昭和50年(1975年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月27日
第 5号  6月27日
 

議 事 の 概 要
昭和50年6月27日(金曜日)
午前10時3分開議
日程第1 一般質問
日程第2 乙第1号議案から乙第17号議案まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 仲松 庸全君(共産党)
    2 伊波 広定君(共産党)
    3 上原亀一郎君(共産党)
    4 岸本忠三郎君(社会党)
    5 岸本 利実君(社会党)
    6 吉田 光正君(革新クラブ)
    7 安里 政芳君(民社党)
日程第3 乙第18号議案から乙第24号議案まで(知事説明 質疑)
日程第4 陳情1件の付託の件   
午後5時44分散会

○議長(平良幸市君) ただいまより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 昨日、知事から、お手元に配付の乙第18号議案から乙第24号議案までの7件が提出されました。
 副知事宮里松正君及び新垣茂治君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。また、海洋博協力局長糸洲一雄君は、別用務のため出席できない旨の届け出があり、代理として、海洋博協力局次長翁長良光君の出席を求めました。
 その他の報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(平良幸市君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、乙第1号議案から乙第17号議案までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 仲松庸全君。
   〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 私は、通告に従いまして予定の質問を時間の許す範囲でやりたいと思います。
 まず最初に、浸水対策、生活環境の整備について。
 今度の梅雨に幾たびか集中豪雨がございましたが、その中で私も可能な限り実態の調査を行いました。具体的な例を申し上げますと、病人や老人のいる家が1メートル以上も浸水している事例などがあります。直接人の命と健康が危険にさらされ、生活が破壊されるという状況があります。トイレもはんらんし、雨が上がっても臭気がなかなか取れないといった状況があります。畳、布団、衣類、食料、テレビ、書籍、学用品など、その他毎日の生活に不可欠な家財道具が見る影もなく打ちのめされている世帯が少なくありません。非常に強烈な印象を受けておりますが、今度の水害は非常に荒れましたけれども、これは初めてではございません。
 私は、この実態調査の中で復帰後の水害の特徴というものを見ました。毎年、繰り返し被害が広がっております。問題が解決されないまま次の雨の時期、台風の季節に向かって水害の脅威にさらされ、集中豪雨ともなれば一睡もせず、その上また大変な被害にまた必ず出合わなくてはならないというそういう繰り返しの中に人々が置かれているという現実があります。しかも、水の脅威は年々激しくなり、地域的にも広がり危険も増大しております。これが復帰後の水害の特徴でございます。この傾向、この事態は、政治、行政によってきわめて重大な問題だと言わなくてはなりません。
 のど元過ぎれば熱さを忘れるといったたとえのように、ハーリー鐘も鳴った、雨も上がった、天気になったということで、被害の悲惨さを忘却してしまうようなことになれば、もはやそれは政治でもなく行政でもないということになります。こうした現実に起こっている住民の命と健康を守り、生活を守るためにあるのが政治であり、行政でなくてはならないからです。
 戦後、沖縄の水害の原因として考えられることは、第1に、一貫して戦後米軍優先の町づくり、都市づくりが行われてきたという問題であります。
 具体的に例を挙げますと、泊の場合は、戦前は公共下水道がきちんと整備され排水がうまくいっていたと、治水がなされていたが、戦後は、泊は基地となり、さらに軍用道路ができたことによって、現在では雨が降るたびに又吉道路は大河と化して付近一帯は浸水に脅かされているという状況があります。
 さらに、知事のおひざ元の与儀公園一帯、これは泳いで渡れるぐらいの文字どおりの湖と化しておりました。あの付近の家屋は床上1メートル以上も浸水しております。それは、あの米軍の油送パイプラインが障害になっているということは、だれの目にも明らかです。
 こういうふうに、第1に、米軍優先の政治の結果が、こういうふうな水害の原因になっているということをはっきりさせなくてはならないと思います。
 第2番目に、復帰後の乱開発、宅地造成のあり方に問題があるという点であります。
 首里のような高いところでも水害があるといったら人は不思議がるかもしれませんが、深刻な水害が雨の降るたびに発生しております。これらの原因を取り除いて、あるいはそのあり方を改善することを中心に対策が施されなくてはならないわけですが、対策については、きのうの土木部長の答弁は、計画的な対策、緊急対策、市町村との連携による実施などの方針を明らかにされました。それで対策としてはいいと思います。ただ、復帰後の水害増大の傾向、特徴を正しくとらえ、軍事優先を取り払い、乱開発の規制、宅地造成のあり方の十分な改善を行うなど基本的に重要であると思いますが、この点についてどう思うか、御見解を承りたい。
 1点知事にお伺いしたいのは、いま私が申し上げましたような水害の特徴あるいは傾向などについて、その問題の重大性とさらにその対策の緊急性をお認めになるかどうか。水害があるから対策するという受身的な姿勢では、問題を真に解決することは困難だと思います。県民の生命と健康、生活を守る立場から、生活環境を整備するという積極的な姿勢で治山治水を政策的に重視し、長期的にも短期的にも施策の柱として据えるべきだと考えるが、どうでしょうか。
 次に、部長にもう1点お伺いしたいのは、これは知事あるいは財政当局の御見解も承りたいが、短期的な対策としては、もし本当に前向きの姿勢があるならば、今年度の補正予算でも考慮されなくてはならないんじゃないかと思います。それで、予算を組まなくても現在の財政状況でもできるものもあれば、予算の補正を必要とするものもあると思いますが、この辺について検討する御用意があるかどうか、この点をお伺いいたします。
 次に、当面する幾つかの教育問題についてでありますが、これは高校全入制と入試地獄の解消、学区制問題の解決のために質問いたします。
 現在、都市地区、農村、僻地、離島の各要求に、ニュアンスの違いはあるが、教育の機会均等の立場から学区制の改善を求める声がとみに高まっています。
 伊平屋、伊是名では、職業科以外の普通科は、北部の3つの高校への受験しかできないということで、那覇地区を含めてどの高校にも受験ができるように学区制をオープンに改めるよう強い要求を提起しています。
 この離島僻地の要求にこたえる上で、臨時的な措置を当面考える必要はあると思いますが、全体的に問題を解決していくためには学区制だけを見詰めていてはむずかしい問題があります。
 私は、学区制はできるだけ小さい方がよいと一般的に考えておりますが、そのために前提としてどうしても解決すべき問題は、数の少ない有名校と多くの学校の格差をなくし、高校の希望者全員入学制を実現して入試地獄を解消する必要があると考えております。これは、学区制の改善のためからだけで質問しているのではありません。高校全入制と入試地獄の解消は、基本的には教育の機会均等の立場から重要な課題であり、可及的速やかに実現されなければならないと考えております。
 高校教育は、国民的教養を身につける上で必要な教育を終了する段階の教育であり、希望者全員入学制にはどうしても必要であります。このため高校の増設が全入制を目指して計画されなくてはならないと考えます。
 同時に、数少ない有名校と、有名でない多くの高校の格差を名実ともになくすあらゆる対策を講じられなくてはならないと思います。すなわち、どの高校に行っても格差のない教育が受けられ、どの高校からも好きな大学に受験できるし、入学率も平均に行けるという状況に高校全体を持っていく底上げの対策が必要だと思います。そうすることによって、子供たちを深刻な受験地獄から解放し、真に明るく伸び伸びとした教育、豊かな教育、基礎的な学力、知識、体力をつくる教育を伸ばすことができるのだと考えます。
 現在、子供たちは入試のための詰め込み教育を受け、むずかしい教科書でついていけない子が学級の半分以上も出ると言われております。その上、アメリカ式5段階相対評価によって正しく評価されず、学校ぎらい、勉強ぎらいの子が出るようにしむけられているのが、いやおうなしの現実であります。こうした問題は、基本的には国の教育政策に責任があるが、しかし、あくまでも憲法と教育基本法の理念に立って教育を発展させなくてはなりません。
 はしょって舌足らずですが、ここで質問を申し上げますと、高校全入制と高校増設、入試地獄の解消、そのことと関連した小学区制の実現の方向について教育長の御所見を伺います。
 3番目の質問に入ります。
 医療福祉行政の若干の問題について。
 1番目には、精神障害者に対する警察の態度の問題、2番目には、病院事業についてお伺いいたします。
 精神障害者の医療福祉、人権の問題として最近起こった警察の108名の取り扱いについて問題を感じております。海洋博対策として、108名の人を入院の要ありと防犯少年課から予防課に参考通報した問題でございます。これは後で、まずいということで撤回をされておりますが、参考通報をしたという事実は消えません。
 警察官の通報については、精神衛生法第24条の規定でなされるようになっております。今回の参考通報は、法第24条に定められた通報ではありません。法第24条の手続によると、警察は、保健所長を通して知事に通報することになります。しかし、その手続が踏まれていないのです。
 さらに、その様式については、所定の第2号様式によって個人個人の患者について通報する仕組みになっておりますが、警察の参考通報は列挙で行われております。108名の中には、あるいは精神障害者でない人もいるかもしれません。もしそうだったならば、これは大変な問題であります。参考通報で入院の要ありとどうして言えるのか。108名について列挙したのは、一斉に実態調査をしたのか。実態調査の主体は、本来予防課を主体とする県にあるわけです。
 次に、入院の要ありとするのは鑑定医の2回にわたる鑑定の結果によって言えることだが、警察では何の根拠で入院の要ありと断定したのか。精神障害者は、戦前の場合だったらおりの中に入れるとか、あるいは隔離するとかいう療法をとったのは知られておりますが、戦後、現在医学が発展する中で地域包括医療という言葉もありますが、開放的にその治療対策がとられているという方向をとっております。こういった精神障害者医療に対しても逆行するような問題となっております。
 この精神障害者の医療の方向に逆行するような措置が、誤りでもとられたということはきわめて問題だと思います。精神障害者にとっては重大な人権問題であり、将来にも影響する問題でもあるからです。警察本部長の御所見を承りたい。
 3番目の質問の2番目、病院事業についてお伺いいたします。
 他府県の半分でしかない医療要員の都市集中、僻地医療、離島医療の問題を抱える沖縄の医療事情は深刻な危機の中にあります。その中で、県の病院事業は、県民医療のセンター的な役割りを行政の責任において果たし、県民医療を守り発展させると同時に、患者の要求にこたえていかなくてはなりません。
 しかし、県全体が僻地性、離島性を持っていること、そして基本的にはわが国の劣悪な医療保険と診療報酬、会計の独立採算制、諸制度の厳しい制約など、さらにインフレ、高物価の影響などで、県の病院は大きな困難に直面しています。30億円という莫大な赤字がその中から生じ、重圧は県の病院事業を一層重大な試練の中に押し込んでいます。
 もともと病院事業として、公営医療に企業性、営利性を持たせている独立採算制が医療破壊の根本的な原因であるが、県の病院事業は、行政の責任で行う県民医療をその企業性、営利性のゆえにゆがめるものであってはならないと考えます。
 しかし、たとえば清掃部門など病院の現業部門を民営下請けに切りかえる方向や勧奨退職を勧めて補充はしない方針をとるなどの問題が見られます。差額ベッドの問題あるいはまた利用者が少ないということで僻地の診療所を廃止していく方向が考えられるなど、企業の面から合理化しようとする傾向が見られるが、この傾向は、対策としては人件費を削り、患者負担の増大を図る方向で採算の問題を中心に医療事業を曲げていく危険性をはらんでいます。
 こうした傾向からは、切実な要求である看護婦の複数夜勤月8日を実現しようという意欲は出てこないし、そのことは、看護婦不足に拍車をかけることになるでしょう。
 合理化は、採算の面から企業的合理化ではなく、医療要員が使命感に燃え、意欲的に奮起することができる方向に労働条件を改善し、質的にも高めていくものでなくてはならないと思います。
 きわめて困難な状況の中で、展望を見失いがちになる面があることを私もよく理解しておりますが、この難局を粘り強い努力で正しく前向きに乗り切っていくように望むものであります。
 そこで、お尋ねしますが、1つは、県民医療に対する行政の責任を貫く立場を明確にし、赤字問題を医療の後退に転嫁することがないようにすべきだと思うがどうか、お伺いいたします。
 2番目に、医療の質と量を高めることに努力すること。すなわち、労働条件の改善こそが、損するように見えても、実際には危機打開への力をつけることになるということが理解できるかどうか、お伺いいたします。
 3番目に、看護婦の複数夜勤月8日の確立と、看護婦確保の計画を聞きます。
 4番目に、30億円の膨大な赤字の解決策をどうするか。
 昨年、国は初めて岩手県や新潟県の病院に対して、その赤字をたな上げする特例債を認めました。この2つの事例は、独立採算制が事実上破綻に瀕したことを国も認めていることにほかならず、重要な意味を持っています。
 この例に積極的にならって赤字のたな上げを図り、同時に一般会計から資金づくりのめんどうを見る努力を行うなどの方針を検討すべきだと思うが、その意思がおありかどうか、知事にお伺いいたします。
 それでは、4番目の当面する都市交通対策についてお伺いいたします。
 国鉄大量輸送機関がなく、自動車を唯一の陸上交通機関としている沖縄は、深刻な車社会の出現が経済、社会、教育、文化各面の活動の重大なブレーキとなり、交通公害、交通戦争は毎年ひどくなるばかりです。交通事故による死傷者の数も増加の一途をたどっています。道を歩くことはもちろん、車に乗ってさえ危険な状態にあります。この交通問題を体系的に解決する課題は、沖縄振興開発計画の主軸に位置づけられなくてはなりません。
 わが党は、この点では、必要な支線を持つ本島縦貫鉄道を軸とする公共交通体系の確立を主張しており、県議会も昨年、縦貫鉄道の導入を決議して、国に要請を行いました。
 知事部局も、この点で積極的な姿勢を示しておられる点は、評価に値します。
 このような公共交通体系の確立を目指しながら、ここでは海洋博が目前に迫っている情勢とも関連して、深刻な都市交通の現状をどう対処していくかという点を求めたいと思います。
 それで、関係当局は、海洋博関連の事情が都市交通に及ぼす影響をどう見ておられるか、これが1点。
 2つ目に、これに対する対策はどうなっているか。
 3つ目に、首里―安里間のバスレーンは、一定の効果をもたらしました。このバスレーンを時間的にも区域的にも思い切って拡大することはできないかどうか。
 4つ目に、バスレーンを思い切って拡大するとした場合、関連する対策があると思うが、これについてお伺いいたします。
 5つ目に、通学路、買い物道路など生活道路の安全を期して、安全街区を拡大する計画を承りたい。
 6つ目に、交通難の大きな原因の一つになっている路上駐車の問題にどう対処をされるのか。
 7つ目に、振興開発計画事項別計画は、目標年次までに約5万1000平方メートルの駐車場を整備するとうたい、1、都市計画駐車場は、適正な配置を行い、民間駐車場の保護育成を図りつつ整備を行う。2、路上駐車の問題を解決するため、道路及び公園等の地下利用を検討し、都市計画駐車場の整備を推進する。3、都心部への自動車の乗り入れ制限を考慮するとともに、郊外部に駐車場を設置し、パークエンドライド方式による自家用乗用車からバスなどへの乗りかえを行うためのバスステーション等一体となった都計駐車場を設置するとして、この3つを主要施策としております。
 このとおり実施すれば問題は必ず大きく前進して解決されると思いますが、しかし、振興開発計画は、すでに3年を経過しております。
 現実の交通情勢から見れば日暮れて道遠しの感が深いが、計画の実際はどうなっているのか、お伺いいたします。
 次に、基地問題についてお伺いし、なお時間があれば、次の質問を行いたいと思います。
 シュレジンジャー米国防長官は、20日の記者会見で、日本が攻撃を受けた場合、アメリカは、日米安保条約で日本に提供している核の傘に基づき核の使用も辞さないことを明確にしております。
 同長官は、また、アメリカが韓国の戦術核兵器を展開していることを公式の場で初めて明らかにし、われわれはいかなるオプション、選択も辞さないと述べ、もし北側が韓国を攻撃したら核兵器で反撃するかどうかをアメリカの指導者が決定することになろうと言明しています。
 これはインドシナで敗退したアメリカが、今度は日米安保条約のもとで、朝鮮を焦点にアジアに核戦争の危機をつくり出すもので、朝鮮に戦術核兵器の配置があることを公式に確認するとともに、核の先制使用の方針を堅持していることを示すものであります。
 そして、この力の政策がアジアと世界の平和に重大な危険を生み出していることを実証し、その上に、日米軍事同盟を強化しようとするものであり、沖縄と本土が核基地であることの疑惑を深く裏づけるものとなっております。
 フォード政権が、インドシナ敗北以後、みずから緊張をつくり出し、これをてこに沖縄をはじめ日本を最前線拠点とした侵略的軍事体制を強化しようとしていることをわれわれは重視しなければなりません。沖縄基地の再編強化はその重要な一環をなしています。
 現在、沖縄基地は、県民の軍用地返還要求にこたえるかのような一定のポーズのもとに、ダブついた基地のぜい肉を切り落として、細切れ返還を行いつつ、嘉手納基地を中心に再編強化が進められています。
 嘉手納基地を弾薬庫と直結する弾薬輸送地下道の建設は、この月末の完成を目指して急ピッチで進められています。
 日本政府は、これに工事費1億8000万円を負担し、基地強化に手をかしています。
 那覇基地から、P3対潜哨戒機、海兵隊のF4ファントム部隊、岩国基地から、第1海兵航空団の垂直離着陸戦闘爆撃機ハリアが相次いで嘉手納基地に移駐されています。日本政府は、これにも180億円を出し、格納庫などの諸施設をつくっています。
 さらに、最近の嘉手納基地の報道部の言明によれば、台湾防衛の任務についていた第18戦術戦闘航空団、これは核攻撃部隊でありますが、この指揮下にあるF4ファントム1飛行中隊、これは推定24機と、その要員1350人が先月末嘉手納基地に移駐しております。
 こういった情勢の中で、朝鮮半島における戦闘作戦行動への在日基地からの発進にイエスもあり得ると言ったさきの三木首相の言明を見るとき、問題はきわめて重大な段階を進んでいると言わなくてはなりません。
 8月の三木・フォード会談と11月の日米軍事協議委は、こうした事態の上に立って開かれようとしていることは明らかであります。
 われわれは、沖縄県民が対岸の火事どころではなく、まさに平和と安全を根底から脅かしているこの重大事態がここに進行していることを重視し、また、県議会は、このため、5月18日の本会議で嘉手納基地強化に反対する決議を全会一致で採択したが、アメリカ帝国主義とこれに従属する三木内閣は、この決議を無視して、日米軍事同盟の侵略的強化を一貫して強行しています。
 もはや、素直に事態を見る国民は、アメリカの核の傘のもとに飾られた自民党政府の非核3原則を信用する者はいません。
 いま重要なことは、平和と安全を脅かすこの核戦争準備の日米共同の火遊びの手を取り押さえることであります。
 そのため、核兵器の全面禁止、核基地と日米安保条約の廃棄を断固として要求することであります。
 知事は、シュレジンジャー発言、沖縄基地の再編強化のこの策動をいかに受けとめておられるか、また、単なる姿勢にとどめず、核兵器の全面禁止、核兵器の即時撤去、安保条約の廃棄を強く要求すべきだと思うがどうか、お伺いいたします。
 なお、あとの時間は再質問に充てたいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 二、三、私からお答えいたしまして、具体的な問題については関係部長に答えさせたいと、こう思います。
 初めに、御質疑がありましたこの水害、最近頻々と起こっておるところの水害の対応策についてでございます。
 これは、やはりわれわれ県民の直接生活に関係するきわめて重要な問題でございます。御指摘くださいましたところを関係当局としても十分確認の上、これに対する対策は早急にとってまいりたいと、こう思います。
 そして、この予算措置を講じてやる姿勢があるかというようなことを財政当局にも御質問がありましたけれども、事重要であり、生活周辺の問題であるという立場からいたしまして、原因というようなものがいろいろ指摘されましたけれども、そういうことの究明と並行いたしまして、予算構成してもこれは取り組んでいかにゃならない問題だと、こういうふうに理解しております。
 そしてなお、水害問題、公害問題ということにつきましては、これは海洋博後の生活周辺の身近な問題をじみちにきめ細かに取り組んでいくところの基本姿勢というふうなものに照らしても公害問題とあわせて水害問題等も取り上げねばならぬはずでありますから、よく調査検討いたしまして対策し、それで予算措置も講じてまいりたいと、このように考えております。
 それからその他の問題についてはそれぞれ答えさせたいと思いますが、今度は病院の問題について、県立病院の累積赤字をこれをどう対処するかと。これは公営病院の赤字というものは沖縄県だけのものでなくして、全国的なもののようでありますけれども、これは各県、知事会議にもよく出ますんですが、しかし、沖縄には非常に大きく、強くあらわれておると。こういう全国的な傾向というようなものは、沖縄みたように医療基盤というものが整備されず、医療要員というようなものの不足がちな沖縄、施設も不十分がちな沖縄というような基盤が弱いところには、非常に密度高くあらわれてくるというようなことをここでも感じます。沖縄には、他府県にあるよりも深刻にあらわれているということは事実であります。
 そして、それを患者の責任において解決しようとしちゃいかないとの御指摘でありましたけれども、どういうところまでその理念に徹し得るかということは十分検討してみなければわからぬだろうと思いますけれども、この県立病院、公立病院の赤字の問題につきましても、重要施策として、あるいは一般予算との関係はどう持っていくべきであるかということについては、前向きに積極的にこれを検討して対策を講じてまいりたいと、こういうように考えます。
 また、このことは、国全体の問題でもありますので、国にもこれに対してどう対応するかというところの対策もあるわけでありまして、それも見守りながらこの問題に対しては、対応していくつもりでございます。
 それから交通問題その他については関係当局に答えてもらいたいと思いますが、最後に、基地問題についてであります。御指摘のように米国防長官が6月20日の記者会見で韓国に核兵器を配備していることを明らかにし、最悪の場合は、核使用もあり得るとの発言はわれわれに大きいショックを与えました。
 県といたしましては、昨年のラロック発言問題以後、核問題については積極的に対処し、外務省にその善処方を要請しているところであります。このことは議会においても取り上げられましたし、私どもも取り上げてまいりました。
 特に本県においては、原子力潜水艦とかあるいは核積載可能の艦船の寄港施設であるホワイトビーチの存在、あるいは伊江島の演習場での核模擬爆弾投下訓練といったような他県にはない問題がある。
 この基地問題、核兵器問題についても全国の問題として起こるというと、先ほど私が申し上げましたように、再び沖縄には非常に大きい影響として深く、広くあらわれてくるということであります。沖縄に、国防長官の発言、姿勢というようなものがあらわれてくるということは、ここでもそれを見ることでありまして、まことに遺憾である。そして、沖縄県民に対する不安を与えるということも事実であります。
 さきの米上院軍事委員会の太平洋全域における米軍の再編成についての韓国や最近の在沖米軍の再編成問題、さらには6月9日から韓国でのイエロードラゴン作戦と名づける、米韓両軍の合同演習に沖縄からも参加していること等からしますというと、沖縄の米軍基地は機能的にも、嘉手納基地を中心に、あるいは再編強化する方向にいきはせぬだろうかというところの県民の疑惑、国民の疑惑、これはよく理解できるわけであります。
 しかし、県といたしましては、普通の米軍基地に対しても、これは反対を姿勢として表明しておるわけであり
ます。ましてや核兵器の存在ということには強く、これは沖縄だけの問題じゃなくして全国民の課題として、これには強く反対を表明しておるわけでありますからして、この問題については御指摘されましたように、われわれとしましても強く反対を唱え、その不安の解消方について外務当局にもあるいは防衛当局にも強く、最大限の努力を払いたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 残りの問題については、各関係当局に答えさせます。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) 私の所管する問題についてお答え申し上げます。
 先ほど御指摘のようにかなり多額の赤字を抱えていると、その赤字対策についてどう考えるか、あるいはその県民医療についての基本的な考え方等の御指摘がございましたが、一応基本的には、医療というものを考えました場合には、医療は医者と患者、あるいは看護婦と患者というふうな弱い人間との関係にあるというふうに理解しております。
 したがって、そういうふうな使命の高いサービスでありますので、赤字を抱えたからといってよもやそのしわ寄せを差額徴収等あるいは人員削減というふうにして、そのしわ寄せが患者あるいは患者に接触する医療人に負わせるものでないというふうなことがまず基本的にあるということを御理解いただきたいと思います。
 したがって、そういうふうな考え方に立ちました場合には、御指摘のようなあるいは御懸念のあるような、企業であるから、企業あるいは経営を中心としたところのサービスにならないように努めなければならないということでございます。
 それで、病院側としては、あるいは私の方としてはどういうふうなことをすればいいかと申しますと、結局一般会計の繰り出しの基準を明確にせにゃならぬということと、さらに病院側といたしましても経営努力もやらにゃいかぬと、こういうふうに考えております。そして、赤字の要因を除去することに努めると、大体、以上のようになろうかと思います。
 さらに、御質問の中で、いわゆる看護婦の質と量、あるいは医療人の質と量の問題を高めることについてはどう考えるかということでございますが、医療人の確保については、先日の知花議員の質問の中に、医師、看護婦等について、あるいは補助看護婦等についてお答え申し上げましたが、さらにそれに補足させていただきますと、看護婦の質を高める、あるいは看護婦の量をふやすという問題につきましては、看護婦をふやすためには、養成所をふやすということになろうかと思います。養成所をふやすためには、生徒たちの実習場の病院をまたふやすということになります。病院をふやすために、また看護婦が要るというふうな卵と鶏の関係にあるかと思います。
 といって、いつまでもそういう関係にあるからといって手をこまねいているわけにまいりませんので、その循環の中でその循環を幾分か断ち切る要素がありはせぬかということで結局考えましたのが、潜在看護婦の発掘ということになっております。
 これについても、せんだっての議会においても答弁申し上げておりまして、その潜在看護婦の発掘等については積極的に取っ組んでいるところでございます。
 さらに、現在おる看護婦たちのまた確保についても、すなわち職場固定についてもまた考えねばならないということもまた問題になるかと思います。そのことについても、保育所の問題あるいは労働条件の改善等の問題もあわせて考えにゃいかぬかと思います。
 それから看護婦の労働条件の改善の中で、すなわち複数制の8日勤務、夜間勤務ということにつきましては、私たちといたしましては、できるだけ少なくとも九州各県の水準までに上げるべく努力すると、そういうことでいま対策を講じつつございます。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 仲松議員から御質問のありました教育庁関係の問題についてお答え申し上げます。
 まず第1に、高校間の格差の是正についてお答えいたします。
 沖縄県立高等学校の普通科の通学区域は、小学区が12学区、これは小学区と申しますのは、1校しか選択できないというふうな学区でございます。
 中学区が1学区、中学区と申しますのは、1人で2校ないし6校選択できるという学区でございます。
 大学区が1学区、これは7校以上選択できるという学区でございます。これだけあります。
