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平成10年(1998年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 6月26日
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議 事 の 概 要
平成10年6月26日(金曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
1 具志 孝助君(自民党)
2 渡久地 健君(自民党)
3 伊波 栄徳君(社会・護憲)
4 当山 全弘君(社大党)
5 宮城 國男君(新世会)
6 嘉陽 宗儀君(共産党)
7 大城 秀昭君(結の会)
8 平敷 昌一君(新風会)
9 髙良 政彦君(公明沖縄)
午後9時1分散会
○議長(友寄信助君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
経済労働委員長及び文教厚生委員長から、6月19日の委員会において経済労働副委員長に金城繁正君、文教厚生副委員長に大工廻朝栄君をそれぞれ互選したとの報告がありました。
次に、説明員として出席を求めた地方労働委員会会長屋宜正一君は、所用のため本日及び6月29日から7月1日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長座波一夫君の出席を求めました。
その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(友寄信助君) この際、念のため申し上げます。
本日及び6月29日から7月1日までの4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(友寄信助君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
具志孝助君。
〔具志孝助君登壇〕
○具志孝助君 おはようございます。
自由民主党を代表して、県政の当面する課題について通告に基づき順次質問を行います。
1、基地問題について。
(1)知事訪米について。
知事は、ことしも5月15日から30日までの16日間にわたり訪米要請に出かけた。知事について8年の間に実に7度目の訪米である。見るべき成果もない中で、基地問題に名をかりた政治的パフォーマンスに県民からは、知事のビッグバケーションだ、人気の高さにあぐらをかいた傍若無人な振る舞いだと言われることを知ってか知らずかである。特に今回の訪米は思いとどまるべきであった。その理由は、橋本総理が大田知事の要請を受けて最も困難な問題と言われた普天間飛行場の返還問題を含めたSACO合意を知事みずからの3選出馬と絡めけ飛ばしてしまい、一国の総理のメンツをものの見事につぶしてしまったからである。
以来、橋本総理は知事との面談を拒否し続け、恐らく大田知事は3選されない限り永久に橋本総理に会うことがかなわないと思われる。
案の定、いそいそと出かけた7度目の訪米であったが、キャンベル国防副次官補から記者同席のもとでこっぴどく知事の判断の甘さを糾弾される結果となった。
訪米報告書によると、宜野湾市長が普天間飛行場返還に言及したことに対しキャンベル氏は、この要請はアメリカ政府に対してではなく、ぜひ大田知事の方にしてもらいたいと厳しくまぜ返されたと書かれております。キャンベル氏は発言の冒頭で、SACOは日米両政府が沖縄の基地問題について過去に例が見られないほど非常に真剣に取り組んだ結果であると述べている。
このように日米両政府は、長い時間と労力をかけてSACOの作業に真剣に取り組んできたが、その成果が全く報われない。あれは一体何だったのかと、むなしさだけが残っているとまで言っているのである。
人間の真摯な努力を一顧だにするでもなく、みずからの名誉欲、保身という低次元の判断で国対国の外交成果をいとも簡単にほごにするなどということは、沖縄県民の真の幸せや経済振興を考える政治家ならばとても怖くてできるはずがないのである。いかに我が県知事が県政を預かるリーダーとしての資質に欠けるかという一つの証左であろう。
今、沖縄県は47都道府県の中でも最大の財政危機に陥っている破産寸前の自治体なのである。県の各種の財政指標を見れば一目瞭然である。このような中で成果の期待できない訪米などというむだ遣いを平気でやるという神経が私にはどうしても理解できない。どうも大田知事には予算の効率的な使い方、いわゆる県民に還元できる予算の投資効果という概念が欠如しているのではないか。
ノーマルな人間で平和が嫌いだという人はいないだろうし、また米軍基地などというものもあるよりない方がいいに決まっている。このように結論がはっきりしていることに5億円もの大金を平気で使ったのが平成8年9月の全国で初めてと言われた県民投票であった。今にして思えば、あれも壮大なむだ遣いであったのであります。
マスコミの報道によると、村岡官房長官は今回の知事訪米に対するコメントで、大田さんはアメリカで大枚のお金を使われたようだと苦言を漏らしたと言われている。事ほどさように大田知事の無神経さと政治的パフォーマンスは政府関係者の間でもつとに評判のようであり、これまでの7度にわたる訪米は要請行動よりも大田知事の政治的パフォーマンスを強く感じるのは私だけでしょうか。
質問。
1、何度でも訪米して沖縄の実情を訴えるという県民受けする理由で、年中行事のように2週問以上も滞在しているが、県の財政が逼迫している中で予算のむだ遣いではないかという厳しい批判がある。この際、訪米要請経費の額と内訳を具体的に示してほしい。
2、日米安保条約に基づく米軍基地についての訪米要請であるので、政府との事前調整があったと思うがどうか。
3、今回7回目の訪米であるが、要請事項は米国政府において正式に受理されているか。
4、今度の訪米に当たって何名の政府関係者に面談を要請して、実現したのは何名か。
5、沖縄から海兵隊の削減などを提唱している学者や研究者たちと会っているようだが、彼たちは基本的に米国が日本を守ることに納得せず、結果的に日本自前の軍事力の強化を主張しているように思える。これは日米安保体制の根本の議論にかかわるものであり、沖縄に都合のよい部分だけ取り出して宣伝していくことは日米関係に影響を与えることにならないか。
日米両政府の政策に反対しているこれらの研究者とのつき合いが両政府へ不快感を与えているのではないか。研究者同士ならいざ知らず、地方自治体の長として問題ではないか、所見を伺います。
これは日本政府の対応が十分でないと認識した上での行動だと理解していいのか。
(2)、基地移設について。
沖縄政策協議会は、沖縄問題に全力を挙げて取り組むという橋本総理の強い決意のもとに閣議決定を経て設置されたもので、沖縄の振興等に関して精力的に協議を行ってきた。
その事務方の取りまとめを行うために内閣審議室に沖縄問題担当室を設置し、5名の審議官を初め15名の職員を張りつけ、各省庁においても沖縄担当の窓口を設け各種プロジェクトの検討に全力を挙げた。それぞれのプロジェクトチームは何度も沖縄に足を運び、これまでの沖縄の歩みや現状を踏まえた上で21世紀の沖縄の展望を開くような具体的な沖縄の振興策を図るべく50億円の特別調整費の検討など懸命の作業を続けてきた。
これは、他の都道府県から何で沖縄だけがという声が出るほどの対応であったが、彼ら沖縄担当者はこれまでの国の取り組みが十分でなかったという総理談話を踏まえ、沖縄振興策についてはあらゆる角度から検討を重ね、県と協議してきたのである。この結果、特別自由貿易地域制度の創設など沖縄振興開発特別措置法の改正がなされるなど、これまでにない思い切った制度の拡充が図られ、国の取り組みが並々ならぬ決意のもとに進められていくことが示されたのであります。
もちろん今回実現した項目はこれまで検討を続けてきたものの一部であり、今後軍用地跡地の整備や空港、港湾、情報通信等の基盤整備など各種施設の建設、さらには各種制度の改善等が図られなければならない。国際都市形成構想の実現に向けた具体的な施策の芽出しは、まさにこれからが本番である。
そのためには沖縄政策協議会を通じ官邸や各省庁の沖縄への理解をより深め、予算や制度について特段の配慮をするなど沖縄振興に向け国と県が一体となって築き上げてきたこれまでの体制を強化こそすべきであって、これを壊すようなことは絶対にしてはいけなかったのである。
国との協力体制をここでぶち壊すことは、単にもとに戻るだけではなく大きなマイナスとなってしまい、沖縄のこうむる影響ははかり知れないものになる。もちろん国の方針に一方白勺に従えと言っているのではない。県も言いたいことは言った上でその解決策をともに探っていこうというのが沖縄政策協議会の設置の目的ではなかったのか。
普天間飛行場を含むSACO合意は基地問題の解決に向けて第一歩を歩み始めたところであり、それによる社会経済の混乱を最小限度にとどめ、逆にこの機会を逃さず将来の発展に向けて経済振興策を打ち出していくことが行政を預かる者の責務であります。だれも反対できない原理原則を振りかざして現実の動きを無視して可能性を否定していくことは行政のやることではない。目標を掲げ、その実現に向けて県民が納得するような選択肢を考え出していくことが、今、大田知事に求められている。
質問。
1、知事は、SACO合意は返還アクションプログラムに沿ったものとして評価をした。SACO合意の中で普天間飛行場返還の条件として、本島東海岸沖で海上ヘリポートの建設が明記されているにもかかわらず、知事はそのとき全く反対の意思表明もしていなかった。なぜそのときに反対の意思を明らかにしなかったのか、問う。
2、政府が数々の北部振興策を検討し出したのは、SACO合意の着実な実施が可能と判断したからであると思うがどうか。
3、知事は、SACO合意の後から普天間飛行場返還に伴う北部振興策について政府との交渉の経緯を誠実に説明することが最も大事であり、海上ヘリ基地問題になると、これは政府と名護市の問題であるといって高見の見物に徹した。ところが、突然に名護市長選挙の直前に反対表明を行った。あのタイミングにおける反対表明にはどういう意味があったのか、問う。
4、海上ヘリ基地の建設については今後、規模や環境対策、地域対策等を初め条件整備がされても受け入れることはできないのか、あるいは対応いかんによっては受け入れることもあるのか。
5、ことし3月に決定された新全国総合開発計画には土地利用上大きな制約になっている米軍施設・区域については、SACO合意の内容を着実に実施し、その進展を踏まえつつ跡地の利用を計画的に進めるとなっているが、そのことについてどのように考えているか。
6、沖縄政策協議会の振興プロジェクトはどういう状況にあるのか。橋本総理は11月知事選挙が終わるまでに大田知事に会っても仕方がないと不信感をあらわにしている。この状態でいくと21世紀プランも内容的にも期待できないと思うがどうか。
7、那覇軍港の移設について浦添市長は、地域住民の意向や国の対応次第では浦添市への受け入れを検討する用意がある旨の発言をしている。知事にバックアップする考えはないか。
8、那覇軍港の一部返還が言われているが、地権者の同意と国、県による共同使用の形態について説明を求める。
質問。
(3)、基地返還アクションプログラム(素案)について。
1、基地返還アクションプログラム(素案)は、知事が主張する安保は全国民が等しく負担すべきという思想に矛盾すると考えるので改めて問う。
2、同素案は国において作成されることが重要であると述べているが、政府はどうこたえているのか、説明を求める。
3、素案は、そのまま素案のままで差し支えないと考えるのか。
(4)、軍転特措法について。
1、今後、基地の整理縮小を円滑に進める上で給付期間の延長はぜひ実現しなければならない問題であるが、県の対応と見通しについて伺う。
項目2、知事の政治姿勢について。
(1)、新石垣空港問題について。
1、平成10年4月20日における県の適地判断は、新石垣空港の建設場所を宮良牧中地区に最終的に決定したということであるのか。
2、鈴木開発庁長官は、県の適地判断を受けて宮良牧中地区には予算をつける気持ちはないと発言されたようだが、その真意はどういうことか、説明を願いたい。
3、宮良牧中地区に空港を建設することに対し強固に反対している地権者が相当数いるようだが、県は限られた時間で彼たちから同意を得ることができるのか。
4、地権者を初め石垣市議会、県議会などの合意形成のタイムリミットはいつと考える。
(2)、沖縄振興開発特別措置法の改正について。
1、知事は、高率補助制度の継続を内容とする沖振法の改正についての見解を明確にし、政府に対し4次振計の策定を早急に要請していく決意を表明せよ。
(3)、人事問題について。
1、知事は、県職員を信用していないのか。これまでの三役人事は吉元氏を除きすべて外部登用であるのに対し、職員たちは大きな失望感を抱いていると言われている。知事の所見を伺いたい。
2、出納長の所掌事務はどのようになっているのか。
3、東門(女性)副知事の所掌事務は、知事部局では福祉部門と環境部門だけになっているが、このままでいくのか。
4、県庁職員の女性管理職への登用、各種委員会への女性登用はポーズだけで、マスコミ報道にもあるように業務遂行上支障は出てないか。
(4)、政府との関係改善について。
1、知事は、沖縄における米軍基地問題がクローズアップされて以来、これまで沖縄政策協議会への正式参加を初め破格の扱いを受けてきたが、海上ヘリ基地の反対表明を境に政府との間で断絶状態が続いている。今日の状態をどのように受けとめ、これから後どう改善を図っていくつもりでいるか、伺いたい。
(5)、3選出馬について。
1、知事は、先ごろ3選出馬を表明されたが、これまでの8年間を振り返り感慨無量となる思いであろう。特に沖縄の基地問題を全国の問題としていわゆる問題提起をし、国政を揺るがしたことは特筆すべきと思う。しかし基地問題も問題提起に終わり、大田知事には問題解決の能力はなかったと言われている。あなたの名誉のためにも3選出馬は思いとどまるべきではないか、所見を伺います。
後ほど再質問を行います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 具志孝助議員の御質問にお答えいたします。
今回の訪米において学者、研究者等と会ったのは政府間に不信感を与えるものではないかと、これは日本政府の対応が十分でないと認識した上での行動と理解してよいかという趣旨の御質問でございます。
本県の基地問題の解決を促進するためには、一方の当事者である米国の政府や議会関係者だけでなく、米国の有識者や広く一般国民に沖縄の基地問題の実情を訴え理解と協力を得ることが不可欠であります。このため今回の訪米要請事業においては、米国の連邦政府、議会関係者に対する要請活動を実施するとともに、シンクタンクなどにおいて講演したり円卓会議を実施し、軍事、国防問題の研究者や学者らと積極的な意見交換を行うことによって、それぞれの専門分野に関する情報や有益な助言をいただくことができました。
1997年3月に、日本政策研究所長のチャルマーズ・ジョンソン氏とブルッキングス研究所のマイク・モチヅキ氏らが米国の他の研究者15名と連名してクリントン大統領、コーエン国防長官、連邦議会あてに在沖米海兵隊の撤退を求める提言書を提出したほか、ことしの2月には米国の著名な学者や平和活動家など19名が全米各地の個人、団体等から400人の賛同署名を集めて、沖縄の基地問題に関するアピール文をクリントン大統領あてに提出するなど、米国内の多くの学者や研究者の方々が沖縄問題に対して高い関心を寄せています。
これらの研究者や学者の方々は、各人の専門的立場から客観的な分析と評価に基づいた提言を行っており、これらの提言が米国の軍事・国防政策の決定に一定の影響力を与えていると言われています。県としては、これらの方々に本県の基地問題を初めとする諸問題について理解を深めていただくことは本県の基地行政の推進に資するものであり、米国内における要請活動をより効果的にするために極めて重要であると考えています。
次に、知事はSACO合意は基地返還アクションプログラムに沿ったものとして評価をしたと、SACO合意の中で普天間飛行場返還の条件として本島東海岸沖で海上ヘリポートの建設が明記されているにもかかわらず反対の意思表明はしていないと、なぜそのときに反対の意思を明らかにしなかったか聞きたいという趣旨の御質問でございます。
米軍基地の県内移設に対する県の基本的な考えは、これまで何度も繰り返して申し上げましたとおり、まずは米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話し合うべきことだということであります。米軍基地の県内移設の問題については、基本的に反対であり、米軍施設の提供責任者である国がその影響を受ける漁協とか地域住民の問題を取り扱う地元自治体などとよく調整すべきでありますので、地元の意向が出ていない段階で県が国に対して発言することは好ましくありません。
次に、名護市長選挙の最中に反対表明を行った。あのタイミングにおける反対表明にはどのような意味があったかという趣旨の御質問でございます。
海上ヘリポート基地建設問題に対する県の意思表明については、名護市民投票が終了し地元住民の意思が明確にされ、さらに各種の団体からの意見聴取もほぼ終了している状況の中で、県議会与野党のみならず市民団体などから早期の決断を求める強い要望がありました。
また、私としては総理にお会いした後に県の意思を表明することとし、総理官邸と日程の調整をする努力をしましたが、国会の日程や諸般の事情等からそれがかないませんでした。県としては、このような状況を踏まえてさまざまな角度から慎重に検討した結果、去る2月6日の意思表明となったものであります。
次に、海上ヘリポート基地の建設については、今後規模や環境対策、地域対策等を初め条件整備がされても受け入れることはできないのかと、あるいは対応いかんによっては受け入れることもあるのかという御質問でございます。
県は、政府の海上ヘリポート基本案については、名護市民投票の結果や各種団体の意見、さらに普天間飛行場の県内移設に反対する県議会の決議、自然環境保護の問題、加えて沖縄の米軍基地を取り巻く国内外の状況や県政運営の基本理念等さまざまな角度から検討した結果、受け入れることはできないと判断しました。
海上ヘリポートについて、日米両国政府は最善の策であるとしていますが、なぜ最善なのか、県民にきちっと説明されていません。
アメリカ軍が昨年8月にまとめたいわゆるSBFレポート、国防総省が昨年の9月にまとめた「日本国沖縄における普天間海兵隊航空基地の移設のための国防総省の運用条件及び運用構想」と題するレポート、いわゆるDODレポート、ことしの3月にアメリカの会計検査局が出したいわゆるGAOレポートによると、海上ヘリポートの規模は、当初我々が予想していたものをはるかに超える規模になる可能性がある上、基地機能が現在よりも20%強化される懸念があります。
例えば、SACOの最終報告や政府の基本案では、海上施設は今の普天間飛行場より規模が5分の1程度に縮小され、長さ1500メートル、幅600メートルになるとしていますが、これらのレポートでは長さ1500メートルで幅が800メートルから1000メートルになるとしています。
また、建設に要する期間も5年から7年ではなく、少なくとも9年から10年はかかるとしています。
また、機能の点ではMV22オスプレイを配備する等のため20%機能を向上させた施設をつくるとしています。
さらに、このような施設の建設には約40億ドル(5000億円)かかり、年間維持費は約2億ドル(約250億円)になるとGAOレポートは試算しています。
このようなことから、政府の海上ヘリポート基本案を受け入れることはさらに厳しい状況となっており、普天間飛行場の早期返還を実現するためには県外への移設、とりわけグアム、ハワイ等への移設について考慮していただくことが肝要だと考えています。
次に、新全国総合開発計画においてSACO最終報告の合意内容を着実に実施し、その進展を踏まえつつ跡地利用を計画的に進めるとなっているが、そのことについてどのように考えているかという御質問でございます。
新全国総合開発計画において、本県は「太平洋・平和の交流拠点」、すなわちパシフィック・クロスロードとして特色ある地域の形成を目指すこととされ、同計画に国際都市形成構想が反映されたものと考えています。国際都市形成構想を具体的に展開し、その機能を担う拠点を形成するためには、基地返還跡地は貴重な空間であると考えています。そのためには基地返還アクションプログラム(素案)に沿った計画的かつ段階的な基地返還が必要であります。
SACOの最終報告において返還合意された11施設のうち、7つの施設が県内の既存施設・区域への移設を条件としているため厳しい状況にあります。
安波訓練場の返還について、県は新たに提供された土地及び水域が基地返還アクションプログラム(素案)に基づき2010年までに返還してもらうよう国に要望した上で、基地の整理縮小を着実に進める観点から、当該訓練場の返還について了承しました。現在、返還手続が進められており、米軍基地が着実に返還されることを期待しています。県としては、引き続き基地の計画的かつ段階的な返還を日米両国政府に強く求めていきたいと考えています。
沖縄政策協議会の振興プロジェクトはどういう状況にあるかと、橋本総理は11月の県知事選挙が終わるまで知事に会っても仕方がないと不信感をあらわにしていると、この状態でいくと21世紀プランも内容的にも期待できないと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
沖縄の振興策については平成8年9月の総理談話によって、さきの大戦から今日までの沖縄県民の苦しみと負担の大きさ、そして依然として存在する沖縄と本土との経済格差を埋めていくための施策として取り組まれているものと理解しています。
沖縄特別振興対策調整費につきましては、平成10年2月に最終配分がなされ、これらの事業成果について現在内政審議室において最終的に取りまとめを行っています。
沖縄特別振興対策調整費の事業では経済シンポジウムなど平成9年度限りで終了した事業が4事業ありますが、マルチメディアの共同利用型研究開発施設が整備され、地元の企業・研究機関等15団体が使用しています。また、6カ国語の同時通訳者養成事業、10名の人材育成海外派遣事業、40名の高校生米国派遣事業、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターなど事業着手されたものがあります。さらに国立高等専門学校の創設準備や国立組踊劇場の設置、国際協力・知的交流事業など平成10年度で予算措置され、引き続き実施されるプロジェクトが23事業あります。
また、NIRAの沖縄振興中長期展望についての調査や流域赤土流出防止等対策事業など今後の事業展開に活用が期待される調査等が27事業あります。
なお、空港、港湾関連の調査など7つの事業についてはハブ化に向けた将来展望が開けるよう引き続き調査検討が必要であると考えています。
また、沖縄の振興策では沖縄振興開発特別措置法が改正され、特別自由貿易地域制度が設けられたことと、現行の自由貿易地域制度の拡充が図られたことなど今後の産業振興に大きな効果が期待できるものとなっています。
さらに、去る3月に閣議決定された新全国総合開発計画である「21世紀の国土のグランドデザイン」の中で沖縄の整備の基本方向として太平洋・平和の交流拠点として特色ある地域の形成を目指すと明確に位置づけられています。
なお、平成10年2月の橋本総理の施政方針演説では、「沖縄の方々が長年背負ってきた負担に思いをいたし、沖縄が抱える問題の解決に全力を傾けること」を明言されました。このことを踏まえ、沖縄経済振興21世紀プランについてもこれまで実現した項目に加え、沖縄経済振興に向けてさらなる具体的施策が盛り込まれるよう国に要望していきたいと考えています。
次に、那覇軍港の移設についての御質問でございます。
浦添市長の発言については承知しておりません。
この問題については、まず米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話し合うべきだと考えています。今後県としては関係市町村の意向も踏まえながら、必要な段階では国際都市形成の課題等を勘案し県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えています。
次に、基地返還アクションプログラム(素案)は知事が主張する安保は全国民が等しく負担すべきという思想に矛盾すると考えるので改めて伺いたいという御質問でございます。
基地返還アクションプログラム(素案)は国際都市形成構想との関連、これまでの返還要望の状況、市町村跡地利用計画の熟度、市町村の意向等を総合的に勘案して作成したものであり、2015年を目途に米軍基地の計画的かつ段階的な返還を目指すものであります。
本県は、我が国で唯一の悲惨な地上戦を経験するとともに、戦後50年余も広大な米軍基地から派生する諸問題で既に県民は多大な負担を強いられてきました。このことを考えた場合、基地返還アクションプログラム(素案)に基づいて計画的かつ段階的に基地を整理縮小し基地のない平和な沖縄を目指すことは、安保条約が重要というのであれば国民が等しく負担すべきであるという考え方と何ら矛盾するものではありません。
次に、基地返還アクションプログラム(素案)に対して政府はどうこたえているか、(素案)はそのまま(素案)のままで差し支えないと考えているのかという御質問に一括してお答えいたします。
基地返還アクションプログラム(素案)は、平成8年1月に沖縄米軍基地問題協議会幹事会に提示し、国において同プログラムを策定するよう強く要請してきたところであります。
平成8年9月の総理大臣談話で総理は、米軍施設・区域の整理縮小の推進や米軍の兵力構成を含む軍事体制について継続的に米国と協議することを表明されました。平成8年12月にはSACOの最終報告において11施設の返還が合意されましたが、本県の米軍施設全体についての返還計画はまだ策定されていません。
基地返還は、日米両国政府間において決められるものであることから(素案)として提示したものであります。今後とも国において基地返還のアクションプログラムを策定するよう引き続き要請してまいりたいと考えています。
次に、平成lO年4月20日における県の適地判断は、新石垣空港の建設場所を宮良牧中地区に最終的に決定したということかという御質問でございます。
新石垣空港建設対策協議会は、平成10年4月20日に新石垣空港の建設候補地である宮良地区は気象条件においてウインドカバレージの基準を満たしており、局地風等の問題も特になく、また赤土等流出防止対策については沈殿池を設置し濁水を25PPm以下に処理して放流する等の万全な対策を講じることによって環境保全目標は達成されており、一連の調査の結果から新石垣空港の建設位置として技術的に問題はないと判断されました。
これを受けて4月23日に庁議及び三役会議において審議し了承され、県は宮良地区を新空港建設位置として決定しました。今後関係地権者や関係機関の同意及び新石垣空港の設置管理者は沖縄県とすることについて石垣市議会、県議会の議決を得て航空法第38条に基づき運輸省に飛行場設置許可申請を行い、許可を得て建設位置の最終決定となります。
次に、知事は高率補助制度の継続を内容とする沖振法の改正について見解を明確にし、4次振計の策定を早急に要請していく決意を表明すべきだと思うがどうかという御質問でございます。
沖縄振興開発特別措置法及び第3次沖縄振興開発計画の期間満了まで3年余となり、今後の本県の振興開発のあり方について検討することが重要な課題となっています。このため県においては、本年度から沖縄振興開発計画の実績や課題等の総点検作業に着手するなど一連の作業を進めています。今後、この総点検の結果を取りまとめ、新たな沖縄振興計画や必要な制度等について検討し国に要望してまいりたいと考えています。
次に、これまでの三役人事は吉元氏を除きすべて外部登用であることに対し職員たちは大きな失望感を抱いていると言われているがどうかという趣旨の御質問でございます。
三役は知事と一体となって県政運営に当たり、国を初め県議会、市町村、関係団体との調整や職員を指揮監督する等重要な職責を有することからすぐれた行政能力と的確な指導力、調整力が必要であります。
三役人事に当たっては、これまで県庁内外を問わずその職責を全うできる人物を議会の同意を得て選任してきたところであります。
次に、東門副知事の所管事務は知事部局では福祉部門と環境部門だけになっているが、このままでいくのかという御質問でございます。
東門副知事は、総務部知事公室女性政策室、文化環境部、福祉保健部及び企業局に関する事項並びに教育委員会との連絡調整に関する事項を担任しています。
副知事の担任事項については現在総体的に見直しを進めているところであります。
次に、県庁職員の女性管理職への登用、各種委員会への登用はポーズだけでマスコミ報道にもあるように、業務遂行上支障が出ていないかという趣旨の御質問でございます。
県では行政各分野の政策、方針決定への女性の参画を促進するため県の管理職や各種の委員会等への積極的な登用を図っているところであります。
登用に際しては、その能力、適性、経験及び識見などを総合的に判断した上で行っており、それぞれのポストにおいて職責を十分に果たしています。
女性の登用については、国の審議会等における女性委員の登用について国際目標である30%を10年間で達成するとした国の男女共同参画推進本部の決定等を踏まえ今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
次に、知事は海上ヘリポート基地の反対表明を境に政府との間で断絶状態が続いているが、今日の状態をどのように改善していくかという趣旨の御質問でございます。
橋本総理は去る2月16日の施政方針演説の中で、沖縄の米軍施設・区域の整理・統合・縮小に引き続き全力を挙げるとともに、沖縄の振興にも最大限努力する決意であり、特別自由貿易地域制度の創設などを内容とする法案の成立を期するという趣旨の発言をされています。
さらに、県が要望していた特別自由貿易地域制度の創設などを盛り込んだ沖縄振興開発特別措置法の改正案が去る2月13日に閣議決定され、3月30日の国会で成立しました。この改正により県の特別自由貿易地域においては製造業、倉庫業またはこん包業を営む企業に対して35%の法人税の所得控除が適用され、公的な金融機関による特別な低利の融資制度も利用できるなど本県への投資環境の整備が図られたものと考えています。
また、国は去る4月24日の経済対策閣僚会議において過去最大規模となる16兆6500億円の総合経済対策を決定し、県もこの対策を受け約477億円の総合経済対策を講じております。
このようなことから、橋本総理や政府関係者は本県の米軍基地問題や振興策について引き続き前向きに取り組んでいただいているものと思っています。
本県の米軍基地問題の解決や振興策のためには国の支援が不可欠であり、県としては本県が抱える諸問題の解決について国の理解が得られるよう引き続き働きかけていきたいと考えています。
なお、政府の海上ヘリポート基本案については、県としては受け入れられないと判断した事情や経緯について宮平副知事が2月19日、3月27日及び4月2日にわたって古川官房副長宮や村岡官房長官と面談し、また政府審議官との意見交換の場等を通じ政府に対し県の立場への理解を求めてきたところであり、今後とも政府との信頼関係の保持に努めてまいりたいと考えています。
次に、基地問題も問題提起に終わり、問題解決の能力はなかったと言われている、3選出馬は思いとどまるべきではないかという趣旨の御質問でございます。
私は、知事に就任して以来、長期的な展望に立って何よりも県民一人一人の生命と暮らしを大切にし、誠意を持って県民に奉仕するという気持ちで取り絶んでまいりました。とりわけ基地問題については、非生産的な基地を人間の幸せに結びつく生産の場に変え、若者が真に夢と希望の持てる沖縄を実現することが私に課せられた責務であると考え、これまで誠心誠意頑張ってまいりました。
具体的には、平成8年に基地返還アクションプログラムを作成し、米軍基地の計画的かつ段階的な返還等を日米両国政府に訴えてまいりました。
これまでの具体白勺な成果としては、シーメンズクラブを民間地域から米軍施設内に移し、跡地に青少年の健全育成と県民の健康・体力づくりの場として県立武道館を建設したほか、恩納村の都市型ゲリラ訓練施設を廃止させた上、県道104号線越えの演習の廃止や安波訓練場の返還合意などが実現しています。
また、軍用地の跡地利用の促進に向けて県が要綱を作成して政府に訴えてきたいわゆる軍転特措法についても立法化が実現いたしました。
私は、21世紀を目前に控え、沖縄の将来を左右する重要な時期にあって、将来への展望を切り開き、平和な沖縄を築くために引き続き全力で取り粗んでまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、お許しを得て関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) おはようございます。
具志孝助議員の基地問題についての中で、年中行事のように2週間以上の期間で訪米しているが、県の財政が逼迫している中で予算のむだ遣いではないかという厳しい批判がありますと、知事訪米にかかる経費とその内訳について具体的に聞きたいということに対してお答え申し上げます。
今回、基地問題の解決を促進するとともに、国際都市形成構想の実現に向けて新たな産業振興を図る観点から、米国政府や連邦議会等の関係機関に対し基地の整理縮小及び基地被害の未然防止とあわせて在沖米軍兵力、とりわけ海兵隊の削減について要請するため知事等が訪米いたしました。
平成10年度の訪米要請事業に要した経緯を申し上げますと、総額で2135万9000円となっております。
内訳といたしましては、事前の国内要請にかかる普通旅費が64万8000円、訪米要請にかかる特別旅費が1408万円、現地県人会との交流会にかかる交際費が35万円、視察の事前調整及び現地案内にかかる報償費が1万8000円、現地での懇談会開催にかかる食糧費が16万2000円、訪問先への土産品購入にかかる消耗品費が63万8000円、要請書等の資料作成にかかる印刷製本費が150万6000円、電話及びファクスの利用にかかる通信運搬費が20万2000円、コピー料金及び舞踊代として手数料が10万4000円、現地での作業用会議室借り上げ、知事招宴の開催等にかかる委託料が218万5000円、車両借り上げ等にかかる使用料及び賃借料が146万6000円となっております。
次に、日米両国間の条約に基づく米軍基地についての訪米要請事業であるので、政府との事前調整があったと思うがどうかということにお答えを申し上げます。
訪米要請事業は、県の単独の事業として実施しておりますことから国との調整は行っておりませんが、訪米に当たっては自治省を通じて外務省に対し訪米の目的等について伝えた上で米国滞在中の便宜供与依頼の手続を行ってまいりました。
また、訪米に先立ちまして平成10年5月7日に宮平副知事が上京し、外務省、防衛庁、それから防衛施設庁、在日米軍司令部及び在日米国大使館に対し米国における要請と同様の要請活動を実施しました。要請活動においては、沖縄の米軍基地に関する要請書を手渡すとともに、要請事項の説明を行ったところであります。
次に、要請事項は米国政府において正式に受理されているか聞きたいと。
今回の訪米要請事業においては、国務省のラスト・デミング東アジア担当上級顧問及び国防総省のカート・キャンベル国防副次官補と面談し、沖縄の米軍基地に関するオルブライト国務長官及びコーエン国防長官あての要請書を手渡すとともに要請事項の説明を行いました。県としては、米国の各政府機関において要請事項が正式に受理されているものと考えています。
それから、今回の訪米に当たり何名の政府関係者に面談を申し込み、実現したのは何名か聞きたいと。
今回の訪米要請事業においては、政府関係者として大統領府大統領補佐官、国務長官、国防長官及び海兵隊総司令官またはその代理者との面談を外務省を通じて申し込みをいたしました。その結果、大統領補佐官、両長官、司令官とも多忙で対応が困難であったことから、大統領補佐官との面談は実現しませんでしたが、国務省においてはラスト・デミング東アジア担当上級顧問が、それから国防総省においてはカート・キャンベル国防副次官補が、海兵隊総司令部においてはマーチン・スティール海兵隊副参謀長が代理者としてそれぞれ面談に応じていただいたところでございます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 基地問題との関連で、政府が数々の北部振興策を検討し出したのはSACO合意の着実な実施が可能と判断したからではないかとの御質問でございます。
北部地域の振興開発につきましては、県はこれまで名桜大学の開学支援、部瀬名岬再開発事業など観光・リゾート地として整備するとともに、国道58号名護東道路の整備促進や古宇利大橋の整備など広域交通ネットワークの整備等を行ってきたところであります。国から提示されました北部振興策がSACO合意の実施が可能との判断に基づいたものであるかどうかは承知をしておりませんが、県といたしましては今後とも北部の地域特性を生かした振興を進めていきたいと考えております。
次に、軍転特措法については、給付期間の延長はぜひ実現しなければならない問題であるが、県の対応と見通しについての御質問でございます。
沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律、いわゆる軍転特措法では給付金の支給期間を最高3年間としていますが、過去の基地跡地における土地区画整理事業では返還から事業完了まで平均14年3カ月と長期間を要しています。そのためほとんどの基地所在市町村や地権者が支給期間の延長を望んでおり、県においても現行の3年を延長する必要があると考えております。
現在、支給期間の延長等を含めた軍転特措法の諸問題について国際都市形成等市町村連絡協議会の基地返還構想部会において検討を行ったほか、軍用地等地主会連合会と意見交換を行い、問題点を整理したところであります。今後、支給期間の延長や駐留軍用地跡地利用基金の設置等を含め跡地利用が円滑に推進できるよう関係機関に対して要請していきたいと考えています。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) おはようございます。
このたび商工労働部長を拝命いたしました宮城でございます。一生懸命頑張っていくつもりでございますので、よろしくお願いいたします。
那覇軍港の一部返還について地権者の同意と国、県による共同使用の形態についての御質問にお答えいたします。
国においては、那覇臨港道路空港線整備事業――いわゆる沈埋トンネル関連施設でございます――の一環として那覇港湾施設の一部返還等に向けて地権者の同意など所定の手続が進められているところであります。そのうちおよそ1.41ヘクタールについては、自由貿易地域予定地として沖縄総合事務局長が那覇防衛施設局長に対し一時使用――共同使用とも言われております――の申請をしているところでございます。
沖縄県といたしましては、今回の一時使用については今後国の全面的な協力のもとに自由貿易地域として活用していく所存でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 私もこの4月、土木建築部長を拝命した上原でございます。誠心誠意頑張っていきたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。
具志孝助先生の新石垣空港問題について、鈴木長官は宮良牧中地区に予算はつける気持ちはないと発言されたようだが、その真意はどうかということにお答えいたします。
県が空港建設位置と決定した宮良地区で予算を要求するには地元の合意形成が大前提であるということだと認識しております。今後とも地権者を初め関係機関等地元の理解と協力が得られるよう全力を傾注していく所存でございます。
次に、宮良牧中地区に空港を建設することに対し強固に反対している地権者が相当数いるようだが、県は限られた時間で同意を得ることができるのかということについてお答えいたします。
平成10年1月26日付で県に対し26人の地権者の方々が用地を提供しない旨の通知を送付しております。解決すべき諸課題のうち地元の合意形成が最も重要であると認識しており、引き続き石垣市と一体となって全地権者の皆様方から合意が得られるよう努力を傾注していきたいと考えております。
次に、地権者を初め石垣市議会、県議会などの合意形成のタイムリミットはいつと考えるかとの御質問にお答えいたします。
県は、平成10年4月23日に宮良地区を新石垣空港建設位置として決定し、地区説明会や郡民説明会を行い、その後関係地権者の同意取りつけを実施し、現在約7割の同意を得ております。
また、石垣市は今6月議会に「新石垣空港の設置及び管理について」の議案を提案しており、市議会等での議決、さらに関係地権者の100%に近い同意が8月上旬ごろまでに得られれば、平成11年度の調査費について国への概算要望は可能と考えております。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
