平成 1年(1989年) 第 9回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月11日
第 2号 12月11日
 

議 事 の 概 要
平成元年12月11日(月曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
    1 伊集  盛元君(自民党)
    2 福里  一郎君(自民党)
    3 親川  仁助君(共産党)
    4 岸本 忠三郎君(社会党・護憲共同)
    5 喜納  昌春君(社大党)
    6 与那嶺 盛男君(新政クラブ)
    7 宮城  清順君(公明党)
日程第2 甲第7号議案から甲第9号議案まで及び乙第15号議案(知事説明)
午後5時31分散会

○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 本日、知事から、お手元に配付いたしました議案4件及び補正予算説明書の提出がありました。
 次に、説明員として出席を求めた公安委員会委員長照屋盛通君は、別用務のため、本日、13日及び14日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び13日の会議に公安委員会委員赤嶺義信君、14日の会議に公安委員会委員瀬長浩君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) この際、念のため申し上げます。
 本日から14日までの4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(平良一男君) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 伊集盛元君。
   〔伊集盛元君登壇〕
○伊集盛元君 おはようございます。
 自由民主党県議団を代表して質問を行います。
 具体的な質問を行います前に、あと20日を残すのみとなった本年1989年を振り返り、内外の諸情勢につき感慨も新たに私なりの所感を申し述べてみたいと存じます。
 まず、国際社会における我が日本のプレゼンス、存在価値は極めて大きく、また世界経済の相互関連機能が高まり、さまざまな面で一体化が進展しておりますことは御案内のとおりでございます。したがいまして自由貿易体制を堅持しつつ、我が国の繁栄はもとより、世界の平和と経済発展のため一層積極的に貢献することが肝要であります。
 次に、国際政治の状況についてであります。
 ことし後半からきょうまで国際政治は目まぐるしく動き、毎日のように新聞、テレビ、ラジオをにぎわしておりますので、周知の事実として申し上げてみたい。
 ソ連軍のアフガン撤退、ベトナム軍のカンボジア撤退に始まり、今やデタントは世界至る所で定着しつつあります。
 そうした中で最も劇的な出来事は、県民の皆様もテレビのブラウン管を通してごらんになったでありましょう、あの悪名高きベルリンの壁の崩壊が象徴するようにソ連、東ヨーロッパ共産圏諸国が全くさま変わりしつつあることであります。
 すなわち、ポーランドでは、共産党の党員でない人物が首相に選出されました。自由主義社会において常識とされていることも、ポーランドでは天地がひっくり返るような大きな事件であったわけであります。
 なぜなら、一党独裁の共産主義、社会主義の国では、これまで、共産党員にあらずんば人にあらず、どんなに能力があり見識の高い人物でも党員でなければ国家組織に用いられず、いわば国づくりに参画できなかったのであります。したがって今度のポーランドにおける非党員首相の出現は、共産圏諸国に共通した従来の仕組みや政治慣習からは、これまで想像すらできなかったのであります。
 さらについ先日、ブッシュアメリカ大統領との会談を終えたばかりのゴルバチョフソビエト書記長が自己批判をいたしました。21年前、ソ連軍が東ドイツなどワルシャワ条約加盟4カ国軍の軍隊を率いてチェコに侵入、自由化の芽を摘み取ったあの「プラハの春」、あれは自分たちが悪うございましたと全世界に向かってわびを入れたのであります。
 一方、ハンガリーでは、共産主義に未来はないとし、党の名前はおろか国家の名称まで変更するありさまであります。
 また、西ヨーロッパでは最大のイタリア共産党でも、同党中央委員会が党名を含む党の再構築提案を可決いたしました。これまでの古いイデオロギーと共産党のイメージでは、国民の信頼を失い選挙が戦えないという理由からであります。
 翻って我が国共産党は、まだまだそこまで至ってない現状であります。
 そして、東ヨーロッパ共産圏の優等生と言われた東ドイツでは一体何が起こったか。もちろん、我が沖縄県民を初め世界の人が見守る中で起こったベルリンの壁の崩壊であります。歴史的、そして劇的シーンとは、まさしくあのことを言うのでありましょう。国境線を通過する東ドイツ国民が涙を流し歓喜する表情、姿に、私は何とも言えない感動を覚えました。
 しかし、その興奮もおさまってよくよく考えてみますと、ベルリンの壁は、長きにわたりドイツ民族を分断した悪魔のとりでであったし、さらには世界を自由、民主主義、資本主義体制の西側と、一党独裁の共産、社会主義体制の東側に文字どおり真っ二つに分断して東西冷戦構造をつくり出した象徴的壁でありました。それが今や歴史の遺物となろうとしております。
 御承知のとおり、ベルリンの壁は、1961年に東ドイツが一方的につくったものであります。当時、フルシチョフソビエト首相は、この壁こそ、東側共産圏を守る守護神の神殿と大きく胸を張ったものであります。いわば東側の生命線であったわけであります。しかし西側ベルリン市民や西ドイツ国民の方から見れば、まさに刑務所の非情にそびえる高い塀そのものではなかったかと存じます。
 野党の諸君、先ほどやじが飛んで耳が痛いかもしらぬ、私は今しばらくこの問題に言及せざるを得ないのであります。なぜなら共産主義、社会主義国家の最近の激動は、私個人の主義主張や想像で申し上げているのではなく、全世界注視のもと、白日のもとに展開されている厳然たる事実だからであります。野党の諸君が東欧の現実からあすの我が身を思い、チムフトゥフトゥー、チムドンドンしているのもわかるような気がいたします。何人も現実から目を背けることはできないからであります。
 また、これが大きな歴史の流れ、世界人類の幸せにつながるという場合にはなおさら事実関係をはっきりさせなければなりません。
 新聞報道によりますと、東ドイツ社会主義統一党、すなわち東ドイツ共産党の中央委員会は先ごろ、政治、経済、社会を刷新するための行動綱領を発表しております。
 その内容のポイントを申し上げます。
 自由、普通かつ民主的な秘密選挙を保障し、選挙の全過程で国民の監視による新しい選挙法をつくり、議会運営を実施する政治体制の改革であり、結社、集会の自由に関する法律などを立法した法治国家を目指すこと、さらに情報と報道の完全な自由や経済改革、文化、芸術における自由のための検閲制度の廃止、そして自由かつ独立の労働組合の容認であります。
 以上のどれをとってみても、我が国や西側諸国では、人間性に基づいたごく当たり前のことであります。要するに東ドイツを初め共産主義諸国では、今まで国民の自由、個性、能力などが抑圧されてきたことの証左にほかなりません。
 これまで共産主義、社会主義に深い理解を示していただいたあの朝日新聞が、社説でこう書いております。
 すなわち、東側世界ではハンガリー、ポーランドが共産党の独裁体制を放棄し、市場原理の導入をテコとする経済再建へと動いている。ソ連もこうした動きを容認すると同時に、みずからもまた似たような試みを模索している。中央による計画経済、生産手段の公有、一党支配を柱とするソ連型社会主義が現代社会の要請に適応できなくなっていることを、これほどあからさまに示すものはあるまい、朝日新聞でさえこのように言い切っているのであります。
 マルクス・レーニンの理論による共産主義が、彼らの言ういわゆる偉大なる実験の結果、壮大なる失敗を来しつつあることが世界中で証明されつつあります。逆に言えば、これは同時に西側の自由主義、資本主義体制の勝利を意味すること、もちろんであります。

 国民の真の幸せとは何かを考えた場合、最近のヨーロッパの動きは、これこそ歴史の必然というものであるということを最後に強く申し述べておきたいと思います。
 次に、国内に目を転じて時勢の流れをひとつ系統的にたどってみたいと思います。
 今年1989年がスタートして幾ばくもなく63年余にわたった昭和の時代は平成へと変わり、私たちは大きな時代の節目を迎えました。
 4月には消費税が施行されました。終戦後の不安定な時代に導入され、40年にわたり続いた課税制度を、豊かで安定した今日の経済社会にマッチさせるとともに、急テンポで進展している高齢化社会を支え、21世紀に向け活力ある我が国経済社会を構築するため大改革をいたしました。それは所得、消費、資産に対し広く、薄く国民にひとしく負担を求めるものでありました。予想に反して、というよりも新税は悪税なりという税の宿命からすれば、ある程度予測できたことではありましたが、御承知のとおり新税実施に伴う違和感、ぎくしゃくしたものが現在までも続いております。
 去る6月の参議院選挙では、残念ながら我が党は多数を取れず一敗地にまみれました。もちろん我が党としても国民の審判は厳粛に受けとめ、改めるべきは改める姿勢で消費税の見直し作業を進めているほか、政治の刷新に努めているところであります。そしてその効果は早速あらわれてまいりました。
 つまり、今月1日に我が党が取りまとめた消費税見直し案を受けた形で行われた全国世論調査の結果はどうであったでしょうか。海部内閣支持45%に上昇、自民4ポイント増の急上昇、そして社会党は引き続き下落傾向にあり、今回は21.5%とあって政府・自民党への逆風が吹きやみ順風に転じつつある反面、野党、特に社会党への失望感が広がりつつあることをうかがわせると発表しております。私がじゃないですよ。
 稲穂は、実るほどこうべを垂れると申します。この辺でやめておきます。
 さて、社会、公明、民社、連合の参議院野党4会派提出の消費税廃止関連9法案は、消費税にかわる財源として時代に逆行する物品税等の復活を策し、不安定な自然増収を充てようともくろむなど、その安直さは否定できません。
 まして、税制再改革基本法案に盛り込まれたいわゆる国民税制改革協議会は、国の附属機関として位置づけていながら、その権限は内閣を優越し、また国権の最高機関たる国会の立法権を侵すものであり、まさしく憲法違反そのものであります。
 さて、ここで沖縄県民にとって見逃してはならないことを、この機会に私は強く指摘しておかなければなりません。
 昭和47年の本土復帰に伴い、県民生活の安定確保、県内企業の育成を図るため今日まで特別措置が講じられておりますことは御案内のとおりであります。野党4派の提出した法案では、沖縄に関する経過措置のみがなぜ欠落したのか、陳謝して済む問題なのか、私は甚だ疑問に思っているところであります。結局、国民税制改革協議会に関する条文規定と沖縄の経過措置は、我が党の指摘により修正されることになりましたが、私はこう思います。つまり、4野党のお粗末なやり方を見ておりますと、いまだに古いイデオロギーを引きずった政党を初め、安全保障など国家運営の基本について考え方の異なる政党の寄り合い世帯に、果たして豊かで安定した住みよい日本の将来を任せられるだろうか。国際社会に貢献しなければならない「日本丸」の船長を任せられるのだろうか。答えは、断じてノーであります。
 戦後、廃墟の中から奇跡の経済復興と発展をなし遂げ、安全で平和な日本を築いてきたのは、国民の勤勉さに加え、自由と民主主義を基本に資本主義体制を堅持して国家を運営してきた我が党であり、さらに我が党を支援してくださった国民の強い意思に基づくものであります。
 実は、私事で大変恐縮でございますが、10日ほど前、私の娘が、テレビでフィリピンの軍事クーデターの場面を見ていてポツンと一言、日本って本当にいい国なんだね、お父さんと言うんです。かつて、マルコスにかわって華々しく登場、クーデターによって生命さえ脅かされているアキノ女性大統領の身を案じるとともに、同じ国の人間が鉄砲で撃ち合っている光景から、娘は子供心にも日本という国、そして今そこに住んでいる自分たちの幸せを思ったのでありましょう。子供にだってわかる理屈であります。
 私は、さきの参議院選挙の結果は、我が党に対する国民多数の愛のムチと考えております。その愛に報いるためにも、来るべき衆議院選挙においては、我が党から立候補が予定されている3候補の全員当選を絶対確実なものにしなければならないと決意を新たにしているところであります。
 知事、私は、国内外の状況について長々と所感を述べてまいりました。これに対する御所見をお伺いできれば幸せと存じます。
 それでは、より具体的質問を行いたいと思います。
 いよいよ来年平成2年は、第2次振興開発計画の仕上げの段階を迎え、21世紀に向けた県づくりの基本となる3次振計の策定を準備しなければいけない重要な年となります。また復帰20周年記念事業も検討し、その実施も進めなければなりません。さらに世界各国に飛躍したウチナーンチュの多年の労をねぎらい激励するとともに、ウチナーンチュの世界的ネットワークづくりのための世界ウチナーンチュ大会を成功させなければなりません。
 以上のことをなし遂げる人は、これまでの実績の上に立って、たぐいまれな政治、行政手腕、力量、識見、深い洞察力を有する西銘知事をおいてほかにはないと存じます。
 また、西銘知事御自身、他を頼む前に、みずから考え計画し、これを実践することを自己理念とし、熟慮断行を座右の銘とされております。
 そこでお伺いいたします。
 4選出馬についての知事の御決意のほどはいかがでありましょうか、お聞かせいただきたい。
 次に、振興開発事業についてお伺いいたします。
 本県の振興開発につきましては、昭和47年の本土復帰以来、第1次及び第2次振興開発計画が策定され、これら計画に基づいて毎年度所要の予算を確保し、生活環境施設や生産基盤等社会資本の整備を初め医療、福祉、住宅、文化、スポーツ等県民生活の向上が図られてきました。
 ちなみに申し上げるならば、水資源の開発、エネルギーの安定供給確保、道路、港湾、空港、漁港等の整備、沖縄国際センターの誘致、沖縄コンベンションセンターの建設、県立芸術大学の開学、県立総合運動公園の完成、沖縄自動車道の石川―那覇間の延長、基地内大学への就学、見事な海邦国体及びかりゆし大会の成功、自由貿易地域の実現、産業振興基金の創設、首里城正殿復元の着工等々、枚挙にいとまがないぐらい多大な成果を上げておりますことは県民周知のことであります。
 その間、公共事業を中心とする振興開発事業費が2兆8236億円、沖縄振興開発金融公庫資金が1兆8687億円で、合計約4兆6923億円の莫大な金額が投ぜられております。これもひとえに沖縄開発庁、沖縄振興開発金融公庫の特別なる御配慮はもとより、西銘知事を初め3役、部局長、県職員皆様の並み並みならぬ熱意と努力のたまものであり、改めて敬意を表する次第でございます。
 さて、平成元年度当初予算の振興開発事業費2270億円のうち公共事業費は2121億円でありますが、政府予算の全事業費に対する沖縄のシェアは2.9%余りと極めて高い割合となっております。沖縄は人口比で全国の1%、土地面積で0.7%弱であることから、本県への格別な配慮がいかに大きいかが推察されると思います。
 ところで、平成2年度は、第2次振興開発計画の9年目に当たり、計画目標の達成に向けてより一層総合的な施策事業を推進するとともに、次期計画へつなぐ新規プロジェクトの芽出しに努めていただく必要があるわけであります。
 このため、県は、去る8月、沖縄開発庁を初め関係省庁に対し、次の重点施策を掲げ要請されてまいりました。すなわち、1つ、個性豊かな地域づくりの推進、2つ、活力ある社会の基盤づくりと産業振興及び雇用対策の推進、3つ、緑豊かな県土の保全と快適た生活環境の整備、4つ、創造性、国際性に富む人材の育成と文化、スポーツの振興、5つ、健康で安らぎのある医療、福祉の充実、6つ、地域の特性を生かした活力ある離島、過疎地域の振興、7つ、国際交流の場の形成と交流の推進、8つ、基地問題及び戦後処理問題の解決促進の8項目であります。

 そこで、平成2年度の国庫要請に関して知事にお伺いをいたします。
 1つは、国庫要請にかかる主要な施策事業はどのようなものがあるか、いま一度お示しいただきたい。
 2つ目、所要額の確保について知事の決意のほどを御披瀝願いたいと存じます。
 次に、3次振興開発計画策定への取り組みについてお伺いいたします。
 当然ながら現在の第2次計画が進行中であり、同計画の推進に当たって一生懸命努めておられ、そしてその第3次計画の策定が決まっているものでもないことは理解しつつも、あえて第3次計画の名称を使わせていただきます。
 去る9月の定例会において、第3次計画に取り組む県の基本的姿勢に関する我が党の崎浜秀三議員の代表質問に対して、知事は、残された課題の解決と21世紀に向けた本県の自立的発展のための諸施策を強力に展開していくためには、第3次計画の策定が必要であると考えるとした上で、平成元年度に総点検に着手し、平成2年度以後、総点検の結果を踏まえて沖縄振興開発特別措置法の延長、第3次計画の県案策定に取り組むと御答弁されました。
 そのため、県は、第2次計画の成果と課題を明らかにするため総点検作業に着手され、沖縄振興開発審議会もスタートさせるなど、第3次計画に向けて具体的な取り組みがなされております。
 また、沖縄開発庁におかれても、同様な取り組みがなされていると聞いております。国、県とも相互に連携した取り組み体制が整ったことに対し、意を強くしているところであります。
 さらに、前の答弁の中で、策定に当たっての基本方向としては、地理的特性を生かした国際交流拠点の形成を初めとして7項目が重要な政策課題であるとの認識を示され、そのため広く県民の意見を徴して検討するとのお答えでありました。
 その答弁の中で強調されていることは、地域特性の活用だと思います。地域特性を積極的に活用することが、本県経済社会の自立的発展を図る上で極めて重要であり、かつ我が国の経済社会の発展に寄与するものであるとの認識あるいは意義づけについては、第2次計画や「沖縄振興開発の課題と展望」においても示されております。
 ところで、これは地元新聞の報道によりますが、国の沖縄振興開発審議会の第2回総合部会専門委員会における意見、提言が紹介されております。すなわち、今後の沖縄の振興開発の検討課題として、1つ、発展方向をグローバルな視点でとらえる。2つ、地域特性を十分に発揮できる方向で検討すべきであるとし、その背景にはこれまでの格差是正と自立的発展の基礎条件づくりから、さらに一歩踏み込み、地域特性をフルに発揮し、我が国だけでなく世界に貢献すべきとの考えがあるとつけ加えております。
 先ほど申し上げましたように2次計画や課題と展望で、地域特性の発揮は、我が国の発展にも寄与することであると意義づけられているので、そのことは内向きの貢献だと理解されます。したがって世界への貢献という視点は、地域特性の発揮に、外向きの新たな性格づけまたは役割を与えることになり、3次計画の新たな理念になっていくのではないかと思われます。
 そこでお伺いいたします。
 1つは、地域特性を発揮し、我が国だけでなく、世界に貢献すべきということは、計画後期から21世紀へ向けての副題がついた県策定の課題と展望の中で記述されているところの、特に本県は、我が国とアジア太平洋諸国とのかけ橋となり、人的、物的交流、保養基地及び技術移転等の拠点としての役割を果たすことが期待されていることと同じ趣旨、発想だと考えられますが、そのとおり理解してよろしいか。
 2つ目は、3次計画においては、右のようなグローバルな視点による新たな理念が検討されているかどうかお尋ねいたします。
 次に、3番目の産業振興について質問をいたします。
 本県の総人口は、年々増大し続け、今年10月現在の推計人口は122万人を超え、また労働人口は昭和63年に52万9000人を数えております。そして強力な振興開発の推進により社会資本を初め生産基盤や生活環境が相当整備されるとともに、観光産業等民間活力により経済成長も着実に推移している状況にあります。
 しかしながら、完全失業率は全国平均2.5%の2倍近くの4.9%もあり、恒常的移輸入超過や大幅な財政依存度という本県の経済構造は、依然として厳しいものがございます。したがいましてこれらの課題を解決し、本県経済社会の自立的発展を図るためには、引き続き産業の振興を強力に推進していかなければならないと存じます。
 そこで、3つの産業振興施策、またはビジョンについて知事にお尋ねをいたします。
 その1つは、産業振興基金についてであります。
 この産業振興基金は、沖縄電力株式会社の民営移行を記念し、その株式売却益の一部を活用し、沖縄開発庁から100億円の国庫補助金として一括交付され、今年3月に創設されていることは御案内のとおりであります。この基金は、立ちおくれている本県の産業振興を推進する観点から、これまで国、県が進めてこられた産業の基盤整備等の諸施策とともに、21世紀を展望した地域産業の活性化を図るため技術革薪、高度情報化、国際化へ適切かつ円滑な対応を促進していくためのソフト分野の施策を充実するものであり、末長く有効に活用されるよう内外から期待されているところであります。
 そこでお尋ねいたします。
 この基金の対象事業案である戦略的産業育成支援事業や人材の育成、活用事業等の運用方針についてお尋ねをしたいと思います。
 2つ目に、平成元年度の事業名、事業概要及び事業予算額について御説明を願います。
 3つ目は、人材育成事業の海外派遣研修と人材育成財団が行う留学生派遣とは関連性があるのかないのか。あれば、関連性についてお伺いしたいと思います。
 次に、さきに沖縄総合事務局通産部が策定した「90年代の沖縄地域産業ビジョン」についてお尋ねをいたします。
 このビジョンは、南の拠点を目指した沖縄経済はもとよりのこと、日本経済、世界経済へも貢献し得る沖縄の産業発展の方向を明示した90年代の沖縄の産業活性化のための新たな産業ビジョンということでございます。
 南の拠点づくりを目指す基本方向の1つの柱は、日本と南の世界を結ぶ国際交流拠点の形成を促進する必要があるとし、その具体的な展開方向は、特色ある自由貿易地域の沖縄各地への展開、アジア太平洋地域における物流拠点としての発展、周辺アジア地域と連携したビジネス拠点としての発展、沖縄に蓄積された技術の東南アジア地域への適正な移転促進、世界的なテーマについての国際間の共同研究等の文化、学術研究機能の一層の強化、国際化時代に対応した人材づくりや地域環境の整備などであり、まことに夢のある壮大な針路を示しております。
 基本方向の2つ目の柱は、東シナ海に浮かぶ文化・観光リゾート地域の形成であり、3つ目の柱としては、沖縄に生きる特色ある産業の振興となっているが、いずれも数多くの方向と課題が掲げられております。
 そして、南の拠点を目指し、産業の活性化を図るために効果の大きいと思われる代表的なプロジェクトが提言されております。すなわち、新自由貿易地域の形成、那覇空港の24時間国際空港化の推進、トロピカル・リゾート・ステージの推進、東南アジア諸国を中心とした国際的イベントを開催するイベント・イン・OKINAWAの推進等々9つのプロジェクトであります。
 これらのプロジェクトを推進、実現するためには、沖縄が置かれている不利性を克服し、多くの課題を解決しながら、これらのビッグプロジェクトの実現化を強力に推進する必要があると考えます。
 そこでお尋ねいたします。
 1つは、このすばらしいビジョンを、今後、第3次計画に反映すべきであると考えますが、御所見を賜りたい。
 2つは、このビジョンを具体的に展開していく場合、国の役割、県、市町村の役割、民間企業または県民の役割があるかと存じますが、それぞれの役割を明らかにしていただきたい。
 3つ目に、今後の推進体制についてもあわせてお示しを願いたいと思います。
 次に、頭脳立地構想についてであります。

 県においては、地域特性を生かした地域産業の高度化を図り、産業振興を進める戦略づくりを進めておられます。いわゆる頭脳立地構想でありますが、その構想について中身を割愛しまして質問に入ります。
 1つ、この構想を推進するため、今後、いつ、どのような手順、手続が必要ですか。
 2つ、この構想は、県の産業立地政策としてどのような位置づけがなされる予定ですか、意義、効果を含めて明らかにされたい。
 3つ、今後、具体的な展開のためどのような推進策があり、どのような推進体制が必要ですかお尋ねいたします。現在の段階で検討している状況を示していただきたいと存じます。
 次に、人材育成、確保についてお尋ねいたします。
 先ほどの産業振興施策、ビジョンのいずれにおいても人材の育成、確保は大きな課題として掲げており、私も産業の活性化、振興発展を図るためには企画力、創造性、個性豊かで使命感に燃えた、さらには研究開発を担う人材の育成、確保が不可欠ではないかと考えております。国際化、情報化、技術革新の進展に対応し、本県経済社会の自立的発展を図るためには最も重要な課題ではないかと考えるのであります。
 知事は常日ごろ、資源の少ないこの沖縄が振興発展するためには、1にも2にも人材であり、3、4がなくて5にも人材だと申されております。私が若いころ、もちろん知事も十分若かったわけでありますが、知事からよく聞かされましたことは、1年の計を立てるなら穀物を植えろ、10年の計を立てるなら木を植えろ、100年の計を立てるなら人をつくれと言われました。まさに人材の育成には100年の大計が必要でございます。
 本県経済の基本的課題であります全国に比較しての所得水準の低さ、失業率の高さ、高い財政依存度、移輸入超過は恒常的になっておりますが、これらを解決するためには産業振興を強力に進めなければなりません。
 そのためには、先ほどから申し上げておりますように地域特性の発揮、そして自立的発展の基礎条件の整備が必要であります。基礎条件である道路、空港、港湾、漁港、用地造成などのハード面ではかなりの整備がなされておりますが、期待されるような産業振興は残念ながら興っておりません。
 これは何に起因しているのか。思うに、技術、情報などの蓄積の低さであり、そしてこれら経営資源を活用し、担う人材の不足が指摘されるのではないかと考えます。
 さらにもう一歩考察していくと、教育、研修及び研究開発の充実、経営者の意識等の問題に突き当たってきます。
 教育の充実に関連して申し上げますならば、日本国憲法第26条が規定している、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」ことを根拠に、本員は、習熟度別クラス編成や全県一円区の特色ある高等学校の設置について昭和58年第2回定例会における質問を初め、折に触れ西銘知事に対し政治力の発揮を期待し、所見を求めてまいりました。
 当時は野党の諸君、沖教組や高教組を初め一部の父兄の猛反発に遭うなど厳しい状況下でありましたが、知事の英断により、昭和61年開学の開邦高校を初め那覇西高校、球陽高校が設置されました。これら特色ある高校からは、必ずや郷土の発展をリードする人材が輩出するものと期待しております。西銘知事の英断と先見力に対し、改めて敬意を表する次第でございます。
 さらにつけ加えて申すならば、知事は、人材育成財団及び国際交流財団を設置するとともに、基地内大学への就学を実現させ、国際化時代に即応する人材の育成を積極的に進められております。
 そこで、次の3点についてお尋ねをいたします。
 1つ、能力に応じた教育を受けるチャンスを広げ人材育成を拡充するためにも、残された地域の南部、北部、先島にも特色ある高校を設置すべきであると考えますが、知事は、どのように考えておられますか御所見を賜りたい。
 2つ、地域をリードし、県勢発展の核となる県職員の人材育成、確保について、その現状と方針を伺いたい。
 3つ目、県の人材育成とは異なりますが、国際的人材の活用は、国際交流拠点の形成につながりますので伺います。すなわち、沖縄国際センターにおける外国人研修員を活用した情報交流ネットワークづくりを推進する考えがありましたら、お示しを願いたい。
 次に、基地問題に移ります。
 我が自由民主党は、我が国の繁栄と平和を維持発展させるため日米安保条約を積極的に評価し容認する立場ではありますが、事県民の生命と財産、安全を守ることを最優先する見地から、基地より派生する種々の問題にはこれまでも厳しく対処してまいりました。
 知事も常々、日米安保を容認する中で基地の整理縮小や基地被害の未然防止を県政の重要課題に位置づけ、最大限の努力を傾注しておられることは高く評価するものであります。
 また目下、日米合同委員会で鋭意検討がなされているという米軍基地の返還につきましても、知事みずからが米国へ乗り込み、米国政府要路に対して本県の基地の現状を強く訴え返還を求めたことが実を結ぼうとしているものであり、知事の基地問題に対する御熱意と御努力に対して心から敬意を表するものであります。
 ここでお伺いいたしますが、基地の返還につきましては、昭和48年の第14回安保協で480ヘクタール、昭和49年の第15回安保協で2707ヘクタール、さらに昭和51年の第16回安保協において2478ヘクタール、計5665ヘクタールの返還合意を見ているのでありますが、そのうち、質問1つ、実際に返還された面積はどのぐらいか。
 2番、未返還のうち、近々返還される可能性のある施設はどこか。
 3番目、最近の新聞報道によりますと、現地米軍の高官は、移設条件つき返還でも条件抜きで返還が可能と言っており、過去に例はないのか。
 4つ目、沖縄の現状では、新たに移設先を求めての返還は困難な状況にあり、今度、移設を要せずに返還を求めるべきではないか、以上4点についてお答えを願います。
 思うに、基地問題や防衛問題は、グローバルな視点から高度の政治判断を要する国政レベルの問題であり、必ずしも県民の願いどおりには進展しない側面を有していることも事実であります。
 しかし、基地問題の解決には、現実的で良識ある対応が必要であることは、私が申すまでもありません。
 かつて、革新陣営が標榜した即時無条件全面返還といった皮膚感覚的な反基地、反米運動、イデオロギー闘争では、今日の基地問題は解決できないのも事実であります。ソ連、東欧のペレストロイカや民主化の動きの根底には、経済政策の破綻という問題があることを見逃してはなりません。
 今日の我が国の驚異的経済発展は、日米安保体制を基調とする我が国と米国との緊密な友好協力関係が基軸にあり、それが我が国に比類なき経済的繁栄と平和をもたらしたという現実は、何人たりとも否定できないからであります。
 今後、21世紀に向け、さらに強い経済大国日本、平和大国日本を築くためには、我が国と米国との緊密な友好協力関係の維持発展が依然として強く求められていることは識者の意見の一致するところであります。
 そのことと、我が県の豊かな県土づくり、県土の平和利用の促進といった点をどう調和させながら基地問題の解決を図っていくかが重要なかぎであります。
 知事が県政の重要課題に位置づけて促進を図っている基地の整理縮小は、行政側のビジョンとしてはまさに現実を踏まえた賢明な選択であり心から賛同するものであります。要は、これを実現するため党派を超え大同団結して取り組むという姿勢が大切であります。
 東欧の変化は、東西のデタントにさらに拍車をかけることは間違いありません。軍縮と緊張緩和が一段と促進される中で、沖縄基地の質的変化にも緩やかながら確実に変化をもたらすものと期待されます。B52のグアムからの撤去も報道されております。
 本県の基地問題への対応もこのような視点からの取り組み、アプローチが当然要求されるものであり、昨今とみに高まっている基地問題に対する内外の意識の変化の原点がそこにあると理解いたします。

