたけれども、総額530億、それからそのうち遠洋漁業関係者は、総額で4億6000万の融資希望がございました。その認定をいたしました結果が、9800万円――これは7件でありますけれども、融資を受けたわけでございます。その49年に31万、50年に320万利子補給を受けております。
なお、本年度は、国は当面の必要な経費といたしましてこれは低利で融資をするということで資金枠が600億、末端金利を5%以内にいたしまして償還の期間を3年以内で各都道府県に基準金利と末端金利の差をつけて融資をする、いわゆる利子補給をするということになります。その利子補給の場合は、3分の2を国が補助するということでございます。したがって県としては、51年度にこの制度が発足をした場合は、必要な措置を講ずるということで検討中でございます。
以上です。
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) ただいま、知事の説明に補足させていただきたいと思います。
御指摘の救急医療の中で、2次患者の収容方についてかなり困窮している状態ということでございますが、非常に困窮していることは御指摘のとおりでございまして、しかしいままでのところは国立病院、それから私的病院、もちろん県立病院等もあわせて連携を持ちまして、有機的に連絡を取り合ってそして今日までやってきております。
しかしその中で、依然として看護婦の対策が困難の状況でございますが、実は県立病院だけについて申し上げますと、昭和50年度は1492ベッドのところを今年度の新しい予算案では、県立病院を1613、すなわち120ベッドほどをふやすということになりまして、これに対する看護婦確保につきましては、ことし卒業する県立の看護婦学校あるいは准看護学校等の卒業生等を充当しますと、大体90%程度の看護婦が充足されますので、したがってそれに対する51年度においては、50年度に比較してかなりその2次患者の収容等については緩和されてくるということでございます。
その次、御指摘の僻地離島等の医療対策のことでございますが、その対策の中で現状を申し上げますと、いま市町村立の診療所が約15ありまして、そのうち2つだけが市町村の直営の診療所でございまして、あと13は市町村立でありますけれども、それぞれの医師に委託経営させているところでございます。
特に、この委託経営を受けているところの診療所につきましては、いわゆるその市町村の一般財源からの持ち出しがきわめて多額のものであると。たとえば再々問題になります伊良部村につきましては、2カ所の診療所につきまして約3000万円の持ち出しがあり、その3000万円は、村の財政収入とほぼ同額であるというふうな重大なその市町村に対する財政圧迫を加えている向きもございます。
これらのものにつきましては、やはり私たちは市町村立そして市町村経営と、直営の診療所の形に変えていった方が国が施行しているところの僻地診療所に対する補助対策との問題もあわせていろいろと補助金が流れる仕組みになりますので、その方向でこれらの診療所を行政指導していきたいと思います。
その中で、さらに医師が近々またやめるところも出ると、3月にやめるところも出るというふうな御指摘もありましたですが、過去におきましては私たちは、それらの問題を抱えている市町村から問題が提起されますと、その市町村とともに医師の確保について県もできるだけの努力をやってきておりますし、その例を申し上げますと、伊江村立の診療所と、それから石垣の夜間救急診療所等についても、私たちもその自治体の長とともにその獲得方についていろいろと御援助申し上げておりますし、今後もそういうふうな申し出があるものについては、積極的に御援助申し上げたいと、こういうふうに考えております。
以上で終わります。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 県有地の賃貸料についてお答えいたします。
復帰前、旧米国民政府財産管理官が管理していた県有地については、復帰の際県に引き継がれております。
その賃貸料ですが、これは昭和37年に定められたものになっております。復帰特別措置法によって、復帰後1年間は従前の賃貸料で貸し付けし、昭和48年5月15日から昭和49年3月31日までは従前の賃貸料の2倍として昭和49年4月1日からは前年度の1.5倍の率で改定し、実施してきたわけでございます。
ところで昭和37年に定められた賃貸料を、算定基礎にすることが果たして妥当性がありや否やということでこれを分析検討しましたところ、まず立地条件、地形等は考慮されていないこと、それに交通体系、類似環境、経済的要素が著しく変化している現状から不相当な点があると判明したわけでございます。したがいまして、算定基礎を是正する必要があると判断したわけでございます。
そこで科学的に算出された相続税財産評価基準が相当として、県有地近傍の民間借地料を参考にして基準貸付料を定めて昭和50年4月1日から契約更改をしたわけでございます。
すなわら、県有地近傍の民間借地料平均率が100分の2.76と算定されましたが、経済状況、諸般の事情等を分析検討したところ、賃貸料率を100分の2相当に定めて基準貸付料を算定したわけでございます。
まず、昭和50年4月1日から同年6月までは現行どおりとしたわけでございます。それから昭和50年7月1日から昭和51年3月31日までは、基準貸付料の100分の50の算定額にするということと、3番目に昭和51年4月1日から昭和52年3月31日まで基準貸付料の100分の80の算定額にするということ。最後に昭和52年4月1日からは、経済的要素等の変化に対応する必要がありますので、その時点で検討するというこういった趣旨で契約を交わすように進めてきたわけでございますが、契約が整った件数が70%になり、未契約の件数が30%ということになっているわけでございます。
この未契約の方々と現在話し合いを進めておりますが、結局はこのいま申し上げました事項について借地人と話し合って、合意点を見出すように努力しております。近日中には、その解決ができるものと見ております。
なお、この契約内容について十分な説明がなされないために、強制的あるいは圧力的な態度として受けとめられておった点もありますので、その点については反省いたしたいと思います。
○議長(知花英夫君) 盛島明秀君。
〔盛島明秀君登壇〕
○盛島明秀君 ただいま、いろいろの御説明がございましたが、それに一々反論を加えると時間が足りませんので、3つ4つだけにしぼって再質問をいたします。
まず、やっぱりこのように海洋博の期間、あるいは海洋博の直後、中小零細企業特にホテル、旅館業が大変困っておる。このようなものについて海洋博の期間中、一体行政指導をやったのかどうかということなんですよね。ところが部長の説明では、観光連盟といろいろ連絡し合ってやったといっているんですよね。
私は、海洋博が始まって直後、あるいは海洋博が済んで直後、いろいろそういった方々とも話し合いをし、調査をしております。
これによりますれば、昭和49年の12月の26日に環境衛生同業組合の理事長から県に対して許認可に関する要請をしております。これは結局、いま海洋博に向けてホテルを建設しようとする者がたくさんいらっしゃる。いま1000軒以上もあると言われておる。これはまさに将来、過剰設備になるおそれがあるので、これはぜひ県としてもこれにチェックすべく行政指導をしていただきたいと。そのためには県、金融協会、学識経験者あるいは事業者、そういった4者合体するところの協議会をつくって、その協議会によって本当に現在のものが妥当であるかどうかをチェックしてくれと言っているんだよ、49年の12月26日。
そしてまた50年の2月26日には、やっぱり環衛同業組合からいわゆるホテル業をなそうとする人、旅館業をなそうとする人が地方事務所を通じて建築認可が来る、あるいは保健所に対して事業の許認可の申請に来る。その直前に、こういった組合の理事長あてに連絡をしてくれと、これによってチェックする手段を講じたいと。そして県知事にも話し合って、何とかして行政指導する道を開いてもらいたいという要求がなされておるんですよ。50年の2月26日と49年の12月になされておるんだよ。
ところが、それに対して知事は、県は何らの返事もしてないんだよ。何らの返事もしてないで、やっと返事が来た、いつと思いますか。6月28日、海洋博が始まる直前に、県はやっと返事をした。その返事が、どういう返事ですか。
これは行政指導はすることはできません、端的に言えば。これは法律で、ホテル、旅館業をやりたいという人がおれば、これは法に合致すれば規制することはできませんと、全くガミガミなんだよな。
それからもう一つは、環衛法のいわゆる適用の法律がある。その法律に従えば、もし大企業いわゆる従業員50名以上、それから資本金が1000万円以上の商業、サービス業を主とする事業、これが大企業なんだ。
大企業がその地区に入った場合は、組合自体がそれと相談してやりなさいと、その法にやりなさいと書いてあるんです。
要するに簡単に言えば、いわゆる業者から、これは大変なことになるよと、県は、もっとしっかりしていろんな協議会をつくりなさいと、あるいはホテルができようとするときに、自分らに連絡してくれということをお願いしたにもかかわらず、逆に県の方は、いやそれはお前らでできるんだからあんた方でやりなさいと、責任転嫁しているんだよ。これが、観光連盟と連絡してやったとおっしゃるんだが、観光連盟と連絡して何もやっていませんよ。
それから49年の9月に、開発審議会がございましたが、そのときの新聞によると、このようにホテルがたくさんできる、旅館がたくさんできる、大変な過剰ぎみになるんじゃないか。この辺は、県はチェックすべきじゃないかということも提案されておるんですよ、49年から。
そのようなもろもろの客観情勢、あるいは業者の注文に対しても、県は、これに対して行政指導をしてない。行政指導しないどころか、放任している。この辺の責任は、どうとるか。
それから県有地の問題ですが、これは企画総務委員会でも詳しく検討されたので私はこれ以上追及はいたしませんが、問題は70%、30%とおっしゃった。ところが70%契約をやった人の中にも、ああこの契約はしまったと、やるべきじゃなかったと。これを何とかもとに戻してくれという人が多いんですよ。
要するに4月1日以降のいわゆる県有地の賃貸借料が、3年前の13倍になっている。しかも私有地よりも高い。そういうことでこれは契約したが、契約は間違いであったとおっしゃっているんだよ。この辺について、4月1日に契約されたものをどうするのか、この辺をお伺いいたします。
それから石油プール制についてでございますが、いままで琉球政府時代復帰後3年間やられてきたんですよ。そして去年も一昨年も調整税だけでお金が足りなければ、予算を補充してそして石油プール制を実施してきたんだよ。なぜ今回だけこれを実施しないのか。
運賃が上がってきたので、これがチェックができないということであれば、何のために県は、調査機関を持っておりますか。その運賃がその会社の経営上本当に不都合なものであるのかどうか、安いのか高いのか、ほかの社と比べてどうであるのかどうか、この辺も検討しなければわかりませんよ。
いたずらに、主観的にあんた方は運賃を上げているからだめだということでは、それでは会社が経営できない。これは大変だということであれば、これは先島に肩がわりしますよ、このお金が何と2000万近いんですよ。
それからこの法律が52年3月で切れちゃう。来年の3月切れちゃうんだよな。それからあとは、もうやりませんと言っているんだ。それからあとが問題なんだ、一体これからあとどうするんですか。
いま、2億8000万と1500万足して約3億近くの補助でもってやっと同じような価格が維持されているんだよ。
これがもしパアになると、来年の4月以降は、3億以上の石油価格に対する負担を、いわゆる価格差を補充しなくちゃならないんだよ、負担しなくちゃならない。
52年4月以降は、一体どうするおつもりなんですか、お伺いします。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) お答えいたします。
建設段階においては、具体的な指導としてはシーサイド・プラザの問題があった場合に、これらについてできるだけ規模を縮小して他へ圧迫を与えないといったような立場からの行政指導はいたしておりますが、一般的な立場で全体的にホテルは過剰であるのでできるだけホテルをつくらないようにといったような行政指導はしてないといったようなことを前に答弁したわけでございます。
その後の対策につきましては、観光連盟を通して観光連盟と協議をしながら対処していくといったような答弁をさっきした覚えでございます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 県有地の賃貸契約についてですが、現在未契約の借地人と話し合いを進めておりますので、そこで双方の合意事項については、すでに契約した借地人の契約内容も同様に扱いたいと考えております。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 荷主として琉球石油と、それからその契約しています運送会社タンカー会社との輸送費等の調査は、一応しております。そして調査して、その査定の上に立って補助金を決定したわけですが、先ほど私が言いましたように、他の離島航路定期航路みたいに法的にその運賃の届け出制だとか許可制というふうなことがなされてないということでなかなかその歯どめがきかないという趣旨でございます。