○総務部長(又吉辰雄君) 総務部長の又吉でございます。
議員の皆様方には、知事公室長、政策調整監として大変お世話になりました。
現下の行財政環境はかつてないほど厳しいものがございますが、私なりに創意工夫をいたしまして頑張る決意でございますので、今後ともよろしくお願いいたします。
それでは具志議員の御質問にお答えいたします。
出納長の所掌事務はどうなっているかという御質問でございます。
出納長の職務は、地方自治法で普通地方公共団体の会計事務をつかさどるものと規定されております。その主なものは、現金、有価証券及び物品の出納並びに保管、支出負担行為に関する確認、決算の調製等であります。
また出納長は、知事の補助機関といたしまして知事の命を受けて政策的な事項などに携わることもございます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 具志孝助君。
〔具志孝助君登壇〕
○具志孝助君 再質問を行います。
正直なところ、答弁が各項目一応触れてはいただいたんですが、核心を外しているというような感じでいささか不満でありますけれども、再質問の中で少しでも誠意ある答弁を期待をいたしたいと思っております。
まず訪米の問題ですが、私は訪米の必要性というんですか、大事さは認めるんです。
ただこれだけの予算を使って、これだけの期間をかけて、これだけの人たちが果たして毎年行くほどのことなのかと、このことを間題にしているわけでありまして、今知事はまさに年中行事であって、沖縄の気持ちが心が伝わるまでどんなことがあっても頑張ると、こういうような県民の感情に訴えてそれを正当化しているわけですが、しかしもうこのごろではちまたではまさしくこれはバケーションじゃないかと、こういうようないわゆる批判があるんです。
1回目から7回目までの総経費が1億2399万1000円なんです。これまでに県職員が行ったのが65名、市町村長さん(首長さん)方が33名、合計98名行っている。延べ日数で106日なんですよ。1回当たりの平均の訪米経費が何と1771万3127円も要しているんです。今回に限って計算しますと職員が11名行っているんです、知事を含めて。1人当たり平均が単純に割って194万なんですよ。
私はいつも思うんですが、むだというか、不必要というのはないと恩うんです。何を優先するかが大事なんです。
今学校ではですよ、暑くてどうしようもないと。何とかクーラーを入れてくれと。あの西高校なんか学校の位置が悪くて空港周辺整備制度資金でもって空調工事ができるだろうという前提で設計がなされたもんですから、ところがあそこは該当しなかった。クーラーが入らない。こんなような状況の中で大変不便な思いをしながら勉強をやっている。倒れる子供たちがいるような状況で、予算がないという事情でできなかったんです。
ようやく今度総合経済対策事業でやるようになっているようでありますけれども、毎年これだけの予算をかけて訪米をやっていて、そういう学校現場では予算がないから我慢しなさいというようなことが果たしてこれでいいのかと、これを申し上げているわけであります。
今回の2134万円ということは、それこそ土木関係の事業は1億あれば10億の仕事ができるということから考えれば恐ろしいですよ、2億1000万。
ここに今回の訪米事業の報告書が手元に届いているわけですが、これによりますと今回の要請事項は11項目あるんです。基地返還アクションプログラム(素案)についての要請、普天間飛行場の早期返還、在沖米軍兵力の削減、それから普天間飛行場等の騒音対策の強化、演習に伴う安全管理の問題とか一通り基地関係、要するに今回の訪米の主たる目的は基地問題に関する要講なんです。これが主たる目的なんです。
そのついでに大事なことでありますので基地視察だとか、今最近強調しておられる環境浄化の問題、これも基地にかかわる問題でありましょう。
私はこういうことを考えますと、皆様の訪米報告書の中にある、経過の中にある内容からしますと、実際にじゃ訪米活動というのはどういうものがあったかといいますと国務省のデミングさんに会ったこととキャンベルさんに会ったこと、スチーブンさんに会ったこと、国務省の。この3名が正式要請なんです。あとは講演会、円卓会議、夕食懇談会、基地視察等々なんです。
いいですか、私はすべて否定をしないんですよ。それぞれに大事なことであるけれども、こんなような内容で毎年行くことなのかと言っているんですよ。これが県民が我慢できない予算のむだ遣いじゃないかということです。それを県民の心が伝わるまで毎年でも行きますよと、こう言ってみせるところに知事特有のパフォーマンスだと私は言っている。これは絶対に許されないと思います。
もう1回、この要請内容の本来の目的、これからすればもっと短期間にできるんじゃないか。まさしくこれは10何名も職員を連れてあそこに行かれたことは大名行列ですよ、大名行列。
いいですか、これは行った職員、時間がないんですが、事務局長、事務総括、それから広報、記者対応、記録、庶務、それから知事秘書、庶務、記録、カメラマン、そうそうたることですよ。本来の要請行動ということを考えたときに、こんなには要らないはずなんです。
基地視察であれば、視察でまた別日程を組んでいけばいいんじゃないですか。あるいはついでに行くにしても、毎年行くほどのことであるのかと、こういうことを申し上げているわけであります。
いま一度知事の答弁を求めます。
それから基地の移設問題ですが、知事、名護の選挙の2日前にあなたは拒否表明をされた。これが政府やあるいは県内でも相当に批判をされているんです。なぜあの時期にやるのかと。
実はあれはよくわかりませんけれども、いろいろとちまたで言われていることは、もう敗戦濃厚じゃないかと。市長選挙に敗れて、市長選挙をまさに海上基地問題で戦っているのに、その移設受け入れ側が推す候補者が勝ったときには、受け入れ反対の表明をできなくなっちゃうんじゃないかと。だから今やらぬとタイミングを失する、こういうようなことでやったということと、選挙は形勢不利だから、ここでもって言えばまた浮上すると、こういうようなことだったんだろうかと。いずれにしましても大変な政治的な発言だというようなことで大変な不信を買っているわけなんです。
当時、政府は全く市長選挙までは介入をしなかったんです。しっかりと市民の判断を尊重しようと、こういうような態度をとったわけですが、知事がああいうような政治介入をやったということに大変な不信感をあらわにして今日の状況があるわけなんです。
実はその前に、知事は現実的対応という、この議会の場でも何度も何度も言われた。そして知事を推す団体の皆さんからも、あなたたちはそんなことを言っているけれども、行政の長としてはそう簡単にいかない、皆さんに対案があったら示しなさいと。ここまで言われて、これは革新知事がそういうことを言っていいのかと、こういうようなことが言われた経緯があります。
我々も実はSACOの中間報告の中で普天間飛行場の全面返還、5年ないし7年の間に移設条件つきではあるけれども全面返還をやるぞと。こう言ったときに知事は喜ばれた。相当に評価をされた。そのコメントも私は手元にありますけれども、時間がありませんからここで紹介はいたしませんが、正直に大変な評価をされて、あれから蜜月の関係になってきたんです。そして振興策がどんどんどんどん打ち出されてきた。まさに期待をされたんです。沖縄には迷惑をかけるししかし言うように現実に皆さんの状況にはまともに全部はこたえられないので、現実的には計画的、段階的にやろうと。アクションプログラムの2015年は守れぬかもしらぬけれども、可能な限り応じていきましょうというのが私はそれに基づくいわゆる第1期目の普天間返還の実現なんです。
したがって、名護の住民投票の直前までは住民投票の結果はどうなるかわからぬというような知事の心に揺らぎというんですか、動揺があったと思うんです。ところが、あれを前後にして3選出馬の問題だとか、知事に決断を迫ったり、反対表明を迫ったり、いろんなことがあって、あれから投票が終わると同時ににわかに知事は豹変された。これはもうだれもが認める。あなたがどう否定しようと認められる、客観的にそうなんです。
そこで3選出馬にシフトしたなと。現実的対応をしても自分の支持者からは評価をされない、それじゃ3選はあり得ないと。とりあえず3選をとるんだと。そのためには今のスタンスを維持するしかないんだと。こういうような選択をしたということはだれの目にも明らかだったんです。そこが次元が低過ぎるというんです。
いかがですか、今私が申し上げた点について大事なところだと思っておりますので、いま一度答弁をお願いしたい。
それから新石垣空港、きょう同意案件が最終本会議で上程されておりましてまだ予断を許さないと言っておりますが、今土建部長は8月中旬までにとおっしゃるんですが、不提供通知も私の方にも写しが届きました。何が何でもだめだと言っているんですよ。
知事、あなたはデミングさんと会ったときに、報告書にあるんです。私には海上基地の受け入れは命にかけても反対しますよと、こういうような連絡が入っておりますよと。もしそういうことを受けたら沖縄は大変なことになるし、アメリカの基地はとてもじゃないけれども今のような状態ではおられませんよと、おどしじゃないんでしょうけれども言われた。命をかけて反対する人がいるんですよと言っている。この報告書にあるんです。デミングさんとの話の中で。
八重山がまさにそう言っているんですよ、宮良で。しかもあれは1人や2人じゃないんです。こんなような状況の中で、本当に新石垣空港の今推している問題が来年の事業予算の確保というのは、私はもう目に見えて困難だと思っている。
いま一度この点についてもお答えをいただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 具志議員の再質問にお答えいたします。
まず、訪米の問題についてですが、学校教育の問題と関連させていろいろお話しておりましたけれども、訪米の必要性についてはですね、具志議員もおっしゃっているようにこれは県の行政の最大優先課題になっているわけですよ。これをやらないと産業の振興もできないし、災害に強いまちづくりもできないし、教育の問題においても非常に懸念される点があるしですね。したがって、そういうことのために県としては基地の整理縮小問題については、どうしてもやっていかなくちゃいけない。それで普通はこの種の難しい問題を解決する場合には、アメリカではロビー活動をお願いして絶えずこれを議会筋とか、あるいは政府に対して訴えさせるわけですよ。ところが県は金がないもんですから、残念ながらロビーが雇えないわけです。
実際問題としては、アメリカの基地を閉鎖する委員会の委員長あたりが私に忠告して、年に1回来るぐらいじゃこの問題は解決しませんよということまで言って、我々が県の代表になっても構わないから考えてみたらどうかと言われたんですが、それほど多くの金を使うゆとりがないもんですから行っているわけです。マンスフィールド元駐日大使なんかもですね、継続して来ることが非常に大事だと言っているわけですよ。そうしないとこの問題は絶対に解決しないということです。
それから今回の数の多さの問題については、今回は単に基地の問題だけじゃなくて環境の跡地利用の問題もやると。それからマルチメディアの導入の問題もするためにシノプシス社へ行って、専門的に話をするためにそういう人々もついていったわけです。ですからこれを別々に派遣するよりははるかに経済的です。
それから、御承知のように県が過重な負担をさせられているために基地行政に割く時間、エネルギー、金、これは随分多いもんですから、政府がそこを考慮していただいて基地問題の解決のための特別の予算をつけていただいているわけです。それを使っております。
それから次に、基地の移設問題との関連で、ヘリ基地の反対について表明した時期がいかにも私が3選出馬をねらってやっているかのようなおっしゃり方をしておりますが、それは違います。私はそういうことではなくて、基地を設置しようとするときの正当な手続を踏んで後、それに対する県民の意向、あるいはその当事者の意向、県議会の意向、それから県民多数の意向、そういうものがそろうまで待つということで正当な手続を踏んでいる間に、県議会の与野党の皆さんが私のところに代表が来られて、賛否がどうあろうとも早く表明してくれと言われたわけですよ。ですからそういう時期に表明したわけでございます。
それから、新石垣空港問題の反対地権者の問題と基地の問題とを混同しておられますけれども、これは軍事基地というのは外国の人が、外国の者がつくった基地なんですよ。新石垣空港というのはその地元の人たち、民間の人たちが必要としてつくろうとしているわけですよ。ですからそこを混同するのはちょっといかがなものかと思いますので……。
○具志孝助君 議長、休憩お願いします。答弁漏れ。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前11時21分休憩
午前11時24分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 基地問題についてはですね、何度も申し上げておりますように正当な手続があるわけですよ。起業者である国が当事者である個人個人、陸地の場合は。それの土地を借り受けるその補償の問題とかいろいろあるわけです。海の場合は漁業組合とか漁民とか、そういうのがあるわけです。
ですから、今モンデールさんの話が出ましたが、モンデールさんと話をしたときは全くSACOはまだできていないわけですよ。ですからそこを混同しないでください。
ですから、SACOができて後、一定の評価をしますと申し上げたのは、県が要講した第1次分の返還アクションプログラムの中身が盛り込まれていましたから、それは一定の評価をしますと申し上げたわけです。
しかしこれまで何度も申し上げておりますように、返還の11施設のうち7つまでが沖縄県内に移設するという条件がついていますから、これは厳しいですよと申し上げているわけで。
そしてそのとおり最初から県内移設は厳しいですよと。それをもし疑問に思うんでしたら現地に来てみてくださいと。どなたが見てもこれは無理だということはわかりますよということを絶えず申し上げてきたわけです。
そこを御理解いただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 具志孝助君。
〔具志孝助君登壇〕
○具志孝助君 残念ながら時間がありませんのではしょった形で申し上げますが、知事、訪米に私はすべて不必要なことはないんだけれども、毎年ああいう形でいわゆる大名行列のよに大挙して行くだけのことかと言っているんですよ。
それ以外にも業務委託費として卸事は、これは資料ですね、第1回目の訪米の後から年に790万が3年間続いて、今日では年間2195万3000円という業務委託費をアメリカにいる方にお願いをして手伝いしてもらっている。これらの費用なんというものはもう大変なことだなと思っているんです。
これは後で委員会あたりでやりますけれども、それからアメリカに行ってもこれだけの要請活動をやっても、実際に正式に会っているのはキャンベルさんとデミングさんぐらいのもんですよ。大体そんなようなものです。
あと、研究者の人たちはみんなマイノリティーの人たちなんです。いろんな考え方がありますよ、国には。そういう人たちに会って自分の都合のいいことばかり言ってですね、アメリカにもそういうような学者がおりますなんて言ったら笑われちゃいますよ。
いいですか知事、大事なことを聞きます。
普天間の代替施設は、今海上施設があるんですが、海上施設も含めて沖縄には何が何でも普天間の代替施設、基地の移設は認めないということなのか、海上に限定せずですよ。普天間の代替移設は、県内では絶対何が何でも認めないと、こういうような立場であるのかどうか、これを明確にお答えを願いたい。こういうことが1点。
それと新石垣空港の間題、もうここまで来たらどうしようもないので一たん冷却期間を置いてみたらどうだろうかと。この議会で通らなかったらしばらく石垣の皆さんに預けると、ちょっと静かに考えてごらん、予算も凍結しようと、要求しないと。これぐらい謙虚に郡民の意思を尊重しようと。
そういうような考えにならないのか、この2点を最後にお聞きをいたしまして質問を終わります。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質間にお答えいたします。
ヘリ基地問題については、何が何でも反対かという御質問でございますが、はっきりさせておきたいことはですね、私が反対とか何とかということを、政府にお受けできませんと申し上げているのは、私の個人的な意見ではなくて、地元の人の意見、それから県内の諸団体の意見、それから県議会の意見、そういった県民大多数の声を代弁する形で申し上げているわけです。
ですから今何が何でも反対かとおっしゃるのは、それは地元の方々がどのように受けとめられるのか、県民がどういうふうに判断されるのか、県議会がどのように反応されるのか、それから県内の諸団体がどういうふうにされるのかということにかかってきます。
例えば今アメリカでは固定式のヘリ基地じゃなくて、移動式のへり基地をつくったら沖縄の環境問題の破壊なんかもなくて済ませるじゃないかという意見とか、そういう絵をかいて持ってきている人たちもいるわけです、正直に言って。
しかしそういう問題については、これは国が決めるべき問題であって、我々がこうしてくれということはできないわけです。ですからそういった意味で、これは県民の意向を代弁するのが私の責任です。
それから、新石垣空港の問題につきましてはもう冷却期間を置いたらいいんじゃないかとおっしゃいますが、今経済問題についておっしゃいましたけれども、浪費の問題についておっしゃいましたが、まさにそれは浪費になるんですよ。これまでこれだけ積み重ねてきて、そしてここまで正式に行政の手順を踏んでやってきたものについて今これをとめるということは、これは非常に困難でございます。
○具志孝助君 議長、休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前11時30分休憩
午前11時31分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) ヘリ基地を反対したからすべて振興策がとまるという発想はどこから出てくるんですか。
そういうことはありません。
何度も申し上げましたように、先ほど申し上げましたように現在動いている事業が26ぐらいもありますし、少なくとも20事業が動いております。
それから今から動こうとするのが26か27ぐらいありましてとまっておりません、決して。ですからそれは恐らく何かの勘違いだと思います。
ですから、そこは知事として当然経済問題についても県民の生活を守っていく立場から、あらゆる方策を講じてその発展を図るのはこれは当然の責務でありまして、その辺を考えないで事をやるということはやりません。
○議長(友寄信助君) 渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健君 自民党を代表して代表質問を行いますけれども、今情報によりますと新石垣空港の石垣市の議会が否決されたそうでございます。
きのうから第18回の参議院選挙が始まっているんですけれども、我々の情報によりますとこれは確かめていただきたいんですけれども、県庁内で管理職がその職権をちらつかせて署名活動とか、選挙カンパをお願いしているという節があるということですけれども、これについてぜひ調べていただいて、来週の一般質問に出てくると思いますので、その地公法の違反の問題、その辺について十分チェックしていただきたいと思います。
まず最初に知事の政治姿勢ですけれども、先ほど具志議員の代表質問の中でいろいろ話がございました。
しかしながら、私も釦事のこれまでの問題提起に対する特に基地問題に対する全国的な、あるいは海外における沖縄の過重な基地の負担についての政治的な行動については、我が党も一定の評価をしております。
しかしながら、その基地の問題を整理縮小するという問題解決するということの政治手腕については我が党のみならず、今県民の各層からまさに失望の声が上がっていることも事実でございます。
政治家としてみずからの主張のみを押しつけるのではなくて、時には閉塞状況になっている今の状況を妥協しながら、道を開いて解決策を開いていくその政治的な判断と決意が必要だと思いますけれども、それが現実的な対応だと思います。もしそれがとれないのであれば、21世紀め沖縄の将来を考えてそれが行える政治家に知事の席を譲るべきだと思いますけれども、知事の見解と決断を再度お伺いしたいと思います。
雇用問題についてでございますけれども、4月の完全失業率が7.8%、失業者4万8000人、これは前年同月比1.7ポイント増、1万2000名が新たに去年よりもふえております。平成10年度の当初予算で投資的経費が県で前年比マイナス11.3%、市町村全体でマイナス10.8%、特に中小の企業があるいは建設業が期待しています単独事業が県でマイナス26.6%、市町村全体でマイナス26.3%という厳しい状況の中で、現実的には今沖縄の経済を動かしているのは公共工事でございます。建設業界が5000社以上、従業員にして8万人雇用されている業界の中で、景気低迷によって経営破綻等で倒産件数がふえて失業者が増加することがこれからますます懸念されております。
仮に単純計算ですけれども、10%工事量が減ったといたしますと、直接影響を受ける人たちが10%といたしまして8000人の失業者が新たに出ることになる。それから見ると、本県の今の失業率はまだ底をついているわけではなしに、これからますます厳しくなるのではないかというふうに思うわけでございます。
そこで質問いたしますけれども、知事は6月2日の県職労との会談の席上、新聞報道によりますと、「環境を大事にし、基地を減らしていこうとするには、経済的苦しみに対してみんなが耐えるという強さと、決意がなければやっていけない」との発言が報道されています。私は、これは報道の間違いじゃないかと思ってほかの新聞を見ましたけれども全く同じ趣旨でございます。
この発言は、先ほどから知事は基地問題を最重点課題といいますけれども、それでは基地の解決を知事の手法でできるまでは経済振興策が後退しても、あるいは失業者で若い人たちが職場がなくても我慢してくださいという趣旨なのか、それは大きなポイントだと思いますのでそれについて答えていただきたい。
常々若者が夢と希望を持てる沖縄づくりと言っていますけれども、その辺についての見解をお聞きしたい。
それから、SACO関連5施設の基地労働者に対して県が実施したアンケートによると、88%の従業員が基地返還後も基地で働きたいとの雇用不安を抱いております。これについて知事はどう思うんですか。
基地返還後も基地で働きたいという意向は矛盾しておりますけれども、基地返還に伴いみずからの職場を失うという不安のあらわれであり、県への要望等自由意見項目の174名中のアンケートの中で基地返還への賛成者は1人であります。
基地返還アクションプログラムで2015年には基地をゼロにする方針だということが、県では再三言っておりますけれども、約8400名いる基地労働者の雇用を一体どのように考えているのか、あわせてお聞きしたいと思います。
基地労働者の応募に対して新聞の見出しにはこうなっております。まず生活へ若者が続々、これは見出しでございます。厳しい雇用状況を反映して今年度約25倍の競争率と言われております。
平成7年度から数字を申しますと、1299名の採用に対して9207名の希望者、約7倍の競争率、平成8年は899名の採用に対して1万3806名、約15倍、そして平成9年度が840名に対して1万6859名、約20倍、年々採用人員は減るんですけれども、希望者はふえております。
この応募者の中も20代とか30代の若者が中心であって、英検1級等高資格者、海外大卒の高学歴者が多い状況でございます。知事も米留経験者として、アメリカの大学を卒業して沖縄で働きたくても働く職場がない、基地で働きたいという若い人の心情をどのように考えているのか。そして基地の今の実態と若者の雇用の現状をどのように判断するのか、お聞きしたいと思います。
先ほども話がありましたように、人材育成の観点で海外の大学に留学させる、あるいは同時通訳の育成をするといっても一体それを受けとめる職場がなければ何のための人材育成かということもあります。
4番目に、知事は常に民意を行政に反映していると自負しておりますけれども、平成10年2月発行の「沖縄県勢のあらまし」の中で、県民意向調査の中で行政への評価で努力が足りないとの設問で第1位は、働く場をふやすなどの勤労者対策が72%占めております。これはちなみによくやっているという評価は2%でございます。
また、行政への要望で最も力を入れてほしいという欄で44%と最も高いことがこの勤労者雇用対策でございます。
このような県民の意向に対して知事はどういう形で行政に反映させているのか、御見解を賜りたい。
5番目に、雇用開発推進機構が50億円の特別調整費から10億円を出資して昨年8月設置されましたが、これまでどのような事業を展開し、その実績について伺いたい。
また、今後どのような役割を果たしていくのか、具体的な目標を挙げて説明していただきたい。
6番目に、国の総合経済対策に関連して、今議会で提出されている補正予算及び雇用確保のための緊急雇用対策事業が県経済にどのような反映をし、どのような影響を受けるのか、また雇用創出をどのように予想するのか、お伺いしたいと思います。
7番目に、雇用対策は短期的な対応は困難であり、経済振興と連動するものであると思います。このように雇用が悪化しているのはこの8年間の大田県政の産業育成及び経済振興策が間違っていたのか、あるいは消極的だったのか、どのように判断するのか、知事の見解を賜りたいと思います。
県の総合経済対策について。
県経済の今後の見通しと県の総合経済対策の方針、具体的展開についてお伺いしたいと思います。
次に、沖縄政策協議会のプロジェクトでございます。
これは先ほどの具志議員の質問と関連いたしますけれども、各プロジェクトの調査結果、事業方針が6月18日までに出そろったと聞いております。この50億円は、政府が沖縄経済振興21世紀プランのたたき台を描くために先ほどから話しているように平成8年の9月に橋本総理が実現させ、国際都市形成構想を踏まえた新たな沖縄振興策を進めるための位置づけで平成9年度予算として関係省庁に配分されたものであります。
まず1つ目でございます。70のプロジェクトの調査結果、事業方針が示されておりますけれども、それに対して知事はどのような評価をするのか。
それから2番目は、先ほども答弁しておりますので、それについてはダブるのは答弁は省いてよろしいと思いますけれども、その中で知事として国際都市形成構想を構築する上でどうしても不可欠なプロジェクトは何であると思うのか、その理由をお伺いしたい。
3番目に、これが一番重要ですけれども、調査検討を終了した段階で次のステップというのは来年度予算で各省庁が事業に必要な予算をどう確保するのかが最大の焦点であると思います。本来なら知事と全閣僚による沖縄政策協議会が開かれてプロジェクトの事業化に向けた政府方針を決定し、そのような概算要求を行うことが必要だと思うんですけれども、このような今の政府と沖縄県の閉塞状況の中で知事としてこれに対する政府折衝をどのような姿勢で臨んでいくのか、あるいは具体的なスケジュールについてお伺いしたいと思います。
次に、行財政問題でございます。
本県の財政状況は危機的な状況に陥っているということは2月議会でもいろんな形で論議されました。
行財政改革というのは、本県にとって緊急かつ重要な施策であるというのは、我々が一致した認識でございます。ただその手法についてはまた問題があります。
まず第1に、知事等の期末手当及び管理職手当のカットの議案提出の方法でありますけれども、5月22日の新聞報道で知りました。その段階で、県議も対象になっていましたけれども、私は県の財政事情がこのような厳しい状況であれば、県議会の中でも真剣にやはり論議をした上で行財政改革に協力し、みずから議会の権能において手当のカット等あるいは自分たちのこの手当の問題について論議し提出すべきだと思うんですけれども、当局が勝手に提案準備をし、それを途中でまた除外した。議会の権能の侵害だと思いますけれども、知事はこの議案提出の経過と、執行部と議会の権能についてどのように考えているのか。
また本来ですと、他府県の例を見ますと知事三役の報酬手当のカットを行って段階的に特別職、管理職の手当カットが行われるんですけれども今回一括して提出された。これはどういう経過なのか、それについてお聞きしたいと思います。
2番目に、我が党は以前から財政悪化の原因は知事みずからの財政運営の誤った手法と先ほどの訪米要請等に見られるように県民の大切なお金という認識の欠如に起因していると強く指摘しました。改めて知事にお伺いしたいと思います。
財政悪化の原因をどのように認識し、そしてどのように改善していくのか、そして今後の全体のスケジュールと具体的方法について示してほしいと思います。
3番目に、先ほどの県職労との関係で知事の、「環境を大事にし、基地を減らしていこうとするには、経済的苦しみに対してみんなが耐えるという」云々が県職労との見解であります。
これは県職労が3選の出馬を要請した段階で言っておりますけれども、この会見を見ますと県職労の皆さんの給料の見直しや人員削減についても協力してくれという内容とも受けとめられますけれども、今後一般職の給与の見直しや人員削減の方針があるのか、それについてお伺いしたいと思います。
最後になりますけれども、我が党は大田県政の無秩序な箱物行政の見直しを再三忠告してきましたが、それを無視して知事みずからの強いリーダーシップで実現した施設が現在財政逼追の大きな要因と思いますけれども、その実態について答弁していただきたい。
まず第1に、県の公文書館及び女性センターの年間の利用状況と管理費の県の負担分、当然人件費を含めて示していただきたい。
県公文書館は閑古鳥が鳴いていると聞きますし、女牲センターは知事を支援する女性活動家が有効に活用し、一般県民の女性は活用できないという県民の不満の声がありますけれども、どう思いますか。
2番目に、マーリンの就航に伴う当初の利用予測と実績はどうなっているのか。
特にランニングコスト等で当初予算をはるかに上回る県の持ち出し、県の負担、赤字となっているということを聞きますけれども、その実態について、そして今後どのような対策をしていくのか、お聞きしたいと思います。
3番目に、華々しくオープンしました県庁前の地下駐車場、利用状況が思わしくないということを新聞報道等でありますけれども、これまでの利用状況と当初の予想、そして運営費、借入金返済計画の見直しがあるのか、それについて県財政への影響についてお伺いしたいと思います。
答弁によって再質問いたします。
○議長(友寄信助君) ただいまの渡久地健君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時50分休憩
午後1時32分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
午前の渡久地健君の質問に対する答弁を願います。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 渡久地健議員の御質問にお答えいたします。
知事として行政を進める上での問題提起の方法と問題解決の手法について伺いたいという趣旨の御質問でございます。
私は、知事に就任して以来、広く県民に開かれた県政を推進し、県民生活の向上を図ることを基本として懸案事項の解決や県勢の発展のため全力を尽くしてまいりました。
この間、政府の協力を得ながら基地問題の解決や本県経済の自立に向けて一定の進展が図られてきたところであります。とりわけ政府との関係においては、平成7年11月に外務大臣、内閣官房長官、防衛庁長官と沖縄県知事がメンバーとなって沖縄の基地問題について協議する沖縄米軍基地問題協議会が設置され、平成8年9月には内閣官房長官が中心になって総理大臣と北海道開発庁長官を除くすべての大臣と沖縄県知事を構成員とし、沖縄に関連する基本施策に関し協議する沖縄政策協議会が閣議決定で設置されました。沖縄問題を具体的に審議する行政上の手続・手順が制度的にできたことは一定の前進であると評価しています。
これまでの政策の一端を申し上げますと、具体的には厚生年金の格差是正や戦争マラリア犠牲者の補償など戦後処理問題の解決が図られました。
基地問題については、都市型ゲリラ訓練施設の撤去、シーメンズクラブの移設、県道ユ04号線越えの演習の廃止や安波訓練場の返還合意などが実現しています。
また、軍用地の跡地利用の促進に向けて県が要綱を作成して政府に訴えてきたいわゆる軍転特措法についても立法化が実現しました。
本県経済の自立的発展に向けては、本年3月に沖縄振興開発特別措置法が改正され特別自由貿易地域制度が創設されたのを初め、各種の産業振興に向けた施策が展開されています。
また、雇用の促進を図るための雇用開発推進機構を創設し、各種の雇用開発事業を進め雇用の確保と拡大に取り組んでいます。
さらに、国際都市沖縄を担う人材の育成として、国の協力を得て10名の国費留学生及び40名の高校生のホームステイ制度を導入する人材育成海外派遣事業や、6カ国語の同時通訳者を養成する同時通訳者育成事業など多様な人材の育成を行っています。今後とも政府の協力を得て諸施策を一つ一つ着実に推進し、若者が真に夢と希望の持てる沖縄の実現に向けて全力を傾けてまいりたいと考えています。
次に、6月2日の県職労との席上で、知事は「環境を大事にし、基地を減らしていこうとするには、経済的苦しみに対してみんなが耐えるという強さと、決意がなければやっていけない」と報道されているが、4月の完全失業率が7.8%の最悪の状況で知事の真意を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
私は、去る6月2日の県職労との面談の席上で今回の訪米要請事業について触れ、基地の環境問題の重要性について申し上げました。
その中で基地の環境汚染、特に土壌と地下水の汚染については、浄化作業が技術的にも難しく、経費が膨大であり、完了時期も長期問にわたるという厳しい現実を目の当たりにして、基地における環境問題の深刻さを痛感するとともに、基地の跡地利用における最大の課題として認識したことを申し上げました。
私は、県民の生命と暮らしを守り、健康で安全な生活を保障するという行政の最も重要な使命を考えたとき、将来にわたり子や孫たちにこうした課題を残していくのではなく、良好な環境を引き継いでいくことが私たちの責務であり、そのためにも基地の整理縮小を粘り強く進めていく必要があると考えています。
本県においては、米軍基地の整理縮小を図っていく上で基地所在市町村における財政構造の問題や基地従業員の雇用確保の問題、さらに軍用地主の抱えている諸問題等がありますが、それに加えて県民の生命にかかわる基地の環境問題についても、県昆一人一人が真剣に考え一体となってこの種の解決に取り粗んでいく必要があるとの趣旨で申し上げたものであります。失業中の若い人たちに我慢を強いるという意味でのことでは全くございません。
それから、国の総合経済対策に関連しての補正及び雇用確保のための緊急雇用対策事業が県経済にどう反映し、雇用創出をどう予測するかという趣旨の御質問でございます。
国の総合経済対策に関連して、本県においても早期に景気を回復の基調に戻し、雇用情勢を改善するために過去最大規模の478億円の総合経済対策を講ずることにしています。今回の補正では471億円の公共事業の追加及び7億円の緊急雇用対策事業を行うことにしています。
追加する公共事業の効果としては、県内の各産業において707億円の生産が誘発され、またこの生産誘発効果から生まれる労働力の需要については、6800人程度の就業誘発数を見込んでいます。
緊急雇用対策については、まず国の実施する緊急雇用開発プログラムにより拡充される地域雇用開発助成金や、沖縄若年者雇用開発助成金などの活用によって県内における雇用の創出を図ってまいります。
今回の措置によって地域の雇用機会を増加させることを目的とした地域雇用開発助成金については、賃金助成率が以前の4分の1から3分の1に引き上げられます。
また、沖縄県の若年者雇用を促進するために、平成9年度に国が創設した沖縄若年者雇用開発助成金については、賃金助成率が3分の1から2分の1に引き上げられます。これらの助成金については、補正予算で開催を予定している相談会の場等を通じて事業主への周知を図ってまいりたいと考えています。
また、求職者に対して求人が極端に少ない現状に対応するため公共職業安定所では県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会及び県経営者協会の協力も得て県内における求人開拓を引き続き実施します。さらに、県外企業への職業紹介についても積極的に進めてまいります。
新規学卒者の就職対策については、これまで充実を図ってきた高卒者対策に加えて来春大学等を卒業する者を対象として、新たに県外企業合同選考会を開催するなど事業を拡充することにしています。
各種の施策の成果としては、地域雇用開発助成金、沖縄若年者雇用開発助成金によって平成9年度において680名の雇用を創出しています。また経済団体の協力も得て行っている求人開拓によって平成10年4、5月において812名の求人を確保いたしました。
さらに、平成8年度から200名以上の規模に拡充した高校生の県外職場体験実習、県外企業合同選考会の実施などによって高卒者の就職率も2年連続して上昇するという成果を上げることができました。
今回の緊急雇用対策における各種の助成金の助成率の引き上げ、大卒者等の就職対策の拡充等の対策の強化によって一層の雇用拡大が見込まれ、これによって昨年末から低迷している雇用情勢の改善が可能になると考えています。
なお、県としては沖縄職業能力開発短期大学校の大学校化、女性タクシードライバー、マリンスポーツインストラクターの養成、パソコン講習など若年者、女性のための職業能力開発や株式会社CSK関連、株式会社シーイーシー関連、日本シノプシス社などの情報関連産業を中心とした企業誘致を進めるなど、緊急雇用対策と並行して中長期的な雇用対策も着実に進めております。
次に、雇用対策は短期的対応は困難であり経済対策と連動するものであるが、この8年間の経済政策についての見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
若干長くなりますけれども、お許しいただきたいと思います。
本県の産業を振興し経済の自立的発展を図ることは重要な課題であります。そのため産業基盤の整備や主要産業である観光の振興及び新たな産業創出対策が重要であり、県としてはこの8年間全力を傾けて取り組んできたところであります。
産業基盤の整備としては、中城湾港新港地区や道路、空港ターミナル等の整備を進めてまいりました。
また、産業振興を支える研究開発を推進していくためトロピカルテクノセンターや工業技術センターを整備したところであり、さらに現在、海洋深層水総合利用施設の建設を進めています。今後は、これらの施設を活用し県内製造業等の技術力の向上や新製品の開発を推進し、産業の振興を図ってまいります。
観光につきましては、昨年の航空運賃の低減などもあり、観光入域客は平成2年の296万人から平成9年の387万人と30.7%の大幅な増加を見ています。今後とも本県経済を支える戦略的産業として位置づけ、国内外の観光・リゾート地との競争力を強化してまいります。
食品産業、医療・バイオ、情報産業など国内外への展開の可能性が高い事業分野において新たな産業の創出を図るため産業創造アクションプログラムを策定したところでありますが、今後は同プログラムに基づいて企業化支援センターや産業創造アクションプログラム推進資金などの活用によって本県の地域特性を生かした産業の創出を推進してまいります。
このうち、薬草を利用した健康食品については、県物産公社と大手商社との連携で販売ルートが全国的に整備されたことによって売り上げが増加し、大手商社の系列企業から約400万円が県に還元されるなど成果が出ています。平成8年度に国際都市形成構想を策定いたしましたが、本年3月には沖縄振興開発特別措置法が改正され、本県経済の自立的発展に向けて全国で初めての特別自由貿易地域制度の新たな制度が創設されました。
特別自由貿易地域においては、法人関係税の実効税率が46.4%から26.3%へと約20%低減されるなど手厚い優遇措置が講じられ、企業立地にとって大きなインセンティブとなるものと考えています。県としては、これらの制度を活用し国際的視野に立って産業の振興を図る考えであります。
また、那覇の自由貿易地域についても、投資減税制度が新たに適用されるなど優遇措置が拡充され、コンニャクなどの健康食品を製造する企業が新たに入居しています。
さらに、マルチメディアアイランド構想を推進し、21世紀の産業創出及び高度情報通信社会の先行的モデル地域として情報通信産業の集積を目指しているところであります。これまでにNTT番号案内センターが設置され、約550人の雇用が実現したほか、ソフトウエア関連事業の沖縄CSKが新たに立地するなどの実績が上がっています。
また、マルチメディアの先端産業であるシノプシス社についても誘致を進めているところであります。
