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平成11年(1999年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 7月 5日
教育長(翁長良盛)
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下地議員の教育問題についてという御質問にお答えいたします。
国旗・国歌の法制化を今なぜ殊さらに急ぐ必要があるのかという御質問でございますけれども、国旗及び国歌に関する法律案が本国会に提案され審議されているところでございます。
このことは、日章旗及び君が代が国旗及び国歌として広く国民の間に定着していることを踏まえ、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの認識のもとに法制化を行うものであると理解しております。
国旗・国歌については、憲法で規定するか、これに関する特別法を制定すべきであるという御質問にお答えいたします。
諸外国の国旗や国歌の制定の形式につきましては憲法、法律、慣行等でなされていることは承知しているところでありますが、今国会に提案されております「国旗及び国歌に関する法律案」については、見解を述べることは差し控えたいと思います。
国民一人一人の思想信条の自由と密接不可分のものであり、踏み絵的行為を徹底させるという思想で法制化を急ぐことについてという御質問にお答えいたします。
今回の法制化につきましては、国旗掲揚及び国歌斉唱に関し義務づけを行わず、現行の運用に変更が生じることはないとの政府の答弁がなされております。したがいまして、法制化がなされましても現行の運用に変更はないものと理解しております。
学習指導要領の改訂において従来の「望ましい」から「指導するものとする。」という表現に変えたのは、日の丸掲揚・君が代斉唱を事実上義務づけるものであるという御質問にお答えいたします。
国際化が進む中で次代に生きる日本人を育成するには、学校教育において諸外国の人々の生活や文化を理解し尊重することと、我が国の文化や伝統を大切にする態度を育成することを重視する必要があると考えております。
このような視点から、平成元年の学習指導要領の改訂で「望ましい」から「指導するものとする。」と改められたものと理解しております。今後とも学習指導要領の趣旨に沿って国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導してまいりたいと考えております。
3月5日付の新聞報道では、一つの新法を設け国旗と国歌の規定を盛り込む、また教育現場での日の丸掲揚や国歌斉唱を義務づける規定は盛り込まないこととしたと政府の方針が表明されています、現段階でも政府の方針に変わりはないかという御質問でございます。
去る6月11日の文部大臣の記者会見で、「教育現場での卒業式、入学式での日の丸掲揚、君が代斉唱の指導」は、「いままで通りで、法制化によって変えることはない。指導の根拠はよりはっきりするが、指導の程度はいままでと同じ」であると述べており、その方針に変わりはないものと理解しております。
日の丸掲揚・国歌斉唱の強制は、日本国憲法や教育基本法に抵触するものであり、教育現場への押しつけは断じて避けなくてはならないという御質問にお答えいたします。
学校現場における国旗・国歌の指導は、児童生徒が将来広い視野に立って物事を考えられるようにとの観点から、国民として必要な基礎的・基本的な内容を身につけることを目的として行われているものであります。したがいまして、児童生徒の思想・良心を制約しようとするものではないと理解しております。
本県におけるこれまでの対応と指導のあり方及び教育現場の実態について校種別に聞きたいという御質問にお答えいたします。
文部省は昭和60年9月、「公立小・中・高等学校における特別活動の実施状況に関する調査」を行いました。その調査結果によりますと、本県は国旗掲揚率・国歌斉唱率が小・中・高等学校とも全国で最下位でありました。
その背景には、本県が今次大戦において国内で唯一の地上戦を体験し、さらに戦後は27年の長きにわたり米国の施政権下に置かれたことなどの歴史的経緯があり、一部に国旗・国歌に対して特別な感情があることによるものであると考えております。
しかしながら、国際化が進む中で次代に生きる日本人を育成することは極めて重要であることから、県教育庁といたしましては昭和60年から「国旗掲揚・国歌斉唱」に関する通知等を出し、学習指導要領の趣旨を徹底するよう指導してまいりました。その結果、本県では平成2年度の卒業式以降、国旗掲揚・国歌斉唱ともすべての学校で実施されてきております。
中教審答申「今後の地方教育行政の在り方について」の中の学校長の資格について規定を改めること、それから教頭の資格について検討すること、教育職の範囲を拡大することについて聞きたいということにお答えいたします。このことにつきましては一括してお答えいたしたいと思います。
平成10年9月の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」において、校長・教頭の任用資格を含めた選考・任用のあり方について提言がなされております。現在、文部省では各都道府県教育委員会や関係団体等から意見聴取を行っているところであり、本県も国の動向等を見ながら対応していきたいと考えております。
校長・教頭の選考のあり方などの見直しについての中教審答申について見解を聞きたいということにお答えいたします。
中央教育審議会は、「今後の地方教育行政の在り方について」の答申の中で、「校長・教頭の選考と人事の在り方等の見直し」を提言しております。
社会の変化や時代の要請に対応した管理職選考試験のあり方を検討することは極めて重要なことであり、県教育委員会は毎年必要に応じて改正を行ってきたところであります。今後とも答申の趣旨を尊重し、管理職選考試験の改善を図ってまいりたいと考えております。
登載されても年度内に任用されない場合は2次試験(面接)を受けていますが、そのねらいは何か、また登載期間の見直しの必要はないかということにお答えいたします。