確かにおっしゃるように、50年の10月までは業者の申請どおりに調査して認めたわけでございますけれども、他の業者との関係等もありまして、先ほど申しましたように一般財源からの繰り出しということもありますし、やはりこの辺で私どもとしては一定の行政的措置として今回は申請どおりにはしていないわけであります。
さらに、52年4月以降につきましては、現在御指摘のように3億円ほどの金をこの石油調整価格維持のために使っているわけですけれども、これは1つには石油調整税条例が法律的に、制度的に52年3月までだということと、その法的面、さらには離島振興という場合に、あるいは物価安定という場合に石油調整価格維持にかわるもっと根本的な角度からの対応の仕方があるんじゃないかということ等も含めて引き続き検討していきたいと思います。
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環鏡保健部長(照屋善助君) 先ほど、盛島議員御指摘の環衛法に関係する分での旅館業のことについて申し上げたいと思いますが、環衛法の第14条の12は、組合協約をつくり、それが認可申請があれば、組合が大企業と話し合いをもってやることになっております。
現実には、他府県の場合ではその例はあることは聞いておりますが、実際問題としましては、旅館業の営業をとめるということはできなく、営業を延ばすという方法を講じているのが現状でございまして、この旨のことにつきましては申し出があった際に組合の方々に説明申し上げております。
○議長(知花英夫君) 大城真順君。
〔大城真順君登壇〕
○大城真順君 本員は、自由民主党沖縄県連を代表する1人といたしまして、海洋博後における混迷した世相の真っただ中で、県民1人1人が現実を憂い将来を模索しているきわめて厳しい状況に直面して、過去を振り返り現実を分析し、今後の施策が誤りなく新しい沖縄をつくる基本となり、原動力となるよう知事の御見解をただしてみたいと思いますので、率直かつ的確なる御答弁を期待いたします。
まず、屋良県政の締めくくりに当たり、4カ年前の新しい県政の出発点における施政方針並びに7カ年前の革新政権の誕生における県民への公約と、さらには振興計画等を改めて読み返してみた場合、現実とのギャップが余りにも大きく全く唖然とするものがあり、県民の批判と不信を買っているのが現状であります。
4カ年経過した今日、県政は軌道に乗るどころか、軌道の修正をはかったり、みずからの手でレールをはずして転覆してみたり、発車時刻表を持ちながらそれが守られない状況の中で乗客である県民は戸惑い、そしていら立ちを感じているというのが沖縄県政の現実の姿ではないでしょうか。
そこで本員は通告に従い、順序は前後するかもわかりませんが、革新県政がいかに無能行政をしき、言行不一致で試行錯誤に終始し、県民に多大の犠牲を強いてきたか二、三の事実を取り上げ、わが党の見解を交えながら質問を展開したいと思います。
まず、青少年犯罪についてでございますが、知事は、沖縄の運命を教育に託すというすばらしい言葉を残され、そのとおり努力されてきたと思いますが、なるほど沖縄の教育は物理的、そして外面的には施設面を初めとしてよくなりつつありましょうが、内面的には逆に悪化し教育の危機に直面したといっても過言ではないと思います。
本員は、知事が毎朝どのようなお気持ちであの新聞の三面記事を見ておられるかお聞きしたいくらいに、毎日というほど殺人事件が起こっておりますが、そのほとんどが青少年の犯行であり、また高校生が酔っぱらってのらんちき騒ぎ、くわえたばこでばくち遊び等の記事を見るにつけ、一体沖縄はどうなるのかと胸深く恐怖と悲しみを抱き、不安にかられているのは本員1人ではありますまい。こんな沖縄にだれがしたと嘆き悲しむ前に、一体その根深いであろう原因は何なのか、為政者として胸に手を当てて真剣に考え、その打開策を見出さなくてはならないところまで立ち至っておるのであります。
そこで本員は、関係者が何百回の会議を持ち、青少年育成のための機構制度を改善、強化する試みと努力をもってしても解決できる問題ではないと見ております。
議会においてこの問題が出るたびに、その原因として基地の存在と社会の不健全性を挙げて責任転嫁の妙技を演じてまいりました。無責任もはなはだしいと言わねばなりません。米軍基地は、30年間も延々と続いてきているのであります。むしろ現実では縮小されてきております。しかし犯罪全般は、急速度に増加いたしております。
青少年を取り巻く社会環境は、不良印刷物のはんらん、夜の盛り場、遊び場、その他不良化の要因をつくる事象は革新政権になってから他県に例を見ないほど激増しているではありませんか。
明るく住みよい豊かな社会を目指す知事の理念が本物であり、それを裏づける施策が本当に県民の福祉の優先であり、実行してきておりますならば、こんな社会環境になるはずはありません。これは知事の経済、社会、教育の失策に起因するものであり、生活のために働いている業者に責任を押しつけるのはもってのほかであります。
知事は、社会を浄化するためにこれらの方々にもよりよい企業と職場を与えるどころか、何らなすすべを知らず、企業倒産に手をこまねき、あふれ出る失業者をどうするかもわからず、ただ見守っているだけではありませんか。
そこで本員は、青少年の凶悪犯罪、不良化の真の要因を3つ挙げてみたいと思います。これ以外に打開の方法はないと、本員は確信しているからであります。
1つは、革新そのものの体質であり、県の姿勢であります。イデオロギーを最優先し、法律を軽視し、権利の主張と義務の履行のアンバランス、数によって法律は押しつぶすことができるなどの態度をみずから持ち、それが民主主義であり正しいことだと県民に悪い範を垂れ、県民多数の倫理感を失わしめ、善悪の区別をみずからの体験を通してまだ十分に判断できない青少年の心までむしばんでいったという経過を見逃すわけにはまいりません。
2つには、大多数の先生方に師魂がないということであります。先生と生徒の魂の触れ合いが欠如していることであります。給料の分だけ働けばよい、5時を過ぎれば赤の他人だ、あとは勝手にしろでは真の教育ができるはずはありません。
那覇の町では御承知のとおり、夜中まで中高校生がいっぱいうろうろしておりますが、このようなことが他県において見られる現象でありましょうか。これは父兄の責任だと一蹴されるかもしれませんが、確かに父兄にも責任はありますが、大半は個々の先生にあると、本員は確信いたしております。イデオロギー偏向教育、道徳教育の欠如、先生方の教師としての自覚の足りなさ等が最大の要因だと思います。その具体例を挙げれば数限りなくありますが、それは一般質問に譲るといたしまして、ここで1つの例を挙げてみましょう。
警察に補導され、検挙される子供たちに、「警察の取り調べを受けて恥ずかしく思わないのか」と質問する取り調べ官に対し、「ちっとも恥ずかしいとは思いません。先生方だってデモや大衆運動でつかまり、取り調べを受けているではありませんか。私たちは、ただ先生方のように欲しいものを取り、やりたいことをやったまでだ」と答えるのが普通のようでございます。これが教育の成果でしょうか。子供は鏡であります。彼らの行動のすべてに教育の結果が判然とあらわれているのであります。教育者の責任、重大と思わねばなりません。
3つに、教育行政の無能ぶりであります。ストをやっても処分もできない、教育現場で何が起こったのかも的確につかめない、教育庁の権威も何もあったものではない、これが実態だと思います。正しく、強く行政指導する立場の者が、すべて組合に主導権を握られている実態の中で、幾ら警察その他の関係者とタイアップし犯罪不良化防止を施そうとも実効性がないことは明らかであり、教育行政者の毅然とした態度なくしてはさきの例のように子供たちに笑われるばかりであります。
以上指摘したとおり、青少年犯罪は革新県政のその思想、行政態度、施策の失敗から来ていると思いますが、知事並びに教育長は本員が述べた所見に対しどうお考えになっておるかお伺いいたします。
次に、農業問題について2点にしぼってお伺いいたします。
知事は、物価高騰のはしりは何かとの本員の質問に対し、幾度となく生鮮食料品の値上げであるとし、流通機構の整備をするために中央卸売市場をつくりたいということでありましたが、自来五、六カ年経過いたしております。現時点で聞くところでは、昭和55年をめどに準備を進めているとのことですが、そうすると10カ年あるいはそれ以上かかることになるわけであります。
沖縄は、ドルショック、復帰時の混乱が日本全体のスタグフレーションに加えて物価高に悩まされてきたし、本土との格差是正の問題やその他の沖縄の特殊事情からいたしまして、国に対して強力に折衝してきておりますならば、すでにそれも実現して生産者から消費者まで安定した価格と適正な流通、供給がなされていたものだと信じております。特に知事は、農漁業の見直し、1次産業の振興、物価の安定を叫んでまいりましたが、それからいたしましても中央卸売市場の設置は急を要するものだと思いますが、そのおくれた理由は何なのか、これをお伺いいたします。
また、市場はできても生産者と消費者にできるだけ負担をかけないよう集荷、出荷、供給体制は綿密にあらゆる角度から検討しなければならないが、その構想はどうなっているかお伺いいたします。
次は、畜産公社と関連いたしましてハム、ベーコンのことでございますが、県議会は畜産農家の声を集約した畜産危機突破大会の決議を受け、県議会でも決議をいたしまして、さらに県当局とも話し合いの結果、意見の一致を見、復帰特別措置である来年5月14日まで認められているハム、ベーコンの減税措置を打ち切るよう政府に要請してまいりました。しかるに県は、先月再びこの要請を撤回しており、その理由として在庫で急場がしのげると見ていたが、ハム、ベーコン用の肉としては脂肪分が少ないことがわかり、これから新たにハム、べーコン用肉豚を飼育するためにはなお6カ月を要することがわかったためであると言っております。まことに肉を食ったのではなく、人を食った話であります。
県議会であれだけ長い時間をかけて生産者、消費者の立場から慎重に審議をして何回となく生産体制、価格体系について幾多の質問をしたにかかわらず、生産そして価格については絶対自信があります、消費者にも影響はありませんと答弁しておきながら、ストックの肉質も調べず生産計画も不十分なまま数字だけを並べた資料を委員会に提出し、ごまかされた形で議会代表を上京させるとは一体何事ですか。これでは4億をかけて設立する畜産公社の経営にも不安を抱く1人であります。その辺の事情を詳しく説明していただきたいと思います。
さらに、豚価は値上がりを続けており、業者は本土から移入するなどして急場をしのいでいると言われるが、その状況も分析した上で公社で製造されるハム、ベーコンは輸入品と比較してその価格はどうなっていくかお伺いいたします。
次に、雇用、失業問題についてお伺いいたします。
失業率6%にも達した失業者の方々に職を与えてやるということが、残された屋良県政にとって緊急かつ重要な課題であります。しかるに知事が提案事項説明書の中で述べられておられるのは、県政担当以来同じことを繰り返している。既存企業の育成、新規企業の誘致、農林水産業の振興、観光の振興等であり、一体どこに失業難を解消するに新しい企業ができたのか。既存企業育成どころか不況にあえぎ、倒産の続出、残された企業も赤字経営ではありませんか。振興計画からすると農業人口を減らして近代化、合理化しなければならないのにどうして失業者を吸収できるというのか。観光産業もまたしかりであります。
雇用の拡大を図るには、現在の深刻な状況を分析し、失業の実態をえぐり出さねばなりません。4カ年前は中高年者の失業が多かったが、現在の失業者は若年層に多くなっていることを知事は御存じでしょうか。なぜか、深く考える必要があります。求人広告は相変わらず新聞をにぎわしているし、キビ労働者は本土からしか入ってこない、おかしな現象とは思いませんか。それは青少年が、泥や汗にまみれて働く意欲とエネルギーに欠けるからであります。労働のとうとさを知らないからです。職を探しに行くと仕事の内容については問わず、給料は幾らかと真っ先に聞くのがいまの青少年の実態であります。
このような根性を徹底的にたたき直し、社会に対する使命感と労働精神を植えつけていかない限り、不必要な失業を食いとめることはできないと思います。このことはますます悪化していかない前に、時間と忍耐を必要とするが、あらゆる分野ですぐ考えていかねばならないと思いますが、知事の御見解を承りたいと思います。
次に、教育長に提案をし、所見を承りたいことは、戦前ほとんどの中学では農場を持っておりました。しかし現在では中高校には庭園はあっても農場はありません。それで汗を流して働くとうとさを人間形成の上からもしっかり身につけるため、あの特設授業を行う暇があるならば、キビ刈り作業やその他の農作業を教育科目の一端として経験させる方策を講ずるべきではないでしょうか。そのことが学力の向上、健全なる精神の高揚にもつながると思いますが、教育長の御意見を承りたいと思います。
次に、屋良知事名で国の各出先機関に軍離職者の売り込みを行いましたが、その結果はどうなったのか。特に防衛施設局を初めとして陸上、海上、航空自衛隊に特別売り込みをした成果について知事から御報告を承りたいと思います。
次に、先ほども自衛隊問題が出ましたが、知事は反戦平和の立場から自衛隊の配備に反対する態度を堅持すると言われた反面、大東島への食糧の緊急輸送を初めとして幾多の重要な任務を自衛隊に依頼してきましたし、いまでは何の抵抗も感じないままに日常茶飯事のごとく取り扱っております。