 知事におかれましては、いろいろと御苦労も多いことと思いますが、基地問題の解決のためなお一層奮闘を続けられますようお願い申し上げ、私の質問を終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 伊集盛元議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 内外情勢についての知事の所見を求められましたが、お答えいたします。
 国内外の情勢については、伊集議員の御所見のとおりであり、東欧諸国における自由を求める国民の声に歴史の大きなうねりを感じているところであります。
 国内に目を転じてみますと、昭和から平成へと時代が変わり、我が国の平和と繁栄の上に立ち、21世紀を展望した国づくりに邁進しなければならないと感じております。
 4選出馬について決意のほどをただされましたが、お答えいたします。
 多くの県民の要請があれば、その時点で考えてまいりたいと思います。
 次に、平成2年度の公共事業と予算確保について御質問がございましたが、お答えいたします。
 平成2年度は、第2次沖縄振興開発計画の期限を間近に控え、計画目標の達成と課題の解決に向けて諸施策事業の推進に総力を挙げて取り組むとともに、第3次沖縄振興開発計画について検討を進めていかなければならない重要な年であると考えております。
 このため、平成2年度国庫支出金の要請に当たりましては、前年度に引き続きまして生活産業基盤としての社会資本の整備等を中心に各種の施策を積極的に推進する必要があることから、沖縄開発庁及び関係省庁に対しまして、1つ、沖縄振興開発事業費の額の確保、2つ、継続プロジェクトの着実な推進、3つ、新たなプロジェクトの芽出し、4つ、国直轄事業の推進等の施策を中心にいたしまして、本県の振興開発のための所要の措置が講ぜられるよう要請してきたところであります。
 その結果、平成2年度の沖縄振興開発事業費の概算要求額は2276億3600万円で、厳しい概算要求基準の中で前年度を上回る予算要求となっております。
 次に、概算要求の内容としては、第2次沖縄振興開発計画以降の沖縄の振興開発のあり方を探るために、本年度に引き続き、これまで実施してきた施策事業全般についての総合調査を実施するための沖縄振興開発総合調査費が要求されているとともに、首里城公園、那覇空港自動車道、漢那ダム、瑞慶山ダム、白水ダムの水資源の開発等継続プロジェクトが着実に推進されるよう要求されております。
 また、新規事業につきましても、本島南部道路網の整備としての一般国道331号糸満バイパス及び県道那覇具志頭線バイパスの建設着手、景勝地や史跡等を周遊する沖縄のみち自転車道、県立高等養護学校、沖縄コミュニティーアイランド事業等がすべて芽出しされております。
 以上のことから、平成2年度の概算要求については、本県の振興開発に必要な事業について県の要望に配慮したきめ細かな要求がなされていると高く評価いたしております。
 今後は、今月末に予定されております予算決定に向けて沖縄開発庁を初め関係省庁との連携を密にし、概算要求額が満額確保できるよう最大限の努力を払っていく所存であります。
 次に、今後の振興開発について、第3次振計の基本的な考え方、取り組み状況についてただされ、地域特性の発揮とグローバルな視点による新たな理念が検討されるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 我が国の経済力の増大に伴い、国際社会への影響力が一層強まる中で我が国の役割に対する期待が大きくなってきております。
 このような情勢の中で、本県が地域特性を積極的に生かしてアジア太平洋諸国との人的・物的交流の拠点として諸機能を集積し、学術、情報、観光リゾート等の拠点を形成することは、今後の本県振興開発の重要な方向性の一つであると考えております。
 このことが、本県の振興はもとより、我が国が国際社会において期待される役割を果たす上で大きな貢献をすることとなり、それがひいては本県が世界に貢献することに通じると考えております。第3次振計の理念については、今後、沖縄振興開発審議会において十分論議されるものと考えております。
 なお、西暦2000年を目標年次とする第4次全国総合開発計画において沖縄地方整備の基本方向といたしまして、1つ、我が国の最西端に位置する地理的特性を生かした東南アジアを初めとする諸外国との交流拠点の形成、2つ、豊かな亜熱帯海洋性自然と特有の伝統文化や歴史的蓄積を活用した国際的リゾート地域の形成、3つ、地域特性を十分に活用した産業、文化の振興といった方向性が位置づけられております。御指摘の「沖縄振興開発の課題と展望」の中でうたわれている振興方向も、本県の地域特性の発揮という点では同じ発想だと考えておりますが、国の振興開発審議会の専門委員会での議論は、今後の沖縄の役割と発展方向をよりグローバルな視点でとらえた意見であると考えております。
 次に、産業振興基金についてお答えいたします。
 対象事業の運用方針についてお答えいたします。
 産業振興基金対策事業といたしましては、1つ、戦略的産業育成支援事業、2つ、エネルギー基盤安定整備事業、3つ、地域産業技術活性化・高度化支援事業、4つ、技術・情報基盤整備事業、5つ、経営専門家・技術者招聴事業、6つ、人材バンク事業、7つ、人材育成事業となっております。
 これらの事業の執行に当たりましては、沖縄県産業振興基金事業補助金交付規程を制定し、補助対象事業、対象経費、補助率を定め適正な事業の執行に努めているところであります。
 さらに、産・学・官から成る産業振興基金事業審議会を設置いたしまして広く専門家の意見を反映させ、基金事業の効果的運用に努めているところであります。
 次に、基金の平成元年度の事業名、事業概要及び事業予算額についてただされましたが、お答えいたします。
 平成元年度の産業振興基金事業の事業名及び事業概要は、次のとおりであります。戦略的産業育成支援事業1億700万円、エネルギー基盤安定整備事業6900万円、地域産業技術活性化・高度化事業1億8400万円、経営専門家・技術者招聘事業2689万円、人材バンク事業1263万円、人材育成事業3948万円で、その合計額は4億3900万円であります。
 次に、人材育成事業の海外派遣研修と人材育成財団が行う留学生派遣との関連性についてお答えいたします。
 産業振興基金事業の人材育成事業は、マネージメント人材及び研究者に対する専門的知識を習得させるため国公設試験研究機関、先進企業等への研修派遣及び海外派遣研修事業となっております。したがってこの事業は、現在及び将来の産業界が必要とする人材の育成を目的といたしております。
 なお、人材育成財団の海外派遣研修事業との関連についても検討いたしまして、より多くの人材育成に努めてまいりたいと思います。
 次に、90年代の沖縄地域産業ビジョンについてただされ、このビジョンを今後、第3次振計に反映すべきではないかとの御提言がございましたが、お答えいたします。
 沖縄地域産業ビジョンは、通産省が策定した指針であり、90年代の沖縄を我が国の南の拠点として確固たるものにするため国際交流拠点の形成、文化、観光リゾート地域の形成及び特色ある産業の振興につながるプロジェクトを積極的に推進していく重要性を示しております。これらの構想は、今後の産業振興の発展方向を示すものであり、県としてもその実現に向けて積極的に対応していきたいと思います。
 次に、ビジョンを具体的に展開していく場合の国、県、市町村、民間企業のそれぞれの役割についてただされましたが、お答えいたします。
 南の拠点を確立するためには官民一体となった強力な取り組みが必要であります。
 すなわち、国の施策制度を活用しつつ県、市町村としても条件整備等に対応していく必要があります。また国際化、技術革新等に向けた経済活動においては民間活力の発揮が重要であり、民間の自助努力とプロジェクトヘの積極的な参加が必要であると考えております。

 ビジョンについての推進体制についてお答えいたします。
 沖縄地域産業ビジョンを実りあるものにするためには、提案されているプロジェクトの実現に向けて専門的な議論を展開するとともに、地域のコンセンサスづくりが必要であります。このため国、県、市町村及び民間が一体となって推進体制の確立に努める必要があると考えております。
 次に、構想推進のための手順、手続についてただされましたが、お答えいたします。
 頭脳立地構想は、「地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律」に基づきまして、都道府県が集積促進計画を策定し主務大臣の承認を受けることとなっております。県としては、国の承認を受けるため沖縄県頭脳立地推進協議会を設置し計画策定に取り組んでいるところであります。
 この頭脳立地構想を、産業立地政策の上でどう位置づけるか、御質問がございましたが、お答えいたします。
 本構想は、進展する経済のソフト化、サービス化に対処するため研究所、情報サービス産業、デザイン産業等、いわゆる産業の頭脳部分である特定事業を集積立地させ本県産業の高度化を図ろうとするものであります。本構想の推進は、高付加価値型産業の育成強化や企業誘致等産業の振興、雇用拡大の面での波及効果が期待されます。このため、県としても平成2年度の重点施策に位置づけるとともに、復帰20周年記念事業並びに第3次振興開発計画に位置づけ、事業の推進を図ってまいりたいと思います。
 次に、頭脳立地構想についてどのような助成策があり、またどのような推進体制が必要か、御質問がございましたが、お答えいたします。
 頭脳立地構想に基づく国の支援措置としては、産業支援基盤施設への出資及びNTT無利子融資の活用、立地企業に対する債務の保証、税制上の減免措置等がございます。また、本構想の具体的な推進のためには、国、県出資の第三セクターとしてトロピカルテクノセンターを設立し、産業振興基金の支援等を含めまして推進体制を強化してまいりたいと思います。
 次に、人材の育成、確保についてお答えいたします。
 特色ある学校を南部、北部、先島にも設置すべきではないかという御提言に対しましてお答えいたします。
 御指摘のとおり、島嶼性、少資源等厳しい条件を持つ本県にあって、21世紀を開き、経済社会を進展させる原動力は教育にあり、あらゆる分野において沖縄の持つ可能性を実現し得る人材の育成は重要であります。特に将来、国際社会で活躍する人材を育成することが重要であります。
 このような認識に立ち、これまで開邦高校、那覇西高校、球陽高校等特色ある高校を設置いたしましたが、今後も学校教育の充実に努めるとともに、人材育成を県政の最重点課題として位置づけ諸施策を積極的に推進していく所存であります。
 御提言の南部、北部、先島における高校設置につきましては、地域や父母の要請も考慮しつつ、高等学校の再編も含めて慎重に検討させてまいりたいと存じます。
 次に、県勢発展の核となる県職員の人材育成、確保についてただされましたが、お答えいたします。
 国際化、情報化、高齢化等我が国を取り巻く社会経済環境の変化に伴いまして、県行政の需要はますます増大し複雑多様化いたしておりまして、厳しい行財政事情においてこれまでにも増して効率的な行政運営が要求されております。
 そのため、県職員にとっては専門分野における高度な知識や技能はもちろんのこと、幅広い視野と豊かな国際感覚及び時代に即応した行政感覚が求められております。それに対応するため自治研修所における県職員の研修、さらに各省庁への職員の派遣研修及び自治大学校での研修、人材育成財団の海外派遣研修等により創造性、国際性に富む県職員の育成に努めているところであります。
 今後とも、県職員の資質を向上させるため研修等の充実強化を図ってまいりたいと思います。
 次に、国際センターの活用について御提言がございましたが、お答えいたします。
 御承知のとおり、沖縄国際センターは、国のASEAN諸国を中心とする諸外国の人材育成協力機関として、また本県における国際交流の中核施設として重要な役割を果たし、これまで77カ国、l155名の研修修了者を送り出し、現在も37カ国、115名が研修に励んでいるところであります。また、県におきましてもASEAN諸国等から県費留学生を受け入れ、これまで7カ国、42名の修了生を送り出し、現在も7カ国、9名の留学生が琉球大学で就学しているところであります。
 これらの研修員や留学生は、沖縄滞在中、技術研修等のみならず地域住民との交流や各種行事への参加等積極的に文化、親善交流に参加し、沖縄の温かい心に触れて沖縄を第二のふるさととしてそれぞれ帰国して自国の発展のために活躍いたしております。したがってこのような研修員や留学生は、これからの国際交流を展開する上で沖縄の貴重な人的財産であり、その人的財産を活用した情報交流ネットワークづくりを進めることは極めて重要であると考えております。今後、前向きに検討してまいりたいと思います。
 最後になりましたが、基地問題についてお答えいたします。
 実際に返還された面積及びその返還率についてお答えいたします。
 日米安保協議委員会において返還合意を見た施設区域の面積は5665ヘクタールでありますが、昭和63年4月現在での返還実績は2583ヘクタールで、全体の45.6%であります。
 なお、これまで返還された主な施設区域は、牧港住宅地区167ヘクタール、那覇空軍海軍補助施設228ヘクタール、屋嘉訓練場200ヘクタール、ボーローポイント射撃場184ヘクタール、キャンプ・マーシー40ヘクタール、キャンプ・コートニー30ヘクタール等となっております。
 次に、本県の振興開発の上で必要な地域として知事訪米の際、返還を求めた施設の返還見通しについてただされましたが、お答えいたします。
 本県の振興開発上有効な跡利用が図られる地域として米国政府に対し早期返還を求めた施設は、那覇港湾施設、泡瀬ゴルフ場、奥間レストセンター、恩納通信所等でございますが、これらの施設の返還については、現在、日米合同委員会で鋭意検討中であると承知しており、近いうちに何らかの成果が得られるものと期待をいたしております。
 次に、条件つき返還でも条件抜きで返還が可能となっているが、過去に例はないかとただされましたが、お答えいたします。
 第15回、昭和51年7月8日の日米安全保障協議委員会において移設を条件に返還が合意されたキャンプ・ブーン、キャンプ・マーシー、ズケラン通信所等が移設を要せずに返還されております。
 沖縄の現状では、新たな移設先を求めての返還は困難な状況下にあり、今後、移設を要せずに返還がなされるよう強く日米両政府に求めるべきではないかと御提言がございましたが、お答えいたします。
 県土の狭い本県においては、移設条件つき返還合意施設であっても新たな施設区域の提供ということは原則として考えておりません。県としては、施設区域の再編統合という形で今後とも基地の縮小整理を図ってまいりたいと思います。
○伊集盛元君 議長、ちょっと休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午前11時13分休憩
   午前11時14分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 消費税の問題につきましては、税制改革の一環としてこれはどうしてもやらなければならない課題だと考えております。
 今、自由民主党で、また政府税調でもって見直しについていろいろ議論されているわけでございますが、まだ結論は出ておりませんけれども、その動向等を踏まえて検討してまいりたいと思います。
○議長(平良一男君) 福里一郎君。
   〔福里一郎君登壇〕
○福里一郎君 私は、自由民主党県議団を代表して、さきに通告いたしました事項につきまして代表質問を行います。
 まず、中城湾港の開発問題についてであります。
 昭和47年に策定された沖縄振興開発計画は、本土との格差を一日も早く解消し、自立的発展の基礎条件を整え、平和で豊かな沖縄県を実現することをその目標として掲げております。この目標達成のために中城湾港新港地区開発事業は、沖縄県の振興開発にとって不可欠な産業の振興、とりわけ製造業の振興を図ることを主な目的として、西銘県政が強力に推進している本県の重点施策事業の一つであることはあえて指摘するまでもありません。

 中城湾港の開発については、沖縄の本土復帰が日程に上った昭和44年ごろから本格化したのでありますが、当時の沖縄経済は、長期にわたる米国の統治下にあって、通貨を初め財政、金融、税制、貿易等絶府県と異なる社会制度のもとで特殊な構造を形成しつつ発展したのであります。その結果、基地収入等による外生要因に支えられた基地依存型経済体質と、本土と隔絶した独自の経済圏を持つことによる人口の滞留を特徴とし、企業規模は零細でかつ第3次産業に偏った産業構造となっていたのであります。このため基地経済への依存度が特に強かった中部の市町村において、復帰に伴う社会経済の変化に対する不安から、これに対処する方策の一つとして中城湾港開発への要望が高まり、国、県に対し活発な要請活動が展開されたものであります。
 昭和47年の復帰に伴い、沖縄振興開発計画が策定され、この中で沖縄本島東海岸及び中南部圏に工業及び流通港の新設を検討することがうたわれ、沖縄県は、これを具現化するため昭和55年に中城湾港開発基本計画を策定したのであります。
 この基本計画を受けて中城湾港新港地区の港湾計画が策定され、県は、この港湾計画を実現するため、全体計画339ヘクタールのおおよそ半分に相当する西埠頭側の180ヘクタールについて第1次埋立免許を取得した上、昭和59年1月には港湾建設及び埋立造成工事に着手したのであります。現在、計画目標の早期達成を目指し第1次計画に基づく事業を推進中であります。
 そもそもこの大事業は、故稲嶺一郎先生を初めとする諸先輩方の提唱でスタートし、以来、早くも二十数年を経ておりますが、中城湾港の開発についてはいろいろと意見が出され、一部には当時の社会経済情勢からして広大な工場用地を造成してもペンペン草が生えるだけ、と危惧する声もありました。
 こうした中にあって、ぜひ中城湾港の建設によって中部地域の活性化を図りたいとする中部地域住民の熱烈な要請にこたえてスタートし、継続されて今日に至っているわけであります。
 この中城湾港開発事業の推進と完成は、まさしく21世紀を展望した沖縄発展の姿であり、その全体計画の早期完成を県民とともに強く望むものでありますが、西銘知事を初め関係職員の情熱と並み並みならぬ御努力により、いよいよ第1次埋立造成計画は間もなく工事完了の運びとなり、また移転企業9社とも先般、仮契約がなされたことはまことに喜ばしい限りであります。知事初め関係職員のこれまでの御労苦に対し深く敬意を表するとともに、今後の事業完結に向けた一層の御努力を期待するものであります。
 そこで質問であります。
 第1点、達成後、処分の対象となった工業用地の価格については既に公表されているところであるが、その価格設定の根拠について御説明願いたいと思います。
 第2点、第2次埋立計画については地元関係市町村より強い要望があり、当議会にもその推進について要請がなされているところでありますが、県当局としては現在、どのような取り組みをなされているのか、その状況と今後の作業スケジュールについて伺いたい。
 第3点目、第2期埋立工事が完了した段階で、新港地区全体では何社の企業の移転立地が計画されているのか伺いたい。
 第4点目は、新港地区の開発の目的の一つが雇用機会の創出にあると思われるが、開発によってもたらされる最終的雇用効果について伺います。
 第5点目は、那覇港は、沖縄県における内外貨物の拠点として原油等を除くほとんどの貨物を取り扱っているが、那覇港のみでは沖縄県の将来における取り扱い貨物量の増大には十分に対応できないとされております。
 これに対処するため、新港地区は、那覇港との適切な機能分担を図り、沖縄県における物資の円滑な物流を確保するため、背後の工業用地と効率的に結びついた流通加工港湾の整備を進めていると思われるが、那覇港との機能分担を推進するため立地する関連企業の用地計画及び港湾施設整備計画はどのようになっているか伺いたいと思います。
 ところで、香港が近々、中国に返還されることは御承知のとおりでありますが、貿易中継基地としての希少価値から、これまで東洋の真珠と呼ばれてきた香港に取ってかわろうといういわゆるポスト香港構想の論議がこのところ盛んであります。
 台湾の中流文化協会理事長の張先生が先ごろ、沖縄での公式のあいさつの中で、残念ながら我が台湾は、まだ政情不安などのマイナス要因を抱えている。ポスト香港を客観的に判断した場合、沖縄が最適、最有力地だと思うと述べておられます。
 これに関連してお尋ねします。
 中城湾港の将来が、ポスト香港としての地位の確立につながる可能性について県当局の御所見を承りたい。
 また、地理的に太平洋の軍事上のかなめ石とされてきた我が沖縄が、その条件を逆手にとって経済繁栄のシンボルたる新しい東洋の真珠に変わろうというこの壮大なロマンを実現するため、我々は今後とも、官民一体となった取り組みを展開していかなければならないと考えますが、21世紀を展望した我が県の発展の姿を具体的に描きつつ、意欲とロマンあふれる御見解をお示し願いたいと思います。
 次に、本県の離島空港整備についてであります。
 御承知のように、本県は、我が国の中でも唯一の離島県であり、さらに多くの離島を抱えていることと相まって、高速性を有し、かつ安全で快適性のある航空網の整備については県民がひとしく望んでいるところであります。
 ちなみに、昭和63年度の島内航空機利用状況について調べてみますと、旅客で151万8000人、貨物で1万151トンとなっており、これを本土復帰時の昭和47年度の旅客48万8000人、貨物1559トンと比較してみると旅客で3.5倍、貨物で6.5倍の伸びを示しており、本土復帰以降この17年間、離島空港の航空機利用者は着実に増大してきていることがわかります。
 そのため、県におかれては、沖縄振興開発計画に基づき宮古、石垣空港のジェット化、与那国空港のYS化、粟国及び波照間空港の新設等の整備を図り、航空機が持つ機能を生かした文化の交流、フライト産業の活性化等、地域の振興及び住民生活の向上に日夜取り組んできたところであり、その実績と御努力は高く評価するものであります。
 しかしながら、昨今における我が国の経済状況を見ますと、国民所得水準の向上とあわせて週休2日制の進展により、国民の余暇時間の増大等おくればせながら欧米並みのバカンス指向が強くなってきております。
 このような社会的・経済的状況の変化に対応し、我が国においても昭和62年10月には総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法が制定され、本島内はもちろんのこと、各離島においても本県特有の亜熱帯としての自然を生かしたリゾート計画が進められていること等とあわせて、今後、離島間の航空需要もますます増大することが予測されています。
 しかるに、現在の離島航空路の整備状況を見た場合、各路線とも利用者のニーズに必ずしもこたえているとは言いがたく、今後とも機材の大型化に対応した空港の整備及び新たな空港の整備が必要だと考えます。
 幸いにも、県におかれては、これらの状況を改善すべく、沖縄振興開発計画に基づき、昭和55年度に新石垣空港の整備及び昭和63年度に久米島空港の拡張整備に着手するとともに、さらに宮古―東京直行便の路線新設による宮古空港の中型ジェット機対応の整備等が平成2年度に国庫要求されていると聞いておりますが、このような航空路の整備拡充こそ、離島に住む佳民にとって何よりも増しての悲願であります。
 県におかれましては、このような離島県民の要望に対して、一日も早くこたえていく施策の展開を期待して、以下の点について御答弁をお願いいたします。
 1つ、新石垣空港の航空法に基づく設置許可申請及び公有水面埋立法に基づく埋立免許出願はいつごろか。
 2つ、地元から要望のある南大東、伊平屋、多良間、北大東空港の整備計画と見通しはどうか御説明を願いたい。
 次に、航空運賃の軽減問題について私見を述べ、御所見をお伺いしたいと存じます。
 念願でありました宮古―東京間に定期空路が開設されました。宮古郡民の努力もさることながら、西銘知事を先頭とする県を初め県民各位の御支援のたまものと御礼を申し上げる次第であります。我が国の首都であり、世界枢要の都市である東京との間に定期空路が開設されたことは、日本の中枢への道だけでなく世界への道が開かれたのも同然であり、感慨を覚えるものであります。

