平成 3年(1991年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 10月 2日
第 3号 10月 2日
 

議 事 の 概 要 
平成3年10月2日(水曜日)
午後2時14分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第18号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
    一般質問及び質疑
     1 渡名喜藤子君(新政クラブ)
     2 嘉数 昇明君(自民党)
     3 西田健次郎君(自民党)
     4 松茂良興辰君(新政クラブ)
     5 与那嶺盛男君(新政クラブ)
午後6時43分散会

○議長(平良一男君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 本日、宮里政秋君から発言取り消しの申し出がありました。
 次に、説明員として出席を求めた公安委員会委員長赤嶺義信君は、別用務のため本日及び明日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に公安委員会委員比嘉國郎君、明日の会議に公安委員会委員瀬長浩君の出席を求めました。
○議長(平良一男君) この際、お諮りいたします。
 宮里政秋君から、昨日の会議における発言について、お手元に配付の発言取り消し申し出書に記載した部分を取り消したい旨の申し出がありました。
 この取り消しを許可することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(平良一男君) 御異議なしと認めます。
 よって、宮里政秋君からの発言取り消し申し出を許可することに決定いたしました。
○議長(平良一男君) この際、宮里政秋君から発言を求められておりますので、これを許可します。
 宮里政秋君。
   〔宮里政秋君登壇〕
○宮里政秋君 昨日の私の発言中、不正確な表現を用い、公党への不適切な批判を行ったことはまことに申しわけありません。御迷惑をおかけしたことをおわびいたします。
○議長(平良一男君) 日程第1及び日程第2を一括しこれより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案、甲第2号議案、乙第1号議案から乙第18号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 渡名喜藤子君。
   〔渡名喜藤子君登壇〕
○渡名喜藤子君 皆さん、おはようございます。私の原稿にはそう書いてあります。何の因果か知りませんけれども、私がせんだっては、皆さん、おはようございますを、皆さん、こんばんはになりました。きょうはこんにちはが、おはようございますになりました。だれが悪いかわかりませんけれども、お許しください。
 まず、改めて尚副知事、このたびの御就任、本当におめでとうございます。昨日の決意の表明をお聞きいたしまして、大変意を強くしている一人でございます。女性の地位の向上、福祉、教育、青少年問題、県民の健康のため頑張ってくださいますようお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして質問をいたします。
 台風時の観光客対策について。
 昨年の本県への観光客は295万8200人で、県内での1人当たりの消費金額は約11万700円であり、全体の消費額は3274億円となっております。県経済に及ぼす影響は大きいものがあります。青い海、青い空などの魅力に引かれて本県への観光客は年々増加してまいりました。しかし、ことし初めから夏場にかけての入客数は、前年比で横ばいまたは減少し、少々落ち込んでいると報道されておりますが、その原因といたしましては、まだ残る暴力団抗争、水不足問題、台風などが原因であると関係者は分析しておられます。
 ここで特に問題となっておりますのは、本県で年中行事となっております夏の観光客ピーク時の台風時や、その後の観光客の対応対策の不備が挙げられます。
 去る7月29日の台風9号には、離島を含めて約1万4000人の観光客が足どめ、また8月16日の台風10号のときには約2万5000人の足が乱れ、9月13日の台風17号では1万2000人が足どめされ、9月26日の19号で約1万4000人が
足どめされ、そのうち台風10号などでは3日間も足どめされた観光客もおります。
 その間、空港ロビーのコンクリート床の上で寝泊まりした子供連れ家族の姿や、空港の混雑ぶりがテレビや新聞などで全国的に報道され、大変心苦しい思いをしたのは私一人ではないと思います。せっかく楽しかった沖縄観光が、最後にコンクリートの床の上に寝泊まりさせられるとは、もう沖縄は嫌だと。また観光立県として鳴り物入りで大勢の観光客を誘致しておきながら、帰る間際になると便がないとかほうっておくような所はもう嫌だと、怒りをぶちまけるヤングの方々が、沖縄の夏を楽しい、いい思い出をと沖縄を訪れた人々に、私は申しわけないと思いますと同時
に、本県観光のイメージダウンははかり知れないものがあると思います。
 復帰前、鹿児島が沖縄から本土への玄関口であったころ、台風の襲来で帰省できなかった県人が鹿児島で足どめされたとき、婦人会や鹿児島市、同教育委員会が琉球海運などと相談して市内の小学校の体育館や琉球海運の船内に無料宿泊させたという報道もありました。
 谷沖縄開発庁長官も、台風で足どめされ宿舎に困っている観光客を何とかしたいと、観光立県としてのイメージダウンになる。那覇空港近くにある兵庫友愛センターを一時宿舎に充てたらどうかと心配されております。また大田知事も、26日の台風のさなか、わざわざ空港までおいでになって待機している観光客の様子を案じて視察されたそうでございます。また最近の報道では、観光文化局も遅まきながら台風時の空港混乱対策をされたようであります。
 年中行事とも言える台風時のその後の対策について、県のこれまでの対応策についてお伺いします。
 空港内でのこれまでの整理券を含めての混雑、混乱対策について。
 2番、旅費も使い果たし、子供連れなどでコンクリート床で寝泊まりされるのは余りにも酷でありましょう。今後の対策について。
 3番、航空会社に対する臨時便などの対策についてお伺いします。
 次に、青少年行政施策についてお伺いします。
 青少年を立派な社会人として育成していくためには、申すまでもございませんが、よりよい社会環境で伸び伸びとおおらかに、学業、スポーツに汗を流すことができることであります。
 ところで、県当局におかれましては、青少年の健全育成の行政施策について平成3年度の知事提案説明の中で具体的に説明を受けておりますが、一応は評価しているものでございます。
 しかしながら、昨今の青少年を取り巻く社会環境はと申しますと、御承知のように青少年に有害なダイヤルQ2、青少年を対象としたわいせつなコミック本の出現、深夜徘回による青少年の交通事故の多発など、日々新たな問題が発生し大きな社会問題となっており、関係者も頭を痛めているところであります。議会といたしましても、このような現状を重く見て、平成3年第1回議会におきまして青少年の健全育成に関する意見書を可決し、国の関係省庁を初め県当局にその実現方をお願いしているところでございます。
 そのような中で、去る9月19日の沖縄タイムスに掲載されました「県機構改革を検討」の報道の中で女性室の設置が大きく取り上げられており、私も女性の一人といたしまして大変喜んでいるものでございます。
 しかし現在、知事サイドで練られている組織機構改革の方向として、青少年に関しましては県民総室構想として観光、交通、青少年対策などを総括するとうたっております。
 青少年課設置に関しましては片隅に追いやられ、青少年行政はかえって他部局との合併で後退ではないでしょうか。このことは関係団体や、また私もその一員に加わっております県青少年保護育成審議会の中でも案ずる声が出ております。女性の地位の向上も大切でございます。それと同じく本県の将来を担う大事た青少年の健全育成も大事なことではないでしょうか。よもや尚副知事が今後担当される県の青少年行政が後退することはないと、私は確信いたしております。

 第1回定例会で女性室設置に伴う青少年健全育成の行政対策について私の質問に対しまして新垣総務部長は、青少年課の設置についても検討するとの御答弁がございました。
 そこでお伺いします。
 青少年課の設置について県はどのようにお考えになっておられるのか、詳しく御答弁をお願いいたします。
 2番目、報道によって私が疑問に思っておりますのは、なぜ県民総室機構の中に観光と青少年を統括しなければならないのかということでございます。よろしくお願いします。
 次に、輸入食品と残留農薬問題等について。
 貿易の自由化や食生活の欧米化等、我が国は世界有数の輸入国でございます。
 輸入農産物の中から国内ではほとんど利用されていない高濃度の殺虫剤や殺菌剤などの残留農薬等が検出されたという調査結果を、このたび東京都立衛生研究所が公表され、私たち消費者はショックを受けております。
 輸入した野菜、果物66種類、267作物の中から農薬52種類、そのうち37%に当たる34種、98作物から残留農薬が検出されました。
 一例を申し上げますと、オランダやベルギーなどから輸入された冷凍ジャガイモから、我が国の環境庁基準の実に92倍の除草剤が検出され、その他フランス産のチコリ──これは白菜のしんのような形をしたサラダとか煮物などに使っております──や米国産のレモンの皮から有機燐系殺虫剤など3種類の農薬が基準をオーバーして検出され、また米国産サクランボや台湾産ライチの中からは、毒性が極めて強いため日本では使用禁止になっている殺虫剤パラチオンが低濃度ながら含まれている結果が出ているのでございます。
 同研究所の浅沼信治主任研究員によりますと、人間は多くの食品を毎日複合的に摂取しますので、これらの食品を常食しても今すぐ健康に影響はないものの、多量に残留すると体をむしばむことになると指摘しておられます。
 グルメブームなどが反映し輸入食品は今後ますますふえる一方であり、現在、私たちは1日平均600グラムの輸入食品を摂取しているという調査結果からも、輸入食品に対する不安は高まるばかりでございます。
 現在、日本は世界一の長寿国家であり、その中でも本県は日本一の長寿県でありますが、この年代の方々は戦前、輸入食品もなく自作農産物を常食した方々であり、今後、長寿世界一、長寿日本一を実現するためにも食生活は大変重要なことでございます。
 本県は、特に果実類、その他、他県よりもより多く輸入されています。それで消費者の不安を解消するため、県サイドといたしまして早急に検査体制を強化、チェックする必要があると思いまして、次の点についてお伺いします。
 本県に流入する食料品を含む農産物がどういう種類であるのか。その数量について掌握されておられるのか。
 2番目に、外国で使用許可されているが、我が国で使用禁止となっている添加物に対する防止策について。
 県は、諸外国からの輸入食料品に対し独自にどのような対策をとっておられるのか、お伺いします。
 次に、国際交流情報センターの計画について。
 マスコミ情報によりますと、県は、我が国の南における国際交流及び国際情報の拠点施設として県が設置に向け調査検討されておられる国際交流情報センター施設の事業概要が8月5日、明らかになったと報道されており評価するものであります。しかし、今日の言う1日1日と激動する世界情勢の中から申しましても、むしろ遅きに失した感じ
がいたします。
 浦添市に設置されております本県の国際センターは、我が国の多くの国際センターに比べ非常にすぐれていると言われておりますし、その理由は幾つかありますが、その一つといたしまして、本県の地理的条件、歴史、文化など独特の面もあると思います。昭和60年設立以来、42カ国から研修生を受け入れ、その終了生は1700人にも達し、現在もなお113人の研修生が学んでおります。この終了生は、おのおのの国に帰り自分の学んだ専門分野で国の要職について活躍していると聞いております。近い将来、この方々が一国の指導者となり、本県との深い交流、親善をますます
深め、ひいては世界平和に貢献する大きなかけ橋となると期待するものであります。
 このような本県の現状から、この事業の一日も早い実現を期待するものであります。
 そこで、次の点についてお伺いいたします。
 1つ、情報センターの建設場所とその時期。
 2番、国際センターとの機能分担、役割。
 3番、情報センターの柱である国際情報室の具体的な内容。
 4番、海外県人とのネットワークづくりの具体的な内容。
 5番、本県独自の歴史、文化、地域特性を生かした本県独自の国際交流のあり方などについてお伺いします。
 時間がございませんので、6歳未満戦争犠牲者については後に回したいと思います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 渡名喜藤子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、台風時及びその後の観光客対策等に関連いたしまして、空席待ち整理券の発行方法及び空港ターミナルでの混雑対策についての御質問にお答えいたします。
 台風時の観光客対策につきましては、各航空会社を初め空港ターミナルビル株式会社、那覇市観光ホテル旅館事業協同組合、観光関係団体等で構成する台風時観光客対策協議会で取り組んでいるところであります。
 これまで各会員の協力を得て空港ターミナルヘの宿泊客に対するござ及びおにぎりの提供、冷房の24時間運転、レストラン等の営業時間の延長等の対策を行ってまいりました。
 なお、空席待ち整理券の発行については、従来から各航空会社においてそれぞれの方法で行われてきたところであり、これは当日限り有効な先着順による空席待ち整理券の発行が中心でありました。この方法は、各社がそれぞれ全国的に統一して行っているものでございます。
 これに対し県としましては、1、空席待ち整理券を、台風により欠航したための予約済み空席待ち整理券と、予約のない一般の空席待ち整理券とに分け、予約していた人を優先すること、2、これまで当日限りであった整理券の有効期間を延長することについて要請を行ってきました。
 幸いに、この点につきまして航空会社の方でも御協力をいただいておりますので改善されるものと期待しておりますが、この問題につきましては、行政として御指摘のとおり非常に重要な問題でございますので、可能な限りの努力を今後ともやっていきたいと考えております。
 次に、国際交流情報センター計画との関連で本県独特の歴史、文化、地域特性を生かした独自の国際交流のあり方についての御質問にお答えいたします。
 本県は、我が国とアジア太平洋諸国とのかけ橋となって、広く国際社会に協力していく場として好ましい条件を備えており、その地域特性を生かしてこれまで沖縄国際センターの誘致や留学生等の受け入れ及び派遣、文化親善交流、経済交流等を積極的に推進してきたところであります。
 今後は、海外県系人や研修員、留学生等とのネットワークの構築を初め国際交流情報センターの整備等のほか、平和に資するような国際交流事業を推進し、21世紀に向けたより一層の国際交流施策を展開していく考えであります。
 その他の御質問につきましては、お許しを得て関係部長にお答えさせますので、御理解をいただきたいと存じます。
○議長(平良一男君) 観光文化局長。
   〔観光文化局長 比屋根隆和君登壇〕
○観光文化局長(比屋根隆和君) 渡名喜藤子議員の御質問にお答えいたします。3点質問がございまして、第1点につきましては知事の方から御答弁いただいておりますので、第2、第3について答えさせていただきます。
 旅費を使い果たした空港ロビー内での宿泊対策はどうなっているかについてでございますが、7月27日、28日に来襲しました台風9号及び8月16日の台風10号の際の空港ロビー内での混雑の原因の主なものといたしましては、まず、夏の観光シーズンのピークであったこと、それから企業の夏休み期間であったこと、帰省客と重なったこと、お盆と重なり全国的に飛行便の余裕がなかったこと等が考えられます。これらの要因が重なったためであると考えております。

