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平成 3年(1991年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
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議 事 の 概 要
平成3年7月1日(月曜日)
午後1時8分開議
日程第1 代表質問
1 嘉数 昇明君(自民党)
2 外間 盛善君(自民党)
3 上原亀一郎君(共産党)
4 友寄 信助君(社会党・護憲共同)
5 喜納 昌春君(社大党)
6 与那嶺盛男君(新政クラブ)
7 白保 台一君(公明党)
午後7時53分散会
○議長(平良一男君)これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた教育委員会委員長赤嶺千壽君は、別用務のため本日及び4日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び4日の会議に教育委員会委員長職務代理者前田功君の出席を求めました。
また、公安委員会委員長瀬長浩君は、別用務のため本日、2日及び4日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に公安委員会委員赤嶺義信君、2日及び4日の会議に公安委員会委員比嘉國郎君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) この際、念のため申し上げます。
本日から7月4日までの4日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(平良一男君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
嘉数昇明君。
〔嘉数昇明君登壇〕
○嘉数昇明君 おはようございますということでございましたが、こんにちはになりました。お待たせをいたしました。
これから自由民主党県議団を代表いたしまして、さきに通告をいたしました県政運営の重要課題について所見を述べながら質問をいたします。
この6月定例議会は、例年の議会と異なり、極めて重みのある重要な議会であると認識しております。それは、新石垣空港のように大きな課題を抱え、国庫予算概算要求を目前にしていること。さらに、3次振計の策定に向けて大事な要請がなされる重要な時期にあるからであります。
知事御就任後半年も過ぎて、県政の抱える課題、問題の所在についても十分把握なされたものと考えます。3度目の議会経験であります。
県政の課題は多岐にわたりますが、この議場は沖縄の発展のため、そして県民生活向上のための論議の場であり、知事のお考えを開陳する場であります。簡明、明快な御答弁をあらかじめお願い申し上げ、質問に入ります。
第1は、新石垣空港の問題についてであります。
新石垣空港の建設は、八重山郡民の悲願であります。新空港の建設なくして八重山の発展はないとする郡民の強い要望に一日も早くこたえることが、知事の基本姿勢でなければならないと思うのであります。
しかし、行政連絡会議の動きを見ますと、1年どころか、早くても二、三年を要するような感じがするのであります。場合によっては、10年たってもできないのではないかと危惧する声もあるのであります。
新石垣空港建設行政連絡会議は、2月の半ばに発足し、5月下旬の合意をデッドラインとして、地域住民の意見聴取、数々の討論会を開いてきたことは県民が知るところであります。
しかし、報道によりますと合意に達するのは絶望的で、建設費要請の前提、つまり建設位置の決定、地権者の同意取りつけは不可能という感じであります。
知事は、早期着工と言われながら、めどが立たない状態を八重山郡民に対しどのように説明なさるのか、合意形成のあり方に問題はないのか、県の意中の候補地はどこか疑問に思うところであります。
先ほど、今の状況では早期着工は見込めないと申し上げました。
その理由は、カラ岳はともかくとして、宮良、冨崎野についても県が候補地として挙げる以上、環境アセスメント、経済アセスメントなどの調査が必要であり、同質の検討資料がない限り比較優位は見出せないからであります。県がこれらの調査も実施するとすれば、二、三年どころか5年もかかるということであります。
しかし、住民討論の結果を見ますと、住民の大多数はカラ岳東に集約されているのは明白であります。行政連絡会議のメンバーは、この結果を踏まえ、住民合意はカラ岳東に決していると言っているのであります。
なぜ県は、賛成意見の極めて少なく、加えて農地が多く、さらに土地改良事業が終了ないしは改良計画地となっている宮良、冨崎野を候補地に挙げているのか、その理由が不明確であります。
新空港の必要性の1つは、農産物の空輸であります。
フライト産業としての農業の振興を促進する大きなてこと期待しているのであります。その基盤である優良農地を滑走路にしては、本来の目的に背くことであります。山がちで小さな島に農地の代替地はないのであります。矛盾することを住民に提示をし住民結束を乱すことは、将来に禍根を残すことにならないか大変気になるところであります。
地域の将来は、地域に住む者が決めるべきであります。地域の風土の中で、その伝統文化を継承し、将来の発展に夢を持つ住民こそが、建設用地の決定に参画し得る唯一の人々であります。
環境問題が地球的課題となっていることも事実であります。環境について配慮すべきは当然であります。しかし地域に居住せず、その将来を共有しない者の意見が重大な決定を左右することは、逆に地域の主体性を失うことになると考えるのであります。
仮に、知事の判断要素の中に、自然保護のみを考える非居住者への配慮があるとすれば、八重山郡民の将来を思う気持ちを疑わざるを得ないのであります。
知事は、何かにつけて合意の形成と言われております。しかしその内容、方法については明確な答弁をされておりません。12月の定例会、2月の定例会においても我が党の同僚議員が質問しておりますが、円滑な事業実施ができる見通しが得られる状況まで、と言って明言を避けているのであります。
さきに申しましたように、討論会を重ねてきた今日、住民の意見は集約されており、再度行うとすれば、それぞれの自治体、議会において場所選定を議決することであります。これが、議会制民主主義における合意形成の仕組みであります。
無策は良策に通じるとはいいますが、いたずらに時を待っては県政本来の機能をみずから放棄することでもあります。県が決すべきは速やかに決断する姿勢が肝要と考えます。
そこで質問をいたします。
郡民の願いは、一日も早く安全な新空港を、ということであります。現在の石垣空港においては、1500メートルの滑走路においてかなりの無理をして暫定空港として就航しているようであります。滑走路もかなりの年数がたって老朽化しております。
こういう状況にあって、現空港の安全性は十分に確保されていると言えるのか。
そして、このまま時間が経過していく中で、起こってはならない万が一の事故が発生した場合、一体、だれが責任を持つのかということであります。外部の環境団体が責任を持つというのでありましょうか、知事の認識をお伺いしたいと思います。
次に、知事は去る2月の定例県議会において、5月下旬をめどに合意を得て国庫要請を行うと答弁なさったように記憶しておりますが、要請ができるのか、できないのか明確に御答弁を願います。
さらに、地元側は、カラ岳東で次年度予算を要求すべきだと、県に意欲と決断があればできるはずだと主張しております。
知事は、この国庫要請が不可能であれば、その理由、なぜ合意が得られていないと判断なさるのか、その要因と責任の所在を明らかにしていただきたいと思います。
次に、新石垣空港問題については、非住民のあらゆる団体がそれぞれの意見を主張しております。
知事は、これらの主張と地域住民の考え、選択と、どのように優先し、調整しようとするのかお伺いをいたします。
次に、反対派白保住民は、カラ岳東案について当事者であるのか。あるとすれば、どういう意味で当事者なのか明らかにしていただきたいと思います。
次に、郡民の意見は、カラ岳東に集約されているのは明確であると考えます。地元住民の多くもそのように理解しているようであります。
その状況を受けまして、地元石垣半嶺市長は、6月26日の地元石垣市議会において、このカラ岳東案は3カ月の作業の合意形成ではなく、過去10年余の重みのある合意形成であると考える。行政は、郡民の志向する方向に率直にそれを受けてアタックしなければならず、宮良牧中案、冨崎
野案は、将来に禍根を残すことになる。郡民の意向はカラ岳東が多数を占めており、これ以上の合意形成は不可能だと考えると言明しております。
この点で見落としてはいけない点は、カラ岳東という郡民のこの方向性は、県の設定した合意形成の一連の手法で導かれた結論であるということであります。取りまとめるということは、一本に絞るということではなかったのかというのが郡民の率直な感想であります。
しかし県は、他に複数の候補地を挙げております。知事は、カラ岳東ではなく他の場所が望ましいとお考えでしょうか。
地元と折り合いがつかないのは、その他の場所に持っていきたいとの大田知事自身が既にあるシナリオを持っているからだとの疑念が生まれております。その点、明快にお答えを願いたいと思います。
さらに、地元石垣市議会において自民党議員のみならず、大田県政の与党であります公明党議員からも県の取り組み姿勢に対し、県は問題があるというカラ岳東をなぜ侯補地として郡民に提示したのかという強い不信感とともに、合意形成作業は郡民の意向を探るためのもので、県が今日、複数案を示していることは、一体何のためにこれまで取り組んできたのかと慨嘆をしています。
行政連絡会議の業務は、郡民の意向を見定めるまでであり、郡民の意思が明らかになった以上、行政連絡会議の目的は既に達せられており、もはや行政連絡会議の必要性はなく、一昨日の29日の会議で折り合いがつかなければ解散すべきではないか。県は、マスコミを通し世論形成づくりを行っている節が見受けられ、市も利用されてないかとの言及がなされております。
さらに、これらの発言や、そしてまた新石垣空港実現に体を張って頑張っております地元伊良皆県議を代表とする新石垣空港建設促進市民の会や、そして新石垣空港建設促進協議会、幅広い地元の組織の皆さんの意見もまさに現下の県の取り組み、姿勢に対する郡民の率直な憤りを代弁したものと言わざるを得ません。
これらの点に対する知事の所見を求めたいと思います。
一昨日29日開催された行政連絡会議は、成り行きが大変注目されましたが、予想されたとおり双方の意見が平行線をたどり、両者の見解の相違が表面化をし暗礁に乗り上げた感がいたします。
再度お伺いいたしますが、知事の言われる合意形成とは、一体何か、わかりやすく県民、郡民に御説明を願います。
何をもって、どの程度をもって住民合意形成が成ったと踏み切るのか。
また、空港建設に関する県の役割と責任とは何なのか、具体的に何をすることであるのか、行政責任者としての知事の指導力とは何か、今後、どのように進めていこうとするのかはっきりとお答えを願いたいと思います。
次に、3次振計県案作成の進捗状況についてお伺いします。
沖縄振興開発審議会の会長は、去る12日、総理大臣に対し、平成4年度以降の沖縄の振興開発について、引き続き計画を策定するとともに、これに基づく事業の推進に当たっては特別の措置を講ずるよう要請するという意見書を提出しております。これをもって、正式に3次振計という表現で政府への要請、あるいは関連する論議ができるわけであります。
審議会の意見書は、生活、産業基盤の面でなお整備を要する面が多いこと、資本、技術の蓄積が十分でないこと、雇用環境が厳しく、所得格差も存在すると指摘しております。
政府は、第1次、第2次の振計を策定し、その実現のために特別措置をもって振興事業を推進してまいりました。県政、そして県民もそれぞれの役割とする分野で努力をし、多くの進展を見ていると思うのであります。
しかし、意見書が指摘するように、自立を目指す基礎力の涵養はまさに今からであります。格差の解消、発展条件の整備拡充、国の発展向上にも貢献し得る特色のある地域としての整備、いずれをとっても重要な課題であり、特別措置の延長要請と3次振計の具体的中身づくりは正念場を迎えていると考えるのであります。
本年度中には特別措置法の延長を決定し、それに基づいて来年度前半には3次振計を政府決定するスケジュールのようでありますが、その作業の進捗状況と知事のお考えを伺っておきたいと思います。
そこで質問であります。
県が決定した第3次振計の大綱に、振興開発の目的は、平和で活力に満ち潤いのある沖縄県をつくるとしておりますが、それはそれとして具体的にはどのような社会であるのかイメージがありません。例えばということで結構ですので、知事がお考えの将来に求める沖縄の社会像をお伺いしたいと思います。
さらに、作業の途中だと思いますが、人口の規模をどう設定するのか。
経済企画庁の推計によりますと、2010年の我が県人口は145万人と推計しております。しかし、合計特殊出生率も1.91%に低下しております。想定する振計の人ロ規模をお伺いいたします。
次に、経済フレームをどう設定するかも大変重要なことであります。振興策の力点の置きどころが相違するからであります。現段階で産業分野ごとの割合をどうお考えか、お伺いいたします。
次に、特措法と高率補助は我が県の命綱であります。この支えがあって振興事業が進展するのであります。これまでどのような要請行動をなされたか、今後のことも含めてお伺いいたします。
次に、3次振計における最大プロジェクトは、大那覇空港の建設であります。
これに関連して強調したい点は、沖合展開の壁となっている離発着キャパシティー、年間13万回の枠を超える施設展開はないのか。そのまま2015年ごろまで待ちの姿勢で終始することになるのか。現在の軍民共用状態を逆手にとって、沖合展開実現のてことして生かしていく考え方、努力はないのかという点であります。
沖合展開について、3次振計でどのように取り組まれるかお伺いいたします。
次に、軍用地跡地の利用についてお伺いいたします。
返還軍用地の跡地をどのように利用促進するかは、今後の重要課題であると認識しております。
このことから、西銘前県政においては、地主、関係市町村、県が一体となって取り組む組織をつくったのであります。それが現在の軍転協であります。
地主の要望を大前提として、地主にとっても地域にとっても有益となる用途、そしてその実現を促進する手段は何か。そして制度的支援の必要性について検討することが求められていると考えるのであります。
そこでお伺いをいたします。
まず、知事訪米の目的と時期、要請項目、だれと会うのか、どのレベルの政府高官と会うのか、基地の全面返還と安保の改変をそのときに訴えるのか、そしてその成果の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
次に、県は先日から跡利用問題について審議会を開き、検計を開始されたようでありますが、それは特別立法にするということか、そうでないのか、内容の概略とあわせて御説明を願います。
さらに、3次振計において跡地利用の促進をどう織り込むのか、お考えをお伺いしたいと思います。
次に、現在国会で継続審議になっている野党案がありますが、安保、自衛隊に対する社会党の政策が変わった現在、どのような評価をなさるか改めてお伺いしたいと思います。
次に、産業振興についてお尋ねいたします。
我が県の基本的課題は、経済の自立度を高めることであります。それは、いかに産業の足腰を強くするかという一語に尽きると考えております。
知事は、口癖のように福祉の向上と言われますが、そのコストを負担するためにも所得の向上を実現する産業の振興が不可欠であります。
国の審議会の報告書には、戦略的施策を必要とする分野として亜熱帯農林水産業の振興、バイオ系産業の振興、情報サービス産業の振興、国際的評価に耐え得るリゾート地域の形成の4点を挙げているのであります。
これらの分野を、どのような具体的施策をもって振興をしていくかが3次振計の主要課題ではないかと考えるのであります。
そこで質問いたします。
1つ、知事は、選挙戦で、沖縄は県民所得全国最下位と言って前県政を批判されました。最下位は事実であります。そして当選をされ、知事になられた現在は、最下位から脱出できる方策をお持ちと思います。その方策をお聞かせ願いたいと思います。
先ほどの報告書にも指摘されたとおり、リゾート産業は我が県産業の戦略的性格を強めております。総合的な対策のもとに振興開発を進めなければならないと考えます。
県は、トロピカルリゾート基本構想も策定いたしております。
この基本構想は、現在、どういう段階にあるのか。また、基本構想の政府承認後における推進施策をどのようにお考えかお伺いいたします。
次に、フリーゾーンについてお尋ねいたします。
開設された当初、他府県からの視察も多く、将来に期待が持たれましたが、フリーゾーンにふさわしい企業活動が展開できず、入居企業はかなり苦しんでおられると聞いております。制度に基づいて設立された施設と機能は、有効に生かさなければなりません。打開策と将来展望をどうお考えか、お伺いしたいと存じます。
次に、交通問題についてお伺いいたします。
くしくも、きょうからいわゆる車庫法が施行されたところであります。交通は、社会経済活動の血管と言われますように、その渋滞や混雑は効率を損ねる問題であることは御承知のことであります。
我が県には、大量輸送の軌道はありません。交通の手段は、自動車のみであります。さらに、職場は都市部に集中し、OD調査結果で見ても、満杯のバケツにさらに水を注ぐように自動車であふれているのであります。
そこでお伺いいたします。
1つ、交通渋滞の緩和のためには道路の整備は当然であります。駐車場の増設もよく言われることであり、他県で公園の地下を駐車場にする例が多々あります。
交通渋滞の現状をどのように認識されておられるのか、緩和策についてアイデアをお持ちか基本的姿勢をお伺いします。
次に、モノレール計画についてお尋ねします。
知事は先日、モノレールルートを視察されましたが、どのように感じられたでしょうか。着工の決意をされたのでしょうか。
ルートの用地取得の現状、乗降客数の見込み、収支見通し、着工時期についてお伺いをいたします。
次に、西原町から那覇空港まで20キロ間が那覇空港自動車道として建設する計画が進められておりますが、いつごろの完成をめどに進められているかお伺いをいたします。
次に、人材育成を中心として教育問題についてお尋ねをします。
3次振計の大綱においても、国の審議会の報告においても人材の育成が主要課題の一つとなっております。地域が振興するもしないも、人材の存在がかぎとなるからであります。
これまでの県政も人材の育成に取り組んでまいりました。人材育成財団をつくって海外へ留学生を派遣し、芸大をつくり、特色ある高校をつくるだけでなく、既成の高校に科目の再編を行うなど関係者は大変な努力を傾注しているところであり、頭の下がる思いであります。
しかし、現在、沖縄が必要とする分野、3次振計の推進に当たって必要とする分野の人材、その量の確保については今後の検討課題であります。
先ほど、沖縄をどういうイメージの社会にするかと質問しましたが、その求めるイメージを実現するためにどの分野にどれだけの人材が必要であり、その確保のためにどういう施策を展開するかが大きな課題と考えるのであります。
国際的に通用する人材の育成と一口に言いますが、どうすればその人材が育つかが県のとるべき施策であります。バイオにしても熱帯果樹の振興、その他の分野についても同様であります。
そこでお伺いします。
1つ、3次振計における教育の位置づけについての基本的考え方と、知事御自身が考える沖縄の将来像に即してどのような人材が必要か、それをどのように育成しようとお考えか、例を挙げて御説明願いたいと思います。
教育庁は、インテリジェント・スクール基本構想をまとめられたようでありますが、その具体的内容を御紹介願いたいと思います。
さらに、時代に対応する高等学校のあり方という視点から、特色ある高校の推進、高校のコース編成をどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
次に、渇水対策についてお尋ねいたします。
今度の空梅雨は、水問題の本質を提起しております。雨が降らなければどうにもならないという状況から脱し、いかに水供給の安定条件を整備するかがこれまた指摘され、県民がひとしく認識している課題であります。
沖縄の島々は、自然条件から干ばつに弱い体質であることは、皆承知のことであります。この弱点を埋めるのは、人の知恵とやる気であります。これまでも節水型の社会にしなければならないと言われてきました。加えて、水をつくることも重要であります。
水不足は、日常生活はもとより、農業、加工業、観光業、病院、学校などあらゆる分野に影響を及ぽします。基本に立ち返って、そして将来の水需要も考慮し、根本的に対応する必要があると考えるのであります。
そこでお伺いします。
1つ、沖縄公庫は、雨水の貯水タンク設置にも融資しているようでありますが、その普及状況はどうか、まずお伺いいたします。
次に、大型需要者は、それなりの節水システムを持っているでしょうか。普及できる優良システムがあるのかお伺いします。
次に、水の確保は、基本的にはダムによる集水だと考えます。ダム建設の可能地はどれほどあるでしょうか、お伺いいたします。
次に、ダム建設にも限界があり、さらに雨が降らなければどうしようもありません。造水型の社会システムを思い切って確立することが必要であります。
四面、海に囲まれた我が県において、海水淡水化プロジェクトに3次振計において本格的に取り組む意欲が求められております。それに向けての県の取り組みはどうなっているか、そして調査の成果はどうなっているか伺います。
最後に、暴力団対策新法成立後の取り組みについてお尋ねいたします。
あれだけ吹き荒れた暴力団抗争も、現在は平穏に推移しているように感じます。
これは、県警察の総力を上げた強力な取り締まりと県民の暴力団排除の機運の盛り上がりにより抑え込んでいると理解しております。この間における県警の御苦労に対し、県民を代表する者の一人として感謝を申し上げます。今後とも、暴力団壊滅に向けてなお一層の御奮闘をお願いいたします。
そこで、知事にお伺いします。
暴力団が沖縄の社会に勢力を張って県民生活を脅かしている現状と、県警が暴力団取り締まりに一生懸命頑張っておられることについて、県民の生命、財産を最終的にあずかる知事は、どう認識されておられるのかお伺いいたします。
さらに、さきの暴力団抗争事件の取り締まりでは、警察官や装備面が不足をし県外の応援を得て対処いたしましたが、警察官の増員、装備の強化についてどのようにお考えかお伺いいたします。
次に、県警本部長にお尋ねいたします。
まず、暴力団の現状はどうなっているのか御説明を願います。
次に、今回、暴力団対策新法が国会で成立をいたしましたが、今後、県警としてどのような対策が出てくるのかお伺いいたします。
また、今回の暴力団抗争に伴い、県外から多数の警察官が応援に来て警戒に当たってもらいましたが、今後、暴力団の封じ込めも含めて少年非行防止対策、交通死亡事故対策を強力に推進するためには県警察の陣容では不足ではないのか、その増員と陣容の強化が必要ではないのか、本部長の御見解を伺いたいと思います。
知事、そして県警本部長の御答弁を願いたいと思います。
一通りの質問を終わりまして、答弁によって再質問をいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉数昇明議員の御質問にお答えいたします。
まず、現在の石垣空港の安全性に関する御質問についてお答えいたします。
現在の石垣空港は、復帰後、航空法に基づき整備が進められ、昭和50年5月に滑走路1500メートルのYS―11型機対応空港として供用を開始しておりますが、増大する航空需要に対応することが困難になってきたため、昭和54年度に新空港が建設されるまでの暫定的な措置として滑走路の
かさ上げ、滑走路のグルービングを行うとともに、慣熟したパイロットの配置、エンジンの換装、機材の積載量制限等を行い小型ジェット機を就航させており、安全性は確保されていると考えております。
また、現空港の滑走路は昭和54年度の小型ジェット機就航時に舗装を実施しております。アスファルト舗装の耐久性については日常の管理の中で十分に維持しているところでありますが、御案内のように年数の経過もあることから、既にそのことについて調査等を実施し、早期の舗装等の改修を検討しているところであります。
次に、去る2月の定例県議会において、5月下旬を目途に合意を得て国庫要請を行うと答弁しているが、要請できるのかという御質問にお答えいたします。
新石垣空港の建設に関する八重山郡民の合意形成を図るため、2月14日に新石垣空港建設行政連絡会議が発足し、郡民説明会を初め地域別説明会、郡民大討論会、意見発表会など一連の合意形成作業に鋭意取り組んできたところであります。
この結果、空港建設候補地についての関係団体や地域代表の意見はカラ岳東側案に集中し、土地の効率的利用等の観点から大多数の賛成意見がある一方で、環境保全等の観点から反対意見も強く多くの意見、問題点の提起がありました。
また、宮良案及び冨崎野案については、農用地等への影響が大きい等反対意見もある中で、カラ岳東側案にかわる案として賛成意見もありました。
さらに、現空港拡張案及び改良案並びに白保陸上案については、騒音による生活環境への影響が大きいことなど反対意見ばかりであり、賛成意見はありませんでした。
このように、多くの意見や問題点が出されている中で候補地を1つに絞り込むことは極めて困難であると判断し、現段階では新空港の建設の位置が確定していないことから、来年度の国庫予算の要望は極めて困難であると考えております。
今後は、これまでの合意形成作業の成果を踏まえて、具体的に提案のあった候補地について概略調査設計等の基本計画調査、動植物生息調査等の環境現況調査、土地改良、畜産振興計画等の関係機関調整などを行う一方、カラ岳東側案については環境影響評価等の資料公開を行い、各案についての問題点を整理検討し、合意形成に取り組んでいきたいと思っております。
なお、問題点の整理検討に当たって具体的手法については現在検討中であり、今後明らかにしていきたいと考えております。
次に、非住民のあらゆる団体がそれぞれの意見を主張していると、知事はこれらの主張と地域住民の考え、選択とどのように調整するのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
新石垣空港をカラ岳東側に建設することについては、国土利用計画法違反、住民訴訟及び環境保全等の問題が発生したことから、地元住民の一部の方々や島外の方々がいろいろな問題を指摘している状況にあります。
島外の方々を含めてカラ岳東側で空港を建設することについて反対運動を行っている大きな理由は、1、企業が土地を転がし、高騰した土地を税金で買い上げること。2、空港建設により国際的にも注目されている白保サンゴ礁生態系等周辺環境に影響を与えること。3、位置変更の過程が公開されていないこと等社会に与える影響を憂慮しての反対運動と理解しております。
しかし、今後の資料公開等一連の合意形成作業の中で空港建設に関し理解を求めていきたいと考えております。
次に4番目、住民の意見はカラ岳東側案に集約されているのは明白であり、県が他の2つの候補地を挙げるということは、カラ岳東側案ではなく他の場所が望ましいと考えているかどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
行政連絡会議のもとで取り組んできた一連の合意形成作業において、空港建設候補地についての関係団体や地域住民の意見の内容を見ますと、カラ岳東側案については、土地の効率的利用等の観点から大多数の団体や公民館が賛成していることは御承知のとおりであります。
しかし、白保公民館等の反対意見も強く、さらにIUCN決議など国際的な自然保護運動の高まりの中でサンゴ礁生態系の保護等の環境保全上の問題、住民訴訟等が係争中で長期化の可能性もあること及び企業用地等の同意取りつけなど極めて困難な問題が山積しております。
また、宮良及び冨崎野案については、農用地等の影響が大きい等反対意見もありますが、カラ岳東側案にかわる案としての賛成意見もありました。しかし、この2案については十分な調査データがないため基本計画調査、環境現況調査及び関係機関調整等を実施することで空港建設の可能性を検討する必要があります。
また、調査結果等その内容については、資料公開を行いながら調査検討し3案についての問題点を整理して、その中で空港建設位置の可能性、着工の時期等を考慮して十分に検討した上で最終的に位置を決定いたしたいと考えております。
5番目、知事の言われる合意形成とは何かと、また、空港建設に関する県の役割は何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
新石垣空港の建設に係る八重山郡民の合意形成を図るということは、新空港の円滑な事業の実施ができる見通しが得られる状況まで関係者の理解と協力を求めていくことだと思っております。
次に、県の役割についてお答えします。
第3種空港は、地方公共団体が設置及び管理する空港であります。
新石垣空港については、県が設置管理者となって進めようとしている事業でありますが、これまでのさまざまな経緯からいま一度八重山郡民の意向を踏まえて位置を決定し事業を進めたいということで、これまで一連の合意形成作業を進めてきたところであります。今後、これまでの作業で明らかになった各候補地に対する意見や問題点を整理検討するための諸調査を行った上で合意形成を図り、建設位置を決定し事業を円滑に推進することだと考えております。
それから、3次振計との関連で将来の沖縄の社会像について、平和で活力に満ち潤いのある沖縄県をつくるとしておりますが、どういうイメージかという趣旨の御質問にお答えいたします。
第3次沖縄振興開発計画の県案の策定に向け、現在、さきに策定した計画大綱を基本として担当部局を中心に鋭意作業に取り組んでいるところであります。
3次振計における沖縄の振興開発の基本目標を、大綱においては「平和で活力に満ち潤いのある沖縄県」の実現として示したわけでありますが、そのイメージとしましては、例えば平和とは、さきの大戦の教訓を踏まえて戦争、軍事基地のない平和な県づくりのことであり、ひいては沖
縄をして世界に開かれた南の国際交流拠点としての形成を目指すものであります。2番目の活力とは、若い豊富な労働力や亜熱帯、海洋性の地域特性を生かした特色ある産業を振興し、県全域が活力に満ち均衡ある発展を図っていくことを示すものであります。また潤いとは、豊かな自然と住みよい生活環境のもとで心の豊かさ、伝統文化を培い互いに助け合い、支え合い、若者もお年寄りもすべての県民が生きがいを持って暮らせるような地域社会づくりを指すものでございます。
次に、3次振計との関係で経済企画庁は、2010年の我が県人口を145万人と推計しているが、想定する3次振計の人口規模はどの程度かという趣旨の御質問にお答えしますと、人ロフレームの策定については、現在、沖縄県振興開発審議会総合部会にフレーム小委員会を設置し、検討審議を行っているところであります。
また、人口規模等のフレームの最終目標値を決定するためには、御指摘の合計特殊出生率や人口移動率、さらには平成2年の国勢調査の詳細な集計数値及び今後の産業振興等に基づく新たな検討が必要であるため、フレームの策定に当たってはこれらの統計等との関連を見ながら、平成4年3月を目途に作業を進めているところであります。
次に、同じく3次振計との関連で経済フレームをどう設定するのかと、現段階で産業分野ごとの割合をどう考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
