平成 2年(1990年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 3月 1日
第 2号  3月 1日
 

議 事 の 概 要
平成2年3月1日(木曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
    1 西田健次郎君(自民党)
    2 仲松 昌彦君(自民党)
    3 照屋 寛徳君(社会党・護憲共同)
午後4時36分散会

○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた出納長米村幸政君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
○議長(平良一男君) この際、念のため申し上げます。
 本日から3日まで及び5日から7日までの6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(平良一男君) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 平成2年度の代表質問の先陣を切らせていただきますが、代表質問に入ります前に、自衛隊機の消息不明事件につきまして、後日、西銘恒三郎議員から具体的な質問があるはずでございますが、自由民主党の所見を少し述べさせていただきたいと思います。
 自衛隊機が消息不明になり、その手がかりを求める捜索を、県民はかたずをのんで見守っております。
 宮古島の急患搬送のため緊急出動で飛び立った陸上自衛隊機が、消息を絶ってから13日が過ぎております。いかに職務上の任務とはいえ、他人の命を救うために夜のやみの中に緊急出動する自衛隊のパイロットや隊員、そして徳洲会病院の若いお医者さん、人命を助ける何物にもかえがたい崇高な、神仏にもまさる使命のためとは申せ、万が一にも不幸な結果にでもなるのであれば、こんなに悲しく残念なことはございません。消息がわからぬまま、どうにか生きていてほしい、元気でいてほしいとただひたすら念じつつ待ちわびる御家族の皆様の苦しさを慰める言葉もございません。
 仏教の教えに「人生は苦である」という言葉がございます。人間、生者必滅の宿命を背負うものでありますが、この世に生きている間、愛する人、尊敬する人、かけがえのない友人たちといずれは別れなければならない今生の別れの悲しさ、寂しさ、つらさは「苦」そのものであります。
 胸も張り裂けん、泣き叫びたいお気持ちでありましょう。御家族、関係者の皆様の心からの願いであります自衛官やお医者さんの生存を、ただひたすら神に祈り、仏にすがってお願い申し上げるばかりでございます。
 それでは通告に従いまして質問を行います。
 第1点目の平成2年度の県予算に関係する質問でございますが、今回の県関連予算で沖縄開発庁予算は、総額2499億8000万円で対前年度比0.9%の伸びでありますが、このうち、本県の社会資本の整備に必要な公共事業関係経費については全国の0.3%を0.5ポイント上回る0.8%の伸びを確保しており、また公共事業のシェアについても前年度の2.932%を上回る2.947%を確保されており、主要新規事業がすべて認められているということとあわせて政府の配慮がなされたものと高く評価をしております。
 また、平成2年度の地方財政計画の規模は約67兆1700億円で、対前年度伸び率7%程度と見込まれているところであります。
 以上、平成2年度における国の予算及び地方財政計画について少し触れましたが、さてここで、今定例会に提案されております本県の平成2年度当初予算について所見を申し述べながら質問をいたします。
 平成2年度は、残すところ2年となった第2次沖縄振興開発計画の目標達成に総力を挙げて取り組むとともに、21世紀を視野に入れた第3次沖縄振興開発計画の策定に向けて英知を結集しなければならない重要な年であります。
 また、本県経済は、財政依存度は基地依存度が低下傾向で推移をし、移輸出入の不均衡の度合いも改善されるなど自立度が幾分向上してきたものの、依然として財政依存度は全国の約2倍、移輸出入も大幅な入超であるなどなお基盤的に弱い状況にあることから、公共事業を初め県経済の活性化に資する継続プロジェクトの推進と有効な新規プロジェクトの芽出しを図る等県内景気の持続的拡大に配慮する必要があると思うのであります。
 さて、平成2年度当初予算案の一般会計の規模は4431億7000万円で、対前年度2.7%の伸びになっております。これは、平成元年度で大型プロジェクトである県庁舎行政棟、県民会館、劇場棟が完成を見たことにより約100億円余の事業費の落ち込みと第3次沖縄振興開発計画の対応、復帰20周年記念事業の対応等内容的に配慮した予算案になっているものと評価をしているところであります。
 平成2年度当初予算案の内容を具体的に見ますと、県税、地方交付税が顕著な伸びを期待できない中で、先ほど申し述べました県経済の活性化に資する新規プロジェクト事業、第3次沖縄振興開発計画への対応、復帰20周年記念事業への対応等々配慮した予算の内容になっております。ハード、ソフト両面にわたりまして内容的に充実した予算であると評価をしているところであります。
 以上、平成2年度予算案について所見の一端を述べてまいりましたが、次の点について西銘県知事にお尋ねをいたします。
 1、平成2年度予算編成の基本的な考え方はどうなっているのか、いま一度御説明を願いたい。
 2点目に、平成2年度一般会計当初予算案においてどういう面に配慮をしたのか、あるいはどのような特徴点があるのか御説明を願いたい。
 3点目、復帰20周年記念事業はどのような事業を計画しているのか。また、27年間の異民族統治の歴史的事実を伝える記念事業の実施は検討できないのか。
 この件につきましては、地元の新聞の社説にもございましたけれども、27年間の沖縄が米軍に異民族に占領されていたという歴史の事実を未来永劫に子々孫々に伝えていくという事業を、ぜひ復帰20周年記念事業の中で発想として取り入れていただきたい。
 ただ、私は沖縄市でございますけれども、旧美里とコザ市が合併したときに、「沖縄市」の名称に最後まで反対した市議会議員の一人でございました。例えば「コザ」のまち、片仮名のまちがなぜ出現したのであろうかと。これは子々孫々に27年間異民族に占領されたという歴史を伝え残すためにもまちはコザの市名で残すべきであると、そういう主張をしたけれども、最終的に一人で退けられた苦い経験がございます。
 復帰20周年記念事業も、27年間の米軍占領下にあったというこの事実を忘れてはならない。そのために何らかの形でその事実をこれからの子々孫々に伝えていくようた事業をぜひ御検討していただきたいのであります。
 4点目に、沖縄振興開発事業費の予算が毎年順調に確保されている反面、予算執行の面において毎年多額の繰り越しが生じている現状にあります。執行体制強化の抜本的対策はどうなっているのか、以上の点について知事の見解とお答えを願いたい。
 通告と若干違いますから、答弁は食い違っても、順序は間違っていてもよろしゅうございます。
 さて、本県の今年度予算に関連して、国庫支出金の確保についてお伺いを申し上げます。
 その前に、去る2月18日の総選挙におきまして、まさかと思われることが起こりました。選挙は水ものとのことわざを今さらながら実感させられたのであります。
 例えば、世界の政治情勢や日本全国の選挙の結果に逆行する形で、我が沖縄では日本共産党さんの史上空前の大量得票が出てしまったり、天下の知事閣下の御子息の思わぬ不覚など唖然としたのでありますが、とりわけ鹿児島での山中貞則先生の落選には参りました。
 山中先生のことについて各界のコメントがマスコミに出ておりますから少し紹介させていただきますと、初代沖縄開発庁長官も務めるなど沖縄問題の解決に政治信念を傾け続けた大物政治家だっただけに、経済界を初め県内関係者の衝撃は大きい。事務レベルで解決困難な沖縄問題が政治決着で処理されていった背後には、根回し役の山中氏の影が常にあったと言っても過言ではない。特措法の延長で税制会長を預かるという形で沖縄側の要望をほとんど実現させ、高率補助の削減問題でも政治力を発揮、西銘知事や開発庁首脳に影響を最小限に抑えたぎりぎりのおつき合いと言わせた裏にも山中先生が介在をしていた。また山中後援会の沖縄の田場典正会長は、沖縄問題については与野党を超えて心を砕いて応援していただいた、沖縄にとって本当に惜しい人を落としてしまったと悔しがる。松田善登農協中央会長も、農業問題は現在大変厳しく、後戻りできない状況であると。山中先生が頼みの綱だっただけに、これからどうしていくかとショックを隠せない。県首脳も、3次振計策定や沖縄振興開発特措法延長という重要な時期に山中先生の落選は、大きな痛手と落胆の表情であると。また手塚事務次官は、山中さんは沖縄問題は無条件で我がことのように考えていたと話しておられ、大蔵省へにらみがきく山中先生の存在は、開発庁の大きな助っ人であったことには間違いない。極めて残念であると。
 沖縄には、矛で盾を突く矛盾がある程度許されていいと言ってはばからたかった山中先生が落選で沖縄とのつながりがなくなるのではないが、現職を去ることになるだけに今後の沖縄問題の強力な援護射撃が弱くなるのでは、と心配する開発庁の声も多うございます。
 私も山中先生の言動には幾度となく感動したことがございます。国の財政危機乗り切りのために地方自治体や各種の補助金見直し、整理統合、そしてとりわけ本県の振興開発計画の命の綱である高率補助カット問題で、県知事を初め開発庁、五の日の会の先生方が奔走しているとき、私どもも自民党の県連としてお手伝いをしておりましたが、そのときに山中先生が地元の鹿児島県知事、今の参議院議員をしておられる鎌田知事でございましたけれども、沖縄と同じような扱いを奄美にもやってくれと。高率補助カットの切り込みで沖縄だけ特例として少しはカットされまして残りました。そのときに選挙区の知事が、奄美大島も沖縄と同じように扱ってくれという陳情をしにきたときに山中先生が、第2次世界大戦のときのあの悲惨な惨禍、さらにまた米軍に占領されてきた経緯、奄美大島は米軍が間違って占領してしまって、「オー、ミステイク」ということでクリスマスプレゼントで返された話もあるんです。これは事実なんですよ。
 それで、その米軍の占領27年間で本当に迷惑をして被害を受けてきたのは沖縄だけじゃないかと。さらに現在、奄美大島に何名の米兵がいるかと。一人もいないだろうと。沖縄が基地から毎日受けている被害、戦争の悲惨な経験、27年の歴史、これを見て沖縄と同じ扱いと、ふざけるんじゃないということで県知事を追い返したという話は有名な話でございます。
 さらにまた、山中先生が復帰記念式典のときでございましたか、あいさつの文書の中に切々と訴えていたのは、このことでございました。1609年に薩摩に侵攻されて以来、お互いの沖縄というのは300年余りにもわたって隷属と占領と貧困と苦難の歴史を歩んできた事実がございます。そして戦争が終わりまして1945年の平和条約第3条によって我々ウチナーンチュが、沖縄県民がわかりもしないうちにいつの間にか米軍の占領下に追いやられていたと。ようやく復帰をしたものの、いまだなお米軍の大半を沖縄が担っているというこの厳しい現実、歴史。これに対する深い御理解を示されて、絶えず我々沖縄県民の一番最後にいる人だという形で頑張ってこられた山中先生の落選というのは残念でたまりませんけれども、時まさに21世紀の沖縄のロマンを担う第3次沖縄振興開発計画策定を控えた大事な時期だけに、知事におかれましては、山中貞則先生が従来どおり本県のため、日本国のため再びばりばり活躍していただくために、全県民的規模で沖縄での激励会でも催されたらいかがでございましょうか、知事の所見をお伺い申し上げます。
 さて、具体的な質問に進みますが、90年度の国庫支出金要請行動に、私ども自由民主党沖縄県連の執行部も上京しお供をさせていただきましたが、例年に比べて割と楽な予算折衝であったと思料しておりますが、しかし予算折衝とはまさにドラマだと水谷文彦振興局長のコメントが「記者席」に出ておりますが、事実いろんな苦労もある、駆け引きもするし、時には県庁の職員が足を折ったり、裏での大変な苦労がございます。
 例えば、第3次沖縄振興開発計画の調査費をつけたとき、自民党本部で私ども4役と県知事首脳一緒にその問題の最後の詰めをしているときに、あの浜幸先生が副幹事長室でねじ込んで、さらに奥田敬和先生等の特別な計らいで第3次沖縄振興開発計画の予算が目の前でついたというドラマに立ち会ったこともございます。
 こういうもろもろのドラマ、御苦労が多かったはずでございますけれども、本年度の概算要求は要求したよりも増額されるといううれしい結果が出てきておりました。この沖縄への特段の配慮をされた実績について、予算折衝の実績について知事の所見を賜りたい。
 次、さらに高率補助について質問を続けます。
 本年度は、沖縄開発庁一括計上予算は、総額で前年度比0.9%%増の2499億8000万円が確保され、お祝いものでございます。しかし来年91年度は、第2次振興開発計画の最終年次になります。特に公共事業の補助率カットの暫定措置が期限切れを迎える年であります。「沖縄ビケーン」の配慮はされているものの、カットされたままの沖縄振興開発特別措置法の高率補助がどのような形で取り扱われるのか。高率補助制度は、沖振法のまさに命綱であり、自立、自活できる経済の基礎条件はいまだに不十分であります。
 よって、第3次振計事業の大綱の事業に連動していくことを思いますと、このことがどのように展開していくのか極めて憂慮せざるを得ないのであります。県民各位の最大の本年度の関心事になるはずであります。
 知事におかれましては、6月ごろから始まる来年度平成3年度の国庫支出金の概算要求は極めて重要な政治課題になると思料するものであります。知事の御所見と決意のほどをお伺い申し上げる次第であります。
 関連でお伺い申し上げますが、国家財政の危機を乗り切るために国から財政状態のよい自治体への負担増を求めるため、85年度から始まりました補助率カットは、特別の聖域であった本県にも高率補助が87年度には国直轄事業5%、補助事業2.5%を切り込まれた分と、さらに88年度から2年間暫定延長されてきたこと等によって県予算に何らかの影響があったのか、具体的に御説明願いたい。
 次は、平成2年度の西銘知事の所信表明に対する各会派のコメントが報道されております。
 例えば、自民党の嘉数幹事長は、県民に夢と希望を与えるというコメント、日本共産党さんは、知事選念願の美辞麗句並列と。岸本社会党さんは、21世紀を展望したとは思えない。また社大党さんは、反省に欠け見るものなし。新政クラブさんは、基地位置づけでもの足りず。公明党さんは、施策事業に理念見られず等々と私から見ると理解できないような批判が寄せられておりますが、言われっぱなしでもいかぬでしょうから、県知事、この野党がこういう当て外れの評価をしていることについて、知事のこれに対する評価を所見を賜りたいと思います。
 次の質問は、平成2年度予算に対する基本的な考え方と7本柱及び各部局の目玉事業をいま一度簡潔に御説明願いたいと思います。
 最終補正との関連で明許繰り越しがかなり高額であるということで、決算特別委員会でも御批判を受けて指摘を受けてまいりました。この最終補正の明繰りへの説明、それから不能欠損額への所見、あるいは今後の対策等についてお尋ねをいたします。
 さて、2点目の通告、ポスト香港構想と台湾事務所について、あるいは中城湾港事業について質問を行います。
 まず、沖縄(琉球)と台湾の関連についての所見を申し述べますが、本県議会は、昭和63年度に経済労働委員会所属の委員を中心に産業視察団を派遣した実績がございますが、その調査報告書を引用しながら本員の所見を述べさせていただきます。
 中華民国(台湾)と琉球の歴史的な経過は、中山王察度の弟泰期が明朝に入貢したのが洪武5年(1372年)とされ、以来数百年の中国との交易が続いてきたのであります。
 平成2年度の目玉である世界のウチナーンチュ大会のメーンテーマである万国の津梁のスローガンは、当時の琉球王国が舟揖をもって万国の津梁たらんとする壮大な海洋民族のパイオニア魂が発露されているすばらしいスローガンであります。
 当初、進貢貿易は、福建省の泉州から福州へと移りはしたものの、これという産物のない琉球国は近隣諸国の産物を組み合わせる中継貿易の拠点として北の日本や朝鮮、南は東南アジアルートを開拓し、レキオの国として対中国貿易の主役を果たしていたのでありますが、しかし15世紀に入ると朝鮮九州ルートは九州商人に抑えられ、東南アジアルートは中国商人に抑えられるようになり、16世紀後半には舟揖をもって万国の津梁たらんとする役割は終わったようであります。しかし中国との交流は第一尚氏、第二尚氏と続けられ、琉球王国産業の礎になったサトウキビ、サツマイモも中国からの伝来であり、さらに久米村に代表される有能な人材の派遣がありました。国費学生、官生あるいは私費留学の福州学生として留学した琉球からの人材の育成、そのほか文化交流も多く、今日のウチナーンチュの日常生活の中における三味線、亀甲墓、風水、清明祭り、土帝君、石敢当、はてはポーポーからチンスコーまで生き残ってきております。数百年の歴史の重みをひしひしと感ずるものであります。

 琉球は、慶長の役以来明治12年の廃藩置県までのおよそ200年間にわたって植民地化され、中国貿易の利益を薩摩藩と徳川幕府に吸い上げられ、その上1897年の明治12年でございますか、琉球処分以降第2次大戦終了までは差別と貧困の歴史を余儀なくされた不幸で残念な経験があることは、こだわる、こだわらないは別として事実であります。
 一方、台湾も明治27年の日清戦争の下関条約により日本帝国の統治するところとなり、第2次大戦終了までの50年余にわたって日本の植民地統治が続いたのであります。
 ただし、世界の植民地政策は、統治国を被隷属と搾取の対象としたのでありますが、台湾に関してのみ申し上げますと、台湾における産業振興政策は、日本の国是であった富国強兵、殖産興業のモデルとしてもろもろの産業施設、社会資本の整備、開発政策の推進、教育の振興を台湾総督府の強力な政策として展開したのであります。そして戦後、中華民国がこれらの施設をすばらしい指導力によって今日の台湾発展の基礎になっていることは、それなりに評価も受けていることも事実であります。
 いずれにしろ琉球は台湾とともに似たような歴史の歩みがあり、数百年にわたる文化、人間交流の実績、そして第2次大戦後、沖縄が祖国日本から隔絶をされ、米軍占領下に苦しんでいたときに、蒋介石総統を初め中琉文化経済の交流に多大な貢献をされてきて、お墓まで沖縄につくられまして方治先生の御好意により、沖縄は筆舌に尽くせぬ恩義を受けてきたのも事実でございます。
 具体的な例を申し上げるならば、ジャーナリストや文化人、教育、商工業、芸術、農業、ボーイスカウト等々、あるいは県議団、政治家、数多くの県人が台湾を訪問しておりますが、私ども訪問団や視察団の目的が十二分に達成できるような日程の作成や、身に余る歓待を知事を初め県民多数が感謝を申し上げているところであります。
 また、琉球大学への図書の寄贈、方治先生の御好意による奨学資金による沖縄の留学生の受け入れ、人材育成あるいは沖縄が労働力不足で困っていたときのパイン、サトウキビ収穫時の労働力の派遣、そして最近の本県観光客増加の大きな市場などでございます。
 また、私どもの沖縄市の方では、沖縄まつりに苗栗県の方から、昨年から伝統文化である獅子舞が派遣をされ、またことしはさらに竜の踊りが派遣されるという話も聞いております。自治体同士の祭りや文化交流も始まってきております。
 このような歴史的背景をもとにポスト香港の壮大なロマンを実現させるためにも、名称はどうであれ本県の貿易振興のかなめとなる台湾事務所が所期の目的を達成するためにも、中華民国(台湾)とはお互いは兄弟同士としての心の込もった交流を進める必要があります。特に西銘知事が蒋介石総統閣下や方治先生の御芳情に政治家の立場を乗り越える感謝の念で武士道の仁義、あるいは日本人の美学的な姿勢を堅持しておられることは尊敬を申し上げ評価を申し上げているのでありますが、それゆえにこそ知事は勲一等に匹敵する「華夏奨章」という栄誉ある勲章を中華民国から授与されたのでありましょう。
 そこで知事にお伺い申し上げますが、宮平守光さんという方の論壇における「台湾への戦後処理急げ」という記事がございます。
 この中を少し紹介を申し上げますと、台湾の戦友たち、昔の学友たちと最近会うと、日本は戦争は終わったけれども、戦後処理はまだやられてないんだよと。さらに日本国は、旧日本人、旧日本軍人に対する道義的、人道上あらゆるやるべきことが一つもなされてないという不満の声が出てくる。ガダルカナル島の南方戦線あるいはジャングル戦において戦況不利の中を砲煙弾雨の下をくぐり、挺身切り込み隊として夜襲に参加をし、忠勇無双と評価された数多くの台湾出身の軍人が、厳しい軍律と軍命によって呪縛をかけられたような戦場において、個としての実体を無視し認められないままに不幸にも戦死した、または傷痍軍人となり、現在も暗い生活を余儀なくされている数多くの関係者がいる。また、長期間皇軍の一員として軍務にかかわった方々にも、国内にいる戦友同様に軍人恩給や傷害年金、一時金支給の恩典に浴してもらうべきだと感ずるのは、人間の本性、自然の理路でありましょう。国際法上、その困難性がもし伏在するのであるならば、それを解決し、国家的補償を完全実行とともに平和を唱道し、経済大国としての歴史的責任の一端を果たす日本政治の明朗化のためにも重大なことと信ずるのは私一人ではありますまいと、こういう宮平さんの論壇の投稿がございました。
 確かに三、四年前に、前の鹿児島出身で参議院議長の迫水先生でございましたか、が中心になられまして、台湾の方で日本軍として戦った方たちに対する何らかの措置をすべきだということで、私ども自由民主党沖縄県連もお手伝いをしたことがございます。一人、たしか300万円ぐらいの見舞い金のようなものを日本政府が支出したという話は聞いておりますけれども、しかし完全ではなくてなかなかうまくいかぬということで、いまだなお中華民国(台湾)の中では日本に対するそういう強い不満の声がありますけれども、ただ国交がないからということで日本政府に対して物が言えない、手続もできない、行動もできない、こういうことをそのまま放置するわけにはまいりません。
 特に、弟分である琉球国の知事が、これまでの台湾への恩返しと、またポスト香港構想ということは、台湾抜きでは絶対不可能であるという認識に立つならば、日本国と国交がないとの理由で政府に交渉のできない台湾の方々にかわって県知事が先頭に立って我々ウチナーンチュが行動を起こす、こういう姿勢が必要かと思います。官僚の発想の枠を突破する沖縄ナショナリズムで県行政を展開することが、さすが西銘知事と拍手喝采を受けることになることを申し上げておきます。
 さて、そこでお伺い申し上げますが、知事は去る年頭所感で、4月には台湾連絡事務所の開設にこぎつけたい。ポスト香港に備え、中国大陸との三角貿易の中継基地を目指し、昔のレキオの国をつくろうとコメントしておられます。本年度予算にもその事業費が計上されているのは喜ばしい限りであり、高く評価を申し上げるのであります。
 1987年に民間活力によって設置されている琉球館がイマイチのようであり、恒常的な入超の貿易を是正しつつ、さらに飛躍させるためにも観光客の積極的誘致、そしてフリーゾーンを活用した台湾企業の誘致、農業技術交流の拡大など大きな期待が寄せられているのであります。
 そこで、お伺い申し上げますが、台湾に沖縄県の連絡事務所とか何らかの窓ロを設置する構想、いわゆる台湾事務所は外務省との間に難しい調整が残されているとの話を仄聞しておりました。
 そこで、ここまでがきのう夜の原稿でございまして、けさ、新聞を見ましたらびっくりしたわけです。きょうのタイムス、新報ですね、もう二、三日前にもこういうニュースを流してくれれば原稿はかわったんですが、書き直す時間はございませんでした。きょうのタイムス、新報で県台湾事務所の設置断念という記事が出ておりまして、私に質問をするなということを言っているような記事でショックを受けておりますが、この件について私はあえて申し上げたい。
 琉球と台湾の歴史、そして本当に隣同士、兄弟同士だということでやるなら、外務省が何をがたがた言おうが、沖縄は沖縄としての何らかの形で作業ができるはずなんですよ。
 例えば、基地問題で知事は2回訪米をされました。最初、大城真順参議院議員が県議会で取り上げたこともあるそうです。私も3回ぐらい代表質問、一般質問で、知事が直接米国に行ってワシントンDCでペンタゴンにねじ込めと、こういうことを提言申し上げてきた自負をしております。
 と申し上げますのは、私ども県議会の代表として中北米を視察に行きました場合に、ワシントンでの話で、沖縄の基地問題に対する沖縄お互いの要請決議、抗議、いわゆる沖縄の心が声が、外務省と米国政府との外交交渉の枠の中に埋没してしまって、沖縄が話を持っていく、沖縄がどういう苦労をしている、どういう要請をしているということがストレートにアメリカに伝わっていない、そのことを痛感させられたのであります、ワシントンでの話し合いでです。