 また、空港ロピーで宿泊を余儀なくされる理由といたしましては、ほとんど当日限りの空席待ち整理券を一刻でも早く求めるための人たちでございまして、旅費を使い果たした者はごく少数でございました。したがいまして、空席待ち整理券を求めて空港へ宿泊する問題につきましては、今回、県が提案してまいりました、先ほど知事の説明にもございました整理券発行方法の改善によって解消されたのではないかと考えております。
 また、旅費を使い果たした人に対しては、後払い方式によるホテル等への紹介も行っております。それでもなお空港における宿泊客がある場合の対策については、現在、関係団体と連携をとりながら検討しているところでございます。
 3番目の質問でございますが、航空会社に対する臨時便の運航についてでございます。
 台風後における臨時便の運航については、従来から各航空会社に努力していただいているところでございます。
 今回、各航空会社に対しまして、観光産業が沖縄にとって極めて重要な産業であること、また陸路、鉄軌道等代替交通機関のない本県の特殊事情を考慮していただきまして、臨時便の運航について特段の配慮をしていただきたい旨の要請を文書でしております。特に日本航空、全日空に対しましては、直接東京本社へ出向きまして要請の趣旨について説明をいたしまして、その理解を得たものと考えております。今後とも関係機関に対しまして適切な臨時便の運航について協力を求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 総務部長。
   〔総務部長 新垣勝市君登壇〕
○総務部長(新垣勝市君) 渡名喜藤子議員の青少年行政施策との関連について、青少年課の設置について県はどのように考えているか。報道によって疑問に思うのは、観光と青少年の統合であるが、これについてどう考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 県におきましては、青少年の健全育成に関する施策の連絡調整、県民意識の高揚、社会環境の整備等の施策を推進しているところであり、今後ともこれらの諸施策に前向きに取り組んでいく所存でございます。
 なお、平成4年度の組織等につきましては、これから検討作業に入るわけでございますが、御提言の青少年課の設置についても、その作業の中で検討してまいりたいと考えております。
 また、一部マスコミで報道のありました件につきましては、県の方針ではございませんので御了解願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 金城 毅君登壇〕
○環境保健部長(金城 毅君) 渡名喜藤子議員の御質問の中の、輸入食品と残留農薬問題についての中の1点目、本県に流入する食料品を含む農産物がどういう種類であるか、その数量について把握しているかという趣旨の御質問についてお答えいたします。
 食品流通の広域化に伴い本県にも諸外国から海路、空路を経由して多種多様の食品が輸入されております。
 平成2年度におきましては、本県に輸入された食品等の届け出件数は約9800件、重量で約16万9000トンとなっております。品目別では穀類、豆類が多く、次いで鳥獣肉類、魚介類及びその加工品等で全体の約72%を占めております。輸入国別では穀類、豆類がアメリカ、カナダ、南アフリカ等で、鳥獣肉類はアメリカ、オーストラリア等、果実類はフィリピン、アメリカ等から輸入されております。
 なお、他府県で輸入される食品等につきましては、それぞれの輸入地において検査体制がとられております。
 2点目の、外国では許可されているが、我が国で使用禁止となっている添加物に対する防止対策についてという趣旨の御質問にお答えいたします。
 外国から輸入される食品の監視につきましては国の所管業務であり、本県では厚生省那覇検疫所において輸入届け出書類の審査、保税地域への立入調査、収去検査等が行われ、我が国で使用禁止となっている添加物を含有する食品につきましては、その輸出国への積み戻し、廃棄処分等の措置がとられております。
 また、通関後、県内に流通している食品の検査につきましては、保健所の食品衛生監視員が食品衛生法に基づき監視指導するとともに、必要に応じ保健所及び公害衛生研究所におきまして検査を実施しております。
 3点目、県は諸外国からの輸入食料品に対し、独自にどのような対策をとっているかという趣旨の御質問にお答えします。
 輸入食品の安全性の確保につきましては、先ほど申し上げましたように第一義的には国の行う業務であります。これまで厚生省那覇検疫所本所の1カ所で検査業務を実施しておりましたが、平成3年10月1日、那覇検疫所那覇空港支所にも新たに監視窓口が設置され、監視体制の強化が図られました。
 県としましても、検疫所等関係機関と連携を密に監視、検査体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
 ちなみに、県が実施しました平成2年度における輸入食品の検査件数は約7700件であり、そのうち40件の食品衛生法違反がありましたが、添加物にかかわる違反はなく、そのほとんどが表示関係の不備でありました。
 食品は、人間の生命の保持増進に欠くことのできないものであり、その安全性の確保は極めて重要なことでありますので、今後とも監視体制及び検査体制の強化を図る所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 大城進一君登壇〕
○知事公室長(大城進一君) 渡名喜藤子議員の国際交流情報センターの計画につきまして4点ばかり御質問がありますので、順次お答えをいたしたいと思います。
 まず1点目ですが、情報センターの建設場所とその時期についてお答えをいたします。
 国際交流情報センター、これはあくまでも仮称でございますが、その効果的な運用を図るために沖縄国際センター(OIC)と相乗効果を有し、かつまた機能を相互に補完し得る施設として位置づける必要がありまして、その建設場所は沖縄国際センター隣地の県有地を候補地として今のところ考えております。
 また、建設の時期につきましては、今後の調査検討を踏まえまして決定をしていく考えでございます。
 2点目の沖縄国際センターとの機能分担、役割についてでございますが、沖縄国際センターはASEAN人づくりの一環として設置された施設でございまして、国の技術協力機関としての役割を担っております。
 一方、県がこれから設置をしようとする国際交流情報センターは、経済、文化、学術等各種交流に必要な情報の収集、提供機能を中心に海外からの留学生、研修員等や県内在住外国人との交流機能を有する施設として整備をしようとするものでございます。したがいまして、おのおの機能を相互に補完しながら、技術研修機能と情報提供、それから交流機能の役割を分担することになろうかと考えております。
 3点目ですが、情報センターの柱である国際情報室の具体的な内容についての御質問でございます。
 国際交流情報センターの具体的な計画につきましては、平成4年度から調査検討を進めていく予定でありまして、その結果を踏まえて国際情報室の内容を具体化していく考えであります。
 なお、想定されます事業といたしましては、海外県系人や研修員、留学生等とのネットワークの構築、県民に対する国際情報の提供、外国人に対する沖縄関係情報の提供、そして各種交流に必要な情報の収集、提供等が考えられると思います。
 4点目の海外県人とのネットワークづくりの具体的内容についてでございます。
 本県は、これまで移住社会に対して県人会館、福利施設の助成、研修員の受け入れ等によりネットワークづくりを進めてまいりました。今後は、昨年の世界のウチナーンチュ大会で認証いたしましたウチナーンチュ民間大使の活動支援、ウチナーンチュデータベースの整備を進めるとともに、国際センターの研修を終了し、そして帰国された方々も含めましてより広範なネットワークづくりの展開を図っていく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 嘉数昇明君。

   〔嘉数昇明君登壇〕
○嘉数昇明君 まず、質問の前に、本9月議会よりお目見えされました尚副知事に対し、おめでとうございますと、それから頑張ってくださいと申し上げたいと思います。
 では、県政の重要テーマについて、自由民主党のトップバッターとして私見と提言を交えながら一般質問を行います。
 なお、若干の順序の変更と数項目を12月議会に回したいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず最初に、「ランを県花にオーキッドアイランドを目指して」というテーマでささやかな提言と質問を行いたいと思います。
 沖縄の県花はと問われれば、県民だれしもがデイゴと答えるでありましょう。そのとおりであります。高いデイゴの木に燃えるような真っ赤に咲き誇るデイゴの花は、南国沖縄の青空に映え、情熱的な沖縄のイメージを代表する名花としてまことにふさわしいものであります。しかも、太い幹は沖縄の伝統工芸の漆器の貴重な材料となるものであり、今後とも県民が守り育てていかなければならないと考えます。
 私は、そのデイゴに加えて、もう一つ沖縄の花を代表するシンボルとしてランを取り上げ、推薦したいと思います。デイゴが木に咲く花とすれば、ランは草に咲く花といいますか、それぞれ草木を代表する県花が2つそろうことによって、かえって沖縄のイメージをより豊かにし、膨らませるのに大きく貢献するのではないでしょうか。
 今やランは、新しい沖縄農業、躍進する花卉園芸産業の代表選手となっております。特に最近、著しく生産が伸びている洋ランは、その可憐で優雅な色と香り、持ちのよさと気品が人気の秘密であり、しかもバイオを活用した洋ランの研究、実用化、産業化が進み、ハイテク農業の中核としての指定席を確保しつつあるのであります。
 あの海邦国体において各会場がランを中心とするきれいな花で飾られ、県外から訪れた選手、役員にデンファレの一輪一輪が美しいコンパニオンからプレゼントされ、大変好評をいただきましたが、南国沖縄のトロピカルムードを味わってもらう心憎い演出であり、沖縄観光の振興と花卉生産流通の産地形成にも大きく寄与したものと考えます。
 そこでお尋ねいたします。
 1つ、2年前に本県で日本花卉生産者大会が盛大に開催されました。我が与那嶺議員が県花卉園芸協会長として尽力をされ、私も出席をして多大な感銘を受けたのでありますが、1つ、その後の本県花卉園芸産業振興への影響、2つ、全国、本県農業に占める花卉園芸産業の位置づけ、3、さらにその中のラン生産並びに流通体制の現状と今
後の展望、4、県の産地形成を目指しての今後の取り組みと振興策などについてお尋ねいたします。
 次に、花と農業、花と観光を有機的に結びつけ、まさに百花繚乱、沖縄をトロピカルアイランドとしてのイメージを永久化すべきであると考えます。花も実も一緒にという期待であります。
 5年前から毎年、海洋博記念公園熱帯ドリームセンターで沖縄国際洋ラン博覧会が沖縄花のカーニバルと併催され、大変好評であります。
 さてそこで、私は、沖縄をオーキッドアイランド、ランの島として大きく飛躍させたいと願うものであります。そのためにランの花に県花としての花の女王にふさわしい称号を与え、県民の力で観光振興と農業振興の両面において大きく育てていきたいと、その県花指定に向けての県の御尽力を求めたいと思います。知事の前向きの御所見を期待したいと思います。
 次に、ここで真の国際交流とはということを、県首脳のベルー訪問中止を事例として考えてみたいと思います。
 今回、大田知事にかわって急遽ピンチヒッターとして強行日程の中、ペルーを除くアルゼンチン、ブラジル、ボリビアなど南米3カ国に赴き、アルゼンチンでの祝典や民間大使南米ブロック会議への出席、移住地の視察と激励などの使命を果たしてこられた仲井真副知事にはまず御苦労さまと申し上げたいと思います。
 県は、そこで出されたいろいろな意見や要望をしっかり受けとめ、昨年の世界のウチナーンチュ大会の成果を生かし、今後の行政や世界のウチナーンチュネットワーク構想の実践に反映し、南米県人社会の継続的な発展と母県との強固なネットワークを築いていただきたいと願うものであります。
 しかし一方、反省点もいろいろあると考えます。
 今回の県首脳の南米訪問は、2度にわたるボタンのかけ違いにより南米の県出身者を落胆させ、多大な失望感を与えたのではないかと危惧の念を抱くものであります。
 その第1点は、今申し上げたとおり、知事就任後初の南米訪問として大田知事自身が歴訪することになっていた当初の予定が急遽中止になり、土壇場で仲井真副知事に変更になった点であり、第2点は、県人へのテロ等政情不安を理由にペルー県人会とも協議をし、大田知事のペルー訪問が中止になったことであります。第1点については、新聞でも、「唐突 知事の南米訪問中止 予算要求の重要時期などを理曲に 日程に無理が…」との見出しで報じられたとおりであります。
 このようなちぐはぐな点についてもいろいろ問題点を指摘したいのでありますが、時間の制約で省きます。
 さて、第2点のベルー訪問中止については、祝典が延期になった時点で祝典出席以外の視察にとどめるか、訪問自体を取りやめるか極めて難しい判断を迫られ、最終的に県人会とも相談をし、訪問断念に至った県の事情については一定の理解を示すものであります。
 しかし、この件がペルー県人会の意向を受けてという形になっているにせよ、それはベルー県人会の母県への配慮であって、ペルー県人の皆様は厳しい社会不安の中で肩を寄せ合い暮らしている中で、母県からの訪問団を心待ちにしていたのではないかと思うのであります。
 しかも、それに加えて仲井真副知事を団長とする県の南米訪問団は、ペルーを素通りしてしまいました。アルゼンチン、ブラジル、ボリビアといわば隣近所まで来ているのに、素通りされたベルーの県人の皆さんたちはどんな寂しい気持ちだっただろうと思わざるを得ません。
 ペルーの日系社会の70%を占め、戦後の苦しい時代に琉球政府の送り出しによって移住された方々が多い中、これまで一生懸命働いてきたのに、フジモリ大統領施政下の政情社会不安を理由に母県の人は訪問せずに素通り、まさに棄民という言葉をかみしめていたかもしれません。少なく
とも訪問団全員が行かないにしても、だれか代表がベルーを訪れて県人たちを励まし、労苦を慰めるべきではなかっただろうかと考えるのであります。
 9月13日、週間レキオの「耳よりの話 耳の痛い話」のコーナーに、「なぜペルーに来なかったの」との大見出しのもと、ペルーの県人の皆さんの頭上を飛行機で素通りしている訪問団の様子が漫画として載っておりますが、ペルーの県人の心情をよく表現をしています。これがそれであります。仲井真副知事でしょうか、これは。(資料を掲示)
 そのことは、アルゼンチンまで集まったペルー県人の言葉からもうかがえるのであります。
 琉球新報の9月3日朝刊「テロ事件後のペルー情勢座談会」の中で、上原ペルー沖縄県人会長は、「当時の状況では式典は中止せざるを得ず、非常に残念だった。知事のペルー訪問も県と協議して取りやめてもらった。しかしなお残念なことが一つある。事件後、県から県出身者に対する激励のメッセージが一つもなかったことだ。」と語り、続けて同県人会の赤嶺顧問は、「県は国際交流に力を入れているのに残念だ。知事は、私たちから見たら母県の父だ。激励文の一つもほしかった。」と心情を述べておられます。
 そこでお尋ねいたします。
 1つ、これまで述べてきたペルーの県人の皆様の沈痛な心情を県知事としてどう受けとめておられるか。
 2、ペルー訪問中止の経緯とJICA農業技術者金良清文氏以来、テロの犠牲により非業の死を次々と遂げられた県人の御遺族への弔意と激励をこれまでどのような形で行ってきたか。
 3、ペルー訪問中止決定後、県人会にどのような対応を行われたか。県人会を通じ、苦境の中にある県人の皆さんの労苦に対し、何らかの激励の努力を行ったか、お尋ねをいたします。

