平成14年(2002年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 10月15日
宮里 政秋
 

 私は、日本共産党県議団を代表して、議員提出議案第2号那覇空港拡張整備に関する意見書に反対する討論を行います。
 那覇空港の拡張整備について企画開発部長の説明が行われました。
 それによると、1.3キロの沖合に全長3000メートルの滑走路を増設するという計画が明らかにされました。年間約450万人の旅客が出入りする那覇空港を「主要地域拠点空港」として大都市圏拠点空港に次ぐ重要な空港に位置づけようというものであります。10年後には650万人の旅客の出入りを予測しているとの説明でした。名護にも2500メートルの軍民共用の空港をつくるのに、那覇空港の拡張は必要かと質疑を行いましたが、十分な説明が得られませんでした。しかし、県は平成12年10月3日に、辺野古につくる軍民共用飛行場としての民間機能の位置づけについて、平成22年には20万人の旅客を見込んでいます。
 ところで、沖縄観光審議会は、今後の観光客の予想入域客を600万人と予測した上で、600万人では那覇空港の沖合展開は無理と指摘しています。
 さて、我が党が意見書に反対する基本点は次の2点にあります。
 まず第1点目は、民間航空機の安全性確保は何よりも優先されなければならないということであります。
 これまで本県議会は、那覇空港における民間航空機と自衛隊機の共同使用の危険性について幾度となく指摘し、過去7回にわたって那覇空港の民間専用化について要請を行ってきております。
 政府も沖縄の施政権返還に当たり、那覇空港を民間空港として返還することを約束し、第1次及び第2次沖縄振興開発計画でも民間空港として整備拡充することを明記いたしました。しかるに、政府は、復帰30年に至る今日も那覇空港の民間専用化を実現していません。管制業務も暫定期間の約束が、今日もなお米国軍隊によって我が国の管制権が握られたままであります。
 管制権が米軍に握られているという異常な状況に加え、沖縄の空は米軍のウオーニングエリアという戦闘訓練空域が16カ所も設定されています。そのため、米軍機の訓練空域は沖縄の空の実に40%にも及んでおります。管制権を握っている米軍は、レーダーで広大な範囲にわたり沖縄の空を支配しているのであります。沖縄本島の陸地面積の20%が米軍基地、沖縄の空も40%が米軍の訓練空域、29カ所の水域も米軍に占領されたままであります。
 沖縄は、米国の占領地でも米国の領土でもありません。陸も海も空も自由に使えないこんな主権国家が一体どこにあるのかと言わざるを得ないのであります。沖縄の空の安全性の問題は、那覇空港の民間専用化ということだけにとどまりません。基地の県内移設や岩国移設ではなく、基地の全面撤去でこそ県民の命が守られるのであります。
 2点目、自然環境保全に最大の配慮を払うことにあります。
 沖縄の海の特徴は、海の熱帯林と呼ばれるサンゴ礁のたまもので、そこは魚介類を初め貴重な生物の宝庫となっていると専門家は指摘します。サンゴに囲まれた沖縄で盛んに埋立工事が行われ、復帰から30年間で与那国島に相当する面積が陸地に変わり、サンゴ礁へと通ずる自然の海岸も全体の9割から7割も減ったと言われています。
 世界の湿地保全に取り組む国際機関ラムサール条約事務局が日本政府に対して、泡瀬干潟の埋立事業について慎重な検討を求める書簡が送られています。しかるに、ラムサール条約の締結国である日本政府は、国際機関の勧告を無視して泡瀬干潟の埋立事業を強行しています。
 普天間飛行場の代替施設も地元の意向を無視してリーフの真上に建設するという基本計画が提示されました。全長2500メートル、幅730メートルの鉄板でリーフを覆ってしまったら最悪の環境破壊をもたらし、サンゴも藻も死滅し、ジュゴンも絶滅するおそれがあります。15年したら返してもらって県民の財産となると知事は主張します。破壊された自然は15年どころか永遠に返ってきません。日本の宝・沖縄の自然環境保護に今どれだけ政治の光を当てるかが問われているのであります。
 那覇空港沖合展開の予定地域は、那覇以南で残り少ない貴重なサンゴ礁から成り立ち、潮干狩り等県民の憩いの場であります。しかも、同地域はラムサール条約の指定を受けた漫湖に飛来する野鳥など渡り鳥のえさ場になっているのであります。自然保護団体からも強い反対の声が上がっています。自然保護は県政の最重要課題であります。
 我が党は、自然破壊につながる空港拡張に賛成することはできません。同時に、復帰時に県民に約束した民間専用空港がいまだ実現していません。今日まで放置してきた政府の責任を厳しく追及するものであります。同空港の民間専用化を強く要求するとともに、航空管制業務の早期返還を求め、議員提出議案第2号那覇空港拡張整備に関する意見書に反対する討論を終わります。
 御賛同よろしくお願いします。

 
20020608030170