平成20年(2008年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 7月18日
山内 末子
 

 こんばんは。
 民主党会派を代表いたしまして、地球よりも重いこの命を守る立場から、議員提出議案第4号「後期高齢者医療制度の廃止等に関する意見書」に賛成、また、議員提出議案第5号「後期高齢者医療制度のさらなる見直しに関する意見書」に反対の立場から一括して討論を行います。
 100年安心と言われた年金制度、信じて払い続けた年金は消えてしまい、その問題を解決できない政府に裏切られ、今また後期高齢者医療制度で75歳以上のお年寄りの安心して生きる権利が切り捨てられようとしている。まさに政府に裏切られ、今や国民の怒りはピークに達しております。
 この制度は多くの国民、とりわけ戦後、汗と涙にまみれ一生懸命に生きてきたこの沖縄県のお年寄りに大きな混乱と不安を招いています。いたわり尊敬されるべきお年寄りが、うば捨て、じじ捨て制度と批判されるこの制度によって人間の尊厳さえも奪われてしまうのです。
 私たちがこの制度を廃止にすべきと考える理由は大きく2つの観点からです。
 まず一つは、世界に例を見ない差別的なこの制度では、お年寄りの皆さんが安心して医療を受けられないからです。政治とは愛であり、人である、そう私は考えております。安心して老後を送る、血の通った生き方を支えることは政治の目指す基本的な理念であります。しかし、この制度は全くこの理念を持たず医療費の抑制のみに走っております。その点だけからしても廃止にすべき制度であります。
 もう一つは、この制度の導入は、医療にかける予算を削り、国による財政負担を軽くしようとするその視点のみだからです。財政圧迫などによる病院の閉鎖、医師不足や看護師不足など問題含みの医療制度全体の抜本的解決策は先送りし、官僚の天下り、タクシーチケットに見る税金や予算の無駄遣いなどそういうことが指摘される中、そのようなことを改めようとはせず、医療費負担を国民のみに負わせる本末転倒のこの制度は、まさに廃止以外に道はありません。
 そもそも、政府からは、なぜすべての75歳以上の国民に新たな制度を設け、そこに強制加入させるのか納得のいく説明はありません。平均寿命の男女差、75歳以上の男女の人口構成比の差などを考えても医療保険制度を年齢で区切る合理的な理由はありません。そして、病気になるリスクの高い人のみを分離して制度をつくること自体、保険原理にはなじまない、そう考えております。
 75歳以上のお年寄りの皆様の多くが年金だけで暮らしています。諸物価の高騰等により、年金だけでは暮らしていけない、そういう悲鳴を上げていく中で年金から医療費を天引きすればますます生活が困難に陥ることは目に見えています。特に、県民所得が全国一低い本県では命にかかわる大問題であり、その生活実態を無視して国民皆保険制度という名ばかりの医療費抑制だけを掲げて行う制度は、まさに悪制度、悪政の象徴です。
 この制度は、そもそも根幹から間違ったものであります。政府が新たに導入する制度というものは、国民が安心して暮らせるという大前提がなければなりません。しかし、この制度は、そのことが視野に入ってはおりません。
 制度導入後、低所得者層において以前よりも保険料が高くなるケースもあり、制度加入者の保険料の伸び率が現役時代よりも高くなる可能性がある仕組みにもなっているなどなど、さまざまな問題が噴出してきており、ぼろぼろのこの制度はもはや制度の骨格を変えないできちっと見直しをする、何度も見直しをするなどという小手先の改善では、国民、県民は救われません。
 お年寄りを大切にすると言いながら、欠陥だらけのこの制度を単なる説明不足、あるいは選挙の結果もたまたまだと軽く受け流すその姿勢、もはや国民の命は預けられない、政権交代も近いのだと実感をしております。したがって、何度見直しをしても、つぎはぎだらけのこのざる制度への対案は、廃止が一番の対案だと考えます。
 廃止をし、高齢者医療を国民全体で支える制度改革を目指し、国民が公平に負担をし、平等に医療サービスを受けることのできる公的医療制度の制度設計が必要だと考えます。既に、参議院では後期高齢者医療制度の廃止法案が可決されました。県議会でもこの制度の廃止を訴えた議員がこの議会において過半数を占めるに至りました。国民、県民の立場からすれば、この制度は廃止にすべきという点で一致をしております。政府追従の姿勢ではなく、国民、県民の切実なるその声に耳を傾け、与党も野党もなく、イデオロギーもない、県民に選ばれた政治家として勇気を持って、政府を守るのではなく、県政を守る、そういう立場に立とうではありませんか。
 よって、議員提出議案第4号「後期高齢者医療制度の廃止等に関する意見書」に賛成、議員提出議案第5号「後期高齢者医療制度のさらなる見直しに関する意見書」に反対をいたします。
 議員の皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 
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