 果たして、真の国際交流とは何なのか。パーティーを開いて酒を飲んで、ヒーヤサッサー、カチャーシーを踊って楽しく親睦を深めるのも国際交流の一側面であるとは思います。それはお祭り交流、お祝い交流の明るく楽しいバラ色の世界であります。
 私たちは、平和と安全が保障された日本と沖縄にいて、知らず知らず自分たちの物差しで国際交流を律していないか。相手国の事情、物差しに立って判断していくことが求められているのではないか。ベルーの場合のように、相手が苦境の中にあるときこそ本県の国際交流の真価が試されているのではないかと考えるのであります。イチャリバチョーデー、ヌーヒダティガアガ、タッチンクルリン、マジューンヤーという本県の国際交流の根本精神が果たして本物か、今、海外同胞から問いただされていると思わなければなりません。その点を見失うと、本県はせっかくの信頼をいつの日か失ってしまうのではないかと危惧するものであります。
 私は、今後、相手国の政情や治安に問題があっても、いや、そうであればこそ、そこに沖縄県人が踏みとどまっている限り、母県として従来の安全本位だけの発想の枠を超えた決断と行動に踏み切る覚悟が、特に有数の移民県である本県の国際交流行政に本物の国際交流として求められるのではないかと思います。
 これまでの経過を見る限り、大田県政の国際交流の展開にはウチナーンチュのチムグクルが少し欠けているのではなかったかと言わざるを得ません。この点について、ひとつ知事の明快な御所見を賜りたいと思います。
 2、今後、現地事情の把握と激励のため県関係者を派遣する考えがあるかどうか。
 3、テロ事件で延期された記念式典をことし11月ごろ実施する計画との話もありますが、日程が確定したとき、県首脳の出席を前向きに検討されるかどうか。
 4、総括として、大田県政の国際交流に臨む基本姿勢とは何か、お尋ねをいたしたいと思います。
 次に、福建省との姉妹都市提携につきましては、ことし5月中旬、沖縄経済同友会の一員として中国沿岸部の各経済特区を視察して回りました際、我が県と歴史的に一番縁の深い福建省の省人民政府におきまして嚇副省長にお目にかかった際、私の方から提案を申し上げ、同氏の前向きの答弁をいただいたものでありますが、改めて12月議会に掘り下げてお尋ねをいたしたいと思いますので、この際、福建省との姉妹都市提携について、まず、基礎的な調査検討にこれから着手するお考えはないかだけ前もってお尋ねしておきたいと思います。
 次に、県民栄誉賞創設についてお尋ねをいたします。
 果報は寝て待てという言葉に対し、果報は練って待てという言葉があります。よいことは練りに練って準備をして実現を期すべきだという考え方であります。
 スポーツの分野はもちろんのこと、教育、文化、社会福祉、産業分野、その他社会各界各分野において県民を奮い立たすような顕著な活躍をした人材の輩出があった場合、県功労賞のように、年がいってから功成り名を遂げてからではなく、発展途上の年齢であっても、国民栄誉賞に見られるように県民栄誉賞としての見地から積極的に全県的視野に立って表彰していく評価基準と制度を準備していくべきではないかと考える一人であります。これが21世紀に向けての県民激励の大きな原動力となることを願うものであります。
 例えば、甲子園優勝が先が大臣が先かとよく言われる県民の悲願でありますが、そのようなうれしい事態も県民の心情としてこれから想定をしたいものであります。県民栄誉賞創設についての前向きの御所見をいただきたいと思います。
 残りの項目につきましては、12月議会でいたしたいと思います。残った時間、代表質問との関連でいたしたいと思います。
 代表質問で我が党の崎浜秀三議員が大田知事に対して新石垣空港に関しまして、その予定地をごらんになったことがあるかという質問がありました。知事は、それをごらんになったということでありましたけれども、今後、八重山に赴きまして、その空港問題につきまして、今回、国の事業費が流れた点や、あるいはまた今後の取り組みについて八重山の県民の皆さんに直接お話を聞くと、耳を傾ける用意があるかどうか、その点重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉数昇明議員の御質問にお答えいたします。
 ランの花を県花として指定することはどうかという趣旨の御質問にお答えいたしますと、県花につきましては、御承知のとおり昭和42年にデイゴの花が指定され、広く県民に定着しておりますので、貴重な御提言として承っておきたいと思います。
 次に、真の国際交流とは何かと、ペルー訪問の中止との関連で、これまでのベルー県人の沈痛な心情を県知事としてどう受けとめているかという趣旨の御質問でございます。お答えいたします。
 私は、当初、ペルー県人移住85周年記念式典等に出席するためベルーを初め南米4カ国を訪問する予定でありました。
 しかし、その前にアメリカ訪問を終えたばかりであり、来年度国庫要請や復帰特別措置の延長、第3次沖縄振興開発計画の策定等の貴重な時期に差しかかっていたこともあって、私自身が引き続き長期の海外出張をすることは困難な状況にありました。そのため、副知事にお願いすることにしたわけであります。
 なお、ペルーにつきましては、御承知のように政情の急激な悪化もあり、同国の県人会会長から政情不安のため訪問を差し控えてほしいとの話などもあり、今回は訪問を取りやめたわけであります。
 このように諸般の事情によりペルー訪問がかなわなかったことは大変残念に思っております。一日も早くペルー国の治安が回復し、ペルー在住の県人の皆様が安心して生活できることを心から願っております。
 あえてつけ加えさせていただきますならば、アメリカ訪問の日程というものは、当初、私などが予定していたよりも相手の都合によっておくれたためにかち合うことになったわけでございまして、決して生半可な形の日程の組み方ではなかったことを御理解いただきたいと思います。
 それから、ベルー訪問中止の経緯及び非業の死を遂げられた方々の遺族への弔意と激励をどう行ってきたかという御質問にお答えいたします。
 ペルー訪問につきましては、当時、外務省からもペルー渡航については自粛するように勧告があり、ペルーの県人会と協議したところ、一連のテロ事件にかんがみ、ペルー訪問は差し控えた方がよいとの話があって中止したことは今申し上げたとおりでございますが、非業の死を遂げられた金良清文さんにつきましては、7月17日の告別式に際し弔電を送るとともに、香典と花輪をささげ、遺族を激励したところであります。
 その遺族に対する補償につきましても、国際協力事業団に対し特別な配慮を要請しております。
 それから、大田県政の国際交流に臨む基本姿勢とは何かという御質問にお答えいたします。
 国際交流を通じて恒久的な平和の確立と維持に寄与していくことは極めて重要なことだと考えております。しかも、その国際交流を通じまして県の自立的な発展を図ることを基本理念として国際交流を推進していきたいと考えております。
 特に海外に在住する県出身者とのネットワークづくりというものは、幸いにしてほぽでき上がっておりますので、県外の県系の方々と緊密な連携を図りながら、もしお困りの節には財政的な事情が許す限りお手伝いをさせていただいて、これらの国外に在住する県出身者の方々を通して国際交流を推進していくことがより適切であり、また効果も大きいという考えに立って推進しているところであります。
 なお、御意見につきましては貴重な提言として大事にしていきたいと思っております。
 それから、知事は、新石垣空港の現地を視察したとのことであるが、今後、地元住民と直接ひざを交えて話し合うことを考えているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 御承知のように、一連の合意形成作業の結果を踏まえて、現在、具体的に提案のあった3候補地について調査等の諸作業を進めているところであります。近い将来、これらの諸作業の経過を見ながら、必要で適切な時期を見計らって、私がじかに現地に参りまして御説明を申し上げ、御理解を得たいと考えております。

 その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 山城正栄君登壇〕
○農林水産部長(山城正栄君) 嘉数昇明議員の御質問にお答えいたします。
 「ランを県花にオーキッドアイランドを目指して」との関連で、第37回日本花卉生産者大会後の本県花卉振興への影響、全国に占める本県の花卉園芸産業のシェア、本県農業に占める位置づけ、ランの生産、出荷流通体制の現状と今後の展望についての趣旨の御質問でございますので、お
答えいたします。 
 平成元年度に本県で開催されました第37回日本花卉生産者大会は、御案内のとおり盛大かつ成功裏に終え、本県の花卉生産者に対し大きな励みとなり、また花卉産地としての沖縄を広く内外にアピールすることができました。
 本県の花卉生産は、年々順調な伸びを示し、生産額では平成元年現在で全国10位となっております。特に切り花類の部門では小菊は全国の生産額の35.7%、洋ランは17.6%を占めそれぞれ全国1位にあります。
 また、本県の花卉生産額は農業粗生産額の11%を占め、サトウキビ、野菜に次ぐ重要な作目となっております。特に洋ランの生産は近年急速な伸びを示しておりまして、昭和60年の生産額4億円から、平成2年には20億円と約5倍の増加となっております。
 今後、ランを初め、地域特性を生かした菊、熱帯性花卉等の生産振興を図るため優良種苗の開発普及、ハウス等近代化施設及び集出荷施設の整備等を積極的に推進いたしまして農家所得の向上と経営の安定を図ってまいる考えであります。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 知事公室長。
   〔知事公室長 大城進一君登壇〕
○知事公室長(大城進一君) 嘉数昇明議員から5点ばかり御質問がございますので、1つずつお答えをいたしたいと思います。
 1点目の、ベルー訪問中止決定後、県人会にどのような対応を行ったか、県人会を通じ県人に対し何らかの激励の努力をしたかという質問でございます。
 県は7月12日に、ペルーでJICA派遣の金良清文さんらが射殺されたとの報道に接しまして、直ちにペルー沖縄県人会と連絡をとり確認をするなど、同時に激励をしたところでございます。そして8月6日付で外務大臣に対しまして、ペルー共和国における日本人及び日系人の安全の確保について特段の配慮を要請いたしたところでございます。
 また先日、ペルー沖縄県人会の上原良和会長あて書状を送り、この困難な時期を無事乗り越えられるよう激励をしたところであります。
 2点目の、移民県である本県にとって、相手国の治安等に問題があっても、従来の安全本位の枠を超えた決断と行動に踏み切る覚悟と、国際交流行政が真の国際交流として求められるのではないかとの質問でございます。
 我が国有数の移民県である本県にとりまして、県民の移住先国との国際交流はいろいろな面で非常に重要であると考えております。
 今回は、外務省の渡航自粛勧告もありまして、また県職員の安全の確保もさることながら、ベルー訪問によって現地社会への多大な御迷惑をかけることも予期されたことから、総合的に判断をいたしまして、残念ではありますが、訪問中止となった次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。
 3点目の、現地事情把握と激励のため、県関係者をペルーに派遣する考えがあるかとの質問でございます。
 ペルー現地の事情把握につきましては、県人会長及びウチナーンチュ民間大使らと国際電話、ファックスなどで随時連絡をとっているところでございまして、またさらに現在もなお渡航自粛勧告も解除されておりませんので、今のところ県関係者をペルーに派遣する考えはありません。
 4点目の今年11月ごろ実施するという記念式典の日程が確定した時点で県首脳の出席を前向きに検討するかという御質問にお答えいたします。
 現地と連絡をとりましたところ、11月には芸能大会をメーンにした行事を考えているようでございますが、現地の、先ほど申し上げましたように治安状況が予測できませんので、今のところ県首脳の出席は予定をいたしておりません。
 5点目の福建省との姉妹都市提携について、基礎的な調査検討に着手する考えがあるか伺いたいとの御質問でございますが、中国との交流につきましては、九州青年の船あるいは中国における産業経済、教育文化事情視察研修、漁業研修員の受け入れなど各分野でこれまで実施をしてまいりました。
 また、本県は、文化形成におきまして中国、とりわけ福建省の影響を強く受け、歴史的に中国とは深い関係にありまして、今後とも中国と友好交流を図っていく必要があることは御案内のとおりでございます。
 福建省との交流につきましては、国の事業との関連で今年12月に福建省の福州市と泉州市から数名の地域リーダーを招聘する予定であります。このような交流を推進しつつ、姉妹都市提携につきましては、今後検討していく考えでございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後3時25分休憩
   午後3時25分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 知事公室長。
   〔知事公室長 大城進一君登壇〕
○知事公室長(大城進一君) どうも失礼いたしました。1点漏らしておりまして、嘉数昇明議員の御質問にお答えいたします。
 県民栄誉賞の創設について御所見をいただきたいという質問でございますが、現在、県におきましては県功労者表彰制度がありまして、この制度は長年、地域社会の発展に貢献した方、また人目につきにくい分野において長年、社会を支えてきた方など各界各層から候補者を選考いたしまして、それぞれの部門ごとに表彰を行っているところでございます。
 御提言の県民栄誉賞につきましては、既存の表彰制度の中で、先ほど申し上げましたが、広く県民に敬愛され、希望と活力を与えることに顕著な功績があった者を顕彰し、表彰することが、現行制度でできるかどうか、新たな制度の創設も含めまして今後検討をいたしたいと思います。
 以上です。
○議長(平良一男君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 通告に従いまして一般質問を展開いたします。
 まず1点目、自由貿易地域の制度改正についてでございますが、県案として8項目の内容が開発庁等関係当局に出されているようでありますが、その要請の経過、成果、見通し等はどうなっているのか。
 通産省が打ち出している輸入拡大政策と本県の自由貿易地域との関連、影響等々はどうなるのか御説明いただきたい。
 2点目、県立糸満青年の家の国旗掲揚についてお伺いいたします。
 私の手元に1週間連続して写した写真がございますけれども、9月27日からずうっと30日まで糸満青年の家は国旗掲揚がなされておりません。
 そういうことで、最近、地元の方から、どうして糸満青年の家だけ、規定では国旗掲揚することになっているけれども、なされてないかという意見が、指摘がございました。これについて担当部局はどう承知して、またどういう対応をしておられるか説明を願いたい。
 3点目でございますが、県知事の県政運営についてお伺いします。
 そのうちの1点目、平和の杜構想のこと、平和の壁のことについてでございますが、例の1フィート運動を沖縄で提起をした上原さんという方がおります。あの1フィート運動も、最初、上原氏が始めたはずのものが、いつの間にか革新団体がその主役になるということで私ども奇異に感じておりましたけれども、今回またまた平和の杜構想、平和の壁について県議会に陳情が出てまいりました。
 沖縄戦メモリアル運動と知事の剽窃についてということで、この文章を読みますると許しがたい大変な内容が含まれております。
 これについて上原さんたちは、訴訟も辞さないと、大田知事を相手に。自分たちのアイデアが、そしてこれまで一生懸命やってきた人たちの成果を、みずからの政治宣伝のために盗用をしていると、裁判も辞さないという厳しい陳情が議会にもなされております。

