昭和53年(1978年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 3月 4日
第 3号  3月 4日
 

議事の概要
     昭和53年3月4日 (土曜日) 
       午前10時1分開議
日程第1 代表質問
    1 嵩原 久男君(社大党)
    2 友寄 信助君(社会党)
    3 上原亀一郎君(共産党)
    4 友利 栄吉君(公明党)
    5 吉田 光正君(革新クラブ)
    6 金城  宏君(県政会)
       午後5時40分散会
 
○議長(知花英夫君) これより、本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた公安委員会委員長波平憲祐君は、別用務のため本日及び3月7日の会議に出席できない旨の届け出がありました。
 よって、その代理として本日の会議に公安委員会委員天願俊貞君、3月7日の会議に同比嘉利盛君の出席を求めました。
○議長(知花英夫君) 日程第1 代表質問を行います。
 質問の通告がありますので、順次発言を許します。
 嵩原久男君。
   〔嵩原久男君登壇〕
○嵩原久男君 ただいまから、沖縄社会大衆党所属議員を代表いたしまして質問を行います。
 平良知事は、昭和53年2月、沖縄県議会における知事提案事項説明の中で、「世界はいま不況の嵐に包まれ、わが国も見通しの立たない構造不況に陥っていると言われております。」。そのためわが県も不況の真っただ中にあり、倒産が相次ぎ、深刻な失業問題を抱えている状況にあります。「たとえ現下の情勢が厳しく、深刻な諸問題を抱えていても、われわれは英知を結集し、連帯感に徹し、事に当たれば、いかなる難関をも乗り越えることができると確信いたします。」と、厳しい情勢に対処する基本姿勢を明らかにされました。この基本姿勢にのっとって、県政運営の重点施策を発表されました。われわれはこの施策が県民の理解の上に立って、実りあるものとするために全面的に協力をする立場から質問を行います。
 最近の沖縄の経済がきわめて厳しい情勢下にあることは周知のとおりであります。すなわち海洋博後の経済落ち込みは長期不況の様相を呈し、企業の倒産や失業が相次ぎ、緊急な対策が要請されております。知事はこの時代的要請にこたえまして、本年昭和52年度の県経済については、県政運営の基本を公共事業の拡大強化、農林事業の重点的振興、地場産業、観光産業の積極的推進に置き、県内の需要を醸成し、雇用情勢の緩和と不況からの脱却を意図され、そうして経済成長率を4.6%の伸びを予想されました。途中において大幅な円高ショックなど予期しない外的要因も発生しましたが、県当局の行政努力によって県経済の実質成長率はほぼ予定のとおり達成されるものと推定されております。
 ところで知事は、53年度も景気浮揚、雇用対策のための大型予算を編成され、53年度の県経済の見通しについては県民総生産の実質成長率は5%と見込んでおられます。沖縄経済は財政主導型であり、日本経済に左右されることは言うまでもありません。
 政府の53年度沖縄関係予算は総額2743億5600万  円、対前年比25%増の大型積極予算となっておりま す。しかし53年度の日本経済の見通しについては、政府は実質成長7%目標を設定いたしております。政府内部ですら6%成長にも非常な努力が必要であるとし、民間の研究機関ではほとんど4%の達成しか見込んでおらない状態であります。
 また、県内の民間研究機関である沖縄地域科学研究所の調べによりますというと、県経済の成長率がわずか実質1.2%増ということにとどまっております。こういった厳しい予測をいたしております。県経済見通しの1つのよりどころとなる国の経済成長について政府の見通しの甘さが早くも指摘されており、県内の民間研究機関による経済見通しも県の見通しとはかなりかけ離れておるようであります。それで5%成長率には確信があるのかどうか、当局の御答弁を得たいと思います。
 52年度の県経済の動向は、公共事業の集中執行、観光関連部門でその状況は回復の傾向を見せてきました。予算の前倒し執行、公共事業の前倒し発注もかけ声だけに終わり、その動きが出始めたのは9月に入ってからであります。9月の集中発注で国、県の公共事業は契約ベースで目標76.8%に対し75.3%の実績で一応目標は達成したように見えますが、執行ベースでは上期中21.2%になっており、実際の需要面への反映はきわめてわずかになっております。
 財政主導型の経済では、財政の量だけではなく、執行の時期、タイミングも景気の動向に大きく左右するものであります。53年度予算は、大型公共工事を中心とした景気浮揚を図る積極予算となっておりますが、その執行体制は52年度の反省に立ってどういうふうに改善するつもりであるか、当局の考え方をお伺いいたします。
 失業対策。
 52年度予算の公共事業前倒し策が効果をあらわし始めたことで咋年4月以来、9月まで7%台を続けてきたわが県の完全失業率は10月に6.6%、11月には6.2%、12月には5.1%となり、海洋博前の水準に戻っております。まだ完全失業者数は2万2000人を数え、完全失業率は全国平均の2倍となっております。しかも県労働商工部の調べによりますと、52年度末現在の公共事業への失業者吸収人員は延べ1343人で、前年同期の1466人に比べて123人も減っております。公共事業を大幅にふやしても、失業者の吸収率がふえない限り失業者は滞留するばかりであります。公共事業によって失業者をどう吸収するか、具体的な施策をお伺いいたしたい。
 さらに、公共事業に使う資材なども県産品の優先使用をし、可能な限り県内業者との契約を考慮し、県内景気の浮揚並びに雇用対策の寄与率を高める方策をとるべきと思います。この方策についてもお伺いしたいと思います。
 次は、地場産業の育成について。
 知事は、去年初めて沖縄の産業まつりを開催し、県民の県産品に対する理解と関心を深め、生産意欲をふるい立たせた成果は実に大きかったと思います。しかし、これは既存企業の振興と新しい産業に結びつけてこそ初めて実を結ぶものであります。地場産業育成のための情報収集及び行政指導、融資制度や補助金制度等の効率的かつ総合的運用がまだ行政部門に余地があるのではないかと思います。長期的経済不況や県外産品の攻勢に遭って、依然として厳しい状況に置かれておる地場産業の育成振興策をお尋ねいたします。
 次に、厚生行政のうちの社会福祉、社会保障の面についてお尋ねいたします。
 戦後わが国の憲法第25条に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、その第2項に「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、国民の生活権とこれに対する国の責任を明確にうたい、国の施策もすべてこの線に沿うて行われ、社会福祉、社会保障、保健医療の面において著しい進展を見せてきたのであります。
 わが沖縄は、戦後米軍占領支配のもとに置かれ、講和条約発効後もわれわれの意思によらずして本土から分断され、異民族の支配するところとなり、わが国の憲法の規定を受けることができませんでした。
 そこで当然のこととして、施政権を有する米国がその責任を負うて沖縄の社会福祉の前進のために努力すべきでありましたが、米国はその面に対する財政支出を怠り、本土政府も内政干渉のおそれありとして復帰前の数年間わずかに対策費あるいは援助費の形で財政支出を行っただけで、それ以外これという対策も講じてくれませんでした。ために、沖縄における社会福祉事業は戦後解決を要する多くの問題を抱えながら、関係者の涙ぐましい努力にもかかわらず大きく立ちおくれてしまいました。
 このように米国が施政権者としての責任を放棄し、本土政府も主権者としての任務を怠った結果として生じた大きい立ちおくれは県民にはかり知れない不利益をもたらし、老人福祉、児童福祉、保健医療の各部門においては永久に取り返しのつかないような問題を数多く残しております。
 ところでく人間尊重の理念に立ち福祉優先政策をモットーとする前屋良知事は、この4半世紀にわたるところの大きなブランクを埋め、さらにこれを発展させて明るい福祉社会建設のために懸命の努力を払われ、すばらしい成果を上げていただきましたが、その後を受け平良知事がいよいよ熱心に福祉政策を推進され、近年著しい進展を見ていることは周知のとおりであります。この点、平良知事及び執行部の皆さん方の努力に敬意を表するものであります。
 ともあれ、本県における社会福祉、社会保障、保健医療事業の本格的な進展は県民の正しい理解と協力のもとにまさにこれからという段階にあります。
 以上、これまで述べましたことを前提にいたしましてこれから質問と要望を行います。
 まず最初に、戦争並びに4半世紀にわたる異民族支配によってこうむった県民の犠牲と不利益に対する補償や格差是正のための政府支出については、思い切った最大限の要求を国にすることを強く要望いたしておきます。
 2番目に、昭和53年度予算は景気浮揚に重点を置いた大型予算となっており、特に公共事業の拡大がその特徴となっております。したがって県の一般財源のほとんどがその対応費に振り向けられ、そのために福祉関係予算にしわ寄せされるということを懸念している向きもございますが、福祉対策についてどういうふうな事情になっておるか。私たちは、福祉関係がいかなる事情があっても後退させてはいけないとこういう見解に立っております。昭和53年度予算で社会福祉の充実について、どのような配慮がなされているかお伺いいたします。
 次、社会福祉従事者の養成訓練について。
 社会福祉従事者は、一般事務以外の高い技術が必要とされております。社会福祉事業の発展のためには高い資質を有する従事者の養成が最も重要なこととされております。ところが本県の場合、現任者の資質向上のための研修などは本県の離島性にかんがみ、地理的条件のために本土の施設や研修の機会を利用するのに大きな制約があります。社会福祉施設の種類やその数の増加、対象者の処遇の高度化、あるいは住宅サービスの需要の増大などの問題に適切に対応していくのが困難な状況にありまして、社会福祉従事者の養成確保と研修体制の確立が急務とされております。県は、このことに対してどういう施策を講じておられますか。
 3番目、民間社会福祉事業の育成について。
 戦後この方、本県の民間社会福祉事業が、厳しい諸情勢の中で山積する福祉問題解決のために果たしてきた役割りはきわめて大きく、今後も社会福祉事業の発展のためには民間社会福祉事業の活発な活動が要請されるわけでございます。民間社会福祉事業の育成は、社会福祉事業の成否にかかわる重要な問題と言えましょう。
 思うに、本県の民間社会福祉事業は戦後、無の状態から発足し、しかも4半世紀に及ぶ施政権分離のため国の制度資金あるいは融資、各種の民間の助成資金の活用など他県が受けた施策の恩恵を受けることができず、厳しい環境の中で鋭意努力をしている現状に至っております。
 さらに本県の経済基盤の弱さ、宗教的風土の浅さから、企業や宗教活動を通ずる資金の援助にも他県に比べて大きな限界があります。したがって本県社会福祉事業の財政基盤は、歴史的、構造的な脆弱性を持っていると思います。沖縄群島政府や琉球政府は、民間社会福祉事業の持つ大きい意義とその財政基盤の弱さをよく理解し、これが育成強化について苦しい財政の中から本土以上の支出を行ってまいっております。県におかれても、本県の民間社会福祉事業の特殊的な事情を十分考慮され、単に他県並みの助成を行えばそれでいいというふうなことでなしに、特段の施策を講ずべ
きだとこういうふうに思量いたしております。民間社会福祉事業育成について県の施策をお尋ねいたします。
 次は、社会保険制度はわが国における社会保障制度の中で公的扶助、社会福祉、公衆衛生関係制度とともにその主軸をなしておると言われております。さらに社会保険制度の中で、国民健康保険と国民年金の制度がその主体となっております。
 さて、わが国では国民健康保険制度は被用者以外の一般国民を被保険者としてその傷病、出産、死亡に関して必要な給付を行う制度として昭和13年に創設されており、国民年金制度は自営業者、農民、零細企業従事者など他の公的年金制度の適用を受けない国民一般に対し老齢、廃疾、死亡の事故について給付を行い、生活安定を図ることを目的として昭和34年4月創設されております。
 本県は、国民生活を保障する上できわめて重要なこれらの制度が施政権を分離されたことによって4半世紀の間、その適用を受けることができませんでした。このことによる県民の損失ははかり知れないものがあったと言えましょう。
 ところで本県においては、国民健康保険制度は復帰と同時に発足し、国民年金制度は本土より9年おくれて実施を見ております。そして復帰と同時に本土の制度の中に包含されております。県は、これらの制度が県民の命と暮らしを守る上できわめて重要な制度であることにかんがみ、制度の発足のおくれによるところの県民の不利益や制度のつなぎに伴う救済の措置に万全の対策を講ぜられ、市町村とともに県民の理解のもとにりっぱな成果を上げておられることに対し敬意を表するものでありますが、御承知のとおり国民健康保険は老人や低所得者の加入者の占める割合がきわめて高く、一方医療費は毎年増高を続け、被保険者にとっては国民健康保険税または保険料の負担が急増しておる。
 長引く経済不況によって所得の伸びは鈍化し、被保険者の保険税、保険料の重圧感はきわめて大きいものがあります。さらに本年2月から平均9.6%の医療費の引き上げによって、被保険者の財政はますます窮迫するものと予想されています。
 こうした状況を踏まえて、県が苦しい財政の中から国民健康保険の葬祭費補助金及び離島町村に対する事務費の一部を補助する補助金を53年度予算に計上してあることは、知事が立ちおくれたこれらの制度の推進に寄せる熱意の一端を示すものと言えましょう。県当局の努力は十分承知しているところでありますが、立ちおくれたこの制度の推進のためにあえて次のことをお伺いいたします。
 今日は、医療、医術の進歩によって医療内容が高度化し、医療費も高額化する傾向があり、病気によっては月に100万円、200万円という治療費を要する事例も多々あるわけであります。医療保険における高額療養費支給制度はこうした事情を反映してできたものでありますが、患者としてはこの制度によって2ないし3ヵ月後に高額医療費の支給がされるわけでありますけれども、一部は自己負担金、すなわち国民健康保険でいえば3割負担金全額を医療機関に支払わなければならない。月10万円、30万円、あるいはそれ以上の医療費を一時的にしろ工面するということは、低所得者の多い国民健康保険の被保険者にとってきわめて困難なことであります。県の高額医療費貸付制度についての必要性、実施するとした場合に予想される時期はいつか、問題点はどこにあるかなどについて御見解を承りたい。また他都道府県の実施状況についてはどうか。
 2点、いまだにどの年金にも加入してない人が多数いると言われております。この人たちは、将来どの制度からも年金を支給されることはないのでありまして、県としても対象者としても大きな問題であります。県は、これらの未加入者に対して今日までどのような対策を講じてこられたか、また今後どういうふうに対処されるつもりであるか。
 3点目、年金に対する県民の期待と関心は逐年高まっていますが、年金受給者や被保険者が知りたいのは、自分が受ける年金額が幾らであるかということであります。ところが年金相談窓口では、直ちにそれを知ることはできないという状況にあって、不満や苦情が多いと聞いております。その対策についてお伺いいたします。
 4番目、社会保険庁――これは本土の社会保険庁でございます――は、年金業務を中央と各県にあるところの社会保険事務所をオンラインで結び、相談業務から裁定までの事務をそこで対処すると言っておるが、実施時期はいつごろの予定か。年金業務をオンライン化することでどういうふうな効果があるか。沖縄における年金受給者の状況はどうなっているか、以上年金についてお尋ねいたします。
 最後に要望申し上げます。
 年金制度はきわめてむずかしい法律から成っており、県民にとってはわかりにくい制度だと思います。それだけに行政当局の広報活動を強化し、周知徹底を図ることはきわめて重要なことと思います。広報活動には万全の努力をしていただきたいと要望いたします。
 次は、農林水産の振興についてお尋ねいたします。
 知事は、就任以来一貫して第1次産業である農林水産の振興に最大の関心を払い、かつそれを政策面で着々と行政に反映させ、具体的に予算の裏づけを実行によって推進し、大きな成果を上げておられることに対し敬意を表しますが、農業関係はもちろんのこと多くの県民がこの成果を認めております。
 昭和53年度予算において農林水産業費は372億余の計上で、前年度283億余に比べまして88億余の大幅な増加をし、増加率も31.4%として飛躍的な伸びを示しております。全予算に占める構成比でも15%台から次年度は16.6%台になり、知事を初め執行部の熱意と努力に対し、関係団体も大きな期待をしておるところであります。
 知事は、開会冒頭に説明された提案事項説明要旨の中で、「農業の安定的な発展を図るには、本県の自然的条件を生かした生産性の高い亜熱帯農業を確立するため、長期的展望に立った農業振興基本計画を策定し、農業の振興開発に必要な基礎条件を積極的に整備し、本県農業の体質を一段と強化することが最も肝要であります。」と、以上のように表明されました。
 本員は、まさにそのとおり同感であります。時宜に適した措置であり、関係者も重大な関心を持って注目いたしておると思います。
 「農は国の本」と言われ、世界各国とも国政の第1の重点政策として位置づけ、食糧の自給率アップに年々膨大な資金をつぎ込み、政策面でも国策としててこ入れをして発展させておるのは御承知のとおりであります。
 しかしわが国では、自由民主党政府の昭和30年中期から始められました高度経済成長政策の犠牲にされ、小農、零細農切り捨て御免、食糧の国際分業論なども背景といたして生まれました農業基本法によって農民はいじめられ、輸入農産物がはんらんし、自由化、関税引き下げなどによっては自然死の憂き目に遭った作物も続出し、麦、大豆、トウモロコシなどの穀類、米、野菜を除くほとんどの農産物が衰退の一途をたどり、離農者、出かせぎ者が相次ぎ、農業では飯の食えない世の中をつくり出し、今日の農業危機を招いたのであります。
 このような農業を取り巻く環境は厳しい状況で あればあるほど、わが県にとってはなおさら農業振興基本計画の策定は最重点の施策であると思量いたします。
 それでは、次の諸点についてお伺いいたします。
 政府の農業基本法と県の策定する基本計画の基本方針との間における主なる相違点、性格、目標、主なる内容についてお尋ねいたします。
 この基本計画は、どのような手続と経過を経て、いつごろめどとして決定され公表されるのですか。
 3点目、この基本計画と沖縄振興開発計画の位置づけとの関係並びに政府との関係、あるいは資金計画などについてお尋ねいたします。
 最後に、作成段階において農業者及び関係団体並びに県議会との関係について、どのような調整をされるおつもりでございますか。
 次は、教育問題についてお尋ねいたします。
 去る1月26日から29日までの4日間、教育研究全国集会が沖縄で開催されました。戦前戦後を通じて初めて開かれたこの沖縄大会は、本土から6000人、沖縄から2000人の教師が参加し、4日間沖縄全体が教研一色に塗りつぶされたような感じがいたしたのでございます。
 なお、両新聞が、その期間中大部分のスペースを割いて大会の模様を細大漏らさず報道したことも空前のことと言えましょう。
 真理、平和、人権の人類普遍の理想を高く掲げ、日本教育の進路と原則を明示した教育基本法を記念して開かれたこの大会が沖縄で開かれたということに対し、私は大きい歴史的な意義を感ずるものであります。
 それは27年間の異民族支配において、沖縄の教師たちが本土で風化されつつある憲法や基本法の原点を踏まえ、占領政策と闘い、復帰を実現したのであります。槙枝委員長はあいさつの中で、研究集会に参加された皆さんがこれを機会に沖縄の現実の痛みを実感され、沖縄復帰の偉業をいま一度問い直して、これからの平和の闘いの糧にしてほしいと述べておられます。このあいさつは、沖縄の教師の苦しい中での歴史的な闘いを端的に表現したものと解しております。
 この沖縄大会に対する私の関心の1つは、本土の教師たちが沖縄から何を学んだかということでありました。おそらく沖縄戦の悲惨、いまなお存在する膨大な基地、この沖縄の現実に痛みを感じたのではないでしょうか。
 東京のある教師は、言葉ではなかなか言いあらわせないのであるが、現地沖縄の軍事基地、CTSに見られる環境破壊を目の当たり見て、沖縄の教師の取り組みのいかに厳しい状況にあるをか肌で感じた。戦争を体験して育った者として、本当の意味での基地のない沖縄になってほしい。その闘いも、他府県の教師もともに手をつないでいかなくてはならないと述べております。本土の他の教師たちも、同じ考えを抱いて帰ったであろうと考えます。
 平和教育の分科会では、広島、長崎の原爆の悲惨さを通じての平和教育が行われているとの報告が各県から報告されておるのでありますが、沖縄戦、沖縄の基地を教材としているところの報告は1県もなかったようであります。本土では、やはり沖縄が認識されていない証拠でもありましょう。
 これを機会に、今後沖縄を教材とした平和教育が全国に広がることを期待するものでありますが、私がこの大会から学んだ1つは、地域に根差した教育をもっと推進しなければいけないということでありました。
 戦前の沖縄の教育は、いかにして本土に同化するかということでありました。その結果、沖縄は文化が低いものであり、これを軽視する思想は根強いものがありました。しかし復帰前から沖縄の文化を見直そうという機運が高まり、沖縄文化の特色が高く評価されました。この特色ある沖縄の文化が教育の現場におろされ、沖縄文化の誇りを子供たちに身につけさせる努力が今後されなければならないと思います。
 宮本憲一教授は、記念講演を「なんじの足元を掘れ ここに泉がある」と結んでおりますが、足元を掘ることが子供たちと地域を結びつけ、自信と誇りを持って郷土を愛し、そうして過疎化して崩れゆく村やふるさとを興す学力につながっていくことを、この大会から学びました。
 私は、これまで沖縄で開催されたこの教育集会の意義や、あるいは感じたことを申し述べたのでありますが、教育長はこの大会をどのように評価しておられるか御見解を伺いたい。
 最後に、戦後処理、復帰処理の問題についてお尋ねいたします。
 沖縄は、第2次世界大戦で最終の最激烈の戦場となり、壊滅的な戦禍をこうむりました。戦後は米軍占領支配のもとに呻吟させられ、講和条約発効後も条約第3条によって引き続き軍事優先の米軍政下のもとで人権無視、土地の強制接収など27年間の長い期間比類のない苦難の道を余儀なくされております。
 以上のように、沖縄戦以来本土と異なった道を歩まされてきたために戦後処理、復帰処理の問題が山積している状態にあります。放棄請求権、つぶれ地補償、交通方法の変更、地籍の確定の問題などがその象徴的な例とも言えましょう。
 以上のように、戦後処理、復帰処理の問題は国の施策によって沖縄が特異的な立場に置かれたという事情から生じた問題で、当然国の責任において解決を見なければいけないものであります。
 ところが復帰後7年目を迎えた今日、県民の強い要望にもかかわらずなお大きな問題が未解決のまま残っていることは、まことに遺憾であります。この問題解決に関し、県の施策をお尋ねいたします。
 なお、この問題は他の都道府県には見られないもので、沖縄県政の大きな負担となっておることは周知のとおりでありますが、これが解決なくしては新生沖縄県政の進展は望めないわけで、その解決促進は県政の上での重要な課題と言えましょう。この問題解決のために、県の一層の努力を要望します。
 戦後処理、復帰処理の問題の中で現在大きく取り上げられておりますところの交通方法の変更問題、つぶれ地補償問題、地籍の問題についていささかお尋ねをいたしたいと思います。
 交通方法変更の問題について。
 本県は、第2次世界大戦後27年の長きにわたって米国の統治下に置かれ、その結果交通方法においても車両の右側通行という米国式がとられてきましたが、復帰後道路交通に関する条約の第9条、「道路において同一方向に進行する車両は、道路の同…の側を通行するものとし、その通行する側は、それぞれの国においてすべての道路について統一されていなければならない。」とする規定を国が遵守する立場から、本県における交通方法を左側通行の本土方式への変更と余儀なくされておるのであります。
 第一義的理由は、国が一国一方式の国際条約を遵守することにありますが、その最大の原因は、国が本県を行政分離し長期間米国の施政下に置いたために起こったものであります。それゆえ本県における交通方法の変更は、国の責任と国家的財政支出のもとに行われるものであることは明確であります。
 したがって交通方法変更に当たっては、国の事業として交通安全施設、道路施設の整備、安全確保のための教育訓練、交通指導監視、交通規制の実施及び広報活動の強化はもとより、これに伴って生ずる県民の生命、身体、財産の保護と補償についても県民にいささかも負担をかけることなく、国の責任、負担において適切な措置が講じられるべきであります。
 なお、交通方法変更によって県は有形無形の多大の影響を受けることが予想されますが、これらの不利益の代償として、県民生活向上のために特別事業を国の施策によって配慮さるべきであると思量いたします。
 以上、述べました基本的な考え方に立ちまして、交通方法変更に対する県の施策をお尋ねいたします。
 1つ、交通方法の変更は県民にとって30余年の長期にわたる交通慣習を一瞬にして変える交通革命であり、国にとっても前例のない一大事業であります。この事業が県民のコンセンサスを得ながら、安全かつ円滑に実施されるためには、国の具体的な実施要綱を速やかに明示すべきであると思いますが、県としても県議会としてもこのことを強く要請したところでありますが、いまなおこの施策が決定、公表されてないのであります。このことについて一体どういうふうな状況になっているのか、執行部としての折衝とかあるいは政府の持つ考え方を感触で知るとかといったようなことがございましたら、お知らせ願います。
 2番目、交通方法変更対策事業に要する経費に関し、財政的裏づけとなる予算はどうなっているか、これについてもお尋ねいたします。
 交通方法変更という国家的事業に対し、これが円滑に行われるために、県は交通施設あるいは道路施設の安全確保のための教育訓練、広報活動など土木部、県警、教育庁、生活福祉部などを中心に地方自治体としてできる限りの対応をしておられる状況にありますが、その概略を承りたいと思います。
 県としての特別事業に対する所見、それらの特別事業としてどういうことを構想しておられるか、国の特別事業に対する考え方はどうなっているか。
 5番目、交通方法変更に伴い、営業上著しい影響を受けるものに対しての救済の策はどう考えておられるか。
 6番目、交通方法の一環である米軍対策については、米側が実施し日本側がこれに協力することになっておりますが、具体的内容が明示されてない。県民にとっては不安の種であります。このことが適切に講ぜられるよう国に強く要請していただきたいと思います。適正に行われるよう要望いたします。
 2番目、つぶれ地補償の問題について。
 個人の財産を長年月にわたって公共団体が何らの補償なくして使用していることは、法治国にとって許されてはならないことでありましょう。この意味において県道、市町村道のつぶれ地の問題はきわめて重大な問題でございます。早急に解決を見なければいけないのでありますが、県とされては再三再四にわたって国に強く要請されていることもよく存じ上げているのでございますが、金額が膨大なだけに地方公共団体にしわ寄せのないよう適切な措置を講じてもらうように強く要望していただきたいと思います。
 県のこの問題に対する取り組みと今後の見通しについてお伺いいたします。
 地籍の調査について。
 本県における地籍の混乱は、戦争によってすべての公簿公図が焼失したことに起因する。したがってわれわれがこの件を戦後処理の大きな問題として取り上げ、早期解決をするよう強く要望してまいりました。
 社大党といたしましても、東京要請団を2度にわたって編成し、強く要路に要請いたしております。
 そのことにつきまして、今日までに調査が終わり、そして地籍が明確にされた面積は幾らになっているか。今度は調査は着手されたが、認証、登記がなされない面積は幾らかお尋ねいたします。
 質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 質問が多岐にわたっておりますので、関係部長から詳しいことは答弁させることにいたします。
 順序は違うかと思いますが、最初の経済見通しでありますが、これは学者間でもなかなかむずかしい問題のようでありますが、県といたしましては、御承知のとおり一括計上分で34.9%、公共事業で36%、その他中小企業、農業、畜産も伸びを見越して5%は大丈夫だとこう見ております。
 2番目に、膨大な予算になったが、公共事業が多いために民生方面の予算にしわ寄せが来はせぬかという御懸念のようでありますが、これは知事としましてもこの点は関係部長に、また予算関係の部長にも再三注意をしてそういうことがないようにと。結論におきましては、構成比においてはなるほど現年度よりは幾らか下がっておりますが、それは農林水産業費、土木費等が多額に増額になったためでありまして、伸びとしては民生費、現年度に比べて16.8%の伸びを示しております。
