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昭和59年(1984年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 3月 2日
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議 事 の 概 要
昭和59年3月2月(金曜日)
午前10時開議
日程第1 代表質問
1 志村 恵君(自民党)
2 小橋川朝蔵君(自民党)
3 砂川 武雄君(自民党)
4 平良 哲君(自民党)
5 池村 正義君(社大党)
6 本盛 茂君(社大党)
午後5時38分散会
○議長(大田昌知君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた公安委員会委員長照屋盛通君及び地方労働委員会会長楚南兼正君は、別用務のため本日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、それぞれその代理として公安委員会委員安座間喜徳君及び地方労働委員会事務局長宮城調一君の出席を求めました。
○議長(大田昌知君) この際、念のため申し上げます。
本日と明日及び5日から8日までの6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質間要綱に従って行うことにいたします。
○議長(大田昌知君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
志村 恵君。
〔志村 恵君登壇〕
○志村 恵君 本員は、自由民主党所属県議会議員を代表いたしまして、さきに通告いたしました事項について所見を述べながら知事に対する質問を行います。
さて、私が申し上げるまでもなく、私たちのふるさと沖縄は、西に中国大陸、北に朝鮮、日本本土、南にミクロネシア諸島を配し、亜熱帯性環境の中で交易の重要な接点として海洋文化国家を建設してきた歴史的経験を有するなど、地理的条件、豊富な太陽エネルギー、海洋資源、人的、技術的あるいはすばらしい観光資源を活用するなどして広く農業、水産業、観光などに生かし、国際社会に協力していけるすばらしい特殊な立地条件を備えているのであります。また私たち115万県民の一人一人が持っている進取の気性と海外へ移住し、国際交流の場で大いに活躍してきた長い歴史と実績は私たちの誇りであり、何人も否定することはできない事実であります。そのことは今から526年前、すなわち1458年、首里城正殿に掲げられた、沖縄が島国としての文化と平和、そして豊かさを求め、よりよく生きる道の選択として「万国津架」の鐘に刻みつけた文句、すなわち、「舟揖を以て万国の津梁となし」とあるのを見ても極めて明白であります。私たちは、偉大な我々の祖先が、沖縄の地域的特性を生かした沖縄経済の展開発展と、沖縄の人々が文化と豊かさをあまねく享受する社会、そして平和と国際的協調の精神に立脚した社会を築くために英知と汗を結集し、柔軟な考え方と発想、それから地球的意識を持ってよく苦難を乗り越えられた教訓的遺産、すなわち今から500年前の歴史的事実は刮目すべきものであります。
私は、1984年の今日、我が沖縄が、すぐれた文化と豊かさと平和をこうして現在今享受し沖縄社会の興隆と繁栄に向けていろいろな計画実行しているすべてのものは、今から500年前に血と汗と英知と涙をもって世界に羽ばたいた私たちの祖先が物事を地球的規模で柔軟に思考し、発想することを身につけて国際交流に鋭く反応し、適応したところの確固たる長い年月の歴史的基盤の上に初めて開花し得たものと確信するものであります。私たちのすぐれた祖先が残された政治する心構えと努力、そしてこの偉大な業績をしのぶとともに、今日、沖縄115万県民がその文化と幸せと豊かさをあまねく享受する社会、自由と人権が確立された社会、平和と国際的協調の精神に立脚した社会の建設のために頑張っておられる西銘知事を初めとして県民の皆様方に対し心から感謝と敬意を表する次第であります。
ふるさと沖縄が持っているところの亜熱帯の気候風土、熱帯性海域、本土と東南アジア諸国との接点という位置的有利性を大いに活用するとともに、東京、大阪などの中央市場から遠く離れ品物が高くなるという流通面の不利な点や、また水の安定供給が十分に期待できないという極めて困難な点をどのようにして取り除き克服していくかなどいろいろの面での本県沖縄が持つ特性を正面からも、また裏からも分析検討を行うことが現在及び将来の沖縄の経済社会、国際社会への自立発展、建設を図る上から極めて重要であると思うのであります。昭和60年代、そして確かな足音の聞こえ始めた21世紀に向かって私たちは今大きな時代の転換点に立つ重要な年を迎えたのであります。
我が沖縄をめぐる内外情勢はますます厳しさを加えつつあり、現実に直面し解決すべき問題は山積しておるわけでございます。例えば第2次の沖縄振興開発計画の中を見ましても、水資源の開発及びエネルギー確保をどうするのか。那覇空港、中城湾港、沖縄自動車道などの交通体系の整備を早くするためにはどうすればよいのか。農業、水産業、建設業、中小企業等の産業の振興開発の問題や観光客受け入れなど観光関連事業の振興、公害防止などの自然環境と国土保全、住宅、水道、下水道などの生活環境施設の整備問題、青少年、老人などの教育、文化財保護などの文化の振興、老人、心身障害児、医療、医師の確保などの社会福祉など。職業の安定、失業対策、基地の縮小等に伴う再就職。離島の振興、国際交流の場の形成と推進など。その他、財政再建や行政改革。また軍用地の跡利用、米軍基地問題など早目に解決して沖縄の社会が真に生きがいのある社会、青年男女の若い人々からお年寄りに至るまで明るい活力に満ちた生活が送れるよう努力を要するのがあるわけでございます。
そのためには、まずもって現実的にひらめき思考による問題解決するという心構えが一番大事であると私は信ずるものであります。知事を初めとして県民が理想と現実の板ばさみの中でどうしたらよいのか、どんな打つべき手があるのかなど成果への模索でいろんな議論があり考え方が出ると思いますが、私は、いずれのステップを踏む場合においても沖縄が進むべき21世紀展望へ向けての豊かなたくましい建設は、何でもかんでも反対するというみずからの殻の中に閉じこもった硬直した発想一点張りでなく、沖縄県民の英知と汗を結集した柔軟な思考と発想を持ち、地球意識を持って沖縄の政治、文化、経済社会の自立的発展のための創造へ進むことこそ最も基本的なものであると考えるのであります。すなわち、1984年、沖縄が特に解決しなければならない諸問題についてどうしたらよいのか、どんな手があるのかなどの現実打開をし、21世紀への国際化時代に生き残るために115万沖縄県民が我が国唯一の亜熱帯海洋県であること、また独特の文化、県民の進取の気性、国際交流での歴史的体験を有し、国際交流での有利な地理的、社会的条件を備えていることを十分に認識することであり、その上に立ちながら柔軟な思考と発想を持って国家意識からもう一歩前進し、地球意識を持ってこそ来るべき21世紀に対処できるものと信じて疑わないのであります。このような認識思考の原点を敷衍して申し上げれば、現代は第3の開国時代と言えるということであります。
徳川時代から明治への幕末、開国を第1の開国とするならば、第2次世界大戦の敗戦による第2の開国、そして先ほど申し上げました現代であります。現代は、過去2度のように華々しいドラマチックな変化はないけれども、目に見えないところで急激な変化が起きていると言ってもよいのであります。2日も3日もあればアメリカ、ハワイ、ブラジル、ペルー、中南米大陸やヨーロッパヘ行ける時代であります。沖縄の市場でも世界の国々の果物や缶詰などが容易に手に入る時代であります。昨年9月1日未明、大韓航空機が非武装かつ無抵抗のままソ連軍用機のミサイルにより撃墜されたことも、昨年10月のビルマ爆弾テロ事件も、フィリピンでのアキノ氏の暗殺事件、グレナダ、ニカラグア、レバノン、イラン、イラク、そして朝鮮半島と世界的な軍事緊張が相次いでいることも、私たちはテレビ、ラジオ、新聞等で直ちに正確に全琉各地どこに住んでいても地球の規模で知ることができます。
私たち115万沖縄県民は、今日、今第3の開国時代で呼吸をして生活をしており、言葉をかえて申し上げれば、まさに21世紀の地球市民であると言えるのではないでしょうか。そのことは都会でなく地方で、ヨーロッパ、アメリカに限らず、アジア、アフリカ、中南米で地球規模で市民の人々の交流が行われております。経済交流、文化交流などもあると思いますけれども、日本人は1年間で約400万人が外国旅行に出かけている状況からしても極めて明らかであります。そのほか、全国自治体では国際交流に活発に取っ組み、神奈川、滋賀県などの国際交流協会、国際友好親善協会などの専門分野としての外郭団体の設置や、また九州でも昔から保守性が強いと言われる葉隠の里佐賀市でも大きな変化が起きて、年間の会費1人1万円で運営する、世界との交流を目指す地球市民の会が昨年誕生している状況であります。まさに現代は、21世紀へ向けて世界の人々との肌と肌とのつき合い、お互いを知り合う心の交流、また経済、文化等の交流で地方自治体外交は今花盛りであり、草の根的国際交流の新時代であると言えます。
この視点から申し上げれば、115万県民の知事として西銘知事が政権を担う立場に立ってから、豊かな経験とすぐれた政治手腕でもって国際化時代への沖縄の進む方向の一つとして行動実践された、すなわち沖縄県国際交流財団の設立、沖縄国際センターの実現、また沖縄県人の海外移住者子弟県費留学生のブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルー等からの受け入れ、パプアニューギニア、ソロモン漁業研修生の受け入れなど将来を見通す、すなわち21世紀を展望する先見性はまさに野球で言えば満塁ホームランであり、模索と激動の政治の80年代によく対処し得た知事の功績として県民ひとしく高く評価するものであります。
第2次の沖縄振興開発計画の中に、国際社会に羽ばたける我が国とASEAN諸国との人づくり協力の一環として国際協力事業団の附属機関としての国際センターの設置、そして国際交流の場としての十分な機能発揮できるための体育館の建設などが含まれていることは申し上げるまでもありません。西銘知事が持つ柔軟な思考と発想と地球意識を持って変化する21世紀へ沖縄を託せる人は西銘知事であり、知事として再選を果たしたのも県民各位がこの点に着目し評価し期待されたからにほかなりません。
以上、私は、世界の中の日本が、日本という国家の中の沖縄が今まさに歴史の転換点に歴史の分水嶺、すなわち第3の開国時代、国際化新時代に立っており、我々の将来と21世紀に向けて子孫の未来を決定する、沖縄の抱える数々の懸案事項解決は、戦後30年余を振り返っても今日ほど政治家の責任は重く、政治の転換脱皮、さらに大きな飛躍が求められているときはないと思うし、また現実に西銘県政を支える責任与党としてその重さを今ほどに肌に感じたときはないのであります。500年前の昔から今日までの沖縄が歴史をたどる過程の中で、私たちの先祖が示した歴史の転換点に遭遇した大きな変動を乗り越えられた貴重な体験の中で、私たちに対し21世紀への遺産として贈ってくださったすばらしいものは、すなわち先ほども申し上げましたように、「舟揖を以って万国の津梁となし」という柔軟な思考と発想を持って国際化新時代の変化に対応する偉大な教訓であります。これからの沖縄について考えるとき、思考認識の原点はまさにこれだと思うのであります。
県民の生活は、昔と比べて非常に豊かになりました。単に経済的に豊かになっただけでなく、寿命も延び、学歴も高くなり、知識や情報の面でも豊かになっております。そのような時代認識の上に立って政治、行政を行うことは極めて重要なことであり、知事がこの複雑多岐な県内、国内、ひいては国際社会の中で現状を的確に把握され、深い洞察力を持って将来を展望し、沖縄の21世紀への進路を過ちなきよう、従来よりも増して強い指導力を発揮されんことを心から念願するものであります。
そこで質問の第1点として次のことをお伺いいたします。
21世紀はあと16年であります。この21世紀に向けて厳しく多難な道を営々として歩み、輝かしい沖縄の未来を開いていかなければなりません。そのためには38年間の戦後の沖縄がたどった道をよく分析をし、捨てるべきものは捨て、変えるべきものは変え、新しくつけ加えるべきものはつけ加え、いわば沖縄政治の総点検を行って強くたくましく沖縄づくりをしていかなければならないときであり、したがって沖縄の抱える諸懸案事項、解決原点は、何でもかんでも反対するという自分の殻の中に閉じこもった硬直した思考発想でなく、柔軟なひらめき思考と発想で変化する新しい国際化時代に的確に対応するにあると思いますが、知事の所信を伺いたいと思います。
2点目に、知事が今日までに国際交流推進の普及活動と実施した事業など沖縄の国際交流についての実績をまず伺いたいのであります。
3点目に、沖縄の地域性を生かした国際交流の場の形成について、今後における計画など構想を承りたいと思います。
さて次に、県経済の活性化についてでありますが、本県の経済は昭和56年度、我が国の経済成長率313%を1.3ポイント上回る4.6%の成長を遂げ、よい成績をおさめております。1人当たり県民所得でも前年度に比べて7%台の増加を示し、金額にして123万円余りとなり、全国平均100とした場合71.4で3ポイント余りの上昇を示し、全国との格差は漸次縮まってまいりました。また県中小企業情報センターの情報によりましても建設業、製造業、卸売業、小売業、サービス業等の全業種の58年度4月から9月までの上半期の純売上高は月平均2700万円余りで、57年度の同じ時期の2600万円余りと比較しますと2.7%噌加しております。また昭和59年1月の前年同月との比較では、卸売業での食肉加工品等の販売実績10.3%増加し、百貨店売上高3.4%増加、セメント、生コン販売も11%伸び、観光入域客、ホテル業8.2%増で今年はまずまずの県内景気のスタートであり、また県内の建設業は第2次産業の中でも13%台の就業者数を占め、働く職場として非常に重要であります。しかも今日、国の財政が極めて苦しいときにあって、西銘知事就任以来足かけ5カ年にわたり公共事業費の予算獲得に全力を尽くされた結果、例えば沖縄県一般会計の普通建設事業費だけを見ましても、昭和50年ごろ21%であったのが57年度決算では27%台の構成割合を示し、そのようないろんな要素もあって建設業は復帰時の2000社余りから現在約2倍の4300社余りとなり、そこに働く人々も復帰時約3万人であったのが現在約6万人となって失業対策上、また景気浮揚の面からも県民生活の安定に大きく貢献している反面、世界の経済、日本の国内経済の大きな一つの波の中で地域的跛行性がある程度あることはやむを得ないことではあるが、58年昨年の沖縄を含めた九州地域での企業の倒産状況は福岡1103件を初めとし、前年比で29.1%の増加傾向を示しており、沖縄でも273件という数字を示している状況にあります。
この厳しい状況に対処する当面の課題、今後取っ組むべき課題や今後の経済対策などについて、例えば公共事業の前倒し執行、財政投資、住宅建設の促進、観光客をどのようにすれば増加させ得るのかどうか。その他、野菜や花卉など他府県へ販売出荷への努力など早急に総合的な経済対策を推進し、民間の活力を最大限に引き出し、本県経済の活性化を図ることは極めて重要であると思うのであります。
また、沖縄の第2次振興開発計画は3年目に入り、これが終わるころは間もなく21世紀であります。したがって2次振興開発計画は中期的、長期的な沖縄の輝かしいあすへの経済運営のためのビジョンが必要であることは今さら申し上げるまでもありません。例えば若い青年諸君が積極的に働ける農業や中城湾港開発、沖縄自動車道の南伸と関連してその背後地の食品等の加工工場などの建設展開や空港の整備とあわせて企業の誘致とか、また沖縄の特性を生かした沖縄型テクノポリス発想など地域振興を図っていかなければなりませんが、ただ本県には米軍基地などの不利で困難な面もあると思われるが、日本各地で今テクノポリス、つまり高度技術集積都市づくりの計画が本格化する中で先端産業の人材育成、技術振興、企業進出受け入れなど今日の私たちの沖縄は、沖縄経済活性化を目指す極めて重要な時代であると私は認識をいたしております。このことは知事の先見性はもちろんのこと、県民が一丸となって初めて実行可能な課題であります。今後は基地収入も余り期待できない状況であり、また国家財政再建の中で国家財政依存一辺倒でも困難が伴うと思うのでありますが、以上のことを踏まえて知事にお伺いをいたします。
第1点、昨年までの沖縄経済の概況及び今年の景気の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
2点目に、知事が政治、行政運営の立場から沖縄経済の活性化と極めてかかわりを持つところの今日まで対応された事業についてお聞かせを願いたい。また昭和62年国民体育大会まであとわずか3年に迫っておる状況の中で、現在までの準備状況及び実績、将来の見通しについてお聞かせを願いたいと思います。
3点目に、沖縄が近いうちに必ず到来するであろう21世紀に向けての例えばテクノポリス新時代の展望など、その他のことについて知事の計画指針などの所見を承りたいと思います。
さて次は、社会福祉についてでございます。
社会保障の分野における福祉社会づくりは、県民皆様の一人一人の健康を確保してあげることであり、病気にかかったときにはいつでも、どこでも安心して治療を受けられるよう医療制度の強化充実することであります。例えば病気はもちろんのこと、交通事故、障害者への理解、ひとり暮らしの老人対策など弱い人々へ手を差し伸べる質的に充実した福祉社会の建設であります。また生まれ育った地域社会の中ですべての人々が楽しく生活を送れるにはどうすればよいかなどの一人一人の希望がかなえられるよう細かな、例えば寝たきり老人のホーム・ヘルパーの派遣とか、赤ちゃんの保育対策とかいろいろあると思いますが、心の通う社会福祉づくりをすることが最も肝要なことであると思うのであります。県民皆様方の一人一人の生活の安定がなくして真の活力ある沖縄県づくりはないのであります。ひいては国力の発展もまたあり得ないからであります。
次にもう1つ大事なことは、長期的に長い目でもって将来の福祉政策を考えることであります。私たちの平均寿命がさらに伸び、男が74歳、女79歳となりました。早ければ今世紀中に平均年齢80歳にもなると言われております。我が国は現在65歳以上の高齢者が1075万人を数え、また18年後のつまり昭和75年には我が国全体の65歳以上の高齢人口が2000万人にもなると推定され、これに伴って年金総額も、医療保障給付総額も、また国の財政負担も加入者の保険料負担も毎年急激に増大し、今後の安定経済成長時代の国、県、市町村の財政収入や私たちの家計収入がそれを負担しきれなくなる危険性があると言われております。
我が国は、急テンポで、長寿の国で世界に有名だったスウェーデン、ノルウェーを追い越し、アイスランドと並ぶ世界一を競うほどになっておることからもはっきり言えると思うのであります。翻って本県沖縄でも65歳以上が約10万人、寝たきりのお年寄り約3000人であります。これらの方々が安心して老後生活を送れるようにするためにはどうしたらよいのかという健康や医療の問題、特に離島の多い沖縄では健康に恵まれない方の収容施設をどうするのか、健康な方の働くシステムづくりをどうするのか、福祉年金経済の問題、その他親子同居や生きがいなどさまざまな問題が出てくるものと思うのであります。
ところで、1970年代、世界的な石油ショックにより今日まで我が国の経済は低成長を続け、景気も余りよくなかった関係で国の財政も県、市町村の財政も貧しく、借金依存を余儀なくされている苦しい状況であります。したがってこのような状況に対応しながら、活力ある福祉の県づくりを推進していくためには、行政の責任者のみで行えるものではないのであります。県民全体がすぐれた英知を結集して、その持ち場、持ち場での役割分担と協力関係、そして他人の力をかりずに、自分の力ででぎることは自分で行うという自助の心と連帯を基礎として取り組むことこそ必要であると私は思うのであります。
以上申し上げましたとおり、私は、沖縄県民一人一人が生きがいをもって働き生活していけるような力強く温かい沖縄の社会福祉建設のために十分な役割と責任を痛感するものであります。
そこで知事にお伺いいたしますが、知事が財政の苦しい中であるにかかわらず社会福祉の施策推進に積極的に今日まで取っ組んでこられた成果と福祉行政に関する知事の基本姿勢についてお聞かせを願いたいと思うのであります。
2点目に、知事が今後とも沖縄県民の期待にこたえるよう行き届いた福祉づくりの決意について承りたいと思います。
さて次は、来るべき政治決戦についてであります。
ことし84年政治決戦の年で、本土においては群馬、山口県知事を初めとする9つの県で行われます。市長選が104市で行われるし、特に沖縄県内政局は6月の県議選を軸に那覇市長選、浦添市長選、糸満市長選を初め国頭村長選など14の市町村で首長選挙が行われるのであります。県議選挙は既に予想される顔ぶれについてほとんど出そろっており、水面下では事実上の終盤に突入しているようで、果たして保守、革新のいずれに軍配が上がるか、まさに天下分け目の政治決戦であります。また県議選挙の勝敗によっては那覇市長選、浦添市長選、その他に波及することは必至で、ひいては県内政治潮流に一大変化を及ぼす極めて重大なものであると私は思うのであります。
沖縄の運命を決する戦後最も重要な政治決戦に当たり、我が自由民主党は挙党一致、沖縄県民一人一人の健康で豊かで明るい平和のもと、安定した毎日が送れるよう全力を尽くす覚悟であり、また西銘県政が今日まで県民の皆様方の御理解と御協力によって第2次沖縄振興開発計画の施策を実行し、本土との格差是正の成果を上げてまいりました。なお、本振計が引き続き効果的により一層強力に展開し、沖縄経済の活性化を図るなどして一段と活躍していただくためにも6月選挙で勝利をし、安定多数を獲得しなければならないものとして決意を新たにしているものであります。今日までの西銘県政の各面にわたる実績は、賢明な115万県民の皆様方が既に高く評価しており、この重大な政治決戦に当たり、県民皆様の御理解と御協力が引き続き我が自由民主党に御支持いただけるものと確信し、圧倒的勝利を信じて疑いません。
知事は、ことしの政治決戦をどのように認識しておられるのか、知事の所見と所信を承りたいと思うのであります。
以上をもちまして、私の代表質問を一応終わることにいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 志村議員の御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点は、21世紀に向けての思考と発想についてであります。お答えいたします。
御指摘のとおり、これからの時代におきましては、平和な国際関係のもとに安定的な経済基盤を備えた社会の構築を目標といたしまして政策努力を積み重ねていかなければならないと考えております。今日の世界経済の課題は、通商、通貨、科学技術、資源エネルギー等の面で国際協力を緊密にし、継続的な成長を図ることが肝要であると考えております。このような国際環境のもとで、本県は我が国と東南アジア諸国との接点にあるという地理的有利性からいたしまして、その役割を担うにふさわしい地域として振興開発計画の中で位置づけられております。これを踏まえまして私は国際交流を県政の主要施策の一つとして位置づけ、国際交流財団の設立、留学生及び技術研修員の相互交流等を推進するとともに、国際センターの設置を促進してまいりました。
21世紀に向けての我が国の経済社会は、これまでとはかなり違った流れに直面するものと思料されますが、これは大きく分けまして国際化、高齢化、成熟化であり、特に国際化は従来から各方面で進展してまいりましたが、今後長期的に見ましてもますます大きな流れになっていくものと考えられます。また交通通信網の発達とともに国際交流は日常一般化し、あらゆる問題を国際的視野で見る必要が出てくるものと思われます。県はこのような国際化社会の到来に対応いたしまして本県の歴史上の貴重な体験と地理的条件、また香り高い伝統文化等を礎にみずからの特性を認識し、国際交流施策を積極的に推進しているところであります。すなわちASEAN諸国との友好親善のためのASEAN諸国訪問、国際化時代に備えての地方自治体の国際交流のあり方を探るとともに、県民の国際感覚と国際理解を深めるため地方自治体の国際交流シンポジウム、海外文化講演会、国際交流講座等を開催しているほか、海外留学生、研修生の受け入れを積極的に実施しているところであります。また国際センターのオープンに向けて技術研修員の受け入れを始めるとともに、新年度におきましては新たにASEAN留学生の相互派遣を計画いたしております。国際交流の場の形成につきましては、文化、学術等の国際交流事業を推進するとともに、現在建設中の沖縄国際センターを中核施設といたしました国際交流ゾーンの形成について検討を進めていく考えであり、本県を我が国の南における国際交流の拠点にするため鋭意努力していく所存であります。
