昭和51年(1976年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月17日
第 4号 12月17日
 

議 事 の 概 要
昭和51年12月17日(金曜日)
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第11号議案まで、乙第1号議案から乙第25号議案まで及ぴ認定第1号から認定第13号まで(質疑)
   一般質問及び質疑
    1 瀬良垣守正君(自民党)
    2 新城 哲男君(自民党)
    3 仲村 正治君(自民党)
    4 照屋 忠英君(自民党)
    5 我喜屋宗重君(自民党)
    6 比嘉  昇君(自民党)
    7 与那覇寛長君(社大党)
午後3時54分散会

○議長(知花英夫君) ただいまより、本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 公安委員会委員長比嘉利盛君は、別用務のため本日及び明18日の会議には出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に公安委員会委員波平憲祐君、明18日の会議に同天願俊貞君の出席を求めました。
○議長(知花英夫君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第11号議案まで、乙第1号議案から乙第25号議案まで及び認定第1号から認定第13号までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 瀬良垣守正君。
   〔瀬良垣守正君登壇〕
○瀬良垣守正君 さきに、通告いたしました点について所見を述べながら知事にお尋ねいたしますので、明確に御答弁いただきたいと存じます。
 本県は、昭和47年の復帰に伴い本土の法律及び制度をストレートに適用させると、社会経済上の混乱が予想されるとして混乱を最小限にとめ、各面の本土との格差是正を図るため特別措置法を施行し、振興開発計画も立案させ実施されているのであります。
 経済振興の上からも県民生活の上からも軽油エネルギーは、その役割りがきわめて大きいことは説明を要しません。
 日本バス協会の資料によりますと、軽油1リットル当たりの購入価格が本県は51円51銭で、全国平均の軽油購入価格は45円49銭で、その差1リットル当たり6円42銭高となっておりまして沖縄が高いのであります。特別措置がなされ、石油貯蔵生産基地もあるのにかかわらず、本土より沖縄が高いということは納得できないのであります。なぜ割り高になっているのか明らかにしてもらいたいし、また今後高い軽油価格に対しどのように対処され安い軽油を供給するのか、明快にお答えいただきたいのであります。
 また、地方財源の充実の見地から昭和51年度の税制改正の一環として自動車関係諸税についての全般的な見直しが行われ、軽油引取税の税率が引き上げられ、これに伴い各都道府県においては、営業用バス及びトラックについては当面輸送力の確保、輸送コストの上昇の抑制、輸送サービスの改善、安全運行の確保等を目的とする運輸事業振興助成交付金を設けるための所要の措置が講じられることになったことは、すでに知事は御承知のことと存じます。
 ことしの6月ごろから、県は総合事務局と交付金を所管する部課の取り決め、交付金の趣旨、交付金の内容、交付金の額の基準、交付の時期、交付金の運用、財源措置等について話し合いを詰めていたと仄聞しておりますが、所管部課が決まらず昭和51年11月8日付自治府第112号で知事あて自治事務次官通達を受けて、県はようやく所管課を観光課に決めたと聞いていますが、事実でしょうか。
 交付金事務に対応する職員は、何名配置されていますか。
 このことをお尋ねするのも、実はバス協会やトラック協会に対し指導助言、連絡等しなければならない時間的にも事務量から見ても複雑であるからであります。
 バス協会やトラック協会が交付金を受けるためには、年度末になっての事業計画の策定及び実施、交付金の使途の明確化のための会計事務、交付金の交付申請、事業執行状況の陸運局長への報告書の作成等諸手続を円滑にし、本年度から事業を執行しなければならないからであります。
 本年度、県は軽油引取税については約14億1300万の収納見込み額が予定されていると思います。軽油引取税収納額から県は運輸事業振興助成金をバス協会、トラック協会に申請に基づいて支給するのでありますから、当然県は支給条例を制定する必要があると思いますが、今定例議会には提出されていません。どう措置するお考えですか、知事の御答弁を願いたいのであります。
 もし、2月の定例県議会に支給条例案を提出なさるとすれば、交付対象者であるバス協会やトラック協会は、本年度は通達に示された事業計画を実施する期間は全く残されていないのであります。
 知事、事業の近代化、住民サービスの向上等から当然今定例議会に支給条例案を提出なさるべきであったと思いますが、いかがでしょうか。もはやバス協会もトラック協会も、自治省、運輸省の通達による交付金に見合う住民サービスの事業の実施の見通しは、本年度は全くつかなくなったのであります。
 交付金の対象事業は、1、バスターミナル、トラックターミナル、配送センター、バス停留所の標識等の各種共同施設の整備。
 2、共同輸送サービスセンターの設置。
 3、運転者の共同休憩所、共同福利厚生施設の整備。
 4、バス事業者が行う停留所標識、上屋、案内板の整備に対する助成。
 5、バス、トラック事業に対する融資を円滑にする基金の造成。
 6、輸送サービスの改善、安全運行の確保、その他公共の利便の増進に資するための事業等であります。
 支給条例案は、おそらく2月の定例県議会に提案されるでありましょうが、それでは事業の実施期間はありません。昭和51年度分の振興助成交付金に見合う事業は、翌年度継続事業として認める考えはありますか。また本年度でも、バス、トラック協会側に交付金に伴う事業を早急に実施させ、支給条例制定後に遡及して交付するお考えはありませんか、御答弁を願いたいのであります。
 以上質問いたしまして、必要があれば再質問いたしたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの瀬良垣議員の御質問にお答えいたします。
 石油製品は、これまで生活2法の指定物資として国、県による価格監視指導は行われてきたところでありますが、昭和51年5月1日で指定解除されたことにより現在自由取引の状況にあります。
 しかし、揮発油については復帰特別措置が講じられており、また今後ともその継続を要請しているところでありますので、その分需要者に反映させるよう関係機関及び石油関係業者に対する協力方を要請するとともに、小売価格の動向について積極的に調査監視等を実施し価格の安定に寄与したいと思っております。
 なお、いまさき瀬良垣議員から質問の重点になっておりました11月の9日に届いた運輸事業助成交付金の取り扱い、その他細部にわたる関係につきましては関係部長から詳しく答弁させたいと思いますので、御了承願います。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 瀬良垣議員の石油価格についての質問のうちで、復帰特別措置との関係の部分について私の方からただいまの知事の御答弁を補足いたしたいと思います。
 石油製品のうち、まず家庭用灯油につきましてはこれは復帰特別措置は講じられておりません。したがいまして、これは全国同様の自由販売価格であります。そういう中で例として佐賀県と比較しますと、1斗かん――これは18リッターでございますけれども――これは佐賀県での平均は723円で販売されておりますが、那覇市の場合これは792円で、69円の高値で取引されております。
 その理由といたしましては、家庭用灯油でございますから、沖縄は大変温暖、温かいために非常に需要が少なくバラ売りでされておりまして、いろいろ販売取引形態が違って経費がかさむと、こういうことで高値でございます。
 それから2番目に、揮発油の価格でございますが、これは御指摘のように揮発油税及び地方道路税減免措置によりまして復帰特別措置が講じられております。これは県といたしましては、先ほど知事から説明ありましたように引き続きその減免措置を講ずるように努力しているわけでございますが、この揮発油税及び地方道路税との関係でこれは本土が1キロリッター当たり税率が4万3100円になっていますけれども、沖縄の場合には特別措置で2万6400円の税になっておりまして、この税差1キロリッター当たり1万6700円になっております。
 この1万6700円の格差のうち、石油調整価格税として500円を離島向けの石油製品の輸送補助に充てておりまして、その他の格差は消費者に還元されておるべきですけれども、実際にはこれもまた本土のスタンド形態と沖縄のスタンド経営形態が大変違いまして、小売価格については必ずしも消費者に反映されていないと。
 この点につきましては関係機関、特に石油製品の取引スタンドの許認可、これはすべて国の運輸行政、沖縄県では総合事務局の運輸部になっておりますので、そういう意味での調整あるいはその消費者に還元されるようにやっていきたいとこう考えております。
 次に、軽油でございますけれども、これは御指摘のあったように確か51年10月現在を見ましても沖縄県の方が割り高になっておりますので、この軽油につきましては軽油引取税が特別措置ありましたけれども、県税の収入との関係でこれについては延長しておらず本土並みということになっておりますので、そういう意味で取引形態が違うこと等もあって沖縄の方が若干高いと、こういうことでございます。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 瀬良垣議員の運輸事業振興助成交付金について御答弁申し上げます。
 御指摘のように、51年度の税制改正において自動車関係諸税が改正され、特に軽油引取税が15%から30%に引き上げられたことに伴いまして、運輸事業等の輸送コストあるいは輸送機関の輸送力の確保等を勘案する意味で助成金が新しく設定されたわけでございますが、それの所管については一体どうなっているのかという第1点の御質問ございましたが、それにつきましては、御指摘のように部内でどこが適当かということでいろいろ検討されたわけでございますが、御指摘のように労働商工部の観光振興局観光第1課で所管することになっております。そこの職員は13人でございます。
 遅いんじゃないかという趣旨の御指摘がございましたが、これにつきましては51年の11月8日付の自治事務次官の通達が参りまして、われわれが受け取りましたのはその後でございます。したがいまして、これからいろいろな手続等をやって実際に交付の手続をとるわけでございますが、本来これは税制改正に伴うものでございまして国の事務になっておるわけでございます。したがいまして、地方自治法の232条の2の規定に基づいて支出されるものでございまして、国の事務を地方公共団体が執行する場合に支出される補助だというふうになっております。
 財源等につきましては、地方交付税上算定されておりまして確保されているわけでございますんで、今12月定例議会に自治省からの通達等のおくれもございまして間に合わなかったわけでございますが、来る2月定例議会に補償措置を講じたいというふうに考えております。
 さらに、交付税条例を策定する必要があるんじゃなかろうかという御指摘もございましたが、この分につきましては予算補助という形で、交付要綱ということでやっていけるというふうに考えております。自治省もそういう考え方に立っておるわけでございまして、そういうふうに手続をとってまいりたいと考えております。
 さらに、51年度事業は翌年度事業と継続事業として考えてはどうかということもございましたが、なるほど御指摘のとおりこれから関係団体の事業計画あるいは交付申請、あるいはまた総合事務局の運輸部の事業計画の承認等の手続もございますんで、こういったことを十分これから詰めながらその時期になって検討してみたいというふうに考えております。
 交付対象団体はバス協会、あるいはトラック協会、あるいはバス事業を営んでいる地方公共団体、沖縄では宮古の下地町営バスがございますんで、そこが対象になると見込んでおります。
 対象事業等につきましては、先ほど瀬良垣議員が指摘されたとおりでございます。
 以上でお答えを終わります。
○議長(知花英夫君) 瀬良垣守正君。
   〔瀬良垣守正君登壇〕
○瀬良垣守正君 軽油の割り高のため、県民が受けた損失ははかり知れないものがあると思います。概算、どのぐらいになるとお考えですか、お答えを願います。
 それから労働商工部長は支給条例制定しなくてもよいとの考えだとのことですけれども、それはそれでよいでしょうかね、そこらをもう少しはっきり願いたいと思います。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 支給根拠につきましてはすでに国等で確定しておりまして、その予算を何しまして地方公共団体でその区域内にあるバス事業、あるいはトラック事業を営む公益法人に支出するようにということを確定しておりますんで、あとは支給手続上の問題でございますので、交付要綱等で、いわゆる予算補助という形で交付要綱等で手続すれば済むものというふうに考えております。
 自治省からの通達の方も交付要綱等を制定してやることが適当だというふうに指示されておりますので、そういう方向でやっていきたいというふうに考えております。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 沖縄における軽油の使用量、あるいはまた本土平均よりも高値だということからくる損失等については、いまのところ資料を持っていませんので後ほど調べて提起したいと思います。
○議長(知花英夫君) 新城哲男君。
   〔新城哲男君登壇〕
○新城哲男君 さきに、通告をいたし電話でお知らせいたしました事案につき、所見を述べながら質問いたします。
 復帰5年次、わが沖縄県の現窮状打開と将来の展望をどのように切り開いていくかについて県執行部は執行部、与党は与党、野党は野党的立場で互いの英知を結集し、真剣に取り組まなければならない重要な時局に直面いたしております。
 わが党の代表質問でも指摘がありましたとおり、いまやわが沖縄県は不況、不振、企業倒産、失業等、県政史上最悪のそして最も憂うべき時局に当面いたしている事実を互いに認識すべきであります。
 11月現在の調査で求職倍率12.6倍、失業率6.4%と史上最高です。
 失業問題という一側面から問題をとらえ考察いたしまするに、基地の全面返還または縮小を叫んでの復帰実現であったなれば、合理化による大量解雇は絶対許さぬ、あるいは米軍の一方的安上がり政策反対とか非難してみても、現実にはそのことがどんどん実施されている。直接雇用または間接雇用合わせると6万人から8万人とも言われた数字です。加えて企業倒産による失業、それにかてて加えて、来春希望に胸ふくらませて学窓を出てくる青少年の求職者を加え考えます場合、はかり知れない憂うべき失業率が予測をされます。
 ちなみに、数日間のマスコミに見る記事でも企業倒産、不況、解雇、失業、このとおりであります。
 しかも、ある新聞の社説の一部を読んでみまするに、
 民間ボーナスもこれまでになく不調で、師走の厳しい生活実感は高まる一方だが、あれよ、あれよ、とどん底に吸い込まれていくような最近の県経済動勢は極めて危険な道程にあろう。長期、中期展望などを論じ合っているうちに、ぬきさしならない泥沼にはまり込みはしないかと懸念する。早急に現状を認識し、何か強い決断をする時期のように思えてならない。
 新聞論調でも、もうどうにもならないのではないかとする、自暴自棄ともとれるような記事さえあるまことに厳しい昨今です。
 また、沖縄振興開発審議会総合部会の合同委員会において佐藤部会長、久場計画委員長初め各委員から厳しい発言があったとも聞いています。
 本員も9月議会で失業雇用問題を取り上げ、もはや論議の段階は過ぎた、勇気と英断を持って実践に移す段階だと指摘をいたしたとおりであります。今日のこの不況、失業あることは、沖縄が復帰を決定した時点から予測ができたことです。
 本員でさえも、6年前今日のこの解雇失業問題を予測し、小論文ではありましたが、その中で解雇失業に対する雇用対策を確立すべきであることを強く指摘をいたしたのであります。
 このような失業問題等の解消のため立案、計画、策定されたのが沖縄振興開発計画であったはずです。しかし振計そのものが挫折をいたしておるのは明らかであります。
 挫折の要因についてはいろいろ指摘をされています。知事また与党は、国だけに挫折の責任があるかのような答弁また発言があり、責任の転嫁をはかろうとするきらいがあります。
 そのような要因はいろいろありましょう。しかしその一つに、わが沖縄県の県政が革新県政の誕生を見たがゆえに、一部県民または県執行部にあっては復帰実現によるわが国47都道府県の一沖縄県になったにもかかわらずいまだ琉球時代の亜流があり、地方自治法の定める本旨についても意図的にかつ過分に解釈し、沖縄県は沖縄であって、国は国だ、すなわち住民自治と団体自治の両要素から成り立っているとされている自治法の本旨をわかっていながらあえて否定し、革新県政が選挙に勝利したのだから革新の勝手であり、国とは相提携、相協調しなくてもよい。ことに昨日の一般質問中、一部政党のやじ発言からもそのことがはっきりとあらわれているのであります。
 国はあるいは政府は、自由民主党政府だから何でも反対し対決をすべきであるとするような根強い敵視感情が不和感、不信感となり、結果的には振計におけるある計画、ある事業に県民的コンセンサスを得さしめないこととなり、振計実施に大きなブレーキとなったではなかったか。現に復帰時点で労働集約型の第2次産業としてアルミ製錬工場、西原工業団地計画等もあったが、公害、公害で住民のコンセンサスが得られずつぶれ、加えて労働攻勢が強く、沖縄進出を計画していた企業、会社も沖縄を飛び越え東南アジアに進出したとも聞いている。
 また、国際海洋博の跡利用問題、下地島パイロット訓練飛行場の県営、国営の問題、ことに復帰直後総合事務局にあって、ある労働組合のビラで本土政府から選ばれて派遣された職員に対し、「白い豚帰れ」と書いて張った卑劣な行動等、全く常識外れです。
 復帰後の沖縄県の繁栄発展の礎たらんとして沖縄県知事に原案作成がゆだねられている振興開発計画であるにもかかわらず、スムーズに実現できず挫折したゆえに今日のこの不況、不振、企業倒産、最多失業県となった要因にもなったのではないでしょうか。