経済フレームの策定に当たっては、これまでの実績、今後の産業振興策、県内外の経済情勢等を総合的に勘案し、最も望ましい本県の将来像はどうか、また実現の可能性はどうか等各面から検討しつつ決定していくこととしており、人ロフレームと同様、現在、沖縄振興開発審議会の総合部会に設置されているフレーム小委員会において審議検討をしているところであります。
フレームの最終目標値については、計画の基準となる平成2年度の県民所得統計に基づく新たな検討が必要であるため、策定に当たっては人ロフレームの策定と並行して平成4年3月を目途に作業を進めているところであります。
それから、同じく3次振計との関連で、特措法と高率補助は我が県の命綱であるが、これまでどのような要請行動をしたか、また、今後のことはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
県においては、第3次沖縄振興開発計画大綱の決定後、沖縄振興開発特別措置法の改正、延長、第3次沖縄振興開発計画の策定及び特別措置の継続について、去る3月の中旬から4月中旬にかけて内閣総理大臣を初め沖縄開発庁長官、関係各省庁並びに衆参両院の沖縄及び北方問題に関する特別委員会所属の国会議員及び県選出国会議員等へ要請を行ってまいりました。
御指摘のとおり、沖振法の延長と高率補助の継続は、沖縄振興開発計画の実効性を確保する上で極めて重要な課題であると認識し、これまでも九州地方知事会の場や関係大臣の来県の機会などを通じてその必要性を強調し要請してまいりましたが、今後ともあらゆる機会をとらえて政府及び関係機関に御理解と御協力をお願いしたいと思います。
なお、8月上旬に沖縄振興開発特別措置法等に基づく沖縄振興開発に係る特別措置の継続についての要請を行うべく、目下準備を進めているところでございます。
次に、3次振計策定の進捗状況との関連で、那覇空港の沖合展開は3次振計でどう取り組むかという御質問にお答えいたします。
県は、第3次振興開発計画大綱の中で、那覇空港を我が国の南における国際交流の拠点空港として位置づけ、那覇空港ターミナル地域の整備等を推進するとともに、沖合への空港施設の展開、その整備拡充について検討することにしております。そのため海外、国内の航空路線のネットワークの拡充を図り、空港需要の増大に努めるとともに、国際交流の拠点空港としてふさわしい那覇空港の整備拡充を促進してまいりたいと考えております。
続きまして軍用地跡地利用問題との関連で知事訪米について、訪米の目的、時期、要請事項、会見先、全面返還と安保の改変を訴えるのかと、その成果の見通しはどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
今回、計画している訪米においては、特に地域の振興開発上必要な施設区域の整理縮小を重点に訴え広く理解を求めていきたいと考えております。
訪米の時期としては、7月19日から約2週間程度を予定しております。
会見希望先としては、合衆国政府国務省、国防総省、上下両院等の関係機関並びにマスコミ等を予定しておりますが、現在、調整を依頼しているところであります。なお、具体的な要請の内容については、現在、慎重に検討中でございます。
それから、県は軍用地の跡利用問題について検討を開始したようだが、それは特別立法にするということか、そうでないのか、内容の概略とあわせて説明を願いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
県は、駐留軍用地の返還及びその跡地の総合的かつ計画的な有効利用を促進するために、法律的な施策体系による特別な措置が必要であるとのことから、軍用地転用促進特別措置法――仮称でございますが――案に盛り込む内容について、去る6月25日、沖縄県軍用地転用対策審議会に対して諮問したところであります。
その槻要は、次のとおりでございます。1、国の責務として駐留軍用地の整理縮小の促進を図るための必要な施策の実施。2、返還合意のあった駐留軍用地について計画的な返還を内容とする返還実施計画の策定。3、返還に際しては、周囲の状況に応じた合理的な土地利用が図られるための必要た措置。4、返還が合意された駐留軍用地への事前の立入調査。5、返還が合意された駐留軍用地について土地利用計画に即した総合整備計画の策定。6、跡利用事業を促進するための行財政上の特別措置。地主の受ける経済的損失についての適切な補償。以上のようなことが盛り込まれてございます。
それから次に、3次振計において軍用地跡利用の促進をどう織り込むのかという御質問にお答えいたします。
軍用地の跡利用については、県政の重要な課題として3次振計に位置づけております。県としては、コンサルタントヘ基礎調査等を委託し、その成果が本年12月ごろ報告されることになっており、それを踏まえて跡利用基本計画を策定し、これに基づき市町村における実施計画の策定を促進し、その利用計画が固められたものについては、返還跡地の実態を踏まえ土地区画整理事業等諸事業を推進していく考えでございます。
なお、国に対して要請している軍転特措法(仮称)が制定されれば、なお一層推進されるものと考えられるので、その実現方についても働きかけてまいりたいと考えております。
続きまして、国会で継続審議になっている野党案があるが、安保、自衛隊に対する社会党の政策が変わった現在、どのような評価をなすのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
国会で継続審議になっている社会党、公明党、共産党及び進歩民主連合の共同提案による「沖縄県における駐留軍用地等の返還及び駐留軍用地跡地等の利用の促進に関する特別措置法(案)」は、政党の立場から提出されたものと理解しております。県は、市町村長等の意向も踏まえつつ、県の立場から同法案に盛り込む内容を取りまとめ、立法措置の要請を考えております。
なお、特定の政党の政策については、県はコメントする立場にありませんので、御了承いただきたいと思います。
次に、知事は選挙戦で県民所得は全国最下位と言っているが、最下位脱出の方法があると思うかと、その方策を伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、本県の1人当たり県民所得は、復帰後大幅に増加してきていますが、全国平均との所得格差は依然として厳しく全国最下位の状況にあります。
このようなことから、3次振計を策定する中で第1次、第2次、第3次の各産業分野ごとにその振興育成を図り、各産業が相乗的に発展していく構造をつくり出していくことが重要であると考えています。このためには産業基盤の整備を図るとともに、本県の地域特性を生かしたリゾート関連産業、情報関連産業等を先導的産業として位置づけるとともに、地域資源を生かした農林水産業、製造業等の産業の振興を推進して県経済の持続的発展を図り、県民所得の向上に寄与すべく努力していきたいと考えております。
それから、沖縄トロピカルリゾート構想は現在どういう段階にあるのかと。また、基本構想の承認後における推進方策をどのように考えているかという御質問にお答えいたします。
リゾート法に基づく基本構想は、去る平成2年11月2日に主務省庁へ承認申請したところでありますが、現在、主務6省庁との協議を終え、環境庁との協議を行っているところでございます。
承認後の推進方策としましては、重点整備地区のより具体的な整備指針となる重点整備地区開発整備計画の策定や重点整備地区推進協議会の設置促進を図るとともに、沖縄県観光リゾート推進協議会――これは仮称でございますけれども――の設置など官民一体となった推進体制の整備を図っていく考えでございます。
それから、フリーゾーソ制度の改善策についてという御質問にお答え申し上げます。
自自貿易地域制度は、企業の立地と貿易の振興を目的に沖縄振興開発特別措置法に基づいて設けられた制度でありますが、既存の那覇地区の実績、将来の中城湾港新港地区等への拡大展開を考慮した場合、ぜひ何らかの形で制度の充実を図る必要があると考えております。
一方、県内各界からも産業振興の柱の一つとすべくその割度充実について多くの期待と要望が寄せられているところであります。
このような状況のもとで県としましては、輸入の自由化、域内の消費等の関税等の免除など経済団体等各界から寄せられた意見を入れた10数項目を要望事項にまとめ、制度改正の一つとして沖縄開発庁を初め関係省庁と鋭意協議、調整を行っているところでございます。
これらの成果を踏まえ、今月中には県としての考え方をまとめるべく作業を進めているところであります。
しかしながら、この件は我が国の関税制度及び貿易制度、ひいては経済政策の根幹にかかわる問題も抱えており、これまでの折衝の経過等にかんがみかなり厳しいものがあると認識いたしております。今後は、県はもとより経済団体等各界とも連携を密にとりながら、その実現に向けて努力してまいる考えでございます。
次に、交通問題との関連の御質問で交通渋滞をどう現状認識しているか、緩和策等について基本的な姿勢を伺いたいという御質問にお答えいたします。
都市化の進展に伴い道路交通需要はますます増大しており、道路の交通渋滞は市民生活や都市活動に深刻な影響を与えていることは御指摘のとおりでございます。特に自動車利用の依存度の高い本県において都市地区での交通渋滞は通学、通勤などの日常生活にも支障を来しており、早急に渋滞の緩和、解消を図る必要があると認識いたしております。
そのため、ハード面では沖縄県幹線道路連絡会議において策定されたアクションプログラムに沿い、渋滞交差点の立体化や改良を計画的に進めるとともに、ノーマイカーデーの推進等ソフト面も含めた諸施策を展開しております。今後とも西海岸道路、那覇空港自動車道等体系的な道路網の整備を推進するとともに、都市モノレールや駐車場の整備等についても検討し、交通対策を強化してまいりたいと思います。
次に、モノレール計画との関連で、モノレールルートを視察した結果、どのように感じたのか、着工を決意したのか、用地取得の現状、乗降客数の見込み、収支見通し、着工の時期について伺いたいとの御質問にお答えいたします。
私は、去る6月27日にモノレールルートをほぼ全線にわたって見てまいりましたが、既に用地取得が全体の79.3%、道路の新設改良は80.2%進捗していることをみずからの目で確かめてまいりました。
このモノレール事業は、既に国の事業採択以来10年近くを経過していることから、今回の視察を通じて早い時期にその方向づけをしていきたいと考えております。
なお、乗降客数の見込み及び収支につきましては、現在実施しているパーソントリップ調査を踏まえ、利用客数及び収支計画を明らかにしていきたいと考えております。
また、モノレールの沿線には久茂地パレットビルなどの既成市街地の再開発や小禄金城の区画整理事業、天久地区の新都心開発事業等が位置づけられており、都市化が進む中で人ロも多くなるものと考えられ、さらには駅周辺への公共公益施設の張りつけや各種イベント等を行うことにより需要は伸びるものと考えております。
次に、同じく交通問題との関連で那覇空港自動車道の建設はいつごろの完成をめどに進められているかという御質問にお答えいたします。
那覇空港自動車道は、沖縄自動車道と那覇空港を結ぶ延長約20キロメートルの高規格幹線道路で、そのうち西原町池田から豊見城村名嘉地までの延長約12キロメートルについては平成2年7月に都市計画決定を行い、同年11月に整備計画が決定され、国において事業が進められております。
西原町池田から南風原町山川までの区間については、南風原道路として昭和63年度に事業化され、これまで調査、設計等を進めてきましたが、今年度から用地買収に着手する予定と聞いております。
また、南風原町山川から豊見城村名嘉地までの区間については、豊見城東道路として今年度から新規に事業が着手されたところでございます。
国においては早期完成に向けて努力しているところであり、県としても当該自動車道が早期に完成できるよう引き続き協力していく考えであります。
次に、教育問題についてでございますが、3次振計における教育の位置づけについて基本的な考え方を聞きたいという趣旨の御質問でございます。お答えします。
第3次沖縄振興開発計画における教育の位置づけは、同計画大綱で、「明日を担う多様な人材の育成と特色ある学術・文化の振興上としたところであります。
これは、本県の地理的、歴史的特性を積極的に生かし、自立的発展を遂げるためには教育の振興が不可欠であるという基本的な考えによるものであります。
今後、このような観点に立って、地域社会の振興のための人材育成、生涯学習及び生涯スポーツの振興、地域性豊かな郷土文化の振興及び国際化時代に向けての国際交流の推進等を図っていく考えであります。
人材育成についての御質問で、沖縄の将来像に即して必要な人材とその育成についての説明をという趣旨の御質問でございます。
本県の振興開発を図る上で人材の育成は極めて重要であります。
現在、本県における人材育成については、産業部門、教育部門、行政部門等各分野においてそれぞれ個別的に進められております。沖縄の将来像を描き、県民のコンセンサスを得ながら国際化、情報化、技術革新、高齢化等の社会の進展に対応し、使命と創造性の豊かな人づくりを積極的に推進する必要があると考えています。このため、平成3年度は各分野における人材ニーズ等の調査を実施し、人材育成事業を総合的、体系的に推進するための指針となる人材育成基本計画――これは仮称でございますけれども――を策定する考えであります。
それから、同じく教育問題について、インテリジェント・スクールの具体的内容について、また時代に対応する高等学校のあり方という観点から、特色ある高校の推進を今後どのように考えていくかという趣旨の御質問にお答えいたします。
インテリジェント・スクールは、生涯学習の観点や科学技術、とりわけ情報技術の発達等時代の変化に対応し、21世紀の学校像を展望した新しいタイプの高等学校であります。
その内容は、1、高度情報通信機能が整備されていること、2、自然や文化的環境と美しくゆとりのある空間が整備されていること、3、学校の施設設備や機能を地域の共有財産としてとらえ、地域開放がなされること等の要素を備えた学校と理解いたしております。
インテリジェント・スクールは、県立学校編成整備計画に基づいて平成7年度を目途に天久新都心に那覇G高校――これは仮称でございますが――として設置を計画しております。
特色ある高校の推進については、第2次振興開発計画期間中に県立学校編成整備計画に基づいて特色ある学校として開邦高校、那覇西高校、球陽高校等を新設してきたところであり、一定の成果を上げているものと考えております。
今後、特色ある学校として平成4年度に北山高校に理数科を設置するのを初め、平成6年度から8年度を目途に島尻地区に島尻A高校――仮称でございます――、南部総合高校――これも仮称でございますが――を新しく設置する計画であります。
それから、渇水対策にっいてでございますが、沖縄公庫は雨水の貯水タンク設置にも融資しているようだが、その普及状況はどうかという御質問にお答えいたします。
御案内のとおり、平成3年度より既設の個人住宅融資の中に雨水利用施設設置工事者を対象として貸付枠の上乗せ制度を導入しております。
御質問の普及状況については、4月に制度がスタートし、4月22日から6月11日までの期間内で行われた第1回目の貸付状況を現在整理中とのことであり、実数はまだ把握していないとの報告を受けております。
それから、同じく渇水対策との関連で大型需要者はそれたりの節水システムを持っているか、普及できる優良システムがあるかどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
平成2年12月末現在の調査において、県内の大型施設における雑用水利用の状況は、1、施設で9件、2、学校関係で6件、3、ホテルで4件、4、保養所、研修施設、体育館で2件、5、事務所、事業所で3件の計24件を数えております。
雑用水利用のシステムとしては、ホテルでは排水処理水を水源とする個別循環方式で運営されており、その他の施設においては雨水、地下水を水源として雑用水利用が図られております。
ちなみに、県庁舎においては雨水、地下水を利用してトイレ用水、散水等への雑用水利用が行われております。
また、普及できる優良システムがあるかとの御質問についてでございますが、このことについては、現在、沖縄県水資源有効利用推進懇話会においておのおのの水源の特性等を踏まえて検討しているところであります。
同じく渇水対策との関連で、水の確保は基本的にはダムによる集水だと考えられるが、ダム建設の可能地はどれほどあるかという御質問にお答えいたします。
本県の水資源開発は、沖縄振興開発計画に基づき国直轄の多目的ダムの建設を初め、河川水及び地下水の開発等を中心に進められております。
当面は、現在工事中の漢那ダム及び瑞慶山ダムの早期完成や羽地ダム並びに北西部河川総合開発事業の建設を促進するとともに、西系列水源開発事業の完成を目指し、今後とも計画的な水資源開発を強力に推進する所存であります。なお、予備調査中のダムが数力所あります。
次に、暴力団問題との絡みで県警が暴力団取り締まりに一生懸命頑張っていることについて知事はどう認識しているかという御質問にお答えいたします。
御承知のように、昨年5月以来、県内暴力団組織の内部分裂に伴う対立抗争事件が各地で発生し、今日まで県民の日常生活や経済活動に多大な影響を及ぽしているばかりでなく、善良な一般市民や治安維持に当たる警察官をも凶弾の犠牲にするなど、法治社会を否定する理不尽な犯罪行為によって大きな社会不安をもたらしております。
このようなことに対し、警察においては県警察本部長の指揮のもとに九州各県の警察官の応援を初め、県警の強力な組織力による24時間体制での取り締まりを実施し、対立抗争を抑え込んだ御労苦に対し、心から敬意を表するものであります。今後は、県下の各機関、団体を網羅した財団
法人暴力団追放沖縄県民会議を設立するとともに、県警と力を合わせて暴力団のいない安全で明るく住みよい沖縄県の実現に努力してまいる考えでございます。
同じく暴力団対策との関連で警察官の増員及び装備の強化についてどう考えているかという御質問にお答えいたします。
警察本部においては、去る4月1日に暴力団対策課を設置し、組織陣容の強化を図ってきたところであります。
御質問の警察官の増員につきましては、行政改革大綱の趣旨を踏まえつつ、警察本部とも調整しながら対処していきたいと考えておりますが、せんだって上京しましたときにその旨要請をしたところでございます。
なお、暴力団対策に必要な装備面につきましては、平成2年度は12月補正で整備を行い、今年度は防弾チョッキ等の整備の予算を計上したところであります。今後とも県警察本部長と相談しながら、装備面の強化を進めてまいりたいと考えております。
以上で私の答弁は終わりますが、その他の御質問については関係部局長にお願いしますので、よろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 御質問にお答え申し上げます。
暴力団対策の現状についてでありますが、県警は現在、暴力団壊滅のために暴力団に対する徹底した取り締まり、暴力団排除活動を車の両輪のごとく連動させて総合対策を推進しております。
昨年9月13日の抗争発生以来、これまでの抗争事件に係る総検挙人員は210名、その中には3代目旭琉会会長翁長良宏を初め、沖縄旭琉会会長富永清の両首領を含む幹部93名が含まれております。
また、暴力団排除活動につきましては、暴力団組織を壊滅するためには県民総ぐるみで活動する組織が重要不可欠であるとの認識が広がり、昨年12月、暴力団追放沖縄県民会議が設立されたのであります。
現在、その活動を永続的かつ安定的に続けていくため、ことし秋をめどに財政的基盤を確立するため財団法人化に向けて作業を進めているものと承知しております。
次に、先般の国会において全会一致で成立を見た暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の施行に関する県警察の取り組みについてでございますが、この暴力団対策新法が施行されますと、指定された暴力団につきましては縄張り料の要求、物品購入の要求、交通事故の示談介入など、従来、取り締まりが困難な不当行為についても規制できるようになります。
また、暴力団の事務所につきましては、現在、民事裁判でしか使用禁止処分ができないものが、対立抗争時には公安委員会で使用を制限することができるようになります。
このため警察といたしましては、暴力団対策の強力な武器としてこの法律が円滑に効果的に運用できるように諸準備を進めております。
最後に、増員に関しての御質問ですが、本県の各種警察行政の需要は増大の一途にあります。特に本県の場合は人口10万人当たりの暴力団員数が全国で東京、大阪に次いで3番目と高いこと、人ロに占める犯罪の認知件数、いわゆる犯罪率ですが、全国19位と高いこと、広大な米軍基地の
存在に絡む特殊治安要素があること、地理的に東南アジアの玄関口にあるため密輸入事案が多いこと、多くの離島を有し、所要の警察官を分散配置する必要があることなど他県に見られない特殊要素を抱えていることにかんがみまして、警察官の増員はぜひとも必要だと考えております。
今後、県議会、知事部局等の御理解、御協力を得まして、警察庁等関係当局へ増員要請していきたいと考えております。
また、警察官以外の一般職員につきましては、類似県と比較して極めて少ない現状で、そのため現実には警察官を一般事務に振り向けざるを得ない状況にあります。一般職員の増員によりまして暴力団の取り締まりなどに多くの警察官が投入でき、治安の充実が図られるものと考えておりますので、今後とも県議会、知事部局等の御理解、御協力を得て実現に向け努力してまいります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 大変失礼いたしました。
嘉数昇明議員の御質問に1つ答弁漏れがあったようでございますので、つけ加えさせていただきます。
渇水対策との関連で海水淡水化計画等を本格的に検討すべき時期にあると思われるが、県の考えを聞きたいという趣旨の御質問でございます。お答えいたします。
水源の開発につきましては、増大する水需要に対処するため沖縄振興開発計画に基づき国直轄ダムの建設を中心に西系列水源開発事業を初め新規河川の開発及び地下水の開発等を推進しております。
その結果、相当量の水源が確保されていますが、水需要は人口の増加、産業の進展及び観光入域者の増加等により増加の一途をたどり、特に渇水期においては河川等からの取水量が減少し水不足の状態が生ずる状況下にございます。
このような水事情に対処するため、国による多目的ダムの開発、地下水開発等を推進するとともに、多角的水源開発の一環として海水の淡水化施設の導入についても鋭意検討しているところでございます。
○嘉数昇明君 答弁漏れ。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後2時27分休憩
午後2時28分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 白保住民が当事者であるかどうかという、そのような判断を持っているかという趣旨の御質問だと思います。
せんだって、御承知のように白保住民が県庁の方に徹夜で座り込みをいたしまして、あの地域は、白保からカラ岳東の海上、海というものは生活の場として一体だと。そしてそこで、そういう海に飛行場をつくられたら私たちの生活が破壊されますと、非常におばあさんたちが切実に訴えておりまして、命の綱を断ち切るのかという御趣旨の強い発言もございました。
私としましては、白保住民はその関連で当事者であると認識いたしております。
○議長(平良一男君) 嘉数昇明君。
〔嘉数昇明君登壇〕
○嘉数昇明君 いろいろお尋ねしたい点は多々ありますけれども、時間が限られておりますので、新石垣空港について再質問をしたいと思います。
先ほどの知事の御答弁は、新石垣空港について平成4年度に向けての概算要求は難しいと、困難であるということでお話になったと思いますが、もうこれは断念をしたということでありますか。
その点、明確に聞きたいと思います。
地元の方は、これまで西銘県政下でも既に設置認可申請書を出す寸前までいっておりました。そこで環境影響調査、いろいろもう、すべての条件は整って、知事がサインするばかりだという状態であったわけであります。それが、横一線ということでまた改めて5候補地をまた郡民に提示をしたということでありますが、いろいろ知事が言われるようなカラ岳東に問題があるのであれば、なぜそれをまた横一線として郡民に提示をするということについては、地元においてもいろいろ問題の指摘があるわけであります。しかし、環境庁においてもそれはすべてクリアされたということでありました。
そういう面でもカラ岳でゴーでいける状態であるということで地元促進協の皆さんもそれを主張し、また地元石垣の半嶺市長もそういう立場で郡民を代表して主張をしておるわけであります。
そういう面で、知事にその意欲と決意があれば概算要求に向かってゴーができるということで認識をしておりますが、その点について、やはりこれはいろいろあっても、みんないろいろ問題があります。その中で、最終的には知事がやるんだと、そういうひとつの知事の腹構えに最終的には自分が泥をかぶってでもやるんだと、そういう政治決断によってこの問題は最終的には活路が開かれるんだと、そういうふうに思うわけであります。そういうことでひとつ知事の決意というものを伺いたいと思います。
そして、今の状況に至りまして、知事、いろいろおっしゃいましたけれども、やはり地元の皆さんが行政連絡会議をつくり、あるいはまたいろんな討論会を経て、郡民の大多数の意見というものがカラ岳の東ということで集約をされていることは明白であります。そういう中で知事がまた今の事態に至って、来年度の概算要求にはできないということであるならば、やはり知事自身が地元に赴いて、郡民の皆さんにその経緯や、あるいは知事の考え方というものをやはり説明すべきではないか、そういうふうに思います。
これまでのいろんな県が設定をした合意形成の手法ということで、これまでのやり方と違った手法を提起をしてやってまいりましたけれども、そういう県が提示をした合意形成の手法で誕生してきた結論であるわけです。そういう面でひとつその点について知事はどうするのか、はっきりした姿勢を出していただきたいと思います。
一度も、知事が新石垣空港の解決のために現地の住民の皆さんの声に耳を傾ける、そういう姿勢がこれまでもなかったということは、大変大きな不満が地元にあるのを申し添えたいと思います。
ひとつ、その点について知事の見解を伺いたいと思います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) カラ岳東の空港建設問題につきましては、私も就任当初から誠意を持って取り組んでまいりました。
しかしながら、これまで御説明申し上げたような事情によりまだ位置選定が決定できておりませんので、先ほど申し上げましたように概算要求は極めて厳しい状況にございますが、概算要求時点まで精いっばい努力していく考えでございます。
それからただいま、前県政下では既に判こを知事が押せば空港設置申請ができるというお話でございましたけれども、余り細かいことを申し上げたくありませんが、実はそうではなくて、地主の同意書がついていないわけです。その地主は、私の記憶に間違いがなければ35名のうち31名までは同意がとられておりますけれども、4名については企業を含めてとられておりません。
したがいまして、申請には地主の同意書が必要でございますけれども、地主、地権者たる企業の中には非常に難しい条件を提示いたしております。したがいまして、そういう問題についてクリアすべき問題が多々ございまして、知事が判こを押せばそのまま申請できるような状態にはなっておりません。実際に関係部長の判こも押されていないというのが実情でございます。
○議長(平良一男君) 外間盛善君。
〔外間盛善君登壇〕
○外間盛善君 自由民主党を代表いたしまして、既に通告いたしました県行政の重要事項について所見を申し述べながら質問を行います。知事の簡潔、明快な御答弁をお願いいたします。
昨年12月、そして去る2月の定例県議会におきましては議事進行が滞ることがございましたが、これは知事が答弁なさらなかったり、答弁内容が変わったり、あるいはまた不明であったことが大きな原因であったのであります。
御就任されて半年も過ぎました。この間、行政が何たるかの体験をし、理想と現実の違いについても理解を深められ、また行政運営に対する知事としてのスタンスもより明確な形で決められたものと察するのであります。このことを踏まえ、知事の率直な答弁が期待できるものと考えております。議事進行の上からも改めてお願いを申し上げて質問に入ります。
振り返ってみますと、この1年間、東西の冷戦の終わりが確認される一方で、湾岸戦争の結果、我が国の対応に対する国際社会の評価が厳しく、金は出すが汗はかかない、一国平和主義を決め込んでいるなどの非難を浴びてきたのでございます。
国政の野党の皆さんは、こうした重大な国際問題について何ら具体案を提示できず、政府・自民党の施策に対し反対するのみで従来からの姿勢を払拭できず、国民の冷静な目は統一地方選挙の結果となってあらわれ、野党が惨敗し、社会党の改革論議となったことは御案内のとおりであります。
我が党は、国連決議を尊重し、湾岸戦争の早期終結を目指して国際平和の確立のために応分の努力をしてきたと信じております。その背後にあるものは日米安保条約を基盤に日米協調の強化、そして専守防衛を国是とする自衛力を持っていたことでございます。
我が党の基本政策の1つは、日米安保条約の堅持、そして自衛隊の必要性を認めていることであります。
そこで、知事の御見解を確かめておきたいと存じます。
知事は、去る12月、2月の県議会において、日米安保条約は経済、文化の交流を中心に平和友好的なものにすべきだと答弁されておりますが、これは現在の条約には反対であるということなのか。反対なら反対とお答えを願いたい。明確にしていただきたいと思います。
言うまでもなく、日米安保は国政の問題であって、県知事段階で改廃できるものではないということは常識であります。大田知事は、安保に対して否定的な態度をとっている以上、今後、日米両政府に対してどのような陳情要請活動を展開して安保を改廃させていくおつもりなのか。
また、その平和友好的な条約の腹案はあるのかどうか。なければ、いつごろまでにまとめるおつもりなのか責任ある御説明を賜りたいと思っております。
さらに自衛隊についてでありますが、これまでの知事の答弁では自衛隊を認めるのか認めないのかも不明確であります。自衛隊は軍隊であるので自衛隊基地も軍事基地に含まれるとか、憲法で禁止している戦力という意味ではないとか、そして現存する情勢では自衛権の保持は否定し得ないとか、いろいろと工夫を凝らして答弁されてきましたが、そろそろ自衛隊の存在を容認するのかしないのか、県民が理解できるように明確にしていただきたいと存ずるのであります。
この2つの質問と関連することですが、日本社会党は、これまでの安保解消論から、存在を直視するという姿勢に変わっております。自衛隊についても違憲とする考えから、存在を直視すると変化を来しております。
知事の支援政党である社会党の重大な政策変更についての感想をお聞かせ願いたいと思います。
安保条約、そして自衛隊について、大田知事を支える県政革新与党の県議会議員、市町村議員の136人に沖縄タイムスが調査しておりますが、安保条約容認は公明党90%、社会、社大が15%、自衛隊容認は公明党93%、社会党が31%、社大党が23%、共産党は安保も自衛隊も容認はゼロでございます。
今後の革新共闘のあり方については、変わるとするものが社会党73%、公明党71%、社大党39%、共産党9%となっております。大変興味深いデータでございます。
つまり、知事を支える与党間には考えの大きな違いがあるということでございます。それも基本的な政治姿勢においてであります。