 それで、外務省の外交交渉に任せていたのでは、外務省の政策の中のオブラートに包まれてしまって沖縄の声が消えてしまう。こういうことでは基地問題の解決はできないから、知事はアメリカに乗り込んでいけと、そういう提言をこの場で何回かやってまいりました。
 それで知事も、さもそうだということで2回にわたって訪米をされましてそれなりの実績を上げられてきている。あれも外務省とのいろんな壁があったんです。その壁を乗り越える努力を特に台湾事務所においてはやっていただきたい。これをやらぬことにはポスト香港の夢はなくなります。沖縄なら理論化もできるんです。役所、外務官僚を説得することもできます。やる意欲ですから。ぜひこの台湾事務所の設置については、それなりの努力をしていただきたい。御説明をひとつ願います。
 次にお伺い申し上げますが、これとの関連で琉球館の機能が十分に発揮されてないという指摘をされる声もありますが、これは民間がやっているための隘路があってこのような形になっているのか、その辺の事情も説明をしていただきたい。
 次に、ポスト香港と関連してくる中城湾港関連事業とフリーゾーンについて所感を申し上げて質問を行います。
 まず、中城湾港事業でございますが、同開発事業は、中部地域の経済発展を支えてきた基地経済にかわる経済基盤としての港町経済を確立し、さらに日本、アジアを代表するような大貿易港を建設することによってアジアポート、ひいては世界有数の貿易港としての機能を付与しようという壮大かつロマンにあふれる構想で始められた事業であります。その第1期工事も完了を間近にし、いよいよ91年度から10年間に約1300億円の巨費をかけて第2期中城湾港開発事業が始められる見通しであり、御同慶この上ないことであります。
 同事業の諸調査が本年7月までに完了するとのことでございますが、ポスト香港構想に連動し発展していく可能性の調査項目は入っているかどうかをまずお伺いを申し上げます。
 また、本県の自由貿易地域の展示場が90年度予算で4倍半に拡張されるようであります。その効果として期待できるのは、1つ、世界の商品の展示場常設で貿易取引量が拡大される。2つ目には、外国企業との提携による大規模なインポートフェアの開催が可能となり、アジア経済圏を中心とした国際物流ネットワークが形成される。3つ目に、観光ショッピング型フリーゾーンの機能が可能となる等々のねらいがあるようであります。
 その成功を期待するものでありますけれども、しかしフリーゾーンの設立までの経過からして国内法の制度上の制約、施設の狭隘さでは、実質的には保税倉庫にしかすぎないとの厳しい指摘もやむなしであります。
 よって、本来のフリーゾーンの設置目的である本県経済の自立的発展の目玉事業になり得るには、何としても現行割度の改正と拡充がポイントであります。
 さらに、空港、港湾を国際化していく整備計画、アクセス道路の整備、第2期中城湾港事業やリゾート計画をどのように位置づけしていくのか、長期的な課題を沖縄フリーゾーンは抱えているのであります。
 国際化が90年代の日本の政治、行政のテーマであり、国際化の時代こそ、その拠点は沖縄であることを思料するに、本県のみの特例であるフリーゾーンと中城湾港のポテンシャルは限りない大きなロマンがございます。
 そこで質問を申し上げますが、本県フリーゾーンが本格的に中城湾港産業団地に立地された場合に、1997年に中国に返還される香港は政情不安、経済最劣等国の中華人民共和国へ組み込まれることになります。世界の自由貿易の港町は存在し得なくなるのは必至であります。
 よって、本格的な国際的なフリーゾーンが県内に設置されることは、文字どおりポスト香港への重要なかぎになると思料するものでありますが、県当局はいかような御所見を持っておられるか御説明を願いたい。
 また、この成就を見るには、今のままのフリーゾーンなら決してポスト香港にはなり得ません。いかような壁をクリアしなければならないのか、その壁をクリアする可能性の見通しはどうなのかの御所見も賜りたい。
 また、ことしの8月に開催される世界のウチナーンチュ大会の参加を契機にブラジルからも沖縄系2世の実業家を主体に同政治家、マスコミ関係者30名ほどが沖縄に参ります。この方々は、世界のウチナーンチュ大会に参加をする目的と、もう1つは中城湾港事業をぜひ視察をしたいと、こういう強い意向のようであります。
 その目的は、ブラジルや大西洋岸にあるツバロン港から南米の鉱産物、農産物、木材などを巨大タンカーで積み出しをして全アジア地域に配分しようというもので、その構想に大分県、兵庫県がその誘致に一生懸命でありました。しかし今やまだ足踏み状態のようでございます。
 全アジアのキーステーションは、軍事戦略上のキーストーンは地勢学的にも経済戦略上のキーストーンの位置になるわけでございますから、我が沖縄が最も有利である。それゆえにブラジルからの調査団もその情報を知っているために、中城湾港をぜひ視察したいと表明をしております。
 ブラジルにいる宮城松成さんがわざわざ投稿した新聞記事もございます。
 この宮城さんの論文では、だから近い将来、必ず実現するものと見られている。その場合、アジアの中心部に位置する沖縄が第1中継基地でなきゃならないと考えますと。沖縄系の政治家や新聞記者たち、その辺の事情、動きをよく知っているからこそ、機会あるごとに世論を喚起をすべく予備知識として中城湾港をぜひ見ておきたいというわけですと。
 それは、名古屋やあるいは大分に負けないように早目にその取り組みをすべきだという提言がなされているわけでございますが、そこで県知事にお伺い申し上げますけれども、アジアポート構想の実現について知事閣下、あるいは県当局はどのような所見をお持ちか御説明願いたい。
 次に、中城湾港に立地予定されているすばらしい頭脳立地構想──テクノポリス構想について次の点を説明してください。
 1点目、テクノセンター設置までのプロセスはどうなっているのか。
 2点目、工業技術センター、この件は昨年の代表質問で私は細かく取り上げましたけれども、この工業技術センターとテクノセンターとの関連づけ、位置づけはどうなるのか。あるいはまた、沖縄は人材枯渇時代と言われております。こういう中でこの工業技術センター、テクノセンターに要する人材確保は、スタッフの確保は大丈夫ですか。
 3点目に、その運営主体はどうなるのか。また本県の自立経済化に具体的なこのテクノセンターというのは、沖縄が自立自活するための大変大きな成果が期待されると、こういうふうに説明されておりますけれども、経済の自立化へ具体的な成果が出てくるのはいつごろからなのか、この辺についても見通しを説明していただきたいと思います。
 では次、視点を変えまして赤土汚染について質問を行います。
 赤の色というのは、大体、花以外ろくなものはございません。これは世界の常識でございますが、昨今大きな社会問題になっている赤土汚染問題は、美しい海を誇りにする現在の沖縄の観光産業、また21世紀の世界のトロピカルリゾート基地を産業の大きな柱とする観点からも、さらに本県の水産業の課題を見てみますと、1つは、パヤオを設置して魚を集める発想。2つ目は、沿岸漁業は沈設魚礁で海の牧場をつくっていくと。3つ目には、養殖を徹底的に人工化し魚工場を醸成していく、この3本柱を着実に推進することによって、これからの漁業に求められている安全な食品としてコンスタントに迅速に提供できるのであると琉球大学の西島教授が提言されておられます。しかし、これらの栽培漁業にしろ、海の牧場にしろ、最大のネックは赤土汚染であると照屋正吉県漁連会長は断言をしております。
 そして、近年の漁場破壊の原因となっている公共工事、農地開発、リゾート建設あるいは米軍基地、確かに21世紀に向けた水産業振興の大きな障害になる可能性は否定できないが、しかしリゾート産業とのかかわりは漁業者にとっても、本県漁業にとっても避けて通れないのであります。漁業にプラスになるような高度な海浜利用で整合性を持たせるような有機的、具体的な施策を期待している。このように主張しておられるのは、知念村漁協の照喜納組合長であります。

 要するに、沖縄の海は、みんなの財産との認識で行政も政治も産業界も、抜本的かつ速やかな取り組みをしなければならないのです。まさに緊急を要する深刻な問題を惹起しております。
 このことは、先月の県議会決算特別委員会でも与野党の議員から多くの質問が行われました。本員も、所見を少し述べまして3項目の質問を行います。
 まず、平成2年の地元紙の元旦号に赤土汚染の特集がございます。(資料を掲示) この赤土汚染の特集によりますと、赤土汚染の発生源では農地、牧場が55%、土地改良、土地改変、リゾート開発などが30%、米軍演習が7%が主な要因であり、自然災害は16%、土地改良等は数値は低いが量的には土砂流出で発生量が多く元凶と見られる。またリゾート、ゴルフ場建設による赤土汚染も今後増加傾向であろうという報告がなされております。そして汚染度の順位で恩納村の赤瀬展望台から石川川河口、羽地内海、呉我地、仲尾次、塩屋、それから大宜味、石垣、竹富、伊是名という形で汚染度のランクづけもされております。
 そこでお伺いを申し上げますけれども、1点目、これまでの県の対応についての所見をお伺い申し上げます。
 2点目、私ども与党は昨年、伊良皆高吉、福里一郎、松茂良興辰各議員、それに素潜りを趣味にしているこの私とカメラマンで奄美大島へ行きまして、新奄美空港の周辺海域の調査を実施してまいりましたが、鹿児島県庁大島支所でのエピソードは、その同じ支庁舎の中に農林担当主管の課長と空港担当の課長がおりまして、その赤土汚染は我々が見たところ、どう見てもあれは土地改良事業が原因でございましたけれども、その担当課長が同じ役所の中だから責任者はあれだということは言えないということで黙ってしまったエピソードもございました。
 いわゆる漁場を守り育てる主管課と農地改良等の主管課が、同じ平敷農水部長の下で頑張っているわけでしょう。その主管課長が人事異動によっては加害者から被害者になったり、また逆になったり、こういうことでございますので、なかなか個々にやっているとその効果は上がらないと。それゆえに今回、赤土汚染については、県が政策を誘導していくという形でいろんな対策をとり始めているわけですよね。
 例えば水問題がありました場合に、岸本忠三郎先輩とか村山先生からも提言がございましたけれども、私も集中的に取り上げたことがございます。
 県の行政として、水は8部局にまたがっています。水資源は企画開発部、水道汚染は環境保健部、農業用水は農林水産部あるいはまた工業用水は商工労働部と8部局にまたがっていって、どこに行って相談していいかわからない。水全体としての政策を誘導していく作業ができないという指摘をしたことがございます。
 これは緑の問題でも同じことが指摘されるわけでございますが、今年度は、そういうことの反省の上に立って90年度予算では対策経費が計上され、さらに従来は次長級で構成している県赤土等流出防止対策協議会が新年度から部長級に格上げされたことは、県が本格的な取り組みを開始したものと評価を申し上げるものでありますが、その事業内容と部長級で編成された対策協の構成メンバーを説明願いたい。
 次、糖業振興条例についてお伺い申し上げます。
 サトウキビ、糖業は、本県の第1次産業の基幹産業であることは既に皆様方御案内のとおりであります。
 最近の資料によりますと、沖縄の全農地の65%で生産され、農家の84%が作付をしており、農業粗生産額の28%を占めております。およそ350億円の生産額になりますが、政府・自民党の施策である砂糖の価格安定等に関する法律と、糖業振興臨時助成金及び含蜜糖価格差補給金によって生産農家とパッカーは保障されており、砂糖の値段も国際相場であるロンドン価格の7倍で日本政府が買い上げてもらっていることによって何とか本県のサトウキビ産業は存続しております。
 しかも、最近は、国民の砂糖消費量の減少に加え、トウモロコシ等の異性化糖の増大や輸入自由化の国際的な圧力など極めて厳しい国際、国内環境にサトウキビは直面しております。いかにしかし環境は厳しかろうと、圧力があろうと、本県の基幹産業を守り抜くための努力は従来どおり続けることは論ずるまでもございません。特に米の自由化問題と同じようにこれは日本の文化、ふるさとを守る決意が必要であります。
 離島・過疎地域のサトウキビを、ただそれの生産費だけで考えるということじゃなくて、本当に文化を守って伝統を守っていくという姿勢でこの問題に取り組んでいただきたいのでありますが、そこで今期のサトウキビは天候に恵まれたこともあって各地域とも生育状況も良好であり、生産量も前期に比べてかなりの増収が見込まれ、その上、品質も雨が意外に多かった割には平年並みのようであります。
 県農林水産部の推計では、キビ生産量は161万8000トンで前期よりも13%の増収であります。しかも今期はキビ作付面積が2%も減少しているが、10アール当たり平均収量は7.74トンと前期を1トン以上も上回り、復帰後最高の収量になるようであります。ブリックスも、復帰後最高でありました前期平均の19.29度並みの品質が沖縄本島では見込まれるようであります。
 しかし4年後は、いよいよサトウキビも他の農産物と同じように品質取引へ移行するのでありますから、今期の成績に満足することなく畑地の基盤整備や土づくり、品質の多様化、機械化、合理化の推進、栽培技術の向上等の古くて新しい課題を解決し、生産農家がサトウキビづくりで生き延びていけるような条件整備を農家自身の真剣な自助努力も含めて我が県農業は、今問われております。
 質問に入りますが、今2月定例県議会に県当局は糖業振興条例を提案しておりますが、同条例の期待するものは、サトウキビを取り巻く情勢は年々厳しさを増す中で、長期的な振興に向けて生産者を初め農協、市町村、製糖企業など関係機関が一体となって抜本的な対策を講ずるとのようですが、それで1点目です。同条例が制定されるに至った背景、経過あるいは関係団体との意見の調整及び同条例が施行されることによってどのような成果が期待されるのか、御説明をお願いします。糖業問題では質問はこの1点でございます。
 次に、教育行政について若干質問をさせていただきます。
 去る1月18日に、18年間にわたって争われてきた福岡県立伝習館訴訟の最終判決が下されました。この事件は、昭和45年に福岡県柳川市の県立高校において社会倫理担当の左翼偏向教員たち3人が、学習指導要領を無視した上、指定された教科書も使わず、しかも生徒の成績を一律に評価するという異常な偏向教育を実行したために懲戒免職処分になり、20年間にわたって学習指導要領の法的拘束力、教科書使用義務などを中心に、教育現場での教師の教える自由がその個人の思想、信条、好みによって無制限に許容されていいものかどうか。例えば、日教組倫理綱領にあるように子供たちをプロレタリアート左翼革命の闘士に仕上げるということは許されていいものかどうか。あるいは国・文部省は、教育行政上、一定の基準を設定する権限が付与されているものかどうかが争われたものでありますが、1月18日の最高裁判決は、学習指導要領の法的拘束力についてはこのように結論を出しております。
 高校学習指導要領は、法規としての性質を有する。国は、教育の一定水準を維持しつつ、高校教育の内容、方法については遵守すべき基準を定立する必要があり、特に法規で基準が定立されている事柄は、教育の内容、方法についての高校教師の裁量にも制約がある。また教科書使用義務については、学校教育法21条は高校における教科書使用義務を定めたものである。各教諭の教科書使用義務違反は年間を通じて継続的に行われ、特に自分の考えと違うとして教科書を使わなかったことなどは法規違反の程度は軽くはない、このように最高裁判決は結論を出しております。
 そしてこの判決に対し文部省は、学習指導要領の趣旨は教育現場では既に定着をしており、判決によって文部行政が今さら影響を受けることはないとコメントをしておりますし、また帝京大学教育学部の亀井教授のコメントは、学習指導要領の法的拘束力、教科書使用の義務とも学校現場の一般的な共通理解であり、極めて妥当な判決だ。そもそも教育は、国民全体の総意に基づいて行われるべきもので、教育活動を安定的に遂行する上で学習指導要領の果たしている役割は大きい。私も高校の現場を経験したことがあるが、教師は学習指導要領に即しながら生徒、児童の実態に応じ創意工夫を凝らした授業をしている。補助教材を使うことはあっても、教科書を抜きにした授業は考えられない。今回の判決は大方常識に沿うものだと、こういうコメントを発表しております。

 何かと教育現場では、政治闘争のトラブルが多かった我が沖縄県では、教育長を初めとする教育庁職員の皆さん、学校の管理職、教育委員の先生方の御苦労は本当に想像を絶するものがございました。このことについては県民各位が十二分に承知をしておりますが、今回の伝習館判決は新たなる感慨もあろうかと思料するものであります。
 これまでの教育行政の正しさが最高裁ではっきりと認知されたわけでございますから、高良教育長、これまでの御苦労も振り返りながら伝習館判決に対する教育長の御所見をひとつ賜りたい。
 次に、標準授業時間についてお尋ねを申し上げます。
 先般のニュースによりますと、県内で授業時間が50時間以上も不足をしている学校が11校もある。ゆゆしきことでございます。理由は台風とか、大喪の礼とかがトップとのことですが、その50時間以上も授業をやっていなかった学校の教育事務所ごとの内訳を説明していただきたい。
 また、これら休業した授業時間を補う補充の方法はないのか、これについてもお伺いを申し上げます。
 私は、本議会で5カ年ほど継続して中部地域における授業時間カット問題を追及し提言してまいりました。中頭を中心とする小学校、中学校が毎時間5分間授業が短縮されていたと。これは9カ年間に合計すると大変な時間になりまして、小学校、中学校が、9カ年間の義務教育が中頭では実態は8年しか授業をやってなかったと。
 その授業が補充されていたなら話は別ですけれども、その分カットされた。当然、基礎学力が落ちてくるのは当たり前です。9カ年教えるべき教科書を8年間で、残り1年分は切って捨てているわけですから、こういう恐ろしい実態を5年ぐらいずうっと追及してまいりました、提言をしてまいりました。ようやく3年ぐらいなりますか、やっと正常化をして決められたとおりの授業時間をやるようになりました。これは5年かかったわけです。
 あとまた、団結バレーボール、バスケットボール大会と、授業時間を子供たちを遊ばせておいて組合のバレーボール大会、ふざけたことをやっていたわけです。
 そういう、これまた日教組の、沖教組の教研集会という政治集会もこれはまだ完全に解決しておりませんけれども、こういう教育現場における子供たちが授業を受ける本来持っている権利を、学校の先生方の労働組合の活動のために踏みにじってきた実態、沖縄は本当に恐ろしい実態が続いていたわけであります。
 今回の50時間以上の授業不足というのは、それとは関係ないと思料はしておりますけれども、地域ごとに県民の前に明らかにしていただきたい。
 さて次に、県が推進をしている学力向上対策年次計画がございます。これは、非常にすばらしい画期的な施策でございまして、県民は大きな期待を寄せております。
 私は、昨年2月の代表質問でもこの施策を大きく評価を申し上げ、そのとき教育長は、二、三年うちには我が沖縄の児童生徒の基礎学力もようやく他府県並みに向上してまいりますよという非常に楽しみな期待される御答弁をしておられましたが、皆様方の一生懸命な努力の成果が、この学力向上対策年次計画によってそろそろあらわれてきていると思いますけれども、いかがな状況にございますか御説明を願います。
 次に、地域間学力差についてお伺いを申し上げます。
 平成元年5月27日の記事でございますけれども、昭和63年度の県立高校の合格者の平均点が出ております。その中で、地域は申し上げるわけにはまいりませんけれども、トップの地域と一番低い地域が実に28点も差があるんです。これは、250点満点の28点ですから。
 なぜ、250点満点で平均して28点の地域間の学力差が出てくるのか。この学力差をなくする何らかの対応策はないのか、その辺について教育長の御所見を賜りたい。
 次、最後の質問になりますが、全国植樹祭についてお伺いを申し上げます。
 良好な環境をつくり出し、これを保全する上でのシンボルともいうべき全国植樹祭について私見を交えながら質問いたします。
 現代ほど情操教育充実の必要性が叫ばれている時代はございません。すなわち物から心へ、時代は心の豊かさ、自由を求める方向へ変わってきており、これが今や世界のとうとうたる潮流となっております。心の解放、心の豊かさ、心の自由を求めて東ヨーロッパの共産主義国家、社会主義国家で何が起こっているか。ここでは単に今や闇と絶望の東の世界から、光と希望、そして花と緑の西の世界へ向かって民族、そして思想の大移動が始まっていることを申し上げておきます。
 さて、その花と緑でございます。
 我が党は、これまで21世紀に向けて人間と自然が共存できる時代をつくり、豊かな人間生活が営めるよう努力をしてまいりました。花と緑は、言わずも語らずのうちに子供たちの情操を豊かにします。私たちの経験から言っても、緑のある環境は人間に豊かな情感、感情を植えつけ、潤いのある健全な社会づくりをする上で大きな力になります。
 殊に沖縄県民は、昔から緑濃い島々に生い育ち、亜熱帯の四季折々の草花をめで、青い海、青い空をこよなく友としながら、世界に類を見ない独特の文化、芸術、伝統をつくり上げてまいりました。国破れて山河あり、城春にして草木深し、我がふるさとにはその草木さえなくなりました。焼け野原となった郷土に、いかにして元の緑を取り戻すか腐心した県民、そして先輩諸兄に謝意と敬意を表するものでありますが、花と緑に包まれた郷土こそ県民の安らぎと潤い、そして活力の源であります。
 さて、西銘県政、県民一心同体の努力で成功したあの海邦国体をきっかけに広がりました花と緑キャンペーンの種は、今や全県くまなくしっかりと根づき始めてきております。
 我が党は、この一大キャンペーンの根を絶やすことなく、さらに枝葉を広げ、ただいま県が力を入れている都市公園の整備拡充を初めとする都市緑化、街路樹やグリーンベルトの造成と有機的に連動させていきたいと考えております。
 ちなみに、自由民主党は、昭和58年以降、総裁直属の機関として花と緑の運動推進本部を設け、「花と緑で人の和」をスローガンに政府、地方公共団体、地域住民と緊密な連携を保ち、各種の花と緑運動を積極的に推進してまいりました。殊に本年4月、大阪で開催されます国際花と緑の博覧会を成功させるために我が党は全国的な支援協力体制をしいているところであります。
 我が自由民主党沖縄県連も、亜熱帯の南国沖縄ならではのファンタジーとロマンにあふれた花と緑の県づくり、ふるさとづくりのため、これからも県政を強力にバックアップしてまいる所存でございますが、本題に入ります。
 全国植樹祭については去年9月、我が党の西銘恒三郎議員が代表質問、喜久山議員が一般質問でその位置づけをされ、さらに12月定例会では福里一郎議員がお尋ねをしてきておりますので、私は、その後を引き継ぐ形でお伺いを申し上げます。
 まず、かかる国家的大事業となれば、その準備は、さきの海邦国体の例に漏れず万全を期さなければなりません。復帰20周年記念事業に位置づけているとなれば、なおさらのことであります。その準備期間は、どんなに長くても長過ぎるということはございません。いにしえの人も、山高きをもってたっとからず、木あるをもってたっとしとなすと喝破しております。
 「沖縄県民の歌」というのがございましたね、海邦国体のときによく歌われましたその歌詞の一節を紹介しますと、「黒潮めぐる百浦に みどりの山河照り映えて」。あるいは、「光みなぎる大空に燃えるでいごの花染めて」、こういうすばらしい文句、皆さん覚えておられるかと思いますが、本音と建前というけれども、人間やはり本音で迫り、言行一致でいきたいものです。
 沖縄県民の歌にあるとおり、緑したたる山河に平和の姿を見、燃えいずるでいごにあすの幸せと飛躍を託す、これが我々ウチナーンチュの建前ではなく本音なんです。
 さて、そこで提案でございますけれども、せっかくの全国的な催し物のチャンスでありますから、この全国植樹祭と連動して県下全域、各市町村でもミニ植樹祭を行ってはどうでありましょうか。