 そこで知事にお伺いいたします。
 振興開発計画の挫折は、国に責任があったのか、県にあったのか。また今日のこの失業者、不振、不況対策をどのように解決されるおつもりですか、御答弁をお願いいたします。
 去る定例議会で平良新知事として第1次産業を最も優先させて県政を進め、水資源の開発についても強い意欲を示されましたが、その是非については別といたしまして、北部全域ことに北部3村はほとんど第1次産業に従事しているのが現状であります。
 また今日はもちろん、将来にわたってその絶対需要量の6分の1しか開発されていないとする水資源、振興開発計画を進める上で最も重要な水資源の開発現地でもあります。現に福地ダム、新川ダム、安波ダム――このダムはまだ問題が大分残っておりますが――そのダムを初め本員がみずから自分の足で上流まで行き、地形的に知っている開発可能と思われる川が国頭村だけでも比地川、与那川、辺野喜川、宇嘉川、奥川、伊江川、我地川、伊部川等、相当の水源の開発が期待できるすばらしい大切な自然を有しております。
 ところが、陸の孤島と言われているように不便であり、若い者にとって働く場所がないので、いま年々過疎の字と化しつつあります。村政にありましても、また区にあっても事業を計画し、農耕地を拡大し、若者の定着を図り、村の繁栄を期待しているのが現状であります。
 水資源開発のためやがては水の中に埋没するであろう自然の景勝、山、川には各部落の住民の長い生活とともに、深く長い楽しいまた哀れの歴史が秘められています。
 たとえばその昔、おやじと兄と友だちと、また部落の人々と一緒に打ちそろって山仕事に出かけ、丸木を削り製材木としてその生木を肩に担ぎ、あえぎあえぎ持ち帰った道々、休んだところどころ、跳び渡った石々などなど、その思い出の場所また名所がダム建設により、やがては何十メートルという水の底として永遠に消えていくことを考えるとき、地元の人の心として一抹のさびしさを禁じ得ません。
 しかしです、県として全県民的不可欠のダム建設要求であるとするなれば、条件さえ整えば進んで協力するのにやぶさかでないとしていた部落住民は、いま県に対し、県は県のやりたいことだけしかやらない、そういうふうな声が不信の念が生じつつあります。
 おおよそ地域行政とは、住民の意思を最大限に尊重して進めるべきであります。地元村議会の絶対多数で決定した農用地転用のための国有林安波原の払い下げ解放がいまだに実施できておりません。やがて2年になります。
 県は一方的に取れる水だけを取り、住民の要望は何も解決してくれないとする県に対する不信の大きなあらわれです。
 第1次産業を積極的に進めるとする知事の政治姿勢と、あわせて安波原の農業団地計画について御説明をお願いいたします。
 また、去る7月30日気付で安田区伊部原と楚洲にまたがる一帯に畜産団地造成の計画があり、県に申請されていると思うが、その見通しについてもあわせてお答え願いたい。
 北部開発に関連いたしまして、去る9月の定例議会でわが党の小渡議員から特措法第6条を適用してでも事業の遂行を図るべきであるとする強い指摘のありました県道2号線、名護―国頭線、つまり旧久志村の二見から国頭村のずうっと東海岸を回る国頭までですね――この国頭までの東海岸線の一周線の拡張整備計画について、復帰記念特別事業の一環ともなっていると聞いているが、その実施時期について明確にお答え願いたい。
 同じく県の管理である国道58号線、これは現在宜名真まで行っておりますが、宜名真から以降辺戸を超えて奥までですね――この奥の工事計画についても具体的にお答えをお願いいたします。
 次に、識名小学校の過密校解消について、県の教育行政の総括をしている県教育庁として、また教育庁組織規則第4条7項、23項、同7条9項によりお伺いいたします。
 当識名小学校は昭和37年開校当時1086名でしたが、いまは2620名でおおよそ2倍強増となっております。
 その原因については、人口の都市集中化により当小学校を中心に居住地として多くの住民が生活するようになったゆえですが、2教室3学級にするという間仕切り教室の利用状況ですが、毎年行われる全校運動会には全児童による全体体操のときなどは、子供たちが右手、左手を十分に伸ばすんですがね、ここを伸ばす――その全校体操をするというまことに気の毒な学校生活です。
 生徒、父兄、学校当局の強い、そして長年の要望によりやっと分校ができるようになっております。
 ところがです、52年4月開校予定で子供たちもそのように大変期待を持っておりましたが、その開校予定が危ぶまれることになっております。そうしますと、1年間また子供たちを狭い教室、運動場で過ごさせねばならないという現状であると私は聞いております。
 したがって、4月開校予定ができるか否か、できなければ何月に開校できるのか。その場合教員の配置、生徒の割り振りができるかお伺いいたします。
 最後に、新しい分離小学校の開校に伴い、新しい学校ができて大変いいことはいいんですが、それができたがゆえに通学区分の分け方いかんによってはかえって不便になり、かつ子供たちが自宅から学校に通う場合、その通学するとき大きな道路なども渡らなきゃいかぬということで通学に大変危険であると聞いている。
 したがって、一部地域からは反対の請願も出ているというふうに聞いておりますが、県として十二分なる御指導をお願いいたしたいということをお願いいたしまして質問を閉じることにいたします。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの新城議員の御質問にお答えします。
 最初に、私は沖縄は日本という国の中の一地方自治体であるという考えに立って行政を進めておることに間違いありません。
 2番目に、振興計画について国の責任か、県の責任かといったような意味合いの御発言があったと理解しておりますが、ものによっては国の責任でもありましょうし、県にも責任がある分野もあるでしょうし、一般の経済情勢から来るのもあろうと思います。
 ただ、私は事ここに至ってどこの責任だ、ここの責任だと、ものによっては厳に責任の所在を明らかにして今後の施策を進めるということも必要でありましょうが、私は現実に立って4カ年の実績を踏まえて実態はどうなっておるか、それについて今後打開するのにわれわれは一体何をなすべきであるか、政府に対しては今後何を強く要望していくべきか、こういう観点に立って事を進めようと思っております。ここで、もちろん責任の所在を明確にしなければならぬということを踏まえながらも、やはりまかり間違って責任のなすり合いにでもなった場合には物事は前進しないと考えておりますので、4カ年の実績を踏まえて、その上に立ってわれわれは何を反省し何をなすべきか、国には一体何を強く要望していくべきか、そういうために県民の英知を結集すべき段階に来ておると考えておるのであります。
 次に、水資源についてはこれまでもしばしば説明を関係部からやったのでありますが、お説のとおり川を利用することも17の河川ほど水源に利用されるというふうに関係職員から聞いておりますが、なおこれについて詳しい御説明が必要とあれば、関係部長から説明させたいと思っております。
 なお、安波ダム関係、その他に関して県は県のやりたいことばかりやってという御発言があったかと思いますが、言葉じりを取り上げるわけではなくして、確かに北部住民にはもっともっと北部地域にも開発なりそれなりの公共事業をやってもらいたいという意向は、私も数年前から十分に聞いております。幸いにして安波ダム建設に関係ある道路については、最近両方の話し合いがついて着工しておる状況であります。
 なお、国有林の払い下げについてはきのうも副知事から答弁いたしましたが、必要とあればいま一度副知事から答弁させることにいたします。
 次に、特措法に関連しての道路工事の関係でありますが、この点は路線名を挙げての御質問でありましたので、この点については土木部長から答弁させることにいたします。
 深刻なる状況に対するこれからどうするかということについても、これまで申し上げたことを繰り返すにすぎませんので省略をさせていただきますが、畜産基地に対する基本的な考え方については農水部長から詳しく説明をさせてもらうことにいたします。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) お答えいたします。
 識名小学校は現在学級数64学級でございまして、それに対応する教室の絶対数が不足していると。そういうことでプレハブ教室によって急場をしのいでおることと、それから運動場を大変狭くて御指摘のあったような状況でございますが、同校の過大規模問題につきまして那覇市でその早期解消を図るべく分離計画を推進してきておりますが、用地取得の問題で難航いたしました。ことしに入りまして、ようやく用地の問題が解決いたしまして現在、敷地の造成をいたしております。
 建設につきましては、52年の7月には完成する見込みでありますので、2学期までには移転が完了し、同校の問題も解消されるものと思っております。
 それから教員の問題につきましては、新設は予定しておりますので4月でその分の教員については配置いたします。
 なお、分離に伴いまして生じてきますところの通学距離の問題につきましては、市教育委員会に対しまして十分に配慮するように指導と助言をしていく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 副知事。
   〔副知事 野島武盛君登壇〕
○副知事(野島武盛君) ただいま、新城議員から御指摘をいただきました北部開発について補足説明を申し上げます。
 御指摘のとおり、北部開発については地域住民の皆さんが心から協力をいただいておりますし、われわれも地域の皆さんに対して敬意を表している次第でございます。
 御指摘にもございましたように、僻地の解消について、特に過疎の解消ということは県の政策にもなっているわけでございますけれども、われわれとしても確かに職を与えるという考え方が真っ先に立たなければいけないと。しかしながらああいった地域でございますから、第1次産業をまず中心に開発をする必要があるし、またするべき余地も御指摘のとおりあるわけでございます。
 なお、住民も熱望いたしておりまして、一部御指摘のあった場所についての反対はありましたけれども、大部分の皆さんが議会においても決議をもって県に要請をいたしておるわけでございます。
 県といたしましても、地域の住民の皆さんの陳情がかなえられるように最大の努力をしているわけでございます。
 なお、きのうも小橋川議員からの御質問に対してお答えを申し上げましたとおりでございまして、われわれとしてはできる限り地域の皆さんの要望にこたえるように開発については努力をしたいと、こう考えております。
 なお、畜産団地の開発につきましては、二、三日前、私予算折衝のために上京いたしましたけれども、細かい点については農水部長から説明をさせますが、実現については明るい見通しであるということだけしか申し上げられません。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 畜産基地の建設につきましては、低利用地、未墾地等を開発整備いたしまして、畜産物の濃密生産団地を建設するというのが目的でございます。
 沖縄県の場合年じゅう温暖でございまして、いわゆる草の育成に適し、あわせて採草放牧に適する土地が多いということで、いわゆる自然条件に恵まれているわけでございます。
 そういった意味からは、北部地域ではこれが非常に有望でございまして、県といたしましては、将来肉用牛の生産供給基地として畜産基地を建設したいということでございます。
 その中で、山原第1、山原第2地区の2団地を予定しておりますが、第1地区につきましては51年度に調査計画をいたしまして、52年度に着工いたしたいとかように考えております。
 ちなみに、第1地区の概要を申し上げますと、面積が約221ヘクタール、事業費が約40億円、参加農家は一応いまのところ19戸を予定しております。
 事業実施期間は、52年から55年を予定しております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 県道2号線、県道名護―国頭線、国道58号線についてお答えいたします。
 県道2号線は、安波ダム及び普久川ダム建設工事の関連事業として全延長14.3キロのうち、国頭村与那地内、国道58号交点から名護―国頭線交点までの11.9キロを実施するものとして、国道58号側から分水嶺までの6.1キロについては県が実施し、残り5.8キロについてはダム側が実施することで事業の実施分担を決め、県においては47年度から年次計画で事業を進めております。
 これまで、県における事業の進捗は、国道58号交点から約0.6キロの工事と、約2.6キロ分の用地について買収を完了しております。また残りの用地取得については、51年度じゅうに現在国が実施している設計修正後、予算の範囲内で年度内に執行可能な分について県において実施する方針であります。
 また、52年度からは県が実施している当該区間については、沖縄振興開発特別措置法第6条に基づき改築工事の代行を県が行う予定であり、昭和52年度から予算要求も沖縄総合事務局が行っている現状であります。
 今後の整備計画といたしましては、ダム関係区間の11.9キロに関しては昭和52年度以降は国の方で事業を執行し、昭和53年9月までにおおむね完了させる予定であります。
 ただ、権限代行以外の部分、ダム側の方の道路敷地に関する民有地、村有地については、当該年度内に県において取得のため予算措置をなし、用地取得において国に協力してこの事業の促進に努める考えであります。
 次に、国道58号線についてでありますが、国道58号線国頭村辺土名から奥に至る延長27.3キロについては、昭和45年度から北部一週道路の一環として県の方で整備を図り、昭和50年度までに辺土名―宜名真間の延長16.5キロを整備完了いたしました。
 残り宜名真―奥間の延長10.8キロについては道路法27条に基づき国が権限代行することになり、昭和51年度から総合事務局が事業を進めております。
 昭和51年度の事業の執行状況は、奥地内の延長約2キロの道路工事と翌年度以降に向けての用地取得を実施しておりまして、今後年次計画で整備を促進すると聞いております。
 名護―国頭線については延長78.4キロでありますが、昭和51年度までの進捗率は改良率40%、舗装25%が見込まれます。
 そのほか、次年度工事の予定個所の用地取得も実施しております。
 翌年度も継続して事業の執行を行い、この路線の整備促進に努める方針であります。
 また、特措法6条に基づく国の代行のお話がありましたが、前議会において小渡議員の質問にお答えいたしましたが、沖縄振興開発特別措置法6条及び道路法27条に基づく県道や国道の国代行の制度につきましては、県としてもこれまで昭和49年と昭和50年度の2度にわたって総合事務局と協議を持っております。
 49年度においては県の方から名護―国頭線の一部、県道2号線、国道330号線の安里から古波蔵間の3路線を要請いたしました。
 昭和50年度においては、県道2号線と国道58号線の宜名真―奥間の2路線を要請いたしまして、その結果、国道58号線の宜名真―奥間については51年度から国の代行が実現し、現在総合事務局の方で事業実施中であります。
 2号線については、昭和52年度から代行に移す計画で目下両方でいろいろな調整をして、予算は国の方で要求している段階であります。
 県としては、今後もできる限りこの制度を活用して道路整備の一助にしてまいりたいと考えております。
○議長(知花英夫君) 新城哲男君。
   〔新城哲男君登壇〕
○新城哲男君 おおむね御回答をお伺いできたわけですが、県道2号線が何年度までに完成する予定か、いま一度お願いいたします。
 最後に、これは県当局にお願いしたいんですが、やはり本土に対する従来あるいはいたずらに持っている敵視感情というのを今後やめて、国に要求すべきは要求していくんだと。それで反対すべきは反対して結構なんですが、いつまでもあくまでもやはり敵視感情を持っておっては沖縄の振興開発計画というのが実際にできてないと、できていかぬというふうに思いますので、その点を御留意お願いいたします。
 終わります。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 先ほども御説明いたしましたが、2号線のダム関連事業区間の11.9キロに関しましては、昭和52年度から国の方で事業執行いたして、53年の9月までにおおむね完了の予定であります。
○新城哲男君 部長、あれじゃなくてですね、あれはわかっています。私この前行ってきましたんでね。伐採しているのも見てきました、あれはわかりますけれども……。
 つまり二見から奥間ですよ、いま特措法も検討しているというんですが……。
○土木部長(大嶺永夫君) ちょっと休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時2分休憩
   午前11時3分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 土木部長。
○土木部長(大嶺永夫君) 名護―国頭線は、現在名護地内と東地内を主体としてやっているんですが、現在改良率が約40%ぐらいになっているんです。これを引き続き改良と舗装を重点的にやっているんですが、おおむね完了までには5年ぐらいかかるんではないかと思っております。
○新城哲男君 昭和54年完了ですか。
○土木部長(大嶺永夫君) いま、ちょっと正確な資料は持っていませんので、後ほどはっきり調べてお答えしたいと思っていますが……。
○議長(知花英夫君) 仲村正治君。
   〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 さきに、通告いたしました軍用地問題と漁業振興事業に関して質問をいたします。
 まず最初に、軍用地返還要求の進め方についてでありますが、今日までのように軍用地解放運動を特定の人たちの政治目的を達成することと結びつけて、直接の利害関係者であり当事者であるべき軍用地主の意思とは全く関係なく、むしろそれを無視して突っ走ってきた今日までの軍用地返還闘争という方法で果たして軍用地問題の円満な解決が図れるかということをまずお聞きしたいのであります。
