平成14年(2002年) 第 8回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月20日
平良 長政
 

 ただいま議題となりました乙第3号議案沖縄県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例に対する修正案について、提出者を代表して提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 修正案は、同条例の附則第5項を削り、附則第6項を附則第5項とし、附則第7項から附則第9項までを1項ずつ繰り上げるというものです。附則5は、県職員の民間より高い給与格差月平均8319円(2.11%)を来年3月期の期末手当で4月にさかのぼって減額調整措置をしようとするものです。
 私どもは、次の3つの理由で附則5の削除の修正を求めます。
 第1は、一時金によるこの調整措置は、形式は別にして実質は不利益不遡及の原則に明らかに抵触するからです。来年3月にやるから不遡及ではないと言っても、計算根拠はことし4月にさかのぼって既に支払った旧給与から新給与を差し引くのですから、不遡及ではないというのは詭弁でしかありません。
 総務省も、「既に適法に支給された給与を遡って不利益に変更することは、法的安定性や既得権尊重の観点から慎重であるべきものと考える。」との見解を出しています。法的にクリアされていると県は言っておりますが、10月16日の決算委員会での片山総務大臣答弁は、「現状での人事院や内閣法制局とのいろいろ相談しておる結果をお話し申し上げて御理解を求めました。結構ですという御返事じゃございませんが、承りますという返事でございました。」ということです。その程度であります。
 第2は、衆参総務委員会で職員団体の納得を得るよう最大限の努力をせよとの附帯決議が無視されているからです。不利益不遡及の原則に抵触するおそれありとして組合側と納得するまで話し合えというのが附帯決議の精神です。
 県は、組合を納得させることなく交渉を打ち切り議会提案をしてきたことは、国会での与野党全会一致の附帯決議をないがしろにするもので許すことはできません。附則5を撤回をして組合との交渉を再開し、再提案をすべきであります。
 第3は、地域経済への影響が大だからです。県内地方公務員4万人が1人当たり約15万円の減額とすると60億円にも上ります。嘉手納町の例は、減額分を地域経済振興のため地域限定の商品券購入に充てるというものですが、60億円の金が消費に回ればどれだけ地域が潤うことでしょうか。公務員賃金が下がれば民間の賃金も下がり、さらにまた公務員の賃金も下がる。際限なき悪循環、賃金デフレスパイラルを推し進めるものであり、不況がますます深刻化し、倒産、失業者の増加をもたらします。
 また、市町村課が新聞に出した「減額すれば、浮いた予算を他の行政サービスや事業に回せるはず。」との見解は、マスコミを利用した労使交渉への介入であり、その誤りは総務常任委員会でも明らかになりました。浮いた金は国に返さなければならず、地域振興には全く役に立たず経済の冷え込みしかもたらさないことも申し添えたいと思います。
 以上述べましたが、議員各位が賢明に判断していただいて御賛同賜りますようお願い申し上げまして修正案の提案を終わります。

 
20020805010060