 航空機は、人類の夢であった空間時間を克服し、人と物と情報の存在距離を短縮する最高の文明機器であります。この航空機で首都東京と結ばれることによって6万余の住民に夢と希望を与え、島興しの活力となることは明らかであり、21世紀を宮古の時代として展望し目標を高く掲げ、あすに取り組むファイトが沸いてきたことは、まさに喜ばしいことであります。
 世界は、まさに航空機の時代であります。各国の指導者は航空機で世界を飛び回り、情報を交換し、協力体制をより強固にしていることは御承知のとおりであります。先日、ブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長が平和と東欧の体制問題について会談し、翌日はNATO、ワルシャワとそれぞれの会議に出席した行動は、まさにその象徴であります。航空機の発達によって地球は狭くなり、遠い外国も時間の上では隣国になったという感を強くするものであります。
 物流の面においても同様であります。貨物専用機によって輸送された物資が、世界の市場にあふれていることは御存じのとおりであります。
 近年、我が県においてもフライト産物が増加し、花、野菜、魚類などの空輸はその代表であります。将来において航空機の機能と役割はますます高まり、地域の発展と深くかかわることは明白であります。
 そこで問題となるのが航空運賃であります。最高の文明機器である航空機を、地域の振興という観点から活用し得るかどうか、その決め手が運賃であると言っても過言ではないと思います。
 本土―沖縄間の航空運賃の軽減については、経済界、労働界、マスコミなど各界が合同して一大キャンペーンが展開されたのは最近のことであります。
 さらに去る11月には、沖縄経済同友会が、「沖縄・本土間航空運賃軽減に関する提言書」を出しております。これによりますと、東京との距離が同じ2000キロにありながら、東京―札幌間往復運賃が4万3000円であるのに対し、東京―沖縄間は6万3000円、北海道より我が沖縄は2万円も多く負担しなければならないことが明らかにされております。
 また我が県は、着陸料などが他県に比べて軽減措置が制度的にとられておりますが、運賃の割引についても東京で搭乗券を買うと2ないし3割安で手に入るということもあり、極めて不合理であると提言書は指摘しております。
 航空運賃の決定方法には、総合原価方式と路線原価方式があるようでありますが、前者は黒字路線、赤字路線をカバーし、後者は採算性のよい路線はそれだけ運賃を安くするシステムのようであります。
 私は、地方という立場で考えますと、どちらの方式にも長所、短所があり、地域活性化、ふるさと創生の時代を迎えた今日、国が政策的配慮をもって軽減措置を講ずる必要があるのではないか、このように考えるのであります。つまり、地域活性化支援運賃という意味の運賃政策の確立が必要であると思います。
 沖縄は、全国で唯一の離島県であり、県民の暮らしを初め産業振興、特に観光、フライト産業振興等は空路に大きく依存しているのであります。本土においては近々、北海道から鹿児島まで高速道路が開通します。こういう自然条件の差異を人知をもって解決、補てんするためにこの問題を重視し、今後、行政と本議会が協調して取り組む必要性を痛感するものであります。
 そこで質問でありますが、航空会社との共存を図りつつ、望ましい、そして適切な運賃とは何かということについて沖縄の立場から調査研究する必要があると思いますが、この点に関し知事の御意見を賜りたいと思います。
 政府と我が県は復帰後、振興開発計画を策定し、沖縄らしく豊かに発展するための基礎条件の整備に努力をしてまいりました。その成果が大なることは、県民がひとしく評価するところであります。
 航空交通分野についても同様であります。多くの離島空港も整備され、さらに拡充されつつあります。
 第1次、第2次の振興開発計画においては、当面の課題としてすべて航空施設の建設に力点が置かれてまいりました。つまりハード面が中心であったのであります。しかし施設は、早晩実現されるものであり、建設された施設が有効に使用され、かつ機能するためには適切な運賃対策の確立が必要です。運賃問題は今後、地域の活性化と不可分の関係をますます強めることが予想され、施設建設のめどがある程度つきつつある今日、今後我々は、目を転じて運賃問題に着眼すべきであると考えるのであります。第1次、第2次振計の中には、運賃に関して全く触れられておりません。
 我が県の振興開発を側面から支援する重要な航空運賃であるだけに、これからの3次振計の中で強力に取り組んでいかなければならないと思うのであります。
 そこで質問でありますが、3次振計の案づくりの中で、航空運賃の軽減あるいは適正化への努力という視点を盛り込むことがぜひとも必要であると考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 航空運賃低減問題につき、西銘知事はこれまで計13回にわたり、政府を初め国会調査団及び全国知事会並びに九州知事会等を通じ精力的な要請活動を展開してきており、知事の御熱意と行動力を高く評価し心から敬意を表するものであります。航空運賃の低減は全県民の要求であり、これにこたえた西銘知事の今後一層の御奮闘を期待するものであり、知事の御決意のほどをお示し願いたいと思います。
 次に、へき地級地の見直しについてであります。
 我が県は、中央から遠く隔てた海洋性の離島県であり、そのために県民の生活の不便さは本土各県と比較にならないものがあり、ひいてはこのことが社会、経済、文化等の発展に多くの困難さをもたらしてきたところであります。さらに、県内の離島地域は社会資本が投下され、生活環境の基盤整備がなされ、交通手段が発達してきたとはいえども、日常の生活は自然条件に大きく左右されており、本島と比較して経済的、文化的な相対的格差は依然として大きいものがあり、時代が変化しても離島が離島である限り、その僻地度には何ら変わるものはないのであります。
 このような海洋性の離島を多く抱えている本県にとって、離島僻地の振興は大きな課題であり、とりわけ小中学校の約40%を僻地校で占めている本県にとっては僻地教育の振興は教育行政上の重要課題であり、教育の機会均等を確保する立場から、県は、僻地教育の振興のため最大限の努力をする必要があると考えます。
 ところで、文部省は、昭和47年から16年間にわたる社会、経済、文化の発展に伴う僻地と都市との格差並びに離島等の特殊事情を考慮するために、平成元年3月にへき地教育振興法施行規則の一部を改正し、へき地級地の指定基準を新たに定めへき地級地の見直しを行うことにしております。
 へき地級地の見直しに当たっては、僻地教育の理念に立脚し、海洋性の離島からくるもろもろの特殊事情が適切に反映されたものでなければならないことは当然であります。
 ところで、改正されたへき地指定基準に基づく県教育委員会の当初見直し案は、離島僻地にとって合理性を欠いた極めて厳しい内容となっていたため、高度へき地対象外となる平良市、久米島等から、離島僻地教育の崩壊につながるものとして強い要請行動が展開され、全県的に大きな関心が高まったことは御承知のとおりでございます。
 改正基準によると、例えば、航空機の運航などが離島僻地性を薄めたということになっているが、航空機は、気象条件による制約や経済的負担を伴い、陸上交通とは比較にならないぐらい、そのハンディは大なるものがあります。航空機の回数を加算するだけで40点もの点数が減った平良市の場合に見られるように、改正基準は離島僻地の実情を無視したものとなっており、その不合理性、矛盾は極めて明白であります。
 幾ら社会、経済の発展に伴って僻地と都市との格差の質も変化しているとはいえ、離島が場所を移動して本島とつながるということは全く起こり得ないことであり、離島はやはり離島なのであります。地理的、物理的な離島なるがゆえの克服不可能な不利性は甘受するとしても、政治、行政上の人災的な離島僻地をつくるようなことは絶対に許されるべきではありません。

 へき地級地の指定基準は、6年ごとに見直しが行われることになっているようでありますが、県教育委員会におかれては、海洋性離島の実態につき、政府に判断を誤らせないよう継続的に努力を傾注するよう強く望むものであります。
 見直し案に対する各団体からの抗議、要請のあらしが吹き荒れる中、高良教育長は、法との板挟みにされた格好で大変な御苦労をされたと思います。九州ブロック教育長協議会などでの問題提起や文部省へ再三足を運んでの強力な要請など、この間における高良教育長の御努力に対し敬意を表するものであります。
 そこで質問でありますが、第1点、へき地級地の見直し後の問題点は何か。またこれを打開するために県教育長は、どのような努力をしてきたか御説明願います。
 第2点、文教厚生委員会で教育長は、高度へき地ではなくなる19校のうち、約90%は復活できると明言しているが、その状況はどうなっているか。また復活できた理由は何か。
 第3点、久米島の具志川中と清水小学校が高度へき地対象外となるが、復活できる方策はないか。
 第4点、高度へき地校でなくなれば、パン、ミルクの給食及び修学旅行の国庫補助が打ち切られることになるとともに、父母負担の増となり、ゆゆしき問題であります。その分について県が負担する考えはないか。高度へき地校でなくなる2校の救済策についてのお考えをお示し願いたいと思います。
 次に、全国植樹祭についてであります。
 本県は、離島県としての地理的条件や台風、季節風などの気象的制約等もあって、古い時代から山や樹木を大事にしなければならないとの気風が強く、いわゆる緑資源を重視した施策が展開されてきた歴史があります。「ウタキ」などとして部落周辺の森を保護し、保安林としての機能の維持を図ったのもその一例であります。
 しかし、去る太平洋戦争は、私たちの祖先が守り育ててきた緑豊かな郷土を破壊し、また戦災を免れた森林資源も復興資材として伐採せざるを得なかったため、本県の森林資源は大なる荒廃を余儀なくされたものであります。
 失われた緑を取り戻すべく、県土緑化推進運動が展開されてきましたが、それでも緑環境の造成はまだまだ十分であるとは言えないのが現状であります。
 加えて、近年は都市化の拡大や各種開発の進展に伴って、私たちの身近な生活地域から緑が失われつつあり、緑環境の保全に対する県民の要請はますます大きくなるばかりであります。今こそ本県振興のあるべき確かな未来像を緑豊かで活力に満ち、安らぎのある郷土として描き、森の育成や緑環境づくりの新たな発想と、そのための大きなきっかけが必要となってきており、その意味でも全国植樹祭を本県で開催することは極めて時宜を得たものであると考えます。
 翻って、昭和57年の国連ナイロビ環境会議におけるいわゆるナイロビ宣言は、現在の地球環境は大気中の炭酸ガス濃度の増加や森林乱伐などによる環境の悪化が進行し、人類にとって深刻な状況をつくり出す原因となっていると警告を発しております。
 森林の減少は、水源の枯渇、土壌の流失、洪水による災害、動植物の種の減少や消滅、大気中の炭酸ガス濃度の増加など地域はもとより、地球全体の環境問題に重大な影響を及ぼし、人類の生存と深くかかわっていることが世界の各方面で指摘されております。
 このように森林は、経済的価値のほかに環境的価値を持つものであり、生きがいある生活環境を確保するためにも、森林の整備と林業の振興を強力に推進していく必要があると思料するものであります。
 植樹祭の開催を契機に、森林は自然がつくるものではなく、私たち人間自身がつくり育てるものだということを再認識し、全県民参加のもとに緑を創出し、かつ防衛していかなければなりません。
 全国植樹祭の成功に向け日夜御奮闘されている林務課の関係職員の御労苦をねぎらい、今後一層の御努力を期待するものであります。
 ところで県においては、全国植樹祭を平成5年の開催に向けて努力されていると承知しておりますが、その取り組み状況等についてお尋ねしたいと思います。
 まず第1点は、全国植樹祭を本県で開催するねらいについて、理解を深める意味から改めて説明を願いたい。
 2点目は、国土緑化推進機構等に対する要請手続はどうなっていますかお答えを願います。
 3点目、全国規模の祭典であり、かつ伝統的行事であるだけに会場選定にはそれなりの条件があろうかと思われますが、一般的に勘案されなければならない要件とはどのようなことか。また会場選定作業の進捗状況はどのようになっているか。
 最後に、植樹祭の成功には県民の理解と協力のもと、準備室の設置など組織体制の整備が必要であると思います。この点での取り組みはどうなっているか御説明をいただきたいと思います。
 以上で代表質問を終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 福里一郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 中城湾港の開発問題についてただされましたが、お答えいたします。
 分譲価格の決定についてお答えいたします。
 中城湾港新港地区を流通加工港湾として整備するためには、積極的に企業立地を行う必要があります。
 工業用地の分譲価格の決定に当たりましては、企業の立地促進という観点から他の工業団地の分譲状況、立地希望企業の企業診断結果及び特別会計の収支等を総合的に勘案いたしまして決定いたしております。
 次に、第2次埋立計画の取り組み状況と今後の作業スケジュールについてお答えいたします。
 新港地区全体計画面積339ヘクタールのうち、第1次埋立計画の180ヘクタールについては、昭和59年1月着工以来、工事は順調に進んでおります。平成3年度には完了する予定であります。
 第2次埋立計画についてでありますが、第1次埋め立てに引き続きまして実施する方針であります。
 しかし、中城湾港港湾計画は、その策定から既に8年余が経過いたしておりまして、その間の社会、経済情勢の変化に対応した計画の見直しが必要となっております。
 このため62年度から、土地利用計画に関する企業立地可能性調査を初め諸調査を実施いたしまして、港湾計画改訂及び公有水面埋立免許願書の作成を進めているところであります。
 今後、これらの調査等を踏まえまして平成2年3月には沖縄県地方港湾審議会に諮り、また同年6月には国の港湾審議会に諮り、港湾計画を改訂する計画であります。
 港湾計画の改訂を受けて平成2年度中には公有水面埋立免許の出願を行い、平成3年度には第2次埋立工事に着手する計画となっております。
 次に、埋め立てが完了した段階で新港地区全体では何社の企業の移転、立地が計画されているか、お答えいたします。
 中城湾港新港地区は、主として沖縄中南部の市街地に立地する既存の製造業が抱える狭隘な生産空間、住工混在に伴う環境上の制約等生産活動上の隘路を解決するために整備されるものであります。
 整備後は、これらの製造業のほか港湾関連企業等の立地が予定されており、鉄鋼業、食料品製造業、卸売業、倉庫業等約60社の移転再配置を予定いたしております。
 次に、新港地区の開発と雇用の効果についてただされましたが、お答えいたします。
 中城湾港薪港地区の開発による雇用効果としては、製造業の移転拡大に伴う雇用及び港湾関連企業等の新規参入による直接的な雇用が約4000人見込まれております。
 さらに、新港地区周辺地域への関連企業の立地等に伴う雇用機会の創出が期待されております。
 次に、那覇港との機能分担によりまして、立地する関連企業の用地計画及び港湾施設計画についてただされましたが、お答えいたします。
 那覇港との機能分担については、中城湾港に立地する工業の関連物資、生産機能の移転に伴い流通機能が中城湾港に移転することによって見込まれる貨物、また背後地域である程度まとまった貨物等については中城湾港で取り扱うこととなっております。具体的には穀物、スクラップ、木材等の原材料については新港地区で取り扱うことになります。

 これに伴う用地といたしましては、工業用地が153ヘクタール、港湾関連用地が42ヘクタールとなっており、港湾施設として水深13メートルの大型岸壁を初めとする15バースの岸壁等が計画されております。
 次に、ポスト香港の中城湾港新港地区の活用について御提言を含めた御質問がございましたが、お答えいたします。
 昨年、我が国唯一の自由貿易地域が本県に開設されたところでありますが、今後その拡大展開を図っていくためには制度の拡充を含めました積極的な施策展開が必要となっております。
 御指摘のように、現在、台湾は中国に対して香港を経由して貿易を行っており、香港の中国返還後、それにかわる中継基地として沖縄が適地であるとの見解については承知いたしております。
 県としては、これらのことを踏まえまして中継基地の可能性について調査しているところであり、その結果に基づきまして中城湾港への自由貿易地域の拡大についても検討してまいりたいと思います。
 次に、離島空港の整備についてお答えいたします。
 新石垣空港の設置許可申請、埋立免許出願についてただされましたが、お答えいたします。
 新石垣空港建設に向けての手続に必要な資料を作成するため、これまでに夏と秋の環境現況調査、測量及び土質調査を完了し、現在、冬の環境現況調査及び設計等の作業を鋭意進めているところであります。
 今後は、これらの作業の成果を踏まえまして、平成元年度内を目途に航空法に基づく設置許可申請及び公有水面埋立法に基づく出願を行う予定であります。
 次に、地元から要望のある南大東、伊平屋、多良間、北大東空港の整備計画と見通しについて御質問がございましたが、お答えいたします。
 本県における離島空港の整備については、将来の航空需要への対応、地域産業の振興、住民生活の向上を図るとともに、航空輸送の安全確保等の面から重要な施策であります。これまでも沖縄振興開発計画に基づき、宮古空港ほか10空港の整備を鋭意進めてきたところであります。
 しかし、これらの離島空港の中には航空輸送需要やリゾート開発等の新しいニーズに対応できないことも予想されるため、これらの状況の変化も踏まえまして新たに離島空港の整備計画を策定する必要があります。
 このため県では、今年度予算で新南大東空港を初めとする計画的な離島空港整備方針を策定するための調査業務を発注し、現在、この作業を鋭意進めているところであります。
 御指摘の各空港の整備につきましては、その成果を踏まえまして平成3年度から始まる第6次空港整備5カ年計画に可能な限り取り入れるよう努力してまいりたいと思います。
 次に、航空運賃低減問題について3点ただされましたが、お答えいたします。
 航空運賃の低減については、これまでも国や関係機関に対しまして要請を行ってきたところであります。
 去る税制改革によりまして、通行税の廃止が実現し航空運賃の値下げが図られ、県民の負担も軽減されたのでございますが、運賃総額は依然として高く県民の大きな負担となっております。
 県としては、関係機関とも協議いたしまして今後とも引き続き公租公課の軽減、割引運賃制度の拡充等の措置によりまして航空運賃の低減が図られるよう要請してまいりたいと思います。
 また、御提言の航空運賃問題に関する調査研究についてでございますが、貴重な御提言として受けとめたいと思います。
 なお、航空運賃問題を第3次振興開発計画に盛り込むことにつきましては県案策定の段階で検討してまいりたいと思います。
 次に、全国植樹祭についての御質問に対しましてお答えいたします。
 全国植樹祭は、植樹行事を通して森林資源の造成、国土の保全、水資源の涵養並びに生活環境の緑化を図るとともに、森林の役割に対する理解を深め緑豊かな国土づくりをねらいとして行われる国民的な祭典であります。
 これを本県で開催することにつきましては、1つ、森林、林業及び環境緑化の重要性について県民の理解を深めるとともに、緑豊かな郷土づくりの新たな契機とすること。2つ、復帰20周年記念事業と位置づけることによりまして復帰以後の本県の歩みを振り返り、21世紀を展望した個性と活力に満ちた県づくりに向けて決意と自信を喚起する機会とすること。3つ目に、本県の自然、文化、社会経済的な特性等広く国民に紹介し理解を深める絶好の機会であり、今後の観光、文化、産業の振興に貢献すること等の点で極めて意義深いものがあると考えております。
 次に、正式要請についてでございますが、全国植樹祭の開催を希望するに当たっては、県知事と県緑化推進委員会会長との連名で、国土緑化推進機構会長に対して事前に申し出ることになっております。本県からの正式要請は年内に行う予定であります。
 なお、平成5年の本県での開催については特に支障はない見通しであります。
 次に、会場選定についてただされましたが、お答えいたします。
 全国植樹祭の会場は、森林を造成し、将来にわたってこれを維持するにふさわしい地域で宿泊施設、交通事情、地形、その他の条件を勘案して決定されることになっております。
 本県における会場選定作業は、農林水産部において候補地をリストアップして予備的調査を実施したところであります。近く、これらの候補地について県森林審議会に専門的立場からの意見を聞き、県案としての会場地を選定する予定であります。
 次に、準備室等の体制づくりについての御質問がございましたが、お答えいたします。
 全国植樹祭は、天皇、皇后両陛下の御臨席を仰ぐとともに、全国各界の代表や県内外からの多くの御参加を得て開催される国民的祭典であります。準備期間も短いことから、その準備には急を要し万全を期さなければなりません。伝統的な中にも沖縄らしい特色ある植樹祭ができるよう、万全な組織体割を整えるべく鋭意検討を進めているところであります。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 福里議員のへき地級地の見直しに関連しての御質問にお答えします。
 まず1点目のへき地級地の見直し後の問題点は何であったか。またこれを打開するための経緯について御説明申し上げます。
 文部省は、これまでのへき地級地を見直すため、平成元年3月にへき地教育振興法施行規則の一部を改正し、平成2年1月1日から施行することとなっております。
 これを受けまして県教育委員会は、へき地級地見直しのための作業を行い、平成元年10月18日に見直し案の意見書を県人事委員会に提出したところでありますが、見直し後の状況についていろいろと問題が生じております。
 その1つとしましては、内陸より海洋性のへき地校がダウンする状況になっていること。2つに、高度へき地校でなくなる学校が19校も出ることになり、それを受けましてパン、ミルク給食及び修学旅行の国庫補助が受けられなくなり、父母負担の増を招く等、このような問題点を打開するために県教育委員会としましては、次のことで文部省等に再三にわたって要請をしております。
 まず1つに、へき地級地の基準そのものの見直しを行ってもらいたいこと。また、高度へき地校でなくなる学校等のいわゆる国庫補助を受ける事項につきましての経過措置を講じること等であります。
 しかしながら、これらの要請につきまして文部省等の回答は厳しいものでありました。
 このことから、本県の海洋性の離島僻地の特殊事情を県独自の判断で基準に反映させるため慎重に検討を重ねて、高度へき地校でなくなる19校のうち、17校について従来どおり3級地として維持できるよう、県人事委員会に去る12月7日に改めて意見を提出したところであります。
 なお、へき地教育振興法施行規則の一部改正がなされる以前におきましても、昭和63年6月3日に沖縄県の教育委員会としまして、海洋性の離島県という本県の特殊性を反映した基準に改正をしていただきたいこと。それから同じく昭和63年6月25日付で九州地方教育長協議会で、九州各県の後進性あるいは特殊性を反映した基準に改正すること。それから昭和63年3月25日、これは63年度の年度末になるわけですが、都道府県教育長協議会を通しまして、へき地以外の学校とへき地学校の相対的な格差を反映した基準に改正すること等の要請を行っております。

 2点目の御質問の、去る12月2日の文教厚生委員会で教育長としての答弁の中で、高度へき地校でなくなる19校のうち、約90%が一応見直しができると。そのことでの関連の御質問にお答えします。
 当初案は、これは去る10月18日に、へき地校でなくなる19校のうち、17校が3級地を維持できるものと考えております。
 その主な理由は、基準の範囲内で本県の特殊事情等を考慮したことによるものであります。
 それから、3点目の高度へき地校でなくなる学校、御指摘の具志川村立の清水小学校、具志川中学校の2校でありますが、この復活の方策はないか。それからまたこれであれば、高度へき地校でなくなるためのパン、ミルク並びに修学旅行の国庫補助等が打ち切られるが、その対応策あるいは救済について関連しますので一括してお答えします。
 今回の19校のうち2校につきましては、現在の配点では3級地の基準点に達せず、3級地を維持することは大変困難であります。
 御指摘のパン、ミルク給食及び修学旅行費の国庫補助が打ち切られることは学校教育にも大きな影響を与えることになることから、今後検討してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後 0時 8分休憩
   午後 1時22分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 午前に引き続き代表質問を行います。
 親川仁助君。
   〔親川仁助君登壇〕
○親川仁助君 私は、日本共産党県議団を代表しまして質問いたします。
 まず、順序を変えまして第1の質問は、知事の政治姿勢について質問をいたします。
 知事は、午前の伊集議員の国際情勢に関する発言に対し、国内外の情勢は伊集議員の所見のとおりでありますと、こう答弁いたしました。それは知事の今の国際情勢に対する見方、政治姿勢を表明したものと受けとります。
 伊集議員の質問は、今、東欧諸国で起きている自由化要求、スターリンなどのソ連型社会主義の破綻を、我が日本共産党と同列に置いて攻撃したものであります。事実に反する許せないものであります。
 今、総選挙を控えて消費税廃止、金権腐敗政治の一掃、農業を守れ、基地を撤去せよなど、争点から県民の目をそらせようとする悪質な反共宣伝であります。
 東欧諸国における事態は、民主主義の欠如から生まれたものであり、大きな人類史的流れから見れば、ソ連の大国主義、官僚主義を特徴としたソ連型社会主義の押しつけが、人民大衆の運動によって崩れ破綻しつつある過程であります。この流れは、日本共産党が一貫して主張してきた理性と科学の光を目指していることも明白であります。
 今回のチェコの「プラハの春」問題について、ワルシャワ条約加盟5カ国のいわゆる自己批判に対し、我が党はいち早く歓迎する態度を表明、また東欧諸国における複数政党制や自由選挙による政権交代、ベルリンの壁開放は極めて当然であり、日本共産党は20年前からこのことを主張し続けてきた党であります。
 また、この沖縄においてアメリカ帝国主義の軍事的監獄的圧政に反対し、県民の生命と人権、自由と民族の尊厳を守り抜き、祖国復帰を実現したのは当時の沖縄人民党、今日の日本共産党を初めとする祖国復帰民主勢力でありました。これを妨害してきたのが、ほかならぬ自由民主党だったことは明白な歴史的事実であります。
 さらに明確なことは、自民党の言う自由とは、選挙で示された国民の意思を無視する自由、企業、団体献金等で政治を汚す自由、公約を踏みにじる自由であり、世界に貢献する日本と称して異常な軍事費を増額する自由ではありませんか。
 知事、日本共産党は生存の自由、市民的政治的自由、民族自決権を守る、これを内容とする自由と民主主義の宣言を発表した党であります。東欧における事態は、まさに日本共産党が指し示してきた方向と一致するものであります。我が党のこの宣言と日本共産党が戦前、戦後、命をかけて日本社会の進歩に果たしてきた役割についてどうお考えか、御見解を求めます。
 第2の質問は、ポスト2次振計と次年度の国庫支出金(沖縄振興開発事業費)の概算要求額についてであります。
 ポスト2次振計については、第7回議会9月定例会でも取り上げましたが、さらに論議を深めたいと思います。
 9月定例会での私の質問に対し知事は、沖縄振興開発事業が国の積極的な施策と県民の努力によって各面にわたり本土との格差が縮小されつつあると答弁しました。県民の努力はともかく、政府の積極的施策云々については断じて承服できません。
 沖縄開発庁の次年度予算の概算要求額が、御承知のように去る8月25日に発表されました。沖縄振興開発事業費の概算要求額は総額2276億3600万円、本年度に比べわずかに0.3%の伸び率。
 最近の報道によると、次年度の国の一般会計の伸び率は9.7%、防衛費、つまり軍事費は初めて4兆円を超え6%台の伸び率になると報道しています。
 国の一般会計予算や防衛費の伸びにはるかに及びません。政府は、沖縄の振興開発に積極的に施策しているどころか、全く放置していると言っても過言ではありません。
 ところが、概算要求額が発表された日に記者会見した宮城副知事は、厳しい財政環境のもとで沖縄開発庁を初め関係省庁の御高配と御尽力に対し深く感謝すると述べております。沖縄県の振興開発に対する責任を投げ捨てた政府に対する西銘県政の姿勢を表明したもので、県民の立場から絶対に許せません。
 日本共産党中央は、復帰直後の1972年6月19日、沖縄県の経済開発について記者会見を行い、その基本方向と見解を表明いたしました。
 沖縄県が第2次世界大戦の戦場にされ、多くの県民がとうとい命を奪われ、引き続く27年間のアメリカの軍事占領支配のもとにゆだねられ、言語に絶する苦しみをなめてきた。この沖縄県民の労苦に報いるためにも、政府は厳しい決意を持って沖縄県の本格的な復興開発計画に取り組まなければならないとするものでありました。
 そこで、一般的に使用されている「振興開発」ではなく、「復興開発」の用語を用いている点に留意していただきたい。
 戦中、そして戦後、国が始めた戦争で犠牲にされた沖縄県の復興、そして経済開発は、財政措置も含め国の責任であるとの考え方の表明であります。そして革新県政が開発庁に提出した県案は、振興開発を県民本位に進めるために不可欠の条件として県民自治の尊重を強く主張し、沖縄振興開発に対する国の責任を強く訴えました。政府が決定した第1次振興開発計画で、自治の尊重は削除されましたが、国の責任については沖縄が我が国経済社会の中で望ましい位置を占めるよう努めることは、長年の沖縄県民の労苦に報いる国の責務であると明記させることができました。
 ところが、西銘知事のもとで作成された第2次振計の県案は、自治権の尊重やこれらの記述がすべて欠落しており、政府が最終的に決定した第2次振計でもこれに相当する記述が見当たりません。
 国の予算の伸び率、防衛費の伸び率にもはるかに及ばない振興開発事業費を、特段の配慮などといって感謝感激するようでは、そんな政治姿勢では県民の県政は任されません。政府の責任こそ厳しく追及しなければなりません。
 そこで、次のことを質問します。
 1つ、要求基準ゼロシーリングとか、財政環境の厳しさをいろいろ言っていますが、これを沖縄振興開発事業に当てはめることを当然の前提として、厳しい財政環境のもとで御高配を賜ったと感謝するのは論外。国が県民に対する責任を果たすために、沖縄振興開発事業費は基準の枠外にするよう要求すべきではないのか。国の予算や防衛費の伸び率より沖縄振興開発事業費がより大きく伸びて当然とはお考えにならないのか、知事にお答え願います。また、次年度予算の政府案が決まる今月末の政治折衝で国の責任を追及する県民の立場を貫くか、お答えを願います。
 2つ、ポスト2次振計――第3次振計は、単に1次振計、2次振計をつなぎ継承するものであってはならないと考えます。これまでの経過を見ても、軍事基地が振興開発の最大の障害になっていること、さらに赤土による沿岸や河川の汚染など、今、開発のあり方が問われています。

