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昭和49年(1974年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月18日
第 4号 12月18日
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議 事 の 概 要
昭和49年12月18日(水曜日)
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案及び乙第3号議案から乙第22号議案まで(質疑)
日程第3 陳情第384号及び第385号の付託の件
日程第4 乙第2号議案(企画総務委員長報告)
一般質問及び質疑
1 宮良 長義君(社大党)
2 与那覇寛長君(社大党)
3 島田 哲男君(社大党)
4 瑞慶覧長方君(社大党)
5 知花 英夫君(社大党)
6 親川 仁助君(共産党)
7 上原亀一郎君(共産党)
8 仲松 庸全君(共産党)
9 岸本忠三郎君(社会党)
10 岸本 利実君(社会党)
11 友利 栄吉君(革新クラブ)
12 安里 政芳君(民社党)
午後6時55分散会
○議長(平良幸市君) これより本日の会議を開きます。
日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
12月11日からきのうまでに受理いたしました陳情13件のうち、特別委員会に付託すべきものを除く11件は、お手元に配付の陳情文書表のとおり、それぞれ主管の常任委員会に付託いたしました。
なお、副知事宮里松正君及び公安委員会委員長比嘉利盛君は、いずれも別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありました。よって、比嘉利盛君の代理として公安委員会委員天願俊貞君の出席を求めました。
○議長(平良幸市君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行ない、甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案及び乙第3号議案から乙22号議案までを議題として質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
宮良長義君。
〔宮良長義君登壇〕
○宮良長義君 私は、最初に教育行政の民主化について質問をいたします。
教育行政を進める上で教育の正常化とは何か、教育の偏向とは何か。教育行政のあり方を定めた教育基本法第10条の「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものある。」とは一体何であるか、明らかにすることは教育の民主的発展を願う国民にとって重要課題であると思うのであります。
いま自由民主党は、教育のあるべき姿を確立するために、教師憲章を制定する意向を示しております。党の文教部会長西岡武夫氏は、「教師憲章はぱぱっと出たが、これは教育基本法に触れざるを得ない。憲法改正に類するものである。改正するのも教科書裁判の論争点となっている教育基本法の第8条及び10条である。」と述べております。これは5月25日の読売新聞に報道されておる記事であります。
きのうの自民党の小底議員さんから、国が教育の内容に触れることは当然であると、こういう主張がなされました。また金城議員さんからは、今度の通達は当然である、これに反対する者は教育行政に口ばしを入れるものであるというふうな意味のことをおっしゃいました。
そもそも教育基本法の目的は、平和的な国家及び民主主義社会の形成者、すなわち民主主義と平和主義に徹した国民を養成することにあります。この目的に反する支配が不当な支配であり、教育の偏向であります。この目的を守る教育こそ教育の正常化であり、教育の民主化であると私は確信するものであります。
しからば現在、昨日も取り上げられましたように、教科書裁判を通じて、国がいかに教育内容に干渉しているか、教育内容を統制しようとしておるかということを具体的にしまして、この国の教育支配に対する教育長の姿勢を明らかにしていただきたいと思うのであります。
昭和39年の家永教授の新日本史に、戦争は聖戦として美化され、日本軍の敗北や戦争での残虐行為は隠蔽されたため、大部分の国民は戦争についての真相を知ることができず、無謀な戦争に協力するほかない状態に置かれた。この教科書の内容は、教育的配慮上、無謀な戦争のところは削除せよと、ついにやむなく削除するに至ったのであります。
静かに考えましょう。憲法には、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないように国民は決意したのではありませんか。この前文の中に、戦争の行為がないように決意したのは、いかに戦争が無謀であったかということを国民が反省したからであります。
昭和33年には、教科書選定に当たりまして、太平洋戦争について日本の悪口はあまり書くな、たとえそれが事実であってもロマンチックに表現せよ。戦争をロマンチックに表現せよなんということはあるはずがない。陰惨な戦争をロマンチックに表現することは教育上あってはならない。戦時下の言語統制などどこの国でもあたりまえであったからあえて書くな、こういう干渉をしております。日露戦争に対する反戦論者は一部の者だから、反戦論者があったと書く必要はないと、こういうふうに指示をしております。戦時の体験を持ち、原爆の不安を忘れられない現代人、これも国語の教科書でこれだけ削られている。6年用の国語の教科書の死の灰、放射能に関する詩は教育上よろしくないから削れ、これも削らされております。明治憲法を日本国憲法と比較して非民主的であると評することはまずい、こういう干渉をしております。安保改正に際し、国民的反対運動が起こったということは不適当である。再軍備反対の写真は健康、安全教育上好ましくない、削れ。憲法の平和主義の根本精神は変わらない。これは論者によって異なるからこういうふうに断定することはよろしくない。こういうふうに教育の内容に
文部省が干渉していること自体、教育に対する不当な介入でなくて何でしょう。
次に、不当な支配とは何か。私たちは公権力、国家権力、これは不当な支配の可能的主体にあると考えております。自民党側は、これは不当な支配にならないと、こういう考え方。もちろんいま家永裁判では2つの意見が対立して争われておりますが、少なくとも民主主義と平和を愛するわれわれは、家永裁判の正当性支持するものであります。
次には、こういう教科書の具体的な国の干渉あるいは統制、こういうものに対して、この事実に対して教育庁はどうこれを理解されるか、どうこれを受けとめられておるか、この1点を最初にお聞きします。
その次には、教育の不当な支配という場合、可能的主体は国家権力も入るか入らないか、これに対する教育長の見解もお聞きしたいと思うのであります。
その次に、きのうの通告に対する質問をいたします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第38条では、「都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまって、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする。」と定めております。同法の施行された昭和31年には、文部省は市町村教委の内申に対して都道府県教育委員はその内容にすべて拘束されるものではないが、市町村教委の内申を待たずに任免その他の進退を行なうことはできない。市町村教委の内申権を明確に示しておるのであります。しかるに10月になされた通達は31年の通達とは逆行するもので、内申が努力しても得られない場合には都道府県教委の判断で任命権の行使ができるとなっています。この通達は異例措置を認めて市町村教育委員に残された唯一の内申権さえも骨抜きにするものであり、基本的には「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」ことを定めた教育基本法第10条を形骸化し、教育行政の自主性を侵し、中央集権化を意図するものと言わざるを得ません。もちろん教育行政の3原則は教育の民主化であり、地方分権化であり、一般行政からの独立性を確保することであります。それを機構化したものが戦後新た
に発足したところの公選制による教育委員会制度であり、この民主的制度が廃止された昭和31年、現行の任命制教育委員会制度に改悪され、公正な民意を無視した教育行政の中央集権化への道を開いたのであります。このことは何よりもかつての教育委員会法の第1条に掲げられる根本理念、すなわち「この法律は、教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきであるという自覚のもとに、公正な民意により、地方の実情に即した教育行政を行うために、教育委員会を設け、教育本来の目的を達成することを目的とする。」という文言を全部削除してしまったのであります。この中に公正な民意、地方の実情に即した、これこそ教育の自主性、主体性を維持する唯一の道ではないでしょうか。
同法が国会に上程されるや、全国の教育関係者、日教祖、小中校長会、民間教育団体、10大学の学長を初め学者層、文化人、主婦連、母親連絡会、PTA等幅広い阻止運動が展開され、教育を守る国会請願署名が何と725万人に達したのであります。国会史上かつてない記録と言わなければなりません。
法案審議も中途で打ち切られ、参議院では500人の警官を強引に14時間も導入して強行成立を見た悪法であると言わなければなりません。
さて、政府の教育に対する姿勢がよかれあしかれ沖縄の教育に及ぼす影響が大きいことを私たちは考えなければなりません。こういう立場に立ちまして二、三点質問をいたしたいと思います。
1番目、10月4日の文部省通達の全文をここで明らかにしてください。
2番目、地教行法第38条第2項によって教育長の助言を受けて内申をすることとなっていますが、従来の助言とはいかなる助言がなされてきたか。
3番目、市町村教育委員の内申事項及び内申の内容はいかなるものか。
4番目、今度の通達に対する教育長の見解に対し、この通達を忠実に受け入れるか、受け入れないか、この姿勢をお聞きいたします。
もし受け入れないとするならば、通達の撤回を要求すべきだと思うが、その意思があるかないか、明らかにしてもらいたい。
最後に、昭和32年4月25日に文部省の手中局長の疑義に対する次のような回答がなされております。この回答に対する教育長のはっきりした見解をお聞きします。
文部省の回答は、「内申の対象となっていない教職員(任免その他進退について内申されていない教職員)について、府県教委が一方的に転補を発令することは、違法行為であり、瑕疵ある行為であるが一応有効なものとして対処されたい。」全く理解に苦しむものであります。これは38条をあやふやにしたものであります。違法行為であり、瑕疵ある行為である。瑕疵ある行為であるが有効である。全くでたらめな回答であると思うのであります。
時間がありませんので、以上で質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) お答えいたします。
最初に、教育長の姿勢という御質問でございますが、教育長は教育委員会の事務局長でございまして、すべて教育委員会の取りきめたことを実施していくというような立場に立っているわけでございます。教育長の教育に対する姿勢としましては、憲法、教育基本法、学校教育法、これを忠実に守っていきたいと、こういうような姿勢でございます。教育基本法の目的に「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行なわなければならない。」とございます。この目的遂行のために教育行政を進めていきたいということが教育長の姿勢でございます。
次に、教科書裁判についていろいろ御質問がありましたが、教科書裁判につきましてはきのう知事からも御答弁がありましたように、まだ過程中の問題でございますので、教育長がここで見解を発表することは避けたいと思います。
次に、不当な姿勢の中には国家的権力も入るかどうかという御質問でございますが、これは教育長の段階を越える問題でございますので答弁を保留したいと思います。
次に文部省通達のことでございますが、文部省通達の全文はここに持ち合わせしてございませんのであとでこれはお届けしたいと思います。
その文部省通達の説明につきましては、文部大臣から閣議に説明した事項がございますので、それを読み上げてお答えにかえたいと思います。
「市町村教育委員会の内申がない場合の都道府県教育委員会の任命権の行使について。1、地方教育行政の組織及び運営に関する法律においては、市町村立の小・中学校の教育公務員の任命権は、市町村教育委員会の内申をまって都道府県教育委員会が行うものと規定されており、この場合、都道府県教育委員会は内申の内容にすべて拘束されるものではなく、これとは異なる処分をしても差し支えないが、内申がなければ、任命権は行使できないと説明されてきた。」これは従来の説明でございます。「2、最近、日教組指導のスト参加者の処分に際し、市町村教育委員会から都道府県教育委員会への内申を阻止する働きかけが行なわれ、そのため一部の都道府県教育委員会は内申がないため必要な行政処分を行うことができず、あるいは内申のない市町村を除いて県全体としては不公平のままに処分を実行せざるを得ないなどの事態を生じている。3、本年度の日教組定期大会においても、引き続いてストライキ体制を強化するとともに、「行政処分を阻止するためい書く県教祖は引き続き処分阻止のたたかいに最大の重点をおき、地教委の処分内申阻止を徹底してたたかいます。」ということを運動方針としている。」
いろいろありますが、4の(1)を見ますと「(1)内申制度の趣旨は、都道府県教育委員会が市町村教育委員会との協働関係を維持しつつ市町村の小・中学校等の教育公務員の任命権を行使することがその人事行政の適正かつ円滑な実施のため必要であるとするものであって、市町村教育委員会に都道府県教育委員会の任命権の行使を抑制させようという趣旨のものではないと解される。(2)また、市町村教育委員会は、市町村立の小・中学校等の教育公務員の人事行政についての責任の一部を法律上分担しているのであるから、内申をしなければならない義務を行政機関として有すると言うべきである。(3)右に述べたように市町村教育委員会は一定の場合には内申をしなければならないと解するべきものと思われるが、それにもかかわらず、なお内申をしないというような異常な事態が起こった場合についても、内申がない限り任命権を行使できないと解するときは、両教育委員会の協働関係を前提としつつ市町村立の小・中学校等の教育公務員の人事行政を行うという内申制度の趣旨と矛盾するのみならず、市町村教育委員会が行政機関としての義務に反して内申しないことにより、市町村立の小・中学校等の教育公務員
の任命権を都道府県教育委員会に属せしめた制度が正常に機能し得なくなるような事態が起こり得る。このような事態を法律自体が合理的なものとして容認しているとは考えられない。(4)以上のことから、内申制度の趣旨を尊重しつつ、しかもなお市町村立の小・中学校等の教育公務員に対する人事行政の目的を達成するためのやむを得ない措置として、一定の場合には、都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の内申がなくても任命権を行使できる場合があり得ると解される。5、右の趣旨により、都道府県教育委員会が最大限の努力を払ったにもかかわらず、市町村教育委員会が内申をすべき義務に反して内申をしないというような異常な場合には、都道府県教育委員会は任命権を行使することができる旨の通達を出すことにより、適正な人事行政の確保を図ることとした。」と、このような説明をしております。
次に、これに対する沖縄県の教育委員会の見解でございますが、これにつきましてはきのう金城議員の御質問にもお答えいたしました。もう一ぺん繰り返します。
地教行法第38条(市町村教育委員会の内申)の解釈について、最近文部省は通達を出しておりますが、これは通常の場合における市町村教育委員会の内申は従来どおり尊重しなければならないが、内申を求めても内申がないという異常な事態が起こったときは、県教育委員会は内申がなくても任命権の行使ができるという趣旨の内容であります。
本県におきましては、教職員の人事行政は、常に県と市町村の教育委員会が協働関係にあり、スムーズに行なわれております。
県教育委員会においては、市町村教育委員会と十分調整し、従来と同様内申を尊重していくという方向を確認いたしております。教育長はその確認に従って仕事を進めていっているわけでございます。
なおこれにつきましては、中部の教育長協会、あるいは那覇市の教育委員会、それから中部のの教職員会から通達を撤回するようにというふうな要請がございましたが、委員会の決議によりまして、これについてはコメントしないというふうな結論が出ていることを申し添えておきます。
以上、説明を終わらせていただきます。
○議長(平良幸市君) 与那覇寛長君。
〔与那覇寛長君登壇〕
○与那覇寛長君 私は、去る9月の定例議会において、離島振興には離島に対する意識の変革が必要だと申し上げましたが、琉大の中山教授は、離島問題は本土、本島との格差是正論がよく論ぜられるが、その前提には離島に対する認識の格差是正がなされなければならない。離島をやっかい者扱いする認識は離島振興の最大な人的障害であると述べております。このような前提に立って離島振興計画を策定していただきたいと思います。
最近、離島振興計画策定の基本方針が発表されましたが、それによりますと、社会資本の格差是正、産業開発が柱になっています。基本方針はりっぱだと思いますが、問題は中身にあります。
近い将来食糧危機が襲ってくることはいまや常識になっています。離島の特色、実情に即し、それぞれ食糧基地として位置づけるお考えはないか、お伺いいたします。
離島振興計画は51年度を初年度として発足させることになっていますが、50年度を初年度とすることはできないか、お伺いいたします。
こういうことを申し上げる理由は、海洋博が済めば次は離島振興が主役だと島の人々は期待しています。それから50年度予算の概算要求の目玉商品は離島振興費であることも皆承知しております。島の人々の期待を裏切らないためにも50年度を初年度とすべきではないかと思うからであります。
亀谷総合事務局は、去る3日の記者会見で、平良、石垣の両港に国鉄の駅を新設し、30キロまでの小荷物をチッキで安く送ることができるように国鉄当局に働きかけたいと談話を発表しています。いつか申し上げたこともありますが、リンゴの輸送費が青森――那覇間よりも那覇――宮古間が高い。雑誌書籍類も1割は高い。国鉄の駅が実現すれば、こうした不均衡は解消されることになります。
われわれの目標は国鉄船の回航でありますが、さしあたり国鉄駅を新設することは前進であります。これについては積極的に取り組むという知事の答弁がありましたので、その実現を期待して重ねて要望いたします。
次は、農政についてでございます。
沖縄の49年度の当初の農業水産費は141億2500万円で全予算の12.8%となっています。
九州各県の全予算に対する農業水産費の構成比を比較してみると、福岡が6.1%、佐賀が14.5%、熊本が19.3%、大分が15.9%、宮崎が18.5%、鹿児島が18.2%、沖縄は12.8%となっています。この数字から見ますと、農業基盤の弱い沖縄の予算としては少な過ぎるのではないか。少なくとも20%以上は引き上げるべきではないかと考えます。しかし、県の農林水産業に対する姿勢、意欲を現年度の予算額だけで評価することは無理であります。それは前年度との伸び率によって評価することが妥当であると考えます。
それでは九州各県の伸び率はどうなっているか。福岡が2.8%、佐賀が-9.5%、長崎が-5.3%、熊本が1.0%、大分が-1.3%、宮崎が10.8%、鹿児島が9.8%、沖縄は22.8%となってトップであります。
予算の伸び率から評価しますと、県の農政は称賛されてよいのではないか。しかし県はどんな考えでいかなる展望をもって予算を運営していくかが問題であります。
沖縄は敗戦によって畑や労力は基地に奪われ、アメリカの余剰農産物に振り回されてキビやパインの単作農業に転化を余儀なくされました。
本土の農業は高度経済成長に奉仕してきたといわれますが、沖縄の農業は基地に奉仕してきたといえましょう。
沖縄の基地は依然として存在し、農業をはじめ他の産業の開発を妨げておりますが、それらの制約を乗り越えて、沖縄の農政はここに一大転換をはからなければならないと思います。公害のない工業が誘致できれば幸いでありますが、それができなくても既存工業の振興と農林水産業の振興によって沖縄の経済を自立させる覚悟と決意がいま要請されているのではないか。いたずらに他に依存することは危険であります。
最近、沖縄の農業をどうするかという研究が盛んになりつつあります。しかし、この研究も本土から学ぶ、アメリカから学ぶという従来の研究から脱却しない限り、あまり期待はできまん。沖縄の自然と風土の中から沖縄の農業は生まれてこなければならないと思います。
京都大学の飯沼教授は、沖縄農業論の中で、沖縄農業の潜在的生産力は実に大きいことを指摘しています。たとえばお茶は本土では年1回しか刈り取ることはできないが、沖縄では5回も刈り取ることができる。蚕の繭は本土では2回しか取れないが、沖縄では4回も取れる。こうしたおそろしい生産力を沖縄農業は持っていると言っています。
これからの沖縄の農業は、沖縄の自然と風土のエネルギーを十分活用し、それに沖縄に適した機具機械を取り入れ、昔と違った意味での新しい集約的な複合経営をやれば大きな希望が持てると思うが、部長の農政に対する基本的な考えを承りたいと思います。
今度のキビ価格に対する宮古農民の反応は、不満ではあるがいまの政府の農政からはあの線しか出ないではないか。ことしは目標額を達成できなかったが、毎年上がっているのだから来年は期待できるのではないか。砂糖の国際相場は30万円もするのに、1万5000円は納得がいかない。政治加算が多過ぎる。さまざまであります。このさまざまな反応に共通するのは価格2本立てに対する不満と怒りであります。
宮古は、長期干ばつとそれに続く連続降雨のため、ブリックスは平均16.83度となっています。干ばつのため3割減収、損失額13億5000万円、スライド制を採用した場合の損失約2億円、計15億5000万円、これでは農民の不安と怒りは当然と言わなければなりません。
部長は嵩原議員の質問に答えて、農民の肥培管理いかんがブリックスには大きな関係があると言われましたが、気象条件が順調にいった場合は部長の言われたとおりであります。しかし、干ばつや台風等の天災に対しては人間の力は無力であります。今度の宮古、八重山のブリックス低下は農民の努力が足りなかったのではなく、気象条件にその原因があります。
部長は2本立てに対しては、悪いものを高く買えとは言えないという意味のことを言われましたが、普通の商品の場合はそれでいいわけです。しかし、キビと商品をごっちゃに取り扱うことには少し問題があるのではないか。
われわれがキビ価格の生産所得補償方式を主張しているのは、農民の生活を安定させるためであります。農林省がスライド制を採用したわけは、農民に意欲を持たすためだとは思うが、今度のブリックス低下は農民の怠慢によるものではないことを思うとき、県は生産所得補償方式を主張しているたてまえからも、農民側になって1本立てを推進すべきではないか。くどいようではありますが、重ねて御答弁をお願いします。
肉用牛の宮古における去年11月せり価格950円であったのが、今年の11月の価格は354円、去年の32%に低落しています。本島の11月のせり価格が560円、本島よりも202円安くなっています。危機というよりはむしろ破滅寸前であります。
県は応急策として基金協会に補助したり、今度の補正で移送費を計上したりしてできるだけの努力を払っている点は認めなければなりません。また抜本対策は国が講じなければならないとは思うが、県が買い取って価格を調整するような予算措置は来年はできないものか、お伺いしたいと思います。
部長はきのうの答弁で、来春は見通しは明るいと言われましたが、その根拠は何か、あわせてお伺いいたします。
養蚕業は沖縄に最適な産業であることは前にも触れましたが、宮古でもこの二、三カ年養蚕業が盛んになりつつあります。きのうの新聞にも、今年は8回繭が取れ、収量は4600キロと報じられておりました。県も養蚕業には力を入れておりますが、もっと資本を供給し、流通過程の整備をすればすばらしい産業に発展するのではないかと考えます。
そこで将来は戦前のように養蚕試験場を設置し、また養蚕地帯に製糸工場を建設する考えはないか、承りたいと思います。
次は、青少年問題。
今度発表された青少年白書によりますと、48年度中の刑法犯少年は10万6657人となっております。沖縄の場合、最近発表された数字から推定してみると1400人程度でありますので、沖縄が悪いとはいえませんが、最近宮古で青少年による殺人事件が2件も相次いで起こったことにショックを受けております。同白書によりますと、最近の子供は塾通いで遊ぶひまもなく、受験受験で追い回され、勉強偏重が非行の大きな要因のように書いてありますが、沖縄の場合はそれとは若干違うのではないかと思います。これには要因が幾つもあって簡単には割り切れないと思いますが、警察当局に沖縄における要因とその対策をお尋ねいたします。
きのうの金城議員の質問にもありましたが、宮古のPTAの集まりでも街頭の自動販売機が問題になりました。きのうの本部長の答弁で理解できましたので、行政指導をよろしくお願い申し上げます。
対馬丸事件について。
対馬丸事件については共産党の伊波議員からも質問がありましたので、私は省略したいと思いますが、遭難した1000名近い学童たちはいま生きておれば40歳台の働き盛りになります。年月がたてばたつほど親たちの気持ちは耐え難いものがあることは想像にかたくありません。親たちの多くは70歳をこえた方が多いと聞いております。知事もこのことに対しては心を痛めておりますので、一日も早く親たちの望みがかなえられますよう政府に対し強力な折衝方をお願い申し上げます。
以上で終わります。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 与那覇議員の離島振興計画についての御質問にお答えいたします。
御指摘のように離島と沖縄本島、あるいは本土間に大きな格差があります。この格差はぜひとも早急に是正しなければならないということで、昨年来わが県におきましても離島振興を重点施策として取り上げております。ややともすると御指摘のように心の面での離島との格差、やっかい者扱いという御指摘もありますけれども、県としては決してそのようなことのないようにいままで意を配してきたつもりであります。今後ともそのような考え方に立って離島振興をはかっていきたいと考えます。
離島振興計画を初年度51年度とせず、50年度からしたらどうかという御指摘でございますけれども、作業の都合で51年度ということでしか策定できないということであります。ただ実質的には県といたしましては、開発庁あるいは県の各部局と調整いたしまして、実質的には50年度から離島振興が重点施策としてその実を上げるように努力しております。開発庁におきましても、昭和50年度の重点施策5項目をあげておりますけれども、その第3項目に離島振興特別事業として位置づけております。そういう国、県相まって50年度の予算編成から重点的に取り組んでいきたいと考えております。
2番目に、離島を沖縄県の食糧基地というふうに位置づけるべきじゃないかということでございます。この点につきましては、全体としてほぼ各離島とも、特に八重山、宮古等につきましては食糧供給基地というふうに位置づけられると思います。問題は農業振興する場合に基盤整備、流通の問題、あるいは若年労働者がそこに定着して農業を楽しくやっていくというもろもろの施策が相まってなされないと、農地だけの確保だけでは農業振興にはならないと思いますので、食糧供給基地的考えに立って諸般の関連する事業を推進したいと考えております。
次に、国鉄の小荷物取り扱い、いわゆる国鉄駅のことでございますけれども、県といたしましても、宮古、八重山まで国鉄小荷物取り扱いができるように努力していきたいと思います。
現在の状態はどうなっているかと申しますと、これは国鉄と琉球海運株式会社が業務契約によって鹿児島と那覇間の輸送の小荷物を取り扱っているわけでございます。取り扱い小荷物数量は海航海ごと約150トンでありまして、利用者もふえつつありまして、県民にたいへん喜ばれ、その利便といいますか、恩恵を受けております。ただ実際に業務契約を受けている琉球海運としては不採算であると、利潤がないと、出血サービスを行なっているという点に問題がありまして、これらの問題を解決し、さらに石垣、平良港まで国鉄駅の設置ができるように総合事務局、県、一体となって推進していきたいと、このように考えております。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君〕
○農林水産部長(野島武盛君) ただいま企画調整部長から、与那覇議員から御質問いただきました離島地域を食糧基地としての位置づけの考えはないかということの回答がございましたけれども、われわれとしてもそういうような考え方を持っておりまして、現年度ですでに政府の援助を得まして宮古平良市には300トンの冷蔵庫をすでに着工を見ております。そこで宮古地域の、特に野菜、食肉関係の貯蔵基地として、あるいは輸送の中継基地として考えております。
なお、これはあとの御質問の農政に対する基本的な考え方と共通する問題でございますけれども、やはり離島地域はいま与那覇議員が御質問のとおり食糧基地として現在は位置づけて、それをつくったものが十分にスムーズにはけていくと、売れるというんでなければ農家としての生産意欲が盛り上がってまいりませんので、そういった考え方からいたしますとやはりきのうの吉田議員並びに上江洲議員からの御質問のとおり、御指摘いただきましたけれども、適地適産ということがまず問題になると、こういうふうに考えるわけでございまして、そういった意味で宮古地域を例にとりますというと、たばこをあと二、三百町歩ふやせないかというのが専売公社の関係部長の熱心なおすすめがあるわけです。これについては十分われわれとしても地域的な特性を生かすということで検討を進めております。
さらには養蚕もただいまお話がございました。もちろんこれは換金作物としての考え方であり、なお県内の工芸を盛んにすると、その原料を供給するということからしても養蚕はある程度振興させる必要がある。これももちろん適地適産ということで考えておるわけでございます。野菜にしても御承知のとおり上野、下地があれだけの実績をあげながら、そういうような設備がなかったということで若干の失敗もありました。そういった反省の上に立って宮古地域を食糧基地として位置づけ、なおわれわれは農政の基本として考えることにおいては宮古地域なり、あるいは離島地域を食糧基地として考えておるわけでございます。
そういうことで、それぞれの考え方でまず水の問題を解決すると、同時にその中継基地としての施設、さらには流通体系としての運搬の問題、こういうことについては十分配慮しているつもりでございます。
八重山の問題も出ましたけれども、竹富の竹富島から石垣島までの運搬船についても、今度の裏負担についてこの補正でお願いをしているとおりでございます。
そういうようなことで、着々離島地域の食糧基地としての位置づけを考えながら、それを振興し、伸ばすための施策を今後とも考えていきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。
養蚕の問題が出まして、養蚕試験場並びに工場の設置に対する考えがないかという御質問でございますけれども、養蚕試験場については、現状では農業試験場の一部にその指導員を配置しながら地域としての適地、あるいはその技術の普及等につとめていきたい。試験場そのものをすぐ設置をするということについては、いまのところ考えてはおりません。製糸工場は宮古で桑園が1500ヘクタールになった場合は、56年の振興開発計画には計画されておりますけれども、それぞれ取引先との関係で、どうしても面積がふえれば1工場を成り立つ採択の基準がありますので、それに達する段階では検討するということで関係市町村と話し合いを進めております。
さらにサトウキビの1本価格を推進すべきであるといろいろと御指摘がございましたけれども、きのうからけさまでずっとこの問題で中央会の生産者代表並びに分工会の皆さんを呼びまして、一応話を聞いておるわけでございますが、生産者の皆さんの希望としてはやはり今期は1本価格にしてくれと、理由も先ほど与那覇議員からの御指摘のとおり、それぞれ各地域ごとに問題がある。そういうことでございますけれども、きのうお答えをいたしましたように、県としてはあくまでも告示価格が基本である。しかしながら調整をとるために必要とあれば前後にスライドするというような考え方でもって調整できないだろうかということで現在説得を続けているわけでございますけれども、けさ現在了解を得ておりません。これについては今後とも主管省と調整をとりながら、なおまた県内においては生産者並びに企業のほうとの調整に入っていきたいと、こういうふうに考えております。
肉用牛を買い取って調整できないかと、県が肉用牛を買い取って調整をしている府県が若干よそに見られると思いますけれども、その方法については、県の場合はやはり本土がいまの市場になっておりますので、本土の値上がりを待つ以外にいまのところで方法がないわけでありまして、県がほとんど成牛を買い取るということになりますと若干の問題がある。しかしながら経済連を通して、農協を通して出てきたものについて検討するような方法もありますけれども、やはり資金の問題等がありますので、すぐこの事業を取り上げるということには若干問題がありますので、今年はその危機を乗り切るということでわれわれとしては輸送費の補助をしながら、余剰牛の960頭を一応県外に搬出させる。来年の4月1日からは、政府が法律を改正して黒牛もその調整の中に組み込むというような政策が発表されておりますので、それに乗っけながら、なお足りないということであればいまお話のとおり何とかこの危機を乗り切る、あるいは今後の沖縄の畜産を伸ばすための抜本的な施策を考えていきたいと、こういうふうに考えております。