 場所の問題でいろいろもめているようでございますが、それはさておきまして、全国植樹祭当日、天皇陛下が御来県なさいます。その翌日あたり、全県下の市町村でそれぞれの市町村の木や花がございます。これをそれぞれ市町村のスペースにあわせて、また市町村単位の植樹祭をやってもらうと。
 例えば、全国植樹祭の場所で50万本木を植えることができれば、さらにまた各県下の市町村で50万本緑をふやすことができます。
 私も離島で育った経験がございますが、離島には離島出身の方々から浄財を集めていただいて、木を植えに行くことのできない人たちにかわって、そこの小中学生、あるいは老人クラブの方々が、例えばこれは西田健次郎が寄付した木だ、これは儀間光男が寄付した木だ、これは照屋寛徳が寄付した木だ、こういう形でふるさとの先輩方の木を後輩たちが代理で植えてあげる、こういう夢をつくることは非常にすばらしい祭典になります。
 こういうような植樹祭のあり方をぜひ進めていただきたい。いかがでございましょうか。それを提言を申し上げておきます。
 そして、出稼ぎ問題につきましては質問は行いませんが、沖縄の日系2世、3世の外地における苦悩というのはもう連日マスコミで報道されておりますから、ちょうちょう申し上げるまでもございませんけれども、知事が九州知事会で提言をされたり、あるいは議長が取り組みをしたり、移民県である沖縄がどこの他府県よりも先頭に立ってお互いの血のつながりのある2世、3世が母国に来て悲惨な目に遭わないように、これは沖縄が先頭に立ってやらなければならないことで、それは努力していることは評価を申し上げますんで、さらに日系2世、3世たちが母国で安心して就業できるようにこれまで以上の取り組みをお願い申し上げて、質問を終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 西田健次郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 平成2年度予算についてお答えいたします。
 予算に対する基本的な考え方と特徴についてお答えいたします。
 平成2年度は、残すところ2年となった第2次沖縄振興開発計画の目標達成に総力を挙げて取り組むとともに、第3次沖縄振興開発計画の策定に向けて英知を結集しなければならない重要な年であることにかんがみ、予算編成に当たっては、国の予算編成・地方財政対策等の動向を勘案しながら、引き続き歳入の見通し及び歳出の節減合理化に努め、平成2年度の重点施策を中心に施策事業の厳しい選択を行うとともに、県経済の活性化に資する財政需要に配意し、財源の重点的、効率的配分を図り、節度ある財政運営に努めることを基本とし、1つ、沖縄振興開発事業費を中心とした継続事業の着実な推進、2つ、主要新規事業への配慮、3つ、第3次沖縄振興開発計画への対応、4つ、復帰20周年記念事業の推進、5つ、公共施設の維持管理の充実等に配慮して予算を編成したところであります。
 次に、20周年記念事業について理念と実施事業、異民族統治を後世に伝える記念事業についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 本県は、平成4年に復帰20周年を迎えることになります。この歴史的な節目を契機に、県民一人一人がこれまでの本県の歴史を顧みるとともに、みずからの持つ文化的個性と開発可能性に誇りと自身を持ち、決意を新たに創造的エネルギーを21世紀を展望した県づくりに結集して、飛躍を期すという理念のもとに復帰20周年記念事業を実施してまいりたいと思います。
 重点的に進める事業としては、ハード分野で首里城公園の整備、郷土芸能劇場及び武道館の建設、地域型研究機関の設置並びにトロピカルテクノパークの整備の5事業。ソフト分野では全国植樹祭、アジア・太平洋芸能フェスティバル、全国高等学校総合文化祭及び文化庁芸術祭の開催、首里城公園記念事業の実施並びに文化振興基金の創設の6事業、計11プロジェクトであります。
 なお、これらの重点事業以外にも、今後、各部局で記念事業の位置づけのもとに実施される事業も考えられますので、御意見も御提言として承っておきたいと思います。
 次に、山中先生の沖縄での激励会についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 山中貞則先生の激励会を催すことにつきましては、山中先生の御都合もあることから、先生の意思を尊重しながら、今後検討してまいりたいと思います。
 次、平成2年度国庫支出金の評価についてお答えいたします。
 平成2年度の国の予算編成は、概算要求基準が経常的経費10%減、投資的経費前年度同額という厳しい財政環境のもとで編成されたことは、御案内のとおりであります。
 その中にあって、沖縄振興開発事業費については、2287億100万円で対前年度0.7%の伸びが確保されており、その大宗を占める公共事業関係費は2137億8600万円で全国の伸び0.3%を上回る0.8%の伸びになっており、全国の公共事業費に占める本県の割合は前年度を上回る2.947%が確保されております。
 また、予算の内容についても、新石垣空港を初め首里城公園の整備等の諸継続プロジェクトの着実な推進が図られるよう所要の予算措置が講じられているとともに、新規事業についても沖縄コミュニティーアイランド事業、沖縄のみち自転車道、県立高等養護学校等県の要望したすべての事業が認められており、厳しい財政環境のもと、本県の振興開発の推進に配慮された内容となっており高く評価しているところであります。
 次に、平成3年度の国庫要請の所見と決意について、国庫補助率カットの県予算への影響額についてまとめてお答えいたします。
 御指摘のとおり、沖縄振興開発特別措置法に基づく国庫補助負担率につきましては、本県の振興開発を推進し、本土との格差是正及び自立的発展の基礎条件を整備するためには引き続き高率補助が必要であることから、平成3年度の国庫支出金の概算要求に際しては第3次沖縄振興開発計画に向けての事業の確保とともに、高率補助の復元について関係機関へ強く要請していく所存であります。
 また、国庫補助率カットの県予算への影響額につきましては、昭和60年度から平成2年度までの影響額は一般会計、企業会計合わせて750億1200万円となっております。
 なお、その財源措置については、臨時財政特例債により措置し、元利償還金の全額を地方交付税で補てんされております。
 次に、平成2年度予算について各会派のコメントに対する知事の評価をただされましたが、お答えいたします。
 平成2年度は、残すところ2年となった第2次沖縄振興開発計画の目標達成に総力を挙げて取り組むとともに、21世紀を視野に入れた第3次沖縄振興開発計画策定に向け、英知を結集しなければならない重要な年であります。また私にとっても、県政を負託された3期の締めくくりの年であります。
 所信表明は、このような基本認識のもと、向こう1年間の県政運営に当たっての基本方針を基調に、県政の当面する重要課題についての位置づけを明らかにするとともに、主要施策について簡潔に説明したものであります。議員各位並びに県民の御理解と御協力を賜り、諸施策の着実な推進に努めてまいりたいと思います。
 次に、平成2年度予算の公共事業執行体制の抜本的な対策についてただされましたが、お答えいたします。
 御指摘の公共事業の執行体制については、沖縄県公共事業等施行推進本部及び庁議等で論議し検討を行い、執行促進に努力しているところであります。
 執行の問題として、県営住宅建設事業及び街路事業等の都市型の事業が増加しているため、代替地の要求が強いことや、用地取得価格がなかなか折り合わないことなどによる用地取得難が最大の繰り越し要因であります。現在、土木建築部において公共事業等予算執行推進方策検討委員会を設置いたしまして具体的解決方策を検討しているところであります。
 また、2月補正予算で239億4876万7000円の繰越明許費を提出しているところでありますが、昭和63年度議決額の277億3229万6000円と比較すると37億8352万9000円の減となっており、今後は年度末に向け、前年度より繰越額を少なくするよう最大の努力をし、予算執行率の向上に努めたいと思います。

 次に、ポスト香港構想についてお答えいたします。
 台湾事務所についてお答えいたします。
 台湾事務所の設置の件については、関係機関と意見を交換しているところでありますが、我が国と台湾とは国交がないこと等諸般の情勢から県の機関として設置することは困難であると考えております。
 しかしながら、本県と台湾とは地理的、歴史的に深いかかわりがあり、またこれまでの民間における貿易、経済、技術交流等の実態等にかんがみましてこれらをさらに発展させるため、民間レベルによる連絡事務所の設置を検討しているところであります。
 次に、1987年に設置されました琉球館の機能の現状についてお答えいたします。
 御案内のとおり、台湾の琉球館は、1987年に那覇商工会議所が事務局となって琉球館運営協議会を設置し現在まで運営されております。この琉球館は、台湾との貿易振興を目的に同協議会の会員による会費でもって運営され、台湾世界貿易センター内に事務所を設け、職員2人を配置いたしました。しかしながら、会費の徴収が思うとおりにいかず、現在では職員が1人となり、事務所は台湾側の好意でもって運営されており、設立目的の達成にはほど遠い現状にあります。そのため、琉球館の活用方法について民間団体と話を進めているところであります。
 次に、ポスト香港構想を推進するためには現行の自由貿易地域では困難と思うが、その対策と見通しはどうかと御質問がございましたが、お答えいたします。
 現在、台湾の対中国貿易は、香港経由の間接貿易となっております。そのため、香港返還後の台中貿易のあり方が注目されてきているところであります。
 このような状況下において、本県の地理的特性を生かし、香港にかわる中継基地として沖縄が適地であるという見解については承知いたしております。そのため、これらのことを踏まえて香港の中継貿易の現状について現在調査中であり、これに基づき中長期的観点から対処してまいりたいと思います。
 なお、本県に開設された自由貿易地域は、関税法の保税地域制度に一定の金融、税制上の措置が講じられているものの、他の保税制度と制度的にはほとんど差異はございません。したがって、本県の自由貿易地域が香港にかわって中継貿易基地や物流拠点を形成するためには、制度の改正が必要であると考えております。そのため、第3次沖縄振興開発計画の策定に向け、制度の改正を初め空港、港湾等の自由貿易関連支援施設の整備を図るための施策を積極的に推進してまいりたいと思います。
 次に、ポスト香港構想との関連でアジアポートの可能性についてただされましたが、お答えいたします。
 アジアポート構想は、ブラジルを初めとする南米諸国の豊富な原材料を、アジア地域に大量かつ安定的に供給するためのシステムを確立すべく超大型船で輸送しコストダウンを図るとともに、アジア地域にこれを受け入れる中継備蓄用大型港湾を建設しようとするものであります。しかし同構想は、経済的、技術的側面において検討すべき課題が多く、国においても具体的な方策がまだ出されていない現状であります。
 一方、中城湾港新港地区について見ると、現在の港湾計画においては、最大岸壁が水深13メートルで4万トンクラスの船舶を対象としたものであります。アジアポート構想で想定されている超大型船舶には対応できません。したがって同構想については、今後、国の動向等も見ながら中城湾港の長期的展望の中で検討していきたいと考えております。
 次に、頭脳立地構想に基づくテクノセンターの設立までのプロセスについてただされましたが、お答えいたします。
 頭脳立地構想は、我が国経済のサービス化、ソフト化が著しく進展する中で、産業の東京一極集中を是正し、産業の地方分散を進め、国土の均衡ある発展を図ることを目的としております。同構想は、自然科学研究所、情報サービス業、デザイン業等産業の頭脳部分である特定事業の集積立地を促進し、地域産業の高度化を支援することをねらいといたしております。
 本県としては、この構想を高く評価し、これまで構想調査を実施するとともに、推進協議会を設置いたしまして計画案の作成について検討を進めてきたところであります。この結果に基づき国に対し県の計画承認について強力に要請活動を展開してきたところであり、平成2年度、国の承認を受ける予定であります。
 なお、同構想の中核であるテクノセンターは、パイオテクノロジー等による亜熱帯地域資源の高度利用技術の先端的な研究開発と成果の企業化、人材の養成を行う機能を持っております。
 御指摘のテクノンターの設立については、計画の承認を受け次第、国、県の出資のほか、地元市町村及び民間の出資協力を受け、平成2年度中に設立する予定であります。
 次に、テクノセンターと工業技術センターとの関連と位置づけについてただされましたが、お答えいたします。
 テクノセンターは、バイオテクノロジー等による亜熱帯地域資源の高度利用技術の開発を行う先端的な研究機関であると同時に、その成果の企業化を促進する機能を持っております。
 一方、工業技術センターは、中小企業に対する工業技術全般の指導機関であり、テクノセンターにおける研究成果の民間への技術移転及び企業化を図る場合の支援、協力の機能を持っております。
 御指摘のテクノセンターの研究スタッフにつきましては、同センターの研究にふさわしい優秀な人材を確保すべく内外の関係機関に協力を働きかけているところであります。
 次に、テクノセンターの運営主体についてただされましたが、お答えいたします。
 テクノセンターの運営主体は、国、県、地元市町村及び民間の出資による第三セクターが当たることになります。
 また、具体的な事業の推進については、まず第三セクターを平成2年度に設立し、テクノセンターの建設、ソフト団地の整備を進め特定事業の集積を図るとともに、工業技術センターの建設を順次進めることにより地域産業の技術力、情報力、経営力等の高度化に大きな成果が見込まれます。
 次、赤土汚染についてお答えいたします。
 県では、赤土流出問題が本県の環境保全、観光、水産等の産業振興の上で極めて重要な課題であるとの認識のもとに、関係機関から成る赤土等流出防止対策協議会において防止対策や汚染状況に係る協議、情報交換を行うとともに、関係部局がそれぞれの立場から各種の調査研究の実施、流出源の監視、関係者への指導等に努めてきたところであります。
 しかしながら、まだ赤土の流出を十分に抑制し得てはいないこと、さらにこれからリゾート開発の事業等が展開されることからも、より強力な取り組みが必要であると考えております。県としては、赤土等流出防止対策協議会の組織強化を図って全庁的な取り組みを展開するとともに、現在進めている環境管理計画の策定作業を通して赤土流出防止に係る基本的な配慮方針を確立していく考えであります。
 また、赤土の流出に係る各種開発等の計画立案段階から適正な配慮が講じられるよう環境情報や防止技術情報の収集、提供体制を整備し環境アセスメントの活用、環境モニタリングの実施、市町村との協力、事業者に対する監視指導の強化を進めて赤土汚染の事前防止に努めてまいりたいと思います。
 赤土汚染の新年度予算で実施する事業の内容についてお答えいたします。
 新年度においては、赤土等流出防止対策の啓発強化のための事業が予定されております。本事業は、これまでに実施された赤土流出防止対策や技術に関する各種の調査研究の成果、農林土木の分野で確立されてきた対策方針等数多くの知見、情報を集大成した「赤土等流出防止対策必携」を作成するものであります。
 また、赤土流出の実態や影響、防止対策事例等のビデオを製作し赤土流出防止思想、防止技術の啓発普及に努める考えであります。
 本必携等を各種開発事業等の審査、現場指導の際の重要な基礎資料として活用することによりまして対策の強化を図るとともに、市町村、事業者等に周知することにより対策に関する知見の普及と技術の向上に資する考えであります。

 また、農業的土地利用に起因する赤土等の流出防止対策につきましては、土地改良事業実施後の沈砂池等の点検管理の強化や日常的た農業生産活動の際の土壌の流出防止対策を地域ぐるみで取り組む必要があり、地域における組織体制を整備し当該組織による諸活動の促進を図り、効果的な流出防止対策の推進を図る考えであります。
 次に、赤土等流出防止対策協議会の構成メンバーについて御質問がございましたが、お答えいたします。
 これまで赤土等流出防止対策協議会における協議を通して、全部局における防止対策の情報の交換、全庁的取り組みについてのコンセンサスづくり、現地調査及び市町村関係者への啓発活動等を行ってまいりましたが、赤土対策に係る諸施策が県行政において極めて重要であるとの認識のもとに施策の速やかな浸透、実効性の強化を図ることにより、今後赤土流出防止対策に万全を期してまいりたいと思います。
 構成メンバーについては、副知事を委員長に企画開発部長、環境保健部長、農林水産部長、土木建築部長、知事公室長、観光文化局長及び企業局長等を予定いたしております。
 次に、糖業振興条例についての御質問がございましたが、条例制定に至った経過、また関係団体との調整、条例施行による今後の成果等について御質問がございましたが、3点にわたる御質問に対し、一括してお答えいたします。
 本県の糖業は、長い歴史の試練を受けながら常に本県の基幹産業として重要な位置を占めてまいりました。
 しかしながら、御指摘のとおり近年本県の糖業を取り巻く情勢は、砂糖需要の減退、内外価格差の拡大等極めて厳しいものがあります。これに加えまして、このたびサトウキビの品質取引が平成6年から実施されることになりまして、新たな対応に迫られているところであります。このような事態に対処いたしまして、糖業の健全な発展を図るためには、従来にも増して関係機関が一体となり、長期的見通しに立脚した抜本的な対策を講ずる必要があることから条例を制定することといたしたのであります。
 また、本条例案は、関係機関の責務が重要な意義を持つものであることからしてそれぞれの機関がその責務を十分認識し自主的に実施することが必要不可欠でありますので、これらの関係機関の理解が得られるよう責務に関する事項について具体的かつ十分な調整を行い、関係機関の了解を得てまいりました。したがって、本条例を制定することにより関係機関の連携、協力による効果的な振興対策を講ずるとともに、長期的かつ総合的な施策を講ずることによりまして本県糖業の健全な発展を図り、もって農業経営の改善と農家所得の安定に資することを期待いたしているところであります。
 全国植樹祭との関連でミニ植樹祭についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 全国植樹祭を開催する目的は、御案内のとおり森林資源を造成し国土の保全並びに水資源涵養に貢献するとともに、生活環境の緑化を図ることにあります。したがって、広く県民一人一人が何らかの形で参加できることが望ましいと考えており、貴重な御提言として実行計画を策定する中で検討してまいりたいと思います。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 西田議員の教育行政に関連する御質問にお答えします。
 1点目の伝習館高校判決に対する教育長の所見についてお答え申し上げます。
 御案内のように、今回の最高裁判決は、学校教育における教科書使用義務を認定した内容となっております。
 我が国は、憲法第26条で、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定をされております。国は、これを実現するため公教育制度を確立し、教育制度を整備し教育の機会均等の確保、全国的な教育水準の維持及び教育の中立性の確保の責務を負っております。そのため国は、学校における教育課程の編成の基準及び教育内容の全国的基準として学習指導要領を定め、各学校ではこれに基づいて作成された教科書を主たる教材として使用することが最も適切であることから、学校教育法第21条では教科書の使用義務が定められているものと理解をいたしております。
 しかしながら、教科書使用義務があるといっても教科書万能の硬直的なものではなく、教師が教育活動を展開するに当たっては、児童生徒の実態等に応じて弾力的に教科書を使用することはもとより大切なことであり、教科書の記述内容の取り扱いに軽重を加えたりするなどは、必要に応じて適切な配慮を行うべきことは否定してないことになっております。これは、昭和47年10月27日、文部次官通達の内容であります。
 今回の最高裁判決では、昭和51年の最高裁学テ判決、これは北海道旭川で示されたように学習指導要領は法規としての性質を有し法的拘束力を持つものであることが改めて確認をされ、さらに教科書の使用義務が最終的に認められたことは、これまでの国や県の教育行政において長い間争点となっていたことに結論が出たものと理解をいたしております。
 授業時数が標準授業時数より50時間以上も不足をしている、その理由あるいはまたそうなっている学校が11校、その11校の事務所ごとの内訳、あるいはそれの補充は一体どう考えているかについてお答えします。
 公立小中学校の教育課程の改善に資するため、昭和60年度から授業時数実施状況調査を実施いたしております。
 昭和63年度の調査結果によりますと、中学校で標準授業時数1050時間に50時間以上足りない学校が11校ございます。その内訳を教育事務所別に見ますと国頭3校、中頭7校、島尻1校の計11校となっております。
 これらの学校における標準授業時数が確保できなかった主な理由としましては、1つには学校行事の精選が不十分であったこと、2点目は授業実施曜日あるいは校時の調整が不十分であったこと、3点目が長期休業前後の短縮授業を実施したこと、それから4点目は中間テスト、期末テスト等の定期テスト後の授業をカットしたことなどが挙げられます。
 なお、児童生徒の学習権を確保する観点から標準授業時数の確保は不可欠でありますので、授業の欠時が生じた場合には各学校の実態に即して交換授業や補充授業を実施して標準授業時数の確保に努めるよう市町村教育委員会と連携を図りながら助言をしているところであります。
 御質問の3番目の学力向上対策年次計画の努力の成果等についての御質問にお答えします。
 昭和63年度にスタートしました第1次学力向上対策は、標準学力検査の偏差値の平均点を全国水準50点にすることを目標に行政、これは県、市町村、あるいは学校、家庭の連携のもとに強力に推進をしているところであります。
 1年次の昭和63年度は、学力向上対策の必要性と趣旨の徹底並びに市町村学力向上対策委員会の組織化に力を注いでおります。2年次の平成元年度は、市町村組織の活性化と学校を中心とした学力向上対策の推進を重点にそれぞれ具体的な取り組みを展開してきております。
 その主なものを挙げますと、1つには学力向上対策地域懇談会の実施、それから2つ目には基礎的、基本的事項事例集の作成をしております。3つ目は達成度テストの実施、4つ目には進級テストの作成、それから5つ目には市町村教育委員会並びに小中学校に対する計画訪問の実施でございます。
 このような取り組みは、学力向上対策に対する県民各位の熱い期待と各家庭や地域における地道な努力、あるいは各学校における真剣な取り組みによりまして着実に成果を上げつつあります。
 ちなみに、平成元年度中に各市町村において実施しました標準学力検査の結果を集約しますと、昭和62年度の結果と比較して平成元年度の方が偏差値2.5ないし3.5高くなっている事実が出ております。そのことは学校単位で見ると全国水準を上回るようになった学校も多くなりつつあります。このことからも本県児童生徒の学力は向上しつつあるものと考えております。県教育委員会としましては、県民各位の御理解と御協力を得ながら本県児童生徒の基礎学力向上のため、今後も学力向上対策を強力に推進していく所存であります。

