昭和55年(1980年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 7月 4日
第 3号  7月 4日
 

議 事 の 概 要
昭和55年7月4日(金曜日) 
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 乙第1号議案から乙第16号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 城間 盛栄君(社大党)
    2 上江洲トシ君(革新クラブ)
    3 石川 盛良君(共産党)
    4 前田 武行君(社大党)
    5 渡名喜藤子君(民政クラブ)
    6 与那嶺光雄君(社会党)
    7 友寄 信助君(社会党)
    8 新垣 秀吉君(社大党)
    9 西田健次郎君(自民党)
   午後4時18分散会

○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第16号議案までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 城間盛栄君。
   〔城間盛栄君登壇〕
○城間盛栄君 くじによる改選議会、トップバッターの一般質問者の光栄に浴しました。本員は、質問通告の第1番目に基地問題を取り上げましたので、そのことが恵まれたと思います。
 私は、立候補の政策の1番に戦争政策に反対し、県民福祉最優先の地方自治確立に努めると公約いたしましたので、戦争体験してない若い世代が50%以上占め風化しつつある今日、戦争体験した者として後世に伝え、戦争のむごさを認識させる責任もあると思います。
 まず初めに、日米戦最後の戦闘となった沖縄戦は、太平洋地域の全米軍が琉球列島を確保せよとの指令により日本にとどめを刺すべく動員された米軍戦闘部隊、支援隊を加えて総数45万の大軍が投入されたと言われております。これに対し、日本軍の沖縄守備隊は約10万人、ベトナム戦争では米軍派兵50万人投入され、南べトナムの130分の1の面積しかない沖縄島に45万人の大軍が押し寄せ、沖縄戦はいかに熾烈なものであったか容易に想像できるのであります。
 沖縄の攻防戦は、ありったけの地獄を1カ所にまとめた死闘の連続であったし、90日にわたり繰り広げられた死闘の結果、戦死者は日本兵6万5908人、県出身の軍人軍属が2万8228人、その他戦闘参加者5万5246人、一般県民9万4754人、その他米軍の死者1万1000人、総計20数万人のとうとい生命が奪われた。これは毎日2834人ずつ死んでいったことになる。沖縄戦は寸刻みに20数万人の生命を奪っただけでなく、沖縄のすべてを破壊した。戦い敗れ、山変わり、一木一草焼き尽くされ、沖縄島は黄一色と化した。戦後はヤルタ協定に端を発し沖縄は本土から分割され、27年間の長期にわたりアメリカの施政下に置かれ異国の存在となった。日本政府は、昭和20年8月14日ポツダム宣言を受諾し太平洋戦争を終結せしめ、明治憲法を改正して平和憲法を制定し憲法9条では、すべての戦争を放棄し、陸海空軍その他一切の戦力を保持しない旨を規定している。これは政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないようにすることの決意とされております。
 闘争の原因は、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去し、人々をして恐怖と欠乏から免らしめることが必要とされております。県民も米軍の施政下のもとで、日本の平和憲法のもとに一日も早く復帰を念願し、長年にわたる祖国復帰運動を啓発し、そして主席公選を主張してまいりましたが、主席公選は実現し、さらに69年の佐藤・ニクソン共同声明となり、71年、沖縄返還協定により沖縄返還が本決まりし、72年5月15日、沖縄県民の悲願であった祖国復帰は実現したのであります。しかしながら軍事基地も本土並み返還に期待がかけられておりましたが、県民は安保のもとへの復帰となり、沖縄の軍事基地は復帰8年の今日なお全国の53%を占め、その上米軍は安保を盾に基地は復帰後統廃合で合理化し、基地の機能は強化し、軍従業員は大量解雇されている現状であります。基地機能の強化により、最近では新鋭戦闘機F15イーグルを初め、空中警戒管制機E3Aなど西太平洋地区のどこより早く沖縄だけに配備されていると言われております。
 沖縄の基地は、これまでベトナム戦争では嘉手納基地からB52の発進、海兵隊の出撃を初め、朝鮮沖のプエブロ事件、カンボジア沖でのマヤグェス事件、さらに韓国の板門店事件、その他極東の諸情勢の変化によって沖縄の基地は連動しております。沖縄駐留軍の演習も激化し、幾多の事故も発生しております。最近では去る1月25日、那覇空港での自衛隊機によるミサイル爆発事故、6月10日の朝、また自衛隊機F1O4Jの着陸失敗し炎上した事故、相次ぐ米軍基地よりの事故に対し県民は不安と恐怖を抱いておりますことは周知のとおりでありますので、ここで知事にお伺いいたします。
 まず1点、那覇空港の軍民共用は危険であり、多くの議員からの質問があり知事の御答弁もありましたが、本員も那覇空港は沖縄返還協定により民間空港への完全返還がうたわれており、知事としてこの際民間空港への早期返還を国に要請すべきであると思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 2点目、沖縄は全国面積の100分の1、その上人口密度も高い上、軍事基地は全国の53%を占め、基地から派生するもろもろの公害、事故等で県民は常に不安を抱いており、さしあたり本土並みに基地を利転用計画のもとに整理縮小すべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 2番目に、第1次産業の振興についてであります。
 糖業の振興対策とキビ価格についてでありますが、本県農業の基幹作目はサトウキビであり、キビの増産対策は重視されなければならないと思います。県の資料から見てみますと、サトウキビ生産の推移によると、サトウキビ生産はここ四、五年来農家の生産意欲が高まり作付面積、生産量とも増加の傾向にはあるが、農家経営規模は零細で生産性は低い状況にあります。県も今後の対策として経営規模の拡大、生産基盤の整備、有機肥料等の施用、病害虫防除及び高性能収穫機の開発導入等一連の対策を講じておられますが、特に病害虫対策について農水部長にお伺いします。
 農作物は、成長期における病害虫防除対策が重要であることは周知のことと思います。最近、本島中南部及び離島などでイナゴやバッタが蔓延しサトウキビ畑はバッタの巣窟となり、葉のほとんどが食い荒らされ、畑が赤く変色し全滅状態のサトウキビ畑が見られると新聞報道されており、沖縄全地域への蔓延のおそれが心配されますが、県としてどのような対処策を講じておられますかお伺いします。
 次に、サトウキビ価格について知事にお伺いいたします。
 沖縄総合事務局農林水産部資料に基づく53年度サトウキビのトン当たり生産費は1万9774円となっておりますが、53年度のサトウキビ農家手取り買い上げ価格は生産奨励費含めて1万8730円と決定され、トン当たり1044円も生産費を割っている状況であります。沖縄県糖業振興基本政策確立生産者大会において、54年度生産者の要求するサトウキビの価格は生産費及び所得補償方式による試算値はトン当たり2万8466円の要求に対し、54年のキビ買い上げ価格は奨励金含めて農家手取り1万9350円と低い価格で決定され、キビ作農家は不満を漏らしております。
 ここで知事にお伺いいたします。
 55年度サトウキビ買い上げ価格要求についてこれから準備が進められるものと思いますが、基盤整備がおくれている沖縄の現状からして生産費が高くつくため生産費を割らない方式、生産費及び所得補償方式の算定による価格を要求すべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、畜産価格の安定対策についてであります。
 畜産の振興のため、県は畜産団地を初め構造改善、品種改良等積極的に推進し、かなり成果を上げておりますことは評価いたします。特に豚の生産においては、県計画60年最終年次33万頭の計画に対し、去年9月すでに30万頭を突破し供給と需要のバランスがとれず豚価が下落し畜産危機の騒ぎが起こり、私は54年12月定例会で畜産公社の価格安定資金は十分確保されているかと質問いたしました。県は十分計画どおり実施できるとの回答でありましたが、年度末になって私が心配したとおり資金不足を来し、去る2月定例会に54年度一般会計補正予算から3000万円価格安定資金として公社へ繰り出し対処されましたことは高く評価するものであります。これまでの経過からして、55年度も畜産の価格安定対策資金が十分確保できているかお尋ねしたいのであります。
 6月24日の新聞報道によりますと、特に豚については6月に入ってから各食肉処理場は、農家の引き取り要望に対応できず供給過剰感を深めており、一方、家畜競り市場での子豚競り価格も1頭当たり1万円を割り30%近くも安くなり、生産費は高くつく、あげく価格は下落し農家は採算がとれなく悲鳴を上げており、養豚農家の経営は厳しい状態が続く見通しだと言われておりますが、畜産の振興は価格の安定なくして成り立たないと思いますが、県及び畜産公社の価格安定対策は加工補てん事業なども含めて資金面において十分対応できる体制が整っているか農水部長にお伺いします。
 次に、水産業の振興についてでありますが、県はこれまで水産業の振興のため漁港の改良、養殖漁業の奨励などに積極的に取り組んでおり、特にモズク養殖は各漁業組合でも盛んとなりかなりの成果を上げておる最中、4月26日の新聞報道によりますと、与那城村の照間海岸では、去る21日ごろから廃油ボールが漂着し、今年1月から始めたばかりの養殖モズクが全滅状態になるなど被害をこうむっている事態を重視した村、漁業関係者、中城海上保安署などサンプルを採取し引き続き県漁連の職員らとともに現場を視察調査した。その結果、廃油ボールの漂着した範囲は4キロメートルにわたり、量はドラムかん30本以上になると見ているが、いまのところ被害は養殖モズクだけのようだが、収穫を間近に控えただけに関係者に与えたショックは大きいとされております。私も2日後現地を見ましたが、廃油ボールを拾い集めて数カ所で焼却処理しておりましたが、まだ燃え続けておりました。また養殖用漁網も引き揚げられ関係者は失望しており、これらの原因究明を強く訴えておりましたので、県の実情調査結果と事後処理はどのように行われているか農水部長にお伺いします。
 雇用失業対策についてであります。
 雇用失業対策については、昭和52年5月には完全失業者が3万3000人、失業率7.9%と最高値を示し、求職倍率は13.3倍まで上昇し厳しい社会情勢を迎え、当時の平良知事は企業誘致を初め求人開拓も努力されましたが、当時の経済不況下ではその効果はなく、公共事業の拡大を国に要求し53年度予算が前年度対比16.7%増、54年度においては県要求の99%が認められ、普通建設事業費1129億5000万円余の29.6%増、沖縄開発庁一括計上分公共事業費1669億4700万円で対前年度比22.2%増という大幅な予算を獲得して雇用も緩和されてまいりましたが、54年度平均では完全失業者2万4000人、失業率5.4%、本土の失業率1.9%、本土の約3倍に近く依然として厳しい状況下にあります。
 琉銀調査部発行の「昭和55年度の経済環境」によると、55年度の県経済を左右する財政措置を見ると、国関係では政府の緊縮予算を反映して開発庁一括計上国庫支出経費は前年度比2.4%の増、うち公共事業費が前年度対比1.7%と低い伸び率となり、これまで続いた財政規模の拡大は見られなかった。県の一般会計予算も前年比7.1%伸びであり、消費者物価の上昇、個人の実質所得は下がり、消費の減退と企業収益の減少という需要の落ち込みによる景気の後退を招くことがあるとされております。
 私は、県民が明るく豊かな生活を営む上には、雇用失業対策が今後の重要課題であると思います。現在の失業率5%から5.4%台をさらに縮める努力が必要だと思いますが、知事としていろいろお考えはあると思いますが、具体的に雇用対策基金制度の創設、沖特法第38条に基づく就業機会の増大を図るための事業の実施計画など、この2点について知事の御所見を承りたいと思います。
 以上、回答によって再質問をいたします。
 終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの城間盛栄議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題の質問に対しましてお答えいたします。
 御案内のとおり、安保条約によりまして基地が提供されておるのでございますが、この基地の取り扱いにつきましては基本的には整理縮小を推し進めていく考えであり、当面は第14回、第15回、第16回の安保協議委員会で返還合意を見ました施設及び区域の返還を求めていく考えであります。返還合意がなされない施設の場合におきましても、本県の振興開発上必要な地域については跡利用計画等も考慮しながらその地域の返還を求めていく考えであります。
 次に、那覇空港の共同使用についての御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇空港の自衛隊との共用は決して望ましいものではございませんが、日米安保条約や復帰の際の運輸省と防衛庁との取り決め等に基づくものでありまして、そのいきさつからいたしましていま直ちに共同使用に決着をつけることはきわめて困難な情勢にあります。しかしながら基本的な方向といたしましては、民間専用空港として整備していくことに変わりはなく、ただその実現にはある程度の時間がかかるものと思われます。したがって当面の取り組みといたしましては、第3次空港整備5カ年計画による滑走路の延長、及び第2次振計の中におけるその位置づけ等を考慮しながら空港整備に最善の努力を傾けるつもりであります。
 雇用失業対策の質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄県の最近の雇用情勢は、御案内のとおり昭和54年平均失業率5.4%、本年5月の失業率5%で、海洋博後の51年、52年ごろの6%台に比べましてかなり改善されてはおりますが、全国平均の2%に比較いたしますというと2倍強で依然として高い率を示しております。
 この厳しい雇用情勢を解決するためには、国と
協力いたしまして県内産業の振興、地域経済の開発、地場産業の育成、企業誘致等による雇用の場の拡大を図りながら、広域職業紹介につきましてもできるだけ多くの優良な本土の求人を開拓いたし、安定した雇用の場を確保するための努力を続けていきたいと思っております。また、失業者の職業能力を高めましてその就職機会を増大させるための職業訓練の拡充強化、また職業意職を高めるための職業指導、職業相談の強化、失業吸収率制度の活用、短期職場適応訓練の実施、さらに各種就職援助制度の拡充強化等種々の雇用対策を総合的に推進しているところであります。
 沖特法第38条につきましては、昭和51年5月、労働大臣が定めた「沖縄県の労働者の職業の安定のための計画」に基づき職業紹介の充実、職業訓練の拡充、各種の就職援助制度が実施されております。同条に基づく就労事業につきましては、再三御答弁申し上げておりまするとおり一時的な失業者救済ではなく、失業者が安定した職業につける方策を講ずるという観点から検討すべきてあると考えております。
 なお、雇用対策基金の創設につきましては、その内容を雇用対策基金調査会におきまして目下総合的に検討しているところであります。資金の確保、事業の主体、事業の内容などいずれも主要な問題でありますので、十分検討させていただきたいと思います。
 以上であります。
○城間盛栄君 サトウキビの価格問題。
○知事(西銘順治君) サトウキビの価格についての御質問に対しましてお答えいたします。
 サトウキビの最低生産者価格は、砂糖の価格安定等に関する法律の規定に基づきまして毎年11月20日までに定め告示されることになっております。
 県と議会では、毎年サトウキビ生産県の鹿児島県と合同で政府、各政党に対しまして、サトウキビ最低生産者価格は、適正な農家所得と十分な再生産の確保が可能な価格水準であることを骨子といたしまして生産振興対策の拡充強化もあわせて要請してきたところであります。今後とも生産費の償える価格の要求は必要でありますが、生産コストの低減についても引き続き対策を講ずる必要があり、そのため生産基盤の整備と生産条件の整備を積極的に推進していきたいと思っております。
 キビ代は、生産費も償っていない状況にありますが、10アール当たりの所得を見ますというと、53年度の場合、奨励金も含めると11万6859円となりまして、水稲の9万2049円、てん菜の4万4555円と比較いたしましても高いことになっております。しかし1日当たりの家族労働報酬についてみますというと、キビが4827円、水稲が6948円、てん菜が1万532円となりまして沖縄の場合低くなっております。したがいまして今後とも生産費の償える価格とともに、コストの低減についても対策を講じていきたいと思います。
 要望のありました生産費及び所得補償方式につきましては、きわめて厳しい状況下にございましてその点はなお引き続き要請はいたしますが、御報告申し上げておきます。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 病害虫対策と畜産振興及び水産業の振興と廃油ボール汚染についてのこの3点についてお答えいたします。
 まず1つは病害虫対策でございますが、現在沖縄群島の一部地域と宮古群島地域のサトウキビ圃場を中心にセスジツチイナゴが多発生しております。さらに南大東村、北大東村にはトノサマバッタが発生している状況でございます。
 本年のように、梅雨の時期に入りましてもほとんど降雨のなかった状態の気象条件下では、本害虫のふ化率が高く発育にも好条件であると考えられます。このような気象条件では、多発生が予想されましたので、宮古地域では5月16日付、その他の地域では6月24日付で発生注意報を出し、市町村、農協等の関係機関に情報を提供することにより防除体制を整えてもらうべく注意を喚起してまいりました。その結果、発生を確認している市町村では、5月下旬から薬剤防除に着手しております。
 本害虫は、現時点では若齢幼虫であり、移動能力が弱く、また薬剤に対する抵抗力も弱く、適期に適切な薬剤防除を実施することにより本害虫の駆除は比較的容易に行えるものと考えられます。宮古地域では、現在正常の状態に戻りつつあるようでございますが、他の地域についてもわが方の病害虫防除所を通じて常時調査を続け、適宜に情報を提供し防除に努めてまいりたいと思っております。
 次に、2点目の畜産問題でございますが、畜産公社の価格安定事業は御案円のとおりでございまして、肉豚、肥育牛、ブロイラー等の価格安定事業に加えまして県産食肉加工価格差補てん事業があるわけであります。その財源は、ほとんど輸入牛肉からの調整金と生産者の積立金で充当されておることは御案内のとおりでございます。しかし昭和55年度の調整金による畜産公社の収入は、牛肉輸出国の産地価格の値上がり等により日本食肉協議会の調整金単価が引き下げられたために、それに連動して本県における調整金単価も引き下げざるを得なかったため、54年度に比べ約3億円の調整金収入の減が生じております。
 一方、全国の肉豚出荷動向を見ますと、昭和54年度は53年度に比べまして111%増加しているのに対し、消費の伸びが104%と鈍化し、そのため肉豚の需給失調を来し豚価の低落を招いたわけでございますが、昭和55年度も同じ傾向を推移するものと予測され厳しいものがあります。