沖縄における自衛隊の今日までの実績の一部分をここで申し上げますと、災害派遣が101回、救急患者輸送が803名、不発弾処理が14万8087発、重さにして483トン、献血が1115名、CCにして18万5200CC、その他遺骨の収集、運動場の地ならし作業等幾多の貢献をなしております。たくさんの県民の人命を救助し、災害から守り、経済的にも大きなメリットをもたらしていることは本員から申し上げる必要もございません。
知事は、このすばらしい実績をどう評価しておられるか、あるいは自衛隊の配備にあくまでも反対し感謝の念が全然ないのか、知事の御心境をお聞かせ願いたいと思います。
坊主憎けりゃけさまでもということで自衛隊の制度そのものに反対するだけでなく、隊員の基本的人権まで踏みにじられた大旗清君は、1年間も迫害と暴行を受けてまいりましたが、ついにこれ以上がまんできず那覇地方法務局人権擁護課に対し人権侵犯の申告書を提出した。この事件は沖縄ならではのことで、しかも守礼の門の中で起きたものであり、腹の底から憤りを感ずるものであります。
琉大が国立だから責任はないと言えた義理ではないと思いますが、知事並びに教育長はこの事件に対し今日までどう対処してこられたか、県民が納得するよう詳しく御説明をいただきます。
以上、いろいろの問題を提起してまいりましたが、要するに革新県政は予盾に満ちたものであり、県民の福祉はおろか、イデオロギーの普及拡大のためにあくせくしてきたにすぎません。その結果はごらんのとおり、行政のミス、汚職、不況、失業と次々とあらわれてきているではありませんか。
今回の知事提案事項説明、この要旨を見ましても、いつもの繰り返しであり、本員がこの提案理由説明を一言にして評価するならば、ずっと前から公約した施策が実現できずに積み残されたものを羅列したにすぎないものであり、私はこれこれ約束したができませんでしたと発表しておるだけではありませんか。
そこで、革新県政がいかにでたらめきわまるものであったか、例を挙げて反省の材料にしてみたいと思います。
公社があのような行政ミス、汚職発生して県議会では特別委員会を設けた経過があるにもかかわらず、この提案理由説明の中にかつて知事は綱紀粛正というものを絶えずうたっておりながら、この問題が起きても綱起粛正という言葉も今度は出ておりません。しかも行政監察で調査したという事態まで引き起こしているにもかかわらず、この公務員の綱紀粛正、公社の行政改善については一言も触れてないということはきわめて残念であります。
そこで、皆さんのでたらめな行政のひずみから出てきたものは何か、また汚職であります。
ここに1通の投書がございます。あけて見まして、私は愕然となりました。こんなことがあっていいのだろうか、この世にこんなことがあっていいのだろうかという恐ろしい投書でございます。私は内容に入る前に、こんなことがあってはならぬ、うそであってもらいたいということで3日3晩この投書の中にある関係者の方々を回ってまいりました。事件は、ほぼ確実だと私はくんでおります。
それは何か。沖縄県戦没者慰霊奉賛会――会長屋良朝苗でございます――この組織の中の大幹部が百四、五十万という横領をやっているという事実であります。いまこの時間ただいま、那覇市民会館では遺家族の大会が行われております。沖縄県民1人1人が遺家族というほど、あの戦争の犠牲にされた生々しい事実は忘れないはずであります。そして全国の都道府県のあの慰霊塔を守り、そして英霊を慰めるべきこの奉賛会なるものが、一体このようなことをしでかすわけはない、このようなことを思いつつ私も調査に入ったのでございますが、残念ながら100%事実のようでございます。
この内容は、いろいろ参拝者がおります、他府県からの遺家族の方が参ります。そして観光客が参ります。あの戦跡を訪ねた涙の中から、皆さん頼むということで幾らかの寄付をやります。さらには、参拝者のためにマイクロバスが動いております。片道40円を取っておりますけれども、ほとんどの方々が40円以上投げております。なぜか、このお金は皆さんの塔を守り、皆さんの英霊をいつまでもわれわれの手で守ります、そのために使いますというその言葉に感激をされ100円、500円、1000円、1万円と投げる方々もたくさんおるようでございます。
このようなお金を集めまして部下職員に言いつけ、みずから個人の預金通帳をつくりまして口座をつくりまして、これだけは奉賛会の預金通帳に入れておけ、残りのものは私のものに入れておけ、このように部下に言いつけてやっておる事実がございます。恐ろしいことではありませんか。そして今日に至るまで――これは去年の5月時点までに起きた問題でございますが――そのお金が奉賛会の口座に戻ってきておりません。
職員が、これは大変なことじゃないですかと、いやだれもわからぬから、あんたはなぜ人の言うことを聞かぬのか、命令じゃないかと。そしてそのお金も幾らあるか銀行が取りに来るまでわからない、銀行に任せっきりであります。銀行から電話がかかってきまして、幾らありました、どうしますかと言ったら、また部下に指示いたしましてそれじゃ50%は、あるいは30%は私の預金通帳に、あとは奉賛会の正式な口座に入れておきなさい、このような形でやっておるというのがいままでの私の調べでございます。
まだ細かいことはたくさんありますけれども、これは司直の手にゆだねるといたしまして、いずれにいたしましても、これは全国の沖縄で犠牲をこうむった方々の遺家族に対し、まことにもって相済まない大変な事件だと思います。このことをもし遺家族が聞いたら、本当にはらわたのえぐられる思いで大変な騒ぎとなると、私は確信いたしております。
このような問題について、私は慎重を期すべくいろいろ調査してまいりました。個人のことを申し上げ、まことに申しわけないのでございますが、私もあの地で鉄血勤皇隊の一員として学徒隊として戦った1人であります。最近収集された遺骨を拝んでまいりましたれども、この中にわれわれの同輩、われわれの同窓生、同期生がおるかと思うとこういった事件は断じて許すまいという私は決意を新たに、3日3晩煩悶いたしながらきょうここに立っている次第でございます。
このことについて、知事は知っておられるか。知っていらっしゃらないとすれば、これが事実だとするならばどういったお気持ちですか、どういうふうにこの問題を知事はお感じですか。
警察本部長に申し上げます。この事件は知っておられますか。知っておられるとするならば、いまどういった状況になっておるのか。この辺についてまずお伺いいたしまして、あと革新行政のひずみからきた問題が二、三点ありますけれども、時間がありましたら次の再質問の中に譲るといたしまして、以上一応質問を打ち切りまして御答弁をお願いいたしたいと思います。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めに、青少年問題につてでありますが、御指摘のように最近の青少年犯罪は量的にも質的にも非常に憂うべき状況にございます。そのことにつきましては、私は県政を預かる者として、県民の1人といたしましてこれは非常に心を痛めております。
ところで、今日のわが国がこれほど高学歴社会を形成しながら、住みにくくそして殺伐としたこのような様相を呈しておるということはまことに残念であり、その原因がどういうところにあるかというようなことを考えなければならぬと思うのであります。したがって関係諸機関と連携をさらにいたしまして、真剣に究明しなければならない時期になっておると思います。
御指摘の問題は、教育本来に関することでもありますので、教育行政の独立性、自主性を尊重する立場から県教育委員会にもお願いし、そして私の権限の範囲内におきましてできることは最大の努力をしなければならないと思います。
この原因ということにつきまして、先ほどは大城議員から革新の姿勢ということと、1つは先生方の師魂ということ、1つは教育行政のまずさという3つを挙げられたわけであります。
私は、子供たちのこういう行為が、彼らの身についたものになっていることから、こういうことも起こるだろうとこう思うのでありまして、あれほど質朴で堅実であった沖縄の子供たちが何でこういうふうに悪くなったかとこういうことになりますというと、これはおそらく本質的なものでなくして後天的な要素が多かろうと。後天的な要素ということになりますというと、いわゆる沖縄の彼らが生を受け、教育を受け、それから社会との接触をするというような背景、環境、こういうようなものが直接間接に影響することが非常に多いだろうと、こういうふうに考えます。
そうするというと、その社会が他府県と沖縄が違う環境はどこにあるかということを考えてみるというと、やっぱりこの戦争――先ほどもそういうことをいつも言っていると言っておられましたけれども、何回でも言っていいと思います。これは戦争というああいう非常にむごたらしい歴史を経験してきた、そうして満身創痍のままやはり異民族の支配というような27年間、それから基地の直接間接に及ぼす恐ろしい影響というようなこと、そういうようないろいろのことで、社会背景そのものが、私はやっぱり健全性がない、不健全な姿にあるだろうと。いつもこれもたびたび申し上げておりますけれども、われわれが置かれている社会背景というものに不健全性がございますというと、それから一番大きい影響を受けると、こういうようなものが常に弱い立場にある者である、幼稚な立場にある者であると、こういう点からするというと大人よりも子供たちが、あるいは富める者よりも貧しき者が、あるいは健康な者よりも不健康な者が、というようなことになると思います。
したがって、私は先ほど言われましたことは、それは大城議員の御見解として承っておきますけれども、私これは単なる革新の姿勢だけにあるものでないし、それから教育行政だけにあるものではないと、こう思います。
これは青少年というのは、社会環境、あるいは学校環境、あるいは家庭環境、ありとあらゆる影響がここに重なってこういうふうな人間性というものは形成されてくるわけでありますから、私はこういう点は、きょう大城議員が言われましたことにつきましては、みんなが果たしてそうだろうかということを受けとめて研究検討し、それぞれの立場から私は青少年問題は皆心配しておられることでありますからして、これに向かって対策を講じていかにゃならない。そしてこの過渡的なこういう重大時期を何とかして乗り越えていって、先ほど申し上げるようにわれわれの将来はやはり青少年のあり方にかかっておりますから、これは何回言っても同じことでありますが――かかっておりますから、それに将来の運命を託するというような心境そのものも間違いじゃないと、私は考えております。
こういう意味で青少年を大事にし、この対策を講じていかなければならないと、こういうふうに考えております。
なお、次にはこの農業の問題についてでありますが、流通機構としての中央卸売市場、これは先ほど御指摘がありましたように非常に大仕掛けのものでございまして、昭和五十四、五年までかかるといういま計画はなっているのであります。
それがどうしておくれたかは具体的なことは農林水産部長の補足せしめたいと思いますけれども、いろいろ土地の問題とか、予算関係とか、準備の問題とかいろいろあったと思います。問題が大きいだけに、やっぱり時をかさねばならぬ問題が起こったのではないかと、こういうふうに考えているのであります。
それから次には畜産農家、ハム、ベーコンの問題でございますけれども、これは消費者の言い分、生産者の言い分いろいろありましてこれは迷うところでございますけれども、議会で決議されましたこともよくわかっておりますけれども、いざとなってみるというと、やはり一挙に踏み切っていいかどうかというようなことについては、なお先ほど御指摘がありましたような公社の設立後、もう少し内部でこれは検討して調整の要があるというようなことを関係当局は言っております。したがいましてこの問題につきましても、もう少し私は農林水産部長に補足せしめたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
それから次は、雇用失業情勢でございますけれども、これはもう先ほど申し上げましたけれども、労働精神というようなことを考えなければだめじゃないかというような御指摘がありましたけれども、これは同感でございます。したがってこの問題は、単にその物的面、経済的面だけのみから考えてはいけないのではないか。プラスアルファ、すなわちそれは御指摘がありましたこの勤労精神、労働、勤労に対する理解、それと人生との関係というような深い一つの把握、それによってしつけられた人間性、そういうようなものは確かに私は大事だと、全くこれはおっしゃるとおりであると思いまして、われわれはわれわれの立場から、学校教育者の先生方ともそういう問題を話し合いいたしましてこの問題は進めてまいりたいと、このように考えております。
次は、自衛隊の問題でございますが、これはたびたび私は指摘を受けて、実際は矛盾じゃないかというふうにして皆さんから批判を受けているわけでありますけれども、その実績に対しては、これはわれわれの社会において一番大事なのは人間の生命であると。その生命にかかわるようなことに関連するこの問題について、その実績については感謝しているかどうかということでありましたが、これは私はありがたいと思っております。感謝しております。実績に対しては感謝しております。
われわれが、こういう重大な問題を取り扱いますときには、いつもこれも申し上げますけれども、たとえば自分1人で解決できないような問題は、まず市町村当局に協力を頼む、市町村でもどうにもならないものは県に持ち込んでくるという順序になろうかと思います。これは福祉を保障する意味において、命を保障する意味において。
