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平成21年(2009年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 6月24日
吉元 義彦
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皆さん、こんにちは。
県議会100年の節目を迎えた定例会において、代表質問の機会を得られ大変光栄に思います。
それでは、自由民主党を代表しまして代表質問を行います。
まず、県経済の活性化についてであります。
(1)、経済危機対策について。
100年に一度と言われる世界的経済危機の影響で日本経済はかつてない不況の波を受け、国内景気の悪化は予想を超えたものとなっております。
本県においては、中小零細企業の占める割合が高く企業体力が脆弱なことから、企業の倒産、休業が増加している状況にあり、特に昨年末から続いている観光客数の減少傾向は本県経済に大きな影響を与えております。
このような未曾有の経済危機に対処するため、我が党は、まず政局より景気対策を第一とし、景気後退と金融危機が実体経済に影響を及ぼしている中、国民生活と日本経済を守るため、当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には改革による経済対策の3段階で経済財政政策を進め、3年以内の景気回復を目指し、さらに状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に取り組んでいるところであります。
具体的には、総額約75兆円規模の最大規模の経済対策、さらに財政支出約15兆円、事業規模総額約57兆円規模の追加経済対策により、中小企業の資金繰りや雇用の維持、さらに生活者支援、地方への交付金の増額などにより景気の回復を図っているところであります。
最近は、政府の中小企業資金繰り対策である緊急保証制度などにより企業に対する支援効果も出てきており、ここに来て政府の経済対策の効果が出てきたことは間違いないと考えます。
県においても、県単独予算や国の緊急経済対策を受けた県内経済対策を積極的に進めており、さらに、今回国の経済危機対策に対応し雇用対策の拡充強化等を行うため、過去3番目に多い大型補正予算を措置するなど総合経済対策を進めており、評価するものであります。
そこで伺います。
ア、100年に一度と言われる危機的な世界的経済金融情勢の中、国民生活と日本経済を守るため実施している財政支出約15兆円、事業規模で総額約57兆円に達する追加対策について、本県に対する配分と県経済に与える効果を知事はどのように評価しているか伺います。
イ、政府の雇用調整助成金の概要と本県における利用状況について、また、雇用維持にどのような効果を及ぼしているか伺います。
ウ、政府の中小・小規模企業等の資金繰り対策に伴う県内における金融機関の融資や信用保証協会の緊急保証の実施状況とその効果について伺います。
エ、政府は、生活者支援として、地域における医療体制への支援、安心して子供が産めるように支援を実施しているが、本県においてはどのような事業を実施しているか。
オ、定額給付金交付の実施について、本県における交付総額と効果、県民の評価について伺います。
カ、政府の経済対策として、地方に対し、地方の活力のための交付金や雇用創出のための地方交付税等を増額しているが、本県に対する支援はどのようになっているか伺います。
キ、政府の経済危機対策を受け、今回実施する経済対策の主な事業と予算額及び県経済への波及効果等について伺います。
ク、経済危機対策による地域活性化臨時交付金について、その概要と主な事業について伺います。
ケ、地域活性化・公共投資臨時交付金について、その概要と主な事業について伺います。
コ、子育て応援特別手当について、その概要と支給対象について伺いたい。
2、農林水産業の振興について。
本県農林水産業は、県民への安全かつ安定的な農林水産物の供給を通して、健康で豊かな長寿県沖縄の食生活の向上に大きく貢献するとともに、地域経済の発展にも大きな役割を果たしております。
しかしながら、近年、従事者の高齢化や後継者不足が慢性化し、今後の経営維持に強い危機感を抱いております。
我が国は、食料自給率の向上が大きな課題となっており、そのためには農業や漁業の後継者の育成確保は絶対条件であります。
特に本県は、耕地面積の狭小性、農繁期における台風の襲来、小規模農家の圧倒的多さなど、多くの不利性を抱えております。
また、本県は、農地を持ちながら農業に全く従事しない土地持ち非農家の所有する面積は、県内耕作放棄農地の61%に達し全国一高いと言われております。