 結論的に申し上げますと、安保、基地の容認、大企業の利益に奉仕する乱開発と環境破壊ではなくて、何よりも交通問題の解消など県民生活の基盤整備を優先させ、中小企業など地場産業の育成を施策の中心とし、県民の総意を反映させて推進しなければなりません。県案作成に当たっても、市町村や県民各層の意見を反映させ、県議会の審議を経るなど県民自治を尊重する立場から制度的な改善などについても検討し、政府に提言すべきではないかと思います。御答弁を願います。
 第3の質問は、消費税についてであります。
 天下の悪税と言われ、参議院選挙で国民が自民党に厳しい審判を下した消費税が、施行されて既に8カ月たちました。その消費税が今、県民の生活や営業にどのように影響を及ぼしているのでしょうか。
 11月8日付の地元夕刊紙には、日本生活協同組合連合会が突施した調査結果が報道されています。この調査は、会員の家計簿に基づいて消費税の負担について調査したもので、9月分の調査結果と消費税が施行された4月から9月までの半年間の調査結果を比較分析したものです。
 それによると、9月の1世帯当たり平均の消費税負担は7769円、半年間では4万8501円となり、月平均して8000円余の消費税を納めていることになります。また、老人世帯や年金で暮らしている世帯など低所得者層ほど収入に対する消費税の負担率が高くなっていて、その逆進性がますますはっきりしたとしています。
 これは、全国各地の会員を対象に調査したものでありますが、本土との消費支出の格差はありますが、本県の各世帯でもかなりの額の消費税を負担していることが予想され、かえって収入に格差があるだけに逆進性で負担率は全国平均よりも高くなり、家計を圧迫していると思われます。
 今、県内の農協や漁協では上半期の決算を終えたばかりですが、これらの団体や中小零細業者の皆さんについて、私は聞き取り調査を行いました。
 南部地域のある農協では、半年間の生産資材の農家への売上額は9500万円、その3%のおよそ285万円を農家は消費税として支払ったことになります。この農協の正組合員は706人、1人平均4037円の消費税になります。実際には専業農家や第1種兼業農家が肥料など資材を多く買っているわけです。農業経営にも大きな圧力となっております。
 農家の場合は、他の勤労者世帯と同様に生活のための消費物資、サービスに消費税を払っているほか、農業生産に必要な生産資材や機械機具なども消費税がかかります。それに生産した農畜産物、漁業でしたら水産物は競りで価格が決まります。消費税でコストが上がっても、それを上乗せして自分で価格を決めるわけにはまいりません。二重、三重に消費税で苦しめられています。
 また、零細な小売業者など仕入れには消費税が取られるが、これが転嫁できない。毎月の決算はしていないのでよくわからないが、来年の確定申告は赤字申告となるだろうと言っております。
 特に、建設業関係の孫請などをしている零細業者の場合は、もっと大変なようであります。資材代の消費税はきちっと取られて仕事をしているが、親請、元請の会社がそれを払ってくれない。今後も仕事の上でお世話にならなければならない立場にあるので、それを要求することもできない。結局は泣き寝入りする事例が多いようであります。
 以上、幾つかの事例について申し上げましたが、消費税は今、県民の生活や営業を直撃し、県民を苦しめています。しかし知事は、これまで消費税の導入を容認するというだけではなくて、9月定例会での我が党上原亀一郎議員の質問に、消費税を骨抜きにするような見直しはやめなさいと海部総理に言ってきたと答弁しております。これを積極的に推進する態度をとり続けてまいりました。県が主管する公共料金に消費税を上乗せしてまいりました。
 しかし、知事や政府・自民党が言うように、消費税は老齢化社会へ向けての福祉財源ではなく、軍事費調達のための財源であることがいよいよ明白となりました。在日米軍の駐留費の全額を日本が負担せよとのアメリカの圧力が強まる中で次年度の防衛費が4兆円を突破、大幅に伸びることが報道されております。
 一方では、厚生年金の支給年齢を60歳から65歳に引き上げ、あるいは保険料金を引き上げるなど福祉切り捨ての策動が一層強まっていることを見れば、消費税導入のねらいが軍事費調達の財源であることは明白です。
 そこで、知事に次のことを質問します。
 1つ、国民の厳しい審判と国民世論の盛り上がりで、自民党もついに消費税の見直しを言わざるを得ない立場に追い込まれています。しかし見直しは、国民世論をそらすごまかしの手ロ、消費税はもはや廃止しかない。知事は、ここに至ってもなお消費税を積極的に推進する立場をとり続けるおつもりか、お答えを願います。
 2つ、消費税が導入されて既に8カ月、県民の生活や営業に既に深刻な影響が出てきています。県は、その実態をどう調査し把握しているか。もし実態を十分につかんでないとするならば、これからでもすぐ調査すべきではないか、お答えを願います。
 3つ、今、自民党の見直し案の骨子とか、内容というのがいろいろ報道されています。知事は、消費税が公布施行されると、率先して県営住宅の家賃や水道料金などに消費税を上乗せする措置をとりました。これら県が公共料金に上乗せした消費税は今すぐ廃止すべきです。知事のお答えを願います。
 4つ、さきに述べたように零細建設業者の実態は深刻です。少なくとも県が発注する公共工事に関しては消費税を上乗せしており、これが下請や孫請の段階でどうなっているのか実態をつかむ必要があります。すぐ調査をし、適切な指導をすべきですが、お答えを願います。
 5つ、野菜など農産物や水産物については、競り価格の3%を消費税分などとして上乗せし農家や漁家に支払われていますが、もうすぐ決まるであろうサトウキビの取引価格についても同様な措置を当然とるよう県は指導するか、お答えを願います。
 第4の質問は、基地及び安保の問題についてであります。
 知事は、これまで本県議会で安保繁栄論を繰り返し展開し、軍事基地を積極的に容認する立場をとり続けています。
 しかし、9月定例会での私の質問、沖縄県の振興開発と軍事基地との関係についての指摘に対して知事は、軍事基地が本県の都市開発、交通網の整備など振興開発を進める上で支障を来していると答弁しました。そして基地の整理縮小を県政の重要課題として位置づけ、その促進に努力しているとか、第3次振計でも重要課題として対応したいと答弁しました。結局は知事も、軍事基地が振興開発の阻害要因であることを認めざるを得なかったのであります。
 軍事基地は、日常的に県民の生命と財産の安全を脅かしているだけでなく、平和で住みよい町づくり、産業の健全な発展を阻害する最大のがんであります。これらの軍事基地を、本県を初め我が国に置く根拠とされているのが日米安全保障条約、再び日本を戦争に巻き込む危険な軍事同盟です。国の安全と平和にとって、このような軍事同盟がいかに危険であるか、私たち日本国民は、過去の日独伊三国同盟の歴史を教訓にしなければなりません。
 真に日本と世界の平和と繁栄を望むならば、我が党が一貫して主張し続けているように日米安保条約を廃棄し、非同盟中立の道を進む以外にありません。
 これら軍事同盟は、第2次世界戦争後の米ソ対立、冷戦体制のもとで構築されたものです。今、これら軍事同盟と核兵器をなくせとの世論が国際的にも大きく広がりつつあります。
 ところが、本県における軍事基地の状況は、これと逆行するものとなっています。ますます激しくなる軍事演習と基地の強化が相次いで行われています。
 多くの県民が、思想信条の違いを乗り越えて、かつての四原則貫徹、島ぐるみ土地闘争のように立ち上がっています。そして米軍の横暴と、それを容認している政府、これに追従する西銘県政に対し怒りの声が全県的に広がっています。
 そこで、次のことを知事に質問いたします。
 1つ、県民の抗議をしり目にますます激化する軍事演習に対する県民の怒りの声は、知事には聞こえないのですか。県民に責任を負う知事として、現地の米軍や在日米軍司令部にみずから乗り込んで抗議し、演習をやめよと申し入れたことがありますか。あったら、御説明願います。

 2つ、都市地域戦闘訓練施設は、本議会の4回にわたる抗議決議や意見書の採択を無視し既に恩納村に建設され、あとは演習の開始を待つばかりと聞いております。県民と県議会の意思を無視した米軍のこの暴挙と、これを許した政府に対し、これから知事はどう対応されるのかお答え願います。
 今回のフィリピンの内乱に普天間基地などからの米軍出動も伝えられています。かつての朝鮮戦争やベトナム戦争で、沖縄の米軍基地が内政干渉、民族自決権侵害の侵略基地としての役割を果たした歴史的な経過から見ても、このような戦闘訓練は阻止しなければなりません。
 3つ、伊江村へのハリアーパッド建設に関する9月定例会での我が党宮里議員の質問に対し知事は、村当局が受け入れるための条件を提示し那覇防衛施設局との間で合意したもので、自治体がとった措置に対し反対する考えはないと答弁しました。
 ここで言う条件の1つは農業用水の確保です。確かに伊江村の村民は、農業用水の確保を強く要求しています。しかし演習で牧草地に入れなくなると、畜産はどうなるのかなど多くの農民は複雑な気持ちで事態の成り行きを見守っております。農業用水の確保は、本来的には施設局の業務ではなく、県を含め農民の要求にこたえられなかった自治体がうまく利用されたことになります。この農民の要求にこたえられなかった責任を、県政の立場から知事はどう受けとめておられるかお答え願います。
 4つ、安保と基地に対する知事の姿勢についてであります。
 安保繁栄論にも見られるように、安保、基地に対する姿勢は、一口で言って安保堅持、基地容認ということになるでしょう。
 しかし知事、あの恩納村での座り込みでは、我が党の県議や市町村の議員を初め多くの県民が党派を超えて恩納村民と行動をともにしました。かつて米軍支配のもとでの島ぐるみ闘争の場面を再現しました。この県民の基地に対する対応の変化、これを知事はどう受けとめ、対応しようとするのか。もはや安保廃棄、基地撤去しかない。お答えを願います。
 5つ、知事は9月定例会での私の質問に、基地の整理縮小に努力すると答えられましたが、具体的には明らかでない。
 そこで、私の方から具体的に提起したいと思います。我が党の方針は、日米安保条約第10条に基づく安保条約の廃棄と軍事基地の全面撤去でありますが、少なくとも知事は、日米安全保障協議会で返還が合意された63施設、5665ヘクタールについては、移設などと言わずすべて無条件で返還させなければなりません。今なお45.6%しか返還されてないとはもってのほか、残り3082ヘクタールについても今すぐ無条件に返還せよと要求し実現しなければなりません。
 お答えを願います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 最初に、予定されておりませんでした知事の政治姿勢についてただされましたが、私が伊集盛元議員にいたした答弁につきましては、現在、東ヨーロッパで起きている歴史的な事実についてこれを評価したわけでございまして、伊集議員の発言の中に日本共産党に対する批判はなかったと私は受けとめております。
 そういうことで今、質問の中で日本共産党に対する評価を求められたわけでございますが、古い、大変厳しい時代で終始一貫して平和を守ることに徹した共産党の態度については、私なりの評価をいたしているわけでございます。
 具体的にどういう評価ということについては申し上げられませんけれども、少なくとも私は、伊集議員の発言の中に日本共産党云々という積極的な表現はなくて、いわゆる共産党全体に対する動きを批判したものでございまして、これはもう共産主義ではやっていけないと。これはもうゴルバチョフがマルクス・レーニン主義をみずから否定している言動が新聞紙上にも出ているとおりでございまして、そういう東ヨーロッパで起きている事実について、これは事実でございますから、これは認めざるを得ないわけでございまして、これがそのまま共産党評価につながる面もありまするし、つながらない面もございますので、これは適正に評価すべきではないかとこういうふうに私は考えております。
 次に、国庫支出金の要求額について、余りありがたいような発言はするなと、当たり前じゃないかと、予算概算要求基準の枠外に置いてやれという激励がございましたけれども、お答えいたします。
 本県は、さきの大戦において我が国唯一の戦場となって甚大な被害をこうむり、かつ戦後長期にわたり我が国の施政権の外に置かれたことなどによりまして、各分野において本土との間に著しい格差を生じております。
 このため、沖縄の復帰に伴い沖縄振興開発特別措置法が制定されまして、総合的な沖縄振興開発計画が策定され、本土との格差の是正と自立的発展の基礎条件の整備を目標にもろもろの施策が今日まで講じられてきたことは御案内のとおりであります。
 その間、沖縄振興開発事業費については、その趣旨に沿って補助率のかさ上げ、国直轄代行による事業主体等の特例に加えまして、毎年度、公共事業のシェアの拡大を図るなど特段の配慮によりまして所要の額の確保が図られてきたのであります。
 その結果、道路、港湾、空港、学校校舎等の社会資本の整備を中心にして各面にわたる本土との格差は縮小され、本県の経済社会は総体として着実に発展していると考えております。
 平成2年度の概算要求の内容につきましても、第2次沖縄振興開発計画以降の振興開発のあり方を探るため、本年度に引き続きこれまで実施してまいりました施策全般についての総合調査を実施するために沖縄振興開発総合調査費が要求されているとともに、首里城公園、那覇空港自動車道等の継続プロジェクト及び沖縄のみち自転車道、沖縄コミュニティーアイランド事業等の地域活性化につながる新規事業もすべて芽出しされており、本県の振興開発に必要な事業について、県の要望に配慮いたしましたきめ細かな要求がなされていると高く評価をいたしております。
 したがって、今月末に予定されている予算決定に向けまして、沖縄開発庁を初め関係省庁との連携を密にし、概算要求が満額確保できるよう最大限の努力を払っていく所存であります。
 次に、第3次振計の県案作成に当たっては、市町村や県民各層の意見の反映など県民自治を尊重する立場から制度的な改善などについても検討し、提言すべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 第3次沖縄振興開発計画の県案策定に当たっては、県民の総意を反映させるため県内の各界各層から振興開発審議会委員及び専門委員を委嘱いたしまして各面から御提言をいただくほか、市町村長、民間諸団体等の意向調査及び県民選好度調査を実施するなど、県民の意向が計画に十分反映できるよう進めてまいりたいと考えております。
 なお、県議会での審議につきましては、第2次振興開発計画策定時の例に倣って対処してまいりたいと思います。
 次、消費税についてお答えいたします。
 消費税に対する国民の審判は下った。それでも知事は今でもこれを容認し積極的に推進するのかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 消費税の創設は、負担の公平の確保、2つ目に、高齢化社会への対応、3つ目に、個別間接税制度の問題点の解消等の観点から正しい選択であると理解いたしております。
 しかしながら税制については、現在及び将来にわたる国民生活や経済取引並びに財政運営に深く関連するものであり、さらには社会に対する国民の考え方や国際関係にも大きな影響を与えるものであることから、その理論的正当性だけでなく、社会経済情勢や国民の意向を踏まえて不断の見直しが行われていくべき性格のものであると理解いたしております。消費税についても国民の声に十分耳を傾け、その仕組み等について社会経済の実態に合うよう適宜見直していくことが必要であると考えております。
 次に、県民生活への影響についてただされましたが、お答えいたします。
 県民生活に影響を及ぼす便乗値上げの防止や物品税等の廃止に伴う値下げが適正に行われているかについて、価格の調査を実施し把握いたしております。

 物価モニターによる価格動向調査30品目についてでありますが、この調査では、3月から8月までの価格上昇率の比較において、食料品10品目についてでありますが、食料品が3.2%、雑貨衣料、これは6品目についてでありますが、2.3%、サービス、5品目についてでありますが、2.6%と上昇し、耐久消費財、これは5品目についてでございますが、マイナス6%、その他、3品目についてでございますが、マイナス0.9%の下落となっております。
 また、価格調査員による10月の調査結果を主な品目20品目について見ますと、3月と10月を比較した場合、生鮮食品7.2%、加工食品0.9%、日用雑貨マイナス2.5%、石油製品2.5%となり、率の平均をすると2%の上昇であります。
 次に、県が公共料金に上乗せした消費税は、今すぐ廃止すべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 消費税は、最終的にはその負担を消費者に転嫁することを予定している税であります。そのことから、県が行う財貨、サービスの提供等で消費税の課税対象となる公共料金等については消費税の転嫁措置を行ったところであります。
 消費税については、廃止や見直しの論議があることは承知いたしておりますが、現に消費税法が施行されている以上、その趣旨に沿って行った消費税の転嫁等の措置を取り下げる考えはございません。
 次に、県が工事を発注する場合は消費税を3%上乗せしているが、下請、孫請に税の転嫁を指導すべきではないかという御提言に対してお答えいたします。
 県は、消費税の導入に際して、建設工事請負契約書に、請負代金のうち取引に関する消費税額を別記することにより発注者が負担すべき税を受注者に認識させ、税の円滑かつ適正な転嫁を図っております。
 元請、下請の関係においても、その趣旨を踏まえまして消費税額を見込んだ適正な額による契約の締結を行うよう建設業の関係団体を通して指導をいたしているところであります。
 次に、野菜などの農産物や水産物については競り価格に3%の消費税分を上乗せしているが、サトウキビの取引価格についても同様な措置を指導するかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 てん菜、カンショなどと同様、政府支持価格農産物であるサトウキビの生産者価格は、パリティー方式により算定されておりますことは御案内のとおりであります。農家が農業生産を行うに当たって必要とした課税仕入れ、肥料、農薬等に消費税分は含んでおります。
 なお、課税対象農家には生産者価格に消費税額分が含まれていないことから、納税証明書等があれば納付消費税相当額を糖業者が戻すことになっております。
 次に、基地及び安保問題についてお答えいたします。
 知事みずから司令部に乗り込んで抗議をし、中止を申し入れろという御提言がございましたが、お答えいたします。
 県は、機会あるごとに米軍に対しまして安全の確保、事故の未然防止、演習の自粛等を申し入れているところであります。
 また、三者連絡協議会の場で米軍に対し基地被害の防止等について申し入れており、在日米軍に対しても同様の申し入れをいたしているのであります。
 次に、都市型戦闘訓練施設を建設した米軍の暴挙と、これを許した政府に対して知事はどう対応するかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 恩納村における都市型戦闘訓練施設の建設については、米軍及び外務省等関係機関に対し中止を要請してきたところであります。
 なお、同施設での実弾を使用した訓練は実施しないよう引き続き要請してまいりたいと思います。
 次は、伊江島を例にとって農業用水の確保についての御提言がございましたが、お答えいたします。
 伊江村における農業用水の確保につきましては、例年の干ばつ被害を解消する必要から、村当局を初め土地改良事業の受益者である農家からの申請に基づきかんがい排水事業等により計画的に整備を進めているところであります。
 なお、御指摘の防衛施設庁予算による農業用水確保につきましては、障害防止対策事業により100%の国庫補助でため池整備を行うものであります。
 恩納村での座り込みにあらわれたように県民の基地に対する対応が変化してきていると。それに対して知事はどう対応するかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 都市型戦闘訓練施設の建設につきましては、同施設が住民地域に近いこと、恩納区の水源地があること等の理由から村民が反対しているものと理解いたしております。
 県としては、同施設での実弾を使用した訓練は実施しないよう米軍を初め関係機関に対し引き続き要請してまいりたいと思います。
 次に、基地の整理縮小について、返還合意を見ている施設のうち、まだ返されない施設については無条件で返還を求めるべきではないかという御提言がございましたが、お答えいたします。
 県土の狭い本県においては、移設条件つき返還合意であっても、新たな施設区域の提供ということは原則として考えておりません。
 県としては、施設区域の再編統合という形で今後とも基地の整理縮小を図ってまいりたいと思います。
○親川仁助君 議長、ちょっと休憩願います。
   午後2時6分休憩
   午後2時7分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) そういう、知事みずから乗り込んで抗議せよという御提案もこれは確かに立派な提案でございますが、それぞれ部長、課長、副知事ございまして、当然こういう問題は直接会わなくても常に話し合っていることでございまするから、そういうことで政府と話し合い、またアメリカに乗り込んで大統領と話し合い、関係機関にそれぞれきめ細かく具体的に提案いたしておりますので、私がみずから先頭に立って、赤鉢巻きでもして抗議するようなことは私としてはとりたくございません。そういうことです。
○議長(平良一男君) 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 社会党・護憲共同を代表して質問をいたすのでありますけれども、まず、高齢化社会及び障害者福祉並びに県警本部長に対する質問事項が書いてありますけれども、これはひとまず取り下げておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、まず第1点でありますけれども、第3次振興開発計画であります。
 このことに関し、県や開発庁が既にその準備作業に入っていることに敬意を、まず表しておきたいと思います。
 第1次振計が終わり、第2次振計も残りあと2年と迫りましたが、この間、国からの投資は道路が1兆300億、下水道や環境衛生事業に4700億、港湾、漁港、空港などには4600億、あるいは農業基盤整備事業には3000億、その合計およそ2兆9000億の国費が投入されたわけでありますけれども、第2次振計が終わる2年後にはおよそ3兆円になるだろうということが予想されております。
 しかし、それにもかかわらず県民所得は依然として本土の7割をようやく超えたところでありますし、失業者は本土に比べておよそ2倍、勤労者世帯の平均貯蓄額はおよそ半分、生活保護世帯は2倍、住宅1人当たりの面積は8割程度にいったけれども、大学や短期大学に進む子供たちはいまだに本土に比べて7割、こういう状況であります。
 このほかに水問題があります。交通網の整備や農業基盤整備事業も立ちおくれております。都市の再開発事業もやっと手をつけたばかりであり、都市公園などの整備事業も強力に推進し、都市の構造やその機能はまだまだ強化をされなければならない、こういうふうに考えます。三たび振興開発計画を策定し、国の責任においてその事業実施を求めていこうとする県民の要求は当然なことであります。したがって、依然として格差是正こそが3次振計で強く主張されなければならないと私は考えております。
 そこで、知事にお尋ねをしたいのでありますが、3次振計づくりに向けた専門委員会がスタートをいたしました。スタートをしただけにこの時点で知事の考え方を明確にしていただきたいのでありますけれども、このごろ、1次振計及び2次振計では振興開発計画の目標は格差是正、こういうふうに置かれていた、格差是正にその目標が置かれていた。しかしながら3次振計ではこの格差是正ではなくて、地域の特性を発揮した形での、生かした形での沖縄づくり、こういうことが今いろいろ言われているわけであります。

