平成23年(2011年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 2月22日
農林水産部長(比嘉俊昭)
 

 農林水産業の振興の中で、TPP参加が本県農水産業に与える影響、要請活動等の取り組み、離島社会への影響について、関連しますので一括してお答えいたします。
 TPP(環太平洋経済連携協定)は、原則としてすべての品目で関税を撤廃することが前提となることから、国内の農林水産物に大きな影響が出ることが懸念されております。本県においても、さとうきび、パイナップル、肉用牛、水産物などで影響が出ることが懸念されており、農林水産省が示した考え方を踏まえて計算したところ、直接影響額が約580億円、関連産業等への波及も含めると約1420億円の影響が出るものと試算されます。特に、離島においては、さとうきびや肉用牛の占める割合が大きいことから、離島地域の農業が壊滅的な打撃を受けることが懸念されます。そのため、県では、国民の食料安全保障の確保と国内農業への影響などの観点から、TPP交渉に参加しないよう適切に対応するとともに、農家が安心して生産に取り組めるよう万全の対策について、農業団体等と連携して国に対して強く要請したところでございます。また、県内では、去る1月29日に「TPP交渉への参加に反対する沖縄県民大会」が開催されたほか、JA沖縄中央会による「TPP交渉参加反対署名活動」などの取り組みも実施されているところであります。
 今後ともTPP交渉等の動向や国の対応を踏まえつつ、関係機関等と連携し適切に対応してまいります。
 次に、農業生産額の減少要因と農業生産拡大の取り組みについてお答えします。
 県産農産物については、近年、生産量は増加傾向にありますが、2009年の農業生産額は892億円となり、2008年に比較して28億円の減少となっております。生産額の減少の主な要因といたしましては、農産物の輸入自由化や、近年の景気低迷等により農産物価格が低下傾向にあります。特に、経済情勢等の影響を受けやすい花卉や果実、肉用牛などについては産出額が伸び悩んでおります。このため、県といたしましては、農産物の生産額拡大と農家経営の安定を図るため、亜熱帯・島嶼性に適合した農林水産業の基盤整備、おきなわブランドの確立と拠点産地の育成による生産供給体制の強化、亜熱帯地域の特性を生かしたオリジナル品種の育成や、高品質生産技術の開発、経営感覚にすぐれた認定農業者や、多様な担い手の育成確保などに取り組んでいるところであります。また、今後の農水産業の振興につきましては、生産基盤の整備に加えて輸送コスト低減対策、担い手対策などを強化する必要があると考えております。
 次に、おきなわブランド産品の市場開拓、販路拡大の取り組みについてお答えします。
 県では、市場競争力を強化するため、市場や消費者から信頼される定時・定量・定品質の出荷が可能な拠点産地を形成するとともに、市場・量販店等を中心に販路拡大に努め、おきなわブランドの確立に取り組んでいるところでございます。具体的には、ゴーヤーやマンゴーなどの消費拡大を図るため、首都圏において市場・量販店等から一般消費者までを対象に、おきなわブランドをPRするトップセールスを実施しております。また、シークヮーサーなどの県産農産物の販路拡大を図るため、県外大手飲料メーカー等を対象に、県内産地への招聘や商談会の開催などを実施しております。さらに、平成23年度は、東京・大阪の市場・量販店等を対象にしたトップセールスや、量販店等において試食・レシピ紹介を行うインショップ事業の実施、JA等県内事業者等と連携した県産農産物の海外販売促進など新たな販路拡大に努めてまいります。
 次に、耕作放棄地の解消についてお答えします。
 平成21年度における耕作放棄地面積は2693ヘクタールで、全耕地面積3万9100ヘクタールの6.9%となっています。耕作放棄地の課題といたしましては、農家の高齢化や後継者不足、傾斜地や排水不良など圃場条件が悪いこと、所有者などの合意形成が必要であることなどがあります。このため、県といたしましては、耕作放棄地の再生利用を図るため、平成22年11月までに沖縄県耕作放棄地対策協議会や28市町村で地域協議会を設置しております。平成20年度から耕作放棄地対策事業により再生作業、土壌改良、営農定着等を支援し、平成21年度までに約73ヘクタールが再生されております。平成22年度は、地域協議会において耕作放棄地の出し手・受け手間の調整を図り、約110ヘクタールの再生作業のほか、土壌改良、営農定着等を支援する計画となっております。今後、平成23年度を目途に、農業上重要な地域を中心に350ヘクタールの耕作放棄地の再生を行い、担い手への農地利用集積を進めていくこととしております。
 次に、魚礁・漁港の整備やつくり育てる漁業の振興についてお答えします。
 県においては、水産業の振興を図るため、魚礁・漁港の整備を計画的に進めるとともに、熱帯性の温暖な海域条件を生かして、モズク、クルマエビ、海ブドウ及びヤイトハタなどの養殖業を推進しております。
 魚礁の整備については、平成21年度末までに沈設魚礁を258カ所、浮き魚礁を63基設置しており、浮き魚礁については平成23年度までにさらに12基を設置することとしております。また、漁港の整備については、88港で整備を進めており、平成23年度までに亜熱帯地域の特性対策である防暑施設を46港、防風施設を15港、浮き桟橋施設を32港整備することとしております。養殖業の振興については、魚類種苗生産技術の開発、モズクの生産安定技術の普及指導と消費拡大、ハタ類の防疫体制の強化と魚病対策、海ブドウの衛生及び品質基準の作成などによりブランド化に取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。

 
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