昭和55年(1980年) 第 4回 沖縄県議会(臨時会)
第 1号 5月16日
第 1号  5月16日
 

議 事 の 概 要
昭和55年5月16日(金曜日)
午前11時56分開議
日程第 1 会議録署名議員の指名
日程第 2 会期の決定
日程第 3 キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書
日程第 4 キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議
   討 論 議員提出議案第1号 キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書
       議員提出議案第2号 キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議
日程追加 陳情第137号 
午後0時28分閉会

○議長(大田昌知君) ただいまより、昭和55年第4回沖縄県議会(臨時会)を開会いたします。
○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 本日、岸本安神君外22人から、議員提出議案第1号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書及び議員提出議案第2号キャンブ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議の提出がありました。
 その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(大田昌知君) 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
 今期臨時会の会議録署名議員は、会議規則第114条の規定により
   11番 仲 村 正 治 君 及び
   27番 古 堅 実 吉 君
を指名いたします。
○議長(大田昌知君) 日程第2 会期の決定を議題といたします。
 お諮りいたします。
 今期臨時会の会期は、本5月16日の1日といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、会期は、本5月16日の1日と決定いたしました。
○議長(大田昌知君) この際、日程第3 議員提出議案第1号 キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書及び日程第4 議員提出議案第2号 キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議を一括議題といたします。
 提出者から提案理由の説明を求めます。
 岸本安神君。
   〔岸本安神君登壇〕
○岸本安神君 ただいま議題となりました議員提出議案第1号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書及び議員提出議案第2号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議について、提出者を代表いたしまして一括して提案理由を申し上げます。
 在沖米海兵隊は、「キャンプ・シュワーブ演習場におけるM85重機関銃等の実弾射撃訓練の再開通告をし5月12日から実施しております。
 今回の実弾射撃訓練再開に当たって、国や米軍は射角制御装置の取りつけやガンポイントを移動したので安全性は確保されたと強調しておりますが、射程距離の長いM85重機関銃等の実弾射撃訓練をするにはキャンプ・シュワーブ演習場が余りにも狭小でいかに危険であるかは、過去における住民地域への機関銃弾の乱射事故等によって十分過ぎるほど証明されております。またガンポイントから着弾地点までの距離が1200メートルで、着弾地点から住民地域までの距離はわずか2800メートルしか離れておらず、M85重機関銃の持つ6800メートルの射程距離とライフルの10倍の破壊力を考えた場合、誤射や跳弾による事故が三たび住民地域に発生しないという保証は何らないのであります。過去における機関銃弾事故に対し、本県議会は臨時議会を開いて厳重に抗議し、キャンプ・シュワーブ演習場における軍事演習の即時中止と同演習場を即時全面撤去するよう強く要求したにもかかわらず、このような危険きわまりない実弾射撃訓練を再開したことは県民の意思を踏みにじるものであり断じて容認できるものではありません。
 以上申し述べたような理由から、キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊の実弾射撃訓練を即刻取りやめ、同演習場を即時全面撤去するよう日米両政府に強く要求するため本案を提出した次第であります。
 ここで意見書を朗読いたします。
    〔キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書朗読〕
 次に、決議につきましては内容が意見書と同じでありますので、あて先を朗読いたします。
    〔キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議のあて先朗読〕
 以上で提案理由の説明を終わりますが、よろしく御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(大田昌知君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
    〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 この際お諮りいたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第1号及び議員提出議案第2号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、両案については、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 志村 恵君。
    〔志村 恵君登壇〕