 その事実関係は、どういうことになっているのか、知事の所見も含めて御説明を願いたい。この問題については、文教厚生委員会でも徹底的に議論されるはずであります。
 2点目に、老人福祉についてお伺いをいたしますが、その中で1点目は、先ほどの本会議場での答弁で、知事は、選挙公約の老人医療無料化は制度上できないと答弁しておられましたけれども、知事がやりたくてもできない制度の壁とは何なのか具体的に説明をされたい。
 それから3点目に、先般の国会で老人保健法が共産党を除く与野党の賛成多数で可決をされております。その改正の特徴はどういうものなのか、どのように承知しておられるか。
 そして、老人医療無料化を大々的に宣伝してきた大田知事は、この老健法改正案については心痛む思いをしているはずであります。この改正の原則、基本は、負担の公平の理念が導入されてきているのでありますけれども、知事のこれまでの選挙からの老人医療無料化に対する宣伝と、現実との乖離の中でどのような所見を持たれているのか。
 あわせて、社会党さん、公明党さん、社民連さんあたりが、老健法改正に回った理由はどういう理由なのか、また知事としてどのように掌握しておられるか説明を願いたい。
 次に、現在の我が国の65歳以上の高齢者は何人いらっしゃって、そして総人口の何%を占めているか。
 そして、21世紀にはどのような構成になるのか。そして2020年には、我が国は世界一の高齢人口の国になることは必定であります。そのときの高齢者の人口の割合、これはどうなっているのか。
 そして、高齢者が急増することによっての医療費の推移はどのように変化をしていくのか。国民医療費と老人医療費のパーセント、金額等々についても説明を願いたい。
 この老人医療費を、大田知事が宣伝してきたとおり一部負担金を、個人負担金を全部県政が負担をするということになると、どうなっていくのか。
 それから、そのときの老人医療費を負担する若い世代がどのような形で人数が推移をしていくのか説明を願いたい。
 そして、その2020年に老人医療無料化を知事が言うとおりやるとなれば、本県の例えば本年度の一部負担金14億円を全部県が支出しなければならないことになる。さらに老健法の改正によっては、平成4年度には40億円近くを県が負担しなければならなくなるわけです。そして2020年に、大田知事が言うとおりになると、一体、県の財政負担は何%、県財政でどの程度の比率を占めるのか、具体的に説明を願いたい。
 次に、知事の県政運営の件で、先般、離島フェアが行われました。その隣で伊是名・伊平屋ふるさとシンポジウムがありました。そこで知事がわざわざお越しをいただきまして、来賓祝辞をしていただきましたことにつきましては感謝を申し上げるものでありますけれども、しかしそのときの知事のごあいさつの中に政治家として、県政運営の最高責任者としてどうしても私どもが許容できないような発言が多々ありましたので、その件を私のメモに従いましてただしながら質問を展開いたします。
 まず、知事が公の会場のあいさつの中で、本県は自主財源が13か14%しかないので、予算、いわゆる金をもらいに行くために十数回上京していると公言され、しかも1回上京するたびに250名以上に自分はいろんな要請をしてきているということをおっしゃっておりました。
 これはしかし常識で考えましたら、1回上京するたびに250名以上に会うことはどだい無理な話であります。それが250名、仮に会ってきたということならばそれで結構でしょうけれども、それならば十数回上京したことによって既に5000名近い関係要路の人々に知事は会ったことになるはずでありますけれども、そういう具体的に我々がわかるような形で説明をしていただきたい。
 それから次に、非常にこれは私が一番重要な問題としてとらえましたのは、沖縄は第1次、第2次振興開発計画でこれまで数千億円の投資をして社会資本の整備をやり、県民生活の向上、沖縄県は見違えるように変わってきたのは事実であるんです。
 これを、知事はこれまで12月、2月、6月議会で認めておられながら、またこういうことをおっしゃるわけですね。1次、2次振計では、離島が自立、自活できるような政策は何一つ成功していないと思っていると。そして第1次、第2次振計を通じて資金が投じられた割には、本島と同じようになったとの生活実感は今離島はないんだと、こういう発言をしておられたのであります。
まず、これまでの離島振興策というのは、効果がなかったという発言でありました。
 これにつきましては、担当の開発庁のみならず、これまでずうっと県政の衝に何らかの形でかかわりを持ってきた私どもとしても許しがたい発言でありますし、その程度の認識しか持たないのかということで情けなく思った次第でもありますけれども、これまでの第1次、第2次振興開発計画で続けてきた努力を全く頭から否定をしているような発言であります。
 離島の振興については、政府・自民党を初め屋良県政当時から西銘知事までの歴代知事が力点を置いて、力を入れて取り組んできたのは事実であります。その結果、十分とはいかないまでも道路、空港、港湾、漁港、圃場整備、水道、学校、公民館等の整備が進んで、農業、水産業、観光
も、さらに西銘県政時代に始められた離島フェアに刺激をされて加工分野もようやく芽を出しつつあるのが最近の実情であります。
 このような施策の展開によって人口減少に多少の歯どめがかかりつつあるのもこれまた事実であります。
 例えば、県統計課の推計によりますと、市町村内純生産は、久米島が57年度が113億200万円、63年度が168億9000万円です。久米島で約60億の純生産量の増加がなされているんです。
 伊平屋島が昭和57年13億200万、63年度20億1300万、あの小さな伊平屋島で約9億円の生産の増加なんです。
 伊是名島が20億から約30億、これも10億近い生産量の増加なんですよ。
 与那国で35億7400万円から46億4800万円、約11億という形で市町村の純生産というのは向上してきているんです。
 そこを否定するような発言をされているので、これは一体どう考えておられるか、非常に不可解でございますけれども、それで質問を続けます。
 知事は、どういう分析、評価のもとに、これまでの離島振興策は効果が何もなかったと発言をされたのか。これは都度都度伺っている言葉でございますから、その尺度、結論に至った内容を説明をしていただきたい。
 次に、第1次、第2次振計、この20年にわたってとられてきた政策のどこが悪かったのか。具体的に理由を挙げてどういう事業が、どういう施策が悪かったのか説明をしていただきたい。
 次に、開発庁を初め関係省庁、歴代知事、離島市町村、そして離島に住む県民が頑張ってきたと思う。それは徒労に終わっているということを意味するのであります。
 そういうこれまでの開発庁、関係省庁、歴代知事や離島市町村、そしてお互い県民、県議会も含めて離島のことに対して一生懸命頑張ってきたわけですけれども、それを全く否定するような評価の発言について明快に説明をしていただきたい。
 次に、知事の発言からすれば3次振計における離島の振興策というのは、これまでの離島振興策を抜本的に変更しなければならなくなるわけです。どのような形で離島に対する振興策を変更しようとなされるのか、これも説明をしていただきたい。
 次の質問に移りますけれども、同じく第1次振計、第2次振計、それぞれの期間に離島へどれだけの行政投資がなされたのか。これは知事もその点はあいさつの中で話しておりましたから、その明確な数字を示していただきたいのであります、金額まで。
 それから、都市にはシビルミニマムというのがございますけれども、離島にはアイランドミニマムという言葉があります。知事の考えから見るとアイランドミニマムとは何か、説明を願いたい。
 それから次に、県政運営で、昨日の本会議場における共産党の代表質問で、モノレール事業は、西銘県政時代は遅々としてその進展がなかったということを質間されておりました。

 そこで伺いますけれども、1、都市モノレール対策室がいつ設置をされたのか。そしてそのスタッフは何名か。
 2、これまでの事業内容と事業実施額、そして平成3年度、4年度のモノレール事業の内容とその予算額。本当に西銘県政時代、モノレール事業は遅々として進まなかったのか、それを知事もまたそう思っているのか、見解を賜りたい。
 そして次の質問は、離島を回るたびにお年寄りたちを見ると、胸を締めつけられる思いと知事は都度都度おっしゃっておりますけれども、まるで本県の離島のおじい、おばあは、離島のうば捨て山に捨てられているかのような誤解を与える発言であるんです。行政に責任のある人の発言として許されざる発言であります。
 しからば、昭和50年と62年度の離島における老人福祉、医療関係予算の比較をしていただきたい。その結果に対する所見はどうなのか。今でもうば捨て山に捨てられているような感じで、知事は離島の問題を理解しておられるのか。
 御答弁によって再質問します。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西田健次郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、平和の杜構想との関連で、平和の壁は剽窃ではないかという御質問についてお答えいたします。
 1フィート運動の話がありましたけれども、ただいま名前が挙がりました上原君というのは、私自身が1フィート運動の事務局長として起用したものであります。
 平和の杜構想というのはまだ煮詰まった案ではございませんが、私は戦後生き延びたときに、真っ先に同級生や先生たちの遺骨収集をしました。そして慰霊の塔を建てました。そして離島から、その慰霊の塔へ参拝する親たちが、私たちがその慰霊の塔に刻んだ死者たちの名前を一々なぞって、そしてこの世に自分の息子が生きていたという存在を示すのは、この名前だけしかないというかのようにやっておりましたので、非常にこれに胸を打たれまして、必ずや他日、そういった種類の塔を建てたいとずうっと戦後言い続けてきたわけです。
 しかも最近の状況は、遺族たちがすっかり老齢化してしまって、そしてその死者たちの跡を弔う人もいないと。そういう慰霊祭のたびにそのような実情を見て、私は大学にいるころから、何とかして沖縄戦の犠牲者の名前を残す塔をつくりたい、あるいは何らかの形でその名前はとどめておきたいと。これこそが10代で戦死した人々、あるいは教師たちが、この世に生きていた唯一のあかしになるということでずうっと思っていたわけです。ですから剽窃という意味はよくわかりません。事情を確かめて私もそれなりに対応していきたいと思います。
 それから、老人福祉問題についてでございますが、公約の老人医療無料化は制度上できないと答弁しているが、やりたくてもできない制度の壁とは何か、具体的に説明されたいという御質問にお答えいたします。
 老人保健法で言う一部負担金に対する助成による無料化につきましては、法の趣旨及び厚生省の関係通知並びに予算上の制約から実施は困難であります。したがいまして県としては、所得の低いお年寄りの方々に対し、保険外負担等の医療に関連する費用が実質的に軽減できるような措置として福祉医療助成措置を講じていきたいと思っております。
 それから、先般の国会で老人保健法が可決されたが、その改正の特徴は何か。また知事の所見とあわせて社会党、公明党等が賛成に回った理由は何かという御質問にお答えいたします。
 今回の老人保健法の改正は、これからの老人問題の中心課題である介護体制の充実に重点を置いた制度改正を行うとともに、今後ともふえ続ける老人医療費について国や地方も老人自身も、制度を支える現役世代も、その負担を適切に分かち合うこととして老人保健制度の運営の安定化を目指すものであると理解しております。
 なお、社会党、公明党、社民連が賛成に回った理由については、残念ながら十分な情報を持っておりませんので、お答えできかねますので、御了解いただきたいと思います。
 次に、知事の県政運営について、公のあいさつの中で、本県の自主財源が13%、14%しかないので、予算をもらいに十数回上京し、1回の上京で250人に会うと言っておられるが、それを具体的に説明してもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 実はこの点につきましては釈明させていただきたいと思いますが、私は非常に忙しい時期でしたけれども、伊是名、伊平屋出身の方々がぜひ参加してくれと要請を受けましたので、同じ離島出身として何とか都合をつけて行きたいということで、ここにちゃんとあいさつ文を用意して行きました。(資料を掲示)
 ところが、集まった方々の顔を見ますと、こういう公式のあいさつ文であいさつするにはどうもふさわしくないというふうに思いましたので、その場でこれをほとんど押さえる形で、親しみを込めて日ごろ私が感じていることを申し上げたのでございまして、これは後ほど必要であれば西田議員にお見せしますけれども、この中身をごらんいただければ、そこはぜひ御理解いただけると思います。
 それで私が申し上げた真意は、要するに、まだ就任して離島の島々も回っていない段階で、東京へは十数回も上京して、そして政府の皆さんに──これは違った人じゃなくて同じ方にも何度もお会いするわけでございますが──200名余りの方々にお会いしてお願いするような状態です
と。つまり沖縄の自己財源というのはまだ十四、五%、3割自治にも達していないと。
 ところが、これには前段階がありまして、神奈川県の方の知事とお会いして、神奈川県では年に1回上京するかしないかであるということを聞きました。その理由を聞きますと、70%の自己財源を持っているということを伺いまして、なるほどということで、我々も沖縄でももっともっとその自己財源をふやすことによって、いわゆる陳情行政と言われるようなことを少しでも減らしたいという趣旨のもとで申し上げたことでございます。どうか、それを御理解いただきたいと思います。
 それでその次の御質問で、知事はどういう分析評価のもとに、これまでの離島振興策は効果が何もなかったと発言したのかと。その尺度、その結論に至った内容を説明していただきたいという趣旨の御質問でございます。
 これは、今申し上げました「21世紀の伊是名・伊平屋」における私のあいさつとの関連での御質問でございますので、お答えいたします。
 当日、私が述べました真意は、これまでの離島振興策の効果を否定したものではなくて、むしろこれまでも大変な努力がなされたが、これからもなお一層県と一体となって頑張っていただきたいと激励の意を表明したものでございます。
 すなわち、私はあいさつ文のあいさつの中で、本県の53市町村のうち24市町村は離島にあるので、離島の振興なくして本県の発展はあり得ないという基本認識に立って、これまで以上に官民が一体となって離島の振興に取り組まなければならないことを強調したのでございます。ですから、どうかその点、そして私はその中で、これまで沖振法に基づく高率補助、その他のものについて具体的に触れてございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、1次、2次振計、この20年にわたってとられてきた政策のどこが悪かったのかと、具体的に例を挙げて説明願いたいというお話でございますが、今も申し上げましたように2次にわたる沖縄振興開発計画等に基づき離島振興施策が積極的に推進され、各分野において相当の成果を上げております。このことは、私は十分に評価しているものでございます。
 しかしながら、離島の持つ固有の地理的、自然的条件で依然として我々が努力すべき点があるということを申し上げたわけでございますので、御理解賜りたいと思います。
 それから、沖縄開発庁を初め関係省庁、歴代知事、離島市町村、そして離島に住む県民が頑張ってきたと思うと、それは徒労に終わっているということか、評価するのかしないのか明快に答えてくださいということでございますが、私は、これまで沖縄開発庁を初め関係省庁の御配慮、また県、市町村並びに地域住民の努力に対しては十分に評価しているものでございます。

