平成22年(2010年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月29日
福祉保健部長(奥村啓子)
 

 後期高齢者医療制度についての御質問の中の、後期高齢者医療の被保険者数と、昨年とことしの1人当たり平均保険料額についてお答えします。
沖縄県後期高齢者医療広域連合によると、後期高齢者医療の被保険者数は、平成22年4月30日現在で11万5605人であります。1人当たり保険料額は、平成21年度5万2510円で、平成22年度の見込み額は5万2964円となっております。
 次に、保険料軽減を受けた人数と割合についてお答えします。
 後期高齢者医療保険料のうち均等割保険料の軽減人数及びその割合は、平成21年6月末現在、9割軽減人数5万3196人、46.9%、 8.5割軽減人数1万6958人、14.9%、5割軽減人数3560人、3.1%、2割軽減人数7173人、6.3%で、均等割保険料の軽減を受けた合計人数は8万887人、71.3%になっております。また、所得割保険料の軽減を受けた者は8992人で7.9%になっております。
 次に、滞納者数と滞納理由、短期証発行件数についてお答えします。
平成20年度の保険料の滞納者数は1701人で、納付相談のあった方の主な滞納理由としては、収入が少ない、一時所得により保険料が高額となって支払いが困難等となっております。
 短期被保険者証の発行件数は、平成22年3月2日時点で856件となっております。
 次に、保険手帳のない無保険者数と治療中断者数についてお答えします。
 短期被保険者証の交付を受けた方のうち、平成22年3月2日時点で有効期限が切れている方は585人で、治療中断者については把握が困難であります。
 なお、短期被保険者証が未更新となっている方については、市町村において窓口相談や電話・訪問等により被保険者証の更新に努めております。
 次に、保険料の納付相談者数と市町村の掌握の状況についてお答えします。
 平成22年6月市町村に調査したところ、平成20年度及び21年度に被保険者から保険料の納付相談があった市町村は29カ所で、相談がなかった市町村は12カ所となっております。相談を受けた市町村のうち、相談件数の報告があった17市町村の相談件数の合計は1403件となっております。
 次に、減額免除の申請数と申請理由及び結果についてお答えします。
 広域連合によると、減免申請受け付け件数は、平成21年度においては37件で、その申請理由は、失業や事業の休廃止による収入減等となっております。申請のあった37件のうち20件が減免決定されております。
 次に、後期高齢者医療制度の廃止を求めることについてお答えします。
 現在、国では、後期高齢者医療制度を廃止して、高齢者のための新たな制度を構築するという基本的な考えのもとで、有識者や関係団体の代表等で構成する「高齢者医療制度改革会議」において検討中であります。
 県としましては、国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。
 次に、がん対策についての御質問の中の、子宮頸がんワクチンの公費助成についてお答えします。
 感染症の予防接種は市町村の業務となっており、公費負担の対象となる疾病については、予防接種法で定期接種となっております。現在、子宮頸がん予防ワクチンは同法の定期接種となっていないことから、県としては、全国衛生部長会を通じて同ワクチンの有効性等の評価を早急に行い、必要な公的支援や多くの国民が接種できるよう、国に要望しているところであります。
 次に、がん検診を無料にすることについてお答えします。
 乳がん、子宮頸がん検診については、特定の年齢を対象に無料クーポン券を配布する国庫負担事業が昨年度と今年度に県内の全市町村で行われております。国は、来年度の国庫負担による事業継続について明言しておりませんが、県としては、全国衛生部長会を通して国庫負担による事業継続を要望しているところであります。
 次に、がん治療費の無料化についてお答えします。
 県においては、「沖縄県がん対策推進計画」及び「アクションプラン」を策定し、がん対策を総合的に推進しているところであります。がんに関する療養上の相談については、がん診療連携拠点病院の相談支援センターにおいて対応しております。がん治療については、そのほとんどが他の疾病同様に公的保険の範囲内で行われていますが、先進的な医療の一部は公的保険の対象外となっており、その場合に患者の負担増があると考えております。がん治療費の無料化などの経済的支援については、公的保険の対応を含め社会保障制度全体の中で国の責任で対応すべきものと考えております。