 都市地区の大学区には、ただいま仲松議員から御指摘がありましたように、高等学校間の格差があり過ぎるという意見が多々ございます。その意見は、ほぼ正しいと私も考えております。
 現在の通学区域に関する規則は、以上の点も含めまして改善すべき問題がいろいろありますので、県教育委員会としましては、公立高等学校の通学区域研究委員会を設置しまして全県的に総合的な研究を進め、所期の目的を達成したいと、こう考えております。
 49年度にこの研究委員会は、3回終わりました。50年度も、1回終わっております。今年度はあと5回、小委員会も含めて5回会を持ちたいと、こう考えております。
 特に、この研究委員会の検討している問題は、高校のない離島の中学校を特別に配慮したいというふうな方向で研究しておりますし、なおまた、那覇、浦添等の大学区の地区の学区を変更していきたいという方向で検討を進めてございます。
 なお、高校のない離島の中学校につきましては、来年度の入試に間に合うように適切な措置を講じたいと考えております。
 その他の問題につきましては、50年度で大方のめどをつけまして、51年度には、調整期間として52年度から実施していきたいと、このように考えております。
 次に、高等学校への過当な入試競争の解消についてお答え申し上げます。
 昭和49年度、中学校から高等学校への進学率は全国平均90.8%というものに対しまして、沖縄県は74.2%、約16%ぐらいの開きがございます。
 そのために、県教育委員会では、第1次県立学校編制整備計画をつくりまして、その計画の中で目標年度の昭和56年までに年次的に高等学校を設置していきたいと、一応の計画は6校新設したいということでございます。
 現在、50年度では、南風原と北谷の方に新設する計画を一応教育委員会としては決めてございます。そういうことによって、進学率を96.3%に高める考えであります。
 進学率が96.3%に高まりますと、あと3.9%はいわゆる心身障害の生徒たちでありますので、それを加えますとほとんど100%高等学校に進学できるということになるわけでございます。
 なお、現在ある14校の大規模校、これを縮小して適正規模に近づけるために、先ほどの計画の6校でよいかどうか、これもあわせて検討中でございます。
 以上で終わります。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 精神障害者に対する警察の措置ということで御質問いただきましたのでお答えいたします。
 まず、県予防課に通報いたしましたいきさつでございますけれども、県警の防犯少年課の担当係員が、県予防課の担当係員と事務上の連絡を密接にしようということで、本年4月中旬ごろ2回にわたって県の予防課に出向きまして、県下の精神障害者の実情について相互に話し合い、警察はそのとき予防課の数字的な資料などもちょうだいしてきておるわけでございます。その後、防犯少年課の把握しております資料も、予防課に提供した方がその行政事務上のプラスになるんじゃないかということで、予防課の担当係員に対しましても一応その意向を伺いまして、精神衛生法第24条に基づく通報ではなくて、参考通報としてならいいだろうということで、その趣旨で防少課の把握しております108名、これの名簿を送付したものでございます。
 それで、この108名の名簿をつくるために一斉調査をやったかと、こういうことでございますけれども、そのことのために特別に調査したものではございません。
 この108名といいますのは、昭和48年以降現在まで、その時点まで各警察署において保護等で取り扱いました精神障害の疑いのある人ということで取り上げたものでございます。その中にはその都度精神衛生法第24条の規定による通報をしたものも含まれておる次第でございます。
 それで、これを何の根拠によって入院の要ありと判断したのかという御質問でございますが、この108名につきましては、まず第1に、そういう24条に基づく通報でないことは御指摘のとおりでございます。そして、これは、そういうことでございますので、27条あるいは29条の措置を必要とするという意味で通報申し上げたものではないわけでございます。行政上の事務段階での連絡ということで通報したものでございます。したがって、入院の要ありとこの人たちについて判断したものではないわけでございます。
 御指摘ありましたように、措置入院ということになりますると、非常に厳格な根拠が定められておるわけでございます。私どもそれは十分承知しておるわけでございますが、いま申しましたようにその通報の趣旨が24条に基づくものでなく、したがって、その以降の診察あるいは措置入院というものを要請したものではないわけでございます。
 それで、精神障害者に対する治療、医療というふうなものも非常に進歩してきておるのに、警察のこういう態度というのは、それに逆行してまことにけしからぬではないかということでございますが、私ども確かに今回の措置につきましては、そういう診断あるいは措置入院を要請したというふうな誤解を招いた、あるいは警察が独善的にそういう判断をしたというふうに受け取られましたことにつきましては、これは慎重を欠いた措置でございまして遺憾に思っております。
 今後、このようなことがないように十分自戒し、かつ部下も指導していきたいというふうに考えております。
 それから都市交通の問題でございます。
 特に、海洋博を控えてその交通事情の変化が都市交通にどのような影響を及ぼすのか、あるいはそれに対しましてどういう対策を持っているかと、こういうことでございますが、御承知のとおり自動車を主体とする沖縄の陸上交通におきましては、今度のような海洋博という大きな行事が行われますると、非常に交通量が増加する。そして、それが都市周辺に集中するんじゃなかろうかということは、皆考えるところでございます。
 飛躍的にその交通量が増加し、あるいは特定の地域に集中してくるということが予想されますので、警察といたしましては、この地域住民の安全確保、それと観客交通の安全、これを主眼といたしまして大幅な交通の規制、これをはじめといたしまして安全施設、信号機、道路標識、表示等そういうふうなものの整備、それから交通の整理及び事故処理体制の確立、あるいは交通指導取り締まりの強化等総合的な交通対策を推進いたしまして、交通の安全と円滑、これの確保に努力しておるところでございます。
 もともとこの都市交通問題は、総合的に交通規制対策に基づいて推進するところでございますけれども、その計画の基本は、都市における道路交通による事故や公害の発生あるいは交通機能の低下、生活環境侵害等に対処したものでございまして、既存の道路における交通の流れを改善する。そして、その中で都市における自動車交通の総量をも削減していこうというものでございます。
 こういうことを基本といたしまして、現在の県下の都市地域で自動車交通量の過密化によりまして交通事故の多発、それに交通機能の低下が見られている。さらには、住民の生活環境そのものが侵害されておるということでありますので、これらの状況に対処いたしまして、少しでもこれらのデメリットを少なくするというために交通規制を幅広くやっておるところでございます。そして、総合的な交通規制計画を策定したら、緊急性の高いものから逐次実施していくということでございます。
 その中の1つといたしましては、バスレーンの拡大ということはどうかということでございますけれども、バス専用道路の設定というのもまさにその計画の一環であるわけでございます。輸送効率の高い大量公共輸送機関としての路線バス等の正常な運行を確保して、交通混雑の主要な原因になっておりますマイカー等の利用者をこれらの大量公共輸送機関の利用に転換させる。そのことによって通勤、通学等の輸送需要を充足しながら、実質的に自動車交通総量をも削減していこうというのがこのバス専用道路の設定のねらいでございます。
 すでに御承知のとおり、本県におきましても昨年の8月1日から那覇市の中心部と首里・山川を結ぶ県道3.4キロメートルの区間におきまして、朝の通勤時間帯に那覇市中心部向け片側1車線をバス専用道路として設定しておるわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。
 その結果といたしまして、当該路線バスを利用した場合の通勤所要時間が従来の4分の1程度に短縮された。あるいは約1400人程度の人がバスに乗りかえた。バス使用に切り替えた。このことによりまして、その時間帯の交通量が相当削減された。このため市内各所の交通渋滞が緩和されまして、他の路線バスの定時運行も確保されたというふうな波及効果がございます。
 また、バス専用道路に関連する細街路についても、これは交通規制を行いましたためにそこに車両がむやみに侵入してくるというふうなことがなくなりまして、生活環境がよくなったという点が挙げられておるわけでございます。
 それで、今後こういうふうなものを拡大するかどうかということでございますが、私どもはこういう実績を参考にいたしまして、バス専用レーンの設定をさらに推進していきたいと考えておるわけでございます。
 まず、国道の58号線、これは宜野湾市の伊佐から那覇市内までの朝の通勤時間帯に設定しようということで、関係機関、団体と検討を進めているところでございます。
 さらに、こういう実績を積み上げていきまして、もっとほかのところでもこのような施策は実施することが可能であり、効果があるという見通しが立てられればさらに広めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、いわば生活道路、買い物道路等の生活に結びついた安全な街路というふうなものの設定というのはどうかということでございます。この点につきましても、かねてから道路というのは本来住民の生活の場であるわけでございますので、そこにおいての安全といいますか、生活上の利用というふうなもの、これを確保するのは当然なことでございます。
 特に、最近自動車の社会から人間本来の社会へというふうなことが交通の面でも強く要求されておるところでございますので、住宅地域の道路あるいは繁華街というふうなところについては歩行者の地位を回復し、安全確保を図るというためにそれぞれのゾーンを設定してきておるところでございます。たとえばスクールゾーン、これでございますけれども、小学校の児童生徒あるいは幼稚園児の通園、通学、この安全を確保するということのために学校、幼稚園を中心といたしまして、その周辺地域に設定を行いまして、速度制限、通行禁止等の所要交通規制を行っております。すでに県下では182カ所を指定しているところでございます。
 また、歩行者用道路、同様の観点から学校周辺地域、住宅地域、商店街等日常生活に密着していることにより良好な生活環境を保全すべき地域、これにつきまして遊戯道路であるとか、あるいは買い物道路等の形で現在67カ所、道路の延べ距離にいたしまして約26キロメートルほどでございますが、これを設定いたしまして、自動車交通を制限ないしは排除いたしまして歩行者の安全確保を積極的に推進しておるわけでございます。今後もこの考えをさらに進めまして、いわゆる生活ゾーンという形での交通規制の方法についても終日制であるとか、あるいは時間帯規制であるとか、地域規制、車種別規制等いろいろの規制方法を効果的に組み合わせまして、学童や買い物客等の交通の安全を図ることはもとよりでございますけれども、住民が自動車の脅威にさらされずに安全で快適な生活、これを営むことができるように配意して進めていく考えでございます。
 最後に、路上駐車でございますけれども、これは実はわれわれにとりましても深刻な悩みでございます。
 現在、那覇市内と県下の都市地域では非常に自動車交通が過密化しておる。これから生じまする非常に無秩序な駐車、これによりまして交通の安全と円滑化が阻害されている。ひいては住民の生活の安全が脅かされ、都市の機能さえも十分に発揮できないんじゃないかという実情にあるわけでございます。
 こういう情勢に対処するために、都市部における駐車対策を交通警察の重点項目として進めておるわけでございます。
 具体的には、駐車車両の陰から飛び出してくる、あるいは駐車車両等の衝突というふうなことによりまして駐車による交通事故の防止、それからあわせまして都市地域内の交通の流れを安全で機能的なものにするということのために、駐車禁止の規制を強化してその指導取り締まりを進めてきておるということでございます。
 ただ、このことは、駐車禁止をいたしますると都市地域での駐車スペースが実際に減少することになるわけでございます。その結果として長時間の駐車を伴う自動車の都市地域への流入が少しでも抑制されるということになって、交通量の削減ができるということではありますけれども、いま言いましたように、そうしますると駐車地域がなくなる、したがって従来駐車しておったのが細街路、生活街路等に流れ込んでくるというふうな問題もあるわけでございます。
 それで、それに対しましては、そういう流入を防止するということではまた規制を行うわけでございます。あるいは取り締まりによってそういうことがないようにしておくわけでございますけれども、この駐車需要というのはなかなか少なくならないわけでございます。それが都市の一つの機能としての結びつきというところがございまして、なかなかこういう取り締まり、あるいは規制を行っても少なくならない。
 そこで、関係自治体当局あるいは地元諸団体等に協力を求めて駐車のスペース、これを確保するような一面につきましても進めておるわけでございます。
 こういう問題というのは、やはり地域の住民あるいは当該自治体の御協力がないとなかなか完全な解決というものができかねる面がございますので、そういう人たちと連携をとりながら、この路上駐車の排除ということを進めていくつもりでございます。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) 先ほどの問題の中の浸水の問題でございますが、この浸水の原因については昨日申し上げましたが、そのほかにきょう確かに仲松議員が御指摘になっているところの開発、これは宅地造成というのが最近非常に進んでおりまして、その宅地造成自体は確かに流出係数を大きくして浸水の大きな原因になっております。
 そしてさらに、具体的に御指摘をいただきましたところのいまの与儀の問題、それから泊の問題、泊の問題それ自体は従来軍用道路として出ていた政府道1号線、そういうことからも大分流れ込みますので、確かにそういうような排水路の未整備のまま引き継いできたと、こういうようなことも大きな原因になってございます。
 それから与儀の問題ですが、確かにそういうような御指摘のパイプラインが橋にかかっておりますので、その橋それ自体の改築も早目にしなければならないかと思います。
 そういうようなことのほかに、私たちとしては、最近宅地造成が非常に進んでおりますので、先ほどの御指摘もございましたが、その規制それ自体は私たちとしてはいまの都市計画区域内の地域については、これは1000平米以上は法令関係から当然それは開発審査会の審査を受けて指導しておりますし、それから市街化調整区域につきましては、これは面積のいかんにかかわらずすべて私たちはこれを規制並びに指導し、許可を与えております。
 その他の地域につきましては、県土保全条例が定められておりますので、その基準に従ってそれぞれ申請があればそのような形で浸水を起こさないようできるだけ排水路の整備をしたような形で許可に臨み、それについては規制、それから指導をしていく所存にございます。
 その次の御質問の駐車場の問題でございますが、私たちとしても駐車場それ自体は都市交通と大きなかかわり合いがあり、それから都市施設としても重要でございますので、これは振興開発計画の中に御指摘のとおり約5万1000平米ぐらいを予定して進めておりますが、現在までにおおよそその40%ぐらいは一応達成はいたしております。
 しかしながら、昭和48年度に私たちは駐車場の実態、那覇を主体にいたしましたが、駐車場の実態、それから路上における駐車の実態ということで供給と需要の状況をチェックいたしましたところ、特に那覇地区の場合においては、先ほど県警本部長から御指摘のように路上駐車が相当にございます。
 そういうことで、駐車場は特に私たちとしても今後も必要でございますし、それから都市交通の混雑をなくするということは、どうしても駐車場をより多くつくり、その中で現在の路上におる車を収容するというようなところで、その供給に対し需要をふやしていかなければなりません。そういうことから今後ともこれは進めていきますが、これはいまのような形では主として民間の事業ということにして、民間をできるだけ育成しておりますし、それからこれについては制度資金もありますので、その制度資金等によって民間等の駐車場をできるだけ育成していきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 仲松庸全君。
   〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 残った1点について質問いたします。
 離島航路の問題について。
 離島の医療、教育、物価、産業その他いっぱいある問題を見るとき、離島の基本問題の1つは何といっても離島航路の問題だと思います。
 先日、伊平屋、伊是名に委員会視察を行ったとき、伊平屋の村長は、連絡船の運営について赤字でどうすることもできない、展望もないと言っておりました。
 はしょります。
 この窮状を打開していく上で補助の対策を強化すると企画調整部長がおっしゃいましたけれども、その点を強化していくことは正しいと思いますし、同時に発想の転換をして離島に対する国鉄連絡船、快速の連絡船、また、離島間の国鉄連絡船、こういうものを思い切って要求し、実現していく方向を樹立すべきではなかろうかということでございます。
 沖縄は、そういうことについて特に要求すべき特権を持っていると私は考えますので、自信を持ってその施策の樹立をしていただきたいということを要望し、質問といたします。
○議長(平良幸市君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 通告に従って質問を行います。
 まず、失業防止と雇用対策について。
 全国的なインフレと不況の同時進行という経済危機の進行の中で、県内においても物価は異常な上昇を続け、また、米軍基地の再編強化に伴う基地労働者の大量解雇や独占資本の進出による民間企業の統合合併、人減らし合理化の進行、さらに総需要抑制、金融引き締めによる民間企業の倒産などで県内の失業者は2万3000人を超え、労働者と勤労県民の生活は一層深刻になっております。
 一方では、米軍基地の再編強化の中で、基地労働者の大量解雇は引き続き強行され、また、港湾労働者の職場など民間企業においても人減らし合理化が行われております。
 このような状況のもとで、政府や米軍当局に対し強力に解雇の撤回を迫り、雇用の保障を要求すべきだと思いますが、その対策はどうなっているでしょうか。解雇された労働者の生活実態はどうなっているでしょうか。
 労働者の中には、就職促進手当は手続がうるさく、手取り金額も少ないという不満が出ております。
 手続を簡素化し、手取り金額を増し、失業者の要求にこたえ、県としても政府に対し強力に働きかけるべきであると思います。
 また、失業者の再就職のために職業訓練制度と実施の改善充実を図り、その技術が生かされる措置を講ずるべきだと思います。
 国と県による県民の切実な要求にこたえる生活環境と交通施設の抜本的整備、農漁業、伝統工芸など地元産業の振興のための公共事業を進め、失業者に仕事を保障する対策を早急に推し進める必要があるのであります。
 一方、民間企業においては、春闘の中で暴力団が介入するなど労働者の人権を脅かしております。特に、オリオンビール労組の書記長に対しては、事前に暴力の予告をし、しかも人家の密集しているところで土足で人家に入り、家族の面前で鉄パイプで殴るけるの暴力を働き重傷を負わしております。
 このような行為は絶対に許されてはなりません。県当局としても、このような事件が二度と起こらないように十分な対策と行政指導を行うべきであると思います。
 同時に、首切り合理化、賃金不払い等に対しても行政指導を徹底させ、労働者の生活と基本的権利を守るよう再び強く要求して努力すべきであります。
 また、婦人の問題にいたしましても、ことしは国際婦人年ということで、国際的にも、また日本国内でも男女の差別徹底、婦人の地位の向上、国際友好と平和のための行動が進められております。
 その中で、本県の勤労者の世帯の家計での妻の収入の率は、48年の総理府統計調査によりますと9.2%で、全国平均の5.7%に比べるとはるかに高い比率を示していることを見ましても、本県の婦人の労働の家計への影響は他県に比べて大きいことがわかります。
 しかし、現在不況とインフレの同時進行のもとで婦人労働者のパートなどで不当なしわ寄せを受け、失業者数でも大きな比率を示しております。
 また、女子労働者の給与はすでに初任給において中卒から大卒に至るまで格差がついており、支給給与額は、本県の場合、男子の62.5%にすぎません。こうした男女の差別は、昇給にも、また昇格、起用や定年制などにもあらわれております。
 このような状況のもとで、ことしは国際婦人年でもあるし、革新県政にふさわしく、調査を行い、対策を立てることを強く要望いたします。
 また、高度経済成長のもとで公害の多発をはじめ、通勤事情、住宅事情、さらに家事、育児の負担など生活環境が悪化し、母性に大きな影響を与えております。
 労働省婦人少年局の勤労婦人の妊娠、出産に関する調査によると、妊娠中何らかの異常があった者72.5%、分娩に関して何らかの異常があった者54.9%、いずれも過半数を超えて、母性破壊は深刻であります。立ち仕事か中腰の無理な姿勢を長時間続けたり、神経的な緊張状態が続くことが多いこともその原因の一つと言われ、労働条件の改善が迫られております。
 県内においても、看護婦、店員、保母、タイピスト、電話交換手、理美容師、教員など婦人労働者についての母性破壊や母性保護の権利行使の現状、または労働条件に関する調査研究などを進める必要があると思いますけれども、労働商工部長の御意見をお伺いします。
 次に、昨日から行われておりますところの那覇空港周辺の航空機の騒音測定についてお伺いします。
 新聞報道によると、那覇空港事務所は、県、那覇市、豊見城村、糸満市の協力を得て、運輸省が委託した航空公害防止協会によって那覇空港周辺の騒音測定を行っております。
 これは那覇空港が特定飛行場に指定されたため、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の騒音の防止、航空機の離着陸の頻繁な実施により生ずる損失の補償を行うことを前提にして行われているものであります。
 法によりますと、測定が終わると線引きをし、航空機の平均騒音レベル85以上を第1種区域として線を引きます。
 この第1種区域に指定されると、現に所在する住宅について、住民が防音工事を行うときは、この工事に対して、国と自治体は助成措置を講ずることになっています。
 しかし、これは区域指定の時点で存在していた住宅だけで、指定後移転してきた住宅等にはこの法律は適用されないで補助ももらえません。
 ですから、この区域のこれ以上の発展を阻害するところの一つの間接的な要因にもなるわけであります。
 第2種区域とは、第1種区域のうち、爆音障害と特に著しい区域で平均騒音レベル90以上とされ、この区域指定の際現に所在する建築物をこの区域外に移転または除去するものに対し、国は予算の範囲内で、通常生ずるべき損失を補償することができるとしております。
 また、国はこの区域内に土地を持っている人から土地を買い入れることができるし、あるいは集団移転方式によって、その第2種区域から集団移転方式で移転した場合は、移転した先の道路、水道などを整備する市町村に対しては、予算の範囲内で助成することができるようになっています。
 第3種区域とは、第2種区域の中で、さらに爆音による障害が新たに発生することを防止し、あわせてその周辺における生活環境の改善に資する必要があると認められた区域で、国に対して土地の買い入れを申し出た土地は、緑地帯、その他緩衝地帯として整備されるよう適当な措置がとられる区域となっております。これをいま私たちは立ち退き区域と呼んでおります。
 この法律は、基地周辺整備法と同様で、空港や米軍、自衛隊基地の騒音に対する住民の反対闘争の中から出てきた法律であります。騒音を防止するために国が補助を与える、騒音のひどいところでは立ち退いてもらう、これがこの法律のねらいであります。
 今度の騒音測定は、那覇市の具志、豊見城村の与根、あるいは糸満がその対象になっております。運輸大臣が区域を決定をするその線引きのほかに置かれた家は、線から外れた家は軒一つ隔てても補償を受けられません。隣までは防音工事の補助2室分、90%もらったが、こちらの方は一文ももらえないという例が出てくるわけであります。航空機の騒音が、軒を突き合わしていながら適用外になるということで補助が受けられないということは科学的ではないわけです。
 ちなみに、環境庁の中央公害対策審議会騒音震動特殊専門部会では、航空機騒音に係る環境規律についてという報告書の中で、環境の指震値は平均騒音レベル70以下としています。これは第1種が85以上です。しかし、環境庁の専門部会では70以下、これは全部平均騒音は70以下でなければならないということを専門部会は言っておりますけれども、これでは85以上になっているわけです。しかし、国はこの専門部会の報告を無視して、平均騒音レベルを85以上にしているということは、私たちはこのまま見過ごすことはできないわけです。
 嘉手納の米軍基地はどうなっているでしょうか。
 この間、私は施設局に問い合わしてみましたところ、嘉手納基地周辺の騒音測定は、すでに3月に完了したということであります。おそらく現在は、線引きの段階に嘉手納は来ております。嘉手納基地周辺は米軍基地ですから、那覇とは違って、基地周辺整備法によって区域決定は行われることになりますが、その内容はほとんど似ております。
 横田基地周辺では、第3種区域、第2種区域、いわゆる将来立ち退きされると思われるような区域が同じ町を分断する。たとえば横田基地の昭島市であります。これは市が分断されるということで、猛烈な反対運動がいま起こっているわけです。これは基地撤去ではなくして、住民を撤去させ、基地の整備拡充にもつながることになりかねないわけであります。基地を維持するねらいで区分けし、分断して、立ち退きを誘引して基地周辺に非居住地域をつくるものであって、当該地方自治体の都市づくり、村づくりを破壊し、住民の自主的環境づくりに敵対するものです。
 そこで、執行部にお伺いしますが、那覇空港区域内における防音対策の費用は1戸2室に限り、90%国の補助ということになっているが、あとの10%は県が負担をするのか、市が負担するのか、個人が負担するのか、これをお聞きします。それと、冷房装置はどうなっているか。
 2番目には、嘉手納基地周辺は線引きの段階に入っていると思うが、県や関係市町村に施設局から何らかの相談があったかということをお伺いします。
 次に、いま紛争を続けているところの沖縄女子短大と付属高校の学園紛争についてお伺いします。
 わが国の私学の歴史は古く、官学に対して私学という言葉は奈良時代から出ています。いまも私学はわが国の国民教育に大きな比重を占めています。わが国の大学教育の場合、70%以上を私学に依存し、高等学校の教育は、40%を私学に依存しています。沖縄県の場合、その半分の20%が高校の場合は私学です。
 しかし、自民党政府は私学に対して全く冷淡で、運営費補助とわずかな助成しかやっておりません。私学は勢い学生生徒の学費に頼るしかなく、その負担は勤労大衆としての父母の肩に大きくのしかかり、耐えられないぐらいの負担になっています。学校予算の中で学費の占める比率は40%ぐらいです。沖縄の私立高校は2億円ぐらいの膨大な赤字を抱えているのが実情であります。
 ですから、沖縄女子短大など、定員の何倍かの水増し入学をやって、これをしのいでいるわけであります。
 理事会は、21名の教師を解雇、組合側は、短大の授業再開を阻止するために校舎を占拠し、互いに裁判所に提訴して紛争はますますエスカレートして、学生、生徒、父母はその犠牲になっております。
 高校の場合、去年の3年次は組合で卒業させ、1年次、2年次は仮進級ということになっていますが、追試験はないため単位保留でしかなく、生徒諸君は、授業再開のめどもないまま学校と教師に対する不信感で焦燥の毎日を送っているのであります。せめて高校までは、という父母の願いは切実です。
 また、女子短大と付属高校で学ぶ子供たちの学習の権利は、だれも侵すことのできない基本的人権です。市民社会は、これを保障する責任が私たちにはあるわけです。
 しかしながら、沖縄女子短大と付属高校の紛争は、学生、生徒の学習権と父母の切実な願いをじゅうりんしていることに憤りを感ずるものであります。
 私は、大学の自治が守られ切れなければ、民主的学問の発展はないと考えています。この学園紛争は、解決のめどもないままに7カ月が経過しております。理事の中には、公然と高校閉鎖を公言する人も出てきております。一体、1000人の高校生はどうなるでしょうか。
 私立学校法は、知事の権限というのは補助、指導でしかありません。知事は7カ月にわたる学園紛争に対し、どういう補助、指導をやってこられたか、お伺いをします。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島 修君登壇〕
○渉外部長(大島 修君) 駐留軍従業員の解雇に対する対策と、それから解雇される場合の支給される手当の事務の簡素化等についてお答えいたします。
 復帰後今日まで軍従業員の解雇は6925人、約1万人に及んでおります。復帰前69年からしますともう1万3000人を超しております。