そしてわわれわれといたしましては、われわれ自体にそうする能力がありますというとやりますけれども、ない場合にはやはり国にこれを要請しなければならない、国に要請すると。たとえば米を運ぶにしましても、あるいは急病人を運ぶにしましても、国にお願いする。しかし国は、方法としては自衛隊を活用する以外にはない。不発弾の処理ということについても、われわれは国にお願いする形をとるわけでありますけれども、その国も自衛隊を活用する以外にはないと、こういうようなことでございます。
そこで、私どもは、これはそういう一番根本的な問題の解決をしなければならないために、国がそういうふうな方法しかないということであれば、これはお願いする以外には道は実際ないわけであります。矛盾と言えば矛盾でありますけれども、これはもうどうしてもいたし方のない一つの仕儀だとして私は今日までもそうしてまいりましたし、今後もそうしていきたいとこのように考えておるのでございます。
なお、この公社の不祥の事件ということに対しても、私の所見発表にも一つも述べてなかったじゃないかということでありましたけれども、実はこの問題につきましては、前の議会から問題になっておりまして、そのときにも取り上げまして私はこれは非常に強く反省してこれは申しわけなかったと言って、皆さんを通して県民に対しても、こういう大きな疑惑を抱かしめたということに対しては、私はわびておったわけでありまして、そういう意味で今度の場合はこれは取り上げなかったのでありますが、気持ちは変わらないのであります。申しわけないと考えております。
今後、再びこのようなことのないようにいろいろ要綱、綱領等をつくっていまその管理、指導をしつつあるわけでございます。
最後に、慰霊奉賛会の問題でありますけれども、それは知事はわかっていたかということでありますけれども、実は、きょう私はこの問題を聞きましてショックを受けたんであります。そして一応は、関係部局長を通してそれを調べてみろということを指示したわけでありますが、まあ先ほど大城議員の御指摘せられたようなことがもしあるとすれば、これは大変なことであるわけであります。
私としましては、そういうことがないことを非常に祈っているわけでありますけれども、これを調査させまして、そういう事実があるとするならば、私は断固としてこれは処置をしなければならないということで、これが調査をこれから指示したいと、このように考えております。
○議長(知花英夫君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) お答えいたします。
先ほど、大城議員から青少年の不良化の真の原因は、革新の体質、県の姿勢、2番目に師魂がないこと、3番目に教育行政の無能ぶりだというふうな御指摘がございました。
それにつきましては、知事からただいま御説明がありましたので、私、知事と同じ見解でございますので、お答えはそのとおりといたします。
次に、現在この児童生徒の健全育成につきましては、県教育委員会はその重要施策に掲げて努力してまいっておりますが、御指摘のように問題行動や非行が後を絶たずにおりますことは、まことに遺憾なことであります。各学校におきましても、生徒指導には熱心に取り組んでおりますが、指導が十分に行き届かない面もあると考えております。この点につきましては、今後とも十分に配慮して個々の教師が教師としての職責を十分に自覚して、児童生徒の教育指導に当たり、師弟相互の信頼、あるいは児童生徒相互の信頼と愛情、尊敬を一段と深めていくよう指導していきたいと、このように考えております。
また県教育庁としましては、市町村の教育長や学校長との対話を深めたり、研修会を通じて教師個々の理解を深めたりして、学校教育の充実向上を図るとともに、なおこの問題は、御承知のように家庭教育の問題、地域社会教育の問題ともかかわりますので、その方の教育の充実強化と、さらに広く全県民の積極的な御協力を得ましてこの非行問題には対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。
次に、学校に農場を設置することについての御提言がございました。児童生徒に正しい勤労観を植えつけて、勤労の喜びを味わわせることは、現下の状況ではきわめて必要なことだと考えております。
その具体的な実施については、先ほどの御提言も入れましてこれから真剣に検討していきたいと考えております。
次に、自衛隊問題について、自衛官の大旗君の入学阻止行動に対して教育長はどのように対処したかという御質問でございましたが、この問題については所管が異なりますので、積極的に申し出はしておりません。また、積極的に言及することははばかりたいと思います。
しかしながら教育行政にあずかる者として、入学阻止行動についてはいろいろな理由があるかとは思いますが、憲法26条によって保障された個人の学習権が現実において保障されてない状態に対しましては、大変遺憾に思っております。
以上、お答えを終わります。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 知事の御説明に対しまして、若干補足説明を申し上げます。
中央卸売市場のおくれた理由でございます。これは御承知のとおり中央卸売市場は、沖縄県の中央卸売市場整備計画という形で、50年にすでに農林省に提出済みでございます。したがって農林省は、その計画に基づいて予算措置をし、融資計画を立てていくと。
現在の進行状況は、前の議会でも申し上げましたけれども、12万平米の敷地を浦添の埋め立ての地先において獲得をすると。埋め立てについては、あくまでも浦添市でやってもらうということであります。しかしながら浦添市が埋め立てを進めていく段階において、政府の方から環境アセスメントの調査が必要であると。その調査の結果に基づいて、埋め立ての認可をするということになるわけでございます。したがって現在、その環境アセスメントの調査を浦添市が進めております。よって若干埋め立てがおくれてはおりますけれども、中央卸売市場そのものの全体計画としては、その計画に従った形で進められると。埋め立ての完了は、52年末の予定でございます。したがって開設は、先ほど御指摘いただきましたような55年の計画であります。その計画に沿うて農林省は、融資計画を立て助成計画を立てるということでございます。
その集出荷構想の具体構想でございますけれども、これについては、県がもちろん市場の開設者でございます。ほかの府県においては、市が開設者のところもありますけれども、沖縄県の場合は、県が開設者になると。したがって県は、その施設をそれぞれの荷受け人、あるいは仲卸の方々に貸与するという形になりますから、現在われわれが仮に構想を持っておりますのは、荷受けを水産2社、それから青果2社、仲卸30社でございます。したがってそれを開設までに進める構想としては、御承知のとおり中央卸売市場開設促進協議会というのが50年の9月に設置をいたしております。参加のメンバーが150名。
こういうような形で徐々にこのメンバーの整理をして、それぞれの社にまとめていく必要がございます。もちろん非常にむずかしい問題が横たわるわけでございますけれども、どうしても市場開設の段取りとして経過として、こういうような協議会を持ちながら進めていく必要があると、こういうわけでございます。
それからハム、ベーコンの打ち切りにつきましては、これはおそらく東京電の新聞の記事を見て質問されたと思いますけれども、御指摘のように県としても、議会としても、3月31日の特別措置の打ち切りについては要請がなされております。その当時は、豚としてはどうしても25万頭の生産を抱えていたと。したがって若干だぶつきぎみでありました。したがってその当時われわれとしては、1年半早目に特別措置のいわゆる特権を1カ年早く剥奪するならば、やはり潤沢に物が供給できる体制をつくる必要があると。それはあくまでもいまのような加工体系では、コスト面で合いませんので、そのコストに対し、若干の補てんをする必要があると。その補てんの方法としては、公社をつくる以外にないというのが当初の考え方でございました。
したがって、この問題については、私が総合事務局長に公社の内容あるいは農業関係の若干の問題点を説明する中で、畜産の現況を説明を申し上げたその中から出てきた問題でございまして、県としては、要請をしてきたものを打ち切るという再三の要請は出しておりません。しかしながら現況は申し上げましたとおり、豚が20万――当時の25万頭から20万頭に生産が下がっておりまして、それで精肉価格が上がっており、現に学校給食用として1000トンばかりの外部からの輸入があると。そういうような現況では、加工豚に回すだけの余裕があるかどうか。あるいはまた、そういうような精肉の豚から加工に回して、しかもこれは公社を発足させて補てんをする場合に数億かかるのではなかろうかという概略の計算からいたしました場合に、早々にハム、ベーコンを打ち切るということについては、公社を発足させてその中での見通しを立ててでなければ無理であるということを総合事務局長に説明を申し上げたわけでございまして、県としては、現にこれを3月31日の要請を全面的に変更するという要請は出しておりません。
以上です。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 離職者からの官公庁への採用状況について御説明いたします。
これまでの全体としては、356名の人たちが官公庁などに採用されております。その内訳といたしましては、国の方が52名、県が62名、市町村が214名、公社、公庫などが28名計356名ということになっております。
それを年次別に見ますと、44年から49年8月までの間に280名の人たちが採用されております。その内訳について申し上げますと、国が45名、県が60名、市町村が158名、公社、公庫などが17名計280名ということになっております。
それで私どもが文書を出した後、いわゆる49年の8月から50年の10月までの間の採用状況について申し上げますと、合計で76名ということになっております。この内訳は、国が7名、県が2名、市町村が56名、公社、公庫などが11名計76名と、私どもの調査によってはなっております。
○大城真順君 防衛施設局は、自衛隊は、これが大切だよ。
○労働商工部長(前田朝福君) 国の中にはですね、防衛施設局が3、それから郵政管理事務所が2、それから職業安定課の方が2、計7ということになっております。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 警察に対する御質問にお答えいたします。
数日前に、沖縄県戦没者慰霊奉賛会の役員による業務上横領の疑いのある事件があるという情報を入手いたしましたので、現在内偵中であり、公正厳格な捜査を進める所存でございます。
○議長(知花英夫君) 大城真順君。
〔大城真順君登壇〕
○大城真順君 再質問いたします。
雇用失業問題でございますが、知事は教育の場においてあるいはほかの分野において、これから青少年の労働精神についてあるいは労働意欲、汗を流す喜びを味わわしめる訓練を真剣に検討してみたいと、このように言っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、やはり高校を卒業すると、大学を卒業すると、ペンを握らなければ仕事でないという風潮、これを払拭しなくちゃならない。
このような立場から、これは決して永久的措置とか緊急的措置とかいう問題ではなくして、常時行わなければ沖縄の将来に悔いを残す。いつかはこの人たちがそのままの精神状態でまいりますと、働く人は沖縄にはいないんだということになると大変なことになるわけです。この辺を私強調しているのでございますので、そのとおりやっていただきたいと、このように考えます。
さらに、青少年犯罪の問題、私は実はがっかりいたしました。なるほどすべて自分の責任ではないということは、それは百も承知であります。私は革新のその体質、そしてそれが具現されている現象をとらえた場合に、やはり青少年に及ぼす影響というものは大きいと。
警察に行って、みんなつかまえられるからいいじゃないかと、同じことじゃないか、恥ずかしくありませんということまで私は例を持って申し上げたにもかかわらず、師魂とか、革新の行政姿勢とかあるいは教育長の行政能力を根本的な原因とは思われないと。これだけの答弁では、私は納得しないんです。もちろん見解の相違もあるでしょう。しかし少なくとも、統計的にもあるいは県民1人1人がおわかりになるように、屋良さん御自身が7年前に県政を担当してから犯罪が激増しているというのは、はっきりしているじゃありませんか。それを戦争がと、――子供たちは、戦争を知らない子がもう29歳、30歳になっておる。じゃ、いつまでも戦争があったために100年後も失業が起こった場合には、戦争の特殊事情があった、社会の不健全性があったと。その不健全性を少しでも屋良さんが、県民福祉という立場の公約を、仕事を与え、企業を興し、青少年の労働意欲を起こさせておるならば、もっとましなことができよったんじゃないかというのが私の質問の本音だということを曲解しないでください。
その辺について、もう少し本当に屋良革新施政のいわゆる責任は毛頭ないのかどうか。
それから農林水産部長は、新聞はいかにもうそであるかのように――それはうそであってもかまいませんけれども、少なくともタイムス、新報同時に出ております。だれかが言ったはずです。