質問の第2点は、1980年代の沖縄経済の活性化とその考え方についてであります。
復帰後の県経済は、県民の努力と相まって振興開発計画に基づく諸施策事業が推進されました結果、持続的な成長を遂げてまいりました。これによりまして人口の大幅な増加にもかかわらず1人当たり県民所得水準は、復帰当時の56%台から、56年度には71%台に達し格差は縮小されてぎております。また基地依存度は、復帰当時の16%から、56年度におきましては8%に低下いたしたのでありますが、一方、財政依存度は26%から38%へ、観光は8%から12%へ増大いたしております。しかしながら財政に対する依存度は53年度を境に低下いたしておりまして、民間部門の比重が相対的に高まってきております。59年度の県経済は、振興開発計画に基づく諸施策事業の円滑な執行並びに民間活力の一層の発揮を期することにより、農林水産業、製造業、観光関連産業を初め、個人消費、民間企業設備投資などの伸びが見込まれております。その結果、経済成長率は名目で7.4%、実質で4.3%程度が見込まれております。全国の名目が5.9%、実質4.1%をそれぞれ上回っておりまして、景気は緩やかではございますが回復するものと期待されます。
次に、主要プロジェクトの実績と将来の見通しについての御質問に対しましてお答えいたします。
私は、知事就任以来県勢発展に深く思いをいたし、県民の理解と協力を得まして平和で明るい活力ある沖縄県をつくるため心血を注ぎ、総合的な施策を推進してきたところであります。すなわち、これまで難航いたしておりました主要プロジェクトを強力に推進するため昭和54年に行政組織を改編いたしております。その結果、長年の懸案でございました那覇空港滑走路の延長問題の解決、中城港湾開発の推進、糸満漁港背後地の開発促進、辺野喜ダムの本体工事の着工を進めてまいりました。また新たに県民会館の建設、県立芸術大学の設置、県庁舎の建設にめどづけをいたしました。さらに第1次振興開発計画でうたわれ実現のめどのつかなかった国際交流につきましては国際交流財団を設立するとともに、国際センターの設置を促進しその建設を進めてきたのであります。またあすを担う人づくりの観点から人材育成財団を設立し、海外留学生の派遣などの育成事業を拡大してまいりました。さらに昭和62年の海邦国体を誘致することにいたしまして、これを契機に総合運動公園、自動車道の南伸、中城湾流域下水道、社会体育施設等の整備に着手いたしているところであります。また交通問題の改善に資するため、県が主体となって沖縄都市モノレール株式会社を設立するとともに、都市モノレールの建設を促進いたしております。そのほか西系列水源開発、石川火力発電所の建設を進めるなど基盤整備を図っているところであります。今後ともこれらの主要プロジェクトを初め、諸施策事業を着実に進め、本県経済社会の自立的発展の基礎固めにする考えであります。
次に、国体の準備状況及びその実績、将来の見通しについてお答えいたします。
昭和62年開催の第42回国民体育大会につきましては、県準備委員会を設置し、準備事務局が中心となり諸準備業務を進めているところであります。御案内のように昨年11月には、沖縄国体のテーマに「海邦国体」、スローガンに「きらめく太陽 ひろがる友情」が決定され、県民の海邦国体への関心もますます高まりを見せているところであります。第42回国民体育大会の本県での開催については、いよいよ本年4月に日本体育協会及び文部省の総合視察を受け、7月には最終決定が行われることになっております。今後とも県、市町村、関係団体が一体となって準備の万全を期していく所存であります。
次に、主な準備業務の実績と見通しについて申し上げます。
競技施設の整備につきましては、新設する46施設中、昭和58年度末までに上野村、玉城村、国頭村等9市町村において10施設が完成または完成の予定となっております。残る36施設につきましてもそれぞれ計画に基づいて開催前年の昭和61年度までにすべて完成する予定となっております。なお、秋季大会の主会場となる総合運動公園につきましては、既に陸上競技場のメーンスタンドの建設工事にかかっておりまして、体育館、サッカー場等の施設の造成工事も計画どおりに進捗し、昭和61年度までにすべての整備が終了する予定となっております。
競技運営に必要となる審判員の養成については、必要数2300人のうち、70%に当たる1600人を県内で確保することを目標にいたしまして年次別養成計画を策定し、昭和55年度から養成を実施いたしております。59年2月現在、その約55%に当たる873人が審判員の資格を取得いたしております。
開・閉会式典の準備及び宿泊、輸送対策につきましては各専門委員会において基本方針等を策定いたしまして、それに基づいて諸準備を進めているところであります。また輸送対策の一環といたしまして、国体関連道路についても重点的に整備が進められているところであります。
広報、県民運動についてはポスター、国体だより、広報映画等による広報活動を展開しているところであります。59年度は広告塔の設置を行うなど県民運動を積極的に展開し、県民意識の高揚を図っていく所存であります。
次に、21世紀へ向けた活力ある沖縄県を目指しての知事の今後の計画、指針についての御質問に対しましてお答えいたします。
21世紀に向けてのビジョンづくりにつきましては、国において第4次全国総合開発計画の策定作業に入っているところでありますが、県はこれに対応すべく準備を整えているところであります。人口の高齢化、情報化、国際化が進む21世紀に向けて本県の地域特性である豊富な太陽エネルギー、広大な海域、東南アジア諸国との接点にある地理的条件、国際交流の歴史的経験、独特な文化遺産などはますます貴重なものとなることが予想されるのであります。したがってこの地域特性を積極的に生かすことが本県の21世紀に向けた県づくりになるものと考えております。
次、福祉社会づくりの推進についての御質問に対しましてお答えいたします。
質問の第1点、福祉行政の成果と基本姿勢及び第2点の福祉づくりの決意について一括してお答えいたします。
復帰後、本県の社会福祉施設は、沖縄振興開発計画の推進によりまして着実に整備されております。保育所及び特別養護老人ホームあるいは心身障害児のための施設などは類似県との比較におきましても大幅に改善されました。福祉行政は、施設の基盤整備に伴い量から質への転換を図る時期に入ったと認識いたしております。今後は、整備された施設がより効果的に機能するために福祉従事職員に対する研修や施設を利用する対象者の個々人に着目した処遇の確立など、きめの細かい施策が緊要な課題となるものと思料されます。そして一方、家庭における養育機能の低下や相互扶助精神の欠如あるいは地域社会における連帯意識の希薄化などが指摘されているところでありますが、人間が人間らしく幸せであるためには、その生活の基盤となる家庭や地域社会が温かくかつ揺るぎないものであることが要請されるものであります。今後とも、かかる視点に立って県民の一人一人がより幸福であるために行政の総力を挙げ県民福祉の充実に努める所存であります。
最後に、政治決戦についての知事の決意についての御質問に対しましてお答えいたします。
今年は、御説のとおり6月の県議会議員の選挙を皮切りにいたしまして那覇市長選挙、浦添市長、糸満市長選挙等が行われる大変重要な年であると認識いたしております。私も知事として2期目を迎えるわけでありますが、第2次振興開発計画の諸施策を実行ならしめ、62年開催の国体を初め中城湾港開発等もろもろのプロジェクトを強力に展開し、沖縄経済の活性化を図るとともに、私が掲げた公約を実現するためにも行政運営が円滑に、しかも安定的に推進され、所期の目的を達成していかなければならない大変重要な時期を迎えているわけでございまして、政治決戦についても今決意を新たにして思索をめぐらしているところであります。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 小橋川朝蔵君。
〔小橋川朝蔵君登壇〕
○小橋川朝蔵君 私は、自由民主党沖縄県連所属県議団を代表いたしまして、かねて通告してありました諸問題について所見を述べながら質問をいたします。
まず最初に、予算獲得についてその経過をたどりながら所見を申し上げたいと思います。
昭和59年度における本県の予算総額は3312億3000万円になっておりますが、その中で国に依存した、すなわち依存財源は約2621億で、自主財源は691億1700万円になっております。その割合は依存財源が79.1%で、自主財源は20%となっております。すなわち80%は国のひもつき予算でありまして、このことが沖縄県は2割自治だと言われるゆえんでもあります。ところが県民の多くはそのことを十分わきまえないために、県の予算編成直前になってから国庫支出金を当てにしてあれも予算をつけてくれ、これもやってくれと県の執行部並びに与党に対して要望書を提出されるので非常に困惑するときがあるのでございます。
そこで本員は、国に対する予算の要請から獲得に至るまでの過程を本議会の議事録に登載することにより後日の参考に供したいと思います。
まず、59年度予算における依存財源、すなわち国からの予算獲得の過程を申し上げます。
昨年の4月から7月までの4カ月間は、沖縄県内において総合事務局、すなわち沖縄開発庁と予算折衝が始まります。この4カ月間の間にある程度の予算の積算や執行の優先順位が決まりますので、その時点で話題にさえ上らない事業については予算のつく見込みはないと言ってもよいでしょう。そこで依存財源に頼らなければならない事業についてはこの時点で芽を出しておかなければなりません。我が自由民主党においても、この時期に合わして党本部への要望書を提出するのが毎年のならわしになっております。その後、国の予算編成大綱が閣議で決定され、各省並びに各県に通達されます。昨年は7月12日でありました。それによりますと、59年度予算の概算要求は一般行政費はマイナス10%、投資財源はマイナス5%にすると示され、この枠内で作業を進めなければならない事態に立ち至ったのであります。これが俗に言う国の厳しい財政事情というものであります。ところが西銘知事は、この厳しい国の財政事情に理解を示しながらも、沖縄県がこれに従えば第2次振興開発計画の推進はもとより、国体関係工事や他県におくれている農業基盤の整備、中城湾港開発の工事の促進、南伸道路の着工、特定多目的ダムの建設等々の実施等々、他県と異なった経済情勢にある沖縄の状況を力説し、昨年度並みの予算が獲得できるよう関係各機関に訴え続けてきたのでありますが、その結果は、知事の不退転の努力と手腕力量により、閣議決定は、沖縄県についてのみはほぽ適用されず、対前年比99.8%を獲得したのみならず、公共事業費の全国に占めるシェアは前年度2.86%から2.88%に上昇する結果になりました。まことに慶賀にたえません。
思いますに、大蔵省が各県、各省庁から提出された概算要求に大なたを振るい切って落とすのが9月から12月までの3カ月間であります。この間、各大臣、大蔵省主計局長と大詰めの折衝が行われ、県執行部が精力的に予算と取り組む時期もこの3カ月であり、予算獲得の成否はここにかかっているわけであります。いよいよ国の予算が煮詰まって、大蔵省は1月20日に第1次内示を発表いたしました。各県は多くの願望を託して内示を待つのでありますが、それはあたかも大学受験生が合格発表を待つ思いでありましょう。1カ年にわたる折衝の結果をこのときに見るからであります。この第1次内示において、大蔵省はあと800億円しか残っておりませんと発表いたしました。これは公開財源といいますが、昔は秘匿財源と申しまして隠しておりましたが、今日の厳しい財政になってから大蔵省も開き直って残金そっくり発表するようになりました。昨年もこの公開財源は800億でありました。第1次内示以後の対応は、この内示に漏れた事業費の復活に全力を注ぐのでありますが、それは800億円の分捕り勝負で、各県とも知事を先頭に必死になりました。我が沖縄県でも例外ではなくて内示の1日前、すなわち1月の19日に比嘉副知事を中心に予算対策本部を設置し、ここに各部長、自由民主党県連役員、各市町村長、関係団体役員が結集されました。第1次内示で落ちた沖縄県の予算は、宮古地下ダム全体設計費を初めとする9項目にわたりましたが、内示に漏れた関係人の落胆ぶりは目も当てられません。これは予算獲得に参加した人でなければわからない事情でございます。そのときに落胆した一人が砂川議員でありました。そこで1月21日からその復活に全力を注ぐのでありますが、だれが何と言っても沖縄関係予算を握っているところは自由民主党本部の沖縄振興部会であります。部会長の安西先生を中心に開発庁長官、事務次官、政務次官の大城真順氏を初め、野党を除く沖縄関係代議士、元長官が勢ぞろいして会議が持たれ、終了すると同時に各省庁に折衝へ散っていくのであります。その日の午後4時、参議院会館の会議室で知事を中心に、各部長、県出身の自民党所属代議士、すなわち五の日の会と県連役員が一堂に会してその日の成果を総括し、情報を公開して翌日の対策に備えるのであります。これが翌22日も繰り返されます。その間、刻々と入ってくる情報に一喜一憂しながら長い一日が過ぎていきますが、そのような努力の結果、約6割の部分について復活いたしました。復活された金額は27億7000万円でありますが、これは公開財源800億の中から27億7000万円の復活でありますから、人口割にして全国平均一人当たりの分け前分の3.6倍を獲得したのでありますから大成功でありました。この復活要求は、各県とも御同様で21日、22日も自由民主党本部は、各県の知事を先頭に大勢の要請団が押しかけてきますので上へ下へのごったがえしで、エレベーターも超満員で乗れませんので7階の会議室まで階段をかけ登る者もいるぐらいです。戦後の予算は、自由民主党本部を中心にしてつくられているんだなということをつくづく感じたのでございます。22日の夕刻、知事と県連役員が夕食をとっているところに振興局長から電話が入りました。宮古地下ダムの予算が全面復活されたという知らせです。それを聞いた砂川武雄議員が、いすをけって立ち上がり、あたりにはばかりなくクイチャーを踊りました。手の舞い、足の踏むところ知らずというところでしょうか、予算獲得はマイナス・シーリングの中では県民の目に見えないドラマであります。これはその獲得に参加した人でなければ語ることのできない事実でございます。
予算獲得の成功、不成功は、昨年より何%上がったかばかりではありません。最も重大なものは、厳しい国の財政状況の中で他県に比べて沖縄県はどうであったかということであります。前にもるる申し述べましたように、私は今年度の予算獲得は大成功だったと思います。
そこで知事にお尋ねいたしますが、この2月議会が終わるとすぐまた来年度予算の獲得に取り組まなければなりません。そこで今年度の成果を踏まえて来年度にどういうふうな抱負を持っておるかお伺いいたします。
次に、教育問題について所見を述べながら質問をいたします。
もとより私は教育の専門家ではありませんから、教育全般について所見を申し上げようとは思いません。ところが最近大きな問題として父兄並びに教師を悩ましている教育の荒廃、特に校内暴力についてその背景をさぐりながら所見を述べたいと思います。
思いまするに、沖縄県の教職員組合、すなわち沖教組の組織率は全国一で87.9%であります。このことは100人中に88人が組合に加入しているということであります。このようにして日本一の組織率を目の当たりに見ている沖縄県民は、全国の各県とも沖縄と同様な強大な組合があると信じている人が多いようです。ところが決してそうではありません。50%以下の組織率を示している県が、群馬県ほか17県もあります。特に徳島の3%、香川2.9%、愛媛1.9%、栃木県に至っては0.7%で、140人の教職員の中に日教組に加入しているのはたったの一人であります。それらの県から見ると、沖縄の組織率はまさに驚異であり、組合員が職員会や職員室を支配することもその団結によっては可能でありましょう。そしてまた新採用の加入率も沖縄は全国の第2位で88.7%で、スト突入率も73%で全国の第7位であります。
顧みまするに、昭和30年代に組合員または新しく教師になった人々に配布された文書、すなわち教師の倫理綱領の中にいわく、これまで日本の教育は、反封建的な超国家主義体制のもとで屈従の倫理を強いられてきた。日本の社会体制が全く違った観点から再建されねばならない。今日の新しい人類社会の実現は、労働者階級を中心とする勤労大衆の力によってのみ可能である。教師は労働者であり、団結こそ教師の最大の倫理であると書いてありますが、これはまさしく教師の団結が、我が国の社会を社会主義社会へ組みかえようとする意図を示すもので、偏向教育への道であると言わなければなりません。私は、団結は労働組合の最大の倫理であったとしても、教師としての最大の倫理だとは思いません。その動向については幾多の資料がありますけれども、時間の都合上ここでは発表することを控えます。
スイスの生んだ偉大なる教育者ペスタロッチは、愛情、信頼、権威、これが教師の最大の倫理だと教えております。私があえてこのことを申し上げますのは、沖教組は、ここに言う団結のために沖縄において非組合員対組合員、管理職対組合員の対立抗争が絶えず、これが教育の荒廃につながっているのではないかと疑うからであります。一体、暴力とは何であるか。生徒がガラスを打ち壊したり、机を壊すのみが暴力でしょうか。また生徒が、教師に殴りかかることのみが暴力であるのか。組合員が校長を、組合員が非組合員に威嚇することは暴力と言ってはいけないのでしょうか。私は、暴力や脅迫の相手がだれであろうと学校で起こるすべては教育の荒廃であり、校内暴力だと思います。
ここで参議院議員大浜先生の著書「教師は学力低下の最大の責任者」なる本から引用したいと思います。社会的地位があってその道を歩んできた人が、単なる談話ではなく、活字、すなわち著書として世に問うからには根も葉もないことを発表するとは思いませんので、それを信じて引用いたします。
その中に「恐るべき教師達」と題して教師の内部告白がいろいろ発表されております。これを抜粋いたしますと、1、組合教師はすべての体制からの研修を拒否しています。もしその研修を受けるとものすごい圧力を受 けるのです。しかし校長はどうすることもできないぐらいおどおどしてみじめな状態であります。2、職員会と組合分会も一緒にやるし、だれも反対しません。反対したらかみつかれます。3、組合の体質はファッショ化してお り、権力に反対すると言いながら恐ろしい組合権力をつくっております。4、ストの日、校長は組合幹部に取り囲まれ、早く職務命令を出して授業を取りやめなさいと威圧された。5、ストに参加しないで授業をしている私は 石を投げられた。6、ストを無視すれば、たった一人に寄ってたかって大勢でつるし上げ、常に心理的に圧追し疎外しますとあります。まだたくさんありますが、代表的なところだけ抜粋いたしましたが、大浜先生も労働組 合を敵視するものではないが、一部組合員指導者の傲慢無札な言動については絶対許すことはできないと結んでおります。
私は信じたくはありませんが、これまでのいろいろな風評を総合すると信ぜざるを得ません。このことは教師、すなわち同僚間の暴力であります。人のこの師たる者が平気で学校内で、しかも生徒たちの目の前で実演されるならば、生徒たちよ、諸君も暴力をふるいなさいと暴力を教唆するのも同然で、まさに学校暴力の起因する一端がそこにあるのではないでしょうか。
労働組合の最大の倫理は、団結であるならば、それはそれでよいでしょう。しかしその団結が、教師最大の倫理と置きかえたところに今日の学校荒廃があるということを見落としてはなりません。昭和20年代のアメリカの暴力教室と題する映画を見たとき、かつて教職員だった私は、これはまさに世の末だと嘆いたのでありますが、しかしながら現在の我が国における学校暴力の実例は全く嘆かわしいながらもそのとおりになってまいりました。沖縄における学校暴力の実例は、学校の名誉に関することだからそれは控えておきましょう。
ここで申し上げたいことは、組合員が校長を殴ることはしないでしょう。それは暴力犯罪として懲戒免職の対象になるからです。しかし理性に対して最も容易に勝利をおさめる手段は威嚇であると言ったのはヒトラーであります。したがって組合員が校長の理性的判断を失わしめる行為は一種の威嚇であり、精神的暴力であります。これが原因となって校長は職員を恐れ、職員は卒業前になると生徒を恐れるという気の毒な教育環境が生まれてはいないでしょうか。教育は、こうした威嚇と暴力の排除された後、理性が支配する秩序の中で成立するものであります。
私は、前にも申し述べたとおり権威者ではないから、京都大学教授の市村真一先先の著書の教育を荒廃させた日教組の革命思想の一文を引用いたします。
またいかに子供を人質にとられているとはいっても、 このような教師の側の横暴を許し、子供の精神教育に無関心であった多くの父母も、子供に反抗され暴力を振われるまで、この事情を黙認してきたとあってはいさ さか自業自得と評されても致し方あるまい。右のようなマルクス主義を信奉する教員は、壇上からもっばら反抗を教えて協力を説かず、憎悪を教えて愛を説かず、怨恨を教えて信頼を説かず、対教育委員会闘争におい て、これを街頭で実演してみせたのである。このような教育を、昭和30年代に受けた人々は、現在35歳から40歳位である。 この年齢の人々を母親とする子供が、現在10歳から15歳の前後の年齢になっているのだ。今 一番非行に走っているのは、実はこの年齢層である。小中学生の性格や情緒の形成に、直接重大な影響をもっているのは、殆どの場合母親なのである。その母親が、そして勿論多かれ少なかれ、父親も、もっばら人を うらみ、そねみ、ひがんで、愛を知らず、感謝を知らず、親切や反省を忘れていては、子供がまともに育つ筈はないのである。しかもこの人々の多くは、子供の躾け方を殆ど教えられないままで大人になったのである。こう 考えると、今日の教育荒廃の根は深く、遠い。20年も前に日教組によって播かれた「怨恨の哲学――マルクス主義」の種が、いま子供の暴力として発芽しているのだ。 教育の恐ろしいのは、ここである。数年くらいな ら、どんな教育の仕方をしても、その効果は明らかにならない。しかし30何年もの間、日教組流のマルクス主義教育が、程度の差こそあれ、全国津々浦々で行われたことの効果は恐ろしい。いま一世代がまわって、その つぐないを子供がさせられているのである。
と書いてあります。まことに傾聴に値し、考えさせられる警告であります。
これまで述べましたことは、沖縄の教育者全部を指して申し上げたのではございません。残念ながら私たち父兄はよい学校を選ぶ権利はありません。よい先生を選ぶ権利もありません。自由もありません。理不尽にも悪い学校にも子供をやらなければなりません。
極めて一部分の行動について述べたのでありますが、本員は、大きな土手もアリの穴から崩れるとのことわざがありますように私なりに提言をしたのでありますが、多くの学校でそうでなくても、一部分の学校でそうであるとするならば、全沖縄県の教育に及ぽす影響は実に重大であります。
そこで教育長にお尋ねしますが、沖縄県における学校暴力の現状はどうなっているのか、またその対策について御説明をいただきたいと思います。
次に、青少年問題について警察本部長にお伺いいたします。
先般の国会予算委員会の中で、新自由クラブの三塚氏と総理大臣並びに文部大臣との質疑応答の中で、いろいろとありましたが、豊かさの中に20万人の少年犯罪は校内暴力等々毎年増加し、統計の出るたびごとに新記録である。一向に鎮静化は示されていない。このことは教師を悩まして親を悲しめている。一体、何が原因だろうか。それにはおおよそ次のようなものが挙げられる。その一つは、仲間が受験戦争のために敵になってしまって、子供の心のゆとりを失っている。その次は、大人が金もうけのために子供の心をむしばんでいる。すなわち物に栄えて心が滅んでいるということであります。その一例といたしまして、少女向きの雑誌の中で性教育ではなくて性欲教育の本がはんらんしている。その内容は、この本会議では到底表現のできないものばかりであるからやめておきますが、その部数は一種につき約50万部も出版されていて、教科書を出版している学研社までもがこの種の本を出していることであります。このことは国会の予算委員会で大きく取り上げられたものでありますが、ところが実際に取り締まりの実施に当たるのは各県であります。