 次、3番目に農業関係の農業まつりと関連しての島内産のお話でありましたが、お説のとおりでありまして、その前に最初に述べられました英知と連帯感ということを私が強調していることと関係しますが、私はこの際、英知を結集し連帯感を強調するということを絶えず叫んでおるわけでありますが、その結果、地方において青年たちがどのように農業に取っ組んでおるかと、農水部から各普及所を中心に調べてありますが、中問報告として来ておりますが、青年たちが、これは26カ町村からの報告でまだ完了ではありません。
 さらにまたその所得方面、売れ行き方面等もまだまだ十分に調査はされておりませんが、ただ取っ組んでおる青年を調査しまするどいうと、畜産関係で11名、野菜で10名、花卉園芸で9名、お茶や果樹で3名、その他葉たばこ、サトウキビ、パイナップル、水稲みんな一緒にやっておるのが9名で、総員42名が共同で、あるいは個人で一生懸命にこういう面に取っ組んでおるという中間の報告を得ております。
 もちろんこれはこれに限ったことでなくして、民芸品にしてもその他にしてもこういった個人のアイデア、あるいは共同によって仕事を進めていくということを今後も進めたいと思っております。
 ただその場合、県として細心の注意を払って対策を講じつつありますことは、単位組合における集荷体制の強化、同時に市場調査と流通機構の整備、この辺にさらに取っ組んでいきたいと考えております。
 次に、農業基本法の問題について触れておられましたが、これは副知事の方から答弁さすことにいたします。
 次に、交通方法の変更の点でありますが、われわれとしてもこれは細心の注意を払っております。
 御承知のとおり、人間は右ききが多い。右ききが多いから、左から通ったのが安全。したがって世界の通念も左通行である。沖縄においては道路の割合に、車が余りにも多過ぎるといったような事情等、あるいはまた米軍車両もまだ大分ある。かてて加えて道路の整備が不十分であると、こういった条件でありますが、すでに日は決まった以上は、間に合わすべく十分なる措置を講じたいと思っておりますが、実は責任者が中央においては交代され後任の方がきょう12時に見えることになっておりますので、状況をお聞きして、さらに要請すべきは強く要請いたしたいと思っております。
 最後につぶれ地の、道路につぶれた問題の点についてでありますが、細部にわたる点は関係者から詳しく報告をさせますが、ただこれまで政府の考えは1級、2級については10分の8の援助、その他については援助しないといったことであるが、この点については私も再三戦時中あるいは戦争直後に取られた道に1級、2級、その他の区別はありません。したがって、これを区別してもらうということは合点がいかぬ。さらにまた伊江村のごときは、助役さんからの報告によりますと、そうなりますというと全額伊江村で負担しなけりゃならない、20億そこらだと。こういう実態を政府はもっともっと理解してもらわなきゃいかないと、再三にわたってその点を強調しておりますが、いまだ十分なる理解というところまではいきませんので、さらにこの点は強力に折衝していきたいと思います。
 細部にわたる点は、部長から答弁させます。
○議長(知花英夫君) 野島副知事。
   〔副知事 野島武盛君登壇〕
○副知事(野島武盛君) 嵩原議員の御質問に知事が基本的なことをお答え申し上げましたが、若干細部の点で補足御説明を申し上げたいと思います。
 順序は不同になりますけれども、交通方法問題について特に実施要綱がおくれているんだが、折衝あるいはその経過、政府の考え方に対する感触はどうかという御指摘をいただきましたけれども、大体要綱は、私たちが聞いた範囲では2月の中旬をめどに出すということになっておりましたけれども、若干おくれております。したがってせんだって私が主管の副長官にお会いをいたしまして、その内容等を非公式に見せていただいたわけであります。これは要綱と要領の2つになっております。要綱はもちろん御案内のとおり、大体の項目しか入っておりません。したがってその項目を詳しく説明するような形で要領が策定をされる。これについては先ほど知事の答弁がありましたとおり、近々のうちに正式に県と、あるいはその協議会が現地に置かれておりますので、その協議会に諮った上で政府としては今月の14日の閣議でもって報告、了解を得ると、ここで正式に決定をされるわけであります。
 その内容については詳しくは申し上げられませんけれども、若干県が要望いたしました大きく分けて6項目、これについてはまだまだ私たちが満足をするような形での表現がなされてないと、こういうことは言えると思います。具体的には、いずれ近々のうちに調整があると思います。
 さらには、その中で特に御指摘をいただきました営業上著しく損失をこうむるであろうと予想される事項についての救済策はどうなっているかということでございますけれども、これについてはやはり政府としては将来予算を伴うことでありますし、なおまた現在数量的に把握できませんので、具体的にこの問題は取り上げられてないと現在は思っております。しかしながら強力に県としても折衝しておりますので、何らかの形で入ってくれればという期待を持っておるわけでございます。今後とも強力にこれは要請をしていきたいと思います。
 なお、第1次産業の問題と関連いたしまして、現在農林水産部が策定中でございますところの農業振興基本計画について、特に国の農業基本法とのかかわり合いを御指摘いただきましたが、基本的には国の基本法というものとのかかわり合いはありません。あくまでもこの基本計画は、県の施策として取り上げる事項でございます。
 なお、県議会との問題等もございましたけれども、正式にこれは県議会の承認を得るというような事項ではありませんので、しかしながら県民あるいは農家の皆さんの御協力を得るということでなければこの基本計画の意味をなしませんので、委員会等において御説明を申し上げて皆さんの御賛同を得る、御了解を得るという形をとられると思います。なお細部にわたる事項が御指摘をいただきましたが、これは主管部長から答弁をさせたいと思います。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 平良清安君登壇〕
○総務部長(平良清安君) 嵩原議員の御質問の中で、53年度、大幅な公共事業のアップがなされているけれども執行体制はどうかと、特に52年度の予算執行の反省の上に立ってどのように対処するかという御質問にお答えいたします。
 御指摘ありましたように確かに52年度を見ますと、国の閣議決定いたしました上半期契約73%に若干落ち込みましたけれども、最終的には私どもは所期の目標達成ができると見ております。したがいまして53年度も引き続き、次のような点で執行体制に万全を期したいと思います。
 まず1つは、昨年もそうでありましたけれども、基本調査、設計等については前年度発注制を導入して、事前に発注をするということ。
 次に、地方財政事務、さらに国庫支出関係事務の職員の研修を徹底してスピーディーに事務が処理できるような研修を強化する。
 3番目に、昨年は土木部を中心に出先機関を強化しましたけれども、今年も組織定数面におきましては農林水産部、土木部等事業部局に重点的に配置して体制を整える。
 4番目に、県、市町村、さらには業界との連絡等を密にして事前の調整、あるいは全地域にわたっての公共事業の配分等、あるいは資材、労働力等についての密接な調整を行う。
 最後に、昨年もそうでありましたように、知事を本部長とする公共事業推進本部を引き続き設置してその本部会、さらには次長クラスの幹事会等を頻繁に持って、執行に当たって問題点のある部分についてその原因を究明し、その阻害要因を除去するよう努めて所期の目的達成のために執行体制に万全を期したいと、このように考えております。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 嵩原議員の公共事業が拡大されたが、それへの失業者の吸収率についてどうするのかと、昨年の経験等を踏まえていかなる対策を持っているかという御趣旨の御指摘がございましたんで、それに対してお答え申し上げたいと思います。
 公共事業への吸収につきましては、私ども二、三年来当面の雇用対策としましては公共事業を拡大し、それに吸収することが大事なことだというふうに考えまして、知事を初め予算獲得等に懸命に努力をしてまいったわけでございますが、昨年度につきましては、昨年以来発注関係機関との連携を密にいたしまして工事発注状況の早期把握と安定所における紹介体制等の整備を図りながら積極的に取り組んでまいったところでございますが、御指摘のように53年1月末現在で公共事業施行通知を受けましたのが761件、使用無技能労働者の総数が5043人、吸収人員は1441人となっておりまして、若干前年同期より落ち込んでおります。これは企業関係者に手持ち労働者が多くなったことによるものでございます。
 今後ともさらに同吸収制度を効果的に活用するために各発注機関等において、特に特記仕様書等に公共事業施行通知書の提出義務等を明記すること等も現在検討しておりまして、これが関係機関との調整が整った場合には、関係機関と密接な連携をとって失業者の吸収に一層努力したいとこのように考えております。
 またさらに、国の出先機関あるいは関係市町村等とも十分連携を密にしまして努力をしてまいりたいと、このように考えております。
 なおその際、公共事業の執行に当たりましては、御指摘ございましたように県内企業に優先発注するということと、さらに建設資材等につきましても県内建設資材等を優先的に使用することを今後とも引き続きやってまいりたいと、このように考えております。
 特に、一部建設資材等につきましては、昨年来県内の景気浮揚対策といたしまして私どもは特記仕様書に書き込んでその需要拡大を図ってまいっているところでございますので、ことしもこれを重点的に強く推進してまいりたいとこのように考えております。
 次に、地場産業の振興策について融資制度等をやっているが、そのほかに別の効果的な制度等はないものかどうかと、その対策いかんという趣旨の御指摘でございましたが、御案内のとおり私ども地場産業の振興策としまして、まず県内需要の拡大あるいは販路の拡大等をどうしても図らなくちゃいけないというようなことで県産品優先使用等をやっておりますし、さらに産業まつり等をやりまして県内での県産品需要の拡大を図ってまいったところでございます。
 また、県外におきましても東京、大阪並びにその他主要都市におきまして毎年物産展等を開催いたしまして県内物産の紹介、販路拡張に努力してまいっております。
 そのほか、金融面から申し上げますと、制度資金といたしまして設備近代化資金あるいは設備貸与資金、高度化資金等々、そういったことをやってまいっておりますが、特に53年度におきましては予算額として8億、融資目標として10億を計画してまいっております。
 県単制度資金としましては、季節資金あるいは小規模企業対策資金、組織強化育成資金等で予算で約10億、融資目標として40億を計画しております。特に新年度におきましては、産業振興の立場から特別振興業種育成資金の融資制度を新設いたしまして予算として5000万、融資目標として1億を計画しております。そのほか信用保証事業も相当出てくることを考えまして、信用保証協会への信用補完事業の拡充強化としまして5000万円の出掲を計画しております。
 以上申し上げまして、答弁を終わりたいと思います。
○議長(知花英夫君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大島 修君登壇〕
○生活福祉部長(大島 修君) 生活福祉部関係の御質疑がございました、御質疑の順を追うてお答えいたします。
 まず、昭和53年度の福祉関係予算の状況につきましては、先ほど知事からお答えがありましたように、53年度の伸び率は対前年度比で16.8%、金額にいたしまして20億3800万円余り伸びておるわけでございます。そこで私どもが計画いたしました重点事項、重要事業については大体予算を計上させていただいておるとこういうことで、施設面におきましても特別養護老人ホームや軽費老人ホーム、老人福祉センター、その他いろいろな施設を計画いたしております。
 それから先ほど社会福祉審議会、児童福祉審議会に諮問をいたしまして、沖縄振興開発計画を上位計画として沖縄県社会福祉計画、向こう5力年の長期計画を立案させていただきまして、今後向こう5力年この計画に従いまして本県の社会福祉関係の施設あるいは施策、その他の充実発展を期していきたいとこのように考えております。
 次に、社会福祉従事者の養成、研修等の御質疑でございますが、御指摘のとおり社会福祉に関係する行政活動事業に関係する職員は、高度な知識と技術が要求されます。特に最近のように業務が複雑多様化する、あるいはまた従事者が増加する、福祉のニーズが高まってくる、あるいはまたその施設等の処遇改善、高度化と、こういうことになりますと、それ相当の知識と技術を必要とするわけでございます。
 そういうわけで、社会福祉事業法第20条には、社会福祉関係の職員の研修がうたわれております。それに基づきまして、県といたしましてはあらゆる研修を行っておりますが、まあ各課ごとに行われるもの、あるいは各団体ごとに行われるものといろいろありますので、それを統一いたしまして近く専門家から成る研修委員会みたいなのを設置して、将来沖縄県独自の社会福祉事業職員研修所をつくることができないだろうかと、こういうふうな考えを持っておりまして、53年度はそれに向けての調査研究費を計上いたしております。
 次に、民間社会福祉事業育成についての御質疑でございますが、御指摘のとおり本県は長いアメリカの支配において、こういう歴史的な過程を経てその背景のもとで民間社会福祉事業の今日まで来た努力というものは、いろいろな本土と変わったものがあるわけでございます。したがいまして県といたしましては、まず民間社会福祉事業の中心母体でありますところの沖縄県社会福祉協議会、これの活動助成に力を入れてきておりますし、さらに民間社会福祉施設振興資金の貸付事業を行っております。同時に、民間社会福祉団体の施設整備資金を借りたときの利子補給を3分の2、利子補給事業をやっておりまして、いろいろな団体の実情に応じて可能な限りの助成をいたしておるということでございます。
 さらに今回、先ほど申し上げました沖縄県社会福祉計画でも答申されておりますように、将来社会福祉振興基金、いわゆるコミュニティーファンド、これの創設について検討いたしておりまして、昭和53年度予算にはそれの調査研究費を計上させでいただいております。
 それから高額医療費貸付制度についての御質疑でございますが、医療費が高額化すると、特に高額医療というふうなことになりますと低所得者の方々には大変なことでございまして、またこういう高額医療費の支給も急増いたしておりましてその人々もふえております。ちなみに昭和50年度では1万9538件ございまして、金額にして3億7000万余ございましたが、51年度では2万4947件で6億1000万余りにふえておると、こういうことでございます。
 そこで、その高額医療費の負担は3割医療機関に払って、その後からいただくということになっておりますが、しかもこれは現在3万9000円を限度にしてございますが、近々それが改正されて5万円程度に上がるということを聞いておりますけれども、いずれにしましても100万、200万と高額になりますと、その3分の1ということになりますと多額な金になります。そこでその貸し付けということは必要でございますけれども、また事実本土の各県の市町村ではそれを実施しておりますが、本県では市町村がその貸付事業の主体でございますけれども、貸付原資の問題、その他いろいろございましてまだ実施していない現状でございますので、市町村と十分意見調整をし、その市町村の意向も踏まえまして今後これを検討していかなきゃならないと、このように考えております。
 次に、無年金者の問題でございますが、わが国は御承知のとおり、先ほども指摘がありましたように国民皆保険、国民皆年金と、こういう制度をとっている中で無年金者がおるということはゆゆしい問題でございます。事実本県においても、私どもが調べたところによりますと1万2793人の全然いずれの年金にも加入していない、該当しない人々がおられるわけでございます。
 そこで、この問題につきましては、県といたしましてもこれまで政府に対してこの無年金者の救済についてはそのたびごとに、機会あるたびごとに要請をしてきておりますし、特に昨年は九州各県山口主管部長会議に沖縄県として、国民年金の受給権を確保できない者の救済についてと、こういう問題を提案いたしまして、九州各県の主管部長会議でそれが決議されまして、政府に対して要請をされております。
 幸い、政府におきましてもその救済には積極的な姿勢を見せておられます。また国会でも取り上げられておられまして、ことし7月から2力年間に限ってその救済措置を講ずべきだと、こういうことで社会保障制度審議会の答申がなされ、これを受けまして政府としては2月21日に法律改正案を国会に提案をいたしております。この案は国会で可決されるものと見ておりますので、それに向けて万全の対策を講ずべく準備をしております。チラシや新聞、ラジオ等をフルに、いわゆるマスコミ、マスメディアを十分活用いたしまして対象者にアピールをすると。さらには各地区であるいは各保険事務所でいろいろな機会をとらえて講習会を持つ、あるいは説明会を持つ、研修をする、窓口を設置すると。さらにはまた対象者一人一人に通知を出し、あるいはまた個別に訪問をしてやりたいとこのように考えております。
 次に、年金相談窓口に苦情が多いということでございまして、それとオンラインの御質疑がございましたので、御指摘のとおりいろいろと年金、保険、その他について苦情が多いのでございまして、それを解決するにはやはりオンラインシステムによる即時即答といったようなシステムをつくることが大事だということで社会保険庁ではその計画をされておりまして、昭和54年から6力年間で各都道肩県にそれを設置するという計画を持っておられますが、本県といたしましては、特に地理的、その他また復帰後に発足したという特殊条件がございます中で、全国的な発足に先んじまして昭和53年度で社会保険事務所の改築に合わせてこのオンラインシステムを導入するという計画で、53年度からこれを発足させる予定をいたしております。
 さらに、沖縄県の年金受給者の数はどうなっているかという御質疑でございますが、年金受給者といいましてもいろいろたくさんあるわけでございます。国家公務員共済あるいは地方公務員共済、その他いろいろあるわけでございますが、生活福祉部の保険、年金課で所掌しておりますものは厚生年金、船員保険、それから国民年金でございますけれども、厚生年金、船員保険といいましても中にいろいろ内容はありますが、それを合わせまして受給者いわゆる対象者が合計して9万1779人、それから年金額にして223億余りとこういうことになっております。もう全体を含めますと、沖縄における現在の年金保険対象者は74万9504名おります。被扶養者は27万9646名で、総計して102万9150名おりますが、全人口と大体2万ぐらいの開きがありますけれども、これは本土の健保に加入しておるものだと見られております。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 農業振興基本計画と農業基本法との問題等につきましては副知事から説明がございましたが、その他の概要について補足説明をいたしたいと思います。
 まず、この計画の性格でございますが、農業基本法は国の農業施策の基本でございますが、これは県の農業施策の基本をなすものであるということが第1点でございます。次に市町村、農業団体等の農業施策及び事業等を講ずる場合の指針をなすものであるということでございます。第3に、農業者及びその関係者が生産活動を行う場合の指針をなすものであるということでございます。
 次に、この計画の内容でございますが、農業の動向、農業振興の基本方向、主要指標の長期見通し、農業振興の主要施策等から成る総論と地域別農業振興方向のこの2つの面から構成をされております。
 この計画の策定あるいは公表等についてはどうなっているかということでございますが、これにつきましては県の農林水産部のプロジェクトチームをつくっておりますが、昭和52年3月に農林漁業振興促進対策協議会にこの計画の作成について諮問をいたしたところでございますが、近く農業の振興方向及び農業振興の主要施策等を含む中間答申をいただくことになっております。この答申を受けた後、早速部局間の調整をいたしまして県案を作成し、市町村及び農協等農業関係者の意見を十分に徴した上、次年度の早い時期に決定をし公表をいたしたいとかように考えております。
 次に、沖縄振興開発計画との関係についてでございますが、この計画は沖縄振興開発計画の施策の基本方向を踏まえまして、長期的展望に立った農業の振興方向を明らかにしようとするものでございます。
 農業基本法は国の法律でございますが、直接的な関係はございませんが、国が定めた農産物の長期見通しを考慮するとともに 甘味資源特別措置法に基づくサトウキビ生産計画、果樹農業振興特別措置法に基づく果樹農業振興計画、酪農振興法に基づく酪農近代化計画、その他関係法等とも関連させながら策定するものでございまして、その他の各種農業関係事業も本計画に織り込むようにしてございます。
 したがいまして、この計画は本県の農業施策及びその実施に当たっての基本としての機能をさせるために策定されるものでございますので、毎年度の農業関係予算に反映をさせたいというふうに考えております。そのためにも、国に対してもこの本計画が円滑に推進されるよう要請をしていきたいと、かように考えております。
 県議会の関係につきましては、先ほど副知事から答弁がございましたので省略いたします。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 県道、市町村道のつぶれ地問題につきまして知事の補足説明をいたします。
 県道、市町村道のつぶれ地補償の問題は、県の重点事項として取り上げ、その早期解決について国に対して強く要請しているところでございますが、まず県道について申し上げますと、総面積で約232万6000平方メートルでございまして、そのうち講和発効前のものが約186万平方メートル、講和発効後のものが46万5000平方メートルになっております。
 これらについて、47年から51年までの買収実績は約35万7000平方メートルで、52年度の買収見込み額を加えますと約53万600O平方メートルに達する見込みでございまして、53年度の買収計画を約18万1000を加えると全体の30.8%に達する見込みであります。今日まで早期処理について国に対して予算の大幅増額を強く要請いたしました結果、47年度から52年度までに予算は合計110億5400万円、53年度予算は国庫補助費が48億6800万円で対前年度比60%の伸びを示しておりまして、国としても早期解決の配慮がなされておると思っておりますが、今後とも早期解決についてなお一層の努力をしていきたいと思っております。
 次に、市町村道のつぶれ地の問題でございますが、市町村道つぶれ地は復帰後47年から6力年計画で実態把握を進めておりまして、52年度までにほぼ完了いたしております。
 その調査結果によりますと、つぶれ地全体面積が約421万9000平方メートルで、市町村からの申告によって講和発効前と発効後に分類いたしますと、発効前が約374万6000平方メートル、発効後が47万3000平方メートルとなっております。そのうち1級、2級の幹線市町村道が約170万6000平方メートル、その他の市町村道が約251万2000平方メートルでございます。補償金額は全体で約823億円に達しており、講和発効前のものが754億円、発効後のものが69億円の予想であります。
 幹線1級、2級市町村道に限定いたしますと市町村の財政に与える影響がきわめて大きく、現在の市町村の財政力では負担することは非常にむずかしい問題だと思っております。
 このため、つぶれ地補償については、県としてもこれまで沖縄復帰対策要綱第3次分道路による適切なる措置が講じられるよう要請してきたところでございますが、国は現在のところ県、市町村の要請に対しまして全額国庫補助に難色を示している状況でございます。
 今後、復帰処理の重要な問題である市町村道つぶれ地の処理につきましては、市町村など関係団体と一体となりまして緊密な連携をとりながら全額国庫補助による補償措置が実現するよう、さらに努力していきたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 吉元嘉正君登壇〕
○企画調整部長(吉元嘉正君) 知事、副知事の御答弁を補足していきたいと思っております。
 まず第1点目は、県経済の53年度成長率5%は大丈夫かということでございます。
 御案内のとおり、雇用、企業経営は非常に厳しい状態にございまして、しかしその中にあっても最近観光客の増加などが関連業界に明るさを取り戻していることや、公共事業の前倒し執行の効果があらわれ始めてきたことなどもあります。そういった意味で、減量経営が限界にされてきましていろいろと問題を醸し出しておりますが、マクロ的に見ますと、昨年の前期を底に景気は浮上の兆しが見えると私たちは考えております。
 53年度経済は、公共事業関係の36%の大幅伸び、そしてまた開発金融公庫の中小企業資金関係20%、あるいは住宅資金が19.9%の増加など、さらにまた一方、サトウキビや葉たばこなど農産物の生産量で見ますと12%の増、あるいは畜産物で見ますと9.6%、水産物で15.6%などの増加も予想されることから、財政投融資に基づく経済活動を中心に、また一方そのほか観光誘致対策の強化によりまして大体6.7%ぐらいの観光客の増が期待されることなどから、実質的には経済が浮揚すると、そしてまた5%成長は大体可能であると考えておりまして、その向きに最善の努力を払っていきたいと思っております。
 それから次は、執行体制改善との関連でございますが、組織定数でございます。公共事業関係の予算増加が例年になく大幅に伸びたことに伴いまして、執行体制を強化する必要がございます。その一環として行政組織及び職員定数の見直しを行い、事業部門を強化してまいりたいと思っております。
 まず職員定数については、既定部門を見直しまして基盤整備部門の農林水産及び土木関係に定数を寄せます。なお年々行政需要が拡大し職員増を必要としますが、一方人件費等の高騰による県の財政事情は非常に厳しくございますので、職員増が困難な状況にあります。定数増を抑制するために財政事情を勘案しつつ、不急不要事務の整理、事務の縮小等、今後とも事務の効率的執行に努めてまいりたいと思っております。
 次に、行政組織についてでございますが、基盤整備事業の促進を図るための出先機関の強化を初め、農林本庁においても糖業を中心とする一部組織改編等、その他中間職制の増による管理体制の強化を図りまして、行政組織の面からも万全を期していきたいと考えております。
 なお、長年問題になっておりました企業立地関係の行政を強化して雇用機会の増大を図るために労働商工部の中に企業立地対策室を新設しまして、その部門の強化を図っていきたいと考えております。
 それから第2点目の交通方法変更に関する予算関係でございますが、昭和52年度の交通方法変更に関する当初予算は54億余でございましたが、1次補正が17億、2次補正が5億追加されまして既決現予算としては総額76億3326万円となっており1ます。これは国の執行、県執行あるいは市町村執行分に区分されております。
 それから53年度予算における交通方法変更の予算は総額で138億6290万円となっておりまして、大まかに申し上げますと、広報安全教育関係が2億余、交通安全施設及び道路施設関係が23億余、車両対策関係が106億余、それから街頭指導活動関係費が6億余、企画調整事務関係費が600万余でございまして、トータルで138億6290万円となっております。
 各部門の事業の進捗状況でございますが、車両対策、道路及び交通安全施設対策、広報及び安全教育対策、救急医療対策等、及び米軍対策等がございますが、これらの対策のうち、市町村の行う道路施設対策を除いての準備対策は順調に進んでおります。各部門の52年度の2次補正まで含めての執行状況を申し上げますと、道路施設変更事業が国関係で100%、県で74%、これは2月末現在でございます。市町村関係で28%。交通安全施設関係――これは県警関係でございますが――100%、交通安全教育関係で85%、県民一般広報関係で97%、以上のような52年度の予算執行状況でございます。
 それから特別事業の関係でございますが、特別事業につきましては、去年の8月3日に正式に国の方に要請しております。その内容としましては、交通安全教育センターの設置、道路整備の促進、交通災害医療センターの設置でございまして、トータルで2162億になっております。
 これは施設内容、事業機関、施設の規模、計画額、事業主体、設置予定個所及びその場所、運営形態などきわめて具体的に数回にわたりまして国の方に説明を申し上げておりまして、現在国の方としましても真剣にその問題に対して検討されているとの情報でございます。先ほど副知事が申されました、近く公布されるであろう要綱にも何らかの形で記述されるという情報でございます。
 それから米軍対策でございますが、去る2月24日に在日米軍沖縄事務所長のオーリー中佐に会いまして、基地内の交通方法変更に対する進捗状況、あるいは考え方、あるいは国との取り決め等についてただしましたところ、去年の9月22日の日米合同委員会におきましておおむね次のようなことが話し合われたと。米側が基地外の切りかえに伴いまして、基地内も左側通行に移行させることを確認する。基地内の切りかえを円滑に実施するために必要な広報及び安全教育を米側が実施する。そしてそれについて日本側が協力し得る体制を確保するといったようなことなどが確認されまして、そして進捗状況につきましては、現在4軍がそれぞれ責任を持ってやっておるという状況のようでございます。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 上地調査事務局長。