○志村 恵君 私は、自由民主党県議団を代表して、ただいま議員提出議案第1号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書並びに議員提出議案第2号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議について、反対する立場から討論を行います。
 初めに、去る5月7日在沖米海兵隊から、キャンプ・シュワーブ演習場においてM85重機関銃等の実弾射撃訓練再開の通告が知事及び名護市長に対してなされており、すでに同14日から実施しているとの情報に接したわけでございます。
 米軍の軍事演習問題については、県内外での世論等においていろいろと論議がなされており、わが議会においても与野党の間に見解の相違があり論議を重ねましたが、ついに意見の一致を見出すことができないことを非常に残念に思うわけであります。
 さて、何ゆえにわが党が今回の野党提出の意見書に同調できないか、このことについて若干説明をしたいと思います。
 一昨年12月29日、米軍の軍事演習によってM85機関銃による名護市許田在の民家への乱射事件という不祥事件が発生しましたが、そのときわれわれは米軍の安全管理のまずさを指摘し、再発防止の面から与野党全会一致で抗議決議するとともに、内閣総理大臣、駐日米大使館、ほか関係当局に対し同演習場の撤去及び演習の中止をするよう要請したところでございます。しかしながら今度の訓練再開に当たっては、米軍の射撃要領を改正するなど安全面についての対策を講じており、その対策については防衛庁の技術専門官も立ち会い、その安全性の確認をしているところであります。その対策の主なるものは、1つ目に射角制御装置をつけ射角を5度以内としたこと、2つ目に従来の砲座を変更し射程距離を2800メートルから1200メートルにしたこと、3つ目に基本射撃、いわゆる停止状態以外は実施しないこと、4つ目に目標地点の視界がきかない場合は中止をすることなど安全対策が講じられており、安全性は十分に確保されているものと思うのであります。
 もとよりわが党としては米軍の演習自体を積極的に歓迎をし、これを推奨するものではございません。しかしながら前回事故が発生した、今回も事故が起こらないという保証はないなどのゆえをもって直ちに演習の即時中止及び演習場の即時撤去を要求することに対しては、安保条約容認、必要最小限度の演習是認の立場をとっているわが党は、これに歩調を合わせることはできないわけでございます。また、一転してわが国の内外情勢に目を向けた場合、激動の70年代のあとを受けて迎えた80年代は従来にもまして緊迫しております。
 国際的には第2の石油ショックによる世界経済の混乱と不安の増大、アメリカ・イラン関係の緊迫化、ソ連のアフガニスタンヘの軍事介入、それに伴う同国の社会状況並びにそれに対する厳しい国際世論を見るとき、われわれは国家の真の独立と平和がいかに大切であるかということを改めて感ぜずにはおれないのであります。さらに、わが国周辺においてはソ連の軍事力の増強などによって北方領土を中心にその脅威下にさらされていることや、本県周辺においても領空侵犯が頻発しスクランブルが繰り返されていることなどを思い合わせたとき、国防体制の確立は不可欠の条件となってきているのであります。いまやわが国は、真の独立と平和を守るために防衛問題について真剣に検討しなければならないところまで来ているわけでございます。ちなみに、政治の場である国会衆議院においても安全保障特別委員会が設けられ、安全保障上の国民の合意をつくり上げるべくすでに動き始めていることは御承知のとおりであります。
 わが国の防衛は、米国との安全保障体制を基調とすることを基本方針としているわけでございまして、いわゆる日米安全保障条約を抜きにしてわが国の防衛を考えることはできないのであります。もしわが国が他国からの侵攻を受けた場合は、安全保障条約によって米軍は日本を守るために持っている力を投入することは条約上の義務であります。したがいましてわが国の防衛が安全保障条約を基軸としている以上、米軍の演習は容認せざるを得ないわけでございます。しかしながら安保容認、訓練是認の立場に立っているといえども、訓練によって住民に決して被害を与えるものであってはならないということは申し上げるまでもございません。安全対策については、最大限の配慮がなされなければならないと思うわけでございます。したがってわが党は、従来にも増して県民の生命、財産を守る基本姿勢を貫いていく所存であります。現実に被害が発生したわけでもなく、かつまた諸安全対策が講じられ、これまでも実施されてきた演習が今回再開されるという通報があったというだけで臨時会を要求し、このような議案を上程することに対しては同調できないわけでございます。
 かかる理由から、わが党は野党提出議案第1号の意見書並びに第2号の即時全面撤去に関する決議に対しては、賛意を表することはできないわけでございます。
 以上を申し上げまして、反対の討論を終わりたいと思います。
○議長(大田昌知君) 吉田光正君。
    〔吉田光正君登壇〕
○吉田光正君 本員は、野党各派を代表いたしましてただいま上程されました議員提出議案第1号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書、それから同趣旨の第2号について賛成する討論を行います。
 沖縄県民の悲願と言われておりました本土復帰、いわゆる核抜き本土並みという合い言葉のもとに祖国復帰してからすでに8年を経過し、9年目を迎えようとしております。その間、一番中心であった核抜き本土並みということが、8年を経過した現時点においてもなかなかそういう状態にはないわけでございます。特に基地につきましては本土の53%も沖縄に集中し、さらにその機能がますます集約され高度化されていると言われております。こういうような沖縄のこの現状を見た場合に、私たちが基地周辺からあるいは基地から来るところの多くの問題について県民の生命と暮らしを守るという立場、あるいは平和で安全な県民生活を営むという立場からするならば、これらの要素というのは私たちの日常の生活を脅かす一番大きな要因になっていることは論をまたないところでございます。
