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平成 8年(1996年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 9号 3月19日
第 9号 3月19日
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議 事 の 概 要
平成8年3月19日(火曜日)
午前10時開議
日程第1 住宅金融専門会社の不良債権処理に関する意見書
日程第2 沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する意見書
日程第3 沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する決議
午前10時28分散会
○議長(嘉数知賢君) 3月6日の会議において本日は休会とすることに議決されましたが、議事の都合により特に会議を開きます。
これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
2月14日から3月12日までに受理いたしました請願1件及び陳情18件は、3月15日に配付いたしました請願文書表及び陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
次に、3月14日、喜納昌春君外16人から、議員提出議案第3号住宅金融専門会社の不良債権処理に関する意見書の提出がありました。
また、昨日、喜久山盛忠君外10人から、議員提出議案第4号沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する意見書及び議員提出議案第5号沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する決議の提出がありました。
○議長(嘉数知賢君) 日程第1 議員提出議案第3号 住宅金融専門会社の不良債権処理に関する意見書を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
喜納昌春君。
〔喜納昌春君登壇〕
○喜納昌春君 沖縄社会大衆党の喜納であります。
ただいま議題となりました議員提出議案第3号住宅金融専門会社の不良債権処理に関する意見書に関しまして、社大党、新進党、共産党、改革沖縄の各会派所属議員及び無所属の大城秀昭議員、計17名を代表して私から議案の提案を行います。
今、沖縄県民はひとしく提案されておりますこの意見書の採択の行方に大きく注目していると考えます。
国会では、今予算議会が真っ最中であります。今国会は、開会前は景気対策、住専、沖縄の基地問題の3案件が争点になるだろうと言われてきました。
本県にとって昨年の9月以来大きな県民的うねり、決意となっている広大な米軍基地の整理縮小に向けて、村山・橋本両政権がやっと重い腰を上げ、今国会で本格的かつ具体的な審議による前進が図られるかと県民が大きな期待を寄せていたのも事実であります。
しかし、ふたをあけてみると住専問題だけが先行し、まさに住専国会となってしまったことは遺憾と言わねばなりません。
しかしながら私たちは、この住専問題はかつての消費税の導入の際と同様に、その処理の仕方によってはまさに国民の政治や行政に対する信頼を決定的に損ない、一層深刻な政治不信、政治家不信を招き、健全な国民感覚と生活に重大な影響を与えるものとの認識に立ち、これまで以上に慎重な論議と適切な判断が求められていると考えます。
国会の空転が続く去る3月9日、10日の両日、日本世論調査会はこの住専問題について全国世論調査を実施し、地元沖縄タイムスや琉球新報の両紙でもその結果が発表されました。
それから見ますと、住専7社の不良債権処理に財政資金、いわゆる税金を使うことに89%が反対し、7年前の1989年に消費税が強行導入されたときの反対82%を上回る批判を浴びていることが明らかになりました。
この住専問題に関し、政府は昨年12月19日、住専の不良債権の一次損失を処理するため金融システムの信頼回復、国際的責任を大義名分にして6850億円という多額の公的資金を投入する処理案を決定し、平成8年度の国家予算案に盛り込んできました。いわゆる緊急金融安定化資金に6850億円を計上し、うち6800億円を赤字国債、50億円を建設国債で補うとした予算案であります。
これは、住専の経営破綻の責任追及を後回しにして、ほとんど無審査に近い形で住専7社に巨額の融資をしてきた農林系金融機関救済のために最終的に国民の税金をつぎ込むことを意味するもので、公的資金の支出のあり方から言っても常軌を逸したものであり、国民の理解も得ぬままに6850億円の巨額の血税を予算化、強行採決しようとする今日の事態は、まさに主権在民を無視するものであり、主権者たる国民軽視と断ぜざるを得ないものであります。
政府公表の住専等関係資料によりますと、昨年6月末現で住専7社の総資産12兆9262億円のうち74%の9兆5626億円が不良資産化していることが明らかとなっています。これは、金融機関が、タコが自分の足を食うようにバブルに浮かれて預金者から預かった金を企業倫理を喪失させ、無原則に融資に次ぐ融資を、いわゆる不動産業とぐるになっての土地の転売に次ぐ転売と相呼応させる形で短期間で膨大な利潤を上げてきたツケにほかなりません。
自分の金を不動産屋と一緒にぐるぐる回していたにすぎないこの倍々ゲームが永遠に続けば問題はなかったことでありましょう。しかしこうしたばかげたうまい話が長く続くはずはありません。企業としてエリートを自認してきたはずの金融機関がぐるになって手を汚してきたというところに企業倫理の喪失とその責任の大きさは重大であります。今日の住専問題は、このようにして生まれてきたのであります。