 沖縄は、第2次大戦の敗戦によって米軍に占領され、そしてその延長として米軍統治下に置かれ、県民の賛否の有無も言えないまま米軍の基地建設のために土地が接収された歴史の背景があります。この経過を経て戦後30年の沖縄経済は完全に基地依存構造でつくり上げられてきて、復帰までは収入全体の6割を基地に依存してきたのであります。
 復帰を境に振興開発10カ年計画によって基地依存経済からの脱皮を図って5カ年になるが、なおもその依存度の高い現実を無視して県政を行うことはできない状態であります。
 復帰以前から軍事基地撤去と軍用地の全面返還を叫び続けてきた革新県政を頂点とする軍用地返還要求に対して、政府も基地の整理縮小を真剣に検討し、昭和48年1月23日と昭和49年1月30日の第14回及び第15回の日米安保協議委員会の合意に基づき、去る9月30日までに全面返還32施設、一部返還15施設、面積にして1738万2000平米を返還し、さらに来年5月14日までに8施設、これは面積にして266万7700平米が返還されるようになっております。
 このように、次々軍用地が返還されるけれども、軍用地主は反基地闘争に熱心なごく一部の人たちを除いては生活のための収入源を失ったことに等しく困惑の念を持ち、革新県政は全くよけいなことをしてくれたということが正直な気持ちであります。
 中には、基地反対を唱えてきた人たちの中にも、こんなに早く返されると思わないで返せ、返せと言ったのに実際に返還され、収入はなくなり、いまになってぼくらはだまされていたのだと悲憤慷慨している人たちも少なくないのであります。
 今日までの軍用地闘争を考える場合、約3万世帯の県民がその度合いの差はあるにしても、軍用地料によって生活を支えている現実を無視して、一方的に革新県政の政治目的達成のために関係地主の意見も十分聞かずに、いわゆる軍用地地主不在の軍用地解放闘争を進めてきたといっても過言ではないのであります。
 そこで知事にお尋ねいたします。
 知事は、現実の問題として300億円の軍用地料が県民の所得として入っております――これは去年も318億円。これを無視して一方的に突っ走れば関係地主にとっては死活問題であり、ひいては県経済にも大きな穴があいてしまうけれども、今日までのように全くわれ関知せずの態度で即時全面返還を推進されるおつもりであるのか、明確に御答弁を願います。
 小禄の具志で、ことしの9月30日と12月31日の2回にわたり45万平米の土地が返されるが、地主は跡地利用の計画どころか何の準備のないまま土地を引き渡されて大騒ぎとなっている。この土地の地料が約2億7000万円入ってきたのが一挙にとまってしまうので、地主にとっては死活問題である。
 県は、このような返還の仕方をどのように考えているのか。いままで返すもんかと言って考えていた契約拒否の地主も唖然としています。県は、二度とこのような土地の返還の仕方をさせてはならないと思いますけれども、これに対する対策を考えておられるか御答弁を願います。
 第2点目に、返還軍用地の跡地利用計画についてでありますが、さきにも述べましたように、地主の意思とは全く関係なく無計画に即時返還を叫び続けてきたために、ことしの9月30日までに1738万2000平米の土地が返還された。しかし関係地主は地料も入らなくなるし、地籍が決まらないために跡地利用もできないという状態で、即時返還を主張した革新県政の犠牲者となっている。
 県が去年の7月、軍用地主の意向調査を行っているが、まずこのアンケート調査の結果を見て70.9%も回答しないということは、県の軍用地に対する姿勢に対して根本から不信感を抱き、全く相手にしてないということが言えると思うが、このアンケート調査の結果について知事はどのように受けとめておられるか、お答えを願いたいと思います。
 次に、回答者はわずか29.1%ではあるが、しかもそれの大半の56.7%も跡地の利用もしてないと回答している。これは明らかに県の無計画な返還要求がもたらしたことにほかならないのであります。この状態で果たして軍用地主の権益を守りながら基地撤去後の経済開発計画がスムーズに進められていけると思いますか。軍用地返還は単にイデオロギー的次元で返せ、返せで片づけられるものではありません。
 知事、あなたは行政執行者なんですよ。自分が反対だから県民に反対を押しつけるようでは困りますよ。これはあくまでも行政の立場から政府と同じテーブルについて話し合い、計画的な基地の整理縮小の立場から土地の返還を図り、少なくとも返還までには跡地利用についての地主のコンセンサスを得ておかなければならないと思うが、知事の御見解をお聞きいたします。
 次に、漁業振興についてお尋ねします。
 那覇市の漁港の現状及び将来について考えてみると、県内の消費人口の大半を抱えている関係で泊漁港は消費市場との関連もあって、県内外の漁船の水揚げや出漁物資補給等で本県の中核漁港となっているが、ここは飽和状態となり、将来に向けて拡張の余地が全くないのであります。
 那覇市の漁船登録総数は昭和40年に129隻に対して、10年後の昭和49年には269隻と急増しているが、昭和60年までには728隻に増加するものと推定されております。
 現在の漁港岸壁は約700メートルだが、現在でも所要岸壁は約半分しかない。県下の漁船は消費地で水揚げした方がよいということで那覇市に集中してくるために、岸壁難に陥っている現状であります。
 県は、那覇市における新たな漁港の建設をすべきだと思うが、その計画があるかどうかお尋ねをしたいのであります。
 このような岸壁難の中で那覇市は5トン未満の沿岸漁船を対象として壺川に第1種漁港を建設すべく県に埋め立て免許の申請を8月30日付で出してあるが、埋め立て免許が県からおりないために工事の着工ができない。予算年度も差し迫ってきていますので、早急に許可して工事の推進をさせるべきだと思うが、いつまでにこの埋め立て免許は交付されるのかお尋ねしたいと思います。
 しかし、この漁港整備に2つの問題が障害となっているので、県の責任でこれを解決すべきだと思います。
 その1つが米軍の油送パイプラインの鉄橋が川をせきとめているために、干潮時には漁船の出入りができない。このパイプラインを早急に撤去すべきだと思うが、知事の御所見をお聞きいたします。
 もう1つの障害は、明治橋の橋げたの下から直径1メートルぐらいの水道管が布設されているために、逆にここは満潮時には船の出入りがさえぎられている。
 本員は、9月定例議会でも明治橋の拡幅、かけかえを早急に行うべきことを提起いたしましたが、この漁港整備の点からも明治橋のかけかえ、いわゆるかさ上げ、それと水道管の布設がえを行うべきだと思うが、土木部長及び企業局長の御見解をお聞きいたします。
 次に、漁港整備についてもう1点お聞きいたします。
 現在の那覇軍港から那覇空港沿岸には戦前那覇市の住吉町と小禄の大嶺の有名な漁村があった。戦後は住吉町の漁民は泊漁港や安謝漁港を漁業基地として漁業を営んでいるが、大嶺の住民は土地を空港用地に取られたために小禄の高良、宇栄原、田原あたりに移住していて、約400戸のうちまだ50戸ぐらいは漁業を続けているが、軍職場の縮小により最近ではもとの漁業に復帰する人たちがふえている。
 大嶺の漁業組合は一定の漁村がないために漁船を糸満に着けたり、豊見城村の与根、国場川等に着けたりして不安定な状態で漁船の管理もできず、独自の漁港建設を熱望しております。瀬長島は来年5月に返還されるようになっているので、瀬長島と大嶺海岸の間にわずかの埋め立てをすれば漁港建設ができると思うが、大嶺漁業組合の要望にこたえる用意があるか御意見をお聞きいたします。
 次に、漁業権区域についてお聞きいたします。
 那覇市の沿岸線は総延長2万3300メートルであるが、商工業用の港湾区域指定延長が1万9400メートルで、全体の83%を占めているために、実際に漁業ができるのはわずか17%の3900メートルしかない状態であります。しかもそれが、那覇空港の沿岸という種々の制約が加えられております。那覇市の漁民は、独自の漁港が港湾区域に取られているためにチービシ一帯で漁をしている実情であります。
 このチービシの区域は8市村の漁業組合の共同漁業権区域にする予定であったそうでありますけれども、実際にそこで漁業をしてない市村はその漁業権申請をしてないわけでございます。実際にそこで漁業をしている那覇市の漁業組合だけしか申請はしなかったために、期限切れを理由に漁業権区域が設定されずに無法地帯の状態になっている。
 砂利採取やレジャー漁業に荒らされ、環境保全あるいは水産資源保護の点からもこのような状態を野放しすることは許されないのであります。那覇市の漁業組合は安謝新港の建設で漁場を取られ、このチービシ以外に漁をするところがないのであります。
 よって、この地域の共同漁業権区域の設定を早急に行い、漁民の権益の保護を図るべきだと思うが、県の御見解をお聞きいたします。
 あとは、御答弁によって再質問を続けたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの仲村議員の御質問にお答えします。
 軍用地の返還については、お説のとおり全県民一致して当たらなければならないと思っております。
 この点に関しましてはきのう大城議員の御質問でもお答えいたしましたが、県は48年9月、18市町村から返還要求資料を取り寄せてこれに基づいて折衝しておるし、なおまた私就任以後も例の軍従業員解雇の場合に計画的な解雇をしてもらいたいと。同時に軍用地の解放についても計画的にやってもらわないというと、すぐさま、はいこれだけは返す、あれだけは返すとこう言われたんではこっちが困る。
 そのために国に対しても早急に地籍を明確にし、返還されたら使えるように、きのうも申し上げましたが、軍用地の解放ということはアメリカが使わなくなったことであり、一応日本政府に返し、日本政府から個人に、個人が使えるようなあり方で返してもらうことが正しいあり方だと私は幾たびかこの点は議員時代から申し上げております。ただ返せではない。
 したがって、地主が活用できるような整理をする、その間はやはり地料とは言えないかもしらぬが、であるならば補償の形でも政府は出すべきであると、こういうふうに主張をいたしておるのであります。
 きのうもお答え申し上げましたように、地料によって生活を支えておられる方々もおられるし、地料によってかわいい孫を大学にまで出しておられる祖父母の方もおられるということも十分承知をいたしております。それを踏まえながらもしかし沖縄におけるこの軍用地の膨大さを考えるときに、どうしても早目に縮小してもらう。その縮小は、だからさっき申し上げましたように計画的に、そうしてまた政府は地主が活用できるようなあり方で返してもらう。その間は政府は地料に関連する補償の形でもいいし、それは受け持つべきではないかと、こういうふうに考えております。
 なお、さき行政分野というお話もありましたが、やはり私の就任前、先日大城議員にお答え申したように、昭和48年の9月から関係市町村からの要望事項を取り入れて、それによって折衝しておるということを十分御理解願いたいと思っておるのであります。単に無計画にただ言うておるわけではありません。
 なお、はなはだ申しわけありませんが、漁業に関しての那覇地区の問題、壺川の問題については関係部長から詳しく答弁させることにいたしますので、御了承願います。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) まず、那覇地区の漁港については、現在52年度から始まる第6次漁港整備計画については計画をしておりません。
 と申し上げますのは、泊漁港についてはすでに計画を終わっておりますので、現在計画はございませんが、ただ周辺の糸満漁港あるいは浦添、豊見城、壺川等の隣接する漁港がこれから逐次整備されると思いますので、その後にまた検討をしていきたいというふうに考えております。
 それから那覇地区の漁業権区域の設定の問題でございますが、御指摘のとおりこの漁業権、いわゆるナガンヌ島、前島周辺の海域につきましては、漁業法第11条の規定に基づきまして昭和49年8月9日公報号外第56号で共同第16号共同漁業権漁場として漁場計画を樹立いたしました。ところが関係地域内にある9つの漁業協同組合の手続の不手際によりまして免許申請期間中に申請手続がなかったということで、現在はいわゆる免許は与えられておりません。
 そこで、現在県といたしましては当該海域の漁場環境の保全を図るために再度計画を樹立すべく目下作業中でございます。
 それから豊見城村の瀬長島の船揚げ場の計画がございますが、現在豊見城村及び与根の部落漁民から船揚げ場等の基本施設の要望がございますが、これにつきましては第1種漁港を指定するよう農林大臣に指定を申請をしております。
 それで当漁港につきましては、50年2月に開催される漁港審議会に諮問された後、漁港として指定される予定でございます。指定が終われば昭和52年度から船揚げ場等の施設をやっていきたいと、かように考えております。
 それから壺川漁港の整備についてでございますが、壺川漁港は第1種漁港でございまして、その整備につきましては昭和51年、52年度の間に局部改良事業として3000万円の予算で物揚げ場60メートル、船揚げ場15メートルなどを実施する予定をしております。
 以上であります。
○仲村正治君 議長、ちょっと休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時23分休憩
   午前11時24分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 壺川漁港の埋め立ての問題についてお答えいたします。
 このことについて那覇市から51年の8月30日付で申請がなされております。
 県としては那覇市に対しまして11月1日に諮問を行い、11月の24日に回答を得ております。この免許は建設大臣の認可でありますので、早急に建設大臣に県としては申請したいと思っていますが、一部資料にいろいろ手直しするところがありまして現在市と調整中でありますが、早急に建設大臣に対して申請を行いたいと思っております。
 それから明治橋のつけかえの件についてでありますが、明治橋は御承知のように総合事務局が管理しています国道でありますが、総合事務局の方でもかけかえを前提として調査検討をしているようでありますが、県としても総合事務局に対してよく実情を説明いたしまして促進方を要請していきたいと思っております。
 それからパイプラインの問題でありますが、これは壺川のパイプラインの件に対しましては治水上非常に問題がありますので、このパイプラインを移転すべく将来歩道橋としても使える橋梁を建設いたしまして去年の12月に完成しておりますが、これに早急にパイプラインを移設してもらうよう施設局と米軍といろいろ調整しているところでありますが、近く日米合同委員会の下部機関である施設特別委員会に提案するという情報を得ております。できるだけ早く移設できるように、私たちも努力しているところであります。
○議長(知花英夫君) 企業局長。
   〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 水道管の布設がえについてでございますが、御指摘の水道管は多分那覇市所管の施設だと考えております。
 この件につきましては、やはり那覇市を初め関係当局間で十分協議調整の上、対処していくべきだと考えております。
○仲村正治君 議長、ちょっと休憩してください。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時28分休憩
   午前11時29分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 現在那覇周辺につきましては、いまの泊漁港、壺川漁港のほかには計画をしておりませんが、今後事情等を勘案いたしまして処理したいと思います。
○議長(知花英夫君) 仲村正治君。
   〔仲村正治君登壇〕
○仲村正治君 いろいろ御答弁をいただいたわけでございますけれども、繰り返し軍用地問題について質問をいたしたいと思います。
 今日まで、軍用地解放闘争は実際に軍に土地を取られた人たちとは何の関係もない人たちが返せ返せと騒いだために、土地が返されて実際に困っているのは軍用地主というような状態でございます。
 上之屋の牧港住宅地区も地主とは関係のない人たちの圧力によって政府は昭和49年1月30日の第15回日米安保協議委員会で返還決定をされました。そこで関係地主が返還に猛反対をしたために195万3000平米のうち、移設予算計上をした第1期分の30万平米のみを来年3月31日に返還して、あとは保留ということになっております。
 さらにもう1つ、普天間飛行場の一部23万3000平米が宜野湾市の要求によって来年3月31日に返還されるようになっているが、関係地主は非常に反対をしております。
 次に、小禄の那覇空軍、海軍補助施設に提供された土地が318万4000平米ありますけれども、この土地も地主は返還要求をしたこともないのにことしの8月27日、防衛施設庁は土地返還のための移設費として108億円の概算要求をしたと報じられたために、那覇市軍用地主会は急遽9月7日に上京して関係省庁に返還反対の陳情を行ったのであります。
 外務省、防衛庁及び防衛施設庁は、沖縄県や那覇市の返還要求に基づいて昭和48年1月23日の第14回日米安保協議委員会で決定をしたということでありました。そして私たちのこういう陳情に対して、地主の要求でもないのに何で政府に上がってくるのか、全く沖縄の状態というものは理解できないと、こういうことを話しておりました。
 これに対して地主会としては、いつまでも貸すということではないが、少なくとも返還前に地籍も確定し返還後の利用計画が立てられるまでは、地主以外のだれが返還要求してもこれを返しては困ると、こういうことを強く要望してきたのであります。
 ここに陳情書もあります。知事は、県政の責任者として県民のこのような気持ちをどのように受けとめておられるのか、もう一度ひとつ所見を求めたいと思います。
 もちろん、いつまでも基地経済に甘える考え方では堅実な沖縄経済の確立は図れないと思う。だからとて、皆様が主張するような単純な民族主義的な感覚では解決できません。
 県が行ったアンケート調査からしても、早期返還は希望しないという意見は大半を占めているのであります。
 さらにまたこのアンケート調査の結果は、軍用地料、いわゆる経済を無視しては軍用地問題の解決は図れないということがはっきりしているのであります。
 知事のわが党の代表質問に対する答弁からすると、余りにも現実を無視し過ぎておりますので、がまんができないので私はあえて申し上げます。