   〔土地調査事務局長 平野長伴君登壇〕
○土地調査事務局長(平野長伴君) 戦後処理としての境界不明地域の地籍調査についてお答え申し上げます。
 沖縄開発庁の所管する境界不明地域は25,09平方キロメートルで、私ども県が調査を進めております。昭和50年度に西原村について、そして昭和51年度に沖縄市、読谷村について合わせて4.55平方キロメートルを調査を済ましてございます。
 西原村につきましては、1.97平方キロメートルのうち認証済みの面積が0.26平方キ・メートルで約13%でございます。それから土地所有者の皆さんが合意してない面積は0.47平方キロメートル、約25%で、残りの63%は目下認証の申請を準備中でございます。
 沖縄市につきましては、1.07平方キロメートル中、未合意面積が0.14平方キロメートルで約13%でございます。残りの87%は、目下認証申請の手続を準備中でございます。
 それから読谷村につきましては、1.51平方キロメートル申、ほとんどが合意いたしまして認証手続準備中でございますけれども、3000平方メートル、0.2%は未合意でございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 2点についてお答えいたします。
 第1点は、日教組の全国教育研究集会について教育長はどのように評価しているかという御質問でございましたが、今回の日教組教研集会は全国各地より約8000名の教師が集まりまして、それぞれ1年間にわたる学校現場における、教育実践を中心に4日間にわたりまして研究発表と討議が行われました。各分科会における研究討議も教壇実践を基本にして終始真剣に行われ、実りあるものであったと聞いております。このことは、本県教師がつぶさに全国各地におけるじみちな教育実践を知る機会となり、また本県教師に対し多くの刺激と示唆を与え、本県教育における教育実践の向上に資することができたと、このように考えております。
 次は2つ目は、交通万法変更に備えての教育庁の対策についての御質問でございましたが、交通変革によって児童生徒に1人の事故者も出さないよう安全教育を徹底するという基本目標に立って対策を進めております。
 去る2月上旬に教師用の指導資料ができ上がりましたので、2月13日から8日間にわたりまして幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特殊学校にまたがりまして、安全担当指導者を対象にいたしまして教育事務所ごとに第1回目の講習会を開催いたしました。この講習会の内容を基本にいたしまして、各学校では学校ごとに安全指導の年間計画を樹立いたしまして、交通方法変更に向けての安全指導のみにとどまらず年間を通して指導を実施し、しかも毎年繰り返して行うように計画をしております。今後2回目の校長、教頭を中心にいたしました講習会を5月下旬から6月上旬ごろに開催いたします。
 学校現場での児童生徒の安全指導につきましては、4月から6月まで事前指導、それから7月は変更前の指導、特に変更前日は集中的な指導を行います。8月は変更後の指導、9月から12月は事後指導というスケジュールで計画をいたしております。
 なお、障害児学校等のスクールバス等の買いかえに必要な予算につきましては、53年度予算案に計上されております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 齊藤 隆君登壇〕
○警察本部長(齊藤 隆君) 交通方法変更に向けての警察としての対策の概略とその進捗状況について御質問がございましたので、お答えを申し上げます。
 まず基本的には、御指摘のとおり交通方法の変更というのは全県民の生命、身体、財産に関する問題でございますので、県警といたしましても、県民の安全を確保して交通方法の変更が円滑な実施を見る見地から、県警としてやるべき事柄について万全な対策をとって対処していくという基本的な考え方に立っております。
 したがいまして、警察としてやるべき事柄が幾つかあるわけでございますが、大まかに申し上げまして次の4点に体系的に分けられると思うわけでありますが、まず第1が公安委員会が所管しております信号機あるいは道路標識、道路標示といったいわゆる交通安全施設の切りかえの問題、第2が交通方法変更に伴う危険と混乱を防止するための安全教育の実施、第3に交通方法変更時及び変更前後における交通規制の実施の問題、最後に交通方法変更時及び変更後の一定期間における街頭における交通指導の実施と、以上の4点に体系的に分けられるのではないかと思っておるわけでございます。そしてこれらに要する予算といたしまして、先ほど企画調整部長から概括的御説明がございましたが、昭和52年度分として警察関係が約6億6000万円、これを現在執行しておるわけでぞざいます。
 なお、53年度予算といたしまして約16億3000万をお願いいたしまして、目下国会並びに今県議会で御審議をいただいておるところでございます。
 それでは、次に交通安全施設のそういった施設の切りかえ工事の進捗状況について御説明を申し上げますと、まず信号機の関係では県下に交通方法変更までに変えなければならない信号機の全体の約4分の3に相当いたします330基につきまして、昭和52年度で切りかえをするということで工事に取りかかっておるところでございまして、この工事費の予算執行につきましては2月末現在ですでに100%に達しておりまして、信号機の切りかえ工事そのものも2月末までで94%完成をいたしておるわけでございます。
 なお、道路標識にいたしましても、全体の6分の5に相当いたします約2万6000本を昭和52年度で切りかえ工事を行う予定にいたしておりまして、2月末でこれも予算執行率は100%で、工事そのものも2月末現在で80%が完成を見ておる状況でございます。なお道路標示、いわゆるマーキングと言われるものにつきましては余り早くから準備工事を行うことは適当でございませんので、いわゆる直前といいますか、昭和53年の5月から6月ごろにかけて集中的に実施する予定で、目下その作業手順を計画をしておる状況でございます。
 次に、安全教育の問題につきまして御説明いたしますと、ドライバー、歩行者あるいは自転車利用者に対する安全教育につきましては3つの段階、すなわち第1は変更前――これは7月中旬以前をわれわれは考えておりますが、変更前の教育と変更直前――7月中旬から7月29日までになるわけでございますが、変更直前の安全教育、それから変更後、いわゆる「730」以降当分の間になるわけですが、これに3つに区分いたしまして、新聞とかラジオ、テレビ等の各広報媒体を利用して行うほか、警察官の街頭指導あるいは自治会単位でお願いいたします安全委員等による講習会等によって図っていきたいと思っておるわけでございます。
 なお、本年度昭和52年度は、咋年の11月以降沖縄県が交通方法の変更になる機会をとらえて、沖縄県を日本一交通安全な県にまで高めようではないかということで運転者、歩行者、自転車利用者を対象に交通マナーを高めようといった運動を実施中でございまして、そのために運転者向けの警告指導書、これを30万枚作成いたしまして、またリーフレット15万枚を作成いたしまして街頭活動の際に配布いたしております。
 そのほか、毎月シリーズ物のリーフレット26万部ずつ作成いたしまして、新聞折り込みで各家庭にお配りをして交通安全意識の高揚、交通マナーの高揚に努めておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午前11時56分休憩
   午後1時  再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 午前に引き続き、代表質問を行います。
 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、社会党所属議員団を代表いたしまして、さきに通告いたしました質問事項の順序に従って所信を述べながら知事及び関係部長に御質問をいたしたいと思います。
 まず、基地問題についてでありますが、復帰をして6年目を迎えた今日、沖縄の基地をめぐる情勢は一段と厳しくなってきております。県道104号線越えの実弾射撃演習を初め、嘉手納空軍基地における核爆発を想定したブロークンアローと呼ばれる飛行訓練、キャンプ・シュワーブにおけるAV8Aハリアによる離着陸訓練や戦車道構築等に見られるように、まさに戦場さながらの実戦訓練がとみに強化されており、しかも訓練の頻度、密度は従来に増して質量ともに高まり、復帰前べトナム戦争が激化したころに海兵隊や空軍機の出撃であわただしい動きが見られたときの状況を呈しております。
 このことは、沖縄の基地がアメリカの新しい極東戦略のかなめ石として再編強化されていることを示すものであります。
 また、このことを裏づけるようにブラウン米国防長官は2月22日の下院外交委員会で、在韓米地上軍の撤退に伴い、もし朝鮮民主主義人民共和国軍が攻撃を開始した場合には、沖縄駐留の米海兵師団を2日以内に韓国に投入することを明らかにしました。この証言は、復帰後依然として基地の重圧から解放されず、幾多の犠牲と苦痛を強いられている県民に大きな衝撃を与えております。
 このように、沖縄の基地はかつてべトナム戦争で破壊の限りを尽くしたB52戦略爆撃機や米軍の発進基地として利用されてきたように、今度は在韓米地上軍の撤退後の朝鮮半島に向けられた出撃基地として機能的に強化され、朝鮮半島で戦火が交われば沖縄が再び戦争に巻き込まれる危険性を一層強めております。
 沖縄県民は、第2次世界大戦によって未曾有の戦禍をこうむり、20数万というとうとい生命を失い、戦後は不法不当な米軍の過酷な軍事的支配下に置かれ幾多の生命と人権が侵害されてきたが、このような中にあっても反戦平和を基調に民主主義と自治権拡大を目指す県民大衆の闘いによって復帰を実現させ、そして今日に至っているのであります。しかし沖縄の復帰は、米国の新しい極東戦略ニクソン・ドクトリンの一環に組み込まれた形で、その内実は県民の目指した平和憲法下への復帰ではなく、諸悪の根源である基地を引き続き容認し、しかも核つき基地の自由使用というまさに安保体制下への復帰でありました。このことは、復帰後の沖縄基地が空軍、マリンを中心に再編強化されてきた状況や、それと連動して行われております軍事演習の激化がこのことを如実に示しております。
 このように、沖縄県民は米軍のなりふり構わぬ軍事演習に対してその都度即時中止を求め、同時に米軍基地の撤去、安保条約の破棄を目指して闘ってきたのであります。しかるに政府は、この切実な県民要求を無視し、日米安保条約に基づく地位協定によって米軍の演習行為はやむを得ないとこういう高姿勢をとり、米軍演習を容認していることは全く承服できるものではありません。
 沖縄県民は、歴史的にも過去幾たびか政府の国策という名のもとに多大な犠牲を強いられてきたが、復帰して6年目を迎えた今日なお憲法の平和主義にもとる日米安保体制のもとで、県民生活にとって何にもかえがたい自然環境と水資源を破壊され、県民の生命と財産が絶えず危機にさらされてきました。こうした県民に差別と犠牲を強いる自民党政府の軍事優先政策を容認することはできません。
 このように政府は、基地被害に目を覆ってすべて安保と地位協定を盾に反動姿勢を一層強めているが、知事は施政方針の中で「私は戦争につながる軍事基地の存在を容認した日米安保条約に反対する立場を堅持し、この視点からすべての問題に対処していく所存であります。」と決意を表明しておりますが、この知事の姿勢を高く評価したいと思います。このことは沖縄の現状を正しく認識したもので、憲法の平和主義に根差した県民の意思を代表したものと言えましょう。
 ここで知事にお尋ねしたいと思いますが、前述しましたように最近の基地を取り巻く情勢はきわめて憂慮すべき状態に逢着していると言えます。したがって事前協議の空洞化、基地の自由使用を意図したブラウン米国防長官の発言、5・15合意メモや激化する米軍の軍事演習と一連の軍事基地強化の動きに対して今後どのように対処なされようとしているのか、より積極的な政治的な対応が必要だと考えますが、知事の基本的な考えと御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、基地の返還問題についてお尋ねします。
 過去3回にわたる日米安保協議会における協議の結果、日米間で合意された新たな返還件数は62施設、面積で5700万平方メートルに達し、これは復帰時の米軍基地面積の約20%に当たると言われております。しかし返還が決まった那覇空港、海軍補助施設の全面返還や、牧港住宅地域、伊江島の射爆場、パイプライン等は大部分が代替地や移設という条件がついているため、62件中39件もまだ返還が実現していないのが実情であります。
 特に、那覇空港は自衛隊に侵食されてきているが、県としてはもっと具体的な基地の平和転用対策を含めて返還が決まったこれらの基地についてはもっと積極的に返還を推進していくべきではないか、これに対する知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 さらに、現在米軍の提供施設内に県道104号線、108号線など6つの県道がありますが、これらは復帰の時点で一方的に施設区域内に提供されたが、いわゆる共同使用という形で米軍の軍事演習以外のときは使用させるというやり方が果たして許されるであろうか。この県道に指定された道路を、道路管理者である県との合意なしに一方的に日米間で決めて米軍の排他的使用を認めるような提供施設とすることが果たしてできるのかどうか。少なくとも道路管理者たる県の管理権を排除するだけの何らかの法的な根拠が必要だと考えるがどうか。つまり法的手続がなされていないということは、いわゆる国内法上の手続の無視ではないかということ、これに対する知事の明快な答弁をお願いしたいと思います。
 また、これらの県道は沖縄の産業、経済道路であり、かつ県民生活に欠かすことのできない道路として利用されておりますが、米軍演習によって道路が封鎖されたり、また県道108号線のように戦車道と交差しているなどきわめて危険をはらんでおります。住民生活と福祉を著しく阻害するもので、道路の安全確保の義務を負っている県は、道路管理者の立場から施設区域内にある県道は同地域から除外させるなど、県民の生命と安全を確保するためにこの際積極的に対応すべきではないかと思いますが、これに対する知事の御所見をお伺いしたいというふうに考えております。
 次に、全県民の注目を集めております交通方法の変更について御質問をいたします。
 最後の復帰処理事業として県民の関心を集めております沖縄の交通方法の変更は、昭和52年の9月20日の政令第268号をもって沖縄の交通方法を昭和53年7月30日に変更する旨の決定がなされ、その準備が現在進められているところであります。この事業は、戦後30年余の長期にわたって県民の生活慣習としてなじんできた交通方法を一夜にして変更するというまさに県民にとっては交通革命ともいうべき一大変革事業であり、それだけに果たして政府が説明しているように円滑に切りかえができるかどうか疑問と不安が強まっております。
 この事業は、ここで指摘するまでもなく国際条約に基づく一国一交通方式という国際的義務として、その実施に当たっては国が全責任を持って事前事後の対策をしなければならない一大事業であります。単にこれまでの右側通行を左側通行に切りかえるというだけでなく、この変更が県民の生命、財産と生活に大きくかかわる問題であるだけに、事前事後の対策は周到な準備が必要とされておるのであります。
 政府は、これまで何回か交通方法の変更は県民のコンセンサスを得て実施する、決して見切り発車はしないと繰り返して言明してきたにもかかわらずいまなお具体的な実施要綱さえ明らかにせず、県が強くその実現を迫っている特別事業や損害補償については全くあいまいにされ、実質的には見切り発車的に作業が進められているのが現状であります。
 また、看過することのできないことは、この交通方法変更で実質的な事務段階の責任者である総理府の担当室長が準備段階の半ばで突然他に転任されたということは、果たして政府がこの事業を真剣に考えているかどうか疑念を抱かざるを得ないのであります。
 このように、7月30日の交通方法の変更が刻々と差し迫っておりますが、県が要請している6項目については政府の方針が明確にされず、県民の不安と危惧の念はいよいよ強まるばかりであります。
 こうした状況にかんがみ、わが党は県の交通方法変更に関する6項目の提案の全面的な実現を促進し、さらにこれを補完していく立場から次の点について知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 沖縄県民は、これまで幾たびか制度変更に伴う犠牲を強いられてきたが、今回の交通方法の変更は生命の不安を伴う制度的変更であるだけに、この不安はどのような広報や対策をもってしても払拭することができるものではありません。またこの事業は、一時的であるにせよ県民生活を大きく混乱させ、経済活動の停滞とサービスの低下は免れ得ず、このことによって受ける県民の経済的不利益は莫大であります。
 政府は、この事業の執行に当たっては県民の安全を確保することを第一義としながら、施設、車両及び道路の整備に万全の対策を講ずるとともに、明らかに交通方法の変更が原因と見られる事故や、企業並びに個人の受ける損失については完全に償わなければなりません。
 また、交通方法の変更事業の位置づけを明確にしなければならないと思います。これはあくまでも復帰処理の一環であり、本来復帰の時点で特別事業として対処すべき性質のものであり、当然特別な配慮があってしかるべきであります。したがって県の交通方法変更に対する基本的な認識と今後の対策について知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、政府はこの事業の執行に当たって県及び市町村に対しいささかなりとも負担をかけることなく、むしろこれを契機に沖縄県の交通体系の抜本的改革に着手し、国道や県道のみならず市町村道を含めた整備事業を進めるべきであります。
 これまでの国の対応を見てみますと、交通方法の変更の事業展開はその実施を全面的に県及び市町村に負わせております。何よりもこの事業が残された復帰処理の最大のプロジェクトであり、かつ100万県民を巻き込んで実施される交通の変更というわが国行政が経験したことのない事業であることに視点を置くならば、政治的な対応措置がとられてしかるべきであります。
 そこで事業の進捗状況につきましては、午前中の御質問で答弁がなされておりますが、いわゆる市町村の分では28%とかなりおくれておりますが、ここで要望しておきたいことは、果たしてその「730」に向けて特におくれている市町村のいわゆる道路整備事業が果たして達成することができるかどうか、この点について県としても一段と努力を払っていかなければならぬのではないかというふうに考えております。
 次に、米軍に対する対策でありますが、この点につきましても先ほど質問がありまして答弁されておりますが、ただこの中で1点触れておきたいことは、駐留軍従業員に対するいわゆる基地内における従業員に対する対策、8000名いると言われておりますが、もちろん基本的には基地内外を問わずして交通方法の変更に対してはその準備の作業が進められるべきだと思いますが、しかし基地の中における対策というもの、特に駐留軍従業員に対する指導と安全対策がどのような形でなされているのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
 また、国道58号線においては、この2月からこれまでの最高制限速度50キロを40キロに落としたが、これは「730」に向けた事前の安全対策とも受け取れるが、他の道路等についての速度制限がどうなってくるのか。さらに交通方法の変更前後はそれ相当の混乱が予想されるが、県警としてはどのような事態を想定して安全対策を立てているのか、県民の不安を払拭する立場から具休的な計画があれば提示してもらいたいと思います。
 最後に、特別事業の実現についてでありますが、わが党は今回の交通方法の変更が国の責任で実施されるもので、またその変更が計量できない損害を含めて県民生活にはかり知れない影響を及ぼすことにかんがみ、将来に禍根を残さないためにも県の6項目の実現に加えて、さらに次に挙げる3つの特別事業の実現に努力を払わなければならないと考えております。
 今回の事業が、国際条約の遵守という憲法の目的を貫くため沖縄県民の犠牲を担保にして実施される国策であります。よって、政府はこの事業から発生する一切の県民被害を補償し、また救済することは当然のことであります。しかしこれまで明らかになったところでは、前照灯やバスなど一部の企業には補助または融資措置をとっているが、その他の企業や個人の生命、財産等の受ける被害に対しては全く対処する姿勢を示していないのであります。これは明らかに国策の遂行に伴う結果責任に目をつぶり、県民の犠牲の上に交通方法変更を強行しようとするもので、このような姿勢を容認するわけにはいきません。
 また政府は、昭和46年10月、円の変動相場制移行に伴って沖縄県民の損失を補償する措置をとったが、しかし金融資産やフローとしての所得は補償から除外し、46年10月10日以降増加した現金及び純資産に対する補償を除外し、同時にその対象から法人部門は除外されていたこともいまだに記憶に新しいところであります。
 これら政府の措置によって失われた県民の利益は、総体で当時の価値でおよそ513億円と言われております。
 以上、沖縄県民が国策によって受けた被害の一部を述べましたが、今回の交通方法の変更に当たっても再びその犠牲が強要されるとすればそれは差別であり、法のもとの平等をうたった憲法の精神にも反することになり、許されてはならないと思います。
 政府は、以上のように沖縄県民の歩んできた経過に照らし、復帰前年の昭和46年、多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えるとして沖縄振興開発特別措置法が制定されました。そしてこの趣旨を受けて政府は、沖縄振興開発10力年計画を策定し施策を推進してきたところでありますが、このほど沖縄県が策定した沖縄振興開発計画の後期における課題と施策によれば、1人当たり県民所得の格差目標値80%の達成は困難であり、公共施設整備が立ちおくれているのが目立ち、そのため生産活動や県民生活の向上に支障を来し、特別措置は必ずしも有効に機能していないと述べております。県民は、この事実を目前にして県民への償いの心をもって事に当たるという政府のうたい文句に疑念を持たざるを得ないのであります。
 政府は、沖縄県民が復帰にかけた期待にこたえるためにも、交通方法変更事業の実施に当たっては不信や不満の残らない措置と対策を講ずるべきであります。したがってわが党は、交通方法の変更というかつてない経験に直面し、県が要求している6項目の提案の具体化を図り、さらにこれを補完する立場から、県民に与える有形無形の損害に対して総括的に補償する立場から特別事業として、1つには中央卸売市場の建設、沖縄県民会館の建設、3番目には県民の森等の建設をこの際これに加えて推進すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いしたいというふうに考えております。
 次に、県経済、53年度予算と関連して雇用失業問題について執行部の今後の対策についてお尋ねしたいと思います。
 今日の日本経済は、72年のニクソンショック、73年のオイルショックを経て国際的なスタグフレーションが広がる中で東南アジア諸国の追い上げを受けるとともに円高を招き、ほとんどの産業が構造的不況に落ち込んでおります。そのため企業倒産が相次ぎ、不況から依然と脱し切れない厳しい状況にあります。
 一方、県経済は海洋博後の反動及び全国的な不況の影響を受けて民間投資や個人消費が冷え込み、県経済は停滞をしております。中でも観光関連産業がやや上向き、社会、産業基盤整備等の公共投資、堅調な個人住宅建設が景気の下支え的役割りを果たしたが、企業倒産が相次ぎ、雇用面では製糖シーズン入りによる季節雇用の増加や公共工事の活発化により失業者数は若干減少したものの、依然と本土の2倍以上の失業率を占めており厳しい情勢にあります。
 このような経済環境のもとで、企画調整部は昭和53年度の経済の見通しを明らかにしましたが、いわゆる53年度の経済見通しは県民総生産の実質伸び率が5%となる見込みであるとされております。しかしこの成長率についても、一般民間機関の調査等から見ても非常に厳しい受けとめ方が出ておりますし、県経済の事情からしてこの5%の成長を維持していくのは非常に困難だと思います。
 こうした経済状況の中で、県は政府の景気刺激型と規定した内需中心の大型公共事業重点の予算編成を受けて、53年一般会計予算案を今議会に提案しております。この予算は、歳入、歳出とも総額2243億円で前年度の当初予算の22.1%の伸びであり、政府の公共事業重点政策を受けて県もこれに対応し、農林、土木など公共事業主導型の予算となっております。その財源は国庫と県債への依存度がますます強まり、歳出面では特に投資的経費が879億円で前年度比で41.8%も伸びております。
 このように景気浮揚をねらいとした公共事業重点の大型予算となったが、県として県経済の成長がどの程度になるのか、また雇用創出面でどの程度の効果があらわれるのか疑問であります。
 現在の失業状況を見てみますと、12月現在の失業者数は2万2000人で失業率が5.1%、求職倍率が9倍と若干失業率は低下しておりますが、依然と厳しい状況にあります。それに加えて今春の新規学卒者で就職希望者は中学校で225人、高等学校で7910人もおります。かかる雇用失業の実態を踏まえて雇用失業問題を考えてみると、現状ではやむを得ない面もあるが、一過性にすぎないこれまでのような内容の公共事業主導型では失業問題の解決を期待することはできないのではないかというふうに考えております。特に雇用失業の状況が厳しくなっておりますが、またこれまで相次ぐ人員整理によって駐留軍離職者が滞留し、陸軍関係でまた新たな人員整理の動きが見られ、今後の基地の動向によってはさらに大幅な削減も予想されます。こういうような状況が出てきておりますが、これからの雇用対策を強化していかなければなりませんが、これまでの実績から見ても、公共事業で失業者を十分吸収し得ない余剰労働力を抱えた中小の建設業の実態があり、また仕事が機械化、合理化された状況での道路、港湾、河川事業中心の公共事業では一定の効果はあるにせよ、その後の雇用に結びつかないために
深刻な失業問題を解消するに至っていないのであります。ですから現在の景気停滞の経済状況のもとでは、財政主導による景気浮揚をとらざるを得ないが、その場合の公共事業の質的な面を再検討しなければならないと思います。
 いわゆるこれらの公共事業は、雇用の波及効果の大きい教育施設、福祉、保育所や医療施設などの建設を積極的に取り上げていかなければならないと考えます。特に学校施設では高等学校が過密状態で、標準生徒数からすると9597人も超過しており、あと9校が不足していると言われております。教員、事務員で約116人が必要とされていると言われております。いわゆる経済的原理に立った景気浮揚の観点のみに立った雇用対策ではなく、経済振興とか財政投資はそのことによって県民にひとしく所得が配分され、均等に雇用の機会が与えられるものでなければならない。しかるに現況は経済不況で企業側は合理化、人員削減、減量経営で企業防衛に当たり、公共団体は借金財政で公共事業は大幅に伸びても人件費圧縮で定員増を抑えているが、これでは学卒者や若年層は就職の機会を閉ざされるということになり、このような消極的な姿勢というものを改めて再検討をしていかなければならないのではないかと考えるものであります。
 現在のインフレと不況が同時に進行するというスタグフレーションという低成長の時代にあっては、財政投資で雇用の創出のための有効需要を積極的につくり出していかなければならないのではないか。つまり雇用拡大に結びつくような景気の刺激対策でなければ、景気が回復しても雇用はふえないであろう。そこでそういうことを踏まえるならば、やはり県や、市町村公共団体でも雇用をふやしていけば1000人程度の雇用は可能ではないかと思うのであります。
 したがって、ここで知事及び関係部長にお尋ねいたしますが、新年度の大型公共投資の財政運営でどの程度の雇用創出面での波及効果があると見ているのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 また、県の新年度予算は自主財源は315億1929万3000円で14.1%、依存財源は1927億8070万7000円で85.9%という厳しい状況です。県下の経済事情から税収面での増加は期待できないが、今後の財源対策を含めた財政運営をどうするのか、基本的な考えをお聞きしたいと思います。この場合、雇用創出ということを視点において財政運営を図るべきであると考えるがどうか。
 次に、知事はさきの議会で雇用対策の一環として新たに雇用対策協議会を設置して広く英知を結集して対策を講じたいという趣旨の御答弁がありました。その後どう検討されているのか、これに関する計画方針等があれば御提示を願いたい。