そこで警察本部長にお尋ねいたしますが、沖縄ではそのような実態はどうなっているのか。現行法ではどうにもならないというならば、今後政治は一体どうすればよいのか、それについての所見を求めます。
次に、国旗掲揚について教育長にお尋ねいたします。
戦後、国旗掲揚は禁じられていたが、昭和27年4月28日以後は、私的場所での国旗掲揚は許可されました。さらに教職員会や復帰協などが日の丸掲揚運動を推進してぎました。ところが池田首相と米国大統領の日米会談で、沖縄での国旗掲揚は大統領と現地の高等弁務官が相談して善処することになり、その結果、強硬派のキャラウェー高等弁務官も6月24日、沖縄のすべての祝祭日には琉球政府、立法院、裁判所、市町村公会堂、公民館及び学校とそれに所属する公共建物で日本の国旗の掲揚を許可すると声明を発表いたしました。昭和44年12月18日には、日の丸に関する規制が撤廃されて自由にどこでも日の丸掲揚をすることができるようになったのであります。これは県民が24年もかけた運動によって獲得した所産であったはずでございます。しかしながらどういう風の吹き回しかわからないが、沖縄の校長教頭組合などが反対をいたしまして、常に学校行事などでこの国旗掲揚の問題は論議を醸しております。
そこで教育長、現段階でこの国旗掲揚は現在、日本復帰してから後までもいろいろと議論のあることは嘆かわしい次第でありますので、現状はどうなっているか御説明を求めます。
次に、観光問題について質問をいたします。
私は、昨年の2月議会で観光全般についての質問をいたしましたが、今回は、現在沖縄の観光業者の間で憂慮をしている点について意見を申し述べながら質問をいたします。
海洋万博開催の直前ごろは、ホテルの客室が少ないだけではなくて質が悪いことで憂慮いたしました。これに急いで対応するとホテルスラム街ができるのではないかと関係人は将来を案じたのであります。果たせるかな、本部に建設された本部シーサイド・プラザホテルは倒産し、醜い残骸を残しその撤去に苦労いたしました。しかしながらその後沖縄観光の進展により今日の盛況を見たのでありますが、これには幾多の要因があります。その中で最も重視しなければならないのは沖縄の人々のたゆまない努力であり、観光振興条例や迷惑防止条例等々の制度の確立を挙げなければなりません。この沖縄の人々の努力の積み重ねを忘れては、沖縄観光は成立しないと思います。もとより観光客を引きつける原動力は、自然と人工と人情の美であります。アンケート調査によると、沖縄のよいところはどこであるかの質問に対して、自然景観がよいと答えたのが84.4%になっております。人情がよいと答えたのが51%であり、これが2番目であります。このことは、沖縄はもともと観光客を引きつけるところの素地はあったといってもよいでしょう。それに各航空会社の宣伝の功績もまた称賛に値するものがあります。沖縄訪問の動機は、ポスターなど宣伝物を見てと答えたのが24.3%で最高の数字を示していることをもってしても、航空会社の沖縄宣伝の功績は大きいものであったと判断いたします。
さて、観光客が多くなるにつれて宿泊施設が必要になってきましたが、特に全国的な質の高い大会を催すときは、宿泊施設は欠かすことのできないものであります。全日空も日本航空も同系列の別会社を設立して宿泊施設を建設いたしました。ハーバービューホテル、万座リゾートホテル、グランドキャッスルがそれであります。ここまではそれでよいでしょう。沖縄観光開発に先導的役割を果たしたそれなりの功績は否定はいたしません。ところが大規模ホテルの回転率は69%に対して、中規模ホテルの回転率は50.7%、小規模ホテルはさらに下回って33%となっております。沖縄人の経営しているホテルはほとんど中小規模のホテルでありますので、非常に苦しい経営になっております。
沖縄の観光は6期型の観光で、12月、1月、4月から6月まで、9月、10月、この3期は低迷の時期になり、さらに小規模ホテルの経営は困難を来しております。
思うに、ホテル経営は、1日その室を売らないと永久に戻ってまいりません。ためておいて、翌日売ることはできません。デパートの商品とは違って、1日売らなければ永久に戻ってこない経営上の苦労があります。また航空会社の定期便は、人を積んでも、空席にしても、諸経費は人を積んだのと同じようにほとんど変わらないとのことであります。そこで航空会社は、沖縄観光の低迷期になると航空運賃と宿泊料をパックにしてダンピング操作をする仕組みになっているとのことで、巧みに沖縄観光の低迷期を乗り越えることができると専らのうわさであります。うわさの域は出ません。そうなると構造的に飛行機を持たない沖縄県民の経営しているホテルはますます経営困難になります。航空会社がホテルを建設したことはそれなりの意義があったと思います。ところがもうこれ以上部屋数をふやしたり増築しないようにとの地元のホテル業者の声は大変深刻であります。
そこで知事にお尋ねいたしますが、前にも申し上げたとおり、今日まで沖縄観光の隆盛を願望し貢献した沖縄県人の中小規模ホテル経営者のこの声をどうとらえて対応いたすか御答弁を願いたいと思います。
私は、京王電鉄のことを思い出しますが、その創設期に観光目的物である京王プラザを新宿に建てました。いわゆるお客を田舎から都会に引いてくる手段であります。また都会から田舎に三多摩の方にお客を引くために多摩自然動物園をつくりました。京王プラザであれ、多摩動物園であれこれは観光目的物であります。電鉄は観光手段物であります。常日ごろの常識で言うならば、観光手段物は観光目的物を造成してそれと組み合わせながら観光開発を進めるのが普通のパターンとなっております。そこでホテルを建設する金が航空会社にあるとするならば、その金の一部分でもよいから、沖縄県内に物すごい観光目的物を造成して沖縄に行きたいという気風をつくっていただくことが最も肝要ではないかと思っています。そのバランスをどうとればよいのか、知事の所見を求めて私の質問は終わります。
○議長(大田昌知君) ただいまの小橋川朝蔵君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時37分休憩
午後 1時25分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
午前の小橋川朝蔵君の質問に対する答弁を願います。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 小橋川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
昭和60年度の国庫支出金要請に向けての取り組みについての御質問に対しましてお答えいたします。
国の財政は、今年度に引き続き来年度も厳しい状況が予想されます。しかしながら本県は、第2次振興開発計画に基づく振興開発事業及び国体を初めとする各種プロジェクト事業を着実に推進する必要があります。したがって60年度の国庫支出金の確保につきましては、早々に取り組みを開始して所要の予算額の確保ができるよう引き続き最大の努力を傾注していく所存であります。
次、中小ホテル対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
県内における宿泊施設の稼働率は、全体的には一定の水準を維持しているものの、規模別、地域別に大きな格差が生じ、一般的に中小宿泊施設の経営環境は厳しい状況にあります。中小ホテルの稼働率を高め経営の安定を図るため、今後なお一層誘客宣伝事業を強化するほか、観光客の地域誘導を進めるとともに、他方、中小ホテルの組織化、制度資金の活用等を促進してまいりたいと思います。また航空会社や大手旅行業者に対しましては、中小宿泊施設を初め観光関連業界への配慮方を要請するとともに、県内によりよい観光秩序が確立できるよう協力を求める所存であります。
なお、御提言のありました観光目的物、いわゆる沖縄観光の魅力づくりにつきましても増大させるよう積極的に努力してまいりたいと思います。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 校内暴力の実態とその対策についてでございますが、児童生徒の問題行動は、全国的に低年齢化、そして一般化、粗暴化する傾向にございます。特に校内暴力の増加傾向は、単に学校教育だけでなく、社会全般の問題としてその対策を講じなければならない問題であると認識いたしております。
本県における校内暴力は、昭和57年度は、対教師が6件、生徒間が45件、器物損壊20件、計80件であったのに対しまして、昭和58年度は、対教師の行為が2件、生徒間が6件、器物損壊6件、計14件と減少傾向にございます。しかし県の教育委員会としましては、減少傾向にあるとはいえ気を緩めず、これら校内暴力の根絶と児童生徒に対する適切な指導の徹底を図るため、次のような観点から指導の強化を図っていきたいと考えています。
これまでややもすれば消極的だと言われた生徒指導から、より積極的な生活指導への転換を図ってこれを推進していきたいと考えております。すなわち生徒指導研究推進地域の指定、それから生徒指導研究校の指定を行い、その対策の強化を図っていきます。それから隣接する学校間、学校と家庭、関係機関との連携の強化を図っていきながら児童生徒の健全育成対策を積極的に推進をしたいと。それから教師と児童生徒、生徒相互の人間関係を深めていくために学校生活を送るための集団宿泊訓練を行っていきたいと考えております。それから昭和59年度から、私どもの新しい施策として巡回教育相談員の制度を発足させ、教師や父母に対する教育相談の充実を図っていくため、各地区に2人の教育に関するエキスパートを選んで配置をいたしましてその相談に当たらしめたいというふうに考えております。
それから学校等における国旗掲揚の問題でございますが、学校における国旗の掲揚につきましては学習指導要領の中で、国民の祝日などにおいて儀式を行う場合には児童生徒に対してこれらの祝日などの意義を理解させるとともに、国旗を掲揚させることが望ましいというふうになっております。今後ともその趣旨が生かされるよう努力をしていきたいというふうに考えております。各種のスポーツ大会の開催等に対しましては掲揚をいたしておりますし、国家の象徴として広く国際的にも認められております国旗は、掲げていくべきものだというふうに考えております。日の丸を含めて世界各国の国旗を尊重する態度を養うことは、国民として大切なことだと考えております。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 石田慧史君登壇〕
○警察本部長(石田慧史君) お答えを申します。
まず、青少年に悪い影響を与えているいわゆる有害図書の実態はどうなっているのかという御質問についてでございますけれども、小橋川議員御指摘のように、本県におきましても男女の性行為を露骨に描写し、裸体の女性に虐待を加えている場面の写真や劇画を登載しました雑誌など、つまり青少年の性的感情を著しく刺激し、または犯罪を助長し、暴力を容認するようなそのような出版物が多数出回っておりまして、青少年の健全育成の観点から看過することのできない状況になってきているとこのように思っております。ちなみに昨年中、沖縄県青少年保護育成条例により青少年に有害であると指定された図書等は647種に上っております。
そこで警察としましては、関係機関とも密接な連携をとりながら、この種図書の発見活動及び指導取り締まりに積極的に取り組んでいるところであり、これまでも相当の成果を上げてきたところでありますが、先ほども申し上げましたようにこの種図書はなお増加の傾向にあり、青少年の健全育成上憂うべき状況にあると考えられますので、県青少年保護育成条例、刑法のわいせつ罪等現行法令を最大限に活用いたしまして、今後さらにこの種図書等の発見活動の強化、有害指定の促進、書店等に対する指導取り締まりの徹底を図ってまいりたいと考えております。
政治はどうすべきかという御質問につきましては、私の立場からは大変答弁しにくい問題でありますが、この問題について政治という高い立場から幅広く、多角的に、適切な諸施策を検討し講じていただくのは、まことに重要なことと考えている次第でございます。
○議長(大田昌知君) 砂川武雄君。
〔砂川武雄君登壇〕
○砂川武雄君 私も引き続き自由民主党県連所属県議団を代表する者の一員として質問をいたします。
昭和57年12月施行されました知事選挙において西銘知事は、5大政策に堂々と反戦平和を掲げて御当選を果たされました。115万県民が平和をこいねがい、戦争は絶対反対であることは周知のとおりであり、時宜を得た政策であったと今でも私は高く評価をしておりますが、今後も反戦平和に向けて積極的に県民とともに頑張ってくださることを希望してやみません。基地反対、基地撤去、自衛隊反対を叫ぶことだけが反戦平和でなく、反戦論者でないことを私は声高らかに絶叫し宣言したいのであります。反戦平和を進めるのに右の道を選ぶか、左の道を進むかの考えは人おのおの自由であり、安保容認、基地やむなしの姿勢であるから反戦平和とかけ離れているという論法は、筋違いであると思います。憲法9条では我が国が永久に戦争の放棄をしているし、国民も政府も自衛隊も憲法は絶対遵守すべき義務があります。我が国は、非核三原則を国是としております。核を持たない我が国が戦争に挑むはずがありません。我が国が非核三原則の永久保持を願望し、質問に入ります。
まず最初に、農業問題についてお伺いをいたします。
農業見直し論が高まる中、NHK青年の主張全国大会が去る1月15日、成人の日に東京で開催されました。九州8県を代表して我が県から宮古農林高校3年生の比嘉豊君が選ばれて出場したのであります。同君の主張は、離島の中の離島、宮古郡多良間村に生をうけ、中学のころから多良間村におけるニンニク栽培の失敗や葉たばこ栽培、サトウキビ栽培など農業に対する実態を見ながら、将来はみずから農業に取り組む決意と夢を抱いていたということであります。高校進学は、両親の強い勧めに負けて普通高校に進むようになりましたが、月日とともに中学時代の夢がますます大きく膨らみ、そのまま普通高校に残るか、それとも農林高校へ進路変更すべきか迷いに迷ったあげく、自分には農業人としての自営への道があり、夢がある。夢と希望を果たすには進路変更した方がよいと決断し、親の反対を押し切って入学半年で中途退学し、翌年4月には現在の宮古農林高校へ入学した。将来は、大学で農業の理論や技術を習得し、さらに本土やアメリカなどの先進地農家で研究を積み重ねて僻地農業の後継者として多良間島に新風を吹き込む決意であると結んでおります。
さらに同君は、離島僻地の農業は、農業基盤整備の立ちおくれや流通機構の煩雑さや指導員などの人材不足など多くの問題も山積しており、土地はあっても若い世代からは敬遠されがちであるが、農業を魅力あるものにするために一生懸命頑張りたいとも主張しております。
私は、この純心な離島出身青年の主張を一言一句漏らすまいと聞き入りながら、実は涙を流して喜んだのであります。尋常高等小学校を卒業したばかりの15歳の少年時代、農家の長男なるを理由に就農し、けなげにも農は国の本なりという信念のもと、農業立国に共鳴しみずからこれを叫びながら、農業青年ここにありと天下国家を論じ、希望に満ちあふれていた自分の過去も振り返りながら拍手を繰り返したのであります。NHK青年の主張には、10名のうち、3名もの青年が比嘉君と同じように農業及び畜産農家の後継者たらんと決意を披瀝して強調しておりましたが、青年諸君が農業についていよいよ目覚めつつあり、農業に対する認識を深めつつあるあかしではないかと意を強くした次第であります。青年の意気込みは、三ちゃん農業と呼ばれるようになるまで廃れつつあった農業を、農村を立ち上がらせる絶好の機会到来ではないかと思うのであります。
申すまでもなく、農業は人類の食糧生産を受け持つ神聖で崇高な、世の中で一番大事な産業であり、国の本であることは、今も昔も変わりないと信じて疑わないのであります。政府も、知事、あなたもみずから農業青年の育成に並み並みならぬ御努力を重ねておられることを私は高く高く評価をいたしておりますが、さらに進んで食糧の自給体制確立を図り、労働、失業問題とも関連して農業青年を農村に定着させる施策を強化することは80年代における大きな政治課題の一つであり、急務中の急務ではないかと強調したいのであります。
知事は、御就任以来、亜熱帯農業の特徴を生かした生産性の高い農業経営の育成を初め、農業基盤整備の拡充、機械化農業の促進、共同集出荷場の建設、サトウキビ、パイナップル、花卉、野菜の栽培やこれに伴う土づくり対策、ウリミバエ、ミカンコミバエの撲滅や養蚕業の育成、農業金融の拡大強化、さらに進んで県外出荷用冷凍コンテナの設置等々きめ細かく農業振興のために全力投球してくだされたおかげでその成果は、近年急速に高まりを見せており喜ばしい現象であります。このため農家みずからも経営合理化に努め、反収引き上げのための努力、機械化農業への切りかえなど努力を重ねており、企業として完全に他企業と肩を並べる状態に変わりつつあることも見逃してはなりません。
申し上げますように徐々にではありますが、農業はすばらしい産業として見直されるようになってまいりました。ここ数年で県外出荷の農業生産の伸びも著しく魅力ある農業に変わりつつありますが、しかし農業に対する県民の認識はいまだ不足しておるような気がいたすのであります。そのために農家の青年が高校や大学を卒業して喜んで就農できる状態にはいまだほど遠いものがあります。毎年毎年国や県、市町村や農協などの臨時職員採用に希望者が殺到しており、もっとゆゆしき問題は、農家に、農村青年に嫁として行きたがらない風潮が根強いことであります。
私がここで訴えたいことは、高校や大学を卒業して直ちに喜んで就農できる魅力ある農業はできないものか。なお、農家といえどもサラリーマン同様に8時間労働で、日曜、祭日には休みがとれて官公署に働く人と対等に誇りを持てる農業にはできないものか。何らかの施策がなければ後継者の少ない、嫁のなり手が少ない農家は、せっかく盛り上がってきてもまた元の三ちゃん農業に逆戻りするしかありません。県農業協同組合中央会が立ち上がった農村の嫁不足解決も含めてみんなで農業に理解を深め、解決に取り組んでいかなきゃならないと思います。農家の母親が、息子に嫁は欲しいが、娘は農家の嫁にはしたくないとの考えが根強くあることは、今までの農家は過労の割には収入が少ないなどの考えなどいろいろあろうかと思いますが、ここらで改めていかなければならないと思います。
青年の主張大会で発表した比嘉君が、農林高校へ進路変更してまで農業後継者として立ち上がらんと決意をしても両親の理解がなかったり、中学のときから多良間村における先駆者のニンニク栽培や葉たばこ栽培、サトウキビ栽培など成功している姿を見ながら、自分も将来は農業に取り組む決意があるのに進路指導の先生もお気づきにならなかったのか、農業高校における農業後継者づくりもあわせてみんなで農村問題を真剣に考えていただかなければ、農村の繁栄も農家の嫁不足も解決しないと思います。
沖縄開発庁長官中西一郎大臣は、御就任初の沖縄御訪問の際、農業は新しいテクノロジーの時代にふさわしく、バイオテクノロジーなど知識産業であると位置づけ進めていきたいとの御発言があったと新聞は報じており、沖縄経済同友会の月例会に招かれて講演された通産省の福永講師も、県内でのバイオテクノロジーとして地域産業のサトウキビの品種改良を行い、ブリックスの高いキビを生産するようにしたらよいとの提言をし、天候によってブリックスが左右されたのでは産業にならない。バイオテクノロジーを駆使し、いつでも糖分の高いキビが生産されるようにすべきであることを強調したことも報じております。今まさに我が県の農業は単純労働だけではなく、考える農業に変わる直前であります。日本における亜熱帯農業をすばらしい産業に切りかえていく青年を必要とし迎えておるのであります。
長々とつたない所見を申し述べましたが、この辺で質問をいたします。
質問の第1点は、さきに申し述べたように農村に青年を呼び戻し定着させるための施策があると思いますが、承りたいのであります。
2点目、農村に嫁のなり手の少ない現状では農村の進展は望めないと思います。農家の生活改善も含めて農村青年に喜んで嫁が迎えられるような施策はないでしょうか。あると信じます。あわせてお伺いをいたします。
3点目は、サトウキビNCO310号にまさる新品種の開発はできないのか。大径種25号からNCO310号に改良されてから30年、そろそろNCO310号にまさる改良品種があらわれるものと農家が大きく期待をいたしております。毎年県議会でも要請しておりますが、農林省の対応はどうなっておるか。我が県の農業試験場は、キビの新品種開発に向けてどのように取り組んでおるのか、新しい時代にふさわしい陣容や施設整備はなされておるのであるか、いつ新品種はできるのかお伺いをいたします。
次は、植物防疫対策についてお伺いをいたします。
せっかくウリミパエ、ミカンコミバエ撲滅のため努力して成果を上げつつある今日、台湾やフィリピンなどより持ち込まれた果物にウリミバエやミカンコミバエがいたというショッキングなニュースがありましたが、重大な問題であります。持ち込んだ違反者は植物防疫法を知らずについうっかり持ち込んだとのことですが、沖縄県にとって、さらに農家にとっては重大な罪悪と言わなければなりません。取り締まりは厳重にしてほしいと思います。対応をお聞かせください。
農業問題、最後の質問に、私は、一昨年の代表質問に、農業一筋に打ち込んでおられる農家も農民といえども、春、秋の叙勲褒章などの栄誉にも浴されるような農業見直しをしていただくよう御提言申し上げましたが、知事は、御提言がありますように農家、農業者が叙勲や表彰を受けられるよう県としても努力する所存でありますと御答弁を賜りました。御調査をなされましたでしょうか、該当者はおられるでしょうか承りたいと思います。
次に、老人問題についてお伺いをいたします。
我が国が世界に冠たる平和で豊かな長寿国であることは御高承のとおりであります。昭和20年ごろは人生50年と言われていたのでありますが、厚生省の調査によりますれば、日本人の寿命は男が74.22歳、女が79.66歳となり、戦後38年間で27年も延びて長生きできる社会に変わったのであります。このような発展は、医学、医術の進歩、医薬品の開発、社会福祉の拡充、公衆衛生の普及並びに食生活の向上などいろいろ条件がかなえられたことによるものと思われますが、何としても平和憲法のもと、国民が安心して平和で豊かな明るい環境の中で生活できたことも大きな原因ではないかと思うのであります。さらに国民の健康状態は著しく改善され、人生80年社会に届こうとしているのであります。このように世界でも一、二を争う長寿国の中で我が沖縄県は長寿日本一の県であります。言葉を変えて言うならば世界一の長寿県であります。思うに、沖縄戦であれだけの人命が絶たれたにもかかわらず、なお全国一の長寿県であることは一体何が原因だろうかと首をかしげたくもなるのでありますが、食生活によるものなのか、気候風土が健康にマッチしておるかは今後の調査課題とし、今全国一の長寿県であることは我が県の誇りであり、名誉であることは申すには及ぱないことであります。
このように、沖縄県民を含む日本人の平均寿命が延びたのは誇るべきことであり喜ばしいことでありますが、高齢化社会を迎える政治と社会制度は、いまだそれに追いついていないと言われているのが現状であります。寿命が延びても老後の不安が解消されなくては、素直に喜んだり祝ったりもしておられない面もあるのであります。お年寄りの財布が豊かになった、年金制度やデラックスな老人ホームだけでは解決できない部分もあります。
そこで私は、まず何よりもお年寄りを大事にすることを国民に教育することから始まり、お年寄りを大事にする社会をつくり上げていくことが最も大事なことではないかと思うのであります。国においては9月15日を敬老の日と定めるなどして取り組んでおられることは承知しておりますが、さらに進んでお年寄りを大事にするための施策並びに社会づくりについて知事の積極的なお考えをお聞きしたいのであります。