農業については、ウリミバエの根絶や県物産公社による「わしたショップ」の銀座、大阪、福岡及び台湾などへの展開によってニガウリ等の県外移出が増加しています。今後とも特色ある亜熱帯農業の確立を目指し、現在の農業試験場を移転し農業研究センターを新たに設置するとともに、野菜、花卉、果樹、肉用牛等の供給基地の形成を推進してまいります。
次に、県経済の今後の見通しと県の総合経済対策の方針と具体的な展開について聞きたいという趣旨の御質問でございます。
本県の最近の経済状況は、観光についてはことし1月から5月までの観光入域客数が163万人と前年同期の150万人を8.5%上回るなど好調を維持していますが、全国的に経済が停滞している状況の中で、本県においても個人消費の低迷などによって全体としては停滞感が否めません。
このような経済状況を改善していくため、県としては公共事業の追加などによる経済の活性化対策や新たな産業創出対策、緊急雇用対策、中小企業対策等を内容とする総額478億円の総合経済対策を実施することとしています。今年度後半からその効果があらわれてくるものと考えています。
今回の総合経済対策においては、中城湾港新港地区整備や古宇利大橋、県営住宅等471億円の公共事業を追加し、産業基盤の整備と県民生活の向上のための事業を推進してまいります。この追加公共事業を加えた本年度の公共事業等の総額は2703億円となり、平成9年度の決算額より153億円増加しています。
また、新たな産業創出対策として本年3月に改正された沖縄振興開発特別措置法に基づく特別自由貿易地域制度の活用や、産業創造アクションプログラムを推進してまいります。この産業創出の一環として、県は知念村において農業法人による薬草園計画を支援しており、現在乾燥工場が完成し、今年度は見本園の整備を進めてまいります。
雇用対策としては、新たに大学、短大卒業予定者に対する県外合同就職説明会を開催するとともに、雇用促進キャンペーンの実施によって各種の雇用助成制度の周知を図り、雇用の確保に一段と努めてまいります。
また、中小企業対策として信用保証協会の基金を1億円増資し、資金調達を必要とする中小企業に対する信用保証協会の保証枠を35億円増額させるとともに、創業者支援資金などの貸付限度額を750万円から1000万円まで引き上げるなど、県単融資制度の充実を図ってまいります。
さらに、好調を続けている観光についても、誘客キャンペーンや各種のイベントを充実し一層の拡大を図ってまいります。今後、この総合経済対策を推進し本県経済の活性化を図ってまいりたいと考えています。
次に、沖縄政策協議会の70のプロジェクトの調査結果、事業方針が示されたが、知事はどう評価するかという趣旨の御質問でございます。
沖縄特別振興対策調整費では、平成8年度から平成9年度にかけて各種の事業が実施されてきました。これらの事業の成果については、現在、内政審議室において最終的な取りまとめを行っているところであります。
当該事業の中では経済シンポジウムやフォーラムなど、平成9年度で終了した事業や雇用開発推進機構への支援、マルチメディアアイランド構想の調査、マルチメディアの共同利用型研究開発施設の拡充、人材育成海外派遣事業、同時通訳者養成事業など平成10年度に予算が措置され、引き続き継続して実施する事業があります。
また、沖縄振興開発特別措置法の改正によって全国で初めての特別自由貿易地域制度が創設されました。その結果、立地する法人企業からの所得について35%の所得控除が可能となり、自由貿易地域制度の拡充については、関税の課税の選択制が実施されることとなるなど産業振興に向けた新たな制度改正が実現しています。
新全国総合開発計画においては、「太平洋・平和の交流拠点」として特色ある地域の形成を目指すことが位置づけられるなど、今後国際都市形成の方向性に沿った展開が図られるものと期待いたしております。
次に、国際都市形成構想を構築する上での不可欠なプロジェクトは何かと、その理由を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
国際都市形成構想では、平和交流、技術協力、経済・文化交流の基本方針に沿って南北交流の拠点形成、魅力あるリゾート地の形成、人材の育成・確保など7つの施策を位置づけ、その実現に向けて主要プロジェクトを推進することにしています。
今回の沖縄特別振興対策調整費で実施された諸事業のうちでは、このような主要プロジェクトとして空港、港湾、道路事業や駐留軍用地跡地の整備に関連する事業があります。
また、国際的な研究機関の設置、マルチメディア機能の集積を図る事業や人材育成海外派遣事業、同時通訳者養成事業などがあります。今後ともこれらの事業の推進を図って国際都市沖縄の形成に努めてまいりたいと考えています。
次に、知事は財政悪化の原因をどのように認識し、どのように改善していくのか、今後の全体のスケジュールと具体的方法について聞きたいという趣旨の御質問でございます。
国や地方公共団体を取り巻く財政環境は、バブル経済の崩壊後の景気低迷によって税収の伸び悩みや数次にわたる経済対策等によって発行した公債残高が、平成10年度地方財政計画等によりますと、国、地方合わせて平成9年度末には約400兆円に達する見込みとなるなど、かつてない厳しい状況にあります。
本県の財政状況も歳入面では県税収入や地方交付税等が伸び悩む中、歳出面では職員の平均年齢の上昇による人件費や、この間の経済対策などに伴って発行した県債の償還金等の義務的経費の増嵩が財政圧迫の要因となっています。
このような状況を踏まえ平成9年度及び10年度においては、主として次のような改善策を講じてまいりたいと思います。
1、旅費、需用費等の主要物件費の削減、2、県単独補助金の整理合理化、3、事務のOA化等による時間外勤務手当の縮減、4、部長、次長、課長級の管理職のスリム化、5、公社等の整理統合及び財政支援の圧縮等財政の健全化に努めてまいりました。今後も引き続き県税等の歳入の確保になお一層努めるとともに、現在進めている行政改革大綱の見直しの中で行政経費の徹底した節減合理化を初め県単補助金、給与、組織・定数等の見直しについて本年度じゅうに可能な限り目標の数値化を図って行政施策をより効果的に推進できる財政構造の確立に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○渡久地 健君 議長。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後1時58分休憩
午後2時 再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
まず、基地労働者の意向調査によると88%の従業員が返還後も基地で働きたいとの雇用不安に対してどう受けとめるのか、基地返還アクションプログラムで2015年までに基地をゼロにする方針と8400人の基地労働者の雇用対策について伺うという質問でございます。
SACOの関連施設に勤務する駐留軍従業員の雇用不安については、継続雇用、移設先への配置転換、職種変更等の措置を講ずることによって失業のない雇用の確保を図ることを日米間の協議で確認しています。
基地返還アクションプログラムに基づく段階的な返還施設に係る従業員の雇用対策については、駐留軍従業員の身分が国を雇用主とする労働者であることから国と連携を密にしながら配置転換、離職前職業訓練の強化や職業紹介等による再就職の促進を図るなどあらゆる対策を講じていく考えであります。
この点に関連しまして、基地従業員の代表の方々にわざわざアメリカまで行っていただいて、アメリカの返還基地の場合はどういうことをしているのかとか、フィリピンのスービック基地ではどういうふうになっているかということなどについて視察をしてもらっております。
また、国際都市形成構想のプロジェクトの推進、産業創造アクションプログラムに基づく産業の振興やあわせて沖縄振興開発特別措置法の改正による諸制度の活用等によって従業員の雇用の場の確保に努めてまいります。
次に、基地労働者の応募状況について厳しい雇用状況を反映して約25倍の希望者が殺到していると、基地の実態と若者の雇用の現実をどう判断するかという趣旨の御質問でございます。
県内の雇用環境が厳しい状況にあることは御指摘のとおりであります。
一方、米軍基地の計画的かつ段階的返還を促進し基地のない平和で豊かな県土づくりは県政の最重要課題であります。
このような観点から、県としては国際都市形成構想を推進し、産業創造アクションプログラム及び改正沖縄振興開発特別措置法等の諸施策を実施して雇用の創出拡大に努め、若者が魅力ある雇用環境づくりに取り組んでまいりたいと思います。
次に、県民は行政への要望として働く場をふやすなど勤労者対策を挙げる者が最も多いが、それに対してどのような見解か聞きたいという趣旨の御質問でございます。
雇用失業問題については県政の最も重要かつ緊急な課題の一つとして位置づけ、その解決に向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
具体的には、平成8年度に全庁的に雇用問題に対処するため緊急雇用対策本部を設置し、そのもとで各種の雇用開発プロジェクト事業を実施してまいりました。また、平成9年度には財団法人雇用開発推進機構を発足させ、平成10年度から本格的に各種の雇用開発事業を推進しているところであります。今後とも、産業創造アクションプログラム等を中心とした産業振興施策との連携を図りながら企業の育成・立地、地域おこし等による新たな雇用機会の創出拡大に努めてまいりたいと考えています。
次に、沖縄政策協議会の各プロジェクトを具体的に展開するためには来年度予算の概算要求に反映させることが急務と思うが、政府折衝をどのような姿勢で臨むのか、またそのスケジュールについて伺いたいという趣旨の御質問でございます。
沖縄の振興策については、平成8年9月の総理談話によって、さきの大戦から今日までの沖縄県民の苦しみと負担の大きさ、そして依然として存在する沖縄と本土との経済格差を埋めていくための施策として取り組まれているものと理解しております。
平成11年度概算要求に当たっては、総理大臣談話を踏まえるとともに、平成10年度事業の進捗状況等も勘案しながら県の要望を取りまとめ、政府と粘り強く調整を図っていきたいと考えています。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 渡久地議員の御質問にお答えしていきます。
雇用開発機構が雇用対策にどのような役割を果たしていくか、具体的な目標を示してほしいと、お答えします。
財団法人雇用開発推進機構は、県、市町村、労働・経営団体が一体となって全県的に雇用問題に取り組む組織として平成8年に発足しております。推進機構としては、全県的、全産業にわたって雇用創出を図るため既存の制度や施策では対応できない分野において地域ごとの雇用開発事業を展開することとしており、本年度から本格的に事業を実施してまいります。
具体的には、起業化に向けた各種相談業務、地域特産品の開発・商品化など地域における事業化を支援する事業、情報関連技術者の育成を支援する事業、通関士など各種資格の取得に関する講習会の開催、各種調査研究事業等を実施しています。これらの事業実施による雇用創出については、平成10年度予算上およそ500人を見込んでおります。
なお、推進機構がその機能を十分に発揮するためには事業内容の周知徹底及びその効果的活用が前提となりますので、企業や関係団体等に対してその旨積極的に働きかけているところでございます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
○総務部長(又吉辰雄君) 渡久地議員の御質問にお答えをいたします。
まず、知事等の期末手当及び管理職手当のカット等の議案提出の経緯と執行部と議会の権能についてのお尋ねでございます。
本県の財政事情は厳しい状況にあり、行財政改革の一環として財政運営を健全化する観点から知事等の期末手当及び職員の管理職手当の額について特例を定める必要があるため議案を提出するものであります。今回、県議会議員を対象とするかどうかにつきましては、議案の性質及び議員という職の特性上、県議会の意向に基づきまして決定されるべきであるというのが基本的な認識でございます。
そこで、議長が出張中であったために副議長を初め各会派の代表者などに執行部の考え方を説明をいたしました。そして各会派の考え方を教えていただきたい旨お願いをしたところでございます。
その結果、各会派の意見が異なり、また執行部と議員を一緒にする議案のあり方に対する意見等もあったため、先ほど申し上げましたとおり議案の性質及び議員という職の特性にかんがみまして、議員を今回含めないということが適切であると判断をしたものでございます。
また、執行部と議会の権能につきましては、執行機関と議会はそれぞれ独立してその権能を分担し、相互の牽制と均衡を図りながら地方自治行政を円滑に運営するものであると認識をしております。
なお、私どもが調査したところによりますと、現在、神奈川県、大阪府、岡山県で特別職及び一般職の期末手当等につきまして同時に減額をいたしております。また東京につきましては特別職に限定をいたしまして適用いたしております。
適用日につきましては4自治体とも同じでございます。同日に適用いたしております。
次に、一般職の給与の見直しや人員削減の方針についてのお尋ねでございます。
地方財政は全国的にも厳しい状況にある中で、本県においても行財政環境を取り巻く状況は厳しいものがあります。人件費の抑制についても大きな課題となっております。このため県では今後紐織・定数、財政、任用などに係る行財政改革を推進し、もって財政の健全化を図ることとしております。
人件費の適正化については、現行の給与制度のあり方を検証するなど目下調査検討を行っているところであります。
また、定員管理に当たっては公社等の出向職員を含めた職員定数の見直しを行ってまいります。そのためスクラップ・アンド・ビルドをより徹底させ、業務全般にわたる事務・事業の見直し、組織・機構の簡素化、民間委託、OA化等を積極的に推進をしてまいります。
次に、県立公文書館の年間の利用状況と管理費の県の負担分について及び県民にどう活用されているのかとの御質問でございます。
公文書館における平成9年度の利用状況は、施設見学等を含めた全入館者数は、開館日数277日で合計7519人、月平均約627人となっております。
入館者数のうち公文書資料等の閲覧者総数は4026人で、月平均約336人となっております。
公文書館は、歴史酌に価値のある公文書等を本県の文化遺産として保存し、新しい文化の創造に寄与することを目的とした施設であることから、管理運営に要する経費は県で負担をしておりまして、平成10年度予算は2億9431万2000円となっております。公文書館では、琉政文書、米国統治時代の英文資料、県政文書等の閲覧を初めミニシアター室及びビデオ視聴覚室における音声・映像資料の提供を行っているところであります。
なお、県民に対する公文書等の有する歴史的価値の啓蒙普及活動や利用促進等については公文書館公開講座、講演会、企画展及び上映会の開催や広報紙の発刊、ホームページの開設などにより対処してまいりました。引き続き多様な資料を収集するとともに、広く県民の閲覧に供するよう努力していきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 渡久地議員の女性センターの年間の利用状況と管理費の県の負担分について及び県民にどう活用されているかについてお答え申し上げます。
女性総合センターは、平成8年7月に開館いたしまして、8月から県民への供用が始まっております。この女性総合センターは、女性の地位向上と社会参画の促進を図るためシンポジウムや研修会、セミナー、それから女性リーダー養成講座の開催、また女性団体による交流ネットワークの構築に向けた会議、情報交換会の開催等広く県民に活用されております。
さらに女性問題に関する情報の提供・収集施設の場としても活用をされております。
施設の年間利用者数について申し上げますと、平成9年度は15万6221人となっております。
また、平成9年度の管理費でございますが、1億2224万2000円となっております。内訳は人件費が7069万、それから事業費が2096万、管理費が3058万円となっております。ちなみに平成10年度は1億942万円となっております。今後とも、男女共同参画社会づくりの実現を目指して、多くの女性団体の利用を含めセンター事業の拡充実施に努めてまいりたいと考えております。
それから御質問の中で、議員の方から女性総合センターは知事を支援する女性団体だけが活用し、一般の女性団体は活用できないとの不満の声を聞いているがどうかというような御指摘もありました。
お答え申し上げますと、女性総合センターは女性の地位向上と社会参画の促進を図るための施設として設置されておるもので、利用に当たりましては広く県民に開放されていると考えております。
平成9年度における女性総合センターの利用団体件数は2749件でございまして、営利活動とか布教活動、こういったいわゆる総合センターの管理規則上、その利用目的にそぐわない一部の申し込みを断ったもの以外はすべて利用を認めているというふうに理解をしておりますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
〔地域・離島振興局長 具志堅強志君登壇〕
○地域・離島振興局長(具志堅強志君) こんにちは。
このたび4月1日付で地域・離島振興局長を拝命いたしました具志堅でございます。微力ではございますが、地域・離島振興局の業務を職員とともに一生懸命取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
渡久地健議員の御質問の行財政問題について、マーリンの就航に伴う当初の利用予測と実績及び管理運営費の実態とその対策についてにお答えいたします。
平成9年7月20日に就航したマーリンの平成9年度の運航実績は、利用者数3万6698人、利用率18%、就航率87%となっておりま。初年度の事業計画としては利用率を45%と見込んでおりましたが、会社設立から就航までの期間が7カ月と短期間であり、旅行エージェントによる本格的な商品化の取り組みが得られなかったこと等により事業計画に対する平成9年度の実績の比率は30%程度となっております。
沖縄マリンジェット観光株式会社の平成9年度の決算では、運賃収入約1億1047万円、営業外収入557万円、補助金6億円となり、運航費及び管理費その他営業外支出10億2804万円を差し引いた営業利益は3億1199万円の損失となっております。沖縄マリンジェット観光株式会社においては、利用者の増加を図るため全国的な広報活動を展開するほか旅行エージェントヘの営業活動、県内の老人クラブ及び地域自治会への勧誘、4月に運行を開始した北部観光バスや、7月にマーリン寄港地に隣接してオープンするホテル「マリンピアザオキナワ」との提携、台湾観光客の利用促進、修学旅行の誘致等の営業活動を行うとともに、経費の節減に努めているところであります。
また、今後マーリンの利用促進のため伊江村、本部町に利用促進協議会を設置するなどの受け入れ体制を整備し利用者の増加に努めたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 地下駐車場の利用状況と運営費、借入金返済計画の見直し及び県財政への影響についての質問にお答えいたします。
地下駐車場の利用状況は、平成10年4月28日の供用開始から6月23日までの57日間の1日平均利用台数は利用者のふなれ等もありまして308台となっております。
また、1日当たりの売上額は目標の50.8%にとどまっております。
しかし、これを利用状況の推移を分析してみますと利用率は着実に好転しております。近隣デパートの回数券利用、個人との定期駐車契約等の営業努力の効果があらわれつつあるものと考えております。
運営費につきましては、年間7800万円を見込んでおりますが、照明管理の徹底等による光熱費の節減及び料金徴収業務の効率化等による経費の圧縮が可能であり、本年度は当初見込みの70から80%程度の支出にとどまるものと見込んでおります。
管理者といたしましては、地下駐車場の利用者への周知及び近隣商店街との駐車契約の推進、その他営業上のあらゆる努力による利用率の向上に取り組むことが重要であると認識しております。したがいまして、当面借入金返済計画の見直しは考えておらず、当初収支計画に極力近づける方向で努力していく所存でございます。
○議長(友寄信助君) 渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健君 再質問いたします。
その前に当局の答弁について一言言いたいんですけれども、私は今回の代表質問で知事に対していろんな形で聞いたわけでございます。
先ほど基地労働者の応募に対する考え方、そして知事も米留経験者としてそういう高資格者あるいは海外に行った人たちが働く場所がない、これについてどういう感じで信条を持っているかという質問をしたら、これは部長がしゃべることになっていたかわかりませんけれども、誠意ある回答がなかった。
そしてまた、基地労働者が今どんなに雇用不安を持っているのか。やはり私は県当局は基地問題に対しては、あるいは平和問題とかについては誠意ある回答があるんですけれども、この雇用問題とか経済問題についてお経を並べるような答弁では我々に誠意は全然見られない。
つまり、知事が言うように国際都市形成構想の中で、あるいは主要プロジェクト、いろいろありました。それをやるにもしても我々が一番今懸念していますのは、日本政府と知事との閉塞状況なんです。要するに政府折衝に対してどのような形でやるかということを聞いてもそれについて具体的なものがない。8月いっぱいでこの概算要求が出ないと70のプロジェクトが計画倒れになるというのはもうみんなが考えて心配していることなんです。これをどうして打開していくかという知事の誠意が見られない。
私が聞いた話によりますと、今このプロジェクトをやっております内政審議室の沖縄担当は、現在何の進展もないものですから開店休業の状況らしいんです。そしてその職員が人事異動の対象になっていると、そういう話を聞くんですよ。
そういう状況の中で沖縄問題、知事が言うように21世紀プランあるいは70のプロジェクト、国際都市形成構想、いかにも日本政府が、はいやってあげますというような感じなんですけれども、実態としては相当厳しいようなことを我々は聞いているんです。これもやはり知事と橋本総理の要するに会談が行われずに、そしてまた沖縄政策協議会が開かれてないから一歩も進まない。この状況をどう打開していくかが一番今肝心じゃないかと。それを打開しない限りは知事が言った雇用問題についても、いろんな振興策についてもこういうふうにやりますと、いかにも全部がスケジュールどおりできるように、あるいは計画があるように見えるんですけれども、今一番大事なのはこの8月に平成11年度の概算要求のものをどうクリアして、どうくっつけていくか、どう省庁と約束をし交渉するか、それが大事でしょう。
今日本政府の中では大田知事は総理大臣、官房長官、大蔵大臣以外とは折衝しないと、お願いに行かないと。全部副知事が開発庁長官とかそういうのをやっていると、そういう声さえ聞こえるわけですよ。
我々が今心配していますのは、せっかくこれだけの50億円の特別調整費でつくられたものを70のプロジェクトを一つ一つ沖縄振興のために芽出しをしていただきたい。そして雇用問題、産業問題、いろんなマルチメディアの問題も含めてそれが一つ一つ前進してもらいたい。そのために知事としてどういう姿勢で、どういうスケジュールでこのような問題について対処していくのか、もう一度御答弁を願いたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
先ほど御説明しましたように、計画されている分野については予算の配分を得て、裏づけを得て事業をきちっと進めておりますし、また予算編成の折衝はこれから8月に入ってからですから、ですからこれまでのとおり誠意を尽くして努力していくということでありまして、ただ総理との会見につきましては、ヘリ基地問題の解決がつかないとお会いしてもなかなかいい形にはならないという趣旨のことでお会いできないわけですから、私一人がお会いしたいと言ってもそれはできないわけですから、それはしようがないと思います。
ただ雇用問題について我々が、行政が軽く見ているかのようなおっしゃり方でしたけれども、全くそうではなくて、私は特に10代から20代の前半の若者の雇用については必死になって取り組んでまいりました。改善されております。
それから、軍雇用員の問題についても先ほども申し上げましたように、フィリピンの例などを出して、フィリピンでは経済的に非常に厳しい状況に置かれながらボランティア活動をして返された跡地を掃除をして、他の企業が入り込んでくるということを誘致をしながら、我慢をしながら企業が入ってきたときには真っ先にそういうボランティアの人たちが就職をしていくという形で、ついこの間、アメリカの商工会議所でフィリピン代表と話しましたけれども、その人は、5万人いた基地従業員を上回る今6万人ほどが仕事についているということを話していたわけです。ですから我々としても今の基地返還アクションプログラムに基づいて段階的に返される基地はどこどこかということを踏まえながら、そこで働いている従業員については、本来は国の責任ですが、県としても国と力を合わせて誠意を持って取り組んでいこうとしているところでありまして、決して軽く見ているわけではありません。
それから、アメリカに行った経験を通して、基地に働いている人たちをどう思うかと言いますが、基地というのはどこから考えてみても戦争と結びつくもので、人間の幸せにじかに結びつく生産の場ではないんですよ。ですから若い人たちがそういうところへつきたいというのはわかります、手っ取り早く。それを決して軽く見たりするわけではありませんけれども、我々はそういう若い人たちがもっと人間の幸せに結びつく生産の場に仕事がつけるように今全力を尽くしているところです。
そういうことを申し上げているわけです。
○議長(友寄信助君) 渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健君 再々質問をいたします。
知事はきれいごとを言っているんですけれども、要するに基地労働者は本来働く場所じゃないと。
しかしながら現にですね、そこじゃないと働く場所がない。もちろん生産性のあるものがあればいいんですよ。しかしながら先ほど私が最初に質問したように、知事は「基地を減らしていこうとするには、経済的苦しみに対してみんなが耐える」云々と言っているのは、これは本音の部分だと思うんです、知事の。
しかしながら、ですからこの生産性をいわゆる仕事をふやすためのプロジェクトを沖縄振興策をどう進めていくのか。
知事は、8月に概算要求だからこれからというんですけれども、各省庁に対して知事がどういう姿勢でやっていくのか、総理と会えないからもう会わなくてもいい、沖縄政策協議会が開かれない。
もしそうなったらですね、沖縄にとっての不幸じゃないですか。県民に対する不幸じゃないですか、これは。
我々が知りたいのは、どうしてこの打開策を道を開いていくのか。そして沖縄政策協議会に対して、あるいは各省庁に対して、沖縄側としてどのような形でこの70のプロジェクトの概算要求をつける方法としてやっていくのか。それがじゃ沖縄政策協議会がもし仮に開かれなければ、この70のプロジェクトの概算要求はできなくなるのか。そういうことで、沖縄の将来にとっての振興策がみんな流されてしまうのか、計画倒れになるんじゃないかという心配をしているわけです。
そういう状況の中で、行政の最高責任者として本当にこの問題を今打開策が見えない中でどういう心境で、どういう形で政府との今の状況を打開していくのか、その辺について知事の本音の話を聞きたいと思います。
以上です。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
先ほども説明しましたように50億の配分についてはですね、現在、内政審議室でいろいろと議論をしているのもあれば、既に予算が配分されているのもあるわけですよ。それから、もう既に終わったものもあるわけです。
一部事業費、それから調査費ということになっておりますから。
ですから具体的にもしあれでしたら、先ほども申し上げたと思いますが、例えば予算の裏づけのある事業は平成10年度で幾つあるかということなんかもわかっているわけです。50億がそのまま何といいますか、使われなくなるということじゃ全くないわけですよ。
ですから、そこはもうちょっときめ細かにごらんになっていただければすぐわかりますので、もし必要とあれば企画開発部長から説明させますけれども……。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) この予算要求の仕方の問題がまず1つあるわけですが、これは平成10年度の予算要求をしたときにもですね、これは県は要求という形よりは、実はこの沖縄振興調整費関係というのは国の方に予算は計上されるわけです。
通常の国庫要求というのは、我々が要求をして県の方に国庫として流れてくるわけですが、この調整費というのは国の方に予算計上されるわけですね。
そういうことで、昨年は8月の時点で知事は総括的な要望という形で沖縄の政策調整関係の経費にぜひ特別枠を設けてほしいというふうな趣旨の要望をしたわけですよ。
その結果、平成10年度の事業として今さき渡久地議員の方から70の事業と言いましたけれども、これは平成9年度の予算ベースでいうと70でした。実際の事業ベースでいくとこれは61でした。そのうち23については、平成10年度で予算がついたわけです。その23の予算が今ついている状況につきましては、現にこれはいろんな調整をしながらこの23の事業については進めているわけなんですよ。
それで我々としては、これは23事業が平成10年度で予算がついた事業です。
それから、4事業についてはもう既に平成9年度でシンポジウム等で終わりました。
それから、27の事業については、これは平成9年度事業として一応終了して、これは今後の業務の遂行に利用するというふうなことで、その活用によってこの27については事業が要するに1つのこれからのいろんなノウハウとして使われていくということになったわけですよね。
それで結局は、今回のじゃ平成11年度の予算の要求についてはどうするかというと、まずこの23事業の状況も我々は見ながらどういうふうな要望の仕方をするのかと。
昨年は、だから個別に県の方で積算なんかもしませんでした。各省庁が要求するものをぜひ特別枠でつけてくださいという趣旨の要求をしましたんで、今回は我々としてはこの23事業との絡みで今回の進捗の状況を見ながら、平成11年度はどうするかというのをぜひ検討して、内政審議室とも調整していきたいというふうに考えております。
以上です。
○渡久地 健君 ちょっと休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後2時37分休憩
午後2時39分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
伊波栄徳君。
〔伊波栄徳君登壇〕
○伊波栄徳君 こんにちは。
社民党・護憲共同県議団を代表いたしまして質問をいたします。
質問に入ります前に、昨日公示されました参議院議員選挙におきまして、選挙区においては島袋宗康さんの再選を、そして比例区におきましては吉元候補の勝利のため全力を挙げて戦っております。
我が社民・護憲は、足し算の時代もありましたけれども、つい最近は引き算の時代であります。そしてこの選挙を通しまして掛け算の時代をつくり上げていこうではないかということで総力を挙げております。
県民の皆さん、今回の選挙は大変重要な選挙であります。投票率を高め政治の信頼回復を図る上におきましても有権者の皆様方一人一人が投票をすることによって信頼を回復することができるのであります。ぜひ投票所に足を運んでくださるようお願いを申し上げる次第でございます。
まず、今回の選挙の争点、沖縄県におきましては米軍基地の問題と経済振興策についてだと言われております。その今日的な状況と過去の事例と重なる部分が今回照屋林助氏の「てるりん自伝」に記されておりますので、御紹介を申し上げます。
あるときコザの大山市長のところへ米軍の嘉手納航空隊の琉米親善委員長がやってきて、こう申し入れしたそうです。「ゲート通りの両側に星条旗を掲げさせてくれ」と。以下、大山さんの自伝の記述から引用します。
アーノルド中佐(琉球親善委員長) たった1日でよいからゲート通り(飛行場通り) に面した店頭に米国国旗を掲げさせてくれないか。
大山 それは親善委員長の注文か。
アーノルド中佐 そうではない。それはG2からのものだ。
大山 G2とはどういう所か。
アーノルド中佐 G2とは軍司令部の情報機関である。
大山 重大問題なので、しばらく考えさせてくれ。
高官はそれを写真に撮って、大統領に送って、「いまの航空隊は非常によくやっている。米軍ゴー・ホームと言っている沖縄の人たちをよく手なづけている。アメリ カ帰れと言ってるのは実は嘘なんだ」と褒められたくて、そんな申し入れをしたん でしょう。ところが 大山市長はそれを断わりました。 後日私(大山)はG2の最高責任者ネルソン大佐に会う機会があったとき、同大佐はゲート通りの国旗掲揚にふれ、コザ市長は「ギブ・アンド・テーク、ということを知らない人だ。誠に遺憾に思う」といってムッとした表情を示した。 これに対し、私は「ゲート通りの米国旗掲揚の回答はアーノルド中佐から報告を受けたと思う。私はむしろ米軍のためと思って、そのような回答をした。なお、貴官のいうギブ・アンド・テークとはどういう意味か」と反問した。 これに答えてネルソン大佐は「米軍はコザ市に対し、他市町村より多くの援助協力を与えた。このお返しとしてコザ市ゲート通りに米軍が要請した米国旗掲揚をして協力方を示すべきではないか。むしろ進んで すべきである」と。 私は「それはネルソン大佐の誤解で、貴官のいうのはむしろ逆である。あなた達の方が、私たちの意思を問わず米軍事基地を設定した。また二足三文の賃貸料で軍用地主は泣き寝入りをしているし、軍作業員の賃金は同職種でありながら、沖縄人は本土及び比島人の5分の1、米国軍人軍属の10分の1の給料で差別待遇の大犠牲を払わされている。米国は人道主義を基底とした民主主義を標榜しているが、羊頭をかかげて狗肉を売るようなものだ」と、反論、さらに「米軍はこの際、大反省してコザ市に援助協力しているように他市町村にも援助協力すべきである」と突っ込んだ。ネルソン大佐の通訳は顔の筋肉をピリピリさせていたが、どのように通訳したのだろうか。なお、そのあとも公けの席上でネルソン大佐に二、三回会う機会があったが、あまりいい顔はしなかった。
今現在、政府と県との関係をほうふつとさせるような気がするわけでございます。
本論に入ります。
1点目に、大田県政8年の評価でありますけれども、米軍基地問題については、問題提起に終わり解決能力はなかったと非難をしておりますが、例えば基地問題については、読谷村の渡具知という部落がありますけれども、地籍の確定をしないうちに跡地利用もまだしないうちに返還をされてきたわけでございます。
地籍の明確化になりますと、実は政府は原状回復ということで金銭的な補償を申し入れをして、国会においてはトリイ方式で沖縄の基地はスムーズに返還をし原状回復ができたというふうな答弁をしておりましたけれども、実際に返還後の地籍確定や跡地利用を見ましたときにどうしても金銭、ちょうど9億でございましたけれども、それではできないわけでございます。
なぜかと申し上げますと、この事例は制度やあるいはこれまでの事例が全国どこにもないということで突っぱねられたわけでございます。そこで、読谷村は村長を先頭にいたしまして職員の皆さん、地主の皆様方がどうしたら原状回復やあるいは地主が確実に跡地利用、地籍が確定できるのかということでいろいろない事例の中に、ない法律、ない補助制度をつくり上げるために苦肉の策といたしまして新しい法律を防衛施設局に提示をし、それを実現させまして跡地の利用、そして地籍の明確化ができたというふうな経緯があるわけでございます。
このようにいたしまして、全国にも類のない基地問題でございますから、いろいろな立場から問題を提起をし、そして関係者がいるわけでございますからいろいろな方々と相談し、あるいは新しい制度をつくり上げていくということで解決には相当長い期間、紆余曲折があろうというふうに思うわけでございます。
そのかいがありまして、どこにもなかった渡具知地区復帰先地公共施設整備事業を実現し、宇座、儀間、いわゆるもとの部落、もとの戦前住んでいた屋敷は基地に接収されまして、それを開放するときに公共事業の補助、そして制度ができたわけでございます。
あわせまして、今度は喜名という部落は逆でございます。いわゆる飛行場に弾薬庫に接収されておりまして、絶対にまだ返らないということで別に移っておりますけれども、それを逆に移転先地公共施設整備事業ということで実現をいたしております。
そのようなことからいたしまして、今出納長をしております当時の山内村長を初め皆様方が切碓琢磨をするうちに提案をし、そしてそれを解決するためにいろいろなものを新しくつくり上げていく、本土に例のない、制度のないものをつくり上げていくわけでございますから、今大田知事が問題を提起する大きな能力と、そしてそれを折衝力によって新しいノウハウを出しましてつくり上げていく。これが今全国に類が、あるいは制度があるならばやりやすいわけでございますけれども、私はこのことで大変苦慮をなされると思いますけれども、どうか大田知事、いろんな立場から県益につながるような、そして地権者の利益につながるような制度をつくり上げていくんだという意気込みで取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
そこで大田知事の2期8年の評価でございます。
これまでの政策課題でありますところの解決した事業、あるいは継続中のもの、そしてこれから解決をしなければならないものについての説明を求めたいと思います。
次に、大田知事の今度の訪米についてでございますけれども、知事は5月15日から30日までの日程で7度目の訪米を行い、米国政府や関係機関への基地の整理縮小を要請してまいりました。
今回の訪米は、基地にかかわる環境問題や海上ヘリ基地の問題が大きくクローズアップされました。今回の訪米要請の成果、経済や雇用、基地返還後の環境問題についての御報告を求めますとともに、海上基地問題について日本政府や米国政府が建設場所を知事は白紙にしたときには私は話し合いをしなければならないというふうに思いますけれども、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、基地の整理縮小でございます。
私は、沖縄の基地問題は先ほども申し上げましたけれども、解決の手法は常に理想が現実であるという理念を持っております。このような取り組みから沖縄の基地問題を解決しないと、ただ単なる与えられたものだけの現実的な手法では私はまた新たな悔いを残すものであると思いますが、いかがなものでございましょうか。
次に、大田知事の3選出馬についてであります。
去る15日、大田知事は、基地問題や経済振興など県政の課題が山積している現状、さらに訪米で基地跡地の環境浄化問題の深刻さを痛感し出馬を決めた、すべての力をこれらの課題に投じていきたいと決意を表明いたしました。多くの県民の皆様方に大きな勇気を与えますとともに、多くの皆様方から共感、共鳴を得て、ぜひ頑張っていただきたいというのが多くの方々の声でございます。決意のほどを改めてお尋ねいたします。
次に、基地被害についてでございますけれども、嘉手納飛行場周辺の住民が提訴した嘉手納基地爆音訴訟の控訴審判決が5月15日に言い渡されました。
本訴訟は、平成6年3月の控訴から4年、提訴から16年を経過いたしました。控訴審判決は、不当にも嘉手納基地から離発着する米軍機の爆音と原告ら住民の健康被害との法的な因果関係を否定し、原告らの悲願である早朝・夜問飛行等の差しとめ請求を棄却いたしました。一審並びに控訴審の各判決を通じて嘉手納基地の運用が不法行為を構成すると断罪された以上、騒音発生源の除去等の爆音軽減に向けてその対策を国に求めるべきであるが、次のことについてお尋ねをいたします。
嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音規制措置、いわゆる騒音防止協定についてでありますけれども、嘉手納町議会の平成10年4月15日の意見書としてこの協定を守ってくださいという旨の決議が採択されているのでございますけれども、法治国家におきまして協定を互いに結んだものを実行しないということにつきましては、県として抗議をし、その是正方をすべきであると思うが、いかがでしょうか。
2番目に、駐機場の速やかな移転を求めることであります。
3番目に、地位協定の見直しを国に要請し、米軍の日本国内における特権を許さず国内法による規制をさせることが大事であるが、いかがなものでございましょうか。
4番目に、米軍機騒音による住民の健康被害に関する調査を継続的に行い、住民福祉の増進を図るべきだと思いますが、そのことについてお尋ねをいたします。