 次に、県立宮古病院、八重山病院及び北部病院の地域がん診療連携拠点病院の指定及び地元での治療体制についてお答えします。
 本県では、琉大病院を県がん診療連携拠点病院に、県立中部病院や那覇市立病院を地域がん診療連携拠点病院に指定し、他のがん治療可能な医療機関との医療連携体制を構築しているところであります。北部、宮古及び八重山圏域では専門医が少なく、さらに症例数も少ないことから、放射線治療等の高度な医療機能の維持が困難であり、現在、これらの圏域の県立病院を地域がん診療連携拠点病院に指定しておりません。
 県としては、琉大病院等の高度医療提供施設と県立北部、宮古及び八重山病院との役割分担及び連携を図るとともに、手術や化学療法等、当該圏域で必要ながん医療の充実を図っていきたいと考えております。
 次に、患者サロンの設置及びがん情報の周知についてお答えします。
県におきましては、患者サロンの設置について、がん治療を行っている医療機関に対し、院内に設置するよう呼びかけていくこととしております。また、がん患者の皆様への情報提供として「患者必携」を作成することとしており、今後は一般県民を含めて広く情報提供を行っていく予定であります。
 次に、がん条例の制定についてお答えします。
 県としましては、がん対策基本法に沿って策定した「沖縄県がん対策推進計画」及び「アクションプラン」を着実に実施し、予防から医療提供に係る適切ながん対策の充実強化を図っていくこととしております。このような中で、がん条例の制定については、その必要性を含め総合的に検討することとしております。
 次に、「子どもの貧困」対策についての御質問の中の、「子どもの貧困」の実態調査についてお答えします。
 県では、生活保護世帯や支援が必要な児童等に対して、市町村、福祉保健所、児童相談所等関係機関の連携や民生委員・児童委員の活用等により対応しているところであります。しかしながら、近年の生活保護世帯の増加や、ひとり親家庭の生活状況等から見て、本県の「子どもの貧困」については厳しい状況にあるものと考えております。
 今後も、教育庁等関係機関と協力しながら、支援を必要とする世帯や子供の把握に努めるとともに、各種施策による支援を行ってまいります。
 次に、児童相談所が措置した子供に係る生活保護世帯等の割合についてお答えします。
 児童相談所が児童養護施設等に措置した子供の世帯について、徴収基準に係る階層区分の状況は公表しておりませんが、本県において措置されている子供の家庭の多くは経済的な問題を有している状況にあるものと認識しております。
 次に、子供を直接支援して発達を保障する制度の確立についてお答えします。
 「子どもの貧困」につきましては、格差が固定化し次の世代に連鎖していくことを防止することが重要な課題であると考えております。このため、県では、生活困窮世帯に対する経済的支援とあわせ、医療費助成など子供のいる家庭への各種支援を行っているところであり、これらの施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、児童虐待の対策についての御質問の中の、児童虐待の推移、主な原因についてお答えします。
 県の児童相談所が処理した虐待相談処理件数は、平成17年度が451件、18年度364件、19年度440件、20年度408件、21年度が435件となっており、年度による増減はありますが、高どまりの状況となっております。また、児童虐待につきましては、育児に対する認識の低さ、家庭の養育力の低下、地域社会の子育て機能の低下など、複合的な要因が重なって発生しているものと考えております。
 次に、貧困と児童虐待との関係及び対策並びに労働条件と児童虐待との関連及び対策について一括してお答えします。
 低賃金などの貧困問題等と児童虐待は必ずしも直結するものではないと考えますが、家庭における経済的な問題が深刻な場合には、子育てに対する負担感が増すことにより、家庭の養育力の低下につながるおそれもあるものと考えられます。また、虐待を受けた児童の家庭については、経済的な問題を抱えている事例も存在するものと認識しております。