県においては、本県農業や漁業の活性化を図るため、おきなわブランドの確立に向けさまざまな施策を展開しておりますが、今後とも持続的に発展させるためには、農水産業で生活ができ、農業や漁業をやりたいという若者を育て、従事しやすい環境づくりが何よりも重要であると考えます。
そこで伺います。
(1)、おきなわブランドを確立し知名度アップと周知徹底を図るため、商標登録の重要性について県の基本認識と現状について伺います。
(2)、さとうきびの新価格制度について、特例措置が切れる2010年度以降の本県農家に対する県の対策を伺いたい。
(3)、本県農家の経営安定を図るためには、個人で1ヘクタール以上の経営規模要件を緩和し、小規模農家の実態を考慮した見直しが必要と考えるが、県の見解を伺いたい。
(4)、耕作放棄地で原野化が進み、実質的に復元が困難で現状では耕作に使えない農地が拡大しているが、本県の状況を伺いたい。
(5)、つくり育てる漁業を推進するため、漁港漁場や漁港関連道の整備をどのように図っていくか。
(6)、県内水産物の産地流通拠点の整備と流通体制の整備を図る上での課題と問題点について伺いたい。
3、米軍基地問題について。
普天間飛行場や嘉手納飛行場における騒音被害は、近年ますますふえている傾向にあり、特に外来機の飛来がふえ、訓練の増加とともに夜間の騒音が激化し、周辺住民の我慢も限界に達していると言われております。本日も嘉手納町議会から要請・陳情が県知事に参っております。本当に大変だと思っております。
このように、米軍基地問題は県政の最重要課題であり、これまで歴代県政は基地問題の解決を日米両政府に対し機会あるごとに求めてまいりましたが、本県単独での要請の限界を感じるのであります。
本県における米軍基地問題の根本的解決を図るには、日米地位協定の抜本的見直しが不可欠であると思うのであります。そのためには、これまでの経緯から本県単独での行動では限界があり、米軍基地を抱える14都道府県で構成する渉外知事会が問題意識を共有することが必要であります。
仲井眞知事も、再度の訪米要請は本県単独ではなく渉外知事会として行動することが重要であると述べており、現在、その方向で検討・調整が進んでいるようであります。
そこで伺います。
(1)、日米地位協定の見直しについて。
ア、県がこれまで日米両政府に対し要請してきた日米地位協定の見直しの具体的項目のうち、改善された項目と今後改善が期待できる項目について伺いたい。
イ、知事は、今後の訪米について渉外知事会と調整を進めているようだが、渉外知事会として訪米する場合、要請項目について具体的検討はなされているか伺いたい。
(2)、基地から派生する問題について。
ア、本県における米軍人による事件について、過去3年間の件数を伺いたい。
イ、米軍嘉手納基地へのF22戦闘機の一時配備が繰り返され、地元は騒音被害や常駐化を懸念しているが、県の対応を伺いたい。
ウ、宜野湾市のキャンプ瑞慶覧内から排出された廃棄物にアスベストが含まれていた問題について、県が実施した調査結果と今後の対応について伺いたい。
4、北部振興策の推進について。
北部振興事業は、普天間飛行場代替施設の移設受け入れに伴い、平成11年12月28日の閣議決定において、北部地域の振興に係る特別の予算として10年間で1000億円措置することが決定されたものであります。
これにより平成12年度から事業が開始され、これまで年度ごとに100億円の予算措置がなされ、北部12市町村の計画する振興事業を実施してきております。
もとよりこの事業は、米軍基地を受け入れた見返りに北部の振興策として実施されてきたものであり、本来の沖縄振興計画に基づく振興策の一環としてなされるものではありません。
12市町村で構成される北部地域は、人口の減少と高齢化の進行が悩みとなっており、特に若者の雇用の受け皿となる企業立地のおくれから、若者の都市部への流出に歯どめがかからず危機感を持っております。普天間飛行場の代替施設の受け入れを決断したのも、まさに北部が抱えるこのような課題の解決を図るためであります。
しかし、10年期限つきの北部振興事業は、ことし2009年度で期限切れとなるのであります。代替施設は現在建設に向け作業が進められ、2014年には完成する予定となっており、そうなると2010年度以降の北部振興事業はどうなるのか、北部12市町村にとって最も気になるところであります。
そこで伺います。
(1)、北部振興事業は2009年度で期限切れとなるが、北部に対する新たな振興策のあり方についてどのように考えているのか伺います。
(2)、政府が設置する国・県・名護市、久辺3区で構成する四者協議会の位置づけと今後の振興策の形はどうなるのか伺います。
(3)、名護市の金融特区における企業立地の現状と今後の課題について伺います。