今後、県内政治の構図に変化があると考えられますが、知事の御所見をお聞かせいただきます。
次に、公告縦覧を実施したことについてお伺いしたいと思います。
知事は、公約と違うことを決断し実行されたわけでありますから、大変な抵抗に遭い、御苦労なさったことと存じます。知事の決断と勇気ある実行を高く評価いたします。
政治と行政は、時には相反する判断を求めるものであります。政治には意図と戦略があり、行政には施策の継続性と秩序の維持が基本だからであります。
米軍基地の整理縮小は、我が県連の基本姿勢でございます。地主の要望、地域振興の方向と軌を一にして返還を求めることは、これまでの県政の一貫した姿勢でもありました。
県民不在の一坪反戦地主の圧力に左右されることなく、知事が公告縦覧を実施されたことは評価いたすのでございます。
そこで質問をいたします。
知事は、公告縦覧を実施するに際して政府と取り決めをしたことが報じられておりました。しかし知事は、公式に表明されておりません。秘密事項でない限り、その内容を県民にわかりやすいように御説明を賜りたいと思います。
さらに、米軍用地の中には県有地も含まれておりますが、その契約についてはどのような措置をおとりになるつもりかお聞かせいただきたい。
公告縦覧の事務は、機関委任事務でございます。地方自治法に定められた事務の一つであります。つまり、委任事務は国が地方自治体にゆだねているもので、現在、都道府県の事務の約8割、市町村の事務の約4割を占めていると言われております。
そこで、我が県における機関委任事務の種類と従事者数を示して御説明をいただきたいと思います。
さらに、機関委任事務に対する知事の御見解をお伺いいたしたいと思います。
次に、消費税についてお尋ねいたします。
消費税は、国会論議の見通しの甘さから、むだな対応であったと言わざるを得ません。県営住宅家賃、高校、芸大の入学金、県営施設使用料、出産費などへの転嫁をやめ、1億2000万円を一般財源で補てんするとした考えが適切であったかどうなのか、実現困難な公約のために拙速に過ぎたのではないかと思うのでございます。
我が党は、国会において早期に結論が出ることを見据え、県が先取りした結果、県民間に負担の格差が生じないよう論議を展開してまいりました。幸いに国会で決着し、10月1日から転嫁が廃止になります。県民平等に廃止の利益を受けるわけでございます。残念なことは、食料品についても同様の改正ができなかったことでございます。
そこで質問をいたしますが、――、社会党の反対がなければ食料品の小売段階の非課税が実現していたはずであります。知事は消費税の逆進性を指摘されますが、それだからこそ食料品への転嫁廃止が必要であったのであります。こうした――、社会党の姿勢について、知事はどのような御見解をお持ちなのかお聞かせいただきます。
次に、廃止の円滑な実施についてお伺いいたします。
法改正の円滑な実施について政府から指導、要請がなされているはずでございます。廃止の効果を実効あらしめるためであります。県の取り組みをお聞かせいただきます。
次に、副知事人事についてお尋ねいたします。
知事を支える副知事の一人が決まらず、半年間も片肺飛行となったことは、行政の運営上、まことに残念でなりませんでした。幸い、今定例会に提案されたことは大変よいことであり、真剣に審議し、女性副知事を誕生させ、その手腕力量を県民のために発揮していただきたいと考えているところでございます。
我が党は、当初から女性の登用に賛意を表明してまいりましたが、しかし副知事という職責の重要性を考え、だれでもよいとはいかず、させてみては、という安易な妥協を慎んできたわけであります。
時代が求めていることは、男女共同参画による社会建設でございます。男女の差をいたずらに強調し過ぎないで、人間としての個性の差で役割分担をするということでございます。
元経済企画庁長官の高原須美子さんは、なぜ女性ということでポストが確保されなければならないか、力をつけていれば当然選ばれる、分野によって女性中心、男性中心があってもよいと言っておられます。
初めに女性ありきでは、むしろ女性のためにならないという指摘もあるわけであります。それを東京都に先を越されたのは残念であるかのように考えるのは、職責の重大さ、本人の資質を忘れた感傷的な発想であると考えるのであります。
大田知事、支持母体に頼むのもよいが、みずから努力し汗をかけば衆目の一致する人材はいるのであります。現にいたではありませんか。推薦がないから決められないでは、副知事という人事の重大さを軽視する姿勢と言わざるを得ません。
それにしても、推薦されたものの検討の対象にもならなかった皆さんは、それだけでも名誉なことだったでしょうか、それとも迷惑なことだったでしょうか。
そこで質問を行います。
知事は、医療、福祉に経験のある女性を登用したいと医師に固執する発言をしてきましたが、分野の異なる女性を提案されたのはなぜなのかお聞かせいただきます。
ところで知事は、県広報の県政プラザで「女性副知事の登用とその背景」というタイトルで新報、タイムス両紙に女性副知事募集とも受けとれることをしております。これは県広報の本来の姿でしょうか、広報学の専門である知事の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
さらに、知事は女性室をつくると言っておられますが、女性の登用についての基本的な考えを御説明お願いいたします。
次に、植樹祭についてお尋ねいたします。
復帰20周年記念事業の一環である全国植樹祭が糸満市米須に正式決定されたことについては、会場変更による摩擦があったにせよ、諸準備がスムーズに進められるよう要望するわけであります。
しかし、会場変更の理由とされた、戦争で失った緑の回復、会場規模と参加人員を縮小し経費節減を図るとした内容がどうなるのかという懸念でございます。
報道によりますと、先催県に比べ見劣りしないために会場地2ヘクタールから3.6ヘクタールに拡大し、参加人員も5000人から1万人にふやす方針となっております。
これは、会場変更を考えたときと事情が変わったのでありましょうか。それでは知事の個人的心情で会場を変更したということになります。公的理由を失ったということになるわけでございます。
我が党は、国家的行事であり、復帰20年を記念する事業として位置づけ、県内外に及ぽす効果など、その波及効果の高さに着眼してまいりました。意図する効果が実現するよう期待するものであります。
そこで質問を行いますが、確かな会場面積、参加人員、会場造成費、開催後の育樹などの維持管理費について御説明をお願いしたいと思います。
さらに、規模が拡大したのはなぜなのか、どういう理由からかを御説明願います。
地域住民から電話で知らされたことですが、米須海岸には去る大戦で多くの戦死者がその一帯に埋葬されているとも聞いておりますが、県はブルを入れ、客土をする前に十分その調査をする必要があると思うがどうか、知事の御所見をお聞かせいただきます。
また、知事の支持者の中に天皇陛下の御臨席を拒否する動きがあるようですが、このことについても知事の御所見をお聞かせいただきます。
次に、医療、福祉についてお伺いいたします。
この問題は、施設の整備はもとより、公私の負担割合をどうするかということが基本課題のように思われます。特に老人医療の問題はそうであります。
先日、厚生省が、我が国の将来人ロを推計し発表いたしました。驚くべき将来の人ロ構造が描かれております。結婚しない女性がふえ、20年後には誕生祝いより葬式が上回り、100年後には日本の人口は半減するという予測であります。そして7年後には老年と年少人口が逆転するようでございます。そして子供は、一人っ子半の時代になるということでございます。女性が一生のうちに産む子供の数が1.53人になるようであります。このことは、医療福祉に大きな影響を及ぽす人口構造の大きな変化であります。
ちなみに我が県は、1.91人と全国でトップにありますが、出生率の減少には違いありません。
こういう時代の流れを考えますと、特に老人医療については、長期的視点で考える必要があろうとつくづく思うからであります。
政府の経済審議会が発表した「2010年の選択」という報告書によりますと、2010年には老年人口比率が現在の12%から21%になるようであります。こうした傾向を考えますと、福祉という視点だけではなく、社会的にどのように負担し合うのか、これが大問題であります。
そこで質問を行います。
知事は、老人医療を無料にすると公約されました。しかしこのことが実現不可能と知るや、戦争で苦労したお年寄りに何らかの助成事業をしたいと内容を変え、そのための国庫補助要請をすると答弁しております。このことは、老人医療の無料化はできないと判断したことと理解してよいでしょうか。
さらに、国庫補助については、どういう名目で要請なさるおつもりなのか御説明を願いたいと思います。
去る国会で救急救命士の制度が法制化されております。医師に準ずる教育を受けて救急の仕事につく人材の育成がねらいであります。交通事故、急患、水難などの患者を救命するための制度であり、我が県も積極的に育成する必要があると考えられます。県は、どのような対応をお考えかお聞かせいただきたいと思います。
知事の公約の一つに、市町村の国民健康保険税を大幅に助成するとあります。今後、どうなさるのか具体的な説明をお願いしたいと思います。
最後に、農業問題についてお伺いいたします。
本県産業の弱点は、物的生産部門が基本的に弱いということであります。農業、水産業、製造加工業の力が弱いのであります。物をつくり、これを移出、輸出する力を養うことが産業振興策の基本であります。
この視点に立ちますと、3次振計においても農業の振興は力点を置くべき重要な分野であります。県内農業も大きな変化を遂げつつあることはよく見聞するところでございますが、産物の量的拡大には多くの政策的努力が必要であります。サトウキビ、パイン、花卉のほかにも安定した産地の形成と農家経営の安定、後継者の安定確保を期待したいものであります。
そこで質問を行いますが、去る4月に牛肉の自由化が実施されております。畜産農家はいろいろな不安を持っておりましたが、自由化の影響、価格の現状についてどうなっているのか御説明を賜りたいと思います。
また、今後の対応策についてもあわせてお願いしたいと思います。
次に、サトウキビの取引方法についてお伺いいたします。
品質取引に変更するようでございますが、そのことによって農家の収入、生産意欲、総収穫量にどのような変化が予想されるか、県の対策等も含めて御所見を賜りたいと思います。
熱帯果樹の振興についてお尋ねいたします。
熱帯果樹の可能性がよく叫ばれておりますが、その生産拡大の可能性、栽培の地域的広がり、収益性、さらに今後の振興策等について県の今後の方策を御説明賜りたいと思います。
それから、農業用水の確保についてお尋ねいたしますが、空梅雨が今日続いており農作物への影響が問題になっております。ため池の建設、地下水の利用など水をつくる努力が必要であります。
農業用水を安定的にどう確保していくか、その方針について具体策をお聞かせいただきます。
知事の率直な御意見、お考えと明快なる御答弁をお願いし質問を終わりますが、答弁内容によっては再質問を行いたいと思います。
終わります。
○議長(平良一男君) ただいまの外間盛善君の質問に対する答弁は、時間の都合上、休憩後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後2時59分休憩
午後3時22分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
休憩前の外間盛善君の質問に対する答弁を願います。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 外間盛善議員の御質問にお答えいたします。
知事は、日米安保条約は、経済文化の交流を中心に平和友好的なものにすべきだと答弁しているが、これは、現在の安保条約には反対であるということかという趣旨の御質問にお答えいたします。
これまでも何度かお答え申し上げましたが、日米安保体制が戦後日本の発展にそれなりに寄与したことは否定するものではございません。
しかしながら、さきの大戦で県民のとうとい犠牲があったことや、今なお日米安保条約に基づき狭い県土に広大な米軍基地の存在を強いられ、地域の振興開発を図る上で大きな制約を受けているほか、地域住民の生活も種々の悪影響を受けている本県の実情、さらに我が国の平和憲法の存在や、世界的な軍備縮小の潮流などにかんがみると、国民の安全は軍事的側面よりも、国際協力など平和友好側面へと重点を移すことによって保護されることが望ましいというのが私の基本的な姿勢でございます。
平和条約の腹案はあるのかと、あれば説明してもらいたい、なければ、いつまでにまとめるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
ただいま申し上げましたように、現行の日米安保条約を私は平和友好条約的なものに改変することが望ましいと考えておりますが、私自身が腹案をつくって国に提案するという性格のものではないと考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
それから、自衛隊についての御質問、知事は自衛隊の存在を容認するのかしないのかという御質問についてお答えいたします。
去る2月の県議会でもお答えいたしましたとおり、自衛隊の存在につきましては、独立国としての自衛権は否定できないという見解が一般的であり、その立場に立てば自衛隊が現存する実情は否定できません。しかし、憲法9条との関連で、自衛隊については依然として学者、政党間で見解の分かれているところでございます。
私としましては、自衛隊がこれまで行ってきた災害出動、急患輸送、不発弾処理等の人命救助活動について果たした役割は評価いたします。
しかし、国の内外から懸念が表明されておりますように自衛隊の持つ軍事的側面につきましては、憲法9条との関係はもとより、沖縄戦の体験者として、また軍事力では県民の安全と幸せは守られがたいということを学んだ者の一人といたしまして、軍事的側面は評価するわけにはまいらないのでございます。どうか御理解を賜りたいと思います。
それから、知事は、支援政党である社会党の安保条約や自衛隊に対する政策変更についてどういう見解を持っているかという御質問にお答えいたします。
安保条約や自衛隊に関する政策は、政党間でそれぞれ異なっておりますので、私の立場といたしまして特定の政党の政策についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
それから、沖縄タイムス社の調査によると与党間に政治姿勢について大きな違いがあるが、今後、県内政治の構図に変化があると思うかという趣旨の御質問にお答えいたします。
御質問の県内政治の構図に変化が生ずるかどうかということにつきましては、知事としてコメントすることはお許しいただきたいと思います。
それから、知事は公告縦覧を実施するに際し、政府と取り決めをしたと報じられている。しかし公式には表明されていないので、その内容を説明してほしいという趣旨の御質間にお答えいたします。
公告縦覧を行うことを決めた際、国側が示した防衛施設庁長官の発言要旨は次のとおりでございます。括弧の引用でございます。
「沖縄県における基地の整理縮小については、沖縄県及び県民の期待に応えられるよう懸命な努力を払っていく所存であるが、今般知事から示された誠意に鑑み、昨年6月19日に日米合同委員会で合意されながら未だ返還されていない事案の早期実現及びその他県民から強く要望されている施設・区域の整理縮小を図るとともに、返還に当たっては、より適切かつ計画的な返還、返還予告、返還後の補償、返還後の跡地利用の問題等について、従来の経緯及び県民要望等を十分踏まえ、関係省庁による連絡協議会の設置の検討等、沖縄県を含む関係機関等との密接な連携を図りつつ、新たな措置の実現を図りたい。また、当庁の所掌外の沖縄県からの要望事項についても、その実現を図るため、沖縄県に協力し、関係省庁へ働きかけたい。」ということであります。
したがって、今後は、私は国において発言の趣旨に沿って、本県の基地問題の解決が図られていくものと期待いたしております。
また、県といたしましては、機会あるごとに発言の趣旨が誠実に、発言の内容が誠実に実行されるよう求めていく考えであります。
知事の政治姿勢との関連で、米軍基地の中に含まれる県有地の契約についてどう考えているかという御質問にお答えいたします。
基地内にある県有地については、これまで単年度ごとに那覇防衛施設局と契約を締結してきた経緯があります。今後は、諸般の状況を踏まえて慎重に検討してまいりたいと思います。
それから、我が県における機関委任事務の種類と従事者数を示せと。また機関委任事務に対する知事の見解を伺いたいという御質問にお答えいたします。
都道府県における事務の大半が機関委任事務で占められていることは、外間議員の御指摘のとおりでございますが、地方公共団体の機関が処理する事務のうち、何が機関委任事務に属するかは法令上必ずしも明らかでなく、また地方自治法の別表で列挙する事務のほか、その他の個別法により委任された事務も多々ございますので、具体的な事務の種類及び従事者数を詳細に把握することは困難であります。
なお、機関委任事務についての見解ということにつきましては、地方自治の本旨から、地方公共団体の長は、その権限に属する当該地方公共団体の事務を管理執行するほか、法律またはこれに基づく政令の規定により、その権限に属する国の事務、いわゆる機関委任事務を管理執行する二重の機能を有しております。
その意味において、地方公共団体の長は、地方自治の本旨にのっとり住民の負託を受けて事務を執行している立場から、機関委任事務を執行するに当たっては地方公共団体の長として、法令に基づき独自の判断によってこれを行うことができるものと理解しております。
次に、消費税との関連で、共産党、社会党の反対がなければ食料品の小売段階の非課税が実現していたと思われるが、そういう共産党、社会党の姿勢をどう思うかという趣旨の御質問にお答えいたします。
消費税につきましては、各党それぞれの立場がありますので、これに対して知事が見解を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解賜りたいと思います。
それから、消費税法改正による転嫁廃止の円滑な実施のために県はどう取り組んでいるのかという御質問にお答えいたします。
今回、国会において住宅家賃等を非課税とする法律改正が与野党の全会一致で可決されたことについては、消費税の持つ逆進性を緩和するという観点から歓迎すべきことだと思っております。
県においても、今回の法改正に関係する入学金及び助産費については、条例を改正すべく提案したところであり、また県営住宅等については告示等で改正することといたしております。
副知事人事に関連いたしまして、医療福祉に経験のある女性を登用したいと発言してきたが、分野の異なる女性を提案したのはなぜかという趣旨の御質問にお答えいたします。
女性副知事の登用につきましては、12月議会や2月議会でも御説明いたしましたとおり、選挙公約である本県の老人医療福祉の向上及び女性の地位向上を図るため、医療や福祉問題に造詣が深く、かつ女性の方という要件で人選を進めてまいりました。
今回もこのような基本的考え方のもとに、広く人材を求めるため女性団体を初め、医療関係及び大学関係等から多くのすばらしい方々の推薦をいただきました。この場をおかりして、関係者の皆様に心から感謝と敬意を表したいと思います。
さて、私は、総合的に検討した結果、本県の食生活と長寿社会に関する研究を初め、数々の学問的実績と社会活動の経験を持っておられる琉球大学の尚弘子教授が適任であるとして提案したわけでございます。
それから、県政プラザに副知事募集とも受けとれる記事が掲載されたが、県広報の本来の姿かという趣旨の御質問にお答えいたします。
民主的に行政を推進するためには、県民に対して行政の現況を知らせる広報活動、そして県民の声を聞いて行政に反映させるための広聴活動が不可欠であることは御承知のとおりでございます。
このため県では、県民に広報すべき事項について年間計画を立てこれに基づいて広報活動を行っておりますが、特に重要な事項についてはその都度取り上げて広報しております。
県政プラザは、広報媒体の一つとして毎月1回定期的に解説記事等を掲載しているものでありますが、御指摘の女性副知事登用の記事は、1、新聞報道等ではその趣旨が十分に伝わっていないといった理由、それから2番目に、県が考えている女性の地位向上に関する基本的な事項等について、県民のより一層の理解を深める意味で行政広報の立場で掲載したものでありますので、御理解を賜りたいと思います。
それから、女性の登用について基本的な考え方を聞かせてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。
近年、女性の職場進出は目覚ましいものがあるとはいえ、女性の杜会参加はまだまだ不十分であり、女性の地位向上を推進し、男女共同参加型の社会を実現することは緊要な課題だと認識いたしております。
そのため、県庁内におきましては、去る4月の定期異動で大幅に女性の役付職員を誕生させましたが、今後とも女性副知事の起用と並行して女性役付職員全般の底上げを図り、女性の持つ感性やきめ細かさを日常行政の中に反映させるべく、県の政策決定や重要施策の審議、推進部門を含めた行政のあらゆる分野において女性の積極的登用を図っていきたいと考えております。
次に、全国植樹祭に関連して、会場の面積、参加人員、会場造成費、開催後の育樹などの維持管理費についてという内容の御質問と、もう一つ、規模が拡大したのはなぜかという趣旨の御質問にあわせてお答えさせていただきます。
会場規模及び参加人員の拡大につきましては、当初、会場面積等の制約から2ヘクタール、約5000人規模の参加者を考えていましたが、その後、会場基本計画の策定をする中で、国土緑化推進機構及び関係機関を初めいろいろな方々から、なるべく他県と比べて見劣りのしないものにしてはどうかなどの御提言や御意見があり、また会場周辺の方々の積極的な御理解もいただきましたので、民有地の一時借用により会場面積をふやすことができる見通しがあります。それで、現在約3.6ヘクタール、1万人前後の規模を目途に作業を進めているところでございます。
ついでに申し上げますと、他県の場合、2万人規模とか2万5000人規模といったものもございます。
事業費につきましては、参加者及び会場面積の増に伴い、当初計画の費用を上回る見込みでありますが、当初予定いたしましたように総事業費の削減については配慮しているところでございます。
また、育樹などの一般的な維持管理費につきましては、年間約500万円を見込んでおりますので、御理解と御協力をお願いいたします。
それから、御質問との関連で、開催予定地には戦死者が埋葬されているかもしれないという御指摘がございましたので、この点につきましては不発弾の処理の問題とともに、安全第一を重要な課題として慎重に対処するよう担当部局に指示しているところでございます。
それから、全国植樹祭について、天皇・皇后両陛下の御臨席を拒否する一部団体があるが、知事はどう思うかという趣旨の御質問でございますが、全国植樹祭への両陛下の御臨席についていろいろの御意見があることは承知いたしておりますが、全国植樹祭は国家的な行事であり、国土緑化推進機構事業運営要綱に従って慣例どおりに実施したいと考えております。
それから、同じく全国植樹祭との関連で、遺骨収集の必要性について米須海岸の調査をする必要があると思うが、どうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
糸満市米須海岸の遺骨収集については、国体を控えた昭和60年、61年に大がかりな遺骨収集を実施し、かなりの遺骨が収集されたところであります。その後、平成元年に調査を実施いたしましたが、特に遺骨収集の必要性は認められませんでし。しかし御指摘のとおり、もう一度関係者から情報を収集し調査をしてまいりたいと思っております。
それから、福祉医療政策との関連で、戦争で苦労したお年寄りに何らかの助成事業をしたいとしているが、無料化はできないと判断したのか、さらに、国庫補助はどういう名目で要請するのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
老人保健法に言う一部負担金に対する助成措置については、制度の趣旨及び予算上の制約等もあり、困難であります。したがいまして、県といたしましては、所得の低いお年寄りの方々に対して保険外負担等の医療に関連する費用が実質的に軽減できるような措置として、福祉医療助成措置を講ずるよう検討しているところであります。
なお、国に対しては、福祉医療助成措置について補助を要請したいと考えております。
それから、救急救命士の育成策についてでございますが、お答えいたします。
救急患者の救命率向上は緊急な課題となっているところでありますが、国においては現行の救急隊員の応急処置の範囲拡大を図るため本年4月に救急救命士法を制定し、また本年5月に各都道府県の出資により救急振興財団が設立されております。この救急振興財団によって、ことしから全国の救急隊員を対象とした救急救命士育成のための教育訓練を実施することになっております。
本県においても、これらの救急業務の高度化を推進していくため救急隊員を派遣し、救急救命士の育成に努めてまいります。
それから、同じく福祉医療対策との関連で、国民健康保険税について大幅に助成することについて、今後どうするのかという御質問にお答えいたします。
本県における医療費の伸び率は、全国平均を大きく上回っており、市町村の国保事業運営は厳しい状況にあると認識しております。
県としましては、平成3年度において医療費適正化対策事業補助金800万円、高額医療費共同事業補助金2億5912万円のほか、保険基盤安定負担金として6億2573万円、計8億9285万円の県費助成を行っているところでありますが、国保税の負担軽減を図るため、特に医療費適正化対策事業補助金及び高額医療費共同事業補助金について可能な限り増額する方向で検討を進めているところであります。
それから次に、農業問題との関連について、牛肉輸入自由化の畜牛農家への影響、価格の現状及び今後の対策はどうかという御質問にお答えいたします。
去る4月1日から牛肉の輸入自由化が実施されましたが、県としましては、自由化による子牛価格や肥育牛価格等への影響に対処するため、肉用子牛価格安定基金制度の強化を初め食肉価格安定基金の創設、その他諸施策を講じております。
自由化後の価格状況を見ますと、自由化前の本年1月から3月までの子牛1頭当たり平均価格41万4000円に比べ、自由化実施後の4月、5月の平均価格も41万4000円とほぼ同じ水準で推移し、保証基準価格30万4000円に比べ高価格で推移しており、ほとんど影響は見られない状況であります。
今後、子牛や肥育牛等の生産者価格が低落した場合には、これらの基金等で対応し生産農家の経営の安定を図ってまいります。
それから、サトウキビの品質取引について。品質取引を実施することで農家の収入、生産意欲、収穫量に変化が予想されるかという御質問にお答えいたします。
御案内のとおり、現在のサトウキビ取引については本来の商品価値に関係なく重量により取引され、農家の努力による良品質サトウキビについてはほとんど考慮されてない状況にあります。
平成6年産から実施が予定されている品質取引については、これらの欠陥を是正し、良品質のサトウキピは高く買い取られ、農家の努力が報いられる制度であります。したがって品質取引が実施されることにより、農家の品質向上に対する意識の高揚と取り組みが強化され、農家の所得や生産意欲の向上につながるものと期待いたしております。
同じく農業問題について、熱帯果樹の振興策についてどう考えるかという趣旨の御質問にお答えいたします。
熱帯果樹の振興につきましては、我が国唯一の亜熱帯地域の特性を生かすとともに、最近の国内需要の高級化、多様化による需要の拡大が見込まれることから、マンゴーやパパイア等を中心に積極的な生産拡大を図ることといたしております。
今後の振興策としては、防風林、雨よけ施設等生産基盤の整備とあわせて、指導体制の強化により生産性の向上及び品質向上を図り、高級果実として安定供給体制の確立を目指した団地形成を推進してまいりたいと考えております。
次に、農業用水の確保について。農業用水を安定的にどう確保するか、その方針と具体策は何かという御質問にお答えいたします。
農業用水の確保は、農業を振興する上で重要な課題であると認識しております。
このようなことから、河川の比較的発達している北部や八重山地域ではダムを建設し、宮古島や本島南部の石灰岩地帯では地質条件を生かした地下ダムを建設しております。
また、離島のように水事情の厳しい地域では、降雨時の雨水を利用するため池を建設しております。
しかしながら、農業用水の水源開発には長期の日時を要するため現在のところ整備率は低い状況にありますが、実施中の国営かんがい排水事業、県営かんがい排水事業のダム、地下ダム等が整備されますと、全耕地面積の約4割にかんがい施設が整備されることになります。
今後ともかんがい施設を整備し、農業用水の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 外間盛善君。
〔外間盛善君登壇〕
○外間盛善君 二、三点再質問をしたいと思いますが、まず、県政プラザに知事は、女性副知事の募集とも受けとれるような内容の記事が出ました。その後に、また新聞でも何名かが紹介されたりした経緯があります。
問題は、すぐ提案されている人物に決まったのか、あるいはまた新聞にも出た方々もいろんな角度から検討をし、比較されながら、今の体制の人事が提案されたのか。それは、さておきます。
ただ問題は、この県政プラザの中に、県の広報紙たるものに、単にその女性登用問題に関する女性起用の知事のPRだけが出ているという事実。経過としては、一たん前に提案された立派な方もいたはずなんです。しかしながら、県議会ではそれが否決されてしまった残念な経緯もあります。
問題は、この県議会における総務企画委員会、そこで否決された、できなかった理由等々についてもある程度県民に知らしめながら、よって今後は、こうこういう、また、さらみちる立派な人物をぜひ御推薦願いたい旨の何らかの形があるべきではなかったかなということをこの県政プラザを見て感じるわけでありますが、広報学の専門と言わ
れる大田知事は、そこら辺を今後も偏った形で、この経過事実は伏せておいて、一方的に知事のPR投稿だけで、こういった県の広報紙が使われるようであっては、これはいかぬと。こう思いまして、この件についてはいま一度御説明を願いたいと思います。
それから、老人医療の問題については、これはなかなか困難な状態にあると。そういうことでこれまで知事が立候補時点に県民に公約したことは外れてしまって、財源的にも無理があると、こういう立場からすると制度的にも無理がある。であれば福祉医療助成措置費等をこれから改めて国に要請して、その分から何とか手当てをしたい、そんな感じの御答弁でありましたけれども、これは沖縄県だけでこういうことが可能なのか、全国各都道府県で可能なのか、そこら辺をもうちょっと知事の公約された老人医療のこういったものに対する助成のあり方について、いま一つ公約との関係も含めて、できないものはできない、代案としてこうこうしかじかをお考えであるならばそれも説明され、これは他都道府県ではないことを沖縄県だけで努力してこうするんだという内容なのかどうか、いま一度これについても御説明を賜りたいと思います。
