平成14年(2002年) 第 8回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月13日
玉城ノブ子
 

 日本共産党を代表いたしまして質問を行います。
 質問の前に所見を述べたいと思います。
 長引く不況のもと、国民の暮らし、経済は深刻となり、自民党政治は日本経済のかじ取りの力を全く失いました。危機の打開を掲げて登場した小泉内閣は、その政策も深刻な自己破綻に陥っています。
 稲嶺県政は4年前、15年使用期限をつけ新基地建設の受け入れを表明いたしましたが、ブッシュ米大統領は明確に拒否し、日本政府も全くやる気がありません。また、この4年間で完全失業率は一層悪化し県経済も最悪の事態となっています。
 知事選挙を通じ明確になったことは、第1に、県民の圧倒的要求は基地の全面撤去であります。
 第2に、地元産業が力をつけ沖縄の資源、県民のエネルギーを生かし地元が潤う経済振興こそ強く求められていることであります。
 第3に、長寿、出生率日本一という2つの宝が大事にされる医療・福祉、教育の充実・強化にありました。
 我が党は、県民が主人公の県政運営を一貫して主張してきました。自治体が本来の役割を果たし、国言いなりではなく県民の立場に立つこと、稲嶺県政2期目に当たりこのことを強く求め、質問に入ります。
 1、初めに米軍基地問題について質問します。
 米海兵隊少佐による女性暴行未遂事件で、アメリカは容疑者の身柄引き渡し要求を拒否、日本政府も稲嶺知事の再度の身柄引き渡し要請を拒否しました。女性の人権と尊厳に対する認識の欠如であり、満身の怒りを持って抗議するものであります。
 基地被害のない沖縄の願い、県民の闘いに対する重大な挑戦であり、断じて許すことはできません。
 以下、答弁を求めます。
 米政府の今回の身柄引き渡し拒否と日本政府の対応についてどう考えておられるのか、知事の答弁を求めます。
 米兵の身柄引き渡しに関する日米間の取り組みの経緯と結論を受けてよしとするのですか。また、アメリカの海外駐留米兵の特権重視の姿勢をどう思いますか、お答えください。また、今後の対応について答弁を求めます。
 米軍のイラク攻撃問題について質問します。
 イラク問題をどう解決するのですか。これは21世紀の世界の秩序にかかわる重大かつ深刻な課題です。自衛隊のイージス艦がインド洋に派遣され、米軍嘉手納基地のF15イーグル戦闘機の部隊などが派遣される、まさに沖縄がイラク攻撃の拠点の1つになりかねない極めて重大な事態です。日本国憲法に照らし、また沖縄戦を体験した沖縄県の知事としてどう思われるのか、知事の答弁を求めます。
 第1に、米国のイラク攻撃に反対の態度表明を行うこと、第2に、いかなる形であれ無法な戦争に協力することを拒否すること、第3に、インド洋へのイージス艦の派遣など対イラク攻撃への実質的支援につながる米軍支援の兵力増強を中止し、自衛隊の即時撤退を要求すること、第4に、米軍の無法な戦争に参戦する有事3法案の廃案を要求すること。
 知事選公約について。
 知事は、名護への新基地建設について当選後のインタビューに答え、15年問題が解決しなければ工事の着工はないと答えました。改めて知事の答弁を求めます。
 15年の使用を認めることは、環境アセスや基地建設時期を含めると何年間基地が存続すると考えていますか。また、普天間基地は何年存続するとお考えですか。
 伊江島補助飛行場の重量物投下訓練について。
 米軍特殊部隊は、SACO合意で伊江島補助飛行場に移転する前に使用していた読谷補助飛行場では重量物の投下訓練は禁止されておりました。その理由をお答えください。
 また、伊江島での危険な重量物の投下訓練の廃止を強く要求すべきではないですか、お答えください。
 嘉手納基地以外の米軍基地でのF15の緊急着陸と墜落事故はどのような状況になっていますか。
 11月26日付の米軍の準機関紙「星条旗」によると、原因は機体の老朽化と指摘しています。事実の確認はしたのですか。飛行中止と撤去を求めるべきではないでしょうか、答弁を求めます。
 2、暮らし、医療・福祉問題について。