 このように昭和54年度は豚価情勢が厳しい中で、畜産公社は豚価対策に対する努力を払うとともに、県もいま説明がありましたように一般財源で約3000万の資金を補正しこの肉豚の需給調整を図ってまいりました。そこで昭和55年度の肉豚価格安定対策は、いまさき申し上げましたように調整金収入の減少、それから全国的な肉豚情勢の厳しい状況の中で畜産公社が行う畜産物の価格安定対策事業を柱に対策をやりますが、十分とは言えない状況でございます。現在過剰感がありますので、4月から6月にかけては毎月約60OO頭の県外移出で対処し、7月から9月にかけてはそれをふやしまして7000ないし8000頭、これは前年同期より約30%の増でありますが、増加して需給調整を図ってまいりたいと思っております。
 なおまた、いまさきも話がありましたように33万頭が60年度の目標でございますが、すでに30万頭を超しておりまして、これは計画に対して約3年間早くなっている状況でございます。したがってこれを安定的に増加させるためには、現在組織的には養豚経営安定推進協議会がありますので、そこで計画生産ができるように対処してまいりたいと思っております。
 次、県産食肉加工価格差補てん事業でありますが、これは昨年の3億5000万に対して、今年度は1億6000万しかありません。したがって大変厳しいものがありますので、この食肉加工価格差補てんの方法について他の方法、すなわち原料供給対策の面からできるように現在検討しておるところでございます。
 次、終わりの水産業の問題でございますが、照間海岸の廃油ボールの調査結果とその後の対策についてということでございますが、調査内容を御報告いたします。
 県側としましては、4月21日ごろから与那城村照間海岸に廃油ボールが漂着しているとの情報に基づきまして4月28日に現地調査をいたしました。
 その内容でございますが、照間海岸に設置されておりましたモズク養殖の苗床150枚、これは450枚中の一部でありますが、その苗床の周囲を保護している網の上部にオイルボールの付着が見られましたので、その中にあります養殖網をサンプリングして、これは切り取ってでございますが、糸満にあります漁業者センターで鑑定したところ、本来ならばモズクの種が付着しておるべきでありますが、この付着が見られないもの、またはモズクの表面に本来粘液があるべきでございますが粘液がなく、ぱさぱさした状態を示している状況でありました。このような症状は、ことしの2月から4月にかけて全県下で見られた芽落ち症状、芽が落ちる症状でございますが、芽落ち症状と同じもので、その原因は異常な降雨による日照量の不足、降雨による海水の塩分低下、水温の急変によるものと考えられております。なお、調査結果については海上保安庁、県漁連、与那城村漁協、村にも報告してあります。
 対策でございますが、漂着した廃油ボールは4月27日から28日にかけて除去作業が行われ、それに要した費用約132万円でありますが、これは漁場油濁被害救済基金によって負担するよう県漁連を通して同基金に申請中であります。7月8日に審査する予定になっております。しかしモズク被害につきましては天候不順によることも考えられ、原因がはっきりしなかったということで救済できない状況でございます。
 なお、本県周辺海域の廃油ボール問題については、沿岸漁業の振興を図る上からも深刻に受けとめており、県側としましては九州知事会にも提案し、九州知事会としては国にその対策の強化を要望しているところでございます。
○議長(大田昌知君) 上江洲トシ君。
   〔上江洲トシ君登壇〕
○上江洲トシ君 初めに、電気料金値上げについて質問いたします。
 沖縄電力は、6月26日の定期総会の後、年内に電気料金の引き上げを行う、昭和57年3月に期限切れとなる特殊法人から民営移管に向けて具体的な検討を行うことを発表しています。
 私たち県民の生活に大きなウエートを占めている電気料金の値上げは、家計に直接打撃を与えるばかりでなく、産業界にも大きな影響を及ぼすもので重大な問題であります。去る2月に平均42.4%の大幅値上げを実施したばかりですのに、1年足らずで2度も値上げすることになりますと再び昭和48年、49年のあの狂乱物価を招くことになりかねません。
 現在、沖縄の標準家庭で1カ月の電気料金は平均6300円となっていますが、例年より暑さの厳しいことしの夏はクーラーを使用する時間も長くなり、電気料金が昨年の2倍近くにはね上がっており、家計を預かる主婦は悲鳴を上げております。これがさらに値上げされますと県民の生活は一体どうなるか不安でなりません。
 また、私が調査したところによりますと、那覇市内のある中型スーパーでは昨年12月に月10万円であった電気料金が、ことしの5月には14万円に上がっています。何とか節電しようと店内の電気を最小限につけているが、商品の品質管理の上でこれ以上節電は不可能だと経営者の方は話しておられました。あるデパートでは、昨年12月に291万9000円であった電気料金が、ことしの5月には533万円と2倍近くに上がっているということでございました。その他琉球セメントでは年間7億円、拓南製鉄で4億円の電気料金で経営圧迫だということであります。
 これらの企業の電力値上げ分は、企業努力でカバーしてもらえればそれに越したことはありませんが、それが物価にはね返って県民の生活を圧迫することがこれまでの例からも十分予想されます。そのほか私たちの家庭の周りには理髪、パーマ、食堂を初め、文化施設の図書館、公民館等至るところで電気の必要なところがあります。このような沖縄電力の値上げに対して知事はどのような対策をとられますか、具体的なお答えをいただきたいと思います。
 沖縄電力は、ことし2月の値上げ申請に当たってある程度の見通しを立てて値上げを申請したはずであります。それが1年足らずで再値上げするということについては疑問があります。2月の値上げの場合、燃料費については沖縄電力が申請した額よりもさらに14%も上積みして値上げが認可されています。にもかかわらず燃料の石油製品の値上げを理由に再値上げすることはどうも納得がいきません。この点について知事はどうお考えでしょうか、お伺いいたします。
 また、4月中の円の平均対ドルレートは1ドル、252円であったのが、6月11日には217円となり、実に35円の円高となっております。業界筋によると、原油1バレルにつき2ドルの価格上昇は15円の円高によって相殺されるが、4月以降の円高は単純計算すると4ドル以上の値上げを吸収できることになっています。沖縄電力の場合は幾分本土と違いますが、円高を反映させることができるはずでございます。
 次に、民営移管についてお尋ねいたします。
 きのう、与座議員の質問に対し知事は、県は現在のような特殊法人運営に賛成であるが、民営移管は閣議決定しているのでやむを得ないと答弁されています。県民生活を守る立場にある知事として実に頼りない答弁でありました。確かに沖縄電力は、沖縄振興開発特別措置法によって10年の期限つきで特殊法人運営が認められておりますが、しかしこれは沖縄県民の生活が安定するまでという条件のもとでなされているものだと思います。
 知事も御承知のとおり、沖縄県の国民所得はまだ本土の70%でしかありません。本土との格差は縮まるどころか、逆に大きくなるばかりであります。民営移管になりますと、営利事業でありますからいま以上に赤字はもろに消費者に転嫁されることは必至であります。復帰特別措置法については各業界とも延長に必死になっておられますが、県経済に最も大きく影響する電力についてこそ特別措置法の延長を考えるべきだと思います。知事は、県民生活あるいは県経済の現状からして沖縄電力の民営移管を延長させるお考えはないでしょうか、お答え願いたいと思います。
 また、農山漁村電化促進法によって過疎地域に対しましては地域指定がなされ、経営が赤字になった場合国の補助が受けられるようになっていますが、沖縄には現在その法律が適用されていません。離島僻地を多く抱える沖縄県こそ、このような法律の適用を受けるべきだと思います。これもあわせて適用させることはできないものでしょうか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。 
 西銘知事は選挙期間中、自民党こそは本土政府とパイプが通じているから沖縄の要求は通しやすいと言っておられました。知事が本当に県益を守る立場にあるのでしたら、この際本土政府のどんな厚い鉄の扉であろうが、どんな困難があろうが必ず開いてみせるという知事の腕を実証してみせたらいかがでございましょうか。
 次、サリドマイド児のことについてです。
 2週間ぐらい前のテレビ番組で、1970年前後に全国各地でえづけされたサルにたくさんの奇形の赤ちゃんが生まれていると報道されていました。奇形ザルはその後も発生し続けており、中でも淡路島モンキーセンターでは、ここ3年間に生まれたサルの35%が奇形だと報告されています。その原因はまだ明らかにされていませんが、自然破壊が進み、食品添加物や農薬、合成洗剤使用の増加などサルをめぐる環境の悪化と関連しているであろうと学者間で疑いがかけられております。
 他方、人間社会でも10年ほどの間に生まれながらにして手足が欠損している先天性四肢障害児が増加していると言われています。この子供たちの症状は、サルの奇形と非常に似通っており、その原因も共通しているとも考えられます。奇形ザルの出現は、私たち人類への警告として深刻に受け取るべきだと思います。
 赤ちゃんが誕生したとき、親として一番の喜びは五体満足で生まれたと聞くことであります。ところが、不幸にも子供が障害児として生まれたためにそれが遺伝子によるものだとされ離縁ざたになり、悲しいつらい生活を送っている気の毒な母親がいます。障害児が生まれることは一体だれに責任があるのでしょうか、絶対に母親の責任ではないはずです。行政上のまずさに起因しているのが少なくありません。その一例にサリドマイド児が挙げられます。
 サリドマイドは、睡眠剤で副作用がなく効果の持続時間が長いとされ、西ドイツではゴンテルガン、日本ではイソミンという商品名がつけられ1958年に日本と西ドイツの両国で同時に発売されました。3年後の1961年、西ドイツの小児科医レンツ博士から、妊娠初期にこの薬を服用した女性からアザラシっ子――腕のない奇形児――が生まれるとの見解が出され大きなセンセーションを巻き起こしました。ドイツでは早速販売禁止になり国内の薬を回収していますが、日本は1年近くおくれて回収しています。日本でサリドマイド児と認定されている人のうち、半数はおくれて回収した1カ年に生まれています。この数字に示されているとおり、企業と癒着して早期に手を打たなかった日本政府の責任は重大であります。裁判の結果、サリドマイド児の父母と企業が和解しある程度の保障はなされていますが、子供たちに対する社会の偏見は重く、本人や家族の心身の痛みは一生いやされるものではありません。たとえ多額の補償金が出されても償いのつくものではありません。
 沖縄のサリドマイド児の現状を申し上げますと、沖縄は戦後本土から分断されていたという特殊な事情があり、この問題でも大きな損失をこうむっています。本土では1962年に薬が回収されたにもかかわらず、沖縄はさらに7年もおくれて回収が行われました。そのためにサリドマイド児は本土では18歳、19歳になっていますが、沖縄にはまだ12歳の子がいます。本土と同時に回収されておれば、こんな気の毒な子は生まれずに済んだはずです。沖縄のサリドマイド児は、51年に初めて厚生省から医師が派遣され2人が認定されています。
 当時県は、各市町村に文書で呼びかけたようでありますが、不徹底なため健診漏れが数多く出ました。そのうちの1人である平良恵光さんは、後でこのことがわかり県に申し出たところもう済んだことですよと言われ、個人で子供を東京まで連れていき認定させています。その後平良さんは、同じ悩みを持っている人たちのために個人で厚生省に出かけ、医師派遣を交渉し54年3月に22人健診を受けさせています。その結果、3人が認定されています。県はこのことを後で知ったようですが、沖縄にはまだ該当者がいると考えられます。
 5日前に、重度身障児が生まれて苦労しているが施設に入所できないかと私のところに相談に来た母親がいますが、妊娠中に睡眠薬を飲んだということですからこの人もサリドマイドの疑いがあります。
 いま、先天性四肢障害者の父母の会、サリドマイド児父母の会の方々は、絶望の極から立ち上がり子供たちの明るい未来を確信してがんばっておられます。子供たちもまたみずからの障害を克服し、明るく伸び伸びと成長しようとしております。親たちは全国350家族が父母の会を結成し、沖縄にも支部ができて互いに支え合い、慰め合いながらいろいろな活動をしておられます。二度とこのような子供たちが生まれないようにとの願いを込め、また不幸にも障害者として生まれた子らの未来を一歩でも明るくするために行政は万全の措置を講ずべきだと思います。
 最後に、次のことに対し質問いたして御答弁お願いいたします。
 1、先天性四肢障害児の実態調査を実施してもらいたい。
 2、先天性四肢障害児の原因究明を国に強く要求してもらいたい。
 3、サリドマイド被災児及び先天性四肢障害児の定期健診やリハビリテーション指導のため本土政府に専門医の派遣を要請してもらいたい。
 4、障害児の補装用具、生活用具の展示コーナーの設置及び器具の入手または無償配布をしてもらいたい。この子供たちは、なるべく他人に迷惑をかけずに命ある限り生き続けるためにぜひ必要な用具が開発されていますが、沖縄は僻地であるため便利な用具があることすら知りません。また注文してから手に入るまで1年かかる器具もあり、届いたころは日増しに成長する子供の体には合わない場合があります。それで早く手に入ることを希望いたします。
 5、父母の会へ活動費を補助してもらいたい。
 6、就職あっせんをしてもらいたい。
 7、車いす利用者のための県営、市営の住宅をつくってもらいたい。
 関係者も傍聴されておられますので、具体的な答弁をお願いしまして質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 上江洲トシ議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 電気料金値上げに対する御質問に対しましてお答えいたします。
 ご案内のとおり、沖縄電力は石油製品の高騰を理由に年内に電力料金値上げ申請を行うことを明らかにいたしております。仮に値上げが実施された場合、去る2月に続いての値上げとなりまして県民生活はもとより、産業経済に及ぼす影響は大なるものがございます。御指摘になりましたとおり、特に本県は振興開発特別措置法に基づきまして本土との格差是正と自立発展の基礎条件の整備をすべく各種事業の執行途上にあるわけでございまして、このような時期に電気料金が値上げされますと各種事業の執行に大きな支障を来すおそれがございます。したがいまして県といたしましては、このような認識の上に立ちまして電気料金値上げについてはやむを得ない面もあると思われますが、あらゆる角度から検討いたしまして対処したいと思っております。
 次に、沖縄電力の民営移行についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄電力は、国の出資による公益法人でございまして、できれば現在のままで経営を存続することが県にとって望ましいものと考えております。国に対しましても、これまで沖縄電力の民営移行につきましては電力の安定かつ適正な供給体制の確保、経営基盤の強化等諸条件の整備が図られた後に検討されるよう54年の12月に要請いたしておるのであります。しかしながら、国の強い行財政合理化計画の一環といたしまして、54年12月28日の閣議におきまして昭和56年度末をめどに民営移行する旨の閣議決定がなされたことは御承知のことと思います。したがいまして今後は、より長期的な観点から電力需給の安定化を確保いたしまして、民営移行に向けて経営基盤の健全化を図ることが緊急かつ重要な課題だと考えております。現在、国の沖縄電気事業協議会というものがございますが、この電気事業協議会におきまして民営移行のための諸施策が目下検討されておる段階でございます。県におきましても、離島を多く抱えている沖縄の実態に十分配慮いたしまして経営基盤の強化、民営移行のための諸施策を含めまして民営移行円滑化のための所要の措置を国に強く要請していく所存であります。
 なお、電力が県民生活と産業を支える基幹エネルギーであることにかんがみまして、電力の安定供給と適正料金の確保を国に要請するなど、将来にわたって需給の安定に努めてまいりたいと思っております。
 農山漁村電化促進法についての御質問に対しましてお答えいたします。
 この法律は無灯火地域の解消をねらいとする立法でございまして、沖縄県に現在無灯火地域はなく同法を直接的に適用することはむずかしいのでございます。
 なお、同制度による補助は2分の1でございますが、現在県におきましては3分の2の補助率で無灯火地域の解消を行っている段階でございます。
 先天性四肢障害児に関する御質問につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 先天性四肢障害児及びサリドマイド被害児に関しましての福祉部門についてお答えいたします。
 障害児に対する日常生活用具や補装具の支給につきましては、その種目や性能並びにその交付基準が国から示されておりまして、そういうことの基準により、また申請に基づいてそれを交付することになっております。そういうことでございますので、そういった対象者につきましては福祉事務所もしくは身体障害者更生相談所等を通じてお申し込みになれば交付されることになっております。また自己負担金につきましては、保護者の所得に応じた負担となっておりまして、負担過重で補装具が求められないものではございません。またそういったことに対しましても、御相談があればそれに応じたいと考えております。またそういった意味での補装具等の紹介につきましては、私どもでいま検討しておりますところの身体障害者福祉センター等ができましたときにそのロビー等、そういった展示場を設けるようにしております。また現在のカタログ等、そういった相談につきましても用具の相談につきましても福祉事務所、それから身体障害者更生相談所等にありますので、どうぞ御相談いただいてほしいと思います。
 それから障害者の職業問題についてでございますが、これは労働サイドでいろいろ対策が講じられているわけでございまして、どうしてもそこでもなかなか困難であるという方に対しましては、福祉施策としての授産施設や福祉工場等の計画もございますし、そういったことを整備いたしまして就労の場を提供できるよう努力していきたいと考えております。
 それから先天性四肢障害児の実態調査でございますが、私ども生活福祉部におきましては過去数回身体障害者の実態調査を行ってきたところでございますが、四肢障害ということもいろいろの障害部位から成っておりまして、そういう四肢障害ということではなく、身体障害者全般について調査を行っているところでございまして、去る2月にも実態調査を行っております。現在その分析中でございますので、その結果は公表いたすつもりでおります。
 それから先天性四肢障害児父母の会への助成についてでございますが、現在県内におきましては肢体不自由児、それから筋ジストロフィー、精薄児、重症心身障害児、自閉症児、国際児関係等々親の会、そういったたくさんの会が結成されております。そしていろいろの活動を行っているところでございますが、私どもは原則として法人格を持った団体であって、特に県の委託事業等を行っているところに助成策を講じてきているところでございます。会員相互の親睦や活動に対する助成については、そういったたくさんの会もございまして、そういった関連等も検討いたしましてその対策を講じていきたいとは考えておりますが、現在のところそういうことを財政上、いろいろな都合がございまして考えてはおりません。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 四肢障害児を含めて心身障害の発生要因についての調査研究を国に要請していただきたいという趣旨でございますが、心身障害発生要因に関する研究は、厚生省も現在専門の組織をつくって従来から引き続き心身障害の発生要因に関する調査研究を実施いたしております。
