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平成 7年(1995年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月 4日
第 5号 7月 4日
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議 事 の 概 要
平成7年7月4日(火曜日)
午後2時32分開議
日程第1 照屋寛徳君の議員辞職の件
日程第2 議席の変更
日程第3 常任委員の所属変更の件
日程第4 議会運営委員の変更の件
日程第5 特別委員の選任及び変更の件
日程第6 一般質問
日程第7 甲第1号議案から甲第3号議案まで及び乙第1号議案から乙第9号議案まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 宮里 政秋君(共産党)
2 伊波 栄徳君(社会党・護憲共同)
3 上間 毅君(社大党)
4 糸数 慶子君(社大党)
5 与座 嘉彦君(改革沖縄)
6 友寄 信助君(社会党・護憲共同)
日程第8 陳情3件の付託の件
午後6時27分散会
○議長(嘉数知賢君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
昨日、照屋寛徳君から議員の辞職願の提出がありました。
次に、説明員として出席を求めた技監振井茂宏君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(嘉数知賢君) 日程第1 照屋寛徳君の議員辞職の件を議題といたします。
まず、その辞職願を朗読させます。
〔事務局職員 辞職願朗読〕
○議長(嘉数知賢君) お諮りいたします。
照屋寛徳君の議員の辞職を許可することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、照屋寛徳君の議員の辞職を許可することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 日程第2 議席の変更を行います。
議員の辞職及び新たな会派の結成に伴い、会議規則第4条第3項の規定により議席の一部を変更いたします。
伊波栄徳君を27番に、宮城健一君を28番に、下地常政君を36番に、嘉数知賢君を35番にそれぞれ変更いたします。
休憩いたします。
午後2時33分休憩
午後2時34分再開
○議長(嘉数知賢君) 再開いたします。
日程第3 常任委員の所属変更の件を議題といたします。
本件については、日程第2において申し上げました理由により常任委員の所属を変更する必要があります。
よって、お諮りいたします。
委員会条例第5条第2項の規定により、経済労働委員の高江洲義政君を土木委員に、土木委員の下地常政君を経済労働委員に委員会の所属を変更いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、経済労働委員の高江洲義政君を土木委員に、土木委員の下地常政君を経済労働委員に委員会の所属を変更することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 日程第4 議会運営委員の変更の件を議題といたします。
本件については、日程第2において申し上げました理由により会派所属議員数に異動が生じましたので、議会運営委員の各派割り当て数を変更する必要があります。
よって、お諮りいたします。
委員会条例第4条第2項の規定により、議会運営委員平仲善幸君を金城繁正君に変更いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、議会運営委員平仲善幸君を金城繁正君に変更することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 日程第5 特別委員の選任及び変更の件を議題といたします。
本件については、日程第2において申し上げました理由により特別委員会に欠員が生じ、また各派の所属議員数に異動が生じておりますので、それぞれその補欠委員の選任及び委員を変更する必要があります。
よって、お諮りいたします。
まず、選任についてお諮りいたします。
委員会条例第5条第1項の規定により、米軍基地関係特別委員に仲村清勇君を、新石垣空港対策特別委員に金城繁正君をそれぞれ指名いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、米軍基地関係特別委員に仲村清勇君を、新石垣空港対策特別委員に金城繁正君をそれぞれ選任することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 次に、変更についてお諮りいたします。
委員会条例第4条第2項の規定により、米軍基地関係特別委員西銘恒三郎君を高良政彦君に、厚生年金格差是正対策特別委員仲村清勇君を幸喜勝君にそれぞれ変更いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、米軍基地関係特別委員西銘恒三郎君を高良政彦君に、厚生年金格差是正対策特別委員仲村清勇君を幸喜勝君にそれぞれ変更することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 次の日程に入る前に、昨日の伊良皆高吉君の新石垣空港についての質問に関し知事から発言を求められておりますので、この際発言を許します。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 昨日の吉元副知事の答弁について補足いたします。
県の統一見解としては、平成7年2月定例会で私が答弁いたしました、「カラ岳東案へ戻るということは考えておりません。」、「何度も何度も経緯を申し上げましたけれども、これまでの工事着工に至らなかった経緯を踏まえて宮良案を選定したわけでございまして、まだ調査も済んでいないので、我々としては選定された場所についてきちっと調査をして、実現に向けて全力を投入したいと考えておりまして、その他のことは考えておりません。」という方針に変更はございません。
○議長(嘉数知賢君) 日程第6及び日程第7を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第3号議案まで及び乙第1号議案から乙第9号議案までを議題とし、質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
宮里政秋君。
〔宮里政秋君登壇〕
○宮里政秋君 こんにちは。
通告に基づき質問を行います。
最初に、教育の根本にかかわるいじめ問題について教育長に伺います。
いじめを苦にした中学生の自殺に多くの国民が衝撃を受けています。我が党は、この問題の根本に人間を大事にする教育の欠如があると考えています。
教育は本来、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を使命とするものです。しかし実際には早くからできる子、できない子に差別、選別する教育制度がつくられ、人間の評価がすべて偏差値、点数で推しはかられてきました。個人の尊厳を踏みにじるような教育の現状をそのままにして、どうしていじめをなくすることができるでしょうか、今こそ教育基本法の原点に立ち戻るべきであります。ゆがんだ教育政策、教育行政を根本的に改め、一人一人の人間を大事にすることを教育の根本に据えるべきであります。
人間的発達を無視し、異常なまでの詰め込みを特徴とする新学習指導要領は見直すべきであります。いじめの背景には社会と政治のゆがみの問題もあることは、弱い者いじめ、多額の金銭絡み、暴力行為という特徴にも映し出されています。無差別殺人事件、金権腐敗の底知れない広がり、公約違反など人間を踏みにじる病理現象は深刻です。子供だけが健全に成長、発達できるというものではありません。今日、いじめの問題にはこうしたさまざまな要因が複合的に絡んでいます。
本来、学校は学ぶ喜びと友情をはぐくむなど子供にとって楽しいところであり、人間的自立を確かなものにする場であるはずであります。人間の尊厳を確立する場の学校でこそ社会の病理に対して防波堤となるべきであります。ところが実態は逆で、死に至らしめるほど人間の尊厳を傷つけるいじめが教育の場で拍車がかけられている実情にあります。
今、学校では小学校1年生から宿題、テストの毎日です。89年度改訂の現学習指導要領で小学校1年生から習う漢字の量がふやされ、学習内容の詰め込みが強化されました。高等学校の序列化が進んだため、幼児の段階から大学を目指す異常な受験競争が繰り広げられ、子供たちの塾通いは日常化する一方であります。他人をけ落として1点でも多く取ることに子供たちは追い立てられ、その結果、自分自身の価値を見失い、社会に役立つ存在として自信と展望を持てないでいるのではないでしょうか。
名護市の岸本さんという方が、琉球新報の「声」の欄で次のように述べておられます。
オウム真理教をめぐる一連の無差別殺人事件に、なぜ大学出の秀才たちが加担したのか。 その理由はいろいろあると思う。私の推測では彼らが秀才なるが故にその親が知的教育のみ に専念し、肝心な道徳教育を軽んじたせいではなかろうか。 小学、中学、高校と放課後も友達と遊ばず、塾へ直行。帰宅は暗い夕食時。親子の語らいも少なく夕食後もまた家で勉強。そし て、ひたすら有名高校、有名大学へ進学させるのが親の唯一の目標。それは現在の普通家庭でも一般に行われている傾向である。 これでは友情や人間関係、親子の愛情さえ知らない子 になる恐れも出てくる。人命を救うべき医者が平気で麻薬や毒物を注射する。科学文明を創造すべき科学者がサリンなどの毒ガスで人を殺す。世にも恐しき変態行為。
このように述べられております。教育長の御所見を伺います。
既に全国で2割近くの自治体で学習指導要領の見直しの意見書が採択されていますが、異常なまでの詰め込みの現学習指導要領は見直すべきだと思うが、教育長はいかがお考えですか、御答弁を求めます。
教職員が幾ら多忙であっても、いじめ解決への努力は最優先されなければならないことは当然であります。しかし、今の教職員が忙し過ぎてゆとりのないことがいじめ問題への対応を困難にしているのも事実であります。
文部省は、いじめられている子供の立場に立った親身の指導を行うことと強調していますが、それなら何よりも教職員を多忙から開放しなければなりません。教師同士の会話すら余りないほど教師の多忙化は進んでいると言われています。教育長の御所見を承りたい。
教師にとって最も大事なことは、教師自身の創造性の発揮です。教師がゆとりを持つということは、創造性を持って子供に接することを保証するもので、大変大事なことであります。教師のゆとりの時間をどう保証するか、具体的な検討を求めるものであります。
今日、いじめは特定の人間に対する軽蔑、侮辱の体制であり、暴力によって服従を強いるものであり、長期にわたって相手の心身を徹底して痛めつけるもので、ふざけや遊びとは決定的に違います。このような人間性の破壊は、人間を育てる教育の場で絶対にあってはならないものです。今こそいじめが人間として許されないものであるということ、いかに人間は互いに尊重されるべき大切な存在であるかを学校教育の中できちんと中心に据えることです。
学校、親、教育委員会、専門家が協力して教育ケアセンターを設置するなど実情に合った対応が大切です。どのような対応をされるのか、御答弁を求めます。
いじめ問題が発生すると、知らなかったという学校、教師の態度はもはや許されません。子供たちの人権や命にかかわる問題が起きた場合、幾ら学校や教師が多忙であってもその子供たちの人権、生命を守ることがすべてに優先されなければなりません。特にいじめについては、その対応を担任任せにしないことです。全職員の機敏な対応が必要です。いじめられている子供はいつでも安心して相談を受けたいと思っています。
そこで伺います。
子供たちや父母などの訴えに、学校や地方の教育機関は真剣にこたえる相談窓口などを開設すべきと思うがどうか。
また、多くの子供たちにとって相談のしやすい場所となっている保健室の拡充、そして養護教諭の複数配置など増員を急ぐべきだと思うが、教育長の御答弁を求めます。
少なくない学校で厳しい校則で子供たちの自主性の発揮が抑圧されています。例えばいじめで自殺者を出した中学校では髪型だけでなく、下着は華美でない白系統のものを着用するなどと下着の着用のことまで事細かく校則で押しつけ、校則違反を理由に教師が子供の髪の毛を切ったり、反省室に閉じ込め授業にも出さないという学校もあります。
校則を守らせるという理由で教師による体罰が公然と行われたり、クラブ活動中に活を入れるといって殴るなど全く理不尽な体罰がまかり通っているのは重大です。こうしたことは一般社会では権利侵害として大きな問題になるようなことが、相手が子供というだけでまかり通っているのです。
実は、文部省が現在発行している「生徒指導の手引」には、生徒指導の原理として権力、支配、盲従の関係を挙げ、強制的な力で指導される側が指導者に対して恐怖心を感じ、その恐怖心から免れるために服従する、このような関係も効果的であると書かれています。教師に対する恐怖心が教育上効果的だとするもので、これこそ教育の場にあってはならない非人間的な指導方針と言わなければなりません。
そこで教育長に伺います。
教師による体罰の実態はどうなっているのか、御報告を求めます。
体罰についての教育長の御所見をお聞かせください。
文部省が発行している生徒指導の手引について教育長の御所見を承りたい。
次に、子供教育会館についてお伺いいたします。
私は、さきの議会で教育会館の建設をPTA連合会の要望書に沿って知事にその早期建設を質問いたしました。知事からは大変前向きの御答弁をいただきました。
また、知事は、2期目の抱負としてやり残した課題をやり遂げるとした上で、次のように述べておられます。子供たちが一堂に会して楽しんだり議論する子供会館、子供教育会館という拠点をつくりたい、カナダの子供病院で障害のある子供、そうでない子供も一緒に和気あいあいとしている様子を見た、県内の都市地域に子供たちが楽しめる場所がない、県が引き取ってやりたいと2期目の抱負を述べられました。関係者は大変喜んでいます。
そこで知事に伺います。
全県下の子供たちが利用できる総合的な子供会館の建設はいつ実現するのか、知事の御答弁を求めます。
次に、提供施設内でのゴルフ場使用料について伺います。
米軍が提供施設内のゴルフ場を有料で一般県民に利用させている問題で、関係者から強い不満が寄せられています。
中部のゴルフ場経営者は次のように訴えています。私のゴルフ場に近い場所で、嘉手納米空軍所属の9ホールのゴルフコースが1ラウンド900円で日本人相手に門戸を開きプレーさせている、このような米軍による公租公課抜きの治外法権的行為が米軍施設内で日本人相手に可能かどうか、県及び関係機関へ厳重に抗議しますと不満を訴えています。
もともと駐留米軍にゴルフ場などの娯楽施設を提供することは、米軍にさまざまな特権を認めている安保条約と地位協定の屈辱的な取り決めに照らしても不当な措置であります。
しかも、提供施設内のゴルフ場の賃借料は国民の税金で賄われており、米軍はただで使用しているのであります。事もあろうにそれを有料で県民に利用させ、提供施設内で米軍は営利行為を働いているのであります。提供施設内のゴルフ場を米軍関係者のゲストに使用させることは、提供施設の趣旨に反しないとされているようですが、到底納得できるものではありません。
ところで、米軍泡瀬ゴルフ場、米軍嘉手納空軍ゴルフ場のいずれも米軍及びその関係者の特別なゲスト、顧客に利用させているのではなく、不特定多数の日本人を相手にゴルフ場を開放し、使用料を取っているのであります。当然のことながら県内のゴルフ場経営者は一定の基準に従ってゴルフ場利用税を納めています。しかし米軍はゴルフ場利用税を納めていません。地位協定で課税対象から外されているのであります。
属地主義の原則に照らせば明らかに課税対象であります。ゴルフ場を開設して県民から使用料を徴収して営利行為を働く、そのために県内業者の経営を圧迫する、二重に三重に許せるものではありません。業者が米軍による公租公課抜きの治外法権的米軍の行為と厳しく批判するのも当然なことであります。
そこで質問いたします。
提供施設内の米軍ゴルフ場を有料で一般県民に利用させることについて、地位協定や国内法との関連を含め県の見解と対策をお聞かせください。
次に、オウム真理教の問題について質問いたします。
毒ガスサリンをばらまいて不特定多数の人間を殺傷したとして、代表の麻原彰晃被告らが起訴されているオウム真理教は、その後の調べでほかにも数々の残虐非道な犯罪事件を引き起こしています。
オウム真理教による拉致、監禁、暴行、財産強奪、薬物注入による殺人、遺体焼却などは日本の犯罪史上全く前例を見ない極悪非道で、人間社会とは絶対に相入れない蛮行であります。こんな犯罪組織をいまだに宗教法人として放置していることは許せません。
そこで、次のことについて知事並びに警察本部長にお伺いいたします。
地下鉄サリン事件を初めとする相次ぐ有毒、劇物事件やテロ事件などによって県民にも言い知れぬ怒りと不安が広がっています。今、行政に求められているのはあらゆる手立てを尽くして県民の安全を確保することです。具体的にどのような対策をとられているのか、知事及び警察本部長にそれぞれお伺いいたします。
オウム真理教に対する徹底捜査はもとより、県内のオウム真理教施設の実態、周辺住民への影響など早急に調査して明らかにし、不法不当な事態に毅然と対処することが求められていると思うが、警察本部長の所見を伺いたい。
オウム真理教は、極めて明白なように著しく公共の福祉を害する違法行為を行っており、宗教法人法第81条に基づく解散請求を行うことは当然と考えます。
東京地検と東京都は、オウム真理教の解散を東京地裁に請求いたしました。遅まきとはいえ国民世論の強まりにこたえたものです。知事の御所見をお伺いしたいと思います。
最後に、代表質問との関連で3事案について伺います。
村山内閣が3事案のうち那覇軍港施設と読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練施設をそれぞれ県内に移設することを提起したことは、無条件返還を要求する県民への新たな挑戦であり、断じて容認できるものではありません。村山内閣は、実弾砲撃演習の即時中止を拒否した上、P3C基地建設も強行の構えです。安保容認の村山内閣は、引き続き基地との共生共存を県民に押しつけようとしています。
知事は、104号線越えの実弾砲撃演習については一貫して無条件撤去の姿勢を貫いておられます。
ところが、那覇軍港施設とパラシュート訓練施設については、国と関係自治体の話し合いの推移を見守りつつ市町村の意向、開発計画など総合的に勘案しながら判断するとなっています。移設を受け入れる姿勢とも受け取れます。基地の移設を受け入れたら基地を容認することになり、知事が基地提供者の立場に身を置くことになります。
御存じのように、米軍演習の即時中止を求める県議会の意見書に対して、国は、基地を提供している立場上演習の中止、廃止を申し入れる立場にないと県民の要求を拒否し続けています。
移設を認めたら、今後県は事故が発生しても演習の中止、廃止を申し入れる立場にはないということになりかねません。移設は基地の整理縮小ではなく、新たな基地の建設だと浦添市の宜保市長は断固として移設に反対の態度を表明しています。至極当然のことであります。