 3、県は当面の対策として公共事業への吸収、広域職業紹介や職業訓練の強化を挙げているが、これは従来の雇用対策の基調とほとんど変わっていない。またこれまでの政府の雇用対策は、雇用安定事業、特定不況業種に対する対策など特定業種に限定した施策が多く、雇用保障や雇用創出の面では欠落しており、産業政策のいわゆる後追いの形で有効な雇用対策になり得ていない。特に沖縄は全体が不況産業とも言うべき経済事情にあり、全産業を対象にした対策を講ずるべきであると考えます。それと失業者に雇用の機会を与えるための中期的な雇用創出の計画を作成すべきであると考えるが、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 あらゆる面で雇用機会をつくり出していくという立場から教育長にお尋ねいたしますが、現在補充教員が約600名いると言われておりますが、先ほど述べました現在の過密校舎を解消し、少なくとも本土の基準並みに持っていくために高校の増設、校舎の増改築を図り教職員等をふやさねばならないと思いますが、その計画はどうなっているのかお聞きしたいと思います。
 次に、CTS、金武湾一帯の汚染問題についてお尋ねしたいと思います。
 政府は、エネルギー対策としてその需要の90%を占めている石油の備蓄に力を入れてきております。そして90日の備蓄目標達成には石油備蓄能力の増大が必要であるとして、50年度初期に建設中のタンクを含め10万キ白リットルタンクを329基に相当する石油貯蔵施設が必要になるとして貯蔵タンクの増設を推進してきております。特に最近、国際貿易収支の大幅黒字で諸外国からその黒字の幅の是正を迫られている関係上、政府はこの黒字減らしの対策の一環として石油貯蔵能力を高めていく方針を一層強めております。
 こうした政府の90日石油備蓄政策に基づいて、沖縄においても南西石油など貯蔵タンクの増設に動いておりますが、新聞の報道によりますと、少なくとも54年度末には新たに10万キロリットルタンク23基がふえると言われております。これによって石油備蓄能力が大幅にふえることになります。この計画が予定どおりそのまま建設されることになりますと、沖縄はまさに基地沖縄というイメージに加えて文字どおり石油の島となり、貯蔵容量の拡大とともに危険度が一層高まることになります。
 この石油基地がいかに危険を伴うものであるかは、過去岡山県水島製油所において貯蔵タンクの亀裂による原油流出事故で瀬戸内海沿岸一帯が原油によって汚染され、漁業等に膨大な被害を与えたことはまだ記憶に新しいことであります。このため石油貯蔵基地の建設については、いま至るところで地域住民の強い反対運動が高まり、その立地が本土でも容易に確保できない状況から、復帰前後を通して沖縄に進出し、その貯油能力も年々拡大されてきている現状であります。
 沖縄においても、この石油基地から過去しばしば石油漏れの事故を起こし海水汚染など漁民や地域住民に多くの被害を与えてきたことは、これまでも指摘されてきたところであります。また会社側は、石油流出事故で漁業関係者や地域住民から抗議を受けるたびに、今後万全の対策を講ずると述べながらも事故は後を断たないのが現状であります。
 ここで知事にお尋ねしますが、県は石油備蓄能力の範囲を500万キロリットルに置いて、それ以上は抑制していく方針を明らかにしておりますが、すでに県内の石油製品、半製品を含めて既存及び計画中の貯蔵施設は632万3000キロリットルに達しており、すでに県の許容限度を上回っております。また政府は、県内の石油備蓄量を500万キロリットルに限定されるのはわれわれの立場としては対応しかねると、貯蔵タンクの増設を推進する姿勢を示しております。
 したがって石油公害や海水の汚染を防止し、地域住民の生活環境を確保する立場から、これ以上の石油備蓄タンクの増設を認めるべきでないと考えるが、今後のCTSに対する知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 またCTSに対する専門職が配置されていないようですが、これでは大型化する石油産業に有効に対応できないと思いますが、その点についてどう思うのかお聞きしたいと思います。
 さらに石油災害から地域住民の安全と被害を防止するために、昭和51年10月に沖縄県石油コンビナート等防災対策本部条例が制定されたが、その後まだ1回も対策会議が開かれていないが、早期に会議を開いて緊急時に備える対策を協議すべきではないかと考えるが、その後の状況についてお聞きしたいと思います。
 一方、このように金武湾一帯に石油基地が建設され、それに伴う油漏れ事故の続出、海中道路の建設等で海水の汚染が悪化しております。金武湾は沖縄でも数少ない風光明媚な景勝地として知られ、琉球政府当時政府立海上公園に指定され海の観光地として名高いところであります。また連なる島々の周辺の海にはサンゴ礁が発達し、海水の透朋度も高く、地域住民の海水浴場として潮干狩りやレクリエーションの場として広く利用されてきました。さらに金武湾海域は漁民にとっては不可欠な生活の基盤であり、魚介、海草類は多く、多種多様な生態の宝庫として昔から県民の生活を支えてきた源泉であり、沖縄本島では唯一の夏季、冬季と年間を通して漁業ができる海としての貴重な存在でありました。
 このような貴重な金武湾一帯の海、海岸線が最近著しく汚染され、かつての美しい海はそれを失い、現在では魚種、漁獲量ともに減少しており、金武湾をいまのまま放置しておいては、遠からず魚介類も住めない死の海と化すでありましょう。
 石川市議会の調査によれば、その原因として生活用水の流入、工場排水のたれ流し、米軍演習等からの赤土の流出、海中道路建設による潮流変化の4点が挙げられておりますが、県は早期にこれらの原因を究明し、そして汚染した海を蘇生させ、漁民の生活と地域住民の生活環境を保全するために対策を講じなければならないと考えます。
 これまでは、一時的な海の持つ浄化機能で海水が浄化されてきましたが、海中道路の建設でそれ以後は潮流の流れが妨げられ、潮流に変化が生じ、海の浄化機能が低下し、汚濁のほとんどが海中にそのまま堆積されるなど、海中道路の建設が汚染の元凶だと言われております。
 このように、県民の生活にとって貴重な財産である海をこれ以上汚染させることを放置することは許されないと思います。したがって県としては、海水汚染や土砂の浸食が激しくなっている金武湾一帯を蘇生させるために早急に県独自の実態調査を行い、その原因を究明し、それに基づく有効な対策を講ずるべきであります。これに対する知事及び関係部長の御見解をお聞きしたいと思います。
 また、前述しましたように汚染の元凶はガルフ社が埋めた海中道路にあると言われております。1971年11月1日付、当時の行政主席による与那城村屋慶名及び平安座間の公有水面埋め立て免許の許可条件の中で、埋め立ての免許を受けた者は、環境維持を図るため、海中道路の東西の海水が流通できる施設を屋慶名、平安座寄りにそれぞれ1ヵ所、中間に1ヵ所設置しなければならない。ただし屋慶名側の施設は5トン未満の小型船が安全に航行できるものとしなければならないと規定され、また14項では、工事完了後においても埋め立て権者の責任において調査研究を行い、7年以内に被害を発見し、琉球政府またはその後継者が海中道路の建設による問題として確認した場合には、埋め立て権者の責任において海中道路の一部を架橋及びその他の方法により改良する等の措置を講ずると明記し、さらにこれを受けて与那城村とガルフ社との間にこの条件に合意する覚書が締結されております。
 したがって県は、早急に必要な実態調査を行い、それに基づいてガルフ社並びに与那城村に対して海中道路の改善勧告を行うなど、会社側の責務を履行させるべきではないか。これに対する知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 以上をもって、一応質問を終わりたいと思います。
 あと、答弁によっては、必要に応じてお尋ねをしていきたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 最初に、国防長官の発言に関連しての御質問がありましたので、それからお答えします。
 1969年の11月、時のアメリカ大統領と日本の総理との間で出された共同声明の中に、韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であるといった意味合いの共同声明があったと記憶しております。われわれは当時から、それに対して非常なる不安を持っておりました。これでいよいよ沖縄基地というものが、より危険な状態に追い込まれるのではないかと考えておりますが、これにつきましては、当時上京しておりました屋部副知事からも防衛庁に折衝しておりますので、後でこの点は補足させたいと思っております。
 次に、軍用地内の県道でありますが、お説のとおり線にして6線、距離にして26.5キロにわたる県道が基地内にあります。
 これにつきましては、早期返還するように昨年の5月にも防衛庁長官に対して強くこの点を要請いたしておりますが、その後も機会のあるときには強く要請をしておりますが、いまだに実現しておりません。今後とも、この点については強く要求していきたいと思っております。
 なお、法的な点も御質疑がありましたので、この点は土木部長から補足をさせたいと思っております。
 次に、交通方法に対しての基本的な考え方でありますが、お説のとおりかつてない歴史的なことであり、先ほどの御質問にもお答えいたしましたが、何といっても左側通行ということが当然であり、それをしかし国際条約に基づいてどうしても変えなければならないとすでに事は変えることに決まった以上は、それに万全を期して準備を進めているところでありますが、あくまでも県民の生命、財産の安全の保護と経済活動への及ぼす影響をあとう限り圧縮していかなければならないと。そうして損失の補償は完全に国でやってもらわなければならぬと。こういう意味でいま折衝を続けておるところでありますが、幸いいまさき正午に関係者が交代されました後任の方が見えておりましたが、これが来週月曜日に現地において協議会があるとのことでありますので、どういう内容のものを持ってこられたか、私まだわかっておりませんが、そこで明らかになれば、県として強く要請すべき点は要請し、万全を期したいとこういうふうに考えております。
 なお、御提案にありました公民館その他2つの問題につきましては、いま議会の御協力を得て特別事業は強力に折衝しておるさなかであり、それさえまだ確たる返事が出てこない現状においては、その成り行きを十分見ながら検討していきたいとこう考えております。
 なお、どれだけの雇用を拡大されるかという意味合いの御質問だったと承っておりますが、いま関係部局から常々この問題については庁内でも論議されておりますが、まず6000名から8000名程度は雇用がふえるのではないかというのが現時点における結論であります。
 雇用対策は非常にむずかしい問題で、幾たびか庁内でも論議を交わされているところでありますが、お説のとおり非常にこれには難渋をいたしております。今回の大きな予算によってでも、これだけしか拡大はできないとすれば、あとは一体どうするかと。
 ここで、私十分に専門家の意見と関係者の意見を聞かなければなりませんが、ただ思いつく点は、年々にキビの蔗作面積は減じてきた、反収は年々に減ってきた、そうして遊休土地はいま農業公社が一生懸命にやっておりますが、それでもまだ相当の遊休土地がある。これとかみ合わして、そこに何とか具体的な方策は生まれないだろうかということを考えておるわけであります。最もこれだけによって、いま問題になっておる失業問題が片づくとはもちろん考えておりません。その一環としてこういう面も一応考慮に入れて、関係方面や専門家の御意見も聞いてみようという段階であります。
 次に、CTSの問題についてでありましたが、その前に昨年申し上げました雇用問題協議会でありますが、これは設置いたしております。それは労使団体の代表者、学識経験者、市町村長を代表する方々、学校関係者、国、県等職員から21名で構成しております。その協議事項等については、関係部長から詳しく報告させることにいたします。
 なお、CTSにつきましては、新聞報道で御承知かと思いますが、その後の増加の申請がありましたので、私は早速関係の通産大臣、総理大臣にお会いして、すでに前知事時代に認可された分でも政府が現時点において目指しておられる90日分の6%に相当する、これ以上の増設はどうしても考え直してもらいたいと。これは資源エネルギー庁に行って資料をいただきましたが、それから見ても、どうしてもこれ以上は無理であると。軍事基地との関連においても、軍事基地も膨大なものである、さらにこれもと。こんなに膨大ということになるというと、単に石油基地や軍事基地の問題ではなくして、他の行政に及ぼす影響も大きいということを申し上げましたが、結局通産大臣の最後のお言葉は、関係者とよく話してみるからということでその後のことはまだ答え得ておりませんが、機会を得て行ってもう一度この点について触れたいと思っております。
 なお、金武湾のものについても関係部長から詳しく説明をさせたいと思っておりますが、汚染防止対策について金武湾の水質を保全するために50年の3月に水質環境基準をA類型に設定し、流域の工場、事業場、畜舎排水等の規制を強化するため51年の8月に上乗せ排水基準を設定しました。また金武湾に立地する石油企業等については公害防止協定を締結し、タンカーの原油荷役作業及びオイルフェンスの展張状況等の監視、指導するため公害監視船を配置して流出油事故等公害防止に努めておりますが、その対策等につきましては関係部長から報告させることにいたします。
 漏れた点があったかもしれませんが、漏れておる点はまた部長で補足し、さらに再質問によってお答えいたしたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 屋部副知事。
   〔副知事 屋部 博君登壇〕
○副知事(屋部 博君) お答えいたします。
 先ほどの質問の中で、安保協議委員会で返還合意された施設について早期返還が実現できるよう県はどういうような取り組みをしているか、それと同時に私が21日に折衝に参りましたのをあわせて御答弁をいたしたいと思います。
 過去、日米安全保障協議委員会で返還合意された基地の面積は約57平方キロメートルに対して、これまで返還されたのは約13平方キロメートルで、その進捗率は22.6%、きわめて悪いような実情であります。
 このようなことから、政府においては沖縄の軍用地返還について見直しを行っておりますが、その見直しに当たって、日米間で返還合意された施設の一部について代替施設が得られないことを理由に返還計画から除外する旨の報道がなされたのでございますが、早速この問題について防衛施設庁にその答えを求めたのでございますが、そのときの回答は、指摘のとおり返還は済んでいない、しかしながら代替地が見つからないから返還要求をしないということは決してないので誤解のないようにしてもらいたいということで、返還を促進するためにはどうすればよいかをいま検討していると、そしてその一案ができ上がれば、皆さんとも相談をしたいというような御回答でございました。
 そういうことで、県といたしましては日米協議委員会で返還が合意された基地のみならず、政府において軍用地の返還計画を策定させ、同計画に基づく軍事基地の早期返還を強力に今後も要請していく所存でございます。
 次に、昨今の演習強化対策とブラウン国防長官発言に見られる沖縄基地の機能強化に対する見解でございますが、この問題については、私たちが21日に上京した際にその後で出た問題でございまして、ブラウン国防長官の言われた基地強化の問題については発言をすることができなかったのでございます。しかしながら県では、従来から米軍基地が大規模かつ高密度に存在することによって県民が幾多の被害を受けております。特に昨今では、ハリア戦闘機の離発着の訓練や、県道104号線越えの実弾射撃演習等各種の軍事演習が増大し、県民に不安を与えている状況にあることは御指摘のとおりであります。
 県は、これまでこのような県民被害の根源である各種の軍事演習の中止はもとより、基地の撤去を強く訴えてきたことは御承知のとおりでございます。そこでブラウン国防長官の発言に対しては、さらにこれから基地強化の問題について政府と交渉を重ね、その考え方を聞いてただしたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 県道104号線の件についてお答えいたします。
 本県の県道は、沖縄の復帰に伴う建設省関係法令の適用の特別措置等に関する政令第87条の規定により復帰前の政府道から移行してきておりますが、御指摘のように県道104号線ほか5路線の一定の区間については、沿道の地域とともに道路敷地も含めて復帰前から引き続き提供施設になっておりまして、また県道は復帰前の政府道から県道は移行してきましたために、道路敷地については道路と基地が共同して使用する形になっておるのでございます。
 これら路線の共同使用の区間については、道路法上の特別な規定はありませんで、一般の道路と異なるところはないのでございますが、しかしながら提供施設と道路法上の道路が共同使用の形態にあるということはきわめて不自然な使用形態でありますので、県としては道路敷地を早急に返還してもらうよう再三国に対して要請しておるのでありまして、今後もこの方針に従って早期返還に向けて努力していきたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) お答えいたします。
 過大規模校の解消、新設校等によって教職員の増が考えられるが、どのような計画を持っているかとの御質問にお答えいたします。
 県立の全日制高等学校で生徒数1500人を超す過大規模校は11校で、高等学校総数の25%に当たります。これは昭和50年度の全国平均1.2%に比べると格段の差が見られます。
 このような実情を踏まえまして、県教育委員会では、県立学校編成整備計画の中で県立高校の増設と過大規模校の解消を図ることと、進学率の引き上げを図るための高校の増設をする計画を持っております。
 過大規模校の解消につきましては、昭和56年度までに1校平均の生徒数が1080人から1500人になるよう計画をいたしております。
 教職員増の計画につきましては、昭和53年度小中学校、特殊学校を含めまして学校増設等によって168人の増を予定しておりますが、昭和54年度以降は学校増設や学校規模の適正化がありましても中学校の卒業生が減少いたしますので、特に高等学校におきましては、現行の標準法では大幅な教職員の増は望めません。
 ただ、昭和54年度から国で新たな教職員定数改善が計画されておりますので、この計画での教職員定数の増に期待しているところであります。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 警察本部長。
   〔警察本部長 齊藤 隆君登壇〕
○警察本部長(齊藤 隆君) 交通方法の変更に関連した2点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第1点の58号線の交通規制の問題でございますが、御質問にもございまレたように、県警といたしまして58号線の安謝橋から恩納村の仲泊までの26.2キロメートルの区間につきまして今回1月1日から最高速度を40キロとする交通規制を実施したわけでございます。
 最高速度を50キロから40キロにダウンさせました理由は、結論から先申し上げますと、「730」対策というよりは、昭和52年中の死亡事故の発生状況を分析検討をした結果の当面の安全対策の一環として行ったというものであります。
 御案内のように、昭和52年中は交通死亡事故で亡くなられました方が51年の100人から77人と、23人の大幅な減少を見たわけで減少率全国第2位という成果を上げたところでありますが、本年も引き続いて死亡事故を減少させようということから対策を講ずるために場所的に交通事故を分析してみました結果、国道58号線上における速度違反による死亡事故がきわめて多いという結果が出たわけでございます。
 ちなみに、数字で申し上げますと、58号線全体――これは那覇市の明治橋から国頭村の奥まででございますが――においては死者が17人で前年に比べて4人の増でありますが、特に今回規制いたしました安謝橋から仲泊に至ります区間におきましては12人の死者がございまして、一昨年が6人でございましたので、実に倍増したという状況でございます。なかんずくこの12人の死亡者を原因別に見てみますと、速度違反が8人、わき見運転が2人、酒酔い及び安全運転義務違反各1人という状況でございまして、全体の3分の2、66.7%が速度違反に起因したことが判明したわけであります。
 また御案内のとおり、58号線は本県においては最も整備された道路の1つでございますので、このような整備された道路でのスピード違反による事故防止対策としては、制限速度を下げざるを得ないと判断をいたしたわけであります。
 また、スピードダウンをすることによります時間のロス等についても十分検討してみたわけでございますが、今回規制いたしました安謝橋から仲泊に至る26.2キロ、これを時速50キロで走った場合には32分で済むわけですが、40キロにすると40分かかると。したがって端的に申し上げますと、8分間か人命かということで実施に踏み切った次第であります。
 なお、交通方法の変更に伴いまして他の道路についてスピードダウン、速度規制をするつもりがあるかという御質問でございますが、原則的には必要はないものと考えております。なお現在県下各道路について調査いたさせておりますが、調査の結果、必要性があれば実施することもあり得るわけでございますが、あったとしてもごく限られた部分的なものとなるものと考えております。
 次に、第2点の交通方法変更前後はそれ相応の混乱が予想されるが、どういうことを想定してどういう対策を立てておるかという御質問でございますが、交通方法を変更することによって生ずる事態について私どもといたしましては、ドライバーにとっては右側通行から左側通行に変わることによりまして、主として交差点等における右左折時に車線の選択をミスするというようなことが顕著に考えられるわけでございまして、そのほか歩行者の錯覚による交通事故の発生が考えられるわけでございます。
 また、こうしたミスとか事故を心配して県民の方々の緊張の高まりというものが考えられるわけでございますが、交通方法が変更になったことによる運転ミス等の対策といたしましては、ハードな施設面からは警察といいますか、公安委員会が所管しております安全施設、すなわち信号機とか道路標識、道路標示は、現在右側通行用に対応したものとして設置されておるわけでございますので、これをすべて左側通行用に対応したものにすることはもちろんでございますが、さらにそれに上乗せをいたしまして注意喚起標示を設置する等の対策を講ずるつもりでございます。
 また、ソフトの面につきましても新聞、ラジオ、テレビ等のマスコミによる広報によるほか、全ドライバーに新しい交通方法への対応の仕方を内容としたパンフレットを配布するなど、いわゆる対象に応じた内容のパンフレット、リーフレット、チラシ等、あらゆる媒体を使って広報活動によって交通方法が変更になったこと、及び変更後の運転の仕方、あるいは横断の仕方等について広報を行う方針であります。
 しかしながら、こうした諸対策を進めたといたしましても、何さま30年来親しんだ交通方法が一夜にして変わるわけでございますので、県民の方々にはまだまだ不安や戸惑いなど緊張の高まりが予想されますので、われわれといたしましては警察官等を多数街頭に配置し、また白バイあるいはパトカーを大量に投入いたしまして車の流れをリードするなど、安全を確保する考えでございます。
 そのためには、本沖縄県の警察官だけでは要員が不足いたしますので、他府県警察から白バイ100台、なおパトカー多数、そのほか警察官約2700名ばかりの応援派遣を求めまして、一定期間街頭における指導活動を実施する方針で目下準備を進めておるところでございます。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 雇用対策協議会等について御質問がございましたが、基本的には知事から御答弁ございましたんで、内容等について若干申し上げておきたいと思います。
 協議会は、協議内容といたしましては雇用失業情勢についての情報交換、あるいは離職者の予防及び雇用調整に関すること、雇用需要の拡大に関すること等、そういったことを協議内容としてまいりたいと考えております。できるならば年度内に開催したいと、そういう方向で努力してまいりたいとこのように考えております。
 さらにもう1点、厳しい県内の雇用失業情勢に対応して今日までもいろいろ対応策をとってきておるわけではございますが、雇用創出を考えるような中期雇用計画を策定してはどうかという趣旨の御質問がございましたが、先ほど御指摘ございましたように雇用失業情勢に対する対策というのは非常に困難な問題でございまして、基本的には国が現下の不況を、景気回復あるいは雇用機会の創出をやらない限り非常に困難な問題ではございますが、私ども県内におきましても今日までるる申し上げてまいったようなことをやってまいっておるわけでございますが、振興開発計画等も策定し、その対策を進めてまいりたいとこういうふうに考えておるわけでございますが、せっかくの御指摘の中期雇用計画等につきましては既存の計画等との関連もございますので、十分研究させていただきたいとこのように考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 吉元嘉正君登壇〕
○企画調整部長(吉元嘉正君) 交通方法変更に関しまして補足御答弁を申し上げたいと思っております。
 まず第1点目は、米軍関係対策はどうなっているか、そしてまた駐留軍の従業員の安全対策についての件でございますが、基地外においては米軍人軍属もわが国の交通法規を守ることについては当然のことでございますが、基地内においては直ちにはいわゆる交通関係の法規が適用されないということでございますので、午前にも御答弁申し上げましたように、日米両政府間で基本的なことについて確認がされております。したがいまして米軍人軍属の安全確保についても、アメリカ側が責任を持ってやるということになっております。
 次に、駐留軍関係の従業員でございますが、これは県民一般に対する広報をもって行うほか、運転者に対する交通安全教育については運転者向けのパンフレットを配布するなど、それから運転免許更新時講習等の機会を利用しまして安全教育を行って、一般広報とあわせてその徹底を図っていくということになっております。
 第2点目は、社会党が県の特別事業、いわゆる交通方法変更に関連する特別事業として要請された3事業を含めて県は推進していくことについての御質問でございますが、県要請に係る特別事業については、県下の各界各層からの多くの学識経験者あるいは関係団体代表者を含めたところの交通方法変更対策会議の拡大会議を持ち、そしてまたさらに各市町村長との懇談会も設定しておりますし、また一方、県議会の特別委員会におきましてもその内容、趣旨等を説明しまして一応了承を得ております。したがいまして、これから正式追加することについて非常に無理があると考えております。
 なお、すでに要請しました特別事業については国が目下検討段階でありますので、御提言のことについては慎重に検討する必要があると思量いたします。
 次に、那覇空港の整備と自衛隊との共用の問題でございますが、御指摘のとおり那覇空港の整備の方向づけとしましては、去年暮れに国で決定しました3全総で、国際交流の拠点あるいは国内空港としては基幹空港として2つの側面から位置づけられておりまして、かなり明るいものがあると考えております。しかし同空港は、本県の復帰に際して御指摘のとおり基地返還の目玉として民間専用の空港にすることを前提に返還されたことになっておりますが、残念にまだ自衛隊との共用空港になっております。したがいまして、しばしば航空安全上の危険性をも関係者から指摘されております。
 しかし、地理的にも那覇空港の場合には好条件を備えておりますので、将来目標としまして、自衛隊との共用を廃止して民間専用の国際空港として整備拡充していくと。そしてまた通関施設の拡充や格納庫の整備、あるいは副整備基地などの機能を備えた諸施設を整備して、いわゆる背後地の活用を図っていきたいとこういう方向でございます。
○議長(知花英夫君) 渉外部長。
   〔渉外部長 久貝誠善君登壇〕
○渉外部長(久貝誠善君) 交通方法変更に伴う駐留軍従業員の安念対策についてどうなっているかということに関連しまして、一般県民としての安全対策、これはただいま企画調整部長が説明したとおりでございます。
 それに加えまして、施設内でいろいろその業務に従事いたしますので、特に駐留軍従業員に対しては米軍当局、人事部当局等と話し合いをしまして、これの安全対策の万全を期したいというふうに考えております。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 平良清安君登壇〕
○総務部長(平良清安君) 石油コンビナート等災害防止法に基づく特別防災区域における防災計画につきましては、目下担当部課で関係者と調整しておりまして近々のうちにでき上がりますので、早い時期に同防災本部会議に審議したいと思います。
 それから専門の人がいないんじゃないかという御指摘ですが、従来おりました職員が年齢によって勧奨になっておりまして一応本職としてはやめておりますが、この種の専門職は少ないわけでございますので、いまのところは嘱託という形で委嘱して業務に携わっております。
 以上です。
○議長(知花英夫君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 伊波茂雄君登壇〕
○環境保健部長(伊波茂雄君) 金武湾の浄化対策につきまして補足をいたします。
 金武湾は閉鎖性の海域でございますので、その水質保全のために県といたしましては水質の調査を毎年実施いたしております。
 それから有害物質による生物汚染の調査といたしまして、魚をサンプリングいたしまして分析をいたしております。
 さらに流域における汚染源についての実態について予備調査を実施いたしております。