また、嘉手納基地におけるところのパラシュート降下演習についてでありますけれども、基地使用目的に反し無制限に使用拡大されていくと懸念されるのでありますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、補正予算についてであります。
橋本総理の経済対策の失敗により景気は低迷を続け、政府は16兆6500億円の過去最大規模の総合経済対策を受けての今回の補正予算だと思料いたすのでございますけれども、停滞している県経済を回復の軌道に乗せるための総合経済対策でありますけれども、具体的にどの面で影響を与えるのか、御説明をお願いいたします。
県内景気の回復と雇用情勢の改善を目指しておりますが、雇用情勢は厳しくなるばかりであり、4月の完全失業率は7.8%となり、海洋博倒産が相次いだ1977年5月の7.9%に次ぐ高失業率となっており、県の総合経済対策にも景気や雇用対策の面で実効性が求められているのであります。
そこで、本県におけるところの若年層の雇用対策についてお伺いをいたします。
また、本県の恒常的な失業問題を解決するためには、短期的な、中期的なあるいは長期的な対策が必要であると思うのでありますが、その方策についてお伺いをいたします。
次に、新石垣空港についてでありますけれども、本日市議会におきまして市長から提案されました同意案件が否決をされたという報道がなされております。質問要綱の中におきまして関係市の対応がございますので、そのことについて知事の率直な感想を求めたいと思います。
県は、新石垣空港の建設候補地として宮良地区を選定し、当該地区はまず気象条件においてはウインドカバレージの基準を満たし、局地風等の問題も特になく、また赤土流出防止対策については沈殿池を設置し、濁水を25PPm以下に処理して放流をするなどの万全な対策を講じることにより環境保全目標は達成され、一連の調査の結果から新石垣空港の建設位置として技術的に問題はないと結論づけておりますが、先ほど申し上げた市あるいは議会、地主、関係団体の対応はどのようになっておりますか、お伺いいたします。
新石垣空港の計画が持ち上がったのが昭和54年、以来19年が経過しております。その間、全県民が早期着工を願い、地元の合意形成を望んでいるのでありますけれども、遅々として実現しておりません。これは県全体の経済に及ぼす影響も大きいものがあろうというふうに思うわけでございます。全県的立場からも早期実現を図るべきであると思うのでございますが、御意見をお伺いいたします。
次に、交通問題でございますが、若者の交通死亡事故の現状と対策について。
昨年の交通事故の死亡者は、マスコミ報道によると前年より13人多い90人で、そのうち約5割に当たる44人が若者で、そのほとんどが二輪車による事故だとのことであります。
県内の若者の死亡事故の全体に占める割合は、全国・九州平均の約2倍強と極めて高く、沖縄県の将来を担う若者がこのような交通事故でとうとい命を失っていく現状を憂えるものであります。ことしも元旦に石垣市で高校生7人乗りの四輪駆動車が電柱に衝突をし、3人が死亡するという痛ましい交通事故が発生したのを皮切りに、若者の死亡事故が多く発生していると聞いております。
そこで県警本部長に、若者の交通死亡事故の現状とその対策にっいてお伺いをいたします。
次に、海洋性健康増進施設についてお伺いをいたします。
このことについては、平成9年2月定例会の私の質問に対し、海洋性健康増進施設は県民の健康づくりを実施する場として必要な施設でありその整備により新たなリゾート需要と地域振興が期待される、県が計画している施設は現在市町村、民間等で整備が検討されている施設の総合的、中心的な役割を担う施設として位置づけて整備をすると知事は答弁をしておりますが、その後の進捗状況はどのようになっているか、御説明をお願いいたします。
海洋療法事業の海洋環境に与える影響をどうするのか、重要な課題ではないかと考える次第であります。とりわけ住民のコンセンサスを取りまとめるには環境対策が不可欠であります。
海岸地域に施設を建設するならば、海岸線、防潮林、そして海岸の景観等への影響、取水管の海底への埋設工事の際の周辺海域への影響、療法に活用する海水の水質調査、さらに療法に活用した海水をどのように排水処理するか、数多くの環境調査が必要であります。どのように考えているか、お尋ねいたします。
次に、インド、パキスタンの核実験についてであります。
人類の平和共存と繁栄を踏みにじる暴挙であると私は思うのであります。知事はどのような御認識を持っておられるか、お尋ねをいたします。
最後に、現在国、地方を問わず多額の公債残高を抱え、財政構造の改革が急務となっておりますが、我が県の財政状況もかつてない厳しい状況に直面していると思慮されますが、県民の旺盛なニーズに的確に対応した新たな施策を展開していくためには、これまで以上に簡素で効率的な行財政運営を行うことが必要不可欠であります。
道路、空港、港湾を初めとした社会資本の整備に充てるために借り入れた県債を返済することであります。そのことについての公債費の比率を提示してもらいたいと思います。
現在沖縄県は、九州各県平均、あるいは全国平均との比率はどのようになっているか。
次に、自主財源のもとをなす県税収入は、平成10年当初予算額785億円で、歳入総額に占める割合は12.8%となっており、九州平均20.3%に比べかなり低い状況にあります。このため自主財源総額の割合も低く沖縄県24.3%、九州平均38.9%、自由に使える財源、いわゆる一般財源は勉方交付税、我が県は34.1%、九州平均26.7%と大きく交付税に依存をしております。
自主財源の確保と行政経費の削減によって県財政の運営に取り組まねばならないと思いますが、お伺いをいたします。
なお、今回の知事等の期末手当及び職員の管理職手当の特例に関する条例の制定を了とするものでございます。
以下、たくさん別のところを質問設定してございましたけれども時間がございませんので、職員の皆さんには大変申しわけありませんけれども、割愛をさせて次回に回させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 伊波栄徳議員の御質問にお答えいたします。
まず、県政2期の評価について、県政は問題提起能力はあるが問題解決能力の面で弱さがあり、沖縄問題の解決はできないとの批判があるが、その具体的に解決した事例と継続中の事業について説明を求めるという御質問でございます。
私は知事に就任して以来、広く県民に開かれた県政を推進し県民生活の向上を図ることを基本として、懸案事項の解決や県勢の発展のために全力を尽くしてまいりました。
具体的には、厚生年金の格差是正や戦争マラリア犠牲者の補償、不発弾の処理を促進するなど戦後処理問題の解決に努めてまいりました。また、平和の礎を整備したほか平和祈念資料館の建設や国際平和研究所の設立を進めるなど平和行政の推進に力を入れてきました。 基地問題の解決については、平成8年に基地返還アクションプログラムを作成し、米軍基地の計画的かつ段階的な返還等を日米両政府に訴えてまいりました。
これまでの具体的な成果としては、都市型ゲリラ訓練施設の撤去、シーメンズクラブの移設、県道104号線越えの演習の廃止や安波訓練場の返還合意などが実現しています。
また、軍用地の跡地利用の促進に向けて県が要綱を作成して政府に訴えてきたいわゆる軍転特措法についても立法化が実現いたしました。
本県の自立的発展に向けては21世紀の沖縄のグランドデザイン「国際都市形成構」を策定し、その実現に向けて空港、港湾などの基幹インフラの整備を初めフェデックス社等の企業誘致の推進など各種の施策事業に取り組んでいます。
また、新たな産業としてマルチメディアアイランドの形成に向けて情報・通信インフラの整備、コンテンツ産業等の関連産業の育成に取り組むとともに、シノプシス社など先端産業の誘致に力を入れています。
さらに、沖縄情報通信研究開発支援センターの活用や産業技術教育センターの整備を推進するなど、マルチメディア関連の人材の育成にも努めているところであります。このような本県の取り組みに対応して本年3月に沖縄振興開発特別措置法が改正され、特別自由貿易地域制度の創設や情報通信産業地域制度の創設などが実現いたしました。
また、新全国総合開発計画においては沖縄地域を「太平洋・平和の交流拠点」として位置づけ、地域整備を進めることとされていますが、これは本県の国際都市形成構想の考え方と基本的に一致するものであります。
社会資本の整備については、都市モノレール事業を実現させたほか、那覇空港ターミナルの新設や県民広場地下駐車場の整備、中城湾港や豊見城地先の開発整備などを進めてきました。
また、久米島空港などの離島空港を整備するとともに、離島架橋については浜比嘉大橋や阿嘉大橋などを完成させたほか、古宇利大橋の建設を進めています。
産業の振興については、沖縄産業創造アクションプログラムを策定し、本県の特色を生かした産業振興の戦略的な展開を方向づけました。
薬草を利用した健康食品については、県物産公社と大手商社などの連携で販売ルートが全国的に整備されたことによって売り上げが増加するなど成果が確実に出ています。
このほか、トロピカルテクノセンターや工業技術センターを整備するとともに、海洋深層水の総合利用研究施設の建設を進めるなど新たな産業の創造にも力を入れています。
雇用問題の解決については、雇用開発推進機構を創設し各種の雇用開発事業を進めているほか、産業振興と雇用労働者との連携を図りながら雇用の確保と拡大に向けて積極的に取り組んでいます。
また、沖縄駐留軍離職者対策センターにおける職業指導、職業紹介等の雇用対策を進めるなど駐留軍従業員の雇用の安定に努めています。
農林水産業の振興については、亜熱帯農業の確立に向けて野菜、花卉、熱帯果樹等の振興に力を入れるとともに、農業研究センターの整備を進めてまいりました。また栽培漁業センターを拡充するなど、つくり育てる漁業の進展を図りました。
観光・リゾート産業については、部瀬名岬地域等における本県の魅力を生かしたリゾート施設の整備を進めるとともに、ジェットフォイルを就航させ北部地域の観光振興を図ってまいりました。
また、本土―沖縄間の航空運賃の低減など観光・リゾート地としての競争力の強化にも努めてまいりました。
保健福祉の充実については、夜間保育等のニーズにこたえるため那覇市や宜野湾市、沖縄市の夜間保育所の設置を支援してきたほか、高齢者の保健福祉の向上を図るため具志川厚生園を新築するなど人々がともに支え合い、安心して暮らせる社会づくりに努めてまいりました。
また、赤土流出防止対策に力を入れるとともに、本県の多様で豊かな自然環境の保護を図ってまいりました。
女性の地位向上についても審議会等への女性の登用を積極的に推進し、都道府県では全国一の登用率となっています。
また、男女共同参画社会の形成を図るため沖縄女性財団を設立するとともに、女性総合センター「ているる」を建設するなど着実に成果を上げることができたと思います。
離島の振興については、離島空港などの生産基盤や生活環境施設の整備を進めたほか、南・北大東島におけるテレビ難視聴の解消や離島航空運賃の低減を図るとともに地域の産業興しを促進いたしました。
また宮古、八重山の新支庁舎を建設し住民への行政サービスの向上を図るとともに、支庁長を部長級にするなど離島の地域行政の強化に努めてまいりました。
以上、継続中の事業を含めこれまでの主要成果を申し上げましたが、今後とも県勢の発展のため全力で取り組んでまいりたいと考えています。
次に、今回の訪米要請の成果、経済や雇用、基地返還後の環境について報告を求めたいという趣旨の御質問でございます。
今回の訪米では、米国務省及び米国防総省を初め連邦議会議員等に基地の整理縮小や基地被害の防止とあわせて在沖米軍の兵力削減、とりわけ海兵隊の削減等11項目にわたる要請を行いました。特に普天間飛行場の早期返還については強く訴えました。
また、沖縄の基地問題の実情について学者、研究者などと意見交換を行うとともに、米国のマスコミを通じて沖縄の実情を訴えました。
要請に対し、国防総省、国務省及び海兵隊は沖縄に関する特別行動委員会合意の実施を主張し、普天間飛行場問題についてはキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート建設が最善の策であるとの姿勢を堅持していました。
一方、連邦下院議員で国家安全保障委員会委員のポール・マックヘイル議員は、冷戦の終結に伴いアジア・太平洋地域の戦略的なバランスが変化したことにより在沖米軍の展開は不可避的に変わらざるを得ないだろうと述べ、ニール・アバクロンビー下院議貝は、海上ヘリポート建設は問題の本質的な解決にはならないとコメントしていました。
さらに、前国防長官でスタンフォード大学のウィリアム・ペリー教授から、沖縄問題の解決に協力していきたい旨の発言がありました。
産業振興関連では、半導体デザイン企業のシノプシス社からことしの9月末までに県内の情報工学専攻の学生15名を正式に採用し、来年10月には沖縄にデザインセンターを設立する計画の説明を受けました。
跡地利用関係では、今回ロサンゼルス近郊のノートン空軍基地、サンフランシスコにあるフォートメイスン陸軍基地跡地、プレシディオ陸軍基地跡地、トレジャー・アイランド海軍基地跡地を視察してまいりました。この視察においてノートン空軍基地跡地において実際のクリーンアップ作業をじかに見ることができましたが、そこでは深さ90メートルにある地下水をくみ上げカーボンで浄化する施設が24時間フルに稼働しておりました。環境浄化には膨大な経費と長い年月を要し、完了時期も予想がつかないという厳しい現実を目の当たりにして、基地における環境問題の深刻さを痛感するとともに、基地の跡地利用における最大の課題として認識いたしました。
アメリカにおいては国家環境政策法に基づいて環境調査の実施を軍に義務づけ、また国防総省の作成した基地再利用マニュアルでは、国防総省は30年以上基地を受け入れた米国内の自治体を支援する責任があると明確に示しています。
翻って沖縄の状況を見ますと、地位協定第4条で米軍は施設及び区域を返還するに当たっては原状回復する義務を負わないことになっていますので環境浄化の義務は課されておらず、アメリカ本国とは違う状況に置かれています。このことから、将来具体的に沖縄の基地を転用していく場合に環境浄化が大きな課題の一つとなって立ちはだかってくるだろうということを痛いほど認識させられました。
基地問題の解決に当たっては、粘り強く取り組んでいく必要があり、今後とも継続して連邦政府や議会関係者及び研究者等や一般国民に強く訴えていきたいと考えています。
次に、海上ヘリポート基地問題については日本政府や米国政府が建設場所を白紙にした上で話し合うべきと思慮されるが、知事の見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
県は、政府の海上ヘリポート基本案については、名護市民投票の結果や各種団体の意見、さらに普天間飛行場の県内移設に反対する県議会の決議、自然環境保護の問題、加えて沖縄の米軍基地を取り巻く国内外の状況や県政運営の基本理念等さまざまな角度から検討した結果、受け入れることはできないと判断いたしました。
海上ヘリポートについては、日米両国政府は最善の策であるとしていますが、何ゆえに最善なのか、県民に納得のいくよう十分に説明されておりません。
アメリカ軍が昨年8月にいわゆるSBFレポート、国防総省が昨年9月にまとめた「日本国沖縄における普天間海兵隊航空基地の移設のための国防総省の運用条件及び運用構想」と題するレポート、これはDODレポートと呼んでおりますが、またことし3月にアメリカの会計検査局が出したいわゆるGAOレポートによりますと、海上ヘリポートの規模は当初県が政府から説明を受けたものをはるかに超える規模になる可能性がある上、基地機能が現在よりも20%ほど強化される懸念があります。
例えば、SACOの最終報告や政府の基本案では、海上施設は今の普天間飛行場より規模が5分の1に縮小され、長さ1500メートル、幅600メートルになるとしていますが、これらのレポートでは長さ1500メートルで幅が800メートルから1000メートルにもなるとしています。
また建設に要する期間も5年から7年ではなくて、少なくとも9年から10年はかかるものとしています。また、機能の点ではMV22オスプレイを配備するなどのため20%程度機能が強化される施設をつくるとしています。
さらに、このような施設の建設には約40億ドル――5000億円ですが――かかり、年間維持費は約2億ドル、約250億円になるとGAOレポートは試算ていますが、この点については日本側はアメリカ政府が負担すべきだと言っておるのに対し、アメリカ側は日本政府が負担すべきだというふうに食い違いを見せています。
このようなことから、政府の海上ヘリポート基本案を受け入れることはさらに厳しい状況となっており、普天間飛行場の早期返還を実現するためには県外への海兵隊の移設、とりわけグアム、ハワイ等への移設について考慮していただく必要があると考えています。
次に、現実的対応とはどのような手法があるか聞きたいという趣旨の御質問でございます。
本県は、去る大戦において悲惨な地上戦を経験したことから、県民の平和を求める心は何にも増して強いものがあります。
しかしながら、沖縄の米軍基地は県民が好むと好まざるとにかかわらず一方的に建設されてきた歴史的背景があり、戦後50年余を経た今日でも狭隆な本県に全国の米軍専用施設の約75%が集中し、地域の振興開発に大きな支障となっているばかりでなく、基地に起因する事件・事故等県民生活にさまざまな悪影響を与えています。
このような沖縄の置かれた厳しい状況に対して、県民は将来にわたって米軍基地が固定化されるのではないかと大きな不安を抱いています。
昨今、海上ヘリポート基地建設問題との関連で現実的対応を主張する意見がありますが、基地返還への道筋が示されず将来への展望もないまま現実的に妥協する形で基地の建設を受け入れることは、基地の永久固定化につながるおそれがあり、基地問題の根本的な解決にはつながらないと考えています。
県民が50年余にわたって基地の重圧に苦しめられてきた歴史的背景とこれ以上の基地負担に沖縄県民は到底耐えられるものではなく、基地の整理縮小を強く求めている県民の意向をしっかりと認識する必要があります。
県としましては、県の基本政策である基地のない平和な沖縄を実現するため、国に提示した基地返還アクションプログラムを踏まえ、地元の意向にも十分に配慮して実現の可能性が高いものから計画的かつ段階的に基地を返還させるよう日米両国政府に粘り強く働きかけていきたいと考えています。
次に、嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練との関連で、今回の訓練は基地使用目的に反し無制限に使用拡大されていくと懸念されるがどう思うかという趣旨の御質間でございます。
5・15メモでは、嘉手納飛行場の使用主目的は「飛行場」と記載されており、県としてはそれ以外の使用はできないものと解釈しています。また、沖縄に関する特別行動委員会の最終報告では、県民の負担を軽減するという立場から、読谷補助飛行場で実施されてきたパラシュート降下訓練の移転が確認されているにもかかわらず、新たに嘉手納飛行場で同訓練を実施することはSACOの基本的考え方にも反するものであると考えております。
県は、去る5月29日に外務省沖縄事務所、那覇防衛施設局、在日米軍沖縄調整事務所、在沖縄米国総領事館に対し、5月30日に予定されている嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練及び今後の訓練計画を中止するよう要請し、さらに6月3日には在日米軍司令部、翌4日に内閣内政審議室、外務省、防衛庁、在日米国大使館に対し、今後、嘉手納飛行場においてパラシュート降下訓練を行わないよう強く要請してきたところであります。今後とも、嘉手納飛行場においてパラシュート降下訓練が行われることがないよう日米両国政府に対し強く働きかけていきたいと考えています。
次に、雇用失業問題との関連で、失業対策、若年層の雇用対策についての御質問にお答えいたします。
本県の雇用問題については、県政の最も重要かつ緊急な課題の一つとして位置づけ、平成8年度は緊急雇用対策本部を設置して各種のプロジェクト事業を実施するとともに、平成9年度には財団法人雇用開発推進機構を発足させ雇用開発事業に積極的に取り組んでいるところであります。
また、本県の雇用情勢が全国的な景気低迷の影響によって厳しい状況を余儀なくされていることから、県としても去る6月10日に緊急雇用対策等の総合経済対策を講じ雇用問題の解決に向けて積極的に対処しているところであります。
具体的には、30歳未満の若年者の雇用対策については平成9年度に創設した沖縄若年者雇用開発助成金を活用し、326人の雇用をつくり出すことができました。
また、新規高卒予定者を対象とした県外企業合同選考会や県外職場体験実習のほか、高校1、2年生を対象とする県外職場見学会等を積極的に実施しているところであります。ちなみに、平成10年度における県外職場体験実習では県内の高校53校から合計222人を8つの都府県27社に派遣することにしています。
さらに、来春大学や専修学校等を卒業する者を対象に新たに県外企業合同選考会を開催するなど、若年者の雇用対策の強化に取り組むことにしています。
なお、若年者の雇用開発に資するため沖縄産業開発青年協会や公共職業能力開発施設の機能を拡充して積極的に人材の育成に取り組んでまいりたいと考えています。
それから同じく雇用問題で、本県の失業問題を克服するには短期、中期、長期対策の策定が必要であるがその方策について伺いたいという御質問でございます。
雇用問題については、県政の重要課題の一つとして産業振興策を初めとする各種の施策事業との連携を図りながら、その解決に努めているところであります。
短期的には、財団法人雇用開発推進機構が行う各種の支援事業の推進や沖縄若年者雇用開発助成金の雇用による新たな雇用の場の創出、県外企業への職業紹介業務等の充実や県内企業の求人開拓に努めているところであります。
ちなみに、平成9年度には各種の雇用助成金の活用によって680人の雇用を創出し、経営団体の協力を得て実施した県内企業の求人開拓により812人の雇用を創出したところであります。
また、NTT番号案内センターやCSKグループなどの情報関連企業の立地によって約800人の雇用機会が確保されたところであります。
中長期的には、産業創造アクションプログラムにおいて中核的産業として位置づけられている情報産業、健康食品産業、観光関連産業、医療・バイオ、環境関連産業、物流・流通産業などに係る62のプロジェクトを展開するとともに、改正沖縄振興開発特別措置法に基づく特別自由貿易地域制度の創設を初め情報通信産業の集積、新たな国際観光保養基地の形成を通じて雇用の創出に取り組んでいきたいと考えています。
CSKグループや三井物産関係、日本シノプシス社などの情報通信産業においては、2003年ごろまでに1100人の雇用が見込まれています。
なお、職業能力開発短期大学校の4年制大学校への移行や国立高等専門学校の設置を促進することによって新たな時代に対応した産業教育を行い、雇用の機会をつくり出していきたいと考えています。
また、本県においては若年労働者の多くが自発的に離職する比率が全国に比べて高いことから、今後は若隼者の就職意識の改革についても積極的に取り組んでいく必要があると考えています。
次に、新石垣空港建設問題との関連での御質問にお答えいたします。すなわち石垣市の議会の同意が得られなかった件についてでございます。
新石垣空港の建設事業については宮良地区を建設位置とし、石垣市に対して新石垣空港の建設位置及び管理についての協議を行っていたところでありますが、本日の石垣市議会において新石垣空港の設置及び管理についての議案が否決されたことはまことに残念であります。
石垣市議会で同議案が否決されたため、今回の6月県議会への新石垣空港の設置及び管理についての議案の提案は断念をせざるを得なくなりました。
また、平成11年度の調査費の国庫要望については再検討することになります。
しかし、新石垣空港の早期建設は八重山郡民の長年の願いであるところから、今後とも地元の皆様に新石垣空港の早期建設の必要性を理解していただき、その御協力が得られるよう全力を挙げていく考えであります。
次に、インド、パキスタンの核実験問題との関連で、人類の平和共存と繁栄を踏みにじる暴挙であるが、知事はどのような認識を持っているかという御質問にお答えいたします。
核兵器廃絶に向けて包括的核実験禁止条約が国連総会で採択されるなどその機運が高まる中で強行されたインド、パキスタンの核実験は、南アジアで核拡散が懸念されるなど人類の平和共存と繁栄へ向けての切実な願いを踏みにじる暴挙であると言わざるを得ません。
県としては、日本が世界最初の被爆国であること、また去る大戦において県内で20万人余の犠牲者を出した悲惨な沖縄戦を体験したことから、両国に対し強く抗議したところであります。今後ともいかなる国であれ、理由のいかんを問わず核兵器の製造、実験、貯蔵及びその使用に強く反対していく考えであります。
なお、知事の3選出馬に向けての決意を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
私は、平成2年の12月に知事に就任してことしで2期8年を迎えます。
この間、県民を初め内外の方々の温かい励ましをいただき、持てる力を最大限に発揮して誠意を持って県民に奉仕するという気持ちで取り組んでまいりました。
この間、福祉、教育、医療などの県民福祉の向上はもとより、基地問題の解決と本県経済の自立的発展を図ることを県政の最重要課題として目に見える形での解決に向けて全力を傾けてまいりました。
とりわけ基地問題については、非生産的な基地を生産の場に変え、若者が真に夢と希望の持てる沖縄を実現することが私に課せられた責務であると考え、これまで誠意を尽くして取り組んでまいりました。
しかしながら、本県が抱える課題は基地問題を初め経済振興や雇用問題などそれらの解決は多くの困難を伴い、一朝一夕にできるものではないと考えます。
そういう意味で3選出馬について、政党を初めとする支持団体や関係者の方々の御意見を伺いながら慎重に検討してまいりました。
その結果、基地問題はもちろん本県経済の自立的発展を目指した国際都市形成構想等が緒についたばかりであり、これらの諸課題の解決にきちっと道筋をつけなければならないと考えます。
特別自由貿易地域制度の創設やマルチメディアアイランド構想に基づく諸施策の推進、観光・リゾート産業のさらなる振興などを通して経済的発展を図ることが知事としての責任を全うすることであると考えるに至ったのであります。
また、さきの訪米で基地返還跡地の環境浄化問題の深刻さを目の当たりにして、将来を担う若者にこの負の遺産を引き継ぐべきではないとの思いを強くいたしました。
私は、21世紀を目前に控え沖縄の将来を左右する重要な時期にあって、将来への展望を切り開き平和な沖縄を築くため微力を尽くしてまいりたいとの一心で今回3期目の出馬を決意した次第であります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 伊波栄徳議員の基地被害について3点の御質問がございました。
まず、普天間飛行場周辺における航空機騒音の規制措置の問題、これにつきまして飛行制限範囲の拡大について県の対応についてお尋ねしたいということ、それから駐機場の速やかな移設を求めることについての県の対応をお尋ねしたいと。
もう1点は、地位協定の見直しを国に要請し、米軍の日本国内における特権を許さず国内法による規制をさせることについて県の対応をお尋ねしたいと。関連いたしますので一括してお答えをさせていただきます。
嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺の航空機騒音の規制については、平成8年3月、日米合同委員会において嘉手納飛行場における航空機騒音規制措置及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置が合意され、午後10時から翌日の午前6時の間の飛行及び地上での活動は、米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限されるなどの措置がとられることになりました。
しかしながら、規制措置の内容については県や関係市町村が求めていたものとは大きな隔たりがあり、また規制措置の合意後も依然としてかなりの騒音が発生しており、嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺住民の負担が軽減されたものとは考えておりません。
また、嘉手納飛行場における海軍駐機場の移設については、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)で合意され、一部終了したものもございますが、いまだ完全には実施されておりません。
県といたしましては、嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化とあわせて米軍の施設・区域内でも国内法が適用されるよう日米地位協定の見直しについても日米両国政府に要請してきたところであります。
今後とも、引き続き関係市町村と連携を図りながら両飛行場周辺における航空機騒音の軽減等について日米両国政府に粘り強く働きかけていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 文化環境部長。
〔文化環境部長 大城貴代子君登壇〕
○文化環境部長(大城貴代子君) 去る4月1日の組織再編統合で新しくできました文化環境部の大城でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは基地被害についての御質問の中で、米軍基地騒音による住民の健康被害に関する調査を継続的に行い、住民の福祉の増進を図ることにつきましてお答えいたします。
県におきましては、県民の平穏で快適な生活環境を保全する観点から、航空機騒音が基地周辺住民に与える精神的、身体的影響について明らかにするための航空機騒音による健康影響調査を平成7年度から3年計画で実施してまいりました。
平成9年度までの調査によりますと、航空機騒音によると考えられます11名の騒音性難聴者が見出されたことや、嘉手納町では低体重児の出生率が沖縄全体の数値より高いこと、さらに航空機騒音にさらされている幼児たちに頭痛、腹痛の訴えが多い、落ちつきがない等の要監察行動を示す比率が対象地域に比べ高いなど、住民の健康に与える影響が明らかになっております。
これらの調査結果を踏まえ、県民の健康で快適な生活環境を確保するために、平成9年5月には那覇防衛施設局、米軍、在沖米国総領事等関係機関に対しまして航空機騒音の低減化対策を要請いたしております。
なお、本調査につきましては、さらに補足調査が必要と判断されましたことから、平成10年度も聴力影響調査、学習能力調査などの健康影響調査を行い、調査結果がまとまった段階で国や米軍等へ再度要請を行っていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 又吉辰雄君登壇〕
○総務部長(又吉辰雄君) 伊波栄徳議員の補正予算の内容についての御質問にお答えをいたします。
国においては、去る4月24日に総事業費16兆5000億円の総合経済対策を決定し、6月17日には平成10年度一般会計補正予算4兆6454億5300万円が成立をしたところでございます。
県としましても、停滞の状況にある県内経済を早期に回復の基調に戻すため、国の補正予算に連動いたしまして沖縄開発庁一括計上事業、緊急を要する災害復旧事業等を計上するとともに、中小企業金融の円滑化及び雇用確保のため緊急雇用対策事業について補正予算を編成いたしました。
補正予算総額は、一般会計、下水道事業特別会計、病院事業会計等の合計で過去最大の478億8386万7000円となっております。
その内容は、一般会計の補正額が352億8041万3000円で、社会資本整備等として公共地方道薪設改良事業、県営かんがい排水事業などに343億252万600Q円、緊急を要する災害復旧事業といたしまして1億7354万2000円、緊急雇用対策事業として短大、大学卒業予定者就職促進事業、雇用促進キャンペーン事業、信用保証協会基金造成事業、単独融資事業の拡大に7億269万8000円などを計上しております。
また、下水道事業特別会計の補正額は、中部流域下水道建設事業などに25億5950万円、病院事業会計で中部病院改築工事などに8億68万1000円、水道事業会計で西系列幹線導水施設整備事業などに91億7321万7000円、工業用水道事業会計で久志浄水場整備事業に7005万6000円を計上しております。
次に、公債費比率の九州各県比較、全国との比較についての御質問にお答えをいたします。
公債費比率について平成8年度の数字で申し上げますと、本県が10.9%、九州各県平均が14.3%、全国平均が13.5%となっております。本県の公債費比率は比較的低い状況にあります。
これは、沖縄振興開発特別措置法に基づく高率補助により県負担が軽減された結果、起債額が他県に比べ少なかったこと等によるものであります。
しかしながらこれまでの数次にわたる経済対策などに伴って発行された県債の償還によって公債費比率は年々上昇する傾向にあり、財政の圧迫要因となっております。県債は、将来に債務を残すものであるため、その発行に当たっては財政運営に及ぼす影響を考慮しつつ、事業の必要性、効果等を勘案しながら慎重に対処する必要があると考えております。
次に、自主財源の確保と行政経費の削減による運営の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
伊波議員からも先ほどございましたとおり、平成10年度の一般会計当初予算における県税や使用料・手数料等の自主財源が歳入総額に占める割合は24.3%で、九州各県の平均である40.4%と比較いたしまして低い状況にございます。
中でも県税の占める割合が本県の12.8%に対しまして、九州各県の平均は21.1%となっております。このため、県税の徴収率向上のための執行体制の強化や使用料・手数料の定期的な見直しなどにより自主財源の確保を図ってきたところであります。今後も引き続き県税の徴収率の向上はもとより、遊休財産の積極的な処分等により自主財源の確保に努めてまいります。
また、長期的には産業の振興による税源の涵養を図っていくことが重要であると考えております。
一方、歳出面においてはこれまで節減に努めてきた物件費や県単独補助金等の行政経費はもとより、今後は現在進めております行財政改革をさらに推進することとし、これまで継続的に措置してきた事務・事業や人件費等についても見直しを行い、新たな政策課題や緊急かつ重要な施策に的確に対応し得る財政体質の確立に努めてまいりたいと思います。
以上です。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 新石垣空港建設に関し、市、地主及び関係団体の対応はどのようになっているかとの御質問にお答えいたします。
県は、平成10年4月23日に新石垣空港の建設位置を宮良地区に決定し、関係地権者の皆様を初め石垣市議会及び農業関係団体等の御理解と御協力を賜り、石垣市と一体となって地元の合意形成に全力を挙げて取り組んでいくことといたしました。
石垣市は、県の位置決定を歓迎するとともに、新石垣空港の早期建設のため全力を挙げることとしています。
また、県は石垣市と一体となって新空港建設予定地の地権者に対する同意取りつけ作業を進めており、地権者の約7割の同意を得ているところであります。しかし農地がつぶれることに反対し、新石垣空港建設用地の不提供に関する通知を出した26名の地権者もおります。今後、これらの地権者も含めた関係地権者の皆様に新石垣空港の早期建設の必要性を理解していただき、全地権者の同意を得ていきたいと考えています。
県の位置決定後、石垣市商工会や石垣市観光協会、建設業協会八重山支部を初めとする23団体からの宮良地区における新空港の早期建設要請が相次いでおり、去る6月18日には竹富町議会も宮良地区における早期建設を決議しております。
石垣市議会におきましては、本日の市議会に宮良地区における空港建設について、先ほど知事が御答弁したとおりで大変残念でございますけれども、今後誠意を持って一生懸命また合意取りつけに頑張っていきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 伊波議員の御質問にお答えいたします。
交通統計上、16歳から24歳を総称して若年者と定義づけております。
昨年の県下の全交通事故死者数は90人でありますから、若年者の死者数44名は全体の半分を若年者が占めていることになります。とりわけ若年者死者の6割に当たります25人が二輪車乗車中の事故であり、これらの事故原因を見ますと、多くは週末の夜間における遊び型の事故で、二輪車の特性を十分理解しないままスピードとスリルによって無謀運転をした結果の事故であります。
県警察では、このような実情を踏まえ本年の交通警察の重点目標に若年者の交通事故防止対策を掲げ、特に二輪車事故防止に重点を指向した施策を推進しているところであります。
その1つは、二輪車マナーアップ作戦であります。
若年者の二輪車運転手に対し基本的な交通ルールとマナーの遵守を習慣化させるこを目的に、朝夕の通勤、退庁・退社時などにおける幹線道路での走行マナーの遵守指導、若者のツーリンググループの多い日曜、休日等における国道等主要幹線道路での指導取り締まりなど二輪車に対する重点的な対策を実施しております。
2つ目は、教育庁や学校現場などと連携した高校生に対する交通安全教育の実施であります。
交通社会に参加する時期に当たる高校生に対し交通の基本的な心得を身につけさせ、この年代に多い二輪車事故の防止を図ることを目的に、教育庁や学校現場と連携し、高校生関連事故発生時における合同現場実査や連絡協議会の開催、白バイによる二輪車安全運転実技指導、交通安全教育車「かりゆし号」を活用したシミュレーションによる体験型教育、警察音楽隊のハイスクールコンサートと絡めた参加型教育等の交通安全教育を実施しております。
3つ目は、暴走族の取り締まりであります。
爆音暴走により善良な県民に著しい騒音被害を与え、他の一般交通に迷惑、危険な行為をしている若者による暴走行為が後を絶たないことから、暴走族取り締まり隊を再編強化するとともに、全国初の暴走族対策推進員制度を導入し、徹底した取り締まりと並行して、検挙補導後の精神面からのケアを行い、根本的に暴走行為をしないよう指導して効果を上げております。
以上の二輪車対策に加え、若年者が夜間外出し暴走行為によって起こす交通死亡事故の特徴や行動特性から、週末の夜間における交通指導取り締まりに大きな効果があることを考慮しまして、金曜日、土曜日の夜間に警察官を大量動員しての集中取り締まりや交通事故抑止のためのレッドローリング等の警戒活動を行うウイークエンドナイト作戦を実施しております。
このような施策を推進した結果、本年6月25日現在の若年者の交通死亡事故は発生件数で14件、対前年同期に比べてマイナス14件、死者数で16人、同じく対前年度同期に比べましてマイナス16人と大幅に減少しておりました。また、全交通死亡事故についても6月25日現在、死者数は40人で、昨年同期比マイナス8名と減少しかなりの抑止効果が見られているところであります。
これから本格的な夏場を迎え、二輪車による若年者の交通事故の多発が懸念されるところでありますが、県警察としましては、今後とも組織の総合力を結集しまして飲酒運転撲滅対策とあわせ若年者の交通事故防止対策を重点的に推進し、安全で快適な交通環境の確立に邁進する所存であります。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 福祉保健部長。
〔福祉保健部長 平良健康君登壇〕
○福祉保健部長(平良健康君) 去る4月1日の行政組織の再編統合によりまして福祉保健部が発足しておりますが、旧環境保健部に引き続き部長を拝命しております。よろしくお願いいたします。
海洋性健康増進施設についての御質問のうち、施設整備の進捗状況はどうかとの御質問にお答えいたします。
海洋性健康増進施設については、沖縄の温暖な気候風土と海等の海洋環境を活用して県民の健康づくりを基本に据え、リゾート及び地域振興にもつながる新しい観点から健康保養地を形成する主要な施設として整備を検討しております。
平成7年度には適地選定基礎調査を実施し、自然及び社会的条件について調査検討を行い、読谷海岸地区、部瀬名海岸地区の2カ所の計画予定地に絞り込みました。平成8年度には施設整備基本計画を策定するとともに、平成9年度には専門部会において人材育成研究機能を備え、健康増進ネットワークの中核となる施設及び地域利用のモデルとなるリゾート型施設の2つのタイプについて、計画地の特性を考慮した実施計画策定調査を行ったところであります。
今後は人材育成等多くの課題がありますが、計画地の敷地条件、利用者見込み、管理運営方法等を検討し、実施計画を策定することとしております。
続きましてアセスの必要性はどうかとの御質問にお答えいたします。