国内で50年もの長きにわたり外国の基地が置かれた歴史はありません。引き続き無期限の基地移設を容認するとなれば、さきの沖縄戦終結50周年での反戦の誓いは一体何だったのかということになります。基地は戦争のためにあります。戦争につながる一切のものを否定してこそ歴史の教訓を酌み取ることになります。
我が党の代表質問でも、新しい基地づくりに手をかした復帰後初の県知事にならないようにしてくださいと要望を申し上げました。
関係市町村はもとより、すべての会派が移設反対を表明しており、まさに県民の総意と言わなければなりません。絶対に移設を受け入れてはなりません。無条件返還の革新の姿勢を堅持すべきであります。
いま一度知事の明確な御答弁を求めて私の質問を終わります。
○議長(嘉数知賢君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 宮里政秋議員の御質問にお答えいたします。
全県下の子供たちが利用できる総合的な子供会館の建設はいつ実現するのかという趣旨の御質問でございます。
県は、次代を担う児童青少年のための各種の施設を整備してきましたが、さらに時代のニーズにこたえて児童青少年の社会参加と自己啓発を図るとともに、青少年リーダーが自由に活用でき、かつその活動の拠点となる施設の設置が必要だと考えております。現在、児童青少年の豊かな感性と創造性を育て、健全育成を図るための総合的な施設の整備について積極的に検討しているところでございます。
次に、提供施設内の米軍ゴルフ場を有料で一般県民に利用させていることについて、地位協定や国内法との関連を含め県の見解と対策を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
米軍施設が日本人利用客を恒常的に営利を目的として日本人にプレーさせることは、地位協定の想定するところではありません。御指摘のような実態があるとすれば関係機関に申し入れをしたいと思います。
次に、米軍が提供施設内のゴルフ場を有料で一般県民に利用させていることについて、国内法との関連で県の見解を聞かせてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。
日本人の利用については課税の公平の見地から容認できませんが、米軍施設内のゴルフ場については、地方税法の臨時特例に関する法律第3条によってゴルフ場利用税の課税はできないことになっています。そのため日本人の利用については、県としては利用禁止の立て看板を設置し協力要請を行っているところであります。
次に、3事案について政府が提示した移設案を受け入れるべきではない、無条件返還の革新の姿勢を堅持すべきであると、知事の明確な答弁を求めるという趣旨の御質問にお答えいたします。
5月11日に提示のあった那覇港湾施設及び読谷補助飛行場の移設案につきましては、地元市町村等の意向、地域の開発計画、県全体の振興開発等にも配慮しながら、総合的な観点から対応していきたいと考えております。
今回提示がなかった県道104号線越え実弾砲撃演習については、引き続きその廃止に向けて日米両国政府に対し強く働きかけているところであります。
なお、私の基地問題に対する基本姿勢は、基地のない平和な沖縄を目指し米軍基地の整理縮小を引き続き強く要請していくことであります。今後とも行政を預かる者として、広範な県民世論を背景に基地のない平和な沖縄県づくりを目指し、米軍基地の整理縮小を着実に一歩一歩実現させていきたいと考えております。
お許しを得て、その他の御質問につきましては関係部長等から答弁させます。
○議長(嘉数知賢君) 教育長。
〔教育長 仲里長和君登壇〕
○教育長(仲里長和君) 宮里議員のいじめを中心とします教育問題につきまして回答及び見解を申し上げます。
第1番目のオウム真理教に関してでございますが、毎日のように残忍と思われる事件の報道がございます。もしこれらの事件が事実だとしますと、これは現代日本社会の病理であり、次代を含め教育への警鐘とも考えられます。しかしオウム真理教に関する一連の事件につきましてはまだ捜査の段階であり、裁判等を通しましてその全体像が明らかになった時点でコメントをすべきだと思いますので、今は軽々な論評は差し控える段階ではないかと思います。
なお、御指摘の投書につきましては、その末尾に「知的教育と並行して物事の善悪を判断できる道徳教育を家庭や社会で強調すべき時期ではないか。」という提言がございます。この意見には全く賛同するものであります。
2番目の学習指導要領を見直すべきではないかという御質問にお答えいたします。
御承知のとおり、学習指導要領は教育課程を編成する場合の基準として教育課程審議会の答申を受けまして関係法令に基づいて定められるものであります。
今回の学習指導要領は、21世紀を見据えまして社会の変化にみずから対応し、心豊かな人間の育成を目指して4つの基本方向を定めて改訂されております。その4つの基本方針は、第1に心豊かな人間の育成、2番目に基礎基本の重視と個性を生かす教育の充実、3番目に自己教育力の育成、4番目に文化と伝統の尊重と国際理解の推進でございます。
したがいまして、この4つの基本方針によりまして基礎基本を重要視しながら、従来の単なる詰め込みや知育偏重ではなくて、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの能力を図ることが重視されております。
このようなことから、現学習指導要領の趣旨を踏まえて学校教育を推進することが大切であると考えております。
次に、教師の多忙化についての御質問に所見を申し上げたいと思います。
各学校におきましては、それぞれの学校の持つ教育課題を明確にしまして、教職員が心を一つにして児童生徒一人一人の可能性や個性を最大限に伸ばすべく、知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目指して日々教育活動に励んでいるものと考えております。
御承知のとおり、沖縄県は少資源あるいは島嶼性、厳しい自然等の中に置かれている離島県でございます。
さらに、21世紀を見据えまして、現在アジアの玄関口、あるいは将来はアジアを巻き込んだ国際都市圏としての特色ある地域の発展性が望まれております。
そのときに一番大切なことは、将来の地域振興あるいは国内外で活躍のできる多様なそして有為な人材の育成だと、沖縄県で最も大切なことは人材の育成ではないかと思います。第3次振計にも人材育成というキーワードが30回使われております。
人材育成は、教育の成果に期すと言っても過言ではございません。特に学校教育というのは児童生徒と教師の接点の中から生まれます。したがって教師は、20世紀に生きる児童生徒を教える喜びと使命感を持って力強く21世紀を生き抜く児童生徒の指導に一層の努力をしていただきますように期待をしているところであります。
しかし、御指摘のように教師間の会話ができないほど忙しいという学校多忙化というふうなことがあれば、これはまさに憂慮すべき状況でございますので、学校教育の中における教師の多忙化の現状がどうなっているのか、どういう改善策があるのか、ことしはその点検と改善の工夫について勉強をさせていただきたいと思います。
それから次に、いじめ問題と関連いたしまして教育ケアセンターの設置についての御質問でございます。
県の教育委員会といたしましては、いじめをなくすため各学校において道徳教育の充実、自然体験や社会体験、奉仕的活動等すべての教育活動を通して他人を思いやる心、そして豊かな心を持つ児童生徒の育成に努めてまいっております。
いじめ問題は、早期発見、早期指導が大切なことから、すべての教師に「いじめ問題の根絶に向けて」という冊子をつくりまして全職員に配布しております。そしていじめ問題の重要性を改めて確認し、校内の指導体制を確立して全職員が協力して取り組む指導体制ができますように各学校にお願いをしているところであります。
また、いじめをなくすためチラシを学校、家庭、地域社会に配布し、いじめ等の相談機関の積極的な活用を促すとともに、問題を抱えます児童生徒の家庭を直接訪問して家族の相談に応ずる巡回教育相談事業の充実等に努めているところであります。
さらに、いじめ等の諸問題行動調査を毎月実施しております。それに基づきまして教職員、PTA、警察、青少年センター等関係機関で組織します各中学校単位の生徒指導連絡会を開催し、地域ぐるみの取り組みを推進しているところであります。
なお、御提言の教育ケアセンターにつきましては、その概要等について今のところ明確ではありませんので、今後検討をさせていただきたいと存じます。
続きまして、子供のあるいは父母の訴えに真剣に答える相談窓口の開設をすべきではないかという御質問にお答え申し上げます。
各学校では、校務分掌の一部として必ず職員1人はこれらの相談の相手をする教育相談教員を配置してございます。
さらに、現在県内では92カ所の相談窓口がございます。いじめ等悩みや問題を抱える児童生徒、父母からの相談に対応しているところでありますが、その92カ所の相談窓ロが相談機能の充実発揮という面ではまだ不十分なところがございまして、必ずしも県民にこういうところにこういう相談窓口があるということの周知が行き渡っておりません。それでそのチラシを配る等でその啓発をしているところであります。
なお、市町村教育委員会における教育相談員は既に31市町村で配置されておりますが、平成7年度からは全市町村に配置をする計画をしてまいっております。
次に、保健室の拡充と養護教諭の複数配置の急増についてお答えを申し上げます。
従来、保健室は生徒の身体測定やあるいは身体的な健康相談やけが等の対症療法的な役割を持っておりましたが、近年は心因性によると思われる不登校や学習不適応等いわゆるヘルスカウンセリングあるいは精神的な療法あるいはそれに対する相談的な機能が増しまして、学校教育における重要な教育の一分野になってございます。したがいましてヘルスカウンセリングの研修会を実施し、さらに保健室における相談活動の手引を作成して全校に配る等養護教諭の資質の向上と保健室の充実に努めているところであります。
また、養護教諭の配置につきましては、国の標準法に基づいて現在全学校に養護教諭が配置されております。
なお、複数配置につきましては、平成5年度から国の教職員配置改善計画がございますので、その計画に沿いまして平成7年度には14の学校に複数配置をしているところであります。
さらに、教師の体罰の実態及び体罰に対する所見についてお答え申し上げます。
教職員による体罰は平成5年度が5件、平成6年度は11件の報告がございます。
体罰が起こりますと、必ず新聞あるいは校長の所見等で、指導熱心で父母や生徒の信頼の厚い教師がというふうに形容されてまいります。このような熱心な教師が暴力に至る指導の過程を考えますと非常に心の痛むところですが、体罰は関係法令により禁止されております。したがいましていかなる場合においても指導の方法として体罰を用いてはならないということは当然の法理でございます。したがって体罰を容認できるものではないと考えます。
それから最後に、文部省が発行しております「生徒指導の手引」の中の話でございますが、文部省発行の「生徒指導の手引」には、指導の基盤としての人間関係を3つ例示してございます。その第1点が権力、支配、盲従の関係、2点目が権威、尊敬、心服の関係、3番目が出会いの関係と記載されております。
御指摘の権力、支配、盲従の関係につきまして教育上効果的という表現の箇所もございますが、このような人間関係では内面化が起こりにくいから、絶えず権力を生徒の目の前に提示することを続けなければならないと、そうでないと所期の目的が達成できないという否定的なこともあります。しかし生徒指導の基本として権力、支配、盲従の関係を置くのは適切なことではないと考えます。
以上でございます。
○議長(嘉数知賢君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 宮里議員の御質問にお答えいたします。
オウム真理教との関連でございますが、地下鉄サリン事件を初めとする相次ぐ有毒劇物事件やテロ事件などに具体的にどのような対策がとられているかとの趣旨の御質問にお答えいたします。
今回の地下鉄サリン事件等は、多数の人が死傷した無差別のテロ殺傷事件で、地域社会を不安に陥れたことでまことに遺憾な事件だと認識いたしております。
本県では、テロ行為等の事件発生はありませんでしたが、県としましてはこれらの事件が社会に重大な不安と脅威を与えたことから、県警を初め各市町村及び関係機関等との連携をとりながら、情勢に応じ所要の体制を確立し予防警戒等の対策を講じてまいりました。今後とも県民の安全確保の見地から事件の未然防止に努めるとともに、発生した場合は迅速、的確な措置を講ずることができるよう対処してまいりたいと考えております。
次に、オウム真理教は極めて明白なように著しく公共の福祉を害する違法行為を行っており、宗教法人法第81条に基づく解散請求を行う必要があるとの御質問にお答えいたします。
オウム真理教の違法行為については、現在関係当局による捜査が行われているところであり、一刻も早く事態の解明がなされることを期待いたしております。
なお、解散請求につきましては、新聞報道によりますと所轄庁であるところの東京都と検察当局により去る6月30日、裁判所に対して請求がなされたとのことでありますので、今後の動向を注意深く見守っていきたいと考えております。
○議長(嘉数知賢君) 警察本部長。
〔警察本部長 吉川幸夫君登壇〕
○警察本部長(吉川幸夫君) オウム真理教が行ったと考えられる各種犯罪に関連して、県民の安全をどのように確保するのかということについてでありますが、県警では地下鉄サリン事件発生後、サリン等毒ガス事案の発生に備えて対策本部を設置するとともに、県民など多数が蝟集する施設等の警戒の強化を図っております。
本日までの間に警察本部を初め各警察署単位に施設の管理者等を招致して、サリン等毒物使用犯罪防止緊急対策会議を開催し各種指導や協力依頼をするとともに、県の関係機関や県医師会等関係団体等対策会議を開催し、サリン等毒ガス事案が発生した際の対応について協議するなどをしております。
次に、オウム真理教に対する捜査及び県内のオウム真理教施設の実態、周辺住民への影響などに関する県警の対応についてでありますが、県警といたしましては、違法不法事案についてはその当事者が何人たりとも法に照らして厳正に対処しているところでありまして、オウム真理教についても同様の姿勢で臨んでおります。
今回、一連のオウム真理教に関連する事件が明らかになって以来、指名手配被疑者発見のため特別捜査を実施しておりまして、5月10日には全国指名手配中のオウム真理教被疑者2名を潜伏中の沖縄市内で発見、逮捕などをしております。
なお、那覇市安里にオウム真理教の那覇支部があるわけでありますが、現在のところ付近住民等からオウム真理教に関係する事件事故等の届け出は受けておりません。今後ともオウム真理教の動向には重大なる関心を払ってまいる所存でございます。
○議長(嘉数知賢君) 宮里政秋君。
〔宮里政秋君登壇〕
○宮里政秋君 与党ですから再質問をする予定はありませんでしたが、教育長、全国で2割近くの自治体が学習指導要領を見直せと、その中心は詰め込みなんですよ。詰め込み教育というのが教育各界全部から指摘されている。小学校で月、水、金授業をやって、それで15点以上の子供たちは合格、それ以外の子供たちは掲示されない。大変な状況です。これは全部指導要領が中心になっている。
そこで、やはりその点で指導要領について詰め込みというふうな認識はないのかという点が1つ。
それからもう1つ、教育長は「生徒指導の手引」については立派な御答弁をいただきました。文部省のそういう方針に対して、地方の教育行政が教育の地方分権の立場から明確な立場をやっているんです。これは教育長、立派に制度に取り組むことをやりましたから、この学習指導要領についてもう一度、いじめるつもりはありませんが、ひとつ御答弁ください。
○議長(嘉数知賢君) 教育長。
〔教育長 仲里長和君登壇〕
○教育長(仲里長和君) 今、学習指導要領の見直しにつきましての再質問でございますが、学習指導要領は、全国の義務段階から高校に至るまでの教育水準を一定のレベルに保ち、しかも児童生徒の発達段階に応じた心理的な発達も含めてそれぞれの専門家が作成をしております指導の基本をなす手引書だと考えております。したがって小学校で示す基本的な事項をきっちり指導しておきませんと、積み残しますと小学校、中学校とどんどん学習におくれを出す状況が生まれてまいります。したがいまして学習指導要領はそういう意味で外国からも高く評価されているところでありますので、学習指導要領に示されている基礎基本事項をしっかり教えること、これが非常に大切であると考えます。
教師の指導の工夫、改善等ももちろん必要ですが、基礎基本事項の指導につきましては一般の生徒には十分についていける内容だというふうに認識をしております。
○議長(嘉数知賢君) 伊波栄徳君。
〔伊波栄徳君登壇〕
○伊波栄徳君 通告に従いまして一般質問を行います。
なお、順序は基地の整理縮小の方からお尋ねをいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
いわゆる3事案のうちの読谷飛行場のパラシュート降下演習の廃止と返還及び跡地利用についてでございます。
質問に入ります前に、これは読谷村の広報の新年号でございますけれども、その中にすばらしい今までの苦悩、苦闘を表現した詩がございますので、皆様方に披瀝をし、御理解と御協力のほどをお願い申し上げたいというふうに思います。
輝け自治の殿堂
輝け亥の年 胸高鳴る年
勇敢な村人達
苦難・抑圧の歴史の中にあって
二つの大国(日米)を相手に
主体的・創造的・具体的に
闘い抜いた村人達万歳
復帰を境に立ち上がった村人達
雄々しく叫び訴え闘った
戦争の為に
奪われた土地を返せ
米軍のパラシュート
演習を止めよ
読谷村に平和を……と
主権者達は訴え続けた
村民の夢は遂に実現
読谷飛行場(基地)の中に
亜熱帯のさわやかな日差しを浴び
21世紀へはばたく
白亜と赤瓦の自治の殿堂建つ
村人達の汗と涙 苦闘の成果だ
これは新年号でございますけれども、新しい読谷村のことしにかける意欲がにじみ出ているような詩でございます。
このようにいたしまして長年間闘いに闘いを重ねておりますけれども、今ようやく自治の白亜の殿堂が建つような気がいたすわけでございます。
その前に、なぜ読谷村民がこれまで追い詰められてきたのか、これまでの読谷飛行場のパラシュート演習の事件事故を幾つか申し上げたいと思います。
1950年8月2日、喜名2212番地比嘉自栄氏宅に補助燃料タンクが落下、知念洋子ちゃん(当時3歳)が片足の切断、全身打撲で死亡。
1964年3月20日、喜名部落から座喜味に至る12号線上に弾薬の入った50ポンドの木箱が落ち、地域住民に不安と恐怖、そして大きな損害を与えております。
1965年6月11日、座喜味2306、棚原隆子ちゃん(喜名小学校生)が自宅の庭先で米軍トレーラー落下事故で圧殺される。
1978年4月11日、喜名小学校校庭に落下。
1978年12月、米軍女性兵士が高志保1596─3の屋上の水タンクにパラシュートが降下。
1979年5月26日、読谷高等学校東側校庭に米兵の無人パラシュート落下。
1979年11月6日夜間、読谷ニューハイツ住宅地域に米空軍のテストパラシュート(鉄コン7キログラム)が落下。