 医療制度の大改悪によって高齢者とサラリーマンの自己負担と保険料の引き上げなど、3兆2000億の負担増が押しつけられようとしています。相次ぐ企業倒産と失業のもと、子供たちが高校、大学の中退を余儀なくされる、学校給食費が納められない、国保加入者の3割以上が国保税を払えないなどの事態が生まれています。県民の暮らし、安全を守ることが地方自治体の果たすべき責務です。長寿、出生率全国一の沖縄でこそ社会保障、福祉、教育の充実が求められています。
 県がその立場で最大の努力を払うことを求め質問いたします。
 国保制度について。
 市町村の国保会計は国庫負担の削減等によって県民負担が増大をし、国保税を払えない世帯が3割以上に上り、その結果、国保税が高過ぎて払えない世帯は短期資格証明書発行で治療を中断し、手おくれとなる悲惨な事態も生まれています。
 県は、こうした事態をどう認識されていますか。
 厚生労働省は、支払い能力がない世帯からも保険証を取り上げるものではないと述べています。県はどのような指導を行っていますか。
 本県の短期資格証明書の発行状況について答弁を求めます。
 全国では国保会計に1人当たり886円の財政支援を行っています。しかし、本県は1人当たり1円の支援しか行っていません。全国並みに財政支援を実施し、県民負担を軽減すべきです。国に対して国庫負担率をもとの45%に戻すよう働きかけることについて御所見をお伺いします。
 介護保険制度について。
 介護保険料が来年4月から現行の全県平均月額3618円が5324円と1.5倍に引き上げられます。84%が非課税世帯の高齢者に耐えがたい痛みを押しつけるものであります。この事態を県はどう認識されていますか。財政支援を含め新たな対策が必要だと考えますが、県の御所見をお伺いします。
 去る10月厚生労働省に対し、赤嶺政賢衆議院議員、外間久子県議団長、新垣繁信県社保協代表理事が介護保険の過重負担を軽減する国の助成措置を求める要請を行いました。担当官は、沖縄は利用者が多いから高くなっている、抑制が必要と発言しています。
 介護保険制度は強制加入保険であり、高齢者家族は必要なサービスを受ける権利があり、国はそれを保障する責任と義務があります。厚生労働省担当官の発言は、介護保険制度の趣旨を大きく踏み外すものであります。
 県の認識についてお伺いいたします。
 厚生労働省は、3原則について地方自治法上の助言にすぎず、自治体がそれに従うべき義務はないとしています。県の3原則に基づく指導は撤回すべきです。御所見をお伺いいたします。
 全国では400を超える自治体で独自の減免を実施し、県内でも那覇市、浦添市、平良市、玉城村が減免しています。県としても独自の減免を実施すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 介護施設に入所できないで待機しておられるお年寄りがふえています。実態調査を行い、施設の増設を急ぐべきです。答弁を求めます。
 乳幼児医療費無料化の就学前までの引き上げについて。
 乳幼児医療費の自己負担率が3割から2割に引き下げられることによって確保できる財源は、県と市町村でそれぞれ幾らになりますか。
 那覇市は、自己負担率が3割から2割に引き下げられることによって確保できる財源で来年1月から5歳未満児(入院のみ)無料化を実施することになっています。県もその財源を活用して年齢引き上げに踏み切るべきではありませんか。
 稲嶺知事は、今回の選挙で直ちに年齢引き上げを実施すると公約していますが、いつから実施するお考えですか、時期を明確にしていただきたい。知事の御所見をお伺いします。
 市町村の意向調査の結果について答弁を求めます。
 雇用対策と産業振興について。
 稲嶺県政は、これまで米軍基地の重圧を受け入れ、それと引きかえの振興策を進めてきました。その結果、企業倒産はこの4年間だけでも469件、完全失業率は全国平均の2倍、9月は9.4%、県民所得は全国平均の7割という深刻な事態が続いています。大型店の進出で「シャッター通り」の商店街がふえ続け、農家はこの30年間で3万戸も減少しました。