海洋牲健康増進施設の整備を推進するに当たっては、同施設が特殊な施設であるため関連する種々の法的規制への対処が必要であり、施設を海岸域に計画するため予定海域の海水の調査・分析等が重要となります。特に取水及び排水処理方法等については設備設計の重要な要素であることから、環境影響調査を実施しデータを詳細に解析する必要があると考えております。
○議長(友寄信助君) 当山全弘君。
〔当山全弘君登壇〕
○当山全弘君 平成10年第3回沖縄県議会(定例会)に際し、沖縄社会大衆党県議団を代表し質問を行います。大田知事以下執行部の職員の皆様の誠意ある御答弁をよろしくお願いをいたします。
沖縄は、1972年に本土に復帰した。日本全国の面積の0.6%にしかすぎない沖縄に米軍専用基地の75%が集中し、高密度の軍事活動が展開されております。
このようなさまざまな影響が沖縄の経済と民生に生じ、広大な米軍基地は依然とし県民生活を圧迫しています。
一方、基地が返還され着実に前進している一面もあり、基地の一部分は人々の手に戻り立派なショッピングセンターや住宅地、福祉施設、公共施設として利用されているところもあります。
基地問題について沖縄県民の意識の変化も見られるようになりました。その県民意識の高まりを象徴しているのが圧倒的多数で日米地位協定の見直しと米軍基地の整理縮小に賛成票を投じた全国初の県民投票ではなかったでしょうか。
安全保障に関する量的、質的負担は本来、国民が等しく担うべきものですが、我が沖縄県は実質的に過重な負担を担ってきました。
基地経済問題で大きな課題を抱える中で、去る5月15日に沖縄は本土復帰26年を迎え、普天間飛行場返還に伴う海上基地建設反対など海兵隊削減の取り組みや新たな経済振興策をどう構築するか、21世紀への展望を切り開くためにも大変重要な時期を迎えました。
大田知事は、これまで基地のない平和な沖縄づくりのために沖縄からのメッセージ事業を行い、沖縄の過重な米軍基地や基地被害の現状を全国民に訴えてまいりました。
政府は、米軍用地特措法改悪の特別立法や海兵隊の兵力削減問題など立ち入って話すことは難しいという状況で、沖縄県民の民意を理解せず犠牲を強いています。
県民が求めている基地の整理縮小、海兵隊兵力撤退、返還基地の環境浄化問題など日米両国が沖縄の基地問題に関心を示しているこの時期に、一歩でも二歩でも前進させるための行動を粘り強く起こすことが最も大切なことだと、知事の数度にわたる訪米を高く評価するものであります。
特にキャンベル国防副次官補は、普天間基地返還要請を米政府に行うのではなく、大田知事にやってほしいと発言し、このような民主主義を否定するような言葉を発することからわかるように、沖縄の声に傾ける耳を持っていません。そして米政府は、SACOの合意に従えば普天間基地は返還されるとの一点張りに終始したわけです。
こういう前進しない状況の責任は知事にあると受け取れる発言まで飛び出し、沖縄の基地問題を誠意を持って解決しようとする姿勢のなさが浮き彫りになりました。SACOの構成員の内容からしましても、基地の整理縮小をうたいながら県民の意思を反映させ得るためのものではなかったことは、知事の訪米要請でも明白であります。
基地問題を解決したいのは県民の意思であり、それを県民の代表として知事が要請行動をとり、何度も沖縄の民意を訴えることは、米国側の対応が厳しいことはあったにせよ、米国もちゅうちょなく政策を変更する民意の国であると意思表示し、国民的課題であると認識させたことは大きな意義があったと考えます。
それでは次の質問をいたします。
まず、知事訪米の成果について。
1つ目に、本土や米国への基地の移設要求について。
2つ目に、基地の整理縮小について。
3点目に、基地及び返還基地の環境汚染浄化問題について。
4点目に、マルチメディア関連事業について質問をいたします。
次に、大田県政1期目の県知事選挙が平成2年11月18日に執行されました。投票率76.78%で大田知事が33万982票を得票し、相手候補に3万65票の差で勝利しました。そして任期満了に伴う2期目の選挙が平成6年11月20日に執行され、その結果は投票率62.54%で大田知事が33万601票を獲得し、相手候補に18万4168票の大差をつけ再選を果たしました。現在、就任8年目を迎えた知事は常に平和憲法を県政運営の基本として県民の側に立って民主的な県政運営をしてこられ、豊かな経験と行動力を伴った行政運営を実践し、数多くの実績を残され高く県民から評価されております。
基地問題を初め産業の振興、雇用の促進、経済振興など21世紀を展望した場合、難題が山積しておりますので、過去2期8年間を総括し次期に備えて頑張っていただきたい。そのためには副知事以下職員の皆様の一丸となっての頑張りが必要でございます。
それでは次の質問をいたします。
知事就任2期8年間の実績について。
1つ、基地問題について、2点目、平和行政について、3点目、産業の振興について、4点目、雇用の促進について、5点目、観光産業の促進について。
次に進みます。
橋本首相は復帰25周年で経済振興に全力を尽くすと表明し、沖縄の経済自立化に向けて重点施策の具体化を図ろうということで沖縄経済振興21世紀プランの策定を昨年11月に表明をいたしました。政府と県の新たな沖縄振興策づくりの経緯と今後の取り組みが大変重要だと思います。
次の質問をいたします。
3点目、沖縄経済振興21世紀プランについて。
1つ目に国際都市形成について、2番目、企業誘致について、3、第3次振計の後期展望について、4、雇用開発促進について、5、経済振興についてのこれからの取り絶みについてお答えを願いたいと思います。
次に進みます。
公共工事の請負額、地元主要建設会社の受注額は前年を下回り住宅着工は不振を続けております。個人消費において百貨店、スーパーの売上高はプラスに転じていますが、前年4月の消費税引き上げが家計や企業にもろに影響を受けているとマスコミは報じております。
また、県内の雇用情勢も厳しく、完全失業率は7.8%となり、1977年5月、海洋博倒産の7.9%に次ぐ高失業率となっております。
県は、停滞している県内の景気の回復と雇用情勢を改善することを目指し、総合経済対策を決定しております。当然景気回復や雇用対策などでの実効性が求められます。
次の質問をいたします。
4点目、経済対策と実効性について。
1つ、経済の活性化対策、2点目、新たな産業創出対策、3点目、緊急雇用対策、4点目、中小企業対策、5点目、観光対策。
次に進みます。
浦添市西海岸沿岸に位置する牧港補給地区前面の提供水域については、関係機関の御理解と御配慮により一部返還され、第1次埋め立て42ヘクタールが完了し、物流拠点として卸商業団地が形成されております。
知事は、97年2月定例議会で私の代表質問に対し、西海岸一帯を沖縄の経済自立のための新たな産業機能の創出と雇用の確保を図る沖縄経済特別区として位置づけている。今後、県の基本計画と浦添市の計画の整合性を図っていきたいと述べ、西海岸での産業政策を強力に推進する考えを明らかにされました。
また、県の国際都市形成基本計画では、西海岸一帯を新産業創出ゾーン(西海岸ベースポート地区)と位置づけ、国際ハブ港湾化や物流ネットワーク機能を図り、沖縄の経済的自立をリードする地域を形成することになっています。将来における西海岸地域の発展ポテンシャルは非常に高いと判断され、そのことからも埠頭背後地の土地利用は将来において大きく用途が変わる可能性を持っており、同計画の具体性が不透明な現在においては埋立事業を進めることは得策でないと思慮します。
このようにして市の埋立事業の棚上げが基本方針として示されました。その他市の2次埋立事業を推進するに当たっての立地希望企業の分析、埋立原価の割高、平成3年のバブル崩壊を企業がもろに影響を受けている等々で棚上げが決定をされております。
そこで次の質問をいたします。
西海岸開発関連事業について。
1つ、平成9年5月に国際都市基本計画を提示し、西海岸一帯を新産業創出ゾーンと位置づけた沖縄の経済自立を目指すとしていますが、同計画の具体性についてお伺いしたい。
ちなみに浦添市の埋め立ての目的は、埋立計画地区における適正な産業立地の形成を図り、市の自立発展に寄与するということになっております。
2点目、産業立地の形成を図り、浦添市の自立発展に寄与することを目的として昭和61年第1次埋め立てを独自事業として実施し、卸商業団地が立地し活動を開始しました。引き続き総合物流ターミナルの形成を図るということで第2次埋立計画を推進しています。しかしながらもろもろの事情により第2次埋立事業を棚上げせざるを得ない状況になっております。そのことについてお伺いいたします。
3点目、牧港補給地区地先の陸岸から50メートルの範囲が提供水域になっております。西海岸開発事業の大きな障害になっていますが、知事の所見をお伺いいたします。
4点目、沖縄西海岸道路――読谷から糸満、総延長50キロメートル――を早急に整備し県民生活や産業の振興及び社会福祉の充実に与える影響は大きいと思いますけれども、整備計画についてお伺いしたい。
なお、西海岸埋立事業についてはもろもろの事情により一時棚上げが基本方針として示されております。
また、県が計画している国際都市形成構想においても同一地域を沖縄の経済自立をリードする地域にするなど計画の具体性が不透明なこの時期においては、交通混雑の緩和につながる西海岸道路、特に浦添地区の建設促進をした方が得策だと考えますが、そのことについてお伺いいたします。
河川流域の開発に伴い、河川のはんらんによる浸水水害が予想されております。住宅関連改修工事などの施行により水害から市民を守るために整備はされているものの土砂の堆積がひどく、集中豪雨になると低地帯にある住民地域から流出している排水溝に水がはんらんするため被害が予想されます。早急に堆積している土砂のしゅんせつ作業を急ぎ、まちづくりの形成を図り水質の浄化や管理道路の整備、川辺の植栽など環境整備を促進する必要があります。
次の質問をいたします。
2級河川の整備と管理状況について。
1つ、整備率はどのようになっているか、今後の整備計画について。
2、土砂の堆積により流れが悪くなっていますが、しゅんせつの必要性について。今までしゅんせつ作業を施行したことがありますか。
3点目、浦添市内内間西公園付近は、公園関連事業として管理道路も立派に整備され植栽工事も行われています。しかし公園上流の「前之橋」付近の管理道路が整備されておりません。まちづくりの一環としての植栽工事とともに管理道路を早急に整備の必要があると思われますが、そのことについてお伺いいたします。
4点目、緑の少ない都市地区において河川の端に植樹帯を設けて市民に親しめる環境整備をしてほしいけれども、そのことについて。
これについての河川は特に安謝川を指しておりますので、念のために申し上げておきます。
廃棄物焼却施設から出るダイオキシン、プラスチック添加剤のPCB、殺虫剤のDDTなど環境に放出された化学物質が人間や野生動物に対し微量でホルモンのように作用すると言われております。この作用が本来の内分泌系の働きを乱し不妊、胎児や幼児の発育異常はその影響による可能性が大きいことが世界各地の調査で明らかになっており、人類や生物の将来にとって恐ろしい問題であります。PCB等の有害化学物質は自然界に存在しない物質ですので、原因は不法投棄などの人為的な事柄が指摘されております。
今後、基地内を初め化学物質の実態解明への総合的な取り組みが必要であり、県は環境ホルモンの一種と言われる樹脂製の食器器材の成分分析検査をすることを決めております。
次の質問をいたします。
内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の汚染対策について。
1つ、環境ホルモンは人類などの生物にどんな影響があるのか。また、汚染対策について。
2点目、環境ホルモンの影響が特に大きいと言われる乳幼児や学童の使用する食器を中心に重点調査をするとありますが、その対策について。
3点目、基地内の化学物質の実態解明と対策について。
人口動態統計によると、1人の女性が産む平均した子供の数は1.39人と、これまで最も低かった95年の1.42人をさらに下回っている。既に65歳以上の高齢人口が15歳以下の若年人口を上回るという逆転現象が起き、21世紀には超高齢化社会の到来が確実視されている。
少子・人口減少、超高齢化は産業、経済、文化、社会全般に大きな影響を与えるのは確実で早急な対策が求められる。経済的、杜会的な育児支援策を充実し環境を整えることが最も重要だと指摘をしております。
育児教育への経済的負担で少子化に歯どめがかからず人間社会の崩壊が懸念されております。子育てに意欲が持てる家族や就労環境の実現のための施策と育児休業環境の整備や保育所の充実、低年齢児保育の拡大などによる子育て支援策の拡充が最も大切であります。
次の質問をいたします。
8番、少子化対策の具体的な行動計画と市町村を含めた体制の構築が緊急に必要だと思いますけれども、そのことについてお伺いいたします。
以上をもちまして、3分残っておりますけれども代表質問を終わります。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○議長(友寄信助君) ただいまの当山全弘君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後4時15分休憩
午後4時44分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
休憩前の当山全弘君の質問に対する答弁を願います。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 当山全弘議員の御質問にお答えいたします。
知事訪米との関連で4つの質問がございましたが、関連しますので一括してお答えいたします。
今回の訪米では、米国務省及び米国防総省を初め連邦議会議員等に基地の整理縮小や基地被害の防止と合わせて在沖米軍の兵力削減、とりわけ海兵隊の削減等11項目にわたる要請を行いました。特に普天間飛行場の早期返還については強く訴えました。
また、沖縄の基地問題の実情について学者、研究者と意見交換を行うとともに、米国のマスコミを通じて沖縄の実情を訴えました。
要請に対し、国防総省、国務省及び海兵隊司令部では沖縄に関する特別行動委員会合意の実施を主張し、普天問飛行場問題についてはキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート建設が最善の策であるとの姿勢を貫いたままでありました。
一方、連邦下院議員で国家安全保障委員会委員のポール・マックヘイル議員は、冷戦の終結に伴いアジア・太平洋地域の戦略的なバランスが変化したことによって在沖米軍の展開は不可避的に変わらざるを得ないだろうと述べ、二一ル・アバクロンビー下院議員は、海上ヘリポート建設は問題の本質的な解決にはならないとコメントしていました。
さらに前国防長官でスタンフォード大学のウィリアム・ペリー博士からは、沖縄問題の解決に協力していきたい旨の発言がありました。
産業振興関連では、半導体デザイン企業のシノプシス社から、ことしの9月末までに県内に情報工学専攻の学生15名を正式に採用し、来年10月には沖縄にデザインセンターを設置する計画の説明を受けました。
基地の跡地利用関係では、今回、ロサンゼルス近郊のノートン空軍基地跡地、サンフランシスコのフォートメイスン陸軍基地跳地、プレシディオ陸軍基地跡地、トレジャー・アイランド海軍基地跡地等を視察してまいりました。この視察においてノートン空軍基地跡地において実際のクリーンアップ作業をじかに見ることができましたが、そこでは深さ90メートルにある地下水をくみ上げ、カーボンで浄化する施設が24時間フルに稼働していました。
担当者から話を聞いたところ、環境浄化には膨大な経費がかかるのと、長い年月を要するという厳しい状況だということを教わりました。基地における環境問題の深刻さを目の当たりにして、基地の跡地利用における最大の課題になるのではないかと認識して帰ったところであります。
アメリカにおいては、国家環境政策法に基づき環境調査の実施を軍に義務づけ、また国防総省の作成した基地再利用マニュアルでは、国防総省は30年以上基地を受け入れた米国内の自治体を支援する責任があることを明確に示していました。
翻って沖縄の状況を見ますと、地位協定第4条で、米軍は施設及び区域を返還するに当たっては原状回復義務を負わないことになっていますので環境浄化の義務は課されておらず、アメリカ本国とは全く違う状況に置かれています。このことから、将来具体的に沖縄の基地を転用していく場合に環境浄化問題が大きな課題の一つとなって立ちはだかってくるだろうということを痛感いたしました。
基地問題の解決に当たっては粘り強く取り組んでいく必要があり、今後とも継続して連邦政府や議会関係者及び研究者等や一般国民に強く訴えていきたいと考えています。
次に、知事2期8年間の実績についての御質問でございますが、これも4つほどの質問がございますが、関連いたしますので一括してお答えさせていただきます。
私は知事就任以来、基地問題の解決が県政の最も重要な課題であるとの認識のもとに米軍基地の整理縮小を日米両国政府に訴えるなど全力で基地問題の解決に取り組んでまいりました。平成8年には、基地返還アクションプログラム(素案)を作成し、計画的かつ段階的な米軍基地の返還などを国に求め、県道104号線越えの演習の廃止や安波訓練場の返還合意などが実現しています。
また、シーメンズクラブを民間地域から米軍施設内に移し、跡地に青少年の健全育成と県民の健康体力づくりの場として県立武道館のアリーナ棟を建設してまいりました。
平和行政については、日本国憲法の理念と沖縄の歴史に根差した平和行政の推進を基本政策の柱の1つに据え、平和の礎を整備するとともに、平和祈念資料館を建設中であり、また沖縄国際平和研究所――これはまだ仮称でございますが――についても設立に向けて取り組んでいるところであります。
産業振興につきましては、産業創造アクションプログラムを策定し健康食品産業など新たな産業の創出に努めるとともに、企業化支援センターによる創業者の支援などに努めてまいりました。
また、沖縄振興開発特別措置法の改正により特別自由貿易地域制度や情報通信産業振興地域制度、観光振興地域制度などが創設され、中城湾港新港地区における特別自由貿易地域の展開など国内外の市場を視野に入れた戦略的な産業振興を展開することにしています。
農業については、農業生産基盤の整備、ハウス等近代化施設の整備、農業技術の開発普及、販売戦略の展開、イモゾウムシなどの根絶技術の確立などに努めるとともに、ウリミバエや牧野ダニの根絶を達成してまいりました。また政府の御支援を得て105億円の食肉価格安定基金を造成し、畜産農家の経営安定と畜産の振興を図ってまいりました。
水産業については、漁港の整備や養殖場の整備、大型浮き魚礁など漁業生産基盤を整備するとともに、伊江村や伊良部町などの製氷施設、冷凍冷蔵施設等離島過疎地域の31カ所において流通改善施設を整備したほか、栽培漁業センターの拡充などを推進してまいりました。
県政の最も重要かつ緊急な課題の一つである雇用問題については、財団法人雇用開発推進機構を設立し各種の雇用開発事業を展開するとともに、産業振興策や地域振興策と一体となった総合的な雇用対策に取り組んできました。
若年者の雇用対策については、新規高卒者の県外職場体験実習や職場見学会などに取り組み、若年者の失業率の対前年度比が昨年10月まで13カ月間連続して低下するという成果を上げてまいりました。
また、沖縄若年者雇用開発助成金の創設等により安定的な雇用の創出に取り組んでいるところであります。さらに、沖縄県シルバー人材センター連合の設置などによる高年齢者の雇用の促進や障害者、パートタイム労働者などの雇用促進に取り組んでいます。
職業能力の開発については、沖縄職業能力短期大学校を4年制の大学校にする計画を進め、ニーズに即した職業訓練を行ってまいります。
駐留軍従業員に対しては、沖縄駐留軍離職者対策センターにおいて離職後の就業に必要な知識及び技能の修得などの訓練を実施しています。
観光・リゾート産業については、本県の基幹産業として位置づけ、部瀬名岬などにおける本県の魅力を生かしたリゾート施設の整備を進めるとともに、本土―沖縄間の航空運賃の低減を図ってまいりました。
また、ジェットフォイルを就航させ、北部地域の観光の振興を図ってまいりました。
さらに、大琉球・まつり王国の創設など各種のイベントの拡充や、戦略的な誘客活動の展開によって修学旅行及び各種のコンベンションの増加を図るとともに、航空路線の増開設の促進などにも力を入れてまいりました。
その結果、平成9年の入域観光客数は386万7000人となっており、平成2年の295万8000人と比較して90万9000人、率にして30.7%の増となっています。今後とも県勢発展のために全力で取り組んでまいりたいと考えています。
次に、沖縄経済振興21世紀プランとの関連で、1つには国際都市形成について、次に企業誘致について、3つ目に第3次振計の後期展望について、4つ目に雇用開発促進について、5つ目に経済振興についての御質問がございます。関連しますので一括してお答えさせていただきます。
復帰25周年記念式典の総理大臣式辞の中で言及された沖縄経済振興21世紀プラン――これはまだ仮称でございますけれども――は、沖縄経済自立化に向けた重点的施策の具体的体系化を図るために国において取りまとめられるものであります。
このプランは、沖縄を「太平洋・平和の交流拠点」と位置づけた新全国総合開発計画とともに国際都市形成の実現に向けた国の取り組み姿勢を明らかにするものと理解しています。
国際都市形成構想の実現に向けては、これまで沖縄政策協議会等を通じて各種の施策の検討を重ねてまいりました。
その結果、これまでに沖縄特別振興対策調整費50億円を活用した各種プロジェクトの実施や、昨年11月に策定した国際都市形成に向けた新たな産業振興策に基づく沖縄振興開発特別措置法の改正が実現しました。これによって特別自由貿易地域制度の創設等各種の優遇措置が適用されることになりましたが、これは本県への企業立地を促進する上で極めて大きなインセンティブとなることから、今後積極的な企業誘致活動を展開していきたいと考えています。
また、雇用についても企業立地に伴い拡大していくものと見込まれますが、さらに平成9年8月に新たに発足した雇用開発推進機構を通じ各種の雇用対策をきめ細かく実施していくことにしています。
なお、第3次沖縄振興開発計画後期及び第3次振計終了後の新たな沖縄振興計画においても国際都市形成構想の実現を目指し、これらの経済振興策を初め各種の施策を着実に推進していく必要があると考えています。
経済振興については、今後引き続きハブ空港やハブ港湾に向けた基盤インフラや現在NTTが進めている光ファイバー網及びKDDの国際通信海底ケーブルの敷設を促進し、通信インフラの整備を図るなど各種の条件整備に努め、新たな産業の創出と振興を図っていく考えであります。
次に、牧港補給地区地先の海岸から50メートルの範囲が提供水域になっているが、西海岸開発事業の大きな障害になっている、そのことについてどう思うかという趣旨の御質問でございます。
牧港補給地区については、昨年5月に地元の浦添市から同地区の早期返還と西海岸制限水域の解除及び跡地利用の実現についての要請がありました。このたびアメリカヘ参りましたときに宮城浦添市長も同行いたしまして、この問題を国務省、国防総省、その他海兵隊のところでも要請をしておりましたが、私の方からも那覇港を初めとして沖縄に29の制限水域があることを申し上げて、軍事的に支障を来さないところは次々と早く返してくださいということを強く要請してございます。
那覇港の制限水域に関しましては、この間離任した四軍調整官ですが、ぜひ自分も一緒になって考えたいということを言っておりましたけれども、残念ながら実現しない前に帰ってしまいました。しかし県としては、これはもう産業振興の上でも非常に重要でありますので、これからも強く要請して返還を迫っていきたいと思っております。
次に、経済対策と実効性との関連で中小企業対策に関する御質問がございました。お答えいたします。
県内における中小企業は、昨今の景気の低迷等の影響を受け資金調達に困難を来すなど厳しい経営環境にあります。県としては、このような厳しい状況に対応して融資の円滑化と中小企業の経営の安定に資するため総合経済対策において信用保証協会基金の積み増しを1億円予定しています。今回の増資によって信用保証協会の保証枠は35億円増加し3477億8000万円となります。
また、県単融資制度における小規模企業対策資金の設備資金の融資期間を6年から7年に延ばしたほか、据置期間を6カ月から1年にそれぞれ延長し中小企業の負担の軽減を図っているところであります。
なお、融資限度額についても750万円から1000万円に引き上げ、融資枠を12億円拡大いたします。
資金需要の多い創業者支援資金についての融資限度額を750万円から1000万円に引き上げ、5億8200万円の融資枠を拡大いたします。
さらに、民間需要の低迷により受注機会が減少している中小企業対策として大手発注元を巡回しての発注開拓や受・発注のあっせんなど下請企業振興事業の充実を図ります。
また、公共工事等を県内中小企業へ優先的に発注するよう施策を強化してまいります。
中小企業が県経済に果たす役割の重要性にかんがみ、今後とも中小企業の経営基盤の強化に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 経済対策と実効性との関連で、経済の活性化対策についての御質問にお答えいたします。
県においては、経済の振興を重要な課題とし、中城湾港新港地区の整備や工業技術センターの設置など産業基盤の整備を進めるとともに、産業創造アクションプログラムなどによる産業の創出に努めてまいりました。今回の総合経済対策においては、471億円の公共事業を追加し県経済の活性化を図るとともに、産業や県民の生活、福祉のための基盤整備を推進していくこととしています。
また、公共事業について上半期の施行目標率を過去最高の82%とし、その早期執行に努めているところであります。
さらに、超高速光ネットワークの導入などの情報インフラ整備を促進し、遠距離通信コストの低減と情報通信産業の振興を図っていくこととしています。
追加する公共事業の効果としては、県内の各産業において707億円の生産が誘発され、またこの生産誘発効果から生まれる労働力の需要につきましては6800人程度の就業誘発数を見込んでいます。
次に、西海岸開発関連事業との関係で、西海岸一帯を新産業創出ゾーンと位置づけ、沖縄の経済自立を目指すとしているが、同計画の具体性についての御質問でございます。
国際都市形成基本計画においては、糸満市から宜野湾市に茎る西海岸一帯を新たな産業創出と雇用の確保を図る西海岸ベースポート地区として位置づけています。
また、去る3月に閣議決定された新しい全国総合開発計画では、国際交流の拠点となる那覇空港、那覇港をアジア・太平洋地域に向けたゲートウエーとして位置づけ整備を推進することとしております。
那覇港については、新港埠頭地区において外貿コンテナターミナルとして水深13メートルのコンテナバースを昨年供用されたところであり、現在ガントリークレーンの設置と新たなコンテナバースの整備が進められているところでございます。
なお、本年度は浦添埠頭地区を含む地域においてハブ効果を目指した新たな機能拡充等の調査を実施する予定であり、浦添市や関係機関と協議しながら検討をしていきたいと考えています。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 当山議員の経済対策と実効性についての中の、新たな産業創出対策についての御質問にお答えいたします。
新たな産業を創出し経済の自立的発展を図っていくため次の4点から産業創出対策を推進してまいりたいと思います。
1、企業誘致等による産業の創出でございます。
これは、今年4月改正の沖縄振興開発特別措置法に盛り込まれた製造業、倉庫業、こん包業を中心とした特別自由貿易地域制度、さらにCKSグループ、CKS小売センター、あるいはデジタルメディアファクトリーなどの情報通信産業振興地域制度及び観光振興地域制度について、今全国的な規模で広報活動を展開して国内外における説明会をしながら企業誘致活動を積極的に推進しているところでございます。
次に、みずから創造をしていく内発的な産業の創出でございます。
これは昨年6月に策定されました産業創造アクションプログラムにおいて健康食品産業、テイクオフ支援事業を推進するとともに、新たに総貸出枠19億円の産業創造アクションプログラム推進資金をことし5月に創設し、将来有望な分野における新たな産業創出を図ってまいりたいと思っております。
3番目に、地域間の産業を共有するいわゆるネットワーク型産業の創出でございます。
これは香港、シンガポールなどの海外事務所や委託海外駐在員とのネットワーク及び沖縄振興開発金融公庫の沖縄国際経済化促進資金を活用しまして県産品の県・国外への展開及び県内産業とのネットワークをつくり、いわゆる地域を超えた産業を創造していくという手法で地域を超えた地域間の産業を創造することによって地域を超えて産業を共有していこうという仕組みでございます。
4番目に、中小企業対策による産業の創出でございます。
これは中小企業創造活動促進法に基づき新たな新製品やサービスを開発する中小企業、創業期にある中小企業、研究開発に熱心な中小企業を支援するためのものでございまして、これはいわゆるベンチャー企業育成というものでございます。それについては、既に過去2年間にわたりまして創造的中小企業に対して県独自の直接的な投資の手法、あるいは産業振興公社を通した間接的な投資、あるいは株社債を引き受けてくれるキャピタルベンチャーへの債務保証等を通して今日約18社の企業を認定し取り組んでいるところでございます。過去2年間の予算が2億4300万円を投入しております。
それから同じく中小企業新分野進出等円滑化法でございます。
これは経営環境の悪化、あるいは為替変動によって非常に企業経営の存続が難しくなってきた企業群、とりわけ5年前の生産額と今日の生産額との差が30%を超えるとか、あるいは1年前に比べて10%の差が出ている中小企業に対してその計画を策定するとか、あるいは新商品、新技術の開発、販路開拓、人材育成等に対して育てていく、産業を創造していく手法でございます。平成9年度は162万3000円を投入してございます。このような施策を着実に実施することによって経済対策が実効性のあるものになると深く考えております。
次に、御質問の経済対策と実効性の中での緊急雇用対策の御質問に対してお答えいたします。
緊急雇用対策については、まず国の実施する緊急雇用開発プログラムにより拡充される地域雇用開発助成金や沖縄若年者雇用開発助成金などの活用により県内における雇用の創出を図ります。今回の措置により、地域の雇用機会を増加させることを目的とした地域雇用開発助成金については、賃金助成率が4分の1から3分の1に引き上げられます。
また、沖縄県の若年者雇用を促進するために平成9年度に国が創設した沖縄若年者雇用開発助成金については、賃金助成率が3分の1から2分の1に引き上げられます。これら助成金については、補正予算で開催を予定している相談会の場等を通して事業主への周知を図ってまいります。
また、求職者に対しては、求人が極端に少ない現状に対応するため公共職業安定所では県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会及び県経営者協会の協力を得て県内における求人開拓を引き続き実施します。
さらに県外企業への職業紹介についても積極的に進めてまいります。
新規学卒者の就職対策については、これまで充実を図ってまいりました高卒者対策に加え、来春大学を卒業する者を対象として新たに県外企業合同選考会を開催するなど事業を拡充することにしております。
各種施策の成果としては、地域雇用開発助成金、沖縄若年者雇用開発助成金により平成9年度においては680名の雇用を創出しております。
また、経済団体の協力も得て行っている求人開拓により平成10年4月、5月においては812名の求人を確保しております。
さらに、平成8年から200名以上の規模に拡充した高校生の県外職場体験実習、県外企業合同選考会の実施などにより高卒者の就職率も2年連続して上昇するなど成果を上げることができました。
今回の緊急雇用対策における各種助成金の助成率の引き上げ、大卒者等の就職対策の拡充等の対策強化により一層の雇用拡大が見込まれ、これにより昨年末から低迷している雇用情勢の改善が可能になるものと考えております。
なお、県としては沖縄職業能力開発短期大学校の大学校化、女性タクシードライバー、マリンスポーツインストラクターの養成、パソコン講習など若年者、女性のための職業能力開発や株式会社CSK関連、株式会社シーイーシー関連、日本シノプシス社などの情報関連産業を中心とした企業誘致を進めるなど緊急雇用対策と並行して中長期的な雇用対策も着実に進めております。
次に、西海岸開発関連事業についてでございます。
総合物流ターミナルを形成するために行われる予定の第2次埋立事業が棚上げせざるを得ない状況についての御質問にお答えいたします。
浦添卸売団地に隣接する那覇港公有水面第2次埋立事業については、卸売業やトラック輸送業等の港湾関連産業による総合物流ターミナルの整備並びに埋め立てにおける適正な産業立地形成を図るため、浦添市における那覇港湾計画に定める浦添埠頭背後地の埋立事業として昭和62年以来取り組まれてきております。
しかしながら、平成3年以降のバブル崩壊による長期的な景気の低迷を初め国際都市形成基本計画の進捗への対応、さらには当初計画作成時と今日の社会経済情勢の変化等により第2次埋立事業についてはリスクが大きいことから、平成10年1月に棚上げがなされていると聞いております。
したがいまして、この第2次埋め立てのあり方についても浦添市の意向を見守りながら、今後の検討課題として対応することになるものと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 観光リゾート局長。
〔観光リゾート局長 久場勝治君登壇〕
○観光リゾート局長(久場勝治君) このたび観光リゾート局長を拝命しました久場でございます。
微力ではございますけれども、県経済の柱でございますので全力投球をするつもりでございます。よろしくお願いいたします。
当山全弘議員の経済対策と実効性についての御質問の中で観光対策についてお答えいたします。
本県の観光・リゾート産業は、平成9年に入域観光客数で386万7200名と過去最高を記録するなどこれまで好調に推移してきております。
県におきましては、観光・リゾート産業の持続的発展による経済の活性化と県内雇用の確保を図るため平成10年の入域観光客410万人の目標達成を目指し、すべての県外航空路線での誘客プロモーションやサマーキャンペーン、ウインターキャンペーンの実施など地域別、季節ごとにきめ細かな誘客活動を早い時期から展開いたします。特に観光客が伸び悩んでいる関西地区を対象に行政、民間が一体となりまして重点的な誘客キャンペーンを7月中旬に実施をすることにしております。
また、大琉球・まつり王国などの4大イベントにつきましても内容の充実強化に努めまして、旅行商品としての魅力の向上による観光客の増加を図ってまいります。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 西海岸開発関連事業との関連で、西海岸道路の整備計画についての御質問と、浦添地区における西海岸道路の建設促進についての御質問に一括してお答えいたします。
沖縄西海岸道路は、読谷から糸満市に至る延長約50キロメートルの計画道路であります。
本県の振興開発と地域の発展を図る上で極めて重要な路線でございます。現在、国直轄の事業として国道58号嘉手納バイパス、宜野湾バイパス及び那覇港臨港道路空港線の一環として沈埋トンネルの整備等を段階的に進めております。そのうち、宜野湾バイパスについては今年度末に全線供用の予定となっております。
また、国道331号豊見城道路及び糸満道路につきましては、6月末の都市計画決定を踏まえまして今後本格的な整備を推進すると聞いております。
沖縄西海岸道路は、本県の国際都市形成基本計画において糸満市工業団地から那覇空港、那覇港を経由して宜野湾市コンベンション地区に至る西海岸ベースポート地区の形成を支える基幹インフラとして位置づけられており、当該地区と一体的な整備が必要でございます。
御提言の浦添地区での建設促進につきましては、国道58号の渋滞緩和を図る観点から、周辺道路を含めた幹線道路網の整備について国と協議、検討を進めているところでございます。
続きまして、2級河川の整備と管理状況について、整備率はどのようになっているのか、今後の整備計画についてにお答えいたします。
県の管理する2級河川は51水系、75河川、指定延長約354キロございます。その整備状況は、平成9年度末で整備の必要な延長約169キロに対し、整備済み延長が72.7キロメートル、整備率が約43%となっております。
今後の整備計画につきましては、平成9年度を初年度とする第9次治水事業7カ年計画に基づき、特に浸水被害の大きい河川を優先的に整備することとしております。
あわせて、地域住民が水辺に親しむことができる川づくりや自然環境にも配慮した川づくりを推進していきたいと考えております。
次に、2級河川の整備と管理状況に関連いたしまして、土砂の堆積により流れが悪くなっていますが、しゅんせつの必要性及び実績についてお答えいたします。
河川の土砂堆積につきましては、流水の正常な機能確保のためしゅんせつや除草等の維持管理を行っております。しかしながら限られました予算の範囲内で実施しているところでございまして十分とは言えないのが実情でございます。今後とも予算確保に努めるとともに、土砂堆積の著しい箇所を優先して河積の確保に努めていきたいと考えております。
次に、特定しておりまして2級河川安謝川の整備と管理状況に関連してでございました。
浦添市内間西公園上流の「前之橋」付近の管理道路の整備とまちづくりの一環としての植栽工事についての御質問と、緑の少ない都市地区における河川の植樹帯の設置についての御質問に一括してお答えいたします。
河川管理用通路は、日常の河川巡視や洪水時の水防活動のために設けられたものでございまして、一般公衆用道路とは異なり舗装されていないのが現状でございます。そのために利便性に欠ける場合もございます。
安謝川の内間西公園東端から前之橋までの間は、河川管理に必要な3メートル幅員で砂利道で整備されております。今後、緑の少ない都市河川につきましてまちづくり等の地域整備計画と整合を図りながら、可能な限り植栽帯や舗装等を考慮した管理用通路の整備推進を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 文化環境部長。
〔文化環境部長 大城貴代子君登壇〕
○文化環境部長(大城貴代子君) 内分泌撹乱化学物質につきまして、環境ホルモンは人類などの生物にどんな影響があるのか、また汚染対策についての御質問にお答えします。
環境ホルモン問題は、科学研究分野におきましてもまだ緒についたばかりで、科学的には不明な点が多く残されております。
環境ホルモンの生物への影響につきましては、これまでの調査研究によりますと、人や野生生物の内分泌作用を撹乱し生殖機能阻害、悪性腫瘍、免疫異常を引き起こすなどの悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、世代を超えた深刻な影響をもたらすおそれがあるため環境保全上の重要課題となっております。
環境庁におきましては、ことし5月、「外因性内分泌撹乱化学物質間題への対応方針」を発表し、試験研究の推進、環境ホルモン緊急全国一斉調査を行うこととしております。そのほか、厚生省、農林水産省、建設省等におきましてもこの問題に対する取り組みを開始しております。
県におきましては、環境ホルモン問題の重要性を考慮しまして情報交換及び調査に関して協議をするため去る6月22日に庁内の関係14課・室及び衛生環境研究所で構成いたします沖縄県環境ホルモン等対策連絡会議を設置したところであります。
当面、国が行うこれらの環境ホルモンに関する施策を踏まえながら具体的な対応について検討を行うことにしております。
次に、基地内の化学物質の実態解明と対策についてでございますが、基地内の有害化学物質等の実態調査に関しましてはこれまで米軍の同意が得られないことから基地内での立入調査が行えず、実態は把握できておりません。
そのため文化環境部におきましては、米軍基地の環境問題に対処するため米軍基地の環境問題対策部内連絡会議を設置し、独自の取り組みを行っているところであります。
さらに、全庁的な見地から米軍基地の環境問題に関する日本と米国の制度上の相違点についての調査研究、環境汚染の有無についての実態把握や必要な対策に係る調査研究等を行うために基地の環境調査及び環境浄化に関する庁内研究会が発足したところであります。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 福祉保健部長。
〔福祉保健部長 平良健康君登壇〕
○福祉保健部長(平良健康君) 内分泌撹乱化学物質汚染対策について、乳幼児や学童の使用する食器の重点調査と対策についての御質問にお答えいたします。