大体以上でございますけれども、それじゃきのう私が、自由民主党の渡久地議員の御質問に対して、いつからこれが持ち直る見通しがあるのかという御質問に対してお答えをいたしましたとおり、来春の値上がりの理由、どうしてそういう見通しをつけたかという与那覇議員の御質問だと思いますけれども、きのうお答えしたとおりでございまして、50年の2月ごろからは乳用の雄の肥育牛の市場の上場が少なくなると、そのことがわれわれが期待しているということでありまして、さらには現在乳用の雄の子牛の肥育がほとんど停止している状態にある。こういうような価格上昇に伴う要因というものが、これを主体にして考えた場合には、大体来年の2月ごろから値上がりの見通しじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。その2つの理由がいまわれわれが考えられる理由でございます。
以上です。
○議長(平良幸市君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 平安常実君登壇〕
○生活福祉部長(平安常実君) 対馬丸事件についてお答えをいたします。
琉球政府時代におきましても、この対馬丸の遭難死没者に対して準軍属として処遇していただきたいということを要請したわけでありますけれども、これは単なる見舞い金で処理されてたいへん遺憾に思っている次第でございます。
さらに2点目の、対馬丸の船体を引き上げて、そうして遺骨を故郷の山に葬らしていただきたいということにつきましても、悪石島付近はたいへん深海であるために、いまその作業のめどがつかないということでこれも実現を見ておりません。
そういうことで今後とも御要望がありましたように、県としましてもこの対馬丸事件に対するところの処遇の問題、あるいは船体の引き上げの問題について強力に要請していく考えでございます。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
〔警察本部長 神川誠太郎君登壇〕
○警察本部長(神川誠太郎君) お答えいたします。
最近の宮古における事件のお話がございまして、本県における少年非行問題について要因とその対策いかんということでございますが、ただいまお話がございました2件の事件のうち、一番新しい今月3日に発生いたしました事件、傷害致死事件でございますが、その発生状況をまず申し上げてみたいと存じます。
この事件は、今月3日の午前1時頃に18歳の高校生が――この高校生が加害者になったわけでありますけれども―上野村の同級生である友人宅で、その友人が自動車の仮運転免許試験に合格したお祝いがあって、友人8人で泡盛2升を飲みましたあと、そこに集まった同級生の1人が運転するオートバイに3人相乗りで帰宅途中にあったわけであります。そして城辺町におきまして相乗りしていた1人の同級生の家に立ち寄ったときに、この加害者となった少年はその家からかま1丁を護身用として持ち出したのでございます。その後またこの3人で相乗りいたしまして、城辺町の犯行現場に至りまして、そこで被害者となった少年――これは18歳の会社員でございますが、この少年を含む3人連れの少年たちに出合いまして、連れの同級生1人がこの3人連れの1人に年齢を聞いたことからなまいきだと言って1対1の取っ組み合いのけんかになったわけであります。このけんかに加害者となった少年が加勢しましたので、その相手の被害者となった少年が付近からスコップを持ち出してまいりまして、この加害者となった少年をなぐったことでこの2人がまたけんかになった。そしてこの加害者となった少年が持っ
ていたかまで被害少年のうしろ腰を刺しまして出血多量で死亡させた事件でございますが、この少年は日ごろから飲酒、喫煙の癖がございまして、学園内の暴力事件を起こしまして停学処分を受けておりました。また家庭におきましてもしつけがなされず、放任の状態にあったわけでございます。
この事件を契機といたしまして少年問題がクローズアップしてまいったわけでございますが、この非常にショッキングな事件、これ自体を分析いたしましても、先ほど申し上げました家庭のしつけの問題、これは他の非行事案についても共通しておる大きな問題事項でございます。
そこで警察といたしましては、今後とも警察みずから行ないます少年非行集団の解体補導、それからまた少年を取り巻く環境の浄化と有害物の排除、それに少年補導員などによります継続補導などの補導体制を強化するほか、地域の補導員の方々あるいはPTAの方々御協力を得まして、家庭にも呼びかけるなど少年の非行化防止につとめてまいりたいと考えております。
○議長(平良幸市君) 島田哲男君。
〔島田哲男君登壇〕
○島田哲男君 私は、さきに通告してございます2点につきまして御質問をいたしたいと思いますが、この点につきましては一昨日来すでに数多くの方からの質問がありまして、ほとんど重複するところもございますけれども、いま社会情勢がきわめて不況感が強く、きびしい昨今、どうしてもこの問題につきまして所見を申し述べながら若干質問を行ないたいと思います。
まず最初に、中小企業の対策についてでございますが、昨年暮れのあの石油危機に端を発した物不足、狂乱物価等に加えて、政府の総需要抑制策の持続や金融引き締め等によって企業の倒産、失業者の増加等社会不安はもはや極限に達し、きわめて深刻な事態に直面していることはすでに御承知のとおりでございます。
特にわが沖縄県は、復帰に伴う諸制度の急激な変化、生産基盤の立ちおくれや流通機構の未整備等もあって本県の中小企業を取り巻く経済環境は予想以上にきびしく、不況感は一そう深刻になってまいりました。このことはきのうまでの代表質問や一般質問においてすでに数多くの御指摘もあったとおりでございます。
わが党もさっそくこの中小企業緊急対策につきまして各団体、業者等の実態調査に当たりましたが、予想以上のものがございます。ちなみに県内主要金融経済指標の推移資料によりますと、末端実需の減退から生産及び出荷の大幅な落ち込みが続いている上に、個人消費面でも耐久消費財等を中心に買い控えの傾向が強く、また観光客の入域もだんだん減少し、頭打ちの傾向にあるので県内企業は業績不振に見舞われ、結局雇用調整を余儀なくされる向きが増大し、したがって貯金基調も一段と悪化しているため、企業の資金繰り、逼迫感は引き続き強まっているものと現状分析をしております。
なお、ここでさらに企業倒産に輪をかけている不渡り手形の発生が急増し、ついに復帰以来最高を記録し、年末までには4億円台にのぼるのではないかとまことに憂慮にたえない次第でございます。
企業側の経営上の隘路として訴えていることは、製造業あるいは非製造業を問わず、経営不振の理由として次のような順位で指摘しております。すなわち昭和48年3月から9月ごろまでの間は、第1番目に、人件費の上昇、第2番目に、人手不足、第3番目に、資金不足の順位で訴えておりますのに対し、ことしの5月から9月に入りますと、第1番目に、経費高製品安、第2番目に、資金不足、第3番目に、売り上げ不振等の順位に変わっております。
そこで最近では、まっ先に資金不足を強く訴えており、経営上の隘路打開の方向が資金対策こそ最優先して解決すべきものだと強く訴えてきております。このことについては、すでに緊急中小企業金融対策資金として5億円余、沖縄信用保証協会の保証ワクの拡大のために1億円、出捐金の増額措置等あるいは県単独融資制度の資金増額等、当局の迅速かつ適切なる措置を心から評価するものであります。
ところで各制度資金の執行状況の報告によりますと、中小企業設備貸与資金の100%消化をはじめ近代化資金、高度化資金、そして県単独資金の経営安定資金や季節資金等についても年度内消化の見通しとのことであり、まことにけっこうなことだと思います。しかしながらまだまだ申し込み額ははるかに資金ワクをオーバーしており、不況打開に苦慮している業者がまだまだ続出することは容易に予測されるのであります。
そこで中小企業の危機打開をはかるには、大幅な資金増額がなされなければならないと考えますが、これまでの質問に対する答弁では増額の必要性と努力する云々とのことでありましたけれども、いま少しその見通しと今後の抜本的な対策がありましたらお伺いをいたしたいと思います。
以上、金融面からの中小企業対策についてお伺いをいたしましたが、さらに県内中小企業の保護育成と失業対策についてお伺いをいたしたいと思います。
本県における中小企業の事務所は4万3094カ所で、17万3773人の従業員が小規模企業に従事しており、中小企業の安定と発展をはかることは、沖縄経済の発展はもちろん、失業対策にもつながり、県内物資需給のバランスの確保、物価対策にきわめて重要な位置を占めていることはいまさら私が述べるまでもないと思います。
既存企業の保護育成をはかるためには、県産品を積極的に活用し、県内自給度を高めるとともに、地元企業の受注機会を確保すること及び市場確保のための近代化、組織化等について行政指導が最も大事なことと存じますが、さらに失業対策の面からも既存企業の育成をはかるとともに、公害を伴わない労働集約型の優良企業の誘致を積極的に検討する必要があるのではないかと思うわけであります。
ところが企業の誘致におきましてもきわめて慎重に検討を加えなければならないことは、また昨今の事例から非常に大事なことかと存じます。と申し上げますのは、去る10月29日付の朝日新聞に大きな見出して載っておりますことは「不況の波、誘致企業を直撃、不況が、地方に進出した誘致企業に働く人たちをも直撃している。」云々。このようにせっかく誘致したもののその倒産にあい、結局そこで働くたくさんの従業員が路頭に迷っているという事実であります。ただいまの新聞の内容から見ますと、岩手県では東北日本電気をはじめ30社が不況を理由に1500人の解雇をしているようであります。山形県の場合、昨年進出したばかりの音響メーカーの昭電社山形工場がわずか1カ年半で去る10月中旬に閉鎖をし、50有余名の従業員がほうり出されております。また秋田県でもニッセイ電機が事業縮小を理由に従業員の大量解雇を行なっているようでございます。
このように数年来、各地方は公害のない労働集約型、そして付加価値の高い優良なる企業を誘致してきておりますけれども、昨今の不況の直撃で倒産し、従業員の大量解雇というゆゆしい問題が出てきていることも事実でございます。
さて、いろいろ所見を述べてまいりましたが、かかる現状認識に立って、企業の過多性、規模の過小性の改善をはかるため、生産性の向上をはかり、構造改善、高度化、近代化、組織化等を維持する必要が最も大事かと思う立場から次のことについてお伺いをいたします。
1番目に、県産品を積極的に使用し、県内自給度を高め、既存企業の保護育成をはかるべく市場確保の対策については、これまで質問と重複しますので省略するとして、地元建設協会のことについてお伺いいたします。
私は県内中小企業建設業者の保護育成の立場から、受注機会の確保をはかるために、国、県、市町村その他公社公団等の公共工事発注機関並びに県内経済界あるいは民間商社等も優良なる地元建設業者を広く活用すべきものと痛感いたしておりますが、県はいかような対策をしておられるか。また公共工事発注機関や県内経済界、民間商社等にも行政指導を行なっておりますか、おりましたらその点についてもお答えをお願いいたしたいと思います。
御参考までに申し上げたいと思いますが、さきに行政視察に東北地方へ行ってまいりましたが、その中で岩手県の中小企業保護対策がたいへんすばらしく参考になることがこざいましたので、ここで一例を申し上げたいと思います。
御参考までに申し上げたいと思いますが、さきに行政視察に東北地方へ行ってまいりましたが、その中で岩手県の中小企業保護対策がたいへんすばらしく参考になることがございましたので、ここで一例を申し上げたいと思います。
建設業の入札の場合、最低入札者を採用せず、価格申告審議会で協議し、指名決定をする方法をとっておったということであります。すなわち工事請け負い指名資格基準によって4段階の格づけ等級による価格申告制度を採用しており、一名西ドイツ方式とも言っておりましたが、岩手県においては90%が県内業者によって行なわれています。しかも県内業者には優良な生産品を義務づけております。
このように県内中小企業者の保護育成とあわせて工事の適正施行、工事の早期完了等大きな成果をおさめていますが、わが県でも参考にならないかどうか御検討を要望いたしたいと思います。
2番目に、公共工事施行に当たっては県内資材を優先的に使用するよう工事発注の契約条件に組み入れることはできないものかどうか。当局は行政指導に当たってほしいと思いますが、御見解を承ります。
3番目に、県内製造業の近代化、組織化の推進をはかることも早急に対処すべきと思います。工場も小規模工場が87%も占めており、単位規模の引き上げ、近代化、組織化をはかるとともに、既存企業の工場の適正配置の促進をはかるため、土地利用計画の早期実施をなし、生産設備の投資控えの解消をはかるべきだと思いますが、御見解をお伺いします。
4番目に、伝統工芸産業振興対策について。
伝統工芸の存在が今日ほど重要に理解されている反面、混乱しているといわれ、伝統工芸はブームの中における危機に直面しているものとたいへん憂慮されております。すなわち技術者の不足、原材料の不足と相まって模造品のはんらん等がその危機に輪をかけており、この打開策として生産団地の造成や技術者養成と市場の確保、業界の協業化、組織化及び資金の助成を早急に検討されるべきだと思いますが、その対策はいかようになっておりますか、お伺いいたします。
5番目に、商店街振興組合の育成指導について。
中小小売商業振興法によって店舗の整備、店舗の共同化等の事業、小売り業者の経営の近代化促進のための高度化がはかられるということで、すでに組合も設立されつつありますが、このことについては去る6月議会にも質問し、いま県では真剣に取り組んでおるということでございましたが、このことについてはいかようになっておりますか。また資金融資の裏づけはどのようになっておりますか、組合育成の設立指導の状況についてお伺いいたします。
次に、治安維持についてお伺いいたします。
この問題についてもすでに一昨日の吉田議員の代表質問に対し警察当局から詳しい御説明があったのでありますけれども、昨今の血なまぐさい師走の世相は思いもよらぬ事件や事故が次から次へと発生して社会不安もその極に達しております。
ここであえて問題を提起し、二、三点質問を行ないたいと思います。
近年における凶悪犯罪は関係当局の懸命な防犯対策をしり目に継続発生し、むしろ増加の傾向にさえありましてまことに遺憾にたえません。特に最近の新聞をにぎわしている暴力団の抗争事件のごときは無法地帯を地でいくようなエスカレートぶり、いつどこで善良な市民が巻き添えを食うか社会不安もだんだんと増大していることはよく御承知のとおりでございます。
去る11月14日の深夜、那覇市内前島町のバー街で、ある暴力団幹部宅に銃弾が撃ち込まれた事件から次から次へと警察の警戒をしり目に組織暴力団の抗争はひんぴんと起こっており、師走に入ってからはさらにエスカレートし連日連夜の発生、火炎びんや短銃の乱射事件などついに日常的になり、一般市民の不安は警察への不信にもつながって高まっておることも事実でございます。もちろん警察当局においては相次ぐ銃器犯罪の一掃に御奮闘しておられることはよく理解しております。
まことに御苦労でございますが、県警ににおいては総動員体制で暴力団の徹底壊滅をはかるという声明もされている中で、住宅街や人通りのある繁華街、しかも機動隊員等が警戒している中でしばしば事件が起こっていることが新聞で報じられております。
このようなことから一連の暴力団の抗争事件、またほかに米軍人軍属関係の犯罪も麻薬を中心に凶悪犯罪が復帰後ますます増加しているということを聞いておりますが、これに対する対策について当局のお考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 中小企業関係についてお答えいたしたいと思います。
金融問題でございますが、これにつきましてはこれまでもお答えいたしましたとおり、特に現在の中小企業問題の中では金融対策が一番問題だというふうなことで、これまで県といたしましても信用保証協会の充実強化によって信用補完制度を充実させていくといったような立場、あるいは緊急融資というふうなことで対処してきたわけでございますし、また開発金融公庫に対しましては、開発金融公庫自体の資金量の拡大の要請などもいたしております。その結果、開発金融公庫としては、当初予算160億円が結局追加財投で50億円、それから他の流用ということで30億円、計240億円に中小企業等資金が増額されております。
それで年末においては商工中金の資金ワクの増大などもございますので、特に第4四半期のことにつきましてもそういった資金がどういった形で貸し出されていくのか、あるいは資金の需要がどういった形で出てくるのかといったようなのを十分見きわめながら、さらに増額の要請などについての検討をいたしていきたいというふうに考えております。
次に、県単の問題でございますが、次年度に向けまして季節資金、安定資金あるいはその他の制度資金などについて積極的な立場で検討していきたいというふうに考えております。
特に現在ある制度資金だけでいいのかどうか、あるいはそのほかに伝統工芸関係の資金というのが必要になるのではなかろうかどうか、そういった問題、あるいは県単の無担保無保証の制度自体を国にある無担保無保証の制度との関係で検討しながら、どのような形で位置づけしていったほうがいいのかといったような問題を含めて、次年度に向けて検討をしていきたいというふうに考えております。
それから次の、市場確保の問題の中での地元建設業界に対して優先して受注させるというふうなことにつきましては、具体的な県の発注する工事については土木部のほうで対処するというふうなことになっておりますが、県といたしましても10月の末に庁議のほうで県産品の愛用と県産品の優先使用というふうなことで決定しておりますし、それに基づきまして業界団体あるいは関係団体、さらには市町村などとか関係公共団体に対しまして、知事名で地元建設業界への優先発注というふうなことも含めまして協力依頼の文書を出しておりますし、今後こういった立場で対処していきたいというふうに考えております。
それから4番目の、伝統工芸産業の振興対策につきましては、確かに沖縄の伝統工芸独特なのがあるわけですし、また伝統工芸自体が数も多いというふうなことで、沖縄の今後の産業振興というふうな立場からは基幹産業として位置づけてその振興をはかっていくべきだということで、これまで伝統工芸指導所の設置だとか、あるいは伝統工芸課の新設というふうなことで機構劇には整備してまいっております。
それで今後の対策としてはやはり組織化の問題などもございますし、あるいは金融の問題、あるいは技術者の養成確保の問題、さらには流通の問題、あるいは原材料確保の問題など多くの問題をかかえているわけでございます。
それで県といたしましては、現年度いっぱいで伝統工芸に対する振興計画を策定するということで現在専門機関に委託しておりますので、委託の調査が報告され次第伝統工芸振興審議会のほうにその振興計画案をはかりまして、そこで振興開発計画をきちっと確定いたしたいというふうに考えております。そしてその上に立って次年度から、いま申し上げました諸問題についての具体的な振興についての実施をしていきたいと考えておりますして、その中でも特に金融対策としてのいまさき申し上げました伝統工芸資金の設置の問題だとか、あるいは伝統工芸センターの設置の問題、特に地方の民芸センター、あるいは県段階における伝統工芸センターの設置の問題などを中心として次年度予算の中で検討していくということにいたしております。
それから模造品の防止の対策などにつきましても、いま伝統工芸振興条例の中で、結局伝統工芸品については伝統工芸品であるという表示をすることになっております。それが現在織物についてなしているわけでございますが、その範囲を拡大していってすべての伝統工芸品に対して伝統工芸品であるんだという表示を徹底していくというふうなことでそれの防止をはかっていきたいというふうに考えております。
それから商店街振興の件についてでございますが、これにつきましては現在具体的に着手いたしておりますのが胡屋のほうの商店街の整備事業でございます。これはコザ市のころからコザ市が積極的に対処しまして沖縄市に引き継いでその具体的な計画として県にあがってきておりますので、県としてもそれに全力を傾注していくというふうな立場から対処しておりまして、まず現年度から着工しようというふうなことで計画を進めておりまして2月1日を目標に着工し、7月いっぱいで完成するというふうな予定で現在手続を進めております。
資金につきましても、特にこの計画事業については知事の認定というふうなことになるわけですが、特に5億円以上の事業につきましては関係省庁の同意が必要だということで、この同意手続を現在とっておりまして、それが1月の初めごろに同意が取れるんじゃなかろうかとうふうな見通しになっておりまして、そういたしますとこの知事の認定というふうなことになります。そういたしますと資金が80%の融資というふうなことになって、しかも無利息というので非常に資金面も有利な取り扱いになっていくというふうな形になっておりまして、これをいま申し上げましたとおり2月1日の着工目標で7月いっぱいまでに完成させるということで胡屋の商店街の振興事業については対処していきたいというふうに考えております。
さらに次年度には那覇の件もございますが、これについても積極的な立場で那覇市とも協力をしながら進めていきたいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) 島田議員のまず県内の業者に対する受注機会の確保の件でございますが、この件につきましては私たちは事業執行の段階、さらに中小企業の育成の問題でたいへん気を使っている問題でございます。
それまでまず初めに、九州各県におけるところの県外業者に対する受注の比率を参考までに御説明したいと思います。
福岡県の場合は県外に対して約35%、佐賀県の場合は約33%、長崎県の場合はこれは非常に大きく約76%、熊本県の場合は約23%、大分県の場合は約11%、鹿児島県の場合は約11ぱーせんと、それから北九州市が約20%、山口県の法が約17%、沖縄県の場合は約17%でございます。
それでいま私たちが47、48、49年度の傾向を少し調べてみますというと、47年度は県外に対して金額として約35%でございます。それから48年度は約21%になっております。それから49年度の執行の段階で、現在までのところ事業量としては約17%になってございます。
そういうような状況下で、これは比率的には他県と比較して、むしろ沖縄のほうが県内の業者に対する受注の機会を与えているという理解も成り立つかと思いますが、まず私たちは地元の業者に対する受注機会の確保の観点については、公共事業の発注の際、業者の指名選定につきましては、地元企業を優先するような現在はかってございますし、また大型工事の発注をできるだけ避けまして、現在建設省からもいろいろ通達がございますが、その通達等も参考にいたしまして、分割発注ができるものについては分割発注できるように設計を行ない、そしてさらに特殊工法という橋梁関係あるいは空港の建設等の技術を要するものにつきましては、これは可能な限り本土と地元業者との間にJV、つまり協働企業体を組織させて指名参加できるようにいたしてございます。
その次は、県産品の使用についての契約書の組み入れの問題でございますが、これにつきましては先ほど労働商工部長からいろいろ説明がございましたけれども、公共工事に使用する建設資材と言うものを仕様書に書けないかということもいろいろ検討いたしましたけれども、仕様書という問題になりますというと、いま私たちの手元にいろいろ問題提起されている建設資材の中では、他の資材は出ていませんが、特に問題なのはアルミ関係の県産品でございます。
それにつきましては、仕様書等もいろいろ検討をいたしてきましたけれども、これについてはアルミサッシは確かに200業者ぐらいでございますが、そのアルミサッシの原材料として型ワク材がございますが、この型ワク材は沖縄県には現在1社でございます。
アルミサッシの場合は、本土の型ワク材並びに沖縄県で生産する型ワク材の2本立てをとってございますけれども、もし他県から入るものをすべて移入させずに沖縄県だけのものを使わすということになれば1社しかありませんので、ここで市場のいろいろな問題がありまして、現在は私たちは仕様書また契約書等はいろいろ問題がございますので、これは建設業協会に対しても県産品の使用の協力を呼びかけましたし、それから特に現場説明の段階でその可能な限り一応は県産品を使用するようにということを呼びかけて県産品の優先使用をさせていきたいと思います。
それからもう1点は、これは工事を執行する段階でいろいろ岩手方式というのがあるそうでございますが、これは岩手方式というのは何か審議会を組織するというようなことを漏れ聞いておりますけれども、これは岩手県の場合は、これは全都道府県の中でただ一県しかやってない方式だと私も漏れ聞いておりますので、これがいいか悪いかは一応はその資料を取り寄せまして十分に検討し、これがわれわれの県で取り入れて施行するということがいい方法であるとすれば、この方法を参考にして今後検討して行きたいと思います。
私たちにとっては、現在まで工事の執行というのはたいへんいろいろ困難をきわめてきた問題でございますので、いいことはどんどん取り入れまして工事の執行に最善の努力を払いたいと思います。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
〔警察本部長 神川誠太郎君登壇〕
○警察本部長(神川誠太郎君) 最近の治安情勢につきまして、特に今次の暴力団の対立抗争事件、麻薬事件等につきましての警察の取り締まり状況についてのお尋ねでございました。
まず暴力団について申し上げたいと存じますが、本県の暴力団の組織は、沖縄連合旭琉会、それに東亜友愛事業組合沖縄支部という2つの組織を持った組織暴力団がございまして、旭琉会が約800名、東亜友愛事業組合沖縄支部につきましては約100名、トータルして約1000名になりますが、これらを警察として把握をいたしてまいってきております。
この旭琉会は、従来独立しておりました那覇派、山原派、宮古グループ、八重山グループの4つの組織が昭和47年復帰が決定した際に、本土暴力団が沖縄へ進出してくるのではないかということの沖縄進出に備えまして大同団結をすることを目的として昭和45年に結成されて現在に至っているものでございます。
この東亜友愛事業組合沖縄支部のほうは、東声会沖縄支部が昭和41年の9月に名前を切りかえたものでございます。そして彼らの資金源とか生活実態は、他府県の暴力団組織に見られるような下部から上部への上納制度というものはございませんで、組の幹部が配下の組員の世話をみているというのが実態でございます。したがって必然的に組の幹部は、組織維持のための資金が必要になってまいるわけであります。
そこで遊戯場、カフェー等の風俗営業、あるいはタクシー業、商事会社、スーパー、商店等の企業を直接または間接的に経営している状態でございまして、また組員はホステスなどのひもとして寄生するのが多く、ゆすり、たかりなどをして生活をしているというのがあります。
そして他府県の暴力団との関係は、東亜友愛事業組合沖縄支部は、東京に本拠を持つ同じこの東亜友愛事業組合の本部の系列下にございます。そして旭琉会は、関西に本拠を持つ暴力組織と友諠関係にあるものと私どもは見ております。
暴力団の取り締まりにつきましては、まず警察の取り締まり方針として組織の壊滅を究極の目標といたしまして、この組織の最高幹部を含む彼らの大量検挙、次は、資金源の封殺、それから拳銃その他の凶器の押収というこの3つを柱といたしまして警察組織の総力をあげてきびしく取り締まりを実施しているところであります。
ちなみに本年1月から昨日までの暴力団犯罪の検挙状況は221件、219名の幹部を含む組員を逮捕いたしました拳銃7丁、拳銃以外の鉄砲7丁、それから刀剣、これは大刀のほうでありますが、それにわきざし、あいくちのたぐい16振り、それに刃物類5点、こん棒、鉄パイプなどの凶器92点、合計127点を押収いたしてまいっております。
次に、麻薬につきましては、県警察が取り扱いました麻薬事犯は、昭和47年の検挙209件、210名、昨年は前年と比べましても、検挙334件、305名と非常に多い数字を見せております。本年は11月末現在で187件、143名の検挙でありまして、数字の上では検挙127件、人員144名の現象を見ております。この検挙した被疑者の活動現場をそれぞれ発生地域別に見ますと、まず一番多いのはコザ所管内41.2%、次が普天間所管内で29.4%、次は那覇所管内内の12.3%、石川所管内の8.6%、嘉手納署6.4%、名護署1.6%の順になっておるわけでございます。
本年の減少の原因といいますか、理由でありますが、さきの議会におきましてもお答えいたしましたとおり、相当警察の取り締まりの強化ということによりまして、いわゆるブツの値段が値上がりしたということからもうかがえるわけでありますが、今日なお同じようにその単価は高値をを呼んでおります。そしてこの取り締まりの強化により犯罪がますます巧妙化、潜在化していくということ。さらに先ほど申し上げました麻薬の取引価格が高騰したために麻薬の出回り量が減少しておるというようなことがあげられるかと思います。
そこで警察といたしましては、これら事犯の潜在化、巧妙化に対処するために、県本部の防犯少年課に麻薬捜査隊、これが中核になるわけでございますが、さらに捜査1課の機動捜査隊、各警察署の麻薬の係、さらには米軍人軍属等によって引き起こされております基地から派生する渉外事件、これに専従的に充てております渉外機動警ら隊がありますが、こうした組織を有機的に、さらにまた総合的にこの種の事犯に体制を固めて取り締まりをより一そう強化し、麻薬事犯の絶滅をはかっていきたいと、かように考えております。
○議長(平良幸市君) 瑞慶覧長方君。
〔瑞慶覧長方君登壇〕
○瑞慶覧長方君 通告申し上げた順序はちょっと狂うかもしれませんが、大体その線に沿ってお尋ねしたいと思います。
その前に、問題は沖縄のサトウキビは、奄美もそうですけれども、織り込み価格方式でございまして、いわゆる生産された粗糖の事業団による買い上げ価格がきまり、その中で織り込まれてキビ価格がきまってくると、これは去る議会でも私は指摘したわけですが、ところが沖縄の場合は、島内で消費される砂糖は北部製糖で精製されまして、復帰特別措置でもって1キロ当たり16円、これは免除されております。
それからさらに砂糖の価格差補給金がございまして、これで国庫から16円33銭、計32円33銭の消費砂糖については特別措置がある。そのほかに、ことしに入ってからこの砂糖の消費価格は国際相場暴騰によって6月19日に農林省が24.2%、すなわち指導価格を186円から231円にキロ当たり引き上げました。それから10月28日にさらに14.2%、すなわち231円から287円に指導価格を引き上げております。しかし、これは沖縄の場合は据え置きという措置がさらにとられておるはずであります。しかしながら現在の沖縄の砂糖の小売り価格はどうなっておるか。これをちょっと調べてみましたら、農協関係はわりかた守られております。すなわち188円、これは現在一番安いほうです。家庭用小袋1キロあたり188円、これは沖縄で最も安いのがこれだけです。普通200円ぐらいで売られております。これは農協関係です。それから一般の場合は1キロ袋230円から250円で売られております。特にひどいのは那覇市内のほうでありまして、公設市場で売られておるものの中に500グラム入り130円というのもあります。これは10月からはほとんど栄町、与儀、那覇市公設
市場で500グラムで130円になっております。これは1キログラムに直せば260円という形になってしまいます。
そこでこういう特別措置もあり、砂糖価格差補給金もあり、さらに沖縄は据え置きということになっていながらこういう形になっておる。これは明らかにいわゆる便乗値上げであり、または1次問屋、2次問屋、そして小売り店にいく過程の中で矛盾があるんじゃないか、こういうことを悪用してマージンをつり上げたり便乗しているんじゃないか。
現在、県のほうではこういう問題を解決するために物価Gメン、あるいは消費者モニター、さらには沖縄県消費生活センター等がございまして、こういった指導あるいは摘発などに活躍をしておると思うんですけれども、どうもその辺が思うようにいっていない。特に婦連あたりでは生活部を設けまして徹底的な調査をしております。
県が今日までこういった悪徳業者あるいは便乗値上げをした業者を摘発した事例があるかどうか、ありましたらこれを発表していただきたい。
次に、北部製糖は沖縄でいわゆる精製もやり、また粗糖もつくると。ところがどうもこの工場にはふに落ちないのがあります。これはもうけるということはたいへんけっこうなことでございまして、同じ糖業に関する者として製糖会社が利益をあげるということは大歓迎であります。しかし、この利益はやはり生産農家と公平な利益があってしかるべきじゃないかと。ところが私が入手した資料によりますと、去年の沖縄産糖の事業団買い上げ価格は11万2000円となっておったんですが、実は国際相場が相当はね上がりまして、私は6月議会でも指摘しましたが、そのために沖縄の各工場は相当の利益があるだろうという指摘を申し上げましたが、そのとおりの結果が出ておりまして、13万1000円以上の各会社がすいぶんございます。中には14万以上売れた会社もあります。ところが北部製糖の場合は資料もこれは古い資料でございまして、新しい資料がここだけ入っておりませんのでお尋ねしますが、ことしの6月までの統計では1トン当たり9万9134円で買った形になっておる。ところが北部製糖は自分の会社のものを自分で買う形になりますから、そういう操作ができる。ですからほかの会社が12万、