 県といたしましては、基地の整理縮小を伴わない、しかも米軍の一方的な合理化、都合によりますところの解雇に対しては反対をいたしておりまして、その撤回をその都度強力に要求して米軍並びに施設庁に対して強力な折衝を行ってまいっております。
 しかしながら、現実の問題として、その全面撤回はこれまでほとんど実現をいたしておりませんで、今日のような推移を経てきております。
 しかし、県といたしましては、全面撤回が不可能であるにしても、その中で十分配置転換やあるいはいろいろな調整のできるものは事務的に十分詰めておりまして、その解雇数の減少を図ってきております。
 復帰後の今日まで要求された解雇数は1万人に達しておりますが、実際その中で調整されて解雇されたのが6900人余りでございまして、4000人相当そういう県の努力によって調整されて、減らして今日に至っております。
 そこで、失業率の最も高いという本県の労働市場の現状からいたしまして、米軍のこのような解雇はますます県内の労働事情を悪化させるだけでございますので、県といたしましては、今後ともこれまでの基本的な立場に立ちまして、強力な撤回要求並びにその解雇数の減少に最大の努力を払っていきたいと、このように考えております。
 それから解雇される場合の手当にはどのようなものがあるかと申しますと、まず労管段階で支給されるものには退職手当と特別給付金がございます。その他職業安定所、市町村などを通してなされるものに失業保険だとか、あるいは就職促進手当だとか、再就職奨励金だとか、自営支度金だとか、債務の補償だとか、移転資金だとか、雇用奨励金、その他若干支給されることになっております。
 もちろん、それは全員に支給されるわけじゃなくて、そのケース、ケースによって支給されるわけでございます。
 そこで、この支給の仕方について、あるいは手続等については、解雇前に十分労管やあるいはまた県本庁、市町村、あるいは職業安定所を通じて説明をいたしておりまして、今日までその支給事務、手続は復帰当初においてはいろいろと困難はあったけれども、現在はわりとスムーズに行われていると聞いておりますが、その事務の簡素化についての御指摘もございますので、十分検討いたしまして、政府の方に要求すべきは要求して改善を図っていきたい、このように考えております。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 解雇後の労働者の生活の実態、その他雇用対策について答弁申し上げます。
 今年5月におきますところの有効求職者が1万7834人というふうになっております。
 その内訳といたしましては、駐留軍の離職者が4707人、沖縄復帰失業者が2244人となっておりまして、駐留軍離職者の男子の45%、女子の21%、沖縄復帰失業者の男子の60%、女子の52%が45歳以上の中高年齢者というふうなことになっております。そのうち、駐留軍離職者あるいは沖縄復帰失業者を除く一般失業者1万873人ということで、このうち54%程度が29歳以下の、いわゆる若年層であるというふうなことになっております。
 そして、全有効求職者のうち現に雇用保険の受給者である者が6703人、就職促進手当の受給者である者が5089人、それから雇用保険の受給資格者であるが、まだ支給開始に至っていないのが1210人、それから長期間にわたって安定所に出頭していない者が1840人、これはいま支給は受けておりません。それと、全くそういった給付のないのが約2600人に上るであろうというふうに考えております。こういった解雇された労働者の生活の実態は、こういったように職業安定所には出ております。
 したがって、私どもとしてはまず何らの給付も受けていない約2600人、それからそういった給付の手帳の切れそうな人たち、これを中心にして職業紹介を強化していきたいというふうなことで、現在そういった考え方で職業紹介をいたしておりますし、そういった人たちについては、ほとんど職業紹介をしているといったような状況にございます。
 それと援護措置の拡大の件についてでございますが、これにつきましては、今後のこういった援護措置の切れる人たちの実態あるいは額の問題なども検討しながら対処していきたいというふうに考えております。
 したがいまして、いまの段階で援護措置を拡大せよという要求は国に対していたしておりませんが、このような失業者の実態を十分考慮しながら、どういった立場で対処していくかといった点について検討を続けていきたいというふうに考えております。
 それから、そのほかの職業訓練の問題でございますが、これについてもやはり転換訓練などを主として対処していくべきであろうといったようなことから、まず沖縄の場合施設が十分でないわけでございますので、施設の充実強化といったようなことから、現年度いっぱいでコザの専修校を具志川市に移転しましてそれを完成していくというふうなこと。さらに、国の方の第2総訓が今年度いっぱいで完成するというふうなことになっておりますし、そういった施設を充実強化させていくというふうなことによって、より多くの訓練をいたしまして再就職に備えたいというふうに考えております。
 それから、オリオンビールとかそういった暴力事件の件があったわけでございますが、県といたしましては、少なくとも労使関係というのは労使双方が信頼関係を樹立するというのが急務であろうというふうに考えております。
 したがいまして、その中で暴力事件とか、そういったのが惹起するということは遺憾に思っているわけでございますし、それで県といたしましては労使双方から事情を聴取しながら、しかもこういったことが起こらないように、また、仮にそういった風評があったとしても、会社側としてもそういった風評も立てさせないような立場で労使間の信頼をつないでもらいたいといったような立場から、現在行政指導をいたしておりますし、さらに今後とも強力にそういった面の行政指導を続けていきたいというふうに考えております。
 それから賃金不払いなどにつきましては、これは労働基準局の所管ではございますが、県としても見過ごすというわけにはいきませんので、基準局と協力をしながら、賃金不払いなどについても、県としてのできる範囲の行政指導をしていきたいというふうに考えております。
 それから次に、婦人の労働条件の問題、賃金差別の問題などの実態調査の件もあったわけですが、これにつきましても基準局、さらには婦人少年室などとも十分を協議しながら、県としても積極的な立場でそういった実態を明らかにし、それに対する対処策を充実していきたいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) ただいまの伊波議員の指摘の騒音測定の問題についてのことでございますが、騒音測定についての技術的な面については私の方の環境保健部が所管しておりまして、さっき言われたように那覇空港周辺の騒音測定につきましては、きのうからうちの職員が出かけてやっております。
 御質問の中での那覇空港防音対策費、その負担はどうなるかという問題、それからその次は嘉手納空軍基地における防音装置としての冷房等の設備状況はどうなっているかと、それから聞くところによると、嘉手納基地周辺における防衛施設庁の騒音測定について線引きがなされるとの感触であるが、その線引き等については各市町村に知らされているかどうかという御質問なんですが、これにつきましては、私の方ではまだそういう情報は入っておりませんが、一応これにつきましては県庁内でこれに基づいてどう対処するか、あるいは情報をどう取るかということについて検討させていただきたいということでございます。
○議長(平良幸市君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 嘉数女子学園の紛争についてお答えいたします。
 知事がどのような指導を行ってきたかというようなことでございますか、その前に紛争の経緯をかいつまんで申し上げます。
○伊波広定君 紛争の経緯はいいです。
○総務部長(赤嶺武次君) それでは経緯については省略いたしたいと思います。
 学園紛争が学費値上げ反対に端を発して起こっております。この双方の主張が合意に達せず、いまなお紛争が長期化しているわけでございますが、この事態について私ども所管として大変心配しているわけでございます。長くなればなるほど学生、生徒の学習に及ぼす影響が多大であり、公的な教育を担当する私学の存続にも影響するところ大なるものを憂えまして、知事の指示を受けて学園の理事長をはじめ理事、学校長などに対して、学園の正常化と授業再開のために全力を挙げて問題解決するように指導助言してまいっているわけでございますが、いまだなお解決の見通しが立たないわけでございます。
 なお、団交も持てない状態になって話し合いの場さえもつくれないのでこれをどうするかということで、労使双方の代理顧問弁護士に依頼して、その弁護士の話し合いによって紛争の解決、収拾に努めるよう働きかけているところでございます。
 総務部といたしましても、在学生の進級認定、卒業生の単位修得、これらについて行政指導をしたわけでございます。特に50年度の新入生募集に当たっての指導助言もしてきたわけでございますが、これが実現できなかったことをまことに遺憾にたえない次第でございます。
 なおまた、PTAや父母の会を通しても授業再開のために積極的に働きかけてきたわけでございますが、これもうまくいかない状態の中にあるわけでございます。
 ますます紛争が泥沼化されてくるような傾向になるわけでございますが、私どもとしても4月26日付で同学園の理事長に対し、教育的な立場から学園を正常化することが先決であり、そのためには労使双方が誠意をもって団交を再開し、問題を解決して学園の再建を図ることが緊急かつ重大なことであるので、設置者においては最大の努力をするよう勧告してまいってきておるわけでございます。
 この私学に対する知事の権限というものはきわめて限られた権限でございます。むしろ、私学の独自性がうたわれて、そこの中で行政庁による規制がなされておりますので、私立学校法の精神を尊重しなければならないために、そこに直接積極的に紛争解決に入っていけない制約の中にあっても、やはり公的な教育の場における紛争解決をどうするかということでできる限りの指導助言をしておるわけでございますが、現在裁判所において問題が提訴されておりますが、その裁判所の提訴された内容をかいつまんで申し上げますと、授業再開のため理事会は授業再開のための妨害排除の訴えを提起しており、また、組合側は解職された職員の地位保全の訴えを提起しておりますが、裁判所は両者の訴えを本案審理に入る前に授業再開のための和解案を提示してあっせんを行っておりますので、これによって労使双方が歩み寄って一日も早く正常な学園に返るように労使双方の顧問弁護士と私ども話し合いを続けているわけでございます。この話し合いによって、一日も早く授業再開ができるように努力していきたいと考えております。
○議長(平良幸市君) 伊波広定君。
   〔伊波広定君登壇〕
○伊波広定君 那覇空港の測定については、運輸省は、米軍機、自衛隊機は除くと言っております。測定はするけれども、対象外だということを言っております。そうなりますと、きょうの新聞によりますと、きのうの測定の結果トライスターが85ホン、南西航空の飛行機が65ホン、自衛隊機、米軍機が103ホンというふうに高い爆音を出しているわけです。
 そうなりますと、運輸省はどういう面からそういうことを言っているかというと、那覇空港は民間空港で防衛庁の予算とは違うから、これには補償しないということであるわけです。そういう面で、やはり1種、2種、3種の地域を補償させるには、いま現にいるところの使っているところの米軍機、自衛隊機の爆音も一緒にしなくちゃ該当者は少なくなると思いますので、それを執行部も念頭に置かれて今後政府に折衝していただきたいと思います。
 以上です。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午前11時56分休憩
   午後1時18分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 まず、農政をめぐる幾つかの問題についてお伺いいたします。農林水産部長の答弁を願います。
 これまでわが党が再三指摘してまいりましたように、高度経済成長政策のもとにおける政府の農政の失敗は今日だれの目にも明らかとなり、いろいろと農政のあり方が論議されるようになっております。本県においても沖縄振興開発計画の中における第1次産業、とりわけ農業と沿岸漁業の位置づけが見直され、特別に重視されるようになっています。
 知事もその施政方針の中で農林漁業の振興を特に強く打ち出していますし、現に農村においては青年層が帰農する傾向もあらわれつつあります。
 したがって、これら諸種の状況に対応し、真に本県農業を振興し、これら青年農業者を本県農業の将来の担い手とし、すべての農民が大きな展望と誇りを持って農業に従事できるようにすることは重要な課題となりましょう。
 そうした観点から本県農業の現況を考えます場合、いま緊急に措置しなければならない幾つかの具体的問題を指摘することができます。
 その第1は、他府県に比べて著しくおくれている生産基盤を早急に整備して、機械化など新しい農業技術に対応せしめ、農業者に他産業従事者と同様な所得を保障することであります。
 第2に、本県農業の基幹作目であるサトウキビ、パインアップルに限らず、全国唯一の亜熱帯地域としての本県の特性を十二分に発揮し、水稲、茶、たばこ、野菜、果樹、花卉園芸、家畜など本県農業の総合的な発展を図る立場から、その技術開発はもとより、農業経営の合理的あり方など農業研究機関の負う任務はきわめて重要となります。
 したがって、これら任務を負う各種研究機関の強化は緊急な課題となります。
 第3に、すべての農民が、その作目において一定の合理的な経営規模を確保し、かつ維持するための農地の問題が挙げられます。
 御承知のように復帰の前後のある期間、異常きわまる土地買い占めが行われ、全県の目ぼしい農地の相当分が買い占められました。狭い離島県である本県において、未利用の農地開発といっても限度があり、これら買い占められた農地を農民の手に取り戻すことが必要です。
 そのほかいろいろあると思いますが、以上3点について、以下具体的にお伺いしたいと思います。
 第1の生産基盤の問題ですが、現年度から宮良川流域の大型土地改良事業など大型プロジェクトが実施され、また、宮古島における地下ダムの調査など県の取り組みについての努力は評価すべきものがあります。
 しかし、今後各地でこれらの事業を推進するについていろいろ困難な問題の派生が予想されます。これら問題に対する適切な対応なしには基盤整備を強力に推進することも困難になります。
 そこで、次のことをお伺いします。
 1つ、農業用水の問題であります。
 宮良川流域や宮古島においては、ダム建設、または地下ダム建設等農業用水の確保について配慮され、計画され、実施に移されつつありますが、特にお伺いしたいことは、沖縄本島における農業用水の確保についてどのような計画、または構想をお持ちであるか、お伺いしたい。
 現在、北部で建設されつつある幾つかの多目的ダムは、水道用水、工業用水であって、農業用水は除外されていると言っても過言ではありません。これら地域を含めた北部、中部、南部における必要な農業用水の量をどう設定し、どう確保しようとするのか、お伺いいたします。
 2つ、農業生産の基盤整備と軍事基地との関係についてであります。
 軍事基地周辺における基盤整備事業において用水路、配水路の敷設が基地にかかわり事業推進の妨げになることも十分に予想されます。すなわち、日米安保条約、地位協定などの取り決めが単に軍事面だけでなく、本県農業の発展の上からも阻害要因になってはいないか。もし、そのような事例があれば、具体的に御説明をお願いいたします。
 3つ、休耕補償の問題です。特に経営規模の小さい本県の農家にとって、これは切実な要求となっています。この問題については、政府とも交渉がなされておりますが、まだ実現いたしておりません。土地改良事業は実施したが、その間の農家の生活は維持できず、事業が終わったときは農民は離農して、いなくな
っていたでは困るわけです。
 石垣島の吉原部落の事例からしましても、この農民の要求は早急に実現しなければならないと考えますが、部長の見解をお伺いしたい。
 第2は、試験研究機関の拡充強化の問題です。
 本県の地理的条件、農業経営の状況、すなわち他府県と異なる農作目を栽培していること等を考えるならば、本県の試験研究機関の充実強化は、単純に他府県との比較で論ずべきものではないと思います。むしろ、青森県のリンゴ試験場のように、他府県ではその地域の特産物の振興を図るために、特産作物のための独立した試験場を設置しているほどであります。
 本県農業の総合的な発展を図る上で、農家の栽培作目がますます多面化する中で、それぞれの特産作物についての専門的な試験研究機関の設置の是非は別としまして、このような農業経営の変化に対応できるような試験研究機関の強化はどうしても必要です。
 特に、サトウキビやパインアップルなどでもわかるように、本県の農作物が他府県と異なり、地理的条件も異なるなど、他県の試験研究機関の成果をそのまま取り入れることのできない事情を考えるならば、本県独自の立場からその充実強化を図らなければならないし、国にもその独自性を強く主張し、財政措置も強く要求すべきであると考えるが、どうか。
 あわせて、現在本県の試験研究機関でサトウキビ、パイン、水稲、茶、たばこ、野菜などの研究に携わる作物別の研究要員の数を示してほしい。
 第3の農地の問題についてでありますが、企業等により買い占められた農地の総面積は現在幾らとなっているか。その利用状況はどうなっているか。
 私の知る限りでは、そのほとんどが放置され、荒廃したままとなっておると思うが、どうでしょうか。
 早急に農業開発公社などで買い取り、農民に返す必要があると考えますが、御見解を伺いたい。
 また、宮古・城辺町における旧日糖社の農地の国による買い上げ及び農地への払い下げについて、その価格の問題が農民との折り合いがつかず、本議会でも農民の意向に沿って解決するよう陳情書も採択されましたが、その後の県の措置についてもあわせてお伺いいたします。
 次に、公有水面埋め立てによる漁業被害についてお伺いします。
 水産高校移転のための用地取得を目的として、糸満地先の公有水面の埋立免許が糸満市開発公社に与えられ、現に20万平方メートルにわたる埋め立てが進行しているため、イカ釣り漁業をはじめ、はえなわ漁業を除く諸種の漁業が操業できないほど海面が汚され、被害を受けています。汚染海面はかなり広範囲にわたり、喜屋武岬近くまで広がっています。
 この公有水面埋め立てによる漁民の被害についての実態を把握しておられるか、免許条件の中で海水汚濁防止、公害の未然防止条項がきちんとうたわれているが、このような重要な条項が遵守されているかどうか、調査したことがあるか、関係部長にお答えをお願いします。
 第3に、海洋博と県民生活についてです。
 わが党県議団は、すでに一昨年12月6日、海洋博に先行して当面緊急に解決すべき諸問題の対策に関する提案を行い、米軍基地温存と大資本の進出対策を中心とする自民党政府の沖縄開発政策の強行が、海洋博計画の持つ諸矛盾を一段と深刻なものにしたことを指摘し、事態をここまで重大化させた政府の責任を厳しく追及するとともに、革新県政が、わが党のこの緊急提案を文字どおり海洋博に先行して、真剣な検討を加え、諸問題の解決に邁進なされるよう要請いたしました。
 また、さきの2月定例会における代表質問においても、わが党の仲松議員は、海洋博と県民生活の防衛について知事の見解をただしました。
 私は、開会を目前に控えた海洋博について、改めて県民生活との関連において幾つかにしぼって質問を行います。
 まず、空の交通の問題ですが、那覇空港は現在でも、東京、大阪に次ぎ、名古屋空港とほぼ匹敵する交通量を持っていると言われています。
 このほど明らかにされた航空各社の増便計画によりますと、海洋博期間中、全体で現在の60%増便になる見込みとなっているが、日航、全日空在来線で現在の41便が70便に増便、新たに松山、熊本、伊江島、香港線も新設、その上ジャンボ、トライスター機が一挙に何倍増ともなるため、総座席数は現在の8400席から1万6478席と、まさに倍増であります。これだけで名古屋空港をしのぎ、大阪空港に迫る勢いだと言われております。
 南西航空も現在の倍増、その他東亜国内航空も長崎、大分、宮崎などからの乗り入れ、パンアメリカン、ノースウェストのチャーター便就航といったぐあいにメジロ押しであります。
 その上、看過できないのは、自衛隊の軍用機が10分間隔で飛び立って騒音をまき散らしています。
 このように海洋博期間中における民間機の激しい増便と軍用機の頻繁な飛来は、ニアミスその他の事故の発生する危険性を高めずにはおかないでありましょう。また、空港周辺住民に対する騒音公害の時間幅も激しく拡大されるでありましょう。
 そこで、お伺いいたしますが、那覇空港の完全解放、特に海洋博期間中の自衛隊の使用の全面的中止は緊急を要すると思います。改めて政府にその措置をとるよう強硬に申し入れるべきだと思いますが、どうか。
 同時に、伊江島空港の完全使用の必須要件である空対地射爆撃演習場の撤去については、一昨日の参議院沖縄北方問題特別委員会で、わが党の立木議員の質問に答えて、防衛施設庁の奥山主席連絡調整官は、同射爆撃演習場が防衛庁の在沖縄米軍基地整理統合計画案に入っていることを明らかにしています。
 この新たな進展に際し、同射爆撃演習場の即時撤去を改めて要求すべきだと思いますが、どうか。
 次に、生活用水の問題です。
 去る5月23日、このたび県技監に任命された野島前総合事務局次長を会長とする渇水対策協議会は、総合事務局で会合を開き、ことしは海洋博開催で水の需要が大幅にふえるが、供給面で十分に対応できることが確認された。海洋博開催時にも断水の心配がないのはもとより、ここ二、三年は慢性的な水不足から解放される見通しとの結論になったと報道されています。
 ところが、一月もたたないうちに夜間断水などの制限給水という赤信号が点滅し、県民にまたまた不安を与えています。
 先月末の渇水対策協議会には、県企業局、環境保健部の関係者も出席なさったようでありますので、企業局長の方に御答弁願い、まず渇水対策協議会の水需要予測量1日当たり最高38万トン、平均31万6000トンは、1カ月の6月の時点、今日の時点で1日当たり28万4000トンを軽く上回り、30万トンを突破していることからして、修正を余儀なくされていると新聞報道の限りでは思われますが、どうか。その場合の対応策は、どうなっているか。
 また、15万トン前後の予備浄水が確保されているというが、どうなっているか。
 次に、6月の時点で1日当たり30万トンを超えているのは、大手ホテルがオープンして独自の貯水タンクにためているとにらんでいるようであるが、これはゆゆしい問題であります。
 一般県民向け生活用水の断水は、どうしても避けなくてはなりません。そのためには米軍、自衛隊、大型ホテル、大企業等の大口利用者への給水制限をしなければならないと思うが、どうか、その具体的対策を考えておられるか。
 第2に、物価対策については、まず大商社、デパート、大スーパー等の暴利を許さないように必要な監視体制をつくるとともに、少なくとも現在の価格水準を維持するため、幾つかの重要品目について最近数カ月の価格水準を参考にした標準価格を設定し、あわせてそのことが弱小業者に負担にならないように必要な助成措置をも検討することや、農産物等の輸送と販売については、農協系統組織を通すこととし、本土からの移入が県内生産者に打撃にならないような措置をあわせて考慮するなどのきめ細かい具体的な施策が差し迫って必要となっていると思うが、どうか。
 物価対策と関連する重大な事態としてその解決を急がなければならなかった港湾労働者の無期限ストが、急転直下昨夜半解除されましたが、去る17日の48時間スト、19日からのサボタージュに続く一昨日早朝からの無期限ストによりくぎづけされた数十隻の貨物の滞貨は、米や雑貨、建築資材など生活関連物資も多かっただけに、海上輸送への依存度の大きい本県にとっては、争議が長期化すると、物価の動向に影響を及ぼすのではないかと深く懸念されていました。
 県も事態を重視して、宮里副知事が労使双方の調整に乗り出して大役を果たしたということになるわけですが、組合側はすでに4月28日、共同雇用制について、港運関係業者、利用者とともに、国、地方自治体・港湾管理者は、港湾労働者を共同責任で雇用し、魅力ある港湾労働の確立に努め、雇用と生活の安定を図れと要求しております。
 県も港湾管理者である那覇市及び事業の直接監督官庁である総合事務局と連絡を密にしながら取り組んでまいりたいと5月30日に文書で回答しております。
 国・総合事務局は、港湾労働者の労働条件の改善と、こういう重大な事態解決のためにどう対処してきたのかお聞かせ願いたい。
 以上で質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 当面する農業問題について、水の問題から申し上げたいと思います。
 本島の農業用水の確保でございますけれども、昭和56年までにわれわれは、年量にして3621万立米の水を開発する計画を立てまして、49年度から農業用水を主体にした調査をいたしました。
 本島北部におきましては、河川と地下水の調査を実施いたしましたけれども、必要水量を超して4023万立米の水の余剰水があることを認めましたけれども、中南部につきましては、必要水量に3366万立米の水が不足であるということが、この調査で大体明らかになったわけでございます。
 したがって、今後は、地下水の開発とファームポンドの開発、いわゆるため池みたいなものでありますけれども、こういった施設によって確保する以外に方法はなかろうと、こう思っております。
 しかしながら、北部には余剰水があるわけでありますから、それを中南部に持ってくることは可能でありますけれども、ただコストの面において問題があるということであります。
 さらに、御指摘いただきました多目的ダムの建設に当たりましては、関係流域の既得農業用水の確保については十分調整をいたしまして、確保できるようになっております。
 さらに、農業基盤整備と軍事基地の問題につきまして、基盤整備の阻害要因になっていないかという御説でありましたけれども、その具体例を示せということであります。
 地位協定によりまして、その使っている区域の未使用分については、一時的に使用してないところについては、その住民が使用することができると、いわゆる有害でない施設については使用することができるということになっております。
 したがって、私たちとしては、既設のものとしては伊江島のダムがあります。ダムといいましてもため池になっておりますけれども、10万トンの農業用水を確保するためのため池をつくりました。これについても、地位協定によりまして所定の手続を踏んで現在使用しております。
 なお、これから進めようとしております宜野座のダムの改修工事、これについては、先ほど御答弁申し上げました農業用水の確保との関連もございますけれども、農林省が年次的な計画を持って本島あるいは周辺離島の農業用水確保のためのいわゆるため池の改修工事の一環でございますけれども、これについても申し上げました所定の手続を踏んで着工することができるとわれわれは思っております。
 したがいまして、いまのところ直接農業関係において軍事基地があってそれを阻害しているというようなことにおいては事務手続上は煩わしさがありますけれども、そのほかはいまのところありません。
 休耕補償の問題につきましては、たびたび議会の皆さんを煩わして陳情等もお願いをしたわけでございますけれども、これも御指摘のとおり沖縄は基盤整備が他県に比して大分おくれておりますので、どうしても計画的に、できるなら計画年次においてこれを完了する必要があると思っております。
 したがって、この基盤整備の特に休耕期間中の補償については、積極的に今後県としても進めていきたいと、こういうふうに考えておりますけれども、なお、所得減の問題につきましては、作付計画の指導なり、あるいは施耕方法の工夫なり、工事期間の検討なり、あるいはその期間中の農業者をその工事に一応就労させるといったような手段を講じながら、実質生産者に迷惑がかからぬような措置をとっていきたいと、こういうふうに考えております。
 さらに、部分的ではありますけれども、改植に要する費用といたしまして、今年度からサトウキビ増産技術濃密指導地区の設定の事業が施行されておりますので、でき得るならば51年度からこの事業の拡大をもってそういった事業と、基盤整備事業と兼ね合わすということになれば、なお効果はあると思っております。
 試験研究機関の拡充強化の問題につきましても御指摘のとおりでございまして、温帯農業の技術をそのまま亜熱帯の農業に持ち込むということについては若干問題もありますし、そういう意味においては、戦前は特に沖縄が糖業県であるということで、国の機関によって沖縄県糖業試験場が設置されたことでございました。
 そういったいろいろな問題が技術上の問題もありますので、今後ともに試験研究機関、特に農林業、水産業の試験研究機関というものは、その地域において、その地域の特性を生かすという意味における技術開発のためには必要であると思いますし、今後も充実強化すべきであると思います。
 御指摘いただきましたように財政措置についても強く訴えておりますし、他県において1項目しか取り上げられない指定試験についても、現在行われておりますウリミバエの対策について、あるいはその他の技術対策について、特にサトウキビの育種問題については指定試験にしていただくような要請をいたしております。