 その内容を見ますとたくさんございますが、研究のテーマなど省略させていただきます。ただ、この四肢障害児発生要因を見ますと、非常に御指摘のようにいろんなファクターが関連いたしております。ちなみに日本母性保護医協会などがまとめました先天異常予防対策の一方法を参考に申し上げますと、この先天異常の発生の要因として考えられるものといたしましては感染症、そういったものがございます。これは沖縄県でも風疹が先天異常を発生させた例がございます。それから放射線、御指摘のサリドマイドなどの薬剤によるもの、それから妊娠中のお母さんの病気、たとえば糖尿病などでも発生の可能性があると言われております。それから社会的文化的及び経済的要因といったもの、生物学的要因とその他たくさんの要因が考えられるわけでございます。そういったことで非常に困難な事業であるというふうに考えられます。県としましては、そういったことで先天代謝異常の検索とか、母子保健を通じて発生の予防に努力をいたしているところでございます。
 四肢障害に関する医療に関しましては、現在サリドマイドはその医療の改善といいますか、そういったものを目指す意味もありまして一元的に国の方で定期的な検診を実施しておりますが、県内においては琉球大学の医学部も創設されましたことですし、さらに県内医療機関も年々充実いたしてきておりますので、できる限り県内の医療機関等で医療が受けられるようにしていきたいと考えておりますが、県内の医療機関で対応できない場合には厚生省、あるいは専門の機関等に相談をいたしましてその分野の対応について検討していきたいとこのように考えております。
○上江洲トシ君 答弁漏れがあります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午前11時6分休憩
   午前11時7分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 車いすを使用される方々に向けての公営住宅の件についてお答えを申し上げます。
 車いすを使用される方々の身体障害者向けの公営住宅の標準設計は、昨年度私ども完成をいたしておりまして、今後関係部局と調整の上、入居者の希望者数がはっきりいたしますれば、県としても身障者向け公営住宅の供給に努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、昨年度から建設をいたしております県営住宅の一部からは、入り口に斜路を設けてございまして車いすを使用される方々にも配慮をいたしております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 石川盛良君。
   〔石川盛良君登壇〕
○石川盛良君 さきに通告しました順に従いまして所見を述べながら質問いたします。
 最初に、主任制について申し上げます。
 私、3カ月ほど前に退職するまで、子供たちの人格形成にも深くかかわる教育に戦前戦後を通じ40年間携ってまいりました。その経験の中には、天皇のために喜んで死んでいく皇国民を育てる教育に若い情熱を燃やした時期や、大東亜戦争と名づけられ、日本国民は言うまでもなく中国、東南アジアの諸国民のとうとい命を奪ったあの侵略戦争の際は、みずからも銃をとってフィリピンやインドネシアの戦場に行った苦い経験も含まれております。他民族をべっ視し、侵略戦争を聖戦と信じ、他国民を殺戮した当時の過ちに気づいたのは、戦後の民主教育を進める中で戦前教育の反省を通して自分の過ちに気がついてきたのであります。私ごとで、しかも34年も前のことを持ち出しましたのは、主任の法制化も含め学校管理の問題を考える場合、教育のあり方、子供たちをどのような人間に育てるかということとのかかわりで検討することがきわめて必要であるからであります。
 1952年10月に、文部省から出されました通信教育のテキストの一節に、これは学校教育の管理と指導というテキストの一節ですが、学校管理はそれによって恵沢を受ける民衆のためにのみあるものと考えるべきであって、かつての時代におけるような統制や監督のためにあるものでないことを確認しなければならないとあります。教育行政の民衆統制と地方分権、さらに一般行政からの独立を原則とした当時の学校管理はそうでなければならなかったわけで、しかもそれは教育基本法が戦前の忠君愛国を基本とした教育勅語を中核にするいわゆる超国家主義的軍国主義的教育の批判と反省の上に成立しているように、戦前の学校管理のあり方、統制や監督の反省の上に考えられ実践されていたわけであります。この事実は、戦後当初の民主的学校管理は戦前の学校内における命令にこれ従うという体制が、政治権力の教育支配、すなわち忠勇な兵力づくり、従順で安上がりの労働づくり、子供の魂の支配のためのものであったことの反省から出発したことを意味していると考えます。  
 ところで、教育基本法の示す民主的教育に見合う民主的管理のあり方も、政府の反動化、軍国主義化とともに反動化し、特に教育委員の公選制から任命制と改められた1956年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律が強行成立されたときから大きく変えられてきました。学校管理規則の制定、勤務評定、校長に対する管理職手当の支給、全国一斉学力テストの際の職務命令の乱発など一連の政策の中で、それに対する抵抗運動の発展に対し、学校経営近代化論とか学校重層構造論が権力によって積極的に学校管理に採用され始めました。実は私も七、八年前、校長研修会でこのような講義を受けさせられましたが、このような反動化は、学習内容にかかわってみますと、神話の復活、戦争に対する反省の削除、皇民化教育の復活などにあらわれております。さらに最近は君が代、日の丸が国歌、国旗として取り扱われるまでに進んできました。
 このような教育の反動化の進む中で差別選別の教育が強化され、学習についていけない子供がふえ、児童生徒の非行が年を追うて増加してきました。このような状況に対して政府としても手を打たざるを得なくなり、ゆとりと充実を掲げて学習指導要領を改定し、小学校では今年度からそれによる指導が行われることになりました。
 ところで、教育基本法の示す、平和を求め、真理を愛し、個人の価値をとうとぶ日本国民の育成を目指す教育を真剣に考える立場から言えぱ、教育行政に当たる者の早急にやるべきことは、1人1人の子供に行き届いた教育が行われるために40人学級を1年でも早く実施するようにするべきではないかと考えます。また民主的教育の推進のためには、それぞれの学校の先生方を信頼し、先生方が校長も含めて自主的に創造的に、そして連帯を深める中で学習指導はもちろんのこと、学校運営全般についても教職員全体の責任において進めるという民主的職場を高めていくことがきわめて大切ではないかと考えます。
 ところで、きのうの御答弁の中で主任制を実施する理由として、教育指導の充実を図ることを挙げておられましたが、任命された主任によって連絡調整され指導助言する状況の中で果たして民主的な学習指導の充実が図られるでしょうか。
 2番目の理由の1つに待遇改善を挙げておられるけれども、差別賃金を持ち込むことが果たして教育者の待遇を改善することにつながるでしょうか。そうでないからこそほとんどの先生方が反対しているのではないかと思います。
 もう1つの理由に、法に従って行政を行う立場を強調しておられましたが、もともと近代の法の基本的な考え方は、封建時代の人民が無法に支配されていたことを歴史的教訓として受けとめ、治める側が憲法に従って国の政治を行うべきだという人間の歴史の発展の中から生まれた考え方ではないかと思います。決して政権を握っている者が、さまざまな規則をつくって国民を縛り上げることが法治主義の考えではないはずです。
 以上の観点に立って知事にお伺いしたいことは、人間の心を育てることとかかわる教育が成り立つためには、子供と教師の間は言うまでもなく教師間や父母と教師の間に相互信頼の関係がなくてはなりません。上意下達を強める主任の任命制の中で自由な発想を制限された教師が心豊かな子供を育てることができるとお考えになるでしょうか。
 2番目に、1976年3月に沖教組、高教組の委員長と県教育長の間で取り交わした文書協定とその確認書について、知事は今後も含めて尊重する立場を堅持していくお考えでありますかお伺いいたします。
 第2点目の質問は、首里への高校新設についてであります。
 現在、首里には5万5000を超す市民が住んでおりますが、これは一中、女子工芸、工業、男子師範の4つの学校が設置されていた戦前の人々の約3倍に当たります。さらに幹線道路の整備や将来予想されるモノレール開通による隣接市町村との交通の便、さらに住宅地域としての地の利を得た環境などを考えますと人口の増加はますます激しくなるものと思います。
 このような状況の中で首里中、城北中からの進学希望者は900人に近く、他の中学校からの希望者を含めますと1100人を超しています。首里高校の採用者数を差し引きますと600人近い生徒が入学できない状況を見ますと、首里への高校新設は急を要するものと考えます。この問題につきましては、首里地域にあります教育関係団体を含め80の団体で構成しています。首里住みよい町づくり協議会からも強い要請があったはずであります。
 そこでお尋ねしたいことは、1点は、首里地域に高校を新設する具体的計画はありますかどうか。
 2番目に、あるとすれば、その進捗状況はどうなっていますかお伺いいたしたいと思います。
 第3点目の質問は、首里城を中心とした周辺の史跡環境の総合的整備についてであります。
 首里城全体を復元し、史跡公園として歴史博物館や図書館なども含めて総合的に整備し県民の憩いの場、学習の場としたいということは、首里の教育文化の町としての発展を願う地域住民の前からの強い要望であります。民俗文化の正しい継承は、文化の創造発展の上からもきわめて意義の深いものであります。このような視点から金城町やヒジ川ビラの石畳など首里に点在する史跡の整備とともに、首里城周辺の総合的整備を確立することは学校教育の発展の上からも必要な課題であります。
 ところで、現在首里城城壁の一部の復元工事が進められておりますが、それは総合的計画の中で進められておるのか。もしそうであるなら、全体計画がどうなっているのかお伺いいたします。なお、具体的計画がないとするならば、今後の施策についてお伺いいたします。
 第4点目の質問は、県道153号線の整備についてであります。
 首里平良町から浦添に通ずる153号線は、幅員が狭い上に交通量の多いところで、特に朝夕の通勤、登下校時は小中学校生にとってきわめて危険な場所の1つになっています。この道路を横断して大名小学校へ通う大名団地の子供たちは600人に近く、私が調査したときには7時40分から8時までの20分間に383人の子供が横断しておりました。子供たちは道路西側の側溝のふたの上を歩いておりますが、限られた時間に多数の子供が通るため、時には車道へあふれることがあります。
 そのような状況がありますので、児童生徒の安全確保の面からお伺いいたします。
 1つ、平良入り口から大名団地までの整備については現在街路計画に入っておりますかどうか。
 2番目に、計画に入っていないとすれば、今後の計画の見通しはどうなっておりますか。もし現在このような計画がないとすれば、できるだけ早急に子供さんの安全確保の上から、団地から通学路までのガードレールの設置あるいはその他緊急を要する問題ですので、早目に対策を講じてもらうよう希望を申し上げて終わりたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 石川盛良議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 主任制に対する御質問でございますが、この件につきましてはきのうも御答弁申し上げましたとおり、これは51年3月1日に省令化されたものでございまして、4カ年を経過した今日、沖縄県を除く他の都道府県におきまして、すべて実施されておるものでございましてこれが本県においてまだ実施されてないのでありますが、私はこれによって教育活動が一層充実されるものだと考えておりまするし、さらに教職員の待遇改善にもつながるものだと信じております。したがいまして、主任制を導入することによって心豊かな人間の教育はできないということでございますが、その点見解を異にいたしているものでございます。
 さらに51年3月に取り交わされました教育長と組合との文書協定、確認書につきましては私は全然これを知らないのでございますが、その件につきましては教育長から答弁させることにいたします。
 それから琉大跡地の整備についての御質問に対しましてお答えいたします。
 琉大の移転終了後、首里城祉及びその周辺を含めまして史跡公園として活用したいと考えております。なお、具体的なことにつきましては教育長に答弁いたさせます。
 次に、県道153号線についての御質問につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 確認書の点についてお答えいたします。
 確認書が締結されたのは4年前でございまして、その後情勢もいろいろ変わっております。そのようなことから法治国家の一地方公共団体といたしまして、その教育行政を担当するものとしていつまでも法令違反のまま放置することはできないということで答弁にかえさせていただきたいと思います。
 それから首里地区への高校新設についてお答えいたします。
 御質問の首里に高等学校を新設することについては、去る3月28日に住みよい町づくり協議会の会長からの要請も受けておりますが、昭和56年度までに終わります第1次県立高等学校編成整備計画の中には首里への高等学校設置の位置づけはされてございません。しかしながら首里、真和志高等学校区域の進学率を高め、あわせて両高校の規模の適正化をするためには近い将来に当該地区にもう1つの県立高等学校を設置する必要があると考えておりまして、この件につきましては昭和57年から始まる第2次の高等学校編成整備計画の中で検討し対処していきたいとこのように考えています。
 それから首里城周辺の琉大跡地の整備についてお答えいたします。
 御承知のように、首里城跡は国指定の史跡になっております。県の教育委員会といたしましては、国の補助を受けまして昭和47年度に首里城歓会門及び接続石垣の復元工事に着手し昭和50年に完了しております。引き続き昭和51年度からは久慶門の復元工事を実施して現在継続中でございます。首里城正殿並びに城壁等については、琉球大学移転後関係省庁の指導を受けて遺構調査等を実施し、国の補助を得て可能な限りこれらの復元を図る予定をしております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 県道153号線についてお答えを申し上げます。
 同路線は、那覇市の平良から浦添市仲間を経まして国道58号線沿いの牧港に至る約5キロの道路でございます。そのうちの安波茶交差点から牧港に至る延長約2キロにつきましては、昭和47年度から街路事業として整備を進めております。また残っております安波茶の交差点から平良に至る約2.6キロの区間のうち、那覇市の市域内の延長約800メートルについては、御指摘のとおりすでに恒久建築物が道路沿いに密集をしておりまして道路の拡幅は非常に困難な状況にございます。したがいまして私どもとしては、当該路線の一部の変更等も含めまして周辺地域の道路計画について現在浦添市、那覇市及び県において検討を行っているところでございます。関係者との十分な調整が整い次第、当該路線の整備を促進していきたいと考えております。
 なお、当該路線はただいまも御指摘のとおり子供たちの通学路に入っておりますし、また現在バス路線でもございますので、応急的な措置として当面現道の部分的な改良等を実施していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 石川盛良君。
   〔石川盛良君登壇〕
○石川盛良君 先ほどの御答弁の中に、法治国家としていつまでも放置することができないというお話がございましたが、そのことは合意事項を破棄してでも主任制を強行しようということを指しているのかお伺いしたいと思います。
○議長(大田昌知君) 教育長。
   〔教育長 前田 功君登壇〕
○教育長(前田 功君) 現在、この主任制の問題について組合と継続して話し合いを続けておりますが、できるだけ合意を得るように最大限の努力はいたしたいとこのようにお答えいたします。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午前11時34分休憩
   午後1時2分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 午前に引き続き質間及び質疑を行います。
 前田武行君。
   〔前田武行君登壇〕
○前田武行君 さきに通告いたしました質問要旨に基づきまして、私見を交えながら質問を行っていきたいと思います。
 第1点は、私学振興についてでありますが、われわれは異民族支配の中で劣悪な産業、生活及び教育文化基盤にもかかわらず民生の安定を支えてまいりました。私立高等学校、大学等においても同じであります。貧しいながらも学校法人の設置基準を定め、それにより認可し運営をさせてまいったのであります。これらの学校法人は、私たちの子弟の教育に多大な貢献をしてまいりました。しかし復帰後この方、沖縄県における私立高校並びに大学におきましては、その経営が一段と危機に直面している現状であります。その反面、公立高校及び国立大学は、施設が整備され新設校も増加を見る等充実してまいっております。このことは当然好ましいことであるとともに、県の努力に対し敬意を表するものであります。しかしながらこれらの2つの事実を見比べてみますとき、公立学校の整備があたかも私立学校を廃校に追い込む施策がとられているのではないかという感じさえしないではありません。これも他府県に比して格差のあったことに起因するものではないかと考えます。すなわち公立においては格差是正に対する措置がとられながら、私立については十分な措置がとられてこなかった、このようなところにいま申し上げた廃校に追い込まれるような事態を生じさせたものだと考えております。
 私立高校並びに大学の経営主体が学校法人にあり、自主的にその財政基盤の強化を図り教育振興に努める責任は、学校法人それ自体にあることは論をまちません。しかしこのような結果を招いたのも、施政権の分離に起因するものであることを考慮に入れなければならないのであります。それにもかかわらず、国は私学振興について特段の配慮が払われてない気がしてなりません。
 復帰時における国の施策について一例を申し上げますと、沖縄国際大学と沖縄大学の合併問題であります。われわれは復帰前、先ほど申しましたような基準に基づいて沖縄大学の設置を見たわけです。そこで運営をさせてまいったわけです。しかし復帰時点において沖縄大学がそのキャンパスの狭隘なこと、教授メンバーの弱さ、図書の不備等が指摘され、復帰時点における基準に合致しないという理由等が挙げられております。すでにわれわれが与えた基準に合致して運営されてきた学校であります以上、それを認めて復帰した時点での基準にいかにして引き上げるかということを考えるのが国の施策でなければならないと考えております。にもかかわらず合併を強いようとしました。しかしそれが功を奏せずして、認可の得られない学校として沖大が1年間続いたわけです。だから当時の学生は、5カ年間という課程を経なければ卒業できないという結果も招いております。こういうところから見ましても、いかに国が私学振興について配慮がなされなかったかということを物語るものだと私は考えております。