親を大切にし、すべてのお年寄りを大事にすることは我が国において神代の昔から伝えられ引き継がれてきた美風であり、伝統であり、この美風は未来永劫に引き継がれていくことであると信じています。しかるに最近の傾向と申しましょうか、風潮として、子供が成長し独立すると親との同居はいやという若年層の考えが多くなっていると言われております。若い家庭において老人世帯との分化が目立つようになったということは、嘆かわしい次第であると言わねばなりません。何とかこんな風潮を食いとめるためにお年寄りと一緒に住む子供には税金を軽くするとか、何らかの国家的優遇措置がなされ、またおじいさん、おばあさんのために離れをつくる子供には無利子で国や県が融資するなど、さらにお年寄りにとって在宅福祉が喜ばれることは当然なことでありますが、不幸にも寝たきり老人を抱えた場合、家庭の悩み、苦しみ、精神的苦痛は言葉では言いあらわせないものがあると思うのであります。
そこで、寝たきり老人を抱える家庭には何らかの保護措置がなされてしかるべきではないかなと。以上、在宅福祉の政策をもっと強化すべきではないか。申し上げたことは一例にしかすぎませんが、日本一の長寿県として全国に先駆けて何らかのアクションを起こし、親を大切にする風潮、ひいてはすべてのお年寄りを大事にするための何らかの施策を講ずることは大事なことだと思いますが、知事のお考えを承りたい。
私は、幼少のころから、自分を産んでくださった両親を大事にすることのできない予供は、自分の子供からも大事にはされないと言い聞かされてきましたが、全くそのとおりであると思います。若い世代の皆様が、もし仮に両親を粗末な扱いをしておきながら、自分の子供に限って、親、すなわち自分が粗末にされることはあり得ないと思い込み、親が希望している同居を拒んでいたりすると因果応報、めぐりめぐって自分が年寄りになるとき同じことが繰り返されることは確実であります。
私は、小学校6年生のとき不思議な発見をいたしました。砂川小学校に男の生徒と女の生徒が大同小異はありましてもどのクラスもほぼ同数でありました。よその学校のお友達に聞きましても、そこの学校でもほぽ同数であることがわかりました。そのときはそれで終わり何とも感じませんでしたが、大人になって世界の人口が男と女がほぽ似たり寄ったりで、日本の人口もほぽ同数、沖縄県における男女の出生率もほぽ同じであり、さらに都市地区においてもしかり、小さな離島においても同じようなことが言えるのであります。男の子を産みたいと思いましても女の子が産まれたり、その反対に、女の子を産みたいと思っても子供全員が男の子であったりして夫婦の思うどおりにはできない出産でありますが、全体として結果的には男と女がほぼ同数であることは七不思議であり、このことは人類種族保全のため目に見えない大きな天の配慮がなされておるのではないかと思うのであります。非科学的な意見だと笑わば笑え、私はこのことをあえて天の配慮と申しておりますが、産まれた子供が、産んでくださった御両親を大事にし、最後まで扶養する義務も含めて天の配慮がなされているものだと信じたいのであります。子供から大事にされることが老後の生きがいではないでしょうか。
ところで、知事がありし日のお母様を大切にしておられたことは余りにも有名であります。知事になられてからも、年老いたお母様には頭が上がらず尊敬しておられたと聞かされています。まさに県民の模範であり、最高のよき指導者が得られたものだと私は信じております。あなたの子供や孫さんにもその美風は引き継がれておるものだと信じて疑わないのであります。
所見が長くなり横道にそれましたが、長生きすることは万人共通の願いであり喜ばしいことでありますが、一方、長くなった老後をどのように暮らすかという問題と、80歳高齢化社会に対応する問題は、現在のお年寄りに限らず世代を超えた広い範囲にわたって社会的に大きな問題を投げかけておることは御高承のとおりであります。とりわけ社会保障制度と医療制度については既に具体的な対応が迫られておりますが、このことは制度上国のレペルでの検討が適当かと考えられますので、ここでは県が国の施策と相まって推進している問題や、高齢化社会でもたらすもろもろの問題点について質問をいたします。
質問の第1点は、ひとり暮らしの老人は県内で何名おられて、県が施しておる施策の実際を伺いたいのであります。
次に、在宅寝たきり老人は何名おられるのか、それに対してどのような施策があるか。さらに身寄りのないお年寄りや寝たきり老人であって、精神上もしくは経済的理由により家庭において日常の介護を十分に受けることのできないお年寄りがどの程度おられるのか、それに対する施策はどうなっているのか。
第3点は、これらお年寄りを収容できる、すなわちニーズに対応できる施設は十分であるのか。
また、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム及び老人福祉センターの施設状況はどうなっているのかお伺いをいたします。
特に、本県においては多くの離島を抱え、しかも特殊な文化と地域によっては違った方言を使っている状態であります。沖縄本島に施設があるから八重山や宮古から入所しなさいでは余りにも酷であります。地域にバランスのとれた、そしてニーズに即した施設整備がなされているか。養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター設置についても将来に向けての計画も承りたい。
次に、老齢化社会で大きな問題は、老年期痴呆、つまり老人ぼけと寝たきり老人の問題であると言われておりますが、その1つ、老人ぽけについてお伺いをいたします。
昭和55年に東京都が実施した老人の生活実態及び健康に関する調査によりますと、65歳以上の在宅ぽけ老人の出現率は4.6%と推計されております。このような老人ぽけは今後増加すると言われておりますが、現在はある意味では医療と福祉の谷間に置かれ、家庭での介護に頼っている例が多いと聞いています。このことは、それぞれの家庭における人間関係や経済状態とも絡んでおり、対応は家庭問題であるとともに社会問題でもあると思います。
そこでお伺いをいたしますが、現在本県にはこれらのぼけ老人がどれぐらいおられるか、その対策の現状と今後の方策についても御答弁を求める次第であります。
今、最大の政治課題は、老齢化社会にどう対応してお年寄りを大切にしながら、平和で明るい社会をつくるかということだと確信いたします。老齢化した社会にお年寄りを大切にする県民的運動と相まってお年寄りの生きがい対策がもっと重要視されねばならないと思います。老人の生きがい対策についても御答弁を求めて老人問題についての質問を終わります。
最後に、離島における産業振興と航空路開設について質問をいたします。代表質問でありますので、その中で地域代表的な質問を展開することはよくないのではないかとためらいもしましたが、住民の要望が余りにも強いのであえて質問をいたします。
今、宮古島に住む6万2000の住民に一番の要望は何かと問えば、即座に宮古―東京間直行便就航の実現であると答えがはね返ってくるものと断言してはばかりません。
本員は、昨年の2月定例議会においても本問題を取り上げ、漁業振興、商業振興、観光振興、すべて離島振興は、生産された生産物が直消地に直輸送できる流通機構の整備であり、これに伴って申し上げたとおりの産業が活気を取り戻し、離島振興の起爆剤になることを訴え、宮古―東京間直行便の就航を要請いたしたのでありますが、知事は、2次振計によりましても航空貨物の増大、乗客の伸びが予想されるので離島振興の立場から実施に向けて検討したいとの御答弁を賜りました。定例議会が終わるや、3月30日には知事名で運輸大臣あて実現方を文書でも要請しておられ、本問題に対する知事の取り組みの早さに驚きと喜びをしたのであります。しかるにあれから1年ならんとしていますが、今日まで前進のないままになっています。その後どうなっているのかお伺いをいたしたいのであります。
本問題につきましては、知事選挙はもとより、参議院議員の補欠選挙並びに通常選挙及び衆議院議員の総選挙における候補者13名全員が与野党を問わず、ひとり残らず宮古の振興のために東京直行便の実現に向けて努力したいと選挙民との公約をしておられます。よく政治家はうそつきだと言われますが、うそつきと言われないためにも御当選なされた皆様が国会においても運輸省と渡りをつけるなどして取り上げてもらい、早期に実現できるものと期待がされておるものであります。
宮古空港は2000メートルに滑走路は延長され、空港としてのあらゆる施設整備がなされ、那覇空港、下地島空港と並ぶ名実ともに整備された空港となりました。去る2月18日には、沖縄県主催の落成祝賀式が盛大に挙行されたばかりであります。知事、ありがとうございます。離島振興のため、住民の熱望が一日も早く実現できますよう知事のお力添えを御期待申し上げ、質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 砂川議員の御質問に対しましてお答えいたします。
農村青年の定着と嫁問題の解消についての御質問に対しましてお答えいたします。
農村に青年を定着させ嫁問題を解消することは容易なことではございませんが、県及び地元市町村、農協等が一体となって取り組む必要があると考えます。また生産性の高い農業の確立と魅力ある農村づくりが重要であり、農業の振興と農村環境の整備を一層推進してまいりたいと思います。
次に、サトウキビ新品種の開発につきましては農林水産部長から答弁させることにいたします。
ミカンコミバエ等の植物防疫対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
外国から日本国内に持ち込まれる植物等につきましては、植物防疫法に基づきまして国の植物防疫所等が指導取り締まりに当たっております。県としても国に協力し空港、海港において旅行者等に対し広報活動を強化しているところであります。今後とも本県地域の取り締まり窓口である那覇植物防疫事務所と連携を密にいたしまして再侵入の防止を図っていく考えであります。
農業者の叙勲褒章や表彰についての御質問に対しましてお答えいたします。
農業者の叙勲褒章や表彰につきましては、各農業改良普及所を通じまして毎年推薦のための調査を実施しているところであります。これまで叙勲褒章については実績はないのでありますが、表彰につきましては農林大臣賞15名、そのほか他の受賞者13名の実績があります。今後とも農業者が叙勲や表彰を受けられるよう努力したいと思います。
次に、老人福祉対策についての御質問に対しましてお答えいたします。
ひとり暮らし老人、寝たきり老人の対策についてでありますが、今後我が国は諸外国に例を見ない速度で人口の高齢化が進み、極めて高い水準の高齢化社会を迎えることになります。社会経済全般に大きな影響を及ぽすことは必定であります。このように高齢化が進む中において生きがいのある老後を保障するためには年金を初め保健、医療、福祉対策について総合的かつきめ細かい施策の推進を図ることが重要な課題であると考えております。御質問のひとり暮らし老人、寝たきり老人について申し上げますというと、昭和58年10月現在の市町村報告によりますと、ひとり暮らし老人約1万1200人余り、寝たきり老人3300人余りとなっております。これらの在宅老人福祉対策といたしましては家庭奉仕員の派遣事業、また日常生活用具の給付、老人短期保護事業等の施策を進めているところであります。また家庭で介護困難な老人につきましては、施設へ収容いたしまして適切な処遇を行っているところであります。
次に、施設の整備状況についてお答えいたします。
施設の整備状況について申し上げますと、沖縄振興開発計画に基づき着実に整備され、本土各県と比較いたしましても格差のない水準に達しつつあるのでありますが、今後は離島を多く抱える本県の特殊事情等にも配慮いたしまして地域のニーズに対応しながら引き続き整備を進めてまいりたいと思います。
次に、ぼけ老人の数及び現状と施策についての御質問に対しましてお答えいたします。
ぽけ老人につきましては一般に痴呆性老人という言葉で言われておるのでございますが、御質問のように高齢化が進むにつれまして痴呆性老人対策がクローズアップされております。痴呆性老人の実態につきましては把握いたしておりませんが、東京都の調査結果を参考にして申し上げますというと、65歳以上人口の約4%の出現率として試算いたしますと本県においては約3800人と推計されております。その対策といたしましては保健、医療、福祉の各分野にまたがっておりまして、相互に連携協力いたしまして総合的な対策を講ずる必要があると思います。そのため家庭において介護が困難となった痴呆性老人対策といたしましては、老人精神病床の整備が第一義的に進められなければならないのでありますが、施設に入所している老人もふえる傾向にあり、国におきましても施設整備を初め職員の研修等が計画されております。今後は国の施策と相まって強力に推進する所存であります。
次、生きがいのある老後のための施策についての御質問に対しましてお答えいたします。
生きがいのある老後は、何といっても健康で若々しく生活することだと思います。このような老後を確保するため年金、医療、保健、予防、福祉の各面にわたって各種施策を進めているところでありますが、福祉制度面から施策について申し上げますというと、教養、レクリエーション、健康の増進、地域との交流を目的とした老人クラブの活動の促進に努めております。老人クラブは57年度で859クラブ、会員数にいたしまして5万8648人となっております。長年の経験と知識を生かし、希望と能力に応じた生産活動を進めるための生きがい創造事業を推進しているところであります。子供と同居を希望する場合に老人専用の居室を必要とする者で、その希望のある者は高齢者居室整備資金貸付事業を行っております。その他老人スポーツの振興、老人作品展、老人芸能祭、老人の主張大会等の県単事業を行っているとごろであります。
離島の産業振興と航空路開設についての御質問に対しましてお答えいたします。
宮古―東京間直行便は、宮古地域における観光産業並びに農水産業の振興を図る上から必要であると考えております。そこで県は58年3月、運輸大臣に対しまして要望書を提出し、以来、機会あるごとにその実現方を要望してきたところであります。しかし将来の航空需要の見通しの問題等もございましてまだ実現を見ていないのは大変残念なことでございますが、住民のたっての願望である宮古空港が本年1月から本格的なジェット機対応空港として整備されましたことは御案内のとおりであります。これを踏まえまして今後ともなお引き続き当該路線の開設に向けて鋭意努力を続けてまいりたいと思います。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 喜久山盛忠君登壇〕
〇農林水産部長(喜久山盛忠君) サトウキビの新品種の開発につきましては、NCO310の普及以降、IRK67-1、RK65-37、F161の3品種を開発いたしまして普及を図ってまいりました。また農林水産省は、サトウキビ育種指定試験を通じましてサトウキビの品種改良に努めているところでございます。陣容や施設整備につきましては、名護支場、園芸支場、宮古支場の3支場の移転や研究施設、研究体制の充実強化を図ってまいりました。
○講長(大田昌知君) 平良 哲君。
〔平良 哲君登壇〕
○平良 哲君 私も自由民主党所属県議団を代表する一人として、さきに通告いたしました事項について所見を述べながら質問をいたします。
1980年代は、総じて混乱の時代、停滞と灰色の時代と言われておりますが、石油値下げの影響もあって世界経済もアメリカを中心に3年続きの不況からようやく脱却しつつあるように思われます。しかし欧米の先進諸国においてもいまだ不況、失業、インフレの経済不況に悩まされているのが実情であります。一方、我が国においては行政改革、財政再建、教育改革という3つの大きな改革を強力に推進していかなければならない重要な時期であると思います。
明治以来の国民の目標と願望であった欧米に追いつき、追い越せのターゲットもこの100年余でほぽ達成し、今まさに21世紀へ向けて羅針盤のない未知の世界へ船出しようとしているのであります。
21世紀は、日本の時代であると言われておりますが、それには日本国民が従来の勤勉性を持続すること、2つ目は国際社会の中で今後も連帯と協調の精神をもって各国から信頼と尊敬を受ける国であることがその前提条件であります。世界歴史の大きな流れも農業の時代から工業の時代へ、そしてこれから高度情報化社会の時代を迎えるのであります。この歴史的な大きな潮流に政治、経済、社会、文化のあらゆる分野において十分に対応できる国づくり、社会づくりを強力に推進をしてジャパン・アズ・ナンパーワンの名声とともに、新たな繁栄と発展を図っていくべき時代を迎えたものと認識をいたしております。
今や、我が国は、世界経済において国民総生産の1割を占める経済大国としての自覚と世界経済の発展に大きく貢献しなければならない使命を持っております。したがって国家存亡の根幹である国防についても、従来の国防に対する考え方をさらに発展させた新しい防衛哲学が必要であると思うのであります。すなわちこれまでの国防の概念として国家主権、領土の保全、国民の生命、財産を守るという3つの大きな命題があったと思います。それに加えて国の平和、安全、国民の幸せを守っていくためには、特に貿易立国である我が国は、原料の安定確保と世界中のマーケットの安全確保を図っていかなければなりません。そのためには力と武力をもって市場が独占されないように、お互いに同じ価値観を持った国同士が集団安全保障体制を確立することが緊要であります。したがって新しい防衛哲学には、マーケットと原料の安定確保を図ることを包含した哲学が必要であると思うのであります。
今日の国際社会は、各国とも深い相互依存関係にあり、世界の平和と繁栄なくして我が国の平和と繁栄はあり得ないのであります。自由社会の一員として同じ価値観を持つ米国と相互安全保障体制を堅持していくことが、我が国の平和と繁栄にとって不可欠の要件であると思うのであります。自衛隊と日米安保体制が車の両輪のごとく有効に機能して、国民の勤勉さと相まって今日のような平和と繁栄を国民は享受することができたのであります。
自由民主党、民社党、新自由クラブにおいてもこのような認識を踏まえて明確な防衛政策を確立していると思うのであります。
公明党はことし結党20年の成人式を迎えますが、既に56年12月の第19回党大会で自衛隊を事実上合憲とし、日米安保条約については存続はやむを得ないとの態度を鮮明にしております。
文芸春秋の58年10月号に公明党と社会党の防衛問題についての論評がありますので、その一部を紹介してみたいと思うのであります。
公明党は、民社党に続いて自民党と同じ土俵にのぽり、保守との連合に即応できる態勢を整えたのである。 それだけ社会党の非武装中立とは距離が開いた。だが石橋の率いる社会党は、いまその公明党に接近を試みている。 「とにかくトップ会談をやってくれとやかましいんだ。まあ、断わる理由もないから応じますがね。」 「社公合意を生きかえらせたいのなら、共産党と非武装中立を捨ててらっしゃいということだな。」と公明党幹 部の一人は、鼻息荒いのだ。石橋としても本気で公明の協力が欲しいのならかなりのことをやらねばならないと 思います。とすると、石橋新路線は民社、公明の歩いた 道を後追いするということになる。社会党の保守化ですね。 現実路線しかないと思いますよ。 でも、社会党内で相手をやっつける決定的な言葉は「右傾化」「民社の道」なんです。それをいわれると魔術にかかったようにクチャクチャとなる。社会党の議員の相当数は内田さんの御意見に賛成だと思うんですが、いざとなると「まずいな、後ろめたいな、裏切ったな」ということになる。 社会党の党員たちは「非武装中立」という神棚みたいなものにすがりながら、それを誰かがいじってくれないかなと思ってもいる。二面性がある。それを破らない限り社会党はどうしようもない。 もちろん「非武装中立」に手をつけたら社会党は大打撃を受けるかもしれんけど、飛躍するかもしれん。いずれにしろ冒険ですよ。」
まあ、このように論じているのであります。
2月27日の党大会において石橋委員長は、公明党との協力は選択の問題ではなく必要条件であると述べているのであります。石橋委員長の自衛隊違憲合法論は、このような背景のもとに問題提起がなされたものと理解をいたしているのであります。
説明が少し長くなりましたが、要するに社会党内においても、これまで党の金科玉条としてきた非武装中立という聖域に言及することをタブー視してきたことから、一歩前進して世界の厳しい現状を踏まえた現実路線の政策を検討していることが十二分に推察されるのであります。
共産党は、昨年12月の衆議院選挙の際、NHKのテレビ対談において、社会党の非武装中立は安保、自衛隊を認める非武装中立であり、非同盟中立の共産党の政策とは異なっていると述べております。そして共産党独自の政権が誕生したら独自の自衛力を持つと言っており、それは国際情勢を見きわめた上で決定するといって明確な回答を避けているのであります。日本共産党と民主連合政府を樹立するための協力政党は現在のところ、どこにも見当たりません。したがって共産党の防衛政策は、多くの国民の理解と支持を受けてないと思うのであります。
昨年は、国際的な大国としての日本を強く印象づけるような事例が数多く見られました。特にコール西ドイツ首相、レーガン大統領、中国共産党の胡耀邦総書記の来日がそうでありました。自由社会、共産主義社会を問わず世界のトップ指導者が来日して、我が国との友好親善のきずなを深めていくことは、これは我が国はもとより、世界の平和と繁栄を築いていく上からも心から歓迎すべき歴史的なことであると思います。しかしながら昨年11月11日のレーガン大統領、11月25日の胡耀邦総書記の国会における歴史的な演説に共産党だけが欠席しております。世界のすぐれた指導者が来日され、我が国との友好親善を図るための歴史的な国会演説に出席をしないということはまことに残念であり、国民の一人として遺憾に思うのであります。
私がここであえて各国首脳の来日に触れたのは、特に自由社会の理念とはイデオロギーを異にする中国共産党の胡耀邦総書記の中曽根総理との首脳会談の発言を重視したからであります。
防衛問題について胡耀邦総書記は、中国は日本が自衛力を備えた大国となることを希望する。日本の自衛力は弱いという首相の認識は理解する。したがって日本が適度に自衛力を増強することには中国は反対しないとこう述べているのであります。
このように思想、信条を異にする立場をとっている中国共産党の指導者が、我が国の防衛政策について深い理解と支持を表明しているのであります。したがって我が国の自衛隊と日米安保体制を中心とする防衛政策は、国内はもとより、世界的に多くの指導的な立場にある国々から理解と支持を得ていると思うのであります。
翻って、我が沖縄の現状を見ますと、今もって安保反対、自衛隊反対を叫んで、成人式には自衛官の入場を阻止しようとする理不尽な行動をとっている集団がいることはまことに遺憾千万であります。確かに沖縄には米軍基地が全国の44%も存在し、自衛隊についても全国規模から見てその地理的条件を考慮してかなり密度の高い施設がございます。したがって基地からもたらされる経済的側面と同時に、基地から派生するもろもろの被害も発生しております。沖縄においては防衛問題、基地問題がごく身近なものとして県民は深い関心を寄せており、県議会でも毎定例議会において基地問題が大きく論じられてきました。
そこで安保、自衛隊に対する知事の明確な御見解と、基地から派生する諸問題の解決について毅然とした姿勢と対応をお示しいただきたいと思います。
次に、航空自衛隊の那覇基地におけるヘリ落下傘を使用しての救難訓練について知事の御見解をお伺いいたします。
これまで南西航空混成団の陸上における救難訓練は、福岡の芦屋と宮崎の新田原で行ってきたが、訓練効率を上げ、かつ待機要員の問題等もあって月2回程度、9名の隊員で那覇基地で訓練を行いたいという趣旨のようであります。この問題について運輸省の那覇空港事務所は、空港の状況を総合的に考えて難しいと思う。今後詳細な話があれば慎重に検討すると述べております。また那覇基地には弾薬庫の新設も計画されていると言われておりますが、詳細については明らかにされておりません。これらの問題について民間空港である那覇空港の安全確保や管制面からの問題があるとする声も聞かれます。
そこでこれらの問題について、県当局におかれても十分に調査の上、慎重に対応しておられることと思いますけれども、知事の基本的な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、財政問題について所見を述べながら知事にお尋ねいたします。