 昨年9月のアメリカの同時多発テロ、アフガニスタン攻撃によって沖縄観光は大打撃を受け、農水産物の輸入自由化、狂牛病被害は県内産業経済を直撃しました。沖縄の産業経済は基地と引きかえの振興策、県外の企業誘致頼み振興策では発展しないということを示しています。
 以上申し上げ、質問いたします。
 沖縄経済の振興は、農漁業、中小企業、地場産業、観光産業の経営強化と雇用の拡大を図ることが重要です。地元の農水産物を全小中学校の給食の食材に積極的に活用する。そのための農水産物加工場をJA、漁協などに設置し、地域の雇用を拡大することが求められています。御所見をお伺いいたします。
 県観光協会やホテル、旅館業組合、JAおきなわ、畜産組合、漁連などと連携して必要な組織をつくり、県内生産物の観光分野での消費拡大を図ることについてお答えください。
 生産者の要望の強い営農、経営指導員をふやすとともに、県立農業大学校や農業、水産試験場などの研究機関の充実・強化を図ることが大切だと考えますが、御所見をお伺いします。
 県産木材を使用した机、いす等を来年度から国頭村内の小中学校に導入する計画が進められています。学校給食器も含め県内小中学校への導入について御所見をお伺いいたします。
 家畜排せつ物法の本格的施行を前に、営農資金を調達できず離農する養豚農家がふえている中、農家は水洗いやEM菌、おが粉を使った処理等の改善策を進めています。県の助成策を実施すべきだと考えます。取り組み状況について答弁を求めます。
 おが粉を使ったふん尿処理方法について。
 我が党県議団の調査によると、おが粉を豚舎の床に敷き詰め豚のふん尿を吸収させると床は自然の発酵菌が繁殖し、ふん尿は分解されて堆肥になるため悪臭はほとんど感じさせません。施設の改善とおが粉の購入助成策を講じるべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 カジノ観光は、国内で禁止されている賭博を産業として沖縄に持ち込み、県経済を台なしにするもので容認できません。観光産業は、沖縄の地理的条件や自然、歴史・文化を生かした長期滞在型、体験型観光を推進することで発展させることができます。知事の御所見をお伺いいたします。
 泡瀬干潟埋立事業など不要不急の公共事業を見直し、不足している公営住宅や介護支援施設、学校プールの増設、老朽化した公営住宅、校舎の改築など県民生活に密着した公共事業に切りかえることが求められています。
 県内の大手企業が8割を占める県の公共事業を県内中小業者に公正公平に発注できる仕組みをつくり、国の公共事業の県内企業優先、分離・分割発注を政府に強く求めるべきであります。御所見をお伺いいたします。
 県内の若者の失業率の高さは深刻です。沖縄労働局が12月3日に発表した2003年3月新規学卒者の就職内定状況は、県内大学生の77%、高校生の85%は就職が決まらないという厳しい状況です。県、市町村のサービス残業の実態はどうなっていますか。サービス残業をなくし、若者の新規採用に充てるべきではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。
 30人学級の早期実現で教員を大幅にふやし、不足している公立保育所の増設、認可外保育園への支援を強め、待機児童の解消で就労の拡大を図ることが必要だと考えます。御所見をお伺いいたします。
 「看護師等の人材確保に関する法律」の遵守で看護師を大幅にふやし、特別養護老人ホームや介護施設の充実で介護士を増員し、県や市町村を初め民間企業に障害者雇用促進法を守らせ障害者雇用をふやすことについて。
 県庁とその出先機関、外郭団体の臨時職員、賃金職員、嘱託職員の社会保険への加入と年休行使の実態について。
 同時に、社会保険加入条件を満たしながら社会保険への加入を認めない大手スーパーの実態とその責任を明確にし、徹底を図ることについて。
 国の緊急地域雇用創出特別交付金事業の県と市町村の実施状況と雇用実績について。
 県単独の事業としてつなぎ就労機会の拡大と生活支援資金貸出制度の創設について御所見をお伺いします。
 質問を終わります。

 
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