 もちろん私とても、地域の特性を生かした沖縄振興開発事業のあり方について反対するものではありませんし、むしろ沖縄の特徴を生かした形でなければ沖縄の振興開発はできないということは私自身よく承知をしているし、そのことも一緒になって強調したいわけであります。
 しかし先ほども申し上げたように、おくれた部門が復帰後20年近くにもなりながらいまだに格差が目につき、膨大な米軍基地を背負わされ、国内法の適用さえままならないこの沖縄の現状において、さらには沖縄経済が観光、基地及び県外収入からの財政移転で県民総生産の約半分を賄っている現状。こういう現状の中で格差是正という目標を第3次振興開発計画の中で後ろに退けて、地域の特性を強調するとき、その後に来る政府の論理は、格差がなくなったので、したがって沖縄はもう終わりだ、こういうふうな追い打ちがかけられてくるのが論理の必然であります。
 沖縄が今、主張すべき目標は、依然として格差の是正であり、これを正面に据えながら、その中で地域特性論を展開すればよいのであって、沖縄の側から格差是正論を後ろに退けて、そして沖縄の特性論だけを前に出していくのであれば、行政、制度の上で非常に困難な立場に追い込まれるのではないのかと、こういうふうに考えるわけです。
 次に、3次振計は、私たち沖縄県民が4半世紀にわたって進めてきた復帰運動を、経済、社会、生活基盤の角度から見て、その総括でなければならないと考えています。
 沖縄復帰運動で私たちは、即時無条件全面返還、こういうスローガンを掲げてまいりました。このスローガンに掲げた県民の願いは、基地も核もない平和で豊かな沖縄県づくり、これが私たち県民の願いであったわけであります。
 今日、基地は別にいたしましても、社会、経済、教育、文化の面でまだまだ本土との格差はあるけれども、各県に比べて大きく立ちおくれてはいるけれども、一定の均質性は成就ができたというふうに、あるいは回復ができたというふうに考えます。
 3次振計の策定作業が始まった今、県民はあの復帰運動に注ぎ込んだ情熱をそのまま沖縄の21世紀に向けたロマンと夢を振興開発計画にかけているわけであります。この県民のロマンと夢を物的な面で保障するのがいわば振興開発計画であります。
 知事は、県民のこの夢をどのように生かし、引き出し、計画の中に生かそうとするのか。この場合、どのような手順とスケジュールで県民の声を聞き、3次振計の中で生かそうとするのか、そのことをお聞かせをいただきたいのであります。
 次に、開発庁の存廃問題でありますけれども、沖縄復帰の時点で、開発庁の設置は新たな高等弁務官府をつくることになるのではないかという論議がありました。今日では沖縄県民から認知をされた沖縄開発庁であり、その果たした役割はマイナス面よりか、むしろプラスの面が多かったというふうに私は考えて評価されるべきだと考えます。形式的にはともかく、実質的には官僚統治システムがほぼ完壁に近い形で機能している日本の官僚機構の中にあって、沖縄という一地方のみに限って振興開発事業を担当する機構があるということは、沖縄県民に対する国の責任を明確にするという立場からも私は評価をされるべきだと、こういうふうに考えるわけです。
 ところで、この沖縄開発庁を北海道開発庁と国土庁と統合しようではないか、統合すべし、こういうふうな第2臨調の報告があるわけでありますけれども、行政改革という流れの中で答申されたものでありますが、これに対して私は断固反対をいたします。
 沖縄開発庁統合論の裏には、沖縄はもう終わった、そういう論理が見え隠れしますし、沖縄への特別措置撤廃につながる論理が見え隠れして、さらに沖縄に対する国の責任が、いわばもう果たし終えたという論理の延長に開発庁廃止論が出ているというふうに私は認識するんです。
 そういう意味で、さきにも指摘しましたように第3次振計の目標から格差是正論を抜き去ることによって開発庁廃止論に一層拍車をかけることになり、沖縄開発庁統合を打ち出した臨調答申に知事がどのようにお考えになっているのか、そのことについてお聞かせをいただきたいのであります。
 次に、第3次振興開発計画に産業政策をどのように位置づけしようとしているのか、そのことについてお尋ねをしたいわけでありますけれども、産業政策一般について、きょうここで議論する時間も余裕もございませんのでそのことは省きますけれども、いずれにしても今出ている県の計画を見ているというと、専ら3次振計の中で描かれている産業政策の中軸がリゾート構想を柱にして動き出そうとしている、こういうふうに私は見受けるわけであります。
 1次振計の中で構想された工業誘致政策が失敗をし、2次振計の中でも雇用効果の期待できる目ぼしい産業立地が展開できないまま、観光と基地収入と財政支出のみに専ら依存せざるを得なかったことへの反省が、3次振計ではリゾート関連産業を沖縄の自立とその発展に向けた戦略産業として位置づけ、沖縄の産業構造を21世紀に向かって大胆に変革再編しようとする構想が、さきに発表された沖縄トロピカルリゾート構想で明らかになっているのであります。
 私は、昭和61年2月の議会で観光と農業に効率的に投資をし戦略産業としての位置づけをすべしということを、知事にこの場で提言をしたことがあるのでありますけれども、そのことに対して知事は、必ずしも観光にこれを絞り、農業だけにこれを絞るわけにはまいらないのであります、こういうふうな答弁をいたしております。それがなぜ今、観光産業をリゾート構想と呼びかえて、沖縄が21世紀に向けて戦略産業として構想するようになったのか知る由もありませんけれども、いずれにしても国民の休暇、休日がふえ、週休2日制が潮流となり、産業構造の変革が外国からの圧力によって実行されようとしている現在、日本のリゾート保養基地として最適な諸条件を備えた沖縄県が、いち早くその作業に取りかかっていることについては、私も是とするところであります。
 しかしながら、この沖縄トロピカルリゾート構想なるものを見てだれしもが驚き、かつ不安に思っていることは、沖縄全域をリゾート法の特定地域に指定をし、そのうち9地区を重点整備地区とし、その総投資規模はおよそ6800億円、3次振計の終わるころには観光客の入り込みがおよそ600万人、その収入はおよそ2兆3000億、こういうふうなことを言っているわけであります。
 観光産業を戦略産業として位置づけることに、私自身異議を挟むつもりはありませんけれども、それは何といったってやはり節度あるものでなければならないし、何よりも県民の日常生活と調和のあるものでなければならないというふうに考えております。何にも増して沖縄県民のアイデンティティーが損なわれるようなことであってはならないし、観光客の入域者数を、さっき言った600万人と、こう構想すると、1カ月50万の観光客が入域をする、こういうことになるわけであります。これでは観光客のための沖縄になりかねず、沖縄のネイティブというのは表から姿を消してしまって、歓楽のちまたでばっこする観光客そのものが沖縄県の主人公になる、こういう危倶を抱かざるを得ないわけであります。
 米軍基地に広大な土地を占有されている沖縄が、今度は観光客とその施設によって囲い込まれるという心配と不安が県民の中に充満しているのであります。
 沖縄に入る年間600万人に及ぶ観光客の水問題はどうするんですか。大規模投資は現在でも本土や外国の大手資本であります。山岳や海浜にリゾート施設が際限なく建設されると、環境破壊やコミュニティーの瓦解がそれに続いてきます。沖縄のネイティブ性が崩れ、事大主義者が世にはばかる事態になりかねません。
 観光産業を戦略産業として位置づけながらも、無定見な肥大化を防ぎ節度ある規模と量が問われなければならないし、むしろその質こそが今後は問われなければならない、こういうふうに考えるわけであります。すなわち県土面積、水問題、沖縄社会への影響、交通などあらゆる角度から見たキャパシティーを設けて、民間が進めている開発計画に総量規制がやはり実施をされるべきだ、こういうふうに考えるわけでありますけれども、知事の御見解を承っておきたいと思います。

 次に、基地問題であります。
 2次振計では知事は、できるだけ早急に整理縮小を図るとしてこれまで施策を進めてきたわけであります。3次振計でもなお整理縮小を目標に掲げてその施策を進めていくつもりであるのか、それをお尋ねしたいわけでありますけれども、私はむしろ、もはや基地の整理縮小ではなくて、明確に基地の撤去そのものこそが打ち出されてしかるべきではないのかと、こういうふうに考えるんです。
 東欧諸国における変革への潮流は、もはや押し戻すことのできない歴史的な転換期を迎えております。北大西洋条約機構軍とワルシャワ条約機構軍の同時解体が歴史の舞台にあらわれてまいりましたし、ベルリンの壁の崩壊は、東西ドイツの統一という機運を一気に高めることになっております。
 一昨日の新聞報道によりますと、EC首脳会議も条件つきながら東西ドイツの統一を了解をいたしております。戦後政治体制を律してきたヤルタ体制は完全にその機能を失い、アメリカはソ連に貿易面における最恵国待遇を与えると同時に、ココムによる規制も見直すと発表しております。
 EC諸国はまた、東ヨーロッパの経済立て直しのため欧州銀行の設立も承認しました。
 翻ってアジアを見たとき、ソ連と韓国は領事館の相互設置を決め、南北朝鮮は次第に各面での交流が始まっております。このような関係国の動きを見た場合、南北朝鮮の統一も遠からず実現するとの希望が現実のものになりつつあると見るのが、私は素直な国際情勢の見方だ、こういうふうに考えます。
 そこで、さて、このような国際状況の中で3次振計の策定作業が始まるわけでありますけれども、もはや2次振計で示した基地の整理縮小ではなく、明確に基地の撤去を打ち出すべきであると考えます。
 アジアから火種が消えつつある現在、何ゆえにこれから後10年間、沖縄の米軍基地を沖縄に固定しなければならないのか、県民の多くが疑問を持っているところであります。そのことについて知事の所見を伺いたいと思います。
 次に、消費税についてお尋ねをいたします。
 知事は、これまで一貫して、どのような角度からの指摘に対してもかたくなに消費税の必要性とその妥当性を主張して譲らなかったのであります。ところが、国会では今、自民党さえもがその不合理性に気づき、見直し案を発表いたしております。野党はもちろん廃止法案を国会に上程し、参議院では本日可決される見通しになっております。
 海部総理は、抜本的な見直しと言い、自民党の奥田国対委員長は、参議院選挙敗北の結果、深刻な反省をしたと語っております。
 この欠陥だらけの消費税なるがゆえに、提案者みずからが今度の国会にその見直し法案を提案をしようとしているところであります。
 そこで、知事にお尋ねをするのでありますが、知事は今でも、これまでのように消費税を礼賛をしているのかどうか、その所信をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、厚生年金問題についてであります。
 このことは、本県議会において幾人もの議員からその不公平を指摘し、その是正策を求めてきたのでありますけれども、先日ようやく厚生省は重い腰を上げて法律の一部改正が衆議院を通過したのであります。これでもなお沖縄の厚生年金受給者が救われないということが明らかになっております。
 今回改正された点、それでもなお積み残された点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
 最後になりましたけれども、知事の政治姿勢であります。
 去る5日に、宮里松正衆議院議員及び仲村前衆議院議員を支持する県議会議員の諸君が集まって、米村出納長を通して知事に次のような申し入れをしたということが報道されております。この報道内容は、野党としては聞き捨てにならない事項が含まれておりますので、見逃すわけにまいりません。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、まず、報道の内容を要約すると、第1点は、県庁ぐるみで西銘順志郎氏の運動をしているので、これはやめるべき。第2点は、知事は表向きは保守3議席確保と言っているが、西銘順志郎氏のためになりふり構わぬ動きをしている。第3点は、知事公舎は今や順志郎氏の事実上の選対本部である。第4点は、県庁幹部を初め一部の公務員は、その地位を利用した運動をしている。第5点は、業者にはその弱みにつけ込んで圧力をかけている。
 以上が新聞に報道された内容の要約でありますけれども、申し入れた県議会議員団は、御丁寧に記者会見をして、県政の私物化を許さず、あるべき県政運営に戻すためであるとも述べております。
 そこで、知事にその真否をお尋ねをしたいのでありますが、まず第1点は、県政与党である議員諸公が、知事が県政を私物化していると断定をしていることは、西銘知事に対する不信感が充満していると見るのが素直な受けとめ方であります。このことについて事実関係を、知事の御感想をひとつお聞かせいただきたい。
 第2点は、県庁ぐるみで西銘順志郎氏の運動をしているとの指摘は、明らかに知事の見えざる圧力を県庁職員が感じているということであり、県庁職員をして票集めのための集票マシン化することであり、民主的行政運営を著しくゆがめていく結果になるのでありますが、この点の感想をお聞かせいただきたい。
 第3点は、知事は、順志郎氏のためになりふり構わぬ動きをしているということであります。なりふり構わぬということは、法律や規則、条例はおろか、確立された選挙のルールや知事の置かれた政治的立場も一切顧みることなく、一心不乱に順志郎氏当選のために立ち回っているということでありますが、知事のとるべき態度ではありません。したがって知事の所見を伺いたい。
 第4点は、知事公舎は今や西銘順志郎氏の選対本部であるということでありますが、その事実関係について明らかにしていただきたいのであります。
 第5点は、県幹部を初め一部の公務員は、その地位を利用して業者に圧力をかけているということについて知事の見解を求めておきたいと思います。
 以上です。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 岸本忠三郎議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 第3次振興開発計画について、その基本理念と性格についてただし、地域特性の発揮と格差是正の考え方について御質問がございましたが、お答えいたします。
 御指摘のとおり、第1次及び第2次振計では、格差是正を基本的な理念の1つとして各種の施策を積極的に推進した結果、各面にわたる格差は着実に縮小されつつあります。
 しかしながら、依然として立ちおくれている分野も多く、解決すべき課題も多く残されております。
 また、高齢化、国際化、情報化など急速に進展する社会経済情勢に適切に対処しつつ、本県の地域特性を生かすための各種基盤整備を強力に推進し格差是正を図りつつ、自立的発展を達成するためには引き続き国の特別の支援が必要であると考えております。
 次に、第3次振計策定の手順及び県案策定に当たって県民の意向を反映させる手法についてただされましたが、お答えいたします。
 第3次沖縄振興開発計画策定の手順と日程につきましては、まず、平成元年度において、これまでの第1次及び第2次振興開発計画期間中における施策事業について総点検を行い現状と課題を明らかにし、これを踏まえて平成2年度においては、12月を目途に第3次沖縄振興開発計画大綱を策定いたしまして国に対し、第3次振興開発計画策定の必要性と沖縄振興開発特別措置法の延長について要請を行い、計画大綱の内容について調整を図ります。平成3年度においては、第3次沖縄振興開発計画の県案を作成いたしまして、沖縄振興法の改正を待って平成4年度の冒頭に知事原案を国へ提出いたします。
 第3次沖縄振興開発計画策定の手順と日程については、おおむね以上申し上げたとおりであります。
 県民意向を県案に反映させる手法については、県内各界各層から振興開発審議会委員及び専門委員を委嘱し、現計画の総点検、計画大綱、3次振計県案についてその都度審議をいただくほか、市町村長、民間諸団体の意向調査及び県民選好度調査を実施するなど、県民の意向を計画に十分反映できるよう進めてまいりたいと思います。

 なお、県議会との関係では、第2次振興開発計画策定時の例に倣って適当な時期に御意見を徴したいと考えております。
 次に、沖縄開発庁の存廃問題についてただされましたが、お答えいたします。
 沖縄振興開発については、今日まで沖縄開発庁を初め国の特段の配慮のもとに各般にわたる振興策が総合的に、一体的に講じられた結果、本県経済社会は総体として着実な発展を遂げてきております。
 しかしながら、財政依存度の高い経済構造など依然として解決しなければならない多くの課題を抱えておりますことは、御指摘のとおりであります。したがって21世紀に向けた県づくりの基本となる第3次沖縄振興開発計画の策定等の諸施策を今後とも推進していくためには、沖縄開発庁の存続は必要であると考えております。
 次に、産業政策の構想について、特に観光産業が戦略的産業であるとの前提に立っていろいろただされましたが、お答えいたします。
 御案内のとおり、本県の自然的、文化的特性がリゾート開発に適していることから、4全総において国際的規模の観光保養地域の形成が位置づけられているところであり、本県には数多くの民間によるリゾートの開発整備計画があります。このことは、リゾートの立地ポテンシャルが高いことを示すものでございまして、リゾート産業が今後の産業振興施策を構築する上でさらに重要な位置を占めるものと考えております。
 県においては、開発の指針となるリゾート沖縄マスタープランを作成し適正な立地誘導を図るとともに、リゾート法の諸制度を活用することによって、これらの計画が規模的及び質的にも国際的に通用するよう整備を促進してまいりたいと思います。
 御指摘のように、具体的な整備に当たっては自然環境の保全、創造を図りつつ、関連産業の育成、関連インフラの整備、人材育成等への十分な配慮のもとに県民の総意を結集して進めていく所存であります。
 最後に指摘いたしましたとおり、これがそのまま高じてきますというと、観光客の中に沖縄人が埋没するようなことになってはならない、県民不在のリゾート開発であってはならないという御提言に対しましては、これは私も賛意を表するものでございまして、こういうことのないようにしていきたいと思いますが、当分はそういう心配はないと思います。
 差し当たっては、先ほど申し上げましたとおりいわゆるマスタープランをつくりまして、どういう形で諸制度を活用していくかということに重点を絞っていく必要があると考えております。
 次に、第3次振計との関連で、もう基地問題は整理縮小どころか、早くこれをなくせよと、そういう御提言でございますが、それもなかなか思うとおりまいりませんけれども、県は、基地の整理縮小、返還跡地の有効利用を県政の重要課題としてこれを位置づけましてその促進に努めているところであります。第2次振計の総点検を踏まえまして、これをどういう形で位置づけていくか、県政の重要な課題でございますので、基地全廃論につきましては、世界情勢の変化等も考慮いたしまして、繰り返して申し上げているとおり陸・海・空がそれぞれ個別に使っている施設を、どういう形でこれを整理統合という形で一緒に使うと、共同して使うと。縮小整理も大事でございまするけれども、整理統合という形で検討していく必要があるのではないかと考えております。
 消費税については、知事は、政府や自民党が見直しをしているのに、まだこれは正しいと考えているのかと、いつまでたっても我を張って聞こうとはしないではないかというおしかりだと思うんですが、お答えいたします。
 親川議員にもお答えしたとおり、消費税の創設は、負担の公平の確保、高齢化社会への対応、個別間接税制度の問題点の解消等の観点から、今でも私は正しい選択であったと理解いたしております。
 しかしながら税制については、社会経済情勢や国民の意向を踏まえて不断の見直しが行われていくべき性格のものであります。消費税につきましても国民の声に十分耳を傾け、その仕組み等については社会経済の実態に合うように適宜見直していくことが必要であると考えております。
 厚生年金問題につきましては、生活福祉部長から答弁させることにいたします。
 最後に、知事の政治姿勢についてただされましたが、お答えいたします。
 公務員は、政治的に中立の立場を堅持し、行政の公平な運営を確保しなければならないものであります。このようなことから、地方公務員法等によりまして政治的行為の制限がなされていることは御案内のとおりであります。
 県といたしましても、機会あるごとに職員に対し法令を遵守するよう注意を喚起しているところでございまして、言われるような県職員による選挙運動はあり得ないものと考えております。
 また、知事公舎におけるそのような事実はございません。
 最後に、5点にわたって御質問がございましたが、政治の私物化ということでございますが、私は、岸本議員が御案内のとおり公正に行政を運営することを目標にいたしておりまして、政治を私物化する考えは毛頭ございませんし、ただ、順志郎を出したということで政治の私物化と言われれば、これはまた親ばかのそしりもあわせて受けなければなりませんけれども、それにもいろいろ経緯がございまして順志郎の出馬になったわけでございますが、それであるがゆえに順志郎だけの当選を図っているわけではございません。機会あるごとに3名当選させろと。皆さん方の御協力によって、国政参加以来、自由民主党の目標は3名公認、3名当選、そういうことでありまするから、御協力を賜りたいということを言っております。
 岸本議員、私の性格をよく知っていると思いますが、なりふり構わぬようなそんな下手な選挙は絶対やりませんので、御安心願いたいと思います。
 知事公舎の利用でございますが、そんなために、順志郎のために知事公舎を使うようなことはほとんどいたしておりません。あくまでも公平な立場で、また必要な費用もできるだけ自腹を切ってちゃんと公私の別を明らかにして使っておりますので、御指摘のような心配はございませんので、御理解を賜りたいと思います。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 岸本議員の御質問にお答えいたします。
 先ほどの御質問は、いわゆる今回の厚生年金問題に関する特例措置をどういうふうな形で評価しているだろうか、あるいはどういう内容で、どうされるのかというような御質問だったというふうに理解いたしておりまして、それに対してお答え申し上げます。
 厚生年金の格差是正については、県民の強い要望を踏まえて県として繰り返し要請を行ってきたところでございますが、現実的には大変、極めて困難とされていたものでございます。
 今回の措置は、対象者が限定されてはいるが、かなりの前進を見たものと評価いたしており、厚生省を初め関係各位の御配慮に感謝いたしているところでございます。
 しかしながら、適用の遡及が認められなかったことについては、厚生年金保険制度上前例がなく、他に及ぼす影響が極めて大きいとして認められなかったということでございます。
 今回の措置の内容の概略をちょっと申し上げますと、1つとして、復帰時の資格期間短縮の特例措置の対象者に、保険料の特例納付を認めて本土の中高齢特例並みの年金額を保障しようとするものでございます。
 第2点に、報酬比例部分の年金額が、本土の加入者並みの15年に達するまで保険料の特例納付ができるようにしたということであります。
 第3に、保険料額は、昭和45年1月における標準報酬月額等を基準とするとしたことでございます。
 第4に、特例納付期間は、平成2年4月1日から5カ年間とすると。
 第5に、年金額は、保険料の納付が完了した翌月から加算される等であり、適用の遡及は含まれてございません。
 認められなかった分については将来、どういう方法をとり得るかなどについて幅広く検討してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。

○議長(平良一男君) 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 あと8秒ということでありますんで、知事に質問じゃなくて要望をしておきたいと思うんですけれども、2次振計あるいは1次振計の中に格差是正という言葉があります、その目標に。
 したがって、その振計の中の目標という項目があるわけですが、その中から格差是正という言葉をなくしちゃいけませんよ、このことを言いたいわけです。
 そのことをひとつ要望して、知事の答弁は要りませんけれども、いずれにしても目標の中に格差是正を目標として振興開発計画を進めるんだと、その言葉をなくしちゃいかぬということを言いたいわけです。
 以上です。
○議長(平良一男君) 喜納昌春君。
   〔喜納昌春君登壇〕
○喜納昌春君 こんにちは。
 午後前半の最後を飾りまして、社大党の代表質問をさせていただきます。
 質問に入ります前に、一言所見を述べておきます。
 私は戦後派で無戦派で、そういうたぐいの連中はロマン派だと思っております。そういう意味で、うまい、下手の話もありますけれども、午前中の与党の質問の中で西銘知事4選の決意を伺われたわけですが、先ほどの質問にもあったように、与党が今三枚岩という状況の中でああいう答弁しかできなかったかなと、西銘知事の弱気というか本音というか、県民大多数の声があればということがあったわけですけれども、そういう意味では、うまくいくと西銘知事にとって最後の12月定例議会、下手するとという話もありますけれども、そういう意味で感慨深げにこの12月定例議会に際して社大党の代表質問をさせていただきます。
 最初に、沖縄の基地問題について質問いたします。
 今月12月2日から3日と、ブッシュ米大統領とゴルバチョフソビエト書記長のマルタ島での洋上会談が行われました。
 米ソの首脳による会談は、今回で14回を数えると言われておりまして、その間には、1987年12月の米ソのINF全廃条約の締結などもあって、国際情勢は緊張緩和の方向にあることは衆目の一致した見方と言えましょう。
 しかし、復帰18年目の沖縄は、国際情勢の流れとは全く逆に軍事基地は強化され演習は激化の一途であります。
 日本の全国の0.6%しか占めない面積の沖縄に米軍専用施設の75%が集中し、伊江島ではハリアー訓練施設、宜野座、恩納村では、地元住民や村当局の絶対反対の声を無視して強行建設されております。
 軍事演習は、読谷村におけるパラシュート降下訓練、核戦争を想定した核防御訓練、NBC訓練、日米韓及び環太平洋の国々との戦後最大の大合同演習など枚挙にいとまがない異常ぶりであります。
 県道104号線越えの実弾射撃演習は頻度を増し、3日連続の演習が恒常化しております。
 一方、ホワイト・ビーチには、核兵器の原潜が反対する県民の意思を踏みにじり自由自在に寄港し、嘉手納基地にはB52戦略爆撃機が安易な台風避難の口実で飛来し核基地沖縄の疑惑は強まる一方です。
 さらに、去る10月29日には金武町で新聞配達中の婦人が殴打されたり、10月31日には基地内から沖縄県民をねらって撃ったエアガンの発射事件、11月4日には北谷町北谷キャンプ・フォスター内で短銃強奪事件などが相次いで発生しております。
 そこで、沖縄県民の生活と生命を守り、平和な県づくりや、地域開発のすべての障害となっている基地を早期全面撤去させる立場から以下の質問をいたします。
 第1には、在沖米軍基地の返還問題で防衛庁は昭和63年10月ころから、知事が渡米して返還要請した7項目含めて泡瀬通信施設や嘉手納マリーナの2施設についても交渉検討中と言われますが、県は具体的にはどう把握されておりますか。
 第2点目には、在沖米四軍調整官のH・C・スタックポール少将が、恩納村の都市戦闘訓練場での訓練を近々に始めると言ったようでありますが、事実関係はどうなっておりますか。県は、こうした米軍の県民の声に挑戦した態度にどう対処してきましたか。
 第3点目には、同訓練場を日本政府の予算で他の場所に移す用意があるとの報道がされていますが、この事実関係はどうなっていますか。その後、政府からの何らかの説明、申し入れはあったかどうかお聞かせ願います。
 4点目と5点目はくっつけます。12月5日から「ビーチクレスト90」という在沖米海兵隊を中心に大がかりな軍事演習が展開されていますが、この演習で、冬場の民間機の出発進路になる空域を新たに臨時の訓練空域設定の航空情報が運輸省に出されているということであります。県にはどんな連絡があって、どう対処してきましたか。県民の足の安全確保の立場からするならば、絶対に許さないという強い態度が必要と考えられますが、知事の見解をお聞かせ願います。
 6点目に、12月1日にフィリピンで発生したフィリピン軍の反乱事件で、アキノフィリピン大統領は、アメリカのブッシュ大統領に軍事支援の要請をし、プッシュ大統領はそれを了承。それに伴って在沖米軍の特殊部隊が派遣された疑惑が持たれていますが、米軍基地があるがゆえに県民がいや応なしに隣国の戦争や紛争への加担という形で巻き添えを食う危険性が事実となってきましたが、報道された事実関係は把握されているかどうか。そしてまた県は今後、こうした事態が生じた場合、どう対応するお考えか、知事の明快なる御見解をお聞かせ願います。
 こうした演習等による県民の命や財産、生活を恐怖に陥れる諸悪の根源は、すべて基地あるがゆえ。我が党は、今こそ西銘知事が安保条約廃棄の立場に立ち、米軍基地の即時全面撤去を県民とともに国に主張すべきと考えますが、知事の明快なる見解をお聞かせ願います。
 次に、今、国会でも焦点になっております県民が最も関心を寄せている厚生年金の格差是正問題について以下の質問をし、沖縄が27カ年間、米軍の異民族支配下に置かれたために、県民に責任がない社会保障のひずみが生じてきたための今回の厚生年金の格差是正問題を国の責任で早期に実現していくというあるべき姿を求めていきたいと考えます。
 1点目には、今国会での全面解決が言われていますが、どういう経過が県に報告されておりますか。
 2点目には、格差是正のための加入遡及については、昭和29年5月1日という労働団体や県経営者協会の一致した要求がなされてきたと思いますが、今回の1970年1月1日時点に、特例対象者で、しかも来年現在61歳の県民という基準が打たれたための違いは何なのか。
 3点目は抜きます。
 4点目に、事業主負担分については、県民としては一致して国が負担すべきと要請してきましたが、是正策では、厚生年金制度全体でそれを支えていくという形だと言われますが、実際的にはどういうことか説明願います。
 5点目に、今回の是正策から見て、大正15年4月1日以前に生まれた人を例にとり、国が出したモデル案で見た場合、加入32年5カ月の場合、格差はゼロになるのかどうか。ならないとしたら、どういう格差が残るのか、その理由は何かお聞かせ願います。
 6点目に、今回の是正策から落ちこぼれる人はいるのかどうか。どんな人たちが落ちこぼれをするのか。そしてまたこの人たちの救済策はどう考えられているのか、明確にお答え願います。
 次に、消費税の問題についてお尋ねいたします。
 消費税については今、国会で見直しか廃止かをめぐって論議が続けられていますが、自民党の見直し案がようやく決まり、やっと与野党の論議が具体的になってきました。
 我が党は、この消費税については立法論議の段階から、国民の垂直的公平感に逆行するものであり、極めて少数の高所得者層にのみ減税を与え、絶対多数の低所得者層には増税をもたらすものとして、不公平税制の見直しどころか、逆に拡大につながるものとして反対してきました。
 特にこの消費税は、実施段階で構造的にも計算技術的にも仕組みが複雑で多くの矛盾を抱えていること。我が国の複雑な流通機構の中では、その執行及び事業者の対応が極めて難しく、税務行政、執行面においても従来の税制に比べて大きな困難と混乱を招く欠陥税法であることを繰り返し指摘してまいりました。