 さらに、御指摘の部門別研究職員の配置状況、サトウキビが23名であります。パインが13名、それから野菜が6名、花卉が5名、その他水稲、病害虫、土壌、肥料合わせまして現在研究職員として配置されているのが112名でございます。
 農地問題につきまして御指摘いただきました企業の農地の買い占めは、おおよそ3000ヘクタールと踏んでおります。正確な数字は、国土利用計画法に基づく調査によって明らかになるとは思っておりますけれども、ことしの3月の末日までに農地法の許可を得ている面積が490ヘクタールであります。その他は、一応買い占められたまま放置されているものと見ております。
 したがって、優良農地の転用につきましては、転用は好ましくないという意見を付しまして農林大臣に進達をして、その転用を防止をいたしております。
 なお、農業開発公社が買い取った面積は、現在まで約85ヘクタールと思っております。今後も開発公社の内部を充実いたしまして、積極的に公社の利用で買い取っていきたいと、そしてこれの転用を図りたいと。
 ただ問題点は、一応転用を不許可にする、けれどもいかなる目的を持って、どういう形でこの土地を運営し、利用させるかと、この総合的な計画に基づいた転用の不許可あるいは買い取りということがなければいけないと、こう思っております。
 なお、城辺町におけるところの小作地の買い上げ問題については、御承知のようにすでに国が買い取って、農家に売り渡す段階に来て農家からの問題が提起されたわけでございます。
 これにつきましては、いろいろと調整をいたしまして現在調整中でございますので、その内容を詳しく説明することはできません。しかしながら、農耕地は、実際に農業をする農家に売り渡すということになりますけれども、その周辺農耕地との価格の均衡を考えながらできるだけ安く払い下げるというのが原則だと私は理解をいたしております。
 それから糸満の漁業補償、これは埋め立てによりましてその周辺の濁りによる被害だと思っておりますけれども、現在のところ被害についての報告は出ておりません。
 しかしながら、御指摘いただきましたように漁業に被害が生じているということであれば、早急に実態調査をいたしましてその実情を把握をして、埋立権者でありますところの糸満市に対して、漁業の被害を与えないように十分配慮することと、同時に漁業環境の保全等については細心の注意をするよう申し入れたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 生活用水のことについてお答え申し上げます。
 需要予測と需給計画、それとその実施につきましては、国及び関係市町村と県の間でお互いに協力をいたしまして、その計画をつくるとともに、また整備にも尽くしてきたわけでございました。
 このことにつきましては、昨日の答弁の中でも申し上げましたとおりでございますけれども、これまでの需給のバランスにつきましては、計画どおりに行っているのでございますので、現在のところ修正については考えておらないわけでございます。
 また、さきに起こった断水と制限給水の原因といたしましても、需要予測が原因ではなく、施設の事故によるものであったことを申し上げましたが、現在供給計画に従いまして、その配水系統の変更につきましても、関係市の協力を得まして実施テストをしてまいりましたけれども、順調なる効果が出ているようでございますので、高台地域の水不足などにつきましても徐々に回復してまいるものだと考えております。
 なお、夜間制限給水は、高台の不良給水地域を解消するために各地に設置してございます配水池の水位を上げるためでございまして、水不足によるものではなかったわけでございます。
 6月に入りまして停電などの事故が相次ぎ、その後遺症により一部地域に断水が生じ、県民に御迷惑をおかけしたことをおわびをしたいと思っております。
 今後、このようなことがないように給配水の安全を期するために可能な限りの検討と、そして努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、大口需要者の制限給水につきましては、関係者の御理解と御協力を得まして、自主的な節水をお願いし、一般家庭にしわ寄せがないように十分な配慮をしていきたいと考えております。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 海洋博と県民生活の件についての御質問がございましたけれども、たとえばこの問題に対する海洋博が開催された場合の物価問題は県民にしわ寄せが来ないだろうか、あるいは交通問題は県民にしわ寄せは来ないだろうかというような御心配はかねてから持たれておることでありまして、そして今日までたびたび御質問も出たわけでございます。
 先ほど物価問題などについては何品目か設定して監視するなり何なり、いろいろこれを規制する方法はないかというようなことでありましたけれども、それは成功させる会の中に物価対策部会、それから運輸対策部会というようなものがございまして、そこで十分検討いたしまして、物価問題なんかについては御指摘されたようなことに対応策は講じておるようでございます。
 それから運輸対策部会についてでありますが、確かに那覇空港には飛行機の離着陸が非常に頻繁になるだろう、そうしたときに完全にこれが解放せられて民間が使うようにならなければ不合理ではないかというところの御指摘でありましたけれども、自衛隊との関係がどうなるのであるかということについては、関係省庁といたしましてもこういう大事な問題については十分これは考え、また検討してこれに対応するはずでありますから、私たちは事の推移を見きわめながら県の立場において具体的にこの問題に対処していくつもりでございます。
 それから伊江島の空港の時間帯でありますが、これもこの際伊江島の基地が撤去されるといったような事柄も課題になっておるとは聞いておりますけれども、まだ手にとってみなければわからないことでありますから、完全に伊江島空港が民間空港として使用できるような、こういうこと
は御指摘なさるまでもなく私ども県民の強く要望するところでありますからして、今後そういう国の動きと対応いたしまして、基地を撤去してその飛行場は完全に民間が使用できるようにする。これは海洋博中ばかりじゃなくして、海洋博後も使用できるようなそういう措置を講ずべく、そういう運動は強く折衝を続けていく所存でございます。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) お答えいたします。
 水産高校の免許条件の履行の件の御質問でございますが、水産高校の免許条件には11項目からの条件を付して向こうに履行させておるところでございますが、その中で特に対外的な補償問題と関連するのは、その条件の第5項の工事の施行の件でございます。これについては一応は埋め立てをする、そして外の方にどうしても塩水が流れやすいので、そこにつきましては向こうの方にも仮護岸でもって閉めさせて、その排水ができるだけ濁って出ないようにと、こういうようなことについて条件の履行を私たちも遵守してそのような対処をさせております。
 いまの御指摘の件からするというと、大分遠くまで濁っておるという御指摘でございますので、なお、さらに私たちはその件を再調査しまして、十分な履行を向こうに指導していく所存でございます。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 全港湾の雇用保障の問題についてお答えいたします。
 これにつきましては、県、国あるいは那覇市、そして関係団体というふうに関係していきますので、ここでの調整が問題になるかと思うわけです。そういった意味で去る6月11日に沖縄総合事務局の主催によりまして、7者、すなわち総合事務局、県、那覇市、航路運賃同盟、港運協会、貿易協会、全港湾の7者による沖縄における港湾労働者の雇用安定に関する協議会を発足せしめ、その中で雇用保障あるいは共同雇用の問題について検討していこうということになっておりました。
 ところが、去る25日から無期限ストに入るという緊急事態を迎えましたので、やはり県民生活の安定というふうな立場からその争議を早急に解決する必要があるということで、県としてはその調整に入ったわけです。その中で、結局那覇市あるいは総合事務局とも協力をしながら争議のあっせんに入り、そして昨日、港湾業務の正常化に関する申し入れをしてその事態収拾に当たっているということでございます。
 そして、今後の立場といたしましては、いま申し上げました沖縄における港湾労働者の雇用安定に関する協議会の場を通して引き続き共同雇用あるいは雇用保障の問題について検討すると。そして、できるだけ昭和51年でこれは実施できるよう最善の努力をするというふうな立場で協議会の中で活動を続けていきたいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 吉元嘉正君登壇〕
○生活福祉部長(吉元嘉正君) 海洋博期間中における物価問題につきまして、ただいま知事から基本的な事項につきまして御説明があったことに対する補足をいたしたいと思っています。
 お説のとおり、県民生活に欠くことのできない重要物資については、県としましても海洋博期間中の県内需要の増による局地インフレや局地パニック現象及び便乗値上げ、売り惜しみ、買い占め等の事態が生じないよう未然に防止対策を講ずる必要を痛感いたしまして、目下のところ30品目を選定し、その需要供給計画の策定を完了しまして、その実施に移っている段階でございます。
 また、不安や思惑を排除するために生活関連物資を含めた物資の価格水準を維持するため次のような監視体制を強化することを考えております。
 まず第1点目には、沖縄県消費生活安定緊急対策に関する条例に基づきまして、価格調査員を名護市ほか9市に20名の職員を配置しまして、28品目にわたり、そして740店舗から臨時店舗を含めまして1000店舗を指定し、毎月15日の勤務状態を指定しまして監視体制に当たっているわけでございます。
 それにつきましては、先般生活関連主要物資の価格動向及び消費動向、それから外食等の価格につきまして調査をし、結果を報告し、そして関係機関に通報しましてその監視体制を整えておる次第でございます。
 第2点目には、国民生活安定緊急対策に関する法律及びいわゆる買い占め防止法、2法に基づく価格調査員としまして、総務部以下県庁内に76名の価格調査員を配置しまして、14品目、24店舗につきまして毎月調査をし、報告をいたし、それらの結果につきましてもマスコミを通じまして報道し、監視している次第でございます。
 第3点目には、消費生活モニターの設定でございます。
 これは県単による事業でございまして、現在85名のモニターを年4回にわたりまして指定する場所ないしは物資につきまして、その価格あるいは民間の苦情等を吸い上げまして処理しているわけでございます。
 第4点目には、物価モニター、これは国の制度でございまして、経企庁の方からの事業として県の方に委託されて、19名の物価モニターを配置し、消費生活モニター同様年4回の報告をいただいております。
 なお、第3点目には、標準価格設定については、現在生活関連2法、すなわち国民生活安定緊急対策に関する法律に基づいてLPG、液化石油ガスが指定物資として標準価格が設定されております。県におきましては、沖縄県消費生活安定緊急対策に関する条例第6条の規定によりまして、物資の需給または価格の動向が県民の消費生活に著しい影響を及ぼし、または及ぼすおそれがあると知事が認めたときは特別の調査を要する物資として指定することができるように定められております。その場合は、指定価格が設定される仕組みになっております。
 指導価格設定の際に当たっては、現在も弱小零細企業あるいは離島に住む人たちが、必要以上に負担過重にならないよう検討いたしております。すでに南北大東に対しましては、LPGの容器補助としまして49年度に価格安定の実績を見ているわけでございます。
 5点目に、農産物等の輸送と販売については、県の経済連、農産物地方卸売市場の集荷、輸送機能を強化するとともに、流通業者との青果物の需給安定連絡協議会を組織しまして、野菜等の適正かつ安定的な供給体制を確立するための対策が樹立されております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 質問通告の順序に従って、まず初めに港湾労働行政についてお尋ねをいたします。
 御承知のように、沖縄県で消費される諸物資の90%が港を通して県外から入ってきます。すなわち、船でもって港を通して入って、それが県民の手に届くのであります。他府県のように、船がなければ鉄道や自動車で物資を県内に運ぶ手段はないのは御承知のとおりであります。それだけに港の荷役業務がストップするとすべての生活物資がストップするということになりますが、これは沖縄全体が離島であるがゆえの宿命であります。そうであるならば、港に関する行政こそ沖縄県が何にも増して重視をしなければならない事柄であると判断するのでありますが、国、県、市町村含めて港の建設には財政措置をとっているのでありますが、しかし、その管理、運営については全く民間任せになっております。
 今日、港における荷役作業の内容が激しく変化し、コンテナ化やフェリー化が進み、何年にもわたって港で働いてきた労働者が解雇の憂き目に泣かされているのは県当局も認めるところでありましょう。
 昨年からことしにかけてすでに700余名が解雇され、今後さらに多数の解雇をしなければならないと会社は通告をしてきております。全港湾労組はこれに怒り、ストライキを繰り返しているのでありますが、もはや行政の関与なくして収拾がつけられないところに来ております。
 幸いにして、副知事の努力及び労使の歩み寄りで昨日めでたく一応は収拾されましたけれども、すべて解決したわけではありません。
 そこで、港湾行政についての県の認識と今後の取り組みについて、特に企画調整部長にどのような姿勢で今後の港湾行政そのものを行っていくのか、それに取り組んでいくのかということをお尋ねをしたいと思います。
 共同雇用についてもお尋ねをしたかったわけでありますけれども、先ほど答弁がありましたのでこれは省きますけれども、企画調整部長の港湾行政についての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、労働争議に対する暴力団の介入問題について警察本部長にお尋ねをいたしますが、これまでも幾たびとなく労働争議に対する暴力団の介入問題はたびたび社会問題になったのでありますが、いずれもうやむやのうちに片づけられてきております。しかし、ことしはこれらの暴力団は異常な動きを示しております。すなわち、中頭トヨタでの委員長代行が殴られた事件、A&Wでは女子組合員への脅迫事件、嘉数女子学園での暴行事件等々であります。中でも、21日に起こったオリオンビール労組の書記長に対する覆面した3人の男たちの殺人未遂事件は絶対に許されてはなりません。
 この事件の経過は県警本部長も聞いているかと思いますが、実に計画的な殺人行為そのものであります。
 事件は、6月21日の午後11時20分、床につくために電気を消した途端、そこには子供2人はすでに眠っていて、1人の子供はテレビを見ていたようでありますけれども、その電気を消した直後に1メートルぐらいの長さの鉄パイプを持った男たち3人が入ってきて部屋に上がり込み、いきなり頭を鉄パイプで一撃し、倒れたところをめった打ちにするという実にむごい暴力行為であります。その結果、同人は左右両足を骨折をし、右足は深く肉がえぐられるという重傷を負い、現在入院加療中であります。
 私が県警本部長に指摘したいのは、同人に対する脅迫事件は以前から続き、中でも去年も同じようにオリオンビール労組の委員長の刺傷事件があったのであります。したがって、労働組合はそのことへの警察の取り締まりを強く要請したにかかわらず、この検挙を怠ったところに今回の事件を起こしてしまった遠因があると断ぜざるを得ません。関係者の間では、オリオンビール社と警察のもたれ合いさえささやかれていることに警察本部長は気づかなければならないと思います。
 そこで、お聞きをいたしますが、先ほど指摘した一連の争議に対する介入暴力事件の経過がどのようになっているのか、捜査の姿勢をも含めて犯人検挙のめどはついているのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。特に、犯人たちの乗っていた車のナンバーもすでに警察はわかっているはずであります。
 次に、基地問題及びこれに関連した道路行政についてお尋ねをいたします。
 まず、米軍によって敷設された石油輸送のためのPOLラインの問題についてでありますが、この施設が那覇市をはじめ中部各市町村の都市計画にとってきわめて大きな障害となり、交通行政の面からも種々問題を起こし、かつ住宅密集地帯、バス路線、学校の校庭等の地下に通っているため付近住民は絶えず事故による災害におびえながら生活しているのが実情であります。したがって、県をはじめ県民はその撤去を強く要求してきたのでありますが、米軍は頑強にこれを拒否したまま今日に至っているのはまことに残念であります。
 ところが、この米軍によるPOLラインのための土地使用が違法であることは明らかであります。すなわち、返還協定の締結に伴って日米で交わされた基地に関する了解覚書のA表の注1によってこのパイプラインの使用が法的には米軍に認められているのでありますが、この場合、政府は米軍に使用させるために必要な国内法上の措置をとらなければならないことになっているのであります。しかし、これが何らとられておりません。
 具体的に申し上げますと、民有地、すなわち私有地でありますけれども、私有地を通っているパイプラインについては地料も支払われ、悪名高い公用地暫定使用法も一応かぶさっておりますので、形式的には合法性が充たされておりますが、しかし、公道、すなわち県管理の国道及び県道並びに市町村道の地下を通っているパイプラインは何ら法的根拠を持たないまま既成事実として政府は強引に米軍に不法使用をさせているのであります。つまり政府は、提供施設ではないこれらの公道の使用を米軍に認める法的な根拠を持っていないのであります。この違法状態を何とか合法化するために道路法35条を持ち出して占用協議を県に押しつけてきておりますが、協議が成立しないまま復帰後3カ年余も違法な使用を続けております。
 この距離は県道部分のみで1.9キロに及び、面積にして17.9平方キロに及びます。もちろん、使用料も払っておりません。
 さらに、こっけいなことに、これらのパイプを米軍はエッソに貸し付けて、そのパイプ利用料金をエッソから巻き上げていることであります。つまり、浦添市伊祖からハンビー飛行場の北側にある沖縄電力の発電所にこれら米軍パイプを通して沖縄エッソは燃料を送っているようでありますが、この間のパイプの使用料として米軍は徴収をしているようであります。これはパイプ使用料として米軍はエッソから取っているのだと主張しているのかもしれませんけれども、しかし、これは電力料金に化けて結局県民から徴収していることになるのであります。
 県民の公道としての県及び市町村道を、県民意思を無視して強引に、しかも違法状態で使用し、しかも道路の使用料も払わないでおいて、逆に県民からはその利用料を取るということが許されてよいはずはありません。県は直ちにこのような違法状態を正す義務があります。
 そこで、土木部長にお尋ねをいたしますが、県はいま防衛施設庁側から占用協議を強要されているようでありますが、この協議に臨む土木部の基本的な態度をまずお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、先ほども指摘をいたしましたけれども、県道を通るこれらのパイプは違法であるのだから、道路の管理責任者として直ちにその撤去を求めるべきであると私は考えますが、幸いにして近々――11月とも言われておるんですけれども――日米協議委員会が開かれ、政府は20カ所の基地の返還要求を議題として挙げるようでありますけれども、この中でパイプラインの撤去も含めて協議するよう施設庁に申し入れをする用意が県にはあるかどうかをお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、返還協定について渉外部長にお伺いをいたしますが、県道16号線の地下約1キロにわたって米軍の地下高圧電線が敷設をされております。1万3800ボルトという日本の電気事業法の技術基準からすれば、特別高圧電線であります。これは私の見たところでは、明白に返還協定並びにこれに関連して交わされた合意議事録及び基地に関する了解覚書にも違反するものと考えます。
 つまり、返還協定3条を受けて基地に関する了解覚書では、合衆国軍隊が引き続き使用する設備及び用地並びに工作物は特定をされているのであります。これが例のAリスト、Bリストと言われているもので、俗に提供施設と呼ばれているものでありますが、このいずれにもこの特別高圧電線は明記をされておりません。
 そればかりではなく、県道16号線は、沖縄返還協定の第6条及び合意議事録に基づく沖縄の米軍施設買い上げ価格3億2000万ドルの中に含まれていることは御承知のとおりであります。もちろん、公用地法による土地利用の告示もされてなく、また、沖縄振興開発特別措置法に基づく沖縄電力株式会社の供給区域等を定める通産省令にも含まれない全く米軍の一方的な不法使用であることは明白であります。すなわち、米軍は県道の下に高圧電線を敷設する何らの法的根拠は持ってないのであります。道路使用料はもちろん払っていませんし、占用許可も受けてはおりません。もし、この高圧電線の配置を知らずに工事等のために重機でここを掘り起こし、この高圧電線に触れたりしますと、1万3800ボルトですから一瞬にしてはじき飛ばされてしまいます。
 このような違法な、かつ危険な施設が県道の地下に敷設されていることは、県民の生命と財産を守る上からも放置されてはなりませんし、直ちに撤去を要求すべきであると私は考えます。
 返還協定との関連で渉外部長の見解を承っておきたいと思います。
 次に、沖縄県内の全域に敷設された米軍の地下ケーブルについてお尋ねをいたします。
 これらのケーブルは、全島におよそ距離にして300キロ以上に上り、主に中部地域の道路を中心にして敷設をされております。
 これはワシントンと米軍司令部を結ぶホットラインであったり、自衛隊のナイキ発射指令通信ケーブルであったり、または基地間電話用ケーブルであったりその用途はさまざまでありますが、これらのケーブルは同時に警察や自衛隊にも通じております。県道の地下に埋設されているのだけでも108キロ、面積にしておよそ324平方キロに達しております。
 この問題で私が指摘したいのは、非常に残念なことではありますが、県道の地下を走るこれらの地下通信ケーブルの道路占用を県は認めて許可をしているのであります。全くもって遺憾と言う以外にないのでありますが、終わってしまったことについて問いただしてみても仕方がありませんのでやめますけれども、ただ、今後の問題もありますので、土木部にお聞きをしておきたいと思います。
 まず質問の第1点は、防衛施設庁はこの地下通信ケーブルの協議書を県に提示するに当たって、道路法35条に言う郵便その他国の行う事業は占用協議をすれば足りると規定していることに根拠を求めているようでありますが、私が指摘したいのは、パイプライン及び地下通信ケーブルは国の行う事業であるのかどうかということであります。
 すなわち、国の事業とは、日本国の事業を指すものであって、設置、管理、運営について日本国の関与が許されないこれらの通信ケーブルやパイプラインが国の行う事業ではないことを私たちの所属をする自治労の顧問弁護団会議は確認をいたしております。
 また、道路法に言う協議とは、使用区域、埋設物の内容、工事方法、期間などを明らかにして道路管理者に申し出るということであって、単にどの道路に地下ケーブルがあるという事実の通告だけでは協議にならないのは当然であります。
 道路法で言う占用協議の場合、目的物を敷設する前に、すなわち占用する前にあらかじめその目的、位置、期間、工事方法などを道路管理者に示してその許可を受けた後に工事を始めるというたてまえになっているのでありますが、しかし、地下ケーブルやパイプラインは許可される前にすでに敷設をされていたのであります。住宅をつくった後で建築確認の申請をする者はいません。そうするとそれは取り壊しを命ぜられます。これと同様であります。みなし規定等もどこにも設けられておりません。すなわち、これらの埋設物は国の行う事業でもなく、また、道路占用手続を適法に執行できる行政の対象にないことは明らかであります。したがって、これらの地下ケーブルやパイプラインの県道占用に当たっては、道路法第35条の適用はないものと私は考えます。
 なるほど本土の場合は、このような地下埋設物は防衛施設庁が設置をして、それを米軍に提供するという手続をとっておりますから、私が先ほど指摘した法的問題は起こってこないかもしれませんが、ところが沖縄のそれは提供施設外で、しかも返還協定で言うところのドル資産であります。それだからこそ、先月のひめゆり通りでのパイプラインの取りかえ工事も直接米軍工兵隊が実施をしているのであります。
 よって、私は、以上のような考え方からして、県の行った地下ケーブルの占用許可は適用条文の誤りであり、県にはこれらの地下埋設物への占用許可を与える法律的な権能はないと考えるのであります。
 幸いにして、先ほども指摘をしましたが、パイプラインの占用許可は県はまだ与えておりませんので、防衛施設庁から出されている占用協議書は直ちに突っ返すべきであると考えます。
 また、通信ケーブルの占用許可は中部土木事務所長の単独権限で与えております。
 一体、中部土木事務所長に、県道を108キロの長さにわたって10年間、しかも無料で米軍に使用させるという権限があるのかどうか、私ははなはだ疑問であります。であれば、事務決裁規程の全面的な改正を私は要求をしたいのであります。
 以上のことについて土木部長の見解を承っておきたいと思います。
 次に、このことと関連をして、米軍の地下ケーブルの1本がコザ警察署に通じております。米軍専用電話がコザ署に置かれております。番号は52001番であります。軍事目的遂行のために敷設をされたこれらの米軍地下ケーブルを通して、何ゆえに米軍専用電話が設置をされているのかはなはだ疑問に思います。なるほど米軍犯罪が多い中部一帯のことでありますから、米軍との事務連絡その他の連絡が必要なことは私も理解をいたします。
 ところが、コザ署には、現在コザ局の(8)1013という代表番号があるではありませんか。
 また、これまでは米軍との連絡も民間と同様に電電公社の回線を通した民間電話――当時の番号はコザ7局の3525というのがあったはずであります。これをわざわざこの電電公社の回線を取っ払って、軍ケーブルを使って米軍専用の電話を設置してあることは警察本部長も認めると思います。
 切りかえた理由を明確にしていただかないというと、米軍と警察は情報交換を軍の専用電話を使って秘密裏に行っていると県民に疑惑の目で見られることになりますので、ここいらのことを明らかにしていただきたいと思います。
 次に、自治法第238条の4では、行政財産の使用を部外者に認めていることはそのとおりであります。この限りでは、米軍の専用電話の設置も可能なように思われますけれども、しかし、安保条約、地位協定その他の関連取り決め等に照らしてみると、コザ署に設置をされているこの米軍の電話及びこれにつながっているケーブルは合衆国軍隊の軍事施設であります。
 地位協定によると、合衆国軍隊の施設は日本政府が施設をして、これを米軍に提供するということになっておりますが、一体どのような手続で軍事施設がコザ署内に置かれたのかを知りたいのであります。
 そこで、いつ、どのような目的を持って、いかなる手続を経て設置されたのかを明らかにしてほしいと思います。
 以上、基地問題及びこれに関連して土木行政及び警察行政についてお尋ねをいたしましたけれども、私がここで前回に続きあえて基地問題を取り上げたのは、基地の強化が進む中で逆に軍雇用者の解雇は大量化をし、反面、ベトナム、カンボジアにおけるアメリカ軍の敗退は、それによって起こってきたアジア諸国のアメリカ離れを食いとめるためには核兵器の使用をも辞さずと国防長官は発表いたしております。
 マヤゲス号事件の例に見るまでもなく、アジアの火薬庫として、また、出撃基地としての沖縄基地の機能はむしろ復帰後は安保条約によって合法化さえされてしまっております。
 19日から始まった在韓米軍と韓国の海兵隊との合同で行われたイエロードラゴン作戦と名づけられた実戦訓練には嘉手納基地から飛び立った米軍のF4E戦闘機が多数参加をしたことも報道によって明らかであります。
 加うるに、政府は58号線の整備に名をかりて、またはP3の嘉手納移駐に名をかりて嘉手納飛行場や瑞慶覧基地の周辺はまるで都市公園のように整備をしつつあるではありませんか。すなわち、基地の永久固定化であります。
 アメリカによってかき乱されるアジアの平和に絶えず脅えながら、その被害を30年余にわたってもろにかぶってきた沖縄県民であります。
 それだけに、沖縄県の行政がいささかなりとも基地を合法化し、これに手をかすような行政では断固あってはなりません。
 その辺のことについては、知事に行政の基本をお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 岸本議員の港湾行政の今後のあり方についてということでございます。
 御指摘もありましたように本県は離島県でありますし、遠く本土から離れて、しかも沖縄本島でも39の有人島を有しておりまして、港湾を拠点とする物流の問題は非常に重要でございます。
 そういう立場から県といたしましても港湾の整備、拡充に一段と努力を払っておりますけれども、御指摘のように施設としての港湾はつくってきた。そこでこの港が有効に機能するためには、他の部門との関係が非常に強いわけでございます。