13万と売っておるにもかかわらず、北部製糖は9万9000余りで売っておる。これは自分の会社のものを自分が買うという仕組みだからその操作が生まれてくるんじゃないか。そして6月期決算における収益は4億5692万9000円で、沖縄の法人高額所得番付の第1番目であります。4000万円以上が全琉で14社ありますが、驚くなかれ製糖関係が1番、北部製糖、4番、沖縄製糖2億1336万7000円、5番、久米島製糖1億8176万7000円、6番、中部製糖1億8159万1000円、7番、第一製糖1億7832万4000円、9番、波照間製糖9823万7000円、13番、大東糖業4560万3000円、こういうふうに去年は軒並み各製糖工場が高額所得になっております。
当時、私が指摘したときに、そんなことはないという否定は分工会からもありましたが、その後、農民運動やマスコミの協力を得て、これが還元されるという形に報道がございましたが、各工場がその後、生産農家に対してどのような還元をしたか、これも皆さんで報告はあろうかと思いますので、この辺も明らかにしていただきたいと思います。
私は、こういう利益があがるのはたいへんけっこうでございます。ただ、ひとしからざるを憂う、同じ砂糖で生活し、サトウキビでともに発展するべき企業が、一方でこういうふうにほくほくの利益がありながら、農家だけは生産費にあえぐと、こういう社会を直すためにこれは明らかにしていただきたい、こう思っております。
それから今度のキビのほうもそうでございますが、確かに農家は去年よりもことし、ことしよりもまた来年と、こういうささやかな夢を抱いてまあまあという評価が出たんじゃないかと思うんです。しかし、国際相場が630ポンドにもなり、30万も突破しております。そして消費価格がこういうふうにはね上がっていく中で、はたして企業側と生産者側のアップは公平であったか、その面を指摘したいと思います。
糖業事業団の買い上げが、去年沖縄産糖は1トン当たり11万2000円、49年は1トン当たり16万1000円、このアップ率は臨糖費を含まずに43.7%であります。
48年の告示額であります。これは1トン当たり8700円、ことしは1トン当たり1万1200円、アップ率は奨励金を含まず28.72%であります。
こういうふうに農林省の告示というのがいかに企業に優先され、生産農家を見捨てているか、これも私は非常に疑問であります。この辺の分析をひとつ農林水産部でも科学的に検討していただきたいと、こう思います。
次に、去年の実際の粗糖の事業団への売り渡し価格、これはもう統計が出ておると思います。これもございましたら示していただきたいと思います。
それから2番目に、こういった問題だけでごじゃごじゃしておったんでは沖縄の農業は発展しませんので、根本的な問題について時間がございませんので二、三申し上げて提言をしながら御質問をいたします。
いま世界は石油によって混乱され、いわゆる狂乱物価、インフレと、こういう世の中になっておりますが、同時にいま食糧が今度はひとつのいわゆる石油戦略と同じような形で行なわれておりまして、いまシカゴの穀類相場、ロンドンの砂糖相場、ふつうの証券取引よりも穀類取引に目を向けたほうが利幅がいいということで世界中の大商社はこれに目をつけております。
ところがそれにもましてさらに深刻になってきているのは肥料でございます。どんなに生産量をあげ、栽培面積をあげても、どんなに基盤整備をやってもやはり一番問題になるのは肥料でございます。現在ソ連がアメリカから1000万トン以上の穀類を輸入しているほんとうの原因は、シベリアの干ばつと、さらに冷害、霜の害、これによってバクテリアの生育が不良になり、有機肥料が生成されない。そのためにあの大不作を生み、現在アメリカから1000万トン以上の穀類を年間入れております。これは有機肥料の問題、さらに金肥を入れるとなるとたいへんな金がかかると。金肥を使えば必ず酸性化されまして、中和剤が必要であります。
現在沖縄の農業は収奪農業でございまして、取りっぱなしであります。そのために金肥にだけたより、私が計算した限りにおいては12億円から13億円の金肥がサトウキビに年間消費されます。その他を入れますと20億円余にわたります。そのうち実際に作物に吸収されるのは、試験場あるいは普及員等の資料によりまして38%、サトウキビの場合。すなわち62%以上は実際には肥料としての効力を発していない。ですからその損失というのは七、八億円になります。年間むだ金が投費されております。これはほかの野菜も含めますというと10億円以上になります。大金であります。
ですから私はぜひともこの肥料問題が必ずや第3の石油危機が到来することを予想しまして、またどうしても有機肥料がない限り沖縄のような集約農業、そして盆栽農業というのはこの有機肥料の解決なくしてあり得ないと思います。
かつて終戦後、平良辰雄知事時代に推肥奨励運動を展開しまして、全琉至るところで推肥奨励運動が展開され、柱時計の知事賞などが与えられ、農民はそういう生産に、あるいは肥料積み込み運動に精を出しました。どうかこういう機会に、これはさほど予算は要りません。運動で結構であるし、知事賞、部長賞、あるいは県議会議長賞、こういった形の奨励賞みたいなものを設けて運動を展開し、組織をつくれば可能だと思います。これは教育現場においても、一般労働者の中でも、農民以外の人にもこの運動を展開してはじめてこれは成り立つ運動かと思います。
そういう意味で堆肥積み込み、こういった奨励をやっていただきたいと思いますけれども、農林水産部として、あるいは知事におかれまして、こういったことをどのようにお考えか、御見解を承ります。
それから次に、畜産問題でございますが、ほとんどこれはいままでの代表質問、一般質問で取り上げられておりますので、私は1点だけ指摘をして質問にかえたいと思います。
豚肉、牛、ブロイラー、こういったものの暴落はいわゆる農林省の食肉割り当ての失敗もあるわけですが、それを助けたのが大商社であります。国内豚肉安定のため輸入関税優遇制度を悪用して輸入価格を実際より高値に申告して脱税、関税法違反でいとう萬株式会社が12月11日、大阪地裁で社会的責任の大きい大手商社が手段を選ばず利益を追求した罪は重いとして同社に罰金1億2000万円を言い渡された。また同様脱税事件は先月の11月11日にトーメンが横浜地裁で罰金9000万円の有罪判決を受けております。
こういうふうにいまや日本の畜産の値段というものは、商社の幾つかが、こういうあくどいやり方をやって操作している。これはせりの相場もしかりであります。肉の相場もしかりであります。
こういう観点に立って、沖縄においてもこういうような面に行政の目を向けて、こういった摘発にどのような姿勢で臨むか、おそらく県内にもわれわれがわからないだけであり、こういう悪徳業者というのが相当おると思います。
この面に対する対処策あるいは見解をお伺いします。
終わります。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) ただいま瑞慶覧議員から御指摘いただきました砂糖の小売り価格に対する問題でございます。
これについては確かに御指摘のとおり、それぞれの部課がありますので、そこで末端の小売り価格に対する指導を行なっていると思います。
ただ砂糖を担当している部課としては、その特別措置によってどういう差を持っているか、これについてもいま瑞慶覧議員から御指摘いただきましたように、22円33銭の恩典は確かに消費者に完全に還元をされているというふうに見ております。
ちなみに49年、ことしの2月から3月ごろにおきます小売り価格の比較はまず東京の場合はグラニュー糖で250円、大阪の場合も同じく220円から230円、沖縄の場合は平均185円。これにつきましてただいま瑞慶覧議員が調査をされた末端の小売り価格の提示がございましたけれども、これは直接われわれが調査をいたしておりませんのでコメントは避けたいと思います。結局本土と沖縄の差額は22円から65円の差があるということでございます。
農林省2月1日から7月15日までの上白糖の小売り指導価格は186円でございます。そういうことで小売り店の10%相当の小売りについてわれわれは指導をいたしております。本土と沖縄の差は、さっき申し上げましたようにこの数字からすると22円から65円の差であるということでございます。
さらに新聞で発表されました各企業、沖縄に存在いたしますところのサトウキビを中心にした加工業者の利益につきまして新聞発表の金額がございましたけれども、われわれとしてあの金を調査をいたしてみますというと、課税された額でないと、結局あれから課税された額が出てまいりますので、そのまま所得ではないというような形になっております。
大体6月決算において5000万円以上の利益を得た製糖会社も多いわけでございますけれども、その還元の実態につきましては、昭和48年度産糖について各社に共通して言えますことは、生産予想高は確かに122万2000トンでわれわれは予想いたしました。しかし、実績が131万3000トンで約9万1000トンの増になっておりまして、予想歩どまりも12.48%ということで予想との差があるわけであります。予想が11.74%でございましたから、そういった増産がありまして、ただいま申し上げました5000万円以上の利益をあげた会社があるということでございます。
そのほうがどういう形で生産者に還元されたか、経済連の場合は生産奨励金として5000万円を支払っております。それから肥料の配布のために、これは約3万袋以上になりますけれども3100万円が支出されております。北部製糖の場合は5000万円、中部製糖が6500万円、琉球製糖が4140万円、第一製糖が4085万円、諦めて2億7850万円が、以上申し上げた会社の場合は農家に還元をされている。その他若干ここに報告がない部門もありますので、そういった形で生産指導あるいは本年度の増産のために金が支出されていると見ております。したがいまして先ほど発表になりました新聞報道の金額そのものが全所得として会社に入っているとは見ておりません。
そのアップ率に対する考え方でありますけれども、先ほど瑞慶覧議員が去年のキビ価格の告示価格の8700円を中心にして、あるいはまたことしの1万1200円を基準にしたアップ率、これについては十分農林省で検討いたしまして確かに織り込み価格にはなっておりますけれども、現在の価格指導体系というものが法律でそういうように定められておりまして、これを原料だけを別個に計算するということは非常にむずかしいのではないか。しかし農家の実情等については、県としても十分日ごろから訴えておりますし、なおまた算定の場合における考え方等についても鹿児島県並びに沖縄県が一緒になって農林省に説明を数回となくいたしておりますので、実情は十分農林省も把握して、このアップ率等についてはあきらめたものだと、こういうふうに考えるわけでございます。
48、49年度の粗糖価格、これが会社がどういうふうに売ったかと、いわゆる11万2000円で基準価格で買い入れることになっていたのが、実際は途中から国際糖価が暴騰いたしましたので、それに基づいて実勢の売り買いは別にあったのではないか。先ほどの御発表は13万1000円で売れた会社もあるのではないかという御指摘をいただきました。
これにつきましては、会社が実際にどれだけで取引されたかということについては報告はありません。
なおまた県としてそういったこまかい点について、実情を会社からその数字を取るということもむずかしい状態であります。
ただ申し上げました生産者と企業が一体となって、利益それ相当の分配があり、調整が必要じゃないかという御指摘に対しては十分承知をいたしておりますので、そういった意味で企業が、生産者が今後の増産に励めるだけの会社としての利益還元については十分指導をいたしたいと思います。
踏まえまして堆厩肥の奨励策でございます。これは確かに御指摘のとおりでございまして、われわれとしても十分反省をいたすわけでありますが、確かに肥料は47年の場合6万3000トン以上が使われました。48年は若干減っておりますけれども、現年度は約6万トンの消費が見込まれております。
その値段についてもいろいろと発表がございましたとおり非常に値上がりをした。これは石油パニックの影響等もありまして、そのメーカーのほうではそれだけの基準値でなければいけない。しかし政府としてもこれについては十分な対策がとられております。
御承知のとおり堆厩肥の奨励策はやはり地質柄、あるいは気象的な影響等もありまして、沖縄の場合はずっと地力の増進対策ということで堆厩肥の奨励を進めておりまして、これについては年2回、春と秋でありますけれども増産運動を展開をいたしております。
なお、その他の奨励賞については御指摘いただきましたように十分検討いたしまして、農家が意欲を持って地力の増進に励めるように堆厩肥の増産に努力したいと、こういうふうに考えております。
以上です。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
午後0時12分休憩
午後1時33分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
午前に引き続き質問及び質疑を行ないます。
先刻、農林水産部長から午前中の瑞慶覧議員の質問に対して答弁漏れがあったとの申し出がありますので、野島農林水産部長に発言を許します。
農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) 午前に瑞慶覧議員の質問に対して、1点だけ答弁が漏れておりますので、畜産の振興につながりまして特に今度の危機と相関連する豚肉の輸入に対する商社の不正の事件でございますが、これは豚肉の輸入に関しましては、昨年の春から10月ごろまで豚肉の関税の軽減または免除に関する政令によりまして安定上位より上がった場合は、輸入関税を免除または軽減して輸入させることができるわけでありましたが、この期間に輸入価格を操作をして差額関税上の不正事件があったということは新聞の報道によって承知をいたしております。
○議長(平良幸市君) 知花英夫君。
〔知花英夫君登壇〕
○知花英夫君 本員は、あらかじめ質問をする問題を申し上げましてから、それぞれの問題に所見を述べながら質問をいたします。
第1点、返還される軍用地の地籍調査と復元補償について、第2点、つぶれ地の補償の早期完了について、第3点、那覇空港の民間空港への完全移管の実現について、第4点、返還される軍用地に対する管理費補償について。以上でございます。
まず返還軍用地の地籍調査、復元補償の早期完了の問題についてでございます。まず最初にお伺いいたします。
まず県は、返還軍用地の地籍調査、復元補償問題について防衛庁が現在進めようとしているトリイステーション方式について調査されたことがあるか、お伺いをいたします。これは関係部長のほうで御答弁を願います。
この地籍調査、それから復元補償の問題につきましては、知事からたいへん重要な問題であるが、いかなる問題よりも困難な問題であると御答弁がございました。また土地調査事務局長は、集団和解方式の提唱がありました。国調法でもできない、特別立法もできない、政府に幾ら責任の遂行を迫っても一向にらちがあかない、金は政府が一切出すから業務は県でやってもらいたいと長い間ほったらかされてきた問題でございます。正直なところ、政府もどうしてやったらよいかわからないといったほうが実態でございます。現行法でもむずかしいし、特別法の制定もできないとなればいつまでもほっておくわけにはまいりません。残されたものは地主による集団和解方式も加味していかなければならないと思うのでございます。しかし、いま政府がとっている方式では集団和解もむずかしいと考えるのでございます。
社大党は、防衛庁がこの問題についてトリイステーション方式と称して、これが成功するならば沖縄の全返還地に適用しようと、そのモデルケースとして進めようとしている2カ村に調査に行き、村長及び地主会長にも会って意見を聴取し、現地の調査をいたします。
返還される土地が早く活用できるようにということは地主として、当該村長として強く望んでいるところであり、政府にも協力し集団和解も進めるのであるが、国の責任において地籍も明確にし、復元補償も完全にやって地主に返還するのが理の当然であり、法の定めるところである。しかるにいまのように地籍の確定、復元補償の実施等一切の業務を市町村長に責任を転嫁して、防衛庁はただその費用を支弁するというあり方では責任は持てない関係市町村長は異口同音に反対でありました。そして村長のほうからは次のようなことが要請をされております。1つ、返還軍用地の地籍調査を国の責任において早急に実施してもらいたい。2つ、具体的な方策として防衛施設局内に地籍調査の実施期間を早急に設置してもらいたい。3つ、地籍調査を実施し、登記完了するまで管理補償費が支払われること等が要請されております。
われわれはこの調査の結果、防衛庁のこのようなあり方では、これらの解決はとうてい至難であると考えております。村長、地主会長方の意見のように地籍の確定、復元補償の解決は政府の責任主体において行なわなければならない。すなわち防衛施設局が計画立案し、これの実施当たり地主及び市町村長並びに県はこれに協力し、集団和解方式も加味して進めるのが適切な方法と考えるのであります。そのためには那覇防衛施設局にこれを担当する部課の設置が必要であると考えるのであります。琉球政府やら主席の時代に集団和解方式で解決を見た実例がありますが、あれは琉球政府当時の臨時土地調査庁が責任の主体になって計画し中心となって進め、地主、村長の全面的な話し合いにより集団和解によって成功したのであって、今日防衛庁がやろうとしている方法とは根本的に異なるものでございます。
この点につきまして知事の御所見を承るとともに、知事の政府折衝により早急に打開の道を講じられるよう強く要望をいたす次第でございます。
次に、つぶれ地の補償について。
終戦後やがて3分の1世紀にもなろうとする今日、国による戦後処理がいまだなされず、今日県民の私有財産を国、県、市町村がただで道路等に使用しているばく大な土地があります。つぶれ地補償の早期完了は県民からの強い住民の不満が訴えられております。早急につぶれ地補償を完了しなければならないと思います。県はこれにつきましてどのような計画で早期完了をはかろうとしておるか、お伺いをいたします。
第1点、旧軍道と旧琉球政府道関係のつぶれ地の状況とその補償支払いの現状、達成率、そして補償支払い準備の土地調査はどのようになっておるか、この点は資料でお願いを申し上げます。
第2点、これからの同補償支払いの計画を承りたい。
第3点、旧軍道から復帰後県道に移行された道路は、復帰前は地料の支払いがなされたが、復帰後の取り扱いはどうなっているか、お伺いをいたします。
第4点、市町村道のづぶれ地補償の計画はどうなっているか、その調査計画はどうなっているか、以上、関係部長の御答弁をお願いいたします。次に、那覇間空港の民空港への完全移管の実現について、P3撤去後のあと地を自衛隊が使用する計画がなされようとする問題について。
これは渉外部長からの御答弁によりますると、防衛庁はそのような計画をしたことはない、手狭であるので余裕があれば割愛してもらいたい、近々その話し合いを持ちたいということであったとの御答弁がございました。
社大党はこの問題を重視し、調査をいたしました。その結果、決してゆうちょうな問題ではないと考えております。大蔵を中心に運輸省と防衛庁とが話し合い、すなわち奪い合いがなされており、すでに第1回目の話し合いがもたれ、去る11日――これは部長が上京されました前の日でございます――に第2回の会議がもたれたはずであります。社大党は10日、この会議を目当てに那覇空港から撤去されるP3等、米軍施設のあと地については、自衛隊には一切使用させることなく返還協定の目玉として約束どおり沖縄県民の要求する那覇民間空港用地として使用されるよう強く要請すると、運輸大臣、防衛庁長官、大蔵大臣に電報要請いたしました。問題は決してなまやさしい問題ではないと考えるわけでございます。この点について十分な御配慮を強く要請いたします。
P3撤去後のあと地を万が一にも自衛隊が占領した場合、那覇空港の恒久的建設計画、ターミナル建設も不可能となる結果になるおそれがあるといわれております。県は、那覇空港の恒久建設計画にはどのように参加してこられたか。われわれの調査では50年4月に同計画が煮詰められるようであり、他県におきましては地元県がこれらに参加をしておるということでございます。これに対し県の御方針を承りたいと思います。
余裕があれば割愛してもらいたいということでありますが、那覇空港にそんな余裕があるはずがありません。那覇空港の状況は1日の離着陸機は350機ないし400機で、そのうち米軍、自衛隊機が55%を占め、民間機が45%となっており、これで民間空港だと言えるはずがありません。消防車の出動状況から見ますると年間出動回数が約100回で、この90%が米軍、自衛隊である。そのうち米軍が70%、自衛隊が30%を占めているという実況であります。いかに民間空港に障害をしているかということが明白であります。
なお、空の安全について国会で問題になったことがありますが、空の信号無視を機種別に見ますと、47年、48年の2カ年統計からいたしまして、米軍機が148件、自衛隊機が85件になっており、異常接近が46、47、48年の3カ年で合計100件もあり、ニアミスと認定された件数が18件もあるとなっております。
以上の状況からいたしましたときに、那覇空港の民間空港への完全移管は必ず実現させなければならないと考えるわけでございます。この点につきましては、知事の格別の御尽力が必要であると考えるのであります。
知事の御所見を承りたいと思います。
次に、管理費の補償についてお伺いをいたします。
軍用地等の返還により該土地などの原状回復または補修しなければ所有者または賃貸権者が従前の用途に利用できない場合は、その原状回復及び補修の程度に応じて当該土地等の3カ月以内の賃貸料に相当する額を損失補償額とする等、駐留軍の用に供する土地等の損失補償など要綱の管理費として規定されております。また沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律の第3条には、損失の補償が義務づけられ、第4条には、土地その他公共物に対する原状回復を政府に義務づけております。沖縄の軍用地の実態から3カ月以内の管理補償は適切でないとして該土地等の復元も完了し、それが従前のとおり活用できる間の管理費を知事は政府に要求し、折衝してこられたのであります。その成果は1カ年分が予算化されるようになったのでございます。これは遅滞なく地主に返還しなければならないとの法第4条の規定に反し、政府がこれを実施できない実情において高く評価されておるのでございます。しかし、これが要求どおり引き続き予算化されるのであるかはっきりいたしておりません。
そこでお伺いいたしたいと思います。
第1点、復帰後解放された土地が49施設、1285万5000平米あります。これに対する管理費の支払い状況はどうなっているか。御調査されたことがあるか、関係部長の御答弁をお願いいたします。
第2点、本員の調査では、補償費が47年度11施設分、53万6000平米、48年度22施設分、637万3000平米、49年度16施設分、601万1000平米の管理費補償が支払われておらなければならないと思うのでございます。これに対しまして調査されたことがあるか。もし十分な支払いがなされておらないときには、完全に補償させる意思があるかないか、関係部長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
次に、沖縄に対するこの管理費補償については、元山中防衛庁長官は3カ年は必要であると言われたとか、予算年度の関係で1カ年分予算化されておるんだなどと言われております。しかし、国としては先ほども申し上げましたように、ちゃんとした成文化された要綱があります。しかし、沖縄のこの問題については成分化されておりません。これに対し、沖縄の特例を規定しておく必要があるのではないかと考えるのでございますが、これに対しまして知事の御所見を承りたいと思います。
以上、御質問を終わりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 地籍調査のことでございますけれども、この前もこれはたびたび申し上げておりますけれども、基地に関連する最も困難な問題として復帰準備のときから何かと特別立法でもしてもらいたいということを当時の担当大臣に強く訴えましたけれども、これは実現しないままに復帰に持ち込まれております。
当時は、どうにも措置がちょっとできそうにないから、帰ったら地方自治体で何とかやってくれぬかと、そのときに技術的な面の必要があればそれも責任を持とうというようなことを言っておられたわけであります。
復帰前に返った土地については開発庁が責任を持ってやると、これは着々いま進めているわけでありますけれども、復帰後の返還土地については防衛施設局の責任ということになった。したがって先ほど知花議員がおっしゃったように、これは形式的に少なくとも国が借り上げて、そしてアメリカに使用させて、そして返るときには国に帰るわけであるから復元し、あるいは地籍等も明らかにして、こういうふうに処理させているから受け取ってくれというようなことがほんとうだと、こう思うわけであります。
ところがそういうことができずに、今度御指摘がありました北中城、読谷の問題でありましょうか、それは防衛施設局と直接覚え書きを交換をして村長が中心となって地籍項目を明らかにしていこうということになったと、私もそう連絡を受けて承知しておりましたが、この前読谷村当局にお会いしていろいろと聞いたところ、とうてい覚え書きはあるけれども、そのとおりではもう手に負えない。それでこれはどうしても国が責任を持って中心となって、それから県も、それから市町村もそれに協力をしてやるという責任体制、組織体制を確立していかなければならないというような御意見でありました。
私はこの問題は、たびたび大臣なんかおいでになりましても与那原の土地をあっちこっちお見せして、どうすればよいかというようなことを言ったときに、こうすれば解決できるという明確な回答はどこからも得られていなかったと。ところで結局、こういうふうにあいまいもことしているものは集団和解の方式によって1つ1つ線も引いて、そして了解をしていく以外にないのではないか、そうなったときに何か不合理、できない不合理にぶつかったときには、こうなっているがこれはどうするか、これは県の責任においてなし得るのであるか、市町村の責任においてなし得るのであるか、でなければこれは結局国の責任においてなさねばいかぬのではないかというふうにして、そういう道をたどってでもやはり集団和解方式でいく以外にはないのではないかという話し合いがありました。
そこで覚え書きは交換されておっても、いざやろうとしてみるというと、読谷村当局からも手に負えない、できないとこう言ってきているわけであります。いろんな意味においてできない、簡単には和解できないと、こういうことであります。
そこで先程知花議員から御指摘がありましたとおりかつて1回読谷の喜名ですが、こういう集団和解方式でやったことがあるわけでありますが、あのときには県が中心になってやったらしいのでありますが、この知花議員の御意見、また読谷村当局の御意見では、施設局がほんとうに責任があるのであるから施設局のほうにそういう組織機関を新たに設置して、そこが中心になって、そして県及び市町村はそれに協力していくという体制がよろしいと、いまはそうなっていないわけであります。
そういうことになっておりますから、非常に時間がかかっておいそれと解決できない問題で申しわけないと思いますけれども、いま提案されました御意見はわれわれ承っておきまして、施設局とも会って、またわれわれ当局も、もし県が中心となってやり得るならば、これもどうかと思うのですけれども、施設局に言ったらとうていこれも困難だと、こう言っております。しかし、お互いに責任を回避して、これがいつまでも解決できぬということになったらいけませんので、だんだんこういうことが困難なことがわかりますから、そのわかるものを試行錯誤的にもどういうふうにして乗り越えていくかということを逐一これは方向づけてまいりたいと、こう考えております。その方向にまたあとでもちょっと説明させますけれども、進みつつあるようでございます。
これは見解として私から申し上げておきまして、次はつぶれ地でありますが、それは関係部長に説明させたいと思います。
次は、那覇空港の取り扱いでありますが、これは復帰のときの目玉商品と、皆さん御承知のとおりでありまして、ところで御指摘になりましたような状報があると、これに対しては直ちに大島渉外部長を派遣して意見を述べ、そして向こうの事情を聞いたら、きのう説明したところと、あれでもしかしながら心配であるとこうおっしゃるわけでありますが、われわれとしての姿勢というものはあくまでもP3も撤去させて、自衛隊が使うというようなこともせずに完全に民移管、こういうことをしてもらうべく、こういう姿勢をもって強く折衝を続けていくことは従来の姿勢と変わりはない、これは強く働きかけてまいります。そのように御理解いただきたいと、こう思います。
それから管理費の補償でございます。御承知のように返ってくるというと3カ月は賃貸料として払っておりましたけれども、現在の予算の中から山中防衛庁長官のもとにおきまして、こちらの要請にこたえて確かにそれは無理だと、であるからさしあたり3カ月といわずに去年のは1年間予算化しておこうと、それはいつまでということはこれがだんだん整理せられていくまでというふうな話し合いを山中大臣と私の間にはやっているわけであります。でありますから、今後もそういう姿勢で、これが方向づけられていくまでは、整理整とんされていくまでは、あと処理がされていくまではやっていかなければならぬだろうと思いますので、向こうもきちっと3年ぐらいにはできるはずだと、それを限度としようとはっきりしたことは言われておりませんが、毎年予算によってひとつこの問題に対しては対策を講じていこうと、予算化することによってと、こういうふうになっておりますので、そういう線で一応いきながら、いつまでもだらだらしておってはいかないから、私たちとしてはむずかしい問題ではあるけれども、先ほど申し上げましたように早く地籍、地目というのを明確にしていくような、それを進めていく
という努力をいたしたいと、こういうふうに考えます。
なお、これの実情調査でありますが、土地調査事務局長に説明させます。
○議長(平良幸市君) 土地調査事務局長。
〔土地調査事務局長 平野長伴君登壇〕
○土地調査事務局長(平野長伴君) トリイステーション方式につきまして御説明申し上げます。
防衛施設庁は、48年度予算でもって読谷村と北中城村に復帰後の解放地域につきまして、復元補償の一環として境界設定費を計上して、その境界設定費を市町村に支払い、調査方法等についても何ら提示することなく市町村長の責任において調査を実施させるという方法をとってございます。
これは公用地等暫定使用法に基づきまして土地の返還に当たっては原状回復する義務、また防衛施設庁とさらに地主の間で結ばれております土地建物賃貸契約にも原状回復の請求に応じて補償する旨の規定がされているので、そのたてまえからそういうことによって防衛施設庁が土地の境界設定費を予算に計上して境界設定業務を執行して、さらに地主などの委任代理人として市町村長に境界設定作業を実施させるといったような方法をとっているということを調査承知してございます。
このような解放軍用地の境界不明土地の地籍問題解決については、特別立法が制定されていない現段階におきましては、公用地等暫定使用法第4条に基づいて所有者に返還する、そして返還するに当たりまして国の原状回復の義務を完全に履行していただくことによるほかはないと私どもは理解しております。したがいまして軍用地及び解放軍用地関係の境界不明土地につきましては、その原状回復義務について所管する防衛施設庁において境界設定調査を進め、市町村長にまかすということではなくて、直接に防衛施設庁のほうで実施していただくと、そういうふうにして境界を明確にして現状を回復した上で返していただくと、そういうことが現行制度上は望ましいあり方だと考えております。
そこで県といたしましては、防衛施設庁に対して県が実施している調査の方法、あるいは作業の工程などを提示いたしまして、できる限り統一した調査の方法で直接に調査実施をしていただくように協議を進めてございます。
そういう段階でございまして、それによって現地防衛施設局としてもその検討に入っているように聞いております。
また機構の設定につきましても、今後たびたび現地協議会がもたれますので、その協議会等を通じまして目的が達成できるように努力してまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
〔土木部長 安里長徳君登壇〕
○土木部長(安里長徳君) つぶれ地の処理の問題についてまず御説明を申し上げます。
つぶれ地の補償につきましては、復帰時点で旧政府道、旧軍道から県道及び補助国道として移管されたものが全体で222万1592平方メートルでございます。それで47年度、48年度の買収実績及び49年度の買収計画を含めましておおよそ処理される面積は23万2150平方メートルでございます。
このつぶれ地の補償につきましては、沖縄における特殊事情から発生したものでございまして、この処理につきましては、復帰と同時に戦後処理業務ということで早期に解決すべきであるという県側の要求を受けまして、5カ年で一応処理しようという計画を立てましたんでございますけれども、復帰後の異常な地価高騰などがございまして、先ほど私が御説明申し上げたような実績、あるいは計画でございますので、これは短時日に取得するということははなはだ困難な状態になってございます。
いまみたいな予算の措置の状況であるならば相当長期間かかるというようなことが予想されますので、このつぶれ地の補償を早期に解決するということで私たちは交付公債による土地代支払いが最もよいのではないかということで、総合事務局とも協議の上、沖縄開発庁に要請をいたしまして、開発庁でもいろいろ交付公債の発行についていろいろ問題を検討しておりましたが、まず第1番目に、国債発行に関する立法措置が必要じゃないかということ、それから関係者の公債に対する同意是認が必要じゃないか、あるいは換価法、償還期間の問題、それから未確定土地の処理をどうするか等、そのほかにもいろいろ問題がありまして、そして現在総合事務局では一応検討をいたしております。