 それからどろの堆積状況あるいは生物の生息状況等についての調査でございますが、平安座、宮城両島の海域について実施いたしました。
 それから現在与勝沿岸の水域の総合調査について予備的な調査を実施いたしております。これは平安座、宮城、伊計3島周辺の海域において、水質あるいは底質、生物層、陸域における大気、騒音、悪臭等の現況を把握いたしまして今後の本調査に備えることにいたしております。
 また、金武湾内に30ポイントを選びまして、湾内の底質の予備調査を現在実施いたしております。これは水深あるいは水の透明度、濁りの状況、あるいは堆積物の種類とか深さ、臭気あるいは海底の形質など、写真撮影等も含めまして調査を実施しております。
 今後の浄化対策といたしまして、いままで述べてきました予備的な調査、あるいは毎年やっております調査を踏まえて今後も流域汚染源、あるいは湾内の底質、あるいは湾内海水の交換率といいますか、そういったものについて調査を継続していきたいと思います。
 さらに、浄化測定点を増設していきたいと。すなわち水質観測点をふやし、また底質浄化観測点を設定し、さらに生物指標による浄化観測点などの設定を考えていきたいと思っております。
 こういった種々の調査を踏まえまして、汚染の機構を究明し、赤土の流入防止、あるいは生活排水、あるいは畜舎等事業場排水、さらに堆積泥の処理、あるいは環境容量及び湾の自浄作用等についての調査研究を推進していきまして、浄化対策についての検討、あるいは実施をするようにしていきたいとこのように考えております。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 海中道路の件についてお答えいたします。
 平安座─屋慶名間の海中道路の建設は46年1月付で免許されまして、47年の4月22日に竣工しております。
 埋め立てなどの条件は、先ほど友寄議員の述べられたとおりでございます。
 先ほど、伊波部長から金武湾の調査の件についての御説明がありましたが、私たちは環境保健部とよく連絡をとりまして、その調査をもとに埋め立て権者である与那城村と十分協議して今後の措置を検討していきたいと思っております。
○議長(知花英夫君) 友寄信助君。
   〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 先ほど、県道が施設区域内に入れられたその法的根拠、その手続はどうなっているかという点について答弁なされてないんですよね。いわゆるこの6本の県道が施設区域内に復帰の時点で一方的に組み入れられているわけですが、県道というものは、県道ですから県が当然道路の管理権を持っているわけです。これを一体どういう法的根拠で、どういう手続でそういう施設の区域に入れたかということなんですよね、それについて答弁なされていないんですよ。
 いま御答弁では、これが復帰の時点で施設区域内に入れられたと、共同使用という形で不自然な状況になっているという答弁なんですが、いわゆるこの県道を施設内にそのまま入れていくこと自体いろいろ問題があるわけですが、普通そういう施設区域内に入れる場合、復帰前は政府道路だったというわけですが、いわゆる国有財産の取り扱いでそれをそのまま施設区域内に入れたかどうかという問題ですね。これは一般個人の土地であれば、いわゆる公用地法で強制的に取り上げて米軍に提供されているわけです。それはその法的根拠があるわけなんですよね。しかし一体、県道です県道、これは。どういう法的根拠でやったかというんです。
 ですから、普通、国有財産であれば法律第110号の国有財産管理米軍特例法によって、いわゆる米軍に提供できる法的根拠があるわけです。国有財産の場合は、処理する場合も関係市町村との事前の協議が必要なんです、事前の協議が。この国有財産管理米軍特例法の7条によりますと、「国が第2条の規定により合衆国に対して政令で定める国有の財産の使用を許そうとするときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長、関係のある都道府県及び市町村の長並びに学識経験を有する者の意見を聞かなければならない。」
と、こういう事前に関係都道府県の市町村と協議しなければならぬということなんです。しからば、それが果たしてなされているかという問題を含めて、この点を明確にすべきだと思うんです。
 それと、いま共同使用ということを答えているわけですが、この6つの県道は共同使用なのか。いわゆる地位協定第2条4項の(a)号、この(a)号は共同使用です。(b)号は一時使用になっているわけですね。だからこの施設区域内に入れられた県道は、この地位協定の第2条4項の(a)号なのか、(b)号なのか、いわゆる共同使用なのか、いわゆる一時使用という形で一方的に提供施設区域に入れられたのかどうか、そのあたりがきわめて不明なんですよね、これは。そういう状況を、いわゆる道路管理権を持っている県がそのまま放置していいかという問題です。
 その点について、もう一度明快な答弁を願いたいと思います。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 県道の指定は、先ほど申し上げましたように建設省令の87条で政府道から移行して県道に移管したのでございますが、先ほど友寄議員が申し上げられましたその手続の協議は、県としては受けておりません。
 それから共同使用というのは、共同して道路敷地と基地が共同して使用しているというふうな意味で申し上げたのでございます。
 そのほか、基地のいろいろの問題につきましては、渉外部長の方でお答えいたします。
○議長(知花英夫君) 渉外部長。
   〔渉外部長 久貝誠善君登壇〕
○渉外部長(久貝誠善君) ただいまの104号線の接収、軍用地に提供された法的な根拠はどういうことかというようなことに関連して、御説明をいたしたいと思います。
 御承知のように、沖縄の米軍基地は沖縄の復帰に際し、いわゆる返還協定の第2条で復帰の日から安保地位協定が適用されるということに規定され、そしてその第3条で、県内の基地は引き続き米軍に使用が認められると、さらにその覚書によって88施設が引き続き米軍の使用に供される予定のリストとして挙げられております。
 さらに、復帰の日の昭和47年5月15日の日米合同委員会においてその施設及び区域として決定され、同6月15日付の防衛施設庁告示第12号でその施設区域が告示をされております。そしてその使用権限を取得するまでの暫定措置として制定をされましたいわゆる公用地暫定使用法、これによってその使用が開始され、その後契約に応じた者についてはその契約によって、さらに契約を受けない、締結しない者については公用地暫定使用法の規定によって使用が継続され、今日に至っております。
 ところで、県道104号線ですが、これは先ほど土木部長の説明にもありましたように、復帰前の1953年9月28日に当時の琉球政府道というふうに認定されております。一方1958年には、同県道を含めた同地域が軍用地に接収されております。それが復帰に際して、沖縄の復帰に伴う建設省関係法令の適用の特別措置等に関する政令に基づきまして沖縄県道に認定され、同時に、一方基地として先ほど述べました諸法令によって米軍の使用施設及び区域として提供されるということになっているわけでございます。
 そこで問題なのは、同道路に対する管理者としての権限と地位協定第3条に基づくいわゆる基地管理権とは競合された形になっていると、先ほども土木部長が述べましたように不自然な形になっているということでございますが、土木部長の答弁にもありましたように、そういうような権利が競合するような形の場合は、政府としては、合衆国にそれを提供する際に当然にあらかじめ権利の調整をなすべきだったというふうに考えられます。質問者の御指摘にもありましたように、国有地、国有財産に対しては、地位協定の実施に伴う国有財産管理法――これは略称ですが――の第7条に基づいて、「内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長、関係のある都道府県及び市町村の長並びに学識経験を有する者の意見を聞かなければならない。」というふうになっておりますが、本県の道路の場合、道路敷地については国有地というふうになっておりますが、そのような手続はなされていないようでございます。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団を代表し、当面する県政の幾つかの問題について知事、関係部長並びに教育長に質問を行います。
 まず質問の第1は、不況、失業の問題についてです。
 復帰後満6年を迎えようとする今日、本県における企業倒産件数は昨年1年間で214件で、かつてない記録的な高水準を示しており、昨年末減少に向かっていた完全失業者も年明けとともに再び上昇に転じ、今年1月で2万2000人、失業率は5.6%に上り、依然として深刻な状態が続いています。とりわけ若年労働者の失業率が高く、新規学卒の就職がほとんど望めないという特殊な事情もあって、他県に類例を見ない深刻なものにしています。
 ちなみに、昭和52年度の新規学卒者就職内定状況を見ましても、県内就職希望者は大学1512人、これに対し県内求人は189人、実際に就職が内定した者はわずか39人です。高校についても、県内就職希望者3085人に対し県内求人は309人、内定は135人といった状況です。
 不況、失業の問題の本質が国の産業経済政策にかかわる性質のものであり、自民党政府がつくり出したものである以上、こうした国の政治の抜本的な転換、経済の仕組みを大資本奉仕から国民本位に切りかえることがこの問題を基本的に解決する道です。とりわけ県経済と県民生活が低迷した状況に落ち込んでいる根本的原因は、復帰後数年たった今日でも県民の生活と産業活動にとって欠かすことのできない土地や財産が米軍基地に不法に奪われ、しかも自民党政府が県民本位の産業経済発展の基本的施策をなおざりにしてきたからです。
 しかし、現実に県民が不況と失業の中に苦しんでいるという状況のもとで、知事が可能な限りの施策をとり、あとう限りの努力を払われるのは当然のことで、そのような立場から知事は提案事項説明の中で施策の筆頭にまずこの問題を取り上げ、景気の浮揚と雇用の安定をどう図るかについて述べておられます。
 わが党は、昨年7月4日、県経済と生活危機打開の方向として沖縄の現実が求める安保条約廃棄の課題と経済再建の道について政策を発表し、知事に対しても申し入れと具体的に提言をいたしました。これは沖縄経済と生活の危機を打開するために、県民の知恵と力を結集する沖縄県の産業経済復興のための県民会議の結成を提案するとともに、5項目から成る緊急対策の筆頭に深刻な雇用失業不安を取り除き、中小零細企業へ仕事を保障するため、立ちおくれている福祉施設や教育文化施設など県民本位の公共事業の発注を急ぐとし、さらに5つの細目から成る具体的な対策を提言したものです。
 知事は、わが党のこの提言をどのように検討し、施策に取り入れられておられるか御見解を伺います。
 質問の第2は、農業の振興についてです。
 まず初めに、私は知事が日ごろから農業の振興に関して重要な関心を払い、着々と成果を上げつつあることを評価するものです。
 今回の知事提案事項説明においても、特に農業に関してはおよそ4ページにわたり農業生産の基礎条件の整備、農業生産の拡大、農産物の価格及び流通合理化対策の強化など詳細にわたって施策を提起し、知事の農業の振興についての意欲のほどを示しておられます。とりわけかつてわが党も提起し、農林水産部でも意欲的に検討していました野菜輸送対策特別事業などが新規の事業として織り込まれたことについて評価するものであります。
 しかしながら、本県農業をめぐる昨今の情勢はきわめて厳しくなお一層の努力が要請され、今後解決しなければならない幾多の問題が山積しています。
 その幾つかを挙げてみますと、立ちおくれた生産基盤整備事業をどう民主的に推進するか、そのための休耕補償をどう実現するか、農業後継者の育成をどうするか、あるいはキビ価格補償のための法改正の推進、輸送コストの低迷など流通の整備、ウリミバエ駆除などが挙げられます。
 私は、知事がこれら解決を迫られている問題の処理のため、さらに一層積極的に施策を推進されるよう要請するものです。そして当面の緊急の課題である政府自民党の円高黒字減らし対策、すなわち農畜産物の関税引き下げ、輸入枠拡大にどう対処するかについて伺いたいと思います。
 この問題に関しては、昨年12月定例会でのわが党の提起に対し、知事も重大な関心を持って対処していきたいと答えておられます。
 その後の経過を見てみますと、去る1月18日に県下の関係農民の集会が開かれ、同23日の臨時議会でも全会一致で意見書が採択されています。
 特に、本県ミカンと競合が懸念されるオレンジの輸入枠拡大にどう対処されるかをお伺いいたします。あわせて全県的なウリミバエ撲滅作戦を目指し次年度から予算化されると思いますが、その準備体制がどう進められているかお伺いいたします。
 また知事は、農村における生活環境施設の整備と小規模土地基盤整備事業に意欲を示しておられます。わが党もこれを評価するものですが、これらの農村総合整備事業、地域農政特別対策事業をどのように積極的に推進されていかれるのかお伺いいたします。
 質問の第3は、沿岸水域の埋め立てと漁港建設についてです。
 糸満市土地開発公社は、水産高校用地造成の際埋め立てた同高校西側の商業用地を、処分に当たっては10年の間県知事の許可が必要であると定めた公有水面埋立法第27条に違反し、県知事の許可を得ず権利移転を行っています。このことはすでに新聞に報道されたとおりで、きわめて重大な問題を含んでいます。
 第1に、公的機関である糸満市土地開発公社が公然と法を犯していることです。第2に、全市民の財産ともいうべき公有水面埋立地を、主人公である市民が全く知らないうちに処分されているということです。
 第3に、驚くべきことには、同一区画内の同一面積、同一条件のこれらの土地が1坪約20万円、もう1つは同じく1坪約10万円、もう1つは同じく1坪2500円、たった2500円、この3段階の価格で売却されています。
 かけがえのない漁場の喪失と汚染による損失などによって成り立つ埋立地が、漁民を初めとする市民のひとしい利益に帰せずに、一部の人々の利益に供されているということは許されるものではありません。これでは糸満市土地開発公社は、法を犯した上に放漫でたらめな公社運営を行っていると言わなければなりません。
 こうしたことから、市民も告訴の動きに出ていると聞きますが、農水部長はその事実を明らかにしてもらいたい。
 伝統的な糸満漁民にとってさらに許せないのは、土砂採取許可、水面占用許可を悪用した不法な事実上の埋め立て行為によって、糸満地先の広大な沿岸漁場が汚染され、イカ釣り漁業、建て干し網漁業、エビ採取漁業を初め、沿岸漁業が重大な被害をこうむっていることです。
 糸満市土地開発公社は、毎年度の事業報告の中で埋め立て事業について埋め立て免許がまだ下付されず、占用許可の範囲内で細々とやったと公言し、財産目録、貸借対照表の中で23億円余の造成土地を流動資産として挙げています。水面占用許可がどうして造成土地を生み出すのか。民間の一私人であればともかく、公共の団体がこのように人をおそれず、天をおそれず、傍若無人の振る舞いを続けていることが利権の温床を醸し出し、漁場破壊を生み出しているのです。
 そこでお伺いしますが、県は糸満地先の広大な漁場の汚染の実態を掌握しておられるか。県立水産試験場の目と鼻の先で漁場を汚染されるままに放置するということでは、せっかく成果を上げつつある水産試験場も玉にきずがつくというものです。直ちに漁民と一体となって調査船を繰り出し、汚染の実態を明確にしなければなりません。
 また、水面占用許可による許可面積は29万4000平方メートル余となっていますが、水面である以上土砂は流動します。許可面積からはみ出て流動し、事実上海でなくなり、水面から表出した面積はどれだけか御答弁を願います。
 さらに、県営漁港修築事業も沿岸漁場汚染の原因の一端をなしており、糸満地先漁場の複合汚染について、糸満市土地開発公社と漁業損害補償の責任分担を明確にしなければなりません。御所見をお伺いいたします。
 質問の第4は、財政の問題についてです。
 昭和53年度一般会計予算における歳入総額は52年度当初予算に比し22.2%の伸びで、2000億円の大台を突破しました。これは国庫支出金が現年度に対し28.7%伸びて歳入総額の中で47.2%を占めていることと、その対応費を捻出するために県債――借金を20%もふやさなければならなかったことが主な要因となっています。
 県財政の確立については、県自体の努力が必要であることは当然ですが、県の努力だけで可能となるものではありません。といいますのは、地方自治体の財政は、国が決める地方財政計画によってその財政運営の大枠が決められ、これに縛られるからです。
 県予算における国庫支出金や県債の伸びは、大幅な公共事業の拡大とこれに対応させるため膨大な借金を地方自治体に押しつけている地方財政計画でたがをはめられていることによるものです。
 また政府は、この計画によって本来交付税で措置されていた基準財政需要額を交付税総額が不足しているという理由で削減し、地方債に振りかえ措置をするという交付税法違反の措置をことしも繰り返しています。これはわが党を初め各野党も、また全国知事会等地方6団体の厳しい追及を受け、法律の遵守、制度の即時改正、交付税率の大幅引き上げ、国から地方への財源配分の増強のきつい要求を突きつけられています。
 53年度県予算歳入総額において交付税は約3分の1を占めており、県財政の根幹をなしています。本来交付税制度は、弱小自治体の行政水準を引き上げ、全国的均一性を図っていくためにできた制度であることから、戦争の惨禍と27力年の軍事植民地的支配下に放置されたことに起因する貧弱な財政状況のもとに置かれている本県こそ、最も強く交付税率の大幅引き上げを国に迫り、全国、九州知事会等でもそのための主要な役割りを受け持つことが重要だと考えますが、知事の御所見を承りたい。
 次に、米軍人等の私有車両に対する自動車税の屈辱的課税について、わが党は幾たびかその撤廃を要求してまいりました。また知事も、県政運営上の問題点として第1次分に上げ、昨年6月には国に要請を行っておられます。
 52年度試算によりますと、3億9000万円課税されるべき米軍人等の私有車両が、安保条約に基づく地位協定、地方税法臨時特例法によってわずか24%の9400万円しか課税されず、約3億円もまけさせられる結果となっています。
 このような屈辱的な課税法令は、地方財政の健全な運営を図っていく上からも早急に撤廃されなければなりませんが、知事の御所見を承りたい。
 また、53年度県税収入において法人事業税は7億円、14%の減で、全国でも広島、高知県と並んで最も高い落ち込み率となっています。これは日本銀行の国庫納付金の増加したためによるものが主となっております。
 全国知事会も昨年11月、地方財源が激減することは納得しがたいと法律改正の緊急申し入れを行っています。法人事業税、県民税を含めて落ち込みの実態を明らかにし、その対策について御見解を承りたい。
 高校増設と大規模過密校の解消については先ほど質問がありましたので省略し、質問の第5は障害児教育の問題についてです。
 心身障害児教育の義務化は、いよいよ来年の4月から実施されることになり、重度も重複障害児も教育を受ける義務が生じてきました。わが党は障害児とその父母の多様な要求にこたえて、すべての障害児にその障害と発達に見合った行き届いた教育によって障害を克服し、基礎的な知識や技術、判断力をつけさせることは国民教育の重要な課題だと考えます。
 教育庁の資料によりますと、沖縄の義務教育対象の心身障害児は推計7567人で、そのうち特殊学級も含めて教育施設で就学している児童生徒数は全体の43.5%に当たる3292人です。その他対象児で在宅や福祉施設に収容されている子供もいると思いますが、4000人を超える未就学の子供たちの障害の度合いなどはどうなっておりますか。
 また県は、障害児教育の義務化に備えて養護学校の建設を進めてきましたが、義務化された際十分に対応できる体制はできておられるか。特に敷地の狭い整肢療護園と同居しておる那覇養護学校等、どういう対策を持っておられるかお伺いいたします。
 質問の第6は、米軍演習の即時取りやめ、基地撤去、日米安保条約廃棄の闘いについてです。
 最近、沖縄の米軍演習の激化、核兵器基地としての性格、沖縄返還協定に当たっての秘密取り決め等、沖縄米軍基地と日米安保条約にかかわる問題がきわめて重大な問題としてクローズアップしてまいりました。知事を初め県首脳も絶えずこの問題に悩まされ、米軍や政府への抗議の申し入れをなされるなど真剣な取り組みを進めてきておられますが、特に今回の県政運営方針の表明に当たりましては、知事が「私は戦争につながる軍事基地の存在を容認した日米安保条約に反対する立場を堅持し、この視点からすべての問題に対処していく所存であります。」と明確な態度を表明されたことを高く評価し、一段と強力な取り組みを期待する立場から質問申し上げたいと存じます。
 福田首相は、去る1月25日の国会で共産党の瀬長亀次郎衆議院議員が代表質問に立ち、沖縄での米軍演習の激化により県民被害や自然破壊が一段と進行し、深刻な事態を招いていることを取り上げて質問したのに対し、在日米軍は極東の平和、安全を守るためにやってきているもので、これが演習もせずじっとしていたんではその役目は尽くされないわけで、米軍が演習をするのは当然のことだと答え、激しい米軍演習を強い調子で支持しています。
 米軍演習がいかに危険なものであるかは、幾多の犠牲をこうむった事例を持ち出すまでもなく2月7日夜、米空母ミッドウェーから飛び立った艦載機が、入砂島の射爆場と間違えて渡名喜島の民家の庭に照明弾を投下した事例、また昨日正午前、北谷村北前のハンビー飛行場から北方わずか200メートル沖合いの海上、しかも発電所の50メートル近くに普天間マリン所属のヘリが低空飛行で旋回中黒煙を出して垂直に墜落しました。最近米軍による訓練飛行等が頻繁に行われ、住民を不安がらせただけに、住民地域に落ちていれば大惨事は免れなかったと、島袋村長が語っています。この2つの事例を挙げるだけでも明らかです。
 しかるに、演習は当然だとするこの福田首相の態度は、去る沖縄戦において悲惨きわまりない犠牲をこうむり、引き続き30年余にわたる米軍からのあらゆる屈辱と幾多の犠牲を強いられ、現実に今日なお米軍機や戦車等による演習で自然は破壊され、日常的に県民の生活、財産、生命が危険にさらされ続けている県民への重大な侮辱的態度と言わなければなりません。一国の総理とも思えないこのような国民への挑戦、対米追随の言動は断じて許してはならないものと考えるものですが、これまで終始米軍演習に反対し、その都度政府に対しても演習取りやめの要請を行ってこられた県知事としてどう受けとめておられるか、御所見をお伺いいたします。
 去る2月3日、わが党の不破哲三衆議院議員が衆議院予算委員会での総括質問で、米軍自身の内部文書と米国議会の議事録、議会証言等をもとに沖縄米軍基地をめぐる重大な動きを明らかにしながら、政府への質問を展開しました。それは在日海兵隊の朝鮮出動演習、嘉手納空軍基地での核兵器重大事故発生の想定演習、嘉手納米軍基地における第18戦術戦闘航空団の核爆弾起爆可能化手順の訓練などの演習を米軍が昨年実施していたことを明らかにし、この演習は朝鮮半島への沖縄からの在沖米海兵隊の直接出撃の演習であり、核兵器を積載した航空機の事故と嘉手納に駐留する航空機が核攻撃に飛び立つときにその起爆装置の取り扱いをする訓練であることを指摘し、その重大性について政府を追及したものです。
 これらの訓練、演習については去る2月22日、わが党の瀬長、寺前両衆議院議員と嘉手納基地のバクスター司令官との会見でも確認されています。
 これはまた同じく去る2月22日、米下院外交委員会聴問会でブラウン国防長官が、核兵器先制使用に関し韓国から米地上軍が撤退した後その補完措置として北朝鮮による韓国攻撃があった場合、直ちに嘉手納基地から発進する飛行中隊、第7艦隊機動隊、在沖米第3海兵師団を投入するとの証言で裏づけられており、さらに本年1月以来の在沖米軍の激しい演習の実態、この7日から11日間にわたって朝鮮半島と周辺海域で実施される米韓合同演習チーム・スピリットヘの第18戦術戦闘航空団と第3海兵師団第9海兵連隊などの大挙投入によっても明らかにされてきていると言えます。
 このように、沖縄米軍基地はまさに核兵器基地として、また朝鮮戦争を想定した核出撃の拠点基地、そして核兵器の重大な事故さえも想定されるなど、断じて許せないおそるべき重大事態だと申さなければなりません。これは沖縄の施政権返還に当たって、日米間で交わされているという沖縄米軍基地の自由使用に関する5・15合意メモの正体を意味します。
 かかる重大事態のもとで、県知事が政府に対し5・15合意メモの全面公表を要求し、奮闘しておられることに敬意を表明するものですが、県民に対しては本土並み基地などと欺き、アメリカに対しては徹底追従の立場からの義理を果たそうとする自民党政府の態度であるだけに簡単ではないと思います。とはいえ、この5・15合意メモを公表させ、かつ核兵器基地としての疑惑が一層濃厚となってきた沖縄米軍基地の実態を徹底して明らかにすることは、平和と安全を願う県民、そしてすべての国民の立場からも不可欠の緊急課題だと考えるものです。
 知事は、この問題について引き続きどのように対処していかれるか、御所見を伺いたいと思います。
 最後に、平良知事は1976年の知事選挙出馬に際し、革新統一綱領の中でわれわれは平和憲法のもとで基本的人権の保障と反戦平和の立場を堅持して、日米安保条約を廃棄させ、軍事基地、自衛隊等一切の軍事政策や軍国主義復活に反対し、平和な住みよい沖縄県をつくっていくと公約されました。沖縄米軍基地のおそるべき実態や連日のもろもろの演習は、まさにこの統一綱領に基づく実践こそが平和憲法の定めるわが国の安全と平和への道であることを疑いなく教えております。
 知事を初め県首脳の皆さんが、安全と平和を願う県民の負託にこたえてますます確信を持ってこの公約実践のため御奮闘くださることを心から期待して、質問を終わります。
○議長、(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 最初に、御提言のありましたのをどのように織り込んだかということでありますが、その点につきましては、御提言もその他の情勢も踏まえてあの政策は決めたものでありますが、遺憾ながら県民会議については、真の県民会議たらしめるために各方面との連携、協議等に時間を要して、いまだ実現に至っておりません。
 そこで失業問題についてでありますが、県内就業を志向する失業者が滞留している現状から、当面対策の基本は雇用の吸収効果の高い公共事業を初めとし、製造業を中心とした既存企業の振興及び新規企業の誘致を強力に推進するとともに、御提言にありました趣旨に沿うて医療施設、教育施設、福祉施設等の生活基盤整備や安波ダム、普久ダム及び福地ダム等の水源開発を促進し、雇用の拡大と地元中小企業者への仕事の場の創出に努力をする所存であります。
 さらに、公共事業の発注につきましては、県内企業で対応できぬ特殊なケースを除き県内企業優先の立場を堅持し、県内の国の出先機関や公社、公団等についても県内業者保護の立場から地元企業を優先するよう文書などで要請しておりまして、それなりの効果は出ているものと思量いたします。
 また、公共事業に使用する建設資材についても、契約締結時の特記仕様書に県産品を使用するよう明記して効果が上がっております。
 県は、長期にわたる不況の影響を強く受けている中小企業者の経営状況の悪化を金融面から打開し、企業倒産を未然に防止するため沖縄振興開発金融公庫資金の中小企業者に対する活用の促進を図るとともに、県信用保証協会並びに民間金融機関の協力のもとに季節資金、経営安定資金、組織強化育成資金、小規模企業対策資金等の県単融資制度の融資を行っておりますが、その他につきましては関係部長から答弁さすことにいたします。
 休耕補償につきましては、お説のとおり長年にわたって要求いたしておりますが、いまだ何らの成果も上げておりませんので、今後理論構成をし、データを備えて強く要求していく考えであります。
 その他の関係は関係部長から答弁させることにいたしますが、最後に米軍基地関係で福田総理が議会における答弁に対する知事の所見を求められておりますが、新聞報道で知る限りにおいて、私は沖縄県民が持っておる不安とたび重なる危害の状況を、総理は真に理解しておられないのではないかと。もし理解の上にこの発言があったとするならば、許さるべきではない。理解が足りないとすれば、さらに理解させるべく努力をする所存であります。
 次に、軍人関係自動車税の問題でありますが、これはバージャー民政官と数日にわたって論争した問題でありますが、そのとき幾らかは差を出しましたが、今日に至るまでなおこれが続いているということははなはだ残念でありますが、さらに折衝を強めていきたいと思っております。
 交付税の引き上げの問題については、お説のとおり九州ブロックの議長会でもそうでありましたが、知事会でも問題になっておりますが、今後強力に各知事とも連携を密にしながら引き上げに努力をいたしますが、私は個人的見解としてこの引き上げも当然であるが、もう少し補助金というものを枠を広げ、いまは、きのうも申し上げましたが、四、五百にわたる項目に割り振りされてひもをつけられたんじゃたまったもんじゃない。もっと補助金は、全部なくするわけにはいかないが、補助金というものを少なくしてそれを交付税に回していって、自治体自体で使える金を多くするという方法も考えるべきではないかと、こういうふうに考えております。なお県債につきましては多額になっておりますが、これは交付税で補てんの分野もありますので、詳しい内容につきましては関係部長から説明さすことにいたします。