本県では、学校給食用の食器として一般的にポリカーボネート樹脂が使用されております。ポリカーボネートの原料であるビスフェノールAは、内分泌撹乱化学物質、いわゆる「環境ホルモン」の一種と言われています。厚生省では、平成9年10月に内分泌撹乱化学物質に関する研究班を発足させ、人への健康影響に係る調査研究を進めています。
本物質は、極めて微量で生体内でホルモンに似た働きをするとされ、その健康影響調査、作用メカニズムの解明及び試験方法等の検討がなされることになっております。国の方針が示される間、県としては食晶衛生法の規格基準にのっとり衛生環境研究所において学校、保育所等で使用されている当該容器等の試験検査を実施し、基準値をオーバーする製品については回収命令等の措置を講ずる所存であります。
次に、少子化対策の具体的な行動計画と市町村を含めた体制の構築についての御質問にお答えいたします。
本県の子供たちを取り巻く環境は、出生率の低下や女性の社会参加の増加、都市化等により大きく変化しています。合計特殊出生率は全国1位にありますが、出生率の減少傾向は全国同様であり、また周産期死亡率や乳児死亡率は全国でも高い方に位置しております。
子供たちが健やかに生まれ、安心して子供を産み育てることのできる環境づくりと子育て支援体制を構築することは極めて重要であります。このため本県では、平成10年3月に行政と県民が一体となって子育て環境づくりを推進するため福祉・保健、医療、労働及び教育など各分野にわたる「おきなわ子どもプラン」を策定しました。
その内容としては、乳児保育や延長保育の促進、放課後児童対策の充実及び母子保健医療サービス体制の整備など緊急保育対策等5カ年事業を具体的に展開することにしております。
また、このプランを推進するため福祉・保健関係者等で構成する協議会を設置することにしております。
さらに、子育て支援施策の展開には地域住民のニーズに的確に対応した市町村の取り組みが重要であることから、県としては市町村における子育て支援計画の策定を促進し、連携を図りながら社会全体で子育てを支援し、子供が健やかに育つことのできる環境づくりの実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 宮城國男君。
〔宮城國男君登壇〕
○宮城國男君 通告に従い新世会を代表して質問を行います。
まず、基地問題についてでありますが、安波訓練場の返還問題についてであります。
県は、SACOで移設返還が合意された安波訓練場の返還に際し、新たに一部陸地と水域の追加提供を容認する方針を打ち出しました。このことは規模は小さいながらも基地の県内移設を容認したものと受け取られます。
普天間基地を初め基地の県内移設に反対する基本政策を打ち出している県にとっては、県内移設はケース・バイ・ケースで対応するということを意味するのか、基本政策を変更したものかどうかを御所見をお聞かせください。
次に、県は那覇軍港の一部2.1ヘクタールの共同使用についても容認する方針を打ち出しています。共同使用する主体が国、県、那覇市のどちらになりますかわかりませんが、共同使用となると用地の賃貸料の負担が間題になるかと思われます。
午前中の商工労働部長の答弁では、1.4ヘクタールを自由貿易地域にするということでしたけれども、その件についてはそれでは財政的な負担は県がするのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
次に、那覇軍港についてでありますが、那覇商工会議所が同軍港を浦添市西海岸地先に移設して那覇国際ハブ港湾として整備する構想を打ち上げ、それに連動して浦添市商工会議所も軍港機能の一部移設受け入れと日米共同使用の方針を正式に承認しました。両会議所は、県にもこのような構想を提言すると言われていますが、県の対応について伺います。
次に、知事訪米の意義と成果についてお伺いします。
知事は、去る5月15日から16日間の日程で7度目の訪米をし、基地問題の解決を中心に米国政府や関係者に要請しています。訪米費用は合計で5700万を要していますが、これだけ莫大なお金をかけた割にはこれといった成果は上がらず、逆に米国との対立感情を深めただけの印象が強い。
すなわち11項目あった要請事項の中で今回訪米の目玉は、海兵隊の削減と県外移設を視野に入れた普天間基地の早期返還であったと記憶しています。そして現地時間5月18日の国防総省におけるキャンベル国防副次官補との会談が要請行動のハイライトだったようですが、知事訪米の報告書やあるいはまた地元の新聞等によりますと知事とともに会談した宜野湾市長の要請に対して、キャンベル副次官補は、普天間基地の返還は大田知事に要請してもらいたいとSACO合意を無視した大田知事を非難しています。
これに対して知事も基地は私がつくったのではないと反論して、双方の主張に接点が見出せなかったとあります。
同時に、海兵隊削減や県外移設による基地の縮小論まで踏み込めなかったとも報じられ、それどころかキャンベル副次官補は北朝鮮やインドネシアなどアジア情勢の緊張を指摘して日本における駐留米軍の必要性を述べたといいます。
SACO合意による普天間基地の現実的な移設返還を求める米側の態度は、大田知事の要請に極めて厳しく冷ややかで大田知事不信を反映したと本土大手新聞も報じています。
こうした事態を見ると、今回訪米の2大目標は空振りに終わったと思いますが、知事の今回の訪米に対する意義と成果について所見を伺います。
2番目に、新石垣空港問題についてでありますが、県は4月23日正式に宮良牧中地区を空港建設地として決定しております。
適地とした直接の理由は、1996年、97年度に宮良牧中地区で実施した環境現況調査、気象環境調査、赤土流出防止策の策定などを通して安全航行の支障となる特異な突風は観測されていない、赤土流出の防止は技術的に可能との判断に立ったからであります。
さらにまた、その背景には4月2日の、国の整備計画があるにもかかわらず未着工の空港は白紙に戻すことを含め再検討とした運輸事務次官発言や新石垣空港建設スケジュールの時間との闘いなどの諸般の事情があります。
これら県の調査結果や立場に対し環境問題の専門家、空港関係者、白保の海を守る会などはSS濃度200ppmの条例さえ守れないのに、25ppm以下の抑止策は県内では成功例がなく信用が置けない。凝集剤の使用も環境への影響とその危険性がある。気象条件の観測にしても観測場所や観測対象の不備などで空港の位置としてその安全性への問題を指摘しています。
調査報告書をまとめた県の委員会には、その道の専門家がいらっしゃるかどうかわかりませんが、業者の意向に沿う結論を受け入れられたとも言っております。
学識経験者らで粗織する21世紀環境委員会は、5月21日、全国の自然保護団体へのアンケート調査結果をもとに、むだとして緊急に中止、廃止すべき公共工事の中に石垣空港を赤土の流出による自然破壊の危険、土地改良を終えた農地に建設の予定との理由で挙げています。
県は、県の調査報告に対するこのような意見にどのように対処されるか、伺います。
大田知事は、宮良牧中での地元合意にあらゆる手法を講じると言われておりますが、確かにそれが最大の課題であると同時に極めて厳しく、難航というよりは不可能に近い状況ではないかと思います。
地権者を見ましても29名、相続権者も含めると43名は大田知事に対し、新石垣空港建設用地の不提供に関する通知を昨年とことし2度にわたり提出しています。
また、地権者は新空港の滑走路東端の両側に存在する森の立木約1000本を対象にいわゆる立ち木・トラスト運動を展開するという。さらに県や市の職員が地権者に建設用地取りつけのため宮良地区の住宅に立ち入れば、住居侵入などの法的措置で対抗する方針も示しております。
また、地元石垣市の農業委員会やあるいは土地改良区も過去にそれぞれ同意議決の不採択を決議をしております。特に土地改良区の合意を得るには区民総数の3分の2以上の同意が必要で建設の同意の提案さえ無理で合意は難しいと言われております。
さらに市議会については、過去にも臨時会で調査費計上したものの、1997年9月には宮良案白紙撤回を賛成多数で可決しております。
また市議会は、市議会の野党の皆さんが運輸省や開発庁など関係省庁に対し宮良地区での新空港建設反対の要請活動を展開しております。
そしてまた本日の午前の市議会においては、多数で空港の設置及び管理に関する案件を否決されたというような状況であります。
さらにまた、運輸省航空局は新石垣について、現空港は1996年度実績で第3種空港として青森に次ぐ利用客があるが、滑走路1500メートルで小型ジェット機の離発着に限定、八重山地域の航空需要に対応するため現空港にかわる新石垣空港は必要であると認めつつも、滑走路の一部に土地を持っている人が反対したら空港はできないと、地権者同意は原則100%とするということを言っております。
農林水産省についても、800億を投じた基盤整備がようやく完成した。空港の公共性と農業の重要性をどう判断したか遺憾だ、好ましくないというようなことを言っているわけであります。
宮良地区での空港建設には地権者の7割が同意しているとはいうものの、今申し上げましたとおり地元の関係機関との調整も極めて難しいわけであります。
このような状況下で大田知事は、空港建設スケジュールに間に合うような地元合意が得られるとお考えでしょうか。合意を得るためにもとより話し合いが基本でしょうけれども、あらゆる手法の中に最悪の場合土地収用法の適用もお考えでしょうか、伺います。
ちょっと休憩お願いします。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後5時44分休憩
午後5時45分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
○宮城國男君 時間がありませんので、はしょって質疑をいたします。
3番目の本県の振興策について。
1、沖振法の改正により本県の産業振興に向けて法人税や特別減税等が法定されたが、県の優遇措置はどうなりますか。また今後の焦点である企業誘致のための組織体制と企業活動等について伺います。
2、沖縄特別振興対策調整費50億円プロジェクト事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
3、第3次沖縄振計後期の主要事業及びプロジェクトも確定し既に昨年より実施年度に入っていますが、後期計画の特徴、重点部門とその取り組みについて伺います。
4、新全総計画が閣議決定されたが、その中における本県の位置づけや役割について伺います。
あとは御答弁により再質疑をいたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 宮城國男議員の御質問にお答えいたします。
まず、国頭村の安波訓練場の返還との関連で、県内移設反対の姿勢からすると政策の変更ではないかという趣旨の御質問でございます。
安波訓練場の返還について、県は、新たに提供される土地及び水域が基地返還アクションプログラム(素案)に基づき北部訓練場の返還と同様に2010年までには返還してもらうよう国に要望した上で、次の理由によって基地の整理縮小を着実に進める観点から当該訓練場の返還について了承したものであります。
1、地元安波区、国頭村漁業協同組合、沖縄県漁業協同紐合長会、国頭村及び国頭村議会が安波訓練場の返還と新たな土地及び水域の提供に同意していること、2、新たな水域や土地の提供は北部訓練場への海上からのアクセスを確保するための必要最小限度の範囲であること、特に新たな提供水域は既存の水域の約65分の1であること、3、演習そのものがゴムボートにより上陸を行うことを内容としているほか、提供予定地は安波集落から約3キロメートル離れていること、提供される土地を利用する人も少ない上、工作物の設置等土地の現況に変更を加えるものでないことから住民生活に支障を来すことはないと考えられること、以上のような事柄を総合的に勘案し基地の整理縮小を着実に進める観点から当該訓練場の返還について了承したところであります。
次に、那覇、浦添市の両商工会議所は那覇軍港一部機能の浦添地先への移設と共同使用の構想を打ち上げ県にも提言すると言われている、県の対応について伺いたいという質問にお答えいたします。
那覇軍港一部機能の浦添地先への移設と共同使用については、県はまだ両商工会議所から提言を受けておりませんので具体的な内容については承知しておりません。
次に、大田知事は7度目の訪米をして基地問題に関し米政府関係者に要請したが、その意義と成果について聞きたいという趣旨の御質問でございます。
今回の訪米では、米国務省及び米国防総省を初め連邦議会議員等に基地の整理縮小や基地被害の防止とあわせて在沖米軍の兵力削減、とりわけ海兵隊の削減等11項目にわたる要請を行いました。特に普天間飛行場の早期返還については、宜野湾市長も同行いたして強く訴えました。また沖縄の基地問題の実情について学者、研究者と意見交換を行うとともに、米国のマスコミを通じて沖縄の実情を訴えました。
要請に対し、国防総省、国務省及び海兵隊は沖縄に関する特別行動委貝会合意の実施を主張し、普天間飛行場問題についてはキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート建設が最善の策であるとの姿勢を一貫して持っておりました。
一方、連邦下院議員で国家安全保障委員会委員のポール・マックヘイル議員は、冷戦の終結に伴いアジア・太平洋地域の戦略的なバランスが変化したことにより在沖米軍の展開は不可避的に変わらざるを得ないだろうと述べ、また二一ル・アバクロンビー下院議員は、海上ヘリポート建設は問題の本質的な解決にはならないとコメントしていました。さらに前国防長官でスタンフォード大学のウィリアム・ペリー教授から、沖縄間題の解決に協力していきたい旨の発言がありました。
産業振興関連では、半導体デザイン企業のシノプシス社からことしの9月末までに県内の情報光学専攻の学生15名を正式採用し、来年10月には沖縄にデザインセンターを設立する計画の説明を受けました。
跡地利用関係では、今回ロサンゼルス近郊のノートン空軍基地跡地、サンフランシスコにあるフォートメイスン陸軍基地跡地、プレシディオ陸軍基地跡地、トレジャー・アイランド海軍基地跡地を視察をしてきました。
これらの基地跡地においては、環境浄化問題が極めて深刻な問題であることを目の当たりにすることができました。環境浄化には膨大な経費と長い年月を要するという厳しい状態となっており、基地における環境問題の深刻さを痛感するとともに、基地の跡地利用における最大の課題となるであろうと認識して帰りました。
アメリカにおいては、国家環境政策法に基づき環境調査の実施を軍に義務づけ、また国防総省の作成した基地再利用マニュアルでは国防総省は30年以上基地を受け入れた米国内の自治体を支援する責任があるとの認識を明確に示しています。
翻って沖縄の状況を見ますと、地位協定第4条で米軍は施設及び区域を返還するに当たっては、原状回復義務を負わないことになっていますので環境浄化の義務は課されておらず、アメリカ本国とは全く違う状況に置かれています。
このことから、将来具体的に沖縄の基地を転用していく場合に環境浄化問題が大きな問題の一つとして立ちはだかってくることが予想されます。
基地問題の解決に当たっては粘り強く取り組んでいく必要があり、今後とも継続して連邦政府や議会関係者及び研究者等や一般国民に訴えていきたいと考えています。
なお、一部新聞が空振りに終わったとかという趣旨のことを書いていたという御指摘がありましたけれども、そういう新聞は当然のこととして沖縄の海上ヘリ基地を沖縄は受け入れよというような意見を持った新聞でありまして、これと全く異なる新聞も幾つもありましたのでそこは御理解していただきたいと思います。
それから、沖縄特別振興対策調整費50億円プロジェクト事業の進捗状況と今後の見直しについて伺いたいという御質問でございます。
沖縄振興策については、平成10年3月に沖縄振興開発特別措置法が改正され全国で初めての特別自由貿易地域制度が創設され、立地する法人企業からの所得について35%の所得控除がなされるとともに、自由貿易地域制度の拡充によって関税の課税の選択制の実施が行われるなど産業振興に向けた新たな制度の創設がなされました。
また、新全国総合開発計画では本県を「太平洋・平和の交流拠点」として特色ある地域の形成を目指すことが明記されるなど、具体的な事業の展開に資する方向性が出てきました。
沖縄特別振興対策調整費の事業では、経済シンポジウムなど平成9年度限りで終了した事業が4事業ありますが、その中にマルチメディアの共同利用型研究開発施設の整備もあります。そこでは地元の15の企業や研究機関が利用しています。
また、6カ国語の同時通訳者養成事業のほか、国費による10名の人材育成海外派遣事業と40名の高校生米国派遣事業を新しく導入したほか、国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターなど事業着手されたものがあります。
さらに、国立高等専門学校の創設準備や国立組踊劇場の設置、国際協力・知的交流事業など平成10年度で予算措置され、引き続き実施されるプロジェクトが23事業あります。
また、NIRAの「沖縄振興中長期展望についての調査」や流域赤土流出防止等対策事業など今後の事業展開に活用が期待できる調査等が27事業あります。
なお、空港、港湾関連の調査など7事業についてはハブ化に向けた将来展望が開けるよう引き続き調査検討が必要であると考えています。今後は事業の取りまとめ結果を踏まえ、その展開について国と調整を図っていきたいと考えています。
それから本県の振興策との関連で、新全総計画が閣議決定されたが、その中における本県の位置づけや役割について問うという趣旨の御質問でございます。
新全国総合開発計画では、沖縄はその地理的、自然的特性と歴史的、文化的蓄積等の地域資源や多様性を受け入れる国際感覚と相互扶助の精神を積極的に生かし、太平洋・平和の交流拠点として位置づけられています。これによって本県には地域の自立的発展と我が国、ひいてはアジア・太平洋地域の経済杜会文化の発展に寄与する役割が期待されています。このことは平和・共生・自立を基本理念にアジア・太平洋諸国等との平和交流、技術協力、経済・文化交流を基本方針として実施する多面的な交流を通して、本県の自立的発展と我が国の南の国際貢献拠点の形成を目指す国際都市形成構想の考え方と基本的に一致するものと考えています。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 宮城議員の基地問題についての中で、県は那覇軍港2.1ヘクタールの共同使用に同意したが、その用地の使用目的及び賃貸料等の負担はどうなりますかという御質問にお答えいたします。
国においては、那覇港臨港道路空港線整備事業の一環として那覇港湾施設の一部について返還作業を進めているところであります。
この事業とあわせて沖縄開発庁から自由貿易地域那覇地区に隣接するおよそ0.6ヘクタールは沈埋トンネル関連施設として及び約1.4ヘクタールについては自由貿易地域として一時使用したいとの提案がございました。県といたしましては、自由貿易地域の拡充強化について当面那覇地区の活性化や中城湾港新港地区への拡大を図ることとしております。
今回開発庁から御提案のあった一時使用については、今後国の全面的な協力のもとに自由貿易地域として活用することを考えております。
また、この一時使用に係る土地の賃貸料等の負担については今後国と調整していきたいと考えております。
次に、本県の振興策についてでございますが、沖振法の改正により本県の産業振興に向け法人税や特別投資減税等が決定されたが、県の優遇措置はどうなるか、また今後の焦点である企業誘致のための組織体制と誘致活動について伺いたいとの御質問にお答えします。
沖振法の改正に基づく新たな税制上の優遇措置は、本県への企業立地インセンティブを大きく高めるものと考えております。
県といたしましては、中城湾港に設置される特別自由貿易地域に適用される法人税の優遇措置の活用に加え、沖縄県工業等立地促進条例に基づく企業立地補助制度2つございます。1、土地取得に対する補助で約2億円まで、50人以上の雇用規模、2、工場周辺緑地整備、駐車場整備に7500万円まで補助する、3人以上の規模、最近ではタイムス住宅とか、デイゴ住宅とか、タイガー産業等がございます。このような県の優遇措置を拡充検討してまいりたいと考えております。
次に、企業誘致のための組織体制については現在、本年7月をめどに企業誘致プロジェクトチームの設置を進めているところであり、抜本的な企業誘致体制を強化していかなければならないと考えております。
企業誘致については、去る4月から東京地区を中心として企業訪問を開始するとともに、国内企業およそ3000社を対象に立地意向アンケート調査を実施しております。
さらに在日外資系企業や台湾等海外での企業誘致説明会等を実施し、積極的に誘致活動に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 新石垣空港について、県は新石垣空港宮良牧中に係る諸調査結果について、気象条件や赤土等流出防止対策等の面で問題があり、空港計画の欠陥を指摘する専門家等の意見にどのように対処されるかとの質問にお答えいたします。
新石垣空港の建設地と決定された宮良地区は、平成8年度及び9年度における調査結果から、気象条件ではウインドカバレージが98.8%で規定値である95%を満たし、地元から提起のあったサンウルシという局地風についてもその現象は確認されず、気象条件の面から宮良地区が新空港建設位置として問題はないと判断しております。
また、本空港計画における赤土等流出防止対策については、大規模な土工工事になるものの、学識経験者で構成する工法検討委員会及び環境検討委員会において審議検討した結果、発生源対策を徹底し沈殿池を設置して可能な限り自然沈降、ろ過沈降を行い、最終的には機械処理により濁水を25PPm以下に処理し放流することを決定いたしました。
なお、工事においては監視体制をつくり、環境保全については万全に対応できるものと考えております。
さらに、環境影響予測評価の調査の結果、付近の河川、海域におけるSS濃度や河川、海域生物への影響についても環境保全目標は達成できるものという結果が出ており問題はないものと考えております。
このようなことから、宮良地区は新石垣空港の建設位置として技術的には問題ないものと判断しております。
次に、新石垣空港について、県は新石垣空港の位置を宮良牧中地区を適地と決定したが、同地区での地権者、市議会及び関係機関等の地元合意並びに関係省庁との調整の手法と可能性について聞きたいとの質問にお答えいたします。
県は、平成10年4月23日に新石垣空港の建設位置を宮良地区に決定し、関係地権者の皆様を初め石垣市議会及び農業関係団体等の御理解と御協力を賜り、石垣市と一体となって地元の合意形成に全力を挙げて取り組んでいくこととしました。
石垣市は、県の位置決定を歓迎するとともに、新石垣空港の早期建設のため全力を挙げるとしています。
県は、石垣市と一体となって新空港建設予定地の地権者に対する同意取りつけ作業を進めており、地権者の約7割の同意を得ているところでございます。しかし、農地がつぶれることで反対している26名の地権者もおります。今後、これらの地権者も含めた関係地権者の皆様に新石垣空港の早期建設の必要性を理解していただき、全地権者の同意を得ていきたいと考えています。
なお、宮良地区が土地改良地区内であることから、農政上解決すべき課題について十分対応するとともに、さまざまな施策を講じて八重山の農業振興に最大限の努力を傾注し、地元農家の皆様や土地改良区、農業委員会等関係者の皆様の御理解と御協力を得たいと考えております。
また、同市が本日、石垣市議会に新石垣空港の設置管理者に関する議案を提案しましたが否決されました。まことに残念でございます。引き続き市議会の議決が得られるよう全力を傾注していきたいと考えております。
このようなことから、新石垣空港の早期建設には地元の合意形成が最大の課題であることから、引き続き地権者を初めとする関係者の皆様の合意を得るとともに、市議会及び県議会の議決を得て運輸省や農林水産省の国の関係機関との調整を図っていきたいと考えております。
土地収用法の適用も考えているかという件につきましては、土木建築部で実施している多くの事業のうち地権者の調整、事業の展開あるいは事業の進捗等が困難な場合には土地収用法による事業認定の手続をとり事業を進めている事業もございます。
なお、この新石垣空港につきましては、限りなく100%に近い同意を得て飛行場の設置許可申請を行い許可を得て事業着手したいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 本県の振興策との関連で、第3次振計後期の主要事業、計画の特徴、重点部門とその取り組み方についての御質問でございます。
第3次沖縄振興開発計画の後期における取り組みにつきましては、平成8年9月に「沖縄振興開発の課題と展望」を策定し基本方向を示しています。平成9年度には、この「課題と展望」を踏まえて「主要事業推進計画(後期版)」を策定し、重点的に推進すべき主要な事業を明らかにしております。
後期におきましては、本県の自立的発展と国際社会への貢献のため国際都市沖縄の実現を目指し、米軍基地の計画的返還と跡地利用の促進、特色ある産業の振興、情報通信基盤の整備、環境の保全と回復等を基本方向としております。
主要事業推進計画では、これら基本方向に沿って約400の主要事業を推進していくこととしています。
これらの事業は、都市モノレール建設を初め着手している事業も大部分ございまして、今後具体化されるその他の事業につきましても国、市町村及び民間との連携を密にして着実な実施を図っていきたいと考えています。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 宮城國男君。
〔宮城國男君登壇〕
○宮城國男君 再質問をいたします。
まず、基地の問題についてでありますけれども、基地の問題についてはこれはもう反対ばかりでは基地の返還は前に進まないのは事実でありまして、特に行政としてはもう折り合いをつけなければならないわけでありまして、今回この安波の訓練場について当局がこういう対応をしたということは結構なことだとは思います。
ただ、この問題につきましては、従来のいわゆる県内移設については地元の意向も踏まえ、国際都市形成構想等も勘案し総合的な立場から判断するということでありましたけれども、そして原則としてそうであるが、例外的な場合としていわゆるシーメンズクラブのものを挙げたわけです。要するに国有地に暫定的な施設をつくるということで挙げたわけですけれども、今回はその場合とは全く違うわけでありますから、いわゆる新規の土地の提供であり、これは政策の変更というふうにも受け取れますけれども、そういうふうに受け取っていいかどうか、伺います。
それから、共同使用についてはもう既に共同使用するということで県の方もそのような御答弁をいただいております。
知事の方も記者懇の中でもいわゆる米軍との共同使用についても打開策を模索したいということであります。もう時は現在地の共同使用を含めてあらゆる選択肢を検討する時期にきているというふうに考えるわけであります。
そういうことから、この県内の移設とかあるいはまた共同使用について基準があればそれをお聞かせいただきたいと思います。
次に、同じく基地の問題につきまして、知事は今度訪米されまして、訪米された後、その環境間題が急浮上しているわけであります。
知事がアメリカ国内の返還された跡地について環境問題が大変厳しい状況である、大きな課題であるということはよく承知しております。また県内についても恩納村の通信所の例にもあるとおりであります。また今回の知事訪米についても8番目に挙げております。
ただ、今回のいわゆる柱は、海兵隊の削減と要するに普天間飛行場の移管が問題だったと思います。これを基地の問題にすりかえたということは、私は論理のすりかえではないかというような感じがするわけであります。
今、沖縄県にとって最も大事なものは、閉塞状況にあるこの普天間飛行場をいかに打開するかということでありますけれども、その辺のことについて改めて知事の御見解を賜りたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
基地問題に関連して、県の安波訓練場の問題について方針を変えたのかということでございますが、方針は変えておりません。
ただ、これまで我々はアメリカ政府に対しても日本政府に対しても、我々がSACOをすべて否定しているわけじゃないんですよと、協力できるものについては協力しますよということをずっと申し上げてきました。
ですから、例えば移設条件がつかないものについては積極的に早く進めましょうと、前倒しでも進めましょうということも言っているわけです。ですから今の問題については、先ほど例を挙げましたように2015年の第2次分の返還予定地に入っておりますし、それからずっと水域は小さくなってきていて、それで地元の人たちが一切生活に支障がないというようなことなどあるものですから、それはそういうことであればということでやっているわけでございます。
それから、基準があるかということでございますが、別に基準はありません。それは今申し上げたように地元の意向とか県の将来の国際都市形成構想とか産業発展とか、包括的な立場から決めますということを申し上げているわけでございます。
それからもう一つは、何でしたかな。
○議長(友寄信助君) 環境問題とすりかえたのかと。
○知事(大田昌秀君) これは、宮城議員にぜひお願いしたいんですが、私がそれをすりかえるとかそんな問題じゃないんですよ。
本当に50年間ですよ、50年以上も基地を置かれているところで、アメリカの国内では非常に厳しい、基地内では環境法が適用されているわけですよ。適用されている基地内でさえも汚染があって、小さなところの汚染の浄化でも1700万ドルの資金が必要だと。ところによってはその10倍も20倍もかかると言っているわけですよ。しかもその期限が10年かかったり20年かかったりすると言っているわけですよ、浄化するまでには。
そういうことを目の当たりに見ますと、環境法も適用されていない沖縄の基地は本当にどうなるかということは、恐らく宮城議員が行かれても痛切に感ずると思いますよ。
我々は、やはり大人の責任としてこのような環境汚染を本当に放置したまま若い、次の世代に引き継ぐことができるかということは、正常な感覚を持っている人はだれでも、これはいけないんじゃないかと。もう少しですね……(発言する者多し)
失礼しました、これは訂正します。
まともに物を見たら、それをほかのものにすりかえるとかというそういうことはできませんよ。そういうことじゃないんです。そこはぜひ御理解いただきたい。それほど深刻だということをぜひとも御理解いただきたいわけです。ですからそこはどうか御理解いただきたいと。
今さきの言葉についてはおわびして訂正します。それは他意はございませんので……。
ですからそこは正直申し上げて、できましたらこれは余計なことですが、議長にもお願いしたんですが、県議会議員の議会の代表者もチームをつくって一度見てくださいと、そしてアメリカ側ともお話をしてくださいと私はお願いしてありますので、できましたらぜひそういうことをしていただいて、やったらありがたいと思います、本当に。
○宮城國男君 ちょっと休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後6時16分休憩
午後6時18分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 私は、日本共産党県議団を代表し知事に質問します。
初めに、知事選出馬表明に当たっての決意についてお伺いします。
知事が去る6月15日、若者たちが夢と希望を持てるような平和な沖縄をつくっていくことが戦争を生き延びてきた我々の責任、すべてを投げ捨てて取り組みたいと強い決意で3選出馬を表明されたことは、多くの県民から歓迎されています。我が党もその勝利のために全力を尽くして頑張る決意を表明します。
さて、大田県政の2期8年間は米軍基地問題など文字どおりの激動期でありました。その中で基本的に県民こそ主人公の立場を貫き、県民への公約実現のために頑張り、基地、平和、経済振興などの各分野で多くの実績を上げてきました。
特に前自民党保守県政が基地問題などで政府やアメリカにまともに物も言えなかったのに比べ、大田知事が県民要求実現のために堂々と発言している態度は多くの県民から評価されています。
その実績を踏まえて、米軍基地問題や経済政策の解決、基地跡地の環境浄化という新たなテーマの解決をもしていきたいとの決意は高く評価できるものであります。
今度の知事選挙は、21世紀に向かって基地のない平和な沖縄を実現するためにどうするか、まさに基地問題と経済振興問題などが大きく問われています。
自民党保守陣営からは、県政は閉塞状況にあるという攻撃がなされていますが、これはとんでもない話であります。基地問題や経済問題で閉塞状態に陥っているのは橋本自民党政権の政治でしかありません。今の我が国の経済は戦後最悪の不況に見舞われていますが、これはかじ取り不能に陥っている橋本自民党政治のつくり出したものであり、その責任転嫁は許されません。
基地問題でもアメリカ追従が目に余り、これでも主権国家なのかと疑わざるを得ない事態が進行しています。かつて「経済に強い」を売り物にしていた自民党保守県政の時代は、看板にしていた企業誘致も失敗をし、県経済を一層深刻なものにしました。大田知事になったら予算も取れないなどと攻撃していましたが、それがいかにでたらめなものであったかは実績が見事に証明しています。
また、基地問題でも、軍隊は演習しなければ役に立たないなどと米軍言いなりの態度では解決できなかったことも歴史の証明する事実であります。
県民にとって諸悪の根源は米軍基地と言われているように、自民党保守の政治では基地問題や経済振興もできないことは明らかであります。したがってこの沖縄の苦難を乗り越えていくには、県民の立場で頑張ってきた大田知事が勝利することがどうしても必要になっています。
選挙戦は、アメリカ言いなりで海上基地を押しつけてくる橋本自民党政府と、基地のない平和な沖縄を目指す県民との対決であります。県民の良識を結集し革新統一の力を発揮すれば、橋本自民党政府のどんな策謀もはね返して勝利することができると考えます。
そこで、改めて知事の3選出馬の決意を伺います。
1、大田革新県政の2期8年間の実績について、公約実現という立場からどう評価されていますか。
2、3期目に出馬するに当たっての決意を改めて伺います。
第2の質問は、新ガイドラインと周辺事態法についてであります。
橋本内閣は4月28日、新ガイドラインに基づき一連の対米軍事支援法案(「周辺事態措置法案」など)を閣議決定しました。
我が党は、この新ガイドラインは日米安保をアジア・太平洋全域に拡大し、海外での共同作戦に道を開いた安保共同宣言の具体化であり、事実上の新安保条約の締結に匹敵する安保の大改悪であると指摘してきました。
この指針見直しの最大の焦点は周辺事態、つまり日本防衛とは無関係の米軍による紛争介入、挑発というアメリカ有事に際し、日米共同の軍事対処計画をつくり、日本を自動的に軍事協力させる事実上の自動参戦装置づくりだということであります。
日本は、アメリカの同盟国の中で唯一海兵隊や空母機動部隊、航空遠征部隊などの海外殴り込み部隊を常駐させ、低空飛行訓練や夜間離着陸訓練など日本の国土を植民地さながらに使うことを許してきました。
今回の法案は、これに加えて米軍が自由に使える応援部隊まで提供しようとするものであり、米軍基地国家体制に一段と深くはまり込むものであります。
政府は、日米安保条約で言う極東の範囲について、フィリピン以北で台湾、韓国を含むと説明してきました。アメリカ有事参戦法が極東に適用されるということは、台湾有事には米軍とともに軍事介入も辞さないということであります。これが台湾は中国の一部という日本政府の公式の態度に照らしても、中国の内部問題への乱暴な介入となることは明白であります。
極東とその周辺というのは、インド洋であれ中東であれ、事実上地球のどこにでもということであり、在日米軍が出動する範囲はすべて周辺ということで、日本はこの米軍の軍事行動に自動参戦していくということになります。
新ガイドラインには、自治体や民間を動員する条項が戦後史上初めて盛り込まれています。これは、地方自治や基本的人権にかかわる問題であります。この法律ができれば事実上の強制的な動員、協力となります。これは、平和原則、国家主権と国民主権、議会制民主主義、地方自治と基本的人権など憲法の平和的、民主的な諸原則のすべてをじゅうりんするものであります。
この法案の成立を許せば、自民党が戦後進めてきた逆立ちした国づくり、国民の命を守るのでなく、米軍の軍事的要求を最優先させる国づくりが新たな重大な段階を迎えることになります。米軍言いなりの日本は、戦後53年にして再び戦争国家としての道に踏み出すことになります。
昨年の雑誌「前衛」12月号に、当面の周辺事態として台湾有事が想定された場合、湾岸戦争並みの部隊が投入されたとすると、最も近い沖縄が後方支援基地にされる危険性があると報道されています。
その際、沖縄にはどのような事態が引き起こされるかという試算が掲載されていますが、それでは、
56万人の兵員と13万の戦闘車両の出入国や移動は、すべて直接に軍事基地を使用すると控えめに見積もっても、700万トンの軍需物資は、民間港である那覇港で荷揚げすることになる。那覇港は、96年 の荷揚げ実績が940万トンであり、700万トンの物資をおろすには、ほぼ9カ月にわたって民問の船舶を閉め出すことになる。水とトラックはホスト国でというが、56万人といえば沖縄県の人口の半分 近い数であり、水を供給する自治体は大混乱に陥ることは必至である。また沖縄県には、営業用のトラックは4290台しかなく、湾岸戦争のように4500台を確保するとすれば、県内のすべての民間ト ラックを徴発することになる。
と指摘しています。
これは、当然自治体や民間業者が拒否すれば必要なだけのトラックの確保ができなくなります。そのために周辺事態法が必要とされてくるわけであります。このような事態は絶対に食いとめなければなりません。日本共産党は、この道を進むことを断固として拒否するものであります。
そこで知事に伺います。
1、新ガイドラインは、安保条約の実質的な大改悪であり、米軍基地の集中するこの沖縄県が最も危険と負担を強いられることになります。知事として明確に反対の態度を表明すべきだと思いますが、いかがですか。
2、周辺事態法案では、自治体や民間の動員がうたわれていますが、知事はその危険性についてどのような認識をお持ちですか。
3、知事が、再びあの忌まわしい沖縄戦を繰り返してはならないという決意を政治姿勢として繰り返し表明されていることを高く評価しています。それであれば再び戦争への道につながる周辺事態法案には断固として反対すべきだと思いますが、決意を伺います。
第3の質問は、知事訪米についてであります。
もともと沖縄の米軍基地問題は日米安保条約に基づくものであり、日米両政府の間で話し合いすべきものであります。
ところが、歴代の自民党政府がアメリカに追従し、県民の基地なくせの声をまともに主張できない事態が続いている中では、県民を代表する知事が直接アメリカの関係機関や団体、多くのアメリカ国民に訴えるということは重要な意義があります。
沖縄の基地問題は、日米の国民が軍事同盟をなくし平和友好条約を締結してこそ真の平和は築けるという大きな世論を巻き起こしてこそ根本的な解決はできるものです。そういう意味では知事の訪米は、沖縄の基地問題を解決する世論を高めるためにも大きな役割を果たしていると思います。
かつて沖縄の祖国復帰闘争に際して、自民党の諸君の中から芋・はだし論の攻撃が加えられていました。歴史的に見てそれがいかに県民の利益に反し、米軍を利するものであったかは明瞭になっています。
今また県民の基地なくせの声にこたえて知事が訪米したことに攻撃を加える動きがありますが、これも歴史的に見たら何のため、だれが喜ぶものであったかは必ず審判されます。
そこで質問ですが、1、訪米の成果、海上基地に関する新たな事実、基地返還跡地の環境問題などを報告してください。
2、訪米によって明らかになった今後の課題は何ですか。
第4の質問は、遊技場の建設問題についてであります。
沖縄市比屋根土地区画整理地域内に遊技場のパチンコ店が2軒建設されています。ところが同地域は沖縄市においては住宅地域として整備されています。それで、コザ広域都市計画が地区計画として去る4月1日から変更されています。それには建築物の制限があり、マージャン屋、パチンコ屋、射的場などの建築物は禁止されています。
同地域のすぐ隣では、競輪の場外車券売り場の建設をめぐって住民と業者が現在でも対立しています。このパチンコ店の建設は地域のPTAが、青少年の健全育成に悪影響を与え地域の住宅環境を破壊するものとして反対運動に立ち上がっています。
そこで県警本部長にお聞きします。
1、遊技場であるパチンコ店の営業許可は警察の権限でありますが、このような施設の建設に際して通常は業者が警察に事前に相談すると思いますが、この2軒のパチンコ店については相談はありましたか。
