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平成12年(2000年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月12日
福祉保健部長(平良健康)
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薬物汚染について、県内で乱用されている薬物にはどんな種類があるか、現在最も多く乱用され危険なものは何か、この2つの御質問につきまして一括してお答えいたします。
我が国で乱用されている薬物は、ヘロインやコカイン等の麻薬類と、大麻、向精神薬、覚せい剤、シンナ-等が挙げられます。
薬物乱用の中心は専ら覚せい剤であり、薬物乱用事犯で検挙される人員のうち約92%が覚せい剤事犯で、このような状況から第3次覚せい剤乱用期の到来と言われております。
本県においても他府県と同様な薬物が乱用されており、平成11年度の薬物事犯の状況では麻薬事犯が4人、大麻事犯が15人、覚せい剤事犯が45人で全体の約70%が覚せい剤事犯であります。これまで大麻事犯が中心でありましたが、ここ数年、覚せい剤事犯が増加の傾向にあります。
薬物の種類によって作用の違いはあるものの、薬物乱用は個人の健康を損なうばかりでなく、幻覚、妄想による殺人事件等を誘発するなど社会に対してもいろいろな弊害をもたらすものであり、いかなる薬物も不正に使用しないことが大事なことであります。
次に、薬物乱用がなくならない理由は何かとの御質問にお答えいたします。
薬物乱用をなくすために大切なことは、一人一人が薬物乱用はしない自覚と、乱用させない、乱用される薬物を近づけない社会環境づくりが重要であります。
しかしながら、1つは、薬物乱用のもたらす弊害の恐ろしさが十分に理解されていないこと、2つに、価値観が多様化し社会的規範の低下が見られること、3つに、低年齢層が薬物乱用に簡単に走る傾向にあること、4つに、若者が薬物を一種のファッションととらえる傾向にあること、5つに、薬物の依存性によって自分の意思ではなかなかとめられなくなっていくこと、6つに、暴力団の資金源となっていること等が背景となって薬物乱用の根絶はなかなか困難となっております。
次に、今後、薬物根絶のためには何が必要と考えるかとの御質問にお答えいたします。
薬物乱用の根絶を期するためには薬物の密輸、密売など不正な流通の取り締まりの強化と厳正な処分を行い薬物の供給を削減すること、矯正施設や医療施設における薬物乱用者の治療及び薬物乱用を許さない社会環境をつくるための学校における予防教育や地域社会における啓発活動を推進し、薬物の使用をなくすことが重要であります。
このようなことから、国においては内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部において啓発活動の推進、取り締まりの徹底、国際協力、再犯防止対策を内容とした薬物乱用防止5カ年戦略を策定し、第3次覚せい剤乱用期の早期終息に向けて対策を実施しております。
本県においては、知事を本部長とする沖縄県薬物乱用対策推進地方本部を設置し、国、県、市町村及び財団法人沖縄県薬物等乱用追放協会等関係機関が相互の連携のもとに取り締まりの強化と厳正な処分、薬物乱用を許さない社会環境をつくるための予防教育、啓発活動を実施しております。今後とも関係機関が相互連携を図り、取り締まりの強化と啓発活動のより一層の推進を図っていく必要があると考えております。
次に、県議会として協力できることはないかとの御質問にお答えいたします。
薬物乱用問題は、単に個人の問題としてではなく社会全体の問題として取り組む必要があります。特に薬物汚染が低年齢化していることから、次代を担う青少年の薬物汚染対策を早急にかつ強力に推進していく必要があります。そのため官民一体となって取り締まり活動や啓発活動の推進に取り組んでおり、特に予防教育の重要性について県民の御理解をいただきたいと思います。
県議会におかれましても、薬物乱用を許さない地域環境づくりに向けて議会決議等を通して「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を強力に推進していただきたいと願っております。
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20000405060030