 なお、これは調査時期の相違によると思いますが、お説のとおり新卒の中学、高校の卒業生については執行部といたしましてもこれを非常に心配しまして、1月末現在のわれわれの得たものでは中学卒が2万1539名のうち就職希望者が225名ですが、これが県内に93名、県外が132名で、内定したのが県外のたった47名にすぎません。高校になりますというと、卒業見込み数1万7984名のうち、就職希望者が7910名ですが、これは幸い県外の内定が3778名と安定所を経て集めた数字はさようになっております。われわれも学卒の就職については、絶えず内部においても十分なる関心を払って関係機関との連絡の上に万全の策を講じたいと考えております。
 他の分は、関係部長から答弁させます。
○議長(知花英夫君) 屋部副知事。
   〔副知事 屋部 博君登壇〕
○副知事(屋部 博君) 知事の御答弁を補足し御説明を申し上げます。
 先ほどの質問の5・15合意メモの公表拒否と知事の対処策についてでございますが、沖縄の軍事基地の態様が復帰の際の日米合同委員会における合意によって定められていることから地域住民はもとより、県、市町村としても軍事基地がどのような条件で提供されているかについて当然に知る権利があるとの立場から合意文書の公表を要求してきたのでありますが、政府は外交上の秘密で公表をいままで避けております。
 去る2月21日、22日に外務省及び防衛施設庁に対しまして基地問題に関する総括要請を行った際に、合意メモの公表を強く要請をいたしましたところ、外務省並びに防衛施設庁とも合意メモの公表については即答を避けながらも、外交文書の生の公表はできないが、キャンプ・シュワーブ並びにキャンプ・ハンセンに関する演習場の使用条件等を要約して県に提供できるよう協議したいというような回答がございましたが、県としては同合意メモの公表が実現するように今後強力に要請を続けていきたいと思います。
 終わります。
○議長(知花英夫君) 総務部。
   〔総務部長 平良清安君登壇〕
○総務部長(平良清安君) 上原議員の財政との関連で地方債の増額につきまして御指摘ありましたように、本県の53年度の地方債額は138億6600万でありますが、そのうち約51億1700万に相当する金額は国の地方財政計画のもとで財源不足額が見込まれまして、これは3兆500億でございますが、そのうち1兆3500億円の建設事業債を増発することになっておりまして、それに相当分見合う分が51億1700万円で、これは一般公共事業、高等学校整備事業等となっております。
 これはけさも説明いたしましたけれども、そのうち高等学校、一般公共事業等につきましては100%ないし80%の当年度において基準財政需要額に算定されると、こういう什組みになっております。しかしながら御指摘のように地方債の増加は将来の財政負担を圧迫することになりますので、事業の緊急性、必要性等十分考慮してやっていくと同時に、国に対して所要の財源措置を求めていく必要があろうかと思いまして、そういうふうに対処したいと思います。
 次に、法人事業税の落ち込みでございますが、昭和53年度の法人事業税の落ち込みにつきましては、御指摘のありました特定企業の円高為替差損等により税収入が激減したことが主な原因でございます。その他の企業につきましても、一部については収益の伸びが期待されるほどなくて落ち込んでおりますが、特に先ほど申しました特定企業の税収入の激減につきましては地方財政に与える影響がきわめて甚大であることから、昨年12月に激減防止を図る見地から法人関係税の激変措置に対する緊急申し入れについて全国知事会長名で国に対し要請したところでありますが、今後も引き続き全国自治団体と協力し合って要請していきたいと考えます。
 さらに、先ほど知事が御説明いたしました合衆国軍隊構成員の所有する自動車に対する課税でございますが、これは復帰後は合衆国構成員の所有に関する自動車につきましては、日本国とアメリカ合衆国軍隊との聞の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第13条第3項及び第14条第6項の規定に基づいて、日米合同委員会において税率が確定される仕組みになっております。
 沖縄県を初め、米軍駐留軍のおる関係都道府県の要請を受けまして、日米委員会は今日まで3回にわたって税率の引き上げを行ってきているところでありますが、御指摘のようにまだ民間自動車との比較で著しい差異がございますので、県といたしましては、引き続き税の属地主義の立場から同一税率にするよう当協定の改正も含めて国に強力に要請していきたいと、こう考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 まず、ウリミバエの駆除対策でございますが、沖縄県全域のウリミバエの駆除対策につきましては、久米島で実験的に成功いたしております。これを踏まえまして沖縄県全域の広域的駆除をやるわけでございますが、これにつきましては現在の不妊化虫の施設では不十分であるということから昭和52年度、ごく最近でございますが、伊藤博士など3名の職員をアメリカ、メキシコのいわゆる超大量ミバエ類の増殖施設の視察にやっております。その結果に基づきまして、昭和54年から55年度にこれらの不妊化虫の増殖施設の建設を国に要請いたしたいとかように考えております。現在週に400万匹でございますが、将来は1億匹に持っていきたいとかように考えております。
 次に、輸入オレンジに対する対処策でございますが、対米貿易等の黒字減らしの一環といたしましてオレンジの輸入拡大が図られております。これは現在、沖縄のミカン類に影響があるわけでございますので、県といたしましては、県の柑橘生産に悪影響を及ぼさないように配慮してもらいたいということで国に要請をしております。
 さらに、生産農家への対策といたしまして輸入オレンジに対抗し得る生産合理化対策費等の助成措置を要請をしております。
 なお、県産柑橘等の県内外需要拡大を図るため果樹、生果等販売促進事業、輸入オレンジに対抗し得る生産技術及び生産組織の育成強化を図る。タンカン等の品質向上及び反収の引き上げ、共同育苗圃の設置を計画をいたしております。
 次に、沿岸水域の埋め立ての件でございますが、御指摘のとおり糸満の地先には現在漁港も含めまして埋め立て工事がなされております。そういったために汚染も起こっておりますが、そのほかには生活排水、工場排水等のいろんな複合汚染の原因が重なって確かに汚染がございますが、これにつきましては、現在ヘドロの堆積調査、環境影響調査等がなされておりますが、今後沿岸漁場の維持保全の立場から漁場環境の実態調査を実施していきたいと、かように考えております。
 次に、糸満地先の公有水面の占用による問題等でございますが、糸満漁港の整備に関しまして関連する航路しゅんせつに伴う漁場汚濁防止のための仮設工事、それから仮設ちり捨て場の設置のためにということで約12万4282平方メートルが占用許可をされております。期間につきましては昭和50年から昭和53年3月9日までとなっておりますが、これにつきましては許可なされた側面に幾分しゅんせつした土砂が流出いたしまして汚染を起こしているというようなことでございますが、これにつきましては、糸満市の土地開発公社に適正な管理を図るように指導しているところでございます。
 次に、地域農政特別対策事業でございますが、地域農政特別対策事業は推進活動と整備事業の2本柱になっておりますが、従来地域の意欲が十分に取り組まれていないということからこの事業は地域にいる人々の意欲を十分吸い上げてやっていくという新しい試みでございまして、担い手農家の育成、農用地の適正な管理などを進めるというふうになっております。
 それから整備事業につきましては、小規模土地基盤整備事業、これは従来土地改良事業等では10ヘクタール以上が対象になっておりますけれども、この事業ではいわゆる小規模0.3から10ヘクタールというような小規模のものを取り上げていくと。
 それから機械施設等の整備、営農集団活動促進事業、小作料一括前払い助成事業等を考えております。52年度は推進活動事業が5カ所ございまして、53年度は地域の整備事業5カ所を予定しております。1カ地区大体8000万円でございますが、大体2力年で終わらせるというふうに考えております。
 次に、農村総合整備事業でございますが、これはいわゆる従来の土地基盤整備事業にいろいろなちり捨て場とかあるいは外灯、その他の生活環境の整備も図るというような新しい試みでございまして、農村総合整備モデル事業と農村基盤整備事業というふうに分かれております。
 農村総合整備モデル事業は昭和48年から発足いたしておりまして、大体1市町村単位になっております。現在東風平とかあるいは大宜味、上野村あたりでやっておりますが、非常にその地域の生活環境の整備に大いに役立っているわけでございます。予算も急速に伸びておりまして、53年度は前年対比177%というふうに伸びておりまして、6億4000万円を予定しております。
 農村基盤整備事業は幾分小型な事業でございまして、1つや2つ、いわば一、ニカ所部落を単位とした事業でございまして、現在読谷村で実施をしております。
 こういう事業を進めまして、農村の生活環境も整備していきたいということでございますが、強力にこれも推進していきたいとかように考えております。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 公有水面埋立法第27条第1項の許可行為についてお答えいたします。
 水産高等学校用地の隣接した商業用地の処分につきましては、公有水面埋立法第27条により知事の許可を受けるようになっておりますが、その許可行為はなされておりません。
○議長(知花英夫君) 教育長。
   〔教育長 仲宗根 繁君登壇〕
○教育長(仲宗根 繁君) 心身障害児教育についてお答えいたします。
 本県の学齢相当の心身障害児の総数は、文部省試算による出現率3.69%でおおよそ7500人と推計しております。そのうち52年5月1日現在で特殊学校、特殊学級に就学している者が3369人、残り約4000人のうち就学を猶予または免除されている者が359人、残りがおよそ3700人になりますが、これらの児童生徒は何らかの心身の障害はありますけれども、わりに軽度であるために、軽いために普通の学校に就学しているのが大かたを占めております。ところがこの数字につきましては、適正就学指導委員会が設置されていない町村が全県に30町村もございますので、その実態把握に十分でないといううらみがございますので、今後ともきめ細かく対処していきたいとこのように考えております。
 それから義務制に向けての養護学校の設置計画と対応策はどうなっているかという御質問でございますが、51年と52年に名護と宮古の養護学校を開校いたしましたが、53年4月から中部に北城ろう学校、これの分校として宮古、八重山にそれぞれ設置すべくいま建設中でございます。昭和54年度開校でございますが、八重山の養護学校、島尻の養護学校、中頭の病弱児学校、これはいずれも仮称でございますが、これを設置すべく53年度予算の中に予算を計上いたしておるところでございます。55年度以降は、既設の養護学校の移転、拡充、そういった計画を持っております。
 さらに、重度の障害児につきましては、訪問教育を拡充することによりましてほぼ皆就学に近づくものと予想をいたしております。
 それから那覇養護学校の問題でございますが、御指摘のとおり那覇養護学校は敷地が大変狭く、これ以上の校舎建築はほとんど不可能でございます。そこで県立学校の編成整備計画の中に含めまして、その緩和策を現在検討しているところでございます。
 以上であります。
○議長(知花英夫君) 上原亀一郎君。
   〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 先ほど、知事の御答弁で県民会議についてはまだ具体的に構想できている段階まで来ていないという御答弁でございましたが、今日の不況、失業問題を打開していくためには、日ごろ知事がおっしゃっております県民の知恵を結集するという面にも合致いたしますし、ぜひ県民の総力を結集していかれる方向で具体化するところまでいかれるよう要望いたします。
 それから農林水産部長、私が質問したのは、水面占用許可面積とはみ出した面積の差が幾らかと。これをはっきり握っていないんでは、許可権者としての責任を果たしたことにならないですよ。しかも埋め立てが必然的に漁場を汚染すると、避けがたいあれを持っておるわけです。持っておる以上、これを最小限度に食いとめていくと、そのためにはこの辺はきちっとやらんといかぬわけですよ。特に農林水産部は、沿岸漁業の水産業の育成の任務を持っているわけです。あんなに荒れほうだいにされて、幾ら許可面積からはみ出ているかわからぬということでは、これは重大な責任ですよ。
 それから土木部長、部長も少なくとも私がここで出したものに対しては答えてもらいたいと思いますよ。
 それから市町村の土地開発公社については、都道府県知事は監督権も持っているわけですよ。そういう土地開発公社が、知事の許可を守らずに土地を処分したと。しかもこの土地の転売を10年間いかぬというのは、新たな法改正によってそういう措置をやめさせるためにできたところから来ているわけです。しっかり答えてもらいたいと思います。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) はみ出した面積についてはまだ調査しておりませんので、調査いたしたいと思います。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 水産高校用地付近の埋め立ての面積は約20万平方メートルでありますが、商業用地の面積が約1万平方メートル、権利移転契約の面積が約1785平方メートルとなっております。
 この地域は、先ほど申し上げましたとおり公有水面埋立法27条によってこの処分については知事の許可を受けるようになっておりますが、その許可行為は現在のところなされておりません。それでその無効であるという処分通知を、県としては2月の初めに公社に対して行ったのであります。
○議長(知花英夫君) 休憩いたします。
   午後3時30分休憩
   午後3時45分再開
○議長(知花英夫君) 再開いたします。
 次の質問に入ります前に報告いたします。
 説明員として本日の会議に出席を求めた副知事屋部博君は、別用務のため以後の会議には出席できない旨の届け出がありました。
 休憩前に引き続き、代表質問を行います。
 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 公明党議員団を代表しまして、あらかじめ通告申し上げました表題について質問を申し上げます。
 最初に、日米安保、自衛隊の問題についてであります。
 去る1月11日、公明党全国大会の冒頭における竹入委員長あいさつの中の発言をめぐって、公明党は日米安保、自衛隊容認などの一部のマスコミの報道がなされました。
 私は本県議会を通じ、それらの報道が誤解に基づくものであることを釈明するとともに、改めて日米安保と自衛隊に対するわが党の態度を明らかにし、県民各位の御理解を仰ぐとともに、せっかくの知事の提案にもありますように、わが党の方針に対する知事の御見解もこの際はっきり伺っておきたいと思うのであります。
 党大会の重要な議案の1つは、日本の政治の将来を展望し、中道革新連合政権時代の歴史的到来を必然とし、その政権の性格と政策大綱の基本原則を提案されたことであります。すなわち政策大綱の基本3原則として、1つ、憲法と議会制民主主義を守る、2つ、日米安保の廃棄と平和、自主、中立政策を推進する、3つ、大企業優先の経済政策を国民福祉優先の経済政策に転換するとの議案になっております。日米安保廃棄は明確にされておりますことを申し上げたいと思います。
 さらに竹入発言では、「わが党の考える日本の平和・安全保障の体制とは、本大会提出の「議案」にも明らかなように、等距離完全中立政策に基づく諸外国との友好不可侵関係の確立であります。そして具体的には、日米、日中、日ソにおける等距離中立の立場を確立し、アジア太平洋地域を非核中立地帯とし、さらに核保有国が核兵器不使用宣言をすることが必要である」、「日米間においては現行の「安保体制」を解消して、同時に「日米友好不可侵条約」を結ばなければならないものであるとの考えから、「日米安保条約」の廃棄は、「外交交渉による合意」によるという党の政策が、当然の論理的帰結である」と、このような内容であります。
 さて、本来日米安保条約という日米両国の外交問題を県議会で議論するのはなじまないかもしれません。しかし全国の53%を占める米軍基地が集中している本県では、日米安保の影響もまた必然的に沖縄に集中している現実であります。おのずから他府県とは異質の特殊性を持つものであることにかんがみ、かつまた近来とみに活発化してきた一連の米軍演習が県の自然環境を破壊し、生活環境の破壊を進めていることに対し、県民の厳重な抗議にもかかわらずロビンソン現地司令官は、全体の平和のためには一部沖縄の犠牲はやむを得ないなどという許しがたい暴言を吐いております。
 さらには、ブラウン米国防長官の在韓米軍の削減に伴い、在沖海兵隊の韓国への発進証言などは、県民にとってまさに重大問題であります。発進基地イコール戦場であります。県民を再び戦争に巻き込まないことを日米安保条約は保障し得るであろうか。私は県民の平和と安全を保障するため、危険な日米安保条約は廃棄すべきであるというわが党の方針を確認するものであります。
 次に、関連して自衛隊問題について触れたいと思います。
 わが党の基本政策では、「日米安保条約が廃棄され、さらにわが国の等距離完全中立が得られた段階で、わが国の平和的存立を保全するため現在の自衛隊を改組し、日本国憲法の許す必要最小限の領域保全能力に任務限定した国土警備隊とする。国土警備隊は、現在の自衛隊のように自衛権行使の手段として常設され拡大されてきた存在とは著しく異なり、領土、領空、領海等の領域内における領域保全の任務規定を厳重に限定し、憲法第9条から逸脱する行動を禁止し、また災害の防除、救援を行い、国民の生命、身体及び財産を保護する。」となっております。
 わが党が現自衛隊を容認するなどとは、一言もないのであります。
 問題になりました竹入発言の一部を原文のまま紹介させてもらいます。
  わが党は、国の「自衛権」の存在はこれを認める 立場をとっておりますし、これには他にも異論はほ とんど存在しておりません。 しかし、「自衛権」 には「自衛力」の裏付けが当然あって然るべきとい う意見と、「自衛権」と「自衛力」とは別個のもの であり、「自衛力」は憲法において否定されてい  る、という両意見があります。ところが、新憲法下 において「自衛隊」は既に20余年を経過しており、 「違憲」あるいは「違憲の疑いあり」とかの批判は 存在しても、「自衛隊」の存在は既定の事実と化し ております。そこで私は、この問題をあいまいのま まに、これ以上、放置すべきではないし、現存する 「自衛隊」を憲法の枠の中でどう扱うべきかの決着 も、このままにしておくべきではないと考えるもの であります。 すべての「自衛力」を否定するなら ば、それは「非武装」ということにならざるを得ま せん。しかし、これでは現在の「国民世論」「国民 感情」などのさまざまな見地からみて、国民の合意 は得られなく、むしろ、「領土、領空、領海等の領 域内における領域保全と急迫不正の侵害の排除のた めの「領域保全能力」は必要」とするところに国民 
の潜在的合意があるとするのが、一般的な考えでさ えあるように思われます。私の考えは、「自衛権」 というも、「最小限度の領域保全能力」がなけれ  ば、それは実在し、有効たり得ないのではないかと 考えます。したがって、私は、あくまでも「限定さ れた任務規定」において、この際、「自衛力」問題 について、党内において徹底した論議をたたかわせ てほしいと思いますし、国会においても、この問題 をいたずらにタブー視することなく、「安全保障特 別委員会」を設置して、論議をさかんにしてもらい
 たいと念願いたします。
と書いてあります。
 中略します。
  私が、これらの問題を取り上げた背景は、日本  が、世界平和の中で存立しゆくことを考えるとき、 国際的に中立を堅持することが正しい進路であろう と思うのであります。したがって、日本の「中立」 が侵された場合、これを排除する権利があり、その ためにも能力が必要となるからでもあります。
と述べているとおりでありまして、現自衛隊を認めるなどという内容ではないことをここで明らかにするものであります。
 以上、国の安全確保、防衛問題についてわが党の方針を述べましたが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 念のため申しますならば、安保廃棄は革新諸政党、団体等の一致した主張ではあっても、あくまでも大枠での共通用語であり、その背景、理念等にはかなりの相違があることは指摘するまでもありません。知事の安保反対の理念について、どのようにこの相違を理解して知事はどのような理念を持って安保反対を言われるのかを伺いたいと思います。
 次の質問は、自衛隊反対の理念は何かということであります。
 国の自衛権と自衛力についてどのように考えておられるか。また沖縄の地理的環境から、沖縄の領域保全のためさらには災害多発地帯という地理的、歴史的経過の上から、県民の生命、財産の安全確保のためいかなる領域保全体制を望ましいと考えておられるかについて御説明を願いたいと思います。
 次に、公共事業と雇用対策について質問します。
 53年1月末の県内の失業率は5.2%と下降したことが報ぜられましたが、それでも全国平均の2倍以上の失業率であり、県民生活に暗い影を投じております。全国的な長期不況の中で、沖縄の中小零細企業は重大な危機にさらされておりますが、それは同時に失業者の増加と雇用不安を一層深刻にしております。
 政府は、52年度において2次にわたり公共事業の大幅増の補正予算でこの事態に対処してきましたが、依然として県内の景気は低迷を続け、長期不況の見通しはさらに強まるばかりであります。
 以上の現状を踏まえ、私は県が行う公共工事が景気回復と雇用促進の重大なかかわり合いで特段の配慮と努力が払われなければならないとの観点から、この問題について県の対策を伺うのでございます。
 公明党県本部は、このほど公共事業が雇用問題に及ぼす影響について調査をいたしました。
 目的は、不況克服、失業対策の応急措置としての公共事業の役割りを理解しながらも、われわれが期待するほどの効果については疑問を持ったことと、県内の業界の実態を調査することによってより適切な雇用対策の方途を見出すためであります。
 調査は2月1日から2月15日までの15日間にわたり、延べ200人の党員を動員して行っております。
 対象は、登録業者数県内で約3800社と言われる中で入札適格業者が1400社と言われておりますが、本調査は登録業者の中から無差別抽出で500社に対しアンケートによる調査をいたしてあります。
 回収率は、宮古、八重山を入れて80.2%の401社であります。
 内訳は、土木一式工事関係が15.46%、62社、建築関係39.40%、電気関係15.96%、管、水道設備関係17.46%、その他タイル、ブロック等の関係業者11.72%であります。
 調査項目の主なものは、1、会社の規模、2、公共工事の請負の有無の実態、3、雇用の実態、4、公共事業に対する業者の考え方、5、国の雇用拡大制度、奨励制度等の認識実態などであります。
 まず、調査項目の1について見ますと、これは会社の規模の実態でありますけれども、近来大型公共工事が多くなっております。そういう大型公共工事に対応する能力等に関連する意味で重要なポィントだと思うのでありますが、これをランク別に見てみますと、Aランク12.72%、Bランク20.20%、 Cランク22.69%、 Dランク11.22%、Eランク2%、ランク外31.17%となっています。登録業者の約45%が一応A、B、C、D、E――Aには特Aが入っています、入札適格者となっておるわけであります。
 さらに従業員の数からこれを見ますと、5人未満の従業員を抱えている企業が24.44%、5人から10人、26.18%、10人から15人、20.70%、15人から20人、8.98%、20人以上の従業員、19.70%となっております。
 以上総括しますと、特A、Aランク企業は12.72%、その他87.28%が示すように、90%近くの企業は大型発注の対応能力が低いと判断せざるを得ないし、従業員数から見ても、20人以上の社員を抱えている企業は20%を割っている現状であります。
 次に、調査項目の第2番目でありますが、公共工事の請負の有無の実態であります。
 年間を通じ全然公共工事にタッチしていないということを調べたのでありますが、Aランクは全業者がこれにタッチしております。Bランクについては8.6%、Cランク、47.25%、Dランク、60%、Eランク、87.50%は全然公共工事にタッチしておりません。下位ランクほど公共事業の恩恵を受けることが少なくなっていることが明らかになっております。
 ちなみに元請・下請の割合で見ますというと、元請はAランクの場合は92.16%、下位のDランクが24.44%に対し、下請の場合はAランクが7.84%、Dランクは75.56%となっており、下位ランクは請負主体の業態であり、さらに下請でも請負金額1億円以上の施行率はたったの0.8%に対し、31.67%の下請企業は3000万円以下の零細な公共利益に甘んじている実態であります。
 調査項目の第3は、雇用の計画でありますが、採用計画ありが16.21%の65社、なしが71.32%、人員削減を考えている会社が12.47%となっており、雇用問題の厳しさを浮き彫りにしております。Bランクの24%が人員削減を考えている実態もあり、下位ランクは営業防衛に必死であるということが分析されます。
 調査事項の第4は、公共投資の効果についてでありますが、公共工事は景気回復、雇用効果に役立っていないと答えた業者が23.94%、96社の業者がそのように答えております。
 なぜかというその理由について、1、零細企業への発注がほとんどない。大型発注が主体で生活関連工事が少ない。3、本土業者の進出で地元業者が圧迫されている。4、地元製品の利用が少ないという順序で理由を挙げております。発注の仕方に問題があるのではないかと思われます。
 最後に、国の雇用拡大奨励制度についての認識の調査では、これを知っている会社が37.66%、知らない会社が62.34%となっており、知っているで151社でありますが、利用したことがあるのが何と10.6%、利用したことがないが89.4%であります。利用したことがある中でも、高年齢者雇用奨励金制度を利用した企業が何と5社――これは1年間を通じて、駐留軍離職者等奨励金制度、これを利用した企業が4、心身障害者雇用奨励金制度、これが2、寡婦等雇用奨励金制度、これを利用したところがたったの2社という現状であります。
 このように、国の雇用奨励制度がほとんど利用されておりません。県の指導のあり方に大きな問題を投げかけていると思います。
 以上が、わが党県本部が調査の概要から実態の一部を紹介したのでありますが、質問に入ります。
 調査項目の1、業者の零細な実態についてどのように認識しておられるか。大型発注、集中発注への対応力についてどのように考えておられるか。
 調査項目の2から、公共工事が上位ランクに偏り過ぎている実態をどう思われるか。下位ランク業者も受注できるよう入札制度のあり方が検討されるべきだと考えるが、御意見はどうですか。
 調査項目の4、雇用効果に余り役立っていないという業者が24%もいることについて、どのようにとらえられますか。
 5項目の国の雇用奨励諸制度を知らない業者が62%もいることは重大であります。どのように指導してきたか。もしくは県内業者の実情にそぐわないと思われるのか、対策いかんであります。
 質問の第2は、沖縄振興開発特別措置法第39条では、雇用促進のために公共事業を受注する企業は必要労働者のうち60%は職業安定所の紹介の者から雇い入れるべきことが義務づけられておりますが、52年度の公共工事にこの制度がどれだけの効果を上げ得たか疑問に思っております。午前中の答弁でありましたが、761件の公共工事発注にかかわった労務者が5043名、職安を通ったのが1441人という数字は耳を疑いたいような数字でございますが、これに間違いございませんか。
 知事は、53年度には積極的にこの失業吸収率制度を利用して取り組むと提案理由説明で言っておられますが、52年度は消極的であったという反省だと思いますが、どのような点を反省しているか、そしてどのように取り組まれる御所存かであります。
 質問の第3、去る1月22日に取りまとめられた労働省の新雇用対策の要旨を具体的にどのように進めていかれる方針か。
 質問の第4、国は53年度の本県の公共事業に伴う雇用効果を8000人と推計していますが、県の意見はどうでありますか。
 次の質問に入ります。
 国有地払い下げ問題についてであります。
 旧日本軍による接収用地が現在国有地となっております。その不法接収もしくは合法買収をめぐって、返還もしくは払い下げ等の問題がいろいろと論議をされてまいりました。
 ここでは宮古下地町の旧洲鎌飛行場と上野村の旧野原飛行場に限定して質問をいたします。
 去る52年5月12日、衆議院決算委員会でわが党の玉城議員からその接収の経過、現在の地目の状況、地主と耕作者の実態、耕作状況、政府の対処方針等について種々質疑がなされましたが、そこで明らかになったのは、旧洲鎌飛行場が52万7000平米、現耕作者が56人のうち旧地主が36人、それ以外に20人、旧野原飛行場は119万4000平米で、現耕作者が113人中旧地主が74人、それ以外は39人となっており、農用地となっている部分については農地法の規定によって大蔵省から農林省に所管がえをし、現在の耕作者に払い下げる方針で検討中であるということが明らかにされました。