2、1つのパチンコ店の道隣に入院ベッドつきの医院があります。業者はそのベッドを廃止してくれと圧力をかけているようですが、事実を掌握していますか。
3、この2つのパチンコ店についての営業許可の申請はなされていますか。
4、都市計画の用途からも地区計画があり、パチンコ店は営業できないことになっています。県警は明確にパチンコ店の営業許可は出さないということを関係業者に通告すべきだと思いますが、いかがですか。
最後の質問は、沖縄市の国道330号横断暗渠改修と比謝川の河川改修についてであります。
この件については、私が県議会に最初に出てから取り上げてきました。特に国道330号横断暗渠改修については暗渠の付近だけでなく、地域の銀天街まで浸水するとしてその一日も早い改修を求めてきました。河川課長と南部国道事務肝が協議してからも10年以上も経過しているにもかかわらずいまだに解決していません。
先日の大雨でも床上20センチの浸水がありました。そこに住んでいるひとり暮らしのおばあさんは大雨のたびごとに心配で寝られないと訴えてきています。
そこでお伺いします。
1、県はこの地域の浸水騒ぎと被害の実態を掌握されていますか。
2、国道330号の横断暗渠改修と比謝川の河川改修を同時に行うと明言してからも10年が経過しています。こんなにおくれている理由は何ですか、納得できる説明を求めます。
3、いつまでに改修するのか、その見通しを明らかにしてください。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉陽宗儀議員の御質問にお答えいたします。
まず、2期8年間の実績について、公約実現という立場からどう評価するかという御質問でございます。
私が平成2年12月に知事に就任してから8年目を迎えました。この間、平和で活力に満ち、潤いのある沖縄県の実現を目指し全力を傾けて公約した諸施策を進めてまいりました。
平和行政の推進については、平和の礎を整備したほか、平和祈念資料館の建設や国際平和研究所の設立などを進めてまいりました。また、新沖縄県史の編さんにより沖縄戦の教訓を正しく後世に伝えることに努めています。
戦後処理問題の解決については、厚生年金の格差是正や戦争マラリア犠牲者の補償を実現したほか、不発弾処理の促進に努めてまいりました。
基地問題の解決については、平成8年に基地返還アクションプログラム(素案)を作成し、米軍基地の計画的かつ段階的な返還等を日米両政府に訴えてまいりました。
これまでの具体的な成果としては、恩納村の都市型戦闘訓練施設を撤去させ、シーメンズクラブを民間地域から米軍施設内に移し、跡地に青少年の健全育成と県民の健康・体力づくりの場として県立武道館のアリーナ棟を建設したほか、県道104号線越えの演習の廃止、安波訓練場の返還合意などが実現しています。
また、軍用地の跡地利用の促進に向けて県が要綱を作成して政府に訴えてきたいわゆる軍転特措法についても立法化が実現し、基地返還から3年間にわたって地主への給付金が支給されることになりました。
本県の自立的発展に向けては、21世紀の沖縄のグランドデザイン「国際都市形成構想」を策定し、その実現に向けて空港、港湾などの基幹インフラの整備を初めフェデックス社等の企業誘致の推進など各種の施策事業に取り組んでいます。
また、マルチメディアアイランドの形成に向けて情報通信インフラの整備、コンテンツ産業等の関連産業の育成に取り組むとともに、シノプシス社など先端産業の誘致に力を入れています。
マルチメディア関連の人材育成のため本年3月に設置された沖縄情報通信研究開発支援センターにおいては、既に16の企業や研究機関が研究活動等を始めています。
このような本県の取り組みに対応して本年3月に沖縄振興開発特別措置法が改正され、全国で初めての特別自由貿易地域制度の創設や情報通信産業地域制度の創設などが実現しました。
特別自由貿易地域においては、法人関係税の実効税率が46.4%から26.3%へと約20%低減されるなど手厚い優遇措置が講じられ、企業立地にとって大きなインセンティブとなるものと考えています。
また、新全国総合開発計画においては、沖縄地域を「太平洋・平和の交流拠点」として位置づけ地域整備を進めることにしていますが、これは本県の国際都市形成構想の考え方と基本的に一致するものであります。
産業の振興については、沖縄産業創造アクションプログラムを策定し、本県の特色を生かした産業振興の戦略的な展開を方向づけました。また、トロピカルテクノセンターや工業技術センターを整備するとともに、海洋深層水の総合利用研究施設の建設を進めるなど新たな産業創造の基盤づくりにも力を入れています。
雇用の促進を図るため雇用開発推進機構を創設し、各種の雇用開発事業を進めているほか、産業振興と雇用・労働施策との連携を図りつつ雇用の確保と拡大に向けて積極的に取り組んでいます。
観光・リゾート産業については、部瀬名岬地域等における本県の魅力を生かしたリゾート施設の整備を進めるとともに、ジェットフォイルを就航させ北部地域の観光振興を図ってまいりました。
また、本土―沖縄間の航空運賃の低減による観光・リゾート地としての競争力の強化などを進めてまいりました。
社会資本の整備については、都市モノレール事業を実現させたほか、那覇空港ターミナルの新設や県民広場地下駐車場の整備、中城湾港や豊見城地先の開発整備などを進めてきました。
また、久米島空港などの離島空港を整備するとともに浜比嘉大橋や阿嘉大橋などを完成させたほか、古宇利大橋の建設を進めています。
国際交流については、沖縄県・ハワイ州高校生交流事業をこれまでに7回実施したほか、高校生のホームステイによる国外留学を毎隼国費で40人、県費で10人送り出しています。
また、海外からの技術研究員や留学生の受け入れを推進するとともに、沖縄空手・古武道世界大会を開催するなど世界へのネットワークづくりと文化交流を進めてきました。
また、中国・福建省と本県との経済・文化交流の拠点となる福建友好会館も近々完成することになっています。
このほか、公文書館を設置し沖縄に関する資料や公文書等を国内外に公開するなど学術交流の推進に努めています。
農林水産業の振興については、亜熱帯農業の確立に向けてゴーヤー、菊、マンゴー等の野菜、花卉、熱帯果樹などの振興に力を入れるとともに、食肉価格安定基金を造成し畜産農家の経営安定と畜産の振興を図ってまいりました。また、栽培漁業センターを拡充するなどつくり育てる漁業の進展を図りました。
学校教育については、向陽高校や那覇国際高校を新設したほか・普通教室への空調設備の導入を進めるなど快適な学習環境の整備を進めてまいりました。
また、国立組踊劇場の設置を促進するなど伝統文化の継承と発展に努めてまいりました。
さらに、全国スポーツ・レクリエーション祭を開催したほか、アジアベテランズ陸上競技選手権沖縄大会の開催を進めるなどスポーツの振興及び県民の健康・体力づくりに努めています。
環境の保全については、航空機騒音等の公害監視の強化や赤土流出防止対策に力を入れるとともに、自然環境の保全に関する指針を策定するなど本県の多様で豊かな自然環境の保護を図ってまいりました。
また、バンナ公園等の公園整備、中部流域下水道等の下水道の整備や糸満市・豊見城村清掃施設組合のごみ焼却施設等の市町村における廃棄物処理施設の整備を進めるなど快適な住環境づくりにも努めてまいりました。
保健福祉の充実については、県立中部病院の改築等医療施設の整備や県立看護大学の設置を進めるとともに石嶺児童園を改築いたしました。
また、夜間保育等のニーズにこたえるため那覇市や宜野湾市、沖縄市の夜間保育所の設置を支援してきたほか、乳幼児期の健全育成を図るための乳幼児医療助成事業を実施してきました。
さらに、具志川厚生園を新築するなど高齢者の保健福祉の向上を図るとともに、精神障害者の授産施設「てるしのワークセンター」を設置するなど人々がともに支え合い、安心して暮らせる社会づくりに努めてまいりました。
離島の振興については、南・北大東島の新空港などの生産基盤や生活環境施設の整備を進めたほか、南・北大東島におけるテレビ難視聴の解消や離島航空運賃の低減を図るとともに、地域の産業興しを促進いたしました。
また、宮古、八重山地域への民放テレビの開設を行い情報格差の解消を実現しました。さらに宮古、八重山の新支庁舎を建設し住民への行政サービスの充実を図るとともに、支庁長を部長級にするなど離島の地域行政の強化に努めてまいりました。
さらに、女性の地位向上についても、審議会等への女性の登用を積極的に推進し都道府県では全国一の登用率となっています。
また、男女共同参画社会の形成を図るため沖縄女性財団を設立するとともに、女性総合センター「てぃるる」を建設するなど着実な成果を挙げることができたと思います。
また、情報公開条例や個人情報保護条例を制定するとともに、行政オンブズマン制度を導入するなど開かれた県政運営に努めてまいりました。
以上、これまでの主な実績について申し上げましたが、今後とも県勢の発展のため全力で取り組んでまいりたいと考えております。
それから次に、3期目に出馬するに当たっての決意を伺いたいという趣旨の御質問でございます。
私は、平成2年の12月に知事に就任してことしで2期8年目を迎えます。この間、県民を初め内外の方々の温かい励ましをいただき、持てる力を最大限に発揮して誠意を持って県民に奉仕するという気持ちで取り組んでまいりました。その間、福祉、教育、医療などの県民福祉の向上はもとより、基地問題の解決と本県経済の自立的発展を図ることを県政の最重要課題として目に見える形での解決に向けて全力を傾けてまいりました。
とりわけ基地問題については、非生産的な基地を生産の場に変え、若者が真に夢と希望の持てる沖縄を実現することが私に課せられた責務であると考え、これまで誠意を尽くして取り組んでまいりました。
しかしながら、本県が抱える課題は基地問題を初め経済振興や雇用問題などその解決は多くの困難を伴い、一朝一夕にできるものではありません。そういう意味で3選出馬について政党を初めとする支持団体や関係者の方々の御意見を伺いながら慎重に検討してまいりました。
その結果、基地問題はもちろん、本県経済の自立的発展を目指した国際都市形成構想等が緒についたばかりであり、これらの諸課題の解決にきちっと道筋をつけなければならないと考えました。
特別自由貿易地域制度の創設やマルチメディアアイランド構想に基づく諸施策の推進、観光・リゾート産業のさらなる振興などを通して経済的発展を図ることが知事としての責任を全うすることであると考えるに至りました。
また、さきの訪米で基地返還跡地の環境浄化問題の深刻さを目の当たりにして、将来を担う若者にこの負の遺産を引き継ぐべきではないとの思いを強くいたしました。
私は、21世紀を目前に控え、沖縄の将来を左右する重要な時期にあって、将来への展望を切り開き平和な沖縄を築くため微力を尽くしてまいりたいとの一心で今回3期目の出馬を決意した次第であります。
次に、新ガイドラインについて、知事として明確に反対の態度をすべきと思うがという趣旨の御質問とあと2つの御質問がありますが、関連しますので一括してお答えいたします。
政府においては、昨年9月に策定された新たな日米防衛協力のための指針を受け、ことし4月に、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案、いわゆる周辺事態安全確保法案ですが一を国会に提出しております。
この法律案は、地方公共団体とのかかわりで周辺事態に際して、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができると規定しています。特に本県の場合、過重な米軍基地を負担しており、周辺事態において米軍が県内の空港、港湾、病院等を使用することによって本県の経済活動及び県民の生命財産に対する悪影響が懸念されます。
県においては、これまで渉外関係主要都道府県知事連絡協議会を通じて新ガイドライン及び関連法案に関する的確な情報の提供及び地方公共団体の意向の尊重について国に対して要請してきたところであります。今後は、国会における議論を慎重に見守りながら適切に対応してまいりたいと考えています。
それから、訪米の成果を報告してもらいたいと、訪米によって明らかになった今後の課題は何かという趣旨の御質問でございます。一括してお答えいたします。
今回の訪米では、米国務省及び米国防総省を初め連邦議会議員等に基地の整理縮小や基地被害の防止と合わせて在沖米軍の兵力削減、とりわけ海兵隊の削減等11項目にわたる要請を行いました。特に普天間飛行場の早期返還については強く訴えました。
また、沖縄の基地問題の実情について学者、研究者などと意見交換を行うとともに、米国のマスコミを通じて沖縄の実情を訴えました。
要請に対し国防総省、国務省及び海兵隊は沖縄に関する特別行動委員会合意の実施を主張し、普天間飛行場間題についてはキャンプ・シュワブ沖の海上ヘリポート建設が最善の策であるとの姿勢を堅持したままでありました。
一方、連邦下院議員で国家安全保障委員会委員のポール・マックヘイル議員は、冷戦の終結に伴いアジア・太平洋地域の戦略的なバランスが変化したことなどにより在沖米軍の展開は変わらざるを得ないだろうと述べ、また二一ル・アバクロンビー下院議員は、海上ヘリポート建設は問題の本質的な解決にはならないとコメントしていました。
さらに、前国防長官でスタンフォード大学のウィリアム・ペリー教授から、沖縄問題の解決に協力していきたい旨の発雷がありました。
産業振興関連では、半導体デザイン企業のシノプシス社から、ことしの9月までに県内の情報工学専攻の学生15名を正式に採用し、来年の10月には沖縄にデザインセンターを設置する計画の説明を受けました。
跡地利用関係では、今回、ロサンゼルス近郊のノートン空軍基地跡地、サンフランシスコ市にあるフォートメイスン陸軍基地跡地やプレシディオ陸軍基地跡地、トレジャー・アイランド海軍基地跡地を視察してきました。この視察において、ノートン空軍基地跡地において実際のクリーンアップ作業をじかに見ることができましたが、そこでは深さ90メートルにある地下水をくみ上げ、カーボンで浄化する施設が24時間フルに稼働しておりました。
環境浄化には膨大な経費と長い年月を要するという厳しい現実を目の当たりにして基地における環境問題の深刻さを痛感するとともに、基地の跡地利用における最大の課題として認識いたしました。
アメリカにおいては、国家環境政策法に基づいて環境調査の実施を軍に義務づけ、また国防総省の作成した基地再利用マニュアルでは、国防総省は30隼以上基地を受け入れた米国内の自治体を支援する責任があるとの認識が明確に示されていました。
翻って沖縄の状況を見ますと、地位協定第4条で、米軍は施設及び区域を返還するに当たっては、原状回復義務を負わないことになっていますので環境浄化の義務は課せられておらず、アメリカ本国とは全く違う状況に置かれています。
このことから、将来具体的に沖縄の基地を転用していく場合に環境浄化が大きな問題の一つとなって立ちはだかってくることが予想されます。
アメリカ国内における法制度や政策の実現内容と県内の基地への対応には余りにも大きな隔たりがあると言わざるを得ません。
沖縄の場合においては、基地の返還に伴う対策を行うには国において返還跡地の環境浄化についてその責任の所在、それに要する費用、さらに浄化の期限等について法的に明確にすることが不可欠な課題だと考えております。
なお、これまでアメリカを訪れましていろんな軍事評論家とか研究者たちとの話し合いをしたり、また激励を受けたりしてきましたけれども、ちょっと例を申しますと、在沖米軍基地を削減すべきであるとの論文を発表したり発言したりしたのが18名、それから普天間基地を無条件に返還すべきだという論文を発表したり発言したりしているのが6名、それから日米関係に悪影響を与えると、つまり基地問題を解決しないとそれによって日米関係が影響を受けるとするような論文が4名、それから情勢の変化で沖縄の基地は削減可能といった論文を発表したり議論したりしたのが15名、それから米国内でも削減論があるという主張をしているのが4名。
その中で具体的に今アジア・太平洋地域の危機と、それから中東あたりの危機に2正面に対応するために10万人の体制が必要だというような議論がなされておりますけれども、これはナイ・レポートなんかもそうですけれども、それに対してこれはもう時代おくれだというのが2人の人の論文に出ております。それからハワイヘ移すべきだというのが8名の人が議論をしております。それからグアムヘ移すべきだという人が4人おりました。
これは全部ではありませんけれども、今そういうふうに実にこれだけの膨大な支援の論文とかというものが発表されておりまして、我々がこれまで誠意を持って訴えてきたことが決してむだではないということがこれではっきりすると思います。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 嘉陽県議からの遊技場の建設問題について一括してお答えをいたします。
お尋ねの件は、沖縄市比屋根に営業を開始しようとしている2社のパチンコ店のことだと思いますが、両者とも事前に所轄警察署に相談がありました。
このうちA社はパチンコ店建築前の平成7年10月に担当者が所轄警察署を訪れ、営業ができる場所かどうかについて相談がありましたので、当該場所は沖縄県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例によりパチンコ店の営業が規制されている区域である旨指導しております。
また、当該業者が医院にベッドを廃止してくれと圧力をかけていることについての情報は今のところ把握をしておりません。
一方のB社については、建物完成後の平成10年4月に担当者が所轄警察署を訪れ、建築した場所は営業できる場所かどうか、相談がありました。場所につきましては、本年3月31日に県道に指定され制限地域から除外され条例による制限地域外であること、さらに営業許可に当たっては経営者の資格及び構造設備上の要件を充足することが必要である旨指導しております。
この2つの会社のうちB社からは本年5月29日に営業許可申請がなされております。
県警としましては、これらパチンコ店の風惨営業の許可につきましては風営適正化法の許可基準に照らし厳正に判断したいと思います。
なお、沖縄市の当該条例は町の環境保持及び景観等を損なわないため建築してはならない建築物を特定し、建物建築確認申請時にこれを排除すべく建築物を規制しており、あくまでも市に建築確認申請がなされるに当たって適用される条例であると解しております。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 嘉陽議員からの御質問にお答えいたします。
質問の趣旨は、沖縄市の国道330号横断暗渠改修と比謝川の河川改修についてでございまして、県は、この地域の浸水騒ぎと被害の実態を掌握されていますかとの質問、国道330号横断暗渠改修と比謝川の改修がおくれている理由は何ですかという質問、いつまでに改修するのか、その見通しを明らかせよとの御質問3点については関連いたしますので、一括してお答えいたします。
国道330号上流の浸水被害については、普通河川の管理者である沖縄市を通して実態の把握に努めております。最近では、平成9年4月と平成10年6月に国道沿いの家屋で床上浸水が1戸あったことを承知しております。また、知花橋上流においても平成9年4月に浸水被害があったことも確認しております。
しかしながら、河川改修は下流から順次整備していくのが原則でございまして、現在、比謝川中流部を整備推進しているところでございます。
その中で知花橋から下流部1.1キロメートルの未整備区間にあるアカギ群落等の取り扱いについて地元沖縄市及び河川愛護団体との調整にこれまで時間を要してきたところでございます。ことし5月に協議が整ったため、平成11年度から用地買収等の事業推進を図っていきたいと考えております。
なお、国道330号横断暗渠改修につきましては、知花橋下流部を暫定掘削等で早期に河積を確保した上で沖縄市が計画している水辺プラザとの整合を図りながら、また国道の管理者である国とも具体的な調整を進めていきたいと考えております。現在のところ、知花橋下流部のアカギ群落の区間の用地取得が順調に進捗すれば平成13年から14隼度に当該箇所の用地取得に着手できるものと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 嘉陽宗儀君。
〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 土木建築部長に再質問しますけれども、今の答弁はずっとこれまで繰り返してきている範囲内なんですね。
特に330号の暗渠と知花橋はかなりの距離があって、知花橋の下流を整備しなければこの暗渠を改修できないというそういうものじゃないんですよ。距離が離れているし、そこの整備がおくれているから比謝川河川改修をすると別のところで浸水騒ぎが起こるということで従来言ってきていますけれども、それは現実的じゃないということを考えています。
だからやはり実態調査をもう一度きちっとやって、10年前から南部国道事務所とこれは詰めていますということを言っているわけですから、同じことを繰り返さないようにしてぜひ具体的に前に進めてほしいと思います。
それからもう一つ、警察にお聞きしますけれども、これは明確に地区計画があって用途上はパチンコ店をつくれないようになっていますので、皆さん方の姿勢としても、PTAの皆さん方が全部そろって反対陳情もしていると思いますので、ぜひ地域住民の青少年の健全育成、それから環境浄化を心配している皆さん方の要望にこたえて対処してほしいと思いますので、これは要望だけにしておきます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 再質問についてお答えいたします。
質問の内容は、国道330号と知花橋の間は距離があり、両方の整備の区問のとり方については関係ないんじゃないかということと、現実的な対応策を考えるべきじゃないかということについてお答えいたします。
確かに国道330号の区間の約300メートルぐらいの浸水がある箇所と知花橋下流にはかなりの延長があります。その間には一部整備された区間もございます。
河川事業全体の枠が非常に小さいために河川はどの河川もほとんど下流の方から現在整備をしておりまして、現在、知花橋下流の方のあそこに河積の中にアカギがございまして、そのアカギの保存の問題でかなり今まで時間がかかってまいりました。やっと、先ほどお答えしましたようにこのアカギの処理について地元と協議がつきましたので、下流側になりますので、早急にそこの方の用地買収を先に進め、暫定掘削をすることによって河積を約70%ほど確保しましてから、またそういうふうな内容を踏まえてどうしても事業の全体的な見出しの中では特別にそこに事業費を展開することもできませんので、その状況を見ながら、また上流側の方の特に今御質問のあるところの横断暗渠については取り組みをしていきたいと思いま
す。
ただ、確かに横断暗渠が1メートル50ぐらいの小さな暗渠でございます。確かに断面が足りなくて普通河川の上流側の方の部分に浸水が起こっております。これはボックスの断面の足りないのと上流側に複雑な水の集積になっている関係もございまして、その解析等の調査を綿密にやらなければいけないと思います。その意味では水害の被害等の流況の状況等を踏まえながら国道事務所さんとの調整、さらにはプラザ計画との調整を踏まえて今後検討、できるだけ応急でもできるんだったらそういうことも踏まえながら検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後7時6分休憩
午後7時33分再開
再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
大城秀昭君。
〔大城秀昭君登壇〕
○大城秀昭君 結の会を代表して質問を行います。
12分しかありませんので質問を先にして、後で所見を申し上げたいと思います。
まず1点目は、知事の政治姿勢と訪米要請の成果についてであります。
(1)、訪米要請を実施しての知事の成果を含めての率直な感想をお伺いいたします。
(2)、5月18日、ワシントン・タイムズ社でのインタビューについてお伺いいたします。
①、知事コメント(1)、(2)について一報告書でございます県民の前に再度明らかにしていただきたい。
理由は、特に海上ヘリポート問題のキーポイントである部分がこの報告書に盛られております。
きょうはVTRも回っておりますので、ぜひひとつ知事、この問題について詳しく御説明をお願いいたします。
②、その他の質疑応答の中で問い4番目の基地収入と雇用等の関係について報告書でも幾分か触れられておりますが、もっと詳しく御説明をお願いいたします。
(3)、同じく5月18日、国防総省におけるキャンベル国防副次官補のコメントに対する知事の答弁といいますか、コメントを、これも県民の前に明らかにし
ていただきたいと思います。
これもまた、まさに大田知事就任以来の基地問題に対する基本姿勢をずばり強調したことになっておりますので、詳しく御説明ください。
(4)、訪米要請のあり方についてもいろいろ議会内与野党、県内、いろんな形で取りざたされておりますが、本県としては今後も粘り強く訪米要講を続けるべきであり、経費等の問題で問題の本質をすりかえては歴史的な大きな事業は達成できないと、このように思います。
知事の御所見をお聞かせください。
特に現地アメリカでの報道についても先ほどから出ましたが、今度の訪米は環境問題とすりかわったと、こういう言い方もしておりますが、私はむしろ逆だと思いますね。
合意をもらった11施設についても徐々に返還されていって、いざ返還されてからこの環境問題を調査したり取り組んではもう間に合わない。そういう意味では、むしろ今度の訪米の中で知事からありましたように行ってみてびっくりしたと。これ幸いだと思うんですね。金もかかる、時間もかかるということですから。
あるいは、7回も訪米して逆に幾分か時間がたってみると、なぜ7回も行ったのに環境問題をきちっと調査をしなかったかと、こういうことを言われかねない。そういうことを私は思います。
2つ目に、別の環境問題についてお伺いいたします。
環境問題は、今や全地球的課題であり、本県においても赤土流出防止条例等を制定し、その問題解決に特段の努力を払っていることについては評価するところでありますが、ただその成果については、いわゆる厳しく取り締まりをするだけではある意味では期待できない面もあります。
そこで次の2点についてお伺いいたします。
(1)、赤土流出防止条例施行後の成果について土木建築部関係、農林水産部関係が主に発注が多いんですが、県としてはどのように評価しているか。どちらかというと取り締まりは環境保健部、今の文化環境部ですか――になるわけでございますが、どういうふうになっているか、どういう成果がどのように上がっているか、御答弁を願いたいと思います。
(2)、土木建築部、農林水産部関連の工事の積算の中で防災工事、防災工事というと特定の言い方があるようでございますが、要するに赤土やその他の環境汚染に係るようなものに要する経費がどの程度この積算の中に見込まれているのかですね。
私はこの問題を三、四回やっているわけでございますが、できれば20%から25%ぐらい、1億の発注に対してできれば二千四、五百万円ぐらいはそれを防止するための経費に積算をしていただきたいと、こういうことを言い続けてまいりましたが、現在どうなっているのか、お伺いいたします。
3番目に、保養施設等の誘致についてでございます。
(1)、灰聞するところによると、参議院二院クラブの代表島袋宗康議員を中心に、もとの仲問の東京都の青島知事に対して、沖縄にぜひ都の保養地を設置していただきたいということをずっと話し合ったり要請をしたりしているようでございます。すばらしいことだと思います。
そういうことで、これに呼応する形で、相提携する形で県としても東京都に限らず、各都道府県の保養地を沖縄に誘致したらどうかと。
それについて幾分かの行動をしているのかもしれませんが、今状況はどうなっているのか、お答え願いたいと思います。
(2)、京都が先陣を切って沖縄に保養地を設置すれば、特に、避暑地というのはありますが、避寒地というのは、お互い国内では私はやはり沖縄だと。厳寒の特に東北あたりを含めて高齢化していく中でゆったりと長期滞在の保養をしたいということに沖縄は適しているんじゃないかと。
同時にまた、企業関係の保養施設、幾分か現在ありますけれども、これも県を挙げて誘致すべきじゃないか。そのときにやはり敷地や場所、用地が必要であります。返還された跡地も含めて県はその用地確保に各都道府県に呼びかけると同時に、また協力していくべきじゃないかと。
そうこうすることによって例えば北部訓練場、これは東海岸の東村から上の方国頭にまで両村にまたがりますが、両村の村長さんも長期滞在型の保養地をそこに誘致したいということを盛んに、お2人ともまだ1期目の村長ですが、非常に力を入れております。
そういう意味で、ぜひ県としてもこれは支援していくべきじゃないかという気がいたします。
質問は以上でございますが、大田知事が去る15日に3期目への出馬を決意されました。
評価についてきょうの代表質問でかなり出ましたが、特筆すべきことが1つあると思います。
2次振計の当初あたりに話は戻るわけですが、知事が1期目は西銘県政を引き継いで、御自分が掲げた公約と県政の抱える諸課題をにらみ合わせて、十分な調査をしてデータを集めて、いよいよ2期目にはいわゆる21世紀をにらんでのグランドデザイン、私は余り横文字は好きじゃありませんが、要するに将来構想、これを打ち出して、さらにそれを具体化すべく返還跡地の利用、いわゆるタイムスケジュールを組んで2015年までの20年問で返還したその跡地を効率よく、しかも東アジアをにらんで、あるいは国際の物、人の交流地点ということでいわゆる国際都市形成構想、これを策定いたしました。
戦後53年になるわけですが、行政主席時分、屋良さん、平良さん、西銘さん、大田さんとこう来たわけですが、返せ返せとは言ったんですが、返した後、こういうタイムスケジュールで、こういう形で利用していきますというふうに具体化したのはこれは大田県政になってからであります。
そのことを私はここで強調すべきだと。そして大田さんになぜ3期目を決意していただきたいということを私どもも要請したかといいますと、計画半ばであります。せっかくデータを集積して、せっかく具体的な計画を立てて、いざ実践というときにいろいろ難問題はありますけれども、そういうことで私は生みの苦しみだと書ったんですが、いよいよ実践というときに、他の人にバトンタッチもよかろうという気持ちもあるわけですが、しかしながら私は大学の研究活動をおやめになってなぜ知事になられたかというと、今言ったこういう段取りで着々と進めて、少なくとも12年あれば私はその成果が大いに期待できると、こういう気持ちで3選出馬を要請をした一人であります。
そういう意味でひとつぜひ頑張っていただきたいと。
それから国との関係、これも非常に重要でありますが、いろんなプロジェクトは国の協力なしではできませんので重要ではありますが、その前に一国の総理である橋本さんも国民の一人であります。国の行く末を考えてのいろんな意見の闘いはあります。しかし大田さんも沖縄県民のお一人であって、大事なことは両トップとも国をどうするか、県をどうするかと、当然私は大きな声で議論してしかるべきだと、こう思うわけです。
そういう意味では、アメリカ政府に対しても知事は御自分の英語でしゃべって、自分の感情を込めて申し上げられる。これは非常に有利だと私は思います。そういう意味では米国政府に対しても日本政府に対しても大きな声で議論をすべき。そのためにもあと4年は必要であります。そういう思いが非常に強いわけでございます。そういうことで時間がありませんので、琉歌1曲だけ。
銭金に目くらみ 子孫泣かち
沖縄大戦 忘りたるばすい
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 大城秀昭議員の御質問にお答えいたします。
まず、釦事の政治姿勢との関連で、訪米要請を実施しての率直な感想を聞きたいと、1番から4番までの御質問がありますけれども、関連しますので一括してお答えさせていただきます。
今回の訪米要請においては、米国政府や軍関係者等は、SACOの合意の実施を強調しておりましたけれども、ウィリアム・ペリー前国防長官や二一ル・アバクロンビー下院議員やポール・マックヘイル下院議員等は、沖縄側の立場への理解を示してくれました。
この点で、訪米要請については回を重ねるごとに沖縄の訴えに理解や関心を示す人たちがふえてきていると実感しており、その成果が着実に上がっていると考えています。
議員の先生方に、このアメリカでの論文集をたしかお持ちだと思いますけれども、(資料を掲示) お渡しして読んでいただくように申し上げましたが、これを読まれると本当に御理解いただけると思います。
私が勝手なことを言っているんじゃなくて、これを読まれるとアメリカで具体的にどういう議論がなされているかということ、コーエン国防長官も何と言っておられるかというのはこれにちゃんと入っておりますので……(発言する者あり) これを読まれたらひとつ理解できます。
それから、例えばことしの2月に米国の著名な学者、平和活動家など19人が全米各地の個人、団体から400人の賛同署名を集めて沖縄の基地問題に関するアピール文をクリントン大統領あてに提出しております。
また、米国の外交、安保政策に大きな影響力を持つアメリカ上院外交委員会が1997年5月、沖縄の米軍基地に関する決議案を採択し、上院本会議でも同決議案を採択しています。
同じ年の4月にはくハワイ州議会の上下両院において沖縄の米軍基地の整理縮小を求める決議がなされておりますので、基地問題に対する米国の世論や議会の認識は以前に比べて随分と深まったものと思います。
沖縄の米軍基地は、日米問の国と国との条約を根拠にして存在していますので、基地問題を解決するためには日米両国に訴える必要があります。また、米国では世論が国の政策決定に大きな影響力を持っておりますので、県としては今後とも継続して訪米要請活動を実施し、県民の声を直接米国民に伝えていくことは、基地問題の解決のためには極めて重要であると考えています。
それから、訪米報告書5ページに記載されている知事の発言の内容について再度明らかにしてもらいたいという趣旨の御質問でございます。
普天間飛行場の返還問題について私は、ワシントン・タイムズ社のインタビューに答えて、次のような趣旨のことを述べました。
日米両国政府は、SACOの最終報告の重要性を強調しているが、沖縄の人々は自分たちの身近に海上施設が建設されることには強く反対していると。地元名護市民は住民投票を行い海上ヘリ基地 に反対していると。日米両国政府は海上施設を最善の選択であるとしているが、沖縄県は海上施設の機能やどのような環境問題を引き起こすか知らされていない。特に環境問題については、米国会計 検査局の報告書は、海上施設は環境に大きな被害を与える可能性があると指摘していると。また辺野古地区は、県の環境調査で最も保全すべき場所として第1にランクづけされていると。さらにワシ ントン条約で保護されているジュゴンの生息も確認されていると。しかしながら日米両国政府は、引き続き海上施設案が最善の策としている
と。ことしの2月、県は普天間飛行場の代替施設となる海上施設の建設案に反対を表明したが、それは県内世論、県議会の反対決議、名護市の住民投票の結果等の理由で建設案の受け入れは困難だということでありました。
一方、会計検査局及び「SBF海上施設機能分析と運用構想普天間航空基地の移設」と題するレポート、いわゆるSBFレポートは、海上施設の規模、機能及び建設費や維持費について詳細に記述しており、その内容に我々はショックを受けた。例えばSACOの最終報告は、海上施設の建設に5年から7年要するとしているが、GAOレポートは、海上施設の建設は10年を要すると指摘しているしまた日本政府の海上基地の建設基本案は、海上施設の規模を長さ1500メートル、幅600メートルになると述べているが、米国の資料は幅が1000メートルになるし、基地機能も20%強化されるという趣旨のことを述べていると。我々は、海上施設は現在の普天間基地の5分の1になると知らされていたが、実際はそうではない懸念が強いと。
以上のような趣旨のことを述べました。
それから、訪米報告書その他の質疑応答欄に記載されている基地収入や雇用等の関係について詳しく説明してもらいたいという趣旨の御質問でございます。
基地に関連する収入の問題について述べますと、これは実は海兵隊のクルーラク総司令官が私が訪米する前に沖縄に見えまして、我々は随分沖縄の経済に寄与しているんだと。海兵隊だけでも152億と言ったんですかね、125億と言ったんですか、はっきり数字は覚えておりませんが、100億以上の金を使っているという趣旨の発言がありましたので、そのときにも申し上げましたが、また今回クルーラク総司令官はいませんで、その副参謀長のスティール中将とお会いしたときにこの趣旨のことを申し上げました。
つまり、1972年の日本復帰当時において県民総支出に占める基地関連収入、つまり軍人軍属消費支出、軍雇用者所得、軍用地料の割合は15.6%、約16%に上っていたと。観光収入の割合が当時8.2%で、農林水産純生産額が5.7%でありますから、当時の沖縄経済は基地関連収入のウエートが非常に高かったということができますと。
それが平成7年度になりますと、基地関連収入の割合は4.9%に低下し、観光収入は逆に10.7%となっているので、今や観光産業が沖縄県の重要産業となっていると言えると。
また、基地従業員はピーク時には4万人以上もいたけれども、平成9年現在では約8300人に減少しているというようなことを申したわけでございます。
それから、キャンベル国防副次官補との会見でどういうことが言われたか、そしてこちらがどういうことを言ったかという趣旨の御質問にお答えいたします。
キャンベル国防副次官補との会見において、私は次のような趣旨のことを述べました。
沖縄の米軍基地は、安保条約や日米地位協定に基づいて置かれているが、安保条約にも日米地位協定のどこにも沖縄に基地を置くとは書いていないと。また沖縄県民はSACOの議論に参加していない。返還合意された11施設のうち7施設は沖縄県内への移設となっていることが問題が進捗しない原因であると。安保が重要であるというならば、国民等しくその責任と負担を負うべきであると。沖縄県は、日本国土の0.6%しかないが面積から言って、在日米軍専用施設の75%が集中していると。SACO合意を実施し、県内の米軍基地の21%の返還を実現させても、依然として全国の米軍専用施設の70%が沖縄に残るということになると。
このようなありようは不公平、不平等であり、差別的な処遇ではないかと。沖縄本島の約20%は米軍基地に取られ、しかも29の水域と20の空域、これは沖縄の空域の約40%を占めるわけですが、それが米軍の管理下に置かれていると。このような状況は、まるで沖縄が占領地であるかのような印象を与えるではないかということ。
さらに、キャンベル国防副次官補は、米軍と地域とのコミュニケーションの大切さを強調するが、沖縄県側は、例えば海上ヘリポートの実際の規模や機能等大事な点に関する情報を知らされていないと。
また、キャンベル国防副次官補から、沖縄側は一方的に要請ばかりして負担を負わないというような趣旨の発言があったが、沖縄は既に50年以上も基地を負担して日本の安全、アジア・太平洋地域の安全保障に貢献してきたと。我々も日米の友好関係は大事だと認識していると。できるだけ問題解決を図っていくことが大事だと思うと。しかし県民の協力がなければ基地の機能が発揮できないというのは御承知のことであると。我々は意図的に対立しているわけではなく、協力できるものは十分に協力していくという構えであると。ただ、協力する場合には県民が納得できる形でなければならないと。国が基地をつくったり置いたりしているわけだから、県民を納得させるのは国の責任であると。
あらまし、こういう趣旨のことを述べたわけであります。
それから、特に海兵隊の司令部におきましては、いろいろ海兵隊が親善関係に尽くしているようなことを言っておりましたので、そういう関係はこれはお互いに大事だけれども、しかしそれだけでは問題は解決しないと。今申し上げましたように土地の20%も取られ、空域の40%も取られ、それから水域の29カ所も取られるようなことは、これは主権国家とは言えないじゃないかと。ワシントンにもしも同じような状態が起こったとしたら、皆さんはそれを認めますかということを聞いたわけです。
そういうことも言ってアメリカ側の理解を求めたわけでございます。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 文化環境部長。
〔文化環境部長 大城貴代子君登壇〕
○文化環境部長(大城貴代子君) 環境問題につきましての御質問の中で、赤土等流出防止条例施行後の成果についてどのように評価しているかとの御質問にお答えをします。
赤土等の流出防止条例施行後の成果といたしましては、特に土地改良事業や区画整理事業におきまして沈殿池の設置やあぜの設置、緑化等の対策が行われるようになったことなどによりまして開発事業からの赤土等の流出は約5分の1と大幅に減少し、全体といたしましても条例施行前の半分以下に減少するなど一定の成果は上がっているものと評価をしております。