それから、全国植樹祭の件については、名護の北明治山の方から糸満に移ったときの理由説明からいたしますときに、やはりもちろん戦災で失った緑を回復すると、こういうものが大きな理由であったと思いますが、その理由の一つに経費が相当節約できると。2ヘクタールで、しかも5000名ぐらいであれば、これは規模を全国平均の3分の1ぐらいに縮小すれば当然経費も安くなるわけでありますが、ただ、当時言われた移転する理由の説明から一貫性がなくて、3.6ヘクタールにふやし、しかも招待客も1万人にふやしていくと。
こういうことになれば当然経費節約の面では比較するものがなければ、我々県民としては理解に苦しむということになりますので、ある程度幾分かの経費の減少にはなるはずだとの趣旨の御説明がありましたけれども、やはり会場をつくるには造成費あるいは開催後の育樹、あるいはかかわるすべての経費等々を考えたときに、名護でやった場合には幾らになりよったか。ここに持ってきたから、今、2ヘクタールの状態では幾らになりよったか。3.6ヘクタールに今度拡大することになったら幾らになるのか、それぐらいはぜひ明らかにしていただきたいと思っておりますので、いま一度御説明をお願いしたいと思います。
それから、一連の安保、自衛隊、基地の問題等々考えましたときに、知事の昨年の12月、ことしの2月定例議会あるいは予算における総括質問等々に対する御説明や御答弁を聞いておりましたら、支持母体である革新与党議員の共闘の皆様方との、ある意味では統一基本方針あるいは選挙時の知事の公約、これと現在、知事が行っております県政運営を比較してみましたときに、もはや革新のサポートする県知事では既になくなったかの感を感じ、一方的にこれまで我が保守体制が敷いてきたレールの上をひた走りしているという印象は抜けきれないわけでございます。
しかしながら、私どもから見ると大歓迎でありますよ、これは。大歓迎であります。
例えば、一連の安保、自衛隊、基地にかかわる問題、例えば3次振計の大綱案でも、従来の西銘知事の2次振計の本方向よりも、整理縮小段階から県民の意向に配意しながら整理縮小を考えたいと、非常にトーンダウンしてまいりました。安保条約しかり、自衛隊問題しかり。例えば安保は廃棄し、そして基地も即時全面返還の方向から、県民の意に配意しながら縮小も考えていきましょうとの大きな流れに変わってまいっております。そこを考えましたときに、3年後の県知事選挙には私どもの方の推薦を受けて出発した方がいいのではないかなということすら感じるこのごろでございますが、もしコメントできるんでしたら、これも含めてお答え願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後3時58分休憩
午後3時59分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 外間議員の追加質問に対してお答えいたします。
まず、県政プラザの中に知事のPRだけを載っけているじゃないかという趣旨の御発言についてでございますが、決してそういう気持ちで出したわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。
つまり、県議会での審議内容の記述につきましては、県政プラザは極めて紙面で制約を受けておりまして、その中で行政当局が県議会での審議の内容について要約したり、そういうことをするのは差し控えたいと思っておりますし、また県議会におきましては議会時報がありまして、それには重要な案件についての与野党の討論が全部掲載されますので、その点も考慮したつもりでございます。
なお、前回、副知事候補として登場していながら、副知事としてお認めいただけなかったことについて何か書くべきではないかという趣旨の御発言もありましたけれども、否決された方について改めて取り上げるということは、当人に対しても避けるべきだというふうに認識いたしております。
それから、2番目の老人医療に関する問題でございますが、これは老人保健法にいう一部負担金に対する助成措置については、先ほども申し上げましたように予算上の制約もあって困難でございます。国に対して福祉医療助成措置について補助を要請したいと考えておりますが、他府県の状況については目下、調査しているところでございます。
それから、植樹祭の経費の総額については現在、検討中でございましてまだ把握されておりませんけれども、精いっばい努力して削減につながるように配慮しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
それから、私の行政運営のあり方について御見解をいただきましたけれども、必ずしもおっしゃるような路線を歩んでいるとは私自身は考えておりませんので、せっかくの御推薦でございますが、お受けすることはできませんので、御了解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 外間盛善君。
〔外間盛善君登壇〕
○外間盛善君 ただいま知事は、再質問に対する答弁を、追加質問に対する答弁というふうなことを言われたようでございますので、御訂正願いたいと思います。追加質問は一つもございませんでした。全部関連し合っております。
ただ、医療福祉の問題はこれから調査すると。これはしっかり調査して現状を県民に、沖縄だけが特別に、他府県では不可能なことを沖縄県が、大田知事だけが可能だという形のものであれば、これは大いにPRして結構なんですが、全国でもできるような制度の中のものでありましたら、沖縄県だけが国民健康保険税の大幅助成とかあるいは老人医療の無料化とか、こういったものは余り言わないで、やはり財政法、自治法の精神にのっとって頑張っていただきたいということは要望申し上げておきます。
それから、植樹祭の件についても、私は比較的細かくなりましたので、今のすぐ御答弁を期待するには無理もあったことと思いますが、これは了としますけれども、やはり全国平均ではどれぐらいの費用がかかったというふうな調査の中で、北明治山ではこれぐらいかかりよったんだと。また移転先の米須海岸では2ヘクタールで幾らの、こういった予算計画の中でどれぐらい節約する形の植樹祭が開催できるんだというものは大きく取り上げられたわけでございますから、比較において、それとの比較。最低限度、また今度2ヘクタールから3.6ヘクタールになった経緯と、それから参加人員、5000人から1万人になった。その3つの比較においては県民に明らかにしておかなければ納得いかない事項でありますので、今後のために資料を添えて御提供願いたいと、こう思っております。
以上で終わります。
○議長(平良一男君) 上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団を代表して、県政の当面する諸課題について大田知事に質問いたします。
質問の第1は、当面する最大政局となっております衆議院小選挙区制導入を許すかどうかの問題です。
今回、発表されている区割案で試算してみますと、衆議院沖縄全県区では日本共産党、社会党、公明党など野党の議席はゼロ、すべて自民党が独占することになります。
この選挙制度が導入されれば、全国的に自民党の独占という結果を生み出しかねません。政治改革に対する国民の要求は、リクルート事件など金権政治の一掃です。これを逆手にとっての小選挙区制導入の策動は断じて許せません。
自民党海部内閣は、歴代自民党政府が実行できなかった米軍中心の多国籍軍への90億ドル戦費負担、難民移送を名目に自衛隊輸送機の中東派遣を決定するなど、アメリカヘの貢献を中心とする反動的政策を強行しています。その上、海上自衛隊掃海艇のペルシャ湾派遣は全く許せない暴挙です。憲法に反するだけでなく、自衛隊法にさえ違反するものであり、何が何でも自衛隊の海外派兵をといった構えです。
自民党政府は、国際的貢献の名のもとにこの暴挙を合理化しようとしていますが、憲法第9条の規定はもちろんのこと、自衛隊法にさえ国際的貢献は想定されていなかったことが政府の国会答弁で明確にされているのであり、今回の暴挙はまさにアメリカ追従の典型です。
米軍が小選挙区制を導入し、立法院をその支配の道具にしようとしたことは歴史的に明白です。
自民党による国会乗っ取りともいえるこの選挙制度の導入は、自民党一党独裁のもとで一層アメリカに貢献する政治を強行しようとするものであり、国民主権、民主主義を根底から破壊するものです。知事の御所見をお聞かせ願います。
第2の質問は、日米安保条約の問題です。
米国防総省のフォード副次官補は、米下院軍事委員会の小委員会で、在日米軍たしには地域的、地球的な米軍の責任は果たせないと証言しています。
実はあの湾岸戦争、キャンプ瑞慶覧には核、非核両用155ミリりゅう弾砲が常時約50数門配備されていますが、あのときは、一番少ないときはわずか10数門しかありませんでした。湾岸戦争に持っていかれたとしか考えようがありません。事実は、これを裏づける発言や記事が米軍の機関紙「嘉手納将軍」、「星条旗」で、沖縄から派遣された海兵隊がイラクに向けて155ミリりゅう弾砲を発射したと伝えています。
自民党政府は、日米安保は日本の防衛のためと説明し続けてきました。しかし現実は侵略的に拡大され、世界でアメリカがかかわる戦争に沖縄県民が巻き込まれる危険性が現実に生まれています。
さらに在沖米軍基地の性格、役割についてです。
1988年2月、米海兵隊は、これまでの海兵水陸両用部隊を海兵遠征軍に改称し、これを受けて沖縄の第3水陸両用部隊も第3海兵遠征軍と変わっています。これまで在沖米海兵隊は殴り込み部隊を自認してきましたが、改称することによって文字どおり遠方を征伐する軍隊としての役割を持つことになったわけです。この海兵隊を初めとする在沖米軍基地の機能強化はすさまじいものがあります。
例えば、国防総省の米軍事建設計画によれば、ジェット燃料施設、電子用工場、電子通信修理工場など5年間の軍事建設計画による基地増強は、総額1億1600万ドルに及び、現在もなお進行中です。
一方、許しがたいことは、自民党政府がいわゆる思いやり予算を米軍基地の維持と強化のために湯水のように使っている問題です。その総額は、89年までに3077億円に達しています。まさに日本国民の血税で至れり尽くせりの米軍への思いやりです。日米安保体制の害悪はここまで来ています。
国民への教育、医療、福祉を削り取り、老健法の改悪、老人医療費の有料化、国保事業に対する国の負担金の引き下げなどまさに国民には冷たく、米軍には温かい思いやり、これが自民党政治の実態です。それだけに知事の公約に対する県民の期待が大きいわけです。知事の決意のほどをお聞かせいただきたい。
次に、米軍の演習激化、基地被害、基地撤去についてです。
恩納村字恩納の区長さんは、私たちは山へまき取りに行くときも、青い木を切らないで枯れ木を取ってくる。その大切な緑の山、私たち2000名の区民の飲み水、水源地に向けて米軍は実弾を撃つと語っています。この不安が的中し、米軍の実弾演習によって水源地近くで山火事が発生しました。
伊江島の主婦の叫びを聞いてみましょう。今ここで母親である私たちがそのような恐ろしいハリアー攻撃機の訓練基地建設を、ただ手をこまねいて見ているだけでいいのでしょうか。私にはかけがえのないいとしい子供たちがいます。この子供たちの将来を思えば、母親として何かしなければならないという思いに駆られます。戦争につながる過程で、たとえ小さなことであろうと母親であれば理屈抜きで絶対妥協してはなりませんと、まさに沖縄の母親たちの共通した思いであり叫びです。
この県民の切なる思いを真正面から受けとめられ御奮闘されるよう期待し、知事の決意のほどをお聞かせいただきたい。
さて、代行問題ですが、我が党県委員会の大田知事への申し入れでも明確なように、米軍用地強制収用の手続は、世界の憲兵としてのアメリカの世界戦略の重要拠点である在沖米軍の基地確保を大前提とするものであり、日米安保条約、日米地位協定を絶対とするものです。しかもそのやり方は、憲法の平和原則や不可侵の権利として保障されている国民の財産権をも乱暴に踏みにじるものです。
その上、自民党政府は、この土地強奪を進めるために第3次振興開発計画を絡ませ、執拗に革新県政に圧力をかけてきたと考えられます。それは政府みずから沖振法の精神を無視したものであり、地方自治への介入としても断じて許せるものではありません。
とはいえ、知事が代行業務を受け入れたことは知事選の公約に反する重大な問題であり、改めて遺憾の意を表明せざるを得ないのです。この問題は今回で終わるわけではありません。我が党は、改めて統一綱領の立場で知事が御奮闘なされるよう強く願うものです。
次に、質問の第3は、第3次振興開発計画と県経済の発展の問題についてです。
まず、振興開発計画の根拠となる沖縄振興開発特別措置法についてです。
同法は、制定の際の提案理由、「我々日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。」という立法趣旨は、20年たった今日の時点でも変わっていません。
この小さな島への全国の75%という広大な米軍基地の存在による県民への犠牲の押しつけ、その端的なあらわれとしての全国最下位の県民所得、この現実は一層国の責任が問われていることを示すものです。したがって、当時の立法担当者たちが強調した従来の地域開発諸立法とは根本的に異なった理由が存在し、従来の各種の経過措置を上回る措置を講じなければならないとする沖縄振興開発特別措置法の延長は当然必要であり、全県民、党派を超えての共通の要求です。知事の基本的姿勢についての御所見を承りたい。
第2点目は、県民本位の観光リゾート開発問題です。
我が党の立場は、既に全体協議会で明らかにし提言しておりますので、次の2点だけお尋ねいたします。
イ、大企業による土地買い占め、ゴルフ場、リゾートホテルなど乱開発競争は依然として激化し地価高騰に拍車をかけています。県は、監視区域を広げるなど一定の努力はしておりますが、関連法規の厳正な適用、不当、違法行為への徹底した規制、告発などを行うべきです。
ロ、知事が会長を務めておられますブセナリゾート株式会社の事業計画は、現状で推進すると美しい緑の山を破壊し、交通渋滞、生活環境の破壊、さらには水問題は一層深刻になることは明白です。根本的に再検討し見直していくお考えはないのか、お尋ねいたします。
第3点目は、交通問題の抜本的解決についてです。
まず、軌道交通の導入についてです。
去る6月12日、首相の諮問機関沖縄振興開発審議会が了承した総合部会専門委員会調査審議会最終結果の陸上交通にかかわる部分は、沖縄県の振興開発と県経済の発展を大きく妨げている深刻な道路交通事情に全く目をつぶっていると言われても仕方ないものです。
自動車1000台当たりの道路延長についての記述は、自動車王国アメリカを押しのけて沖縄県が自動車天国を押しつけられている現状を示すものでしかありません。国土面積1平方キロメートル当たりの道路延長の国際比較や、7割近くから8割までを鉄道に依存している我が国の陸上公共輸送機関別旅客輸送量などの指標が示すものは、沖縄県公共交通の破局的現状を抜本的に解決し得るのは鉄軌道の導入以外にないということを如実に、断定的に示しています。
そこで知事にお伺いしますが、3次振計県案作成を間近に控えまして、沖縄県の振興開発と経済発展の障害を除く大きな柱として、公約の軌道交通導入をどう盛り込んでいかれるかお答え願います。
次に、運輸省は去る5月、21世紀に向けて鉄道の復権を図る向こう10年間の鉄道整備中長期計画を初めて策定することを明らかにしました。
これにより自動車輸送や飛行機に奪われがちな旅客や貨物を奪い返し、鉄道の利用を伸ばすのがねらい。鉄道整備についてのガイドづくりと説明しています。利用者、国民の側からの安くて便利で安全な公共交通機関の拡充とともに、国民経済計算の上からもそうならざるを得ないのです。
我が国の明治以後の経済発展は、鉄道の発達に正比例するということもできます。だのに、我が国でなぜ沖縄県だけ1メートルも鉄道がないのか。今日のスピードの時代において交通地獄ともいえる慢性的渋滞では、すべての面で敗北を喫するしかありません。県民所得全国最下位の大きな要因をなすものです。
そこでお伺いします。
沖縄県交通の破局的現状の抜本的解決策として公約を前進させて、国の鉄道整備中長期計画の優先計画として、さしあたり沖縄縦貫鉄道を織り込ませるべきだと考えますが、知事の御所見を承りたい。
次に、全国及び九州地方知事会においては、他県は毎回のように鉄道建設についての要望事項を議題とさせています。
鉄道のない沖縄県の知事として、今後の知事会での対応について御所見を賜りたい。
次に、道路交通について、国道331号は、鉄道のない今日の沖縄県においては、58号とともに沖縄県交通の大動脈の双壁をなし、平和祈念公園に至る国際的平和道路とも言うべき性格を持っています。
ところが、その豊見城・糸満バイパスは、一昨年以来、それぞれ国の事業化予算が計上されながらほとんど進捗が見られません。これまでの西銘県政が積極的に推進していく姿勢を示し得なかったことが大きな要因をなしていると言わなければなりません。
我が党は、県民の要求に合致する公共施設等の配置に伴う公有水面の埋め立てについては、それに必要なだけの最小限度に抑えるべきであるという政策的見地に立って、国道331号豊見城・糸満バイパスの早期着工について担当部を督励してまいりましたが、これ以上のおくれを許されない両バイパス建設の推進について知事の御所見を承りたい。
質問の第4は、全国植樹祭についてです。
1950年の第1回植樹行事並びに国土緑化大会以来、50年代から60年代初頭にかけて、大会のテーマは荒廃地造林、海岸、砂地造林、荒廃公有林造成等々で、植樹祭40年の歩みを振り返ると、今回の会場決定は植樹祭の理念に合致した決定であったと言えます。
そこで、知事にお伺いいたします。
協議で一致なされた目的を達成していくためには、天皇中心のお祭り行事に終わっていけないことは言うまでもありません。須藤副理事長も話しておられた植樹祭を機に、激戦の跡を森林公園にできるということを実際に実現させていくことについての御所見を承りたい。
質問の第5は、福祉、県民生活防衛について、1点目は老人医療無料化の問題です。
海部内閣は、お年寄りが医療機関の窓口で支払う患者負担を大幅に引き上げようとしており、今、高齢者国民の中に大変な不安と怒りが広がっています。
新聞も、これから先、どこまで老人は邪魔者扱いにされているでしょうか。これが金満と言われる日本の悲しい実情でしょうか。また、高齢化社会における財源確保のうたい文句で強行した消費税の趣旨から考えるなら、本来、無料に戻すべきで、お年寄りいじめに追い打ちをかけるもの、と報道しています。朝日新聞、読売新聞です。これ
が圧倒的多数の国民世論です。
知事は、県民の期待にこたえられて、今年度予算で老人医療無料化の実現を目指し、その実施のための予算を調査費として計上され、再び地方から全国に老人医療無料化の波を広げていく展望を示されましたが、実施へ向けての御所見をお聞かせ願います。
次に、市町村に行わせている国民健康保険事業は、憲法第25条の「生存権、国の社会的使命」を受けての国民健康保険法及び地方自治法第2条で、本来、国が行うべき事務を市町村に任せた団体委任事務であるということを明確にしています。
ところが、中曽根内閣以来、歴代自民党政府は、国民が高い国保料・税を支払えず保険手帳を取り上げられ、診療も受けられないという事態をつくり出し、市町村財政の圧迫を引き起こさせて、なお国の削減分を市町村と都道府県に押しつけています。
知事公約に基づき、去る6月、九州地方知事会で国保財政の健全化について単独提案を行い、国庫負担の強化拡充を求められたことを評価するものであります。
国民健康保険法第75条は、国保事業に要する費用に対する都道府県の補助金交付の根拠を示しております。公約に照らし、同事業を知事の最重点施策としての大幅な補助金の予算計上について御見解を承りたい。
次に、消費税についてです。
昨年末、消費税問題を協議していた国会の税制問題に関する両院合同協議会では、加藤六月専門者会議座長の案で決着を図る動きが急浮上しました。
しかし、この座長案の内容は、自民党が昨年の総選挙で掲げた消費税見直し公約からも大きく後退、食料品非課税の問題が抜け落ち、1兆円規模の減税公約が消えてしまうというものでした。この案は、税制合同協で消費税の逆進性緩和、非課税範囲拡大で各党が提案したどの案よりも後退していました。
我が党は、4月25日の税制合同協にこの案が提案された際、こうした問題点を指摘、各党が一致できる食料品非課税措置を全く除外するような見直しのまとめは同意できないと表明、あわせてこれで消費税問題を決着とせず、税制合同協を継続し、国民の期待にこたえるよう真剣に協議することを求めました。
こうして、消費税問題を協議していた両院合同協議会では、我が党が主張した食料品非課税の問題は協議継続が確認されました。
一方、政府・自民党は、今回の見直しで決着をねらうとともに、消費税が定着した段階で税率の問題も改めて議題になる等税率アップの動きも出ています。見直しで消費税を定着させることを許さず、協議継続の中で国民の願う消費税の緊急是正を実現させ、さらに国民世論の高まりで消費税廃止の実現を目指す闘いは新しい局面を迎えております。
したがって、先ほどの外間議員の質問の中で、共産党が食料品非課税に反対したとありましたが、これは事実に反しますので、その取り消しを要求いたします。議長の方で適切な措置をとられるようお願いいたします。
我が党県議団は、公約実現へ向けての知事の一層の御奮闘を願うものであります。
最後に、政治戦のたびに自民党などによって繰り返されております東欧、ソ連などの事態、外国の例を持ち出しての日本共産党攻撃、革新分断の策動の本質を解明し、我が党の立場を鮮明にしておきたいと思います。
結論から先に申し上げるならば、1、日本共産党の値打ちは、日本での役割で決まることであり、それは歴史的にも証明済みであること。2、ソ連、東欧の大国主義、覇権主義と官僚主義、命令主義の2つの害悪を一貫して批判し、闘ってきたのが日本共産党だということであります。
今日のソ連や東欧の危機は、かねてから日本共産党が解明してきた科学的社会主義の基本から逸脱したソ連のスターリン以来の歴代指導部の路線的破綻がいかに深刻であるかを示したものです。
同時に、これらの現実を正確に見ることによって世界のいかなる国、いかなる社会であろうとその国の国民が明るい未来を見出すためには、社会発展の前途を照らす科学的な羅針盤がどうしても必要という教訓を引き出すことであります。
自主独立の精神を堅持し、日米軍事同盟路線と真っ向から対決、領土問題でもソ連の大国主義に堂々と日本国民の立場で物が言える党、まさにこの日本においてその値打ちが試された日本共産党こそ、今、日本国民が真に求めている党であることを確信し、必ず県民の期待にこたえるべく奮闘する決意を述べ、質問を終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。
まず、最近の政局の動向との関連で小選挙区制導入問題について知事の所見を聞かせてほしいという趣旨の御質問でごさいますが、選挙制度の改革というのは議会制民主政治の基本となる重要な問題であり、主権者たる国民の意思が十分に反映できるようあらゆる角度から慎重に検討されるべきものと理解しております。
さきに答申のありました衆議院小選挙区比例代表並立制の導入につきましては、私としては現段階でコメントするのは差し控えたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
それから、安保、基地問題との関連で、国民への教育、医療、福祉を削り、思いやり予算を米軍基地の維持と強化のために湯水のように使っている自民党政治の実態について、公約との関連でどのように対処していくつもりかという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県の現状は、我が国に所在する米軍専用施設の約75%を占める広大な米軍基地が振興開発を推進する上で大きな制約となっているほか、地域住民の生活にも種々の悪影響を及ぽしている状況にあることは御承知のとおりでございます。
このようなことから、私は、平和で活力に満ち、潤いのある沖縄県の建設のため米軍基地の全面返還に向けて、できるだけ早く基地の整理縮小並びに基地から派生する諸問題の解決に最大限の努力を傾けるつもりでございます。
それから、米軍の演習の激化、基地被害、基地撤去などに対する県民の切なる思いを真正面から受けとめ、奮闘してはどうかと、知事の決意のほどを聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
米軍基地が存在することにより、県民がこうむっている航空機騒音及び演習等の被害、その他地域住民に種々の悪影響を及ぼしていることは先ほど申し上げましたとおりでございます。したがって、私は平和な沖縄の実現を最優先課題の一つとして位置づけております。
そこで、米軍基地につきましては、平和な生活と生産の場に転用すべく全面返還を目指し、できるだけ早く整理縮小が促進されるよう関係当局にこれまでも訴えてまいりましたし、またこれからも繰り返し繰り返し訴えていくつもりでございます。
それから、3次振計と県経済の発展との関連で、沖振法は、沖縄の歴史的、構造的おくれを国の責任で克服し、償いの心をもって沖縄の振興を図ることを目的としているが、知事は地方自治の原則を守り、国に対して毅然たる姿勢で沖縄の振興開発を要求すべきであると、知事の基本的姿勢を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県の振興開発につきましては、他の地域とは異なった特殊な事情が存在するという認識を持っており、これまで本土との格差是正と自立的発展の基礎条件の整備のため、各種特別措置が総合的に講じられてきたところであります。
その間、国の積極的な施策の推進と県民の努力により本県の振興開発は総体としては着実に進展していますが、水資源の安定確保の問題を初め、生活、産業基盤等なお開発整備を要する分野も数多く、また産業振興の立ちおくれのほか、ただいま申し上げましたように米軍施設区域の整理縮小の問題など自立的発展を図るための条件整備はまだ十分でない現状にあります。
したがって、今後とも沖縄が各面にわたる格差の是正を図り、その地域特性を積極的に活用し、自立的発展の基礎条件を整備するとともに、我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域として整備を図るためには、引き続き沖縄振興開発特別措置法に基づく高率補助等国の財政上の特例措置が必要であり、このような観点から地方自治の本旨にのっとり、沖縄振興開発特別措置法の延長を強力に国に要請し、その実現を期したいと努力しているところであります。
それから2番目の、県民本位の観光リゾート開発問題との関連で、地価対策及び違法行為、あるいはリゾート開発についての知事の見解に関してお答え申し上げます。
投機的土地取引に伴う地価の高騰は農業の振興を阻害し、県民の住宅取得を困難にするとともに、各種の公共事業の実施に支障を来すなど県民生活に大きな影響を与えております。したがいまして、これらの土地問題の解決は県政にとって重要な課題であると考えております。
県においては、市町村との連携を強化し、関係法令の厳正な運用、不要不急の土地需要の抑制、監視区域の拡大等国土利用計画法の機動的運用を図るなどして地価高騰の抑制に努めているところであります。
また、無届け取引等の違法行為に対しては、関係法令に照らし、悪質な事案については厳正に対処していきたいと考えております。
なお、ゴルフ場、リゾートホテル等の開発に当たっては関係法令の遵守を図るとともに、地元市町村等との開発協定の締結を指導しているところでありますが、今後とも安全で良好な地域環境が確保されるよう対処していく考えであります。
それから、3次振計と県経済の発展との関連でブセナリゾートの開発計画を見直していく考えはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
ブセナリゾート計画は、これからますます激化が予想される国際競争に対応するため、21世紀を展望しリゾート沖縄を目指した質的、規模的にも国際的に通用する本県の先導的かつ中核的なリゾート地域として整備するものであります。
御指摘の問題点につきましては、開発する上で極めて重要なこととして認識いたしております。そのため、具体的開発に当たっては沖縄の歴史と文化を守り、自然との共存を基調に生活環境との調和、交通需要及び水需要への対応等について十分に配慮して推進していきたいと考えております。
なお、本計画の開発期間は向こう15年間の長期にわたることから、今後の社会経済の動向及び地域住民との合意形成を図りながら、全県民の英知を結集しつつ弾力的に対応していく考えであります。
同じく第3次振興開発計画との関連でございますが、交通渋滞の抜本的解決について、軌道交通の導入との関連で、3次振計案作成において公約の軌道交通導入を盛り込んでいくか。次に、抜本的解決策として国の鉄道整備中長期計画の優先計画として沖縄縦貫鉄道を織り込ませるべきだと考えるが、どうか。3番目に、全国及び九州知事会における今後の対応についての知事の所見を聞かせてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。一括してお答えさせていただきます。
軌道交通システムの導入につきましては、これまで推進してきた沖縄都市モノレールの建設を重要課題として第3次沖縄振興開発計画大綱に位置づけているところであります。これを基本にして第3次振興開発計画の県案を策定していく考えであります。
なお、中南部と北部圏域を結ぶ軌道交通システムについては、現在作業中の総合交通体系基本計画の策定に向けて論議を深めていくことにしており、沖縄縦貫鉄道については、一つの御提言としてその可能性などについても慎重に検討してまいりたいと思います。
それから、国道331号豊見城・糸満バイパス建設の推進についての知事の考えを聞かせてほしいという趣旨の御質問にお答えいたします。
国道331号バイパス計画のうち、糸満市西崎から豊見城村瀬長に至る豊見城バイパスについては平成元年度に国直轄事業として採択されておりますが、当該事業の道路用地につきましては、豊見城地先の公有水面埋立事業によって確保することが前提となっております。
そのため、現在、県土地開発公社において埋立申請に向け豊見城村及び関係機関と鋭意調整しているところであります。
また、糸満市真栄里から西崎に至る糸満バイパスにつきましては、平成2年度に国直轄事業として採択され、現在、実施計画等について糸満市と調整中であると聞いております。
県としましては、南部地域の振興を図る立場から地元のコンセンサスを得て豊見城村地先の埋立事業を促進するとともに、両バイパスの早期着工が図られるよう努めてまいります。
それから、全国植樹祭との関連で国土緑化推進機構の須藤副理事長が言われた森林公園等の実現についてどう考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
全国植樹祭会場周辺一帯は、さきの大戦において多くの戦禍をこうむり、豊かな緑がことごとく荒廃し、いまだに復元が見られない状況下にあります。
全国植樹祭を契機に失われた緑を取り戻し、生活環境の緑化を図ることなど、より一層の森林整備を図ることは重要な課題だと認識いたしております。
このようなことから、全国植樹祭会場跡地は、多くの県民が自然に触れ合う森林公園として整備するとともに、南部地域の緑化モデル地域として位置づけ、乎和祈念公園との一体的かつ総合的な整備を図ることにいたしております。
それから、老人医療の無料化についての関連で調査費を計上しているが、実施に向けての所見を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
県としましては、所得の低いお年寄りの方々に対して保険外負担等の医療に関連する費用が実質的に軽減できるような措置として福祉医療助成措置を実施すべく調査検討を進めているところでございます。