1981年4月21日、古堅小学校近くの黙認耕作地に落下。
1988年7月26日、演習通報もなく抜き打ち的に演習を実施し、滑走路の東側演習場外に2名の米兵が落下。
このように数々の事件や事故が発生し、読谷村民はみずからの生命はみずから守るという闘いが今日なお続いているのであります。一日も早く恐怖からの開放を日米両政府に訴えるとともに、県民の協力を求めるものでございます。
さきの新年号でございますけれども、山内徳信村長は、読谷村の最重要課題でありました読谷補助飛行場の問題が解決に向けて大きく音を立てて動き始めた年になりました、すなわち村民の根気強い闘いの成果はついに大きな岩が動き始めたのでございますと、このように述べております。
具体的には、日米両政府間で問題解決の特別作業班により取り組まれ、いよいよことしは沖縄戦終結50周年の節目の年であり、読谷飛行場内の米軍の演習を廃止させ、戦後処理としての問題解決を一気に推し進めていく年にしなければなりません。これはまさに村民の「堅き心の一徹は、石に矢の立つためしあり」の状況と言えると表現をいたしているのでございます。
また、読谷飛行場所有権回復地主会は、演習場の廃止とその軍用地からの開放を20年余にわたって要求してまいりました。これまでの要請活動が実り、去る5月11日の日米合同委員会の合意に基づき読谷飛行場の全面返還が確定をした。この返還が県内移設を条件としていることは釈然としないが、返還運動を進めてきた地主としては率直に言って長年の悲願がかない、大きな喜びを感じているところであります。
読谷飛行場の実情を御理解の上、実質的な返還が速やかに実現するよう、その善処方を県民に訴えているのでございます。まさに村民一人一人は「劫初より作りいとなむ殿堂にわれも黄金の釘一つ打つ」の心境で闘い、山の動く日来るでございます。
読谷飛行場の返還によって読谷村の21世紀を展望した村づくり、まちづくりの基軸となる夢あふれる構想とその計画実現に向け、村民が一丸となって平和と民主主義の広場、世界の文化と出会う広場、森と水、光と風に包まれた広場を築き上げ、軍用地の跡地利用計画の先導的役割を担おうといたしているのでございます。
返還の具体策については去る5月11日、外務省、防衛施設庁の勧告により、日米合同委員会は下部機関であるFAC6027読谷補助飛行場特別作業班は勧告を承認し、いわゆる本件は平成6年6月以降、同特別作業班において鋭意検討されてきたものである。本勧告は、読谷補助飛行場の全部返還に関連する諸問題を解決するものと言明をいたしているのでございます。
この勧告に対し、演習被害に苦しみ一日も早く返還の実現を長年にわたり一日千秋の思いで待ち続けていた村民は大きな前進と受けとめているのでございます。
また、第4回沖縄基地問題解決訪米の大きな成果として、ニール・アバクロンビー下院議員は要請団に対して、一昨年沖縄の米軍基地を視察した、そのときに読谷村民に大変お世話になった、読谷村及び議会関係から横断幕を掲げての歓迎を受け大変感激をした、そのときの横断幕は今も記念として事務所に掲げてある、そのお礼として読谷補助飛行場の問題解決のために全力で頑張った、今後も力になると協力を約束したとの報告を受けているのでございます。
このように読谷飛行場問題は、戦後50年目で読谷村にとっては千載一遇の機会であり、この機を失することは許されません。
このように地域住民に著しく不便をこうむらせている基地など、段階的な整理、縮小、撤去を求めて進めるべきであります。知事は、どのような手法で解決をしていただくのか、御所見を賜りたいと思うのであります。できれば活字の答弁ではなく、一緒に読谷村の読谷飛行場問題について精通なされている知事の心のこもった御答弁がいただければ幸いだと思うのでございます。
次に、戦後50周年記念事業を評価し、次の2点ほどを提言し御検討をお願い申し上げます。
去る6月23日の平和の礎除幕式及び沖縄戦全戦没者追悼式には村山総理大臣、土井衆議院議長、原参議院議長、草場最高裁長官、三権の長が同時に来県するのは県政史上初めてであり、知事をお初め関係職員の御苦労に対し感謝を申し上げる次第であります。
私たちが目指しておりますところの武器なき邦、平和愛好の民と知られる沖縄、歴史に培われ強く平和を志向する沖縄の心を普遍化し、国際的な平和の創造に貢献する沖縄戦終結50周年を機に、基地の島から緑豊かな平和な島へと大きくこの式典を通して前進をいたしたものだと思うのでございます。
その当日のA社の社説においては、「戦後50年、平和の礎の意味」、「戦争を体験した世代は、少なくなりつつある。年月を経るにつれて、個々の体験や思いが風化していく。それを食い止めることはできない。50年という歳月は、そのような思いを一層感じさせる。戦争の教訓を次の世代に正しく継承することは、私たちの責務である。さらに一歩進めて、平和の創出のために何ができるか、考えたい。」と結んでおります。
また、戦争体験のないニュースキャスターの照屋京子氏のエッセイやコラムをまとめた「城の上には十六夜 月ぴとぅのうたた寝言」で、「「体験」だけが武器じゃない。」、「50年という意識は私の中になくて、もの心ついて、戦争というものがあったんだという事実を知って、知識が増せば増すほどまわりっていうのが……知った時のインパクトってもの凄く大きいじゃないですか。追体験したりして。じゃあ、振り返って私は戦争体験していないけれど、知った時が私の戦争体験なんだろうと思うわけ。」、いかに知らせることが大事であるか痛感をいたしたのでございます。ぜひ御一読をください。
このように沖縄終戦50周年記念事業は過去の悲惨な戦争体験を風化させることなく、その教訓を正しく次の世代に伝え、世界の恒久平和を希求するとともに、沖縄を平和の発信地として世界にアピールすることであります。
この発信策として次の2点を提言し、御見解を賜ります。
1点目に、戦後50年目の節目を境に歴史的な事実を厳正に受けとめ、悲惨な戦争が再び起こることのないよう世界恒久平和の発信地として新たに平和発信策として世界平和文学賞、世界平和演劇賞を創設していくお考えはありませんか。
2点目に、50周年記念事業として行われますところの第2回世界ウチナーンチュ大会の開催要綱や大会進行をウチナーグチ、日本語、そして英語同時に通訳をし進行させることができないかどうか、お伺いをいたします。
次に、雇用失業問題について。
さきの県民意識調査の結果によると、県民の望む沖縄県の将来像を映し出しており、示唆に富む内容となっております。
それによると、沖縄県が他府県に比べすぐれている点は、人情が厚く、温暖で暮らしやすい、長寿県である、自然が美しいなどである。反面、劣っている点については、雇用の場が少ない、所得が低い、失業率が高いと経済的項目が上位を占めているのであります。
今後とも本県のすぐれている点を維持し、伸ばしていくためには、地元企業の振興、観光産業の振興などに一層力を入れ、県経済の自立化を求めていかなければならないと思うのでございますけれども、その雇用策の中におきまして、1点目に、新規卒業者の就職状況と無就業者対策について、新規学卒者の就職は学校生活から新たな職業生活に入る人生の大きな転機となるものであり、それが適切で円滑に行われることによって彼らの人生を大きく左右する極めて重要なことである。緊急な社会変化や、知育のみを重視しがちな風潮の中で、現代の生徒は大人の私たちが想像する以上に体験に乏しく、知的好奇心や生きる力そのものが縮んでいるとも言えます。
また、近年、新卒業者の早期離転職の増加やいわゆる3K──きつい、汚い、危険──の職種を嫌う生徒の増加が指摘され、高校生に働くことや職業の持つ意義について一層理解をさせる必要があると指摘されております。
高等学校における進路指導としての職業指導、職業紹介、職業適応の指導の状況について説明を求めます。
2点目に、県経営者協会の「あと一人採用運動」のように産業界と協力して雇用の場の拡大を図っていくことが重要であると思うが、その成果についてお伺いをいたします。
3点目に、失業防止、離職者対策についての説明を求めたいと思います。
なお、大変申しわけございませんけれども、農政問題、サトウキビの問題と中部病院、基幹病院構想につきましては、時間がございませんので割愛をさせていただきます。
御答弁を求めます。
○議長(嘉数知賢君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 伊波栄徳議員の御質問にお答えいたします。
5月11日、政府は読谷補助飛行場の返還に関する提示を行ったが、演習被害に苦しんでいる住民は大きな前進として受けとめている、知事は日米両政府に対しどのような手法をとるかという趣旨の御質問でございます。
読谷補助飛行場におけるパラシュート降下訓練の廃止及び同施設の返還については、地元の意向、地域の開発計画、沖縄県全体の振興開発等に十分に配慮し、太平洋戦争・沖縄戦終結50周年の年である本年中に解決を図っていただくよう日米両政府に要請しているところであります。
なお、読谷村では村長が4回も私と同行いたしましてアメリカ政府へじかに訴えましたほか、議会の方でも議長さんが3回も同行をいたしましてアメリカ政府に訴えました。そうした直接的な要請行動というものが非常に効果をもたらしたというふうに高く評価するもので敬意を表するものであります。
次に、平和の発信地沖縄の新たな平和発信策として世界平和文学賞、世界平和演劇賞を創設する考えはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
平和の礎の完成を契機にして、今後は国際平和創造の杜構想に沿って平和祈念資料館の移転改築や国際平和研究所の設置の検討を進めるなど、世界へ平和を発信することを目指して諸施策を着実に推進してまいりたいと考えております。
御提言につきましては、貴重な御意見として承っておきたいと思います。
次に、第2回世界のウチナーンチュ大会の開催要綱や大会進行をウチナーグチ、日本語、英語の同時通訳で進められないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
第2回世界のウチナーンチュ大会の実施に当たっては、世界のあらゆる地域からの参加者に配慮して日本語を基本に必要に応じて英語、スペイン語、ポルトガル語等の外国語の通訳も考えております。
御提言のウチナーグチの使用につきましては、貴重な御意見として承っておきたいと思います。
お許しを得まして、その他の御質問につきましては関係部長等から答弁させます。
○議長(嘉数知賢君) 教育長。
〔教育長 仲里長和君登壇〕
○教育長(仲里長和君) 高等学校における職業指導、職業紹介、職業適応指導の現状についての御質問にお答え申し上げます。
高等学校における進路指導の意義は、高校生に将来の夢と希望、目的を見出させ、将来に向けて自己実現ができますよう指導援助することにあります。特に人間としてのあり方、生き方を基本に据え、入学時から卒業時までの発達段階に応じた進路指導を推進することが重要と考えております。
職業指導につきましては、高等学校における進路指導の基本方針と具体的取り組みを策定し、ホームルーム活動を中心に個に応じた進路指導を展開するとともに、各事業所における職場実習、見学、さらに民間人や学識経験者等によります職業講話や講演会あるいは先輩と語る会による情報交換等学校の全教育活動を通して職業観や勤労観の育成に努めているところでございます。
職業紹介につきましては、それぞれの生徒との進路相談、保護者を交えての3者面談、企業からの求人票の提示、就職情報システムの活用、合同求人説明会への参加、進路だより等による保護者への啓発活動等を行っております。
実は、本日も宜野湾市におきまして本土の企業と県内高校進路指導担当の先生方を集めて合同企業説明会を行っているところであります。
職業適応指導につきましては、県幹部や各学校の就職指導担当教諭による定着指導並びに求人開拓、各学校からの企業訪問やはがき、手紙による激励、県の東京、大阪、名古屋各事務所に配属されております広域職業紹介推進員による企業訪問及び相談活動を通して定着指導を推進してまいっております。
以上でございます。
○議長(嘉数知賢君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高嶺朝幸君登壇〕
○商工労働部長(高嶺朝幸君) 産業界と協力して雇用の場の拡大を図っていくということについての御質問にお答えします。
厳しい雇用失業情勢、特に新規学卒者の求人が大幅に減少する中で、県においては雇用機会の創出、拡大についての対策を検討するため、産業界を含めた協議の場として産業・雇用問題懇話会を設置したところであります。県としても産業界と協力して雇用の場の拡大を図ることは重要であると認識しております。従来から各企業や事業主団体に対して求人要請を行ってきたところであります。
このような中で、県経営者協会において「あと一人採用運動」等の雇用問題を改善するための活動が展開され、若者に夢を与える取り組みが実施されていることに対し心強く思っているところであります。この運動の結果、県経営者協会へ自主的に連絡のあった採用数は19人と聞いております。
県といたしましては、このような積極的な運動が継続していくことに大いに期待しているものであります。今後、このような運動に対して県としましては、公共職業安定所にある求職情報を積極的に提供することにより、特に若年者の雇用の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、失業防止、離職者対策についての御質問でございますが、本県における最近の雇用失業情勢は景気の低迷等の影響もあり、平成7年5月の完全失業率が5.1%──これは全国平均3.1%──と高い水準となっており、また有効求人倍率も0.19倍と厳しい状況が続いております。
このような状況下において積極的な求人開拓及び県外就職の促進、定着指導等の対策を実施するとともに、各種援護措置の活用を図り雇用機会の確保に努めております。
失業防止としましては、従業員を解雇することなく休業や教育訓練、出向等により雇用調整を図る企業に対して賃金等の助成を行う雇用調整助成金制度の活用を促進してまいります。
一方、7月から施行される改正業種雇用安定法に基づく失業なき労働移動を推進するための施策である円高等雇用対策推進事業を積極的に推進してまいります。
また、離職者対策としましては、失業期間中の生活保障としての雇用保険の失業給付を行うとともに、職業相談を十分に行うことにより各種援護措置の活用もあわせて早期の再就職の促進に努めてまいります。
○議長(嘉数知賢君) 上間 毅君。
〔上間 毅君登壇〕
○上間 毅君 通告に従いまして一般質問をいたします。
まず初めに、先島地区における電気通信格差是正事業についてお尋ねをいたします。
現代のマスメディア社会において、電気通信は地域の社会活動や経済活動に大きな役割を果たしています。都会に住む人々にとっては一日たりともラジオ、テレビからの情報なくしては生活ができないような、いわゆる体の一部分として感じてしまうぐらい電気通信は身近なものになっていると言っても過言ではありません。それだけ現代社会に情報を迅速により的確な形で人々へ伝えており、多大な貢献がなされております。
国民がひとしく豊かさを実感できる社会を実現するためには、情報をどの地域に住んでいても同時に知ることのできるようにしなければならないのではないかと思います。特に離島においては情報を知るための電気通信システムがいまだに確立されておらず、多くの不便さをかこっているのが現状であり、情報の格差が余りにも大きいというのが離島の現実の姿であります。
そこで、そのような格差是正を図る上から一昨年両先島地区へ民放テレビが放映されたことはこの上もない喜びであり、国、県を初め関係各位に厚く感謝を申し上げる次第であります。
そこで、私は両先島において平成7年度に予定されています移動通信用鉄塔施設整備事業によって、平成8年の初めには両先島地区でも携帯電話が使用できることになるということで大変期待をしているわけでありますが、現在予定されている平良基地局、石垣基地局が完成したらその地域内すべてにおいて携帯電話が使用できるようになるのかどうか、お尋ねいたします。
現在、計画されています平良基地局、石垣基地局の2カ所で利用できるエリアはどの範囲なのか、また利用できない地域については引き続き事業をなさる計画はありますか、お尋ねいたします。
次に、中波ラジオの難聴解消についてお尋ねいたします。
先島地域一帯は、夕方になりますと民放ラジオ放送が聞き取りにくくなっております。外国の電波が入ってきて全く聞けない状態にもなります。特に西表島と与那国島はひどいものであり、多分台湾の電波が入ってきているものと思われます。与那国に最も近い台湾はITU(国際電気通信連合)に加入していないことから、妨害電波が発信されているのではないでしょうか。
そのようなことから、先島地区はNHK以外の民放ラジオ放送が聞けないという状態にあります。NHKにおいては独自にアンテナを設置して難聴解消に役立ってもらっていますが、民放についてはそれがなされていません。宮古島にはRBCが設置されているとのことですが、八重山地区においては民放のRBC、ROKの2局ともありません。そのようなことでいまだに県内において情報の格差が生じているのが実情であります。
このような状態はその地域に住む人たちにとっては大変な不幸なことで、特に防災面においては大きな問題を抱えることになると思います。
一昨年、西表島群発地震が長期間にわたり発生したときなどラジオが聞けないことは住民に大きな不安を与えていたことであります。そのような実情を十分御理解していただき、一日も早い難聴解消を図ってほしいと思いますが、県において具体的な取り組み等がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
電気通信格差是正事業は、国、県、市町村、法人が事業主体となっているようですが、その事業費の負担割合を見ますと国3分の1、県5分の1、市町村15分の2、法人3分の1という割合になっています。
そこで私が心配することは、法人の3分の1の負担のことです。なぜなら法人は採算性のない過疎地域の町村に対し3分の1も負担してその事業に参加するのかというと、なかなか難しいのではないかと思慮されます。そうなると過疎地域の町村にとっては到底できない事業となり、せっかくの制度も絵にかいたもちになってしまうのではないかと思慮されます。
そこで県において、沖縄の離島県という特殊性にかんがみ、離島振興を図る上からと地域間の情報格差是正を図る上からも本事業の推進は不可欠と考えますが、民間事業者を含めた今後の取り組み方についてお聞かせください。
県内にはテレビ、ラジオの難視聴地域があるわけですが、そこに住む住民はそれらを解消するためのアンテナの維持管理のための共同受信施設管理組合をつくっております。その中には毎月各世帯より500円を徴収している組合もあるとのことであります。このようなこと等は、離島僻地に住んでいる人たちに過重な負担をかけていることになります。真に国民がひとしく豊かな社会を実現するためには地域間における情報の格差是正を早急に図ることだと思いますので、どうぞ知事の御所見を賜りたいと存じます。
離島6町村におけるエアーコミューター路線についてお尋ねをいたします。