しかしながら、現在でも依然として農地等既存発生源からの赤土等の流出が見られますので、今後はこのような発生源からの流出問題を解決するため、関係機関と連携を図りながら赤土等流出防止対策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 上原幸一君登壇〕
○土木建築部長(上原幸一君) 環境問題についての中で、土木建築部関連の工事費の積算の中で赤土対策に係る分はどの程度見込まれているのかを明らかにしてもらいたいということにお答えします。
赤土等流出防止対策に係る費用につきましては、工事費の積算段階において適切に積算をしているところでございます。赤土等流出防止対策に係る費用の割合は現場の条件によって異なりますが、おおむね3%から7%でございます。
なお、環境条件の脆弱な箇所等につきましては、現場状況等を十分に掌握した上で具体的な対策を計画し、指定箇所等として対応しております。
また、ブルーシート等につきましても当該工事費で計上しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 大城秀昭議員の環境問題についての中で、農林水産部関連の工事等の積算の中で防災工事に係る分はどの程度見込まれているかということの質問にお答えいたします。
農林水産部の関連工事における赤土流出については、圃場勾配の緩和を初めとして沈砂池や土砂ため升、砂防ダム等の設置により防止対策の強化を図っているところであります。
赤土流出防止対策費は、工事費のおおむね14%を占めております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 観光リゾート局長。
〔観光リゾート局長 久場勝治君登壇〕
○観光リゾート局長(久場勝治君) 保養施設等の誘致についての御質問にお答えいたします。
都営の保養施設の本県への誘致について県としても要請行動をすべきと思うがどうか、また用地の確保等について県が積極的に対応をすべきであると考えるがどうか、返還跡地利用も十分可能ではないかとの趣旨の御質問に一括してお答えいたします。
県では、入域観光客500万人の達成や長期滞在型観光の実現のために多様なニーズに対応したリゾート施設の整備充実を図る観点から、低廉な宿泊施設の整備促進は重要であると考えております。
御質問の都営の保養施設の誘致要請は、本県の地域特性を生かしまして東京都との交流を促進する「あったかランド交流構想」の実現に向けまして島袋宗康先生が青島東京都知事に対して行いました要請の一部であると伺っております。構想の実現によりまして過疎地域あるいは離島の活性化、また返還軍用地跡地利用の促進が図られるとの趣旨であると理解をしております。
県といたしましては、地域離島における滞在型観光の拠点の整備を促進する観点からも、同構想の趣旨を踏まえましてその実現方策等を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 平敷昌一君。
〔平敷昌一君登壇〕
○平敷昌一君 新風会も3名にふえまして、いよいよ責任ある会派として今後ますます良識ある行動をとらなければいけないと、このように自覚をいたしております。
それでは代表質問を行います。
戦後50年余が過ぎ、21世紀を目前にして我が国は大変な時代を迎えていると思います。
すなわち、戦後の日本が積み上げてきたさまざまな常識、やり方、シナリオを続けていたら我が国は破局への道を進むのではないか、我々日本人の生活が破滅するのではないかと思われる出来事が次々と起きております。
ここに来て政治、経済、社会のすべてのシステムが50年を経て制度疲労を起こし、抱えてきた矛眉が表面化してきたとしか思えません。
95年ごろは為替相場が1ドル80円台、平均株価が2万円台であったのが今や1ドル140円台、平均株価1万4000円台とダブル安の日本売りの勢いがとまらない。強い日本の象徴とも書えた証券、銀行が崩れ始め、銀行不倒の神話も崩壊をしてしまいました。
雇用も危ない、さらに少子化の進行と超高齢化社会を目前にして、隼金保険制度も危なくなってきたために国民負担率はやがて50%台となるかもしれません。
そうなりますと、可処分所得は著しく減少し勤労意欲は低下をする。まさに世紀末の我が国はすべての面で暗い展望しか見えない寂しい限りであります。
経済だけではございません。政治の面でも直面するさまざまな危機に対応する明確な手法を示し、リードする能力を発揮できずに混迷の状態であります。
昨今の政党は、人脈だけによって離合集散し、分裂と結合を繰り返し、政党の基軸が失われ混迷を来しております。これももとをただせば東西の冷戦構造の崩壊にあると思います。すなわち300の監視塔と鉄条網と地雷原に沿った実に156キロに及ぶ冷戦の象徴であったベルリンの壁は、1989年突如として崩壊し、ソ連及ぴ凍欧諸国の社会主義国家は瞬く間に崩壊をし、世界政治の枠組みを根底から変えたわけです。
と同時に、国内政治にも明確な形で変革をもたらしました。
すなわち、1955年以来一貫して政権を握ってきた自民党の単独政権が93年細川政権の誕生によって、自民、社会の対立を軸とするいわゆる55年体制に終止符が打たれたのは御案内のとおりです。
その結果、一方の極に自由社会を守るという理念を掲げた政党と、他方社会主義国家を目指すことを精神とした政党との言わば水と油の関係が結合した。それによって基本的な政界の対立軸は目標を失って混迷状態に陥ってしまったというわけであります。
また我々の生活もかつての義理やしきたり、なれや惰性、過去から引き継いだ制度や流儀によって決められなくなってしまったわけであります。日本経済の閉塞状況、さらに分裂と結合を繰り返す政党政治の混迷状況はだれしもが世紀末の過渡期と認める現象であると思います。
さて、そこで県政においても大きな転換期、過渡期を迎え重要課題を抱えておりますけれども、その対応にとって真に必要なことはイデオロギー対立、保革の対立、与野党対立のいわゆる伝統的な政治構図や過去の意識構造はもはや遺物でしかなく、否定されつつある過去は乗り越えなければならないと私はこのように考えます。
議院内閣制度の国政においては与野党の対立は必要であるかもしれません。しかし地方議会においては与野党の存在する理由は見出し得ないのであります。さらに保守・革新の色分けで与野党の枠紐みをつくりたがるいわゆる身内、よそ者という伝統的な日本人の意識構造、これです、これは必要ないと思います。確かにかつては保守・革新の概念基準が明確な時期がありました。しかし94年、保守の旗頭である自民党と革新の旗頭である社会党が連立政権を樹立して以来、保革の概念形成も不明確となり、今ではマスコミ用語としてひとり歩きしている状況ではないかと私は思います。
ですから、伝統的政治構図にとらわれずに事案ごとに政策の上で体系的に選択枠組みをつくる、つまり政策手法別対立集団に改めたらどうだろうかとこのように考えます。
我々新風会が与党集団から離脱をして中立を標榜したのもそういう理由からであります。
以上、所感を述べ以下質問をいたします。
1つ、離合集散を繰り返す国内政局の混迷状態を知事はどのように認識しておられるか、お聞かせを願いたいと思います。
2つ目、県内政局における与野党枠組みの現状と今後のあり方、知事には知事なりの考えを当然持っておられると思いますので、その考えをお聞かせ願いたいと思います。
3点目、知事は保守、革新の定義、それと対立構図についてどのように考えておられるか。また知事御自身は保守系ですか、それとも革新系のいずれでありますかをお聞かせ願いたいと思います。
4点目、中立会派新風会の存在をどう評価しておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
次に、新石垣空港問題ですが、県は7年がかりで宮良牧中に位置選定をされました。しかし地権者の合意は難航しているようです。地権者の中には優良農地を子々孫々に残すため断固反対を主張しているようです。
そうした現状では、早期着工を目指す県及び地元郡民の願いとは裏腹に10年、20年たっても完成しないことが予想されます。
ところで、宮良川土地改良事業はこれまで約500億を投じて圃場整備、かんがい排水整備、農道整備等が行われた優良農地であります。
沖縄県は、要整備面積のうち整備済みはおよそ45%、かんがい排水事業に至ってはまだ13%の整備率でしかありません。また耕地面積は平成4年の4万7000ヘクタールをピークに年々減少しております。毎年農地開発事業等で200ヘクタールを拡張します。一方で年々700ヘクタールを壊廃しているんです。限りなく農地をつぶしているわけです。現在およそ4万4000ヘクタールまで減少しているのが実態です。
農地あっての農業振興であります。莫大な公費を投入した優良農地を壊廃し、農業振興を叫ぶ一方で農地の転用を推進しているのが県の現状でございます。
ところで、国民性を表現する例え話でこういうのがあります。
イギリス人は歩きながら考える。これは物事を多角的に見て実態の動きと変化に柔軟に対応する思考、つまり計画、理想ですね、理想と現実のギャップを埋めながら進むタイプのことと思いますね。
一方、フランス人は考えた後に走る。これは極めて論理的であらかじめ行動基準を設定して、途中障害があっても迂回をしない。トンネルを掘ってでも当初の設定基準を曲げない、いわゆる頑固タイプということになると思う。
またスペイン人は走って後に考える。これは行動的かつ楽天的で行動優先のタイプだと。
私は、計画とつまり理想と現実のギャップを埋めながら柔軟に対応するタイプ、これが好きです。その方が物事は早く片づくと思うからであります。
そこで以下質問します。
知事は、現実と計画のギャップがあれば柔軟に対応するタイプ、つまりイギリス人タイプですか、それとも行動基準を途中で曲げない論理優先のタイプですか、御自身でどのタイプだとお考えですか。
2点目、新石垣空港を早期に着工するには県の選定した宮良を凍結し、地元の皆さんに位置選定を任せる考えはございませんか。あくまでも既定方針どおり進めるおつもりですか。
3点目、県はいかなる場合でもこれだけの農地を守るんだという農地保有ガイドラインを持っておられるか。当然持つべきだと思いますが、あるのであれば御説明願いたい。
4点目、農林水産部長はこれは新聞報道によりますけれども、宮良土地改良区の転用を推進しているということが記事にありました。農地壊廃推進の理由を御説明願いたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 平敷昌一議員の御質問にお答えいたします。
人脈により離合集散を繰り返す国内政局の混迷状態を知事はどう認識するかという御質問でございます。
ちょっとお答えしにくい難しい質問でございますが、国政における政党の枠組みにつきましてはそれぞれの公党の自由意思によってなされているものであると理解しておりますが、国民の多様化する価値観や経済不況下で国政のあるべき姿について政策を競い合いながらそれらの政策を実現できるすぐれたリーダーを求めて政党の再編が繰り返されていると認識しています。
次に、県議会における保・革、与野党の枠組みの現状とあり方についてどう考えるか、保守・革新の定義と対立構図をどう考えるか、また知事は保革どちらかという趣旨の御質問でございます。一括してお答えいたします。
地方公共団体の議会は間接民主制のもとにおいて住民意思を代表する機関でありますが、政治上の主義もしくは政策を実現するために結成された政党のいずれを選択するかは県民一人一人の自由意思によるものと考えています。
したがって県議会の構成は県民の多様化した意見をほぼ反映したものと考えています。
なお、私はいわゆる革新・中道勢力を初め多くの県民の支持、支援を得て知事に就任しているところでありますが、県政の運営に当たっては可能な限り多くの県民の負託にこたえるべく県勢の発展と県民福祉の向上に全力を傾けているところであります。
それから、中立会派の新風会をどう評価するかという御質問でございます。
新風会は、地域の独自性を生かし議会の活性化と魅力ある地方政治を目指すとともに、県政に対しては中立的立場で対応するものと理解しております。新風会には、これまで県政運営に当たっての建設的な御提言や御協力をいただきました。
私は、県民生活の安定向上が着実に前進するよう諸施策を推進し、平和で活力に満ち潤いのある県づくりに努めていく考えでありますので、これからも御支援をいただけたら大変ありがたいと思います。
次に、これもちょっと難しい質問でございますが、知事は計画と現実にギャップがあれば柔軟に対応する歩きながら考えるイギリス人タイプか、行動基準を変えない理論優先の考えてから走るフランス人のタイプですかという御質問でございます。
あえて言えば歩きながら考えるイギリス人タイプだと思いますけれども、しかしこれは時と場合によりまして、ケースによってはフランス人タイプになる場合もあるのかなというふうに考えております。
それから、新石垣空港問題についての御質問でございますが、早期着工のため位置選定した宮良を凍結し地元に位置選定を任せる考えはないかという趣旨の御質問でございます。
新石垣空港の建設候補地につきましては、長い期間をかけて一連の合意形成作業に努めてきたのを初め、新石垣空港建設位置検討委員会の提言や庁内の新石垣空港建設対策協議会の報告、これまでの事業実施に至らなかった経緯等を踏まえ、慎重に検討を重ねて宮良案を選定したものであります。
また地元から提起のあった課題等については、一連の調査の結果から宮良地区は技術的に問題はないと判断し、新石垣空港の建設位置として決定いたしました。
ところが先ほども質問がありましたように、本日の石垣市議会で建設位置については同意を得ることができませんでしたことは残念でございますが、新石垣空港の建設については八重山郡民の強い要望があるほか、現空港の滑走路が十分な長さにないことなどを考慮しますと、引き続き合意形成に全力を傾け早期着工に向けて取り組む必要があると考えております。
その他の御質間につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 新石垣空港についての関連で、農地保全・確保のガイドラインを持っているかという御質問にお答えいたします。
優良農地の保全・確保は、農政の基本であります。このため県としましては、農業振興地域の整備に関する法律や農地法の適正な運用に努め農地の保全・確保を図っております。
石垣市における農地保全・確保のガイドラインとしては、県が策定する農業振興地域整備基本方針や石垣市が策定する石垣農業振興地域整備計画において保全すべき農用地区域等を定めており、これがガイドラインに相当するものと理解しております。
なお、農業振興地域整備計画については経済事情の変動、その他の情勢の推移により必要が生じたときはおおむね5年ごとに見直しを行っております。
それから同じく新石垣空港について、農林水産部長は宮良土地改良地区の転用を推進しているが、理由を説明せよとの御質問にお答えします。
優良農地の保全・確保は、農業振興を図る上で極めて重要であります。
県は、平成10年4月23日に新石垣空港の建設場所について宮良地区が適地であると決定しております。空港は公共性が極めて高い施設であり、地域の振興を図る上で農地の一部が転用されることはやむを得ないものと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 平敷昌一君。
〔平敷昌一君登壇〕
○平敷昌一君 再質問をいたします。
知事は考えながら歩くタイプだと、つまり柔軟に物事に対処するタイプですよと、時には設定基準どおりいくこともあるという御説明でございました。
これは私は、やはり設定基準をつくったからといってトンネルを掘ってでも進むということじゃなくして、理想と現実のギャップを埋めながら問題があればそこを避けて通るという柔軟な行政処理の方が早くなるんではないかと、石垣の場合もまさにそうではないかということでぜひそのように対処していただきたいと思います。
そこで保守・革新の定義はどう思いますかと、知事御自身は保守ですか革新ですかという質問に対して、知事は、私は革新・中道勢力の支持を得て知事に就任をしましたという答えをしておられるんです。したがって私の質問には答えておられないんですね。
そこで知事が答弁されて、私は革新・中道勢力の支持を得て知事に就任しておりますという答弁の革新、中道の意味はどう走義されますか。よろしければ御答弁願います。
それから農林水産部長、空港は公共性が極めて高いので地域振興を図る上で農地転用はやむを得ないという答弁をされました。
それでは圃場整備、かんがい排水施設、農道整備の済んだ優良農地をそっくり空港用地に転用した事例がありますか、あれば説明してください。
以上です。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 保守・革新の定義はいろいろあると思いますが、一般的には保守という場合にコンサーバティブという言葉が英語では使われます。それから革新という場合はプログレッシブという言葉が使われるわけでございますが、この歴史的な背景を見てみますと、極めて封建的なその社会体制あるいは政治体制があって、その旧来のそのような制度を保持しようとすることによって自分が利益を得ると、もしくは自分のグループが利益を得ると判断した場合にはその旧来の利益を擁護する立場に立つわけですね。
それに対して、封建的なものをより民衆の利益を図る、つまり封建的、制度的というのはある種の一定の特権グループを保護するというようなそういう立場に立つ人々、それに執着するような人々、それに対してそのような特定の権力者だけを特権階級だけを保護するのではなくて、より人民大衆の利益を図ろうとするためにそのような伝統的な封建主義的な体制を変えていこうとする人々、これを革新勢力というふうに言うわけですね。
ですから、それをまた別の面で見ますと、例えば資本主義制度に執着するような人々と社会主義制度に執着する人々を保守対革新というような言い方も従来はあったのは御承知のとおりであります。
中道というのはその中問の人々、すなわちある場合には保守的にもなれば、ある場合には革新的にもなると。普通にはどっちつかずというか、その明確にその意思を表明しないそういった側面があると思います。
私はどちらかといいますと、私は、ある特定の人々の刺益を図るよりは、より多くの人たちの利益を図る立場、そういう意味から私は革新だと思います。そういう意味で言えば革新だと思います。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 再質問の中で圃場整備をした地区が全面的に空港用地に転用した事例があるかという御質間でございますが、これについてはまだ調査してございませんで即答しかねるところであります。
○議長(友寄信助君) 高良政彦君。
〔高良政彦君登壇〕
○高良政彦君 それでは通告に従って公明県議団を代表して質問を行います。
まず、地方の景気、不景気は国の経済政策でほぼ八、九割は決まります。
今、国全体が長期の不況のどん底にあり、その影響で沖縄も例外ではありません。しかしそのような状況のもとでも、沖縄の経済振興はどうしても政府の力をかりなければならないというのが沖縄の置かれた実情であります。したがって政府との協力関係は極めて重要かと考えます。
ところが、昨年大田知事が普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沖への移設反対表明以来、県と政府間が膠着状態となり、このことが沖縄の経済振興にまで影響を与えつつあると考えますが、今後どのような打開策を考えておられるのか、お伺いいたします。
普天間基地のキャンプ・シュワブ沖への移設は住民投票の反対の結果を受けてノーと言ったわけであり、また今のところ代案もない。知事は現実的なとか、柔軟な対応という言葉すら今は使えない。そのような言葉を使うとすぐ海上基地移設オーケーかというような意味かと勘ぐられる、こういうことで悩んでおられます。
また橋本総理も、米国と海上基地移設を約束をしただけに今すぐ他の案というわけにはいかず、そういう背景があって県、政府の間が膠着状態となっておるわけであります。しかし実際は日米において技術的な面で例えば琉大の永井実教授や科学技術庁に勤めているハミルトン氏等から海上移動式も十分可能とのそういう提案、指摘もありますが、知事はこの膠着状態をいつごろ修復できるとお考えか。また日米両政府から他の案が出てくる可能性はあるとお考えか、御所見を賜りたいと思います。
冷却期間を置けば何とか打開策が出てくるだろうというような成り行き任せというわけにはいかないと思います。なぜならばタイミングを失すると知事の描いておられる国際都市構想や県経済の自立化へも影響を与えかねない要素をはらんでいると私どもは見ているからであります。
大田知事の今後の大きな課題は、柔軟な政治姿勢を強く発揮できるかどうかと考えます。また多くの県民も知事に柔軟な対応の仕方を求めております。
知事は、基地問題を初め経済間題、中小企業の活性化の問題、失業対策等最も心を砕かれ懸命に対応をしており、また相当の成果も出ております。しかし昨今の県民の大多数は知事は基地問題しか頭になく、経済問題への取り組み方が弱いとこのように受け取られており、知事の実際の政治姿勢と一般の県民の受けとめ方の間には相当の乖離があるのも事実であります。
政治的な反対勢力の宣伝であり、雑音だというようなとらえ方がいわゆる革新勢力の中にありますが、これではますます県民の心が離れていきかねません。この点についての知事の御認識を賜りたいと思います。
知事は、常々政治の世界ではオール・オア・ナッシングでは物事は解決しないとおっしゃっております。この際、革新というしがらみを取り払って129万県民の知事であるという強い認識を持たれて知事としての裁量権、あるいはフリーハンドと申しますかもっと大所高所から広い立場から物事が判断できるような政治姿勢を強く持つべきではないでしょうか。あらゆる問題に弾力的に柔軟に対応ができる、いわゆる「全体人間」がトップの姿勢としては重要かと考えます。
革新ということだけに縛られ、そこだけに軸足を置いて物事を判断すると柔軟性を失い、複雑で変化の激しい政治の世界では的確な対応ができなくなるおそれがあります。
県と政府との間の膠着状態あるいは閉塞状態、そして知事の政治姿勢と県民の間に乖離が広がりつつあるのも最大の原因はここにあると考えますが、知事はどのようにこれを御認識をされているのか、御答弁をお願いいたします。
那覇軍港は返還が決まってから20数年が経過しておりますが、いまだ返還は実現しておりません。今後那覇軍港問題について柔軟な対応が求められると思いますが、どうか。
知事はよくシーメンズクラブの例を出されます。すなわち移設に反対されたが将来撤去を条件に賛成をしてもらい、跡地に7000人収容の立派な武道館ができたと述べております。那覇軍港についてもこのような対応の可能性があるのかどうか。
沖縄はあと3ないし4年が勝負のときだと考えます。その理由は北朝鮮問題、これはあと2ないし3年では見通しがつくでしょう。次に3次振計が終了します。3つ目は香港の地位が低下しつつあり、そのかわりの台頭がアジア諸国で起こってきております。4つ目はアメリカは景気だ景気だと言っておりますけれども、財政は厳しいものがあり、国内外の基地の縮小を進めております。
これらの動きを見ると、沖縄はこの3ないし4年で経済の自立の基盤をしっかりつくらないと将来取り返しのつかない結果となりかねないと考えます。政府と県との協力関係を早く修復して県経済の自立化へ向けて、政府の力がスムーズに導入できる条件を整えることは急がなければなりません。
その理由は、アメリカ側の理由あるいは外的条件の変化によって基地が返還された後では間に合わないからであります。基地を抱える市町村の基地撤去後の備えがほとんどありません。これもあすは基地はなくなるぞというぐらいの決意と覚悟で早く取り組むべきと考えます。
基地の跡地内の環境問題、基地関係市町村の財政の問題、地主への3年補償の7年から10年への延長問題、基地従業員の転職、生活の保障問題等国の責任でこれらの問題に取り組むことを義務づける跡地利用のための特別立法を早急にやる必要があると考えますがどうか。
基地内の環境問題は深刻です。基地内の環境調査ができるように日米地位協定を見直すべきであるが、御答弁をお願いいたします。
フリーゾーンについて。
沖振法の改正と特別自由貿易地域制度について、国は今回の沖振法の改正で沖縄の経済振興策はすべてよしとするような考え方がありますが、中身は県側の要望と大きなずれがあります。今後もこれらの不備な面を一つ一つ実現させないと、本当の意味での一国二制度的なダイナミックな経済の活性化は厳しいと思います。中途半端になるおそれがあると思うので、次の点の改善努力を全力を挙げて推進すべきと思いますがどうか。
まず、全県FTZを2005年に本当に政府は実施するのか。県は実施をさせるように努力を怠ってはならないと考えます。
FTZ内のみに適用される税制上、制度上の優遇措置は中城湾港地区のみで極めて限定的で、本来のFTZとしての力が十分発揮できないと思われます。既存の地域や豊見城埋立地先にも適用されるように早急に急ぐべきだと考えます。
それから、外国貨物の関税や内国消費税の免除措置も早急に実現させるべきであります。
最後に、今後さらに法的にあるいは制度的に本来のフリーゾーンとして十分に機能を発揮するための改善すべき点は何なのか、これを示していただきたいと思います。
以上でございます。
ちょっと時間が窮屈で早口で申し上げましたけれども、よろしくお願いします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 高良政彦議員の御質問にお答えいたします。
普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沖への移設反対で県と政府問が膠着状態となっているが、今後どのような打開策を考えているのかという趣旨の御質問でございます。
橋本総理は、去る2月16日の施政方針演説の中で、沖縄の米軍施設・区域の整理・統合・縮小に引き続き全力を挙げるとともに、沖縄の振興にも最大限努力する決意であり、特別自由貿易地域制度の創設などを内容とする法案の成立を期するという趣旨の発言をされています。
さらに、県が要望していた特別自由貿易地域制度の創設などを盛り込んだ沖縄振興開発特別措置法の改正案が去る2月13日に閣議決定され、3月30日国会で成立していることは御承知のとおりでございます。
この改正によって県の特別自由貿易地域においては、製造業、倉庫業またはこん包業を営む企業に対して35%の法人税の所得控除が適用され、公的な金融機関による特別な低利の融資制度も利用できるなど本県への投資環境の整備が図られたものと考えています。
また、国は去る3月24日の経済対策閣僚会議において、過去最大規模となる16兆6500億円の総合経済対策を決定し、県もこの対策を受け約477億円の総合経済対策を講じております。
このようなことから橋本総理や政府関係者は、本県の米軍基地問題や振興策について引き続き前向きに取り組んでいただいているものと思っています。
本県の米軍基地問題の解決や振興策のためには国の支援が高良議員も御指摘のように不可欠であり、県としては本県が抱えている諸課題の解決について国の理解が得られるよう引き続き働きかけていきたいと考えています。
なお、政府の海上ヘリポート基本案については、県としては受け入れられないと判断した事情や経緯について宮平副知事が2月19日、3月27日及び4月2日にわたって古川官房副長官や村岡官房長官と面談し、また政府審議官らと県のスタッフの意見交換の場等を通じても政府に対し県の立場への理解を求めてきたところであり、今後とも政府との信頼関係の保持に努めてまいりたいと考えています。
次に、海上ヘリポート問題との関連で、日米両国政府から他の案が出てくる可能性はあると考えるかという趣旨の御質問でございます。
これは今の段階で明確に申し上げることは困難ですけれども、先ほど紹介しましたアメリカの論文集などの中にキッシンジャー元国務長官とかコーエン現国防長官の発言などで代替案らしいことに触れた箇所がありまして、その政府のそういうかつての高官または現在の責任者が柔軟に対応する姿勢を見せておりますので、私は可能性はないとは言えないと思います。
それから、昨今の県民の大多数は知事は基地問題しか頭にない、経済問題の取り組みが弱いと受け取っているが、この点についての知事の認識を問うという趣旨の御質問でございます。
ある意味では、これは我が方のいわば広報の弱さに起因する点があると思いますが、きょうの御質問に対する答弁でもおわかりのように決して基地問題だけに頭がいっぱいではなくて、産業問題についても農業問題についても、また福祉問題についても教育問題についても私は行政の責任者として十分に配慮し、それぞれの分野の振興策を図っていく諸施策を全力を挙げて推進しているところでございます。ですから基地問題だけにとらわれているわけではございませんので、御理解賜りたいと思います。
それから政治姿勢との関連で、もっと大所高所から物事を判断できるような政治姿勢を持つべきではないかと、県と政府との膠着状態や知事の政治姿勢と県民の間に乖離が生じている原因がここにあると考えるがどうかという趣旨の御質間でございます。
この点につきましても、当然のこととして行政に当たる場合には大所高所から物事を考えるのが責任者の務めだと思いますので、そのように努力しております。
ただ、沖縄が直面している問題というのは、基地問題にしても経済問題にしてもその他もろもろの問題が非常に難しい側面をずっと背負ってきておりまして、そういった面で今、一般的に県民がどう批判しているとかという言葉もいろいろございますけれども、私のところにたくさんの激励の手紙も来ておりまして、そういう面から考えますと必ずしも私の方が県民の立場を忘れて一方的に傾いた判断、行動をしているというふうには受け取っていないのではないかという気もしますけれども、しかし御指摘のようなことがあるとすれば慎重にそういう人たちの誤解を解くように努力していきたいと考えております。
それから、那覇軍港についても柔軟な対応が必要ではないかという趣旨の御質問でございますけれども、基地の県内移設についてはもう毎度申しておりますように基本酌に反対でありますが、この移設の問題につきましてはこれまでも何度も申し上げてきましたように、まず施設の提供責任者である国が移設先とされるところの関係市町村と話し合うべきだと考えております。
それから、県としては関係市町村の意向等も十分に踏まえながら、必要な段階では国際都市形成の課題等を勘案して県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えております。
那覇港は、御承知のように国際都市形成構想の中でハブ機能を持った港湾として位置づけられていることから、その管理については那覇市及び浦添市から要請を受けて、現在県、那覇市及び浦添市の3者による一部事務組合管理の方向で検討しているところであります。
なお、先ほども御質問が出ましたけれども、那覇、浦添の商工会議所において那覇港湾はハブ港湾として振興を図るために、那覇軍港の機能を浦添埠頭へ移設して軍民共用を認めるという構想があるがどうかという趣旨の御質問がありましたが、県としてはまだそういう要望を聞いておりませんので、今のところ何とも申し上げられませんが、いずれにいたしましても基地の那覇軍港の機能移設といいますか、那覇軍港を返してもらうということは、軍港の場所が沖縄のいわば玄関口にも等しいところでありますので、最善を尽くして解決に向けて努力したいと考えております。
それから、政府と県との協力関係を早く修復して県経済の自立化に向けて政府の力がスムーズに導入できるような条件を整えることについて答弁願いたいという趣旨の御質問があります。
私は、政府との関係においては常に緊密な関係を保ちたいと考え、協力できるものは協力するという姿勢を持っています。
しかしながら基地問題、とりわけ普天間飛行場の移設問題については、これまでも何度も御説明申し上げましたようにいろいろな経緯がございましてお受けするのは厳しいということを率直に申し上げてきたわけでございます。
したがいまして、その打開策については正直のところ大変苦労しているところでございますが、昨年4月に沖縄における基地問題並びに地域振興に関する国会決議というものがなされまして、総理もその趣旨を踏まえ今後とも一層の努力を払うとの趣旨のことを述べておりますので……。
また、経済問題につきましても今申し上げましたように総理も県昆に対して十分に配慮する趣旨の発言をされておりますから、それを踏まえましてできるだけ早い時期にお会いできるときにお会いいたしまして誠意を尽くして県の実情を申し上げ、そして解決に向けて何か話し合いができないかということについて努力していきたいと考えております。
経済問題につきましても、これまでの御質問でお答えいたしましたように誠意を持って経済発展を図っていかなければ雇用問題の解決も厳しいわけですから、当然の責務として経済の発展についても真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
それから、基地内も環境調査ができるように日米地位協定を見直すべきではないかという趣旨の御質問でございます。
米軍基地の環境問題につきましては、基地内の問題にとどまらず基地周辺の住民の生活環境の破壊及び健康障害等につながる危険性が極めて高い重要な課題であると考えています。
また、今回の訪米要請事業においても、米軍基地の環境汚染の浄化については莫大な費用と長い年月を要し、基地返還跡地を再開発する上で深刻な課題であることを再認識してきたところであります。ですから県としては、米軍基地の環境問題を県政の最重要課題の一つとして位置づけ、環境調査及び環境浄化に関する法制度上の問題点や基地内の環境調査に関する手法などについて調査研究するため、県庁内に関係課・室で構成する米軍基地の環境調査及ぴ環境浄化に関する庁内研究会を去る6月22日に発足させたところでございます。
今後は、米軍基地の環境問題については、御指摘のように地位協定の見直しの問題も含めまして、さらに新たに環境に関する立法措置の要請も視野に入れて真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、全県フリーゾーンを2005年に本当に政府は実施するのか、県は実施させるよう努力を怠ってはならないと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
自由貿易地域の展開については、当面中城湾港新港地区等への拡大展開を図り、2005年を目途に諸条件が整い次第全県自由貿易地域制度を導入することを目標としています。
全県自由貿易地域制度の導入については、国の委託を受けた総合研究開発機構、すなわちNIRAの最終報告書の中でも、さらに議論を深め、その全体的枠組みを確定する必要があると提言されています。県としましてはこのことを踏まえ、今後農林水産業、既存企業等の振興やインフラの整備など諸条件の整備を行う中で引き続き国と協議していきたいと考えております。
それから、投資減税や法人税の軽減措置などが適用される地域が中城湾港地区のみで、既存の那覇地区や豊見城の埋立地や既存の工場には適用されない、これでは本来のフリー・トレード・ゾーンの力は発揮できないが早急に適用させるべきではないかという趣旨の御質問でございます。
県においては、現在中城湾港新港地区内の約100ヘクタールを特別自由貿易地域として指定を受けるために実施計画を策定しているところであります。豊見城地先地区についても特別自由貿易地域へ指定できるような方向で検討していく考えであります。
去る4月1日に施行された改正沖縄振興開発特別措置法においては、法人税の35%の軽減措置は特別自由貿易地域以外には適用されません。しかしながら投資減税などの優遇措置は自由貿易地域那覇地区や工業等開発地区にも適用されます。
また、関税免除などの特例措置や既存工場をも対象としたサブゾーンの設置などを内容とする自由貿易地域制度のあり方については、引き続き国に対して要望していく考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
〔地域・離島振興局長 具志堅強志君登壇〕
○地域・離島振興局長(具志堅強志君) 基地問題についての、基地を抱える市町村の基地撤去後の備えがほとんどないがどう考えるかとの御質問にお答えします。
基地収入に依存した財政構造となっている市町村においては、基地返還に備えて基地収入に頼らない財政構造に変えていくことは十分時間をかけて対応すべき重要な課題であります。
基地収入に頼らない方策としては、例えばあらかじめ基地交付金等の一部を基金等に積み立てる方法、あるいは軍用地跡地利用計画を策定し市町村有地の返還跡地に研究所等国立の施設を誘致し、基地返還後も国等が継続使用することにより財産貸付収入の確保を図る方法、また返還跡地への商工業等の誘致により民間の経済活動を活性化し、基地収入にかわる税源の涵養を図ることなどが考えられます。
あわせてこれら市町村においては、返還後の厳しい財政状況に対処するため行財政改革を一層推進するとともに、中長期の財政計画を策定し計画的な財政運営を図る必要があります。
県としましても、沖縄県基地交付金関係市町村連絡会議幹事会、この連絡会議は28団体で構成されているわけでございますが、その連絡会議の幹事会へ検討事項として「基地収入に頼らない行財政運営について」を提案したところであり、今後とも関係市町村と連携を図りながら検討していきたいと考えております。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 基地間題との関連で、基地跡地内の環境問題、財政の問題、地主への補償の延長問題等特別立法を早急にやる必要があると考えるがどうかとの御質問でございます。
駐留軍用地の跡地利用に当たりましては、環境対策、駐留軍離職者対策、地権者対策、経済開発等解決すべき多くの問題が出てまいります。これらの問題に関しましては、現在、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律、いわゆる軍転特措法、それから駐留軍関係離職者等臨時措置法等個別の法令で対応しておりますが十分ではないと考えています。
地権者対策につきましては、支給期間の延長等を含めた軍転特措法の改正の要請を検討しております。
また、環境対策につきましては、先ほど知事からもお答えいたしましたように問題点や対策の研究を行うため県庁の関係課や室で構成する庁内研究会を新たに設置をいたしております。
これらのことも踏まえまして跡地利用が円滑に進められるよう、所要の制度上の措置を検討していく必要があると考えています。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 宮城弘岩君登壇〕
○商工労働部長(宮城弘岩君) 高良議員の御質問にお答えいたします。
外国貨物の関税や内国消費税の免除措置も早急に実現させるべきと考えるがどうかということでございますが、県は昨年11月、「国際都市形成に向けた新たな産業振興策」を取りまとめ、沖縄政策協議会に提出しました。
その中で自由貿易地域の新たな展開に向けた制度の拡充・強化に関する具体的な項目として、域内生産等に使用する外国貨物に係る関税及び消費税の非課税並びに域内から国内に搬入される製品について関税を免除するなどの特例措置を要望しております。
その結果、今回の沖振法の一部改正において税制上の優遇措置のほか、関税の課税の選択課税が設置されたところでございます。
したがいまして関税、消費税を免除する自由貿易地域制度や既存工場なども自由貿易地域と同様のメリットが受けられるよう個々の企業を指定するサブゾーン制度など自由貿易地域のあり方については国に対し引き続き要望してまいりたいと考えております。
次に、今後さらに法的あるいは制度的に本来のフリーゾーンとして十分に機能を発揮するための改善すべき点を示してもらいたいという御質問にお答えいたします。
今後、自由貿易地域を活用した企業の立地促進と貿易の振興を図っていくためには、改正沖振法により設置された法人税の軽減等税制上の優遇措置に加え、自由貿易地域本来の機能を確立する必要があります。
具体的に申し上げますと、自由貿易地域制度の関税法上の法的定義及びその他法的体系の整備でございます。
2番目に、自由貿易地域内と域外との価格差をなくすための全県的な指定工場制(サブゾーン)の導入です。
3番目に、自由貿易地域は輸入原材料が自由に加工・製造できる輸入管理令の適用除外地域にすること。
次に、関税の選択課税制度に係る適用対象品目の拡大または域内から国内に搬入される製品について関税をゼロにするなどの特例措置の検討。
それから、入居企業に対し一元的に行政サービスの提供が可能とする沖振法28条を活用した特別法人等の設置等が挙げられます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、6月29日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後9時1分散会
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