(4)、名護市の金融特区が今後国際的な金融市場を形成するためには何が必要であるか。また、金融人材の育成について、行政、企業、研究機関等との連携・協力体制はどのようになっているのか伺います。
5、大学院大学施設整備について伺います。
沖縄科学技術大学院大学学園法案が、一部修正により衆院で可決いたしました。
大学院大学については、関係閣僚による申し合わせで、平成24年度までの開学を目指すとしており、そのためには今国会での法案成立が不可欠であります。ただいま参院で審議中でありますが、まだ予断を許せるような状況ではありません。
大学院大学の設置位置づけは、国立大学ではなく特別な学校法人となっておりますが、大学経営で最も大切な国による財政支援については、法案の修正により10年後をめどに見直しを行うが、運営費の2分の1を超えて補助することが明記されました。
このことは、開学11年以降も国の継続的な財政支援を受けながら、内外の競争的研究資金、企業からの研究受託収入等、自主的経営の努力を大学に求めたものと考えます。
その上で、大学院大学の本来の目的・理念を維持し、自主性・柔軟性を確保した大学経営のため、さらに、本県の自立的発展の核として位置づけるためにも国の確固とした支援が必要であります。
そこで伺います。
(1)、沖縄科学技術大学院大学学園の設置主体は国立大学ではなく特別な学校法人としているが、法律により特別な補助金交付という国の財政支援との関連で学園の所管省庁について伺います。
(2)、大学院大学に対する開学から10年以降の運営費の補助について、財政的に自立した大学経営の確立との関連で国の財政支援はどうなるか伺います。
(3)、学園法案の目的に、世界の科学技術の発展に寄与すること、沖縄の自立的発展に寄与することがうたわれております。学園に対する財政的支援と沖縄振興予算との関連性について伺います。
(4)、県が進める周辺整備事業で、門前町など地域のまちづくりについて、現在の進捗状況と今後の計画を伺います。
6、地域医療のあり方について。
(1)、県立病院のあり方について。
全国的に自治体病院が経営危機に陥り経営形態や医療提供機能の見直しが進められておりますが、総務省の調査によれば、地方自治体の837公立病院において、経営改善に向け近隣病院との統廃合を含む「再編ネットワーク化」を計画しているのが全体の2割に当たる195病院に達しているようであります。
このように、地方における公立病院の多くが赤字に苦しんでおり、中には規模縮小や民間譲渡、廃止を余儀なくされるケースもあり、経営状態の厳しさを物語っております。
本県は島嶼県で、同時に多くの離島を抱えており、離島を含めた地域医療の維持・存続は本県における大きな課題であり、県立病院が戦後一貫して地域医療を担ってきております。
しかしながら、県立6病院の経営は財政的に逼迫しており、毎年多額の赤字を出し、累積赤字は216億5500万円余に達するなど、県立6病院も存続の危機に直面しております。
このように、県立病院経営の健全化は喫緊の課題であり、県においては県医療審議会の答申を尊重するとともに、県議会の決議、各県立病院長の意見等を踏まえ、「県立病院のあり方に関する基本構想」をまとめております。これにより、今後は病院事業局の経営再建計画に沿った改革の取り組みが重要となってまいりますが、県立病院の健全化を図るには所管部と病院事業局が問題意識を共有し、十分な連携のもと県立病院の経営安定・健全運営に向けた一体的取り組みが必要であると考えます。
同時に、県立病院が危機的状況にある今日、市町村の役割を含めた本県における地域医療のあり方についての根本的な議論が必要ではないでしょうか。
そこで伺います。
ア、県立病院の経営形態のあり方について、独立法人への移行準備と病院事業局の経営健全化への取り組みが同時に進められている。県の基本方針ではどちらに比重が置かれているか伺いたい。
イ、知事は、3年間の経営健全化の取り組みの結果、全適での健全な経営が見込める場合には現行経営形態での存続を検討するとしている。その経営健全化の取り組みの結果は、経営形態のあり方を判断する上ですべてに優先されるか伺います。
ウ、地域住民がいつでも安心して医療が受けられる地域医療のあり方について、市町村との連携が必要と思われますが、県の基本的な考え方を伺います。
エ、総務省の調査によれば、全国の自治体で公立病院の統廃合計画が進められているようだが、その状況と主な要因について伺います。
オ、産婦人科等県内における医師不足は、県立病院だけでなく民間病院においても深刻であります。県や民間が個々ばらばらに行動するのではなく、県が主導し民間病院を含め県全体の医師確保計画のもとで具体的行動を展開するべきと考えますが、県の考えを伺います。