 これは港湾施設と、さらにそれに関連する倉庫業あるいは陸上交通、すなわち港というものは物流の拠点、集積地、分散地という役割りを果たしておりますし、その役割り、機能を高めていくためには、施設の近代化、設備の整備、拡充はもちろんでありますと同時に、他の部門との関係を円滑にすることと、そこで働く人々の安全と、さらには職場の身分の保障というのが相まってはじめて港湾の果たす役割りは十分に機能するということに理解しております。
 そういう観点から港湾行政は、特に港湾輸送につきましては、主として国の関与する部門が大きいわけでございます。
 海上運送法あるいは港湾法、さらには倉庫業法等々でございますけれども、先ほど申しましたように、沖縄県の生活物資のほとんどか県外から移入しておりますし、県民の生活、物価の安定あるいは物資の安定供給の立場から港湾の果たす役割りは御指摘のとおり非常に重大でございます。
 そういう観点から、県といたしましては、国、県、さらには港湾管理者の市町村、そして関係業者、そこで働く従業員等の団体と十分話し合って、そこで県が積極的な役割りを果たしていくと、そういうふうにしていきたい
と考えます。
 具体的な昨今のストとの関係での問題点につきましては、先ほど労商部長から話がありましたように、国、県、業者、それから関係団体が、労働組合も一緒になって7者協議会がすでに発足されておりますし、その中で恒久対策、緊急対策等を話し合って、一応のめどがついているわけでございますが、ただ将来、先ほど御指摘ありましたように、海上運送、さらには港湾の機能も、船舶の大型化、さらにはコンテナ化あるいはバルク積み、こういうこと等が多くなって、それに対応する港湾組織、機能のあり方、さらにはこれに関与する自治体のあり方等今後真剣に考えて総合的な県民生活安定の立場からの港湾行政について模索し、その強化のためにやっていきたいと、このように考えております。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島 修君登壇〕
○渉外部長(大島 修君) 御指摘のパイプライン、高圧線、通信ケーブルの問題についてお答えいたします。
 御指摘されましたパイプライン、高圧線、通信ケーブルすべて軍事施設でございますので、県といたしましては、基本的にそういうものは一切撤去せよという要求をしておりますし、今後もそのような要求を続けていきます。
 ただ、現在、それではあるものがどのような形でされているかと、こういうことになってきますと、これは路線権の問題になっておりまして、御承知のとおり路線権の主なものとしては、鉄道、側線、道路、上下水道とか、あるいはまた電力線だとか電話線などの敷設、航空障害物制限地域の設定などがあるわけですが、このような施設及び施設外の領域に対する路線権については、地位協定の第3条第1項によりますと、日米合同委員会の協議を経て国内法の範囲内で措置することになっておると、こういうことでありますので、いま指摘されました国道、県道の下を通っているパイプライン、ケーブルあるいは高圧線などについては、国内法である道路法の規定に基づいて県道管理者あるいは国道管理者との間で道路占用の協議が必要であると思います。
 そこで、このことについて道路管理者と協議されて、それが正当な手続を経ているかどうかにつきましては、その担当の方でお答えをお願いしたいと思います。
 以上です。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) まず第1番目に、協議に対する基本姿勢でございましたが、これは道路を使用する、あるいは占用するということにつきましては、これはもう道路法の32条から33条、35条とそういう関連法規に出てございます。
 まず、民間にいたしましても国にいたしましても、まず占用させる、占用するといった場合の基本的な考え方は、まずこれは32条の中に占用さすべき範囲がございます。この範囲にかなっているということがまず第1の条件かと思います。その次には、道路でなければまず設置できないんだというようなことが第2番目の要件でございます。それから第3番目の要件というのは、これは関係法令にそれぞれの工作物を占用させる一つの構造的な問題がありますので、当然その構造的なものに当てはまらなければいかないと、こういうのが普通民間に対するところの占用する場合に私たちが持っている最小の条件と考えております。
 この条件は、これは当然民間に対しての占用の許可は、これは国に対しましては35条にございまして、これは協議をするということによって足りるということがいまの道路法上から出てくる解釈でございます。したがいまして、国のいまの施設でございましても、基本的にはこの道路法の精神と解釈に基づくところの協議というようなことになるのが、一応は私の基本的な考え方でございます。
 その次に、違法性の問題でございましたが、これは私たちはいまのところこのパイプラインの問題につきましては、これは復帰によって別に特別の措置はしてございません。普通の法令の中にはみなし規定があったりしまして、それぞれやってございますが、このパイプラインにつきましては、なるほど御指摘のようにこれはみなし規定がございませんので、当然いま私が御説明申し上げた形の道路法上の適用を受けるんじゃないかというような解釈のもとに立っております。
 と申しますのは、私たちが得ているところの建設省とそれから道路の管理研究者の両方の編集によって、その法令上のいろいろな解釈あるいは運用上の問題が出ておりますが、いま渉外部長から説明がありましたところの提供施設に対する取り扱いは国の事業として解釈していいかという問いがありますが、そういう解釈でよろしいということが出ておりますので、私たちはその解釈を一応基準にいたしまして、現在の処理をしているところでございます。
 それから占用の問題は、なるほど御指摘のように現在は土木事務所に私たちは移転させて業務をさせております。私たちのいまの企画部あたりで検討しているのは、いろいろその問題も含めて検討しておりますが、この問題については、この基地の問題あるいはパイプの問題は、実際問題としては一応非常に御指摘のような形のものでございますが、占用それ自体の問題、普通の32条、33条というものは、他県の場合においてもやはり所長等のそういう権限に属しております。しかし、この件については、一応は担当者とも検討をしたいと思います。
 その次に、県道の16号線の地下の電力ケーブルのことでございますが、この件につきましては、国の防衛施設局の方から占用に対する協議の申請が出されております。しかし、その中に入っているかどうか、私はまだチェックはいたしておりませんので、そのチェックをしてその中に入っておれば、そのものも含めていまの協議事項で取り扱えるかどうか、またその他の問題なのかどうかも検討していきたいと思います。ただし、その場合にいまの道路の占用の適用も受けるが、この高圧電力の、御指摘の13.8KVの電力は電気の工作物規程という一つの適用を受けますので、その辺の問題からも一応検討したいと思います。
 その次は、通信ケーブルは国の事業じゃないじゃないかという御指摘でございましたが、この件につきましても、実は私たちが得ているいろいろな法令、判例、手続等の問題、これも先ほど私が申し上げましたところの建設省と、それから道路研究両者の編集によるところの手引きの中に、これは通信関係のものでも国の事業としての取り扱いができると、こういう解釈もございましたので、われわれはそういう判例とか、そういう基準に現在は準拠して措置をしておりますが、御指摘のような形の問題もあるとすれば、私たちとしてはなおこれで検討して十分にこの措置ができるようにしたいと思います。
 それから占用料に対する無料の問題でございますが、これは国の行う事業という解釈に私は先ほど説明してありますので、当然国の場合は道路を占用する場合は無料と、こういうような形になって私たちはいまの占用料の徴収はいたしておりません。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 御質問のありました中の1つのコザ署の電話の件につきましては、いま手元に資料がございませんので、いま取り寄せておりますので、後刻お答えさせていただきます。
 それから労働争議に関連しての暴力事件の捜査ということでございますけれども、御指摘のとおり49年の6月16日のオリオンビールの労組委員長に対する刺傷事件、それから今年4月19日の同じくオリオンビール労組書記長に対する脅迫事件、それから6月21日に発生いたしました岸本書記長に対しますやはり刺傷傷害事件、こういうふうなことが発生いたしております。そのほか、中部トヨタの労組の関係あるいは北中城村のA&Wの関係、それから嘉数学園関係等あるわけでございます。
 このオリオンビール労組関係の捜査でございますが、昨年の6月16日の新屋委員長に対する事件、これは発生いたしますと同時に届け出を受けまして、所轄名護警察署におきまして相当数の捜査員を投入いたしまして捜査をしておるわけでございます。
 ところが、被害者のほかに目撃者は奥さん1人だけというふうな状況で、犯人が二十七、八歳ぐらいの男ということ、あるいは遺留品として軒下からタオルに包んだ石がある。それに逃走するときに脱ぎ捨てたんじゃないかと思われるぞうり1足というふうなものが認められましたので、これらを手がかりに捜査をしたわけでございますが、その後専従員をつけまして継続捜査をしてまいりましたけれども、いまだに検挙になっておらない状況でございます。
 また、ことしの4月19日の岸本書記長に対する事件につきましては、被害者のほかに3名の目撃者がおりまして、これらの人たちから警察の保管しております写真によりまして面割りを行うということを中心といたしまして、これまた専従員をつけて捜査をしておったわけでございますが、残念ながら検挙に至っておりません。
 それから6月21日の岸本書記長に対する事件でございますが、これはそこにおりました長女の方と労組員の方外7名の者が目撃をしており、かつ現場から鉄パイプ2本も押収し、若干の屋内からの指紋も採取している状況でございます。
 それで、この届け出を受けました名護署当局は――電話で受けたわけでございますけれども――同時に3名の刑事が飛び出しまして現場に急行しております。そして、救急車が到着する前に行きまして捜査を開始したわけでございます。
 その後、刑事を非常招集いたしまして、刑事課長以下10名ぐらいが現場に行きまして、その時点から本格的な捜査をやったわけでございますが、事件発生後30分以内に石川署以北の緊急配備も完了するという状態でございます。
 初動の段階からこの問題には真剣に取り組んでおるわけでございますが、名護署では引き続きまして署長以下挙署体制でこの事件の捜査に当たっているわけでございます。
 この同一の組合の役職者に対する事件が3件も起きたと、これらが相互に関連しているんじゃないかと、きわめて悪質な事件であるということで、前回の事件の押収物件、目撃者の写真面割り、指紋の照合、あるいは目撃者から、容疑者が使用したと思われます自動車2台のナンバー、御指摘のとおり捜査線上に浮かんでおりますが、それも追及しております。その結果、1両は無関係であるということが判明いたしましたが、1両は盗難ナンバープレートをつけた車であるということになってきております。
 したがいまして、さらにその先の捜査をやらなければいかないという状態でございますが、捜査に全力を挙げまして相当な体制を組みまして必ず検挙するという意気込みで捜査をしておるわけでございます。
 会社側とのもたれ合い云々というふうなことは、私は名護署の場合ないと信じておりますし、また、会社の人たちと平素から交友あるいは知り合いであったといたしましても、そのことのために別に捜査の厳正をゆがめることはないと、そういう態度で進めております。
 そのほかの中部トヨタあるいはA&W、嘉数学園の事件につきましても、それぞれ所轄署におきまして積極的に捜査を進めておるわけでございます。暴力事件、この捜査につきましては、厳正に、できるだけの体制を組みまして、必ず検挙するということで捜査を進めておるわけでございます。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) ただいまの御質問にありました基地との関連におけるところの埋没諸施設ということに対しての御指摘、これは非常に大事な問題であろうと思いますので、いろいろ各部長からも答えがありましたけれども、われわれはわれわれの立場でさらに念には念を入れて十分各面から検討いたしまして、その御質問の趣意をくんで対応してまいりたいと、こう思います。
 それから基地の機能というものを強化するということに対してはどう対応するかということでありましたけれども、この問題は余りにも膨大な基地、複雑な基地、その中に住んでおる私どもとしては、何もかも一様に割り切って言えない面も確かにあるとは思いますけれども、明らかに基地の強化につながるというような判断のできることにつきましては、われわれとしましては、これは認めないように、同意を与えないように、反対するようにでき得る限りの注意と努力で対応いたしていきたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 岸本忠三郎君。
   〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 再質問をするつもりもなかったわけですけれども、どうも答弁が余りはっきりしないので、あるいは趣旨も余りよく理解をしていないと思いますので再質問いたしますが、渉外部長、あなたに対して通信ケーブルの問題やパイプラインの問題を聞いているわけじゃないんですよ。電力線は基地協定に違反するのかしないのかを聞いているわけです、電力線だけです。
 というのは、電力線は、パイプラインと通信ケーブルについては返還協定の中で規定をされているんです。だからそれはいいんです。電力線については、すべて沖縄電力に譲渡したんですよ、基地外の電力線は。それにかかわらず、基地外に電力線があるというのは返還協定
に照らしてどうなるんだと、これを聞いているわけですよ、それが1つ。
 それから土木部長、百歩譲って仮に国の事業だということになったとしても、道路の占用協議というのは事前協議なんですよ。ここに道路がありますと、この道路を掘ってこれから施設をしますと、したがってこの道路を使わしてくれとこういうことなんですよ。ところが、沖縄の場合には、すでに道路の占用許可を与える前にパイプラインはあるわけですよ。そういう状態の場合でもなお道路法の適用があるんですかということですよ。道路法の適用はないはずです、これですよ。
 それから警察本部長、コザ署の電話のことについて、私は火曜日にわざわざ警察まで出かけていって、このことについて質問をするからひとつ準備をしておいてくれということを、私はわざわざ警察まで行ったんですよ。それにもかかわらず手元に資料がないというのは私はどうも了解できないんですよ。あれからもう4日ぐらいたっています。なぜ、資料ができなかったのか、弁解をお願いします。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島 修君登壇〕
○渉外部長(大島 修君) 高圧電力線の問題については、返還協定、地位協定との関係はまだ十分検討してありませんので、検討してからお答えいたします。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) お答えいたします。
 いま御指摘のように、道路法の適用というのは、これは事前だと私たちも十分理解しております。
 この件につきましては、私も先ほど御説明の中に入れておきましたんですけれども、結局、これは復帰の措置に別にしてございませんので、これで一応向こうから出されてきております。それについては、適用して措置すべきだという理解をしておりました。
 いま御指摘のようにそういうことであれば、私もそれについてはもう1度十分に検討したいと思います。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 手元に資料がないと申し上げたんですが、これは私ども質問の要旨をやや明確に把握いたしかねまして、それでいま御質問のありました中で、いかなる手続によってということについての資料がございませんので、その点をいま補足のために取り寄せてということでございます。(「電話はあるか、ないかということです」と呼ぶ者あり)電話は、現在米軍が設置し、管理しているいわゆる軍電話というものはないわけでございます。
 コザ警察署には、軍の捜査機関との連絡のために設置してある警察電話はあるわけでございます。しかし、これは御指摘の電話は、この電話のことだと思いますけれども、これは米軍の電話ではございません。そこまではっきりしておるわけです。どういう手続でそれをいつ設けたのかというふうな御質問が中にございましたけれども、それはいま申し上げましたように手元に資料がないわけです。
 これを置いた趣旨でございますけれども、沖縄市をはじめ、周辺が米軍犯罪が非常に多い地域であるということでございますので、地位協定に基づく捜査援助によって、米軍人等による犯罪の防止あるいは捜査活動、これをより迅速、適正に行うために設置したものであることは間違いないと思いますが、どういうふうに手続をやったかという点はまだ来ておりません。
○議長(平良幸市君) 岸本忠三郎君。
○岸本忠三郎君 本部長、大謝名局に電話をして5の1111という電話にかけると、これは軍の交換が出るわけです。この軍の交換が出たところに軍のナンバーの52001というダイヤルを回すと、そこに交換を通して出すと、「コザ署です」というのが出るのです。これが警察の専用電話ということはあり得ないのです。
 以上、終わります。
○議長(平良幸市君) 岸本利実君。
   〔岸本利実君登壇〕
○岸本利実君 御通告申し上げました質問のうちの1、2、3は関連がありますので、一括して行います。
 先日来の質疑の中でも海洋博後の経営落ち込みのことにつきまして論議がなされましたが、私もその点に触れてみたいと思います。
 沖縄の経済の起爆剤として位置づけられた海洋博でありますが、残念ながら、道路、港湾等の社会資本の整備には相当の貢献をしたいとは思われますけれども、これが経済の起爆剤になったかというと、そのようには受けとめられないのであります。
 ちなみに、琉銀の分析によりましても、このようなことが書いてあります。
 「財政ベースによる公共工事の水準が高かったとはいえ、地元経済への波及効果は必ずしも十全ではなく、大型工事の大半は県外大手業者の受注するところとなって地元企業育成という視点が軽視され、また、財政投融資資金の県内循環や滞留がきわめて小さいことなどが問題視された。」とこういうふうに分析が行われております。
 さらに、「経済問題の最悪な事態である失業の深刻化を含む県経済の低迷は、総需要抑制と軌を同じくするいわゆる政策不況に起因しているのではなく、基本的には県経済の構造的脆弱性に根ざしていることはいうまでもない。第一には、物的生産力を欠いた生産構造が遅々として改善されないことである。」「県経済のように第三次産業の比重が75%であるのに対し、物的生産力の基礎をなす第一次産業や第二次産業の構成比がそれぞれ5%、20%と極端に脆弱な経済は、自力で景気の復元力をもつものではない。莫大な海洋博関連の公共投資や民間投資が注入されたにもかかわらず予期されたほどの景気浮揚力を発揮しなかったのは、それに対応して県内の生産力が拡大することなく単に移入量が増大しただけに過ぎないからである。」
 このように分析されております。
 確かに、2500億内外の財政投資あるいは民間投資を含めて行われたとされておりますが、そのほとんどのお金は本土に還流していったという見方に相なっているわけであります。
 私どもがこのことを振り返って、今後の沖縄経済を考える場合にも、当分沖縄は財政主導型の経済運営が行われるであろう。これは私はやむを得ない沖縄の宿命だと思います。
 復帰前本土の援助が琉球政府に直接支出が始まったのが62年でありますから、復帰前は10年間だけ国の微々たる補助がなされて、17年間はまるっきり何もなされていなかったわけであります。六十二、三年ごろから、国の支出が行われたけれども、それも本土他県と比べては問題になりません。したがいまして、沖縄の社会資本の整備のおくれ、その他あらゆるものが今日需要という形で吹き出しているのが現状であろうかと思います。
 したがいまして、県といたしましては、国と一緒に振興開発計画を持っていま進めているところでありますから、この振興開発が完結するまでは財政主導型の経済運営ということは、これは避けられない運命であります。
 しかしながら、この海洋博の反省に立ちますならば、今後も行われるであろう財政投融資が県内に滞留しなくて、相変わらず消費一辺倒の経済に堕して本土に還流するようでは沖縄の経済発展は今後とも望めないわけであります。したがいまして、この資金の滞留対策を県としては真剣に考えていかなければならない問題だと思います。
 このことにつきましては昨年12月以降の不況対策の場合にも、わが党の申し入れの中に大きく位置づけて申し入れをしてありますが、ややもすると、金融行政は国の行政であって手の届かないところにあるという感じが強いのではなかろうかと思いますが、そうあってはなりません。
 したがって、県内に資金が滞留するための対策、これを打ち立てるためにぜひプロジェクトチームをつくって進めていただきたいと思いますが、そのことについての御意見をお伺いをいたしたいと思います。
 次に、これからの雇用問題、非常に重視されて二万二、三千名の失業者がおると言われておりますが、雇用問題が重視されればされるほど外資の導入ということがよく言われるわけであります。
 そしてまた、先日の御意見の中に、沖縄の人は本土をきらっていると、そういうお話もありましたが、私は世界経済の変動に伴って、復帰前に見られた沖縄への企業進出ということは、条件が四囲の情勢が変わって非常に望みとしては薄いのではなかろうか、そういうふうに感じます。
 したがって、雇用問題を解決するにいたしましても、われわれの経済発展はどうしてもじみなところで、特効薬ではありませんが、県内地場産業の育成、これを一生懸命にやらなければならないものだと思います。
 その地場産業による雇用の吸収の可能性、これについて企画調整部長あたりから御意見を承りたいと思います。
 本員といたしましては、地場産業を育成することによって雇用の面での相当な期待ができる、こういうことをまず御意見を申し上げたいのでありますが、農業従事者は1964年4月には15万1364人おったわけです。74年の1月、去年の1月には7万8950人、7万2414人が減っているわけであります。戸数も減っておりますし、耕地面積も減っております。
 それから漁業を例にとりますと、長崎県が5万2502人の漁業従事者がおって、802億円以上の水揚げをやっております。沖縄県はそれに比較いたしまして従事者がわずかに8000人であります。長崎県は5万2000人、沖縄県が8000人で、したがってその生産額も152億円であります。
 それから伝統工芸、知事が一生懸命がんばっておられる伝統工芸、これは従事者で見ますと、鹿児島が2万8046人従事しております。人口16万4114人の奄美大島の伝統工芸つむぎの生産に従事している人の数が1万3603人おります。紅型その他いろいろの豊富な伝統工芸で注目されている沖縄は、わずかに2779人しかおりません。103万人以上の人口の中に2779人しかまだ従事者はおりません。奄美の16万4000人の人口で1万3603人おります。
 製造業ももちろんこれに加わるわけでございますが、いろいろ考えてみまするならば、地場産業の育成によって雇用の吸収の可能性というのは十分あり得る。ただ1つ、それが前提が必要であります。その前提というのは、私どもが長い米軍政下で、基地経済の中でわれわれの自立に対する意欲、自力更生の気風が大変薄いのではないか。
 そのことが是正されずに、ただ政策だけ並べてみても、これはおいしいメニューを見せるのと同じことで、結局この経済を運ぶ主体であるわれわれができるだけ島で自分でつくれる物をつくるという自立の気風、これがなければいま言う可能性も実際には実現を見ないわけであります。
 したがいまして、私どもは、先ほどの資金の滞留対策にあわせて、県産品の優先使用運動を強く知事にも建議申し上げておるわけであります。
 一時、県産品使用運動はこの場においても論議されましたが、今回の質疑応答の中でも余り聞きませんでした。県産品使用運動のその後はどうなっているのか。
 私は具体的に要綱をつくって、その生産業の方々代表者、消費者の方々、行政、三位一体となって1つの組織をつくって、毎月この県内生産品の後追い調査をする、あるいは苦情処理も受ける、いろいろの政策を立案する等のことがやられるべきだという御意見を申し上げましたが、その後どのように執行部内では検討されているのか、御説明をいただきたいと思います。
 それから地場産業の育成の中で、復帰前、重要産業育成法というのを琉球政府は持っておりました。これは国の制度の中に吸収されていってしまった感がありますが、県としても製造業についても業種を洗って、ぜひこれだけは伸ばしたい、今後とも発展をさせたいという業種を県独自でひとつ指定をして、集中的にいろいろの施策を濃密に実施していくということを考えてよいのではないか、このように思います。
 農業につきましては、いわゆる生産基盤の整備の問題、価格対策の問題等がございます。
 生産基盤につきましては、鹿児島と沖縄を比較してみますと、圃場整備が鹿児島が32.6%の達成率に対して沖縄は7%、灌漑排水が鹿児島で63.5%に対して沖縄は12%、農道整備が鹿児島79.6%に対して沖縄48.5%、まことにおくれている現状にあります。
 でありますから、後で51年度の国への予算要求の中にも強くこのことを含めていただきたいと所望する次第でありますが、このような基盤整備とあわせて、地場産業である農業の一つの政策として価格対策が取り上げられなければなりません。
 価格対策につきまして、昨年来の議会で野菜の価格安定基金制度と肉豚の価格安定基金制度、この2つが論議をされました。
 先日、私の出身の市の農協総会に行きましたら、もう野菜の価格安定基金制度は出発して各農協ともこれに出資を始めている段階であります。
 ところが、先に実現しそうであった豚価の価格安定基金制度については、その後どういう事情か余り全面に出てこなくなりましたが、その辺のいきさつについて、あるいは今後の対策について農林水産部長からお伺いをいたしたいと思います。
 以上、締めくくりまして、私は雇用の問題、沖縄経済の今後のあり方等につきましても、前提として、私どもが余りにその資金が沖縄に投入されることだけに幻惑されて、資本の法則というものを余りに厳しく受け取らなかった。そのことによって、大規模の企業が沖縄の市場を占有してしまった。復帰前は、地場産業、地元の企業が少なくとも沖縄の市場については支配力を持っておったものが、全く逆転したというところにますます今後の沖縄の経済発展の脆弱性があらわれているのではなかろうか。
 少なくとも、これからだけでも、沖縄の製造業、中小企業を含めて協業化し、組織化されて大資本と大企業と対抗していく反独占の視点がはっきり打ち立てられなければならない。
 それと、離島を回って、あの大切な土地資源が遊んでいることに私どもは非常にもったいない気がいたします。知事も一昨年、中国も回ってみられて、日本の30倍近いあの国土が全然遊休地がなくて、すっかり耕されていることに感激なさったはずであります。あの8億の人民が三度三度たらふく食べて、1年間の備蓄を持っている。あのようなことを対比いたしますと、私どものなすべき努力もまだまだうんとがんばらなければならぬのではないだろうか。
 そういうことで、これからの農業その他の後継者養成につきましても、先進地域にどんどん青年の活動家、いまは離島にUターンする現象があっちこっちで見られます。久米島において、伊江島において、南北大東においてもUターン現象が見られます。
 こういう熱心な青年たちを先進地域に送って、現に肌で厳しく農業に励む気風を体得させるように皆さんの特段の御努力、予算計上をお願いいたしたいと思います。
 それから離島対策に移りますが、先日の質問では、離島問題は言うほどのことは実現を見ていないという評価もございましたが、確かに離島の条件というのは非常に厳しくて、幾らやってもやり足りない、平地以上の効果もあらわれないということは、その条件のしからしむるところ非常に長期的な努力が必要だという意味に解釈してみたいと思います。
 先ほどの農業基盤の整備等につきましても、あらゆる地域で言われてまいりました。具体的な問題で皆さんの御答弁をお願いいたしたいと思いますのは、南北同じでありますが、港らしい港がつくられない厳しいあの地理的条件の中で、特に北大東はこれまで飛行機も飛んでいなかった。最近、3人乗り、6人乗りの小さな飛行機がクラブ方式で通っておりますが、北大東の村長の表現が、まさに離島振興の一つのあり方を示唆しておると思いましたのは、「過去1年間に20名若い者が帰ってまいりました。その理由は、1つは、キビの価格が少しよくなったという点、もう1つは、NHKのテレビが、夜7時から9時までただ2時間であるけれども、見れるという点、第3点は、あの小さい飛行機であるけれども飛行機が飛ぶようになった。この3点で、1年間に20名若い者が帰ってまいりました。」この表現は、離島振興のあり方、行き方について非常に示唆に富んだものだと思います。ダイヤルではありませんから、朝電話申し込んだら晩しか通話ができないような状況がまだあります。