 児童虐待の防止のためには早期発見と迅速な対応が必要であり、引き続き児童相談所の体制強化を進めるとともに、警察、教育庁等の関係機関との連携強化を進めてまいります。あわせて、子育てに係る負担の軽減を図るため、子ども手当、児童扶養手当の支給や医療費の助成等の経済的支援を行うとともに、地域子育て支援拠点事業の実施など、各種の子育て支援に取り組んでまいります。
 次に、児童委員及び市町村子育て支援事業の体制と取り組み並びに要保護児童対策地域協議会についてお答えします。
 児童委員の体制につきましては、平成22年4月現在、児童委員が2102人、そのうち主任児童委員が171人委嘱されており、児童及び妊産婦の生活状況把握や保健・福祉に関する情報提供及び指導等を行っております。
 平成21年度の活動状況につきましては、子供に関する相談・支援件数が2万8811件となっております。
 次に、市町村の子育て支援事業につきましては、児童虐待防止の観点から、乳児のいる家庭を保健師等が訪問するこんにちは赤ちゃん事業、養育支援訪問事業を実施しております。
 平成21年度の実施状況につきましては、こんにちは赤ちゃん事業が40市町村で実施され、訪問件数が1万3631件、養育支援訪問事業が15市町村で2615件となっております。
 次に、「要保護児童対策地域協議会」につきましては、現在、31市町村で設置されており、未設置市町村に対しても設置の働きかけを行っているところであります。また、同協議会では保健部門や児童委員も含む関係機関が連携して児童虐待防止に取り組んでおりますが、連携をさらに強化するために県レベルでの協議会設置に向けた作業を行っているところであります。
 次に、児童相談所一時保護所の教育相談員についてお答えします。
 一時保護所に入所している児童につきましては、所内において、主に一時保護所の職員が学習指導を行っておりますが、今回、経済対策として実施された緊急雇用に係る予算を活用し、平成21年度と22年度について職員の学習指導を補助するための賃金職員を採用したところであります。また、当該職員の募集の際には、学習効果を上げるために教員免許保持者を採用の条件としましたが、時給等の労働条件につきましては、一般の賃金職員と同等の内容としております。
 今回の件につきましては、当該職員の業務は教育職務ではなく職員の補助としての位置づけであることから、中央児童相談所に対しては改めて賃金職員としての身分に応じた業務配分の徹底を指示したところであります。
 次に、公設学童について、保育料の負担軽減と放課後児童クラブの拡充についてお答えします。
 沖縄県の放課後児童クラブは民立民営のクラブが多く、家賃等の負担により経営が厳しいことや、保育料が高いことなどが課題であると認識しております。このため、県としては、学校の余裕教室や児童館等の活用を図ることで保育料の負担軽減が図られるよう、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 また、平成22年3月に策定した「おきなわ子ども・子育て応援プラン」の後期計画においては、平成21年度の放課後児童クラブ194カ所を平成26年度までに238カ所にまでふやす目標を掲げているところであり、県としましては、希望する子供すべてがクラブを利用できるように市町村と連携し、放課後児童クラブの設置を促進してまいります。
 次に、障害児の早期発見及び早期支援体制についてお答えします。
 沖縄県では、障害児の早期発見及び早期支援について沖縄県小児保健協会と連携し、乳幼児健診における発達に係る問診項目の追加、修正等、健診受診票の見直しを行ったところであります。また、在宅の障害児の地域における生活を支え、身近な地域で療育指導が受けられるよう、先島を含め県内の9カ所において障害児等療育支援事業を行い療育機能の充実を図るとともに、県内5カ所の圏域にアドバイザーを配置し、関係機関のネットワーク構築等障害者支援体制整備の促進に向け取り組んでいるところであります。
 次に、介護施設における虐待について、羽地苑での虐待への対応についてお答えします。
 いわゆる高齢者虐待防止法に基づく対応は、通報を受けた名護市が事実確認及び指導を行っているところであります。
 県においては、利用者への影響の観点から、社会福祉法及び老人福祉法に基づき関係者から事情聴取を行っております。
 特別監査については、その結果等を踏まえ検討する考えであります。
 なお、今後、高齢者虐待防止マニュアルを作成し、介護保険法に基づく集団指導等において周知してまいります。
 以上でございます。

 
20100205030060