大蔵省の西村銀行局長は、去る2月6日の衆議院予算委員会で、住専の母体金融機関による紹介融資について、95年6月末時点で住専7社の事業向け貸出総額の中で1兆7287億円を占め、うち91%の1兆5734億円が不良債権になっていることを明らかにしました。母体行が貸し倒れリスクの大きい融資案件を住専各社に押しつけていた実態が浮き彫りとなりました。
大蔵省の調査によれば、住専から融資を受けた上位3社──富士住建2958億円、去る3月15日に大阪府警の一斉家宅捜査を受けた末野興産2367億円、そしてコリンズ1200億円という巨額が焦げつき、回収のめどが立たないということであります。
だが、金は借りたまま返済の意思も示さず、社長ら役員が豪邸に住み、ロールスロイスやベンツを乗り回している者もいると言われ、いわゆる借り手側の責任追及の声が高まるのは当然であります。
一方、こうした住専の実態や住専に対する農林系金融機関からの融資の膨大化に関しては、大蔵省側の行政・政策的判断のミスを指摘する声は大きく、その責任は重大と言わねばなりません。
いわゆる1990年3月に大蔵省が銀行局長名で一般金融機関に出した通達で、1つには、不動産向け融資の総量規制を行いながら、その規制の対象から住専を外したことであり、もう一つは、総量規制のほかに不動産、建設、ノンバンクの3業種に対する融資状況の報告を一般金融機関に対して求めながら農林系金融機関を外してしまったこと、この二つの重大な行政・政策的ミスが深刻な住専問題に与えた影響は大きく、責任が厳しく問われているところであります。
1月29日に政府が国会に提出した資料によりますと、1971年に住専7社のうち日本住宅金融、住宅ローンサービス、住総の3社が設立され、初年度の1971年の融資残高は270億円すべてが住宅ローン向けで、サラリーマンの持ち家のための金融機関だったと言われます。75年度末でも融資残高に対する住宅ローンの比率は99.5%と高かったことがわかります。
しかし、1980年代に入って、何と信用力と決定機能を持った銀行が、いわゆる母体行が成長しつつあった住宅ローン市場に目をつけて住宅ローンに参入してきたというのであります。こうなると住専の経営に陰りが出てきたのは当然で、さきの政府提出の資料から、1980年度末に3兆1700億円だった7社の住宅ローン残高は横ばいとなり、1985年度末には3兆2349億円から次第に減少に転じていったことがわかります。
1980年代後半からはいわゆるバブル景気が発生し、不動産向け融資が急膨張し、住専は母体行に奪われた住宅ローン市場を補うために不動産向け融資に重点を移し、結果的に今日に至る巨額の不良債権を抱える事態に陥ったわけであります。
いわゆる住専の不動産向けを中心とした事業向け融資は、1985年度末の1兆5942億円から、1990年度末には何と9兆7312億円まで膨らみ、融資残高の中で事業向け融資は78%を超えた状態となっており、設立当初の1971年のすべてあるいは99.5%が住宅ローンという実態と比べ、まさにその変質ぶりには隔世の感がいたします。
ところで、この変質、異常さを演出した経営陣の実態をさきの政府提出の資料から見ますと、癒着と放漫の温床に驚きを通り越してあきれ返るばかりであります。
それによりますと、住専7社の歴代役員の出身内訳は、各社歴代会長11人中7人が、社長は26人中11人が大蔵省出身であることが明らかにされました。
また、住専と設立した母体行との関係では、歴代会長、社長は前述した大蔵省からの天下り以外はすべて母体行出身で、常勤役員全体で計243人中214人、何と88%を占めるという異常ぶりであります。
以上の実態をさらに明らかにしておくべきは、バブルが崩壊し経営悪化が表面化した1991年度でも、総合住金と第一住宅金融では役員の平均退職金が1人平均1億円を超えていたということであり、住専各社の経営が悪化し、第1次再建計画が策定されたころの1992年度以降も日本住宅金
融、住宅ローンサービスと住総の3社は役員の報酬を増額していたと言われます。中でも住宅ローンサービスは、90年度の1人平均1216万円から1993年度には1678万円に増額するという異常ぶりであります。
一方、農林系金融機関は、90年3月の通達から不動産業、建設、ノンバンクの3事業に対する融資状況の報告義務を外され、その間隙を縫って甘い汁のおこぼれにあずかろうとして、そのあげく、これまた企業倫理を逸脱した放漫経営から今日の苦悩を招き、国民に言わすれば自業自得の感は否めません。
いわゆるその通達以後、銀行などからの融資は厳しくなる一方、農林系金融機関からの住専向け融資は、1989年3月末2兆9000億円だったものが、92年3月末で5兆6000億円と膨れ上がった事実がその放漫経営の実態のすべてを物語っていると言えましょう。
このように住専問題は、まさに主権者たる国民の知らぬところで生起され、バブル経済の中で金を借りる側も貸す側も企業倫理が全く喪失した中で、政府の行政・政策判断のミスも相まって必然的に生まれてきたものにほかならず、その不良債権のしりぬぐいを血税でと今日言われても県民・国民が到底納得いくはずはありません。
しかも、ここに至るまでの借り手側の住専、母体行、大蔵省や農水省の行政側の責任が一切不問にされている状況での国民の血税での不良債権の処理の仕方については真の解決策とはならず、本末転倒と言わねばなりません。
こうした住専や母体行などのずさんな放漫経営を許してきたもう一つの原因には、政治献金などを通しての政党や政治家の癒着の構図があることも事実であり、この面からの関係した政党や政治家の責任も重大と言わねばなりません。
そこで、私たちは住専の不良債権問題に関して政・官・財の癒着の構造を絶ち、企業倫理の確立の上からもその責任の所在を明らかにし、この住専問題が第一義的にはみずからの責任で、借りたものは返すという庶民・国民の常識に立った視点から適切に処理されていくべきことを主張し、訴え、意見書を提案するものであります。