 地域間の学力差の問題、これは平成元年度の高校入試の分析の結果についての御質問にお答えします。
 平成元年度の高校入試分析の結果でございますが、最上位の地区と最下位の地区とは御指摘のように250点満点で28点の格差が生じております。この地域格差につきましてはいろいろな要因があると思われますが、適切な競争原理が働いていること、あるいはまた父母や地域の教育に対する関心が高いこと、学校の取り組みが活発であること等が主な要因になっております。
 ところで、県教育委員会が推進しております学力向上対策の目標は、本県児童生徒の基礎学力を全国水準に引き上げることでありますし、その際、各地域間の格差をなくし、すべての児童生徒が同一内容、同一水準の基礎学力を身につけるよう基本方針として方策を立てております。
 その1つに、市町村教委を中心とした各地域における地道な取り組みの推進であります。
 2つには、学校を中心とした学力向上対策、なかんずく標準授業時数の確保と授業の改善、あるいは充実、進級テスト等の活用、補習指導の実施など適切な教育活動の推進を定めております。
 このように学力向上対策は、究極において県内各地域間の学力格差の是正を目指しておりますので、各市町村、各学校においては達成度テスト分析結果や高校入試分析結果等を踏まえてそれぞれの問題を設定されまして具体的で実効性のある取り組みをなす必要があります。県教育委員会といたしましては、取り組みの弱い地域や学校を掌握し、学校を中心とした学力向上対策を真剣に推進するよう指導、援助してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時53分休憩
   午後1時20分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 午前に引き続き代表質問を行います。
 仲松昌彦君。
   〔仲松昌彦君登壇〕
○仲松昌彦君 通告に従いまして代表質問を行います。
 波乱に満ちた1980年代が終わり、20世紀も残すところ10年、1990年の年頭に代表質問ができますことを大変栄誉に思い、心から感謝申し上げる次第です。
 この10年間は、21世紀への橋渡しとなる極めて重要な意味を持つ10年であります。ソ連、東ヨーロッパは大改革に揺れ、ヨーロッパは経済統合を展開、日米の摩擦解消問題では風雲急を告げ、国内は、こういう新時代の外交理念の確立とともに政治改革、税制改革、そして内外価格差や資産格差など経済繁栄がもたらした矛盾解決など課題は山積し、我が県は、3次振計を策定し実施に移すという変革の中の県政運営を迫られるからであります。
 21世紀は目前であります。しかし、21世紀の到来は時代に流され座して待つのであれば、単に暦をめくるだけの意味しかないのであります。世紀の暦が変わることを一つの節目としてとらえ、沖縄が生きる方向を確かな視点で描き、その実現に向けて県政運営に取り組む姿勢があって初めて21世紀の到来という時間設定の意味ずあるわけであります。
 県民から負託され県政にかかわる我々は、激変する変革の内容を的確に把握し、沖縄の進路に誤りなきよう研さんし、見識と洞察力の涵養に努めたいものと痛感するものであります。
 そこで大所高所から私見を述べ、知事を初め県当局の御所見をお伺いしたいと思います。
 まず、沖縄を取り巻く政治情勢についてであります。
 1989年、つまり昨年は、国内はもとより世界史の上でも特筆大書される年であったことは間違いないものと思います。日本は、昭和天皇の崩御によって昭和の時代が終わり、国の内外が平穏であることを願って平成を年号といたしましたが、内閣は3度もかわり、参議院は保革逆転となり、政局が大きく揺れたことは御承知のとおりであります。
 さらに目を世界に転じますと、中国の天安門事件を皮切りに東ヨーロッパで起こった大改革のあらしは、ただただ目を見張り驚くばかりであります。ベルリンの壁の崩壊は、世界の人々の目をテレビにくぎづけにし、自由な生活はもとよりのこと、明るい社会と豊かな暮らしも国民に与えることができなかった社会主義の失敗を全世界に向かって見せつけたのであります。
 東ヨーロッパの国々は、世界共産主義の恐怖政治、計画経済の非効率化から脱し、自由と民主主義、市場経済の導入に向けて大きな変革を求めているのであります。国の名前から社会主義という文字を外し、人民という文字を国の名前から削っているのであります。
 かつてハンガリーモデルとまで言われ、社会主義の優等生扱いされたハンガリーの指導者は、苦しくともこの改革は決して後戻りさせないと明言し、社会主義との決別を宣言したのであります。
 また、1980年に連帯を断圧したポーランド政府は、今では連帯とも対話を求めているありさまであります。
 さらにルーマニアでは、社会主義の圧政から抜け出し、自由と民主主義を手に入れるために6万人とも言われる国民のとうとい生命を失っているのであります。
 ソ連は、ペレストロイカが進展せず、市場経済の積極的導入、複数政党の容認、最後は国民投票による大統領制へ移行するというまさに大転換を行っているのであります。
 あえて申しますならば、これらの国々は、日本共産党、日本社会党が政治体制の手本として尊敬してきた共産党一党独裁の国々であります。世界に貢献し得るまでに発展を遂げた我が国の現状を思うとき、先達の労苦と体制の選択は誤りなきものであるとあえて感銘を深くするものであります。
 世界の変革は、政治体制ばかりではありません。経済の統合、今後予想される変革も実にさまざまであります。米国とカナダは貿易の完全自由体制に入り、ECは1992年に市場を統合する運びであります。米欧におけるこのような経済ブロックの形成は、自由主義体制の堅持も深くかかわり、ソ連や社会主義の変貌とはまた別の意味合いで90年代の世界経済や政治動向に大きなインパクトを持つことは間違いなく、我々は、これらの動きに関心を持ち十分吟味しておく必要があると思うものであります。
 さて、沖縄の近隣諸国はどういう変化をするでしょうか。中国の改革はどう進展するでしょうか。台湾の動向はどうか。近く中国への返還が予定されている香港はどんな動きになるであろうか。はたまたフィリピンの経済は離陸するでしょうか。
 世界の経済は、ヨーロッパを中心とした時代から環太平洋の時代になるとの指摘があります。さらに今後の国際経済はボーダレスエコノミー、つまり国境なき経済交流と言われ、相互の依存度が一層高まる時代になるということであります。我が沖縄が21世紀において国際交易の拠点の一つとなり、新たな発展の方向を目指すとするならば、近隣諸国の動向に強い関心を持つ必要があると思います。
 さて、国内政治についてでありますが、国際的にも注目を集めた総選挙において自民党が安定多数を確保する結果となったことは、国民の賢明な選択というべく高く評価するものであります。
 県内選挙区において従来のパターンを変えることができなかったことは極めて残念でありますが、自民党の単独政権の維持は、沖縄の今後の振興開発にとって引き続き大きな推進力を得たものと思うのであります。しかし、参議院における与野党逆転の状況が、内外に対する重要な施策決定をおくらせ、特に東京集中を是正し地方の振興に国内政策の力点を置くべき今日、いささかなりとも施策展開に支障が起こるようでは新たな政治不信を招きかねず、与野党を問わず政治姿勢の転換が強く求められているゆえんであります。
 激動する諸外国の改革は、対岸の火事ではなく、国内においても政治改革、税制改革を初め行政改革、この中には沖縄開発庁の統合問題が含まれているようでありますが、対外問題も含めありとあらゆる改革課題が山積しているのであります。
 戦後45年、体制の選択は正しかったが、制度は時代の推移に伴い陳腐化するものであります。時代は、内外ともに対話と協調の政治を求めていることは確かであります。時代の進展を的確に洞察し、あるべき施策の構築と展開に政治に携わる者が真に汗をかく、そういう認識と実践が今、求められていると考えます。

 そこで質問でありますが、世界のこのような動き、国内政治状況に対し、知事はどう認識しどのように判断されておられるか。
 さらに、今後の県政運営に対する抱負や基本的考え方をお示し願いたいと思います。
 次に、基地問題について御質問を申し上げ、知事の御所見を賜りたいと思います。
 去る2月20日、東南アジア歴訪中のチェイニー米国防長官が、国防長官としては初めて沖縄を訪れ西銘知事と会談いたしました。昨年9月のクエール副大統領に次ぐ米国政府要路の来県であり、米国の沖縄基地重視の一貫した軍事政策を顕著に物語るものとして県民は大きな関心と期待を持って見守ったのであります。会談の中で長官は、日米安保体制と沖縄の米軍基地の重要性を強調するとともに、基地が沖縄県民にとってどのような問題になっているかについても理解していると述べ、広大な米軍基地の存在が本県の振興開発を初めあらゆる分野に大きな障害となっている事実に認識を示したものと受けとめられております。
 このことは、米国の国防政策のトップが沖縄の現状について十分な理解と認識を有していることが、初めて現地において県民レベルで確認されたという点で意義があり、一定の評価をするものであります。
 このように、沖縄の基地問題に対してアメリカ側が率直な理解と認識を示すに至った背景には、西銘知事が2回にわたって訪米し、基地の整理縮小を初め本県の振興開発を進める上で必要な施設区域の返還や、現地レベルで解決困難な諸問題について米国政府当局者に対し大胆かつ率直に実情を訴えた、いわゆる対米直訴行動が大きな引き金になっていることは疑う余地のないところであります。
 このたびの国防長官の来県に際しましても、知事は積極的に沖縄の基地問題の現状を訴え問題解決に向け時宜を得た要請を行っており、知事の基地問題に対する熱意と御努力に対し敬意を表するものであります。
 本県の基地問題は、今や世界的な緊張緩和と軍縮という大きな歴史のうねりの中で転換期に差しかかっているといっても過言ではありません。米ソ首脳によるマルタ会談によって東西の冷戦構造は終局に向かい、東西ヨーロッパの軍縮は大幅に進み、極東太平洋における米ソの軍縮も早晩実現するものと期待されております。
 このような国際情勢の大きな変化を踏まえ、アメリカでは、脱冷戦の時代と位置づけ国防費を削減し、ニューズウィークなどアメリカマスコミ界の表現をかりるならば、平和の配当をしようという論議が盛んに行われているのであります。
 沖縄は、米ソの冷戦、東西対立のはざまにあってなけなしの土地を提供してきましたが、言われている平和の配当として我が県民は基地の大幅縮小、最終的には返還を求める当然の権利を有するものと言わなければなりません。
 加えて、復帰後の本県の目覚ましい社会経済発展は、県民の基地に対する考え方に顕著な変化をもたらしております。すなわち安保反対、基地の全面撤去といった保守、革新の政治イデオロギー次元の問題としてではなく、これらを超越して21世紀を視野に入れた豊かな県土づくり、県土の有効利用といった視点からのアプローチであります。
 沖縄の社会や経済が一定の安定を維持し発展する力をつけるための初期の段階においては、基地収入をそのばねにする必要があり、安全の保障と平和維持のための基地の存在価値を大幅に認めざるを得ない時期があったことも確かであります。しかし復帰後、振興開発計画の推進によって我が県の社会経済は大きく発展し、さらに飛躍しようとする現在において基地の存在価値は国際的にも国内、県内的にも大きく変貌したのではないか、このように考えるのであります。
 保守の比嘉茂政村長を先頭に、これまで基地や政治問題には全く無縁だとされた地域のお年寄りや家庭の主婦などすべての地域住民が、都市型戦闘訓練施設反対闘争に参加し結集し、基地にかかわる住民の心情を吐露したあの恩納村民の行動は、基地問題をめぐる時の流れの中で一つの到達点を示すものというべく、このことはとりもなおさず沖縄の基地問題が大きな転換期に差しかかっていることを如実に物語っていると言えましょう。
 我が党は、これまで一貫して国の安全と独立を守り恒久の平和を確立するため日米安保を積極的に評価する姿勢を堅持してまいりました。今日なお、日米が自由と民主主義の共通の価値観を持つ対等のパートナーとして日米安保体制を基調とする緊密な協力関係の促進を図っていくことの重要性はいささかも変わりなく、世界をリードする経済大国、技術大国としての両国の同盟関係は、今後とも引き続き堅持していかなければなりません。
 さきの日米防衛首脳協議や日米構造協議に見られるように、日米両国の関係は好むと好まざるとにかかわらず政治、経済、防衛の各般にわたり運命をともにする不離一体の関係になっている現実は、何とも否定できないからであります。
 しかし一方、目を転じ世界の潮流として定着しつつある軍縮と緊張緩和、さらには21世紀を展望した豊かな県土の創造という内外の変化する情勢に即して物を考えてみた場合、基地問題への新たな対応の必要性を痛感するものであります。基地問題の根幹をなす基地被害の防止と基地の整理縮小は、安保を容認する我が党といたしましても県益を優先するという見地からこれまでも重要視し対処してきたところであり、殊に復帰10年、昭和57年を大筋の境目として日米安保協における返還合意施設の返還促進はもとより、基地の整理縮小についてもたびたび提言し知事の理解を求めると同時に、多くの県民の共感を得てきたところであります。
 これまでも述べてきたように、我が党は、昨今の国際情勢は、米ソ2大超大国の冷戦構造が終えんし、東欧諸国の民主化の進展とも相まって、国際政治は対立から協調の新しい時代に移行したと認識しており、このような歴史の大きな転換期に際し、今こそ県民が望む基地の整理縮小や跡地の有効利用について積極的に取り組む攻めの姿勢が求められていると確信するものであります。
 知事は常々、基地の整理縮小や基地被害の防止を県政の重要課題に位置づけ、あらゆる機会に最大限の努力を傾注してこられたことは県民がひとしく評価しているところであります。2度にわたる訪米で知事が示した要請の内容や行動の重みについては日米両政府が深く認識しているところであり、かねがね日米合同委員会で要請事項の真剣な協議が続けられていると承っております。
 そこで質問であります。
 第1点、2度の訪米で要請した基地の整理縮小や返還について現在どのような状況になっているか、期待される成果について明らかにしていただきたい。
 第2点、このたびの日米防衛首脳協議で明らかにされた在日米軍の5ないし6000人を削減する計画と、在沖米軍基地の整理縮小とはどのような関係になっているか御説明願いたい。
 顧みて基地問題は、国家の防衛政策と外交という複雑かつ高度な次元の問題であり、これまで決して県民の願いどおりには進展してきませんでした。そのため、国益と県益のはざまで時の為政者が大変な苦労を強いられてきたのであります。西銘県政の11年余にわたる輝かしい歩みの中にも基地問題は常に政争の原点となり、県民エネルギーの多くを消耗させてきたのであります。しかし、90年代の幕あけを迎え、21世紀を展望した沖縄の将来に思いをいたすとき、基地問題は保革が党派を超え、県益の確保という一点に結集し、本音で論議すべき時期にきていると思います。国際情勢の変化が、沖縄の戦後史上経験したことのないような基地の変革をもたらそうとしているからであります。今、県民は段階的な秩序ある基地の整理縮小を望んでおり、そのための粘り強い知事の行動と跡地利用の策定を求めております。
 同時に、基地の縮小や整理統合に伴い派生する県民生活に直結するさまざまな問題にも目配りが必要であることは当然であります。およそ1500億円の基地関係収入が県民生活の一面を支えていることを忘れてはなりません。
 去る12月、県内紙に海兵隊の沖縄撤退が報道されたとき、県民の感情は喜びと不安に分かれたのでありますが、不安を訴えたのは基地に関連して生計を立てている住民と地域であります。基地があることに悩み、さらになくなることに悩まないよう政治的、行政的配慮が必要であるということであります。そのためにも返還時においては地主の立場を十分に尊重し、跡利用に当たっては地域発展を促進する配慮が大切であります。

 知事におかれてはいろいろと御苦労も多いと思いますが、内外に名声の高い西銘知事でなければ、これから新たな局面を迎え、ますますかじ取りの難しくなる基地問題への対応はできないと確信いたしております。この小さな沖縄に安保を全部背負わされている犠牲や、75%の基地が存在することの重さに対する特別な手当てや、あるいは現状に見合った特別の政策的配慮が欠如している現実を厳しく御認識されまして、今後とも基地問題の前進のため知事の一層の御奮闘をお願い申し上げる次第であります。
 次に、3次振計とその関連事項についてであります。
 3次振計について私見を申し述べる前に、我が県の計画の歴史を振り返り3次振計の意義を考えてみたいと思います。
 我が県の振興開発について初めて策定された計画は、大正4年策定の糖業振興を柱とした産業10年計画であります。
 さらに、閣議決定の計画として策定されたのが、あの有名なソテツ地獄からの脱皮を意図した昭和8年策定の沖縄振興計画であります。この計画は15年計画で着実なスタートを切ったのでありますが、第2次大戦の勃発によって計画半ばにして消えたことでも有名な計画であります。
 敗戦後、米国統治下においては戦前水準への復帰を目指し、昭和26年に軍政府が策定した琉球列島経済計画に始まり、琉球政府が発足後策定した昭和30年の経済振興第1次5カ年計画から、復帰直前の昭和45年策定の長期経済開発計画に至るまで8つの計画が策定されたのであります。
 これらの計画の特徴は、産業経済の振興に主眼が置かれ、貧困からの脱皮が歴史的命題であったことと、計画期間を達成することなく新たな計画策を余儀なくされたことであります。振興開発予算の裏づけをみずから持って開発事業の推進に取り組めなかった行政的苦難の歴史であります。
 幸いにして復帰に伴い沖縄振興開発特別措置法が制定され、これに基づいて沖縄振興開発計画の政府決定、沖縄開発庁の設置、高率補助による継続投資が行われていることは、計画行政の歴史の上でまさに特筆すべき時代にあると評価するものであります。3次振計の策定とその実施によって30年に及ぶ計画的投資が行われることは、21世紀において我が県が飛躍的な発展を遂げる上からも、その歴史的意義が極めて大きいことは申すまでもありません。
 さて、3次振計については審議会、専門委員会が組織され、2次振計の実績評価、振興の方向性について論議が始まったばかりであり、細かいことは申しません。基本的なことを申し上げて知事の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
 計画とは何か。それは現在の是正すべきところを目標を持って改善し、健全と安心と常にあすへの活力を生む杜会をつくるための行政的誘導策であります。
 この重要な誘導策の策定に当たって大切なことは、現状の悪しき状態、つまり、デストピアの状況をどう認識するか、現状とその本質を見きわめることであります。さらに実現不可能な夢であるユートピアを求めるのではなく、積極的な努力によって実現し得るエントピアを構想し計画することであります。計画は願いごとではないのであります。願望ではなく実効あるものにしなければならないということであります。そしてどういう手段をもって、あるいはどういう条件を生かして計画された目標を実現するかであります。それは、ないものねだりではなく、この沖縄が持つ諸条件を十分に生かすことであります。
 これまで使われている言葉に地域特性を生かすという表現がありますが、その内容をより具体的に吟味し計画課題にする必要があると思うのであります。地域はそれぞれに自然的、歴史的、文化的、そして人的条件を特性として持つものであります。この特性をいかなる視点で見れば資源になるか、その資源にどのような施策と技術を投入すれば地域発展の資産になるか。この資産をどのような配慮をもって活用すれば永続的に生かし後世に引き継ぐことができるか、肉眼ではなく心眼で、しかも科学する目で沖縄が持つ諸条件についてできる限りの知識をもって検討を加えることが3次振計策定の上で重要であると考えるのであります。
 こういう視点で見ますと、我が県の資源は自然であり、歴史と文化であり、そして県民であります。これらの条件を十分に生かすことが問われる課題であり、3次振計の主要テーマであると思うのであります。
 自然は、観光の面で大いに生かされつつあります。しかし、農業や水産業において自然条件の活用は今後の課題であります。
 歴史と文化はどうでしょうか。海外交流の歴史、文化伝播の関係が生かされるのも今後に待たなければなりません。
 海外移住老の皆さんとの連携も、世界のウチナーンチュ大会の開催によって初めてネットワークができる運びであります。
 人的資源はどうでしょうか。人材育成に対する行政の努力は多とするものでありますが、国際交流を担う人物、各産業分野が必要とする技術者の養成、各種試験場等の専門機関の人材養成も継続的課題であります。これらの課題を解決し、沖縄の資源を十分に生かす振興の方向は、一言で申すと自然と文化を生かしてあくまでも沖縄らしく、そして国際化を大いに進めることであります。
 国際的とは、県の予算で行う文化、学術交流にとどまらず、人や物が沖縄に集まるという、いわば太平洋の十字路にすることを振興策の眼目の一つに据えることであります。そのためには大型港湾の建設、特に大那覇空港の建設は不可欠であります。3次振計の主要プロジェクトに位置づけてもらいたいと思うのであります。
 計画は、誘導策であります。民間が頑張るためのガイドラインであります。社会資本の建設と一部の施策を除き、振興事業の主体は民間であります。特に産業の分野ではすべて民間が主体であります。しかし、民間は自前の力量が十分でありません。行政の誘導と対応が大いに期待されるゆえんであります。
 知事の決断と実行力によって新庁舎が完成いたしました。この近代的なビルは県勢発展の勢いを象徴し、行政能力が遺憾なく発揮される場でありたいと願うものであります。
 2次振計の達成、3次振計の策定と実施は一に行政努力にかかっていると考えます。
 多くの若い人材が育ちつつありますが、3次振計の実行に向け適材適所の人事配置、さらに各部門の連携を強化する必要があると思います。知事は、より一層の行政の活性化についてどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと存じます。
 さらに、人材の登用についてでありますが、例えば熊本県などはNHKの幹部を登用し、県内文化の活性化の任に当たらせているのであります。他の県においても同じ発想の人材登用が盛んに試みられているようであります。多くの新たな事業に取り組んでいかなければならない我が県として、民間や県外から有能な人材を活用する必要性について知事はどのように考えておられるか、御所見を賜りたいと思います。
 次に、県都那覇市の大改造についてであります。3次振計の中でぜひとも取り上げてもらいたいのは、県都那覇市の大改造であります。那覇市は、あらゆる機能が集積した沖縄の顔であります。しかし、顔にふさわしい形態をなしていないというのが専門家の指摘でもあります。最近、建物の高層化が進みつつありますが、都市計画の専門家は、計画的に町をつくらなければ那覇市のようになるということで有名のようであります。計画ができる前に市街地が形成されたという戦後の歴史はともかくとして、21世紀の県都にふさわしく沖縄らしさと国際性を帯びたシンボルとしての那覇市の建設を期待するものであります。
 都市計画は、市町村行政の分野に属する面もあることは承知しております。しかし県都である以上、県との協力体制をより強化し、目に見えて変化し、市民はもとより県民の誇りとなる那覇市となるよう再開発、道路の整備、ゆとりと緑の町の建設に取り組んでもらいたいと思うのであります。
 他県には、自主性が大幅に認められた政令指定都市があります。最近は仙台市が昇格しております。人口規模が大きな条件でありますが、政府の行革審の地方部会では、全国の県庁所在都市を政令指定都市に準ずる役割を与える答申を既に行っております。このような制度を活用するためにも、県も那覇市の改造に積極的に参画する必要があります。