それから、国保事業に対する大幅な補助金の予算計上について見解を承りたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県における医療費の伸び率は、全国平均を大きく上回っており、市町村の国保事業運営は極めて厳しい状況下にあります。
県としましては、平成3年度において医療費適正化対策事業補助金800万円、高額医療費共同事業補助金2億5912万円のほか、保険基盤安定負担金として6億2573万円、計8億9285万円の県費助成を行っているところでありますが、国保税の負担軽減を図るため、特に医療費適正化対策事業補助金及び高額医療費共同事業補助金につきましては、先ほども申し上げましたように増額する方向で検討を進めているところでございます。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 友寄信助君。
〔友寄信助君登壇〕
○友寄信助君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して質問を行います。
まず第1点目は、知事の政治姿勢についてであります。
平和こそ最大の福祉を基本理念に、昨年秋に行われた知事選挙で県民の圧倒的支持を得て当選し、知事に御就任して以来、はや半年が経過いたしました。
内外の激動する情勢の中で、大田県政は第3次振計の策定、基地問題など山積する重要な問題を抱えて文字どおり多難な出発でありました。
革新県政は、就任早々、しかも県政運営の体制が十分整わない厳しい環境の中で、平成3年度の政府予算の獲得、全国植樹祭の糸満市米須への会場決定、新石垣空港建設へ向けての場所選定作業の着手、第3次振計大綱案の策定、一たん廃止された慰霊の日の休日を復活させるなど県民の期待にこたえるべく精力的に取り組み、着実に成果をおさめてきているのであります。知事及び執行部の皆様の御努力、御労苦に心から敬意を表するものであります。
さて、沖縄が本土へ復帰して来年で20年、そして戦後47年を迎えようとしている今日、沖縄の現状は、依然として全国の米軍基地の75%が集中しており、逆に基地機能は強化され、無法地帯のごとく軍事演習は激化し被害も後を絶たず、戦場さながらの様相を呈しております。このことは、政府による県民への差別と犠牲の押しつけを示すものであります。
明治以来、沖縄の歴史は、常に日本の近代化と時の政府の軍事政策遂行の道具として、また侵略のための前進拠点として利用されてきたのであります。そしてあの太平洋戦争において沖縄は祖国防衛のための唯一の地上戦場となり、10数万人の一般住民を巻き込んだ未曾有の惨禍をこうむり、多くのとうとい人命と貴重な文化遺産を失いました。
戦後は、講和条約第3条による沖縄分断、異民族の占領支配という過酷な状況に置かれ、同時に日米安保条約による排他的米軍支配を政府は容認し、むしろそのことが不可欠の条件として成り立ってきたのが安保繁栄論の経済大国であります。
1972年の本土への復帰の内実は、県民が求めてきた基地も核もない平和な沖縄ではなく、巨大な米軍基地をそのまま存続させ現在に至っているのであります。
このように、沖縄の近・現代史は、常に差別と抑圧と犠牲の強要に終始した歴史でありました。
したがって沖縄県政を考える場合にその基本となるのは、当然のこととして世界にも類例のない日本国憲法、平和憲法を基礎に置くことであります。
大田知事は、戦後、琉大教授、学者として沖縄戦の解明や米国の沖縄占領、本土復帰による新たな差別などを重要た研究テーマに掲げ、常に沖縄問題を追求し続け、多くの著書を残してきたのであります。大田知事の著書「沖縄のこころ」の中で、「沖縄が、私の原点なりうるのは、何よりもわたしが、そこで沖縄戦を体験したことによる。」と述べております。
このように、学者大田さんは、沖縄の近・現代史研究の第一人者として功績を残してきましたが、今度は沖縄県の行政責任を担って実践する立場にたったのです。
今、革新県政にとっては厳しい環境にありますが、この平和理念を行政の中に生かし、革新の原点を踏まえて県民の期待にこたえるよう全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。
知事は御就任以来、まさに東奔西走、精力的に行動を展開し、幾つかの評価すべき成果を上げてきました。しかしここであえて言及するならば、軍用地の強制使用にかかわる公告縦覧代行について、壁の厚い基地問題を一歩でも前進させたいという知事の執念と決意は理解できるにしろ、契約を拒否している地主など関係団体の強い代行拒否要請にもかかわらず、行政上の立場から苦悩したあげくの決断とはいえ、代行を拒否できなかった知事の姿勢は極めて残念と言わざるを得ないのであります。
我が党の基本姿勢を明らかにしておきたいと思います。
我が党は今、国民の信頼を得て政権を担う党へ脱皮、再生することを目指して党改革案の策定を進めてきました。私たち県本部は、党の改革に当たっては護憲の党という立党の精神を踏まえ、日本社会党の基本政策は堅持することを強く求めてきました。
日米安保は、これまで沖縄を分断し、アメリカの排他的軍事支配にゆだねることを不可欠の条件として成り立ち、経済大国を築いてきました。沖縄は復帰して19年、今日、依然として安保の吹きだまり、犠牲を強要され続けており、かつての沖縄戦体験をも踏まえて安保、自衛隊容認は、沖縄差別につながるものであるとして党改革について県本部の意見書を提出したのであります。
革新県政を支える与党の一員として、これからも知事の公約、政策実現に向けてともに邁進していく決意を表明し、今後の政治姿勢について知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
次に、第3次振計の策定についてであります。
本県の振興開発計画は復帰後、振興開発特別措置法に基づき2次にわたる沖縄振興開発計画が策定され、各般にわたって特別措置が講じられてきました。
計画の目標は、沖縄と本土との各面にわたる格差を早期に是正し、全般的に国民的標準を確保するとともに、そのすぐれた地域特性を生かすことによって自立的発展の基礎条件を整備し、平和で明るい豊かな沖縄県の実現を目指してきました。
また沖縄が、我が国の経済社会の中で望ましい位置を占めるように努めることは、長年の沖縄県民の労苦と犠牲に報いる国の責務であるとして諸事業が計画され推進されてきたのであります。
今年は、その2次振計の最終年度として最後の仕上げをする重要んさ節目を迎えているのであります。2次にわたる振興開発計画の推進でこれまで大きな成果があったものの、本県にはまだまだ解決すべき課題を多く抱えており、第3次振計の策定継続が求められているのであります。
県は、こうした事情を踏まえて、さきに第3次沖縄振興開発計画大綱を決定し本格的な3次振計策定に取り組んでおります。
そこで知事にお尋ねしますが、3次振計を策定するに当たって、まず、第1次、第2次振計を通してその問題点、
目標を達成できなかったの要因は何であったのか、しっかりと把握しなければならないと思います。これまでの実績、評価と反省点は何か御説明を願いたいと思います。
2点目には、第3次振計を策定するに当たっての基本的な視点についてお聞きをいたします。
県の第3次振計大綱を受けて6月12日、首相の諮問機関である沖縄振興開発審議会が、第3次振計の策定と同計画に基づく事業の推進など特別措置を求める海部首相あての意見書をまとめました。
その基本的な点は、沖縄経済社会の発展のみならず、広く我が国の経済社会の発展向上にも有益であると指摘し、日本全体の視点に立っての施策の展開を求めております。また、沖縄戦の戦禍及び長年にわたる本土との隔絶、さらに今もなお広大な米軍施設区域が存在することが記述され、基地問題についても触れております。
しかし、県の3次振計大綱と比較すると格差の是正、自立的発展のための条件整備、特色ある地域としての整備など総体的にはほぽ同じだが、米軍施設区域や戦後処理などの問題については大きな違いが目立っております。
県の大綱では、全面返還を希求する県民の意向に配慮して、その整理縮小を促進すると基地の全面返還についての県民の総意をうたっております。
ところが、国の報告書の中ではその整理縮小を指摘しておりますが、全面返還についての文言はなく、跡地利用についても制度の創設を想定した特別措置に関する言及もなされておりません。
そこで知事にお尋ねをいたしますが、振興開発の阻害になっている基地の大幅な整理縮小なくして真の振興開発の目的は達成できません。したがって基地の位置づけ、軍転法の制定など3次振計策定に当たって県の考え方をどのように反映させていくのか、知事の基本的な姿勢をお聞かせ願いたいと思います。
また、マラリア補償問題、沖縄の厚生年金の格差是正など戦後処理問題については、どう位置づけていくのか御見解をお聞かせ願いたい。
第3点目には、振興開発計画の目標と実績の乖離、若干の問題について指摘しておきたいと思います。
これまでの1次、2次振計の経過を振り返ってみて、まず、振興開発事業費や基地収入面から見ると1次振計で1兆2492億6000万円、2次振計で1兆6654億200万円、平成元年度までの合計が2兆9146億6200万円となっております。
また、金融公庫融資残高で見ると、平成2年現在、1兆196億円、防衛庁(基地関係)関係支出額では1兆6045億円が投資されているのであります。
そこで、これだけの膨大な政府資金が投資されたわけですが、沖縄の社会経済の実態はどうなっているかといいますと、まず、人ロフレームで見ると、平成2年10月時点で既に目標に達し122万2000人となっております。
経済成長率については、第2次振計で年平均5.8%を見込んでおりましたが、計画目標を下回って推移しており、昭和63年度までの実績は年平均4.4%で推移しているのであります。
さらに、県民1人当たりの所得は昭和63年度で174万2000円で、全国平均の格差は73.2%と所得水準は47都道府県の中で最も低く、所得格差は依然として大きい状況にあります。
その上に、雇用失業情勢についても、平成2年度の完全失業率は4%と全国の約2倍の厳しい状況にあります。
さらに注目しなければならないことは、技術要素集積量を都道府県別に見ると、全国平均100とした場合の比較で最高の愛知県が802、神奈川県の613、沖縄県はわずか0.49と最低に位置しているばかりでなく、次に低い徳島県の6.45、鳥取県の6.49と比べても格段の差があるのであります。
この実態が、沖縄経済の自立的発展につながらない、いわゆる産業基盤の弱さを明確に数字で示しております。
なお、本県の経済は、財政依存度や基地依存度が低下傾向で推移しておりますが、しかし財政依存度は全国平均の約2倍で、移輸出入も大幅な入超であるなど、また基盤的に弱く多くの課題を抱えております。
そこで、知事にお尋ねいたします。
第1次、第2次振計で約3兆円という莫大な政府資金を投資したにもかかわらず、経済の自立的発展の基盤が確立できないのは、これまでの産業政策に欠落があったのではないか。新技術の開発研究などの投資を強化して生産基盤の整備を図っていく必要があります。知事の御見解をお聞きしたいと思います。
次に、新石垣空港建設問題についてお尋ねします。
新石垣空港の早期建設のため、県と八重山3市町による新石垣空港建設行政連絡会議が2月に設置され、同空港建設計画策定から実に12年目で振り出しに戻り、白紙の立場からの新空港建設の再出発となったのであります。
空港建設は、前県政から引き継がれた、大田県政にとっても最重要課題の一つとしてその取り組みがなされているのであります。
大田知事は就任後、現在の案は、環境保護や土地転がしなどの問題があり、これらを解決しない限り行政の継続性という立場だけで容認するわけにはいかない、もう一度地元の合意形成を図りたいと述べ、新たな観点から取り組む決意を示したのであります。
また、IUCN(国際自然保護連合)決議など自然保護を求める内外の世論も考慮に入れて、海を埋め立てる建設には慎重な姿勢を示してきたのであります。
それは、カラ岳東側の土地転がし問題、違法な土地取引が発覚し、国土利用計画法違反で告発されるなどいわくつきの土地であり、また世界的に貴重なアオサンゴを守ろうという国内外の自然保護団体や専門家による国際的な世論が高まり、今や一つの国や地域の環境問題が地球規模の環境保全と切り離せないという時代の流れの中で、国際的にもその動向が注目されているだけに知事の姿勢は当然であると思うのであります。
県は、計画見直しに当たって、八重山地域の住民が論議できる正確なデータを提出して共通認識を得たいとして運航、建設に関する基本的条件や建設候補地5カ所の説明資料を住民に配るなど地元住民の合意形成に努めてきました。
このように、県が資料を住民に積極的に提供しガラス張りの中で住民との意思疎通を図ってきたことは、これまでになかった画期的なことで高く評価できます。
その後の地域代表、関係団体意見発表会による意見聴取、郡民大討論会を通して論議してきた結果、候補地については冨崎野案、宮良案、カラ岳東側案の3つが浮上してきております。それぞれ推薦する理由と欠点、利点を指摘しておりますが、今後は従来の経緯にとらわれず、冷静に、しかも科学的に改めて空港の立地適格性や安全性、環境問題などについて慎重に検討を深めてもらいたいと思うのであります。
そこで、知事にお尋ねします。
今回の対話集会や公聴会など郡民の合意形成のための民主的手続については高く評価できると思いますが、集会等の持ち方、手順には問題はなかったかどうか、住民のコンセンサスづくりについて県はどう評価しておられるのか御見解をお聞きしたいと思います。
2点目には、県の一連の努力にもかかわらず、県側と地元八重山の意見の一致を見るに至らなかったが、今後、合意形成のため具体的にどのように対応していくお考えか。
また、取りまとめの組織である行政連絡会議でこれまで双方が一致した点は何か。
さらに、双方の対立点、考え方の相違点についてお示し願いたい。
カラ岳東側建設に関する資料を明らかにしてもらいたい。
また、双方の意見の一致を見るに至らなかったことから来年度着工は見送られることになったが、今後の予算の見通しはどうなっているのかお示し願いたい。
前県政が10余年かけても着工できなかった経緯を十分に踏まえ、この際じっくり腰を据えて新空港建設の条件づくりのために県民が納得できる方法で実現を図ってもらいたいと思います。
次に、植樹祭の問題についてであります。
復帰20周年記念事業の一環として1993年に開催される第44回全国植樹祭の会場地が糸満市米須海岸に6月26日に正式に決定されました。現在、それに向けて本格的な準備が進められております。
言うまでもなく植樹祭の趣旨は、国土の荒廃から緑豊かな国土を取り戻そうと1950年にスタートして以来、国土保全、森林資源の確保、環境緑化の推進などを目的に全国各県で行われ、本県での植樹祭は全国を一巡する最終回に当たるものであります。
そこで知事にお尋ねしますが、知事は5月26日に京都で開催されました第42回植樹祭に出席しましたが、まず、どういう印象または示唆を受けたか、御感想をお聞かせ願いたいと思います。
2点目には、これまでの全国植樹祭はお祭り的行事であって、戦争による荒廃から緑豊かな国土を取り戻そうという植樹祭の趣旨からはかけ離れているのではないかとの疑問の声もあります。知事は、沖縄らしい植樹祭という考え方を示しておりますが、これまでの慣例にとらわれることなく、沖縄らしい特色ある植樹祭として成功させてほしいと思います。今後の植樹祭の持ち方を含めて、県の今後の計画をお示し願いたい。
また、会場予定地は植栽環境としては決して良好とは言えないと思いますが、今後の植栽と育林環境の整備はどのように進めていくのか。
さらに、不発弾の処理問題、植樹祭終了後の跡利用計画はどうなっているのか知事の御見解をお聞きしたいと思います。
次に、基地問題についてであります。
第1点目は、知事の訪米についてであります。
さきの記者会見で、渡米の時期については、7月下旬から8月の初旬にかけ、約2週間の日程で渡米することを公式に表明しております。
これまでも、米軍基地問題で西銘前知事が2回も渡米し要請してきた経緯があります。しかし結果は厳しいものであります。米軍基地は、日米安保条約と日米地位協定に基づくものであり、基地の返還要請等は一自治体の権限を越えるものであり、本来、政府と米国が本格的に交渉を進めるべきものであります。しかし現実は一向に進展していないため、自治体独自の立場で県民の要求を直接米国政府に突きつけようとするものであります。
そこで、知事にお尋ねいたします。
まず、渡米の際の重点要請事項は何か。既に西銘前知事の2回にわたる渡米の経緯があるわけですが、これまでの折衝経過を分析し、新たな観点から要請をする必要があると考えますが、知事の対米折衝の基本的姿勢をお聞かせ願いたい。
また、ワシントン当局は、さきにアジア太平洋地区での米軍削減計画を明らかにしましたが、その具体的な展開が明らかになっておりません。したがって計画の中身や沖縄基地の将来像について米側にただすことも必要ではないのか。
2点目には、軍転法要綱案についてであります。
去る4月24日付で「沖縄県における駐留軍用堵等の返還及び駐留軍用地跡地等の利用の促進に関する特別措置法案」、俗にいう軍転法案が野党共同提案として国会に提案されました。県も軍転法要綱案をまとめ審議会に諮っております。
その要綱案の要点と、その要綱を実現するため今後どのような方法で対処していくお考えなのか。
また、返還軍用地の跡利用計画については関係市町村が主体的に策定しておりますが、振興開発計画、都市計画や県土利用計画の観点から、整合性を図るため県としての総合的な跡利用計画を策定すべきではないのか。
さらに、さきに防衛施設庁と約束した関係省庁による連絡会議の設置等について、今後どのように具体化していくお考えかお示し願いたいと思います。
3点目には、平和行政の推進についてでありますが、知事は6・23沖縄全戦没者追悼式で平和宣言を行い、恒久平和と戦争を知らない若者に対して平和の継承を呼びかけました。この平和祈念公園は、沖縄の平和のメッカとしてこれからも整備が必要だと考えます。
去る6月18日、「沖縄県国際平和創造の杜」都市構想をすすめる会の砂川恵伸琉大学長ら発起人代表が知事に会い、この都市構想の実現のために要請を行っております。
この構想は、平和の希求、戦没者の追悼、平和文化の創造などを理念に、全戦没者刻名壁碑などを中心とする第1ゾーン、国際平和センターや平和資料館を中心とする第2ゾーンから成り、祈りと文化を象徴する空間として位置づけられております。県民の平和の創造の志を集約したすばらしい構想だと考えます。知事の平和理念とも合致するもので、検討作業を進めてもらいたいと思います。構想が大きいだけに特別の対策室を設置して検討作業を進めてはどうかと考えますが、知事の御見解を承りたいと思います。
次に、基地の影響調査についてであります。
この件につきましては、先般、我が党の新垣議員からも米軍基地の存在が日常的に県民の生活、健康などにどのような影響を与えているのか、県としてその実態を調査すべきであるとの提起をしてきました。
最近の新聞報道によると、神奈川県横須賀、厚木両基地の住民が、米軍基地は周辺住民の生活に著しい影響を与えており、米国の国家環境政策法に照らして違法だとして米国防長官を相手取り、訴えをワシントン連邦地裁に起こしております。
これからの軍用地の返還を求めていく資料としても基地の影響調査は必要ではないかと思うが、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
6点目には、沖縄海外漁業株式会社についてであります。
県自身がお認めになっておられるように、この会社は事実上破産し再建不能となっています。県は、筆頭株主として解散または破産の手続を急ぐ責任があります。いつまでにそうした手続をとるおつもりか明確な答弁を求めたいと思います。
水問題につきましては、時間の都合上、省略させていただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 友寄信助議員の御質問にお答えいたします。
まず、今後の革薪県政運営に当たっての決意についてでございますが、私は、県政の基本は、県民一人一人の生活を大事にし、平和な社会をつくり出すとともに、経済の自立的発展を図ることが最も重要であると考えております。したがって県政運営に当たっては、平和で住みよい心豊かで沖縄独自の文化の薫る県政を目指し、人間の生命、暮らし、とりわけお年寄りや障害を持つ方々など社会的に弱い立場に置かれている人たちに特に配慮していきたいと考えております。
また、21世紀に向けて県づくりの基本となる第3次沖縄振興開発計画の策定に全力を注ぐとともに、これらの施策の立案実施に当たっては、自然や文化との調和のとれた生活環境の保持に努めるなど平和で活力に満ち、潤いのある沖縄県づくりを進めてまいる考えでございます。
第3次振計について、1次、2次振計を通してその問題点、目標を達成できなかった要因は何であったのかと。これまでの実績、評価と反省点は何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県の振興開発につきましては、2次にわたる沖縄振興開発計画の推進により総合的な諸施策が講じられた結果、社会資本の整備を中心に本土との格差は漸次縮小されるなど本県の経済社会は総体として着実に発展してきたと思います。
しかしながら、本県は本土から遠隔の地にあり、また広大な米軍施設区域の存在を初め多くの離島から構成されるという特殊な事情や地理的不利性を抱えており、今日に至っても生活、産業基盤の面で整備を要する分野も多く残されています。
同時に、産業振興の立ちおくれがあり、とりわけ製造業等については零細小規模企業が多く、技術集積も低く、県内マーケットも狭小であるなど構造的な問題が多く、そのため物的生産力が弱く相対的に外部依存度が高い経済構造から依然として脱し得ない状況にあります。
その主たる要因としましては、1つには、生産基盤の整備が依然としておくれていること。2番目には、広大な米軍施設区域の存在によって計画的な土地利用が制約されていること。3番目に、本土からの遠隔性、離島性による構造的な特性等により期待された新規工業の導入による産業振興が予期したようには進展できなかったことなどが考えられます。
それから、3次振計の策定との関連で、基地問題や軍転法の制定、戦後処理問題など3次振計を策定するに当たっての基本的な姿勢について聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
さきに県がまとめました第3次沖縄振興開発計画大綱と国の沖縄振興開発審議会専門委員会調査審議最終結果報告書で示された内容には、米軍施設区域や戦後処理問題などの取り扱いについて認識に相違があります。
基地問題を解決するための国の責任による特別法の制定を初め、マラリア犠牲者の遺族に対する国家補償、厚生年金の格差是正問題等については基本的な考え方や計画対象事項としてなじむかどうかなどの議論があり、国との間においてなお詰めていかなければならない問題が幾つか残っております。
しかしながら県といたしましては、これらの問題はできるだけ早く解決すべき重要な課題として認識しており、その解決のために積極的に取り組んでいるところでございます。
それから、経済の自立的発展の基盤が確立できないのは、産業政策に欠落があったからではないか、新技術開発研究などの投資を強化すべきではないかとの御質問にお答えいたします。
これまで2次にわたる振興開発計画を推進する中で、経済の自立的発展を図るため工業団地や工業用水の整備など産業基盤の整備を進めてきたところでありますが、復帰後の内外の経済情勢等の変化の影響などもあって産業振興の面では目標を達成するまでには至っておりません。
また、御指摘のように工業技術水準も依然として低位にあり、情報化、技術革新等昨今の経済社会情勢の進展に対する対応も十分とは言いがたい状況にあります。
したがいまして、今後の産業振興の施策といたしましては、引き続き産業基盤の整備を推進しつつ、本県の技術水準の全体的な底上げを促進するとともに、地域資源の開発利用等に関する新技術の開発研究などさらに力を入れる必要があると考え、特に研究体制の強化を指示しているところでございます。
それから、新石垣空港建設問題との関連で、郡民の合意形成のための集会等の持ち方、手順には問題がなかったかどうか、住民のコンセンサスづくりについて県はどう評価しているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
新石垣空港の建設に関する地域住民の合意形成を図るための諸問題について総合調整をなし、情報交換の場として活用し、かつその事務の円滑な推進を図るために設置した新石垣空港建設行政連絡会議は去る2月14日に発足以来、新空港の建設位置について八重山郡民の合意形成を図るため、3月23日の郡民説明会を皮切りに、地域別説明会、郡民大討論会、意見発表会等合意形成に係る一連の作業に鋭意取り組んでまいりました。
その中で、地域別説明会において地域住民の集まりが少なかったり、各候補地に関するデータが不足するなど取り組みについての批判もいただきました。
一方、郡民説明会及び郡民大討論会においては多数の郡民の参加のもと、多くの意見を述べていただきました。
このような一連の作業を通じて、改めて新空港の必要性についてコンセンサスが得られたこと、また各候補地について郡民の意向や問題点などが明確になったことなど、今後の合意形成作業の指針が得られたものと考えております。
それから今後、合意形成のため具体的にどのように対応していく考えかと、行政連絡会議でこれまで双方が一致した点は何か、さらに双方の対立点、考え方の相違点は何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
これまで進めてきた一連の合意形成作業の意見集約の場として位置づけていた取りまとめ報告説明会は、当初、5月28日に開催する予定でありました。
しかしながら、同報告説明会のあり方について認識が一致せず、地元側委員の八重山郡民の大多数の意向がカラ岳東側案であり、一本に絞り込み報告すべきであるとの意見が出されましたが、県側の行政連絡会議としては、発表のあった意見を集約整理して事実をそのまま報告すべきで、ましてやカラ岳東側案に対する強い反対と具体的に提案された冨崎野案、宮良案についての調査等の要請もあり、この段階で一本に絞り込むことはすべきでないとの意見が並行し、やむなく取りまとめ報告説明会を延期したものであります。
しかし、新空港の必要性、早期着工につきましては、県、関係市町ともに十二分に認識しており、6月29日に開催した行政連絡会議では意見の一致を見ることはできませんでしたが、7月15日以降に取りまとめ報告説明会を開催することで双方が一致し、引き続き話し合いを進めていきたいと考えております。
それから、カラ岳東側建設に関する資料を明らかにしてもらいたいと、また来年度着工は見送られることになったが、今後の見通しはどうかという御質問でございますが、お答えいたします。
カラ岳東側案につきましては、問題点の整理検討を行うために空港基本計画、環境影響評価及び設計概要等の関係資料を公開したいと考えております。
公開の時期及び方法等につきましては、現在検討しているところであります。
なお、予算については、新空港の位置が確定し事業が円滑に推進できる状況が整えば、国に対し要求していきたいと考えております。
それから、全国植樹祭に関することでございますが、知事は京都府で開催された第42回全国植樹祭に出席し、どういう印象、示唆を受けたかという趣旨の御質問にお答えいたします。
京都府の第42回全国植樹祭につきましては、「緑でうめたい地球の未来」を大会テーマに府民ふれあいの森で盛大に開催され、私も参加させていただきました。
京都では、京都府及び会場地の宇治市を初め、府民を挙げて植樹祭の成功に向けて積極的に協力されている姿勢に接し、大変感銘を受けた者の一人でございます。
式典についても、緑の大切さを全世界に伝えるため国連本部等に「緑のこども大使」が派遣されるなど、国際都市京都としてのユニークな運営がなされておりました。
本県においても、今後京都を初め先催県の例を参考にしながら、本県の伝統文化や地域特性を生かした沖縄らしい大会にしなければならないとつくづく思いました。
同じく全国植樹祭についてでございますが、本県における植樹祭の持ち方も含めて、県の今後の計画について聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県の植樹祭会場につきましては、去る6月26日、国土緑化推進機構の須藤副理事長が来県され、糸満市字米須・山城に正式に決定されました。
県としては、今後会場の実施計画設計を進めるとともに、会場造成に着手する計画であります。
本県の植樹祭は、復帰20周年記念事業として位置づけ、できるだけ多くの県民並びに関係者の参加のもとに、戦災で失われた緑を取り戻し、生活環境の緑化を図るなど一層の森林整備を図っていくことにしたいと考えています。
規模については、現在約3.6ヘクタール、参加人員1万人前後を目途に作業を進めているところでございます。
事業費につきましては、参加者及び会場面積の増に伴い、当初計画の費用を上回る見込みであります。
樹種につきましては、天皇陛下がリュウキュウマツ、皇后陛下がフクギをお手植えすることにしており、また特別招待者もリュウキュウマツとフクギを植樹し、一般招待者はリュウキュウマツ、フクギのほか、耐潮、耐風性の樹種を幾種類か植樹する予定であります。
会場の育林環境の整備は、どのように進めていくのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
育林環境の整備につきましては、第1に、造成工事、式典に支障を来さない樹木は防風対策、修景緑化として保存する。2番目に、岩盤及び露出岩は取り除き、1メートルから1.5メートルの客土を行います。3番目に、植栽箇訴には土壌改良剤を施用します。4番目に、潮害、風害を防止するため防風ネットを設置します。5番目に、会場周辺の防潮、防風保安林の改良及び修景緑化を行います。
このような育林環境の整備を行い、植栽木が健全に成林するように努めていく考えであります。
それから、同じく全国植樹祭について、不発弾の処理対策はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
全国植樹祭会場の糸満市字米須・山城は、去る大戦の激戦地であったことから不発弾が埋没しているおそれがあります。したがいまして会場造成に当たっては、不発弾磁気探査を実施し、造成工事の安全を期していくべく最大限の努力を傾けたいと思っております。
それから、植樹祭終了後の跡利用計画はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
全国植樹祭会場周辺一帯は、さきの大戦において多くの戦禍をこうむり、豊かな緑がことごとく荒廃し、いまだに復元が見られない状況にあります。全国植樹祭を契機に失われた緑を取り戻し、生活環境の緑化を図ることなど、より一層の森林整備を図ることは重要なことと認識しています。
このようなことから、全国植樹祭会場跡地は、多くの県民が自然に触れ合う森林公園として整備するとともに、南部地域の緑化モデル地域として位置づけ、平和祈念公園との一体的かつ総合的な整備を図ることにしております。
次に、知事訪米の際の重要要請事項は何かと、それからこれまでの折衝経過を分析し、新たな観点から要請する必要があると考えるが、対米折衝の基本的な態度はどういうものかと、その際、アメリカのアジア太平洋地区での米軍削減計画の中身や、沖縄基地の将来像についてもただす必要はないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
今回、計画している訪米においては、特に地域の振興開発上必要な施設区域の整理縮小を重点に、そのほか基地から派生する諸問題について米国政府やマスコミ等に訴え、広く理解を求めていきたいと考えております。