我が県は、御承知のとおり多くの島々を抱えた離島県で、那覇市を中心に主なる離島間の距離は渡嘉敷まで31キロ、久米島まで94キロ、宮古島290キロ、石垣島410キロ、波照間島480キロ、最西端の与那国島までが510キロメートルとなっており、東西に1000キロ、南北に400キロメートルの海域に囲まれて大小160の島々が点在しており、その中の42の島々に人間が住んでおります。そこに住む人々はいろいろな面で多くの不便をかこちながら生活を営んでいるわけであります。
多くの離島から成る我が県にとっては、その地理的特性から住民の地域間移動は空と海に頼らざるを得ないのが実情であります。我が県は、特に離島空港が全国で最も多く設置されており、今では離島における航空交通は離島住民の生活路線として定着をなし、離島住民の生活向上に大きく役立っており、まさしく離島振興に欠かすことのできない大きな柱となっております。
そこで私は、そのような現状を踏まえながら県内6町村に運航しているエアーコミューターについての今後の見通しと県の対応についてお尋ねするものであります。
琉球エアーコミューター株式会社は昭和60年12月に設置され、那覇─慶良間、那覇─粟国の2路線をアイランダー機で運航していましたが、平成4年11月に、それまではJTAによって運航がなされていた6町村内路線をそっくり引き継ぐことになったのであります。
その路線移管されたことに対し、地域住民からはいち早く不安の声が上がりました。なぜなら、JTAから琉球エアーコミューターに移管された航空路線はいわゆる赤字路線であると言われていた路線であり、不利な条件にあるものだけを集めてJTAからわざわざ切り離して路線移管をしたのでありますから、決して明るい見通しが立つわけがありません。それだけに離島住民にとっては離島振興とは逆行するような行為に見えたのであります。そして路線移管後、ことしでようやく2カ年半がたった今日、現状はどうでありましょうか、明るい見通しは立っているのでしょうか、早くも住民が危惧した状況を呈しているのが現実ではありませんか。
県は琉球エアーコミューターヘの路線移管に関して、当時どのような見解を持っていて、それにどのような対応をなさったのであるのか、お尋ねをいたします。
聞くところによりますと、県も琉球エアーコミューターに株を持っているということでありますから、当然県の考え方も反映されて賛同なさったことだと考えておりますので、そのことについても県の考えをお聞かせ願います。
次に、琉球エアーコミューター株式会社(RAC)再建に向けての支援依頼があったと思いますが、そのことについてお尋ねをいたします。
再建案についてはいろいろと提案されており、その主な内容としては航空運賃の値上げ、県からの助成、関係町村からの助成、RACの運転資金確保のための県によるRACへの貸し付け等があると聞いていますが、そのことに対し県はどのような対応をなさいましたか、お尋ねいたします。
次に、RACの運航状況についてその旅客数の推移について見てみますと、平成4年度においては──5カ月間の数字ですけれども──5万3696人、平成5年度からは1カ年間通じてです──10万9617人、平成6年度においては11万1323人と増加している傾向にあります。
計画便数も増便がなされておりますが、反面欠航便数もまたふえているのが実情であります。ちなみに平成6年度の計画便数が1万1752便に対し、欠航便数は1390便もあり11.8%の高い率の欠航があります。
その欠航便の内訳を見ますと、欠航便1390便のうち天候による欠航764便とたっており、約55%が天候不良による欠航となっております。
私も6月7日、土木委員会での南北大東視察のためRACに乗ったのでありますが、天候不良のため着陸できず、往復3時間余りもあの小型機でみすみす那覇空港へ引き返すという苦い経験をしたことがあり、いかに離島への運航条件が天候に左右されるかを身をもって体験したのであります。
同時間帯では石垣、久米島、宮古等へはYS、ジェット機等はスムーズに運航していることから見ましても、機種の大型化や空港の整備状況によっては現在欠航している天候も克服できることが多くなると思います。現状のような状況では離島路線の安定的運航は大変厳しいものがあると思います。このような厳しい中にあっても、航空路がなければ住民生活に大きな影響を受ける離島にあってどうしてもRACの運航は欠かせない現実にあります。
そのような切実な厳しい状況を打開するため、関係町村による沖縄県離島航空関係町村協議会を設置してRACへの運航費補助分担金の賦課方法が話し合われ、その結果6町村の均等割60%、人口割40%ということで話し合いがなされ、その結果均等割で550万円、人口割で1人当たり3760円の負担をすることになっております。
各町村の内訳まで申しますと、座間味村870万7000円、粟国村899万7000円、南大東村1076万円、北大東村745万2000円、多良間村1100万1000円、竹富町808万3000円となり、その合計は5500万円の負担金を持つことに決まったようであります。
県は町村の支援分の上乗せをするということになっているようですが、その上乗せ分に対する額は幾らになるのか、お尋ねいたします。
平成7年度の当初予算に計上された5500万円が県の支援分の上乗せの全額なのかどうか、お尋ねするものであります。
なお、その分担金の算定は単年度分の赤字に対してとのことを聞いていますが、どうなっているのか、お尋ねいたします。
しかも、それらの分担金の中には約30%の運賃値上げ分も含めてあるということでありますが、そうなりますと去る5月8日から値上げされた運賃は平均24.8%の値上げであり、当初予定していた30%を大きく下回る値上げ幅ですから、当初の見積もりよりもなお厳しい状況になると思いますが、いかがなものでしょうか。
ちなみに、現在のRACの累積赤字は13億弱、単年度赤字額3億1000万円であり、現状のままではそれらを解消することは一企業では限界に来て持ちこたえられないのではないかと思慮されます。
また、関係町村においても毎年度分担金を持ち続けることは、脆弱な財政状況からして大変厳しい面があると思います。県におかれましては、今後どのような方策でもって解決しようと考えておられるのか、お聞かせ願います。
全国離島振興協議会においては、10年来から離島空路整備法を制定してもらい、離島船舶航路のような欠損分に対する全額補助が離島航空路にも早急に受けられるように強力に国へ要請しているようであります。そのことについての見通しはいかがなものでしょうか、お尋ねをいたします。
次に、新石垣空港についてお尋ねいたします。
新石垣空港に関しましては、約15年の長い年月がかかっており、いまだに解決がなされず、地元住民にとっては本当にどうしていいのかわからないような状態であります。空港はぜひ必要であることも十分認識していながら、いざ具体的なことになってきますと、ここはだめ、あそこもだめということで場所選定について地元では足並みがそろわず混迷を深めている状況にあります。
カラ岳東案の要請、宮良牧中案への要請と地域住民が要請合戦を繰り返し行ってきた結果、いつの間にか対立する構図ができ上がり、地元にとっては本当に不幸な状態が続いているのが今の新石垣空港に対する地元の状況であります。そのような状況の中で、果たして空港をつくることができるのかどうか、懸念しております。
その解決はどうすればいいのか、10年以上にわたり真剣に話し合ってきたにもかかわらず、今なお前進しない問題に情けない思いをしていますが、地元では大濱市長を先頭に一生懸命に取り組んでおります。大田知事も県政の重要課題の一つとして位置づけ、問題解決に一生懸命になっておられます。
県においては、新石垣空港早期建設のために新石垣空港建設対策室を設置し、また地元八重山には新石垣空港建設事務所を置いて地元とのコンセンサス、地域住民との合意形成のために真剣に取り組んでいることに敬意を表し高く評価します。
ところで、地元においては2月の定例県議会において宮良牧中調査費が削除されたことに対し、このままでは新石垣空港が国の第7次空整に組み入れられなくなるのではないかとの不安があります。県も国に対し強力に要請していると思いますが、その見通しはいかがなものか、率直な見解をお聞かせ願いたいと思います。
県が宮良牧中を選定したことによって宮良公民館、三川地区の住民が反対を表明していますが、県としてはどのような形で理解を求めていかれるおつもりですか、お尋ねいたします。
宮良牧中の調査をすることは、八重山郡民にとって問題になっている農政の問題、赤土流出を初めとした環境保全の問題、サンウルシーの問題、安全性の問題、騒音の問題等に対し科学的な調査結果に基づいてこそ正しい判断ができる最もよい方法であると確信しておりますが、県は宮良牧中調査をぜひ強力に実施する必要があると思いますが、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
以上で一般質問を終わります。
○議長(嘉数知賢君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上間毅議員の御質問にお答えいたします。
琉球エアーコミューターの赤字額の解消は一企業では無理であり、財政基盤の脆弱な町村が支援を続けるには厳しい状態にあると、県の今後の対応策を伺いたいと、全国離島振興協議会は離島空路整備法の制定を国に要請しているが、その見通しはどうかという御質問に一括してお答えさせていただきます。
離島航空路線は、需要が特定されて大幅な伸びも期待できない状況の中で、小型機により運航されているため生産性が低く、運航コストも高くなるなど構造的な問題を抱えています。
このようなことから、地元関係町村や県としても、離島住民の足の確保と離島振興の観点から支援のための予算措置をしたところであります。今後とも離島路線の維持が図られるよう、収支状況等を勘案しながら引き続き検討してまいりたいと考えております
しかしながら、財政基盤の脆弱な町村及び県の公的支援には限界があり、離島航空路線を長期的に安定確保するためには離島航路補助と同様国による支援措置が不可欠であると考えています。
このため県としては、国による運航費助成等の支援についてこれまで要請を続けているところでありますが、実現に至っていません。今後ともあらゆる機会をとらえて関係機関等に対し、国による公的支援措置の創設等を要請していく考えであります。
次に、新石垣空港が第7次空整へ組み入れられるか、その見通しについて伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
国においては現在、平成8年度からスタートする第7次空港整備5カ年計画の策定に向け作業中であります。
本県も新石垣空港については、運輸省に対し宮良地区で事業計画の説明を終えており、また6月中旬には副知事が八重山市町会とともに運輸省及び沖縄開発庁へ要請活動を行ってきたところであります。新石垣空港が7次空整へ組み入れられるよう全力を挙げて取り組んでいるところでありますが、関係当局からは空港の位置についての合意形成への努力が求められております。今後も地元石垣市とともに最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
次に、宮良案に対し宮良及び三川地区の住民が反対を表明しているが、県はどのような形で理解を求めていくのか、県は宮良牧中調査を強力に実施する必要があると思うが、どう考えるかという趣旨の御質問に一括してお答えさせていただきます。
新石垣空港の建設につきましては、八重山地域の振興発展を図る上でぜひとも実現しなければならない重要な課題であります。県においては、新石垣空港建設の円滑な実施を図るため一連の合意形成作業を経て宮良案を選定したところであり、その実現に向け全力を傾けているところであります。
新石垣空港の早期建設のためには、基本的な諸調査がぜひとも必要であり、調査費については議会の御理解を得て早期に計上したいと考えています。
調査費の執行に当たっては、特に測量、土質調査、環境現況調査等については現地立ち入りを伴うことから石垣市とも協力し、地権者を初め地元の方々に調査の意義等を誠意を持って説明し理解を求め、円滑な執行ができるよう積極的に取り組んでいく考えであります。
お許しを得まして、その他の御質問につきましては関係部長等から答弁させます。
○議長(嘉数知賢君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 先島地区における電気通信格差是正事業との関連で、現在計画している宮古、石垣両先島での携帯電話の施設整備についてお答えいたしたいと思います。
今回の移動通信用鉄塔施設整備事業は、携帯・自動車電話のサービスの提供が受けられない平良市、上野村、下地町、城辺町、伊良部町及び石垣市において移動通信サービスを提供するために必要な施設を設置する事業でございます。
今回の計画で携帯・自動車電話の使用可能となる地域は、宮古地域で平良市全域、下地町の大部分、上野村と城辺町及び伊良部町のそれぞれの一部地域でございます。
また、今回使用できない地域につきましては、宮古島の一部及び伊良部町の一部地域となりますが、これらの地域につきましては今後簡易中継局を設置することにより携帯電話等の使用が可能になることから、今回のエリア外の多良間村も含めまして郵政省、地元市町村及び通信事業者と調整しながら検討していきたいと考えております。
また、石垣地区につきましては、市街地周辺が使用可能な地域となり、使用できない地域は川平周辺及び平久保半島地域となります。
これらの地域につきましては、今後、今回のエリア外の竹富町を含め解消策について郵政省、地元市町村及び通信事業者と調整をしながら検討していきたいと考えております。
次に、同じく先島地区における電気通信格差是正事業との関連で、中波ラジオの難聴の問題に関する御質問にお答えいたしたいと思います。
県内での主な中波ラジオ難聴地域として多良間島、与那国島、南北大東島、西表島の一部及び本島北部の一部地域があります。県では、特に防災上の観点からも早期に是正を図っていく必要があると認識をいたしております。
その解消につきましては、市町村等が事業主体となり、ラジオ放送中継局の整備を行う民放中波ラジオ放送受信障害解消事業がございます。各市町村及び郵政省と調整しながら検討していきたいというふうに考えております。
また、平成3年度に創設された電気通信格差是正事業は、民間事業者が全額負担して整備を行うには困難な地域を対象に、国、県、市町村及び民間事業者が負担し市町村等が実施主体となって行う事業でございます。したがいまして格差是正事業の実施に当たりましては、国、関係市町村及び民間事業者と積極的に調整を図りながら進めてまいりたいというふうに考えております。
次に、離島6町村におけるエアーコミューター路線についての関連で、琉球エアーコミューターヘの路線移管に際しどのような見解を持ち、どう対応したかについてお答えいたしたいと思います。
南西航空から琉球エアーコミューターヘの移管路線につきましては、当時の南西航空の経営状況、規制緩和に伴う航空自由化政策の導入等を考慮いたしますと南西航空による当該路線の維持が懸念をされていた状況にございました。
一方、琉球エアーコミューターにおきましては、事業規模の拡大が必要になっておりました。このようなことから、南西航空においては琉球エアーコミューターヘの出資比率を50%へ高めて両社のグループ化を強化をし、小型プロペラ部門を琉球エアーコミューターヘ移管することにより、効率的な経営と離島路線の維持を図る方策として平成4年11月に6路線を移管をしております。
県といたしましては、生活路線としての離島航空路線の維持が最優先の課題であると考えまして、琉球エアーコミューターヘの路線移管に際しては安全運航の確保、要員、機材の確保及びサービスの維持などについて南西航空に対して支援を行うよう指導するとともに、離島路線の継続運航の確保に努めてまいった次第でございます。
次に、再建に向けて琉球エアーコミューターからの支援依頼に対しどのように対応したかとの御質問にお答えいたします。
平成6年12月に琉球エアーコミューターから県及び関係町村に対して運航費の助成、増資、航空機の購入補助等の要請があり、関係町村と連携しながらその支援方策について検討を進めてきたところであります。
関係町村は、沖縄県離島航空関係町村協議会を設置し、町村の持ち分として支援総額5500万円を決定いたしましたが、これ以上の負担については財政事情が厳しいことを理由に県に残余額の支援要請がなされました。県といたしましては、琉球エアーコミューター及びグループであるJTAのなお一層の企業努力による収支改善にも期待しながら、運航費助成として平成7年度で5500万円の予算措置をいたしたところでございます。
次に、琉球エアーコミューターヘの支援額に対し県の上乗せ額は幾らか、平成7年度当初予算に計上された5500万円が県の支援分の全額なのかどうか、単年度赤字に対しての助成かどうか、琉球エアーコミューターは値上げ幅縮小による単年度収支の状況が厳しくなるのではないかとの御質問に一括してお答えいたしたいと思います。
平成6年12月に、琉球エアーコミューターから県及び関係町村に対し平成7年度の運航費助成について支援要請がありました。県としては、琉球エアーコミューター及びグループであるJTAのなお一層の企業努力による収支改善にも期待しながら、運航費助成として平成7年度で町村と同額を当初予算で措置したところであります。今後とも離島路線の維持が図られるよう収支状況等を勘案しながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(嘉数知賢君) 休憩いたします。
午後4時15分休憩
午後4時30分再開
○副議長(中根章君) 再開いたします。
休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
糸数慶子君。
〔糸数慶子君登壇〕
○糸数慶子君 こんにちは。
一般質問に先立ちまして1点だけ要望させていただきます。
けさの新聞、テレビでも報道されましたように、大国林道が大雨で27カ所決壊したとのことですが、私はこれまで大国林道の建設については赤土流出や野生生物の保護の視点から疑問視してまいりました。
そのような危惧が現実となり、行政の対応について県民の間から早急な対策を求める声が上がっています。再三による道路決壊は、当面の対応だけでなく、抜本的な対策が必要と考えます。
崩れたら直せばよいというのではなく、今後、貴重な生き物たちに十分配慮するような方向で交通規制などを考えていただきたいと強く要望いたしまして、一般質問に入らせていただきます。
まず、知事の政治姿勢について。
沖縄の歴史と風土の中で培われた平和の心を内外に述べ伝え、世界の恒久平和を願い、国籍や軍人、非軍人の区別なく沖縄戦などで亡くなられたすべての人々の氏名を刻んだ記念碑平和の礎を太平洋戦争・沖縄戦終結50年を記念して建設されたことは、大田革新県政の平和行政の推進という点において県内外の多くの方々から高く評価されていることは既に御承知のことであります。
これまで戦跡を訪れるたび、戦没者の数をおよそ20万人余と紹介してきた者の1人として、地球より重いと表現される人間一人一人の生命をおよそとしか表現できないことに心を痛めていたことや、また平成5年6月定例議会の代表質問の中で戦没者の全数調査を提言してきた者として、23万4183人の戦没者の名前が記録、刻銘されたことに心から喜び、深く感謝申し上げます。