 この視点から、今度の自民党の見直し案を見ますと、最大の焦点となった食料品の取り扱いについて生産、卸段階での1.5%の軽減税率と小売段階での非課税との2本立て構成は、消費税の仕組みをますます複雑化させ、加えて卸と小売の区別をめぐって流通業界に混乱を招くものであります。また見直しの目玉とされた逆進性の緩和も、実際にはほとんどが実現されないという専門家の指摘もあり、抜本的見直しにはほど遠い内容となっています。
 そこで、以下の質問をいたします。
 1点目には、自民党の見直し案に対する知事の御見解をお聞かせ願います。
 2点目には、政府や自民党でさえ見直さざるを得ない消費税について、現時点での知事の御所見をお聞かせ願います。
 3点目には、県下全市町村の2分の1以上の27市町村で拒否されております消費税転嫁ですが、知事は県においても撤回すべきと思いますが、知事の率直な御見解をお聞かせ願います。
 次に、第3次沖縄振興開発計画について質問いたします。
 第2次沖縄振興開発計画があと2年余で終わる現時点で、同計画後の沖縄の地域振興のあり方、いわゆるポスト2次振計の問題が各界、各分野で論議されています。
 県でも、11月27日に3次振計の大綱案策定に向けた沖縄県振興開発審議会の専門委員が決定され、目標である来年12月の3次振計大綱案の策定に照準を当てた取り組みが本格的にスタートしました。
 また、国の沖縄振興開発審議会も既に発足し、ポスト2次振計に向けた振興開発の全体像についてのフリーディスカッションが総合部会専門委員会で行われています。
 このように、ポスト2次振計、つまり第3次沖縄振興開発計画の策定作業は事実上スタートしているわけでありますけれども、沖縄振興のあり方は、第1次振興開発計画の反省、第2次振興開発計画の達成状況を踏まえた第3次振興開発計画の策定でなければならないだけに、現時点でのこの問題が県民の前に開かれた論議がなされることが肝要だと思います。
 問題は、第1次、第2次の振興開発計画の策定の経緯の正確な把握とその真剣な総括がなされるかどうかであります。軍事基地の取り扱いに象徴されるように過去の振計が形だけの沖縄案であったり、実は政府案、国の立場に立った計画になっていたのではないかという点についての十分な反省が必要ではないかと思います。
 そこで、以下の質問をいたします。
 1点目には、第1次、第2次の振興計画で達成できなかった、もしくはできそうにない最も重要な課題とその理由は何ですか。
 2点目には、現在、沖縄の地域振興において最も重視していく分野は何か、御見解をお聞かせ願います。
 3点目には、沖縄の振興開発計画と軍事基地の関係について御見解を賜りたいと思います。
 4点目に、第3次振興開発計画の必要性を最も強く感じられる部分についての知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、航空運賃問題について質問いたします。
 航空運賃の問題は、離島県である我が県にとって県民生活、企業活動、文化、産業振興、行政行動、政治活動等のあらゆる面に波及関連する根本問題であります。
 この問題については、本議会でもことしの2月定例会で「航空運賃の低減に関する意見書」を全会一致で採択し政府折衝を行ってきました。
 また、マスコミ等でも再三シンポジウムや連載企画等でキャンペーンを繰り広げてきている経緯があります。そうした中、先月の17日に沖縄経済同友会がユニークな提言を行っております。
 沖縄経済同友会の提言は、本県が陸路選択のない我が国唯一の遠隔地離島県であることを基本認識に、行政上の措置と航空会社の経営措置に分けて具体的に提言しています。
 注目したいのは、行政上の措置であります。運輸省は、去る30日、来年4月から6月に実施を予定している国内航空の運賃改定で公租公課の値下げによる運賃値下げは盛り込まない方針と伝えられています。理由は、年末の予算編成までに事務手続を進める余裕がなく、事実上困難となったためということであります。航空運賃に含まれる公租公課とは、乗客が負担する各種税金や施設利用料等で、普通着陸料、特別着陸料、航法援助施設利用料などから成る空港使用料や航空機燃料税などがあります。まさに、沖縄経済同友会の提言にあります特別措置が期待されるものの1つであります。
 そこで知事に質問いたします。
 1点目には、国内航空運賃の問題で県民運動の先頭に立つ決意がおありかどうか。
 2点目には、運輸省は公租公課の値下げによる運賃値下げは、1991年度からスタートする第6次空港整備5カ年計画の策定時まで持ち越す見込みであるが、知事はどうお考えになられますか。
 3点目には、沖縄経済同友会は、この問題を第3次振計に盛り込むようにとの提言でありますが、知事の御見解をお聞かせ願います。
 次に、教育関係の問題について質問いたします。
 教育関係の問題では、へき地級地の見直しについての問題と高校授業料の値上げ問題について質問いたします。
 文部省から3月31日に新しいへき地級地の基準が公布され、それに基づく作業が終え、輪郭が浮かび上がり、北部には100%影響がなく、宮古に予想外の影響があることがわかり慌てたとのことであります。この段階で久米島も仲里、具志川両村挙げて級地見直しによる引き下げを深刻な問題として取り上げ、取り組んできたことに対する県の認識の甘さを指摘せざるを得ません。その後、文部省に沖縄の海洋性離島としての実情を訴えたり、九州地区の教育長会議で沖縄の問題を訴えてきたとのことでありますが、公布以前には問題の所在がわからなかったという説明とその後の対応ぶりには、本当に沖縄の実情を必死に訴えて食い下がってきたという実感がわかないのは私だけでしょうか。
 しかも、どう見ても副知事が文部省に行き、文部省側が台風常襲地域という沖縄の特殊事情を配慮、級地点数の見直しを基本的に了承したというのが背景にあると言われ、これでは責任ある教育長の姿勢と誠意の不十分さが問われても仕方あるまいと思われます。
 地域に僻地性はあっても、教育に僻地性があってはならないという県民の切実なる叫びが教育行政の本道になる視点から、以下の質問をいたします。
 第1点目に、今回のへき地級地の見直しのねらいは何ですか。
 2点目に、新しい基準と従来のものとの変わった特徴点はどこですか。
 3点目に、基準が公布されたときの4月段階の説明会では何の疑問も問題点も本当に感じなかったんですか。
 4点目には、新しい基準に沿っての作業が8月中旬までかかったというのは長過ぎたのではないですか。
 5点目に、8月の作業終了以降、問題が浮かび上がったと言いますが、その問題とは具体的には何でしょうか。
 6点目に、県教育庁として新基準がつくられる前、及び作られた後、沖縄の海洋性離島であることや台風常襲地域であるとの文部省への説明、訴えはどのように行ってきましたか。
 7点目に、今回の見直しで、県としてまだ引き下げが不当だと思われる地域がありますか。この地域の救済はどうしていく考えですか。
 8点目に、人事委員では3年ごとに見直しがあるようですが、本県が全体的に離島僻地に該当するとの立場に立ち、沖縄本島の本土条項からの削除を国へ強く要求すべきだと考えますが、教育長の見解を求めます。
 次に、高校の授業料値上げの問題について質問いたします。
 本県の高校進学率は、1988年5月1日段階で90.8%となっており、ほとんどが義務教育に近い状態にあることは衆目の一致するところです。
 しかも、本県の県民所得は、昨年度で全国平均の75%しかない状態で、そこに全国一律に授業料や入学考査料、入学料がアップされたのでは、家計に大きく響くことは必定です。加えて本県は、宮古、八重山などを初め多くの島々を抱え、そこから高校に進学する場合は、下宿代や生活維持費も余分に家計を圧迫している現実です。
 一方では、離島の場合、義務教育の段階から、なお多くの公的保護を受けなければならないという低所得の実態という二重三重の、他県とは違った現実を抱えています。

 しかも、値上げの理由の1つには入学料への消費税の転嫁が挙げられていますが、その税制が国民の圧倒的な反対を受けて今国会の中で廃止・見直しなどの大論議がされている最中であることを考えるとき、極めて妥当性を欠くものと言えましょう。
 こうした観点から今回の授業料を初めとする値上げによる父母への負担増に疑問を禁じ得ず、以下の質問をいたします。
 第1点目には、値上げについてはどこで、どのように審議、検討してきましたか。
 2点目には、値上げを決める場合、父母、県民などの声をどう反映させてきましたか。
 3点目には、他県と同一視できない経済的、地理的特性からくる過重負担をどう考慮してきましたか。4点目はないですが、これは基本的な考えですから、こういう問題を踏まえながら、県当局に授業料値上げを含めて撤回する意思がないかどうか明確なお答えをお願いします。
 次に、婦人の地位向上の課題について質問いたします。
 12月1日に労働省は、平成元年版の婦人労働の実情、いわゆる婦人白書を発表しました。
 これによりますと、女性の職場進出はさらに広がり、パートを含めた女性雇用者は、昨年1年間で前年より55万人ふえて1670万人となり過去最高で、全雇用者に占める割合もO.3%ふえて36.8%と、これまでの記録が更新されたとのことであります。
 均等法が施行され4年目を迎えた今日、増大一途の婦人労働者の雇用実態を県内的にも明らかにし、全国一低い県民所得という家計を夫とともに支えている婦人労働者の健康と安全、雇用労働条件、家庭との両立、そして婦人労働者の地位向上の観点から以下の質問をいたします。
 第1には、県内の婦人労働者の最も新しい雇用の実態はどうなっていますか。
 第2点目に、勤務形態及び労働時間はどうなっておりますか。
 3点目には、1985年に制定された労働者派遣法に基づく労働者派遣業を営む会社はどのぐらい県にあり、その経営主体の県内、県外出身状況はどうなっておりますか。
 4点目に、県内のパートタイマーは全体でどのぐらいおりますか。男子、女子の比率はどうなっておりますか。
 5点目に、パートタイマーの年次有給休暇及び雇用保険の適用状況などはどうなっていますか。
 また、パートタイマーを抱える企業への法制の変化に伴う行政的指導はどのように行っておりますか。
 次に、婦人の地位向上の課題と関連し、県庁内における婦人労働者の雇用実態から以下の質問をいたします。
 第1に、県に働く知事部局の労働者で女子の占める比率はどうなっておりますか、最近5年の傾向を含めてお聞かせ願います。
 2点目に、一般職と格付職員の中における女子職員の比率はどうなっておりますか。この九州類似県との比較はどうなっておりますか、お聞かせ願います。
 第3点目に、女子職員の役付など昇進の基準はどうなっておりますか。男女によって基準が違うのかどうか、お聞かせ願います。
 国は、2000年に向けて女性の登用率を15%――これは管理職の場合です――を目標としているようでありますが、県としても制度的にもっと積極的に女性の登用に力を入れていくべきと考えますが、県の見解と今後の決意のほどをお聞かせ願います。
 最後の質問、知事の姿勢について1点だけお聞かせ願います。
 県民の切実た訴えで今日までまだ結論が出せない、平成元年第5回議会に提案された沖縄県の休日を定める条例について、その後の経過を聞きながら知事の姿勢をお聞かせ願います。
 この条例の根拠となった地方自治法の一部改正は、あくまでも地方公共団体における土曜閉庁方式の導入のための法的措置であり、決して自治を否定するものではなかったと考えます。改正地方自治法第4条第2項で規定する地方公共団体での休日として条例で定めることができるものは、あくまでも例示規定であって制限規定ではないという立場に立つのが憲法第92条や第94条及び地方自治法第2条第12項の地方自治の趣旨に沿うものと考えます。
 多くの慰霊の日の休日存続の陳情が寄せられ、また12月7日の第40回沖縄県遺族連合会大会でも、6月23日慰霊の日の休日存続の要請が満場一致で採択され、依然として日ごとに休日存続の声が高まっていると考えます。
 そこで知事にお伺いしますが、第1には、これまでの慰霊の日の休日存続を訴える県民の声は、陳情、要請を含めて何件に上っておりますか。
 2点目に、最後ですが、県民の圧倒的存続の声にこたえるためにも沖縄県の休日を定める条例を修正し6月23日を加えていく、慰霊の日を加えていく考えはないかどうか、明快なる前向きの御見解をお聞かせ願います。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 喜納昌春議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 基地問題についてお答えいたします。
 知事訪米で返還要請した施設を含めて泡瀬通信施設や嘉手納マリーナ等の返還が検討されているようだが、県は具体的に把握しているかという御質問がございましたが、お答えいたします。
 安全保障協議委員会における返還合意施設区域、訪米時における返還要請施設区域、また市町村の返還要望施設区域等が日米合同委員会において検討されていると承知いたしております。
 なお、それぞれの施設について具体的な結論ないし方向づけはまだ出ておりません。
 次、スタックポール調整官が戦闘訓練場での訓練を近々始めると発言したようだが、その事実関係はどうなっているか、御質問がございましたが、お答えいたします。
 米軍は現在、恩納村の都市型戦闘訓練施設の環境整備を行う予定になっており、その整備状況によって訓練の時期が検討されるようであります。
 県としては、同施設での実弾を使用した訓練は実施しないよう、米軍を初め関係機関に対し引き続き要請してまいりたいと思います。
 次に、戦闘訓練施設を日本政府の予算でほかに移す用意があるとの報道について御質問がございましたが、お答えいたします。
 当該施設を日本政府予算で他の場所へ移設することについて、政府から説明も申し入れもございません。
 次、去る12月5日から「ビーチクレスト90」という大がかりな軍事演習が展開されているが、県にはいつ通告がされ、またその内容と規模はどうなっているかという御質問に対しましてお答えいたします。
 ビーチクレスト90は、海兵隊が中心となって海軍、空軍と合同で12月5日から12日までの予定で実施している総合演習で、主に北部訓練場と伊江島周辺地域において防空訓練、空対空訓練等通常の訓練を3軍が連携して行うものと聞いております。
 なお、演習については、訓練区域ごとに通常の演習通知はあるが、ビーチクレスト90としての時間帯、規模、機種等具体的な内容についての通知は県に来ておりません。
 次に、ピーチクレスト90の演習では臨時訓練空域の設定がなされ、運輸省に航空情報が出されているというが、県はどのような連絡があって、どう対処したか、御質問がございましたが、お答えいたします。
 臨時訓練空域は、運輸省と米軍との間において民間航空交通の安全確保に配意して設定されているものと理解いたしております。
 さきに発生したフィリピンのクーデター事件で在沖米軍の特殊部隊が派遣されたと報道されたが、県は調査し、事実関係を把握しているかという御質問に対しましてお答えいたします。
 フィリピンのクーデター事件で在沖米軍の特殊部隊が派遣されたか否かについて米軍に照会したところ、軍の作戦行動についてはコメントできないとのことでありました。
 なお、海外の戦闘海域への米軍の出動は事前協議の対象となっており、国において判断されるものと考えております。
 次は、安保廃棄の立場に立って米軍基地の即時全面撤去を国に主張すべきであるという御提言に対しましてお答えいたします。
 米軍の演習等によって県民に被害を与えることは絶対にあってはならないと考えており、機会あるごとに綱紀の粛正や、演習に際しての安全確保の徹底、事故の未然防止等を申し入れているところであります。また、我が国にとって日米安保条約は必要であると考えております。

 厚生年金について6項目の御質問がございましたが、これにつきましては生活福祉部長から答弁させることにいたします。
 次、消費税問題について3点にわたっての御質問がございましたが、お答えいたします。
 消費税の必要性については先ほどお答えしたとおりであります。しかし、消費税に対しては国民からの見直しの要望が強いことも事実であります。それを受けて自民党税制調査会で見直し案がまとめられているところであり、近々、国会に提案されるものと思われますので、国会の審議動向を見守ってまいりたいと思います。
 なお、御指摘の消費税の転嫁について、これを撤回する考えはございません。
 次に、第3次振計の取り組みについて、1次、2次の振計計画で達成できなかった、もしくはできそうにもない最重要課題とは何かとただされましたが、お答えいたします。
 本県の振興開発につきましては、これまで2次にわたる沖縄振興開発計画に基づき、本土との格差是正と自立的発展の基礎条件の整備を目標に諸施策を講じてきたところであります。その結果、道路、港湾、空港、学校教育施設等の整備がかなり進展し、本土との格差は着実に解消されつつあります。しかしながら、水資源の安定確保を初め厳しい雇用環境、総合交通網の整備、高い財政依存度、米軍施設区域の整理縮小などは依然として解決しなければならない重要課題であると考えております。
 沖縄の地域振興において最も重視している分野は何かという御質問がございましたが、お答えいたします。
 本県の地域振興に当たっては、本県が有する地理的特性を生かし農林水産業の振興、観光、リゾートの開発、国際交流の場の形成や各種イベントの開催等特色ある産業振興を推進してきたところであります。
 第3次振興開発計画の取り組みに当たっても、現在のところ、1つ、地理的特性を生かした国際交流拠点の形成、2つ、亜熱帯海洋性自然と特有の伝統文化等を活用した国際的なリゾート地域の形成、3つ目に、地域特性を十分に活用した産業、文化の振興、4つ目に、産業構造の変化に対応して情報産業、リゾート関連産業等新しい分野の開拓、5つ目に、国際化の進展や産業構造の変化に対応し、経済社会のニーズに対応した人材の育成確保、6つ目に、各離島の特性を生かした離島振興、7つ目に、軍用地の整理縮小などが重要な課題であると考えております。
 振興開発計画と軍事基地の関係についてただされましたが、お答えいたします。
 県は、基地の整理縮小、返還跡地の有効利用を県政の重要課題として位置づけ、その促進に努めているところでありますが、第3次振計においては、第2次振計の総点検を踏まえまして前向きに取り組んでいく考えであります。
 第3次振興開発計画の必要性を最も感じられる分野について知事の所見をただされましたが、お答えいたします。
 第2次沖縄振興開発計画もあと2年余を残すだけとなりましたが、その間、国の積極的な施策の推進と県民の努力が相まって本県経済社会は総体として着実に発展してまいりました。しかしながら、水資源の安定確保を初め生活、産業基盤等引き続き開発整備を要する分野も多く、また産業振興の立ちおくれ、厳しい雇用情勢、財政依存度の高い経済構造、米軍施設区域の整理縮小など解決しなければならない多くの課題を抱えている状況であります。
 したがって、これら山積する課題の解決を図り本県の自立的発展を達成するためには、本県の地域特性の発揮に必要な諸基盤を総合的に整備し、21世紀に向けた新しい県づくりの基本となる第3次沖縄振興開発計画の策定がぜひ必要であると考えております。
 航空運賃問題について3点にわたる御質問がございましたが、お答えいたします。
 航空運賃の低減については、これまでも機会あるごとに国や関係機関に対し要請を行ってきたところであります。去る税制改革によりまして通行税の廃止が実現し航空運賃の値下げが図られ、県民の負担も軽減されたとはいえ、運賃総額は依然として高く県民の大きな負担となっております。
 県としては、関係機関とも協議して、今後とも引き続き公租公課の軽減、割引運賃制度の拡充等の措置によりまして航空運賃の低減が図られるよう要請してまいりたいと思います。
 なお、航空運賃問題に関する沖縄経済同友会の提言については貴重な提言として受けとめ、第3次振計に盛り込むことについては県案策定の段階で検討してまいりたいと思います。
 婦人の地位向上の課題につきましては、商工労働部長から答弁させることにいたします。
 婦人の地位向上の課題と関連いたしまして、県職員における女子職員の比率、女性の登用についてただされましたが、お答えいたします。
 知事部局職員全体に占める女子職員の比率は約40%となっておりまして、九州各県の比率が23.4%でございまして、これと比較すると女子職員の占める比率は高い状況でございます。
 また、役付職員のうち女子職員の役付比率は約20%となっておりまして、九州各県平均は16.3%となっている状況であります。
 なお、県職員の昇任については男女の区別なく勤務成績、その他能力の実証に基づいて実施しているところでございまして、今後とも女子職員の昇任等については積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、各種審議会委員等への女性の登用についても、平成元年4月1日現在で115委員会に対し56委員会に女性を登用しており、今後とも前向きに対処してまいりたいと思います。
 次、慰霊の日の休日存続についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 慰霊の日の休日存続に関する要請については、平成元年11月末現在、那覇市長外66団体となっております。
 沖縄県の休日を定める条例を修正して23日を加える考えはないかと御提言がございましたが、お答えいたします。
 地方公共団体は、地方自治法第14条第1項の規定により、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができ、また地方公務員法第24条第5項の規定により職員の勤務時間その他給与以外の勤務条件を定めるに当たっては、国及び他の地方公共団体との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならないことになっております。
 今回改正された地方自治法第4条の2の規定は、地方公共団体における土曜閉庁方式の導入のための法的措置を図るとともに、国と地方公共団体との業務が密接に関連していること、利用者である住民の利便及び国及び地方公共団体との均衡等を考慮して制定されたものであります。またこれは制限列挙規定であると理解しており、慰霊の日を除いた沖縄県の休日を定める条例を提案いたしたところであります。
 慰霊の日については、去る第2次世界大戦において多くのとうとい生命、財産及び文化的遺産を失った冷厳な歴史的な事実にかんがみましてこれを厳粛に受けとめ、戦争による惨禍が再び起こることのないよう、人類普遍の願いである恒久の平和を希求するとともに、戦没者の霊を慰めるために定められたものであり、今回の土曜閉庁関係条例の改正等に伴い県職員の休日から慰霊の日が削除されましても、沖縄県慰霊の日を定める条例は残るわけであります。その理念はいささかも変更することなく継続するものであります。
 また、県としては、慰霊の日にふさわしい慰霊祭等の諸行事を従来どおりとり行う考えであり、世界の恒久平和のために一層努力する姿勢に変わりはございません。
 なお、提案中の沖縄県の休日を定める条例及び沖縄県職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例については、撤回することも修正することも考えておりませんので、御理解を賜りたいと思います。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 喜納議員のへき地級地の見直し並びに今回の授業料の改正についての御質間にお答えします。
 まず、へき地級地の見直しの8点でございますが、その1点の今回のへき地級地の見直しのねらいについてお答えします。
 へき地学校指定基準は、昭和47年の一部改正以後16年間の経過を経ております。この間、社会経済の進展に伴って僻地と都市、いわゆる平地との格差の質も変化してきたことから、それに対応するためへき地学校指定基準の改正がなされたものと理解をいたしております。

 2点目のこの基準について、従来と変わった特徴についてお答えします。
 今回のへき地学校指定基準の改正点は多岐にわたっております。その主なものにつきましては、まず1つに陸地用基準点数関係であります。それから2つに島用基準点数表関係、これはたくさんありますが、代表の4点だけ申し上げます。3つに基準点数の補正の関係、それから4つに付加点数関係の改正等が主な内容になっております。
 また、今回新たに「文化施設までの距離」及び「食料品、日用品等の購入地までの距離」等も加味されていることになっております。
 それから、3点目の基準が公布されたときの4月段階の説明会では何の疑問もあるいは問題点も感じなかったかということの御指摘にお答えします。
 平成元年4月18日にへき地教育振興法施行規則の一部改正についての担当者会議が持たれております。文部省からへき地級地の基準について説明がなされましたが、基準を見ただけではどの地域にどう変化するかについては掌握することは大変困難であります。この作業につきましては大変膨大な作業並びに日時を要しまして、1校ごとの点数を算定して初めて見直しの状況の輪郭がわかり、問題点が明確になったものであります。そしてその作業が終わったときが8月中旬ということになります。
 それから、4点目のこの基準に沿っての作業が8月中旬までかかって、これ自体、長過ぎたのではないかという御質問にお答えします。
 先ほども申し上げましたが、平成元年3月31日に省令が公布され、4月18日に担当者会議で新基準の説明がなされた後、市町村教育委員会への点数算定依頼、教育事務所での点検、運行回数証明依頼等の資料収集、それから全へき地学校の点数算定表の作成、市町村教育委員会の提出資料との突合、それから不一致箇所の連絡調整等、膨大な作業があり、完了したのが8月であります。
 そこで、へき地級地の見直しにつきましては、慎重を期すために、県といたしましても時間を早急にかけたわけですが、ちなみに他県の事例を見ますと、10月の時点まで本県に問い合わせている県もありますし、決してその作業が長過ぎ、かつ遅かったとは理解いたしておりません。
 それから5点目です。8月の作業が終了した後、どういう問題があったかの御質問にお答えします。
 当初の見直し後の状況でございますが、まず1つには、本島などの内陸の僻地に比べて離島のへき地校に級地ダウンする学校が生じたということであります。
 それから2つには、高度へき地校のうち19校が高度へき地校から外されるという事実であります。その結果、教職員の人事異動にも支障がありますし、また特に高度へき地校でなくなる学校におきましてのパン、ミルク、修学旅行等の国庫補助になります対象から外され、父母負担の増を招く等の問題点が生じたことであります。
 それから6点目ですが、県教育庁として新基準がつくられる前及びつくられた後の沖縄の海洋性離島であるということ、それから台風常襲地帯であることの文部省への説明等についてお答えします。
 これは、省令が改正される前、これは去年から既にその作業につきまして私どもは着手をいたしております。そういうことで本県としての独自の要請では、あくまでも海洋性の離島県という本県の特殊性を反映した基準ということは、しょっちゅう要請し続けております。
 それから、九州ブロックの教育長協議会を通して、特に九州各県の後進性の問題、あるいは特殊性を反映した基準の改正についても訴えております。
 全国の都道府県教育長協議会からも、このへき地問題については要請をされております。
 ちなみに、この省令の改正後でございますが、見直しの結果を説明し、本県の特殊性を反映させる方法はないか、それからへき地教育振興法施行規則第6条第2項第1号の不健康地の規定を、台風常襲地域等として本県に適用することはできないか、及び基準の見直しについて要請を行っております。
 それから、九州地方教育長協議会、あるいはまた九州地方人事給与主管課長会議等からも国への働きかけを協議いたしております。
 また、私自身も既に新聞報道等で御案内のとおりですが、11月13日並びに11月22日におのおの主管課長並びに主管の局長、関係者に、その特殊性について、特に台風常襲地域の問題あるいは海洋性離島の問題等をるる説明し、なおまた国庫補助の経過措置については重々説明をしております。この問題を県として取り上げまして、既に御案内のとおり11月30日には、宮城副知事が知事名の要請をもちまして文書並びにまたじかに要請をさせていただいております。
 それから7点目でございますが、見直しによって、県として引き下げが不当だと思われる地域があるかということ、それからまたその地域の救済についての御質問ですが、お答えします。
 へき地教育振興法第5条の2の規定では、へき地級地の指定は、へき地教育振興法施行規則で定める基準に従わなければならないものとなっております。県教育委員会としてはその基準を遵守する立場にあり、今回の見直しはその基準に基づいて行ったものであります。
 今後とも、高度へき地の対象外となる学校につきましては検討してまいりたいと考えております。
 8点目の問題ですが、御指摘の人事委員会では3年ごとということにつきましては、それじゃなくして6年ごとの御指摘だということでお答えをさせていただきます。
 この問題は、御指摘のとおり県庁所在地がある本島を含めた県全体を離島として位置づけることは無理があると考えます。
 なお、へき地級地の基準につきましては、へき地性を適切に反映するものでなければならないと考えますので、本県の海洋性離島僻地の特殊性が十分反映した基準になるよう、その見直しにつきましては今後とも関係機関に要請してまいりたいと考えます。
 次に、高校授業料等の値上げ問題につきまして3点の御質問にお答えします。
 今回の値上げ問題についてどこで、どのように審議、検討してきたかについてお答えします。
 平成元年度、国の地方財政計画の基準額が改定されたことに伴いまして、県教育委員会の教育施策推進委員会におきまして県立高校授業料等の見直しに当たり、高等学校PTA連合会、校長会及び高教組への説明会を持ち、意見を聴取しております。またこれらの意見を反映するとともに、私費負担の状況等を勘案しながら慎重に検討を重ねております。
 2点目の値上げを決める場合の父母や県民などの声がどう反映されているかの御質問にお答えします。
 PTAや校長会等から、学校における管理運営費等の充実を図るとともに、公費肩がわりの解消について要望がなされていることから、県教育委員会としましては、平成2年度予算におきまして実験実習費の充実並びに新規項目といたしまして学校行事費及び離島高校へのファクシミリの導入等の措置を要求をいたしているところであります。
 それから3点目でございますが、他県と同一視できない。あるいはまた経済的、地理的特性から来る過重負担をどう考えているかについてお答えします。
 御指摘の本県における経済的、地理的特性につきましては、授業料等の改定において大部分の都道府県におきましては、御案内のとおり地方財政計画の改定年度の平成元年度において基準額どおりの改定がなされているところでありますが、本県におきましては、それ自体1年おくれの2段階方式の改定を提案しているところであります。
 また、低所得者等には授業料の減免措置を講じておりますが、ちなみに昭和63年度の授業料の減免率は、全国で3.38%に対しまして、本県は7.6%となっております。特に離島僻地の自宅外通学の生徒に対しましての交通費、家賃等の経費につきましても減免の要素の一つとして配慮をしまして、八重山地区におきましては17.19%、宮古地区が15.64%、久米島高校関係が18.36%の高い減免率となっております。
 その他、12の県立高校に寄宿舎を設置しまして離島や遠隔地の生徒が安い経費で勉学に取り組めるような配慮もなされております。
 また、高等学校の奨学貸与制度につきましても一般学生の1万円に対しまして、離島並びにまたその対象となる生徒につきましては1万5000円の貸与を行っております。