 平良幸市さん個人としては基地反対、反安保という立場であるので、あなたがどのような言動をされようと自由であります。しかし、県民の全体の意思を代表し県民全体の奉仕者である知事の立場としては、これは許されないのであります。
 知事は軍用地主の地料収入を全く無視して、地主の考え方を憂うべきだなどと言っているが、皆さんの給料の中にも軍用地主の地料所得に対する県民税が入っているということをわかっていただかなければなりませんよ。
 知事の反安保、反基地、反自衛隊の政治姿勢はよく知っているので言及はいたしたくないのであります。しかし防衛庁あるいは自衛隊という国家組織、国家機関を否定することはできないと思うのであります。
 あなたは自衛隊の徳久団長が就任して表敬訪問をしたときに、自衛隊なんてどこにありますかと言われたそうでありますけれども、これは本当ですか。
 もしそのようなことを言ったとすれば、去る13日から14日にかけて伊平屋村の山火事の災害出動の要請はだれがどこに行ったのか、はっきり御説明を願います。
 また去る10月13日、小禄の下水道工事現場で250キロ爆弾が発見された。この処理を自衛隊に頼んだら、処理場の関係で日程調整が長引く予想だったので、長らくこのような状態を放置されたら、周辺住民は夜も安心して眠れないので何とかしてこれを早目に処理してくれと強く要望をいたしましたら、それじゃ明後日にやろうということで11月8日に処理ができた。
 一歩誤ればこっぱみじんに吹っ飛んでしまう身の危険を賭して任務に当たる自衛隊の使命感の、本当に胸を打たれたのであります。
 これを考えた場合に、知事の考え方がどうしても私たちには理解できないのであります。
 そのような妻子もいる人たちが、身命を賭して国家社会のために尽くしていることをどのように考えておられるのか、いま一度自衛隊の災害救助の任務、不発弾処理等についての知事の御所見を承りたいと思います。
 次に、那覇市における漁港計画はないと、泊港の建設計画はないということでありますが、先ほども申し上げたように40年で129隻、50年で269隻、60年には728隻にもなると言われております。
 これでは新たな漁港をつくらなければ対応できない。こういうスローモーションな行政では漁業の振興は図れない、こういうことであります。
 さらにまたガソリンパイプ橋の撤去でありますけれども、これは暫定的に皆さんが新しい橋に移されるということであればこれもいたし方ないということでありますけれども、しかし皆さんの軍事基地撤去、ガソリンパイプの撤去とうらはらな状態でありますので、そういうことは根本から解決する方向でもっていただきたいと思うのであります。
 以上、御質問を申し上げまして誠意ある御答弁を期待いたします。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの仲村議員の再度にわたる御質問にお答えいたします。
 先刻も申し上げましたとおり、軍用地の返還については昨日の大城議員の御質問にお答えしたとおり、48年9月に18市町村から要請はあった。その資料に基づいて返還の要求をしておるのであって、ただ返してとは言わない。
 同時に、軍や国に対しても計画的な返還をしてもらうように。そして返還するということは、地主が活用できるようなあり方で返してもらいたい。その間は地料といえなければ補償という形でも国は出してもらうのが当然ではないかと、こういうふうにいたしているのであります。
 さらに自衛隊の件でありますが、どこにあるかということでありますが、それは表敬あいさつに見えた場合に、沖縄における自衛隊はどこどこに駐とんしておられるかということは確かに聞いた覚えがあります、各場所について。
 ただ聞いた記憶はありますが、じゃどういう返事であったかは記憶にありません。
 なおまた伊平屋島の火事については、あの地帯が私かねてから承知いたしておりましたことは、例の天照大神関係の言われた土地の後方だと聞いておりますので、重要な文化財に関係あるかもしらぬとかねてから思っておるところでありましたが、そういった重要な地点であったがために村長さんとしても大事をとられたと思います。
 それで自衛隊に救助をお願いしたら、知事からの要請でなければできないと断られたそうであります。そこで村長さんは、もう夜になっておりますので消防防災課長に要請が来たと、消防防災課長はそれを是と認めて出動をお願いして、翌朝私に事後承認の書類を持ってきました。私は承認いたしました。
 人命救助や災害に関しては、力をかしてもらえる方々の力はかりてでも人命救助やそういう災害は、最小限に食いとめるべく努力することは行政の立場にある者として当然だと思います。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) 那覇周辺の漁港の建設についてお答えいたします。
 漁港の建設の場合、いわゆるまず需要が必要であるかということが問題となりますが、さらには技術的にそこが漁港として適当かどうかということも考えなければなりませんし、そういった意味で今後大嶺漁港が那覇地区の漁港として必要かどうか、再度検討して進めていきたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時41分休憩
   午後1時1分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 照屋忠英君。
   〔照屋忠英君登壇〕
○照屋忠英君 本員は、先ほど通告申し上げました問題2点につきまして順を追うて質問いたします。
 第1点目は、教育の諸問題についてでございますが、この件につきましては先ほど議員の方々からも質問ございましたが、重複しない範囲内において所見を述べ質問をいたします。
 昨今、教育現場でいろいろな問題が起こっていることはマスコミなどあるいはその他の報道で明らかになされておりますが、そのほかにもいろいろと多くの問題が残っており、児童生徒の非行化、そして集団暴力、教育職員のストや窃盗傷害事件などなど、余りにも問題の多い学校現場でございます。
 本員が取り上げている学校現場の諸問題は、氷山の一角にすぎない感じがしないものでもございません。関係当局もこの件につきましては臭いものにはふたをせよと、できるだけ事件が明るみに出そして外部に漏れ知らされることをおそれているのではないかというふうに感ぜざるを得ないわけでございます。
 特に、学園暴力が生徒対教師という不祥事件が学園内に最近頻繁に起こり、教師としての権威も失われようとしている現実であります。
 教師は、生徒から信頼され尊敬されて人間愛というのが生まれて毎日の学習動作が行われ、教師の人格が生徒に移り、教育というものが実を結ぶということは私がここでちょうちょうと言をまたないものでありますが、このような学園内部における暴力事件について関係当局は調査したことがありますか。もし調査したらどのような行政指導を行ったのか。またこの件につきまして、どのような見解を持っているか御答弁お願いしたいと思います。
 あと1点、去る11月17日の木曜日に、県下の各小中高校一斉に休校となった。
 児童生徒は日進月歩の変化と進展をする重大な成長期でございます。けれども、あえて違法ストまでやって児童生徒をしてむだな時間を過ごさせたことにつきまして、良識ある先生方の良心を疑わざるを得ないのであります。
 このことにつきまして、失われた授業時数や教科課程をどのような方法で埋め合わせていくのか。また当局の行政指導は、どのようにしてなされたのかお答えお願いします。
 先日教育長の御答弁で、違法ストは行わないように前もって各市町村の教育委員会に通達したとおっしゃっておりましたが、がしかしこのような通達事項も守らないであえて県下各小中学校一斉にストを強行した。
 本員は知事及び関係当局の姿勢の弱さを指摘し、行政の最高責任者あるいは学校行政の最高責任者として、もっと強い姿勢と毅然たる態度で教育現場の行政指導をなさるべきだと思いますが、当局の所見をお伺いいたします。
 また11月17日の統一スト、そのスト中にストには参加しないで平常どおり生徒を登校させ、授業を行った勇気ある先生もおられます。
 それを察知したスト決行中の先生方多数で授業を行わないようにいやがらせ、そして圧力をかけ授業の邪魔をした。
 このことにつきまして関係当局は調査したことがありますか。またどのような見解を持っているか御答弁をいただきたい。
 第3点目でございます。この件につきましては、昨今新聞報道でもにぎわっておりますが、教育職員の窃盗傷害事件についてであります。
 この件につきましてはマスコミなどでも報道されましたが、これは本当にまれな事件でございまして、学校社会問題となっているのでございます。特に、私たち市民の一人として本当に憂慮すべき問題だと思っております。
 児童生徒は先生を全能なる人間として尊敬し、信頼させております。
 その先生が、人間道徳上最も卑しい行為とされている窃盗そして傷害を起こしたことは、県下1万余の教師のイメージダウンにもなりかねない大きな学校社会問題だと思っております。
 先日の教育長の御答弁で、A女教諭は傷害で6カ月の停職処分、B教諭は窃盗で3カ月の停職処分、C教諭は職務怠慢で戒告処分となっておりますが、この件につきましていろいろ取りざたされておりますが、本員の質問は、停職処分の期限が終わりましたら復職させてもいいというお考えであるのか。そして懲戒免職というふうな行政処分は考えておりませんか。
 また警察本部長にお伺いしますが、刑事上の犯罪事実とその経過について御答弁をお願いいたします。
 以上、教育問題の3つの件につきまして所見を述べましたが、あすではおそ過ぎる重大な教育の課題であります。特に全国平均以下の学力、そして児童生徒の倫理道徳の欠如、粘り強さの弱さなどなどたくさん教育の問題はございますが、世の先生方に課された重大な使命でございます。
 関係当局は教育現場の適切な指導助言を絶えず実施していただきますよう要望いたしまして、以上3点にお答えいただきたいと思います。
 教育問題につきましては以上でございますが、あと1点は県道23号線、俗にこの方は国体道路の延長工事となっておりまして、主に北谷村及び沖縄市を通っている県道でございます。
 県道23号線は、北谷村の国道58号線入口から沖縄市諸見里の市営陸上競技場前までの工事は順調に終わり、それ以上すなわち沖縄市の西側の嘉手納航空隊基地に沿った工事と、石川市、具志川市、沖縄市及び北谷村間がまだ未完成でございまして、交通渋滞の緩和ができず、地域住民の日常生活及び商業活動にも大変不便と不利益を与えている現状であります。
 当初の計画では国道58号線の北谷村入口から沖縄市池武当までの竣工予定だったが、予算の都合で当初の計画の半分しか工事ができず、県道23号線は途中で袋地となり、半端道路となってその後5カ年の間何らの工事進行の当てもなくそのまま放置されているのが、県道23号線半端道路の現状でございます。
 県道23号線道路が当初の予定どおりに建設されるならば、北部と中南部を結ぶ重要な中継道路として交通渋滞を緩和するに重大な役割りを果たすと同時に、中部並びに沖縄市の商圏活動の拡大にも大きな役割りを果たすことと思量されます。
 よって、当局は県道23号線道路の未完了の部分につきまして、今後の構想と計画をお伺いいたします。
 まず1点目は、半端道路地点より沖縄市池武当までの工事計画とその見通しについてでございます。
 第2点目は、県道27号線及び県道16号線との関連はどのような計画でございますか。
 第3点目に、半端道路の地点より沖縄市池武当までの用地取得の進行状態はどのようになっておりますか。
 4番目に、沖縄市陸上競技場前から県道20号線までの工事は早急に着工するお考えがございますか。
 最後に、予算措置についてでございます。
 以上、県道23号線の延長工事につきまして5点を挙げましたが、関係当局の誠意ある御答弁をお願いします。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの御質問に対しお答えいたします。
 今回のストに関した点は平良哲議員の御質問にお答えしたとおりでありますが、今度のストがわれわれと労組との団交が都合よく妥結しなかったところにもあるかと思いますというと、私自身非常に責任を痛感するものであります。
 具体的には先刻も申し上げましたとおり、県人事委員会の勧告が1号給下位への切りかえを含む昇給率の2.9%という全国にもまれな厳しい状況にあったからでありますが、私は単に人事委員会の勧告があるからというだけではなくして、これまでの沖縄の職員の昇給率の歩んできた経過と九州各県の歩みと現状とを比較し、なお沖縄の県財政はもとより一般の経済事情も勘案して、県人事委員会の勧告は妥当適切なりという考えのもとに処理いたしたわけであります。
 そのためにストを起こし、ストの前にはきのうも御答弁申し上げましたように総務部長名をもっていろいろ通知もいたしましたが、かような結果になりましたことはまことに申しわけなく思っております。
 お説のとおり、教育の問題が沖縄の現状において非常に重要であり、ときたま入ってくるところの不祥事件の情報に接するたびごとに心痛めている次第であります。
 今後は、より一層関係当局と十分なる話し合いを持って、正しい方向へ向かわすよう最善の努力をいたしたいと思っております。
 なお、教育諸問題についての具体的なことについては、関係当局であります教育長から答弁をしてもらうことにいたしますが、もう一つの問題に関しても関係部長から答弁させることにいたしますので、御了承願います。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 照屋議員からの御質問にお答えいたします。
 ただいま御指摘がありましたように、学校現場において児童生徒の非行の問題、暴力事件の問題御指摘がございましたが、このような事件が起こっている事実につきまして教育長といたしまして大変遺憾に存じ申しわけなく思っておる次第でございます。
 この学校現場に起こる事件に対して調査をしたことがあるかという御質問でございましたが、その都度詳しい調査をいたしております。
 それに対してどのような行政指導をしておるかということと、県教委のこれに対する態度というふうな御質問でございますが、私たちは現場のその実態調査をいたしまして、学校に対して関係生徒や保護者との話し合い、あるいは職員会議、PTA役員会、場合によっては臨時総会なども持ってそれに対する二度とそのようなことが起こらないような対策を講じてもらうよう指導をすると同時に、公立の小中学校の服務監督権者であります市教育委員会に対しましても、事件が起こった直後学校を訪問して現場での事情聴取と同時に、それぞれそれに対する適切な指導をするように市町村の教育委員会に対しても指導助言をいたしております。
 なお、県教育委員会といたしましても、地方の教育事務所を通しましてそれぞれ独自の調査を実施しその対策を講じておりますが、このような事件が起こったのは日常の生徒指導において一人一人の生徒の実態を把握し、その内面に迫るところの指導の弱さがあるのではないかとそこら辺を反省し、その面への指導の徹底を図らなければいけないんじゃないかということを考えております。
 また、日常の実践を通して生徒相互、生徒と教師、子供と親の人間関係に問題がないか、そこら辺も十分究明いたしその改善に努めて生徒相互、教師と生徒、子供と親との信頼関係を深めていく指導助言を強化いていかなければいけないと、そのように痛切に感じておる次第でございます。
 次に、教職員のストの問題についてでございますが、昨日もこのことについてお答えいたしましたが、ストは違法であると、したがってストは回避するようにと申し入れておりますが、ストが回避できなくて大変遺憾に思っておる次第でございます。
 教育公務員は、職務上きわめて公共性の高いものでございます。昨日もお答え申し上げましたが、県教育長はこのことを重く見まして、去る11月の定例県教委でもお話し合いをしていただいたわけでございますが、このストのことを厳しく受けとめて内外の情勢を判断しながら慎重に対処していくということで話し合いがなされております。
 ストによる授業回復措置についてどうするかという御質問でございますが、年間の授業日数は小中学校で240日以上、高等学校で210日以上になっています。授業日数がその日数に足らない場合は、長期の休業期間などを利用して回復させていきたいとこのように考えております。
 それからスト期間中に授業を実施した教師がおったんだがそれを調査したかと、それについてどう思うかということで御質問がございましたが、新聞報道でそれを知りましたので、いま詳しい調査を行っているところでございます。
 次は、懲戒処分後の処置についてでございますが、停職処分後どう考えているかという御質問でございますが、昨日もお答えいたしましたが、1人の教員についてはすでに辞表を提出いたしておりますので、これをそのように停職期間が切れる段階で処理いたしたいと思っております。
 それから懲戒処分については考えていないかというふうな御質問でございますが、これは懲戒の段階で委員会の審査の段階で懲戒停職の処分にも相当するのであるが、これまでの教職経験等配慮してあのような処置になったということでお答えしたとおりでございます。
 以上で終わります。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 県道23号線の件についてお答えいたします。
 県道23号線沖縄市上地から池武当までの延長約3.3キロメートルに関しましては、国体道路として整備完了いたしました約3.9キロの延長工事として昭和48年度から国庫補助事業によって用地費を計上して施行に努めてきたのでありますが、これまで道路予定地が嘉手納空軍基地を通るため米軍との設計上の調整が必要とされたこと、また当該地の地籍が境界不明の状態で未確定となっていたため確定業務に日時を要したこと等もあって、業務執行に難航を来したのであります。
 しかしながら、昭和50年度後半において工事が完了した地点から約1キロメートル――県道20号線の付近でありますが――それまでの間は関係地主の協力が得られ地籍の確定を完了することができましたので、50年度後半から用地取得を開始している状況であります。
 51年度からは、国庫債務負担行為に基づく資金を活用して用地取得に努めております。次年度も引き続いてこの制度を活用して、この工事の完成に努めていきたいと考えております。