ところで、那覇市では去る6月24日、広島、長崎、那覇の3市を結んだピース・トライアングル・サミットを開催し、アジア諸国の人々と歴史認識を共有し、核廃絶のアピールを出しました。このサミットの意義は、沖縄・那覇の戦争体験を原点に被爆体験の広島、長崎を結びつけたこと、そこからアジアに対する加害者意識の共有が語られたこと、また国会決議を超え、国にかわってこの3つの都市の市長の名で日本のアジアに対する侵略植民地支配の事実を認め謝罪したことにあります。
そこで知事にお尋ねいたします。
フランスの核実験再開に対して那覇、長崎、広島は抗議声明をいたしましたが、共同歩調でフランスを含めた核保有国に対し抗議の意思表示をすべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、観光行政についてお伺いいたします。
国の関係機関や観光関係団体の分析あるいはマスコミ報道によりますと、沖縄観光は今日海外リゾートとの熾烈な競争のもとで非常に厳しい状況を余儀なくされているとのことであります。
その要因としては、一般的には円高の進行で海外の旅行コストが割安になっていることや、関西国際空港の開設等によって海外との航空ネットワ一クが拡充され、海外リゾートヘのアクセスが便利になっていること等から、国民の目が海外志向に傾きつつあるとのことのようであります。
一方、これらの対外的な要因に加え、沖縄観光の内部要因として観光・リゾート地としての魅力度の低下という問題も最近本土の旅行関係者の間から聞こえてまいります。
このような状況を見ますとき、沖縄観光は今や一つのターニングポイントに差しかかりつつあるのではないかと深刻に受けとめざるを得ません。
今日、本県の経済が観光産業を核として運営され、県民の日常生活に直接的あるいは間接的に何らかの形で関係しているだけに、また県民世論や識者の多くが沖縄経済の将来像として観光に大きく依存せざるを得ないとの意向が強いだけに、観光産業の衰退は即本県経済の今後の発展に悪影響を及ぽすのではないかと懸念するものであります。
知事におかれましては、このような状況を真剣に受けとめられ、昨年9月補正ではかつて例を見ない3億円の緊急誘客対策事業を実施するとともに、昨年12月には中期的な対策として観光振興中期行動計画を策定するなど矢継ぎ早にタイムリーで戦略的かつ斬新な観光施策の推進に努められておりますことは、県内観光関係者がひとしく認めるところであり、その真摯な取り組みを高く評価するものであります。
さて、私は知事のこのような観光振興に対する熱意を高く評価するものでありますが、さらにその取り組みを一層実効あらしめる観点から、次の視点に立った施策の充実が求められているのではないかと思います。
すなわち、今後観光産業が本県における戦略産業としての位置づけのもとに、海外観光地と日常的に競争し本県の地域特性を生かして持続的に発展していくためには、ライバルである国内外の観光・リゾート地の動向やシステムを的確に調査分析するとともに、県民挙げてオール沖縄的な発想に立って観光産業の発展を支援、理解する体制を早急に構築することが極めて重要であるということであります。
そこで、このような認識に立って次の3点について知事の御所見を賜りたいと存じます。
まず第1点目は、海外リゾート地、とりわけ近年沖縄観光と競合しつつある東南アジアリゾートヘ日本人観光客はシフトしていますが、これらリゾート地が持つ制度的な面での本県との相違点にはどのようなものがありますか。
2点目は、これら沖縄と類似するビーチリゾートと、沖縄観光が今後競争し市場優位性を確保するためには、従来の誘客宣伝事業の充実強化に加えつつ、青い海に依存し過ぎる今日の沖縄観光を沖縄の特性、すなわち特異な歴史文化資源等を活用した新たな観光地として再構築していく、例えば地域の祭りを取り入れたイベント「大琉球・まつり王国」のような新たな観光商品づくりを急ぐとともに、受け入れ体制の強化を図る必要があると思いますが、いかがでしょうか。
3点目は、以上の沖縄観光のライバル地の調査分析とともに、沖縄の特性を活用した新たな観光商品づくりや受け入れ体制の強化に加えて、沖縄観光がこれまで申し上げましたようにその取り巻く厳しい状況下において引き続き県経済の中核産業として発展していくためには、県民挙げて一丸となって観光産業に理解を示し支援していく環境づくりが急がれます。
そのための最も有効な手段は、知事が県民を代表する形で観光立県宣言を行い、ここに内外の観光関係者に対し名実ともに国際的な観光地沖縄をアピールすることだと思います。この間の観光政策を総括しつつ、県民の主体的な沖縄観光への参画を促す意味でも時宜を得た画期的な政策だと思いますので、知事の積極的な御決意のほどを承りたいと存じます。
次に、環境行政について。
廃棄物の問題についてお聞きいたします。
近年の生活水準の向上と事業活動の活発化に伴い、廃棄物は量的に増大するとともに質的にも多様化してきており、最終処分地の確保難、処理困難廃棄物の出現等ごみ処理問題が大きな社会問題となってきています。
国においては、これら諸問題に対処するため平成3年に廃棄物の減量化、再資源化の推進、廃棄物の適正処理の確保、廃棄物処理施設の確保の3点を柱とした廃棄物処理法の改正を行うとともに、再資源化の利用の促進に関する法律の制定を行ったところであります。
県においても、平成6年に沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画を策定し循環型社会の構築に向けて取り組むとともに、那覇市においても県の指導により全国でも3番目の施設としてリサイクルプラザを整備し、ごみの減量化リサイクルに成果を上げていることを高く評価するものであります。
今、最終処分場の延命化や地球環境保全のためにごみをつくらない生活様式への転換及び循環型社会の構築の必要性が訴えられ、行政や地域住民等各界各層それぞれにおいて廃棄物の減量化、資源化への取り組みがなされてきておりますが、これらが一体となった体系づくりが今必要ではないかと考えるものであります。
その中で重要なことは廃棄物交換情報のネットワークの構築が急務だと考えます。
そこで、資源化できる廃棄物を提供する県民と、これを有効利用したい県民の情報等をデータベース化し、両者の交換を橋渡しするシステム、つまり廃棄物交換情報制度を確立し、それに基づいたネットワーキングの推進や事業化を支援する情報提供センターなどを設置してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
21世紀を間近に控えて、今後何世代にもわたる地球上での人類の生存のために持続性ある開発が必要であることは地球環境サミットで確認されました。その理念も現在では生態系の保全を念頭に置くことが当然の考え方になっており、エコロジカリーサウンドという表現が名づけられるようになり、象徴的生態系の一つとしてサンゴ礁海域が国際的にも重要であるとの認識が一般化しつつあります。中でも全世界的に取り組まれつつありますのが、温室効果や地球規模での温暖化、さらには海水面上昇などの諸問題との関係で、
CO2、すなわち炭酸ガスの処理、固定化が最重要課題の一つとして取り上げられ、
CO2の海洋での吸収、固定化などの点で重要な役割を演じているのがサンゴ礁海域であると言われております。
本県は、我が国の中でも南方海域に位置するという地理的な特性からサンゴ礁海域を広く有しており、その保全や環境保護に力を注いできたところであり、民間の研究会社や大学等の県内立地機関においてもその生態系の研究が徐々に進みつつあるところです。
海外においても、地球環境問題や
CO2の処理、固定化の観点など広範囲な視点から多角的な研究調査が進められつつあり、とりわけアメリカ及びグレートバリアリーフを有するオーストラリアが先進的な取り組みを実施しております。
そこで、沖縄県におきましては太平洋の島々やグレートバリアリーフにまさるとも劣らないサンゴ礁海域を有することから、早急にその生態系の保全と研究、調査、海洋教育などを目指したサンゴ礁のサンクチュアリーを創設することが必要と考えます。
そこでお尋ねいたします。
1点目、沖縄県におけるサンゴ礁に関する調査、研究、保全、教育への取り組みを一層促進することによって、一部において深刻化しつつある貴重なサンゴ礁海域の環境汚染の防止、環境汚染の抑制にもつながるサンゴ礁海域の調査を実施していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
2点目、オーストラリアのグレートバリアリーフでは、海洋公園管理局を設置して海洋の利用と保全に関し一般利用ゾーン、海洋公園ゾーン、科学研究ゾーン、保護ゾーンとゾーニングによる海域管理方式を採用しサンゴ礁のサンクチュアリーを創設していますが、本県沖縄におきましても海域区分をし積極的にサンゴ礁のサンクチュアリーを創設してはどうかと考えますが、県当局の御見解をお願いいたします。
続きまして女性行政について。
男女雇用機会均等法が施行されてことしは10年目になります。10年の歳月は一昔にも例えられますが、「均等法10年活かしていますか女性の能力」をことしのテーマに掲げ、雇用の分野における女性の積極的な活用、女性みずからの職業能力開発と職業意識の向上を図るため、全国的に多彩な月間行事が実施されております。
県におきましては去る6月26日、均等法物語を講談師の宝井琴桜さんのユーモアあふれる講談でわかりやすく公演していただいたことは、まことに時宜を得たすばらしい企画であったと関係当局の皆さんに心から敬意を表するものであります。
雇用の分野において、女性であることを理由とした差別をしてはならないという認識が一般化し、積極的に女性の能力を活用しようとする企業が増加するなど企業の雇用管理は大きく改善が進み、平成4年から育児休業法、平成5年からパートタイム労働法が施行されるとともに、第132通常国会に介護休業制度の法制化等を内容とする育児休業法の改正法案が提出され、6月5日可決成立し、1999年4月から実施されるようになりました。
このように、働く女性の環境整備が進んでいく反面、昨今の雇用情勢は超氷河期と表現されるほど厳しい状況にあり、特に女子新規学卒者の就職に関しては副知事を初め県当局、高等学校の進路担当の先生方が他府県を訪れ、1人でも多くの新規学卒者の雇用拡大を図るため御尽力くださっていることはまことに頭が下がる思いです。
しかしながら、沖縄婦人少年室の特別相談窓口には女子学生の円滑な就職活動に対するアドバイスを求めて多くの相談があると聞き及んでおります。現に私にも多くの若者たちから就職に対する相談が参っております。
そこでお尋ねいたします。
女子新規学卒者の就職状況は、均等法施行後どのようになっていますか。
女子の求人求職状況はどうですか。パートタイムも含めてお伺いいたします。
また、女子の雇用促進対策についてもお伺いいたします。
育児休業給がことしから従来の共済掛金相当額にさらに上乗せされ、給料の25%が支給されるようになったのは大幅な前進だと喜んでおりますが、おひざ元である県におきましては県職員、教職員、看護婦も含めて育児休業の行使状況はどうなっていますか、お尋ねいたします。
次に、職場でのセクシュアルハラスメントについて。
女性の職場進出に伴い、一方では企業の理解不足や男女間の意識のずれにより女性が仕事をやる気を失い、能力の発揮が妨げられるといった問題も生じています。セクシュアルハラスメントは、こうした男女の意識の差が大きく影響する問題であると同時に、人権にかかわる問題としてとらえる必要があります。
去る6月21日、県内の大学院生が指導教官である担当助教授を相手取りセクシュアルハラスメント裁判が提訴されました。このことはマスコミを通じ全県下に報道されましたが、本国を離れ1人で学ぶ留学生という弱い立場の人への指導教官という権力を利用した上下関係の中での性的攻撃であり、この行為を不快に思い、はっきり意思表示を行ったものでありますが、このようなことはほんの氷山の一角にしかすぎません。事実、私のところにも職場でのセクシュアルハラスメントについての悩みを訴える女性たちも多いのであります。
県は、セクシュアルハラスメントの実態調査をしたことがありますか、お伺いいたします。
福岡県では、セクシュアルハラスメントについての県民意識を啓発するためシンポジウムを開いたり、ガイドラインを設定しハンドブックの作成もしておられますが、県はセクシュアルハラスメントに関する事業を計画しておられますか、お伺いいたします。
福祉行政について。
21世紀の少子化社会に対応するため国や地方公共団体を初め社会全体が子育てを支援し、子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを推進していくため、我が国におきましては平成6年にエンゼルプランを策定しております。
そこでお聞きいたします。
平成7年度予算においても、「子どもにやさしいまちづくり事業」のメニューとして児童育成基盤整備等推進事業、いわゆる地方版エンゼルプラン策定事業を新設し、モデル的に10都道府県、100市町村を対象に計画策定のための費用を補助すると聞き及んでおります。
緊急保育対策等5カ年事業に対する県の取り組みについてお伺いいたします。
県内の市町村にどう指導していくのか、お伺いいたします。
地方版エンゼルプラン策定に取り組んでいる市町村があるのかどうか、お伺いいたします。
以上で終わります。
○副議長(中根 章君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
まず、フランスの核実験再開に対して那覇、長崎、広島は抗議声明をしたが、共同歩調でフランスを含めた核保有国に対し抗議の意思表示をすべきだと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
核実験は世界の平和を脅かすものであり、先般フランスが核実験の再開を表明したことはまことに遺憾なことであります。
私は、去る6月23日の沖縄全戦没者追悼式において、ことしの2月定例県議会で可決されました「非核・平和沖縄県宣言」を発表いたしました。今後は、同宣言を広く世界各国へ送付するとともに、その趣旨を踏まえ、核実験を行う国に対しては反対の意思を表明していきたいと考えております。
次に、沖縄の地域特性を活用した新たな観光商品づくりを急ぐとともに、受け入れ体制の強化を図る必要があると思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
御提案のとおり、本県の観光産業が国際観光市場において持続的に発展していくためには、本県独自のすぐれた歴史文化を活用した新たな観光商品を開発することが重要となっています。
そのため、本県の歴史文化や民俗芸能等を集大成した新規の観光イベントとして「大琉球・まつり王国」の開催を計画し、10月の実施に向けて鋭意その準備に取り組んでいるところであります。この「大琉球・まつり王国」は、運輸省を窓口に県や旅行代理店等で構成する沖縄デスティネーション開発協議会において提案され、各委員が協議を重ねて立案した新規イベントであり、県内外の旅行関係者から期待が寄せられています。
次に、受け入れ体制の強化については、その重要性から現在台風時の延泊者に対する宿泊料金特例制度の導入に向けて関係団体と協議しているところであります。
また、観光客等から苦情の多いタクシーサービスについても、その改善の一環として意見、提言等を内容とする「めんそーれカード」制度──これは仮称でございますけれども──の導入を検討しているところであります。
さらに、観光地づくりは地域づくりとの視点に立って、1万人県民クリーン大作戦等を内容とする観光週間事業や、めんそーれ沖縄県民運動の拡充等に取り組んでいるところであります。今後とも、国内外観光地との市場競争力の強化を図ることを目標に、昨年12月に策定した沖縄県観光振興基本計画中期行動計画に位置づけられている各種の事業を計画的に実施し、魅力ある観光地づくりに努める考えであります。
次に、知事が県民を代表する形で観光立県宣言を行い、内外の観光関係者に対し名実ともに国際的な観光地沖縄をアピールしてはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県観光を取り巻く厳しい環境の中で、本県の観光産業が今後とも持続的に発展していくためにはハード、ソフト両面にわたって魅力的な観光地づくりに努めることが重要であると考えております。そのためには、県民が一体となって観光産業が本県経済の発展に果たしている役割の重要性を認識し、それぞれの立場から主体的に取り組むことが求められています。
観光立県宣言につきましては、10月に実施予定の「大琉球・まつり王国」の際に実施する方向で現在諸準備を進めているところであります。
その他の御質問につきましては、お許しを得て関係部長等から答弁させます。
○副議長(中根 章君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 幸喜良秀君登壇〕
○観光文化局長(幸喜良秀君) 近年、沖縄観光と競合しつつある東南アジアリゾートヘ日本人観光客はシフトしているが、これらリゾート地が持つ制度的な面での本県との特異性にはどのようなものがあるかとの御質問にお答えいたします。
本県の観光産業は、円高の進行や国際航空運賃の低減化などで海外リゾート地、とりわけ東南アジアの国々との間で熾烈な競争を余儀なくされております。
これら東南アジアの国々、例えばシンガポール、マレーシア、タイ等においては観光・リゾート産業を国の重要な産業として位置づけ、外国人観光客を誘致するための活動拠点として海外の主要都市に事務所を設置するとともに、特に日本市場等を対象に積極的な広報宣伝事業を実施するなど計画的な誘客プロモーション活動を展開しております。
これらの地域においては、例えばシンガポールでは植樹週間を設け、国を挙げて緑と花を基調にした都市国家づくりに努めるとともに、ホテル、レストランでの売り上げに係る税収の一部を観光予算として措置しております。
また、マレーシアのペナンでは割安なルームチャージ方式を採用したり、施設内にナースステーションや保育室を常設するなどして充実したリゾートライフが送れるように工夫されております。
タイのプーケットにおいては、雨季に当たる5月から10月までのローシーズンの間は、1週間以上滞在すると、その滞在日数に見合う期間の宿泊料金は無料とするなどの仕組みがとられております。
このように、東南アジアの国々においてはそれぞれの地域に合ったユニークな施策が展開されております。
○副議長(中根 章君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 比嘉政昭君登壇〕
○環境保健部長(比嘉政昭君) 環境行政について、廃棄物交換情報を確立し、それに基づいたネットワーキングの推進や事業化を支援する情報提供センターを設置してはどうかとの御質問にお答えいたします。
廃棄物の減量化・再生利用を促進していくためには、排出抑制、分別収集の徹底、資源化施設の整備とともに、廃棄物情報を広く提供する制度を確立することは重要なことだと考えております。
これまでは、排出事業所と再生事業所、あるいは民間団体による独自のルートによって再利用、再資源化がなされてきていますが、行政が譲りたい事業所、あるいは譲りたい物と譲り受けたい事業所、あるいは譲り受けたい人の情報を収集し提供することによって、より円滑に廃棄物の再利用、資源化が促進されるものと考えます。