 そこでこのような格差を是正するためにも、私学振興についてひとつわれわれは考えていかなきゃならないんじゃないかと。いま第2次沖縄振興開発計画が策定されようとしております。少なくともその時期までには私学振興についてどうあるべきか、この計画の中に組み入れられなければならないと考えております。そのことについて知事はいかように考えておられるか、所見をお聞きしたいものであります。
 あえて私学振興を2次振計の中に組み入れよと申しますのは、沖縄振興開発特別措置法第5条第2項に、「国は、前項に規定する事業のほか、振興開発計画に基づく事業で政令で定めるものに要する経費については、地方公共団体その他の者に対して、予算の範囲内で、その全部又は一部を補助することができる。」と規定してあります。そこでまず、特段の補助を受けるためには、振興開発計画に基づく事業でなければならないのであります。さらに「その他の者」もと規定してあります以上、その対象として私立高校の運営主体であります学校法人も含むものだと考えるからであります。あとは政令にどのように補助の率を織り込むかという段階になりますが、いずれにいたしましても、まず振興開発計画の中に私学振興の点を組み入れない限り特段の助成措置を求めていく手づるがなくなるんじゃないかとそのように考えております。
 そこで再び申し上げますが、知事は私学の振興について、特に既存の私学についてどのような施策をなされようとしているのか。そして振興開発計画の中に織り込まれる意思があるか、この点をお伺いしたいのであります。
 その次に第2点目でありますが、交通体系についてとなっておりますが、この交通体系の中でも都市交通、特に那覇市の交通体系の中でモノレールについてお伺いしたいと思います。このモノレールの件につきましては、いま計画が大分進行しておりまして予算要求などもされる意向があるようですので、当面している具体的な問題について四、五点ほどお伺いしたいと思います。
 交通体系の諮問機関である審議会では、ことしの11月までにいわゆる第2次振計の計画が煮詰まるまでそれとドッキングするため結論をまとめていきたいと述べておりますし、55年6月26日の新聞報道によりますと、第6回モノレール研究委員会が25日に持たれモノレール事業執行への一段と進展を見ているようであります。すでに55年度では関連事業として県道41号線、すなわちペリーから国道331号線に至る街路事業の予算として5000万計上されておりますし、また56年度はモノレールの実調を要求すると聞き及んでおりますし、さらに関連事業といたしましては県道41号線に対し10億、環状2号線、モノレール敷になりますところの儀保から鳥堀にかけて10億、さらに崇元寺橋から国道330号線までの間に5000万、それぞれ予算要求の準備がされていると聞き及んでおります。このような情報が入っておりますが、56年度に向けもうすでに6月─8月には要求していかなければならないと思いますので、この事業執行のため実調費、先ほど申し上げました関連街路の予算の要求をする意思がおありなのか否か、この1点お伺いいたします。
 さらにモノレール敷になります関連街路、これについて一番われわれが懸念しておりますのは、いかに経費を県の持ち出し、市の持ち出しを少なくするかということについて、なるべく県道に格上げした方がよろしいと考えております。と申しますのは、県道につきましては関連街路について100%の補助があります。ちなみに市道といたしますと80%の補助しかありません。そういう意味でできる限り県道に格上げした後で関連街路の実施をした方が好ましいんではないかという考えを持っておりますが、県との協定の中にもなるべく県道に格上げするという努力約束がありますが、これを実施されていくのかどうかお伺いしたいと思います。
 さらに第3点目といたしまして、昭和48年12月に都市モノレール建設に対する国の補助制度が決定され、インフラストラクチュアの37.5%が補助されることになり、さらに53年3月にはそれが44.9%と改善されております。しかしこれは全国的な一般的な補助率であります。沖縄につきましては、沖縄振興開発特別措置法により特例として補助率のアップが規定されておるのが多うございます。しかしこのモノレールについて、特別措置法による特例が決まっておるのかいないのかまだ聞き及んでおりません。そこで早急にこの補助率を確定する必要があるんじゃないかと考えております。よってその補助率についてどのような折衝をなされ、あるいはどういう補助率になったか、これをお尋ねしたいわけであります。
 第4点、第三セクターについてでありますが、53年10月24日、県と市の間で交わされました「那覇都市モノレール建設準備に関する協定書」第1項に、事業化にとって最も重要である運営主体については、乙――乙は那覇市になっております――の責任において対処するものとするとされ、当時から第三セクター方式を考えて設立準備を那覇市で進める考えのようであります。しかし55年6月26日の新聞報道によりますと、県がその第三セクターの折衝には当たると、これを引き受けてもよいという報道がなされておりますが、それについて相違はないのか否かお尋ねしたいと思います。
 広範囲な資本参加を求めるためには、那覇市独自でその構成メンバーを勧誘するよりは、県がなした方が最も広範囲な資本の勧誘ができるんじゃないかとそのように考えますので、その点をお伺いいたします。
 以上、モノレールについて4点質疑いたしまして、あとは自席より再質問させていただきます。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 前田武行義員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 私学振興についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御承知のように、私立学校は学校法人による独立した経営でありますから、原則として学校法人の自主的な財政基盤のもとで学校経営に必要な施設及び設備の整備を行う責任があります。このことは私立学校法第25条にも学校法人の責務として明記されているところであります。したがいまして、一部の例外を除きまして私立学校の施設及び設備の整備につきましては国庫補助の制度がないのが現状であります。
 一部の例外といたしまして国庫補助の制度が法的に確立されているものといたしましては、次のようなものがございます。
 私立高等学校について申し上げますと、産業教育振興法に基づく産業教育振興のための施設及び設備の整備につきましては国庫補助が行われておりまして、他県の私立高等学校に対しては当該国庫補助は3分の1であるのに対しまして、本県の私立高等学校に対しましては10分の6の特別措置がなされております。これは補助金交付要綱の中で措置されておるものであります。次に理科教育振興法に基づく理科教育振興のための設備の整備につきましても国庫補助が行われておるのでありますが、当該国庫補助も他県の私立高等学校に対しましては2分の1の補助であるのに対しまして、本県の私立高等学校に対しましては4分の3の特別措置がなされております。これも補助金交付要綱の中で措置されております。
 文部大臣が所管している私立大学につきましては、私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律、この法律に基づきまして基礎的研究に必要な機械器具等の設備及び情報処理教育に必要な設備の整備について3分の2の国庫補助がなされております。
 他方、日本私学振興財団法に基づく特殊法人として日本私学振興財団が昭和45年に設立されておりまして、全国の私立学校に対しましてその施設及び設備の整備に必要な資金の貸し付けが行われておるのであります。本県の私立学校に対しましては、他県の私立学校よりも貸付利率を低くする等の特別措置が講じられております。他県の私立学校の利率が8%に対しまして、本県の私立学校の利率が7.75%となっております。以上申し述べました特別措置は、いずれも現振興開発計画に基づいてとられた措置であります。これらの特別措置は、いずれも法的に確立された国庫補助のかさ上げであり、これらについては第2次振興開発計画に向けて引き続いて延長方を要請していきたいと思っております。
 以上、一部例外といたしまして園庫補助が法的に確立されているものにつきましては引き続き特別措置を要請していくのでありますが、法的に国庫補助の対象となっていないもの、たとえば校舎、体育館、図書館、寄宿舎等の整備について新規に第2次振興開発計画に向けてどう取り上げていくかが問題となっております。先ほども御説明申し上げましたように、私立学校法第25条において私立学校の経営に必要な施設設備の整備は学校法人の責任であるとされておるところから、学校法人の責任において整備しなければならない校舎、体育館、寄宿舎等の施設の整備を第2次振興開発計画で取り上げまして国庫補助の実現を図ることは容易でないと考えられておるところであります。
 しかし、本県における私立高等学校及び私立大学を設置する学校法人の財政力はきわめて脆弱であるため独力でこれらの施設設備の整備を行うことは困難であるということでございまして、これらの私立高等学校及び私立大学から第2次振興開発計画で取り上げてもらいたいとして校舎、体育館、寄宿舎等の整備など、その他多くの事業細目が提出されているところであります。これらの事業細目につきましては、今後第2次振興開発計画案の作成の手順に従いまして調整検討を終え次第、沖縄振興開発検討委員会における最終的な検討の結果を踏まえて県案が決定される運びと相なっております。したがいまして、その結果を踏まえて御要望については対処したいと思っております。
 交通体系についての御質問に対しましては、土木建築部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 都市モノレールについてお答えを申し上げます。
 まず第1点目は、都市モノレールの予算について56年度の国への予算要求の中身についての御質問でございますけれども、ただいま御指摘のありました県道41号、それから環状2号線につきましてはもうすでに予算が従来からついておりますので、私どもは引き続き56年度も要求をしていきたいと考えております。
 なお、モノレールそのもの自体につきましては、一応私どもは現在各関係省庁と話し合いを持っておりますけれども、県としましては実調費を要求をしていきたいということで現在作業中でございます。
 それから2点目の関連街路のうちの市道を県道に格上げすることについてでございますけれども、この点については、県としてもできるだけ格上げのできる分については市道から県道に格上げをしていきたいというふうに考えております。ただ、一部についてなかなか市道から県道に格上げする条件の整わないところにつきましては、やはり那覇市として対応していただかなければならないというふうに考えています。
 それからインフラ率のアップの問題でございますが、御案内のとおりもともとこの都市モノレールの事業は街路事業が主体でございまして、道路そのもの自体、街路そのもの自体は振興開発特別措置法でほかの県とは違いまして県道の場合には10分の10、市町村道の場合10分の8ということで高率な補助になっております。しかしながらインフラ率そのもの自体は、別に特別の措置はございません。しかしこれは全国的にインフラ率のアップにつきましては各都道府県とも強い要請をいたしておりますので、私どもとしてはほかの県とも歩調をそろえて今後も関係省庁に対してインフラ率のアップを要請していきたいと考えております。
 4点目の第三セクターのいわゆるモノレールの経営主体の問題でございます。
 ただいま御指摘のありましたように、去る53年の10月に県と那覇市の間で締結されております「那覇都市モノレール建設準備に関する協定書」の中で、いま御指摘の経営主体については那覇市の責任において対処するという項目があるわけでございますけれども、この点については、むしろ県が引き取って県の責任において対処することが事業を促進するためにベターであるというふうに県としても考えておりまして、去る6月25日に県の都市モノレール研究委員会で決定をしていただきまして、この方向でもって今後は都市モノレールの経営主体のいろんな準備その他につきましては県が主体となって取り組んで対処することといたします。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 渡名喜藤子君。
   〔渡名喜藤子君登壇〕
○渡名喜藤子君 県議に当選して間もなく勉強する暇もなく一般質問に立つということで、その内容につきまして非常に未熟な点もございますけれども、議員の皆様方や当局におかれましてはどうぞ御容赦くださいまして、そして今後の御指導をよろしくお願いいたします。
 まず通告の第1点でございますが、報道によりますと、県当局は昭和56年度の重点施策の中で復帰特別措置法の延長の検討がなされているとのことでございますが、すでに御承知のとおり、その目的は県民生活の安定と県内企業の育成というところにありますことは私がいまさら申し上げることもございません。約35品目の効果は、47年以降53年まで7年間で1132億7000万という莫大な金に上り、昨日の代表質問にも出てまいりましたし、知事の総体的な御答弁もございましたが、私は消費者の立場といたしまして、具体的に幾つかの問題点につきましていままでの県当局の取り組みと今後のお考えについてお尋ねしたいと思います。
 また知事は、昨日の御答弁で特別措置の延長問題については関係各団体とよく話し合い、意見を聞かれるとのことでございましたが、昭和52年に打ち切られましたハム、ベーコンに対しましては消費者の意見も聞かずに一方的に打ち切られ、しかも価格や消費量、品質などもいささかも消費者県民に迷惑をかけないと約束しながら品薄となり、価格も1キロ900円だったのが1350円から1500円となり、1キロ当たり450円から600円という多大の損失を消費者に与えた事例がありますので、今度のこともいろいろな事情はおありと思いますが、すべての品目に当時の二の舞がないようお願いいたすものでございます。
 品目の中で米、麦につきましては、すでに報道で御承知のとおり年間約90億の効果を上げておりますが、米、麦とも直接消費生活に響き波及効果が大きく、特別措置が打ち切られた場合は消費者物価を押し上げる懸念が大きいだけに消費者としては強く再延長を希望するものでございますが、知事は59年度打ち切りとの御意見のようでございますが、それについての御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、ガソリンの特別措置でございますが、ガソリンは去る4月の時点で他県より12円50銭の特別措置がなされておりますが、調査によりますと、九州が当時1リットル159円、沖縄が158円とわずか1円しか安くなっておりません。残りの11円50銭はどこに消えたのか調査なさったことがあるでしょうか。ちなみに54年の元売11社の実績を見ますと、約29万3000キロリットルで特別措置の効果は実に39億と言われておりますが、このような莫大な金額はだれのための特別措置であるか。県当局は、この点につきましていままでの調査結果や今後の対応策を御答弁お願いいたしたいと思います。
 次に、バナナでございます。
 バナナは本土では40%から50%の課税に対し、本県は現在20%であるにもかかわらず、調査の結果、福岡では100グラム19円、東京18円、大阪は20円、本県では実に22円から25円と逆に高く、本来なら100グラム15円程度になるのが正常な値段だと思います。また年間本県のバナナの消費量は7000トンで、その恩恵は約1億8000万とも言われますが、ガソリン同様消費者に還元されてないのはなぜでしょうか、不明でありますので県当局の御答弁をお願いいたします。
 次に、電力会社の設備投資や航空運賃の特別措置の要請についてでございますが、去る2月に42.8%の大幅値上げをされ諸物価を著しく押し上げました電力会社は、またまた値上げを発表し大きな社会問題を引き起こしておりますが、電力会社には燃料の軽油や重油に対し特別措置がなされておりますが、離島や僻地を抱える特殊県である本県は、その設備投資のための多大の赤字を出す結果となり、それが電気料金の値上げとなり私たち消費者にしわ寄せし、消費者物価の高騰の引き金となることは明らかでございますので、同社の設備投資に対する特別措置の要請のお考えはありませんでしょうか。
 あわせて航空運賃の件でございますが、国鉄のない本県におきましては航空路は生活路線となり、生鮮食品や生活物資も航空路を頼ることが多く、そのため航空運賃値上げは直接家計を直撃することになりますので、航空運賃もあわせて特別措置を要請なさるお考えはないでしょうかお伺いいたします。
 約35品目の特別措置の中にはこれからいろいろと論議されると思いますが、以上消費者が常に疑問に思い、要請してまいりましたが解決できなかった二、三点について質疑してまいりましたので、よろしくお願いいたします。
 それから畜産公社の運営についてでございますが、昭和52年、家畜及び畜産物の価格の安定や県民の食生活の安定向上の目的で設立されました県畜産公社の運営につきまして一、二点だけお伺いいたします。
 まず第1点は理事の構成でございますが、同公社の設立の目的からしても消費者の意見をたくさん反映させなくちゃいけないこの公社に現在ただ1人の消費者代表が理事として加わっておることに対しまして私たちは不服であり、去年から再三知事や主管部等にも要請をいたしてまいりましたが、いまだにその返事もなく実現もされておりません。それにつきまして知事の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、同公社の運営資金でございますが、特別割り当ての輸入牛肉の54年度の調整金収入は約12億と計上されており、同公社の総予算22億5000万円の2分の1に当たりますが、現在この特別措置の輸入牛肉に対しましては賛否両論がございますが、知事のお考えをお聞きしたいと思います。また仮に打ち切られた場合の消費者行政をどうなさるのか。それから同公社の輸入牛肉からの調整金の約12億のかわりに運営資金はどのように工面なさるのか、2点についてお考えをお聞きしたいと思います。
 4番目の通告でございますが、去る5月30日の報道によりますと、沖縄行監が県の児童扶養手当の認定が本土は1カ月かかるのを、沖縄は6カ月もかかっているという報道がございました。それで行監から勧告されたようでございますが、それに対し主管部長の釈明もございましたが、西銘知事は、就任以来この方県民福祉のために云々を常に口にされておられますが、これは福祉の後退としてゆゆしい問題だと私は思っております。
 本県の場合、複雑な社会情勢により母子家庭は類似県の2倍と言われ、母子年金受給世帯も1505件、障害年金は8054件、その他の年金も多々ありますが、その処理も大変だとは思いますが、しかし特にこの手当は生活の苦しい母子世帯に常に多く支給され、この認定がおくれるとそれだけ不利になることは私がいまさら申し上げることもございません。市町村の段階でも障害年金、その他の年金のおくれが多々苦情も出ておりますが、浦添でも3000万円余の児童扶養手当を担当職員が着服するという大きな社会問題を起こした事件もございましたが、県当局はもちろん今後どのようにしてこれに対処なさるか、また関係市町村にどのように行政指導をなさるのでございましょうか、以上の点について御答弁をお願いいたしたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 渡名喜藤子議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 復帰特別措置との関連におきまして米麦の値段についての御質問がございますが、これに対しましてお答えいたします。