昨今の国、地方を通ずる財政環境は、年々厳しさを増し極めて困難な状況にあることは御案内のとおりであります。すなわち国の財政は、石油危機を契機とする世界経済の停滞等により年々悪化の一途をたどり、歳出のレベルと租税収入のレベルのギャップを埋めるために発行された特例公債の発行も昭和50年度の2兆905億円を皮切りに、昭和58年度6兆9800億円と毎年増発され、公債の残高も昭和58年末で約110兆円の多額に上っております。
これらの要因としては、制度的な理由と社会経済情勢の変化の2つの理由が考えられます。制度的な理由として社会保障の給付内容の改善、教育水準の引き上げ等が挙げられます。また社会経済情勢の変化としては、高齢化社会の到来、老齢化による年金、医療費の増大、所得水準の向上に伴う進学率の上昇等が挙げられると思います。このほかに国内経済を安定維持するための公共事業等の大幅な増加を図ったこと等が歳出拡大の大きな要因と考えられます。その結果、公債、特に赤字公債の増発を余儀なくされ、今日の財政危機を招いたものと思われます。
このように財政危機を招来したことは、一面不可避的な側面もあるが、一方、高度成長期に拡大した行政の守備範囲が見直されないままに惰性的に今日に至っている面も見逃せないと思われます。このようなことから行財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図ることが今日、緊急かつ重要な政策課題となっているところであります。
一方、地方財政においても昭和50年度以降、国と同様巨額の財政不足を来し、これを補てんするために地方債の増発、地方交付税原資の借り入れ等の特例措置を講ずることでこれらの財源不足に対処してきました。その結果、地方債残高及び交付税特別会計借り入れ残高がそれぞれ約39兆円と約11兆5000億円に達し、その償還が地方財政に大きな負担となってきております。
さらに、内外の経済環境からして、ここしばらくは歳入の大幅な増加は期待できない情勢にあり、地方財政は新たな試練の時期を迎えることになります。
一方、地方公共団体においては、このような厳しい財政環境のもとにおいても高齢化社会への対応、社会経済情勢の著しい変貌に伴い高齢化、多様化する地域住民の要望等にこたえる責務があります。そこで地方公共団体がこのような地域住民の要請にこたえ適切にその機能を果たしていくことは、国と同様に行財政の改革を推進し、徹底した経費の節減合理化、効率化を図り、財政の健全化を図ることが急務であると思います。
以上述べてきたように、そのよって来る要因はさておき、国及び地方財政が容易ならぬ事態に立ち至っていることは周知のとおりであります。したがってかかる現状認識のもとに国及び地方とともに行財政の再建を図ることが、現下の緊急かつ重要な政策課題であると理解するものであります。
そこでそのような現状の基本認識のもとに質問をいたしますので、知事の御所見を伺いたいと思います。
まず、昭和59年度一般会計予算についてお尋ねいたします。
御承知のとおり、昭和59年度予算は第2次沖縄振興開発計画の3年次に当たり、プロジェクト事業を中心とした振興開発事業の推進を図るべき重要な予算であると理解しております。一方、先ほども申し述べましたが、国及び地方を通ずる財政環境は、国の予算編成の冒頭でも述べているとおり異例に厳しい状況にあります。そこで昭和59年度予算は、諸般の状況から前年度当初予算を下回るのではないかと心配をし、また2次振計の目標達成も大幅におくれるのではないかと危惧いたしておりましたが、沖縄開発庁を初め各省庁の理解と協力を得て、また西銘知事を初め各部局の並み並みならぬ努力によって大変厳しい状況のもとで、地方財政計画を上回る対前年度比1.9%の伸びを確保することができたことは大変喜ばしいことであると考えております。またその内容においても景気の浮揚を図るため県単独事業を大幅に伸ばしたこと、中小企業金融対策等ソフト面にも細かく気配りされた内容のある予算であると高く評価するものであります。
そこで知事にお尋ねいたします。
昭和59年度予算編成の基本的考え方と予算規模及びその内容について、知事はどう評価されているかお伺いいたします。またその予算規模で2次振計の目標達成が可能であるのかどうかお答えを願いたいと思います。
2点目に、県債についてお尋ねいたします。
本県の場合、県債の伸び率が前年に引き続き10%台と高く、野党サイドからは借金体質との指摘もあるやに聞いております。もとより県債は一種の借金ではありますが、それに充当する事業、また後年度負担等慎重に検討して対応する限りにおいては大いに活用すべきものであると考えております。そこで知事にお尋ねいたします。本県の地方債の現在高はどのぐらいか。また類似県と比べた場合にはどうなっているのか。さらに公債費比率はどうなっているかについてお答えを求めたいと思います。
3点目に、自主財源についてお尋ねいたします。
先ほども申し上げましたとおり本県は振興開発事業の推進、国体、県庁舎、都市モノレール、中城湾港開発等のプロジェクト事業を強力に推進する必要があります。しかしながら国、地方を問わず財政環境は大変厳しい現状であります。したがってかかる厳しい財政環境のもとで振興開発事業及び国体等のプロジェクト事業を推進するためには、今後県税を初めとする自主財源の確保が大きな課題となるものと思われます。そこで知事にお尋ねいたします。今後、自主財源の確保をどのようにして強力に図っていかれるお考えであるのかお答えをお願いいたします。
次に、経済見通しの問題についてお尋ねいたします。
国は、59年度の経済見通しについて名目成長率5.9%、実質成長率4.1%を見込んでおります。県は名目で7.4%、実質で4.3%の経済成長率を見込んでおります。経済成長の要因として野菜、花卉、畜産物等農業面での伸びや観光関連産業及び個人消費の伸び、さらに製造業の需要の増加等を挙げております。本土各県との所得格差を是正していくために国を上回る成長を目指すことはこれは当然のことでありますが、厳しい経済環境の中にあっても、目標とする経済成長が達成できますように知事を初め執行部の特段の御努力を希望するものであります。
そこで2点ほどお伺いいたします。
1、経済見通しの中で観光産業や個人消費の伸びが期待できると述べておりますが、その要因について御説明を求めたいと思います。
2番目に、経済成長率について国と県では名目で1.5ポイント、実質で0.2ポイント県の成長率が国を上回っております。本県の経済成長を支える要因の相違等についてお伺いをいたします。
次に、観光の振興についてお伺いいたします。
本県の観光は、昭和50年の海洋博を契機として大きく発展し、その後順調に推移してきましたが、昭和56年には193万人、約2000億円の観光収入を確保したことは御案内のとおりであり、関係業界の努力に対し深く敬意を表する次第であります。しかしながらこのようにこれまで好調に推移してきた観光もここ一、二年停滞ぎみに推移し、昭和58年は185万2000人で前年に比べ4万6000人減少し、2年連続減の2.4%の落ち込みとなっております。
観光は、他産業に対しても波及効果の高い総合産業として大きな役割を果たしており今後ともその発展が大きく期待されておりますが、それにもかかわらずこのように観光客が減少していることは本県にとって重大な問題であり、真剣に対策を考える必要があります。
したがってこのように本県観光が停滞している原因は何かについて考えてみたいのであります。先ほど小橋川議員からもこの問題について言及されておりましたが、抵触しない程度に私も触れてみたいと思うのであります。
今回の落ち込みは、海洋博直後の状況と違って見通しが立てにくい深刻なものであると言われております。国内外の厳しい経済情勢もあろうかと思いますが、その要因の一つに大型ホテルの乱立、キャリアと旅行エージェントのやり方にも問題があるとも言われております。また割引運賃がもたらす影響が大きく、地元の努力ではいかんともしがたい構造上の問題も指摘されております。さらに海外、たとえばハワイ、グアム、シンガポール等と比べて沖縄は運賃が割高であるとも言われております。このような指摘もなされておりますが、観光の停滞要因として県はどのように考えておられますかお伺いいたします。
また県は、2次振計の最終年次の昭和66年までに年間300万人の入り込み観光客を設定しているが、この目標達成のため今後どういう施策を展開する考えかお尋ねいたします。
本県観光の発展を期するためには、地域特性を生かした観光レクリエーション施設等受け入れ態勢の拡充が課題であります。しかしながら本県は観光地としての歴史が浅いこともあって受け入れ態勢の整備は十分でなく、ハード、ソフト両面に対する苦情や指摘も多いのであります。したがって観光を今後とも持続的に発展させ、さらに大きな飛躍を期するためにはこれらの強化拡充が急務とされるところでありますが、県として今後どのような開発方針を考えているか。またその際、観光の振興に寄与するホテル等の受け入れ態勢についてあくまでも地元優先が原則であると思いますけれども、県としてどう考えるかお伺いいたします。
農業の問題については砂川議員からも御質問がございましたが、抵触しないように私も農林水産業の問題について質問を進めていきたいと思います。
農林水産業は、県勢発展の重要な柱の1つとして沖縄振興開発計画の強力な展開を通じて、復帰後のこの12カ年間に4200億円の莫大な予算を投じ、計画的にその振興開発が進められてきました。このような長期にわたる強力な施策展開が功を奏し、野菜、花卉の県外出荷の顕著な伸び、畜産の大幅な生産拡大等、農業の生産体制は著しく強化されつつあります。また水産業も厳しい状況の中で、南方基地漁業の出漁体制の進展、栽培漁業が緒につくなど明るい展望が開かれつつあります。特に農業部門では全国的には農地や農家の減少が続き、農業生産力さえ抵下しつつあると言われておりますが、本県では農地が毎年ほぽ500ヘクタール程度着実にふえ、農家戸数も安定的に推移するなど押せ押せの上向き基調の農業生産が展開されております。これは農家の懸命な自助努力と相まって西銘県政の施策よろしきを得たものと高く評価するものであります。
とにかく産業的な資源に乏しく、離島性、遠隔性など産業立地上の多くのハンディを有している本県にとって、農林水産業の育成は県勢発展にとって大きな課題であると考えます。しかしながら御案内のとおり、わが国農業は農産物の貿易自由化を迫られるなど非常に厳しい困難な状況下に現在置かれております。この農産物貿易自由化問題は農業の浮沈にかかる重要問題で、議会でも再三にわたり取り上げられてきました。世論が必ずしも統一されているとは言えず予断を許さない状況にありますが、あえて所見を述べながら知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
現在、輸入を制限されている残存品目は、牛肉、オレンジ、パイナップル缶詰及び乳製品など19品目が農産物で、漁介類の3品目を含めてそのすべてが農水産物で占められております。米国及びEC諸国は、これらの農水産物の輸入制限の撤廃や輸入枠の拡大を外交問題として強く迫っているのであります。特に米国は交渉を有利に展開するため昨年の7月1日、ガット事務局に対し、パイン缶詰、同ジュース及び牛肉、豚肉調整品等13品目をガット11条違反として提訴しております。この農産物輸入自由化品目のうち、本県農業及び農産加工業に強い影響を与える品目としては牛肉、パイナップル及び同加工品であると思います。肉用牛は本県畜産物の目玉であります。パイナップルは北部及び八重山の地域経済を支える重要な基幹作目であります。長期にわたる振興施策の積み上げと農家の血のにじむような努力により、ようやく本県農業の生産体制は盛り上がり、上向き基調で推移しつつある矢先に、その出鼻をくじき、農業生産に壊滅的な打撃を与える農産物の貿易自由化・枠拡大は絶対にこれは阻止しなければならないと考えております。
パイナップルについては、外国製品の輸入攻勢によって漸次生産量は減少し、パイン加工場は閉鎖に追い込まれるなど危機的な厳しい状況下にございますけれども、わが国唯一の特産物であり、かつまた2000農家の生活と地域経済がこれには重くのしかかっております。その上、パイナップルの立地している圃場は土壌の性質上他作目に適しないと言われており、北部及び八重山農業はパインを抜きにしては考えられない現状にあります。
また、牛肉の自由化問題は、我が国農業に一層深刻な問題を提起するものと思われます。県の畜産関係資料によりますと、本県の昭和58年現在の肉用牛飼養戸数は約5000戸、肉用牛の頭数は史上最高の4万600頭となっております。県は、2次振計の目標である8万頭を達成するため、現在、家畜導入事業、畜産基地建設事業及び草地開発事業等各種の振興施策を強力に展開をいたしております。これらの事業で育成された大規模畜産専業農家は、牛肉の自由化により国内で肉用牛の生産が成り立たないからといってすぐに転廃業できるような生易しい畜産農家ではないと思うのであります。莫大な設備投資により近代的に装備されたこれら畜産農家がつぶれるということは、我が国の農業自体が骨抜きにされることになります。
このような事態は、国内食糧の安全保障という見地からもゆゆしい問題であると考えます。農産物の貿易自由化問題は、ガット提訴により一段と逼迫の度を加えております。西銘知事は、これまでも浦添市にあるアメリカ領事館や駐日アメリカ大使館、外務、通産、農林の各省へ強力に要請活動を続けてこられましたが、今後とも本県農林水産業の健全な発展を図るために不退転の決意を持って農産物の貿易自由化阻止の要請活動をさらに一層展開していただきたいと思うのであります。
そこで2点について知事にお伺いいたします。
第1点、農産物の貿易自由化問題で関係農家は動揺していることと思いますけれども、知事の並み並みならぬ御決意をお聞かせいただきたいと思います。
2点目、自由化品目の目玉になっている肉用牛及びガット提訴品目であるパイナップル産業の振興について、今後どのように考えておられるかお伺いいたします。
次に、農家所得の形成はもとより、本県経済の大きな柱になっている300年来の伝統ある産業・糖業の振興について所見を伺い、質問を締めくくりたいと考えております。
資料によると、昭和58年現在、本県の農家戸数は4万4000戸となっており、そのうち83%に当たる3万7000戸がキビ作農家であり、また総耕地面積4万5100ヘクタールの70%に当たる3万500ヘクタールの畑がサトウキビで占められているのであります。さらに農家所得の30%余がキビ作収入に依存するなど、依然としてサトウキビは本県産業の中で不動の地位を占める最重要作目となっております。
糖業を語らずして本県農政の展開はないと、これが我が自由民主党の持論であり、農政に対する基本的な考え方であります。糖業の振興は、もちろんサトウキビの生産量をふやすことから始まるわけでありますが、農家の生産意欲の高まりに呼応して西銘県政はサトウキビの増産を図るために土地基盤整備の推進を初め機械化の普及、病害虫対策等の総合的な施策を適切かつ強力にこれまで展開してまいりました。最近におけるサトウキビ生産の動向を見ますと、一時期の停滞を全く払拭して極めて順調かつ着実に栽培面積を伸ばしつつあります。機に臨み変に応ず、これが行政だと思います。しかしながら農業を取り巻く環境は次第に厳しさを増しつつあります。これまでの農業施策の中で価格対策は相当のウエートを占めておりましたが、昨年の農産物告示価格が示すとおり、ほとんどの農産物価格が据え置かれるという厳しい現状にあります。サトウキビは国の特別な配慮により上積みされましたが、現在の厳しい財政環境や諸情勢から見て、価格対策には余り多くの期待はできないように思われてなりません。適正な価格の維持はもちろん重要なことでありますが、今後の糖業発展のあり方はやはり生産性の向上を基本にして推進していくべきではないかと考えるものであります。
以上、申し上げ、知事の明快な御答弁を期待して質問を終わります。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 平良議員の御質問に対しましてお答えいたします。
安保、自衛隊についての御質問に対しましてお答えいたします。
日米安全保障体制は、我が国の安全と平和を守り、豊かな国土建設のためには必要なものと考えております。また現在の世界情勢の中で、各国はその国力に応じた軍事力を保有し、自国の独立と平和を守っております。先進民主主義国家として国の安全と平和を守り、経済の安定、産業の発展を図る上からも、国力に応じた自衛力を保有すべきであると考えております。
次に、航空自衛隊の那覇基地における救難訓練、弾薬庫の新設についての御質問に対しましてお答えいたします。
航空自衛隊の救難訓練や弾薬庫の設置につきましてはまだつまびらかな情報を得ておりませんが、自衛隊、運輸省に対しまして慎重に対処するよう申し入れておるところであります。
県経済と財政問題について、59年度予算編成の基本的な考え方と予算の規模、その内容についての御質問に対しましてお答えいたします。
59年度の県財政は、国及び地方財政を取り巻く環境が一段と厳しさを増している状況を反映いたしましてかつてない厳しい状況にあります。
このような財政環境のもとにあって59年度の予算は、重点施策を中心に事業の厳しい選択を行うとともに、財源の重点的な配分を図り節度ある行政運営を行うことを基本として編成いたしております。1つ、沖縄振興開発事業の推進に必要な額の確保を図ること。2番目に、国体等の主要プロジェクト事業が引き続き推進できるようその額の確保を図ること。3番目に、地域経済の活性化を図るため財源の効率的配分を図ることによりまして県単事業の額の確保を図ること、この3点を重点に置きまして予算を編成いたしました。
また、歳入面におきましても使用料及び手数料の見直し、適正化を図り、財政の効率的運営を図ることといたしております。その結果、予算規模は大変厳しい環境のもとではございましたが3312億3000万円、対前年度比で1.9%と地方財政計画の1.7%を上回る伸びを確保することができました。また予算の内容も県内景気の浮揚を図るため県単事業を大幅に伸ばしたこと、福祉、教育、中小企業対策等ソフト面にも細かく配慮したものとなっております。
次に、この予算規模で第2次振興開発計画の目標が達成できるかという御質問に対しましてお答えいたします。
第2次振興開発計画の目標が達成できるかという御質問でございますが、59年度予算編成において、公共事業費につきましてはマイナス5%のシーリングが設定されたその中でほぼ前年度並みの99.8%を確保することができました。さらに全国の公共事業費に占める沖縄公共事業費のシェアにつきましては昭和58年度の2.86%から2.88%に上昇いたしておりますが、これで十分とは申し上げませんけれども、本県の特殊事情を考慮して特段の配慮がなされたものと理解いたしております。
なお、第2次振興開発計画の目標達成は、本県における大きな政策課題であることから、この実現に向けて毎年度の予算で振興開発事業の推進に必要な額の確保について最大の努力を傾注していきたいと考えております。
次に、地方債の現在高、また類似県との比較についての御質問に対しましてお答えいたします。
本県の普通会計における地方債の現在高は、昭和57年度末現在で1234億3387万5000円となっております。類似5県の中で一番少ない状況にあります。ちなみに類似5県の地方債現在高の平均は、1793億454万5000円となっております。また本県の公債費比率は昭和57年度決算で6.6%となっており、類似5県の公債費比率の平均9.6%に比べて低い状況にあります。
次に、自主財源の確保についての御質問に対しましてお答えいたします。
本県の財政は、自主財源に乏しく、国庫支出金、地方交付税等に大きく依存している状況につきましては御案内のとおりであります。まことに弾力性に欠けた財政構造となっております。このような中で本県は、振興開発事業の推進、国体、県庁舎、都市モノレール、中城湾港開発等のプロジェクトを強力に推進するため、旺盛な財政需要がありますることは御案内のとおりであります。これらの事業を推進するためには、自主財源の確保が大きな課題でありますことは御指摘のとおりであります。そこで自主財源の確保のために当面の対策といたしましては、1つ、県税の徴収率の向上を図ること、2つ目に、受益者負担の見地から使用料及び手数料等について適正な額に見直すこと。長期的な対策といたしましては、産業の振興を図り、担税力を強化すること等によりまして自主財源の確保を図っていかなければならないと考えております。
次、観光問題についての御質問に対しましてお答えいたします。
最初に、個人消費の伸びについて、また観光関連産業の伸びについてお答えいたします。
59年度における観光需要は、全国的に景気の回復が期待されておりまするし、所得の増大も見込まれておりますので、このことが本県観光に対する需要の増加につながるものと考えております。一方、県におきましては、民間サイドと連携を密にいたしまして観光客の誘客、受け入れ対策を強化するとともに、観光施設の整備拡充、観光地の美化浄化、観光関連業者の資質の向上等条件整備をより一層強力に進める考えであります。幸いにいたしまして今年に入って観光客数は増大する兆しを見せております。
次に、個人消費についてでありますが、物価が引き続き安定基調で推移していること、2番目に景気の回復に伴い所得賃金が伸びること、3つ目に就業者が増加することなどが見込まれておりますので、これらの要因からいたしまして個人消費の拡大が期待されております。
次に、経済見通しの問題と関連いたしまして全国の成長率を上回った要因について申し上げます。
御指摘のとおり、昭和59年度の経済成長率は名目で本県が7.4%、全国が5.9%、実質では本県が4.3%、全国が4.1%とそれぞれ本県の伸びが全国の伸びを上回る見通しになっております。本県の成長率が全国の成長率を上回る要因といたしましては、財政部門及び県外部門における伸びが全国の伸びを上回ると見込まれているためであります。すなわち本県の財政部門は名目ベースで消費が5.6%、投資が2.7%伸びると見込まれているのに対しまして、全国の財政部門では消費は3.9%伸びるものの、投資は前年度を1.3%も下回ることが見込まれております。また本県の59年度の公共事業の伸びは、全国が対前年度比較におきまして99.1%であったのに対しまして本県は99.8%となり、さらに全国に占めるシェアは2.86%から2.88%に上昇いたしておりまして、これらのことが経済成長に反映するものと見込んでおります。さらに本県は、県外部門におきましては野菜、花卉の県外出荷や観光関連の伸びが期待されますので、移出の伸びが移入の伸びを上回るものと見込まれております。これに対し、全国は海外からの受け取りの伸びより、海外への支払いの伸びが高くなるものと見込まれております。このような要因からいたしまして、本県の成長率が全国の成長率を上回ると見込んでおるのであります。
次に、観光の振興についての御質問に対しましてお答えいたします。
昭和58年度における本県への観光入り込み客が停滞いたしている要因でございますが、これは全国的な景気停滞がございまして旅行控えがふえたこと、また同時に海外志向が増加したこと、また外国のお客の減少等の影響が考えられております。御指摘のとおり中小ホテルの経営状況は厳しいものがありますので、引き続き観光客の誘致促進を強化するとともに、観光客の適正な地域誘導を図る等の対策を講じてまいりたいと思います。また本県観光の発展を期するためには、本県の特性を生かした滞在型、保養型観光地の形成を中心といたしまして受け入れ態勢の整備が重要な課題となっております。このため、今後開発拠点を明確にいたしまして各種プロジェクトの導入及び民間資本の適切な誘導等を図っていくことが必要であると思います。
なお、開発に当たりましては地元資本によることが望ましいのでございますが、地元で対応が困難な場合におきましては県外資本の活用も当然考えられていいのではないかと思います。
次、農林水産業振興についての御質問に対しましてお答えいたします。特に農産物の自由化問題、枠拡大に対する御質問に対しましてお答えいたします。
農産物の自由化問題は、現在我が国の農業政策の上で最も重要な課題であると理解いたしております。農産物の輸入自由化・枠拡大が実施されますと、とりわけ経営基盤の脆弱な本県農業は壊滅的な打撃を受けることになりますので、農業団体とも連携を密にし、農産物の輸入自由化・枠拡大阻止について強力に要請してまいりたいと思います。また肉用牛、パイナップルにつきましては本県地域経済の発展を図る上で極めて重要な作目でございまして、引き続き国による貿易上の保護措置を要請し、生産基盤の整備や生産出荷体制等の整備を促進いたしまして生産の振興を図っていきたいと思います。