 この電話がすぐ通じるようになり、テレビがわれわれと同じように一日中見れるようになり、さらにあの飛行場が完備されて沖縄本島との交通も便利になる、そういうことが次第になされていくならば、私は、あのキビ作のうまく進んでいる北大東についても、南大東もそうでありますが、非常に大切な島だろうと、このように感じました。
 そこで、港については、大変技術上あるいは財政上の大きな問題があろうかとは思いますが、一番真っ先に北大東の飛行場の整備の問題、それと水の問題をぜひひとつ来年度の予算で措置をして速やかに改善を図っていただきたいと思いますが、このことについての御答弁をお願いをしたいと思います。
 それから離島振興の上で教育の持つ意味も大変大きいのであります。高等学校に入学する場合の学区制の問題について、伊平屋、伊是名でもう非常に強調されて、私ども文教厚生委がこの問題を初めて現地できつく口酸っぱく言われたのは今回が初めてでありました。非常に不見識ながら、これまでこの大きな問題があることを知らなかったのでありますが、もう北部以外の普通高校には進学できないので、中学のころに一家那覇に移転して、中学のときに移転しておいてここで受験すると、いまその準備をしている家庭があるんだということをおっしゃっていました。
 でありますから、この学区制の問題、けさ答弁がありましたので改めて御答弁は要りませんが、真剣にひとつ考えていただきたいと思います。それから教育の問題で、一番離島教育で問題なのは、中堅教員がいないということ、もうほとんどが新卒の先生が行かれて、しかもまた専門免許でない免許外の科目も指導していて、非常に子供たちの生活指導、教科指導の上で大きなハンディがあるということであります。
 どうしても中堅の教員を島に配置できるような諸条件の整備、これをぜひがんばってしていただきたいと思いますが、そのためには何としましても教員の待遇改善が大切であります。
 しかしながら、現在5級地でありますと基本給の25%の僻地手当がありますけれども、その僻地手当でさえ残念ながらベースアップに応じて遡及して完全に支給されるということがなされなくて非常に不満を醸しておりました。
 さらにまた、このような離島に来るには、現在のような僻地手当ぐらいではだめで、どうしても戦前の恩給制度の中にありましたような僻地に10年勤めたら、15年の恩給に加算されたような方式で年金への加算の方法を考えていただきたいと、こういう要望がありましたので真剣にひとつその点をお考えを願いたいと思います。
 さらに、教育とは直接の関係はありませんが、離島、伊是名、伊平屋で一番問題になりましたのは、いろいろの行政上の取り扱いに矛盾があるということであります。郡は島尻郡に所属し、土地台帳、登記簿の表示、みんな島尻郡伊是名村、島尻郡伊平屋村であります。しかし、教育行政が国頭教育事務所の管轄下にある。教科書は島尻区の教科書を使わされている。県議選は北部郡区だと、もうさんざん入り乱れて、これが非常に疎外感を島の人々に与えております。
 これを過去にさかのぼってみますと、1971年3月31日復帰の直前、富川総務局長の名前で郡の区域変更についてという照会文書を出してあります、執行部の方から。それに対して、それぞれその1カ月後に伊平屋村長、伊是名村長から、国頭郡への所属はいけません、私どもは島尻郡区に所属したいのですと、こういう返答が、文書で寄せられましたけれども、その後どういう検討でどうなったのか、ナシのつぶてだと、そういうことであります。これは非常に大きな問題で、行政上何も大した予算を要しない検討事項としてこれが整理できるはずなのに、そういう整理がなされないままに、復帰のどさくさでいろいろ問題はあったでありましょうが、そういうことになっております。
 ぜひこの点を真剣に御検討なさって、地元とコンセンサスの上に合理的な方法に引き戻していただきたいと思います。
 51年度の予算要求につきまして、医療問題で強く国の方に要求していただきたいのでありますが、先日、名護病院がみごとに完成して、琉大付属病院に次ぐりっぱな建物はできました。しかし、中身が空っぽでありまして、その機械器具の整備、これは非常に急がれます。そうしませんと機能いたしません。
 あわせて、北部、中部、宮古、八重山に総合病院ができましたが、那覇以南のところに本当に総合病院らしい総合病院がない、名前はあるわけであります。那覇病院が総合病院としての条例上の位置を占めておりながら機能してない。兼城は独立して兼城病院になりました。
 こういう病院が整備されずに、機能しないままに、南部に総合病院をつくってもらいたいという市町村長の要望がございます。
 いまある病院を一体どうするのか。そのこととの関連で51年度の予算に、強力にこれを折衝すべき筋合いのものであろうと、このように思います。
 いろいろありますが、はしょって、もう軍用地の地籍の問題につきましてだけ触れざるを得ませんが、公用地暫定法、あれは悪法で、本土でありますと地位協定に基づく特措法、長い名前の法律ですけれども昭和27年の法律があります。
 あれによりますと、収用する場合でも、返還のときでも地主を立ち会わせてその土地の所在、数量、地目すべてを確認して、図面をつけて処理するようになっています。その内容が、あの法律が適用されないで、公用地暫定法が、一日の空白も置かないで米軍に基地を提供するという立場であの法律ができたためにいまのような地籍問題もうまくいきません。
 そこで、結論として、あの公用地暫定措置法は廃止すべきだという要求を県の方は出すのが正しいものだと思います。少なくとも、本土のあの特措法によれば、地籍の問題もすべて総理大臣と防衛施設局長の責任においてやるように法律の内容になっておりますから、その意味で今後の地籍問題についても取り組んでいただきたいと思います。
 以上、知事、関係部長の方から御答弁をお願いいたします。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 農業基盤整備事業、特に隣県の鹿児島県との比較において御説明いただきました。
 御指摘のとおりでございまして、51年度予算の中に強く要求をしろという御指摘でございました。そのとおり51年度におきましては、農業基盤整備については最重要に要求をするつもりでございます。
 さらに、豚価安定価格対策につきまして、前々日の大城議員からの御質問にもありましたとおり、ハム、ベーコンとの対策と兼ねて豚価の価格安定公社を設立する準備といたしまして、本年度予算の中に準備費が50万余の予算を持っているわけであります。現在、その公社の設立をすべく準備を進めております。
 なお、業者等からの出資あるいは市町村、組合等からの出資についても、その中で検討いたしておりますけれども、現在、県の補正がこの議会で行われておりませんので、できるだけ9月の補正にお願いをして、県の出資が決まり次第発足をさせるという考え方を持って進めております。
 北大東の農業の問題について、特に水問題を早急に解決してもらいたいというような御要望でございました。
 これにつきましては、知事からの御指摘もありまして、南北大東両方についての今後の農業の振興策として水問題を真っ先に取り上げろという御指摘もいただきましたので、国と県で、本年度から地下水の賦存量と、それから特に湖沼の利用の可能性、こういった基礎調査を進めております。
 この調査に基づきまして、早急に灌漑施設の事業化ができるように努力したいと思っております。
 北大東の場合は、636ヘクタールの耕地を持っておりますけれども、現在の調査では、とてもこれだけの灌漑をする水量は持っていないと。したがって、今後の湖沼の利用と、地下水の賦存量等の調査がまとまってくれば、それに応じた事業の振興があると考えております。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 地場産業における雇用の可能性と振興及び県産品愛用運動についてお答えいたしたいと思います。
 昭和48年の工業統計によりますと、既存企業の従業員者数が約2万6000人というふうになっております。
 それで、振興開発計画によりまして、昭和56年度、いわゆる最終年次におきましては、その数は約3万3000人、約7000人の増加を見込んでおりますし、そうするためにはやはり今後既存工業の移転拡大等を含めた近代化が必要ではなかろうかというふうに考えております。そういった立場から、まず業種ごとの近代化あるいは振興策を進めるべきであろうというふうに考えております。
 そういったことで、現在部といたしましても、各業種ごとにその将来の条件あるいは現在の条件、それが振興できるのかどうか、あるいは見込みがあるのかどうか、そういった点を十分検討し、将来伸びるべきものについては十分な施策を施すべきだし、現在の制度資金もそういったところに集中的に配置をし、そして振興させていくべきじゃなかろうかといったような立場から分析し、今後の振興策についての検討を開始している段階でございます。
 それから県産品愛用運動でございますが、これにつきましては部といたしましても検討を続けてまいっております。
 もちろん、その過程におきましては、先ほど要綱とか、あるいは各部に対する協力依頼、あるいは団体に対する協力依頼などもいたしておりますので、その追跡などもしておりますし、同時に、さらにその結果どうなっているかという報告も聴取しようというふうなことで前の要請に対する追跡あるいはその徹底方ということも
進めてはまいってきておりますが、それをより強化するというふうな立場から、いまさき御指摘のありました県産品のための全県的な組織の必要性というのを痛感しております。
 したがって、部の段階でございますが、これについては今後各関係部あるいは部内でも十分調整はしていきたいというふうに考えておりますが、一応部の段階における検討の結果としては、沖縄県県産品愛用推進県民会議というのを発足せしめる必要があるんじゃなかろうかというふうに考えております。
 そして、その構成といたしましては、県あるいは政府の関係機関、さらには消費者団体あるいはその他の民間団体を網羅した全県の各団体を網羅した形での県民会議の発足ということを推進したいというふうに考えております。
 そして、めどとしては、7月の末か8月をめどにして部内での調整を済まして具体的な発足にこぎつけていこうということで現在作業を進めております。
 と同時に、現在、海洋博県産品協会という任意団体があるわけですが、これは海洋博会場における県産品の販売とかいうことで現在いたしておりますが、これを将来組織変更いたしまして、沖縄県物産振興協会といったような形にこの組織を変更し、その組織の中でも販路の拡大だとか、そういった県産品の振興のための業務を取り扱っていきたいというふうな立場から、これについての組織変更も現在検討している段階でございます。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 岸本議員の質問の2番目の海洋博後の経済見通しと対策に関連いたしまして、本土政府財政支出等相当沖縄県に流入してきているけれども、資金の県内滞留が非常に悪いと、その対策いかんということでありますので、それと離島振興について御答弁いたします。
 御承知のように、最近における失業の深刻化を含む県経済の基調は、基本的には御指摘のように構造的脆弱性に根ざしたものであると考えております。
 ありましたように、1つには、物的生産力を欠いた生産構造が改善されてないことであります。したがいまして、生産が上がり、それが分配され、それが所得となり、所得の増加となってさらに消費ないし投資が増加しますと、これが循環してさらに生産力が拡大していくと。こういうふうに物的生産力の基盤をなす第1次産業ないし第2次産業の低い本県においては、何といっても自力で経済規模を拡大するには相当な努力が必要であります。この点は、御指摘のとおりに県といたしましても強く意識しているわけでございます。
 莫大な海洋博関連の公共投資や民間投資が注入されたわけでございますけれども、期待されたほど沖縄県内に滞留されて景気の浮揚力にならなかったという御指摘でございますけれども、これは沖縄県内におけるそれに対応する生産力が拡大できなかったということと、さらには移入量が大幅に増大して、すべてを移入に頼ったために、せっかく投入された資金が県内には滞留せずして、県外にすぐ流出したということでございます。
 したがって、本県のこのような状況は、自給力が非常に弱いと、そこから資金の流出が大きいということでございます。
 ちなみに、昭和49年度中の財政資金の動きを見ますと、公共事業費の支出が740億円、交付金が820億円、沖縄振興開発金融公庫の融資571億円、軍用地料261億円、社会保障費150億円などの支出がありまして、租税490億円を除いて全体として沖縄に入ってきた財政資金は3312億円というふうになっております。
 この資金が、先ほど申しました自給度が弱いために、物的生産力が弱いために相当流出していると。これを、先ほど岸本議員からも指摘がありましたけれども、昨年12月中の日銀那覇支店における調べから見ますと、その100億円という金が12月に入ってきておりますけれども、本土業者に6割強、地元には4割弱というふうにして本土の企業に支払われているのが明らかになっております。
 そういうことで、このことは、海洋博の工事にいたしましても、それを受ける受けざらの問題、さらには特に建設業等の県内業者の技術水準の問題等もありまして、沖縄県の業者がする場合でも本土業者とのジョイントという形でしか請け負えないという県内業者の体質が、このようにして県外流出になっていると。その点は、既存企業の体質改善、御指摘のように共同化、協業化、対抗力をつけると、こういうことになろうと思います。
 このような状況の中で、資金の県内滞留を整えるためには、その対策としては、先ほども申しましたように沖縄経済の自立的発展の基礎づくりがまず必要でございますし、そのためには地元の企業の育成、振興が基本となります。資本を投下し、体質を改善し、近代化、高度化、共同化という本土企業に対抗といいますか、太刀打ちできる体制をつくらなければならないと、こういうことでございます。そのためには生産業が非常に弱い、少ないわけでございます。
 ちなみに、これをよく沖縄県と類似県と言われる諸県と比べてみますと、沖縄県は国勢調査で94万5000人といたしまして、49年9月1日に調査いたしました事業者統計調査報告によりますと、本県の総事業所数は4万5722カ所でありまして、そのうち製造業の占める割合はわずかに5%の2308カ所でございます。類似県と言われております島根県が人口が沖縄よりも低い77万4000人でありながら、製造業は3954、徳島県が人口79万1000人で製造業が4960、高知県が78万7000人であるが、製造業が3895、佐賀県、宮崎県も同様に人口に比して製造業に占める割合が高いということで、本土の場合が低いところが7.3%から、高いところは11.3%になっていると、こういう一つのいわゆる自給力という問題があります。
 それともう1つは、よく言われておりますように、何といっても第2次産業は、1つには、地元産業の既存企業の育成と同時に、県民のコンセンサスを得て新規の工業の開発なり立地は引き続き努力しなければならないと、こう考えております。
 さらには、一番財政投資の大きいシェアを占めます建設業については、今後の社会資本の整備等を中心に旺盛な建設需要が見込まれますので、これに対応して体質の改善など近代化を進めるとともに、技術水準、思考能力の向上等を粘り強くその促進方を図っていかなければならぬと考えております。
 復帰後、沖縄経済を支えてきた要因の一つとして、先ほどから議論になっております公共投資でありますけれども、この公共投資につきましては、振興開発計画の精神もそうでありますように、依然として本土との格差がありますので公共投資を強化し、それが民間設備投資と個人消費支出を誘発して、刺激して沖縄経済の発展をよくしていくという意味で財政投資に頼らざるを得ないと、こういうふうに考えております。
 以上が県内の資金の県内滞留対策でございます。
 次に、離島振興対策の中で特に北大東の港湾、空港、さらには水問題について御説明いたしたいと思います。
 現在、北大東で最も必要なものは島間の交通と水の確保でございます。これは御指摘のように島にとって必要最小限度のものでありますので、これらの施設の整備については早急に施策する考えでございますが、具体的には北大東の港湾についてでございますけれども、西港は50年度から工事を始めておりますし、江崎港につきましては51年度国庫要請いたしまして、整備して建設計画をしていきたいと思います。
 北大東空港につきましても、特に港湾事情の悪い島でございますし、特殊性がございますので、51年度の重点施策としてこれも国に要請していきたいと思います。
 水問題につきましては、北大東には地下水がないため、特に飲料水はすべて天水に依存して生活しておりますので、そのため、特に干ばつの来襲に当たっては大変不自由な生活をしているのがありますので、ぜひとも水の問題についても早急に対策を立てたいと思いますが、さしあたっては村当局から要望の強い旧大日本製糖株式会社が設置した古い貯水タンク2カ所がございます。これは貯水量2800石ないし3000石等でございますけれども、この補修費についてはできるだけ早い時期に資金を助成して改修させたいと思います。
 将来の天水の有効利用につきましては、水資源の確保ということで簡易水道施設とあわせて、先ほど農林水産部長が話しました農業用水の確保についても相まって施策していきたいと思います。
 次に、離島の電話、テレビの開設を促進すべきだという御意見でございますが、おっしゃるように離島性といいますか、辺地性といいますか、不便といいますか、これは何といっても文化施設といいますか、それに大きく寄与しております通信施設の早急な整備がぜひとも必要だと考えております。
 現在、離島の通信設備は海底ケーブルまたは無線設備によって本島との接続、交流がなされておりますけれども、現在でも全く通信手段がないということではございませんけれども、回線の絶対容量が不足しておりまして、そのために電話の即時化や、いわゆるダイヤル化やテレビの同時放映等が島によっては相当おくれております。
 これにつきましては、県といたしましても機会あるごとに電電公社あるいは郵政管理事務所等に強く要請しておりますが、電電公社といたしましては、昭和48年度から52年度までの5カ年計画で全県の通信施設の整備を計画的に図っていきたいと、こういうことでございます。
 いま少し詳しく申しますと、51年度には本島と先島間の海底同軸ケーブル線を敷設するということ。2番目には、本島、宮古、石垣島周辺の離島は、これらの主要島から海底ケーブルまたは見通し内マイクロで結ぶということ。3番目には、本島―大東間は、見通し外マイクロで結ぶ。ただし、自動化につきましては幾つかの技術的な問題がございますので、この点が解決されなければならないということでございます。
 以上の5カ年計画が完成するために、県といたしましても協力すべきところは協力し、その促進方をしていきたいと思います。
 電話の全国同時化とテレビの全県同時放映につきましても、そのような形で達成していきたいと思います。
 なお、先ほど御指摘ありましたように、50年3月に大東島でも2時間ではありますがNHKがテレビ放映いたしまして、島の人々に大変喜ばれております。また、先島の白黒ではありますけれども、白黒のテレビの同時放映についても50年度中には実施し、51年度からはカラーの同時放映ができるような計画でありますので、県としても強力に進めていきたいと、こういうことでございます。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) 医療問題について答弁いたします。
 まず最初に、おかげをもちまして名護病院の落成も最近終わらせていただきましたが、これについての機械器具の整備が問題になるというふうな御提言でございましたが、49年度ではおよそ1億9000万円の予算で整備され、さらに50年度には5200万円の予算で処理していきたい。したがって、落成式はしたもののあそこは大体約200ベッドでございますが、すぐ全病床は作動してないことがありましたんですが、これらの機器整備と陣容の整備によって逐次未開設の病床についても軌道に乗って開設されていっておるということで、病院の機能の完全な作動について順調に進んでいるということを申し上げたいと思います。
 次は、南部地区におけるところのいわゆる総合病院的なものは十分になされてないというふうなことの御指摘でございましたが、実はこれにつきましては、那覇市立病院の建設の話が出ておりまして、これにつきましては2カ月前に那覇市長から県知事に対して那覇市立病院の建設について県が強力にひとつ御協力をお願いしたいというふうな要請と、つきましてはその土地について現在那覇病院の県の病院の敷地を割愛してくれぬかという要請がございましたんですが、一応そういうふうな要請に基づきまして那覇市が来年の国庫要請でその作業を進めてきておりましたんですが、今月の10日の那覇市の庁議によりまして、一応準備の状態が十分でないということで、51年度の国庫要請から一応見送って、52年度の国庫要請にのせていきたいから協力してほしいというふうな旨の要請が一昨日那覇市から直接県にございました。したがって、市民病院すなわち市立病院につきましては52年度の国庫要請で持っていって、そしてその建設に対処したいということにいたしたいと思います。
 さらに、南部におきましてかなりの実績を持っています赤十字病院がございますが、この赤十字病院は許可病床数が220でありますが、実際稼働しているのは150ベッド程度しか稼働しておりません。これに対しましては49年には692万円、50年度におきましては3500万円等の国及び県の補助を入れて、そして逐次整備しておりますが、いまの150ベッドが約180までに利用できるというところまでこぎつけておりますが、こういうふうにして49年、50年と、それから来年も若干整備費を国庫の要求をいたしたいと思いますが、このびほう的なやり方では赤十字病院の根本的な問題は解決されないというふうな事実に基づきまして、私たちはできるだけ早く、なるべくならば51年度の国庫要請の中で、
可能であれば赤十字病院の基本的な改造、改築をいたしたいと、こういうふうに考えております。
 さらに、県立那覇病院が去る7月でもって一応いままで寝ておった機能を起こしまして、現在80ベッドの定数をもちまして機能を開始しておりますが、きょう現在で約60ベッドが作動しております。その隣にありますところの救急医療センターが来月の中旬に建築が完了し、これを整備いたしまして9月でもってその機能を開始しようというところでございまして、この救急医療センターとそれから旧県立那覇病院合わせて約120ベッドでもって9月に機能開始する予定でございます。
 もちろん、那覇救急医療センター並びに旧那覇病院の一部の施設につきましては、これは総合病院としての機能ではなく、第2次患者収容施設として機能するということであります。
 以上で、私の答弁にいたしたいと思います。
○議長(平良幸市君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 僻地教育の振興についてお答えいたしたいと思います。
 御質問は、中堅教員の配置とそれから待遇の改善、ベースアップが僻地手当にはね返らなかったということ、さらに一般行政区と教育行政区との入り乱れについてということでございますが、3は所管が私の方でございませんので、1と2をお答えし、さらに4についての考え方をお答えしたいと思います。
 先ほど岸本議員から御指摘ありましたように、離島僻地の多い本県にとって、僻地と平地間の円滑な人事の交流を行って中堅教師を離島僻地に派遣することは、僻地の教育の振興にとって非常に重要なことだと考えております。
 県教育委員会としましても、毎年僻地教育振興を教育委員会の重点施策に取り上げまして、鋭意努力いたしてきております。その結果、多くの改善がなされまして、中堅教師が率先して僻地に赴任するという事例等も出まして、いろいろ実績を上げつつありますが、人事行政の複雑困難性や財政措置等を必要とする問題が多いために、いまなお幾つかの課題を残している現状でございます。
 この人事異動についての考え方を2つ持っておりまして、1つ目は、僻地交流計画制度、2つ目に、僻地校への教職員の定数替え配置と、こういう2つの考え方で適正配置を進めてまいっております。
 僻地交流計画制度と申しますのは、平地から僻地へ教職経験豊かな中堅教員を配置して、計画的に人事の交流を行うために昭和48年度から僻地交流計画制度を実施しておりますが、いろいろ困難な問題がありまして、離島僻地の勤務条件の整備を図るとともに、教職員が理解と信頼の上に立って率先赴任できるようにするためには、さらにきめの細かな対策を講ずる必要があることを痛感いたしております。
 そのために一つの方法としまして、教員相当免許の適正配置も考えております。現在、沖縄の僻地には小規模校が多うございまして、小規模校の場合は現行法では教科数だけの職員が配置できないというふうな実情にあります。なおまた、学校によっては社会科、英語科の担当が必要であるにもかかわらず、地域的な異動上の制約等もあって、人事交流によるところの相当免許状所持の配置をすることができないというふうな場合もありまして、このような場合に新規採用者を配置することに従来なっておりますが、目下、社会科と英語科がいわゆる過剰人員でございますので、他の教科の免許状を持った先生の中から社会科あるいは英語科を担当できるような教員を採用するというふうな教員構成上の制約等があるわけでございます。学校種別ごとに各教科がそれぞれ免許状所持者によって担当できるように教員の適正配置を行うことは人事行政の大きな課題でございます。この点については、今後最善の努力を払っていく所存でございます。
 なお、このことをスムーズに進めるために、今年度から教職員人事異動審議会というのを設置いたしまして、5月からスタートしまして、いかにすれば適正な配置ができるかということを検討中でございます。
 次に、僻地校への教職員の定数替え配置について簡単に申し上げますと、国は小学校の3個学年複式の解消を昭和49年度を初年度としまして、53年まで5カ年で完成する標準法の改正をいたしました。
 本県では昭和49年度でこの3個学年複式を全面的に解消するために教員の加配をしてあります。ほかの県はこの5カ年の計画を5分の1ずつ進めてきておりますが、本県ではすでに5分の2の標準法の改正に沿うような計画を実施しております。
 また、4学級以下の小規模中学校の免許の教科外担当を解消するために、50校に対して1校に1人ずつの教員の加配もすでに行っております。
 高度僻地5級地の学校に勤務する教員の定数替え加配については、離島各村から非常に要望が強うございますので、その実現のために県費負担教職員としての定数措置が必要になりますので、県の財政状況では現在困難でございますが、国に対して引き続き標準法の改正を要請していきたいとこのように考えております。
 次に、2番目の待遇改善について申し上げます。
 僻地勤務者の待遇を改善することは、僻地と平地との円滑な人事交流を促し、人事の刷新や適正配置につながる重要な要素であります。
 県教育委員会としましては、従来から離島、僻地勤務者の適正な待遇の改善に努力してまいっております。いまでは十分とは言えないまでも、九州各県に比べて、劣らないところまでこぎつけております。
 現在実施している優遇措置を簡単に申し上げますと、1つは、僻地の特昇制度というのがございます。
 これは僻地に赴任した場合に、5級地の場合だったら21カ月昇給短縮、4級地が18カ月、3級地が15カ月、2級地が12カ月、1級地が6カ月と、こういうふうな状況でございます。
 次に、管理職への昇任に関する配慮も行っております。
 県教育委員会は、教職員人事異動方針を毎年策定しておりますが、その中の教頭採用基準に僻地校勤務経験3年以上を有する者という条件をつけてございます。そういうことによって、教頭への昇進が有利になるようにしてございます。
 3番目に、僻地手当の支給を行っております。この手当については、先ほど岸本議員からもお話がありますので省略いたします。
 4番目に、僻地手当に準ずる手当というものがございまして、家族とともに僻地に移転する場合には、100分の4の手当を上げるというふうになってございます。
 なお、先ほどお話しがありました僻地勤務の年数加算と戦前の恩給のような方式はとれないかということでございますが、これにつきましては、恩給制度と年金制度では、その趣旨が違いますので、これを戦前のようにすることは現法規では不可能なようでございますが、これについては、全国教育長協議会や、あるいは全国福利主管課長会議、あるいは全国僻地連盟協議会等でも文部省、自治省、大蔵省に強く要請しておりますので、県としましてもそれに沿うて強く要請していきたいと、こういうふうに考えております。
 伊是名と伊平屋が一般行政区と教育行政区が入り乱れて困っているということでございますが、これにつきましては、関係の部局とよく話し合っていろいろと措置を講じていきたいとこういうふうに考えております。
 以上で答弁を終わります。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
   〔渉外部長 大島 修君登壇〕
○渉外部長(大島 修君) 公用地暫定収用法についての御質問でございますが、この法律は御承知のとおり復帰に際して、米軍基地や自衛隊基地の収用に反対する地主に対してどうするかと、それを強制的に確保しようといったようなことで国会でも相当論議されて強行採決されたいわくつきの法律でございます。