それは別問題といたしまして、おたくの課長が、われわれが上京する前に呼んで何回も念を押してこれで大丈夫だなと、生産計画も出してもらい、価格体系も出してもらってこれで大丈夫だなと。大丈夫であります、300トンのストックがあるから大丈夫だと。そしていまになったら皆さん自体のさっきの答弁も、その肉質がハム、ベーコンにならぬということは認めておるじゃありませんか。なぜその計算までして、これで大丈夫だと。そしていまハム、ベーコン用にできる豚は何頭あるかということは当然知っておかなくちゃならない。それをこのとおり生産やりますから行っていらっしゃいでは、これはあなた県議会の代表というものは子供の使いじゃありませんよ。その点を私は申し上げたかったわけです。
それから例の提起いたしました奉賛会の問題でございますけれども、これも屋良知事の姿勢のきわめて原則的なところに私は触れてくると思います。反戦平和、いかにも革新の皆さんの旗印みたいに、私はこれは政策とは思いません。政策以前の問題であり、当然県民、国民、世界各国民が祈るのは世界の平和であり、戦争でないということははっきりしております。
それは別にいたしましても、反戦平和を理念として今日まで屋良さんは終始一貫してまいりました。その反戦平和の最前線で――あえて最前線と申し上げますが、その最前線でこのようなことが起こったとするならば、知事はどうお考えになりますか。
もう少し知事は、これは個人がやったんだからと言ってはおりませんけれども、何かしら組織の重さ、組織の重み、その中の責任の度合いというものをすべて忘れているような感じがする。調べてみないとわからぬ、もちろんでございます。ただそれがないように祈りますだけでは、どうにもならないんです。
先ほども、青少年問題あるいは失業問題、沖縄の戦争というものを何回も繰り返しておられました。われわれは、だからこそその祈りを、奉賛会を代表して毎年6月に行われるこの慰霊祭を一つの区切りとして奉賛会がぜひこれを守ってくれ、みんな祈りをささげてくれと、このようにやっているのが奉賛会の組織ではないでしょうか。公社のあのマンモス組織とは違います。五、六名しか職員はおりません。その上が、屋良朝苗県知事であります。その辺からしても、もう少し監督ができなかったものであるのか。
しかも、この本人は職員から言われて、なぜそんなことをするかと言ったら、交際費に使います、万一の場合に使うから自分の預金通帳に入れておかなくちゃならないと。交際費というと、これはまたとんだことになるわけです。この辺について知事、私もショックを受けているんですよ本当に。しかし調べてみると、警察でない私でもやはり聞き込みによってこれは本当だなという感じを受けてきょうこの問題を提起しているわけです。
非常に気持ちの重たい発言でありますけれども、もう1回知事……。そしてこの行政の監督の問題から、理事会もあります、その組織は。で、屋良さんは会長であります。一体どのぐらい向こうを監督しておられるのか、会議に出席しておられるのか、何回ぐらいやっているのか、その辺についてもお聞かせ願いたいと、これについてお願いいたします。
次、残された問題に進みます。
郵便貯金住宅等事業協会があります。これはいま、非常に法的にも行政指導の上からもわけのわからぬ存在に相なっております。全く県とは関係ないような形になっているような感じもしますけれども、しかしこれをその流れを考えた場合においては、これはどうしても県が行政監督をして住宅問題の一環としてとらえていかなくちゃならない気がいたします。
こういった法的にぼかされた状態をいいことにいたしまして、知事が認可されたのであるわけですから、この団体が、事もあろうに郵便貯金の債権者――全島にまたがっております――これに恩恵を与えなくちゃならないということはちゃんとうたわれております。にもかかわらず、1回だげずっと前にその入居の公募の要領、これをつくっただけで、最近は私の耳にするところでは一々チェックをいたしまして革新の選挙を応援をしなければ入れないと。私は、さもありなんと思いました。
と申し上げますのは、全くもって大変なやり方をしておるのが耳に入っています。十一、二名の職員のうち7名が管理職、そしてまた土曜、日曜でもないのに今年は鹿児島に行きましょう、次の年は八重山に行きましょう、これで2泊3日も費やしてくる。
こういった中から、私は住宅政策というものをもっとしっかりしないと、価格もおそらく自分勝手に決めているんじゃないかと思う。性質の上からあくまでも公営住宅だはずですよ、あれも。
これはたどってみますと、沖縄に住宅建設資金として例の債権者が1円対1円ではこれはちょっと困る。しかしそれはそれとして返して、そのほかに住宅資金として30億円を入れましょうということで、いきさつがありました。それを住宅資金は、沖縄の住宅事情の改善を図り、沖縄住民の福祉の増進に資するため、国庫が琉球政府に年利率6.5%、償還期限30年の条件で融資したわけです。琉球政府は、この資金を住宅建設資金融通特別会計で受け入れて、これを逆ざや方式で他の住宅建設資金並みに年利率5.5%、償還期限50年で事業協会に貸し付けたものである。ところが復帰によって、この住宅資金に係る債権債務に沖縄振興開発金融公庫法附則第4条の規定に基づいて沖縄振興開発金融公庫に承継されたわけです。
復帰前、琉球政府は住宅建設資金融通の特例に関する立法及び同施行規則によりまして、事業協会の住宅建設貸付事業に対しては、その住宅建設の基準とか、貸し付けの方法とか、家賃などについて規制をしておったわけです。で、県から離れてしまうと、その規制は何もない。だからその時点において、県政がしかれる時点において法的規制が全くなくなったのであるか、私はいままでその辺については非常に疑問を持っております。
で、なかったとするならば、規制する必要はないのか、同じ公営住宅です。勝手に家賃を決める、勝手に建築基準を決める、勝手に貸付方法を決めるでは、これは困るんじゃないかというようなことが考えられるわけでございますので、ほかのたとえば住宅供給公社に貸し出す金でも、いろいろそれは債権者として金融公庫はいろいろな基準を示しておるわけです。ただこの協会だけ、らち外に置くというのはどうかと思う。
こういった法律の枠内からほっぽり出されて、自分勝手なことをしているんじゃないかというようなことがうかがわれるわけなんです。その辺について県の立場はどうなっておるのか。一体これは、今後じゃ向こうの勝手だからそうすべきであるのか。
これについては詳しいことは小渡議員から出てくると思いますので、以上その流れと、もう少しやはり公営住宅としてのしかもこれは利益が上がれば、沖縄30万と言われる債権者に利益を還元しなくちゃならない重大な使命を帯びている。それが聞くところによると、どうなっているのか知らないけれども、遊ぶひまはあるのにたくさんの借金を抱えて赤字ばっかり出している。これでは何のために国に訴えてこの資金をもらったか、非常に債権者に対して済まないはずですよ。その辺について県の御見解を承りたいと思います。
それから、当面する諸問題、革新の姿勢から出た問題を2つ取り上げます。
1点は、離島苦の解消ということで皆さん非常に馬力をかけられまして、粟国空港の建設に対し計画をし一生懸命準備してまいりました。これがにっちもさっちもいかないようで、今年度は流れるかもしれないという報道に接しております。さらに耳に入ったところによりますと、これは共産党が相当邪魔をしている、どうにもならぬと地元からも私は聞いております。一体どうなっているのか、皆さんと与党との立場は。つくるのか、つくらぬのか、その見通しについて。これは向こうの住民としては、大変な私は大きなプロジェクトと思うんですよ。その辺もひとつ土木部長、どうなっているか。その事情をお聞かせ願いたいと思います。
それから土木部長、豊見城の県営住宅、皆さん前又吉豊見城村長と土木部長と協約を結んでおります、県営住宅建設について。そして汚水を3次処理すると言いながら、いまになってお金はありませんのであなたたちの部落から通させてくれと、協約違反をいましております。一体、これはどうするんですか。詳しいことは申し上げられませんので、土木委員会の席でこれをやるように私は準備をしておりますけれども、少なくともどうするつもりなのかここで答えていただきたいと思います。
以上。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 奉賛会の問題につきましては先ほども申し上げましたとおり、こういうことが本当にあるとすればこれほど忌まわしいことはないのでありまして、絶対にあっちゃいかないことでありますので厳重に調査をいたしまして、これは厳重なる対処を私は断固としていたしたいと、こう思います。
それから次には、青少年問題でございますけれども、青少年問題は私は、これはもう党派を超えて皆さんが、指導者が沖縄の将来のために心配しておられることだと思うのであります。だから革新であるから、保守であるからこれはどうでもいいというような、私は考え方はないとこういうふうに考えておりますので、やっぱり社会の健全性を回復して、同時に青少年の精神を少しでも健全化していくというようなことにつきましては、これは先ほどの勤労精神の涵養というような問題と同じようにこれは全く同感でありますので、十分これは取り組んでいくという決意を私は表明しておきたいと思うのであります。
それから郵便貯金協会でありますが、これに関連する住宅の問題、家賃の問題等につきまして、これはおっしゃるように関係する部局もいまないような状態になっておりますけれども、この問題については、そういう御指摘も受けておりますので十分検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。そうさせます。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) これは渡橋名の件でございますが、これは確かに私がここへ就任するときにはあそこにはすでに用地は買われておりました。
それで執行のおくれもありまして、そこに早く建設しようということで当時の村長と話し合いし、その近くにちょうど保栄茂川が流れていますので、私たちの汚水処理は2次処理になりますので、10ppm以下になるんです。それでそこへ流したいということで村当局の方に申し入れましたが、村当局の方からは部落の反対があるので困るとこういうことでしたので、それで保栄茂川に流させないということでしたので、やはり処理の仕方としては予算の執行の問題がありまして早目にということを考えておりましたので、まず八重山あたりでわれわれは経験しておりますところのその敷地内の処理ということを考えまして、一応そのことで協約はいたしました。
しかし実際問題、これを進めてみますというと、団地そのものの数も多うございます。そういうことで、その近くに用地の取得をして買おうということでしたが、余りに用地が高くて県の財政上も大きく問題が出ましたのでその方法をやめまして、これは現在の市町村道を利用しまして海の方まで持っていこうという形で現在進めているところでございます。
しかし、当時の協定書と申しましても、御承知のように保栄茂川には流させないと、流すなということ、つまり言えばその部落の方には迷惑をかけるなということでございましたので、ようございますということで、迷惑をかけないという趣旨ですので、当然その協定書の趣旨も迷惑をかけないということですので、迷惑をかけないということで協定を結びましたが、先ほど説明したような結果になりましたので、まあ迷惑をかけない方法で市町村道を使って海の方まで持っていくと、こういうような形で現在進めているところでございます。
それから粟国の空港の件でございますが、この空港につきましては50年の7月ごろに航空法による設置許可の申請をいたしました。それで12月のたしか10日ごろに、国の方がこれの公聴会を現地で開きまして、それで持ち帰り3月にはその航空法の設置許可がおりることになっております。
それからさらに空港設置の許可だけじゃなくして、事業を始めるに際しましては、空港整備法の3種指定もございますので、この件についても3月には指定するということで連絡を受けます。そういう国の手続をやっている反面、県といたしましては用地の取得の問題を解決しようということで進めております。この粟国村は御承知のように未確定土地でございますので、まずその実地測量をいたしまして、確定とそれから確定作業をして、それから用地の買収のめどづけをして現在進めて近く現地の方へ職員を派遣いたしまして購入に入るスケジュールにいたしております。
そしてこれ自体は、なるほど新聞では年度内執行というようなことが取りざたされて問題になっておりますが、私たちとしてもこういう用地の土地の全体が未確定ということは私たちとしては初めての仕事でございまして、その用地の未確定土地に対する用地の取得の困難さに加えて、国の方でも一応いま航空法によるところの設置ののも3月に出るということの両方から私たちは今後鋭意努力いたしまして、その工事の着工並びに完成、早目に離島の方々に利用していただく空港の完成に努めたいと考えているところでございます。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
午後3時50分休憩
午後4時8分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
代表質問を続行いたします。
小渡三郎君。
〔小渡三郎君登壇〕
○小渡三郎君 知事に、私の方から若干の質問をまずいたしますので、明快にお答えをいただきたいと思います。