 それから県道16号線と県道27号線とこの23号線との関連でありますが、県道16号線は嘉手納から知花、松本を通って具志川に至る線でありまして、この横断線としての整備を図らなきゃいけません。そして23号線と池武当において交差するのでありますが、ちょうどその交差地点において県道27号線と重複いたしますので、この27号線の一部は23号線に含めて改良されることになると思います。
 現在までの用地取得の状況は簡単に先ほど申しましたが、この用地取得はいままで48年度で500万円、49年度で500万円、そして50年度で2000万円、51年度で約2億の用地取得をやる予定になっています。全体の用地取得の経費としては7億円を見積もっています。
 この用地が米軍の現在使用している敷地でありますので、共同使用によってやらなきゃいけませんが、それについては現在施設局、米軍と事前調整を済ませまして日米合同委員会の承認を待っているところであります。工事費としては約2億円を予定しております。
 以上で終わります。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 御指摘の学校の教員に係る刑事上の犯罪事実と経過ということでございますので申し上げます。
 多良間村における傷害事件は、本年の8月18日、同村内で女性である小学校の教員が、知人の男性の顔や大腿部、脇腹を包丁で刺して全治10日間を要する傷害を負わせたものでございます。
 また、与那原町における窃盗事件と言いますのは、本年10月1日、与那原町内の電気店で、男性である小学校教員が店員のすきを見て店内陳列たなからカセットレコーダー1台時価5万6800円相当を窃取いたしまして、現場で現行犯人として逮捕されたものでございまして、多良間の傷害事件につきましては51年の10月20日傷害罪で平良区検へ事件送致いたしまして、11月25日略式命令で罰金10万円に処せられたと聞いておりますし、窃盗事件につきましては昭和51年の10月16日窃盗罪で那覇地方検察庁へ事件送致いたしておりますが、検察庁において11月24日起訴猶予処分になっておるというふうに聞いております。
○議長(知花英夫君) 照屋忠英君。
   〔照屋忠英君登壇〕
○照屋忠英君 ただいま質問にまだ答えられてないところ、所見あるいはその他の件につきまして、答弁がまだ私たちの意にかなわないところにつきまして質問いたします。
 現在、各市町村の教育委員会にはもう教員希望者が多くて、そしてたくさんの履歴書が積まれていると聞いておりますが、それにつきましてこういうふうな教師――ただいま停職処分とあるいは戒告処分になられた方々をやめさせ、あるいはそういう方々を懲戒免職にして、こういうふうな若いそして熱意のある教師を採用する意思はございませんか。
 中には5カ年も、あるいは3カ年も補充教員でがまんをしておるような教師もたくさんおられます。
 そういうふうなことでもう1点教育長のこれに対するところの答弁をお願いいたします。
 それから警本部長、経過につきまして報告していただきましたが、窃盗で宜野湾市でございますので、なぜこの当時与那原まで行かなくちゃならなかったのか。いわばいつ、どこで、どういうふうなことをしてやったというこの経過につきましても報告をお願いしたいと思います。名前もひとつよろしくお願いいたします。
 それから土木部長さんの答弁でございましたが、県道20号線までの用地買収は大体終わっておると聞いておりますが、そうしますと現在袋地になっております市営陸上競技場の前からその20号線までの間は早急に工事計画する予定はございませんか、その点につきましてお伺いいたします。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 先ほどもお答えいたしましたが、1人の教員については辞表を出しておりますので、これは停職が1月の15日までになっておりますので、停職期間が切れる段階で処置いたします。
 もう1人の教員につきましては、教育委員会の内申次第処置いたしたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 加藤 晶君登壇〕
○警察本部長(加藤 晶君) 窃盗の方の事件につきまして、住居が宜野湾なのにどうして与那原まで行ったかということでございますけれども、当日本人は酒気を帯びておったということでございまして、その辺は余り定かではございません。電気器具店に入りましたのは、言うところによれば電池を買う目的で入ったということでございます。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 現在の終点から県道29号線の付近まででありますが、約1キロ――これに要する用地費が約7億円でありまして、51年度までにおおよそ40%の用地の確保ができるわけでありますが、52年度までに現在用地取得を完了する予定にしております。したがって、工事の着手はそれ以降の予定であります。
 先ほど申し上げました共同使用、あるいは用地費などもその区間の工事費でありました。
○議長(知花英夫君) 我喜屋宗重君。
   〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 さきに、通告いたしました順序に従って所見を述べながら質問をさせていただきます。
 知事は、政務につかれましてから半年を迎えようとしておりますが、その間の知事の県内外に対する姿勢、また今日までの議会答弁を聞いておりますと、何を考え、どんなことをしようとしておるのか全然わからない。
 その中でもただ言えますことは、国の行おうとしているものはすべて反対だとか、過去のわが県の惨めな姿を思い起こし、すべて他力本願的自主性に欠けた県政であると言わざるを得ないのであります。あえて申し上げますなら、過去をもって未来を犠牲にする必要はないんではないかという感もいたしておるわけでございます。
 いかようにわが沖縄県を取り巻く情勢が厳しくとも、沖縄104万県民の代表として、また104万県民の福祉の向上のためにそのリードと責任が知事にあるとするならば、夢だけを追っかけずに知事としていますぐやるべき、またやらなければいかぬ部分はどの部分であるかを現実を踏まえて認識をする必要があるのではないか。
 知事は、答弁の中で思いつきで答弁をしたり、その発言内容には現実を無視した自己満足の答弁としか受け取れない部分も決して否定はできません。
 たとえば、知事は現憲法を擁護すると言明していながら、天皇在位50年祝賀会が政府で決まると、出席をするのかしないのかもたもたして、結局は渋りながら出席をして申しわけなさそうに帰ってくる。日本国憲法第1章をもう1度読み直してみる必要があるんではないか。
 また、副知事問題にしても自民党の1人制の主張を退け、2人制に持っていったいきさつを見てみると、それほど2人制が重要ならばその職務につかれる副知事もまた県民の期待に対応できる人選をしなければいかぬことは申すまでもございません。ところがその人選の中において、約6年前に県民代表として好ましくないという県民の判断があった方を与党に出して引っ込めてみたり、実に主体性のない知事の態度が見受けられているわけでございます。
 そのような中において、昨日わが党の平良議員への答弁に知事にかわって答弁をした総務部長は、11月17日県職労のストは好ましくないのでやめるように指示をしたが聞いてくれなかったという答弁がございました。これ一つをとってみても、知事の姿勢が釈然としないため部下も上司の通告を無視している証拠であり、部下からの信頼も全くないと言わざるを得ません。
 そこで通告の質問に入ります。
 地方公務員のストについて、この問題は昨日の平良議員との質問にダブらないように端的に質問を申し上げますので、知事の答弁もだらだら言いわけだけしないではっきりとお答えを願いたいと思います。
 去る11月17日、県職労は人事委員会勧告を不満として始業時から半日ストを実施いたし、その行為が地公法に触れる好ましくない行為であることは御承知のとおりであります。
 北部の唯一の県立病院でも、御多分に漏れずストが決行されておるわけでございます。
 そこで知事、病院の持つ特殊性、また公営企業法によってその作業所の閉鎖は禁じられているにもかかわらず、そのストに参加をしている組合員は腰かけを持ち出し表玄関いっぱいに座り込みを行い、ストを決行しているあの姿はまさに作業所の閉鎖にも等しい行為だと言わざるを得ません。しかも納税者であり、もちろん県民である患者の皆さん方は裏から申しわけなさそうにこっそりと入っていっているあの事実、ましてや一向に進まない受付、診察の順番を痛さをこらえ、あるいはがまんをして自分の番になるのを待っているわけでありますが、なかなか取り扱い事務のスローモーで回ってこない。
 受付は、ストが終わるまで込みますので御容赦くださいと張り紙をして平気な顔をしている組合員に対し、病院に来る患者は泣き寝入りであり、病院そのものに対しての不平不信はつのるばかりであります。
 だから33億もの累積赤字も出して平気でおられるのだと思っている。しかも51年決算には、51億の赤字間違いなしと太鼓判を押されているわけであります。
 そのような中で、59歳の生涯をその日の午後9時過ぎ死に切れない気持ちで閉じた一人の患者もいるという事実はだれもが否定できないのであります。
 しかも、その翌日のマスコミ等は盲なのかどこを調べたのか混乱一切なしと報じておったわけでありますが、知事はその報道を信じてかどうか、17日のスト参加者のただ賃金カットというなれ合い処分ではとうてい納得のできるものではありません。しかもその亡くなった患者の家族に対し、県立病院の医者たる担当医は、このような治療で不満なら別の病院に移していいですよと全く言語道断の発言に対し、知事にお尋ねをいたしたい。
 11月17日のストに参加した名護病院の組合員の数、またそのほかに入院患者の治療関係に何らかの迷惑をかけたという報告を受けていないかどうか。そしてまた11月のそのストの行われた17日というのは水曜日でございます。そして9月、10月の水曜日の名護の病院患者の平均患者は新患が44名、再患が180.4名、合計224.4名であります。そしてそのストの決行された11月17日水曜日は新患21名、再患82名であります。
 この平常の月とストの行われた日を比較いたしますと121.4名の減となっております。この減った分を、知事は本当にストが行われておるから患者が遠慮して来なかったと思っておるのかどうか。あるいは来たけど帰されたという報告を受けておるのかどうか、その点をはっきりと御答弁を願います。
 次に、畜産振興についてでありますが、他の議員から公社等について質問がございましたし、私は濃厚飼料1点についてだけお尋ねをいたします。
 わが県の畜産関係が1次産業に占める重要性はいまさら申し上げるまでもございません。また知事もよく御認識をされて畜産公社の設立等もおくればせながらつくってきたものだと思いますし、また関係部においても積極的に畜産農家に対し奨励をしているものと思いますが、ところがその畜産奨励はしても一番重要な飼料、濃厚飼料の普及に対しては何の対策もないのは一体将来に向かってどうしようとしているのか。
 わが県においては飼料の大部分が県外に頼り、何のストックもないわけであります。もちろんわが国においても濃厚飼料の自給率はわずか31%しかなく、先進国の中で最低である。
 中でも豊富な農作物を生産するアメリカへの依存度は高く、穀物と大豆をとってみると、そのうちアメリカから輸入しているのはその4分の3、カナダを加えて北米大陸だと9割近くにもなっております。しかしわが国が欲しいだけ安い穀物を買えた時代はそれでもよかったのでありますが、昭和47年秋以降ソ連が農作物の不作から穀物を買いに出たのがきっかけで価格が高騰いたし、わが国にも不安の影がしのび寄り、離島苦を強いられているわが県にもその影響が直撃されたのは御承知のとおりであります。
 しかも、今日伝えられるところによるとこの米ソの戦略の中にいままでの武力に農作物も組み込まれていく気配が濃厚であり、この複雑な社会思想の中で1次産業、特に畜産農家が飼料の問題に関しては知事の行政政治手腕に頼るのは大きなものがあると言えよう。ましてや昭和47年秋ごろのように、またはそれ以上に飼料の輸出あるいは輸入国間に異変が生じてきたら、それこそ畜産県を目指すわが県においては大混乱を起こすことは間違いございません。
 わが県において一番その中でも多い豚は多産である上、五、六カ月で育つので一時的には減ったにしてもすぐまた回復をするかもしれませんが、牛は妊娠期間が9カ月もあり繁殖して出荷するまで通算4年はかかり、一度減るとなかなかもとには戻らないという純生物学的な理由があるわけでございますので、本当に畜産農家のことをお考えなら飼料問題はもっと真剣に検討しなければいかないのではないか。
 ちなみに農林省の長期見通しによると、60年には肉の生産も6割増す見通しだが、いま牛肉を1キログラム生産するに8キロの飼料用穀物が必要だと言われている。
 そのような中において鹿児島県においては、昭和45年から県独自の飼料用穀物の備蓄計画をなして市内に飼料コンビナート258ヘクタールをつくり、6万1000トンのサイロが建ち、鹿児島県独自の飼料だけでなく、宮崎県の分もめんどうを見ているし、あるいはまた黒牛、黒豚、ブロイラーを中心にした畜産県として、飼料は県の産業にとって欠かせないということでやっておるわけであります。また将来は、あと6万トンのサイロを増設するという計画であると聞いております。
 そこで、知事は将来に向かってこの飼料対策をいまのままでよいと思っておるのか。また備蓄計画があるのか、あるなら具体的にそれを示してほしい。
 以上申し上げ、答弁をお聞きいたしましてから再質問をいたします。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの御質問にお答えします。
 その前に、見解の相違があろうかと思いますが、知事は国に対するものすべてが反対、全く自主性に欠けていると、こういう御発言がありましたが、私は1から10まで政府のすることなさることに反対しておるとは思っておりません。この点は就任以来、予算執行においてすべてが反対しておるならば、そのとおりはいかなかったはずであります。
 また、自主性に欠けているとおっしゃるなれば見解の相違とは思いますが、私自身はあくまでも自主性を十二分に発揮すべく努力をいたしております。と言って、1から10まで自主性だけでできない点もありましょう。と言って自主性に全く欠けたとは、私自身どう反省してもそうは考えません。
 過去を顧みて将来を犠牲にするというお話もありましたが、過去を顧みるということは、将来をよりよく生きんがためであり、過去を振り返って将来を犠牲にするというあり方はいかなる場合にもあってはならないし、またあり得ないと思います。過去を顧みるということは、将来をよりよく発展させんがための顧みるであるということを御理解願いたいと思います。
 次に、名護病院のストについては報告を受けたかの御質疑でありましたが、昨晩質疑応答を終えて後照屋部長から、照屋部長が知り得た情報をもとにしての御報告は受けましたが、詳しい報告は受けておりません。
 照屋部長が知り得た範囲内の報告は受けておりますが、部長にも話しましたが、より詳しい実情を把握した上にお互いに話し合ってよりよき適正な方途を講じようと話し合ったところであります。
 なお、これについては照屋部長から、部長が得た報告の点については後で部長から報告させたいと思います。
 畜産振興に当たって飼料が、日本全国もそうでありますが、何と言ってもこの飼料の重要性はお説のとおり十二分に認めております。
 肉用牛及び乳用牛の振興に当たっては、その基盤となる草地開発が必要であり、琉球政府当時約410ヘクタール、復帰後約815ヘクタールの草地造成を完了し、飼料の自給率の向上を推進してきたところであります。
 今後は、草地造成の開発と並行して粗飼料の自給率の向上を図るため、乾草、ヘイレージ等の対策についても対処していく必要があります。
 一方、濃厚飼料に当たっては50年現在の生産量は約7万トンであり、自給率50%であります。
 50年の飼料の需給予測調査によりますと、55年の家畜飼養頭数に見合う飼料の需要量は約25万トンであり、現在の県内の工場能力から推計して供給可能でありますが、コスト面で問題があるようであります。
 したがって、生産コストの軽減及び品質管理の合理化、流通の円滑化を図るため臨海港湾施設として飼料コンビナートの設置が必要であります。
 本県の亜熱帯地域の特性を生かし、畜産振興の基盤となる草地造成と濃厚飼料の自給率の向上を図り、飼料の完全供給体制を強力に整備促進していく所存でありますが、これについての詳しい専門的な立場から農水部長をして答弁させることにいたしますので、御了承願います。
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) お答え申し上げます。
 名護病院のストの状況についての御指摘の点でございますが、御指摘されたように通常における1日平均患者数の外来における数は218名でございますが、いま指摘されたような数であるとすれば確かにそれだけの100名以上の減であるということは否定はできません。
 で、何のためにその外来患者が減ったかということにつきましては、私が調べた範囲内ではこういうふうな報告が夕べ入ってきております。
 入院患者については診療を通常どおり行ってきたが、外来患者は救急患者及び予約患者については診療を行ったが、それ以外の患者についてはピケ要員によってできるだけ他の医療機関で診療を受けるように説得して帰ってもらったと。したがって自然の減ではございません。
 これはピケ要員によって説得して帰ってもらったという報告でございますが、さらに私はそのピケを張った要員の中に医者がおって、その医者の説得に加わってやったことであるかというふうなことを確認しましたところが、院長の返事は、説得を受けて帰ったと思われる患者さんに物理的に接触し得なかったので、そういうことになったというふうな返事でありました。
 これにつきましては、私は医師でもあるし、ましてや病院の職員も医療人、看護婦あるいは医者である中で素人とは、まあ看護婦も若干まじっていたと思いますが、何の基礎に基づいてピケ要員に説得されてそしてあんたは帰ってもらいたいと、あるいはよその方に行ってもらいたいというふうなことが言える根拠についてはなはだ疑問を持つものであります。
 私、このことを聞かされまして非常にショックを受けた次第でございます。
