平成23年(2011年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月29日
赤嶺  昇
 

 私は、改革の会を代表して、ただいま議題となった「平成23年度沖縄県水道事業会計予算」の修正案に賛成する立場で討論いたします。
 既に多くの議員から、賛成、反対の立場で討論がなされてまいりました。私は、今回の議案でどうしても納得のいかない点があるので討論をさせていただきます。
 知事や企業局長は、今回の提案理由として、1、運転管理に要するコストの低減、2、ワーク・ライフ・バランスの観点から職員負担の低減、3、民間の管理ノウハウの導入としています。
 私は、民間企業のノウハウを高く評価していますし、自分自身も議員になる前は民間企業で勤めてまいりました。したがって、民間の能力をだれよりも評価をし、そして理解をしているという自負があります。しかしながら、すごく気になる点があります。それは県当局が民間委託をすればコストの低減につながると言い切ることです。それは同じ業務でありながら、民間なら低予算で活用できるということを平然と言いのけ、明らかに安い委託費で民間活用をしようとしていることにほかなりません。
 企業局の業務は、県民のライフラインにつながる極めて重要な業務です。仮に民間委託をするにしても業務の継続性や職員のスキルの向上が求められてまいります。したがって、3年間の契約にした場合、果たして民間として安定的な経営に資することができるかが大きな課題であるとともに、職員の安定的な収入の確保及び身分が保障されるかも大きな課題であります。
 改めて言いますが、私は民間企業のノウハウを高く評価しております。しかし、一番の問題はそこではありません。それは現在の企業局長がもともとは総務部長でありました。企業局長が行財政改革を推進する必要性を強調し、現在の体制では水道料金の値上げになることに触れていることです。
 私は声を大にして言いたい。あしき慣例として企業局長のポストが県の部長たちの天下りの受け皿になっていることそのものが行財政改革の最大の阻害要因であります。
 その具体的な内容を申し上げます。知事部局長の退職金約3200万円あります。月給大体52万8400円掛ける52.28カ月、プラス60万円。そしてその退職金3200万円をもらって企業局長に就任をします。何と2年間就任をし、たった2年間で退職金も企業局から支払われます。それは500万円です。
 皆さん、きょうは企業の皆さんもたくさん見えています。私は、先ほどから言っているように、民間の皆さんが非常に苦しい立場で今一生懸命沖縄経済を支えていることは重々承知しています。しかし、皆さんの企業で2年間働いて500万円の退職金を支給できる企業がありますか。私はこうした現状に対して、本当に憤りを感じております。2年間の勤めで退職金をもらえるなんて人生バラ色ではありませんか、やめられませんよ。
 県民の皆さん、まだまだあるんです。企業局長を退職した前任者が何と500万円の退職金をもらって、次にトロピカルテクノセンター(TTC)の専務へ就任しております。もっと言うと、その前の局長さんは沖縄振興開発金融公庫に行っております。
 皆さん、今回コスト論、行財政改革という意見がたくさん出てまいりました。私は、1期目からこの企業局長のポストは問題であるということを再三本会議でも訴えてまいりました。しかしながら、当時の仲里前副知事が、それは天下りではない、それは天上がりだよということをおちゃらけて答弁をしました。そういう答弁をした方が、今回、行財政改革のもとで財源が厳しいから、そしてそれを通さないと結果的に県民の水道料金の負担につながるということを言うことは私は説得力がないと思っております。県民が苦しんでいる中でこうした天下りで二重の退職金をもらっている局長の提案に説得力がありますか。私は県民の皆さんに問いたいと思っております。
 最後に、民主党が政権交代を目指してきた目玉政策として、「天下り根絶」があります。それは多くの国民・県民から期待をされてまいりました。今回の議案はまさに天下りの温床となっている企業局において行財政改革という口実のもとで、県民の命の水をコスト論で片づけようとするものです。東北の震災でも見られますように、水はライフラインです。その水にコスト論を持ち出すことは県民の命を脅かす行為であり、民間移譲イコール低コストという県の姿勢そのものが民間企業をばかにしていると思います。
 まずは企業局長人事や二重退職金の問題を整理してからコストの話をするべきであるということを強く指摘し、修正案への賛成の討論といたします。
 以上です。(傍聴席にて拍手する者あり)

 
20110210050040