第1点でございますが、屋良さんが琉球政府の主席時代、それから県政に移行いたしまして4カ年、この間で勧奨退職をされた方が、県が出資をしている公社並びに事業団等に再就職をしている人がおります。具体的に御説明をいただきたい。これがまず第1点です。
2番目の点は、復帰前の琉球政府並びに現在の県庁で、高級官僚と言われていた高級職員で普通退職をし、退職金を給与している者が、県が出資をしている公社並びに事業団等に横滑りをいたしまして、そして常勤しておられる方々が相当おられるはずであります。全部示していただきたい。
3番目の質問でございますが、知事、県の工事を行う上で、ファッショ的な行為がたとえいささかでもあってはこれは許されません。私権を侵害するというようなことは、絶対に許すことはできないのであります。これは知事も100%認めるはずであります。
たとえば例を挙げると、県が工事を行うために、地主と相談を全くしないでパイプの布設工時を行う、こういうことが平然と行われております。場所を指摘いたしますから、明快にお答えをいただきたい。場所は、石川市東恩納西原426番地、424番地、421番地、計全部でこの坪数は70坪です。地目は畑である。地図もあります。ここに地図もございます。
この畑に対して、県企業局が水道の管を布設しました。長さが大体、その部門だけでも60メートル以上です。これはしかも畑の真ん中ぐらいを通しているわけです。これは、地主は、石川盛達さんと言われます。地主にも何にも相談しないで、承諾も得ないでパイプを勝手に人の畑を掘り起こしてパイプを布設する、こんなばかな行政がありますか、知事。お答えください。
それから先ほど大城議員から指摘のありました財団法人郵便貯金住宅等事業協会、これの事業でございます。これを略しまして郵住協、こういうぐあいに言います。この郵住協は、戦前の郵便貯金債権者約30万人、この人たちの債権を守るために、復帰の当時に物価だとか、貨幣の価値、これを認めまして現金が支払いされたのは5億1500万円――おおよそであります。その際、しかしあとの残金35億については、郵便貯金会館の建設をして債権者で構成をする郵住協、これの事業としようということで決定をいたしております。
さらに30億の国庫の融資を得て、賃貸住宅建設を行いました。賃貸住宅は、松川、古島、末吉、これの3団地です。土地は、9412坪買い上げたんです。791戸分の賃貸借住宅ができ上がりました。これを経営することによって、先ほども説明がありましたが、30年間で償還すべきものはちゃんと償還して、利益金を債権者に配分しようということでございます。
ところが、49年度の決算を見ますと、年間に2億3000万円程度の家賃収入があります。ところが決算においては、現在2300万円余り赤字を出しております。これは償還金が1億5000万円ですから、あとは運営費に回っているということであります。債権者は、あと30年間ぐらい待たないと割り戻しはありません。そういうことなんです。30年待つということはどういうことか、戦前の郵便貯金をした債権者でありますから、みんなおられないんじゃないかと思うんですよ。
ですから、この郵住協というのは、財団法人で知事が認可をいたしているんです。したがって、寄付行為の34条によるもの、あるいは民法の68条第1項第2号から第4号までを見ても、このあなたが認可をした財団法人が、本来の目的を達成することができない。そして成功の見通しがないときには、これは取り消すことができるわけです。したがって債権者としては、もう行く末そう長くないから、なるべくいまこの資産を全部売って、それでもって借りたものはみんな返してそして分配をしてほしいと、こういう声が非常に強いのです。したがって知事、これに対しての所見を伺いたい。
それから次は、安全保障について、知事はもう最後になられますんで、この辺ではっきりした具体的な考え方をお尋ねしておきたいんです。
日米の安保条約が、国民のために利益になっているのか、あるいはわが国の安全について、日米安保条約がプラスであるのか。もしプラスであるとするならば、プラスの面は何であるのか。マイナスの面であるならば、マイナスの面は何であるか、それを明らかにしてほしいのです。
そのために米国は、私が考えましても日本を守る以外に、わが国を守る以外に、日本にある米軍の施設は絶対に使わないということはないと、私は思っています。そしてもう1点は、米国は、米国の利益で行動をしているんであって、何も旧敵国の日本の国民を守るという、ただそれ1つの理由で、大きな儀牲を払ってまで守らなければならないという考え方はないと思います。しかしこの安全保障条約が日本にとってプラスの面はどういう面か、あるいはマイナスの面はどういう面かということをはかりにかけて、そして選択をすると、こういうことが必要だと思います。
そこで、知事は就任以来4カ年間、予算議会劈頭では常に安全保障条約については、反対の立場を明快にしてまいりました。そこで、日米安保条約が国益に寄与しないという判断があなたにおありだからであるはずです。それでは、国益に寄与するものはない、その点を具体的に反対理由を説明していただきたい。
次、これは知事、教育長になると思うんです。
いま、学校現場において主任制問題が大変現場で紛糾をいたしております。もういまではこれは純粋の教育の問題ではなくて、政治的な勢力争いというような感じがいたしております。それは、日教組と文部省、教育委員会などの管理者側との争い、このように県民は受け取っております。
日教組などが反対をしているものの1つに、文部省が手当を出すことによる、そういう制度、手当を出すことによって、管理者としての立場を確立させる。だから、いやなんだという反対をしているわけなんです。しかし、この制度自体は、主任制度というのは、これは従来ずっとある。あるんだけれども、その主任の立場にある人が一生懸命働いておっても、それに対する報酬が与えられてない。だから報酬を与えようと、こういうことである。これは一般的に聞いて当然のことなんだ。とかく当然のことである。
ところが、県民が見ましても、どうせ主任問題なんていうのはこれは一部の問題であって、このようなことだけでどんなに闘争しても、教育の正常化が曲げられるようなことはないだろうというようにみんな感じているんです。ところが、このような政治闘争が、教育の正常化がこういうことによって曲げられては大変困るわけであります。またあってはならないと思います。その点について、知事並びに教育長、どうお考えですかお答えをいただきたい。
次の質問です。
次は、小学校や中学校、高等学校などの主任制設置というのは、これは日教組あるいは革新の諸政党から大変反対を受けております。それは主任制によって、中央集権的な指導体制が確立するんだと、こういうことを言っているんです。しかし学校現場に、中央集権的な指導体制が本当に主任というところに、主任と子供たちというところでそういうものが具現するだろうか、これは非常に疑問があります。なぜならば、生徒に対する学校教育の現場の先生というのは、先生個人の独創性というものがございます。その独創性を生かしていくということになると、これは中央集権的な指導体制、そんなようなものはあるはずはありません。
また、近ごろ学校内部におきましては、専門分化されている部門が非常に多いんです。生徒の学力を向上させよう、そして素質を伸ばそうということになると、専門分野の方々が専門的に経験を生かして生徒に接していくということは、教育効果を示す上で非常に重大であるわけなんです。それを簡単に教育統制にこれはつながるんだと、こういうきめつけ方をしております。私は、そんなことはないと思うんですが、知事、御見解を賜りたい。
それから次、もう1点ございますが、これは学校の主任制というのは、私にも記憶はありますけれどもこれは戦前からございまして、教育活動を効果的に発展させるというようなことでは、近代的なしかも合理化された組織としてこれは育成されるべきであるというぐあいに私たち考えておりました。そしてそれに携わる先生方は、地位とか職務が明確になるわけでありますから、当然県民に対しても教師が、その職務を責任上果たさぬといかぬということが明確になっていくわけなんです。
そして、校長先生とかあるいは管理職は、権力だとかあるいは文部省の手先だなんていうような批判をしてこれは反対だと、こういうぐあいに言っておりますけれども、しかし私に言わすれば、これは日教組的でしかも偏向的態度からそういう批判が出ているものですから、そんなようなことでは国民教育はできないと、私は考えております。だから、民主的な制度としてこれは今後発展させていかなければならないと、このように考えております。だから、前向きの姿勢で取っ組んでいただく緊急課題だと、こういうぐあいに考えております。御所見を承りたい。
それからもう1点あるんですけれども、この主任制度を明確化してくれという問題は、全国の小学校、中学校、高校の校長協会あるいはPTA会あるいは教育委員会、教育委員長会、こういうところのすさまじい陳情によって、これは文部省は動いてきたんですよ。何のためかといったら、子供たちが学校で与えられたカリキュラムの範囲内で、十分に先生方から知識をお習いするというような状態にない、だから塾が発展しているわけですよ。そういうことがあってはいけないんでね、本来の教育の現場に返ってほしい、本来の教育の姿にしてほしいというのがこれは子を持つ親の本来の気持ちですよ。
そういう意味で、これは陳情がなされて結実したものである。そんなようなことからもですね、いやこれは実際出ておりますよ。だからそういうこともありますんで、含めましてひとつ御所見を賜りたいと思います。
○議長(知花英夫君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 一番初めに質問がございました主席時代、あるいは県政時代、勧奨退職した者が公社その他の関係機関に就職している者の名前を知らせてくれと。
第2点は、琉球政府から県に至るまでの退職者が公社に横滑りしているのはないか、これの名前を出せということでございましたけれども、突然の御質問でありますので、いま私直ちにお答えすることできませんので、総務に指示いたしまして調査させて提出いたします。
○小渡三郎君 議長、休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
午後4時24分休憩
午後4時25分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
○知事(屋良朝苗君) 私は、いまこれは御質問を受けてわかるわけでありますから、それでは総務にその由指示しておきます。
それから県の工事にファッショ的行為があるという具体的な例を挙げて、これも初めて承ることでありまして、そういうことがあるとすれば適当ではないと思いますので、この点企業局長に答えさせます。
それから郵便貯金協会の問題につきましては、先ほども大城議員からも御指摘があったわけでありますけれども、当の財団法人は知事の認可したものであるとこういったようなことでありまして、おっしゃった御意見を私は拝聴しておきまして、これを検討させていただきたいとこう思います。検討していきます。
次に、この安保の問題でございましたけれども、私はこれは直ちにプラスがある、マイナスがあるというようなことは申し上げかねます。私は、いつもこの安保問題については、沖縄の県の立場として具体的な常識的な面からこの問題は反対してきたわけであります。
というのは、やはり基地そのものが沖縄にいろいろの影響を与えていると、あるいは不安動揺を与えていると。そして、その基地はいたし方がなくがまんせしめられておるのが実態であって、だれも賛成している人はいない。したがって基地等は反対していると。非常に反対しているけれども、その反対しておる基地を非常に安保は扇のかなめとして必要とすると。こういうことになるというと、われわれはこれを賛成というわけにはいかぬじゃないかと、こういうことで沖縄県益の立場からわれわれ自体の福祉優先する立場から見まして私は安保に反対すると、こう言っているわけでございます。
常に、そういうふうに私は意見を申し上げているわけでございまして、したがって国の側からこういうこういうこうだというふうな軍事評論家の言われるようなそういうようなことは、いま私はここでは申し上げかねます。とにかく沖縄県益の立場から私はこれは反対を主張すると、こういうことでございます。
それから次は、主任制問題でございますけれども、これは、事教育に関する限りは、教育委員会の権限下に置かれておるものでありますけれども、承るところによりますというと、この問題については、教育委員会としては、沖縄側では各PTAの要望、意見、それから教育委員会の要望、意見、それから各市町村教育長の要望、意見、こういうようなことをくんで教育委員会であのような所信を表明されたように決定されたということでありますので、私としてはそれにお任せするというような気持ちが私のこの主任制問題に対する気持ちでございます。
おそらく現在主任制を置かずに、教育界に非常に不幸な混乱が起こっていることはないからこういう決定をされただろうと思いますので、教育委員会の決定されたことに私もこれを賛成するわけでございます。
○議長(知花英夫君) 企業局長。
〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 工事についてのファッショ的行為についてでございますけれども、このことにつきましては初めて聞いておりまして、早速調査をさせております。