また、可能な限り、アメリカのアジア太平洋地区での米軍削減計画の中身や、沖縄基地との関連についても聞いてまいりたいと思っております。
これまでも私は、アマコスト大使、それから4軍調整官、さらにはアメリカから参りました軍の高官などに対しまして、今御指摘のアジア太平洋地域での米軍の削減計画につきましては繰り返し質問をしているところでございます。
次に、基地、平和問題との関連で、軍用地転用促進特別措置法要綱案について、県が策定する軍転特措法要綱案の要点とその実現の対処策について、返還軍用地の総合的な跡利用計画の策定について、防衛施設庁と約束した連絡会議等について、こういった内容の御質問でございましたけれども、一括してお答えをさせていただきます。
県は、駐留軍用地の返還及びその跡地の総合的かつ計画的た有効利用を促進するため、法律的な施策体系による特別た措置が必要であるとの観点から、軍用地転用促進特別措置法(仮称)案に盛り込む内容について去る6月25日、沖縄県軍用地転用対策審議会に対して諮問したところであり
ます。
軍用地転用促進特別措置法(仮称)案に盛り込む内容は、およそ次のとおりでございます。1番目に、国の責務として駐留軍用地の整理縮小の促進を図るための必要な施策の実施、2番目に、返還合意のあった駐留軍用地について計画的な返還を内容とする返還実施計画の策定、3番目に、返還に際しては周囲の状況に応じた合理的な土地利用が図られるための必要な措置、4番目、返還が合意された駐留軍用地への事前の立入調査を認めること、5番目に、返還が合意された駐留軍用地について土地利用計画に即した総合整備計画を策定すること、6番目に、跡利用事業を促進するための行財政上の特別措置を講じてもらうこと、7番目に、地主の受ける経済的損失についての適切な補償をしてもらうことなどでございます。
なお、今後は、本制度の実現を目指し、関係省庁に対し要請活動を展開していく考えでございます。
次に、今年度中に沖縄県軍用地跡地利用基本計画を策定し、それに基づき市町村の跡地利用計画の策定を促進していく考えであります。
なお、お話の連絡協議会の設置については国の動向を見守っているところでありまして、県としましてもその早期設置を求めていく考えであります。
それから、平和行政の推進について、沖縄県国際平和創造の杜都市構想の実現に向けて対策室を設置して検討を進めたらどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
御案内のとおり、6月18日に沖縄県国際平和創造の杜都市構想をすすめる会から、本構想の実現方について要請を受けております。
私は、沖縄戦の教訓及び戦後の苦難に満ちた体験を踏まえ、より平和で豊かな社会を希求する県民の心を原点にして、平和な沖縄県づくりを推進することが重要であると考えております。したがって、第3次沖縄振興開発計画大綱においても、本県の振興開発を進めるに当たっては、個性豊かな文化の創造と平和社会の創出等新たな飛躍を目指すことなどを基本方向として位置づけております。
このような観点から、沖縄を平和の発信地として国際平和文化活動、交流、研究の新たな拠点形成を目指す本構想の推進については、提言していただいた趣旨を十分に踏まえ、積極的に取り組んでまいる考えであります。
それから、基地の影響調査は必要ではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
県民生活に直接影響があると予想されること、例えば騒音、油漏れ、原潜寄港時の放射能等の調査は、国、県並びに各市町村等で行っているところであります。
御提言の影響調査については、県として現行の調査に加えて今後どの分野の調査が必要であるか等を検討しているところであります。
次に、沖縄海外漁業株式会社について、解散または破産の手続を急ぐ責任があるが、いつまでに手続をとるつもりかという趣旨の御質問にお答えいたします。
県としましては、会社の現状からしてその再建は極めて厳しいとの判断から、これまで整理清算をする方向で指導してきており、会社としても基本的には整理清算する方針であると聞いています。
なお、具体的な整理清算の時期及び方法等については現在検討中とのことでありますが、近い将来明らかになると考えております。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
午後5時31分休憩
午後5時53分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
喜納昌春君。
〔喜納昌春君登壇〕
○喜納昌春君 こんばんは。
平成3年の第4回定例県議会に際しまして、沖縄社会大衆党県議団を代表しまして所見、所感を交えて質問を行いたいと思います。
大田知事におかれましては、昨年12月10日の知事就任以来、山積しかつ直面するもろもろの県民的課題に対する待ったなしの行政対応を初め御努力を傾注されていることに対しまして、心から敬意を表するものであります。
就任以来、わずか満6カ月余の期間にもかかわらず厳しい判断を求められた課題が余りにも多かったと言えましょう。
1つには、差し迫った中での第3次振計(仮称)の策定に向けての大綱案づくりがありました。
2つ目には、公約実現に向けての執行体制づくり、なかんずく三役体制の確立も急務とされながらも、少数与党の中で思うようにいかない厳しい状況も今日まで強いられてきました。
3つ目には、大田県政になって後、その反基地、反戦平和行政の公約に対して挑戦するかのように頻度を増す演習の激化、米軍基地機能の強化に対する歯どめの行政も切迫したものとして求められてきました。
基地問題に対する前自民党県政との対応の明確な違いは、相変わらず激化する演習や基地被害に対し、副知事や知事公室長を迅速に現地や関係機関に派遣をして県民の生活と命を積極的に守る姿勢を見せ、貫いている点にあることを、我が党としては強調し高く評価するところであります。
就任6カ月間余の大田県政の切迫した県民課題に対する真蟄な対応と苦渋には胸を打たれる面もありますが、大田知事を支え21世紀に向けた新しい沖縄県づくりのためにと、第1に「平和憲法を暮らしに生かし、アジア諸国及び国際平和に貢献する県政にします」の柱以下13本の大きな柱と116項目に及ぶ公約の行政での実現を目指して、どんなに国や米軍の厚い壁があろうとも、地方自治の県政そのものが民主主義を底辺から支え、具現し、公平、公正な心豊かた文化県政を県民のために実現し保障し得るとの信念に立って我が社大党も大田知事とともに頑張り抜く決意であります。
判断や決断で混迷する場合には常にちゅうちょなく公約、政策の原点に立ち戻って県民大衆と苦悩を分かつ気持ちで県政執行に当たっていただきたいことを強く要望申し上げまして、さきの我が党の決意を表明しまして通告しました事項につきまして大田県政の取り組み、考え方、そして今後の展望について御質問をし、見解を求めていきます。
なお、3点目の消費税については時間の関係で次回に譲りますので、よろしくお願いいたします。
最初に、基地問題の取り組みについて御質問します。
全県民参加による「戦没者の霊を慰め平和を願う日」の6月23日慰霊の日が終わるや否や、アメリカ軍は、今定例会の開会された6月25日から3日間、県道104号線を封鎖しての実弾射撃演習を、県当局や県民の反対の声を押し切って強行してきました。
また、読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練等は、訓練頻度が高まるばかりで、去る6月11日には今まで嘉手納基地内で小規模で行っていた滑走路偵察訓練を初めて読谷補助飛行場で規模を拡大して行う計画など、返還が合意されたはずの同基地がますます頻繁に使用される矛盾さえ出てきています。
4月22日には、これまた私たちの反対の声を押し切って恩納村キャンプ・ハンセン演習場の都市型戦闘訓練施設を使った射撃訓練が強行再開されています。
一方、嘉手納飛行場には4月26日、経由目的か訓練目的か不明の中で岩国基地所属の戦闘攻撃機FA18ホーネット機など29機が飛来し、住民への爆音被害を拡大している状況があります。
さらに6月13日には、フィリピン・ルソン島中部のピナトゥボ山が大噴火した影響で、火山に近いクラーク空軍基地から避難してきたと言われる米軍機A4スカイホーク攻撃機など20機以上が飛来してきて、爆音による町民生活の不安や被害が増大の一途にあります。
米ソの緊張緩和ムードが高まる中で、また中東湾岸戦争が終結した今日、平和志向の国際的な流れとは無関係に本県における米軍基地での演習訓練は激化する一方であります。県民を愚弄した七不思議の一つと言わねばなりません。
中東湾岸戦争では、在沖米軍基地は県民の反対の声や願いが無視され、国際的戦争において三たび出撃基地として戦争に加担する役割を強いられてきました。在沖海兵隊員約3000人が中東に出動し、そのほか兵たん補給の役割も果たすことを強要されました。戦場からの帰還兵が往々にして風紀素乱をもたらし、県民生活を不安と恐怖に陥れる現実は否定できず、昨今の沖縄市における米軍人関係による連続殺人事件もその例に漏れず、異常な許しがたい基地被害であります。
ちなみに、米軍構成員等による犯罪の状況を警察本部の資料から見ていきますと、平成2年6月現在とことし平成3年6月までの数字で比較してみますと、刑法犯総数が31件――去年の半年間ですが――に対し、ことしは69件と2倍以上の38件増、そのうち凶悪犯で見ると4件だったのが11件、殺人がゼロであったのが2件、強盗が2件に対し8件と恐ろしいほどの増加となっています。
我が国の国土面積のわずか0.6%しか占めない狭い県土の本県の11.1%を米軍施設区域で占め、しかも米軍基地の75%が本県に集中している異常な現実の中で、大田知事が公約の柱の2番目に「軍事基地を撤去させ、戦後処理問題の解決を図ります」と明記し、さらに平成3年度大田県政の重点主要施策において4本の柱の中の3番目に「基地問題」を据えて、「本県における広大な米軍施設の区域は、県民生活の影響はもとより振興開発を進める上で大きな制約となっている」として県政の重要課題として位置づけ、米軍基地の返還及び大幅な整理縮小を要求していくことが強調されています。
そこで、大田県政の施策の中でとりわけ重要な基地行政について以下の質問をいたします。
第1点目には、昨年に比べて著しいほど米軍基地関係の治安の乱れが顕在化しておりますが、この原因の調査と取り締まり状況はどうなっておりますか。また米軍人の綱紀の粛正を厳しく求めるべきと考えますが、県の対応はどうされていますか見解を求めます。
2点目には、県は、ことしの3月に軍転協から返還要請のある宜野座村等10市町村の12施設16カ所の米軍基施施設区域1078万1000平方メートルの返還と都市型戦闘訓練施設の撤去及び県道104号線封鎖による実弾射撃演習訓練等の廃止、その他航空機騒音等基地にまつわる事件、事故の未然防止等4項目にまとめて外務省や防衛施設庁及び米国大使あてに要望書を提出されたと思いますが、それに対する国及び米国の回答はどうなっておりますか。また、この要望に関しての県の再度のアクションはどうされておりますか。
3点目には、米軍基地問題の解決に向けての訪米の計画とその具体的な要請内容、行動日程はどうなっておりますか。これまでの訪米とはかなり違った視点と手法が必要だと思われますが、そのことについての御見解を承ります。
基地問題で、就任6カ月余で最も苦渋に満ちた選択を迫られた軍用地の強制使用に関する公告縦覧代行問題について所感を述べて3点にわたる質問をいたします。
このことに関しましては、私ども社大党は一貫して大田革新県政の根幹にかかわる重大な問題で、反基地、反戦平和の立場に立ち、また軍用地の全面的な撤去を公約に掲げている立場の面からも、断固拒否をしてもらいたいと主張してまいりました。しかしながら、対政府とのこの問題に関してのやりとりの時間的切迫の中で、5月28日、大田知事は公告縦覧代行の態度を表明されました。我が党の立場からすれば極めて遺憾と言うべき大田県政の政治判断でありました。
代行問題が防衛施設局から県に出された2月12日以来、大田県政とその支持母体である我々革新政党と民主団体との連携や共闘の構築の努力が積み上げられてきました。だが、それ以上に執拗をきわめたのが県への代行を求めるための政府・防衛施設庁の大田県政へのあめとむちを使い分けての揺さぶりだったと言えるでしょう。
大田知事は、基地のない沖縄をつくるのが私の公約、ただ反対では基地問題は前進しないと述べ、行政としては1歩後退2歩前進という姿勢や選択もあり得るとし、長い目で見てほしいとの立場に立っての代行表明となったわけでありますが、我が党としては諸矛盾の集約化された沖縄の現実の中でとられた大田知事の行政判断については、一定の理解を示しながら代行に至った政府との基地問題の前進のためのやりとりと今後の政府の対沖縄施策、とりわけ国会で断続審議中の軍転特措法への国の対応等について厳しく監視をしていくつもりであります。
そこで、代行問題に関して以下の質問をいたします。
1点目は、2月12日に防衛施設局から要請のあった軍用地強制使用に向けての広告縦覧の代行について、軍用地の強制使用には反対という公約、立場は堅持するとしながら、なぜ代行に踏み切ったのか。
2点目には、大田知事が代行拒否の態度から代行表明に転じた背景と、その際の軍用地の返還のあり方、跡利用などについて国と交わした合意事項はいかなるものですか。また、国に履行させることへの方策と展望についての御所見を賜りたい。
3点目には、代行問題では3万人余の契約している軍用地地主の皆さんの軍用地返還の目標に向けての協力を得ることを優先したと言われておりますが、その協力は得られたと考えるのか。
また、契約拒否地主の皆さんの、いかなる根拠で私たちの土地を了解なしに取引材料にしているのかの率直な疑問と怒りの声に知事は今後どう対応されていくか、お考えをお聞かせ願います。
次の質問に移ります。6月23日慰霊の日と平和行政についてであります。
一度は県民の休日としての位置づけを廃止されようとした本県独自の6月23日慰霊の日が、県民運動の高まりの中で本県議会も党派を超えた決議をしながら地方自治法の再改正を実現させ、引き続き存続させることになってのことしの6月23日慰霊の日は、特段の歴史的な意味と重さを持つものでありました。
隔週週休2日制の導入に伴う地方自治法の改正は、当初、都道府県における一切の独自の休日を認めないとする地方自治の精神をも否定する内容のものでありましたが、この全く課題を異にする法律改正で、6月23日慰霊の日の県民の休日が廃止されるということは納得いかないこととして、県遺族連合会を中心とするすべての民主団体、県民の力で、真に中央からかち取った地方自治のシンボルとも形容すべきのが今回の6月23日慰霊の日でした。
我が党は、この日本における唯一の地上戦を体験した県民が、40有余年を過ぎようとする時の経過の中で、ややもすると風化し忘れ去られるのかと危惧される戦争体験と反戦の誓いとしての6月23日慰霊の日の県民の休日廃止の危機を見事に乗り切り、再び県民の休日としてかち取った県民の良識と力、歴史の教訓に対する思いの深さに心からの誇りと称賛の念を禁じ得ません。沖縄の人は、沖縄に生きる人々は立派であります。こうした経過を経たことしの6月23日慰霊の日が、例年とかなり違った思いですべての県民の心に投影されたことは言うまでもありません。
県が6月23日慰霊の日を戦没者の霊を慰め平和を願う日として摩文仁の平和祈念公園前での沖縄全戦没者追悼式を中心にその前日、後日を含めて3日間を「6・23沖縄平和祭パルイン沖縄(平和友好愛)」として開催した企画に心から賛意を表するものであります。後夜祭の盛り上がりはいま一歩という反省が出ていますが、私は、前夜祭や当日の追悼式は県民の関心の度合いも高く、参加状況もいつになく盛り上がり、厳粛の中に反戦平和の誓いが深くにじみ出たすばらしいものだったと高く評価するものであります。大田知事の平和宣言も直截的な表現で、聞く者の心を打つものであり、歴史にたえ得るすぐれたものと言えましょう。
平和、それは人間にとって崇高至純な願望である。それにもかかわらず人間は戦争の愚を繰り返してきた。平和の中の安逸におぼれたとき、戦争への反省も教訓も風化してしまう。だからこそ平和なときに平和への行動を起こさねばならない。我々は、真摯に平和を追求するとともに、平和を脅かすものへの警戒も怠ってほならない。戦争になってから平和を叫んでもおそ過ぎるのだ。いかなる理由をもってしても戦争を正当化することはできない。我々は、歴史の教訓に学び英知を結集し、平和の創造に努力をする等々、まさに現在の危機的状況を直視し、警鐘を鳴らす格調高いものと言えましょう。
県民の中に反戦の誓いの日として再び大きなうねりを伴い出発した今回の6月23日慰霊の日に、我が党も例年になく力を入れながら那覇市内で、ことしも反戦平和を訴えるキャンペーンを展開してきましたが、全県民的な高揚と各地域における種々さまざまた取り組みを高く評価しながら以下の質問をいたします。
第1点目には、県民の休日として再び位置づけされての6月23日の慰霊の日の県での取り組みの姿勢と市町村との連携による全県民的な行事化の努力はどうされてきましたか。
2点目には、今後、6月23日慰霊の日を反戦平和の誓いの日としての定着と県民的広がりを図る上での取り組みに対する御見解を賜ります。
3点目には、6・23沖縄平和祭行事実施要綱の中に弔旗の掲揚の項が入っており、このことで県民、民主団体に誤解を与えたことは遺憾なことであります。このことに対する今後の対応の御見解をお聞かせ願います。
4点目には、6月23日慰霊の日の翌日の代休の取り扱いで特に学校現場で混乱がありましたが、今後の検討課題だと思われますが、御見解を賜ります。
次に、第3次振計(仮称)の策定の課題について質問いたします。
いよいよ来年平成4年3月31日で期限切れとなる第2次沖縄振興開発計画でありますが、残すところ約9カ月となりました。この時期、いかに具体的に課題を積み上げ継続していくかということで、県においては夜、昼と精力的な検討、努力を展開されていることに敬意を表します。
大田知事は、平成3年度の重点施策として本県の振興開発を積極的に推進し、引き続き格差の是正を図り県民生活の安定と福祉の向上を図るため、21世紀を展望した総合的な施策の展開が必要との視点に立ち、第2章部門別施策の中で、1、個性豊かな地域づくりの推進の(1)で、沖縄振興開発特別措置法の改正延長及び第3次沖縄振興開発計画(仮称)の県案の策定を掲げております。2月12日には、沖縄県振興開発審議会からの第3次沖縄振興開発計画大綱案の建議を受け、それに基づいて県案をまとめ、今日まで国に精力的に第3次振計の策定に向けて要請されている努力に敬意を表します。
1次振計、2次振計のテーマは、格差是正、自立経済発展のための基盤整備に集約できました。この2本に加えて第3次振計の大綱では、広く我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域としての整備を図り、世界に開かれた人材豊かな地域社会の形成を強調しています。
ところで、首相の諮問機関である沖縄振興開発審議会は6月12日、総理府で第28回審議会を開き、今後10年間にわたる沖縄振興開発の理念と課題などを示した最終結果報告を了承するとともに、報告のまとめの部分に当たる1992年度(平成4年度)以降の振興開発の継続策定をとの意見具申書を総理大臣あて手渡したとのことであります。
このことに関連いたしまして以下の質問を行います。
第1点目には、6月12日の首相の諮問機関である沖縄振興開発審議会の最終結果報告と意見具申書の中身を県はどう評価をされていますか。
2点目には、今回の国の開発審議会の最終結果報告と、3月に県がまとめて国に要請した3次振計大綱と比較しての問題点はどこにありますか。
3点目には、第3次振計(仮称)の原案作成に向けて焦点となる基地の全面返還の県民の願いをどう盛り込んでいくお考えか。
4点目には、第3次振計の具体案作成に向けての県の作業日程はどうなっておりますか。また、その進捗状況はどうなっておりますか。御答弁をお願いいたします。
最後に、新石垣空港建設問題について幾つかの質問を行います。
県は、これまで薪石垣空港建設問題で5月の下旬までに建設場所を選定し、8月の1992年度予算の概算要求に事業費を計上し早期着工にこぎつけるための努力を、県と八重山3市町代表で構成されている新石垣空港建設行政連絡会議を中心に、住民や関係団体への資料の配布、説明会、意見発表会、討論会の開催等精力的に展開されてきました。新空港の建設は、八重山郡民の願いであることの理解に立って、八重山の自然環境との調和を図りながら早期の空港建設が実現されることを、我が党としても願っているところであります。
大田知事は、これまで建設場所の選定に向けて八重山郡民の皆さんに可能な限りの資料をオープンにしながら合意形成に努めてきましたが、その作業が当初の予想どおりいかず苦悩を強いられている状況を遺憾に思います。
そこで、新石垣空港建設の場所選定の合意づくりの促進に向け幾つかの質問をいたします。
第1点目には、新空港建設場所選定に向けての説明会等を一通り終わったわけですが、終わって後の場所選定に向けての一連の取り組みについて県はどう評価をされていますか。
2点目には、新石垣空港建設行政連絡会議での候補地の取りまとめは結論が出ていない状況にありますが、候補地の取りまとめは当初から同連絡会議でやっていくお考えだったのかどうか。また、今後どのように建設場所を取りまとめていくお考えかお聞かせ願います。
3点目には、建設場所は最終的には大田知事の決断になると考えますが、その際の最大の選択基準は何ですか。
4点目には、今の状況で1992年度の予算の概算要求は困難視されていますが、実際のところどうなんですか。1年先送りすることを決めたのかどうか。ぎりぎりまで努力すべきと思いますが、御見解をお聞かせ願います。
5点目には、空港の候補地の一つであるカラ岳東案について環境アセスとか基本計画等の公開をするとのことでありますが、どのように、いつごろ公開するのかお聞かせ願います。
6、他の残った候補地については環境、農業、文化財などの各種調査をするとの考えが示されていますが、調査に当たっては広く県内外の有識者、専門家をメンバーとする配慮が必要と思われますが、このことに関しての御見解を賜ります。
以上、よろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 喜納昌春議員の御質問にお答えいたします。
まず最初の、米軍人の綱紀の齋正を求めるべきだが、県の対応はどうか、見通しはどのようなものかということでございますが、去る4月16日と6月4日及び6月25日に、副知事から米軍に対しまして綱紀の粛正について申し入れてきております。また、知事公室長も繰り返し繰り返し米
軍の責任者を訪ねまして、綱紀粛正について厳重に対応するように申し入れをしているところでございます。
次に、県はことし3月に、沖縄における基地問題の解決に向けて要望書の形にまとめて外務省や防衛施設局、米国大使あてに手交したはずだが、各関係機関からの回答はどうなっていますかと、また、この要望に関しての県の再度のアクションはどうしているかという趣旨の御質問でございますが、お答えいたします。
要請いたしましたけれども、要請先の国及び米国大使館等においてそれぞれ検討されていると理解しておりますが、まだ回答は受け取っておりません。
なお、再度の要望につきましては、必要に応じて行うとともに、訪米の際には私から米国政府の関係者に対し直接訴えていきたいと考えております。
それから、米軍基地問題の解決に向けての訪米の計画とその具体的な要請内容、行動日程はどうなっているか。これまでの訪米とはかなり違った視点と手法が必要だと思われるが、どうかという御質問にお答えいたします。
沖縄における基地問題の解決を図るため、7月19日から8月4日にかけて訪米する予定であり、その際、米国政府関係者等に働きかけたいと考えております。
要請は、基地の整理縮小や事件、事故の防止等を中心に幅広く訴えたいと考えておりますが、具体的な内容については目下、詰めているところでございます。
今回の訪米においては、特に沖縄の基地の実態を理解してもらうため、米国のマスコミ等に対する働きかけを行っていきたいと考えております。
なお、基地問題につきましては、今後とも繰り返し繰り返し訴える必要があるので、ワシントンに県の事務所の設置をする必要はないのか、またその可能性について検討していきたいと考えております。
それから、知事は軍用地強制使用に向けての公告縦覧の代行について、軍用地の強制使用には反対という公約、立場は堅持するとしながら、なぜ代行に踏み切ったかという御質問にお答えいたします。
私は、米軍用地の強制使用には反対の立場を表明するとともに、本件公告縦覧の代行にも拒否したいとの立場をとり続けてきました。
しかしながら、同時に県行政の責任者としての立場からは、基地問題の解決のための考え方は考え方として、現実的に実際に効果のある方策をも考える必要があり、また基地問題以外の行政課題にも停滞を来さないよう配慮する必要がありました。
こうした観点から、公告縦覧の代行に最終的には踏み切った次第でありますが、あえてつけ加えさせていただきますと、沖縄の抱えている基地問題の解決には地主の合意というものが何としても必要でございます。そのために地主に安心して返還に賛成してもらうために補償措置というものを制度的にきちっとしていく必要がありまして、そういった問題も今回私が代行に踏み切らざるを得なかった一つの重要な理由でございます。
それから、知事が代行拒否の態度から、代行表明に転じた背景と、その際、軍用地の返還のあり方、跡利用などについて国と交わした合意事項はどのようなものかと。また国に履行させることの方策と展望は、どんなものかという御質問にお答えいたします。
公告縦覧を行うことを決めた際、防衛施設庁長官の発言要旨は、次のとおりであります。
「沖縄県における基地の整理縮小については、沖縄県及び県民の期待に応えられるよう懸命な努力を払っていく所存であるが、今般知事から示された誠意に鑑み、昨年6月19日に日米合同委員会で合意されながら未だ返還されていない事案の早期実現及びその他県民から強く要望されている施設・区域の整理縮少を図るとともに、返還に当たっては、より適切かつ計画的た返還、返還予告、返還後の補償、返還後の跡地利用の問題等について、従来の経緯及び県民要望等を十分踏まえ、関係省庁による連絡協議会の設置の検討等、沖縄県を含む関係機関等との密接な連携を図りつつ、新たな措置の実現を図りたい。また、当庁の所掌外の沖縄県からの要望事項についても、その実現を図るため、沖縄県に協力し、関係省庁へ働きかけたい。」ということであります。
したがって私は、今後は国において発言要旨に沿って本県の基地問題の解決が図られていくことを期待いたしております。
また、県としましては機会あるごとにこの発言の要旨が誠実に実行されるよう求めていく考えでございます。
それから、代行問題では3万人余の軍用地主の軍用地返還目標に向けての協力を得ることを優先したと言われるが、その協力は得られたと考えるのか、また、契約拒否地主の、土地を了解なしに取引材料にしているとの素直な疑問と怒りの声にどう対処するつもりかという御質問にお答えいたします。
県は、去る平成3年5月に沖縄県軍用地等地主会連合会から、米軍基地の返還方法並びに跡地利用の促進に関する要請を受けたところであります。
その中で、返還方法についての措置や跡地利用の促進についての措置等がなされ、県土の有効利用を図る方針での基地の返還は大いに歓迎するとされており、県としても今回の公告縦覧の代行を行うに当たっては、地主会連合会から出された意見も十分踏まえて国側に訴えた結果、先ほど申し上げたとおりの防衛施設庁長官の発言があり、私としては土地連など地主の協力関係の素地はつくれたものと理解いたしております。今後とも十分な協力が得られるよう努めてまいります。
なお、契約に反対している地主の方々については、御要望にこたえることができなかったことを大変遺憾に思っており、あらゆる機会に理解と協力をお願いしたいと考えております。
それから、慰霊の日の県の取り組みと市町村との連携による全県民的行事化の努力はどうしてきたかという御質問にお答えいたします。
沖縄全戦没者追悼式は、これまで遺族を中心としての式典が行われてきましたが、ことしは慰霊の日の休日存続が国において認められ、新たな意義が加わりました。
そこで、沖縄戦の歴史的教訓について戦争を知らない世代に正しく伝えるとともに、平和のとうとさを内外に訴える意味で前夜祭、後夜祭を含め3日間の諸行事を実施してきたところであります。
また、市町村との連携による全県民的な行事の実施につきま、しては、ことしは全市町村に呼びかけてまいりましたが、時間的な制約がありまして、糸満市、那覇市の共催にとどまりました。次年度以降は全市町村に拡大し、全県民的な6・23沖縄平和祭として定着できるよう努力してまいりたいと考えております。
2番目に、今後、6・23慰霊の日を反戦平和の誓いの日として定着させ、県民的広がりを図る上での考え方についての質問にお答えいたします。
慰霊の日は、戦没者のみたまを慰めるとともに、人類普遍の願いである世界の恒久平和を希求する日であります。
そこで、戦争につながるすべての行為を否定し、平和のとうとさを内外に訴えるため、今後、6・23沖縄平和祭を全県民的な行事として定着させていきたいと思っています。
次に、6・23沖縄平和祭行事実施要綱の弔旗の掲揚と今後の対応について。
6・23沖縄平和祭における弔旗の掲揚については、戦没者のみたまに追悼の意をささげるということで例年どおり実施してきたところでありますが、これは強制するものではないので御理解いただきたいと思います。
それから、慰霊の日の代休の取り扱いで学校現場に混乱が見られたが、これについては今後の検討課題と思うがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、今回、慰霊の日の振りかえ休日との関連で、学校現場の給食の取り扱いをめぐって一部に混乱が見られたとの報道がありました。これは、6・23の慰霊の日の前に県においては休日条例を制定したことにより慰霊の日の振りかえ休日がなくなりましたが、市町村において
は休日条例が制定されてなく、従来どおり慰霊の日の振りかえ休日が存続していることにより、県職員と市町村職員の混在する小中学校において職員間の振りかえ休日の取り扱いに差異が生じたことによるものであります。
現在、ほとんどの市町村において休日条例の制定に向けて作業が進められておりますので、今後はこのような事態とならないよう対処していきたいと思っています。
次に、第3次振計策定に向けての取り組みとの関連で、6月12日の沖縄振興開発審議会の報告書の中身を県はどう評価しているかという御質問にお答えいたします。
沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会がまとめた調査審議最終結果報告の中で示された今後の沖縄振興開発のあり方についての基本的な考え方においては、これまでの2次にわたる沖縄振興開発計画の柱となってきた格差の是正と自立的発展の基礎条件の整備の2本柱に加えて、新しい3本目の柱として県の計画大綱で位置づけられた考え方、すなわち、広く我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域として整備を図る方向が新たな柱として提示されております。
この新たな3本目の柱は、21世紀に向けて国際社会への積極的な貢献が求められている我が国の中で、地域特性を生かした沖縄ならではの役割を積極的に果たしていけるようハード、ソフト両面の条件整備を図っていく基本的な方向性が明確に示されたものと評価しております。
次に、今回の国の開発審議会の答申と、3月に県がまとめて国に要請した3次振計大綱と比較しての問題点はどこにあるかとの御質問にお答えいたします。