 食糧管理法に関する特別措置は、沖縄の復帰に伴う農林省関係法令の適用の特別措置等に関する政令の一部改正、これは昭和52年5月13日になされておりますが、この政令の一部改正によりまして沖縄県における米穀の政府売り渡し価格及び麦の標準売り渡し価格等を本土価格に一致させるための期間昭和52年から54年まで3年間を、それぞれ昭和52年から59年まで8年に延長いたしました。毎年本土の価格に近づけるための調整がなされているわけでございますが、昭和54年で本土価格の67.5%まで格差の縮小がなされております。
 さらに昭和55年9月改定におきまして本土価格の73%台まで縮小されるものと予想されております。
 そこで県といたしましては、当初54年までに本土並みにするという措置に対しまして59年までの5カ年間を延長させたわけでございますが、その間毎年価格の改定を行っていく方針に基づいて対処しているところでございまして、これが漸減措置によって本土並みの価格に持っていくという措置でございまするから、ただいまの御要請に対しまして大変厳しいものが予想されておるのでございますが、この件につきましては県としてはいまの情勢を踏まえまして大変むずかしい問題ではないかと考えておるところでございます。
 次に、ガソリンの値段についての御質問に対しましてお答えいたします。
 県内で消費されるガソリンは、復帰特別措置によりまして揮発油税及び地方道路税が軽減されておりまして、本土より1キロリットル当たり7000円の税差がございます。また本県では、離島地域の石油価格の安定を図るため石油価格調整税制を定めまして1キロリットル当たり1500円を課税いたしておりますので、本土との比較におきまして実質的な税差は1キロリットル当たり5500円となっております。
 御指摘のとおり、この税差分は現時点では必ずしも明確に小売価格に反映されていない実情にあります。県におきましては、これまで石油元売11社及び給油所等に対しまして再三にわたって特別措置の小売価格への反映方を要請してきたところでありますが、まだその実現を見てない状況にございます。今後とも特別措置の趣旨が生かされるよう業界の指導を強力に実施していきたいと考えております。
 バナナに対する御質問に対しましてお答えいたします。
 本県におけるバナナの需要は7500トン程度と推計されておりますが、このうち輸人が昭和53年現在でございますが7100トンとなっております。輸入経路といたしましては、フィリピンを主体とする産地から北九州、神戸等へ直接送られ、沖縄分についてはその一部を回船してもらっている状況でございまして、この回船分の運賃、小売価格の15%程度でございますが、この運賃が輸入コストとしてバナナの値段に加味されておるのであります。本土におけるバナナの需要は近年停滞ぎみであり、季節によっては過剰状態になる現象も見られるなど相場の乱高下が厳しい状況にございます。これに対しまして本県の輪入状況は安定的に推移しているため、本土各県との小売価格比較では本土価格が安くなっている場合もあります。また昨今の輸入品種の中には沖縄向けの特定品種モンキーバナナがございまして、これはフィリピンから直接空輸されているため従来種と比べて割り高となっております。
 復帰前と比べてみました場合、バナナの関税5%でありましたので本土の40から50%と比べても安かったし、輸入経路も直接回船されるなど物流コストが割り安についたものであります。復帰後は復帰特別措置で54年までが5%、55年5月以後は20%と本土並みに近づきつつあるのでありますが、沖縄におけるバナナの小売価格の推移は必ずしも上昇ぎみとは言えないのであります。
 電力料金の値上げにつきましては先ほども御答弁申し上げたのでございますが、離島をたくさん抱えている沖縄の現状からいたしまして、離島における発送電の資金コストが大変高くなっておりまして、これが経営面に大きく響いているわけでございまして、その点県といたしましてはたびたび現状の体制で特殊法人として存続させるよう要請してきたのでございますが、まだこれが実現されないままに民営移行が閣議でもって決定されているところでございまして、大変な赤字を抱えている現状でございまするし、さらに燃油が値上げになりましたのでそのある程度やむを得ない面もあるかと思いますが、県といたしましては、あらゆる面からこれを検討してできるだけ値上げの幅を縮めるようにいろいろ努力してまいりたいと思っております。
 航空運賃につきましても本土─沖縄間、また沖縄─離島間の航空運賃の問題につきましてはこれまでその軽減方について政府に対しまして極力折衝したところでございまして、施設使用料等の軽減あるいはその他の方法によってできるだけ航空運賃によって住民の足が渋滞しないような状態に持っていかなければならないということでいまいろいろ施策を進めておるところでございます。
 それから畜産公社の運営についての御質問につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
 次に、児童扶養手当の認定事務が本土と比べて大変おくれているのは一体どういうことかという御質問がございましたが、この点につきましても担当部長からそれぞれ答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 理事の構成について知事の見解をただされたのでございますが、答弁漏れで申しわけありません。
 理事の構成についてできるだけ消費者代表をふやしてくれと、特に女性の方を入れてもらいたいという従来の要請につきましては、しばらくこれを検討させていただきたいと思っております。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 宮城宏光君登壇〕
○農林水産部長(宮城宏光君) 畜産公社の運営の件で特に輸入牛肉の割り当ての問題、これが打ち切られた場合どうなるか、今後どうするかといったような御質問にお答えいたします。
 御案内のとおり、畜産公社は主に畜産物の価格安定を図るために機能しておりますが、現在この財源は調整金でもって公社の財源としているわけでございます。昨日も質問がございましたが、現在年間約5000トン牛肉を消費しておりまして、この5000トンのうちから調整金を取って対処しております。現在沖縄県内における牛肉の自給率は約5%でございまして、この輸入牛肉がなければとうてい消費者の需要を満たしきれない状況でございます。そういうことで私どもとしてはそういう面から見ても継続が必要だというふうに考えておりますし、またこの輸入牛肉の調整金でもっていまさき申し上げました畜産公社の機能を強化しているわけでございますので、私どもとしましてはこの輸入牛肉の割り当ての継続をお願いしたいというふうに考えております。
 これがなくなった場合どうなるかということでございますが、これがなくなった場合に財源の確保という面からは非常にむずかしい局面が予想されます。その際かなり縮小して農家あるいは関係団体の積立金あるいは県からのそれに対応する財源措置といったようなもので対応せざるを得ないということになろうかと思いますが、現在のところはこの輸入牛肉からの調整金でもって公社を運用するという点で、今後この輸入牛肉の継続方については特別措置の中で考えなければならないわけでございますが、私どもとしましては継続を現在考えているところでございます。
○議長(大田昌知君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 児童扶養手当の認定事務のおくれにつきまして御説明申し上げます。
 先般、国の行政監察事務所から児童扶養手当の認定事務が遅いということで指摘を受けております。大変申しわけなく思っているものでございます。
 児童扶養手当の制度は、御承知のように母子家庭の子供を養育するための手当として子供1人につき月額2万6000円支給されている制度でございまして、現在その受給者が1万127入で対象児童数が1万6259人でございます。
 この数字は、類似県に比べまして非常に高く佐賀県の約3倍、宮崎県の約2倍でございます。それだけ本県は母子世帯が多いということでございますが、その御指摘のありました認定事務のおくれの理由も、こういった対象件数が非常に多いということがまず挙げられると思います。それから母子世帯につきましては死別、離婚、遺棄、未婚の母等いろいろございますが、そういったところの認定のための判断、それから審査等が非常に手間がかかるということも1つの原因でございます。もう1つは市町村の事務職員、いわゆる担当者が業務習熟度が浅い者が多く大変事務処理に単純なミスが多いということがこの監察の結果でも指摘されているわけでございます。そういうことで、ことに先ほど御説明のありました一連の不正事故もございまして、そういうもののためのまた審査の厳正に努めるということでの一時期の問題も要因になっているわけでございます。
 そこで現在担当職員を2人置いて処理させておりますがなかなか思うようにいきませんので、その後応援を求めまして処理させている状況でございます。この審査事務等のいわゆる内申、そういった文書等につきましてもむだも多いような感じのある部分もありますのでそういった簡素化等も現在検討し、そして市町村職員の指導を強化いたしましてそして市町村の協力を得て今後早目に処理していきたいとこういうふうに考えております。
 ちなみに、先週から各地区を回りまして各市町村の担当事務者を集め研修会を現在行っているところでございます。
 以上です。
○議長(大田昌知君) 渡名喜藤子君。
   〔渡名喜藤子君登壇〕
○渡名喜藤子君 畜産公社の運営のただいまの知事の御答弁では、消費者代表を入れることに対して当分検討するとおっしゃいましたけれども、畜産公社の設立以来いままで私たちがずっと陳情要請を続けてまいりましたけれども、それが3年間になっております。それでもう少し検討を要するという御理由を詳しく御説明願いたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) ただいまの再質問に対しましてお答えいたします。
 畜産公社の理事は、同公社寄付行為第18条の規定によりまして理事長は知事でございます。副理事長が農林水産部長、その他の理事は理事長が選任することになっております。55年7月1日現在の理事は18人でございますが、その構成について申し上げますと、県5人、市町村代表4人、農業団体3人、輸入業界2人、加工業界2人、消費者代表1人、屠畜業界1人となっておりまして、各界の意見を広く徴し公社の業務運営についてこれを推進するということになっているわけでございまして、渡名喜さんの御要請は、おそらくこの消費者代表が1人ということでは少ないんじゃないかとこういうことですし、さらにこれについてその他の人事についても婦人から選任してもらいたいという御要望だと思いますので、しばらく検討させていただきます。
○議長(大田昌知君) 与那嶺光雄君。
   〔与那嶺光雄君登壇〕
○与那嶺光雄君 さきに通告をしてありました質問の趣旨に従って私自身の所見も述べながら質問をいたしたいと思います。その前に、県議会で初めて発言をする機会を与えていただきました県民の皆様に感謝を申し上げ、あわせて議員各位、執行部各位の一層の御指導と御鞭撻を冒頭お願いをしておきたいと思います。
 さて質問の第1点でありますけれども、沖縄県の長寿の村、その建設について伺いたいと思います。
 すでに御案内のとおり、日本の社会はすでに高齢化社会を迎えたと言われ、特にわが県においては他府県に見られない特異な社会的、自然的条件の中で人口の絶対的、総休的な老齢化の現象が著しく進んでいると言われております。その意味でも、老人対策は県や市町村の行政にとっては是が非でもやらなければならない緊急かつ重要な施策であると考えます。しかしながら残念なことに国政の場において、とりわけ自民党の根強い福祉見直し論の中で国の老人福祉行政が後退を余儀なくされる危険にあり、事実老人の保養基地建設については大きく後退をしていることを指摘せざるを得ないのであります。たとえば高度経済成長期においては、老人福祉法に基づいて4つの施設だけでなく、老人の単に生きがいを感得するだけではなくして、余暇を楽しみつつ残された能力を活用し、それを社会に還元するための大型保養基地の建設をも進められてまいったのであります。しかしながら残念なことに今日低成長期に入りましてこの大型保養基地どころか、中型基地の保養基地すらも今日建設が困難な状況に置かれております。
 このような状況下において、振興開発計画に長寿の村の建設構想が提起されてまいりました。それ以来県に対して佐敷町を先頭にして数カ所の町村でおらが村へ、おらが町へということでこの長寿の村の誘致の要請がなされてまいりました。特に佐敷町においては、当時佐敷村でございますけれども村民大会まで開いてその誘致を強力に要請をしたのであります。
 そこで私がお伺いしたいことは、場所の選定については今後の検討課題といたしましても、県が昭和49年以来今日まで19回にわたって粘り強く国に要請をされ、ようやくことしの1月の野呂厚生大臣の来県で、中型ではあるけれども保養基地建設が検討されるというところまでこぎつけられたのであります。その意味では県の努力に対して敬意を表するものであります。昨日の生活福祉部長の答弁にもありましたけれども、去る1月11日からこれまで大型の保養基地を検討され、そしてすでに民間に委託をしてその基本構想も明らかにされてまいりましたけれども、いま申し上げましたようにきのうの生活福祉部長の答弁では去る1月の11日から新たに中型の長寿の村構想を検討しているということでございますけれども、その構想と規模、さらにその着工のめど等について、あるいは具体的にどの辺までその検討が進められているのかについてお伺いをしておきたいと思います。あわせてすでに県が地域科学研究所に委託をされ完成をした先ほど申し上げました大型の長寿の村建設の構想とのかかわりがどうなっていくのか、お答えをいただきたいと思います。
 それから長寿の村建設の必要性について私見を申し上げ、知事の御所見を伺っておきたいと思います。
 けさの新聞でも明らかにされましたように、南部において3村にそれぞれ老人福祉法に基づく3種類のいわゆる老人ホームとかあるいは老人センターとかというものが建設をされることになりましたことはまことに喜ばしいことでありますけれども、それはまさに県の努力を高く評価するものでありますけれども、しかしながらさきにも指摘申し上げましたように、今日の高齢者福祉行政はこれまでの老人福祉法に基づいたホームやセンターの施設、言うなれば一般の社会から隔離された施設の中での行政からは、もはや真の意味の老人福祉はあり得ないんではないだろうか、こう考えるわけであります。そういう意味では、今後の老人福祉に対する施設はオープンにされ、その施設が地域の振興開発に結びつけられるような施設でなければならないと考えますけれどもいかがなものでしょうか。その視点から保養基地の建設、特に申し上げました長寿の村の建設については、地域の振興開発と同時に、沖縄の亜熱帯性気候を生かした言うなれば観光産業にも寄与できるような形での構想をぜひ取り入れなければならないと思いますけれども、いかがなものか御見解をいただきたいと思います。
 それから次に、南部横断道路の建設について伺っておきたいと思います。
 知事は、きのうの振興開発計画についての答弁の中で、沖縄自動車道を糸満まで延長するように前向きに検討すると述べておられましたが、この件についてはさておいて、今回これまで数回にわたって南部振興会を初め関係町村長が事あるごとに県に要請をし、またあるときは知事に直接要請をされ、知事も検討を約束されたという南部横断道路、糸満から東風平を通り南風原、大里を通じて佐敷を結ぶ線でありますけれども、この建設要請がその後どういうふうになされ、どう対応され整理されたかをお伺いをしておきたいと思います。
 私見として申し上げておきますけれども、私としてはこの南部横断道路の建設は、南部全体の振興開発にとってきわめて重要な事業であり、でき得ることならば近く発足をされるはずの総合交通体系基本計画に組み込んでいってもらい、既設の道路網と有機的に結ぶことにより、御案内のとおりの慢性的な南部の交通渋滞の解消にも大きく寄与するものと考えておりますけれども、知事の所見をお伺いをしたいと思います。
 次に、現在進められております振興開発が糸満の漁港整備事業を除いては、ほとんど南部町村にはその恩恵は見るものがないと言っても過言ではないと思います。今日の振興開発は、那覇及び中北部地域を中心に大型プロジェクトを組織してその開発が進められている現状の中で、那覇市のベッドタウン的位置にある南部町村にとっては、南部町村を結ぶ横断的な道路の建設は1本の動脈で南部全体に活力を与えるばかりではなく、人的交流はやがて産業構造の計画的配置となり、それぞれの地域が連動して発展すると思われますけれども、知事の御所見はいかがなものでしょうか。特に知事は島尻出身でもあられるし、島尻ジュームッカーというちまたの酷評を知っておられると思いますが、その酷評も実は各町村を結ぶ動脈がない、言うなれば自然発生的にでき上がった既設の道路網の中からそういう島尻ジュームッカーという酷評が出てくるゆえんではないだろうかと考えております。そういう意味では島尻全体を結ぶ動脈的道路の建設をどう考えておられるか、知事の御所見を伺いたいと思います。
 さて質問の最後になりますけれども、知事の今後の政治姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
 実は、1年生議員でありまするがゆえに、昨日の本会議場までこの知事の姿勢に対する質問書を慎重に検討して原稿を携えて入場いたしましたけれども、知事の昨日の答弁を聞きましてこの原稿を全部没にしてしまいました。
 といいますのは、昨日の代表質問のトップバッターに立ちました平良哲議員の質問に対する知事の答弁、すなわち自衛官募集業務の開始、主任制度の導入の問題、選挙区条例の改悪等々、これまで対立案件とされ否決をされた議案に対しいとも簡単に早期実施を答弁されたからであります。知事はこれまで就任あいさつで、時代の進展に即応した超党派的立場に立って県民本位の県政を運営すると格調高くあいさつをされました。またきのうの吉田光正議員の質問に対しても、強行姿勢に転ずることはひとつも考えてないし、党派を超えて県政を運営するとも答弁をされました。しかも答弁の中でさらに、国策と県益が競合した場合には、自分は県知事であるから県益を優先すると断言をされております。
 そこで知事にお伺いをいたします。
 自衛官募集業務を初め、一連の否決をされた議案を成立をさせ施行することが県民本位の県政確立と県益につながるかどうかであります。私は答弁を求めたいと思います。私はむしろそれを強行することにより県民感情は対立をし、県益が大きく損なわれると考えておりますけれども、知事の御所見を伺いたいと思います。
 第2点目に、知事はよく党派を抜きにしてとか、県民の総意を結集してと発言をされてまいりましたけれども、提案されたらおそらく与野党の対決は避けられないであろうこの事案に対し、党派を抜きにして県民の総意が結集できると考えておられるのかどうか、知事の御所見を伺いたいと思います。
 第3点目には、賢明なる知事が数の力を後ろ盾にしてごり押しと力の県政をされるとは全く思いたくもありませんけれども、もし仮に国家権力に屈して今後数の力で議会に対処されるようなことになれば、県民の良識は断固として国策優先の県政に歯どめをかけるために議会内外で抗議の運動がほうはいとして沸き起こるであろうことを指摘をしておきたいと思います。
 最後に、いま一度知事が、異民族支配の中で県民が自治を求めて呻吟してきた歴史を思い出していただくことを要望いたします。