それで、現在担当者を呼んでおりますので、そのことを聞いてただしてみたいと思います。
もちろん、こういう行為があってはならないと考えております。
○議長(知花英夫君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 小渡議員から、4つの事項について御質問がありましたが、それにお答えする前に一応経過を御説明申し上げてからお答え申し上げたいと思います。
学校運営に当たっては、2つの柱があることは御理解のとおりであります。
1つは、管理運営の面でありますし、他の1つは、教育指導の面でございます。ところが現状では、教育指導の面が軽視される傾向にあるということで、教育指導を担当する主任を制度化して教育指導面を充実し、2つの柱の調和のとれた学校運営が行われるような教員組織を整えるということが主任制の趣旨でございます。
本年1月13日に、改正省令施行につきましての文部省の事務次官の通達を受けまして、教育庁内でも検討委員会を設けまして主任制についての基本事項の整理や資料の収集を行って、慎重に検討してまいりました。
他方、校長会代表、市町村教育委員会代表、市町村教育長代表、PTA会代表等教育関係諸団体から意見の聴取もいたしましたが、どの代表の方々も学校現場に混乱が起こるおそれがあるので、実施時期を慎重に検討すべきであるとの御意見でございました。
なお市町村教育委員会、市町村議会、組合関係団体等27団体からの主任制導入反対の要請が教育委員長、教育長あてに出ております。
県教育委員会も3回の学習会を持ちまして、主任制の基本的事項についての理解を深めるとともに、県教育委員会のとるべき措置について慎重に審議をいたしました。
教育長としましても、学校現場の理解と協力、教育関係団体等の支持が得られないままに主任制を実施しますと、教育現場の混乱が予想され、教育行政の責任を全うすることがきわめて困難であると判断いたしました。
以上のような推移の中で、省令の施行日である3月1日は目前に迫ってまいりましたので、県教育委員会は、去る2月23日に委員会において主任制についての態度表明をいたしたわけでございます。
教育長としましては、さきの文教厚生委員会でも、すでに規則として公布されていることでもありますので、行政の立場にある者としては、これを理解し尊重しなければならないとお答えいたしました。今後とも、その答弁の趣旨に沿って教育関係機関、団体等とも十分なるコンセンサスが得られるよう努力したいと考えております。これが総括御説明でございます。
ところで、小渡議員の御質問の教育正常化が、この問題によって妨げられてはならないということについてでございますが、御指摘のとおりに理解しております。
中央集権的な指導体制になると言っているがどうかということでございますが、この主任の制度は一つの組織体が効率的に機能するためにはそれにふさわしい組織が必要であります。学校における校務分掌は、そういう意味で長い歴史を経て今日までそれぞれの学校にふさわしい形で育ってきたものと理解しております。
改正省令で規定する学校種ごとの主任の種類も、現にある主任のうちの基本的なものを取り上げたものでありますから、内容そのものにはさほど問題はないと私は理解しております。
次に、この問題については前向きの姿勢で取り組むべきではないかというふうな御質問で、その見解を求めておられますが、それにつきましては先ほど申し上げましたように、関係団体の十分なるコンセンサスを得て対処していきたいというふうにお答えしましてそのとおりでございます。
4番目の、この全国の小、中、高校長協会あるいは教頭協会等からも強い要請があって文部省は決めたものであるということでございますが、確かにそのとおりでございますが、しかし東京の教育長さん方のお話を新聞で見たところでは、もっと上の段階でコンセンサスを得てから県段階に流すべきでなかったかというふうな話等もありまして、確かにそれは校長協会や教頭協会等も要請したはずでありますが、ただあのような形で県段階におりてくる場合には、やはり県としても十分対処できないと、もっと時間をかけるべきであったというふうなことを言っておりますし、やはり時間をかけてやらなければこの問題によってかえって現場が混乱し、児童生徒にマイナスの影響を与えるというふうなことがございますので、これにつきましては時間をかけて慎重に対処していきたいと、こう考えております。
以上でございます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 勧奨退職した者で県の公社、事業団に就職した人の氏名、それに公社事業団に横滑りした人の氏名、普通退職も含めておりますが、これについてお答えいたします。
小渡議員がおっしゃる資料には、勧奨退職者名簿だけでございます。その中でだれが、どこの公社に行っているかというリストはお上げしていないわけです。
そこでいま申し上げられることは、まず農業公社にこれは普通退職で行っているのがいます、比嘉行雄。それから住宅公社に普通退職した仲村栄春、安座間喜徳、新垣徳助の3名が行っております。それから観光開発公社には、普通退職した喜久川宏が行っております。リゾート公社には、同じく普通退職者で大嶺永夫が行っております。それから医療福祉事業団に、普通退職者として宮城常敏、こういった方々がおります。
なお、ほかに勧奨退職または普通退職者で公社に行っている者がありましたら、もっと調べた上でお答えしたいと思います。
○議長(知花英夫君) 小渡三郎君。
〔小渡三郎君登壇〕
○小渡三郎君 ただいま、執行部から勧奨退職、普通退職等について説明を受けましたが、普通退職者は、わりかた簡単にわかったようでございますけれども、勧奨退職の方で普通退職をするのと比べて勧奨退職というのは3倍の額の退職金を得ておやめになるわけです。だからこれは、県が少なくとも出資、出損をしている事業団等にあるいは公社等に再就職するということは、まずあってはいけないんじゃないですか。これは、一人でもおってはいけないと思うんですよ。それで事実ありますから、ありますんで、お調べになって県民に明らかにしていただきたいと思います。
それから、普通退職にしましても、今度土地開発公社を初めとして住宅供給公社等諸公社、事業団等にいろいろな疑惑と言うんですか、行政のまずさというんですかね、そういうのが起きまして与野党でともに県が出資をしている公社あるいは事業団等でその効果を調査しようということで特別委員会をつくって鋭意いま審議を続けているところでございますけれども、たとえば一つの例を挙げると住宅供給公社等は、毎年13億円に上る金利の負担をいまやっているわけです――これは一つの例でございますけれども。そして買い上げた土地が、今度は農地の問題、農地法の問題と都計との問題に絡み合いができてしまって、そして事前で調整がうまくいかないままにそのままほったらかしてしまった。それでいまどっちにも使えないという状態にあるんですね。だれか買ってくれませんかなというような状況にあるわけです。こんなようなことも実は明らかになっているわけですよ。
そういうのは結局、たとえば警察官僚が住宅供給公社等に横滑りをする。住宅供給公社というのは、これは土地を取得し建設をするところでありますから、不動産並びに土建屋を一緒にしたような機構であるわけだ。そんなところに、全く経験知識もない人が、専門的な職に横滑りをしていくところに問題がある。こういうことが非常に問題だと思いますよ。
それからまた、別の事業団等につきましても、県庁あるいは琉球政府等から公団や事業団ができたからそこへ簡単に天下り、横滑りをしていくということは、少なくとも退職金を受けておやめになった以上、後進に道を譲る。若い者にはもっとすばらしい能力を持っている者が、将来経験を経ることによって育成されそして育てられて沖縄県のために役に立つ力を蓄えていくということも言えるわけです。
そうなりますと、必ずしも退職をなさる方々に定年的な退職という言葉を使っていいかどうかわからぬが、年もいかれてそういう高齢になられた方が、横滑りを簡単にしていくということになっていくと、やっぱり本来の目的には反していくんじゃないかとこういう感じがします。
それで一応、十分洗いざらいしてみる必要があるのではないか。私のところに調査をした手元に持っているものでも、15件ほど入手をいたしております。しかしきょうの議会を機会に、ぜひ御調査になって特に勧退等に対する考え方はどうあるべきだということを明確にしてほしい、こういうことでございます。
それから次は、企業局のパイプラインの問題でございますが、予算委員会でもやっていいような事項でございます。またあるいは委員会等で持ち上げてもいいじゃないかという問題でありますが、実は内容がこれはとっても部長段階じゃなくて知事の見解をどうしても明らかにしていかなければいかぬというような、これはもうきわめて私権侵害にかかわる重大な問題でありますから、問題提起をいたしているわけです。
これは本当に軍のパイプラインが、いまいろいろ取りざたされておりますけれども、あれも非常に悪質でその撤去方を要請しているのは、県民の声である。
ところが、この場合どうだろうか。この場合振り返ってみた場合、人の財産を承諾も何にもしないで話かけもしないで、ブルドーザー持ってきて穴あけて、そしてパイプを入れた、おかしいなということで、ヌーガこれは変なことになっているじゃないかというようなことで問いただしてみて、市役所へ苦情に行く、市役所はわからないという。企業局に連絡する、企業局から職員が来る。何と言ったと思いますか。やむを得ないじゃないか、認めろよ、君ら認めなさいよと、こういう態度に出ているんです。そしてそのパイプの通っている部分だけ3メートル50で、これは畑なんですよ。それをその分だけを買い上げるから、坪当たり2万7000円だと、こういう出方なんですよ。
そしてその大体真ん中を切っておりますから、右、左が切れてしまうわけだ。ここは、家をつくることもできなければ、何にも使用することができない畑だけだよと、こういう官尊民卑の最たる姿を屋良革新県政の中ではいま行っているんです、いまあるんです。非常に重要だから申し上げているわけです、重大だから。だからこれははっきりしてくださいよ、本当に。
次、郵住協の問題でございますけれども、明快な御回答はすぐは得られないでしょうけれども、知事、御在任中に30万の債権者のためにどうあるべきだということを明確にしてください。これはもう毎年度、決算赤字ですよ。こういうことでは大変ですよ。これも明らかに在任中に処理をしてください、こんなような問題は。
それから、あとは安保の問題とそれから教育の問題でございますが、この際本会議でございますので、代表質問という立場からわが党の見解を明らかにしておきたいと思います。
まず、安保の問題でございますけれども、やっぱりわが国は、貿易に大変依存している国家でございます。石油といい、食糧といい、工業原材料といい、全部これはほとんど90%が輸入されて成り立っているわけであります。そのためには、これを輸送するためには、海洋航行が安全でなければなりません。それがそういう場合、日本の、わが国の海上自衛隊がいかに強力になろうとも、いかに力を蓄えても憲法上とか、あるいは国力上の制約、制限があります。したがって制海権を有している国々とは仲よくしなければなりません。
同時に、また万一のことがあると大変でございますから、国民全体の生活に関係あります。したがって制海権を擁している強い国と協力関係を持たなければなりません。その協力関係を持つことによって航行の安全を確保する、こういうことでございます。したがって日米安保上、この航行の安全を守るということのためには、安保条約はきわめてプラスの面である、これが第1点であります。
2番目の点は、まずわが国は、私どもが少なくとも予見できる将来、核を保有するということは絶対にないと思います。そうなりますと、外国からの、わが国以外の国からの核による恫喝外交、こういうことがないとは言えません。あるいはあるかもしれないのです。そういう前提に立ちますと、やっぱり核戦力を持っている国と友好同盟関係を結んでいるということは少なくとも抑止力になり得ると、こういうことでございます。
それから次は、今度はアメリカとの友好関係の中で、日本の国を守るために、いわゆる核から守るためにと、こういう言葉がいいでしょう。米国がいかに同盟関係にあっても、わが国を核の攻撃からこれに対峙する同じ兵力を出すんだということであるならば、同時に米国も核攻撃を受けるということを覚悟しなければならないと思います。この逆も言えるわけです。日本をまた核で恫喝しようとする国が、どこかにあるとするならば、米軍の基地が日本にある以上、これを恫喝しようとする国は、米国自体もまた敵にしなければならないというようなことも言えるわけであります。
そんなような意味で、抑止力ということについては間違いなく過去の経験からこれはあり得ることだけは事実であります。
そして、さらに日米の貿易関係でございますけれども、わが国は貿易立国であるということはさきにもちょっと触れましたけれども、この米国との友好関係というのは、明治維新後開国してから1世紀間続いているんです。戦争のすぐ前まで、今次大戦の前まで友好関係は続いております。そのことは、友好関係即貿易関係は続いているわけです。わが国の輸出輸入の3割を占めてきております。現在も、そういうぐあいに占めております。だから米国は、やっぱりわが国の取引先には間違いありません。