 参考までに、同日行われた他の病院における状況を申し上げますと、その前にもう1つつけ加えさせていただきますと、かようなストについて、もちろん昨日来から知事あるいは総務部長等の地方公務員のストに対する違法行為についての注意もある中で、それでも病院としては対応せねばならない立場でありますので、私たちはいわゆる保安要員を設定してそしてできるだけ患者さんに対して御迷惑かけないつもりで一応対応してきているわけでございますが、その中で他の施設におきましては精和病院におきましては、外来、入院とも通常どおり診療体制で行われたということであります。
 また、那覇病院につきましては、入院患者については通常どおり診療を行ったが、外来患者のうち予約患者及び救急患者については診療を行い、その他の一般外来患者については診療を行わなかったが、スト数日前から張り紙等を出し、そしてストの広告を行ったために特にトラブルはなかった。
 中部病院におきましては、入院患者については通常どおり診療を行った。外来患者については、スト数日前から張り紙等によりストをやるという広告を行ったため、通常よりやや来院患者は少なかったが、来院した患者については救急、一般の別なく全患者を診療を行った。
 宮古病院におきましては、入院患者については通常どおりの診療を行った。外来患者については救急患者及び一般患者も通常どおり診療を行い、問題はなかった。
 名護病院につきましては、さき報告申したとおりでございます。
 糸満療養所におきましては、通常どおりの診療を行ったと。
 かようにして、施設による差がたくさん出ております。
 したがって、いまいわゆるピケ要員によって説得され帰されたという事実について、私は所管部長としてまことに申しわけないと申し上げるだけでなく、そのおわびにこういうふうな患者さんに対しての御迷惑がかからぬように今後早速措置せねばならぬ私、あるいは私の部の職員も含めて夕べ相談いたしまして、そういうことがないように手を打つということについて、ここで皆さんに発表して私の答弁にかえさせていただきたいと思います。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、沖縄県の畜産振興のためには濃厚飼料の自給度の向上がきわめて必要でございますが、先ほど御答弁もありましたとおり、現在わずか50%でございます。そこで将来といたしましては、中城湾港の一環として飼料コンビナートを建設したいということでございます。
 それから備蓄はどの程度あるかということでございますが、現在3工場ございますけれども、各工場によって違いますけれども、大体2ないし3カ月分備蓄はできるようでございます。
 以上で終わります。
○我喜屋宗重君 ちょっと休憩をお願いします。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後2時0分休憩
   午後2時1分再開
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) 名護病院の出欠状況を申し上げて、その資料しかございませんが、それが組合員であるかどうかについては確認いたしておりませんが、その時期で出席予定者は135名、出席した職員が73名、さらにそのほかに出張、休暇等を取ったのが14名、そして欠勤率は35%で、人数にして48名と。
 おそらくこの48名の大部分が、要するにそのスト行為を行ったものと想像しております。
○議長(知花英夫君) 我喜屋宗重君。
   〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 先ほど答弁がございましたが、まず第1点、どうしても私はうその答弁としか思えないような事実を申し上げてみたいと。
 と言いますのは、先ほど環境保健部長はストの日には入院患者については普通のとおり治療行為を行ってきたということを申し上げているわけでございますが、ならばここに私も現場に実際に呼ばれて立ち会わされて、11月の14日に肺梗塞という病名で59歳になる御婦人が意識不明のまま担ぎ込まれております。そして17日までに意識が戻らない、しかも酸素ボンベからの酸素吸入を受けてそして治療にずっと携わっておったわけであります。
 ところが、17日の午前11時ごろストが真っ先に行われている時間でございます。そのときに私は病室に呼ばれていきましたら、しかもその患者の子供さん、家族に対して、まだ二十にも満たない高校生のこの家族に対して、ストが終わるまでこのガスボンベのガスが切れておるので、ストが終わるまで手動式でやっておいてくれということでこのぐらいのゴムホースに何と言うかしりませんが、それでもってこう一生懸命家族にさせておるあの態度、私はもちろんそれが原因でその方はその晩の9時過ぎに亡くなっております。
 それが原因とは申し上げませんが、少なからずともそこにある器機あるいはまた器具等は、しかも名護病院という公共性を帯びた病院の中において、しかも納税者が県民である患者に対して最善の努力を尽くすべきではなかったのかとかように思うわけなんですが、私はその実例を現場に本当におりまして、そしてしかも先ほどの答弁もございましたが、その担当医というのは、聞くところによりますと、私は別に担当医がどうのこうの申し上げませんが、気管支ぜんそくという持病を持っているそうであります。しかもこれはある病院長に聞きますと、疲れてくると非常に愚痴をこぼすような性質のものだということも聞いております。
 そのような状態で、しかもこの担ぎ込まれている患者というのは、17年前にだんなさんを亡くし、子供6名を自分の女手一つで育ててきてしかもちゃんと県民としての納税義務も務めてしかもそれによって名護病院に治療を受けに行ったらこのような処置をしてくると、私はそれに対して知事も本当にどういうお考えを持っているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
 またもう1点には、その当日の患者に数が減ったというのはこれは事実であります。そしてしかも103名有余減っているわけなんです。
 その方々というのは、全部とは申し上げませんが、その患者さんたちはやむにやまれず病院の玄関まで来る、そして重患と軽患とに分けて看護婦さんが、あるいはこのピケをしている方々が帰していらっしゃる。
 一体看護婦にそういう重患と軽患を見分ける資格があるのかどうか。
 しかも名護という場所において、すぐさま那覇みたいにたくさん病院があれば結構であろう。総合病院と似通ったものは1カ所しかない。
 そこで一体看護婦が、あるいはピケをしている方々が、それだけの資格と権限を持ってやっているのか、そのことに対してもう1度御答弁をお願い申し上げます。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) お答えいたします。
 ただいまの我喜屋議員の御発言のとおりであるとすれば、行政最高の責任者としてまことに遺憾に思い、関係なさった方々に対し、さらにまた県民に対し心からおわびを申し上げます。
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) ただいまの件につきまして、先ほど我喜屋議員も言っておられたんですけれども、言い逃れという意味でなくてただ我喜屋議員のおっしゃったことをここで申し上げるわけなんですが、ストのためにその患者さんは亡くなったとは言わないがというふうなことでございますが、この件につきましては、昨晩10時でございましたか病院長とも連絡とりまして、向こうでは主治医、院長並びにそこにかかっていた看護婦たちを全部集めていろいろその当時の状況を院長が聴取しておりましたが、名護病院の判断では、スト行為によるところの、そのために患者さんは亡くなったとは思えないというふうなことで、その点については一応我喜屋議員も言っておられますが、ただその中で医師あるいは看護婦がその患者さんの家族あるいは付き添いの方々に対して非常に心証を害するような発言があったということは伺っております。
 ただし、そういうふうな発言をしたことについて、夕べ院長の説明によると悪意のあったものとは言えないが、しかしそれにしてもそういう発言をすることは大いに反省すべきだというふうなことを言っております。
 で、それは酸素ボンベの件につきましても、実はレスピレーターといって手動式のレスピレーターで、すなわち患者にこう人工手動、手でもって人工呼吸をするものでございますが、これはあの病院には3つございまして、当時の状況の報告が入っていますが、そのレスピレーター、それから酸素を流す重量計、それからボンベ、この3つからなってございますが、その病院には3つあるわけです。3式そろっているわけです。
 で、それはあとの2つは実は確かに3階の患者さんが使っておって、そして1つはいま我喜屋議員が指摘された患者さんに使っておったということで、酸素がなくなり、それを取りかえる必要があったということで取りかえるために若干時間を要したというふうな報告も受けております。
 いずれにしても、これらの事実について再度にわたってその内容を私は調査し、そして我喜屋議員にその旨をはっきりお答え申し上げたいと思いますが、事のいかんにかかわらずそういうふうな御迷惑、あるいはいろいろ御心証を害したことについて、県民に対して知事も申されましたが、所管部長といたしましても深くおわび申し上げたいと思います。
 で、申しわけだけできくものではございません。さっき申し上げましたように、早速これについて対処すべく行動を開始いたします。そして二度とこういうふうなことが起こらない現象、こういうふうなことが起こらない雰囲気ができるように努めていきたいと、こういうふうに思います。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 我喜屋宗重君。
   〔我喜屋宗重君登壇〕
○我喜屋宗重君 ただいまおわびの言葉があったわけですが、私はその原因となっているのはやはり地方公務員のストが一番の問題だということを、まず認識していただきたいと思うんです。
 その中において、しかも環境保健部長あるいはまた知事もそのような行為があったとするならばと言うんですが、私はこの質問書を出してから、皆さんも昨晩いろいろとそういう打ち合わせいろんなものを聞いていると思うんです。
 そしてまた環境保健部長に申し上げたいんですが、この酸素ボンベの問題、これは切れておったというのは事実であります。そして私が行って看護婦を呼んで、どうしてあんた方こんなものが本当に許されるのかと言ったら、間を待たずに電話をかけてすぐ別の酸素ボンベが届いておるんですよ。これがあっちこっちで使っておったという理由には絶対ならないんです。これは私の目の前でやっておったんですよ。
 そういうものを議会に対して、ただその場しのぎだけの答弁では非常に困ると思うわけであります。
 そこで私も知事に対してやはり質問書を私どもも通告をいたし、しかも皆さん方の部下はどういう内容ですかということをお聞きに再三部屋に訪れております。
 そういう中にもかかわらず、議会の中においてただそういう事実があったなら、あるいは詳しく報告を受けてないと。やはり行政の責任者というのはあなたなんですよ。
 しかも、あなた方が言っている本当に県民の生命を守るというなら、違法ストの行われておる病院関係でどういうものがなかったのかあったのかというのは、事前に調査すべきなのがあなたの私は一番の態度ではないかと、かように思っているわけでございます。
 時間がございませんので終わります。
○議長(知花英夫君) 比嘉 昇君。
   〔比嘉 昇君登壇〕
○比嘉 昇君 野党のしんがりを承りまして質問いたしますので、よくメモをしていただきまして答弁漏れのないようにお願いいたします。
 まず、用地取得業務についてお尋ねをいたします。
 国道330号線関係ですが、浦添市字沢岻178番地嘉数和雄さんは1969年国道330号線建設に際し、同市字沢岻樋川下原1470番の土地の一部を道路用地に提供することに同意をいたしました。
 ところが、売買契約の手続もとられないままに工事は進められ、現に嘉数さんの土地は道路として使用されております。しかし7カ年後の今日に至るまで、用地補償費は本人の手に渡っておりません。
 そこでお尋ねいたしますが、嘉数さんとの間の売買契約書なり用地補償費の授受を証明するような文書がございましたら、御提出を願いたい。
 また、330号線関係で用地補償費の未払い分がございましたら、その件数と総額をお知らせください。
 次は、公営住宅関係でございます。
 第2期沖縄地方住宅建設計画における県営分の建設戸数が4100戸であったのに対し、実績は2088戸で、その達成率は50.9%に終わりました。
 昭和51年は第3期沖縄地方住宅建設5カ年計画の初年次に当たりますが、初年次の計画戸数828戸、予算額にいたしまして49億5900万円が計上されておりますが、11月末現在の執行率はわずか15.2%の7億5260万円でございます。
 知事はこの実態を一体どのように受けとめて、その原因が那辺にあるかお答えを願います。
 昭和48年の住宅統計調査によりますと、住宅難率で全国平均が8.6%であるのに比べて、本県は11.6%と住宅事情の劣悪さを如実に示しております。
 住宅予算は、本県の主要事業の予算中でも最も大型予算でございます。したがってその早期執行は住宅難の解消はもちろんでございますが、昨今大きな問題になっております失業不況対策にも大きな波及効果を持つものとして県民から大変期待をされた予算でございます。
 ところが、その予算の執行率が11月の末現在で15.2%にすぎない。予算の早期完全執行によってここにも知事としてなし得るところの、いやしなければならないところの失業雇用対策があるわけでございます。
 昨日から失業雇用問題に関してわれ関せずといったように受け取れるような答弁がございました。すべて国の責任になすりつけるような答弁が余りにも多過ぎました。しかし知事、知事としてできることはたくさんございます。きのうも御指摘がございました、小渡議員から。
 知事は、この住宅建設のおくれを取り戻す、あるいは打開するためにどのような具体的な対策をお持ちなのか、お答えを願います。
 それから旧日本軍接収土地の返還請求については、一昨日の代表質問に対する答弁で大方了解をいたしております。県民の財産と利益を守る立場から鋭意努力されることを要望いたします。
 本員は、この返還請求問題に関連してその解決促進に大きな障害になりかねない問題がございますので、知事御自身の行政的な配慮に基づく御答弁を期待し質問をいたします。
 動物検疫所用地は、県の所有名義になっておりますが、昭和45年豊見城村在住の赤嶺新喜さんという方から、その土地は先祖伝来の土地であるとして県と国を相手取って訴えが提起されました。
 訴えに対し、県は赤嶺さんの先祖伝来の土地であることを否認し、仮に赤嶺さんの先祖伝来の土地であったとしても、いいですか知事、沖縄県は昭和17年沖縄県畜産組合連合会を経由して所有権を取得したと。あるいはなお許されないのは、昭和18年10月ごろ国家総動員法13条3項の規定に基づいて収用され、その所有権は沖縄県が取得したと主張いたしております。
 裁判所では3年にわたる証拠調べや審理の結果、この土地は赤嶺さんの先祖伝来の土地であることを認定し、その他戦前国家総動員法等によって県が所有権を取得したとする主張はことごとく退けられました。事実関係では、実質的に赤嶺さんが勝ち、県は赤嶺さんに土地を返還しなければならなかったはずでございます。
 ところが、県が時効というのを持ち出してまいりましたために、これが裁判所の認めるところとなりまして、結果的には県が勝訴したのでございます。この問題には、われわれが見過ごしてはならない重要な問題点が2点ございます。
 第1点は、公簿の焼失という特殊事情下の沖縄におきまして、県が国家総動員法を持ち出して土地の返還を拒んでおるということです
 第2点は、県民の財産と利益を守る立場にある公共団体たる県が時効を持ち出して、また土地の返還を拒んだという事実でございます。
 県当局は、旧日本軍用地返還に関し国家総動員法による接収はもちろんのこと、公簿が焼失を免れた先島地区において民法上の売買の形をとっておるとしても、当時の状況から県民要求に沿ってその返還に鋭意努力したいというふうに言われております。
 ところが一方では、このように国家総動員法を盾にとりまして、県民の切実な土地の返還要求に対しこれを拒否してまいっております。このことは明らかに矛盾をいたしております。知事、この矛盾をどういうふうに受けとめておられますか。
 第2の時効の援用なんですが、これは土地を返還すべきである、あるいはまた借りた金は返すべきであるというふうな場合に、一定の期間が経過したから返さなくてもいいんだと、ある意味では開き直ることでございます。
 県民の財産と利益を守る県が、このような時効を持ち出して土地の返還を拒むということは言語道断、私は道義上も許されないゆゆしい問題だと思います。この論法からするならば、旧日本軍用地は全部が時効が完成しております。万一、国が時効を援用しようものなら、これら旧日本軍用地の返還に向けて、いかに私どもがりっぱな理論を構築し、証拠を収集いたしましてもこれは水泡に帰します。水の泡でございます。知事はこのことに関し、どのように御判断をなされているのか。
 本員がいま指摘申し上げましたこの2点というのは、地主にいたしまして2400名と言われ、約300万坪にも及ぶ旧日本軍用地の旧地主への返還運動に対し県みずからが水を差すようなものでございまして、私は行政的な配慮が大きく欠けておると思います。
 私どもはこの返還運動に関しましていささかも国に口実のようなものを与えてはならないはずです。知事、この問題に関して私は知事の政治的な配慮が必要と思いますが、知事の所見を承りたいと思います。
 次に、行政ミスについて。
 浦添高校前から字沢岻に通ずる市道33号線が国道330号線工事のために東西に切り落とされ、陸橋が架設されました。陸橋の橋台工事中に昭和45年7月と12月の2回にわたって市道33号線をはさむ陸橋東側の土地が地すべりを起こし、浦添市字沢岻185番地玉城弘さんほか3名の土地約1000坪に被害が及んでおります。
 そのため当時植えつけ中のキビは土砂の下敷きになり、県が応急措置といたしまして表土を除去したためにキビが全滅するし、表土が除去されたため農耕の継続も以後不可能となりまして、土地の筆界すらも不明になっております。
 そこで、被害地主は自治会長連名で昭和47年9月16日中部土木事務所受付414号の文書をもってキビの立毛補償といわゆる得べかりし利益――休耕補償を県に求めるとともに地すべりの予防措置、そして農地としての還元、あるいは筆界の確定、工事により遮断された農道の取りかえなどを陳情いたしております。