 さらに、沖縄における全部の国有地についで一律には措置できないけれども、それぞれの特殊事情を十分考慮して、どのようにその国有地が活用されることが沖縄のために役立つかなど、地元の意見を承りながら検討したいと、このように大変評価してよろしい前向きの答弁がなされております。
 そして、去る52年の8月8日付地元の下地町農業委員会から、同じく52年の9月6日付上野村の農業委員会からそれぞれ県知事あてに大蔵省普通財産の所管がえについてとの表題で、内容はいずれも農地法の趣旨に基づき耕作者へ払い下げていただきたいとなっている要請書が届いております。
 この2つの例は、現耕作者の中に旧地主が数多く入っており、旧地主と現耕作者の間でトラブルが少ないことが予想されますところから解決の見通しが非常に明るいケースでありまして、沖縄の国有地問題解決に何らかの先鞭をつけるものと考えるのでございます。
 県の対処の仕方が注目されるわけでありますけれども、下地町、上野村農業委員会あるいはまた国の方もこの県の対処を見守っている段階だと伺っております。もう要請書を受け取ってから七、八カ月も経過しておりますが、いまだに何らの進展も聞いておりませんが、どのように県は対処なさろうとするのか、この経過の措置と御意見について伺いたいと思います。
 以上で一応終わりまして、御答弁によりまして必要あらば再質問をいたします。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 最初の御質問は、安保条約と自衛隊に対する公明党とされての立場を友利議員は話されて、それに対して知事はどう思うかというのが1点と、なぜ安保に反対するか、自衛隊に反対するかという意味の御質問だと受け取っております。
 先刻、友利議員が力強く述べられたことからして、公明党は安保に反対し、自衛隊を容認する立場には立っておられないとこう理解いたします。
 私が安保に反対しますのは、せんだっても申し上げたのでありますが、まず第1に日本国憲法は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」、他国の軍備によって安全と生存を保持しようとはない。諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したと。しかも9条には戦争の否定ばかりじゃなくして、武力による威嚇、武力の行使も否定している
のであります。
 さらにまた、沖縄の現地アメリカ軍に幾たびか折衝し、そのたびごとに結論は、安保条約があり、地位協定があるからと。沖縄の現状を見、憲法の精神に照らして考えた場合に、安保に反対せざるを得ません。
 自衛隊は、昭和25年の警察予備隊から、さらに昭和27年に海上保安庁内に海上警備隊が設置され、そして昭和27年に保安庁になる、そして防衛施設庁を設置した。その経過にかんがみ、その間にうたわれておる文句を考えてみた場合に、戦争につながるおそれありと考えます。
 国内の治安は、警察力によって可能である、この機動力を高めることによって可能である。万一の災難は、各市町村にあるところの消防隊をもっともっと住民に即して強化していくところに、そういった災害の防止対策は可能だと信じます。
 次に、沖特法第39条の規定に基づく公共事業への失業者の吸収率制度の実施についてでありますが、発注関係機関との連携を密にして、工事発注状況の早期把握と安定所における紹介体制の整備を図りながら積極的に取っ組んできたところでありますが、なおそれでは現状はどうかと、請負制度の問題等の御質疑もありましたので、この点に関しましては関係部長から答弁さすことで御了承願いたいと思います。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 建設業関連業者は零細が多いがその実態はどうかという点と、公共工事発注が上位ランクの業者に偏り過ぎているのではないか、下位ランクのものにも発注できるようにすべきではないかという御質問に対してお答えいたします。
 現在、県に入札参加願いを提出し名簿に登載されている県内業者は、土木関係で610社、そのうち上位の特AからBクラスまでの業者が199社で、全体に占める構成比は32.6%、下位ランクCからEクラスまでの業者が411社で、構成比67.4%になっております。
 建設関係業者にづいて申し上げますと、業者704社、うち上位ランクの特AからBクラスまでが333社、構成比47.3%、下位ランクCからEまでの業者371社で、構成比52.7%となっております。
 御指摘のとおり、零細業者が大半を占めている現状でございますが、その原因は、一般的には法人化されてない個人業者が他県に比べますと若干多いということによるものであります。現在県としては個人業者等の法人化への指導を行っておりまして、業者の工事施工能力向上に努めている段階でございます。
 ちなみに、県に登録されている52年3月現在の建設業者3408社のうち、個人業者が2711人で、全体の80%を占めている現状でございます。
 業者のランクづけはどのようにしているかと申しますと、県の建設工事入札参加資格審査及び業者選定等に関する規程第5条の規定に基づきまして、その業者の工事施工能力等の経営審査を客観的に判断の上、適正なランクヘの格づけを行っております。
 次に、公共工事が上位ランクに偏り過ぎているのではないかという点でございますが、51年度の土木部所管工事の実態を申し上げますと、土木工事に例をとりますと、総発注件数569件のうち、上位ランクの特AからBまでが150件、約26.4%、下位のCからEクラスまでの業者が419件で、約73.6%の受注をしております。
 契約金額で申し上げますと、特AからBまでの上位ランクが72.7%、C以下の下位クラスの受注は27.3%を占めており、このようなことから契約件数では下位が圧倒的に多く、金額では上位が圧倒的に多いという結果になっております。
 その原因を申し上げますと、本県の場合、他県に比べて各種の基盤整備が立ちおくれている現状でありまして、国の補助事業を主体とする工事がこれらの整備のため大型化している傾向によるものではないかと思います。
 このような状況から、Cクラス以下の零細業者への投資効果を高めるためにも、今後とも工法的に可能な工事については分離発注、工区の細分化などの方法を検討して、策気浮揚対策の一助に資していきたいと存じております。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) まず最初に、公共事業への雇用吸収率について申し上げます。
 公共事業にさほど雇用効果はないんじゃなかろうかという趣旨の調査結果が出たということでございましたが、私ども公共事業に雇用吸収制度は御案内のとおり特別措置法に基づいてやっているわけでございまして、それに基づきまして失業者から60%の雇用吸収率でもって吸収していこうということで今日まで進めてまいったわけでございますが、現年度は前年度に比較しまして1月末で若干落ち込んでおりますが、それは手持ち労働者が増加したことによることでございまして、私ども53年度は大きな公共事業が予定されておりますので、この機会にできるだけ失業者を吸収してまいりたいとこのように考えておりまして、具体的には発注機関におきまして特記仕様書等で公共事業施行通知の提出義務等を課すことを現在検討を進めてまいっておるわけでございます。
 こういった関係機関との協議が整った場合には、特記仕様書等で義務づけするようなことで再確認する形をとりまして積極的に吸収を図っていきたいと。その後は、国の出先機関等あるいは市町村等県の関係公社等とも連携を密にいたしまして惟進してまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
 さらにもう1点、雇用奨励金と各種の細かな援護措置等が現在国において行われているわけでございますが、調査結果等によると余り知られてないという趣旨の御指摘がございましたが、御指摘のように高齢者、身障者、軍離職者等の一定の要件を満たす求職者を、公共安定所の紹介によって常用労働者として雇用する場合には、事業主に対して奨励金を支給する制度があるわけでございます。
 私どもは、こういった制度につきまして関係事業主団体等の会合、あるいは保険適用事業主に対する説明会、求人開拓、リーフレット、パンフレット等を通じ、あるいはまた広報媒体等を活用いたしましてその紹介等を進めてまいっておるわけでございますが、その成果につきましてはいろいろな理由等もあろうかと思いますが、まだまだ十分な成果をおさめていないという気がいたします。
 ちなみに申し上げますと、50年4月からことし1月までについて申し上げますと、高年齢者雇用奨励金の決定件数が21件、金額にして133万円ございます。身体障害者雇用促進奨励金が17件、金額が149万円、駐留軍関係が147件で838万、その他含めて計で223件で1300万というような結果になっておりますが、今後ともこういった制度につきましてはあらゆる機会をとらえまして周知徹底を図り、制度の積極的な活用を図ってまいりたいとこのように考えております。
 さらに、国においては53年度の雇用増について8000人程度見込んでいるかどうかという御趣旨の質問がございましたが、新聞報道等によりますと、国会におきまして開発庁が53年度において8000人程度の雇用増加を見込めるという趣旨の報道がされておるわけでございますが、この雇用量推定はいろいろ事業の種類等にもよりまして非常に困難なことではございますが、ラフな推定等でやってまいりますと、おおよそ6000人から8000人程度見込まれるのじゃないかというふうに見ております。
 さらに、国の1月に発表された新規雇用政策についてどういうふうに県は取り組んでいくのかという趣旨の御質問がございましたが、御指摘のように国におきましては昨年9月に新雇用政策等を決定を見たわけでございますが、その後円高等との関係もございまして新たに発展的に新規雇用政策を発表されております。このことにつきましては、1月の23日に全国の主管部長会議がございまして労働省から発表されております。現在国会でいろいろ審議されておるわけでございまして、 国会で予算等の成立後、具体的にこういったいろんな問題等を指示が出てまいるものと思っておりますので、そのときに県下におきましても十分説 明し積極的にその制度を活用してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 内容としましては、雇用政策調査研究会の設置、現行の雇用対策の拡充強化、特定不況業種離職者対策の推進、雇用機会の増大を図る対策の推進、職業訓練等の新展開を前提とした内容等となっております。
 細かなことにつきましては、私たちの方、今後労働省と十分連絡を密にしまして具体的に推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 総務部長。
   〔総務部長 平良清安君登壇〕
○総務部長(平良清安君) 友利議員の旧日本軍用地の返還についてお答えいたします。
 県の対応いかんによっては、この問題が具体的に解決するという兆しもあるという御指摘でございますが、私どもも先般御指摘のありました下地町さらに上野村両農業委員会から陳情が出ておりまして、実は咋年の10月下旬ごろに関係の市町村集まってもらって、従来は所有権を移管せよとこういう一本調子の基本的な考え方であったけれども、具体的に個別にこういう要請が出ている限りにおいてはケース・バイ・ケースでいこうじゃないかと、こういうことも含めて論議いたしました。
 ところが、その当時下地町、上野村両町村、さらには国の考え方が農地法に基づく払い下げというけれども、これは無償払い下げなのか、有償なのか、名目的な有償であるのか、この辺もはっきりしない。さらにはこれは直接県を通じてやるのか、あるいは国と市町村、県との関係等の問題、さらにはその農用地以外の用地は一体どう取り扱うのか。さらにこの沖縄本島の同じような条件下の地域の関係者はどう考えているのか、こういうこと等、整理すべき、論議すべき問題等もありまして今日まで至っているわけでございますが、先般の国会の論議等も通じまして、さらに先ほどの友利議員の御指摘もありますように私どもとしてはこの上野村、下地町の問題につきましては旧地主と現耕作者が一致しておるし、さらに市町村もその趣旨であるということでありますので、関係機関、さらには関係市町村と十分詰めてこれをひとつ具体的な解決の突破口にしたいと、こういう意気込みで対処したいと思います。
○議長(知花英夫君) 友利栄吉君。
   〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 先ほどの知事の答弁では、私が一番聞きたかったことが聞けなくて残念でありますが、くどいようでありますけれども、憲法第9条で外国との紛争のために軍備を持たないということはこれは当然でありまして、そのことと自衛権とは別個の問題でありまして、自衛権がないなどという政党はどこにもありませんで、自衛権そのものは認めております。そのことについて知事はどう思われるか。それと自衛力についてはどのように思われるか、自衛力さえも違憲とする憲法違反という考え方もあるわけでありまして、その点をたて分けてもう1回明確にお答え願いたい。
 労働商工部長でありますが、先ほど私が公共発注が52年度761件について職安で雇用したのが1441名という数字に間違いがなければ伺いますが、これでは1件の公共発注に対してたった2人という勘定になるということが私には納得できないということであります。それほどこの特別措置法は機能しがたいものなのか、活用、利用しがたいものなのか、どういう点がしがたいのか。この手持ち労働者が多いということをおっしゃっでいますけれども、そんなに私どもの調べた範囲では沖縄の企業は手持ち労働者は持っておりません。それは縁故とか、あるいはまた従来のそういうかかわり合いがあってもそんなにたくさんは持っていないと私は見ていますが、その点いかがでございますか、その2点をお伺いします。
 さらに、最後の提案でありますが、暗いことばかり多い沖縄でありますが、札幌の雪祭りに匹敵する明るい沖縄をつくるためにやはり産業まつりも結構でありますけれども、もっとこれを拡大し充実し、観光客を誘致するようなすばらしいアイデアがないものか、知事にこのことは検討していただきたいことを要望して質問を終わります。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) 憲法9条との関連で自衛権についての御質問だと理解いたしております。
 これは憲法制定の当初からお偉い方々によっても論争されたことであり、自衛権はいかなるものでもあると言わざるを得ないでしょう。その自衛権を何によって守るか、いかに発揮するかに意見の相違は出てくると思うのであります。私は憲法の精神から言うても、武力によっては認められない、こう考えます。
 これは日本の憲法は、私なりの解釈ですが、国連憲章を受けたものと見ております。2回にわたるあの世界大戦の惨害から、将来の世代を救うということであの戦争直後にできたのが国連憲章である。のど元過ぐれば熱さを忘るで、その後大国間に軍備競争が出てきたことは、私はあの国連憲章の精神に照らすならば邪道だと考える。
 国連憲章には、「寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益……」とありますが、そこはちょっと不明なんですが、とにかく「共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し」と。したがって地球を相手に戦争があればともかくも、国際間においてはあくまでもこの善良な隣人として互いに平和に生活し、国際間のトラブルは平和的に解決するということがこの精神の趣旨だと理解いたします。個人間においてもそのとおりでなければならぬと思います。
○議長(知花英夫君) 労働商工部長。
   〔労働商工部長 金城慎徳君登壇〕
○労働商工部長(金城慎徳君) 53年1月末現在で、公共事業施行通知書の提出件数が761件となっております。そこで使用された無技能労働者の総数が5043人、そのうち安定所を通して吸収された人員が1441人ということでございます。
○議長(知花英夫君) 吉田光正君。
   〔吉田光正君登壇〕
○吉田光正君 本員は、さきに通告いたしました要綱に基づいて、意見と要望を織りまぜながら革新クラブとして質問いたします。
 明治政府が松田道之を琉球処分官に任命し、琉球藩を廃して沖縄県を置いてから、ことしでちょうど100年目に当たります。
 歴史は、具体的な力関係が動くと同時に、その動いている歴史を人々がどうとらえるかということにかかわり合いながら歴史の歩みは展開していくと言われています。日本の近代化100年間に、沖縄は常に中央政府の都合により手段的な政策として今日まで扱われてきたということもたびたび論ぜられているところであります。
 沖縄の復帰に当たりまして政府は、沖縄には日米安全保障条約と同地位協定及び関連取り決めが適用されるので本土並みになると言明しています。最近の米軍のハリア機の演習とか、あるいはそれによる爆音の公害、あるいは自然の破壊、あるいは住民の生活への配慮のないままの戦車道の建設等々、やりたいほうだいの、あるいは使いたいほうだいの自由な演習は、たとえ安保があり地位協定があるからといって、米軍の演習はやむを得ないという論理ではもはや県民を納得させることは困難だと思います。
 昨今の演習の激化、あるいは自由な演習の裏には何かがあるだろうとかねがね疑問を持っていたし、またカーター米大統領の在韓米地上軍の撤退計画が内外に非常に大きな反響を呼んでいると同時に、特に沖縄にとって在韓米地上軍の撤退は基地からのさまざまな問題を抱えている県民にとって大きな関心事であったが、果たせるかな去る22日の米国防長官のブラウン氏の下院外交委員会における証言によって、沖縄にとって新しい外圧がかかろうとしているのが現状であります。
 その内容は、報道によれば、朝鮮半島に緊急事態が発生すれば沖縄の海兵隊が2日以内に投入される、西太平洋地域に配備されている飛行中隊が投入される、韓国隣接海域の海軍機動部隊が急行すると証言し、いずれも沖縄がその主力である。かつて太平洋のかなめ石であった沖縄が、今日では北方のいかりという表現に直されているようであります。前進戦略拠点の沖縄の性格がはっきりと浮き彫りにされているのが昨今の情勢であります。復帰後在沖米陸軍は削減されているが、海兵隊は逆に増強されている。
 以上のことから、沖縄の戦後だけの歩みの中から考えてみても、1950年の6月25日から勃発した朝鮮戦争や、あるいは60年代のべトナム戦争が常に沖縄が拠点であったことを想起すれば、またいつか来た道ということになる。
 報道によれば、かつて中ソの国境においては核部隊が集結され、それを使用しようとした核大国の国際的な動きもあったとさえ言われている。このような国際情勢を見れば、戦略拠点沖縄が一番にねらわれるであろうということは論をまたないところであります。
 このような情勢のもとで、沖縄の基地に対する知事の姿勢はすでにたびたびの御答弁がありましたので、県民の平和と安全を維持するという立場から今後ともこれに対して厳しく対処していただきたいことを要望しまして、次の質問に移ります。
 離島、過疎地域の振興について。
 最初に、離島における稲作の位置づけについてお伺いいたします。
 日本の稲作技術が高度に進み、耕作面積257万ヘクタールで生産された米は日本の需要をはるかに超えて、今年もまた20%の減反政策が打ち出されて約40万ヘクタールの減反が進められているのが現況であります。
 離島県沖縄を考えてみると、稲作は逐年減少していき、自給率も4%を割る状態になっております。しかし離島などを調査してみますと、どうしても稲作が適当なところがあり、今後基盤の整備をして進んだ省力機械、あるいはライスセンター、あるいは育苗センター等の条件を整えると同時に、すでに研究開発された新しい品種、北陸96号のウルチ、あるいは西南モチ57号等の普及を図ることによって、現在栽培されているトヨニシキに取ってかわることによってはるかに増収が見込まれる等、離島の雇用の効果等も勘案して米作の自給率を少なくとも10%ぐらいに引き上げることが本県の食糧政策としては適切ではないかと思量されます。
 米屋などに行きますと、島産米の買い手がわんさと集まっている状況などを考え合わせてみますと、稲作の位置づけを確立することは当面大切な施策かと思いますので、それについてお伺いいたします。
 次に、交通網の整備についてお伺いいたします。
 離島、過疎地域の隔絶性を解消するための交通網の整備については、いまさら申し上げる必要もございませんが、各離島の港湾整備等につきましてはすでに計画が策定されておりますので、引き続きその整備に努力していただきたいと同時に、過疎地域の道路網の整備について見ますと、たとえば国頭の一周道蕗はおおむね目鼻がつきましたし、その他の道路、たとえば本部半島などでは主要地方道路であるところの県道117号線、すなわち名護─運天港線、あるいは123号線湧川─伊豆味線、あるいは115号線今泊─渡久地線、それから14号線有銘─源河線等の整備が強く今日まで要請されております。それらの路線の具体的な整備計画について地元からの強い要望もありますので、お伺いいたします。
 次に、海洋博時の過剰公共施設について。
 海洋博開催のために地元本部町、今帰仁村においては、行政指導等もありまして開催時の入場者を勘案して下水の処理、あるいは尿尿処理、ごみ処理等の施設は、地域の必要容量をはるかに超えた過剰施設になっていることは、国、県も十分に承知のところであります。
 これらの施設は海洋博後、たとえば本部町の下水処理施設等は能力の5分の1ぐらいの稼働であり、尿尿、ごみ処理施設等も大同小異の稼働であります。しかしこれらの町村としては、この維持管理に大きな財政負担を強いられており、四苦八苦しているのが現状であります。起債の償還もすでに始まっておりますし、今後ますます財政圧力となってその地元にのしかかってきます。それについて県としても、国との対応を含めながら今後この問題の打開を検討する必要があろうかと思いますが、それの対策についてお伺いいたします。
 次に、1次産業の振興について。
 最初に、パインの原料輸入についてお伺いいたします。
 パインが1次産業において基幹作物として位置づけられており、本員もこの問題についてたびたび取り上げてまいりましたが、先般一部業者がパイン原料を輸入し加工されたという報道は、それに常に関心を持つ者として愕然といたしました。パイン危機が叫ばれたとき、県民がその対応についてどれほど苦心したかは記憶に新しいところであります。原料が少ないからといって、しかもパインが国際商品であるということは百も承知の業界が、天につばするような行為は全く県民のひんしゅくものであります。
 そのいきさつについてはある程度報道によって知っておりますけれども、この場においていま一度その経過と、県の措置と、業界のそれに対する措置と対策についてお伺いいたします。
 次に、試験機関の拡充強化について。
 本員は、たびたびこの問題を取り上げてまいりましたが、逐年整備の方向にその方向づけはなされておりますけれども、本県においてはまだまだ強化していかなければならない部門が多く、現場調査をしても痛感するところであります。
 試験研究は、その成果を上げるには金と時間を必要としますので、じみちにその整備を図ることこそがわが国唯一の亜熱帯県として独特の研究開発と、さらに研究員の意欲の高揚につながり、その成果をして沖縄の1次産業に寄与させ得るものと思量されます。
 昭和50年の沖縄の農業粗生産額は648億5000万円でありますが、対前年比で19.7%の伸び、51年度は758億5900万円で、対前年比17%の伸びになっております。その伸び率から考えますと、1000億農業は目前であります。
 さらに、今後の研究として地力回復いわゆる知事も主張されておりますように土づくりの立場から考えても、畑作の土地利用、あるいは専業農業、あるいは畜産業の廃棄物の処理等、さらに農業と沿岸漁業の相関関係等の地域的に複合的な研究に取り組む必要があろうかと思うが、そのような研究、取り組みがあるかどうかお伺いいたします。
 次に、後継者育成について。
 本員は、51年10月2日の本会議において、農業後継者育成のために農業者大学校の設置の緊要性についてお伺いいたしました。これは昨日の質問にもございましたが、そのときの農水部長の答弁は、向こう3力年以内に農業研修センターを農業者大学校に移行する考えで農林省と調整中であり、果樹、養豚、生活の3部門を置き、高校卒業者の2年制として自信と誇りを持てる農業青年を育成したいと答弁されております。昭和54年の開学になると思いますが、その準備体制は十分であるかどうか、ちょっと予算の内容から見ると不安もありますのでお伺いいたします。
 次に、総合環境整備事業と小規模基盤整備事業について。
 このことは、前の質問にもありましたので内容が重複いたしますので、引き続きこの小規模のモデル事業あるいは総合整備事業が並行してその地域の基盤整備ができるように今後とも御努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、工業試験機関の拡末強化について。
 沖縄の人口は、振興計画を策定した当初より相当な勢いで伸びつつあることは統計の示すところであります。人口の扶養力を考える場合、1次産業もさることながら、2次産業の育成強化は県政の急務と考えます。中小零細企業がほとんどである本県で、その育成対策を考える場合、これまでは制度的に資金対策に重点が置かれていたと考えますが、もちろんそれもきわめて重要な政策であることは申すまでもありません。
 これまでの沖縄の企業体質を素人の感触で見てみますと、みずからの技術開発に取り組みながらその仕事を進めるというより、他から安易に技術導入をして経営したきらいはなかったかどうか。そうでなかったならば幸いでありますけれども、今後はより進んだ技術は取り入れながらも、沖縄自体として沖縄の土地の条件に適した独特の技術を開発していくという意欲こそが長い将来に向かって必要かと考えます。したがってその先導的役割りを果たすのが工業試験場であり、これまでじみちな多くの研究もなされていることに対し敬意を表しながらも、今後さらに技術行政を強化していく意味において、工業試験機関を拡充強化してその研究成果が沖縄の経済にプラスする体制づくりが緊要かと思量いたします。
 去る産業まつりに現場を一巡しましたが、その研究の一例を申し上げますと、たとえば泡盛の場合、大切な黒コウジ菌の半分が県外から移入されているということを聞いてびっくりした1人であります。しかも単価について沖縄産のコウジ菌が100グラム150円に対し、移入コウジ菌は320円で2倍強であります。
 沖縄はコウジ菌には適した気候であり、その中からすぐれた泡盛も育成されたと思います。研究データからすると、すでにすぐれた黒コウジ菌も選別されており、それによると既存のコウジ菌より少なくとも5%の増産が見込まれると研究のデータは示しております。
 現在、年間約9300キロリットルの泡盛が生産され、約30億円内外の売り上げかと思いますが、単純計算で現在の規模でもこの開発されたコウジ菌を使用することによって2億円内外の増収が図られるばかりでなく、さらに泡盛が沖縄の本家本元であるらしくコウジ菌を自給する休制をとれば、業界にとっても、また県産品愛用という立場からも、さらには雇用を創出するという点から見ても、沖縄にとって大きな経済効果をもたらすことは自明のことであります。
 こういうふうにして、結局工業機関の先導的役割りを果たすためにいまの研究機関をさらに拡充強化をして沖縄経済にブラスするところの試験研究成果をいま一段と上げるような体制づくりが、いま強く望まれているのではないか。そして沖縄の独特な、沖縄でなければつくれないところの技術開発をみずからの力で開発する体制づくりこそ、今日要望されているものだと思います。
 以上申し上げまして、お答えによってまた若干補足質問するかもしれません。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) ただいまの御提言、御質問に対してお答えをし、細部にわたる点は関係部長から答弁させます。
 第1点め稲作技術でありますが、そこで新品種も紹介されておりましたが、離島である沖縄において10%の自給率ということは賛成いたします。
 同時に、南方開発途上国とのことを考えてみた場合に、本土温帯地での米の研究は無理だと言われております。亜熱帯の沖縄で研究されたものこそ南方には持っていかれると、こういうことも聞いておりますので、なお専門家の意見も聞かぬといけませんが、こういう意味からして3番目に御提案になりました工業試験場、これはお説のとおり泡盛のコウジ菌については非常な研究を深めております。惜しいかな、これまでたった1人でやっておる。今回これを増員する計画をいたしております。
 試験はどちらかというともう完成しておる、これをいかに業者にまで持っていくかということが残された問題であると。
 それのみならず、工業試験場では土の研究、そして陶器、どの土とどの土をどうしたらどうなる、土にまた何をまぜたらどうなる、この研究もすばらしいものだと見ております。こういった研究をさらに深めていくというと、生産はもとよりのこと、先ほどのお説の技術開発を取り入れるならば、非常に役立つものだとこう考えております。