今回の報告書と県の3次振計大綱とを比較した場合、今後の振興開発の理念においては基本的な考え方が一致しておりますが、基地問題を初め戦後処理問題及び那覇空港の民間専用化問題等、個別の課題については県の計画大綱で示した考え方と相違が見られます。
すなわち、基地問題を解決するための特別法の制定を初め、マラリア犠牲者の遺族に対する国家補償、厚生年金の格差是正など個々の問題に対する基本的な考え方や、計画対象事項としてなじむかどうかなどの議論があり、国との間においてなお詰めていかなければならない問題が残されております。
しかしながら、県としてはこれらの問題は重要な課題として認識しており、県の計画大綱を基本として問題解決の前進に真剣に取り組んでいきたいと考えております。
それから、第3次振計の原案作成に向けて、基地の全面返還の県民の願いをどう盛り込んでいく考えかという御質問にお答えいたします。
大規模かつ高密度に形成された沖縄の米軍施設区域の存在は、地域振興開発上の大きな制約となっていることは周知のとおりであります。
したがいまして、県としては計画大綱に示された基本的な考え方を踏まえて、可能な限り県民の意向に沿えるよう3次振計の県案作成に当たる考えであります。
それから次の質問は、第3次振計の具体案作成に向けて県の作業日程はどうなっているか、また、どのぐらい進んでいるかという御質問にお答えいたします。
第3次沖縄振興開発計画の策定に向けての県の基本的な考え方については、去る3月に第3次沖縄振興開発計画大綱として取りまとめ、私自身が海部総理大臣を初め、沖縄開発庁長官及び各省庁大臣等への要請を行い、御協力と御支援をお願いしたところであります。
第3次沖縄振興開発計画の県案作成の作業については、現在、具体的な事業等についての各部局ヒアリングを終えて、担当者レベルの試案作成作業に取り組んでいるところであります。
おおよそのめどとしては、12月までに沖縄開発庁等国の関係省庁と計画対象事業の調整を図りながら県素案をまとめ、平成4年の1月から3月にかけて沖縄県振興開発審議会に事前審議をお願いし、平成4年の5月ごろまでには第3次沖縄振興開発計画の県案として国に提出していきたいと考えております。
それから、新石垣空港建設問題との関連で、新空港建設場所選定に向けての説明会等を一通り終わったわけだが、終わった後の場所選定に向けての一連の取り組みについて県はどう評価しているかという御趣旨の質問にお答えいたします。
新石垣空港の建設に関する八重山郡民の合意形成を図るために設置した新石垣空港建設行政連絡会議は去る2月14日に発足以来、新空港の建設候補地のあらましを記したリーフレットを郡民に配布するとともに、3月23日の郡民説明会に続き地域別説明会、郡民大討論会、意見発表会等合意形成に係る一連の作業を鋭意進めてまいりました。
このような取り組みの中で、地域別説明会において地域住民の集まりが少なかったり、各候補地に関するデータ不足などから批判もいただきましたが、郡民説明会、郡民大討論会及び意見発表会においては多数の郡民が参加し、多くの意見や問題点を述べていただきました。
このような一連の作業を通じて、改めて新空港の必要性についてコンセンサスが得られたこと。また、各候補地について郡民の意向や問題点が明確になったことなど、今後の合意形成作業の指針が得られたものと考えております。
それから、新石垣空港建設行政連絡会議での取りまとめは結論が出なかったとの報道であるが、候補地の取りまとめは当初から同連絡会議でやっていく考えだったのか、今後、どのように建設場所を取りまとめていく考えかという御質問にお答えいたします。
新石垣空港建設行政連絡会議において取りまとめ報告説明会のあり方で、地元市及び町と県の委員とで意見があわず、取りまとめ報告説明会が延期されております。
もともと行政連絡会議は、地域住民の合意形成を図るための諸問題について総合調整をし、情報交換の場として活用し、その事務の円滑な推進を図るために設置したものであり、候補地を特定する等の行政の意思を決定するための機関ではありません。
今後、建設位置については、これまでに取り組んでまいりました一連の作業を踏まえて、具体的に提案のあった候補地について概略調査設計等の基本計画調査、動植物生息調査等の環境現況調査、土地改良、畜産振興計画等の関係機関との調整などを行う一方、カラ岳東側案については環境影響評価等の資料公開を行い、各案についての問題点を整理検討し、論議を積み重ねる中で決定してまいりたいと考えております。
建設場所は最終的には大田知事の決断になると考えるが、その際の最大の選択の基準は何かという御質問にお答えいたします。
新空港の建設位置は、八重山郡民の合意を踏まえて決定されるものでありますが、用地等地権者の同意、環境問題等との整合性など、可能な限り早期に円滑な事業の執行が見込める場所でなければならないと考えております。
それから4番目の、今の状況で1992年度の予算の概算要求は困難視されているが、どうなるのかと、1年先送りすることを決めたのか、ぎりぎりまで努力すべきと考えるが、見解を聞きたいという御質問にお答えいたましす。
新石垣空港の建設位置については、これまで進めてまいりました一連の合意形成作業の中で明らかになった各候補地についての多くの意見や問題点を整理検討した上で決定する必要があると考えております。したがいまして、平成4年度の国庫予算要求については極めて厳しい状況にあると考えます。
しかしながら、新空港の早期建設に向けて引き続き地域の合意形成が図られるよう最大限に努力をし、事業推進が円滑にできる状況が整い次第、国に要求したいと考えております。
次に、空港の候補地の一つであるカラ岳東案について環境アセスとか基本計画とかを公開するとのことであるが、どのように、いつごろ公開する考えかという御質問にお答えいたします。
資料等の公開については、カラ岳東案の問題点の整理検討を行うために空港基本計画、環境影響評価及び設計槻要等の関係資料を公開したいと考えております。公開の時期及び方法等については、現在、部内で慎重に検討しているところであります。
それから、他の候補地については環境、農業、文化財などの各種調査をするとの考えが示されているが、調査は既存の利用した機関を使わずに、広く県内外の有識者、専門家をメンバーとする配慮が必要と思われるがどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
候補地等における各種の調査につきましては、御指摘のとおり専門的分野も多いことから、御提案の趣旨も参考にさせていただきたいと思っております。現在、慎重に検討しているところでございます。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 与那嶺盛男君。
〔与那嶺盛男君登壇〕
○与那嶺盛男君 御苦労様でございます。干ばつでみんなしおれたような顔をしていますが、元気を出していきましょう。
新政クラブを代表しまして、沖縄農業の現況と課題について所見を述べながら申し上げたいと思います。
その前に、日本農業に触れます。
今や我が国の農業は、厳しい試練に直面いたしております。御承知のように農畜産物の自由化問題、貿易摩擦に始まりまして、あるいは国際協調の名のもとに財界や政界の中には主食であるところの米の輸入もやむを得ないというような雰囲気になっております。
そのようなことから、きょう、全国の農業関係の方々5万人余が東京ドームに集まりまして、日本の農業を守り、米の輸入自由化絶対阻止の一大運動を展開いたしております。
地球上の人口は55億人と言われていますが、あと60年には100億人に達するであろうと。そうなりますと食糧は不足し、奪い合いになるだろうというような予測さえされております。
せんだってのマスコミによりますと、アフリカの方では大干ばつによりまして3000万人余の人々が飢餓に直面し、FAO(国連食糧農業機関)の方では、先進諸国に対しまして食糧の緊急援助の要請を行っております。
人口の多い中国やインド、パキスタンあるいはソ連などでは食糧の確保に苦労している現況でございます。強いて食糧の輸出能力があるとするならばアメリカやカナダ、あるいはオーストラリア、アルゼンチン、ECの一部でこざいます。
日本は、農産物の自給率は50%を割っております。長い歴史の流れから考えますならば、一時的に経済大国になったとうぬぼれておりますと、行く行くは金さえあれば食糧は入るというような甘い考え方は、やがては民族の危機にまで直面するだろうと思います。
したがって、食糧は外国にゆだねることなく、みずからで賄うのが筋であると。安全性からも、あるいは環境保全からも、自然の摂理からもみずから確保すべきであると思うのでございます。
2番目に、本土においても農業後継者の不足、高齢化などが深刻な状態でございます。
せんだって、長野県から1通の手紙を受け取りました。長野県は全国でも農業の最先端の県でございますが、最近、長野県の中野市という非常に優秀な地域がございますが、後継者が育たず、長い伝統のあった農業をやめる方々が続出しているということを普及員はしたためてありました。
去る3月24日の全国農業新聞の論説によりますと、平成2年度の一類の中央卸売市場――100万都市の市場でございますが――では、野菜の平均価格が267円になったと。そして対前年比21%のアップだと言われています。これは異常気象もあるかもしれませんが、農村の高齢化と人手不足、そういう構造的な問題だと。市場筋では、四、五年しますとキロ400円、場合によっては500円になるだろうと。そして今全国にはダイエーとか、あるいは西武みかいないわゆるチェーンストアというのが135ございますが、彼らとしましては、みずからの野菜を確保するためには直接産地に乗り込みまして、幾らで買うという指し値によりまして契約栽培の時代に入るだろうというふうに報じております。
もし、そういう時代がまいりますと、いよいよ沖縄農業の出番かなということを考えるものでございます。なぜならば沖縄は全国一失業率が高くて、また若者は地元志向で、そういう若者がいっぱいおるからでございます。しかし沖縄農業の現況も御多分に漏れず、高齢化と後継者不足が同じように進行しております。
そういうことを考えますならば、思い切って農業戦略を立て直す必要があるんじゃないかと考えるものであります。
ちなみに、沖縄農業の現況を分析しますと、約6万8000名の農業従事者がおりますが、60代以下が50%、以上が50%という状況がございます。
これを大体の割合で見ますと、20代、30代、40代と若い方々が花をつくり、あるいは施設園芸をやっています。50代から60代の前半の方々が野菜をつくり、畜産、あるいは果樹というふうにやっております。サトウキビをつくっている方々とか、パイナップルをつくっている方々はおよそ六十四、五歳以上の御年輩の方々が頑張っているというような現況でございます。
沖縄のサトウキビは、350年の歴史があり、耕地面積の約60%、3万1000ヘクタール、農家戸数の80%、約3万世帯がキビをつくっており、沖縄の基幹作物として位置づけられています。
しかし1戸当たりの生産量は、ことし120万トンを3万世帯で割りますと約40トン、金額にしまして80万円でございます。そうなりますと、今は高齢者の方々や、あるいはサラリーマン、日曜農業といいましょうか、その方々がキビをつくっているという現況でございますが、今後とも沖
縄農業を引っ張っていけるかどうか大きな問題が今惹起しております。
その二、三を申し上げますと、まず、生産農家の高齢化によって収穫放棄がふえております。大東島ではトン当たり3000円ぐらいで、いわゆるハーベスターなんかの機械化で請け負っておりますが、沖縄本島ではトン当たり8000円や1万円でも請け負ってくれるのはおりません。このまま
では土地改良地域でさえ栽培放棄が出てくるんじゃないかと懸念されます。
そのためには、農協や製糖工場、市町村が一緒になりまして機械化によるところの農作業の受委託ができるかどうか、それがキビ作が存続するかどうかの大きな課題だと思います。
2番目に、沖縄の糖業を維持するためには、外国から入ってくる砂糖はトン当たり3万5000円から4万円で入りますが、沖縄の砂糖は25万6985円で買い取っております。しかも離島の分蜜糖を支えるためには、年間13億円の臨時糖業助成措置によって成り立っていると、いわば国の政策によってのみ成り立っているという現況でございます。
次に、一時は200万トンもあった原料が、ことしは120万トンに減ってまいりました。当時は製糖工場の操業日数も100日から120日ございましたが、今は55日ごろから60日で終わります。そうなりますと、生産農家の負担が大変でございます。人も雇えません。なぜならば製糖期になりますと花が出るし、野菜の出荷がありますので、生産農家は結局はやめていくような現況でございます。そのためにはもう思い切って製糖工場の再編と申しましょうか、統合等も考えなければならない時期に来ているんじゃないかと思います。
このようなことを申しまして、県としましては、沖縄の糖業をどのような認識に立ち、今後どのような対応策がおありでしょうかお聞かせ願いたいと思います。
私は、沖縄農業の将来は、施設を中心とするところの園芸作物の振興以外にないものと考えます。さっき申しましたようにサトウキビは3万人で約240億ですが、花は2316名で167億の生産でつくっております。それから考えまして、今後は園芸作物を強化しなければならないと考えます。
鹿児島県では、前の鎌田知事を中心にしまして、与論島から沖永良部、薩摩半島、大隅半島に至るまでの地域をリレー方式でもちまして400億円の産地を目指し達成しつつあります。
また、せんだって群馬県では、県知事みずからが市場に参りまして東京の市場関係者を集めたのでございます。なぜならば、千葉県や茨城県に比べて、どうも群馬県の野菜の評価がよくないと。どこに原因があるかということを説明を求めましたら、市場関係者から、知事、これは知事に説明するよりは、指導者であるところの普及員を10日ぐらい市場にぶち込んで体験して覚えさせてくださいということを申し上げましたら、知事は早速200名以上おるところの普及員を全員10日間ずつ東京の市場に張りつけたと。
そういうことで、市場側は言うてみたものの、これだけの普及員の宿舎から何やら大変だったということを今でも語りぐさになっています。
問題は、そのぐらいの熱心さがあって、県がやる気があって初めて産地はつくれるということを申し上げたいわけでございます。
大田知事に申し上げたいことは、沖縄園芸振興のためにはぜひとも取り上げていただきたいことを3点ほど申し上げたいと思います。
1番目には、農業試験場の機能を充実し、強化することでございます。
以前は、戦後は農業試験場は与儀にありました。今、知事公舎がある所の宮城森は、かつては試験場の研修所であり、会議室でございました。昭和36年ごろ、この市場が都市化したのと狭くなりましたので、それを今の首里の崎山町、真和志の真地、南風原の新川に約10万坪の敷地を確保して移しております。あれから30年になっています。
当時、反対運動があったのを、沖縄農業のためだからあなたの大事な土地を売ってくださいと、譲った方々は後悔しています。なぜならば、当時、売らなかった方々は、きれいな2階建ての家をつくり、アパートをつくっていますが、土地を売った方々はドル時代に安く売っていますので、今、豆腐づくりなんかをやっておりますが、本当に今の農業試験場は、地域農業のためになっているかという疑問を持っているからでございます。
もちろん、試験場の方々は一生懸命努力しておりますが、そばから見た限りにおいてはサトウキビがいっばい入っている形で、沖縄の農家が余り来ておりません。
それを考えていきますならば、私は、最初の目的どおり、これからの戦略として引っ張っていけるところの園芸部門をここに移して、農家の方々が足しげく通い、そしてそれを見ながら感動し、若者がこの試験場で宿泊研修でもして農業をマスターするぐらいの試験場にやっていただきたいと。
そのためには、すべての予算とすばらしい技術員を張りつけて試験場をもっと強化して、亜熱帯の中での沖縄の試験場というものに強化して初めて沖縄の農業は発展するものと、そのように期待するものでございます。
知事はハード面からソフト面への充実が重要だと申しておりますが、農業分野でもまさにそのとおりでございます。毎年、基盤整備に二百数十億もかけていますが、農業をする者がいなくなったら意味ないんです。そのためにも、その辺を十分に考えていただきたいと思います。
また、生産農家や農業団体では、新しい品種や技術を求めて台湾や東南アジア、ひいてはヨーロッパ、あるいはオランダのアールスメアまで出かけて一生懸命に勉強しております。
ところが、県の農業を指導するところの第一線の普及員や試験場の技術表の方々は、予算の都合とはいえ外国で勉強する機会はございません。そこで生産農家の方々が外国農業の話や向こうの写真を見せて説明をしてみせますと、ため息とあせりだけでございます。
私は、これからの農業を引っ張っていくためにも、意欲のあるところの優秀な県の技術員をどんどん海外にも出して、地球の裏側からでも沖縄に適したオリジナル商品を見つけさせてください。
知事、とにかく現場の若い技術員の声を直接聞いて、行政に反映させてぜひとも取り上げてくださるようお願いします。
最近の施設園芸では、養液栽培の普及で目覚ましいのがあります。知念や西原、あるいは名護等で始まっているところの水耕栽培、あるいは屋我地でやっているところのハイポニカ栽培、水耕でございます。あるいは南部でやっているところのロックウール栽培とか、いわゆる養液栽培でございます。それが非常に普及されております。
また最近、注目を集めているのが、琉球大学で研究された、そして農技協が取り入れたイスラエルの点滴かんがいと合体させたところのPGT、砂耕栽培でございますが、これは水耕栽培と土壌栽培との中間でございますが、宮古の方ではメロンをつくり、北部ではトマトやキュウリをつくり、中部の方ではネギなんかを約1000万農家が出ております。南部でもランをつくったり、新しい園芸に取り組んでいますが、とにかくそういう新しい農業も試験場でぜひとも一緒にやってもらいたいと。
試験場に行きましたら、もうメロンでもわずか、3つも4つもつくっておりません。そういうこともぜひやっていただきたいと思います。
私は、愛知県にありますところの農水省の施設園芸試験場に2回ほど行きました。向こうには田中和男という主任研究員がおりますが、これからの農業は、嫁さんが来るような農業でないといかぬと。そのためにはきれいな農業、安全な農業、もうかる農業でなければいかぬと。そのためにはやはり養液栽培というのはもっと研究すべきであるということを申しておりました。私は最近、実感として受けとめております。
先月、干ばつの被害調査を兼ねまして中南北部の畑を見て回りました。炎天下で疲れ切ったキビ畑の間にかなりのピニールハウスが見受けられます。補助事業によるところの鉄筋ハウスやあるいはパイプハウス、個人でつくったところのトンネルハウスとか、さまざまなハウスがありました。その中にはインゲンとかあるいはメロンとか、いろいろ果菜類をつくっていますが、よく考えてみると、これらのハウスは冬春期用の保温用のハウスでございまして、一回取りで夏場はあいております。
沖縄県の中央卸売市場に行きますと、県内の自給率は野菜は27%であります。もちろん県外出荷も75億ほどやっておりますが、あとは夏場は本土から野菜が200億以上も移入されるというような現況でございます。
それを考えていきますならば、本土は野菜不足になりますので、これからは冬場は暖かく、夏場は遮光なんかを利用して涼しく、年二、三回もつくれるようなハウスを研究しなければならぬだろうと、そういうものこそやはり試験場で全部研究すると。
また、今度は干ばつによって水がございません。糸満に行きましたら、ため池の中に四、五名の農家の方々がホースを突っ込んで一生懸命水を取ったでありましょう。このため池の水がなくなったら、周辺のニガウリ畑は全部しおれておりました。
私は、あれを見たときに、点滴かんがいをもう一遍考え直したらどうかと。スプリンクラーによるところの水のばらまきよりは、点滴かんがいは5分の1で済むんです。
そういうことも、ぜひとも試験場でハウスの研究開発とか、点滴かんがいとか、ああいう新しい技術をやってもらいたいと。
サトウキビも一生懸命やっていますが、それこそ本場の仕事だと思っております。
これについても、ひとつ県の方でこの新しい研究開発について御答弁のほどをお願い申し上げたいと思います。
また最近、バイオの研究やメリクロンの開発等によって新しい技術を取り入れて島バナナやパパイアがあちこちでつくられています。従来のバナナみたいにして親株から分けて植えるんじゃなくして、バイオ苗というのがどんどん普及しております。
私は、特にパパイアについては、専用のハウスを開発するならば、大きな産業になるがなと期待するものであります。それには防潮林や防風対策等もあるでしょうが、バイラスに強い品種の開発等もこれからの課題だと思います。
パパイアは夢のある農業だと思います。それこそ試験場で思い切った予算をかけて、若者につくってみせることが先決だと思います。今の若者は、金銭的にはよくわかります。もうかる農業をやれぱ飛びつくんです。だからパパイア一本から、30キロの実を取って、キロ500円するならば1万5000円になりますよと。1000本うえれば、1500万円になりますというふうにきれいなパパイアをつくってみせれば、おれもやってみようかというような夢がわくわけでございます。
そのほかにもたくさんのトロピカルファームの話がありますが、ここで余りその話をしますと代表質問じゃなくして園芸講座と間違えられますから前に進めたいと思っていますが、とにかく申し上げたいことは、この農業試験場を、本当に沖縄農業が開けるような試験場にしてくださいということを強く申し上げるところでございます。
これについて、知事のこの対応についてお聞かせ願います。
次に、農業高校のあり方について触れておきます。
今春、兵庫県の県立農業高校の入学試験にかかわる答案の改ざん事件がございました。学校長を初め関係した職員が逮捕されるというショッキングなニュースがあらたわけでございますが、それには地元の県議会議員も4名ほどかかわったそうでございます。本土の県議会議員には悪い方がいるなというふうに考えたわけでございますが、しかし一面、そのようにしてまで子弟を農業学校に入れたいようなすばらしい学校があるということは、うらやましく思いました。
そういうことから、本土の有名な農林学校を二、三調べてみたわけでございます。広島県には西条高校というすばらしい学校がございます。また園芸の盛んな宮崎県の高鍋には南九州大学の農学部があるし、そのそばには後継者用の全寮制の農林学校がございます。また愛知県の渥美半島には渥美農業高校という先端技術を入れた農業学校がございます。
平成の初め、3年ほど前に沖縄県で第37回の全国花卉園芸大会を持ったことがございますが、渥美の農協長で愛知県の経済連副会長をしておられるところの高橋さんが見えました。渥美農協だけで100億以上の販売事業を行っております。沖縄経済連に匹敵するような事業量を持っておりますので、あなたのところは営農指導員は何人おりますかと聞いたんです。一人もおりませんというんです。
南風原農協では、約3億ぐらいの野菜、花を扱っても、琉大卒業の営農指導員を2人置いていますから、どうしたことかとさらに聞きましたら、副会長いわくは、農家の後継者は渥美農業高校を出ているからとおっしゃるわけです。そして農業学校を出て、あるいは進学をして普及員の資格を持った方々が農業生産に働き、生産部会をリードしていると、だから農協が営農指導というおこがましいことはやっていませんと。農協は、つくったものの販売と集荷のお手伝いをするだけでありますと言いました。私は脱帽しました。
そこでせんだって、渥美の農業高校に電話を入れまして、教頭先生に電話で聞いたんです。そうしましたら先生いわくは、渥美農高は、渥美半島の渥美町、赤羽町、田原町、豊橋市の一部を管轄にしていますが、向こうの専業農家は、一農家当たり1000万農家だそうでございます、平均が。そこで渥美農業高校の子供たちは、自分たちの時代には1500万の農業を目指すと張り切っていると。だから新しい技術、バイオから、組織培養からいろいろございますが、それを一生懸命取り入れているということを聞きまして、うらやましく思いました。
戦前は、沖縄にも嘉手納農林というすばらしい学校があったわけでございます。そこにも先輩方が二、三名おりますが、それを考えていきますならば、沖縄農業を振興するためには人材育成が必要であります。いま一度農林高校のあり方を検討され、優秀で質の良い農業後継者が育つように農林高校の環境整備と教育方針についてお伺いいたします。
次に、琉球大学の農学部についてでありますが、復帰以前は、沖縄の最高学府として優秀な人材を輩出しておりました。復帰後は国立となって、今農学部においては県出身は30%弱でございます。
私は、琉大の学生の方々と一緒に実習に参加したことがございますが、彼たちと話し合いしていると、沖縄出身や鹿児島、宮崎の子は熱帯農業に関心を持っていますが、中には大阪とか奈良とかから来た方々は、国立大を2回ほど受けたんだが通らなかったので、琉大を受験しました。余り亜熱帯農業に関心を持たない子供たちが半分いるんです。それを私は、琉大の比嘉照夫先生とか泉先生に、せっかく国立として最南端の沖縄の亜熱帯農業の地域だから、半分ぐらいは沖縄県のみと言いたいんだが、大島まで含めて亜熱帯地域の子供たちを50%ぐらいとれませんかと申し上げたら、大学でもそのように考えているが、県からもそのような要請をすれば、我々も文部省に言いやすくなりますよと言っておりました。
もしそれが難しければ、千葉大の方では園芸科の中に別科制と申しまして聴講生の延長みたようなのがございます。そこで研修すれば、農学部の終了証書をもらう制度がありますが、いずれにせよこれからの後継者を育てるためには、琉大の農学部がもっと地域の指導者を輩出するような、生み出すようなことをぜひとも県はやっていただきたいと、かように考えます。
それから、せっかくここまできておりますので農業大学について触れますが、農業大学の子供たちは、私、この前一緒に勉強したわけですが、非常にまじめでございます、思ったより。彼たちは、実習面においても一生懸命に勉強しています。よその県では、農業大学に子供たちはなかなか集まらぬそうですが、沖縄は優秀な人材がおりますので、農業大学ももっと充実させてもらいたいと思います。
最後になりますが、沖縄農業は、やはり沖縄の気候風土を生かした収益性の高い、亜熱帯農業の振興のほかはないと思います。そのためにも、思い切って新しい技術と積極的な県の対応が必要だと思います。
今やらなければ、農業後継者がいなくなる、あるいは農業者がいなくなると、試験場も普及所も、場合によったら農林水産部も要らなくなるんですよ。
そのようなことを考えて、ぜひとも机上の論議じゃなくして、精いっばい、今から発想を転換してもらいたいと。
知事、あなたがその気になるならば、沖縄の園芸作物は1000億円産業になると思いますので、知事のやる気のある力強い答弁を期待しまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 与那嶺盛男先生からいろいろと御指導いただき、ありがとうございました。本当に示唆に富んだ御質問でございまして、聞きほれておりました。
お答えさせていただきます。
まず第1番目に、沖縄糖業についての認識と対応に関する御質問にお答えいたします。
サトウキビは、本県農業の基幹作物として農家経済はもとより、県経済の発展に大きく寄与しているところであり、今後ともその重要な地位は変わらないものと考えられます。
しかしながら、最近のサトウキビをめぐる情勢は、御指摘のとおり生産者価格の抑制傾向や、生産者の高齢化の進行等厳しいものがあります。
そのため、サトヴキビの生産振興につきましては、生産性及び品質の向上を基本に土地基盤の整備と諸施策を総合的に推進していく考えであります。特に、収穫作業の省力化を図るため、収穫用機械の開発普及とあわせて農業機械銀行等の育成強化に努めます。
また、製糖企業の合併については、今後、避けて通れないものと考えており、そのためには当事者間の合意はもちろんのこと、生産者等の意見も十分に考慮した上で合意形成に努めていく考えであります。
続きまして、農業試験場の充実強化について、園芸部門を農業試験場本場に移し、施設も充実させ、農家が積極的に活用できる全国にも誇れる亜熱帯農業のすばらしい農業試験場にしてもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
農業試験場は、農業現場における技術問題を迅速に解決し、行政施策の効果的推進と普及現場への技術支援を担うための実践的技術開発を進めてまいりました。その中にあって、サトウキビやパイナップル等の新品種の育成、ミバエ類の根絶、園芸作物の栽培技術の確立など沖縄農業の発展に寄与してきました。
本県の農業は、ミバエ根絶に伴い、園芸作物を中心とした新しい農業の展開が期待されております。このような新しい農業の動向に対応して、バイオテクノロジーなど先端技術の開発や、その技術の迅速な普及定着化を図り、地域の特性に根差した活力ある農業を誘導支援し得る農業試験場の整備を積極的に推進いたします。
御提言の園芸部門の設置につきましては、新しい時代に即応し得る機能、役割等を明確にして、高収益型農業を確立する視点から農業試験場全体の組織体制の中で検討してまいります。
あえてつけ加えさせていただきますならば、私も研究体制の充実の重要性については十分に理解しているつもりでございまして、せんだっても関係部局と話しております中で、農業試験場の研究体制の強化整備ということを強く要望いたしました。その点はまさに御提言のとおり、全力を傾けて充実させていきたいと考えております。
次に、農業技術者の資質向上を図るためには、農業技術者を積極的に海外に派遣し、外国の先端技術を習得させるべきではないかという御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、本県農業を振興するためには農業技術者の資質向上を図る必要があり、そのためにも積極的に海外に派遣し外国の先端技術を習得させるべきだと私も考えております。
これまでに研究員、改良普及員を中心に農業技術者を年間10人程度海外の農業先進国へ派遣しております。今後とも、農業技術者の中期、長期海外派遣研修を積極的に推進する考えで、目下予算措置などにつきましても慎重に検討しているところでございます。
続きまして、現在、夏場用ハウスの研究開発との関連で、現在の施設は冬春期一作型が主であるが、周年栽培できる施設園芸技術の開発を急ぐべきであると考えるが、どうかという趣旨の御質問にお答えします。
本県の野菜生産は、冬春期の県外出荷を中心に復帰後、急激な伸びを示してきました。しかしながら夏場における野菜生産は高温、台風など栽培環境の厳しいことから、ほとんどが県外移入に頼っている状況にあることは御指摘のとおりでございます。
したがって、このような条件を克服し、周年栽培の可能な施設園芸技術の開発及び有望な品種の育成など高収益型農業の推進に努めているところであります。
続きまして、農林高校と後継者養成について。
農林高校における農業後継者教育について伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県農業の後継者の育成、農業教育の改善充実は極めて重要な課題であると私も認識いたしております。
このため、沖縄県産業教育審議会の答申に基づいて平成元年度から積極的に時代の進展に対応する新しい教育内容の導入や地域産業、生徒の実態に対応するための学科の改編を実施し、人材の育成を図っているところであります。