 かつて私たち県民は、時の権力者であり為政者であった高等弁務官のごり押しと力の政策によってしばしば県民同士が対立をし、混乱と憎しみの中で血を流した悲しい歴史を経験をいたしました。しかしながら県民の祖国への闘いはやがて復帰をかち取り、名実ともに自治を代表するこの神聖なる議場も立法院から県議会へと名称も変わり、県民自治は大きく前進をいたしました。そうであるとするならば、知事はいまこそ勇気と自信をもって県民の心を心として県民本位の県政確立のために、国策だからやむを得ない、他府県が実施をしているからどうしようもないんだ、実施をしようという消極的な姿勢ではなくして、積極的な姿勢で県民の命と暮らしを守るためにその先頭に立たれるべきだと考えておりますけれども、知事の御所見を伺いたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 与那嶺光雄議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 長寿の村の建設についての御質問ですが、これは担当部長から答弁させることにいたします。
 次に、南部横断道路の建設についての御質問に対しましてお答えいたします。
 糸満市潮平地域と佐敷町馬天地域を連結する当該南部横断道路構想につきましては、これまでにある程度のルート等の調査検討を行ってきたところでございます。しかしながら既存道路の整備を優先すること、現時点では交通需要がないこと、また大里─馬天間の地形的な制約等からいたしまして現時点で建設計画を立案推進することは時期尚早と考えております。
 なお、当該地域の振興及び円滑な交通の確保を図る立場から既存道路の整備を積極的に推進するとともに、与那原─国場間の交通混雑の緩和策といたしまして国道329号のバイパス計画を促進し、さらに高速自動車国道の南伸に伴う南部地域へのアクセスといたしまして第2環状線を含めた那覇外環状線等の整備推進を図りまして、交通需要に対しまして対応していきたいと考えておるところであります。
 それから長寿の村との関連において、これからの老人福祉等の施設の建設に当たっては地域の振興開発との関連においてこれをオープンにし、積極的に推進していくべきであるという御提案がございましたが、これにつきましては全く同感でございます。
 最後に、知事の政治姿勢につきまして大変熱の込もった御質問がございましたが、選挙区条例につきましても、選挙法等からいたしまして当然これは検討されなければならないということでございまして、これを数で押し切るということではなくて、筋を通して県民の皆様方の意向も入れて、ここで県議会で皆さん方の同意を得て決めていこうということで、それほど県民を二分するような対立案件ではないと考えております。
 それから自衛官募集でございますが、これもたびたび申し上げているとおりでございまして、県民が今度の戦争で大変大きな被害を受け、また日本における唯一の戦場となったことは私が申し上げるまでもないことでございます。戦争に反対するしないということではなくて、この自衛官募集は機関委任事務として知事が法令に基づいてやらなければならないごくあたりまえのことでございまして、沖縄県以外の県知事がやっていることでございまして、自衛官を募集するからといって、募集業務をやるからといって県民に大きな被害を与えるものでは決してございません。これが成立したことによって県民を二分するようなものにはならないと私は考えているわけでございまして、行政処理の上からも、また法律を守る上からも当然やらなければならないことをやっているだけのことでございます。
 それから主任制につきましてもこれはいろいろ意見の分かれるところ、見解の分かれるところいろいろございますが、私といたしましては法令を守るという立場から、これは日本全国どこでもやっていることでございまして、とり残されたのは沖縄県だけでございまして、これをやることによって県益が損なわれると私は考えておりませんし、むしろ主任制の実施によってそれだけ教職員の待遇も改善され、また教育活動も一段と活発になるものだと私は考えているわけでございます。与那嶺さんが御指摘になったとおり、あくまでも県政を運営するに当たっては超党派で声なき声も拾い上げてやっていきたいと考えておりまするし、ごり押しに県政を持っていこうとは思っておりません。
 また、国益、県益、どちらを優先するかと申し上げますというと、私は沖縄県人でございまするし、沖縄人としての体験も皆さんと同じような体験を持っているわけでございまして、県知事といたしましてはあくまでも県益優先の立場を堅持して県政を運営していきたいと思っておりますので、特段のひとつ御協力、御支援を賜りますようにお願い申し上げまして終わります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
   午後2時25分休憩
   午後2時47分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 休憩前の与那嶺光雄君の質問に対する答弁を求めます。
 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 新垣雄久君登壇〕
○生活福祉部長(新垣雄久君) 長寿の村構想につきまして御説明申し上げます。
 長寿の村構想につきましては昨日の御質問にもお答えしたわけでございますが、その構想について規模について、それから着工期間についてということでございますが、現在これは国と調整を進めていく段階でございまして着工の時期につきましては未定でございます。その調整をしていく段階でそれは決まっていくものと思います。
 ただ、私どもが当初構想しておりました施設の内容について申し上げますと、規模としては約1万3000平米、それから当時の資金としましてこれは四、五年前でございましたけれども約32億を想定いたしました。それから施設の内訳としては、有料老人住宅、それから宿泊施設、研修施設、集会施設、活動施設工房、これは趣味と実益の活動をということでございます。それから体育館、高齢者クリニック、管理事務所施設。屋外の施設としましては運動広場、子供の広場、亜熱帯植物園、それから散策路、庭園、菜園、薬草園等、そういうことを想定しておりまして、それを中に織り込みながら折衝していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(大田昌知君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、さきに通告いたしました質問順位を若干変更いたしまして、2番目に労災病院の設置についてを行い、順次質問を行っていきたいと思います。
 まず最初に、基地問題であります。那覇空港の自衛隊との共用の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 那覇空港の自衛隊との共用排除については、昨日以来代表者から指摘されてきたところでありますが、これに対する知事の答弁は、終始消極的な姿勢しかとっていないことはきわめて残念だと言わざるを得ません。那覇空港の現況は、私がここで指摘するまでもなくこれまでも多くの代表から指摘され、また自衛隊の同港への配備状況を見ればいかに危険と背中合わせをしている状況か一目瞭然であり、知事もそのことを御承知のことだと思います。特に去る1月25日のミサイル・サイドワインダーの火災爆発事故に続いて起こった今回の自衛隊機墜落事故炎上は、県民に大きなショックを与え、軍民共用がいかに危険であるかということが証明されたと思います。したがって、那覇空港の民間への専用化は県民の生命、空港の安全を確保する上から急務の課題であります。
 そこで知事にお尋ねしますが、知事は昨日の代表質問に答えて、当分は自衛隊との共用はやむを得ないと述べておりますが、これまでも相次ぐ事故で自衛隊との共用がいかに危険であるかは実証されたと思います。知事もそうした認識に立っていることは変わりはないんじゃないかというふうに考えます。行政責任者として県民の生命と安全を確保する立場からその危険を排除する、そういう措置を直ちにとるべきであると思うがどうか。知事はきょうの質問に対しても、いわゆる県益、県民福祉を優先して基地被害に対しては対処するということを述べておる以上ですね、やはりこうした危険な状況のいわゆる自衛隊との共用の那覇空港について、直ちにやはりその危険を排除していく措置をとるべきだと思うが、再度知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 それと那覇空港の自衛隊との共用に関するいわゆる自衛隊と運輸省との覚書が存在すると言われておりますが、その覚書の内容について知事は御存じなのかどうか。もしそれが知らないということであれば、それを公表させるか、その覚書を取り寄せる考えはないかどうかお尋ねをしたいと思います。
 次に、労災病院の設置についてお尋ねをしたいと思います。
 この件を私は先般の議会でも質問をしたところでありますが、県当局の答弁としてはこれを検討していきたいということでありましたが、沖縄の医療施設は年々増設され、また改善されてきておりますが、まだ本土の約50%という状況で特に公立の医療施設の整備がおくれている状況であります。中でも産業災害による特殊な疾病に対する専門病院、すなわち労災病院の設置が必要とされております。現在沖縄には労災病院などの専門病院がないために職業病や産業災害による特殊な疾病は、本土まで行って入院、治療を受けなければならない状況にあります。どうしても沖縄の地理的な状況からも、こうした特殊な疾病に対応する医療機関の設置が必要だと考えるのであります。
 ただ、沖縄の場合は産業が少なく、産業災害の数においては本土と比べて少ない。52年の産業災害の発生状況を見ますと本土の約3分の1ではありますが、しかし職業性疾病やその他特殊な疾病、最近の交通事故などによる治療、リハビリテーションを兼ねた労災病院の設置が必要とされ、特に公的病院の少ない沖縄においてはなおさらのことだと考えます。この労災病院の設置は、労働福祉事業団法に基づいて労働者災害保険の保険施設として労働者の福祉の増進を図るために設置することができるとされております。また、沖縄の医療事情や労働者災害補償保険に加入しているその恩恵を公平に受けるという立場からも、労災病院の早期設置が必要ではないかと考えるのであります。
 そこで知事にお尋ねをいたします。
 公的医療機関が少なく、特殊疾病の専門病院が皆無の状況の沖縄において、今後の産業災害に対する負傷や職業性疾病の医療を中心とする医療機関の設置がぜひとも必要だと考えますが、知事の御見解を承りたいと思います。
 ちなみに、現在の本土の労働福祉事業団による医療施設と関連施設の状況を見てみますと、労災病院全国で5、労災委託病棟が13カ所、健康診断センターが8カ所、労災リハビリテーション作業所が8カ所、休療所が10カ所、看護専門学校が6カ所というようにいわゆる労働福祉事業団法に基づいて労働者の福祉向上を図るという立場からこうした種々の施設が本土においては設置をされているわけでありますが、やはり沖縄においてですね、労働福祉は非常におくれているわけですから少なくともやはりこういった公的機関を早期に設置するという立場で、また労働行政を進めるという立場でその見解をお聞きしたいと思います。
 あと1つは、環境保健部長にお尋ねしますが、この件は労働福祉という面からのとらえ方だけじゃなくて、沖縄の公的医療施設の充実強化を図るという立場から相提携をして推進していかなければならない課題だと思いますが、知事及び関係部長の御見解を承りたいと思います。
 次に、雇用対策基金についてお尋ねをしたいと思います。
 去る6月30日に、県はかねてから検討を続けてきた雇用対策基金について県の基本的な考え方を雇用対策基金調査会に提示しました。これまで同基金に対する県の基本構想がしばしば議会等において示されましたが、これによってほぼ県の考え方が明らかにされたものと思われます。この雇用対策基金については各労働組合からも大きな関心が寄せられ、同基金に対する労組の考え方や提案がなされるなど同基金に対する期待と早期実現が望まれております。そのことは沖縄の雇用失業問題の解決が現在の制度の枠内ではきわめて困難であり、特別な対策が必要とされているからであります。
 ちなみに本県の雇用失業情勢は、復帰前の昭和46年に失業率1%、完全失業者が4000人、求職倍率が3.1%であったが、復帰後は年々しかも急速にその状況が悪化し、昭和52年5月には完全失業者が3万3000人、失業率は実に7.9%という最高値に達したこともあり、沖縄の雇用失業の状態の深刻さを浮き彫りにしたのであります。最近では失業率は若干低下したものの、失業率は4%から5%、完全失業者数も2万4000から2万前後で季節、時期によって変動はあるものの依然として本土の約3倍以上の失業率という深刻な状態が続いているのであります。この要因についはこれまでも指摘されておりますように、復帰後の駐留軍離職者の相次ぐ大量解雇、経済不況による民間企業からの解雇の発生、復帰後の大幅な生産年齢人口、労働力人口の増加、県内就職の志向及び若年層のUターンによる県内滞留などによるものであります。中でも駐留軍離職者は中高年齢者が多く、雇用保険や3年間の就職促進手当の期限が切れてもなおかつ再就職は困難で潜在失業者として滞留して失業状態を悪化させる1つの要因となっております。
 このように本県の雇用失業の問題は、一向に解決の方向は見出せず依然として深刻な状態に置かれているわけであります。これを1歩でも2歩でも前進させ、解決させるために現行の制度や従来の対策の枠にとどまることなくより積極的な対策、思い切った抜本的な対策をこの際講じなければならないと思います。この施策の1つとして今回雇用対策基金について県の基本的な考え方が提示されたわけで、いよいよ同基金構想が一歩具体化へと踏み出したことは県当局の努力を多としたいと思います。しかし雇用対策基金調査会に提示されました内容を見る限り、これは1つの素案だと思いますが幾つかの点で不明な点があります。雇用対策基金の視点、性格、位置づけがどこにあるのか、また政府との関係ではどうなっているのかという点がございます。
 そこで知事にお尋ねをします。
 まず、県案に提示されております基金500億円を設定した根拠は何なのか。また、この資金の確保のめどはついているのかどうかお聞きをしたいと思います。
 次に、この雇用対策基金の設立について政府との一定の調整がなされているのかどうか。また政府とは何らかの了解を取りつけてあるのか。少なくとも政府との感触を得ているのであればお聞かせを願いたいと思います。またこの雇用対策基金は現在検討が進められておりますが、第2次振興開発計画の関係ではどう位置づけられるのか明らかにしてもらいたいと思います。
 次に、雇用対策基金の事業内容についてお聞きしたいと思うんですが、細かい点は省きたいと思います。
 この雇用対策基金の内容は、雇用拡大のための産業振興に関する事業といういわゆる雇用を前提にした企業に対する助成措置、それからもう1つは雇用促進のための技能訓練や資格免許の取得のための助成措置、3番目には雇用拡大及び安定に関する事業といういわゆるクリーン・グリーン事業や公園管理事業、道路維持管理事業等の事業が挙げられているわけでありますが、この事業を行っていく場合の焦点、いわゆる目玉となるべき重点事業は一体何なのかですね。非常に焦点がぼけている、漠然としている、非常に幅広い形の中身になっているわけですが、これから検討が進められてしぼられてくると思うんですが、その重点は何なのかお聞きをしたいというふうに考えております。
 もう1つは沖特法38条、39条についてですね、県としては今後どのように対処していくのか。いわゆるこの雇用対策基金の設置とかかわりなく引き続きこれは存続していくという考え方なのかどうかお聞きをしたいというふうに考えております。
 次に、物価問題についてお聞きしたいわけですが、この問題についても昨日来指摘がされておりますが、中でも電気料金の値上げの動きであります。これはことし2月に42%余り引き上げられて、しかもまた年に2回も引き上げるということで消費者県民に非常に大きな打撃を与えることになるわけですが、特にこの電力会社の民間への移行問題でありますが、知事はこの問題について、いわゆる電力会社は民移管に向けて条件整備を前提にして民間への移行を進めていきたいという答弁をなされているわけでありますが、果たして民移管によって消費者に安定的な電力を供給していけるのかどうか。民間企業とは当然利益会社であるし、果たして民間企業の運営で離島を含めてよりよいサービスを供給できるかどうかという問題。むしろ電力、水道というものはですね、人間生活に欠かせない企業であるし、やはり公営的な企業として維持させるべきだと思うんですが、この点について知事の先ほどの御答弁と関連しまして果たして民間への移行ということによって安定的な電力供給ができるのかどうか、これに対する知事の御答弁をお願いしたいと思います。
 以上、あと答弁によって再質問をしたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 友寄信助議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 那覇空港の自衛隊との共同使用についての御質問に対しましてお答えいたします。
 さきの御質問に対しましてお答えしたのでありますが、那覇空港の自衛隊との共用は決して望ましいものではございません。ただ、日米安保条約や復帰の際の運輸省と防衛庁との取り決め等に基づくものでございまして、その経緯からいたしまして直ちに共同使用に決着をつけることはきわめて困難な情勢でございます。しかしながら基本的な方向といたしましては、民間空港として整備していくことに変わりはございません。ただその実現にはある程度の時間がかかるものと思われます。したがって当面の取り組みといたしましては、第3次空港整備5カ年計画による滑走路の延長、これは約300メーターを予定しておりますが、この滑走路の延長及び2次振計の中におけるその位置づけ等を考慮しながら空港整備に最善の努力を傾けるつもりでございます。私が申し上げるまでもございませんが、知事管理の県管理の第3種空港とは違いましてこれは国の直轄する飛行場でございまして、これに対しまして県の意向を反映させるということは大変むずかしいものがございますが、この第3次空港整備5カ年計画による滑走路の延長の問題がけりがつき次第、何としてもこれを民間空港専用に持っていく手はずを整えて最善の努力を傾けるつもりでございます。
 次に、労災病院の設置についての御質問に対しましてお答えいたします。
 労働災害による被災者あるいは職場環境の不備のため疾病にかかった人たちに専門的な治療を施し社会復帰を早め、健康を守るための施設としての労災病院の必要性については御指摘のとおりであります。
 労災病院は、労働省の計画に沿って具体的には労働福祉事業団が設置運営するもので、55年4月現在全国に35カ所設置されております。
 本県への労災病院の設置について非公式に打診したところでは、独立した労災病院を設置するには労災件数が類似県と比較いたしまして少ないというふうに考えているようでございます。52年を例にとって申し上げますというと、類似県の3402件に対しまして本県は717件となっております。そこで労働省といたしましては、既設の医療機関に委託病棟を設置させる方向で、具体的には沖縄赤十字病院の新築移転計画にこれを上乗せしたいとして働きかけたようでありますが、病院側の諸般の事情等もございまして実現には至っておりません。
 本県における労災発生状況は比較的少ないとはいえ、毎年かなりの件数に上っていること、本県における医療機関の全般的不足の状況を考えますときに独立した労災病院の必要性が痛感されますので、さらに医療関係者と十分協議を整えた上労働省を初め関係機関にその誘致を働きかけていきたいと考えております。
 労災病院との関連について本県の医療施設の状況につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
 雇用対策基金について細かい御質問がございました。その位置づけ、政府との関係、基金500億円の根拠とそのめど、さらに政府の了解を取りつけたかどうか。また事業の内容について、特に事業の内容について目玉となる事業は何であるかというきわめて細かい質疑があったのでございますが、これに対しましてお答えいたします。