御提言の情報提供センターの設置については、県としても昨年制定した沖縄県廃棄物減量化・再生利用推進計画の推進体系の中に位置づけており、今後その設置に向け沖縄県リサイクル推進協議会の意見を徴し検討してまいりたいと考えております。
次に、サンゴ礁海域の調査についての御質問にお答えいたします。
サンゴ礁海域の調査については、平成元年度から平成4年度において環境庁の委託により自然環境保全基礎調査を実施し、また県としてもサンゴ礁生態系の保全に必要な科学的知見を得る目的で石垣島東海域をモデル地域に設定し、平成5年度からサンゴ礁保全調査を実施しております。
県の実施している調査は、当該海域における流況、水質、赤土の流出状況、サンゴを含む生物の状況等の調査を行っているもので、平成7年度で終了する予定であります。県としては、この調査結果を踏まえながら保全対策を進めていく所存であります。
次に、サンゴ礁のサンクチュアリーの設定について、現行法令によるサンゴ礁を含めた海の自然環境の維持保全を図るものとしては、自然環境保全法に基づく海中特別地区と自然公園法に基づく海中公園地区があります。
現在、沖縄における指定地区としては竹富町の崎山湾が我が国唯一の海中特別地区として指定され、また西表国立公園石西礁湖内に4カ所の海中公園地区、沖縄海岸国定公園内に3カ所の海中公園地区が指定され、保護がなされております。
海中特別地区及び海中公園地区の拡大等については、関係機関とも十分調整を図りながら検討していきたいと考えております。
○副議長(中根 章君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高嶺朝幸君登壇〕
○商工労働部長(高嶺朝幸君) 女性行政についての関連の御質問4点ほどございますが、順次お答えいたします。
1点目、女子新規学卒者の就職状況についての御質問でございますが、昭和61年4月に男女雇用機会均等法が施行されて以来今年で10年になりますが、その間の女子新規学卒者の就職決定率を見ますと昭和62年3月卒の短大卒で31.6%、大学卒で38%の低い水準でございましたが、景気の上昇もございまして平成6年まで就職決定率も年々上昇してきました。
しかしながら、その後の景気後退により就職決定率も低下に転じ、今春3月卒では短大卒が43.5%、これは男子の場合は52.2%でございます、それから大学卒44.9%、男子の場合が63%と極めて厳しい状況になっております。特に大学卒につきましては依然として男子との大きな差があります。
また、高校卒の就職決定率については、従来から女子と男子の格差は見られません。しかし今春3月卒業者についてはバスガイド、ホテルのウエイトレス、スーパーの販売員等女子を中心とする求人が減少したため、就職決定率も男子の67.3%に対し女子は58.4%と厳しい状況となっております。
来年3月卒の女子採用につきましてもさらに厳しくなることが懸念されますので、県といたしましては求人開拓、文書による求人勧奨、事業主団体等の会合等あらゆる機会をとらえて男女雇用機会均等法の趣旨に沿って、男子同様女子にも就職の機会を与えるよう企業の理解を求めてまいりたいと考えております。
2点目、女子の求人求職状況及び雇用促進対策についてでございますが、平成7年5月における女子のみを対象とした有効求人数は1211人となっております。
なお、求人にはこのほかに男女どちらでもよいとする共用求人がございます。その有効求人数は1045人となっており、その結果、本年5月における女子求職者の応募可能な求人数は2256人となっております。
また、有効求職者数は1万1091人となっていることから、有効求人倍率は0.20倍となっております。
なお、雇用促進対策につきましては、雇用機会均等法の一層の周知を図るため7月の男女雇用機会均等月間を設定し、講演会やシンポジウム等を実施しております。
また、10月の仕事と育児を考える月間では、仕事と家庭を考えるセミナー等を開催する予定であります。
さらに、女子の再就職に関する援助のため特定求職者雇用開発助成金の活用による雇用の促進、パートタイム労働者の職業指導、職業紹介の充実強化を図り、女子労働者の雇用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
3点目、セクシュアルハラスメントの実態調査をしたことがあるかということでございますが、職場におけるセクシュアルハラスメント、いわゆる性的嫌がらせの問題は女性の働く権利や個人の尊厳、名誉、プライバシーの侵害等人権にかかわる問題であるとともに、企業にとっても職場秩序は乱れ、業務の円滑な遂行が阻害されるなど企業の効率的運営にも損失をもたらすものであります。男女がともに尊重し合い、快適に働くことができるための職場環境を整備することは重要なことと理解しております。
同実態調査はこれまで実施をしておりませんが、できるだけ早い時期に実態把握ができるよう検討してまいりたいと考えております。
最後に、セクシュアルハラスメントに関する事業についての御質問でございますが、セクシュアルハラスメントに関する事業については平成6年度に「働く女性のハンドブック」を作成し、関係機関・団体に配布するとともに、講演会、シンポジウム、労働大学講座等を開催し職場における意識の高揚に努めているところであります。今後とも労働省沖縄婦人少年室等関係機関と連携をとりながら県民意識の啓発に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(中根 章君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 女性行政との関連で、県職員の育児休業の行使状況についての質問にお答えいたします。
育児休業は1歳未満の子を持つ職員が対象となっておりますが、平成6年度における女性職員の休業行使状況は、対象職員788人中625人が休業を行使し79.3%の行使率となっております。
なお、平成5年度の全国の行使率は78.6%となっております。
○副議長(中根 章君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 安里和子君登壇〕
○生活福祉部長(安里和子君) 福祉行政に関する御質問にお答えいたします。
緊急保育対策等5カ年事業に対する県の取り組みはどうなっているかという御質問でございますけれども、緊急保育対策等5カ年事業につきましては、県におきましても国の施策に対応して低年齢児保育や時間延長保育などの特別保育事業等を市町村と連携しながら積極的に推進していく考えでございます。
なお、これらの事業に要する経費として本年度は4億2636万円を予算計上いたしております。
同じく緊急保育対策等5カ年事業について、市町村に対しどう指導していくのかという御質問でございますが、お答えいたします。
緊急保育対策等5カ年事業の実施につきましては、地域の保育ニーズに合った特別保育事業や、放課後児童対策事業を積極的に推進するため、市町村民生主管課長会議や保育所長会議等を通じて施策の周知徹底を図り指導を行っているところであります。
なお、緊急に対策を講ずる必要のある市町村に対しましてはより強力に個別的な指導を行ってまいりたいと考えております。
次に、地方版エンゼルプランの策定に取り組んでいる市町村があるかという御質問でございますが、児童育成基盤整備等推進事業、いわゆる地方版エンゼルプランの策定事業は、今後の子育て支援のための地域の特性を生かした総合的な計画を策定するものであります。
本年度は、沖縄市と豊見城村の2つの自治体が計画の策定に取り組んでおります。
以上でございます。
○崎浜秀三君 副議長、休憩願います。
○副議長(中根 章君) 休憩いたします。
午後5時10分休憩
午後5時16分再開
○副議長(中根 章君) 再開いたします。
与座嘉彦君。
〔与座嘉彦君登壇〕
○与座嘉彦君 通告いたしました質問事項のうち、公共工事の入札制度については時間の関係上質問を取り下げ、青少年の健全育成についてだけ質問いたします。
今日、我が国は世界でもまれに見る繁栄を遂げましたが、青少年を取り巻く社会環境は情報化社会を迎えて著しく悪化しております。特にポルノまがいのコミック誌や有害ビデオの蔓延、麻薬、シンナーなど青少年の健全育成を阻害し非行の温床ともなっています。また家庭教育力の低下、家庭の崩壊が問題視され、青少年に悪影響を与えることが指摘されています。
これらが原因となっていじめ、登校拒否などが発生し、学校だけの問題として片づけることができない大きな社会問題となっております。
青少年をこうした環境から守り、よりよい環境を醸成していくためには、学校、家庭、地域、そして行政が一体となって取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。
そのような観点から幾つかの点について質問をいたします。
まず、有害図書についてであります。
最近、町の至るところに24時間営業のコンビニエンスストアができて手軽に利用でき、若者にも人気があります。しかし店の一角に必ず書籍コーナーがあり、その中にポルノ雑誌、ポルノまがいの少年少女向けコミック誌が堂々と売られており、だれでも自由に、店員からもとがめられることなく購入できるのであります。
1冊ここに購入して持ってまいりました。これは、少女向けのコミック誌であります。(資料を掲示) 内容に大変問題がございます。問題があるとわかっていても、これを手に取って中身を吟味しごらんになった方は大変少ないのではないかと思います。
性描写を漫画によって表現することにより、尋常ではない描写をいとも簡単に、しかもリアルに表現することができるのであります。ある意味では低俗なポルノ写真集よりも刺激が大きいのではないかと思慮するものであります。
表紙も、一見して少女をターゲットにしたものであると一目瞭然であります。その上、本の中に掲載されている広告も非常に問題がございます。テレクラと言われるものの広告、電話回線を利用しての異性間交遊、ダイヤルQ2など大変問題のある内容であるわけであります。しかもこの種のコミック誌は女性向けでありますので、フリーダイヤル、無料で遊びに参加ができ、男性の相手をさせるというのが業者にとってのみそなのであります。
このような有害と思われる図書類を、少なくとも青少年が自由に購入できる、そのような状況だけは是正したいものであります。
沖縄県の青少年保護育成条例には、「知事は、図書等の内容の全部又は一部が著しく性的感情を刺激し、又は著しく粗暴性、残虐性若しくは犯罪を誘発助長する等青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるときは、当該図書等を有害な図書として指定することができる。」とあります。
これは、有害図書の個別指定の規定でありまして、自動販売機や書店で購入した有害と思われる図書を県青少年保護育成審議会で検討をし、知事がそれを承認することによって有害図書に指定し、県公報に告示ないしは書店業者に連絡することになり、罰則規定の適用もあるわけであります。
しかし、この個別指定をするための審議会は一、ニカ月に1回しか開かれていないということですので、有害図書に指定されたときにはもう店頭では売り切れて、その本の影も形もないという状況になるわけであります。
この従来の個別指定を強化するために包括指定の規定があり、一定の条件に該当するものは当然に有害図書となります。
例えば書籍または雑誌であって、全裸、半裸もしくはこれらに近い状態での卑わいな写真や絵が全ページ総数の3分の1以上を占めるもの、こういったものが審議会を経ないでも当然に有害図書になるわけであります。
しかし、沖縄県の包括指定の条件は千葉県等に比べると規制が緩いのであります。千葉県では、全ぺ一ジの5分の1を占めるものまたは20ページ以上あるものが当然に包括指定として認定されます。
それでは、ここにあるコミック誌を有害図書として早急にコンビニエンスストアの店頭から撤去させるためには、あるいは一般の雑誌類から区別して青少年に販売させないようにするにはどのようにしたらよいのでしょうか。
育成条例の中で知事は、有害図書等の陳列場所の変更、陳列方法の改善、また青少年が購入、閲覧することができない旨の掲示をすべきことを命ずることができるとあり、また立入調査ができる旨の規定などを適用して県はもっと積極的に行政指導をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
とにかく指定された有害な図書を青少年に販売をすれば罰則の適用を受けるのでありますから、県の姿勢の問題、やる気の問題であると思います。当然に業者も包括指定の網をくぐるために知恵を絞るでしょうから、直接販売店への協力要請も必要なことだと思います。
そこでお尋ねいたしますが、県として有害図書の販売自粛についてどのように考えられているのか、お聞きいたします。
また、青少年保護育成審議会においての有害指定状況はどうなっているのか、あわせてお尋ねいたします。
それから、有害図書の未成年者への販売について取り締まり等に関して県警本部長の御意見もお聞かせください。
続いていじめの問題についてお伺いいたします。
いじめについては議会のたびに質問があり、県、特に教育庁においてはいろいろと調査をなさり、また対応策についても取り組んでこられたものと思います。
最近耳にした事例でありますが、ある中学校の校区での出来事であります。
その子は、ふだんからどちらかといえばいじめられる方の対象であったようでありますが、ささいなことで顔や腹を殴られたあげく、数人の仲間から背中に油を塗られライターの火を押しつけられて大やけどを負わされたのであります。親が問いただしたところ、仕返しが怖かったのか、自分で焼いたと答えたそうであります。この子を診察した医師が驚いて、これは傷害事件であるから警察に連絡した方がよいと言われて、初めて警察、学校、加害者の親に連絡をとったそうであります。
医師の話では、油が肛門まで垂れて焼かれていたならば、この子は障害児になっていたであろうとのことだったそうであります。
加害者側から申しわけなかったとの謝りの言葉もなく、かえって事件が警察ざたになり子供はもう十分報いを受けていると子供をかばったというのであります。被害者側はどう対処していいかわからず、加害者側も罪悪感に乏しく、悪く言えば他人事のようだったということでありました。
いじめる者、いじめられる者双方の家庭でのしつけ、教育について親自身が自信を持って対処していないのではないかと思わざるを得ないわけであります。
また、学校の対応も大変疑問であります。学校へ連絡しても、担任の教師はおろかだれも駆けつけてこなかったというのであります。もちろんそれぞれの立場によって言い分も違うと思いますし、私も事実関係について徹底的に調査したわけでもありませんので、具体的にお話しすることは差し控えますが、少し考えさせられる話でありました。
県がまとめた青少年の意識実態という資料の中で、子供たちの理想とする現実の父親像、母親像として子供を理解した上で厳しい親が理想であるということであります。
また、学校への不満の理由で、中学では教師に対する不満が一番大きいのであります。そして理想の教師像として生徒との触れ合いを大切にし、悩みや相談に乗ってくれる教師が理想の教師であるというのが中高校生で70%にも上っているのであります。
特に一番問題の多い年代であります中学生、このころは知識だけでなく人間としてのあらゆる情操が育成される年ごろであります。先生方は知識を教えることについては熟練をしているかもしれませんが、子供たちの情操を豊かにしてやる、そういった教育について、あるいは生徒たちとつき合う方法等については自信をお持ちではないのではないか。
また、いじめの問題に関して及び腰、悪く言えば逃げ腰の姿勢であると見られるならば大変ゆゆしい問題だと思います。いじめの問題は、学校現場の荒廃同様大変困難であることは間違いありません。
そこでお伺いいたしますが、いじめ問題について教育長の考え方及び取り組みについてまずお聞かせください。
また、教師一人一人の積極的対応が不可欠でありますが、学校現場ではいじめの問題をどう考え対処していこうとしているのか、明確な御答弁をお願いいたします。
それから、警察で把握しておられるいじめによる傷害事件等の実態についてお聞かせ願いたいと思います。
次に、少年非行と青少年を取り巻く環境についてお尋ねいたします。
非行少年の補導状況についてでありますが、資料によりますと70%が深夜における補導だそうであります。
毎回言われるように、少年たちの深夜徘回が少年非行の大きな原因となっていると思われます。青少年を取り巻く環境浄化のためには、自由放任ではなく、社会環境にある程度の規制をするのもやむを得ないもので、カラオケボックス、ビデオレンタルショップ、ゲームセンター等夜10時以降の子供たちの入店を禁止させるべきだと思います。青少年が集まる場所には、少なくとも10時以降の立ち寄りは禁止すべきではないでしょうか。そのような行政の指導ができるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
また、最近問題になっている風俗営業での青少年の違法就業の実態はどうか、高校生等の未成年者の夜間のアルバイトの実態はどうなのか、特に夜10時以降はこれも禁止すべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。
それから、問題となっているテレホンクラブは売春、少年少女たちの不純異性交遊の仲立ちとなるものであります。
このテレホンクラブは県内に何軒あるのか、このような業種を野放し状態にしておいてよいものかどうか。目に見えない電話回線を利用しての話のやりとりについては、未成年者の利用を禁止することは実際上不可能であります。こういった業種の営業については許可制にするとか、広告宣伝を規制するとか、何らかの方法がとれないものか、お尋ねいたします。
また、日本PTA全国協議会が発表した調査の中で、中学生が自動販売機を使って酒やたばこを購入している実態が明らかになっています。酒が24.5%、たばこが54.5%が自動販売機から買ったということであります。
母親が子供の教育のための社会環境で困っていることは何かとの問いに、1位は性に関する本、チラシ等がすぐ手に入ること、2番目が酒、たばこ等がすぐ買えることであるとなっています。酒やたばこの自動販売機の規制も必要ではないかと思いますし、既に島根県出雲市では酒類の自動販売機は条例で屋外に置いてはならないことになりました。県として酒、たばこの自動販売機についてどのように考えられているのか、お尋ねいたします。
それから、県内の少年非行の現況と問題点について簡単に御説明願います。特に児童福祉法違反、青少年保護育成条例違反、風適法違反、未成年者飲酒禁止法違反について犯罪件数の推移と具体的事例についてお聞かせください。
最後に、今月7月1日から8月31日まで県の青少年育成県民運動が展開されています。
知事はあいさつの中で、「夏は、青少年にとって長い夏休みをはさんで自主活動や特別活動の機会に恵まれ、のびのびと創造的な活動のできる機会です。同時に、解放感から生活リズムが乱れ、非行に陥るなど予期せぬ問題が起きやすい時期でもあります。この時期に、県ではすべての青少年が健やかに育成され自主・自立の心を育てることができるよう平成7年7月1日から8月31日まで「夏の青少年育成県民運動」を展開します。」と述べています。