 今後とも可能な限り、本県のそういう事情等も考えながら、高校進学者の父母負担の軽減を図ってまいりたいと思います。
 最後に追加質問の今回の見直しの撤回について考えてないかにつきましては、現在のところ、その意思はございません。よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城清吉君登壇〕
○生活福祉部長(大城清吉君) 喜納議員の5つの御質問にお答えいたします。
 第1に、今回の措置経過は、県にどのように報告されたかという御質問でございます。
 今日まで、公式、非公式に格差是正の要請を行ってきたわけでございますけれども、その過程の中で、検討中であり、できるだけのことは考えたいということで国側の意向が示され、今回の措置になったわけでございます。
 第2に、対象者が平成2年で61歳以上とされていることについてという御質問でございますが、いわゆる復帰時に講ぜられた沖縄の特例措置は、本土の中高齢特例の15年をさらに年齢に応じて短縮したものでございます。それで今回は、それを補完する形で救済措置がとられ、昭和45年1月当時に41歳以上、すなわち昭和4年4月1日以前生まれの者を対象としたために、平成2年時点で61歳以上というふうになったわけでございます。
 それから3番目に、事業主負担分の考え方でございますけれども、先ほどの喜納議員の御指摘のとおり、今回の措置では、該当する個々の事業主に保険料の負担を求めておりません。被保険者が負担した保険料と支給される年金額との差というのは、厚生年金保険制度に加入しているところの全国の事業主及び被保険者が支えていくことになるようでございます。
 それから4番目でございますが、年金額の格差は、モデル案との比較でゼロになるか、ゼロにならなければなぜかという御質問でございますけれども、モデル案は、昭和29年5月から制度に加入していた等、一定の条件下でのモデルでございます。
 一方、今回の措置は、報酬比例部分の年金額を最低15年間分保障しようというものでありますので、比較の対象としてなじみにくいものでございます。したがって、その格差がゼロになることはございません。これは、適用の遡及が含まれていないためでございます。
 5番目に、落ちこぼれはないか。あれば、その救済等はどうかという御質問でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、今回の措置は、報酬比例部分の年金額を最低15年分保障しようということでございますので、その意味では落ちこぼれはないと考えます。
 なお、今回の措置の対象となっていない昭和44年までの期間分についてはなお格差が存在することになります。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 饒波正之君登壇〕
○商工労働部長(饒波正之君) 婦人の地位向上に関する5点の御質問についてお答えをいたします。
 まず第1点、県内の婦人労働者の最も新しい雇用の実態はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 昭和63年度の労働力調査によりますと、本県の就業者数は50万3000人で、そのうち女子就業者は19万4000人となっております。
 なお、全就業者のうち、雇用者総数は35万4000人、そのうち女子の雇用者数は12万9000人で、全雇用者の36.4%を女子が占めております。
 次に、勤務形態及び労働時間はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 昭和62年に県が調査した常用雇用者30人以上の民間企業1200社における女子従業者の勤務形態は、常用従業者が75.2%、パートタイマーその他が24.8%となっております。
 なお、女子従業者の職種別では事務職が39.1%、次いで販売、サービスその他が32.9%、うち管理職は3.5%の比率であります。なお、月平均の総実労働時間は男女の月平均で186時間となっております。
 次に、県内で労働者派遣事業を営む事業所の実態及び経営者の県内、県外出身者の割合はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 労働者派遣事業には、労働大臣の許可を必要とする一般労働者派遣事業と、届け出のみでよい特定労働者派遣事業の2つがあります。
 労働者派遣事業を行うことができる対象業務は、ソフトウエア開発及び事務用機器操作等の16業務に限定をされております。
 本県におきましては、一般労働者派遣事業所が8社、特定労働者派遣事業所が25社、計33社があり、その全体の60%に当たる20社がソフトウエア関係の開発業務で労働者を派遣している現状にあります。
 なお、経営主体につきましては、県外企業の出資比率が50%を超える事業所は4社、全事業所に占める割合は12%となっております。
 次に、県内のパートタイマーは全体でどれぐらいいるか。また男女の比率はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 本県のパートタイム労働者は、総理府統計局の就業構造基本調査によりますと2万5000人となっております。
 なお、そのほかアルバイト等の短時間就労者が3万4000人となっております。パートタイム労働者の男女の比率は92%が女子就業者となっております。
 最後に、パートタイマーの年次有給休暇及び雇用保険の適用、労働基本権の保障はどうなっているか。また企業に対する行政指導はどうなっているかという御質問にお答えをいたします。
 労働省では本年6月、パートタイム労働者の労働条件の改善、雇用の安定を図るため、パートタイム労働指針を制定し、これに基づきパートタイム労働者にも年次有給休暇が比例付与されることとなっております。
 なお、雇用保険法につきましては、適用基準の改正により、県内のパート就労者のうちおよそ6000人が適用対象者となるものと見られております。また労働基準法を初め最低賃金法等労働者を保護するために定められた各種の法令が適用されております。
 県といたしましては、今後ともパートタイマーを雇用する企業に対しまして雇用管理に関する相談、啓発等を国の関係機関とともに指導に努めているところであり、今後とも労働者の福祉向上のために努力してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 喜納昌春君。
   〔喜納昌春君登壇〕
○喜納昌春君 1点だけ確認をさせていただきます。
 基地問題で、フィリピンヘの派遣はなかったという調査をやったようですが、コメントがなかったという、できないということですが、事前協議の対象ということですが、その辺の協議があったかどうかは聞きましたか。よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 村山盛敏君登壇〕
○知事公室長(村山盛敏君) お答えいたします。
 海外の戦闘地域への米軍の出動につきましては、事前脇議の対象となっております。これは、国対国の事前協議の対象でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後3時54分休憩
   午後4時16分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き代表質問を行います。
 与那嶺盛男君。
   〔与那嶺盛男君登壇〕
○与那嶺盛男君 新政クラブに所属する議員団を代表しまして、通告に従いまして質問いたします。
 まず、激動の1989年を顧みて国際情勢から国内問題にまで進めてみたいと思っております。
 ソ連のゴルバチョフ書記長が提案するペレストロイカ、いわゆる改革のあらしが吹き荒れています。お隣の中国では、ゴルバチョフ書記長の北京入りと相前後しまして、民衆が民主化を求めて大衆運動となりました。それを政府としましては、暴動と決めつけて人民解放軍を投入し、戦車によって弾圧したことは、きのう、おとといのような気がします。
 その後、ヨーロッパに飛び火しまして、ポーランドやあるいは東ドイツ、チェコスロバキアということでこの改革のあらしが吹き荒れております。
 社会主義体制あるいは共産主義体制をも揺るがしかねないような一党独裁に反対し、自由を求める民衆のすさまじいほどのこの要求のあらしは、かつて東ドイツをして社会主義の優等生と決めつけられ、また指導者であるホーネッカー書記長は、戦前からのきっすいの社会主義者でございます。彼いわく、人間が最も人間らしくなれるのは社会主義だけしかないと力説し、理想社会の実現のために18年間も君臨したのでありますが、それが亡霊でしかなかったということを暴露され、屈辱に満ちた退陣を要求され、最近は私生活を暴かれ、そして拘束されたようなことも報じられております。

 このような中に、東西分裂のきっかけとなった1945年2月のヤルタ会談の意義が薄れ、米ソ超大国の首脳をして12月の初めに地中海のマルタ島において歴史的な会談が行われました。
 その会談の第1は、東欧の民主的な改革を支援し、外部の勢力に妨げられることがないよう、みずからの国民が決するということで意見の一致を見ております。
 2番目に、ソ連をしてガットにオブザーバー参加をしたらどうかということをアメリカ側が提案しております。
 御承知のように、ガットというのは本来、自由主義経済を基本原則にしたところの制度でございまして、貿易と関税の協定でございます。これにはIMF(国際通貨基金)を軸にしたところのいわゆる自由主義社会のものでございますが、ソ連があえてこれを国民の経済をよくするために西側陣営の経済協力を得ながら、制度に組み入れようというような歴史的な発言がございました。
 さらに両首脳は、来年、ワシントンで行われるところの首脳会談を前にしまして、核戦略を含めたところのいわゆる軍事費の削減ということについて、両方の相違点を解決するように合意するというようなことが、あのにこやかな共同記者会見で発表されておりました。あれを見ながら、もはや冷戦の時代は終わったと、新しい時代が来たなということを感じたわけでございます。
 私たちは、あの11月9日でしょうか、ベルリンの壁が事実上崩壊して、100万人にも上る東ドイツの国民が西側へなだれ込み、そして自由を満喫し、物資の豊富さに目を見張り、喜々としてチョコレートを求めたり、あるいはバナナをむさぼるというようなものを見たときに、同一民族であるドイツ国民が東西に分断され、40年間にこんなにまで差がついたかと思わされたのであります。もはや社会主義の体制では、世界の進歩についていけないということを立証したかと思います。
 一党独裁で言論が抑圧され、統制経済で物資は配給制であり、国内の旅行すらままならない。東側陣営の民衆がよくも我慢したものだと思われてなりません。
 そこで知事にお伺いいたしますが、中国を初めヨーロッパ諸国における民主化要求のあらしは何が原因で、何を意味するものか知事の見解を賜りたいと思います。
 国内についてでございますが、昭和64年1月7日、昭和天皇の崩御によりまして昭和は終わり、平成の時代となりました。一日中映し出された昭和の数々の歴史の一こま一こまを見たときに、あの昭和初期の国民総動員体制の締めつけられた時代、あるいは戦時中の苦しみ、戦後の復興時代をたくましく生き延びたこと、そして東京オリンピック後の高度成長の時代と私ども昭和世代に生まれた者としてまさによしにつけあしきにつけ感動の連続でございました。昭和は終わったのであります。
 平成元年は、我が国にとってどんな年であったかを考えてみたいと思います。
 竹下内閣の総辞職、宇野総理のあっけない退陣、昭和生まれの宰相海部内閣の誕生など、戦後政治の混迷の幕明けとなりました。これも一つには、リクルート事件に見られるように政治家に対する国民の不信、あるいは消費税のいわば理解のないままの見切り発車、そして農政に対する国民の失望と不満、いわゆる3点セットが国民をして参議院選挙の保革逆転となったのであります。これはある意味では、自民党に対する国民の大きな戒めの結果ではなかったかと思っております。
 日本の歴代総理の多くは、首班指名後、早々とアメリカに参りまして就任のあいさつと日米協力を約束したものであります。中曽根総理がレーガン大統領と会い、あの有名な浮沈空母の発言をなし戦後政治の総決算を高々にうたい上げたのでありますが、レーガン大統領は中曽根総理が帰ってから、ガッテミ・ナカソネと大いに怒ったということがアメリカの物の本に書いてありました。
 なぜかといいますと、歴代総理はアメリカにぬかずき、いわば特段の加護を求めるべきだったのでありますが、戦後政治の総決算ということは、今からは対等だよというふうに映り、あるいは経済力に物を言わせて有事の際は日本みずから3海峡も封鎖できるというような力の誇示に映ったからでございます。つまりアメリカとしては、戦後政治を総決算してもらいたくないということかと思います。
 このようなことで、とにかく日米関係は、貿易摩擦を背景にスーパー301条、すなわち貿易の不均衡の場合には報復制裁措置も辞さないというようなことをちらつかせながら、議会筋を中心に日本の経済的膨脹を封じ込めようと躍起になっております。
 米ソ首脳が手を握り、両国関係が融和する中で日米関係はますます厳しくなると思います。アメリカの世論調査では、今まではソ連に対する脅威で一番怖い国だったわけですが、両方が手を握ることによって、これからは最も嫌いな国は日本になるんじゃないかというふうなことすら感じられるわけでございます。
 そのようなことで今、アメリカから日本に対して、在日米軍を含むところの防衛費の肩がわりの要求、あるいは日米の構造協議におきましていろいろ内政干渉とも言われるような提案をしております。小さいことかもしれませんが、働き過ぎで貯金が多過ぎるから、もっとじゃんじゃん外国の品物を買いなさい。あるいは日本の建築基準法では木造建ては3階までしかできませんが、7階ぐらいまでつくってアメリカの木材をうんと買いなさいとか、あるいは日本の土地政策は間違っているとか、物流の状況が悪いとか、このような形でいろいろ要求してきております。
 さらには、農産物の市場開放を要求してくるということがございまして、日米関係は険悪の状態すら予想されるのであります。
 そこで、米軍基地の整理縮小問題について話してみたいと思います。
 東西関係を中心に国際情勢が変わりつつある今日、米軍基地の存在について大いに検討する時期だと思います。
 沖縄の米軍基地は、日米安保条約により認められているものの、在日米軍の75%がいまだに沖縄に集中すると。あるいは在日米軍の5万と言われる軍隊のうち3万5000は沖縄にいると言われますが、まさに占領行政の継続としか言いようがありません。
 先ほども話がございましたが、民間航空機の安全を脅かすような演習空域の拡張やB52の飛来あるいはハリアー基地の建設、都市型戦闘訓練施設の設置や恩納岳におけるところの連日の実弾射撃演習等基地強化はますます深くなったような感がいたします。
 私どもがせんだって南米視察に参りまして、帰りにハワイに寄りました。ハワイには極東軍司令部がありますが、そのハワイはたくさんの島から成っています。向こうの無人島でアメリカ軍が実弾射撃演習をするときにハワイ住民は反対運動を展開していると、かように聞いております。
 こういう中で、沖縄ではやりたいほうだいといいましょうか、民間地域での実弾射撃はもう御免でございます。
 私ども沖縄は、あの鉄の暴風によって実弾を撃ち込まれていますから、これ以上もうアメリカの演習は許したくない。これは与党、野党の問題じゃなくして、県民の大きな声とならざるを得ないと、かように考えるものでございます。
 そのためには、米軍の基地の整理縮小しかないと思われます。月2回しか使われていない那覇軍港を初め国頭村の奥間のレストセンターにおいては、米軍将校の保養基地として莫大な土地がまだ使われていますが、地元住民は返してもらいたいと、そういう要求をやっております。
 あるいは、せんだって参りました大東にあるラサ島のごときは、年間4億の軍用地料を払いながらほとんど使っていません。いわゆる国家予算のむだ遣いとしか言いようがありません。ああいうものも早く返還することによって利用価値が出ると思います。
 あるいは、これから地域住民から強い要望のあるところの普天間飛行場等も今から返還に向けて進めるべきじゃないかと、かように考える次第でございます。
 そのためにも知事といたしましても、従来、安保条約を認める立場と答弁なさっていますが、もう平成の時代でございますし、こういう国際情勢の中から県民ともどもに基地の整理縮小、もっと言うならば撤去ということを一緒に申し上げてみたらどうか、知事の御見解をお伺いいたしたいと思います。

 次に、農畜産物の市場開放要求でございますが、米国の理不尽とも言えるような強い圧力によりまして政府は、牛肉、オレンジ、パイナップルなど12品目について国内保護策を前提としながらも、実質的に市場開放に踏み切っていきました。そしてまたウルグアイラウンドに舞台を移しまして、10年以内に農業の保護政策をやめなさいと、あるいは段階的に米を自由化せよと迫っております。
 ヒルズ通商代表は、上院の財政委員会の席上で、日本が米の市場開放をするまでは、日本と片手では握手をし、片手には鉄てこを振りかざしながら実現を迫っていくと、そのように演説をぶっております。
 米国は、ウエーバー法によりましてみずからは農産物の輸入を規制しながら、本当に何事かと怒り心頭に発するものでございます。
 ヨーロッパにおきましても、可変課徴金制度を適用し、農産物の自給に努めているのが現況でございます。
 米の問題に触れてみますと、日本における米の生産量は約1000万トンであり、水田面積にしまして約300万ヘクタールあります。米の総生産額は2兆円とも言われていますが、経済効果は約7兆円産業と言われます。沖縄のパイナップルが生産農家は30億でありますが、これを流通の段階あるいは加工、あるいは箱代、缶詰を合わせますと70億になると同じような見解でございます。
 また水田は、日本の環境保全に重大な役割を果たしております。日本は島国であり、山地が多いのでございますが、雨が降るときには一たんはこの水田がいわば貯水できるダムの役割を果たします。300万ヘクタールの水田のこの土手が27センチとしますと、80億トンの水をためているわけでございます。その水田農業をつぶした場合に、いわば地方は荒廃し、町は洪水の渦に巻き込まれると。今ちょうど那覇の方で金城ダムの工事もありますが、雨が降った場合、一たんは金城ダムで水を受け、徐々に安里川に流すというようなことで、日本の水田というのは国土保全にも大きな役目を果たしているということでございます。
 日本は、穀物においてはトウモロコシや麦、大豆を初め70%も輸入している我が国において、これ以上農業崩壊を意味するところの農産物自由化は反対でございます。たとえ日米関係がどうなろうと、この制度はこれ以上認めません。
 人間が食糧を必要とする限り、農業は生産の母であり命の糧であります。みずからの食糧を外国に依存することは、主権国家として民族の将来に大きな禍根を残すだけになります。
 そこで知事にお伺いします。
 米国からいかなる圧力があっても、これ以上の農業政策の後退は許されないと思います。そのような認識に立ちまして、これからも農畜産物の市場開放に応じないよう、ともどもに頑張っていくという知事の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
 次に、南米の2、3世の出稼ぎ問題について触れてみたいと思っております。
 私ども県議団は、せんだって南米に参りました。そこでどこに行きましてもアルゼンチンやあるいはブラジル、ボリビアと向こうの県民の方々が悲痛な思いで訴えているのは、あのインフレで苦しみ、そしてまたいろんな政情不安で悩んでいますが、今、2万とも3万とも言われているところの沖縄の2、3世が本土に出稼ぎに来ております。しかし彼たちは、外国人という名のもとに劣悪な労働条件等に悩まされております。
 今、日本では労働力不足でございまして、東南アジアからもたくさんの出稼ぎの労働者が来ております。最近も中国やあるいはベトナムからも、いわば経済難民として押し寄せております。しかし、この沖縄から行った方々は、もともとは私たちの仲間であり、ウチナーンチュでございます。それが同じように外国人と扱われてはなりません。
 そこで、この出稼ぎ問題につきましては、我々議会の中でも何らかの形でこの対策委員会をつくるなりして、行政側とともどもにウチナーンチュの苦しみをわかってやってみてはどうかと思います。
 そこで知事にお伺いしますが、知事は特に南米問題については非常に深い関心を持っておりますが、この沖縄から出ているところの南米のウチナーンチュの2世、3世の出稼ぎ問題について知事がどのようなお考えでありますか、お聞かせ願いたいと思います。
 短くなりましたが、終わります。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 与那嶺盛男議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 東ヨーロッパの民主化要求について御質問がございましたが、何が原因で何を求めたか、これは大変難しい質問でございますが、原因はいろいろあろうかと思いまするけれども、自由と物の豊かさを含めて心の豊かさが非常に不足しておったんじゃないかと、足りなかったんじゃないかと、こういうことで自由を求め、また豊かさを求めてああいった激しい大きな動きとなったのではないかと考えておりまして、東欧諸国民の民主化要求は、しばらくの間これが続くものだと予想されるところであります。
 次に、米軍基地の整理縮小についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 御案内のとおり、本県では米軍の専用施設区域の約75%が集中しているために振興開発を進める上で大きな障害となっております。このため、60年と63年の訪米に際しまして那覇軍港、普天間飛行場、伊江島補助飛行場、奥間レストセンター、恩納通信所、泡瀬ゴルフ場等の返還を米国政府に要求してきたところであります。
 これらの施設については現在、日米合同委員会で鋭意検討中であると承知いたしておりますが、近いうちに何らかの成果が得られるものと期待をいたしております。
 次に、農産物の市場開放要求について、これには応じないよう知事の決意のほどをただされたのでありますが、お答えいたします。
 最近における農業を取り巻く内外環境は厳しいものがございまして、特に輸入自由化が決定いたしましたパイナップル及び牛肉については、本県農業を支える重要な作目であることからいたしまして、農家が安心して生産に従事できるよう施策の強化に努めているところであります。
 今後、国際化の進展に伴いまして各国の相互依存関係が拡大していく中で、国際協調を図りながら農業の特殊性及びその役割の重要性を考慮した、ガットにおける新たな制度の確立が重要であると考えております。したがって、安定的な食糧自給力の確保はもとより、国土の保全、地域社会の維持と農業の果たす多面的な役割を重視いたしまして、無制限な農畜産物の市場開放はあってはならないと考えております。
 次に、南米のウチナーンチュの2世、3世の出稼ぎ問題について県の対応をただされましたが、お答えいたします。
 本件について、昭和63年第6回議会の代表質問に引き続き熱心に取り組んでおられる与那嶺議員の熱意に対しまして、まず敬意を表したいと思います。
 去る8月から9月にかけて南米を訪問した折に、この出稼ぎ問題について最も要望が多かったこともあり、県としてはこれまで単に沖縄県のみの問題でなく、全国的なものとして鋭意その対応に努めてきたところであります。
 この問題については、関係部局長の対策会議を開催し、東京、横浜における実態調査及び情報収集のために職員を派遣いたし、さらに11月1日の本県における九州地方知事会議におきまして、出入管理及び難民認定法の適用などに関して特段の措置を講ずるよう要望いたしたところであります。
 また、九州ブロック会議の海外移住実務担当者会議におきましても諸問題解決の方途を協議したほか、近日中に外務省、法務省、労働省、沖縄開発庁に対しても同問題の解決について要請をしていく所存であります。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 宮城清順君。
   〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 公明党県議団を代表して質問を行います。なお、3項目は取り下げて次回にいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、沖縄米軍基地問題についてであります。
 地中海マルタ沖から90年代の新しい歴史のページが始まりました。2日間、延べ8時間にわたったプッシュ米大統領、ゴルバチョフソ連最高会議議長の首脳会談を見て、だれもが戦後、世界を支配した冷戦構造が崩れ、協調を基調とする新しい世界秩序が構築され始まる期待を持ったに違いありません。