 御承知のように琉球政府のころから県としては、こういう5カ年間も強制的に収用して規制するということは、これは憲法29条に違反する。私有財産保障に違反するという立場、さらにはその6カ月であるべきものを5カ年間もと、しかもその手続の方法も大変簡便にとられているというふうな点から、これは憲法でいう法のもとの平等に違反すると、こういうことで強硬に反対をしてきたわけでございます。
 ところが、先ほど申し上げたような形で強行採決されて、現在施行されておるわけでございますので、3カ年経過してあと2カ年残っております。
 そこで、これを今後廃止に追い込むとするならば、具体的には、いわゆる地主から憲法違反の訴訟を提起して、司法の判決をまつ以外にないのではないかというふうに考えておりますので、この問題につきましては関係地主、関係機関等と十分連絡をとりながら慎重に検討していきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
   午後4時1分休憩
   午後4時18分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 吉田光正君。
   〔吉田光正君登壇〕
○吉田光正君 本員は、すでに通告してあります事項についてお伺いいたしたいと思います。
 これまで経済問題とか、あるいは雇用問題、基地の問題、教育の問題、医療の問題等、多くの方々から基本的な問題が提起されておりますので身近な問題について若干お伺いいたします。
 まず最初に、農業問題でございますが、御承知のようにパイン産業は沖縄の第1次産業の基幹作目として位置づけられておりますし、それからまた特殊土壌、酸性土壌、あるいは傾斜地でも可能だといったようなことで、また、特に本島北部あたりでは傾斜地に栽培されているのが多いので、土壌の関係あるいは地形の関係等からして簡単に他の作目に転換できないような面もありまして、どうしてもそれを将来とも基幹作目として強力に保護育成していかなければならぬということが現在のパイン産業の位置づけかと思っております。
 したがいまして、その対策につきましては全県民が大きな関心を持っておりますし、また、議会のあるたびにこの問題が提起され、さらに今議会におきましても、これまで多くの質疑応答が交わされております。それで、大体、問題点の概要は把握しているつもりでありますけれども、若干の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 まず、最初に、49年度産の120万ケースの滞貨につきまして、大きな問題となってこれまで議会、その他関係の方々が非常に努力されたわけですが、そのうち大体40万ケースを残して処理済みということになりますし、また、窓口も沖縄県パインアップル缶詰協会と日本パインアップル輸入協会と窓口を一体化して、将来沖縄のパインかん詰めの処理をしていくというふうな形に大体方向づけられているわけですけれども、沖縄県パインアップル缶詰協会と日本パインアップル輸入協会とが一体となって沖縄産のかん詰めを処理したその段階で18億円の赤字が出たと、そしてその18億円の赤字を処理する問題につきまして、日本パインアップルの輸入協会の方がもし55%の関税を抜いてしまうとそれを肩がわりしてもいいんだといったような形の業界からの提起がなされているということが、その記事が6月20日あるいは6月25日の報道として出てきております。
 この問題は、通産省にしても農林省にしても否定的な立場はとっておるけれども、業界がそういうふうなグローバルものの外割りとの関係で、この輸入関税の問題を今後表向きに出して論じてくると、これは当面は関係省庁は否定的であるけれども、その業界の圧力が何回か繰り返されていくと、当然関税の問題がさらに表面化してくる可能性がないではない。そうすると、沖縄のパイン産業の将来につきまして、この55%というものは非常に大きな保護策になっている関係で、今後この問題は私たちは等閑視してはならない問題かと思います。
 したがいまして、この問題がいまはそう表面にがたがた出ているわけじゃないわけですけれども、今後この問題はさらに出てくる可能性もありますので、これは県としても非常に神経をとがらしながらこの問題に対処していかなければならないかと思いますが、こういうような動きに対して県はどういうふうにこの問題を受けとめているか一応お伺いしたいと思います。
 2番目に、現在のパインの原料生産量は大体7万から8万トン前後だと思いますが、将来計画を見てみると大体11万から12万トンまで伸ばしていきたいと、そういう計画があるわけですが、現在その計画変更はなされていないかどうか、そのままやはり将来の計画として維持していくかどうか、もし維持していくとするならば4万トンの生果を増産していくためには、これは並み大抵のことじゃないかと思います。
 したがいまして、そこにはパインの圃場の基盤整備ということが非常に問題になってきます。この圃場整備につきましては、最初に申しましたように特に本島の北部地域では、非常な傾斜地までこれを栽培しておる関係で、圃場の基盤整備をする場合におきましては、これは非常に注意を払いながら圃場整備をしていかなければいけないと。また、パインのそういったような圃場の整備をしていく過程におきまして、やはり沿岸の漁業の関係あるいは海の汚染との問題、そこのからみ合いも非常に慎重な計画でこれを推し進めていかなければならないかと考えます。
 そうするためには、いわゆる株の更新をする場合にしても、圃場整備をする場合にしてもたとえばブルを入れていく、そのブルを入れていく場合においても非常に入れ方あるいは土砂どめ、そういうようなものを綿密に検討をしていかないと水産業にも影響を来すし、あるいはまたその他いろいろな面に影響を及ぼす面が多かろうかと思います。
 また、そういったような基盤整備はやらなければならないけれども、やっていく段階におきましては、これは農林水産部の農産課の面、あるいは営農関係の面、あるいは農政の立場で、そういうような立場から総合的にそういうものの基盤整備が、いまどういうふうにしていくかといったような計画が取っ組まれているかどうか、そして取っ組まれているとするならば、これは特殊事業地帯ですか、ちょうど岩石を取り除くようなああいったような特殊事業地帯の基盤整備の中に入っていくかと思いますが、そういったような問題が現在農林水産部におきまして具体的に計画が樹立されているのか、あるいはまた検討を進めているかどうか、現段階の現況についてお伺いしたいと思います。
 それから次に、先般私たち南大東をちょっと調査に参ったわけでございますが、向こうの南区あるいは旧東区か、その両区地帯でハリガネムシ、あるいはアオドウガネムシですか、そういったようなものが蔓延してほとんどキビ作ができない。非常に荒廃した相当な面積の土地が荒廃化しております。これは宮古にも一部発生していると思います。そういったような土壌中にあるところのこのハリガネムシなどの駆除対策、これがどのように対処されているか、これは現在ではEDBとか、あるいはEDCとかいったような薬剤を使って駆除しているかもしれませんけれども、実際にこれを駆除する場合には株の更新とか、植えかえとか、そういったような時点でないと駆除できないような体制にありますので、発生している実態というのが十分把握されているのかどうか、そして把握されているとするならば、現段階でどういうふうな防除対策がとられているか、お伺いしたいと思います。
 それから次に、今度は病気の面ですけれども、黒穂病が非常に急速に蔓延傾向にあるということがたびたび報ぜられております。これは最近の中部地区あたりの、報道によりますと、部落によっては50%内外被害を受けているところもあるし、農連製糖工場関係の地域でも14%以上の被害があるといったようなことも報ぜられておりますし、これの病気の原因、どういうような形でこれが発生してくるかどうか、そこの原因が十分解明されているかどうか。解明されているとするならば、その対策がどういうふうな対策をとられているか。また、原因解明されていないとするならば、当面どういったような対策がとられているかどうかといったようなことについてお伺いしたいと思います。
 ちょうどこれは、人間が体力が弱っていくといろいろな病気にかかるのと同じで、おそらく黒穂病だとか土壌中のそういった病気なども、素人的に考えて地力の減退というものがそういう病気、害虫などと無関係ではないんじゃないかというふうに素人的には考えているわけですが、そこら辺の問題は農林水産部あたりではどういうふうに対処しているか。
 これは私はたびたび申し上げるんですけれども、沖縄の戦後の農業は結局化学肥料一点張りで有機肥料が十分使われていないために年々歳々地力が減退して、いわゆる酸化していくと、そして生産量が落ちていくと。また、農業者の農作物に対する肥培管理の粗放性がさらに輪をかけていくといったような形になりまして、やはり今後の1次産業を振興するというようなことは絶えず一つの大きな政策の看板として出すわけですけれども、本当に農業者がこの農業に、土に取っ組んでいくというところの意欲をどういうふうにして盛り上げていくかということは、今後1次産業を推進していく場合の各面において、この従事者の意欲を推進させていくところの具体的な方策はどこにあるかと、どうすればそれが盛り上げられていくかということは、今後の私たちが1次産業を推進していく場合の非常に大きな問題かと思います。
 そういったような面が、当面考えられていることがございましたらお伺いいたしたいし、また、地力回復、特に有機肥料を通じての地力回復の具体策がございましたらひとつお伺いしたいと思います。
 次に、青少年指導の問題についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、海洋博期間中の指導対策でございますが、6月16日でしたか、旧上本部、本部、そこらの会場周辺の各小学校、中学校、ずっと一回り回りまして、先生方と具体的にいろいろな想定される問題点について話し合いをしたわけでございますが、先生方が一番心配していることは、この期間中子供たちを安全に健全にどう守っていくか、子供たちの安全と健全性をどういうふうにして守っていくかということに非常に頭を痛めているのが現況だと思います。
 それで、大体どういったような問題が考えられるかというと、一番指導する場合に考えられることは、この海洋博が始まったとたんに夏休みに入るということですね。そして、子供たちが学校の先生方の手から離れていく、しょっぱなにそういったような時期にぶつかるというようなこと、それから海洋博が始まりますと、会場並びにその周辺に多くの仕事をする一般労務的な仕事がたくさん出てくる。たとえば会場の清掃とか、そういったようなものに大体3000人前後入るんじゃないかと、その周辺で。そういうふうに言われていると。そうすると、そこら辺はほとんど通勤可能な人たちしか採用しないということになりますと、あの辺の周辺の部落の人たちは、ほとんどがそういうところに動員されるんじゃないかと、そうすると各家庭はほとんど親がいない、いわゆる留守家庭になってくると、そうすると子供たちは休みであるというような形になりますと、今度は父兄の収入が相当入ってきますので、勢い小遣いを余計やるであろうということになりますと、またこの小遣いを持って出歩くと、そしてこれがまた交通問題とのからみ合いが絡んでくるというようなことが考えられまして、そこら辺の問題をどう
対処するかということで、各学校それ相応の対策は検討はしつつあるようですが、やはり非常に不安の要素があるようでございます。
 それから次に、そういったような小遣いが余計出てきますと、そこにまた派生的に考えられることは、飲酒、喫煙の問題が出てくるであろうと。それからもう1つ、いま学校がほとんど無人化されている。休み中無人化されていると。きのうの新聞にも出ておりますが、6月22日か23日、浜元校あたりのあの実態を見ると、全く情けないんですね。教室の机の上、教卓が便所がわりになっていると。しかもそのままじゃなくてそれを塗りったぐっていっていると。そして、ガラス窓を割って壊していると。あるいはせっかく植えたところの花園の木をわざわざ引っこ抜いてはちもまた教室にばらまいていくと。こういったような悪質な学校荒らしが出てくるわけですね。
 そこに、そうした多くの人たちが出てくると、当然その周辺の学校、昼中は学校の先生がおって問題は何とかなるかもしれませんが、夜間無人化しますと、当然そういうことがたくさん出てくるだろうし、あるいはまた旅費を使い果たしてしまって学校に無断で泊まりに来ることも予測されるだろうし、あるいはまたよくカニ族と言われる人たちがまた泊まり込みに来るだろうといったようなことが当然予想されるというわけなんですね。
 そういったようなものの対策をどうするかということで町当局あたりとも大分話し合いはしているようでございますけれども、なかなかこれといったようなその決め手がないということに問題があるようでございます。
 それからいま一番この安全の面で問題化しているのは、交通の流れがどのような流れになってこう押し寄せてくるかということに非常に不安を持っているのでございます。そのある程度あっちこっちでこの流れを規制すると、その規制された流れがほとんど各部落部落にずっと細かいところに流れてきはせぬかどうか。そこに、子供たちの安全性の問題が出てくるといったようなことで、非常にそういったような問題も悩みの種だといったようなことでございました。
 そういったようなことをずっと勘案しまして、そうしたら、一体指導体制はどういうふうな指導体制をとっているかということをいろいろ検討を聞いたわけでございますが、私もこれはまず自己防衛的な立場を十分検討してもらいたいということ。それは余り大きな組織じゃなくて、非常に細かい組織、各部落なら部落の1個班なら1個班とかいったような細かい部落の防衛対策をとらなければいかぬじゃないかというようなことも言いはしたんですけれども、具体的に教育庁関係、あるいはその他の青少年健全育成関係、あるいはまた海洋博関係のこのような問題を取り扱うところの機関、部会もございましょうから、そこら辺で、そういったような問題の具体的な取り組みと指導体系、あるいはまた教育庁関係で、そういう地域に対するところの集中的な指導体制あるいはまた臨機応変に、そこら辺に集中指導していくというような体制組みが現在とられているかどうか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
 それからこの124号線とか、あるいは112号線、あるいは116号線関係ののも若干あると思うんですけれども、特に124号線関係あたりには、渡久地あたり、あるいは今帰仁の仲宗根あたりの町の中にかかっている橋ですね。あれは大型車両などが通ってときどきすれ違う場合に、これは大人でもちょっとすれ違えないような状態ですが、そこは大体歩道がないんですが、そういったようなものは何か応急措置でもよいから多くの車が流れて、そこら辺で何か起こりはせぬかといってみんなひやひやしているようですけれども、応急措置でもよいからそういう町のなかにかかっている橋梁に歩道施設を、応急措置でもよいから設置して交通の安全の面を配慮できないかどうか。これは道路の問題との関連で、そこら辺の検討がなされているかどうか。
 その中で、一部歩道整備されているところも相当あるにはあるわけですけれども、そういったような橋梁部面であるとかそういうところの問題にもうちょっときめの細かい配慮をする必要はないかどうか。あるいはまた、配慮されているようでしたらそこら辺の現況についてお伺いしたいと思います。
 以上、この問題を申し上げましたけれども、特に教育庁あたりの、この指導主事あたりのそういう面への集中的な指導強化、あるいは何かこう問題が起こったときにすぐ臨機応変にそこに指導体制が向こうに持っていけるような体制づくりができているかどうか、そこら辺のところについてお伺いをしたいと思います。
 ちょうどこういろいろ具体的に動き出してから、この問題が派生する方向性が見きわめられたその時点ではいろいろ対策もとれるようですけれども、海洋博がちょうど始まった途端に休みに入るものですから、どういう方向になるかわからないといったようなのが現況ですので、そこら辺の御計画がございましたらひとつお伺いしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 企業から提起されましたパインの関税撤廃措置に対して、県はどういう対応措置をとっているかということでございます。
 新聞で報道されました前日に、パイン組合の理事長から報道にありましたその一部のことについて電話の連絡を受けたわけでございます。
 しかしながら、55%のパインの関税の撤廃をして、いままでに企業が受けた18億円の損失を補てんするといったような事項については新聞の報道で知ったわけでございます。即日、関係省庁にその真疑について確かめましたところ、これについては、ある会社の社長がある大臣に会って、こういうようなパインの不況措置を救う方法もあるということを話をされて新聞に出た報道の内容となったように聞いておりまして、しかしながらはっきりした措置については新聞の報道にありましたとおり、関税を55%の関税を撤廃をしろという陳情ではなかったようでございます。
 申し上げましたように私的な話での内容だったと。ただし、方法については、その事項については、新聞の報道もありましたので、一応開発庁の政務次官にその真疑のことについてただしましたところ、沖縄パインの現在の不況を救うためには、やはり何かの国の援助措置が必要であると、それについて具体的にこういうような措置がとれないだろうかという話はあったということを聞いております。
 しかしながら、このパイン関税を撤廃をするということについては基本的に反対であると。したがって、県もこの件については一応了解の上で措置してくれというような話でございました。
 県としては、一応報道として出ましたので、関係省庁にもこういったことが文書でもって陳情されているかどうか、あるいはこの真否についても問い合わせましたけれども、申し上げましたように文書でもなければ、真否のほどもはっきりしないということでございました。
 パイン圃場の改良についてでございますけれども、これについては御指摘いただきましたように特殊な地域でございますし、なお土壌形態そのものからいたしまして、国頭マーヂは凝集力も非常に乏しいわけでありまして、したがって浸食も激しいということでわれわれは本年度から国頭マーヂ地帯を特殊土壌地域の指定を申請をいたしております。
 したがって、特殊農地保全整備事業、これは農林省の主管になりますけれども、こういった事業でもって、その整備を図っていきたい。よって、現在51年度の国庫予算で要求すべく採択基準の設定を要請中でございます。
 ハリガネムシとアオドウガネムシの発生の実態と防除対策でございますけれども、ハリガネムシにつきましては、宮古が約950ヘクタール、南大東が900ヘクタール、その他が500ヘクタールとなっております。これはおそらく八重山地域と思っておりますが、全部で2350ヘクタールにその被害が及んでいると見ております。
 アオドウガネの発生につきましては、宮古地域で1870ヘクタール、本部地域は面積の確認をいたしておりませんが、今帰仁との境の地域で去年相当量の被害があったことの報告を受けております。
 したがいまして、両方の虫の実態ということについては、一応面積と被害で確認をいたしておりますけれども、最近になりまして、この防除薬ができておりますので、農薬については異常発生の対策をとりながら十分措置できると思っております。したがって、県と市町村が一緒になって、この防除対策をとりたいと思っております。
 ハリガネムシについても、アオドウガネムシについても51年度においては、国の援助を得るべく要請をいたしておりました。
 特にハリガネムシの場合は特殊な農薬を必要といたしておりましたけれども、どうしても防除の経費がかかり過ぎるということで国にその緊急防除費の要請をいたしております。
 サトウキビの黒穂病発生の原因とそれが解明されているかと、その対策についてでございますけれども、黒穂病につきましては、先ほど御指摘をいただきましたように、やはり品種生態的な問題と、栽培の連作あるいは株出しの継続と、こういったような悪循環が重なっておりますので、おそらくは品種そのものにも若干の抵抗性に対する欠陥があろうかと、こういうふうに判断はいたしております。
 しかしながら、この黒穂病は、そのホストとして花粉科の植物に発生をいたしますので、あながちキビだけの防除だけで完璧を期すということはむずかしいと思っておりますので、その防除対策としては、現在、前の質問にもありましたとおり、市町村には防除協議会を設定をさせておりまして、罹病株の抜き取りを現在実施中でございます。
 なお、この恒久的な対策といたしましては、どうしても抵抗性の強い品種あるいは系統に一時切りかえておくということが先決だろうと思っております。しかし、これだけでこの病気が完全防除されるとは思っておりません。よって、ローテーション、いわゆる輪作ということも思い切ってとる必要はあろうかと、こう思っております。現在黒穂病は、沖縄本島、宮古、八重山にも発生を見ております。なお、奄美大島地域の徳之島等にも相当の蔓延、被害があるというふうに聞き及んでおります。
 したがって、この対策については、農林省としても調査団を派遣をいたしておりまして、抜本的な防除対策というものが51年度からとられると、こういうふうに考えております。
 なお、地力の減退、畑地の地力の減退と抵抗性の問題もございました。おっしゃるように、確かに連作は続き、しかも金肥依存の経営が行われておりますので、畑地に有機質の減退があることは認めております。
 したがって、われわれとしては、その有機質肥料をこれは山地と平地の両方の対策が必要になります。平地の場合は、前から取っておりますところの緑肥の奨励をいたしておりまして、この前も宮古地域を見てまいりましたけれども、やはり宮古における富貴豆の栽培は現在も盛んに行われております。伊江島においてもツル大豆が大分入っております。
 これは飼料になり、肥料にもなりますので、緑肥のいわゆる地力の増進の給源としてもこういった緑肥の奨励は今後とも継続すべきであると思っております。
 なお、サトウキビの枯葉と野草等によるところの速成堆肥の奨励、これも必要になろうかと思っております。
 したがって、枯葉についてはそのまますき込むんじゃなく、野草とサトウキビの枯葉を一緒にした堆肥あるいは厩肥の造成ということについても今後対策をとっていきたい。
 なお、製糖工場におきますところのバガスとケーキの畑地への還元を企業に義務づける。現在、第一製糖が行っておりますところのバガスとケーキによるところの厩堆肥の畑地への還元策、これはほかの製糖工場においてもぜひこういった対策をとらしていきたいと思っております。
 なお、山地におきましては、そういった地形でございますので、厩堆肥を運ぶというのが非常にむずかしい。しかも、酸性土壌でありますので、豆科の緑肥を持っていくことも非常にむずかしいということで、現在琉球肥料におきまして、バガスを主体にしたところの有機質肥料の製造が行われております。年間、大体3000トンばかりの製造でございます。若干コスト高になりますけれども、こういった有機質肥料でもって山地あるいは傾斜地等の有機質の給源をしたらよいと、こう考えております。
 なお、国場組がバガスの利用によるところの有機質肥料を製造いたしております。現在は200トンでございますけれども、将来は1000トン規模の有機質肥料の製造に持っていきたいというような話を聞いておりますので、こういった県内における有機質肥料の製造とあわせて山地あるいは傾斜地に対する給源等を考えていきたい、こう思っているわけであります。
 なお、この有機質につきましては、堆肥の製造等が諸所に起こっております。特に宮古地域のサンゴ石灰岩土壌においては、こういった有機質の減退が見られると同時に、先ほどから御説明ありました黒穂病との関連もおそらくあろうかと思いますので、今後地力の維持増進については十分の努力を払っていきたいと考えております。
○議長(平良幸市君) 教育長。
   〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 海洋博が夏休みのころに始まるということで、いまさっきいろいろな問題が御指摘がございました。非行の問題、交通安全の問題、学校管理の問題等でございます。
 このことについては、教育庁もかねてから予想しまして教育庁内に海洋博関係の生徒指導対策委員会というのをつくりまして、その委員会の中で具体的な予想と対策を進めてきてございます。
 他方また、北部の各市町村におきましても北部の教育事務所を中心にしまして、青少年指導担当職員を置きまして、その対策を進めてまいってございます。
 この海洋博時の生徒指導の問題は、これはやはり地域、それから教育庁、学校、みんながやはり自分の問題として受けとめて努力しなければならない問題でございます。
 幸いに、北部の教育事務所管下におきましては、各市町村ともこの問題には非常に前向きな姿勢で当たっていただいておりまして、現在地元の方で活動の要領としてやっておりますものは、次の5つぐらいの問題でございます。
 学校では、児童生徒の下校時を示して、下校指導を行っていこうということ。
 学校にそれぞれ地域子供会、生徒会中心の自主的活動組織をつくって生徒の生活指導を推進していこう。
 各町村や字では、児童生徒の外出から帰宅時刻をチャイムで報知して、無用な外出時間を防いでいこう。
 PTAと学校職員が一体となって、校外指導に当たっていこう、所轄の警察署から委嘱されている市町村の青少年補導員と地域住民が一体となって校外指導に当たっていこうとこういうことでございます。
 集中的な指導体制ができているかどうかというふうな問題でございましたが、先ほど申し上げましたように、海洋博関係生徒指導対策委員会というのがございますので、その委員会と、さらに国頭教育事務所の方にも生徒指導担当主事がいますので、それらを中心にしまして、期間中問題が起こった場合には、即時に対応していきたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(平良幸市君) 吉田光正君。
○吉田光正君 1点だけお伺いします。
 警察の方に1点お伺いしたいんですが、渡久地署にこの間参りましたら、駐車違反とかそういったような車の保管場所ですね。もし、レッカー車で持っていく場合に、その保管場所の対策に何か頭を痛めているようでしたが、そこら辺の問題、何か具体的な対策がございましたら示してください。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 海洋博に伴いまして交通事情をはじめいろいろ社会環境が変化する、それによって子供の安全が脅かされるんじゃないかと、具体的方策があるかと、こういうことでございます。
 教育長の方の答弁とダブる部分もございますけれども、まず第1に警察といたしましては、この交通量を最も害の少ないように調整するという仕事があるわけでございます。
 たとえば、ホテルオーシャン前の交差点でございます。この交差点の最も交通量が集中すると見られる時間帯午前9時から11時までの間は、これは県道116号線が本部循環線と合流するということで、約1200台の通過車両が予想されるわけでございます。
 それで、これにつきましては、信号機を設置するとともに、両路線からの流れをスムーズにするために同交差点から会場入口までの浦崎交差点まで約1800メートルぐらいございますが、これを道路管理者の協力も得まして北行き、会場行きを2車線にすると、そしてその内側を午前8時から12時までの間、バス、タクシーの専用路線というふうにするというふうなことです。
 それから浦崎交差点、あるいは会場周辺、あるいは名護の宮里交差点付近、この辺いろいろ交通の流れがふくそうするところでございますが、それも必要に応じましてそれぞれの規制、指導、誘導というのをやっておるわけでございます。
 しかし、こういうふうにいたしましても、なお会場周辺の交通量が絶対的に増加するということは避けられないわけです。
 それで、この会場周辺の学校に対する安全対策でございますけれども、学校が全部で小学校、中学校合わせまして15校ございますが、それにつきましては、全部その主要な学童の通行するところに押しボタン式の信号機を設置済みでございます。
 さらに、主要道路を横断する通学路につきましては、所轄警察署と連絡をとりながら、必要個所には横断歩道を設置しております。そして、視認性の高いよく見える灯火式道路標識も設置したというふうな状態でございます。
 また、本部循環線等の道路におきましては、最高速度制限を行っております。毎時40キロメートルに抑えてございます。
 特に市街部や交通危険区間では、毎時30キロメートルに抑えたほか、カーブ地帯、それから家屋が稠密化しているところには、はみ出しの追い越し禁止規制もかけておりまして、その区間の安全を確保しようということです。また、必要なところには、駐車禁止もしております。
 こういうふうにいたしましたほか、特に大型の道路標識を設置して、それがわかりやすいようにしてあるというふうな施策も講じておるわけでございます。
 このほか、市街地の住宅道路への一般車両の進入、無秩序に入ってくるというのを抑えるために渡久地、今帰仁、名護の中心部等の関係地域につきましては、所要の交通規制を行っております。
 こういうことによりまして、学童の通行の安全というものは、できるだけ確保しようと努力しておるところでございます。
 いま駐車禁止をやりまして、それの車両の保管場所だが、たとえば渡久地警察署で頭を痛めているということでございますけれども、まさにそのとおりでございます。しかし、これも既設の駐車場を経営しているところ、あるいは空き地等、その期間中、交渉いたしまして何とか適切な保管ができるようにしたいと、現在それを進めておるところでございます。