私たちは膨大な額にのぼるということから、戦後処理であるということから、早期に解決しなければならないということからどうしても交付公債というのが最もよい方法じゃないかと私たちは思いますので、この方法についてはずっと継続して国のほうに要請して、この方法でもって処理させていきたいというような考え方でもって処理させていきたいというような考え方で交渉を進めていきたいと思います。
それからその間は一体どういうことになるかということになりますが、先ほどのわずか3年の間に約23万平方メートルくらいしか処理のできない予算のつけ方では、これは長期間が予想されますので、その間は大幅な予算ということで要求し、50年度におきましては、私たち県としては約39億円ぐらいを要請しましたが、その額そのものはつけそうにもございませんけれども、ことしに大幅アップしたような形、おおよそ2倍ぐらいの予想をしておりますので、そういう形で早く処理したいと考えてございます。
その次は、旧軍道から移管された県道の賃借の問題でございましたが、これは復帰のときに旧軍道から県道へ移管された部分、この部分についてはずっと賃借を継続して支払いしてございます。このほかに復帰の前に、実は軍営繕道路というのがございました。この軍営繕道路は、軍が営繕管理する以前に政府が政府道として認定して管理しておりましたが、その部分だけは話し合いの結果、軍が管理しようということで一時期軍営善道路としての管理をしておりました。その期間中は軍の方から賃借料を支払いしておったんです。それで復帰前に、復帰の時点じゃなくして復帰の前に、この部分だけは政府に返されております。しかしこの部分につきましては、これは従来から政府道であったということ等も含めまして、返された時点から旧軍道と同じような取り扱いをいたしまして、これについてはいまの賃貸料は支払いしておりません。
その次は、市町村道のつぶれ地補償及び調査につきましては、沖縄復帰対策要綱の中に「その実態を調査の上必要に応じ適切な措置を講ずるものとする」ということがうたわれております。復帰と同時に6年間で調査を完了するよう計画をいたしてきました。それで現在までの実績といたしましては、47年度、48年度で54万8868メートル、面積にして174万4885平方メートルが調査されております。さらに49年度実施した場合、全体としては37%の達成率になります。いまの状態でありますれば、52年までには計画どおり調査完了の予定でございます。
なお、市町村道のつぶれ地の補償につきましては、調査のあとに復帰対策要綱に示されておりますとおり処理されるよう私たちとしては要請していきたいと考えております。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
〔渉外部長 大島修君登壇〕
○渉外部長(大島修君) 復帰後返還された基地の補償状況についてお答えいたします。
提供施設が返還されますと、法令の定めるところに従いまして管理費、それから特別管理費、原状回復費すなわち復元補償費、それから境界設定費等が支払われることになっているわけでございます。
それは先ほど御指摘にありましたように復元補償においては、駐留軍の用に供する土地等損失補償等要綱、それから駐留軍関係返還財産処理要領、返還土地損失補償算定基準、さらには境界設定費については、境界設定処理要領、境界設定費算定基準、こういうふうないろんな要領、要綱、基準等がございまして、それによって支払われているわけでございます。しかもこれは各返還基地の形質変更の状況に応じまして、それぞれの補償項目が支払いの対象になっているということでございます。
ところで本県は、これに定められているような基準、要領、規則等にストレートに適用しない、いわゆる特別な事情があるわけでございまして、地籍等が不明確であるとかいったようなことがありまして、そういうことでこの駐留軍の用に供する土地等の損失補償等要綱の第37条によりますと、その管理費は、土地においては3カ月、建物においては1カ月と、こういうふうになっているけれども、先ほど知事から話がございましたように、いまのところ1カ年の一応予算で支払われておりますけれども特別に考えようと、こういうことになっているわけでございます。
そこで昭和48年度の特別管理費といたしまして西原補助施設、天願通信所、泡瀬倉庫地区、ボローポイント射撃場、メースB地区でございますが、トリイ通信施設、コザ通信所の6施設に対して1億7086万6659円支払い済みでございます。
さらに原状回復費、すなわち復元補償費として泡瀬倉庫地区、トリイ通信施設、コザ通信所、平良川通信所の4施設に対して1億9851万5457円支払い済みでございます。
さらに境界設定費といたしましてさきの4施設でございますが、それに対しては4245万3278円支払われております。
さらに49年度は、一応予算としては4億9800万円あまり予算化されておりますけれども、これではどうしても全額支払いは不可能であるということで、現在施設庁のほうで県の要請に従いまして10億円ぐらいの流用をして支払うようにということで大蔵省と折衝中でございます。実際に49年度はまだ支払われておりませんが、これは返還されたところに建物がまだございまして、その建物の撤去が完了しておりませんので、その建物の撤去完了次第支払うと、こういうことで現在その建物の撤去中でございます。
48年度の支払い分についても若干建物がまだ残っているのがございまして、それも近々撤去されるのでございますが、そのときに支払われると、こういうことになっております。
さらに復帰前の補償問題につきましては、御承知だと思いますけれども、これは沖縄返還協定第4条第2項第3項によりまして、例の米国土地損害補償請求審査委員会のほうにそれは今年の6月30日までに提訴するということで、すべて提訴済みでございまして現在審議中でございます。
さらにその復帰前の解放地の管理補償とか境界設定費だとかいったようなことは、御承知のとおり返還協定4条1項によって放棄されておりますので、これは国が肩がわりすべきだと、またするということで去る7月にその放棄請求分として4万8000件、645億すでに請求済みでございます。
ところで返還された土地の現状がどうなっているかということを参考のために申し上げたいと思いますが、先ほど知花議員からお話のありました面積とは若干時点が違いますので、私どもの10月31日付で調査したものによりますと、これまで返還された土地の面積が1015万6000平米、建物が5000平米ということになって45施設でございまして、さらに現在施設が69施設、2億7435万2000平米の軍用地が現存しているわけでございますが、その返還後の状況につきましては、自衛隊に引き継がれたものが例の与座岳通信施設や久米島、宮古などの航空施設等を合わせて12施設、これは従来どおりの賃貸料が払われております。
それから返還されたもので、一般企業や地主などですぐ利用可能じゃないかと、わりと地籍もはっきりしているし、地主もはっきりしているというもので利用可能じゃないかと思われるもの、すでに利用されているもの、御承知のハーバービュークラブなどを含めて12施設ございます。
それから地籍の不明なために利用が不可能だと、現在のところ不可能だというところがボローポイントや西原補助施設などを合わせて11施設、その他こま切れだとか、あるいはまた黙認耕作地だとかいったようなものがまだたくさん残っている現状でございます。
以上が現在までの支払いと返還された土地の状況でございます。
なお、もし御必要でしたら詳しい資料はあとでお届けしたいと思います。
○議長(平良幸市君) 親川仁助君。
〔親川仁助君登壇〕
○親川仁助君 私は、さきに通告いたしました事項について関係部長に質問をいたしたいと思います。
まず第1の質問でありますが、肉豚価格安定公社の構想、これと復帰特別措置に伴う生産者に対する政策的な配慮、この問題についてお伺いしたいと思います。
この公社の設立構想については、これまでもいろいろ質疑がかわされておりますので、できるだけそれに重複しないように質問をしたいと思います。
私が記憶するところでは、この公社の設立の構想が明らかにされたのは、去る11月下旬の経済労働交渉外委員会で初めて明らかにされたというふうに記憶いたしております。ちょうど委員会で、復帰特別措置の洗い直し、消費生活物資に対する関税の軽減または免除についての措置を検討する中で、ハム、ベーコン、これをこの特別措置から除外する、それに対するたいおうさくとして打ち出されたいという印象を深くしたいわけであります。もちろんそれだけがこの公社の設立の構想であると、目的であるとは思いませんけれども、委員会でそういうような打ち出し方をされたので、特にそういう印象を深くしたわけであります。
これまでの質疑の中でもいろいろ議論がかわされておりますけれども、そういった消費者対策としての面、これの説明がまだなされていないように私は思っております。したがいましてこの公社が設立され運用されていくと、たとえ特別措置によって現在その適用を受けているハム、ベーコンが除外されても消費者大衆に対して廉価で、そして量においてもこれが生産体制が十分にとれるかどうか、この点についての御説明をまずお願いしたいと、こういうふうに考えます。
それからこの構想についてでありますけれども、これまでの質疑の中でも部長も明らかにしておりますように、今後の沖縄の畜産業、この面での肉牛の飼育についてはかなり展望があると、有望であると。特に牛の場合は豚のように、あるいは鶏のように濃厚飼料をそれほど多量に必要としない、沖縄の置かれている地理的条件から粗飼料の入手が容易であると。こういう点から沖縄の畜産における肉牛飼育の比重がこれから高まっていくんだと、こういうような説明もなされております。
せっかくこのような公社をつくるに当たって、単にそういったような、いまさき申し上げましたような形での構想ではなくて、肉牛を含め、ブロイラーを含めて畜産全体の畜産立県という立場からもっと大きな構想をもって、将来の展望をもってこれを考えることはできないのかどうか、この点についてお伺いしたいと思っております。
さらにこの復帰特別措置でありますけれども、それに関連して生産者対策についてあと一、二点お伺いしたいと思います。
まず今度執行部で復帰特別措置の洗い直しによっていわゆる生産者米価、消費者米価の特別措置に対する延長を政府に要請するということになっております。
私はこのことを了とするものでありますけれども、それはそれでいいと思いますけれども、これまでの従来の経過からしまして、このような特別措置による場合の生産者対策、これを十分に政策的にも財政的にも配慮しないと片手落ちだというようなそしりを免れないと思います。
これまでの低迷した豚価問題においても常にそのことが指摘され、私は委員会でもそういったのは片手落ちだと。消費者保護の措置がとられれば必ずその側面としての生産者に対する措置もとられなければならないと、こういうことを主張したわけでありますけれども、この生産者米価の問題に関しては、いわゆる水稲作について県がどう考えておられるか。
現在でも先島をはじめ久米島、あるいは北部や南部の一部で水稲作はあるわけですけれども、この水稲をつくっている生産者に対する対策、この点についても政策的に配慮する必要はないか。
現在、奨励品種がどの程度普及しているかよくわかりませんけれども、昭和初期からの台中65号、これがまだかなり栽培されているような状況であります。品質を向上させるための奨励品種の選定、それから普及、この問題にもっと力を入れる必要もあるんではなかろうか。あるいは西表あたりを見ておりますと、沖縄のように2期作がつくれるところでも1期だけでこれを放棄すると、基盤整備の問題なんです。これから十分政策的にも財政的にも配慮して、この措置が切れるまでには、本土の米作農民と太刀打ちできるような生産基盤を整備していく必要があるんじゃないかと。
さらに先ほどの質疑にもありましたけれども、お茶の問題でありますが、本県の自然的条件からしてお茶は将来有望な作目であると、このようなことがよくいわれております。
現在まだ自給率が非常に少ないので、関税による復帰特別措置もこれはもうやむを得ないと思いますけれども、それはそれとして、この措置が終わるまでにはもっと自給度を高め、そして将来有望な作目だといわれるこのお茶についてさらに発展させるような生産者に対する政治的、そういった政策的な財政的な配慮が必要ではないかと。
現年度においては、生産奨励費が幾ばくか計上されておりますけれども、さらに新植補助とか、そういった形でもっと生産を拡大し、自給度を高めていくというような政策が必要ではなかろうかと、こういうふうに考えるわけであります。これについての見解も伺いたいと思います。
次に、質問の第2点でありますけれども、解放軍用地のあと地利用計画についてお伺いしたいと思います。
きのうから、またその前の代表質問においても基地問題が特に取り上げられて質疑がかわされております。
この解放軍用地のあと地利用計画の問題は、危険きわまりない沖縄のこの核基地、すべての基地を撤去させて、そして沖縄の経済を民主的に復興させていくという立場から非常に重要なかかわりを持つ問題だと私は考えております。
そういう立場で県が真剣にこの問題を取り組み、基地撤去の運動の具体的な取り組みとしてこの問題を真剣に取り組んでもらいたいと、こういうふうに考えるわけであります。
これまでの質疑の中でもいろいろかわされておりますように、このあと地利用の問題についても地籍や地目の調査、いろいろ問題があるようであります。質疑の中でも、こういった困難な問題に対してどう対処するか、具体的な提案もなされております。どのように困難があろうとも、これは解決しなければならない問題であります。
執行部が、この地籍問題、あるいは復元の問題、補償の問題、これについてはっきりした方針を持って政府に当たっていく、そういう明確な態度をすみやかに決定されるように、この点は要望として強く申し上げたいと思います。
さらにこの地籍、地目の問題など困難な問題があるにしても、あと地利用計画の策定は、これは可能だと私は考えております。
いま一般的にはそういう利用計画がないから困るんだと、基地開放についてもどうも地主が反対するんだと、こういった形の言い方もなされておりますけれども、それはそれとして、県が積極的にこのあと地をどのように利用して、沖縄の真の経済復興にこれを活用していくか、県民の前に明らかにすることが基地撤去の戦いを進める上でも一番重要だと考えるわけです。ですから私はこの利用計画が現在どのように進められておるか、その見通しについてまず1点伺いたいと思います。
さらにこの全体的な利用計画を進める中で解放された軍用地の地主会の人たち、あるいは地元の町村で具体的にその利用計画をつくろうという動きがあちこちにあるわけであります。私が知っているところでも最近解放になりました玉城村の元CSGあとのあと地利用、これについては玉城の地主の人たち、さらに村当局が一緒になりまして特別委員会などをつくって、あと地利用について話し合おうと、こういう動きがいま具体的に出ております。そしてこの問題について県がともに提携し、協力し合っていけたらというような要望も私は聞いております。このような具体的な動きのあることについて県が積極的に乗り込んでいって、提携、協力する意思があるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
最後の質問でありますけれども、これは県道48号線などの改良計画についてであります。
御承知のように県道48号線は玉城村の富里から東風平村の外間に至る道路でありますけれども、これは国道329号線あるいは331号線と並んで南部においてはかなり幹線道路としての役割を果たしている道路であります。
ところが富里地内から船越に至る区間、玉城村の愛知から大里村の目取真に至る区間の幅員が非常に狭い。その上危険なカーブがたくさんある。バスの道路でもありますので、バスの運転手の人たちから苦情を聞かされるわけです。これから製糖期が始まりますと、製糖工場へのキビ運搬のトラックもひんぱんにここを通行します。
この前与那原署に行ってこの路線における事故の発生の状況を調べてみましたら、人身事故が1月から11月までに6件、物損事故が27件、しかもそれが愛知と目取真の区間にある危険なカーブ、その付近の地点でそのほとんどが起きておるわけなんです。したがいまして、いま地域では早くこの道路を改修してもらいたいという要求が高まっておりますし、関係村の玉城、大里、南風原の3村長からもそういうような改良んじついての全体計画をすみやかにつくってもらいたいという陳情が関係部局に提出されていると思います。
そこでお伺いしたいのは、この48号線の改良計画がどうなっているか。あるいは地元町村長の要求しております全体計画はいつできるのか。さらに危険きわまるこのカーブの改修についての計画があるのかどうか。もちろんこういったことをすみやかにやってもらいたいということを前提にしての質問でありますけども、この点を伺いたいと思います。
同じく県道46号線の南風原村の山川橋から国場に至る間、特に津嘉山間の側溝排水であります。周囲に宅地がたくさんできましたために、雨降りには水浸しで車が通常な運行ができないという状態になっております。これの側溝排水であります。周囲に宅地がたくさんできましたために、雨降りには水浸しで車が通常な運行ができないという状態になっております。これの側溝排水の計画はどうなっておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) ただいま親川議員からお話がありました肉豚価格安定公社と、県が要請をいたしておりますところのハム、ベーコンに対する臨時措置法の本土並みの打ち切りの問題でございます。その中でも特に御心配の向きは、消費者に対する大きなしわ寄せがないかということでございますので、その点お答えをいたしますと、肉豚価格安定公社の設立の構想につきましては、前にここでも答弁もいたしましたが、やはり出資金5億円として、県が約4億円ばかりの出資をして、市町村、経済連並びに農協等生産者の団体等から1億円というような形で全県的な立場での公社の設立を考えております。その目的はあくまでも御指摘のように生産者だけの保護と、あるいは肉豚の下落を防ぎたいということでなくして、ハム、ベーコンとのからみでわれわれも計画をいたしておるわけであります。
ちなみに特別措置法、いわゆる沖縄の復帰に伴いますところの国税関係の特別措置によりますと、御承知のように現在は関税5%で措置をされておりまして、本土に現在入ってまいりますところの差額関税は62.5%から約142%というような形になっておるわけでございます。したがって昭和50年の4月のできるだけ早い時期に、われわれとしては沖縄の生産者に対しては5%で若干圧迫が加えられているという見方からして、特別措置の本土並みをお願いを申し上げている次第であります。
これは消費者面から見ますというと、現在県内におけるところの畜産加工品の加工の能力を見て見ますというと、ハムが1680トン、ベーコンが約800トン、ソーセージが980トン、ポークランチョンミートが約2700トン、コンビーフハッシュで1012トン、その他の加工品を合わせまして500トン、計7672トンの加工能力を持っておるというふうに見ております。しかし、これがフルにこの能力を発揮できるということではありませんので、そのためにはどうしても加工格差の補てん金を支出して加工業者がここで加工して引き合うだけの措置をとらない限り消費者にしわ寄せがいくと、こういうふうに考えたわけでございます。
そういった意味で、肉豚価格安定公社を設立をいたしまして、生産者に対する措置と同時に加工業者に対する措置をあわせ考えていきたいというのが設立構想の内容になっているわけでございます。
なお、その他牛、それからブロイラー、鶏卵等の価格対策として申し上げましたもろもろの基金のことについてでございますが、御指摘のように確かにそれぞれの単独基金としての発足についてはいろいろと問題があると思います。したがってこの基金を総合的にまとめて運営をすればある程度合理化が目されるんじゃないかということでございますので、われわれとしてはそういった基金の将来をまとめて畜産公社的な考え方の総合資金的な価格対策のもとにするということも考えられるんじゃないかと思います。もちろん農林省から流れてまいりますそれぞれの基金に対する補助等についても中での勘定において区分けをするということで、その運営の合理化をはかろうということについては現在も構想を練っております。
さらに水稲作についての御指摘でございましたけれども、現在の沖縄の米の消費は約8万トン、そのうちでここで生産されますところの米は約6%程度でございます。生産量は結局五千二、三百トン程度しか生産をされておりません。水田面積が現在2500ヘクタールありますから、これを2回つくるとすれば約5000ヘクタールがつくれる。これを目標にしているわけでありますけれども、御指摘のとおり確かに台中65号というお互いに聞きなれております昔からの品種が現在も70%を占めております。
さらにトヨニシキ、これは最近本土でも栽培されている優秀な品種でございますけれども、これが3割を占めている。この奨励品種あるいは優良な品種に変えるという事業を主要農作物原採種事業と奨励品種決定調査事業で進めておりますけれども、49年度で約500万、50年度で770万の経費をかけましてこの品種の奨励あるいは普及をはかっていきたいという計画でございます。
ちなみに申し上げまして、生産者米価がことしはウルチでトン当たり精米の価格が21万8475円、もしこれをモチに変えるとすれば25万円くらいになるわけでございますけれども、御承知のとおり沖縄の生産の米の質からいたしまして、ほとんど本土の各府県の5等にしか入らないだろう、ところによっては3等で生産できる、あるいは加算できるところもありますけれども、現在は5等以下になるおそれがあるということで沖縄は特別措置のほうが生産者にとっては有利であるというような判定をしたわけでございます。
お茶につきましては御指摘のとおり、これは前に本会議でも友利議員から御指摘をいただきまして、奨励をするための補助金の方法はとれないだろうか、これも現在特別措置によりまして5%の関税でもって入っております。現在の生産量は214トン、900トンが年間の消費量でございますからどうしても77%が県外から入っているということになるわけでございます。目標としてはわれわれは300ヘクタール。現在は108ヘクタールしかありませんので、やがて2倍以上の面積を拡大して850トン程度の目標で生産を進めたいと思います。もちろん現在は県単でもって1500万の集荷補助金を出して生産者の保護をいたしておりますけれども、この生産奨励的な面積拡大に対する手当として今後考えていきたいというふうに思っております。
なお、現在のこの面積の拡大に対しては融資政策をとっております。
以上でございます。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画部長調整部長(平良清安君) 軍用地のあと利用計画につきましては、先ほど親川議員のおっしゃったような基本線に立って進めております。すなわち沖縄本島、離島も含めまして狭い県域の中に広大な軍事基地、その解放とあと利用を十分計画して民主的な活用をしない限り沖縄の地域開発は非常にむずかしいと、したがって軍用地返還後のあと利用計画につきましては、県は重要な施策として今日まで取っ組んでいるわけでございます。
簡単に軍用地のあと利用計画とは言いましても、二十七、八カ年に及ぶ軍用地とそれを取り巻く社会的、経済的な関連があまりにも強かったこと、そういう形でその基礎調査、現在の利用状況、現在利用しているのが返還後どのように利用し得るか、またしたほうがいいか等の基本構想ないし基本計画を策定していま着々進めておるところであります。
めどとしては今年度ということでめどをつけておったわけですが、若干おくれるようであります。これは途中、国土利用計画法等ができまして、それとの関連もありますし、作業に相当の新たな問題もございまして、当初3月予定が若干おくれるというふうに考えております。それから地主の意向等も多々ありまして、復帰後地料が四、五倍上がったということもありまして、地主の考え方も必ずしも一致しておりませんけれども、ただ全体的にいえますことは、国ないし県、市町村が一体となってこのあと利用を考えない限りあと利用は十分ならないという点については各地主とも考えておるようでございます。そういう地主の意向、それから市町村の転用計画等、いま意向や要望を聞きつつ調整をしている段階でございます。
御指摘のありました玉城村のように村当局、地主が一緒になって一定の計画があるとするならば、県としても非常に喜んで一緒に提携して、そして力をかしあってそのあと利用がスムーズに、しかも早目に策定できるように努力していきたいと、一緒になってやっていきたいと考えております。
また二、三の市町村は今日までいろいろ返還の動き、あるいは返還されますといろいろ相談に乗ってきて一緒に調整しておりますので十分やっていけると考えております。
○議長(平良幸市君) 土木部長。
〔土木部長 安里長徳訓登壇〕
○土木部長(安里長徳君) 県道の48号線、それから46号線の整備についての御質問でございますが、まず48号から御説明を申し上げたいと思います。
先ほど御指摘のように人身事故が6件、物損27件、これはまことに申し訳ないことだと思います。
私たちとしては、105というたくさんの路線がありまして、これを一ぺんに計画して進めるというわけにもいきません。そういうことから一応順序をつけて整備を進めておるところでございますが、御指摘の県道につきましては全延長が7.3キロでございます。それで未改良区間が約5キロぐらい残ってございます。その部分につきましては、いま御指摘のように実に幅員も狭もうございまして、この区間の整備を早くしようということでいろいろ計画を進めてきたわけでございますが、財政等の都合でいまだ残ってございます。それでこれは私たちとしてはまずその路線をそのまま放置しておくとその付近に家が建ち並び、将来計画改良の段階で非常に苦労するということ等を考えまして市町村長にご相談を申し上げましたところ、村側からも強い要望がございましたので、まず改良の計画図面をつくって、そしてその図面で村のほうに渡してくれと、それで建物を建てようとする場合は家主等とも相談をして一応将来の計画に沿うような形で指導しようと、こういうような御提案、たいへんいい御提案もありましたので、これについて49年度、今年度でございますが、その改良の計画図面を作成いたしまして村に
もそれを送り、御協力をお願いするようにしてございます。それから49年度ではさらに一部分舗装する予定も立ててございます。
それからこの路線は先ほど御指摘のように、カーブ等もありたいへん危険なところでございますので、50年度の予算からその部分については着手して、できるだけ早目にこの危険なカーブの解消をはかっていきたいと思います。
なお、この部分についての本格的な改良の問題でございますけれども、この部分につきましては近くに5号線を改良工事いたしておりますので、その工事の進捗度合い、または整備の進行と相まってこの48号線の本格的な改良については進めていきたいと思います。
その次は、県道の46号線でございますが、この路線につきましては、実はすでに改良舗装も一応完了いたしておるところでございます。しかし、最近になりまして、この路線の近くに宅地造成等が盛んに行われました結果、それによりましてその排水等の不備がありまして御指摘のように浸水をいたしてございます。
そういうことでございますので、今後これは歩道設置等も含めて排水設備の促進に当たりたいと、このように考えておる次第でございます。
○議長(平良幸市君) 上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 日本共産党県議団の一員として質問いたします。
まず工業開発について。
わが党県議団は、施政権返還後の間もない一昨年の9月14日、夫謹話進行開発計画策定に関する沖縄人民党の要求を文書でもって知事に申し入れを行ない、御検討なさるよう要請いたしました。
その中で、基本方向として真の開発、県民主体の土地利用を行なうためには、最大のガンとなっている基地について県民をあげての撤去運動とその裏づけとしての具体的なあと地利用計画が明確にされるべきである。
所得水準や県民総生産はその経済規模は示しても、住民の生活の程度は必ずしも反映しない。本土における新全総の展開の結果が示しているように、所得水準や県民総生産の向上のみを目的とした開発は、公害、過密過疎、都市問題などを惹起し、大企業の利益のために住民を犠牲にしてきた歴史的現実を直視すべきである。したがって沖縄と本土に所得水準や県民総生産の格差があってもそれのみに目を奪われ、せっかちな工業誘致などをすることがあってはならない。むしろもっと県民生活に密接で、最も県民の生活水準をあらわす社会福祉の向上をはかることを第一とすべきである。
工業中心の企業誘致による開発が住民無視、地元産業を踏みつける開発である以上、それによらず、住民の利益を中心に考え、地元のエネルギーを最大限に発揮させ、しかも結果的に所得水準を高めていく地元の産業に依拠し、それを発展させていく方法をとる。安易に新前総による開発の方法を踏襲するのではなく、本土における教訓をくみ取り、新の開発のための基礎固め、急いでもあわてないじっくりとした自主的で民主的な建設の方向を示すべきであるとし、また基本姿勢として県民の意思を尊重し、統一綱領や建議書など県民の大多数の賛意を得た方針を最大限に生かすこと。県民の代表たる県議会の意見を尊重し、策定段階から十分な協議を行ない、最終段階で必ず県議会の承認を得ることとしています。
知事は、わが党県議団のこの申し入れ書を覚えておられますか。
自然と文化を守る10人委員会は、去る11月2日、県の広域開発指定地域決定を告発するアピールを採択、発表し、続いて12月7日、県の工業開発地域指定を批判する声明を発表しております。
このような真剣に県政を憂える直言は、県民世論の趨勢として統一綱領に照らし、敏速に革新県政に反映させなければなりません。
そこで知事にお伺いいたしますが、工業開発についてあらためてわが党の申し入れを検討なさる容易がありますか。
次に、破産した田中金権政治の改造論は、日本列島の臨海地域に設置しなければならないのは、海上輸送、工業用水の大量使用と関係の深い造船、重機械、食糧、木材関連工業などのコンビナートである。中城湾、金武湾などが、こうした中規模臨海工業基地の候補地であるといっています。
田中金権政治は破産したが、あとを受けているのは、その延長線上の自民党内閣です。
政府は、工業開発地区が正式にきまったことでほっとしたと新聞は報道しておりますが、知事は、具志川市の両岸に広がる金武湾と中城湾が工業用水の大量使用と関係の深いコンビナートの候補地であることについて危惧をお感じになりませんか。
わが党は、高度経済成長のための産業基盤よりも、生活基盤づくりを優先して公共投資を行なうならば、県民の生活環境を急速に改善することができると考えます。
工業団地の造成は、住宅、下水道、公園、学校、保育所などの生活環境整備や環境対策とつり合いがとれて進められることを前提とすべきであります。
知事の御見解を承りたい。
次に、交通問題は最後にしまして、暴力犯罪について県警本部長にお伺いいたします。
去る2月8日、琉大学内で受講中の英文科1年比嘉照邦君を殺害した事件は、さらに悲劇を生んで、これまでかぜひとつ引かない元気だった母親キクさんが、息子を失った悲しみのあまり、四十九日が過ぎて間もなく病臥に伏したまま再起できず、息子のあとを追うように息をひきとったと伝えられています。この間、10カ月余にしてようやくこのごろ8人の容疑者の1人、事件直後凶器準備集合罪でつかまり、現在未決監に収容されている元琉大生山城信康が長い追及の結果犯行を自供し、年内解決のめどがついたと新聞は報道しております。
この残忍なトロツキスト暴力集団の凶悪犯罪の解決を長引かせている原因は、一体何なのか。
また、伊江村の伊江中学3年生東江由美子さんが殺害されてからきょうでちょうど1カ月になりますが、犯人がいまだにあがらないのはなぜか。
ことしに入ってからこのような凶悪犯罪で迷宮入り、若しくはいまだに解決を見ない事件が何件あるか。
最近、連日のように武装暴力団の犯罪が頻発し、住民を不安におののかせております。施政権返還後もなお温存されている米軍基地こそ組織暴力団の武器庫となって暴力団を容易に武装化させ、ますます凶暴化させているといっても過言ではないでしょう。
県警は9月17日、凶器使用犯罪防止対策推進本部を設置し、短銃などの凶器を使用した犯罪の未然防止、凶器の発見押収など強力な取り締まりを実施しているというが、逆に武装暴力団が横行しているのは、一体どういうわけであるか。
2、米軍基地及び米軍住宅から流れている短銃、機関銃、自動小銃、実弾などの凶器はどれだけか。復帰前後、同期間に対比して示してもらいたい。
県警はこれらの凶器を徹底的に洗い出し、暴力団の武装解体作戦を強力に展開しているが、あまりはかどっていないと新聞は報道しています。これではますます県民の不安をつのらせることになりますが、これからどう対処していかれますか。組織暴力団の根絶につながる資金源を断つ捜査には、全く手が回らないということもやはり新聞で報道されています。これまた住民にとっては、たいへん心もとない話です。
県警捜査2課では、暴力団内部抗争事件を片づけ、来年からは捜査の主力を暴力団の資金源を断つことに移し、暴力団壊滅を期すかまえのようでありますが、どのような対策を持っておられますか。また県警がつかんでおられる暴力団の資金源の実態について、先ほど島田議員の質問にも答弁なされましたが、なお詳しく明らかにしていただきたいと思います。