そこで県民運動の具体的内容とスケジュール等についてお聞きいたしたいと思います。
以上であります。
残りは再質問いたします。
○副議長(中根 章君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 与座嘉彦議員の御質問にお答えいたします。
県として有害図書の販売自粛についてどのように考えているかという御質問でございます。
有害図書の指定は、沖縄県青少年保護育成条例に基づいて行っておりますが、個別指定の有害図書につきましては、指定後は公報に登載するとともに、文書等によって書店や関係者に周知の徹底を図り販売の自粛を求めています。
有害図書がコンビニエンスストア等書店以外でも販売されている実態を踏まえ、流通の状況把握に努めており、取扱業者に対しましては成人コーナーの設置等行政指導の強化に努めていきたいと考えております。
次に、青少年保護育成審議会における有害指定の状況はどうなっているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
知事は、青少年保護育成審議会に諮聞し答申を受けて有害図書の指定を行っておりますが、平成6年度の有害図書の指定件数は212件であります。
お許しを得まして、その他の御質問については関係部長等から答弁させます。
○副議長(中根 章君) 警察本部長。
〔警察本部長 吉川幸夫君登壇〕
○警察本部長(吉川幸夫君) まず、有害図書の未成年者への販売に対する取り締まり等についてでありますが、最近は少年がいわゆる有害図書を簡単に入手できる状況にありまして、またこれが原因、背景となったと思われる非行事案も見られ、いわゆる有害図書の青少年の健全育成に与える悪影響ははかり知れず憂慮しているところであります。
県警といたしましては、少年の健全育成を図るという立場から警察官を初め婦人補導員や少年補導員をして立ち入り指導をするとともに、法令に違反する行為については看過することなく厳正に対処しているところであり、また関係機関・団体、青少年ボランティアと連携して積極的な広報啓発活動や有害図書等の発見活動並びに指導等を推進しているところであります。今後とも関係機関と連携を密にして有害図書等の絶無を期して取り組んでまいりたいと考えております。
それから、県警で把握しているいじめによる傷害事件等の実態についてでありますが、いじめ事案全体の正確な把握はなかなか難しいことでありますが、いじめが原因と思われる集団傷害事件は平成6年中20件、平成7年4月末現在で5件発生しております。
事案の内容は、金銭恐喝に絡む逆恨みによる暴行傷害事件でありますが、悪質、陰湿な事案に対しては事件措置をして厳正に対処しているところであります。
またこの種事案は表面化しにくく、また青少年の健全育成及び福祉を図る等の教育的配慮も必要であることから、警察といたしましては、学校及び関係機関等と連携を密にして必要により学校、保護者等に対し指導助言を行うなど、この種事案の未然防止、被害拡大防止に努めているところであります。
次に、カラオケボックス、ビデオレンタル、ゲームセンター等の午後10時以降の子供たちの入店の問題についてでありますが、カラオケボックスにつきましては青少年の午後10時以降の立ち入りは沖縄県青少年保護育成条例によって禁止されており、またゲームセンターにつきましては風営適正化法施行条例により午後8時以降の立ち入りが禁止されております。
これら営業所を初め、、ビデオレンタルショップ等に対し毎月第3土曜を少年を守る日としておりますが、こういった日を機会といたしまして警察官、婦人補導員、少年補導員等のボランティア等による立ち入りを行い指導を実施しているところであります。
それから、風俗営業での未成年者の違法就業の実態についてでありますが、残念ながら悪徳風俗営業者が常習的に未成年者を雇用し違法就業させる福祉犯罪が後を絶たないというのが実情であります。平成6年中、同違反により検挙されたこうした悪徳風俗営業者は46件、件数的には平成5年中の52件に比較し若干は減っております。
なお、本年も4月末現在10件を風俗適正化法違反で検挙しております。被害者の多くは中学生、高校生となっております。県警といたしましては、このような悪徳営業者に対しては今後とも徹底した取り締まりを実施するとともに、被害少年の早期発見、保護を図ってまいりたいと考えております。
それから、テレホンクラブの実態とこうしたものの広告宣伝に対する規制についてでありますが、テレホンクラブが青少年による不純異性交遊や売春事犯に利用されていることが考えられるところから、その実態把握に努めてきたところであり、現在のところ14軒を把握しております。
最近、テレホンクラブの広告宣伝のいわゆるピンクチラシを公衆電話ボックスや街路樹に貼付したり、一般家庭にまで投げ込む事案等が発生しておりますが、県警といたしましてはこの種事犯に対し軽犯罪法違反として積極的に取り締まり活動を行うとともに、同種事犯の再発防止を図っているところであります。県警といたしましては、今後ともテレホンクラブ利用の実態把握を継続して進めてまいりたいと考えております。
それから、県内の少年非行の現状と問題点についてでありますが、刑法犯少年について申し上げますと、平成6年中における刑法犯で検挙された少年は1194人で、平成5年の1179人に比較して15人の増加であります。
罪種別に申し上げますと、窃盗犯が最も多く894人で、全体の約75%となっております。
学職別に申し上げますと、中学生によるものが最も多く605人で全体の約51%でございます。
次に、不良行為少年の補導状況でございますが、平成6年中における不良行為で補導された少年は1万5867人で、平成5年中の1万2888人に比較いたしますと2979人、約23%の増加であります。
不良行為全体を時間帯で見ました場合、深夜──これは夜10時から朝4時まででありますが──この間における補導人員が全体の約70%となっております。
なお、平成7年5月末現在における刑法犯で検挙された少年は325人で、昨年同期比で166人の減少、不良行為少年の補導は6046人で同じく同期比で219人の増加となっております。県警といたしましては、このような現状を踏まえまして本年の警察の活動重点に少年の非行防止を掲げまして街頭補導活動の強化、少年の深夜徘回防止運動等諸対策を推進しているところであります。
なお、少年非行を初め各種事件事故の大きな誘因、背景ともなっているいわゆる夜型社会の是正を図るため、まず、範を示すべき大人が遅くとも夜の12時までには家に帰ろうという趣旨でシンデレラタイム普及運動を提唱し、警察職員はもとより、全県的にそれぞれの地域の実情に即した住民主導型の普及運動を各警察署単位に展開しているところであります。
それから最後に、児童福祉法違反、青少年保護育成条例違反、風営適正化法違反、未成年者飲酒禁止法違反について犯罪件数の推移と具体的事例についてということでございますが、平成6年の福祉犯罪の検挙状況を平成5年と比較してみますと、児童福祉法違反が平成6年18件に対し平成5年は2件でプラス16件となっております。
青少年保護育成条例違反は平成6年95件に対し5年は97件でマイナス2件、風営適正化法違反につきましては平成6年46件に対し平成5年52件でマイナス6件、その他これは未成年者飲酒禁止法違反とか売春防止法違反等々でございますが、平成6年46件に対し平成5年は58件でマイナス12件、検挙数の合計は平成6年205件に対し平成5年は209件でマイナス4件となっておりまして、件数的には平成5年に比較して若干減少しております。
また、保護された被害少年の数は平成6年251人、平成5年は357人となっております。
なお、平成7年4月末現在における検挙状況を申し上げますと、児童福祉法違反5件、青少年保護育成条例違反33件、風営適正化法違反10件、その他21件となっており、保護された被害少年は100人となっております。
具体的事例としまして特に悪質なものを一つ御紹介しますと、ことしの2月、暴力団組員が女子中学生に対し覚せい剤を与えて性行為を行うとともに売春をさせるといった事案を認知し、女子中学生1名を保護するとともに、暴力団組員2名、風俗営業者1名を検挙しております。
県警といたしましては、このような現状に対し少年の福祉を害する犯罪の取り締まり、ディスコ等風俗営業所への立ち入り、少年を暴力団から守る活動等を推進しているところでございます。
以上でございます。
○副議長(中根 章君) 教育長。
〔教育長 仲里長和君登壇〕
○教育長(仲里長和君) いじめ問題に関します教育委員会の考え方及び学校での対処の仕方についてお答え申し上げます。
ただいま与座議員から具体的な事例が出ましたが、その概要については私たちも掌握をしているつもりです。
医師の勧告といいますか、注意によりまして警察に訴えた方がいいということになってお母さんが担任に連絡をいたしましたところ、担任はそのときちょうど不在でございました。それで副担任に連絡をし、副担任は生徒指導主任に連絡をしてお母さんを説得して警察に届け出をしております。その後、加害者の保護者も呼びまして一緒に話し合いを持っていますが、加害者側の両親と申しますか、そのいじめに対する反省あるいは自分の子がやったことに対する悪いという思いは持っていないようでありまして、一連のこの事例を見ましても被害者である子供がなかなかいじめだということを言わない、それから加害者の側もその罪の意識ということに非常に薄い点があると。また学校でも事前にそういうことがなかなか掌握ができないという一連のいじめ問題の深刻、難しさということを浮き彫りにした事例でございます。
私たちは、こういう犯罪まがいのいじめについては警察とも連絡をとりながら毅然として対処していかなければいけないというふうに考えております。
いじめの問題は、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼす深刻な問題でありますので、その解決を図ることは本県教育の緊急な課題であると考えております。
県教育委員会といたしましては、どの学校においてもいじめが起こり得るという認識に立ってすべての学校でいじめ問題の総点検を実施し、毎月いじめの実態調査をしてその数を報告していただいております。
さらに、いじめ問題の根絶に向けての指導資料を全教職員に配布し、いじめの早期発見、早期指導に努めますとともに、校長研修会を初めとする各種研修会の開催、さらに生徒みずからがこの問題解決に取り組む中学生フォーラムの開催、さらに巡回教育相談事業等を実施いたしましていじめ等の諸問題行動に対処しているところであります。
学校におきましては、校長を中心とした指導体制を強化し、児童生徒の悩みを受け入れる教育相談活動、道徳教育の充実、自然体験、社会体験、奉仕体験等すべての教育活動を通して他人を思いやる心の育成に努めております。
いじめ問題の解決には、学校、家庭、地域社会、関係諸団体等がそれぞれの役割を自覚し機能を生かすとともに、日常的な連携を密にしていくことが大切だと思います。そういうことを踏まえて今後ともいじめの根絶に努力をしてまいりたいと考えております。
次に、高校生及び未成年者の夜間のアルバイトの実態、また夜の10時以降のアルバイトは禁止できないかということに関するお答えでございます。
平成5年12月の調査によりますと、アルバイトをしている高校生──これは全員に調査したわけではございません、抽出をして1万7299人──を対象に調査しましたところ、2934人、対象人員の17%がアルバイトをしております。
アルバイトの終了時刻ですが、アルバイトをしている者のうち7時までに──高校生は授業終了後アルバイトに行きますのでどうしても就業時間が夜間に及ぶということになります──終わるのが4%、8時までが14%、9時までが25%、10時までに終わるのが45%、午後10時以降もアルバイトを続けるというのが17%おります。
なお、労働基準法によりますと18歳に満たない者は午後10時以降使用者は使用することが禁止されておりますので、したがいまして学校においてもその趣旨に従って午後10時以降のアルバイトは禁止しているところであります。
○副議長(中根 章君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 安里和子君登壇〕
○生活福祉部長(安里和子君) 青少年の健全育成について、酒、たばこの自動販売機による販売について県はどのように考えているかという御質問にお答えします。
県におきましては、青少年の健全育成の立場から酒、たばこの自動販売機での販売を自粛するよう青少年育成県民運動や青少年育成キャラバン活動等で啓発活動を行っております。
なお 酒、たばこの販売免許許可は国の所管となっておりますので、県といたしましては関係部署に対し青少年の非行防止や健全育成に配慮した措置をお願いしているところであります。
同じく青少年の健全育成に関連いたしまして、県民運動の具体的内容とスケジュールについて伺いたいという御質問にお答えします。
県におきましては、青少年の健全育成活動を積極的に推進するため県教育委員会、警察本部、青少年育成県民会議、各市町村並びに関係機関団体等と連携し年3回青少年育成県民運動を実施しております。
御質問の夏の青少年育成県民運動の具体的な活動としまして、今月14日に「青少年を非行から守る県民大会」を開催し、また同じく今月の15日に「青少年の深夜はいかい防止県民一斉行動」を実施する予定であります。
そのほか、児童福祖施設の児童の球技大会やエイズを考える高校生フォーラム、青少年を非行から守る環境浄化活動、少年の主張大会、親子自然体験学習など青少年の健全育成及び非行防止のための諸活動が展開されます。県におきましては、こうした活動を県民総ぐるみの運動として位置づけ強力に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(中根 章君) 与座嘉彦君。
〔与座嘉彦君登壇〕
○与座嘉彦君 御答弁をいただいた中で、県内にはテレホンクラブが14軒あるということであり、意外に多いものだとびっくりいたしております。最近は県内にもツーショットダイヤルというのがありまして、ダイヤルQ2の規制を回避するため事前にカードを購入させることによって業者側に料金が支払われる方法もあります。
テレクラが全国的に広がり、しかも女子中学生にまで浸透しているという日本PTA全国協議会の衝撃的な記事が読売新聞に掲載されました。女子中学生の4人に1人はテレホンクラブを利用したことがあるというのであります。友達の誘いや好奇心が主な動機だそうであります。もちろん親の9割強がその実態を全く知らないということであります。
それだけではありません。青少年の性意識調査の中では高校生の売春について、高校生男子では、絶対にいけないと考えている子供は37.4%、そのほかは一、二回ならよい、その人の自由である、こう答えているのが実に62.6%であります。
一方女子の方でも、48.7%がその人の自由である、あるいは一、二回ならよいと答えているのであります。これが中高生の性意識だということであります。今どきの中学生、高校生はとあきれる前に、私たちは早急に非行のもとになる原因を取り除かなければならないのであります。
岐阜県の梶原知事は、青少年が性犯罪に巻き込まれる原因として問題になっているこのテレホンクラブの営業を規制する条例案をことしの9月定例県議会に提案する方針を明らかにしております。
新聞報道によると、現在条例案の骨子を考案中であるが、形としては県青少年保護育成条例を一部改正し、テレクラ規制の章を新たに加えて対応すると報道されています。もちろん憲法が保障する営業権との兼ね合いも含め最終的な条例案を固めるわけであります。このテレクラ条例が制定されれば全国初のケースとなるということであります。
大田知事、青少年の健やかな育成を願う見地から、沖縄県も有害な環境を少しでも是正しようとする意欲を県民にはっきりとお示し願いたいと思います。ぜひテレクラ店舗の営業許可制、ツーショットカードの自動販売機設置基準等を検討していただき、条例制定に強い要望を申し上げ、知事の前向きの御答弁を期待して質問を終わります。
○副議長(中根 章君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 青少年の健やかな育成を願う立場から有害環境を少しでも是正しようとする意欲を示してもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
御指摘のように、青少年を取り巻く社会環境は非常に厳しい状況にあります。消費の拡大、性産業のはんらん、薬物乱用等享楽的社会風潮は人格形成期の青少年に悪影響をもたらしています。青少年の健全育成は社会全体の責任であり、県では沖縄県青少年育成基本計画を策定して家庭、地域、学校、行政のネットワークづくりに努めているところであります。
なお、テレクラ等のカード自動販売機の規制に関しましては、九州各県青少年対策主管課長会議でも提起された全国的な問題であり、今後他府県とも連携してどういう方策がとれるかを積極的に検討していきたいと思います。
○副議長(中根 章君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 一般質問のしんがりでありますが、知事を初め執行部の皆さんには大変お疲れだと思いますが、もうしばらくでありますからひとつ頑張っていただきたいと思います。
それでは通告に従い質問を行います。
まず最初に、知事の訪米成果と今後の対応についてであります。
私は、去る5月17日に出発した4回目の知事訪米団に6市町村の代表ら総勢22人の一員として参加し、当面する基地問題について訴えてまいりました。
今回の要請行動に当たっては、事前の資料の準備はかなり行き届いていたのではないかと思います。県独自で策定した諸資料に加えて参加した市町村の資料も具体的で迫力ある内容で極めて充実したものだと言えます。
要請先の日程においても、ワシントン国務省、国防総省関係機関を中心に、米国連邦議会やハワイにある太平洋軍司令部、太平洋艦隊付海兵隊司令部並びに太平洋空軍司令部関係要路など必要な要請先はほぼ予約がとれたのではないかと思います。
このように関係要路に訴えてきたことは大きな意義があったと思います。これだけの日程と資料を準備することは大変御苦労があったと思います。知事を初め執行部、関係市町村並びに現地ワシントンで連日行動をともにし、通訳として活躍していただいた仲地政夫氏に敬意を表したいと思います。
まず総括的な印象としては、国務省、国防総省の政府関係者は予想はしていたことですが、沖縄の基地問題はよく承知していると、また日米安保、地位協定等を強調し、日米安保の運営を優先した米国のアジア戦略の視点からしか沖縄を見ていないことを痛感しました。また沖縄県民がいかに基地の重圧に苦しみ、健康と安全が脅かされ、環境破壊や地域振興開発の阻害になっているか、民生問題の解決が軽視されている印象を受けました。
世界の超大国として外交を展開している米国政府を相手に、しかも窓口の広い基地問題を訴え解決を図っていくことは大変な忍耐と行動力が必要だということを感じましたが、反面、徐々にではあるが米国を動かしつつあるのではないかという感触を得ることもできました。
それと、今回の要請行動の特徴としては、6市町村の代表が参加してそれぞれが抱える基地問題を訴え、基地の存在がいかに地域住民の生活と健康、環境に影響し、また地域振興の阻害になっているかをじかに関係要路に訴えたことは、沖縄基地の実態と理解を深める上からも大変効果があったと思います。