 ところが事故後6カ年も経過しておるのに、応急措置として表土の除去と転落の危険な岩石の爆破をしただけで、被害地主の陳情、賠償請求には全くナシのつぶてで、具体的な対応を示しておりません。
 また、陳情者に対し何ら通知、回答の処理もなされておりません。このことは明らかに沖縄県陳情処理規程にも反する重要な私は行政ミスだと受けとめております。そして、怠慢と言われても弁解の余地はないはずでございます。
 そこでお伺いいたしますが、知事あての陳情でございますので、陳情の処理規程の定めるところによりその経路を経て土木部長、知事にも陳情は到達しているはずでございます。土木部長並びに知事に陳情が到達したのはいつか。6年後の現在に至るまで陳情者に何らの通知、回答もなされておらず、陳情内容も実現されないまま放置された理由は何であるか、明快にお答えを願います。
 また、この損害賠償請求と陳情は他の一般陳情と異なりまして県の行為に起因するものでございます。いわば県の不法行為によって起こした損害でございまして、迅速かつ十分な補償がなされてしかるべきと思量いたしますが、このことに対し知事はどのように対処していかれるお考えでございますか。
 それからわが党の代表質問に関連いたしまして教育長にお伺いをいたします。
 犯罪を起こした教員の処分について、私は大変ゆゆしい問題だと受けとめております。特に、次の2点において納得がいかない処分と言わねばなりません。
 第1に、今度の教育庁の処分は、教育の目的を大きく逸脱したものであるということでございます。罪を犯した本人を保護する余りに、教育を受ける生徒の将来を見失ったいわゆる処分でございます。余りにも私情をはさみ過ぎた処分であるということです。子供は教師の鏡とも言われます。学校は単なる知育の場ではございません。子供たちの全人格的な啓発の場でございます。
 そういった中におきまして、人を殺そうとして傷害を起こし、物を盗んだ先生が再び教壇に立って、暴力はやめろ、人の物は取るなと、一体どういった口からそういったことが教育できるとお考えなのか。
 もう1つは、こういった事件に関しましてこのたびの処分は前例になりかねないのであります。過去このような事件が何件あったのか、どのような処分をしてこられたのか、今後こういった傷害事件を起こしても、あるいはまた人の物を取ってもやはり一定期間の停職で終わらせるつもりなのか。それで本当に教育の正常化、非行少年の防止、健全育成というのが図られるかどうか、本員は憤りさえ感じます。
 教育長の再度の御答弁をお願いいたします。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの御質問にお答えします。
 お説のとおり、住宅建設が非常におくれております。失業雇用の問題とも関連して非常に重要な問題だと受けとめております。就任してこの状況を聞きましたところ、他府県では国からの割り当てに対して県が3、市町村が7の割合であるなら、沖縄ではこれが逆になっておるようであります。なぜそのようになっておるかと。やはりもちろん場所の問題もありますが、この住宅建設に伴う付帯施設をするための地方財政がそれを受け入れに困難である、こういう実情にあるというので、私が就任してからも市町村長さん方のお集まりもお願いして、ぜひこの件を促進してもらうようにお願いをいたしておりますが、なお関係部にしてもただ困難だというわけじゃなくして、具体的にもっと検討を進めて、早目にこれが施行するように一段の工夫、努力を言いつけておるところであります。
 なお、動物検疫所の土地の問題に関しましては、これはずっと以前に最高裁の結審は終わっておるようでありますが、これのいきさつについてあらまししか聞いておりませんので、詳しい関係部長からこれまでのいきさつを含めて報告させたいと思っております。
 なお、最後の陳情でありますが、事務手続がまずかったかどうか知りませんが、またいつその陳情がなされたかわかりませんが、きょう現在その陳情を見ておりませんので、詳しく検討したいと思っております。
○比嘉 昇君 議長、休憩願います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後2時30分休憩
   午後2時32分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの再度にわたる御質問のとおり、知事の答弁を求められておるのでありますが、その前に関係部長から詳しく私が答弁できるようなところまできておりませんので、詳しい関係部長から答弁させたいと思っております。
 なお、先ほどの陳情の件でありますが、聞きましたところいま御意見のとおりずっと前に出された陳情でありますが、私が就任してからは私のところに来ておりませんので、これもやはり関係部長でしか答弁できないのであります。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 国道330号線の用地に嘉数和雄さんのつぶれ地の問題についてでありますが、この問題について先日来いろいろ調査しておるところでありますが、現在まで売買契約書とか金の支払いの書類はまだ確認されていませんが、しかしながら登記は完了しておりまして、その辺について現在いろいろ調査している段階であります。
 それから330号線のつぶれ地の未処理の分でありますが、現在件数にして25件、筆数にして34件あります。そういうのは主に相続関係とかあるいは地籍の未確定等のために現在整理しているのが未処理になっております。現在その処理は急いでおります。
 それから行政ミスについてでありますが、御指摘のとおり昭和47年9月の14日付で出されておりますが、それについて経過を申し上げますと、琉球政府が1969年の工事としてそのときの政府道41号線――現在の330号線でありますが、41号線の内間―大平間の道路工事の施工中、浦添市沢岻樋川下原1486番地付近で地すべりを起こし、関係人4人の土地に影響を与えております。その後、47年9月14日付で関係地主4名から、キビ作の補償とかつぶれ地、岩石の除去等地すべりの防止の実施、地すべり地の境界の設定、農道の設置等の要求がありましたが、この要請を受けて中部土木事務所としては口頭で本庁に報告いたしまして、関係地主とは地すべり地を道路用地として買い上げる方法なども含めていろいろ話し合いを持ったようでありますが折り合いがつかず、キビ作の補償については作付面積の確認ができないため補償額の算定ができず未処理になっております。
 それから岩石の除去、地すべり防止については一応実施しております。
 境界の設定などは未処理になっております。
 農道の設置については設置するよう道路用地等もすでに買い上げておりますが、その時点では地すべりが安定してなかったため設置ができなかったため未処理になっております。
 というように、関係人と協議が成立しないため未処理のまま保留になっているのが現状でありますが、そういうことは事情はどうであれ関係人の要求を未処理のまま長い間保留するということはきわめて好ましくないことでありまして、今後関係人とも十分調整をいたして早急に解決を図っていきたいと思っております。
 この陳情書は二、三日前中部土木事務所からコピーをもらいましたが、原文はまだ届いておりません。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) 古波蔵にある動物検疫所の敷地の返還についてでございますが、これについては昭和45年から50年にかけて第1審、第2審、第3審まで続いておりますが、これは結局は被告である沖縄県が勝訴となっておるわけでございます。
 この土地について、赤嶺新喜氏が先祖伝来の土地だという主張に対して争ってきたわけでございますが、いま比嘉議員はその赤嶺新喜氏の所有権を裁判は認めたということをおっしゃっておりますが、第1審の判決にもありますとおり、お読みになれば明確におわかりのことだと思います。その中には、いろいろと各証人等の証言がありまして、その後の結びで、以上の認定判断を左右する事実を肯認するに足りる証拠はないということを明確に出されております。事実を肯認するに足りる証拠はないということをはっきりしておりますので、それを踏まえて話を進めさせていただきたいと思います。
 ところで、国家総動員法やあるいは時効の援用を持ち出して土地返還を拒んだと、今後の旧日本軍用地の返還要求について、一体水を差すものじゃないのかというような御質問の趣旨かと思います。
 まず、国家総動員法についてでございますが、国家総動員法を持ち出した理由は、次のとおりでございます。
 本件公判において県は、本件土地は国家総動員法第13条第3項の規定により収用されたと主張したわけでございますが、これは1968年7月、琉球政府が旧日本軍に買い上げられた土地の調査を行った際、原告赤嶺氏が那覇市長に対し本件土地を昭和18年10月に買い上げられた旨の申告をして那覇市長から1968年8月、その報告があったため、そういう事実があれば原告赤嶺氏には所有権はないということになり、県はそういう意味で前記主張をした次第であるわけです。県が積極的に本件土地を総動員法により収用したわけではございません。
 原告赤嶺氏は、前記那覇市長への申告について口頭弁論において否定しているのでございますので、結果としては、本件土地に対する総動員法の適用の有無は県としては積極的にとる立場になかったわけでございます。
 ところで、原告、被告ともそれぞれ証人の伝聞によって真の法律関係、所有関係が認定できなかったわけでございます。認定するに足りる証拠はいずれもなかったわけでございます。
 県がこの土地を譲り受けたのは、比嘉議員も御指摘のとおり昭和18年の10月に沖縄県畜産組合連合会から譲り受けたということに伝聞ではなっております。ただ、その沖縄県畜産組合連合会がその赤嶺新喜氏の父親である赤嶺新三氏からどのような譲渡を受けたかということも不明でありますし、証拠が出てきておりません。ですから、いずれも沖縄県にしてもまた原告側としても、それだけ所有権の認定するに足りるような証拠が出てこないわけでございまして、ところが私どもとしては、ずっと琉球政府時代からこの土地が沖縄県の土地だということで引き継いできているわけでございます。
 その経緯を申し上げますと、まず琉球政府の前身である沖縄民政府は、昭和23年動物検疫所を設置し、本件土地の占有を開始しております。その後昭和25年からは沖縄群島政府、昭和26年からは琉球臨時中央政府、昭和27年からは琉球政府が順次占有承継し、復帰によって沖縄県へ継承し現在に至っているわけでございますが、その以前において1951年米国民政府布告第8号に基づく所有権認定手続において、本件土地は当時の字及び市町村に置かれた土地所有権認定委員会によって沖縄県有地として認定されております。
 その認定に当たって縦覧期間を設置したわけでございますが、その期間内においてだれからも、何人からも異議の申し立てがなかったということになっております。それで沖縄県有地だと委員会で認定されたいきさつがあるわけでございます。
 そのようないきさつを踏まえておりますので、個人の土地を県が理由もなしに占有しているわけではございませんが、いずれにしてもこれについて結局は最後は、被告の沖縄県の弁護士としては訴訟上の防御方法として時効の援用を用いているわけでございます。ですから時効の援用によって勝訴になっているわけでございますが、これはあくまでも予備的な手段であって、時効の援用によって勝訴をしております。
 ところで、今後旧日本軍のその用地を返還するに当たって県はどのような態度をとるべきかということでございますが、この本件の場合と旧日本軍用地の問題は性質が、内容が違うんじゃないかというふうに考えております。
 これは元私有地から国有地となったいきさつと、県有地となったいきさつが異なるところから、これは別個の問題として私どもは取り扱っていいと考えております。
 すなわち旧日本軍が接収した土地については、その手段方法が一方的、強制的で、元地主の同意するところがなかったということ。
 次は、またはやむなく同意したにしても、土地代の支払いはもちろんのこと、建物や作物の撤去補償が完全にされてないということ。
 それから接収した土地については、戦争が終結したら元の地主に返還するとの約束がなされており、その約束は守られなければならないものであるということ。それから昭和23年から26年ごろにかけての土地所有権認定の際には当該土地については、元地主の認定請求の道が閉ざされていた形跡があるという、こういった内容を持っております。
 それからいま問題にしている土地については、伝聞によれば、元地主から昭和17年から昭和18年ごろにかけて沖縄県畜産組合連合会が譲り受け、さらに昭和18年10月には沖縄県畜産組合連合会から県に譲渡されているということ。
 それから昭和23年ごろの土地所有権認定の際には、県有地として県から認定請求をなして、当時の土地委員会において県有地として認定されているということ。
 また当該土地については、元地主から土地所有権認定請求はなされてないということ。
 以上の内容からこの2つの問題については、やはり別個に取り扱っていきますので、おっしゃるような自家撞着に陥らないというふうに理解しております。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 復帰後の教職員の懲戒につきましては、交通事故関係として数件ありましたが、この種の事件については初めてでございます。
 そこで、今回の処分後の処置については前にもお答え申し上げましたが、1人については辞表が出ておりますので退職の処置をいたします。他の1人につきましては、市町村教育委員会の内申を待ちますが、再び教壇に立てないような処置を考えております。
 今後の処置についてでございますが、今後の教職員の非行に対する処置についてはケース・バイ・ケースで厳正に対処していきたいと考えております。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 比嘉 昇君。
   〔比嘉 昇君登壇〕
○比嘉 昇君 休憩願います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後2時50分休憩
   午後2時53分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
○比嘉 昇君 裁判の訴訟上です、ある土地がある時期においてある人の土地だということが証明された場合に、この土地を、いや自分のものだという人は、これを証明せんといかぬわけです。
 たとえば、赤嶺という人からおれが買ったんだとかあるいは国家総動員法によってこれを所有権を取得したと県が主張するとなれば、これを証明せんといかぬわけです。
 ところが、原審の判決ではこれを証明することができなかった。ところが県が時効を持ち出してきたために、すべての主張で退けられながら時効の援用によって県の所有になったということなんです。
 そして、この時効の援用というのはどういったことかというと、たとえあなたから金を借りてはおってももう10年間経過したから払わなくてもいいんだと。もともとあんたの土地ではあるけれども、君は文句言わずに20年間経過したからあるいは10年間経過したから、あんたに返さなくてもいいんだと、こういうふうなことだということですよ。この論法でいくならば旧日本軍が接収した土地についても、もし国が時効を主張するようなこのような口実を与えてしまうと、大きなこれはこの運動に水を差すということなんです。しかも一方では国家総動員法というものは認めるわけにはいかない、あるいはたとえ民法上の売買であってもその当時の状況から、県としてはこれは正常な売買とは認めない。そういった立場から強力に旧軍用地の返還というものを求めていくんだと、そういった舌の根も乾かないうちからよくもそんなことが言えますか。
 それから損害賠償の問題と用地補償の問題でございますけれども、事件が発生してから7カ年もあるいは6カ年もたっておる。そして本員がこの問題を通告してから、5日が経過いたしております。
 その間にいろいろと調査されてもない。このようなことで一体県の公文書の管理というのはどうなっているのか。これじゃですね、行政事務の能率が上がるはずはございません。
 またたくさん答弁漏れもございますけれども、過去私どもは4カ年間にわたって県の違法、不当あるいは条例違反あるいはもろもろの規程違反というものを取り上げてまいりました。
 その都度、復帰後の沖縄県政に移行しまして、県政事務になれてないからというふうなことを言われました。ところが、5年後の今日に至るまでこの法律違反あるいは不当事項というものは、一向に後を絶ちません。
 したがいまして、私はこれは県職員の皆さん方がふなれというよりも、もっとほかに大きな要因があると思うわけでございます。余りにも皆さん方は、ルーズな行政運営をやっておるということ。
 例を申し上げましょう。沖縄県には、沖縄県の名札佩用規程というのがございます。県章の佩用規程というのがございます。
 皆さん、県職員のはずです。この佩用規程は全部廃止になったんですか。だれ一人として名札を佩用している者がないし、県章を佩用している者もいない。規程はあってもなきがごとしである。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後2時57分休憩
   午後3時0分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 最高裁の判決が下った以上、行政の最高の責任者として政治判断によってこれを覆すわけにはいくまいと思っております。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後3時1分休憩
   午後3時22分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
○比嘉 昇君 議長、休憩願います。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後3時23分休憩
   午後3時27分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 その分だけの答弁を許します。
 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺武次君登壇〕
○総務部長(赤嶺武次君) それじゃ、まず先刻の比嘉議員の質問の中で、私の舌足らずな点もありましたので、もう1度読み上げてその本意を説明したいと思います。