 両首脳が会談後、初めて共同記者会見に臨む姿には・イデオロギー対立から対話の時代へ、対話から協調の時代へ世界が転換の時代に入ったことを確かめ合っているように見えたのであります。歴史上の評価は今後にゆだねるしかないが、一つの時代が終わり、新しい時代への模索が始まったことだけは確かなようだと思います。
 共同記者会見でゴルバチョフ書記長は、米ソ間に熱い戦いは決して起こらないだろう。対立軍備、精神的な不信感は過去のものとなったと語り、プッシュ大統領は、今や全く新しい時代が開かれようとしている。欧州の分断、軍事的対立を手を携えて克服していきたいと語りました。
 会見で示された両首脳の精神が、今後の世界の平和と新秩序にどのように生かされていくのかを注目したいところであります。
 だが、これによって一気に世界が変わるわけではないと思います。ハートはホットに、頭脳はクールに世界を冷静に見詰めることも忘れてはなりません。特に軍備管理、軍縮では、来年6月に行われる予定の首脳会談までに戦略兵器削減交渉の基本合意、欧州通常戦力交渉を90年中に合意する見通しが開かれました。合意に成功すれば、両国とも軍事費の大幅削減に弾みがつくことは間違いないと思います。
 ただし、戦略核の残る半分の近代化が進み、名のみの半減となっては意味がありません。公明党は、軍備管理よりも軍縮の精神が大切であることを強調しておきたいと思います。
 ところで、両首脳の会談は、我々沖縄県にとっても非常に重要であると思います。それは膨大な米軍基地が存在するからであります。この米軍基地の存在を見ると、アジアにおける冷戦構造をどうするかが重要なテーマにならなければなりません。ソ連の戦略核がオホーツク海を最重要拠点にしていることを考えても、米ソの軍縮はアジアにとっても無関係ではあり得ないからであります。
 公明党も、アジアにおける冷戦終結の方途と平和、軍縮交渉のテーブルづくりなどニューデタントの枠組みを早急に検討することが重要であると強調しております。
 同時に、両首脳会談の結果からして、極東最大と言われる沖縄米軍基地の存在も今後、縮小、廃止の方向で検討すべきであると訴えたいのであります。
 西銘知事は、今回の日米首脳会談を沖縄米軍基地とのかかわりでどのように受けとめておられるか、率直な御見解があれば伺いたいと思います。
 公明党は、去る11月27日から3日間、石田幸四郎委員長を団長とする沖縄調査団を編成し、恩納村の米軍都市型訓練施設内の立入調査を初めとする基地調査や、戦争マラリア補償問題、宮古、久米島におけるへき地級地問題の実情調査を実施しました。
 その中で11月28日、キャンプ瑞慶覧司令部で海兵隊基地司令官ロバート・B・ジョンストン准将と会談をいたしました。席上、石田委員長らは、在沖米軍基地は代替地を前提とした統合整理ではなく、不必要なものは縮小する、または廃止するということを前提としての交渉、協議の再考を強く促しました。これに対しジョンストン准将は、在沖米軍としては、米軍基地の一部廃止を含む縮小に賛成、代替地を伴わないものでもよい部分があり、目下、実務的に作業中であると回答いたしました。
 公明党は、代替地なしの返還に米軍側が公式に言及したのは初めてであり、代替地がなくとも返還が可能ということであり、新しい画期的見解を示したものと受けとめております。
 日本政府も早速、米国と交渉する考えを示しております。すなわち准将発言を受けて公明党の井上和久代議士が12月1日の衆議院内閣委員会で松本防衛庁長官の考えをただしたのに対し、同長官は、石田委員長が示された方向性で考えを進めていきたいとはっきり答弁をいたしました。
 また、玉城栄一代議士が12月7日、防衛施設庁に代替地なしの返還の積極的な推進を要請したのに対し、佐藤連絡調整官は、嘉手納マリーナ施設と泡瀬通信施設を返還を含めた整理統合対象基地として日米間で交渉中である旨明らかにいたしました。
 そこで西銘知事に伺いたいと思います。
 この石田・ジョンストン会談を受けて、知事として日米両政府に対し代替地なしの返還の方向と、現在、日米両政府で交渉中の返還リストを確認する必要があると思いますが、知事の対応を求めるものであります。
 また、米ソ首脳会談や石田・ジョンストン会談を受けて、従来の基地の整理縮小の方針を、基地の整理廃止に転換するよう求めるものであります。御見解を伺いたい。
 日米間で返還合意された基地は5661.9ヘクタール、そのうち、現在の返還状況は面積で2584.9ヘクタール、返還率45.65%であり、残る大半が未返還であります。
 少なくとも、ワンステップとしてこれら未返還基地の代替地なしの全面返還を日米両政府に強く要請すべきであります。米軍側からも新しい見解が出、日本政府もそのことを認めた以上、新しい局面を迎えた現段階に呼応して知事もアクションを起こすべきであると思う。
 ところで、午前の知事の答弁の中で、県の資料と防衛施設庁の返還計画面積で約4ヘクタール余の誤差があるが、どちらが正確か明確にしていただきたいと思います。
 次に、へき地級地問題についてであります。
 文部省が平成2年1月1日施行を進めようとしているへき地級地の見直し問題は、本県に大きな波紋を投げてまいりました。
 県教育委員会は、11月に最初の見直し案を作成いたしました。それは、文部省の改正基準の要素をもとに算定したものであったと思います。
 それによると、級地の上がる学校は26校に対して、級地の下がる学校が36校、その中で高度へき地から下がる学校が19校となっていました。この場合は平良市、仲里村、具志川村に集中するという結果になり、国庫補助の学校給食費と修学旅行費が全額カットされるとあって、各方面から強い反対運動が起こりました。
 また、級地の上がる分、下がる分のへき地手当を含めた差額は約1億3000万円余のダウンとなるとあって、本県離島教育の崩壊につながるとの強い危機感を持ったのであります。
 県教委も教育長が再三、また県も副知事が文部省要請を行ってきましたが、今回、再見直し案を文部省の通達で作成できたことは一歩前進と評価したい。
 しかしながら、今回の文部省の基準改正にそのまま従った最初の見直し案については承服しかねる面があります。最初の見直し案が出て以来、多くの県民から強い反対が起こったことは御案内のとおりであります。
 久米島においては、11月20日に島内の36団体で構成するへき地級地引き下げ反対協議会の主催で1000人余の島民が参加し島民大会が開催されました。生徒代表も不安を訴えました。ここに、その意見発表を2題紹介したいと思います。知事からぜひ激励のお手紙でもお出しになったらと要望いたします。
 休憩してください。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時52分休憩
   午後4時53分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
○宮城清順君 これは、具志川中学校の女生徒の意見であります。
 へき地問題といっても、私は初めそんなことと、私たちには関係がないと思っていました。でも、いろいろ話を聞いているうちに、大変な問題だということに気づきました。これは、特に私たちのような中学生や小学生の子供を持つ親にとっては大変なことだということもわかりました。その中でも、特に給食費の援助が打ち切られることに対して話してみたいと思います。私たちが今食べている給食費の一部が国からの補助で賄われているので、それがなくなると今までどおりの給食が食べられるかどうか不安でたまりません。 親が負担するお金も大変な金額になります。私は、幾らぐらいの額になるのか、自分の学級を例に計算をしてみました。私たち学級は全員で33名。補助費がカットされた場合、給食のパンとミルクの加工代として生徒1人当たり月々930円ふえることになります。一月では、学級だけで3万690円という大金になります。今の給食代の3100円とを合わせて1人当たり4030円が自己負担になります。そして学級全員の一月の給食にかかる費用は13万2990円にもなるのです。2級地に引き下げられると、その穴が大きくなると思います。私たちは今、自分で仕事をして学校に通っているのではありません。親の苦労で育てられているので、お金は幾らあっても足りないと思います。兄弟がたくさんいる家庭では大変です。一月に小学生は880円、中学生は930円の増加した分を払わなければなりません。特に親にとっては大変な負担になります。兄弟が5名ぐらいいると、月に約4000円から5000円も今まで以上に支払わなければなりません。親の苦労は大変です。3級地から2級地に引き下げられるということは、離島らしくなくなった、つまり都会になったというふうに見られますが、実際にはそうではありません。これから、国と県にお願いをしてへき地のダウンをさせないように、お父さん、お母さん、みんなで協力して頑張ってください。
 次も同じく具志川中学校の女生徒、2年生であります。
 私は、級地引き下げに対し絶対反対です。私は今中学2年生で、来年には中学生活の中でも一番楽しみにしている修学旅行を控えています。しかし級地引き下げで修学旅行の補助金がカットされます。その金額は1人当たり約6万円、余りにも大き過ぎます。久米島は沖縄本土と比べ職場も少ないので、ほとんどの家庭は農家です。農業は、自然の力に左右されます。
 例えばよい天候に恵まれた場合は収入もふえます。しかし悪天候にあたった場合、その分収入は減ります。ですから、毎月一定の金額の収入は無理です。そんな農家の多い久米島に、補助金カットという問題は久米島の人々を大きく悩ませています。幾ら病院や港ができても、久米島島民一軒当たりの収入額のお金を比べてみると、父母にかかる負担は大きいものです。 それに日本は今、世界の中でもトップの経済大国です。それなのに、経済発展がいまいち乏しい島々への援助を削らなければいけないのでしょうか。私たちへの援助をカットしなければ、日本は困るのでしょうかと私は疑問に思います。せっかくの修学旅行も補助金カットになり、父母にかかる負担が大きくなります。 今までの修学旅行に行った先輩方の中には、その補助金があったからこそ、経済的理由で残念なく行けなかったという生徒はどうにかいなかったようです。先ほども述べたように、1人6万円当たりのカットが実現するとなれば、経済的理由で修学旅行を断念せざるを得ない生徒が出てくることが予想されます。離島に住んでいる私たちにとって、修学旅行というのは、それぞれの土地の文化や特徴などが直接に見学ができ、感受性豊かな今の私たちにとって視野を広げてくれる絶好の機会でもあるのです。せめて義務教育の中の修学旅行だけでも、みんなとそろって楽しい思い出をつくりたいと私たちは強く願っています。ですから国も、私たち島々に対する補助金カットを、いま一度考え直し改めてくださるようお願いします。
 これが発表された意見でありますが、このように久米島では、最初の見直し案においては10校のうち8校が2級から3級地に引き下げられるとあって強い危機感を持ったのであります。
 県教委は、文部省の再通達を受けて再見直し案を作成し県人事委員会に提出いたしました。今回の再見直し案では、17校については運用の範囲内で運航回数等の算定を見直すことによる救済措置のようであるが、今後の動向は決して予断できないと危惧するものであります。
 そこで何点か質問します。
 第1点は、最初の見直し案と再見直し案について県教委の見解を伺いたいと思います。
 第2点、再見直し案によってもなお具志川村の具志川中学校、清水小学校は高度へき地でなくなることになるが、その根拠は何か、現状維持はできないか伺いたいと思います。
 去る12月9日、具志川の村長、教育委員会、議会代表が、改めて県教育委員会、県に要請をいたしております。
 万が一、現状維持不可能の場合の救済措置については県及び村で負担されるということであるが、具体的にどう救済される考えか、財政面と期間の面からお答えをいただきたいと思います。
 また、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村など17校については最初の見直し案どおり5級から4級へ、及び4級から3級ヘダウンすることになるが、その根拠は何か。特に渡名喜村は、御案内のとおり船便しかなく、しかも港湾は狭いためにシケのたびに欠航になる回数が多い現状であります。これらの要素を十分に加味されての級地ダウンなのか伺いたいのであります。
 次に、このへき地級地問題で、公明党は11月24日に党文教部会が文部省に現状維持を強く働きかけてまいりました。また石田委員長を団長とする沖縄調査団が11月28日、平良市及び久米島で実情調査を行い、12月4日に文部省に再要請を行ってきたことをつけ加えておきたいと思います。
 次に、このへき地級地問題について、沖縄県の立場から具体的な問題を提起し知事の御努力に期待したいことを述べてみたいと思います。
 それは1点は、沖縄振興開発特別措置法とへき地教育振興法における沖縄の位置づけであります。これは、大変重要なことであると認識をいたしております。
 それは両法では、沖縄本島は「本土」扱いとなっているということであります。この件は沖振法、へき地教育振興法上の大きなエラーであると、公明党の見解であります。沖縄本島を含めた沖縄県は、本州と離れた離島県であります。したがって他の本州とは違った扱いをされなくてはなりません。したがって両法において、沖縄本島もあくまで「離島」として定義づける必要があると考えます。そうすることによって沖縄県全域がへき地扱いになり、本当の意味において離島僻地の振興であると考えます。知事の御見解と対応を求めるものであります。
 2点目は、へき地教育振興法施行規則の問題であります。
 同規則第6条には付加点数の項目があるが、その中には湿潤地帯、極寒地帯、多雪地帯等で不健康地である場合が加味されることになっております。沖縄県の特殊事情である台風常襲地帯あるいは暑さ、米軍演習あるいは遠隔性、海洋性による影響等による不健康の要素も当然加味されなければならないと考えます。県教委の見解と、今後、同規則の中にこれらの要素を取り入れるよう規則改正なりを要請する必要があると考えますが、御所見を賜りたいと思います。
 3番目の教育の国際化についてであります。
 近年、国際化が各方面で話題となっており、かつその面での進展が著しいのであります。本県の場合は、特にその地理的条件、歴史、社会条件を有し、広く国際的に協力していく場として好ましい条件を備えていることは御案内のとおりであります。
 本員は、今後、沖縄の国際化、国際社会における本県の役割を展望するとき、それに対応できる人材育成も焦眉のテーマであると考えます。その観点から子弟に対し外国語教育の充実を強く訴えたいのであります。
 その立場に立ち、次の2点を要請したい。
 1つ、在日外国人を採用して、全県立高校に英語指導助手を配置すること。
 2、国際教養科を各学区の県立高校に必ず1校設置すること。
 以上、教育長の御答弁を求めます。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城清順議員の御質問に対しましてお答えいたします。
 米ソ首脳会談と沖縄米軍基地について、今回の米ソ首脳会談を米軍基地とのかかわりでどのように受けとめているのか、意見をただされましたが、お答えいたします。
 今回の米ソ首脳会談は、東西の緊張緩和を促進するとともに、対立から協調へと米ソ関係を大きく転換させたという点で極めて意義深い会談であったと認識しております。したがって日米安保条約によって提供されている本県の米軍施設区域についても、新時代の到来による米国の対ソ認識の変化に伴い、近い将来、変化があると期待いたしております。
 次に、石田公明党委員長とジョンストン海兵隊バトラー基地司令官の面談についての御質問がございましたが、お答えいたします。
 原則として新たな施設区域の提供という形での返還はないものと理解いたしております。現在、日米両政府において返還が検討されている施設のリストは公表されていないのでありますが、安全保障協議委員会における返還合意施設区域、訪米時における返還要請施設区域、また市町村の返還要望施設区域等が日米合同委員会において検討されていると承知いたしております。

 次、従来の基地の整理縮小方針を、基地の整理廃止に転換すべきであるという御提言がございましたが、お答えいたします。
 基地は、東西の軍事バランスによって存在するものであり、一朝一夕に廃止できるものではないと理解いたしております。県としては、これまでどおり施設区域の再編統合という形で今後とも引き続き基地の整理縮小を要請してまいりたいと思います。
 移設条件つき返還合意施設でも、代替地なしで返還が可能との見解が示されたので、知事は強く未返還施設の返還を求めるべきではないかという御提言に対しましてお答えいたします。
 伊集議員にお答えしたとおり、移設条件つきの返還合意施設であっても、移設を伴わないで返還された事例もありますので、今後とも代替地を伴わない施設区域の返還を要請してまいりたいと思います。
 次に、へき地級地問題について、沖縄振興法及びへき地教育振興法において沖縄本島を離島として定義づける必要があるが、知事の見解を承りたいという御質問がございましたが、お答えいたします。
 御指摘のように、本県は、本土から離れた海洋性の離島県であり、沖縄振興法では、地理的及び自然的特性に即した沖縄の振興開発を図り云々となっており、沖縄の特性が立法趣旨にうたわれております。
 また、沖縄振興法に対し、へき地教育振興法は全国の僻地教育の振興を図ることが目的であるため、その立法趣旨に違いがあります。
 本県は、本土からすると離島ではありますが、へき地教育振興法で言う離島として県庁所在地がある本島を含めた県全体を離島として位置づけることは、同法の趣旨からいたしまして無理があると考えております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 高良清敏君登壇〕
○教育長(高良清敏君) 宮城議員のへき地級地の見直しについて関連してお答えします。
 まず1点の最初の見直し案と再見直し案についての経緯でございますが、へき地教育振興法施行規則の一部改正に伴いまして県教育委員会はへき地級の見直し案の意見を県人事委員会に提出したところでありますが、その時点で見直し後の状況については高度へき地校でなくなる学校が19校もあるということの問題点が出たわけです。
 このような問題点を打開するために、本県の海洋性の離島僻地の特殊事情を、県独自の判断で基準に反映させるため運航回数等の取り扱いについて慎重に検討を重ね、高度へき地校でなくなる19校のうち、17校につきましては従来どおり3級地として維持できるよう、県人事委員会に改めて意見を提出したところであります。
 2点目の、再見直し案でもなお2校についての級地ダウンの経緯、あるいはまた具志川村立清水小学校、具志川中学校についての今後の措置等の御質問にお答えします。
 高度へき地校でなくなる19校のうち17校については、先ほどお答えしましたように3級地として維持できることになりましたが、具志川村立清水小学校あるいは具志川中学校につきましては、指定基準に照らしまして3級地として指定することは非常に困難な状況にあります。
 その要因は、市町村教育委員会あるいは高等学校、診療所及び船着き場までの距離等いろいろな基準に照らしての配点につながってないということであります。
 なお、御指摘のありました高度へき地校でなくなる学校に対するパン、ミルク、給食費、修学旅行等のことにつきましては今後検討をしてまいりたいと考えております。
 それから、渡嘉敷村あるいは座間味村、粟国村、渡名喜村などの学校で5級から4級へ、4級から3級へとダウンすることの根拠でございますが、御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、これらの離島の級地がダウンすることになりますが、その主な理由としましては、沖縄本島、これは法律用語では本土からのという表現になっていますが、月間の定期航行の回数が増加したこと、あるいは飲料水の供給状況等が改善されたこと等もあります。なおまた教育扶助受給者の比率が3%以上の場合10点の配点があったのが廃止をされたことなどが主な理由になります。
 なお、渡名喜村につきましては、天候不良による欠航回数を差し引いた運航回数に基づいて算定して配慮をしてございます。
 へき地級地指定の基準につきましての沖縄県の特殊事情である台風常襲地帯、あるいは暑さ、また米軍演習等についての影響等も入れて不健康地として加味すべきじゃないかとの御意見についてお答えします。
 御指摘のとおり、へき地教育振興法施行規則第6条第2項第1号に不健康地の規定がなされているところでありますが、台風常襲地域などとして本県に適用することはできないかとの要請は再三文部省にさせていただいております。その答えとしましては、いろんな基準の内容等からして文部省としては大変厳しい回答になっております。
 今後は、海洋性離島僻地の特殊事情が十分反映できますように基準の見直しについては関係機関になお要請をしてまいりたいと考えております。
 教育の国際化に関連して2点の御質問がありましたが、お答えします。
 在日外国人を採用して、各県立高等学校に英語助手を配置することについてお答えします。
 進展する国際社会に対応できる人材の育成は本県の重要施策でありますし、県教育委員会も国際理解の推進とコミュニケーション能力育成のための英語教育の充実改善に努めているところであります。
 そのため本県では、6カ国から英語指導助手を招致し、中学校に16名、高等学校に16名、計32名を配置しております。
 また本県では、県単事業といたしましても外国人英語指導教員を2名採用し特色ある高校に配置をしておりますが、御提言のような全高校に配置することは多額の予算を必要としますので、財政上困難であると考えております。
 なお、国は、最終目標としまして3000名の英語指導助手の招致を計画しておりますし、本県でも引き続き増員を国に要請し、その内容の充実に努めてまいりたいと考えております。
 2点目の国際教養科を各学区のこれは県立高等学校に配置するということの御意見にお答えします。
 国際教養科設置の要請につきましては、国際化が急速に進展しておりますし、学校教育におきましてもこの変化に適切に対応する教育の充実が必要であります。
 今回、告示されました学習指導要領においても、国際社会に生きる日本人としての資質を養うことが基本方針となっております。そのため国際教養を身につけることは一層重要になっておりますし、本県におきましても先ほど知事の御答弁にもありましたが、御案内のとおり国際人文科あるいは国際英語科、国際観光科、英語科等を設置しているところでありますし、御提言の国際教養は広くすべての児童生徒に学習の機会を提供することが望ましいのであります。そういうことで今後とも教育課程の改善等により、国際理解教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 村山盛敏君登壇〕
○知事公室長(村山盛敏君) 返還合意面積に相違があるんじゃないかという御質問でございましたが、公明党の玉城先生が防衛施設庁から入手しました数字でございます5661ヘクタール、それから日米安全保障協議委員会におきまして返還合意を見た面積が5665ヘクタールで、約4ヘクタールの相違がございます。
 これにつきましては、公明党の玉城先生が入手したのが平成元年11月30日現在のものだと受けとめております。 
 それと5665ヘクタール、つまり返還合意面積でございますが、63年4月1日現在でございまして、その差、申し上げました約4ヘクタールにつきましては発表時点による相違があるんじゃないかというふうに思います。
 2番目に、その数字の差でございますが、地籍明確化等によりまして、つまり測量の結果、若干の相違が出ているんじゃないかというふうに考えられます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後5時18分休憩
   午後5時19分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。

 知事公室長。
   〔知事公室長 村山盛敏君登壇〕
○知事公室長(村山盛敏君) おおむね約4ヘクタール、先生御指摘の4ヘクタールの差がございますが、これにつきましては調査をいたしまして御報告したいと思います。
○議長(平良一男君) 宮城清順君。
   〔宮城清順君登壇〕
○宮城清順君 知事、私の質問は、ジョンストン准将がこういう明確な回答をしたわけですが、それによって代替地なしの返還というものの方向性、それから現在、日米両政府で交渉中であるとこれは明言しているわけです。
 確かにそれは期待はしますけれども、現段階において、いわゆる知事としてその辺の状況を確認をする必要があるんじゃないかということを聞いたわけですよ。いいですか。
 それから、基地の整理縮小という今までの方針、変わらないならば変わらないでいいんですが、我々はあくまでも基地は整理をして廃止してもらいたいという観点に立つわけです。ですから今、新しいこういう国際情勢を迎えた今になって、知事としての明確なる方針を示してもらいたいということを聞いたわけです。その辺を明確にしてもらいたいと。
 それから、先ほどの沖振法並びにへき地教育振興法上における本県の沖縄本島の扱いですが、これは知事としては無理であるというふうなことをおっしゃいましたけれども、これは文部大臣が言うことであって、知事が言う言葉じゃないと受けとめているわけですよ。
 ですから、知事は、そういう見解であればいいんですけれども、今後どうするか対応を求めたわけです。対応を質問したわけです。知事の対応をどうするか。知事の対応を聞いたわけです。一県の知事として対応を求めると。知事の見解と対応をどうするかということを聞いたわけですよ。これは大事な問題ですから聞いたわけです。その辺をもう少し明確にしてもらいたいと思います。
 それから、へき地教育振興法施行規則の中でも、いわゆる不健康地としての要素がたくさんあるわけです。先ほどもありましたように寒い所あるいは雪の所は考慮されておりますが、沖縄の特殊事情である台風、その辺が加味されてないということで今後どうすべきか。厳しいとおっしゃいましたけれども、要請すべきじゃないかと。
○議長(平良一男君) 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 問題は、へき地教育法の中で沖縄本島を離島とみなせという要請だろうと思うんですが、立法の趣旨からしてこれは無理であると申し上げたわけでございまして、法律解釈に大臣だろうが沖縄県知事だろうが法律解釈にはこれは同じような立場に立っているわけでございまして、離島の扱いをしてもらいたいという要請があればそれなりに答えまするけれども、それは要請として承るのであれば、今まで教育長がいろいろ苦労していますから、それで19から17は救済いたしまして、久米島の2校だけは救済できなかった、まことに残念であると。
 しかし、これは沖縄の離島性の中でもいわゆる海洋性、沖縄の海洋は瀬戸内海と違いまして距離は短いようでございまするけれども、馬天と久高島、那覇と慶良間にいたしましても、これは距離は近いですけれども外洋に等しいわけです。波が荒い、風が強い。天気がいいときでも船が渡れない。瀬戸内海みたいに鏡のような海とは違いまするから、そういう沖縄の持つ離島の海洋性、外洋性、これは内海じゃございませんので、そういう理解が足りないということでいろいろ教育長が文部省に対して説明するわけでございますが、そこで点数も上げて、あと2点あれば何とかできるんだがというところでどうにもならない、こういうことでございますので御理解をいただきたいと思うのであります。
 基地の問題でございますが、石田委員長がジョンストンに会ったからといって、移設を前提とする返還についても、これは移設したくても返還できるという、こういうふうに新聞報道で見ておりますがまだジョンストン准将からはそういう正確な答弁は聞いておりませんけれども、伊集議員に答えたように前例として2、3件あるようでございまするので、移設つきを前提とする施設区域の返還でありましても、そういうことはできませんので……。できないということは、私は何遍も繰り返しているとおり沖縄本島で移設区域の地先を求めることは困難でございますので、そういうことじゃなくて、陸軍が使い、海軍が使い、空軍がいい、海兵隊が使っている。こういうものを整理統合して、四軍が一つの施設を使う。縄張り争いばかりして、陸軍のものだから使わさない、海軍のものだから使わさないということじゃなくて、そういう世界情勢の新しい動きの中でいわゆる整理統合、四軍が一緒になって一つを使うというふうな形で整理統合していきたいということを申し上げているとおりでございまして、石田さんがおいでになったから、それが一つの効果としてあらわれたというものではございませんから、御理解を賜りたいと思います。
○宮城清順君 休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後5時26分休憩
   午後5時27分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 宮城さんが言いたいことは、石田委員長が来て、何かしらあんたの質問の趣旨からいたしまして、石田委員長が来たから移設を前提とする施設区域の返還であっても移設を前提にしなくても返すんだと、こういうことが初めて出たというふうに聞こえるんですよね。
 私が申し上げるのはそうではないと。伊集議員に答えたとおり、前にもそういうことがありますよと具体的に例を示して申し上げたじゃないですか。伊集議員に明確に申し上げてあります。
 そういうことで、あなたの要望は、そういうことを再確認して要望してもらいたいということであれば、これはやりますから。
○議長(平良一男君) 以上をもって代表質問は終わりました。
○議長(平良一男君) 日程第2 甲第7号議案から甲第9号議案まで及び乙第15号議案を議題といたします。
 知事から提案理由の説明を求めます。
 西銘知事。
   〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 平成元年第9回沖縄県議会(定例会)に追加提出いたしました議案について、その概要及び提案の理由を御説明申し上げます。
 今回提出いたしました議案は、予算議案3件、条例議案1件の合計4件となっております。
 まず、甲第7号議案平成元年度沖縄県一般会計補正予算(第3号)について御説明申し上げます。
 これは、職員給与の改定等に要する経費を緊急に予算措置する必要が生じたため追加提案するものであります。
 今回の補正額は50億3968万8000円で、これをさきに提案しております補正予算の補正後の額4376億8668万8000円に加えますと、改予算額は4427億2637万6000円となります。
 次に、公営企業会計補正予算について御説明申し上げます。
 甲第8号議案平成元年度沖縄県水道事業会計補正予算(第2号)及び甲第9号議案平成元年度沖縄県工業用水道事業会計補正予算(第1号)は、それぞれ職員給与の改定等に要する経費を緊急に予算措置する必要が生じたため追加提案するものであります。
 最後に、条例議案について御説明申し上げます。
 乙第15号議案沖縄県職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、人事委員会の給与勧告並びに国及び他の都道府県職員の給与改定等を考慮して、県職員及び県費負担職員の給与を改定する必要があるため所要の改正をするものであります。
 以上、今回提出いたしました議案についてその概要及び提案の理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重なる御審議の上、議決を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○議長(平良一男君) 知事の提案理由の説明は終わりました。
 ただいま議題となっております議案中、職員に適用される基準の実施、その他職員に関する事項について必要な規定を定める条例については、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聞く必要がありますので、ただいまから人事委員会委員長の意見を求めます。

 人事委員会委員長。
   〔人事委員会委員長 上里安儀君登壇〕
○人事委員会委員長(上里安儀君) 人事委員会の意見を申し上げます。
 提案されました乙第15号議案沖縄県職員の給与に関する条例の一部を改正する条例については、平成元年10月9日、人事委員会が行った職員の給与に関する報告及び勧告の趣旨に沿って給与改定を行うものであり、適当と考えます。
○議長(平良一男君) 人事委員会委員長の意見の開陳は終わりました。
○議長(平良一男君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、明12日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時31分散会

 
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