サトウキビの生産振興対策についての御質問に対しましては、農林水産部長から答弁させることにいたします。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 農林水産部畏。
〔農林水産部長 喜久山盛忠登壇〕
○農林水産部長(喜久山盛忠君) サトウキビの生産振興を図るためには、土地の生産性、さらに労働生産性の向上が最も重要なことと考えてございます。そのために土地基盤の整備、機械化作業体系の確立、土づくり、さらに優良種苗の増殖普及、病害虫防除対策等を強力に展開してまいりたいとかように考えております。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後3時26分休憩
午後3時45分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
池村正義君。
〔池村正義君登壇〕
○池村正義君 私は、沖縄社会大衆党県議団を代表いたしまして質問を行います。
最初に、知事の政治姿勢についてでございます。
西銘知事は、本会議の開会冒頭、59年度の県政運営についての所信を表明なさいました。知事の所信は、新年度の県政に取り組む基本的な姿勢を示すもので、県民がひとしく関心を持つ重要な問題であります。
ところで、知事は、新年度の県政の柱として5つ取り上げました。1つは、振興開発計画の大型プロジェクトの推進と第2次振計後期の戦略的なプロジェクトの検討、2つ目は多様な人材の育成、3つ目は62年海邦国体の成功のための諸準備、4つ目は国際化時代にふさわしい交流の場の形成、5つ目は基地の整理縮小と返還用地の有効利用を進めるということでございます。これを昨年の所信と比べてみますと、新たに、国際化時代にふさわしい交流の場の形成という一つの柱が昇格し、執行体制の強化の柱が消えてしまったほかは、第2次振計後期の戦略的プロジェクトの検討という事項だけが目新しく出てきております。全く変わり映えのない所信表明というほかはないのでありますが、知事が就任以来、施策として取り上げてきた国際化時代にふさわしい交流の場の形成がここで新しく大きくクローズアップされ、5つの重点施策に昇格した理由と今後の具体的な事業内容についてお伺いします。
また、新たに、第2次振興開発計画後期の戦略的プロジェクトの検討ということでございますが、その戦略的プロジェクトとは何を意味するのですか。また2次振計が既に3年目にしてつまずいたという感じを受けるのですが、実情はどうでしょうかお伺いいたします。
最も気になることは、昨年までは、本県の振興開発については、平和で明るい活力ある沖縄県の実現を目標に諸施策を展開するということが施策の大前提として述べられていましたが、ことしは欠落してしまっております。これは公約した反戦平和に対する知事の姿勢が大きく後退していることを意味するものであり、とりわけ軍事基地から派生する演習被害等に対する知事の消極的な姿勢のあらわれと思いますが、知事の所見を賜りたいと思います。
次に、知事の政治姿勢とも大いにかかわりのある昨年12月の解散・総選挙については、国民は厳しい審判を下し、革新野党の大躍進と保守自民党の大敗退という結果によって保革伯仲時代を再現することになりました。田中判決選挙とも言われたように、政治倫理の問題が最大の争点となって国民に信が問われたのであります。また政治倫理のみならず、中曽根内閣が推し進める防衛、福祉、行革、外交などさまざまな問題に警鐘が打ち鳴らされました。特に沖縄においては県民の生命、財産を直接脅かす巨大な軍事基地を抱えているだけに、中曽根首相の軍備拡大路線に対してはストレートに一大脅威を感ずるものであり、平和を求める県民の素直な心のあらわれが沖縄での革新の勝利へと固く結びついていったものと思います。選挙の結果が世論だと豪語していた議員もおりましたが、中曽根内閣に対する国民の不信任の意思表示とも受けとられる良識ある国民並びに県民の審判に対し、知事、あなたはどのように受けとめ評価なさっているのかまず所見を伺っておきたいと思います。
次に、航空自衛隊の那覇基地での救難訓練についてでございます。
我が党の代表は去る2月20日午後、航空自衛隊那覇基地の司令と会い、ヘリ落下傘を使った基地内での救難訓練は、国策の名のもとに軍民共用化されている隣接の那覇空港の危険性を一層高めるものであると中止撤回を求めたのでありますが、基地司令は、訓練は那覇救難隊のメディクと呼ばれる救助隊員9人が訓練基準に沿って1日に1人二、三回、約100メートルの高さからパラシュート降下を行うと初めて訓練の規模を明らかにした上で、民間機の飛ばない時間帯、例えば早朝などを利用して実施するため安全性は確保できると答え強行な姿勢を示しております。しかしながら運輸省大阪航空局那覇空港事務所の小川空港長は24日、安全確保や管理面から検討した結果、結論的に言って民間機に影響が及ぶのは必至で、訓練実施はかなりむずかしいと思うと共産党県委の要請に答えたと報じております。
那覇空港が軍民共用でいかに危険な過密ダイヤであるかは何回も指摘し民間専用化を主張してまいったのでありますが、さらにこの上に自衛隊の訓練が加わることは危険度を増幅させるぱかりであります。国会の予算委員会でも、沖縄の空が軍事優先取り扱いになっていて危険性が改めて浮き彫りにされていますが、知事、あなたはヘリ降下訓練問題についてどのように対処してこられたのか。さきの質問では詳細についてはまだわかっていないけれども、慎重に取り扱うようにということを申し入れたということですけれども、非常にこの問題は、もっともっと詳細にわかるためには、詳細にわかるような実態を把握した上で厳重に対処してしかるべきだと思いますが、知事のこの問題に対する対処策についてお伺いいたします。
次は、核に関する問題でございます。
最近、核問題が本格的にクロ一ズアップされ論議されています。中曽根首相は2月14日の予算委員会で、昭和59年度は核軍縮の年ときっぱり答えました。また1月25日、レーガン大統領は一般教書の中で、ソ連国民の皆さん、あなた方の国にとっても我が国にとっても、今日の時代に文明を守ろうとするなら良識ある政策は1つしかありません。それは核戦争で勝利者はないし、核戦争はすべきでないということです。核兵器を保有することの両国にとっての唯一の意義は、それを使用させないようにすることにあります。しかしそれなら核兵器をすっかりなくす方がよりよいことではないでしょうかと核兵器の全面禁止について述べております。
核戦争に勝利者なしという軍事的背景が今やこれまでの核戦略論を破綻に追い込んでいます。力の均衡論が平和維持の条件とされてきましたが、しかしそのために果たしてない核軍拡競争の悪循環となって、それ自体が核戦争の恐怖の根源となっているのであります。やはり核兵器を廃絶することが人類の生き延びる道であり、平和への道であります。
去る2月5日、那覇市内で行われた日本科学者会議沖縄支部主催の「核と沖縄」シンポジウムで、「もし嘉手納に水爆が落ちたら」という極めてショッキングな研究報告が学者グループによってなされました。1メガトンの水爆が地表爆発すれば被害者は80万人に及び、1カ月以内に28万人が死亡、生き残った人間の未来もないという。また仮に空中爆発した場合、被害はさらに1.4倍に広がるというのであります。もしという仮定のもとでの推測であるにしても、米ソ両国を中心に質、量とも際限のない核軍拡競争が進んでいる中で、沖縄での核貯蔵の疑惑は晴れず、沖縄が核攻撃の第1目標と言われているだけに仮定が現実となって残酷、悲惨な事態にならないという保証は何もありません。「カデナン・ザ・デイ・アフター」が決しておどかしや空想でないとしたらまことに恐ろしいことであります。
沖縄に核が存在する疑惑が極めて深い今日、ソ連は名指しで沖縄の核基地化を指摘しており、SS20が沖縄に標的を合わせて配備されている状況からすればまさに現実の問題であり、運命の時計がカチカチ進んでいると見なければなりません。
このような現実的な危機状況の中で、私たち社大党議員団は、今上映中の「ザ・デイ・アフター」を見る機会を得ました。核を持つ米国がつくった映画ではあるが、全米1億人を震撼させた核戦争映画ということでさすがにすごい衝撃を受けました。始まりが終わりという感じでありました。核ミサイルが発射されれば、直ちに報復攻撃がなされ、すべてが死の太陽に焼き尽くされ廃墟と化していくだけであります。レーガン大統領は、すごみのある映画だと評したようであります。またニューヨーク市教育委員会は、12歳以下の子供には絶対に見せるべきではないと警告を発したようであります。しかしながら巨大な大陸に住み、キャンパス内にすら核シェルターが装備され核戦争への対策がなされている米国人と、狭い日本列島に住み、唯一の被爆国でありながら核回避の手段すら持たない日本人との間に核に対する感覚のずれがあるかもしれません。しかして私たちは国是として非核三原則を堅持し、世界に誇る平和憲法の理想を具現していくためにも、他国に先駆けて核廃絶を訴えていかなければなりません。全国で非核宣言をした県は徳島県だけのようですが、市町村では県内の平良市、名護市など全国61の自治体に及んでいると聞いております。
知事、あなたはこの核環境がますます危険な状況の中で、唯一の戦場となり、巨大な軍事基地を抱えて日常的に不安な状態に置かれている沖縄県こそ核廃絶沖縄県宣言をすべきであると思いますが、どのように考えられますか所見をお伺いしたいと思います。
次は、経済見通しと59年度予算についてでございます。
知事は新年度の所信表明で、「昭和59年度は国のかつてない厳しい財政再建のもとにありますが、なおかつ第2次沖縄振興開発計画の諸施策をより一層強力に展開しなければならない重要な年であります。」と決意のほどを見せておられます。国の厳しい財政状況というのは、巨額な国債累積等大幅な赤字を抱えているということに対する表現だと思いますし、そのために行財政改革が現在行われているところでしょうが、それではなぜGNPにおいて自由諸国の中では世界第2位を誇る経済大国の日本が大幅な赤字を抱えなければならないような事態に追い込まれていったのか、率直な疑問を抱くものでございます。
元来、政治家と名のつく人には経済観念のある人は少なかったようであります。また逆に経済観念のある人には、ばからしくて政治家にはなれなかったかもしれません。が、いずれにしても歴代の大蔵大臣で経済専門家は就任した例がないようで、日本の政治のりーダーたちが政治的な配慮だけが先行して財政運営に当たってきたために国の台所はもはやしりに火がついた状態となっているようであります。国は金を使うけど一向に波及効果が見られず、景気は回復しないで国の借金はふえるばかりという悪循環を繰り返してきました。この財政運営の破綻が今日の国家財政状況をつくってきたと思いますが、知事は、その原因と責任についてどのようにお考えですか。また国債発行高は現在幾らになっていて、国民1人当たり幾らの借金を抱えていることになりますかお伺いいたします。
次に、県の59年度経済見通しと2次振計のフレームについてお尋ねいたします。
知事の所信表明の中で既に指摘したように、2次振計の後期における戦略的なプロジェクトの検討というのがあって奇異に感じたのでございますが、県が同日発表した59年度の経済見通しを見て何か関連性があるかのように感じられてなりません。つまり2次振計の当初計画したとおりの経済成長がなされていないので、2次振計の後期の戦略的プロジェクトを検討し直さなければならないということにも受けとめられるからでございます。その点、どうでしょうか。
県が2次振計をつくったときの目標達成するまでの年平均経済成長率は、当時、宮城企画室長の答弁によりますと、平均5.8%を見込んでいたのであります。が、ここ3年間を見ても57年度が4.1%、58年度が3.9%、59年度が4.3%というぐあいに当初計画より大きくダウンしている現状でございます。このような状態では、せっかく目標を立てた2次振計の経済フレームについても検討し直す必要が出てきたのではないでしょうか見解を賜りたいと思います。
また、沖縄は他県と違って行政投資への依存度が極めて強い特殊事情があると言われますが、民間消費支出と比べてどの程度の構成比となって県経済に影響を及ぼしているのか、全国平均との比較でお示し願いたいと思います。
次は、59年度の県予算でありますが、前年度比伸び率1.9%とはまさに戦後最低の伸びで、まことにお粗末な予算としか言いようがございません。地財計画、すなわち自治省が示した伸び率1.7%を0.2%上回ったものの、これでは2次振計の事業推進、地域経済の景気回復を図ることができるかどうかはなはだ疑問でございます。伸び率1.9%は金額にして66億3000万円でございますが、その中身が問題でありまして、これは国からの支出金がふえたから伸びたのではなく、無理して自主財源を伸ばし組み入れた結果、辛うじて1.9%伸びの予算となったのであります。
地方交付税は、対前年度比マイナス1%で10億円の減額であります。期待された国庫支出金はマイナス1.6%で実に22億3000万円の減となっておりまして、合わせて前年度に比べても約31億3000万円が減額されております。この落ち込んだ分を補い、さらに予算を伸ばそうとしたところに予算編成の苦労があったかと思いますが、しかし結果的にはすごく安易な方法で対応し、県税、使用料、手数料の大幅アップ、財政調整基金の64.3%増の取り崩しや県債の10.4%の増発などで明らかのように県民に大きな負担を強いることになりました。それは依存財源の構成比が80.8%から79.1%に落ち込み、逆に自主財源が19.2%から20.9%と初めて20%台になったことからも県の財政構造が大きく変化したことを意味するものであります。
財政調整基金は、地財法により経済事情の著しい変動とか、災害、緊急時等の重点的に使う場合の財源で、これを前年度を上回る35億円も取り崩したのは問題だと思います。しかも当初予算でこれだけの巨額を崩すのは異例のことだと思いますが、緊急事態の需要が出た場合どう対応するつもりでしょうか。
県債について見ましても、前年度比10.4%の増となって県債総高は膨大な額に膨れ上がっていると思います。それでも公債費比率は57年度でたしか6.6%類似県より少ないと言っているようですけれども、沖縄県は復帰してまだ12年しかならないというこの現実を認識しなければならないと思います。
知事は所信表明の中で、59年度の県の経済、財政運営に当たっては物価の安定を基調に県内景気の回復を進めることがうたわれていますが、最も重要なことでありますが、また財政運営上最も難しいことで、どのように県民の消費を刺激する方策をとるのか重要な課題だと思います。しかし財政依存型の県経済にとって普通建設事業費が前年度比1.2%、35億9000万円も減額されている実情からすれば、2次振計の事業を推進し景気の回復を講ずるのも難しいのではないでしょうか。
そこでまとめて質問いたします。
1つは、県予算は国の厳しい財政事情下にあっても2次振計の目標達成のための予算でなければならないと思いますが、毎年減額の一途をたどっている国の予算措置下でどのように対処なさるつもりですか、知事の予算折衝の基本姿勢とまた今後の事業計画の見通しについてお伺いいたします。
2番目に、国の減額措置に対し安易に自主財源や県債を増発しているが、財政運営上問題はないのかどうか。もちろん借金して事業を進めることによって県経済に活力が生まれ、消費を刺激して景気浮揚を図ることも大切でありますが、それが確固たる方策によってなされているかどうかが問題でございます。その方策は何かお伺いいたします。
次3番目に、毎年県債を増発しておりますが、さきの質問で県債の現在総高は57年末で1234億円余ということが答弁にございました。また公債費比率は57年度末で6.6%という答弁がございました。これは私さきにも申し上げましたように類似県よりは確かに少ないわけですけれども、しかし戦後40年なんなんとする本土の自治体と、復帰して12カ年の沖縄県とのこの数字の比較だけでは非常にこれは比較にならないと思うわけでございます。また財政事情を診断する指標といたしまして経常収支比率が取り上げられますけれども、県は既に85%台の危険信号領域内に入っていると思われますが、現在の比率はどうなっているのか、また今後の財政運営の方針についてお伺いいたします。 次、企業立地と雇用促進についてお伺いいたします。
最近、沖縄の雇用情勢は一段と厳しさを増す傾向にあると言われます。総理府がまとめた58年の労働力調査によりますと、沖縄の平均完全失業率は5.8%で、前年平均の4.9%を大きく上回ったことになります。これは昨年の全国平均失業率2.6%と比べて余りにも大きな開きがあり深刻な問題を提起しております。なぜ沖縄は失業者が多いのか、多方面からいろいろ理由づけができると思いますが、何といっても第1の理由は産業の振興開発がおくれ、働く場が少ないことが挙げられると思います。そのためにここ20年来、新しい産業を興し企業を誘致し雇用の場を創出していくことが県政の最大の課題とされてきたのでありますが、現状は少しの前進も見せておりません。
知事は所信表明で、「企業立地については、情報収集及び誘致活動を強力に進め、糸満工業団地等への立地を促進します。」と述べておられます。「また、自由貿易地域の設置について調査検討を進めます。」と述べておられます。この企業立地と自由貿易地域の設置はかなり以前から知事が強調し意欲を見せてこられた懸案事項でありますが、このごろは色彩も衰えて立ち枯れ寸前のような気がしてなりません。せっかく工業立地促進条例も制定され、企業誘致推進本部あるいは企業誘致推進協議会などの機関も設置され企業誘致推進体制は確立されていると思いますが、一向に効果が上がっていないように思います。企業訪問、企業立地説明会など知事を先頭にこれまで活躍なさってきていると思いますが、これまでの経過と見通しについてお伺いいたします。
また自由貿易地域の設置についてもこれまで調査検討してきていると思います。どの地域が可能性として検討されているのかお伺いいたします。
次、離島振興策についてでございますが、郷里の先輩の砂川議員も取り上げられましたけれども、私もまた本土との直行便の問題を重ねて取り上げてみたいと思います。
やはり離島振興を図るためには交通通信体系の整備が急務でございます。その一環としての宮古―本土間の直行航空便の開設につきましては、かねてから宮古市町村会を初め関係各団体から強い要請のあることは知事も御承知のとおりであり、また私も何回となくこの議会でも取り上げてまいりましたが、いよいよ地元の受け入れ体制も整い時期も熟しつつありますので、重ねて知事の所信をお伺いいたします。
宮古空港は滑走路2000メートル、計器着陸装置も完成し、去る2月18日には知事を初め運輸省、開発庁などたくさんの来賓を迎えて本格的なジェット化完成祝賀会が盛大に催されました。まことにありがとうございました。宮古空港は年々利用客もふえ、全国の第3種空港44のうち第1位の石垣空港に次いで第2位の実績を示しております。今後の需要予測によりますと65年で135万人、貨物にして6340トンと約3倍にふえることが予測されています。また離島地域の輸送に占める航空依存度は約90%と高くなっていて、今や県下の航空輸送は鉄道にかわる日常交通機関として定着しております。
このような年々ふえる需要に対応し、離島の持つ不利性の克服と生産活動の効率化及び生活便益の高度化、広域化を図るためにも宮古―本土間直行便の開設は急を要する課題だと思います。知事は、観光振興、農林水産業の振興諸施策のためにも必要な航空路線と考えられ、住民要求を入れて運輸省にも路線開設を要請したと言われますけれども、砂川武雄議員の質問に対しても余り積極的に動いていないような感じを受けますので、知事、その辺、もっともっと積極的にこの問題解決のために要請する考えはないかどうかお伺いいたします。
次は、県立宮古病院の医療体制についてでございます。
宮古病院は2カ年がかりの増築工事が完成し、精神病床、一般病床がそれぞれ2倍近くもふえて名実ともに総合病院としての医療機能が充実され、地域医療の要請に対応し貢献できるものと期待しているものでございます。
ところで、せっかく病棟の増築工事が完成しても内部施設や医師、看護婦等の確保の問題もあると思いますが、どのような計画で準備が進められているのかその実情と県の対応策をお伺いいたします。
次は、腎臓病患者の人工透析についてでございます。
宮古にもかなりたくさんの腎臓病患者がおりますが、宮古では血液透析療法施設がただ1つもなく、患者は家族と別れ仕事も捨てて治療のため那覇で間借り生活を強いられ、週二、三回の透析治療を受けているのが現状でございます。これも離島県なるがゆえの苦悩でありますが、透析患者の経済的、精神的な負担と苦痛を幾らかでも軽減し安心して治療が受けられるよう、県立宮古病院に透析施設を設備し、一日も早く治療を施す計画がないのかどうか重ねてお伺いいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 池村議員の御質問に対しましてお答えいたします。
国際交流の場の形成が大きくクローズアップされたことについての御質問にお答えいたします。
第2次沖縄振興開発計画の基本方向の趣旨にのっとりまして、本県の持つ地域特性を利用し、国際化時代に即応した活力ある地域社会を効果的に実現することをねらいといたしておるのであります。また具体的な事業といたしましては、沖縄国際センターの建設を促進し、あわせて同センター周辺に国際交流の場にふさわしい関係施設整備を検討することであります。これと同時にASEAN諸国との交流を深めるASEANフォラム、沖縄への理解を深めるASEAN記者の招聘、海外留学生の受け入れ事業等を予定いたしております。また本県の国際交流財団の充実強化を図りながら、同財団を通じまして国際感覚を深める海外文化講演、東南アジア交流親善訪問、芸能文化の交流を目指すアジア伝統芸能交流、そのほか技術交流のための海外技術研修員、ソロモン諸島漁業研修員の受け入れ事業等を行っておるのでありますが、今後とも継続して実施していきたいと思います。
次に、第2次振興開発計画の後期の戦略的プロジェクトについての御質問にお答えいたします。
県は、第2次振興開発計画の目標を達成するために、第1次振興開発計画から引き続き実施している主要プロジェクトはもちろんのことでありますが、構想されてまいりましたプロジェクトの芽出しを中心に諸施策、諸事業を総合的に、計画的に推進しているところであります。例えば中城湾港の開発、那覇空港の整備、都市モノレールの建設、自動車道の南伸、国際センターの設置促進、特定多目的ダムの建設及び石炭火力発電所の建設促進等の主要プロジェクトを挙げることができます。特に第2次振興開発計画の後期以降は人口の高齢化、情報化、国際化がより進展いたしまして新しいニーズの発生が予想されるのであります。
これに対応したプロジェクトを検討していかなければならないと考えているところであります。
2次振計はことし3年目でつまずいたという感じがするということでございますが、これについてお答えいたします。
第2次振興開発計画は、厳しい財政環境のもとで3年目を迎えるわけでございますが、計画をより強力に推進しなければならない重要な段階にあると認識いたしております。したがいまして私は、これまで振興開発事業を中心に諸施策、諸事業の推進に必要な予算の確保について全力を傾注してきたところであります。その成果といたしまして全国を上回る経済成長率を見ており、また公共施設の整備水準が相当高まってきております。その結果、各面における全国との格差が縮小されつつありますることは御案内のとおりでありまして、振興開発計画がつまずいているとは考えておりません。
従来、平和で明るい活力ある沖縄県の実現を目標に施策を展開する云々という大前提が、今度の所信表明の中で欠落しているその理由は何かという御質問に対しましてお答えいたします。
平和で明るい活力ある沖縄県を実現することを目標とするのが第2次振興開発計画の基本理念であります。これは知事である私が計画の案を作成し、内閣総理大臣が決定したものであることは御案内のとおりであります。これを踏まえまして今回の知事提案説明要旨においては、59年度を第2次振興開発計画の諸施策をより一層強力に展開しなければならない重要な年であると位置づけておるわけであります。したがって御指摘の前提が欠落しているとは考えておりません。
次に、知事の反戦平和に対する姿勢の大きな後退ではないか、基地演習、被害等に対する知事の消極的な姿勢のあらわれではないかということに対しましてお答えいたします。