 2番目の海洋博の跡の問題でありますが、現実に困っておるこの現状をいかに打開するか、そして将来これをどうするかということについて、私は各関係機関と十分な対策を講じなければならない段階に来ておると思っております。それは本部町はもちろんのこと、今帰仁村、そのほかの関係機関とも十分に打ち合わしてこの対策を講じたいと、講じなければならぬとこういうふうに考えております。
 他の分野につきましては、関係部長から答弁さすことにいたします。
 なお、申しおくれましたが、沖縄の亜熱帯のこの地域を利用しての研究機関の充実は、前開発庁長官の藤田先生は至ってこれに賛意を表され非常なる熱意を示してもらいましたが、交代になりましたので、またこの問題は持ち出したいと思っております。
 先輩から聞かされた話では、明治、大正、昭和の初めにかけて、日本政府のこういった面は沖縄を飛び越して台湾へ行ったんだと。だから台湾の戦後のあの耕地整理、水利事業は、まことにみごとなものであった。私は沖縄は風土といい、人柄といい、また地理的条件といい、科学的なメスを下せば幾らでも物が生み出せるんじゃないかと、希望多き土地柄だと思っております。
 遺憾ながら、これまでこういった研究機関が十二分には設備されてなかった、今後この研究機関を拡充し拡大していくことによって希望を持てるものだと、こう考えております。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部侵 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 まず、稲作の振興についてでございますが、御指摘のとおり稲の生産量は年々低下をしております。ここ10年間で、昭和43年がピークでございますが、1万1000トンでございます。昭和51年度は3700トンで、約3分の1に減っております。
 それにつきましてはいろんな要因がございますけれども、県といたしましては、特にこれらの水稲がいわゆる離島地域に多いということからこの振興についても努力いたしたいとかように考えておりますが、さしあたっては灌漑排水施設の整備を重点といたして進めておりますが、さらに栽培技術の改善あるいは品質の向上等による生産の拡大を進めるために、構造改善事業の一環といたしまして育苗施設あるいはライスセンターの設置を進めております。さらに優良種苗の開発につきましてもいわゆる沖縄的な、沖縄に適した種苗を開発するということで努力をいたしているところでございます。
 10%についての問題でございますが、現在約4%内外でございますが、昭和43年が1万1000トンでございますので当然可能になるわけでございまして、当面県といたしましては、昭和60年ごろまでには2000ヘクタール――現在1300ヘクタールでございますが、これを約2倍に伸ばしたいとかように考えております。
 次に、パイナップルの原料輸入の問題でございますが、パイナップルの生果は自由化品目になっております。かん詰めにつきましては非自由化品目になっておりまして輸入割り当てをしているわけでございますが、こういった法の盲点を突きまして、もちろん理由はあったわけでございましょうが、このパイナップルが輸入をされております。
 簡単に経過を申し上げますと、フィリピンからパイナップルが輸入をされておりまして、これにつきましては1月31日に海龍丸――西光商事の船籍でございますが、約100トンのパイナップル生果を泊港に陸揚げをしております。そのうちの70トンが北部のパイナップルかん詰め工場――2社でございますが、ここでかん詰め加工されたことが判明をしております。
 こういった輸入生果は、当然現在県がいろんな面で保護措置を受けておりますので、そういった意味から理由のいかんを問わずきわめて遺憾でございまして、早速この問題を起こしましたかん詰め企業とパイナップルかん詰め工業組合に対しまして、今後このような事態が再び起きないようにということで厳しく警告をしております。この警告に対しまして、パイナップルかん詰め工業組合から、組合員一同深く反省し、今後このようなことがないように厳に慎むということの決議をしたという回答を得ております。
 次に、試験研究機関の拡充強化でございますが、先ほど知事もお話がございましたとおり、沖縄はいわゆる亜熱帯県でございます。そういった意昧から、本土の試験研究の成果をそのまま移しては当然効果がない部門もあるわけでございまして、沖縄なりの試験研究が必要でございます。
 そういった意味から、試験研究の研究体制の整備につきましては地域農業の発展ということで努力をしているわけでございますが、現在は本場あるいは支場の整備を中心にやっております。と申しますのは、従来の研究機関がいわゆる都市地区に次第に侵食されまして環境上適当な研究施設ではなくなったということで、また圃場も狭いということでほとんど中部あるいは名護、宮古、八重山は近く検討するわけでございますが、ほとんど移転をしつつあります。53年度までにはこれらの施設の約70%は整備できるというふうに考えておりますが、もちろん外郭も必要でございますが、やはり予算もいわば研究費も必要でございますが、これにつきましても県の厳しい財政の中から幾分増加をしておりまして、昭和53年度は前年度対比25%の増を県議会に要請をしているところでございます。
 県といたしましては、いわゆるこういった試験研究施設の整備とともに試験研究の効果をあらしめるために予算も極力計上していきたいと、かように考えております。
 また、試験研究職員に希望を持たせるという意味、あるいはまたいろんな面での機能を十分活用するために本場並びに支場の中の組織の改正等も現在進めております。
 畜産試験場につきましては、現在今帰仁に施設を整備申でございまして、これも54年度までにはある程度整備ができるというふうに考えておりまして、56年度までにはほとんどの施設を整備したいというふうに考えております。
 次に、農業者大学校の問題でございますが、現在の状況で対応できるのかということでございます。
 現在、名護の農業研修センターを農業者大学校に移行することで努力をしておりますが、54年度にはぜひ開校したいということで準備をしております。54年の開設には極力間に合うように努力をいたしたいと、かように考えております。
 次に、小規模土地改良事業についてでございますが、これにつきましては今後ともこの必要性を痛感いたしておりますので、極力整備を進めていきたいとかように考えております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 土木部長。
   〔土木部長 大嶺永夫君登壇〕
○土木部長(大嶺永夫君) 交通網の整備についてお答えいたします。
 北部地区における県道は実延長252キロ、52年3月末の整備状況は改良率が44.1%、舗装率57.5%となっております。53年度は、北部管内の路線数25本に対し、20本の路線について整備を実施する計画でございますが、御質問のありますこの名護一運天港線につきましては、同路線は49年度までに今帰仁一運天港間の改良舗装を行い、現在仲宗根一旭川間の特に曲線の悪い区間の部分的な改良工事を実施中でございますが、仲宗根から名護に至る区聞の本格的な改良については地形的な面から技術的にも十分検討する必要がありますし、採択の時期等について慎重に検討していきたいと思っております。
 次に、115号線でございますが、渡久地から今帰仁村今泊に至る延長7.4キロメートルの道路でございますが、今泊から今帰仁城祉までは51年度までに改良舗装を実施いたして、52年度からは渡久地─今帰仁城址間の舗装工事を実施中でございます。今後も継続して整備を促進してまいりたいと思います。
 次に、123号線でございますが、湧川から呉我山に至る3.9キロでありますが、この道路は今年度は湧川地内の特に曲線の悪い区間の改良を行っておりますが、53年度は呉我山橋のかけかえを計画しております。
 次に、14号線、これは名護市源河から東村有銘に至る延長9.7キロの横断道路でございますが、現在約6.5キロが未供用となっておりまして、この未供用区間の道路新設については53年度から事業を開始する計画でございます。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) 土づくりにつきまして答弁漏れがございますので、説明いたします。
 土づくりに対する地域農業複合化についてでございますが、現在沖縄の農地はほとんど90%は畑作でございます。そしてサトウキビ、パイナッブルが70%以上を占めているということでございますが、さらには化学肥料を使い過ぎてそのために地力の低下が懸念されております。
 一方、畜産につきましては多頭化専業化が進みまして、その排せつ物の処理も困難な状況にございまして自然的あるいは社会的環境の保全等に対して好ましくない影響があるようでございます。
 国といたしましても、全国的なこのような現状を懸念いたしまして、農林省では昭和53年度から新規事業といたしまして国、県の試験研究機関の連携による地域農業複合化のための技術開発に関する研究がスタートをしております。
 県農業試験場におきましても、耕種部門と畜産部門との結合した有機的農業経営を図るため昭和54年度からこの事業を受け入れる計画で、昭和53年度におきましては、当面畜産試験場と協力いたしまして予備的な調査を実施することにいたしております。
 以上でございます。
○議長(知花英夫君) 金城 宏君。
   〔金城 宏君登壇〕
○金城 宏君 私は、県政会を代表してさきに通告いたしました事項について所見を述べながら質問したいと思います。
 国は、沖縄の施政権が返還される際、核抜き本土並みを約束し、かつまた国の計画である沖縄振興開発計画においても、軍用地が本県の地域振興を推進する上で大きな障害となっていることを認め、その早期の整理縮小がうたわれていることは御承知のとおりであります。
 そこで、本土並みとか軍用地の整理縮小ということが現実にはどういうことになっているのか、その実態について考察したいと思います。
 まず、本土並みということでありますが、そもそもこの言葉の意味が問題になるわけであります。復帰時における県民一般の本土並みの要求は、機能的にも規模の面においても本土同様にという認識があったわけでありますが、復帰後5年たった現在においても依然として全国の53%を占める米軍基地を初めとするいわゆる軍用地が存在し、県土の12%を占めている現状にあります。
 それについて、国の方では本土並みとは安保、地位協定の適用、つまり核の3原則や専守防衛、他国への攻撃に便用しないという本土にある米軍基地同様に取り扱うという意味だというふうに言っているわけであります。ここにおいても本土並みという言葉の持つ意味のあいまいさと県民の誤解と申しますか、錯覚をうまく利用しているわけで、正直申し上げて裏切られたという感じをぬぐい去れないわけであります。
 次に、基地使用条件は本土並みかどうかということでありますが、これについては安保条約に基づく地位協定第2条第1項で「個個の施設及び区域に関する協定は、第25条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」という条文が根拠となり、最終的には日米合同委員会で使用条件が決められるわけでございますが、これまで非公開の会議であったためどういう申し合わせがなされたのか、国民には全く知られなかったわけでありますが、御承知のように去る22日付琉球新報で基地使用に関する日米合意文書の一部であるいわゆる5・15合意メモが暴露され、論議を呼んでいることは御承知のとおりであります。そのメモの文中、使用条件の第1項において「合衆国政府は返還後必要があれば出来る限りすみやかに合同委員会において使用条件を検討し、明らかにするとの了解の下に返還以前の期間において使用していた通り、本施設区域を引き続き使用する。」という1節がございますが、これは要するに復帰後も復帰前と同様に使用することを認めるということにほかなりません。
 復帰後、使用条件について日米合同委員会においてどのような検討がなされ改善されたのか、現在のところ明らかではございませんが、本土における基地使用の実態と本県のそれの比較により、その差異を見たいと思います。
 しかしながら、現在基地使用についての公的な調査結果がございませんので、昭和53年2月19日付沖縄タイムス社の「使い放題の米軍演習場」という題のレポートの一部をここに引用させてもらいます。
 それによりますと、
  使用条件の締結のいきさつ、内容、実態を調べて みると沖縄と本土ではかなりの違いをみることがで きる。 本来、演習場を使用する場合、米軍と自衛 隊では使用条件の締結の経緯は異なるが、いずれも 締結の際には地元側の自治体、関係団体、周辺住民 の意向がかなり組み込まれることが慣例化している のが実情だ。山梨県・北富士演習場の例はその典型 ともいえよう。同演習場は現在、自衛隊と米軍が共 同使用しているが、5年前に国と地元で使用協定が
 締結された。その使用条件によると、演習場内に不 発弾、危険物の残置の禁止はもとより、森林、水  源、水路の損傷、破壊は厳禁。さらに航空機の射  撃、爆撃の全面禁止と500キロ以上の爆発物の使用制 限がうたわれ、さらに7月から9月までの間ぱ実弾 訓練は制限されるなど全体的に厳しい条件が決めら れている。
と報じております。
 それに引きかえ、本県においては演習場の使用に関する地元あるいは関係団体との協定もない上、米軍から一方的に那覇防衛施設局を通じ県を初め関係市村に通告するという仕組みをとり、復帰前の自由使用をほぼ踏襲しているやに思われるわけであります。特に咋今の訓練、演習は一段と激しさを増し、県道104号線越えの実弾射撃訓練は復帰後15回目を数え、米軍戦車による実射訓練により市民の水道管バルブ破損、ハリア垂直離着陸ジェット戦闘機の墜落事故、嘉手納基地のファントム戦闘機の爆音増大、そしてつい最近は、渡名喜島上空から民家の庭に落ちた空母艦載機の照明弾事故等々市民の被害も続出している現状にあります。
 さらにまた去る22日、「米下院外交委の聴聞会でブラウン米国防長官は、在韓地上軍撤退のスケジュールと対韓軍事援助案について証言し、その中で朝鮮半島の紛争の場合、沖縄駐留の米海兵隊師団を2日以内に韓国に投入すると言明しており、日本政府との事前協議は一体どうなるのかという疑問も残るわけであります。
 以上のとおり、本土と本県の基地使用条件には著しい差異があり、決して本土並みではないわけでありますが、何ゆえに政府は本土並みを表明しながらいわゆる5・15合意メモで自由使用を認めたのか理解に苦しむものであります。仮にそれが復帰時における状況や情勢分析の結果、やむを得ざる経過措置であったとしても、県民の前にそれを明らかにすることが国の責務であり、明らかにすべきであったと考えるものであります。
 次に、米軍用地の整理縮小の実態について見るに、日米安全保障協議委員会の第14回から16回の会議で約5700ヘクタールの軍用地返還に合意しているにもかかわらず、昭和47年復帰時から51年末日までに返還された米軍用地の面積はわずか1797ヘクタールであり、復帰時の全軍用地面積2万8284ヘクタールのわずか6.4%にすぎず、軍用地の整理縮小は遅々として進展していない状況にあり、その上返還された軍用地跡地も地籍も確定せず、原状回復もきわめて不十分で、しかも細切れ的部分返還が多い等、軍用地返還の態様等の原因となってそのほとんどが未利用のまま放置され遊休化し、跡地地主の生活上はもちろんのこと、県土の総合的かつ計画的な有効利用という観点からも、まことにゆゆしき問題となっておることは御承知のとおりであります。
 そこで、整理縮小がなかったわけではございません。これは残念なるかな、米軍雇用員が大量に整理解雇されているわけであります。昭和47年5月15日、いわゆる復帰時に1万9980人も勤めていた軍雇用員が、昭和53年1月現在で8267名になっており、実に1万1713名が解雇され失業者となって大きな社会問題になっていることは御承知のとおりであります。
 さて、私はこれまで基地の本土並みや軍用地の整理縮小の実態について述べてまいりましたが、私が訴えたいことは、政府の本土並みあるいは整理縮小という看板に偽りありということであります。
 さらにまた、私は安保条約の是非は別といたしましても、県民の生命、身体、財産について大きなかかわりを持つ基地の整理縮小や使用条件について地元の意向をくみ取ることなく県民を無視し、日米両政府間で秘密裏にすべてが決められるという現状、これに対し激しい憤りを覚えるものであります。われわれ県民は、当事者としてわれわれ自身の問題について当然知る権利があり、これが民主政治のそしてまた自律、自治の原理であると考えるものであります。
 しかしながら、私はこれまでの県の姿勢や対応がすべて当を得たものであったとは思いません。それは何かと申しますと、正直申し上げてこれまでの沖縄においては余りにもイデオロギー論が先行し、現実的対応が疎んぜられていたのではないかという疑問があるからであります。軍用地の返還にしろ、返還されて初めてそれに対応するというありさまで、あるいはまた本土並みの実態調査についてもつい二、三日前に指令を出したというありきまで、全く後手の行政でございます。県民は、その後手の行政によって大変な迷惑をこうむっているわけでございます。
 政治とは、理想と現実のかけ橋であるとも言われております。特に行政行為というのは、迅速かつ公正な判断と現実的、具体的な対応が強く要請されるものであると信ずるものであります。私は、いまこそ知事の言っておられる連帯と英知を結集し、立場の相違は乗り越えて共通の糸口を見つけて当たるべき時期にあると確信するものであります。そういう観点に立ちまして、次の3点について知事にお尋ねいたします。
 知事は、所信表明の中で日米安保条約に反対する立場を堅持し、この視点からすべての問題に対処する旨述べておられますが、知事はいわゆる5・15合意メモなるものが本土並み協定から全くほど遠い内容のものであり、少なくとも県側の意向も組み入れたものに改定すべきだと思いますが、どう対処されるおつもりであるのかお答え願います。
 さらに、基地反対の立場はともあれ、行政の立場から一つのめどづけとして本土並み協定を目指すのが県民利益にかなうものと思うが、どうか。
 2番目に、現在本県においては軍用地主の過半数が返還反対ないし基地の存在を容認していると言われていますが、知事はこの事実をどのように見ておられるのか、そして今後これらの地主にどのように対処されるおつもりであるのか、軍用地の早期返還問題との関連でお答え願います。
 3番目に、知事は米軍基地の整理縮小について県民のコンセンサスを得た返還計画を立てて国に要求すべきだと思いますし、国の責任だけを言うのでは問題は前進しないのではないかと思うわけでありますが、少なくとも振興開発計画の年次計画に沿った米軍基地の返還計画を明確に示すべきだと思います。同時に、返還軍用地の跡利用計画と振興開発計画との関連はどうなっているのか、あわせてお答え願いたいと思います。
 次に、振興開発計画の推進についてでございますが、国民的標準を確保するため沖縄の各面にわたる本土との早急な格差是正を目的として振興開発計画なるものが策定されたわけでございますけれども、私は特に農業問題を中心に質問をしたいと思います。時間の関係で質問事項だけを並べてみたいと思います。
 第1番目に、農業の基礎条件である土地改良事業、基盤整備事業のことでございますが、これまでの進捗状況からすると復帰後5力年間で10%台だと言われております。この点については前議会でも取り上げられ問題になったわけでございますが、現在の状態で推移するとすれば本県の基盤整備事業はあと50年かかると言われておるわけでございますが、振興開発計画はたしか56年までの計画であったと思うんですが、その後の計画はどうなっておるのか。その後新たに振興開発計画の延長が行われるのか、それともそういう基盤整備事業の新たな計画がなされる予定なのか、県の御計画をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、土地改良組合の管理運営の指導は現在どういうふうになされているのか。と申しますのは、せっかく基盤整備、圃場整備をなしても、もとのもくあみでンジュグワツクエーをするとかいったような現状も見られるわけでございます。せっかく農地拡大を図り、機械化を推進する中で、その接点である現地の指導が全然なされてないような現状がございますので、県としてもそういう組合の管理運営、あるいは現地の対応の仕方について営農指導員なり改良普及員なりを通じてやるべきだと思うんですが、この点についてどうお考えですか。
 さらに4番目に、農業用水の問題についてでございますが、特に南部の農村では農業用水の問題がきわめて深刻な問題でございます。県はこれについてどのような計画を持っておられるのか。聞くところによりますと、開発庁で1億2000万の予算を計上し、地下水の開発調査費が出されているということは伺っておりますが、県はどういうふうな計画を持っておられるのか。それと特定多目的ダム等からの利配水を措置なさるおつもりはないのかどうか、それもあわせてお答え願いたいと思います。
 それから本県の土壌に適した農機具の開発が農家の間では叫ばれているわけでございますが、それについて特に南部の農協長会におきまして問題となっておりますのは、ユンボが農機具として認めてもらえれば助かるという声が強いわけです。と申しますのは、ユンボは農機具に入らぬと、したがいまして補助の対象にならぬということで大分困っているようでございますので、そこら辺農機具として認めてもらえないかどうか、その3点についてお答え願いたいと思います。
○議長(知花英夫君) 平良知事。
   〔知事 平良幸市君登壇〕
○知事(平良幸市君) たくさんな御質問をいただきましたが、直接知事に対する御質問の3点目だけお答えして、あとは関係部長にお願いしたいと思っております。
 第1点は、俗に言われておる5・15合意メモをどう思うか、どう対処するかと。
 事外交に関しては、時に秘密ということもあると一般的には考えられますが、しかしながら直接関係ある住民に関する問題で、関係住民に知らさざる合意メモがあるということは許されないことだと思っております。したがってその観点から、この点は強く折衝に当たりたいと思っております。
 めどづけのこともありましたが、それは十分考えた上でないと結論は生まれないと思います。と申しますのは、われわれは、後でも申し上げますが、あとう限り早目に返還をしてもらいたいと。その間はどうするかということについては、個々の問題にも関係しますので慎重に構えたいと思っております。
 次、2番目の問題でありますが、3番目と関連しますので順序を変えて3番からお答えします。
 整理縮小、跡利用の問題でありますが、これは基本計画は県においてできておりますが、その基本計画に沿うて実際の具体的な問題になりますというと、各市町村自体でまたやらなければいけませんので、市町村を指導し、協力のもとにこれを促進したいと思いますが、従来のようなただアメリカが使わなくなったから返すといったような無計画な返還のあり方、あっちにちょっぴり、こっちにちょっぴりといったような返還のあり方、無計画な返還のあり方ではいかないと。そして跡がまたうまく利用できるように、そしてそれが利用できるまでは何らかの補償はしてもらわなければならない。
 以前聞かされたことは、そんなことをやるというといつまでも利用しないで補償もらおうじゃないかと、こういう異論もあったようでありますが、もはや地籍の問題も国の力によってなさなければならない段階に来ておるので、ただ何らかの補償をもらうためにいつまでもほったらかすということはあり得ないことである。したがって個々の地主が使える段階までは、また使える段階になるように国は責任を持ってやってもらう、その間は何らかの補償をしてもらわないというと地主は困る。
 そこで2番目の問題に返りまして、そういうこともありますので、直接または関係市町村長を通じてどうしても地主との密接な連携を伴わないというとこの種々の計画が運んでいかないと思います。そういう意味におきまして、直接あるいは関係市町村長を通じて密接な連携のもとに今後の問題に対処していきたいと考えております。
 最初におっしゃいましたとおり、過去の経過を踏まえて現実を見詰めて将来に対していま何をなすべきかを常にわれわれは考えなければならぬことですが、沖縄の政治行政上、この言葉ほど胸に当たるものはないと考えております。 (「地主はどうなさる」と呼ぶ者あり)
 それは、いま質問者からの御質問ではありませんが、私が答えたのは、そういう過去もあるからして、直接もしくは関係市町村長を通じて密接な連携をとると申し上げたのであります。反対者もおられれば賛成者もおられます。反対であろうが賛成であろうが県民であることに間違いはない、地主であることに間違いはない。だとするならば、そういう人々と相連携して事を運ぼうとこう申し上げておるところであります。
○議長(知花英夫君) 企画調整部長。
   〔企画調整部長 吉元嘉正君登壇〕
○企画調整部長(吉元嘉正君) 御質問の中で沖縄振興開発計画の第2次計画と申しますか、57年度以降に向けての考え方についての御指摘でございますが、御案内のとおり56年度で第1次沖縄振興開発計画は最終年度になっているわけぞございまして、昨年来過去前期の5力年についての反省あるいはまた実績等を分析しまして、先般課題と施策、そしてまた事業計画を策定しまして公表したわけでございます。その中でいろいろの問題が提起されております。もちろん道路等一部におきましてはかなりの進捗あるいは整備水準に達しておるのもあるわけでございますが、大方の事項につきましてはまだまだその整備率が十分でないと。すなわち格差の是正、そしてまた自立的発展の基礎的条件が整備されてないと、こういう観点から引き続き57年度以降も第2次計画を策定しまして推進する必要があると考えております。そのためには時限法になっております振興開発特別措置法の延長改正ももちろん必要になってきますので、いろいろと各面から問題を掘り下げ、そしてまた推進していきたいと思っております。
 その基本的な考え方としましては、すでに国の方で策定されました第3次全国総合開発計画、あるいはまた過去において私たちが検討しました振興開発計画の見直し、そしてまた国においても中期展望の形で見直しをやっております。
 そういったもろもろの諸資料、諸計画を総合しまして、また新しいプロジェクトも後期5力年計画の中に未決定のプロジェクトとして掲げてございますので、それらのものもさらに検討しまして推進していくということが基本的な考え方になっておるわけでございます。53年度予算案に、調査費を計上しまして御審議を煩わしておる次第でございます。
○議長(知花英夫君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 島崎盛武君登壇〕
○農林水産部長(島崎盛武君) お答えいたします。
 まず第1点は、土地改良組合の管理運営等についてでございますが、現在約100力地区の土地改良区がございますが、平均受益面積は50ヘクタールと非常に小さいものでございまして、他府県ではこれの6倍、300ヘクタールとなっております。そういった意味からは非常に運営上割り高になっているということでございまして、専従職員を置くことも非常にむずかしいというようなことで理事長などが事務を兼ねてやっているというような現状でございまして、運営に支障を来している組合もございます。
 そういった意味で、県といたしましてはこ魁らの土地改良施設の維持管理、あるいは土地改良資金の借入などのいわば組織の存続を必要とする土地改良区につきましては、専従職員を配置するように指導しております。また比較的土地改良地区がその市町村に多い地域、その地域につきましては合同事務所を設置いたしまして経費の節減を図っていくようにしたいというふうに考えております。
 また、土地改良事業を実施いたしまして、その効果をどのようにするかということになりますので、県といたしましては土地改良事業の計画の段階から普及員を動員いたしまして計画に参加をしております。当然f地改良事業施行後もその普及に努めるというふうなことで、普及員と十分マッチした農業普及をやっていきたいとかように考えております。
 次に、農業用水についてでございますが、農業用水は特に北部地域にたくさんあるわけでございますが、水源としては北部にございますが、南部では残念ながら水資源に恵まれておりません。そういうことから地下ダムを開発してはどうかということで現在総合事務局でその予定をしておりますが、県といたしましてはこれらの調査を側面から援助していくというふうに考えております。将来こういった地下水を開発いたしましても、南部地域におきましては30から40%の開発しかできないというふうに考えております。
 そこで、特定ダムからの送水はどうかという御提言でございますが、農業用水と上工水の問題、あるいは価格の問題等もございますので、極力調整をしながら量的に、あるいは価格的に問題がございますので、調整をしながらやっていきたいとかように考えております。
 次に、ユンボを農業機械として補助対象にできないかということでございます。現在ユンボはいわば土木機械でございまして、元来農業機械ではございませんが、沖縄の特殊土壌地帯からはやはり強力な土木機械が必要であるというふうなことも言われておりまして、現在農林省にその補助対象にしてもらいたいということで要請をしておりまして、農林省におきましては検討してみたいというようなことでございますので、極力そのようにしむけていきたいとかように考えております。
 以上でございます。
○識長(知花英夫君) 以上をもって、代表質問は終わりました。
 本日の日程は、これで終了いたしました。
 次会は、明後6日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時40分散会

 
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