 しかし、できることから着手するというのがまちづくりの鉄則であります。それは狭い土地を効率的に使い、空間を生み出し多様な効果を生み出すことであります。
 まず第1は、地下駐車場の建設であります。公園の地下を利用し大規模な駐車場をつくることであります。
 例えば、与儀公園、奥武山公園、さらに牧志に点在する公園の地下を駐車場にすることであります。このことによって駐車場不足の解消、交通渋滞の緩和、商店街の活性化、シルバー人材の活用など多面的な効果が期待されるからであります。この事業は福岡県、熊本県、鹿児島県の隣県はもとより、各府県で既に実現しております。
 第2は、電柱の埋設であります。
 台風による停電防止、景観の美化、街路のゆとり、事故防止などの効果をねらいとして全国に展開中であります。資金の調達やケーブルの需要など困難な問題があることは理解できますが、ぜひ実現してもらいたい事業の一つであります。
 第3は、容積率の問題であります。
 狭い土地を効率的に使うためには、建物を高層化するしかないのであります。しかし、那覇市の容積率は航空管制の制約があるにしても他県に比べて低いというのが民間の指摘であります。算出基準に問題があるとすれば、そのことを検討する積極性がほしいものであります。制度がどうの、あるいは基準がどうのと仕組みに固執した発想ではなく、那覇市大改造のために何が壁であり、その壁はどうすれば崩せるか、行政の積極的な対応を求める次第であります。
 そこで質問でありますが、今申し上げました3点について土建部長の所見を伺いたいと思います。
 次は、離島振興についてであります。
 離島の振興は、3次振計においても重要な課題の一つであります。本土、沖縄間の格差というよりも県内格差の是正がより重要だからであります。島を特徴づける海による隔絶、面積の狭隘さ、少ない人口は政策の限界を超える側面もありますが、住民の福祉、伝統文化の継承、沖縄県全体のレベルアップを考えた場合、離島問題は避けて通れない重要な課題であります。離島県沖縄の県政が心して対応すべき宿命でもあります。
 定期航路が開設され、多くの島々が便利になりました。そのこと自体は大いに喜ぶべきことであります。反面、若年層の流出は人口の減少を促進し、基幹労働の不足を生み、若者不足に悩む離島が依然として多いのも事実であります。
 嫁不足は深刻であります。健全な人口構造に近づけるためには適切な観光施設の導入、そして農業、水産業の振興を推進し所得の向上を図る道しかないのであります。
 農業の振興については、土地改良、ウリミバエの完全撲滅、農業用水の確保、土づくり、野菜、熱帯果樹、花卉の振興、バイオ技術の開発普及、新作目の導入を進めることであります。
 水産業については、漁港の整備、漁船の近代化、養殖業の振興など後継者を吸引する条件の整備が急務であります。
 これらの1次産業の振興とともに、産業を確保することによって付加価値を高め、フライト産業の出現を促進する具体策の展開も期待されるところであります。
 さらに、離島性を薄める重要な事業は島を結ぶ架橋の建設であります。
 架橋の建設が離島の振興にすぐれて効果が高いことは、北部や中部地域の離島架橋が示すとおりであります。宮古や八重山地域の島々を海域の自然に配慮しつつ橋で結ぶことは、3次振計の課題であると思うのであります。
 県行政に要望したいことは、離島市町村との人材の交流であります。
 限られた人材で苦悩する離島市町村行政を支援するとともに、計画的行政の推進役とすることは行政の視野を広くするとともに、県全体の水準向上に大きく資するものと考えるからであります。
 もう一つの要望は、ふるさと創生資金の継続であります。
 小規模予算の中の1億円は、とりわけ離島市町村に大きな刺激を与えたからであります。その使途は千差万別でありますが、島みずからの知恵でその使途を決め、島の活性化にみずから取り組む姿勢が見られることは大きな行政効果があったものと評価するものであります。
 そこで質問でありますが、知事は、この資金を当面継続するよう全国知事会等を通じて提案し、国の予算化を促進するお考えはありませんか、お伺いしたいと思います。
 次に、過疎地域振興についてであります。
 本県の過疎地域振興につきましては、御案内のとおり過疎地域振興特別措置法に基づいて、県においては沖縄県過疎地域振興計画、市町村においてはそれぞれの市町村計画に沿って諸施策が推進され、道路を中心とした基礎条件の整備、公共施設の整備、人口減少の緩和等非過疎地域との格差是正のためこれまで大きな成果をおさめてきたところであります。しかし人口減少は緩和し、社会資本はある程度整備されつつあるとはいうものの、格差が依然として存在することは否めない事実であります。
 そこで、現行過疎法の最終年度を迎え、県計画、市町村計画を踏まえて県は過疎法の成果をどのように評価しているか、また過疎地域の課題は何であるかお伺いいたします。
 さて、現行過疎法は平成2年3月31日で失効するわけでありますが、幸い、自民党過疎対策特別委員会では新過疎法の成立に向けて精力的に取り組み、去る12月21日に新過疎対策施策大綱をまとめております。
 その内容を見ますと、1、産業の振興、雇用の確保、2、高齢化関連施策の拡充、3、国民の憩いの場としての整備、4、広域的事業の推進を柱としてそれぞれの過疎地域がみずからの主体的努力によって地域の活性化を実現することができるよう地域における創意工夫を尊重しつつ、国において必要な支援措置の拡充を図るとしています。
 また、具体的な施策としては、1、過疎債の適用範囲を第三セクターヘの出資、生産加工施設と販売施設、小規模下水処理施設及び高齢者の生きがい施設等へ拡大すること。2、国庫補助金の助成措置の充実。3、市町村道、農林道の県代行整備制度の継続実施と新たに過疎地域とその他の地域を連結する代行整備制度の創設及び広域基幹道路整備事業の実施。4、政府系金融機関による低利融資の充実。5、製造業への税の優遇措置の継続実施及び宿泊施設、集会施設等についての税制上の特別措置などが推進されることになっています。
 このように、新過疎法の内容は過疎債の適用範囲の拡大等幅広い内容となっており、過疎地域の振興にとってまことに頼もしい限りであり、喜んでいるものの一人であります。
 私は、昨年の2月定例議会において現行過疎法の失効に伴う対応に関する執行部の取り組みについて質問いたしましたが、その中で過疎地域の抱える課題として、1つには人口の減少、2つには若者の定住、3つには高齢化の進行、4つには公共施設の整備水準、5つには市町村の財政力を取り上げたわけでありますが、今回の新過疎法大綱を見ますとそのほとんどが盛り込まれており、新法の成立に大きな期待を抱くものであります。
 さて、最近の官庁速報によりますと、自民党の過疎対策特別委員会は過疎地域の指定要件を、1、人口減少率、2、財政力指数、3、高齢者比率、4、若年者比率の4点とすることを固めたということのようであります。現在の情勢から判断すると、4月には新立法の成立はほぼ間違いないと思いますが、新過疎法が適用されると否とでは地域の振興に雲泥の差が生じます。
 県は、新過疎法の成立に向けて何度も要請するなどこれまでも積極的に取り組んできておられることを高く評価するものでありますが、新法成立までさらに積極的な対応を期待するものであります。
 特に、現在の22団体の指定地域を引き続き指定してもらうよう働きかけるとともに、伊良部町など過疎地域指定に向けて手を上げている団体についてもぜひ追加指定してもらうよう懸命な取り組みをお願いするものであります。
 そこで、新過疎法によって指定地域がどう変わるのか。また県としての取り組みはどうなっているかお伺いいたします。
 なお、過疎地域振興との関連で高良教育長は、去る22日、文部省を訪れ、昨年のへき地級地見直しで高度へき地校から外された久米島具志川村内の清水小学校、具志川中学校の2校について善処を要請し、地元に負担をかけない方向で国の助成がなされる見通しが立ったと新聞は報じております。

 この2校については、ぜひ地元に負担をかけないよう最大の努力をお願いするものでありますが、通告はしておりませんけれども、要請の経過、今後の見通し等について高良教育長の御説明がお願いできれば幸いであります。
 以上、質問を終わります。よろしくお願いいたします。
 御清聴、ありがとうございました。
○親川仁助君 議長、休憩願います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後1時59分休憩
   午後2時 1分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 仲松議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 県政を取り巻く内外の政治状況について、知事はこれをどう認識し、また今後の県政運営の中でどう生かすかという御提言を含めた御質問がございましたが、お答えいたします。
 昨今の東欧諸国、ソ連の政治情勢の動きは目まぐるしく、予断を許さないものがあります。また国内政局も貿易摩擦等多くの課題を抱えており、内外の諸情勢は厳しいものがございますが、私としては、我が国の平和と繁栄の上に立って21世紀を展望した県づくりに邁進してまいりたいと思います。
 次に、基地問題についてお答えいたします。
 訪米で要請した事項について、その成果についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 米国政府に要請いたしました事項は現在、日米合同委員会において鋭意検討されているところであり、また去る2月20日来県したチェイニー米国防長官は県の要望にこたえて、努力する旨発言いたしておりますることから、近々に具体的な成果があるものと期待いたしております。
 次に、日米首脳協議で明らかにされた在日米軍5000から6000人削減と在沖米軍基地の整理縮小との関連についてただされましたが、お答えいたします。
 去る2月22日に開催されました日米防衛首脳協議におきましてチェイニー米国防長官が、在日米軍5000人ないし6000人削減する旨発言いたしておりますが、このことについて外務省に照会いたしましたところ、在沖米軍を含め在日米軍の具体的な削減計画は示されていないとのことであります。
 次に、第3次振計についてお答えいたします。
 基本方向について、まず、行政の活性化についてお答えいたします。
 近年の複雑多様化する社会状況の中でますます増大する行政需要に的確に対応し、住民ニーズにこたえていくためには、人事における適材適所の配置、行政運営における関係部局の連携の強化はもちろんのこと、県行政に携わる一人一人の職員の職務遂行能力を高め、先見性のある創造性に富んだ職員の養成も肝要かと考えております。かかる観点から、今後とも職員の資質の向上、人材育成には最大の努力を払い県行政の活性化を図ってまいりたいと思います。
 次に、民間からの人材登用についての御提言に対しましてお答えいたします。
 民間からの人材登用については、これまでも試験研究分野等において専門家を登用し多大な成果を上げております。今後とも、高度情報化への対応を初め先端技術の分野等においては民間の技術、ノウハウが必要であり、民間の人材登用については積極的に検討してまいりたいと思います。
 次に、第3次振計との関連において県都那覇市の大改造についての御質問がございましたが、土木建築部長から答えがあろうかと思います。
 次に、ふるさと創生資金の継続についての要請がございましたが、お答えいたします。
 みずから考えみずから行う地域づくり、すなわちふるさと創生1億円事業は、地方が知恵を出し、国が支援するというこれまでとは異なった発想に基づきまして、各地域がみずからの責任と判断においてそれぞれの特色を生かした地域づくりを行う必要があるということで昭和63年度に創設され、現在、この事業を契機として県内各市町村においては、地域の特色を生かした個性豊かな地域づくりの取り組みが行われているところであります。
 ふるさと創生1億円事業を契機とした個性豊かな地域づくりについては、今後とも永続的に発展させていく必要があると考えておりますが、ふるざと創生1億円資金の継続については、九州知事会及び他県の動向を踏まえて今後対応してまいりたいと考えております。
 次に、過疎地域振興についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 過疎地域振興特別措置法に基づく過疎市町村については、居住環境、交通通信体系、産業基盤の整備など過疎債による各種公共施設の整備とあわせて基幹道路の県代行整備等により地域の振興を図ってきたところであります。
 しかしながら、過疎地域は、以前のような人口の激減状況は緩和されたものの、いまだ多くの地域で人口減少がなお続いており、特に若者の流出による人口の高齢化、雇用の場の不足、市町村財政の脆弱性等々多くの課題を残しているのが現状であります。平成2年3月末日の同法の失効に備えまして、県としては県選出国会議員、自由民主党過疎対策特別委員長等関係機関に対しまして引き続き法律に基づく振興策が講ぜられるよう要請してきたところであります。
 平成元年12月21日に自由民主党過疎対策特別委員会は、新過疎対策施策大綱を発表し、現在、具体的施策など新過疎法の制定作業を進めているところであり、法案が国会に提出されるのは3月下旬と聞いております。
 今後とも、現過疎指定町村等が新過疎法の適用がされるよう、全国過疎地域振興連盟等関係機関との連携を密にして対処してまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 高良尚光君登壇〕
○土木建築部長(高良尚光君) 仲松先生御質問の県都那覇市の大改造についてお答え申し上げます。
 まず1点目は、地下駐車場の建設についてでございます。
 昭和56年に策定した県の総合交通体系基本計画には、中心商業地区など著しく駐車需要の高い地区においては、町の活性化及び交通の利便性の向上を図る観点から計画的な駐車場等の配置も必要であると位置づけられております。
 その施策の一環としまして、平成2年度におきましては地下利用の計画調査を実施する予定でございますので、この中でこれまでに那覇市が進めてきました駐車場に対する調査の成果や都心部における交通体系のあり方等も勘案の上、地下駐車場の建設については検討してまいりたいと考えております。
 次に、電線の埋設についてでございます。
 電線の埋設につきましては、安全で快適な交通空間の確保、防災や都市景観の向上及び高度情報化社会への対応等もろもろの観点から、国としましてもキャブシステムとして推進している施策でございます。本県の場合も道路管理者、占用者等で構成する沖縄ブロック電線地中化研究会を昨年3月に設置し検討を進めているところでございますが、平成2年度には久茂地再開発事業とあわせて県道39号線の一部でキャブシステムによる電線の埋設事業を実施する計画でございます。
 なお、今後の地中化計画につきましては、平成3年度を初年度とする第2次電線地中化5カ年計画の中で検討してまいりたいと考えております。
 次に、容積率の問題でございますけれども、容積率は、都市計画法並びに建築基準法の規定及び国の通達に基づき用途地域の区分によって設定しているところでございます。
 容積率の最も高い用途地域は商業地域でございますが、那覇市における全用途地域に対する商業地域の占める割合は11.8%となっておりまして、これは九州各県の主要都市と比べても高い比率となっております。
 また、土地の高度利用を図るべき地域につきましては、地権者の合意を得て高度利用地区として指定することができるようになっておりますが、現在、那覇市においては4.2ヘクタールを高度利用地区として指定しております。
 このような高度利用地区の指定につきましては、今後とも地権者の要望等も踏まえて積極的に対処してまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 仲松議員の過疎地域振興に関連しての御質問にお答えします。

 昨年、へき地級地の見直し等によりまして高度へき地校から該当しなくなった御質問の2校のことでございますが、本件につきましては去る2月20日に特地官署等の指定基準の見直しに関する要望等、それからまた並行しましてへき地学校等の指定基準の見直し、おのおの国の人事院並びに文部省に沖縄県と鹿児島県、長崎県、離島をたくさん抱えるその3県が連名で再度要請をさせていただいております。
 なお、御質問のありました見直しによる2校分でございますが、本件につきましては今関係省庁と調整をさせていただき、地元に負担にならぬような方向で努力をさせていただいております。
 以上であります。
○仲松昌彦君 議長、休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後2時15分休憩
   午後2時18分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 休憩いたします。
   午後2時19分休憩
   午後2時40分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 私は、日本社会党・護憲共同県議団を代表して、あらかじめ通告した内容に従い代表質問をいたします。
 午前中の代表質問で自民党の論客とされる西田議員から、知事に対し、閣下、閣下と持ち上げられておりましたが、知事におかれては私の質問に対し、カッカなされないで誠意ある御答弁をいただきたいと思います。
 今年は、日本の議会制度開設100年目の意義ある年であります。国際的政治秩序の変動が急速に進む中で、1990年代の政治の動向を定める第39回衆議院議員総選挙は、日本社会党の大躍進と自民党安定多数確保という結果に終わりました。
 選挙結果を数字的に検証すると、自民党は、前回昭和61年7月の総選挙に比べ得票数で43万9914票伸ばしたものの、得票率は前回比3.28%減、日本社会党は得票数で561万2885票伸ばし、得票率も7.16%増、公明党は得票数で45万8603票、得票率で8.04%の減、共産党は得票数で8万6261票、得票率で1.62%減、民社党も得票数で71万6978票、得票率で18.04%減となっております。
 結果こそ現実であるとの選挙哲学からするならば、今度の総選挙の結果は日本社会党がひとり勝ちし、全体としての野党が負けて、自民党の安定多数政治が残ったということができると思います。
 だが、昨年7月の参議院選挙に続く日本社会党の大躍進で、自民党一党支配体制の終わりの始まりが一層加速されることは間違いないでありましょう。
 立教大学の新藤宗幸氏は、1989年は、戦後日本政治にとって転機をなす年だったと総括し、リクルート疑獄は、自民党政治の深層を白日のもとにさらしたと分析するのであります。その上で、政治が利権の鉱脈を常に掘り起こし、それに依拠しながら基盤の強化を図っているとだれしもが疑ってきた。それが明るみに出され、総理・総裁の座までが特定企業の資金によって賄われているのを知った有権者は、一党支配体制の脆弱性と腐敗性を痛感し、競い合う政党システムの実現の方向に大きく動いた。言うまでもなく、それが89年7月の参議院選挙における自民党の壊滅的敗北の意味であると結論づけているのであります。
 私は、今度の総選挙で日本社会党を中心とする国民連合政権が実現しなかったことを残念に思っております。
 他方、今度の選挙結果で90年代の日本の政治潮流が自民党の一党支配へ回帰していくと展望するのは早計過ぎると思います。むしろ、命脈尽きようとするときに本卦帰りしたようなものにすぎないとする毎日新聞長崎和夫記者の論評に賛意を表するものであります。
 ともあれ、今度の選挙結果で衆議院は自民党多数、参議院は野党多数という政治状況が当面続くことになりました。長年の自民党一党支配は、金属疲労、制度疲労を来しており、政・財・官界の癒着を生み、いつ政治腐敗、汚職を生じてもおかしくない状況となっております。
 政治腐敗をやめさせるのに最も効果的なのは、政権交代であります。今度の総選挙における日本社会党の大躍進は、単なる55年体制への逆戻りではなく、国際政治のダイナミズムの中で政権交代が可能な政治の枠組みを創出する国民意思のあらわれではないでしょうか。
 そこでお尋ねいたします。
 知事は、今度の総選挙の結果をどのように受けとめ、県政運営に反映されんとしているでしょうか。
 次に、今度の総選挙の沖縄における最大の争点は、保守、革新、いずれが過半数を制するかであり、秋の知事選を占う意味での重大選挙でありました。結果は、革新が3議席を確保し、初の国政参加選挙以来の保守自民党の悲願は、県民の良識ある選択により見事に打ち砕かれたのであります。そして自民党の悲願がかなえられなかったのに当選を果たした2人の自民党議員が、選挙結果をして県民の良心、良識の勝利であると評価していることに注目すべきであります。
 ところで、今回の衆議院選挙で話題を呼んだのが、知事の長男順志郎氏の出馬でありました。順志郎氏は当初、「若さで前進 保守3議席」をキャッチフレーズにしておりましたが、途中、「権力でばく進 是が非でも当選を」と泣きを訴えたものの、宮里派、仲村派の薩長連合の追撃、県政私物化という野党や県民世論の攻撃を受け、最後は金力で暴走、見事落選という結果に相なったのであります。
 開票速報のテレビ報道で順志郎氏の落選を知った仲村陣営は、思わず本音の万歳コール、宮里陣営でも、してやったりの歓喜の声。テレビを見ていた良識ある県民の多くは心の中で拍手喝采、知事、副知事ら3役は知事公室で失望、落胆という各人各様の反応を示したように報道されております。
 もっとも、順志郎落選に対する仲村、宮里派の万歳や歓喜の叫びが、自民党中央で党規違反として物議を醸している旨の知事側近発言が地元紙に報道されておりましたが、かかる事実が存するのでしょうか、まず、知事にただしておきたいと思います。
 知事、あなたがどんなに弁解しようが、今回の長男順志郎氏の出馬はあなた自身の政治戦略であり、県内政界における強大な西銘ファミリーの形成をもくろんだものに違いないのであります。だからこそ革新だけでなく、自民党内部からも県政私物化との批判が噴出したのではないでしょうか。
 知事、あなたは昭和61年11月に3選を果たした直後に、向こう4年間を西銘県政総仕上げの時期と位置づけ、その後は中央政界への転出を示唆する発言を行っておりました。ところがその後のあなたの政治戦略は中央政界への復帰を断念し、4選出馬で名実ともに県政界のドンとしての地位を築き上げ、長男順志郎氏を中央政界へ送り出すとの戦略に変わったのではないでしょうか。
 西銘県政12年を検証するに、知事は就任以来、3役、部長級人事で地域バランスを巧みに使い分け、幾度となく人事刷新を繰り返しながら県政の求心力を保持してきたと言われております。西銘県政12年で県の公社、事業団など外部組織にも県からの天下り組など完全な側近人事を配してきました。こうして形成された西銘ファミリーは、知事選挙、国政選挙、県議選挙において知事の意を介する形で保守陣営の集票マシーンとして動いてきたのであります。長男順志郎氏の出馬と当選は西銘ファミリー形成へ向けた最後の布石であったはずであります。
 そこで知事に尋ねます。
 第1点、知事は今回の衆議院沖縄選挙区の結果をどのように評価しておりますか。
 第2点、順志郎氏の敗因をどのように考えているか。また順志郎氏の落選は、県政私物化と西銘ファミリー政治に対する批判であり、西銘県政12年に対する県民の拒絶反応であると指摘されているが、知事の御所見を明らかにしていただきたい。
 第3点、衆議院選の結果を受けて副知事ら3役を更迭するのでは、との報道や憶測が飛び交っております。副知事ら3役が課された集票ノルマを果たせなかった自責の念、あるいは薩長連合の訴えに共鳴し自主的に辞任するならまだしも、選挙の論功行賞として敢行されるのであれば、まさに県政の私物化であります。知事の真意をお聞かせ願いたいと思います。
 第4点、知事は今度の選挙で順志郎氏のみを肩入れし、知事の権限を利用して公舎に建設業者らを呼び込み、小規模の懇談会にも出席し、みずからも企業や業者の代表に電話をかけて順志郎氏への集票をはかったと言われておりますが、事実と理解していいか。そうではなかったと言えますか、お答え願いたいと思います。