わが党の伊波広定議員の代表質問に関する事項の中で、水道料金について明確になっていない面がありますので、まず担当の企業局長のほうで水道事業経営の実態について明らかにしてもらいたい。ついでに49年、50年度の推定給水原価及び原価構成における動力費、人件費、支払い利息の比率。日本水道協会の料金算定要領による料金、企業局が試算している料金、現行料金の全国水準との関係、まず以上、企業局長のほうで御答弁願って、あとで知事に再質問したいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 第1点は、工業開発についての質問がありましたが、このたび各政党から調査、検討、またまとめられたところの政党の方針、意思といったようなものが各政党ともみんな行政当局に申し出されております。
私どもは、これを全部集めてまとめまして、そして今後の行政執行に当たって、また予算編成に当たって、直ちに今日やれるのもあるわけでありますけれども、また次の予算で処理しなければならぬのもあるわけでありまして、また今後の計画に織り込まねばならぬのもあるわけでありまして、そういうようなものに十分反映させるべく努力をし、方向づけておるのであります。
したがいましてこの工業開発につきましても、上原議員のほうから、これにいろいろ示されておりますところの、やはり開発というのは社会福祉の向上をはかることを第一義とすべきであるということも全くそのとおりであります。
また、地元の産業を十分安定せしむる、また発展せしむると、そういうふうにして所得水準を堅実にあげていくべきであるということも全く同感であります。
それから基本姿勢として県民の意思を尊重するか、また統一綱領や建議書などの大多数の賛意を得た方針を最大限に生かすかということでありますけれども、これもそうすべきであると思います。
知事は、わが党県議団の申し入れを覚えているかということでありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、共産党のみでなくして各政党からこれは提出せられて強い申し出を受けておりますので、これは大事に反映させるべくいたしているということはさき申し上げたとおりであります。
それから工業開発についてあらためて党の申し入れ書を検討する用意があるかと、当然それは検討いたしまして反映せしめられるべきものは十分反映せしめていくというような気持ちに変わりはありません。
それから臨海工業地帯としての金武湾とか中城湾とかいうそこの工業用水の大量使用と関係の深い一つの開発ということについては、危惧を感じないかということでありますけれども、これはそういう工業を誘致して開発していくためには十分地元住民の意思も聴取し、そんたくいたしまして、あるいは水事情との勘案の上においてやるべきものであるということを考えておりますから、その御指摘くださいましたことは十分配慮いたします。
なお、まず開発には、生活の周辺、社会資本というようなもの、たとえば住宅、下水道、公園、学校、保育所などの生活環境整備、こういう環境対策が第一であるということでありまして、そのとおりだと思います。したがいましてきのうも申し上げましたとおり、海洋博後の建設業界が不振になるのであろうと、それに対する対応策といったときはどうするかということでありましたけれども、こういったようなじみちな生活周辺を取り巻く大事な問題がたくさん残されていると、こういうことに予算を獲得することによって公共事業を推進して、この建設業界の不振、落ち込みというようなものを補っていきますということをきのうも申し上げたとおりでありますが、これはここに御指摘のとおりのことをこれはだれも反対する人はいないと、こういうふうに考えている次第であります。
あとは関係部局長に答えさせます。
○議長(平良幸市君) 警察本部長。
〔警察本部長 神川誠太郎君登壇〕
○警察本部長(神川誠太郎君) お答えいたします。
まず第1点の、本年2月8日発生いたしました琉大の学生殺害事件についてでございますが、この事件が発生するや警察といたしましては直ちに特別捜査本部を設置いたしまして、今日まで被疑者の割り出しについて鋭意捜査を進めてきたところでございます。
ようやく本件殺人事件としての犯行の被疑者9名を割り出しまして、うち1名につきましては殺人、建造物侵入、凶器準備集合罪をもって昨日逮捕し、他の共犯8名につきましても早期に逮捕するべく鋭意捜査中でございます。
本件につきましては、極左暴力集団による組織的かつ潜行的な犯罪であるために、その証拠の収集、裏づけに相当困難をきわめまして今日に至ったものでございます。
次に、伊江村の事件でございますが、11月18日午前8時15分ごろ、伊江村字東江上3543番地の南側農道、通称イヌガ原というところでございますが、そこで伊江中学校3年生の女性徒、15歳でございますけれども、この人の他殺死体が発見されましたので直ちに捜査本部を設置いたしまして、現在捜査を進めておるところでございます。
現在まで多くの情報がございます。1つ1つ解明を続けているところでございまして、いまだ全部の裏づけ捜査が完了いたしておりません。目下これらの情報裏づけにつきまして継続捜査中でございます。
次に、凶悪重要事件の解決のおくれの御指摘でございましたが、本県における凶悪犯の発生状況を簡単に申し上げますと、殺人、強盗、強姦等の凶悪犯がきわめて多いのであります。
昨年中の凶悪犯発生を九州の他県と比較いたしてみますと、本県はこの凶悪犯が281件発生を見ました。佐賀県が同年中55件、宮崎76件、大分72件と比べまして、それぞれ約4倍にのぼるわけでございます。そして長崎の119件、熊本の119件と比べまして約2.5倍の発生を見ておるわけであります。
検挙は、本県は217件を検挙いたしました。宮崎の64件、大分73件、佐賀55件の約3倍の件数を検挙いたしております。そして長崎の120件、熊本の115件の約2倍を検挙いたしておるわけであります。このうち、この凶悪犯の中で特に強盗だけについて申し上げますと、本県は146件の発生を見ております。そして88件を検挙いたしました。そして福岡を除く九州6県、この6県全部の発生件数を合わせましても、本県1県の発生件数より少のうございます。そして検挙件数につきましても、福岡を除く九州6県全部の検挙件数を沖縄県におきましては、その検挙件数を上回っておるところでございます。
さらに今後県警といたしましては、県民の方々の御期待に沿うべく全件検挙を目ざしまして努力を続けてまいる所存でございます。
何件重要未解決事件があるかということでございますが、本年に入りまして、残念ながら7件捜査本部を依然設置をいたしまして犯人の解明割り出しに努力をいたしておるところでございます。これら検挙については今後さらに一そう早期逮捕に向かって努力いたしてまいりたいと存じます。
次に、組織暴力団の取り締まりの状況でございますが、凶器使用犯罪取り締まり本部を設置いたしましたのは、本県は全国に先がけまして8月25日でございます。いまさら申し上げるまでもなく、凶器を使用した犯罪は直接人命にかかわる問題でございまして、社会に大きな不安を招き、事件自体の凶悪性から、警察におきましては平素から重点的な取り締まりを推進してまいってきておるところでございます。とくに本年に入りまして、たの都道府県では三菱重工ビル、あるいは三井物産ビル等における爆破事件、あるいはハイジャック事件等の凶悪な事件が相次いでおります。
本県におきましても、今年の初めにはハイジャック事件も起こりました。また米軍基地からの大量盗難拳銃事件の発生、あるいは凶器使用犯罪が依然として多発の傾向にあるなど憂慮すべき状態にあるわけであります。したがってこの事態を県警といたしましては重視いたしまして、先ほど申し上げましたとおり凶器使用犯罪の未然防止の徹底をはかるために、全国に先がけて8月25日、警察本部長を長といたします県警察の全組織をあげた凶器使用犯罪未然防止対策推進本部を設置いたしまして、凶器の発見に重点を置いた集中取り締まりを推進してまいってきたのであります。
この結果、11月末までの間に拳銃11丁、猟銃2丁、刀剣42振り、刃物類29点、模造拳銃8丁、鉄パイプ類143点、計235点を発見押収いたしました。この押収しました数はおおむね3カ月でございます。この3カ月間で昨年1年間における押収数の実に65.6%に当たっておるのでございます。また期間中に発生いたしました凶器使用犯罪は88件でございまして、このうちの92%にあたる81件を検挙いたしました。このような実績からみまして、凶器使用犯罪の未然防止と事件解決にかなりの成果があったものと考えておるところでございます。
なお、この凶器類の押収先は暴力団関係が50.7%でございまして、暴力団と凶器の結びつきがきわめて高いことを示しておるのでございます。
警察ではこうした期間中の取り締まり結果を踏まえまして、今後とも暴食団に対する取り締まりの一そうの強化、また鉄砲類の盗難防止措置の強化、さらに火薬類の盗難、不正流出防止対策の強化の3点を重点に凶器対策を推進してまいる所存でございます。
ところで、暴力団はこれだけの取り締まりを受けながら、なお武器を持っておるという御指摘でございます。確かに彼らの常套手段といたしまして、これは過去から今日に始まったことではございません。過去から常に武装化をすきあらばとならっております。したがいまして先ほども申し上げましたとおり、警察の取り締まりの重点は、この暴力団の組織の壊滅、そしてこの武器の押収、こういった問題が重要な点になるわけでございまして、国の内外における武器の入手についていろいろ虎視たんたんとねらっておりますので、今後ともかかる彼らの動向につきまして武装化を未然に防止をし、組織の壊滅、いわゆる幹部をはじめとするところの構成メンバーの逮捕と、彼らが手にするブツ、すなわち武器の発見押収に全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
凶器取り締まり、あるいは暴力団壊滅作戦が報道等によってあまりはかどっておらないと、今後どうするかという御指摘でございましたが、先ほど来から申し上げておりますとおり、県警の暴力団取り締まりの究極の目標は暴力団の組織の壊滅でございます。そして、ただいま申し上げましたとおり最高幹部を含む組員の大量検挙、資金源の封圧、拳銃その他の凶器の押収の3つの柱をあげて、組織の総力をあげてきびしく取り締まりを実施しておるわけでありまして、その取り締まりの結果については一昨日来お答え申し上げておりますけれども、11月末現在で211件、205名の幹部及び組員を逮捕いたしまして、拳銃7丁、拳銃以外の鉄砲7丁、刀剣、わきざし、あいくちのたぐい16振り、刃物類5点、こん棒、鉄パイプ等92点、計127点の凶器を押収いたしました。
そして資金源につきましては先ほども答弁いたしましたが、それぞれの営業に本県の暴力団の幹部は、直接あるいは間接について、そして手段としましては合法的な営業によるところの収入もございます。そしてまた違法行為からくるところの収入といったものにつきましても、これは考えられるわけでございます。
そこで資金源の封圧につきましては、すでに幹部3名の過少申告所得及び無申告所得を発見摘発いたしまして関係当局へ通報し、課税せしめた事例のほかに、違法資金獲得行為につきましては、認知のつど強力な捜査によって検挙をいたしておるところでございます。また組織壊滅そのものにつきましても連合会そのものは依然として存在いたしております。しかし、その中にいろいろ吸収され合併されたその個々の組織につきまして、沖縄市に本拠を持つ旭琉会内の2つの組織の構成員を全員逮捕いたしまして壊滅状態に追い込みました。さらに他の暴力団組織の壊滅のために取り締まりを一段と強化いたしておるところでございます。
復帰前及び復帰後おける米軍施設内からの銃器盗難状況について申し上げます。
県警で掌握いたしております昭和46年以降、米軍施設内からの銃器類の盗難で通報があったものにつきましては、昭和46年3月12日から16日の間、米陸軍第2兵站部隊武器庫から盗まれた22口径拳銃8丁。次に、昭和46年8月18日から19日の間、キャンプ・ハンセン武器庫から盗まれた45口径拳銃12丁。次に、昭和47年5月6日から8日間の間、キャンプ・ハンセン武器庫から盗まれたコルト45口径拳銃24丁、児童小銃1丁。昭和49年8月8日から9月3日までの間、牧港にあります米陸軍補給管理部の武器庫から盗まれた38口径拳銃20丁。そして昭和49年10月18日午後4時30分から翌午前5時30分までの間、米空軍嘉手納基地航空基地内武器庫から盗まれた38口径拳銃40丁、実弾4800発。したがいまして復帰前45丁、復帰後60丁という銃器の盗難状況でございまして、このうち復帰前の45丁中10丁を押収いたしております。
○議長(平良幸市君) 企業局長。
〔企業局長 安里一郎君登壇〕
○企業局長(安里一郎君) 企業局の経営実態について御説明申し上げます。
沖縄県企業局は御承知のとおり条例に基づいて市町村水道事業者を対象といたしまして用水供給事業を行なっておりまして、沖縄本島中南部市長村住民の水需要に対処するために目下基幹水道施設の整備拡充を行なっております。
経営成績について申し上げますと、復帰1年目の昭和47年度においては、米軍基地等への給水もありまして、若干の黒字になったわけでございますが、昭和48年度には約2億4000万円の赤字となりまして、昭和49年度におきましては約6億8000万円の赤字を予想しております。このまま推移をいたしますと、昭和50年度には約25億円の累積赤字が予想されるのでございます。
企業局のかかえる諸問題といたしましては、沖縄県の場合、地理的条件から水源に乏しく小規模施設を数多くかかえる結果となりまして、施設も米軍が10数年前に建設した関係もございまして、経費増の要因となっております。
さらには中南部地域の人口の集中、生活様式の変化などいろいろな要因がございまして、水需給にアンバランスを生じまして住民にご迷惑をおかけしておるわけでございますが、その上に経営を一そう苦しくしておるわけでございます。したがいまして施設の改善、財政の健全化につきましては、企業局のかかえる諸問題のうちでも緊急で早急に解決しなければならない問題と考えております。
その打開策といたしましては、施設の改善及び財政の健全化策としての料金の適正化について解決策を考えておりますが、具体的に申し上げますと、施設の改善といたしましては老朽施設の改良、水道施設の計装整備による自動化、省力化、用水供給事業体として必要施設の責任分解の明確化などを行ないまして水の需要に対処するほか、給水収益の増大をはかるとともに、経費の節減に一そうの努力を傾注したいと思っております。
また、財政の健全化策といたしましては、事務の簡素化、能率化による費用の節減、国庫負担等の増額などについて努力を続けていきたいと考えております。しかしながら現況の悪化した財政状況は以上のことだけでは対処できない事態にありますので、長期にわたって据え置かれてまいりました現行水道料金についても原価に見合う適正な価格について目下検討しているところでございます。
49年度単価に占める動力費の構成比というふうなことでございましたけれども、これについて御説明申し上げます。
49年度の1立方メートル当たりの給水原価が25円13銭でございます。そのうちで動力費が6円21銭でございまして、24.8%に相当するものだと推定しております。これが50年度になりますと、給水原価が33円38銭になりまして、動力費のほうは10円76銭でございまして、32%になるものだと予測しております。
この資料は10月時点での資料でございますので、今後多少の変化もあろうかと思いますけれども、一応現時点ではこれしかございませんので御了承願いたいと思います。
水道協会の算定要領による料金についてでございますが、これはこの算定の時期が10月時点での資料によるものでございまして、それを申し上げますと、まず算定要領としましては3カ年から5カ年の算定期間が好ましいというふうなことでございますので算定期間としては4カ年を取っております。50年から53年でございます。それからこの算定の中には累積赤字を算入すると、事業報酬を含むというようなことでございまして、計算いたしますと44円72銭というのがその料金になるわけでございます。
それから現行の企業局の料金でございますが、これは17円84銭でございます。全国水準との比較というふうなことでございますけれども、全国平均では約26円程度になっております。沖縄県の企業局のこの17円84銭とは全国の資料を見ますと、この資料から見たところ少ないほうから4番目程度でございます。
それからこの場合に、沖縄県の主要経費の比較でございますけれども、水道施設について地理的、地形的な条件で小規模施設が多いと、しかも遠隔から水を持ってこなければならぬというふうな不利な条件がございまして、浄水場の数、水源の数、管路の長さというものが全国平均よりもだいぶ大きくなっております。
これを申し上げますと、これは水量に比較した管路でございますが、全国平均では1メートル39というふうになっておりますのに、沖縄県の場合は3メートル75というふうにだいぶ長くなっております。また浄水場の数にしましても全国平均では1.7カ所というのに対しまして、沖縄県の場合は水源の数が16カ所あるわけでございます。
そういうふうな関係から動力費につきましてもだいぶ高くついておるわけでございまして、全国平均では1立方メートル当たりのコストが1円79銭という資料になっておりますが、沖縄県の場合は3円95銭というふうにだいぶ割り高になっております。
また薬品費につきましても、これはほんどから遠いというふうな関係もありますし、それから水質の問題もあろうかと思いますが、全国平均では54銭に対しまして、沖縄県の場合は1円80銭というふうな数値になっております。
以上でございます。
○議長(平良幸市君) 上原亀一郎君。
〔上原亀一君登壇〕
○上原亀一郎君 ただいまの企業局長の答弁で明らかになっている点は、動力費が急速にこの料金構成の中でも大きく値上がりしていることであります。これは先月の電力料金の大幅値上げで当然予想されることでもあるわけですが、そのような意味からいたしまして、わが党の代表質問の中で、この電力料金の動力費を、電力料金の大幅値上げ以前に戻すため電力会社は水道事業に対する特別割り引き料金を実施し、残りを国が負担することという要求を国に出すべきだと、同時に独立採算制の廃止についてもそうであります。
それから赤字のたな上げについてもそうでありますが、この点につきまして知事の代表質問における御答弁があまり明確でございませんでしたので、ぜひいままで水道料金を全国水準の中でも一番低い段階に押さえられてこられた努力をさらに生かされまして、直接住民の生活に影響を及ぼす知事の権限に基づくこの水道料金について、国にさらに要求を強めていかれるよう要望いたしまして私の質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 仲松庸全君。
〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 私は、簡潔に幾つかの質問をいたします。
最初に、寝たきり心身障害児者の福祉施設対策についてお伺いいたします。
いまもちろん十分ではないが心身障害者の各種社会福祉施設が一応あって、それぞれ重要な役割を果たしつつありますが、百五、六十名と推定される寝たきりの身障者福祉施設はまだ一つもありません。
このような寝たきりの身障者の方々も憲法のもとで基本的人権が保障されているとはいうものの、実際はその方々が身障者で寝たきりであるということと、社会保障の手が届いていないという冷たい現実のもとで社会復帰の可能性も薄く、家族や関係者、広く社会の良心を痛めています。重度で寝たきりの心身障害児者の福祉施設を一日も早く実現し、これらの人々の福祉向上につとめることは緊急かつ重要な課題と思いますが、このことについて知事の方針を承ります。具体的に50年度予算で実施計画があれば伺いたいと思います。
その次は、美咲養護学校、さらに図書館、博物館、史料編集所について委員会視察の結果に基づいてお尋ねいたします。
美咲養護学校は現在施設が新しく建設中です。これについて村山議員がきのう御質問しておられましたが、さらに詳しくお尋ねしたいと思いますが、いま建設中の新しい学校ができ上がると大きな前進だと思いますけれども、やっぱり大きな問題がありました。それは先生方や保護者の方々の切実な訴えでわかりましたが、緊急に高等部の設置が必要だという問題です。
きのうの御答弁では、今後検討していかなくちゃならないという非常にはっきりしないお答えでしたので、あらためて私のほうも質問いたしました。
幼稚園、小学校、中学校と義務教育を年を追って順調に進級する健康な子供たちと違って、養護学校に入って1年ないし2年にしかならない心身障害のハンディキャップを持つ中等部3年子供たちが、もうすぐ卒業するわけですが、この形式的な卒業のどこにいみがあるかということは教育の機会均等の上からきわめて重大な問題であります。
学校当局や父兄の切実な訴えは、現在中等部3年の子供たちのために、ぜひ間に合うように高等部を設置してほしいということです。県は全力をあげてこの切実な要求にこたえるべきだと思います。もし緊急にそれにこたえることができなければ、留年をするなどの緊急措置もとる必要があると思います。このことがどうしてもできないという理由は私はどこにもないのではないかと、そういうふうに思いますので、ここではっきりした方針を出していただきたいと思います。
さらにろう学校、鏡が丘養護学校では寄宿舎、調理員、各1名、大平養護学校、鏡が丘養護学校、栄養士各1名、これが緊急に子供たちのために必要だという切実な要求が訴え続けられていますが、この点については改善されているか、まだなのか。まだであればどういう対策を持っているか、この点をお伺いいたします。
次に、図書館、博物館、史料編集所の現状と対策について、補正予算の中でも図書館などについて一定の改善が行なわれる方向で今後の補正予算でも努力のあとが見えますけれども、これらの重要な文化施設、とりわけ図書館、史料編集所の現状を文教厚生委員会で視察した結果の感想は私はひどいという一語に尽きます。
知事及び教育長は、これらの施設をよく視察したことがあるかどうか、まず最初にそれを伺いたいと思います。そしてごらんになっているのであれば、現在どのように考えておられるのか、あわせて御答弁を願います。
海洋博を推進している反面で、これらの重要な社会教育、文化の施設が全く眼中にないといった形でほったらかされている、そういう強い印象を私は受けています。観光事業がことのほか強調され、観光立県ということばさえ飛び出すほどであるが、健全な観光という点では、基本的にも具体的にも政策として十分再検討されなければならないのが多いと思うし、図書館、博物館、史料編集所などの施設はそういう意味で最も大事にされなくてはならないすぐれた観光資源であるはずです。しかし、図書館などはまるで倉庫のようです。そんな図書館に宿借りさせられている史料編集所の現状は全くお話になりません。あの状態の中で献身的に働いている職員は情熱でささえられているのです。そうした職員のなまの超えも当局はじっくり耳を傾けておりますかどうか。
時間もないので詳細な検討は別の機会に譲ることになりますが、図書館、博物館は学生など若者や観光客の利用率がきわめて高いという現状、この十分な認識が必要です。
博物館では貴重な文化財の保管及び警備の強化に5名の監視員が必要だといわれているというのに、現在夜間の警備員がたった1人しかいないという現状、この中で貴重な文化財の盗難事件も発生しております。
ここで基本的に伺いたいのは、こうした文化教育の施設の整備充実の課題はいま不要不急なのか、もしそうであるとすれば、私は徹底的に議論をしたいと思うが、県はそれらの施設をいかに位置づけているかということです。同時に、これらの施設を早目に現場を調査し、予算対策をとる意思があるかどうか、そういう考えがあるかどうかをお伺いします。
それから伊波広定議員のわが党の代表質問との関連で財政問題についてお伺いします。
伊波議員の代表質問の財政危機打開に対する質問について当局の答弁をいただきましたが、わかったようなわからないようなそういう答弁でした。
ほんとに財政危機を打開しなくちゃたいへんだという姿勢がまだあらわれていないので、あらためてお伺いいたします。
深刻なこの財政危機、未曾有の財政危機、これをどう打開していくかという真剣さが必要です。
私は、伊波広定議員が尋ねた超過負担の現状はどうなっているかと、その中での質問の内容は、超過負担は単価差、すなわち実勢単価と補助単価との差額、これを単価差といいます。また数量差、実施事業量と補助対象事業量との差額、それから対象差、補助対象に加えるべき事業と補助事業との差額、また補助金交付条件を満たしているのに予算上の理由で補助金交付条件を満たしているのに予算上の理由で補助金交付が認められなかったもの、認可差、こういったものについて質問しているけれども、出ているのは単価差だけで、これは47年度8億3000万円、48年度16億4000万円、49年度17億4000万円というお答えでございます。
しかし、ほんとに県民の高い需要から見て、実質的に丁超過負担というものはこんなちっぽけなもんでないと思います。これを実態をさらに明らかにしていただくよう第1に質問いたします。
次に、国庫補助金の少なくとも物価スライド、起債条件の緩和、選別融資の廃止などの即時実施を国に要求すべきと思うが、どうかという代表質問の1点、さらに超過負担特別措置法、地方交付税法などを要求すべきと思うが、どうかという代表質問の2点、さらに水道、病院などの公営企業の赤字を国の責任で緊急手当を行なって独立採算制打破の方向に基本的に進めるべきだと問題提起する必要があるという3点、こういった点について検討なさるのかどうか、その点のお答えもありませんでした。
この点を明確に御答弁をお願いしたいと思います。
以上、必要があれば再質問いたします。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 初めに、寝たきり身体障害者の福祉対策についてということでございましたけれども、寝たきり身体障害者の福祉対策につきましては、重度の身体障害により日常生活に著しく支障のある住宅重度身体障害者に対し、医師、看護婦、理学療法士、身体障害者福祉司等を派遣し、障害の診断、日常生活動作及び栄養管理等の必要な指導を行なっているほかに、家庭奉仕員による家事、介護の日常生活上の世話、日常生活用具の給付または貸与、居宅整備補助事業等を実施して、寝たきり障害者の福祉の増進をはかっております。
なお、昭和50年度におきましては、これら障害者の福祉対策の一環として50名収容の養護施設を建設すべく計画いたしております。
なお、美咲養護学校については、教育長のほうで答えていただきたいと思います。
それから次には、図書館あるいは博物館等に対する視察でありますが、ときおり博物館には行ってみておりますが、図書館はおしかりをうけるあけですが、私はよく見ておりません。ただ、これが非常に貧弱であるということを聞いておりまして、きのうの説明にもあるとおりその要望にこたえて今度は少し予算化されておるということでありますけれども、御指摘のように博物館にしましても図書館にしましても、やはり社会教育あるいは文化教育の充実のために非常に大事な機関でございますから、予算対策については十分御指摘を反映せしめまして対策を講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
それから財政問題については、係の者にもう1回補説させますけれども、超過負担問題の解消とか、あるいは特別措置法を国へ要求するかということの問題とか、あるいは水道料金、これを住民に負担過重させる前に、国に何らかの対策を要請する意思があるかということでありますけれども、これは先ほどの上原議員からの御要望もありましたので、一応はこの前、宮里副知事が上京しましたときにも要望、打診はさせてありますけれども、いろいろの観点からできるだけのことはわれわれも努力いたしたいと、こう思います。
○議長(平良幸市君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 仲松議員の御質問にお答えいたします。
まず第1点は、美咲養護学校について高等部を設置せよ、もしそれができなければ中学校の3年を現級に移したらどうかというふうな要望と御質問でございます。
現在、養護学校の高等部は大平養護学校に設置されております。美咲養護学校につきましては、昭和54年度の養護学校の義務制に向けて現在県立学校整備計画を策定中でございますので、その中で総合的に検討していきたいと、このように考えております。
2番目に、鏡が丘、大平養護学校、盲学校、ろう学校等に寄宿舎があるかという御質問だと承っておりますが、4つとも寄宿舎がございます。
盲学校は、最近りっぱなものができまして生徒はたいへん学習効果を上げ、生活もたいへん建設的にやっております。
美咲養護学校につきましては、今後寄宿舎について検討していきたいと、こう考えております。
3番目に、図書館、博物館、史料編集所に行ったことがあるかという御質問でありますが、3カ所とも私はときどき視察しております。
どのように考えているかという御質問に対しましては、仲松議員と同様に、これはたいへん重要であると、こういうふうに考えております。
なお、これまでも3つの施設設備を充実させるために努力してまいっておりますが、、予算措置がなかなか思うようにいかないで今日に至っております。
幸いに49年度12月補正で図書購入費を含むところの3858万6000円、これが要求され、また皆さんがこれをきめていただくわけでございますが、これができれば年次的に本土の各県にひとしいような水準までもっていきたいと、こう考えております。
なお、文化、教育の施設は不要か、それとも不急かと、こういう御質問でございましたが、これは非常に急を要する問題であり、特に海洋博を迎えて沖縄の文化を高揚する運動を展開する意味でもその根拠になるような博物館、あるいは史料編集所、あるいは生涯教育もしくは週休5日制に向けても図書館の整備充実は緊急を要する問題であると、こう考えております。
幸いに屋良知事も予算措置については努力するといまさき御答弁がありましたので、私非常に気を強くしております。どうぞ皆さん方、よろしくお願いいたします。
最後に、博物館の警備員の問題でございますが、これにつきましては49年度で定員増してありますし、さらに50年度についても2月議会に定数条例の改正を要求していきたいと、こういうふうに考えております。
以上、答弁を終わります。
○議長(平良幸市君) 総務部次長。
〔総務部次長 里春夫君登壇〕
○総務部次長(里春夫君) 超過負担の問題につきまして御説明いたしたいと思います。
まず超過負担の生じます原因としましては御指摘のとおり単価差、数量差、それから対象差の3つが従来からいわれておりましたが、御指摘のように補助金の交付条件を満たしているのに予算上の理由で補助金交付が認められなかったものというのも考えられます。
これに類するものとしましては、たとえば工事費のスライドによる超過負担等が考えられます。これは49年度は、約2億7500万円県は負担しております。
ところで超過負担の原因ごとに超過負担額を算出することについてでございますけれども、たとえば昭和49年度の予算ですでに着工しておりますところの名護保健所の改築事業についてでございますが、このほうは、まず規模の面におきまして国庫補助対象面積は444平方メートルであるのに対しまして、実際は沖縄の保健所の場合、治療部門も担当しておりますので、そういう面からの面積の拡大というものもありまして実際は1650平方メートルが必要だという点、それからまた単価におきましては、補助単価が1平方メートル当たり6万3900円であるのに対しまして実際は11万7828円が必要となっているということになりまして、予算上補助率は75%となっておりますが、実際は11%相当になっていると。このように一つの事業によっては単価差、数量差、いわゆる対象差、この3つの原因が混在している事業もありまして、いろいろ原因別の超過負担額を算出するということはちょっと困難と思われるところがあります。
それで先日の代表質問におきまして御説明いたしました数字は建築関係がおもで、予算上措置した金額でありますので、これにあるいは予算の範囲内で数量調整等で措置した事業もございますので、こういうのをさらに加えていきますと金額は増加するというふうに考えております。
それで、先ほど申し上げましたような分類によりましての作業につきまして作業上困難な面もございますけれども、その作業方法等一応検討いたしまして、できるだけ詳しい資料を作成して議会へ提出いたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(平良幸市君) 仲松庸全君。
〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 財政危機の打開のために全力をあげていく必要がありますので、実態を明らかにする上でぜひ当局の御協力をよろしくお願いいたします。
それで再質問したいのは、美咲養護学校の高等部の設置について非常に深刻な問題なんですが、これは今度は高等部は設置できないということなのか、それからできないとするならば大平養護学校にある高等部に通わせるということなのか。通わせるとする場合は、距離の問題はどうなっていくか。それとの関連で通学の施設などについても考慮が払われているのかどうか、そこら辺の説明がございませんので納得がまだいきません。その点について十分に納得のいくような御説明を願いたいと思います。
それから図書館、博物館については非常に熱意を持ってごらんになっておられるようで、これから財政対策もなさるということを聞いておりますが、ぜひこういった点を軽視しないで重視して対策を50年度の予算でも実現できる方向で奮闘していただきたいこと、この点は要望としておきます。
美咲養護学校の中等部3年生の子供たちの問題について、ぜひ何らかの解決策が見出せるような御説明を願いたいと思います。
○議長(平良幸市君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 納得のいくような具体策を御説明申し上げたい気はやまやまでございますが、いまのところこれについて事務段階で検討中でございまして、事務段階の検討をしたあとで、問題によっては予算部局とも調整しなければならない問題もありますし、先ほど御指摘のありましたように、もしも大平養護学校の高等部に入れるとすれば通学の問題、あるいは寄宿舎の問題、いろいろな問題も考えられますので、具体的な考え方を説明できないのをたいへん遺憾に思います。