戦争に反対をし、平和を希求することは人類共通の願いであります。私としても平和を真に願う気持ちに変わりはございません。米軍の演習等につきましてはたびたび申し上げているとおりでございまして、県民に被害を及ぽすようなことがあってはなりませんので米軍及び国に対しまして十分な安全対策の確立を要請してまいりました。また3者協を活用いたしまして問題解決及び被害の未然防止に積極的に対処しているところであります。
昨年暮れの総選挙についての評価でございますが、この結果につきましては総理大臣と幹事長がコメントいたしておるのでございますが、私としても同じ見解でございまして厳粛にその結果を受けとめております。
次に、自衛隊による那覇基地での救難訓練にどう対処したかということでございますが、先ほど平良哲議員に対しましてお答えしたとおりであります。この訓練につきましては、自衛隊、運輸省に対して慎重に対処するように申し入れているところであります。
次に、核廃絶沖縄県宣言をやったらどうかという考えでございますが、この核の廃絶宣言につきましては、我が国は非核三原則を堅持しておりますので平和を願う立場から御提言として受けとめておきます。
次に、経済見通しと59年度予算についての御質問にお答えいたします。
今日の国家財政が大変窮迫しているのは歴代の自民党リーダーがつくり出した現象であると考えるが、その原因と責任についてどう考えるかと。大変難しい質問でございますが、お答えいたします。
国家財政が悪化している原因と責任についてどう考えるかとの質問でありますが、これは国レベルの問題であり知事として答える立場にございませんので答弁を差し控えるわけでございますが、ただ考えられますことは、国家財政は、特に石油危機を契機とする世界経済の停滞等によりまして年々悪化の一途をたどっており、歳出の水準と租税収入の水準とのギャップを埋めるために多額の国債発行が余儀なくされましたことは御案内のとおりでございます。国債残高は58年度末で約110兆円となっております。大変厳しい状況でございまして、国民1人当たりに換算いたしますというと93万6000円の負担となっております。
次に、2次振計後期の戦略的プロジェクトの検討と59年度県経済の見通しとの関連性はないのかという御質問に対しましてお答えいたします。
県が毎年、新年度の予算編成時に公表いたしております経済見通しは、新年度の1年間における経済活動の結果がどの程度になるかという見通しでございます。したがいまして、去る2月下旬に公表いたしました59年度の県経済の見通しと第2次振興開発計画の後期における戦略的プロジェクトの検討とは、直接的には関連はございません。しかし第2次振興開発計画を円滑に推進するためには、計画の後期における戦略的プロジェクトの具体化について検討する段階にあると考えております。
59年度では4.3%の経済見通しとなっておって、2次振計の経済フレームを検討して見直す必要があるんじゃないかと御提言、御質問に対しましてお答えいたします。
第2次振興開発計画の57年度から66年度までの10カ年間における年平均成長率は、御指摘のとおり5.8%が見込まれておるのであります。この成長率は、本県の各面における格差の是正を図る必要性並びに開発の可能性等を十分検討の上見込んだものであり数字であります。したがって計画はスタートしてまだようやく3年目に入ったところでございまして、わずか2年ばかりの経済の動向によって10カ年間の長期にわたる計画のフレームを見直す段階には来ていないと考えております。
県経済に占める財政の割合を全国平均との比較で見るとどうなっているかと。また民間消費支出についてどう考えるかという御質問に対しましてお答えいたします。
県経済に占める財政の依存度は53年度の39.4%をピークにいたしまして毎年低下しております。59年度は36.2%と見込まれております。一方、全国においては53年度の19.8%から、59年度は17.9%と見込まれておりまして、したがって本県の財政依存度は全国よりもかなり高い状況にあると。したがって自主財源が極めて乏しいということであります。自主財源ではほとんど事業がやれないということでございます。
次に、民間消費支出について見ますというと、本県も全国も総支出に占める割合はほぼ60%の水準で推移いたしております。
毎年減額の一途をたどる国の予算措置のもとで2次振計達成のためにどのように対処なさるのか、知事の予算折衝の基本姿勢と今後の見通しについてお答えいたします。
国の財政事情は厳しいものがありますることは御指摘のとおりであります。59年度の国庫支出金の要請に当たりましては、本県には依然として多くの問題が残されており、2次振計を軌道に乗せる重要な時期にありますることからいたしまして、これまでの振興開発の実績を踏まえ、長期的、総合的な観点に立って引き続き生活、産業基盤としての社会資本の整備を図ることが基本でならなければならないと考えております。昭和62年に開催が予定されております国体に関連する施設の整備、2番目に本土と比べて立ちおくれている農業基盤の整備、3番目に中城湾の開発、中城湾流域下水道事業等にこれまで芽出ししたもろもろの事業の着実な推進を図らなければならないこと。4番目に南伸道路、特定多目的ダム等国直轄事業についてこれを促進しなければならないこと等々を重点に所要の措置がなされるよう、沖縄開発庁を初め関係省庁と折衝を重ねてきたところであります。今後も引き続き国の財政事情は厳しいことが予想されるのでございますが、第2次振興開発計画に基づいてもろもろの事業が推進できるように国庫支出金の確保を中心として予算の確保に努力していかなければならないと理解いたしております。
県債が非常に多いという御質問に対しましてお答えいたします。
沖縄県はまだ復帰して10年にもならないから低いのは当たり前だという御指摘もあったわけでございますが、財政需要が旺盛なために県債を増発しているという御理解を賜りたいと思うのであります。自主財源に乏しく、さらに国及び地方を通ずる厳しい財政状況のもとにありまするので、振興開発事業を推進し県経済に活力を与えるためには県債の発行も必要であるということを考えております。
県債の現在高は幾らか。
これは平良議員にお答えしたとおりでございますが、地方債の現在高は、57年度末の普通会計で1234億円余りであります。公債費比率は同じく57年度末で6.6%で全国平均の8.8%より低い状況にございまして良好な状態でございます。県債の許容限度額をどの程度にするかは、これは各地域それぞれいろいろな事情によって異なるわけでございますが、特に財政構造の特性とか、経済環境の相違から画一的に申し上げるわけにはまいりません。確たる判断を下すことは困難であります。ただ財政需要が旺盛なために、また県経済に活性化を与えるために地方財政基金も取り崩しているわけでございますが、ある県のごときは全部取り崩して景気の回復に充てた県もあるわけでございまして、その点から申し上げますというと沖縄県の場合はいい方でございますから御理解を賜りたいと思います。
次に、企業立地と雇用促進についてでございますが、これにつきましては商工労働部長から答弁させることにいたします。自由貿易地域についての御質問に対しましても企画開発部長から答弁させることにいたします。
次、離島振興策でございますが、この件につきましては砂川県議会議員にお答えしたとおりでございまして、全力投球いたしまして一日も早く実現できるように努力したいと思っております。
○議長(大田昌知君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 高良清敏君登壇〕
○商工労働部長(高良清敏君) 企業立地と雇用促進との関係につきましてお答え申し上げます。
企業誘致の促進につきましては、本県産業の振興及び雇用の場を創出する観点から重要なことと考えております。これまで県外からの新規企業の誘致につきましては、たびたび御案内のとおり企業訪問等あるいはいろいろと誘致活動等につきまして計画をし展開をしてきております。ただ種々の要因によりまして今日まで本県工業振興の核となるべき新規製造業につきましては実現はしておりません。しかしながら製造業以外の県外企業の立地につきましては、御承知のとおり観光関連やソフトウエア関連企業などが立地をしておりますし、雇用の場づくりに大きく寄与しているものと理解いたしております。今後の企業誘致業務の推進につきましては、これまでの業務展開の経緯や問題点等を踏まえまして、最近立地動向の著しい先端技術産業や県内資源を活用しました新規立地への対応を強化しながら、より効果的な誘致活動を展開しながら新規企業の立地を実現していきたいと思います。
○議長(大田昌知君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 池田光男君登壇〕
○企画開発部長(池田光男君) 池村議員の自由貿易地域に関する御質問にお答えいたします。
御案内のとおり、自由貿易地域制度は沖縄振興開発特別措置法におきまして、沖縄における企業の立地を促進するとともに、貿易の振興に資するため設けられている制度でございます。さらに第2次振興開発計画におきましても、沖縄の地理的特性を活用した自由貿易地域の設置を図ることになっております。その設置を図るためこれまでいろいろと調査検討を行ってきたところでございますが、この制度が我が国におきましてかつて例を見ない制度であるということ、それから制度が設けられた当時とその後の経済社会が大きく変わってきたというふうなところからまだその設置を見ていないところでございます。しかしこれまでの調査結果を踏まえながら適性業種及び立地適地に関する調査検討を行うと同時に、関係行政機関並びに関係団体との密接な連絡調整を図りつつ現在業務を推進しているところでございます。
自由貿易地域の指定適地につきましては、まず空港、港湾、道路等アクセスの利便性、第2点といたしましては必要とする土地の確保が容易であるかあるいは困難であるか、その難易性、第3点におきましては今後の経済社会の動向等を考慮する必要があると考えております。現在これらの条件を満たす地域といたしましては、去る1月から建設着工されました中城湾港新港地区並びに那覇空港周辺地域がございますが、これらの地域を適地として検討しているところでございます。
○議長(大田昌知君) 病院管理局長。
〔病院管理局長 中村仁勇君登壇〕
○病院管理局長(中村仁勇君) 県立宮古病院について御答弁いたします。
県立宮古病院は、今年度で209床から400床に増床整備されます。その中で精神科も50床増床いたしますが、その増床に伴う医師の確保につきましては現在折衝を進めておるところでございますが、見通しにつきましては明るい感触を得ております。また看護婦を初めその他医療要員につきましても必要数を確保すべく準備を進めております。
次に、人工透析の開設でございますが、施設につきましては今年度で完成いたします。なお、水質調査及びろ過装置等を初めとする機器の整備とそれに要員の訓練等に日時を要しますので、昭和59年度で患者の実態調査とそれに要員の確保、訓練並びに機器等の整備を行いまして昭和60年度から開設すべく現在準備を進めているところでございます。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 池村正義君。
〔池村企義君登壇〕
○池村正義君 核の問題につきましては、知事は提言と受けとめておくというだけのことでございましたが、我が党の代表がまた後でこの問題を取り上げると思いますので省きますけれども、今大変な負債を抱えて、ある経済学者などはインフレ待望論ですね。この借金を返すにはそれしかないじゃないかという極言をなさる方もおるわけですけれども、それはさておき、知事は、2次振計策定当時は5.8%を毎年平均見込んだけれども、今のような状態ではこれは到底達成できないじゃないかという率直な気持ちなんですけれども、知事、もう一回この辺を本当に自信があるならば、もう少しどういうわけで当初より、目標どおりできるのかお聞かせ願いたいと思います。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) この10年余りの県の経済成長率を見てみますというと、大体、名目、実質両面において国の成長率よりも高い成長率を示しているわけであります。これはいろいろ要因があろうと思うのでございますが、何といってもその大きい要因は財政支出であると私は認識しているわけであります。したがいまして第2次振興開発計画の中で経済見通しを5.8%に策定いたしました諸般の情勢等からいたしまして、今わずかに2年ばかり、3年目に入ったところでございまして、まだ2年しか経過いたしておりません。そこでこれはいろいろ人によっては議論もございまして、これからの国の成長率が大体平均して5.5%前後で推移するだろうと見る人もおりまするし、もっともっと厳しく申し上げますというと、人によってはこの10年間の平均成長率は3%前後だろうとこういう見方をする人もございまして、大体、物価が非常に安定して推移いたしておりまするのでそう大きい変動はないかと思いますが、5.8%の経済成長率が達成できるとは私、今の段階においては考えておりませんけれども、まだ2年しかたっておりませんのでどうなるのかしばらく様子を見ようとこういうことで申し上げているわけでございまして、御理解を賜りたいと思います。
○議長(大田昌知君) 本盛 茂君。
〔本盛 茂君登壇〕
○本盛 茂君 私は、沖縄社会大衆党議員団を代表して知事並びに関係部長に対し質問を行います。
我が党は、今回初めてテーマを分担して2人で質問をすることにしましたが、先ほどの池村議員の質問に対する御答弁で十分でないもの、特に核問題についてはさらにお尋ねしていきたいと思います。
では質問をする前に、我が党の基本姿勢について一言申し述べることにいたします。
我が党は、ヒューマニズムの精神を基底として活動し、正義の実現を図る政党であります。人道主義はあらゆる問題に優先すべきであって、県民が独占資本優先の政策のためにあるいは外交上の駆け引きのためにあるいは党利党略のために不当な犠牲を強いられてはならない。政治目的が正しいとともに、その手段も正しくあることが民主主義の精神であり、我々はこの信念のもとに政治の具現に努めるものであると我が党の綱領はうたっています。
我が党は、県民を死滅の道へと導く一切の軍事政策に反対し、諸悪の根源である日米安保条約を撤廃して県民の命と暮らしを守り、核も基地もない、平和で豊かな沖縄県を県民大衆とともに築くことを目指し、県民の総力を結集して進む沖縄県民のための沖縄の政党であります。
前置きはこの程度にして、知事の政治姿勢を見てみましょう。
本年度の施政について、その基本姿勢を県民に示さなければならない所信表明で、西銘知事は、平和問題について全く触れていません。昨年度はたった1カ所ではあったが、平和で明るい沖縄県、と平和の2字が使われていたし、基地被害に対して監視体制を強化するとも述べていたが、本年度はそれさえも姿を消してしまい、ただ、基地被害に対する十分な安全対策を米軍と国へ要請する、ということにとどまり、平和問題に対する後退した姿勢が明白となっています。核基地化、演習強化の進む中でまことに頼りない悲しむべき政治姿勢であり、これでは平和のメッカを目指す沖縄県民の期待には到底こたえることのできないものであると言わざるを得ません。
では、平和問題について質問をいたします。
まず最初に、知事が毎年の慰霊の日に行っている平和宣言についてであります。
昭和52年6月23日、沖縄戦戦没者33回忌の慰霊の日に、我が党の委員長も務められた土着の人、当時の平良幸市知事が、人道主義の立場に立って全人類に平和のとうとさを訴え、我が郷土沖縄をして世界平和のメッカたらしめんとまことに格調高い平和宣言をなされました。以来、今日まで西銘知事によって受け継がれていることは、鉄の暴風の悲惨な戦争体験を持つ沖縄県民にとって喜ばしいことであります。西銘知事は、54年から58年までこれまでに5たびにわたって平和宣言を行っているが、55年には、今こそ我々は平和主義に立脚し云々と述べ、57年には、我々は理由のいかんを問わず武力による紛争解決はこれを認めず平和主義に徹し云々と述べ、さらに58年には、今なお国際間の緊張と紛争は絶えず、力の均衡により平和が確保されていることはまことに遺憾である。我々は平和主義に徹し云々と述べております。
そこでお尋ねいたします。
質問1、知事の言う平和主義とは何か御説明ください。
質問2、54年の宣言にはなかった文言が55年には、平和主義に立脚しと初めて出てきており、さらに57年、58年には、平和主義に徹しとより徹底した内容を示す語句が使われているが、立脚から徹しとより強い表現にしたのはなぜか、また徹しということの内容をどのように理解したらよいかお伺いします。
質問3、57年の宣言にある、我々は理由のいかんを問わず武力による紛争解決はこれを認めず、について御説明ください。
質問4、58年宣言の、力の均衡により平和が保持されていることはまことに遺憾である、ということについて御説明ください。
質問5、知事は、平和の保持は何によってなされるべきであると考えておられるか御見解をお伺いします。
質問6、54年、55年の宣言と違って56年以降の宣言の結びは一貫して、県民の名において内外に宣言する、と以前にも増して強い調子のものとなっています。県民の名において、という文言にした理由は何かお伺いします。
次に、お尋ねしたいことは、57年11月16日、知事が2期目の当選を果たした直後の沖縄タイムスの当選者インタビューでの発言についてであります。
知事は、毎年慰霊祭で平和宣言をしている。反戦平和は確かに沖縄の心である。ただ社会党の言う非武装中立の平和もあるが、私が言うのは自衛隊を認め、安保を認める反戦平和であると述べています。また知事は、立候補の際の選挙公約では、独立国家においてはみずからの安全はみずから守るという姿勢が基本である。このことから日米安保体制を継続し、自衛隊並びに必要最小限の基地の保持及び提供は不可欠であるとも述べております。
知事の平和宣言と今述べた2つの知事発言から言えることは、知事は、平和宣言では、日本国憲法の平和主義の立場に立って宣言を行っているように思えるが、選挙の公約や基地問題での対応では明らかに安保、自衛隊容認の立場に立っています。私が今さら申し述べるまでもなく、他国民が日本を侵略することがないよう信頼するという、他国民への信頼が日本国憲法の平和思想の根本にあります。すなわち憲法前文の、日本国民は恒久の平和を念願し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したという徹底した平和主義の文言であります。ところが日米安全保障条約というものは、御承知のとおりまず仮想敵があり、その敵がいつ攻めてくるかもしれないという不信の哲学を基礎にした上で、その仮想敵よりもこちらがより強い軍事力を持つことによって相手の攻撃の意欲を封じ込めることができる、つまり平和を維持することができるという考え方の上に成り立っています。これを日本とアメリカが共同でやろうというのが日米安保条約であります。日米安保条約は、軍事同盟条約であります。軍事同盟条約は、本質上歯どめのない軍備拡張をもたらす性格のものであります。憲法学、教育法学の専門家である星野安三郎教授によれば、安保体制の原理は、第1に国民主権主義を否定し、天皇主権主義への傾斜しつつある国家主権の原理である。第2に、絶対平和主義を否定した軍事優先の原理である。第3に、公共の福祉の名において基本的人権を制限するだけでなく、法と秩序の名において国家公共のために尽くすべき公民としての義務を優先させる原理である。第4に、男女の差別と不平等を維持する原理であり、安保条約はまさに平和憲法を否定する反憲法的な原理であるとしています。このように憲法と安保とは完全に相対立する立場に立っており、西銘知事のように平和宣言では憲法の立場を、選挙公約の反戦平和や基地問題、軍事演習等への対応では安保の立場をということは、本来あり得ないはずであります。
そこで質問7、知事は、憲法と安保の矛盾を、またみずからが行っている平和宣言と基地、演習問題等への対応の矛盾についてどのように考えておられるか、県民が十分に納得のいくよう明快に御説明ください。
次は、先ほどの我が党代表の池村議員の質問にもありました沖縄県非核宣言についてであります。このことはまことに重大でありますので、私も重ねてお尋ねする次第であります。
知事は、先ほどの御答弁で、御提言として受けとめておくという御見解でありますが、知事の姿勢は極めて消極的でありますので重ねて御答弁を求めたいと存じます。
沖縄の米軍基地が核基地であることは、今や公然の秘密となっています。嘉手納、普天間、辺野古の核基地には核兵器を取り扱う専門部隊が常駐していることは米軍も日本政府も認めており、核兵器の存在についても、これまでに暴露された米軍資料や米議会での証言等からほぽ確実となっています。沖縄基地は核攻撃、核攻撃支援基地としての役割を持ち、さらにいざ核戦争となればアメリカ核戦略の指揮、統制、通信の直接的役割を担う通信基地を持っており、日本における核戦争の最重要基地であると言われています。このことは裏を返せば、沖縄基地が逆に核攻撃の第1目標とされることを示唆しています。去る2月5日、那覇市で開かれた日本科学者会議沖縄支部のシンポジウム「核と沖縄」で、「もしも嘉手納に水爆が落ちたら」というショッキングなテーマの発表は、最近上映されたアメリカ映画「ザ・デイ・アフター」とともに核戦争の悲惨さを県民に直視させる上で極めて有意義なものでありました。そこで採択された県民へのアピールについて、知事はどのように受けとめておられるのでありましょうか御所見を承りたいと思います。質問8であります。
知事、あなたは非核三原則については、国是であり、遵守していく考えだと、2期当選時の新聞記者のインタビューで述べておられます。知事、あなたがこれまで5たびにわたって沖縄戦戦没者の霊に誓い、県民の名において平和主義に徹すると内外に宣言してきた平和宣言や非核三原則遵守発言、さらに慰霊の日の談話にうそがなければ、我が沖縄県の非核宣言をしていただきたいと思うのであります。もしもあなたがこれを拒否し、あるいはちゅうちょなさるならば、あなたがこれまで行ってこられた平和宣言、あれは一体何であったかということになります。戦没者の霊を冒涜するばかりでなく、沖縄の心を欺き、平和を愛する世界の人々に対する背信行為ともなりかねません。
西銘知事、反核、平和の願いは、思想、信条を超えた全人類の思想であります。重ねてお尋ねいたします。あなたは、沖縄県非核宣言をなさる御意思がおありかどうか、平和主義に徹するというあなたの本心を県民の前に披瀝してください。質問9であります。
次に、選挙運動における政治倫理についてお尋ねいたします。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と憲法前文の冒頭に述べられているように、代表制民主主義のもとにおける私たち国民の主権者としての行動は、選挙に参加することから始まります。しかしながら資本家階級によって政治が支配されている今日の社会においては、労働者階級や勤労者大衆が選挙制度をみずからの政治的進出の武器にしようとすることを阻止するために、権力側は選挙制度にさまざまな制限を加え、政治活動の自由に対する干渉、選挙運動の制限等の規制などが強められているのが現状であります。今、我が国の政治の重要課題である政治倫理の確立を図るためには、まず田中問題の真の解決を図ること、よりよい民主的な選挙制度を確立すること、そして選挙倫理の徹底を図ることなどが強く求められなければならないと考えます。ところがこれに反して自民党側から出されている政党法制定への動きは、政治倫理にかこつけて、憲法が保障する思想、信条の自由を否定するものであり、まことにゆゆしいことであります。
私は、これから選挙運動における幾つかの事例について申し述べ御見解を求めます。
昨年12月22日付の沖縄タイムスに、「知事名で「よろしく」 衆院選で違反電報 那覇署が内偵捜査」の記事が掲載されていました。報道によれば、選挙運動が3日戦争に突入した12月16日、県内各地の有権者千余人に対し、「自民三議席獲得のため(仲村正治)君をよろしく頼む」、県知事西銘順治という電報が打たれ、その費用は約44万円。このことについて西銘知事は、「自分は全く知らない。迷惑している」と否定しているという内容でありました。
そこで警察本部長にお尋ねいたします。
このような電報による選挙運動は許されているのか、それとも公職選挙法に違反するのかどうかについて有権者がよくわかるように御説明ください。質問10であります。