 今度の総選挙で自民党3候補の運動員が、買収、供応などの選挙違反で多数逮捕されております。
 そこで県警本部長に尋ねます。
 1、現在までの逮捕者の数、被疑事実の要旨、捜索差し押さえの箇所、2、買収、供応は選挙と政治を汚す極めて悪質な犯罪であるが、買収資金の出所を追及ししかるべき責任者の刑事責任を問う県警の決意はなさっているか、捜査の現状を踏まえてお答え願いたいと思います。
 さてさて、自民党は今度の選挙で自動車、電機、通信、金融、建設業界から200億円以上300億円とも伝えられる巨額の選挙資金を調達し、企業ぐるみ選挙を展開いたしました。沖縄でも同様な選挙戦が繰り広げられたと聞いております。今度の選挙に絡み、順志郎氏の北部連合支部組織部長であった東村議会議長が現金買収の容疑で、同じく北部支部青年部長であった会社社長が物品供応などの疑いで逮捕されたことは、良識ある県民の怒りを買っております。しかも摘発された「ニシメ順志郎を囲む新春パーティー」には、立候補予定の順志郎夫婦が出席して投票を依頼し自転車、カラーテレビ、腕時計、航空券などが抽選で配られたというのですから、まさに驚きであります。
 金で政治を買い、政治で金をもうかる金権腐敗の最たるものであり、まるでお金が主権者であるかのようなマネークラシーの政治手法であって、断じて許されるものではありません。
 そこで知事に重ねて尋ねます。
 知事は、順志郎派の悪質な選挙違反をどのように受けとめておりますか。
 また、かかる選挙違反を出した責任とけじめをつける意味で捲土重来を期すのではなく、順志郎氏に次期の出馬断念を諭す気持ちはありませんか。
 そして、県政の私物化、西銘ファミリー政治への批判、順志郎派の大量選挙違反の政治的、道義的責任をとって潔く知事選4選出馬を断念すべきだと考えるが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 平成2年度予算と第3次振計の展望について。
 知事が本議会に提案した1990年(平成2年度)県予算案は総額4431億7000万円で、対前年度比の伸び率は2.7%増と復帰後では2番目に低い水準の伸びにとどまっております。
 例によって、90年度予算の最終内示を発表した石川総務部長は予算のごろ合わせを、幸せと喜びの実をいっばい詰めてみんなで目指そう3次振計、と披露したようであります。
 過日、自称ごろ合わせの名人翁長副知事の、よい予算でみんな一緒にラッキーセブン、というのが新聞で伝わってまいりました。石川総務部長といい、翁長副知事といい我田引水の最たるごろ合わせとしか言いようがありません。
 ある地元紙のごろ合わせは、予算編成の通信簿4が2つに3と1では何ともお寒い台所、と本年度予算を厳しく斜めから見るものでありました。
 私も昨年から、翁長副知事に負けじと予算のごろ合わせをつくっておりますが、今年もつくってみましたので皆様に御披露いたします。「4選の願いよもやの断念か 3次振計の展望むなしゼロ発進」。
 さて、本年度予算は、西銘知事の知事としての最後の予算提案になる可能性が強く、他方で21世紀を視野に入れた第3次沖縄振興開発計画の策定に向けた重要な予算となるべきであります。
 さきにも述べましたように、本年度予算の伸び率は対前年比2.7%増で復帰後2番目に低い水準であり、節約型予算になっているようであります。歳入で借金とも言える県債が、県庁舎など大型事業の完了で前年度比9.6%減となったことも手伝って、借金傾向に一応の歯どめがかかったようであります。
 しかしながら、自主財源に乏しく国の財源措置に大きく左右される県予算の性格に変化はなく、歳出では人件費や公債費など義務的経費が全体の48.7%と5割近くを占める構成比となっており、依然として財政の硬直化が進んでいると指摘せざるを得ません。
 そこで知事に尋ねますが、1、90年度予算編成に当たっての基本方針と予算の査定に当たっての基本態度をお示し願います。
 2、伸び率が低水準に終わった原因と義務的経費の構成比、財政の硬直化をどのように考えておられるかお聞かせ願いたいのであります。
 次に、歳入面で自主財源の県税が、前年度伸び率5.7%を割り込む3.7%増の見積もりにとどまっており、地方交付税も国の地財計画の10.3%に届かず7.7%増にとどまっております。
 そこでお尋ねいたしますが、1、国全体では好景気に支えられ法人税の増収が見込まれているが、県内では逆に法人税の伸びは鈍化しております。その原因究明と対策はどうなっているでしょうか。
 2、地方交付税の伸び率も悪いのでは、と思いますが、どうでしょうか。
 3、昭和60年度から始まった地方への補助率カットのあおりを受けて沖縄もその対象となり、高率補助をにしきの御旗としてきた沖振法の骨抜き状態が続いておりますが、県予算への影響をどのように考えているかお答え願いたいと思います。
 私は、本年度予算は、第3次振興開発計画の策定へ向けた橋渡しの予算でなければならないと考えておりますが、かかる観点から次の事項について伺いたいと思います。
 1、県は、リゾート開発計画として沖縄トロピカルリゾート構想を策定しておりますが、県内では既に民間主導によるリゾート開発が進行しております。かかる民間主導のリゾート開発と調和する指針と指導のためにどのような予算措置がとられているでしょうか。
 2、赤土汚染による環境破壊が深刻な社会問題に発展しておりますが、赤土流出対策についての予算措置はいかようになされているでしょうか。
 3、自立経済の確立へ向けて地場産業の振興が強く望まれておりますが、そのための予算上の配慮はどのようになされているでしょうか。
 4、沖縄の基幹作物であるサトウキビが94年産から品質取引がスタートするようですが、そのための対策へ向けた予算措置はなされているでしょうか。また、機械化農業の推進へ向けていかなる対策がとられているのでしょうか。
 5、慢性化する交通渋滞の解消を初め交通施設を整備するためにいかなる予算措置がなされているでしょうか。
 6、水資源開発へ向けた予算措置はどうなっているでしょうか。
 また、3次振計策定へ向けた沖縄県振興開発審議会の第2回産業・建設部会専門委員会は去る2月22、23日の会議で、ダム建設は国土保全の上で問題であり、今後の建設を凍結すべきとの提言をなしたようだが、どのように考えるかお答え願いたいと思います。
 基地問題について。
 基地問題が県政の重要課題であることは、今さら申し上げるまでもないと思います。西銘県政12年は、基本政策として基地、安保を容認し、中央直結による行政を同時に進めております。知事は就任当初、基地問題は国家間の問題であるとして冷ややかな態度を示しておりましたが、在沖米軍基地の戦略的機能が強化され、演習は激化し基地被害が増大するなど戦場さながらの様相を呈する現実を無視することができず2度にわたる訪米直訴に及んだのでありますが、何らの具体的効果もありません。基地問題は、依然として西銘県政のアキレス腱ではないでしょうか。
 さて、基地問題と県政とのかかわりは多岐に及ぶのでありますが、今回は、知事の所信表明との関連で基地の返還、跡利用問題を具体的に取り上げたいと思います。
 知事は所信表明の中で、基地問題を県政の重要課題として位置づけるとの決意を表明しておりますが、その割には具体的な政策の提示がありません。知事として基地問題を県政の重要課題と認識するのであれば、ブッシュ大統領の一般教書演説や米国防報告書に注目し対策を講ずるべきであります。なぜなら米軍基地が県民の生活、わけても命に強くかかわっているからであります。
 そこで知事に尋ねます。
 知事は、ブッシュ大統領の一般教書演説と米国防報告書を受けて沖縄の基地問題にいかなる変化があり、いかなる行政対応をすべきと考えておられるかお聞かせ願いたい。
 次に、知事は、日米間で返還合意のあった基地及び地域開発上必要な基地の早期返還について機会あるごとに日米両政府に要請をしてきたと所信表明で述べております。

 知事に尋ねます。
 復帰後、日米両政府間で返還合意された基地の数、その面積はどうなっているでしょうか具体的にお示しください。私の知り得る限りでは、返還合意面積の実に54.3%がいまだに返還されておりません。
 知事、今県民が期待をするのは、返還合意された基地を一刻も早く返還させるために具体的にどのようなことをなさろうとしているのかが知りたいのであります。要請しました、解決に努めましたではなく、現実に返還合意された基地の54.3%が返還されていないのでありますから、各基地ごとにどのような行政スケジュールで返還を促進するか明らかにしてもらいたいと思います。
 3番目に、知事は所信表明で、過去2度にわたる訪米直訴を受けて日米両政府間で基地の整理縮小について検討がなされており、近くその成果があるものと期待されますとも述べております。
 そこで尋ねます。
 知事は、昨今の国際情勢の変化もあって米軍基地の整理縮小は促進されるだろうとの期待を表明しておりますが、知事の言う国際情勢の変化の認識について具体的な内容をお示しください。
 アメリカが沖縄の基地を返還する背景には、米ソの軍事緊張緩和、東西関係の質的変化、さらにアメリカの国防費の大幅削減といった動きがありましょう。せんだっての米ソ外相会談で、欧州全域に駐留する米ソ両軍を各19万5000人ないし21万5000人まで削減することが合意されました。
 一方、2月11日、ソ連政府は、1995年から96年までに欧州に駐留する外国軍を撤退し、2000年までに自国外の全軍事基地を撤去させるとの方針を発表しております。
 知事、世界は軍縮、平和へ向けて大きく動いております。米ソが冷戦から平和共存へ大きく歩み出したからには、ソ連を共通の敵に見立てた日米安保条約も近い将来意味がなくなってきます。復帰20年から30年へ向けての第3次振計は、知事の言う基地の整理縮小ではなく、基地の撤去、基地がなくなるという前提でなければならないと考えるが、御所見を賜ります。
 4番目に、知事は返還後の跡地利用計画の早期策定を促進すると述べておりますが、余りにも悠長過ぎませんか。基地を返せと主張して、いざその時が来たときにしばらく待ってほしい、継続使用をお願い、あるいは自衛隊に肩がわり要望というのでは筋が通りません。返還されて地主が困る羽目になってもいけません。返還軍用地の跡地利用計画策定にはさまざまな障害が予想されます。
 知事、私は、在沖米軍基地のすべてに、返還を前提とした早急かつ具体的な跡利用計画を樹立すべきだと考えておりますが、知事の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 5番目に、知事は常々、新たな基地建設は容認できないと言明しておられます。ところで、北部訓練場の伊湯岳山頂に米陸軍の通信基地が建設されたようだが、その施設の規模、戦略的機能を明らかにしてもらいたい。
 また、右通信基地建設のために数百本の樹木が伐採されたようだが、県は手をこまねいていたのはなぜか。抗議の声一つすら上げなかったのはなぜでしょうか。
 知事は去る2月20日、チェイニー米国防長官と会談しておられますが、その際に具体的に何を要望したのか。またチェイニー国防長官から、在沖米軍基地の整理縮小について何らかの感触は得られたのかお聞かせ願いたいと思います。
 環境問題とリゾート開発のあり方について。
 私たちは、生活の豊かさと便利性を獲得した反面で、フロンガスによるオゾン層の破壊、対流圏における大気の汚染あるいは酸性雨、炭酸ガスの濃度上昇による温暖化、さらに廃棄物の処理、水質の汚染問題、土壌の劣化、海洋の汚染、熱帯雨林の破壊、砂漠化の進行、公害食品のはんらんなど多くの問題に取り囲まれております。人間活動の影響による気候変動という究極の環境破壊の可能性が現実性を帯びるにつれて、人間と地球の環境も新たな段階に入ってきたと言えるのではないでしょうか。
 沖縄県は、財政依存型の県経済を打開するためには、リゾート開発をしなければならないとして振興地区として13地区を選定し、重点整備地区を10カ所選定したようであります。
 一方、県内では、民間主導型によるリゾート開発が既に展開されております。沖縄は、海洋というすぐれたリゾート資源を持っているとか、沖縄の文化特性がリゾートに適していると言う人もおります。
 ところで、現実にはリゾート開発による歴史的共同体の崩壊や自然環境の破壊が惹起しつつあります。
 そこで知事に尋ねます。
 第1点、第3次振計との関連でリゾート開発の位置づけを明確にしていただきたい。
 第2点、県内有数のリゾート地恩納村では、地域環境の保持・形成に関する条例、いわゆるリゾート条例の制定の動きがありますが、その背景には本土企業による土地買い占め、無秩序な乱開発、リゾート開発に伴う地方自治体の財政圧迫などの問題が潜んでいるようであります。県は、恩納村のリゾート条例制定をどのように受けとめ、対処するつもりでしょうか。
 第3点、リゾート施設建設を当て込んだ県外資本による土地買い占めが本島北部や八重山などで急増しているようでありますが、秩序ある土地利用計画を進める上でいかなる有効な対策を講ずる考えでしょうか、具体的にお示しください。
 第4点、大阪市立大学の宮本憲一教授は、リゾート開発を進める上で、1、豊かな自然、2、美しい町並み、3、独自の文化、4、心がなごむ地域の人格、5、長期保養が可能な安心利用料金などの条件が必要不可欠だと指摘し、この要素を生かさず、本土資本が自然を住民から搾取する形の開発では安い外国のリゾート地に勝てないと論述しております。
 宮本教授は、前述した5つの条件を守るために景観保全条例の制定を呼びかけておりますが、至極もっともなた提言だと考えます。県は、景観保全条例を制定するお考えはありませんか、以上4点についてお答え願いたいと思います。
 離島における救急医療について。
 何とも言えない衝撃的な事故が発生しました。去る2月17日未明、急患搬送のため宮古島に向かったまま、陸上自衛隊のLR1機が宮古島近海で行方不明になったままであります。人命救助という崇高な任務の最中に、思いもかけぬ遭難事故が起きたのは痛恨のきわみであり、搭乗員の無事を祈りつつ、関係者による捜索の進展を期待するものであります。
 多くの離島を抱える本県にとって、急患搬送は離島の救急医療にとってなくてはならないものであります。この点において、昨年12月に発足した添乗医制度が離島僻地の医療に貢献していることを高く評価するものであります。
 私は、ヘリ等添乗医制度確保事業の役割と必要性は、今後においてもいささかも変わることはないと思っております。だが、遭難事故が現実に発生した以上、急患搬送の安全性を初め制度の再点検が望まれることは言うまでもありません。
 そこでお尋ねいたします。
 航空機による急患搬送への医師添乗制度の仕組み、体制、これまでの搬送実績を明らかにしてください。
 なお、今度の遭難事故で使用機種の安全性の問題を指摘する専門家の発言があります。今度の遭難機は、昭和52年6月と昭和56年8月に北海道と栃木県で訓練飛行中に墜落事故を起こし、それぞれ乗員5人が死亡しているようでありますが、県は、急患搬送に使用する機種の安全性についてどのような配慮を尽くしたか、今後尽くそうとしているか明らかにしてもらいたい。
 今度の救難機は、宮古島における交通事故被害者を宮古病院から転送するのが役目でありました。宮古病院には脳疾患に対応できる医療体制がないので、宮古病院からの航空機による急患搬送を見ると脳外科の患者が多いようでありますが、実態はどうなっているか具体的な数字でお答え願いたい。
 私は、宮古や八重山には、どのような急患にも対処できるよう医療機器や医師の確保がぜひとも必要であると思います。交通事故等による外傷性疾患は今後とも増加することが予想されますが、今度の事故を教訓化する意味で宮古病院への早急な脳外科の設置など緊急かつ現実的な対応策をお示し願いたい。
 知事は、所信表明の中で救急医療、離島僻地医療の充実を図る云々と述べておりますが、具体的な施策の内容を明らかにしてもらいたいのであります。

 慰霊の日の休日存続について。
 地方自治法の一部改正に伴う慰霊の日休日の存続問題は、関係条例が知事より提案され、継続審議の状況にあります。この問題については、多くの県民が関心を寄せており、沖縄県遺族連合会を初め多くの自治体、団体から休日存続の陳情が議会へ提出されております。
 さらに、知事の関連条例提出後、県内のほとんどの市町村議会において慰霊の日休日存続の決議がなされていることは公知の事実であります。
 私も、かつて本会議や総務企画委員会において、地方自治の本旨や自治体固有の条例制定権、改正地方自治法の解釈論に照らしても慰霊の日の休日存続は可能であるとの立場で議論を展開してまいりました。私が、あえてこの段階で知事の所信をただし、慰霊の日休日存続を強く求めるのは次の理由によるものです。
 去る衆議院選挙に立候補した全員に対し、6・23休日存続を訴える会は公開質問状を発しております。この公開質問状に対し、革新の3名と自民党の宮里松正氏が、慰霊の日の休日は存続すべきであり、存続へ向けた法改正への努力を尽くす旨回答しております。仲村、西銘の両氏からは回答が寄せられておりませんが、仲村氏は琉球新報社主催の立候補予定者座談会において、みずからの悲惨な戦争体験を吐露する中で慰霊の日の休日は何としても存続すべきであると述べております。ひとり西銘氏のみが座談会の席においても、慰霊の日は存続させるべきだが、県庁、地方自治体の職員には出勤してもらって一緒に慰霊の日に平和を願う方がいいのではないかと述べ、慰霊の日休日存続の立場をとってないのであります。
 衆議院選挙の結果は、慰霊の日休日存続を公約した5氏が当選しましたが、ここに表明された県民の休日存続の願望を知事はどのように受けとめたでしょうか、御所見お願いいたします。
 また、琉球新報社が衆議院選挙の世論調査とあわせて実施した慰霊の日の県職員の休日の廃止問題の調査結果によると、従来どおり休日とすべきと答えたのが57.03%、県民の休日として条例を制定すべきが21.6%%で、両者を合わせた休日存続を求める声は78.6%となっております。
 一方、休日廃止条例について賛成と答えたのは8.3%で、法律が変わったのでやむを得ないと答えたのは7.8%にすぎません。このように圧倒的に多くの県民は慰霊の日の休日存続を望み、県民の休日として条例を制定することを求めているのであります。
 知事は、この世論調査の結果をどのように受けとめ、かかる民意を生かすべくいかなる対処をなされるのかお答え願いたいと思います。
 なお、本定例会に沖縄県市長会の総意による慰霊の日休日の存続を求める陳情がなされていることを喚起しておきたいと思います。
 マスコミの報道によりますと、与党は2月定例会本会議で決着を見んとしているようでありますが、私は、当選した宮里松正、仲村正治氏を推薦した各県議は、御両人の公約にたがえるような行動には及ばないものと信じております。万が一にも宮里、仲村両氏を推薦した各県議が御両人の公約にたがえるようなことになれば、公約違反として県民の指弾を受けることになるでありましょう。
 以上の立論を踏まえ、慰霊の日休日存続問題について、現在の知事の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 長崎市長狙撃事件について。
 90年代のキーワードは、平和と人権であると信じております。その90年代の冒頭に極めて悲しむべき事件が発生しました。本島等長崎市長に対する右翼の銃撃事件であります。1990年1月18日、この日は言論の自由に対する銃弾による一撃があった日として永遠の歴史に刻み込まれることでありましょう。
 本島市長は、1989年12月7日の市議会答弁で、外国の文献や日本の歴史を見ても、私の軍隊生活を振り返っても昭和天皇の戦争責任はあると思うと発言し、さらに議会後の記者会見で、天皇が終戦をもっと早く決断していれば沖縄戦も広島、長崎の原爆投下もなかったと断言されたのであります。
 私は、本島市長の発言こそは歴史の真実に合致し、同氏がみずからの良心に照らして天皇の戦争責任について思うところを正直に述べた勇気ある発言だと思っております。
 私ども社会党・護憲共同県議団が、本島市長の発言を支持し、その思いを共有し、自立する連帯を求めて励ましの手紙を差し上げました。
 左背部を至近距離から狙撃された本島市長は、弾が奇跡的に心臓をそれたために死を免れました。過日退院されましたが、一刻も早い回復と公務への復帰を切望してやみません。
 ところで、本島市長は言論の自由の必要を主張したから狙撃されたのではなく、天皇の戦争責任を論じたから撃たれたのであります。この視点を見誤ってはならないと思います。一人一殺という手段、天皇親政という名分に集約される流血の脅威は、昭和の暗黒と戦争の時代への道を開いたことを思い起こすべきであります。
 民主主義の根幹をなす言論の自由は、どんな人間もどんな状況の中でも、その思うところ、信ずるところを自由に発言できる。その発言がたとえこちらの信条と違っても許容する、意見を異にする他者の存在と共存が保証されることではないでしょうか。本島市長を狙撃した右翼の思想は天皇主義であり、国体の思想であります。
 同時に、その思想を暗に肯定している強力な支配層があり、そのための政策が現に実行されていることを私どもは忘れてはなりません。
 「私はあなたの意見には反対だが、あなたが発言する権利は死んでも守る」、これは哲学者ボルテールの言葉でありますが、言論の自由を守る不断の努力とテロに屈しない強い意思が今私どもに求められているのではないでしょうか。
 本島市長狙撃事件について、知事の御所見と言論の自由に対する見解を伺います。
 現在、沖縄電力株式会社によって具志川市宇堅地先に石炭火力発電所の建設が推進されております。既に昨年10月に環境影響調査書の縦覧が行われたことは御案内のとおりでありますが、地球規模の環境破壊が深刻な問題として提起されている中、多くの市民が石炭火力発電所の建設に伴う自然破壊、環境悪化を憂えております。
 知事は、本議会冒頭における所信表明の中で、「電力の安定的かつ適正な供給を図るため、新たな石炭火力発電所及び海水揚水発電所の建設や離島における太陽光発電などの新エネルギーの開発研究を促進してまいります。」と決意を述べられております。私は、沖縄の地理的、気象的特牲を生かしたローカルエネルギー、自然エネルギーの開発は必要であると考えております。現在、沖縄県において進められている新エネルギー開発研究の現状と実績、そして将来の計画をお示しください。
 また、電力の安定かつ適正な供給を図るために、なぜ石炭火力発電所の建設が必要なのかお答え願いたいと思います。
 次に、県民生活や産業活動との関連で現在の電力需要と供給能力について明らかにし、将来の需要予測についてそれを裏づける資料を含めて御答弁いただきたいと思います。
 石炭火力発電による環境汚染は、多種の有害物質が微量ではあるが長期にわたって同時に作用する複合汚染だと言われております。したがって石炭火力発電による環境汚染は急性的に発生するのではなく、20年、30年後晩発的に忍び足でやってくる点に本質的な特徴があると学者は指摘しております。環境庁も、石炭利用拡大に伴う環境問題を重視し、1981年3月、エネルギー環境問題懇話会提言を公表しております。いみじくも大気保全局が、心配なのは窒素酸化物とばいじん。石炭の窒素分は石油の10倍もあるし、ばいじんに含まれる重金属や発がん物質の解明もまだまだであると述べているように、石炭火力発電所は窒素酸化物、硫黄酸化物、重金属や発がん物質を含むばいじんの排出が石油火電に比べその発生濃度、発生量とも多く、また大量の温排水、石炭灰、炭酸ガスを排出するので公害のデパートと呼ばれているのであります。
 人間はだれしもみんな健康でもっと豊かに幸せに暮らしたいという気持ちを持っています。そのためには、生命のもとである地球の自然環境が健全で安全であることが大前提であります。
 私は、石炭火力発電所建設に伴う環境破壊を心配する市民の声を代弁して、以下次の点を質問いたします。