後ほど問題が詰まった段階で委員会もしくは資料でもって御報告申し上げたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 仲松庸全君。
〔仲松庸全君登壇〕
○仲松庸全君 財政危機の打開のために全力をあげていく必要がありますので、実態を明らかにする上でぜひ当局の御協力をよろしくお願いいたします。
それで再質問したいのは、美咲養護学校の高等部の設置について非常に深刻な問題なんですが、これは今度は高等部は設置できないということなのか、それからできないとするならば大平養護学校にある高等部に通わせるということなのか。通わせるとする場合は、距離の問題はどうなっていくか。それとの関連で通学の施設などについても考慮が払われているのかどうか、そこら辺の説明がございませんので納得がまだいきません。その点について十分に納得のいくような御説明を願いたいと思います。
それから図書館、博物館については非常に熱意を持ってごらんになっておられるようで、これから財政政策もなさるということを聞いておりますが、ぜひこういった点を軽視しないで重視して対策を50年度の予算でも実現できる方向で奮闘していただきたいこと、この点は要望としておきます。
美咲養護学校の中等部3年生の子供たちの問題について、ぜひ何らかの解決策が見出せるような御説明を願いたいと思います。
○議長(平良幸市君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 納得のいくような具体策を御説明申し上げたい気はやまやまでございますが、いまのところこれについて事務段階で検討中でございまして、事務段階の検討をしたあとで、問題によっては予算部局とも調整しなければならない問題もありますし、先ほど御指摘にありましたように、もしも大平養護学校の高等部に入れるとすれば通学の問題、あるいは寄宿舎の問題、いろいろな問題も考えられますので、具体的な考え方を説明できないのをたいへん遺憾に思います。
後ほど問題が詰まった段階で委員会もしくは資料でもって御報告申し上げたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 仲松庸全君。
○仲松庸全君 自席からいまの県について強調しておきたいと思います。
問題は、学校の校長先生、そして学校の先生方、父兄の皆さんが集まって非常に切実に涙を流しながら訴えております。こういう形で卒業したら一体どういう意味があるのか。教育の機会均等の立場からこれをどうにかして解決してもらいたい。もし高等部に上がることのできないのであれば留年の措置でもとってもらいたいと、こういう要望なんです。
これを何らかの形でやっぱり本格的な高等部ができるまで、あるいは他の学校の高等部に通えるまで、その間のつなぎというものについて、やぱり臨時的にでも対策をとる必要があるんじゃないかと思いますけれども、その点真剣に考えてもらいたいことを要望して私の質問を終わります。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
午後4時9分休憩
午後4時30分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
質問及び質疑を続行いたします。
岸本忠三郎君。
〔岸本忠三郎君登壇〕
○岸本忠三郎君 質問通告申し上げました順序に従って質問申し上げます。
まず第1点は、軍用地地籍の問題でありますが、この問題についてはわが党の崎浜議員が代表質問ですでに質問したところでありますので、さらに掘り下げて県当局の考え方をお聞き申し上げたいと思います。
質問に入る前に、この問題を取り上げる理由及び認識について申し上げておきたいと思います。
御承知のとおり、軍用地問題をめぐって最近見過ごすことのできない事柄が起こっております。第1点は、アメリカの下院外交委員会の分科会で国務省が、われわれは沖縄における米軍の存在を無期限に続けようと思っているということを表明したことであり、第2点は、県の解放軍用地のあと地利用が進んでないことを理由にして軍用地主連合会が関係地主の意思であるとしての基地返還を控えるよう国に申し入れたことであり、第3点は、関係市町村は開放軍用地の地籍調査では完全にデットロックに乗り上げた様相を呈しているからであり、第4点は、反戦平和を求めている県民の要求と、これを物理的に担保する基地の転用計画と土地利用計画がいまだに県民の前に示されてないことにあせりを関するがゆえにあえてこの問題を取り上げたわけであります。
そもそも軍用地地籍問題は、直接的には戦争に原因して発生したものであることはひとしく認められているところであります。戦火のために土地の公図、公簿が消失し、戦後の所有権認定事項を経て一応は土地台帳及び地図は作成したが、布令による拙速で応急的な作業だったために不正確で真実性を欠いており、地籍を混乱せしめ、特に軍用地及び解放軍用地の場合は境界、原形はもちろん地形も全く変わり、所有区分も不明確で混乱をきわめているのであります。また、この軍用地内に立ち入り測量ができなかったのが混乱が現在まで続いている原因であります。これら境界不明の軍用地は、非軍用地も含めた全境界不明地のおよそ84%に相当する88平方キロにのぼり、境界不明地のほとんどが軍用地であります。
これらの軍用地が境界不明のまま関係地主にこま切れで、またはドーナツ返還をされた結果、このあと地利用をめぐって特に北谷、宜野湾、読谷、具志川市などの中部各市村で問題になり、この行政的責任がまたあいまいであることとからみ合って社会問題に発展しつつあることは県もすでに御承知のとおりであります。
そこで社会党県本部は、先般、総合事務局、防衛施設庁、法務省、軍用地主連合会、関係市町村及び県当局の事務担当者に集まっていただき、この問題へのアプローチを試みた結果、次の事項が明らかになりました。
すなわち復帰の段階で当然のこととして、これらの地籍調査については琉球政府でも臨時土地調査庁を設置してこの問題に取り組んでいたのであるから国の責任を明確にし、かつその所轄行政庁を明らかにする特別法なり特別措置がとられるべきであったにかかわらず、関係省庁間で意見の一致を見ないまま復帰がいわゆる見切り発車をしたことが今日なおこの問題の処理がおくれている理由であり、したがって国の側の窓口が統一されず、わずかに開発庁が予算措置だけをしてこの仕事を実質的に県に押しつけてきたのが実情であります。
ところが先月の22日になってようやく関係省庁間で沖縄境界不明土地対策連絡会議が設置をされ、おくればせながら国の側でもこの問題に対する取り組みの姿勢を見せ始めました。
この対策会議の合意に基づき復帰前の解放軍用地地籍問題は開発庁の費用で県が調査を進め、復帰後の解放軍用地地籍問題は公用地法第4条に基づき防衛施設庁が担当することが確認された模様であります。
ところでここで私たちが問題点として指摘しなければならないことは、県の土地調査事務局が行なう諸事業は何らの法的または制度の上に立って行なわれる作業ではなく、単なる行政的サービスとして実施されるのであるから作業の成果に法律的な保障が与えられてないということであり、また防衛施設庁も公用地法第4条に基づく国の責任として境界等の設定作業をしなければならないにかかわらず、現在のところ読谷などに例を見るように、地主と市町村長に責任を転嫁しようとやっきになっているのであります。
特に読谷のトリイステーションの場合は境界設定、復元補償費を一括して地主の委任だと称して村長に支払い、施設庁はトリイ方式だといって各地主に奨励しているありさまであります。この方式がかりに定着するとなると、施設庁は金だけを市町村長に払って、あとは境界設定作業も復元補償も全部市町村長の責任でやれということになりかねないのであります。
市町村にいまこのような境界設定や復元補償に要する技術的、人的、財政的な余裕がないことは周知のとおりであり、またこのような事務、事業が市町村自治体の行政分野でないことも御承知のとおりであります。
私たちの調査で明らかになった第2の点は、復帰前及び復帰後の解放軍用地等の所轄はただいま申し上げました問題点を含みながらも、一応開発庁及び防衛施設庁がそれぞれその責任が明確になったとしても、しからば現在未解放の軍用地の地籍はそれでは一体どの機関でだれが行なうかということは全く明らかにされてないのであります。解放されない軍用地については従前の例によればよいとの考え方があるかもしれませんが、しかし軍用地地籍の整備は具志川市の天願後原の例を見るまでもなく、かりに防衛施設庁のいう集団和解方式をとるとしても、解放、未解放を問わず一括して地籍調査をするのでなくては最終確定に至ることはほとんど不可能に近いことであると考えます。軍用地主連合会もこのことを強く主張をいたしております。
このことについて当然のこととして軍用内地への立ち入り測量が必要になるわけでありますが、米軍がこの立ち入り測量を認めるかどうかという問題があります。しかし、この点については日米合同委員会の民事に関する合意書では、日本国の民事裁判所は、合衆国軍隊の使用する区域または施設内で検証できるという条項を援用することが可能だと私は考えますし、さらに46年11月30日の沖縄国会における福田国務大臣の答弁も軍の機密、中でも高度の機密の場所の検証はむずかしかろうが、しかし検証を認めるという精神からするとできる限り米軍当局の強力を求めていきたいと、こういう趣旨の発言をいたしております。
また同じく基地内立ち入り調査については、水質保全問題に関連して環境庁の大場水質保全局長がせんだって米軍基地だから何も手を出さないということはない。米軍基地の排水汚染で佐世保や沖縄の基地に立ち入り調査をしたこともあるというふうに語ったということをマスコミに報道されております。また防衛施設庁は幾つかの地点に立ち入り基地内測量を行なっていることを私も知っております。
このことは地籍確定のための基地立ち入り測量は政府がその気になれば可能だということを示しておりますし、また軍用地地籍問題は一括確定方式をとらなければ全く不可能であることを考えた場合、知事の強力な政治折衝が必要であると私は考えます。
第3点は、現在軍用地主の間に返還を望まない空気があることに私たちはがく然とし、同時に強いあせりを感じております。特に軍用地主連合会は12月6日付で外務省、防衛施設庁、開発庁の各大臣あてに文書を発送し、地籍確認ができない上、あと地利用についても十分なる計画が立てられない現状のままの返還には土地所有者が反対しているとの趣旨を述べた文書を発送いたしております。
ちなみに復帰直後、関係地主の返還要求面積はおよそ2900平方メートルでありましたが、今回の返還要求面積は実にその半分以下の1400平方メートルとなっているのであります。このことはきわめて重大であります。
中央の各新聞はさっそくこのことを取り上げて沖縄の反基地闘争のかげりと報道いたしましたし、反戦平和を戦い抜いてきた県民を経済的に弾圧することによって分裂させ、沖縄の米軍及び自衛隊基地を永久固定化しようとたくらむ日米帝国主義者の野望の前にひれ伏すということになりかねません。復帰後の沖縄の基地を確保するためのいわゆる公用法が国家総動員法や敗戦直前に制定をされた軍事特別措置法よりもその土地収用手続においてひどく、満州国を日本がつくったときの軍需徴発法よりもなお非民主的な手続が盛られていると指摘をされているこの公用地法によって、強制的に米軍やあるいは自衛隊基地として借り受けられた私達の父祖伝来の土地をいかなる理由があっても返還をしなくてもよいと政府に申し出ることは許されないと考えます。ただしかし、これらの地主の指摘するあと地利用が進まず、地籍確定作業にもめどを立てられない政治の責任はきびしく追及されなければなりません。
第4点は、地主、市町村及び県や政府間でこれらの地籍問題をめぐって意思の統一がきわめて不十分であるということであります。それぞれの立場で絶えずすれ違いの議論が多く、不毛の責任転嫁論を投げ合っているように感じました。特に軍用地主連合会は県や市町村にきわめて強い不信感を持っております。そして直接防衛施設庁と話し合いをしているとの感を強く私はいたしました。
以上、私たちがこの問題をめぐって調査をした結果と感想を申し上げましたが、これらの調査に基づき知事並びに担当者に提言及び質問を申し上げます。
まず第1点は、知事にお答え願いたいのでありますが、いわゆるこの地籍問題をめぐる責任の所在を明確にすべきであろうと考えます。
先日のわが党の崎浜議員の質問に対して土地調査事務局長は、国の責任であると思うという答弁をし、先ほどの議員の質問にも知事は、大臣が来るたびに話しているがらちがあかない、こういう答弁をいたして、それではその責任は国にあるのか県にあるのかということをあいまいにしたままの答弁になっております。すなわちこの問題はさきにも指摘しましたように、すべて戦争に起因するものであり、それだけに全面的に政府の責任で処理をされるべきであるとの態度を知事は明確に表明すべきだと考えます。
第2点は、担当部答弁でけっこうでありますが、現在県の土地調査事務局で行なっている事業は、私の考えでは単なる行政的な便宜供与としての行政サービスであり、いわゆる公権力の行使としての規範的効力を伴わないものであると考えます。社会生活の基盤となる土地関係の秩序を早急に確立しなければならないという意味では、制度的に及び法律的に裏打ちされた事業として一刻も早く乗せなければならないと考えますが、この点についての今後の方針などがありましたならばお聞かせ願います。
第3点は、前に述べましたように地籍を一括確定するにはどうしても基地内への立ち入り測量を必要としますが、これを政府と折衝する決意があるのかどうかをお尋ねいたします。すなわちこれを当面の政治的日程に乗せていく姿勢を県はお持ちなのかどうか、これをお尋ねいたします。
第4点は、現在解放された軍用地は管理補償費として地代相当分が支払われておりますが、これは根拠法例がきわめてあいまいで、単年度ごとに予算措置として支払われているということは先ほどの質問でも明らかでありますけれども、ただ読谷の場合のように読谷は取らないという、あるいは先ほど渉外部長の答弁にあったように、49年度では4億の予算を要求し、さらに10億追加をして支払う準備をしている、こういうふうな事態があります。この辺についてのそごをひとつ整理をして答弁をいただきたいと思います。
次に、質問を変えますが、学校給食調理場に勤務する人たちの中には、PTA雇いでしかも日々雇いという形で復帰前から10年から19年も勤務していた人たちがおりますが、これには何らの退職金も支払われていなければ年金も通算をされてない、こういうことがあります。しかし、これは地方公務員等共済組合法の施行令の自治省の通達もしくは去る11月12日の衆議院の地方行政委員会でありますが、ここでの小川省吾議員の追及によって掛け金未納の分の申し出期限を49年9月30日となっていたのをこの期限を延長すると、こういうことを自治省は措置としてとるということになっておりますが、教育長にお尋ねをいたしたいんですが、日々雇いでPTA雇いの職員の実態を把握をしているかどうか。あるいはせんだっての衆議院での判断、衆議院での質問、それに対する自治省のこの種問題に対する年金の通算の問題について理解をしているのかどうか、あるいはそれについての準備をしているかどうかをお尋ねをして、時間でありますので終わりたいと思います。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) ただいまの御質問についてお答えしたいと思います。
軍用地問題の責任を所在を明らかにせよということでありましたけれども、いままで説明申し上げました中で説明されておるとは思いますけれども、もう1回繰り返して申し上げます。
本県における境界不明土地の問題は、戦災や米軍接収等によって土地の境界が破壊されたために惹起したことであり、その責任はすべて国にあるという立場から国に対して機会あるごとに問題解決のための特別措置、財政措置を強く要請しているところであります。ところが特別措置法でも設定をして、先ほども申し上げましたようにやったけれどもそれができなかった、手のつけようが国としてもなかったというのが実情でありました。あのときまでにたいがい準備を整えて比較的容易であるものはできたわけであるけれども、非常に困難をきわめておるものは時間に間に合わなかったせいもありまして、われわれの強い要望があったにもかかわらず、そのままここに持ち込まれておると。したがって私当時から関係しておりましたので、復帰準備の顧問として立ち会って、また行政主席として立ち会っておりましたので、一番難航するであろうというのはこの問題であったわけであります。それがいま御指摘になるように窓口も何もない、特別立法もなされなかたところにその災いの種があったと、御指摘のとおりであります。
国といたしましては復帰後の解放軍用地と復帰前の解放地域等に区分してそれぞれ防衛施設庁と沖縄開発庁が境界設定事務を分担して進めておるということであります。
復帰後の解放地域を含む軍用地については、いわゆる公用地等暫定使用法に基づいて土地の返還に当たっては原状回復する義務があり、また防衛施設庁と地主との間に結ばれた土地、建物賃貸借契約にも現状回復の請求に応じて補償する旨の規定があり、これによって防衛施設庁は土地の境界設定費を計上し、境界設定業務を執行しているわけであります。
業務の実施に当たっては、防衛施設庁は地主の委任代理人として市町村長を選定し――ここに問題があったわけであります――市町村長に境界設定作業を実施させるとうい方法をとっております。しかしながら法的にはこのような境界不明な地域の境界設定については、市町村、県においては責任はないと。公用地等暫定使用法による原状回復義務の完全履行の上から国が責任を持って境界設定調査を市町村長にまかすことなく直接実施し、境界設定が完全になされた後に県は国土調査法にのとって地籍調査を実施することが現行制度の上からは当然のことだと、こういうふうな見解を持っております。思うようなそういうことができていないところに悩みがあるわけでございます。
それから解放されたところもされないところも一括して、これは調査しなければいかぬのではないかと、ほんとの調査はできぬのではないかと御指摘がありましたが、そのとおりであります。そうするためにはやはり基地内立ち入り調査、測量ということが必要になってくるのでありますけれども、それもたびたび言ってはおりますけれども、実現はしない。しかし、これの必要性はこれはだんだん急を告げてくるわけでありますから、立ち入り測量をすべく、そして一括調査ができるようなそういう方法にもっていくべく私たちといたしましては強力に国にも軍にも折衝してまいります。
それからその点は知事は強力に折衝する気持ちがあるかということでありましたが、それはありますということを申し上げておきます。
それから地主がこのままの返還ではだめだと、それができないぐらいだったら返さぬほうがよろしいといったような気持ちがあるということであります。まことにわれわれも責任を感じておるわけでありますけれども、しかし軍用地地主とも話し合いをしていかなければならぬと思いますけれども、アメリカがかりに無期限に沖縄の基地を使用するといったところで、これはアメリカの意思ばかりではどうにもならない面もあると思います。
復帰についても無期限に行政権をアメリカは握るといっておりましたけれども、それもできなかったし、そういう経験もわれわれは持ちますから、アメリカがいまこのような膨大な基地をここに持っておりますことは決して永遠の姿じゃなくしてあくまでもかりの姿でしかない。これを長く置いておけば困難なくして解決できるようなことになるかというとそうじゃない。病膏盲に入ってますます解決はできなくなるわけでありますから、これを早く私は正しい方向にこれが向いてきて、そして困難があってもわれわれはそれに取っ組んでいくということが必要だと、こういうふうに考えておりまして、地主の方々の言われることもしごくもっともだと思ってわれわれも責任を感ずるわけでありますけれども、話し合いをいたしまして、そういう仮の姿をわれわれは乗り越えて行くためには、目の前の困難とか利益、不利益というようなものにとらわれずに、正しい立場ということを追及して進むべきであると、こういうふうにこの問題については考えておりまして、地主がそうおっしゃってもお話し合いによってわれわれはあくまでも返還を求めてまいりたいと、こういうふうにこの問題については考えておりまして、地
主がそうおっしゃってもお話し合いによってわれわれはあくまでも返還を求めてまいりたいと、こういうふうにありたいと思っているのであります。
それから国に責任があるか県にあるか、この前ははっきりさせなかったということでありますけれども、当然これは国に責任があるか県にあるか、この前ははっきりさせなかったということでありますけれども、当然これは国に責任はある。それで中心は国に置いて、私どももしかしいつまでも放置しておいてはいかないから、われわれのできる限りの側面からの協力を一緒にやっていって、沖縄県民が不利益をこうむらないようにしていきたいと、こういうことでございます。
立ち入り調査につきましては先ほど申し上げましたが、繰り返して申し上げますが、強く折衝してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 土地調査事務局長。
〔土地調査事務局長 平野長伴君登壇〕
○土地調査事務局長(平野長伴君) 軍用地地籍問題につきまして開発庁が補助金を支出いたしまして、県がそれに基づいて調査を実施するといったようなことの制度的問題についてお答え申し上げます。
御指摘のとおり開発庁は予算を復帰前の解放地域等につきまして計上いたしまして県が実際に調査を進めております。開発庁がそういうことをやっていることにつきましては、同庁設置法の附則第3条によりまして、沖縄の復帰に伴って特殊事情による特別措置を必要とする事項を所管するというところから来ておりまして、復帰前の解放地域等の境界設定について所掌をしてございます。
このような業務を県が担当することにつきましては、復帰特別措置法並びに復帰対策要綱にも何ら規定されていないのが実情でございます。
これにつきまして何らかの形で国において法的制度を確立する必要があると思いますので、その制度の確立並びに境界不明土地の取り扱いについて、国の統一した方針の確立とともに、あわせて今後とも国と話し合いを進めていきたいと、かように考えてございます。
なお、集団和解方式に基づいてなした調査の成果につきましては、地主が各自の土地にくいをうつことができるという条件が備わって測量ができますれば、それを国土調査法に乗せて、そしてその成果を総理大臣が認証するということにつきましては、関係省庁の間で先刻も申し上げましたとおり協議がまとまってございます。
なお、もう1点の基地内外の調査につきまして知事が御答弁申し上げたことにつきまして補足説明申し上げますと、やはり境界不明土地の状況を見まするに、解放されたある土地が現に未解放の地域に所在しているといったようなことで地籍が非常に混乱をしている現状でありますので、これにつきましては、国に返還された地域と返還されない地域についてもあわせて調査を進めてもらいたいということを文書及び連絡会議を通じて要請をいたしてございます。
さらにまた地籍問題を解決するために立ち入り調査をさせてもらいたいということについても要請してございますし、今後とも強く当たっていきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○議長(平良幸市君) 渉外部長。
〔渉外部長 大島修君登壇〕
○渉外部長(大島修君) 管理費の補償についてお答えいたします。
先ほど知花先生の御質問にお答えいたしましたとおり、これは管理費補償は、駐留軍の用に供する土地等の損失補償要綱というものでその原状回復及び補修の程度に応じて3カ月以内の賃借料に相当する学を損失補償額とするというふうに、これは昭和47年7月4日の閣議了解事項で要綱が決定され、それを受けまして復帰移転費及び管理費処理要領と、これは昭和36年8月4日の防衛庁規則第30号の第8条で管理補償費については、その期間は原状回復工事または補修工事に通常必要とする日数で、土地については90日を限度とする、建物については30日を限度とすると、こういうふうに定められておるわけでありますが、沖縄の場合は、その規定によってはいけないので、特別にそれを考えてもらいたいという要請に基づきまして特別管理費という形で先ほど申し上げたような48年度で1億5500万円余り支払われ、49年度はさらに16カ所を予定しております。それが支払われるということ。この16カ所の支払いについては、幾らかというものはきまっておりません。国における全体のその予算が298億円施設庁の国予算がございますので、その中で返還されたものについてそれの相当地料を支
払うということになっておりますので、それに従って支払うということであります。
先ほど申し上げました4億9008万が10億ぐらいになるというのは現状回復費、すなわち復元補償、それから境界設定費でございます。これが4億円余りではどうしても足らぬと、10億円ぐらいないと足らぬのじゃないかという要請をいたしまして、それに基づいて施設庁は現在大蔵省と折衝中でございますと、こういうことであります。
○議長(平良幸市君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) PTA雇用の職員の年金問題について御質問にお答えいたします。
復帰前10年ないし19年もなるようなPTA雇用の職員の退職金年金が全然支払われてないということに関係しまして、PTA雇用の職員の実態を知っているかということが第1の質問だと理解しております。
PTA職員の実態は県立学校分は掌握しております。市町村立の学校については、それぞれの市町村教育委員会で掌握しております。これにつきましては、後ほど集計して資料はお届けしたいと、こういうふうに考えます。
第2点は、退職金年金についての自治省関係の通算規定の問題について情報を受けているかという御質問でありますが、初めて聞く情報でこざいましてたいへん感謝申し上げます。これにつきましては、今後資料を取り寄せて調査を進め措置をしていきたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 岸本忠三郎君。
○岸本忠三郎君 自席で要望申し上げますけれども、先ほどの答弁で、いうところのあの読谷のトリイ方式、あのトリイ方式の中にもいうところの復元補償費と境界設定費が含まれているわけです。含まれて読谷村長に支払いをされたわけです。ところが村長は、それを処理するのに非常に困っているわけです。これは国で処理をしてもらいたいと、こういう要求をしているわけです。
ところがいまの渉外部長のほうでは、今度は49年度の境界設定費もしくはその復元補償費、これは4億のやつをさらに10億にふやしてそれを支払いしようとする。読谷のトリイではだめだと、こう払ってもらったってこれは処理できませんとこういうことを言っている。ところが渉外部のほうでは10億円にあらにふやしてそれを49年度に支払おうという。同じ復元補償費で言うなれば境界設定費の予算でありながら、片一方は取ってもできないという。片一方では予算を増やしてさらにそれをやろうという。この矛盾を早急に私は土地調査事務局もしくは市町村と調整をして、その辺の考え方の整理を急いでもらいたいということを要望いたして終わりにしたいと思います。
○議長(平良幸市君) 岸本利実君。
〔岸本利実君登壇〕
○岸本利実君 まず第1番目に、市町村の超過負担と都計事業についてお尋ねをいたします。
国から県、市町村への委任事務も年々多くなりまして、自治省調べで1952年に331であった委任事務が1970年で712あります。これは県のほうでまとめているかどうかわかりませんが、超過負担につきましては、公共事業についての超過負担がよく論議されますが、私はこの委任事務についても総ざらいをすべきじゃかなろうかと思います。その中でも、県は超過負担を論ずる場合に県の超過負担をもちろんのこと点検するわけでありますが、市町村についても県の力をかしてその解消につとめていただきたいという立場から質問をいたしますが、宜野湾市がこの委任事務を洗ってみましたところ、外人登録事務で384万3000円を要する事務につきまして、国からは30万だけの経費が支出されているだけであります。したがって354万3000円を市は持ち出しをいたしております。
そのほか国保事務、年金、福祉、諸統計等々、49年度を試算いたしたところによりますと4億7000万円の支出を要する事務につきまして国、県から3億6000万円、したがって市は、1億1000万円の持ち出しをしなければならないという実情にあるようであります。
これはこういったまとめはあまりよくやられていないと思いますが、県がどの程度これを把握しておられるか、今後その解消についてどのような御意見を持っておられるかをお尋ねいたします。
次に、都市計画事業につきまして先日わが党の崎浜議員の質問に対しまして、解放軍用地につきましては地主のコンセンサスと地籍の確定を前提として区画整理事業等に乗っけて進めていきたいと答弁しておられましたが、この答弁は私ははなはだ当を得てないと思うのであります。
なぜならば、宜野湾市がこれもいま進めている都計事業で47年から51年までの5カ年計画で進めている区画整理事業が当初7億円を見積もっておったのが物価高騰その他で14億円の見込みに相なっております。
国は都計事業の一部としてこれを交付いたしまして区画整理事業に回すのでありますから、予算としてはなはだ不如意でこれがとうとう51年の予定を53年に延ばして7年間にわたって私権が制限をされるわけであります。これについて非常に実施面で住民からの苦情が出て協力が得にくいのであります。でありますから地籍の問題、住民のコンセンサスの問題がない地域においてそうでありますから、解放軍用地についてあなたがおっしゃるような区画整理事業に乗っけてやるということはこれはとうてい考えられない話であります。
でありますから、わが党は特別立法を主張して、20何年間にわたって国が基地あるがゆえに県民に与えたそのいろいろな精神的、物的な損害からするならば100%あの水道事業と同じように特別立法で手当をしてお返ししていいじゃないかと、これは何も無理じゃないと思うので、その点の御見解をあらためて伺いたいのであります。
時間がないので大急ぎいたしますが、次に、日の当たらない谷間に置かれている社会的にハンディキャップを負うた方々の福祉、医療、教育の諸問題についてお尋ねをいたします。
先日、私は社会福祉大会に出席をいたしまして最初から最後まで皆さんの熱心な御意見あるいは亀谷沖縄総合事務局長の記念公園等もお聞きいたしました。沖縄の社会福祉が今日ここまでようやく来れたのは、これはまさに関係者、民間諸団体はもちろんのこと行政職にある皆さんの努力によるものと私は感謝いたします。しかし、長い期間のハンディのために、もちろんこれを本土に比べて大きな格差があることは承知をいたしております。でありますから、これからも一生懸命がんばっていただいたいことを切にお願いするわけでありますが、障害者等につきまして、潜在的な障害者がまだたくさんおるわけでありますが、これにつきまして発掘を、皆さんとしては巡回診療、、あるいは民生委員、ケースワーカー等派遣いたしまして逐次その発見につとめております。そのことは皆さんからいただきました特別児童扶養手当の支給の状況、あるいは障害福祉年金の支給の状況等を見ましても、毎年毎年五、六百名ずつ増加して、この隠れた方々に福祉年金の手当てがなされていることはたいへん喜ばしいことでありますので、これを強化していただきたい、ただし年金だけの問題じゃないわけであります。
次に、このような制度に大きなパイプの方面は本土にぼつぼつ近づいていっておりますが、ひとつここで全然手の触れられていない混血児の問題、戦後社会の変動に伴ってその社会福祉につきましてもきめのこまかい、これを今後は行なっていかなければならないと思います。米軍支配のもとで米軍籍を持つ父親のもとで生まれた子供たち、これが本国に帰り行くえがわからない、母親の家庭で育てられまして、これが喜友名にあります国際福祉沖縄事務所の15年間にわたる延べ8000件の相談事項の中から推測するところでは――これはまさに推測であります。非常に把握がむずかしい――約3000人おるであろう。この3000人のうち8割は母子家庭であります。そして8割がまた非摘出子、正式の結婚に基づかないものであります。
こういうことでありますけれども、今日まで母親が日本人でありわれわれの血肉を分けた同胞でありながら、その子供に社会福祉の恩典が及ばなかった。したがってこの家庭は非常にみじめな思いでありまして、私どもの記憶に新しい69年に起こった安田という青年によるあの殺人事件、女の子が殺されましてトランクに持ち運ばれて捨てられておったあの事件、あの安田は混血児であります。2歳のときに父親に分かれて母のもとに育てられたけれども、転々として親戚のところを回され、いろいろな苦労を経験してきたようでありますが、それは氷山の一角でありたくさんの類似の事件が埋もれているでありましょう。
私どもは単にわれわれのエゴで社会防衛の観点からだけこれを論ずるのではなくて、基本的人権の立場から最近人権週間が開かれておりますが、基本的にすべての人が人権が守られているときに人権の原点がある。先ほどの質疑で離島振興についてもやっかい者の離島、ハンディを負わしているのではないかという趣旨の発言がありましたが、人権についても健康の者だけでよろしいという思想はまさにこれは切り捨てごめんの思想であり、人権の原点にもとるものであります。その立場からして今後この実情の把握につとめて、もろもろの日本の社会福祉、社会保障制度を適用して、私どものあたたかい、われわれの人間的な包みでもってこの方々もしあわせにやっていかなければならないと思います。
その面で、県当局のこれからの施策の方向等につきまして御意見を伺います。単に手当てだけじゃなくいろいろの方面についての御意見を伺いたい。