 基金の創設に当たりましては、その性格、事業内容、実施主体、さらに一般行政上の現行諸制度とのかかわり合い、新たに策定しようとしている振興開発計画とのかかわり合い等についていま深く掘り下げて調査研究をしているところでございまして、現在調査会においてこれら制度の重要事項について調査研究を行っておるところでございます。したがいまして、御質問の基金の管理主体はこれは原則的には県でございますが、また基金事業の対象となる事業実施主体は県みずから実施する場合と民間の企業や会社等で実施する場合が考えられますが、目下調査会において各面から検討がなされておりまして、その結果を踏まえて最終的な結論を得たいと考えているわけでございまして、そういう御質問のあった細かい点について現在答える段階ではございません。
 次に、沖縄電力についての御質問に対しましてお答えいたします。
 これは先ほどの質問に対しましても答弁したのでございますが、沖縄の電力事情、特に離島を多く抱えておりまして離島への送電の問題、また各離島における発電の問題、このコストが大変高くつくわけでございまして、民営移行に伴いましてその沖縄の特殊性がどう配慮されるか大変心配をされておるところでございますが、しかしながら行財政の簡素化の問題の一環として閣議の決定を見ているわけでございますので、民移管はやむを得ないものだと思っております。したがいまして今後は民営移行に伴って沖縄の持つ特殊性をどう生かしていくか、どう配慮していくかについて重点的に問題をこれにしぼって政府に対しましてこれから要請を続けていきたいと考えているところでございます。
 しかしながら御心配になっておる民移管によって電力の安定供給ができるかということでございますが、民営に移行いたしましても電力の安定供給はそれほど心配はないと思っておりますが、ただ離島の場合がどうなるのか心配される点もございますが、こういう問題は今後民営移行と関連いたしまして特に国に対して配慮してもらうよう努力を傾注していきたいと思っておるところであります。
 次に、雇用対策基金と特措法との関連について御質問がございましたが、この件については担当部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 沖縄県の医療事情を見ますと、病院の数は人口割りでいたしますと全国平均の大体55%、診療所の数も大体同じように55%でございます。病床数を見ますとすでに70数%までいっておりますが、その中で病院の一般病床、一般の患者の診療を担当する病床でございますが大体半分程度でございます。特に一般病院の数は、現在47%程度までいっております。設置者別に見ますと、文部省あるいは厚生省立の国立病院、それから県立病院、市立病院を除く公的病院は日赤病院しかございません。他県ではその他の公的病院がかなりございます。近年、那覇市立病院も開設をいたしましたが、まだまだ公的病院は不足の状況にございます。
 そういったことで、特に専門的な医師とリハビリテーション施設などを必要とする労働災害患者の医療に関しましては、その整備が要請されると思っております。
○議長(大田昌知君) 労働渉外部長。
   〔労働渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○労働渉外部長(大浜賢永君) 友寄議員から御質問のありました那覇空港を自衛隊が使用している根拠、あるいは運輸省と防衛庁との間に交わされている協定等についての説明を求めておられるわけでございますが、これについて御説明申し上げたいと思います。
 那覇空港を自衛隊が使用するようになりましたのは、御案内のとおりかと思いますけれども昭和44年11月の佐藤・ニクソン声明を受けまして、沖縄の直接防衛責任の日本国による引き受けに関する取り決め、いわゆる久保・カーチス協定が結ばれ、それによって自衛隊の沖縄配備が決定されたわけでございます。同協定の中では、航空自衛隊要撃戦闘機部隊、陸上自衛隊航空部隊、海上自衛隊対潜哨戒部隊が那覇空港に配備されるということになっているわけでございます。
 これを受けまして運輸省航空局長と防衛庁防衛局長との間に那覇飛行場の使用等に関する協定というものが昭和47年の11月に締結されております。これをざっと申し上げますと、防衛庁は那覇飛行場を使用するものとする。運輸省及び防衛庁は、相互に協力して同飛行場の円滑な運用を図るものとすると。次に施設の使用として建物等の使用区分が書いてございますが、これは1から6まで建物番号を付したものを掲げてございます。ここに記載している建物については防衛庁が使用するというような内容のものでございます。そのほかに施設の維持及び補修については、第2条に定めるところにより当該施設を使用する運輸省及び防衛庁がそれぞれ実施するものとすると。自衛隊航空機の使用のため、特に必要な清掃及び芝張り並びに明らかに自衛隊航空機の使用によって生じたと認められる損害等に対する補修等は、防衛庁が実施するというのが那覇飛行場の使用等に関する協定の内容でございます。これを受けましてさらに細かい那覇飛行場の運用等に関する暫定了解事項というものもございますが、これの内容の説明は省略させていただきまして後で資料としてお届けいたしたいと思います。
 それから雇用対策基金と特措法第38条との関係はどうなのかという御質問でございますが、いま私どもが検討いたしております雇用対策基金、これはいままで実施しております既存の雇用失業あるいは職業安定に関する施策を強力に進めながら、さらに雇用対策基金という追加施策を考えておるわけでございまして、これはこの雇用対策基金について検討中であることは先ほどから知事が答弁しておるとおりでございますが、この雇用対策基金ができたにしても38条、39条はそのまま存続していくというぐあいに私どもは考えております。第2次振計の上でも38条、39条はそのまま存続させるような方向で検討していくというのが現段階の私どもの考え方でございます。
 以上です。
○議長(大田昌知君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 雇用対策基金についての知事の答弁ですが、答弁になってないんですよね。
 私が質問しているのはですね、少なくとも500億
円というこれは具体的に説明はできないにしろ1つの根拠もあると思うんですが、これだけの事業をやっていく場合にこれは県単事業じゃないわけですからね、やはり国の財政的な援助をもらっていかぬとこの事業の目的は達成できぬわけですから、そういった意味において当然これだけの大きな事業計画をつくる場合事前にやはり政府との何らかの調整がなければならないと常識的に考えてですよね。そういった面で国との事前の調整は何らかの了解を取りつけてあるのか、それは答弁していただかんといかぬじゃないですか。
 それと雇用対策基金のことについて調査会で検討中で具体的に答弁できないということですが、それは理解できます。これから調査会でいろいろといい方法を見出すわけですから。ただ問題は、県として諮問したわけなんですから県の基本的な柱がないといかぬわけですよね。ただ調査会に投げかけてさあどうぞつくってくれということになると、これは県の主体性も何もないわけですから、当然やはり何らかの基本的な柱というかそれがあるんじゃないかということをお聞きしているんですが、できればその点あるんだったらお答えを願いたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 再質問に対しましてお答えいたします。
 これは政府に対しましても藤波労働大臣にお会いいたしまして沖縄の雇用状況を詳しく説明もし、本土平均と比べてきわめて高い率であるということを申し上げて、県のこれに対する取り組みとして雇用対策基金の問題を考えている。ついては労働省としても検討していただきたいということは私からじきじき大臣に会って話を進めているところでございまして、まだ国の了解を全面的に取りつけたという段階ではございません。たとえ国の了解が得られなくても、県といたしましては独自の立場からこの基金の性格をどういう形でやるのか。事業の主体はもちろん県でございますが、各企業体を督励いたしましてそういう失業がないように雇用してもらう場合のその手当てをどうするか、国がやる場合のクリーン・グリーン事業をどういう形で推進していくか事業の内容についてもこれは初めてのことでございまするから、なかなか県独自の形で結論を出すことは早計でございまして、できるだけ専門家から構成されました調査会でもって基金の性格の問題、事業内容の問題、何を目玉にするか、県は何をやるか、県はまたどの事業をどういう企業にこれを委託してさせていくのか、幅広い構想でいまいろいろ検討している段階でございまして、いま結論を友寄さんの具体的な質問に答える段階ではまだまだないと、そこまで煮詰まっていないということでございまして御理解をいただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 新垣秀吉君。
   〔新垣秀吉君登壇〕
○新垣秀吉君 4つの質問を通告してありましたが、私見を加えて質問を行います。
 第1番目に、沖縄電力の電気料金値上げについてでございますが、この点については二、三の議員から御質問がございまして、質問の内容も同じであるしまた答弁においても同じ答弁が繰り返されておりますので私は質問を省きたいと思いますが、1つだけお尋ねしたいと思います。
 先ほど知事の答弁には、沖縄電力の民営移管についてはすでに閣議決定されたことであるし、やむを得ないという御答弁がございましたけれども、私はいま少し県民の暮らしを守る立場から積極的に行動を起こすべきではないかとこのように考えておりますけれども、この点について知事の御見解を賜りたいと思っております。
 次2点目の質問に入りますけれども、基地からのたれ流しについてお尋ねをいたします。
 読谷村楚辺兼久原海岸一帯は、昔から地域住民の海水浴場として、また干潮時には潮干狩りの場所として大変にぎやかな海岸であったが、トリイ通信施設の汚水処理のために同海岸近くにマンホールが設置され、そこから300メートル沖合いに汚水がたれ流しされ、村は那覇防衛施設局を通してその改善を強く訴えてまいりました。その結果、基地からの汚水は宜野湾市伊佐浜下水処理場へ送ることに話がつきまして、昭和53年の7月から工事が進められ、同年11月に伊佐浜下水処理場へのパイプ敷設が完了いたしております。昭和54年4月から供用を開始することになっていたが、嘉手納基地の下水道料金未納をめぐって県と米軍側との主張が対立し、そのあおりを食ってトリイ通信隊の汚水処理の供用が見合わされておる現状でございます。私が調査した結果、7月1日現在いまだたれ流しされている現状でございます。
 県は、この件についてどう対処してきたか。またいつまでたれ流しをさせるおつもりか。
 なお、供用を開始することによって当然海岸にある施設は撤去しなければならないと思うが、県は施設局に対して撤去の申し入れをする考えがあるかどうか、この件についてお尋ねをいたします。
 3つ目に、黙認耕作地の実態見直しについてお尋ねをいたします。
 防衛施設局は、地籍確定が進む中で沖縄の黙認耕作地の実態調査を行うようであるが、沖縄における黙認耕作地については国の会計検査院がかねてから二重利得であるという指摘をしております。そのために賃借料を減額すべきである、このような指摘がなされておりますが、沖縄における黙認耕作地は、県民の土地闘争反対の激しい中で米軍の土地接収を容易ならしむるため地主に対して一部を農地として提供する形で黙認耕作地が許されたものであり、また布令20号賃借権の取得、これに基づいて米国民政府が市町村に耕作並びにまき木採集の許可を与え、市町村長が耕作希望者に対し使用許可を与え耕作をさせたものであり、必ずしも地主が耕作しているとは限らないのであるが、黙認耕作地は二重利得であると認めるのかどうか。また基地渉外課は、地位協定第3条による米軍の施設管理権の作用と見るべきであるとこのような見解を出しておるけれども、その根処は何か。なお、会計検査院が指摘している事態が起こったときに県はどう対処するか、これについてお尋ねをいたします。
 4つ目に基地問題でございます。パラシュート降下演習事故についてお尋ねをいたします。
 読谷飛行場におけるパラシュート降下演習は、あれだけ村民を挙げて反対をしたにもかかわらず、かつてない機動隊を導入し強行に演習を実施してきたが、なぜ村民が反対をしなければならないのか。この件は、同降下演習場については棚原隆子ちゃんの圧殺事故以来10数回の事故が発生し、特に近年同演習場を取り巻く周囲の状況は南西に県道16号線、北に県道12号線、東は国道58号線と周囲はすべて公道であり、この公道を中心に村民が居住しており、ターゲットから400メートルあるいは500メートルしか離れていない状況である。
 ここでお尋ねしますが、知事は昨年12月の県定例議会において、降下演習場については住民地区との関連についてデータを整理して早急に問題点を洗い出し3者協に提起すると言われたが、どのようなデータが出たか、また3者協にどう提起されたかお尋ねをいたします。
 なお、同降下演習場について大蔵省の見解は、旧日本軍買収地について私法上の売買契約により正当な手続により国有財産になっているとこのように結論づけております。これは宮古、八重山などの先島の事例から類推した見解であり、地主が納得する評価ではない。大蔵省は私法上の売買契約によって取得した何一つの裏づけとなる証拠がないままに国有財産台帳に登載されているようであるが、地主には昭和19年9月20日付の所有権移転登記申請書を厳然として地主が持っております。知事は、県民の権利と財産を擁護する立場から、沖縄における同種の問題について解決のためどのようなお取り組みをなされるか御所見をお聞かせ願いたいと思っております。昭和19年の9月20日の所有権移転登記申請書の形がこのように厳然として残っております。国はこういうことを取り上げずに、先島の事例を類推をして国有財産である、正式な手続を経て国有財産に登載したとこのように言っておりますけれども、これに対する知事の御見解を承りたいと思っております。
 終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 新垣秀吉議員のただいま
の御質問に対しましてお答えいたします。
 トリイ通信基地からの汚水に関する御質問に対しましてお答えいたします。
 トリイ通信施設は、県の管理する流域下水道の処理区域外でありますが、昭和53年、那覇防衛施設局長から下水管の接続申請がございまして条件を付して同申請を許可いたしております。しかし米軍は、他の米軍施設同様汚水処理業務契約の締結を申し入れてきました。県は、これに対しまして下水道法の趣旨になじまないことと、嘉手納空軍基地の負担金問題もございましたのでその進展を待って供用させる方針をとってきました。現段階で嘉手納基地の下水道負担金問題は日米合同委員会で審議されており、またトリイ通信施設の下水道負担金問題については米軍側も、1、下水道法を遵守する、2つ、料金は上下水道メーターで支払うことが合意されており、現在はこの趣旨の確認書が那覇防衛施設局を通じて到着しております。したがいまして近々のうちに供用を開始したいと思っております。
 次、黙認耕作地についての御質問に対しましてお答えいたします。
 現在、提供施設内にあるいわゆる黙認耕作地は、戦後全農地の40%余りが基地に接収され、生活の糧を失った方々が立入禁止の軍用地と知りつつも立ち入って農耕したのが始まりでございます。やがてこれは1955年10月23日来沖いたしましたプライス議員を団長とする沖縄軍用地調査団の調査結果をまとめたいわゆるプライス勧告におきまして、1つ、農耕の認められている軍用地ではその慣行を維持すること、2つ、軍用地内農耕可能地については琉球政府は農業政策の樹立に努めること、この2点の指摘をなしておりまして、軍事基地の確保と基地行政の円滑な運営を図る上で支障のない範囲での農耕はやむを得ないとする米国側の考え方を示したものであります。この勧告内容は、後に布令第20号として公布されその保護がなされていましたが、復帰に伴いましてこの制度が本土においてはなかったことから、何ら法令上の措置をとることなく今日に至っておるのであります。
 ところで、御指摘のあります関係当局による実態調査につきましては、この調査が直ちに黙認耕作地の解消を意図したものであるかどうかにっいての情報は得ておりません。県といたしましては、黙認耕作地につきましてはこれまでの経緯を踏まえまして耕作者の安全性を前提にいたしまして従前どおり耕作ができるよう努力する所存であります。
 御参考までに、布令第20号における黙認耕作地に関する措置内容について申し上げますと、「合衆国に緊急な必要がなく、また琉球経済の最上の利益に合致するならば、合衆国はその規定した条件のもとに賃借土地を一時使用する特権を所有者又はその他の者に許可することができる。ただし、合衆国はその自由裁量により何時でもこの特権を取消すことができる。」と、こういう内容になっております。御参考までに申し上げておきます。
 パラシュート降下演習についての御質問に対しましてお答えいたします。
 読谷補助飛行場におけるパラシュート降下訓練は、同飛行場周辺に住宅地として開発が進められているところから、特に夜間の訓練については県としても中止するよう再三米軍に申し入れてきたところであります。那覇防衛施設局では、同飛行場が降下訓練場として適当であるかどうかについて検討し、同飛行場の移設について日米合同委員会施設特別委員会に去る3月18日に正式に提案されまして、いま同委員会で協議されている最中であります。
 それから演習場の撤去との関連で、旧日本軍接収用地の問題についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 与座議員の代表質問でお答えいたしましたように、これまで関係省庁に対しまして折衝したのでございますが、この折衝の経過からいたしますと、国は正当な手続を経て国有財産となったものとの見解に立っております。したがいまして、これを否定する形での旧地主への所有権の回復はきわめて困難な状況にあります。
 この問題につきましては、それぞれ市町村にお
いて事情が異なるところもあり、今後この問題をどう処理しどう解決していくのか当事者間においても意見が分かれておりまして、画一的に対応できない複雑な状況にあります。したがいまして、このような事情も踏まえまして引き続き関係市町村と協議を重ね実現可能な方策を見出して対処したいと思っております。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 答弁の間違いがございまして、この料金は私は先上下水道と下を入れましたが、これは上水道メーターで支払うことが合意されたということでございまして、この確認書が到着しておりませんが、この確認書が到着次第供用を開始したいとこういうことで訂正していただきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 本定例議会におきまして、自由民主党の一般質問のトップバッターとして県知事並びに関係部長に御質問をいたします。
 通告第1点目の県財政の今後の見通しについてでございますが、西銘県知事の就任後の本格的な予算編成であります昭和55年度県予算を見ますると、内外の厳しい財政状況の中におきまして県民の負託にこたえるべく知事を初め県執行部の大変な努力の成果を高く評価するものであります。