 第1点、沖縄電力が建設予定している石炭火力発電所の施設概要、敷地面積と埋立面積、石炭灰捨て場用地面積は幾らですか。多量に排出される石炭灰捨て場として将来、海面の埋め立てを計画されているのでしょうか。
 第2点、沖縄電力が公表した環境影響調査書に対して県は独自の検討、審査をなしたか。なしたなら、その結果を明らかにせよ。
 第3点、具志川石炭火力発電所の立地場所は、石川火電と隣接し重複汚染が心配されますが、立地場所の変更をなすべきではないか。どうして具志川市宇堅に立地するのか、その場所的必然性を科学的に明示してもらいたい。
 第4点、石川火電周辺市町村における住民の健康調査は実施されているか。
 第5点、石川火電周辺における重金属の汚染調査はなされているか。
 第6点、具志川火電における公害防止装置の様式及び機種を具体的に明らかにしてもらいたい。
 第7点、石炭灰で埋め立てられる前ヌ浜は豊かな漁場だが、漁業に対する影響をどのように考えているか。
 第8点、公害発生を懸念する市民から環境影響調査書に関し、沖縄電力及び具志川市に公開質問状が提出されているが、回答を拒否されております。県は、環境行政の立場から誠意ある回答をするよう働きかけるべきではないでしょうか。
 最後に、石炭火電建設に伴う宇堅貝塚の発掘調査について尋ねます。
 宇堅貝塚は、本土の弥生時代に相当する沖縄貝塚時代後期の遺跡で、これまでに多くの弥生土器や鉄おの、青銅製の鏡など貴重な遺物が出土し、沖縄の弥生文化研究では不可欠の遺跡として専門家から注目されております。その宇堅貝塚で後漢時代のものと推定される青銅製の矢じりが出土いたしました。漢式三翼鏃や三角鏃と呼ばれるこの種の青銅製矢じりは、宇堅貝塚のほかは、兵庫県芦屋市の会下山遺跡から出土しているだけのようです。
 県は、宇堅貝塚から出土した矢じりの学術的、考古学的意義についてどのように考えているか。
 また、宇堅貝塚は、沖縄貝塚時代と弥生時代とのかかわりを知る上で貴重な遺跡であり、文化財保護法に基づく史跡としての保存が急務と思慮されますが、御見解を明らかにしてもらいたい。
 以上、答弁をいただいて、必要に応じ再質問いたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 照屋寛徳議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 衆議院選挙の結果について御質問がございましたが、お答えいたします。
 今度の総選挙の結果をどのように受けとめ、県政運営に反映されんとしているかという御質問に対しましてお答えいたします。
 自民党の政策が必ずしも否定されたとは思いません。選挙の結果については厳粛にこれを受けとめております。今後とも、県民の理解と協力を得て県政運営に全力を投球してまいりたいと思います。
 順志郎落選に対する仲村、宮里両派の万歳や歓喜の叫びが自民党中央で党規違反として物議を醸している旨の知事側近発言が地元紙で報道されているが、こういう事実があったのかということでございますが、このようなことは聞いておりません。
 知事は、今回の衆議院沖縄選挙区の結果をどのように評価しているか。お答えいたします。
 自民党の政策が必ずしも否定されたとは思いませんが、選挙の結果については、これを厳粛に受けとめております。
 順志郎の敗因をどのように考えているかという御質問に対しましてお答えいたします。
 私は、常に県民の信頼にこたえるべく県政の運営に努めてきたところであります。県政の私物化批判についてはまことに遺憾であります。順志郎の敗因でございますが、本人の力がなかったことによるものであります。
 3役の更迭はけしからぬじゃないかというおしかりがございましたが、お答えいたします。
 当面、3役の更迭は考えておりません。現行体制で県政運営に全力を投球してまいりたいと思います。
 知事は、今度の選挙に順志郎の肩入ればかりやっているじゃないかという御指摘を受けましたが、今回の選挙は、45年の国政参加以来、自由民主党は公認3人、3人当選を目標にして戦ってまいりました。そういう意味で保守3議席の確保を目標に進めてきたのでございまして、順志郎のためのみの集票をはかった覚えは全然ございません。
 次は、順志郎の悪質な選挙違反をどう受けとめているかと。その責任をとって順志郎の出馬を断念させ、知事4選に出るべきではないという御提言がございましたが、お答えいたします。
 選挙違反については、選挙戦がエスカレートした結果だと思いますが、現実に逮捕者が出たことはまことに遺憾であり、残念であります。
 順志郎の今後の身の振り方については、これは本人が決めるべきことであり、私から断言することはできません。
 また、私の4選については、後援会に一任したいと考えております。
 次に、平成2年度予算と第3次振計の展望についてお答えいたします。
 まず、90年度予算編成の基本方針についてでありますが、平成2年度は、残すところ2年となった第2次沖縄振興開発計画の目標達成に総力を挙げて取り組むとともに、第3次沖縄振興開発計画の策定に向けて英知を結集しなければならない重要な年であることにかんがみまして、予算編成に当たっては国の予算編成、地方財政対策等の動向を勘案しながら引き続き歳入の見直し及び歳出の節減合理化に努め、平成2年度の重点施策を中心にして施策事業の厳しい選択を行うとともに、県経済の活性化に資する財政需要に配意し、財源の重点的かつ効率的な配分を図り、節度ある財政運営に努めることを基本といたしました。
 事業内容といたしましては、1つ、沖縄振興開発事業費を中心とした継続事業の着実な推進、2つ、主要新規事業への配慮、3つ、第3次沖縄振興開発計画への対応、4つ、復帰20周年記念事業の推進、5つ、公共施設の維持管理の充実等に配意いたしまして予算を編成したところであります。
 次に、伸び率が低水準に終わった原因と義務的経費の構成比、財政の硬直化をどのように考えているかという御質問に対しましてお答えいたします。
 平成2年度一般会計予算の伸び率は2.7%となっております。地財計画の7%の伸びに至っておりません。
 これは、歳出面では、平成元年度で大型プロジェクトでございました県庁舎行政棟、沖縄コンベンションセンター劇場棟、県立芸大音楽棟等100億円余の事業が完成を見たこと。また歳入面では、県税、地方交付税が期待したほどの伸びにならなかったこと等に起因するものでありますが、内容的には先ほども申し上げたとおり沖縄振興開発事業費を中心としてハード面、ソフト面についてきめ細かく配慮した予算編成を行ってきたところであります。
 なお、本県の財政構造の弾力性についてでありますが、その指数としての経常収支比率について申し上げますと63年度決算で85.2%と前年度より2.1ポイント低くなっているものの、依然として他県より高い状況にあることから、今後とも定数適正化計画の推進等行財政改革に努力することによりまして義務的経費の逓減等財政の弾力化の確保を図っていく所存であります。
 次に、自主財源である県税の伸びについて御質問がございましたが、お答えいたします。
 平成2年度の法人事業税の収入見込み額は、前年度比2%増の183億7240万8000円となっておりますが、地財計画で示された13.9%に比べまして11.9ポイントの減少となっております。
 本県と他県とは産業構造が異なっており、その要因を的確に分析することは極めて困難であると思われますが、一般的に言えば本県は好不況の影響を余り受けない特徴があると考えております。
 平成2年度において、本県と全国の税収に大きな差があるのは、他県においては鉄鋼金属工業や自動車等の機械工業の高い伸びがあることや、内需拡大による製造業等の増収が大きい反面、本県においては大企業が少ないこと、また製造業が少ないこと等によりまして景気の影響が直接税収に結びつかないのがその要因であると考えております。
 その対策としては、振興開発計画に基づく諸施策事業の円滑な執行を図るとともに、産業基盤の強化及び民間活力の一層の発揮を促進いたしまして、産業の振興を図ることによって税源の涵養を図っていくことが必要であると考えております。

 地方交付税の伸び率も悪いと思うが、どうかという御指摘に対しましてお答えいたします。
 平成2年度予算の交付税の見積もりに当たっては、その大宗をなす普通交付税について算定の基礎となる基準財政需要額及び基準財政収入額の伸びは、おおむね地財計画どおりとしたところであります。今回の交付税の見積もりがおおむね地財計画に準じたものであるにもかかわらず、地財計画の伸び10.3%と比較いたしまして低くなっていることは、基準財政需要額のうち財源対策債償還基金費の額が各地方公共団体の財源対策債の発行額によって左右されるものになっており、本県の発行額は少なかったことによるものであります。
 補助率カットの県予算への影響についてお答えいたします。
 国庫補助負担率の引き下げ措置については、事業量確保の要請もあり、平成元年度及び平成2年度においても引き続き暫定措置を講ずることとしております。その財源措置については、臨時財政特例債によって措置いたしまして、元利償還費の全額を地方交付税で補てんすることになっております。
 なお、沖縄関係の国庫補助負担率の引き下げに当たっては、その対象を限定するとともに、引き下げ率を全国の半分とするなどの緩和措置が講じられているところであります。しかしながら沖縄振興開発特別措置法に基づく国庫補助負担率につきましては、本県の振興開発を促進し、本土との格差の是正及び自立的発展の基礎条件を整備するためにはなお引き続いて高率補助を必要とするのであります。そのことから、今後ともその補助率の復元について関係機関に強く要請していく所存であります。
 次に、第3次振興開発計画策定に向けた橋渡しの予算について、沖縄トロピカルリゾート構想に係る民間主導のリゾート開発と調和する指針と指導のための予算措置はとられているかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 本県は、我が国唯一の亜熱帯、海洋性自然と特異の歴史文化を有しているため民間企業による多くのリゾート開発が計画されておりまして、その秩序ある開発展開が緊要な課題となっております。
 県においては、総合保養地域整備法に基づく沖縄トロピカルリゾート構想の重点整備地区を設定する中で、それぞれの地域特性とあわせまして既存及び計画プロジェクトを中心にリゾート開発を図っていくことといたしております。このため、平成2年度の予算で重点整備地区開発整備計画調査を実施いたしまして、統一的な指針を作成いたしまして指導、誘導を図る予定となっております。
 次に、赤土汚染による環境破壊が深刻な社会問題に発展しているが、その対策についての予算措置はどうなっているかとの御質問がございましたが、お答えいたします。
 新年度における赤土等流出防止対策のための事業としては、これまでに実施されました赤土流出防止対策や技術に関する各種の調査研究の成果、また農林土木の分野で確立されてきた対策方針等々数多くの知見、情報を集大成いたしました「赤土等流出防止対策必携」の作成及び赤土流出の実態や影響、防止対策事例等を盛り込んだ赤土流出防止思想、防止技術の啓発普及のためのビデオの製作を予定いたしております。
 また、農業的土地利用に起因する赤土等の流出防止対策につきましては、土地改良事業実施後の沈砂池等の点検管理の強化や日常的な農業生産活動の際の土壌の流出防止対策を地域ぐるみで取り組む必要があります。地域における組織体制を整備いたしまして、当該組織による諸活動を促進いたしまして、効果的な流出防止対策の推進を図っていかなければならないと考えております。
 次に、第3次振計の策定に向けた予算との関連で地場産業の振興を図るための予算はどうなっているかという御指摘がございましたが、お答えいたします。
 地場産業の振興を図るため、新商品の開発、デザインの高度化、試験研究機関の機能拡充を推進しているところであります。
 また、産業まつり、物産展の開催等によりまして県産品の販路の拡大を進めるほか、産業振興基金を活用いたしまして戦略的な産業の振興を支援いたしているところであります。さらに第3次振興開発計画に向けて特に地域産業の高度化を図るための頭脳立地構想、また地域商業の活性化を図るための基金、中小企業の情報化を促進するための基金に係る予算措置に配意したところであります。
 次に、サトウキビの品質取引に関する御質問に対しましてお答えいたします。
 平成6年産サトウキビの品質取引に向けた条件整備対策については、品質評価方法の検討、低品質地域のための対策、品種構成の適正化などもろもろの条件整備が必要であります。そのため、県としては、品質取引に向けた具体的な検討をするため、今年1月にサトウキビ品質取引連絡協議会を設置いたしまして、これとともにこれらの条件整備対策費として約2億200万円の県単予算を計上しているところであります。
 また、機械化農業の推進については、地域に適した収穫用機械の開発普及に取り組んでいるところであります。
 次に、慢性化する交通渋滞の解消を初め交通施設を整備するためにどのような予算措置がとられているかという御指摘に対しましてお答えいたします。
 道路は、県民生活を支える上で最も基盤となる施設であります。そのことから現在、第2次沖縄振興開発計画及び第10次道路整備5カ年計画に基づきまして精力的に整備を進めているところであります。
 平成2年度における新規事業といたしましては、国道331号糸満パイパス、那覇具志頭線バイパス及び沖縄嘉手納線の拡幅整備に着手するとともに、中南部都市圏における望ましい道路網体系を確立するため、総合都市交通マスタープラン策定調査等を実施する考えであります。
 次に、水資源開発に向けた予算措置についてお答えいたします。
 本県においては、水資源開発を県政の重点施策の一つとして位置づけております。これまで多目的ダムを初め地下水等の開発を進めてきたところであり、今後とも将来の水需要の動向を的確に見通し、地域の特性に合った計画的、総合的な水資源の開発を推進してまいりたいと思います。そのため平成2年度における予算措置としては、新規に北西部河川総合開発事業を初めとする多目的ダム等にかかる予算が国において措置されたところであります。
 水資源開発を円滑に進めるためには、地域住民の理解と協力を得ることが最も肝要であります。そのことから県においては、水資源地域の振興を図るための予算を計上しているほか、水資源の有効利用にかんがみまして地下水及び湧水等の開発調査、さらに節水型社会の形成を図るための予算等の措置を講じているところであります。
 ダム建設の凍結提言についての御質問に対しましてお答えいたします。
 御指摘の委員会での発言の趣旨は、ダム建設の凍結ではなく、林業の立場から計画上の20余りのダムがすべて建設されると、森林の大部分が集水区域になり林業の場がなくなってしまうという懸念を表明し、本県のような島嶼生態系の中ではダム開発には限界があり、節水型の社会を目指すことが重要ではないかという内容でございました。
 なお、現在行われている部会専門委員会は、沖縄振興開発の現状と課題について、フリートーキングの形で意見交換を行っているところであります。審議会としての具体的な提言等については、今後、総点検報告を審議する過程でまとめることになっております。
 ところで、本県の水資源開発は、沖縄振興開発計画に基づき国直轄多目的ダムの建設を初め河川及び地下水の開発等により進められてきております。その結果、現在の開発水量は日量約47万トンの都市用水が確保されております。
 一方、需要量は、第2次沖縄振興開発計画の目標年次である平成3年度において日量約73万トンと予測されております。このようなことから今後、計画的な水資源の開発を強力に推進する必要があり、現在、漢那ダム、羽地ダム、瑞慶山ダムの建設を促進する一方、北西部河川総合開発事業についても実施計画調査を進めるとともに、沖縄本島北部西系列の13河川からの豊水時における余剰水の取水施設として西系列水道水源開発事業の完成を目指しております。

 それでもなお、長期的には水需要の状況は厳しいことが予想されますることから、今後とも多目的ダム等の水資源開発を積極的に推進するとともに、雨水等の雑用水利用によりまして節水型社会を形成し、水資源の有効利用を図ることにより水需要の安定確保に向けて努力する必要があると考えております。
 次は、基地問題についてであります。ブッシュ大統領の一般教書演説と米国防報告書を受けて沖縄基地にいかなる変化があり、またいかなる行政対応をすべきであるかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 米ソを中心とした東西関係の緊張緩和を受けまして、ブッシュ大統領は議会に提出いたしました一般教書の中で、ヨーロッパにおける通常兵器及び兵力削減の方針を打ち出しております。
 また、チェイニー国防長官は国防報告の中で、米国あるいは同盟国に対するソ連の軍事的脅威は、第2次大戦後では現在が最も低いと述べております。さらにチェイニー米国防長官は、在日米軍、在韓米軍、在比米軍の削減を示唆しており、近い将来、本県の米軍基地の態様にも何らかの変化があるものと予想されます。そのことから県政におきましても、的確な時代認識を持ち、長期的展望に立脚いたしまして基地行政を推進してまいりたいと思います。
 返還合意された基地の数、その面積はどうなっているか。
 日米安全保障協議委員会における返還合意施設の返還状況は、平成元年4月1日現在63件、5665ヘクタールで、そのうち44件、2584ヘクタールが全面返還され、残り19件、3081ヘクタールが未返還とまだ返還されておりません。その返還面積の割合は45.6%であります。
 安保協で合意された現在返還になっていない施設は、今後どのようなスケジュールで返還されるのかという御指摘がございましたが、お答えいたします。
 日米安全保障協議委員会で返還合意されました施設でまだ返還されていない施設は、現在、日米合同委員会において鋭意検討されているとのことであります。また去る2月20日来県いたしましたチェイニー米国防長官は、県の要望にこたえて努力する旨の発言をいたしていることからして、近々に具体的な成果があるものと期待いたしております。基地問題は一朝一夕で解決できるものではございません。今後とも粘り強く回を重ねて折衝してまいりたいと思っております。
 知事は、昨今の国際情勢の変化もあって基地の整理縮小は促進されると表明しているが、知事の言う国際情勢の変化という認識は具体的にどのようなものかという御指摘がございましたが、お答えいたします。
 昨年暮れの米ソ首脳会談を契機に冷戦時代に終止符を打ち、米ソ関係は対立から協調の方向へ転換しつつあると認識いたしております。したがって極東においても近い将来、米ソの軍縮が進展するものと期待されております。
 第3次振計は、知事の言う基地の整理縮小ということではなくて、基地の撤去、これを前提にしなければならないがという御提言がございましたが、お答えいたします。
 沖縄の米軍基地は、東西の軍事バランスにより存在しているものであります。極東においては、現在のところ大きな軍縮の動きは見られませんので、本県の振興開発を図る上から第3次の振興開発計画においても基地の整理縮小を促進してまいりたいと思います。
 在沖米軍基地のすべてに跡利用計画を樹立すべきであると考える。知事の御所見を伺いたいと。お答えいたします。
 県は、市町村に対しまして日米両政府で返還合意のあった施設区域及び地域振興開発の上でどうしても返してもらわなければならない施設区域に関しまして、その跡利用計画について指導してきたところでありますが、今後は返還可能性のある施設区域については積極的に指導していく考えであります。
 北部訓練場の伊湯岳山頂における米陸軍の通信基地が建設されたことについての御質問に対しましてお答えいたします。
 御指摘の通信施設は、敷地面積が約1000平方メートルで、施設は鉄塔、通信局舎等であります。同施設の戦略的機能については承知いたしておりません。なお、同通信施設用地は、既設のヘリパッドを利用しているとのことで大規模な造成工事はなかったようであります。
 チェイニー国防長官との会談で知事は何を要請したのか。また長官から、整理縮小について何らかの感触を得られたかという御質問に対しましてお答えいたします。
 チェイニー米国防長官に対しては、本県の広大な米軍基地が産業振興、都市開発、交通体系の整備を進める上で支障を来しているため基地の整理縮小について要請してきたところであります。なお、同長官は、県の要望にこたえまして努力する旨の発言をしており、何らかの成果があるものと期待いたしております。
 次に、第3次振計との関連でリゾート開発の位置づけについての御質問がございましたので、お答えいたします。
 リゾート開発については、第4次全国総合開発計画において、本県の地域特性を生かした国際的規模の観光保養地域の形成を図ることがうたわれていることは御案内のとおりであります。この具体化に向けた適正な施策展開が課題となっております。
 御案内のとおり、リゾート地域の開発整備は、宿泊施設やレクリエーション施設等のいわゆるリゾート関連施設の整備に伴う直接的な投資のほかに、雇用の拡大や滞在者の消費需要の拡大による地場産業の底上げにつながり、地域活性化が大きく期待されるところであります。このため、第3次振興開発計画の策定に当たっては、リゾート開発を本県経済社会の自立的発展に向けた戦略的産業として位置づけておりまして、官民一体となって関連施設、事業を計画的に展開していく考えであります。
 恩納村でのリゾート条例の制定についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 リゾート開発は地域の生活、文化、産業の構造発展にかかわるプロジェクトであり、その具体化に当たっては国、県、市町村及び民間がそれぞれの役割分担のもとに適正な関連施策事業を展開することが重要であります。恩納村における条例制定の動きは、同村の特性を生かし秩序ある調和のとれたリゾート地域形成のために必要な措置であると考えております。
 なお、県としては、現在策定中のリゾート沖縄マスタープラン及び重点整備地区整備構想において適正に対応していくつもりであります。
 次に、リゾート開発のあり方について、秩序ある土地利用計画を進めるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 県土の利用に当たっては、土地が生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることから、沖縄県国土利用計画及び土地利用基本計画でうたわれている土地利用の基本方向に即して個別規制法の運用の中で開発の適否について対処しているところであります。今後、県土の有効利用に当たっては、なお一層公共の福祉の優先及び自然環境の保全等に十分配慮した土地利用が図られるよう、個別規制法の運用を通して対処してまいりたいと思います。
 しかしながら、土地問題については、これは我が県だけの問題ではございません。全国的な課題であり、国においては昨年12月に土地基本法を制定し土地対策を講じていることは御案内のとおりであります。
 景観条例制定についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 本県の美しい自然、独自の文化、人々の心の温かさ、町並み等の歴史風土に根差した文化的な雰囲気は、本県をリゾート沖縄として世界のリゾート市場の中でアピールできる大きなリゾート資源であると思います。とりわけ本県のすぐれたこれらのリゾート資源と来訪者、地域の住民とが一体となってつくり出すリゾート空間は、リゾート客と地域住民との触れ合いの場となるものであります。リゾート沖縄の印象を形成する上で極めて重要なことであります。したがってこのリゾート環境の整備に当たっては、条例制定の必要性を含めて検討してまいりたいと思います。
 次に、急患輸送の問題について添乗医師制度の仕組み、体制と輸送実績についてただされましたが、お答えいたします。
 去る2月17日未明、宮古島へ飛び立ちました自衛隊機が遭難いたしまして13日が経過いたしておりますが、その間、自衛隊を初め海上保安本部、県警、地元の消防団等の懸命な捜索にもかかわらず依然手がかりはまだつかめておりません。私も2月26日に搭乗者の御家族をお見舞いしたところでありますが、知花医師を初め搭乗員の御家族の心情を思うとき、心痛のきわみであります。