特に、本県の亜熱帯的特性を生かすとともに、バイオテクノロジー、エレクトロニクス等の先端技術の導入による地域の特性を生かした特色ある学科として北部農林高校には熱帯農業科、八重山農林高校には熱帯園芸科、南部農林高校には園芸デザイン科、宮古農林高校には施設園芸科、中部農林高校には畜産科学科等を設置し、教育条件の整備を図り、農業後継者の育成に努めているところであります。今後とも、学科改編による教育内容の充実を図り、魅力ある学校づくりに努力していく考えであります。
最後になりますが、琉球大学農学部に亜熱帯農業を担う指導者を養成するため、南西諸島出身の50%枠の確保もしくは千葉大学の園芸学部や宮崎大学畜産学科における別科生制度の導入はできないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
若い農業後継者や優秀な指導者の育成は、御指摘のとおり本県農業の振興を図る上で極めて重要な課題であると認識しております。したがいまして、琉球大学農学部に南西諸島出身の学生に対する特別枠の確保や別科生制度の創設については、その措置が可能かどうか大学側とも調整の上、可能な限り御要望に沿うよう努力いたしてまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(平良一男君) 白保台一君。
〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 公明党を代表いたしまして質問を行います。
知事の政治姿勢について伺います。
県政は今、多くの難問を抱えながらも、これらを1つずつ丁寧に解決していくという、大田知事にとっては大変御苦労の多い時期であると思います。
12年という長期、前県政のあとだけに、大田県政に対する期待は大きく広がっております。一層の御奮闘を期待いたします。
さて、政治姿勢について、新石垣空港や渇水対策、またごみリサイクル問題等を取り上げましたのは、島嶼県の持つ重要な問題でありますし、かねがね知事は、それぞれの島がきちっと生きていける、そういう県政を行いたいと、このように語っておられましたので、あえて直面する問題として知事の政治姿勢を伺っていきたいと、このように思います。
さて、第1点は、新石垣空港建設問題であります。
実は昨日6月30日、党の副委員長で、党内の地球環境問題特別委員会の委員長であります我が党の矢追秀彦衆議院議員と同行いたしまして、県が示しておりますところの3案の場所を見てまいりました。
その際、現地の上間所長には日曜日で休日にもかかわらず熱心に説明をいただき、大変感謝をいたしております。
矢追副委員長は、昨日調査を終えて帰るに当たって、開発と自然保護の調和を目指して解決の方法を検討したいと、あるいはまた現地の方々の声が生かされていくようにとも語って帰りました。
我が党は、地元郡民の声が最大限に生かされていく立場から、質問をしたいと思います。
私どもは、一貫して空港建設問題については、人命の安全性を最大のテーマとして取り組んできたのであります。
新空港を建設するに当たって、当然その適地は限られてきます。環境問題もあり、限られた範囲での建設には確かに知事の言われるとおり住民合意が必要です。
ところで、この住民合意に最近、地元の不満や不信の声が多々聞こえてきます。連絡協議会を発足させ、地元の半嶺市長と県の吉元政策調整監を中心として合意に向けて幾度となく住民の声を聞いてきた結果はどうなったのかとの声が正直な声であります。
そもそも地元八重山郡民の大半は、知事の言われた住民合意で空港建設は早くなる、こういうような期待も含めて討論会等、さまざまな会合に応じているのであります。
ところが、地元がカラ岳東で方向がほぽ固まった後の手続に釈然としないものが残ったためであります。地元で聞かされた声をそのまま伝えますと、地元の声を最大限に聞きつつ、県は、県の想定している他の方向へ進めるのではないかと、あるいは地元の声を尊重して、その方向に持っていくためにあえて少数意見も納得させるには、遠回りも必要なのかなという善意の声や、しかし住民合意という以上、出てきた声がこれでしたと明確にまず公表すべきだとか、聞こえてくる一方で、いよいよ新石垣空港は難しいとの悲観論さえ聞こえてきます。
この際、知事の新石垣空港早期建設への決意と早期着工までのプロセスを明確にすべきではないでしょうか。
本日の代表質問の答弁でも明らかなように来年度着工は難しくなった、こういうことですから、ぜひどういう手法で、いつ、どのようになりますというプロセスを明示して郡民の理解を得るべきだと考えます。知事の御答弁を伺います。
第2の質問は、渇水対策についてであります。
これまでも渇水対策について第2のダムと言われる節水こまや中水道、雨水利用、農業用水確保のためのため池等を我が党は提案してまいりました。
去る6月28日にも、6月中に調査した沖縄県全域の問題点を含めて知事に申し入れ、提案をいたしました。
確かに本土復帰後、ダムなどの水資源の開発が急がれてきておりますが、渇水不安は絶えずつきまとっています。島嶼県の先人は、雨水や地下水の利用という知恵を働かせて見事な文化を築きました。
この際、ダム開発は、いずれ限界があるわけですから、本県の気候や地理的条件に合った水資源の確保のあり方を研究していく必要があります。細かい点については一般質問に譲りますが、抜本的、恒久的対策についての知事の決意と現在の取り組みについて伺いたいと思います。
第3に、ごみリサイクル問題について伺いたい。
ごみリサイクル問題については、何とかしなければならないという県民の中に大きな盛り上がりが見えてきております。
我が県本部も、今や会議室等は牛乳の空パック等の倉庫になったような観がします。私どももさまざまな調査を重ねており、もはや本問題は県が中心となって、各市町村とタイアップして強力に解決していかなけれぱ打開できない状況にあると考えます。
そこで伺いますが、現在、県は、本問題にどの程度の職員で取り組んでいるのか、県の組織と人員について、また現状を打開するために組織を強化拡充していく考えはないか。
その場合、例えばごみリサイクル問題対策室あるいは産業廃棄物等も含めて廃棄物対策室等の設置をなされる考えはないか御答弁を求めます。
次に、環境問題について伺います。
現在の地球環境問題は、先進国と途上国との関係に集約されると言われます。先進国の経済発展は、途上国の資源破壊の上に成り立っており、先進国による公害輸出や有害廃棄物の不法投棄が途上国における公害の拡大を招いています。
また、地球温暖化防止のための
CO2(二酸化炭素)排出削減に見られるように、先進国と途上国とが国際会議の場で経済成長と環境保護をめぐって鋭く対立しているのが現在の地球環境問題独特の構図であります。
先進国がみずからの繁栄のみを優先させるエゴに執着していれば、途上国の一層の反発を招くだけでなく、地球環境が死に瀕する道をとどめることはできません。
環境問題は、ひっきょう、人類が狭い利益やエゴから脱して地球益に立つ環境理念を確立する、言ってみればエゴからニコヘの行動が試されていると言われています。
さて、環境問題は申し上げるまでもなく、70年代前半から関心が高まり、その時期が第1期と言われ、我が国でも現在の公害対策の基本法が集中審議され、確立されたのは70年の公害国会であったと思います。その後、80年代後半から今日までを第2期と言われています。
そのような過程を経て、最近注目されている考え方に、環境安全保障があることは知事もよく御存じだと思います。
環境安全傑障については、ノルウェーのオスロ国際平和研究所所長スペレ・ルードガル氏らによって提唱されています。
言うまでもなく、環境問題と軍縮問題をセットした安全保障の構想でありますが、概念として資源の持続的開発、大気、水、土壌の保護(自然浄化能力を超えた汚染の廃絶)、リスクの減少化(大規模工場など事故等により大きな被害を与える可能性のあるものの危険性を少なくすること)の3つの要素が挙げられています。
この環境安全保障の構想は、環境紛争は著しく生命を脅かすゆえに極めて政治性の高い問題であり、同じく人類の生存を脅かす軍事的脅威とともに、国際政治の最優先課題であると環境安全保障の用語を使う第1の理由であるとしています。
第2の理由として、環境の劣化が紛争の原因であり、かつ結果であるからとしてこの新しい概念はこれまで政治、軍事的次元のみで使われてきた安全保障の言葉を環境と組み合わせることによって政治、軍事中心の従来の思考の枠組みに挑戦するものであるとしています。
言ってみれば、環境安全保障は、言わば平和への新思考であります。まさに大田県政の理念に符号していると確信します。
もう少し続けますと、特に概念の一つである持続的開発は、次世代を危険にさらすことなく人々の必要を満たす社会という重要な視点を掲げております。
これらの概念や視点から見て、膨大な米軍基地を抱え、104号線越えの実弾射撃演習などによる自然破壊が日常的に行われている本県にとって、次世代を危険にさらすことのない県土をどのようにつくり出すのか、重要な課題であります。
私は、これまでも幾度となく環境管理計画について質問をしてまいりました。
この件については、さきの2月定例会で我が党の代表質問で高良政彦議員からも質問がありましたが、角度を変えて伺います。
我が党が沖縄県環境管理計画の策定を提案したのは、復帰10年目の5月に行った政策提案の大会でありました。その際、大田知事もこの大会で講演をされております。
知事は、2月定例会における平成3年度主要施策の概要第3で、緑豊かな県土づくりと住みよい環境の整備を掲げております。その中で環境管理計画の策定を進めるとしておりますが、この計画を策定するに当たっての視点、基本的な考え方をどこに置いているのか、知事の政治哲学の部分を明らかにしていただきたいと思います。
次に、ゴルフ場農薬使用問題について伺います。
本県のゴルフ場で使用されている農薬は県の資料によると、殺虫剤がクロルピリオスを含む8種類、殺菌剤でチウラムTPNを含む10種類、除草剤がペンディメタリン水を含む10種類であります。
使用状況を見ますと、殺虫剤3746キログラム、殺菌剤3487キログラム、除草剤で2649キログラム、その他991キログラム、合計1万873キログラムとなっております。ちなみに、20ゴルフ場の1ゴルフ場当たりの農薬使用量の平均は544キログラムとなっております。
ところで、ゴルフ場建設ラッシュは戦後3回目のブームと言われ、とどまるところを知らないといった状況にあります。本県も例外ではありませんが、全国で既設、造成中を合計すると、総面積は東京都の面積に匹敵すると言われています。
しかし、その一方で昨年12月、北海道広島町でゴルフ場に散布された農薬が大雨で流出し、養魚場のヤマメ10万匹が死に、農薬の水汚染のこわさが一挙に表面化しました。
昨年、厚生省と環境庁は、21種類の農薬について水道水と排水の基準値を決めました。
人の健康の保護に関する視点を考慮したと環境庁が示した基準値でコイやメダカなどの魚が死んだり、藻類の繁殖が抑制されることを示す実験結果が発表されるなど、基準値そのものにも疑問の声が上がっているのであります。
本県ゴルフ場で使用されている殺菌剤のキャプタン等は、水道基準値0.3ppmに対して、ミカズキモは0.05ppmで異常な接合子を形成、そしてそのコイの半数致死濃度は0.25ppmなのであります。その水道水では、48時間以内にコイの半数近くが死に、金魚は恐らく全滅すると言われています。
これに対し、環境庁は、えら呼吸をする魚に毒性があるからといって人間に悪影響があるとは限らないと反論しておりますが、環境庁や厚生省が独自の農薬の毒性データを持っているわけではありません。農薬登録の際、企業から出された動物実験に基づく安全性データをもとに基準値を決めていると言われております。
本県は、どのように対応しているのでしょうか。
さらに、ゴルフ場の農薬指導士は、現在、県内に51名と報告を受けていますが、これら資格者の増員は急務と思われますが、県の対応をあわせて伺いたいと思います。
次に、エコポリスについて伺います。
近年、自然や緑に対する国民、とりわけ都市住民の関心の高まりが見られます。これは、自然環境の喪失という現実の中に、個々人の健康が損われていくことへの不安の現象であるということができます。
身近な生活圏における自然環境、すなわち緑と土と水の存在は、住民が健康で文化的な生活を営む上での基礎的な条件です。ともすれば軽視されがちであった自然環境ですが、緑が生きられない環境とは人間が住めない環境にほかなりません。
豊かさの中で人々の生活に忍び寄ってきている不安の1つは、人類が知らず知らずの間に地球的規模での環境破壊、資源の浪費の過ちを犯し、自分たちの生存そのものを危うくしているのではないかということであります。
第1次産業革命から今日まで、科学技術は急速な進歩を遂げ、宇宙空間から海底、地中深くまで人々の活動領域は大きく広がりました。
かつて、天然には存在しなかったさまざまな物質の合成や製造に成功し、生活のあらゆる面に取り入れられるようになってきました。同時に、地球上の人口は加速度的に増加し、人類の消費する食糧、天然資源、エネルギーの量は飛躍的に増大しています。
しかし、こうした日常的営みが地球的規模での緑の破壊、地球の砂漠化をもたらしたり、例えばフロンガスによる大気圏オゾン層の破壊などの環境破壊を招き、その結果、21世紀の人類の生存そのものを危うくしているのではないかという不安が生じているのであります。
先ほど申し上げたように、人間にとって身近な自然環境は水と緑と土であります。
水の大きな役割は、気候を和らげることであり、地表はコンクリートやアスファルトで固められてしまったために夏の都市の気温は自然の温度よりも上昇し、特に夜間の気温の低下を妨げる、いわゆるヒートアイランド現象を生み出すと言われています。
自然生態系を損なった結果、大きな行き詰まりを見せ、環境と人間が共生できるエコポリス、いわゆる自然融合都市の発想が求められているとしまして、昨年9月の定例会で、私はエコポリス的発想を3次振計に組み込むように質問いたしました。
この際、大田知事にも改めて伺いたいと思います。
このことについて、簡単に申し上げたいのであります。
第1は、人間と自然の共生のために地域の自然環境の現状を把握し、回復に役立てるためにエコロジカルマップ(自然生態学的地図)や、環境保全実施要領を作成し公開する。
また、快適な環境として望ましい地域の自然の量と質について、グリーンミニマムを設定する。あるいは緑のネットワーク計画を推進する。道路や広場など、透水舗装を進めて水の循環システムを保全する。エコロジーパーク、既に提案したものを含めてエコポリスは極めて重要な課題であります。知事の御所見を伺いたいと思います。
次に伺いたいのは、福祉社会の問題の1つとして高齢者向け公営住宅の建設についてであります。
本格的な高齢者社会の到来に向けて、既に他県においては60歳以上の夫婦やひとり暮らしのお年寄り向けの公営住宅が検討され、お年寄りに配慮された設計で、建設戸数の半数を高齢者向けにしている計画が進められています。
現在、本県においても特目住宅を設けて高齢者対策として振り分けておりますが、私が申し上げるのは、単に数を確保しているというのではなく、高齢者が住みやすくするために例えば住宅内部についても浴室を半埋めにしたり、給湯システムの設置や十分な通路の広さ、玄関等の段差等が配慮されたまさに高齢者向け住宅の検討、研究がなされるべきだと考えます。知事の御所見を伺いたいと思います。
最後に、交通安全について伺います。
交通渋滞や事故の原因となる違法駐車の追放を目指し、今年1月から改正道交法が施行され、取り締まりが強化されてきました。
加えて、車庫のない車をなくすことをねらったいわゆる車庫法の改正法が施行されました。
車を保有するならば当然車庫は欠かせませんが、駐車場整備が追いつかない現実に目を向けるならば、規制を強化するばかりではなく駐車スペースの確保が必要であります。
我が党は国に対し、違法駐車を解消するため駐車場整備に税制上の促進措置拡充などを訴えております。
駐車場確保のための施策は、自治体においても相当工夫されております。
東京都多摩市では、88年6月から駐車場設置者に建設費や運営費を補助、89年度から駐車場建設資金融資あっせん制度を行っているのが江戸川区であります。河川を埋め立てて親水公園化する予定地の地下に1000台以上収容の駐車場をつくる構想を進めていると聞きます。いろいろなアイデアを出し合わなければ解消できないと考えます。
この点、我が県警本部もパーキングメーターの設置や、今年度は2月定例会で私が提案しました駐車場マップを既に作成し、違法駐車や迷走車をなくすため頑張っております。県警本部の御努力を多とします。
さて、そこで質問ですが、パーキングメーター等の管理誘導システムの研究がなされていると思いますが、この研究と将来計画はどうなっているのか伺いたいと思います。
そこで、駐車場マップを県警が作成したことでもありますし、この際、企業責任として大型店舗のチラシ等がよく出ておりますが、駐車場の所在を記載するよう指導してみてはいかがでしょうか。
次に伺いたいのは、視覚障害者の交通安全についてであります。
質問に入ります前に、実は去る6月23日、総理府が発表した道路に関する世論調査があります。
それによりますと、昭和61年の前回調査と比較して居住地周辺での交通事故の危険を訴える声が大幅にふえ、交通戦争が幹線道路から居住地周辺の生活道路にまで拡大しつつある実態を浮き彫りにしていると報道されています。
その中で、交通事故の危険を感じている人が11.7ポイントふえ、47.6ポイントとなりました。また、特に歩道の整備が不十分との声が56.5%と前回をこれも上回っております。
これが一般の声だとしますと、障害者、特に視覚障害者にとってみれば一層の危険を感じているのが実態であります。
県は、視覚障害者のために横断歩道に音響装置を設置したり、歩道に点字ブロックを敷設するなど大変な努力をしてきたのでありますが、実際に有効に機能している部分もありますが、一方で、点字ブロックに荷物や車やオートバイ等を載せる等心ない健常者の行動がよく見かけられます。
また、横断歩道の音響にもメロディーが途中で切れる等、一考を要するものもあります。
これら身障者の交通安全対策がどうなされているのか。また、設置後の管理はどうなされているのか伺いたいのであります。
以上、知事の前向きかつ明快な御答弁を期待して質問を終わります。
○議長(平良一男君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 白保台一議員の御質問にお答えいたします。
新石垣空港建設への決意と建設完了までのプロセスを明確にすべきではないかという趣旨の御質問でございます。
新石垣空港の建設は、現空港が抱えているさまざまな問題の解決と八重山地域の増加する航空需要への対応及び諸産業の振興を図る上から、早急に実現すべき極めて重要な施策であると考えております。
現在、御案内のとおり、新空港の建設位置につきまして合意形成を図るため郡民説明会を初め地域別説明会、郡民大討論会、意見発表会など一連の合意形成作業に鋭意取り組んできたところであります。
この結果、空港建設候補地についての関係団体や地域代表の意見はカラ岳東側案に集中し、土地の効率的利用等の観点から大多数の賛成意見があることは承知しておりますが、一方で環境保全等の観点から反対意見も強く、多くの意見、問題点の提起等がありました。
また、宮良案及び冨崎野案につきましては、農用地等への影響が大きい等反対の声もありますが、またカラ岳東側案にかわる案として賛成する意見もございました。
さらに、現空港拡張案及び改良案並びに白保陸上案については、騒音による生活環境への影響が大きいことなど反対の意見ばかりであり、賛成する意見はありませんでした。
このように、多くの意見や問題点が出されている中で、候補地を一つに絞り込むことは極めて困難であると判断しております。
今後は、これまでの合意形成作業の成果を踏まえて具体的に提案のあった候補地について、概略調査設計等の基本計画調査、動植物生息調査等の環境現況調査、土地改良、畜産振興計画等の関係機関調整などを行う一方、カラ岳東側案については環境影響評価等の資料公開を行い、各案についての問題点を整理検討し、合意形成に取り組んでいきたいと考えております。
なお、問題点の整理検討に当たって具体的手法については現在検討中であり、近い将来明らかにしていきたいと考えておりますが、最後に申し上げたいことは、私自身を含め県の担当部局ではこの問題は文字どおり我々がすべてをかけて取り組まなければならない重大な課題であると認識し、誠意を持ってその解決策に向けて努力していることを御理解いただきたいと思います。
次に、渇水対策について、水資源の確保について本県の気候や地理的条件に合った抜本的、恒久的な対策はないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
御指摘のとおり、本県の水需給につきましては今後も厳しいことが予想され、長期的展望に立って水資源の確保を図る必要があります。
水資源の開発に当たっては、今後も多目的ダムの建設及び地下水の開発を主体に進めますが、旺盛な将来の水需要に対処するためには、同時に雑用水水源としての雨水、湧水、井戸水及び下水処理水等の利活用を促進し、さらに海水の淡水化導入について検討を行うなど多角的な水資源の開発を行うとともに、節水型社会の形成に努めていきたいと考えております。
次に、ごみリサイクル問題との関連で、現在どの程度の職員で取り組んでいるか、今後、廃棄物対策室等の設置など組織の強化拡充をする考えはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
近年、活発な経済活動と消費生活の拡大に伴って、県内の産業及び生活の両面から排出される廃棄物は増大し、質も多様化の傾向にあり、その適正な処理の確保が大きな課題となっております。
今後は、使い捨ての意識を変えて地球環境の保全という大きな観点から、生産、流通、消費の各段階でごみを減量化し、資源化、再生利用等のリサイクル運動を進めていくことが重要であると考えております。
県におきましても、このような認識のもとに今後行政的に取り組む考えを持っており、平成3年度には廃棄物再利用、再資源化促進システム調査を実施することにしております。
御質問のごみのリサイクルなど廃棄物対策にかかわっている陣容については、これまで所管課の4入で対応してきましたが、資源化、再生利用、いわゆるリサイクル等の重要性にかんがみ平成3年4月に1人増員し、現在5人の職員で取り組んでいるところであります。
なお、御提言の廃棄物対策室等の設置については、他県の状況なども調査した上で具体的に御要望に沿うべく対応していきたいと考えております。
次に、環境問題との関連で、環境管理計画を策定するに当たっての視点、基本的な考え方をどこに置いているか、行政の哲学の部分を明らかにしてもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
狭い県土の中で、本県の自立的な経済基盤を確立していくには、今後とも各種の基盤整備の推進や観光リゾート産業等の振興が必要であること、さらに人口の増加、都市集中化が拡大していく傾向にあることから、環境に対するさまざまな影響要因が発生するであろうことは十分に予測されるところであります。
このような状況のもとで、都市河川汚濁の問題、廃棄物の問題、赤土問題等のような従来の環境行政の枠組みの中だけでは解決が困難な問題が顕在化してきております。加えて、環境行政に対する県民のニーズも、公害のない環境の確保や貴重な自然環境の保全にとどまらず、身近な自然環境やより快適な環境の創出といったように多様化、高度化が進みつつあります。
このようなことから、環境管理計画の策定に当たっては、水、大気、土壌、森林、海域等を有限な資源としてとらえ、中長期的な視点に立ってこれらの環境資源の適正な活用、保全、回復、創出等を総合的に進めるための基本的な方針をつくっていく考えであります。
また、計画の実効を確保するためには、地域のコンセンサスの形成はもとより、各種の計画や事業の実施に関する総合調整機能の強化を図る必要があります。
このため、本年度作成予定の環境利用ガイドを初めとして地域の多様な環境情報を集積し提供するための環境情報システムの整備を図るとともに、環境影響評価体制の強化及び計画推進体制の整備等に努めていきたいと考えております。
続きまして、ゴルフ場の農薬問題との関連で、ゴルフ場排水の指針値について、自治体によっては独自の判定値の設定を検討、調査を行っているが、本県の場合はどのように対応しているかという御質問にお答えいたします。
環境庁は、平成2年5月にゴルフ場使用農薬による水質汚濁の未然防止を図るためにゴルフ場農薬に係る暫定指導指針値を定めております。
県では、これまでゴルフ場使用農薬指導についてのよるべき直接の基準がなかったことから、現在、この指針に基づいて指導を行っているところでありますが、本指針が実施後まだ日が浅く、ゴルフ場関係者への周知徹底が十分でたいため、当面は本指針を周知徹底させることにより水質汚濁の未然防止に努めていきたいと考えております。
なお、水生生物の保護等自然環境の保全も極めて大切なことであり、今後必要に応じて真剣に検討してまいりたいと思っています。
続きまして、ゴルフ場の農薬使用問題について、ゴルフ場における農薬指導士資格者の増員についての御質問でございます。
ゴルフ場における農薬の使用につきましては、その適正な使用による危害防止と環境保全を図るため、ゴルフ場における農薬の安全使用に関する指導要綱を制定し指導を行っているところであります。
現在、県内には112名の農薬指導士が認定されておりますが、そのうちゴルフ場関係者は51名で、既設のゴルフ場24カ所のうち21カ所に配置されております。
県としては、農薬指導士の養成を今後とも継続するとともに、農薬指導士の未設置のゴルフ場に有資格者を設置するよう指導していく考えであります。
続きまして、第3次振計へのエコポリス的発想の位置づけについて知事の所見を伺いたいという御質問についてお答えいたします。
環境問題が地球的規模で課題になっている現在、御指摘の水、緑、土等の環境と人間が共生できる都市づくりを目指すという考え方は、今後の都市整備に当たって極めて重要な視点だと思っております。
このような視点を踏まえ、第3次沖縄振興開発計画大綱においては、都市地域の整備の理念として環境と調和のとれた都市づくりを推進するため緑地の保全整備、都市緑化、親水性のある水辺の創出等アメニティーの豊かな都市空間の形成を図るとして位置づけたところであります。
具体的な諸施策については、今後、計画原案策定の過程において真剣に検討を深めてまいりたいと思います。
続きまして、高齢者用の公営住宅の建設についての御質問でございますが、お答えいたします。
我が国では、世界に類を見ない速度で高齢化が進行していると言われていますが、本県でも65歳以上の人口比率は、昭和60年に8.6%だったのに対し、平成2年には9.6%と高齢化が進行しつつあります。
このような状況下にあって、特に日常生活の大部分を住宅及びその周辺で過ごす高齢者にとっては、その生活特性を配慮した環境づくりがぜひとも必要であります。
県は、これまで高齢者対策として屋外にスロープを設けるなど設計、設備について配慮をするとともに、入居募集に際しても優先的な入居に留意してきたところであります。
今後の高齢者対策としては、第6期住宅建設5カ年計画の基本目標にも特に高齢化社会への対応をうたっておりまして、なお一層高齢者が安心して安全かつ快適に暮らせる公営住宅の建設に努力してまいりたいと考えております。
以上で、私の答弁を終わりますが、その他の御質問につきましては関係部局長に答弁させますので、よろしくお願いいたします。
○議長(平良一男君) 警察本部長。
〔警察本部長 浅川 章君登壇〕
○警察本部長(浅川 章君) 御質問にお答え申し上げます。
最初に、駐車誘導システムでありますが、商業地域、特にデパートなどの大規模店舗などが存在する駐車需要が極めて高い地域におきまして、必要な箇所にフリーパターンなどの交通情報盤を設置し、それによって駐車場の位置や満空状態を表示することにより、迷走車両や空き駐車場待ちのための車両等による交通渋滞の緩和措置をねらいとしたシステムでございます。既に、全国20の都市で導入されております。
このシステムを導入する場合に、公共の駐車場や有料駐車場の一定規模の整備が前提条件でありますので、県や市、それから駐車場協会、通り会などの関係機関団体に駐車場の整備を促しまして、またこれらの機関団体と連携を図りながら、今年度から始まっております第5次交通安全設等整備事業5カ年計画の年度内に導入すべく計画しているところであります。
次に、視覚障害者のための横断歩道に音響装置がありますが、このメロディーが途中で切れることになりますが、その安全対策についてお答えいたします。
この音響装置は、視覚障害者の安全を図る上から大変重要な施設であると思っております。
県内における視覚障害者用信号機の数は、平成2年度末で82基設置されておりまして、今年度は3基計画をしております。
ところで、横断途中に音響が切れますのは、健常者用の青の点滅時間4秒間ほどであります。
この音が切れる前の予告として何か目安となるように知らせることはできないかとのことでありますが、これにつきましては全国的に共通の問題として、現在の信号機に音が切れる前に音を変えて大きくするなどの装置を付加できないかどうか、検討している段階でございます。
次に、歩道上の駐車などに対する指導取り締まり状況についてお答えいたします。
歩道上の違法駐車、特に点字ブロックに物を置いたり、車両を放置したりする行為はマナーとしても大変問題の行動ですが、特に目の不自由な方にとっては非常に危険な行為でありまして、違反者に対しましては交通弱者保護の立場から従来も重点的な指導取り締まりを行っておりまして、今後も継続して指導取り締まりをしてまいります。
昨年中、歩道上の駐車など道交法第47条に定める駐車方法違反での取り締まり件数は2076件でありました。全駐車違反の約5.7%を占めております。
それから、御提案の大型店舗などのチラシに駐車場の存在がどこにあるか指導して作成させたらどうですかという御質問にお答えします。
御提案の方法は、駐車場探しのための迷走車両の減少に効果が期待されるものと思われますので、主管の部局にお伝えして実現に努力してまいりたいと思います。
駐車場の問題につきましては、つまるところは駐車需給の問題に尽きるわけであります。
昨今、この駐車問題は、路上の放置車両や違法駐車が交通事故、交通渋滞の原因となっているばかりでなく、消防や救急活動にも大変大きた支障を及ぽしておりまして、そのまま放置いたしますと交通渋滞に拍車をかけ、あるいは道路輸送の円滑化を妨げるばかりでなく、安全で快適な町づくりを進める上で隘路になりかねないという世論が昨年来全国的に盛り上がりまして道路交通法、車庫法、駐車場法などの改正を機会に国の関係機関、それぞれの自治体が真剣な対応を求められているものであります。
県警察といたしましても、放置車両や車庫なし車両の排除を盛り込んだ道路交通法、保管場所法の改正法がそれぞれ1月、7月から施行になりましたが、この施行を機会に強力た指導取り締まりを実施してまいりますが、駐車問題はやはり県や市町村が率先提唱して官民の英知と創意を結集し、駐車場の飛躍的な整備などの総合的な駐車対策を確立することが抜本的な解決になると思われますので、今後、県、市町村、それぞれのレベルにおける公共駐車場の整備や、それから一定規模以上の建物の建設には駐車場の附置を義務づける、いわゆる駐車附置義務条例の制定の要請などを今後強力に行ってまいる所存でございます。
以上です。
○議長(平良一男君) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明2日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後7時53分散会
前発言
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19910402000010