第2点目には、ワシントン・ポスト紙と上下両院議会の院内紙ザ・ヒルに広告を行ったことは、多くの政府や議会関係者から、広告新聞を見て、大変よい内容で、よい手段だと反応があったことは、沖縄問題に対する関心のあらわれであり、またハワイでの記者会見の模様が大きく報道されたことなど、マスコミを通して沖縄の基地問題を訴えたことは大きな効果があったと思います。
第3点目には、民主党のデラムス元上院軍事委員長が、これまでは沖縄基地の再編、整理がおくれていた、今後基地の再編を検討していかなければならないだろうと述べ、沖縄基地問題の解決のため国防長官や大統領とも話し合っていきたいと積極的な回答を寄せたことは、今回の訪米の一つの成果ではないかと思います。
また、グアム島選出のアンダーウッド代議員が、海外の米軍基地も基地閉鎖・再編委員会の作業対象にすべきであるとしてシュローダー下院議員が提起し推進してきたが、議会を通過させることができなかったと述べ、1997年に新たに設置される同委員会に沖縄の米軍基地も含めるよう関係者に働きかけてはどうかという注目すべき大変参考になる提言も今後の要請行動に生かせるのではないかと思料されます。
また、一方ではハワイ州のカエタノ知事のハワイヘの基地受け入れ歓迎論や、議会関係スタッフの米国では基地閉鎖に反対の声が強いという発言など我々の要請とは対照的な反応も見られ、無理に沖縄に基地を置かないで広い米国本土に移転すればよいのではないかとさえ感じました。米国政府、議会関係要路等の基地に対する考え方の一端を知り得たことも大いに参考になったと思います。
そこで、今後の対応についてお聞きをいたします。
今回の訪米の成果と問題点を総括し、今後の対米要請行動の戦略を練り直す必要はないのか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
第2点目には、ワシントンに行ってまず痛感したのは、何らかの形でワシントン事務所を設置することです。事前の日程の策定、連絡調整、情報の収集など腰を据えて今後の要請行動を展開するためにも有効ではないかと思います。事務所の性格、位置づけは基地問題だけに限定しなくてもよいのではないか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
3点目には、1997年から再設置される基地閉鎖・再編委員会に沖縄の米軍基地もその対象に含めるように今後は要請してはどうか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
次に、平和、軍縮、基地問題についてであります。
ことしは戦後50周年という節目の年を迎えて、県内外で画期的な事業、催しが開催され、平和への新たな一歩を踏み出す記念すべき年として後世に残るのではないかと思います。
県内においては、平和行政の一環として平和の礎が完成し、6・23沖縄全戦没者追悼式にあわせて村山総理を初め土井、原衆参両院議長と草場最高裁長官の三権の長が出席する中、その除幕式が盛大に挙行され、県民はもとより県内外の関係者、遺族に大きな感銘を与え、平和の発信地沖縄にふさわしい事業として内外から注目されました。
さて、長崎市では「過去半世紀における軍縮努力と将来への展望」をテーマにした国連軍縮長崎会議が6月12日国連軍縮センターなどの主催で開催されました。この会議には36カ国から政府関係者、軍縮専門家39人が参加し、核兵器廃絶が重点的に討論され、長崎の悲劇を再び起こしてはならないという決意が確認されました。また会議では村山首相のあいさつの中で、21世紀に向けた核軍縮について関係国の論議を深めるため来年日本で核軍縮セミナーを開くことが提案され、会議の最終日でその開催が歓迎されております。
本県は、米軍基地の75%が集中しているという超過密基地を抱えてその重圧に苦しんでおり、しかも米軍基地内には多くの核貯蔵施設が依然として残されており、沖縄の返還の際に日米間で核密約があったことが明るみに出るなど沖縄の核疑惑は深まるばかりであります。
米軍基地の核疑惑を解明し、米軍基地撤去の必要性を内外にアピールしていくためにも核軍縮セミナーを本県で開催することは、平和の発信地沖縄に最もふさわしい意義ある催しではないかと思います。1989年以来毎年日本で開かれている国連軍縮会議を本県で開くこともあわせて提起したいと思います。知事の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
第2点目には、平和研究所の設置についてであります。
知事は、沖縄全戦没者追悼式を終えた後の記者会見で、平和の発信地沖縄を目指して国際平和研究所の設置を新たな平和発信事業として強い意欲を持って取り組むことを明らかにしております。この構想は、本県にとってふさわしい極めて重要な意義を持つものだと考えます。
スウェーデンでは、1964年に150年間平和が続いたことを記念して国際平和研究所を設置して核・生物・化学・通常兵器の軍縮管理、軍縮問題の研究などでこれまで数々の輝かしい業績を上げ、世界平和維持のため貢献の一翼を担ってきております。
本県主導で研究所を設置する場合には、沖縄の貴重な戦争体験、知事が強調する日米安保の軍事的な側面を薄めて平和友好条約に改めたいという理念、日米地位協定の改定などが生かされるような研究機関、また核問題や冷戦後のアジアの新たな安全保障の枠組みなどをテーマに研究することは、世界、アジア地域の平和貢献に大いに役立つものであります。
スウェーデンのような国際級的な平和研究機関にするのか、これから性格、位置づけ、規模、財政面などが検討されていくと思いますが、知事の平和推進事業の仕上げとしてもこの構想はぜひ実現させていただきたいと思います。これから検討委員会も設置されると思いますが、知事の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
次に、3事案の問題でありますが、この問題については知事から何回となく答弁がなされておりますので、省略させていただきたいと思います。
次に、厚生年金の格差是正問題についてであります。
長年の懸案事項であった厚生年金の格差是正が実現し、去る4月1日から該当者の受付申請等事務作業が行われております。当初は申請者が各事務所に一挙に殺到したために混雑し待機時間も長引いたようですが、最近は県が相談員を増員するなど適切な対応によって大分順調に事務が進められていると聞いております。
問題は、対象予定者8万8000人のうちどれだけの人が申請し、実際にどれだけの対象者が制度改正の恩恵を受けることになるのかであります。実際に申請したが、納付保険料額が多額なため断念する人も出ることが推察されます。県としては、改正制度が有効かつ最大限に生かされるよう
努力してもらいたいと思います。
そこで、現状がどうなっているか、お尋ねいたしたいと思います。
第1点目は、対象予定数のうち通知済み件数、受け付け件数、納付書発行件数、そして追納保険料を支払った件数は幾らか、年内には通知完了をするのか、これまでの収納済み保険料額の平均額とその総額は幾らになるのか、お示し願いたいと思います。
2点目には、これまでの申請過程で支給条件に合わないようなケースや問題点が派生したのか。例えば、IHA関係で45年1月1日現在在職していても、当時の厚生年金に加入していなかった者の取り扱いはどうなるのか、御説明を願いたいと思います。
次に、職業訓練の強化についてであります。
職業訓練校の充実強化についてでありますが、県の商工労働部の最近のまとめによると、就職率は職業能力開発短大で100%、青年開発隊81%、具志川職業訓練校で72%、浦添校73.8%と実績を上げ、若年者の就職面で大きな成果をおさめております。
しかし、現存の職業訓練校は定員に対し応募者が多く、若者の就職意欲をそぐ状況になっているのではないかと思います。
95年度の応募者と入校状況は、具志川校が2.3倍(受験者599人に対して入校者が262人)、浦添校が2倍という厳しい状況で訓練希望者の期待にこたえられない状況であります。
例年に比べて短大、大卒の応募者が2倍にふえたこともあって、高校卒の入校が阻まれている状況です。若年層の雇用拡大対策は知事の当面の重要課題です。若年層の就職促進を図るためにも実態に見合うよう現在の職業訓練校の施設の整備拡大、訓練科目の増設と定員枠を拡大し、若者の希望ができる限りかなえられるよう再検討すべきではないか、知事の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
最後に、海洋深層水の活用と研究についてであります。
現在、各国において海洋水を利用した多面的な研究が推進されております。本県においても深層水の活用の可能性について調査が進められております。また沖縄県農林漁業技術開発協会でも、同研究部会を協会内に設置をして調査研究を推進していくことを明らかにしております。
私は、先日ハワイ島にある海洋深層水を利用しての自然エネルギー研究所を知事とともに視察する機会を得ました。同研究所は1980年から研究を開始し、温かい海洋表面水と3000フィートの水面下の深層水を利用してその温度差で冷たい蒸気を発生させ、これでタービンを回して発電を起こして、余剰電力は養殖に利用しております。将来は大型発電化にすれば、ハワイ州全体の電力供給は可能だと今後の展望を明らかにしております。自然エネルギーの開発としてはすばらしい研究だと思います。
また一方では、海洋深層水を利用して面積44エーカーの敷地に粉状の薬用、健康用のタンパク質カロチンも製造していたことも注目すべき研究だと思います。
そこで知事にお尋ねをいたします。
この研究は、将来離島県の本県でも有望な研究ではないかと思います。同研究所の技術者を招いて立地可能の調査を依頼するなど海洋深層水の活用、研究を積極的に推進してはどうか、現状と今後の同研究の推進構想をお聞かせ願いたいと思います。
以上で終わりたいと思います。
○議長(嘉数知賢君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 友寄信助議員の御質問にお答えいたします。
今回の訪米の成果と問題点を総括し、今後の対米要請行動の戦略を練り直す必要はないかという趣旨の御質問でございます。
御承知のように、基地問題の解決は一朝一夕にできるものではなく、今後とも広範な県民世論を背景にして米軍基地の整理縮小に粘り強く取り組んでまいりたいと考えています。
今回の訪米要請を踏まえた今後の課題として、沖縄の基地問題の解決を促進するためには日常的な要請活動と米国の基地関係情報収集の拠点の設置について検討をしていく必要があると考えています。
また、全県民的課題である米軍基地の解決のためには、県議会及び市町村等を含め一体となって訪米要請活動を行う必要があることを痛切に感じたところであります。
次に、ワシントン事務所の設置について知事の所見を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
これまでの米軍基地返還の要請活動を通じて、ワシントンにおける活動拠点の必要性を痛感いたしました。今後、米軍基地問題に関する日常的な要請活動と米国の基地関係の情報収集を円滑に進めるため、御提言の趣旨も踏まえて県議会を初め関係機関等の御理解を得ながら前向きに検討していきたいと考えています。
それから、米軍基地の核疑惑を解明し、米軍基地撤去の必要性を内外にアピールするために核軍縮セミナーを本県で開催してはどうかと、また国連軍縮会議を本県で開くこともあわせて提起したい、知事の見解はどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県における広大かつ過密な米軍基地の存在は、地域の振興開発の制約となっているばかりでなく、県民生活にもさまざまな悪影響を及ぽしています。
このため私は、知事に就任して以来、基地問題の解決を県政の最重要課題に掲げ、これまで機会あるごとに基地の整理縮小を日米両国政府に強く訴えてまいりました。今後とも行政を預かる者として、広範な県民世論を背景に核も基地もない平和な沖縄県づくりを目指して米軍基地の整理縮小を着実に一歩一歩実現させていきたいと考えています。
御提言の核軍縮セミナー及び国連軍縮会議の本県での開催につきましては、貴重な御意見として積極的に検討してみたいと考えております。
次に、国際平和研究所の基本的な考え方を聞きたいという御質問にお答えいたします。
平和を創造し発信していくためには、戦争の悲劇について言及するだけでなく、その体験、教訓を後世に正しく継承し、さらに戦争や紛争の原因となる民族、宗教、貧困、環境問題、差別等を総合的に研究し、その対策をも考える必要があります。したがいましてこのような基本的な考え方に基づき、国際平和研究所の設置の検討を進めてまいりたいと考えています。
次に、ハワイで行われている海洋深層水を利用した研究は離島県である本県でも有望な研究と考えるが、同研究所の技術者を招いて立地可能の調査を依頼したらどうかと、また現状と今後の研究推進構想を聞きたいという御質問にお答えいたします。
県は、平成6年度に深層水の特性、本県での活用技術項目及び研究拠点の立地条件等を調べるため海洋深層水研究拠点立地条件等調査を実施したところであります。これを踏まえ、平成7年度は沖縄型海洋深層水総合利用システム開発調査を実施しております。
具体的な調査内容は、深層水を水産業、農業及び海洋療法等に総合的に利活用するシステムを構築するとともに、利活用後の地域経済への波及効果を明らかにすることであります。今後は同調査の結果をもとに各分野における実用化のための試験研究を進め、新たな産業の創出に努めてまいりたいと考えております。
なお、御提言のあります専門家の招聘等につきましては、帰りましてから早速に担当部局に検討するよう指示をしてございます。
お許しを得まして、その他の御質問につきましては関係部長等から答弁させます。
○議長(嘉数知賢君) 知事公室長。
〔知事公室長 又吉辰雄君登壇〕
○知事公室長(又吉辰雄君) 友寄議員の1997年から設置される基地閉鎖・再編委員会に沖縄基地もその対象に含めるよう今後要請してはどうかとの御質問にお答えをいたします。
基地閉鎖・再編委員会の権限を外国の基地まで対象にすることができたら、沖縄の基地問題も解決が早いのではないかとの訪米時のロバート・アンダーウッド代議員のお話は大変参考になる意見だと思います。
外国の基地について設置される委員会の権限についてどのようなアプローチができるか、現時点ではわかりませんが、今後前向きに検討してまいりたいと、こう思います。
○議長(嘉数知賢君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 安里和子君登壇〕
○生活福祉部長(安里和子君) 厚生年金の格差是正について、対象予定者のうち通知済み件数、受け付け件数、納付書発行件数及び追納保険料を支払った件数は幾らか、年内には通知完了するのか、また収納済み保険料の平均額とその総額は幾らかという御質問にお答えいたします。
今回の特例措置の通知済み件数は、対象予定者約8万8000人のうち6万2000人であります。
残り2万6000人につきましては、住所が不明のため通知ができない状況にありますので、確認ができ次第通知するとともに、確認できない者に対しましては新聞、ラジオ等により広報宣伝を図ってまいります。
雇用経歴の認定件数は、6月27日現在で1万6063件であります。このうち社会保険事務所における該当申出書の受け付け件数は1万4843件で、納付書発行件数は1万2213件となっております。
また、追納保険料を納付した方は9797人で、この時点の1人当たりの平均納付額は約160万円で、納付総額は約160億円となっております。
次に、同じく厚生年金の格差是正について、これまでの申請過程で支給要件に合わないようなケースが出ているか、当時の沖縄の厚生年金に加入していなかった者の取り扱いはどうなるのかとの御質問にお答えいたします。
これまでの申請過程で支給条件に合わないようなケースとしましては、厚生年金等の加入期間が短いため、厚生年金の受給資格要件を満たすことができず、今回の特例措置に該当しない場合がございます。
次に、今回の特例措置の対象者は、昭和45年1月1日から昭和47年5月14日までの間において沖縄の厚生年金の被保険者であった期間を有する者と法律で定められております。したがいまして御質問のIHA関係者の事例ですが、昭和45年1月1日現在在職していても、沖縄の厚生年金に加入していなかった場合はこれを対象者として取り扱うことはできない状況にあります。
以上でございます。
○議長(嘉数知賢君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高嶺朝幸君登壇〕
○商工労働部長(高嶺朝幸君) 職業訓練の強化についての御質問にお答えいたします。
本県の職業能力開発校の応募状況は、近年応募者が増加する傾向にあり、平成7年度の応募状況も県立校が2.1倍、沖縄職業能力開発短期大学校も2.4倍となっております。
御指摘のことにつきましては、その実情も踏まえて平成7年度から訓練科目の見直しを行い、地域社会が必要とする訓練科目の新設や統廃合を実施しております。
また、入校した訓練生が十分に訓練が行えるように施設備品の整備と訓練体制の強化を図っているところであります。
なお、今後の対応につきましては、平成8年度からスタートする第6次職業能力開発計画を策定する際に訓練ニーズを踏まえた訓練科目の増設、定員、施設整備等について沖縄県職業能力開発審議会において審議検討していただく予定であります。
以上でございます。
○議長(嘉数知賢君) 以上をもって通告による一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
これをもって質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております甲第1号議案から甲第3号議案まで及び乙第1号議案から乙第9号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(嘉数知賢君) 休憩いたします。
午後6時25分休憩
午後6時26分再開
○議長(嘉数知賢君) 再開いたします。
日程第8 陳情第100号、第101号及び第110号の付託の件を議題といたします。
お諮りいたします。
ただいまの陳情3件については、新石垣空港対策特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情3件については、新石垣空港対策特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) この際、お諮りいたします。
委員会審査及び議案整理のため、明7月5日から11日までの7日間休会といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、明7月5日から11日までの7日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、7月12日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後6時27分散会
前発言
次発言
19950405000010