それからもう1つは、交通遺児の問題であります。
最近の交通地獄は、これはもう交通戦争といわれるように本土におきましては58万6000件の交通事故が48年度で起こっており、1万4574人の死亡者がおり、78万9948人の負傷者がおる。沖縄本島人口の数だけの負傷者が毎年毎年出ております。
沖縄もごたぶんに漏れませず車の洪水で1カ月約3000台の車の増加がある。それに伴いまして44年9万6368台であった車が、現在二十五、六万、今年中に27万、約3倍になるだろうといわれておる。それに伴いまして交通事故もウナギ登りであります。48年度の死亡者は123人であり、負傷者は3391人であります。このようにして交通戦争がひどくなり、負傷者、死亡者が出ますと、当然にそこで家庭のことがまた社会情勢の変化から心配されるわけであります。
この交通遺児の対策につきまして、各県におきましても問題を重視いたしまして取り組んでおります。福島県の議会――執行部じゃありません――県議会が今年まとめましたところによりますと、47都道府県の中でこの対策を持たないのは沖縄を含めて6県だけでありまして、ほかのほとんどの県がこれに対して見舞い金、激励金、更生資金あるいは就職、進学等の修学資金の貸贈与、扶助費等々のきめのこまかい施策をいたしております。これも実態が沖縄においてほとんど掌握されておりません。この点につきまして執行部として今後どのようにして取り組まれていかれるか、これをお尋ねいたします。
このことは、また医療にもはね返ってまいると思います。このように交通戦争の多発と、先ほど来問題になっている人口の高齢化、寝たきり老人等の増加に伴いまして、私はここで手当てが必要であろう、しかし残念ながら沖縄の数少ない医療人の中にあってこれをどう手当をするか。私はこういうときにこそ、沖縄の置かれた条件においてこそ包括医療の思想を生かしまして、包括医療は単にこれまで病院に行くというのが医療であったと考えられておったものが、健康増進、予防面の公衆衛生、それから医療そのもの、第3番目に、リハビリテーション、機能回復、社会復帰、この3本柱で私は沖縄は行くべきだと思います。少ない医師については全くその治療の面をしっかりと担当していただく、公衆衛生の部門についきましては県民はみんなが参加をしてそれに取り組むと同時に、保健所、保健婦、これは本土にもないこれまで非常におくれておった沖縄の医療面に尽くした功績は私は特徴的に沖縄の保健婦の制度と保健所の制度であったと思う。今後ともこの面を使いまして健康増進、予防にうんとつとめていただきたい。それから治療そのものにつきましては数少ない医療人がうんとがんばっていただきたい。
そしてまた機能回復、リハビリテーションにつきましては、一番いまほしいのはやっぱり総合的なリハビリテーションの施設であります。これにはパラメディカルの要員が必要でありましょう。理学療法士、心理鑑定士、いろいろのパラメディカルの要員がまず必要になりましょう。
私どもが本土を視察した限りにおきましては、この施設がある場合においては、脳卒中にしても1カ月以内にここに収容して機能訓練をするならば相当の回復が見られることを私どもは現に見てまいりました。でありますから、医師が少なければ少ないほどこういう施設を私はかみ合わしてやっていくことが一番いま必要ではなかろうか。県で手に負えなければ難病対策とあわせて強く国に要請をし、模範的な総合リハビリテーションの施設を置くべきであろう。またそこに要する看護婦につきましては、従来はなはだ消極的であったものがたいへん養成について積極的に取り組まれておりますが、この場合も教育のあり方、教員のあり方が問題になります。いま福祉関係でやっておりますが、どうしても学校教育のルールに乗せて希望を持たす必要があろう、このように思うのであります。それに対する御意見を伺いたい。
最後に、中小企業対策でありますが、県産品の優先使用が問題にされておりますが、ぜひこれは単なる習慣でなくて一つの組織を持つ行政部に常時それを取り扱う、月間の生産量、あるいはその市場確保、末端追跡調査をする、そして苦情処理も受けるような行政諸公を置く必要があろう。そして各団体に推進員を置いて、さらにその中間的に各利害関係を調整する審議会、問題の解明につとめる審議会、この3つのものを総合的に組織的に進めるときに必ずやこれは振興開発計画の実践部門に入ろうと、このように思いますので御検討を願いたい。
最後に、中小企業の対策として資金対策がいわれておりますが、沖縄はなぜ沖縄の資金が枯渇するか、これには大きな3つの原因があると思いますが、そのうちの1つだけ申し上げておきます。1つについて質問をいたします。
その大きな1つは、やっぱり消費が伸びる、それだけ金が逃げる。もう1つは、財政主導型、亀谷さんも言うように財政を通して相当の年間1000億以上2000億に近い金が投資されるけれども、本土の業者によってそれが吸い上げられていくというパイプ。もう1つは、ちょっとあまりよく手の届かないところであるけれども、推測することは沖縄の市中銀行の融資のあり方、これについて私は問題提起をいたしたいのであります。沖縄の市中銀行がはたして中小企業になべて金を融資しているかどうか、これについて最近私は全くこれはまだうわさの段階しか聞いておりません。ある銀行が大きな沖縄の企業に融資し過ぎて、ある大きな建築会社、その系列の15社に金を融資し過ぎて銀行管理になっていると、こういう話を聞きます。そうであるならば当然それは中小企業にしわ寄せされてくるのは言うまでもありません。
このことについて絶えず銀行に預金を、預託をしている県の立場から債権者保護の立場、預金者保護の立場からも関心を持つべきではないだろうか、もう復帰してしまって金融検査庁はございませんが、当然これは沖縄の経済の血液としての資金の流れを追及する必要がありましょう。
ちなみに私が2銀行だけ財務諸表を取り寄せて見たところでは、A銀行ではコールローンで銀行間の融資で25億円、それから有価証券取得の54億円。B銀行でコールローンが29億円、有価証券の取得が147億円、そのうちには国債の32億円が含まれておる。こういう形で私はやっぱり中小企業へのしわ寄せが市中銀行の融資のあり方にも問題があろう。こういうことを県は知っておられるかどうか。そして今後ともそれを御検討して沖縄の中小企業に市中銀行からもスムーズに資金が流れるように御検討をお願いしたいが、その御意向をお尋ねをいたしてます。
以上で終わります。
○議長(平良幸市君) 総務部次長。
〔総務部次長 里春夫君登壇〕
○総務部次長(里春夫君) 市町村の超過負担の問題について御説明いたしたいと思います。
超過負担の解消につきましては、全国知事会等でも地方財政を圧迫するものとして、この解消方につきまして国へ養成をしておられるということにつきましては知事からも御説明があったところでございますけれども、市町村の建設工事以外の委託事務につきまして、たとえば外人登録事務につきましてお話がございましたが、御指摘のようにこの事務は国からの直接の委託事務でございまして、宜野湾市の場合は48年度は30万円でございましたが、49年度一応66万円というふうに予定されておりますが、一応その金額はまだそれでも小さい状況でありますので、ブロック会議または全国会議等におきまして各地方公共団体共通の問題として関係省庁に当たっておりますが、御指摘いただきましたので今後委託事務全般について、その超過負担等の内容につきまして調査をいたしまして、国へその改善方につきまして予算編成等を通じまして要請したいと考えております。
なお、自治省におきましても各省庁に対しまして予算編成に当たっては、特に現実に必要な経費を十分にまかなえるようその金額を定めてもらいたい旨要請している状況でございます。
○議長(平良幸市君) 企画調整部長。
〔企画調整部長 平良清安君登壇〕
○企画調整部長(平良清安君) 先日の崎浜議員の御質問とただいまの岸本議員の御質問、軍用地あと利用計画と都市計画法の適用ということで御質問がありまして、昨日土木部長からお答えがあったわけですが、意見調整して私のほうからお答えいたしたいと思います。
崎浜議員の質問にも一定の前提といいますか、があったと思います。これはいわゆる軍用地は返還されても地籍が不明のまま相当これは時間がかかると。したがって地籍不明のままその解決を待って公共事業なり、各種の都市計画その他の事業をする場合に時間がかかるので地主の合意が得られるとすれば、国も一定の特別措置をするとすれば地籍の不明の解決と事業の計画が一挙にできる方法もあるんじゃないかと、その辺のアプローチ、現行法の適用という形で県は考える必要はないかと、その一つの例として区画整理等の問題提起があったと思います。
私どもの聞くところによりますと、崎浜議員がおっしゃったように何か国でも個別の都市計画法なり、あるいはまた土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、土地改良事業、あるいは農用地の開発事業等について、返還土地の地籍不明を解決すると同時に活用できないかということで何か弾力的な考え方があるやに聞いております。しかし、その場合に何といっても前提条件をはっきりさせなければならないと思います。
1つは、まず地主の合意を得るということでございます。そしてその地主の合意を得るためには、たとえば区画整理の手法をとるにしても返還されたという、いわゆる米軍は使わないで一応日本政府に返せるわけですけれども、地籍不明のまま。この米軍が使用後、それから事業計画をする。それから主務官庁に認可手続をする、その間にそれぞれの法律に基づいて縦覧だとか、あるいはその地主の権利関係への明確化というのはありますけれども、そういう機関あるいは事業執行、そして完了と、その一連の仕事が終わるまでにはどんなに早く見積もってもこれは三、四カ年かかるわけです。その間のいわゆる軍用地相当の現在特別管理費といっておりますが、それを一体どこが払うかということです。国が払うという場合に施設庁が払っていくのか、あるいはそれぞれの事業をもし認めるとするなら区画整理事業、あるいは新住宅市街地開発事業、土地改良事業、農用地改良開発事業等それぞれの事業主務官庁が払っていくのかという問題を明確にする必要があると思います。これが1点。
2番目には、それぞれのこういう法律に基づく場合に、その受益者負担というわけで地主の負担があります。区画整理事業の手法をとりますと公共減歩の問題がございます。これらも含めて地籍が不明にならない軍用あと地でございますから、この地主負担、受益者負担の分、公共減歩等の分も含めて事業完了まで国が負担するか、その場合の国も事業官庁が負担するのか、これらの問題を明確にする必要があると思います。その場合に特別立法でするのか、あるいは個々の法律の一部改正でいくのか、あるいは政令だけの改正でいくのか、これらの問題等を詰めて地籍の不明の解明と事業執行を早目にするという方法等について県としてはアプローチしていきたいと、こういう点からの解明もしていきたいと、こういうふうにお答えしたいと思います。
○議長(平良幸市君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 平安常実君登壇〕
○生活福祉部長(平安常実) 混血児問題についてお答え申し上げます。
混血児が約3000人おりまして、この混血児の福祉対策事業をやっておりますのが国際福祉沖縄事務所、俗にISSというところでやっておりまして、これにつきまして、県としてもこの混血児の福祉事業を重要視いたしまして委託費を出しております。49年度では646万5000円、この運営はさらに日本自転車振興会からの補助金を得て運営をしておるわけでございます。
48年度には581万円の事務所建築費として県から補助しておるわけでございます。47年度以降日本へ帰化手続をした件数が15件、20人の帰化手続をしております。これらの手数料を無料でやっておるわけでございます。
御質問の中にありましたいわゆる外国籍の混血児の子供たちが代替400人母子世帯としておることが推定されておりわけでございまして、この子供たちは児童扶養手当法、特別児童扶養手当法、国民健康保険法が現在のところ適用されておりません。
そこで県といたしましては、児童扶養手当法、特別児童扶養手当法を国に強く要請をいたしておるわけでございまして、厚生大臣が御来島の節にも強く要請を申し上げましたところ、国は今回法律を改正し、昭和50年10月から実施の方針で現在大蔵省へ要求していることを確認しておりますので、来年度からこの外国籍の母子世帯に対しても児童扶養手当法、特別児童扶養手当法の適用がなされるものだと思います。
次に、国民健康保険の加入につきましては、現在の法律ではその居住する当該の市町村で外国籍の人たちが加入できるような条例を制定することによって、国保の適用が受けられるわけでございます。
ところがここでいま問題なのは、医療担当者側が、外国籍であるがために言語風習の相違からコミュニケーションに危惧を抱かれておりますし、現在医師の協力を得るのにむずかしいということが考えられるわけでございます。
そういうことで県といたしましても、いま国民健康保険に外国籍の母子世帯を加入せしめることにつきましては、指導の困難性を感じておるような次第でございます。
次に、交通遺児の対策についてでございますが、沖縄を含めて6県が対策をしてないということにつきましてたいへん申しわけないと、こう思っております。
現在、昭和48年度で123人の交通事故の犠牲者を出しておりますし、49年度では12月15日現在で115人の犠牲者を出しておる。先ほどの御意見の中にもありましたように、ほんとに交通地獄でございます。
そこで総理府の46年5月の学校の交通遺児の実態調査結果から見ました場合に、全国の交通遺児が6万366人おるわけでございまして、その全児童生徒の0.9%に当たるという数字になっております。そこで本県の交通遺児の数の推計をした場合に795人おるということがわかるわけでございまして、これらの交通災害に対しては、現在交通事故相談所というのがありまして、ここで相談事業、この被災者に対する相談に当たっておるわけでございます。
さらに特殊法人として自動車事故対策センターというのが全国的にありまして、これに対する交通遺児等の貸し付け制度の活用を進めておるところでございます。
基本的な対策としましては、今年度から来年度にかけまして実態調査を実施し、これら遺児の福祉増進につとめたいと、こう考えておりますが、さらに交通災害によるものでなくして、産業災害とかいろいろな災害がございますので、これらのものも考えまして実態調査等も当たっていってこれの勘案をはかっていきたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 照屋善助君登壇〕
○環境保健部長(照屋善助君) いま御指摘の中で、包括医療の中の一つの重要な事業部門であるところのリハビリテーションの問題が今日まであまり顧みられなかったじゃないかと、あるいは顧みることができなかったじゃないかということは御指摘のとおりでございます。
したがってこれにつきましては、これをいわゆる沖縄県の保険医療の総合計画の中に取り入れて積極的にこれを位置づけていきたいと、その総合リハビリテーションの事業を施設あるいは訪問等の形においてこれを取り上げていきたいと、こう思っております。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 中小企業関係について答弁いたします。
まず組織の問題についてですけれども、市場の確保というのが最大の課題でございますし、やはり市場を確保していくために効果的な方法をどのような形で持っていくかということにつきましては、御指摘のありましたように組織的に恒常的に推進していく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
ただこれにつきまして、市場の確保というふうな立場だけの問題にしていくのか、あるいは中小企業全般の対策というふうな形での組織にもっていくのかと、あるいは既存の組織を活用できないかどうかといったような問題点がございますので、その点を整理しながら、早目にどういった形の恒常的な組織で対処していくのだというふうな点について、今後検討し結論を出していって実施していきたいというふうに考えております。
それから2番目の、市中銀行の融資のあり方につきましては、確かに沖縄の企業の99.7%が中小企業が中小企業であるというふうなことからいたしまして、中小企業に対する融資の円滑化ということがやはり沖縄経済の振興につながるというふうに考えております。したがいまして、そういった立場から中小企業に対する融資の円滑化というのは当然県としても積極的にはかっていく必要があるのではなかろうかというふうに考えておりますし、そういった立場から次年度に向けましてはできるだけ県単融資を強化しながら、同時に銀行の協調を受けて県単融資を実施していくわけですので、そういった形での一つの融資の誘導というふうなこともしていきたいというふうに考えておりますが、岸本議員から指摘されました問題点につきましては、特にそういった行政権限というのが国のほうにございますので、そういった事実を報告し、それが事実であるかどうかといったような点の確認、あるいはそれに対する対処策などについて国のほうに対して要請していくというふうな立場で対処したいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 友利栄吉君。
〔友利栄吉君登壇〕
○友利栄吉君 中小企業のことがもうたびたび議論されましたけれども、私がこの問題は最後のようでありますから、どうか総締めくくりのようなお気持ちで聞いていただきたいと思います。
公明党は、沖縄県本部で去る11月5日から19日までの15日間にわたって県内の中小企業900事業所について抽出アンケート方式による実態調査を行ないました。建設業の中では建築、土木、上下水道、電気工事、製造業では金属加工、鉄鋼、アルミ、食品加工、印刷、製材木工、販売サービス、ブロック生コンですね。販売サービス業ではホテル、建材販売、家具販売、クリーニング、以上14業種の900事業所であります。回答率は70%、629カ所の回答がありました。
以下、その実態調査に基づいて資料の分析を行ないながら所見を述べて、また知事の見解をただしたいと思います。時間の都合で全部の資料にまたがるわけにいきませんので、その一部にとどめます。
まず経営困難の要因を19目あげました。調査した結果は、過当競争とか技術者の不足、あるいは技術、設備の不足、生産安、経験不足、設備の過大投資、小規模経営、原料不足等のように自己の内部に起因すると思われる要因がたったの18.8%に対して、資金繰り、インフレによる取引条件の不安定、受注不足、売り上げ不振、原料高、人件費の上昇、代金回収難、本土企業の進出等、主として社会的要因に起因すると思われる経営困難が実に81.2%という結果が出ました。
このことは、もともと本県の中小企業の持っている基盤のもろさに加えて社会的要因による重圧がいかに大きく加わったかということのあらわれであります。ちなみに建設業界だけの262カ所について調査しましたところ、経営が順調であると答えたのが16.4%であります。見通しはある5%、仕事が少ない48.5%、仕事が全くない3.8%、予想がつかない26.3%であります。
これで見ますと、順調であるという16.4%を除く83.6%がつまり経営困難を示している数でありますし、さらに仕事が少ない、仕事が全くない、予想がつかないという78.6%がいわゆる危機に直面していると見るわけでありまして、最も手当を要する部類ではないかと考えます。
特に仕事が全くない、予想がつかない、この合計が30.1%でありまして、まさにこれは倒産寸前と分析することができると思います。
次に、資金繰りについて申し上げますと、国や県の制度資金にたよっているものが13.2%、市中銀行にたよっているものが37.9%、民間金融、頼母子、個人等にたよっているものが何と48.8%であります。国や県の制度資金にたよっている事業所がたったの13.2%で、民間金融や頼母子、個人金融に頼っているものが実に50%近いということはほんとうのもう驚きであります。すなわち制度資金といっても危機に瀕した中小企業の実態には即応はしていないのではないか。実態に即応する能力こそ政治の力だと思うのでありますけれども、制度資金の貸し付け条件、窓口の繁雑さなどは何とか改善の余地はないものかどうかを問いかけていることだと思います。
制度資金に見切りをつけた中小企業は勢い市中銀行に走るでありましょう。それでも37.9%、銀行がだめなら金利の高い個人金融、頼母子等にたよらざるを得ません。これが50%近いということはなお一そうの中小企業の持つ内部的な不安、その沖縄の中小企業の実態を如実に物語ることだと思います。
ちなみに制度資金の申し込みと借り入れの決定の状況を見ますと、申し込んだものが38.1%であとの61.9%全然申し込んでいない。その申し込んだ38.1%の中で借り入れられたものが42.5%、却下されたのが57.5%であります。すなわち借りているのは、この調査でも全体の16.2%しか示しておりません。
その制度資金の利用別を国、県と見ますと、開発公庫の利用率が17.7%、県の制度資金の利用者が82.3%で、いかに国の開発公庫が少ないか、ほとんど県にたよっているという実態があらわれております。
もう少しつけ加えますと、海洋博関連工事について110カ所の建設業について調査しました。関連工事をしているのが16カ所であります。7.6%に当たります。していない92.4%、県内建設業者のわずか7.6%、しかもこれも3段階、4段階の請負工事をしているといわれていますので、ほとんど巨額の投資、海洋博に関する投資は県内には落ちていないということがはっきりすると思います。
さらに48年の10月以降、1年間の総需要抑制金融引き締め後の民間工事の推移を見てみますと、これは208カ所の事業所でありますけれども、事業は多くなったが1.8%、変わらない11.5%、減った33.7%、非常に減った52.9%、この減った、非常にへったを合わせて86.6%であります。これは海洋博の関連工事とも関係して、もう仕事がなくなる見通しのこの86.6%の今後の推移が沖縄の中小企業の運命を物語るようであります。
ところでいま私が申し上げた資料について、知事はこの実態をどのように認識なさるのか、御所見を承りたいと思います。
さらに開発公庫の貸し付け状態について調査したところ、49年度予算は782億で、今回閣議決定の50億を加えて832億でありますけれども、この中で大企業に貸し付けた額が何と17件で186億を占めております。中小企業に貸し付けたものが3368件で138億であります。このことは、いかにこの金融対策が大企業優先の政策になっているかということを強く指摘せざるを得ません。
中小企業等の資金については49年度の予算が210億でありますが、融資相談数は5976件のうち貸し出されたのが約50%に当たる3368件であります。相談数の半分になります。このことはいかにその貸し付け条件がきびしいかを物語っているかと思います。県内企業数は約4万3000余といわれておりますけれども、わずか7.8%に当たる数しか開発金融公庫からは借りていない。このままですと開金は県民からそっぽを向かれてしまう。何のための開発金融公庫かと言いたいと思います。10月末の執行率は66%で、72億が未執行であります。伝統工芸関係には全然貸し出されてない現状であります。
住宅資金についてみると、49年度は240億でありますが、申し込み相談が3924件、その中で貸し付け決定がこれも50%の1878件であります。すなわち10月末現在の未執行額は産業開発資金が64億、中小企業資金72億、住宅資金153億、その他80億、計369億であります。執行率は56%であります。
ところで質問の第2でありますけれども、この369億に未貸し付け分から産業開発資金等の流用によって現在苦境にある中小企業に早急に貸し付けるように提案をしたいと思います。
次に、中小企業金融資金の支出は年末から来春にかけてぜひとも緊急に貸し出すべきであるということを提案したいと思います。
次に、住宅資金の未執行153億は個人住宅申し込みのうち1139件が却下されており、個人住宅の需要がいかに満たされていないかということをあらわしておりますので、これも貸し付け条件を緩和して早急に貸し付けていただきたい。それと窓口業務を簡素化して資金の需要を満たしてもらいたい。
先ほど労働商工部長は、開金の資金のワクを拡大するということをおっしゃいましたけれども、ワクはまだまだあるわけであります。私が指摘したいのは、おそらく貸し付け条件がきびしいであろうと、そのことについてのお骨折りをいただきたいと思います。
県の中小企業の金融制度資金については、いままでたびたび答弁をいただきましたので質問を省略しますけれども、この執行率が順調であるというだけでは問題の解決にはならない。むしろそれはそのワクでは足りないという証拠でもありますので、この増ワクについては努力をするということでありますから、それを期待して中小企業に対する質問を終わります。
次に、青少年の健全育成について質問をしたいと思います。
中小企業の危機、農業危機等とまさに沖縄全体が危機の中にありますが、危機であればあるだけ青少年の危機こそ忘れてはならない県政の大きな課題ではないかと思います。いまにしてこれを怠るならば、悔いを千載に残すでありましょう。沖縄の未来のために、知事は全機能をあげて真剣に青少年問題に取り組むべきであると主張したいのであります。
顧みて、沖縄の青少年を取り巻く環境はまことに心細い限りであります。索ばくとした軍事基地をはじめ、自然の破壊は進行し、色あせた農村、およそ都市機能を失ったコンクリート砂漠といわれる市街地、花も緑もない街路は交通地獄を呈し、臭気あふれるどぶ川、不夜城を呈している風俗営業所は乱立しております。そこに凶悪な暴力犯、麻薬禍、交通禍、まさにおとなのエゴと欲望の渦巻いている環境ではないでしょうか。
荒れ地に健全な芽が育たないように、健全な青少年が育つにはまことにふさわしくない沖縄の土壌だと思います。一体これはだれの責めに帰すべきか、考えると全く胸が痛むことでありますけれども、先ほど警察本部長が、非行児の原因は何かという質問に対して、家庭のしつけにあるということをお答えなさいました。私は、これは大きな原因だとは思いますけれども、政治の場からは、その前に反省すべき幾多の問題を指摘せざるを得ません。
識者の中には、現代の青少年の非行化の多発化のこの根本原因を教育の責任に帰すると論ずる人さえおります。それはまた同時に、教育の権威に寄せる多大の期待を意味するものでもあると思いますが、すでに青少年問題が議論された今議会に教育長も一言の釈明もあってしかるべきだと思いますので、教育長のこれに対する所感を求めます。教育の場からとらえた社会の病根、非行児の多発現象に対する御見解を求めたいと思います。
次に、沖縄県青少年保護育成条例は、その第1条に「青少年健全な育成を図るため、これを阻害するおそれのある行為を防止し、青少年のための環境を整備することを目的とする。」と掲げております。
そして知事の責任として第4条に、青少年の健全育成のための施策を積極的に行なうことを義務づけております。さらに知事の諮問機関として、沖縄県青少年保護育成審議会委員が任命され、その機能が条例化されています。
ところでこの審議会は、斯界の権威者を網羅して毎月1回の定例会で知事の諮問に答えるわけでありますけれども、諮問に付されるものは何かといいますと、知事が指定しようとする優良興行、優良出版物、あるいは有害興行、有害出版物、器具等のみでありまして、知事はこれを告示するだけでありますが、映画はすでに上映され、出版物はすでに店頭に並んで販売され尽くしたあとでありますので、非常にその実効がない。そのために全島に配置されている立ち入り調査員等も意欲を失っているという情報が入っております。
そこで質問の第1ですが、現在青少年保護育成の所管は生活福祉部の青少年・交通安全対策室でありますが、この問題はひとりこの室に属するのではなく、全部局に関連する性質のものであります。生活福祉部、企画調整部、教育庁、警察本部、環境保健部、労働商工部、海洋博協力局その他であります。
知事は、この機構を拡大して青少年局を新設する考えはないか。そしてその機能を全うする考えはないかどうか。
第2番目、将来青少年会館を主要都市に建設して、青少年の文化活動の大殿堂として機能させるお考えはないか。
最後に、緊急対策として、海洋博を控えておりますけれども、沖縄の環境は著しく変化すると思われる。その中で青少年対策について特に持ち合わせがあれば伺いたいと思います。
以上です。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 公明党の方の先ほど御説明がありました統計調査、そういうものは私どもにもお手交いただきまして、これを十分読み、また対策もそれぞれ講じておるところであります。
あの実情を見て知事はどう受けとめたかということでありますが、今度の議会を通して終始一貫この中小企業対策が取り上げられておりまして、これがいかに深刻な問題であり、また大事な問題であるかというようなことを肝に銘じて理解しております。
特に中小企業が倒産あるいは倒産寸前というようなものの最近の大きな要因は金融面であるとすれば、その金融面の強化、努力はしておりますけれども、おそらくあの深刻な状態からするというとどんなに努力しても追いつかないようなものがあるということでありまして、その金融面をこれからもさらにわれわれはくふうを重ねること、それから制度資金はまだゆとりがあるのがあるから、それを中小企業によく利用されているという御指摘でありますが、これをよく回すようにしたいと思うし、それからまた開発金融公庫、これもだいぶ増資せられているわけであります。しかしながらあまり利用されておらぬということは、やはり窓口業務というようなものが、あるいはうるさい、困難であるためかもしれませんが、それを行政指導して簡易に借れるようにするというようなこと等であります。
そういうふうな金融問題が主でありますから、私どもはこの議会を終えまして、この問題をさらに大事に受けとめて十分方策を講じていくつもりでございます。
なお、住宅資金についても御意見がありましたけれども、これも公営住宅あるいは県営住宅というようなものを多く建設を進めるというようなことはやはり建設業者に対する仕事にもなりまするし、この点はたびたび問題になっていることでありますから、特に早く放出できるように、また金融もこれが融通できるようにやってまいりたいと、こういうふうに思うのであります。そして貸し付け条件を緩和せよということでありましたが、この点は十分指導もし、検討もさせたいと、こう思います。
なお、あとは労働商工部長に補説させたいと思っておりますけれども、また青少年問題について強い御指摘がありましたが、青少年局をつくる考えはないかということでございましたが、これは県庁機構を考えましたときに、大事だとは思いますけれども、いま直ちにこれができるというようなことは即断はできかねると、これは検討いたします。しかしながら青少年問題が非常に大事であるということはもうたびたび言われていることであって、私がちょうちょうする必要はありません。
青少年会館も、いますぐつくる用意があるかということでありましたけれども、久茂地に既設の青少年会館もございます。それから奥武山に兵庫県の友愛県として青少年用のスポーツセンターが贈られていま建設中でありますから、こういったようなものも十分活用し検討していくと。それから学校の教育施設、たとえば体育館というようなものがどんどんできつつありますから、そういったようなものも施設を強化していってそれも活用せしむる等いろいろ方法を講じてまいりたいと思います。
なお、海洋博については、この海洋博の影響を受けて教育が悪くなる、青少年が悪い影響を受けているということがあっちゃいかぬので、むしろこれを活用して青少年に将来希望を持たし、教育の資料にするといったような逆の考え方でこの問題に当たらなければ、沖縄も振興開発計画に海洋博を大きく貢献せしむるということにはならないと思いますので、そういう心がまえと姿勢で臨んでまいりたいと、こういうふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 開発金融公庫の資金の件についてお答えいたします。
開発金融公庫の中小企業資金につきましては、当初160億の予算で、その後追加財投の50億がありまして210億ということになっておりましたが、去る12月6日でしたか――の運営委員会のほうでさらに資金流用ということで30億円追加するというふうなことがなされておりまして、現在240億という資金ワクになっております。それでその中で、年末資金としては特に84億が年末資金に回されるということですので、それで年末も資金手当てというのがある程度まかなわれていくんじゃなかろうかというふうに考えております。
さらに商工中金のほうといたしましても例年に増して、特に去年の約2倍ぐらいの貸し付けワクを現年度は持っているというふうなことですので、こういったのを活用していけばある程度資金の融通といったような点でのてこ入れができるんじゃなかろうかというふうに考えております。
次に、窓口業務の簡素化あるいは貸し付け条件の緩和というふうな点につきましては、どういった点を窓口業務として簡素化していくのかといったような点の調査、あるいは貸し付け条件のどういった点なのか、担保の問題なのか、あるいはその他の問題なのか、そういった点を十分把握しながら、簡素化できる点、あるいは条件の緩和できる点についてまとめて公庫のほうに要請していくというふうなことをしていきたいと考えております。
○議長(平良幸市君) 教育長。
〔教育長 池村恵興君登壇〕
○教育長(池村恵興君) 青少年の健全育成化についての友利議員の御質問にお答えします。
青少年のいわゆる非行化の原因は何かという教育長に対する御質問でございますが、いろいろあると思いますが、簡単に一応申し上げますと、まず外的要因としましては、社会環境、家庭環境、学校環境、こういうこの青少年の住む環境が不安定で緊張感に富み、しかも混乱しているということが言えると思います。
