平成22年(2010年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月29日
知事公室長(又吉 進)
 

 知事の政治姿勢につきまして、米軍は沖縄を守ってきたかとの趣旨の御質問にお答えいたします。
 県としましては、戦後の日本が国際紛争に巻き込まれることもなく、経済発展を遂げたことや平和な国民生活を享受してこられたのは、日米安全保障体制を含む日米同盟関係が我が国及び東アジアにおける国際の平和と安定の維持に寄与していることによるものと理解しております。
 次に、米軍及び海兵隊の抑止力への見解につきまして、1の(2)のイ及び1の(2)のウにつきまして一括してお答えをいたします。
 政府は、国会答弁において、「抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものである」、また、「沖縄に駐留するアメリカ合衆国の海兵隊は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。」との見解を示しております。
 抑止力につきましてはさまざまな御意見があり、沖縄県として現在研究を行っているところでございますが、県としましては、抑止力の議論にかかわらず、過重な基地負担の軽減やさまざまな事件・事故の防止など米軍基地問題の解決促進が日米両政府において着実に進められることが重要であると考えております。
 次に、知事の政治姿勢につきまして、戦後、復帰後の事件・事故につきましての御質問にお答えいたします。
 復帰後の米軍による事件・事故につきましては、沖縄県警察本部の資料によりますと、平成21年12月までに、米軍構成員等による犯罪検挙件数は5634件、このうち殺人や強盗等の凶悪犯は562件となっております。一方、県の把握しているところによりますと、航空機関連の事故につきましては、平成21年12月までに497件発生しております。
 復帰前における事件・事故の発生数につきましては、復帰前におきましても、米軍による数多くの事件・事故が発生したとされておりますが、正確な記録が残されておりません。
 次に、米軍基地の領土主権についてとの御質問にお答えいたします。
 外務省によりますと、米軍の施設・区域は日本の領域であり、日本政府が米国に対しその使用を許しているものであるので、アメリカの領域ではないとしております。
 次に、米軍基地の法の支配についての御質問にお答えいたします。
 御質問の法の支配のもとという意味がはっきりしませんが、条約を含む法的根拠という意味であれば、在日米軍基地は、日米安全保障条約に基づきまして、我が国が米国に施設を提供しているものであります。また、日本国の法令の適用という意味では、外務省によれば、一般国際法上、米軍の行為や、米軍人及び軍属の公務執行中の行為には、原則として日本の法律は適用されませんが、日本の法令を尊重しなければならない義務を負っているとされております。さらに、公務執行中でない米軍人等については、日米地位協定上の規定がある場合を除き、日本の法令が適用されるとされております。
 次に、基地から住民地域への外出についての御質問にお答えいたします。
 米軍人は、米国あるいは海外から我が国の領域に入る際に入国手続は終了しており、基地から住民地域への移動は出国には当たりません。
 なお、日米地位協定第5条第2項におきまして、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入りできることが規定されております。
 次に、入国業務を行う法的根拠についての御質問にお答えいたします。
 米軍関係者の我が国への入国につきましては、日米地位協定第9条第1項におきまして、「合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族である者を日本国に入れることができる。」と規定しております。
 次に、基地外居住の法的根拠についてお答えいたします。
 米軍関係者の基地外居住の法的根拠について外務省は、日米地位協定には、米軍人等の基地外居住を禁止する規定はないと説明しております。
 次に、住民基本台帳法との関係及び行政サービスにつきましてお答えいたします。
 日本国籍を有しない者につきましては、住民基本台帳法第39条により同法に規定する住民基本台帳への記録等、同法を適用しないこととなっております。
 また、行政サービスにつきまして、基地外に居住する軍人・軍属・家族については、一般住民と同様に道路、水道、ごみ処理、し尿処理、消防等の公共的サービスを受けておりますが、住民税につきましては、日米地位協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律により非課税となっております。
 以上でございます。

 
20100205050060