また新聞は、知事名を使った支持依頼電報という特異な事件だと報じていましたが、このような事件は決して今回初めてのことではなく、私が知っている最近の事例だけでも、1982年3月の石垣市長選挙の際に、建設業者に対して自民党側候補者への支持依頼電報が西銘順治という名前で打電され、投票日の前日に配達されています。知事は、このことを御存じでしょうかお伺いします。質問11であります。
また1981年9月の竹富町長選挙でも、自民党側候補者への支持依頼電報が有権者あてに無差別に打たれています。OOO君に最後の御支援をお願いします、自民党総裁鈴木善幸、大変なことを平気でやる人たちであります。
またこれに類する有印私文書偽造、同行使等、県知事西銘順治の名前、身分を利用した法定外選挙運動文書の頒布等の事件についてはここでは取り上げませんが、とにかくこの種の選挙運動は、彼らにとって常套手段となっていると言わざるを得ません。さらに82年の知事選挙の際には、県民の先頭に立って清潔、公明な選挙戦を指導すべき県当局の幹部、管理者の皆さんが、公選法や地方公務員法に違反するような選挙運動を公然と行ったとして心ある県民のひんしゅくを買ったことはまことに遺憾なことでありました。ことしは6月の県議選挙を皮切りに、那覇、浦添、糸満市長選等数多くの市町村における選挙が行われる選挙の年であります。今後の選挙において、再び知事名や総裁名による違反電報が打たれることがないように県幹部諸公が県民の疑惑を受けるような違法行為がないように、そして県民が政治の主人公として正しく選挙権を行使して公正な選挙が行われることを念願し、期待して知事の御所見を承りたいと存じます。質問12であります。
次に、教育問題についてお尋ねいたします。
中曽根首相は、戦後政治の総決算を唱え、その中心的柱の1つに教育臨調の断行を表明し、その作業を着々として進めつつあります。
戦後教育の総決算が意味するものは、憲法、教育基本法の改定がねらいであると言われています。その手始めとして、教育職員免許法改正法案と教科書法案の国会への上程が用意されていることは周知のところであります。これらの法案が免許状に3ランクを設けることにより教職員の上下関係を明らかにし、その分断支配を制度化し、教育内容の権力統制を意味するものであることは今や明白となりました。
そもそも歴史的には昭和30年、保守合同で自民党が成立した当初から、同党は今回の教育臨調にも相当する教育の反動化のための機関の設置を目指し、早くも翌31年には臨時教育制度審議会設置法案を国会に提出しています。そのねらいは、教育基本法の改悪を初め、反動的道徳教育の導入、教育制度の改変と教育への国家統制の強化などにありました。これについて当時の清瀬一郎文相は、国会答弁で、現行制度に検討を加えるために、教育基本法にも触れてよろしい、学校教育法にも触れてよろしいと言明しているのです。またその年は、参議院で警官500人導入のもとに地方教育行政の組織及び運営に関する法律が強行可決され、任命制教育委員会が発足し、教科書調査官が新設された年でもありました。
このようにして、憲法、教育基本法の空洞化が進められ、教育の国家統制、軍国主義化への道が強まる中で、今日の教育荒廃を招くに至りました。
中曽根首相は、82年12月、就任早々の衆議院本会議で、私個人は改憲論者であると言い、また昨年1月の日米首脳会談の際のワシントンポスト記者のインタビューでは、憲法改定の時間表を持っていると恐るべき発言をなし、日本列島不沈空母化、日米運命共同体、戦後政治の総決算など平和と民主主義への挑戦状を国民の前に突きつけてきています。中曽根首相は、彼が提唱している教育臨調で野党の協力を得るために、憲法、教育基本法の上に立って改革すると軌道修正をしていますが、戦後の日本教育の流れ、彼がこれまでやってきた発言から見て信用できるものではありません。
我が社会大衆党は、憲法、教育基本法に基づく民主教育の実現を基本政策として掲げ、中曽根首相の主導する教育臨調の反動的教育改革をめぐる急迫した事態を重視し、地域に根差した民主、平和の教育を父母、大衆とともに守り育てる決意を一層固めているところであります。
では、目を我が沖縄に転じてみましょう。
県教育委員会の行政の進め方で、私が今でも不可解に思っていることの1つは、昨年度の人事異動方針から、憲法、教育基本法の精神などを盛り込んだ基本理念、すなわち、県立学校教職員及び県費負担教職員の人事異動に当たっては、憲法及び教育基本法の精神である民主主義、平和主義、人間尊重の原則に立って教育行政の民主的運営を基礎に児童生徒の教育を受ける権利と教職員の生活と権利を保障することが最重要事項である。このことを現実に保障するために、教育の機会均等と教職員の意思を十分に尊重しつつ、教育の目的を遂行するために必要な諸条件の整備を確立しなければならないという立派な理念を、沖教組が削除すべきでないと強く訴えたのにもかかわらず全面削除してしまったということであります。教育庁側では、憲法や教育基本法に沿うのは当然のことで、今さら明文化するまでもないと削除の理由を説明していましたが、これは今日の日本の教育が右傾化しつつある危険な流れに対してあえて目をつぶるものであり、沖教組ならずとも決して納得のできるものではありません。憲法や教育基本法の精神を尊重して教職員の人事異動を行うのであれば、それを基本理念として明文化することに問題はないはずであります。しかし理由にもならない理由であえてそれを全面削除してしまったのですから、そこには何らかの意図があると言わざるを得ません。それは教育臨調の先取りであると見るべきでありましょうか。
そこでお尋ねしたいことは、憲法、教育基本法の空洞化が進み、民主教育の荒廃が憂えられている今日の教育状況の中で、憲法、教育基本法に基づく民主教育並びに民主的な教育行政について県教育委員会はどのような御見解をお持ちでありましょうかお尋ねいたします。質問13であります。
そして、中曽根首相が主導する教育臨調についてどのように受けとめておられるか知事並びに教育委員会に対してお伺いいたします。質問14であります。
次に、核戦争の危機の時代における平和教育はどうなければならないかについてお尋ねいたします。
私は、アメリカ映画「ザ・デイ・アフター」を見て、核問題を抜きにして今日の平和教育は語れないことを強く感じました。アメリカの物理学者バーナード・T・フェルド博士は、ある日の午前0時0分に核戦争が勃発するとして、運命の日の時計をセットし、1984の現在は核戦争による人類の危機、運命のときまでに3分前とアメリカの科学雑誌に象徴的に指摘しているといいます。また「核と沖縄」シンポでも「その翌日」があり得ると警告しています。核軍拡の状況の中で、私たち人類が生ぎる道は核廃絶、軍縮の実現以外にはありません。「核と沖縄」シンポで採択された県民へのアピールには、私たちは沖縄戦から得たヌチドゥ宝、命こそ宝という反戦思想を、抗議して生き残る思想に高めねばならない。反核、平和の願いは、思想、信条を超えた全人類の思想であると述べています。このように核戦争の危機の時代に生きる子供から大人まで、社会各層の成員に対する学校教育、社会教育において核戦争による人類絶滅の危機意識をどんな歴史認識、歴史感覚として学びとらせるか。反核、軍縮を目指す平和教育はどうあらねばならないかについて教育長の御見解をお伺いいたします。質問15であります。
最後に、離島地域における医療体制の整備についてお尋ねいたします。
このことについては知事の所信表明でも述べられているが、知事は選挙の立会演説会で離島の生活環境整備、特に医療は第1に取り上げ、内容の整備充実に当たると公約しました。
県環境保健部の医師数調べによると、57年末現在における沖縄県内の医師の総数は1081人で、那覇市にある中央保健所管内では477人で最も多く、八重山保健所管内では25人と最も少ない。人口10万人当たりで見ると、全国平均141.5人に対し、中央保健所管内は159.9人で全国平均よりもやや高いが、八重山では55.6人とその格差は大きい。また医師1人当たりの人口で見ると、中央保健所管内で626人に対し、八重山では実に1798人となっており、県内における地域格差が大きく広がっていることがわかります。宮古、八重山、南部の県立病院では合計392床のベッドの増床が図られ、離島地域の医療充実への期待が大きくかけられているが、たとえ施設は整備され病床はふえても、肝心な医師や看護婦等の確保がなされなければ、それは宝の持ちぐされに終わってしまいます。また離島診療所でも医師の完全配置が問題となっているが、県の医師、看護婦等医療従事者の配置計画とその見通しについて承りたいと存じます。質問16であります。
以上でひとまず質問を終わり、御答弁によって再質問をいたします。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 本盛議員の御質問に対しましてお答えいたします。
平和宣言について1から6までの御質問がございますが、関連いたしておりますので一括して答弁いたします。
本県は、去る大戦におきまして戦場と化し、一般県民も戦火に巻き込まれ、多くのとうとい人命が失われたことは御案内のとおりであります。このような過去の悲惨な体験にかんがみまして、2度と戦争を繰り返さないために毎年6月23日に追悼式を行い、沖縄全戦没者のみたまの御冥福を祈り、あわせて平和の願いを込め決意を表明したものであります。人類社会の安寧と繁栄を守り、県民が豊かな生活を享受できるようにとの願いを込め、平和がいついつまでも続くことを願った宣言であります。平和のとうとさは全人類が希求してやまないところでありますが、国際間の紛争は絶えず力の均衡によって平和が保持されているのが現状であると認識いたしております。我々は、これら多くの方々の犠牲によってもたらされた今日の平和の意義を改めて考え、我が国憲法の精神にのっとり、世界恒久の平和確立のために県民がともに努力することを訴えるものであります。
次に、憲法と安保の矛盾、平和宣言と基地問題、演習等への知事の対応の矛盾についてお答えいたします。
戦争に反対し、平和を希求するということは人類の共通の願いであります。ところで一国の安全を確立していくためには、それ相応の国防力が維持されなければならないと考えるのでありますが、我が国におきましては、自衛のための防衛体制や米国との安全保障体制が維持されていることによって、極東及びアジア地域における今日の平和が保たれていると理解いたしております。
「核と沖縄」シンポジウムの県民へのアピールについての御質問に対してお答えいたします。
このアピールに対しましてどのような所見を持っているかという御質問でございますが、戦争に反対し、平和を希求することは人類共通の願いであり、私も平和を真に願う者の一人であります。
次に、沖縄県非核宣言についての御質問に対しましてお答えいたします。
沖縄県の非核宣言につきましては、我が国の非核三原則を堅持し平和を願う立場から御提言として受けとめておきます。
次に、選挙倫理についての御質問に対しましてお答えいたします。
石垣市長選挙において西銘順治名で支持依頼電報を配達されたと言っておりますが、私はそのことについて存じておりません。
次に、教育臨調について知事の見解を聞きたいということでございますが、お答えいたします。
平和を愛し、豊かな文化国家の実現を期することは、県民はもちろんのこと、日本国民のひとしく希求するところであります。したがって本県の教育を進めるに当たっても、日本国憲法や教育基本法の精神に基づいて真理と平和を愛する人間の育成を目指しておるものと理解いたしております。
次に、離島医療の医師の配置についての御質問に対しましてお答えいたします。
無医地区、小離島に設置された県立、町村立診療所の医師、介輔の配置状況は、医師を配置してある診療所が16施設、介輔を配置している診療所が7施設となっております。県といたしましては、離島僻地に勤務する医師の確保を図るため自治医科大学への学生送り出しを行っており、また57年度からは、離島で勤務する医師を養成するため国費医学生の送り出し事業を再開いたしております。当面、医師の確保が難しい離島の県立病院等には派遣医師制度を活用し医師の確保を図りたいと思います。また将来は、琉球大学医学部の卒業医師が離島医療に従事するように働きかけていくとともに、自治医科大学への学生送り出し事業と派遣医師制度の継続を図ってまいりたいと思います。
以上であります。
○議長(大田昌知君) 警察本部長。
〔警察本部長 石田慧史君登壇〕
○警察本部長(石田慧史君) 電報による選挙運動は許されているのかという御質問についてお答えをいたします。
御案内のように、公職選挙法上、衆議院議員の選挙において頒布することができる選挙運動のための文書図画は、同法第142条第1項第1号に規定する通常はがき、それから選挙管理委員会に屈けられたビラ、それからもう一つ、いわゆる確認団体の届け出ビラのみというふうになっております。
お尋ねの件は、昨年12月16日、知事名を冒用した電報が、県下の約1000人の選挙人に対して発信された事案であると思いますが、本件事案につきましては、法定外選挙運動用文書頒布違反及び氏名等虚偽表示罪に該当するものとして関係被疑者9名を検挙し、本年1月14日、那覇地方検察庁に事件を送致しているところであります。
以上でございます。
○議長(大田昌知君) 教育長。
〔教育長 新垣雄久君登壇〕
○教育長(新垣雄久君) 教育臨調についての御質問にお答えいたします。
我が国の教育制度は、昭和22年に改正をされまして、日本国憲法の精神にのっとって新しい日本の教育を確立するため教育基本法を制定して発足したわけでございます。以来、30有余年、教育制度は学校教育はもとより、社会教育の面におきましても大きな役割を果たしてきたと考えております。しかし我が国の産業技術の進歩と経済の発展は、国際社会の進展、変動と相まって憂うべき問題も惹起いたしております。教育関係者を初め、国民各階層から教育改善の問題提起がなされ、今や教育改革は国民的課題となっているのではないかと考えております。教育は、国家百年の計でもあり、極めて重要なことであります。教育改革に当たっては、国民各層の意見が集約されなければならないと考えております。いわゆる教育臨調に関する機関の設置については、国家行政組織法との関連から国会におきましても十分なる審議がなされるものと思われますので、十分に関心を持っていきたいというふうに考えております。
それから憲法、教育基本法に基づく教育についての考え方でございますが、そしてこれに基づいてどういうふうに教育がなされているかということについてお答えいたします。
憲法、教育基本法に基づく教育につきましては、教育基本法の理念に基づいて行われる教育だと考えております。本県の教育もこの基本に立ちまして社会情勢を見きわめつつ、具体的施策を推進しているところであります。
学校教育について述べますと、「学校教育における指導の努力点」を毎年作成いたしておりまして、本県の学校教育は、人間尊重の精神に立って自主性、創造性に富む豊かな人間性を培い、郷土の自然と文化を愛し、平和で明るい民主社会の建設に貢献し得る心身ともに健全な児童生徒の育成を図ることを目指すものであるとうたっておりまして、それを目標に据え、各教科、各領域等を通して具体的に推進しているところであります。
それから核に関する教育をどう進めているかということでございますが、教育基本法の前文にも、「日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」とうたわれております。そういうことで先ほどから申し上げましたように、いわゆる教育問題の、憲法、教育基本法に基づいて人類の福祉とそれから平和という面から見て核というものがどういう時点にあるのか、どういう考え方で教育するかということを私どもは教育指導の重点課題の中にも人間性の育成を目指すと、それから自他の生命を尊重しとあります。そういうことからすれば核というものがいかに恐ろしいものであり、またどういうものであるかを具体的に示しながら各年代の発達段階に応じた教育をすべきだと考え、そういうふうに指導いたしております。
○本盛 茂君 答弁漏れがあります。
○議長(大田昌知君) 休憩いたします。
午後5時25分休憩
午後5時26分再開
○議長(大田昌知君) 再開いたします。
西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) 本盛議員の御質問が大体こう似通った御質問でございまして、そういうことでまとめて1から6の質問に対してはお答えしたわけでございますが、平和宣言における平和主義について、一体平和は何であるかと。
平和は平和であって、別にこれ平和主義といっても、これはもういろいろ人によって人生観、社会観によって表現の仕方は異なってくるわけでございまして、平和主義とは、逆に絶対に戦争はしてならないと、武力行使をしてはならないということが平和の趣旨であり、戦争に反対すること、こういうふうに私は理解いたしております。
それから質問2でございますが、平和主義に立脚しから、平和主義に徹しとより徹底した内容の表現となっているが、書いた理由は何かと。
これは徹しても、立脚しても同じことでございまして、別に私は強弱があるとは考えておりません。毎年毎年6月23日、平和宣言をいたしておりますが、内容に強弱があってはならないという基本に徹しているつもりでございますので、その点は強く強調したということには御理解いただきたくないのであります。
我々は、理由のいかんを問わず武力による紛争解決はこれを認めずとこういうことになっておりますが、これはもう憲法第9条において武力を行使してはならないと。そこまではいいんですが、国の交戦権もこれを認めないと、本当に平和主義に徹しているわけであります。しかしながら国が本来持っている固有の自衛権を否定したものではないとの見解に私も立っておりますので、したがいまして安保体制と憲法第9条の平和主義は相矛盾するものではないと私は理解いたしております。
質問4、力の均衡により平和が維持されていることはまことに遺憾であるということについて。
これは私が申し上げるまでもなく本盛議員が御案内のとおりでございまして、米ソの核のバランスと申しますか、本当に恐怖の均衡と表現してもいいのでございますが、米ソ両大国の核の均衡、いわゆるバランス・オブ・パワーによって東西陣営の平和が保たれていると申し上げましても決して過言ではない、そういうことで御理解をいただきたいと思うのでございます。
知事は、平和の保持を何に求めようとするのか。
これはやはり生活が安定しなければなりませんし、何といっても民生の安定が平和主義の基本でなければならないと考えております。
憲法と安保の矛盾、平和宣言と基地問題、演習等への知事の対応の矛盾。
私は、別に矛盾とは考えておりません。沖縄の基地はこれは歴史的な背景がございまして、沖縄県人がつくった基地でもありません。アメリカが日本から司法、行政、立法の三権を奪い取って、オール・アンド・エニイ・パワー・オブ・アドミニストレイションという形で一切合財の権限を日本から取って構築した基地であることは御案内のとおりであります。したがってその基地をその運用の面において本土並みの基地にしようということで、基地を全部撤去してから本土復帰ということになりますとこれはとてもできませんので、今までもできなかったでありましょうが、一部にはアメリカ国内に、我々には伝わってこなかったのでありますが、血を流して取った領土を日本に返すとは何事だという地方紙の論調もたくさんあったようでございまして、そういう歴史的な背景があって密度が高い基地ではございますが、運用の面において本土並みの運用にしようとこういうことで基地が返還され、今日に至っているわけであります。したがいまして沖縄の基地問題は極めてこれは深刻な問題ではございますが、これはもう安保に基づく、地位協定に基づく施設区域の提供でございまするし、憲法の規定からいたしましても条約を守る義務は国民に負わされているわけでございまするから、そういう意味において私は沖縄の基地というものはこれは縮小整理していかなければなりませんけれども、この歴史的な背景を考えてみました場合に、そう簡単に撤去できる基地ではないと考えております。問題は、どの程度これを縮小整理してこれを平和産業に切りかえていくか、そういう課題は残っているわけでございまするし、また返された土地のいわゆる利用等について問題は残っているわけでございますが、そういうことでございまして、基地を認めるから基地から派生する災害、被害等を是認するということではございません。
防衛の問題は、あくまでもこれは国の政策の問題であります。ところが県知事は県民の生活を守り、安全を守り、財産を守る立場がありまするから、矛盾するような形ではありまするけれども、何としてもこれは県民生活を優先していかなければならないことは当然でございます。その面から要求すべきは要求する、直してもらう点は直してもらう、協力してもらわなきゃならぬ点は協力もしてもらう、こういう基本姿勢に立ってこれからの基地問題に対処してまいりたいと思います。
選挙は、法令に即して適法に行われなければならないと考えておりますし、選挙違反は絶対にあってはならないと、また公正に選挙は運営されなければならないとかように考えております。
○議長(大田昌知君) 本盛 茂君。
〔本盛 茂君登壇〕
本盛 茂君 ただいま知事は、平和宣言についての答弁をいただきましたが、私は最初から項目別に質問1とか、質問2、3とこういうふうにして質問をしておりまして、知事に対しては13項目について項目順に答えてくださいと前もってお願いをしてありました。しかし最初の答弁では、一括してやると。私が答弁漏れを指摘しなければそのままで済ますお考えであると。こうなることは、私は県民を代表して聞いているのですから、知事は県民に対して、県民を代表する社大党を代表してそれで聞いているのだから、知事は県民の知事として当然これは誠実に答えるべきであります。この点は今後こういうことがないようにお願いをしたいと思うのです。
それから質問3の平和宣言について、我々は、理由のいかんを問わず武力による紛争解決はこれを認めないと知事は言っているんです、いかんを問わず、どういうことでも。では知事が基地を認めている、基地を提供することは当然であると言っている。これは武力行使に手をかすことである。これはいかなるものにも反対することにはならぬ。平和主義に徹するということにはならぬ。ごまかしである。 (「まやかしである」と呼ぶ者あり) まやかしである、そのとおりだ。安保と憲法は相矛盾するものである、この見解を示さないとみんな県民はだまされてしまう。知事の反戦平和はその立場に立っている。安保は違うんだ。日本国憲法の精神には安保は矛盾しているんだ。そこをはっきり知事は答えないと、知事のものは答弁にならない。これを改めてお願いをしたい。
それから知事はこう言っている。慰霊の日の談話で、戦争は、最も弱い立場にある住民に過酷な犠牲を強いることを知りましたと。教科書問題のときは戦争体験は知らないと言っておったが、それはどういうことか。県民はそのことを決して忘れてはならぬ。
平和を願う人々の心である沖縄の県知事として非核宣言、これはもう一度答えていただきたい。
○議長(大田昌知君) 西銘知事。
〔知事 西銘順治君登壇〕
○知事(西銘順治君) お答えいたします。
御案内のとおり、憲法第9条の解釈につきましては学者間でいろいろ異なっておるわけでございますが、私は、憲法9条は、武力を放棄し、国の交戦権まで否定しておるわけでございますが、もともと独立国家が持っておる自衛権、本来の自衛権を否定したものではないと考えております。したがいましてそういう意味で自衛隊は違憲であるとは考えておりません。合憲であり、また自衛隊法によって設立された合法的な存在であると認めております。また安保条約につきましても、これは集団保障体制は国連憲章の中でも認められているわけでございまして、NATOの場合におきましてもワルシャワ体制を見ましてもそれぞれ集団保障体制が是認されておるのは御案内のとおりでございまして、そういう一つの形を変えた集団保障体制が安全保障体制であると私は理解をいたしているわけでございます。
それからこの基地を認めるとか認めぬ、そういうことじゃないんです。これはもう国の統治行為として、また条約に基づいて提供された施設区域でございまするから、反対も賛成もないわけですよ。現にあるんですから、そこに。ただ反対の意思表明はしないと。また防衛が最小限度の防衛を必要とする限り、最小限度の基地というものは当然認めなければならないとかように考えているところであります。
○議長(大田昌知君) 以上で本日の代表質問を終わります。
本日の日程は、これで終了いたしました。
次会は、明3日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後5時38分散会
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