 一咋年のキャンプ・シュワーブの演習場から名護の許田あるいは数久田に向けたあの乱射事件を見ておりますと、私も現場を直接見たわけでございますが、あの位置というのは射角が、今度は停止した状態で射角を制限して訓練しているというふうに今回については被害がなかったとこういうふうに言われておりますけれども、私たちはこの演習が次第に繰り返されていきますとですね、人間のすることですからいつ何どきどういうような事故が起こらねとも限らないわけです。これは国全体の国防の論議の問題はさておきまして、私たち県民の立場でこの状況をどう見るかということに大きな視点を置かなきゃならないと思います。したがいまして私たちは県政の立場に立つならば、やはり県民の生活の安全と福祉を増進するという基本的な立場に立つことが一番原点であろうかと思いますので、今期の演習につきましては、先ほどの趣旨説明の中にもありましたようにこれは当然に県民の立場からすれば反対し基地の撤去を要求するのは当然過ぎることだと思います。
 去年の本会議の議事録をちょっと見てみますと、去年の6月6日の田場盛徳議員の代表質問の中で、いわゆる西銘知事が4月13日に重機関銃の射撃訓練に立ち会ってその安全性が確かめられたと、あるいはまあ安全だ心配することはないというふうに報道されているが、本当に安全が保証されるのかという質問がございまして、それに対して、知事が立ち会った演習については安全であったと、基地全休の安全そのものを言うているのではないという趣旨の答弁がなされております。それから5月19日の緊急質問の中でも同趣旨の質問が瑞慶覧議員からなされておりますが、これについて西銘知事は54年の4月14日のタイムスの見出しにこうなっておりますというふうにして、「米軍 機関銃実弾射撃を再開 心配することない 視察の西銘知事 訓練容認明らかに」というふうな見出しでその中で、「「私が兵隊時代に大砲を撃った経験からして、射角、距離などそれほど心配ないという確信を得た」と感想を述べ、今後、同訓練を認めていく姿勢を示した。」とこういうふうな形で答弁をしておりますが、結局視察したその時点、時点のものにおいてはこういうような答弁もはね返ってくるかもし
れませんけれども、演習が繰り返されていくことによって先ほども申し上げましたように人間のすることであるし、そしていま停止時点での射撃であるが、これが今度は次々移動をして射撃訓練をするということになればですね、私たちは不測の事故が起こるであろうことを十分予想しなければならないと考えます。したがいまして沖縄のこういうような非常に濃密な基地を持っている沖縄の県民の立場からして、国の大きな国防論争の問題とは次元を別にして県議会としては県民の立場に立ってこの問題を考えるべきだと私は思います。
 私たちの歴史過程の中でですね、やはり国のためにというふうに35年前に戦ったあの歴史過程というのは、私たちは忘れてはならないと。再びいま国際情勢がいろいろと緊迫した情勢になろうとしているので、私たちの沖縄の基地も当然そこで演習をし、当然その基地を強化していくこともやむを得ないんじゃないかというような考え方は、沖縄の立場からは生まれてこないとこういうふうに思っております。したがいましてこの演習につきましてはどこまでも反対をする立場からこの第1号、第2号の趣旨に賛成をするという立場から、賛成討論といたします。
○議長(大田昌知君) 以上で、通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、日程第3議員提出議案第1号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する意見書を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大田昌知君) 起立多数であります。
 よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(大田昌知君) 次に、日程第4議員提出議案第2号キャンプ・シュワーブ演習場における米海兵隊のM85重機関銃等の実弾射撃訓練の即時中止と同演習場の即時全面撤去に関する決議を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大田昌知君) 起立多数であります。
 よって、本案は、原案のとおり可決されました。
○議長(大田昌知君) この際、申し上げます。
 ただいま意見書及び決議が可決されましたが、これに関連のある陳情が現在議会に1件提出されております。
 よってこの際お諮りいたします。
 陳情第137号M85重機関銃の実射訓練再開に関する陳情は、緊急を要しますので急施事件と認め、この際日程に追加し審議することにいたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、ただいまの陳情第137号は、急施事件と認め、日程に追加し審議することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) 陳情第137号を議題といたします。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となっております陳情第137号については、会議規則第87条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大田昌知君) 御異議なしと認めます。
 よって、ただいまの陳情第137号は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) これより、ただいま議題となっております陳情第137号を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本陳情は、採択することに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(大田昌知君) 起立多数であります。
 よって、ただいまの陳情第137号は、採択することに決定いたしました。
○議長(大田昌知君) 以上で、本日の議事日程は全部終了いたしました。
 今臨時会の議会活動状況は、後ほど文書をもって報告いたします。
 以上をもって、本日の会議を閉じます。
 これをもって、昭和55年第4回沖縄県議会(臨時会)を閉会いたします。
   午後0時28分閉会

 
19800401000010