 前略しますが、「訴外赤嶺新三は、戦前、本件甲地を所有していたものと認められる」。次に、「訴外金城宇芝は、戦前、本件乙地を所有していたものと認められる。以上の認定判断を左右する事実を肯認するに足りる証拠はない。」というようなことを、私は読み上げております。
 この意味は、結局は所有を認められるということでありますが、これを打ち消すだけの否定するだけの証拠はありませんということです。
○議長(知花英夫君) 次の一般質問の順位は盛島明秀君になっておりますが、本日同君から、病気のため欠席する旨の届け出がありましたので、会議規則第49条第5項の規定により、発言通告はその効力を失います。
 よって、質問順位を繰り上げることにいたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 与那覇寛長君。
   〔与那覇寛長君登壇〕
○与那覇寛長君 農業問題について質問したいと思います。
 アオドウガネがサトウキビに被害を与え、宮古で問題になったのは一昨年からでありますが、ことしは異常発生して被害面積は700町歩に達し、その被害は1.5割ないし2割に達するのではないかと心配されています。
 さきには台風と干ばつに見舞われ、いままたアオドウガネにむしばまれつつある農民は、途方に暮れため息をつくばかりであります。
 アオドウガネは、これまでの研究では12月に入ればサナギになり、その活動は停止すると言われていましたが、12月中旬を過ぎたいまでも、サナギになるどころか旺盛な活動を続けています。
 アオドウガネの生態は、まだはっきりしていないようであります。戦前からいたのではないかと思いますが、なぜこの二、三カ年キビに飛びついたのか、なぜ異常発生したのか、天敵は何か、どのような土壌に多く発生するのか、抜本的対策をも含めて今後の研究にまたねばなりませんが、現在起こっているこの異常現象に対しては緊急に応急措置をしなければなりません。
 県は、さきに植えつけ前の防除費として1200万円に500万円を上積みして措置し、サトウキビ合理化緊急対策費7000万円も農林省の許可を受けて支出し、農薬バイジェトをかん注方式によって試みています。
 それにはそれ相応の効果はあったと思いますが、バイジェトは地下水を汚染する危険性があるのでその使用には限界があります。
 それで私の考えでは、成虫になる5月の初旬ごろに集中的に駆除した方が効果的ではないかと思いますが、どうでしょうか。
 コガネムシは成虫になって四、五日で産卵しますので、産卵しない前に早急に駆除しなければなりません。そのためにはいまから計画を立てて準備する必要があります。
 行政はいつでも後手後手と往々にしておくれがちでありますので、今度は発生と同時に農民の先手を打って駆除しなければならないと思いますが、やる自信と体制はできているかどうか、またどんな方法を計画しておられるかお伺いいたします。
 宮古の各市町村は、ことしの発生時には1600万円の自己資金を繰り出して3万2000キロの成虫を駆除しております。
 キビ代値上げには消極的な農林省も、病害虫補助には積極的だと聞いておりますが、農林省に幾ら要求されましたか、その見通しはどうかお尋ねいたします。
 私は、9月の定例会において農民の知恵に学べということを申し上げましたが、病害虫の駆除は農民の知恵だけではどうにもなりません。学者や専門家の研究に期待するほかはありません。
 現にいま久米島で試験中の世界最初の試みであるウリミバエ不妊雄放飼法にしても、県試験場の伊藤博士を中心とした研究グループで開発されております。
 今後沖縄の病害虫は多様化、多発の傾向にあります。この病害虫の駆除対策は、農薬の研究もさることながら、自然を全体としてとらえる生態学にまたなければなりません。
 したがって、今後の研究は県試験場と密接な提携を保ちつつ、琉大に委託したり、本土の学者を招聘するなりして、生態の究明に全力を尽くさなければならないと思うが、その点どう考えておられるかお答え願います。
 病害虫と関連して申し上げたいことは、新品種の育成であります。
 現在、普及しているアフリカ原産NCO310号は台湾から導入して10年以上も経過しておりますので、老朽化し、生産性も低下し、病害虫ことに黒穂病に弱く新品種との交替の必要性が議会でも指摘されたこともありますが、幸いに今回新品種が試験場で栽培されているという答弁もありましたが、試験の結果、将来性についてお伺いいたします。
 これまでのキビの品種は大抵外国から導入されておりましたが、今度の新品種RK65―37は県試験場で開発されたようで、その将来に期待したいと思います。
 次は、来間製糖でありますけれども、来間製糖は累積赤字とキビ減収のため生産者とも話し合った結果、ことしの操業を中止することに決めました。
 生産者はやむを得ないとしながらも、キビの処理に心配しています。しょせん沖縄製糖が処理しなければなりませんが、それには海上輸送という困難な問題が伴うので頭を痛めています。
 来間島のキビは当初1600トンを予想していましたが、被害がはなはだしかったため、現在4割減の1000トンしか見込まれておりません。
 1000トンを輸送するにも最低500万円はかかります。この輸送費は絶対に生産者に負担させてはなりませんが、県はどのような措置を講じておられるかお伺いいたします。
 今度のサトウキビ生産価格は、県民の最低要求2万2000円を裏切って1万7100円に抑えられました。
 昨年もそうでしたが、ことしも北海道のビートとの差が100円しか違いません。ビートの価格プラス100円が今後の沖縄のサトウキビの価格として決定されるかと思うと、何だかばかにされたような気がします。
 一体農林省の役人は、沖縄のサトウキビを沖縄の基幹作目として認識しているだろうか疑いたくなるのであります。
 北海道なら、ビートがだめならジャガイモがあるさ、ジャガイモがだめなら大豆があるさと言えるかもしれませんが、沖縄はキビがだめなら借金赤字があるさと言うほかはありません。
 社会党は、一昨年キビ価格を生産者所得方式に改めるべく糖安法の改正案を議会に提出いたしましたが、時間切れで廃案になりました。
 今度の総選挙の結果、保革伯仲になりましたので、糖安法改正の可能性も出てまいりました。
 さきに中央審議会でも、糖安法改正は全会一致で可決になりました。
 来春早々は甘味資源を守る全国共闘会議が開催されますので、これらの機関と相呼応して糖安法改正の一大キャンペーンを展開する必要があると思いますが、部長の御見解を承ります。
 サトウキビが台風、干ばつ、病害虫の被害を受けて衰退していく中で、これらの悪条件の間をくぐり抜け太陽エネルギーと沖縄の風土を利用して、時代の脚光を浴びながら育ちつつあるのが石川のミカン、知念のインゲン、宮古の葉たばこ、養蚕であります。しかし、この新しい産業も順風に帆をはらませて進んでいるわけではありません。その針路を阻んでいるのが輸送費であります。
 この新しい産業に限らず、一般農民はいま企業体制下の大きな矛盾を感じつつあります。すなわち農民が買う肥料、飼料、機械等の輸送費は価格に転化されているが、農民が売る生産物の輸送費は価格から減額される。この矛盾を農民ははだで感じているのであります。企業には、自己の製品の価格を操作する自由はあるが、農民には自己の生産物の価格を操作する自由はない。これが、彼らの言う自由社会の自由の実態であります。
 県は、この企業体制下の矛盾、農民の悩みをこれまでどのようにして解決してこられたか、また今後どのように解決なされようとしておられるかお尋ねいたします。
 次は、医療行政であります。
 復帰後の医療行政は、いろいろ曲折もありましたが、無医村の解消、中部病院を初め各県立病院の改築整備、医師、看護婦の確保等、相当の努力が払われたことを多とするものであります。来年3月、任期が切れる4人の韓国医師の後任もめどがつき、伊良部の2人の医師も確保され、残る大きな仕事は八重山病院の移転改築等であります。
 八重山病院の移転改築は53年度から着手されるとのことですが、敷地、予算措置はどうなっているかお伺いいたします。
 宮古病院は、去る9月に竣工し、内容も充実し郡民から喜ばれています。目下環境整備中ですが、旧病棟の跡地利用はどうなっているかお尋ねいたします。
 なぜ、私がこのような質問をするかと申しますと、今後都市づくりにせよ、県営住宅にせよ、病院にせよ、どこに緑地を設置するかということを、建物と同じ比重で考えねばならないと思うからであります。
 次は、教育問題。
 子供たちは、授業中に思わず手をたたいて喜ぶ場合があります。それはどんな場合かと申しますと、相手をテストで打ち負かした場合ではなく、自分の力で問題を解決した場合であります。子供たちは、大人たちが想像しているよりもっと強烈な知的要求、すなわち自分の力で問題を解決しようとする潜在的な力を持っております。この潜在力を発見し、それを引き出すことを忘れてテスト、テストで子供たちを追い回すところに現代の教育荒廃の一因があるのではないかと考えます。
 最近、エリート官僚はよく自殺をします。この夏もアメリカから帰ったばかりの若い大蔵省の官僚が、ビルから飛び降りて自殺をしました。その原因について朝日新聞は、現代のエリートというものは、マルをつけたりバツをつけたりするアチーブテストには強いかもしれないが、自分の力で問題を解決する力は弱い。それで困難な問題にぶつかるとどうしていいかわからなくなって、自殺の道を選ぶのだろうという意味のことを書いてありました。やはり学力というものは、知識の寄せ集めではなく、問題を解決する力だと思うのであります。
 大人は、相手に勝ったときに万歳を叫びます。すなわち、競争が大人の論理であります。子供は自分の力で問題を解決したときに万歳を叫びます。すなわち、知的欲求が子供の論理であります。もし、この大人の論理を子供の論理にすりかえることがあったら、せっかくつくった学習対策委員会もとんでもない方向に行くのではないか、これは私の私見でありますので間違っているかもしれません。間違っておれば後で教えていただくことにしまして、ここでは問題提起にとどめて次の質問をしたいと思います。
 来年度の勧奨退職者の数、新採用予定者数、現在の登録者数をお知らせ願います。なお、勧奨年齢に達しない者で退職希望者に待遇をよくし、希望に沿うような措置はできないものか。みなす退職者の特別措置の見通しはどうか、あわせてお願いいたします。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) お答えいたします。
 第1問の病害虫の防除の件でありますが、お説のとおり農薬のみに頼ることなく生態学的立場から十分配慮すべきじゃないとこういうお説でありますが、そのとおりだと考えております。
 今回の異常発生については、地元代表の方から陳情を受けまして、早速関係部長を呼んで予算措置もして早目に対策を講ずるよう指示いたしましたので、その具体的内容その他については関係部長から答弁させることにいたします。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 アオドウガネが異常発生いたしまして、宮古では非常に農家が困っているのは確かに御指摘のとおりでございまして、この対策といたしまして県としては次のようなことを考えております。
 まず、成虫の予防とそれから幼虫の駆除がございますけれども、やはり成虫を駆除することが一番いいのではないかというふうに考えております。
 そういったことで、5月の防除体制につきましては関係機関とも協議いたしました結果、いわゆる誘殺灯、これは部落やあるいは森林原野、こういったアオドウガネが寄りやすいところにこれをできるだけ多く設置したいということでございます。
 次に、薬剤による防除でございますが、スミチオン乳剤を地上及び航空機によって防除するということでございます。
 それから幼虫の防除対策といたしましては、植えつけ前の土壌処理、それから立毛処理をバイジェト、こういった液でかん注処理をしたいというふうに考えております。
 それからこのアオドウガネがいわゆるまだ生態学的に十分研究されていないので、これらをその専門家に委託研究させてはどうかということでございますが、確かに御指摘のとおりでございまして、これにつきましては、現在県の農業試験場に世界的に生態学の権威者である伊藤博士がおられますので、この方にその生態学的な研究をしてもらっているわけでございますが、琉球大学ともタイアップし、また必要であれば他の大学等ともタイアップいたしましてその研究をしていきたいと、かように考えております。
 それからアオドウガネの防除費でございますが、51年度は1515万円でございますが、52年度は約2500万円を要求をしております。
 それからキビの新品種でございますが、去る10月4日に沖縄の新しい品種IRK67―1、RK65―37を奨励品種として設定をしております。両品種ともNCO310に比べて収量は大体同程度でございますが、耐病性が強いと、特に黒穂病に強いということでございます。県としても積極的に普及奨励したいと、かように考えております。
 それから来間製糖の問題でございますが、確かに干ばつあるいは原料不足等で来間製糖が今期の操業を取りやめるということはまことに残念でございますが、事情はやむを得ませんので、県といたしましては宮古本島の沖縄製糖株式会社に原料を搬入するということで現在話を進めております。その際、輸送費が400万から500万かかるわけでございますが、それにつきましては沖縄製糖の負担にならないように現在関係者と調整をしているところでございます。
 それから砂糖の価格安定に関する問題でございますが、従来もサトウキビの価格につきましては沖縄県の県ぐるみで生産費及び所得補償方式で要請をしてまいったわけでございますが、今後ともその方向で進んでまいりたいというふうに考えております。
 それから輸送費の件でございますが、サトウキビ原料の売買における告示価格は、サトウキビの生産された圃場に最も接近した集荷場所において受け渡しが行われる場合の価格でございまして、輸送費については、価格安定事業の沖縄産糖の買い入れ価格の中に製造コストとして勘案されておりますから、県といたしましては製糖工場に対し適正な取引が行われるよう指導しておりますし、今後ともそのように指導していきたいとかように考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) ちょっと答弁の訂正をさせていただきます。
 先ほど申し上げました来間島の輸送費の問題でございますが、沖縄製糖もあるいはまた農民も負担のかからないような方向で努力したいということでございます。
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) 答弁いたします。
 まず、県立八重山病院の移築建築の年次計画を申し上げます。
 51年度――今年度でございますが、建築用地の取得、これを企業債によって現在申請中でございます。候補地は、一応石垣市字大川長間731番地の面積およそ2000平米でございます。この土地に関する農地転用は、農地法第4条1項6の省令の第5条1項10号によって、県知事に対し届け出だけでよいようになっております。
 52年度には基本設計及び実施設計並びに用地造成、これをやる予定で予算の準備をやっております。そして53年度で工事着工、もちろんこれは国庫を得た上でのことでございますが、54年度で工事完了というふうなことになっておりまして、大体規模が200床、そして鉄筋コンクリートづくりで、病院本館が7000平米、医師、看護婦住宅が671平米ということになっております。
 次は、宮古病院の跡地並びにその他の土地についての造園に関する御質問でございましたが、造園につきましては、今年度すなわち51年度で3000万円で基本的な造成を行い、そして植樹、すなわち緑化につきましては地元の協力を得て整備していく予定でございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 与那覇議員の御質問にお答えいたしますが、御質問の内容は4点だったと記憶いたしております。
 その1点は、昭和51年度に勧奨を予定しておる人員は何名かということでございますが、96名でございます。これは小学校が57名、中学校17名、高等学校20名、特殊学校2名で96名でございます。
 それから2点目は、昭和52学年度の新規採用は幾らを予定をしておるかということでございますが、総数で――これは推計でございますけれども――289名を予定いたしております。その内訳は、小学校154名、中高校で120名、特殊学校で5名で289名。
 勧奨年齢の引き下げについては考えていないかという御質問でございますが、現行の勧奨退職の実施要綱が満60歳に達した時点で勧奨ができるようになっておりますが、教育庁といたしましては、年々増加してくる新卒の若い教員を現場に迎えるためにはどうしてもこの面を考えなければいけないというふうなことで、勧奨年齢の幅を拡大いたしまして55歳以上の者でも退職を希望する者は勧奨ができるように勧奨退職の実施要綱、これの一部改正をお願いいたしまして新規採用を促進するとともに人事の刷新を図っていきたいと、そのように考えております。
 それからもう1点は、みなし退職者の取り扱いについてどうなっておるかということでございますが、通算辞退した者のこの特別措置の期限は52年5月14日で切れます。その後に該当する者があと81名ございますので、教育庁といたしましては復帰特別措置の延長を国に要請いたしまして、これまで数回にわたりまして文部省や開発庁、関係省庁に要請してまいりましたが、現在総理府の人事局におきまして検討中でございます。
 一応事務段階では単純延長、現在のものをそのまま延長するような形で一応事務段階での審査は終わっておるようでございますが、近く最終的な決定がなされるんじゃないかと期待をしておるわけでございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 以上で、本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明18日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、決定次第通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後3時54分散会

 
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