 それから、3次振計における離島の振興策は大幅に変更しなければならないのかという趣旨の御質問にお答えいたしますと、私は、決してそうは思っておりません。
 第3次振興開発計画の県案の策定に当たっては、多様化する地域住民の要望の実現を図るため総合的に施策を講ずる必要があると思っております。
 したがって、離島振興策を特に大幅に変更するわけではなくて、むしろ21世紀に向けてその延長線上で、次のような施策を講じる考えでございます。
 すなわち、離島地域住民の自助努力と地方自治体による積極的な島づくりの必要性を指摘し、自然と人間の共生、島の特性の活用をキーワードとする新たなビジョンの確立に取り組むこと、さらに海洋の利用、地域環境の保全整備、産業システムの形成、地域文化の振興等に関する総合的な地域デザインによって、小規模な離島社会の個性に合った施策の推進を考えているところでございます。
 次に、同じく1次振計、2次振計、それぞれの期間に離島へどれだけの行政投資がなされたか明確な数字を示してほしいという、そしてまたその金額は、どの分野にどれだけ投下されてきたのか示してもらいたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 第1次沖縄振興開発計画──これは昭和47年から56年にかけてでございますが──では約3193億4400万円、総事業費の27%、さらに第2次沖縄振興開発計画──昭和57年から平成元年まで──では約5180億7200万円、総事業費の32
%となっており、昭和47年度から平成元年度の期間に離島に投資された離島振興事業費は合計約8374億1600万円で、総事業費の約30%となっております。
 なお、後ほど事業費の分野ごとの内訳につきましては担当部長から説明させますので、よろしくお願いいたします。
 次に、都市にはシビルミニマムということがあります。これに対し、島にもアイランドミニマムというのがあると思うが、知事の考えから見るアイランドミニマムとは何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
 シビルミニマムとは、一定水準の市民生活を送るために必要とされる社会資本や社会保障などの最低基準、すなわち市民生活水準であると言われており、離島においても同じであると考えます。
 したがって、離島住民も本島と等しく医療、福祉、教育、文化等の恩恵に浴し、安全、快適で文化的な生活を営めるよう諸施策を講ずる必要があると思っております。
 それから、次の御質問は、離島苦解消のための事業で優先順位をつけるとすれば、どの事業か伺いたい、そして本島との生活実感が同じになるにはそれぞれの事業に、どの程度の予算が必要か伺いたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 離島苦の解消を図るには、本島との格差を是正することが基本だと考えております。そのためには、各種の基盤の整備を初め医療福祉の充実を図るなど、調和のとれた総合的な施策が必要であると考えます。したがってそのための諸施策のうち何を優先するかについては、それぞれの島の諸条件が異なることから、一概に順位をつけることは難しい面があります。
 あえて申し上げますと、低迷する離島経済を浮揚するために第1次産業の体質を強化し、観光産業に結びつく高付加価値化することではないかと考えます。また、離島の住民が本島と同じ生活実感を持てるようにするためには、何よりも離島の産業振興に新しい展望が開かれるような高い水準の社会資本の形成が必要ですが、離島に対する行政投資額につきましては、現在、第3次沖縄県離島振興計画の策定作業を進めている段階であり、その中で検討してまいりたいと思っております。
 離島振興策との関連で特に申し上げたいことは、地域住民の自助努力や地方自治体による島づくりと連動した関連事業を促進する必要性についてでございます。
 言いかえますと、島興しは政府の財政的支援の重要性は無論のことでございますが、島に住む人々がみずからの手による自主、自立的な地域づくりに努力することはもとより、島外に住む郷友会の方々にも御参加していただいて、地域と行政が一体となったネットワークを形成し、創意と工夫を凝らした地域づくりに励みたいということでございます。
 あと1つ、離島を回った場合のお年寄りについて胸が痛くなると申し上げました真意は、私はまだ当選してからは離島は、久米島にこの間空港の起工式に参加したばかりでございまして、その他の島々は回ってございませんけれども、選挙前に私がお会いしたときには老人ホームがないとか、そういったことを訴える方々がおりましたので、私が胸が締めつけられる思いがしたと申しましたのは、この方々は戦争を生き抜いて、その後も非常に御苦労されているけれども、本島並みにはまだ処遇を受けていないと、行政の恩恵を受けておられないということで胸が痛むという意味で申し上げたわけでございますので、どうかそこは御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 仲里全輝君登壇〕
○企画開発部長(仲里全輝君) 西田議員の御質問、離島振興事業費の1次、2次振興開発計画を通しての各分野ごとの内訳を申し上げます。
 まず、1次振計の場合でございますが、産業振興に1163億6000万円、2次振計で産業振興に2325億1700万円、合計いたしまして3488億7700万円。
 それから、1次振計で交通通信体系の整備に1158億7800万円、2次振計で交通通信体系の整備に1769億3200万円、合計いたしまして2928億1000万円。
 水資源の開発、1次振興開発計画で20億3200万円、 2次振計で29億6000万円、合計いたしまして49億9200万円。
 それから、生活環境施設の整備、1次振興開発計画で768億9500万円、2次振計で929億1700万円、合計いたしまして1698億1200万円。
 自然環境と国土の保全に対して1次振興開発計画で81億7700万円、2次振興開発計画で127億4400万円、合計いたしまして209億2200万円。
 これを総計で、1次振計で先ほど知事から申し上げましたように3193億4400万円、2次振興開発計画で5180億7200万円でございますから、総計で8374億1600万円となってございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 比嘉秀雄君登壇〕
○商工労働部長(比嘉秀雄君) 西田健次郎議員の自由貿易地域制度の改正について、県案8項目の内容の要請と経過、成果、見通しはどうなっているかという御質問について御答弁申し上げます。
 本県におきます産業振興施策の一つである自由貿易地域制度につきましては、自由貿易地域那覇地区の活性化を含め、その拡充強化を図る必要があると考えております。
 そこで、この自由貿易地域制度の改正につきまして、去る8月21日付で知事名をもって沖縄開発庁を初め関係省庁に、知事、副知事、企画開発部長等とともに正式に要請しましたけれども、その中身につきましては自由貿易地域制度、沖縄振興開発特別措置法に規定する自由貿易地域に関する税制等の特別措置について、平成4年4月1日以降引き続き延長すること、さらに業務の拡大等税制等の支援措置の拡充を図ることということで要請を正式に行ったほか、数次にわたりまして要請を行っているところでございます。
 この制度改正に当たりまして検討すべき具体的事項といたしましては、事務レベルで開発庁と協議を行っているところであります。
 その過程で、担当部局としてまとめたのがたくさんの関係業者等からの要望等も踏まえながら、検討して8項目に絞り込んでいる過程の中で、新聞報道された経緯があることは御案内のとおりでございます。
 しかしながら、これからも引き続き協議を重ねていく予定でありまして、今ここで個別、具体的な説明は差し控えさせていただきたいと考えておりますので、御理解をお願い申し上げたいと思います。
 その実現の可能性につきましては、これまでの折衝の経過にかんがみ極めて厳しいものがありますが、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、これらの項目のうち、1、自由貿易地域投資損失準備金制度の立ち上がり支援機能の強化、2、税制優遇対象業種──現在は御案内のとおり製造業でございますけれども──4業種の拡大ということ、3番目に、事業所税の非課税措置の3項目につきましては御案内のとおりと思いますけれども、実現可能性が高いとの感触を得ているところでございます。

 次に、通産省の打ち出している輸入拡大政策と本県の自由貿易地域との関連及び影響についての御質問にお答え申し上げます。
 自由貿易地域制度は、本県の貿易の振興を図る地域振興施策であり、一方、いわゆる通産新法は貿易摩擦解消策としての輸入促進施策であります。本来、両制度は、設置の目的を異にするものであります。
 しかし、自由貿易地域那覇地区が輸入加工型の理念において指定された経緯及び同地域の貿易形態及び今後の自由貿易地域のあり方等から、自由貿易地域は実質的にはフォーリン・アクセス・ゾーンと競合する面がありますし、自由貿易地域制度の目的を損なうおそれがあるのではないかとの懸念があることも承知しております。
 したがいまして、県といたしましては、自由貿易地域制度が税制、金融上の措置等において優位性を維持し、通産新法にあって自由貿易地域制度にない措置については、それが自由貿易地域制度充実に資するものである事項につきましては、自由貿易地域に取り入れてもらえるよう関係機関等に要請してまいりたいと考えております。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) 西田議員の老人福祉についての質問の中の、我が国の65歳以上の高齢者医療費の現状と今後についてはどうなるのか、また、医療費を負担する若い世代はどのように推移するのかという御質問にお答えいたします。
 厚生省の資料によりますと、平成2年10月現在の65歳以上の人口は1490万人で、総人口の12.1%となっております。西暦2020年には3197万人で、総人口の25.2%になると推計されています。
 国民医療費については、1990年は21兆円で、そのうち老人医療費は6兆円となり、国民医療費の29%を占めています。2000年には43兆円で、老人医療費は16兆円となり、国民医療費の37%を占め、さらに2010年には国民医療費は88兆円、老人医療費は36兆円で、国民医療費の41%と推計されています。
 次に、15歳から64歳までの生産年齢人口は、平成2年10月現在、8623万人で総人口の70%でありますが、2020年には7532万人で総人口の59%と推計されております。
 次に、同じく老人福祉についての公約どおりに老人医療無料化を実現すると、県が負担すべき14億円からどのようにして推移していくのか、今後どうするのかということについての御質問にお答えいたします。
 県といたしましては、福祉医療助成措置を講じていきたいと考えておりますが、お尋ねの老人保健法の一部改正後の患者の一部負担金について申し上げますと、平成2年度の16億円から4年度は約25億円、5年度は約30億円、6年度は約32億円となる見込みでございます。
 なお、県財政の何%かにつきましては今のところ把握しておりませんので、御理解をいただきたいと思います。
 それから、同じく我が党代表質問との関連についての昭和50年度と昭和62年度の離島における老人福祉施策の比較はどうなっているのか、その結果に対する所見はどうかという質問の中の老人福祉施策について御説明申し上げます。
 老人福祉施設の整備状況について比較申し上げます。
 昭和50年度と昭和62年度における老人福祉施設の状況は、特別養護老人ホーム等の施設整備数が4カ所から14カ所にふえ、また在宅福祉施策としての家庭奉仕員が27人から34人になり、7人の増になっております。さらに新たに昭和55年度から在宅老人短期保護事業が、また昭和62年度から寝たきり老人等介護老講習会事業等が実施されるようになり、年々制度の拡充が図られているところでございます。
 なお、離島に対する医療福祉費の予算についての資料が手持ちございませんので、民生費の全体予算について申し上げますと、昭和50年度が民生費で84億円、それから昭和62年度が270億円というふうになっております。
 そしてこれを県財政と比較申し上げますと、昭和62年度が県財政の7.2%、それから昭和50年度の比較がございませんで、昭和53年度で比較申し上げますと6.3%というふうな状況になってございますので、御理解願いたいと思います。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 金城 毅君登壇〕
○環境保健部長(金城 毅君) 西田健次郎議員の御質問の中の、昭和50年度と昭和62年度の離島における医療関係施策の比較はどうなっているかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 昭和50年度との比較ということでございましたが、昭和51年度から現在の統計処理の方法に変わったことから、昭和51年度と昭和62年度の医療施設数、医師数及び無医地区の状況を指標として比較しお答えいたします。
 昭和51年度では医療施設数が61カ所、医師数が66人、無医地区が26カ所でありましたが、昭和62年度には医療施設数が74カ所、医師数が115人、無医地区が12カ所となっております。
 また、救急搬送体制と巡回診療事業につきましては、昭和51年度当時と同様の体制で継続して実施しております。
 昭和51年度と62年度を比較してみますと、ただいま申し上げましたように漸次改善されておりますが、離島における島外受診による経済負担の問題や医師の確保等その対策はまだ十分でなく、今後とも離島僻地における医療の確保につきましては、重要な課題として今後きめ細かい施策を講じていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) モノレール建設についての御質問、1つ、都市モノレール対策室の設置年月日、対策室のスタッフ、人員、これまでの事業実施額及び内容、4つ、平成3年度の事業実施額及び内容、5つ、平成4年度の予算、どのような事業をするのか、6つ、前県政時代の事業の取り組み状況についてお答えいたします。
 都市モノレール対策室は、昭和54年10月に設置され、職員は現在31名で、モノレール建設に向けて努力しているところでございます。
 これまでの事業実施額とその内容につきましては、昭和55年度から平成2年度までに関連街路事業として380億6700万円、インフラ部事業として9億8600万円で、総額390億5300万円の事業を行っております。
 平成3年度の事業は、関連事業として21億2000万円を計画しております。
 平成4年度は、モノレールに必要な関連街路事業として7億9000万円の計画をしております。
 前県政におきましては、モノレール事業のハード面が進んでおり、また特許申請に向けて沖縄県知事及び那覇市長名で、建設省都市局長、沖縄開発事務次官と確約した5項目の解決を図るため鋭意努力してきたと認識しておりますが、今後とも特許申請に向けて、なお一層の努力をする必要があると考えております。
 以上です。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 県立糸満青年の家の国旗掲揚について、県立糸満青年の家において国旗掲揚がなされていない旨、一般市民から通報があるが、国旗掲揚についての指導はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 県立青少年教育施設の国旗掲揚については、文書によりその掲揚を指導してきたところでございます。
 御指摘のとおり、県立糸満青年の家においては国旗の掲揚がされたいことがありましたが、指導により現在は他の県立青少年教育施設と同様に国旗掲揚が行われております。
 以上でございます。
○西田健次郎君 議長、休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時16分休憩
   午後4時24分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
 まず第1次振計、第2次振計でどのあたりが効果を上げなかったかという趣旨の御質問かと思いますが、私が考えておりますことは、まず第2次振計の計画フレームで平成3年を目標年次にして達成できなかったものとして県内純生産がありますが、これは平成3年までの目標がおおむね2兆4000億円でございますけれども、平成2年度の実績で見ますと1兆6700億円で69.6%の達成率でございます。

 それから、第1次産業の比率は6%に設定されておりますが、平成2年度の実績は3.4%で57.3%の達成率でございます。したがいまして、そういった状況から1人当たりの県民所得も平成3年度に200万円を達成目標としておりますが、平成2年度の実績は149万円で74.5%の達成率になっております。
 こうした点が積み残された大きな課題というふうに申し上げているわけでございます。
 それから、2番目の点につきましては、若干問題というか、よく存じておりませんので後ほどまたお願いいたしますが、3番目のシビルミニマムとの関係でアイランドミニマムということで、私はいわゆるシビルミニマムについては先ほど申し上げましたけれども、私個人がアイランドミニマムという概念をまだよく把握しておりませんけれども、しかし私の考えではシビルミニマムの達成を、いわゆる島々でやるのは非常に困難ではないかと。したがって島々ではシビルミニマムとは若干異なった、つまり基本としてはシビルミニマムと同じ目標かと思いますが、しかしとりわけ離島の過疎化現象とか、あるいは過疎化が急激に進むということとか、そういうものがありますので、シビルミニマムになおそうした問題を含めて考えるのがアイランドミニマムではないかと。少なくともこれは私の極めて個人的な考えでございますが、そういうふうに考えております。また勉強させていただきます。
 それから、モノレールにつきましては、先ほど部長からも説明がありましたように、御指摘のとおりこれまで前県政の間にハード面はほぼ80%ほど完了しており、400億余りの投資がなされていると伺っておりますので、それだけの投資を活用しないことはないということで、それらの前県政の達成したのを踏まえて、その効果をあらしめたいということで今、一生懸命に取り組んでいるところでございますので、御理解いただきたいと思います。
 それから、老健法に関連いたしまして社会党、公明党、社民連が賛成に回った理由は承知していないというのはおかしいじゃないかという趣旨の御発言ですが、その点につきましては私が申し上げましたように老健法の改正の趣旨が御指摘のとおり負担の公平ということにございますので、その点をみんなが配慮したのではないかということ。しかし社会党や公明党あるいは社民連の個々のその問題についての立場について、大変申しわけないが、よくまだ十分に知っていないので、よく存じませんと申し上げたわけでございますから、御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○西田健次郎君 議長、ちょっと休憩してください。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時28分休憩
   午後4時32分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) モノレール事業につきましては、これまでの県政、これまでの行政の御労苦に対しては評価いたしております。
 それから伊平屋、伊是名、与那国における純生産の増加というのは、これは増加していることも評価いたしております。
 それから、離島における医療施設の問題につきましては、確かに第1次振計以来相当の改善がなされておりますが、依然として無医地区みたいなのも残っておりますので、その辺に力を入れたいということを申し上げているわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時34分休憩
   午後4時35分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) お答えいたします。
 各党の賛成理由につきましては、ただいま知事が御答弁申し上げたとおり私たちの方でも十分把握されておりませんので、ここでお答えできませんことを御理解いただきます。
○西田健次郎君 議長、休憩。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時36分休憩
   午後4時38分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) 御答弁申し上げます。
 ただいま西田健次郎議員の各党の見解ということでございますけれども、新聞の社説によりますと、政府が言っている深刻な事態を迎えるから、老人にも負担してもらうということに対して、社会や公明、民社、社民連など野党が賛成したのもそういう事態を念頭に置いたからであろうというふうに新聞で報道しております。その程度しかわかっておりません。
 それから、現在、国会でのやりとり等につきましては、調査させている段階でございますので、御理解願いたいと思います。
○西田健次郎君 議長、もう一つ答弁漏れ。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時39分休憩
   午後4時40分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 先ほども申し上げましたように、自己財源を拡大することがいかに重要かという立場から、上京するときに重要な問題につきましては250人近くの、あるいは前後の人たちにお会いせんといかぬ、お会いすることが必要だということを申し上げたわけでございますが、例えば3次振計等の策定等で沖縄開発庁、各省庁に対し私と仲井真副知事2人で、3月に234人、4月に191人、8月に151人にお会いしております。そしてこれらのほかに、実は私はまだ新米でございますので、予算を政府にお願いする場合にはどのような方法がいいかということで、私のいわゆる人脈とでも申しますか、そういう方々にもお会いしておりますので、そういうのを含めてこれだけたくさんの人にお会いして予算を一生懸命取らぬといけませんよということを申し上げているわけでございますから、そこをどうか善意に御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 時間がありません、急ぎます。
 まず、知事は選挙のとき、それから数力所で、しっかりした行財政計画さえあれば政府に頭を下げる必要もないというような発言をしておられたわけですけれども、現実に県政を担当してみて沖縄の自主財源の低さから、これはもう政府関係要路に行って頭を下げなければ金がもらえない、予算がもらえないと、こういうふうに認識が変わったと理解していいのかどうか、明快に答弁いただきたい。
 それから生活福祉部長に、これは実際情けない話でありますけれども、老人保健法の改正というのは国民的な課題として国会で議論されてきたんです。それについて内容を承知してないということ、これはもうふざけた話でありまして、これについては知事に当然レクチャーしておくべきですし、当然また専門の担当部局として、一体国会の動きがどうなっていくのか、そういうことを把握しておくべきです。今のような答弁で、新聞に出ていることしかわかりませんということでは、これはもう生活福祉部長の答弁というのは納得できるものではないので、いま一度専門の担当部長として明快にそれに対する見解を述べていただきたい。
 それから、モノレールにおけることについては、知事は評価をするということを申し上げた。それならば、きのうの共産党さんが前県政時代、遅々として進まなかったモノレール事業という批判は全く間違っているということを知事が承知していると、そのように理解していいのか、いま一度返事をいただきたい。
 それから、振興事業への評価につきましても、第1次、第2次振興開発計画では、自立、自活できる事業はほとんど成功してなかったという発言についても見解を改められましたので、それは善意に解釈をして、これからそういう誤解を受けられたいようなごあいさつをお願いしていただきたい。
 それから、沖縄戦メモリアル運動との知事の剽窃について、今、陳情書が出て知事の手元にも届いているはずであります。
 これについて、革新知事が、反戦平和を旗印にしている大田県政が、何という情けない話だと。住民を助ける立場の知事が、住民の始めた仕事を奪おうと、許さないぞと、こういうことについて知事と面会したいきさつ、具志頭村長、会わなかったということ等についていま一度説明をしていただきたいと思います。