次に、内的な要因といたしましては青少年が家庭、学校、社会を通じて過保護の生活を身につけていると、この過保護の生活から来るところの耐久力のなさ、すなわち理性で自分のコントロールできない、あるいはむずかしい問題を最後まで思考を続けることができないと、こういうふうな耐久力のなさ、次に、主体性のなさ、すべてを他人の責任にしてしまうと、自分の責任は全部なくして、悪い場合は全部他人の責任にするというこの習性、習慣、3番目に、物的欲望の過大化、こういうものが内的要因になろうかと考えております。
近年、青少年を取り巻く社会環境はますます悪化の一途をたどっておりまして、まことに憂慮にたえない次第であります。
このような現状にかんがみまして、社会環境の浄化はもちろん、積極的に青少年の健全育成をはかっていくことが緊急なことであると、このように考えております。
そのためには、学校、家庭、社会一般の総力をあげて努力しなければ効果はあがらないものであることは申すまでもありませんが、県教育長といたしましては、次のような対策を立てて努力いたしております。
まず学校教育の面では、学校環境の整備、生徒指導の強化、学習意欲の高揚、PTAとの連携によるところの教育隣組活動の推進等を行なっております。
社会教育におきましては、青年の家、少年自然の家等の社会教育施設の整備充実、地域子供会の育成、社会教育諸学級講座におけるところの青少年に関する学習の強化、家庭教育学級及び家庭教育相談事業等を通じての家庭教育の充実、さらにPTA、婦人会、青年団、ボーイスカウト、ガールズスカウト、YMCA等の社会教育団体の活動を通しての青少年の健全育成をはかっていきたいと。さらに吉田議員から御意見がありました問題でございますが、文化事業をさらに振興するとともに、従来埋もれているところの郷土芸能文化を掘り起こして紹介して、それによって心のゆとりを取り戻させる。なおまた文化を鑑賞することによって人と人との心の交流をはかると、こういうことが大事じゃないかと、こういうふうに考えております。
しかし、いま青少年の健全育成は、先ほど友利議員からも御指摘がありましたように、教育の力だけでは不十分でありますので、各関連行政機関との連携はもちろん、地域ぐるみの住民運動にまで高めることが必要であります。
教育長としましては、そのように努力したいと思いますので、何とぞ御協力いただきたいと思います。
終わります。
○議長(平良幸市君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 平安常実君登壇〕
○生活福祉部長(平安常実君) 青少年対策としまして、その窓口は生活福祉部になっておるわけでございます。御意見にもありましたように、生活福祉部は青少年対策についての連絡調整の場としてあるわけでございます。
そこで青少年の補導をしていくための青少年補導センターというのが現在沖縄市と那覇市にありまして、これは市のほうでやっているわけでございまして、その補導員が那覇市で60人、沖縄市で40人配置されておるわけでございまして、今後各市にこの青少年補導センターをつくっていって青少年の補導に尽くしていくように推奨していきたいと、こういうことでございます。
それから2番目に、これは警察本部長の委嘱で補導員としてボランティアの333人がおりますし、また常勤のほうで18人の補導員が設置されておりまして、これについて非行少年の補導善導に当たっているような状態でございます。
さらに知事の指定のいわゆる有害図書の発見とか、あるいは映画館への立ち入り調査とかいうことで250人の知事指定の立ち入り調査員を配置しておるわけでございます。
こういうふうにしてやっておりますけれども、なかなか実が上がらないと。しかも青少年保護育成審議会の審議の状況も毎月やっておりますけれども、この有害図書というものはなかなかあとを断たないというような状態でありますし、さらにその図書販売会社についても業者に対して――審議会の委員の中に業者代表も入っておるわけでございまして、その販売会社自体の自粛を促すとかいうような方向でやっておることを私からもつけ加えておきます。
さらに海洋博を迎えましての対策としましては、現在海洋博の対策部会の中に青少年部会を特に設置をしまして、現在関係部でその成案をつくるようなことになっておりまして、近くこれができることになっておることをつけ加えておきます。
○議長(平良幸市君) 安里政芳君。
〔安里政芳君登壇〕
○安里政芳君 中小企業問題、失業問題は本議会の最大の問題でありましたが、本員は、資金手当てが一番必要である立場からの御質問が多く出されておりましたので、立場をかえまして御質問を申し上げたいと思います。
90%以上が中小企業といわれている沖縄にとって、復帰に伴う海洋博の誘致は経済の起爆剤といわれ、高度経済成長のひずみの是正と石油ショック、世界的インフレを克服するための総需要抑制策が政策の中心となっていながらも、依然海洋博工事のみは例外といわれ推進されてきたわけでありますが、とするならば、沖縄は例外的に経済活動は活発化していなければならないわけであります。
当初、海洋博工事に伴う資材不足がいわれ、セメント、鉄、鉄筋、砂、バラス等の不足、労働力の確保の問題等が論ぜられたことはまだ記憶に新しいのであります。つくられた物不足と物価の高騰に伴う賃金の上昇が脆弱な基盤に立つ県内業者にしわ寄せをもたらし、県内業者の雇用関係がくずれ始めた要因となったことは火を見るよりも明らかであります。その間にあって、47年、48年における県の他の公共事業の入札不良、事業の軒並み繰り延べが大きな影を残したことは反省しなければなりません。
昨48年第5回定例議会におきまして、本員は県中小企業課の調査に基づく県内中小企業の労働需要動向をもとに当局に質問をいたしました。問題点は労働力の確保の問題であり、労務倒産もあり得るということでありました。なかんずく、建設業にあっては労働力の確保の充足率はゼロ%であったことは当時の調査資料で明らかであります。あれから約1年、不況による企業の求人の手控え、全軍労の大領解雇の要因はあったとしても、海洋博関連工事は急ピッチで行なわれ、また県の公共工事の入札も順調であるといわれながら、県内失業者は1万6000人をこし、失業保険金の受給者は増え続けているということであります。この一年の労働需要の動向の変化をどう受けとめられておられるのか。その要因はポスト海洋博との関係、さきに県が決定を見た工業地区指定問題ともからめて見通しをお教えいただきたいと思います。
なるほど海洋博を中心とした諸工事が工期面で大きく制約されていたことから、力の弱い地元業者はほとんどこれら大型工事からはじき出されたためで、その参加実績はジョイントで約50%、単独で20%弱であるといわれております。しかし、沖縄振興開発特別措置法第39条によれば、(振興開発計画に基づく事業等への就労)として「労働大臣は、沖縄における雇用及び失業の状況から見て必要があると認めるときは、沖縄県知事の意見をきき、沖縄開発庁長官に協議して、振興開発計画に基づく事業その他の事業であって国自ら又は国の負担金の交付を受け、若しくは国庫の補助により地方公共団体等が計画実施する公共的な建設又は復旧の事業について、その事業種別に従い、職種別又は地域別に、当該事業に使用される労働者の数とそのうちの失業者の数との比率を定めることができる。」、2「吸収率の定められている事業を計画実施する国又は地方公共団体等は、公共職業安定所の紹介により、つねに吸収率に該当する数の失業者を雇い入れていなければならない。」とあります。
昭和47年労働省告示第61号沖縄振興開発特別措置法第39条第1項の吸収率は、昭和47年8月1日以降に開始する同項の規定する事業について適用する吸収率は60%であるとされております。事業主体または施工主体がこの失業者吸収率を順守していない場合でも、法律上はその順守を強制する措置は設けられておりませんけれども、失業者吸収率の順守は法律上の義務とされているので、この制度の趣旨を十分説明の上、失業者の就業の機会の確保につとめなければならないと理解しますが、お考えをお示しください。
特に振興開発特別措置法は、第6章に(職業の安定のための特別措置)の項を置いております。いま政府は、総需要抑制ということで沖縄県における振興開発計画においても凍結ないしは繰り延べ等を要求していると聞きます。
いまこそ知事は、政府に対し、これらの計画が沖縄の格差是正という立場から作成された経過に基づき、強くその執行を求め、職場の開拓、失業者の吸収をはかるべきではないでしょうか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
施政権返還後3年、いま沖縄県では復帰特別措置法の洗い直しが行なわれ、庁議決定も見たようでありますし、議会でも各委員会においてそれらの検討がなされました。昨17日の村山議員の国費制度延長についての御質問にもありましたし、また知花議員のつぶれ地補償問題も県が復帰対策として国に要請したもののいまだ解決を見ないものの一つであります。
16日の代表質問で取り上げられました畜産の危機の現況は、食糧の100%近くを輸入にたよった中での畜産振興は世界的な不況に影響され、生産費の高騰と価格の低下という現象を来たし、県として価格安定基金を創設して当面の対策をはかるということは答弁を得ましたし、また親川議員も先ほど指摘しておりましたように、ハム、ベーコンの特別措置の打ち切りも要請していくということでございますが、消費生活安定という立場から本員は文教厚生委員会におきましても疑問点を申し上げましたが、これら庁議決定に当たり生産者の立場のみを取り上げ、消費者の意見の反映があったであろうかと疑問に思うのであります。
現に肉牛の価格は低落している反面、小売り値は横ばいないしは上向きになっているところに問題があり、流通段階における改善ないしは立ち入り調査がいま必要であり、その対策が急がれると思います。
復帰後の経済の急激な変動をなくするために定められた特別措置の処理のしかたは、特に消費生活の安定という立場から住民のなお一そうのコンセンサスを得る必要があると思いますが、どうしてこれらの措置を打ち切るという庁議がなされたのか、お聞かせいただきたいと思います。
一昨16日の農林水産の答弁にもありましたけれども、デンマーク方式を場合によっては取り入れなければならないというふうに、現状では県内消費にたえる加工施設がないのが現状であり、とすれば特別措置法の廃止は一挙に他府県商品のはんらんとなり、県内市場は荒らされる可能性が含まれております。その見通しはどう対処なさるのか、お尋ねいたします。
昨17年の本員の調査によりますと、東京三越でのハム、ベーコンと沖縄三越での店頭価格の比較は、ベーコンが1キロ2000円から3000円、プレスハムが100グラム170円から280円であり、沖縄ではベーコンは1キロ1000円、ハムはかん入り1ポンド500円から530円、グラムに直しますと100グラム約110円、沖縄は少なくとも特別措置法の恩恵をこうむっているのであります。
一方、県は輸入洋酒の特別措置延期方を決定いたしたようでありますが、県産品愛用運動と関連しまして、その必要性に疑問を持つものであります。
県はまだショッピング観光という面を強調いたしておりますが、はたして沖縄を訪れる観光客がショッピング観光を求めていると考えておられるのでしょうか。観光沖縄を目標としながらも、あまりにも安易で無策な行政ではないかと思われます。
伝統工芸の保護育成は叫ばれて久しく、条例も制定され、独立の課もできたわけでございますが、県産業としての位置づけの甘さは指摘せざるを得ません。保護と後継者の育成は必要欠くべからざるものでありますけれども、県産品としての産業との結びつきについての方針をお聞かせいただきたいと思います。
ちなみに隣県鹿児島県における大島つむぎの生産額は160億をこすといわれておりますが、本県伝統工芸は労働商工部の資料によりますれば、漆器、陶器、紅型、織物等を含めても約30億ということでございます。
去る10月23日、タイムス夕刊に報道されました記事を見まして、本員は県庁内部の行政管理のゆるみを痛感いたしました。さっそく豊見城村字与根に参りまして実情調査もいたしてまいりました。翌24日のタイムス社説では、「公文書紛失に思う」という記事がございましたが、この問題点を浮き彫りにしておりますので、読ませていただきます。「補償問題にからむ陳情書の紛失をめぐって県の公文書管理のズサンな点が指摘されている。豊見城村与根・赤嶺光昌氏ら製塩業者(元)6人の抗議を受けた県労働商工課では、早速件の陳情書を探したがみつからなかったという。赤嶺氏は、同村与根海岸で天日塩田を経営していたが、復帰の時点で、専売制なったため製塩業をやめ、業者は岩塩製造に変わるなどして補償を受けたが、補償もれが出たため補償方を陳情、村議会、当時の立法院を通じて(昭和47年5月2日)琉球政府主席あてに陳情文書が送られたが、陳情書は行方不明のままだった。元業者の赤嶺氏らにとって、大事な補償とかかわる文書であり、困ったあげく今年に5月県に問い合わしたところ、陳情書はついに出てこなかったという。陳情書は業者にとっては死活につながるものである。また、
村議会を経て立法院から行政主席(当時)あてに送付された以上れっきとした公文書の取り扱いをうけるのがほんとうである。それなのに文書はどこかへ消えてしまった。業者も指摘するとおり、復帰前のどさくさの最中ではあっても、文書紛失という点では県として弁解の余地はないと考える。業者が陳情書について問い合わせたところ、各課をたらいまわしされたという。いまごろ公僕精神を持ち出すのもどうかと思うが、役所でよくみうけるセクショナリズムを裏返しにした責任回避もいいところで、やはり公文書の取り扱い上、ズサンな点は否めないのである。よくいわれるとおり、役人が汚職などで問題となった時、「公務員はエリを正して公務に従う」ということが県民に対する申しひらきであった。革新県政の汚点として注目された砂利汚職も県庁内部の行政管理のゆるみから生じたことといえる。公文書紛失事件も、小さいようで、ゆるみと無関係ではあるまい。県は復帰処理をめぐっては、さまざまな難問を抱えている。製塩業者の直面させられた問題もその一つで、好んで事業をやめたわけではない。したがって、転業するにも、廃業するにも補償問題はつきものである。復帰後この種の陳情書の取り扱い
には、やはり、官庁としてよほど注意を払う必要があり、慎重を期してほしかった。陳情書が紛失したとあれば、再陳情という手段もとれるだろうが、その間、業者のうける損失はやはり問題であろう。」こういう記事であります。
私はこの記事を読みましてたいへん残念に思いました。
そこでお尋ね申し上げますけれども、公文書の紛失をしたということが表面に出ておりますけれども、その後庁内で保管されていたかどうか。その後どうなっているか、お尋ねをいたします。
また第2に、あったとしてどう処理されるのか。政府に補償漏れとして要求する考えがあられるのであるか。同じような復帰時の補償漏れの問題がまた16日の県行政書士会からも出されております。これは1972年5月1日、沖縄における渡航業者の本土復帰に伴う救済措置についての陳情も当時の琉球政府に提出したが、何ら回答がなく今日に至っているという記事が小さく出ておりました。この問題もどう処理されるのか、お尋ねいたします。
復帰特別措置法の洗い直しを執行部がやっておられますのは、たいへん時宜を得たものとしてその労をねぎらうものでございますけれども、制度が変わったことによって変化を受けたこまやかな落ちこぼれ等も拾い上げる前向きの姿勢を示していただきたいと思います。
知事の御見解をお願い申し上げます。
○議長(平良幸市君) 屋良知事。
〔知事 屋良朝苗君登壇〕
○知事(屋良朝苗君) 労働商工関係の第1点の御質問につきましては、労働商工部長から答えさせたいと思います。
それから先ほど特別措置法の改正、廃止といったようなそういうふうなことをきめて要請しているようであるが、そのときに消費者の立場、生産者の立場というようなことを考えてのことであるかということでありますが、それもたしか考えられておったと思います。考えてのことであったと、こういうふうに考えておりまして、この問題につきましても関係部長に補説させたいと思っております。
それから伝統工芸のお話がありまして、鹿児島あたりでは百何十億と、鹿児島全体としては500億といっておると私どもは聞かされておりますけれども、沖縄はいよいよこれからであろうかと思うのであります。たとえばすっと二、三年前は十七、八億であったと、いまは三、四十億にはなっていると思います。だんだんこれから開発途上にあるわけである。力を入れる途上であるわけである。織物だけなくして陶器あるいは漆器とかいろいろ数も多くありますから、これはぜひ健全にみんなが要望しているものとして強く育て上げて開発していきたいと、こう思っております。
公文書の紛失の件の御意見がありましたが、これはまことに申しわけなく思っておりますけれども、それにつきましても労働商工部長に説明をさせたいと、こう思っております。
なお、復帰に当たって落ちこぼれておるところの失業者の救済というようなことでございましたけれども、そういうようなことにつきましても十分検討してあらゆる方法を講じて解決をしてまいりたいと、こう思うのでございます。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) 1万6000人になった失業者の問題、それから労働力吸収率の問題、さらにショッピング観光についての戻し税の問題、さらには復帰処理におけるところの文書の問題、これについてお答えいたします。
まず1万6000人、特に有効求職者がふえていくというような傾向はやはり1つは駐留軍関係の離職者の増と、それから不況によるところの民間の倒産あるいは整理縮小というふうな形での離職者が多くなったというふうなことがやはり有効求職者が多くなったというふうになっております。
次年度に向けての見通しといたしましても、やはり1つの点としては海洋博会場の従業員の確保とか、あるいはそれと関連するバスの運転手、あるいはタクシーの運転手などについてある程度就業の場が得られるということで雇用者が多くなっていくのではなかろうかというようなことはございますが、やはり反面、駐留軍関係の解雇というのが続いてくるのではなかろうかというふうなことが考えられますし、いまの不況という状況がどこまで続くのか、特に政府の施策によってそれが浮揚するのか、あるいはそのままの状態が続くのかというふうなことになるわけで、その見通しは現在のところつけられぬということです。それに基づく企業の関係からどうなっていくのかというふうな点がございますし、そういったことから来年度に向けてもやはり雇用情勢というのはきびしいものがあるのではなかろうかというふうに考えております。
それからいまの吸収率の問題でございますが、確かにそれにつきましては、特別措置法39条に基づきまして47年の4月1日に労働省告示第61号をもって公共事業への失業者吸収率を60%というふうに定められておりまして、47年の8月1日以降施行されるというところの公共事業について適用されるというふうなことになっております。
県といたしましては、特にこの制度の効果的な運用をはかるというふうな立場から県の各部あるいは各市町村、建設業協会など関係団体に対しまして、失業者吸収率制度の趣旨の周知徹底をはかるとともに、協力を要請してきたわけでございますが、これにつきましては十分な効果があげられていないというふうに言えるかと思います。
職業安定所といたしましては、公共事業の施行主体または事業主体から提出されますところの公共工事施行通知書に基づきまして、企業の手持ち労働者の認定あるいは直接雇い入れの承認などにつきまして吸収率制度の効果的な運用を期しているわけでございますが、10月末現在施行通知書が提出されてきたのはわずかに10件で、しかもそのほとんどが手持ち労働者で施行できる事業であるんだということで、安定所からの紹介を必要とする事業というのは皆無の状態であるというふうなのが現状でございます。
この問題点といたしましては、次のような点が考えられておりますし、それに対処をしていきたいというふうに考えております。
第1点としては、事業自体がほとんど期限のある有機的な事業であるというふうなこと、それから第2点としては、土木事業とか建設事業など屋外の作業がほとんどであるというふうなこと、そして失業者吸収率の適用を受ける労働者がほとんど無技能労働者に限定されているんだというふうなこと、そして第4点として、雇用形態が臨時的な雇用であるんだというふうなこと、事業としてこういった形になっているわけです。
ところが職業安定所のほうに求職申し込みをしている失業者というのが、第1番目には、屋外作業に就労するに適しない人たちが多いんだと、屋外作業への就労には適しないという人たちが多いんだというふうなことと、第2番目には、やはり不安定な臨時雇用よりも安定した常用的な雇用、それへの希望を持っているんだというふうなことから、結局公共事業で施行されるところのこういった職業種自体と、安定所が登録をしている労働者との条件などがかみ合わないというふうなことも吸収率を上げられない一つの要因になっているのではなかろうかというふうに考えております。
したがいましてそういった困難な問題点というのを今後業者に対して、あるいは各公共機関に対してはその趣旨の徹底をはかっていくと同時に、さらに登録をしている求職者に対しましても、それへの適用というふうな立場から対処していきたいというふうに考えております。
それからもう1点のショッピングの件でございますが、ウイスキーその他の戻し税についての存続というふうなことを県の復帰対策できめております。ところが減税の点については、これは廃止すべきだというふうなことに立っております。確かに沖縄の観光自体がショッピング観光というふうな点も大きな魅力があるかというふうに思うわけです。そしてウイスキーだけが絶対ではないわけでございますが、やはりいまの観光のためのショッピング観光というふうな立場からの一つの誘因になっていることは事実だろうというふうに考えております。
したがいましてそういった立場から、業者団体あるいは観光団体全体がそろって戻し税の制度については延長してくれというふうな強い要請があるわけでございます。したがいましてそういったことを勘案した場合、県としてもある程度の延長が必要であろうというふうなことで戻し税については延長したいというふうにきめておりますし、減税については廃止するというふうなことで対処していきたいと考えております。
確かに泡盛その他県産品の消費はどうなっていくのかというふうなのがございますが、おみやげ品としての立場から泡盛の品質向上あるいはデザインなどを検討していきながら、それに対抗できるような力をつければよいわけですし、県内における減税品というのはよすわけでございますので、そういった立場で調和させていくということによって特段の大きな影響はないというふうに考えております。
それから塩田の件でございますが、これにつきましては議会から送られてきた文書が琉球政府の総務局のほうで受け付けされてそこで保管されていたということでございます。それでそれの処理についてどうするかということでございますが、復帰前製塩業をしていた人につきましては、結局特別交付金の交付をするというふうなことになっております。その交付対象といたしましては、塩の製造もしくは再製を行なっていた者で昭和46年6月17日から引き続き事業を営んでいた者で、法の施行の日(昭和47年7月1日)から起算して3月以内に、あらかじめ廃止の日を公社に届け出て、事業を廃止した者が対象になっておりますので、これに該当するかどうかというふうな点を検討しながら対処していきたいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 安里政芳君。
○安里政芳君 1点だけ部長にお聞きします。いまの部長の御答弁ですと、いま失業されておられる方々は、屋外のいわゆる就労を好まない方々というように受け取られました。ですから、そうしますと部長は、その失業者を吸収するためにはせっかく特別措置法のこの39条の就労の項があるにしても、いま現実に県としてそういう就労する企業がない。そのためには第2次産業の誘致を積極的に行なわなければその失業者の問題は解決しないという考え方に立っておられるのか。そうであれば、いま県庁内に企業誘致に対応する課とか係とかいうものがないと思います。
どちらかというと自然環境の保護という立場から工業開発に対して非常に疑問点がある、いまの御答弁ですと、いま失業しておられる方はどちらかというと、そういう屋外での就労といいますか、就業には向かない方がおられるということであります。この人たちを吸収していくためには、積極的に県として企業の誘致を考えなければならないという立場に立っておられるのかどうか、この1点についてお伺いいたします。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君登壇〕
○労働商工部長(前田朝福君) いまの点についてお答えいたします。
現在登録されている人たちというのは、まず1つとしては、屋外の作業に適しないというふうな人たちが多いということですし、もう1つは、やはり安定した仕事に従事したいということで、少なくともこういった工事ですと臨時的な雇用の形態が多いというふうなことで、できるだけ常用の雇用につきたいという人たちが多いということでなかなか条件があわないということが1つあるわけです。
ただ問題としては、私がいまさっき述べましたのは届け出が少ないということです。これは結局公共工事を請け負うところであっても手持ちの労働者で間に合っているんだというふうなのが多い状況で、結局吸収率の達成ができないというふうなことになっておりますので、そういった点の問題点はを今後解明しながら対処していきたいというふうに考えております。
それからもう1点の企業誘致の件でございますが、これらについては振興開発計画の中でもやはり雇用の場の拡大というふうな立場から工業開発、第2次産業の育成を自然との調和をはかりながら、しかも無公害の労働集約型の波及効果が大きいというふうな立場からの誘致ということは当然考えられておりますし、そういった立場でいま県としても対処していきたいというふうに考えているわけです。
同時に、それらの企業誘致の点につきましては、所掌事務の位置づけとしては労働商工部の商工課の開発係というふうなことで位置づけされておりますので、企画調整室のほうとも十分連絡をとり、企画調整室での全体調整を踏まえた上で、私どもとしてもそういった企業の誘致というふうなことに対処していきたいというふうに考えております。
○議長(平良幸市君) 安里政芳君。
○安里政芳君 届け出が少ないとおっしゃいますけれども、届け出は義務制ではございませんか。
私が御質問申し上げたのは、いま県内における海洋博工事、いわゆる公共工事をしているこれに対して積極的に失業者を就労させていくというのがこの特別措置の目的だと思うのです。
そうして何と言うんですか、いま届け出が少ないというけれども、これはお読みになったらわかると思うんですけれども、あとで届け出てもいいというあれはありますけれども、通達ではこれは義務制になっていると思うのです。
私が言うのは、公共工事に就職させなければいけない、そうすると、いままでの大きなプロジェクトは全部大型工事はみんな本土の企業に取られてしまうという観点から御質問申し上げているわけです。
○議長(平良幸市君) 労働商工部長。
〔労働商工部長 前田朝福君〕
○労働商工部長(前田朝福君) いまの最後の点についてお答えいたしますけれども、これまでも説明いたしましたとおり、公共機関だとか、あるいは建設協会などに対して、こういった制度があるのでぜひ届けるようにというふうな形で指導はしているが、それの周知徹底が十分なされていないというふうな点があるのではなかろうかということで、そういった点を含めて今後より積極的に対処していきたいということでございます。
○議長(平良幸市君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 野島武盛君登壇〕
○農林水産部長(野島武盛君) ハム、ベーコンの臨時措置につきまして、先ほどの親川議員の御質問にもお答えをいたしましたとおりでございます。県内の畜産加工能力は各種商品をまとめて7000トンと見込まれております。これをフルに機能させるには原料である豚価が問題である。したがって消費者に対し、過重な負担と需要の抑制にならないよう豚価安定基金の創設を検討いたし、慎重に対処して細心の努力をいたします。
○議長(平良幸市君) 以上で一般質問及び議案に対する質疑は終わりましたので、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております甲第1号議案から甲第9号議案まで、乙第1号議案及び乙第3号議案から乙第22号議案までは、お手元に配付してあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(平良幸市君) 休憩いたします。
午後6時47分休憩
午後6時49分再開
○議長(平良幸市君) 再開いたします。
日程第3 陳情第384号及び第385号の付託の件を議題といたします。
おはかりいたします。
陳情第384号及び第385号は、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することにしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、陳情第384号及び第385号は、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することに決定いたします。
○議長(平良幸市君) 日程第4 乙第2号議案を議題といたします。
本案に関し、委員長の報告を求めます。
企画総務委員長。
〔企画総務委員長 知花英夫君登壇〕
○企画総務委員長(知花英夫君) ただいま議題となりました乙第2号議案につきまして、企画総務委員会における審査の経過とその結果について御報告申し上げます。
去る12月11日の本会議において本義案が先決議案として付託されましたので、当委員会におきましては12日に委員会を開き、関係当局から詳細な説明を聴取し慎重に審査いたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
審査の過程におけるおもな質疑について、その概要を申し上げます。
まず県費負担の職員に切りかえる場合の問題点、あるいはその選定方法に関する質疑に対しましては、現在76名の学校栄養職員が在籍しているが、標準法の規定により単独調理場に26名、共同調理場に36名、計62名が県費負担職員に切りかえられることになるので、12月18日までに希望者をまとめるよう各教育委員会に依頼し、さらに76名の学校栄養職員に対しても面接したい旨の通知を発している。
去る11日に39名と面接したが、そのうち県費負担職員になることを希望している者が18名、市町村費負担職員として残留を希望している者が1名で、他の20名は回答を保留している。学校栄養職員67名を対象に給与の実態調査をしたところ、県費負担職員になることにより給与がふえる者が1名で、給与に差がある点に問題があるが現給保障の方法については合意に達しているとの答弁がありました。
次に、標準法の規定により定数が定められ、その職員が県費負担職員となると学校栄養職員については県の責任だという考えから市町村費負担職員の数を減らし、教育水準の低下を招くことも考えられるが、市町村との調整はどうなっているかとの質疑に対しまして、48年度までの補助定数も62名であり、14名については現在でも市町村が経費を負担している。62名が県費負担職員になっても人員を削減しないようにと市町村へ申し入れているが、この件については今後の検討課題として残されているとの答弁がありました。
次に、県費負担担当職員になった者に対して市町村が負担した給与等の経費については、49年4月1日から県が負担することになっているが、市町村との調整はどうなっているかとの質疑に対しましては、今後市町村と話し合っていきたいとの答弁がありました。
次に、従来の制度と比較してどのような利便があるのかとの質疑に対しましては、学校栄養職員の処遇の改善、身分の確立、あるいは適正な配置等をはかることにより義務教育の水準の維持向上に資することができるものと考えている。
本県が離島が多く、単独調理場に学校栄養職員を配置するとその数が膨大となるし、共同調理場を設置すると輸送面の問題があるので、教育委員会に学校栄養職員を配置し、各学校の栄養指導を行なうといった方法を検討したいとの答弁がありました。
そのほか、市町村職員として14名が残ることになるが、国とはどのような交渉をしたのかとの質疑に対しましては、全員を県費負担職員とするよう国に要請したが、特別措置により4名の増員が認められただけである。全員の切りかえについては、次年度以降の定数改正の際に検討してはどうかとの助言があったとの答弁がありました。
以上、審査の経過と質疑の概要を述べましたが、よろしく御賛同賜りますようお願い申し上げまして御報告を終わります。
○議長(平良幸市君) 委員長の報告は終わりました。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 質疑なしと認めます。
これより乙第2号議案を採決いたします。
おはかりいたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、乙第2号議案は、原案のとおり可決されました。
○議長(平良幸市君) ここでおはかりいたします。
委員会審査及び議案整理のため、明19日から24日まで6日間休会といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良幸市君) 御異議なしと認めます。
よって、12月19日から24日まで6日間休会とすることに決定いたしました。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、12月25日定刻より会議を開きます。
議事日程は、決定次第通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後6時55分散会
前発言
次発言
19740504000010