 離島からの急患輸送は、復帰直後から陸上自衛隊が実施しており、これまで3000回余に及び、その間無事故であっただけに、今回の遭難事故はまことに残念でなりません。
 御質問の航空機による添乗制度については、従来離島で急患が発生した場合、離島診療所の医師が添乗していたため、その間離島診療所は医師不在の医療空白が生じ、離島住民にとって深刻な問題が生じておりました。
 そのため、県は、離島地域における救急医療の充実を図るためには、離島からの航空機による急患の搬送に際しては患者が重症であること、搬送時間が長時間であることなどから、本島からの医師等の添乗について関係機関及び関係病院長と調整いたしました結果合意が得られたので、中南部の9つの病院と県立宮古及び八重山病院の11病院で輪番を組み、離島市町村長からの要請があれば、その要請に基づきまして自衛隊等の航空機の出動に際し医師等が添乗し、患者の容体を観察しながら収容病院まで搬送することとしたものであります。
 また、これまでの搬送実績については、昭和63年度から輸送216件で、医師の添乗件数109件となっております。制度開始後2月27日現在の搬送件数は40件で、添乗件数31件となっております。
 急患搬送に使用する機種の安全性についてどのような配慮をしたか。また今後、どうするのかと御指摘がございましたが、お答えいたします。
 本県における急患搬送については、陸上自衛隊第101飛行隊がその任に当たっております。同隊は、航空機が10機配備されているほか、約30名のパイロットを初め整備及び管制要員等150名で編成されております。特に急患搬送にはベテランを配し、復帰直後からこれまで昼夜の別なく無事故で3000回余に及ぶ実績を積み上げているところであります。同隊の安全飛行体制については十分配慮されていたものと考えております。
 多くの離島を抱える本県では、今後とも自衛隊に急患搬送を要請する必要がありますので、今回の事故を教訓にいたしまして二度とこのような事故が発生しないよう、安全確保により一層の配慮方を要望してまいりたいと思います。
 宮古病院の脳外科設置など緊急かつ現実的な対応策についての提言がございましたが、お答えいたします。
 平成元年において宮古病院から沖縄本島に空輸した救急患者の数は42人となっております。そのうち脳外科の患者が35人で、これは全体の83%で大きな割合を示しております。
 宮古病院は、地域の中核病院として位置づけられておりますが、急患の対応にしてもできるだけ地域内において解決できるよう医療体制の充実強化に努めているところであります。宮古病院の脳神経外科は、医師の確保が困難なため開設はしておりませんが、現在、那覇病院から月2回の医師派遣によって応援体制で対応している状況であります。
 しかしながら、脳神経外科は急患搬送の頻度が特に高い診療科であることから、ぜひとも常勤体制にする必要があると考えており、今後さらに医師の確保に力を入れ、できるだけ早期に開設するよう努力してまいりたいと思います。
 次に、救急医療、離島僻地医療充実を図ると述べているが、具体的な施策の内容を明らかにしてもらいたいという御質問に対しましては、環境保健部長から答弁させることにいたします。
 それから、慰霊の日の休日問題についてお答えいたします。
 慰霊の日の問題については、これまでもお答えしてきたとおり慰霊の日は今後とも引き続き存続させまして、県としても慰霊祭等の諸行事を従来どおりとり行う考えであります。県職員の慰霊の日における慰霊祭等の諸行事への参加についても支障のないように休暇制度の活用を図るべく検討しているところであります。沖縄県慰霊の日を定める条例の示すとおり、その理念はいささかも変更されるものではございません。
 また、慰霊の日を休日にしてほしいという意見があることは重々承知いたしておりますが、地方自治法の改正に伴い地方公共団体の機関の休日は、同法に規定する日以外の日を休日とすることはできませんので御理解をいただきたいと思います。
 知事は、世論調査の結果をどのように受けとめ、いかなる措置をするかという御質問に対しましてお答えいたします。
 さきに新聞社が行った世論調査の結果では、前回に比べ休日の存続を希望する者は若干減っておりますが、なお78%の数値を示していることは承知いたしております。
 行政の立場としては、地方自治法で定める日以外の日は地方公共団体は国との業務が密接に関連していることからいたしまして、開庁して住民への行政サービスの提供を行い、利用者である住民の利便及び権利義務の行使の確保を図る必要があると考えております。
 以上申し上げたとおり、提案中の沖縄県の休日を定める条例及び沖縄県職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例については、撤回することは考えておりませんので御理解と御協力を賜りたいと思います。
 次に、長崎市長狙撃事件についての知事の所見と言論の自由に対する見解をただされましたが、お答えいたします。
 このようなテロ行為は卑劣で、民主主義への挑戦であり容認できるものではございません。言論の自由は、憲法で保障された国民の基本的人権の一つであると理解いたしております。
 次に、具志川市における石炭火力発電所についての御質問がございましたが、これにつきましては商工労働部長、環境保健部長から答弁させることにいたします。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
   〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 選挙違反捜査についてお答えいたします。
 今回の衆議院議員総選挙において公職選挙法違反で検挙したのは、現在のところ買収罪による5件、6人であります。
 その候補者別の内訳と被疑事実の要旨ですが、西銘順志郎候補側の事件については現金買収事件が1件で、選挙運動者村議会議長が自宅で選挙人数人にそれぞれ現金2万円を供与したというもので、ほかに物品供与による買収事件及び供応接待による買収事件がそれぞれ1件あります。
 仲村正治候補側の事件については、現金買収事件が1件で、選挙運動者会社社長が那覇市内の自宅で選挙人数人に現金数万円を供与したというものです。
 宮里松正候補側の事件については、現金買収事件が1件で、選挙運動者2名が那覇市内のスナックで選挙人数人に対し1人当たり現金3000円を供与したというものです。
 なお、捜索箇所は、逮捕被疑者の自宅や関係箇所など17カ所であります。
 また、検挙した事件につきましては、現在、買収資金の出所の糾明、突き上げ捜査などその全容解明に向けて捜査を推進しているところであります。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 沖縄電力の具志川石炭火力発電所関連につきまして多数の御質問がございましたので、順次お答えをいたしたいと思います。
 まず、沖縄県における新エネルギーの研究開発の現状と実績及び将来計画はどうなっているかという御質問でございます。お答えをいたします。
 沖縄県における新エネルギー開発研究は、既に沖縄電力株式会社におきまして太陽光発電、燃料電池、風力発電め実証研究が行われているほか、太陽熱利用の冷凍冷蔵庫、畜産廃棄物利用による発電システム、下水処理場における消化ガス発電システム等が開発をされております。
 また、通産省が沖縄県の離島を対象にエネトピア・アイランド構想を打ち出し、太陽光発電、風力発電、火力発電、燃料電池等の新エネルギーの実証研究について現在委員会を設置し、導入地点、機種、事業規模等について検討が進められているところであります。
 なお、県といたしましても産業振興基金を活用いたしましてローカルエネルギー等の開発利用に対し助成をし、新エネルギーの開発利用に努めているところであります。
 次に、電力の安定的かつ適正な供給を図るためになぜ石炭火力発電所の建設が必要かと。お答えいたします。
 これまでの沖縄電力の電源構成は100%石油火力であり、今回石炭火力発電所を導入することによって石油価格の変動に左右されにくい経営体質づくりに貢献するものと考えます。

 また、石炭の埋蔵量、価格等を勘案いたしますと、石炭火力発電所は今後の沖縄電力の安定供給に大きく寄与するものと考えるものであります。
 さらに、新規電源開発につきましては、昭和54年のIEA(国際エネルギー機関)の閣僚理事会の合意により石油火力発電所新設の抑制策がとられており、それ以降石油火力による発電設備の建設は困難となっている現状にあります。
 次に、現在の電力需要と供給能力はどうなっているか。また将来の需要予測はどうかという御質問にお答えをいたします。
 沖縄本島の平成元年度の電力需要は最大電力が88万5000キロワット、これに対し供給力は104万5000キロワットとなっております。沖縄電力の長期需要予測によりますと、沖縄本島の電力需要は過去3年間は年率7.7%と伸びており、今後も10年間におきまして年率3.6%の増加が見込まれる結果、平成5年度の沖縄本島の最大電力は106万1000キロワットに対し供給力は114万7000キロワット程度であり、供給予備力に不足が見込まれている状況にあります。
 なお、沖縄電力の長期需要予測は、政府の経済社会計画をベースに地域別人口予測や地場産業の動向、大規模産業立地の動向、主要大口需要家の生産設備計画等を踏まえた日本電力調査委員会の長期予測手法で行った結果であります。
 次に、石炭火力発電所の施設の概要、敷地面積、埋面積、石炭灰捨て場等の面積はどうなっているかと。また将来計画はどうなっているかと。お答えをいたします。
 具志川火力発電所は、15万6000キロワット2基の石炭火力発電所で、年間約70万トンの石炭を使用し、1号基を平成5年5月、2号基を平成6年5月に運転開始する計画となっております。この計画によりますと、発電所敷地面積は約35ヘクタール、そのうち陸域面積で約13ヘクタール、海面埋立面積が約22ヘクタールで、海面埋立面積のうち約16ヘクタールが灰捨て場となっております。
 灰捨て場の容量は10年分を予測計画しておりますが、将来の石炭灰の処理につきましては、その有効利用の技術開発を促進し、廃棄する石炭灰の量を少なくするよう努めていきたいとのことであります。
 なお、新たな灰捨て場が必要な場合には関係機関と十分協議していきたいとの意向でございます。
 次に、具志川石炭火力発電所の立地場所は、石川火電と隣接し重複汚染が心配されるが、立地場所の変更をすべきではないか。また具志川市宇堅に立地する場所的な根拠を明示してもらいたいと。お答えをいたします。
 具志川石炭火力発電所のばい煙対策は、硫黄酸化物の対策として湿式排煙脱硫装置を設置し、窒素酸化物の対策として2段燃焼方式、低ノックスバーナーの採用による燃焼改善を実施し、さらに排煙脱硝装置を設置するとともに、ばいじん対策として電気集じん装置を設置するほか、湿式排煙脱硫装置の除じん効果が併用されることとなっております。これらの適切なばい煙対策を講ずることから、周辺地域への硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじんの寄与濃度は大気シミュレーションの結果、極めて小さいものとなっております。
 また、石川石炭火力発電所及び石川火力発電所における風向、風速がほぼ同様の挙動を示すこと。さらに具志川―石川間の距離が6キロメートルと離れていること、さらにそれぞれの施設でばい煙対策を講じており、重合による影響は少ないものと考えられることから、沖縄電力におきましては発電所の立地場所の変更の必要はないものとしております。
 なお、地点の選定に当たっては、本島の8カ所の候補地を対象に調査検討を行った結果、1、発電所用地の造成が容易であること、2、大型外航船による石炭の受け入れが可能であること、3、既設発電所に近く送電線のつなぎ込みが容易であること、4、工業用水の確保が可能であることなどの理由に加えまして地元自治体が誘致に積極的であったこと等から、具志川市宇堅を立地点として選定したとのことであります。
 次に、石川火電周辺市町村における住民の健康調査はなされているかと。お答えをいたします。
 昭和59年度から63年度までの5年間の石川火力発電所周辺市町村における測定局の大気質調査結果によりますと、二酸化硫黄の日平均値の年間2%除外値は、0.003から0.O11ppm、二酸化窒素の日平均値の年間98%値は0.003から0.023ppmとなっており、国が定めた環境基準濃度に比べて13分の1から2分の1と極めて低い数値となっており、石川火力発電所周辺市町村住民の健康への影響はないものと判断をしております。
 次に、具志川火力発電所で採用する公害防止装置の様式及び機種を具体的に明示するようにとの御質問にお答えをいたします。
 沖縄電力によりますと、具志川火力発電所で採用する公害防止装置は、大気関係で硫黄酸化物対策として湿式石炭石こう法による排煙脱硫装置、窒素酸化物対策として二段燃焼方式、低ロックスバーナー採用による燃焼改善を実施し、さらに乾式・アンモニア接触還元法による排煙脱硝装置を設置するとともに、ばいじん対策として電気式集じん装置を設置することとなっております。
 最後に、石炭灰で埋められる前ヌ浜は豊かな漁場だが、漁業に対する影響をどのように考えているかと。お答えをいたします。
 発電所の設置に当たりましては必要最小限の埋め立てをする計画となっておりますが、灰捨て場の埋め立てによる建て干し網漁業等の漁場の一部が消滅することになりますので、地元関係者の意見を聞きまして漁業への影響を最小限にとどめるよう指導してきたところであります。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 前村善徳君登壇〕
○環境保健部長(前村善徳君) 照屋寛徳議員の具志川市石川火力発電所の御質問につきましてお答えいたします。
 沖縄電力が公表した環境影響調査書に対して、県は独自の検討調査をなしたか。なしたなら、その結果を明らかにせよとの御質問にお答えいたします。
 沖縄電力が通産省資源エネルギー庁通達に基づいて作成、公表した環境影響調査書については、現在、資源エネルギー庁において審査が行われているところでございます。
 県としても、大規模なばい煙発生源の立地が計画されているということから、具志川発電所の稼働を想定した広域的な大気環境の予測調査をしたところでございます。この調査は、立地計画地点を中心として半径約30キロメートルの範囲に含まれる地域、いわゆる本島南部から北部の一部にかけての地域を予測対象範囲とし、計画されている発電所から排出される主要な汚染物質である硫黄酸化物、窒素酸化物について大気拡散シミュレーションを実施したものでございます。
 その結果は、当該発電所による大気環境中の二酸化硫黄、二酸化窒素濃度への寄与はほとんどないと予測されております。
 なお、環境影響調査書の内容については、資源エネルギー庁通達に基づく国の審査の過程で県の意見も参考として徴されることになるので、現在、その意見の形成を図るべく慎重に検討を進めているところでございます。
 次に、石川火力発電所周辺における重金属の汚染調査はなされているかについてお答えいたします。
 石川火電周辺における大気中の重金属については、石川市、具志川市、沖縄市の3カ所で鉛、カドミウムなどの6項目について調査を実施しているところでございます。この調査は昭和59年度、60年度、61年度の稼働前の測定結果をバックグラウンド値とし、昭和62年度の稼働後の測定結果と比較したものでございます。
 石川石炭火力発電所周辺では、石川市、金武町、与那城村、中城村等に大気汚染常時測定局を昭和49年から53年にかけて設置しており、大気中の二酸化硫黄、窒素酸化物、浮遊粉じんまたは浮遊粒子状物質等を常時測定しております。
 なお、同発電所の稼働前後のこれら大気汚染物質の測定結果を比較いたしますと、差は認められておりません。
 次に、沖縄電力及び具志川市に公開質問状が提出されているが、回答を拒否されている。県は、環境行政の立場から誠意ある回答をするよう働きかけるべきではないかとの質問にお答えいたします。
 沖縄電力株式会社は、具志川火力発電所建設計画及び環境影響調査書について平成元年11月21日に具志川商工会館において説明会を開催し地元並びに一般住民に説明するとともに、意見質問等にも誠意を持って答えたと聞いております。

 また、環境影響調査書は、具志川市を初め隣接4市町村及び沖縄電力株式会社具志川支店において1カ月間一般に公開縦覧されており、調査の内容について十分周知する機会を設けております。
 さらに、関係自治体、漁業組合、農業協同組合及び地域の代表者である区長会等に対しても十数回に及ぶ説明会を実施しており、火力発電所建設計画と環境影響調査書については周知の徹底が図られたものと思われます。
 なお、地元住民の意見及び公開質問状を含めた質問等については、事業者である沖縄電力株式会社の見解を付して、後日、環境影響調査周知結果報告書として公開縦覧されることになっておりますので、公開質問状に対する個別の回答は留保しているとのことでございます。県としましては、事業者である沖縄電力株式会社の自主的判断を尊重したいと考えております。
 次に、先ほど知事から答弁のありました離島における救急医療についてあと1問答弁が残されておりますので、お答えいたします。
 救急医療、離島僻地医療の充実を図ると述べているが、具体的な施策の内容を明らかにしてもらいたいという質問にお答えいたします。
 救急医療については、休日夜間診療所、病院群輪番制及び救命救急センターを整備してきたところでございますが、今後は救急告示医療機関及び専門診療科の拡充等救急医療の質的向上を図る考えでございます。
 また、離島僻地医療については、僻地診療所の整備、医師を初めとする保健医療従事者の恒常的確保、僻地中核病院を中心とした離島診療所の支援体制の強化及び巡回診療の内容の検討等総合的な対策が必要なことから、これら離島僻地における現状を把握し具体的対策を立てるため、平成2年度には離島僻地医療計画を策定する考えでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 照屋寛徳議員の御質問の具志川市宇堅地先への石炭火力発電所の建設現場と宇堅貝塚の保存に関連する御質問にお答えします。
 御案内のように、宇堅貝塚から発見された青銅製の鏡や矢じりは、学術的にも貴重な資料であると言われていることは承知をいたしております。今後の比較研究の結果を踏まえまして、その学術的価値が確認されれば有形文化財、考古資料の部指定の対象として検討してまいりたいと考えております。
 史跡としての指定につきましては、重要な遺構の存在が要件となっておりますので、発掘された範囲につきましてはまだ発見されておりませんので、現時点では困難であると考えております。
 しかし、今後の発掘調査予定範囲につきましては工場の建物の配置を工夫し、緑地や駐車場などの形で可能な限り現地保存が図られるよう、具志川市教育委員会とも連絡をとりながら協議調整を進めているところであります。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 知事、本定例会における県民の最大関心事は、知事の4選出馬問題であります。
 先ほどの私の質問に、みずからの4選出馬を後援会にお任せしますとの答弁がございました。
 従来、4選出馬へ意欲的かつ強気であった知事の言動からいたしますと、4選出馬は断念した。少なくとも積極的な出馬の意欲を失ったと理解してよろしいでしょうか。
 次に、順志郎氏の出馬について県政の私物化であるとの批判があったことは知事はお認めになりますか。
 また、かかる県民の批判が当落に影響を及ぼしたとは思いませんか。
 第3点、知事は、今選挙における選管作成の選挙公報をお読みになりましたか。
 第4点、今選挙における法定費用は幾らだと知事は理解をしておりますか。
 以上について再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 知事選4選に向けて出馬するかどうかと。
 これは出馬しない、するを含めて今後援会で深く静かに各面から検討をしているところであります。
 私物化ということでございますが、これは敵味方から集中攻撃を受けたと思います、順志郎の場合には。しかし私は私物化した覚えはございません。参議院選挙の場合でも、だれも出ないので、もう県連からのたっての要請で出したわけでございまして、これが私物化につながるとは思いません。また秘書に採用したことも別に違反ではございません。これは例のあることでございまして、そういうことで私物化批判がもう敵味方から集中攻撃を受けて大きな打撃になったことはこれは率直に認めております。しかし負けたということは、これは本人の力の足りないことによるものでございます。
 選挙公報は読んでおりません。
 選挙費用についてもつまびらかにいたしておりません。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇〕
○照屋寛徳君 知事は選挙公報を読んでおらないということですので、私の方から紹介いたしますと、西銘順志郎候補の選挙公報の中にこう書いてあるんですね。私は、政治家の西銘順治の長男として幼少より政治的環境の中で育ち、知事順治のもとで政治を見聞するとともに、知事秘書としても微力ながら尽くしてまいりましたと書いてあります。また略歴の中で、当選した古堅さんは国頭村生まれ、60歳と書いてある。宮里さんは昭和2年、本部町で生まれたと書いてあります。仲村さんは昭和6年、那覇市で出生と書いてある。上原さんは1932年、本部町生まれと書いてある。玉城さんは昭和9年、平良市生まれと書いてあります。西銘順志郎氏は、略歴、父西銘順治と母節子の長男として与那原で出生と書いてあります。
 こういう選挙公報の記載からしても、県民に順志郎候補が現知事である父親の西銘順治の地位、立場を大いに利用したとこういうふうに批判されてもやむを得ないではないかと思いますが、知事はどうお考えになりますか。
 それから、商工労働部長にお伺いいたしますが、石川火力発電所で採用されている公害防止機器並びに具志川石炭火力発電所で採用されようとする機種の会社、それから具体的な機械の名称、これをお示し願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 選挙公報についてお話がございましたけれども、これは書いていけないことではなくて当然事実のことを書いただけでございまして、これが何も私物化につながるとは考えておりません。これは野党の皆さん方が宣伝したことであって、私物化とは、私にとりまして全く言語道断の話であります。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 石川、それから具志川火電における公害防止機器につきましては、特にこれから建設される具志川の場合最新式の機器が整備されるというふうに承っておりますが、機種の名称、それから会社名等は承知しておりません。
○議長(平良一男君) 以上で本日の代表質問を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明2日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後4時36分散会

 
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