 それから、老人保健法につきましては、制度上無理だということで言いましたら、老人医療云々言っておりました。
 しからば、選挙のときに老人医療を無料化するということについては自分たちの認識不足、勉強不足、行政、政治を知らなかったためにああいう老人医療を無料化するということを無責任にも言ったということであったという形で反省をしているということで理解していいかどうか、明快に答弁いただきたい。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時45分休憩
   午後4時45分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
 行財政をしっかりすれば頭を下げる必要はないと申しました。選挙戦のときでもありまして、そういう抽象的な議論も出てきたと思いますけれども、正直申し上げて、実際に行政に入ってまいりまして、非常に行政の内部、政治の内部、予算の仕組みというものが難しいというのを実感いたしておりまして、もっと慎重に言葉を選ぶべきだったなということは反省しております。
 それから、モノレールにつきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、私自身はこれまでのハード面での成果については評価しております。
 ただ、その成果が生かされないままに放置されるのはいけませんので、私としては精いっばいの努力をしていきたいということでございます。
 それから、今、具志頭村長と会わなかったことはどういうことかということですが、この点については私存じませんので、一緒に陳情に来たときにはどういう人だったかというのはよく記憶しておりませんが、何人かの人たちと一緒に具志頭につくりたいと言うから、どうぞつくってくださいというふうに申し上げた記憶があります。
 それから、老人保健法につきましても、いまさき申し上げましたように中身について正直申し上げて、今から考えますと十分に理解していたかったなと、その仕組みについてもっと勉強すべきだったなという感じで考えております。
○議長(平良一男君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 山里 明君登壇〕
○生活福祉部長(山里 明君) お答えいたします。
 今国会におきまして、政府原案に対しまして与野党から共同修正案というのが出されました。
 これは、共同修正案について申し上げますと、1つ、患者一部負担金について、政府原案の入院1日800円、入院外1月1000円を、入院1日600円、入院外1月800円に圧縮し、平成4年1月から施行し、平成5年度からは入院700円、入院外1000円に再度引き上げた上で、平成7年度以降は引き上げ幅を消費者物価スライドさせて決定する方式を導入すると。
 それから2番目といたしまして、公費負担拡大の対象として老人保健施設、介護体制の整った老人病院としている政府原案に加えて、老人訪問看護制度の療養費も5割拡大する、こういう修正案が出されまして、この修正案につきましては衆参両院の共産党を除く社会、公明、民社、連合参議院、進民連の5会派と自民党で調整しているが、消費者物価スライド制導入に対して公明党がスライドの上限を附則で明記するよう要求して9月27日可決された状況でございます。
 この事案については把握しておりますが、これが賛成に回った理由であるかどうか十分把握しておりませんので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 ここで明快になりましたのは、モノレールに対する与党第一党の指摘が全く間違っていたということを知事が認めたということ。
 それから、行財政計画があれば政府折衝も必要ないと言っていたことについては知事も反省をしているということ。
 それから、振興事業の評価についても同じでございます。
 そして老人福祉医療につきましても、無料化ということで宣伝したことは大変勉強不足であったということを反省しているということ、こういうことを知事が公に認められたということを評価をして、そして委員会等、これからまた引き続き県政の場でこの問題は真摯に議論していくことを申し上げて、終わります。
○議長(平良一男君) 休憩いたします。
   午後4時51分休憩
   午後5時40分再開
○議長(平良一男君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 松茂良興辰君。
   〔松茂良興辰登壇〕
○松茂良興辰君 通告内容の趣旨に基づいて一般質問いたします。
 最初に、首里城公園計画と文化行政のあり方についてでございます。
 昭和61年11月28日、首里城跡地約4ヘクタールを首里城の中核的施設である正殿等の建築物の復元を中心に国営公園として整備することが閣議決定されました。
 一方、本県にあっては国営公園首里地区予定地の周辺を県営公園とすることを庁議決定し、昭和62年2月27日、首里城公園として約17.8ヘクタールが都市計画決定されております。その結果、国営沖縄記念公園は全国で5番目に事業化され、沖縄国際海洋博覧会を記念する海洋博覧会地区と沖縄の復帰を記念する首里地区の2カ所の地区を持つモニュメント公園、すなわち口号国営公園と位置づけられました。
 以上の経緯から、首里城公園計画区域約18ヘクタールのうち、城郭内側の区域約4ヘクタールが国の都市公園整備事業として、城郭外側の区域約14ヘクタールは、県営公園事業並びに首里城城郭等復元整備事業として整備されることとなり今日に至っております。
 復帰20周年記念事業の一環として、昭和61年度より事業着手した国営沖縄記念公園首里地区は、計画どおりにいきますと平成4年度に一部供用開始となっております。
 そこでお伺いいたします。
 1、供用開始の日時の特定について。
 1、一部供用開始に伴う記念事業開催の内容や規模等について。
 一方、首里城公園の事業区分並びに関連事業区分として、本県や那覇市がかかわっている事業名に県営公園事業、首里城城郭等復元整備事業、県道事業、都市計画道路首里城線街路事業等があります。
 関連してお伺いいたしますが、各事業名ごとの具体的整備計画と工事の進捗状況及び供用開始の目途について承ります。
 御周知のとおり、第2次沖縄振興開発計画の公園緑地の項では、「首里城跡一帯の歴史的風土を生かしつつ、公園としてふさわしい区域について、その整備を検討する。」とあり、文化財の保護及び芸術文化の振興の項では、「琉球大学移転後の首里城跡一帯については、歴史的風土の保存と整備に努める。」とそれぞれ記述されています。
 加えて、本県の平成4年度重点施策の中では、「首里城跡一帯の歴史的風土、文化的遺産の保存と整備に努める。」とありますが、次の諸点についての御見解を伺うものであります。
 1、歴史的風土と文化的遺産の意味する概念と認識について。
 1、保存に対する概念と認識について。
 1、「首里城跡一帯」という「一帯」についての概念と範囲について。
 1、首里城公園計画基本方針との関係における県立博物館新館建設構想の場所選定に対する認識と対応について。
 さて、首里城公園の一部供用開始を来年度に控え、再来年のNHK大河ドラマで琉球王朝の放映が決まったというビッグニュースに接し、まことに御同慶の至りであります。
 また、一部供用開始に向けての課題でありました管理運営については、一元的に海洋博覧会記念公園管理財団に当たらせること、同時に、管理運営を安定的に行うための基金造成に関し、沖縄開発庁では1992年度概算要求に1億円を計上したということを地元有力日刊紙の報道記事や社説を通じて承知しています。
 特に基金造成については、平成4年度本県重点施策において、「首里城公園の円滑な管理運営を図るため、基金の造成に努める。」と積極的姿勢を示していただけに国との整合性が図られたものと評価しています。
 関連して次の点をお尋ねいたします。
 1、首里城公園の一元的管理運営を海洋博覧会記念公園管理財団に決定したという事実経過と結果について。

 1、沖縄開発庁が基金造成のために1992年度概算要求に1億円計上したという事実経過と結果について。
 1、本県自体の基金造成に向けた具体的対応策と基金造成目標額の設定について。
 首里城公園の一部供用開始及び一元的管理運営の方向性が明らかとなり、今後の課題は円滑な管理運営を図る上から基金造成問題が大きく浮上してくるものと思われます。その際には中長期間を要するであろう首里城城郭等復元整備事業や那覇市の首里金城地区整備事業、首里城に関する散逸文化財の収集事業や尚家遺産の本県への帰還問題等の強力な推進、さらには文化遺産の鑑賞、見学、体験という観光形態の充実と発展を目指すための人的資源の活用等々、歴史と文化が暮らしに息づく管理運営財団のあり方と、基金造成目的やその運用のあり方を一体的なものとしてとらえて検討されるべきであることをまず第1に指摘しておきます。
 第2は、伝統の町、文化の薫る首里地区の創造を真剣に目指し、かつ首里城公園計画の基本方針との整合性を追求するならば、管理運営の範囲を首里城公園計画区域に限定することなく、那覇市が進めている地区整備計画の首里金城地区整備の基本方針を生かして、金城地区等にも拡大した措置が講じられるよう見直すべきであります。
 第3は、平成元年1月を頂点にあれほど世論が盛り上がった尚家遺産の本県への帰還問題や、尚家文化財管理財団設立構想決定の経緯等、琉球王朝時代の文化遺産に高まった県民意識を最大に尊重し配慮した一体的対処策を講じるべきであります。
 第4に、沖縄住民の真の心のふるさとづくりに奮闘してこられた首里城復元期成会の実績と成果を高く評価し、その期成会を核とする民間主導の管理運営財団設立を図るべきであります。それは、県民に課せられた大きな使命でもあることを確認すべきであります。そして、その財団が首里城公園計画区域内の管理運営を海洋博覧会記念公園管理財団に委託し、当たらせるのが最善の策ではないでしょうか。
 知事は、首里城公園計画整備事業の推進に当たり、文化行政との調和の立場からただいま指摘した4点についてどのようにお考えであられるのか、お尋ねいたします。 
 今日、歴史的風土や文化的遺産を守るためには文化財保護法、都市計画法に基づく風致地区の規制などが活用されています。これらの法的規制によってその地域の現状凍結を余儀なくされ、生活上、大変不便になることが一面では経済的損失を招くという問題が惹起したりします。
 それらの課題を克服した有効な手だてを施している地方公共団体の存在を紹介する必要があります。そこは、奈良県明日香村において古都保存法の特別法として制定された「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法」、いわゆる明日香村特別措置法であります。
 特別措置法で特筆されるものとして、歴史的風土保存を図る事業に要する経費の補助をするための特別の助成制度や明日香村整備基金が設けられていることです。現在、明日香村整備基金は31億円造成され、その内訳として国が24億円、奈良県が6億円、村が1億円を出資しています。
 我が沖縄往時の政治、文化の中心地として歴史上、重要な地位を有する首里地区。歴史上意義を有する建造物、遣跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している首里地区。将来の文化行政の重要なテーマを追求し、展望を押さえ、その上での真の琉球歴史、文化の創造、継承発展を願い、首里城跡一体の歴史的風土及び文化的遺産の保存等を図る参考に資するために次の2点について御提言し、その善処策を強く求めるものであります。
 1つ、明日香村方式を導入すること。
 明日香村特別措置法制定までの経緯や特別措置法の内容を徹底的に研究し、それに準じた内容を沖縄振興開発特別措置法に盛り込ますこと。同時に3次振計の原案策定の際には準じた内容の措置を講じること。
 1、基金造成手法についても、明日香村整備基金の出資形態や運用形態方式を参考に導入すること。
 特に、基金造成には50億円以上を目途とし、国からは20億円以上の出資を仰ぐこと。同時に、県、各市町村、民間企業から県民個々人に至るまで広く県民各界各層に対して積極的協力を求め、県民総参加のシンボル的事業として位置づけること。
 以上に関しましては用意周到な調査、研究、世論の支持を背景にした法律の整備や政治力の発揮が伴ってきます。その可否は、文化行政に取り組む行政の姿勢が問われるバロメーターとなるだけに、行政の長としていかなる御所見をお持ちか、知事にお尋ねいたします。
 首里城公園の整備事業を先導役に、首里城跡周辺一帯の歴史的景観の保存に英知を結集し、県民の心のふるさとの魂を入れた管理運営財団設立構想の追求や基金造成の実現であることを重ねて強く要望しておきます。
 次に、行政改革と効率的経営についてお尋ねいたします。
 私は、平成2年第6回県議会定例会代表質問で、行政改革の必要性と沖縄県行政改革大綱の継承について知事にお尋ねしたところ、これまでの成果を評価し、引き続き行政改革を推進していく必要があるという御答弁がなされ、その姿勢を了としたものです。
 しかし、残念ながら去る8月18日の地元有力日刊紙で報道された次のリード文から始まる記事に接し唖然となりました。それは、沖縄県の知事部局の部長級と次長級の人数は九州でトップで、職員数に対する比率は全国でも上位という頭でっかちの実態が社団法人地方行財政調査会の調査
資料で明らかになったということであります。
 その報道記事どおりとするならば、行政改革大綱の基本方針に背くばかりか、ぬるま湯につかった人事管理体質だと県民からそしりを免れるものではありません。行政改革全体の信頼性を損なう心配があります。
 知事は、現行の人事行政に対してこのままでよいと考えているのか、それとも是正する必要があると考えているのか、御見解を伺うものです。
 以下、関連してお尋ねいたします。
 第1は、定数適正化計画についてであります。
 本県は、職員構成の現状と今後の退職者の長期的見通しを踏まえて定数適正化計画を策定し、昭和62年度から5カ年間で一般行政部門職員定数の4.3%を目途に削減することにいたしました。その結果、毎年41人の定数の削減を図てきたことは御周知のとおりでありましょう。
 それとの関係で以下の諸点についての考えをただし、現状をお伺いいたします。
 1、大田県政下における定数適正化計画の実施状況とその結果について。
 1、平成2年4月1日現在との比較における知事部局の部長、次長級の構成人員と増減数の主要な要因について。
 1、いわゆる特命担当ポスト相当職の年齢別構成人員及び部門別配置状況について。
 1、定数管理適正化と職員構成現状下における部次長級職比率の適正基準について。
 第2は、給与口座振込制度の実施に関してであります。
 本県行政改革大綱の事務事業の見直しの中で、給与口座振込制度の検討として、給与のロ座振り込みについては安全性、便宜性、支給事務の簡素化等の観点から既に企業局等において一部実施しているところであるが、今後、全庁的な実施に向けて具体的な検討を進めると明記されております。
 本県行政改革大綱が策定されたのが昭和60年11月、既に4カ年を経過し、計画期間満了となる平成3年も既に半ばを迎えています。事務事業の見直し事業として明確に位置づけられているだけに重大な関心を持って見守っているところです。給与口座振込制度の検討はどのように推移しているのでございましょうか、その現状をお尋ねいたします。
 私の調査の限りにおきましては、九州では福岡県、熊本県、佐賀県において既に給与口座振込制度が実施されております。そのことを特に御銘記いただきたいと思います。
 給与口座振込制度の実現こそは、本県行政改革大綱に盛り込まれた行政改革を進める視点としての、1つ、社会経済情勢の変化への対応、2つ、簡素で効率的な行政の実施、3つ、地域社会の活性化等果たすべき期待と役割を発揮する条件を完全に備えています。避けて通れない行政改革です。給与口座振込制度実現に向けての見通しと決意を承りたいと思います。