したがって、最近米国の国内状況によって経済が破綻しかねない状態に出たもんだから、わが国に対してもいよいよいちゃもんをつけるようになりました。ある者は、貿易戦争じゃないかなあなんていうようなことを言う者もおります。しかしながらそれが貿易戦争にならないようにして、やっぱりおさまっていき、友好関係の中にあるから理解をすることができるということは、やっぱり安保条約があるということが大きな原因になっていると思います。
逆にですよ、これはですね、(「沖縄は全部犠牲」と呼ぶ者あり)いや、それはいまから触れます。そしてもし社大党や社会党、共産党、公明党の皆さんがおっしゃるように、安保条約は即時廃棄だということであるならば、日米友好関係の中でいまの貿易の問題なんです――貿易の問題でありますけれども、100年の歴史、輸出輸入3割を占めている最大の取引先であることだけは間違いない。そういう状況にあって、もし日米安保条約は廃棄だと一方的にやってしまって、そういう形をとったならば、友好関係のきずなが切れます。当然、貿易関係に対するトラブルが、現在のように容易に解決するとは考えられないのが常識であるわけです。そういうことであります。
そして4番目には、わが国は、やっぱりどうしても守りに徹している国でございますから、防衛に必要な情報、これの収集は絶対必要です。わが国は、偵察衛星などなんというのは飛ばしておりません。こんなものをいっぱい飛ばしているのは、やっぱりアメリカが最高ですよ。
そういうところから、わが国の周辺における防衛上必要な情報というものは、いつでもキャッチできるという体制でなければなりません。それも、安保条約が締結されておればきわめて容易であります。安全度が非常に高いということであります。
そして最後の1点は、共通の広場があるということなんです。どんな共通の広場があるのかと――言論、集会、結社の自由、こういうことが認められた共通の広場があるということであります。これだけは事実だと。
それから次は、マイナスの面をちょっと見てみましょう。マイナスの面がないわけではありません。マイナスの面はあります。
たとえば、わが国にアメリカの基地がある以上、わが国の意思とは関係なくして、わが国は、米国の政策に利用されるおそれがあるわけであります。そういうことがないとは言えないわけです。だから、これはマイナスの面もよく見ておかなくちゃいかぬ。だから米軍の行動そのものが、必ずしもわが国の国益に一致しているとは考えられません。
したがって、ここで大事なことは、わが党はどう考えているかというと、あくまでやっぱり事前協議の交換公文、これをきちっと守る、そして空洞化をさせない、こういう考え方に立たなければならないと思います。
だから、私どもとしては、日米安保条約がプラスの面は何、マイナスの面は何、だからこれをてんびんにかけてみて、わが国の国民生活を安全にしかも繁栄に導くためには、どうすればいいかという選択をやっているわけです。
わが方は、そういう意味で安保条約の選択をやっているわけなんです。
もう1点、悪い面があります。それは何かというと、安保条約という体制が1951年からずっと続いたために、国民の中にあることは、要するに防衛アレルギー、これがあるんです。わが国を守ってくれるのは、アメリカぐらいだとみんながそう思ってきてしまった。自分の国は、自分で守るという考え方を忘れているんです。そういう面が悪い面なんです、マイナスの面である。
少なくとも、外国の意思によって左右されては独立ではありません。やっぱりその独立国というのは、国民の自治であるわけです。したがって自分の国は自分で守るという考え方がなくちゃいかない。そういう思想がこの安保条約のために、マイナスの面としてあらわれているということだけは事実である、これがわが党の見解であります。
時間の関係もございますんで、主任制度の問題についてわが党の見解、これも説明してみたいと思います。これを明らかにしておかないと、まずいと思いますよ。
それは、やっぱりまず第1に効果的な教育で成果を上げるということが大事なことだと思います。やっぱり子を持つ親は、自分の子供がすばらしくよく勉強していい子になる、これが一番大事なことなんですよ。
ところが、いま学校現場において問題になっているのは何ですか。少なくとも日教組を中心として平然と違法ストが行われてみたり、偏向教育が行われたり、現場は大変な混乱をいたしております。事実です、これは。学校には、やっぱり教育成果を上げるためには、すぐれた教師、そしてすぐれた教師のもとにその教師の中で相互間にも秩序が確立し、それを維持することのできる規律が必要であります。
そういうようなことをきちっとしてやっていかなければ、教育成果というのは上がりませんよ。県庁を見てください。知事あり、部長あり、次長あり、課長あり、課長補佐あり、きちっとしているじゃないですか。どこでもそういうことがあるわけなんです。学校だけ、一つそれがいかないという理由はない。
それから次は、まじめな教師は、やっぱり優遇されるべきだと思います。主任制度は、長い期間教育現場で定着しておりまして、指導とか助言の役割りを果たしてきております。現状では、教育熱心な主任も、あるいは先生方も、あるいは怠けほうだいの先生もおられます。そういう先生もみんな一律の給与体系のもとで同じ給与を受けている、このような不公平があってはならないのです。
ところが、日教組は、こういう姿がいいんだとこう言っている。これは悪平等というんですよ。一生懸命働いている教師は、抜てきして主任手当を支給して優遇するということは、これは当然のことじゃありませんか。
それから3番目の理由。校長を軸に、運営を一体化していかなければなりません。職務と責任に応じた待遇があればこそ、教員がやっぱり希望に燃えて十二分に教育機能を発揮することができるんです。またこれによって、教師も学校運営の一翼を担うそういう意思を一層強く持つようになっていくでありましょう。校長を中核とする公務員への一体化が図れるんです。
いま、ある学校は、帰るときには学校の戸を閉めるのは校長先生ですよ。だれも閉める人がいないんですよ。そんな共同体ということがありますか。だれが閉めるか、これはぼくの仕事ではない。じゃ校長が閉めるかと、校長先庄が閉めている。そうじゃないよ、やっぱり同じ職場だったらだれがやるではないんです。そういうのも、きちっとやるような職場でなければだめですよ。
校長あるいは教頭は、管理職として現在校長に12%、あるいは教頭は8から10%の管理手当を受けております。主任に手当が与えられないということは、これは遅きに失しているんですよ。そういうことをやろうというわけなんです。
そして4番目には、主任の選任の仕方でございますけれども、これは校長が直接任命する場合と、校長の意見を聞いて教育委員長が任命すると、どっちかだとこういうことでございます。
これに対して批判は、主任を制度化することによって校内に差別をつくるんだと、こういう批判をしております。だからこそ、私たちは――わが党は、主任を固定化しないように専門的な能力を持つ適確者が数多くこの経験を積むことが必要なんだと、こういうぐあいに考えております。
一人で何々主任、進学指導主任というかあるいは就職主任を5年も6年もやったらおかしなことになりますよ。そういうことでなくて、多くの先生方がこの経験を経ることが必要だと。その経験の中から教育成果が上がっていくと、こういうことでございます。
多くの教員が、そうして経験をすることによって能力を発揮する、そして生徒に接していく、こういうことでなければならないと思います。ところが日教組あたりは、そうするとその主任の地位は、これはたらい回しみたいになりますよというんだ。そういうことのないように、きちっと制度化をしていかなくちゃいかぬのだというぐあいに私どもは考えております。
さっきも申し上げましたけれども、やっぱりそれは一部の都道府県では反対もあったでしょうけれども、少なくとも民主的な過半数ということであるならば、全国的な規模でこの主任制度は実施すべしということで要請がなされたことだけは間違いありません。
そういうことでございますので、わが党としては主任制度をこれからあとも根強く教育現場の皆さんとも接触をしながら、理解を求めていく。そしてその実施をすることによって、学校の運営を校長、教頭だけに任すんじゃなくて全体で責任を持っていき、そして教育の大成果を上げていこうと、こういう努力をすべきだというぐあいに考えております。
最後に、琉大の医学部の用地問題につきまして、去年の3月の定例議会、9月の定例議会でこの問題を出しましてからもう1年になります。
3月には私は、決算特別委員会で無免許業者であるということを指摘したんでありますけれども、実は無免許業者であったというのは後ほどわかったんだと、後になってからわかったんだという正式な答弁を土木部長から実は決算特別委員会で受けました。
ところがいま、公社等の適正な運営がなされているかどうかということで、いま特別委員会が開かれております。そこで証言によって明らかになった分は、無免許業者であったということはもう初めからわかっていたと、こういうことでございます。
2番目の点は、業者が中間利益が得られるような仕組みには初めからなってなかったんだと、こういう答弁でございました。これは3月の議会も9月の議会も共通してそうでありました。
それは何であるかというと、業者が幾ら利益を上げたかは去年の1月になって証明書を出す段階でわかったんだと、こう言っております。ところが実は、これも旧土地公社の職員の証言によりますと、事務段階の当初で事務起案をするときからわかっていたと、こういうことでございます。そういうことが明らかになりました。
さらに公社特別委員会は、もっと証人喚問をし、あるいはもっと詰めるでありましょうけれども、現在までの段階では、そういうことが明らかになっております。
同時に、もう1点は、私が9月の定例議会で本壇上から2000万円の裏工作資金政治献金が出されたというぐあいに記されている、桑江メモにこういうぐあいに記載されていると、こういうことをここで提起いたしました。これが公社特別委員会で焦点になりまして、その尋問が続きました。なるほど2000万円という裏工作資金が、完壁に流れたということは証言の中から出ておりません。出ましたのは、2000万円のそれだけの枠の中の810万円は媒介者に渡されておりますと、こういうことになっております。
その際、共産党の上原亀一郎君から質疑がなされまして、その2000万円の政治献金については、どの党に献金をしたのかと、こういう質問でございました。(「どの政治家」と呼ぶ者あり) どの政治家とか、あるいはどの党にやりましたかと、こういうことでありました。
ところが、それに対しては、全く献金は、そういう意味の献金ではありませんと、こういう答弁がありました。それを事実無根だと、こういうぐあいに委員会で発言をしております。
私は、事実無根に対して問題があるんで、これに対して発言を求めましたところ、委員長は発言を停止させました、発言をさせませんでした。したがって、きょうはこの機会に、その辺のところをはっきりしなければならないのは、私はこの壇上からどの政党に、あるいはだれに政治献金を出したということは一言も言っておりません。そういうことは触れておりません。裏工作資金として、政治献金がなされたと記録されていると、こういうことであります。
それは政治献金というのは、商取引をする表面上の取引と裏工作資金、これを政治的な行為と、こういうぐあいにとって証拠づけられた記載だと、私はそのように解釈をしております。そういう意味で質問をしたんであります。
議事録にも明確にそのように記録されていることをあらためてここで明確にいたしまして、さらに行政の疑惑は追及をしていかなければならないし、ずさんさに対しては、メスを入れていかなければならないということを明確にいたしまして質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 企業局長。
〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 先ほどの地主の土地の件につきましては、調査させましたところ、企業局と地主との間で数回にわたり交渉が持たれており、地主も売買には同意しておるようでございます。
目下、地価の件で地主との折衝を続けております。本日も、職員が当該地主と触接しており、この問題につきましては早目に解決したいと思っております。
○小渡三郎君 議長、休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
午後5時11分休憩
午後5時12分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
企業局長。
〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 御指摘の件につきましては、残念ながら事実のようでございます。
この件につきましては、事実関係を明らかにした上で適切な措置をとりたいと考えております。
○小渡三郎君 知事、在任中に郵住協の問題をどうしますか。債権者の願いですから、お願いします。
○知事(屋良朝苗君) 早速検討してみます。
○議長(知花英夫君) 以上で、本日の代表質問を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明6日定刻より会議を開きます。
議事日程は、決定次第通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時13分散会
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