 本県の財政構造は、数年前に比べると自主財源は13%というきわめて低い状況にありながらも財政事情はかなり好転の兆しを見せており、財政構造そのものも他県と比べて弾力性はあるようでありますが、しかし本県は発展途上県という特殊な地域であり、格差是正と経済の自立的発展の基礎条件の整備を目標とする大型プロジェクト、たとえば中城湾港の開発事業、大那覇空港、糸満漁港の整備、水資源の開発、都市モノレール、東南アジア交流センター、コンベンション・ホール、県立芸術大学等、さらにまた社会資本の充実を図るべくもろもろの事業が予定されておりますが、これらの大型プロジェクトや各種公共事業は特別措置法による高額補助が受けられてはおりまするが、中には県単独事業で対応しなければならないものもあるようであり、さらに県の対応費と将来の県民負担となる県起債の増加は、近い将来県財政の硬直化の大きな原因になるのではないかと私は思量するものであります。県知事当局は、いかような御所見を持っておられるかお伺いをいたします。
 関連事項といたしまして、現在沖縄の県下市町村も特別措置法によって公共事業を競って進めております。その分の市町村の起債の急激な増加というのは、市町村自治体においても近い将来元利償還による一般財源の義務経費の硬直化を来し、そのときからはほかの事業ができなくなるとの指摘がありますが、県当局の御所見と対策をお伺いしたい。
 財政の最後の質問になりますが、第2次振計の財源については、昨日の本会議におきまして県知事はまだ財源確保はこれからだとの発言をしておられましたが、特に起債につきましては相当な起債額が出てまいります。その意味におきましては良質な資金を慎重に選択して活用するような配慮を第2次振計の策定に考慮すべきと思うが、いかがお考えなのか御所見を賜りたい。
 質問の2点目、国体主会場選定の発想についてでございますが、先ほど申し上げました県財政の厳しい見通しとの関連で、国体のメーン会場選定については私の意見も申し上げ、知事の御所見を具体的に賜りたい。西銘知事の活力ある県政の確立を目指す意欲的な姿勢は、第1次振興開発計画にうたわれながらも、革新県政時代に芽出しのできなかった多くのプロジェクトをめどづけする等、その実績というのはまことにすばらしいものであります。
 さて、数多くのブロジェクトやそれぞれの事業が芽を出しあるいは第2次振興開発計画の目玉事業として計画されておりまするが、沖縄県の21世紀を展望し、自立自活を目指す大型プロジェクトを成功させる最大のかぎは、何といってもしっかりとした長期的な財政計画が必要不可欠な条件であり、きわめて厳しくなるであろう国、県の財政の今後を考えた発想で国体主会場選定に結論を出すべきであると考えるが、県知事当局の具体的な所見を伺いたい。
 ちなみに、主会場として中南部の軍用解放地を含めた内陸部に用地を求めた場合は、膨大な数の地主の合意を限られた時間の中で得ることは不可能なことであります。さらに競技施設費については、1000億近い多額の予算がかかる欠点というのが出てまいります。また公有水面の埋め立てによって用地を造成する場合は、たとえば沖縄市の泡瀬地先のような海抜1メートル以内の地帯ならば約30億で造成ができるものが、西海岸のような数メートルの水深のところでは埋め立て造成費だけでも200億円以上の膨大な予算が必要であります。さらに緑化植栽事業というのは、3ないし4カ年という短期間では絶対にできない事業であります。この埋め立て事業の用地造成による主会場建設につきましても、施設費につきましては内陸部と同じような多額の予算がかかります。そういう面で非常に問題が多いのであります。7年後というけれども、実際は6年後の高校のインターハイに目標を置いた会場選定をしなければならないというきわめて限られた期間しかございません。
 その中で用地取得、そして緑化植栽あるいは風向き、風速、そういう自然条件等の問題を初め、県や市町村の財政負担を極力避けるためにも、国体主会場は既設のでき上がっている競技場でも十分にその目的を達成できるのであれば、既設の競技場をメーン会場に選定すべきと考えるものであり、さらに主会場のみに金をかけるような結果、宮崎のような国体終了後は遊休化するような施設では大変なことになります。むしろ関連施設を県下市町村にむらなく配分配置するのが本当の意味における地方の時代の地域振興になることからして、既設の競技場でも特に沖縄市のような市営競技場ならばわずかの予算でりっぱな国体が開催できるのであります。知事当局はいかようにその点について考えられるか、具体的な御答弁をお願いしたいのであります。
 3点目、中城湾港の開発事業についてでございます。
 私は10数年前から中城湾港開発に情熱とロマンをかけて一生懸命勉強してきた1人の政治家でございます。この事業は、元コザ市長の大山朝常先生を中心に20数年前から進められてきた構想であります。第1次振興開発計画においても目玉事業でありながらも、過去の革新県政の取り組みの弱さからもう少しのところで幻の港となるところでありましたが、バイタリティーあふれる西銘知事が誕生してからは、県の強力な取り組みが展開された結果、来年の9月にはようやくにして着工の見通しも出てまいりました。関係市町村代表の1人といたしまして、県知事を初め開発局や関係者に厚く御礼を申し上げる次第であります。
 さて、この事業を予定どおり来年9月にスタートさせるには、来る11月の園の港湾審議会に諮問をし第6次港湾整備計画にのせなければ、またまた数年間おくれてしまうのではないかと大変心配をしているものであります。県当局の開発計画の進捗状況はどうなっておられるのか、本当に11月までに確実に開発計画ができ上がるかをお伺いいたします。
 また関連いたしまして、地域の漁業従事者の合意を得るために必要である漁業振興対策については、地元の沖縄市、具志川市、勝連町から、ことしの5月に県に具体的な要請書が出ているはずでありまするが、この漁業振興対策についてはどのような取り組みがなされているのかお伺いをいたします。
 中城湾港の問題で最後の質問でございますが、中城湾港の後背地あるいは後背地利用のプロジェクトとして海洋総合大学の設立についてでありますが、この構想は県下49市町村の議会におきまして設立要請の決議がすでになされております。いわゆる全県民的要求のプロジェクトと思慮するものでありますので、第2次振興開発計画の目玉事業として強力な取り組みを県知事にお願いしたいのでありまするが、いかがお考えでございますか。
 通告の4点目の軍用地解放跡地利用について質問をいたします。
 復帰後の県政の大きな課題であります軍用地解放跡地利用の推進で一番のネックは、地主の協力が得られるか否かであります。しかし現実には地主の同意が得られずに、関係市町村では跡地利用計画は暗礁に乗り上げているのが実情であります。
 地主の同意がなかなか得られない理由の大きな原因は、税法上の問題であります。関係市町村が跡利用にいろいろな施設の建設事業を進める場合に、土地収用法の発動が可能な公共事業については土地の売却代金から3000万円までの控除の恩典がありますが、その他の公共あるいは準公共的な施設、たとえば保育所、総合病院、各種福祉施設等につきましては税法上の特典が受けられないために、全財産を強制的に接収され他部落に移住を余儀なくされた地主にとっては、公共工事のためとはいえすべての財産を売り、しかも税金でがっぽり持っていかれる現在の制度下では、簡単に跡地利用といっても協力はできないのであります。
 軍用地の歴史的な経過からしまして、当然の結論として跡地利用計画事業については、少なくとも準公共的施設等についても特別な措置を早急に対処しなければ、すなわち公共事業の執行は用地問題が90%と言われる昨今、また第1次、第2次振興開発計画の目標達成上も大きな障害となるのは明らかであります。
 関連して、第1次振興開発計画では、軍用地は土地利用上白地指定となっております。したがって解放後の利用計画の事業を進める場合でも、第1次振計の事業計画の中に途中から割り込んでいかなきゃならないためにもろもろの問題が出ております。したがって第2振興開発計画の中では軍用地返還の計画をきめ細かく策定し、あわせて跡利用計画も策定していくか、あるいはまた何らかの方法で軍用地解放跡地利用計画に十分な配慮が絶対に必要だと思いますが、県知事の御所見を賜りたい。
 最後の質問、通告5番目の県道23号線の工事についてでございます。
 沖縄県の歴史、伝統、文化、芸能の殿堂として沖縄県下一の市民会館が9月の20日に完成予定でございます。この市民会館への幹線であります県道23号線は例の若夏国体からの事業でございますが、もはや7年経過をいたしております。7年経過した今日、なおこの県道が途中で半端道路として切れております。沖縄市にとりましては市民会館の完成とも相まって、さらにまたあの危険なパイプラインの上をダンプカーが激しく往来しているという状況、諸般の事情からしまして緊急な課題として県当局のこの事業の早急な推進をお願いしたいのでありまするが、現状はどうなって、見通しはどうなっているのか、なぜおくれているのかを具体的に御説明願いたいのであります。
 質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 西田健次郎議員のただいまの御質問に対しましてお答えいたレます。
 県財政の今後の見通しについての御質問に対しましてお答えいたします。
 昭和50年度から続いてきました地方財源不足に対する財源措置として講ぜられた建設地方債の増発によりまして、地方公共団体における公債費がふえてまいりましたことは御案内のとおりであります。本県におきましても公債費は年々増加傾向にございますが、本県の歴史が浅いこと、高率補助事業が多いこと等もございまして昭和53年度の公債比率で見ますと、本県が3.3%、類似県平均が6.1%、全国平均5.5%と本県が低い状況にあります。また、経常収支比率について申し上げますというと、昭和50年度が92.1%、51年度93%、52年度89.9%、53年度85.1%となっております。類似県平均が77.4%、全国平均が77.5%となっておりまして年々改善の方向に向かいつつありますが、他府県に比較いたしましてなお高い状況にありますので、今後とも財政硬直化を来さないよう健全財政運営に努めていく必要があると考えられます。
 市町村財政との関連についての御質問に対しましてお答えいたします。
 本県市町村の昭和53年度決算における公債費比率は5.6%――52年度が4.6%となっておりますが――となっておるのに対しまして、全国市町村の昭和52年度のそれは8.9%となっておりまして、本県の公債費比率は全国ベースで比較した場合、まだ低い状況にあると言えます。しかしながら地方債は後年度に財政負担をもたらすものであり、しかも最近その伸び率が著しいだけに、その活用に当たっては一定の節度を保つことが必要なことであると考えます。通常、財政構造の健全性が脅かされないための公債費比率は10%を超えないことが望ましいと言われておるのであります。ところで、本県市町村の中にも公債費比率が10%を超え、または10%に近い団体が二、三ありますので、今後適切な財政指導を行っていきたいと考えております。
 国体主会場選定の発想についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御指摘のように、国体を初め中城湾港開発、モノレール建設等主要プロジェクトを実施するには中長期の財政計画が必要であることは当然のことでございます。このため施策として計画しているこれらの主要プロジェクトが円滑に実現できるよう財政面からも慎重に検討を重ねております。また、急激な財政負担とならないよう計画的、効率的な財政運営を図るためにも財政収支見通し等の財政計画を立てております。国体関連の事業実施に当たりましては、今後の財政状況も十分判断した上それぞれの計画との整合性、もろもろの事業の優先度等を考慮しながら無理な財政負担とならないように配慮していきたいと思っております。
 主会場選定についての質問に対しましてお答えいたします。
 現在、4市1村より主会場の誘致についての要請がなされておりますが、これを含めてその検討を進めているところであります。主会場地の選定に当たりましては用地確保の容易度、経費等のほかに会場地周辺の宿泊、会場地への交通輸送、また大会後の跡利用等を含めた多くの観点から考える必要があり、これを総合的に検討いたしまして早い時期に決めたいと考えております。
 中城湾港開発事業についての御質問に対しましてお答えいたします。
 中城湾港開発は、沖縄振興開発計画におきまして本県の自立的発展の基礎条件整備を図るための主要プロジェクトとして位置づけ、生産機能と流通機能とを兼ね備えた流通加工型港湾の整備を図ることとしております。現在、これまでの各種基礎調査及び関係団体との調整を踏まえまして中城湾港開発基本計画(案)の策定作業を進めるとともに、昭和55年度国庫補助による水理模型実験調査を初め、環境アセスメント調査等と併行いたしまして港湾計画の策定作業に鋭意努力しているところでございますが、関係市町村、地元住民、漁業関係者との調整、企業立地及び関係事業計画等多くの問題を抱え厳しい状況にありますが、56年度着工に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 中城湾港は、流通加工型港湾の適地であるとともに、重要な漁場でもあり漁民の理解と協力を得て推進する必要がございます。このため中城湾港開発に関係のある漁業協同組合等に対しまして開発基本計画(案)を説明し、その意見要望等を聴取しているところでございます。これらの意見要望等を踏まえまして漁業振興策を策定中であり、漁民の理解と協力が得られるよう努めていきたいと思っております。また漁業補償につきましては、中城湾における漁業の実態についての調査結果を踏まえまして適正な補償を講ずるとともに、漁業の振興開発と漁業者の生活安定を図るための諸施策を推進してまいりたいと思っております。
 軍用地跡地の利用についての御質問に対しましてお答えいたします。
 沖縄県軍用地転用基本計画では、その全域を公園緑地として位置づけその基本方向で計画を進めてまいりましたが、沖縄市と地元との話し合いの中で計画の変更があり、市においては新たな計画を策定しその実施に向けて現在作業を進めているところであります。県におきましても市の計画を尊重し、その実現に向けて協力をしていきたいと思っております。また、御指摘のように現在進めている事業のあり方では、譲渡所得の特例措置は適用できないこととなり事業の障害となることが憂慮されますので、早い時期に都市計画上の位置づけ等が可能となるようその指導をしてまいりたいと思っております。これによりまして各種事業法の適用が受けられることとなり、譲渡所得の特例措置が可能となります。しかし、計画されている中には事業法の適用を受けられないのもございまして、これらについては今後の課題として検討してまいりたいと思っております。
 軍用地について第1次振計では取り上げられてないが、第2次振計の中ではどのように対処するかという御質問に対しましてお答えいたします。
 本県には軍用地が全県土面積の約12%を占めておりまして、県土の有効利用の面からいたしましても基地の整理縮小を推進しなければならないと考えております。したがって軍用地の整理縮小につきましては、日本国とアメリカ合衆国の軍隊の地位に関する協定に基づく返還合意施設及び地域振興開発上どうしても必要な地域につきましては、第2次振計の見直しの中で跡地の利用を検討していきたいと思っております。
 県道23号線の工事につきましては、担当部長から答弁させることにいたします。
 海洋総合大学構想についての質問に対しましてお答えいたします。
 海洋総合大学につきましては、その内容、目的、規模等、あるいは設立はだれがどのような形で進めていくか具体的な構想がまだ定まっておりません。そのため、いまここで回答できないのを大変残念に思っております。しかしここで言えますことは、本県の地域特性を踏まえまして全国的にも国立としては初のケースとして琉球大学に海洋学科が設置されておりますので、この学科の定員増と学部昇格の運動を展開いたしまして、内容を充実させることが地域のニ一ズにこたえていく方法であろうかと思われるのであります。
 なお、御提言の趣旨につきましては、後日御教示いただいて検討してまいりたいと思っております。
 以上であります。
○議長(大田昌知君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 城間勇吉君登壇〕
○土木建築部長(城間勇吉君) 県道23号線についてお答えを申し上げます。
 いわゆる国体道路としての区間約3.9キロは御案内のとおりすでに完了いたしておりますけれども、上地から池武当までの約3.3キロの区間につきましては現在事業の執行に入っていることは御案内のとおりでございます。
 当該道路は、嘉手納空軍基地内を通るために道路敷の返還手続及び米軍用施設の補償等交渉に相当長時間かかりました。それから計画道路付近の地籍が境界不明の状況でありましたためにこれらの調整、手続、地籍の確定業務に相当の日時を要したわけでございます。しかしながら米軍関係との調整も整い、それから関係地主等も地籍の確定作業が済みましたので昭和54年度から工事に入っておりまして、約400メートルの区間につきましては改良工事をすでに済ましております。残りのうち昭和55年度におきましては、県道20号との交差点の第2ゲートを越しまして延べにして約600メートルの工事を行う計画でございます。目下用地買収の業務を進めておりますが、3名の地主がまだ了解をしていただいておりませんので、私どもとしてはできるだけ早く地主との合意に達しまして工事に着手できるよう努力をいたしたいと思います。
 また、御心配の27号線の交点までの約300メートルにつきましては、昭和56年度で工事を行う計画で現在用地買収を進めております。
 それから27号線の交点から池武当までの約2キロにつきましては、昭和60年度完成をめどに整備をする方針でございます。
 以上です。
○議長(大田昌知君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 軍用地の跡地利用の問題でどうしてもお願いしておきたいのがありますが、たとえば沖縄市のキャンプ・ヘーグ跡地で、はるか山手の中の方の土地で市営住宅をつくる場合は、3000万までの控除があって地主が快く協力してくれたと。しかし国道沿いの1等地で総合病院をつくろうとする用地交渉の場合は、その恩典がないために山手の地主よりも土地代が安くしか手に入らないというようなことがありまして、跡地利用計画が大きな壁に突き当たっております。
 そういうことで、軍用地そのものについては事業ごとじゃなくて、そこにおける準公共的な施設というのはすべて税法上の特別な措置を配慮しなければ、今後沖縄県における跡地利用には大きな障害が出てくると。そういうことを指摘をしまして、第2次振興開発計画の中における、特別措置法の中でこの特別措置が可能なのかどうか。あるいはまた何らかの方法で跡地利用がスムーズにいくように、関係市町村が一生懸命やろうとしても法律上できないという足かせがありますので、その辺を何とか対策がないかどうかを県当局にお伺いする次第であります。
○議長(大田昌知君) 労働渉外部長。
   〔労働渉外部長 大浜賢永君登壇〕
○労働渉外部長(大浜賢永君) 軍用地跡地の利用に関連しまして、利用を進めていく上での所得税控除の特例が受けられるようにという趣旨の御質問かと思いますけれども、これにつきましては先ほど申し上げましたように都市計画事業だとかあるいは区画整理事業というぐあいに特定の事業にのっけてやる場合には特例があるわけでございますけれども、それによらないものについての特例は現行の法の上ではないわけでございます。この問題は、今後振興開発特別措置法見直しの中で返還軍用地の跡利用促進という観点から検討していかなければいけない問題だと思っております。
○議長(大田昌知君) 以上で、本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明5日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時18分散会

 
19800503000010