 よろしくお願いします。
○議長(平良一男君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 松茂良興辰議員の御質問にお答えいたします。
 まず、首里城公園計画と文化行政のあり方に関する御質問で、海洋博記念公園管理財団の管理運営の問題と関連いたしまして、一元管理を海洋博記念公園管理財団に決定した経過と結果についての御質問にお答えいたします。
 御承知のとおり、首里城公園は、復帰20周年記念事業として現在、国営公園事業、県営公園事業、首里城城郭整備事業及び特定公園施設整備事業として平成4年秋の一部開園を目途に鋭意整備が進められているところであります。
 これらの事業は、国、県、教育庁及び住宅都市整備公団の4機関が事業主体となり実施しているところでありますが、竣工後の施設の管理は、基本的には国営公園については海洋博覧会記念公園管理財団、県営公園については沖縄県公園・スポーツ振興協会、城郭等については県教育庁及び南殿、北殿等については住宅都市整備公団で行うことになります。
 しかしながら、首里城公園は利用者からみれば同一の公園であり、管理水準の整合、管理体制の効率的運用及び公園全体の利用指導の整合等から一元管理が望ましいということで関係機関で協議されております。
 また、一元的管理運営を海洋博覧会記念公園管理財団に決定したのは、公園管理の実績が高いこと、国、県が出揖して設立した財団であること、及び国営公園地域の首里城正殿、南殿、北殿等の管理をすることが既に予定されていること等からの理由によります。
 続きまして、歴史と文化が暮らしに息づく管理運営財団と基金造成目的のあり方を一体的なものとしてとらえることについての御質問にお答えいたします。
 首里城公園の一元的管理及び基金造成の経緯等については、先ほど御説明したとおりであります。
 御提言の歴史と文化が暮らしに息づく管理財団のあり方と基金造成目的のあり方を一体的なものとしてとらえることにつきましては同感であり、御提言のような考えで検討してまいりたいと思っております。
 それから次に、尚家遺産の帰還問題について県民意識を最大限に尊重し、対処することとの関連でお答え申し上げます。
 尚家の文化財は、琉球王府時代の貴重な文化財であります。
 しかし、第一義的には尚家の御意向を体し、その御協力を仰いで誠心誠意、この問題の解決に努めてまいりたいと思っています。
 次に、沖縄開発庁が基金造成に1億円計上した経過と結果についての御質問にお答えいたします。
 首里城公園は、国営沖縄記念公園首里城地区と県営首里城公園に区分され、現在、整備が進められているところであります。開園後は、首里城正殿等の公開にとどまらず、真に沖縄文化のシンボルとして首里城にかかわる諸資料の整備、あるいは首里城に係る知識の普及を行うための施策を行うことなどが望まれているところであります。
 このため県としては、これら首里城公園の円滑な運営を図るための所要の措置について、首里城期成会の要請等も踏まえ、国及び関係機関に対し要望を行ってきたところであり、沖縄開発庁において平成4年度概算要求がなされたと理解いたしております。
 次に、基金造成との関連で、県自体の基金造成に対する対応策と目標額の設定についてでございますが、御承知のとおり首里城は、本県の歴史文化を創出する中心的役割を果たしてきました。その首里城の正殿等が復元されることは、本県の伝統文化の創造発展の拠点として大きな役割を果たすものと確信するものであります。
 当該事業の目的は、首里城正殿等の復元によって実現されるものではなく、首里城を中心とする歴史的文化遺産の整備が求められています。このため基金の造成が必要であり、県としましては積極的に対応する考えであります。
 なお、目標額設定につきましては、今後、関係機関と協議して決定されることになりますが、御提言のように明日香村方式についての方法などにつきましては慎重に検討させていただきたいと思いますので、御理解願いたいと思います。
 なお、その他の御質問につきましては、関係部長にお答えさせますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(平良一男君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 澤村宏明君登壇〕
○土木建築部長(澤村宏明君) 国営沖縄記念公園首里城地区の、1つ、供用開始の日時の特定について、2つ、一部供用開始に伴う記念事業の開催内容や規模等についての御質問にお答えいたします。
 国営沖縄記念公園首里城地区の一部供用開始の日時の特定や、それに伴う記念事業の開催内容や規模等につきましては事業主体が複数であることから、今後、関係機関で協議し調整していく予定であります。
 なお、現在のところ、一部供用開始の期日につきましては平成4年秋ごろになるものと聞いております。
 次に、首里城公園整備に係る関連事業の整備計画と工事の進捗状況及び供用開始の目途について、教育庁所管の城郭等復元工事を除く、1つ、県営公園事業について、2つ、県道事業について、3つ、都市計画道路首里城線街路事業につきましてお答えいたします。
 県営公園整備につきましては、昭和62年度から着手し、平成12年度の完了を目途に整備しているところであります。平成4年度までにはサービス・エリア、龍潭・安国山エリア及び円鑑池・ハンタン山エリア等の整備が槻成する予定であり、残りの区域につきましては平成5年度以降順
次整備する計画であります。
 供用開始につきましては、整備された区域ごとに行う予定であります。
 次に、県道整備につきましては、首里池端から玉陵までの約120メートルの区間につきまして現県道の拡幅整備計画を進めております。現在、関係住民の方々と用地補償等について交渉を行っているところでございます。
 次に、都市計画道路首里城線街路事業につきましては、那覇市が、県の地下駐車場付近において工事を進めており、当該部分につきましては平成3年度末に完了する予定でございます。
 また、天界寺跡の付近につきましては、那覇市が関係住民の方々と用地補償等について交渉を行っているところであり、当該部分につきましても交渉の成立した後、整備を進めていくものと聞いております。
 「首里城跡一帯」という「一帯」についての概念と範囲についての御質問にお答えいたします。
 「一帯」とは、一般的概念といたしましては核となる地域、施設等を中心にその周辺部を指していると思いますが、その範囲、境界は漠然として明確な区切りはないようです。第2次沖縄振興開発計画や平成4年度重点施策に述べられている「首里城跡一帯」の「一帯」とは首里城跡を含むその周辺部を想定しております。その範囲につきましては明確に特定できませんが、首里城跡を中心とする公園区域及びその公園区域と一体的な周辺部、例えば芸大、城西小学校なども含まれるものと考えております。
 次に、海洋博記念公園管理財団への管理運営の問題について、管理運営を首里金城地区まで拡大することについての御質問にお答えいたします。
 御承知のとおり、首里金城地区は、かつての首里の面影をとどめた伝統的町並みを残している地域であります。しかしながら近年、生活様式の変化や住宅の建てかえ等から町の姿が徐々に変わりつつあり、憂慮されている状況にあります。
 このため、那覇市におきましては、首里金城地区歴史的地区環境整備基本計画を策定し、これに基づき昭和57年度から同地区の環境整備街路事業等が進められているところであります。
 また、歴史的風土を保存するためには、地域住民の理解と協力が不可欠であり、このためにも環境整備並びに地域全体の保全管理の施策が必要であります。
 御提言の首里金城地区まで管理運営を拡大することにつきましては、管理目的が、設置する国営、県営等の公園施設を対象とするものであるので、首里城公園の管理形態とはそぐわないものであり、困難であると考えております。
 民間主導──首里城復元期成会──による財団法人設立の再考についての御質問にお答えいたします。

 首里城公園の管理一元化につきましては先ほども御説明申し上げましたが、当公園整備事業は、国、県等4機関が事業主体とたって実施されており、同一公園であることから、利用者の利便向上、管理水準の整合を図り、効果的運営を行う必要から実施されるものであります。
 このことにつきましては、御提案の首里城復元期成会を初め各界からも強く要請されてきたところであります。これら要請も踏まえ、関係機関と協議を重ねてまいりましたが、陣容、実績、ノウハウ等総合的観点から、海洋博覧会記念公園管理財団が適当であると判断した次第であります。
 なお、首里城復元期成会と管理運営等につきましてはこれまでも協議調整してきたところであり、また同期成会は、これまで首里城復元構想の段階から今日の事業展開まで大きく寄与しているところであります。今後、県民総参加の中で中心的役割を果たしていくものと期待しておりま
す。
 次に、明日香村整備基金の条例の形態、運用等を応用するとともに、国の出資とともに、県、市町村、民間等、県民総参加の基金造成を図ることについての御質問にお答えいたします。
 本来、首里城地区の整備につきましては、公園としての整備を意図して国営公園、さらには県営公園として整備を進めているところでありまして、公園管理を主体にした整備を行っているわけでございます。
 したがいまして、明日香村方式という大きな構想そのものは最初からございませんでしたけれども、このことにつきましては、明日香村整備基金が明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法第8条の規定に基づく事業を明日香村が、地方自治法第241条の基金として国、県から補助金等の交付を受け、明日香村整備基金条例により設置されたものであります。
 その事業内容は、歴史的風土の保存を図るための事業及び土地の形質、建造物の意匠等を歴史的風土と調和させるための事業等であり、主として歴史的風土の保存に関連して必要とされる事業となっており、村が事業主体となり特別会計として運営されるものであります。
 一方、首里城基金が意図しておりますのは、正殿等整備後の円滑な運営と首里城に係る諸資料の整備、あるいは美術品等の調査収集、諸行事の調査充実等を図るため継続的、安定的に事業を実施することを考えています。したがいまして、明日香村整備基金とは基本的に内容が異なるものであります。
 このような観点から、沖縄振興開発特別措置法等及び第3次振計に明日香村方式を導入することにつきましてはなじまないものというふうに考えております。
 以上です。
○議長(平良一男君) 教育長。
   〔教育長 津留健二君登壇〕
○教育長(津留健二君) 首里城城郭等復元整備事業の整備計画と工事の進捗状況及び供用開始の目途についてという御質問にお答えをいたしたいと思います。
 首里城城郭等復元整備については、沖縄開発庁の補助のもとに昭和47年度から実施している事業で、昭和63年度までに歓会門、久慶門及びそれに接続する城郭等の整備を終え、平成元年度から平成3年度にかけては、歓会門前広場から西のアザナまでの西側地区の整備を行っているところでございます。
 平成4年度には、久慶門東側城郭の復元整備計画をいたしております。
 久慶門から歓会門及び西のアザナまでの整備済みの同地区を平成4年度に供用開始する予定になっております。
 次に、歴史的風土と文化遺産の概念と認識についてお答えをいたします。
 歴史的な風土とは、歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして、その地域における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況を言い、文化遺産とは、長い歴史的過程の中で形成された有形無形の伝統文化と理解いたしております。
 首里城跡一帯は、この両者を兼ね備えた重要な史跡であり、後世の県民に継承されるべき文化遺産であると認識をいたしております。
 次に、保存に対する概念と認識についてお答えをいたします。
 文化財で言う保存とは、法律上の保護を受けることを前提にして守り、残すべきものであると理解しております。
 御案内のように、首里城跡は、歴史的にも建築学的にもその規模の大きさ、技術など琉球文化の粋を集めた国民的文化遺産であり、保存に値するものと認識をいたしております。
 次に、公園計画基本方針と県立博物館新館建設構想の場所選定に対する認識と対応についてという御質問にお答えをいたします。
 首里城公園基本計画では、同公園は、県立博物館と隣接する沖縄県立芸術大学などと連携した企画運営により、沖縄固有の文化の継承、創造の場として活用を図り、歴史文化の拠点づくりを目指すとしております。
 しかし、現在の県立博物館は、敷地及び建物が狭隘で文部省基準を満たしていない状況にございます。
 そこで、県立博物館新館建設委員会を設置し建設場所等を諮問いたしましたところ、多くの県民が利用しやすく交通の便のよい那覇新都心地区やその近郊で、豊かな自然環境と調和のとれた場所に建設するのが望ましいとの答申を得ています。本答申を尊重し、その趣旨に沿って建設場所を検討しているところでございます。
 なお、現敷地の活用については、首里城公園基本計画との整合性を持たせるよう検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 総務部長。
   〔総務部長 新垣勝市君登壇〕
○総務部長(新垣勝市君) 松茂良興辰議員の御質問にお答えいたします。
 まず、大田県政下における定数適正化計画の実施状況とその結果についての御質問でございます。
 定数適正化計画につきましては、御案内のとおり昭和62年度から平成2年度までに合計164人の定数削減を行い、当初の計画どおり実施いたしております。
 次に、平成2年4月1日現在との比較における知事部局の部長、次長級の構成人員と増減数の主要な要因についての御質問にお答えいたします。
 平成3年度は、平成2年度と比較しまして部長級が11人、次長級12人の増となっております。
 部長、次長の管理職がふえた理由としましては、県の行政目標をより効率的に達成できるような体制を確立する必要がありまして人事の刷新、各職種間の役付バランスの是正、次長、課長級長期経験者の処遇及び重要プロジェクト推進のための組織強化を図ったことによるものでございます。
 3点目の、いわゆる特命担当ポスト相当職の年齢構成、構成人員及び部門別配置状況についての御質問にお答えいたします。
 特命担当ポストの年齢構成につきましては、部長級は53歳から62歳の職員で構成され、57歳が10人、58歳が6人、60歳が6人など全体で34人となっております。
 次長級は、42歳から60歳の職員で構成され、58歳9人、57歳6人、56歳6人など全体で45人となっております。
 また、同ポストの部門別配置状況につきましては、部長級の場合総務部2人、企画開発部2人、生活福祉部3人、環境保健部5人、農林水産部7人、商工労働部10人、土木建築部5人となっております。
 次長級の場合、総務部8人、企画開発部4人、生活福祉部9人、環境保健部4人、農林水産部3人、商工労働部10人、土木建築部7人となっております。
 なお、ただいま申し上げました人員につきましては、公社等への休職出向職員及び兼務職員が含まれております。
 4点目の部次長級職比率の改正基準についての御質問にお答えいたします。
 本県の組織定数の管理に当たりましては、県の抱えている行政課題に的確に対処するため行革大綱の趣旨を踏まえた自主的な行政改革を推進しながら、引き続き組織の簡素効率化と定数の適正化に努めてまいりたいと考えています。
 特に、組織管理につきましては、トップマネージメントが十分に発揮し得る機構であること、新しい行政課題に機敏に対応し得る機構であること、簡素で効率的な機構であることなどの観点から総合的な検討を行い、その再編合理化を推進することとしております。
 御質問の部次長級職比率の適正化基準につきましては、画一した基準を設けておりませんが、組織定数管理の基本的な考え方に立ち、他県の状況や県独自のプロジェクト等を考慮しながら、部次長級職を配置しているところでございます。