管理職の任用は、管理職候補者選考試験に合格し、その年の管理職候補者名簿に登載された者の中から行っております。名簿への登載は1年間となっております。
任用されなかった者に対しては次年度登載のために、本人の健康状態、管理職としての任用可能状況、管理職としての意欲などを確認するために面接のみの2次試験を行っているところであります。このことは毎年行う必要があると考えております。
本県における適応指導教室や民間施設の設置状況について伺いたいということにお答えいたします。
適応指導教室は、学校以外の場所に不登校児童生徒を集め、学校生活への復帰及び自立を支援するために平成2年度から設置され、平成11年6月現在10教室が開設されております。
また、不登校児童生徒のための民間施設は、現在県内に2カ所あるとの報告を受けております。
適応指導教室や民間施設の現在の活用状況と児童生徒数について伺いたいということにお答えいたします。
適応指導教室におきましては、教科指導や個別カウンセリング、集団活動などを通して児童生徒の学校復帰のための相談・指導を行っているところであります。
平成10年度は115名の入所児童生徒のうち47名が学校へ復帰し、42名がよい兆しがあるとの報告を受けております。本年度は5月現在で小学生8名、中学生53名、計61名の児童生徒が適応指導教室に入所しております。
民間施設におきましては、児童生徒の心身の状況及び発達段階に応じた相談・指導が行われ、小学生2名、中学生1名が学校復帰を目指して通所していると伺っております。
今後の指導対策について伺いたいということにお答えいたします。
不登校は、どの児童生徒にも起こり得る問題であり、本県の緊要な課題であると認識しております。
学校においては、望ましい学習習慣の定着や学級・学年経営の充実を図り、児童生徒と教師、児童生徒相互の好ましい人間関係を築くなど充実した学校生活が送れるようにすることが大切であると考えております。
県教育委員会としましては、適応指導教室における相談・指導の充実を初め学校におけるスクールカウンセラー及び「心の教室相談員」の効果的な活用などを通して不登校児童生徒への対応を推進しているところであります。今後とも生徒指導体制・教育相談体制の充実・強化、家庭・地域・関係機関との相互連携を図り、児童生徒一人一人が自己実現できるようその支援に努めていきたいと考えております。
学級崩壊と呼ばれる現象について、本県の実態の把握と対応策について伺いたいということにお答えいたします。
本県におきましては、平成11年3月に公立全小中学校を対象に学習指導方法などの状況調査を実施した結果、授業時間になっても着席しない、席を離れて出歩く、おしゃべりや授業に関係のない行為、教師の指示が通らない状態など通常の授業の成立に支障があるとする学級が小中学校とも1校ありました。
その後、2校とも校長を初めとする学校・学年の指導体制の強化と当該教育委員会との連携などにより改善されたとの報告を受けております。
学校においては、開かれた学校・学級づくりを推進し、教師と保護者の信頼関係を築き日常的な連携に努める必要があります。
家庭、地域社会においては、基本的な倫理観や規範意識を責任を持って身につけさせ、他人に迷惑をかけることは許されないことであることを教えていくことが大切であると考えております。
県教育委員会といたしましては、児童生徒が進んで学習に参加する授業やわかる授業など授業改善を促進するとともに、教職員の資質向上や実践的な指導力を培うための教職員研修などの一層の充実を図っていきたいと考えております。
本県における中高校生の暴力事件の実態と対応策についてということにお答えいたします。
県教育庁の調査では、中高校生の過去5年間における暴力行為の発生状況は、平成5年度に中学生が256件、高校生が14件であり、その後増加傾向にあります。平成9年度には中学生が347件、高校生が44件となっていて大幅に増加しており、県教育委員会といたしましても大変憂慮しているところでございます。
その対応策といたしましては、教育活動全体を通して人権教育の徹底、人間のあり方・生き方に関する教育の充実、暴力行為に対する毅然とした対応、教育相談体制の充実等を図ってまいります。
また、事件・事故が深夜や地域で多発傾向にあること、加害者、被害者が地域の先輩・後輩の関係にあることも多いことから、地域の学校間、家庭や地域社会、警察など関係機関・団体との連携を一層強化し、事件・事故防止に努めてまいりたいと考えております。
児童生徒の性被害の実態と今後の被害防止対策についてということにお答えいたします。
児童生徒の体格が向上するとともに性的な成熟が早まっている一方、性に関する情報や産業がはんらんするなど児童生徒を取り巻く社会環境は大きく変化しており、その影響が懸念されています。
平成10年度に実施いたしました調査では、児童生徒が少なからず性被害を受けていることが明らかになりました。特に女子中学生の38.7%、女子高校生の46.2%が何らかの性被害を受けている状況がございます。
県教育委員会といたしましては、性教育に関する研究校を指定しその成果の普及を図るとともに、「性教育指導の手引き」や「学校における性教育の考え方、進め方」などを配布し指導の徹底を図っております。
また、高校生につきましては、性に関する正しい理解を深めるため「エイズを考える高校生フォーラム」を毎年開催しているところであります。
しかしながら、学校における性教育だけでは対応の困難な状況が生じており、今後一層地域社会、家庭及び関係機関と密接な連携を図りながら児童生徒の性被害の防止に努めてまいりたいと考えております。
養護教諭の複数配置もしくは補充要員の配置についてということにお答えいたします。
養護教諭の各学校への配置は、標準法にのっとり行っているところであります。
複数配置につきましては、30学級以上の学校が対象となっており、現在、小学校3校、中学校1校、高等学校11校、特殊教育諸学校4校の計19校に配置しております。
また、補充任用につきましては30日以上の病休、研修等に対して配置しているところでありますが、30日未満の短期間の病休等に対して配置することは、現在の財政状況等から厳しいものがございます。
以上でございます。
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