 それから期間中の少年の非行防止でございますけれども、これも県警の海洋博対策の重要な課題の一つでございます。特に北部地区におきまするこの児童生徒の非行防止につきましては、教育庁や北部地区の市町村あるいは教育委員会等と連携いたしまして、父兄の方々にも呼びかけてその活動を進めていこうというところでございます。
 また、警察でも、これは独自に各地区の父兄との懇談会を開きまして児童生徒の不良化防止に協力方をお願いし、その運動を進め
ておるところでございます。
 特に海洋博開催期間中には、婦人警察官あるいは婦人補導員、これを主体にいたしまして少年補導班を編成いたしまして、実情に応じまして各地区の少年補導員の御協力も得て、会場周辺あるいは観光地、盛り場等全県的に補導活動を強化していく方針でございます。
 それから先ほどちょっと北部地区の学校で学校荒らしが多いという話がございました。確かに1月から5月まで県内で発生しました学校荒らしが154件あります。そのうち、名護、渡久地、この両署管内で発生した届け出のありましたのは12件でございます。
 これで見ますると、人口比では、特に北部地区が多いということでもないわけでございますけれども、やはり学校を荒らすというのは悪質な犯罪でございますので、これの警戒方も強めているわけでございます。
 特に夜間どうするのかという問題がありますが、これはやはり1つには、学校側の自主警備も促進していただかなければならないと。わが方といたしましては、外勤警察官の夜間の警ら、これを強化いたしましてこれの防止に当たっていくという所存でございます。
 地元警察署の名護、渡久地には、警察官の配置も増強いたしましたので、学校との連絡を密にいたしまして、この学校荒らしの防止には万全を期したいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) お答えいたします。
 橋に対する歩道橋の件でございますが、いま本部半島には、海洋博に向けて改良舗装をどんどんやっております。それと同時に、いま一緒に交通安全の施設はやってまいりまして、50年度もさらに引き続きあと残りのものを契約して現在工事中でございますが、主としてこれ自体が海洋博関連ということでございましたので、橋そのものについては、添架のものはございません。50年度までは、いまのところ計画ございません。
 それで、51年度以降その部分については、一応検討して、国と話し合いして進めていきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 安里政芳君。
   〔安里政芳君登壇〕
○安里政芳君 離島振興について御質問申し上げます。
 今定例会における一般質問でも、大ぜいの方が離島振興について言及されておられます。
 このことは、いかにいま沖縄が直面している僻地離島の過疎化の進行が、予想をはるかに上回っているかを如実に物語るものです。
 知事は、昭和50年度の施政方針でも離島の振興を取り上げ、道路、港湾、空港、通信及び農漁業の基盤整備など基礎条件の整備に重点を置き、海底送水による水の確保、電気施設の改善、その他の生活環境施設の整備を強化し、さらにこれら諸施策をきめ細かく推進することによって、地域格差の是正と民生の安定、福祉の増進を図ると申されております。
 また、移動県政を行い、直接離島僻地の現状を見て回られておられることは結構なことでございます。
 知事も、さきの南北大東村における移動県政で経験されたと思いますが、南大東村に渡る南西航空のSTOL機、北大東に渡るための大東スカイマリンサービスの小型機、いずれもいまでは南北両島にお住まいになっておられる方々にとっては必要欠くべからざるものになっており、気象状況によって欠航したときの不便さは言葉では言いあらわすことのできないほどでございます。
 知事は、離島空港を整備し、離島の隔絶性を解消し、民生安定を図る施策として、50年度において新規に粟国空港の整備に着手するほか、離島空港の整備充実を図ると述べておられます。
 このことは、離島振興のパイプ役としての人的、物的、経済的動脈の重要な位置にある航空産業が存在してはじめてその施策が生かされるということは言をまちません。
 今定例会に、沖縄地方同盟、南西航空労組から陳情が出されておりますけれども、県下唯一の定期航空運送事業者としての南西航空株式会社が、会社資本金3億8400万円をはるかに上回る49年度決算で5億円近い赤字を抱えていることは御存じのことと思います。
 その主たる原因は、1つ、石油問題と関連した燃料費の高騰、約3倍ぐらいになっております。
 2つ、3年間の特別措置が図られてまいりましたけれども、航空燃料の減免措置が3月31日で切れましたこと。
 3つ、YS11型に比較し、運航コストが2倍以上かかるSTOL機を南大東、与那国、多良間、波照間の各離島に運航していること。
 4つ、通行税、航空援助施設利用料、空港使用料が復帰後国内法の適用を受け、実質的に引き上げられたこと。
 5つ、運航原価が高いにもかかわらず、9月10日からの新運賃改定時には、本土のローカル線に比較してキロ当たり単価が低く抑えられたこと。
 6つ、さらに離島住民の負担の軽減という目的で特別往復割引運賃を設定し、3割引きで提供していること等でございます。
 通行税、航空燃料税の減免、航空援助施設利用税の減免、那覇空港使用料の減免等は、国に対し要請すべきことではありますけれども、県も離島振興の立場から積極的に取り上げてしかるべきだと思います。御見解を求めます。
 また、県としてとり得る問題といたしましては、第3種空港使用料の減免措置、STOL機運航路線における特別往復割引運賃の普通旅客運賃の差額の補助約1400万円等は考えられないだろうかということでございます。御答弁をお願いいたします。
 本員がここで南西航空株式会社及び同労組からの陳情を中心として御質問申し上げましたのは、さきにも触れましたけれども、離島振興の一環としての空港整備計画は着々と進んでおりますけれども、離島空港をつくれば当然飛行機を飛ばすであろうと当局は思っているという危険でございます。
 御存じのように、今春闘における南西航空労組の2次、3次にわたるストライキは、離島住民の足を奪い、大きな社会問題ともなりましたけれども、企業の合理化策や体質改善等、企業努力のみでは解決しないものがございます。
 当局が離島振興に名をかりて、一企業、労働者に負担をかけた片肺飛行的な施策をとるならば、この問題はなかなか解決しないと思います。
 また、伊江空港の海洋博後の運航計画、粟国空港の飛行計画等、航空事業者との合議がなされていないことの不安であります。
 離島僻地の振興のため、航空産業育成のためどのような基本的な施策を持っておられるのか、お尋ねいたします。
 また、離島空港の整備の一環として欠航率38%という与那国空港の整備はどうなっているのか。
 また、これから建設しようとしている離島空港整備計画を示していただきたいと思います。
 福祉行政について、続いてお尋ねいたします。
 わが国の社会保障は、質、量両面にわたって著しく立ちおくれております。特に社会福祉施設に働く従事者の人材確保難は一段と深刻化しており、福祉施設の円滑な運営に重大な支障を来していると言われております。
 これは社会福祉労働が、休憩、休息抜きの長時間労働、また夜勤の連続を強いられる反面、その労働にふさわしい待遇が与えられていないことに起因していると言われております。
 このため、腰痛症、頸腕症候群等に冒されて退職する従事者が続出していると聞いております。
 こうした現状を放置するならば、わが国の社会福祉施設は、人材面で崩壊することは必至であります。
 民社党は、こうした状況にかんがみ、当面する福祉政策の緊急課題として、社会福祉施設従事者がその社会的使命にふさわしいだけの経済的、社会的処遇が受けられ、安心して職務に専念できるよう社会福祉施設従事者の処遇及び職場環境の整備に関する特別措置法の制定を提唱しておりますけれども、県の現況をお知らせいただきたいと思います。
 昨日の嵩原議員の質問にもありましたけれども、心身障害(児)者対策については、生活福祉部長の答弁もありましたけれども、再び御質問申し上げます。
 北部心身障害児親の会が実施しました北部心身障害児実態調査報告書が発表されておりますけれども、それには18才未満の精神薄弱児70名、身体障害児160名、特別学級就学児童140名を除く実数が明らかになり、そのうち施設入所者はわずかに42名で、保護者の施設入所希望者149名のうち、107名の児童が施設に入りたくても入れない実情が報告されております。
 その対策として部長は、北部地区には、南山城学園の分園が名護にできるということで対処しようとしておりますが、それはニードに応じていない。北部だけでも、このように現状は厳しいものがございます。
 昨26日、那覇市民会館で第9回沖縄県精神薄弱者(児)教育・福祉振興大会が開かれ、当局から教育、福祉、雇用対策等説明がなされ、分科会報告、宣言決議の採択などが行われたと報じられております。
 県教育庁は、行政説明の中で、養護学校などの施設で義務教育を受けている障害児は、視覚障害64名、収容率46%、聴覚障害196人、89%、精神障害児2367人、59%、肢体不自由児311人、86%、風疹児354名、95%とまだまだ十分ニードには応じられていないと行政報告を行っております。
 しかし、54年4月までには完全就学を目指し、精薄児46学級、情緒障害児10学級の6校を増設する予定であり、また訪問教師制度はもとより、巡回教師制度を新設し、より障害児教育の充実を図りたいと述べておりますが、これは教育長に確認だけを求めておきたいと思います。
 次いで、県生活福祉部は、施設の絶対数が不足しているため、沖縄振興開発計画に基づいて年次的に整備する在宅者に対しては、諸手当の支給額を増額すると説明があったと報じられております。
 本員は、本年第1回定例議会予算委員会におきまして、県立ゆうな学園の施設問題について御質問申し上げました。さきの生活福祉部の大会でもあいさつがありましたけれども、それとはうらはらに、このゆうな学園は47年度予算で計画された重度棟の建設が延び延びとなり、48年9月補正で窓の安全柵、階段の手すり等の補正等はありましたけれども、49年3月31日に完成し、同年4月1日には開所するとして70人の入所を予定し、開所のめどのないままに職員18名を発令したと聞いておりました。
 さきの予算委員会では、隣接地の擁壁が建築基準法に違反し危険度が高いとしてその使用が禁止されたため、1年間ブランクはあるが、50年4月には70人を収容できるように整備したいとお答えがございました。
 そこで、お尋ね申し上げたいことは、本員は6月24日、ゆうな学園に行ってまいりました。いまだ適切な措置がなされておりませんでした。これは、先ほどの大会で県生活福祉部が言っておりました施設の絶対数が足らないということとはうらはらに、宝の持ちぐされであり、また学園前には、職員の身分保障等を求めるプラカードなど、まことに身障者を持つ親心を逆なでするような現況であります。
 施設の絶対数が不足していると言いながら、何ら対応をしていない県の態度は許しがたいものがあります。三者が三様の主張をしているさまは責任を転嫁し、市建設課の改善命令を待つと言うし、土木部は新たな擁壁をつくるには財政当局の予算の問題と言うであろうし、生活福祉部は定員増の問題も絡むからと、どこが決断すべきか、このことについて関係当局のはっきりした考え方をお聞かせいただきたいと思います。何を優先に考えなければならないか、県当局は反省すべきだと思います。
 特別養護老人ホームの増設問題は、指摘するまでもなく急がねばなりません。これも第1回定例議会におきまして部長は、具志川厚生園、宮古厚生園にそれぞれ50床を増設し、沖縄偕生園、ゆうなの会、清明会の法人の新増設によって対処したいと答弁があり、予算の計上はなされているということでございました。
 そこで、お尋ね申し上げますが、両厚生園の増床に伴う職員の配置がどうなっているのか、増員問題は解決しているのであるのか。
 また、予算要求をされておりますゆうなの会、清明会等の法人認可の問題はどうなっているのであるのか。法人認可がまだなされていない団体には国庫補助の対象がはずされているはずでありますが、50年度予算の対象として計上されているいきさつを説明していただきたいと思います。ペーパープランでは施設の整備はできません。その見通しと具体策を示していただきたいと思います。
 最後に、大阪万国博覧会における養護児童、いわゆる家出少年の数は1300人を超えたと言われております。
 離島県である本県は、海洋博を前にいたしまして、家出その他保護を必要とする児童の収容には、他県に見られない困難さがあると思われます。県警の対策は先ほど県警本部長からお聞きいたしましたけれども、児童相談所のお話を伺いますと、職員は限られた施設、人員でこれらに対処しなければならないと非常に心配をいたしております。執行部は、海洋博対策の一環として何らかの対応策を示されたのであるか、どう対処しようとしておられるのであるか。補導はよろしいんですけれども、それを収容する施設が足らないという現状であります。この対処策はどうなさっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 離島振興と関連いたしまして、離島航空路への助成について御答弁いたします。
 離島航空路は、離島住民の不可欠の生活路線として定着し、人的、文化的交流の増加に伴ってそれぞれの島の産業発展に大きく寄与しているということは御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、県といたしましても、離島航空路の維持改善とその利便を図ることは重要な課題だとして受けとめております。しかし、これまでの航空料金の大幅な値上げ等は、離島住民には大きな負担となっておりますし、日常生活に大きな圧迫を与えております。
 と同時に、離島航空路を維持経営している会社にとりましては、不採算性など運営面でもまた大きな問題点を抱えておりまして、県といたしましても、航空運賃負担の軽減と同時に、航空路の維持改善を図るための通行税、航空機燃料税及び航空援助施設利用税の免除措置と、離島航空路補助制度に準じた離島航空路に対する助成措置などについて実施するよう国の関係機関へ要請してきております。
 直接県として要請すると同時に、これの実現を図るため九州地方知事会議に提案して採択され、九州地方知事会議の名をもって国に要請されております。
 また、この問題は去る5月の県の離島市町村で組織しております離島振興対策協議会においても決定され、さらには全国の離島市町村で組織しております全国離島振興協議会においても提案され採択されて、全国的な離島の問題として取り上げられ、対処していくことになっております。
 御指摘がありました特に不採算路線となっておりますSTOL機運航路線につきましては、先ほど申したように離島航路、いわゆる船舶の離島航路補助制度に準じた制度を考え、すなわち先ほど御指摘がありました特にSTOL機においては、特別往復割引運賃と普通旅客運賃の差額補助につきましては、海上の航路補助制度に準じた制度、すなわち赤字補てんをするための補助制度を国に要請し、運輸省においても特にSTOL路線については検討しているようでございます。国の検討と相まって、船舶離島航路の場合も国が75%ないし80%、県がそれに対応して25%ないし20%対応して補助するようになっておりますので、あわせて県としてもこのような国の制度、検討に応じて対処していきたいと、こう考えております。
 粟国、北大東、伊是名への空港整備に伴って航空会社の就航といいますか、運航計画について話し合っているかということでございますけれども、離島苦解消という立場から私どもは常日ごろから航空会社とは話し合っております。
 航空会社も、特に南西航空といたしましては、本県内における唯一の離島航空路企業としての使命感を持っておりまして、飛行場整備の暁には不採算性あるいは赤字のこともありますけれども、離島苦解消ということでやっていくということも言っておりますし、またそれにこたえて県としても先ほどから御指摘のあります諸制度の改善、さらには航空通行税、航空機燃料税、あるいは施設利用等についての減免について強力に要請しているところであります。
 空港整備に伴って県内の航空需要も年々著しい伸びを見せておりますけれども、特にSTOLの場合には、現在の料金では赤字を抱えるということにつきましては、先ほど御指摘ありました金額等について私ども先刻承知しておりまして、企業側の企業努力でもむずかしい面もございますので、私どもとしてもそのように対処していきたいと考えております。
 なお、具体的な空港整備計画と、特に御指摘のありました第3種空港の空港使用料の減免につきましては土木部長から説明すると思います。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
   〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) まず第1番目に、着陸料についてお答えいたします。
 これは、復帰前は各市町村が飛行場を管理しておりまして、そこでは2ドルで取ってございました。復帰のときに、沖縄県の空港の設置及び管理に関する条例ができておりますが、その中で、そのままその条例を適用して取るということは、従来取っておった額よりは非常に一遍に多くなりますので、まずそれを緩和するために、空港設置及び管理に関する条例の特例を設けまして、それでまず49年の3月31日までは655円取っております。
 さらに、50年の3月31日までには1635円を取っております。50年の3月31日以降が条例の3275円を取ってございます。
 ちなみに、これを他県の場合と比較いたしますというと、他県の場合は5050円で、県の条例よりは相当に高くなり、南西航空の場合は相当に安いところでございますけれども、先ほど企画調整部長の説明の中にありましたように、離島振興ということは、私たちの県は離島だらけの島で、さらにそれはあれですので、そういうことで財政上との問題もございますが、それは一応財政の収入ともあわせて検討していきたいと思います。
 さらにその次に、与那国空港の飛行場の現在の欠航率のあるSTOLをかえてYSへの問題でございますが、これは復帰して後47、48、49と従来の飛行場整備法並びに航空法に適合するように改良を加えてきてまいっております。その中に与那国の飛行場は、御承知のように現在の飛行場の近くには大きな障害、たとえばテンダバナがございます。そういうことから、現在の位置に飛行場をつくる限りにはやはりSTOLでなければできないと、STOLタイプの飛行場でなければならぬと、こういうような結論になっております。
 そういうことから、もし、将来このYSへかえるということになれば現在の位置ではだめだというようなことから、新しい位置の選定も含めて考えなければならないことになりました。そういうことで、新しく現在国の方でも空港に対する整備の5カ年計画を検討いたしておりますので、その中で国との話し合いを進めていく次第でございます。
 さらにもう1点は、離島空港の整備の件でございますが、現在ちょうど国の方でも新しい5カ年計画を制定するということで、国の方とそれから新しい必要な離島空港、たとえば北大東、伊是名等含めまして新しい必要性等について国の方と話し合いをいたしておりますので、そこで私たちの離島県のそういうのは、どうしてもやはり時間差をなくし、隔絶性をなくするということがわれわれの離島苦の一つの大きな重要な施策でございますので、できるだけ私たちはこういう航空需要に対応するように、供給力を持つように設定させていきたいと思います。
 以上です。
○議長(平良幸市君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 吉元嘉正君登壇〕
○生活福祉部長(吉元嘉正君) お答えいたします。
 まず第1点のゆうな学園重度棟の側にあります危険建造物の除去措置についてでございますが、この建造物は、南風原村兼城在の比嘉定成氏の所有に属するものでございまして、高さ5.4メートル、幅52メートルの境界石積みの建造物でございます。
 本件の所管が那覇市に属することから、那覇市においては建築基準法による違反建造物としまして、地主に対し48年8月以来境界石積みを除去し、安全対策を講ずるよう口頭及び文書でもって行政指導を行ってきましたが、しかし聞き入れられず、なおさらに50年3月12日付で同様の行政措置に関する通知書を送り、強力に改善策を進めておりますが、いまだに解決を見るに至っておりません。したがって、この問題の解決についてはなお相当困難で、かつ長期にわたることが予想されますので、次善の策といたしまして、県の所有する土地に防壁を建造し、同施設が早目に有効活用できるよう努めたいと思っております。
 なお、当園では、教育職が配置されていないことから、教育分野まで業務が及んでおり、現行の国の基準では職員数が少ないため、当園の有効利用に当たっては同職員問題等がありますので、十分にその体制が整えられるよう関係当局と強力に調整を図っていきたいと思っております。
 第2点目の特別養護老人ホームの建設着工がおくれていることについての御質問でございます。
 御指摘のとおり、法人関係の今年度の特別養護老人ホームの建設着工はおくれておりまして、特に法人による同施設建設に当たっての問題点の第1点は、まず法人格の取得をするということでございます。
 恩納村谷茶に建設予定のゆうなの会代表から、また、宜野座村惣慶に建設予定の清明会の代表から法人認可の申請に当たって知事に進達方の要請がございました。県としましては、直ちに受理、内容を検討し、去る12月20日厚生大臣に法人認可の進達をいたした次第でございます。
 国としましては、社会福祉事業法第24条に基づく社会福祉法人で、その社会福祉事業を行う目的が特別養護老人ホームであり、同法第24条にはその必要要件としまして、必要な資産を備えねばならないこととなっておりますのと、同法人はその資産造成のために国の補助金を必要としていることから、厚生省としては財政当局からの補助金の内示がなければ法人の認可の正式な通知を出すことは無理であるということと、今回は特にまた建設単価の引き上げについて同省は大蔵省との調整が長引き、法人認可がおくれていることの連絡を受けております。
 それから第2点目は、県土保全条例に基づく設置の開発行為許可が次の理由でまだおりてないことでございます。すなわち、ゆうなの会建設については、正式な法人格を有していないこと。
 第2点目には、敷地の勾配が急なため、土どめの工事が必要であること。
 第3点目には、地下水の用水量測定をする必要があること。
 第4点目には、隣地開発許可が必要であることなど諸条件が整わないことから着工がおくれております。県としましては、さらに法人の認可が早目になされるよう関係機関に強く要請することにいたします。
 第3点目の海洋博時における迷子の保護についてでございます。
 迷子の保護は、一時的には、警察が行うことになりますが、24時間以内に保護者が身柄を引き取らない児童については、児童相談所に一時保護することになっております。
 大阪万博の場合は、迷子は1213人に達したと言われ、幸いにしてそのほとんどが保護者に引き取られたため、さほど問題はなかったように聞いております。
 しかし、今回の海洋博は、地理的条件から補導児童の一時保護ケースが予想以上に多くなることも予想されますので、県の児童相談所の一時保護所が、現在40人の収容能力に対しまして、従来の収容実績は十数人、きょう現在で13人でございますが、従来の実績が十数人でございますので、かなり余裕があります。
 また、最悪の場合は、現在職員の宿舎が1棟、これは53平米でございますが、1棟あいておりますので、これを利用するということによって対処していきたいと思っております。
 この場合、児童の擁護に従事する職員については、期間も短いことから必要に応じ、賃金職員を採用し、現在の職員と組み合わせて児童の擁護に当たりたいと思っております。
 なお、去る5月20日に警察本部と生活福祉部との間に合同会議を持ち、一時保護児童の身柄の取り扱いについて数項目にわたり協議し、原則的な合意を見ております。
 以上、御報告します。
○議長(平良幸市君) 以上をもって一般質問及び議案に対する質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております乙第1号議案から乙第17号議案までは、お手元に配付してあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(平良幸市君) 日程第3 乙第18号議案から乙第24号議案までを議題といたします。
 知事から提案理由の説明を求めます。
 屋良知事。
   〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) ただいま議題となりました7件の議案について、その提案理由を御説明申し上げます。
 まず、乙第18号議案沖縄県職員の給与に関する条例の一部を改正する条例につきましては、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法の趣旨に沿って去る6月21日に、沖縄県人事委員会から教員給与の改善について勧告がありましたので、これを受けて昨年に引き続き教員給与の改善を図るものであります。
 今回の改定は、国の改善措置に準じて行われるもので、その改定内容は、教育職給料表の給料月額の改善を図るほか、同給料表の等級構成に特1等級を新設しようとするものであります。
 次に、乙第19号議案から乙第24号議案までにつきましては、中部農林高等学校体育館新築工事のほか、5つの高等学校の体育館または学校校舎建築工事等で、いずれも1億円以上の工事請負契約を締結するため、地方自治法第96条第1項の規定により議会の議決を求めるものであり、早急に着工する必要があるため、
追加提案した次第であります。
 以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、議決していただきますようよろしくお願い申し上げます。
○議長(平良幸市君) 知事の提案理由の説明は終わりました。
 ただいま議題となっております議案中、職員に適用される基準の実施その他職員に関する事項について必要な規定を定める条例については、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聞く必要がありますので、ただいまから人事委員会委員長の報告を求めます。
 人事委員長。
   〔人事委員長 棚原勇吉君登壇〕
○人事委員長(棚原勇吉君) ただいま知事から提案がありました乙第18号議案沖縄県職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、昭和50年6月21日、教員給与の改善について人事委員会が行った給与勧告によるものであり、小中学校の教員に適用されて教育職給料表(2)について、昨年に引き続き改善を図るとともに、これに関連して高等学校の教員に適用される教育職給料表(1)についても所要の改善を講ずる必要がありますので、異議ありません。
 よって、この議案が、本議会において御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
○議長(平良幸市君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
 質疑はありませんか。
   〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
 これをもって質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、乙第18号議案は企画総務委員会に、乙第19号議案から乙第24号議案までは文教厚生委員会に付託いたします。
 休憩いたします。
   午後5時42分休憩
   午後5時43分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
 日程第4 陳情第275号の付託の件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 本陳情は、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。
 御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
 よって、陳情第275号は、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
 ここでお諮りいたします。
 委員会審査及び議案整理のため、明6月28日から7月3日まで6日間休会といたしたいと思います。
 これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
 よって、6月28日から7月3日まで6日間休会とすることに決定いたしました。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 次会は、7月4日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、決定次第通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時44分散会

 
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