 最後に、給与口座振込制度の検討状況及び実現の見通しについての御質問にお答えいたします。
 給与の口座振り込みにつきましては、給与支払い事務の簡素合理化、現金取り扱い上の危険の防止及び職員の利便を図る目的で、これまで他県の状況及び実施方法等について調査検討を進めているところでございます。
 御案内のとおり、給与口座振込制度の実施につきましては、職員のコンセンサスを初め給与条例等の改正、現行電算システムの変更及び職員団体との調整が必要でありまして、これらの条件整備を図り、その実現に向けて努力してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 松茂良興辰君。
   〔松茂良興辰君登壇〕
○松茂良興辰君 教育長、それから土木建築部長、ありがとうございました。
 今、皆さんの答弁でも明らかなように、この文化行政という、今私がお聞きした首里城公園の整備事業の範時の管理だったら土木建築部長がおっしゃるとおりで了かもしれませんし、また納得しております。
 ところが今私は、首里の面影、歴史と文化の継承保存ということになると、その首里城公園の整備を生かしながら、その周辺の景観と歴史の風土を保存し伝統的に継承していくとなれば、やはりその首里城跡一帯という、この一帯ということにこだわったわけでございますが、両部長から周辺も含むということですから、それを含めた今後の保存のあり方と生かし方、これは文化行政ともっと詰めて、本当の文化行政の原点に返った施策の展開をしてほしい。それだけ特に要望しておきます。
 終わります。
○議長(平良一男君) 与那嶺盛男君。
   〔与那嶺盛男君登壇〕
○与那嶺盛男君 御苦労さんでございます。
 私は、高齢化社会と福祉対策について所見を述べながら質問いたします。
 その前に、例としまして、外国でございますが、福祉国家と言われるデンマークの方では、子供が生まれてから学校を卒業するまで全部国が面倒を見ます。社会人になりますと、その収入の半分は国に納めると。そのかわり、リタイアしますと国が管理するところの保養施設に移ります。これは1戸建てのペンション風の家が並んで、その真ん中の方には教会があり、病院があり、管理棟があるというようた福祉村がつくられています。オランダにおいても同じものを見たことがございます。
 一方、アメリカにおいては、ロサンゼルスの郊外でポリテニックという農業関係の大学がありまして、2カ月ほど研修のために滞在しました。向こうの年配の先生からアメリカ社会について話を伺ったわけでございますが、アメリカでは18歳、高校を卒業するまでは親が面倒を見ますが、それから後は自立させるそうでございます。親の方々は、自分の生活設計は、自分で責任を持つというのがアメリカだと。だから自分たちもリタイアした場合には幾らかの年金と預金と、あるいは家財産を売って教会のマンションに移ると話しておりました。
 じゃ、ファーマーはどうなるかといいますと、彼たちだって農場や家畜を売り払う。その場合には子供であろうが、あるいはメキシコ系、インド系であろうが、入札で高い方に売って後は自分の人生に備えるということを話しておりました。
 アメリカ社会では、リタイアした場合には、夫婦そろって3カ月ぐらい豪華客船に乗って世界一周するのが彼たちの夢のようでございます。
 ある人は、ハワイに滞在しながら3カ月ぐらい島を変わりながら滞在し、リタイアしたなという実感をするそうでございます。後は、夫婦でもって晩年を楽しく暮らしながらボランティア活動をしながら、教会の方へ、神様にすべてお任せをするということを話しておりました。
 生活習慣の違いとはいえ、ある意味ではうらやましいと思いました。
 私たち東洋では、仏教あるいは儒教の影響を受け、特に沖縄では祖先崇拝というウヤファーフジを大事にするという県民性があります。
 そういうことでございますが、最近は物が豊かになり、あるいは核家族化が進んでまいりますと、どうもそういうのが今変わりつつございます。
 私はせんだって、具志頭村にあるところの特別養護老人ホームの転生園を訪れました。向こうの岡本先生からいろいろお話を聞きますと、ここには72歳から101歳のお年寄りを100名預かっておりまして、平均年齢84歳だそうでございます。
 園長先生の話では、なるべくはお年寄りは、家族ともども子や孫と一緒に暮らした方が幸せですよと。しかし最近は何といいますか、共稼ぎとかいろいろ都合がございまして、お年寄りは福祉事務所を通してこのホームに預けるのが多いそうでございます。ですからホームとしましては、この方々は環境が変わり、そして孤独感といいますか不安がありますので、できるだけ安らぎを持って余生を送られるように一生懸命に取り組んでいるそうでございます。
 その1つの方法としましてデイサービスといいますか、地域のお年寄りの方々を1週間に2回ほどホームに来てもらって、島言葉で話をし、ともに食事をし、おふろに入り、そしてリハビリを受けると。初めはホームに来ることを嫌がったお年寄りも今では喜んで来まして、明るくなっていますよというふうに話していました。
 さらにホームとしましては、役場とも相談しながら、寝たきり老人を介護すべく2人1組のホームヘルパーを編成しまして、月100世帯ぐらいを巡回しているということでございます。
 これからの高齢化社会問題は、いろいろ問題がありますよということを話しておりましたが、信心深いこの岡本先生方は、とにかくお年寄りが余生を安心して暮らせるように精いっばい努力している姿には改めて感動いたしました。
 南原町の新川に嬉の里という老人ホームがございます。そこの棚原事務長にお会いしまして老人ホームで何が一番問題かと聞いたわけでございますが、何しろお年寄りを預かっていますから夜中からでも容体が急変した場合に、医者が駆けつけてくれるような医療体制が欲しいということを言っておりました。
 さらにもう一つは、介護人の確保が難しくなっていると。介護人は寮母と言っていますが、45歳から55歳ぐらいの方々が、一生懸命頑張っているそうでございます。
 しかし、お年寄りを抱きかかえておふろに入れる場合には、重たいもんだからぎっくり腰といいますか、腰痛にかかるのがたくさんおりまして、やめるのがいるそうです。この補充が大変だというんですね。
 向こうの方では、できますならば、若い男の職員が3分の1ぐらいは欲しいと言っていました。しかし老人ホームの方々は、80%ぐらいはおばあさんなんです。しかもそのうち半分ぐらいがぼけ始めていますので、ただでさえ気難しいお年寄りを介護するのは気苦労が多いようでございます。
 そうすると、よほど福祉に理解があるか、あるいはそれなりの待遇をしなければ、その方々は入ってこないと話していました。
 県下には、今、40の特別養護老人ホームがありますが、私はその方でもいろいろな問題点があるかなということで、私どもは深く関心を持たざるを得ないということを考えているのでございます。
 那覇市の方には、4カ所の老人福祉センターがございます。
 その1つに、小禄に福祉センターがございますが、伊狩典子さんという元気な所長がいましてお訪ねしました。
 どういう仕事をしているんですかと聞きましたら、いやいや忙しいですよと。1カ月の日程を持ちまして、この1週間でも書道とか、生け花とか、あるいは踊りとか、三味線、大正琴、たくさん話しまして、これだけをこなすのに精いっばい頑張っているんだと。
 自分は、お年寄りを大事にするためには、チムグクルとシナサキとウミガナサが大事だよと。いわば健康で生き生きしているお年寄りこそがユミヌチャーニン、ワラパーターニン好かれるからということを強調していました。
 あんたの仕事はぴったしですなと言いましたら、自分はやりがいがあると思っているが、しかし安上がり福祉ですよと。
 ここの経営は那覇市から委託を受けているそうでございます。何しろ限られた予算でやるものだから、あれもこれもやりたいと思うのがあるのに予算の都合でできないと。職員の給料さえ、那覇市の臨時職員ぐらいも与えていないということでちょっぴり不満を言っていました。

 それから、壼川の老人福祉センターにも行きまして話聞きましたら、大体中身は同じです。
 向こうは、那覇市の壷屋に近い関係でいわば陶芸といいますか、焼き物をつくってございます。
 初めは、自分が使うところのお茶わんをつくったり、お皿をつくったり、もっと進みますとシーサーをつくったりしておりますが、中には剛の者がいましてジーシガーミをつくっているそうでございます。
 このジーシガーミは、自分が入るんだからと丁寧につくって、これならいつまでも湿気は入らないということでもう御満悦でございますが、でき上がったら自分の名前も書いているそうです。月日も入れたらというと、まだ早いということで笑っているのでございますが、そこの知念所長の話では、この養護老人ホームをふやすのも大事かもしれませんが、むしろ家に閉じ込もっているお年寄りこそが、こういう福祉センターに来て、みんなと和やかに、そして学習をしたり、あるいは史跡回りをしたり、あるいは碁を打ったり、将棋を指したり、何かに熱中するような方法こそが一番大事だということを彼は話しているわけです。
 そしてさらに、那覇の方はいい方で、地方に行きますと老人福祉センターという看板は上がっているが、中身はいま一ですよということでこの福祉の問題を話しておりました。いろいろ言い分があるものだなということを考えたわけでございます。
 そこで、大田県政では福祉と医療、あるいは教育についてきめ細かい行政の配慮ということで女性副知事の登用を考えたわけでございますが、二転三転してやっとここに尚弘子副知事の誕生を見たわけでございます。学識といい、識見といい、申し分ないので、我々本会議でも全会一致で承認したわけでございます。
 そこで、尚副知事の就任を祝う意味において次の質問をしたいと思います。
 沖縄県が全国一の長寿県であるということは、一体何が要因でしょうかというのが1番目。
 2番目、これからも生きがいを持って長寿県を維持するためには、行政として何をなすべきかということについて、副知事の抱負も踏まえてお答え願えれば幸いだと思っております。
 環境保健部長にお伺いいたします。
 長野県の佐久市に佐久総合病院というのがございます。
 そこの若月院長先生は、帝大の医学部を出られ、とりわけ農村医学といいますか、予防医学の大権威者でございます。
 私は、せんだって、その先生に直接お会いしまして御意見を拝聴する機会がございました。
 この若月先生は、まず真っ先に言ったことは、現在の医療は非常に進み過ぎているが、問題があるよということを話されたわけでございます。
 なぜならば、お年寄りがいわゆる病院にかつぎ込まれてくる、そして入院となった場合に、最初の5カ月ぐらいは子供や孫や、あるいは隣近所の方々がお花を持ってきて、ケーキを持ってきて、そして果物を持ってきてお見舞いに来るそうでございます。
 しかし、5カ月を過ぎた場合には来なくなって、そして身内の方が交代交代で介護をしているそうでございます。2カ年になった場合には、もう1週間に一、二回来たり、そして3カ年になったときには来たくなるそうでございます。そして病院に来まして入院費を払って、病棟にも寄らないで帰ってしまうのもおるそうです。
 そのときにも、患者は点滴を打たれ、あるいは口から食事できない場合には、鼻からイルリガートルといいますか、ゴム管を入れられて流動食を与えられて生かされているというんです。それでも若月先生の話では、心臓さえしっかりしておれば植物人間になってもあと3カ年は生かされるというんですよ。そういったときに、この先生の話では、果たしてそういう状態で生かされて、本人のためにも家族のためにも、これでいいのかと疑問が残るということを話しておりました。
 ですから、医療というのは、病気を治すのも大事ですが、病気にかからないように予防することこそが医療の原点だというふうに強調していました。
 そのためには、人間は50歳になったらみんな人間ドックに入って精密検査を受け、どこが悪いか、異常がないかどうか、いわゆる早期発見、早期治療こそが医療の大事ですよということを強調しておったのでございます。
 例えば、ぼやでも最初に早く発見すれば、ばけつ一杯で火を消せるのを、少しでも手おくれになって消防車が来てからではもう遅いということを例えて話していました。
 だから、人間は自分の健康管理を十分に管理しながら、どうしても入院になった場合には自然体がいいですよということを特に強調しておったのが印象に残っております。
 そこで、環境保健部長にお伺いいたします。
 今、沖縄県では、こういう事例も交えてでございますが、この健康管理について、あるいは予防についてどのように取り組んでおられますかということをお伺いしたいと思っております。
 高齢者の福祉問題というのは、あすは我が身ということでございます。
 今のお年寄りは、五、六名の子供たちがいますので、そのうちに1人、2人は親孝行がおりますから面倒を見ますが、やがてはいわゆる何といいますか、4名に1人ぐらいの65とか何とか言われまして、あるいは子供の数も1.5とか言われています。
 そういうのを考えていくならば、私はこの問題はひとつ行政も、議会も、みんなが一緒になって高齢化対策を考えなきゃいけないということを提案し、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(平良一男君) 尚副知事。
   〔副知事 尚 弘子君登壇〕
○副知事(尚 弘子君) まず初めに、昨日から本日にかけまして多くの先生方から、またただいまは与那嶺盛男議員から、私に賜りました励ましのお言葉に深謝いたしたいと存じます。
 御質問でございますけれども、沖縄県が全国一の長寿県である要因は何であるかということ、また、今後とも生きがいのある長寿県になり得るためには、行政として何をなすべきかということでございまして、お答えさせていただきます。
 沖縄県の長寿を支えている要因は、数多くあると思います。医療保健や公衆衛生の向上はもとより、遺伝的要因に加えまして、地理的要因といたしまして温暖な気候風土と自然環境、そして私ども沖縄の持ちます歴史的な要因と申しましょうか、独特な食文化、そして人情味豊かな県民性、さらに高齢者を敬い、ともに助け合える地域社会等々たくさんのファクターがございますけれども、それらが相互に作用し合いまして、そしてさらに相乗効果をもたらすことによって日本一の長寿県が維持されてきたのではないかと私は考えております。
 本県が今後も、なお引き続き日本一のこの栄誉を維持していって、そして生きがいのある長寿県であるためには、単に福祉の領域にとどまりませず、保健や医療はもとより、住宅や就労、年金、生涯教育、生きがい対策等行政の広範にわたって高齢者にとって住みよい環境づくり、郷土づくりのための諸施策を総合的に推進する必要があるのではないかというふうに考えております。
 県におきましては、現在、福祉の分野で老人ホームや老人保健施設等の施設整備を初め在宅福祉施策、老人保健事業、そして生きがい対策事業や、きめ細かにこれらの行政を進めているところでございます。
 これからも多くのお年寄りが心安らかに、元気で生き生きと老後を過ごすことができますように、行政面で私も精いっばい努めてまいりたいと存じますので、どうぞ今後ともよろしく御指導くださいますようお願いいたします。ありがとうございます。
○議長(平良一男君) 環境保健部長。
   〔環境保健部長 金城 毅君登壇〕
○環境保健部長(金城 毅君) 与那嶺盛男議員の御質問の、行政として人間ドック等予防や健康管理にはどのように取り組んでいるかという趣旨の御質問にお答えを申し上げます。
 県民の健康を守るためには、御指摘のとおり疾病の早期発見、早期治療は極めて重要であります。
 そのため、県では老人保健法、各種医療保険法に基づき種々の健康診査を実施し、県民が年1回は健康チェックを受ける指導をしているところであります。

 また、県内の20市町村においては、既に人間ドック事業を行うなど住民の健康管理の強化を図っております。
 そのほか、県内におきましては総合病院に加えまして、人間ドックを専門的に行う成人病検診センター等の施設が数力所開設されております。県民がみずからの健康管理に十分活用されるよう期待されております。
 県民の健康づくりには、栄養のパランス、適度の運動、適正な休養が最も大事であります。これを日常生活の中で習慣化させることが健康管理上必要であります。自分の健康は、自分で守るということが県民の健康づくりの基本であります。行政は、県民の健康づくりを指導、支援していく役割を担っております。
 このようなことから、県では健康運動指導士等マンパワーの養成、健康づくり教室の開催、食生活指針の作成、健康づくりフェアの開催等を行っております。
 県民が80歳になってもなお活力ある生活ができますように、今後とも健康づくりのための啓発普及に鋭意努力していく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(平良一男君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明3日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後6時43分散会

 
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