以下意見書を朗読し提案いたします。
〔住宅金融専門会社の不良債権処理に関する意見書朗読〕
以上提案いたしまして、議員諸兄の真摯な討議によりまして圧倒的多数の賛同によりまして可決されますようお願い申し上げまして、私の提案を終わります。
○議長(嘉数知賢君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第3号は、総務企画委員会に付託いたします。
○議長(嘉数知賢君) この際、日程第2 議員提出議案第4号 沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する意見書及び日程第3 議員提出議案第5号 沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する決議を一括して議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
喜久山盛忠君。
〔喜久山盛忠君登壇〕
○喜久山盛忠君 ただいま議題となりました議員提出議案第4号及び第5号について、提出者を代表し一括して提案理由を御説明申し上げます。
中国は、国際世論の批判を無視し3月8日から15日までの間、与那国島近海へミサイル発射演習を強行し県民に大きな不安を与えております。
この中国のミサイル発射演習は、3月23日に行われる台湾の総統選挙に圧力をかけ選挙を攪乱するのがねらいだと言われており、自国の目的を達成するため軍事的脅威をもって解決しようとする中国の姿勢は、まことにもって言語道断であります。
ミサイル発射演習は、与那国島からわずか60キロしか離れていない近海で実施され、船舶の航行量も多く、一歩間違えば大惨事を引き起こしかねない場所であります。
一方、このミサイル演習に対抗するかのように、台湾も与那国島との間の公海上で軍事演習を強化しており、与那国町民の不安は一層募るばかりであります。
両演習場海域付近は、底魚一本釣りなどの高級魚であるマチやアラなどがよくとれる好漁場でありながら、ミサイル演習に対する不安から当該漁場への出漁を控えなければならず漁業者は大きな不安をこうむっております。
このように漁業者の操業の安全を脅かし、その生活基盤を根底から破壊する軍事演習は到底容認できるものではありません。
以上申し述べた理由から、漁業関係者の生命・財産を守り、漁船の安全操業を確保するということで本議案を提出した次第であります。
意見書を朗読いたします。
〔沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する意見書朗読〕
次に、決議につきましては、内容が意見書と同じでありますので案文の朗読は省略いたしまして、あて先だけを申し上げます。
〔沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する決議のあて先朗読〕
以上で提案理由の説明は終わりますが、慎重に御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
なお、両議案につきましては、その趣旨を関係要路に要請するため議会代表を派遣する必要があるとの意見の一致を見ておりますので、議長におかれましてはしかるべく取り計らっていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○議長(嘉数知賢君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第4号及び第5号については、会議規則第37条第2項の規定により委員会の付託を省略いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、両案については委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) これより議員提出議案第4号沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する意見書及び議員提出議案第5号沖縄近海における軍事演習に対する抗議と漁船の安全操業の確保に関する決議の2件を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案2件は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、議員提出議案第4号及び第5号は、原案のとおり可決されました。
○議長(嘉数知賢君) ただいま可決されました議員提出議案第4号及び第5号については、提案理由説明の際提出者から、その趣旨を関係要路に要請するため議員を派遣してもらいたいとの要望がありました。
よって、お諮りいたします。
議員提出議案第4号及び第5号の趣旨を関係要路に要請するため議員5人を派遣することとし、その期間及び人選については議長に一任することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嘉数知賢君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(嘉数知賢君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、3月27日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午前10時28分散会
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19960209000010