カ、政府の追加経済対策で、地域における医療体制の強化として、医師確保への支援が追加されましたが、本県における活用計画について伺います。
(2)、ドクターヘリ導入について。
資金難のため昨年7月から運航を休止していたNPO法入「MESHサポート」が運営する救急ヘリが去る6月15日、運航が再開されました。
6月13日の再開セレモニーにおいて、ヘリの運航費は会員の年会費や民間の寄附金、行政の助成金など8590万円がめどがついたとの報告がありました。しかしながら、ヘリの運航には安定的な資金が必要であり、今回の寄附による運航が一過性に終わるのではないかと懸念されるものであります。関係者もいつまで継続できるかと大変心配している状況であり、やはり国や県の支援が必要であると考えるのであります。
そこで伺います。
ア、県が導入したドクターヘリの現在までの運航状況と離島などからの要請・搬送の状況をお伺いします。
イ、政府は、本県から2機目のドクターヘリ導入の要望があれば優先配慮の意向のようであるが、県の考えを伺います。
ウ、北部の民間救急ヘリ再開との関連で、ドクターヘリ導入に向け北部における救命救急センターの指定と行政の支援について県の考えを伺います。
7、陸上交通基盤の整備について。
本県は、陸上交通を代表する電車がないことから、陸上交通のほとんどを道路に依存しており、県民の足である公共交通はバス、タクシーが主体であります。
このため、道路交通の現状は自動車保有台数や観光客数増に伴うレンタカーの急激な増加、さらに中南部都市圏への人口集中による慢性的な交通渋滞で路線バスは定時運行ができず、県民のバス離れが広がり、これがさらに自動車への依存度を高めるという悪循環を招いております。
平成15年には沖縄都市モノレールが開業し、那覇市内で新たな交通手段として順調に運行しておりますが、路線が1本という事情もあり、市内における渋滞解消には至っていないのが現状であります。
このように、本県においては、ふえる自動車に道路事情が追いつかない状況にあり、交通渋滞による損失時間は、道路1キロ当たり年間約4万1000人時間と言われております。これは3大都市圏等に次いで全国6番目に大きく深刻であります。
本来、公共交通の主軸は軌道系交通であります。都市モノレールの中南部圏域への延伸の必要性は論をまたないのでありますが、将来的、最終的には定時・定速性、輸送性にすぐれた公共交通の切り札と言える鉄道の導入が必要不可欠であると考えるのであります。
そこで伺います。
(1)、本県は、道路に依存した陸上交通となっており、都市部の交通渋滞緩和や中南部と北部を結ぶ交通アクセスの道路等、陸上交通体系の整備に向けた基本構想についてお伺いします。
(2)、「第3次沖縄県社会資本整備計画」において、「陸上交通基盤の整備」として、「国際性・拠点性を育む交通体系、新たな活力と地域の魅力を支える交通体系、環境負荷が少なく快適で安全に暮らせる交通体系を確立する。」とあるが、その際の中軸となる交通手段は何を想定しているか。鉄軌道も含まれるか伺います。
(3)、国際通り等都市部の交通渋滞の緩和を図るため、次世代路面電車(LRT)の導入について県の考えを伺いたい。
(4)、本県において陸上交通システムの構築を図る上で自動車依存度の高さ、公共交通の定時・定速性と輸送性の確保等が課題であるが、鉄軌道導入について県の基本的考え方を伺いたい。
(5)、陸上交通体系の整備の一環として、名護市許田が終点となっている高速道路をさらに北への延長が必要と考えるが、県の計画を伺います。
8、商店街・中心市街地の活性化について。
名護市や沖縄市においては大型商業施設が近隣市町村に次々と立地されたことに伴い、中心市街地は空洞化を呈し、小売業の売り上げの減少、売り場面積や従業員も大幅に減少し、商店街は空き店舗がふえ、いわゆるシャッター通りと化している状況にあります。
これら市町村においては衰退の状況をただ静観しているわけではなく、地元行政や商店街組合等によるさまざまな努力が続けられているのではありますが、一度衰退した町を再び活気づけるのは容易ではありません。このことからも、県や国の積極的な支援がなければ活性化は難しいと考えます。そのため、市街地の活性化の促進を目的とする改正中心市街地活性化法の積極的な活用を図り、地域に根差した魅力あるまちづくりのため、地元、県、国が一体となった取り組みを進めるよう願うものであります。
そこで伺います。
(1)、本県における商店街や中心市街地の衰退の要因をどのように分析しているか。また、商店街や中心市街地の活性化に向けた地域の取り組みとその成果について伺います。
以上、よろしくお願いいたします。
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